○
松前達郎君 今の江戸のかたきを長崎で討つとおっしゃったけれども、まさにそのとおりなんで、これは平和の論理じゃないんですね。戦争の論理だし、悪い
言葉を使えばやくざの論理ですね。
アメリカの方もそういうことで
日本いびりというか、そういうものがどうも裏にあるような気がしてならないんですから、こういうところはひとつしっかりと反論しておかなきゃいけない、こう思うんですね。
とりわけ半導体は
アメリカの兵器にほとんど使われています。特にセンサーなんかに非常に多いんですが、これは
日本製でなきゃだめなんですね。
アメリカの製品は信頼度がなくて使えない。これは安いからじゃないんです、性能がいいから買うんですね。だから
貿易摩擦何だかんだ言っても、半導体そのものが必要だから、これには制裁をしないというんですから、何だかおかしな論理がまかり通っているような
感じがしてしようがないんです。ヤイターさんはそういうことは絶対に言わないですけれどもね。
それからさらに、
貿易摩擦で、
日本から
アメリカに対する
輸出が多過ぎて
アメリカの
経済に非常に大きなインパクトを与えているような発言もあるんですけれども、実際には
アメリカのGNPの一・一%なんですね。ですから、例えば
アメリカの石油生産というのはGNPの六・四%ぐらいですから、その
アメリカの石油の値段が半分になる方がずっと大きいんであって、
日本からの一・一%がどれだけ影響するかといったら、そんなに影響しないんですね。そういったような問題、これも数字で比較してみるとはっきりしてくるんで、その辺も頭に入れておいて対応していかなきゃいかぬと、こう思うんですね。そういうところを考えますと、
貿易摩擦というのは実はもう感情論だというふうにとらざるを得ないような
感じを私持っておるわけなんです。
しかも、
日本のメーカーが今
アメリカで製品をつくっていますね。これができた製品を
アメリカが
輸出しているわけです。この金額というのは一体どのくらいか調べてみると、これは二百六十億ドルですね。
貿易収支が今さっきおっしゃったように一千億ドルという数字も出てきていますね、イン
バランスの問題。その中の二百六十億ドルと対比してみますと、一体これはどういう
意味を持つのか。こういうことを
アメリカの人は考えていないんでしょうかね。その辺が私はどうも合点がいかない面があると思うんです。
例えば農務長官が
日本にやってきて、
アメリカの牛肉をもっと買え買えと言うんだけれども、これはもうこの前も反論されておったようですが、
アメリカの牛肉の総
輸出量の実際には何%を
日本が買っているか、七四%買っているんですね。しかも市場開放しろと言われて開放したとすると、
アメリカのテキサスの牛肉と豪州の牛肉と比べると
アメリカの方が一・五倍高いですから、開放すれば
一つも入ってこないのはわかっているんですね。
アメリカも恐らく知っていると思う。それを知りながらもなぜこういうことを言うのか、ここは非常に大きな問題だと思うんですが、ゼスチャーだととればそれっきりなんですけれども。
こういったような問題をずっと考えてみますと、問題は
アメリカの国内にも多分にあるんだということですね。航空機産業が
アメリカは非常にレベルが高い、こういうことを言いますが、これが大体六兆円産業ですね。六兆円産業が一体
日本で何に相当するかというと、これはオーディオとビデオ産業を合わせると六兆円ですね。しかもオーディオ、ビデオというのはいわゆる民生品なんです。宇宙開発も
アメリカは一生懸命やっていますが、これもたかだか二兆円産業なんですね。こんなようなことをずっと数字で見てみますと、どうやら
アメリカの民生品といいますかね、そういった産業の技術、このおくれが、結局
日本の方が技術的レベルが高くて、品質がいいものができるものですから、その差がどうも出できているんだと。
そう考えますと、さらに深く考えていけば、恐らくその結果として出てくるのは
アメリカの民生品の技術というのが非常におくれているということ。特殊な
分野は非常に高いけれども、それは非常にマーケットが狭い。
日本はそういう面で言うと広いマーケットを牛耳ったことになるんで、これは私は大いに結構なことだと思うんですね。やはりそれで食っていくのが
日本。こういうことをやはり考えて、
日本はけしからぬ、けしからぬとよく言われるけれども、
日本が何も悪いことをしたんじゃなくて、
アメリカの方がサボった。もっと悪い
言葉で言うと、
アメリカが勝手に沈下したんだから
日本も一緒に沈下してくれということですね。そんなようなことにつき合っていられないんですね、今。これは
アメリカと
日本の問題だけじゃないですから、世界の中の
日本としての今後の課題でしょうから、そういった面も十分我々踏まえながらやはり今後
アメリカとの折衝に対応していくべきだと思うんですね。
例えばGMの会長なんというのは、京都で記者会見をやって、
日本の市場が閉鎖的だなんて言っているんですが、
大臣、GMのPRのテレビの広告を見たことありますか。それもしないでおいて、大体閉鎖的だとは何事だと、全くこれは言いがかりにすぎない。
日本に車を売る気ないんです、もともと
アメリカは。
日本の車が円高で値上げすると
アメリカの車も値上げするんです。本当はそのままで売るべきなんです、
アメリカは。その辺がやはりありますから、裏にそういう問題が、何があるかということ、これはもう十分おわかりになっておられるんですけれども、その辺を我々としては強調していかなきゃいけないんじゃないか。
たくさんの例があります。一々ここで時間的にありませんので申し上げませんけれども、基本的には、よく
アメリカでは労働組合がよくないから、要するに従業員の質が悪いから生産性が上がらないんだ、こんなことを言うけれども、例えば
アメリカのUAWの労働者、首になった者を採用して
日本の会社でやってみたら、同じ施設で同じ人間を使って同じものをつくって、品質は
日本と同じものができた。何が悪いかというと経営者が悪いんですね。そういったことは棚に置いておいて、何でも
日本日本と。最近ちょっと頭にきているものですから申し上げたんですけれども、そういうことをひとつ我々としてはそろそろ反撃しなきゃいけないんじゃないか、こういうふうに思ったものですから今幾つかの事例を挙げて申し上げたんです。
大臣の立場でそういうことを
アメリカへ行っておっしゃるわけにいかないかもしれませんから、これはもし言うんだったら民間の方でじゃんじゃん言わせますので、その点ひとつ、後ろの方で応援しますから、できたら時々強いこともおっしゃっていただきたい、自信を持って。そうしませんときのうの発言みたいなことが出てきてしまうわけですね。相当しっかりしていただきたいという
ことを最後に要望いたしまして
質問を終わりたいんですが、何かその点御感想がございましたらひとつ。