運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1987-05-25 第108回国会 参議院 外務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年五月二十五日(月曜日)    午前十一時十分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         宮澤  弘君     理事                 最上  進君                 松前 達郎君                 小西 博行君     委 員                 後藤 正夫君                 鳩山威一郎君                 林 健太郎君                 林田悠紀夫君                 原 文兵衛君                 中村  哲君                 矢田部 理君                 広中和歌子君                 立木  洋君                 田  英夫君    国務大臣        外 務 大 臣  倉成  正君    政府委員        防衛施設庁総務        部長       平   晃君        外務大臣官房審        議官       渡辺  允君        外務大臣官房審        議官       柳井 俊二君        外務大臣官房審        議官       遠藤 哲也君        外務省北米局長  藤井 宏昭君        外務省欧亜局長  長谷川和年君        外務省中近東ア        フリカ局長    恩田  宗君        財務省経済局次        長        池田 廸彦君        外務省経済協力        局長       英  正道君        外務省条約局長  斉藤 邦彦君        外務省国際連合        局長       中平  立君        外務省情報調査        局長       新井 弘一君    事務局側        常任委員会専門        員        小杉 照夫君    説明員        警察庁警備局警        備課長      半田 嘉弘君        法務省刑事局刑        事課長      石川 達紘君        外務大臣官房文        化交流部長    田島 高志君        運輸省航空局首        席安全監察官   大竹 勇二君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国際的に保護される者(外交官を含む。)に対  する犯罪防止及び処罰に関する条約締結に  ついて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送  付) ○人質をとる行為に関する国際条約締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○文化交流に関する日本国政府ソヴィエト社会  主義共和国連邦政府との間の協定締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○商品名称及び分類についての統一システムに  関する国際条約及び商品名称及び分類につい  ての統一システムに関する国際条約改正に関  する議定書(千九百八十六年六月二十四日にブ  ラッセルで作成)の締結について承認を求める  の件(内閣提出衆議院送付) ○原子力事故早期通報に関する条約締結につ  いて承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付  ) ○原子力事故又は放射線緊急事態の場合における  援助に関する条約締結について承認を求める  の件(内閣提出衆議院送付) ○多数国間投資保証機関を設立する条約締結に  ついて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送  付) ○関税及び貿易に関する一般協定ジュネーヴ議  定書(千九百八十七年)の締結について承認を  求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○民間航空機貿易に関する協定附属書改正する  議定書一千九百八十六年一の締結について承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○国際花と緑の博覧会政府代表設置に関する臨  時措置法案内閣提出衆議院送付) ○日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び  安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び  に日本国における合衆国軍隊地位に関する協  定第二十四条についての特別の措置に関する日  本国とアメリカ合衆国との間の協定締結につ  いて承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付  )     ―――――――――――――
  2. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  文化交流に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件、商品名称及び分類についての統一システムに関する国際条約及び商品名称及び分類についての統一システムに関する国際条約改正に関する議定書(千九百八十六年六月二十四日にブラッセルで作成)の締結について承認を求めるの件、原子力事故早期通報に関する条約締結について承認を求めるの件、原子力事故又は放射線緊急事態の場合における援助に関する条約締結について承認を求めるの件、多数国間投資保証機関を設立する条約締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定ジュネーヴ議定書(千九百八十七年)の締結について承認を求めるの件、民間航空機貿易に関する協定附属書改正する議定書一千九百八十六年の締結について承認を求めるの件、国際花と緑の博覧会政府代表設置に関する臨時措置法案日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件、国際的に保護される者(外交官を含む。)に対する犯罪防止及び処罰に関する条約締結について承認を求めるの件、人質をとる行為に関する国際条約締結について承認を求めるの件、以上十一案件を便宜一括して議題といたします。  十一案件のうち九案件については既に趣旨説明を聴取しておりますので、国際的に保護される者(外交官を含む。)に対する犯罪防止及び処罰に関する条約締結について承認を求めるの件、人質をとる行為に関する国際条約締結について承認を求めるの件の両件について政府から順次趣旨説明を聴取いたします。倉成外務大臣
  3. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいま議題となりました国際的に保護される者(外交官を含む。)に対する犯罪防止及び処罰に関する条約締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この条約は、昭和四十八年十二月十四日に第二十八回国際連合総会において採択されたものであります。  この条約は、元首、政府の長、外務大臣外交官等国際的に保護される者に対する殺人、誘拐等侵害行為犯罪として定め、その犯人処罰裁判権設定容疑者引き渡し等について規定しております。  我が国がこの条約締結することは、国際的なテロリズム防止するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  次に、人質をとる行為に関する国際条約締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この条約は、昭和五十四年十二月十七日に第三十四回国際連合総会において採択されたものであります。  この条約は、国際的なテロリズムとしての人質をとる行為犯罪として定め、その犯人処罰裁判権設定容疑者引き渡し等について規定しております。  我が国がこの条約締結することは、国際的なテロリズム防止するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
  4. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより十一案件を一括して質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 松前達郎

    松前達郎君 案件が十一ありますので、整理をしながらなるべくまとめて一つ一つ質問をさしていただきたいと思います。  一番最初が、原子力事故に関する案件、これ二本あるわけでありますが、これについて質問さしていただきたいんです。まず、チェルノブイリ原子力事故が昨年起こったわけでありますが、この原子力発電所といいますか、これらの内容と、それからその事故通報ですね、情報、そのころの状況というのは一体どういう状況だったのか、つかんでおられることがありましたら御説明いただきたいと思うんです。
  6. 遠藤哲也

    政府委員遠藤哲也君) まずチェルノブイリ原子力発電所原子炉の形態でございます。私必ずしも専門家じゃないので非常に詳しい御説明ができないのが残念でございますけれども、形としましては、黒鉛を減速材とします、軽水を冷却材とします、日本にはない形の、つまりソ連にはこの型の原子炉が相当多いのでございまして、ソ連独特と申しますか、そういう炉でございまして、この炉にはもちろん長所もあるわけでございます。同時に短所としまして、いわゆる炉の中の温度が上がってきたときに核反応が進むという若干炉の特質的な問題もあったみたいでございます。  いずれにしましても、去年の四月二十六日に発生しまして、この情報をまず最初にキャッチしましたのがスウェーデンの研究所、それから続きましてスウェーデン原子力発電所がこの情報をキャッチしまして、これが四月二十七日、二十八日でございました。それでやっと二十八日の九時、したがいまして、事故発生以降相当たちまして、タス通信が非常に簡単な形でございましたけれども事故発生報道ということで、非常に残念でございましたけれども発生からソ連側によります事故報道まで若干期間がたったわけでございます。
  7. 松前達郎

    松前達郎君 チェルノブイリ原子力発電所事故の今おっしゃいましたスウェーデン情報ですね、それ以外にはどうも私も何か情報が入っていなかったような気がするわけなんですが、後になってからですけれどもランドサットでそのときの状況を写した、写したというか情報によって解析した結果は、確かにもう四号炉のところは真っ赤に温度が上がっているわけですね。その後SPOT衛星等も、SPOTはモノクロですから見にくいんですけれども、そういった衛星情報というのを何か使って、各原子炉だけじゃないかもしれませんが、そういった事故等について情報をとるという、そういう話はその後出ておりませんですか。
  8. 遠藤哲也

    政府委員遠藤哲也君) 私も先生の御指摘ランドサットで撮りました衛星写真を見たことがあるのでございますけれども、その他にはそういうのを私は承知しておりません。
  9. 松前達郎

    松前達郎君 今のランドサットのことは今後の課題かもしれません。  そこで、原子力事故早期通報、それと今の緊急事態発生の場合の援助、この二本が対象になるわけですが、この中を読んでみますと、国境を越えて影響を与える事故というのが対象となる、こういうふうに書かれてあるわけなんです。我が国の場合は国境といっても陸地で隣接する国境はない、それから隣の国も多少距離がある、こういうことでありますが、我が国に一番近い原子炉では、国内の原子炉は別として、近海航行中の原子力推進艦船、そういったようなもの、あるいは入港中のがありますね、主にアメリカの艦船になりますが、こういったような原子力推進による艦船の場合はこれの対象となるのかどうか。事故としてもし起こった場合には同じような結果となるわけですから、それについてはこの中ではどうも全然触れていないですね。これは除外されているのかもしれませんが、その辺どういういきさつになっているんでしょうか。
  10. 遠藤哲也

    政府委員遠藤哲也君) 先生指摘のとおりでございまして、この条約の特記していますのは極めて、普通の場合原子炉というのは陸上にある、それからこの条約がかなり典型的に想定していますのは、国が隣接する場合のいわゆる典型的なケースを想定していまして、先生指摘のように領海を越えてあるいは海を越えて云々というのはここには特記されていないのでございます。しかしながら、例えば先生指摘領海外艦船原子力事故を起こした、それが領海に入ってくる、これは「国境を越えて」という概念にきちっと当てはまるかどうかは別でございますけれども領海に入ってくるのはもちろん当然のことながらこの通報条約通報対象になると思います。そういうふうに解しております。
  11. 松前達郎

    松前達郎君 そうしますと、艦船の場合事故が起こった場合には、これは核エネルギー軍事利用になるわけですが、そういった軍事利用の場合も含まれるというふうに解釈してよろしいのか。  それから原子力推進商船というのは、オット・ハーンももう退役しまして今ほとんどありませんが、たまに砕氷船などありますね、そういった船舶も含めて対象としている、要するに事故が起こったらすべて原子力事故である以上この対象として考えるということに解釈してよろしゅうございますか。
  12. 遠藤哲也

    政府委員遠藤哲也君) まず、最初お答え申しますとそのとおりでございます。  ただ、若干補足説明をさせていただきますと、この条約には義務通報任意通報と二つを分けて書いてございますが、いわゆる普通の原子力事故につきましては、それが軍用のものであってもあるいは民生用のものであってもすべてこれは義務通報対象になるということでございます。したがいまして、その艦船軍用艦船であろうとあるいは原子力商船であろうと、原子炉事故から生じます影響というもの、事故につきましては通報対象になる、こういうことでございます。  しかしながら、通報条約の第三条にあるのでございますけれども、これは実はこの条約の討議のときにかなりもめましたのは、多くの国は、とにかく軍用であっても民生用であっても事故は全部義務通報対象にすべきだということに対しまして、一部の核兵器国が、いや軍事原子力施設というものは除くべきである、こういうふうな意見の対立がございまして、結局、その妥協といたしまして、原子炉については軍用でも民生でも全部義務通報対象、しかしながら核兵器とかあるいは核実験、こういったようなものにつきましては任意通報ということにいわゆる妥協の産物として分けたわけでございます。したがいまして、先生指摘艦船事故原子炉事故である限りにおいては、軍と民とを問わず全部義務通報対象 になるわけでございます。
  13. 松前達郎

    松前達郎君 艦船事故原子炉事故である場合は軍民を問わないということでありますが、今のところ事故は余り起こっていないようですが、近海で時々原子力潜水艦火災を起こしてみたり、いろんな事故を起こす場合がありますね。この火災の原因が何だかわからなければ通報対象にならない。原子炉でないと言えばそれっきりになってしまう。そういうことなんですが、ここまで立ち入って内容説明してもらうとか、そういうふうな義務を負わせるとかいうことはないわけですね。もう原子力に限定されるということですか。
  14. 遠藤哲也

    政府委員遠藤哲也君) 先生指摘のようなことがございまして、いわゆる原子炉以外の事故については条約上は任意通報対象になっているのでございますけれども他方、この条約が採択されましたときに、核兵器国である五カ国は、核兵器実験なりあるいはそういったものにつきましても任意的に通報するという宣言をやっているのでございます。したがいまして、私どもの期待としましては、あらゆる原子力事故について通報があるものというふうに期待していいんじゃないかと思うわけでございます。
  15. 松前達郎

    松前達郎君 それからもう一つ、今度は艦船じゃなくて宇宙空間ですね。これもいろんな条約といいますか、国際的な取り決めがあると思うんですけれども、例えば人工衛星等にもし原子炉を搭載するような場合に、これが事故を起こしておっこってくる、要するに地球上に落下する場合が前にありましたですね、こういうふうな場合はやはりこの対象として考えるべきなのかどうか。その辺は議論されましたでしょうか。
  16. 遠藤哲也

    政府委員遠藤哲也君) 今の御指摘の件は、このいわゆる通報条約の第一条によりまして、義務的な通報、つまり原子炉搭載人工衛星、あるいは発電電源としましてラジオアイソトープも積んでおる人工衛星もあろうかと思いますけれども、それの事故につきましても第一条によります義務通報対象になると解しております。
  17. 松前達郎

    松前達郎君 もう一つお伺いしたいんですが、我が国の場合、先ほどちょっと申し上げましたけれども、いわゆる非常に近接した隣国というか、隣の国がこのチェルノブイリのような状況とちょっと異なった状況にありますので、いわゆる隣接する、国境を隔てるという概念がちょっと違うんじゃないかと思うんです。しかし、やはりこの原子力関係事故の場合には、その結果として風とかあるいはジェット気流とかなんとかに乗ってやってきますから、風下の方は影響を受ける。現にチェルノブイリの場合も、風が何回か方向が変わっていますから、それによってスウェーデンの方が真っ先に影響を受けたとか、そういういろいろあるわけなんです。  我が国の場合は、隣国といいますと、そういった関係で考えた場合には、原子炉を持っている国としては中国あるいは韓国ソ連、こういうふうな国々があるわけなんですね。この中で韓国がどうも見当たらないんですね、加盟しているかどうかということでいろいろ調べてみますと韓国が見当たらないんですが、風の方向からいくと韓国は非常に日本には影響を及ぼす国じゃないかと思うんで、対象国としては、我々としては一番重要な一つとして見ざるを得ないんですが、その点どうなんでしょうか。
  18. 遠藤哲也

    政府委員遠藤哲也君) 先生今御指摘のように、韓国には原子力発電所が現在六基、それから建設中ですか、これが三基ありまして、いわゆる原子力分野ではかなりの先進的な地位に到達しつつあるわけでございます。私どもなるべく早く韓国が二条約に加盟してもらいたいというふうに思っておりまして、実は先月末から今月にかけまして三ツ林科学技術庁長官訪韓の際にも、この問題を韓国側が取り上げたわけでございますけれども目下準備をしているところで、なるべく早くというお答えをいただきましたので、私どもとしても韓国が一刻も早くこの両条約に加盟することを期待しているわけでございます。
  19. 松前達郎

    松前達郎君 その辺ひとつ推進をしていただいて、できるだけ早く加盟してもらうという方向でひとつ御努力いただければと思います。  原子力関係はそのぐらいにいたしまして、次の問題として、文化交流に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定日ソ文化交流協定と一言で言っていいと思うんですが、これについてお伺いをさせていただきたいんですが、この中を拝見しますと、「交流奨励する。」という言葉が盛んに出てくるわけなんです。この奨励するというのは、今までやってきたような民間も含めた交流を大いにやりなさいというふうな程度にとらえていいのか、あるいは政府として、外務省として何らかの具体的な奨励方法というものを用意されているのか、その辺をひとつお伺いしたいんですが、いかがでしょうか。
  20. 田島高志

    説明員田島高志君) お答えいたします。  この協定は、従来に比べまして、政府間の交流のみを規定したものではなく、民間交流につきましても大いに拡大発展を図ろうという目的のもとにいろいろな規定が設けられております。したがいまして、特に民間交流につきましては政府としてもそれを推進奨励することにしようという意味奨励という言葉が使われております。  具体的にそれではどういう措置政府としてとるのかという御質問の点でございますが、政府といたしましては、例えば国際交流基金にいろいろな助成措置がとられるようになっておりまして、そういった助成措置を図るとか、あるいはこの協定に基づきまして今度日ソ間に文化交流委員会が設けられることになっております。したがいまして、その交流委員会の場において、民間交流の問題も含めまして拡大発展を遂げるようにソ連側政府としても話し合いを行うとか、あるいはその交流委員会で二カ年間の計画もつくることになっておりまして、そういった計画の中に民間交流につきましても目標を掲げるとか、いろいろな措置をとることを考えております。
  21. 松前達郎

    松前達郎君 奨励するというのはそういうことで、今おっしゃいました交流基金とかそういうものを通じて奨励をしていく、あるいは委員会等で検討されたものについてはバックアップしていく、こういうふうに今おっしゃったと思いますけれども、もう一つ、「機会を与える」という言葉があるんですね。例えば展示会とか演奏会、これは今日まで数多くの行事が行われてきておるわけですね。とりわけ最近ではソ連のピアニストのブーニンですか、演奏会があってブームになったようなこともあったわけであります。政府レベルでこれらの交流のためにテレビとかラジオに出演させる機会を与える、こういうふうな表現になっておるわけですが、これは今日まで行ってきた内容内容的にはそんなに変わらないようにも思うんですが、これについてもやはり奨励するという意味が含まれていると解釈してよろしゅうございますか。
  22. 田島高志

    説明員田島高志君) お答えいたします。  おっしゃるとおり、奨励するという言葉機会を与えるという言葉には共通する点があると存じます。機会を与えるという場合には、そのような催し物、例えば映画祭とかその他の政府レベルあるいは民間レベルで行う交流につきましてそういう場を設けることを積極的に妨げるようなことはしない、奨励するという言葉と共通する意味を持っております。
  23. 松前達郎

    松前達郎君 こういった行事奨励等、あるいはそのほか学術的な面も含めて、あるいは教育の面も入っていますが、これは文部省との関連が非常に深くなってくるんですね。ですから、その辺よっぽど連絡を密にしておいていただかないとちぐはぐなことになる可能性もあるので、これは今後こういった問題を取り扱う場合に文部省との連絡をひとつ密にしていただきたいと思うんです。  もう一つ映画祭についてです。これも政府レベル行事として映画祭を行う、今度は行うになっています。これは政府の責任においてやるというふうなことだろうと思いますが、この問題についてはもう十分内容的な検討をされているんでし ょうか。
  24. 田島高志

    説明員田島高志君) 先生がおっしゃいました文部省との協議それから連絡につきましては、従来も十分心がけてまいりましたが、今後なお一層御趣旨を体しまして協議、連携を保っていくように努力する所存でございます。  それから映画祭につきましては、これは従来も行ってまいりましたが、今後も引き続き行っていく予定でございます。  映画祭につきましては、例えば一九八六年度の実績について御報告申し上げますと、日本映画祭につきましては、十月十四日から三十一日までモスクワ、レニングラード、ナホトカで黒澤明監督作品が紹介されました。それからソ連映画祭につきましても、四月の七日から十五日まで東京、大阪、福岡等の場でソ連作品が紹介されました。映画祭につきましてはかなり実績が重なっておりますし、今後とも重視してまいりたいと存じております。
  25. 松前達郎

    松前達郎君 これも推進をひとつよろしくお願いしたいと思うんです。  それともう一つ、この十三条の二のところに、「広報資料他方の国において配布する」ということが掲げてあるんですが、どうもこの辺が締結に至る原案のところで大分もめたという話は伺っておるんですけれども、この辺はいかがでしょうか。内容的にどういうものかお聞かせいただきたいと思うんです。
  26. 田島高志

    説明員田島高志君) 広報資料配布につきましては、従来も政府広報資料につきましての配布についての取り決めに基づいて行ってきたわけでございますが、我が国は、「今日の日本」それから「フォト日本」をソ連邦において配布してまいりました。他方ソ連政府は「今日のソ連邦」を我が国において配布してきております。  しかしながら、現行の取り決めにおきましては、日本側の配布部数に上限がございます。それに対しましてソ連側配布部数は上限がなく、無制限に配布できるようになっております。実際にもソ連側配布部数の方がかなり多い模様でございます。したがいまして、今後はこの協定に基づきましてこの配布部数につきましては日ソ双方で制限を設けないという方向で、この協定に基づく実際の手続に関する取り決めを結ぶべく現在交渉中でございます。
  27. 松前達郎

    松前達郎君 教育交流もこの中に入っておるわけでありますが、政府レベルでの教育交流というのは、これもまた文部省との関係になると思いますけれども内容的にどういうことを考えておられるのか。  この前ヤゴジンという高等教育省の大臣が日本に来られたわけですね。聞いてみますと、やはりソ連も教育改革をやっているんだと。この教育改革の内容というのが相当現実的でして、企業に入った、あるいは工場とかそういうところに入った者を再教育するやり方がどうなんだとか、教育システムの問題よりもそういった問題がどうも今非常に大きな課題になっているようなんです。いろいろ意見を交換してみますと、いわゆる青少年の交流というのが一番基本だというような、交流としてはそういう問題が大切なんだということを向こうも言っているわけなんですが、こういったようなものも含めて政府レベルで行うということをお考えになっておられるのか。これは外務省が直接やられる仕事じゃないかもしれませんけれども、何かありましたらお答えいただきたいと思うんです。
  28. 田島高志

    説明員田島高志君) 教育交流につきましては、従来も学者、研究者の交換を取り決めに基づいて実施してまいっております。それから覚書もございまして、それに基づきましてソ連の科学アカデミーあるいはソ連の高等教育省等との間で人物の派遣または受け入れ等を行っております。今後もまたこの協定に基づきましてこの分野における取り決めを別途つくる予定で現在交渉中でございます。  その他、学生の交流につきましてもこの協定は規定しておりますが、現在政府レベルにおきましては大学院生を初めとする学生の交換が行われておりません。今後は、この協定に基づきまして日ソ双方が、将来を担う、先生のおっしゃいますとおり若い世代の交流、これは大学院生を含む交流でございますが、この重要性を私どもも認識しておりますので、第七条第一項には両国政府は学生の交換を行うという旨を明記してございますが、これを踏まえまして、ソ連との間で大学院生を含む学生の交換に関する具体的な話し合いを開始しているところでございます。
  29. 松前達郎

    松前達郎君 文化交流についての協定についてはそのぐらいにいたします。  そこで、これは新聞記事で私見たわけなんですが、ソ連の方から各大臣あてに招待が来ているということですね。招待されているんだけれども、どうも外務省が警戒して閣僚訪ソにストップをかけているという新聞記事があったわけなんです。その対象となっているのが農水大臣、厚生大臣、科学技術庁長官、それから文部大臣。これはそれぞれ、ソ連側からは閣僚級の人がたくさん来られていますから、そのときにばらばらに招待をするというのを、多分口頭だと思うんですが、そういうふうな申し入れがあったんじゃないかと思います。  この内容を見ますと、例えば科学技術庁長官がソ連に招待されて行くことは高度技術流出につながるんだというような、これは新聞記事ですから皆さんがそうお考えになっているかどうかはわかりませんが、そういう説明があるわけなんです。そういったようなことについて何かコメントございますか。
  30. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 先生指摘のように、ただいまいろいろ閣僚の方にソ連側から御招待が参っております。こういった閣僚の方の御招待に関しましては、行かれる目的とか、向こうに行かれた際先方でどのようなことが話し合われるかとか、こういったこともソ連側の意向も考慮しつつ現在慎重に検討中でございます。
  31. 松前達郎

    松前達郎君 総理が行くのと違いますからね。その辺十分検討しながら行かれれば別に私は余り警戒する必要はないんじゃないか。例えば科学技術庁長官が、高度技術といいますか、先端技術のベテランであるかどうか、これはここまで言ってしまうと困るんですが、直接長官がそういうことについていろんな情報を提供するということはどうも考えられないわけですね。そういったようなことで、いろんな外交日程がありますから、それぞれ皆さんお忙しいので行けない場合が多いんじゃないかとも思いますけれども、こういう記事が出ていたものですから、外務省が横やりを入れているんじゃないかということなんで、その辺はちょっと気になったもので今質問をさせていただいたわけなんです。例えば文部大臣あたりはこれはもう大いに行った方がいいんじゃないかと思うんですね、向こうからもヤゴジンさんが来たわけですから。そういったような交流というものは、これは政治日程が許される範囲でできるだけやられた方がいいんじゃないか。  というのは、これはゴルバチョフの訪日問題と絡むような気がしてしょうがないんです。そういう将来の展望まで含めて考えたときに、やはりある程度のトップレベルの交流というものも条件なしに、これは前提条件なしというか、お土産を持っていくとかそういうことなしに、お土産というのは物じゃなくて、進めておいた方がいいような気もしないではないのでお伺いをいたしたわけですが、これは大臣いかがでしょうか。
  32. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 今先生のお話でございますが、例えば農林水産大臣ということになりますと、日ソ漁業交渉を従来もやっておりますし、目的がはっきりいたしております。その他の大臣の方々もそれぞれやはり訪ソということになりますと、性格を、何をやり、議論するのかという事柄をはっきりすることが一つと、やはり政治日程、外交日程、いろいろ絡み合わして総合的に、ケース・バイ・ケースで考えていくべきじゃないかと思っておるわけで、全部それがいけないとか、外務省がチェックしているとかいう筋のものではこ ざいません。それが今の基本的な考え方でございます。
  33. 松前達郎

    松前達郎君 その辺は、記事が出たということでお伺いしただけでございます。  それから、今ちょっと申し上げたんですが、ゴルバチョフ書記長の訪日問題、これはなかなか具体的に日程も上がってきませんし、恐らくいつになるかわからない、こういうことであろうと思いますが、これどうなんでしょうか。今日でもなお日本側としてはゴルバチョフ書記長の来日を希望しているのかどうかですね。その辺いかがでしょうか。
  34. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 私が就任直後、ソロビヨフ大使に対しましてまずゴルバチョフ書記長の御来日を要請し、なおかつ、国連総会に出ました際にシェワルナゼ外相との会談の中でも問題を提起いたしたわけでございます。その際、委員会でもしばしばお答えいたしましたとおりに、米ソ関係もこれありというようなお答えでございましたが、来日問題についてソ連側からその後まだ回答をいただいていないということでございまして、在駐ソの大使館等を通じていろいろ折衝はいたしておるわけでございます。  基本的には、我が方としましてはゴルバチョフ書記長の御来日はもういつでもお待ちしている。ただし、その際にはやはり北方領土という問題の前進が望ましいということについての我が方の考えを伝えているわけでございまして、ボールはソ連側にあるわけでございますから、ソ連の方がいつ御提案してこられるかお待ちをしている。そういうお気持ちであれば、もちろん元首、ソ連の最高指導者の訪日でありますから、やはりある程度の期間を置いて、政治日程等とやはり絡み合って準備する必要がありますから、ある期間を置いての御提案ということが望ましいということでございますが、ボールは依然としてソ連側にある、いつでもこちらはお待ちを申し上げているというのが今の姿勢でございます。
  35. 松前達郎

    松前達郎君 トップですからなかなか簡単にいかないと思うんですが、一応表面的には日ソ間の平和条約締結という問題が基礎条件だろうと思うんですね。しかし、その前段としていろんなものが解決されなきゃいけない。これをどういうふうに整えるか、両国間の懸案事項というのが双方でどう調整されるか、このような問題が内部で検討され、お互いに見通しがある程度出てこない限りどうもなかなか訪日というのは決定しないんじゃないか。また、観光旅行じゃありませんので、内容がない訪日というのは恐らくソ連側もやらないと思うんですね。  ですから、その辺、今の北方領土の問題確かにありますので、これについても当然来られれば討議の対象になるわけでありますから、そういったような問題で事務的な接触をソ連側としておられるのかどうか、ただ一方的に来てくださいということを意思表示をしたところでとまっちゃっているのか、その辺どうなんでしょうか。
  36. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 種々のレベルでいろいろなお話し合い、その詳細がいかなるものかということは申し上げる筋ではございませんけれども、相手側の出方を話し合いしていることは事実でございますけれども、やはり基本的には日ソ最大の懸案である北方領土問題を解決する、これについて前進がやはりゴルバチョフ書記長の来日にあって望ましいというのは、これは国会決議の眼目であり、我が方の基本的な立場でございます。  ソ連の方としては、出口論と申しますか、それは最後に、いろんなことをやった後でその問題はという考え方のようでございますけれども、おのずから双方の立場をどうやって結びつけていくかということではないかと思うわけでございます。  先ほどの文化交流の問題についても、拡大均衡ということで、歌舞伎が六月から参りますし、一カ月ぐらいモスコーとかレニングラード等で歌右衛門以下行ってやりますと、向こうから芸術座がお返しに来年来るというふうに、そういういろいろな学術交流なり文化交流なり進めながらいろんなことをやっていくということもその環境づくりの一つじゃないかと思います。同時に、国際情勢が非常に流動的でございますから、いろいろな御提案なりいろいろな場合がありましょうから、それに対しましては臨機に対応する心構えは十分持っておるつもりでございます。
  37. 松前達郎

    松前達郎君 北方領土の問題というのは国民の念願ということですから、当然この北方領土の返還という問題を討議することになるわけですね。前にも申し上げたと思うんですが、なかなかあの国は返還とかなんとかいうとうんと言わないわけですね、なかなか簡単にはのみ込まない。言い方は、国境線の画定とか、結果は同じであっても違う言い方をすると案外その辺乗ってくるんじゃないか。あるいは返還するんでも、主権だけをまず最初に認めさせるとか、後時間をかけて次の返還時期をいつにするとか、幾つかの段階があろうと思うので、これはここではこれ以上申し上げませんが、その辺十分おわかりなのでひとつ、中曽根さんじゃありませんが、粘り強く交渉ができるような体制をとっておいていただければと思います。  今度は経済面の交流ですね。これも、政治と経済の分離ということを前から政府側としての基本的な考え方として打ち出しておられるわけですが、最近になってウラジオストクの開放といいますか、そういうことをゴルバチョフ書記長が演説の中に盛り込んだ。その結果がどうか知りませんけれども、ことし沿岸貿易の見本市がウラジオストクで行われるわけですね。沿岸貿易一九八七見本市というんでしょうか、これに日本側も船をチャーターしてウラジオストクにいろんな日本品を持っていくということが今行われようとしている。  これは見本市と言いますが、前回の委員会で対共産圏貿易の制限の問題を申し上げたわけなんですけれども、持っていったもの全部持って帰ってきてしまえば、中身を置いてくるわけじゃないんでこれは余り問題ないかもしれませんけれども、これは経済交流を前提として考えるべきなのか、ただ単に日本の技術のデモンストレーションをやっているのか、その辺とりようによっては随分この意味が変わってくるんじゃないかと思うんですが、これについては大臣どういうふうにお考えでしょうか。
  38. 倉成正

    国務大臣倉成正君) やはりそういう見本市が開かれるということは結構なことじゃないかと思うわけでございますが、先生が今御提起になっている問題は、あるいはココムの問題等に関連しての、あるいは頭に置いてのお話ではないかと思いますけれども、そういう問題はやはりココムの規定に従って我が国としては対応していくべきじゃないかと思っているわけでございます。いずれにしても、いろいろな催しで相互の理解が深まるということは結構なことじゃないかと考えておる次第でございます。
  39. 松前達郎

    松前達郎君 この見本市は昨年モスコーでも行われたんですね。ちょうど私もそのとき見本市を見る機会があったわけですが、非常に評判よかったんじゃないかと思うんです、相当先端的なものが、ロボットなんかが展示されておりましたから。もっともみんな囲われてますから中身は見えやしないんで、ただ動いているのが見えているだけで、これはおもちゃが動いているのと全く同じですから、技術的には余り問題ないと思いますけれども。しかし、こういうのを出していくというのは、逆にソ連自身がいわゆる民生品とか、そういった軍事品以外ですね、軍事産業的な面以外では非常におくれているんだという印象を彼らに与えることができるんじゃないか、ちょっと戦略的なことになりますけれども。やはりそういう点が大きな成果だったんじゃないか、こういうふうに思うんですね。  だから、それじゃ今度は困るから何とかして技術を輸入したいというふうな意見も出てくるかもしれませんけれども、これはこれとしてまた別の観点から見ていけばいい、できないものはできないと言えばいいということになるわけですね。  こういうふうな経済交流、まあハイテクの分野 は別といたしまして、例えば木材ですとかあるいは農産品とかいろいろあるわけですが、この沿岸貿易というのは本来、昔は北海道はウラジオストクと直接貿易やっていたんですね。例えば小樽でとれるジャガイモとかそういうのをみんなソ連がないものですから輸入した。ですからそういったローカルな問題についてはある程度、目をつぶると言っちゃおかしいんですが、ある程度やってもいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、経済交流一切やらないとなりますとそういうものも比較的制約を受けてくる。  木材を今入れているわけですね。じゃ果たしてどの辺に限度があるか。ココムの場合にも通産の方にお伺いして、何か基準がないと、余り明確におっしゃらなかったわけですが、やはり先端技術に関するもの以外は貿易関係というものは今後推進をしていこうとお考えになっておられるのか、あるいは経済交流というのは政治的に見てソ連への制裁みたいなもので、制裁ということを含めてある程度制限していこうというのか、その辺はいかがでしょうか。
  40. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) ソ連との経済交流につきましては、先ほど大臣から申しましたように、互恵の観点から見まして広くとらえていく、要するに政治、経済いろいろの分野を含めまして全体的な観点からとらえてやっていく、したがって無原則な政経分離はとらないという考えでございますが、一般的な経済関係につきましては今後とも進めていくという方針でございます。  例えば来月には政府間の経済貿易協議も開かれます。あるいは貿易関係につきましても、通常の貿易は一昨年よりは昨年の方がふえているということでございまして、今先生指摘のように、昨年はモスコーで日本の産業総合展示会がございまして、村田敬次郎先生政府の特使としてこれに出られるとか、このように通常の貿易、通常の経済関係につきましては進めております。  ただ、もう一度申しますけれども、互恵の原則のもとにおいて総合的な観点からとらえた中でやっている、そういうことでございます。
  41. 松前達郎

    松前達郎君 わかりました。  それからもう一つソ連に関することなんですが、書記長が日本に核が存在しているということを言っているんですね。本人まだ来たわけじゃないのにそういうことを言っているわけなんですが、これについてどう評価をされていますか。  これは、例えばアジアにおけるSS20とかそういったたぐいの撤去の問題とか、いろいろありますね。INFの削減の問題が今ヨーロッパでは盛んに論議されている。恐らくこれはヨーロッパから全面的にINFの削減が行われていくんじゃないかと思うんですが、アジアに百基残そうというわけですから、この辺の百基残す理由として日本には核があるということを挙げていることになるわけですね。この辺について外務省としてどういう見解をお持ちでしょうか。
  42. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 我が国は、先生御承知のとおり事前協議制度をとっておりますので、核の持ち込みの際は必ず事前協議対象になるわけでございますから、そのない限りにおいて核がありようがないわけでございますから、ソ連の側がどのような主張をされているか別といたしまして、我が国には核は存在しない、これが政府の立場でございます。
  43. 松前達郎

    松前達郎君 アジアにおける核の存在となる、と、日本は今おっしゃったようなことで核の持ち込みを許していない。たしか通過も許さないんですね。許さないというか、事前協議の問題にかかってくるわけです。韓国にはどうなんでしょうかね、これは核があるかないか、政府としてどういうふうに考えておられるか。いかがでしょうか。
  44. 中平立

    政府委員(中平立君) 確かに、かつてアメリカ政府の高官が韓国に核があるというような発言をしたというような報道がございましたですが、アメリカ政府の方針といたしまして、従来から核兵器の所在については明らかにしないというのがアメリカ政府の基本方針というふうに承知しておるわけでございまして、我が国といたしまして、韓国に核があるのかないのかということにつきましては一切知る立場にないということでございます。
  45. 松前達郎

    松前達郎君 韓国にあるかないか、これは我が国の問題じゃないかもしれませんから、このくらいにいたします。  でも、例えば今ヨーロッパで議論されているINFの場合は、これは核搭載ですわね。ですからアメリカも、ヨーロッパの例えば西ドイツとか各国に配備されているパーシングⅡなんというやつはみんな核が載っているということはもう当然だというふうに解釈をしているわけで、恐らく核の存在はヨーロッパにおいてはアメリカは明確にしているということになろうと思うんですね。アジアにそういった中距離ミサイルが配備されているかどうか、これもわかっていないわけですから、もし配備されているとすると、あんな高いものの上に普通の通常弾薬を載っけるということはないんで、やはり必ず核が載っかっていると解釈するのが当たり前である、こう思うんです。  ですから、恐らく書記長の言っているのは、そういうことも含めて何かSS20あたりの配備をアジアからゼロにしないということの理由に使っているんじゃないか、こういうふうに思うんです。ですからそういう意味で発言がこういうふうにあったんじゃないかと思うんですが、これも今後INF交渉の進捗を見ながら、できればすべて撤廃してもらいたい、日本がそう申し入れているはずなんで、その辺との関連があると思いますので、ひとつこれは注意深く見ていく必要があるんじゃないかと思うんですね、この問題。  次に移りますが、ペルシャ湾がまた非常に緊張の度合いが高まってきつつあるわけです。前回の委員会では盛んにアメリカの日本いびりばかり申し上げたんですけれども、またまたこれを一つの種にして、日本がペルシャ湾のタンカーの安全航行に対して金額的に負担しろとか、あるいは日本艦船を派遣しろとかいろんな声が、これはアメリカ政府が言っているわけじゃないんですが、アメリカの中で起こってきつつあるようです。ソ連ソ連でまたクウェート沖で、クウェートがソ連の船をチャーターした、その船が機雷に触れて損傷をこうむるというようなことがあったわけですね。ですからソ連のフリゲートがこれをまた護衛していく。アメリカもやっている。何となく緊張がどんどん高まっているような感じがあるわけなんです。  日本の場合、石油の輸入といいますか、これに関して全然そこから輸入していないわけじゃなくて相当分を輸入しておるわけですから、当然その結果としてアメリカあるいはその他の批判が、日本は何もしないという批判ですね、ただ乗り論といいますか、起こってくる可能性があるわけなんです。これについてはまだ公式には恐らく何も言ってきてないと思いますが、必ず起こるだろうと予測されるので、その辺起こった場合に、あるいは要望が来た場合に一体どういうふうに対処するおつもりなのか、その辺をお聞かせいただきたいんです。
  46. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ペルシャ湾の安全航行の問題については日本といたしましても重大な関心を持っている。もちろんこれはペルシャ湾から日本の石油が約六割近く来ているということだけではなくして、世界のすべての船のペルシャ湾の安全航行について我々は常に重大な関心を持っておりますし、しばしば国連決議におきましてもこのペルシャ湾の安全航行についてはされていることは御承知のとおりでございます。  また、しばしば私ども現地におきましても、あるいはあらゆる機会をとらえまして、最近ではちょうどイランのシェイホレスラム外務次官が五月十三日に参りましたし、それからまたデクエヤル国連事務総長が参られましたから、そのときも私からこの問題に注意を喚起して、基本的にはやはりイラン・イラク戦争がおさまるということが基本の条件だから、イラン・イラク戦争の終結ということについて真剣にひとつ取り組んでほしいということでそれぞれ要望を強く申し上げた次第で ございます。また、デクエヤルさんも私の要請を受けましてイランの外務次官との会談も行われた次第でございます。  したがいまして、日本または西洋諸国が非常に恩恵を受けるところが多いということで、いろいろアメリカの議会の一部においても議論があることは承知しておりますけれども、これは基本的に世界の平和、それから繁栄のためにペルシャ湾の問題というのは考えられるべき問題であろうかと思います。またいろいろのお話があればその段階でお話し合いをすることになろうかと思います。
  47. 松前達郎

    松前達郎君 受け身じゃなくてもうちょっと積極的におやりになった方がいいんじゃないかと思うんです。今のような問題、今おっしゃったような経過でやっておられますけれども、例えばお金を出せとか、あるいは直接艦船を派遣しろとか、日本はただ乗りであるというような批判が出てくることが予測されるから、もっと先に先手を打って、いや我々の方はそうじゃない、このペルシャ湾に平和が来るような努力を一生懸命やっているんだということですね、これを明確に少し打ち出していく。もちろん今までやっておられるけれども、さらに努力しているんだということを理解させるような何か方法をとっていかれた方がいいのではないか。  どうも今までいろんな問題が全部問題が起こってから後で対応するものですから、なかなか始末に食えないようなことが多かったわけですから、プロパガンダと言ってはおかしいんですけれども、やっぱりパブリシティーも含めてどんどんおやりになった方がいいんじゃないかと思ったものですからちょっと申し上げたわけであります。  ペルシャ湾の問題はそのぐらいにしまして、前回ちょっとお伺いしようと思ってお伺いしなかったわけなんですが、光華寮ですね、これもなかなか大変な頭の痛い問題だろうと思うんです。この光華寮、三権分立だからということで、政府が司法に介入できない、これ当然のことなんですけれども、六月下旬には日中定期閣僚会議が北京で開かれるから、恐らくそこでまたこれが議題に上ってくるだろう、こう予測がされるんです。これはどうでしょうか、光華寮問題、頭の痛い問題かもしれませんが、その後どういうふうに雰囲気が変わったとか、あるいはどういう解決策をとろうとしているとかありましたらひとつお教えいただきたいと思います。
  48. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ちょっと光華寮の前に、先ほどのペルシャ湾の問題。  あらゆる努力を実はいたしておるわけです。一々ここで御説明申し上げませんけれども、いたしておるわけでございます。ただ、なかなか決め手がないというか、しかし、日本はイランに対してもイラクに対しても関係がございますし、手が汚れていないというか、そういう意味においてはいい立場にあるわけでございますから、両国に対して、また両国と非常に密接な関係のある国々に対する協議という形でいろいろなことはやっておるわけでございますけれども、何分非常に両方とも大変な対立関係にあってなかなか思うように行っていないというのが実情でございます。今先生から御激励いただきました点は、ひとつ十分これからも日本の立場ということをもう少し表に出るように努力いたしたいと思うわけでございます。  なお、光華寮の問題につきましては、これはしばしば申し上げますように、今現在司法の手続によって争われている民事事件でございますね。しかも、三権分立、先生お話しのとおりでございますから、行政府としてこれに介入する、あるいは論評する立場にないわけでございますし、また、この問題について中国側に誠意を持って冷静に対応していただくように強く希望をいたしておる次第でございまして、この問題については田先生からも委員会でのお話もございました。いろいろお答えしたわけでございます。重大な関心を持って政府として見守っておるわけでございますが、ただ、行政府としてやれることにはおのずから日本の限界があるということは御理解賜りたいと思うわけでございます。
  49. 松前達郎

    松前達郎君 ありがとうございました。
  50. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) 午前の質疑はこの程度とし、午後三時まで休憩いたします。    午後零時十四分休憩      ―――――・―――――    午後三時四分開会
  51. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) ただいまから外務委員会を再会いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  52. 立木洋

    ○立木洋君 きょうとあしたにわたって十一本の条約協定を審議しなければならないわけですが、特に私は特別協定とのかかわりできょうとあしたについて幾つかただしておきたい点をお尋ねしたいと思います。  本来この特別協定というのは、日本側が当然負担しなくてもよい米軍の駐留維持費を米軍の要求に基づいて負担するという、そういう内容で、極めて日米関係の今日の状態を典型的に示しているものだと言わなければならないと思います。私はこの問題については詳しくあしたお聞きしますが、きょうはこうした点での今日の日米関係をよりはっきりとさしたいために、地位協定十七条の問題についてお尋ねしたいと思います。  一九五二年度から一九八六年度の、去年の十二月まで、裁判権内容が規定されている十七条三項の(a)あるいは三項の(b)、いわゆる公務中における米兵、米軍属及びその家族の事故犯罪の件数とそれによる死者の数、公務外の同様の事故犯罪の件数とそれによる日本人の死者の数、これは予算委員会のときに資料要求をいたしまして、求めた資料について言いますと、公務中の事故犯罪が四万九百五十一件、死者が四百九十九人、公務外の事故犯罪の件数が十二万六千九百一件、死者が四百九十八人、合計十六万七千八百五十二件、九百九十七人。これは当然一九七二年以前の米軍施政下にあった沖縄の件数は含んでいないわけですが、この数字に間違いないかどうか。いかがでしょうか。
  53. 平晃

    政府委員(平晃君) おおむねそのとおりでございます。
  54. 立木洋

    ○立木洋君 まず最初に、公務中の事故犯罪でアメリカが第一次裁判権を行使した件数が何件あるのか、その点についてお答えいただきたいと思います。
  55. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) 私どもで把握しております人数と、先ほど防衛施設庁で説明ありました人数、若干事件との結びつきがはっきりしませんので不明でございますが、いずれにいたしましても、米国軍人に限定した統計は私どもの方ではとっておりませんで、法務省刑事局で把握しております合衆国軍隊構成員等、これは構成員のほかに軍属及びそれらの家族を含むわけでございますが、これに関する統計に基づきまして過去五年間、昭和五十七年から昭和六十一年についてお答えいたします。  この五年間におきますところの合衆国軍隊構成員等の犯罪の検察庁における通常受理人員は九千二百三十八名に及んでおりまして、そのうち、今委員のおっしゃいました公務中の犯罪人員の合計、つまりその人数は千百六十八人でございます。
  56. 立木洋

    ○立木洋君 もう一度、済みません、何年から何年まででしたかね。
  57. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) 五十七年から六十一年でございます。
  58. 立木洋

    ○立木洋君 第一次裁判権が行使されるかどうかということが通告されて、事件の内容によっては第一次裁判権の放棄を要求することもできるわけですが、アメリカ側に公務中の事故及び犯罪で第一次裁判権の放棄を日本側が要請したことは今までありますか。
  59. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) ありません。
  60. 立木洋

    ○立木洋君 今言われたことで、五十三年の四月二十日に私は当外務委員会でこの問題についてお尋ねしたわけですが、当時の法務省の敷田稔、現在は矯正局局長をやっておられますが、答弁によ って、第一次裁判権が当時までアメリカで行使されたのはゼロだというふうに言われ、そして、現に第一次裁判権の放棄を日本側がアメリカに要求したのもゼロだという答弁がありました。しかし、その点については園田外務大臣が、そのような運営上の問題についてはきちっとしなければならないということをはっきりと約束されたわけです。  先ほど私が施設庁の方にお尋ねした件数で言いますと、私が一九七八年にこの質問をしたわけですが、一九七九年からの八年間において米軍が公務中に日本で犯した事故及び犯罪は四千三十二件になっているわけですが、この件数が米側によってどのように処理されたのか、その内容について報告してください。
  61. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) 米側においてどのように処理されたがは私ども十分承知いたしておりませんけれども軍事裁判、懲戒処分等を受けた者の合計は七十一名となっております。
  62. 立木洋

    ○立木洋君 園田外務大臣は当時、「過去において日本が第二裁判権を要求したことはほとんど皆無であるばかりでなく、どのような処置をされたのか、裁判にかけられたのか、どういう刑事処分を受けたのか全然わかってないというところに一つの問題があると思うわけでありますので、今後は、この運用については日本側が積極的に米軍に請求するものは請求し、あるいは報告を求めるものは報告を求めるということから始め」なければならないということを強く指摘をしていたわけですが、今の状態からいえば、その五年間の件数というのが千百六十八件、そして懲戒処分を受けた者が七十一名、軍事裁判にかけられた者がゼロということですね。
  63. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) 軍事裁判にかけられた者はゼロというふうに承知いたしております。
  64. 立木洋

    ○立木洋君 大臣、今までお聞きのように、第一次裁判権を米側が行使しなければならない、これは私は数字だけで問題を言えば、時間があればもっと詳しく言いたいわけですが、この事件の裏にはどれだけ日本人が米軍の基地のために、米軍が犯した犯罪のために泣いて苦しまなければならない状態があるかということは、もう言わなくても御承知だと思います。だから詳しくは言いません。しかし、問題は、その第一次裁判権が何ら行使されていない。軍事裁判にかけるのはゼロである。私が八年前聞いたときもゼロだ、今でもゼロだと。懲戒処罰にかけられたのが七十一名。問題は、重大な事件で我々は第一次裁判権を米側に放棄を要求することも地位協定上はできるけれども、それも一件も要求してもいないというのがまず実態だ。当時の外務大臣はこの問題を改めると約束したけれども、いまだに改められていないというのが公務中の事件についての状況です。そのことをまずよくお聞きおきいただきたい。  次に、公務外の事故、これは当然日本側で第一次裁判権を行使することになるわけですが、この第一次裁判権が行使されたのは、先ほどの施設庁が出された数字で言いますと、これまでの期間十二万六千九百一件というふうになっております。もちろんそれだけ全部を調べるといっても、前回八年前に聞いたときに法務省の敷田さんが、以前のことは十分にわかりませんと言ったわけですね。だからそのときに、今後はきちっとこれを明確にしなさいということで、当時の外務省の北村さんと双方で今後はきちっとやる、運用上の問題についての責任を持つと言って園田外務大臣が答えられた。  ですから、このすべての年間に起こった公務外の問題については私は今回は聞かないことにしますが、この八年間、一九七九年以降昨年の年末まで起こった米兵、米軍属の公務外の事故一万四千百十二件、それによる死者二十四名、この事件が第一次裁判権がどういうふうに行使されたのか、その処理の内容について報告してください。
  65. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) 先ほどと同じ期間になりますが、過去五年間、すなわち昭和五十七年から昭和六十一年までの数字で申し上げますと、公務外の犯罪人員の検察当局で受理しました事件数は八千七十名でございまして、そのうち起訴した人員の合計は六千五十八人でございます。
  66. 立木洋

    ○立木洋君 これは在留している一般アメリカ人を除いて、米兵だけですね。
  67. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) 先ほど申し上げましたとおり、私どもは米国軍人に限定した統計はとっておりませんで、この数字は構成員のほか軍属及びそれらの家族を含んでおります。
  68. 立木洋

    ○立木洋君 これは、前回も敷田さんはそういうふうに言っていましたよ、米兵のあれはとっていないと。しかし、日本というのは言うならば法治国家でしょう。どれだけの犯罪が何件起こっているのか、それがどういうふうに処理されたか、全部明確ですよ、この犯罪白書に。アメリカ人が日本に現在どれだけ登録しているかという人数まで明確に把握していますよね。米兵が何名いるかということだって明確なんですよ。そしてしかも、問題は、地位協定という二国間の条約によって結ばれたその十七条の施行状態がどうなっているのか、この問題をそんなあいまいな扱い方をしている、そういうやり方が日本政府のもとでやられている、そういうことなんですか。
  69. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) 先ほど委員の御説明のありました地位協定の十七条も、これは、「合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に対し、」云々と、こうなっておりまして、私どもは現段階のところ、そういった構成員等ということで把握しておるということでございます。
  70. 立木洋

    ○立木洋君 統計をとっていないという、あれはごまかしなんですよ。いいかげんなことをあなた言わないでくださいよ。  例えば六十一年度に出された犯罪白書の中で、外国人の登録が昭和六十年にどれだけなされているか。アメリカ人、アメリカ合衆国からの外国人登録二万九千四十四名、それからアメリカから日本に入国した数四十八万七千七百十三名。ただの一人も間違いなく明確に把握されているわけです。米兵の数幾らか。昭和六十年度四万七千六百名。大体合計して数字が五十五万八千。当時日本に在留しているアメリカ人です。そのアメリカ人全体としてあなた方はひっくくってさっき言ったような数字が出ているんです。  だけれども、これは十七条の施行状態、地位協定の十七条に基づいて、実際に米兵、米軍属及びその家族がどれだけの犯罪を犯して、当然日本裁判権を行使することができるのに、行っていなかったのか、行ったのかということが明確にされていない。そういう数字をあいまいにするためにこんな統計の出し方しかしていないというふうに見られたって仕方がないじゃないですか。つまり協定というのは、国際条約というものはいいかげんなものではなくて、きちっと明確にその施行状態が政府によって把握されていなければならない。そんな条約をそのようないいかげんな形でしか問題にされていないというんだったら、日本政府のやり方というのは全くでたらめだ、そういうふうに言わなければならなくなるじゃないですか。外務大臣いかがですか。  条約を結んでいる状態が、その十七条の施行状態が一つも明確にされていない、そんなようなことをいいかげんにしているというふうな状態で法治国家と言えるかどうか。アメリカとの間で結ばれたこの日米安保条約に基づく地位協定がそんないいかげんなことであっていいのかどうか。それは統計のとり方で問題ですじゃないですよ、これは。基本的に政治姿勢の問題です、日本政府の。  だから、あなたは課長さんだからあなたにだけ文句言ったってそれは仕方がないかもしれないけれども、しかしそういうことは、そういう統計とっていませんということで済むことではない。二国間で結んだ条約がどう実行されているのか。ましてや、いいかげんな途上国じゃないんですから、これほど日本犯罪件数だって明確にしているんです。犯罪白書でもう一件も漏れなく全部明らかになっている。それが米兵に関しては十七条のこの施行状態だけ明確にされない。そんなばかなことがどこにあるか。  そういうことで私は絶対納得できないので、大 臣、今の点についてのあなたの御所見をお述べいただきたい。
  71. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) この合衆国軍隊構成員等に対します刑事裁判権の問題につきましては、御指摘のような地位協定の規定それから合同委員会の同意等によって定められるところに従って政府としては厳格に対処しておる所存でございますし、今後ともそういう方針で対処をしてまいりたいと思っております。
  72. 立木洋

    ○立木洋君 審議官、まだ大臣におなりになっていないんだから。私は大臣と言って要求したんですよ。  そのときは、今から八年前に園田外務大臣も同じことを述べたんですよ、今後ちゃんとやりますと言って。そして当時の北村さんも、それは公務外のことは日本で第一次裁判権があるんですからちゃんとやりますと、はっきりしたんです。それで園田さんはそのときに、「これは事務当局の責任ではなくて、事務当局はまあ非常に苦しい答弁をしているわけでありますが、日本の外交なり日本の政治の姿勢であると考えております。どうも決められた規約あるいは協定、その中できちんと主張すべきものは主張し、やるべきものはやるということが相手の国によってどうも弱さ強さがある、こういう日本の姿勢にあると考えますので、そういう点も十分注意をして今後運用をやりたい、」とはっきり約束したんです。昭和五十三年四月二十日、私に約束したんです。これはこの外務委員会におられる方みんな知っていますよ。
  73. 倉成正

    国務大臣倉成正君) もちろん、米国との相互安全保障条約第六条に基づく地位協定の十七条に関して今いろいろお話してございますけれども、これについての規定を厳格に遵守していくように最善の努力をこれからもいたしていくということではないかと思います。  要するに私は、園田さんがいろいろおっしゃっていることでございますけれども、主張すべきものは主張する、やるべきものはやるということですが、一々その内容についてお答えするということではなくて基本的な姿勢をお話しになっている感じがいたします。私といたしましても、日米安保条約に基づいて日本を防衛するという米軍の存在、そしてその米軍の活動という一つの問題と、周辺住民への影響という二律背反の問題があるわけでございます。したがって、一方においては住民の理解と御協力を得るということも必要でございますし、また同時に、米軍との接触を通じて米軍に住民の安全確保ということを絶えず指摘していくということが大切だと思いますので、今後ともそのような努力をさしていただきたいと思う次第でございます。
  74. 立木洋

    ○立木洋君 園田さんが当時一般的に述べられたと言うけれども、そうじゃないんですよ。私は四項目の条件をちゃんと出していますよ。その三つ目には、「公務外のものについて、これは第一次裁判権を完全に行使する。さっき言ったような一生懸命やっておりますけれども、統計が出ないのでわかりませんというふうなことではなくて、やっていただく。」と第三項目に要求したんです。それに対して外務省の北村さんが、「これはもちろん日本が第一次の裁判権を持つ問題でございます。ですから、これは先生のおっしゃるとおりでございます。」こう言った後に、事務当局の答弁は大変苦しい答弁だ、これは政治上の問題だから政府としてちゃんとやります、そういうことを言っているんですよ。これはもう時間がないからこれ以上あれですが、私は、こういうことがきちっとできない問題があると思うんです。  私がここに持っておりますのは、一九五七年一月二十二日付のアメリカの国務省極東調査部作成情報報告、これは極秘の文書です。題名は「米国との安全保障取り決め改定についての日本の要望」という内容になっております。これは後で原文をお渡しします。外務省で調べてください。これには、当時日米安保条約上の実行上の問題で日本政府との間でどういうやりとりがあったのかということを詳しく書いてあります。  そのうちの一つにこの十七条の施行問題がある。十七条の施行問題については、当時御承知のように日本側で一番最初にアメリカ側と取り決めた点について言いますと、これは昭和二十七年ですか、そのときには、日本におけるすべての米兵、米軍属の裁判権は公務中や公務外の規定なくすべて米側が行うということになっていた。しかしNATOはそうではなかったんですね、NATOと米軍との関係では。それが取り決められた後、日本政府もアメリカ側との間で結局、公務中の問題については第一次裁判権をアメリカ側だ、公務外の犯罪に関しては日本側が第一次裁判権を有するというふうな内容のものをつくったわけです。これが現行の地位協定にまで引き継がれている、行政協定が、当時の内容としては。  ところが、この出した報告書の中にはこのように書いてある。この交渉の中で最も大きな問題をつくり出したので、この問題に関しては、NATOの定式がアメリカとNATOとの関係において発効した後はNATOの定式化を日本に適用する。それまでの間は米軍は在日米軍要員に対しほとんど完全な裁判権を保持するという趣旨妥協によって解決された。ところがしかし、秘密了解、シークレットアンダースタンディンク、この秘密了解によって、日本側は一般に裁判権を放棄するごとに同意している。こういうふうに、この極秘と称せられるアメリカとの安全保障取り決め改定についての日本の要望、国務省極東調査部が作成した文書の中には書いてある。  もう一つの文書の中では、これは一九五七年十一月に出された文書、ホワイトハウス、フランク・ナッシュの大統領あての報告書、「米国の海外軍事基地――付録」、それにも極秘というふうになっています。この部分についても日本側との取り決めがいろいろなされた、裁判権の問題に関して。これらを補足するものに秘密覚書があり、この中で日本側は、日本に対する物質的な重大性がある場合を除き、日本の第一次裁判権を放棄することに同意する、こういう文書があるんです。  問題は、こういう秘密取り決めがあるからあなた方は、第一次裁判権日本にあるにもかかわらずその明確な行使を明らかにしないであいまいにしておくというやり方をとっているんではないか。だから私は、もう時間がありませんからこれ以上質問ができませんけれども、この問題に関して外務省がきちっと当時の資料も調査をし米側にも要求をして、この文書をお渡ししますから、きちっと調査をして、その結果を当委員会に報告するように要望したいと思うんですが、大臣、いかがですか。
  75. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 書類をよく拝見さしていただいて、検討させていただきたい。
  76. 立木洋

    ○立木洋君 委員長、ちょっと済みません。お渡ししておきます。(資料を手渡す)
  77. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 今ちょっうだいいたしましたので、よく検討さしていただきます。
  78. 立木洋

    ○立木洋君 最後に一言だけ。  時間が若干過ぎて申しわけないんですが、これ非常に私は重要な問題だと思うんです。結局、両国間におけるいわゆる条約上の問題が、施行、運用がいいかげんに、あいまいにされている。しかもそれが、いろいろ言われているそういう米側の文書によれば、秘密取り決めの覚書があるというふうなことでその地位協定の実施状況があいまいにされる。私たちはもちろん日米安保条約地位協定は反対です。しかし、政府間の取り決めにおいてすらそういうふうなあいまいなやり方をしているということが明確になっているわけですから、これはあいまいにしておくことはできない。  これは先般も明らかにしましたように、核問題についてだって秘密取り決めがあったということが問題になっているわけですから、この問題は政府の責任において明確にしていただく。そうしなければ、日本政府がこれほど二国間の条約に対して全くあいまいな、いいかげんなやり方をしているのだとどれほど言われても仕方がない。そういう結果になるということを私は厳しく指摘をして、明確に速やかに解決されるように、明らかにされるように要望して、私の質問を終わります。
  79. 田英夫

    ○田英夫君 まず、本日議題になっております国家代表等に対する犯罪行為防止条約人質行為防止条約、この問題に関連をして一、二御質問をしておきたいと思います。  前者の方は昭和五十二年にたしか発効していると思いますし、それから後者の方も五十八年に発効していると思いますが、以来大分時間がたっているという印象を持つんですが、その間に何か国内法あるいは国内の手続というような意味を含めて事情があったんでしょうか。
  80. 柳井俊二

    政府委員(柳井俊二君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘の二つのテロ対策の条約でございますけれども我が国政府といたしましては、当初作成の段階から非常に積極的に参加してまいりまして、またそれが採択されました後におきましても、このような条約ができるだけ早く発効し、また我が国締結すべきであるという認識で努力をしてまいったわけでございます。ただ、同時に、これらの条約につきましては御案内のように刑罰法規を含んでおります。また、犯罪が行われました、テロ行為が行われました領域だけで裁判権設定するということではなしに、もっと広く、いわゆる世界主義の立場から広い管轄権を設定する義務があるというようなことがございます。  そういうようなことがございますので、これを批准するに当たってどのような国内立法が必要かということでいろいろ検討してまいった次第でございます。また、その間各国の法制等の調査もしてまいりました。特に外務省、法務省が中心になりましてこの準備を進めてまいったわけでございます。幸い、その結果、その間におきまして各国の考え方等も明らかになってまいりましたし、また我が国の刑法関係改正方向というものもめどがついてまいりましたので、そこで今国会におきまして刑法等の改正とともにこの条約締結につきまして御承認いただくべく御提出したというのが経緯でございます。
  81. 田英夫

    ○田英夫君 この両条約に直接関係はないんですけれども、やや似た条約でハイジャック防止条約と言われている、この条約との関連の方が深いわけですが、現在もこの条約にもちろん基づいてということが言えると思います。日本でも各空港で荷物の検査あるいはボディーチェックというようなことが行われている。この問題についてお尋ねをしたいんですが、お尋ねといいますか若干私の意見を申し上げたいわけです。  ハイジャック防止条約がこの外務委員会にかかったときにも私は実は宮澤外務大臣にいろいろお尋ねをし、議論をしたことがあります。同じことを今また申し上げなくちゃならないのは大変残念なんですけれども、私は、現在日本の各空港で行われている検査、チェックというものに対して非常に疑問を持っております。それは人権とのかかわりで疑問を持っているわけです。  私は、勝手につくった言葉ですが、民主度という言葉を使いたいんですけれども、このやり方は民主度をあらわしているんじゃないかとさえ思います。結論だけ言ってしまえば、今日本では、金属探知器のところを通して、そしてブザーが鳴ればだれかれの見境なく片っ端からボディーチェックをやる、女性は女性がやる、こういうやり方をとっております。ところが諸外国の例を見てみますと大いに違うんですね。民主度の高いところと低いところによってその違いがあるというふうに思うんですが、日本のやり方は私は民主度が非常に低い。  残念ながら我々日本人は公衆の面前でボディーチェックをされるということに余り拒否感を持っていないのかもしれませんが、私は考えてみればこれは重要な人権の問題だと感じているわけです。公衆の面前でボディーチェックをされるということは、ハイジャックを犯すかもしれない人間だという疑いを持たれたという言い方すらできるんじゃないか。  私も、ある国内空港でブザーが鳴ってボディーチェックをしようとしましたから、私は絶対にそれを拒否する、人権上ああいうやり方は認めないということで拒否しました。そうしたら、実は山形空港ですけれども、私一人が拒否したために全日空の飛行機は飛ばないということを言ったんですね。それで私は大いに論争をしたことがあります。これはボディーチェックをしている人自体警察官ではありませんから、いわゆるガードマンですから、法律上人のチェックをできる権限を持っていないということもあります。そういうことで私は今のやり方に対して非常に疑問を持っております。  運輸省の方おいでになっていると思いますが、もちろん航空各社と御協議の上今のようなやり方をとっておられると思いますが、政府としてのこのやり方に対する御見解を聞かしていただきたいと思います。
  82. 大竹勇二

    説明員(大竹勇二君) お答えいたします。  空港におけるハイジャック防止のための保安検査は、運送約款に基づき、旅客の同意のもとに検査を実施することとなっており、検査の実施に当たっては事前に旅客の承諾を求め、旅客の人権に配慮し、極力不快の念を与えないように検査を実施するよう航空会社を指導し、徹底させているところでございます。
  83. 田英夫

    ○田英夫君 警察庁の方、今までにあれだけ大変御努力をされ、また乗客側も不愉快な思いをしながらああいうことをやっている。ハイジャックということをやるばか者がいるんでこれはやむを得ないことでありますが、今までのああいう努力で、未然にハイジャック犯人といいましょうか、やろうとした者を防いだとか逮捕したとか、そういう事例があったらお知らせいただぎたい。
  84. 半田嘉弘

    説明員(半田嘉弘君) いろいろ危険物等を持ち込むのを防いだ例はたくさんございますが、今おっしゃいますように、それがハイジャックの防止であったかどうかというのは必ずしもわからないところでございます。  したがいまして、御質問のとおりのお答えにはなりませんが、今運輸省の方から御説明のありましたようなこと、それから警察官もそれに協力していろいろなことをやっておりますが、けん銃でありますとか猟銃でありますとか、それからいろいろな刀剣類、そういうものの持ち込みを防いだ例がたくさんありますこと等からいたしますと、まあハイジャックまでつながったものを防止し得たものというふうに考えております。
  85. 田英夫

    ○田英夫君 この問題は、余り時間がないんですけれども、ああいうことをやっていること自体で未然に防いでいるということを私も認めますし、またああいう努力をお互いにやらざるを得ないという残念な状況ということも認めるわけです。運輸省からもお話がありましたように、人権に配慮してということを私はもっともっと重視していただきたい。  そこで、外国の例を申し上げますと、一番私はすぐれていると思いましたのはスイスのチューリッヒです。ここは、待合室に入っていく手前にカーテンで仕切りまして、布で仕切って電話ボックスぐらいの大きさのスペースがずっと二十ぐらい並んでいました。男と女と入り口が違ってそれぞれ入るんですが、中に男性、女性のそれぞれの係官がいて、そこで人の見えないところで手荷物とボディーチェックをやって通す。それからアメリカあたりでは、手を使うボディーチェックではなくて、金属探知器をさわって調べるという、これでも随分印象は違うと思いますね。  それからほとんどの外国でやっているのは、あらかじめ持っている金属のもの、万年筆からかぎとかそういうものを全部出して、それでお盆なりかごに入れさせて、それは横を通して人間の体だけが通る、そうすればほとんどの人は鳴らない。それでも鳴った人はカーテンのところへ連れていってチェックをする、こういうやり方をとっているところが多いと思います。宮澤外務大臣時代に私、大臣にお聞きしましたら、私はちゃんとボディーチェックを受けますとおっしゃったから、大臣がああいうところをお通りになるとは思わないと私はそのとき嫌みを申し上げた記憶があります。  どうぞひとつ運輸省を中心に、今申し上げたようなことを航空各社とも協力をして御配慮いただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。  次に、SDIの問題について、短い時間ですがお尋ねをしたいと思います。SDIについては、昨年の九月九日の官房長官の談話、SDI研究計画に参加をするという方針を打ち出された談話がありますが、このお考えは現在も変わっておりませんか。
  86. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 変わっておりません。
  87. 田英夫

    ○田英夫君 ここにありますのは、「本構想が非核の防御システムによって弾道ミサイルを無力化することにより究極的には核兵器の廃絶を目指すものであるとのレーガン大統領の説明を受け、」そして「本件研究計画に対する理解を表明してきた。」というふうにつながっているわけでありますが、今も変わりがないということになりますと、SDIは非核の防御システムであるというお考えが変わりないというふうに受け取ってよろしいでしょうか。
  88. 倉成正

    国務大臣倉成正君) そのとおりでございます。
  89. 田英夫

    ○田英夫君 これは、今やもうそういう考えを持っておられるのは日本政府とレーガン大統領だけじゃないかというふうに言う学者さんもいるわけでありまして、そのお答えは世の中では、世界では余りもう通用しなくなっているというふうに私は考えているんです。  それでは、核兵器というものはどういうものかということを定義している国際条約がありますでしょうか。――じゃ私の方から申し上げます。  いわゆるトラテロルコ条約第五条、これは中南米非核地帯を定めた条約ですけれども、その第五条に核兵器の定義とはっきり書いてあります。私の知る限りでは、国際的な条約の中で核兵器を定義している条約はこれ一つだと思いますが、その条文は、核兵器とは、核エネルギーを制御されない方法で放出することができる装置であって、戦争目的に使用することに適した一部の性質を有するものをいう、こういうふうに書いてあるわけです。  御存じのとおり、トラテロルコ条約というのは中南米各国がメキシコを中心としてつくりました非核地帯条約ですが、したがって核兵器というものを定義する必要があったのは当然であります。しかも、これも御存じのとおり、つくらず、持たず、持ち込ませずという非核三原則に加えて、その地域に対して核攻撃をさせないという第四の条項を加えて非核四原則になっているわけですが、つくらず、持たすは自分たちのことだけれども、持ち込ませずと核攻撃をさせないということは核保有国の問題であるから、核保有国にこの条約を認めさせなければ意味がないということで、附属議定書によって核保有五カ国に対して署名を求めた。時間がかかりましたが、結果的に五カ国ともこれに署名をいたしましたから、この五カ国もこの条約を認めたということに私は受け取っていいと思いますね。  ということは、この条約第五条の核兵器の定義ということは、核保有五カ国を含めて今や国際的に認められた定義と考えていいんじゃないでしょうか。いかがですか。
  90. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) トラテロルコ条約の規定、それからそれにかかわります当事国の関係というのは、先生今御指摘のとおりだと思いますけれども、例えば我が国の場合には、この条約の規定をこれまた有権的に解釈する立場にはないということも言えるのではないかと思います。我が国の場合には、従来から申し上げておりますとおり、核兵器の定義をいたしておりまして、これは、「原子核の分裂又は核融合反応より生ずる放射エネルギーを破壊力又は殺傷力として使用する兵器をいう。」ということでございます。  いずれにいたしましても、ただいまの先生の御質問に対しまして申し上げられますことは、まず、SDIは非核の防御システムであるかというお尋ねがございましたが、非常に正確に申しますれば、非核の防御システムを目標とした研究計画であるということであろうかと思います。その研究の中でごく一部、恐らく先生が念頭に置いておられます。ある種のレーザーの研究をいたしておるということであろうかと思いますけれども、これは従来から米国がいろいろなところで説明もしておりますし、また実際に現在のSDI研究計画内容等を見ましても、まだ非常に原理的な研究の段階でございまして、これがいわゆる核兵器に該当するものになるかどうかというのはまだ全くわからないという段階でございます。  むしろ私どもは、現在の計画の進みぐあい等を見ておりますと、どちらかというとこれが使われる可能性というのはむしろ少ないのではないかという感じがいたしますし、先生、米国等の学者の説に御言及ございましたけれども、ある一部の学者は、このエックス線レーザーというものが米国政府の言っているほど使われ得るものではないということを理由に、むしろ米国政府のSDIに対する立場を批判したりしているような例もあるわけでございます。
  91. 田英夫

    ○田英夫君 この問題は大変科学の難しい問題ですけれども、しかし、今渡辺さん言われたとおり、いわゆる核爆発によってエックス線ないしガンマ線レーザーをつくり出して、それによって相手のミサイルを破壊するということでありますから、先ほどの日本政府の御見解によっても、つまり核兵器の定義によっても、核エネルギーによって相手を殺傷ないし破壊するということに当てはまってくるわけで、その意味からも私はトラテロルコ条約からも日本政府の見解からもこれは核兵器と言わざるを得ないというふうに思っています。ただ、これはいろいろ議論のあることですから。  そこで、時間がないので、この問題は三十分や四十分で済む問題ではありませんから、残念ながら先に進みますけれども、大臣御自身、昨年の秋の臨時国会で、アメリカが地下核実験をやっているのはSDIに関連すると、ちょっとソ連との関係を引き合いに出されながらおっしゃったんで、そのこと自体新聞でも報道されて承知しておりますけれども、アメリカのレーガン大統領もアメリカの地下核実験はSDIに関連があるということを認めたという報道がありますね。そういうことで、渡辺さんの言われるようなことも一方で聞いておりますけれども、依然としてエックス線ないしガンマ線レーザーということを追求しているということも事実だと思うんです。  そこで、SDIは非核だということになりますと、日本の非核三原則ということにこれは関係がなくなる、もしSDIが完成をしてそういうエックス線ないしガンマ線レーザーを発射する装置を日本に持ち込んでくる、そしてそれを宇宙に打ち上げて、あるいは日本近海からということもあるでしょうが、そして対応するということになっても、これは非核三原則に触れないということになるんでしょうか。  もう少し御説明しましょうか。つまり、これも難しいことで、まだアメリカもそこに到達したわけじゃありませんけれども、あらかじめ核爆発を起こす装置を宇宙に打ち上げて、地球を回る空間に打ち上げておいて、そして相手が大陸間弾道弾を打ち上げたそのブースト段階で発見をして、すぐにエックス線なりガンマ線のレーザーを照射して撃ち落とすということになりますと、宇宙空間にあらかじめそうした装置を打ち上げておくことはこれは宇宙平和利用の問題に触れてくるということで、今アメリカで言われているのは、あらかじめいわゆるポップアップ方式という形で、その装置を地球上、地上ないし海上に置いておいて、そして相手が打ち上げたことを宇宙空間で探知してすぐにそれを打ち上げて落とす。  しかし、最初のブースト段階というのは百八十ないし二百秒と言われているんですから、三分か四分の間にそんなことができるのかと私の科学の力ではとても理解できないんですが、そういうことが言われているわけですね。そうなりますと、アメリカ国内にそういう装置を置いておいたんでは、まあ想定されるのはソ連のミサイルですか ら、間に合わない。西ヨーロッパないしアジアで言えば日本周辺にそうした装置を置くのではないか、そしてポップアップ方式で打ち上げるのではないかということが今言われているわけですよ。そうすると、日本にそうした核爆発を起こしてエックス線レーザーを発生させる装置を持ち込んでくるという可能性が生じてくる、こういう議論につながるわけですよ。そうするとこれは非核三原則とどういう関係になるのか。  政府がおっしゃるように非核兵器だということになれば、これを持ち込んでくるということはあり得るわけですね。そうすると、相手側からすれば、そういうものが日本にあるということがわかれば事前にこれを攻撃するということも生じてくる、日本にとってはますます危険ではないか、こういう論点といいましょうか、論理になってくる、こういうことを私は申し上げたいわけです。いかがですか。
  92. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) ただいまの先生の御質問に対しましては、実は現段階では非常に多くの仮定を置いてお答えせざるを得ないのではないかと思います。  まず第一に、我が国の非核三原則で申します核と申しますのは、先ほど私が申し上げました日本政府の定義をしております核兵器でございます。したがって、現在米国が研究をしております。そのエックス線レーザーなりガンマ線レーザーというものがその定義に該当するようないわゆる核兵器になるのかならないのかという問題がまずございますのは、これは従来から申し上げておるとおりでございます。  それからもう一つは、SDIは私どもとしては研究計画というふうに現在のところは理解をいたしておりますし、いずれにいたしましても、それ以降の段階、特に配備の段階等に至りました場合の私どもの態度というのはまだ何ら決定していないところなわけでございます。したがいまして、そのような前提を置いてずっといってまいりました場合に、ある状態、先生の御指摘のような状態ができた場合にどうなるかということになりますので、これは結局やはり一つ一つの前提に立ち戻って、それがこうであればこう、こうであればこうということになりますし、したがいまして、一言で申し上げるといかにも非常に多くの仮定に立ったお答えになるかと思いますので、私どもとしては今申し上げたようなところでとめさしていただきたいというふうに考えます。
  93. 田英夫

    ○田英夫君 最後に、おっしゃるとおりまだ研究段階ですから、しかし一部の報道では、割合早い時期に配備するというようなことをアメリカ政府は言い出しているということもありますね。そこで私どもにとっては、日本自身の安全の問題として、非核三原則とも照らして今から考えておかなければならない問題じゃないでしょうかという意味で問題提起をしたわけであります。  もう一つ、先走ったようなことを申し上げたのは、日本政府がサミット前にもアメリカとの間で研究参加を正式に決定され、協定を結ばれるのではないかということが予想されておりますのであえてそういうことを申し上げたわけです。現在の状況では、私が申し上げたようなことがあるにしても、前向きの、私どもから言うと余り前向きじゃないんですが、協定を結ぶという方向で、しかも近い将来結ぶという方向で進まれることに変わりはないんですか。
  94. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) まず、早期配備という議論がいろいろあるではないかという御指摘でございますが、確かに昨年秋以降米国内でその種の議論があったことは確かでございます。ただ、その後米国政府として到達したというふうに私どもが理解しております結論は、少なくとも配備についてはここ一両年の間現実の問題になることはない、配備の決定すら現実の問題になることはないというふうな状況であるというふうに理解しております。また、配備が早く行われるということを推進しようとしていた人たちの推進しておりましたシステムも、いわゆるエックス線レーザー等を含みますような放射性エネルギーのものではなく、むしろ従来型の運動エネルギーを基本にしたものであるというふうに理解をいたしております。  それから我が国の参加の問題でございますが、これは昨年の九月の官房長官談話で明らかにいたしましたように、我が国の企業等で参加を希望される者がある場合に、その参加をできるだけ円滑にするための措置を講ずるようにアメリカと話をするということで話をいたしておりまして、これはいつまでということを今申し上げる段階でございませんけれども、できるだけ早い段階に日本側としてもアクセプタブルな形で了解をつくりたいということで現在やっているところでございます。
  95. 田英夫

    ○田英夫君 残念ながら時間がありませんので終わります。
  96. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時五十六分散会      ―――――・―――――