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守住有信君 本日は、地方振興のための
地域開発の問題、地方の
産業特にその中でも工業
関係の立地政策と申しますか、そういう問題に関連しましてお尋ねをしたい、こう思うわけでございますが、最初私の考え方をずっと申し述べますので、特に四全総とも関連いたしますので、お聞き取りをいただきたいと思うわけでございます。
御承知のとおり、現在
日本の
経済、社会は幾つかの大きな課題に直面しておりますけれども、今も
円高の問題等々いろいろ出ております。したがいまして、
内需拡大への方策とか、
貿易摩擦の激化の問題とか、あるいはもっと広く石炭
産業その他国の基本である農業までも含めた幅広い
産業構造の調整の問題がございます。
それから、いろいろ
中小企業を
中心に出ておりますように、地方の
企業城下町に端的にあらわれておりますいわゆる雇用、失業の問題もございます。
ところが他方では、土地の暴騰に象徴されるような、ある意味では一極集中かと思われますところの東京問題などもあろうかと思うわけでございます。
これらの問題は、それ自体は非常に長期的な対応で大きな問題でございますし、
政府、各
省庁相関連して積極的な対策に向かって努力中でございます。
しかし、こういう問題をずっと
日本列島という、列島改造論ではございませんが、
日本列島という大きな地図の上で投影してこれをとらえてみますと、私としては、いわばこれは東京問題と地方の振興の問題というふうに集約されるのではないか、こういう感じを端的に持っておるわけでございます。
御承知のとおり、現在でも関西にもいろいろ本社がございますけれども、そういう多くの
企業が今度は東京へと本社をさらに移転させておりますし、最近は、御承知のとおり、東京オフショア
市場その他の関連からも、外資系の
企業も
市場開放政策の進展につれまして随分
日本に参入してくる。しかも、それはどちらかといいますと、金融や証券や損保やあるいは商社等、三次
産業が
中心でございまして、みんな東京を
中心に事務所を構えまして、テレビを見ておりましたところが最近もうこれは千三百社以上になっておる。そして、さらに引き続き東京駐在の事務所、支店など、外資系、
国内系いろいろ入っておりまして、東京のビル不足、地価高騰、その最大の要因にもなっておるというふうに言われておるわけでございます。
ところで、その同じ外資系でも、
産業の中核でございますところの二次
産業の地方への進出はほとんど寡聞にして耳にしないわけでございまして、この間ちょっと調べてみましたところ、これは私のデータでございますけれども、地方への二次
産業の工場立地の方は
昭和六十年で全国で二十九件だ、こういう
状況でございました。
このように、元来東京は、いわば成長しつつある第三次
産業、特にサービス
産業により高い比重を本来これは持っておるところでございますけれども、さらにこれが国際化、情報化の進展によりまして加速的に成長、集中しつつあると見るわけでございます。
ところが地方の方は、従来から御承知のとおり、農林水産とか鉱山あるいは二次
産業である工業など、一次、二次
産業を基盤としております。しかも、二次
産業の内容を見ましても、重厚長大といいますか、いわば基礎素材型の
産業が中核を占めておりまして、現在も、構造不況と
円高による
産業構造転換の荒波にもまれておる、さらされておる業種の比重が一番高い、このように見ておるわけでございます。
こういう中で、
産業のサービス化、高付加価値化あるいは国際化という構造変化の傾向、これが、三全総までは長期的に進めてきました基本計画、国土庁を
中心に各省が一生懸命になって進めてまいりました基本計画、方針でございます全国総合
開発計画におきまして、御承知のとおり、大都市圏と地方との均衡ある国土の発展を図る、そしてまた過疎過密の同時解消という基本政策の方向でございましたが、最近の傾向はこれと全く逆の方向へ、全体としては東京と地方の格差をむしろ拡大する方向へ
経済社会の流れやいろんなきしみが向かいつつあるのではないか、私はそのように認識をしておるわけでございます。この
経済社会の中央と地方の格差解消へと今まで長い間、一次、二次、三次と全総がございましたが、長い間の
政府や国民の努力にもかかわらず、最近の傾向は、むしろ格差を拡大させる方向に強く働いておるのではないか、このように感ぜられるところでございます。
国土審議会の方では昨年の十二月の一日でございますか、まだ計画部会だけの中間
報告でございますけれども、たたき台が示されたわけでございますが、私のふるさとの熊本県の細川知事が真っ先にこれに対しまして、危機感といささかの失望感も含めながら幾つかの指摘を
新聞紙上に御投稿なさったことも、皆さん方、既に御承知でございますし、その後国土庁としては、いろんな各ブロックでの地方振興懇談会という場を通じてそれぞれの地方の悩みや特徴を、長官みずからこういう地方の声をお聞き取りいただいて、最終答申に反映されるべくお取り組み中だというふうにお聞きをしておるわけでございます。したがいまして、今は中間の
段階でございましょうが、私からも一言この件について申し上げたい点があるわけでございます。
言うまでもなく地方の振興を図るということは、これは多くの
省庁、
通産省もそうでございますし建設省も自治省も運輸省も、どの
省庁も大きな、それぞれの省の中の政策課題でございます。そして、
お互いにその所管の分野で
協力し合って当たっていくわけでございますけれども、しかし一番大切なのは国全体としてのビジョンを描く、青写真をつくって国民や地方の
方々にもお示しして、それぞれの
省庁もそれを受けとめて、そしてそれぞれの
地域で地方の
活性化のために力を傾注していくことが重要であるということは言うまでもないことでございます。その全体的なこれからの青写真、一番大切なビジョンがこれからの四全総ではないかと思っております。
これ自体、たかが構想とか総合計画と言ってしまえばそれまででございますけれども、私が危惧いたしておりますのは、前に述べましたように、非常に厳しい
産業構造調整が行われ、さらに二次
産業、三次
産業へ、それから
産業のサービス化とか高付加価値化とか、いろんな動きが加速されておるわけでございますので、そういう必然的な方向の中で再び新たな東京への機能の集中が実はこれは行われつつあるんではないか、このように見ておるわけでございます。そういう客観的な流れの中で、その上に国の総合政策構想までいわばこの傾向に乗るような印象を私は実は与えたんじゃないか、こういう感じがしたわけでございまして、地方それ自体は、お聞きになったと思いますけれども、この財政難の中でございますので、余計中央の援助、支援がこれからますます重要になってくるというときに、中間ではございますけれどもあるイメージが出ましたことは、地方の財政力さえ非常に窮乏をいたしておりますときに、我が九州はほとんどがいわば端的に申しますと貧乏県の方でございます、ここでこういう流れがございますと、意気消沈しましてせっかくの地方の活力をそぐことになりはしないか、こういうふうに私も地方の一員として非常におそれを持っておるわけでございます。
したがいまして、四全総はやはり地方の問題についての総合的な政策、施策のいわば象徴だ、こういうふうに思っておるわけでございますので、現在、まだこれからのロングレンジの、
日本の直面しておる地方振興の問題をひとつ取りまとめ、中核の官庁である国土庁として正しく認識していただきまして、それぞれの地方はそれぞれ特徴を持っております、個性を持っております。そういう中でそれぞれの特徴を生かされて、またいわば弱さというのを持っております。その弱さを克服する方策をいろんな例示の中で具体的に打ち出していただきまして地方に明るい展望を開いていく、これを四全総の中に盛り込んでいくということを実は私は最大の念願といたしておるわけでございますので、そういう前提を置きましてひとつ御質問をしたいわけでございます。
第一は、今、中間ではございましょうけれども四全総の策定
状況やその見通しについてお伺いをしたい。
その次に、二番目には、その中で、この東京問題と地方の問題でございますので、東京圏への必然的な集中傾向に対しまして、どのような御認識やお考えをお持ちで、そして
日本列島の全体の中で東京の位置づけというものをどのように今お取り組み、お考えであろうかというのが二番目でございます。
そして、最後が最大でございますが、地方の問題、地方振興、地方フロックの特徴、特性を生かした地方の
活性化対策を長期構想としてどう盛り込んでいかれるのかということでございます。
もちろんまだ審議、論議途中でございますし、いろんな審議会の諸先生方も皆さん方と御一緒に御議論中でございますでしょうけれども、これは地方の県民みんなの実は最大の関心事でもございますので、以上三つ申し上げましたけれども、それについていろんな角度から御
説明していただければありがたい、このように思うわけでございます。