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1987-06-18 第108回国会 参議院 決算委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年六月十八日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         菅野 久光君     理 事                 石井 道子君                 鈴木 省吾君                 松尾 官平君                 梶原 敬義君     委 員                 井上  孝君                 河本嘉久蔵君                 沓掛 哲男君                 寺内 弘子君                 中曽根弘文君                 永野 茂門君                 福田 幸弘君                 真鍋 賢二君                 宮崎 秀樹君                 佐藤 三吾君                 及川 順郎君                 片上 公人君                 佐藤 昭夫君                 橋本  敦君                 関  嘉彦君                 抜山 映子君    国務大臣        国 務 大 臣       (内閣官房長官)  後藤田正晴君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  山下 徳夫君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  栗原 祐幸君    事務局側        常任委員会専門        員        小島 和夫君    説明員        内閣官房内閣外        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房外政審議室        長        國廣 道彦君        人事院総裁    内海  倫君        総務庁長官官房        地域改善対策室        長        熊代 昭彦君        総務庁行政管理        局長       佐々木晴夫君        総務庁行政監察        局長       山本 貞雄君        防衛庁参事官   瀬木 博基君        防衛庁参事官   古川 武温君        防衛庁参事官   児玉 良雄君        防衛庁長官官房        長        友藤 一隆君        防衛庁長官官房        防衛審議官    日吉  章君        防衛庁教育訓練        局長       依田 智治君        防衛庁人事局人        事第一課長    三井 康有君        防衛庁経理局長  池田 久克君        防衛庁装備局長  鎌田 吉郎君        防衛施設庁長官  宍倉 宗夫君        防衛施設庁施設        部長       岩見 秀男君        経済企画庁調整        局審議官     宮本 邦男君        国土庁土地局地        価調査課長    森   悠君        外務大臣官房審        議官       谷野作太郎君        外務大臣官房審        議官       渡辺  允君        外務大臣官房審        議官       久米 邦貞君        外務大臣官房審        議官       赤尾 信敏君        外務省経済局国        際経済第二課長  水盛 五実君        大蔵省主計局司        計課長      兵藤 廣治君        国税庁直税部資        産評価企画官   宮城 健蔵君        通商産業大臣官        房審議官     山本 貞一君        通商産業省貿易        局輸出課長    村田 成二君        自治省税務局固        定資産税課長   佐野 徹治君        会計検査院事務        総局第一局長   疋田 周朗君        会計検査院事務        総局第二局長   志田 和也君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和五十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十九  年度政府関係機関決算書(第百四回国会内閣提  出)(継続案件) ○昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第百四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百四回国会内閣提出)(継続案件)     ―――――――――――――
  2. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和五十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は、内閣総理府本府、総務庁及び防衛庁決算について審査を行います。     ―――――――――――――
  3. 菅野久光

    委員長菅野久光君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  5. 菅野久光

    委員長菅野久光君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 官房長官、連日大変でしょう。やっと中国問題は軌道に乗ったようですから、ほっとなさったんじゃないかと思うんですが、その本題に入る前にちょっと二、三ほど、久しぶり官房長官と会うわけですからお聞きしておきたいと思うんですが、最近、流行語ではないんですけれども後藤田語録というのがあるんです。知っていますか。  私もそんなにあなたの言葉がはやっておるとは知らなかったんですけれども、そう思って最近のやつをちらちらと見ますと、なるほどな、こう思っておるんですが、ポスト中曽根問題に対して、永田町だけの数の論理だけでは困るとか、それから、リーダーはみこしに乗るのでなく、乗るのは一億二千万の民衆だとか、それを間違いなく引っ張っていくのがリーダーだとか、竹下さんのパーティーに対しては、幹事長が党の資金集めならわかるけれどもとかね。なるほどな、なかなかいいことを言っているじゃないか、こう思っておるんですけれども。それでは今度はちゃんと締めは締めておるんですね。総理については党則に従ってきれいに出処進退を決めるべきだということを強調したとかね。言うことをきちっと言っているような感じがするんですが、きょうは久しぶりにお会いするんですから、聞かしてくれませんか。いかがですか。
  7. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今、佐藤先生からいわゆる後藤田語録という御質問でございましたが、全部は私が言ったことでもないような気がしますが、一部言ったことがあるのも事実でございます。それは、最近の、いわゆる何といいますか、パーティーの問題について、記者懇談等で聞かれて、私の率直な感じを述べたということも事実でございますが、その総理総裁の云々というのは、それは私じゃないんじゃないでしょうか。私が言っているのは、いずれにせよ議院内閣制のもとである以上は、総理総裁というものは、これは別ではありますけれども、実際は一体でしょう、ならば総裁というものは党則に従って整々と行動せられるはずであるとわしは思うという程度のことは申しましたが、余り失礼になるようなことはできる限り差し控えて今日に至っておるのが実情でございますから、了としていただきたいと思います。
  8. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 新聞の書き過ぎもあるのかもしれませんね。しかし、あともう実質、中曽根さんの言葉によると暮れも深くなったというわけですから、二カ月もつのかどうなのかという最後の段階ですから、やはり番頭として、かじ取りとして、ぜひひとつきれいに、何かはらわたが残ったようなことでは潔しとしませんから、きれいなひとつ御指導、またあなたの話録まで残るぐらいですから、永遠に残るような有終の美を飾っていただきたいと思うんです。  そこはそれとして、きのうの経緯からいってちょっと官房長官にお聞きしておきたいのが一つ、二つあるんです。それは何かといいますと、整備新幹線の問題です。  きのう橋本大臣は、この問題については、高速鉄道必要性については私は認めておる、ぜひつくらなきゃいかぬと思う。しかし、せっかく今スタートを切ったJR各社にこのことがマイナスしては大変だ。同時に、並行しておるこの在来線廃止になるということになるとこれはまた貨物輸送を含めて事は重大であり反対だ。こういうお話をしながらも、焦点はあなたが座長をやっておる財源問題等検討委員会、ここに焦点が移っておるのでできればひとつ、きょう官房長官とお会いになるならここでひとつ聞いてほしい。こういうことで問題を移されたものですから、逃げるわけじゃないんでしょうけれども、考えてみるとやはり財源問題等検討委員会というのが何か焦点になっておるような感じがしますし、きょうはせっかくの機会ですから、余り、何というんですか、持って回ったような言い方じゃなくて、腹蔵のないところをお聞きしておきたいと思って、いかがでしょう。
  9. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これは、財源問題等検討委員会検討しておることはそのとおりでございますし、その座長が私でございますから、そういう座長という立場での答えである、かように御理解をしておいていただきたい、こう思いますが、実は昨日、都道府県議長会の会合がございまして、その席でも質問が出ました。私はそれに対して、やはり座長としてお答えしたのは、考えてみれば、ちょうど橋本運輸大臣がおっしゃるように高速鉄道有効性必要性というものはこれはもう私どもも認めておるわけでございますので、問題は、隣の家の軒下まで新幹線が敷設せられて走っておる、ところがそのお隣軒下までは行ってないといったようなことであるならば、これはやはりそのお隣住民としては何とか延ばしてくれという国民の気持ちというもの、住民気持ちというものは、これは我々やはり理解をしなきゃならぬと思います。基本的にはそういうことでございますし、やはり政府与党関係者会議の結果も着工ということは決めておるんです。しかし、その申請、認可ということになると幾つかの課題がある。その課題はきのうは申しませんでしたけれども、今ちょうど佐藤先生おっしゃったようないろいろな条件があるわけですね。そういうようなこともありますので、今せっかく検討中である。そして何よりも四月一日に国鉄から民有の会社に組織がえをして発足したばかりである。この会社経営に悪影響を及ぼすというわけにはまいらない。ならば、何かそこに方法があるのか。それについては何といっても新会社経営者意見というものを聞かなければならぬのではないか。その意見の聞き方にも、初めからもうあかんよというような物の聞き方もあるでしょうし、いやこれはいいよというような物の聞き方もありますね。しかし、私はそれは初めからこれはあかんというような物の聞き方はしたくない、これはやはり新幹線というものの必要性はわかっておるので、何とかこれは頭は前向きの考え方のもとで、一体どういうことならば皆さん方の御意見として結果を出していただけるであろうかというような意味合いでひとつ聞いてみたいと考えておりますと、こうお答えをいたしました。  なお、その意味合いは、実は近々六者会談というのがあるのです。財源問題等検討委員会の中からさらに六人が研究しようということで、党の代表と私ども政府が三名という検討会を持っておりますので、その検討会民間会社に聞く条件を決めまして、そして意見を徴しようというのが現在の段階でございます。したがって、最終的にどうなるのかということを今ここで申し上げるという段階ではない、かように御理解をしておいていただきたいと思います。
  10. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 新聞によりますと、政府首脳談としてアクセルとブレーキ一緒に踏み込んでいく、今JRの新会社に聞くのは簡単だが、回答には時間がかかるだろう、この種の問題は一気に決着せず、少しずつ進展するのがこつだ、こういう政府首脳談が出ておるのですが、政府首脳といえばこれは官房長官ですね、こういうことですか。
  11. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 政府首脳がだれであるかということは、申さないということになっておるわけでございますが、最近どうも実際の紙面を見ますと、少し政府首脳の範囲が広がっておりはせぬのかなというような印象もなきにしもあらずでございます。そういうことでございますが、今御質問の中にあったのは、要するに昭和六十年八月のこれは政府与党関係者首脳会議で決めた方針を、そういう表現で述べておるのではないのかなと思います。というのは、着工するんだと、こういうことはなっておるのです。しかしながら、その次のこの項目は、在来線廃止の問題とか財源の問題、経営主体の問題、収支計算問題等、いろいろ難しい条件が並んでおるわけでございますが、その中で一番難しいのは在来線廃止という条件は、これはまさに運輸大臣が言われるように、私もこれはブレーキだなという気がいたします。そこらをどう一体乗り越えながら、しかし新幹線を走らせるということの必要性と、それから経済効果波及効果ですね、これらを見るというと一概にこれは消極意見であるといった結論を出すのは、私はいかがなものかなというのが私自身は率直な考え方でございますが、こういうような考え方は人によって違いますから、委員会があるので委員会の議を経て、何とかひとつ前向きの結論が出せるような環境づくりをしながら、徐々に整備をしていくということではなかろうかなというのが率直な私の気持ちでございます。
  12. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 なかなか慎重な答弁で本音が聞かれないんですけれども、きのう何か第四次全国総合開発計画四全総ですか、その中で新幹線建設問題の記述が余りにも消極的過ぎるという批判が出て、これに対しては現実的に前向きに検討するよう運輸省に指示したとか書き直しをするとか、こういうことが出ておるんですが、具体的にはこれはどういうことですか。
  13. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) それは運輸省に指示したとか国土庁にどう指示したというのは、これは私ではございません。出ておるとすれば、何かほかから出たのかもしれませんが、私に関する限りであるならば間違いでございます。私が申しましたのは、党の総務会長代理がお見えになりまして、そして四全総についていかにもこの部分は、ほかの各種の公共事業等の将来展望書き方整備新幹線書き方はバランスがとれてないではないか、この整備新幹線書き方ではこれはもうやらぬということではないのかと、これは四全総というのが相当長期にわたる将来展望を書いたものであろう、ならばもう少しここはきちんとそういう方向でほかの事業調整のとれた書き方政府としても認めるべきでないかというお申し入れがございました。そこで、私はその文章を読みましたから、いかにもおっしゃるとおりだなと、これは、ただ閣議決定その他等との関係もあるから、事務的にはこういうことにならざるを得ぬだろうと思う、しかし最終、こういう問題についての政治的に決定するときは、これはやっぱりもう少し整合性のある書き方であるべき筋合いのものであろうと私は思うと、しかしそれは私の意見であって、これはやはり党の関係者の方なりあるいは運輸大臣なり大蔵大臣なりとの意見調整をしておいていただきたい、こういうことで話し合いしたのが経緯でございます。それが今の御質問になるとあるいはそのことの間違いかな、あるいは別の何かの方が、どなたがおっしゃられたのか、そこのところはちょっと不明でございます。
  14. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いずれにしましてもこれは整備新幹線該当地区皆さんは一日も早くきちっとすっきりしてほしいなと、これは物すごい願望が厚いと思うんですね。同時に今度は国民的な視野から見ると、JRの現状から見て一体また国鉄の二の舞になるんじゃないかという危惧がついて離れぬし、しかも在来線と引きかえということについては、これはまさに足を取られるようなものですから、それどころじゃない。こういう点は非常にいずれの側の方もそういうものを持ちながらいらいらしておるわけですね、この問題については。ですから、私はやっぱり一番問題は何かといえば、総合的な交通体系政府自体が何ら明らかにしなくて、そして絶えずそういう現象現象で追っていくようなやり方、ここに私はやっぱり将来を見通して非常に不安があると思うんです。そこら辺は私はやっぱりきちっと見定めて、ひとつ座長ですから、きちんとしたものを出してほしいな、こう思っておりますので、きょうはもうこの程度にとどめますが、そこら辺ひとつよろしくお願いしておきたいと思います。  次に、早速ですが防衛庁長官一緒にいらっしゃるのでお聞きしておきたいと思うんですが、六月四日に矢野公明党委員長中国に参りまして、鄧小平さんとの会談がなされておる。その発言をめぐりまして、対日批判だどうだこうだということで、例えば雲の上の議論まで飛び出しちゃって、大変ぎくしゃくした不幸な関係が続いてきたんですが、外務省柳谷次官の事実上のこれは遺憾という言葉ですが、陳謝の内容ですね。その発言もあって、今月二十六日の定期閣僚会議が開かれると、こういう情勢になったということでございますが、この問題について、私も今後の日中関係に与える影響は非常に大きいという観点から非常に注目をし、またこの処理について心配をしてきた一人ですが、鄧小平さんのこの発言内容を見ると、私はなぜ外務省高官というか首脳というか、がああいう雲の土とか実態と乖離とか、ああいう発言をしなきゃならなかったのか。この辺がどうしても理解ができない部分があるんですけれども、この点について、さすがに官房長官談話というのを読んでみますと、まあ文言の中には憤然としてとかということがございましたが、少なくとも言葉内容を見ると、従来から中国が言ってきたことであって、そう珍しいことではないというような言い方で、さらっとしているのが、どうして外務省高官ではああいうふうにとられるのか。ここら辺について、官房長官としても随分御苦労なさった点もあるのではないかと思うんですが、いかがでしょう、そこら辺についての今一つの決着の芽が出始めた段階ですから、長官のひとつ認識をお伺いしたいと思います。
  15. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 政府としましては、お隣りの中国との友好関係、これは一層幅広く、そしてまたそれを深めていくというのが基本の不動の外交の日本方針であると私は理解をいたしております。  その根本は何かということになると、これはやはり日中共同声明あるいは日中平和友好条約、あるいはまた日中の四原則、こういったことにのっとって、それを忠実に双方が履行していくということ、これが私は基本であろう、こういう認識に立っておるわけでございます。そういった中で、今回の外務省首脳発言ということがあったわけでございます。そこで、外務省としては中国側に、あの発言について、当方の趣旨と違って遺憾である、残念であると、こういう表現で回答したんですが、相手方としては、納得できないといったようなこともあり、私が改めてこういった事態が起きたことは本当に遺憾なことであると、こういう官房長官としての発言をして、そして事態を冷静に推移を見ておったわけでございますが、総理がお帰りになって、そしてお話し合いの上で、鄧小平主任に関する発言部分はまことに遺憾であったということを、外務省として次官発言をし、そして我が国としては、この日中共同声明あるいは平和友好条約、あるいは四原則、これにのっとって、二つの中国ということにくみするものでは絶対ない。日本一つ中国であるという大原則を守っていく固き決意であるということを相手方に伝えなさいというようなことで、ああいう外務次官中国側に改めて発言をして、そして何とかこういったきしみは不幸な出来事でございますから、中国側理解も得、そしてその上でさらに一層の友好を発展をさせたい、こう私どもとしては考えておる次第でございます。
  16. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 官房長官意味はわかりますが、何か根っこはそのままにしておいて、一時的に糊塗したというような、こういうような感じにとれなくはないんですね。なぜかといえば、まだ藤田アジア局長の、いわゆる鄧小平発言そのものは、実態と乖離しておるという反論がございますね。これは取り消してございませんし、それから、鄧小平さんの発言をずっと見ると、それに対して中江大使談話で出してますね、談話というか一問一答の形式で。それを読んでみますと、素直に読めば中国本音が出ておる。私は、そうとったんですけれども。それに対して外務省首脳が、日中関係基本にかかわる対日批判には反論せざるを得ないということでやったのだ、こういうあれが出ておるわけですけれども雲の上発言が出てきたわけですが、その部分については、今官房長官の遺憾の意、同時にまた中曽根総理の、鄧小平さんに対する発言は失礼だからこれは取り消していかなきゃならぬということは今聞きましたが、何かそれは残っておるような感じがしてならぬのです。  同時にまた、中国側の方も最近の日本の姿勢の中に傲慢さが感じられる、こういった部分については、またこれは二十六日の会議の中でも出てくるのじゃないかと思いますけれども根っこというのは何か消えでないような感じがするんですけれども、その点はいかがですか。
  17. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私は、やはり日中関係基本は、一つ中国であるというこの原則を、日本が踏まえてやるということが私は基本ではないのか、こう思います。  それから、さらにまた何といいますか、日中関係というものを考える場合に、日本側として絶えず注意しなきゃならぬのは、今御質問の中にあった精神面といいますか、いわゆる傲慢さといったような物の考え方日本側にあっては相ならぬ。これはしかし相手方も同じですね、お互い交際ですから。そういう私は精神といいますか、お互いが謙虚な気持ちでそして深き交わりを結んでいくというこの気持ちを忘れないようにすることが何よりも肝心である、こう思うんです。  佐藤先生のおっしゃるように、まだ何か基本を忘れてないか、こういうものが残っておるという御意見、それは私は私なりに理解できますが、一つ一つの問題についてこういう場合にあれはどう、これはどうというのは、果たして本当の意味でこういったきしみを解消する上に役立つのかどうかということになりますと、佐藤先生のおっしゃる意味もわからぬではありませんが、私はそういった個々の問題に触れるよりは、やはりその基本一つ中国、そしてお互い交際は謙虚な気持ちでやると、これを我々が再確認をしてそれを忘れないでやれば一番いいのではないかなというのが私の気持ちでございます。
  18. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私もその点については同感なんですがね、せっかく防衛庁長官も見えておりますから、この関連の中でお尋ねしたいと思うんですが、長官はちょうどその時期に中国に行っておられた。そして何か大変な歓迎をいただいて各軍施設を視察なさったようですけれども、何か一%問題についても議論して中国の方の理解を深めたと、こう帰国談話が出たんですよね。ところが、鄧小平さんの発言なんか見ると、最低限の軍備についてはこれはもう必要だと。けれども、一%までする必要があったのかどうなのかという意味での批判をきちんとなさっておる。ここら辺の食い違いというのがどうして現地に行きながら起こったのか。またその件で長官は帰って、何というんですか、矢野質問が少し再三質問したとか、だからこういうことになるんだとか、演出が過ぎるんだとか、こういうことも漏らしておるようでございますよね。ここら辺は現地に入ってみて長官の感触を含めて一%問題に対する中国側の真意というものをどういうふうに受けとめられたのか、改めてお聞きしたいと思うんです。
  19. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 御指摘のとおり今度の訪中は大変中国側の歓迎をいただきました。会談内容そのものも極めて率直にかつ友好裏に、常識を離れてというか、一時間三十分の国防部長との会談時間が二時間二十分になると。それから万里副総理との会談は大体四十五分というふうに言われておったんですが、実際には一時間十五分ですか、非常に率直に話をいたしました。  私は防衛の責任者でございますから、我が国の防衛のスタンスというものを話をした。それは我が国の憲法というものがある。それに基づいて必要最小限の防衛力の整備をしなけりゃならない。専守防衛、非核三原則いろいろある。そういうものに基づいて昭和六十二年度の予算を組んだところが一%を少し超えることになったと、これがもう実際の話だと。ただ我が国では一%を超えたということについて、一%を超えるとこれは軍事大国になるのじゃないか、これはけしからぬというような議論があると。それに対して私はこう言っているんだと、一体軍事大国というのはどういうことなんだと。軍事大国の定義をまずはっきりさせなきゃならぬ。軍事大国の定義の意義が軍が政治を支配する、そういう意味であるならば、戦前はいざ知らず現代はそういう体制ではない。昔は天皇の軍隊であったけれども、今は自衛隊は国民に選ばれた国会議員から互選される総理大臣が統括責任者である。これがいわゆるシビリアンコントロール。国民を離れて自衛隊はないんだと、国会を離れて自衛隊はないんだと、そういう意味合いでは戦前と大きく違っておる。もし軍事大国という意味が他国を侵略するに足る実力を持つということならば、我が自衛隊は外征軍ではない、自衛隊二十四万がよそへ出ていったら日本はもうがらあきだと。そういう意味合いで、外国の方へ行くなんということはあり得ないし、そんな実力はないんだと。そういう意味合いで一%を超えると軍事大国になるとかならぬという議論はこれはおかしいということを言っているんだという話をまずしたんです。  それに対しまする張部長さんの答えは、制度上日本が軍事大国になれないということはよく理解できたと。自分の国は自分で守ると、一定の必要の防衛力を持つということは当たり前であるし、日米安保も私どもは結構だと思っておると。ただ日本には軍国主義的な思想があるのではないか。例えばということで向こうが言い出したのは、これが大東亜戦争肯定論とか、あるいは南京大虐殺虚構論だとか、あるいは今度「光復」というような右翼の雑誌も出たと。それから靖国神社の問題もあるし教科書の問題もあるし光華寮の問題もあると、こういう脈絡になったんです。  そこで、私はこれは日本でいろいろの意見があることはそのとおりだと。しかしこれは日本の体制とおたくの体制が違うということをまず御認識いただきたい。日本は自由主義、民主主義、議会制民主主義でいろいろの意見があるんだと。しかしそれらのいろいろの意見というやつは、切磋琢磨する間に消化されて落ちつくところに落ちついていくんだと。それが議会制民主主義制度の本質なんだと、そういう点を御理解をいただきたい。  もう一つの点は、靖国神社のお話が出たからお答えをするけれども、遺家族の人たちは靖国神社に公式参拝をしてもらいたいと言っているのは、純粋に戦没者の霊を弔いたい、そういう気持ちのように私は了解している、理解している。ただこの問題についてはいろいろあるので、政府としては配慮をしてことしも内閣総理大臣が靖国神社の参拝はしないというふうになっている、政府の努力も認めてもらいたい。  教科書問題についてもいろいろあるけれども、これまた検定制度というのがあって、この検定制度のあれですぐにどうということはできない場合もある。しかし厳正に考えてみてこれはやらなきゃならぬ、正さなきゃならぬというときにはそれなりの手続を経てやっておる。問題になったときに官房長官談話が出たけれども、日中共同宣言、日中友好平和条約、そういうものを基礎としてやっているということもひとつ理解していただきたい。  光華寮の問題については、これは私が有権的にあなた方に事の是非を言うわけにはまいらぬが、一つだけ申し上げておくと、これまた日本総理大臣は何でもできるというふうにお思いだろうけれども日本総理大臣何でもできないんだ、これは。そんなに力がないんだと、あなた方が言うように。それはこの間の売上税で野党の皆さん、国民の皆さんあるいは国会の方でうまくいかなかったと。その場に四人いましたけれども、あとの人は省略しますわ。とにかく総理大臣というのは万能じゃないんだと。そして司法に対しては日本ではいかなる権力も口出しができないんだと。このことをよく御理解いただきたいと、こう話したんです、ざっくばらんに。  そうしましたら向こうさんの方は、日本の制度はよくわかると、事情はよくわかると。しかし我が方の事情もよく参酌をして、できる範囲内で善処してもらいたいと、ごもっともなことだと。これが張国防部長と私との話です。  その次に万里副首相との話の中では、万里副首相は、きのう張愛萍国防部長と大変有益な議論があったようだと、よかったと思うと。本日は私が中国国家を代表して、中国政府を代表して趙紫陽首相の代理としてお話しをするということから、いろいろ話がありまして、その結果、防衛問題について触れないわけです。そこで私が防衛問題について張部長からいろいろお話を承ったと思うけれども、実は鄧小平主任によくお伝えをいただきたい、私も鄧小平主任に会いたいと思うんだ、この点どうだと、こう言ったら、鄧小平主任は高齢であるので私どもはできるだけ仕事を少なくするようにしておるんだ。トウ主任も私ども考え方も変わっておりません、必要な防衛力の整備は必要であるし、日米安保というものも必要だと、そういう趣旨の話があったわけです。これが実態でございます。  ですから、少なくとも私に関する限り、中国政府は我が国の防衛政策に対して理解を深めた、間違いないと思う。それと同時に、人民日報もその会談の後、日本の防衛政策について理解を深めたという記事が出ておるんです。そういうのが実態でございます。
  20. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それが実態なら、何も矢野委員長が三回も促したとか、回しが上手だとか、そういうことはちょっと言わなきゃよかったと思うんですね。その点は、何かありますか。
  21. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 私の方から言ったんじゃないんだ。記者会見でそういうことを言われたから、私の方でそう答えたんだ。私から言ったんじゃない。記者会見で、こういうことを言っているけれどもどうだと言うから、それならばこういうことだろうと。このコメントは今でも厳然として生きております。
  22. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そういうことなら、それでまた記者の皆さんの、何というんですか、書き方の問題との関連で誤解を与えたかもしれませんが、しかし、あなたのお話を聞いておっても、一%問題については中国は決して容認というのか、結構ですと、こういうものではないんですね。これはあなたも言わなかったですけれども。最低限の自衛のための防衛整備をするのはそれは当たり前だという論理であって、鄧小平さんの矢野委員長との談話内容を見ると、それはきれいに否定していますね。  そこで私は、この問題、一応二十六日から正常に戻るような雰囲気になってきたわけですから結構だと思うんですし、官房長官のその姿勢についてもひとつぜひそこら辺を大事にして対応していただきたいなというふうに思うんですが、私も中国、アジア諸国をずっと回ってみて感ずるのは、やっぱり民衆レベルの戦争の傷跡は決していえてはいない。やっぱり深く残っておるということを実感しておるわけですね。これはやっぱり私は五十年、百年で消えないんじゃないかというぐらいに思っておるんです。現に、中国もそうでしょうが、シンガポールでもそうですし、フィリピンでもそうですが、今一番中心になっている方々は、十歳か少年の時代に日本軍の犯した行為を目の当たりに見ておるわけですからね。そして、その中で肉親が殺されていったことも現場に直面しておられる方が多いんですから。その意味で私は、日本の外交なり日本のアジア諸国に対する対応というのは、それをきちんと踏まえた上で対応していくことが大事じゃないか、そう思うんです。そこから靖国神社問題が出てきたり、一%問題が出てきたり、いろいろの教科書問題が出てきておるのはそこにあると私は思っておるわけです。そこら辺はひとつぜひ、さっき官房長官もおっしゃっていましたが、謙虚に、しかも中国については一つ中国という原則をきちんと踏まえて対応していただかないと、こういう問題は次々に起こってくる、こういう感じがします。  そこでもう一つの問題は光華寮、京都の寮の問題ですね。  この問題で、確かに三権分立て司法の問題でございますけれども、結果としてそれが、判決の結果が出てきて、それが台湾を認めるというようなそういうような結果になる、そのことを私は中国皆さん大変心配しておるし、同時にまたそのことは二つの中国を事実上認めることになりはしないかと、こういうことにも危惧しておるんじゃないかというふうに思うんですけれども、ここら辺はやはり私は、日中友好の条約を結び、そして中国一つという確認をした経緯に照らしても、対応を誤ってはならぬのじゃないか、こういうふうに思うんですが、これひとつ官房長官に最後に一言聞いておきたいと思うんです。
  23. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 光華寮の判決をめぐっていろんな反応があることは十分承知をしておりますが、やはり政府としましては、我が国は三権分立という政治の基本原則があるわけでございますから、まだ裁判途中の問題について行政府としてどうこうする、物を言うというわけにはまいらないわけでございます。やはり最高裁で最終にどのような判断が示されるか、その結果を見守るという以外、方法はないわけでございますが、裁判官の諸君は国際法あるいは国内法それぞれについて十分御認識をなさった上でああいった判決をなさっておるものと、かように理解をしておるわけでございますが、いずれにしても政府としてはこの際は発言を差し控えさしていただきたいと、かように思います。
  24. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 わかりました。  官房長官は記者会見の関係がございますからということですが、よくその点は承知しておりますので、その前に一つ二つだけちょっと聞いておきたいと思うんですが、臨時国会の召集をめぐって、何か政府首脳、自民党首脳という言葉で召集が七月の六日に云々とか八日に云々とか、おとといの新聞では十五日に云々とかいろいろ乱れ飛んでおるんですね。まあ会期幅を中曽根さんは三カ月欲しいと言っておるようですが、これはそれこそ総理の一存でできる問題ではございませんから、各党の議運や国対の中で議論をされておると思うんですけれども、召集時期の問題がくるくる回っておるということは、私どもとしてもいろいろ差し支えが起こるので、きょうはせっかくお会いできるんですから、それこそ政府首脳ですね、官房長官本音というか真意をお聞きしておきたいというのが一つです。  それからもう一つの問題は、これも十五日ですか、大蔵首脳の方でマル優廃止を減税に抱き合わして所得税改革案を臨時国会に提案することを決めた、こういう類の報道がなされておるわけですね。これは自民党さんの方が税制協議会の方にそういうマル優の問題を含めて提起していることは承知しておりますけれども、そこで議論をしているさなかに決めたということは、ちょっと不穏当のような感じもするんですけれども、これはあす宮澤さんとお会いするからそこでもただしてみたいと思うんですが、政府として、あの国会における議長裁定、議長勧告ですか、これに基づいた経緯、六案の廃案という手続、そういうことを踏まえて、その上に立って今度の税制協議会というのはスタートを切っておるという経緯を考えると、ちょっと私どもとしては信じられないような気がするんですよ。各党も直ちに反発しておりますが、これについてまた税制協議会の議長の伊東さんも不快感を示しておりますけれども官房長官、せっかくですからその二つについてお答えいただいて、新聞記者会見の方にどうぞ行っていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  25. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) まず税制改正の件についてお答えをしたいと思いますが、これは今御質問の中にございましたように、衆議院議長の裁定によって各党協議ということが今行われているわけでございますから、政府としてはあの議長裁定の中身、あれに沿って各党協議が行われ、その結論が出されるであろうということを期待をしておるわけでございまして、今政府がしたがってどうこうするというような考え方を申し述べる段階ではございません。ただひたすらに結論を待ちたい、こう思っております。  いま一つの国会召集は一体どうなるんだ、こういうお話ですが、国会の召集はこれはまさに政府に属しておる権限の問題でございますが、御承知のように今急激な円高ドル安、それに伴う国内の経済情勢、さらにはまた我が国の急激にふえておる経常黒字の問題、それからくる諸外国からの日本の内需振興への大きな期待、こういったようなことを考えまして、従来にも例を見ないような臨時緊急の処置として、御承知のような一兆円超の減税を含む六兆円規模の緊急経済対策を決めたわけでございますが、その緊急経済対策のうち補正予算として国会の御承認をできる限りこういう客観情勢でございますから早急に仰がなければならないと私どもは考えるわけでございます。そういう意味合いから、前の国会も随分、冬ではありましたが暑い国会でございましたから、本当を言えばここらで、何といいますか、充電の時期としてお休みいただくのが礼儀かもしれませんが、しかし政治には瞬時の休みもない、これもまた事実でございましょう。そういうことでございますから、何とかできる限り早い時期に国会の召集をお願いをいたしたい、こう考えておるわけでございます。きょうお答えできるのはそこまででございます。  あと会期の問題は、これは政府が口にすべきことではございません。これは国会で各党の間で御協議を願って、これはもちろんこの臨時国会にどういう案件がかかるのかということによって、各党間の御協議が行われて会期が決定せられるものであろうということを私どもは期待をいたしておる、こういうことでございます。
  26. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 中身の問題はよくわかるんですが、どうなんですかね、私ども、六日、八日、十五日といろいろあると、いろいろ計画が立てづらいのね、率直に言って。正直言っていつごろこれは。私は総理が帰ったら大体決まるのじゃないかと思ってたけれども、いつごろなんですか。わかりまんか。言えませんか。どうです。
  27. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) できるだけ、先ほど言ったように、長いこと充電の時期をとっていただければいいんですけれども、そうもまいるまいと。ここはひとつやはり国民の要望にこたえて、できるだけひとつ早目に国会を開かしていただきたいと、お願いを申し上げたいと思います。
  28. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 どうぞ、もう結構です。  防衛庁にお伺いしますが、私が昨年九月に本委員会で自衛隊の事故の続出について質問をしましたが、引き続き事故が続いておるようでございますが、この一年間の状況はどうなっていますか。
  29. 依田智治

    説明員(依田智治君) 昨年の九月九日、当決算委員会におきまして先生の方から、最近事故が多発しているけれども、プロとしては信じられぬような事故だ、ひとつ防衛庁において対策を真剣に検討しろということで、当分その状況を見守るということでございました。  私の方としましては、その直前に設置いたしました航空関係事故防止対策委員会、これで過去に起きた自衛隊の航空関係事故等を総点検いたしまして、年末からこの春にかけまして各自衛隊において徹底した対策を実は講じておったわけでございますが、残念ながらことしに入りまして三月十三日に百里基地のF15が要撃対戦闘機戦闘訓練中に海中に没した。これは同原因が、当時の交信状況から、バーティゴという空間識失調と思われるという中間的な調査結果が出ておるわけですが、なお引き続き調査中でございます。それから四月十日に今度は三沢基地のF1が、これも要撃戦闘訓練中に突如海上に墜落した。パイロット一名死亡というような事故が実は起こっております。また引き続き五月八日、新田原基地でT2が、これも対戦闘機戦闘訓練中に突如エンジンから火が噴いたと思われるような状況が出まして、パイロット二名がもろとも海上に水没した。今、行方不明というような状況になっておるわけでございます。そんなことでございます。  また陸上におきましては、先般別な委員会でいろいろ質問等がございましたが、二百三ミリりゅう弾砲がこの三月に北海道の上富良野で演習場外に一発飛び出した。幸い木を二十本程度損傷する等で終わりましたが、これも状況によっては大変な事故であったということで、私どもとしては現在原因を徹底して究明いたしますとともに、この原因につきましてはやはり物的な面それから精神的な面、両面から根本的にひとつ原因を究明して、この種事故の絶滅を期するようにということで現在努力しておるところでございます。大体最近の事故の発生はこんな状況でございます。
  30. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 さっき時間があればと思ったんですけれども、このことについて後藤田長官が、大組織では小さなねじの緩みが事故の連鎖反応を招く、こういう類の記者会見で発言していますね。どうですかねこれは、栗原長官、こういう事故を厳重に調査して云々、こういうことを言ってますが、こう次々に事故が続くということは長官としてどういう認識をしていますか。
  31. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 今、政府委員からいろいろと事務的な話がございましたが、官房長官がねじが緩んでいるんじゃないか、こういうような発言を引用されましたが、いやしくもそういうようなことを言われることは大変よくないと思います。したがいまして、私といたしましては、事務的に詰めるものは詰めるということをやらせると同時に、私自身に緩みのないようにみずからを厳しく戒めて見守っておるというのが現状でございます。
  32. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これに対するこういう一連の事故、昨年の六月、九月、九月の場合には一、二、四、五と四日間連続して事故を起こしていますね、昨年の場合。こういったことに対して、小松基地でF4EJ戦闘機二機による追突事故に対しては機長、上司ら五名の処分、訓戒、口頭注意の処分をやったというのが今年の五月十日の段階で発表されておりますが、こういう処分の基準というのはどういうふうになっておるんですか。  同時にまた、一連のこの事故に対する原因究明も大事ですが、所要の処分というのはどういうふうにやられておるんですか。いかがでしょう。
  33. 三井康有

    説明員(三井康有君) お答えいたします。  各種事故につきましては、発生後速やかに事故調査を実施いたしております。これにつきましては、非常に公正かつ厳正に実施するわけでございますが、その結果、そこに人的過誤といったものが認められた場合、つまりその服務義務違反というものが認められました場合には、これに対しまして行政上の処分をするということにいたしております。その行政上の処分と申しますのは、その服務義務違反の内容に即しましてケース・バイ・ケースに行われるものでございます。
  34. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私が先ほど御報告いただきました事件、それから昨年の六月にF4戦闘機二機が燃料不足で墜落という事故。昨年の二月にC1輸送機の離陸の失敗で大破。九月一日、千歳空港のF15戦闘機の主脚折れ。同二日のT2練習機の墜落。同四日の百里基地のミサイル事故。同五日の救難捜索機のエンジントラブルの片肺着陸。最近のさっき御報告があった三沢基地の事故、こういろいろございますが、これらについては、その事故調査委員会の結果、人的過誤があったのかなかったのか。そしてそれに伴う措置というのはどういうふうにやられておるのか。いかがでしょう。
  35. 三井康有

    説明員(三井康有君) お答えいたします。  まず昨年の二月に起きましたそのC1の滑走路の逸脱事故でございますが、これにつきましては昨年六月二十三日に事故調査の結果を踏まえまして、機長に対しては停職五日、副操縦士に対しましては停職三日、その他機上整備員ですとか飛行隊長あるいは飛行班長それから輸送航空隊司令といった関係の者どもに対しまして訓戒ないし注意といった処分を実施いたしております。  それから次に、昨年の六月に起きましたファントムの墜落事故でございますけれども、これに対しましては、同年の九月二日に、二番機機長に対しては停職の二日、一番機機長に対しましては停職の一日、その他後部座席の搭乗パイロットを初めといたしまして関係の五空団の防衛部長あるいは二〇二飛行隊長あるいは三〇一飛行隊長その他管制関係の幹部要員、飛行班長ですとか飛行群司令といったおよそ十数名の者に対しまして減給を初め訓戒、口頭注意といった各般の処分を実施いたしております。  それから、先ほどお示しございました昨年の十一月に小松基地で起きましたファントムの追突事故でございますけれども、これに対しましては、本年の四月十日付をもちまして二番機の機長に対しては訓戒、一番機の機長に対しては口頭注意、その上司でございます飛行隊長及び飛行群司令、航空団司令といった者に対しましては、注意ないし口頭注意といった処分を実施いたしております。  それから、本年に入ってからの三月のF15の墜落事故、それから四月のF1の墜落事故、五月のT2の墜落事故といったものにつきましては、まだ事故調査の実施中でございまして、処分は実施いたしておりません。
  36. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私は長官ね、何も処分で事足りると思いません。しかしどこかに、この事故調査委員会、私はいたわけではございませんからね、こう次々と起こってくるということは、国民の目から見ると何か問題があるのじゃないか。どこに問題があるのか。そこら辺は内部だけの処理じゃなくて、やはり国民にわかるようにきちっと示していかなきゃいかぬのじゃないかというように思うんですが、いかがでしょう長官
  37. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 決して国民に隠すようなことはいたしているつもりございません。  それから、今のいろいろの御意見につきましては、十分参考に供したいと思います。
  38. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこで、五十九年度の決算検査の報告を読みますと、これは総理府も参っておるようでございますが、亡失・損傷の要処理という中で八百十五件、十四億二千万、六十年度で四百十九件、七億五千万。他省庁と比較するとずば抜けてこれが多いんですね。その理由は防衛庁ということにあるようでございますが、そこで総理府の中で防衛庁分の件数、金額、主要な要処理物品、これは明らかにできますか。総理府になるのですかね。これはできなければ後で結構ですから、私の方に、防衛庁関係五十九、六十年度の亡失・損傷の中身です、これをひとつぜひ欲しいと思いますので、よろしくお願いしておきたいと思います。ついでだから総務長官、ひとつそこはよく伝えておいてください。よろしくお願いしておきます。  そこで防衛庁にちょっとお聞きしますが、四月十七日の新聞によりますと、防衛庁が税金で購入した兵器や備品で壊したり失った損害額は三十三億に達して、全省庁のむだ遣いの六割を占めると報じられておるんですが、これはまず検査院に聞きましょう。検査院、この内容はどういうことなんですか。
  39. 志田和也

    説明員(志田和也君) お答えをいたします。  これは亡失した国有財産あるいは物品の価額の合計でございます。件数、金額でございます。検査院の方から報告をいたしておるものでございます。
  40. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは、数字は間違いないんですか。
  41. 志田和也

    説明員(志田和也君) ただいま手元にございませんが、間違いないというふうに、当時、承知をいたしております。
  42. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは防衛庁、どういう内容ですか。
  43. 鎌田吉郎

    説明員(鎌田吉郎君) 昭和六十年十一月から六十一年十月までの一年間の防衛庁関係の航空機事故等による会計検査院に報告いたしました亡失額でございますが、私どもの数字では約三十七億円ということになっております。
  44. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これも新聞によるんですが、損害額の大きいのは、航空機や訓練中の魚雷や標的などの墜落、紛失が多い点のようだと。魚雷の紛失とは何だろうということで調べてみますと、これは模型か何かみたいなものですね。それを訓練中にどこかに落として失ったということらしいですが、それが結構金額がかさむんですね。一発が二千七百五十万円というんですから大変な金額ですが、それは落としちゃったじゃ国民に対して済まぬような内容になっていますね。  こういう内容を調べてみますと、調達額との対比が大きく出てくるわけですね。物品管理法の三十二条に基づく報告書が検査院や大蔵大臣の方に提出されておると思うんですが、これは後ほどで結構ですが、資料としていただきたいと思いますが、そのこととあわせてどういう損害額の算定になっておるのか、防衛庁聞かしてくれませんか。
  45. 鎌田吉郎

    説明員(鎌田吉郎君) 国有財産でございます航空機及び艦船と一般の物品とでは扱いが違うわけでございますが、航空機及び艦船につきましては、取得当時の調達価格をベースにいたしまして、その後の経年変化等に起因いたします所要の減額を行って、国有財産上の価格の見直しを行っているわけでございますが、その見直した価格を報告しているということでございます。
  46. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 その見直しなんですが、だからそこら辺がちょっと聞きたいんですが、昨年一年間の中で墜落したビーチクラフト一機、ヘリコプター一機、F4ファントム二機、計四機の損害額が二十五億八千万というふうに出されておるわけです。これは、数字が正しいのかどうか後で聞かしてほしいんですけれども、その調達額が五十六億七千万、こういうふうになっておるんですが、これは検査院もこの検査をしておるわけでしょうが検査院に聞きましょうか、検査院として見て妥当だと思うんですか、いかがでしょう。
  47. 志田和也

    説明員(志田和也君) ただいま御答弁がございましたように、国有財産につきましては、取得原価を一定の方式によりまして経年減価をいたしまして、そして台帳金額というものを計算をいたしております。その台帳金額によって亡失金額が計算されている限りにおきましては、私ども特に問題はない、かように存じております。
  48. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 防衛庁などでは、墜落など事故に備えて一定の事故率で想定した予備機というものを調達して対処しておるというふうに私は聞いておったんですけれども、その価格の評価も配備機と変わらないというふうに、配備機と同じ予備機の評価額だというふうに聞いておったんですけれども、このような価格の評価をしておるところを見ますと、私はやっぱり損害額は調達額にすべきものじゃないかなというふうな感じがするんですが、これはどうでしょう、防衛庁と検査院の両方からお聞きしたいんですが、いかがでしょう。
  49. 鎌田吉郎

    説明員(鎌田吉郎君) 私ども国会等で御質問がございました場合には、便宜取得当時の調達価格で御答弁申し上げていることもあるわけでございます。  ただ、国有財産法上の取り扱いといたしましては、国有財産台帳の価格で評価するということになっておりまして、これは五年ごとに経年変化を考えて価格を見直す、こういう格好になっているわけでございます。  また、見直し方につきましては、大蔵省が決めた評価基準がございまして、自動的、機械的に出るような数字になっているわけでございます。会計検査院に対しては、その数字を報告をしているということでございます。  ただ、冒頭申し上げましたように、私ども国会等で御質問ございました場合には、国有財産台帳上の価格だけではなくて、取得当時の調達価格についても御答弁申し上げている次第でございます。
  50. 志田和也

    説明員(志田和也君) 評価の方法でございますから、先生のおっしゃるように時価で評価する方法もあろうかと思います。しかし、まあ現在そういう制度になってございますので、その制度を是とする限りは現在のような台帳価格で処理する方式はやむを得ないかと、かように存じております。
  51. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私なかなか腑に落ちませんけれども、まあいいでしょう。これまた大蔵との段階でも聞いてみましょう。  次に、防衛庁に対する会計検査院の検査方法、態勢についてお伺いしておきたいと思うんですが、六十年度の検査報告では、弾薬のむだ一億一千万を指摘していますね。そして改善させたと、こう書かれておりますが、これは正面装備では六年ぶりじゃなかったかと思うんですね。  最近、検査院では経済性、効率性の検査をかなり重視をしてやっておるわけですから当然なことなんですが、どうなんですかね、正面装備の検査の際には何か専門的であるために防衛庁側のガードがかたくてなかなか検査ができない、できがたい、一方的に防衛庁側の意見を聞かざるを得ない、こういうような歯がゆい面もあるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
  52. 志田和也

    説明員(志田和也君) 先般もこの点で御質問があったんでございますが、私どもといたしましては、防衛上の機密に関する事柄につきましても防衛庁の協力を得まして万全の検査を実施しております。  ただ、一般的に申し上げますと、会計検査というものは危険な箇所あるいは不愉快な箇所、不快な箇所、いろいろ検査には種々その対象対象によって困難を伴うわけでございまして、まあ秘密があるものとそうでないものとでは、やはり検査に当たってその難易度に差があるのは当然であろうかと思いますが、御懸念の防衛上の秘密に関して我々の検査の手が及ばないのではないかというようなことはございません。
  53. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いろいろ立ち入ってお聞きしたいと思っておったんですが、なかなか時間がございませんから、きょうはちょっと無理なような感じがします。  ただ私は、確かにそういう面もあろうと思いますけれども、やはり国税の使途の検査をあずかる検査院としては、聖域をつくってはいかぬと思うんですね。いかなるものに対してもきちっとやっていかなきゃいかぬと思う。その点はひとつ御苦労も多いと思いますが、適正な検査をきちっとやっていただくようにお願いをしておきたいと思うんです。  そこで、検査院が六十年度の検査の重点に自衛隊病院を置いていたができなかったと、こういう類の報道がされておるわけですね。病院は全国十六カ所でベッドの利用率が平均四〇%、舞鶴、那覇、横須賀は二〇%台、年間収入が七十億で経費の半分も貯えない、こういったような実態も同時に報道されておるわけでございますが、まずこれはひとつ防衛庁に聞きましょう。この実態は間違いございませんか。
  54. 古川武温

    説明員(古川武温君) 自衛隊病院の病床利用率が低いことに関連しての御質問でございます。自衛隊病院は一般職域病院とは異なった性格を有しており、有事における自衛隊の医療支援体制の核として必要であり、平素からその整備に努めているところであります。また、平時において医官を初めとする医療関係要員の医療技術の向上を図るための教育訓練の場でもあります。  そこで、御指摘の病床利用率が低いという点でございますが、ただいま数字がございましたが、ここのところ年々上昇しておりまして、昨年、平均して四五%でございます。防衛医大の方は八〇%を超えております。そこで、これまでの自衛隊における深刻な医官の不足や医療環境の変化により、隊員、家族の入院患者が減少したものと、こういうふうに考えておりますが、この医官の不足の問題については、その対策として防衛庁では昭和四十八年に防衛医科大学校を設置し、医官の養成に努め、現在まで八期生を卒業させており、昨年には専門の研修を終えた者も配置してございます。そういうことで充足率は六〇%になっており、今後利用率の上昇が図れるものと考えております。
  55. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなた、調子のいいところだけ言っちゃいかぬよ。私が聞きよるのは、舞鶴、那覇、横須賀が二〇%台というのは本当かと、こう聞いておるわけです。
  56. 古川武温

    説明員(古川武温君) 舞鶴、御指摘の那覇についてはそういう数字がございます。
  57. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 検査院はこれがどうして検査をきちっとしなかったんですか。何が支障があったんですか。
  58. 志田和也

    説明員(志田和也君) 新聞等に若干報道されたかと思いますが、私ども利用率の低いという点に着眼をいたしまして、検査を重点的に実施してきたわけでございますが、昨年防衛庁の方で内部で検討委員会を設けまして、同じような観点からこの見直しに着手をいたしております。つまり、今も御答弁がございましたように、病床利用率が低いということについて何らかの改善策が打ち出せないかということで内部で検討をされておりますので、いましばらくその推移を見守りたいということで、昨年度は私どもの方が結論を出すのを見送っております。
  59. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私が昨年取り上げた撚糸工連の事件も、検査院が指摘をして、そして一年間見守りたい、いましばらく見守りたいといっている間にあの事件が起こってきた。私はそれとここを一緒にはしませんけれども、しかし内部で検討するのは結構でしょう、当たり前のことです。しかし、それと同時に検査院は検査をきちっとやって国民にやっぱり明らかにしていくのが義務じゃないですか。そういう点では私はその姿勢はよろしくないと思うんですね。そこら辺はきちっとしていただきたいと思いますが、同時に、防衛庁のさっきの説明の中に一朝有事に際して云々ということがございましたね。だから、平素二〇%でも非効率でも結構なんだと、こういう論理が展開されるとすれば、内部検討委員会でやってみてもこれは私はらちが明かぬのじゃないかというような感じがしますがね。一朝有事というような事態がもし起こるとすれば、それは防衛庁の病院だけじゃ足りるものじゃありませんよ、率直に言って。そんなものじゃない。また、原爆その他核兵器などになれば、それこそ一朝有事、一朝のときはもうなくなっていますわね。そういう意味で僕はその姿勢はやっぱりよくない。いかにして国民の税金を使ってのありようというものを、きちんと正していくかという姿勢でなきゃいかぬと思うんですが、これはひとつ防衛庁長官、今後の姿勢にもかかわることですから、見解を承っておきたい。
  60. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 我が自衛隊の場合は絶えず一朝有事と、これは前提条件であります。その中でどうするか。ただ、御指摘のとおり稼働率が非常に低い、この点については十分に配慮せよと、そういう意味でございますれば、それは当然のことでございます。
  61. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ひとつ一朝有事ということを理由にして、だからどうでもいいじゃないかということでは困るということですから、そこら辺は今日本国というのは財政危機のときでもございますから、むちゃらやたらに防衛だけが聖域だということで使っていいというものじゃございませんし、そこら辺はひとつぜひ戒めていただいて、きちんと国民の声にこたえていただきたいと思うんですね。  山下長官質問しようと思っていろいろ用意したんですが、時間がございませんから一つだけお伺いしてお許しいただきたいと思いますが、玉置さんが生前に外務省の在外公館の検査とか、それから農協の検査とか農政改革とか金融資本とか、いろいろ矢継ぎ早に打ち上げましたね。そうして亡くなっちゃった。その後に就任して、あなたは就任の席で玉置路線を継承して断固としてやるという表明をなさったわけでございますが、この決意は変わりなく、そして今後とも具体的にどうやっていくのか。もしそこら辺がお答えできればいただいて終わりたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  62. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 私が総務長官を拝命しましたときから、この問題について私の決意を申し上げておりまして、その決意は変わっておりません。  そこで具体的に申し上げますと、農協というものは農業生産力のこれは増強、あるいはまた組合に対する奉仕ということが建前になっておりますので、そういう一つの趣旨に沿って農協というものが運営されているかということを、その実態を調査して、かつまた国や県がそのような指導を的確にやっているかということを現在監察をやっているところでございまして、本年の一月から県別にいたしまして二十六都府県、そしてまた現在農水省の本省の調査をやっているところでありまして、なるだけ早く、一日も早く結論を出しまして所要の勧告を行いたい、かように思っております。  さらに、在外公館につきまして、これは従来から行政機関の総合的な実態調査の一環としてやっているわけでございますけれども、現時点におきましては経済協力の行政監察に関連のある在外公館を主として今行っておるわけでございまして、これらの問題につきましても速やかに調査の結果をまとめまして改善意見を提示いたしたい、かように考えておる次第でございます。今後とも私の決意は変わっておりませんし、その趣旨に沿って私の責任においてこれらの業務を遂行してまいりたいと思っております。
  63. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いろいろ外務省やその他省庁の方にもおいでいただいたんですが、時間がございませんから、また来月二日に委員会があるようですから、その際に譲らしていただいて、きょうは質問をこれで終わります。
  64. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 主に三点質問をいたしますが、時間がありませんので、私もできるだけ要点を申し上げますので、率直に御回答をお願いしたいと思うんです。  防衛庁、第一点は北海道の陸上自衛隊上富良野演習場で、本年の三月九日午前九時五十分ごろ、射撃訓練中の二百三ミリりゅう弾砲弾が一発、演習場外に飛び出して炸裂する事故があったことが報道をされております。  この問題でございますが、今回の事故現場は事故発生から一カ月半近くたった四月二十二日になって国有林内を巡回中の営林署員が発見したのでありまして、この間、上富良野に駐屯する陸上自衛隊は一体どういう対応をしておったのか、これが第一点。  第二点は、事故発生から発見まで一カ月半も経過したのに加えて、発見から一カ月近くも経過した五月十八日になって陸上幕僚監部が全部隊に安全対策を指示したのにあわせて、ようやく七十日ぶりに状況を公表した。要するに事故隠してはないか、その意図があったのではないか、この点ですね。  この事故は人身事故にならなかったけれども、民家も三キロ先にはあって、道路も近くにあったわけでございますから、重ねてお尋ねしますが、公表がおくれた理由ですね、これをお聞きします。  以上です。
  65. 依田智治

    説明員(依田智治君) まず第一点は、三月九日に事故が発生してから四月二十二日、営林署で発見されて届けがあったその間、どういう措置をとっていたかということでございますが、まず三月九日は、四十四発、実は二百三ミリで撃ったわけでございますが、最初、六門の砲から各一発ずつ撃ったわけでございます。それで、それぞれ確認班等が確認しておりましたところ、そのうちの一発が六キロぐらいの弾着地点に落ちなかったようだということがわかりましたので、その場で直ちに訓練を中止しまして付近一体を捜索した。その場合、大隊長を初め観測班は、どうも一発は場内の北外れのところの雪の中に若干の白煙が上がったのでそっちの方に落ちた可能性ありと、また、原因を調べますと、白五号という七号よりちょっと小さく火薬を取って、その五号で撃つべきところを七号でどうも撃ってしまったという、白七号、そうすると、火薬が多いのでそれだけ多く行ってしまったわけであります。当日は、あとは全部緑のやつで撃ったわけでございますが、そんなことでどうも火薬の装薬を間違えたということがはっきりしまして、それで計算したところ場外に……
  66. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 時間ないから質問に答えてください。
  67. 依田智治

    説明員(依田智治君) はい。  そこで、そういうことで当日、雪もあったこともあり、二メートルくらいの積雪もありまして、周辺等に人のいた気配もないということで捜索を打ち切り、公表も人等に被害がなかったということで、原因もはっきりしないということで実は公表しなかったというのが第一点でございます。  それから、四月二十二日に発見してからはどうかという問題でございますが、これは直ちに営林署等と部隊で現場等を調査し、町長等にも話しまして対策を現地で講じておったわけでございますが、被害等も少なかったというようなことで、これはちょっと判断に非常に甘いところがあったと思うんですが、中央等に報告をしなかったということでございます。しかし、いろいろ内部で検討しましたところ、その後やはりこれは自分限りではまずい、全国規模の対策を講ずべきということで、五月に至って十六日に中央に報告がありましたので、私どもは聞きまして、すぐ長官に報告し、十八日に公表したということでございます。  そんなことで、現地の判断の甘さということが原因でございました。こういう点につきましては、各級段階、幕僚長等を通じまして厳重に指導しておるところでございます。
  68. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 本件については、こういうような事故が起こって七十日たって公に知らせるというような防衛庁のやり方ですね、いつかミサイルが落ちて誤射した内容についても非常におくれたですね。この点について、私時間ありませんからもう追及しませんが、やっぱり今後こういうことのないように対応していただきたいと思います。  次に防衛庁、防衛関係費の不用額を昭和五十九年、六十年、六十一年度にわたりましてお尋ねをいたします。
  69. 池田久克

    説明員(池田久克君) 決算時の不用でよろしいでございましょうか。
  70. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 はい、決算時。六十一年度は見込みですね。
  71. 池田久克

    説明員(池田久克君) 五十九年度につきましては四十九億三千二百万、六十年度が六十五億二千六百万、これが決算時の不用額でございます。  六十一年度の決算につきましては、先生御承知のとおり、予算決算及び会計令の規定がございまして七月三十一日をもって確定すると、こういう格好になっておりまして、今しかと不用額は幾らということを申し上げられる状況にないわけでございます。
  72. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 だから、私は大体の見通し、推測というのはつくと思います。ここは国会ですからね、そうかたくなに言わなくて、大体三百五十億なら三百五十億相当ぐらいなりそうだというのは、三月三十一日からもう三カ月たとうとしているんですからね、ちょっとだけでいいですからその見通しを言ってください。
  73. 池田久克

    説明員(池田久克君) 制度上は先ほど申し上げたとおりでございますが、今の段階で我々が予想しております六十一年度の不用見込み額は二百十億円程度が出るのではないかと一応見積もっておりますが、制度上は先ほど申し上げたとおりでございます。
  74. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 自民党の首脳が、これはまた新聞情報によりますが、六月の五日に、防衛費が国民総生産GNP比一%を突破することについて、決算時には一%内におさまるのではないかとの見通しを示したとの報道が出ております。ごらんになったと思いますが、この自民党首脳の見通しについて防衛庁の見解を承りたい。
  75. 池田久克

    説明員(池田久克君) 私、ちょっと聞き漏らしたかもしれませんが、それは六十一年度の決算でございますか。
  76. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 六十二年、予算の見通し。
  77. 池田久克

    説明員(池田久克君) 六十二年でございますか。  六十二年度につきましては、不用というものはいろんな要件で出てまいります。一つは執行の過程でまさに要らなくなるというものもありますし、為替の変動とか逆に油の値段がどう動くかとか、人件費の計算がどうなるか、これからずっとやっていきますので、先ほど六十一年度の決算もしかと申し上げられないという状況を御説明したんですけれども、六十二年度決算につきまして申し上げることはちょっとできませんし、また六十二年度の実績GNP、これは決算でございますから当然そのときはGNP実績見込みが前提になるんだろうと思いますけれども、これもまた何せ六十一年度の見通しが今出ておるような状況でございますから、ちょっとお答えしにくいわけでございます。
  78. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 じゃ、違う角度から聞きますが、自民党首脳が示した一%以内で六十二年度予算はおさまるだろうという根拠は、予算編成時の為替レートが一ドル百六十三円、今百四十五円ぐらいですね、これで約一割ぐらいの円高になっているということが一つと、それから売上税法案、これが廃案になりまして、ここで百十幾らですか、百十億ぐらいのものが不用になる。この二つのことを頭に置いていると思うんですが、この点はどうお考えですか。
  79. 池田久克

    説明員(池田久克君) まず第一に売上税の問題でございますけれども、大変恐縮でございますけれども政府といたしましては衆議院に設置された税制改革に関する協議の機関の結論を待っておるという状況でございますから、六十二年度について売上税計上額、売上税として計上した分は防衛費関係の中に九十三億ございますけれども、これが要らないということを申し上げられる状況にはございません。  それから外貨の問題でございますが、ドルにつきまして予算上は百六十三円で計上いたしまして、現在百四十四円、五円という段階だということは事実でございますけれども、これはまあ今後どうなりますか、年間を通じてのことはちょっとわかりませんことと、それから昨年来御説明申し上げておりますけれども、外貨建ての中には支出官レートでそのまま出すものもございますし、過去に契約したものを自後に詳細に精査して、その段階段階の材料の手だて等を、個々に支払い状況をチェックして精査するものもございますから、百六十三と百四十幾らとの差を総額に掛けて幾ら下がるという計算にはならないわけであります。これはもうかねがね申し上げでございます。したがいまして、まあ一般輸入が問題になるわけでありますけれども、これにつきましては、一円動けば二億円強のものが動くということは計算上言えるわけでございますけれども、それ以上に全体を百六十三円と百四十五円との比率で外貨建てが全部変わると、こういうふうにはなっていないわけでございます。  したがいまして、ちょっと六十二年度おさまるというわけには申し上げかねるわけであります。
  80. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 あのね、経理局長ね、素人みたいなことを言いなさるな。いいですか、売上税の問題が、じゃ今ごろから税制改革協議会や何かで議論をしたとしても、これは仮にどんな状況を想定しても、これは今度税金を払う方は少なくとも六カ月以内で税金を払うような体制というのはとれぬの、これは。いいですか、すぐ、ぱあっと、デパートにしてもどこにしてもそんな状況じゃないんだ。そういうことをしゃあしゃあとわかったようなことを、素人みたいなことを言いなさるな。  じゃ次に、武器調達の外貨関連購入経費の総額について、昭和六十二年度の予算時において総額は幾らになりますか、大体アバウトでいいです。できれば品目を挙げてください。
  81. 池田久克

    説明員(池田久克君) 全通貨で申し上げますと二千二百三十八億でございまして、そのうちドル建ての分が二千九十六億ございます。  それから個々の品目でございますけれども、これは非常に膨大な数にわたっておりまして、大きな単品を買うものもございますし、例えばE2Cのように大物を買うものもございます。C130ように買うものもございますし、あるいは国産品、例えばF15とかP3Cを買います際に、会社経由でドル建てで手当てする、こういうものはたくさん、部品等でございますので、ちょっと詳細に細部を申し上げるというわけにはまいらないわけでございます。
  82. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 為替レートが百六十三円から百四十五円になった場合と売上税の計上額を合わせたものが、六十二年度の不用額の大部分を占めるということは大体あなた理解できますか。
  83. 池田久克

    説明員(池田久克君) 為替の額につきまして、今後どういうふうに推移するか、これはまあちょっとわからないということを先ほど申し上げましたし、それから過去に契約したものを精算してどれだけ出るかということは、本当に精査してみなければわからないわけであります。  税金の問題は先ほど申し上げたとおりでございます。
  84. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 だから、私は先ほど最初に年次を追って不用額の総額を聞いたんですね。そうしますと、五十九年が四十九億、六十年が六十五億、そして六十一年の推定が今あなた二百十億と、こう言ったでしょう。だから、私が言った今やっぱり不用額の大宗を占めるものは為替レートの差、それと売上税、これは六十二年度の予算と決算を想定した場合にこれが大宗を占めるということは間違っていますか。
  85. 池田久克

    説明員(池田久克君) まあ仮定の話でございますけれども、為替が引き続きこういう状況が一年間を通じて継続し、また売上税の所要経費が計上する必要がないということになれば、お説のとおりでございます。
  86. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そこで大臣ね、為替は非常に見通しが難しいけれども、やっぱり今の状況というのはそう楽観できない厳しい状況です。私は、じゃ幾ら不用になるかというのはあなた方言いませんけれども、単純に計算して円高差益の分を自民党首脳が言ったとおりにならぬと、こう今答弁ありましたけれども、買い方の問題もあると思うんだ。やっぱり国の財政が非常に厳しいんだから、その分はぴしっぴしっとやっぱり買うべきだと思う。だから、そうしますと二千九十六億のドル建て分が大体百六十三円と今百四十五円ですから約一一%、これで掛けてみますと二百三十億、売上税分が百十六億、三百四十六億円ぐらいは防衛庁長官ですね、理論的に大体これは、国民に対してもこれは不用になると、今の予算はこう決めたけれども不用になるだろう、こういうことはアバウトではやっぱり言えると思うんですが、この点については大臣、見解はいかがでしょうか。
  87. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) まあこれ要するに予算執行上の問題でしてね、いろいろ円高がどう続くかという問題もあるし、それからGNPがどうなるか、あるいは人件費これからどうなるかというのがございますからね、正直言っていろいろのお考えあると思いますけれども政府としてはこの段階で確定的なことは言えないというのが実情でございます。
  88. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 防衛庁長官、答弁要りませんが、やっぱり、したがってそういう状況ですから、自民党首脳もそう言っているんだ。私も総括、この五十九年度の決算委員会が始まった八月の二十二日に少しこの辺の議論をいたしましたけれども、そういう状況なんですから、やっぱり一%以内におさまるような最大の努力をしていただきたいことを要請をして、次に移りたいと思います。  次に、中期防衛力整備計画について、これ時間がありませんからもう結論だけ、いろいろと用意をしているんですが、申しますと、十八兆四千億の中期防衛力整備計画の総額明示、このときの為替相場、円は二百三十七円を前提にしておった。そして今御答弁ありましたように、大体一年間でドル建てで二千億円ぐらい買っていると。これまたアバウトな話ですが、これはまあ単純に五倍して約一兆円、一兆円恐らく超えることになるだろう、いろいろ精査すると。低く見て一兆円といたしましても、これ私のあらましな、防衛庁は答弁中身要りませんから、まあ大体円がそうしますと三九%ぐらい上がった形になる、二百三十円から現在百四十五円を想定した場合。今日で十八兆四千億、十八兆四千億円というのは今国民の前にその額がひとり歩きしているんですよ。国会答弁でも総額明示をもう絶えず言っておりますし、国民も十八兆四千億円というのがひとり歩きをしている。しかし、実際は今の現時点で考えると、これは約四千億近く、三千九百億近く、アバウトの計算でいつでも、中期防衛力整備計画というのは実質はやっぱり大きく条件が変わっている、情勢が変わっている。こういう非常に大きな情勢変化があっているわけだ。これほど大きな情勢変化はない。二百三十七円が今百四十円ぐらいで四〇%も単純に計算しても変わっている。十八兆四千億円はひとり歩きしている。だから私はこの際、何回言っても前向きの答弁は出ないと思うんだけれども、十八兆四千億円という、大変大きな情勢変化でありますから、この部分だけ、為替相場に匹敵する部分だけ、石油は言いませんが、為替相場に匹敵する部分だけは、国民にこの辺については一応修正していく。また、先でその辺が変わることがあれば、こういうような大きな情勢の変化はないと思うんですが、この点について私は防衛庁に、しつこいんですが、重ねて要請したいと思うんですが、いかがでしょうか。
  89. 日吉章

    説明員(日吉章君) お答え申し上げます。  先生御案内のように物価は年々変動いたします。その中には為替レートも変動するわけでございますが、そういうふうな変動要素を捨象いたしまして中期的な経済計画なりあるいは事業計画を策定するというのが、物価の変動とか為替の変動によります変動要因によって実質的な計画が影響を受けないというメリットがございますので、そういう観点から中期防衛力整備計画も六十年度価格による十八兆四千億というふうにしているわけでございます。しかも、この十八兆四千億が今回六十一年度から五年間の一つの限度額になったわけでもございますから、その限度額の基準になります定点といいますかベースを固定的なものにしておく方が、よりその限度額を今後実績との関係で検証していく上で合理的かと思いますので、現時点におきまして為替レートが円が非常に高くなっているというゆえをもちまして、単にその点のみを一時点におきます修正をいたしますれば、むしろ五年間におきます六十年度価格、実質価格十八兆四千億がどれだけ実績におきまして達成されるかということの検証が難しくなるのではないか、かように考えております。
  90. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 もう僕はそんなことに固執すること自体がおかしいと思うんですよ。逆に二百三十七円が四〇%円が下がった場合は、これはいろいろ言ったって当たらざるを得ないでしょう、恐らく。逆に大変なインフレが来た場合には動かさざるを得ないでしょう、そう言っても。だから、私が言っているのは、国民の常識として、これはあなた、四割も円が上がって情勢がくるっと変わっているときに、額が今動いているんだから総額は、それは国民の頭の中に入っているんだから、これはやっぱりその部分だけは少なくとも今日考えなきゃいかぬのじゃないか。大臣いかがですか、それは。
  91. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) せっかくでございますけれども、計画というのはある程度固定して考えなきゃならぬと。そうなりますと、六十年度十八兆四千億という実質価格でやることがこれは適当じゃないかと思うんです。あとの防衛費の問題は年度年度に決めていきますから、そのときにいろいろの浮動要因というものを勘案をして防衛費がどの程度になるかということで示されますので、私どもはそれが今最善である、こう考えております。
  92. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 会計検査院に要請をしますけれども、どうも防衛庁、そういうところにこだわるところに私は信用ができぬのです、やることに。したがって、航空機その他の海外からの調達による物品等については円高による為替差益、価格低下が生じている、これらの点について、まあ十分にこれまで検査をやってこられたと思うんだけれども、これからも本当に真剣にこの点はやっていただきたいと思う、そのことを検査院に要請をします。決意だけでいいです。
  93. 志田和也

    説明員(志田和也君) ただいま先生のお話しのように、私どもも、円高差益がその部分が不急不要の物品の調達等に充てられて不経済事態になっているのではないか、そういうことの懸念は多少持っております。それで本年度も重点的に検査をいたしておりますので、御懸念のないようにお願いしたいと存じております。
  94. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 あと残した部分については総括の方でやらしていただきます。  一つだけ総括に繰り越しますことになると思うんですが、官房長官政府の専用機購入に関して私の意見も申し上げて一言だけ答弁をお願いしたいんですが、大体自民党の首脳官房長官、宮澤大蔵大臣が入って二機、一機百四十億円、二機二百八十億円買うような方針を決めたらしいんですが、この点と、それから、中曽根総理総理大臣になりまして四年半ぐらい、とにかくかつてこれまでの総理大臣に比べてはもう問題にならぬほど海外に出ていきまして首脳外交を展開をしまして、まあそれにかかわる経費も随分、結果は成果があったかなかったか、私は非常にマイナスで評価するところも多いんですが、十五億近く使っておるんです。十五億ぐらい使っておりますが、この飛行機を一機百四十億円で買ったその維持管理費というのは一体どのように内閣では考えておるのか。新聞の情報によりますと、二機で百億円は維持管理費は軽く突破するだろう、こう言っておる。私もいろいろ金利と減価償却とそれから人を想定しながら計算して、まあまあ辛抱する場合は一機当たり二十五億から三十億ぐらいでやれるんではないか。そうしますと二機で、私の計算でまあまあこれならやれると見て大体アバウトでございますが六十億ぐらい二機でかかる。そうすると、四年半ぐらいで総理が十五億ぐらい使った金が、一機で維持費だけで仮に三十億と私のアバウトな計算ですると六十億、新聞の情報によりますと百億というんだからこれは大変なむだ遣いでございまして、そんな金があるならエイズか何かの研究費か何かでぼんと持っていくか。あるいは日本の地震の予知費用に政府が出している金が約五十四、五億ですよ。これはあなた、こんなことで本当にいざというときは東海地震や何か、国民のためになって国民を救済することができるかどうかわかりません。もっともっと福祉やいろんなところに金は今の財政事情厳しいときだから使うことができると思うんです。だから、大体ピントが外れているんです。それは日本は平和憲法を持っておりますから、JALでもあるいは全日空でもちゃんと話をしてやりゃやれるじゃないですか。これまでやってきたじゃないですか。この点について官房長官、思いとどまっていただくように要請したいんですが、いかがでしょうか。
  95. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 実は最近の日本の国際収支、こういったような点から、我が国に対する市場の開放あるいは輸入の拡大、政府調達の拡大、あるいは基準・認証の簡素化、こういったいろんな要請が参っておるわけでございますが、それらを踏まえまして例のアクションプログラムをつくったわけでございます。そのアクションプログラムの中にやはり輸入の拡大、政府調達の拡大ということが入っておるわけでございますが、そういったことが一方にある。もう一点は、まあ梶原さんの御意見は、お金の勘定だけからいけば収支合わぬではないか、こういうお話でございますが、今日大体の国の首脳がお使いになっておるのはみんな政府専用機なんですね。それは何も体面だけではないんです。やはり日本の場合も首脳外交というものが頻繁に行われるようになり、私は官邸の中で留守番をしながら実際ははらはらしているわけですよ。それはしょっちゅう連絡をしなきゃならない。そのときにやはり飛行機との連絡というのは非常にあるわけですね。そういった各種の装備も備えた政府専用機というものは私はもはや必要な時期に来ていると。だから、お金だけでなしにひとつお考えいただきたいということが一つと、もう一点は、緊急事態のときに在外邦人の救出に使わなきゃならぬ場合があるんです。梶原さんのお話で日本航空あるいは全日空を使えと、こうおっしゃるんだけれども、素直に行ってくれるのやらくれないのやらなかなか正直言ってわからない場面があったことは事実でございます。そうしますと、一体日本という国は外国から見ますと、何かあったときは全部外国頼みではないのかといったような非難もあるんです。そこらも考えまして、総理大臣等の海外出張時に使用するし、同時にまた緊急時の在外邦人の救出といったような任務も持たせながら、何とかひとつ政府専用機を整備をしたいと。これ実は十数年前からの計画だったわけでございますが、いろんな事情で今日に至っておったんですが、先般の政府与党の話し合いの中で率直に言って私が口火を切ったわけでございます。これはこの際ぜひひとつやってくれ、銭換算だけの問題ではないよということで、大蔵大臣にぜひひとつ賛成してくれということで方針としては決定して、それじゃ検討しようということで、今検討中でございます。いずれ正式に決まればこれは当然補正予算の際なんかにまた皆様方からの厳しい御質問、御批判も承りたいと、今日はそういう段階でございますから、ぜひひとつ御理解をしておいていただきたいと、こう思います。
  96. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会
  97. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十九年度決算外二件を議題とし、内閣総理府本府、総務庁及び防衛庁決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  98. 永野茂門

    ○永野茂門君 最初にココム違反防止につきまして通産省に質問いたします。  東芝機械並びに伊藤忠商事が和光交易の仲介によって大型NC工作機械四台、さらには東芝機械は関連プログラムを対ソ輸出しまして、それが最近追及されておるところでありますけれども、この種ココム規制に対する違反は我が国を含む自由陣営の安全にとって極めて好ましくないものであるだけでなく、我が国の戦略物資輸出管理に対する内外の信頼関係を悪化させる重大な事案と考えられます。  そこで、最初にこのココム規制品目あるいはプログラムあるいは技術、そういうものは国際間においてどういうような手続で規定されてきておるか、また、それは公正に適正になされておるかということを承りたいと思います。
  99. 村田成二

    説明員(村田成二君) お答え申し上げます。  ココム、一般的には戦略物資輸出調整委員会と称せられておりますが、これは御存じのように国際条約あるいは国際協定に基づきます公式の国際機関ではございません。いわば自由主義諸国、参加国が今十六カ国でございますが、それが協調しまして共産圏諸国に対します物資あるいは技術の、特に戦略的な物資または技術の輸出に関しますコントロールをどうするかということを相談するという機関でございます。  それで、お尋ねの規制品目あるいは規制技術をどうやってきめておるかという点でございますが、ココムにおきましては原則としまして全会一致原則でございます。したがいまして、十六カ国全部が賛成しませんとリストは作成されない、こういうことになります。具体的には、ココムの定例委員会というのが随時外交ルートで行われておりますが、特に規制対象物資につきましては特別の専門家あるいは実務家ベースの、リストレビューと我々称しておりますが、そういった規制リストをつくりますための作業部会というものを適宜会議を開いて行っておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、そこで全会一致で決めたことを各国がそれぞれの国内法で実施する、こういうシステムになっているわけでございます。  ちなみに申し上げますと、こういった規制品目、リストの見直しといいますのは、五十九年までは三年置きぐらいに行っておったのでございますが、規制内容を合理化しよう、それをやはり適時適切に時宜に適したものにしていこう、こういうことで、六十年からは毎年リストの見直しを行う、こういうことになっております。
  100. 永野茂門

    ○永野茂門君 法規制は極めて安全保障にとって重要なことであるわけでありますけれども、したがいまして、各国の状況を見ますと、規制品目等を決定するに当たりましては、十分に外務あるいは国務あるいは商務、通産、そして国防関係、そういう関係当局が調整をしてこれについて決定にあずかっておる、こういうふうな状況にありますけれども、我が国においてはそういうふうな調整はなされておりますか。もちろん主務は通産省であることは承知しておりますが、我が国においてそういうような調整は今までなされておるかどうか、承ります。
  101. 村田成二

    説明員(村田成二君) 各国のこういったリストの検討に参加いたします担当部局、具体的にちょっと申し上げるわけにはいきませんが、一般的に申し上げますと、おっしゃったように国防省関係が参加しているところもあれば参加していないところもある、あるいは経済省が全面的に責任を持っているところもあるというふうにまちまちでございます。  我が国についてでございますが、我が国がこうしたパリの会合に、ココムの会合に参加いたします場合は外交ルートを通じて参加するということになっておりまして、外務省、通産省が共同してこれに当たる、こういうことになっております。  防衛庁につきましては、個々具体的なリストの検討に際しましては御相談を申し上げておりませんが、いずれにしましても、国内法制化いたします場合、これは特に貨物の輸出規制というのは輸出貿易管理令という政令で行われておりまして、この政令の協議というのは各省に全部御協議申し上げることになっておりまして、その段階で御相談申し上げる、こういうことになっております。
  102. 永野茂門

    ○永野茂門君 今後は防衛当局とも十分事前にその見解をまとめるように希望いたします。また、その件は、国内企業の安全保障観を高めるということについても、防衛庁の参画が、あるいは防衛庁意見を反映することが極めて重要であると思いますので、その点を希望しておきます。  次に、最近数年間における日本企業のココム違反、したがいまして外為法違反の状況は、この種の外為法違反の状況はどのような状況になっておりますか。  また、今回の東芝機械等の違反事案が発生するまでの、今までの我が国の審査チェック体制はどういうふうになっておりましたか、説明を願います。
  103. 村田成二

    説明員(村田成二君) ココム関係の外国為替及び外国貿易管理法違反の事例でございますが、ここ数年間では東芝機械の件を入れまして五件でございます。細かく申し上げるのは時間が長くなりますので簡単に申し上げますと、クリモトトレーディング、これが五十八年に東欧に違法輸出しておりまして、それから国際交易、これもやはり五十八年から六十年にかけまして東欧に違法輸出をしております。それからさらに東明貿易株式会社、これが五十九から六十一年にかけまして中国に対しまして違法輸出をしております。それから東明商事株式会社、これが六十年から六十一年にかけまして北朝鮮に違法輸出しております。それと東芝機械、以上五件でございます。  それからお尋ねの第二点の、どういう審査チェック体制であったかという点でございますが、輸出貿易管理令で輸出三大臣の承認を必要とするとされている貨物につきましては、二通りの方法がございますが、一つは正規の輸出承認を申請する手続というのがございます。それから、輸出承認を申請いたします前に、これが承認を要するものであるかどうかという予備審査的なチェックを通産省に依頼するという手続、これは非該当証明手続と言っておりますが、この二つがございまして、いずれもまず最初に通産省の物資担当の、あるいは産業所管担当の局の通商課というところがございますが、そこに申請がされます。その上で関係の課の稟議を経まして、その後で最終的に貿易局の輸出課というところに審査が上がってくると、こういう形になっております。
  104. 永野茂門

    ○永野茂門君 この種事案が数件既に発生をしておるということ、特に今回の東芝機械のケースにつきましては、新聞報道によりますと、ソ連の諜報機関の関与の疑いも持たれておりますが、我が国企業の安全保障観の確立について十分な対策が必要と考えられます。  また、さらに外国のこの種事案の発見の状況などを見ますと、違反防止には国際協力を十分する必要があるというふうに痛感されます。こういうような要素を含めまして、再発防止の見地から、まず、東芝機械等に対して今回の事案に対してどういうような措置をとられましたか。そしてまた、今後審査体制強化を含む再発防止抜本策はどのように考えておりますか、承ります。
  105. 村田成二

    説明員(村田成二君) まず、東芝機械等でございますが、まず違反行為があったときには法律に照らして厳正に対処するということが必要かと存じまして、御承知のように、公訴時効に係っていない部分につきましては司法当局、捜査当局に告発いたしましたし、それから、公訴時効に係っております部分につきましては行政処分を行ったわけでございます。もとよりそれだけで事足りるものではございませんで、東芝機械株式会社に対しましては、社内体制としてどのように今後こういった輸出関連法規をきちっと守っていけるような体制をつくるのかということで、社内体制を組み立てるように指示してございます。今検討中と聞いております。  それから、東芝機械のみならず、今回の事件を契機にいたしまして、産業界の約百五十団体に対しましてそれぞれ輸出関連法規をびしっと遵守して輸出行為を行うように、傘下企業に徹底させるということを指示してございます。  それから、お尋ねの今後の再発防止策でございますが、今申し上げました業界へ、産業界への徹底というものと含めまして、通産省自身もやはり、先ほどお答え申し上げました、各課によるチェック体制をさらに強化するということで省内に輸出審査委員会という、これは内部の組織でございますが、これを設けまして、一定の要件に該当します大型案件あるいは最先端分野の戦略物資あるいは技術の輸出行為につきましては再度合議制によってチェックする、こういう体制をしいてございます。  それから、先生御指摘のように、こういった問題につきましてはやはり国際的あるいは国内的にも情報交換というのが非常に重要でございまして、私どもとしましては、今後ともこうした違反事例が再発しませんように、なるべく早く予防的に防げるように情報交換は密にしていきたいと、このように考えておる次第でございます。
  106. 永野茂門

    ○永野茂門君 ココムによる戦略物資や技術の輸出管理をするということは、直接的には制限対象国の戦争能力の向上をさせないという、あるいは制限対象国との技術格差を維持拡大することによって効率的な戦争防止力を維持する、あるいは戦争抑止力を維持するために重要であります。また、間接的には制限対象国の軍事費節約に積極的には協力しないという意義を持つものでありまして、自由陣営の安全保障のためには極めて重要なものであると考えます。  したがいまして、ただいま挙げられましたような抜本的な防止策を強化されて、規制の趣旨を十分企業に理解徹底させ、再びこのような事案が発生しないようにしていただきたいと思います。  また、省内のあるいは政府部内の審査体制におきましても、あるいは専門官の配置というようなことが必要であるかとも考えられますので、そういうことも十分御検討を願いたいと思います。  以上をもってココム関係質問は終わらしていただきます。  次に、防衛庁関係に移らしていただきます。  先ほど午前中の委員会でも問題が提起されましたけれども、本年度初頭に、陸上自衛隊では上富良野演習場で装薬を誤まって使用したことによって場外誤射が発生いたしました。このような事故は、再発は決して許されるものではありません。これを考えますと、長射程火砲を短射程で射撃訓練するところに基本的な問題があるということを考えなければならないのではないかというふうに考えられます。もちろんそのほかの現状における事故防止策というのは、十分その対策はとられなければいけませんけれども、射場をいかにするかということ自体に問題をはらんでおる、こういうふうに考えられます。  あるいはまた、これも先ほどの午前中の委員会で指摘されましたけれども、航空自衛隊における最近の考えがたい操縦ミスと思われる事故が数例の比率からすると多発していると考えられますが、これももちろんいろんな原因があると思われますが、その一つとして、訓練空域との関連で基礎的な操縦訓練が必ずしも十分ではないというようなことも反省されておるというふうに聞いております。  事故防止だけを今申し上げておりますけれども、事故防止については、こういうことについて抜本的なことを考え直す必要もあります。それから、先ほど指摘がありましたようなもちろん信賞必罰ということ、責任体制をはっきりするということ、こういうことも極めて重要ではありますが、同時に、自衛官自身がはつらつとして士気旺盛に訓練に当たるということ自体が事故発生を少なくするというための基本的なものであります。そういう意味においても、射場でありますとか、演習場でありますとか、訓練空域でありますとか、そういうものを十分とは言えなくても必要最小限の状態に、所要の状態に保って喜んで訓練ができる、そしてそれによって戦える自衛隊、抑止力としての自衛力として練成ができるような状態をつくることが本質的に極めて大事であり、そしてまた、それは事故防止についても極めて重大である、こういうふうに考えます。  この観点から、まず射場について質問をいたします。  野戦火砲あるいはミサイル等の長射程化は実距離射撃訓練をますます困難にしてきております。また、対空ミサイルの近代化は射場及び目標機等の改善を要請していると考えられますが、現状はどうなっておりますか。  また、現状の不備な点ほどのように改善をしようとしておられますか、お伺いいたします。
  107. 依田智治

    説明員(依田智治君) 陸上自衛隊のりゅう弾砲等は年々射程等が伸びておるわけでございますが、現在大演習場と一部の中演習場を利用してやっておるのが実態でございます。現在逐次装備化が進んでおります。二百三ミリりゅう弾砲とか新百五十五ミリりゅう弾砲等は最大射程が大体三十キロということでございますが、現在我が国で最も長い射撃訓練ができるところは北海道矢臼別演習場、これは約十八キロでございますがここが最大の演習場、一カ所でございます。それからその次に撃てますのが東北の王城寺原、これが十一キロ、それからその他のところはほとんど九キロ以下、比較的大きい北富士等でも六キロというような程度でございます。それから対空火器、ミサイル等につきましてはさらに射程が長いものでございますが、現在三カ所の対空射場のうち短SAMとか携SAM、このあたりの射撃訓練は静内射撃場一カ所でしかできないというような状況でございまして、ナイキ、ホーク等につきましてはもちろん国内には射場はございません。こんなのが実態でございまして、現在これを克服する手段といたしましては、一つは長距離のものにつきましては先ほど三十キロのを十八キロ以内で撃つということで、これでもこのところ数年北方機動演習ということで北海道に各地の師団を夏等に派遣しまして、そこで薬量を多少調整していますが自分の付近で撃つよりははるかに長距離の訓練ができるということで、ここでまず比較的長規模の訓練をする。それからこの間の上富良野等でもちょっと装薬を間違えて申しわけなかったんですが、装薬量とか砲口射角等を加減して既存の小さいところで撃つ。しかしこれは距離は短くても装薬計算等きちっとやってあれば十分射程の長い場合にも正確に対応できるということでございまして、そういう面の訓練。それから実際に実弾等を使わなくても、最近シミュレーターが非常に発達しておりますのでシミュレーターによる射撃訓練というのをやっておりますし、なおミサイルとかホーク、ナイキ等につきましては米国に派遣して訓練をしておるというような実態でございます。  我々としては今申し上げましたような四つの訓練、四つの主なパターンを多角的に使いまして練度の向上というものに努めてまいりたいと考えて努力しておるところでございます。
  108. 永野茂門

    ○永野茂門君 実弾射撃でありますとか例えば少なくとも二十キロ以上の射撃をしなきゃいけないものについて、五キロでありますとか六キロでありますとかそういう射撃訓練をするということは、射撃の勘が非常に違うわけですね。それから観測の要領も全然違うわけですね。したがいまして、例えば先ほど北海道矢臼別の演習場に西部方面、九州からでありますとかあるいは中国、関西から何年に一回か二年に一回か、現在どうなっておるか知りませんけれども、そういうことをやった場合に、九州の部隊あるいは四国の部隊あるいは中国の部隊というのは行った当初なかなか射撃がうまくいかないんです。実距離射撃というのはそういうことで非常に必要なわけでありまして、ミサイルにおいてさえも、つまりほとんど電子的に任せていいような兵器についても、いわゆる年次射撃と称して実射をやらなければいけない。それによって実際のいろんな感覚を会得するということになるわけでありまして、全く一〇〇%シミュレーターに依存するというようなことは、訓練練度の維持上は大変に問題があると考えなければならないわけです。したがいまして、もっと国内において射場を探すということについても努力をお願いをしたいと思います。と同時にナイキでありますとかホークでありますとかそういう対空ミサイルについて、アメリカにおける年次射撃をやるということになっておりますが、同様の考え方をもはや三十キロ以上飛ぶような兵器体系についてはそういう訓練をまじめに検討しなきゃいけないのじゃないか。例えばハワイのハワイ島、ハワイ島の射場あたりは比較的近くて使えるのではないか。もちろん私は具体的に検討したわけではありませんが、例えばそういうことについても十分検討をして、どうしても実距離射撃でなければ会得できないようなそういうものを十分演練できるように、それによって何度も繰り返しますけれども本当の力になる、本当に力になること自体が抑止力であり戦争防止力であって、そうでなければ張り子のトラということになってしまうと思うんであります。その付近についてよく御検討をお願いしたいと思います。あるいはまた山越え射撃等も十分に管理した射撃を行えばあるいは十分に準備された射撃を行えば、極めて安全な射撃であると評価されておるものであります、外国では。したがいまして、これについても十分な検討を加えていただきたいとこういうふうに思います。  その次は航空関係についてお伺いいたしますけれども、訓練空域は面積において所要の約二分の一、そしてまた基地から遠いために訓練効率が余りよくないという結果が出ておりますし、空対地のミサイルあるいはロケット等の射場は北の方に、北部に偏在をしておって地積的にも不十分である。また空対空射場は極めて狭隘であって射場内の海域の安全についても早急な考慮あるいは早急な対策が必要であると見られますが、これについても現状と今後の改善策を御説明お願いいたします。
  109. 依田智治

    説明員(依田智治君) 訓練空域につきましては現在高高度の訓練空域というのが全国で十四カ所、それから低高度訓練空域九カ所、超音速訓練空域というのが一カ所、計二十四カ所ございまして、その総面積で二十四万平米というところでございます。ただ先生ただいま御指摘のように、全般的に今超音速で相当スピードの速い航空機等がある関係上、すぐ訓練空域から出るというような問題もありまして広さも必ずしも十分でない。それから超音速飛行などの航空機の性能や特性に十分マッチした、いろんな騒音等の関係もございまして訓練ができないというような制約が実はございます。それから例えば沖縄とかそういうところで訓練空域まで行くのに大体燃料のうちの半分ぐらいは使っちゃう。したがって行って帰るのに長時間を要するというような、大体平均的には七割程度が訓練できて、三〇%ぐらいが訓練空域に行くのに消費するというような感じでございますが、そんなような状況になっておるわけでございます。このために対策としましては私ども一つは先ほど陸上で申し上げましたようなシミュレーターによってあらゆる状況を想定した訓練をする。これは大分発達してきておりまして、これを大いに活用する。それから演習にどうしても必要な場合には地元等にもお願いし臨時の訓練空域を設定するというような問題。それからあと一つどうしても本土等では非常に狭くいろんな民航機等も錯綜している関係もございますので、昨年の九月二十五日に新たに硫黄島に訓練空域、S空域を実は設定させていただいたわけでございます。これによりまして相当高度な訓練ができる。これまで既存の空域の半分ぐらいに当たる比較的広大な空域が設定できましたので、ここによって、そこに行くまでが結構遠いわけでございますが、しかし今の戦闘機等の状況では十分往復可能ということでございますので、そこで集中的な訓練を実施しているというのが現状でございます。  また、空対地、空対空射場というような問題につきましても、空対地では島松とか天ケ森、この二カ所しか実はございません。それで、これも先生御指摘のように北部に位置しておりまして、地積的にも不十分であるというような点でございますが、今後いろんな面で訓練を計画的、効率的に実施するように努力していきたいというふうに考えておるわけでございます。また、空対空射撃につきましては現在十三カ所の対空射場がございますが、訓練内容に応じましては必要に応じて臨時の射場を設定する等して努力しておるところでございます。こういう点につきましても、我が国の場合はまだ四面が海に囲まれているというようなことで、ヨーロッパ等の例えばちょっと出ればよその国へ行くというのよりはまだまだいい面があるという面もございます。それで、余りぜいたくなことも言っておれませんので、現在ある中でいかに効率的な訓練をするかということで努力していきたいと考えておるわけでございます。  なお、安全面につきましても、特に空対空のような場合には公海上で実施するということになりますと、船舶等の航行というのは自由になされており、これを制限するというなかなか難しい問題がございますので、レーダー等により安全を確認して十分に安全対策を講じた上で訓練を実施するという措置を講じておるわけでございます。先般告示方法等も改正し、その点の万全を期するということで努力しておるところでございます。  現状と対策を以上で御説明させていただきました。
  110. 永野茂門

    ○永野茂門君 航空機の訓練でありますとか、あるいはミサイルの訓練というのは、先ほどもちょっと触れましたけれども、シミュレーター訓練の効率はいわゆる野戦砲でありますとか迫撃砲でありますとか、そういうものに比べると機械あるいは電子的に依存している率が高いがゆえに、効率はかなり高いものがあると思います。したがって、シミュレーターの利用についてはますます御努力を願いたいと思いますが、やはり抜本的には広い空域を確保して、ちゃんとした空対空あるいは空対艦、空対地の訓練ができるようにすることが大事だと思います。その意味において硫黄島のS空域というのはかなりほかの空域に比べますと、いわば防衛庁が頑張って空域をいただいたという状態にあると思いますが、さらに硫黄島の地上の設備を拡大をし、そしてまた空域についても拡大を検討していただいて、より効率的にやっていただくようにしていただきたいと思います。  なお、かつてドイツがやっているように戦闘機の訓練あるいはミサイルの訓練を米国においてやるというようなことが検討されたことがありますが、そしてそのときの結論としては、やはり金がかかり過ぎるということでこの案は成立しなかったわけですが、その後現段階になりますと大変にやはり訓練効率が悪いということとの関連において、訓練効率を上げるためには若干の金がかかることは、シミュレーター等で金がかからないように一生懸命やるという努力も必要ですけれども、一方で実際的な訓練という観点から再検討する価値があるのではないか、こういうふうに考えられますが、その後再検討されたことはございますか。承ります。
  111. 依田智治

    説明員(依田智治君) 先生御指摘のように、西独空軍ではテキサスとかカリフォルニアに米国の空軍基地を借用しまして、常設的に教育隊等を置いてF4とかT37等の操縦教育等を実施しておるというような事実がございます。我が国でも五十三、四年ころこの問題について検討したようでございますが、どうも相当にコストがかかるというようなこともございまして取りやめたという状況でございます。  その後、私どもとしてはそういうコスト高というようなこともございますので、何とか国内でもうちょっと高度の訓練ができないかというようなことで、やっと去年の九月にただいま申し上げましたS空域、硫黄島に設定できましたので、まだ設定したばかりでございますので、これをもう少し充実強化しつつ、ここで高度な訓練ができるようにというようなことでまずやっていくのが重要ではないか。外国で訓練するというところは現在のところ検討しておりません。当面硫黄島における訓練をいかに効率的にやるかという点に集中しておるという状況でございます。
  112. 永野茂門

    ○永野茂門君 次は、陸上自衛隊の一般演習について承りたいと思いますが、陸上自衛隊の演習場は現在の部隊の運用範囲に比べますと非常に狭くて、師団規模の実動の演習はできないと、こういう状況にあります。実動の演習ができないということは、例えば部隊を動かした場合に、こういうものにどのくらいの時間がかかるのであるとか、あるいはどのくらいの距離にわたるのであるとか、そういう感覚というのはなかなか師団の若い幕僚に習得させにくいところがあります。この欠点は日米の共同演習などをやってみて明瞭に出ておると思います。  そこで、この狭い演習場という条件の中で、こういう比較的大きな部隊を運用するための実際的な感覚を演練するには、どういう工夫をしておりますか。あるいは、今後しようとしておりますか。承ります。
  113. 依田智治

    説明員(依田智治君) 先ほどお答え申し上げましたように、一番大きいのが北海道矢臼別でございまして、これが師団規模で演習できる唯一のところというような状況でございます。五十七年以降北方機動演習というようなことで、それぞれ向こうへ行って、あそこで師団規模の実際の感覚を身につける訓練をするというようにやっておるわけでございます。  しかし、毎たび遠くに行くというわけにいきませんので、狭いところで創意工夫を凝らしつつ、実戦的な感じを出して訓練するということで努力しておるわけでございますが、その一つとしましては師団指揮所演習ということで、これは指揮所を設置して師団を動かしていることを想定して、図上により実際の部隊をどういう場合にはどう動かすかということで、指揮所演習をするという形での幹部の指揮能力の向上とかいう形で努力しておるのが実態でございます。  また、それぞれの段階に応じまして、図上訓練、図工作戦というようなことで、図面を使って実際の兵の動かし方とかその他作戦をやる。  それから、図上だけでは現地の感覚が出ませんので、図上でいろいろ想定したものを、今度は現地へ出ていって、このポイントで想定したが果たして高低とかその他場所的に適当かというようなことで、そういう現地で確認して、改めて図上訓練の結果を検証するというような意味での現地作戦、こういうもの。  それから、さらには戦史の研究というようなことで、過去の戦史等その他からいろいろ教訓を導き出すというような形で工夫しましてやっておるような状況でございます。  狭いところでも工夫すれば何とかいざ広い場合にも十分な行動ができるのではないかということで、一応やっているのが実態でございます。
  114. 永野茂門

    ○永野茂門君 実際に図上演習でありますとか、あるいは今言われました指揮所演習等ではつかめないものが非常に多いわけでありますが、さらに実動演習をやることによっていろんな感覚がつかめるということを申しましたけれども、しかしこれも陸上自衛隊同士の演習でそういう感覚は、本当の感覚はつかめないし、また師団の編成、装備、あるいはもっと列国の軍備の変化によって、それに対してどういうふうな感覚を持つか、物差しを持つかというようなことにつきましては、実動演習でも必ずしも十分でないと思われるわけでありまして、これらを補うということも考えますと、一歩進めて例えば近くでチームスピリット演習が韓国では毎年一度行われておりますし、NATOあたりでも毎年大演習が行われる、あるいはワルシャワ条約機構側においても行われて、たまには自由陣営側からの観戦を許すというようなこともあるわけですから、今陸上自衛隊を例に挙げておりますけれども、これは別に陸上自衛隊だけではなくて陸海空自衛隊、それから防衛庁の職員の方々もぜひこういうものを観戦する、あるいは観察することによって戦場の実相、したがってそれから類推されていく、非常に距離があるわけでありますけれども戦争防止のあり方、兵力引き離しのあり方であるとか、そういうことについて見解を持つように努力していただきたい、こういうふうに思います。  もう一つ質問を考えておりましたが、範囲はこの程度にとどめまして、訓練関係につきましては以上をもって質問を終わらせていただきます。  次に、長官の訪中につきまして質問をさしていただきたいと思います。  長官は五月末から六月上旬にわたって中国を訪問され、先ほども御答弁ありましたように万里副首相あるいは張愛萍国防部表、楊得志総参謀長、その他要人と会見されて、率直な意見を交換されたと伺っております。そして、新聞報道などによりますと、長官の御努力によりまして中国政府首脳は日米安保体制を含む日本の防衛政策について十分な理解を示すようになったと理解いたします。  これも午前中に佐藤委員の方からの御質問がありまして、それについて中国側理解の仕方についてある一面をお示しいただきましたけれども中国側との意見交換ないしは理解促進の段階において、私は日本が自衛に徹しておるということ、そして先ほど長官がおっしゃられましたような必要最小限の防衛力を保持するのであるということ、こういうことを理解させることはもちろん極めて重要なことであり、十分目的を達成されたということは午前中にわかりましたけれども、さらに日本の防衛力自体がアジア全体、あるいはさらにしたがって世界全体の安定に寄与する重要な力をなし、日本を防衛すること自体がそういうことであり、そしてまたそれが戦争を抑止する力になっておるんだということ。したがいまして、それの根底になりますところの日本側の脅威の認識等についても中国側に十分御説明いただいて理解をさせた、こういうふうに推察いたしますが、いかがでございましふうか。
  115. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 午前中申し上げたことに尽きるわけでございますけれども、非常に率直にかつ突っ込んでやりとりがありましたし、軍事大国というのは一体どういうことか、定義から決めてかかろうというようなことでやって、それに対する答えというのは自分の国を守るのは当然だ、一定の防衛力は当然必要である、必要最小限のものは必要だということと同時に、日米安保もそうだということでございまして、こちらが一%に触れたにもかかわらずそれには全然触れない。万里副首相の場合もまた同じでございます。第一私を中国側が七日間にわたって歓迎をしてくれたことは事実。これがもし日本の防衛力について非常な不安があるということならば私を招くはずがない。ですから、諸般の事情から見て私は今十分な理解、十分というとこれはちょっと余計かもしれぬな、理解は得られたと思いますね。十分であるかどうかまで立ち入りませんが、私は理解は得られたと。だから人民日報でも、日本の防衛政策について理解を深めた、そういう記事になっていると思います。  なお、参考までに申し上げますと、私が北京を立つときに向こうの張部長が夫妻で私どもの迎賓館まで見送りになりましたよ。その際に話したことでございますけれども、私どもは非常に率直にいろいろ話をしたと。しかしこれは後ろ向きでなしに、長期に向かって日中の友好、そういうものを念頭に置いて話したんだと、前向きの話として受けとめてもらいたい。それから、ともに祖国の防衛のために最善を尽くしましょう、これが張部長の私に対するせんべつの言葉ですから、これには中国政府が我が国に対して非常に友好的に対応している、何よりもそうだ、これ以上おかしなことを疑問を挟む余地は一つもない、これが私の実感であります。
  116. 永野茂門

    ○永野茂門君 まことに結構であり、御努力に敬意を表したいと思います。  日中間の相互理解あるいは信頼の向上というものはアジアの安定、世界の安全保障にとって極めて重要でありますので、今後とも両国の防衛関係者の交流を拡大して謙虚かつ率直、私は率直に力を入れたいと思いますが、率直な対話を重ねることが極めて重要であると思いますが、この件について長官の御見解をぜひお願いいたします。
  117. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 友好的に率直に話をすることですね。私は基本的な態度は過去の中国に対する我が国の態度、これについてはやはり反省しなきゃならぬ、これが基本であります。日中共同宣言、日中平和友好条約、それを基本として話をする。体制の違いがあるということでございますから、向こうの気持ちもこちらの方としてできるだけこういう気持ちで言っているんだなということはこれはそしゃくしなきゃならぬ。ただ同時に、我が国の方の事情も相手方にわかってもらう、この努力をしなきゃならぬ。そのためには謙虚な気持ちで率直に話をするということはいいことですね。向こうの方に迎合するんじゃない、向こうの言うことについてなるほどなと思うことがある、そうだろうなと、これはもうよく考えなきゃならぬ。しかし同時に、こちらの方を理解させるという意味で率直な話し合い、これをやらなきゃいかぬと思いますね。
  118. 永野茂門

    ○永野茂門君 長官ありがとうございました。  次に、ペルシャ湾情勢について外務省に承りたいと思います。  ペルシャ湾の湾岸地域は、我が国の五〇%以上、五十数%を初めとして自由陣営諸国の石油依存度が高い地域であります。しかるに、そのイラン・イラク戦争のゆえに多くの第三国船舶、我々の船舶が攻撃を受け、その上に米ソなどの諸大国が軍事プレゼンスや公約を強化しておりまして、この地域の安定化について特別の配慮を要するようになってきておると思われます。今回のサミットにおいてもイラン・イラク戦争の終結に対する国際的な努力、それからペルシャ湾航行の自由並びにホルムズ海峡経由の石油の自由な流れと通航の確保について声明が出されました。  そこで、まず第一にペルシャ湾及びその周辺における米、英、仏、ソなどの軍事的プレゼンスはどうなっており、これら諸国と湾岸諸国との間にどういうような同盟関係その他の軍事的な公約がなされておりますか。承ります。
  119. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) 艦船の配置につきましては、各国政府ともこれを政府が公表ないしは確認するということを行っておりませんので、詳しいことを確認的に申し上げることはできませんけれども、おっしゃいました米、英、仏、ソ連の四カ国、これはいずれもそれぞれ数隻の艦船をペルシャ湾地域に正規に派遣しているということのようでございます。  また、これらの国と湾岸諸国との軍事公約でございますけれども、オマーンと米国の間には有事の際の軍事施設の利用を認める協定が締結されていると承知しておりますけれども、そのほかに米国とほかの湾岸諸国との間にどのような軍事的な約束があるのか、その辺の詳細な実態は承知しておりません。
  120. 永野茂門

    ○永野茂門君 いずれにしろ大国の軍事的プレゼンスと断固たる態度は、同海域での航行の自由あるいは石油の流れの自由を確保するというために重要でありますけれども、同時に大国が過度に反応するということはエスカレーションをもたらす、あるいは軍事的対決と言った方がいいかと思いますけれども、大国を含む軍事的対決への道を歩むことになるおそれなしとしないと見られますので、したがいまして慎重な対応を必要とすると思われ、特に日本はその付近において手綱を締める役をやらなきゃいけないんじゃないか、こういうふうに考えられますけれども、御見解はいかがでございますか。
  121. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) 米国は従来からこの水域に海軍の艦船を派遣しておりまして、これはアメリカの国籍の商船を保護するということの目的にとどまらず、やはりこの地域全体の安定を確保するということを目的としているわけでございまして、日本といたしましてもこういった米国の努力に対してはこれを評価している次第でございます。  ただ、御指摘のありましたとおり、同時にこうした大国を含めた各国の艦船のプレゼンスがあるということは、これが過度な反応を行った場合にはエスカレーションにつながるという危険はもとよりあるわけでございまして、イラン、イラクのこの紛争当事国を含めましてその他の大国、この湾内に軍事的なプレゼンスを持っております大国が十分冷静な対応をすることが非常に重要であると考えておりまして、関係国の慎重な対応を我が国としても期待いたしたいと思います。
  122. 永野茂門

    ○永野茂門君 この地域の安定、特にペルシャ湾での航行の自由でありますとか、あるいはホルムズ海峡の自由というようなことは、我が国の資源安全保障に直接関係があるものでありまして、憲法その他安全保障政策上我が国はいろいろといわば制約をみずからしておるわけですが、その制約の範囲内においても何らかの国際的な役割分担が当然であり、しかも可能である、こういうふうに考えられますが、御見解はいかがでございますか。
  123. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) 御指摘のとおり、我が国は石油の半分以上をこのペルシャ湾岸地域から輸入しておりまして、この地域は我が国の資源安全保障にとって極めて重要な地域でございます。そういう見地から我々としましてもこの地域の安定、それから航行の安全ということには非常に大きな関心を持っているわけでありまして、また最大の受益国の一つであるということ、あるいは国際社会における非常に責任の重い立場にある国であるということを踏まえて、非軍事的分野を中心といたしましてこの地域の安定のために、あるいは航行の安全のために応分の役割を果たしていくというのが政府の従来からの方針でございます。特に日本の場合はこの紛争の当事国でありますイラン、イラク双方と従来から極めて友好的な太いパイプを持っている国でございまして、こうした我が国にとっての大きなアセットを利用いたしまして両国に紛争解決へ向けての努力、あるいは船舶攻撃についての自制等を積極的に求める外交を展開してきたわけでございまして、今回倉成外務大臣がイランを訪問されたのもこういう努力の一環として行かれたわけでございます。今後もこうした努力は続けていくわけでございますし、あるいはこういった両当事国への働きかけに加えまして、国連安保理等においても理事国の一国として積極的に作業に参加していくつもりでございますし、また戦争が終結するようなことになれば、その段階でまたこの地域の当事国でありますイラン、イラク両国の戦後の復興、あるいは戦後のこの湾岸地域の安定のための秩序づくりに日本としても積極的な貢献をしていきたいと考えております。
  124. 永野茂門

    ○永野茂門君 我が国の果たし得る役割についての御見解につきましてはまことに同意でありまして、そのようにやっていただきたいと思います。  特に我が国は物理的なといいますか、軍事的な力を使うことはできませんので、したがいまして力としては経済力を使う、あるいはイ・イ両国とのパイプを持っているということを使うということが極めて重要かと思います。  最後に、抜本策としてイ・イ戦争の終戦が最良と考えられますけれども、現在の情勢でその見通しをどういうふうに見ますか。そしてどのような条件を醸成すればその終戦を可能に持っていくことができると思われますか。そして倉成外務大臣がごく最近訪問していろいろと御努力なさったことは新聞に報道されておりますが、その成果を踏まえて今後我が国の努力は今おっしゃったこと以上に何か考えられることがありますか。承ります。
  125. 久米邦貞

    説明員(久米邦貞君) まずイラン・イラク紛争の現状と終結の見通してございますけれども、現状におきましては軍事的には両国とも、多少の動きはございますけれども基本的には膠着状態にございまして、いずれか一方の国が軍事的に勝利をおさめるというような状況にはないのではないかと思います。  他方、和平への動きにつきましては、現在のところイラン、イラク双方の立場の隔たりというのが非常にまだ大きなものがございまして、近い将来にその紛争解決へ向けて早急な進展、これは全くあり得ないということではございませんけれども、が大いに期待し得るというような状況には現在ないわけでございます。特に我が国も二、三年前からこの紛争を段階的に解決していこうということで、できるところから和平のための、戦争を事実上終結するような取り決めを双方の間に結んで、それを積み重ねることによって、事実上和平に到達するという段階的なアプローチを提唱してきたわけでございますけれども、イラク側はこうした部分的なアプローチは受け入れられないということで、最近は紛争全体の早期終結を求めるという姿勢を非常に強くしておりまして、こういった部分的な解決ということも非常に難しくなってきております。  ただ、先ほども申し上げましたとおり、我が国はイラン、イラク双方と非常に太いパイプがあるわけでございまして、特にイラン側とは太い対話のチャンネルを持っております数少ない西側の国でございまして、今般の倉成大臣の訪問におきましても、この結果、直接イラン側から姿勢の変化を引き出すということには至らなかったわけでございますけれども、この紛争の早期終結を求めるという国際社会の声をやはり日本から直接イラン政府の上層部に伝えることができたということで、それなりに有益な点があったのではないかと思います。今後も我が国の独自のこういう立場を利用いたしまして、積極的な外交活動を展開していくことが重要かと思います。
  126. 永野茂門

    ○永野茂門君 時間が参りましたので、これで質問は終わらせていただきますが、ペルシャ湾地域の安定についての我が国の役割は極めて重大だと思いますので、十分な御努力をお願いいたします。
  127. 及川順郎

    ○及川順郎君 初めに、五十九年度決算に関しまして、防衛庁予算の不用額についてお尋ねしたいわけですが、本年の二月に防衛庁から国会に提出されました不用額の内訳資料、ここにございますけれども、五十九年度は六十億七千七百万円、六十年度が九十六億一千七百万円となっているわけですね。ところが、大蔵省から提出された決算の説明によりますと、防衛本庁の本庁分としては、不用額につきましては五十九年度が二十億一千六百九十六万円、六十年度が二十三億三千九百十五万円と、この不用額の明示に極めて差があるわけです。これは恐らく予算ベース、決算ベースによる積算の相違じゃないかと見られるんですけれども、まず初めにこの点を明確にしていただきたいと思います。
  128. 池田久克

    説明員(池田久克君) 先ほど委員会に提出しております資料の五十九年、六十年、それぞれ不用額が六十億、九十六億、これは防衛本庁、施設庁その他すべてのものについての防衛本庁の不用額でございます。  それで二十九億、四十一億というお話でございましたでしょうか。これは多分その中の補正、それぞれの年度で補正した数字が五十九年度は二十九億三千五百万、それから六十年度は四十一億八千九百万、こういうことになっておるんではないかと思われますが。
  129. 及川順郎

    ○及川順郎君 そういう状況であればこの下に、ほかの資料ではここへ注意書がちゃんと記載されている部分もあるわけですね、修正減額分、減少額分、補正等によってですね、やはりこれは記載すべきじゃないかと思いますが、どうですか。
  130. 池田久克

    説明員(池田久克君) そのとおりでございまして、資料が簡潔にし過ぎた嫌いがあるようでございます。
  131. 及川順郎

    ○及川順郎君 これからぜひその点明確にお願いしたいと思います。  もう一点は、会計検査院にお伺いしたいんですけれども、この会計検査院の決算報告をずっと読ませていただきますと、この不用額分については各省別にその主なものだけ記載されているわけですね。しかし、総額で言いますと一千五百五十二億、大変な金額であるわけですが、紙面スペースとしてはそんなにとらないだろうと思いますんで、これは各省別にその不用額を明示してここに記載すべきではないかと思いますが、いかがですか。
  132. 志田和也

    説明員(志田和也君) ただいま検査報告を御利用いただく側の貴重な御意見として、せめて省庁別に不用額を掲記したらどうかという御意見をちょうだいいたしました。  今直ちに私の方からどうこうするというような御回答ができないのは残念でございますが、十分御意見をちょうだいいたしまして持ち帰り、できればその方向で処理させていただきたいと思っております。
  133. 及川順郎

    ○及川順郎君 栗原長官にお尋ねしますけれども長官は歴代防衛庁長官として初めて訪中されたということで、私はその意義は極めて大きいと、またその間における御努力に対してもその労を多とするところでございます。  今回の訪中の位置づけとその成果につきまして長官はどのように現在認識されておられるか、その点をまずお伺いしたい。
  134. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 私も、戦後初めて私が中国にお招きをいただいて、向こうで首脳の方々とお話できたと、そのこと自体に大変重大な意義を感じております。その言葉というよりも実際の行動と、これがより重要ではないかと考えます。そういう意味合いでは忌憚ない意見の交換もできお互い理解を増すことができたと、そういうように考えております。
  135. 及川順郎

    ○及川順郎君 もう一点ですね、防衛費が一%を超えたことにつきまして、軍事大国になるのではないかという中国の懸念、午前、そしてまた先ほど来からその見解を述べられておりますけれども、この点につきまして、訪中された際の具体的な話し合いのやりとり、そして現在においてもこの点の懸念は全く取り除かれたと、このように理解しているかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  136. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) そのお互いのやりとりというのは御案内のとおり、我が国の防衛政策というものは憲法に基づいて必要最小限度のものを盛り込むんだと、防衛計画の大綱に基づいて中期防衛計画というものがあると。その第二年度分として昭和六十二年度の予算を組んだところが、これが一%を超えることになったと。こういう話をして、その後で、一%を超えると軍事大国になる、こういう話があるけれども、問題は、この軍事大国という定義をしっかりさせなきゃいかぬ。もし軍事大国をという意味がその軍事が政治を支配するという意味ならば、戦前はいざ知らず、現代はそういうものはないんだ、また、軍事大国というものが他国を侵略するに足る実力だというならば、我が国はそんなものはない。我が自衛隊はこれは外征軍じゃないんだ。こういう話をしたところが、向こうさんの言うのには、一%問題には全然触れないで、私が一%に触れたんですよ、私が。それに触れないで、いわゆる軍事大国にならないということはよくわかった、それはよくわかったけれども、これは制度面だろう。思想面で日本は軍国主義的な傾向がある、こういう話になったわけです。そしていわゆる大東亜戦争肯定論とか、南京大虐殺虚構論とか、あるいは「光復」という雑誌が出たとか、あるいは靖国神社、教科書問題、光華寮、こういうふうに出たわけです。それに対しては午前中お話ししたとおり、これこそまさにお互いの国の体制の違いというものがある。だから私の方からすると、我が方の立場はこういう立場でございますよという話をしたんです。それに対して、日本の事情はわかるけれども、我が方の事情もあるので、そこら辺はひとつよろしく御配慮いただきたいと言うから、その点はわかりましたと、こういうことでございまして、私の方で一%を論じたのにもかかわらず、向こうさんからは何もなかったということなんです。元来、一%問題というのは私が言うまでもなく、中国側の了承を得る問題じゃないです、これは。中国側がこの一%でもし軍事大国になるということを心配しているならば、軍事大国にはならぬのですよということを私が理解を深めるのが今度の目的なんです。ですから、中国側が防衛政策に対する理解を深められればそれでいいんであって、一%について、よろしゅうございますか、これでいいですかと念を押すべき問題ではない、こういうふうに考えております。
  137. 及川順郎

    ○及川順郎君 お立場の状況はよくわかりますが、長官の後に我が党の委員長鄧小平主任会談をしまして、その内容の要約が一般紙でも掲載されておるわけですね。長くなりますけれども、その一番関係のあるところをちょっと御紹介さしていただきますと、「七二年以後の発展は全般的にいったら正常なものだ」、日中関係についてですね。正常なものだということを踏まえながら、「歴史から見ると日本中国の発展を助けるためにもっと多くのことをすべき」ではないか。「率直に言うと、日本は世界のどこの国よりも中国に対する借りが一番多い国だと思う。」。その理由、この連動してのことがその後に続いているわけですけれども、「中日の国交回復のとき、われわれは戦争の賠償の要求を出さなかった。」。そういう政策選択、その上からいっても、この条理を重んじて我が国も対応したんだから、「日本中国の発展を助けるためにもっと多くの貢献をすべきだと思う。率直に言ってこの点に不満を持っている。」。また、防衛費一%問題については、「私たちが心配しているのは戦後の日本にずっと一種の軍国主義復活の傾向があるということだ。軍国主義復活を願う人たちは数は少ないが強いエネルギーを持っている。」。こういうことを踏まえた上で、「日本の軍事費は絶対額でいうとフランス、西ドイツを上回っている。日本の毎年の経済成長率からいっても日本の防衛費は決して少なくないと思う。」。「それなのに、なぜ一%枠を突破する必要があるのか。前例を作ってしまえば、二度目、三度目の突破があり得る。そうなれば、日本を軍事大国にしたいと思っている一部の人の要求に合致することになる。」。ここのところは、日本政府が軍事大国の路戦を選ぶとか選ばないということではなくて、その辺を分けて見解を述べているように受けとめられるんですね。また、光華寮問題につきましては、「最近の問題として光華寮問題がある。中国人民のなかで、とくに青年の間でこの反響が強い」。こういう前置きをした上で、「日本政府の適切な処理を希望している。日本政府はその能力を持っていると信じている。」。「適切な処理とは、「原則一つ中国」であるということだ。」、このように述べているんですね。  中国の最近の状況を見ますと、一つは近代化路線、もう一つは覇権主義に反対、もう一つ一つ中国論から見た台湾問題の処理、こういうそれぞれの独立国家として抱えているそういう国情の上からじっとやっぱり日本の動向というものを見詰めている。こういう中国側日本に対する認識に対して、先ほどから述べられている長官認識、このギャップというものを私はどうしてもこれは埋めることできないわけですね。やはり政府が考えている以上に厳しい対日情勢に対する見方というもの、当然これは、日中平和条約に基づくこの日中間の関係というものは不動に、さらに友好関係を発展させていかなければならない。そしてまた、こういう問題が起きても、将来的に見ると、その地理的条件そしてそれぞれの置かれている立場から、日中友好関係はさらに発展するだろう、こういう期待感を持ちながら、なおかつこうした対日に対する情勢認識を持っているということに対して、長官はどのように御感想をお持ちですか。
  138. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) この鄧小平さんと矢野さんとの話全体についてのあれですからね、これについて私がコメントすることは適当でないと思いますよ。もっと私の知りたいのは、鄧小平さんが何と言い矢野さんが何と言ったと、そういう詳細をむしろお知らせいただくならば、それについてのコメントはいたしますけれども、今のお話だけでは私はコメントのしようがない、それが実感です。  それからもう一つ申し上げますと、万里さんというのは中国を代表して私に話をされた。断わったんです、私は中国を代表すると。趙首相の代理として話をする、また、鄧小平とは仲間であって意見は違わない、こういう立場で話をされた。いろいろある、経済問題でもインバランスとかなんかいろいろあるけれども、それは大したことない、こう言っているんです、これ。ですから、むしろ私の印象では、非常に日中間ではいろいろなことがあるけれども、日中共同宣言というものを基礎にしてお互いに努力を積み重ねていこうじゃないか、こういう気持ちだと思うんです。私自身も、これが原点であって謙虚にやらにゃならぬ、こう思っているんです。
  139. 及川順郎

    ○及川順郎君 我が党委員長とのやりとりについての具体的な内容を示せということですが、これは外電等である程度の問題は伝えられている。それを踏まえた上で私はこの問題を、今鄧小平氏の発言の関連のあるところを申し上げたわけです。  それで、もう一面から言うと、この一%問題で長官の記者会見の模様が一般紙に報道されているわけですけれども、私の得た情報によれば矢野氏が再三にわたりただしたと聞いている、もしそうなら鄧氏も過去においても発言しているからああした発言をせざるを得なかったのではないか、演出が過ぎるというのが実感だ。これは一般紙に出ております。この発言は事実ですか。
  140. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 事実です。
  141. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは、長官はこの情報をどういうルートで、どういうところからお聞きになっていらっしゃいますか。
  142. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) それは、情報のルートは言えません。
  143. 及川順郎

    ○及川順郎君 なぜ言えないんですか。
  144. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) それはやっぱり情報を得た人に対する礼儀ですよ、これは。
  145. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは、この発言の中身そのものに対しては間違いないという確信を持っていらっしゃいますか。
  146. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) どれです。
  147. 及川順郎

    ○及川順郎君 この再三にわたってそのコメントを求めた、このことについての発言内容については御確信をお持ちですか。
  148. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 私は確信を持っております。
  149. 及川順郎

    ○及川順郎君 この問題について、うちの委員長鄧小平氏との席に同席をした中日友好協会の孫平化会長が、これは再三にわたってこの問題について発言をした事実はない、こういう否定をしているんです。同席をした人がそういう事実はない、このように言っているというこういう事実を考えますときに私は、少なくとも我が国の、しかも極めて重大な立場に置かれている長官として、この発言は私は不穏当だ。  我が党委員長、一昨日の中央委員会におきまして、委員の質問に対しまして、この問題に対して抗議するとか、そういう目くじら立てて云々するということよりも、大事なことは雨降って地固まるだ。こういう問題があって中国日本のそれぞれの国の状況、それぞれの認識がさらに深まって、日中の友好関係がさらに強固なものになればいいんだ、こういう回答をしておりました。私もそれを了としておりますが、これ、とりようによりますと、公党の委員長、一党の委員長に対するこれはある意味では侮辱になるんじゃないかという、こういう受けとめ方もされないではない。  また、日本の国内におけるこういう状況というものの情報収集のあり方、これが中国に与える影響というものもこれは重大である、このように私は思うんですね。この辺に対して長官は、ニュースソースのもとを明らかにされない。そういうことであるならば、やはり我が国の重要なポストにある長官の立場でどのような見解を持っていらっしゃるか、これを承っておきたいと思います。
  150. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 矢野さんが余り細かいことを言わないで、雨降って地固まるという心境であるならば、私も全く同感ですよ。ですから、私は自分の方からそういうことは言わないんです、これ。皆さん方の方からいろいろ話があるから私は言っているんです。これが一つ。  もう一つは、朝日新聞とか毎日新聞中国大使が出したでしょう、談話といいますかやりとりを。あれを見てみてもわかるんですね。何回言ったということは問題じゃないんだ。一%問題に反対の公明党が尋ね鄧小平主任が答えた、こういうことだ。鄧小平主任は前からのことを言ったにすぎない。これは一つはどちらが言ったかということになるわけですよ。回数については肯定も否定もしてないんです。ですからこれは、余りがやがややることは適当でないという点については私も同感なんです。だから私の方からもうそれにはしゃべらない、聞かれれば同じことを言う、こういうことです。
  151. 及川順郎

    ○及川順郎君 そういう姿勢であるならば、鄧小平氏が一%問題、一回突破すれば二度目三度目ということもあり得る、こういう懸念をしているということに対しては、どのように長官、受けとめていらっしゃいますか。
  152. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) それは報道を見る限り、そういう懸念をしておるのかなあ、そういう感想は持っております。
  153. 及川順郎

    ○及川順郎君 この防衛政策について、具体的なやりとり、こういう問題よりも、やはり今までの日本の防衛政策に基づく具体的な行動、具体的な政策の実施、こういうところでやはり考えなければならぬ問題があるんではないか。例えばシーレーン防衛、洋上防空といった近年特に防衛庁が強調した政策の内容、その中から非常に膨大な装備の整備が行われている。特に近隣諸国、アジア関係諸国においては、これがやはり多くを考えさせるもとになっている。その延長線上にやはり防衛費のGNP一%枠突破という、こういう問題がやはりあるんではないか。こういう現在の防衛の現実ということを、中国との今回できたこういう問題を通してまして、中国を初めとするアジア諸国においてなお一層、こういう問題を通して日本の防衛のあり方に対して懸念と警戒心というものは深まってくるんじゃないか、こういう点に対しては、長官、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  154. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 我が国の防衛というのは、御案内のとおり、中期防衛計画に基づいて継続的、計画的にやっていく。その中でいろいろの装備やその他のことが出てくるわけでございまして、このことは防衛計画の大綱というのが必要最小限度のものだ、限定かつ小規模ということできておりますからね。これはそういう点については御疑念があるならば、何回となく理解を得る努力をしなきゃならぬと思っております。また、これは私の方の所轄じゃございませんが、外務省の方でも近隣諸国というのは十分にいろいろと情報を交換しておりまして、その近隣諸国とは一体どこだ、これを詰めていくことも必要なんですね、具体的に。ただ近隣諸国と一般的に、包括的にやらないで、近隣諸国の中でどこだ、こういう問題もあるんですよ。そういうふうに考えます。
  155. 及川順郎

    ○及川順郎君 外務省のお話が出ましたので、私は中国問題に関連して外務省の方の問題も詰めたいと思ったんですけれども、きょうは外務大臣、国外に出ておりますので、またいずれ総括のときにお願いしたいと思います。  ただ一点だけ、この外務省高官発言が大きな問題になっているんですけれども、聞くところによりますと、中国側から正式に日本側に抗議の申し入れがあったと聞いておりますけれども、この事実関係とそれに対してどう対応しておられるか。
  156. 谷野作太郎

    説明員谷野作太郎君) お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘のいわゆる外務省首脳発言につきましては、先般六日の夜、私どもの北京にございます大使館に対しまして中国側外交部から口頭で申し入れがございました。申し入れの内容は、この発言に対しまする抗議とそしてこの発言についての速やかな説明を求める、並びにこれによって及んだ悪い影響、これを除去してほしいという趣旨の口頭による申し入れでございました。  これに対しまして政府の方、外務省の方は、一番最近の時点では次のような措置をいたしました。すなわち、去る十五日の記者会見におきまして、外務次官より次の二点を説明いたしました。いわゆる先般の外務省首脳発言につきまして、報道されたところのもののうち、鄧小平主任に関する部分につきましては礼を失する表現があったかもしれない、これが中国側に不快感を与えたことは遺憾であったというのが第一点でございます。  なお第二点としまして、その際総理の御指示といたしまして次の点をあわせて明確にいたしました。すなわち、日本政府が日中国交正常化に当たり中国政府との間で確認した諸原則は不変不動のものである。日本の国家意思は一つ中国であり、二つの中国等の立場をとるものではない、こういう旨を強調しておくようにというような総理の御指示でございましたので、あわせてこの点を明らかにした次第でございます。
  157. 及川順郎

    ○及川順郎君 六十二年度予算における防衛費のGNP一%突破に対しまして、ことしの一月ごろの大蔵省の反応、そしてまた大蔵省首脳のコメント等が一般紙に報道されておりますけれども、特にその中で中期防の金額については昭和六十年度の金額でもあり、あくまでも最高限度を決めたもの。各年度の防衛予算は諸般の事情を考慮して決めていくとの発言があったわけですね。本年度の一%突破はそういう中において異例の事態というような、そういう認識が財政当局にあったようですけれども、この辺の考えは半年たった今でも変わりありませんか。
  158. 兵藤廣治

    説明員(兵藤廣治君) お尋ねの六十二年度防衛関係費につきましては、厳しい財政事情のもとで国の他の諸施策との調和を図りつつ、同時に中期防衛力整備計画の着実な実施を行ってまいるということで、私どもといたしましてはそこにぎりぎりの接点をとった結果、三兆五千百七十四億円ということで結論を得たものでございます。御承知のとおり、名目GNP成長率の動向もございまして、その比率が一%をやや上回ったことになったわけでございますけれども、防衛関係費そのものの伸びとしては、昭和三十五年度以降で一番低い伸び率になっておりまして、総額の抑制はいたしたつもりでございます。そういうことで私どもとしては対応してまいったということでございます。
  159. 及川順郎

    ○及川順郎君 一%枠の閣議決定廃止されたが、今後とも予算の編成等に当たっては依然としてGNP比一%というものを政府としてはこれは意識している、一つの目安として意識しているというぐあいに受けとめられる、こういう状況が出ておるわけですけれども、これからも一%枠におさめられればおさめた方がいい、こういう努力はさらにしていきたい、こういうお考えを長官自身としてはお持ちでしょうか。この点を確認をさせていただきたいと思います。
  160. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 私は一%というものを意識して、これを超えたらどうだとかああだとかいうのは実際的に問題としていかがなものか。やはり必要な防衛費だけは、必要最小限のものだけはいただきたい。その結果防衛費がどうなるか、そこがポイントじゃないかというふうに考えておりますから、防衛費が例えば組んだところが一%以内だったと、それはけしからぬと、こう言いません、これは。必要なものだけあれば一%の上であろうと下であろうとそれは別にどうこうないと、こういうことであります。
  161. 及川順郎

    ○及川順郎君 わかりました。これは議論をしてもやっぱり平行線になると思いますので、私はこれは主張としてぜひ胸にとどめておいていただきたいと思いますが、一%枠というのは単に数量的な問題、それもあるでしょうけれども、それよりもっと重要な問題が私はやはりあると思うんですね。アジアの近隣諸国や世界に対する日本の平和国家としての一つのわかりやすい平和宣言的役割も今日まで持ってきているんではないか。この果たしてきた意味というものをこれはしかと受けとめて対応する必要があるんではないか。今後我が国が平和国家として平和外交を進める上においても、そういう意味ではこの一%枠を堅持していくという一つの努力、この積み上げというものがやはり日本が平和国家として努力している最低基準、わかりやすい一つの最低基準、これを示すものとして極めて重要な意味を持っている、こういうとらえ方をもっともっと私は深めていただきたい、こういうことを要望いたしまして、またいずれ日を改めて論議をさせていただきたいと思います。  次に、いわゆる思いやり予算についてちょっとお尋ねしておきたいんですが、この五年間に五百十五億七千万円から約二倍の一千九十六億二千三百万円に膨れ上がっておるわけでございます。アメリカに対する配慮はわかりますけれども、他の予算との伸び率の比較で見ますと極めて大きいという感じをするわけですね。これは何らかルールというもの、ある程度の歯どめとなるようなこういうものが必要ではないかと思いますが、この点に対する御所見を承りたいと思います。
  162. 宍倉宗夫

    説明員(宍倉宗夫君) 駐留軍に対する支援をいたしますための経費についてのお尋ねでございまして、確かにおっしゃいますようにこの五年間にふえている率は大きいわけでございます。特に五年間をとりますと、ことしの場合でございますが、駐留軍従業員に対します労務費の負担につきまして従前と違った形で特別協定をつくり、その特別協定に基づく負担をいたしたことによりまして伸び率が高くなっているわけでございます。その点を除きますれば、そう極端に高くなっているということでもないのではなかろうかと思います。  この駐留軍支援経費につきましての物の考え方でございますが、先生おっしゃいましたように我が国の防衛の基本方針一つが日米安保体制を堅持していくことでございますからして、米軍の駐留経費負担につきまして我が国として自主的判断のもとにできることはやっていくというのが、基本的な物の考え方かと存じます。  具体的に申しますれば、その経費に二通りあることは御承知のとおりかと存じます。一つは施設整備に関するものでございます。施設整備に関する日米間の負担ルールと申しますのは地位協定の二十四条に出ておりまして、原則として日本側がこれを負担することになっております。  具体的にどういうルールでやっているかと申しますと、米側からこれこれしかじかの事案ということで事案ごとに要望が出され、その事案につきましてそれぞれの緊要度をよく検討いたしました上、総合的な判断のもとに自主的に私どもが採択をするかどうかということの決心をいたしまして予算に盛り込み、財政当局の審査も得た上で国会で最終的に御判断をしていただく、こういうルールでやっております。  それから労務費につきましては、御承知のように五十三年あるいは五十四年に、地位協定の解釈の許し得る範囲内で、格差給でございますとか、あるいは管理費でございますとか、そういったものを我が方で負担するというルールになってきております。それに加えまして、冒頭に申し上げましたように、本年特別協定を結びまして、新たに八つの手当につきまして、その二分の一を限度とし、我が国が、これも我が国が自主的に決める金額、その金額を米側に通報をいたしまして、その範囲内で我が国が負担をすると、こういうルールになっております。そのルールを守った形で、今後とも私どもとしては、先ほど申し上げました基本的な考え方のもと、この経費を計上し、国会の御承認を得ていきたいと、このように考えている次第でございます。
  163. 及川順郎

    ○及川順郎君 時間がありませんので先に進ませていただきます。  北富士演習場の問題で質問させていただきたいと思いますが、北富士演習場の第三次使用協定が来年の四月に期限切れになるわけですが、この第三次使用協定の中で、北富士演習場対策協議会と国との間で合意事項三項目があったわけです。これは、公民有地百ヘクタールの演習場からの除外、それから周辺整備事業五カ年計画、総額百九十億円、三つ目に入会権の締結、こういう三つの協定があるわけですけれども、この合意事項のうちの一の公民有地除外と三の入会権の締結は、やっぱりいまだこれ未解決の問題として残っているんですけれども、この現状と今後の進展につきまして状況を御説明いただきたいと思います。
  164. 岩見秀男

    説明員(岩見秀男君) ただいま先生のお話のうちの民公有地の返還の問題から申し上げますが、北富士演習場地区におきます土地の返還問題につきましては、第二次使用協定におきまして、それから第三次使用協定におきまして、各百ヘクタールずつ関係者調整が整いましたならば当該演習場から除外をするということになっております。上記約二百ヘクタールのうちの東富士道路用地といたしまして約二十二ヘクタールにつきましては、既に六十年に返還されております。また、地元から現在要請の出ております七十二ヘクタールにつきましては、米側と折衝中でございます。土地につきましては以上でございます。  それから入会協定の問題でございますが、この問題につきましては、昭和五十三年の四月に防衛庁と富士吉田市外二ケ村恩賜県有財産保護組合との間で、北富士演習場国有地入会地の使用に関する協定を締結することを確認いたしておりまして、その後、三次使用協定におきましても再び確認されております。これを受けまして、国と地元関係者で構成します入会協定起草委員会、これは五十五年六月に設置されておりますけれども、これにおきまして入会協定の検討、協議を鋭意重ねているところでございます。当庁もそのメンバーでございますが、今後も引き続き地元関係者と協議を行いまして、同起草委員会において調整が整い次第、入会協定を締結したいというふうに考えております。  なお、大分時間がかかっておりますけれども、これは関係者間におきましてそれぞれ入会慣行というものに対する見解の相違があったこと等によりまして調整が難航しておるわけでございますが、今後引き続き当庁といたしましても推進を図ってまいりたいと考えております。
  165. 及川順郎

    ○及川順郎君 第四次の使用協定に対してですけれども、今までの例からいって、事前協議がこの七月ぐらいから始まるということで、国が第四次使用協定締結の申し入れを行う場合、年明けて一月ぐらいという、こういうスケジュールが予想をされているわけですけれども、十六日に地元の富士吉田の渡辺市長が、この問題に対する対応の庁内プロジェクトを発足させるという見解を明らかにしておりますが、特にその中で、「協定は国と地元との約束事を決めたもの。約束が守られなければ、次のステップは踏めない」と、このように発言をしておりますし、また、いつその具体的な協定の話し合いに入るかということにつきましても、「間近では、余裕がない。地元としては、もう少し早く申し入れてもらい、十分に検討をしたい。時期としては年内を希望する」と、このように言っておりますけれども、この点に対する御見解を承りまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  なお、防衛庁、業務改善報告の内容について質問する予定でございましたけれども、時間の関係で次回に譲らせていただきたいと思いますので、御了承をお願いしたいと思います。
  166. 岩見秀男

    説明員(岩見秀男君) ただいま先生のおっしゃいました富士吉田市長がそのような希望を持っておられることは新聞で拝見しております。ただ私ども、富士吉田の市長さんもメンバーでいらっしゃる北富士演習場対策協議会を窓口といたしまして、今後御協議をしてまいるつもりでございますが、その中でただいまのおっしゃいましたスケジュール等御要望があれば、時期を早めるということも考えていかなければならないと思っております。  それから、ただいま三次協定中の懸案でございますいろいろな問題がございます。これにつきましてもできる限り速やかに、三次協定期間中にでき得るならば解決をしてまいりたいと、かように考えております。
  167. 片上公人

    ○片上公人君 防衛庁にお伺いいたします。  去る五月二十一日に長官は、六十三年度業務計画作成に際する指針を指示されましたけれども、その中でエイジス艦の予算化やOTHレーダーの研究推進を挙げております。このような洋上防空に関する装備の有効性につきましては、防衛改革委員会の洋上防空体制研究会で検討中のはずでありまして、その検討結果も出ないうちにこのような指示をされるのはおかしいのではないかということをお伺いいたします。
  168. 日吉章

    説明員(日吉章君) 先生ただいまお尋ねのように、六十三年度業務計画に対する長官指示で、エイジス艦等につきましての検討の指示が出ておりますが、中期防衛力整備計画におきましては、護衛艦の対空ミサイルシステムの性能向上、それからOTHレーダー、それらにつきましては種々の検討を加えた上、必要な措置を講ずるというふうにされております。したがいまして、六十三年度の業務計画につきましても、これはまだ作成の段階でございまして、案をこれからつくるわけでございますが、これにつきましても中期防衛力整備計画に従いまして作成するということでございまして、ただいま先生から御指摘のございました護衛艦の対空ミサイルシステムの性能向上、あるいはOTHレーダーについての六十三年度概算要求の取り扱いにつきましては、現在庁内で設けております洋上防空体制研究会の検討成果等を踏まえながら今後検討する問題であるというふうに考えてございまして、現在まだ概算要求の時点までに時間がございますので、それらの時間も含めまして洋上防空研究会等におきまして庁内で慎重に検討いたしまして、その成果を踏まえまして概算要求あるいは業務計画案の中にどのように反映するかを決めていきたい、かように考えているわけでございます。
  169. 片上公人

    ○片上公人君 防衛改革委員会につきましては、五月二十七日に業務運営改善関係検討結果が公表されましたが、最も注目されている洋上防空体制研究会と陸上防衛態勢研究会の検討状況につきましては全く公表されていない。設置されて一年以上たちますが、現在どのような検討状況にあるのか。長官指示のような形でいきなり具体化する前に国民の前に明らかにすべきではないかと思いますが、お伺いいたします。
  170. 日吉章

    説明員(日吉章君) お答え申し上げます。  まず洋上防空体制研究会の方でございますが、これにつきましては、現在海上交通の安全確保という観点から洋上防空につきまして二つのケースに大きく分けて検討しているわけでございますが、一つは太平洋のような広い洋上におきます防空の問題をどうするのがよろしいかと、もう一つは、ある日本の本土に仮に着上陸されたというような場合に、その地域への我が方の輸送船団の護衛が万一そういう状態の場合には相手方の航空優勢下で行われることになるんだと思いますが、そういう場合に防空の問題をどのように取り扱うことが最も効率的であるかと。こういう二つの局面に大別いたしまして検討しているわけでございまして、これらにつきましては、近時におきます諸外国の軍事技術の発展の状況を勘案いたしまして、例えばOTHレーダー、あるいは早期警戒機、あるいは要撃戦闘機、艦艇の対空ミサイルシステム、これら近代的装備をどのように装備するか、あるいはどのように組み合わせるか、どういうふうな形で行うことが最も洋上防空体制として効率的かという検討を進めているというのが、洋上防空体制研究会の現在の検討の状況でございます。  もう一つは陸上防衛態勢研究会でございますが、これにつきましては、我が国の東西南北に非常に細長い地理的な特性、さらには今後におきます軍事科学技術の進歩をどのように読むか、あるいはそれに伴いまして陸上兵器体系というものがどういうふうに変化するであろうか、こういうようなことを予測いたしまして、これらの兵器体系等の変化が我が陸上戦闘様相にどういう影響を与えるかと。この場合には先ほど申しました我が国の地理的特性も加味しまして検討いたしまして、そういう場合に効率的な陸上防衛態勢というのがどうあるのが最もよろしいかという検討をしているわけでございます。  現在二つの研究会におきましては、以上申し述べましたような観点からの検討を逐次積み上げでいっている段階でございまして、まだ具体的な検討内容を明らかにするような状態に至ってございません。  ただいま先生の方からある程度検討成果が得られたときには国民に公表するというようなことも考えるべきではないかという御指摘でございましたが、ただいま検討を進めている段階でございますので、検討成果が得られない現段階におきまして明確なことを申し上げることは困難でございますけれども、ある程度の成果が得られた段階で、もしその内容によりまして差し支えのない範囲内で公表することが適当であるというふうに判断されました場合には、その限りにおきまして公表についても検討さしていただきたいと、かように考えております。
  171. 片上公人

    ○片上公人君 防衛改革委員会は当初は防衛行革というふれ込みで設置されたものでありますけれども、洋上防空体制研究会での検討に見られますように、一隻二千億円近いエイジス艦や一機二、三百億円もするAWACS、空中給油機等の導入を図っていて、ほとんどもう軍拡委員会とも言えるような性格のものになっておると思うんです。防衛のむだを省くという視点、これが貫徹されているかどうか、お伺いしたいと思います。
  172. 友藤一隆

    説明員友藤一隆君) ただいまお尋ねの防衛改革委員会、果たして効率化に役に立っているかということでございますが、この委員会をつくりましたそもそもの発端と申しますのは、御案内のとおり、昭和六十年の九月に閣議決定をいただきました中期防衛力整備計画におきまして、「防衛力の整備、運用の両面にわたる効率化、合理化の徹底を図る。」、こういう重視事項がございまして、こういうことから業務運営あるいは作戦機能面について自分の手で厳しく点検をしようということで私ども設置をしたわけでございます。  先ほど御指摘のとおり、できました当初は業務・運営自主監査委員会という形で専ら私どもの業務運営面の点検を精力的にやっておったわけでございますが、こういった一般の業務運営面だけでなくて、やはり防衛の主体は作戦運用にございますので、これにも広げまして一層の合理化、効率化を図りたいということで、昨年の五月にこれを発展的に解消いたしまして現在の防衛改革委員会という形にいたしまして、我が国の防衛環境あるいは統合運用、こういった点も十分考慮いたしまして、しかも防衛計画の大綱の総枠の中で自由な発想に立って創意工夫を凝らしていくという形で、我が国の防衛態勢全般にわたって効率化といった観点から検討をしていくという形になっておるわけでございます。したがいまして、先ほど審議官の方から御説明を申し上げましたとおり、洋上防空体制あるいは陸上防衛態勢のあり方についての検討につきましても、近年の軍事科学技術の進歩等に対応して、より効率的な我が国の防衛態勢というようなあり方を検討いたしておるわけでございまして、決して軍拡委員会というような形で考えておるわけではございませんので御理解を賜りたいと思います。
  173. 片上公人

    ○片上公人君 FSXの機種選定、これはいつごろ行うのかということと、概算要求に盛り込むかどうかということ、お伺いいたします。
  174. 日吉章

    説明員(日吉章君) お答え申し上げます。  次期支援戦闘機についてでございますが、これにつきましては一昨年九月に策定されました中期防におきましても支援戦闘機の後継機に関し「別途検討の上、必要な措置を講ずる。」旨決定されているわけでございまして、その決定に基づきまして、その後防衛庁では次期支援戦闘機の具体的な機種選定のための作業を開始いたしまして、国内開発あるいは現有機の転用あるいは外国機の導入ということで検討を進めてきたことは御案内のとおりでございますが、この過程で米国側から共同開発の提案もございましたものですから、それまで国内開発といたしておりました三つの選択肢の一つを開発と、共同開発も含まれる概念に改めまして、開発、現有機の転用及び外国機の導入と、こういう三つの選択肢の中で引き続き検討をしているところでございます。したがいまして、次期支援戦闘機につきまして六十三年度概算要求に何らかの経費を盛り込むことになるのかどうかという点につきましては、まさに現在慎重検討中の段階でございまして、ただいまの時点におきまして確たることを申し上げられる段階には立ち至っておりません。
  175. 片上公人

    ○片上公人君 FSXの選定に関しまして大臣は三原則を示されていらっしゃいますが、その一つに米国防総省の理解を得るというのがございます。近く予定されていると聞いておるワインバーガー米国防長官との会談では、FSXに関して大臣はどのような態度で臨まれるのかお伺いしたいと思います。
  176. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) これは私が前々から言っておりますけれども、二十一世紀へ向けての機種でございますので、純軍事的にすぐれたものでなければならぬ、客観的に見てすぐれたものでなければならぬ。それから今言いましたように、御指摘のとおり日米は安全保障体制でやっておりますから、日本の判断でこれを行うものでございますけれども、少なくともアメリカの国防総省、この理解だけは得ておく必要がある。もう一つは、防衛産業というものが内外ともにございますから、この防衛産業に影響を受けて機種の選定ということは断じてしてはならぬ。これが私の原則でございますから、ワインバーガー長官がお見えになったときにはいろいろそういった点について私の考え方を申し述べる。向こう様からいろいろ御意見があったらそれは承りまして、その場で、納得のいくことはそうですなと、納得のいかないものがあればそれはいかがなものですかなというように自由にやりたい。ここで決めるという考え方は持っておりません。
  177. 片上公人

    ○片上公人君 次に外務省にお願いいたしますが、SDIの研究につきまして日米協定はほぼ確定しているとのことでございますが、その内容については政府はできるだけ公表する方針でありましたが、どの程度公表するのかお伺いいたしたいと思います。
  178. 渡辺允

    説明員(渡辺允君) ただいま御質問のございました我が国のSDI研究計画に対する参加の話し合いでございますが、昨年の十月から始めまして、実は先週まで四回ほどアメリカと協議をいたしてきております。それで、主な中身は、この研究に日本の企業等が参加いたしました場合に出てまいります研究成果の利用の問題、それから秘密の保護の問題、それから情報の伝達等に関します一種のメカニズムの問題等でございまして、協議を進めてまいりました結果大分進展はいたしておりますけれども、まだ今のところ最終的に合意を得るという段階にまで至っていないわけでございます。最終的に合意をいたしました場合にはその結果を何らかの書き物にするということになろうかと思いますけれども、御承知のように、米国がこれまでイギリス、西ドイツ、イタリー等と結んでまいりましたこの関連の取り決めというのは、実は全部不公表になっておるわけでございます。ただ、我が国の場合にはやはり公表できるものはできるだけ公表したいということで、そのことについては基本的にアメリカ側の理解も得ておるところでございますけれども、どの程度になりますか。とにかく私どもといたしましては、日米双方にとって公表できるものはできるだけ公表したいという立場で、今鋭意交渉をいたしておるところでございます。
  179. 片上公人

    ○片上公人君 研究成果の利用、また帰属問題につきましては不公表の細目取り決めで盛り込むとの報告がありますけれども、昨年の九月の官房長官談話で、我が国が適切な形でその成果を利用し得ることになれば我が国の関連技術水準の向上に大きな影響を及ぼす可能性があると述べていらっしゃいますように、この問題は研究参加への重要な要素であると思います。基本協定に盛り込んで公表すべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  180. 渡辺允

    説明員(渡辺允君) 先生御指摘のとおり、官房長官談話にもございますし、また私ども実際にアメリカ側と協議を進めてまいります場合に、我が国が適切な形で研究参加の成果の利用ができるということをぜひ確保したいということでやってきておるわけでございます。その結果、できましたものがどこまで公表できるかあるいはそうでない部分もあるかということは、まだちょっと現時点ではっきり申し上げることはできませんけれども、その問題につきましての私ども考え方は今申し上げたとおりでございます。
  181. 片上公人

    ○片上公人君 次に総務庁にお伺いいたします。新行革審が発足したのを契機に、まず行革関連の諸問題についてお伺いしたいと思います。  言うまでもなく、行政改革は不断の見直しを行い、絶えず継続して行わなければならないものでありますが、一代の内閣でこれはなかなかできるものではございませんけれども、最近の風潮は、むしろ行革よさようならということで、積極財政への転換が求められています。社会経済情勢の変化に対応することも大事ではありますが、しかし行革の重要性も言うまでもないことです。そこでこの際改めて行革に取り組む総務庁長官の決意と抱負をお伺いしたいと思います。
  182. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 政府は、これまで臨調や旧行革審の答申を踏まえながら適宜行革大綱を策定いたしまして、その線に沿って逐次具体的な方策を進めて今日に至っているわけでございます。しかし行革は、それはいまだ道半ば、皆さん方もその点はよく御理解いただいていると思いますが道半ばでございまして、したがいまして、四月に発足いたしました新行革審におきましても、この点を御理解いただいて行政改革の進捗状況について全般的に審議願うということで、今日いろいろとそれぞれの課題について取り組んでいただいているわけでございますが、特に先般総理からの御指示で、昭和六十三年度の予算の編成に向けて、この夏までに当面の行財政改革の推進に関する基本的な方策について御提言をいただくようにお願いをいたしておるところでございます。政府といたしましては、今後とも臨調、行革審の答申等の推進に努め、新行革審の御提言についてもその実現に最大の努力を傾けてまいりたいと、かように思っている次第でございます。
  183. 片上公人

    ○片上公人君 行革の推進機関として現在新行革審が設置されていますが、新行革審設置の際に私は本会議で、新行革審は臨調、旧行革審の惰性に流されるのではなくして、臨調行革の問題点を克服した新しい行革を担うべきであって、新しい行革のあり方を見出すのが役割ではないかと指摘いたしました。これにつきまして中曽根総理は、新行革審は基本的には臨調行革路線を踏襲するとし、新たな施策の展開を図るべき課題についても取り組んでほしいと思っているとの趣旨の発言をしていらっしゃいます。しかし、最近の新行革審の動向を見てみますと、臨調行革路線と最近の社会経済情勢に応ずる行革のあり方との整合性につきましてかなり苦慮をしているのではないかと思われます。新行革審のあり方について長官はどのように思っていらっしゃるかお伺いをいたします。
  184. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) ただいま御答弁申し上げましたように、現在新行革審におきましては六十三年度の予算の編成に向けて行財政改革のあり方について鋭意御審議をいただいているところでございますが、その御審議の中にあって、従来からの行政改革の基本路線と当面の情勢下における経済財政政策のあり方、これらを含めまして真剣な御論議をしていただいていると、かように承っておるのであります。  そこで、行政改革の推進につきましては政府といたしましても引き続き重要な課題として位置づけをいたしておりまして、私といたしましても、新行革審において最近における内外情勢の変化に適切に対応しながら改革の推進を図るための方策を御提言いただけるものと期待をいたしておる次第でございます。
  185. 片上公人

    ○片上公人君 臨調行革路線の基本は、言うまでもなく増税なき財政再建でありまして、緊縮財政の堅持であります。しかし、国際公約である内需の拡大と増税なき財政再建の堅持のつじつま合わせのために、旧行革審が最終答申で臨時緊急の対応をとることはあるとしている点をとらえまして、緊縮財政をなし崩し的に積極財政へ転換させていくことは、臨調行革路線を大幅にこれは変更することになるのではないかと思いますが、長官はどのように認識していらっしゃるか、また臨調行革路線の緊縮財政から積極財政への転換と行革との関連についてお伺いいたします。
  186. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) お説のとおり、現下の経済情勢は円高の進行等によりまして極めて厳しいものがあると理解いたしております。これに対しまして、適切かつ機動的な財政運営による経済の活性化を図ることは、これはもう極めて重要な問題であります。  そこで、旧行革審の最終答申におきましても、経済情勢の急激な変化等に対応いたしまして政府が臨時緊急の対応をとることはもとよりあり得ることである、このような御答申をいただいておるわけでございまして、この部分につきましては新行革審発足後の四月二十七日の大槻会長の談話においてこうした考え方を承継する旨を述べていただいておるわけでございます。  なお、同答申にも述べておられますように、その場合においても行財政改革の基本路線というものはこれは堅持していくということでございまして、その枠内で民間活力の発揮のための規制の緩和を進めるなど、さまざまな工夫がなされるべきだと考えておる次第でございます。  以上のような点を踏まえまして、新行革審に対しても、去る五月の二十五日総理の御指示を受けまして、先ほど申し上げましたように六十三年度の予算の編成につきましていろいろと御提言を賜るよう今御審議を進めていただいておるわけでございますが、政府といたしましても今後とも臨調、行革審答申の推進に努め、新行革審の御提言についてもその実現に最大限の努力を傾注するなど、引き続き簡素にして効率的な政府の実現に努めてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  187. 片上公人

    ○片上公人君 新行革審は、中曽根総理の訪米に際しまして、積極財政を是認する当面の経済対策に関して会長談話を出しましたけれども、これは中曽根総理の訪米に合わせた余りにも拙速で苦肉の談話とのそしりも免れないのではないかと思います。貿易摩擦や半導体の報復措置等もあって、積極財政への転換をアメリカに示唆しなければならない、やむを得なかったこともわからないではございませんが、しかし余りにも新行革審を政治的に利用し過ぎるのではないか、こう思いますが、長官認識はどうでございましょうか。
  188. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) おっしゃいますとおり、この四月の二十七日に新行革審の会長談話が出されたわけであります。その時点の状況について御説明を申し上げますと、四月の二十一日に新行革審の第一回会合が開かれたわけでありますけれども、その当時既に円高不況その他の経済の情勢等から委員の候補者の間にも大変心配が多かったわけであります。そういうことから、第一回会合で総理の諮問をいただいた後、早速にこの件については討議をしなければならぬ、こういう話になりまして、それでちょっうど自民党の方で総合経済対策等についての御論議があった時期でございますものですから、そのあたりの状況もこれは御説明を伺いまして、四月の二十七日に、先ほど長官が申しましたように、いわば臨時緊急の措置は旧行革審において最終答申でこれは認められているわけでありますが、現在の情勢はまさしくそういう時期である、これから総合経済対策等立案をするに当たって、そうしたような内需の振興ということも含めて、一方で行財政改革を進めながら経済情勢に合わせた機動的な対応をとるべきであるということを会長談話として出されたわけでありまして、これは決して今御指摘のような政治的な配慮から行ったものではありません。そういう情勢で行われたということを御理解賜りたいと思います。
  189. 片上公人

    ○片上公人君 午前中の質問にもございましたけれども、玉置前総務庁長官は新行革審に対しまして、農政改革、ODA問題、金融資本問題、地方行革、地域改善問題について諮問をし、審議を煩わす、こうしていた。現長官はこの玉置前長官の意思を尊重するとしているけれども、これらの問題についていつごろをめどに諮問するつもりなのか、新行革審への諮問事項と今後のスケジュールについてお伺いしたいと思います。
  190. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) 四月二十一日、第一回会合において総理からいわば包括的な諮問をいただいておるわけであります。その中身としまして、従来の行政改革に対する政府の施策の状況を全般的に審議しつつ、新しい情勢に対応した課題についてもいろいろと御論議を願いたいという趣旨の諮問をいただいておるわけであります。  今お尋ねの、農政改革あるいはODA等の課題は、これは玉置前長官が行革審設置法のときに内閣委員会で答弁をいたしましたように、これは今までの臨調、行革審の答申の実施についてなお不十分と認識される部分であることは間違いございません。また国政上の重要課題であることも間違いないわけであります。ただ、このような課題についてこれを新たに新行革審でもって論議をしていくについては、やはりまず行革審において従来の答申の実施状況について一応全部レビューをされまして、そこでみずからの御認識でもってこれを掘り下げようというふうになるのがこれは筋合いのものであろうと思います。いわば玉置前長官の御発言というのは、臨調の答申状況を御自分の手でレビューをされまして、そこでの御認識を国会の場で発言をされたものでございます。総理もその節おっしゃっておりますように、いわば審議会の審議事項については聖域なくこれを行うのだということを言っておられますので、いずれこれらについては新行革審の課題として行革審自体において十分論議されると思います。  ただ、今長官からも申し上げましたように、現在六十三年度予算に向けまして行財政改革の基本的なあり方について御論議の最中でございます。いずれそれが終わりました段階でもろもろの課題が再度レビューをされる、このように御認識をいただきたいと存じます。
  191. 片上公人

    ○片上公人君 六十二年度の総務庁の予算によりますと、情報公開、プライバシー保護問題を検討するために、六十一年度と同様に二千五百十万円が計上されております。この内訳は、情報公開関係で一千七百三十五万円、プライバシー保護関係で七百七十四万円だと言われております。  そこで、この情報公開問題及びプライバシー保護問題につきましては今後の政治課題だと思いますけれども、従来からの政府での検討状況と、今後の制定に向けてどのような目途で検討を進めていくおつもりか、お伺いしたいと思います。
  192. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) 今御指摘の情報公開問題、それからプライバシー保護問題につきましては、いずれも臨調の最終答申、これは五十八年三月に行われておりますけれども、そこでもって運営上の改善を行うとともに、制度化に向けて諸般の検討を進めていくべきことが指摘されておるわけであります。  そこで、政府といたしましてはそれを受けまして、閣議決定でもって五十九年以来毎回行革大綱をつくっておりますけれども、その中で、臨調答申の趣旨に沿いまして、この諸般の問題について研究、それから運営上の改善を行うべく努力をしてまいったわけであります。  ただ、この制度化の問題につきまして御報告申し上げますと、まず個人情報保護対策、いわゆるプライバシー保護対策につきましては、総務庁の中に有識者の意見をいろいろと聞くための研究会を設けまして、いろいろと検討してまいりました。また一方で、政府部内での連絡会議を開きまして、お互い意見を徴してまいったわけでありますが、そのあたりの結果といたしまして、研究会からも多分に具体的な御意見も一応出てまいりまして、まあ私どもとしましては昨年の十二月に閣議決定しました六二行革大綱の中で、「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護の制度的方策については、法的措置を講ずる方向で、そのための具体的検討を行う。」というところまでこれを閣議決定をいたしたわけでありまして、現在この方針に基づきまして政府部内における検討を鋭意進めておる段階であります。  今後のスケジュールでありますけれども、この問題はただ、そうはいいましても、非常に我が国においては全く新しい制度であり、もろもろの法的な検討を行わなければならないということでございます。また、例えば統計情報や医療及び教育情報の取り扱いなどにつきましては、これは専門的な見地からいろいろと御検討いただくというふうなことでありますので、できるだけ私どもとしても急ぎたいとは思いますけれども、時期的にいつごろというところまではまだ申し上げられる段階にはないと、このようなことを御理解をいただきたいと思います。  それから情報公開の問題につきましては、これは運営問題がまず一つあるわけでありますけれども、六二行革大綱におきまして当面行政運営上の措置として、「文書閲覧窓口制度の整備・充実等」の具体的方策を推進するということを決めるとともに、「制度化の問題についても、引き続き所要の調査研究等を進める。」ということを定めておるわけであります。現在、この閣議決定に即しまして、運営上はもちろん、いろいろと所要の改善を一応やっておりますとともに、例えば諸外国の制度運用あるいは地方公共団体の制度運用、このあたりの実態、それから我が国の法制度との関連、あるいは関連する諸制度、これは行政手続的にいろいろとございますけれども、そのあたりについてなお研究会を開催しつつ研究をいたしておるところでありまして、現在、これまた我が国では全く新しい分野の問題でもありますものですから、余り拙速というわけにもまいりません。これは御理解いただきたいと思いますが、このような情報公開の制度のあり方につきまして諸般の検討を、いわば有識者間あるいは政府部内において検討をいたしておるという段階であるということで御理解を賜りたいと存じます。
  193. 片上公人

    ○片上公人君 第二臨調答申におきましても、審議会等の「公開は、それぞれの設置目的、任務等に照らしつつ個別に決定されるべき問題であるが、審議概要の公表を行う等できるだけ公開の精神に沿った措置を講ずる。」と述べていますが、一歩進めて、すべての審議は公開にすべきではないかと思います。しかし、審議を公開しますと委員の自由な発言を確保することができずに、むしろ非公開の方がいいという意見もありますが、公開した方がかえって責任ある発言がなされることだってあり得るし、アメリカでもサンシャイン法が制定されて原則公開になっております。我が国でも、このような審議会の公開を行うべきと、こう考えますが、総務庁長官どうでございましょうか。
  194. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) 臨調の答申の中で、今おっしゃいますように、個別に審議会の目的に沿ってその公開、非公開が定められるべきことであるということを指摘していることはおっしゃるとおりであります。それで、現実の問題といたしまして、現在我が国の審議会は二百十四あるわけでありますが、例えばいわば準司法的な手続を要するようなものにつきましてはある程度公開を原則としているものがございます。ただ、実際問題、例えば重要事項の審議あるいは諸般の基本問題等を論議する場合におきまして、例えば調査、審議をする場合にありまして、そこの取り扱う内容というのはやはり非常にデリケートな問題が多いというのもまた事実でありまして、こうしたものにつきましては、委員がいわば自由濶達に御論議をいただくというのが原則であろうかと思います。そうしたようなところにつきましては、これは大体は非公開にいたしておるということであります。やはりこれは外部からのいろいろなプレッシャーその他も一応あり得ることでありますし、恐らくその論議の段階では建前と本音という話もありましょう。そのあたりをよく話し合っていただくというのが、それでまた一つの方向を導き出していただくというのが審議会の基本的な効用であろうと思いますので、そういう点から言いますと、一概に例えば審議会の公開法というのを設けることは私どもは適当とは考えておりません。
  195. 片上公人

    ○片上公人君 最後に、報道によりますと、新行革審の一部の委員の間で、大型補正予算との関連で、六十五年度赤字公債依存体質からの脱却という現在の財政再建の目標年次を大幅にこれを先送りして、新しい財政再建の目標年次を事実上書きかえるという案が検討されていると聞いておりますが、真偽はどうなんでしょうか。また、長官は五月二十五日に新行革審で、六十三年度予算編成に向けて、この夏までに当面の行財政改革の推進に関する基本的方策について提言をしてほしいとの趣旨の発言をされていますが、これを受けて新行革審は七月の中-下旬に予定されておる六十三年度予算に対する各省庁の概算要求基準の閣議決定前に新目標を決定するとも言われていますが、これを含めまして、長官発言の趣旨を最後にお伺いして、質問を終わります。
  196. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) 行革審サイドの話でございますものですから、私、主管局長でありますので、お答えをさせていただきますけれども、今言われました去る五月の二十五日に総務庁長官から新行革審に対して諮問された内容は、あくまでもこれは昭和六十三年度予算編成に向けて、この夏までに当面の行財政改革の推進に関する基本的方策についての御提言をいただきたいと、このようなことで諮問が行われたわけであります。当然、この問題は非常に広範な問題でありまして、いろいろな論議が一応行われておるわけでありますけれども、今お話しのシーリング等の問題も確かに重要な問題でございます。そのあたりの御論議はこれから行われるものと思いますけれども、直接的にシーリングに向けてと、シーリングについてといったような諮問は行われていないわけでありまして、その点は、諸般の報道がありますけれども、これは事実に反するということで御理解を賜りたいと思います。今そういう問題につきまして精力的に小委員会をつくりまして検討をしている最中でございます。
  197. 橋本敦

    橋本敦君 私はいわゆる東芝機械のココム違反事件に関連をして質問をしたいと思います。  この問題について事案がどういうことであるか今調査あるいは捜査が行われておるわけですが、アメリカ側の対応が私の見るところ非常にフィーバーしておる。去る十六日には下院の本会議におきまして御承知のようにたった一票の反対でもってアメリカの国家安全保障への損害補償を日本に請求する、こういったちょっと考えられないような法案が圧倒的多数で可決された。けさの報道によりますと今度は上院で上院議員が東芝関係のすべての製品のアメリカへの輸入を禁止するという法案を出す、こういう状況になってきているわけであります。まさにこの事件は日米関係に重要なきしみを及ぼしているということになりつつあるわけです。  まず最初に、外務省及び通産省として今のこの事態をどうお考えになっているか伺いたいと思います。
  198. 山本貞一

    説明員山本貞一君) 今回の東芝機械のココム違反事件、正確には外国為替及び外国貿易管理法違反になるわけでございますが、私どもといたしましてはココムの参加国間で申し合わせました約束に従いまして法律で輸出規制をしておるものでございまして、今回の事件は西側のココム参加国、特に日米の安全保障に極めて大きな影響を及ぼす事件であったと深刻に受けとめまして、御承知かと思いますが私どもとしては四月二十八日に警察の方に告発いたしまして、かつ五月十五日に厳しい行政処分をしたところでございます。
  199. 水盛五実

    説明員(水盛五実君) ただいま通産省の山本議官から申し上げましたように、我が国といたしましては本件が西側の安全保障に重大な影響を及ぼしたという懸念を有しておりまして、そういう認識のもとに関係省庁挙げて取り組んでまいったところでございまして、通産省の方では東芝機械に対しまして一年間の輸出停止といったふうな厳しい処分をしたわけでございます。  そういったようなことで、今後再発をするようなことのないように輸出管理体制の強化等、今後再発防止に万全を期したいということでやってきているわけでございます。さらに、また仮に万一こういったふうな法令違反のような事態が生じてくる場合には、今回のごとく厳正に対処したいというふうに考えているわけでございます。
  200. 橋本敦

    橋本敦君 今通産省と外務省両方が答弁された西側、これはアメリカのことですが、安全保障に重大な事態を及ぼした認識というふうにおっしゃいましたが、後で聞きますけれども日本の役所として、政府としてそういう具体的な影響を及ぼしたという具体的な事実あるいは証拠があるんですか、これは後で聞きます。非常に問題な発言ですよ。  その前に、一体ココム違反事件というのを振り返ってみるとどうかということを考えてみて通産省に伺いますけれども、大体ココムがつくられたのがあの占領下の四九年でありますけれども、その四九年以降今日まで違反件数として摘発したのは何件ありますか、まず件数だけ。
  201. 山本貞一

    説明員山本貞一君) 私ども把握しておるものを今申し上げたいと思いますが、件数の数でいきますと六件と申し上げます。
  202. 橋本敦

    橋本敦君 一番最近まで入れて六件、非常に少ない。逆に言えば日本はアメリカに協力をして実にココムはよく守ってきたという状況が一つあるんです。そして私の手元の資料では、昭和四十一年に一件あり、四十四年に一件あってから、六十年までこの間は十六年間一件もない、こういう状況もあったことは事実ですね。
  203. 山本貞一

    説明員山本貞一君) もう少し申し上げますと、昭和三十八年に一つございまして、それから五十八年から六十年にかけて一つ、五十八年に一つ、それから五十九年から六十一年に一つ、それから東芝機械の件は五十六年から五十九年にかけてでございます。それから六十年から六十一年にかけて一つというのが私どもが告発ないし行政処分をした案件でございます。
  204. 橋本敦

    橋本敦君 だからしたがって五十八年までは十数年間ないんですよ。  もう一つ伺いますが、調査及び告発あるいは裁判上の手続ということについて関係者を強制逮捕し、関係場所を強制捜索したという、いわゆる強制捜査をやったのはこの東芝事件以外にありますか。
  205. 山本貞一

    説明員山本貞一君) 強制捜査という意味では東芝機械が初めてかと存じます。
  206. 橋本敦

    橋本敦君 つまり日本政府としても異例な対処をやって調べているということなんですよ。  そこで、さらに聞きますけれども、そもそもこの強制捜査、初めて踏み切って異例の捜査をやった今度の事件について、これはアメリカの国防総省からの強い調査要求があって外務省、通産省が調査を開始した件だと、こういうように新聞報道でも出ておりますが、間違いありませんか、外務省、通産省。
  207. 水盛五実

    説明員(水盛五実君) 先生お尋ねのアメリカ国防省云々という件でございますが、私どもはココム参加国間では随時意見交換はいたしておりまして、アメリカとの間におきましても随時意見交換をやってきております。  本件につきましては昨年の六月に通報がございましたのは事実でございます。ただその内容につきましては、この通報云々という、意見交換でございますが、ココム参加国間の信頼ベースで行われている話でもございますので、内容につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
  208. 橋本敦

    橋本敦君 アメリカから通報があった事実は基本的にはお認めになったわけですが、昨年の六月にあって以後のことですが、それに基づいて通産省は調査をしたが、一たんは東芝機械シロだとこう考えていた。ところが重ねてアメリカから厳しい要求があって再調査をするということになって今度の結果になってきた。だから新聞はこの事実を、一転シロからクロへ、こういった報道もたくさんありますし、同時に再調査の結果摘発というようなことで、まさに異例な状況が報道されている。通産省どうですか。
  209. 山本貞一

    説明員山本貞一君) まずきっかけでございますが、本件につきましては昭和六十年の十二月に本件の工作機械の商談に関与していた者から、不正輸出が行われているよという通報がココム事務局、通産省というか日本の方にございまして、それで私どもはその情報をもとにして調査をいたしました。ただ書類審査でやったものでございますし、書類は完備しておる。それから会社の方に相当詳しく質問をし、調査をいたしましたが、ありていに申し上げますればしらを切られたという状況でございました。それからアメリカ側がその同じような情報を密告というか、その情報をもとに昨年の六月に日本の方へ調査の依頼が参りました。ただ特別追加情報もございませんで、私どもとしては昨年春に調べた結果と同じ答えになったわけです。その後ももちろん一、二度アメリカとの情報の交換がございましたが、最近になりましてというか、ことしに入りましてだったと思うんですが、多少の追加情報もございまして、私どもとしてはそれが一つの突破口というか、となりまして企業を厳しく、尋問という言葉はよくないんですが、調査をいたし、ほぼクロだという感覚をつかんだのがことしの四月ということでございまして、一度シロとして後でということを先生御指摘でございますが、私どもとしては情報が不十分だった時点で、かつ司法権のない私どもとしてはやむを得なかったことだと思っておる次第でございます。
  210. 橋本敦

    橋本敦君 私が指摘したいのは、どっちにしても執拗にアメリカ側からいろいろな、情報という形にしろ調査要求が強くあったという事実がはっきりしたということですね。  それでアメリカの議会でこういった状況になることについては、私はやっぱり今の貿易摩擦、いわゆる日本たたきと言われるこういった問題、それからアメリカの安全保障ということについて日本に対して強い態度で臨むという米政府と国防総省の姿勢、こういったことがこれはやはり反映していると見ざるを得ないんです。    〔委員長退席、理事梶原敬義君着席〕  そこで官房長官にまずお聞きしますが、今言った経過の中で私が注目したのは、ことしの春に中曽根総理がアメリカにお行きになったわけですが、そのころ国防総省からこの件で非常に強い要請があったという状況が新聞を丹念に読むと出てきておる。そこで安全保障上の問題だというので厳しく再調査を含めて調査すべきだ、こういう意向が中曽根総理あるいは政府全体としてそのころアメリカの意向を受けて強められて、捜査の指示がなされたのではないかというように見られる事情もあるかと思うんですが、官房長官いかがでしょうか。
  211. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) この事件は、経緯等は今事務当局からお答えをしたとおりの経過をたどっておるわけでございますが、総理がアメリカに行ってアメリカ側からそういう強い要請があり、それを受けて総理なり官房長官なりが云々と、こういうのは今初めて聞きました。さような事実はございません。総理からは一切本件については私に対しては何らの指示もございません。  そうではなくて、通産省からの連絡、報告が私のところにことしのあれは五月ごろでしたかな、要するに事件がもう上へ出てきての話ですね、そのときにございまして、そして通産省としてはこの際やはり捜査当局に告発をする、こういう報告がございまして、それは私はこの事柄自身は極めて重要に私も受けとめております。しかもココム違反で罰則ありということであるならば、これはやはり、しかも通常の行政機関が調べたんでは実際はなかなかこれわかるものではないわけですよ。そこで、相手方がしっかりした証拠を握っておるという事件の場合には、そう言い逃れができる筋合いのものではないと思います。私は、これは私の推測ですけれども、やはりアメリカ側が相当厳しい要求を通産省にしてきたとするならば、それはそれなりの証拠を握っておったんではないかと、私はそう思いますがね。そこで告発をし、その結果捜査当局が動いて、そして事実がはっきり確定をした、これが経過でございまして、おっしゃるように総理に対する云々とか、官房長官に対する米側からのどうとかという話は全くありませんので、その点ははっきり申し上げておきたい、こう思います。
  212. 橋本敦

    橋本敦君 そこで踏み込んでいきますけれども防衛庁はかねてから対潜能力の強化ということもあり、P3Cの導入、それから護衛艦の対潜能力の強化、さらには日本近海は原潜の回廊と言われるところですが、いわゆるチョークポイント等における潜水艦の対策として水中固定聴音器を備えての調査などいろいろやっていると思うんですが、潜水艦のスクリュー音ということについてここ近年で何か変化があったということはつかんでいるんですか。日本独自の防衛庁の調査です。
  213. 日吉章

    説明員(日吉章君) 自衛隊の潜水艦探知の点でございますが、この点につきましては先生がただいまも御指摘になりましたように、我が自衛隊は、諸外国の潜水艦の静粛性が大幅に向上してきておる、スクリュー音が静かになってきておるということに対応いたしまして、護衛艦、潜水艦、固定翼対潜機等の対潜の捜索探知能力の向上に努めているわけでございます。  ただ、先生がただいまお尋ねになりましたように、これらの諸外国の潜水艦の能力の向上に対応しまして、我が国の潜水艦捜索探知の状況がどうなっているかという点を具体的に申し上げますことは、いわば我が国の装備の能力を一般に察知、推測させるような状況になりかねないという次第でございます。平たく申し上げますと、いわば我が国の防衛の手のうちを不用意に明らかにしてしまうというようなことにもなる性格のものでございますので、せっかくのお尋ねでございますが、そういう事柄に関することであるという事柄の性質上、御答弁を申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思います。
  214. 橋本敦

    橋本敦君 私はセンサーシステムをどうなっているかを聞いているんじゃなくて、結果として最近潜水艦のスクリュー音が非常に小さくなったというようなことも含めて何か変化を日本近海で感じ取っているかと、そういう事実があるかと、結果だけを聞いているんですが、どうですか。
  215. 日吉章

    説明員(日吉章君) お答え申し上げます。  その事実を申し上げることそのものが、我が方の探知捜索能力を推測せしめることになるのではないかと考えます。
  216. 橋本敦

    橋本敦君 それじゃ、アメリカの方はソ連の原子力潜水艦のスクリュー音が非常に減少して、それで国家安全保障上大問題だとこう言っているんですが、そういう減少しているということについて日本防衛庁に、あるいは自衛隊に情報連絡なり通報なりがあった事実がありますか、ありませんか。結果だけでいいですが。
  217. 瀬木博基

    説明員(瀬木博基君) 先生御存じのとおり、防衛庁はココムの関係の所管庁でございませんで、そういうこともございますので、東芝機械の本件についても特に所管いたしておりません。そういう関連からも米国からそういうことについての事実の通報は特にございません。
  218. 橋本敦

    橋本敦君 そうしたら外務省、通産省ね、さっきこの問題は安全保障上重大な影響を及ぼしたというそういう認識をしているとおっしゃったが、この東芝機械が使われてソビエトの原子力潜水艦のスクリュー音が減少したというどんな証拠をもってそういう答弁をするんですか。具体的証拠あるんですか。
  219. 山本貞一

    説明員山本貞一君) まず一つは、ココム参加国で安全保障の観点から輸出規制を申し合わせておる、いわば日本がコミットしておる。それが日本にとっても、日本の国民経済あるいは貿易の発展のためにも必要であるというふうに日本として判断して、日本もコミットしておるわけですが……
  220. 橋本敦

    橋本敦君 ココム問題を聞いているんじゃないよ。ソ連のスクリュー音が減ったという証拠があるのかと聞いている。
  221. 山本貞一

    説明員山本貞一君) その点から私どもとしては東芝機械の輸出された工作機械が、造船所でプロペラを加工しておるという極めて高い心証を得ましたので、それは新たな形のスクリューができれば音が小さくなるということは、物理的現象としてある話でございますので、アメリカからの通報とあわせまして私どもとしてはそういう判断をしたわけでございます。
  222. 橋本敦

    橋本敦君 一つのあなた推定、想像に過ぎぬじゃないですか。ソ連の造船所でこれが使われたという事実はどこでつかんでいるんですか。
  223. 山本貞一

    説明員山本貞一君) それについても情報の根源、もとは秘匿されておりますので、アメリカもそうですが、私どもとしても申し上げることはできません。
  224. 橋本敦

    橋本敦君 はっきり国会で論議するのに、アメリカが物を言わぬのと違って日本政府が物を言わぬようでは、あなた具体的な問題ははっきりさせられぬじゃないですか・  それじゃもう一つ重ねて聞きますけれども、具体的にソビエトの潜水艦の音が減少したというその事実について、それはどこで確かめたんですか。今の話は推定だけでしょう、物理的にあり得るという。事実は確かめてませんか。
  225. 山本貞一

    説明員山本貞一君) アメリカから潜水艦の音が小さくなったという通報を日本は受けております。同時に、私どもとしては今回のココム違反事件がいろんな捜査をされた中で行われたいわば悪質なものということから、輸出貿易あるいは安全保障貿易管理体制自体に不信感を抱かせるおそれもあり、私どもとしては安全保障あるいは今後のこういう類似事件の防止のために行政処分をした次第でございます。
  226. 橋本敦

    橋本敦君 具体的な証拠も事実もはっきり国民の前にささずに、アメリカが言っているから、あるいはアメリカの安全保障を阻害したから、そういうことでのめり込んで、厳しく異例の捜査をやって処断するということは問題なんですよ。具体的証拠がはっきりしているならばはっきりしていると言いなさいよ。アメリカの情報だってそれが真実かどうかどうして確められるんですか。私はこういったことで日本政府に、アメリカの安全保障上損害を受けたからといって、日本に対して損害補償を要求するというようなことが国際法的にもまた日米関係としても成り立つか、そういう法案が下院を通ったわけですが、官房長官もう時間ですから伺いますが、どうお考えでしょうか。また一方、我が国は日ソ間の関係改善を含めて世界との貿易拡大ということは中曽根内閣のかねての国際国家日本という立場からもこれは進めていかなくちゃならぬ、ココムだけに縛られているわけではない。今の事態に対してこういったアメリカ側の要求にどう対応するか、官房長官としてのお考えを聞きたいのであります。
  227. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) アメリカの下院で可決されたと言われております国務省権限法ですね、この修正案。これは損害の補償のための話し合いのこれの具体的な意味であるとか、あるいは修正案の最終的な成立がどうなるのか、こういう見通しが必ずしも今私は明らかでないと、かように理解をしておるわけでございますので、立ち至った発言はこの際は差し控えさしていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても今後の推移を見守りながら慎重に対応ぶりは検討したいと思います。  なお、お話しの証拠がないのに云々という橋本さんのお話は、ちょっと私は理解に苦しんでいるんですよ。
  228. 橋本敦

    橋本敦君 だったら教えてほしい。
  229. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) ココム違反という事実はこれはっきりした証拠がある。スクリューの音がどうこうじゃないんです。ココム違反という事実が、罰則違反が適用があるわけでしょう。だからそちらで議論しなければ、あなたの議論ちょっとすれ違っているような、私はおかしい気がいたしますよ。それだけ申し上げておきます。
  230. 橋本敦

    橋本敦君 それは官房長官違うよ。外務省も通産省も、いいですか、安全保障上重大な事態を生じたという認識のもとにやっていると言っているじゃないですか。だからそれは何かと聞いておる。それはスクリュー音じゃないですか。いいですか。ですから、それは官房長官のお言葉だけれども、私の質問の筋は、そういう筋ははっきりしていますよ。  その次行きます、時間がありませんからね。  そこで、そもそもココムとは何かということですが、これ本部はどこにあるんですか、外務省
  231. 赤尾信敏

    説明員(赤尾信敏君) パリにございます。
  232. 橋本敦

    橋本敦君 パリのどこにあるんですか。
  233. 赤尾信敏

    説明員(赤尾信敏君) これは一応各国間の申し合わせによりましてお答えできません。
  234. 橋本敦

    橋本敦君 こういうものですよ。パリの本部の場所も言わぬ、そして各国から出ているそこのメンバーの氏名その他一切言わない。まさに秘密のベールに包まれている。異常なものですわな。  そしてココム、ココムと言うけれども、これは対共産圏輸出統制委員会と普通言われているけれども、英語を直訳すればそういうことにはならぬ。コーディネーティング・コミッティ・フォア・エクスポート・コントロールですから、対外輸出調整委員会ということでしょうか。  外務省に聞きますが、公式の日本訳はありますか。
  235. 赤尾信敏

    説明員(赤尾信敏君) 一応私たちはココムという名称で呼んでおります。
  236. 橋本敦

    橋本敦君 それは日本訳じゃないね。  ここで決まった決議は法的効力がありますか。通産省、外務省、どちらでも結構です。
  237. 赤尾信敏

    説明員(赤尾信敏君) これは各国間のあくまで申し合わせでありまして、条約等に基づく法的な意味はございません。
  238. 橋本敦

    橋本敦君 条約のような法的効果、効力はない、単なる申し合わせだ、しかもだれが申し合わせているか、各国間と言うけれども、本部はわからぬし、名前は言わぬし、まさに奇怪なものです。これが、法的効力のない、国際的に効力のないものが、今度は日本に入ってくれば、外為及び輸出貿易管理令という形になって入ってくる。根拠法が、そもそも協約とか条約ということで法的にないのに入ってくる。これは異例な、異常なことなんですよ。  そこの問題については時間がありませんからきょうは議論はしませんけれども、こういうことをやって、アメリカの対ソあるいは対社会主義圏に対する軍事的優位を確保しようという、あの冷戦下の構造に基づく政策から出ているのがこのココムだ。したがって、こういったココムの体制というのは、これはアメリカの戦略的、軍事的優位性を確保するために協力をさせられるシステムであって、しかも法的構造上は疑問の余地のある、重大な疑義のある問題なのであって、私は本当に、日本がアメリカとの関係でもどこの国との関係でも、自主、独立、平和、中立の道を行くというなら、ココムの体制からはこれはもう脱却すべきだというのが当然とるべき姿ではないかというように思うわけであります。  そこで、防衛庁長官、昨日の新聞によりますと、二十七日にワインバーガー長官が参りますが、この問題についてワインバーガー長官はこう言っていますね。「ココムに違反してソ連に売られた工作機械は、ソ連潜水艦の雑音を低くし、米国や日本の探知から逃れるのに役立ったし、今後も役立つことになろう。」、そこで日本はこれに「積極的に対処した。」ということで、その次にこう言っているんですよ。「日米双方はこれを機に、この問題から起こってくる相互の国家安全保障を脅かす危機に対応する方法を、共同で探り出すよう期待している。」、こういうんですよ。  つまり、このことを契機にして、新たに日米間で共同で国家安全保障を守る体制の強化をやろうという意向が表明されているんですよ。私はとんでもないことだと思うんですよ、これは。日本の安全と直接にかかわらぬですから、そうでしょう、アメリカの国防省が言っているだけの話で。  現に日本防衛庁あるいは通産省で、日本の安全が害されたという証拠も事実もあるわけじゃないんです。こういうことで、一層これを機に、これを利用して日本の防衛力強化、あるいは強いて言うならば、国家機密法も含むそういったキャンペーンを国内的にも行われていくようなことになってもならぬと思う。二十七日にこの問題について話が出れば、長官はどういう態度で対応されるおつもりでしょうか。
  239. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) これはワインバーガーさんからお話があるかどうかわかりませんけれども、まず話を聞いてみたいと思います。その上で私の判断を示す、そういうことです。
  240. 橋本敦

    橋本敦君 それは当たり前のことであってね。どうしたいと望まれるかという質問ですが、どういう意味ですか。
  241. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) だから、話を聞いてみた上での話だと、こういうことです。
  242. 橋本敦

    橋本敦君 話がこの談話にあるように、共同対処で日米間の安全保障体制を一層強化しよう、対潜能力をもっとやってくれというような話におっていったら、それはそれで受けるという意味を含めておっしゃっているんですか。
  243. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) これは聞いてみなきゃわからぬと言っているでしょう。ですから、聞いてみた上での私の判断を示す。仮定の問題には答えられないと、こういうことです。
  244. 橋本敦

    橋本敦君 私はこの問題について、今言ったようにココム体制、これの見直しも含めて日本の自主的な立場を明確にすべきだ。まさにアメリカに言われて、異例な状況が起こりつつあるという側面があるじゃないか、こういうことを言っているんですよ。その点は、これ以上議論しても長官とはすれ違うようですから、この問題はこれで終わります。  あと、時間がなくなりましたが、総務庁関係でお尋ねをさせていただきたいと思います。  近年、えせ同和対策という問題が非常に大きな問題になりまして、この問題について基本問題検討部会の報告を見ましても、「いわゆるえせ同和団体やえせ同和行為の横行は、今日、重大な社会問題でありこここまではっきりとおっしゃっているわけであります。したがって、このえせ同和行為、これを厳しく取り締まり、なくしていくという問題は、正しい部落差別をなくするそういう運動を進める上からも、そしてまた不法行為を許さないという上からも、今日の極めて重大な事態一つになっていると、こう思いますが、御認識はいかがでしょうか。
  245. 熊代昭彦

    説明員熊代昭彦君) 御指摘の基本問題検討部会の部会報告におきましても、あるいは昨年十二月のその部会報告を踏まえましての地域改善対策協議会の意見具申におきましても、同和問題という立場から見ますと、新たな差別意識を生む一つの要因ということでもございますし、それ自身が不当な行為であるというふうなことで、えせ同和行為の排除というのは非常に重要な問題であるというふうに考えております。
  246. 橋本敦

    橋本敦君 そういうことで、昨日は対策会議が開かれたようでありますが、そこで具体的に今後の対応としてどういうことが決められたのか、時間がありませんので簡潔に御説明いただきたいと思います。
  247. 熊代昭彦

    説明員熊代昭彦君) えせ同和行為対策中央連絡協議会におきましては大綱が採択されたわけでございますが、「協議会の構成員である各省庁等は緊密な連絡をとり、一体となってえせ同和行為の排除に努めること」、付属機関及び地方支分部局を含めまして各省庁等内の啓発を強化すること、地方公共団体並びに企業等に対してえせ同和行為の排除のための望ましい対応について、積極的に啓発指導を行うことなどが決定されました。
  248. 橋本敦

    橋本敦君 そこで、えせ同和行為というのはどういう行為を許せない行為として定義をするのか、まずこれを説明してください。
  249. 熊代昭彦

    説明員熊代昭彦君) えせ同和行為は、同和は怖いという意識に乗じまして企業、官庁などに対しまして同和問題を口実とする不当な要求、不当な行為などを言うものでございます。
  250. 橋本敦

    橋本敦君 その行為の主体は同和運動団体であろうが、あるいは運動団体でなかろうが、行為の主体は問わない、えせ同和行為というそういう違法かつ反社会的な行為を取り締まると、こういう意味ですか。
  251. 熊代昭彦

    説明員熊代昭彦君) 行為の主体を問わないのは先生のおっしゃるとおりでございます。
  252. 橋本敦

    橋本敦君 私は、えせ同和行為を厳しく排除するということは当然大事だと思いますが、同時に差別をなくしていくという正しい運動の中で行政当局との話し合い、交渉をやる、あるいは教育や生活を改善していくための諸要求について、そういった運動を進めていくというそういう必要は当然あるわけですから、そういう意味で、このえせ同和対策ということが拡大解釈をされている、正しい部落差別をなくしていくための運動にブレーキをあるいは抑圧をする、こういうことになってはこれは大変なことである、これは許されぬと思いますが、お考えはいかがでしょうか。
  253. 熊代昭彦

    説明員熊代昭彦君) おっしゃるとおりでございます。
  254. 橋本敦

    橋本敦君 そこで、なぜこういうえせ同和行為というのが社会的に問題になるほどはびこるのか、この問題であります。この問題については今もお話しのように、同和は怖いというこのことが利用されているということが一つはあるわけですね。例えば法務省がアンケート調査を行いました結果をここにいただいておりますが、えせ同和行為についてアンケート調査をいたしました。その回答は四千五百八十三社、これからあったわけですが、そのうちで「「同和を名乗るものから違法、不当な要求を受けたことがある」と答えた事業所は、全国で千三百九十八社」三〇%に及んでいるわけですね。だから、かなりの数がえせ同和行為の被害を受けているということはわかります。  その要求手口のアンケート調査によりますと、まず「同和を表示する名刺を出す」これが四八・三%、ここから始まる。それから「執拗に電話をかける」これが五四・四%、その次に「糾弾するとおどかす」これが一六%、こうあります。そのほか例えばいろいろな要求の手口がありますが、それと比べて非常にパーセンテージが高い、つまり糾弾すると言っておどすということに見られるように、同和は怖いという印象をえせ同和行為ということではかなり利用している、こういうことがわかるわけですね。  そこで、同和は怖いという印象をなぜこれまで与えてきたか、その原因について、一つはいわゆる集団的な行き過ぎた糾弾行為、こういうことがあり、もう一つは行政官庁それ自体が同和団体の行き過ぎた要求にも毅然とした態度をとらずにそれを容認してきたという追随性、いわゆる行政庁の、行政機関の主体性確立がなかったという問題、こういう二つの問題が反省される背景としてあるということを報告や指針から読み取っておりますが、総務庁はどうお考えでしょうか。
  255. 熊代昭彦

    説明員熊代昭彦君) えせ同和行為が同和が怖いという意識を前提としてあるということは御指摘のとおりでござきまして、その原因としまして民間運動団体の問題ある行動、それから御指摘の行政の主体性のなさに起因しまして、それがある程度放置されたという面もなきにしもあらずということは、六十一年の意見具申等で指摘されているとおりだと考えております。
  256. 橋本敦

    橋本敦君 今回総務庁は指針をお出しになって、今言われた行政庁の主体性確立やあるいは確認会、糾弾会、こういったことの是正、そしてできる限り公的機関としての人権擁護委員会等を通じながら公正に差別事象をなくしていくという方向、いろいろ正しい方向を打ち出されていらっしゃいますが、この指針が今後は本当に全国的に貫徹をされて、いわゆる二十一世紀までにはもう差別はなくして持ち起さないという皆さんの悲願を本当に実現しなくちゃならぬ、こう思うんです。  ところが、この大事な指針が全国で市町村にまでまだおろされないで、一部これに反対する運動団体、これに反対意見があるということで、下へ指針を通達していない、示達していない府県があるというようにも聞いておりますが、事実はどうですか。
  257. 熊代昭彦

    説明員熊代昭彦君) 啓発推進指針につきましてはこの三月に総務庁から各都道府県に通知したところでございますけれども関係都道府県のうち約七割が各市町村に配付しております。未配付のところもございますけれども、未配付のところにつきましては配付するように指導しているところでございます。
  258. 橋本敦

    橋本敦君 未配付のところには配付するように努力しておるという御趣旨は、特定の運動団体の反対意見があるからストップするとかなんとかいうような事実があるのかどうかと私は聞いたんですが、その事実にかかわらず、どういう理由であれ早くおろすようにというように指導していると、こういう意味ですか。
  259. 熊代昭彦

    説明員熊代昭彦君) 未配付の理由といたしましてはいろいろありますけれども、例えば啓発推進指針が第一章、第二章、第三章とありまして、第三章は啓発の具体例というものを示すことになっておりますが、その第三章は追って出るということで、第三章が来てからまとめて配付したいというような都府県もかなりあるわけでございますが、我々はできれば一章、二章で指針が示されたという段階で市町村に配付していただくことが望ましい、そういう線で指導しているところでございます。
  260. 橋本敦

    橋本敦君 わかりました。それじゃ、早くその指導が貫徹されることを私も期待をしておるところですからお願いしましょう。  時間がありませんので最後に質問ですが、この指針がおろされて、そしてこの指針に基づいて正しい同和行政なり運動が進められていくということが期待されておるわけですね。これを本当にそうしていく上では、国がこの指針に基づく指導を貫徹するということが非常に大事ではないか。例えば意見具申の五ページを見ましても「今日的課題を達成するための方策」として総務庁みずからは「行政機関は、その基本姿勢として、常に主体性を保持し、き然として地域改善対策等の適正な執行を行わなければならない。」こうした上で「民間運動団体と身近に接触する機会の多い地方公共団体においては、その対応に腐心している状況もみられるので、そのような地方公共団体の主体性の確立については、国は、積極的な助言、指導を行うべきである。」こう書いてありますね。まさに私はこれからこれが大事だと。だから、地方公共団体で、この指針が来たけれども、この指針とその基本方向を実践するのではなくて、それと違うこの指針に反するような状況が出てくるという状況になれば、まさにここに書いておるように国は積極的な助言、指導、この指針の方向でいくように助言、指導する責任がはっきり国にあるということが意見具申でも書かれておりますが、そういう方向でこの指針の貫徹を図るための指導を強められていくことは、これは間違いないと伺ってよろしいでしょうか。
  261. 熊代昭彦

    説明員熊代昭彦君) 啓発推進指針は、御案内のように同和問題の解決を図る、啓発を推進するための指針でございますので、指針に従いまして正しいといいますか望ましい啓発の方向を進めるということでございますが、それは同時に同和問題のあり方ということにも関係しているところでございますので、このあり方につきましても啓発の中身となっておるということでございます。啓発指針に示されました方向で指導してまいりたいと考えているところでございます。
  262. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 まず最初に防衛庁質問いたします。防衛庁に関しては随分質問することが多いんですけれども、きょうはほかの省庁にも質問しなければなりませんので、一つだけ質問することにいたします。  日本の国防の基本方針は、外敵の侵略に対してこれに打撃を与えて撤退せしめるということにあると思うんですけれども、そのためには武器を近代化することはもちろん必要なことですが、同時に隊員の士気及び技術を不断に高めていくことが何より肝要なことではないかと思います。この隊員の士気に関係するのは、やはり後方の施設と申しますか生活条件のことを常に配慮してやる、特に自衛隊の方はいざとなれば命を的にして戦わなければならないし、平和時におきましてもその訓練なんかに非常に危険を伴う仕事でございますので、特にその生活関連の施設に対しては配慮する必要があるだろうと思っております。きょうはその中で、いろいろ問題がございますけれども、自衛隊の隊員の隊舎及び宿舎の問題に限りまして、果たして現状が隊員の士気を高め、優秀な隊員を募集するに十分であるかどうか、その観点から質問したいというふうに考えております。  まず、隊舎の問題ですけれども、資料をいただいておるんですが、隊舎の必要な面積、それから現在どういう程度にその面積を確保しているか、そのことをお伺いしたいんですけれども、まず最初に必要面積を算定する基準、どういう基準によって必要面積を出しておられるのか。それからその必要面積に対して現有の充足率はどうなっているか。そのことをまず最初にお聞きしたいと思います。
  263. 児玉良雄

    説明員(児玉良雄君) 御説明いたします。  自衛隊の隊舎の所要の算定基準は、隊舎が隊員が生活をする場所であり、また勤務をする場所でございますので、その隊員の居室、それに伴って必要になる自習室であるとかあるいは宮内における管理のために必要な施設をあわせて持っておるのが隊舎でございます。  こういうことで隊舎を整備しておりますが、現在、六十一年度末現在で陸海空自衛隊が持っております隊舎の延べ総面積は二百十五万平方メートルでございます。  次に充足率のことでございますが、この二百十五万平方メートルの隊舎の中には老朽化しているもの、旧式化しているものがございますが、そのほかにスペースが足りないために、一室に曹の場合ですと四人、士の場合ですと七人ということを基準にしておりますが、スペースの不足分は一室に基準以上の人数を二段ベッドで居住させるということで賄っているものがございます。この二段べッドを解消し基準どおりに居住できるようにするためには、二十三万平方メートルの隊舎を増設する必要があると見込んでおります。したがいまして、現在持っておりますのが二百十五万、所要はこれに二十三万平方メートルを足しました二百三十八万平方メートルということになります。
  264. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 先ほど士であれば七人、曹であれば四人というふうに言われました、泊まるところ。それは寸その面積は幾らなんですか。
  265. 児玉良雄

    説明員(児玉良雄君) 面積は約四十平方メートルが一室の基準面積でございます。
  266. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 その整備を現在やっておられると思うんですけれども、今おっしゃったようにまだ増設しなければならない部分がかなりある。今のペースで進めていくと、あと何年すればそれは充足される予定でございますか。    〔理事梶原敬義君退席、委員長着席〕
  267. 児玉良雄

    説明員(児玉良雄君) 先ほど充足のことをお尋ねになりましたので所要の面積と現有の面積を申し上げましたが、今後私ども整備していかなければならないと考えておりますのは、不足しております二十三万平方メートルのほかに、現在持っております二百十五万平方メートルの隊舎の中の老朽化しているもの、旧式化しているもの、約五十八万平方メートルと見込んでおりますが、この五十八万平方メートルと新しくつくらなければならない二十三万平方メートルの八十一万平方メートルが今後整備していく隊舎の面積ということになります。このうち、六十二年度予算におきましては隊舎など生活関連施設の重点的配意をしていただきまして、十万平方メートルにつきましては建てかえあるいは改修、新設をするということになっておりますので、今後、来年度以降におきまして整備をしなければならないのが七十一万平方メートルということになります。  この七十一万平方メートルの隊舎を整備していくのにどのぐらいの期間がかかるかということでございますけれども、隊舎のある基地、駐屯地がいろいろなところにございまして、その立地条件、あるいはその建物に、隊舎に居住をする隊員がどのくらいの数であるかというような建物の規模であるとか、あるいは老朽化しているために改修するものにつきましては、その改修する場所だとか程度だとかいう改修の内容などによって費用はまちまちでございます。したがいまして、全部整備を終わるのにどのぐらいの期間がかかるかということを具体的にお示しすることは極めて困難でございます。しかし、仮に六十二年度予算に計上していただきました額で残っております分が六十二年度に整備する内容と同じようなものであると仮定をしてあえて申し上げますと、数年、五、六年というところになろうかと思っております。
  268. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 この中には戦前の隊舎がそのまま使われているのもあって、随分老朽化が進んでいるのもあるように思います。これ早急に改修すべきであるというふうに考えておりますが、次に隊員の宿舎の問題を取り上げます。  自衛隊、あるいはこれは防衛庁全体として言うべきか、あるいは自衛隊だけを切り離して言うべきか、ほかの省庁の宿舎の充足率と比較しまして、自衛隊の充足率は大体何%ぐらいまでいっておりますか。
  269. 児玉良雄

    説明員(児玉良雄君) 隊員の宿舎につきましては、逐年改善努力を行ってきておりますが、六十一年度末現在におきます宿舎の充足状況は、所要約五万五千七百戸に対しまして保有四万七千五百戸となっておりまして、所要に対する充足は八五・四%程度になります。これがほかの省庁の充足率と比べてどうかということでございますけれども、他の省庁全体でおよそれ五%程度だと承知しておりますが、そういうことであれば約一〇ポイント低いというのが自衛隊の宿舎の現状でございます。
  270. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 ほかの省庁に比べでもかなりの見劣りがするように思うんです。その中には依然として有名ないわゆる九・五坪宿舎というふうなものもまだ残っているようであります。この九・五坪宿舎、これはいつ全部改修をすることになりますか。  それから、今年度の予算と同じ調子でやっていくとして、六十五年末には大体何%ぐらいまで、今の八五・四%のやつが何%までぐらい改善されますか。
  271. 児玉良雄

    説明員(児玉良雄君) いわゆる九・五坪の宿舎につきましては、六十年度から年間およそ百戸ずつ整備しておりまして、六十二年度におきましても百十五戸整備するという計画でおります。五百三十戸ほど現在建てかえを要するものがございますので、それでなお二百戸が残るということになります。  なお、このほかにまだ耐用命数に来ていない九・五坪宿舎がございますので、仮にこの九・五坪宿舎のことだけを申し上げますと、仮定の話として現在程度のペースで今後建てかえを進めていくといたしますと、今残っておりますのであと二年、それから今後耐用命数が来るものについては耐用命数が来る都度建てかえていくということになりますので、その後一年かあるいはその耐用命数に応じて改修をしていくということになろうかと思います。
  272. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 木造以外の鉄筋建ての宿舎の方も私ちょっと見せていただいたことがあるんですけれども、六畳と四畳半、それからキッチンですね、キッチンも非常に狭い、一人が入ればもうほかの人が入れないぐらいに非常に狭いキッチン、これでは本当に子供がいたんではお客さんも呼べないというふうな状態ではないかと思いますので、やはりこれを拡張するということも必要ではないかというふうに考えております。  まあ、具体的な計画いろいろお立てたと思いますけれども、ともするとこういった隊舎であるとか宿舎というのは、正面装備のための犠牲になりがちでございます。しかし、いかに優秀な武器を備えていましても、それを使う隊員にいい人が集まらない、あるいは隊員の士気が沈滞しているということでは、いかに立派な武器を備えましても宝の持ち腐れになってしまうんじゃないかと思いますので、長官にぜひお願いしておきたいんですが、早急にこの後方施設の、このほかにも浴場の問題とか食堂の問題とかありますけれども、そういったものを含めまして早急に改善されることをお願いしたいと思うんですけれども長官のお考えをお聞きしたいと思います。
  273. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 大変自衛隊の実態に即して建設的な御意見を承りまして、感謝を申し上げます。  いかに装備を充実するといたしましても、これを使うのは人間であります。その人間の質を高めるということは単なる精神論だけじゃいきません。やはりそれなりの待遇、処遇というものが必要でございます。そういう意味で、隊舎とかあるいは宿舎とかいろいろの施設の充実を図るということが防衛力整備の中の重要な一環であると考えております。  昭和六十二年度の予算につきましても、その意味合いで今までから見ますと相当大幅な予算をお認めをいただいたわけでございますが、今後もこのことにつきましては御協力をいただきまして実現をしていきたいと、こう考えます。
  274. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 防衛庁質問はこれで終わります。まだ残りのいろいろ質問ございますけれども、それはまた次の機会に譲りたいと思います。  では、総務庁に対しまして三つほど質問を考えております。  一つば、土地価格の評価が、今三つの省庁でやっておりますけれども、非常にばらばらにやっている。臨調の第三次答申におきましても公的土地の評価について適正化と一本化をうたっておりますし、また行政監察局の今年度の運営方針を見ましても、「行政の総合性・有効性・効率性」云々を確保する観点から監察するというふうなことが書かれております。その「行政の総合性」、つまり縦割り行政の弊害をできるだけ少なくしていく、そういう観点からきょうは土地価格の評価の問題、それを取り上げます。土地の価格の値上がりを防止する、あるいはそれに対する税金が適切であるかどうか、これとは別問題で、土地価格の評価の問題だけに限定して質問いたします。  まず国土庁に対しまして、国土庁では、地価公示法第一条に基づきまして標準地を選定し、全国の都市計画区域内の宅地に対して地価の公示を行っておられるわけですね。どういう目的のためにどういう間隔でどのような土地を何点ぐらい選んで評価をしておられるのか、それをまずお聞きしたいと思います。
  275. 森悠

    説明員(森悠君) 地価公示の目的でございますが、実際の土地取引におきましては、取引当事者の個別の事情によりましてさまざまな価格形成が行われているところでございまして、一般には適正な地価水準というものがなかなか把握しにくい状況にございます。地価公示は、このような地価についての情報不足などによって不当なづけ値あるいは投機的な取引ということによる地価高騰を抑制するために、一般の土地の取引価格に対して指標を与える、さらに公共用地の取得価格の算定などにも資するということで適正な地価形成の誘導を図ろうとするものでございます。また、国土利用計画法によりまして土地取引の届け出制等があるわけでございますが、この価格審査の基準ともされてございます。  地価公示は全国の都市計画区域を対象といたしまして、毎年一月一日現在の標準地の一平方メートル当たりの価格を公示するということにされておりまして、本年は一万六千六百三十五地点の標準地について地価公示を実施したところでございます。
  276. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 国土利用計画法の施行令の第九条に基づいて都道府県知事をして基準価格を公示せしめておられるわけですね。この標準価格の公示、これはやはり毎年何地点ぐらいやっておられますか。
  277. 森悠

    説明員(森悠君) ただいまの都道府県の地価調査では、基準地価格と申しておりますが、これは国土利用計画法によります土地取引規制の際の価格審査の基準とするために実施しておるものでございます。また、この基準地価格は一般にも公表されておりますので、一般の土地取引の指標としても役割を果たしております。  この調査は毎年七月一日現在の基準地の一平方メートル当たりの価格を調査するということになっておりまして、本年は二万四千四百四十五地点について調査を行う予定でございます。
  278. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 地価公示法に基づくやっとそれから今申し上げました国土利用計画法に基づく調査、これは場所はダブっているのですか。大体両者の関係はどういう関係になっておりますか。
  279. 森悠

    説明員(森悠君) この地価公示制度あるいは都道府県の地価調査で出します価格は、いずれも取引の目安とか国土法の価格審査というものに使います関係で、同じような性格の価格を出しておるわけでございます。ただ、できるだけ新しい情報が提供できるようにいたしますために、先ほど申し上げましたように、地価公示については一月一日現在の価格、基準地価格についてはそのちょうど半年後の七月一日現在の価格ということで、ずらしております。また対象地につきましても重ならないように平均的に分散するように配置しておりまして、土地取引の指標等に使う場合にこの両制度が相互に補完的に機能するような仕組みになっておるわけでございます。
  280. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 次に、自治省では、地方税法第三百八十条第一項に基づきまして固定資産課税台帳作成のために市町村長が土地及び建物の評価を行っているわけです。きょうは建物の方は別として土地だけについて。  これは税金の関係ですから毎年ごとにすべての土地について行われていると思うんですけれども、各市町村、同じ府県の中の市町村ごと、あるいは日本全体の中の府県ごと、これの調整は行っておられるのかどうか、もし行っているとすればどういう基準によって調整をしておられるのか。
  281. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) 固定資産税の評価替えの関係につきましては、三年に一度行っております。ちょうど昭和六十三年度、来年度が評価替えの年度でございまして、現在、課税団体におきまして作業を進めておるところでございます。  自治省におきましては、全国的な観点から評価の基準となるような地点につきまして適正な評価が行われるよう調整を行っておるところでございます。  この場合に、各都道府県の県庁の所在市の価格の一番高いところ、これを基準地と申しておりますけれども、この基準地につきまして、各市の方から評定をいたしました基準地価格をもとにいたしまして、前回の評価替え以降におきますそれぞれの地域の地価動向等を総合的に勘案をいたしまして都道府県間、各都市間の全国的なバランスを考慮しつつ調整を行っておるところでございます。都道府県におきましてもその市町村間のバラスンを、先ほど申しましたのと同じような観点から調整を行っておるところでございます。
  282. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 同じ三百四十一条に「適正な時価」となっていますね。その「適正な時価」というのはどういう意味ですか。
  283. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) 「適正な時価」と申しますのは、一般的には、正常な条件のもとにおきまして成立いたします取引価格を言うものとされておりまして、固定資産税の場合には固定資産評価基準というのがございますけれども、ここにおきまして「適正な時価」と申しますのは、売買実例価額につきまして、例えば、買い急ぎにより割高となっている場合だとか、将来への期待価格などが含まれている場合には、こういうものは正常とは認められないということで、こういったものを修正いたしまして求められる正常売買価格に基づいて評定をいたしておるところでございます。
  284. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 そのようにかげんをして評価しておられる評価額は、普通の実勢価格の何%ぐらいになっているというふうにお考えですか。
  285. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) 実勢価格そのものを把握いたしますことは非常に困難でございますけれども、例えば地価公示価格との比較で申しますと、もちろん、地価公示価格と固定資産の評価額を比較いたします場合でも、それぞれの評価の目的が異なりますし、それから評価の対象が、地価公示の場合には先ほどお話ございましたように約一万七千程度でございますが、固定資産税の場合には約一億六千万筆の評価をいたします。  こういった違いもございますので、一概に地価公示価格と比較をするのがどうであるか、そういうような問題もいろいろございますけれども、一応、地価公示の標準地におきます地価公示価格に対します固定資産税の評価額の割合を試算いたしますと、昭和六十年度におきましては、全国平均をいたしまして大体四分の一程度になっておる状況でございます。
  286. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 それから、個々の納税者から自分のところは非常に高いような感じがするという、そういう苦情があった場合には、もちろん隣の家の評価額を見せるというふうなことはなさらないだろうけれども、何らかの納得せしめるような評価額を見せておられるわけですね。
  287. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) 固定資産税の評価の問題と申しますのは、地方税法上の例えば守秘義務だとかいろんな問題もございますので、一般的には固定資産の評価額というのは開示はいたしておりません。  ただ、納税者の方から、自分の評価額がどうなっておるか、こういったような質問なりございました場合には、プライバシーの保護だとか、こういう点につきましては十分留意をいたしまして、例えば、該当いたします固定資産の評価の基礎となった基準宅地だとか標準宅地の路線価を示すことが適当である、こういった指導を従来からいたしておりまして、そういう措置を講ずることによりまして納税者の納得をいただくようにいたしておるところでございます。
  288. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 次に、国税局の方では、相続税及び贈与税課税のためにやはり同じように土地評価を行っておられる。それで、田舎の方では各市町村でやっておられるところの固定資産税の評価額を基礎にして、いわゆる倍率方式でやっておられるけれども、市街地においては土地の上昇なんかが非常に甚だしいので、別に路線価を測定して、それを基準にして個々の土地の評価額をやっておられるわけですね。  それで、これは相続税法二十二条における「取得の時における時価」ということになっておりますが、これは、自治省の方の固定資産税の評価の場合には適正な時価ということを言っておられるんですけれども、その固定資産税の時価とは全く関係なしに算定されるわけですね、取得時の時価は。
  289. 宮城健蔵

    説明員(宮城健蔵君) お答えいたします。  相続税法における時価は、それぞれの財産の現況に応じまして、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価格というふうに我々は考えておるわけでございますが、土地の場合について申し上げますと、土地は固定性、それから希少性、利用目的の多様性といった特性を有しているということでございまして、実際の取引価格には相当の値幅があるということ、それから、相続税の評価は課税上用いるものでございますから、相続により承継した財産は大部分のものが処分するものでないということを配慮する必要があるというふうに考えております。  このようなことから、土地につきましては、値幅の下限に近い地価公示価格と同水準の価格の大体七〇%程度を目途として、評価の安全性を考慮しましてかための評価を行っているということでございます。
  290. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 時間がないので個々の事実についての質問はこれで打ち切りますけれども、三つの省庁で行っている土地の評価額が非常に違うんですね。これは、固定資産税の評価額なんというのは聞きに行っても教えてくれませんから、幸いに私の家の近くの世田谷の瀬田四丁目、これは私自身で固定資産税を納めておりますからよくわかるんですけれども、それで比較してみますと、国土庁のやっておられるいわゆる公示価格は、瀬田四丁目三十六番地ぐらいのところで、今年度では一平方メートルが大体百二十八万円ぐらいです。実際に私の近くで売買が行われました。その価格の大体七〇%ぐらい、私はその程度でいいんじゃないかと思っておりますけれども、七〇%ぐらい。それから固定資産税の評価額、これは三年に一度ですから非常に変動があると思いますけれども、先ほど四分の一ぐらいだと言われましたが、私の家を例にとって言いますと、固定資産税の方は、住宅の場合は半分、二百平方メートル以下の場合はさらに二分の一となりますが、都市計画税の評価額、これで見ますと、九万六千円ですね。とても四分の一ところの比しゃなしに、十分の一にも満たないわけですね。それから国税庁の評価額、これは路線価ですけれども、四十八万円。これは国税庁から教えていただきました。余りに違うんですね。  私は別に固定資産税の評価額を上げろとかなんとか、そういうことを言っているわけではない。固定資産税を重課しろなんということを言っているわけではないんです。ただ、何でそんなに違うような評価額を表示するのか。固定資産税の評価額を上げても税率を下げれば実際には増税にならないからいいわけですけれども、三つの省庁でばらばらにこういう評価額を行っているのは、それぞれの行政目的の違いはあるでしょう、しかし、それにしても行政のむだ、単一化、総合化という趣旨に反するんじゃないか。例えばその固定資産税なら固定資産税の評価を毎年やって、それをほかの大蔵省なり国土庁あたりで使えば一本で済むんじゃないか、行政のむだじゃないかと思うんですけれども総務庁長官いかがでしょうか。
  291. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) 大変難しい問題でございます。  先ほどお話のございましたように、臨調の第三次答申で、国土、土地等につきましての答申が出ております中で、そうしたような土地評価制度の一本化を考えるということを書いてあることもまた事実でございます。今先生からお話のありましたように、現在、全国的、継続的に行われております公的な土地評価制度には、地価公示、都道府県の地価調査のほか、固定資産税評価額、相続税評価額があるわけでありまして、その運用の実態につきましては今各省からお話のあったとおりであります。  このそれぞれの目的は、今おっしゃいましたようにやはり大分違っているわけでありまして、今の地価公示価格及び都道府県の地価調査による基準地の価格は、一般の土地の取引価格に対して指標を与える、つまり情報を与えるとともに、国土利用計画法における価格審査の基準等となるものであり、また固定資産税の評価額及び相続税の評価額についてはそれぞれの課税の基礎となるものであります。これらにつきまして、現実に目的も違い、それから現在まで運用している実績の積み重ねがあるわけでございますものですから、一挙にこれを一元化するというのはなかなかこれまた困難な問題かと思います。  ただ、これらにつきまして、現在既に国土庁それから国税庁、自治省の三省庁間で公的土地評価研究会を設けまして公的土地評価のあり方等について研究が続けられておるところであります。また、具体的な固定資産税評価額、相続税評価額の評定に当たりましては、いずれも地価公示の結果が重要な参考として用いられているという事実がございます。  そういうことで、やはり三省庁間でこれからの地価公示のあり方につきまして、従来の制度の目的、それから運用の実態等も一応研究しながらお互いに情報交換し、相互に連絡、研究を進めていくということが現実的な道であろうかと、このように考えている次第でございます。
  292. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 確かに行政目的が違いますけれども、同じ土地の値段は一つなんです。したがって土地評価額は、一遍やってそれぞれ違った行政目的にそれを利用していけばいいんであって、それは別に一本化していけないということの根拠にはならないだろうと思います。歴史的な経過があるということもよくわかります。しかし、歴史的な経過にとらわれていたんでは行政改革なんというのは全然できっこないわけです。これは私はやはり、今研究しておられるという話ですけれども、ぜひ一本化の方向に向かって行政を簡素化するという形でやるべきじゃないかと思いますけれども総務庁長官いかがですか。
  293. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) ただいま政府委員が答弁いたしましたとおりでございますが、少なくとも私的な機関が評価するのではなくて、公的機関の評価に三通りあるということは、これはやっぱりいかがなものかと思います。したがいまして、評価の機関を早く一元化して、そして一つの評価が出るような方策を進めていかなきゃならぬと思っております。
  294. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 この問題、ひとつよろしく研究していただきたいと思います。  あと、総務庁長官に対して行政監察の問題を二つほどお聞きしたいと思ったんですけれども、ちょっと時間の関係であるいは一つにするかもしれません。  昭和六十一年度の行政監察の予定計画によりますと、食糧管理に関する監察を第二・四半期に行う、それから農業委員会の運営に関する調査を第三及び第四・四半期に行うということを上げられております。現在報告書の整備段階だと思われるんですけれども、この監察の目的、項目、対象府県数、そういったものについてお伺いしたいと思います。
  295. 山本貞雄

    説明員山本貞雄君) ただいま御指摘の食管監察でございますが、これはさきの臨調、行革審におきまして、当面の問題といたしまして政府管理経費の縮減、自主流通米の量的拡大それから流通体制の見直し等が指摘されておるわけでございます。この食管監察は、このような臨調、行革審の指摘を踏まえまして、米の保管、輸送、販売等の実態につきまして全国的な調査を約十七都道府県について実地調査をいたしました。  現在、調査結果について鋭意取りまとめ中でございまして、勧告の時期につきましては、御指摘のように現在取りまとめ中でございますので確定的には申し上げられませんが、できるだけ早く、まあ八月中に、できればそういったことをめどにまとめるように努力したい、このように考えております。  それから、もう一つの農業委員会の調査でございますが、これは御案内のとおり農業を取り巻く諸情勢が変化してきておるわけでございます。かつての農地法を所管する農業委員会、最近は経営規模の拡大等々、いろんな情勢変化がございますので、そういったことに対応しました農業委員会等の業務運営を推進いたします観点から、農業委員会等の体制それから業務の運営状況、これの実態につきまして十四の都道府県につきまして全国的な調査をいたしまして、現在鋭意取りまとめ中である、そういった段階でございます。
  296. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 現在、農業政策の転換期に当たっておりまして、その監察の結果は国民が非常に注視していると思います。いろんな抵抗があるかもしれませんけれども、厳正な報告をできるだけ早く出していただくことを希望しておきます。  同じく六十一年度の行政監察の予定計画の中で、アクションプログラムのフォローアップにつきまして実行推進委員会の協力要請に基づいて調査をして、これは基準・認証、輸入プロセスについての調査とそれから政府調達についての調査、これについては既に報告書が出ております。  それによると、行政側の対応としては、一〇〇%ではないですけれども、大体においてよく実行されているように思います。よく、アクションプログラムというのはプログラムだけであってアクションがないんだというふうな批評も一時ありましたけれども、確かにアクションの方もよくやっておられるように思います。しかし、これはあらかじめ各省庁が同意したことですから、これを下部機関なんかに徹底させることで本来一〇〇%行われるのが当たり前の話なんです。行われてなければそれの方がよっぽどおかしいんです。  しかし、これでアクションプログラムのフォローアップが全部終わったというふうに考えることはできないんじゃないかと思うんです。行政側の方はちゃんとやったつもりであるかもしれないけれども事業者の方の苦情が本当に解決されているのかどうか、この事業者の方の調査もやはり同時にやる必要があるんじゃないかと思うんです。私、時々聞く話ですけれども、企画庁のOTOというんですか、オフィス・オブ・トレード・オンブズマン、これは名前がオンブズマンなんて書いてあるものですから、外国の人たちはスウェーデンのオンブズマン制度なんかを連想して、ここに持っていけばすべて解決してくれるというような過大な期待をかけているせいかもしれませんけれども、あそこは単なる連絡の機関ですね。あそこに持っていくと、それぞれ通産省あたりが来てこうこう答えるだけにすぎないんであって、最近は、あそこに持っていっても満足した答えが得られないからもう持っていかないんだというふうな声も聞くわけです。  したがって、一つは、やはりこれは行政官庁全体の機構の問題になるんですけれども、やはりこういったOTOなんかをつくる場合には相当の権限を持たしたものをつくらないと、名前負けしちゃって、かえって今度は失望を与えるんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういった権限を与えることが一つの問題と、それからやはり需要者の方の調査も同時にやるべきじゃないかと思うんですけれども、これは総務庁長官ですかね、官房長官ですかね、どちらからでも結構ですけれども、答えていただきたいと思います。
  297. 國廣道彦

    説明員國廣道彦君) 今先生御指摘のとおりに、アクションプログラムの中で基準・認証、輸入プロセス、それに関する実施ぶりにつきましては、実行推進本部の方から総務庁にお願いしまして、行政監察による調査をしていただきました。もちろん行政監察の過程におきまして、需要者の方の調査もしていただきました。それについては別途お答えがあると思いますが、私どもはそのOTOにつきましても、これは個々に起きる具体的な苦情の処理としまして確かに当初は受け取ったものを、苦情の処理が各省に連絡して、それがてきぱき結論が出ないという不満はございましたけれども、しかしながらその後制度的にも随分強化されておりまして、毎月、毎四半期、担当の経済企画庁で報告を出しておりますけれども、その成果も最近は随分上がってきております。  その強化の内容については経企庁からお答えいただくと思いますが、このアクションプログラム全部のフォローアップの責任を持っております内閣官房の当室といたしましては、それぞれの面でできるだけ手を緩めずに、現在当面をしておりますこの市場問題の解決ができるように努力しているところでございます。
  298. 宮本邦男

    説明員(宮本邦男君) それでは私からOTOに関しまして補足説明をさせていただきます。  OTOは先生御存じのとおり、五十七年の一月三十日発足以来、我が国の輸入検査手続等にかかわる問題につきまして、内外の関係者から個別の苦情を受け付けましてそれを処理するということを通じまして、我が国の市場アクセスの一層の改善に努めてきたところでございます。発足以来現在までに二百六十八件という大量の苦情を受け付けてございまして、そのうち既に二百六十二件については処理を完了いたしております。この処理済み二百六十二件のうち八十六件については申し立て者の要望に応じて改善措置を講じておりますし、また七十四件については誤解の解消によりまして輸入促進的な効果を生じているところでございます。この結果、処理を終了しました苦情全体の六割強が輸入促進的な形で解決されております。  OTOが先生御指摘のとおり、オンブズマンという中立、公正な第三者的な機関、名前を持っていながら、それが弱いんではないかという批判がかねてからあったところにかんがみまして、去年十一月でございますけれども、これは五月一日の経済構造推進要綱を受けまして、十一月にOTOの機能強化というのを本部会合で決定いたしました。この中で、諮問会議等学識経験者の関与をもっと強めて、オンブズマン的な中性、効率的な色彩、機能を強めることで苦情処理特別会議というものを新たに設けまして、OTOの諮問会議の、これは学識経験者から成る会議でございますが、これがすべての案件を報告を受けまして、重要案件について審議するというプロセスを導入いたしました。これによりまして、ことしに入りましてからこの会議を実施することによりまして、苦情が一層迅速かつ的確に、前向きに処理が促進されているということを感じでございます。  そういったことで、私どもOTOの事務局をあずかる企画庁といたしましては、輸入促進のために独自のOTOという機能が一層今後とも積極的に対応して迅速かつ適切な苦情処理をやっていきたいと考えておるところでございます。
  299. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) それぞれのお立場から今答弁がございましたが、総務庁といたしましては、この基準・認証あるいは貿易のこの問題につきまして、どこに問題があるかということを私ども独自の立場から今までずっと検討してまいったわけでございますが、特に総理から先般、各国の大使とよく話し合ってはどうかという御指示もございましたので、六月に入りまして早速私自身各国の重立った国、日本と取引の多い国々、アメリカを初め七カ国の大使と個別に懇談をいたしてまいりました。その間、日本にございます商工会議所であるとか、そういったところの代表とも懇談をしてまいりまして、そしていろいろそれぞれの国から苦情、御指摘等もございましたので、それをまとめまして、行政監察局長に命じまして、それぞれ所管する各役所にこれ調査をすると同時に、またそれぞれについての検討を指示をしたところでございまして、これらをなるだけ、一日も早くまとめまして、さらにまた総理に御報告申し上げ、善処をいたしたいと、かように思っている次第でございます。
  300. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 その線で今後も大いにやっていただきたいと思います。  それから、内閣官房長官に対して質問する予定でおりましたけれども、もう時間が参りましたので、いずれまた安全保障室の問題その他につきまして、これは総括のときにでも質問いたしたいと思います。
  301. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 他に御発言もないようですので、内閣総理府本府、総務庁及び防衛庁決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は明十九日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時七分散会      ―――――・―――――