○坂元政府
委員 福原学園につきましては、
先生御
指摘のような
経緯で私
ども補助金等をカットしているわけですが、ちょっと
経緯について、御承知だと思いますけれ
ども簡単に念のために申し上げますと、昭和五十七年度に、過去六カ年間の学内食堂の売上利益金の一部を別途経理で経理しておって、脱税事件が発覚したわけでございます。私
どもとしましては、問題の重要性にかんがみまして、その責任を明確化すること、経理を適正に処理すること、それから内部監査機能の強化を行うことを
指導をいたしました。同時に、
日本私学振興財団も、昭和五十六年度までの過去五年間の私立
大学等経常費補助金の交付額の二五%を返還させたところでございます。
その
改善がまだ達成されてない昭和五十九年に至りまして、新たな不祥事件が判明したわけでございます。それは、福原学園が持っております
大学、短大の
一つでございます九州女子短期
大学につきまして、学生数を過小に虚偽報告いたしまして、これは
先生御承知かと思いますが、当時入学定員の三・〇倍以上、三・○倍を超える水増しをしているものについては補助金の
対象にしていなかったわけでございますが、福原学園は三・〇倍をはるかに超えるにもかかわらず、三・〇倍以内、言いかえれば二・九倍とかそういう虚偽の報告をいたしまして、昭和五十七年度までの過去六年間に経常費補助金を不正に受領していたということでございます。しかも、不正に虚偽の報告をして学生数をごまかしたということの当然の論理的帰結でございますが、そのごまかした学生数にかかわる納入金、学納金につきましては、これまた
学校法人の会計に計上することなく、別途経理で経理しておった。約三十億でございます。先ほど
先生が申されました学生数をごまかして
文部省に陳謝したというのは新体制ではございません。新体制ではなくて、前の福原体制において、そういう極めて遺憾な学生数をごまかして補助金を詐取したということでございます。
このような事件を受けまして、私
ども早速
学校法人の責任者に
文部省に来ていただきまして、私
どもとしては、前述のような極めて悪質な不適正な運営の
状況につきまして厳重に注意を喚起するとともに、改めて五項目にわたりまして
指導を行いまして、私学としての責任ある自覚に立って自主的かつ自律的に
改善を図ることを求めたところでございます。
その
内容は第一点は運営体制の刷新等、言いかえればこれは責任の所在を明確にしていただきたい、そして不適正な運営体制を適正なものにしていただきたいということでございます。
それから、二番目は経理の適正処理、学生数の適正報告、ごく当然のことでありますが、こういうものを求めました。
三番目は
教育研究条件の
改善、この事件が発覚いたしましてから福原学園について詳細に私
どもで調べてみますと、
大学設置
基準に定める専任教員がかなり不足しておったというような事態が発覚いたしましたので、そういう
意味で
教育研究条件を
改善されたいということ。
それから、第四点は教授会の適正な運営、これは九州女子
大学と九州女子短期
大学、
大学と短期
大学で変則的に単一の教授会を設置して運営しておったという事態も判明いたしましたので、それぞれの
大学あるいは学部、それから短期
大学ごとに教授会を構成し、適正に運営していただきたいという
指摘でございます。
それから、五番目に内部監査機能を強化してもらいたい。
こういう五点につきまして、私学としての責任ある自覚に立って自主的かつ自律的に
改善を図るように求めたところでございます。
また、
日本私立
学校振興財団も、このような事件が明らかになりましたので、過去五年間にわたりましての経常費補助金の交付決定を取り消しまして全額返還させるとともに、制裁
措置として、今後五年間
日本私学振興財団から経常費助成を出さないということを明確に福原学園に申し渡したところでございます。
これを受けまして、福原学園の方といたしましては、まず責任の所在を明らかにすること、運営体制の刷新等の問題につきましては一昨年、六十年の三月末に
理事長以下全
理事が
辞任いたしまして、そして、この
辞任に当たる際に、前
理事長も今の
理事長とも話し合って、四月一日付で松尾四郎現
理事長以下、新しい
理事が就任して今日に至っているところでございます。
それから、経理の適正処理等につきましては、学生納付金等の別途経理分については正規の
学校会計に繰り入れております。さらに、予算に準拠した財政運営体制と不正のない経理執行体制の確立を図ることによって、経理の適正処理の実現を目指して現在努力しているところでございます。
それから、
教育研究条件の
改善につきましては、設置
基準に照らして不足している専任教員のうち、九州女子短期
大学については充足をされましたが、九州共立
大学、それから九州女子
大学につきましては設置
基準に照らして専任教員がなお不足しておるということで、現在速やかに充足するようにという
指導を続けているところでございます。
教授会の適正な運営につきましては、私
どもの
指導に基づいた運営に改めたというふうに聞いております。ただ問題は、教学
関係の規程等がかなり未整備なものがございまして、それについては早急に整備するように現在
指導しているところでございます。
それから、内部監査機能の強化につきましては、六十年四月新
理事会の発足とともに全監事の交代を行いまして、二名の監事のうち一名を、公認会計士でありますが、常勤監事といたしまして、常時会計処理の監査を行うということで、内部監査の充実強化に努めているところでございます。
以上が学園の
改善状況でございますが、ただ、前
理事長でございます福原軍造氏が、伝え聞くところによりますと、不祥事件の責任をとって
辞任したわけでございますが、
辞任して間もなく、
学校法人の経営権の返還を要求して、現
理事長等の役員退陣を現
理事会に対して迫る諸
活動を行っておる。さらに、同窓会等とかそれからその他教職員等と現
理事会との不協和音が若干ございまして、そんなようなこともございまして、現
理事体制に対しましても、全体として必ずしも
学校の教職員あるいは同窓生全員が信頼をしているというような
状況下ではないというふうに聞いているところでございます。
ただ、私
どもとしましては、
学校法人の経営体制、不祥事件等を起こしまして責任の所在を明確にしていただきたいというような場合を除きまして、
学校の経営が若干教職員の間でぎくしゃくしておる、あるいは同窓生との間でややぎくしゃくしておるというような事柄自体につきましては、
文部省が細かく口を出して、ああしろ、こうしろと言うべきものではない、あくまでその程度のことは
学校法人が自主的に、自律的に
改善に取り組んでいくべき筋合いのものであるという
立場に立ちまして、現在、福原学園のそういう一連の動きにつきましては、関心を持ってその推移を見守っているところでございます。
ただ、五項目の点につきましては、五項目を完全に満たすように、私
ども今も鋭意現
理事体制に対して
指導しているところでございます。