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1987-05-14 第108回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
六十二年五月十四日(木曜日) 午後零時十分
開議
出席委員
委員長
河上
民雄君
理事
青木 正久君
理事
伊吹 文明君
理事
二階 俊博君
理事
浜田卓二郎
君
理事
伏屋 修治君
理事
塚田
延充
君 熊谷 弘君 熊川 次男君
渡海紀三朗
君 穂積 良行君 谷津 義男君 奥野 一雄君 村山 喜一君 草川 昭三君 森田 景一君 岩佐 恵美君
出席国務大臣
国 務 大 臣 (
経済企画庁長
官)
近藤
鉄雄君
出席政府委員
公正取引委員会
委員長
高橋
元君
公正取引委員会
事務局取引部長
柴田 章平君
経済企画庁国民
生活局長
横溝 雅夫君
経済企画庁物価
局長
海野 恒男君
委員外
の
出席者
特別委員会
第二
調査室長
岩田 脩君 ————————————— 本日の
会議
に付した案件
物価問題等
に関する件(
物価対策
及び
国民生活
行政等
) ————◇—————
河上民雄
1
○
河上委員長
これより
会議
を開きます。
物価問題等
に関する件について
調査
を進めます。 この際、
近藤経済企画庁長官
から、
物価対策
並びに
国民生活行政
について発言を求められておりますので、これを許します。
近藤経済企画庁長官
。
近藤鉄雄
2
○
近藤国務大臣
我が国経済
の当面する
課題
と
経済運営
の
基本的考え方
につきましては、さきの
経済演説
において明らかにしたところでございますが、当
委員会
が開催されるに当たりまして、重ねて
所信
の一端を申し述べたいと思います。
世界経済
は、
景気拡大テンポ
がかなり緩やかとなってきております。また、
アメリカ
の
財政赤字
、
主要国
の
対外
不
均衡
、
発展途上国
の
累積債務問題等
、
世界経済
が抱えている問題も数多くあります。
我が国経済
は、現在、
個人消費
、
住宅投資
を
中心
に
国内需要
は緩やかに増加する一方、
輸出
が弱
含み
であること等から、
景気
は底がたさはあるもののその
足取り
は緩やかなものとなっており、このところの
円高
の
進展等
から
景気
の先行きには
不透明感
が生じております。また、
製造業
を
中心
に
企業
の
業況判断
には
停滞感
が続いており、
雇用面
も厳しい
状況
となっております。他方、
経常収支
は、
原油価格
の低下、
円高
による
黒字
の一時
的拡大等
により、これまでのところ大幅な
黒字
が続いております。 こうした中で、先般の
総理訪米
における為替安定のための
日米合意等一連
の
各国
との
政策協調
の努力は、
為替相場
の安定をもたらし、
内需拡大
にも好
影響
を与えるものと期待されます。 このような
内外経済情勢
を踏まえ、私は
昭和
六十二年度の
経済運営
に当たっては、次の諸点を
基本
としてまいりたいと考えております。 第一は、
内需
を
中心
とした
景気
の
持続的拡大
を図るとともに、
雇用
の安定及び
地域経済
の
活性化
を
促進
することであります。そのため、今後とも
各国
との
政策協調
に努めつつ
円レート
の
安定化
を図る一方、急速な
円高
の
進展等
により
影響
を受けた
地域等
に十分配慮しつつ、以下の点に留意しながら、適切かつ機動的な
経済運営
に努めてまいる
所存
であります。 まず、
内需拡大
を図るため、
昭和
六十二年度
予算
におきまして、
一般公共事業
の
事業費
につき五・二%の伸びを確保する一方、
住宅建設
については、
住宅取得
を
促進
するための税制上の
措置
を拡充するほか、
金融
上の
措置
を
充実
して、
増改築
、
リフォーム等
の
質的改善
を含めその
促進
に努めてまいりたいと考えます。 次に、
民間活力
が最大限発揮されるよう
環境
の
整備
に努める等の
施策
を講ずるほか、
地価対策
の効果的かつ総合的な
推進
を図ることといたします。さらに、
各種中小企業対策
の
実施
、
産業構造調整
を円滑化するための基金の設置、
地域雇用対策
の
整備等
の
雇用対策
の
推進
など、
地域
に密着したきめの細かい
対策
を進めてまいります。 さらに、昨年来の累次にわたる公定歩合の
引き下げ
や
消費者信用金利
の
引き下げ等
による低
金利
の
状況
に対応しつつ、今後とも
金融政策
の適切かつ機動的な
運営
を図る必要があります。
昭和
六十二年度の
我が国経済
について、
政府
は
経常収支
の不
均衡
の是正を進めつつ引き続き
内需
を
中心
として着実に拡大することにより、
実質経済成長率
三・五%程度を見込んでいるところでありますが、
為替レート
の変動を初めとする現下の厳しい
内外経済情勢
のもとにおいては、官民を挙げて、可及的速やかに
内需拡大対策
に取り組んでいく必要があります。 このため、先日、自由民主党が取りまとめた
内需拡大
の
基本方針
、
総合経済対策要綱
の
考え方
を尊重しつつ、
予算成立
後速やかに決定できるよう総合的な
経済対策
の
検討
を行っているところであります。 第二は、中長期的な
観点
に立って、調和ある
対外均衡
と
国内均衡
の実現という
内外均衡
の
同時達成
に努めることであります。 このため
我が国
は、
需給両面
における
経済構造
の
変革
を進め、
内需主導型経済構造
を実現させる必要があります。
経済構造
の
変革
は、摩擦や負担を伴う面もありますが、今後
我が国
が積極的に取り組むべき
課題
であり、
国民
に与える
影響
にきめ細かく配慮しつつ、一歩一歩着実に歩を進めなければなりません。特に
雇用
問題については重点的に取り組んでいく
所存
であります。また、
政府
は、昨年末には、「一九八〇年代
経済社会
の展望と指針」について第三回の
見直し作業
を行い、
経済審議会報告
を公表いたしました。さらに、この四月二十三日には、
経済審議会
の
経済構造調整特別部会
において、中長期的な
経済構造調整
のための
施策
について
報告
を取りまとめていただいたところであり、近く
経済審議会
において、
総理
へ御建議いただくことになっております。 さらに、
我が国市場
の積極的な
開放等
による
市場アクセス
の
改善
を図り、新たな
多角的貿易交渉
の着実な
進展
に貢献してまいりたいと考えております。また、
政府開発援助
を拡充し、第三次
中期目標
については、少なくとも七年
倍増目標
の二年繰り上げ
実施
を図るなど、
国際経済
に占める
我が国
の地位にふさわしい役割を果たしていく必要があると考えます。 第三は、
物価
の安定と
国民生活
の
充実
・
向上
であります。
政府
は、昨年来、累次にわたる
円高差益還元策等
を通じ、電力、
ガス料金
の二度にわたる
引き下げ
を
実施
する等
公共料金
の
引き下げ
を図るとともに、
消費者等
への広範かつ積極的な
情報提供
にも努めてきております。こうした数々の
施策
の
実施
に伴い、
円高
、
原油安
の
メリット
は
国民経済
全体に相当程度浸透してまいりました。 こうした
状況
を反映して、
昭和
六十一年度の
消費者物価上昇率
は零%と
昭和
三十三年度以来二十八年ぶりの落ちつきを見せており、最近の
我が国
の
物価
は、
主要先進国
の中でも極めて安定した動きを示しております。 今後も
円高
等の
メリット
の
還元
をさらに進めることにより、
物価
は引き続き
安定基調
を維持することができるものと考えております。
我が国
の
国民生活
は、数多くの面で着実な
改善
を遂げておりますが、良質な
住宅
や良好な
生活環境等
の
ストック面
の
充実
や豊かな余暇時間の
確保等
必ずしも十分とは言えない面も見られます。こうした
観点
から、今後、
住生活
の
質的改善等
、
国民生活
の
充実
・
向上
のための
施策
についての
検討
を
国民生活審議会等
において進めてまいる
所存
であります。また、
国際化
の
進展
に対応しつつ、
国民生活
の
向上
をもたらす方策のあり方について
国民生活審議会
の
活用等
により、
検討
を進めていくこととしております。 最近の
消費
の
多様化
は
国民生活
に豊かさをもたらしておりますが、その反面
消費
者問題は複雑化しております。このため、
国民
が安心して
充実
した
消費生活
を送ることができるように、悪質な商法による被害の
防止
、
消費者教育
の
充実等
、
各種消費者保護施策
の
推進
に努めてまいりたいと考えております。 以上、
我が国経済
の主な
課題
と
経済運営
の
基本的方向
について
所信
を申し述べました。
我が国
が次の時代にさらに飛躍するためには、
我が国
の
経済
、
産業
、
企業等
をみずからの手で転換していくことがどうしても必要であります。私は、
我が国経済
の柔軟な
適応力
に加え、
経済運営
のよろしきを得れば、
我が国経済
がこの
課題
を克服することができると確信いたしております。そして、ともすればこれまで
輸出
に傾注しがちであった
我が国
のすぐれた
技術力
、
経済力
を
国内
に向けることにより、国力にふさわしい
充実
した
国民生活
を実現することができるものと信じます。 本
委員会
の皆様の御支援と御
協力
を切にお願いする次第であります。(
拍手
)
河上民雄
3
○
河上委員長
なお、
昭和
六十二年度の
物価対策
並びに
消費者行政関係経費
の概要につきましては、
政府
からの
説明聴取
は省略し、お手元に配付いたしました資料をもってかえさせていただきたいと存じますので、御了承願います。 次に、
昭和
六十一年における
公正取引委員会
の
物価対策関係業務
について、
高橋公正取引委員会委員長
から
説明
を聴取いたします。
高橋公正取引委員会委員長
。
高橋元
4
○
高橋
(元)
政府委員
昭和
六十一年における
公正取引委員会
の
業務
につきまして、その
概略
を御
説明
申し上げます。 昨年の
我が国経済
は、
国内需要
の緩やかな増加及び
物価
の安定が見られた一方で、
円高
の
進展
により
輸出
が弱
含み
に推移するなど、全体として
景気
は底がたさはあるもののその
足取り
は緩やかなものとなりました。
経済社会
の
構造変化
については、引き続き
技術革新
、
情報化
が
進展
し、また、
経済
の
国際化
が進行しており、今後、一層
変化
の度合いを強めていくものと考えられます。 このような中で、
民間活力
が十分に発揮されるような
経済環境
の
整備
を行うことがますます重要になっており、
公正取引委員会
といたしましては、公正かつ自由な
競争
の維持、
促進
により
我が国経済
の
活性化
、
効率化
を図るべく、
独占禁止政策
の適正な
運営
に努めてまいったところであります。 特に昨年は、
独占禁止法違反事件
の迅速な
審査
に努めるとともに、
広報活動等
により
予防行政
を
推進
いたしました。また、
経済社会
の
構造変化
の過程にあって生じる
独占禁止政策
上の諸問題に積極的に取り組んだほか、
下請取引
を初めとする
中小企業関係
の
取引
の
公正化
に努めたところであります。 まず、
独占禁止法
の
運用状況
について申し上げます。
昭和
六十一年中に
審査
いたしました
独占禁止法違反被疑事件
は二百六件であり、同年中に
審査
を終了した
事件
は百三十三件であります。このうち、法律の
規定
に基づき
違反行為
の
排除等
を勧告いたしましたものは五件、
法的措置
をとるには至りませんでしたが
警告
を行いましたものは七十二件であります。また、二件十二
事業者
に対し、一千八百五十六万円の
課徴金
の納付を命じました。 また、貿易摩擦問題への対応の一環として、
輸入関連事業者団体
に関する
調査
、百貨店及びチェーンストアに関する
調査
、並行輸入に関する
調査等
を行い、
所要
の
改善指導等
を行いました。 次に、
届け出受理等
に関する
業務
でありますが、合併及び営業譲り受け等につきましては、
昭和
六十一年中に二千四十八件の
届け出
があり、
所要
の
審査
を行いました。
事業者団体
につきましては、
昭和
六十一年中に
成立居等
千百四十三件の
届け出
がありました。また、
事業者団体
の
活動
に関する事前の
相談
に対しましては適切に回答を行うよう努めるとともに、
相談事例
を取りまとめて公表することにより
違反行為
の
未然防止
を図りました。
国際契約等
につきましては、
昭和
六十一年中に四千四百二十九件の
届け出
があり、不公正な
取引方法
に該当するおそれのある
改良技術
に関する
制限
、
競争品
の取り扱いの
制限等
を含むものについてはこれを是正するよう
指導
いたしました。
独占的状態
に対する
措置
に関する
業務
といたしましては、ガイドラインの
別表掲載
の十五業種について
実態
の把握及び
関係企業
の動向の監視に努めました。
価格
の
同調的引き上げ
に関する
報告徴収
の
業務
につきましては、
昭和
六十一年中に
価格引き上げ理由
の
報告
を求めたものは、
鋳鉄管
及び
一般日刊全国新聞紙
の計二品目でありました。 次に
経済実態
の
調査
といたしましては、生産・
出荷集中度調査
、
教育産業
に関する
調査
、
VAN事業
に関する
調査等
を行いました。また、
流通分野
においては、
家庭電気製品
、
新聞等
についての
実態調査
に基づき、
独占禁止法
及び
景品表示法
上問題のある
行為
につきまして、
所要
の
改善指導
を行いました。
政府規制制度
及び
独占禁止法適用除外制度
につきましては、
我が国経済
における
民間
の
活力
を生かし、
経済
の
効率性
を高める見地から、引き続きその
見直し
のための
検討
を行いました。
独占禁止法
上の
不況カルテル
は、
昭和
六十一年中に
実施
されたものはありませんでした。なお、
独占禁止法
の
適用除外
を受けている
共同行為
の数は、
昭和
六十一年末現在で三百八十九件となっておりますが、その大半は、
中小企業関係
のものであります。
国際関係
の
業務
といたしましては、
OECD等
の
国際機関
における
会議
に積極的に参加するとともに、
アメリカ
、
EC等
の
独占禁止当局
との間で
意見交換
を行うなど、国際的な連携の強化に努めました。 次に、
景品表示法
の
運用状況
について申し上げます。 まず、同法第三条の
規定
に基づき、
銀行業
における
景品類
の
提供
を
制限
する告示を制定いたしました。 また、
事業者
が自主的に規制するための
公正競争規約
につきましては、
眼鏡類
の表示に関する
規約
など四件を認定し、
昭和
六十一年末現在における
公正競争規約
の総数は百二十八件となっております。
昭和
六十一年中に
景品表示法違反
の疑いで
調査
した
事件
は五千四百十一件であり、このうち、
排除命令
を行いましたものは五件、
警告
により是正させましたものは二千三百八十五件であります。
都道府県
の行いました
違反事件
の
処理件数
は、
昭和
六十一年一月から九月末までで三千八百三十六件となっており、今後とも、
都道府県
との
協力
を一層
推進
してまいる
所存
であります。 以上、簡単でございますが、
業務
の
概略
につきまして御
説明
申し上げました。 今後ともよろしく御
指導
のほどお願い申し上げます。(
拍手
)
河上民雄
5
○
河上委員長
以上で
説明
は終わりました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十七分散会