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田代富士男君 私は、公明党・
国民会議を代表して、
昭和五十九年度
決算外二件に対しては、これを是認できないことを表明し、
委員長提案の
警告案に対しては、賛成の意を表明するものであります。
以下、
決算外二件について反対の主な
理由を申し上げます。
その第一は、財政経済運営の失敗であります。
五十九年度の経済運営は、安心で豊かな
国民生活を目指す上から、第二次石油危機以降の日本経済の構造を、
政府の積極的な施策によって輸出主導型から内需主導型に転換させ、景気の持続的拡大を図るとともに、調和ある対外経済関係を形成するべきであったにもかかわらず、
政府には何ら具体策もなく、失敗に終わったのであります。
すなわち、その執行の結果を見るならば、経済成長率は、五年ぶりに実質五・〇%の成長となり、当初見通しを達成したものの、内、外需別の寄与度では、内需の見通し三・一%に対し、その実績は三・七%となり、特に、拡大し続ける国際収支における黒字の抑制を図るため、大事な目標とされていた外需については低めに立てた見通し〇・五%を大きく上回って一・三%となり、依然として輸出依存型の体質を
改善できなかったのであります。
その結果、国際収支の黒字は、五十九年度末には三百七十億ドルになり、六十年九月の五ガ国蔵相会議後、各国の協調介入による急激な円高もあって黒字は一層増大し、六十年度末には五百五十億ドル、さらに六十一年度末にはついに一千億ドルを突破するに至ったのであります。
今日、
我が国がアメリカを初め諸外国から日本たたきとも言うべき批判にさらされ、貿易摩擦の解消に苦慮し、一方では長引く円高不況によって
国民生活が大きく圧迫されているのも、もとをただせば五十九年度経済運営の失敗からであり、その影響はまことに大きいと言わざるを得ません。またこの間、企業倒産件数は過去最高の二万三百六十三件で、その負債総額は実に三兆四千六百八十九億円の巨額に達し、完全失業者数も同じく過去最高の百五十九万人となるなど、
国民生活にとっては極めて厳しい情勢が続いたのであります。
その第二は、減税についてであります。
政府が鳴り物入りで打ち出した五十九年度の大幅所得減税のその内容は、七年ぶりの諸控除の引き上げであり、税率では高額所得者に厚く、低所得者に薄い
改正であり、
国民の大きな声を反映したものとはならなかったのであります。
一方、法人税とともに酒税、物品税の税率引き上げにより
国民生活は大きな圧迫を受けるところとなりました。これを国税、地方税を合わせた租税負担率で見るならば、実に二四・三%と過去最高となったのであり、減税とは名ばかりであり、私どもは到底容認することはできません。
第三に、我が党各
委員が本
委員会において指摘した高騰する地価対策、米の転作、アスベスト粉じん公害、輸入車の安全性等、
国民生活に深いかかわりのある諸問題について、
政府の対策に大きく欠ける点があったことは実に遺憾であり、これらについては速やかな対策を改めて強く要望いたしたいと思います。
会計検査院から毎年同じような不当事項が繰り返し指摘され、半ば恒常化しているものが見受けられることは甚だ遺憾であり、
行政に臨む
政府の
姿勢を正すよう強く反省を求めたいと思います。
最後に、国費のむだ遣いの絶滅を期すことはもとより、
予算執行後の
事業効果の発現という点にも十分留意することを求めたいと思います。
以上、
決算外二件の反対
理由を申し上げました。
委員長提案の
警告に対しては賛成であります。
政府は、
警告の趣旨を体して速やかにその実現を図るよう要望し、私の反対討論を終わります。