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1987-05-25 第108回国会 衆議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年五月二十五日(月曜日)     午前十一時三十一分開議 出席委員   委員長 玉沢徳一郎君    理事 近藤 元次君 理事 鈴木 宗男君    理事 月原 茂皓君 理事 保利 耕輔君    理事 松田 九郎君 理事 串原 義直君    理事 水谷  弘君 理事 神田  厚君       石渡 照久君    上草 義輝君       大石 千八君    大石 正光君       太田 誠一君    小坂善太郎君       古賀  誠君    佐藤  隆君       田邉 國男君    高橋 一郎君       谷垣 禎一君    野呂田芳成君       長谷川 峻君    保岡 興治君       柳沢 伯夫君    山崎平八郎君       五十嵐広三君    石橋 大吉君       田中 恒利君    竹内  猛君       辻  一彦君    前島 秀行君       武田 一夫君    玉城 栄一君       藤原 房雄君    吉浦 忠治君       寺前  巖君    藤田 スミ君  出席国務大臣         農林水産大臣  加藤 六月君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      甕   滋君         林野庁長官   田中 宏尚君         林野庁次長   松田  堯君  委員外出席者         経済企画庁国民         生活局消費者行         政第二課長   吉田  博君         環境庁自然保護         局野生生物課長 佐野  弘君         国土庁土地局土         地利用調整課長 鈴木 克之君         建設省建設経済         局不動産業課長 藤田  修君         農林水産委員会         調査室長    羽多  實君     ————————————— 委員の異動 五月二十五日  辞任         補欠選任   大原 一三君     高橋 一郎君   木村 守男君     大石 正光君   菊池福治郎君     古賀  誠君   森下 元晴君     石渡 照久君 同日  辞任         補欠選任   石渡 照久君     森下 元晴君   大石 正光君     木村 守男君   古賀  誠君     菊池福治郎君   高橋 一郎君     大原 一三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第七八号)(参議院送付)  森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改  正する法律案内閣提出第七九号)(参議院送  付)  請 願    一 米国産米の輸入反対等に関する請願      (戸田菊雄紹介)(第八七八号)    ニ アフリカなどへの食糧援助等に関する      請願外一件(上田利正紹介)(第一      一八二号)    三 米の輸入反対等に関する請願寺前巖      君紹介)(第一三四八号)    四 森林資源充実地域林業振興に関す      る請願角屋堅次郎紹介)(第一五      四二号)    五 同(川俣健二郎紹介)(第一五四三      号)    六 同(渋沢利久紹介)(第一五四四号      )    七 同(小林恒人紹介)(第一五五五号      )    八 同(小林恒人紹介)(第一六一四号      )    九 同(中村正男紹介)(第一六三〇号      )   一〇 同(水田稔紹介)(第一六三一号)   一一 同(安井吉典紹介)(第一六三二号      )   一二 同(小林恒人紹介)(第一六八九号      )   一三 同(田中恒利紹介)(第一六九〇号      )   一四 同(小林恒人紹介)(第一七二一号      )   一五 農業再建等に関する請願宮地正介君      紹介)(第一六一二号)   一六 国民食料確保及び農業政策確立に      関する請願赤城宗徳紹介)(第一      六六六号)   一七 米の輸入反対等に関する請願神田原      君紹介)(第一六八五号)   一八 同(串原義直紹介)(第二八八六号      )   一九 同(田中恒利紹介)(第一六八七号      )   二〇 同(前島秀行紹介)(第一六八八号      )   二一 同(寺前巖紹介)(第一七二〇号)   二二 土地改良事業における農家負担軽減等      に関する請願寺前巖紹介)(第一      七八四号)   二三 農産物市場開放反対等に関する請願      (寺前巖紹介)(第一七八五号)   二四 米の輸入反対等に関する請願辻一彦      君紹介)(第一七八六号)   二五 同外二件(寺前巖紹介)(第一七八      七号)   二六 同(藤田スミ紹介)(第一七八八号      )   二七 同(石橋大吉紹介)(第一九五四号      )   二八 農業再建等に関する請願小沢貞孝      君紹介)(第一八一一号)   二九 同(串原義直紹介)(第一八一二号      )   三〇 同(清水勇紹介)(第一八一二号)   三一 同(中村茂紹介)(第一八一四号)   三二 食糧管理制度維持農業再建に関      する請願佐藤徳雄紹介)(第二一      二五号)   三三 米の輸入反対等に関する請願竹内猛      君紹介)(第二一二六号)   三四 農家負債対策確立に関する請願(児      玉健次紹介)(第二二六三号)   三五 農産物市場開放反対食管制度の堅      特等に関する請願寺前巖紹介)(      第二三二二号)   三六 農産物輸入自由化反対等に関する請      願外一件(寺前巖紹介)(第二三二      三号)   三七 米の輸入反対等に関する請願寺前巖      君紹介)(第二三二四号)   三八 農産物市場開放反対等に関する請願      (寺前巖紹介)(第二三二五号)   三九 農業再建等に関する請願井出正一      君紹介)(第二五九八号)   四〇 同(小坂善太郎紹介)(第二五九九      号)   四一 同(中島衛紹介)(第二六〇〇号)   四二 同(宮下創平紹介)(第二六〇一号      )   四三 同(若林正俊紹介)(第二六〇二号      )   四四 米の輸入反対食糧管理制度改善等      に関する請願寺前巖紹介)(第三      一九五号)   四五 農産物市場開放反対等に関する請願      (寺巌厳君紹介)(第三一九六号)   四六 岡山市新福に場外馬券売場設置反対に      関する請願小川国彦紹介)(第四      〇      八九号)   四七 米の輸入反対等に関する請願外一件      (寺前巖紹介)(第四〇九〇号)   四八 同(矢島恒夫紹介)(第四〇九一号      )   四九 同(水谷弘紹介)(第四二八六号)   五〇 農業再建等に関する請願五十嵐広三      君紹介)(第四〇九二号)   五一 同(伊藤茂紹介)(第四〇九三号)   五二 同(石橋大吉紹介)(第四〇九四号      )   五三 同(岡田利春紹介)(第四〇九五号      )   五四 同(角屋堅次郎紹介)(第四〇九六      号)   五五 同(串原義直紹介)(第四〇九七号      )   五六 同(田中恒利紹介)(第四〇九八号      )   五七 同(竹内猛紹介)(第四〇九九号)   五八 同(辻一彦紹介)(第四一〇〇号)   五九 同(土井たか子紹介)(第四一〇一      号)   六〇 同(山口鶴男紹介)(第四一〇二号      )   六一 農産物市場開放反対等に関する請願      (寺前巖紹介)(第四一〇三号)   六二 農業再建等に関する請願村井仁君      紹介)(第四二〇五号)      ————◇—————
  2. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案及び森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、審査を進めます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻一彦君。
  3. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今回提案されております森林組合法改正案森林組合合併助成法の一部改正案、また、林業等振興資金融通暫定措置法の一部改正案審議に当たって、私は地方森林組合の現場を二、三日歩いてみて、率直な実態を見たり、また聞いたりしてみました。その中で今さらのように感じたことがあります。それは、新しい造林意欲が民間で非常に弱くなっている、薄れているということ、それから間伐、枝打ち等々の保育がやはり手抜きをされている、そしてその中で後継者がどうしても足りない。その反対になりますが、高齢化が非常に進んでいるということは今までよく指摘をされていたことですが、今さらのように実感をした次第であります。国有林もこのままにしておくと荒廃をしていく、荒れていく心配が非常に強い。同時に、民有林も、このままにしておくと荒れていく心配が非常に強いと思うのです。このことは木材生産森林資源維持森林公益的機能維持という点からも大変大きな問題じゃないか、こういうことを今さらのように非常に痛感をした次第であります。そういう点で、我が国の民有林が荒れていくという事態を担当大臣としてどういうように認識をし、これに対処しようとしているか、基本的にひとつ大臣から御見解を承りたいと思います。
  4. 加藤六月

    加藤国務大臣 森林は、木材等の林産物の供給のみならず、国土の保全、水資源涵養等公益的機能を有しております。これらの諸機能は、健全な林業生産活動を通じまして、森林を適正に管理することによりまして初めて高度に発揮されるものでございますが、今御指摘のように、近年、林業の不振によりまして森林機能が低下することが懸念されております。  こうした中で、森林林業の一層の体質強化活性化を図らなければならないといたしまして、昨年十一月、今後の林政の進出べき方向に関する林政審議会報告がなされたところでございます。農林水産省としましては、これらを踏まえまして、木材需要拡大造林林道等生産基盤整備国産材産地の形成と担い手の育成確保山村振興森林総合的利用促進等各般施策を推進いたしますとともに、目下、森林林業木材産業活力回復五カ年計画を実施しているところでございます。今後とも金融、税制を含めた総合的な林業振興施策を推進しまして、森林公益的機能維持増進に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  5. 辻一彦

    ○辻(一)委員 基本的には今言われたことはわかるわけでありますが、それを少し具体的にこの中で伺っていきたいと思います。  まず第一に一つ取り上げたいのは、今内需拡大ということが言われておりますし、また、近く大型の補正予算が組まれる、こういう動きになっておりますが、内需拡大とこの国産木材活用拡大ということが今大変大事じゃないかと思います。今度の補正予算の中では住宅建設に非常に力を入れるということがかねがね言われておりますが、住宅は非常に関連する仕事が多いので、家を一つ建てればかわら屋さんからサッシ、窓ガラス、そして電気屋さん、畳屋さん、大工さんとあらゆる面に非常に業種が広がる。そういう意味内需拡大の有力な柱であるということは当然でありますが、こういう住宅建設に今この補正予算でも力を入れ、内需拡大を目指そうとするときに、これはある面では国産材活用する最大の機会でもないかというように思うわけであります、御承知のとおりでありますが、あと十五年ほどして二十一世紀になれば戦後に造林したたくさんの植林が伐採期に入ってくる。そのときに需要がなければ日本の山、林業というものは全くつぶれてしまう心配もある。そういうことを考えると、今内需拡大ということにかじが切りかえられようとするときに、住宅建設、その中で国産材を何としても活用する対策を立てるということが非常に大事である、こういうように思いますが、これについての見解をひとつ伺いたいと思います。
  6. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 将来の新国産材時代を控えまして、しかも、ここのところの内需振興ということとも絡めまして、木材需要拡大、特に国産材需要拡大ということの緊要性につきましてはただいま先生から御指摘あったとおりでございまして、林野庁といたしましても、ここのところ森林林業木材産業活力回復五カ年計画というもので、まず、木造建築物モデル施設をそれぞれの普及拠点として建設してきておりますのに加えまして、中央地方を通じまして地道な需要拡大運動というものを展開してまいりまして、おかげさまで住宅着工戸数も前年度は百二十六万戸ということでございますし、ここのところ内需振興の波にも幸いいたしまして、今年度に入りましても引き続き活況を呈しているわけでございます。それと同時に、木材新規用途の開発ということも将来を見据えた場合に非常に重要な仕事でございますので、こういうものにつきましてもいろいろな対策を講じているわけでございます。  それからさらに、これは林野庁だけじゃなくて、今もお話ありましたように建設省でありますとか、いろいろな省庁間で相協力して行うべき分野が多いわけでございまして、その一つといたしまして、例えば木造公営住宅建設促進でございますとか、それから学校等公共的な施設木造化あるいは内装の本質化というようなこと、さらに今国会でお願いいたしました建築基準の見直しなり、住宅金融公庫の木材系統住宅に対するいろいろな融資の手当てというようなことを各省にもやっていただいたわけでございますけれども、こういう各省ともども仕事も加えながら、今後とも、国産材需要拡大ということにつきましては精いっぱい努力してまいりたいと思っております。
  7. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は少し前にこの委員会でもちょっと提起をしたことがありますが、アメリカのタコマというところに市民ドームがある。これは大臣長官もよく御存じのとおりですが、二万五千人を収容できる万能競技場の上を全部木材で囲っているわけですね。一番上にビニールの布を張っているだけであとは全部木材、大きなはりなんかも米松、米杉を使って完全木造なんですが、ああいう形で公共用施設にも木を使おうとすれば随分活用できるわけなんで、この点は、基準の緩和であるとかいろいろな対策でかなりそういう方向に大筋は向いておるとは思いますが、公共施設等により国産材活用することについてしっかりした腹構えを持ってほしいと思うのです。この点は大臣、いかがでしょうか。
  8. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 ここのところ、大断面集成材を初めといたしまして、非常に大きな建造物木造化するということも技術的に進んできているわけでございますし、それから、先ほどお話しいたしました木造モデル施設というような形で去年から助成してまいっておりますけれども、これも各地のできたのを見てみますと、国産材を使いまして相当大規模な、いろいろな知恵を出した木造モデル施設というものをつくってくれているわけでございます。そして、こういうものを普及拠点としながら、さらに文部省なり厚生省といった公共的な建物をそれぞれ持っておるところにつきましてはいろいろお願いしているわけでございますし、それから団体みずからも、学校木造化したモデルというものを全部まとめまして事例集なり設計集というようなものを先般発行しておりますが、こういうものをてこといたしまして、さらに公営建造物木造化というものに進みたいと思っております。
  9. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これはぜひひとつ、力を入れていただきたいと思います。  そこで、木材製品の関税引き下げ、円高での材価の下落が続く、そして森林林業投資はマイナスになっていくという今の状況の中で、このまま放任すれば山が荒れていくというのは当然ですが、大事なのは、材価安定対策等が二十一世紀に向けてぜひ確立されなければならないと思いますし、当面は、森林資源整備生産基盤整備に力を入れるということが大変大事であると思う。  第一に、まず林道網整備がどうしても必要になると思いますが、その中でも林道、また特に十分の一ぐらいの経費でできる作業道を拡充することが実質的に間伐を進めていくというような点からも非常に大事になるのではないかと思います。森林組合の皆さんといろいろな懇談を交わしている中で、例えばこういうことが紹介されておりましたが、若い人がなかなか山に居ついてくれない、そこで、山のふもとまでは軽トラで行くだろうが、山に入っていくのに作業道でも整備をされて二輪車で中へ入っていくということになれば、若手の人で林業、山をやっていこうという人もかなりいる、しかし、今の若い人にとって歩いて上がるというのはなかなか大変だ、こういうお話もいろいろ出ておりました。間伐を進め、その間伐コストダウンを図るためにはやはり作業道が配備されるということが大事であるし、今言ったような後継者の問題を考えても、作業道充実ということが非常に大事であると私は思うのですね。  ところが、財政当局は、この間もちょっと質問いたしましたが、下水道等には力を入れるが、農林水産業の基本的な基盤整備等は今回は抑制をしなくてはならぬというようなことが流されているのをある新聞で見ましたが、こういうことがあってはならないと私は思うのです。内需拡大補正予算が提出される、こういう中で林業基盤整備に力を入れていくことが大変重要ではないかと思いますが、これについて大臣として、これから財政当局といろいろ交渉されるでありましょうから、その腹構えを伺いたいと思います。
  10. 加藤六月

    加藤国務大臣 政府としましては、内需拡大等を図るため、先般、自民党のおつくりになりました総合経済対策要綱考え方を尊重しまして、緊急経済対策を策定することとしております。現在、作業を進めているところでございます。そしてそれらに関連しまして、補正予算につきましては、本対策内容等を踏まえまして今後、具体的に検討されると聞いておるわけでございますが、雇用創出効果地域経済への波及効果の大きい林道造林等林業生産基盤について所要の予算確保すべく、できる限り努力してまいりたいと決意を固めておるところでございます。
  11. 辻一彦

    ○辻(一)委員 その中で、今私が提起した作業道でありますが、林業白書を見ても、優良経営の一例の中に、作業道を張りめぐらすことによって間伐コストダウンが図られて、採算がある程度合うようになって保育等が非常に前進をしたというような事例紹介もされております。十分の一程度の経費で可能な作業道の拡充ということが現実の問題として当面、大変大事ではないかと思いますが、これについての見解はどうでしょうか。
  12. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 間伐を初め森林生産活動全体にとりまして、林道なり作業道、こういう林道網整備ということが欠くことのできない重要な点でございます。従来からいろいろな施策を講じてきたわけでございますけれども、特に林業白書でも、そういう作業道中心とした林道網必要性につきまして記述したわけでございます。そういう中で、昭和六十二年度から新たに実施することと相なりました森林地域活性化緊急対策事業の中で、今まで以上により地域の実情に即しました作業道整備ということを大きく取り上げまして、例えば間伐作業道につきましても、従来三百七キロメートル程度手当てしておりましたのを倍以上の七百十キロということで、こういう予算状況の中で作業道整備に取り組むというような姿勢も出しております。それからさらに、作業道と通常の林道の中間といいますか、林道を補完してより合理的な林業経営なり間伐体制確立するということに資するための基幹作業道というものも、六十二年度から新しく補助対象として整備するというような措置をとったわけでございます。こういういろいろな助成措置活用いたしまして、何とか間伐促進等のための効率的な作業道整備というものに努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  13. 辻一彦

    ○辻(一)委員 内需拡大から補正予算へ向けた林業基盤整備、そういう中で作業道の位置づけをひとつしっかりして取り組んでもらいたい、強く要望しておきます。  もう一つ間伐の問題があります。間伐が必要なことは言うまでもないことですが、白書等を見ると、戦後植栽一千万ヘクタールの六割が今間伐心要な樹齢に達している、そしてそれが毎年ふえるということが挙げられている。緊急間伐が百九十万ヘクタール、六十年の実施は二十六・三万ヘクタールで、これは全体からいえばまだまだの感じがいたします。そして間伐材需要がどうなっているかということでも、利用したのは百九十九万立米、放置は百六十三万立米、四割が放置されているという状況にある。こんな点からしても、緊急間伐対策間伐材の適切なる活用の道を開くことが非常に大事ではないかと思います。そこで、この百九十万ヘクタールを、例えば三年ぐらいで内需拡大の重要な一つとして補正予算の中でこれを取り上げて、緊急措置として大々的に取り組めば、これは一ヘクタールに二十人ぐらいの林業労働力が必要になりますから新しい雇用も創出できる。こういう意味で、緊急対策として思い切った間伐対策を講ずる必要があると思いますが、これについて見解はいかがでしょう。
  14. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 間伐必要性なり緊急性につきましてはただいま先生から御指摘あったとおりでございますが、ここ数年、間伐必要性というものが叫ばれまして、おかげさまで森林林業活力回復五カ年計画、これが間伐中心に仕組んでおりまして、今年度から森林地域活性化対策というようなことで、新しく間伐なり、先ほどお話しいたしました林道作業道等を包括いたしまして新しい事業も仕組んだところでございまして、それぞれの地域で一定の期間、計画を立てながら、いろいろ労務班の手当なりということをしながらそういう計画に従ってやってきておりますし、それから、この五カ年計画で相当なボリュームを毎年ふやしながらやってきておりますので、当面はむしろこの計画を着実に実行することが間伐促進に寄与するのじゃないかと思っておりますけれども、今後の補正予算で、公共事業の範囲でそういうことが可能かどうかということも含めまして検討させていただきたいと思います。
  15. 辻一彦

    ○辻(一)委員 間伐が適当に進められるかどうかということがこれからの民有林国有林もそうでありますが、山を、民有林を守っていく上で非常に大事である。それから、これが十分進まないと、雪害であるとか気象災害が非常に多くなっていくという原因にもなる。こういう点で今いろいろと努力をされているということは承知はしておりますが、なおこの間伐に十分な検討を加えて取り組んでほしい。そういう考え方について、担当大臣としての見解をひとつ伺いたいと思います。
  16. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 ただいまお話ししましたように、間伐につきまして百九十万ヘクタールという全体の予定枠があるわけでございまして、これが十分にまだ消化されてないということでございますので、現在行っております森林地域活性化緊急対策でも、間伐について前年に比べて相当な対象面積をふやしております。当面はこれを着実に実行することだろうとは心得ておりますけれども、全体といたしまして百九十万ヘクタールというものは現に間伐必要面積としてあるわけでございますので、できるだけ間伐促進されるよう、いろいろな手段につきましてこれからも検討を深めてまいりたいと思っております。
  17. 辻一彦

    ○辻(一)委員 作業道等を拡充してコストダウンを図る、それから本格的に政府がさらに間伐対策に取り組んでいく、こういう面と、もう一つ大事なのは、間伐をやっても結局採算が合わないためにやらない、無理にやっても、もう切ったのは切り捨ててそこに放置をしておくという状況が起きておりまして、間伐材活用する新しい需要を開拓するということも非常に大事であると思いますが、これに対して具体的な対策がいろいろあろうと思います。要点だけで結構ですから、今重点的に取り組んでいるものについて一言お願いしたい。
  18. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 間伐材につきましては、一つ間伐材を使う新しい技術の開発と、それから用途の開発というふうに分かれようかと思いますけれども、技術面では、間伐材中心にいたしました小径木を使っての単板積層材というようなことなり、あるいは間伐材中心にして飼料とかエネルギーというようなものにバイオマス等を活用いたしましての変換利用というような新しい技術の開発に加えまして、用途の面でも、ここのところ畜舎でございますとか施設園芸ハウスでございますとか、さらには電話ボックスあるいは公園のベンチでございますとか、こういう今まで余り使われてなかった面でいろいろな知恵なり工夫というものがそれぞれの地域で起きてきておりますので、こういうものをさらに助成なり融資なりの面でバックアップしながら、間伐材需要拡大に努めたいと思っております。
  19. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私の地域森林組合でいろいろ知恵を絞ってやっているのですが、その一つに、今林野庁普及研究の方で取り組んでおりますが、間伐材を炭化する、炭に焼く。今、地力増進法が成立して、地力維持に炭の粉を活用して図るということが可能になってきたのですが、こういう方向間伐材を使うということも一つの道であろうと思う。また、例えば杉の丸太材で炭を焼くと、広葉樹と違って火勢が一気に上がって長持ちはしない、しかし焼き鳥屋さんあたりはかえって二時間ぐらい持つので火勢の強い方がいいというので、焼き鳥屋あたりと契約をして杉丸太材の炭を活用しよう、こんな動きも具体的に出ております。例えば、ドラム缶で杉の丸太材が炭にできる方法がある。研修等をやっておるそうですが、そうすれば、そのドラム缶を担いでいけば、必ずしも道の十分ないところでも行って炭を焼ける、こういう道があるわけです。この炭化の方法等について、新しいこういう取り組みに対してもう少し林野庁としてもバックアップしていくことが大事じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  20. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 間伐材を使いましてのいろいろな炭化につきましては、その技術開発なり普及というものをやってきておるわけでございますけれども、国の林業試験場におきましても、木炭の製造法なり利用、活用について研究を進めてきておりまして、特に木炭の製造技術につきましては、その作業性なり安全性、それから今先生からもお話がありました移動性なりという問題がいろいろあるわけでございますが、そういうものを総合的に加味いたしました移動式の簡易炭化炉というものがおかげさまで技術開発ができまして、現在その特許を出願中でございます。これに加えまして、こういう国なり県の試験研究機関のほかに、民間段階でも、ここのところ本物志向でございますとか生活のゆとりというようなことで、木炭に対する一般消費者の方々の嗜好というものも非常に多様化なりあるいは深まってまいっておりますので、民間段階でも技術研究組合をつくっておりまして、いろいろな研究をしているわけでございます。  それから、単に木炭を火として、エネルギーとして使うだけじゃなくて、先生からも御示唆がございましたけれども、例えば土壌改良資材としても正式に認められた段階でございますので、そういうものへの利用の開発というようなものも技術研究組合を通じまして今研究を深めておりますので、こういうものにつきましても、行政といたしましていろいろな形でバックアップしてまいりたいと思っております。
  21. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今、研究普及課等では木材の成分を分解をして新しい活用の道を見出すとか、いろいろ取り組んでおられるようであります。時間の点から一々伺いはいたしませんが、こういう分野にひとつぜひあわせ力を入れて、間伐材の新しい道を開拓するために力を尽くしてほしいと思います。  時間の点から、森林組合の今度の事業拡大問題等がありますので、それに触れたいと思うのですが、その前に、森林共済の問題について二、三点伺っておきたいと思います。  森林の災害による補てん制度としては、林業経営の特殊性というのが、自然条件に非常に左右されやすいということと生育期間が非常に長期にわたるという特性を持っておりますので、民間の保険会社に共済、災害という問題を多く期待するのはなかなか容易ではないという感じがします。そこで、国の方は森林国営保険、それから全国森林組合連合会の方は森林共済事業等、民間の火災保険を入れれば三本ありますが、大きく言えばこの二本があります。ところが、これをいろいろ調べてみると、また現地の声を聞くと、森林国営保険は大体幼年樹、一年から十年ぐらい、大体一年、二年に対して適用されておるし、それから共済の方は十年以上、十五年から三十年という方にウエートが置かれて適用されている、こういう状態が現状のようであります。  そこで、雪害を見ても、北陸地方、東北はずっと雪で、五十二年、五十五年、最近と雪害が多いのでありますが、こういう中で一年から十年の木は雪で倒れますが、これは雪起こしによってこれを起こして、これに国あるいは県を含めて激甚災害等々を適用するとか、いろいろな助成によってこれはかなりカバーされている。したがって、森林国営保険は、これは五十九年の数字になりますか、レポートを見ても七億五千万の黒字になっている。ところが、これに反して森林共済事業の方は、雪でやられた場合を見ると、気象災害の場合には折れてしまう、折損する。折れた場合には、これは保険、共済に入っているのが実際としては非常に少ないのでほとんどが損失ということになる場合が多い。それで、森林共済事業にも今二十億程度の赤字がここ急速に積み上げられてきたということが数字で出ております。このような中で、この二つを何とか一元化する、こういう長期の森林の共済事業、保険ということについては一本化をして考えられないか、こういう声が森林関係、現場の皆さんからも、また連合会等からも随分とあるわけであります。既に森林法発足以来十年という日が経過しておりますが、ひとつこの間の経緯といいますか経過等がどうなっているか、お伺いいたしたい。
  22. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 森林共済と森林国営保険の一本化問題につきましては、五十三年に当委員会の附帯決議で記載されておりまして、我々といたしましてもいろいろな場で検討をしてきたわけでございます。まず、昭和五十六年から五十七年にかけまして森林損害てん補制度検討会というのが設けられまして、ここでいろいろ議論を深めましたし、その後、昭和六十一年六月に、総務庁からも監査結果に基づく勧告というのをちょうだいしたわけでございます。さらに去年、六十一年の十一月に、今回の森林組合制度の改正にも絡みまして、森林組合制度検討会という形でいろいろ幅広く集まっていただいて御議論いただいたわけでございますけれども、ここでもこの一元化問題が議論をされ、一定の考え方が出されたわけでございます。それで、いろいろな議論の経過があったわけでございますけれども、象徴的に指摘されておる点といたしましては、例えば総務庁の監査結果でも、将来の課題として一元化について検討する、当面は一元化のための基盤整備に努める必要があるというようなことで、それぞれ仕組みなり経緯なりが違っておりますし、今先生からもお話ありましたように財務状況というものも違っておるわけでございます。特に加入率という点が、我々いろいろと加入促進運動はしているつもりでございますけれども、残念ながらまだ十分な加入が確保されていないというような問題もございますので、当面はもう少しそれぞれの基盤整備ということをやって、その上で将来の問題として一元化について取り組んではどうかというようなことが、過去二回の研究会なり検討会あるいは総務庁の指摘というふうになっているわけでございます。  こういういろいろな検討経過を踏まえまして、我々といたしましても、国営保険と森林共済の基盤を整備する必要があるということを考えておるわけでございまして、当面は何といいましても加入率をもう少し向上させて、保険が円滑に成り立つような母数を確保したいということと同時に、ただいまも数字で御指摘ありましたように、全森連につきましては不幸にして現在累積欠損がございますので、これを全森連みずからの努力と農協、中金等も含めました系統全体での対策、それから国のいろいろな指導、援助等というようなことを加えまして全森連の経営改善ということに現在取り組んでおりますので、これの着実な進展というものをもう少し見きわめながら、将来の課題として一元化問題には取り組んでまいりたいというのが現時点の姿勢になっております。
  23. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今伺っていますと、当面は二つそれぞれの立場を強化をして、将来の課題として検討していきたいということのように聞きましたが、五十三年に森林組合法が制定されたときの国会の衆参の論議も一応読んでみたのですが、このときにもう既に国の保険と共済事業の一元化、一本化の問題が随分と論議をされておる。そのときにも、政府答弁は前向きの検討をしますということを十年前にも言っている。それから第二は、行政監察報告が四十九年と六十一年の二回にわたって出ておるが、これも一元化の検討が必要だということを指摘をしておる。それから三つ目には、今お話のありました森林組合制度検討会の報告書にも「対象森林の構造変化、災害の多発化等の不安定要因を考慮し、長期的な展望を踏まえた経営のあり方及びその仕組みについて検討する必要がある。」こういうふうに報告されている。それで、この森林組合制度検討会の方は、今長官からの御報告はそれで聞きましたが、行管の行政監察でもこういう形で二回言っている。しかも、十年前に同じような論議を随分やって、前向きに検討しますということをそれぞれ大臣長官が当時答弁している。十年たっても同じような答弁で何ともわかりがたいですが、検討の結果、十年たって具体的なめどとしておよそどういうことを考えるかということをひとつ明らかにしてほしい。
  24. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 実は、五十三年に附帯決議で注文いただいた時点では、国営保険の方が赤字で全森連共済の方が黒字であったということで、合併すべきじゃないか、一体化すべきじゃないかという議論が中心に行われて、それぞれの利害が絡んだわけでございますけれども、その後、五十六年の豪雪等から実はそういう財務状況が逆転いたしまして、現時点ではむしろ全森連系統が赤字で国営系統はまあまあにいっているというような形でございまして、当時と論点がちょうど逆になってきているという一つの変化があるわけでございます。したがいまして、一元化という方向では同じなのでございますけれども、そういう前提条件なり取り巻く情勢というものが全く逆転いたしましたので、もう一度新しいまなざしで見てみなければだめだという点では、漫然と十年間同じような姿勢で検討してきたわけでは必ずしもございませんで、あるいは言いわけになるかもわかりませんけれども、そういう前提なり客観情勢が変わったという新しい事態を踏まえて、当面それぞれの基盤整備に努め、将来の問題として検討してまいりたいということでございますので、御理解いただきたいと思います。
  25. 辻一彦

    ○辻(一)委員 十年たてば赤字も所を変えておることはわかりますが、いずれにしても、一元化ということは大変大事なことであるし、それから、新しい物差しを踏まえてと言いながら、しかし当面はこのままでというのも非常にわかりにくいことなので、新しい物差しをもってはかって、当面努力はしつつ一遍新しい物差しをもって検討するということが言えるのかどうか、この点再度ひとつ伺いたい。
  26. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 特に新しい前提条件なり客観情勢の中で、先生も御承知のとおり自助努力ということで現在の累積赤字の解消方策というものを全森連自体、それから中金の援助ということを加えまして現在真剣に取り組み始めたところでございますので、将来一元化するにしてもこの推移というものをもう少し見きわめる必要があるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、従来からの一元化の基本方向というものは当院でもきつく御指示がございますし、それから行監等の問題もございますので、我々といたしましては真剣に検討してまいりたいと思っております。
  27. 辻一彦

    ○辻(一)委員 長官の答弁は一応伺いました。大臣、十年前にも記録を読むと同じような御答弁があるので、大臣としてもこれについて一言決意を伺いたい。
  28. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど来長官からお答えいたさせたわけでございますが、一元化の検討に当たりましては、国営森林保険、共済の基盤を整備する必要があるということについては先生も同じだろうと思うわけでございまして、そういう中で、加入率の向上問題と全森連の経営改善の着実な推進、共済事業の健全な育成について推進、指導いたしまして、これらの基盤整備の進捗状況を見きわめながら、将来の課題として一元化についての検討を進めていく覚悟でございます。
  29. 辻一彦

    ○辻(一)委員 残り少なくなったのですが、森林組合の今度の法の改正によって事業範囲が非常に拡大をされる。非常に行き詰まっておりますので、現地の森林組合等は事業拡大するということに、これからやっていくということに非常に期待を持っております。しかし考えてみると、画一的に事業を広げた場合に必ずしも経営が安定するとか黒字になるとは言えないのであって、多角化経営の反面、リスクを誘導する懸念もなしとしないと私は思うので、その点の十分な今後の指導が大変大事であると思います。事業拡大した場合によりよくなるということが一番大事でありますが、それらについての考え方はいかがでしょうか。
  30. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 今回、いろいろな形で、森林組合活性化ということをこいねがいまして事業範囲を拡大したわけでございますけれども、今回の拡大に係る事業に取り組むに当たりましては、個々の組合がその力なり立場というものをみずから十分見きわめながら、関連業界なり地域のいろいろな経済団体、社会的な動きというものとも連携しながら、さらに連合会の指導というものも十分受けて慎重に行っていただきたいと思っておりますし、そういう方向で我々としても指導をしたいと思っております。そのためには、何といいましても、人の養成なりあるいは仕事計画樹立というようなソフト面を相当基盤づくりしてまいりませんと、新しく法律で事業拡大したから単純に取り組むというようなことが起きましては問題でございますので、その辺につきましても十分意を用いてまいりたいと思っております。
  31. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この問題について数点聞きたいのですが、時間がもう迫ってきましたので、要望を一つ申し上げておきます。  今度の法改正によって食用キノコ等にもどんどん取り組むことができるようになってきたわけですが、しかし、食用キノコは相当つくっている。そうすると、需要の開拓を図らないとすぐ生産過剰になって、せっかく事業拡大して力を入れたのに赤字になってしまうということもよくあることでありますから、そういう点で、需要拡大や見通しを十分考えながら進めてほしいと思うのです。  それから作業道等は、現地の森林組合あるいは連合会でこういうものを引き受けて幾らでも取り組むことができると思うのです。山村の林業労働力雇用確保するという点からも、また内需拡大林業基盤、そして林道作業道というこういう一連の中で、作業道等の建設にも今度の法改正によって道が開かれるわけでありますから、森林組合等が大いに取り組むことができるような方向で極力努力をいただきたいと思います。  あと幾つかの点がありますが、それはまた後日に譲って、そういう点を強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  32. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十五分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  33. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石橋大吉君。
  34. 石橋大吉

    石橋(大)委員 それでは最初に、先ほど辻議員からも質問がありましたが、私も日本の林業の将来展望に関連しまして、大臣に少しお聞きをしたいと思います。  今まで再々にわたっていろいろな方からも指摘をされておりますように、長年にわたりまして安い外材依存の体制が続いたこと、あるいは国内建造物、特に住宅建設における木材離れが進行したことによりまして、法案の説明資料などでも明らかなように木材の価格が急落の一途をたどってきました。同時に、燃料革命によりまして薪炭需要も決定的に減少し、また、農山村からたくさんの人々が高度成長のさなか都市へ流出をした。こういうようなことから、間伐その他の保育を含めまして非常に憂慮すべき事態が進んでおることは先ほども指摘があったとおりであります。  こういう現状が国内の林業を覆っているわけですが、一方で、長い間依存をしてまいりました熱帯林、熱帯樹の状況につきましても、東南アジア諸国から森食い虫だと言われるような日本の外材輸入があったわけでありますが、それもインドネシア、フィリピン、タイなど次々と切り尽くして、だんだん限界状況に近づきつつあるようでもあるわけです。御承知のように、アメリカ政府が発表しました特別調査報告「西暦二〇〇〇年の地球」研究によりますと、世界の森林面積は、約三十年前の一九五六年には陸地の四分の一であったのが、一九七八年には二十五億六千三百万ヘクタールと世界の陸地の五分の一に減って、一年間に千八百万から二千万ヘクタールも森林が破壊されておる。こういう状況が急速に進んでおるわけでありまして、西暦二〇〇〇年には陸地の六分の一に減少する、二〇二〇年ころには陸地の七分の一に落ち込む、こういうふうに言われておるわけであります。人口増加とそれに伴う農地転用あるいは薪炭のための森林の伐採が進む、こういうようなことから熱帯林の荒廃も大きく、非常に深刻の度を加えつつあるわけであります。  そういう中で、森林の持っておる効用を考えますと、経済的な利潤を生首という意味での効用だけではなくて、人間の生存にとって非常に重要な役割を森林資源が果たしていることは、これもよく指摘されるとおりであります。こういう森林の持っておる役割について、少しデータが古くて恐縮ですけれども、林野庁昭和五十四年に発表されました時点での価格では、そういう森林の持っておる社会的、環境的ないろいろな効用を費用換算をして二十四兆二千億円という数字が出されているわけです。今はもっと大きくて、恐らく三十兆円を超えているのじゃないかと思いますが、そういう換算をしてみたところで、実際の効用は金銭では計算できないほど大きなものがあるのじゃないかと私は思うわけであります。こういうことを考えたときに、森林整備や資源を守るための相当程度の一般会計からの繰り入れなどを含めまして、国や地方自治体が公共的な観点に立って日本の林業森林資源を守っていくということが今ますます重要になっているのではないか、こう思うわけであります。そう言われながらなかなか容易に現状が打開できない、こういうことを大変憂慮するわけですが、その点について、ひとつ大臣の将来展望を含めてお考えを承りたい。  同時に、あわせまして、けさの朝日新聞によりますと、林野行政のあり方あるいは財政問題を含めまして、国土庁の計画・調整局森林研究会なるものが「森林に関する基本構想」という文書を発表した。それをめぐって国土庁と林野庁でちょうちょうはっしの大激論が行われたかのように書かれているわけであります。同時に、大蔵省と林野庁との間でも同じような論争があるようで、特に大蔵省との論争の中では、特別会計を廃止して一般会計で丸抱えにしたらどうか、こういうような議論もあって、そうなると長年独立を誇ってきた林野庁の牙城が崩れる、こういうようなことで大変問題になっているようです。新聞では余り詳しいことを書いておりませんが、しかし、かなり重要な議論があっているように見えますので、この点は大臣が御承知なかったら長官でも結構ですから、あわせて少しお話を承りたいと思います。
  35. 加藤六月

    加藤国務大臣 日本林業の将来展望ということを考えますと、私たちも内部でたびたび議論をいたしておるところでございます。また、昨日も佐賀県で植樹祭がございまして、それに参加あるいは協力してきました多くの団体の皆さん方の間からも、それぞれの立場からの熱心な、そしてある面では緑の大切さの議論等も出たわけでございますが、我が国の森林資源というのは、今一千万ヘクタールの人工林を中心としまして、毎年七千六百万立方メートルの蓄積量が増加しておるという一つの大きな前提がございます。二十一世紀初頭におきましては、資源的には木材需要の主たる部分を国産材で供給することが可能になると見込まれております。こうした資源状況にかんがみまして、生産、加工、流通、各般にわたります施策を推進することによりまして、国産材の安定供給体制を整備しまして国産材需要確保していくことが重要でございます。  他方、森林林業に対する国民の要請というものも多様化してまいっておりまして、木材生産公益的機能をあわせ高度に発揮させていくことが強く求められてきておるわけでございます。このような国民の多様な要請にこたえていくためには、何といいましても活発な林業生産活動を通じて資源の充実を図り、森林の有する多面的な機能を十分に発揮させていくことが必要になってきております。このため、林業生産コストの縮減等効率的な林業経営の推進あるいは担い手の育成確保あるいは山村の振興等、将来に向けた経営の条件整備を進めることによりまして、林業活性化と国民の期待にこたえ得る健全な森林維持され、国産材時代の到来を現実のものとすることができると考えております。  終わりの方の他省庁との問題に絡む御質問でございますが、森林林業及び国有林事業の重要性については、関係各省庁の御理解を得ていると私は確信いたしております。こうした中で、国有林事業の今後の改善のあり方については、昨年十二月、林政審議会の答申をいただいておるところでございますが、今後その具体化を図る段階におきまして、関係省庁とも意見の調整を図ってまいる所存でございます。また、いろいろのことがございましたが、念のために申しておきますと、四全総関係におきましても、目下鋭意作業中でございますが、当農林水産省の意見は十二分に反映されるものと私は確信を持っております。
  36. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 ただいま大臣から話がありましたように、四全総につきましては、現在、国土庁から素案的なものは各省に提示されましていろいろ協議をしておるところでございますが、少なくとも森林なり山村というものに対する必要性なり重要性、位置づけ、こういうものにつきましては全く意見が一致しております。それで議論の過程で、役所間のことでございますので、具体的手法でございますとか、そういう枝葉の部分につきましてはもちろん事務方でいろいろ議論があることは当然でございますけれども、大筋におきましては、朝日の中にも書いてございますように、都市から地方、あるいは緑の復権というような基本方針でございまして、当方の考え方と全く一致した方向で国土庁も作業を進めてくれております。  それから、この新聞でいろいろ書かれておりますことについては、別に新聞記事でございますので私の方からコメントする立場にはございませんけれども、先ほど先生も御指摘になりました、例えば「独立採算制の林野特別会計を廃止して一般会計で丸抱えする方式」まで大蔵省主計局が検討してくれているとなると当方としては非常にうれしい話でございますけれども、なかなかそうはまいらぬところが国の全体の財政の苦しいところでございまして、その辺に対してどうするかというのが明日御審議いただく国有林野のあの改正になっておりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  37. 石橋大吉

    石橋(大)委員 時間がありませんから先に進みます。  次に、林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案に関連をして、二つほどお尋ねをしたいのです。  一つは、今回、伐期の長期化等の林業の実態に合わせまして、造林資金の償還期限、据置期間を延長するということでございまして、我が国林業の不振の現状からいっても当然のことだと思いますし、時宜を得たことだと思いますが、五十五年、三十五年という期間が一体暫定ということになるのかどうか、暫定措置法で措置すべきものかどうか、暫定法ではなくて、むしろ本則である農林漁業金融公庫法の改正で行うべきではないか、こういうふうにも考えられるわけですが、この点はいかがですか。
  38. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 ただいまの点につきましてはいろいろな見方があろうかと思いますけれども、先生もよく御承知のとおり、公庫法では本則的な融資期間が書いてございまして、それから林振法で、「当分の間」の暫定措置として今まで融資期間と据置期間を延長してきたわけでございます。この場合の「当分の間」と書いてございますのは、戦後植栽されました人工林が本格的な伐期に到達するのが、これは大ざっぱに見ますと昭和七十年代ごろを考えているわけでございますけれども、先ほど大臣から話がありましたように戦後急速に一千万ヘクタールに及ぶ人工林を造成いたしましたので、この急速に造成してきたものがきちんと回転するまでの間こういう措置をとるという経緯で当分の間の暫定措置として設けられたわけでございまして、そういう事態がなかなか起きないので当方も苦しんでおるわけでございますけれども、仮に、この間に材価がべらぼうに高騰して制度融資に頼らなくても経営が十分回転していくというような事態になりますと、その時点でまた見直すことになるかと思いますが、そういう「当分の間」をつけた経緯からいいまして、今回の十年間延長というのもそういう土俵の中での制度改正ということで、従来の手法を踏襲しているわけでございます。
  39. 石橋大吉

    石橋(大)委員 もう一つ、今回の改正による措置は、新しい造林融資を促進をする、こういう立場からの改正の趣旨だと思いますが、非常な円高等もありますし、先ほども言いましたように木材価格の低落などの状況もありますので、既に融資を受けておる部分についても何らかの条件緩和などを考える必要があるのではないか、こういうふうにも思われますが、この点はいかがでしょうか。
  40. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 既往の貸付金の貸付条件につきましては、契約時点で公庫と借り受け者という個人間できちんと契約で定められておりますので、こういう個人間の契約で定められたものを、その後に法律を改正したからといって一律にその契約の内容を変更するということはいかがなものかと思われますし、それから、従来こういう貸付条件等の融資条件の変更をいたしました際にも、そういう既往のものに一般的に遡及的に適用するというようなことはしていないわけでございます。しかし、ただいま先生からるるお話がありましたように、林業をめぐる情勢というものは非常に厳しい点がございまして、個別経営をとってみましても問題の多いところがかなりありまして、その返済が困難であるという林業家もいるわけでございますので、こういう方々につきましては、その個別の実態に応じまして、融資条件の緩和等の措置ができるなら必要に応じて講ずるという方向で、公庫と関係機関に対して私の方からもそういう要請をしてまいりたいというふうに考えております。
  41. 石橋大吉

    石橋(大)委員 次に、森林組合法なり森林組合合併助成法の一部改正に関連をして幾つかお尋ねをしたいわけですが、まず一つは、林家の相続税の問題についてちょっと聞いておきたいと思うのです。  四、五年前の話ですが、私が聞いたところでは、今、大体五百ヘクタールぐらいはないと林業だけで専業で経営を維持したり生活を維持したりすることはなかなかできない、こういう話を聞いたことがあるのです。御承知のように、個人経営の林家が大体二百五十万戸ぐらい、そして九割近くが五ヘクタール未満と言われているわけです。百ヘクタールを超す大地主は三千戸ぐらい、こういうふうに言われているわけですが、こういう層の林家の所得が、ことしの林業白書を見ていませんけれども、五十八年時点で三百万円ちょっと、こういう状態だと言われているわけです。大地主であっても非常に経営が厳しい。しかし、林業全体が非常に不振の中で働く人々はどんどん減っていく、小さい地主の持っておる山はほったらかし、こういう中で頑張っているのは国有林を支えておる全林野の皆さん、民有林森林組合造林作業班などで頑張っている人々です。そして比較的伝統のある林家の人たちによって非常に厳しい中で何とか山林、森林が支えられている、こういう状況なんですが、こういう林家の世代交代に当たって余りにも相続税が過酷であるために、木を売るだけでは賄えないために、結局林地をかなり大量に手放さざるを得ない、こういうことが非常に深刻な問題としてあるわけであります。欧米諸国ではこういう場合に特別の減免措置等もあるようですが、恐らく林野庁でもこういうことについては今まで検討されたこともあろうし、あるいはその後何らかの措置がとられているかもしれませんが、林業を取り巻く状況が好転をするまでの間でも何らか一定の措置をとる必要があるのじゃないか。あちこちで相続税のために木を売り払ってはげ山になった山を見るにつけてもそんな感じを持つわけですが、まずこの点を伺っておきたいと思います。
  42. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 相続を契機といたしまして林業経営が細分化し、山が荒れていくというようなことがございましては大変でございますので、従来から、森林の相続税につきましてはそれなりの特例を設けてきているわけでございます。従来の特例で申し上げますと、一つは、立木の評価をその時点の八五%とするということで評価の特例が行われておりますし、二番目に、伐期であるとか収入の時期ということとも絡みまして、計画的な施業を実施する場合に延納措置というものも認められているわけでございます。第三点として、保安林のような伐採なり施業についていろいろ制限のある林地につきましては、二割から七割、評価がディスカウントされるという措置が従来も敷かれていたわけでございます。  しかし、ここのところいろいろな事情で厳しさがさらに加速されてきておりますので、そういうことに対する対応といたしまして、昭和六十二年度の税制改正で立木に係ります相続税の軽減を図るということで、第一点は、立木について相続税財産評価上、標準伐期というものを今までより十年間延長するという措置をとりましたし、第二点として、計画伐採に係ります相続税の延納措置が認められていると先ほど申し上げましたけれども、延納利子税を引き下げるという措置を講じたわけでございます。こういう新しく税制改正いたしました措置も相続税の軽減に相当の効果が発揮できると思っておりますので、こういうことを通じまして相続によって山が荒れるということを何とか防ぎ、緑の維持発展に努めたいと思っております。
  43. 石橋大吉

    石橋(大)委員 次に、建築基準法の関係につきまして、私の方からもちょっとお尋ねをしておきたいと思います。  林業不振の原因は日本人の木材離れが内部的に一つの大きな要因だ、こういうふうに言われるわけであります。その木材離れの大きな原因の一つが木造住宅が減ったということ、そして木造住宅が減るのは建築基準法が非常に木材嫌いというか、そういう形になっておることに大きな原因があるのじゃないかというふうに言われておるわけであります。防災上の見地から木造住宅が非常に嫌われる、森林率九五%の山村でも鉄筋コンクリートの校舎を建てなければいかぬ、こういうことになっておりますし、今は机やイスも木造じゃなくて、全部スチール製になっておるわけであります。人間を見習ったかどうか知りませんが、今や都会ではスズメやメジロも新建材を使って、ビニールやプラスチックなんかで巣づくりをする、こういう形になっているわけです。先ほどの質問の中で辻議員からもアメリカの例などありまして、二万四、五千人も収容するような非常に大きな屋内運動場が木造で建てられているというような話もあるわけでありますし、八階建ての高層建築を木造でやるというような事例もあるようであります。専門家の話によりますと、木造と鉄骨で火災に対する強さというのは、ここでもう申し上げませんけれども、余り大差ないという話も聞くわけであります。そうだとすれば、建築基準法の厳しい規制をちょっと緩和をしてでも木造建築の拡大を図るべきじゃないか、こういうふうに考えますが、この点、どうですか。
  44. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 木材需要拡大の一環といたしまして、建築基準法の見直しということはここ数年重要な検討テーマとなっていたわけでございますが、幸いにいたしまして、今国会で建築基準法の改正が行われたわけでございます。その大きな点は、幾つかございますけれども、ただいまもお話がございました大型の建造物ということで、一つは、準防火地域におきます木造三階建て建築物が従来禁じられていたわけでございますけれども、これの制限を見直す。もう一つは、ただいまのタコマの例でもございましたように、大断面集成材という新しい素材を使った新しい建造様式につきましては高さ制限を抜本的に見直す。それから、従来大規模な木造建造物につきまして防火壁の設置等についていろいろな規制があったわけでございますけれども、こういうものにつきましてもかなりな見直しが行われております。さらに、これは法律改正とは別に、内装制限を見直すということで、建物を丸ごと木だけじゃなくて、あるいはマンション等で内装に、床とか壁に本質系の資材を使っていただく、こういうことも需要拡大の大きな柱になりますので、そちらの方も建設省にお願いし、実現してもらえるという段階に至っておるわけでございます。
  45. 石橋大吉

    石橋(大)委員 もう一つは、余り時間もありませんから簡単に質問しますが、雑木林の利用についてお聞きしたいと思うのです。  私は島根県の出身ですけれども、島根県の場合は県土の八割が山林であります。しかも、大臣がよく知っておられますが、いろいろ歴史的な経緯がありまして、古来非常に砂鉄が盛んだったこともありまして山はほとんど雑木林なんです。砂鉄がなくなってからしばらくは薪炭で食えたけれども、それもだめになって、今や非常に緑豊かな山林といえば山林ですが、山村の人たちの生活にとっては眠れる資源という形になっておるわけであります。そういう中で辛うじて山村の人たちの生活を支えてきたのはシイタケ栽培であります。島根県の二十一世紀に向けての、昭和七十五年までの長期計画の中で今のシイタケ栽培を全国一にまでしょう。幸い雑木林が多いですから、ほかのところと違いまして原木はかなりあるわけであります。こういうことですから、シイタケがなかったら恐らくもっと過疎が進んだだろうと言われておりますけれども、それでもやはりシイタケだけでは寂しい。特に、最近円高で、香港などに出ておったシイタケがかなり値下がりしているというような傾向もありまして非常に厳しいわけであります。こういう雑木林の開発について本当に何とかならぬかなというのが山の中の人たちの大変大きな夢であり期待でありますが、この点の林野庁考え方をお聞きしたいと思います。
  46. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 山村地帯の雑木林をどう持っていくかということが地元の経済の活性化にとりましても非常に重要な課題でございまして、我々といたしましても過去いろいろな施策を講じてきているわけでございますけれども、ただいま先生からも御紹介ございましたように、シイタケの原木の需要なり、あるいは雑木をエネルギー源といいますか、炭化するとか、あるいは林床について山菜の場にするとか、それぞれ決定的にこれということではあるいはないにいたしましても、いろいろな具体的事例を積み重ねまして雑木林の活用を図っていく必要があると思っております。  それから、ここのところ広葉樹に対する需要が、単にシイタケ原木だけじゃなくて非常に根強いものが出てきておりますし、自然景観なり自然環境の保全という点からいいましても、針葉樹と広葉樹とがいろいろ比較されるような見方というものも出てきておるわけでございます。そういう中で、広葉樹を中心にいたします天然林に対するいろいろな位置づけというものも高まってまいりまして、当方といたしましても、これから天然林施業の実施でございますとか、あるいは針葉樹から広葉樹へのある程度の傾斜でございますとか、こういうような全体的な施策についても基本的変更というものをここのところとり始めてきておりますので、そういうものの一環として、山村の雑木林対策についても今後とも力を強めてまいりたいと思っております。
  47. 石橋大吉

    石橋(大)委員 残された時間がわずかになりましたが、最後に、森林組合法の改正によって事業拡大をされる、これはこれ自体として別に反対ではありませんが、事業拡大をすれば、その事業をこなしていくために優秀な人材を当然きちっと確保しないと、人の問題を欠いて法律改正の目的を十分に達することはできないのじゃないか、こういう感じがするわけです。  そういう観点で一つお伺いをしますけれども、今、森林組合に働いておる常勤の職員の給与の実態です。山林事業に従事する人々が減少するに伴って、民有林を支えるために森林組合に働く職員の果たす役割がますます重要になろうかと私は思っておるわけであります。そういうことを考えていきますとますます優秀な人材を確保しなければいかぬ、こう思うわけですが、この点の処遇の状況についておわかりでしたらまずお聞かせをいただきたい、こう思います。
  48. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 森林組合の職員の処遇の状況でございますけれども、現在、職員のいる森林組合というものが五十九年度末現在で千四百四十四組合、それから職員の総数が八千二百九十人というふうに相なっておりまして、一組合平均で見ますと五・七人ということになっております。それから給与水準につきましては、六十一年一月現在で、月額平均という形で見てみますと十七万一千円ということになっておりまして、絶対額につきましては若干違っておりますけれども、ここのところの傾向といたしましては、ベースアップ等につきましても、市町村でございますとかあるいは役場職員というような近傍類似の同種の団体のベアに準拠して大体決まってきているような形になっております。
  49. 石橋大吉

    石橋(大)委員 六十一年一月で十七万一千円、役場の職員に大体準拠しておるのじゃないか、こういうことでしたけれども、役場の職員と国家公務員は必ずしも一つではないのですが、去年の国家公務員の給与、特に現場の関係でありますので行政職給料表目の関係を見ましても、去年の四月現在の人事院の資料で二十万五千六百五十五円、こうなっておるわけで、十七万円といえばかなり開きがあるわけであります。また、労働省の民間の労働者の賃金実態調査、これは去年のものがありませんので六十年の六月時点の調査ですが、従業員規模が十人から九十九人という零細なところの賃金を見ましても、所定内賃金で十八万九千九百円ということになっておるわけですから、これに比べても少し低いような感じがするわけであります。どちらにしましても、非常に重要な役割を果たしますので、ある程度賃金も確保しないと優秀な人材が集まらぬ、こういうふうに考えるわけです。さっきちょっと質問をしましたけれども、今答えがありませんでしたが、この職員の中で、大学の林学科などを出て森林行政だとか林業関係について非常に詳しい技術者というか、そういうような人たちは大体どれくらいいますか。
  50. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 ただいまお話ししましたように全体で八千二百九十人ということになっているわけでございますけれども、この内訳は、事務職員が三千四百六十一人、技術職員が四千八百二十九人というふうになっているわけでございます。事務職員の大方は庶務的な仕事をやっておる女性職員が多いと思いますが、技術職員もこのうちの大方は伐採でございますとか植栽でございますとか、こういう労働に従事しておる方が多うございまして、この内訳につきましては把握できてないわけでございます。この中に大学卒でございますとか林学の専門を修められた方がどれだけいるかということにつきましては、残念ながら統計上処理してございません。
  51. 石橋大吉

    石橋(大)委員 御承知のように、私有林の大体二割近くが不在村地主が持っておる山と言われておるわけですね。特に北海道などは全森林面積の一割が不在村地主、東京の人がほとんどそういうのを持っている、こういうふうに言われておるわけですが、こういう不在村地主の山林というか山というか、これは御承知のように木を育てることに目的があるのじゃなくて、いわば持っておって資産的な価値が上がるのを待っているだけという山が非常に多い。したがって、持っている人によって全然手入れはされない、またその山の所在をしている地域の人々も、人の持ち物ですからなかなか手を入れることができない。そういう意味森林組合や林野行政の一つの大きな隆路になっているような面があるわけですが、こういう状態が広がっていけばいくほど森林組合の果たす役割というものは重要になってくるのじゃないかという気もするわけであります。それだけに優秀な人材を確保していかなきゃいかぬ、こう思っておりますので、できたらもう少し職種別の技術者の資格とか程度とか、こういうものまで把握をしていただきまして、ひとつそういう役割を担えるような森林組合の体制をつくっていただきたい、こういうことを要望しておきたいと思います。  関連をして、森林組合の職員の業務研修だとか技術研修などというものは今どういうふうに行われていますか。
  52. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 職員の研修につきましては、それぞれの単協段階、連合会段階それから全国段階と、いろいろな場面で研修を行っているわけでございますけれども、行政が絡みます研修といたしましては、職員を他の森林組合等に派遣いたしまして、事業に必要な企画遂行能力を向上させるということを事業内容としております森林組合活動強化対策事業というものを助成事業で行っておりますし、それから、地域林業労働の基幹的役割を担っております方々に、集運材等の資格でございますとか、あるいは伐木造材等の技能を習得させるための事業といたしまして、林業従事者就労活性化対策事業というようなものを国みずからも何がしかの助成を行いまして行っているわけでございますけれども、このほかにも、全森連段階でございますとかあるいは県森連段階で、それぞれ地域の実情に応じまして、役職員の研修、技能の向上というものについては努めておるところでございます。
  53. 石橋大吉

    石橋(大)委員 最後にもう一つだけ伺いますが、今度の森林組合法の改正によって業務が拡大をすることによってやはりある程度人手をふやさなければいかぬのじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、一方では合併法の関係もありまして、合併によって人手を大幅に削減をするというようなことも起こるのじゃないか、こういう心配もされるわけでありますが、その辺は大体どういう見通しを持っておられますか。
  54. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 今度、法律改正によりまして業務範囲が拡大されるわけでございますけれども、これは自主的な経済団体である森林組合でございますので、それぞれの力なりあるいはそれぞれの置かれておる環境というものに即して、新しく拡大された事業の中から自分に適した事業を選択してもらうということが何よりも肝要かと思っております。基本的には、まず何といいましても初歩的な段階から徐々にいろいろなノーハウでございますとか、技術を蓄積して高度な事業に転換していくということでございますので、一気に体制をどうこうということではございませんけれども、できるだけそういう新しい仕事も引き受け得る体制をつくりたいということで、例えば、今回お願いしております合併助成法で基盤の弱い組合につきましては基盤強化そのものもねらいにしていくし、それから先ほどお話ししましたように、こういう新しい事業になればなるほど人材の養成、研修ということが必要でございますので、そういう点につきましても従来より力を加えてまいりたいと思っております。
  55. 石橋大吉

    石橋(大)委員 この合併法によってせっかく厳しい中で頑張っている人たちが路頭に迷うようなことが起こらないように、くれぐれもひとつ善処をされますように要望を申し上げまして、時間が来ましたので私の質問を終わります。
  56. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 前島秀行君。
  57. 前島秀行

    前島委員 私は、森林組合作業班あるいは国有林の請負事業をやっていらっしゃる、いわば民有林に働く労働者の実態を中心にして伺い、安定した雇用をすることがこれからの森林組合そのものの安定につながると思いますので、その辺のところの実態を中心にしてお伺いをしたいと思っているわけであります。  林業白書等を読みますと、林野庁林業生産活動の活性化あるいは就労機会を拡大するんだとか森林組合等の事業体の育成が非常に重要なんだということを強調されておるわけです。また、これらの目的を達成するためには各種事業を実施する中で実現をするんだ、こういうふうに言っているのですが、現実は、林業で働く労働者の雇用の安定とか労働条件の改善あるいは安全対策がそういうものにつながっていないというのが現状だろう、私はこういうふうに思います。  特に、今問題になっております高齢化の問題、森林組合統計、五十九年度によりますと、作業班五万九千九百十七人のうち、五十歳以上が六三・六%を占めている。六十歳以上は二一・七%、こういう状況です。そうすると、これから国産材時代が来るんだ、十年ないし十五年後にはそういう時代が来る、こういうふうに言っているときに、この状況で十年、十五年後を想定しますと働き手がいなくなってしまう、こういうのが偽らざる実態だろうと思うわけです。何としてもこの問題を解消していきませんと底辺の労働力の確保ができない、こういう事態になると思うのです。  そういう意味で、まず森林組合作業班の実業の日数は一体どうなっているのか、どのくらいなのか、その辺のところからお聞きをしたいと思います。
  58. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 年間の就労日数でございますけれども、林業作業のいろいろな特殊性がございまして、森林組合作業班の例で見ますと、年平均で百二十九日というふうに統計数理上はなっております。
  59. 前島秀行

    前島委員 平均で百二十九日。森林統計によりますと、年間二百十日以上働く人が二一・五%、百五十日以上でも四七・八%、こういうふうに統計表に出てくるわけでありますけれども、こういう状況の中で若い労働力を確保するということはまずほとんど不可能だ。最近は高校卒が九九%、こういう時代の中でわずか百五十日以上が半分という状況では、もう確保すること自身も不可能ということは数字の上からはっきりしているわけなんで、若い人たちを確保するためには抜本的な対策がどうしても必要になってくるだろうと私は思うのです。この若い労働力を確保する、実業日数をふやしていくという意味で知恵を絞らなければいかぬと私思うのです。そういう面で、白書で就労の拡大をするんだと言っているけれども、現実は何もしていないと言っても過言でないような状況だろうと思うのです。その辺の拡大の知恵というのは何か考えられますでしょうか。
  60. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 林業労働の場合には、林業作業の季節性でございますとか、あるいは経営の分散、零細性というような状況がございますので、林業に携わる方々が全部年間通じて雇用される方々で支えられるというような労働構成は、産業の構造からいいましてなかなか難しかろうかと思います。しかし、基幹的な部分を将来に向かって担っていく方々、これは何とか底辺を広げながらたくさん確保していきたいということで従来からもいろいろ施策を講じてきているわけでございますけれども、作業に特殊性がございますので、一つには、何といいましても林産活動、林業活動を活性化するということで全体としての作業日数をふやしていくことが必要でございますし、それから場所によりましては単に木材の伐出とかあるいは植栽だけじゃなくて、いろいろなほかの林業に関連する仕事でございますとかあるいはレクリエーションでございますとか、こういう多角的な仕事も山村の一つの産業活性化の柱として取り組みまして、全体としての雇用の場を広げる中で林業従事者の稼働日数もふやしていくことが肝要かと思いますので、そういう点で、山村振興全体の施策を強化するという道筋の中で就労対策も位置づけて進んでまいりたいと思っております。
  61. 前島秀行

    前島委員 次に、社会保険、労働保険の加入状況をちょっと伺いたいのです。これは率の問題でちょっと御報告を願いたいと思います。
  62. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 いろいろな保険に入っているわけでございますが、林業労働者の社会保険等への加入状況森林組合作業班について五十九年で見てみますと、健康保険につきましては六千人、これは率という先生の御注文でございますけれども、分母の方がそれぞれによりまして違ってまいりまして、全体の中で何%加入しているかという数値はそれぞれの保険について集計できてないわけでございますが、ここのところ傘としてどの程度伸びているかということで、五年前の五十五年に比べての増加率であれしますと、健康保険では一九%増でございます。それから雇用保険では実人員で二万六千人、五十五年度に対する伸び率で一二%、農林年金は三千人で、五十五年度に比べて率では一四%増加、労災保険は五万六千人で、五十五年度に比べて率で一五%の減少という形になっております。それから林業退職金共済は実員で二万五千人、率ではこれは五十六年に比べて一一%の増加ということで、それぞれの保険等への加入者は着実にふえているのではないかと認識しております。
  63. 前島秀行

    前島委員 五十五年から比べると着実にといいますが、絶対数でいきますと雇用保険は加入率四四%なんです。それから健康保険なんかは九・六%。厚生年金についてはちょっと統計に出てこないという。あるいは林業退職金共済で四二%。パーセントで言うとそういうことなんです。確かに五十五年度を基準にするとそれでも十何%程度の伸びしかないわけなんで、この実態を考えたときに、もうこれは若い者が入らないということは明らかになるわけですね。世間の常識から見れば、失業という事態があったら雇用保険があるよ、病気になったら健康保険だ、年をとったら厚生年金等々が皆保険時代の最低の生活保障というので漏れなく準備されているときに、この作業班の実態を見るとこういう社会保険の状況が出てくるわけで、こんな状況の中で労働力確保なんということは言えないと思うのです。  確かに長官が言われるように、林業労働の実態として季節性もある等々のことから言うとわかるのですけれども、もしそのことを主張するならば、それに合ったような新たな特別な制度を検討しなければこういう社会保険の体制もできない、労働力確保もできない、国産材時代に対応できないということに私はなると思うのです。確かに、実態として特殊事情があるからなかなか体制ができないのだということは事実として認める側面もあるけれども、それなら労働力を確保するために、十年、十五年後には若い人がいなくなる、ただし十年、十五年後には国産材という時代が来るのだから労働力を確保しなければいかぬ、こういう形になると思うのですね。実態としてなかなか難しいんだと言うなら、実態に合わせた制度をつくらなければ本格的な体制をつくるということにならぬだろうと私は思うのです。それを森林組合等に任せるだけでなくして、政府が、林野庁が本格的に時代に対応する体制をつくるためにはそういうことを整えていかなければならぬと思うのです。実態がそうだからだめだというならば、実態に合う制度を考えなければ確保はできない、こういうことになると思うのですが、その辺の見解をお聞きしたいと思います。
  64. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 林業労働者、特に森林組合作業班の方々の待遇については、何といいましてもその雇用主である森林組合事業活性化し、相当程度の給与なりを支払える環境をつくることがまず大切でございまして、そのためには、林業活性化ということを通じて、林業木材産業全体をどう持っていくかということが何よりも肝要かと思っております。それと同時に、現在のような年齢構成、あるいは、当面の動きからいいまして人に頼る点もさることながら、今までおくれておりました林業関係のもう少し現場に適した小回りのきくいろいろな機械の開発なり機械作業体系のシステム化、さらに林道網ないし作業道網の濃密化というものを通じまして、これから労働の面でもできるだけ簡素合理化していくことも並行して進めていくことが肝要かと思っております。
  65. 前島秀行

    前島委員 あとは賃金、生活実態の方をちょっとお伺いしたいのですけれども、各業種の単価じゃなくて、作業班あるいは国有林を請け負っておる人たちの賃金、生活実態について林野庁は掌握していますか。
  66. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 先ほどもお答えしましたように、労働省の林業労働者職種別賃金ということで一日当たりの平均賃金という形では把握しておりますが、全体の生活という点になりますと、先生もう御承知のとおり、山村で働いている方々の就労の日数なり兼業の度合いなり、いろいろなことの相乗の結果としての生活水準が出てまいりますので、そういう点では的確に把握してないことは事実でございます。
  67. 前島秀行

    前島委員 そのことはこれからの対応を考えたときに非常に大切なことだと思うので、林野庁自身がいろいろな努力をすれば実態は把握できると思うのです。現に、群馬大学の星野教授ほか七つの大学の専門家が、民間林業労働者生活実態調査報告書というのを二年前に公表しているわけですね。これは現実に森林組合とその他の事業所の皆さんに協力をいただいて、具体的に給料、生活実態を民間でやっているわけです。したがって、私は、本格的に労働力確保、これからの国産材時代を迎えるというときに林野庁が基本的にこういう実態調査をやることは非常に大事なことだと思うので、今後、そういう面で十分な実態把握をお願いしたいと思います。  その報告書によりますと、年間就労日数百八十六日、林業労働収入は百六十七万円、その他の収入で三十五万円、計二百二万円という数字が出てくるわけですね。これは、それぞれ森林組合の皆さんの御協力を得てアンケートを出してもらった集計です。二百二万円、これは専業ですよ。部分的に奥さんの収入とかその他の収入等々入れて、三十五万足して二百二万円、こういう賃金実態の中では労働力確保ということもまた全然考えられなくなってくる。  もう一つ、労働災害のことを伺いたいと思うのです。死亡者、度数の率あるいは強度率が他の産業と比較して民間林業労働者はどういう実態なのか、同時に、振動病の認定状況、現在の治療中の状況はどうなっているのか、ひとつ御報告をお願いしたいと思います。     〔委員長退席、保利委員長代理着席〕
  68. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 林業におきます労働災害の発生状況でございますけれども、幸いにいたしまして近年減少してきているものの、災害件数といたしましては、昭和五十五年の一万二千四百九十件、それから昭和六十年の八千四百九十八件ということで、まだ絶対数において八千件を超える労働災害が発生しているわけでございます。そして、こういう八千件を超す発生というのも、林業が傾斜地でございますとかいろいろの作業環境も原因でございますけれども、いずれにいたしましても、何とかこういう災害が発生しないよう努めたいと思っておりまして、いろいろな防止対策措置も講じているわけでございます。  一方、振動障害でございますけれども、民間林業労働者のうち、振動障害として新規に認定された者の数は、昭和五十三年が千四百三十一人ということでピークでございますけれども、その後、幸いにしていろいろな努力の積み上げということで減ってまいりました。昭和六十年にはピーク時の約五分の一の三百七人というところまでおかげさまで減ってはきておりますけれども、依然として三百台の新規認定者がいるということでございますので、今後とも振動障害についてはいろいろな対策を講じてまいりたいと考えております。
  69. 前島秀行

    前島委員 労災というのは、林業労働者の高齢化というものと裏腹の関係になっている面も非常にあると思うのですね。そういう面で、民間に働く林業労働者が高齢化しておる、若い人を確保しなければいかぬというのは、私はこれから絶対必要だと思うのです。少なくとも、林業を産業として成長させていくためにも絶対必要だろう。賃金の面あるいはこういう社会保障、労働保険等の面から見ても、いわゆる労働災害の面から見ても、本当に最低の状況に置かれていると言っても過言ではないと私は思うのです。労働災害も、鉱山という特殊なものは、これは本当に特殊で、一度爆発したら何百人死ぬということですから例外として、労働災害一つとったって、どの産業と比べても死亡率にしても度数にしても強度にしても最高、つまり最低の条件の中にあるというふうに言わざるを得ないと私は思うのです。こういう労働条件の改善を根本的にやらない限り若い労働力は確保できないということにつながると思うのです。そういう面で、ただそれぞれの制度に加入を促進するんだというだけでは、この実態から見て対応できないと私は思うわけであります。それで、従来、社会党が林業労働法というような問題を提起し、皆さんにも一定の御議論をいただいているところであるわけですが、安全対策、賃金の面、社会保障の面、保険の面、労働災害等を見て本当に不十分な対策だというふうに断言せざるを得ないと思うのです。  そういうことで、大臣、この実態から見て、本当に基本的に対応するためには抜本的な対策をとらなければいかぬだろうと私は思うのです。先ほど来、林業振興のいろいろな対応ができた、今度も法改正をした、私はそのことはいいと思うのです。しかし、そういう法改正をしたりいろいろな対応をするけれども、肝心の働き手を確保しなければどうしようもない。十年、十五年後は国産材の時代が来るのだと白書で言っているわけです。そうすると、その十年、十五年後は、この実態から見ると高齢者が全部やめてしまって労働力がないという状況なので、抜本的な対応をしなければやっていけなくなってしまうと思うのですが、その辺のところの基本的な認識と見解大臣にぜひ承っておきたいと思います。
  70. 加藤六月

    加藤国務大臣 林業労働力育成確保する上で労働条件の改善に努めていくことは極めて重要であると考えております。このため、山村における人々が希望を持って林業に取り組んでいけるように林業活性化し、産業として魅力あるものにしていくことが必要でございます。そこで、林業生産基盤の整備、山村における就業機会の確保と生活環境の整備林業事業体の経営基盤の強化、労働条件の改善のための指導等々を強力に推進してまいりたい考えでございます。
  71. 前島秀行

    前島委員 特に要望をしておきたいのは、制度があるんだから、民間なんだから、それぞれの人たちに加入を促進させてもらうのだということだけで事済まないという実態だろうと私は思うのです。社会保険等々にしても、実態がそういうものであるならば実態に合ったような制度をつくるくらいの基本的な構えがない限り解決しないだろう、私はこういうふうに思います。民間に働く林業労働者の安定、雇用確保、そのことは同時に森林組合等々の経営の安定にも通ずる道だと思いますので、その面でぜひ一層の御努力をお願いしたいと思います。  それから、今回の法改正の効果というものが、今言ったような面からも、あるいは具体的に森林組合事業拡大するという面でも、活性化あるいは経営安定にどう通ずるかということが大事だろうと私は思うのです。そういう面で、今度の法改正に当たって、林野庁が具体的にどういう効果を期待しているのか、それは具体的にどういう数値として見積もっているのか、その辺のところの見解を最初に伺っておきたい、こういうふうに思います。
  72. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 今回の制度改正は、組合員の森林経営の多角化なり活性化を図るための措置として、貸し付けなり購買事業の範囲を拡大するということ、それと同時に、共同施業規程制度を設けるということが第一点でございます。それから第二点としては、森林組合の経営の多角化を図るということで、建物等の建設事業なり食用キノコの生産等を創設したということでございます。それから第三点は、森林組合事業活動を支援するための措置として、連合会の事業範囲を若干拡大させていただいたこと、それから第四点が、そういう機能充実だけではなくて、森林組合の組織、経営基盤そのものを強化したいということで合併促進ということに相なっているわけでございます。したがいまして、今回の改正によりますいろいろな措置活用されますれば、今回の改正でねらっております組合員の森林経営の多角化を通じての組合利用が増大することが考えられますし、それから、例えば共同施業規程制度というようなものを通じての組合自体の森林経営の多角化でございますとか、あるいは組織強化も期待されまして、森林組合の経営改善が大きく一歩前進するのじゃないかととらえているわけでございます。  具体的にお尋ねがございましたそれぞれの事業効果としての数字でございますけれども、これは新しくこういう事業の道を開いたということで、これをどういう組合がどういうスタンスでそれぞれ取り組んでいくかということはこれからのそれぞれの地域の実態に応じた話でございまして、事業別に、この事業について何億円の事業効果でございますとか、あるいは何億円の購買事業が活発になるとか、そういう計数的なお答えができないのは残念でございますけれども、いずれにいたしましても、こういう新しい法律によって開いていただきます事業を十二分に活用して、組合自体の経営の安定なり活性化に寄与できるものと考えております。
  73. 前島秀行

    前島委員 本当に真剣にと言っては語弊があるかもしれませんけれども、森林組合の皆さんにとって今度の法改正はある意味においては相当期待というものがあるし、画期的な部分もあると私は思うのですね。そういう面では、それをより効果あらしめるためにまたいろいろな手だてというものも必要だろう、こういうふうに思います。法改正だけすればいいんだ、あとはひとつというふうなわけにはいかぬ部分もあると私は思うのです。今度の法改正の中で新しい事業をやる、こう言うわけですね。ということは、森林組合の皆さんが新しい事業をやれるような手だてをしたんだ、活動の間口を広げたんだということになるわけであります。新しいものを開くのですから、それには当然いろいろな面で手だてをする必要が出てくると私は思うのです。  そういう面で、先ほどから出ていましたように、例えば建築ができるようになったのですから、では、今森林組合の皆さんの実態の中で図面を引ける人があるのかどうなのかということになってくるといろいろな議論があるところだと思うのですね。先ほど言いましたように、キノコをやったらいいけれども、それが一体その他の既存のものとの関係でどうなるのかということもいろいろ出てくるだろう。過去いろいろな中で新しいものをやれといってみんな飛び込んだけれども、何年かしないうちに逆に過剰になってマイナスになってしまうということが過去のいろいろな新規の事業をやるというときに出てきたと私は思うのですね。そういう面では、先ほどの石橋委員の質問にもありますように、人材の問題ということが伴わなければしようがないと私は思う。そういう新しい事業をやるために指導者も整えなくてはいかぬだろうし、森林組合のそういう面での評価というものもついて回らなければ本当の効果は出てこない、あるいはそれをより実効あらしめるための資金的な手だてというものも伴わなければ本当の意味の効果は出てこないだろうと私は思うのです。法改正そのものは私は否定しないし、非常に画期的なものでいいことですけれども、そういう手だてをして初めて本当の意味の効果が出てくるのだろう、こういうふうに思うわけですね。そういう面では、今度の法改正だけでもってその後の手だて、それを実効あらしめる手だてが伴っていないというのは私は非常に残念だ。それは認めますね。その辺のところはどうですか。
  74. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 法律改正で事業能力を拡大するのはあくまでも入れ物といいますか器といいますか、そういう次元の話でございまして、これが本当に組合の経営の活性化につながるかということは、ただいま先生から御指摘ありましたように、人材の育成なりその他のいろいろな具体的手だてが入って初めて魂が入っていくということでございますので、人材確保を初めとする援護措置というものは従前以上に当方としてもとっていかなければならないものというふうに心得ております。
  75. 前島秀行

    前島委員 白書を読みますと、確かに日本を取り巻く山の状況は厳しい。また、先ほど長官も、そのことについては各省一致して認めているんだと言われた。いわゆる総論はだれしも反対する人はいない。ところが白書を見ると、まず考え方の根底にして自助努力というのが出てくるわけですね。私は、それぞれ森林組合の皆さんもそれなりに一生懸命努力をしてきていると思うのです。ただ、私のところで、今度の統一自治体選挙で森林組合長さんが村長選挙に出て選挙違反でつかまったというのが静岡の方できのう新聞に出ていましたので、そういう事態は非常に残念ですけれども、まあ、これは例外としまして、それぞれ努力をしている。そういう努力をそれぞれの分野でしているにもかかわらずこういう実態なんだからということになってくると、やはり政府の努力、政府の対応ということを期待せざるを得ない。自助努力だけでは解決をしないという問題が出てくる。これが私は現実だろうと思うのですね。  そういう意味から木材需要拡大ということを考えてみるときに、いろいろな拡大の努力をしているということは私は認めますし、その努力には敬意を表するのですけれども、六十二年度の予算の中で、林野庁からいただいた資料では需要拡大に伴う予算を伴う問題だけで十四億一千七百万円、昨年より六千六百万円ふえている。こういう財政状況の中で、マイナスシーリングの中でふえているのだからいい方じゃないかと大臣言うかもしれませんけれども、緊急対策として、あるいは五カ年計画としてという言葉がまくらについている限り、あるいは現在置かれておる森林林業の実態から見て、これは大臣、十分だとは言えないと私は思うのです。先ほど来、需要拡大ということになってくると金が伴うからついそこはと、こういうふうにすぐそっちが出てくるわけですね。そういう意味で、そんなに金をかけなくても、需要拡大の手だてというのはそれなりに行政の努力という問題があるのではないだろうか。例えば、諸制度を見直す中で需要拡大を図っていく。先ほど出ていました建築基準法の問題だとかあるいは住宅内需拡大とも絡んできて住宅建設拡大の必要がある、そのときの住宅金融公庫の融資が、もう一度検討をしてみて木材需要拡大のところにマイナス作用しているものはないだろうか、私はあると思っています。あるいは消防法の問題だとか、あるいは流通という問題を基本的に検討をしてみる。この財政状況の中でそんなに金が要らなくても、行政の努力、各省庁との協力、総論は賛成とこう言っているわけですから、そういう努力をする中で私は需要拡大の道というものもあるだろうと思うのです。  税金の問題だってそうだと思いますね。今年度の税制の改革の中で相続その他に伴う税制改革をなされたということは非常に前進であるし、大いに意味のあることだと私は思います。だけれども、その率を上げたり下げたりするだけではなくして、先ほどありましたように、相続税の問題はもっと根本的に変える必要があるのじゃないだろうか。新たな制度を創設するくらいの思い切ったことをしないと、税制の面からでもこの需要拡大につながらないという面も出てくると私は思うのです。そういう面で、行政の努力、農水省の努力、そして総論で賛成をしているのですから、いわば政府の内部の努力でもって需要拡大に通ずる道はいろいろあるだろうと思うのです。それを具体的にやるということは不可能ではないと思うのです。財政状況が厳しい云々とは別に、やる努力の道はあると思うのですが、その辺、大臣、どうでしょうか。
  76. 加藤六月

    加藤国務大臣 今お願いしておる法案というのは、ある面で申し上げますとハードの改正のお願いでございまして、今度はその中のソフトをあらゆる手段、方法を講じて充実していくということは大切だと思います。午前中もお答え申し上げたわけでございますが、金融、税制についても総合的に判断してやっていく、そしてまた、先ほども長官からお答えさせておいたところでございますけれども、木材需要拡大の推進緊急対策としては大きく分けて三つあるし、その中身を見ますと、それぞれ非常にたくさんの中身をやるようにいたしております。これらを総合的に実施していくということではないだろうか、こう思っておるわけでございます。  我が国の林業木材産業の活性化ということは、先ほど来先生も御指摘のようにみんなが認識しておることでございますから、午前中もお答えいたしましたが、森林林業木材産業活力回復五カ年計画に基づく需要拡大緊急対策を実施していきますとともに、関係省庁に対しましても木材の利用促進について協力を要請し、学校施設本質化など一定の前進を見ているところでございます。昨日も文部大臣といろいろ話をしました。公民館では、完全木造の公民館等も次々につくっていただいておる町村も出てきておる等々のことでありますから、総論賛成、各論賛成で今後大いにやっていきたいと考えておるわけでございまして、総論賛成、各論反対というようなことは断じてやらせないつもりでございます。
  77. 前島秀行

    前島委員 大いに需要拡大のために御努力を願いたいと思うのですが、その需要拡大のときに国産というものがついてこないと、今の日本の林業振興ということですから意味がない。この一連の予算あるいは政府のいろいろな内需拡大対策を見ますと、国産という言葉が出てくるとは必ずしも言い切れない。やはり需要拡大国産材拡大に結びつかないと最終的には意味がない。組合の皆さんにとっても、そこで働く者にとっても、国産材需要に結びつかないと意味がないわけですけれども、そういう面では国産材ということが若干弱いのではないかと思いますが、大臣、その辺のところをひとつ。
  78. 加藤六月

    加藤国務大臣 今、私が申し上げたのも国産材中心としてでございます。林野庁当局に対しまして、国産材需要拡大していくためにさらに何かインセンティブのいいものをつける方法はないかと大いに検討し、その案をつくるようにということも私は指示してございます。
  79. 前島秀行

    前島委員 内需拡大との兼ね合いで、辻委員を初め、林道の問題等いろいろ出たと思うのです。要は、それをやるために大臣がどれだけ頑張るかという、いわば制度的な改正の努力あるいは民間の努力、こういうものはそれぞれ大いにやってもらうということと同時に、片っ方で財政状況が厳しい、しかし林業の置かれておる実態についてはだれしも総論賛成ということになってくると、最後は、政府なり大臣なり内閣の基本的な姿勢というものが残ってくるだろうと私は思うのです。そこが最後に残されてくるだろうと思うのです。そういう面で民間、それぞれの皆さんが自助努力をやるということは当然です。最大限の努力をするということだと思うけれども、置かれておる実態から見たときに、政府なり林野庁の姿勢というものを基本的に日本の政治の中でどう位置づけてくるかという問題、最後はそこへ行き着くと私は思うのです。  そういう面で、森林林業の社会的効果といいましょうか役割ということが先ほど出ていましたね。かつて二十四兆円だったという試算をされた。これがいいか悪いかは別問題としても、その試算に基づけば三十兆円だと現実に言われているわけです。特に、先ほどとの関連の中で税制改革という問題が大きな政治のテーマになっているわけですね。これは、議論としては取る方の部分が全体としては今多いわけですけれども、先ほどの森林の持っておる公益的機能ということを評価するならば、この一連の税制改革の中で、大臣が努力することによって、林業再建というものを政治に大きく位置づけるだけの価値があるだろうと思うのです。特にこれからの日本の政治ということを展望するときに、やはり環境という問題あるいは文化という問題が政治の中で問われてくると私は思うのです。産業中心でずっと来た、内需拡大という議論も、その前提は、これからの生活環境とか暮らしとかあるいは文化という面に目を向けていく政治をやらない限り今起こっておる国際的な課題というものを解決していけない。これも政治姿勢ということになるだろう。内閣のどこに柱を置くかということになれば、具体的には大臣がどれだけ努力するか、どれだけ頑張るかという道に最後は行き着くだろうと私は思うのです。そういう面で私は、特に税制改革が議論になっているわけですから、森林組合事業体の皆さんの経営安定という観点から見ても、税の位置づけというものは非常に大きいと思うのです。そういう面で、これからの政治の中で林業振興というものをどう位置づけていくのか、最後で恐縮でございますが、その辺の大臣の御見解を伺って、終わりにしたいと思います。
  80. 加藤六月

    加藤国務大臣 森林林業の重要性についてはいかなる方面においてもお認めいただいておるわけでございます。そして、それに対するいろいろなアプローチ、手法はあるわけでございます。森林を経済性だけでとらえることなく、公益的機能、公益性という問題をどれほど評価し、それを政策手段の上でどのようにしていくかというところに大変いろいろな議論があるわけでございます。  特に、先生が最終的に御指摘になられました税制のことで言いますと、森林林業活性化あるいは生産基盤の強化という意味における税制改正ということと、それから木材需要拡大のための税制という両面を考えなくてはならないのではないか。私は、ここ数年の住宅建設住宅減税等にもそれぞれ取り組んできた一人でございますけれども、そういう中においても、農林大臣就任以来、林野庁の諸君に言っておるのは、住宅減税だけを言うのでは林野庁の本当の行政ではない、その中における木材使用ということをどうやるか、そして先ほどもお答え申し上げましたが、その中における国産材をどうインセンティブをつけていけるかという問題等があるわけでございまして、午前中は相続税の問題等々も出ておりましたが、林業活性化のため、あるいは生産基盤を確かなものにするための税制という問題、そして木材需要拡大のための税制、そういった面に十分配意しながら今後やっていかなくてはならないと考えておるところでございます。
  81. 前島秀行

    前島委員 終わります。
  82. 保利耕輔

    ○保利委員長代理 玉城栄一君。
  83. 玉城栄一

    ○玉城委員 林業等振興資金融通暫定措置法の一部改正並びに森林組合法及び森林組合合併助成法の一部改正、あわせて御質問させていただきたいと思います。  最初に、大臣に基本的な点を一点お伺いしておきたいわけであります。  先ほどからるる御答弁もございますとおり、我が国の林業を取り巻く情勢は極めて厳しい。木材需要の減退あるいはまた材価の低迷であるとか景気の変動、いろいろ客観的な情勢がある。そういうことで、これまでの林業に対しての基本的な方向といいますか、これは一部軌道修正も含めてそういうことが考えられるわけであります。そういうこともおっしゃっていると思うのですが、基本的にどのように私たち理解しておけばよいのか、林業のこれからの方向性についてお伺いしておきたいと思います。
  84. 加藤六月

    加藤国務大臣 我が国林業木材産業をめぐる情勢は極めて厳しいものがある、それは、木材需要の停滞、円高等による材価の下落あるいは林業経費の増高等によるものであるということはもう先生御存じのとおりでございますが、こうした中で林業木材産業の一層の体質強化活性化を図ることとしまして、昨年十一月に、今後の林政の進むべき方向に関する林政審議会の報告をいただいておるところでございます。したがいまして、この林政審議会の報告を踏まえまして、農林水産省としましては、先ほど来議論も出ましたが、まず第一は木材需要拡大ということ、それから造林林道等生産基盤整備ということ、それから、これもちょっとお答えしましたが、国産材主産地の形成と担い手の育成確保、それから四番目は、木材産業の体質強化木材流通の改善、それから五番目は、山村振興森林総合的利用促進、こういうものを各般の施策を通じて推進していかなくてはならないということと、これも先ほど若干お答えしましたが、目下、森林林業木材産業活力回復五カ年計画を実施しているところでございます。こういう問題全体を含めまして、今後、金融、税制を含めた総合的な林業振興施策を推進していかなくてはならないと考えておるところでございます。
  85. 玉城栄一

    ○玉城委員 たくさんいろいろとなさるわけでございましょうが、実は、例えば森林資源整備、そういう施業の面でこれまで林野庁が行ってきた林野行政の時代といいますか客観情勢といいますか、そういう中でひずみが出てきているわけですね。ですから、去年「林政の基本方向 森林の危機の克服に向けて」という林政審議会の答申もあるわけです。今までずっと進めてきた林野行政の路線を修正しなくてはならないというようなことが書かれていると私は理解しているわけです。それはそれとして、当然そういう方向の時代にあって、あるいは林業活性化ということは当然そうされなくてはいけませんけれども、しかし今まで進めてきたこの林業行政によって出てきたひずみというものはまたちゃんとしていただかないといけないわけですね。  それで長官、大変御苦労されて、今回もいろいろとこういう法律を出されまして、そういう時代にあってまだ軌道も修正しながら、あえて私は林野庁に今までの林野行政が間違っていたとかそんなことは言いません。少なくとも一部やはり正しくはなかった面があったということは客観的に言えると思うのです。ただ、それを修正されながらいろいろな法案を国会にも出されて、そしてもっと林業というものを活性化させ、あるいは地域林業を振興させようと大変御努力していらっしゃる、これは大変評価もするわけです。  そこで私はこの機会にちょっと、ちょっとどころか大きくお伺いしておきたいわけでありますが、従来例えば天然林、自然林を皆伐しますね、そしてそこで人工林を造林しますね。そしていわゆる拡大造林という手法といいますか拡大造林主義といいますか、そういう手法をとってこられた。ところが林政審議会の答申では、その辺について修正しなくてはならぬという意味のことを書いてございますね。ちょっとその辺の長官の御所見をお伺いしたいのです。
  86. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 我が国の経済なり社会というものは非常に成熟化してまいりまして、ひところより森林に対します公益的機能に対する要請でございますとかがいろいろ出てまいりましたし、それから木材需要そのものも非常に多様化して質的に変わってきた点があるわけでございます。こういう点を踏まえまして、林政審から、ただいま御指摘ありましたように昨年の十一月に、今後の森林整備についての考え方の基本というものが示されたわけでございます。そしてこの骨格は、簡単に御紹介いたしますと、人工林の適正な整備という従来の路線に加えまして、これは従来から徐々にこういう方向には転換してきたわけでございますけれども、複層林の造成なりあるいは天然林の施業を今まで以上に積極的に展開する、あるいは広葉樹林の積極的な造成という方向が示されておりますし、それから自然保護をより重視した形での森林施業というようなことも提唱されております。それからさらに、レクリエーション需要でございますとかこういうものに備えまして、森林総合的利用の観点からの林地の多様な森林整備ということが言われておりますし、それからさらに、木材需要動向とも絡みまして、木材供給力を平準化するための伐期年齢の長期化、多様化というものも指摘されておるわけでございます。  こういう方向というものは、ここ数年いろいろな現場なり、それから我々林野庁自体においても意識としてあった形でございますけれども、ここのところに来ていろいろな問題が重なりまして、しかも林政審議会から具体的にこういう長期的な施策の基本が示されたということでございますので、我々もこういう方向に沿いまして、いろいろな長期見通しなりあるいは森林計画なり、こういうものの見直しをすべく現在鋭意努力中でございます。
  87. 玉城栄一

    ○玉城委員 今長官もおっしゃいましたとおり、従来そういう手法で人工林の拡大造林主義、それはそれなりに私は役割はあったと思います。しかし、それはこれからはもう無理ですよ。むしろさっき申し上げましたとおり一つのひずみができている。ですから今天然林、自然林というもの、その辺のポイントもこれから大事ではないか、そういう意味のことが私は書かれていると理解して、もう一回この部分の答申を読んでみたいのですが、「自然保護をより重視した森林施業の推進 林業は、長い歴史の中で培われた人間の英知の下に、太陽、水等の自然を活用することによって木材生産を行い、この過程で自然環境の保全・形成等森林の有する公益的機能を広く国民に提供するものであり、本来的に自然保護を内在している。」云々、こういうことがいろいろあります。もう一カ所は「森林の有する公益的機能の高度発揮と多様な木材需要に対応していくため、人工林については、皆伐新植による一斉林ばかりでなく、森林の裸地化を回避し、同一林分より」云々、こう従来のような人工林、いわゆる拡大造林にポイントを置いたものではない。それも一定の役割は今後もされることは否定はできないわけですけれども、自然林あるいは天然林の持つ公益的機能というものをさらに重視しなくてはならない、そういう施策林野庁もこれからもさらにとっていかれる、こういうことだと私は理解するわけです。  それで、余り時間もありませんのでひとつ環境庁の方に伺いたいわけでありますが、いわゆる沖縄本島北部の森林地域には、御存じのとおり、御専門ですから、特別天然記念物ノグチゲラ、それから天然記念物ヤンバルクイナ等、いわゆる世界でも非常に珍しい特異な地域だと思います。その特異性と今の状況、ノグチゲラは絶滅寸前であるという関係者の厳しい非常に憂慮する指摘があるわけですが、その点は環境庁はどのように掌握をして状況を認識していらっしゃるのか、お伺いいたします。
  88. 佐野弘

    ○佐野説明員 ただいま御指摘がありましたように、沖縄本島の北部、山原地域と言っておりますが、その地域は、この島にしかすんでいないノグチゲラとかヤンバルクイナ、そういった貴重な鳥類が生息しておりますので、野生生物保護対策を進める立場の環境庁といたしまして、非常に貴重な場所であるという認識を持っております。さらに御指摘のように、ノグチゲラにつきましては私ども各般の調査、いろいろなデータ等をもとにしまして、およそ百羽程度しかあの地域に生息していないのではないかというふうに推定しているわけでございますが、この数字は非常に少なくて絶滅のおそれがあるという認識に立っているわけでございます。
  89. 玉城栄一

    ○玉城委員 今環境庁の方が、特別天然記念物であるノグチゲラについては百羽内の生息ではないかという推定、そして絶滅のおそれがあるという認識をおっしゃいました。その絶滅のおそれがあるという認識はどういうことでそういう考えを持っていらっしゃるわけですか。その原因とか理由とか、何かおっしゃっていただきたいと思います。
  90. 佐野弘

    ○佐野説明員 鳥類につきましてどの程度の数になると絶滅のおそれがあるかということにつきましては、特別に学問的な裏づけがあるわけではございませんけれども、ノグチゲラは御案内のとおりキツツキの一種でございます、したがいまして、水鳥のように群れをつくって生息している鳥類でございませんので、どうしてもその生活のためには立ち木が必要でございます、巣をつくったりするために。したがいまして、絶滅のおそれがあるというのは、もともとこの地域にそれではノグチゲラが昔は数千羽いて、最近百羽になったというような意味ではないと思いますけれども、とにかく百羽というオーダーは、一つの種の鳥が今後とも生息していく数にしては非常に少ない。  さらに、最近あの地域森林の伐採の問題が一つの要因となって考えられるわけでございますけれども、私ども環境庁といたしましても、この地域が沖縄における古くからの林業地帯であって、林業そのものがこの地域における基幹的な産業の一つであり、一方的に林業をやめてノグチゲラの保護を図るべきだという考え方に立つのはどうかという認識を持っております。したがいまして、林業もあるいはノグチゲラの保護も両立できるような一つの知恵を出していく必要があるのでは狂いか、そのように考えておるわけでございます。
  91. 玉城栄一

    ○玉城委員 きょうは農水委員会で、ここは林野庁の幹部がいらっしゃる前ですから両論並立みたいなことをおっしゃっておりますが、森林の伐採も絶滅につながる一つの理由だという意味のことをおっしゃっていますね。そうかといって林業を全部外す、そんな極端なことではなくて。それで私、あの地域の写真を持ってきましたので、ぜひ大臣に一はげ出なんです。乱伐がただいまも進行中であるということで、もうノグチゲラの絶滅寸前というような大変厳しい状況にあるわけです。  それで、今も大臣がおっしゃいましたとおり、私はこれに関する新聞のメモも、大臣のコメントから長官のコメントからずっと読ませていただきました。それから、世界野生生物基金日本委員会の陳情書、要請書、これは林野庁長官、環境庁長官ということで、大臣も当然ごらんになっておると思います。いろいろな自然保護団体の方々も林野庁の方にはもう何回も来ていると思うのですが、長官、これはどういう対策をこれまでとってこられましたか、お伺いいたします。
  92. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 沖縄の北部地域は、ただいま環境庁の方からも答弁がありましたように、沖縄では一番の林業地域でございまして、林業そのものが森林といいますか生態系に立脚して行われております再生産活動でございまして、林業と自然とは相対立するものではなくて本来調和してしかるべきものでございますし、そのための知恵を出すのが林野行政と心得ております。したがいまして、ああいう地域でございますので林業そのものも施業ができ、しかも鳥類なりその他の非常に貴重な動植物が現存しております地域であることは間違いございませんし、自然景観という点をとりましても非常に残すべき地域でございますので、そういう自然景観なり鳥獣というものにも十分配慮した形での林業というものをこれからも考究してまいりたいと考えております。     〔保利委員長代理退席、近藤(元)委員長代理着席〕
  93. 玉城栄一

    ○玉城委員 これ長官でなくて結構ですが、この間の委員会でも私が長官に申し上げましたとおり、沖縄が本土に返還されましてちょうど十五年、以来さっき申し上げましたように天然林を皆伐し、人工林、いわゆる拡大造林主義みたいなものがこの機会に極度に——極度といいますか全体が四割、しかしまだ沖縄の場合一割というのですが、そういう比較ではなくて、さっき大臣も写真をごらんになったように、はげ山なんかがあの地域にあるということが現象として出てきているわけです。四十七年に復帰しまして、四十八年からこれまで、もちろん国有林ではありません、国有林でないことはよくわかりますが、森林を伐採した量といいますか面積を概略おっしゃっていただきたい。  また、沖縄北部に関しての地域森林計画、五十九年から六十九年までの十年間で約二千三百ヘクタールという伐採計画があの地域にあるわけですね。今ごらんになった写真ですらはげ山ですから、こんなことをされますといよいよ絶滅する。林野庁としても重大問題になるわけですが、その辺をちょっと御説明いただきたいわけです。
  94. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 全体で北部地域林業地帯が、たしか五万四千ヘクタールほどあったはずでございます。このうち復帰後十五年間でどれだけ伐採したかという数字は今手元にございませんけれども、今先生からお話がございました地域森林計画との関係では、五十四年から五十八年まで一カ年平均の伐採計画量が二万七千立米ということでやってきておりましたが、実績もほぼこの計画どおりということでございます。面積で見ましても、ここ五、六年大体二百ヘクタール強という形の伐採でございますので、全体の五万数千ヘクタールという森林面積からいいますと、今御指摘のありましたようなはげ出とかということは本来ないはずでございますけれども、地域によりましてはダムの構築等とも絡みまして一地点に集中していたという点も見受けられるようでございますので、そういうところにつきましては若干過伐ぎみであったという地域もあることは事実でございます。しかし、全体といたしましては従来森林計画で立てたことに従いましてやってきておりますし、ここのところは、五十九年から新しい地域森林計画が立てられて六十八年度までの計画でいいますと、毎年二万九千立米ほど切るという計画になっておりますけれども、実績といたしましては一万七千立米から一万八千立米ということで、地域森林計画の予定伐採計画量に対しておおむね六割程度に実際の伐採も抑えているということで、森林の保全なり水資源の涵養、自然景観、鳥獣の保護ということにつきましては、ここ数年はいろいろな認識の上に立っての適切な施業が行われてきているのではないかというふうには認識しております。
  95. 玉城栄一

    ○玉城委員 長官のおっしゃっているとおりだと思うのですが、私はヘクタールで申し上げますと、これは私がここで座っていたときの計算ですけれども、この十五年間で約三千四百五十ヘクタール、これは大分ぶれもあるかもしれませんが、年間大体二百ないし三百ヘクタールです。これは県の地域森林計画ですが、さらにさっきの六十九年までのものを順調に計画どおり実行するとなりますと、合わせて五千ヘクタールくらいということなんですね。今長官おっしゃいましたように最近は六割程度ですが、この計画以前は一〇〇%を超えて伐採している年もあるわけですからね。  いずれにしても、こういう状態であり、さらにそういう特殊な地域であるだけに、この地域森林計画は当然見直さなくてはならない。先ほど私はあえて林政審の答申を申し上げましたとおり、そういうものを踏まえて、こういう地域森林計画、全国的な伐採計画というものは見直しをされるわけでしょう。それは既定方針どおりされる、こういうことですか。
  96. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 先ほど申し上げましたように、林政審の報告に即しまして林野庁自体が森林資源基本計画なり全国森林計画の改定を予定しておるわけでございますので、これを受けて、都道府県段階におきましても、それぞれの実情に応じて地域森林計画を変更していただくという基本方針に従いまして各都道府県を指導しているところでございます。
  97. 玉城栄一

    ○玉城委員 この計画も十年計画ですね。これは大体五年で見直す。沖縄の計画も五十九年から六十九年の十年間ですから、五年といいますと六十四年ですね。今までの考え方でも六十四年には一応見直しをする。しかし、新たにこういう答申に基づいて考え方を変えていくというのはやはり全国的にされるわけでしょう。これは六十三年からと伺っていますが、そうすると、それに沿ってこういう地域森林計画というものも早い機会に見直しをされていく、当然そのように理解すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  98. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 考え方としては先生のおっしゃるとおりでございますけれども、若干役所の手続的な問題といたしましては、全国森林計画が明年度改定予定ということで今いろいろな手続に入っているわけでございますが、そういう全国と調整といいますか、調和のとれた形でそれぞれの地域計画が積み重なってぐるということが望ましい形でございますので、沖縄という特殊事情と緊要性はございますけれども、そういう全体の流れの中で、新しい方向に即した新地域森林計画を樹立してもらうベく現在沖縄県に対して指導を行っているというところでございます。
  99. 玉城栄一

    ○玉城委員 これはこういう機会にしつこく長官に伺っておきますが、この地域はノグチゲラであるとかそういう特殊な地域であるだけに、やはり一般的な形で画一的に、この部分は全国的にこういう調整だからここもそういく、そういう論理じゃなくて、ここはそういう特殊な鳥獣が生息している、しかもそれが危険な状態に置かれているというところを当然配慮された形での森林計画というものを林野庁と県と市と相談されながらやるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  100. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 手続的には今言いましたようなことでございますけれども、実態的に先生のような御心配がございますので、いろいろと現地段階と話し合いもしておりまして、鳥獣保護区でございますとかいろいろな仕組みを使いまして、あそこで残すべきところは残す、円滑な施業のできるところはするということでもう既に着手しておるわけでございます。その一つのあらわれが、先ほどお話ししましたように、現在の地域森林計画に比べますと実際の伐採量も六割まで、いろいろな価格関係でございますとかほかの経済的問題ももちろんございますけれども、そこまで良識的な対応をしてきているというのが現状かと思っております。
  101. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど来いろいろおっしゃっておられます。私も先ほど先生御提示の写真その他をいろいろ見させていただき、また琉球大学、沖縄大学の先生や、現地あるいは東京の鳥獣保護のために熱心にやっておられる皆さんにもお会いし、片一方、林野庁の皆さん方にも集まってもらいましていろいろやってきました。ただいまお見せいただいたような伐採の方法はもうやらない、やらせないという一つの大きな問題は、今長官がお答えしましたような線で指導済みだと思います。  それから、その後同じく長官がお答えしましたが、一つはダム、沖縄の最大の問題はやはり水という問題で、この水という問題とダムに関連する伐採の問題、これはまた別の関係ではありますが、いろいろ配慮していかなければならぬ。  それからもう一つは、実はチップ工場のぎりぎりの雇用の問題として考えた場合にどういう材がどの程度要るのか。あるいは沖縄の材を使う場合と輸入材を使った場合はどうなるのだ。この雇用ということも沖縄にとっては大変大切でございますし、特に北部のあのあたりにおきましては雇用の場というのがなかなかないということ等で、そういう問題全体について大いに検討するようにという指示はいたしてございます。そこら辺全体を踏まえて、今後森林というものと自然環境の保全ということと林業活性化ということが、限られた地域のそういう中でぎりぎりの成り立つ方法を鋭意今勉強し、努力しておるということをひとつ御理解おきいただきたい、こう思うわけでございます。
  102. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣の大変御理解ある御見解を承りました。  私がなぜきょうこれを強調しておるかというのは、農水省、林野庁は、国民のイメージとして自然保護について大変冷たい役所である、例の知床国有林伐採問題を含めて長い期間、あるいは切る場面はテレビで生々しく国民に映されたわけですから、林野庁というのは緑を大事にする役所だと思ったけれども、冷たいどころかむしろ自然を破壊しているのが林野庁だ、そういうイメージなきにしもあらずなんですね。ですから、今大臣もおっしゃいましたとおり、しかも環境庁もここの委員会林業も大事だ、産業も大事だということを——私は地元の選出の議員でありますだけに、おっしゃるとおりなんです。ただ、この機会に、沖縄本島の北部のあの地域は極めて特殊なところであるだけに、林野庁が環境保全といいますか自然を大事にするという姿勢をこの際強く出していただくことが、これから林野庁の将来にとっても、いろいろな厳しい条件であるだけに非常に大事なことではないか、こう思うわけであります。  そこで大臣、御存じのとおり沖縄県の場合、約四千五百ヘクタールぐらいですか、明治四十二年勅令貸付国有林が八十年契約で、これが再来年に期限が来るわけですね。地元の方は無償譲渡してくれという、私もそうしてもらいたい。それはそれとしても、これがどういう形で解決されるかは別にしても、ただ、八十年という一つの長い期間の区切りが来るわけです。これは今ほとんど米軍に提供されている区域に入っているわけです。県が今管理しているわけです、無償供与で。これが八十年後の再来年に帰ってくるということは一つのチャンスといいますか機会、こういう機会に、今非常に危機的な状況にあるという自然保護の問題に林野庁がどういう姿勢を示すか、これはぜひ御検討していただきたいと思うのです。  大臣のお考えも承りたいのですが、例えば保安林に、保安林というのは十一いろいろな項目がありますね、水資源涵養林であるとか保健、いわゆる国民の健康のためのそういうものであるとか、私は、やる気があればそれに十分該当すると思います。ですからそういう民有林を、森林法に基づく保安林の指定によって、あるいはまたちゃんとその分の救済の条項もありますから、そういうものも含めてノグチゲラとか何らかの自然保護という姿勢を林野庁が出される。あるいはもう一つは、国有林について例の遺伝子保存林ですか、長官もこの前の委員会でちらっとそのことをおっしゃっておられました。いろいろな検討の段階だということもわかりますが、そういうものであるとか、あるいはいろいろな自然保護団体があの地域で、これは林業とも関係しますけれども、サンクチュアリ運動であるとかナショナルトラストであるとか、そういう運動を民間の自然保護団体の方々がされようとするときに、林野庁とされても何らかの形でお手伝いするとか、施設に一部補助をするとかいろいろな方法はあると思うのです。  返還というそのものをどう解決するかは別にしても、一つの区切りとして、今知床問題もいろいろありますが、このノグチゲラの沖縄本島北部の問題については非常に関心が高いわけです。国内だけではなくして世界的にも関心の高い方がたくさんいるわけですから、あるいは学生も、どういうものか見に行って見れるというものではないでしょうけれども、いろいろな方法があるわけですね。サンクチュアリ、いろいろな自然保護団体がやっているわけでしょう。そういうものをひとつ考えてみるいい機会だと思うのですが、大臣、いかがでしょう。
  103. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 先般も御質問ございましたけれども、勅令貸付地が六十四年五月に返ってくる、その扱いをどうするかということは、確かに林野庁の一般の林業行政に対する一つの姿勢と、沖縄県に対する対応の一つのあらわれがそこで出てくるわけでございますので、我々といたしましても、六十四年に向かいまして現在いろいろと検討を深めているわけでございますが、いずれにいたしましても、今まで地元にああいう形で貸し付けてまいりました趣旨なり実態、それから沖縄県のいろいろな社会的、経済的な状況、あるいはあそこの自然のあり方ということを総合的に頭の中で十分めくらじまして、適切な返還後の対応というものを考えていきたいと思っております。
  104. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは向こうは無償譲渡してくれという言い方でありますので、いずれにしても長官、さっき申し上げました森林法の保安林の地域指定、これをちょっと検討してみていただけますか。
  105. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 ただいま返還後という言葉を使いましたけれども、返還じゃなくて期間経過後の対応ということに御理解いただきたいと思っております。  それから、あそこは先ほど先生からいろいろ御指摘ありました遺伝子保存林でございますとかあるいは鳥獣保護区でございますとか、そういういずれのものにするか、これはまだ具体的方法は決めておりませんけれども、あれだけの自然環境のところでございますので、そういう既存のいろいろな制度なり仕組み、そういうことを念頭に置きまして対応は十分考えるつもりでございます。
  106. 玉城栄一

    ○玉城委員 環境庁、鳥獣保護法に基づいて特別鳥獣保護区に指定したいということ、おたくの長官もことしの一月に現地を見ておられる。ところがこれはまたなかなか進まないし、また話を聞くとそのエリアも小さくなっていくというし、いつごろ設定されるのか、そして設定した場合のエリアの中に土地とか森林、これは民有林が含まれた場合にはどうされるのか、それを御説明いただきたいと思います。
  107. 佐野弘

    ○佐野説明員 ただいま御指摘ありましたように、私ども環境庁といたしまして、あの地域に今現在県が設定しております鳥獣保護区が分散的に五カ所あるわけでございますけれども、その中の一カ所、与那覇岳鳥獣保護区を拡充いたしまして、そこを国の設定する鳥獣保護区に変えたいという希望を前々から持っております。今県を通じまして地元についてその調整をお願いしているわけでございますが、やはりいろいろ利害関係者の意見がふくそうしておりまして、今のところ確実にいついつにそれを実現するというめどは立っていない状況なわけでございます。しかし私どもとしては、粘り強く地元の林業関係者とかいろいろな方々の御理解を得ながら、この鳥獣保護区の拡大をぜひ実現したい。  その際に、特別保護地区という制度がございまして、これは、通常の鳥獣保護区は別に木材の伐採とかそういうことについての制約がないわけでございますけれども、特別保護地区は原則的に木材の伐採を遠慮していただくという制度になっております。そういう私権を制約するものでございますので、環境庁といたしましては特定民有地買い上げ制度という、予算措置でございますが、制度がございます。これは民有林といっても要するに私有林に限るわけでございますけれども、特別保護地区内の私有林について、どうしても買い上げする必要があれば都道府県に購入をしていただく、都道府県が購入する際は地方債を発行して購入するわけでございますが、環境庁がその地方債の償還金それから利息の負担分、これを補助するたてまえになっております。ただし、これは五〇%とか六五%とか、補助率が一〇〇%でございませんので、沖縄県も負担を持つ必要があるわけでございます。したがいまして、こういう制度なんかを踏まえまして、地元の御理解をできるだけ深めていきたい、そのように考えておるわけでございます。     〔近藤(元)委員長代理退席、保利委員長代理着席〕
  108. 玉城栄一

    ○玉城委員 今の環境庁のおっしゃった特別保護区内の土地とか森林、いわゆる特定民有地買い上げ制度ですか、これまで国内でそれを適用した例はあるのですか。それからまた、今のノグチゲラのあの地域にその制度の適用もあり得るということですか。
  109. 佐野弘

    ○佐野説明員 特定民有地買い上げ制度は、国立公園等の自然公園と私どもの鳥獣保護区と両方に網をかぶせた制度でございまして、実績は、残念なことにほとんど国立公園関係の買い上げに集中しているわけでございますが、ただ一件だけ、昭和五十一年度に秋田県の一部につきまして、買い上げについて環境庁が助成をしたという実例はございます。  なお、あの山原地域につきましても当然都道府県がある程度、半分なり、予算措置が講じられれば、私どもとしては対象の中になり得るというふうに考えております。
  110. 玉城栄一

    ○玉城委員 半分という、前は十分の八補助したという話を聞いたんだけれども。いずれにしましても、うちの党にジャパン・グリーン会議というのがございまして、来月の八日、九日の両日、党の副委員長の多田さんを団長にして今の地域を視察に行くのですよ。その調査結果を大臣長官にも、また環境庁にも要望申し上げます。  以上で終わります。
  111. 保利耕輔

    ○保利委員長代理 武田一夫君。
  112. 武田一夫

    ○武田委員 最初に大臣にちょっとお尋ねします。  昔から、緑が美しく水のきれいなところは貧しい、こういうことを言う人がいるわけですな。こういう言葉を聞いたことはございませんか、大臣、どうですか。
  113. 加藤六月

    加藤国務大臣 ちょっと御質問の趣旨がよくわからなかったのでございますけれども、緑が豊かで水がきれいな地域は貧しいということですか。——豊かではないだろうかと思うわけでございますけれども、私も実は日本の山河というのは四季があって世界で一番いいところだな、こう思っておりましたのですが、実は若干感じを変えたときがあるわけです。それはスイスのあるところを見たとき、あるいはアメリカのあるところを高速で二時間半ほど車を飛ばして見て、ちょうど秋でございましたが、本当に高速道路周辺、十何キロ、二十キロぐらいの見渡す限りが燃えるような紅葉といいますか、そういう風景に接してみまして、四季の変化があり、そして水がきれいで美しいのは我が日本だけかと思っておったが、必ずしもそうではないのだろうかということを感じたときもございます。しかし、どこへ行っても緑が豊かで水がきれいなところは心は非常に豊かになると私は思っております。
  114. 武田一夫

    ○武田委員 やはりちょっとそれは質問の中身がわからなかったんだなと思うんだ。要するに緑が非常に大事にされて、水をきれいに守り育てる山村地域は経済的に非常に貧しい、そういう地域が多過ぎる、こういうことを山を、地域を歩いているある学者の方が、山のことをよく知っている方が言っている言葉なんです。これは後でその中身をお見せしたいと思うのですが、今法案を審議するに当たりまして、結局一番苦労しているのは、そういう国民の大事な資産として人間の生命と財産を守り、豊かで本当に住みやすい国土を支えている地域が非常に過疎になり、若い者がそこに定住をしない、そして経済的には非常に貧しいということを我々はもう一度見直して、そういう自然を、水と緑をしっかり守って国民の生活を、国土をしっかり保全するようなところをもっともっと大事にして、そしてその対応を考えなければいけないということを私は申し上げたくてこの話を取り上げたのであります。  確かに緑豊かで水のきれいなところには文化も栄えているのですが、それは、そういう中で非常に苦労している人たちの生活やら環境が、想像を絶するような苦労や経済的に脆弱な基盤があるということをひとつしっかり認識をし直して、十分なる御配慮をしてほしい、こういうふうにお願いをしておきたい、こう思ったわけでありますが、もう一度。
  115. 加藤六月

    加藤国務大臣 今我々がこの法案をお願いしておるのも実はそこにあるわけでございます。実は私も閣僚になってからは余り申し上げないのですが、田舎といいますか山村は、住みよいけれども生きにくい、それから大都市は生きやすいけれども住みにくい、これを調整するのが一番大切だということは、この間まで、農林水産大臣になるまでは至るところでそれを言っておったのでございます。その山村の生きにくいということを、将来を担う意欲ある若者が夢と希望を持って生きていけるようにしていただく、その一助に、今回の法律改正もそこをねらってお願いをしておるわけでございます。
  116. 武田一夫

    ○武田委員 そこで、きょうは国土庁も最初呼んでいたのですが、ちょっとやめました、長官も経験者だから。  四全総をこれから策定されます。これはまた随分遅いんだな、出てくるのがいろいろと地方から苦情が来て、東京中心、これは非常にいかぬじゃないかとクレームがつきましたね。森林あるいは山というものに対する認識はどんなものかというと、余り感心しないんですな、ぱらっと見ていると。山村地域活性化、山というものの重要性、そこを支えている方々に対する配慮というものをこの四全総の中にもう少し強烈に押し込めなければいかぬ。これからの国土の均衡ある発展云々と言っても、やはりそういうところが私は非常に欠けているような気がする。これから出てくるわけでありますが、大臣、国土庁長官もなさったわけでありまして、あちこち飛び回って知っているわけですから、その点ひとつ心にとどめて対応してほしいと思います。  そこで、まず最初に、森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案について何点か質問します。地域林業の中核的担い手として頑張っているのがこの森林組合でございます。その組織、経営基盤を強化することは緊急かつ重大な事業でございまして、政府も一生懸命取り組んでいかなければいけないと思います。特に最近の森林、林野行政というのは非常に厳しい環境にあるということを考えて、まず最初に、今大臣からも話がありましたような十分な御配慮をひとつ最初にお願い申し上げまして質問に入らせていただきます。  第一番目に、今回のこの法改正の中心となるものは何か、これをまず簡潔にひとつお答えいただきたい、こう思います。     〔保利委員長代理退席、委員長着席〕
  117. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 今回の改正は、要するに森林組合機能充実と組織の強化というこの二点でございます。  第一点の機能充実といたしましては、資金の貸し付け、購買事業、さらに建物等の建設事業、こういうものの事業範囲の拡大でございます。それから第二点は、森林施業の共同化を促進するということで、共同施業規程制度というものを新しく創設する点でございます。  それから、組織の強化という点では、合併の促進ということが一番の柱になっていようかと思います。
  118. 武田一夫

    ○武田委員 今回のこの改正で機能、組織の充実強化、そういうことでいろいろ具体的なものを取り上げているようでございますが、これで森林組合の健全性の維持、あるいは地域林業活性化ということが十分に期待どおりいくものかという点についてどういうふうに考えていますか。その点ひとつできれば大臣からお答えいただければ、こう思うのです。
  119. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど長官がお答えいたしましたように、事業範囲の拡大としましては、組合員の森林経営の多角化に必要な資金、資材を供給するための資金の貸し付け及び購買事業拡大、二番目は組合員の生活に必要な資金の貸し付け及び購買事業の明定、三番目は木材需要増進を図るための組合員の生産した木材を材料とする建物その他の工作物の建設、その次は、組合員の就業の場の確保を図るための食用キノコ等の生産、五番目は森林組合事業を補完するための森林組合連合会による森林施業の受託及び債務保証能力の拡大、こういう事業が組合系統により活用せられ、組合員の森林経営を活性化し、組合利用の増大が図られるとともに、また、組合の経営の多角化が図られることによりまして森林組合の経営の改善にも役立つことを強く期待しておるところでございます。
  120. 武田一夫

    ○武田委員 私が聞いたのは、そういうことをすれば間違いなく組合の健全なる経営の維持林業活動、生産活動の活性化、山村の活性化が図られるものかどうかということのお考えを聞いたのであって、そういう具体的なことはちゃんと勉強して知っているわけであります。そういうものが間違いなく効果的に機能を発揮して、そして組合の皆さん方が安心して仕事に取り組んで、その地域で山を守っていく意欲がわくような方向に向かっていくものかということについてのお考えを聞いたのであります。それは、今この次に質問する中でまた答えていただければありがたいと思います。  いろいろなことをやるのですが、そのやることについて、そういう関係者から事業範囲の拡大による経営の多角化を望む声が強いということで種々の対応を考えているということであります。これは結構なことであります。ただ、それが森林組合の健全経営を維持するという目的を達するために本当に役立つかということは、これはこれからやってみなければわからぬと言えばそれまででありますが、それによってかえって負担が過重になってみたり、あるいはまた地域の中でいろいろなトラブルが起こってみたり、というのは、購買活動の問題などでは農協などというのもそばにあるわけでありますし、その他、例えば建設業的なものに取り組むとなればそういう関係者もいるわけでありますから、そういうようなことで、かえって何かそこに気まずい思いが発生することによる地域の協調性にひび割れが入る心配もあるんじゃないかということを考えると、これは十分なる指導監督といいますか対応をなさなければ、かえって森林組合の皆さん方がそのことによって苦しむことになりはしないかという心配があるのでございます。この点についてはどういうふうにお考えであって、どういうふうな対応をなさろうとしておりますか、ひとつ御見解を聞かしていただきたいと思うのであります。
  121. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 せっかく今回の改正によりまして事業能力を拡大して、その結果組合の負担がふえたり、あるいは農協でございますとか既存の地域社会の経済事業体と摩擦を生ずるというようなことがございましたら元も子もない話でございますので、そういうことが起きないように何とか努めてまいりたいと思っておるわけでございますけれども、経過的に御説明いたしますと、この法律改正のための検討会、ここの場でも農協系統機関の方に参加して意見を述べていただいたり、あるいは建築物に関しましては全木連の関係の方にも入ってもらったりということで、関係業界とも十分意思疎通しながらこの改正案をつくってきたわけでございます。  いずれにいたしましても、これからの指導といたしまして分相応といいますか、それぞれの力に応じた形で地域社会の一員としての自覚に立ちましてそれぞれの仕事をしていただくということが何といいましても基本でございまして、都道府県なりそれから系統上級機関、それから林野庁、こういうものが一体となって新しい事業への取り組みを指導してまいりたいと思っておるわけでございます。  それより我々の心配といたしましては、せっかく法律を改正いたしまして新しい事業能力をつけながら、森林組合の力不足で取り組みのスタートなり取り組みの重なりが少ないということをむしろ心配しておりまして、うんと仕事をやっていただきまして、地域と摩擦が起きるぐらいの元気のいい森林組合が出てくることはむしろ歓迎しているわけでございますけれども、その歓迎の結果けんかになりましても大変でございますので、当方といたしましては、そういう地域の中で相連携しながら仕事をやっていただくということにつきまして十分監視し、十分指導を強めてまいりたいと思っております。
  122. 武田一夫

    ○武田委員 建築物、いわゆる建設事業ですね、これは山と直結したものは、間違いなく経費とかその材料の問題で一般よりも競争力が強くなる要素は持っている。これは現実にあるわけです。ただ、事業量がそうたくさんないときに、そういうものによって既存の業者が相当侵されるということは考えなくてはいけない。事業量をふやすか、あるいはまたそういうところの関係機関との協定、値段が極端に下げられたりするとこれはへばっちゃいますからね。下げてもらうにこしたことはないですよ、つくる方にしましては。現実問題として、私は現場に行って聞いてみますと、坪当たり、普通の大工さんであれば四十万ぐらいだけれども、山から直接持ってきてやると三十万ぐらいでやれる。かなりの格差があるのを我々も聞いていますし、そういうのが主体になってくると、やはり既存の業者さんにはかなり強敵じゃないかということになりますので、我々消費者の立場を考えますと大いに結構でありますが、その点の協調、要するに地域の中においてトラブルのないような対応だけはひとつ御検討して、お互いに仲よく地域の経済活性化のための一助になっていくような、そういう林野庁の指導性をひとつ発揮してもらいたい、こういうふうにお願いしますが、この点はどうですか。
  123. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 特に建設業につきましていろいろ議論のあるところでございますけれども、私たちの見方といたしましては、当面はログハウスでございますとかあるいは木を使っての畜舎、施設、そういうものから恐らく手をつけることとなると思います。それから住宅そのものの建設ということになりますと、やはりトータル産業でございまして、技術なり経営というものについて相当高度な蓄積が必要でございますので、単協が一人でできる性格のものではございませんので、できるだけ地域の工務店なりあるいは製材業者、こういうものとの連携、協調という中でこの仕事を進めさせたいと思っております。恐らく当面はみずからやるということではなくて、地元の木材業者でございますとか工務店、こういうところと共同出資なり共同プロジェクトというような形で手をつけていくという方向が現実的でもあり、好ましいと思っておりますので、そういう方向で指導してまいりたいと思っております。
  124. 武田一夫

    ○武田委員 最初はそうだと思うのです。例えば静岡県にあるような、独自に優秀な研究開発をして、すばらしくいいものを安く提供して評判の地域も現実にあるわけですから、こういうのがどんどん発展してくるとそういうおそれなきにしもあらず、そういうことを心にとどめておいてほしいということを申し上げておきたいと思うのであります。  そこで次に、共同施業規程制度の創設というのがありますね。この点についてちょっと質問します。最近不在村地主の増加、この状況はどうなっているのか。それはどうしてふえてきたのかという理由ですね。そういうところの山の管理状況というのはどうなっているのか。この点ひとつ実態を聞かしてもらいたいと思います。
  125. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 私有林の不在対者の所有面積につきましては、世界農林業センサスの統計でございますけれども、昭和四十五年から五十五年にかけまして、この十年間で全国で約五十万ヘクタールふえて、トータルといたしまして二百六十五万ヘクタールということで、私有林面積全体の一九%というものに及んでおります。  こういう不在村が発生しております要因はいろいろあろうかと思いますけれども、森林所有者が山村から都市部へ流出したとか、あるいは他村に居住している者への結果として相続が行われて不在村になったとかということのほかに、都市住民でございますとかあるいは企業、こういうものが特に列島改造ブーム、あのころにかなりあったわけでございますけれども、森林の投機買いというようなものも不在村地主がふえた背景には残念ながらあろうかと思っております。  こういう不在村地主の森林管理につきましては、森林を一体として何とか緑を守っていきたいということでいろいろな努力をしているわけでございますけれども、残念ながら中には管理が適切に行われていないものも地域によっては散見されるわけでございます。こういう状況に対処いたしまして、不在対者に対して、森林施業計画の作成でございますとかあるいは森林組合への施業の委託というようなことも今までも指導してきておりますし、それから市町村長が入りましていろいろ働きかけをして、特に人工林の間伐促進するための森林整備計画制度というものも過去制度化したわけでございます。こういういろいろな積み重ねをしてきているわけでございますけれども、残念ながら地域によっては問題もあるということで、六十二年度から新しく不在村の森林所有者に対しまして、何とか施業意欲というものを喚起させるなり、あるいは森林組合とのつながりをつけさせるというようなことを推進いたしますために不在村者等所有森林活性化対策事業というようなことを行いまして、不在対者の森林の適正な管理というものに関しまして十分を期したいというふうに考えておるわけでございます。
  126. 武田一夫

    ○武田委員 それはきちっと指導監督しながらさせぬといろいろな不手際が起こると思うのです。森林の管理というのは国土政策の重要なテーマだと私は思うのです。特にこれは水資源の問題等にも大きく直結してくる。例えば今回東北南部等では水不足、これはほかの地域にもありましたけれども、渇水の問題で非常に心配したのでありますが、これも山の荒廃と管理の不十分さと関係ないということはない。大いに関係ある。となりますと、これはもう本人だけの問題ではない。地域全体の大きな問題でございますから、そういう意味で、山の保水力を低下させるような森林荒廃というのは、一個人が持ち主であったとしても、その影響の大きいことを考えれば、今長官から話があったようにきちっとして対応を強化してほしい、こういうふうに思うのであります。それが結果的には国土の保全という問題を本当に効果あらしめる手段ではないかと私は思うのです。この点、ひとつしっかりと対応してほしい、こういうふうに思います。  そこで、この問題につきまして、森林の管理の面で今いろいろと粗放化の心配というのがあります。その施業の放置を防止するため、森林所有者にかわって森林の施業経営を一貫して行うということが現行法でも決められてやっているわけですね。今回の共同施業規程制度によらなくても、今までの制度をきちっと守ってやっていっても、活用していけばその目的が達成できるのじゃないかという声もあるのでございますが、特に今回こういう措置をしたという意図はどこにあるのかという点をひとつ御説明いただければ、こう思います。
  127. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 先生から今お話ありましたように、森林施業というものを共同化していく手法というものは、従来も森林組合法なりほかの制度の中で、指導あるいは計画の作成あるいは経営の受託、信託ということで、いろいろな形であったわけでございます。こういういろいろなチャンネルでやってまいりましたけれどもまだ十分でないという御指摘を受けているわけでございますが、こういういろいろなチャンネルで今までやってきたことの反省といいますか問題点としまして、いずれの事業も単発で受け身といいますか、だれか外の人なり組合員がこれをしていただきたいと言ってきて、それを受けて立つという形になっていたわけでございます。それに対しまして今回の共同規程というものは、むしろ組合員が総会でこういう共同規程をつくろうということから、組合員の総意を結集して一つのムーブメントとして高めていく、そういうムーブメントとして高めて規程をつくって店開きをして、それで参加しない人に対する勧奨とかいうことを組合の方から能動的にやっていく、そういう土俵づくりをこの共同規程ということで実は志したわけでございます。したがいまして、従来と具体的手法、契約のやり方とかいろいろ手法においては似ているところがあるわけでございますけれども、こういうものに組合員が総会で規程までつくって取り組むこの意気込みを発火点といたしまして、何とかこの動きというものを広げてまいりたいと考えておるわけでございます。
  128. 武田一夫

    ○武田委員 それでは、時間の都合で次の問題に移ります。  森林組合の合併の問題ですが、合併促進に当たっての林野庁の具体的な指導方針というものをひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  129. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 森林組合の合併につきましては、自主的な協同組織体でございますので、あくまでもそれぞれの森林組合の自主性、主体性というもので合併を進めてまいる所存でございまして、上からおまえとおまえは結婚しなさいというようなスタイルで押していくということは考えておりませんが、一応の基準といいますかめどといたしまして、過去もそういうめどを示してきたわけでございますけれども、役職員数につきましては七人以上、面積につきましては一万ヘクタール、それから出資金につきましては二千万以上というようなことが独立の経済活動体としての森林組合としては一つの経営基盤の基礎をなすものじゃないかということで、そういう基本的なスタンスでこれから相談に応じていきたいと考えております。
  130. 武田一夫

    ○武田委員 現在の合併促進状況、これはどういうふうになっているのか。合併しようと動いている組合、到底合併はできないあるいはしたくない、いろいろあると思うのですが、その状況、その場合、合併促進が進まないネックとなっているのはどういうところにあるのかという問題についてひとつお聞かせ願いたい、こう思います。
  131. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 過去何回かの合併で現在かなり合併が進んでまいりまして、相当大規模な組合もできてまいりましたし、それから大方の組合は市町村単位か、あるいは市町村単位を超える広域的な組合におかげさまでなってきたわけでございますけれども、現在におきましても、零細な経営基盤しかない組合というものも相当あるわけでございます。現在のところ、全く具体的な積算があってじゃございませんけれども、森林組合系統や何かどの相談なりいろいろな感触を総合いたしますと、大体現在の組合の六百組合程度が恐らくこの五年間に合併劇に参加するのじゃないか、六百組合程度が参加してほぼ二百組合程度、三組合が一といたしましてそういうものに集結していくのじゃないかという感じでいるわけでございます。  それから、今まで合併の進まない理由でございますが、それぞれの地域なり組合のよってきた歴史、経緯で理由は区々でございますけれども、大方といいますか最大公約数的な合併が進まない、困難な事例といたしましては、一つは、自分自身はもう強くなってしまっておる、ところが隣に余り活動していない弱小組合がある、それと合併いたしましても活動水準がかえって低下するのじゃないかというおそれを、吸収する側といいますかきちんとした側の組合が抱くという問題がございます。それから、場所によりましては、合併で規模が大きくなって財的基盤が確立するのは結構だけれども、協同組合である以上人的紐帯があくまでも基本でございますので、その規模が大きくなることが、どうも組合員と組合との結びつきの希薄化をもたらすのじゃないかという観念的な抵抗もあるようでございます。もう一つは市町村とのつながりでございますが、今まで林構とかいろいろな事業が市町村を中心といいますか一つのチャンネルとしてやってきたわけでございますし、森林行政も市町村とのかかわりが強いわけでございますけれども、市町村を超えるような広域的な合併になりますと、市町村との結びつきがどうなるかというような問題点も地域によってはあるようでございます。  以上でございます。
  132. 武田一夫

    ○武田委員 その地域の問題もこれは広域的ですから出てくると思うのです。そういうところに出てくるいろいろな問題に十分に対応できるような取り組みは考えていかなくてはならない。そういう点で、これまでぶつかってきた問題を通して指導監督する上で十分配慮しなければならない問題として考えられること、また考えて手を打たなければならない問題として今予想されるのはどういう問題ですか。
  133. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 まずは、合併を促進するに当たりましては、組合員自身が合併して規模を大きくして基盤を強くしようという意欲に燃えてくれることが必要でございますし、それを指導していく組合の役職員に、将来大規模組合を任せてもいい十分な能力というものを養っていく必要があるわけでございます。したがいまして、そういうPRとか役職員の研修、技術習得に努めますとともに、それから、何といいましても市町村との連携が必要でございますので、単に森林組合系統の方々に対する説明だけじゃなくて、市町村に対する我々の説明なりPRも並行して十分やりたいと思っております。それから、合併という形式的に一緒になることだけではなくて、それとともにいろいろな林業関係の施策、林構にいたしましてもいろいろな施策があるわけでございますけれども、こういうものをも場合によりましては合併推進のための一つの手段なり方策として活用していくことも少し考えてみたいと考えております。
  134. 武田一夫

    ○武田委員 最後に、いろいろと難しい合併促進のネックの解消の一つに税制上の点で優遇するとかいろいろありますが、それだけでは十分でないのじゃないかということを考えると、そういう方々の実情をよく調べた上で合併促進によって基盤の強固な組合をつくり、そして、そこで一つの大きな活性化のはずみをつけていくという努力をしていかなければいけないのではないか、また、小さな組合の中でも、一生懸命経営努力をしながらいい経営をやっておるようなところの存在というものも評価しながら、これを無理に合併というのもどうなのかということもあるわけですから、地域の実情と組合員の皆さん方の御意見等も十分反映させるような促進の方法を指導されたらいかがかと思うのですけれども、どうでございますか。
  135. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 ただいまお話ありましたようにいろいろな局面が考えられるわけでございますし、サンショウでもぴりっと辛いのもあるわけでございますので、規模の大小という一律の基準促進することではなくて、それぞれの現実なり実態に応じた促進方策というものを考えていく必要がございます。  それから、先ほどもちょっと触れましたように、単に合併だけじゃなくて、林野行政としていろいろな助成手段、金融手段というものを持っておりますので、例えば新村構によります施設整備というものを合併関係組合に集中するとか、さらに人材の養成という点では森林組合活動強化対策事業というようなものも行っておりますので、こういうものも合併推進のてこに最大限活用してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  136. 武田一夫

    ○武田委員 それではもう一つ林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案の中身について、二点お尋ねいたします。  一つは、この措置によりまして森林所有者の造林意欲の向上などにどの程度結びつくのかという政策的効果の問題についての見解をお尋ねしたいと思うのであります。  もう一つは、そうした新たな貸し付けに緩和措置をされるのは結構でございますが、関係者の皆さん方は、既存のものに対しての条件緩和もしていただけるとなればその活動に弾みがつくという意見もあるわけでありますが、この点についてはどういうふうにお考えであるか、その二点について答弁をお願いしたいと思います。
  137. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 今回の造林資金の融資期間の延長によりまして、まず個別の経営といたしましては、造林に要しました費用の円滑な返済ということが従来より可能になる、それに加えまして、最近の長伐期化の傾向の中で、森林所有者の意向に沿った資金手当てというものが弾力的にできる可能性が出てくるというようなことからいいまして、従来より林業経営の安定なり造林促進ということに寄与するのではないかというふうに考えておるわけでございます。仮にそういうことで造林意欲というものが少しでも発現されますと、森林資源整備でございますとか林業経営活性化でございますとか、ひいては先ほど来議論がございます貧しい山村地域の経済の活性化というものに対しても寄与し得るのではないかというふうに思っておるわけでございます。  それから、新規貸し付けだけじゃなくて既貸し付けについても条件緩和ができないかという点でございますけれども、これにつきましては、形式的な問題といたしましては、貸付時におきまして公庫と借り受け者との間で個別に契約という形で貸付期間というものがセットされている、その後に、改正になりました法律で一律に契約というものを変更するという措置は今までもとられておりませんし、先例もないわけでございます。しかしながら、最近の林業を取り巻くいろいろな非常に厳しい情勢というものがございますので、この法律が通りました後に、やむを得ない事情で返済に困難を来しているという個別の問題につきましては、それぞれの実態に応じまして償還条件の緩和等の措置が円滑にとれますように、関係の機関でございます公庫等に十分要請してまいりたいと考えております。
  138. 武田一夫

    ○武田委員 時間もそろそろ来ましたのですが、森林林業をめぐる情勢が非常に厳しいという状況であります。そのためにも、国内林業及びその関連産業の生産活動が非常に停滞ぎみで活性化に乏しいという状況を克服するためには、これから法律が一つ一つ成立していく過程の中にあって国として十分にきめ細かに、気苦労が多い仕事でもございますが、木というのは、立ち木を見て親という字があるように本当に手抜きは許されない、どこかで抜けば必ずどこかにひずみがくるのが山の仕事ではないか、こう私は思うわけでございまして、どうかそういう意味で、間伐をしなければ木は大きく育たないと言われて、政策的な問題を間引きしたり手抜きをするということのないように、今いろいろと答弁もありましたし、前回にも法案の審議の中でその対応をなさることをお約束していただいているわけでありますが、今後山が本当に緑豊かで、その山を支える方々が本当にそのことに生きがいを感じて頑張っていけるような取り組みを十分にしてほしいということをお願いし、大臣から一言今後の行政に取り組む決意というものをお聞きして、私の時間まだちょっとあるのでありますが、終わらせていただきたいと思うのです。大臣からよろしくお願いします。
  139. 加藤六月

    加藤国務大臣 今回の法改正、そしてまた木材産業活力回復五カ年計画、その他もろもろの政策を総合的に推進することによって、地域活性化林業の活力回復のために一生懸命頑張るように指導していきたいと思います。
  140. 武田一夫

    ○武田委員 それでは私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  141. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 神田厚君。
  142. 神田厚

    神田委員 森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案、この二点につきましてお伺いをいたしたいと思います。  最初に、森林林業木材産業、これらを通じました基本的問題についてお伺いをいたします。  現在我が国の森林林業木材産業は、木材需要の停滞や外材の大量進出によって木材価格が低迷する一方で、人件費等の経営コストの増高等により森林林業経営は極めて厳しい状況にあり、林業生産活動は衰退の一途をたどっております。さらには一昨年からの急激な円高の進行等がこれらの状況に追い打ちをかけており、森林林業木材産業の活性化と体質の強化が今日ほど切実に求められているときはないと思います。我が国の森林面積は国土面積の七割を占め、山村地域の多くの先人の努力の結晶である一千万ヘクタールの人工林を含めまして、これらの森林が二十一世紀に向けて木材生産はもとより、国土の保全や保健休養等の均衡のとれた国土の発展に寄与するとともに、国産材時代を現実のものとするため林業再建し、緑を再生することが我々の責任である、こういうふうに考えております。  そこで、さきに述べましたような厳しい環境下にある森林林業木材産業の現状をどのように認識をし、今後どのように活性化、体質の強化を図っていくお考えであるのか、政府見解をまずお伺いしたいと思います。
  143. 加藤六月

    加藤国務大臣 先生のお述べになりました認識では全く一致するところでございます。  そこで、そういった認識を踏まえまして、昨年十一月の林政審の報告を踏まえまして、木材需要拡大造林林道等生産基盤整備国産材産地の形成と担い手の育成、木材産業の体質強化木材流通の改善、山村振興森林総合的利用促進等各般施策を推進しますとともに、目下森林林業木材産業活力回復五カ年計画を実施しておるところでございますが、今後とも金融、税制を含めた総合的を林業開発施策を推進してまいる所存でございます。
  144. 神田厚

    神田委員 また近年、森林資源が世界的規模で減少し、砂漠化あるいは酸性雨等の地球的規模での環境の悪化が憂慮されております。我が国におきましても、山地災害の多発化や手入れの行き届かない森林が増加するなどの状況にあります。  このような中で、国土保全や水資源確保などといった森林の持つ公益的機能の重要性に対する国民の認識が深まってきておりますが、さらに良好な緑環境を整備し、それを緑の憩いの場として利用したいとする要請が高まるなど、森林に対する国民のニーズは従来にない多様なものとなってきております。そこで、このような森林の多様な機能の発揮に対する国民の要請の高まりに対して、政府として今後どのように森林資源整備していく考えをお持ちになっているのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  145. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 ただいま御指摘がありましたような国民の多様な森林に対する要請の高まりということを背景にいたしまして、昨年の十一月に林政審議会から森林整備目標につきまして新しい方向づけというものがなされたわけでございます。この方向づけを踏まえまして、今後の森林整備につきましては、人工林の適正な整備というものに加えまして、いろいろと新しい視点からの新しい工夫というものを施してまいる所存でございますが、その具体例といたしましては複層林の造成、天然林施業の展開、さらには広葉樹林の積極的な造成というようなことを一つ方向としたいと思いますし、それから自然保護をより重視いたしました森林施業なり、あるいはレクリエーション的な利用ということも高まってきておりますので、そういうような森林の総合的な利用の観点からの多様な森林整備ということへも心がけたいと思っております。  それから、具体的な伐採等につきましても、木材供給力を平準化していく、このために伐採年齢を多様化するなり長期化するというようなことも必要かと思いますので、これらの新しい方向に即してこれから全国森林計画等を具体的に作成してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  146. 神田厚

    神田委員 今述べましたように、森林に対する国民の考え方というのは非常に変わってきている。環境面を重視して、そしていろいろなことをやってくれという希望があるわけでありますから、その辺をよく酌み取って森林整備をお願いいたしたい、このように思っております。  次に、森林組合法等の改正案についてお伺いを申し上げます。  今回の改正に当たりまして林野庁では、森林組合系統等の団体の代表あるいは学識経験者などで構成をする森林組合制度検討会において種々検討を重ねてこられた、このように聞いております。そこで先ほど申し上げましたように、森林林業を取り巻く状況は極めて厳しい現状の中で、森林組合の経営も大変苦しい状況にあるわけですが、まず政府としては現在の森林組合をめぐる状況をどのように認識をし、今回の改正法案を提出するに至ったのか、御見解をお伺いしておきたいと思います。
  147. 加藤六月

    加藤国務大臣 厳しい林業情勢のもとで、地域林業の振興、森林経営の適正化を図るとともに、国民の多様な要請にこたえていくためには、個々の森林所有者による取り組みと相まって、その共同組織でございます森林組合による地域一体となった取り組みを強化することが重要であると考えておるところでございます。したがいまして、森林組合機能充実と組織の強化を図ることをねらいとする本法案を提出し、御審議をお願いした次第でございます。  具体的には、森林組合事業範囲の拡大森林施業の共同化の推進、組織、経営基盤の強化を図るための合併の促進等々を内容とするものでございます。
  148. 神田厚

    神田委員 今回の改正法案は、森林組合の行う事業範囲を拡大すること、このようにされているわけですが、その内容としては、組合員の生活に係る資金の貸し付け、物資の購買や木造建築等の建設、売り渡し、さらに食用キノコ等の生産といったものがあります。ところで、これらの事業森林組合の所在する地域にある農協やあるいは建築業者あるいはキノコ生産者などとの競合といった問題が当然のこととして生ずる懸念があるわけでありますが、この点につきましてはどのように対処する考えでありますか。
  149. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 今回の法律改正に先立ちます森林組合制度検討会、こういう場でも、その事業範囲の拡大に当たりましては地域の関連業界と協調し、地域一体となって各種の新規事業と取り組むようにというような注文もいただいておりますし、それから、この検討会の場で農協系統組織の代表の方なり、それから木材業者関係の方なりの意見も聴取するという形で進めてきたわけでございます。  具体的に御指摘ありました生活関係に今回広げました点につきましても、これは従来も福祉事業の一環として生活に必要な物資なり資金の貸し付けというものは行われてきたわけでございますけれども、今回その点を明定したわけでございます。農協も十分やっておる仕事でございますし、それから農協の組合員とダブっている森林組合の組合員も八十数%という水準になっておりますので、ぜひ両者相協調してやっていただきたいと思っておりますし、それから、特に住宅の建設というものにつきましては、総合産業ということで、技術なり経営面でも非常に高度な蓄積を必要とする難しい仕事でございますので、それぞれの地域木材業者なりあるいは工務店、こういうものとも連携協調して円滑にやっていくようにという観点から、系統、それから都道府県と一体となりまして、我々といたしましても十分な指導を行ってまいりたいと思っております。
  150. 神田厚

    神田委員 次に、信託事業の改善及び共同施業規程制度の創設についてお伺いをいたします。  まず、信託事業の改善といたしまして、信託事務の耳委託が可能となるわけですが、再委託を予定する「省令で定める従たる事務」とはどのようなものを考えているのか、また、これによってどのような政策効果が期待されるのか明らかにしていただきたいと思います。
  151. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 今回の法律改正で信託事業に係る従たる事務というものを採択することが可能になるわけでございますけれども、その従たる事務の具体的例といたしましては、一つは、信託で出ました財産を分収育林に供しました際に、その分収育林の費用負担者、これの募集なり契約の媒介ということを予定しております。それからもう一つは、同じく信託に出ました森林というものを森林レクリエーション施設というものに活用する、キャンプ場でございますとかバンガローでございますとか、いろいろな施設が考えられますけれども、こういうレクリエーション施設の利用者の募集というものをそれぞれその従たる事務として考えているわけでございます。  これによる政策効果ということでございますけれども、従来はこういう従たる事務というものも全部その森林組合がみずから取り仕切ってきたわけでございますが、残念ながら森林組合というものはああいう山村地域に立地しているものが多いわけでございまして、そしてこういう分収育林の募集であるとか媒介、あるいはレクリエーション施設活用の募集というものは都市住民を相手にして初めて十分な効果が出るわけでございますので、森林組合だけでやっているのでは限界があるということでこういう改正に至ったわけでございまして、こういう都市住民を主に相手といたします分収育林の募集とか契約の締結の媒介あるいはレクリエーション施設の募集というような、ある意味では商売の最先端を行くPR活動、こういうものはそれぞれの専門分野の方々、県の森林整備公社ですとか銀行とかデパートとか、あるいは場合によってはブライダル産業ですとか、いろいろなそれぞれの玄人筋にこういう実務的な仕事をお願いすることによりまして、従来なかなか十二分に活用されていなかった信託というものも、この仕組みを導入しますことによって、従来よりは一歩、二歩前進できるんじゃないかと考えているわけでございます。
  152. 神田厚

    神田委員 次に、共同施業規程制度の問題であります。  我が国の民有林は零細分散化した所有形態であると言われておりますが、近年の森林林業を取り巻く厳しい状況のもとではこれがさらに加速されるのではないか、このように考えられます。そこで、森林施業を推進し、林業生産活動活性化を助長する方策として共同施業規程制度を創設しよう、こういうことでありますが、先ほど申し上げましたように、森林管理の適正化に対する国民的な要請の高まりに対して、森林組合としても積極的に対応する必要があると考えます。そして、このような国民の要請の高まりに対して、この共同施業規程制度を有効に活用させていくべきじゃないかと考えるわけでありますが、政府の御見解をお伺いしたいと思います。
  153. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 先生から御指摘がありましたように、零細分散している森林というものを、何とか共同で一体として施業して森林を守り育てていきたいということでいろいろ事業をやってきたわけでございますけれども、今回の共同施業規程というものは、組合がまず能動的に施業規程というものを総会段階でつくりまして、組合員の意識をそこへ向けて集結していく、それと同時に、一つの運動としてこういう共同事業の引き受けというものを行い、宣伝していくという点で、従来の施業委託でございますとか、そういう単発でお客さんを待っているものとは違いまして、こちらで店を張りまして打って出るという点が従来の仕組みとはかなり違っているわけでございます。こういう組合員の意識の結集、運動の盛り上がりということを通じまして、今まで余り熱心でない山持ちの方々をこういう共同施業に引きずり込む、あるいは勧奨という制度を通じまして、非組合員に対しましても、組合への仕事の委託というものを積極的に頼んでいけるというような道が制度的に確立いたしましたので、こういうものを使いましてできるだけ山を守り育てる方向に協同組合が主体的に取り組んでいくものと思っておりますし、ぜひそういう方向で行政としても指導なり援助を申し上げたいと考えているわけでございます。
  154. 神田厚

    神田委員 次に、森林組合の合併問題についてお尋ねいたします。  これまで政府は三期にわたって森林組合の合併推進を行ってきたわけですが、合併基準については新しい対策に移るごとに厳しくなってきておる状況で、合併の実績は逆に落ちているのが現状であります。このように森林組合の体制、基盤を強化するための合併がなかなか進まない中で、新しい対策をスタートさせるに当たってさらに基準を厳しくするのはいかがなものかと考えますが、政府見解をお伺いしたいと思います。
  155. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 森林組合を取り巻く情勢の厳しさがここのところ毎年加速されてきているわけでございまして、過去三回やりました際に比べましてもう一つ厳しさが大きくなってきておりまして、そういう新しい環境条件に対応する森林組合といたしましては、従来以上に財的基盤というものを強めていく必要があるわけでございます。  そういう観点から、一応自主的な運動としての合併でございますけれども、それに対して行政側の指針といたしまして三つのめどを立てているわけでございます。一つは常勤の役職員が七人以上、もう一つは組合員経営の森林面積が一万ヘクタール以上、三つ目が払い込み済み出資金が二千万円以上ということを、現段階で、今回の合併助成法に基づく合併の指標としているわけでございますけれども、このうちの一番目と二番目、すなわち常勤役職員数、それから関係森林面積数というものは従来と同じ基準でございますけれども、払い込み済み出資金につきましては、従来一千万円でございましたものを、先生指摘のとおりきつくいたしまして二千万としたわけでございます。これはここ数年間の一般の社会経済情勢の推移、林業経営そのものの苦しさということに対応いたしまして、従来以上に森林組合の財的基盤を強化する必要があるという認識に立ちましてこういう要件を描いてみた次第でございます。
  156. 神田厚

    神田委員 せっかくの助成法ですから、合併が実効が上がるように指導を強めていっていただきたいとお願いをしておきます。  次に、林業等振興資金融通暫定措置法改正案についてお伺いをいたします。  冒頭の質問におきまして、森林林業を取り巻く厳しい状況の中で、今後いかに林業活性化、体質の強化を図っていくかを伺いましたが、造林事業の実施が森林整備の推進、林業生産活動活性化を図る上で最も重要であると考えられております。しかしながら、人工造林面積は、昭和四十年度の三十七万ヘクタールから、昭和六十年度には十万ヘクタールに減少しておるのが現状であります。また、除伐、間伐等の適切な管理が行われない森林が増加するなど、造林意欲は低滞をしているのが実情であります。そこで、造林を推進するに当たっての政府の基本的な考え方及びいかなる方策を講ずる考えであるかをお伺いしたいと思います。
  157. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 造林事業は、森林整備の推進なり林業生産活動全体を活性化していく上で最も基本をなす根本の一つであると考えております。しかしながら、ただいま先生から御指摘ありましたように、戦後一千二十二万ヘクタールに及ぶ人工造林が造成されたということもございますし、材価とか需要の動向等もございまして、新しい造林面積はここのところ低滞ぎみなわけでございます。しかし、今後とも造林事業を積極的に推進していくことが必要でございまして、財政上なり金融上の措置をいろいろと講じているわけでございますけれども、特に六十二年度からは新しい考え方に立ちまして、植栽から保育を通じました体系的な森林整備あるいは人工林の複層化とか、天然林の育成整備を推進するのに適しました新しい造林補助事業の体系を再構築いたしまして、従来の補助事業体系を再編、大きくしたわけでございます。それに、ただいま御審議いただいております農林漁業金融公庫資金の貸付条件の改善というようなことも加えまして、こういういろいろな施策の積み上げで、何とか今後とも造林の円滑な推進に力を注いでまいりたいと考えております。
  158. 神田厚

    神田委員 今回の林業等振興資金融通暫定措置法の改正は、造林投資の促進のために林業金融の面から改善を加えるものであるわけでありますが、そもそも農林漁業金融公庫の造林資金が造林の推進にいかなる役割を果たしているか、また今回造林資金の償還期限及び据置期間を延長することとした理由は何なのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  159. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 造林につきましては、造林補助とかいろいろな手段でやっているわけでございますけれども、何といいましても、資金が長期に寝て、回収するまでに、伐期が来て収入が上がって償還金に充てるまでに長期を要しますので、そういうものについて農林漁業金融公庫資金という長期な資金を従来から手当でいたしまして、造林の大きな部分をこの公庫資金によって支えてきたという効果を持っているわけでございます。  従来その償還期間につきましては四十五年ということで、この四十五年でも一般の政府関係機関の制度融資の中では非常に長期な資金ではございましたけれども、ここのところ木材需要のいろいろな動きからいいまして、伐期をかなり長期化させた方がいいんじゃないかという動きがございますし、それから現実に伐期も相当長期化してきている。それに加えまして、ここのところの円高等も加速されまして、木材価格の低迷ということがありまして経営的にも苦しい、そういう長伐期化の傾向なり実態、それに経営問題ということを考えまして、従来の四十五年というものを十年延ばして五十五年というふうに今回改正いたしまして、円滑な造林資金の融通に努めたいと思っているわけでございます。
  160. 神田厚

    神田委員 今回の改正による措置は、新たな造林投資を促進するとの趣旨からすれば、新たに貸し付けを行う場合について適用されるわけでありますが、円高等による材価の低落、林業経費の増高等林業をめぐる情勢が厳しいものとなっている現状を見ますれば、既に融資を受けている部分についても返済の条件を緩和するなど何らかの措置を講ずるべきであると考えますが、いかがでありますか。  そして最後に、今回、林業等振興資金融通暫定措置法改正案は、森林組合法改正案とあわせて林野二法として審議をしているところでありますが、林業等振興資金融通暫定措置法の改善措置森林組合活性化にも寄与するものになるのかどうか、この辺をお伺いしたいと思います。
  161. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 まず、既往の貸し付けについての条件緩和の点でございますけれども、この点につきましては、残念ながら貸付期間というものが、貸し付けの時点で公庫と借り受け者との個別契約というものできちんとセットされてスタートし、現在に至っておるわけでございますので、その後法律が変わったからといって、一律に既往の契約までさかのぼりまして契約期間を変更するというわけには理屈としてもまいりませんし、それから他のいろいろな類似の制度改正の際の先例にもないわけでございます。  しかしながら、ここのところ林業をめぐる情勢が非常に厳しいということで、それぞれの実態を見てみますと、やむを得ない事情によりまして既往の貸し付けの返還ができないというような林業経営者もございますので、そういう方々につきましては、それぞれ個別の実態に応じまして、その償還条件の緩和等の措置が円滑に講じられますように、公庫等の関係機関に対しまして要請をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  それから、今回の償還期間の延長と森林組合活性化の関連でございますけれども、今回の償還期間の延長というものは、造林意欲を高揚することをこいねがって行っているわけでございますが、それに応じまして造林というものが活発化してまいりますれば、組合員でございます森林経営者の経営自体も上向いてくるでしょうし、それから、造林活性化いたしますれば、造林事業というようなことで森林組合作業班等の仕事の場の確保という点におきましてもある程度の効果波及が期待できるわけでございます。そういう点におきまして、こういう民有林にかかわる大きな法律改正というようなことで、林振法の改正と森林組合関係の法律改正というものをこのたび一括して御審議をお願いした次第でございます。
  162. 神田厚

    神田委員 終わります。
  163. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 藤田スミ君。
  164. 藤田修

    藤田委員 私は、まず現在の林業不況の現状についてお聞きをしたいと思います。  昨年出されました林政審の「林政の基本方向」を見ましても、現在の林業不況の現状について、「新設住宅着工戸数の減少、木造率の低下や代替材の進出等による木材需要の減退とこれに伴う価格の低迷、人件費等の経営コストの増加による収益性の悪化から、林業においてはその生産活動が著しく停滞し、間伐保育が適正に行われていない森林が増加しており、また、木材産業においては、倒産件数が高い水準にあり、長期にわたる深刻な不況にある。」こういうふうに書かれているわけです。私も林業家の皆さんにお会いいたしまして、本当に先の見通しがないな、今の材価ではとてもじゃないがこれから林業はやっていけそうもない、夜逃げをするしかないんだというような訴えを聞くにつけ、胸が痛む思いがいたしました。  わけても林家の一番深刻な問題は負債の問題であります。私は和歌山の西牟婁郡というところに行きましたけれども、もうあと十年とたたない間に返済の時期が迫ってくるが、今のままではとても返済することができない。そうなれば保証人の方に請求が行くが、その保証は地域ぐるみでやっているわけで、そうなるともう地域ぐるみつぶれてしまうというような訴えを受けました。  また、吉野郡吉野町では、昭和四十年あるいは四十三年の雪で大きな被害を受けた。二十年据え置き、十年償還の造林資金を当時借りたけれども、一人で九百万円、一千万円というようなお金を借りている人がいる。特殊な事情として、ここは四十七年、四十八年も雪害で十三年据え置きの資金を借りているために、六十年から重なった償還期間に入っている。こういうことで、二十年後には間伐が始まってお金も入ってくるだろうということであったけれども、とてもお金になる木はないんだというふうな深刻な訴えを受けております。  そこで、まず最初にお聞きしたいのですが、林野庁はこうした林家の負債状況について実態を調べていらっしゃいますか。
  165. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 林家の借入金の状況につきましては、農林水産省の統計情報部で林家経済調査というものを毎年行っているわけでございますけれども、この昭和六十年度の林家一戸当たりの借金を見てみますと、林業経営費に占めます林業経営のための借入金の割合は一一%、それから借入金の残高、大部分が制度融資でございますけれども、一戸当たり百三万円というのが林家経済調査結果でございます。
  166. 藤田修

    藤田委員 私は、もっときめ細かく実態調査を行っていくべきじゃないか、そういうふうに思うのです。統計上の数字を言っているのじゃありません。  先ほどからもお話にありましたが、そういう林業家にお会いして、今回提案されております林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案、これの話をしたわけです。その反応はもう一様に、これはこれで大いに結構だけれども、今借りている負債の返済猶予を何としてもお願いしたい、こういう訴えがございました。大臣、さっき私が二つ、和歌山と奈良の例を引き合いに出しましたように、深刻なのはこれから返さなければならない人たちであります。今の材価ではとても返せませんよ。何らかの返済猶予を検討すべきじゃありませんか。
  167. 加藤六月

    加藤国務大臣 林家だけでなく、中小零細企業の皆さん方も今そういう悲痛な叫びを上げておられます。それに対して我々はいろいろ考えておるところでございますけれども、個別の実態に応じまして償還条件の緩和等の措置を講ずるよう公庫等関係機関に要請してまいりたいと考えております。
  168. 藤田修

    藤田委員 私は、この現在返済を迫られている皆さんに対して、個別の問題についてはその緩和措置を公庫等に要請するということでございますけれども、ぜひ政府として積極的に取り組んでいただきたいということを重ねて要請をしておきます。伐期の延長ということが言われているわけです。伐期の延長というのは、結局確実に木を売ることがこれからは一層やりにくい条件がそこに出てくるわけですね。返済の方はどうかというと、これは確実にやってくるわけですから、何としても政府の取り組みを強めていかなければなりません。この点は重ねて申し上げておきます。このような林業不況がつくり出されている責任は一体どこにあるのか。現在の林業家にあるわけはない。端的に言わせていただければ、木材の輸入自由化を推し進め、材価の低迷をもたらした政府・自民党にある、こういうふうに言わなければなりません。  そこで、ことしの四月から始まった合板の関税率、一五%から五%に引き下げられておりますいわゆるMOSS協議について政府はどのような立場で臨まれ、国内の林業にどのような対策をとられたのかお伺いをいたします。
  169. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 MOSS協議に至ります経過につきましてはいろいろあったわけでございますけれども、一つは六十年四月九日の対外経済対策、それから同年七月三十日のアクションプログラムというものがございまして、関税の引き下げの時期を六十二年の四月からと明らかにしたわけでございます。こういうことは我が国が置かれております国際的立場なり国内産業の実情というものを総合的に勘案して決定されたものでございまして、MOSS協議におきましてもこのような立場で対処して、MOSS協議自体は六十一年の一月に日米共同報告という形で最終的に合意し、取り仕切った次第でございます。この結果を踏まえまして、我が国といたしましてとり得るぎりぎりの処置として合板等の関税引き下げというものが、ただいまお話しありましたように六十二年の四月から行われたわけでございまして、その具体的引き下げの内容につきましては、今お話しございました単板についての一五%から五%を初めといたしまして、針葉樹合板でございますとか広葉樹合板それぞれについて、それぞれの性格ごとに国内との摩擦を回避した形で行っておるわけでございます。  こういう結果、国内産業にあるいは影響があるんじゃないかというような御議論がアクションプログラムの設定等の時期からございまして、昭和六十年度、年度途中からではございましたけれども、緊急に森林林業木材産業活力回復五カ年計画というものを策定いたしまして、木材需要拡大でございますとかあるいは木材産業の体質強化林業活性化というもののために国費で五百億、それから融資を足しまして全体で千五百億、こういう財政事情の厳しい中では異例とも言える全体計画を設定いたしまして、着実に毎年の予算でこの計画の十分な実施を行ってきておりまして、今年度におきましても前年度の五割増し程度の所要の経費予算計上させていただきまして、関税引き下げの国内産業への影響の遮断につきまして十分な手当てをしているわけでございます、
  170. 藤田修

    藤田委員 外材攻勢に押されて国内林業が不振のどん底にある中で、最後に残されたとりでとも言うべき合板関税をなぜ引き下げなければならないのか、これが林業家の皆さんの怒りの声であります。森林林業木材産業活力回復五カ年計画につきましては後で議論をすることにしまして、この合板の関税率引き下げで合板の輸入が促進されることになることはもう明らかであります。  アメリカの木材多国籍企業であるウェアハウザー社は、ことし二月に日本向け合板用単板の専門工場をワシントン州に建設して、五月から輸出を始めていく計画になっています。そして、その新工場の生産能力は月産七千五百立米、これは日本の合板生産量の針葉樹合板のシェアの中で見ましたら五〇%、しかもその上にインドネシアからの合板輸入量は倍増してきているわけであります。そういうことをあわせて考えましたら、日本の合板業界はさらに苦境に立たされるんじゃないですか。どう見ていらっしゃいますか。
  171. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 アメリカのウェアハウザーにつきましては、日本向けの針葉樹合板の単板工場を今つくっておりまして、七月から生産を開始するというふうに我々としては聞いているわけでございます。それから、御指摘のようにインドネシア産の広葉樹合板というものもここのところ相当輸入がふえてきておりまして、昭和六十一年度全体で見ますと、合板輸入量は国内の生産量の約八%という段階になってきております。  それで、これの合板企業に対する影響でございますけれども、ここのところの円高、関税引き下げということでいろいろ合板企業への影響が大きいということで、先ほどもお話ししました活力回復五カ年計画というもので企業の整理合理化を計画したわけでございますけれども、現時点では、原材料に対する円高の影響と国内生産量に対する価格の引き下げ効果というものにタイムラグが相当ございまして、結果的には、現時点で合板工場は、皮肉なことに数年ぶりに活況を呈したというところが臨海工場では相当多いわけでございます。我々としては、五年計画で整理合理化ということで相当数の合板工場を整理する計画を立てたのでございますけれども、現在のところにっちもさっちもいかないといいますか、将来に向けて合理化のために統合したい、あるいは設備廃棄したいと言ってきている工場はたしか二件か三件程度ということで、現在の時点では小康状態を保っているわけでございますけれども、将来の問題がございますので、現時点でのそういう短期的なことに目をとらわれずに、長期的視点に立って合板工場の再建あるいは整理合理化については計画どおり進めてまいりたいと考えているわけでございます。
  172. 藤田修

    藤田委員 今現在にっちもさっちもいかなくなったら大変です。余りのんきな評価をしないでいただきたい。円高で低迷している輸入木材というのは、例えば米ツガの丸太で見ましたら、五十五年は一立方当たり三万五千百円であったものが、六十一年の十月には一万九千七百円、こういうふうに価格が下がってきました。六割以下ですね。しかも六十一年十月の円レートは一ドル百六十円、今は百四十円ですから、これで計算し直してみますと、さらに一万七千円前後にまで価格が下がってきているわけなんです。六十一年の十月、国内の杉中丸太は、材価の低下の中で林業家を非常に苦悩させているわけですが、二万四千円まで下がっています。この二万四千円と一万七千円、七千円の値開きが出たのは、これはまた六年間かつてなかった価格差なんですよ。私は、木材の輸入自由化の政策がこういう結果をもたらしているんだということを大臣はどうお考えか、そのことをお答え願いたいわけです。簡単で結構です、大臣
  173. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 価格の変動につきましては、米ツガ等が大幅に下がっていることは事実でございますし、米ツガと競合関係にあります国産材というのもある程度下がっているわけでございますけれども、例えば一番競合関係にないヒノキにつきましては、むしろここのところの堅調な住宅事情というものを反映いたしまして価格自体も堅調、物によりましては上がっているという形になっておりますし、杉につきましてもそれほどの下がりには現実にはなっていないわけでございます。しかし、米ツガと競合関係にありますものにつきましてはいずれにいたしましても影響がございますので、できるだけそういう影響が来ないような、いろいろな情報交換なり指導、あるいは短期的、あるいは中期的な需給予測を立てまして、円高を初めとする外材問題に対して国内林業なり木材産業を守るという姿勢で対処している次第でございます。
  174. 藤田修

    藤田委員 大臣はお答えにならない。私は、政府の責任としてこの問題を考えていただきたいし、政府の責任は逃れられないということをはっきり言っておきたいと思います。  次に移りますが、今の林業にとって間伐対策は非常に重要な施策になっている、このことは先ほどからも議論がございました。政府活性化対策として特に間伐の問題に力を入れていきたいということを言っておられましたので、具体的に一つだけお伺いをしておきたいわけです。  各地の森林組合で非常に熱心にログハウスに取り組んで、自治体も一緒に取り組んでおられます。私、兵庫県但馬の朝来町の方から話を聞いておりますが、あそこも林業総合センターという町の施設をつくって、木工品の展示場をつくったりして取り組んでおられるわけです。このログハウスを今度は建設計画を立てまして、ログハウス自身を展示品として多くの人に見てもらい、ログハウスの中で木工教室をつくろうということなんですが、町の方は二千万円援助をしなければいけないということで非常にしんどい思いもしておられるわけです。現在、補助事業としては利用モデル施設設置事業、これは年間五千万の補助事業ですが、こういうものがあるわけです。しかし、私はこれの枠をもっと広げて、政府としてもこの問題で構えを広げていく必要がある。幸い先ほどからも畜舎、電話ボックス、公園のいす、集会場という話がありましたけれども、ログハウスを導入するように広く働きかけをしていくべきだ、政府の構えを大きくするべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  175. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 ログハウスにつきましては、間伐材利用モデル設置事業で、先駆的なものについて普及、展示効果もねらって、国として全力を挙げて取り組んでいるわけでございます。それから、ただいまもお話の中にございました五千万円という国費も、実は前年は二千五百万でございまして、ログハウスの必要性にかんがみまして、恐らく六十二年度予算で伸び率としては一番高かったのではないかと思っておりますけれども、二〇〇%ということに思い切って拡大したわけでございますので、今後ともこういう姿勢で対処してまいりたいと思っております。
  176. 藤田修

    藤田委員 次の問題に移る前に、もう一度先ほどの負債の問題で確認をとっておきますが、吉野郡吉野町の問題についても相談に乗っていただけますね。
  177. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 先ほど大臣からもお話がありましたように、償還期間の緩和とか猶予については、それぞれの方々の実情に即しましてそれぞれ個別処理をしてきておりますので、実情を十分聞いて必要に応じて対処したいと思っております。
  178. 藤田修

    藤田委員 次に、悪徳商法で問題になっております原野商法についてお伺いします。  この商法の特徴と、五十九年から今日までの被害件数、きょうは国民生活センターに来ていただいていると思いますが、被害額を含めて御答弁願います。
  179. 吉田博

    ○吉田説明員 御説明申し上げます。  国民生活センター及び消費者生活センターに寄せられましたいわゆる原野商法についての相談件数でございますが、五十九年は百四十六件で支払い額は約三億円になっております。六十年度が二百八十四件で約五億九千万円、六十一年度は、仮集計でございますが二百十一件、約四億二千万円、こういうふうになっております。
  180. 藤田修

    藤田委員 多くの消費者が悪徳業者によって、現地も見せられずパンフレット一つだけで、将来地価も上がって有望だという説明を受けて山林を買わされるわけです。それも現在の土地価格の何十倍というような値段で買わされて、後で現地を見て愕然とするというような状態であります。このような原野商法によって森林は荒廃をしております。すなわち、不在地主がふえているわけです。それもかなり小さな土地区画の不在地主が一挙にふえていくわけですから、林業の施業の面からも大変な事態が起こってくるのは当然であります。林業、消費者、両方にこのような被害を与えている悪徳商法を根絶しなければならないと思いますが、まず林野庁としてはどのような対策を考えていらっしゃるのか、お答えをいただきます。
  181. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 いわゆる原野商法のような投機目的の森林取引、こういう局面におきましては、往々にして森林の荒廃等を招くおそれがございまして、林業の振興あるいは国土保全という観点から申し上げまして決して好ましい話ではございません。したがいまして、当方といたしましては、いろいろな省庁が関連いたしますが、林地の取引については適正な土地取引等を確保するための法令もいろいろございますので、それぞれの関係法令に基づく的確な指導がなされることを各省庁にもお願いしておりますし、当方としてもそういうつもりでおります。  それから農林省プロパーといたしましては、土地取引もさることながら、取引されたあるいは取引されるであろう森林が十分に管理されるかどうかが問題でございますので、森林計画制度の運用でございますとか、きょうも御議論いただいております森林組合での共同施業を推進してまいりまして、関係森林の適正な管理が十二分に行われますよう努めてまいりたいと思っております。
  182. 藤田修

    藤田委員 もちろん原野商法は消費者サイドでも規制しなければならないと思います。建設省に来ていただいていると思いますが、悪徳業者には宅建業の免許を持っている者も持っていない者もいるわけですが、いずれにしても宅建業法の厳しい運用で相当取り締まりができるのじゃないかと思います。また、建設省としてどのように対応し、今後も引き続き消費者保護の強化の観点でそういう対応を強めていこうとしておられるのか。さらに国土利用計画法、これを運用強化していけばそれもまた対策がとれると考えますが、この点についてお答えください。
  183. 藤田スミ

    藤田説明員 御説明申し上げます。  私どもの所管しております宅地建物取引業法では、免許を受けて業を営んでいただくわけでございますが、原野商法に関しましては、同法で宅地について定義をしております。ですから、すべての原野の取引について宅地ということでつかまえられればよろしいのですが、私どもの方の法律の定義では「建物の敷地に供せられる土地」ということになっておりまして、該当しないものも中には含まれてくるということです。私どもは、同法の適用ができる原野の土地の取引でありますれば、同法に基づきまして適切に業者を処分するなりいろいろ指導監督をしていきたいと考えております。それから、同法の適用のないものにつきましては、それぞれの分野でいろいろ対応していただく以外にないわけです。  私どもといたしましては、従来からも宅地建物取引業法に基づいて業者に対していろいろ指導監督をいたしておりますので、今後ともそういう形で原野商法についても目を光らせてまいりたいと思っております。
  184. 鈴木克之

    鈴木説明員 御案内のように国土利用計画法におきましては、一定面積以上の土地取引を行おうという場合には、事前に都道府県知事に届け出を義務づけておるわけでございます。知事はその取引価格などにつきまして審査の上、著しい支障があると認めるときは取引の中止などを勧告することができるようになっております。  御指摘のいわゆる原野商法につきましても、一定面積以上の土地取引となる場合には国土法の届け出の対象となりますので、この点につきまして国土利用計画法の運用を的確に行うよう関係都道府県を指導してまいる所存でございます。
  185. 藤田修

    藤田委員 宅建業法の運用については、消費者に対しては原野ということで売らない、ここは別荘地になるよ、宅地になるよということで売るわけですから、これは宅地開発をするというふうに理解して、そうしてこの宅建業法を大いに運用していただきたいというふうに考えますが、時間がありませんし、担当者は大いにうなずいていらっしゃいますので、確認をしたというふうに考えておきたいと思います。  今後もこの問題を取り上げていきたいと思いますが、大臣大臣は消費者保護会議のメンバーなんです。むつ小川原の地域の原野商法などは、新全総の開発計画の変更が背景にあって、そうしてこういうふうな非常に被害者を生み出す原野商法が広がっていっているということなんです。したがって、多分に政府の責任も問われる問題を含んでいる。また、こういう悪徳商法というのは豊田商法で大いに体験をしたわけですが、政府の対応はいつでも後手後手になるんです。それで結局多くの被害者を出している。こういうことではいかぬということになるわけですので、大臣は国としてこういう原野商法をうんと取り締まって、悪徳商法を押さえ込むようにひとつ消費者保護会議のメンバーとしても頑張っていただきたい、こう思いますが、大臣、頑張っていただけますか。
  186. 加藤六月

    加藤国務大臣 原野商法の点については各省庁の責任者がそれぞれお答えいたしたとおりでございまして、私も消費者関係の閣僚会議へ出まして今発言をしたことを思い出したわけでございますが、浜の真砂と何とやらということがあって、次から次へと悪徳商法が発生してくる。これを取り締まり、あるいは法規だけで次から次へやっていくのはある程度限界があるのではないか。それよりか、消費者団体の皆さん方もよくPRをしていただいて、ぼろもうけだとか特別な高利回りというのはこの世の中にないんだというようなPRも、消費者団体の方からも大いにしていただく必要がある。両々相まって初めてこういう問題は根絶できるんだという発言をしたことを今思い出しておるわけでございますが、今後とも悪徳商法に対しましては、そういった両面で大いにやっていかなくてはならないと考えております。
  187. 藤田修

    藤田委員 最後に、入山料の問題についてお伺いをいたします。  六十一年五月二十三日付林野庁長官の通達で、いわゆる入山料構想が打ち出されました。その後現在まで六カ所の候補地に打診をされたということですが、対象地域はどこですか。  そしてまた、この二月の全国営林局長会議で、この六カ所だけではなく、全国十四の営林局でこの五月から、少なくとも一つ以上は候補地を挙げて入山料構想実現のために取り組むことというふうなことが決められたということですが、事実でしょうか。  さらに、全国九十二の自然休養林で入山料が完全実施されたとすれば、利用者数に照らしてどのくらいの収入になると推定されているのか。そもそも目的は何なのか。
  188. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 最近、都市化の進展等に伴いまして、それと余暇の増大ということもございまして、緑との触れ合いなり安らぎを自然に求めるという方々が多くなりまして、自然の山野におけるレクリエーションということが活発になってきているわけでございます。そういうものの一環としまして、自然休養林等のレクリエーションの森、こういうものの利用者というものも年々かなりふえてきているわけでございます。こういうことで国民の要請にこれからこたえていくというためには、保健休養機能というものを高度に発揮させるというためには、いろんな利用施設整備でございますとか環境美化ということもいたしまして、都市住民の利便に供していくというような施設整備なり蓄積というものもいろんな面で必要になってくるわけでございます。  したがいまして、そういう面につきましては、利用者である入山者からある程度経費の一部を負担していただきたいということで、今御指摘ありました六十一年五月に六カ所、これは津軽の十二湖自然休養林、それから北海道の高原温泉風景林、それから長野の赤沢自然休養林、それから同じく長野の戸隠大峰自然休養林、それから高知の面河自然休養林、それから熊本管内の屋久島自然休養林というようなものにつきまして、一まずそういう拠出につきまして市町村等地元の関係者と相談してみろということで現在相談をさせているわけでございます。現在の時点ではそういう趣旨なり方向性、こういうことにつきましては御理解を得つつありますし、相当程度御理解を得た地域もございますけれども、まだ一カ所もきちんとした地元との成約あるいは御理解という点に残念ながら至っておりませんで、現時点で具体的に入山料を徴収しているというところはございません。  それから、先ほど十四カ所という点がございましたけれども、これは六カ所ということで、典型的で入り込み者数の特に多い自然休養林についての話し合いというものを先行させたわけでございますけれども、各営林局においてもいろいろとこういうレクリェーション関係の取り組みというものをそれぞれなさっておりますので、それぞれの局において典型的なところを一カ所ぐらいはそういう打診なり、地元との話し合いというものをしてみてはどうかということを営林局長会議でお話し申し上げたという経緯に相なっているわけでございます。
  189. 藤田修

    藤田委員 利用者数からして大体どれくらいの収入になると推定されるのか。それから、実施できないでいる地元の反対理由というのは何なのですか。
  190. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 収入につきましては、どういう基準で取るかということさえまだ決めておりませんので、収入見込みというものをこの段階で積算することは物理的にも不可能でございますので、数字としては残念ながらお示しすることができないわけでございます。  それから、地元の反対はいろいろございますけれども、大別してみますと、一つは、こういう協力金を徴収するということで、金額の多寡にかかわらず金を取られるということで、場合によっては観光客が減少するのじゃないかという危惧を抱いている地元があるようでございますし、それからみんなに愛されている自然でありましても、代金を取る観光地であるということになると、何とはなしのイメージダウンにつながるのじゃないか、そういうムード的ないろいろな反発がございまして、そういう点についてはこれから地元の意向なりも十分聞きながら、こちらの仕組みの趣旨も十分御説明してまいりたいと考えておるわけでございます。
  191. 藤田修

    藤田委員 大臣反対をしているのは地元の関係する当該の町村だけじゃないのです。山岳団体だとか自然保護団体、自然愛好者たちも反対をしています。目的は、国民の協力を得てレクリエーションの森の良好な保全と利用者の快適な利用を促進するためだ、私はその目的そのものはいいと思うのです。ただ、だからということで、協力金とおっしゃいましたので言葉を合わせますが、協力金を取るというのはその目的を逆行させることになると私は考えるわけです。環境美化とおっしゃいますが、二百円という額がもう出ていますので使いますが、二百円というお金をなまじ払ったがために、何かごみのぽい捨ても免罪されるような気分が出てくる、あるいは逆にお金を受け取った方はそのごみを清掃しなければならないというような義務がついてくる、こういう関係になるわけです。だから、これはモラルの向上などかえって捨ててしまうものになると私は思います。  それから利用設備をよくしていくといっても、これもよほどよく考えていかないと、そういう場所はやはり自然破壊を伴っていきますから、こういう点でも問題がある。問題があるから環境庁が五十一年に自然環境保全審議会で費用負担小委員会というのを設けて、一度はこの問題について協議をした。ところが結論が出ないのです。だからいまだに検討は中断されたままであります。しかも地元の方もそうですね。先ほど六カ所の名前を挙げられましたけれども、最初は東京の高尾山だったのです。ところが今聞いたら旭川の高原温泉、こういうふうに行き詰まってはくるくる変わっているところも、やはりこれは相当無理をしていらっしゃるということになると考えます。  収入をおっしゃいませんでしたけれども、私の計算では大体三千四百十七万人掛ける二百円、そして半分子供ということで徴収しないとしても、大体三十億ぐらいという計算になってくるわけです。こんなことはもう本当にやめておいた方がええ、かえって損するだけや、大阪的に言うたらそういうことになるわけです。したがって、大臣にこの問題についてお考えをお聞かせいただきたいことと、地元の反対、それから山岳団体や自然保護団体の反対があるということを十分考えて無理をせず、反対があっても実施に踏み切るんだというようなことは間違ってもしないというお約束だけはいただきたいわけであります。
  192. 加藤六月

    加藤国務大臣 ただいまいろいろな理由をおっしゃいました。一つずつ私としてもうなずけるものはあるわけでございますが、先ほどちょっと子供ということが出てきました。自然保養林が国民の間で利用され、活用され、幅広い入山者がふえてきた場合に、もしそういう子供がさくがなくて大変なけがをした、あるいは墜落したというときに、今の世の中の風潮として、それに対する損害賠償であるとかあるいは責任追及という点も逆に起こってこないのかなという感じも私はしました。そういう点等もいろいろあるわけでございますが、きょうはそれに対するいろいろのことは申し上げません。  私としましては、地元地方公共団体あるいは利用者団体等と完全なるコンセンサスができ上がらない限りやらないということを申し上げておきます。
  193. 藤田修

    藤田委員 完全なるコンセンサスを地元関係者との間で得られない限りやらないというお約束をいただきましたので、私はそれを心にとめてこの質問を終わりますが、勤労者山岳会という人たちが山の清掃登山といいまして年間一万人山に行きまして、自分で掃除して、そして登山者にポリ袋を配ってモラルの向上を訴え、みずからのボランティア活動で模範を示している、その後非常にごみが減ってきているという地域の皆さんからの喜びの声を聞いていますし、そういうことをやっていらっしゃるということを私もよく知っているのです。私は、本来そういうものであらねばならないと考えます。大臣施設というのはつくればつくるほど転落した、責任だ、こういう話になるのです。それは私は子供を守りたいですよ。だけれども、子供を守るとその責任じゃ何じゃと、ここのところの話は、なまじっか自然にいろいろ手を加えれば加えるほどそういうことになっていくのです。そうでないところへ行っていたらもちろん親も一生懸命注意しますし、お金を取るという話からそういう物の考え方が出てくるのです。いろいろ言いたいですが、時間が参りましたので、大臣の御答弁に大いに期待をして、質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  194. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  195. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  196. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  197. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  198. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 この際、本案に対し、保利耕輔君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。石橋大吉君。
  199. 石橋大吉

    石橋(大)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同を代表して、森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は本法の施行に当たり、最近における我が国森林及び林業をめぐる諸情勢の変化にかんがみ、地域林業の中核的担い手としての森林組合の組織経営基盤を強化するため、左記事項の実現に遺憾なきを期すべきである。         記  一 森林林業・林産業の活性化を図るため、国産材をベースとした木材需要拡大を図るとともに、木材貿易をめぐる国際情勢等を勘案し、需要動向に見合った秩序ある木材の輸入を図るための方策を講ずること。  二 間伐対策についてはその緊急性にかんがみ、引き続き森林組合等が行う間伐事業に必要な施設整備間伐材需要開発等に努めること。  三 林業後継者の育成を図るため、地域社会との連携を強化しつつ、学習研究体制の整備、グループ活動の活性化、その他有効な施策充実すること。  四 今後、森林組合の果たす役割が一層重要となることにかんがみ、地域振興のリーダーとなりうる森林組合役職員の人材確保、技術向上等に必要な教育、指導の推進による技術者の養成に努めること。  五 林業労働者を確保するため、雇用の安定、労働条件の改善及び労働安全衛生の確保を図るとともに、森林組合作業班の育成強化、社会保障制度の充実、福利厚生施設の増強に努めること。  六 森林組合及び森林組合連合会の事業範囲の拡大に伴い、その事業の実施に当たっては、関係事業者との協調・連携の下に、地域一体となった取組みが円滑に展開されるようその指導に努めること。  七 森林災害共済については、林業経営の安定化を図るという観点から、対象森林の構造変化、災害の多発等の不安定要因を考慮し、将来の課題である森林国営保険との一元化を含めた長期的展望を踏まえつつ、経営及び仕組みのあり方について早急に検討を行うとともに、共済加入の拡大と健全な運営を図ること。  八 森林組合の合併を促進するに当たっては、組合員の意志を尊重し、組合の実態、地域の実情に即した合併が行われるよう指導に努めること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。  以上です。
  200. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  保利耕輔君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  201. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。加藤農林水産大臣
  202. 加藤六月

    加藤国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上善処するよう努力してまいりたいと存じます。     —————————————
  203. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  205. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 請願審査に入ります。  今国会において、本委員会に付託になりました請願は全部で六十二件であります。  本日の請願日程第一から第六二までを一括して議題といたします。  まず、審査の方法についてお諮りいたします。  各請願の内容につきましては、請願文書表等によりまして既に御承知のことと存じますし、また、理事会におきましても慎重に御検討願いましたので、この際、各請願についての紹介議員からの説明は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これより採決いたします。  本日の請願日程中  国民食料確保及び農業政策確立に関する請願一件  農業再建等に関する請願十件  食糧管理制度維持農業再建に関する請願一件 以上の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  207. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいま議決いたしました各請願委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  209. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 また、本委員会に参考送付されました陳情書は、農業基本政策の強化に関する陳情書の外九件でありますので、この際、御報告申し上げます。      ————◇—————
  210. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  内閣提出、食糧管理法の一部を改正する法律案及び  大豆なたね交付金暫定措置法の一部を改正する法律案 並びに  第百七回国会、宮崎茂一君外五名提出、流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法案 の各案につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  211. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 起立多数。よって、さよう決しました。  安井吉典君外十六名提出、本邦漁業者の漁業生   産活動の確保に関する法律案及び  農林水産業の振興に関する件  農林水産物に関する件  農林水産業団体に関する件  農林水産金融に関する件  農林漁業災害補償制度に関する件以上の各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中審査におきまして、委員会に参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中審査案件が付託になり、その調査のため委員を派遣する必要が生じました場合には、議長に対し、承認の申請を行うこととし、派遣の目的、派遣委員、派遣期間、派遣地、その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時七分散会