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説明員(木村光一君) お答え申し上げます。
外務省といたしましては、御
指摘のフィリピン人等入国後不法滞在や不法就労をしているという
実態があることについては、国内的にも好ましくないし、また国際的にも対日イメージの
関係から決して好ましくないと考えております。
したがいまして、外務省としましては、数年前から
関係の在外公館、我が方の大使館や総領事館に訓令を発しまして一般に査証発給を厳格に行うよう指示しております。このように審査の厳正化を図っておりますので、我が方が
実態とかけ離れた査証の発給を行っているということは必ずしも当たらないと私どもは考えております。ただ、在外公館が査証審査の段階でこれらの活動を完全に見破るというのは、人権上の問題等がございまして限界があるということもまた事実でございます。
具体的に例えば、御
指摘の点に関連いたしまして、マニラにおきます我が方の総領事館がどういうふうに査証審査の厳格化を図っているかということでございますが、まず三点ほどございまして、第一に、特に昨年の秋ごろからでございますが、非常に館内の人手不足なんでございますけれども、複数の査証官みずからが窓口に立ちまして
申請人みずからと面接する、この面接重視ということで、毎日平均約四百人ぐらい
申請者がございますけれども、この審査に当たっております。結果としまして、毎日四百人という
数字でございますので、連日
関係事務が終了するのが真夜中、深夜を過ぎるというような実情になっております。
第二点目でございますけれども、それぞれ観光とか就学とかそれから興行
目的、
目的に沿った必要な書類、それから正当に発給された旅券等を提示させて審査するわけでございますけれども、こういうものにつきましても偽変造が非常に多うございまして、これもまたチェック、点検の対象といたしております。
三番目には、渡航
目的に応じまして十分な財政、資力があるか、それから身元保証人ないしは招聘人がしっかりしているか、そういう子細なところまで審査の重点といたしております。このように厳格に査証審査をやっておりますので、一応査証画での
対応ということではぎりぎりの限界に来ていると申し上げてもよいかと思われます。
以上申し上げました点につきまして、少し具体的に査証を入国の
目的別に御
説明させていただきますと次のようになります。
まず、
先生がおっしゃいました観光等を
目的とする査証
申請でございますけれども、今まで申し上げましたような厳格な査証審査を行っておりますので、最近では男、女を問わず
申請人の約四〇%程度が査証を拒否されているという現状になっております。それから就学査証の
申請でございますが、これは査証の発給前に招聘人または身元引受人が
法務省の方に事前審査終了証というものを要請いたしまして、その正当な審査証を所持している者、また我が方の在外公館に提示した場合には査証を発給する、そういう基本的な制度になっております。興行のための査証
申請につきましても同じような制度にのっとりまして査証が発給されております。ただ、今申し上げました就学、興行のための査証
申請いずれの場合も、我が方の在外公館での査証審査の段階で不正な終了証がしばしば発見されまして、査証段階でこれがチェックされまして、結果として査証発給が拒否されるということがございます。
このように、少し詳しく申し上げましたけれども、在外公館における査証審査というのは、結論から申し上げますと、
申請する人たちの人権の尊重という建前と、それから審査を厳正化するという建前との兼ね合いの中で行われているわけでございます。
いずれにいたしましても、
先生が御
指摘の不法滞在とか不法就労の問題につきましては、単に査証審査の面だけではなく、
取り締まりとか入国の審査、それから在留管理の面で
関係省庁とも随時協議を重ねてきておりまして、今後とも一層の努力を払ってまいりたいと思っています。
なお、御参考まででございますけれども、御
指摘の点等につきまして、我が国だけでの
対応では十分なことができませんので、当該国の
関係政府機関とも随時協議を行っております。これは、先方の
申請人の持つ旅券だとか、それから査証審査に非常に重要であります、提出や提示を求めているいろいろな公的書類の偽変造が非常に多うございますので、先方政府機関の協力を得ませんと審査の厳正化を得られないという事情がございまして、随時いろいろなレベルで協議を行っております。