○山田勇君
長官、今から原稿を離れて私の体験から、るる
質疑といいましょうか、
お話しをさしていただきたいと思うんです。
私が議員になったときには
環境庁はございませんでした。四十六年から
環境庁ができました。そのときまでは災害
対策で赤潮
対策などを災害という見地から我々はよく現場へ行って
調査をしたりいたしました。今赤潮
対策はどの
程度環境庁で把握されているか別としまして、例えばハマチを養殖をしておりますが、赤潮が寄ってきてもハマチを解放しません。これは、解放してしまいますといわゆる
補償の
対象にならないので最後までハマチを抱くんですね。赤潮が来ればハマチは全部枠の中で腹を見せて浮いているという状態。今はそういうことはないとは思いますが、我々がそのときに提言したのは、ハマチを放しなさいと。何匹、何百匹というのは把握して、各漁業組合から申告を受けて
補償しましょうと、だから放しなさいということを提言した。今放していると思いますが、これ放しますとまた海へ戻ります。赤潮が来ると赤潮の方へ魚は行きませんから、瀬戸内海のハマチは全部瀬戸内海から太平洋へ戻るわけです。今度帰ってくるときには大きなブリになって帰ってきよるわけです、そのハマチが。だから、そういうふうに放し、それを後で漁業組合からその数によって
補償していくというようなことを災害
対策の特別
委員会でやったことがあるんですね。だから、自然の脅威というものは自然発生的に起きてまいりますので、そういうふうに、
一つ一つの
行政も枠ではめてしまわないで、ケース・バイ・ケースで
環境保全ということも考えていくということも必要ではないかと思います。
私は、毎年カナダ政府とのジョイントの中で子供百人連れてカナダへ参ります。先ほどサケの問題も出ておりましたが、あの大きな母なる川、フレーザー川というのがバンクーバーに流れ注いでおります。これは上流へ行きますと、自然流木、雷によって倒された木、それから岩石、相当大きな岩石が川へ入ってまいります。そうなりますとサケが上ってこれないんですね、そういう弊害を受けて。そうしますと、カナダ政府の、これはブリティッシュ・コロンビア州の
環境局が何をしたかといいますと、上ってくる川から横に水路をつくって全部サケを水路へ入れてやる。自然のように通路をつくって、サケが全部川の本流を上らないでこのわきの水路に入ってきてそこでふ化をする。それで、ふ化をする設備から全部これを見せて、そしてあのサケはまた母なる川へ戻ってくる、稚魚を全部放してやると。それを観光名物にしてあるんです。
これは一度バンクーバーへ行かれたらぜひごらんいただきたいと思います。これが大きな観光資源になってしまっているんです。サケをそういうふうに
保護する。そうしてその資金で今度川をきれいにする。流木を取り外したり、また石をのけたりする。だから、自然と人工というのをうまく使い分けて、ある時期が来たら自然にサケは上らして、後はまた遮断してその水路の方へ入れる。これ観光資源になってしまったものですから、そこで稚魚を養成してまた放流する。それはもう全部マークをつけているからまた母なる川へきちっとサケが戻ってくるというようなことをして、観光
行政の中で今莫大な利益を得ているわけですね。だから、例えば北海道の旭川でもそういうことを
環境庁がやっても別におかしくないですよ。銭もうけはやったらよろしいんです、予算ばかり当てにせぬで。
環境行政の中ではそういうものをどんどん推し進めていって僕はいいと思います。
それと、今一人一人へのPRが必要だと言ったのは、サケをカナダに釣りに行きますと、一日に四匹以上釣ったらいかぬのです。そうすると、我々日本人の感覚では、幾らでも釣れますからもう一匹ぐらいいいだろうと言うと、カナダの友達は必ず絶対だめだと、これはもう我々
国民の最低限のモラルだと、四匹というように決められたら四匹でやめてくれというふうに、そのくらい徹底しているんです。その漁場漁場にちゃんと「あなたは神様を欺きませんか」というポスターが張ってあるんです。だから、そういうPRが必要ではないかと、押しつけ的なものではなく。「あなたは神様を欺きませんか」ということは、四匹釣ったらもうその日はそれでやめるという、そういうふうに非常に道徳的な
配慮、自然を大切にする、その魚を
保護するというようなことですね。
それと、カルガモが池から今渡っております。あれなど
環境庁は絶好のチャンスなんです。カモの標識つくったらよろしい、道路標識。これは警察庁の交通課と話してできるんです。それなどやると、これは
環境庁というのはこういうことをやっているんだということで非常に
国民にPRになるんです。あれ横断歩道を通るんですよ、あのカモが。カナダへ行きますとカモの標識がある。これはもう世界でただ
一つのカモの標識です。あのシカの絵なんかかいて、シカが飛び出すというようなことをかいてありますがね。だから、カモの何かを池のそばにかいて、下に「
環境庁」と入れて、カモが渡りますから御注意くださいなんていう標識を立てると、
環境庁がいかにこういうふうに自然を大切にしているか、ただこの何匹かのカモを守るためにこの標識を立てているというようなことを大いにこういう
一つの機会を得て
環境庁としてPRをぜひ推し進めていっていただきたいと思います。
特に
稲村長官は、
環境庁の名
長官として初代大石さんに並ぶ
長官として高く我々は評価しておりますし、
国民もよく見ております。あの北海道の
知床の問題でもすぐ行かれますしね。だから、そういう意味で非常に期待の多い
長官です。
最後に、私は、
環境庁というのは各
行政機関の調整機関であり一番大きな権限を持つ
行政機関でなければだめだと思います。大変口幅ったい、げすな
言葉を使いますが、外人部隊なんて言われている間はだめでですね。もう絶対に
環境庁が大きな力を持ってやらないと僕は困ると思います。先ほど来同僚
委員の質問の中でも、
林野庁の問題にしろ何にしろ、言ったらなめているんですよ、
環境庁をなめているんです。というのは、建設
委員会でこの間御承知のとおりリゾート法を上げました。これは十万から十五万ヘクタール、四億五千万坪のこれからリゾート保養地開発をやろうとすれば、もうこれは
国有林に全部がかるんですね。そんな場合でも、開発の許可というのはもう全部
環境庁に伺いをたてて
環境庁のオーケー出ないとこの開発はできぬというぐらい、大きな権限を持ってもらわないと自然破壊につながっていくと私は思うんです。やはり緑多きを残して近代都市へと脱皮する
行政を行うために、ぜひ
環境庁がこれから各
行政に対して大きな権限を持つように心から私は要望しまして、私の質問を終わらしていただきます。