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1987-06-19 第108回国会 参議院 決算委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年六月十九日(金曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         菅野 久光君     理 事                 石井 道子君                 鈴木 省吾君                 松尾 官平君                 梶原 敬義君     委 員                 井上  孝君                 河本嘉久蔵君                 斎藤栄三郎君                 寺内 弘子君                 中曽根弘文君                 福田 幸弘君                 真鍋 賢二君                 宮崎 秀樹君                 久保田真苗君                 佐藤 三吾君                 山本 正和君                 及川 順郎君                 片上 公人君                 佐藤 昭夫君                 橋本  敦君                 関  嘉彦君                 抜山 映子君    国務大臣        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君    事務局側        事 務 総 長  加藤木理勝君        常任委員会専門        員        小島 和夫君    裁判官弾劾裁判所事務局側        事 務 局 長  金村 博晴君    裁判官訴追委員会事務局側        事 務 局 長  龍前 三郎君    国立国会図書館側        舘     長  指宿 清秀君        総 務 部 長  藤田初太郎君    説明員        警察庁刑事局暴        力団対策室長   深山 健男君        警察庁刑事局保        安部保安課長   伊藤 一実君        宮内庁次長    山本  悟君        総務庁長官官房        地域改善対策室        長        熊代 昭彦君        経済企画庁調整        局国際経済第一        課長       土志田征一君        経済企画庁調整        局財政金融課長  大塚  功君        経済企画庁総合        計画局計画官   川嶋 康宏君        科学技術庁原子        力局原子力開発  興  直孝君        機関監理官        法務大臣官房参        事官       田中 康久君        法務省民事局参        事官       大谷 禎男君        法務省刑事局刑        事課長      石川 達紘君        大蔵大臣官房審        議官       大山 綱明君        大蔵大臣官房審        議官       尾崎  護君        大蔵大臣官房審        議官       新藤 恒男君        大蔵省主計局次        長        斎藤 次郎君        大蔵省理財局次        長        安原  正君        大蔵省理財局次        長        入江 敏行君        大蔵省国際金融        局長       内海  孚君        国税庁次長    冨尾 一郎君        国税庁税部長  門田  實君        国税庁間税部長  十枝 壯伍君        文化庁文化部文        化普及課長    渡辺 通弘君        自治省税務局固        定資産税課長   佐野 徹治君        会計検査院事務        総局第一局長   疋田 周朗君        会計検査院事務        総局第四局長   吉田 知徳君        会計検査院事務        総局第五局長   三原 英孝君    参考人        国民金融公庫総        裁        吉本  宏君        日本開発銀行総        裁        吉瀬 維哉君        日本輸出入銀行        総裁       田中  敬君        日本たばこ産業        株式会社代表取        締役社長     長岡  實君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和五十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十九  年度政府関係機関決算書(第百四回国会内閣提  出)(継続案件) ○昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第百四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百四回国会内閣提出)(継続案件)     ―――――――――――――
  2. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいまから決算委員会開会いたします。  昭和五十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は、皇室費国会大蔵省日本専売公社国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算について審査を行います。     ―――――――――――――
  3. 菅野久光

    委員長菅野久光君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  5. 菅野久光

    委員長菅野久光君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 梶原敬義

    梶原敬義君 大蔵大臣サミット大変御苦労さまでございました。また、お帰りになりまして早々、次期総裁選等をめぐりまして何かいろいろ活動をされておられるようでございます。  けさの、十九日の朝の新聞を見ますと、宮澤大蔵大臣財界の有志と懇談をしてお知恵拝借をされているようでございます。平岩東京電力会長とか松沢富士銀行会長坪井三井不動産社長、その他鹿島建設の会長西武セゾングループ堤清二さんや、そうそうたるメンバーとお話をされているようでございます。その中で、新聞の記事によりますと、中曽根総理は乱暴だけれどもよくやってきた、宮澤さんも照れないでしっかりやってほしいというような激励も飛んだようでございますけれども、一国の総理というのは国民に対して公約に違反するとかあるいはうそを言うということではなくて、やっぱり信頼をどうつなぐかという問題でございまして、今までの宮澤大蔵大臣の姿というのは、私は非常に誠実そうな感じを受けておりますし、もう今のような状態でずっといってもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  7. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 昨日、私の友人たち財界人懇談をするということでございまして、ちょうど私自身も時間の余裕がございましたので御意見を承ってまいったところでございます。非常に難しいこういう経済情勢でございますので、いろいろお話を伺ったわけでございますが、どういう立場におりましてもこういう情勢に間違いなく対処いたしますために努力をしなければならないというふうに感じております。
  8. 梶原敬義

    梶原敬義君 それでは、ベネチアサミットについてお尋ねします。  きょうは、大蔵大臣が帰国をされまして国会あるいは国民に対して公式にサミットについて物を言われるのは最初の機会ではないかと思います。したがいまして、国会国民も大変大きな関心を寄せておるわけでございまして、率直にベネチアサミット性格内容並びに大蔵大臣はどのように成果を評価をされているのか、承りたいのであります。
  9. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先般のベネチアにおける先進国首脳会議一つ重点はやはり政治問題に置かれたというふうに考えますが、当委員会におけるただいまのお尋ねは恐らく経済面についてということと存じますので、経済面に限りまして申し上げたいと存じます。  サミット開会に先立ちまして、我が国といたしましては御承知のような緊急経済対策を決定いたしまして、ただいまその具体化を急いでおるわけでございますが、この緊急経済対策各国にかなりよく理解もされ、また評価もされておったように存じます。したがいまして、このサミットに至りますまでの何回かの蔵相会議等々におきまして、我が国黒字国として果たさなければならない責務と言われておりますものを日本としては誠実に履行しようとしておるということは認識をされていたように存じます。  そういうことを背景にいたしまして、経済問題につきましては、殊に為替安定等につきまして、プラザ合意以来ちょうど二十一カ月たっておるわけでございますが、これ以上為替レートが大きな変動をすることは、各国成長高め経済調整を促進する上でおのおのの国にとってむしろ逆効果であるという点を各国首脳確認をいたしました。そうして、各国黒字国黒字国赤字国赤字国としておのおの努力をし、政策協調を行うということをこの首脳会議確認をいたしましたことは、ただいまの世界情勢の中で有意義なものであったというふうに判断をいたしております。
  10. 梶原敬義

    梶原敬義君 経済宣言の中身を読んでみますと、一つは、今御答弁がありましたように、為替相場がさらに相当変動すると世界経済成長各国構造調整にとって逆効果になるとうたわれております。裏を返せば、このままの相場の安定を肯定をした形になっているのではないかと思うんです。今我が国円相場というのは百四十五円、まあ百四十円台で安定をした場合に我が国の企業が対応できるのか、あるいは雇用不安は一体どうなるのか、産業の構造はどうなるのか、これは非常に心配でありまして、こういう高い状態での為替相場の安定を肯定して帰ったとすれば問題があるのではないか。通産大臣とはよく、百六十円プラスマイナス十円じゃないとやっていけないのじゃないかと、こういうことを私も商工委員会でたびたびやりとりをしているんですが、大蔵大臣としてはその辺については、今のような非常に高い段階での相場の安定、このことを肯定して帰ったのかどうか、これでやっていけるのかどうか、この点についてお尋ねします。
  11. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いわゆるプラザ合意が行われましたのは一昨年九月二十二日でございますので、ちょうど二十一カ月たつわけでございますが、その間急速にドル下落をいたしました。また、そのために各国協調をいたしたわけでございますが、このたびのサミット背景になりましたのは、そのような過去二十カ月余りの大きなドル急落というものがもうここらで十分である、いわば各国のファンダメンタルズを反映するところまで来たという、そういう認識であったかと存じます。ここらと申しますのは、実はアメリカ財務長官と私との間では昨年の秋ごろにはもうそういう認識を持っておったわけでございますが、このたびは各国首脳がそのような認識で一致をした。  したがいまして、この二十カ月にわたりましたドル急落というものは、もうその所期の目的を達したという大まかな合意は、今の水準、これがそのまま大変に理想的であるというふうに必ずしも考えておるわけでございませんで、これだけドル下落をいたしますと、アメリカ国際収支も何がしかの改善をいたすはずである、またそのような兆しがジグザグではありますが見えておることも梶原委員のお気づきのとおりでございますから、そうなりますと、勢いそれはいわばドルが力を回復するということになってまいると考えるべきであり、そのことはまた逆に円の水準に影響を与えると考えるべきであろうと思っております。  したがいまして、二十カ月の大きなドル下落というこのお互いの努力あるいは動きというものは、マクロで見て既に底を打って、これからはむしろアメリカ国際収支が回復をしていくということを多くの人々が期待をしている、またそのような兆しも見えるというふうに私は全体をとらえております。かたがた、我が国としての国内的な努力もあり、そういう意味では今の円の水準が終局的また理想的なものであるというふうに必ずしも私は考えておりませんで、むしろこれは我が国経済にとりましては、上昇が急激でございました点もございまして非常に厳しいものである、なかなか対応に苦労の要るものであるというふうに認識をいたしております。
  12. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に、経済宣言は、市場主導による一層の金利低下が有益だと、こういうようなことをうたっておりますが、我が国においてもさらにこの金利を引き下げることを念頭に置いての合意宣言なのかどうなのか、お尋ねします。
  13. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまのお尋ねは、さらに公定歩合を下げるというようなことがこの合意裏側合意されておるかということでございますれば、その問題はもともと日本銀行総裁が御決定をなさるべきことではございますけれども、このたびこのような文章声明が出ましたその裏側には、そのような合意はございません。むしろ、現実に日本銀行がやってまいりました短期金利低め誘導といったような努力をさらに続けていこうではないかといったようなことがこの文章意味するところでございます。
  14. 梶原敬義

    梶原敬義君 わかりました。  次に、各国の役割と責任について、貿易黒字国は物価の安定を維持しながら内需拡大強化し、黒字を削減する政策をとるべきだと、こううたっておりますが、我が国の場合、このことがもし実行できなかった場合、近い将来そういうことも予想できないことではございませんが、一層日本への不満、批判が強まってくるのではないか、こういう懸念があるんですが、いかがでしょうか。
  15. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 我が国としては貿易黒字国でございますので、内需拡大し、黒字を削減するという継続的な努力をしていかなければなりません。また、政府は過般緊急経済対策を決定いたしまして、その具体化をやがて国会にも御提案申し上げたいと考えておるところでございまして、このような努力は続けていかなければならないと考えております。
  16. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に、為替相場を含む経済指標を使ったサーベイランス強化をする、こうしておりますが、強化をするということですから、だれがどこをどのような形で監視をして、その強制力というのは一体今回のサミットでどのように変わったのか。アメリカやフランスはこれを強制力のあるものととらえているようでございます。報道によりますと、日本西ドイツ各国国内事情もあみのでこれを強制できないと考えていると、こう報道されております。各国の思惑の違いが出ていると思うんですが、これをどのように大蔵大臣は受けとめておられますか。
  17. 内海孚

    説明員内海孚君) 事務的に、まず議論内容から御説明申し上げたいと思います。  ただいま委員指摘サーベイランスは、昨年の東京宣言で七カ国の大蔵大臣に対しまして、今後サーベイランス手続について詰めるようにというマンデートがございました。これに基づきまして七カ国の蔵相及び中央銀行総裁でこの問題について勉強を重ねてまいりまして、ただいま御指摘のように、中期的な目標及び見通しというものを各国が出しまして、これは必ずしも数量で出す必要はないわけでございまして、いわばスタンスとしてそれを表明すればいいわけでございますが、これに基づきまして、今委員指摘のように、いろいろな指標を見ながらそういう目標に向かって正しく進んでいるかどうかということを議論するわけでございます。  ただ、従来五カ国あるいは七カ国の蔵相会議でやってきておりましたことも、実は実態的にはほとんど同じようなことをやってきたわけでございまして、その手続をはっきり文章で書くというようなことがいわばその実態であったわけでございまして、今回こういう手続ができたからといって、直ちにそれが自動的に強制的に各国に適用されなければならないというようなことではございません。これははっきりいわゆる自動性というものはないということが合意されております。  しかしながら、各国間の経済相互依存関係というのは非常に深まっておりまして、各国が何らかの経済政策をとる場合にはその国際的に与えるインパクトというものがもはや無視できなくなっているということは共通認識でございますし、そういった意味で、いわば国内政策の国際的なインパクト認識というものをますます強く持ちながら国内政策をしなければいけないということは各国とも共通の問題として今後一層そういった相互依存関係は強まると思いますが、いわば合意として、こうしたら各国はこうしなければならないというような性格のものではないということは申し上げておいた方がよろしいのではないかと思います。
  18. 梶原敬義

    梶原敬義君 ちょっとわかったようなわからぬようなところもあるんですが、次に移ります。  各国農業保護政策を順次縮小し、保護措置の不拡大など短期的な対策を実施すると、こうしておりますが、食糧の自由化をさらに拡大することをこのことは意図しているのか。やがて我が国の主食であります米まで開放しろというような伏線を敷いているのではないかという心配もするのですが、この点はいかがでしょうか。
  19. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この点はこれからの先進国間の経済問題の中で最も微妙な困難な問題の一つであろうと存じます。また、現にアメリカ立場我が国立場、それからECの中におきましても各国立場が一緒ではございませんので、大変に難しい問題であるということは会議関係者が全員認識しております。したがいまして、このたびのこの声明の中でも、先般五月に行われましたOECD閣僚会議でかなり議論されましたその表現をそのままここへ取り入れているというような経緯のある問題でございます。  いずれにしても、やがてウルグアイ・ラウンドが進んでまいりますので、その中において農業問題の議論をしようということでは最低の合意がございますので、その点を第十九項で述べておるわけでございます。したがいまして、梶原委員お尋ねに対しましては、関係各国がこの問題は非常に微妙であるということ、大変に多面性を持っておる問題であるということをおのおの認識しながらウルグアイ・ラウンドに臨んでいこうと、いわば五月十三日でございましたかのOECD閣僚会議のころの、あのときの全体のまとまりから後退をしたわけでもございませんけれども、別段大きな前進をしたわけでもないと、そういうものとして御理解をいただいたらいいのではないかと思います。
  20. 梶原敬義

    梶原敬義君 さらに、各国は中所得累積債務国による経済構造改革を支援し、世界銀行民間銀行からの融資をふやすと、このようにうたっておられますが、伝えられるところによりますと、我が国開発途上国への還元として二百億ドルを考えておられるようでございます。ある程度の合意みたいなものがその中でできたのではないかという気もしますが、この点はいかがでしょうか。
  21. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 向こう三年間で合計二百億ドル程度のものをリサイクルしたいということを考えておるわけでございますけれども、内容につきまして局長から申し上げます。
  22. 内海孚

    説明員内海孚君) 二百億ドル還流計画につきまして簡単に御説明申し上げます。  全体は三つのグループに分かれるわけでございますが、最初グループは八十億ドルを想定しております。これは、世界銀行、アジア開発銀行あるいは米州開発銀行といった機関に対しまして財政資金等によってある程度援助するとともに、これらの機関東京市場におきまして民間資金対象といたしまして資金調達をするということに協力していくというものでございます。それから第二のカテゴリーは、海外経済協力基金輸出入銀行及び輸出入銀行との協調融資という形での民間金融機関、この三者を対象といたしまして、これらが主として世界銀行等との協調融資を通じて各開発途上国融資をしていくという構想でございまして、これが約三年間で九十億ドルを見込んでおります。それから最後の、残りの三十億ドル輸出入銀行からの単独バンクローンでございます。これらの資金はいずれも完全にアンタイドの資金でございまして、これによって開発途上国世界のどこからでも財貨サービスを購入できるということで想定をしております。
  23. 梶原敬義

    梶原敬義君 最後になりますが、一貫して日本西ドイツにおいてはやっぱり内需拡大が非常に今重要な課題になったようでございます。西ドイツ内需拡大策はいろいろあると思うんですが、私は減税の面で西ドイツというのはいろいろ考えて非常に進んでいるなと思うんです。  私が持っている資料に間違いなければ、一九八六年の一月一日から日本円に直しますと八千九百三十八億円の減税をやる、八八年には六千六百三十億円の減税をやる、それから九〇年には四千五十六億円強の減税をやる。人口規模からいきますと、西ドイツのこの額というのは日本円に直すと相当大きな額になりますが、私はそういう意味では、日本公共事業やなんかの一過性にぽんとこうやってやるのではなくて、非常に地に足がついた、結果的にはそうなるだろうと思うんですが、この点についてはどのように評価をされておられますか。
  24. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは国柄の相違にもよることだと思いますけれども、我が国の場合にはいわゆる内需振興策というときに、現在のような社会資本の貧弱な状態でございますので、公共投資等々による内需振興というものが相当効果があり、また有意義であるというのが我が国の実情であろうと存じます。西ドイツの場合には、それよりもむしろ減税による内需振興効果の方がふさわしい。こういう、どっちかと言いますとその国の現状、中央と地方との関連等々を通じてそういうことが言えるようでございます。  したがいまして、西ドイツはどちらかというと減税重点を置こうという、伝統的にさような政策でございます。今度の場合、今梶原委員の言われましたような追加減税議論をされておりまして、政府としてはそれを実行するということを言っておると承知しておりますけれども、やはり財源をどういうふうに求めるかということはこれからの部分もある。しかし、そういう中で何とか黒字国としての協力の実を示そうと、こういうのがドイツの問題であるように承知をいたしております。  減税規模から申しますと、確かに人口等々から見ますとかなりの大きなものということはおっしゃるとおりだと思いますが、それをどうやって財源的に賄っていくかという問題はやはり持っておるようでありまして、それを何とか克服をして協力をしていこうというのが西ドイツ立場かと理解をしております。
  25. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に、マル優制度廃止の問題がまた新聞をにぎわしておりますが、私は後で佐藤委員皆さん方が詳しく質問されるようでございますので簡単にいきますが、五月の二十七日の第百八回通常国会が終了と同時に税制改革法案はすべて廃案になりました。それは、衆議院議長あっせん案に従って税制改革協議会が設置をされて、立法府の場にもう移っているわけでございます。  そういう状況にあるにもかかわらず、六月十六日の新聞報道によりますと、大蔵省首脳、だれかわかりませんが、今度の臨時国会所得税減税マル優廃止を抱き合わせにした法案を考えて提案するというようなことを言っておりますし、新聞を見ますと中曽根総理が、きのうの夕刊やきょうの朝刊ですが、自民党の党友組織自由国民会議機関誌座談会で、少額貯蓄非課税制度で云々と、こうしてぜひやりたいと、こういうことを言っておりますし、また官僚OBとの千代田区のどこか料亭での懇談会では、「減税とマル優の廃止はぜひやっておきたい」と、こういうことを言っておるわけです。そして、しかも報道によりますと、こうした点については自民党ニューリーダーにも伝えてあることを明らかにしました、その会議の中で。ということは、ニューリーダーというのはどなたとどなたか、大体言われるとおりだと思うんですが、宮澤大蔵大臣も入っておられるでしょうが、ニューリーダー宮澤大蔵大臣も聞いておるということを総理が言っておるわけですから、この一貫したマル優制度の今私が言いました点について、簡単でいいですから、御答弁をお願いしたい。
  26. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この問題は、ただいま御指摘のような経緯があるものでございますから、公の場におきましてなかなか申し上げにくいいろいろな配慮をしなければならない問題でございます。つまり、衆議院議長のごあっせんによりましてただいま各党間の税制改革協議会の御検討が進んでおる。承るところでは、二カ月ほどしたらば報告をしてくれということを議長は言われたと承知しておりますけれども、五月の二十日過ぎに御協議が始まったのでございますから、まだまだ御協議が続くものというふうに考えるべきものであります。したがいまして、それに先んじて政府がかくかくというようなことを申し上げることは、公の場においてはやはり慎重でなければならないというふうに私ども考えておるわけでございます。  ただ、一つだけ申し上げられますことは、この協議会に臨みます与党側の考え方は、協議会が仮に今年度内に所得税等々の減税についていわゆる前倒しというものが望ましいことであるというふうにお考えになられる場合にも、与党としては、それは一遍限りのことでなく、いわゆる税制改正の全体の中においてその部分が前倒しをされる、そういうふうなものとして問題を考えていきたい、こういうふうに与党としては考えている。政府としてもそう考えておるわけでございますが、そういう立場はあるものと存じております。しかし、具体的にただいまのような問題について公の席で申し上げますことは、こういう協議会の御協議の際でもございますので、しばらく遠慮をさせていただきたいと存じます。
  27. 梶原敬義

    梶原敬義君 ちょっと話は横にそれますが、外務省の首脳が、鄧小平さんは雲の上の人だ、こう言って問題を醸し、言わぬでいいことを言って、今度、きょうの新聞ではやめたようになっている。大蔵省首脳も、これは立法府に問題が移って今一生懸命努力をしようとしているやさきに、こういうようなことをどんどん外に向けて言わなければならない、ちょっとしゃべり過ぎじゃないかと思うんです。総理もちょっとしゃべり過ぎじゃないかと思うんですが、宮澤大蔵大臣聞いているかというのはもうお答えにならなかったから、もうそれ以上御答弁要りませんけれども、今そういう場で一生懸命やっているのだから、わきからいろいろやるべきじゃない、ぜひ慎んでいただきたいと思います。  次に、昭和五十九年度の会計検査院の決算報告に係る事項について一、二質問をいたします。  大蔵省は関係するところ二件、不当事項として指摘をされております。  一つは徴収額の過不足の問題でございますが、会計検査院の指摘で目につきますのは、所得税と法人税について徴収額の過不足が毎年連続して出ておることであります。若干数字をアバウトで申しますと、不足額は昭和六十年度の指摘額では約十億円強、五十九年度が十一億円強、五十八年が十一億円弱、五十七年が十三億円弱、五十六年が十二億円強、五十五年が十六億五千万円程度。それから過大額は、六十年が六千四百万、五十九年が九千八百万、五十八年が一億強、五十七年が一億五千万弱、五十六年が一億一千万弱、五十五年が一億三千万程度、このようになっておるわけです。  そこで具体的に指摘されている事項は、租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったものは、百九十九税務署において、納税義務者等五百七十九人から租税を徴収するに当たり、申告についての調査等が十分でなかったため徴収額が不足していたものが五百三十四事項、今言いました約十一億と、徴収額が過大になっていたものが四十五事項約九千八百万円でありました。これらについては、本院の注意により、すべて徴収決定または支払い決定の処置がとられた、このように報告をされておりますが、会計検査院の少ない検査対象の中から、検査率というのは非常に低いわけですが、低い検査率の中から不当指摘事項がこのように出ているということは氷山の一角ではないかと考えます。どうして毎年毎年こうした過不足が生じるのか、原因は何か、抜本的な対策はあるのか、この点についてお伺いをいたします。
  28. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) お答えいたします。  国税庁におきましては、現下の厳しい行財政事情を踏まえまして、適正かつ公平な税務執行を行うために常々努力を重ねてきているところでございますが、今回会計検査院から不当事項として指摘を受けましたことにつきましては、私どもとしても大変厳しく受けとめております。  国税の職場の現状を若干申し上げさせていただきますと、経済取引が複雑広域化をし、さらには国際化するという状況の中で課税対象が年々増加をしておりまして、昭和五十九年度には申告納税の所得者が七百十万人、還付申告が五百七十万人、法人の数が約二百万社、源泉徴収義務者が三百二十万件にも達しておりまして、また私どもがいろんなところから資料を集めております枚数が七千二百万件ということでございまして、この十年間で一倍半ないし二倍という状況に達しております。これら多数の納税者に対しまして、私どもとしては十年前とほとんど変わらない限られた人員で複雑な税法の適用を行い、かつこれらの資料を活用しながら申告内容の審理検討を行い、また問題があるケースにつきましては税務調査を行うというようなことでやっておるわけでございますが、今後とも適正かつ効率的な税務執行が行われるように常に努力してまいりたいというふうに思っております。  一方、納税者に対しましても、各種広報、税務相談等を通じまして積極的に働きかけをして、正確な申告をしていただくように私どもとしても十分御指導、宣伝に努めてまいりたいというふうに思っております。今後とも私どもとしては一層事務運営の効率化、適正化、さらには担当職員の研修の充実等を図りながら、このような御指摘を受けないように一層努力してまいりたい、かように考えております。
  29. 梶原敬義

    梶原敬義君 そういう問題について、あと具体的な問題で少し関係をするものについて質問をしたいと思いますが、次に移ります。  資金運用部資金の貸付額が過大になっているものについて県が一、町が一、村が一、一部事務組合が一の計四県町村等に対する約二十一億円の貸し付けにおいて、これは約というのは私が数字を丸めて言いましたが、貸付先の県町村等が貸付対象事業費を過大に算定していたり、貸付対象事業の財源として受け入れた寄附金を算入していなかったりして貸付額が二億六千九百万過大になっていると認められる、これも指摘をされておりますが、氷山の一角ではないか、昭和六十年以降もこの種の問題は起きていないのか、指導はどのようにしているのか、この点についてお伺いします。
  30. 安原正

    説明員(安原正君) 資金運用部資金の問題でございますが、その地方公共団体向け貸し付けにつきまして、今お話がございましたように、会計検査院の実地検査によりまして、一部の団体ではございますが、不適正な借り入れを行っているという指摘がなされました。そのことにつきましては私ども遺憾に存じております。会計検査院の御指摘内容は地方公共団体側の手続上のミスによるものでございますが、これらの団体に対しましては不適正な借入金につきましてその繰り上げ償還の措置をとるなど厳正に対処したところでございます。今後はこのような事態が生じないように、私どもといたしましては自治省とも十分連携をとりまして地方公共団体に対しまして的確な指導を行っていくつもりでございます。
  31. 梶原敬義

    梶原敬義君 毎年毎年決算委員会でそういう御答弁が繰り返されるのですが、ぜひひとつしっかりやっていただきたいと思います。  租税の徴収に当たりまして、ちょっと具体的な問題について聞きます。  昨年の本院の決算委員会でたびたび問題となりました平和相互銀行問題に絡んででございますが、「時代行列」金まき絵びょうぶの売買問題が出たことは御承知のとおりでございます。このびょうぶにつきましては、千代田区有楽町一の一の一にあり真部俊生氏が代表取締役をしております株式会社八重洲画廊所有のものを、当時平和相互銀行の監査役をしておりまして同行での最大の実力者であったと言われております伊坂重昭監査役が関与しておる会社であるコンサルティング・フォーラム社が巷間言われている非常に高い値段で買ったと言われているものでございますが、この金まき絵びょうぶの商品の流れは、国税庁としてはそのように流札でいったと、このことは把握をされておりますか。
  32. 門田實

    説明員(門田實君) ただいまお尋ねのございました金まき絵びょうぶの件でございますが、私ども個別にわたる事柄につきましては御答弁を差し控えなければならない立場にございますことをまず御理解願いたいのでございますが、一般的に申し上げまして、これは昨年の予算委員会等におきましても前大臣からも答弁いたしましたし国会で種々論議がございましたそういった事柄、あるいは新聞、雑誌等でも大きく報道された事柄でございますので、国税当局としても重大な関心を持って対応すべきと考えまして、各種資料、情報、申告書等を総合的にチェックして課税上問題があるという場合には実態調査も行う、こういう一般的な方針に沿いまして適正化に努めているところでございまして、事実関係その他、そういった観点におきまして私ども関心を持ち、十分これを見届けてまいっておるところでございます。
  33. 梶原敬義

    梶原敬義君 この商品の流れについて把握しておるかという質問でございましたが、これに対しては否定がなかったわけでございまして、事実上の肯定だと私は受けとめますが、それでいいですね。
  34. 門田實

    説明員(門田實君) そういった御議論があり、報道もあったような事柄でございますので、私どもとして十分それは対応をいたしておるわけでございます。
  35. 梶原敬義

    梶原敬義君 日本語難しいですからね。  法務省では、この商品の流れについてはもう捜査もされたことですし間違いないと思うんですが、いかがでしょうか。
  36. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) 「時代行列」の事件につきましては一連の平和相互銀行の不正事件に絡みまして疑惑が生じたわけでありまして、その過程で疑惑が生じた上に国会でも御議論ありましたしマスコミ等でも多々報道されたところでございまして、それらの点を念頭に置きまして捜査を進めたわけでございますが、結論といたしましては犯罪となる事実が認めるに至らなかったということでございます。
  37. 梶原敬義

    梶原敬義君 そういうことじゃなくて、商品が八重洲画廊からフォーラム社にやっぱり移動したかどうかということをお聞きしているんです。
  38. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) それはまさに捜査の具体的な内容にわたりますので、私どもとしては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  39. 梶原敬義

    梶原敬義君 国税庁は否定をされなかった、法務省も否定はされなかった、私はこう受けとめて次の質問に移りたいと思います。  売買契約が成立をしたのを当然国税庁としては税務監査をする中ではちゃんと把握をされておると思うんですが、その点は一体いつ成立したのか。それから、昨年五月十二日の本院の決算委員会において同僚の本岡昭次委員の質問では、「時代行列」金まき絵びょうぶの購入代金は昭和六十年八月十七日に二十億円、九月十七日に二十一億円が平和相互振り出しの小切手で支払われていると、その小切手の写しを示しながら政府にその事実をただしたわけでございますが、当時の吉田正輝銀行局長は答弁で、特定の金融機関と特定の企業との具体的な取引にかかわる事柄でございますので答弁を差し控える、こういう答弁を繰り返して否定も肯定もしなかったわけであります。  そこで、もう時間も相当たって平和相互も住友銀行との合併も済んで企業不安、金融不安の心配もなくなったわけでございますから、平和相互振り出しの小切手で代金支払いが行われたことの写しもあるこれは、今ならそれが認められる状況にもう立ち至ったと思うんですが、これはいかがでしょうか。
  40. 門田實

    説明員(門田實君) 私ども国税の立場としましては、今おっしゃられた点はまさに個別的な事柄でございますので、私どもの立場からは答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  41. 梶原敬義

    梶原敬義君 次にいきます。  そういう答弁は想定しておるんですが、国税庁は、八重洲画廊が「時代行列」をフォーラム社へ売った事実については、もう一度言いますが、掌握しているのかしていないのか、それが一つ。それから、八重洲画廊の決算月はいつなのか、それをお伺いします。
  42. 門田實

    説明員(門田實君) この件に関しまして、売った時期といったような事柄も含めまして全体的に、これが一般的に調査等であれば、そういうことは把握されるわけでございます。  それから決算月は、これは毎年二月期が決算期でございます。
  43. 梶原敬義

    梶原敬義君 重ねて国税庁お尋ねしますけれども、八重洲画廊の昭和六十一年度の二月期における決算ということになりますから、所得の申告についてはもう終わっており、国税庁としてはそれはもう調査も終わっておる段階でしょう。十分な調査を行ったと思いますが、法人所得は幾ら計上されているのか、また昭和五十八年、五十九年度は幾ら計上されてきたのか、これはちょっと具体的に出してください。
  44. 門田實

    説明員(門田實君) お尋ねのございました六十一年二月期でございますが、これは申告所得金額を公示されているわけでございまして、それに基づいて申し上げますと、三億五千七百七十七万七千円という数字になっております。  それから、お尋ねのございましたそれ以前、つまり六十年二月期以前はどうかということでございますが、それ以前の期間につきましてはいずれも公示金額、これは年間所得四千万円を超える場合でございますが、その公示金額に達しておらないわけでございます。
  45. 梶原敬義

    梶原敬義君 そこで、大分姿が出てきたんですが、五十八年、五十九年は公示金額の四千万円までは所得が行っていない。そうすると、この画廊は六十年度にぽっとやっぱり利益が出ているわけですね。しかし私は、この三億五千七百七十七万七千円というのは、巷間伝えられております、たかだかいって、どんなに高くても五億円以下のような、買い入れ原価が幾らかわかりませんが、それを四十億円ぐらいで売っていると、その差は相当出ているから、三億五千七百七十七万円ぐらいというのは、私は過少申告のような感じがしてならないんです。これは私どもも、あなたたちが言わぬなら、何か特別な方法でもっと調べなきゃならぬですが、この点については自信を持って、過少申告ではない、税務調査はぴしっとやった、このことは答弁できますか。
  46. 門田實

    説明員(門田實君) 公示制度というのがございまして、申告額が一定金額を超えた場合には公示される、これは正しい申告を慫慂し推進するという趣旨から設けられている制度なんでございますが、これは修正申告の場合も同様でございます。しかし、税務上の処理が行われました場合につきましては、これはもちろん公示等はないわけでございます。したがいまして、申告であれば、その姿が当初の申告あるいは修正の申告等を通じましてある程度明らかになる、しかしそうでない場合には必ずしもそういうことにならない、こういう事情があるわけでございまして、その辺をひとつ御推察願いたいと存じます。
  47. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから、私が聞いている内容一つは、今まで非常に少なかったが、初めて大きな利益をぽっと出したという動きは、だれがどう言っても、もう流れが一致しているわけです。ただ、ちょっとやっぱりそれでも過少じゃないか、税務調査は十分にやっているかどうかということを私は聞いているんです。これは調査は正しくやっているかどうか。
  48. 門田實

    説明員(門田實君) その点につきましては適切に対応している、こうはっきり申し上げておきたいと思います。
  49. 梶原敬義

    梶原敬義君 検察庁も、この点については十分地検の特捜部は調査をされたと思うんですが、この点については自信を持てますか。
  50. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) 具体的な事件の内容でございますので、やはりお答えできかねるところでございますが、一般論といたしまして、検察当局は捜査をすれば、当然のことながらいろいろな観点から捜査を遂げておりますので、その点は十分御理解いただけるのじゃないか、これまでの実績から見て御理解いただけるのじゃないかというふうに考えております。
  51. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に移ります。  大蔵大臣、よく聞いておってください、後から聞きますから。  また、昨年五月十二日の本岡質問におきまして、竹下当時大蔵大臣の元第一秘書で後援会の事務所で仕事をしておりました青木伊平さんが本件と絡んで少なくとも一億円を受け取っているのではないかという雑誌の記事を引用された質問をいたしました。刑事局長は、一般的に捜査の段階で捜査の個々的なことについては申しかねるという答弁も繰り返しておられましたが、この点については、青木さんの申告所得あるいは公示しなきゃならない課税額の推移についてお尋ねをいたします。
  52. 門田實

    説明員(門田實君) これも個別のことでございますので非常にお答えしにくいのでございますが、最近の納税額に関しましていずれも公示金額には達していないというふうに申し上げておきたいと思います。
  53. 梶原敬義

    梶原敬義君 五十七年までは課税所得の公示が一千万以上でございます。そのときは一千六百四十三万六千円の課税所得があったということは間違いございませんか。
  54. 門田實

    説明員(門田實君) それは間違いございません。
  55. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうすると五十八、五十九、六十年は要するに納税額が一千万を超えていないということで、六十一年度についてはいかがですか。
  56. 門田實

    説明員(門田實君) やはり公示金額に達していないわけでございます。
  57. 梶原敬義

    梶原敬義君 私が資料要求したときに五十八、五十九、六十年までしか教えてくださいませんでしたが、六十一年も課税額が一千万を超えていないということは間違いないですね。
  58. 門田實

    説明員(門田實君) 間違いございません。
  59. 梶原敬義

    梶原敬義君 最後に、時間が差し迫りましたので急ぎ急ぎでやりましたが、大蔵大臣、これは疑惑があるんですよ。我々がこの疑惑に対して資料を提供してほしいと言う、あるいは状況はどうだ、商品が動いたか動かないか、これも一切国会に言わない。そして結果的には、傾向としてはやっぱり物が動いたような形に、税金の推移を見ますとそういう形になっている。こういうようなあり方で、何でもかんでもそういう守秘義務みたいな形で外に出さないようなやり方というのは、これはどうしても私どもは納得がいかない。真相がはっきりしないわけです。大蔵大臣、これはちょっと決算委員会で税の徴収に係る問題としていろいろやることはない、事実をはっきりしてほしいということで詰めておるわけですから、なぜさっきから言っていることがああいうように出せない、出せない、こういうことになるのでしょうか。無理を言っていますか、私は。
  60. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 具体的な案件を私十分存じませんので、具体的に御答弁を申し上げるわけにはまいりませんけれども、先ほど国税庁の直税部長がお答え申し上げておりますように、事柄の大きな流れ等々については国税当局としては十分に関心を持って調査をいたしておるということ、しかし具体的なことにつきましては、法律上等々の守秘義務がございますから、それを申し上げることは御遠慮申し上げたい、お許しをいただきたいと、こう申し上げておりまして、国税当局としての責務は十分に果たしておるものと存じます。
  61. 梶原敬義

    梶原敬義君 守秘義務はわかります。だから私は、これほど国会で問題になったことでもありますし、国税当局は株式会社八重洲画廊について具体的に調査をし、調査結果には自信を持っていると、この具体的な問題についてはっきり言えますか。
  62. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 行政の個々のケースでございますので、それまで私は存じておりませんが、一般論といたしまして、国税当局は十分職責を果たしておるものと存じます。
  63. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから、八重洲画廊の個別の調査については、いろいろずっと申告がありますが、ざっとやったのじゃなくて、この国会でも出た問題だから、きちっと中身の問題については十分具体的に精査をしたかどうかということだけもう一度聞きたいんです。
  64. 門田實

    説明員(門田實君) 先ほども申し上げましたとおり、適切に対応しているということを申し上げたいと思います。
  65. 梶原敬義

    梶原敬義君 わかりました。また私の方も引き続いて調査を進めていきたいと思っております。  次に法務省にお伺いしますが、私も六月四日の本委員会で質問をいたしました福岡県の苅田町における住民税の不正操作事件について東京地検特捜部の捜査を注意深く国民は注視しておりますし、私も非常にどうなったか気がかりでございますが、一体その捜査状況はどのようになっているのか、これが一つ。  それからもう一つは、解明に当たっては、当時の町長でありました尾形代議士を、犯罪の容疑とかなんとかじゃなくて、直接呼んで事情を聞かれるのがこの問題の解明のためには一番じゃないか、当然なことだと、こう思うのであります。この地域の住民も当然そう思っておる、これが常識だと思うんです。この点については尾形さんから事情を聞かれるつもりはないのか、お伺いをします。
  66. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) 具体的な捜査の状況につきましてはお答えいたしかねるところでございますが、東京地検といたしましては、本年四月告発を受けましてから鋭意捜査を進めているところでございます。  それから、尾形議員を調べるかどうかということでございますが、これまた事件の推移を見守らなければならないわけでありまして、現段階でどうこう申し上げることはできないわけでございます。
  67. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に移ります。  昨年の十一月二十一日の本決算委員会で、原子力船「むつ」に係る長崎県の「むつ」風評による魚価安定対策基金のことについて質問をいたしました。この基金約二十億、科学技術庁を通して農林省の予算から出しているんですが、この基金の性格、位置づけ、これをもう一度、簡単でいいです。  そして、「むつ」は長崎の佐世保を出ていってもう何年もなるのにまだ返さぬ、当然すぐ国庫へ返還を急ぐべきだと、こういうことで二回ほど国会で質問しましたが、一体どうなっておるのか。大蔵大臣も聞いていただいて、こんなおかしな金というのはやっぱり早く取り上げて、国に返して有効に使うべきではないか、こう思うんですが、科学技術庁、もうこれで終わります。
  68. 興直孝

    説明員(興直孝君) お答えいたします。  長崎県の魚価安定基金は、昭和五十三年、原子力船「むつ」が修理のため佐世保に回航された際、「むつ」にかかわる風評による魚価低落に対する魚価安定対策として同年九月長崎県に設置され、昭和五十三年十一月に農水省から二十億円の補助金が交付されて造成されたものでございます。  ただいま先生が御指摘になられました昨年十一月の決算委員会におきます審議で問題になりました返還の問題につきましては、当庁といたしまして昨年の八月、この原子力船「むつ」が佐世保港に入港してから約八年、昭和五十七年九月に大湊港に回航してから約四年が経過し、その間佐世保港においても大湊港におきましても一度も魚価低落が起こらなかったことを考慮し、また既に原子力船「むつ」にかかわる風評による魚価低落のおそれはなくなったものと判断できますので、本基金のうち国庫補助金に相当する額は速やかに返還されるべきものであると考え、長崎県知事に対し、本基金のうち国庫補助金に相当する額の返還に関し所要の措置を講じるよう要請してきたところでございます。さらに数次にわたりまして当庁の強い要請を受け、長崎県側も基本的には返還することについて了承してくださり、本基金のうち国庫補助金に相当する額の返還が図られるよう、漁業関係者を初めとする県内関係者の意見の集約に努めているところでございます。また漁業関係者におかれましても、本年五月の長崎県漁連の総会において、本基金の扱いについて「むつ」基金対策委員会を設け検討を行うこととなったところでございます。  当庁といたしましては、今後とも長崎県に対しまして早期返還が行われますよう一層の働きかけを行ってまいる所存でございます。
  69. 梶原敬義

    梶原敬義君 最後ですが、性格からいって、長崎県がもう今何にも問題がないのにいろいろ言われれば漁協が対策会議をつくって何々するような性格の問題じゃない。こんな問題で何でそんなに時間がかかるのか。何かやましいことがあるんですか。
  70. 興直孝

    説明員(興直孝君) お答えします。  この点につきましては、ことしの二月でございますが、長崎県知事より、漁業関係者を除きましておおむね返還もやむなしとの県内関係者の御了解をほぼ取りつけるに至ったところであるけれども、漁業関係者にありましては、原子力船「むつ」受け入札の昭和五十三年当時、本基金の設置を前提として原子力船「むつ」の修理受け入れを県漁連総会の議を経て決定した経緯もあり、基金返還に当たりましても、こうした県漁連総会の意向を踏まえて、その上に立って県漁連総会における審議を踏まえ意見の集約を図りたい、ついてはこの意見集約になおお時間をいただきたいと、こう申されました経緯もありまして、当庁といたしましてもその事情を承知し、一層の理解を求めるようお願いをしたところでございます。  以上でございます。
  71. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大臣とは、何の大臣だったか、前二、三すれ違った感じあるんですけれども、実質きょうが初対面ですかね。そこで、あなたの政治哲学をちょっと聞いておきたいと思うんですよ。中曽根さんの任期がもう間もなくというところに来て、あなたも総裁ダービーに並んでおるわけですから、大事なことですから二つほどお伺いしておきたいと思います。  一つは、あなたは資産倍増論というものを出した、総務会長時代に。おっ、なかなかやるなという印象を国民に与えたと思う。積極財政を打ち出してきた。ところが、大臣になると同時にどうもお蔵に入ってしまった。まあ大蔵大臣だからそうかもしれませんが、これは一体どういうことだろうというのが国民一般のあなたに対する見方じゃないかと思うんです、また最近、資産倍増論を政策準備として用意されておるということを新聞では報道しておるんですけれども、これは一体どこにあなたの本当の意味のものがあるのか、そこをまず聞いておきたいのが一つ。  もう一つは、きょうも出ておりましたが、最近政治家の資金集めのパーティーというのがちょっと連日連夜という状態ですね。あなたも大変じゃないかと思うんです、あそこに出たりこっちに出たり。そのきわめつけが竹下さんの二十一億というような格好になってきた。あなたの宏池会も何か八億というのが出ている。私は政治家を励ます集いというのは、これは大事なことだと思うんですよ。しかし、それは資金集めじゃないですよね。純粋な気持ちで励ますなら結構だと思うんですけれども、何か政治資金規正法の脱法的な行為というようなとられ方、しかも一夜に二十一億も集めるということは、ああいうのが報道されますと、国民の皆さんから見て一体政治とは何ぞやと、こういう疑問というか不信が投げつけられておるんじゃないかと私は思うんですよ。田中さんが批判されたいわゆる金権政治、それを上回るような形の昨今の姿に対して一体どのように認識をしておるのか。あなたの政治哲学からいってこれは当たり前のことなんだ、こういう御理解なのか、ここら辺はぜひ聞いておきたい点の一つだと思います。あなたも今度は総裁ダービーに並ぶわけですから、どういう認識で対応されておるのか、ぜひひとつ聞かしていただきたいと思います。
  72. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 戦後四十年余りたちまして、我が国は自由世界における第二の経済大国と言われるまでになりましたが、そう言われておる割には国民社会資本、我々個人の住宅にいたしましても、また下水道あるいは治山治水、農村の基盤整備等々すべてを含めました社会資本、公園などもそうでございますが、いかにも貧弱であるということはすべての人が私は認めるところだろうと思います。これは日本が資源がない国でございますから、輸出をしなければ生きられないということを戦後一生懸命考え、努力をした結果として経済大国になりはいたしましたが、しかし輸出をし過ぎて批判を受けるというところまでになっておりますことは、よく御承知のとおりでございます。  そうであるとすれば、もともと働いた成果というものは、やはり一つは自分の身の回りの整備ということに使うのが当然のことでございますから、外国から言われるまでもなく、言われればなおさらのことでございますが、我々の社会資本の整備のためにこの経済のエネルギーを使うべきではないかということをかねて実は申しておったところでございます。  たまたま最近になりまして激化いたしました国際的な批判は、振り返ってみますと、一九八〇年、昭和五十五年でございますが、八〇年の我が国の貿易黒字は六十億ドルでございます。それが五年後に六百何十億ドルになったわけでございますから、この五年間のところに非常に問題があったということは明らかであって、たまたまこの時期が非常なドル高の時期であって、我が国の輸出がしやすかった円安の時期でございます。あるいは石油価格がどんどん上昇いたしましたために、もう一遍輸出をしなければ生きられないというような意識が高くあったといったようなことが原因になっておると思いますが、この五年間に我が国経済の輸出依存体質がまた過度になったというふうに思われます。それが今日のごく最近の背景でございます。  そういう状況でございますから、いよいよ我々としては内需拡大、それは社会資本の充実ということであろうと存じますけれども、しなければならない。その命題は強まりこそすれ弱まることはないというふうに考えておりますが、ただ社会資本というものが御承知のようにかなりの部分がどうしても国の、あるいは公共の投資によらなければ整備しがたいものである。全部がそうだとは申しません。工夫によりましていろいろ民間の力を拝借することができますけれども、やはりかなりのいわば呼び水を財政がしなければならない、負担をしなければならないということも事実である。その財政が大変に苦しいということから、思い切ったことがなかなかできないでおるということであったと思います。  就任以来、何とかして財政も苦労しながらでもそういう努力をしなければならないと、役所の諸君ともいろいろ話をいたしておりまして、そういう方向に少しずつ何とか財政としても動いてまいりたい。また、考えようによりますと、そういうことで内需の振興ができますならば、我が国経済にはもう少し潜在成長率があると私は考えておりますので、その結果として成長率が一ポイントでも二ポイントでも高くなりますと自然増収ということも考え得る、企業の活動が大きくなればそれは当然そういうことになるはずでございますから、そうでありますと、それは財政の現状をそういう形から改善するということもあながち不可能ではないのではないかというふうに考えつつ現在に至っておるわけでございます。  かねて考えておりますことはやはり何とかしてやっていかなければならない。これは個人の考えと申しますよりは、我が国社会資本が極めて不十分であって、しかも後十何年しますと老齢化社会に入ってまいりますので、こういう大きな問題を片づける国民的なエネルギーが今日ほどあるかどうか、今から必ずしも明らかでございませんので、今がその時期であるというふうに考えておるわけでございます。  後段に政治資金、政治に金がかかるお話がございまして、私どもと申しますか、あるいはお互いと申し上げてよろしいのかと思いますが、政治活動をいたしておりますと、やはりある程度の金が要るということは否定ができません。しかし、それはやはり自発的な浄財による援助にとどめるべきものであって、それが先ほどもお話のございましたような、現今のような風潮にまでなりましたことは、なかなか自発的なという範囲にとどまっておるとも断じがたい、あっちこっちにいわば御迷惑をかけるようなことになりかねないのでございますから、これはやはりお互いに私ども考えてまいらなければならないことではないかというふうに思っております。
  73. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 後段になるとだんだん声が小さくなるのが、それがやっぱり私は大臣いけないと思うんですね。例えば福田さん、それから三木さん、田中内閣の金権腐敗の中では敢然と大臣を投げ捨てて、下野して反省を求めた。私はやっぱりそういったものがあるべきじゃないかと思うんです。今あなたが、後段の声はぼそぼそ言っておりましたが、確かに自発的なものではないですよ、率直に言って。そうして、こういう現象というものが国民に与える影響というのは私は大きいと思うんですね。総裁をねらう候補としてのあなたの立場からいえば、もっと自分の主張を鮮明にして、そして国民にきちんと指し示すべきじゃないかというふうに私は思います。  もう一つのいわゆる資産倍増論については、さっきあなたが説明なさったことについては私もよく承知しておりますが、それは中曽根内閣の大蔵大臣となるとなかなかそうはできないんじゃないかと私は思うんですよ。だったら一体どう身を処するかということも、やはり国民の期待の一つじゃないかと私は思うんです。私は、宮澤さんの今後というか期待されるところが大きいわけですから、そこら辺はひとつぜひすかっとしてもらいたいなという感じもあって質問したんですけれどもね。いかがでしょう、一つだけ聞いておきましょう。
  74. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先般緊急経済対策を決定いたしましたが、そのかなりの部分は財政負担にならざるを得ないわけでございまして、この点はやがて国会に御提案をいたしまして御審議を得たいと考えておるところでございますが、やはり財政緊急のときではございますけれども、ある程度すべきことはしなければならないという決心で補正予算を組ましていただきたいと、ただいま事務当局に検討してもらっておるところでございます。  なお、それに関連をいたしまして、幸いにしてNTTの株式がかなり高い値段で売却することが可能な状況かと思われます。そういたしますと、ここから生じます収益は相当大きなものでございますので、これから何年間かにわたりましてこれをいわば国債償還をいたしました後、社会資本整備のために何かの形で使う方法はないかということを具体的に考えておりまして、これは法律の改正を要しますので、来るべき国会に法律改正をお願いをいたしまして、その上でこのたびの補正予算でまず昭和六十一年度の売却益を充当し、さらに六十二年度の予算編成につきましては相当大きなものを予定をしてやれるのではないかというふうに今考えておりますが、これはそうそうの値段で売却できますれば、ここ何年間かかなり大きな財源になります。過去の国民努力の蓄積でございますので、そういったような資産的な、将来の資産形成に向かって使ってはどうかということを具体的に考えつつございます。
  75. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 なかなか答えづらいんだろうと思いますから、先に進みます。  そこで大臣、五月二十日に成立した六十二年度予算がもう動いておるわけですが、あなたは予算審議のさなかは最善の予算ということを強調なさっておったんですが、これは本心ですか。それとも国会審議中であるためにやむを得ず言った言葉ですか。
  76. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その段階におきまして最善を尽くして提出をいたした予算でございます。
  77. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうなるとややこしくなって、最善の予算のこの定義を聞かなきゃならぬわけですが、そこまで私は言いません。  ただ、予算というのは、これは率直に言って、年間の歳入歳出の見積もりがあって、その見積もりに基づいて予算書どおりに運用できる、執行できる、これが私は最善の予算の定義ではないかと思うんですけれども、六十二年度の場合にそんなことを言えますか、率直に言って。私は大臣、ここはひとつはっきりしていかなきゃならぬと思うんです。  歳入の場合を見ましても、売上税関係は廃案でしょう。マル優制度の改悪の利子課税も廃案でしょう。それから、そのためにまさに収入に欠陥が生まれた欠陥予算、しかも所得税減税の見送りによって売上税関連の物品税は予算以上に取り過ぎておる、こういう結果になっておるわけですね。また、歳出では、防衛庁の百十六億を初め各省庁に計上された売上税の部分は不用になり、またレート百六十三円で組んだ結果円高差益が生まれる、こういう支出の面でも欠陥がある。これで歳入歳出の予算どおりに執行ができるはずがない。執行できないのに修正にも応じない。こういうありようというのは、財政権限を持つ大蔵の態度として当然のあり方ですか、どうです。
  78. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御指摘のように、余り先例のない状況になっておると存じます。すなわち、政府が提出いたしました税制改正案は、国会の御承認を得るところとならずに、廃案になったわけでございます。したがいまして、通例でございますと、政府はこの事態に対処してどのような税制改正、歳入措置を講ずるかということを国会に御提案を申し上げなければならないという立場にあるわけでございますが、たまたま廃案になるに際しまして衆議院議長があっせんをせられまして、この後の処置を各党による税制改革協議会で検討するようにと、こういうあっせんがございました。したがいまして、ただいまその協議会において御討議が行われておるという状況でございますので、政府といたしましては、そういう経緯から見まして、その協議会の検討の推移をしばらく見守りまして、政府がさらにいかにすべきかということをある時点の将来で考えていかなければならない。そういうただいま経過的な段階にございますために、税法改正によらず現行の税法で行政が行われているというのが現在のそういう中間的な状況でございまして、確かに余りこういうことは例がなかったかと存じます。  それから、売上税等々についても御言及がございまして、既に成立いたしております予算案の歳出の中にも売上税に関する部分がございますので、売上税が成立しなかったという事態をこれから前提にして考えますと、予算の補正を先々お願いいたしますときには、それらの歳出部分は再検討を加えた上で国会の御審議を得なければならないであろうということも筋道としては私は御指摘のとおりかと思います。そのようなことを含めまして、実は余り先例のない事態で、この事態に誤りなく対処をしていかなければならない、十分慎重にやってまいりたいと存じております。
  79. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこで、予算審議の中であれほど野党の皆さん含めて内需主導型の経済に切りかえるべきだということでいろいろ要求なさった。ところが、それについては最善の予算だという一点張りで政府は対応なさった。連休で総理が訪米したら、アメリカの方から貿易黒字に対して一体どうするんだということで聞かれるものですから、慌てて国会というわけにいかないものですから、自民党の名で五兆円の追加補正を約束してきた。国会開会中でしたね。そしてそれが、さっきあなたがおっしゃったように緊急経済対策というんですか、そういうことで打ち上げたのが五月二十九日です。国会の予算審議のさなかには修正もしない、予算は最善だと言っている。そしてアメリカへ行くためにはそういうものを約束する。それは自民党の案だということで約束する。そして、帰ってきたら今度は国会が終わった途端に、五月二十九日にはそれを緊急経済対策ということで銘打って打ち出してくる、こういうやり方。そのために、今あなたがおっしゃったように、せっかく予算審議のさなかですからそこで修正すれば足りたものをしてないものですから、臨時国会というようなことになってしまう。こういう予算審議、国会審議の軽視のあり方というのは、私は憲法八十六条に言う予算編成、同提出権という観点からいっても極めて乱用じゃないか、そう思うんです。この点は大蔵大臣としてどういう理解ですか。
  80. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この点もまことに正常でない状況であったことは認めざるを得ません。本予算が参議院に衆議院から送付されますのが今年ほど遅くなりましたのは前例のなかったことでございますし、そのために五十日間の暫定予算を組んだというようなことでございます。  それにはそのよって来るところはあったとは存じますものの、殊に衆議院段階において非常に長い期間の遷延がございました。その間経済状態が変化をしていくといったようなことから、先ほど佐藤委員が言われましたように、普通でございますと四月には予算案が成立をし、恐らく公共事業等の前倒しをやっておる時期になお予算は全く成立をしていなかった、暫定予算の期間であったというようなことでございますので、その事態に対応しなければならないが、しかし政府の予算案は既に国会で御審議中である、こういう状況に直面をしたわけでございまして、したがいましてこれから考え得る経済対策として与党の責任において決定をいたした。  これは確かに、私自身もそういう決定を外国に説明する役割を担ったわけでございますけれども、よそから見ましても非常にわかりにくいことであったろうと存じます。しかし、どうも諸般のことを考えますとこれ以外の方法がなかったということでございました。と申しまして、これはしかし決して正常な姿ではなかったということは、佐藤委員の言われるとおりこれは認めざるを得ないと存じます。
  81. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私は、こういうやり方をやっていくと国会などというのは必要なくなっちゃう。僕は予算委員じゃなかったですから外からで大変失礼なんですけれども、こういうようなことは、またあなたが大蔵大臣という立場から見ても私はとるべきでない。やはり国会でも審議しておるわけですから、その中でひとつ堂々と修正して審議してもらえばいい。そうして成立すれば足りることを、持って回ったような格好でやるということは、今後とも許してはいけないことだと私は思うんです。その点はひとつぜひ今後の運営に当たって与党、野党を問わず私どもやっぱり大事にしていかなきゃならぬと思いますから申し上げておきたいと思うんです、  そこで、いろいろ申し上げたいんですが、時間の関係がございますから一つだけ聞いておきたいと思いますのは、七月に臨時国会が召集され、そのために補正予算が提出される。先ほどから申し上げましたように、歳入歳出ともこの六十二年度予算というのは欠陥予算ですね、あなたもさっき確認したとおり。そういう欠陥予算を補正して予算書どおりに予算執行ができるようにする、そういう意味の補正でなきゃならぬと私は思うんですね。それが何か緊急必要事項だ、そういう五兆円だけを何かくっつけるような補正予算であってはならぬと、私はそう思うんですが、この点については確認いただけますか。
  82. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまの御指摘の問題は、仮に政府が補正予算を国会に御提出をいたしますときに、本予算で前提としておりました税制改正というものは成立していないわけでございますから、歳入面の想定は変わってきておるではないか、その点をどうするかというお尋ねに関連しておると存じます。  確かにただいまそういう状況にございますが、その税制改革、政府の提案は、先ほど申しましたような経緯から衆議院議長のごあっせんによりまして税制改革協議会でただいま御検討中である、そういう状況でございます。その状況を素直に考えますと、今の段階におきまして本年度の税制改正がどういう帰趨をたどるかということは明確でないと申し上げるのが一番素直な申し上げ方であろうかと存じます。  そういたしますと、仮にその状況の中で補正予算を編成しなければならないということになりますと、その明確でない状況そのものを反映することが一番政治的には、あるいは法律的にもそうであろうかと存じますが、素直なやり方であろうというふうに考えております。つまり、もっと平たい言葉で申しますならば、税制改革協議会がどういう税制改正についての結論を出されるかということがわからない状況の中で、政府は勝手にこう考えます、したがってこういう税法を前提にいたしますというようなことで補正予算を提出するということは、このあっせんをせられました衆議院議長、これは公の議長のごあっせんでございますからに対して適当なことではなかろう、しばらくその協議会の帰趨を待つのが行政府としてのあるべき姿ではないか、こう考えております。  もし補正予算提出までに税制改革協議会の結論、したがってそれに基づく政府の提案というものが固まりませんでございましたら、それはその後の状況においてそれを補正予算に反映させていただくということが一番適当なのではないかというふうに考えております。
  83. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこら辺がきょうの新聞の中にちらちら出ておりますように、中曽根さんがまた執念燃やして何かマル優を廃止するとかいろいろ出ておりますが、関連法案はもう既に廃案になっておるわけですから、そのために欠陥が生まれたわけだ、歳入歳出ともに。それから為替相場の変動もあるでしょう。ですから、そこはやっぱり税制協議会で議論をしておっても、あの中でも野党の皆さんも主張しておるように、当面の問題はともかくとして、少なくともこの売上税の処理を含んだ問題等については二年、三年の検討が必要だということを言っておるわけでしょうから、それを前提としてあの税制協議会というものは生まれたという経緯もあるわけですから、そういうことを見れば、私はやはり今度補正をするという前提に立ては欠陥予算を補正するというのが基本でなきゃならぬと思うんですね。それを放置したままに、国際公約だからという理由で公共事業だけを上積みする、こういうやり方というのは私は財政の基本からいっても過ちだと思うし本末転倒だ、そう思うんですがね。  これは大臣どうおっしゃろうとも、さっきから言っておりますように、まず第一に予算審議のさなかに修正しなかったのが第一の誤り。そうしてさらに、欠陥予算だけは成立したけれども、その補正をするのに、その予算についてはそのままにした上でまた上塗りをするというやり方はさらに私は誤りを繰り返すことになると思うんで、ここら辺はひとつ、答弁は要りませんけれども、ぜひ予算編成に当たっては大臣の方でも、所管大臣ですからそういうことのないように強く警告をしておきたいと思います。  そこでもう一つの問題として、時間ございませんから聞いておきたいんですが、緊急の対策一つに十億ドル政府調達が含まれるのじゃないか、こういうふうに聞いておるんですけれども、この問題についていろいろ聞きたかったんですが、時間がございませんから一つだけ聞きたいと思いますのは、今度の当初予算の中には外国からの政府調達の品目も入っておるのではないかと私は思うんですが、そこら辺が入っておれば総額は幾らになるのか、品目は何か。それから、緊急経済対策で予定されておる輸入外国製品というのは一体どういうものなのか。補正予算で十億ドルの全額を措置するというふうに聞いておるんですが、そうであるのか。この点いかがでしょう。
  84. 斎藤次郎

    説明員斎藤次郎君) お答えいたします。  当初予算にどの程度の外国製品調達が入っているかということについては、実はそういう積算の仕方をいたしておらないものですからその数字は持ち合わせておりませんけれども、今度の経済対策では特に摩擦解消という眼目もあって外国製品を調達するということでございますので、その観点から総額十億ドルという、債務負担ベースでございますけれども、そういうものを積み上げる。ただし、これはそれぞれ予算の措置として十分に必要であるというものに絞りまして今編成作業をやっておる最中でございます。具体的中身はまだ最終的に詰まっておりませんけれども、いろいろな国内の行政をやっていくに必要な外国の製品ということに絞りまして今鋭意検討しておる段階でございます。
  85. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 鋭意検討しておる、それで中身はちょっと今言えないわけですね、検討中ですから。わかりました。これはそれならまたひとつ後ほど聞きましょう。まだその後いろいろあったんですが、もう検討中でそれ以上出ないものですからやむを得ません。  そこで、それではひとつ国会の方にちょっとお聞きしましょう。  昨日の夕刊だったと思うんですが、作家の伊佐さんの五月二十二日の「国会傍聴記」というのがございまして、その中で、主権者に対して失礼ではないかということで二つほど注文をつけられておるんですね。私も読んでみてなるほどなと、私も全くそういう意味では同感なんですが、一つは胸ポケットに入れておるペンまで預けなければ入れないということは、そのペンを走らせる音が審議の邪魔になるのかという皮肉を込められながら、これは言論の自由というか、知る権利をもぎ取る傍聴規制じゃないか、こういうことが一つ。それから、何か東大の先生と一緒に傍聴なさって、これは衆議院の法務委員会ですけれども、席がなかったんでしょうね、最後まで立ちん坊であった、これは失礼じゃないかということで言われておるんですがね。  これは確かに私も前々から感じておった点ですけれども、参議院でも大体同様のことをやっておるんですが、早急にひとつ改善する必要があるんじゃないかというような感じがします。  また、衆参両院の地下道の中が時間外は通せん坊をするような仕組みになっておるわけですね。これも朝飯会その他で困るんですよね。これはどういう理由でやっているのかわかりませんが、こういう点は直ちに改善すべきではないかと思うんですが、いかがでしょう。
  86. 加藤木理勝

    ○事務総長(加藤木理勝君) ただいまの胸ポケットのペンを預かるというような傍聴人に対する態度、あるいは委員会の傍聴が立ちん坊になるというような、いわば傍聴の方に対する接遇の問題につきましては、第一点の胸ポケットといいますのは、そこに異物がありまして、その異物が爆発物であるとかその他危険なものでありますと、委員会審議あるいは本会議の審議に重大な支障を起こしますので、そういうことがないように最善の警備をするという意味からお預かりをしているということでございます。ただ、全くのペンでございますとか鉛筆でございますとかいうならばそういうような問題がないわけでございますけれども、そういうことから現在お預かりしているというような状況でございます。  それから、委員会の席の立ちん坊というのは、御承知のように委員会席は非常に席が少のうございますので、そういう全く物理的なことから生じている。もともと委員会が公開ということになっておりませんので、そういうことから委員会の傍聴席が少のうございます。そういうことからくるものであろうと思います。これは現実にもそういうことが起こっておりますので、そういう点につきましては、傍聴の方の交代を促進するとかそういうようなことで、できるだけ立ちん坊というようなことが、終始立ちん坊ということがないように気をつけておりますけれども、今、衆議院の話だったそうでございますが、間々そういうことが起こっているんだろうと思います。そういう点は参議院におきましても十分に気をつけてまいりたいと思います。  それから、地下道の件でございますが、これは従来からいろいろと御意見をお伺いしているところでございまして、何度か検討をしたんでございますけれども、これも朝と夕方、夕方といいますか夜に入ります勤務時間外の時間になりますと、それを警備する職員の人数が限られておりまして、そういうようなことから地下道閉鎖というような結果になっております。これはまことに私たちも遺憾であると存じておりますので、さらに検討をさせていただきたいと思っております。
  87. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いろいろちゃんと答えはあるようですが、余りいい答えじゃないですね。爆発物かどうか見ればわかるんです、ペンなど。そこら辺は余りへ理屈をせぬで素直に直した方がいいんじゃないですか。まあそこはそれでひとつ検討してください。  もう一つ聞いておきたいと思いますのは、「立法と調査」百三十六号に「調査室改革雑感」というのを書いておりますね。読ませてもらいました。参議院改革、とりわけ調査室の強化について論じられておりますが、強化の視点が若干私とは違います。また現状への弱点の認識、それから改革強化の必要性、こういう点については同感です。  そこでお聞きしたいと思うんですが、調査員の人事がどのような手続で行われておるのかが一つ。なぜ私はそれを聞くかといいますと、二番目に、この調査員の中堅どころ、七-九級職員、これを見ますと定員が五十六に対して実員が三十二名しかない。そのかわり三から二級の初級職員、それから四から六の職員、ここのところは今度は逆に定員オーバーになっている。八級などを見ると、定員が三十一に対して実員が十四と半分以下になっている。まさに中堅どころががたっと落ち込んでしまっている。これでは私は調査室の機能からいって大変な状態だというふうに想像せざるを得ないんですね。  この文章を見ると「一時的な戦力低下」云々なんと書いていますけれども、低下はあっても将来展望云々なんて書いていますけれども、こういう感覚では私は参議院無用論が出てもやむを得ぬと思うんですね。いわゆるそういう参議院の質的な低下が出ざるを得ない、こういう情勢になってくるんじゃないかと思うんで、ここら辺についてどういう御認識なのか。  特に私は、農水や法務のように上位級者が調査員から出てしまう、室外に出てしまう、こういう異動がやられておるということはよくないんじゃないか。まさに調査室の低下を促進するような感じがしてならぬわけですが、これはまさか意識的に弱体化をねらってやっているわけじゃなかろうと思うんですけれども、そうは思いたくないけれども、思われても仕方のない人事、構造になっておる、こう思うんです。いかがでしょうか。
  88. 加藤木理勝

    ○事務総長(加藤木理勝君) 調査員の大事につきましては、これは調査室に企画調整室というのが設けられております。ここに調査室の調査員出身の方が幹部としておられまして、ここで各調査室の間の人事の連絡調整を行っております。そういうこと、そうして事務局の人事課と御相談いたしまして調査員の人事を行うという、そういう仕組みでございます。  それから、中堅クラスの定員と実員がかけ離れている、特に現員が少ないではないかという御指摘でございます。これはまさしくそのとおりでございまして、この点では実は私どもも腐心しているところでございます。と申しますのは、事務局全体を通じまして、その九級から七級というところの職員の層が薄くなっております。それは何によるかと申しますと、昭和三十年代の終わりから五十年代の初めにかけまして職員の採用が全体として少なくなっております。と申しますのは、経済界の経済活動が盛んでございまして、民間企業に新卒者が流れることが多くなりまして、なかなか優秀な職員がその当時集まらなかったということに一つの原因があろうと思います。そのほかにも原因はいろいろあろうと思いますけれども、そういうことでまた定着率も一つは低くなっております。そういうことからこの年次が少なくなっております。これを補うために、それよりも若い年次の層をいずれも振り分けまして、この層の諸君にその補いをしてもらっているというのが事務局全体での姿でございます。そういうことから、御指摘のような中堅層が少なくなっているということが出てくるわけでございます。  それから、この中堅クラスを減らしているじゃないか、練達の人をほかに回しているじゃないかという御指摘でございますけれども、これは一部そういうことがあろうと思いますけれども、私どものまず調査室に対する基本的な考え方といたしましては、先生方の立法及び調査活動に役立つような調査室にしておきたい、十分に役立つようなものにしたい、こういうような考え方から漸次この十年間調査室の定員を増員をしております。わずかでございますが、増員に努めております。そういうことで増員をし、それにただいま申し上げましたようなことから若い職員を多く充てるという結果になっております。  それから、今の練達の士が動いているということでございますが、これは練達の士を、何年間かやっている職員をまた少しほかの分野で活躍してもらって視野を広めてはどうか、そういう考え方から他の調査室なりあるいは他の部課なりに行ってもらっているというような例もございます。  それからもう一つは、視野を広げるために交流を行っております。外部と交流をいたしまして、外部に勉強に行ってもらっている職員がございます。そういうような職員もおりますので、そういうことから練達の人が一時的に減っているというような現象があるかもしれません。ただ、これを補うものとして、若くても知識、経験の豊富な者、あるいはそれなりの学識を持っている者、そういう者を入れることによってそれをカバーしようとしておるわけでございます。そういう点で、あるいは御不満もあろうかと思いますが、御了解いただきたいと存じます。
  89. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 時間ですのでおまとめください。
  90. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 時間がありませんから、あなたの答弁を聞いておったらなかなか長くなるものですから困るのですが、もう注文だけつけておきます。  今あなたが言う理屈も一つの理屈でしょう。しかし、現実にその点で質的低下が起こっておることも事実ですから、そこはやっぱり素直に受け取って、中途採用をやったっていいじゃないですか、有能な人材があれば。そういうことできちっとしてもらいたいのが一つ。  それから、十四の常任委員会のうち、五つの専門員室長が所管省庁の天下りで埋められておる。さらにまた、二室は法制局からなっておる。こういったようなことは余りいい傾向じゃない。やっぱり参議院の中でそういう長期的な視野に立って育成していく、こういう体制が基本でなきゃならぬと思うので、ここへもう一つ、今後単なる交流という発想のもとで質的な低下を招くのじゃなくて、質的な強化を基本に置いた人事対策をぜひひとつやってほしいということだけ要望しておきます。  終わります。
  91. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会
  92. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十九年度決算外二件を議題とし、皇室費国会大蔵省日本専売公社国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  93. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 大臣、よろしくお願いいたします。  各会社、株主総会が始まるわけでありますが、会社の決算以上に国の決算というのは大事であると私思います。税金の最後の締めくくりでございますので、国民もやはり関心を今後持つべきであるという感じであります。特に参議院の場合、決算委員会の機能は重要であると思います。  最初に、財政政策の今後の方向について大蔵大臣にお伺いしたい、こう思います。  五月末に決定がございまして、先般のサミットで対外公約とされました六兆円、四百三十億ドルに上る緊急経済対策、これが行われることになったわけでございますが、これは文字どおり緊急経済対策ということで当面推進されるとは思いますが、このような積極的な政策と申しますのは今後とも継続して行われる所存でございますかどうかというのが第一点であります。  それから第二点は、しかし一方におきまして百五十兆に及びます国債の負担、またその利払いに国家財政の二〇%、約十兆円が支払われておるという状況、さらに赤字国債という特例公債がある。こういう現状からしますと、財政の健全化という今までの路線、これも守るべき重要な基本線であろうかと思うんです。この二律背反と申しますか、非常に難しいこういう二つの積極的な経済路線と財政の対応力を重視した路線、この間をいかに調整されて運用していかれるかどうかという、この辺の今後の大臣の経済政策、さらに財政政策の基本的なお考えについて御所見をお伺いしたい、こう思います。
  94. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先般決定いたしました緊急経済対策につきましては、先般先進国首脳会議でも私に質問がございまして、外貨収支に及ぼす影響はどうか、GNP効果はどうかというような質問でございましたが、私はそれに対して、大事なことはこれから半年とか一カ月の間にどういう効果があるかということではなくて、日本の今の現状からいうとこのような政策をこれからかなり長いこと続けていかなければならない、それがまたいわゆる前川報告と言われるものの意味するところでもあるので、我々は短期的に一遍補正予算を組んだら事が済むというふうには考えていないということを申しました。それはただいま福田委員最初の質問に対するお答えであるわけでございます。  さてしかし、財政再建はその途上でございますから、そこのところをどう考えていくかということでございます。  それで、まずごく手近なことを申しますと、けさほどもちょっと申し上げかけておりましたけれども、NTTの株式の売却益というものがまあまあそうそうの値段で売れるといたしますと、かなり大きなものが国債償還をいたしました後残ります。御承知のように今一般会計の公共事業費はほぼ六兆円でございますけれども、このNTTの売却益の国債償還後の余裕というものは何兆かのオーダーのものでございますし、売り値にもよることでございますけれども、これから後何年かまだ期待できますので、これがある意味社会資本の充実等々の役割、あるいは民活の助け等々に相当大きな援軍になってくれることは間違いないと思っております。また、過去の国民努力の蓄積でございますので、そういうふうに使うことが望ましいのではないかと考えまして、さしずめ来るべき国会に補正予算の御審議をお願いいたしますときには、この関連の法律の改正も御審議をお願いいたしたいと思っておるわけでございます。  したがいまして、それはここ何年かは援軍になると思っておるわけでございますが、同時に今私は、日本経済にはもう少し成長力がある、潜在的にもう少し成長力があるというふうに考えておりまして、財政がある程度の呼び水をいたしますと、なおもうちょっとの高い成長を期待できるのではないか。御承知のように中期展望などでは、名目成長率を仮に六・五といたしますと、租税弾性値を一といたしますと七%余りの自然増があるということをかって考えたわけでございますけれども、それに近い成長力があるのではないかというふうに考えておるものでございますから、それはすぐことし来年でございませんでも、そういう意味ではそこから来る財政の好転、歳入面の財政の好転というものがある程度期待できるのではないかということも実は思っております。
  95. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 今のお答えに関連しますが、ある程度今後続きます積極的な経済政策による経済成長率、これは今おっしゃったような、平均どの程度かというこの数字でございますが、名目六・五というふうに、これは難しいところでございますけれども、二、三年先ぐらいに軌道に乗ってからの、まあ潜在成長力と申した方がいいのか、その辺の数字、これは経企庁でございましょうか、大臣の御所見の方がありがたいという気がいたします。  また、その際、今おっしゃった弾性値を掛けますと七以上かと思うんですけれども、自然増収というものはこれは意味が三つございますので、対当初・当初、それから年度途中の補正の財源になるもの、さらに決算上とございますが、当初・当初という感じで見ました自然増収、これは成長が伸びますと今のような弾性値で税収が入りますが、それは減税に充てるべきだという意見もございますし、歳出の方に充てていくべきなのか、その辺のお考え、成長に伴う自然増収の取り扱いについてお伺いしたいと思います。
  96. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今六・五と申しましたのはまことに目の子のことで、例えばというような感じで申し上げておるわけですが、仮に年率で七%とかなんとかいう税収の伸びがございますと、これはかなり財政が楽になると思います。それはもともと税率構造を変えずに、いわば文字どおり自然増でございますから、本当は返すべきだという議論があろうかと思いますけれども、そのときのいわゆる特例公債の発行の状況等々を考えますと、そのときそのときでそれを公債減額に充てていく、あるいは一部減税にする、やはりそのときに応じまして判断をしていく方がいいのではないかと思っております。
  97. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 今の弾性値の問題、ちょっとさらに敷衍いたしますと、弾性値は直間比率が直接税にウエートがあった方が弾性値が大きいわけで、直間比率をバランスをとりますと弾性値が下がっていくという問題がございます。これは問題点だけ指摘しまして、今御審議中でございますので問題点だけにします。  その次に社会資本、この社会資本の定義が難しいのでございますが、やはり個人の住宅は入ると思うのでございます。金融資産は入らないということでしょうが、土地は入らないでしょうね。社会資本の定義、個人住宅を含めたというこの定義のもとで国際的水準がどうなっておるかということとその増強策でございます。  先ほどの大臣の御所見のさらに具体的な内容に入るわけで、先般大臣が参議院の予算委員会で、私拝聴いたしておりまして、今まではマクロの経済については成功してきた、しかしミクロの国民一人一人の幸福の実現ということについては問題が残っておる、この御意見、非常に私共感を覚えたわけであります。今回の積極的な今後の経済政策も最終的にはやはり住宅、公園、上下水道、道路、我々個人の周辺が我々の一生にとっては大事でございますので、その辺の国富というよりも民富と申しますか、大臣言われる資産でございますけれども、人間の幸福につながる資産、その水準を高める、これが一番大事な経済目標、財政の目標であろうと思います。  経済は経国済民でございますので、民が救われるようにということの政策、そういう意味社会資本の充実についての質問でございますが、我が国社会資本、個人用住宅を含めたストック総額、これは金額でどのくらいか、また一人頭が幾らか、それからGNPに対してどのくらいの割合か、そういう社会資本のストック総額、対GNP比率、国民一人の資本額というものを、先般何か経企庁で勉強しておられたようでございますが、その辺をお伺いしたい、こう思います。
  98. 川嶋康宏

    説明員(川嶋康宏君) 社会資本のストック額でございますけれども、昭和三十年代の初めからこの四半世紀で大体約十倍になっておりまして、現在では、これは五十五年価格でございますが、三百兆円を超えておりまして、国民一人当たりの社会資本のストック類で申しますと約三百万円というような額になろうかと思います。  ただ、しかしながら、社会資本の整備水準につきましては漸次改善されてきておるわけでございますけれども、生活環境を形成する分野を中心にやはり主要先進国と比較しますとまだかなり低水準なレベルにあると考えております。例えば下水道の普及率でございますけれども、アメリカでは七二%、イギリスでは九七%、西ドイツでは九一%という数字に対しまして、我が国では現在三四%というふうな数字でございます。また、よく言われます都市公園の一人当たりの面積でございますが、ワシントンでは四十五・七平米、ロンドンでは三十・四平米、ボンでは三十七・四平米というような数字に対しまして、我が国の東京では約二・二平米ぐらいだというような数字が出ております。これからは我が国の国際的な地位にふさわしいようないわゆる整備水準に向けて着実かつ計画的に社会資本の整備を図っていく必要があろうかと考えております。
  99. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 全体としてどのくらいの外国に比して格差があるか、またその格差を取り戻すのに何年ぐらいかかるか、それにはどのくらいの経済成長率かという問題についても今後御検討願いたい、こう思います。  次に、大臣にまた申しわけございませんが、私、所得倍増計画のときに主計局で担当いたしておりましたけれども、非常にみんなやる気が出ると申しますか、非常に目標がはっきりして士気が高まるということを感じたわけであります。今度資産倍増計画ということで、目標があって、国民の福祉につながる、こうなれば財政当局みんなのやる気が、目標が明確になっていくという気がいたすわけです。でも、その中身がなかなか財政当局には苦しいものではあるでしょうけれども、社会資本増強充実のためのいろいろな、今申しました下水道とかいろいろございますが、その施策を実際に進めていくのにどういうふうにやったらいいか。これはちょっと質問がダブりますけれども、資産倍増といっても具体的にどういうふうに、民活でいくのか財政でいくのか、その辺の重点はどこにあるか、今の段階でございますので、簡単にお示しを願えればと思います。
  100. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは私も行政の細かいところがなかなかわかりませんものですから、省内の優秀な諸君のいろいろ知恵を、大蔵省ばかりでございませんで各省庁なんでございますけれども、皆さんの協力を得なければならないところで、ほぼその御理解を得つつあるわけでありますけれども、今各省庁でやっております公共事業、五カ年計画のあるものもあり、また特別会計のあるものもあり、そうでないものいろいろございますれども、これが今まで日本社会資本、個人の住宅は別にいたしまして、の中核を担ってやってきてくれて、これはこれなりに非常に大きな成果を上げつつあるわけでございます。これが本体であることには私は変わりはないと思いますけれども、しかしまた世の中が変わって新しいニーズがいろいろ出てまいりましたし、それから従来の公共投資、治山であるとか治水であるとか道路であるとか下水、いろいろございますけれども、長年やってまいりますと、その間の割り振りと申しますか、そういうものもかなり固定化してきているという点もあろうかと思いますので、そういう点も関係各省にはしょっちゅう見直しもしていただいているんだろうと思いますが、新しいニーズに従って御検討もお願いすべきことであろうと思います。  しかし同時に、先ほど申し上げましたようにちょうど兆というオーダーの新しい財源がございますので、国会で法律の改正をお願いできましたら、これをいろんな意味で援軍として使いたいと思いまして、各省庁に御協力をお願いしているわけでございます。  まだはっきり構想を固めておりませんけれども、一つは、やはり従来公共事業という形で補助金が出ておるわけでございますが、あるいは負担金が出ているわけでございますが、事実上それにプラスして使われる部分というものがかなり大きくあるであろうと思います。それは特別会計を通しますもの、そうでないもの、いろいろあろうと思いますけれども、そういう部分がございましょうと思います。  それから、殊にその中で、公園にいたしましてもあるいは下水道にいたしましても、一種の面的な開発のときにある限った時間に必要だというようなことがしばしばございますから、そういうときにも使ってもらえるんではないかという感じがいたします。  それからもう一つは、いわゆる民活でありますとかあるいは第三セクター等々で、テレトピアとか大規模レクリエーションとか、いろいろ新しい構想が各地方にございますけれども、そのときに事実上無利子の大きな貸し付けと申しますか、将来この開発利益でもございますと返してもらえるということもいろいろあろうと思いますが、そうとばかり限らないかもしれません。それはできれば、例えば開発銀行のようなところからでも、これは地方の実情がなりよく知っておりますから、そういうところを通じてでも出しましたら、そういういろんな役に立つんではないかというようなことをぼんやり考えておりますので、まだ具体化をいたしておりません。いずれもう少しはっきりいたしましたら法律改正をもって御審議をお願いしようと思っております。
  101. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 物の面の充実は、これは住宅、公園等考えますと心につながりますけれども、余り物的なことだけでない精神面が非常に大事だと思うわけであります。そういうことで、社会資本の整備充実という中で、図書館とかさらには美術館とか、その種のものもやはり重要な社会資本ではないか、こう思うわけであります。これは心の面でございまして、今その面がどうも欠けておるという気がします。社会資本というこの物的ストック面には芸術文化面の国の役割がさらに加わるということでなけりゃいかぬと思います。  私ちょっと映画に関心がありますもので、外国を見ますと、フランスやイギリスなど、この振興策が日本と格段に違っておるわけであります。これは国が直接介入はいたしません。国が表彰するというようなことはやりません。しかし、民間の資金に国がファンドをくっつけて、そしてそれが助成を民間の主体でやるというようなことで、非常に立派な作品が最近出ております。  そういうことで、日本の場合制作面の監督とか俳優、非常に生活も苦しいわけで、興行面に収益がとられちゃう。それで文化が衰退しておるというのは、これは映画に限らぬと思うわけであります。ですから、物的面プラスの文化芸術面ということを、これは民間の問題ではございますが、外国並みの何か間接的な形の助成、これが重要だという気がします。特に文化庁の方でその辺の民間資本と合わせた映画等の制作の助成というもの、この辺についての御意見があれば簡単で結構ですし、また今後御調査願えるならばその上で御答弁を願うということでございます。
  102. 渡辺通弘

    説明員(渡辺通弘君) お答えさしていただきます。  映画制作と申しますのは、ただいま御指摘ございましたように、映画というものが文学とか演劇、音楽等幅広いジャンルを総合いたしました総合芸術であるということにおきまして非常にその重要性があるということでございます。特に一般には映画というもののいわゆる劇場へ参ります映画人口が減っているということは言われておりますが、実際にはテレビの放映あるいはビデオ等通しまして映画を見る人口というのは急増しておりまして、この意味では映画というものが持ちます我が園芸術におけるその重要性というものは今後ますます高まるものと私どもも認識しておるわけでございます。  このような観点から申しまして、文化庁としましても従来から国立フィルムセンターの設置運営、さらには優秀映画制作奨励金の交付等各種の映画振興のための施策を行っているところでございますが、ただいま御指摘ございましたように、米英仏等先進諸国におきましては、制作面への支援も含めまして幅広い映画振興の政策を打ち出しておるわけでございます、そして、それに当たりましてはもちろん民間活力の導入ということも重視されておるということが言われております。  文化庁といたしましても、今後御指摘のような御提案、いわゆる外国の例もよく勉強させていただきながら、適切な方策を打ち出すべく努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  103. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 やはり貿易摩擦といっても、文化摩擦、人間摩擦の問題ございますので、その辺もよろしくお願いしたいと思います。  緊急経済対策の話にまた戻りますが、この緊急経済対策我が国経済に与える、特に経済成長率にどのくらいの寄与があるかという点、この点をもう一度お聞きしたいと思いますし、その中で減税がどういう役割を持っておるか。これはもう数字が決まっておりませんので、六兆の中で一兆が仮にと、こういう前提で結構です。その辺、乗数効果が違っていますので、減税の場合は乗数が公共事業より低い。土地の問題等また調整しなきゃいけませんけれども、減税をやればやるほどその辺の経済成長がいいという問題じゃなくて、減税問題は不公正の是正問題、負担の問題でございます。その辺、六兆円の緊急経済対策経済効果、その中で減税はどういうふうな計算というか乗数を公共事業との比較で考えておられるか、これを経企庁にお願いします。  それから、続けて質問をいたしますが、この緊急経済対策による貿易黒字の減少の程度、それから円高是正にどういう影響を与えるか。この緊急対策、さらに長期的な内需振興策をやりますと日本経済は強くなります。そうするとさらに円高が進むという見方もあるわけでありまして、その辺どうお考えになるか。  もう一つ続けますと、二百億ドル還流計画をやります。還流計画ですと、円建債で調達すれば円の方は安くなりドルは高くなるという、この反対の効果がある。この円高に対する全体的な緊急対策、さらに資金還流計画、この辺の全体の見方がどういうふうであるのかという点をあわせて経企庁と大蔵省にお願いします。
  104. 大塚功

    説明員(大塚功君) まず、今回の緊急経済対策経済効果でございますけれども、今回の対策の中には、具体的内容をこれから決めなければいけないものでありますとか、あるいは定量化できない項目も入っておりますので、なかなか試算が難しいわけでございますけれども、あえて大胆に定量化できるものだけを取り出しまして計算をいたしますと、我が国の名目GNPを対策実施後の一年間で見まして二%程度引き上げる効果があるという試算が可能でございます。ただし、これは当庁で持っております経済モデルでありますところの世界モデルというものの乗数を使って計算したものでございまして、この乗数につきましてはそのときどきの経済情勢のいかんによっても大いに変わるものでございますし、またほかのモデルを使えば違う計算もできるということでございますので、あえて一つの試算ということでお受け取りいただきたいと思います。  それから、その中での減税効果ということでございますが、減税につきましては、御指摘のとおり、ただいま与野党の協議機関におきまして具体的な実施のあり方について検討が行われている段階でございまして、その内容、実施時期等が未確定なわけでございまして、さらに難しいわけでございます。ただ、一つの目安といたしましては、先ほど申し上げました経済モデルでまいりますと、一単位の減税を行いますと一年間で〇・四七のGNPの引き上げ効果が、名目ベースでありますけれども、あるという計算になっております。ほぼ半分の効果があるということでございますので、その辺が一つの目安になろうかと思います。なお、同じ世界経済モデルで計算をいたしますと、公共投資につきましてはGNPベースで一単位の公共投資の追加に対しまして一・四七倍のGNP引き上げ効果があるという試算になっております。  それから、今回の緊急経済対策の貿易収支なり為替レートに与える影響につきましては、国際経済第一課長の方から答弁させていただきます。
  105. 土志田征一

    説明員土志田征一君) 今回の対策は、ただいま財政金融課長から御説明いたしました内需拡大が輸入誘発をすると、また十億ドル程度の政府調達等もございますので、今後およそ一年間でおおむね五十億ドルから六十億ドル程度の輸入増に結びつくのではないかというふうに試算しております。同時に、主要企業に対しましても私どもの方から製品輸入を中心に輸入拡大努力を要請しておりますので、これによる輸入増加効果も期待しておるところでございます。  円レートにつきましては、為替相場を取り巻く諸要因が不確実でございますし、見通しを述べることは困難でございますけれども、今回の対策我が国が国際的な政策協調の一環としまして内需拡大に積極的に取り組むことを表明したものでございますし、今後とも円レートの安定に好影響を与えるのではないかというふうに思っております。実際、五月中旬百四十円程度でございました円レート、最近では百四十円から百四十五円程度になっております。
  106. 内海孚

    説明員内海孚君) 先ほど発表されました内需拡大策につきましての円レート問題についての影響は、ただいま企画庁から御説明したことと、若干補足いたしますと、直接的な貿易に与える影響だけではなくて、やはり先ほどもそういうお話がありましたけれども、例えばアメリカがこれから財政赤字を減らしていくということに真剣に取り組む場合には、当然米国経済あるいは米国経済世界経済に持つ大きさということを考えますと、これを別の方向からある程度支えるという形でのほかの黒字国内需拡大というのは、世界経済の面からいえば要請されるわけでございまして、その意味アメリカの今後の財政赤字の縮小というような努力ドルの信認を強めるとともに、我が国についてはそういう形で協力する形で、また内需拡大によりまして円・ドルレートには私は望ましい影響があるというふうに見ております。  それから、資金還流、このたび約二百億ドルに及びます資金還流というものについて、ベネチアサミットでも御説明がなされたわけでございますが、これがレートにどういう影響を持つかということも、これはなかなか一義的には言えないわけでございますけれども、一つには、やはり現在の世界経済の不安定の要因はLDCの経済の不安定でございます。それからこういった国々の経済が立ち直るということにつきましては、例えば金融面で申し上げますと、債務累積問題が米国の金融機関の大きなエクスポージャーということから、ドル不安の若干の要因になっているというファクターもあるわけでございますので、例えばそういった面でもプラスのファクターは十分あるというふうに思っております。
  107. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 次の質問に入りますが、六十一年度決算剰余金の見込みの質問であります。  三月の決算法人、これの決算内容はだんだんわかってまいったと思いますが、六十一年度の税収及び決算剰余金の見込み、これはなかなか今の時点では御答弁が得られないと思いますが、感触だけでもお示し願いたいと思います。特に、いつごろ確定するかということをお示し願いたいと思います。  それから大臣に、申しわけないんですが、決算剰余金の使い道でございますが、財政的見地から原則的にはやはりこう考えるべきだという点について、いろいろとこの決算剰余金をどう使うかこれから議論があるでしょうが、こういう赤字財政のもとでの決算剰余金は原則的な財政の建前があるわけでございまして、この辺はやはり原則は原則として知った上での御処置がなければならぬ、こう考えるわけでありますので、以上御質問します。
  108. 斎藤次郎

    説明員斎藤次郎君) 剰余金がどうなるかというのは、今御指摘のように、税収等歳入の増減がどうなるか、それから歳出の不用という二つの要因で左右されるわけでございます。釈迦に説法と申しますか、十分おわかりいただいての御質問だと思うんですが、税収については、非常にウエートの大きい法人税の三月期の決算法人というところがまだ残っているものですから、一番非常に左右するところの見込みがまだわかっておりませんものですから、私どもとして全体としてどうなるかというのはまだ申し上げられる状況にないわけでございます。  剰余金の確定でございますが、計数の確定する時期は主計簿を締め切ります七月三十一日、これも御承知のことと思いますけれども、そういうことになっております。
  109. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 剰余金の使い方をどうするかということは、もう福田委員がよく御承知のとおり、財政法でも規定をしておるところでございますから、殊にこういう財政再建のときでございますから、公債償還財源にできるだけ充てていくというのがやはり本筋であろうと思います。またしかし、これを使うことによりまして新規の発行をそれだけ節減できるという場合もございますので、その辺はそのときによりまして判断をしなければならないと思っております。
  110. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 ありがとうございました。  次は国税庁でございますが、三月確定申告の状況、これをお示し願いたいと思います。
  111. 門田實

    説明員(門田實君) 確定申告の状況でございますが、昭和六十二年三月三十一日までに確定申告を提出した者千六百三十万人のうち、申告納税額のある者は七百七十万人でございまして、その申告所得金額は三十三兆三千二十六億円、申告納税額は三兆三千六百七十億円でございました。これを六十年分と比較しますと、納税人員は四・四%、申告所得金額は九・四%、申告納税額は一六・九%の増加となっております。特に営庶業所得者だけを取り出しますと、六十年対比で納税人員は二・三%、申告所得金額は五%、申告納税額は六・七%の増加となっております。
  112. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 ただいまの御答弁ございましたように、特に営庶業所得者の確定申告状況が非常にいいように思います。これは申告水準改善が原因になっておるかどうか、この辺について御意見をお伺いしたいと思います。
  113. 門田實

    説明員(門田實君) お尋ねのございました営庶業所得者の申告が伸びた原因でありますが、第一には景気が全体としてその足取りは緩やかなんでございますが、底固さがあったということ、中でも住宅・土地関連業種、あるいは円高・円安差益を享受した業種、こういったものを中心に非製造業が好調であったということがございます。  しかし第二に、ただいま御指摘ございましたように、税制改革論議の高まりというものがございまして、これを背景に適正申告を行おうとする納税者意識の高揚が見られ、これが申告水準向上のためのいろいろな施策と結びついてこういった結果になったという面もあるのではないか、こういうふうに考えております。
  114. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 税務の第一線の御苦労に感謝いたします。  次に、納税環境の整備について関連してさらにお話をお聞きしたい、こう思います。  最初に、確定申告書の様式でございます。これは外国の申告書をずっと見てまして一番感銘を受けますのは、各国とも同じような文章が申告書に書き込まれております。  アメリカの場合は、詐欺罪の対象になるという条件のもとに、私は添付明細書及び報告書を含むこの申告書を調べた結果、私の知る限りにおいて――私というのは申告者です。また私の信ずる限りにおいて、これらが真実、公正かつ完全であることを宣誓します、こういう言葉が印刷されて、その下にサインをいたします。  また、イギリスも同じでございまして、虚偽の申し立てをすると訴追を受ける場合がありますというのがゴシックで刷られてあります。その下にサインをいたします。違反しますと重罪、フェロニーになるわけであります。また、文章がございまして、私の知る限りにおいて、また私の信ずる限りにおいて、この申告書に記載した事項は正確かつ完全なものであります、こう書かれてあります。  西独も期せずして同一でありまして、私は、私の知る限りにおいて、また私の信ずる限りにおいて真実の申告を行うことを確言します、こう書いてあるわけであります。  まあ、キリスト教国家と日本とは違って、日本は余りそんなきちきち言わないがいい、こういうことが言われますけれども、申告納税をやっている以上はこれが当然でありますので、その辺やはり納税のコンプライアンス意識というのが民主主義国家として大事だ、税をどうこうというよりも、みんなで税金を払うのだというこの意識が非常に大事な気がいたします。  そういう意味で、内容の正確さを保証するというような今のような文言を、これは法律とかなんとかというよりも、申告書に書いておく。別に威嚇するわけではございませんで、これがあると非常に何か恐怖感を与えるとか、そういう反税団体の意見があったりしますが、これはもう当然に申告を正しくしておる人は問題はないので、申告書というものはそういうものであるということをやはり認識してもらうということが大事なことではないかと常識的に考えるわけであります。  それから、サインは日本の場合に、通則法では、提出者の住所と氏名そして本人の押印、こうなってます。法人税は代表者の自署、押印、所得税は記名と押印で、自署もしないし内容もまたよく見ておられない。押印というのは三文判なんですね。要するに三文判というのが日本独特のしきたりで、これがまた脱税の原因で、サインという慣習がないものですから、この辺、申告というものをやはり日本になじむように持っていかないと近代国家になれないという気がするわけであります。その辺について、これは私の意見でございまして、どうか検討をさらに進めてほしい、こう思います。警察国家じゃないんです。これは当然のことを当然のこととして理解してほしいというふうなことを国民に伝わるようにしてもらいたいと思います。  それから、確定申告書の様式、今のことを含めましてわかりやすいものにしないといけない、こう思います。  そういうことで、その様式改善についての今までのやられたこと、さらに、一般の人が書く様式と、また複雑な所得を持っておられる方と別にするのがアメリカのやり方でございますので、一般の人は非常に簡単な様式でいいわけで、そういういろいろなわかりやすい申告、税金というのは決して難しいものじゃないんで、みんなが書きやすいものにするということ、サラリーマンは源泉徴収ですから、その辺のクロヨン論議も営庶業の申告書様式にも関係いたしますので、この辺の御意見を伺いたいと思います。
  115. 大山綱明

    説明員(大山綱明君) 現在所得税、法人税の申告書には、委員指摘のように、署名、捺印あるいは記名、押印というようなことが義務づけられているわけでございますが、これにつきまして、これを立法いたしました当時の立法者の考え方は、やはり署名なり押印をするということを通じてその提出する書類についての提出者の責任を明確にする、こんな気持ちで立法されたものと思っておりますが、御指摘のとおりに確かに形骸化され、三文判が押されるというような事実があるのも否定はできないかと思います。全部が全部の人がそうだというふうには思いませんが、そういう事実がないこともないというふうに存じます。  内容の正確さを担保するための欧米流のいろいろな記述、これにつきましても私どももいろいろ勉強材料といたしたいと思いますが、やはりそういうものを書かせましても、あるいは日本におきましては、判こを押させましても判こそのものが形骸化してしまう、そういう記述も形骸化してしまうというのは、そこの背後にある土壌みたいなものがあるんではないかと思います。まず申告納税についての土壌の涵養というものも大事なことであろうかと存ずるわけでございますが、いずれにいたしましても大変適切な御指摘でございますので、今後有効な方策があるかどうかについてさらに検討、勉強いたしたいと存じております。
  116. 門田實

    説明員(門田實君) 委員指摘のとおりでございまして、国税庁といたしましても可能な限り様式の簡素化に努力をいたしておるわけでございます。  一例だけ申し上げますと、例えば昭和五十五年に給与所得者の還付申告用の簡単な申告書を作成することにいたしましたが、六十年にはこの申告書につきまして還付金支払いのための帳票が機械処理で作成されるような様式に改良いたし、六十一年には申告書の文字を見やすくするために三色刷りにするというような改善をいたしました。また、申告書の記載を容易にするためにそれぞれの用途に応じた記載例を申告書の書き方という形で作成、配付しておるわけでございますが、五十八年からは、この書き方に示された手順で記載していけばおのずと完結するというふうに、完結を見ますように一層の工夫を凝らしたりいたしておるわけでございます。  いずれにしましても、申告書の様式につきまして簡素化、合理化を図るということは重要な課題でございますので、今後とも引き続き検討してまいりたいと思います。
  117. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 今の申告書に書かれる内容がそれはもう正しくなければいかぬということになるわけです。したがって、正しい記帳が行われるということ、また間違った、不実の記載があった場合には罰則がなければいけないということであろうと思います。シャウプ勧告以来、企業会計は格段の普及、進歩もいたしておりますので、技術面、科学技術はもうこれは相当な進歩で、一方において企業会計も進歩いたしておりますので、税法の方も企業会計の進歩に合わせたような、真実、正確な内容が盛られるような、これは抽象的なことではありますが、内容の正確さを担保する改善策の検討をお続け願いたい、こう思います。帳簿の不実記載なんというのは脱税を予想しているわけでありますから、それ自体も未遂犯ということが外国での考え方であります。  その次に、無申告者対策であります。申告書を出す人はいいんですが、出してこないのがどうにもならないわけであります。この無申告というのが申告納税では最も重要な問題であります。だから申告の納税書をどういうふうに有効に配付するか。カナダ、フランスではもう全世帯に配っておるわけです。これが来ないと出さないわけでございます。また、納税義務者をどういうふうに探すかという問題も非常に基本的な問題です。この辺の対策の検討をお願いしたいということであります。  また、納税義務者は自分が所得があったら出すという、自分が判断するというのでは、これはもう自分任せで客観的な納税義務が発生しませんので、これも明確な対策ということを今申しませんが、納税者の範囲を確定し、納税義務者の把握を的確に行うような法的措置を外国の立法例を参考にして御検討をお願いしたい、こう思います。  最後に、無申告犯に対する罰則でございます。単純無申告もありますが、悪意の適脱犯、無申告を悪意にやっておる場合のこれは刑事罰でありますが、これのお考えを、また実情をお示し願いたい、こう思います。
  118. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 私どもが査察立件におきまして告発をいたしました事件のほとんどは、偽りその他不正の行為が伴いますいわゆる脱税犯でございますけれども、御指摘の単純無申告犯につきましても、数は少のうございますが、その刑事責任を追及しておりまして、昭和四十年以降で言いますと、五件ほど告発をし、起訴されているところでございます。今後とも単純無申告の場合につきましても、その実態をよく把握いたしまして、真に社会的非難に値するものにつきましては適時適切な査察の立件に努めてまいりたい、かように存じております。
  119. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 次は納税者番号でありますが、公平を主張される以上は、それを実現するためのこのような当然の制度、これはやはり反対すべきではない、こう思うわけであります。公平な執行の前提になる納税者番号、これが諸外国では当然行われておるわけでありますが、その実情を簡単に御説明願います。
  120. 大山綱明

    説明員(大山綱明君) 諸外国におきます納税者番号制度の状況でございますが、納税者番号制度がとられております国としては、北米大陸のアメリカ、カナダ、それから北欧のスウェーデン、ノルウェー、デンマークでございます。そのほかにもイタリアとかオーストラリア等で導入の動き、あるいはもう既に軌道に乗っておるという国が二、三あるやに承知をいたしておりますが、こういった国々では、例えばアメリカにおきましては、社会保障番号というのが既に存在をいたしました。それを一九六一年に納税上の制度、内国歳入法上の制度として活用いたすことにいたしまして、例えば納税者が申告書を提出いたします場合に納税者番号を記載する、あるいは利子や配当を支払う方々が、その受取者の納税者番号をあらかじめ届けさしておきまして、税務資料を提出する際に納税者番号を書き入れる、そういったことが行われておりまして、それが課税上有効な資料として活用されている、そんな実情にあると承知しております。
  121. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 次は、コンピューターを利用した脱税の防止策であります。  コンピューター会計が普及しています今日、従来の帳簿概念、これはもうどうも見直す必要がある、こう思いますし、コンピューター会計に即した法制の整備、これにつきまして法務省の御意見をお伺いしたいと思います。
  122. 大谷禎男

    説明員(大谷禎男君) お答えいたします。  商法上の問題に限って申し上げますと、現行法は商業帳簿の形式につきましては特段の制限を設けておりませんので、学説の中にも、現行法のもとでコンピューターを利用して商業帳簿を作成しあるいは保存するということは可能であると解する説が有力であるように見受けられますけれども、さらに進んで立法上の手当てが必要かどうかという点についてはさらに検討をさしていただきたいと考えております。
  123. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 積極的な御検討を願いたいと思います。世の中変わっているのに法制がおくれていかないようにというのが全般的な問題であろうと思います。  またこの税務の問題でございますが、コンピューター会計が脱税に利用される例が多いわけで、脱税プログラムを入れますと全部がさかのぼって直せる、こういうのがマル査で指摘されておるわけでありますが、この辺の対応が非常に大事になっております。この問題につきましても諸外国の税務上のいろんな法的規制やガイドラインがございますので、外国では当然やっていることで、これはやはりお調べ願って対応をお進め願いたい、こう思います。時間がございませんので、それでよろしゅうございますね。御意見があればお伺いします。  次に、不法所得、麻薬等の不法所得の課税状況であります。さきに無申告を申しましたが、不法所得は申告してきません、申告しますとパクられますから。これが問題の点であります。これはもう当然でございまして、警察庁にお尋ねしますが、最近のデータによる覚せい剤の摘発件数、押収量、これをお聞きしたいと思います。
  124. 伊藤一実

    説明員(伊藤一実君) お答えいたします。  我が国で乱用されております薬物は、御案内のとおり覚せい剤が中心でございまして、ここ数年検挙件数がおおよそ三万件台、人員にいたしまして二万人台の高水準で推移しております。昨年一年間の覚せい剤の検挙件数が三万二千余、人員にいたしまして二万一千人余を検挙いたしております。  また押収量につきましては、ここ数年毎年史上記録を更新しておりまして、昨年一年間で約三百五十キログラムの覚せい剤を押収いたしました。本年に入りましてからも依然として厳しい状況がございまして、二月には福岡で約二百五十キログラム、五月には警視庁が約百四十キログラム、昨日、兵庫におきまして約五十キログラム、こういうような覚せい剤の大量押収事件が摘発されております。
  125. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 続けてまた御質問しますので、どうぞお座りください。  その押収された覚せい剤の末端価格は幾らであるかということであります。さらに、それから類推して我が国での覚せい剤の流通量、流通していますストック、数量はどのくらいか、見当をお示しください。
  126. 伊藤一実

    説明員(伊藤一実君) お答えいたします。  昨年警察で押収いたしました覚せい剤の量はただいま申しましたとおり約三百五十キログラムでございますけれども、これはあくまでも氷山の一角にすぎないわけでありまして、現実に我が国で覚せい剤が年間どのくらい流通しているかは、需要者でございます未端乱用者の数字が正確に把握できないために必ずしも明確でございませんけれども、恐らくトン単位で流通しているものと推測されます。  そして、これらの覚せい剤の末端価格でございますけれども、いずれも近隣諸国から密輸入されまして、何段階もの密売人を経まして最終的な末端乱用者に至るわけであります。こうした場合の取引価格につきましては、地域でございますとか、あるいは密売人と未端乱用者との人間関係あるいは覚せい剤の純度、こういったようなものによって決まりますけれども、一概には言えませんが、一グラム当たりおおむね数万円ないし二十万円ぐらいではないかというふうに推定しております。
  127. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 暴力団の資金源としてこれら覚せい剤からの収入といいますか、そのウエートはどのくらいか、覚せい剤収入が暴力団資金の何%、何割を占めておるかということであります。
  128. 深山健男

    説明員(深山健男君) お答えいたします。  昭和五十四年に警察部外の有識者及び科学警察研究所の協力を得まして暴力団の資金源の実態というものを推計調査しておりますが、その結果から見ますと、合法、非合法を含めた収入全体の約四〇%強が覚せい剤の取引によるものでございました。その後暴力団の資金源も民事介入暴力を初めとして多様化しておりますが、現在においてもなお相当のウエートを占めていると考えております。
  129. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 今のにはモルヒネ、ヘロイン、LSDは入ってない、覚せい剤だけの問題であったわけでありますが、暴力団の資金がどのくらいあるか、これについては今の末端価格、トン数から推計するしかないわけでありますが、末端価格が二十万円ということで、まあ精製の度合いによるでしょうが、二十万円としまして、トン数、トン単位とおっしゃるので十トンを出れば十トン単位とこうおっしゃるんでしょうから、間をとって五トンとやってもこれは二兆五千億、これは四〇%の収入支出でいきますと。十トンとやると五兆円というような不法所得があるわけで、当然これは申告されてないわけであります。私、警察じゃありませんが、非常に蔓延している今の状況、そしてまたその資金源でもって暴力団が相当に社会的な影響を及ぼしておるということ、これは税の問題じゃないんで、警察自体の問題でございますが、その点関心を持っているわけです。  暴力団の組織の数は幾らありますか。組数、それから組員の数、あわせて教えてください。
  130. 深山健男

    説明員(深山健男君) 全国の暴力団の勢力といたしまして昭和六十二年当初現在で約三千百団体、八万六千人であるというふうに考えております。
  131. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 ちょっと余りこういうのは追及すると弱いんですが、国税当局にお聞きしますが、今のような暴力団の組が三千百もある。これはもうトップクラスの人たちの数でしょう。下の組員の方はこれは余り所得のない人もあるかもしれませんが、いずれにしましてもこれは申告はされてないということでございましょうか。この不法所得に対して、これは申告するはずがないものですから、調べたことがあるかということについて、また今後の姿勢についてお聞きしたいということであります。
  132. 門田實

    説明員(門田實君) ただいま御議論がございましたようなそういった不法な行為による所得、これにつきましても国税当局としては経済的利益が生じたという事実に着目しまして課税することにしているわけでございます。ただ、現実の問題といたしましては、このような暴力団の不法行為による所得の把握につきましてはやはりその端緒が非常につかみにくいということがございますし、調査に対する協力はもちろん得られない、こういうことで困難が多いわけでございますが、私どもの姿勢といたしましては警察当局の協力を得る等各種の資料、情報の収集に努めまして、今後ともその課税の適正化、充実に努力してまいりたいと考えております。
  133. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 今のは国税だけではやれませんし、非常に危険を伴うわけでございますので、検察、警察当局で資料を提供していただくというのが前提になるかとも思うわけであります。しかし、いずれにしましてもこの辺の問題が放置されているというのが非常に社会をむしばんでおるということも御認識願いたいと思います。  時間がございませんので、中小法人を中心にして商法改正問題が始まったわけでございますけれども、法務省にこの今回の商法改正のポイントということ、それからそのうち争点となっています事項にどういうものがあるかということ、またそれらの争点の調整の進捗状況、特に会計調査人制度というものが提案されておりますので、その辺の実情をお聞きしたいと思います。
  134. 大谷禎男

    説明員(大谷禎男君) このたびの現在進められております商法改正作業の大きな柱は、小規模会社法制の全面的な見直しということでありますが、そこの中では、一つには小規模会社に対する法規制を可能な部分に関しましてはできるだけ簡素合理化いたしまして、このような会社によりましてもこのような法律が守られやすいようにするとともに、債権者保護のための規制を厳選いたしまして、必要な規制が実効性を持って行われるようにするということを目指しているわけでございます。  そのような改正の方向の中で、簡素合理化の方向に関しましては余り反対意見はないのでございますけれども、債権者保護のための規制に関する部分につきましては消極論を述べる向きもかなりあるわけでございます。  そこの中で特に争点となっているものを拾い上げてみますと、まず最低資本金の問題がございます。さらには貸借対照表等の計算書類を商業登記所で公開する制度の導入、また先生が御指摘になりましたような、相当規模以上の会社につきまして現在の会計監査人による監査の制度とはまた別の会計調査人による調査の制度、こういうものを導入したらどうかということも問題となっているわけであります。またさらには、計算の公開をしない、あるいはまた会計監査人の監査や会計調査人の調査を受けない、こういう会社につきまして取締役の責任を強化することはどうかというようなこと、今申し上げましたようなことが比較的大きな問題として認識されているところでございます。
  135. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 大蔵省は主税局、証券局、それから国税庁が税理士、公認会計士に関係いたしますので、その辺の調整は積極的にお進め願いたいと思います。こういう仕事はなかなかやりたがらないというか、非常に面倒ですけれども、やはり責任を持ってやってもらいたいと思います。  最後に所見だけ申し上げますが、社会資本の問題を最初にお聞きしまして、最後もまた社会資本の問題で締めくくりたいと思います。  戦後の回復期、これは開銀が中心にやったわけですが、これからまた本当の資本充実の時代に入る、こう思うわけであります。私はやはり、非常に思い切った、夢のある、ロマンのある視野の大きなプロジェクトを考える必要があろうかと思うんです。  それで問題は、東京での地価問題、サラリーマンが持ち家を一生持てないというこの絶望感、これはもう放置できないと思います。それから、もう一つは災害の問題でありまして、非常に日本は災害にもろいが、もう大震災忘れております。この辺は一緒にして考えていくということで、財政は苦しいものですから、この辺をどうするかでございます。  それで、財政資金によらないでどうやるかというときに、民間資金とか民間の技術の活用ということ、これをどう持っていくかが中心でございましょうが、東京改造計画というものが、これは黒川紀章さんあたりが何か検討をしておられるようでございますけれども、東京湾に新しい首都の新島をつくるという、真ん中に島をつくりまして、そして千葉県の方とも、また東京の方とも地下鉄等で結びつけていく。これで新島をつくるのに約七十兆円かかるというわけであります。それで土地が一億坪誕生する。これができますと東京の今の地価が五分の一に下がるという影響もある。一応土地が供給されれば下がるのは当然です。そして、一坪が約二百万ぐらいでできるらしいんですね、これを四百万で分譲しちゃったら差額もうかっちゃうわけで、百兆円ぐらいのネットの利益が出て、それを東京の中に運河をつくるとか地方の開発計画に回すとかいうような、この辺の非常に夢のある、これはやはり大震災後の後藤新平みたいな何か思い切ったことを考える時期じゃないかと思うんですね。そして、千葉県の方には運河を通して、東側の方に新国際空港とか油の埠頭をつくるとか、そして水の差がありますから外洋の水が東京湾に入ってくる、東京の環状線のところには運河が張りめぐらされて防災にもなり自然環境にもと、これは非常に夢があるわけです。官僚とか我々非常にこう夢をなくしますけれども、何かその辺思い切った日本の、東京だけじゃなくてそれを地方の開発と結びつけていく必要があろうと思いますが、どうかこの社会資本の充実、その際に開発銀行等はプロジェクトコーディネーターとしてのやはり経験がありますので、その辺を活用されて、本当の社会資本の充実時代に入ってほしいと思います。
  136. 及川順郎

    ○及川順郎君 初めに、午前中の質疑にも出ましたけれども、五十九年度の会計検査院決算検査報告の中で、大蔵省の検査の分について、租税の徴収で不足であったものが五百二十四事項、金額で十一億一千二百三十四万円余、これの徴収を決定した。逆に租税の徴収額が過大であったものが四十五件、金額にしまして九千七百七十九万円余、これの支払いを決定したと、こうあるわけですけれども、こうした事態の起きている主な原因、それとその後の処置につきまして、まずお伺いしておきたいと思います、
  137. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 五十九年度の租税収入につきまして会計検査院から御指摘のあったことにつきましては私どもも厳しく受けとめ、今後このようなことを繰り返さないように職員の研修その他体制の整備に万全を期し、今後とも適正化に努力してまいりたい、かように存じております。  なお、会計検査院から御指摘のありましたものにつきましては、その後課税を決定するなどいたしまして、足りない分についてはその分を追徴をいたし、過大にいただいているものについてはお返しをするということで、すべてそれにつきましての事後処置は完了してございます。
  138. 及川順郎

    ○及川順郎君 納税義務者が期限内に納税しなくておくれた場合の延滞税、それから加算税あるいは悪質な脱税者に対する重加算税といった、こういうペナルティーのある税についての税収はどのぐらいになっておりますか。
  139. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 私どもとして、個人の方から期限におくれて納税をしていただいた場合には延滞税をいただくなど、そういう一種のペナルティーを課しておるわけでございますが、それにつきまして、これは実は私どもの税額の集計の仕方がそういう延滞税なり過少申告重加算税も含めた総額で実は管理をしておりまして、これで国税収納を整理してございます。したがいまして、延滞税の内訳がいかほどになっているかということにつきましては統計上数字として出てこない仕組みになっておりますので、内訳につきましてはちょっと申し上げる資料がないというのが実情でございます。
  140. 及川順郎

    ○及川順郎君 逆に、この徴収が過大であった分、これが会計検査院で調査をしてわかってきたという、納税者にしてみれば、これはある意味ではありがたいことなんですが、納税者に戻してあるというこの金額につきましては、これは税額分ですか、それとも、その期間についての利子分はどういうぐあいに考えて処置されているんでしょうか。
  141. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 会計検査院から御指摘をいただいたのは、過大に私どもがいただいた税額ということでございます。これをお返しする際には、法律の規定に従いまして還付加算金をつけた上でお返しをするという措置をとってございます。
  142. 及川順郎

    ○及川順郎君 五十九年度の分について見ますと、この還付加算金の利率とのぐらいになっておりますか。
  143. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) これも先ほどの延滞税などと同じでございますが、実はトータルとして幾らお返しをしたかという計算をしております。実は私どもがお返しをするという金額は、会計検査院から法令に従ってないという意味でのお返しをする以外に、一般の還付、これも随分ございます。したがいまして私どもとして、この場合にも還付加算金がそれだけで幾らであったかということは統計上出ない仕組みになっておりますので、その内容につきましても、ちょっとこの際御答弁のできるような状況にございませんことを御了解いただきたいと思います。
  144. 及川順郎

    ○及川順郎君 詰めていきますとなかなか明らかにできない部分が多いわけですが、こうした事態を少なくするというのはやはりたゆまない努力が必要だろうと思いますので、その辺の取り組みを国税庁と、それからこういう検査をやってきた今までの経緯から踏まえまして、会計検査院の今後の決意のほどを伺っておきたいと思います。
  145. 疋田周朗

    説明員(疋田周朗君) お答え申し上げます。  租税の徴収過不足という問題につきましては、やはり非常に重要な問題でございますので、私ども今後の検査に当たりましても鋭意十分な検査をやっていくように努めてまいりたいと考えております。
  146. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは、六十年度の検査報告が昨年十二月に出されておるわけでございまして、その中から大蔵省に関する指摘事項の中で一点お伺いしたいわけですけれども、「農地等に係る相続税の納税猶予制度の運用について改善させたもの」、こういう事項がございます。これは処置済みという事項でございますけれども、この内容につきましてまず御説明願いたいと思うんです。
  147. 疋田周朗

    説明員(疋田周朗君) 納税猶予制度の運用につきまして検査いたしましたところ、当該農地等を譲渡したり転用したりしておりまして、納付すべき税額がありますのにこれを納付していないというような者が三十七人、納付すべき税額にいたしまして一億七百余万円、それからこれに係る利子税額が五千四百余万円見受けられたわけでございます。  このような事態となりましたのは、税務署と農業委員会等との連絡調整が十分でなかったこと、それから税務署で当該農地等の現地の状況の把握あるいは署内資料の活用が十分に行われていなかったというようなことによるものと認められましたので、この旨を指摘いたしましたところ、当局におかれまして改善の処置をとられたという事案でございます。
  148. 及川順郎

    ○及川順郎君 会計検査院にお伺いいたしますけれども、この制度が設けられましたのはたしか昭和五十年というぐあいに記憶しているんですが、六十年には発足十年を迎えたわけです。本格的にこの検査を行ったのは今回が初めてという、こういう状況はどういういきさつがおありになられたのか、御説明いただきたいと思います。
  149. 疋田周朗

    説明員(疋田周朗君) この制度は、委員御案内のとおり、昭和五十年に租税特別措置法の改正によりまして創設された制度でございまして、昨年で約十年余経過したわけでございます。それから、この制度の適用を受けておられます方が約五万人、納税の猶予を受けている金額にいたしまして約一兆円に上るというようなことがございます。それから、さらに市街化の進行などによりまして地価が上昇いたすなど、そういったことのために大都市近郊での農業経営の継続が難しくなっている傾向にあるというような昨今の状況を踏まえまして、昨年検査を実施いたしたものでございます。
  150. 及川順郎

    ○及川順郎君 国税庁にお伺いしたいんですけれども、納税猶予を受けている者に対し問い合わせするなどして的確に特例農地の現況を把握することとするという内容の事務連絡を昨年十一月十日に出してございますが、それから半年過ぎているわけですけれども、その結果はどうなっているのか。譲渡したり転用をしたりしている例もその間に出ていると、これは十分思われるんですけれども、適切に税の徴収が行われているのかどうなのか、その後の処置についてお伺いいたします。
  151. 門田實

    説明員(門田實君) 委員ただいま御指摘ございましたように、昨年十一月にそういう事務連絡を出したわけでございます。  計数のお尋ねがございましたのでちょっとお答えいたしますと、その時期を含めますところの最近一年間の調査件数約五千件というものを調査いたしました。そして、そのうちおよそ一割程度のものにつきまして、お話しのような何らかのもはや納税猶予を受けるに値しない実態にある、こういうことで納税猶予期限の確定、こういう事実を把握いたしておるわけでございます。この制度は、農地相続の際に長期営農の意思を有する、こういう人につきまして特別に認められておるわけなんでございますが、二十年間という期間が進行するわけでございまして、その期間の間における実態の変化、そこのところは農業委員会が中心として把握されるというのが中心になるわけでございますが、我々も農業委員会等との連絡協調を密にしながら、検査院の御指摘もございましたし、極力現況の把握に今後とも努めてまいりたい、かように思っております。
  152. 及川順郎

    ○及川順郎君 大蔵大臣、もう午前中から大変恐縮でございますが、少し大臣に対する質問が続きますので、お願いしたいと思います。  まず、最近の報道で、景気の底入れ宣言が経企庁とかそれから日銀より出されておることが報道されておるわけですけれども、私の感じではどうもそうした実感というものがまだいかがなものかなと、こういう感じがするわけです。大蔵大臣はその点どうお考えになっておられるか。これからの経済、財政運営の基本にかかわる問題でございますので、この景気の底入れ宣言に対する大臣の御所見から承りたいと思います。
  153. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは、政府として半ば公な形で景気が底入れをしたというようなことを認定しておるわけではございませんが、三月期の決算などを見ておって、思ったよりも悪くなかったと申しますか、そういうような印象が一般にあるかと思います。しかしこれは、ある意味ではいわゆる財テクでございますとか、資産処分等々によるものが相当多うございますので、決算が思ったより悪くなかったので云々ということは、ちょっと私はまだ言いかねるのではないかと思っております。  しかし、少し長い目で見ますと、製造業における在庫調整というのは確かにかなり進んだということは言えそうに思いますが、さりとて設備投資が興ってくるというほどでもございませんけれども、まあまあそれでございますので、為替がこれ以上突っ込むようなことがないというようなことであれば、一応そういう状況の中で経済の各分野が何とかそういう環境の中で生きていくという方策を見つけつつあるとでも申し上げる程度かと私は思っておるのでございます。
  154. 及川順郎

    ○及川順郎君 よくわかりました。  サミット緊急経済対策につきましてですが、今回の緊急経済対策について一体政府はどれだけの黒字幅の削減に役立つと認識しておられるのか。元来、財政政策によりますと、内需拡大というのは、これは輸入促進や黒字不均衡是正という面での即効性が余り期待できないというのが一般常識になっておるわけでございますね。この点について今回のサミットでも、諸外国に対して余り諸外国が過大な期待をしないように十分説明をされる必要があるのではなかったかと、このように思うわけですけれども、この点につきまして大蔵大臣サミットでそのようなお話しの機会はございましたでしょうか。
  155. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) サミットでまさしく今及川委員の言われましたような質問がございまして、私はたしか、さしずめのことはたかだか五十億ドルとか六十億ドルとかいうことではあるまいかと。ですから、千億ドル黒字を持っている国にとって五、六十億ドルでは、これはいわば大きな声で言えることでもありません。  問題は、そうではなくて、こういう努力をこれから何年か続けていくことによって日本経済構造が変わってきて、いわば前川報告の言っているようなことでございますけれども、その結果として日本経済の過度に輸出に依存している体質が直っていく、そこで初めて非常に過度の貿易黒字というものが減っていく、そういうふうなことを我々は考えている。したがって、サミットにおける御出席の方々におかれても、この際の輸出入効果というようなことを余り考えていただいても、それは我々の本当にねらっているところではないということをかなりはっきり申してまいったつもりでございます。
  156. 及川順郎

    ○及川順郎君 今大臣おっしゃいましたように、五十億ドルぐらいの削減効果、伝えられるところによりますと、これに加えまして政府が総額十億ドルくらいの緊急輸入で政府専用機やスーパーコンピューターなどを購入するということも考えておられるようでございますけれども、全部加えたとしても六十億ドル。今の御説明で十分その点は申し上げてきたと、こういう状況の中で、日米の関係におきまして、率直に言って、アメリカでは毎年毎年の方向性の中でどのくらいの期待をされているか、その辺の感触というものはつかめたかどうかですね。また、あわせまして、大蔵大臣としてこうした努力をこれから続けていくということでございますが、この黒字削減効果につきまして今後の見通しをどのように立てていらっしゃるか。この二点をお伺いしたいと思うんです。
  157. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 少し長期のことでございますと、あるいは所管のお役所で計算をしておられるかもしれませんけれども、我が国の貿易収支が減り始めるということがまず第一に大事なのではないかと思います、貿易外収支の方がずっと累年マイナスでございますけれども、だんだん貿易外収支のマイナスが小さくなってきておりますものですから、したがって貿易収支が減り始めるということがまず最初の我々の努力目標ではないかと思っております。
  158. 及川順郎

    ○及川順郎君 今現在でなかなか見通しは難しいという状況はよくわかります。  次に、ベネチアサミットで採択されました経済宣言の中でサーベイランス、これに関しては午前中にも質疑が出ておりましたけれども、今後このサーベイランス強化によりまして日本経済運営はどの程度の直接的な影響を受けると見ておられるか、この点についてお答えをいただきたいのでございます。
  159. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 我が国経済の運営は、予算制度でありますとか、あるいは経済企画庁もある程度の中長期計画を立てておられるとか、経済見通してありますとか、これは毎年のものでございますけれども、先進国としては比較的そういう道具立ての整っている方ではないかと私は思っておりまして、今度サーベイランスでいろいろ相談をいたしまして、各国がそういういろんな要素を組み合わせながら約束した政策協調がうまくいっているかどうか、その線をえらく外れているかどうかというようなことをやってみようということでございますけれども、今までこの程度にやっております我が国から申しますと、特に新しい何か義務を課されたという感じでは私はございませんで、むしろ義務といえば大きな意味での黒字国としての責任というものはございますが、サーベイランスの仕方について新しい何か義務をしょったという感じは持っておりません。  殊に、午前中にも政府委員が申し上げましたけれども、サーベイランスをやるからといって一種の、自動性という珍しい言葉を使ってありますが、これはもっと我々の言葉になっております外国語で、オートマチックにはこうならないよという、そういう意味自動性でございますから、指標がこうなっちゃったから自然にこうしなきゃならぬというような話の仕組みにはなっておりませんで、仮に非常にラインから外れたというふうに見えると、お互いにちょっとどういうふうにか工夫はないかなといったような、そのぐらいな相談はすることがあるもしれませんけれども、こういうことになっちゃったらこういう義務を生ずるというような考え方には立っておりませんので、我が国としては今までやってまいったことの延長線で十分こなし得ることだというふうに思っております。
  160. 及川順郎

    ○及川順郎君 次に、六兆円の内需拡大策でございますけれども、今後の財政運用にどのような影響を与えるのか、これは非常にクールに見ていかなければならない問題だと思うんですが、この内需拡大策でもう一つ大事なことは、それじゃ何をやるのかということをしっかり見きわめておくことが大事だと思うわけですけれども、政府目標であります財政再建計画とどのような関連を持っておるのか、この点に対する御所見はいかがでしょうか。
  161. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 緊急経済対策は、いわば公共事業等々の内需、そういう意味での内需拡大の部分と減税による部分と両方から成っておるわけでございますけれども、先ほども申しましたように、一遍の補正予算をもって我が国が対外的にも約束しましたことができるわけではございませんので、これをこれから続けていかなければなりませんが、その際の財政再建との関連は、先ほど福田委員にも申し上げておりましたように、幸いにしてNTTといったような、いわばいっときではございますけれども何年間か続く財源がございますので、これがかなり社会資本整備の役に立つと、こう思っておりまして、願わくは、そういうふうな経済運営をやってまいりますうちに成長率も多少高くなりまして、そこから税の自然増収も入ってくるということで財政自身も多少、何と申しますか、歳入の拡大基調に乗ってくるならば、そうなりますと財政再建そのものもむしろそこから幾らか楽になる、そういう運営をこれから何年がいたすべきではないかと思っております。
  162. 及川順郎

    ○及川順郎君 ドル下落防止には各国協調利下げあるいはレーガンポンドの発行等について、これはやはり極めてサミットでも重要な議題になるのではないか、こういうような感じで見ておったわけでございますけれども、大臣はこの協議の内容、そしてまたこれに対する現在の感触はどのように持っておられるか、この点まず伺っておきたいんです。
  163. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この点は、昨年の九月、十月ごろから私とアメリカのベーカー財務長官とがずっと継続して話しておりましたこと、すなわち両国における経済政策の協議であるとかあるいは共同介入であるとかいうことが昨年の二月のルーブル合意というもので多国間のいわば合意になりまして、それが今回また首脳によって再確認と申しますか、取り上げられたということがこの小一年の経緯でございます。  したがって、やはり問題は各国政策協調、その政策協調の具体的なチェックとして今まさにお話しのサーベイランスがあるわけでございますけれども、そういうことと、もし必要があれば各国が共同介入をする。これは過去において何度か共同介入を現実にいたしました。そういう中から為替の安定を図っていくその根本にありますのは、もうプラザ以来のドル下落ということはここでもうその目的を達した、これ以上の下落はむしろお互いに困ることである、こういう認識であろうと思います。
  164. 及川順郎

    ○及川順郎君 次に、先ほど内需拡大における公共事業お話が出ましたけれども、この公共事業の施行についてお話を伺いたいと思うんです。  この公共事業、本来ならばこのような緊急対策ではなくて、やはり本来的には日本の将来ビジョン、社会資本のどの部分をこれから充実させていくかというような、こういう視点からしっかりと見定めて、そして長中期的な見通しを立てた上で行っていくというのが、これが本来的に私はいいと、こういう認識を持っておるわけでございます。そういう意味から言えば、ただ単に量をふやせばいいという問題ではないとはいいましても、やはり緊急対策の中で内需拡大のための公共事業というものが重要な柱になっているとするならば、これは国民生活の質の向上に本当に役立つというものでなくてはならない、こういう感じを強くするわけでございます。  例えてみるならば、住宅や下水道などの内需拡大効果の高い都市整備に重点を置くとか、あるいはまたその他の公共事業等についてもしっかりとした優先順位をつけて、やるべき内容を十分吟味する必要があるのではないか。さらに、昨今よく言われておるのは、公共事業で一生懸命やるのはいいけれども、ほとんどが土地代に消えてしまうのじゃないかというような、こういう危惧もあるわけでございまして、学校の改築なんかも一つのアイデアだろうとは思いますけれども、それでもまだそのほかにも問題点があるんじゃないか。そういう具体的な一つの青写真といいますか、公共事業を実施していくための内需拡大に実効性の持てるような、こういう内容をどういうぐあいにとらえておられるのか、これは所管官庁と、あわせまして大臣の個人的な見解でもよろしいですけれども、その辺の御所見を承りたいと思います。
  165. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはごもっともな御指摘と思いますが、実は公共事業の一般会計の予算そのものがもう五年間も圧縮されてきておりますので、建設省あるいは農林省、運輸省等々、各実施官庁においてはもういつも足りない状況できようまで来ております、したがって、こういう補正追加でございますと、どの項目でも実は不足になっておりますから、そういう意味では、ここはもう要らないだろうというようなところは長年抑えておりますために出てこないというのが実情だと思います。  しかし、そうは申しましても、おっしゃいますように、やっぱり時代のニーズというのは違ってまいりますから、各官庁において、あるいはその一省の中でも今までの配分というものをいろいろに今のニーズに従って柔軟に考えていただくということは大切なことであろうと存じます。  同時に、今度から始めようと思いますNTTの株式による社会資本整備というのは、これは今までのにいわばエキストラで加わるわけでございますから、ここはかなり新しい需要、ニーズ、殊に民活とか第三セクターとかいうことで地方もいろんなことを考えておられますので、おっしゃいますように中央の都市整備というのは経済効果は確かにいいのでございますけれども、いかにも公共事業が大都市に偏って地方の落ち込んでおります経済を救うのになかなかうまい傾斜配分ができないという問題もありますものですから、そういうことではこのNTTの活用というのは役に立つのではないか。  なお、最後におっしゃいましたように、文教施設なんか、これなどは確かに土地もございますしかなり長くほってございますから、こういうところも今度やったらいいのではないかと思いまして、できましたらこのたびの補正予算では文教施設等々もやらしていただきたいと思っております。
  166. 及川順郎

    ○及川順郎君 補正予算のお話が出ましたので、これに関連して国債発行に対する問題についてお伺いしておきたいわけです。  補正予算の財源として国費が一般公共事業で伝えられるところによりますと一兆二千億円、災害復旧費に三千四百億円、施設拡充費に二千百五十億円で、都合一兆七千五百五十億円程度が必要になると言われておるわけです。  その財源ですけれども、ただいま大臣おっしゃられましたNTT株、この売却益のうちとりあえず六十一年度の剰余金四千五百億円が充てられるというようなことの様子でございますけれども、それ以外の財源は一体どうするつもりなのかというこの点がもう一つ鮮明に浮かび上がってこないわけですけれども、恐らく一兆円を超す建設国債の発行で賄われるのではないか、このような見方をされておるわけですけれども、この国債の増発につきまして、大蔵大臣として建設国債の増発を考えておられるのか、また将来展望も含めまして、この点についての見通しをお伺いしたいと思うんです。
  167. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 補正予算の編成がまだ緒についたばかりと申しますか、これからという感じでございますので、今のような計数を正確に申し上げることができませんけれども、確かに構成としましては国費の中で一部にNTTの収入代金を活用することができますが、残りの財源は調達を別途するということになりますと、それはやはり建設国債ということになろうかと、大まかな仕分けはやはりおっしゃるとおりかと存じますけれども、今具体的に計数でまだ申し上げられる段階になっておりません。  今後の問題といたしましては、NTTの株式がそうそうの値段で売れるといたしますと、かなりのこれが余裕財源になってまいりますので、六十三年度の予算編成等になりますとかなりこの金は使えるというふうに考えております。
  168. 及川順郎

    ○及川順郎君 我が国の財政を見ますと、国債依存度というのは欧米諸国に比べて高いことは、これは事実でございますが、一方におきまして国債残高がGNP比で四、五割という水準は決して高くないという意見もあるわけです。金利が下がりました現在におきまして国債を二倍出しても、以前の高金利時代に比較いたしまして財政負担はそれほど重荷にならないのではないか、こういう意見があるわけです。こうした意見に対して大臣はどのような御見解をお持ちでございますか。
  169. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは一概に申し上げることはできないのでしょうけれども、その国の経済いかんにもよることで、私のように日本経済にはまだかなりの潜在成長力があると見ておる立場から申しますと、国債の残高そのものはそんなに心配する状況ではない、いや幾らふやしてもいいと申し上げているわけではございません、大蔵大臣がそういうことを申し上げる立場の人間ではございませんから。しかし、その国の経済そのものの力にもよることであろう。いかにも財政をお預かりしていて辛いのは、一般会計の中で国債費が二割になっておるということでございます。これは、もう二割分だけはいや応なしにそこへとられてしまうということは、いかにもこれは財政がいろんな問題に対応力を失っておる、弾力性を失っておるということでありまして、これはもう何とか改めていきたい、こういうことは痛切に感じております。
  170. 及川順郎

    ○及川順郎君 もう一点、現在の円高はこれまでの緊縮財政にも一因がある。これは事実だろうと思いますけれども、この際、財政政策の転換を毎たび大蔵大臣は攻められておる状況でございますけれども、やはりこれはこの財政政策の転換を図るべきとき、こういう状況は非常に強く感じますし、そのための新しい計画を国民にしっかりと示すべきときじゃないか、こういう感じを強くするわけですが、この点に対しての大臣の御所見はいかがですか。
  171. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 転換と申しますとどうも大げさでございますけれども、私の思いますのは、内需拡大をやっていきまして、そのためには財政も呼び水の努力をいろいろしなければなりませんが、その結果として国内の経済成長が多少高くなりますと税収もその分だけはいわゆる自然増収の形でふえてくる。そうなりますと国債発行もそれだけしないで済むといったようないわば多少拡大的な循環になってくれば、こうなれば経済運営としては非常にうまい、財政運営としてもよろしいのだと思いますので、そういうふうになっていかないものかなということを考えておるわけでございます。  しばしば昭和六十五年度には特例公債依存体質から脱却するという目標が非現実的だという御指摘があるのでございますけれども、今のような経済運営をやっていきました場合に、まだあと三年ございますということもあり、このごろはいろいろ不確定要因が多い中で、殊に国際経済から来る影響というのは非常にはかりがたいものでございますから、今その目標にかえて何か別の目標を置くとした場合には、随分それを吟味をしまして立てないといけませんが、今から仮に三年ぐらい先のことをかなり正確に予見できるかというとなかなかそういうことでもございませんので、その問題は私はもう少し時間をかけて考えていきたいと思っておるわけでございます。
  172. 及川順郎

    ○及川順郎君 財政再建問題で、経企庁の試算によりますと、今後公共事業を毎年三%ずつ増加させてまいりますと六十九年度に財政再建は可能であるという試算が出されておるわけですが、この試算に対しての御感想を承っておきたいと思います。
  173. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは私も報道で読みましたが、感想は、試算というものはいろいろあるという感想でございました。
  174. 及川順郎

    ○及川順郎君 前へ進ませていただきますが、午前中の質疑でも取り上げられましたマル優廃止の問題です。  中曽根総理サミットの経過の中での御発言、その後符節を合わせたように大蔵省首脳の発言等があるわけですけれども、こういう報道に基づきまして、これは国会の協議を無視した許しがたい発言であるというような指摘がなされるというのは私は当然かなという感じを持っておるわけでございます。午前中の大蔵大臣の御答弁も大変慎重な御答弁でございましたが、大臣御自身としてこのマル優廃止問題に対してどのような見解をお持ちになっておられますか、改めて伺っておきたいと思います。
  175. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 午前中にも申し上げたことでございますけれども、あのような経緯で衆議院議長のあっせんという、国権の最高機関である立法府の議長のごあっせんで各党の協議が行われておりますので、公の場で政府としては、その御協議が始まったばかりのときに、こうあるべきだ、政府はこうするというようなことはやっぱり慎まなければならないというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。  ただ、申し上げられることがあるとすれば、あの御協議の場で与野党ともに、今年度に所得税等のいわゆる前倒し減税をすべきではないかということは、幅の違いはございましても考え方としては共通なものがあるようでございますが、その際与党は、これは一遍限りの減税というよりは税制改革のいわば一環としての減税の前倒しである、こういうふうに与党は申し上げておるそうでございまして、その程度までは私どもとしてもぜひそうありたいということは申し上げることができるのでございますけれども、それはもう全体の一種の抽象論として申し上げるほかありませんで、今としてはどうもこのぐらいのことしか申し上げられないというところでございます。
  176. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは、次に減税問題に移りたいと思いますが、今回の緊急経済対策で総額六兆円、それも公共事業費五兆円プラス一兆円を下らない規模所得税等の減税先行ということになっておるわけでございますが、この減税については財源対策にめどがつけば今度の臨時国会で実現するつもりなのかどうなのか。この臨時国会に提案する補正予算に減税額を計上するのかしないのか、その見通し、腹づもりにつきまして御所見を承っておきたいと思います。
  177. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど申し上げました各党の税制改革協議会の御検討の推移にもよることでございますが、大体の各党の合意の方向というのは、やはりこの年度に所得税等の前倒し減税をやるべきであるというふうに傾いているように承っておりますし、したがいまして政府もそういうことを反映いたしまして、先般の緊急経済対策でもそういうことを決定したわけでございますので、来るべき国会におきまして、しかるべき時期にそのような減税を含みます税法を出させていただきたいと考えておるわけでございますが、それは補正予算案との関連で申しますと、けさほど佐藤三吾委員の御質問にお答えいたしておりましたように、片方で税制協議会がこれからの税制改正をどうするかということを御検討中でありまして、その結論が出ていないものでございますから、今年度の予算の歳入面というのが実は予定いたしました税法は全部一応廃案になったというそのままの現状で、その後協議会が御協議をいただいているということだものでございますので、その御協議がもう少し先へ進みまして、最終的に今年度の歳入をどういうふうにするかということは、そのときに最終的にはやはり予算補正の形で処理をいたさなければならないと思っておるのでございますけれども、それが今回の問題にはどうもタイミングとしては難しそうな感じを持っておるわけでございます。
  178. 及川順郎

    ○及川順郎君 そうしますと、もう一度二次補正のような形でおやりになるというような、こういうことも十分考えていかなければならぬという御見解でございましょうか。
  179. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは税制協議会がどういうふうな結論をどの段階でお出しになるかによりますので、今何ともそこのところは申し上げかねるのでございますけれども、いずれにしても、法律と予算との整合性というのは年度が終わりますときには立てておかなければならないことだと考えておりますが、その税法の方が決まってまいりませんので、それが決まりますとやはりそういうことを最終的にはしなければならないんではないかと思っております。
  180. 及川順郎

    ○及川順郎君 次に、土地対策につきましてお伺いしたいわけです。  今日の東京の地価の高騰、この件につきましては政府の土地対策に多くの責任があるという指摘が大変強いわけでございますけれども、この地価高騰の原因として、これはさまざまな要因があるというぐあいに分析されることは事実でございますが、国際都市東京における事務所用地の不足、金余り現象、それとあわせまして国公有地の高値売却、これが大きな原因である、こういうぐあいな指摘があるわけです。  こうした土地の高騰に対して、政府の土地対策について政府として今どのような認識を持っておられるか、まずこの点の御確認をさせていただきたいと思います。
  181. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 後ほど政府委員が補足をいたしますが、やはり国有地というのは、処分いたしますときは第一義的には国の目的あるいは公の目的に使うというのが優先をするわけでございましょうが、そうでない場合には、国民の財産でございますから、それは一番フェアな競争入札ということになるわけでございますけれども、そういうことをすることが国民の財産を一番有効に処分する方法であるし、また間違いを起こさない公平な方法だとは考えておりますが、今御指摘のような問題がございますから、それが土地投機に拍車をかけるようなことがあってはなりません。したがって、すぐに転売をするというようなことは許してよろしいものではありませんので、五年でありますとか十年でありますとか、そういう転売禁止の条件のもとに競争入札をするというようなことは心がけております。  一般的に、それにしても余り国有地等の入札をたくさん行うということは、結局高い価格水準をつくるのではないかという御批判は十分心して伺うべきだと思っておるのでございます。しかし、例えば国鉄のように国鉄再建のために長期債務を、これは国、納税者の負担でございますから、消していかなければならないというような場合になりますと、やはりそういう一つの目的は確かに大事な目的で、具体的な目的が優先するということもございますので、その辺はやはりこれも転売等々を禁ずるということで、両方のバランスをとりながらやっていくということではないかと思っております。
  182. 及川順郎

    ○及川順郎君 この土地対策に対する関連の幾つかをちょっと御質問したいわけでございますが、一つは市街化区域内農地の宅地並み課税についてでございます。  歴代内閣がその必要性を認めてきてはおりますけれども、結局は具体的な姿があらわれずに今日まで来ている。これが国民の間に一層不公平感を増幅しているという、こういう状況があるわけでございます。さきに行われました経済審議会経済構造調整特別部会の報告でも、三大都市圏の宅地並み課税対象農地、これは四万ヘクタールのうち約八五%が宅地並み課税を免れているということが指摘されております。これに関して、市街化区域内農地の優遇税制の是正をこうした事態を踏まえて求めておるわけでございますが、一方経団連でも、地価対策関係閣僚会議の機能強化とともに、農地の宅地並み課税の強化を提言をしておるわけでございます。税は、これは大蔵省の所管でございますし、地価対策関係閣僚会議で大臣も積極的にこの宅地並み課税の実現に努力をしていくべきだと、こういうぐあいに申し上げたら、大臣はなさっておると、こうお答えになるかもしれませんけれども、そうした現状に対しての大臣の認識と御決意のほどを承っておきたいわけでございます。
  183. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは、御指摘のように極めて難しい問題でございまして、長年議論をし、また最近もいろんな提言が行われておる、私も一人の政治家としていろいろ考えている問題でございますけれども、きょうは政府委員が自治省から見えておられますから、できれば自治省の方からお聞き取りいただきたいと思います。
  184. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) 市街化区域内農地に対します課税の問題につきましては、今お話がございましたように、現行制度に至りますまでに相当の紆余曲折を経てまいっておるところでございます。  現行制度は、御案内のとおり、昭和五十七年度にできておりますけれども、これは宅地供給促進と農業経営の継続、こういった両課題の調整策といたしまして、十年間営農継続することが適当と認められます長期営農継続農地につきましては農地課税相当額を上回る税額を徴収猶予いたしまして、五年ごとに営農継続の事実を確認の上、徴収猶予税額を免除する、こういう制度として創設されまして、私ども自治省といたしましてもその適正な運用につきましては地方団体を指導してまいってきておるところでございます。  先月の二十九日の経済対策閣僚会議で決定されました緊急経済対策の中で、「特定市街化区域農地に対する課税については、現行制度発足以来五年間の長期営農継続農地に対する徴収猶予の運用実績を調査検討し、その結果を踏まえ、本制度の運用について地方団体を指導する等必要な措置を講ずる。」と、こういう決定がなされておりますので、この趣旨を踏まえまして、現在地方団体におきます長期営農継続農地の確認状況等につきまして調査検討を行っておるところでございます。  なお、市街化区域農地に対します宅地並み課税のあり方につきましては種々議論のあるところでございます。負担の公平、宅地供給の観点、それから土地利用のあり方、都市農業のあり方、また都市におきます緑地等の確保の問題、都市施設の整備の状況との関連、こういったいろんな議論がございますので、こういった各方面の議論も踏まえまして、今後税制調査会における審議もいただきながら検討されるべきものと考えておる次第でございます。
  185. 及川順郎

    ○及川順郎君 次に進めさせていただきます。  東京における地価の高騰に付随しまして大手不動産業者によるかなり幅広い範囲での土地の買い占めが各地で行われている。その多くは、大手不動産業者が表に出てくることなく、いわゆるダミーを使って中小不動産業者あるいは地上げ屋に買い占めをさせるというような、こういうことが新聞でも時々報道されておるわけでございます。  まず警察庁に伺いたいんですけれども、今までに違法行為を行った地上げ屋などの大手不動産との密接な関係が立証できたものがあるかどうか。また、最近新聞等で報道されている地上げ屋による恐喝、放火、建造物破損などの現況はどうなっておるのか。最近の状況お話しいただきたいと思います。
  186. 深山健男

    説明員(深山健男君) お答えいたします。  最近、不動産業者が土地取引、特に地上げに暴力団を利用したり、あるいは暴力団が地上げに介入したりする事案というのが増加しておるわけであります。全国の警察において昨年一年間、いわゆる地上げ等不動産取引に暴力団が介入し、市民が困っているなどということで相談を受けました件数は千九百九十二件に上っておるわけでございます。この中には、本年三月、都内目黒区内で発生いたしました、ビルの屋上にハンマーで穴をあけた建造物損壊あるいは威力業務妨害事件であるとか、あるいは昨年十一月に神奈川県下及び都内杉並区内で発生いたしました住宅等に対する放火事件、あるいは昨年十一月、都内板橋区内で発生いたしましたアパート居住者に対する暴行脅迫事件など、極めて悪質なものもございまして、これらにつきましては徹底検挙いたしているところでございます。  今後とも市民からの相談に積極的に対応し、関係機関との連携を密にするとともに、地上げ等に絡む違法行為につきましては厳正に対処してまいる所存でございます。
  187. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは、法務省にこれに関連してお伺いしたいんですけれども、このような地上げ屋による違法行為、とりわけ放火、建造物破損などによって物理的に住宅に住めなくなったときに、借地権を有しておりますこの住民は最終的にどうなるのか、こういう問題が出てくるわけです。借地権はあったとしても、うちが壊された。それを新しく建てかえるためには地主の承諾も得なければならない。結局、借地権はあっても、そういういろんな難しい問題の中で立ち退きを余儀なくされる、こういう事態が生じてくる。結果的には、違法行為であっても放火、建造物の破損などやった方が、これは結局土地が高く売れて、損害賠償を払ってもおつりが来るという現象が出てくるわけです。  このようなことが繰り返されるということに対する住民の不安感というものは、やはり貸し家で生活している人たちの中には潜在的に非常に強いものがある、こういう状況を私はよくかいま見るわけでございますけれども、法務省としてこの件については、現に居住する人々の人権を守るという観点から、こうした事態に対してどう対処していこうとしているのか。また、いろいろ難しい問題もあるのでしょうけれども、居住者の人権を守るという観点から見ますと、法的に何か不備があるのではないかという感じが素人的にするわけでございますけれども、この点についての法務省の御見解を承りたいと思うのでございます。
  188. 田中康久

    説明員田中康久君) 先生御指摘のように、最近新聞報道等ではいろんな問題が出ていることは承知しております。ただ、民事の手続の中でこういう問題を解決するということは、先生が御指摘のように、いろいろ難しい問題がございます。御指摘のように、損害賠償というのは事後的な救済措置にはなりましても、事前の救済措置にはなかなかならない。ただ、現在の訴訟手続の中でも、事前にそういう危険行為が行われることがあらかじめ予測されまして、それからそういう行為を行う行為者が大体判明したという場合には、例えば建物には入ってはならないというような仮処分、あるいは建物を壊してはならないというような仮処分をする方法がございまして、そういう仮処分を利用することによって居住者の権利を守るルートがあるというふうに私ども考えております。
  189. 及川順郎

    ○及川順郎君 ぜひこの点につきましては実態を分析して、法的に人権を守る、こういう立場からもう一歩突っ込んだ対応を期待したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  土地の高騰に便乗して暴利をむさぼった不動産業者や地上げ屋に対する課税が果たして適正に行われているのか、こういう点につきまして国税庁にお伺いしたいわけでございますが、三井不動産、三菱地所、住友不動産の大手不動産三社の三月期決算予想では、売上高六千三百億、経常利益は一千百億円に達すると言われておるわけでございまして、これは三年前の時点に比べますと二倍、五年前の三倍という状況でございます。  先日発表されましたいわゆる脱税白書によりますと、六十一年度の不動産業者については、件数、脱漏所得額、それから脱税額の総額も一件当たりの金額も最高であるというぐあいにこれは報じられておるわけでございます。調査に当たりました国税庁の心証、また六十一年度特に不動産業者に力を入れて摘発に当たった結果こういう事態がきちっと明白になってきたのか、その点も含めまして国税庁にお伺いをしておきたいと思います。
  190. 門田實

    説明員(門田實君) 不動産取引業者に対する税務調査の状況でございますが、ただいまお話にありましたように、非常に大口、悪質のものは査察調査というものがございますし、これはやはり大法人に対する調査という形で行われております。しかし、ただいまお話にありましたように、最近の地上げ屋を中心とした調査ということでありますと、もう少し小さいところを含めてお話をした方がいいと思いますので、ちょっと申し上げますと、地価高騰の著しい都心部等を管轄しております東京国税局が昭和六十一年、昨年の七月から六十二年の三月までの間に、資本金一億円未満の法人に対して行ったものについて申し上げますと、実地調査件数千五百八十七件で、このうち申告漏れ所得があった件数が千四百十七件。申告漏れ所得金額が三百八億円、このうち故意に脱漏していた不正所得金額は百三十三億円でございまして、加算税を含め百三十七億円を追徴しております。  私どもとしましては、ただいま申されましたような全般的な風潮、特に都心部等におきます地価高騰、土地売買の活発化等々がございますので、平素から土地売買取引資料を初め、各種の資料、情報の収集に努めておるところでございまして、今後ともこういった不動産取引業者の申告内容、これを十分にチェックいたしまして、課税上問題があると認められるものに対しましては徹底した税務調査を行ってまいりたいと思っております。
  191. 及川順郎

    ○及川順郎君 角度を変えまして、土地の高騰の一因になっております金余り現象という視点から質問をさせていただきたいと思います。  金融機関につきましては、これは庶民から集めたお金の融資先に現在においては四苦八苦している状況である。金利も低い状況の中で何とかして有利な融資先を探そうとする、これは当然のことでございますが、一方におきまして金融機関は公共的な使命を有しているから、社会的な批判を受けるような融資は許されない、こういう状況もあるわけでございまして、したがって以前にも当委員会指摘されましたサラ金業者への金融機関からの融資が問題とされたことがございますけれども、今回も投機的な土地取引を助長するようなことのないようにと、国土庁の要請を受けて金融機関に対して大蔵省銀行局から通達を発してきたようでございますけれども、実態は余り効き目がない。この件につきまして、今後の対応、どのような実効性のある具体策を考えておられるのか、また模索しておられるのか、この点を伺っておきたいと思います。
  192. 新藤恒男

    説明員(新藤恒男君) 金融機関融資につきましては、申すまでもなく、それぞれの機関のみずからの経営判断で行われるということが基本でございますけれども、土地関連融資につきましては、委員指摘のとおり、金融機関というものの公共性を十分自覚するようかねて指導してきたところでございます。    〔委員長退席、理事梶原敬義君着席〕  御指摘のとおり、昨年の四月あるいは昨年の十二月に金融機関に対しまして通達を発出いたしまして、投機的な土地取引等にかかわる融資につきましてはこれを厳に慎むようにというふうな指導をしてきているわけでございます。大蔵省といたしましては、この趣旨を十分踏まえまして金融機関がその公共性を十分自覚して適切に対応をするように期待しているわけでございますけれども、今後なおそうした趣旨に沿いまして、通達の趣旨が生かされますように、浸透いたしますように指導に努めてまいりたいというふうな姿勢でございます。
  193. 及川順郎

    ○及川順郎君 大蔵大臣にお伺いをいたしますけれども、冒頭この問題に関しての質問のときに、国公有地の売却の件を一つの例題として出しましたけれども、これまで地価対策関係閣僚会議を設置して、既に三回ぐらい会合を開いておると承っておりますけれども、このメンバーには大臣も入っていらっしゃる、このように理解しております。大臣は、この地価対策関係閣僚会議で、土地問題について何か有効な手だてがまとまるとお考えになっておられるでしょうか。今までの経緯を踏まえまして、その感触を承っておきたいと思います。
  194. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この地価対策関係閣僚会議では、国有財産、土地等々の処理につきましての意思決定をいろいろにいたしましたり、既に成果も上がっておりますが、やはり各省庁の中でこういう深刻な問題になっておりますので、協議を重ねていきまして有効な対策をどうしても見つけなければならない、この閣僚会議が見つけませんとほかに見つける場所がないのでございますので、ぜひそうしなければならないと思っております。
  195. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは、先ほどもNTT株の売却問題が出ておりましたが、これに関して何点かお伺いをしたいわけでございますが、日本電信電話株式会社の株を一般投資家に政府から売り出すに際しまして、大口投資家向け競争入札の落札加重平均価格をもとにしまして、額面一株五万円のものを国有財産中央審議会の答申によりまして昨年度の一般売り出し価格が一株百十九万七千円と決定されたわけでございます。最近では、これが三百万前後にはね上がっている。このような状態を客観的に見まして、大口投資家に競争入札を行い、それをもとにして売り出し価格を決定したことは、これは本当に妥当であったのかどうなのか、こういう印象を率直にするわけです。  といいますのは、今回のこのNTT株売却について、現在の株価を見て、結果として大蔵大臣に何か反省の点はなかっただろうか、こういう感じもするわけです。これから毎年そうした問題に対してかかわっていくわけでございますけれども、今年度以降の株の放出によって予想したよりもはるかに上回る国庫収入が期待できる、あるいは国の財政再建に少しでも役立つ、こういうぐあいに手放しで喜んでだけいていいのかという率直な感じをいなしますけれども、この辺の御感想を大臣にまず承っておきたいと思います。
  196. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いずれ、あれこれお尋ねがございまして、所管の局長からお答え申し上げることだと思いますけれども、最初のところ、私はまあこれでよかったという感じを実は正直を申しますと持っております。  と申しますのは、これは何分にもどのぐらいの値のものなのかがわからないわけでございますから、最初にああいう専門家の間でテストをしてみてもらうというのは、どうしてもこれはそれこそ役人の商法ではわかりかねることでございますので、やはりあれはひとつやっておかなければならないことであったろう。その結果として百十九万七千円ということでお分けをした。  あのときに私が思いましたのは、随分国民の方々が、いわば貯金をはたいてでもないかもしれませんけれども、一生懸命に買われたものでありますから、それが大きく値下がりをして損をおかけするというようなことになりますと、これはまことにいわばお素人の方々でございますので、国がそういうことを結果としてしたのでは非常に相済まぬという気持ちが強うございました。もとより国民の大事な財産でございますので、そうかといって安ければ安いほどいいというわけにまいりませんでしたから、最初にテストをいたしたわけでございます。そのことであれば、まず買われた方が損をされないようにということをいわば念願をいたしておりました。それが今日までそうならなかったことは、まず喜ばしいことであったと私は思っております。  ただ、これから後はもう場が立っておりますので、そういう心配は私どもしなくてもよろしゅうございますから、今後のやり方はまた別の方法があるだろうと思いまして、国有財産中央審議会にもお諮りをいたしていろいろ御意見を伺っておるところでございます。
  197. 及川順郎

    ○及川順郎君 まあまあこれでよかったかなという感触のようですが、今までの最高値の三百十八万円をもとにすれば、約百二十万円の手元金で二百万円もうけたことになるわけですね。もっとも、最高値でだれもが売っているというぐあいにはならないわけですが、中には百八十万円ぐらいで売って、後でもっと高く売ればよかったと残念がっている人もおるだろうと思いますが、ただ私が懸念しておりますのは、このわずかこれだけの期間で二百万円ももうかるということ、これだけの所得格差がこんな短期間に、しかも政府が行った株の放出によって発生するということは、社会正義という点から照らして何ら問題がなかったのだろうかという点を懸念するわけです。この点に対しては大臣いかがですか。
  198. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ここのところは大分、抽せんのようなことでございますので、運もありまして、大変に損をおかけしてしまったということでなくて、私はそっちの方をやれやれというような気持ちでおるのでございます。おっしゃいますことも、それは私はわからないじゃございませんが、だからといって非常に射幸心をそそるような出来事がこれからこれを契機に重なっていくというほどのこともございませんでしたからと思っております。
  199. 及川順郎

    ○及川順郎君 今後の問題ですけれども、今の調子でいけば大体二百八十万円から三百万円あたりになることはこれは間違いない、こういう状況の中で、これは一般投資家が購入しやすいように例えばイギリスのブリティッシュテレコムの場合にとられたように代金の分割払い、こういうものも採用いたしまして、そして一般投資家に門戸を開くというような配慮も必要ではないだろうか、このようにも思うんですが、この点いかがでございましょうか。
  200. 入江敏行

    説明員(入江敏行君) 六十二年度以降のNTTの株の処分につきましては、先ほど大臣からお話ございましたように、国有財産中央審議会というところにお諮りして御審議をいただきまして、六月十二日に答申をいただきました。そのときにいろいろ御指摘のような点も御議論が出ましたけれども、確かに二百八十万円前後という株価というのは相当大きな株価であることは間違いはないと思いますけれども、その審議会の過程で、いろいろ関係の機関投資家あるいは証券会社、そういうところからもヒアリングをいたしました。また、NTTからもヒアリングをいたしました。その過程では、今申し上げたように、やや大きなロットであることは間違いないけれども、個人投資家の手の届かないところとは考えられないということでございまして、その議論の過程では特に今おっしゃいましたような代金の分割納付というような手段をとることについては御議論が出ませんでした。  なお申し上げますが、その過程で、国有財産といいますか、国民の貴重な財産としてのNTT株式でございますから、第一回目にやりましたと同じように、より広く一般国民にその購入希望がある限り、一般国民にその処分が行われるように配慮すべきだという御指摘はございました。
  201. 及川順郎

    ○及川順郎君 そのほか、このNTT株のほかに民営化に伴う政府保有の株の売却をどのようにしていくのかという関連の幾つかを伺いたいと思うんです。  まず、電源開発株式会社の株は九電力のみに売却して一般に売り出すことはしないのか、もしそうなら、それはどういう理由によるのかという点でございます。それからまた、日本航空の株についてはどういう売却方法をとるのか、これも一般に放出する予定があるのかどうか。これに続きまして、日本たばこ産業あるいはまた国鉄新会社についての株の売却の見通し、この点につきましても、あわせてこの際承っておきたいと思います。
  202. 入江敏行

    説明員(入江敏行君) まず第一の御質問の電源開発株式会社の株でございますが、御承知のとおり、昨年の初頭では七十数%の政府保有株でございます。ただ、やはり電発の株式会社の活性化という観点から政府株式の保有率というものを少し下げた方がいいだろうということで、数年かけて三分の二まで持っていくという考え方によりまして、昨年約八十万株処分をいたしました。ことしの三月でございますが、そのときに、御指摘のように、九電力に対して随意契約で処分をするということになったわけでございますが、これはやはり電源開発株式会社というのが九電力の補完的な機能を持っているという意味で、一般の電力会社とは違うやや政策的な電力会社であるということにかんがみまして、その供給先である九電力に株の保有を認めることが適当だということで、過去においても既に政令で特例ができておりまして、ちょっと名称は定かに覚えておりませんが、電源開発株式会社の株式の処分に関する特例の政令が出ておりまして、それによることが適当だという国有財産中央審議会の答申をいただきまして処分したわけでございます。  今申し上げたように、数年にわたって三分の二まで下げていくということでございますから、今後も数年間何がしかの株の処分が行われると思いますけれども、私どもとしては、昨年中央審議会で答申をいただいておりますので、その趣旨に沿って同じような処分をしてまいりたいと思っております。  第二の日航でございますけれども、日本航空の民営化につきましては、政府として民営化の法案国会に御提出いたしまして、国会で御承知のとおり継続審査になっておるというのが現状でございます。この法案が今後国会でどういうふうに御審議いただけるのか、それを見ながら私どもとしては対応していかなければならないと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、やはりこれもかなりのロットの株になりますですから、これの処分方法につきましては、国会の御審議も眺めながら、やはり国有財産中央審議会にお諮りをいたしまして、どういう処分の方法が適当がお諮りをして、答申をいただいたことに基づいて対応してまいりたいと思っております。  なお、あと御質問のありましたたばこと旅客会社の件でございますが、私ちょっとそこまで担当もしておりませんし、まだ恐らく処分をいつするというような問題でもないと思いますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  203. 及川順郎

    ○及川順郎君 質問を先に進めさせていただきます。  政府系金融機関のあり方についてお尋ねをしておきたいと思うのでございますが、現在の政府系金融機関につきましては戦後の資金不足時代に民間の資金不足を補うというために設立したわけでございますが、現在はこの政府系金融機関を取り巻く環境というのが発足当時に比べますと大分さま変わりしているという感じを強くするわけでございますが、今後の政府系金融機関のあり方についてどのような御見解をお持ちか、この点をまず確認させていただきたいと思います。
  204. 新藤恒男

    説明員(新藤恒男君) 政府関係機関政策金融につきましては、御案内のとおり、さまざまな政策目的を実現するというために、民間の市場原理に基づいては供給されないような資金を公的に供給するという役割、いわば補完的な誘導的な役割を持っているわけでございます。こうした効果は、例えば低利の金利を供給するということ、あるいは民間では供給できないような長期のものを供給する。さらにはまた、リスクの高いプロジェクトにも資金を供給するとか安定的な資金を供給するとか、さまざまな役割を持って、全体として政策目的の実現を図るということでございまして、現在の金融情勢のもとにおきましても十分にその政策的意義を持っておるというふうに考えているわけでございます。  おっしゃいましたように、金融の自由化等々さまざまな環境の変化があるわけでございますけれども、そうした環境の変化の中で、政府関係金融機関というものはどうあるべきかということにつきましては、今後ともそうした目的に沿って、政策金融の効率的な重点化と申しましょうか、そうしたその機能を十分果たすというふうな観点から考えていく必要があるのではないかというふうに考えております。例えば融資分野とか融資規模が適正かどうかとか、あるいはそのときどきの政策のニーズに的確に対応できるような柔軟性を持っているかどうかとか、そうしたさまざまな観点から不断の見直しを行いながら、政府関係金融機関の機能が十分に発揮されますように見直していくというふうな姿勢で臨んでおります。
  205. 及川順郎

    ○及川順郎君 具体的な件でお尋ねしたいわけでございますけれども、かっての日米首脳会談とかベネチアサミットでもございましたが、我が国は今後三年間に開発途上国への資金還流として二百五億ドルから三百億ドル出す、その中心は日本輸出入銀行のアンタイドローン、これはひもつきでない融資という解説のようでございますけれども、このアンタイドローンであるというぐあいに言われておるわけでございますが、これは具体的にどういうことなんでしょうか。
  206. 内海孚

    説明員内海孚君) ただいま御質問の二百億ドルはいろいろなものから成り立つわけでございますが、そのうちお尋ね輸出入銀行の受け持つ分野というのは、まず一つには世界銀行あるいはアジア開発銀行その他の地域開発金融機関との協調融資という格好でアンタイドローンを開発途上国に対して供与するということと、それから単独で約三十億ドルのアンタイドローンを融資するということでございまして、これは委員承知のとおり、日本からの物の購入に結びつきませんで、その資金開発途上国が最もリーズナブルな条件で世界のどこからでも財貨及びサービスを購入できるという性格のものでございます。
  207. 及川順郎

    ○及川順郎君 その資金調達はどういうぐあいになされることになりますか。
  208. 田中敬

    参考人田中敬君) 私どもの資金は、御承知のように財政投融資計画に基づきます財投資金を原資といたしております。新たにこの際三年間で二百億ドルの中で輸出入銀行にいかほどの金融が期待されるか、約その半分弱とおおむね私どもは推定しておりますが、これらの資金につきましては、現行の資金計画の枠内でまずやってまいりまして、年度内にもし資金が不足するというようなことが起きたといたしますれば、政府と協議いたしまして財投の追加あるいは弾力運営というようなことをお願いする事態もあるかというふうに存しております。
  209. 及川順郎

    ○及川順郎君 時間が参りましたので、まとめさせていただきますけれども、この政府系金融機関の発展途上国に対するかかわり合いにつきましては、さまざまな懸念といいますか、意見があるわけでございますけれども、政府系金融機関については、これは冒頭お話が出ておりましたように、この資金そのものの性格は、海外だけではなくて国内産業の発展、国民生活の充実等に向けての役割もこれは極めて大きいと、このように考えるわけでございまして、そうした観点から、今後国内、国外への資金配分のバランスをどのようにとっていかれるのか、この点につきまして大蔵省の考えを承りたいという点と、こうした諸点を踏まえまして今後の政府系金融機関の運営に対する大蔵大臣の御所見を承りまして私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  210. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御質問の合意はよくわかっておるつもりでございます。確かに一つ機関ができますと、かなり年月を経まして一応その目的をもう達したのではないかにもかかわらずその機関が存続するというようなことが時としてあることでございます。ただ、見ておりますと、各金融機関ともなかなか優秀な人材も育ちますし、それから、この世の中で民間の補完役としての役割もおのずから定まってまいりまして、ニーズは変わってまいりますけれども、それは大変によく積極的にその新しいニーズに適応するようにやっておられるように見ております。ただ、そうではございましても、民間の金利は下がってまいりますと、資金需要なんかはやはりおのずから忙しいとき、暇なときがございますので、これはそれに応じまして、やはり資金は有効に流していかなければならないということはよく私どもも心がけてやるつもりでございます。
  211. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 大臣にマル優の問題で少しお尋ねをしたい点がありますけれども、それは最後に回しまして、まず税務行政の問題でお尋ねをいたします。とりわけ同和税務行政の問題です。  大臣、言うまでもなく税務行政にはいささかの不公正な扱いがあってもなりません。特定の団体に加入する法人や個人について税金を特別に減免したりするような不平等な扱いがあってはならぬ、仮にこのような特権扱いがまかり通れば国民はまじめに納税をする気がなくなると、こういうことですね。
  212. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そのとおりと思います。
  213. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 我が党は国会でしばしばいわゆる税の同和減免の不法性を指摘をしてまいりました。  この問題の出発は、四十三年の大阪国税局長と解同中央本部及び大企連との確認事項というあの七項目合意でありますけれども、この問題を昨年の当委員会でも私は取り上げてきているわけでありますけれども、この部落解放同盟やその傘下の企業連合、これについて特別に有利に取り扱うとしたいわゆる七項目合意、国税当局は今日まで話し合いはあったが合意はしていないと、こう言ってきたんですが、しかしその後の事態の推移は確認事項どおりにむしろ一層エスカレートしてきているという姿かと思います。すなわち、甘い汁の分け前を求めて解同との確認事項を我々にも適用せよと全日本同和会が割り込んできて、そのきわみがあの全日本同和会の組織的な相続税大脱税事件に発展をしました。  この同和甘やかしの税務姿勢、裁判所も特に指摘したところでありますが、私は昨年の四月二十四日の参議院の補助金特別委員会あるいは八月二十二日の参議院の決算委員会、これらの委員会で同和減免の内部通達、二つの例を示しましてその存否の調査を求めてきたわけでありますけれども、大蔵省として調査をするということでありましたが、この調査の結果はどうですか。
  214. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 委員が六十一年四月二十四日の参議院補助金特別委員会及び六十一年八月二十二日の参議院決算委員会におきまして御指摘のあった文書につきましては、いずれも大阪国税局の内部文書という御指摘でございましたので、大阪国税局に指示をいたしまして調査をいたさせましたが、いずれも大阪国税局が作成したものかどうか確認ができなかったという実情でございます。
  215. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 国税庁本庁としては事実を調べられましたか、大阪国税局任せでなく。
  216. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 私どもとしては、大阪国税局が出したと先生御指摘でございますので、大阪国税局に指示してやった結果、ただいま申し上げたとおりでございまして、大阪国税局としては万全の調査をしたものと、このように確信をしております。
  217. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 端的にお尋ねしますが、大阪国税局は部落解放同盟や大企連、中企連、全日本同和会、こういうところに特別の優遇税制、結果としての減免、こういうものを絶対にやってこなかったと言い切れますか。
  218. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 私どもは、税務行政の目的はすべての納税者に対しまして税法を適正に執行し課税の公正を図ることにある、このように考えております。この基本姿勢に立って国税当局といたしましては従来から適正公平な課税に努めているところでございまして、納税者が特定の団体に所属しているかどうかなどによって特別な扱いをすることはない、このように考えております。
  219. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 特別扱いをするはずがないということと、あったのかなかったのか、ここを私は区別して聞いている。
  220. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 私どもとしてはそのような扱いをしていない、このように考えております。
  221. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 具体的にお聞きをします。  税は個人と税務署の間で処理をするものでありまして、ある団体が一括して申告をする、特にこの更正決定を団体に通じて行うなどということは違法ですね。
  222. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 申告につきまして私どもが調査等を行った上で更正決定をする場合には、法律の上で決まっておることは、納税者の住所または居所に送達をして行う、そのように定められておりまして、団体等を経由して更正決定を行うということはないというふうに私どもは考えております。
  223. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 法人税は五年たてば時効になるということであります。ところが、初めから督促保留期限、これを時効後に設定する、こういうことは事実上の税金免除になるわけでありまして、こういうことをやれば違法ですね。
  224. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 租税債権の消滅時効は五年でございます。私どもとしては、この範囲内で適正に納付をしていただくように手続をすべきものと、このように考えております。
  225. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 だから、私が今挙げた例でいけば、それは違法だということですね。
  226. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 私どもとしては、すべての債権につきまして適正に管理をし、期限が来ればそれを督促していくというルールのもとに仕事をしている、このように考えております。
  227. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 だから、違法ですね。  延滞税の取り扱いについて聞きます。  修正申告、更正決定、こういう場合、原則として法定納期限後は一年間は七・三%の延滞税がつく。それから、法定納期限後の申告及び決定の場合は、法定納期限後以降延滞税がつく。これが普通でありますが、この延滞税を一律に免除してしまうということになれば違法ですね。
  228. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 延滞税は、国税が法定納期限までに納付されないときにその国税の法定納期限の翌日から完納するまでの期間につきまして一定割合で課されるものでございます。税率は基本的には一四・六%でございますが、納期限後二カ月を経過するまでの期間はその半分の年七・三%でございます。  なお、納税の猶予、滞納処分の停止等、一定の場合には軽減免除されるという規定になっております。
  229. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 今三つほどの例をもとにして税法の仕組みについて確認をしたわけでありますけれども、大企連、中企連などには今私が挙げたようなこういう三つの例に示されるような法違反の特別扱い、絶対にしていませんか。
  230. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 延滞税の軽減等の手続につきましては先ほど申し上げた法律の要件に従って行われている、このように私考えております。
  231. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それでは、委員長、資料の配付お願いをいたします。    〔資料配付〕
  232. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ただいま配付をいたしました最初の方の三枚、これが大阪国税局の昭和五十一年四月六日付の内部通達であります。そこの特にアンダーラインをつけておりますところに注意を向けていただきたいと思うんです。  第一、表題自体が「企連加入者に対する更正(決定)」云々という、こういう表題。次の「処理対象」、すなわちこの通達の適用対象ですね。「更正(決定)通知書を企連事務局経由で送達したものを対象とする。」、右の方へ行きまして督促保留期限七十年十二月三十一日、すなわち、通達が五十一年四月六日ですから、五年をはるかに超えているわけですね。そこまで督促を保留するというわけです。だから、これはもう結果として免除。そして、下のところにも「年月日企連事務局へ送付」ということで企連を通して作業が進む。  二枚目一番上で、督促状は一人別に封入して切手を張るが、封筒は開封のままだと。  あと、以下いろいろあります。  三枚目、延滞税の取り扱いを図表で示しているわけです。ですから、修正申告の更正の場合、その最初の一年は七・三%の延滞税を取るというこれが誤指導ということで、誤った指導をしたということで免除。あと除算期間免除だから免除。期限後申告決定の場合、これもずっと誤指導ということで免除。結局、全部免除になる。    〔理事梶原敬義君退席、委員長着席〕  こういうまさに私が、この場合どうですか、この場合どうですかということで三つ確かめた内容がそっくり通達という形でこの企連と称する同和を名のるその団体に対して特別扱いがやられている。こういう通達、まさにこれは重大な内容じゃありませんか。これでも断じてそんなことはやっていないというふうに言い張るんですか、国税庁
  233. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) ただいま委員の方から配付を受けましたこの三枚のコピーでございますが、本日、私、初めて拝見をするものであります。どういう内容のものかにつきましては私この段階では何も申し上げられませんので、私どもとしてはこれが一体どういう性格のものかということにつきましてはちょっとお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  234. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 昨年四月と八月、二回にわたって具体的な通達を示して見解をただしたときにも、性格がはっきりしないから何とも答えられませんということで逃げてきた。今もまた同じような逃げ方をしようとする。しかし、それはもう通るものじゃありません。  これらの同和を名のる団体のそういう国民に隠れてのこの脱税、このなれ合いがどういうふうに進行しておったかということについてはもう大臣もよく御存じのはずでありますけれども、総務庁のもとで地域改善対策協議会の基本問題検討部会、あそこが具体的にそういう不公正な取り扱いがやられているということをあの中にも記述をしていること、大臣よく御存じですね。関係省庁連絡会議をつくられて今いろんな取り組みがやられているんですから、国の機関としてもあってはならぬことだというふうに言ってきているこの問題、ここまで来ておって、なおかつ内部文書というか大阪国税局の問題だから、しかと知りませんということで、しらを切るつもりですか。次長、どうですか。
  235. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 先ほど申し上げましたように、この文書の性格について私どもとしてはこの際初めて拝見をしたものでございます。しかとしたことは申し上げられませんので、その点御理解賜りたいと思います。
  236. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 しからば、今の地対協の報告の関係で総務庁に聞きます。  今挙げました昨年八月の地対協基本問題検討部会報告書、これの二十一ページにこういうふうに書いていますね。「単に個人給付的施策ばかりでなく、一部にみられる特別な納税行動や税の減免制度」、これこれこういう実態があることは問題であると、こう書いてあります。この表現は国税を含めてそういう状況があるという表現ですか。
  237. 熊代昭彦

    説明員熊代昭彦君) 「一部にみられる特別な納税行動」は国税に関する問題点の御指摘でございます。それから「税の減免制度」は地方税に関する問題点の御指摘であるというふうに理解しております。
  238. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 なぜそういうふうにわざわざ区分けをするのか。納税行動が異常だったらということは、申告が異常だったらということですね。そうしたら、税の結果にも異常な姿が出てくるというのは不即不離の関係のはずなんですよ。  なお重ねて聞きますけれども、国税についても結果として税の減免が行われているという、そういう事例があるということを知っていますか。御存じのはずですね。
  239. 熊代昭彦

    説明員熊代昭彦君) 税の問題につきましては国税庁さん御専門でございますので国税庁さんにお答え願いたいと思いますけれども、同和関係につきまして国税において減免制度があるということはございません。
  240. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私も注意して言葉を使ったんですから、すりかえないでください。国税について減免制度があるかということを今は聞いたのじゃない。結果として国税の減免がやられている事例はあるのじゃないですかと聞いている。
  241. 熊代昭彦

    説明員熊代昭彦君) 先生御質問の趣旨は、例えば税の申告がございまして、過少申告がそのまま認められれば結果として税が減免されたというふうな御趣旨で御質問かと思いますけれども、そのようなものを税の減免というふうに呼ぶかどうかでございまして、これは過少申告が、仮にでございますが、そのまま認められれば、それは少なく税を払ったということになろうかと思います。
  242. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そんなにぐるぐる回って、回りくどい言い方をしなくても、はっきりしているんですよ。今お配りをしました資料の後半部分、四ページ目からをごらんください。  六十一年九月二十六日付の吉備町議会の意見書に添付をされている資料、その関係がつづってあります。この意見書をごらんください。明らかに表題は「国税にかかる同和減免行政の適正化に関する意見書」、国税に関する同和減免がやられている、この問題をもっと正してもらいたいという意見書ですね。だから、もう事柄ははっきりしている。この末尾にも書いていますように、地方自治体が地方自治法九十九条第二項の規定に基づいて出してきている正式の意見書ですよ。だから、これはもう紛れもない。吉備町というのは和歌山の有田郡の吉備町ですよ。ここからこういう意見書が出てきているということは総務庁御存じですね。
  243. 熊代昭彦

    説明員熊代昭彦君) 承知しております。
  244. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 国税庁も御存知ですね。
  245. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 吉備町から先生御指摘の意見書が出ていることは承知をしております。
  246. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 国税についてどういう点を改善をしてもらいたいという内容ですか、次長。
  247. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) もうここに吉備町からの意見書の写しが配付をされておりますので、この内容につきまして私の方からいろいろコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、私どもとしては、税務行政はすべての納税者に対して適正公平に執行されねばならないことは当然でございまして、この基本姿勢に従いまして適正公平な課税に努めておるところでございます。  意見書には特定の住民に対して国税の減免措置が行われているかのような表現がございますけれども、私どもとしてはそのようなことはあり得ないと考えております。一般的に税務行政は、各種の資料、情報等から見て申告に問題があると認められるものにつきましては課税上適正な処理がされていると、このように考えております。
  248. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 なおそういうふうに詭弁を続けようというのですけれども、その意見書、アンダーラインのところをもう一遍注意を向けてください、皆さん。  一ページ目の左側の下の方です。「しかるに昨年度より、いわゆる「えせ同和団体」の活動により同和地区住民以外に減免措置が適用され、重大な問題が発生しております。」、下の方へ行って「このような不公正な国税当局の行政措置は、町財政や国保会計に支障を生じさせております。」、その一番最後のページ、そこに「意見書提出の経過報告について」というのがありますね。そこの終わりの方、第二項「今までの取組み」というそこの下の方です。こういう減免措置は、総務庁などは減免というのは地方税だけだというような言い方をしたですけれども、現にここでは「特に国税の申告者のみが受けている」と、この減免、ここまで書いてあるんです。そして、執行部も税務署に対して申し入れをしたが受け付けない。町議会が地方自治法に基づいてここまで書いて持ってくるというのはよくよくですよ。  だから、これの最後から二枚目、表が出ているでしょう。表をごらんください。「国税申告による比較表」というのがあります。大臣もようごらんください。これ見ますと、まず上の表、国税の納税義務者の八八%がある団体に加入している地区、それから一番下が未加入地区、こう比較しますと、一般的には未加入のところは国税もふえている、七四%、対前年。町県民税五〇%ふえておる、ところが、ある団体に加入をしているところになると、国税は六一%に減っている。町県民税二九%減っている。もう数字が歴然としているじゃないですか。あるいは下の「譲渡所得に対する必要経費率」、ある団体を通じて申告した場合は、短期も長期もそれ以外の者と比較した場合に大きな差がある。短期に至っては一〇〇%の経費率である。これは何も私が勝手につくった表しゃなくて、町議会の意見書に添付されている町議会の資料ですよ、  大臣、これごらんになって、当然こんなことはあり得ることだと思われますか。あってはならぬ数字が出ているでしょう。大臣、どうですか。
  249. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) どういう資料でありますか、はっきりしませんので……
  250. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 大蔵大臣あてにも出たんでしょう、この意見書は、
  251. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 特にコメントはございません。
  252. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そんな無責任なこと言いなさるな。この意見書は総務庁にも国税庁にも大蔵省にも出ているんです。大臣、見たこともないですか。この意見書見たこともないとすれば、大蔵省の中でだれか見せなかった者がおるのかと要らぬことも言わざるを得なくなる。見たこともないですか。
  253. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今初めて拝見をしております。
  254. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そうですか。  この報告書を実際に裏づける実例があるんです。この吉備町を所管する税務署として湯浅税務署というのがあるんです。吉備町も含めて所管をしておる税務署ですね。そこの目の前の土地を九千三百七十万円である人が売却をした。本来、国税、地方税合わせて約二千五百万円以上課税をされるはずだ、譲渡所得。ところが、今の経費一〇〇%で税金はゼロになっている事例がある。もう一人の事例、七千六百六十万円で売却をした。これも経費一〇〇%で税金はゼロだということで、私はここにその実例の報告書も持っています。こういうケース、御存じのはずでしょう。
  255. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) お尋ねの件につきましてはいわゆる個別の案件でございますので、内容に立ち入った答弁は差し控えさしていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、私どもとしては日ごろからいろんな外部からの情報を含めましていろんな資料を集め、課税上問題があると認められるものにつきましては税務調査を行うなどいたしまして適正な課税に努めているところでございます。  先ほどから一定の地域の納税者についていろいろと御質問でございますが、私どもとしては先ほどから申し上げましたような観点に立ちまして適正に対処しているところでございます。
  256. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 適正に対処をしていると幾ら繰り返しても、大臣、ここまで町議会が意見書を出してきているんですよ、数字も挙げて。こんなもの知っちゃいない、あるはずないということだけで言い通せますか。当然、大臣あてにも出たものだから、一遍内容はよく調べてみようと、せめてそんなことぐらいの発言があってしかるべきでしょう。今これだけ税の問題が国民的関心を持たれている時期に、見たこともないということで国会をすり抜けようという態度は何ですか。大臣、答えてください。大臣に聞いている。大臣、答弁拒否ですか。
  257. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今初めて拝見しましたので、そのコメントをせよとおっしゃっても、どうもこれコメントのしようがございません。
  258. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 何回も言ってますように、大企連とか中企連とか、そういう企連に対しての特別扱いはあってはならぬわけですね。もう一遍確かめます。
  259. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 税務を行うに当たりまして、すべての納税者に対しまして適正公平に課税をしていくことは、これはもう税務の大原則でございます。  なお、先ほど吉備町の件につきまして私どもとしてもいろいろやっていく際に、町議会からこのような意見書が出てまいりましたことは当然念頭に置きまして、それを踏まえた上でいろんな処置をとり、適切に対処しているということは御理解いただきたいと思います。
  260. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それなら聞きましょう。  この吉備町の意見書の内容は認めがたいものだと、こう言うのですが、それなら、吉備町の方がこの内容は間違っていましたということで訂正しましたか、町議会として、
  261. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 私ども、その後町議会の方から格別の御意見等は承っておりませんが、こういうような御意見が出た以上、私どもとしても税務の立場から内部的にチェックをいたしまして問題があると認められるケースにつきましては、私どもの判断として適正な課税を実現するために、必要に応じ調査等を行って適正な税負担をしていただくということは当然のことだというふうに思っておりますし、かつそのような方向で実施をしていると、このように考えております。
  262. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 昨日、この問題の有田郡の人たちも加わって大阪国税局と話をやっているんですよ。こちらへ当然その報告が来ているはずだと思うんだけれども、大阪国税局の方は、これはどうもおかしいというものについては調べ直して正すべきものは正すということでやりましたと。だから、間違っておったケースがあるんですよ。こういう報告知らぬと言うの。
  263. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 昨日の大阪国税局の応対につきましては私どもいまだ報告を受けておりませんので、内容承知しておりませんが、ただいま私も申し上げましたように、御意見があるなしにかかわらず、私どもとしては課税上問題がある場合には適正な税負担を実現するために調査等を行わしていただいて、きちっとした処理をするということは当然行うべきことだというふうに考えております。
  264. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 結局、私の指摘している問題を認めざるを得ないでしょう。そういう言い方で、間違いがあるとすれば一般論として正さなくちゃならぬということはようやく言ったということですけれども、聞いてみたらわかるんですよ、大阪国税局に。現に間違いのケースがあったということで正している。大臣、本当にこの問題は氷山の一角だと思うんですよ。たまたま吉備町からはこういう意見書が上がってきたから、いよいよ正すべきものは正すということで、この大阪の国税局としても腰を上げざるを得なくなってきているという、こういう状況だと思うんです。  この大阪国税局についてだってエリアは広いわけですし、本当にこういう問題がほかの地域にないのかということで、ひとつ徹底したこの同和という名の税の特別扱い、そうしてその結果税額についてどういう実態があるかと、これをぜひ――去年私が質問していたときから大蔵大臣はかわっていますから、あのころは竹下さんでしたが、今は宮澤大蔵大臣ですから、宮澤さんにこの問題をただすのは初めてになりますけれども、ぜひひとつ実態と真実を明らかにするということで調査をやっていただきたい。大阪国税局がどういう対応をしたかということも含めて、ぜひ調査をやっていただきたい。どうですか、大臣。
  265. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私は初めて伺いましたので具体的なことをお答えはできませんですが、国税庁次長から先ほど申し上げておることを聞いておりますと、はっきりこれといって個々には申し上げておりませんけれども、こういうことがあれば必ずそれに対応して、しかるべき調査をいたしております、処置をいたしておりますとお答えをしておるようでございますし、またこれからもそうしてもらいたいと思います。
  266. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 今までも調査をしていると言いつつ、調査をしてみたけれどもそんな事実ない、そんな通達ない、しかし新しい通達が次から次へ出てくるじゃないですか。そうして、現に和歌山県の吉備町という町議会から意見書が上がってくるということに示されるような、もうのっぴきならない具体的事例が上がってきているということなんでありますから、何としてもひとつ宮澤大蔵大臣の責任と勇断で、こういう同和を名のるそういう団体に対する特別扱い、その結果としての税の実情がどうなっているかということを、国税庁任せじゃなくて、大臣の責任で徹底した調査をひとつやってもらいたいと思います。重ねて聞きますが、どうですか。
  267. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま申し上げましたとおり、十分適切な処置を国税庁においてとらせるようにいたします。
  268. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 なお、この機会に私、委員長にもお願いをしたいと思います。  大蔵大臣としてはよく調査をしてみたいという答弁でありますけれども、今まで何回か取り上げてきて、もう最後にしようがないから国会の席上では調査しますと言うけれども、調査らしい調査もやらないで、このことが一向にはっきりさせられないということで推移をしてきておりますので、とにかくこの関係についての通達類、同和を名のる関係の特別扱いについての通達類、それから、その結果減免の実態、こういうものを委員会としても正式に大蔵国税当局に委員会に資料を出すよう委員長からもひとつ御指示をいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  269. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 後刻、理事会で相談させていただきたいと思います。
  270. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 会計検査院にお尋ねをいたします。  ずっと論議の状況をお聞きいただいておったかと思いますけれども、検査院の第一目的であります国の収支のまさに収入にかかわる問題、この収入をめぐっていかなる不公正があってもならないという点で検査院として大いに注意を向けていただきたいと思います。しかも、それが単に若干のミスがあったという程度ではない、法違反のおそれを含んでいるという内容を私はきょう提起をしているわけでありますので、そうした点で、今大阪国税局との関係で具体的には出したわけですけれども、ぜひ会計検査院として特別検査をこの問題について実施していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  271. 疋田周朗

    説明員(疋田周朗君) お答えいたします。  先ほど来、佐藤委員指摘の事態につきましては、従来私どもの検査におきまして把握しておりませんでしたけれども、法律の規定によらない税の不当な減免があってはならないというように私どもも考えております。  私どもの検査は、租税の賦課徴収が法律に基づいて適正に行われているかどうか、こういうような観点を主眼にいたしまして、同和関係、とりわけえせ同和行為の問題につきましても十分留意しながら従来検査を実施してきたところでございますが、今後の検査に当たりましては、ただいまの御議論あるいは昨年暮れに決定されました今後の地域改善対策に関する大綱の趣旨を十分念頭に置きながら、さらに充実した検査を実施することに努めてまいりたいと存じております。
  272. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それで、そういうことで十分注意を向けて検査をしていただいて、これは必要だというときには特別検査をやるという問題も、そういう判断をなさったときにはひとつ御検討願いたい、どうでしょうか。
  273. 疋田周朗

    説明員(疋田周朗君) 一般論的なお答えでまことに恐縮でございますが、私ども検査の結果、特定の分野におきまして不適切な事態が傾向的に多数認められるというような場合には、その後の検査におきましてその分野について重点的に検査するというのが私ども会計検査院の検査の基本姿勢でございます。
  274. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そういう基本姿勢に立って、必要と判断したときには特別検査をやるということで、今の答弁、私理解をしておきますので、ぜひ検査院としても大いに真実を究明するということで御努力を願いたいと思います。  大臣、いろいろ申し上げました。大臣も広島の選挙区でございますので、同和問題をめぐっての現状はよく御承知のところと思いますけれども、私どもは一貫して同和問題の本当に正しい発展のためにということで、ちょうど党創立六十五周年ですけれども、同じ時期に水平社も創立をされまして、本当の意味での部落解放運動の正しい前進のために一貫して努力をしてきたつもりです。ただ、それを名目にして特権扱いや不正がまかり通るということは、これは断じて正しくないし、またそれは部落解放に役立たないということで今までいろいろ意見を申し上げてきた。  しかし、るる申し上げましたように、この通達というのはあの四十三年の七項目合意、あそこで、企業連を窓口として出されてきたものは全部フリーパスだ、更正決定や滞納督促、これも形だけで実際は発動しない、延滞税も取らないと、こういう信じがたいようなことがまかり通っておるということを私きょう具体的に提起をしたわけです。  自治体でも大問題になって意見書が出ている、こういうことでありますが、この中で和歌山では今度は、この不正を告発した農民とか御商売をなさっている零細業者、ここに対して報復的な調査に入って更正決定を打ち、権力的な徴税攻勢をかける、こういうやり方が現に出始めているんです。これはまさにこんなに道理の通らないしっぺ返しというか、報復というか、こういうものは、これまた断じて許されないということで、もう時間の関係ありますので、あえて答弁求めませんけれども、そういうことも起こっているのだということをよく念頭に置いて、国民の批判を招かないよう、本当に公正で民主的な税務行政推進をするために監督大臣として大いに御努力をいただきたいとお願いをしておきます。  最後、少し残っていますので、マル優問題でお尋ねをいたしますが、中曽根総理はさきのサミットマル優廃止を表明し、いわば国際公約をしたと報じられてもいるんですが、同行した大蔵大臣の御認識はどうなんですか。
  275. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私はその場には同席をいたしておりませんでしたけれども、聞くところによりますと、我が国の税制がいわゆる貯蓄に対して非常にこれを奨励する制度を持っておる。と申します意味は、消費を奨励せずして貯蓄をむしろ非常に奨励しておる、このような意味でございます。そこで、我が国のように内需拡大する必要のある国においては、そういう貯蓄を過度に奨励するよりはむしろ消費にそれを充てさせるようにすることの方がいいのではないかという趣旨の質問でございましょうか指摘でございましょうかがあったのに対して、かねて日本における少額貯蓄非課税制度というものは非常に議論になっておって、政府としてもこれはやはり改めるべきものであるということで提案をしたと。で、国会においてこのような状況になっておる。自分としては、これはやはり従来の制度は改めるべきものであるし、殊にこれが低所得の人にもそうでございましょうが、自然、非常に大きな所得者からも利用されておる、不公正でもあると考えているということを総理大臣が発言されたということは聞きました。  ただ、それは、いつどういう方法でそれを実現するというようなことを言われたというよりは、むしろ政府の基本姿勢として、この制度は改めたい、税制調査会の答申もあり改めたいと、こういうことを言われたものと聞いております。
  276. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私は、端的に国際公約をしたと言い得るものか、そうではないのかというこの点を聞いているんですけれども、その点、しかともう一つ御答弁ないわけであります。もしも国際公約をしたということであれば、これはほかの同僚委員からもありましたように、さきの国会の税制改革をめぐるあの経緯、何よりも地方選挙で示されました国民の意思に反する。それからまた、大蔵大臣も予算委員会で、あの税革協で協議をしていくという内容は直間比率見直し問題と同時にマル優問題もあるのだ、これが与野党の協議事項に入っているのだと、こういうふうに言われてきた大蔵大臣答弁にも反するものということで、またもや国民をうそとペテンで欺くものだということで、まことに遺憾だというふうに言わざるを得ないわけです。いや、そうじゃないとおっしゃるのだったら、今後、言われておる臨時国会マル優廃止法案を野党の同意なしには出すということはしないというふうに約束をできるんでしょうか。
  277. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは今朝から申し上げておりますとおり、与野党が税制改革協議会で税制改正を御検討になっておるわけでございますので、承るところでは、議長は二カ月ぐらいのうちに報告をしてほしいと言われたそうでございますが、まだその二カ月もたっておりません。したがいまして私どもとしては、税制協議会のそういう御討議というものに対して、政府はまずこういたしますとか、こう考えていたしたいと思いますとか言うことは、やはりただいまのところは慎重でなければならないというふうに今朝から申し上げておりますが、そのように考えております。
  278. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 時間ですので、まとめてください。
  279. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 最後に一言申しておきます。依然として宮澤流のわかったようなわからぬような答弁でありますけれども、私どもとしては、国民の零細な貯蓄から収奪を図ろうというようなマル優廃止ということには断じて反対だ。本当に税の不公正を正そうというのであれば、大企業優遇のそういう税制度こそ改める、廃止すべきものを廃止する、こういう方向にこそ積極的にやっていただく必要があるということを最後に申し添えまして終わります。
  280. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 まず最初に、国会図書館の問題を取り上げます。  国会図書館につきましては、我々が、特に私、何かこういう質問する場合にいろいろ資料を集めていただいたり、また私個人の勉強する本なんかについてもいろいろ集めていただいたりなんかして、平生感謝しているところですけれども、この問題を取り上げるのにいささからゅうちょしないわけでもございませんけれども、やはり国会図書館というのは国民の税金によって賄われておりますので、そのお金の使い方に不的確な点がいささかもあってはならないというふうに考えておりますので、あえてきょう質問として取り上げるわけでございます。  質問に入ります前に、最近の図書館の一般利用者の状況、それからそれに対する対応、新館を昨年建設されたわけですけれども、最近の対応、それらをお伺いしたいと思います。
  281. 藤田初太郎

    ○国立国会図書館参事(藤田初太郎君) お答えいたします。  国立国会図書館における一般利用はここ数年間一日平均千七百人台で、これにつきましては受け入れ態勢の問題、すなわち座席数の制約等にもあったわけでございますが、新館完成を機に大幅な機構改革を実施し、一般利用にかかわる部門を再編強化いたすとともに、閲覧体制を整備いたしました。閲覧用の座席数を約千九百席に拡充し、同時に従来の入館の制限を撤廃して、いわゆる入館待ちの状態を解消いたしましたのを初めとしまして、開架式の参考図書室の拡充、資料案内カウンターの増設などの改善策を講じ、来館利用者に対する閲覧体制の強化を図った次第でございます。とりわけ、このところ要求の増加いたしております複写サービスにつきましては、機器の増設、複写数量の制限緩和、申し込み受け付け時間の延長など各種の改善を加えて利用者の一層の便宜を図ることといたしております。  一方、公共図書館や大学図書館など図書館に対するサービスの窓口の一本化を図り、直接来館利用のできない利用者に対しましては、これらの図書館を通じて御利用いただく体制を一層強化いたしております。  何分にも機構改革を実施いたしましてから日も浅く、その成果を見きわめるまでには至っておりませんが、今後とも広く一般利用者の声に耳を傾けてサービスの向上に努め、国の唯一の国立図書館としての使命を全うする所存でございます。
  282. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  283. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 速記を起こして。
  284. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 そのようなサービスの一環として、昨年十一月の新館オープンの際にコンピューターを入れて、入る人、出る人、あるいは本の貸し出し、返還、そういうのを迅速化する、そういうサービスとしてコンピューターを入れられたと思うんですけれども、新聞報道によりますと、どうもそのコンピューターがうまく作動しなかったということが報じられております。そういう事故が起こった事実関係及びその後の措置につきましてお知らせ願いたいと思います。
  285. 指宿清秀

    ○国立国会図書館長(指宿清秀君) ただいまの具体的な御質問に対しましての答弁に先立ちまして、お許しをいただきまして、私から一言申し上げさしていただきたいと存じます。  この国立国会図書館の入退館に関しまするシステムでございますが、昨年の九月、当館の新館の開館に合わせまして、これの導入を計画いたしたのでございます。現在に至りましてもなお全面稼働に至っておりません。このことによりまして、利用者はもちろんでございますが、各方面に大変な御迷惑をおかけいたしております。責任者といたしまして、この点につきましてまことに申しわけなく、心からおわびを申し上げる次第でございます。  詳細につきましては総務部長の方から答弁をさせますので、よろしくお願いいたします。
  286. 藤田初太郎

    ○国立国会図書館参事(藤田初太郎君) ただいまの入退館システムの件についてお答えいたします。  このシステムは、今、先生から御説明のありましたとおり、当館の新館開館後に利用者の利便を図る目的で、利用者の入館から資料の貸し出し、返却、退館に至るまでの一連の業務を適切に処理するシステムとして開発したものでございます。  稼働に先立ちまして、テスト及び職員の機器操作の研修を行い、昨年十一月六日、一般利用者の協力も得まして実際のテストを行いましたところ、事実上全面稼働ができない状況が明らかとなりましたので、大変遺憾でございますが、当分の間、登録制の一般研究室利用者を対象としまして、部分稼働という形で今日に至っております。  ただいま先生から御質問がありました原因等につきましては、処理能力といたしましては、一日の利用者を二千人として処理可能なシステムを目指したわけでございますが、午後の利用混雑時に処理スピードにおくれが生じまして、業務の能率が著しく低下したわけでございます。  当館といたしましては、十一月中旬に館内に調査委員会を設置し調査しましたところ、処理スピードを高めるためには、当初のシステムのソフトウエアに大幅な改善が必要であることが判明いたしました。この結果に基づきまして、本年二月、国立国会図書館来館利用者サービスシステム開発室を発足させまして、これにオブザーバーとして建設省及びメーカーの代表の参加も求めまして、全面稼働のためのシステムの改善に鋭意取り組んでまいったわけでございます。この間、当館といたしましても、業務と機器とのより一層スムーズな結びつきを考えまして、これまでの経緯を踏まえ、反省も含めまして、再点検を行いました。  当館といたしましては、改善案につき早急に結論を得て、速やかに具体的な設計に入り、なるべく早い時期に全面稼働が可能となるよう努力いたしております。
  287. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 ということは、実際の利用面の方とその機械を設計された方あるいは製造された方との間の連絡が十分とれなかったということですね。
  288. 藤田初太郎

    ○国立国会図書館参事(藤田初太郎君) 全面稼働ができなかった原因につきましてはいろいろ考えられるかと思いますけれども、結果的に今に至るまで全面稼働ができない状態にございまして、この一つの原因といいますか、その時点で三者の間でいま一つ業務と機械との関係について詰めを図るべきであったかと考えております。
  289. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 今後会計検査院なりあるいは議運の方でいろいろお調べになると思いますので、細かなことはそちらの方にお任せしたいと思いますけれども、こういうことが二度と繰り返されないように十分今後注意してやっていただきたいと思います。  図書館関係、結構でございます。  次に、大蔵省に対して酒税関係について質問したいと思います。  大臣は先般もサミットに出席されたわけですけれども、サミットなんかが開かれるということは、やはり各国の間で協調協力をして、そして各国が保護貿易なんかをしないようにできるだけ自由貿易体制を維持拡大していく、それが主要な経済面におけるサミットの目的であったと思うんであります。  日本はこの数年来、いろいろ外国の非難を受けてきたんですけれども、特にアクションプログラムの制定以来、関税の引き下げでありますとかあるいは非関税障壁の除去であるとか、私は必ずしも十分とは申しませんけれども、一応努力しておられることを私は評価するにやぶさかではございません。しかしなお、日本が輸入に対して障壁を設けているんではないかというふうな非難が外国で絶えないわけですけれども、その一つのシンボリックな、象徴的な事例として、外国特にECの方で取り上げていますのがウイスキーに関する税金の問題であります。  関税につきましては、洋酒類に対する関税が今年度から三〇%引き下げられました。まだまだ高いという非難があるようですけれども、まあ一挙にそう引き下げるということもできないわけで、一応評価する次第ですけれども、なおECの方で問題としていますのは酒税の問題であります。  酒税自体につきましては、外国からの非難、経済摩擦についての非難だけにとどまらず、国内においても醸造業者の間でいろいろと不満があったところでございますけれども、そういった内外両方からの圧力のもとに、酒税に関しても改正案をつくられて去る国会に提出された。しかし、御承知のような経緯で文字どおりお蔵入りしているところでございますけれども、しかしあの改正案というのが大体大蔵省の今後の酒税の改正案の方向を示しているものと考えていいだろうと思います。したがって、その改正案に盛られていますところの大蔵省の考え方について質問したいと思います。  まず、ウイスキーにつきまして、まあいろいろ酒類はほかにもございますけれども、一番シンボリックなのがウイスキーでございますので、ウイスキーについて酒税法の現行法とそれから改正案とを比較しまして、著しく違っている点はどういう点でございますか、それをまず御説明願いたいと思います。
  290. 尾崎護

    説明員(尾崎護君) 今御指摘のように、私どもが提出いたしました改正案は現行の酒税におけますウイスキーの定義を変えているわけでございます。  御承知のように、現行のウイスキーの定義は酒税法の第三条にございまして、三つに分かれて書いてございますけれども、一つは、いわゆる発芽させた穀類、麦芽とお考えいただいたらよろしいわけでございますが、それと水を原料といたしまして糖化させまして、そして発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの、いわゆるモルトであります。それからもう一つは、発芽させた穀類及び水によって穀類を糖化させて、つまり仮にトウモロコシならトウモロコシのところにその麦芽を入れて水を入れて、そしてそれを糖化させて、そして発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの、いわゆるグレーンウイスキーであります。その二つが第一の分類でございまして、第二の分類は、それに穀類以外のものをまぜたもの、それが第二の分類であります。それから第三の分類は、これはウイスキーの原酒にアルコールとかスピリッツとかしょうちゅうとかあるいは香味料とか、そういうようなものを加えました酒類でありまして、「香味、色沢その他の性状がウイスキー原酒に類似するもの」という定義になっております。  その三つが現行のものでございますが、これを私どもが新しい改正案として提出させていただきましたものは、まず第一は、いわゆるモルトウイスキー、それを一つの分類といたしました。それから第二には、グレーンウイスキーというものを一つの分類にいたしました。これは現行のウイスキー原酒として両方とも含まれているものであります。それから第三のものといたしまして、そのグレーンウイスキーまたはモルトウイスキーが二〇%以上含まれているという要件をつけまして、先ほど申しましたように、アルコールとかスピリッツとか香味料とか、そういうものをその原酒に加えたものという定義をしているわけでございます。  ややごたごたいたしましたが、先ほど「ウイスキー原酒に類似するもの」という区分が現行法上あると申し上げましたが、その場合にはウイスキー原酒は含まれていなくてはいけないんですが、どれだけ含まれたらウイスキーと言うかということは書いてございません。もう極端に言いますと、一滴でもウイスキー原酒が含まれていればいいというような書き方になっておるわけでございます、現実の扱いは別でございますが。それにかわりまして今度の改正案では、そういう原酒のアルコール分の総量が百分の二十以上なくてはならないということになっているわけでございます。
  291. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 ウイスキー原酒のモルトについて二〇%以上はなくちゃならないということは今度決められたわけですけれども、そのモルトの品質、例えばイギリスのスコッチなんかではモルトを寝かせる期間が最低三年間はなくちゃならないとか、あるいは原酒は一〇〇%なくてはいけないんだとか、日本の場合は二〇%以上でいいというふうになっておりますけれども、一〇〇%なくちゃならないとか、そういうかなり厳しい規定を設けてウイスキーの品質を維持しているわけですね、イギリスなんかの場合は。ところが日本の場合は、今言われたように二〇%以上であればそれでいいわけで、二〇%のものであるか一〇〇%のものであるか、その内容は問わない。原酒を何年寝かしたものであるかもそれを問わないということになっていますけれども、消費者に対して適正な選択を行わしめるためには、やはりそういうことを表示した方が消費者に対して便利であるというふうに考えるんですけれども、モルトの内容を明示するように法律で規定するお考えはございませんですか。
  292. 十枝壯伍

    説明員(十枝壯伍君) 今御指摘の点は二点あったかと思います。一つはウイスキー原酒について貯蔵期間の話がございました。もう一つはウイスキー原酒の混和割合、フレンド割合、その二つの点について消費者の商品選択に資するためにも表示するような制度を設けたらどうかということだと理解いたします。  先般の国会に提出されました酒税法におきましては、そういう消費者選択の観点からといいますよりも、むしろ酒税制度としてどうすべきかということを考えておりまして、諸外国からいろいろ問題を提起された点も含めまして、ウイスキーというのはこういうものだという定義をしまして、それに対して一定の税率で税をいただく、そういう面に関しての改正でございます。表示の問題は、従来の我が国の表示の体系というのは酒税法の体系とは別のところで、特に消費者保護の観点あるいは消費者の商品選択の面に関する限りは違う法体系になってまいりますので、今回の改正からは外れているというふうに私どもは理解しております。
  293. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 まあ、大蔵省は税金を取ることが大事な役目の一つであるということはよくわかります。したがって、お酒の製造、販売、流通、そういう面に関しても監督指導しておられるわけですね。しかし同時に、お酒の消費者の立場をやっぱり考慮してやるというのも私は大蔵省の仕事じゃないかと思う。その意味からいえば、別な法体系かもしれないけれども、そういったふうなものを表示するように行政指導するなり何なりするということは考えられませんですか。
  294. 十枝壯伍

    説明員(十枝壯伍君) もちろん国税庁といたしましても酒類業界を所管しておるわけでございまして、業界の所管官庁として、そこの業界が消費者に提供いたしております商品につきましていろいろ不都合がございますとか、それによって消費者に戸惑いが生ずるとか、そういうことがございますれば当然に規制の対象ということも考えられると思うわけでございますが、ウイスキーに関しまして品質の面で、例えば貯蔵期間が長いものの方がいいとか、原酒割合が高いほどいいとか、それは消費者の選択の基準としては多くの要素のうちの一つにしかすぎないわけでございます。  原酒の原料が何であるとか、あるいはその蒸留方法、たるの状態とか、あるいはその蒸留しております場所とか、いろんな要素が最終的な商品の性質を決めてまいります。さらに、もちろん原酒の混和割合というのも大事でございますが、混和した原酒の割合以外にもその原酒の性質そのものも大きな影響がございまして、その多くのいろんな要素から成り立っておりますウイスキーの品質につきまして、その一面にすぎない、一部にすぎない混和割合とかエージングの期間、貯蔵期間とかいうものについてだけ表示義務を課すということは必ずしも適当ではないんではないか。  やはり我が国におきましては、自由主義経済のもとで酒類業界もウイスキー業界も品質の改善に一生懸命に努力しておるわけであります。消費者との関係で申しますれば、厳しい品質管理を行って品質の維持管理を図っているわけでございまして、そういう意味では売れない商品、消費者からそっぽを向かれるような商品をつくることは、いわば企業としても死活問題でございまして、一生懸命に消費者ニーズに合ったいい品質のものをということで努力をいたしておりますので、法的にそういう問題について当局がどうこうという問題については、今のところ規制をする考えとか指導するとか、そういうことについては考えておらないというのが現状でございます。  もちろん、立派な品質の酒類を提供していくということについては、あるいは消費者が商品の選択に当たって混乱を生ずるあるいは戸惑いを生ずるようなことが今度の制度改正に伴って生じてくるということがございますれば、そういう点につきましてはそういうことがないように指導するなりはいたしてまいりますけれども、今の段階でそういう規制をするあるいは指導するということは考えておらないわけであります。
  295. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 いろいろ不満な点がありますけれども、抜山さんの時間に食い込みますので、最後一つだけ。  つまり、従来の二級のウイスキーをウイスキーから外してスピリッツにしたことが今度の改正の非常に大きな特色だと思うんですけれども、税率が、今まで特級、一級、二級であったその税率の差が緩和されたことは私は認めます。しかしなお、ECあたりの人たちに言わせますと、スピリッツに入れてもやはりこれは従来のとおりウイスキーとしてみんな飲むんじゃないか。やはり買う人はウイスキーだと思って買っている。その場合に、そのスピリッツに課せられる税率とそれからいわゆるウイスキーに課せられる税率との差がまだ余りにひどい差があるんじゃないか、これはつまり目に見えない障壁ではないかというので、依然として不満が強いように思います。これは結果として、大蔵省の考えられていることもわからないではないんですけれども、政治的に非常にまずい結果をもたらしまして、日本は非常にアンフェアなことをやっているんだというふうな印象を与えることは、日本の将来のために非常にまずい結果をもたらすんじゃないかということを感じているんですけれども、最後大蔵大臣、いかがでしょうか、この問題について。どういうふうにお考えですか。
  296. 尾崎護

    説明員(尾崎護君) 法律の技術的な面だけちょっと私からお答えさしていただきたいと存じますが、従来の二級をやめてスピリッツに持っていくということについてでございますが、かねて諸外国からウイスキーの紋別を廃止してほしい、特級、一級、二級という区別があるわけでございますけれども、それを廃止してほしい、一本の税率にしてほしいという希望がございました。他方、我が国のウイスキーの区分に対しまして、到底諸外国であればウイスキーと呼べないようなモルト含有量の低いものまでウイスキーと言うのは問題ではないかということも言われておりました。  そこで私ども、今度の改正案におきましては級別の廃止ということをいたしました。それと同時に、かねて海外から指摘されておりました、先ほど私申しましたように、極端に言えば一滴でも原酒が入っていればウイスキーと呼べるというような、そういう定義を改正しなくてはいけないと考えました。そこで、原酒の混合割合が二〇%以下のものはこれはウイスキーとしないということにいたしました、そうしますと、現在二〇%以下の原酒の混合率しか持っていないような、そういう現行規定で言うウイスキーはほかに行き場がなくなりましてスピリッツの中に入るということになるわけであります。これはスピリッツでありますから、ウイスキーという表示がもうできないことになります。私どもの案では二年間だけ激変緩和のためにウイスキーと呼べるようにするということにはしてございましたが、そういうような改正を行ったわけであります。そして、二〇%以上のものにつきましては一本税率にいたしました。そのために、例えばイギリスのスコッチのように特級として従来課税されていたものは大幅に減税になる、そういう改正案を提出したわけであります。  したがいまして、決して今度の改正が、従来外国から言われておりました話にも沿っているわけでございますし、それが海外の不信を増すものであるというようには私どもは考えておりません。
  297. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私はウイスキーというのは大変に結構なものだと思っているんでございますけれども、今度も改正で一生懸命勉強しようとしましたけれども、酒税は本当に難しゅうございまして、今の御質問もしたがって非常に慎重に伺っておったわけでございます。  私の持っております印象は、冒頭に関委員が言われましたように、今度の改正は国内的にも国際的にもなかなか難しい問題があったらしゅうございまして、国内にはたくさんの酒類がございますし、またウイスキーならウイスキーの中でも幾つか言えば利害関係が相反するようなことがたくさんあるらしゅうございまして、随分それは苦労をいたしまして、従価税を廃止する、そうしてクラス別もやめる、これは随分苦労があったように、よくわかりませんが、私は聞いておりまして考えております。  スピリッツのことも、これはウイスキーという名前はもう許さんぞ、二年間以外はということで、これはこれでまたなかなか打撃を受ける向きも国内にはあるらしいのでございますけれども、イギリス等々の要望もありまして踏み切った。踏み切りまして、英国もそれは大体もう従価税もやめましたし評価してくれるかと思いましたんですが、関委員のおっしゃいますように、どうもガットに提訴するというようなことになりましたので、そこのところが、こちらの努力をフェアに評価してくれた上でなお確かにアンフェアだと思って提訴をしましたのか、あるいはまたイギリス自身にもいろいろ複雑な事情がありまして提訴しましたのか、ちょっと私に判断がつきかねておるところでございます。  十分なお答えになりませんですけれども、いずれにしてもこの税法そのものがまた国会の協議会の御協議の対象になっておりますので、その御協議の御検討の結果も見守りたいと存じますが、行政としては随分思い切った努力をしたように私としては考えておりますが、なおおっしゃいますようなイギリスからの提訴がありますことも気にかかるところでございます。
  298. 抜山映子

    ○抜山映子君 国税庁に伺いますけれども、相続税の、特に土地については路線価格というのが評価の基準になるわけですが、この路線価格を、具体的に世田谷区なら世田谷区、関先生がお住まいの瀬田につきまして、六十年、六十一年、六十二年の路線価格を教えてください。
  299. 門田實

    説明員(門田實君) ただいまお聞きいたしましたお話でございますので、ちょっと手元に資料を用意いたしておらないわけでございます。
  300. 抜山映子

    ○抜山映子君 そうですか、お昼休みにお願いしておいたはずなんですが。  それでは、私の持っている新聞紙上で読んだ資料でございますけれども、これは世田谷区の上馬の二丁目ですけれども、一平米当たり六十年は二十三万、六十一年は二十五万、六十二年は五十万と、こういうように上がっている。このように六十一年と六十二年では一〇〇%も上がっている。そのような一〇〇%以上も上がった地域は東京都内では非常に多いというんですね。  ところで、国税庁に伺いますが、この路線価格をどんどん時価に近づけようとしている、このように言われておりますが、それは本当でしょうか。
  301. 門田實

    説明員(門田實君) お尋ねの路線価の評価の話でございますが、私どもの考え方といいますか、作業といたしましては、地価公示価格、それから売買実例価格、地価事情精通者の意見価格、こういうものをもとにいたしまして評価を行っております。そうして土地の価格といいますのは、実際には相当値幅がありますことと、それから相続税におきます評価、これはやはり課税上のものでございまして税負担の問題が伴います。そういうことを考慮いたしまして、地価公示価格と同水準の価格の七〇%程度、これを目途にやっておるわけでございます。  ただいま委員からお話がありました東京の場合は、やはり実際の価格あるいは地価公示価格、こういうものが相当上がりましたので評価額の水準もかなり上がったというのは事実でございます。
  302. 抜山映子

    ○抜山映子君 そのような結果、ささやかなマイホームを持つ者が相続税の対象になるケースが大変に多くなってまいりました。  これは三菱信託銀行の「調査時報」、八六年の十月号でございますが、宅地は九三%の人が相続財産として残している。すなわち、ほとんどの人が宅地を相続財産の対象にして被相続人が相続するわけなんですが、一方、被相続人一人当たりの平均の現金、預金額は一千百九十万、もちろんこれは相続税を納める人についての話でございます。相続財産の内訳というのが、土地が大体七割近くを占めて、あと有価証券、現金、預金、こういう順序になっているそうです。そうしますと、昨今の地価の驚異的な暴騰によって、当然土地を処分しなければ相続税が払えないというケースがたくさん出てきたわけでございます。  国税庁の方にお伺いいたしますけれども、相続税が課税された被相続人の数、これは幾らになっておりますでしょうか。
  303. 門田實

    説明員(門田實君) これは五十九年度の計数ということで御理解を得たいと思いますが、被相続人の数は約四万三千人でございます。
  304. 抜山映子

    ○抜山映子君 これは昭和五十年の一万五千人に比べて約三倍にもなっているわけでございます。なお、国税庁の相続税白書では、六十年は四万八千人、全体の六・八%にも上っている、こういう数字が出ております。したがいまして、相続税を納める人がどんどんふえていきつつある。この原因は、地価の暴騰を主たる原因としていると思います。それにもかかわらず相続税の基礎控除額が長年据え置かれておるわけでございます。これについて早急に直さなければいけない、こういう時期が来ておると思いますが、大臣いかがでしょうか。
  305. 尾崎護

    説明員(尾崎護君) ただいま先生のお話にございましたように、相続税につきましては、昭和五十年に大きな改正をいたしましてから今日に至りますまで負担水準が据え置かれているわけでございます。  先ほど先生も御指摘なさいましたように、昭和五十年は相続件数に対しまして課税件数の割合が二・一%ぐらいでございました。それが現在、六十年で六・四%だと思いますが、先生六・八%とおっしゃいましたが六・四%じゃないかと思いますが、そのように比率が上がってきているわけでございます。  したがいまして、例えば課税最低限でございますとかいろいろな見直しを行うことが望ましいというお考えがございますことは私どもも承知いたしております。しかしながら、昭和六十二年度の税制改正は大変大きな改正をいたしましたので、その見直しの緊要性の問題でありますとか、それから財政事情なども考えまして、税制調査会の昭和六十二年度の税制改正に関する答申にもございますように、これを見送ったわけであります。しかしながら、今後とも引き続き検討をする必要がある問題であろうというように考えております。
  306. 抜山映子

    ○抜山映子君 財政事情が非常に苦しいから見送ったままにしておく方が好都合であると言わんばかりの御回答でございましたが、本当にサラリーマンがローンか何かでやっと取得した三十坪や五十坪のささやかな土地が、今や三億とか五億とかそういうようなことになってしまいました。基礎控除額は、御存じのように二千万に法定相続人一人当たり四百万円を加えた額でございますから微々たるものでございます。そのために、御存じのように銀座の鴨居堂の御主人でしたか、相続税を払うことが心配で自殺されたような事例もございますし、そうでなくても相続人で非常に争いが生じたり、また都市開発上もどんどんミニ化されて非常に都市の整備の問題からいっても大きな問題になっている。ですから、緊急にもうこれはやらなくちゃいけない時点に達していると思うんです。ましてや昭和五十年からずっと据え置いているというんでしょう。従来、見直していると思いますが、五十年の前は何年前にその控除額を定めておりますか。
  307. 尾崎護

    説明員(尾崎護君) 昭和四十八年に基礎控除額を従来の四百万円から六百万円に引き上げております。その六百万円を昭和五十年に二千万円としたわけでございます。
  308. 抜山映子

    ○抜山映子君 その過去の年数からいきましても、もう今やらなくちゃいけない時点に来ている。こういうことを直すのが不公平税制の是正だということだと思うんです。私は、非常に裕福な方が多少納めるのは構わないけれども、本当に一般市民が路線価格が非常に上がったために相続税が納められないというようなことになっている事態は、もうやはり政治として見逃してはいけないことと思いますが、大臣にひとつお答えいただきたいと思います。この基礎控除額を何とかお考え直しいただきたいんです。
  309. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど世田谷の例をお挙げになっておられましたが、確かに東京、殊に大都会におきましては、どうもこの問題は大変に難しいことになってまいったというのが事実だと思います。  今度の税制改正に関する答申におきましても、昭和五十年以来据え置かれているので「所要の見直しを図ることが望ましい」と実は言っておられまして、引き続き今後具体的に検討せよということであったわけでございます。  大邸宅に住んでおるのならともかく、本当に大して大きくない何十坪かいうところへ、御主人が亡くなって、未亡人のところまでは課税が余りないかもしれませんけれども、もうそこへ長くは住めないというようなことはどうもやはり問題がある。事業用資産ならもとよりでございますが、そうでなくて住んでおられるところでもそこを引き払わなきゃならないというのは、どうもやはり感心したことではないという感じはいたします。  ただそこで、それを貧富の問題で議論をいたしますと、実はそういう価値のある財産には違いないのですから、そういう問題でなくて、大変大きなうちならともかく、相続によって住んでいるところを出ていかなきゃならないというようなことはやっぱり問題があるんではないかという感じはいたしますから、今回実はいろんな事情からこの点は改めることはできませんでしたが、答申の申しますように、引き続き具体的に検討しなければならない問題だと思っております。
  310. 抜山映子

    ○抜山映子君 引き続き検討でなくて、ぜひ臨時国会あたりににこのあたりの税制改革をやるように法案を出していただきたいと切実に思うものでございます。  ただいま大臣は、未亡人のところあたりまでは余り課税がないと思いますがとおっしゃいましたが、それは大きな間違いでございまして、大臣御存じのように、二分の一または四千万までならば相続税は一銭もかからないわけですけれども、子供がいなくて仮に未亡人が全部相続するということになりますと、これは大変大きな税金がかかってくるわけでございます。  ところで、最近子供も大変少なくなりましたし、だんな様が亡くなったときには妻の方は大変高齢化しておるわけでございますが、そのときに今の民法によりますと半分子供が持っていくわけですね。こういうことを防ぐために、生前に妻になるだけ住んでおる家ぐらいは残しておいてやりたいということで贈与いたしますと、現在では居住用の不動産を二十年以上連れ添った妻に限り贈与する場合においては一千万までは贈与税がかからない、こういう制度になっておるわけですけれども、路線価格が大変上がっておりますから、一千万贈与するといっても土地を二坪ほど贈与するということになってしまうわけです。  この一千万の贈与税免除額は昭和四十一年は百六十万であった。昭和五十年にはこれを一千万に上げた。そしてこれがずっと据え置かれておるわけでございます。当然この贈与の免除枠は大幅に引き上げられなければならないと思いますが、この点についてひとつ早期に改正案をお願いしたいと思いますが、大臣いかがでしょうか。
  311. 尾崎護

    説明員(尾崎護君) 御質問の御趣旨は、その配偶者、特に妻の老後の生活の安定を図るという見地からのことであると存じますが、その必要性というのは、特にその一方の配偶者、通常でありますと夫の死後にその必要性が強くなってくるというように考えられますので、基本的には相続税についての措置がどうなるかということと密接に関係しているのではないかというように存じます。長年連れ添った配偶者に対して夫婦生活の場である居住用不動産を贈与する、その金額に対しまして特別の配慮を現行税制一千万ということでしているわけでございますけれども、贈与税というのは相続税の補完税であるという性格を持っておりますので、先ほど大臣からのお話しのように、相続税のあり方について検討いたします場合にあわせて検討してまいりたいというように存じます。
  312. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 時間ですのでおまとめ願います。
  313. 抜山映子

    ○抜山映子君 基本的に相続税が絡んでくるから、贈与税の方は補完的なものだからちょっと据え置いておいてもいいようなお返事でございましたが、そうじゃないんですね。子供が二分の一、妻が二分の一相続する場合において、現金は少ない、一方宅地は大変に高い、そういう場合に子供が二分の一を要求した場合には、やはりその家を売ってしまわなければ相続税は払えないし、遺産分割はできないわけです。ですから、妻の老後の安定と先ほどおっしゃいましたけれども、妻の老後の安定じゃないんです。安定どころか妻が老後不安にさらされるのを防ぐためには、やはり生前に妻に幾らかでも贈与しておけば子供との間で現金決済ができる、こういうことなんですから、ひとつこの点は早急に御検討いただきたいということを切望しまして、私の質問を終わります。
  314. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 他に御発言もないようですので、皇室費国会大蔵省日本専売公社国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は七月二日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十六分散会      ―――――・―――――