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柴田(睦)
委員 日本共産党・革新共同を代表して、ただいま
議題となっております
地域改善対策特定事業に係る国の
財政上の
特別措置に関する
法律案に対して、修正案の提案理由とその内容の概要を御説明申し上げます。
同和対策
特別措置法施行以来、十八年間にわたってとられてきた同和対策
特別事業に対する
財政上の
特別措置は、全体として対象地域の環境と対象地域住民生活の改善に大きく寄与してきました。しかし、今日なお少なくない地域に同和対策事業が一定量残されており、この
特別措置は引き続き一定期間継続する必要があります。その際、この十八年間に生み出されてきた特定団体の暴力的圧力やえせ同和行為などによる同和
行政をめぐるさまざまなゆがみと問題点を確実に正す
措置をとることが不可欠であります。これは政府の審議機関である
地域改善対策協議会が昨年提出した意見具申でも、同和
行政のゆがみを特に指摘し、同和問題の解決にとって極めて重要な課題でるることを強調しているのであります。
政府提出法案は、同和対策事業の一面的肥大化に歯止めをかけつつ、これまでの
特別措置をさらに五年間続けるなどの前進面を持っていますが、同時に法案は、我が党がこれまで一貫して主張し、今や広範な国民世論となっている公正・民主・公開・国民合意の同和
行政を実現するという見地を欠いているのであります。
我が党は、同和
行政十八年間の総括に立ち、公正・民主・公開・国民合意の同和
行政実現のための
制度的保障を確立するとともに、法の期間内に残事業を計画的に完結させ、対象地域住民の自立を助長し、対象地域以外の住民との融合を促進して、同和問題の迅速な解決に寄与するために、政府提出法案の不備、弱点を基本的に正す立場から、修正案を提出するものであります。
次に、修正案の概要を申し上げます。
第一は、法の目的を、「同和問題の迅速な解決に寄与すること」とし、目的達成のために「同和対策事業の目標を明らかに」して「計画的に推進すること」により、対象地域住民の「生活の安定及び福祉の向上」と「自立の助長」を図りつつ、「あわせて同和
行政の適正にして公正かつ民主的な運営を確保」することとしております。また、
法律の
名称も目的にふさわしく「同和対策事業に係る
特別措置及び同和
行政の適正化等に関する
法律」に改めます。同和対策事業の目標は、規定を新たに設け、対象地域住民の「社会的経済的地位の向上を不当に阻む諸要因を解消する」ことにあることを明記しました。
第二は、適正にして公正かつ民主的な同和
行政を確立するために、「国及び地方公共団体の責務」並びに「同和
行政の運営の原則」について規定を新設し、国と地方公共団体に、「自らの判断と責任において、適正にして公正かつ民主的に行わなければならない。」こと、「対象地域とその周辺地域との一体性の確保」を図ること、「対象地域の住民が思想、信条等によって差別されることなく等しく受益できるように」することなどを義務づけております。
第三は、すべての国民が、不公正、乱脈な同和
行政の適正化を関係する
行政機関等に対して請求する権利を保障するとともに、国民の請求があった場合には、当該
行政機関に対して、会計検査や予算執行の監督、
行政監察の実施を義務づけることとします。
第四は、行き過ぎた密室的な同和
行政の運営については、国や地方公共団体に対し、同和
行政の方針や計画及びその実施状況等の公表義務を課すとともに、国会や地方議会のチェック、同和対策協議会の関与など、国民による監視を
制度化し、同和
行政公開の原則を確立することとします。
第五は、同和問題を迅速に解決するために、国の第一義的責務を明確にし、政策全般にわたる施策の実施を義務づけ、地方自治体には事業を計画的に推進する義務を課すこととします。また、国に同和対策事業を法の有効期間内に円滑かつ迅速に完結させるための「基本方針」策定を義務づけ、地方自治体にもこの方針に基づく「実施計画」の策定を義務づけることとします。
財政力の弱い市町村に対しては国の補助率を引き上げる
措置をとることとします。
第六は、
地域改善対策協議会の
名称を「同和対策協議会」に改め、その設置根拠を本法に置き、民主的で公正な運営を確保する新たな規定を設けます。さらに、内閣総理大臣の諮問にこたえるだけでなく、みずからの判断で必要に応じて同和
行政とその運営の実態を
調査、点検し、内閣総理大臣に随時意見を申し出ることができるなどの強い権限を持たせる規定を設けることとします。
以上が修正案の提案理由とその概要であります。
なお、本修正によるかさ上げ補助などの経費増は、約五十九億円と見込んでおります。
委員各位の御賛同をいただき、速やかに可決されますよう要望いたしまして、修正案の趣旨説明を終わります。