○田英夫君 この問題は大変科学の難しい問題ですけれ
ども、しかし、今渡辺さん言われたとおり、いわゆる核爆発によってエックス線ないしガンマ線レーザーをつくり出して、それによって相手のミサイルを破壊するということでありますから、先ほどの
日本政府の御見解によっても、つまり
核兵器の定義によっても、
核エネルギーによって相手を殺傷ないし破壊するということに当てはまってくるわけで、その
意味からも私はトラテロルコ
条約からも
日本政府の見解からもこれは
核兵器と言わざるを得ないというふうに思っています。ただ、これはいろいろ議論のあることですから。
そこで、時間がないので、この問題は三十分や四十分で済む問題ではありませんから、残念ながら先に進みますけれ
ども、大臣御自身、昨年の秋の臨時国会で、アメリカが地下
核実験をやっているのはSDIに関連すると、ちょっと
ソ連との
関係を引き合いに出されながらおっしゃったんで、そのこと自体新聞でも
報道されて承知しておりますけれ
ども、アメリカのレーガン大統領もアメリカの地下
核実験はSDIに関連があるということを認めたという
報道がありますね。そういうことで、渡辺さんの言われるようなことも一方で聞いておりますけれ
ども、依然としてエックス線ないしガンマ線レーザーということを追求しているということも事実だと思うんです。
そこで、SDIは非核だということになりますと、
日本の非核三原則ということにこれは
関係がなくなる、もしSDIが完成をしてそういうエックス線ないしガンマ線レーザーを発射する装置を
日本に持ち込んでくる、そしてそれを宇宙に打ち上げて、あるいは
日本近海からということもあるでしょうが、そして対応するということになっても、これは非核三原則に触れないということになるんでしょうか。
もう少し御
説明しましょうか。つまり、これも難しいことで、まだアメリカもそこに到達したわけじゃありませんけれ
ども、あらかじめ核爆発を起こす装置を宇宙に打ち上げて、地球を回る空間に打ち上げておいて、そして相手が大陸間弾道弾を打ち上げたそのブースト段階で発見をして、すぐにエックス線なりガンマ線のレーザーを照射して撃ち落とすということになりますと、
宇宙空間にあらかじめそうした装置を打ち上げておくことはこれは宇宙平和利用の問題に触れてくるということで、今アメリカで言われているのは、あらかじめいわゆるポップアップ方式という形で、その装置を地球上、地上ないし海上に置いておいて、そして相手が打ち上げたことを
宇宙空間で探知してすぐにそれを打ち上げて落とす。
しかし、
最初のブースト段階というのは百八十ないし二百秒と言われているんですから、三分か四分の間にそんなことができるのかと私の科学の力ではとても理解できないんですが、そういうことが言われているわけですね。そうなりますと、アメリカ国内にそういう装置を置いておいたんでは、まあ想定されるのは
ソ連のミサイルですか
ら、間に合わない。西ヨーロッパないしアジアで言えば
日本周辺にそうした装置を置くのではないか、そしてポップアップ方式で打ち上げるのではないかということが今言われているわけですよ。そうすると、
日本にそうした核爆発を起こしてエックス線レーザーを
発生させる装置を持ち込んでくるという
可能性が生じてくる、こういう議論につながるわけですよ。そうするとこれは非核三原則とどういう
関係になるのか。
政府がおっしゃるように非
核兵器だということになれば、これを持ち込んでくるということはあり得るわけですね。そうすると、相手側からすれば、そういうものが
日本にあるということがわかれば事前にこれを攻撃するということも生じてくる、
日本にとってはますます危険ではないか、こういう論点といいましょうか、論理になってくる、こういうことを私は申し上げたいわけです。いかがですか。