○水谷
委員 政務次官のお答えを聞いておりますと、非常に論旨明快ですばらしい答弁でございますが、しかし、そういうふうにはいかぬのです。
それは確かに、
担い手となる
農家を育てていくことは、私どもも当然そう思っておるわけです。しかし、今回の五・九五%の大幅な
引き下げというのは、その
担い手にこれから育てていこうとする
農家に一番大きな打撃を与えるわけです。これから育てようとするところに打撃を与えるような急激な
米価の
引き下げをやっておいて、どうして農政審の報告書のように農政が動いていくのですか。私は、そんな
考え方は改めていかなければいけないと思います。
先ほどから議論がありますように、今度の第二次
生産費をカバーできる
農家は、戸数で一九%、販売数量でも三七%にしか達していない。まして面積
規模からいくと、二から二・五ヘクタール層しかこれはカバーできない。一・五ヘクタール以上層の作付戸数というのはわずか八・七%、販売数量の四三・九%しかない、現状はそうなっている。それ以下の
農家の方々が、国民の食糧として、米を主食として安定的に現在供給をなさっていらっしゃる。第二種兼業
農家、二兼
農家の数が年々ふえてくるわけでございますけれども、そういう現状を政策誘導しながら、構造政策を進めていきながら、さらにはまた、その構造政策がより実効ある形で進む、その中で
価格政策というのは手をつけていかなければならない。まず
引き下げありき、もう一番
最初から下げるんだ、こういう
考え方では、幾ら
価格政策で
引き下げをしたからといって構造政策は進まない。
前にも私は申し上げたことがありますが、確かにあの農政審の報告書の中には、先ほど政務次官がおっしゃったとおり書いてあります。
価格をより低くすることによって構造政策が
推進できるというふうな
考え方、いわゆる飯米
農家の方々や二兼
農家の方々がどんどんとその農地を提供なさるであろう、コストが下がってコスト割れになってしまえば、御苦労されて一生懸命米はおつくりにならないだろう、専業的な
農家の方に農地、耕地の集積が起こるであろうということは、我が国においてはそういう論理は成り立たない。急激な
引き下げがあったとしても、どうしても米づくりを傘とする
農家の伝統的な感情、また、農地の資産保有、米はつくりやすい作物である、兼業
労働と非常に調和するんだ、こういう我が国の米づくりを考えた場合には、低
米価政策が決して農地の集積には結びつかない。さらに、零細
農家の方々から言わせれば、コストという感覚はほとんどない。種苗や
肥料代など直接支出されるものだけで、
あとは、自分の
労働費だとかいろいろなものはコストと考えない。
ですから、いわゆる零細
農家、
規模の小さい
農家ほど、どちらかというと低
米価に対する抵抗力というのはあるわけです。これから
担い手となっていかれる方、そして専業的に米を一生懸命つくっておられる
農家の方というのは、お米に農業
所得の大半を依存しております。そこがどんどん下がってしまったならば、まず
規模拡大の意欲がなくなってくるのです。そしてまた今指摘しましたように、幾ら低
米価でも対抗できるような方々が農地を出さない。そういう政策の整合性というものを、食糧庁や農水省の皆様方が本当に真剣に一生懸命取り組んでおられることはよくわかりますけれども、では、具体的にそういうものをどういうふうに今までと違う形で構造政策、
生産体制を組んでいくか。こういうふうにしますよ、今までとは違いますよ、例えば基盤整備についても従来の予算措置とは違うぞ、またそれぞれが持っていらっしゃる
農家の自己負担分に対する
金利もこんなふうに考えますよ等々総合的な政策を提示なさって、
価格政策はこのようにやってまいりますという姿があって初めて
生産者は御納得をされ、そしてまた
消費者も国民も納得をしてくださるものだと私は考えるわけです。今申し上げました
生産者
価格の大幅な
引き下げというのは、
地代を負担する負担力の
低下に真っすぐつながっていくわけです。この
地代負担力の
低下というのが構造政策の
推進に大きなブレーキをかけていく、こういうふうに私は感ずるわけであります。これについてどのようにお考えになっていらっしゃるか、これが一つ。
それからもう一つは、
農家負担が大きい土地改良基盤整備事業、これはいろいろな
資料がございますけれども、土地改良工事費が年々高くなってきているわけであります。
昭和六十年には十アール
当たり九十万を超えてきている。
昭和五十年当時の二倍以上にもなっているわけであります。十アール
当たりの
稲作所得に対する工事費の単価を見ますと、
昭和五十年で四・四倍、六十年には十一・六倍、土地改良に関する
農家の負担、こんなにも大きくなっておるわけです。また農業機械、いわゆる
農機具費、機械化のためにより大型なより機能の高い
農機具を導入することによって、これもまた
農家負担というのはもう限界に来ている。そういうことをしながら結果的には
労働時間が圧倒的に減ってきた。こういうふうな形で、
農家がそれこそ血のにじむような思いをして
生産性の向上をされてきている、その
生産性の向上のメリットを全部
生産者はよこせとはおっしゃっておりませんね。
生産者団体の要求は二分の一、ぜひ我々にそのメリットは返してほしい、このように要求がなされている。私はそれは当然のことだと考えているわけでありますけれども、それが今回の
諮問米価の中にどういうふうに生かされているのか、この二点、まずお尋ねをしておきたいと思います。