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松前達郎君
余り差が出てしまうのもまた新たな問題を出しますので、その点今御
説明いただきましたので十分納得できたわけであります。
次に、
在外公館法と
関係が直接ないかもしれませんが、最近の
国際情勢の中でとりわけ
ソ連の動きというものが非常に注目をされているわけですね。
ゴルバチョフ書記長が
開放政策、
中国もそうかもしれませんが、
ソ連としても開放的な
政策をとる、
情報の公開とかいろんなことを言っているわけですね。
そういった新しい
政策展開が行われようとしているその内容について、
アメリカ側はこれを
宣伝というふうに受け取っているわけですね、単なる
宣伝であると。ところが、どうも実情を見てみますと、
ソ連自身が
経済的に非常に問題を抱えていますから、国内の問題も含めてこういう
政策展開を新たな面でしていかないとならない。これもわからないわけではないわけなんです。とりわけ最近は、きのうの
新聞にも出ていたわけですが、
アメリカの
国防総省の「
ソ連の
軍事力」というのが
発表されたわけですね。その
中身は、まだ全部は読んでいませんが、
ソ連が着実に
軍事力を
極東において、あるいは全体的に
核戦力を増加させつつある、こういうふうなことが書いてあるわけなんです。評論として、
書記長ゴルバチョフの
対外戦略が、
言葉遣いは変えているけれ
ども、ねらいは実は
西側の
分断工作であると、こういうふうに決めつけているような文章が中にあると思うんです。
我が国の場合、
西側の
分断といえば、
西側にとって団結を何とか保っていくということから
考えると確かに
分断というふうにとれる場合もあるかもしれませんけれ
ども、今、半導体の
摩擦ですと
か、
アメリカ議会の中でもいろんな問題が提起をされてきつつある。
貿易摩擦の問題が非常にクローズアップされているわけですね。また同時に、最近では
アメリカの
大学がやたらに
日本に
分校をつくりたがる。ところが、
分校というのは
日本の
教育システムの中では
認知をされない、いわゆる専修
学校的なものとしか
認知をされない。そこでまた恐らく今後
教育摩擦というようなものも出てくるんじゃなかろうか、こういうふうに思っておるわけですが、
日米間でもこういったたくさんの問題を今抱えているわけです。
こういったような中で、やはり我々としては
米ソ両方の
宣伝というものに乗せられないで、
日本独自の
考えのもとに今後の
外交を進めていかなければならないと思うんです。
西側の
分断といえば、
貿易摩擦でいろんな
法案を
アメリカ議会がつくることもあるいは
分断に通じるかもしれません。とりわけ
我が国の
指導者、これは全部とは言いませんが、一部の
政治家の皆さんの中には、余りにも
国際戦略ということをお
考えにならないで、こういった
宣伝を逆に鬼の首をとったように利用される方も非常に多いわけなんで、しかし
外務省はそういうことはないと思いますけれ
ども、冷静にこういうものは受けとめて
判断をしていかなきゃならない、こう思うんです。
例えば、その
新聞に出ていましたけれ
ども、択捉の
ソ連空軍基地なんという写真が出ていました。これも、ちょっと見ると新しくこういうものをつくって大増強しているように見えるんですが、実はこれは単冠湾の横のかつて
日本軍がつくった
飛行場なんです。ですから新しくできたわけじゃない。戦争中からこれは
軍用飛行場としてあったわけなんです。ですから何も珍しいことないんで、それを珍しいように取り扱うということがまた
宣伝に乗せられるということにもなろうと思うんです。
こういう面をひとつ十分
考えていかないと、やはり何のための
日本の
防衛なのかということの疑問が非常に大きくなってきてしまうわけでありますから、その点
国防総省の
発表があったものですから申し上げているわけなんですけれ
ども、今後の
外務省の
外交姿勢といいますか、とりわけ今申し上げたような
国際背景があるわけで、
防衛も含めてどういう方針で進んでいかれようとしているのか。また同時に、今のような
宣伝があちこちからありますから、それにうっかり乗ってしまう、そしてその結果として、
防衛の問題でも、一%の枠が崩れてしまったように、また歯どめがかからないでどんどん進んでしまう
可能性もあるものですから、そういった面も含めてお
考えをお聞かせをいただければと思います。