○五十嵐
委員 全中の調査によりますと、酪農、畜産農家の経営
内容は、ほぼ六〇%の農家が経営不振農家とされているわけであります。これら農家は固定的な負債にあえいでいるというのが現状であろうと思うのであります。殊に北海道なんかの場合ですと、今申しましたように、規模
拡大、設備近代化ということで大変な投資を行ってきているわけでありますから、それと同時に多額な負債がその経営を極めて圧迫しているということも御
承知のことであろうと思うのであります。最近の
円高による飼料価格の値下がりなどで、確かに一定の経営改善は得たということも言えるのでありますが、しかし、去年もことしもかなりの減産を一方では自主的にしていかなければならぬ。わずかに一息ついたとは言え、経営環境は極めてまだまだ厳しいものがあるというふうに思うのでありますが、そういう経営実態の現状認識というようなものについて、今申し上げたようなことと差はないかどうかという点。
時間がありませんからあと少し
質問の
内容を続けて述べておきたいと思うのです。
今度の加工原料乳保証乳価の算定に当たって、従前よく言われているのでありますが、家族労賃の評価についての問題であるとか、あるいは子牛価格であるとか、地代、資本利子等について
検討すべき点はかなりあるのではないかというふうに思われるわけであります。これらについては十分に生産者の意見も尊重しながらひとつ決定に当たっていただきたい、こういう
ぐあいに思うところであります。あるいは乳脂肪率基準を現行の三・二から三・五%に引き上げたということでありますが、これらは当然保証乳価算定に重要な影響を与えるということになろうと思うのでありますが、これらについてのお考えも
局長からでもお伺いできればと思います。
もとより
円高のメリットだとか、あるいは
生産性のメリットができるだけ消費者に還元をされるように努力をしていくことは私は大事なことだというふうに思います。しかし、その努力と同時に忘れてならないのは、さっき言いましたような胸突き八丁のところに差しかかっている生産者側に生産意欲を失わせないように、大変だけれ
ども、しかし長期の展望を持ちながら何としても頑張っていくという気持ちを持ってもらう
意味でも、一定の生産者へのメリットの還元というようなものは、私はやはり消費者だって国民全体だって
理解をしていただけるところではないかというふうに思うわけであります。今年の畜産、酪農の
政策価格の決定に当たりましても、ぜひ我が国の酪農、畜産の長期安定化という基本的な視座を欠落させないようにひとつお決めをいただきたい。端的に言えば、単に単年度の生産費要素だけではなくて、やはり長期の展望に立ってひとつぜひ御配慮をいただきたい、こういう
ぐあいに思っているところであります。
それから限度数量でありますが、依然として大量の乳製品が輸入を見ている。これは生乳換算でもよく言われておりますように、北海道での生産総体を上回るというような
状況にあるわけであります。これでは国内の生産者が、一方でどんなに厳しい計画生産を進めても
意味がないんじゃないかという抜け道のないような気持ちになるのも当然だと思うわけであります。国内の乳製品の需要そのものは
拡大傾向で推移しているわけでありますが、限度数量は大幅にこれを下回っている。六十一年度で十二万トンの乖離が見込まれているのも御
承知のとおりであります。限度数量の決定に当たっては、乳製品の国産シェアを
拡大する、そこのところに視点をしっかり置いてぜひひとつ決めていただきたい、こう思うわけでありますが、どうでしょうか。
また、チーズ向けの原料乳を不足払い制度から外して、生乳生産
拡大を図ろうとしている生産現場の実態といいますか、そういうものも十分に限度数量決定については御配慮していただきたいと思いますが、ぜひこの点につきましては
大臣の誠意あるお答えをいただきたいと思います。
それから、最後に
局長にちょっとお伺いしておきますが、一月ほど前に北海道農協酪農畜産対策本部は、中央酪農
会議が決定した来年度の生乳供給計画について、チーズ部門を一般枠に織り込んで、しかも北海道に前年比一・五%の生乳減産配分をしたことについて大変に実は反発をして、これは承服できない、事実上割り当て拒否を表明して、かつてない重大な局面にあることは御
承知のとおりであります。私
どもが考えましても、確かに中央酪農
会議の方針は、大幅な安値乳価を覚悟で、乳価は安くてもチーズをつくって需要を
拡大しようという国産チーズ
振興の基本理念にどうも逆行するのではないか、このように思われるわけであります。生乳生産の三分の一を占める北海道が、中央の生乳供給計画を承服できないとする事態は極めて異常で重大なものであるというふうに思うのでありますが、これにつきましてもこの機会に農水省の見解をお伺いしておきたいと思います。