運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1987-05-15 第108回国会 参議院 外交・総合安全保障に関する調査会外交・軍縮小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年五月十五日(金曜日)    午後一時開会     —————————————  昭和六十二年三月十三日外交総合安全保障に  関する調査会長において本小委員を左のとおり 指名した。                 石井 一二君                 植木 光教君                 杉元 恒雄君                 林 健太郎君                 林田悠紀夫君                 山内 一郎君                 上野 雄文君                 黒柳  明君                 田  英夫君  同日外交総合安全保障に関する調査会長は左  の者を小委員長に指名した。                 林田悠紀夫君     —————————————    小委員の異動  三月十四日     辞任         補欠選任      上野 雄文君     赤桐  操君     —————————————   出席者は左のとおり。     小委員長        林田悠紀夫君     小委員                 石井 一二君                 植木 光教君                 杉元 恒雄君                 山内 一郎君                 赤桐  操君                 黒柳  明君                 田  英夫君     小委員外委員                 関  嘉彦君    説明員        外務省北米局北        米第二課長    田中  均君        農林水産省経済        局国際部国際経        済課長      野崎  修君        通商産業省通商        政策局米州大洋        州課長      渡辺  修君     —————————————   本日の会議に付した案件外交・軍縮問題に関する件  (日米外交関係における緊急課題について)     —————————————
  2. 林田悠紀夫

    ○小委員長林田悠紀夫君) ただいまから外交総合安全保障に関する調査会外交軍縮小委員会を開会いたします。  一言ごあいさつを申し上げます。  私、このたび外交軍縮小委員長に選任されました。小委員各位の御支援によりまして公正かつ円滑な小委員会運営に努め、責任を全ういたしたいと存じますので、何とぞよろしく御協力のほどをお願い申し上げます。  本小委員会外交・軍縮問題について調査を行うこととなっておりますので、四月十四日に各派の世話人にお集まりいただき協議を行いました結果、本日は、日米外交関係における緊急課題として、日米経済摩擦貿易摩擦について、外務省通商産業省農林水産省各省から御説明いただき、これに対して質疑を行うことといたしました。     —————————————
  3. 林田悠紀夫

    ○小委員長林田悠紀夫君) それでは、外交・軍縮問題に関する件を議題とし、日米外交関係における緊急課題について、順次各省から説明を聴取いたします。  まず、外務省から説明を聴取いたします。
  4. 田中均

    説明員田中均君) 外務省北米課長田中でございます。御説明をいたしたいと思います。  まず第一に、日米経済関係をめぐる米国内の情勢でございますが、お配りしてございます項目に従って内容を敷衍させていただきたいと思います。  まず、日米経済関係を考えます場合に、まさにアメリカ国内情勢がどうなっておるかということは大変重要な点でございまして、特に中間選挙以降アメリカ国内情勢が急速に変わってきておるということは言い得るのであろうと思います。  御案内のとおり、昨年の十一月の中間選挙におきまして、従来、上院におきまして共和党は多数党を占めておりましたわけでございますが、中間選挙におきまして民主党上院についても多数を占めるに至ったということが第一点として挙げられるのだろうと思います。  実は、この選挙の前におきましては、一つの大きなうねりがございまして、むしろレーガン大統領に率いられる共和党に対する非常に大きな支持というものがございました。それをリアラインメントと言っておりますけれども、米国におきましては基本的には民主党員の数が多いわけでございまして、二対一というふうに言われておりますが、それが共和党にずっと変わっていくのではないかということが実は言われておったわけでございます。しかしながら、中間選挙の結果は、そういう大きな流れに一つの歯どめがかかったということが言われておりまして、民主党上院においても多数を占めるに至ったということでございます。  レーガン大統領はまさに二期目に入っておるわけでございますが、大統領人気というのは、従来の二期目の大統領に比べれば非常に人気が高い大統領でございまして、世論調査支持率等を見ましても、当時は六〇%を超えるという過去一番人気が高かったアイゼンハワー大統領よりもさらに人気が高い大統領ということでございました。  しかしながら、中間選挙以降幾つかの問題が出てまいりまして、一つ大統領の健康問題ということ、それからもう一つは、新聞紙上をにぎわしておりますとおりイラン・コントラ問題。このイラン・コントラ問題につきましては、どちらかといいますと大統領制にかかわる問題、大統領がこういう基本的な重要な問題について本当にどの程度知っていたのか知らなかったのかという、かなり大統領制にかかわる基本的な問題という受けとめ方がされておりまして、そういう二つの問題を契機にいたしまして、大統領のグリップというものがかなり弱まってきたということは客観的に言われておるわけでございます。  レーガン大統領自身ホワイトハウスの中のいろいろな人事政策、新たにハワード・ベーカーという上院の前議員首席補佐官に据えまして新しくホワイトハウスの体制を整え、まさに今後の課題として、一つ財政均衡問題、それから一つには貿易問題、それから一つには米ソ関係、こういうものを政策課題に据えまして、一時の政権としての停滞をリカバーすべく種々努力を行われてきているというのが現在の状況であろうかと思います。  こういう中で、議会との関係におきましては、民主党上院の多数党を占めたということもございまして、なかなか難しい面がございます。最近 に至りましてその一つの大きな例がハイウエー法案連邦政府が今後五年個にわたりまして八百八十億ドルの支出を行うという法案でございます。これにつきまして大統領拒否権を行使したわけですが、この拒否権が維持できなかったというような問題もございます。したがって、現在の状況において大統領議会との関係というのは非常に難しい局面を迎えているということも、また客観的な情勢として伝えられておるわけでございます。  そういう状況似中にあって、今後大統領選挙に向けてどういう推移をたどるであろうかということが第二の点でございます。  御葉内のとおり、アメリカ大統領選挙は八八年の十一月ということでございまして、来年の二月にはアイオワを皮切りにいたしまして予備選挙が始まるという状況でございます。三月には、これは非常に有名なスーパーチューズデーということで、八日には十四の州で予備選挙が実施される、こういうことでございまして、こういう予備選挙に向かってアメリカ国内は一斉に始動を開始しているということでございます。  大統領選挙につきましては二つの大きな問題があろうかと思いますけれども、まず第一には候補者の問題でございます。  既に大統領候補として名のりを上げている人たちがかなり多数おりまして、共和党につきましてはブッシュ現副大統領、それから前の院内総務でございましたドール上院議員等、こういう人たちが有力な候補として名のりを上げておるわけでございます。  民主党につきましては、実はゲーリー・ハートさんが最も有力な候補として下馬評が高かったわけでございますが、つい先般大統領候補の座をおりるという発表を小たしまして、民主党につきましては、現在は非常に混沌とし末状況になっているということであろうかと思います。実際にはデラェアのバイデン上院議員であとか、それから貿易法案で有名でございますがミズーリ州のゲップハート下院議員、それからジェシー・ジャクソンという人たち名のりを上げておるわけでございますが、今申し上げましたようにゲーリー・ハート議員候補の座をおりるということがございまして、候補者の問題についてはなかなか見通しがつかないという状況になっております。  他方、今後の展開といたしまして一番注目をしなければいけないのは、議会の多数を占めるに至った民主党大統領との間の政策面を通じてのやりとりということが、やはり一番大きな課題として注目しなければいけないのだろうというふうに考えております。現在そういう政策面の争いということでは、最大の課題財政均衡問題と並び貿易問題であるのは間違いがないところであろうかと思います。  民主党の中にも幾つかの考え方の違いというものがございまして、一部の民主党のグループは、むしろ非常に保護主義的色彩が強い強硬な法案を通して、それに大統領拒否権を行使させて、それを大統領選挙のイシューにしていった方が民主党にとっては得策ではないだろうかという考え方も一方にはございます。一方には、むしろ貿易問題については、それ自体非常に大きな問題であるから、行政府にとってものみやすいある程度穏健な法案を通し、そういうことで貿易問題をことし決着をつけた方がむしろ民主党にとっても有利なのではなかろうか、こういう考え方人たちもいるわけでございます。  後で詳しく御説明いだそうと思いますけれども、まさに先般成立した下院貿易法案、これをめぐるやりとりの中にもそういうところが如実にあらわれてきているということであろうかと思います。したがって、当面の問題として、まさにきょうの御議論の中心でございます貿易問題というものが、大統領選挙に向けての一つの大きな課題として米国内において浮かび上がってきているというのが現実であろうかというふうに考えております。  三番目に、米国貿易法案をめぐる議会の動向ということでございますけれども、これにつきましては、まさにアメリカ議会で非常に集中的な議論が行われておりまして、先般四月三十日には下院包括貿易法案が本会議を通ったということでございます。法案自体につきましては、二百九十対百三十七という大差で本会議で成立をした。  他方、その一日前にゲップハート条項というものが審議に付されまして、このゲップハート条項は、我々の目から見ますと、下院貿易法案の中で最も保護主義的な色彩が強いというふうに考えられる条項でございますが、これをめぐりましては非常にいろいろな形のロビーイングが行われまして、民主党の中にもこのようなある程度極端な法案条項というのは通すべきではないという意見が強くございまして、いろいろな形のロビーイングが行われた結果、非常に小差で下院を通過したということでございます。四票差でございましたけれども、従来予想されていたよりも票差が少なかったということは言い得るのであろうというふうに思います。  これにつきましては、レーガン大統領自身も、反対者が多かったことは非常に歓迎する、満足しているという形の声明を発表いたしまして、今後の貿易問題をめぐる難しさというものを浮き彫りにしたわけでございます。  上院につきましては、五月七日に上院財政委員会財政委員会というのは貿易問題を審議する主体の委員会でございますが、財政委員会を十六対一で通過いたしました。これにつきましては、ほかの委員会での審議が必要であると同時に、今後のスケジュールを決めるという課題が残っておるわけでございますが、現在大方の予想では、恐らく上院の本会議には六月の早い段階で上程されるのではないか。米国議会は七月の二日から五日まで独立記念日の休会ということでございますが、恐らくこの前にでも上院の本会議で成立するのではないかということが取りざたされているわけでございます。  その後どうなるかということでございますが、上院の現在審議をされている法案下院法案というのは大きく違うということがございまして、当然のことながら、両院協議会というものを経て最終的に一本化された法案になるというのが現状でございます。また、どれにつきましても、大方の見方では、八月の夏休み、八月の八日から米国議会夏休みに入るわけでございますが、これ以前にも両院協議会一つ法案が出てくるのではないかということが言われておるわけでございます。  こういう法案につきまして行政府はどういう対応をしているかということでございますけれども、基本的にはレーガン大統領は、ゲップハート条項が入った下院包括貿易法案については自分は拒否権を行使したいということを言っておるわけでございまして、財政委員会を通りました上院法案につきましても、このままでは受け入れられないということを言っておるわけでございます。  これらの法案につきましては、日本にとっても非常に大きな問題がございまして、下院法案につきましては、先ほど来申し上げているゲップハート条項、すなわち、毎年一〇%ずつ貿易均衡を削減していく、それができなければ対抗措置をとっていくという形の条項でございますが、この法案自体はガットのルールにも非常に反しますし、保護主義的に運用される危険が非常にあるということがございまして、我が国政府としても強い反対をしておるわけでございます。  それから、それ以外につきましても、下院法案には、従来大統領裁量権をある程度有して運用していました三〇一条という条項がございますが、これについて大統領裁量権を大幅に削減していくということであるとか、個別分野につきまして相互主義的なアプローチをしていくということでございますとか、非常に問題がある条項というのを含んでいるわけでございます。  それから上院法案につきましても、日本を特記した形で、日本というのは阻害的な貿易をして いる国である、したがって、日本等を含めそういう市場を歪曲する貿易慣行を有している国と直ちに交渉して障壁を取り払うという目的を掲げております等、問題があるということであろうかと思います。  まさに今後米国議会がこれらの法案をめぐってどういう議論になるかというのは、一つには、行政府がどれだけ現在の法制の中で貿易問題をハンドする能力を示すかというのが一つの大きなポイントでございまして、米国行政府も、議会との関係ではその点は非常に強く意識しておるということでございます。したがって、今米国行政府が置かれた立場からいたしますれば、諸外国に対して非常に強い態度に出ざるを得ないというのが、一つの客観的な情勢としてあるということでございます。  それから二番目に、諸外国の方で、自由貿易を維持するという観点からどの程度有効な対策、対応が示し得るかということが一つの大きなポイントであろうかというふうに考えております。そこで、二番目の項目でございますが、それでは現在の日米経済関係現状と、それに対して日本としてどういう対応をしておるかという点でございます。大きく分けて二つの問題があろうかと思います。  第一の問題は、まさに本質的な問題でございまして、日米間の巨額貿易の不均衡並びにアメリカ自身の対外的な不均衡日本に限らず諸外国に対して千四百億ドルの経常収支の不均衡を有しておるということ、それから日本自身米国のみならず諸外国全体に対して非常に巨額貿易経常収支のプラスを有しておるということ、八百六十億ドルでございますが、その非常に本質的な問題があるわけでございます。  具体的な貿易均衡の数字につきましては、特に一九八一年ごろから不均衡拡大いたしまして、八一年には日米間で百八十億ドル、八〇年には百二十億ドルでございましたけれども、それが百八十億ドルという不均衡拡大しておる。それが八三年には二百十六億ドル、八四年には三百六十七億ドル、八五年には四百九十七億ドル、八六年には五百八十五億ドルということで、拡大の一途を示したということでございます。  もちろん、この間米国経済成長が非常に高かった、したがって諸外国からの輸入を吸収したという問題、それからドル高がかなり長い期間続いた、こういう問題が大きな原因として言われておるわけでございますが、最近に至りまして御案内のとおり為替面調整が行われまして、急激な円高という状況になってまいったわけでございます。  その結果、私どもはJカーブ効果と言っておりますが、ドルベースで見れば不均衡というのは拡大するのは自然なことである、他方アメリカの目から見れば、それでは将来に向けて不均衡が是正していく兆しが本当にあるのかということが非常に大きな問題でございまして、実際問題として、例えば円ベースで統計をとってみますと、日本輸出というのは毎月十数%という程度に減っておりますし、数量ベースで見ましてもそういう傾向というものがあらわれてきている。他方、諸外国の目から見れば、それは十分な結果ではないとかいう非常に強い問題意識があるということでございます。  その間米国自身が債務国家するということで、諸外国からの借金によってその債務がふえ続けるという状況がございまして、そういう経済構造というのは相当不健全な形になりつつあるのではないかというのが現在の問題認識であろうかというふうに思います。  これに対しまして、日本政府日本側といたしましては、一つマクロ経済面経済政策調整をやっていくということがどうしても必要なのではなかろうか。これは日本だけの問題ではなくて、日本並びアメリカの問題として、日本につきましては、国内需要を十分拡大できるかどうか、需要拡大することによって対外面でのバランスを達成する、あるいは輸入拡大のための施策を講じていく、それから市場を一層開放するための努力をしていくという政策というものは、日本責任としてやらざるを得ないということでございます。  アメリカについて見れば、現在の財政赤字、不均衡というものが一つの大きな原因になっていることは間違いがないわけでございますので、なお財政均衡の削減のための努力を継続すべきであるし、最近になって行政府が非常に強く主張しておりますのは、やはり米国競争力というものを向上させねばならないということでございまして、いろいろな形で米国産業競争力向上のための努力が行われている。さらにまた、保護主義を防圧するために努力を続けるということであろうかと思います。  こういう諸点につきましては、先般総理訪米の際に、米国との間で一つの了解と申しますか共同発表というものが行われまして、そういうおのおのの責任を果たすことによって経済政策調整をさらに進めるべきである、その結果、現在の為替の不安定ということには歯どめをつけたい。今以上のドル安というものは両国の経済にとってもマイナスでありますし、かつ不均衡の是正という観点からもマイナスであるという共通の認識というものが確立されたということであろうかと思います。  それから二番目の大きな問題として、個別産業分野摩擦というものがございます。これにつきましては、実は日米二国間では昨年、一昨年と非常に多くの問題について解決がされてきておるということでございますし、去年一年をとりましても、MOSSの協議であるとか、たばこ問題であるとか、工作機械の問題であるとか、それから繊維の問題であるとか弁護士の問題、こういう問題について実は解決がもたらされているというのが事実であろうかと思います。  他方、その貿易均衡背景にある限り個別の摩擦案件というのは次から次へと出てくるというのもまた実態でございまして、恐らく現在、摩擦分野ということで言いますれば、大きく分けて三つの分野一つは、後で通産省の方から御説明があるかと思いますが、ハイテク分野、それからもう一つサービス分野、それからもう一つ農業分野ということでございまして、これにつきましては、やはりアメリカ国内の非常に大きな危機意識というものが背景にございます。  まずハイテクにつきましては、米国ハイテク産業において非常に高い競争力を持っておるという認識がございまして、それが諸外国貿易慣行によってその地位を失うのではないかという非常に強い危機感。それからサービスにつきましても、まさにアメリカというのは国内産業サービス産業に移りつつあるわけでございますが、本来的に競争力を有する分野米国が駆逐されていくのではないかという問題意識。それから農業につきましては、従来、米国農業国家でもございますし、諸外国への輸出ということで外貨を稼いできた。農業団体というのは、アメリカ国内におきましては、自由貿易支持する非常に強い力を持った団体であるわけでございまして、世界的に農業が不振である、世界的に農業の価格が低落して輸出がなかなかできなくなっているという状況から、現在アメリカ国内保護主義法案審議するに当たって農業団体をなかなか味方にできない、自由貿易擁護派味方にできない、こういう問題が出てきておるわけでございます。  具体的には、ハイテクにつきましては半導体の問題、あるいはテレコミュニケーション関係の問題、それからスーパーコンピューターといった問題、こういう問題が現在日米間の懸案ということになっているわけでございます。それからサービスにつきましては、例えば関西新空港の問題、諸外国、特に米国建設業者日本建設市場に参入したい、こういう問題がございます。農業につきましては、後刻農水省の方から御説明があると思いますが、十二品目の問題であるとか、米の問題であるとか、あるいは牛肉、かんきつの問題というものが今後の問題として残されているという ことであろうかと思います。  それから三番目に、日米間で問題を解決していく、特に個別の問題を解決していくためにどういうアプローチがされているかということでございます。  従来、基本的には日米二国間の政府間の協議で問題を処理してきたということでございますが、最近になりまして、米国側のかなりせっぱ詰まった状況というのがございまして、議会、特にそれぞれ関心を有した選挙区から選出されている議員が非常に強い働きかけ行政府に対して行う、あるいは議会に対して保護主義法案をつくるための口実として種々働きかけを行うというような状況がございまして、行政府にいたしましても、かなり諸外国に対して強硬な態度をとらざるを得ないという状況を招来しておるわけでございます。  その端的な一つの例が半導体問題で米国が三〇一条に基づいて一方的な対抗措置をとったということでございまして、我々日本政府としましては、日米二国間の問題解決というのは協力とか共同作業によって問題を処理すべきであるということを言っておりますわけで、大半の問題がそういう形で解決がされてきているのだろうと思うのですが、半導体の制裁というか一方的な措置ということにあらわれておりますとおり、これだけ不均衡が広がった背景のもとで、米国も、行政府が諸外国に対してかなり強い態度をとらざるを得ないという状況というものは客観的な事実としてあるわけでございます。  それから最後に、日米間で問題のとらえ方、ハーセプション・ギャップと言っていますけれども、アメリカ国内日本国内において、それぞれの認識の仕方というのにかなりのギャップがあるという気がいたします。例えばギャラップ社が行った調査等におきましても、日本政府というのは問題解決に真剣に努力をしていないのではないか、こういう問いかけに対して、半分、五八%の人が、日本政府とか経済界というのは問題解決に真剣に取り組んでいないという意識でございますし、日本企業は米国企業から市場や職を奪っているかという問いかけに対しまして、八〇%ぐらいの人がそうだという答えをしておるわけです。  したがって、基本的には、現在の非常に大きな不均衡というものが残る限り、アメリカ国内では、そういう問題認識の仕方、アメリカにとって都合がいい問題認識の仕方がされるという傾向はあるわけでございまして、私どもも広報活動であるとか、あるいは議会に対する働きかけ、こういうものも並行的に力を注がなければいけないという強い問題意識を有しておるわけでございまして、まさに先生方におかれましても、いろいろなレベルでの交流というものを深めていっていただく過程で理解の増進を図るということが今後ますます重要になっておるという気がいたします。  時間もございませんので、以上で私の説明を終わらしていただきます。
  5. 林田悠紀夫

    ○小委員長林田悠紀夫君) ありがとうございました。  次に、通商産業省から説明を聴取いたします。
  6. 渡辺修

    説明員(渡辺修君) 通産省の米州大洋州課長の渡辺と申します。  それでは、お手元にお配りしております「日米間における最近の工業製品摩擦」ということで、今外務省の方からお話がありましたが、半導体の問題、それからスーパーコンピューターの問題、それから自動車部品の問題、最近クローズアップされております三つの工業製品につきまして簡単に現状を御説明申し上げたいと思います。  まず最初に、半導体の問題でございます。  実はこれは二年前、六十年六月でございますが、アメリカ半導体工業会から三〇一条で提訴がございました。それに基づきまして、一年強かけまして日米政府協議がずっと継続したわけでございますが、昨年の九月に日米半導体協定ということで政府間協定を締結いたしたわけでございます。  その協定の中身は大きく言いまして三つございまして、一つは、ちょうど審査が続行しておりました日本半導体アメリカ向け輸出に対するダンピング調査、それに決定に基づきますダンピング税の賦課、そういう一連の手続が予想されておりたわけでございますが、これをサスペンドする、中断するというのが一つの大きな中身になっておりまして、それと、それを中断するかわりに日本からの米国市場に対する半導体輸出に関してモニタリングを行う、価格の監視を行う、こういうのが一つでございます。  それからもう一つの中身は、第三国に対する日本半導体輸出につきまして、これにつきましても一定の価格監視体制をとる、モニタリングをする、これが第二の中身でございます。  それから三点目が、外国半導体日本市場に対するアクセスでございますが、これを改善するために日本政府日本のユーザーに対し購入促進に関して勧奨を行う、エンカレッジする。  大きく言いまして、この三つの中身につきまして、協定が昨年の九月二日に成立したわけでございます。  これに基づきまして、それ以降通産省におきましては、今の三つの項目についてそれぞれ輸出貿易管理令に根拠を置きながらしかるべく指導を強化してきておったわけでございますが、当初、協定締結時には予想されなかったような大きな、例えば国内半導体需要の大きな落ち込みとか、あるいは半導体協定締結以前に極めて長期にわたって一種の駆け込み的なサージが起こったといったような問題とか、いろんな問題が起こりました。  そういうこともございまして、昨年の九月協定実施以来、日米間において協議を続けながら対処をしてきておったわけでございますが、本年の三月、アメリカ上院下院それぞれで、日米半導体協定が遵守されておらない、したがってこれに対しては制裁措置を課すべきである、こういう決議が行われたわけでございます。上院では九十三対〇、それから下院では発声多数ということで決議が行われた。  こういったことを受けまして、三月二十七日に大統領日本に対して、半導体の協定は十分目的が達成されていないということを理由にいたしまして、約十四品目の候補品目を列挙いたしまして、その中から約三億ドルに見合う日本からの輸出品に一〇〇%の関税を課する、こういう措置をとるということを発表いたしました。四月九日から急速日米緊急協議を行ったわけでございますが、アメリカ態度は非常にかとうございまして、結局、決裂に終わり、四月十七日に、そこに書いておりますように、パーソナルコンピューター、電動工具、それからカラーテレビというこの三品目につきまして一〇〇%の関税を賦課する、こういう措置をとったわけでございます。  我が国といたしましては、後ほどまた御説明申し上げますけれども、我々としては協定に定められたいわゆる約束事項というのはいずれも誠実に実施してきておるわけなのでございますが、かつまたアメリカも協定に違反しておるとは言わないのですけれども、当初この協定を締結したときの目的、それが達成されておらない、そういう理由で制裁措置を継続しておるというのが現在の状況になっております。  我が国は直ちに、本アメリカ措置というのは日本に差別的に関税を賦課するといったような措置でございますので、明らかにガットの条項に違反しておりますし、日米通商航海条約にも違反しておるということでアメリカに抗議すると同時に、ガットにこれを提訴いたしておりまして、現在二十三条一項に基づく二国間協議を申し入れておる、こういう状況でございます。  その後、四月の二十一、二十二日と、来日いたしましたヤイターUSTR代表と田村大臣との間でトップ会談を持ちまして、協定の解釈の食い遣い等の問題も含めて早急に専門家会合を再開させるということで、これは先週の七日、八日、それから今週の月曜日まで第一回目の専門家会合を持ったわけでございます。  それとともに、四月の今どういう実績が出てお るかというデータを実はアメリカ日本それぞれで現在収集いたしておりまして、このデータが集まりましたところで、恐らくこれは来週以降になると思いますけれども、双方でデータの突き合わせを行って、できるだけ早くこれを解除する、こういうことで今対処をいたしておるわけでございます。  先般、総理の訪米におきましても、首脳会談でこの問題を中曽根総理の方から提起いたしまして、できるだけ早く解除してほしいという強い要請をいたしました。サミットも控え、現在行うことになっておるデータの突き合わせ等のレビューでいい結果が出れば、できるだけ早くこれを解除する、こういうことで大統領のプレスリマークスが行われたと、こういう状況になっております。  我々としては、現在まだデータ収集中でございますが、当初予定されておらなかったような例えば日本国内市況が著しく落ち込みましたことに伴いまして、内外の貿易業者が日本半導体を買って、それをグレーマーケットに流して低価格で輸出するといったような、そういう一種の協定当初には予想していなかったような異常事態があったわけでございますが、これらも大幅に改善いたしておりますし、日米でよくすり合わせて、できるだけ早く解除に持っていきたいというのが現在の状況でございます。  それからその次に、お手元の資料で申し上げますと九ページにスーパーコンピューターの問題を取り上げでございます。  スーパーコンピューターと申しますのは極めて演算スピードの速い電子計算機でございまして、これは数年前まではアメリカのクレイ社とかあるいはCDCといったようなメーカーが断然強くて世界を制覇しておったわけでございますが、最近日本製のスーパーコンピューターも相当高品質のものが出てまいりまして、これが相当な勢いでこういった先行グループを追いかけておる、こういうのが今の状況でございます。  昨年の十二月にアメリカ政府の方から、日本のパブリックセクター、つまり政府関係機関とか大学とか、そういったところに納入されておるスーパーコンピューターというのは全部日本国産になっておって、アメリカ製のものが入っていないではないか、つまり公共セクターというのは市場が閉鎖されておると、こういうクレームが出まして、この問題をMOSSのエレクトロニクス部会でぜひ検討したい、こういう問題提起があったわけでございます。  本年一月それから三月、MOSSのエレクトロニクス部会でいろいろ議論をいたしまして、その場でのアメリカ問題意識というのは大きく二つございました。  一つは、公共セクターのスーパーコンピューターの納入に関する、つまり購入するときの一連の手続が非常に不透明であるというのが一つのクレームでございます。それからもう一つは、いわゆるアカデミックディスカウントと言いまして、特に大学等にスーパーコンピューターを売るときには著しい値引きが行われる、日本のスーパーコンピューターのメーカーというのは大きいけれども、アメリカのクレイだとかそういったのはいわば中堅企業、中小企業であって、そういうところはそういう思い切ったアカデミックディスカウントにはついていけない、こういう問題点の指摘がございました。  この後者の問題につきましては、これはアメリカのIBMのアニュアル・レポート等々見ますと、アメリカ国内でも大幅なドネーションが行われておりまして、そういう意味では、学者をこれから育てていく、エンジニアを育てていく大学等に対して、こういったような先物市場になるわけでございますから、そういったところに思い切ったディスカウントをしていくというのは日米双方に見られる一つの商慣行ではないかという気がするわけでございます。  こういった問題点も指摘いたしまして、これらの問題についてはとりあえず先送りすることにいたしまして、現在、日本の公共部門の納入に関する手続の透明性、これをより一層透明にするために工夫することはできないかという点をまず議論しよう。こういうことになっておりまして、先般ヤイター通商代表がお見えになりましたときに倉成外務大臣と会合を持ちまして、倉成大臣から導入手続の一層の透明化に関するガイドラインという一つのたたき台を、これは各省とよく意見調整して外務省で取りまとめたものがございますが、これを提示いたしまして、これをもとにいたしまして日米で専門家レベルで今週から協議をしよう。こういうことで、十四、十五と二日間にわたり協議を行うということになっております。  現在どういうことになっておりますかといいますと、スーパーコンピューターは全部で二十一台、政府関係機関といいますか、公共部門で入っております。アメリカは一切ゼロだと言っておるのですけれども、実はその中にNTTが三台購入いたしております。NTTというのは、当初一台目を購入いたしましたときは政府関係機関でございましたし、その後民営化いたしましたけれども、ガットの政府調達コードを適用を受けて購入しておる。そういう意味では公共部門と同じ扱いになっておりまして、そこで三台入っておるというのが実態でございます。  あと、今回アメリカは問題を提起はしておりませんが、御参考までに民間部門の数字を申し上げますと、日本で約三十台スーパーコンピューターが民間企業に入っておりますけれども、そのうちの五台が外国製品ということで、両方合わせますと、約五十台のスーパーコンピューターのうちで八台ぐらいが外国製、アメリカ製になっておるというのが実態でございます。  それから十一ページに自動車部品の問題を書いておきました。自動車部品につきましては、実は昨年のレーガン大統領が訪日いたしましたときに、既に先行しておりました四つのMOSSの品目に加えまして新たに自動車部品、正確に言いますと輸送機器という品目でございますが、輸送機器をMOSSの対象に取り上げるということが日米間で合意いたしまして、昨年の八月以降、自動車部品を対象にいたしましてMOSS協議が行われておるわけでございます。  御承知のように、自動車部品につきましては、我が国は関税もゼロでございますし、そういう意味では、政府が関与しておる部門での障壁というのは皆無と言っていい分野でございます。そういう意味で障壁という言葉は語弊がありますが、アメリカから見れば、関税があるとか、あるいは輸入手続が複雑であるとかいったような、そういう面がない分野でございまして、したがって一にビジネスの問題であるという点が、先行しておる四つのMOSSの対象品目とは相当内容の異なる点でございます。  これらにつきまして、八月以降二カ月に一回、ワシントシと東京でそれぞれ関係エキスパート及びハイレベルの協議を続けてまいりました。その結果、ことしの二月に中間報告を取りまとめるということになりましてそれを取りまとめ、あと四月にまた一回会合を持ちまして、ことしの八月をめどに最終的な報告を取りまとめる、こういうことで現在進んでおります。  基本的には、日本の自動車メーカーと部品屋さんとの間が系列取引になっておって、したがってアメリカの自動車部品メーカーが売り込もうとしてもなかなか売り込めないというのが大きな不満の一つでございますが、細かく不満のケーススタディーを随分たくさん繰り返しまして、そういったような問題をそれぞれ経緯を調べてみますと、必ずしも一概にそういうことは言えないというようなケースで相手も納得するようなものも出てまいりましたし、あるいはアメリカ側の自動車部品をアメリカで現地生産しておる日本のアセンブリーメーカーに売り込むときの一連のコンタクトポイントを紹介するとか、極めて実務的なすり合わせを今行っておって、それなりに成果が出てきておるという分野でございます。  一番残っておりますポイントは、そういったそもそも障壁のないビジネスそのものの分野でござ いますから、最終的な取りまとめというのはそれなりに非常に苦労が要ると思いますけれども、アメリカが要望しておりますのは、アメリカの自動車部品の日本への販売、それからアメリカ国内での日本のアセンブリーメーカーへの販売、それの具体的な数字がどういうふうになっているかという統計が全然ないものでございますから、それを整備し、それが逐次増加していくようにぜひ勧奨してほしいというのが彼らの最終的な要望でございます。  それに対しまして、現在我々は、統計の整備は結構でしょうということで、自動車工業会が中心になりまして、日本国内向け及び現地のアセンブリーメーカーが購入する自動車部品の統計データを整備しよう。あとそれがどういうふうに伸びていくかというのは、これはアメリカの自動車部品メーカーの販売努力であり、また技術開発の問題でもあり、また我々の自動車メーカーのそれぞれの努力でもある、こういうビジネスの問題ではなかろうか。こういうことで今議論が進んでおるところでございまして、八月には答えが出ることになっております。  以上、非常に簡単でございますが、私の説明を終わらせていただきます。
  7. 林田悠紀夫

    ○小委員長林田悠紀夫君) ありがとうございました。  それでは最後に、農林水産省から説明を聴取いたします。
  8. 野崎修

    説明員(野崎修君) 農林水産省の国際経済課長の野崎でございます。  日米間の農産物貿易問題ということで御説明申し上げたいと思います。お手元に簡単な資料をお配りしてございますが、これに沿いつつ御説明申し上げたいと思います。  まず、アメリカ貿易関連法案でございますが、これは先ほど外務省の方から御説明ございましたが、包括貿易法案のほかに、農産物関係法案といたしまして米法案が出ております。これは上院下院双方に出されておるわけでございますが、その内容について簡単に御紹介いたしますと、大きな米市場を有する国の輸入障壁を調査分析する、その上で交渉目標を設定した上で、大統領が協定締結を目指して交渉を行うということでございます。その交渉が不調な結果に終わった場合は報復措置を義務づけている、そういった内容の法案でございます。  ただ、これらの法案につきましては、提案者が非常に少人数でございますのと、それから包括貿易法案との関係がどうなるかということで、見方といたしましては、大勢となり得ないのではないかという見方もあるわけでございますが、今後の動向が注目されるところでございます。  それから次に個別問題でございます。  まず、牛肉・かんきつ協議の問題でございますが、現在日米間で牛肉、かんきつにつきまして取り決めがございます。これは一九八四年の段階で、当時、山村農林水産大臣のときでございますが、四年間の輸入枠につきまして取り決めが行われておるわけでございまして、一九八八年の三月三十一日までの間の取り決めてございます。したがいまして、明年の四月一日以降の取り扱いにつきましては、双方の取り決めの中で、八七年度の双方に都合のよい時期に協議を行うことといたしましょうと、そういうことになっておるわけでございます。今後いつごろから日米間の協議を始めるかにつきましてはまだ決まっておりませんが、秋口ごろにはそういった話もぼつぼつ出てくるのではないか、かように考えております。  そのから次に農産物十二品目問題でございます。これにつきましては御承知のとおりでございますが、現在、我が国におきましては、農林水産関係の品目で輸入数量制限を行っておるものが二十二品目ございます。そのうちの十二品目につきまして、アメリカ側からこれを自由化しろという要求が出てきているということでございます。  本件につきましては、昨年十月にガットの場におきましてパネルの設置を行うべしというアメリカからの要望が出されました。パネルと申しますのは、ガットの場におきまして第三者による紛争処理のための審査機関をということでございますが、そのパネルの設置が昨年十月に決まりまして、この五月の七日、八日に第一回のパネルが行われたところでございます。私どもといたしましては今後ともパネルの場において、品目ごとのガット上の合法性、それから個別品目にかかわる国内生産の実情等について幅広く説明しながら、パネルにおきまして公正な判断が出るように努力してまいる考えでございますが、同時に、パネル審査と並行いたしまして、日米二国間による現実的な解決を目指して引き続き努力してまいる考えでございます。  次に米問題でございます。これも御承知のとおり、昨年の九月アメリカの精米業者協会によるUSTRに対する三〇一条の提訴がございました。アメリカ政府はこれを却下したわけでございますが、これと同時に、我が国の米の問題につきましてガットのウルグアイ・ラウンドの場で取り上げる意向を表明したわけでございます。  私どもといたしましては、米の問題につきましては、ウルグアイ・ラウンドで農業問題の議論が進み、農産物に関する各種の貿易措置を対象としてルールづくりの議論が具体的に展開される段階になれば、我が国としても米の問題を含むあらゆる農業問題を討議することを否定するものではない。さらに、この場合に、我が国としては、ガットの場において米の持つ重要性や国内自給方針などにつき理解を求めていく考えであるということで、先般来日いたしましたリン農務長官、ヤイター通商代表に対しましても、加藤農水大臣の方からかような話をしているところでございます。  そのほか、日米間で従来から懸案になっております関税問題というのがございます。農産物関係何品目かについて従来からアメリカから引き下げ要望がございますが、このうちチョコレートにつきましては、先般、来年の四月から関税を引き下げるということを政府として決定したしまして、公表したところでございます。  それからお手元の資料の二枚目、これは先般の加藤農水大臣とリン農務長官、ヤイター通商代表の会談の概要を御参考までにおつけしてございます。  それから三枚目は参考資料ということで、これは統計資料でございますが、現在の農林水産物の輸入状況ということで、特にアメリカとの関係の数字を書いてございますが、農産物につきましては、我が国は八六年に約百八十億ドル輸入しておりますが、そのうちアメリカからの輸入は約六十億ドルでございます。大体三分の一がアメリカからの輸入でございます。  それから次のページ、四ページでございますけれども、これも統計資料でございますが、アメリカからの主要農産物の輸入実績という数字を載せてございます。量的ないしは金額的に一番多いのは穀物・大豆でございまして、トウモロコシ、小麦、グレーンソルガム、大豆等。トウモロコシ等は十億ドルを超えているような輸入額でございます。  それから最後の五ページでございますが、先ほど日本輸入が六十億ドルと申しましたが、逆にこれは、同じような数字でございますが、アメリカ側から見た数字ということでございます。若干統計をとる期間がずれている等の理由がございまして数字は異なっておりますけれども、いずれにしましても、農産物貿易におきましては、アメリカ側としては対日黒字を持っているということでございます。  ごく簡単でございますが、私の説明を終わらせていただきます。
  9. 林田悠紀夫

    ○小委員長林田悠紀夫君) ありがとうございました。  以上で各省からの説明聴取は終了いたしました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 石井一二

    石井一二君 では、私の持ち時間は二十分と思いますので、最初、ただいまの御説明に対して若 干のコメントを申し述べ、しかる後に私の私見を申し述べて、時間がありましたら私のコメントに対するそちら側からのコメント、そういうような順序でやらしていただきたいと思います。  押しなべてお三方の御意見は極めてごもっともであり、また内容的にも大いにうなずけるものであったと思います。ただ、時間の制約もありましたので若干舌足らずの面もあったのではないか。そういった面も含めて御発言をさしていただくことをお許し願いたいと思います。  まず、外務省田中さんの御発言の中で、Jカーブ効果が出てきて、その結果ドルベースでの不均衡拡大するのは当然のことであるというところでもうお話が終わったわけでございますが、Jカーブ効果というものは、ある期間はそういう状態だけれども、その後大幅に修正になってこなきゃならぬ、それが起こってこないというところに問題の本質があるんです。そこら辺の理言及がなかったので、今後の論議を一遍展開したい、まずそのように思います。  それからもう一つ米国が諸外国に対して強い態度で臨まざるを得なくなったという一番最後のくだりで、半導体に対する御発言を終えられたわけです。  私は図らずもこの四月二日、三日とワシントンへ出張しておりました。四極フォーラムの日本代表でもあったわけでございますが、そのとき、松永大使初めワシントンにおけるマスコミ各社とも話をしましたけれども、現地での分析は、強い態度に出ることによって、今一番強力な内容である下院法案、ややマイルドな上院法案、それで共同協議による最終的な法案という線が出るだろうということですが、ここで大統領府が強い態度を示しておくことによって、議会からの強い法案法案として成立してしまうことを牽制する。そうしないと、強い法案が出てしまうと世界の流れに逆行し、後でも申し述べますような理由でアメリカにとってプラスにならないのだから、大統領拒否権を発動しなければならなくなる。その拒否権ハイウエー法案のときのようにさらに拒否されるということになると、大統領の権威の失墜のみならずアメリカ経済自体が麻痺してくるという読みのもとで、その法案の内容をやわらかくするための牽制球として今回大統領は強い策に出たという裏の読みがあったと思うのです。  だから、この辺のところも、もちろんおわかりだと思いますけれども、先ほど時間的な御制約もあって御説明ができなかったのではないかと思うので、一応私の意見として申し述べておきたいと思います。  それから通産省のスーパーコンピューター、関西新空港、アメリカ自動車部品メーカー等のお話でございますが、私は、日本としてはいろいろ向こうの言うことを聞くべきであるとは思いますけれども、最終的に先方のおっしゃっていることは筋が通らないし日本の国益にもならない、したがって、話し合いはするけれどもノーと言うべきものはノーと言うべきである、そのように感じております。  その理由ですが、例えばスーパーコンピューターは日本ではリースベースで商売をやっておる。というのは、進歩が日進月歩ですからリースベースでやれば返しやすい。向こうは買い取りである。また値段も、日本は総合メーカーがやっており、メーカーが何ぼ利益を上げても法人の実効税率が五割を超えるという中で、大学とか、そういう政府機関には七割、八割引きというようなサービスもし、またそのインパクトによって商売もまた大きくなっていくというような商売上の一つのタクティクスがあるわけですが、先方はやや中サイズあるいは小サイズの専業メーカーである。しかも買い取りで、正価で買えと。またアフターサービスが悪い。こういった中でああいう巨額なものを押しつけられるということはやはり我々の国の国益にも反するし、また買わされた企業こそえらい迷惑だろう、そのように思います。  それから関西空港にしろ、下請も一軒もなく、日本に事務所もないというような会社がそう参画できるものではない。外圧に押されて今度JVを組むための相談窓口をつくったとかいろいろありますけれども、日本流に言うならば、これはペーパーマージンというような格好で参加してもらうというようなことにならないように気をつけてもらわないといけない、そういうような気がします。  それからアメリカの自動車部品メーカーが日本の工場に対してかなりの納入を希望しておるというお気持ちもわかるし、また日本もそれに対して協力することはやぶさかじゃないという態度も理解できますが、ああいった流れ作業の商品をつくっておって、いい品物を言われた納期に言われた数だけびっちり納めていかないと、ラインが全部とまるということになるわけですから、日本としては許容範囲というものがあるということを断固主張しない限り、海外投資した日本の企業自体がへたってくる。そういう事態があるのではないかということを恐れるわけであります。  それから農水省の農産物でございますが、私は米の交渉に関して特に言っていただきたいことは、市場を完全オープンした場合は、タイの米の方が安いし、あるいはまた現在のかの国の貿易事情等から見て、そういうことも考慮して向こうからも買わなきゃならぬのではないかということは絶えず言い続けるべきであろうということが一点と、自己反省の見地に立ったならば、食管会計に対する何らかの改正という面は、輸入米も含めて、今後やはり真剣に取り組む義務があるのではなかろうか、そのような気がいたします。  さて、以上が御発言に対するコメントですが、若干私見を申し述べさせていただきますと、私はこのいろんな日米摩擦というものは、誠意を持って個別のアイテムごとに真剣に話し合いをし、できるだけの譲歩はすべきであると思いますけれども、できないものははっきりできないと言って突っぱねる必要があると思います。  と申しますのは、そもそも日米摩擦というものが起こったのは、一九六〇年ごろ、今から二十七、八年前の一ドルブラウスがニューヨークで出たときに初めてクレームがついたというところから始まって、この二十何年間何か絶えず向こうから苦情が出て、その都度我々は話し合ってできるだけ協力をしてきた。ところが、今これだけインバランスが大きくなって、向こうのおっしゃっていることを全部聞いてやって仮に一年間貿易バランスが赤字ゼロという状態になっても、基本問題が解決されないとまたぞろ二年、三年、四年と出てくる。したがって、今後十年、二十年、三十言い続けられるのであれば、ここでできないものはできないということをはっきり言って、アメリカサイドの基本的な体質を変えてもらうように努力すべきじゃなかろうか、そのように思うわけであります。  それで、問題の根本ですが、そもそもアメリカ財政大赤字についてかの国はどう考えておるかということでございます。  ちなみに、私の書いた本を広げて恐縮ですが、この赤字は絶対に消えないと言われておるわけであります。その理由は、歳出の約三割が国防費、約四割が社会保障費、約一割五分が利払い並びに国債の償還、こうなると、支出の八五%が絶対に削減できないものによって占められておる。そういった中で、税制改革によって収入はふえない、支出は削減できない、こういう体質を彼らがなぜ改めないのか。そういうことから論議を始めるべきだと思います。  一つの大きなチェックポイントとして、グラム・ラドマン・アクトというものができて、八七年では見込みで千八百億ドルの赤字を千四百億ドルぐらいに抑えるということを言っておりますが、彼ら自身はこれはもう絶対できないんだということを初めから言っておる。世界に対する公約違反というものが目の前にぶら下がっておる。そういう事実があるわけであります。ここに私は日経の六十二年四月一日、「財政赤字は減らない 大蔵省米に反論 社会保障などで「むしろ悪化」」という記事を持っておりますけれども、私の今申し 上げたところと全く一致するわけであります。  私は今、そもそも問題の諸悪の根源は財政赤字にあると申しましたけれども、その一連の流れを見てみますと、財政赤字の結果クラウディングアウトが起こる。高金利が起こる。ドル高になった。国際競争力が減退した。その結果、輸出関連産業の衰退または海外への逃避がアメリカで行われた。その結果、輸入導入型の産業構造にアメリカが変わってしまった。したがって貿易赤字が大いに拡大してきた。この弱い米国、国際威信の失墜を軸としてドル安が起こり、その結果G5、G7が起こり、さらにドル安がそのまま続いておる。こういう状態になっておるわけでありますから、目先の今言われた三つや四つの項目を一生懸命やって、何ぼ市場開放やなんか言ってみても全然話は進まないということは皆さん方も御承知のとおりであります。  今ここに私はもう一つの雑誌として、これは雑誌といっても非常に権威のあるものでございますけれども、NHKが特集として緊急レポートした「世界の中の日本アメリカからの警告」、磯村さんがNHKを通じて、日本全国にというよりもVTR等も通じて世界に訴えたこの特別番組の記録でありますけれども、その中にアメリカ議会筋についてそのようなことが言われておるわけであります。すなわち私が今言わんとしていることは、ダンフォースが来られたとか、だれが来られたということで、アメリカ議会の諸議員が来ていろんなことを言われますけれども、果たして彼らは何を考えてそういうことを申しておるかということをはっきりしておく必要があると思うのであります。  ちなみに読んでみますと、「貿易関係議員選挙地盤との関連は」という質問に対して、  貿易戦士の議員たちの多くは、この前の選挙で、対立候補がなかったか、いても六五%から七五%の高い得票率で当選している。だから議席はきわめて安泰。選挙区の昔からの利益を代介し、加えて、個人的な組織や地盤も強力だ。  議員たちの視野が狭いのは、そういうふうに地元から依頼されているからだ。彼らは、ごく限られた地域を保護するよう依頼されているからだ。彼らは、自分の面倒を見てくれる人の面倒しか見ない。それが政治家というものだ。  俗に、例えば政治献金を出してくれるとか、票を生み出してくれるとかいう業界の代弁者として声を高らかに物を言って、帰って私は言ってきたんやぞ、おまえらのために働いてきたんだぞと。国同士の正当な論理というものはそこにないということを私は申し上げたいわけであります。  それで今、話を現実に戻して、アメリカ日本に対して報復措置をするとかせぬとか言っておりますけれども、その結果一体どうなるか、だれが困るのか。私は、日本は全然困らない、困るのはアメリカ国民だと思うんです。私はここに日経新聞六十二年四月二十三日、「日本製マイコンに注文殺到 米国 対日報復で品薄見込む」、アメリカ人が今までより高いものを殺到して買わなきゃならない、インフレ的なムードというものはさらに不況に拍車をかけてくるでしょう。  私はここにもう一つの記事を持っております。日経六十二年四月二十四日、「大機小機」という囲み記事ですが、「米国に報復する方法」として、「コメから何からみんな自由化してしまうこと」というのがその一番です。すなわち、自由化したら米はタイから買う、牛肉はオーストラリアから買うというように、競争力がそれだけないという現実です。「ダンピングと言うなら米司法省がカルテルではないかと疑うほど、良いものを出来るだけ高く売ること」、それでも彼らは買わなきゃならない。というのは、産業構造が輸入主導型になっているからアメリカではそれをつくることができないわけであります。  私はここに「選択」八六年八月号、「「ドル安」は米経済を救えない」、何ぼ為替円高になっても、Jカーブの話じゃありませんけれども、アメリカの黒字は減らない。こういう基本的な主張を日本がはっきりと強くして考え方を変えていただくというような作戦をしていかない限り、いつまでたってもいじめ倒されるのではないか。そのような気がしてならないわけであります。  以上、若干好きなことを言うたようでありますが、論理があるところに次の発展がある、そのようにも思います。  最後に、日米間の貿易構造を比べてみたいと思うわけでありますが、正直申し上げて、日本の対米貿易黒字はできるだけ削減すべきであるというのは基本でありますけれども、現在日本アメリカから買ってやろうと思っても余り買うものがないというのが現実だと私は思います。  と申しますのは、日米間の貿易の主要品目を見てみますと、アメリカから日本に入っているベストテンは品目別に、一位大豆、二位トウモロコシ、三位木材、四位石炭、五位小麦、六位綿花、七位航空機、八位歴青炭、九位くず鉄、十位アルミニウム。こうなってきますと、一日六回飯を食って、日本人の胃袋を全部倍の大きさに膨らまして、普通ならもっと安く入ってくる違う外国から物を買わずにというようなことができるかということになると、できない。日本航空と全日空とTDAに、飛行機の数を倍にふやして、格納庫も三つ四つ建てて余分に在庫を持っておけということもできない。  こういった中で、まさか武器を輸入するわけにもいきませんし、私は基本的に、日米安保条約、日本の防衛体制も含めて、基本的な日米間における政治構造の再構築ということの論議をすべきである、そのように考える次第です。  私の時間はあと何分残っていますか。その中でコメントがあればいただきたい。一応これで終わります。
  11. 田中均

    説明員田中均君) 委員御指摘のJカーブの点、それから米国行政府が強い態度に出ているその背景、それはまさに御指摘のとおりでございます。  Jカーブにつきましては、まさにJカーブというのは、しばらくたったら数量ベース調整が行われて、かつそれが不均衡の是正に反映するということがJカーブということでございますので、それがなかなか出てこないというのが現在の問題でございます。それは一つには、為替がかなり変動し続けるというのが一つの大きな問題であろうかと思いますし、そういう観点から言いましても、日本政府としても為替の安定について、安定が達成されなければいけないということについては非常に強い問題意識を持っておるということであろうかと思います。  それから議会との関係は非常に難しい状況でございまして、まさにアメリカ保護主義に走ると日本のみならず世界経済全体が非常に小さくなるという基本的な問題がございまして、私どももアメリカの保護貿易法案を防ぐというのは一つの共通の利益がございますので、そういう観点から、できるだけアメリカ行政府との関係におきましてもお話し合いによる問題の解決を進めたいということであろうかと思います。  それから関西新空港についてお話がございましたけれども、まさにこれは一つのイタチごっこでございまして、アメリカの主張は、どうも日本には十分な機会がないのではないか、建設業許可をとれとか、そういうことを日本は言うけれども、他方、とったあげくなかなか入り込めないのではないかという問題意識がございまして、必ずしもアメリカ側の十分な企業努力が行われているとは思いがたい状況があるわけでございます。  ですから、そこは空港自身、日本アメリカ国内で非常に多くの建設業の受注実績があるわけでございますから、やはり諸外国に対して開かれているということは確信をさせなければいけない。そういう観点から、手続の透明化等はどんどん進めていかなきゃいかぬというのが現在の問題意識でございます。  それから、委員御指摘のとおり、アメリカに対して言うことは言うべきである、まさにそのとおりでございます。他方、なぜアメリカがこれだけいら立ちを強めているかという背景もあるわけで ございまして、例えば日本を逆の立場に置きますと、何百億ドルの単位で不均衡がふえ続けるという場合には、それなりのいら立ちというものがアメリカにあるということも私たちは理解しなければいけないと思います。  他方、今のような状況というのはどう考えても健全ではないわけでございまして、これは不均衡を是正するという形で、日本アメリカもそれを一つの大きな政策目標に据えて、おのずからやるべきことはやらなければいけないということだろうと思いますし、そういう観点から、まさに日本の内需拡大というのは日本の国民生活を豊かにするゆえんでもあるという意識が私どもにはあるわけでございます。  内需が拡大していけばそれなりに不均衡の是正に対するインパクトはあるというふうに思いますし、日本責任を果たし、アメリカにも責任を果たしてもらうということが問題解決の基本ではないかというふうに考える次第でございます。
  12. 渡辺修

    説明員(渡辺修君) 田中課長との重複を避けまして私の感想を申し上げますと、石井先生おっしゃったスーパーコンピューターそれから自動車部品等々に関します御意見、おっしゃるとおりであると思います。  我々も手続の一層の透明化、あるいは今度はガットのコードが変わりますとリースの場合も対象に調達コードが動くことになりますから、そういったような点も含めて、手続その他の透明性等々で全くフェアに、かつ彼らの違和感がないような形にしてやって、後は双方の勝負である、こういうところは変わらないと思います。したがって、そこはまさにこれから、ビジネスというのはそういうものでございますから、この基本線はしっかり見守って守っていかなきゃいかぬという気がいたします。  それからあと一言、財政赤字の問題、すべての問題、私は極めて正論であると思いますが、同時に、経済のテンポ、例えば日米貿易収支を見ますと、円ベースで見ますと去年で七・七%、ことしの一クォーターを見ますと一四・数%、既にもう黒字は解消に向かっているわけですが、残念ながら、なお為替が上がっているというようなこともありまして、ドルベースで見るとこういう数字になっているのですけれども、経済のテンポというのは明らかにもうピークを過ぎつつあるのではないか。  ところが、政治のテンポ、アメリカ国内の政治のテンポというのとのずれがどうしてもそこに出てきている。したがって、アメリカのその政治のテンポというもの、これが理不尽であるのかどうかというのは別にしまして、そこを見誤ってしまうとアメリカでとんでもないことが起こってしまうのではないか、そこのところを十分頭に置きながら対処しなきゃいかぬのではないかなという気がいたします。  それともう一つは、日米経済関係、極めてインテグレーションが進んでおりまして、既にもう三割を超えるものは日本でなければどうしようもないという、つまりそれを頼りにしているアメリカ産業及びユーザーがもういるわけでございます。かつまた、アメリカからも相当日本にビジネスマンもやってきて、ジョイントベンチャーその他が、最近の日経を見てみましても毎日幾つか出てきている。  こういうハイスピードのインテグレーションが進んでいけば、そのインテグレーションが進み切る一つの過程ということで今こういう大きな問題が起こってきているのではないか。ここはひとつ忍耐強く、より経済がインテグレートして、お互いに相手がなくては生きていけないような形に仕上がる。そこまでとにかくアメリカの大きな政治のうねりを避ける必要があるのじゃないかなというのが私の印象でございます。
  13. 野崎修

    説明員(野崎修君) ただいま先生のお話しの米の問題でございます。  まず、タイ米のお話がございましたけれども、おっしゃるとおり、国際競争力という観点からいたしますと、確かにタイ米の方が安いのではないかということでございます。ただ、米だけということではなくて、こういった問題が出てきた背景といたしまして、穀物全体が世界的に非常に過剰状態にあるということがございます。さらに米につきまして申し上げれば、従来東南アジア等で輸入していた国が自給を達成するようになってきたという背景がございます。したがいまして、米市場ないしは米の貿易量が従来に比べてやや縮まってきているという状況背景にあると思っております。  アメリカの米輸出につきましては、したがいまして、先ほどのタイ米との競争等で不利な状況にあるわけでございまして、アメリカが米を輸出する際にはある種の輸出補助金的なものをつけて輸出していると承知いたしております。  それからもう一つ、我が国で食管制度というお話もございましたが、御承知のとおり、米は国民の主食でございます。さらに、今年度から国内での米の生産調整も非常に強化したということでやっておるところでございます。それから従来から国会におきましても自給決議といった方針もございますので、米につきましては、今後とも国内で生産供給をしていくということで考えておる次第でございます。  以上でございます。
  14. 赤桐操

    赤桐操君 二、三ちょっと伺っておきたいと思うのですが、中曽根さんが先般アメリカへ参りまして、これは正式の国賓としての立場で行かれたわけであるし、アメリカもそういう姿勢で受け入れたようでございます。そうした中でいろいろ話し合いが行われたようですが、どうも当面の大きな問題についての解決は期待したような形で出てこなかった、これが結論であったように私は思うんですね。そうすると、先ほど来いろいろ報告されている大前提となる政治的な背景解決されないうちはこうした問題の前進がないのか、こういうように考えられるんです。  すなわち、上下両院におけるところの民主党の前進、これに対して来るべき大統領選挙の結果がどうなるか、こうしたものが決着つかないというと、議会に対するコントロールや、国民に対する選挙を目前に控えた状況の中での政策展開というものができないということになれば、しばらくの間、日米関係においては、さっきも何か出ておりましたが、いわゆる経済テンポと政治のテンポのずれの調整はできないのじゃないか、こういうように思うのですが、この点はどうなのか。  それから今回の報復措置と称するものがベネチア・サミットの前に解除される可能性があるとかいろいろ報道されていますが、それは一体どんな段取りで、どういう見通しを持っておるのか、これが一つ。  それから前後しますけれども、協定がお互いにあって、それに相互に理解の差があった。アメリカ側は、しかし、そうは言いながらも、協定に違反しているとは言い切れないと言いながらも報復措置をとっている。ここまで踏み切ったというそのことですね、これは一体もう理屈を超えた行動なのか、これから先解決の見通しがあるのかどうなのか、これが一つ。  それから、この種のものはヨーロッパにも大分評価されてきておるようであって、日本に対するいろいろな折衝は、こうして机をたたく、テーブルをたたく、そういう形をとらなければ日本というのは動かない、こういう考え方が大分出てきているように思いますが、そんなふうな風潮にアメリカ国内はなっているのかどうなのか。こういうものに私は最近大変疑問を持っている。  それで、あるアメリカの通産省の高官が辞表を出して対日政策は誤りだということを主張しているということが報道されていますが、こうした動きはアメリカ国内には一つの動きとして台頭してきていないのかどうなのか、これも一つ政治情勢として聞いておきたいと思うのであります。  米の問題を最後に伺いたいと思いますが、対日報復措置がやがてとられるということが出ていますけれども、日本の方でも米の問題では、今農水省の方の課長さんのお話によれば、国内生産でや るのだということが言われておりますけれども、これは後へ引けない問題だろうと思いますね、日本の場合には。引けなかったらどうするんだという問題が出るんですよ。こういうようなお互いの間にぶつかり合いが強くなってきたときに、最終的にこれは何が一体解決する主体になってくるのか、こうした問題について少し伺っておきたいと思います。  以上であります。
  15. 田中均

    説明員田中均君) 委員お尋ねの第一点でございますけれども、まさに米国内の情勢の変化というものもございましたし、それから客観的に日米貿易均衡というものが非常に増大し続けたという事情もございましたし、総理訪米に先立ちます日米経済関係というのは、ある面で非常に緊張度が高かったのであろうと思います。そういう段階で訪米が行われたわけでございますけれども、私どもの目から見ますれば、それはそれなりの成果はあったのではないか。  確かにこういう貿易問題というのは、まさに日米がこれだけ、先ほどのお話もございましたように、相互依存性を強めれば問題が出てくるのは間違いがないわけでございまして、そういう問題を一日にして解決できる話ではないというのも事実なのだろうと思います。ですから、基本的には、その問題解決というのをどういうアプローチでやっていくかということ、そのことについて明確な日米両国間の確認というものがなければいけない。そういう観点から見ますと、訪米につきましては幾つかの点でそういう確認があったのではないかという気がするわけでございます。  貿易均衡を解消していくためにそれぞれがきちんとした政策をとって協調していかなければいけない、為替の安定ということもそれは両国がやらなければいけないというような点、それから、そういう話し合いにおいては制裁等につきましても、できるだけ早くアメリカ政府としても撤回したいという点を確認した点、そういうことというのはそれなりに意味があったのであろうかと思いますし、私が思いますに、アメリカというのはそれなりに、極端にいきますと必ずそれに歯どめをかける力というものが出てくるわけでございまして、現在の状況もそういうふうに歯どめがかかりつつある状況というのが来ているのではないかという認識を持っております。  他方、御指摘のとおり貿易法案をめぐってアメリカ国内情勢というのは非常に揺れ動いておるということも事実でございますし、私どもの目から見ますと、そういうアメリカ国内の流れだけに任せておいたのでは保護貿易法案が成立することになるでしょうし、大統領拒否権を行使しても、それが覆されるという結果になってしまうのではないか。そうなると日本経済に与える影響というものも非常に大きいわけでございますし、さらにもっと大きいのは、現在例えばガットの場でニューラウンドという形で自由貿易に向けての動きがございますが、そういう動きがとまってしまうのではないかということを非常に強く恐れるわけでございます。  ですから、そういう観点からすれば、まさに我我としてもそういうものが成立しないように最大限の努力をする。そのためには日本としてとるべき政策というのはどんどん実行していかなければいけない。それが内需の拡大であり、市場の一層の開放でありということであろうかと思います。そういう観点から、アメリカ国内状況だけに任さないという形で私どもも仕事をしていきたいということでございます。
  16. 渡辺修

    説明員(渡辺修君) 御指摘のありました半導体の制裁関係の点でございますが、まず、その協定違反があったとは言わないけれども結果的にこういうことを一方的にやってしまう、そういうことについての御意見がございました。私は先般四月二日から十七日まで協議にずっと臨んでおりまして、非常にフラストレーションを感じた最大の点がそこにあったわけでございます。  したがいまして、本件につきましては、私は、アメリカの一方的措置というものについてガットの場で、そういう一方的なことが行われたことはおかしいということはきちんと物を言っていかなければいかぬのじゃないか。もちろん、そういう行為に対して我々として独自にしかるべき適切な措置をとるということもあり得るわけでございますけれども、我々といたしましては、ガットの場でアメリカのおかしさを追及するということを、現下の日米貿易環境を考えてそういう選択をとったわけでございます。  本件につきましては、先ほど石井先生の方からお話がございましたが、アメリカ行政府としては、先ほど来の議会との関係を頭に置いて何がしか先取りをしてしかるべき手を打ったという、そういう一つの配意といいますか、配慮というのではありませんが、そういう見方をする人がワシントンではかなりたくさんおりました。これは我々が緊急協議を始める前にいろいろ情報収集したときもそういう見方がありました。したがって、そういう要素も大きな一つのファクターとして入っておるのだろうと思います。  それで、これからの段取りでございますが、総理はこの間非常に強く要請されました。パリでOECDの会議があるときに、出張いたしておりました田村大臣とベーカー財務長官がたまたま現地時間の十三日の午前中、朝でございますけれども、本件に関する話し合いを持ちました。そのときにベーカー長官は、ベーカー長官というのはアメリカ経済政策会議の議長をしておる方でございますが、一つは、この間の首脳会談でレーガン大統領が大変敬意を抱いておる中曽根総理から強い要請があったという事実、もう一つは、同時に上院において現在貿易法案が非常に重要な時期を迎えておる、そういうアメリカ国内政治情勢、そういったような二つの要素を頭に置いて本件を対処したいと思います、ついては五月に予定されておる双方のデータの突き合わせ、それによるどれだけ成果が改善したかというその数字を注目したいと思います、それでいい結果が出て、できるだけ早く解除できることを強く希望するというのが、ベーカー長官の田村大臣への回答でございました。  それで、現在我々もまだ最終的にデータ収集を終わっておりません。アメリカの方も終わっておらないようでございまして、聞くところによりますと、来週の後半ぐらいにはアメリカ側でデータを入手しその分析に入るということでございますから、来週後半から再来週にかけて、恐らくこれはワシントンになると思いますけれども、日米で、極めてテクニカルな問題がございます。例えばダンピング一つとりましても、償却費の割り掛けというのを一体問題の品目にどういうふうに割り掛けるかとかいうことによって、コストというのはもういかようにでも変わってくるわけでございます。  そういったような非常にテクニカルな問題を日米の専門家で別途詰めながら、かつ両方で集めたデータを突き合わせをするという大変な作業があるわけでございますが、こういったようなものを通じまして、先ほども申し上げましたように、我我の持っておるデータで見る限り、相当の改善も見られることは事実でございますから、それで何とか一刻も早い解除を目指して全力を尽くしたい、かように考えておるわけでございます。  それから、こういうことで制裁をしなければ、バッシングをしなければ日本は動かない、こういう見方というのはどうかということでございますが、残念ながら、ざっくばらんにアメリカにいる友人とかカウンターパートと話してみると、そういう意識を持っておる人も大分いるように思います。と同時に、今アメリカがああいうことをやっておるのはおかしいという、先ほど先生がお挙げになった例のようなのもございます。いろんな意見がアメリカにはあると思います。  ただ一言、私は実は四月一カ月向こうにいたのですが、非常に感じましたことは、今まで我々をよく知っておった人たちも、現下のワシントンの恐らくああいう政治環境のもとでしょう、やがてこうなるという約束手形はもういい、キャッシュ を持ってきてくれと、こういうことを言う人が非常に多うございまして、私としてはそういう人たち、今まで非常に日本のことをよくわかって、かつ理解者であった人たちがそういうことを率直に言うという、そういう雰囲気というのは非常にある意味で強く感じてきたところでございます。
  17. 野崎修

    説明員(野崎修君) 先生御指摘の米の問題でございますけれども、先ほど申し上げました米法案が成立するかどうか、まだわからない状況でございます。それから今後具体的にアメリカ側からさらにどういう新しい要求が出てくるかどうか、その点についても現時点ではまだ定かではございません。  ただ、米問題につきましては、先ほども申し上げましたように、我が国農業なり国民の食生活にとって非常に重要な問題であるということは、もう重ねてアメリカ側に対していろいろな機会を通じて申し上げてきているところでございまして、アメリカ行政府側も日本における米の位置づけについては相当程度の理解は持っていただいているのではないか、そのように思うわけでございます。  それから今後の扱いといたしましては、先ほど申し上げましたようにガットのニューラウンドの場で、その時期が来れば米問題も議論されるであろうということでございます。その場合におきましては、これは多国間の場でございますけれども、その場でも、日本にとっての米の重要性についてアメリカを含めて各国の理解を得ていく必要がある、かように考えております。  それから同時に、国内における米のこういう生産のあり方、価格のあり方がそのままでいいのかどうかという問題が一方であるわけでございます。これにつきましては、御承知のとおり、昨年十一月に農政審議会が報告を出しておりまして、米だけではございませんが、農産物全体につきまして生産性の向上を図れ、それから特に内外価格差の縮小という観点からできるだけ価格政策についてもそういう方向で努力しろという答申、報告を受けているわけでございます。したがいまして、今後のそういった行政価格のあり方等につきましても農政審の方向に沿った努力、それから生産性向上につきましてもそういった努力を農水省としてもやっていかなくてはいけない、かように考えております。
  18. 赤桐操

    赤桐操君 重ねてちょっと伺っておきたいと思うのですが、いろいろとこの国にも、一つのそれぞれの生い立ってきた産業なり経済なりの経過があるわけですから、そういう中で急に方向転換するということは不可能だと思うんですね。たまたま一千億ドルなんという大変な貿易黒字が発生したという経過の中でアメリカの国民感情がいら立ってきておる、日本に対してこれに対する何らかの誠意ある態度を迫るということはわかるんです、これは。  しかし、例えば米なんかの問題について日本でもし方向転換をやって大量に輸入するという形が出たときに、国内が治まるかという問題になってくる。時の政権がひっくり返る場合だってあると思うんですよ、正直言って。それでもアメリカの顔を立ててやることができるかと言ったら、これはできないと思う、そんなことは。それはアメリカにとっても日本にとっても同じだと思う。例えばアメリカにおけるところの軍需産業の中に、日本の品物が優秀だから日本からこれを受注せよと言ってみたって、アメリカがこれは軍事秘密でございますということでこれに対する障壁を立てることは可能です。また現実に立てていると思うんですね。できないでしょう、そんなことは。  しかし、そういうことは日本の国民全体の中の家庭にまで感情的に入ってない。しかし、アメリカにおけるところの米の問題だとか、あるいはこういう関税の障壁と我々は言うのだけれども、そういう問題についてはアメリカ国民の世論が背景になっているのだと言わんばかりのやり方ですよね。それはやっぱり私は両国のためによくないと思うんですね。  こうしたことは、時の政府なりそれぞれの立場でもって解決するのが任務だと思うのですけれども、我々の方は野党であるけれども、そうした問題がどうも解決されてないと思うんです。  それで、挙げて最近特にそういう傾向が発生しているということは、政治テンポと経済テンポが合わないということはまさに至言だと思うし、私もそう思っておるけれども、大統領選挙が始まるころになると必ずアメリカでは問題が起きるんです。無理なことを各国に外交上の問題でも提起していく。しかし私は、そういう中で、今言ったような国内のそれぞれの背景というものがある以上は、これは限界があるだろうと思うんですがね。  それで、今農水省の方の課長さんのお話によれば、国内の価格の問題があると言っているけれども、価格の問題とアメリカの米を入れることは別ですよ、そんな問題は。それは国民が安いものが欲しいか欲しくないかという問題であって、国内でもってもし価格調整が行われたときにどうするか。国内の農家の努力によって、あるいはまた総合的な対策によって解決されたときに、アメリカの米を入れないということで解決できるかと言ったら、解決できないんですよ。アメリカの農家が納得しないでしょう。これを基盤としているアメリカの政治家が納得しないのじゃないですか。  そういうような形のお互いのやり合いということは、これはこれから将来にやるべきことじゃないと思うんです。どこの国だって聖域というものはあると思うんですよ。そういう考え方に立って、私は政府間においては責任ある形をとるべきだと思うんですがね。  行政の目から見ていて、私たちの言っていることはアメリカ国内では受け入れられない、国際常識には反することかどうなのか、少しあなた方の目から見た考え方を伺っておきたいと思いますがね。
  19. 田中均

    説明員田中均君) 決して国際的な常識に反したわけではございませんで、委員おっしゃるとおり、それぞれの国において、私どもも、外交にいたしましても、通商関係の交渉にいたしましても、国内の世論というものを背景に進めなければいけないということでございます。まさに米の問題をめぐって日本国内の意見というものがあるわけでございますし、当然のことながら、外務省にいたしましてもそういうものと無縁ではあり得ないわけでございます。  米については非常に困難な問題があるということも、米国に対しては機会があることに説明しておるということでございますし、政府の中でもそういうことについての意見の違いはないということだろうと思います。他方、同じような問題がアメリカにもあるわけでございまして、アメリカにしてみれば、農業の問題というのは国内の非常に難しい問題になりつつあるということでございます。  そういう状況の中で、それでは国際的に果たして何が妥当なのかということをガットのニューラウンドで話をするというところに今の方向は向かっているのだろうと思いますし、ガットのニューラウンドの場では日本がきちんとした説明をしていくということが現在の政府考え方の基本であるということだろうと思います。
  20. 野崎修

    説明員(野崎修君) 私の御説明の中で若干誤解を招いたとすれば申しわけないのですけれども、先ほど内外価格差の縮小と申し上げましたけれども、これは一般論として、我が国の農業のあり方としてそういうことを農政審報告で私ども受けているということを申し上げたことでございまして、したがいまして、今お話がございましたように、アメリカ産の米を入れるかどうかと直接の関係で申し上げたというつもりはございません。  それから、今田中課長の方からもお話がございましたように、米問題というのは、繰り返しになりますけれども、これは我が国国民にとっても非常に重要な問題でございます。昨年十二月に私どもの大臣がワシントンに行った際にも、向こうのリン農務長官なりヤイター代表とも話しておりますし、ことしの四月、先ほど申し上げましたようにリン長官、ヤイター代表が来たときにもそうい う話をいたしております。  したがいまして、今後ニューラウンドというような場で、一般的な話の中で米問題も場合によっては出てくるかもしれないということでございますが、そういう中で我が国における位置づけを十分念頭に置いて各国に理解を求めていく、そういうことで考えております。
  21. 田英夫

    ○田英夫君 三人の方のお話を伺った感想といいますか、若干意見を交えて申し上げて、御意見を伺いたいと思います。  田中さんからパーセプション・ギャップという言葉が出てきましたけれども、まさに日米経済問題というのはそういう気がいたしますが、ただ、ここ数年の間にそのギャップの内容が変わってきたのじゃないかという印象を私は持っているわけです。一昨年、同米議員連盟の代表団で、石井委員も御一緒でしたけれども、ちょうどあのころから燃え盛ってきたという感じがするわけですが、二年前のそのときアメリカ議会政府関係者といろいろ話したときは、いわゆるこのギャップがかなり感情的なギャップという面が強かったように思うんですね。アメリカめ人は、いつもそうかもしれません、だれでもそうなのかもしれませんが、特にアメリカの人は自分の立場から問題を考えるという傾向が強い。これは外交問題で言えば、かつて朝鮮半島の問題で議論したことがありますが、非常にアメリカの立場からだけ考えて、特に北朝鮮ということについてはほとんど理解力がないという中での判断ということで随分やり合ったのですが、それから何年かたって行くたびに勉強して理解が深まってきて、現在朝鮮半島の問題については、アメリカ政府議会の中にも相当理解者がふえてきたと思っています。同じように、この二年間で日米貿易問題というのも随分変わってきたという印象を持っているわけです。  ことしの春またワシントンへ行っておりましたが、そんなに大勢ではありませんけれどもアメリカ議会議員と話し合ってきたのですが、この二年間に少なくともアメリカ議員でこの日米貿易問題に関心を持っている人たちの理解というのは相当深まっている。具体的になってきている。もちろんアメリカの立場から考えているわけですが、例えば特に下院議員の場合は、さっき田中さんからもお話がありましたが、自分の選挙区の中の産業といいますか、例えばカリフォルニアだったら農業、米とか、そういう具体的なものについて極めて突っ込んで、何が日本側の問題点かということを勉強してきているように思いました。  一方で、例えばピッツバーグの出身の議員が、これは鉄ですが、ことしの初めに日本に来て神戸製鋼で見学をしました。神戸製鋼の場合もかなりの人員整理をやる。ところが、自分たちのピッツバーグの場合は一方的に切ってしまって、十数%を切ったんだけれども、神戸製鋼、日本の企業の場合はちゃんと事前に次の仕事のための勉強の機会を与えて、そしてそれがある程度身についたところで切っていくというような意味で、企業のあり方として日本に学ぶ点が非常にあったというような発言をしておりました。これは貿易摩擦と直接関係ありませんけれども、そういう学ぶ立場というか、そういう姿勢がかなり向こうにもあると思います。  そういう意味からすると、いろんな例を聞いてきましたけれども、ひっくるめて言ってしまえば、向こうの議員が今、日米経済問題で、個々のあれは少しずつ違うかもしれませんが、日本の側、日本の行政の側の問題点という意味で共通して挙げているのは、いわゆる許認可とか基準とかいうようなそういうもので、それが障害になっている、いわゆる非関税障壁になっているのじゃないかというようなことを挙げるわけですね。これは一番わかりやすい例ですから、向こうでは一つの伝説的な問題としてどこでも言われているのですが、二年前に始まったMOSS協議の中の通信機器の話し合いの中で出てきたようですけれども、電話機の音の質に、きょうは郵政省はおられませんけれども、日本の郵政省は基準を設けている。アメリカ議員たちが日本の非関税障壁の典型として専門家でない人たちまでこれを挙げるものですから、今私も例に挙げたのですが、もう皆さんよく御存じだろうと思いますけれども、アメリカ側から言わせれば、電話機の音の質に基準なんて要らないじゃないか、倉庫に置く電話なら若干音の質は悪くたってその分安ければいいじゃないか、それは消費者が選択するという論理ですね。こういう形で、日本各省庁のそういう意味の許認可基準というようなものについて、自分の選挙区の産業との関連の中でかなり具体的に知っているということを発見いたしました。  そういうことからすると、日本の行政の側として、特にきょうは通産、農水とおいでになりますけれども、その点についての御意見といいますか、それを後で聞かしていただきたいという気がいたします。  同時に、しかし私どもの方からも、石井さんも言われましたけれども、言うべきことははっきり言い、断るべきことははっきり断る、そういうことが、だから逆に非常に重要であって、日本の実情というものを向こうは知りたがっているわけだから大いに知らして、こっちの主張を言った方がいいのではないかという感じを持ちます。  米の問題というのは、私も実はこういう政治の中にいて非常に疑問を持つといいますか、私ども参議院では実は社民連とは名のっておりませんけれども、わずか国会議員五人しかいない小政党ですが、その中で農村部を選挙区に持っている議員が二人いるということになりますと、もうそのわずか五人の中で、米の問題について意見を言い合うとそこに差が出てきますね。つまり都会中心の議員なら消費者の立場を純粋に言えますけれども、農村部から出れば当然農家の立場ということを重視いたしますから、そこに大きな差が出てくる。  そういうことを含めて疑問を感ずるのですが、消費者の立場から言うと、変な例を言いますけれども、参議院の議員会館のおすし屋さんがニューヨークに支店をつくりました。これはもう本店と比べものにならないくらいもうかるわけですね。つまりお米がカリフォルニア米を使って、ほぼ十分の一というか、逆に言えば十倍から十二倍という数字のようですね。それから大西洋のマグロがやはり大体十分の一ぐらい、逆に言えば十倍。こういうようなことで、しかもすしというものは決して安くないということをアメリカ人が知っているからある程度高く売ってもよろしい。こういうことになると、どこに原因があるかというと、これは裏返して考えると、その分だけ日本の消費者は高いお米を買っているということになるわけでありまして、非常に複雑な心境になるんですね。  しかし、食糧安保のような立場は私は余り言いたくありませんけれども、意外にも消費者の立場に立つと思われる消団連の御意見は米の自由化に反対をしておられるというような、この辺は非常に難しい立場でしょうけれども、農水省の米に対する行政というものは、もう少しそうした消費者の立場も交えながら一回今までの慣行にとらわれないで議論をし直すということが、我々を含む議員もそうでしょうけれども、必要じゃないか。  大変話があっちこっち飛びましたけれども、三人のお話を伺っての印象を申し上げました。どうぞ簡単にひとつ御意見を聞かせていただきたいと思います。
  22. 田中均

    説明員田中均君) 委員前段の、確かにパーセプション・ギャップというものはあるけれども中身がかなり変わってきている、アメリカ議員も具体的に勉強し出しているというのは、まさに私も同じような感想を持っておりまして、それだけアメリカ議員自身が、貿易問題、産業の問題に真剣になってきているという証左ではないかというふうに思うわけでございます。  それで、許認可の話というのは、まさに私どもの認識としましても、一昨年アクションプログラムというものをつくりましたけれども、その中の基本的な発想というのは、不必要な規制というものはできるだけ除くべきだし、原則自由という考え方でやるべきであるということでございまし て、またこれもいろんな逸話がございますけれども、例えば高速道路で百キロを超えると警告が鳴るということもその一つの基準になっているのはおかしいじゃないか、先ほどの委員の電話機の音の質と似たような話でございますけれども、そういう問題もございまして、余り不要な基準というものはなくさなければいけないということを基本にしてやってきておるわけですが、他方アメリカ日本の場合にかなり考え方の差というものがあるのもまた事実ではないかと思います。  日本のように非常に安全ということに気を使う国におきましては、かなりしっかりとした基準というものが出てきているのも事実だと思うし、これはできるだけ貿易に阻害を与えないような形で、なおかつ国内の要求というものも満たした形で基準というものが設定されなければいけないということではないかという気がいたしております。
  23. 渡辺修

    説明員(渡辺修君) 行政面の許認可の関係で先生の方から御指摘がございました。たしか一昨年のアクションプログラムのときに、基準・認証を含めまして相当思い切ったことをいたしました。我々の方も、電気用品取締法あるいは消費生活製品安全法、あるいは化学品の安全法の問題とか、あるいはJISの関係とか、そういう意味では、今まで五年以上にわたって何らかのクレームが寄せられたものを全部寄せ集めまして、それについて思い切った大なたを振るうといいますか、理屈のあるものはどんどん採用するという形で相当手を入れたわけでございます。  そんなこともございまして、私、今現在の職に二年近くとどまっておりますけれども、最近はアメリカ側の方から、少なくとも手続面において、明らかにこれはおかしいぞといったようなことを言ってくるというのはほとんど聞いておりません。そういう意味では、私はそれなりに相当の進歩をしたのではないか。特にあのアクションプログラム、当初三年計画と言っていたのを思い切って前倒しでやりましたものですから、そこの効果が相当上がっているのではないかなと思っております。  同時に、御承知のように、こうした許認可の関係というのは末端で、あるいは地方の組織がそれぞれが最末端でお客さんに触れている、こういう面があるものでございますから、必ずしも我々の目の届かないような問題があるのかもわかりません。そういう意味では私は、アメリカサイドから、あるいはヨーロッパサイドからいろいろおかしいのではないかといったようなクレームとかあるいは意見があれば、これはもう大いにウエルカムで、どんどん言ってもらって、そうして我々の気がつかないところがあれば、採用できるものは採用していきたい、こういう基本方針でおるわけでございます。  それから先ほどのパーセプション・ギャップの中身が変わってきたというところは、確かに我々最近痛感いたしておりまして、現在我々も幾つかの摩擦の種を抱えて大変苦しんでおるのでございますが、同時にもう少し目を広げて日米経済関係というのを眺めてみますと、日米の相互の理解というのは私は相当深まってきているところがあるのではないか。  一例で言いますと、先般ワシントンである労働関係の人と話しておったのでございますが、例えば自動車が対米投資を行って、トヨタとGMで合弁をつくってNUMMIというのを、カリフォルニアに工場をつくっておりますけれども、あそこでトヨタが行っているマネージメントというのを身近にGMの人が見たことによって、明らかに自分たちの今までやっていた労務管理とは違っている、そこの点が非常に学ぶところが多いという話も耳にいたしております。現に、もちろん自動車の労働組合が保護主義的な幾つかの要求を出しておりますけれども、同時に、明らかに賃上げよりもむしろレイオフを防ぐというか、そういう考え方に大きな変化が出てきているような気もいたしますし、今そういう一例でございますけれども、そういう点もございます。  また、先ほど来申し上げましたけれども、対外投資、対米投資も相当ふえておりますし、最近ホテルオークラとか日本のホテルを見ますと、朝早くから大勢のアメリカのビジネスマンが朝飯を食べながら商談しておるというような風景もよく目にいたしますし、私はそういう意味で、日米経済関係というのは、ワシントンでの摩擦はますます大きくなっていますけれども、広いすそ野においては相当理解が深まってきているのではないか。そういういい面というのも我々はよく見ながら、したがって一時的な感情に流されることなく、長い目でこうした相互依存関係をますます深めていく必要があるのではないか、こういうのが感想でございます。
  24. 野崎修

    説明員(野崎修君) 私ども農林水産省も許認可といったいろいろな制度を持っております。そのほかに、食料品ということからいたしますを、動物検疫とか植物検疫とか、そういう制度も実は持っておるわけでございます。  一般的な基準・認証の問題につきましては、今両課長から申し上げましたように、私どももできるだけそういう苦情を聞いて解決するということでやってきておりまして、例えて申しますと、外国から輸入する切り花の検査等につきましても、先般るるそういう改善をして、最近相当花の量もふえているとか、そういう例もございます。したがいまして、そういった基準・認証につきましては、できるだけそこが障害になって無用の摩擦が生じるということにならないように、これからもできるだけ生の声を聞いた上でそういう問題に対処していくということが重要だと考えております。  それから、今申し上げました例えば動物検疫とか植物検疫といったような問題については、これは広い意味での、またガットのニューラウンドの中でもそういう問題が今後検討されていくものと思っております。各国とも、事、日本だけではなくて、いわば貿易障害に場合によってはなりかねない、そういった制度について意識も高まってきておりますので、我が国としてもそういう場でできるだけのことはしていきたいということでございます。  それからもう一点、米の問題について、おすしの例を引いてお話がございました。確かに絶対的な価格水準を比較すれば、それは日本が高いことは間違いない事実だと思いますが、御承知のとおり、米の場合、アメリカですと生産者の数で一万数千戸しかない、それで一農家当たりの生産規模が百ヘクタール以上あるということで、実は日本の規模の百倍以上という規模でございます。したがって、絶対的なそういう格差というのは縮小するということはなかなか難しい問題でございますけれども、先ほど申し上げましたように、生産性向上なり規模拡大、そういうことでできるだけの努力を地道に重ねていかないといけない、かように考えておる次第でございます。  それから最後にもう一点、パーセプション・ギャップに関連いたしまして、例えばアメリカでは各選挙区で要望を酌み取って、それが表に出てくるのではないかというようなお話がございましたが、確かに私どもは、個別の関税問題等についてアメリカと話をしている場合にそういうことはよく感じます。まあ余り露骨にその辺の話をするといろいろ問題があるわけでございますけれども、個別の品目、ないし、それから米の問題にしても確かにそういう問題であろうと思います。日本は、先ほども申しましたように、農産物の輸入という面ではアメリカの最大のお客であるはずなんでございますけれども、そういう中で、一部の米生産地域の問題ということでそういう問題が出てきたり、それから個別の関税問題でそういう地域の利害関係ということで要求が出てきたりということは、確かにそのとおりではないかなという感じがいたしております。
  25. 関嘉彦

    ○小委員外委員(関嘉彦君) 私、番外ですけれども、委員長の特別の計らいで時間が与えられましたので、ごく簡単に御質問申し上げます。  最初に、まず外務省に対して、先ほど石井委員 が言われたことと同じことですけれども、財政赤字の問題、これはアメリカとしては削減、改善してもらわなければならない。しかし、三分の一は軍事費であり、これは議会の方はSDIなんかの予算については削減の意向はありますけれども、行政府の方はなかなか承諾しないだろうと思いますし、社会保障費あるいは農業補助費といったふうなものについては、とれは議会の力がなかなかうんと言わないだろうと思うので、財政赤字を削減するということはなかなか難しい問題だろうと思うのです。それでアメリカとしては増税をすることが必要ではないか。もう議会あたりとしては、これは日本議会も同じなんですけれども、増税なんか言ったら一遍に落選するに決まっていますから、そういうことはなかなか言い出しにくいことだと思うのですけれども、増税というふうな意見はアメリカの中に出ていないのかどうか、そのことが一つ。  もう一つは、ドル相場がこれ以上下落するのは好ましくないということは、行政府の方もそれから連邦準備銀行の方も言っているようですけれども、学者によっては、たしか私の記憶に間違いなければサローではなかったかと思いますけれども、一ドルは百円ぐらいまで下落するであろうし、下落すべきであるというふうな論文を見たことがあるのですけれども、そういう意見というのはアメリカでかなり多いのかどうか。その二つの点を外務省にお尋ねしたいと思います。  それから通産省につきましては、半導体の協定の問題、あれは最初はつまり日本側が協定違反しているんだということを取り上げたわけですね。それがかなりアメリカ国民の間にしみ渡っているのじゃないかと思うんです。ところが、交渉してみると、必ずしも個々の協定については向こうは事実を挙げないわけでしょう。そして協定の精神が守られていないということを言っているわけですね。協定の精神を守るということになってくれば、これは日本だけの問題ではなしに、アメリカでも当然やらなくてはならないことをやっていないので、そうであるならば、最初にアメリカ国民に対して与えている印象とはかなり内容は違っている。そのことをアメリカ国民は十分知っているのかどうか。いわゆるイエローペーパーとかセンセーショナルな新聞はそういうことを取り上げてかるそうですけれども、アメリカのクォリティーペーパーなんかがそういう問題をどういうふうに報道しているか、そのことをお聞きしたい。どうもアメリカの世論をミスリーディングしているのじゃないか。  先ほど外務省の方の言われたギャラップの世論調査と同じものかどうか知りませんが、私も何か世論調査を見たことがあるのですけれども、日本の企業はアンフェアな方法でアメリカ市場を席巻しているのだということについて、そう思うかどうか、そう思うという答えが非常に多かったと思う。そうしますと、アンフェアということは、つまりさっき言った協定違反なんかのことを指しているのじゃないかと思うので、だとするならば、これは非常なミスリーディンクで、そのことについて日本の方ももっとPRする必要はあると思いますけれども、日本のPRというのは隔靴掻痒の感を免れないので、向こうの新聞あたりに大いに期待しなくてはいけないと思いますけれども、向こうの新聞の論調はどうかということ、そのことを通産省にお聞きしたい。  それから最後に、農水省に対しては、今後十年間ぐらいの世界の食糧の需給見通し、これをどういうふうに考えておられるのか。というのは、十数年ほど前にいわゆるローマ・クラブの報告が出たときなんかは、人口増加率に対して食糧増加率が非常に低いと、まるでマルサスの人口論で言っているような危惧を世界の人に与えて、これは食糧が足りなくなるのじゃないかという印象を与えたのですが、今は全然逆で、供給が余っているというふうな情勢になってきたのですけれども、今後十年ぐらいの先の方の見通し、これはどういうふうな需給関係になるというふうに見通しておられるか。以上三点をお聞きしたいと思います。
  26. 田中均

    説明員田中均君) 委員御指摘の最初の点でございますが、まさに財政赤字を削減しなければいけないというのは、レーガン大統領自身が非常に強く指摘しておる点でございまして、御承知のとおり、レーガン大統領という人は、そもそも選挙のキャンペーンからいたしまして、保守党の非常に強い理念でございますところの小さな政府政府というのはできるだけスペンディンクをカットすべきである、政府としてやるべき仕事以外のことはできるだけ切り詰めるべきであるということを彼の非常に強い理念としまして政権を担当しているわけでございますので、まさに財政赤字の削減というのはレーガン政権にとっての最大の政策課題であるということなのだろうと思います。  他方、予算は、基本的には議会法案をつくるということでございますので、問題はその行政府が出す予算の法案議会でどうなるかということでございます。現に例えばことしの予算教書におきましても、行政府が提案した予算というのは、財政赤字の幅をグラム・ラドマン法に決められた千四百四十億ドルの幅の中に抑えるという形で提案したわけでございます。  他方議会、あるいは新聞もそうですけれども、こういうことは絶対に実現しないであろうと。それはまさに御指摘がありましたように、既にいろいろな義務的な経費的なものが膨れ上がっているという実情があるわけでございまして、アメリカの場合に予算の法案というのは基本的にはそれぞれの委員会審議をするわけで、それぞれの選挙区から選ばれている議員にとって支出をカットするというのは非常に大きな重荷になるわけでございまして、結果的に集大成された予算というのはグラム・ラドマン法の目標をはるかに超えるものになりがちであるというのが現状でございます。  しかるに、財政均衡を削減するためには、まさに歳出をカットするか税収を上げるかどちらかでございまして、論理的に考えますれば増税をしなければいけないではないかという議論というのは、アメリカの中で相当根強く存在しておるわけでございます。論理的に増税が必要であるという形で、米国議会議員もそうですし、あるいは行政府の人もそういう意識で物を語る人は随分いるのだろうと思います。  他方、問題は、増税というのは一つには、実は前々回の選挙民主党候補が増税を口にしたとたんに選挙での形勢が不利になったということもございまして、政治的には非常に難しい問題であるということと、もう一つは、先ほどのレーガン政権の理念から、政府というのはそういう大きな政府になるべきではないというレーガン大統領の非常に強い信念がございまして、増税というものが実施されないでいるというのが今の現状でございます。他方、先ほども申し上げましたように、増税をしなければいけないという論議はかなりアメリカ国内でございます。  それから二番目にドルの相場の問題でございますが、アメリカ国内では、いろいろな研究者も含めまして、一ドルが百円になるべきであるとか百二十円であるとか、そういう議論はございます。他方、現在の為替市場というのは余りにもその市場自体が大きいものですから、だれが何を言って相場に影響を与えるということではなくて、まさに客観的な経済情勢が相場をコントロールするということなので、政府自身もコントロールできないということであろうかと思います。したがって、行政府も含めて、一体どの水準がいいのかというのは明確に言い得る話ではなくて、いろいろな数字であるとか、それぞれの国の経済政策等によって相場が動くというのが、遺憾ながら今の現状であるということであろうかと思います。
  27. 関嘉彦

    ○小委員外委員(関嘉彦君) そういうもっとドルは下がるべきだという意見を唱える人が議会なんかにあるかどうか。
  28. 田中均

    説明員田中均君) あります。  他方、先般の首脳会談で、まさに日米の首脳の間でこれ以上のドルの下落というのはカウンタープロダクティブであるということを首脳レベルで 了解をつくったというのは、一つそれなりに大きなことであっただろうと思います。
  29. 渡辺修

    説明員(渡辺修君) 御指摘の半導体協定をめぐるバイオレーションであるかどうか、その他全体のキャンペーンがどういう論調になっておるかという御質問でございますが、確かに、そもそもこの半導体の問題というのはダンピング問題が、二年前でございますけれども、先行して起こったところから話が始まってきておるものですから、頭の中に、そもそも半導体アメリカ市場にダンピングをしてきたことからこの問題は始まっている、こういうのがベースにございます。そういうことがあるということが一つと、それから先般の議会での非難決議、これは明らかにバイオレーションであるということで三月に上院下院で決議され、これが大きく報道されたということもございまして、まず緒戦といいますか、当初は圧倒的に日本はバイオレートしている、こういうことであったことは間違いないと思います。  そんなこともございまして、我々は、一方でネゴをしながら他方においてそういうキャンペーンをするというのはいかがなものかという気持ちは持ったのでございますけれども、途中から我々も、個別に主要紙のエディトリアルに話をするとか、あるいは先般の協議のときには、我々の主張というトーキングペーパーの立派なものをつくりまして全プレスに流すとかといったような、我々なりの相当の努力をしたわけでございます。その結果は、新聞報道ぶりを見ますと、大体の記事が、アメリカはこういう言い分をしておる、それに対して日本はこういうことを言っておるという並列書きのような形に最近なってきておるという感じがいたします。  それからもう一つは、主要紙のエディトリアルなどを眺めてみますと、そもそもこれはハイテク分野で非常に根の深い問題であるので、今のやれバイオレートしたかしないかというそういう議論とは別に、もっと根っこのところに大きな問題があるのではないかといったような論調も少し出てきておりまして、そういう意味では、緒戦における一方的なキャンペーンというのは大分直ってきたのではないかなという気はいたしております。  しかしながら、何せアメリカは、議会がどう発言するか、あるいは議員さんかどういう演説をし、それがテレビにどう出るかというのが極めて大きな影響力を持っておりまして、そこでは依然として上院下院議員は当初の決議に従ったような発言をいたしておりますものですから、したがってまだまだ十分ではないと我々も考えておりますけれども、引き続きこれは十分話をしていかなければいかぬというふうに考えております。
  30. 野崎修

    説明員(野崎修君) 食糧需給の見通しというお話でございます。  先ほどお話がございましたように、おおむね十年前と言ってよろしいかと思いますけれども、そのころ、たしかローマだったと思いますけれども、世界食糧会議等がございまして、その時期は現在と全く様子を異にしておりまして、各国とも自給率を上げるという話が実はございました。そういうことで、今と全く逆の状況でございます。  今後の話につきましては、これは確たる見通しというのはなかなかございませんが、例えばFAO等での見通しからしますと、長期的には食粗問題というのはそんなに簡単に解決しないのではないかということでございます。
  31. 関嘉彦

    ○小委員外委員(関嘉彦君) 解決しないというのは……。
  32. 野崎修

    説明員(野崎修君) 場合によっては、今みたいな過剰状態がそのまま続くということではなくて、足りなくなるかもしれないということでございます。  ただ、現在と十年ほど前と状況が違いますのは、現在は全体として需要が停滞しているというのが一つでございます。それから、当時は非常に石油価格等も高くて、中近東あたりの国が非常に穀物を輸入したいという時期でございました。それから逆に現在は、開発途上国で累積廣務問題というのが一方でございます。したがって、そういうことで食糧を買う資金と申しますか、そういう問題もあるのではないかというように考えております。それから一方でもう一つ、やはり技術的な進歩というのが十年前と今は違っておりまして、中近東、東南アジア等を含めまして、それぞれの国の自給率が上がってきているという状況に現在ございます。  そういうことで、現在全体として穀物を中心にして過剰状態だということでございますが、ちょっと話はそれるわけでございますが、現在のそういった農産物貿易をめぐる問題というのは、過剰を背景にして、また、過剰だから在庫がふえている、それを処理するために大国が輸出補助金をつけてどんどん輸出競争をしている、それがまた悪循環になっていて各国とも農業に対する財政負担が非常にふえている、そういう問題が実はあるわけでございます。ですから、こういった問題については、例えばきのうの未明まで行われておりましたOECDの閣僚理事会でもそういった問題は議論されたりしておりますけれども、今後ニューラウンド等でもそういう問題が議論されていくということでございます。  いずれにしましても、将来の食種需給見通しは、確たることは申し上げられませんけれども、先進国ではそういうことで食糧があり余っている状況でございますが、開発途上国ではやはり足りないところが現在でもあるという状況でございます。
  33. 林田悠紀夫

    ○小委員長林田悠紀夫君) 以上で質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十二分散会