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説明員(山田隆英君) まず基本的に航空運賃の決め方でございますけれ
ども、航空運賃は、その他の各種の輸送機関の運賃と同じようにコストに見合って決められるということでございます。航空法に基づきまして航空運賃は認可制になっておりまして、その際の認可の
基準といたしましては、コストプラス適正利潤が
基準となるわけでございます。
今御質問のございました国際運賃について申し上げますと、基本的にはやはりコストに見合って決められるものでございますが、国際運賃の場合非常に関係する
会社が多いわけでございまして、国際航空運送協会と申します国際航空
会社が集まってつくっております
団体がございます。そこの国際航空運送協会で各航空
会社が今申し上げましたような各社のコストな
ども勘案して航空運賃を決めておるわけでございます。
国際航空運賃の場合、従来は基軸通貨、ドル建てで運賃が決められておりましたけれ
ども、固定相場制に変わりましてから、それによりますと、為替の変動を非常に受けるものですから、各国がそれぞれ自国の通貨建てで運賃を決めることにいたしております。したがいまして、日本発の運賃の場合ですと円建てで運賃が決められますし、また外国発ですと、それぞれの外国の通貨で決められておりまして、例えば米国の場合ですとアメリカのドルで運賃が決られる、ドル建てで運賃が決められるということになるわけでございます。したがいまして、日米間の運賃を例にとりました場合に、日本発の運賃とそれからアメリカ発の運賃と、同じ区間をとりましてもそれぞれ日本発は円建て、アメリカ発はドル建てということになっておりますので、そのときどきの為替レートの変動によりましてその間の運賃が実質的には変わるわけでございます。
そこで
運輸省といたしましては、それを方向別格差と言っておりますけれ
ども、その方向別格差につきまして余りに大きな格差ができるということは決して好ましいことではないということで、その方向別格差の解消については昨年来円高が非常に進行した時期におきまして各種の措置をとってきたところでございます。
それから、基本的に円高差益の関係で申し上げますと、日本の航空
会社の場合円建てのコストとそれから外貨建てのコストと両方から成っておりますし、また収入につきましても円建ての収入とそれから外貨建ての収入と両方から成っておりまして、それぞれほぼ外貨建ての収入コストが全体の収入コストのうちの、六十年度の場合でございますけれ
ども、約二七%ぐらいになっております。したがいまして、外貨建てのコストにつきましては、円が高くなりますと確かに円高差益が生じるわけでございますけれ
ども、外貨建ての収入に関しましては、逆に円が高くなりますと円高差損が生ずるわけでございまして、トータルとして見ますと、基本的には円高差益と円高差損とはほぼ等しいということで、結果として円高による差益も差損も生じないという
状況にございます。
ただ他方、燃料油につきましては原油価格の下落等がございまして、燃油費についてはコストの減少を見ておるわけでございますけれ
ども、同時に運賃につきましては、
昭和五十七年度以降基本賃率は据え置きのままになっておりまして、基本賃率据え置きの中で各種の割引運賃の導入をしてきたところでございます。
他方、燃油費は今申し上げましたように若干下がっておりますけれ
ども、その他の諸物価は一般的に上昇しております。特に、人件費を含めまして諸物価上昇の中で、今申し上げましたように基本賃率は据え置きというような
状況にございまして、決して各航空
会社の収支
状況もそんな良好なものではない。
ちなみに現在の我が国の定期航空三社の
状況を申し上げますと、
昭和五十七年に一般的な運賃の値上げの改定をいたしたわけでございますが、その後、六十一年度までを見ますと、三社のうちその間配当を続けておりますのがわずか一社、これも配当率も八%でございます。それから、五期ございますが、五期のうちの一期だけ八%配当をしておりますのが一社、それから、他の一社はその五期を通じまして配当を一切しておりません。それから、ごく最近の収支で申し上げますと、六十一年度におきます三社の収支の合計といたしまして、経常損益で二百四億ということでございまして、これは全体の収入に比べますと約一・四%程度の経常利益でございます。
そういう
意味で利益率も非常に低いということでございまして、私
どもといたしましては、基本的に、国民の皆様方の関心が深いということは承知しておりますので、国際運賃につきましては、方向別格差につきましてはできるだけの解消をしていこう、それにつきましては航空
会社の経営
状況等をもにらみながらやっていこうということでございます。
それから、国内につきましても、割引運賃の導入等についてはできる限り検討はしていこうということで、現在、航空局の中に運賃問題
懇談会というのがございまして、これらの問題を議論しておるところでございまして、これの議論の結果をも踏まえて私
どもとしては今後対処していきたいというふうに
考えておる次第でございます。
なお、それから日本航空の場合は高い、ほかの航空
会社を使えば安いというようなお
考えがあるかと存じますけれ
ども、日本発の運賃につきまして言えば、先ほど来申し上げましたように、これは各社同一の運賃ということでございます。
以上でございます。