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1987-05-15 第108回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年五月十五日(金曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 深谷 隆司君    理事 白川 勝彦君 理事 関谷 勝嗣君    理事 額賀福志郎君 理事 吹田  愰君    理事 田並 胤明君 理事 木内 良明君    理事 木下敬之助君       遠藤 武彦君    尾形 智矩君       金子 一義君    金子原二郎君       亀岡 高夫君    川崎 二郎君       久野 忠治君    佐藤 守良君       渡海紀三朗君    野中 広務君       二田 孝治君    穂積 良行君       宮崎 茂一君    阿部未喜男君       伊藤 忠治君    上田 利正君       松前  仰君    鳥居 一雄君       春田 重昭君    阿部 昭吾君       佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 唐沢俊二郎君  出席政府委員         郵政大臣官房長 成川 富彦君         郵政大臣官房人         事部長     森本 哲夫君         郵政省貯金局長 中村 泰三君         郵政省簡易保険         局長      相良 兼助君         郵政省電気通信         局長      奥山 雄材君         郵政省放送行政         局長      森島 展一君 委員外出席者         逓信委員会調査         室長      古田 和也君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十五日  辞任         補欠選任   園田 博之君     渡海紀三朗君   虎島 和夫君     遠藤 武彦君   宮崎 茂一君     金子 一義君   渡辺 紘三君     金子原二郎君 同日  辞任         補欠選任   遠藤 武彦君     虎島 和夫君   金子 一義君     宮崎 茂一君   金子原二郎君     渡辺 紘三君   渡海紀三朗君     園田 博之君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関  する法律及び簡易保険郵便年金福祉事業団法の  一部を改正する法律案内閣提出第二五号)  簡易生命保険法及び郵便年金法の一部を改正す  る法律案内閣提出第五五号)  放送法及び電波法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五〇号)  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第五  六号)  電気通信事業法の一部を改正する法律案内閣  提出第九三号)      ――――◇―――――
  2. 深谷隆司

    深谷委員長 これより会議を開きます。  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律及び簡易保険郵便年金福祉事業団法の一部を改正する法律案簡易生命保険法及び郵便年金法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松前仰君。
  3. 松前仰

    松前委員 郵政大臣には連日委員会でお疲れだと思います。誠心誠意御答弁いただいていることに対し深く敬意を表したいと思います。  そこで、最初にちょっと、きょうの法律案の前に郵政大臣の姿勢といいますか、それをお伺いしたい、そのように思うわけです。それはお答え方によってはきょうの法律審議それにも、私自身の質問というものについてもいろいろ考えなければいかぬところも出てくるかもしれぬ、そういうことでちょっとお伺いさせていただきたいと思います。  昨日のいろいろな質疑の中で、郵政大臣マル優廃止の問題につきまして、最後まで廃止すべきではないというふうに頑張ったというお答えがあったわけですが、その中で気になることは、本会議の席でもおっしゃっておりましたけれども大局的立場に立って考えるとどうしょうもない、こういうお話がございました。マル優廃止方向考えざるを得ないというようなお話があったわけです。大局的立場というのは、政治家としては当然常に考えておく必要なものだと思うのです。だから、ここでやっていることはちっちゃな立場なのかと、そういうふうに言われますと私はここで議論することはできなくなってしまうわけです。大臣でありますから常に大局的立場考え大局小局もないのでありまして、ですから、そういう意味大局的立場というのは一体何のことを言っているのか、そこをちょっとお話しいただきたいと思うのです。
  4. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 昨年、各方面の御支援をいただき、先生からもいろいろ御指導また御激励をいただきまして、少額貯蓄非課税制度存続のために努力してまいりましたのですが、いろいろ税制問題の審議過程におきまして、非課税存続分野かなり広くなってまいりました。また、所得税減税、これは国民から本当に強い要望のある問題でありますし、また、国会においても野党の先生から強い御要望が出される。私も昔予算理事をいたしたことがありますが、大体予算審議最後に出てくるのが所得税減税でございます。それも非常に規模の大きいものをお考えになっていらっしゃる。そういうことで、そういう所得税減税するというようなことを考えまして、それではやむを得ないということで決断をいたしたということでございまして、どれが大局小局かということではございません。そういうこともいろいろ勘案いたしまして、政府の一員として決断をさせていただいたということでございます。  先生方前から言っていらっしゃいます少額貯蓄というものは、郵便局がお預かりをして、今残高が百兆を超えておりますが、これは非常に大きな貢献をしたし、日本の美風の一つである。金利自由化の昨今では大型の貯蓄がどうしても大事にされる傾向があるので、少額貯蓄というものは今まで以上に大事にしていかなければならないという考えはいささかも変わっておりません。
  5. 松前仰

    松前委員 少額貯蓄を大事にしていかなければならぬということ自体も、やはり大局的立場に立って考えて、それで判断をしなければいけないことなのですね。ですから、大局があって別の面があって二通り全然違う形があるというのは、これは私は政治家としてはちょっと問題があると思うのですね。そういうことで、きのうあたりの御答弁を聞いておりましてちょっと首をかしげるところもあったわけなのですが、どうかこれからしっかりとした信念を貫きながら、この委員会でも大局的立場に立つで主張していただいて議論していただきだい、そのように思うわけでございます。  そこで、簡保郵便年金の問題に入らせていただきます。  また大きな話になりますが、簡保郵便年金国営ということなのでございますけれども、ほかの民間保険とかそういうものに比べて特徴を持たなければいけないのじゃないだろうか。国でやっているということになれば、民間と同じことをやっているようじゃこれは意味がないと思うわけですね。それがあちらこちらでかなり議論になって、簡保なんかは要らないよという議論も出てきているぐらいなのです。ところが、私に言わせれば、何か国でやらなければいけないメリットは必ず存在しているし、またそこが最近いろいろなところでどうも不足してきているというような感じがするので、その辺を郵政大臣としてはどうお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
  6. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 先生言われるように簡易保険郵便年金国営でございます。したがいまして、一つ特徴山村離島を含む郵便局ネットワークによりあまねくサービスを提供していることだと思います。金融機関というのは民間でございますと採算考えますが、そのとき大きく物を言うのは店舗政策なのですね。しかし、これは国営でございますから、山村離島まであまねくサービスを提供するということが一つだと思います。  それから、資金運用に当たりましても、国民皆様からお預かりした資金でございますから、大部分社会資本の充実に貢献をいたしておる、これが大きな特徴ではないかと思っております。  今後もこのような特色を生かしまして長寿社会に向けた国民自助努力を支援していこう。御承知のように、公助、互助のほかに、これから長寿社会を迎えるようになると自助努力が非常に大事だということになりますので、国民自助努力を支援して、国民経済生活の安定と福祉の増進に積極的に寄与してまいりたいということで、ことしからは先生承知のように夫婦年金の創設とか、また寝たきり老人の方に保険金を支給するとか、こういうこともさせていただきたい、このように考えております。
  7. 松前仰

    松前委員 最近の世の中傾向を見ておりますと、非常に競争原理マネーゲームというようなことが横行しておりまして、横行というと言葉が悪いですけれども、はやっておりまして、そういう中で落ちこぼれる部分が非常に大きい。全国あまねくという部分がまたかなり落ちこぼれて、今大臣おっしゃったようないろいろな他の分野についても落ちこぼれが出てくる可能性が非常に大きいので、やはり簡保郵政省のやっておりますこの制度というのは非常に重要だと私は思いますので、ぜひとも大臣のおっしゃるような方向で頑張っていっていただきたい、そのように思います。  郵政省の方にお伺いいたしますけれども、現在の簡易保険郵便年金、これは日本生命保険業界全体の規模からいってどんな位置づけになるが、シェアはどうなっているかというようなことをちょっと簡単に御説明いただきたいと思います。
  8. 相良兼助

    相良政府委員 簡易保険生命保険市場占有率は、保有契約件数におきまして約三分の一、それから保有金額におきましては、加入限度額が設けられておるという点もございまして、市場占有率は約一割となっております。なお、この傾向はここ五年ほどさしたる変化はございません。また、郵便年金につきましては、件数におきまして市場占有率約二割でございます。年金額統計につきましては民間の方が不明でございますので、この点の占有率は不明ということに相なります。
  9. 松前仰

    松前委員 保有契約件数とか保有保険金額、こういうところから見ますと、今大体の数字がありましたけれども、ずっと年度を追って考えてみますと、件数についてはどんどん減る一方で、現在大体一三%ですか、件数占有率としては。それから保険金についても七%ぐらいだ、こういうような数字が出ているわけなんですけれどもね。これはどんどん減ってきているという状況なんですね。だから、私は思うに、今簡保だけの例しか言いませんでしたけれども簡保年金というものが他を圧迫しているというようなことにはならないような気がするのだけれども。  そういうことはちょっと別にいたしましても、数日前、簡易保険年金事業の六十一年度実績新聞に出ておったのですが、かなりいい伸びであるというようなことが出ておりましたね。この原因はどこにあるのでしょうか。
  10. 相良兼助

    相良政府委員 昭和六十一年度の簡易保険営業実績郵便年金営業実績についてまず申し上げたいと思いますけれども、六十一年度の新契約実績は、簡易保険件数で六百五十万件、これは前年度に対しまして一一%増ということに相なっております。また保険金額では約十四兆円でありまして、これは前年度比較六%増。なお、郵便年金の方は件数が二十万件、対前年度比二八%増、年金額におきましては三百九十億円で約二六%増と、おかげさまで大変順調に推移をいたしております。  昨今のこの好調の原因ということでお尋ねがございますが、全般的に生命保険あるいは個人年金必要性、今後の高齢化社会に対応しますところの一人一人の国民の皆さんがニーズを自覚しておられるというようなことが根底にあろうかと思いますけれども、いろいろ新商品開発しながら、全国の職員が打って一丸となりまして事業の発展のために努力をしてまいっておる。特に昨今では無集配特定郵便局におきますところのカウンターセールス伸びが非常にふえてまいっておりまして、昨年度だけでも年間の契約の一割を超えるようなものが無集配特定局カウンターセールスによるというようなこともございます。いずれにいたしましても、今後とも全員が大いに気を引き締めてやってまいりたいと思っておるわけでございます。
  11. 松前仰

    松前委員 その先のことをちょっとお伺いしたいのですが、これは将来どういう展望を持っておられるか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  12. 相良兼助

    相良政府委員 長寿社会へ向けまして活力のある豊かな老後を送っていくということが今後の国民的課題であろうかというふうに考えるわけでありますけれども、その国民皆様方自助努力を支援してまいるというのが国営保険のまず最大の責務であろうというふうに考えるわけでございます。全国にくまなく配置をされております二万有余の郵便局を通じまして、社会高齢化あるいは国際的にも金融自由化といったような状況変化が急激に押し寄せてまいっておりますので、これに対応するような商品を新しく開発しながら国民皆様からお求めいただけるような良質な商品をさらに提供してまいりたい、このように考えておるわけであります。  高齢化社会ということになりまして、特に従前と違いまして夫婦という社会生活単位が改めて非常に大きな意義を持ってまいるというふうに考えております。子育てを終わりまして五十歳代になりますと、人生八十年と言われますこの長寿社会におきましては、改めて夫婦二人での生活が、再出発と申しますか、大事になってくるわけでありまして、こういう意味におきましては、夫婦単位といたします高齢化向け商品開発ということで、本年四月一日から夫婦年金を発売いたしまして、さらにことしの秋には夫婦保険を発売いたすということを考えておるわけであります。さらに、高齢化社会一つ傾向でありますけれども寝たきりになられる方あるいは痴呆症状を呈せられる方、そのために他人の介護を余儀なくされる、そういう方々のために介護保険を新しく戦列に加えまして高齢化社会への対応商品といたしたいということで、現在法案をお願いいたしておるわけでございます。よろしくお願いいたします。
  13. 松前仰

    松前委員 将来展望の内容についていろいろ具体的なお話がありました。高齢化社会というのが非常に問題になってくるということのお話でありましたが、私ここで申し上げたいのはそれ以前の問題があるのじゃないかということを、問題があるというよりも注意しなければいかぬということで申し上げたかったわけなんです。  先ほどから傾向だの何だのを質問させていただいたわけですけれども、相対的に見ますと、簡保の方でいきますと、新しい契約では新聞に出ているように上昇気味である。これは、上昇したから簡保は非常にもうかっているじゃないかという印象が深くなるような形で報道をされたのかどうか知りませんけれども、短期的には上昇気味である。現時点ではそうだ。だけれども保有高というものは、これはシェアが減ってきているわけですね。これは件数ですけれども昭和三十五年は五〇%くらいのシェアだったのですが、昭和五十九年になると一三・六%というところまで落ち込んできているわけですね。民保の方は、最初昭和三十五年は四六・七だったのが、五十九年には八一・八%。これがずっと伸びてきているわけですね。それから保険金につきましても、昭和三十五年は二二・四で、昭和五十九年は七・七というところまで落ち込んでいる。民保の方は三十五年に七四%、それが五十九年に七九・二。これはそれほど変化はないのですけれども、こういう数字があるわけなのです。こういうように、結局保有高等について民間保険、農協に比べまして低下してきているということがあるわけなのです。  ですから、今はちょっと調子がいいよということで喜んではいられない。なぜ喜んでいられないかというと、金融自由化というもの、これがどんどん進展してきている。環境が変わってきているわけですね。金融業界の垣根がだんだん取っ払われてきている。こういうことになって競争が激しくなってくるという状況なわけです。だから、こういうような状況高齢化社会が到来してくれば、さらにそれに追い打ちといいますか、もっと努力しなければいけない材科がふえてくるということなので、高齢化社会だけを考えているとちょっと問題があるんじゃないだろうか。要するに、現状の金融界環境変化というのをまず考えてやっていかなければいかぬ、そういうふうに思うわけなのです。  それで、簡保年金事業として何らかの対策というものを立てていかなければならぬ、その辺の対策について郵政省は何か考えているでしょう。具体的に私から申し上げますと、同じ金融業であります郵貯ですね。郵貯と一緒になって、一体的になって何かやるというようなことは考えたことがあるだろうか。その具体的な展望があったらお聞かせいただきたい、そのように質問させていただきます。
  14. 相良兼助

    相良政府委員 前段先生の方から御指摘ございました、次第に生保業界の中において簡保の占める地位が低下をしつつあるのではないかという御質問、御指摘でございますけれども昭和三十五年の時点から現在を考えますと、確かにかなりの率でシェア低下をいたしてまいっております。ただ、統計の中には、私どもが販売をいたしておりません集団保険団体保険かなり部分入っておるわけでありまして、その中で民間生保個人保険対象にいたしまして私どもシェアを比較いたしますと、先ほど申し上げましたように保有契約件数では約三分の一ということで、この率はここ五年間はほほ安定的に推移しておるということに相なっております。  それから、昨今の金融情勢の急激な変化、これに対応いたしましてどのような対策なり考えであるかということでございますけれども、私ども生命保険という事業は、まずは募集に始まりまして、契約を締結をいたすということで、初めに契約ありきということになりますけれども、この契約が一たん締結されました後は、それを維持して契約の初期の目的がその本来の目的どおり達成をされるということに力を注ぐわけでございます。募集、維持、そして満期なりあるいは途中、保険事故がありましたときに保険金をお支払いするということで完結をするわけでございますけれども、何せ長期間にわたりましてお支払いをいただく保険料あるいは年金の掛金でありますので、毎日全国郵便局を通じて集めてまいります。その資金が次第に大きなものになってまいります。この資金を有利に運用いたしまして、できるだけ加入者方々財産的価値を維持し、さらに向上させていくというのもまた私どもの使命であるわけでございます。昨今の御指摘のような環境の激変がありますので、従来の資金運用範囲でありましては十分な有利運用という点について非常に困難な状況となってまいったわけでありまして、ぜひとも対象範囲を広げ、さらには有利運用をするために、後ほど御説明いたしますけれども簡保年金福祉事業団を介しまして指定金銭信託単独運用という新しいシステムを導入するということにいたしたわけであります。  なお、郵便貯金の方でも自主運用ということでその芽生えが生じたわけでございますので、今後の資金運用等につきましても、ノーハウ等につきましては十分情報等の交換も含めましてお互いに協力し合うということでまいりたいと思いますし、さらに御指摘の業際的な問題等もありまして、郵便貯金あるいは私ども簡易生命保険商品等をドッキングさせまして、何らか新しい形の新商品というものができないかどうかということも内部的には検討を始めておるわけでございます。  以上のような状況でございます。
  15. 松前仰

    松前委員 現在の世の中状況というものは大変変わっておりますので、十分注意してその辺を見ていただいて、将来の構想をきちっと立てていっていただきたい、そのように要望いたしたいと思います。  それから高齢化社会で先ほどお話ありましたけれども、とにかく非常に高齢化が進行しているということは事実でございます。欧米と違うのは、悠長に考えていたのではこれはしょうがないということなんですが、要するに、我が国では非常に急に高齢化社会が起こってきているということなんですね。現時点でももう既に大きな問題が出つつあるということなんですけれども、それに対応していくということでいろいろ考えていらっしゃることは大変うれしいことでございます。  ところが、私が思うに、これは介護保険の話になりますけれども、これは掛けなければ介護保険はおりないわけです。現在の介護を必要とする人に対しては何ら手当が出ないのではないだろうか、そういうことをちょっと心配するのですが、そこはどうなんですか。
  16. 相良兼助

    相良政府委員 簡易保険国営事業であるということと同時に、任意加入をいただいておりますところの独立採算制保険事業でもございます。そういう点におきましては民間生命保険と形式的には変わりがないわけでございまして、保険金支払い等に充てます資金も、すべてこれは加入者からお支払いをいただいておる資金をもって充てる。したがいまして、相互扶助としての任意保険ということに相なりますので、既に保険に御加入ができないような状態にある方、その方のために何らかをいたすということは制度的に甚だ困難でございます。  そういうことで、先生指摘の、今後急激に押し寄せてまいります高齢化社会に対応するには国営保険としていささか鈍かったのではないかといったような点につきましては反省もいたしますけれども、何せ新しい分野商品でございますので、種々研究開発ということにつきまして時間がかかったわけでございます。今回おくればせながらそういう面で、介護を要すべき状態にある方のための、将来そういう状況になられる方のための保険というのを新しく発売をするという運びにいたしたわけでございます。
  17. 松前仰

    松前委員 要するに、この高齢化という問題は現時点でも非常に問題になってきておりますので、非常に近い将来介護保険というものが生きてこなければいかぬと思うのですけれども、今のお話だとちょっと鈍いということもございました。何かこれは国営という立場から考えていっていただきたいと私は思うのですね。従来の民間保険とか、いろいろほかのところはありますけれども、それと同じようなことをやっているということではなくて、法律を改正してでも近い将来のお年寄りの問題点について救っていけるように考えていかなければいけないんじゃないか。今私もまだ案はないわけですけれども、みんなで考えていきたいと思うのです。  一つは、大蔵省資金運用部へ預託する分があるわけです。簡保年金については郵政大臣が大体運用権を持っているということなんですけれども大蔵省資金運用部、これは余った金がそっちへ行くということになってしまっておりますけれども、余った金をそっちへ持っていくというようなことがあるぐらいなら、ここの資金でもって何かできないだろうか。これはかなり法律改正を必要とするでしょうけれども、そんなようにも思うわけでございます。これはお答えは要りません。いろいろな検討をしなければいけない、私も勉強しなければいかぬと思います。  その大蔵省資金運用部に預託する資金についての金利の問題をちょっとお伺いします。  三月ですか、六・〇五%から五・二に引き下げられたのですけれども、この影響というのは結構簡保にとっては大きいんじゃないだろうか、そう思うわけです。独立採算制簡保の経営上の問題というものはないと思うのですけれども、それはどうだろうか。そしてもう一つ、それによってもしそれが問題があるとすると、郵政省は恐らく商品性見直しなんということも考えるだろう、そんなこともすぐ手っ取り早い形で考えてしまう。ですけれども利用者に不利なことがあっては絶対いけない、私はそのように思うわけでありまして、見直しなど絶対するべきではないというふうに思います。  その二点について簡単にお答えいただきたいと思います。
  18. 相良兼助

    相良政府委員 先生からお話がございましたように、本年の三月に資金運用部の預託金利が、従来法定制でありましたものを緩和いたしまして、その預託利子の引き下げという措置があったわけであります。これによりまして、私ども資金運用部に預託をしておりますところの余裕金、これの預託利子への影響、さらには財投協力ということで財投関係機関への貸出金利も同時に低下をいたしたわけでありまして、この双方のもたらします影響は、単年度で計算をいたしてみますと約三百八十億円の減収と申しますか、減少になるわけであります。  昨今の世界的な金利低下、市中金利低下という現象は覆いがたいものがありまして、そういう面からは今回の預託金利の引き下げというものもある程度においてはやむを得ない措置であろうというふうに理解はいたすわけでありますが、私どもとしましても、ただそれだけでいるということではなく、新しい形での有利な運用を手法として取り入れたいということもあわせまして、経営上支障のないように今後とも万全の努力、配意をしてまいりたい、このように思っているわけでございます。
  19. 松前仰

    松前委員 一つ確認をしておきたいのですが、この預託金利引き下げということで今かなり損失があるというようなこともお話がございました。それによって商品性見直し、こういうものはやらないということを利用者立場に立って考えていただきたい、それを確約していただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  20. 相良兼助

    相良政府委員 昨今の低金利状況が相当長期化いたしますと、資金運用というものが簡易生命保険事業にとりましても大変大きな部分でございますので、その影響は免れがたいわけでございます。しかしながら、実際の保険商品あるいはその料金というものは、運用いたします。その金利の面だけではございませんで、そのほかにも死亡状況の改善によりますいわゆる死差率、その死差益、あるいは事業経営のための経費、その効率的運営ということによりますところの死差益というものもあるわけでございまして、これらをそれぞれ最大限努力をいたしながら、なるべく安い保険料あるいは掛金で国民商品を提供する、そういう使命をできるだけ貫いてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  21. 松前仰

    松前委員 今、金利低下とかそういう激動の時代でございますけれども、それが利用者の方にすぐにぽんぽんはね返っていくようなものであったら、これはちょっと経営上おかしいわけです。ですから、世の中の変動がどうであろうとも利用者は常に安定した形で利用できるということをやっていかないと、利用者も怖くて加入していかないと思うのですね。それもあるし、利用者の利益といいますか、それを守るということもあるわけでございまして、そういう強い姿勢で臨んでいっていただきたい、そう思います。  いろいろ経営上の問題なんでしょうけれども、社債、外国債、簡易保険事業団に運用させるというようなことを今度考えるわけなんですが、簡易保険事業団に運用させる株の売買ですね、これは、その先は金銭信託に任せるのでしょうけれども、そういう株の売買というもの、株の運用というものをできるように考えたのだろう、今まではできなかったわけですから。そういうところで株の運用ということを考えて、その運営資金というものをそこから転がしてつくっていこうということでその範囲を拡大していった、そういうふうに思うわけで、それは一生懸命郵政省考えて、経営上の、先ほどから申しました外がどう変わろうとも中で処理していくんだというような姿勢でやっていかれるという一つのあらわれではないかと思うのですけれども、ここのところでやはりちょっと注意しておいていただきたいなと思うことがあるわけです。  要するに、円とドルの関係、今これがかなり変動している。それこそ世界的な変動になってくるわけなんですけれども、五月十二日の新聞を見ますと、生保の七社、大きなところの七社ですけれども日本生命、第一、住友、明治、朝日、安田、三井、これの為替の差損が一兆四千億円に上ったということが報道として出ておりました。世の中で言われるとおり、これは生命保険かなりマネーゲームに参加しているということで、かなりの大きな額をやっておるということは言われておりましたのですが、それがこうやって裏目に出てくると、完全にダメージを受けたわけではないけれどもかなりの損失をこうむっているということになるわけなんです。  この株の運用とか外国債、こういうとしろの範囲も広げるということになっておりますけれども、そういうところでマネーゲーム――マネーゲームと言ってはいけませんが、運用していく、そしてそこで運営資金をつくっていくというようなやり方を大きく広げていきますと、こういう民間の生保のようなことが起こってくる。これは、これに加入している国民の皆さんに対して大変申しわけないことになるわけなので、その辺はぜひとも注意していっていただきたい。そっちの方でうまくいくからどんどんそれを広げていこうやという考え方を持ってもらっては困るということなのでございます。  ですから、世の中うんと広く見ていただいて、あちらこちらの動きを十分見ていただいて、競争原理の中へ飛び込んでいくのですから、しっかりとした姿勢で運営していっていただきたい、そのように思うわけでございます。この辺について、考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  22. 相良兼助

    相良政府委員 現在、簡易保険資金につきましては三十二兆円を数えるまでに至っております。この資金の使途と申しますか分類を申し上げますと、大まかに、財投ということで公団公庫等関係機関への融資が三分の一。それから、全国津々浦々から集まりました資金でありますので、地方への還元ということを従来から重視してまいりましたので、地方公共団体等への貸付融資が三分の一という形になっておりまして、おおむね残りの三分の一によりまして市場等における社債、外国債等の運用をいたしておりまして、ここでできるだけ有利に運用いたしながら、総体として公共の利益にかなうような、あるいは加入者方々の財産の実質的な維持向上ということで運用いたしておるわけでございます。  先ほども申し上げましたけれども、預託金利の引き下げとか昨今の低金利状況ということも勘案いたしまして、その中でもできるだけ有利な運用を確実に行っていくということの観点から、新たに簡保事業団等を活用いたすという措置をとったわけでございます。  また外国債や社債につきましても、市場が拡大をしておるということに合わせまして、従来保有を積立金総体の百分の十ということになっておりましたものを百分の二十までお認めいただきたいということで、社債につきましては政令事項ということで去る四月十日からこれを発足させております。外債につきましては、御審議をいただいておりますこの積立金運用法をお認めいただきました後、範囲の拡大等について考えてまいりたいというふうに思っております。  いずれにしましても、加入者から預かっております大事な、いわば共同の準備財産というべきものでございますので、その運用については十分に慎重の上にも慎重を期してまいりたい、このように考える次第でございます。
  23. 松前仰

    松前委員 もう時間が参りましたので終わりたいと思いますが、いずれにしましても、これは国営簡保ということで、民間ができないことをやれるわけでありますので、非常に重要な制度でございます。ぜひとも利用者立場をしっかり守ってやっていけるようにこれからも御努力をいただきたい、そのように申し上げまして質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  24. 深谷隆司

    深谷委員長 春田重昭君。
  25. 春田重昭

    ○春田委員 本日この委員会簡易生命保険及び郵便年金積立金運用法及び福祉事業団法の一部改正案、さらに、簡易生命保険法及び郵便年金法の一部改正案が出されておるわけでございますが、国民にとってどういう点、どういう要素がプラスになるのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  26. 相良兼助

    相良政府委員 生命保険事業は、御加入をいただきまして、契約によりまして月々保険料あるいは掛金をちょうだいいたしまして、契約の内容に応じながら保険金支払いをいたすあるいは年金をお支払いいたすということで、一種の双務契約でございますけれども、その過程におきまして生じます保険料、掛金等の運用という大きな問題もございまして、最近では、募集の方は極めて好調に推移をいたしておりますけれども資金運用について、急激な金利低下現象等が周辺に生じておるということもありまして、現在のところ、簡易保険の当面します最大の課題は資金運用の面であろうというふうに考えておる次第でございます。  現在、資金運用につきましていろいろ努力をいたしております。六十一年度の決算はまだ出ておりませんけれども、現在、六十一年度に資金運用がどの程度利回りを示したかということは、推計でございますけれども、およそ七・二%強程度というふうにカウントされるわけでございます。六十年度が七・六一%の運用利回りでありましたので、〇・四%ほど利回りが低下をいたした。これも、六十一年度の特に後半から生じてまいりました金利低下現象ということが影響いたしておるわけでありますけれども、さらに六十二年度に入りましてこの現象は依然として続いておるわけでありまして、何としても資金有利運用ということについて全力を挙げて取り組みたい、このように考えております。そういう点で、有利運用ということの方策をいろいろ今回改正案として提出をさせていただいておるわけでございます。  また、簡易生命保険郵便年金につきましては従来から市場調査等もいたしましてニーズを把握しながら、それに沿います商品開発、発売ということに努力をしてまいりましたけれども、昨今の市場調査によりまして高齢化の現象に対応する商品開発が急務であるということが認識をされましたので、四月一日に夫婦年金、今秋には夫婦保険、そして本日御審議をいただいておりますところの簡易保険法あるいは郵便年金法ということで、さらに寝たきり等、人の介護を必要とするような症状を呈する、そういう傾向が強まっておりますのでそのための保険にあらかじめ壮年の時代から入っておいていただく、そしてお手伝いをする、そういうことを内容といたす法案の提出ということで取り組んでおるわけであります。
  27. 春田重昭

    ○春田委員 簡易生命保険、それから郵便年金資金総額でございますが、現在幾らぐらいあるのですか。
  28. 相良兼助

    相良政府委員 六十一年度末で約三十二兆五千億円でございます。
  29. 春田重昭

    ○春田委員 六十一年度末で三十二兆円という御答弁でございますが、スタートした年は何年なのか、それから一兆円台に入った年は何年なのか、十兆円、二十兆円それぞれ、どういう年代といいますか、どういう年度に達成したのか、お答えいただきたいと思います。
  30. 相良兼助

    相良政府委員 資金は大正五年の簡易保険の創業以来徐々に積み立てられてまいっておるわけでございますが、手元に持ち合わせております資料が五十一年以降ということでお許しをいただきたいと思うのでありますが、五十一年度末の運用資産といたしましては八兆二千億という数字に相なっております。これが二十兆に相なりましたのが五十七年度でございます。それから六十年度に二十八兆という数字になって、六十一年度末で三十二兆円、こういうふうになっておるわけでございます。
  31. 春田重昭

    ○春田委員 大臣にお尋ねしますけれども、今局長からの御答弁、漏れましたけれども、私の手元の資料は、昭和三十八年四月十日に一兆円に達しまして、昭和五十三年七月四日に十兆円、五十八年三月二十五日に二十兆円、今日においては三十二兆円、特に十兆円台になって加速度的に伸びているわけです。こういった伸び大臣はどう御認識なさっておりますか。
  32. 相良兼助

    相良政府委員 一つは各年度の募集成績が毎年増加をしてまいっておることによる資金の集積、それから一件一件の平均の保険金額が増加をしてまいっておる、これがその基本的な原因だろうというふうに思われるわけでございます。その間に、御加入いただきます限度額も、昭和三十年代の前半ですと限度額二十万円という金額でありましたけれども、現在は加入限度額一千万、一定の条件のもとには一千三百万まで御加入いただける、そういう限度額もその効果の大きな部分だというふうに思うわけでございます。
  33. 春田重昭

    ○春田委員 これは大臣お答えいただきたいと思うのですが、私は順調過ぎるほどの大きな伸びではないかと思うのですね。これは郵政省関係各職員の相当な御努力があったということで私も敬意を表するわけでございます。とともに、一方では、この伸びというのは例えば民間金融機関にとっては余り歓迎すべき状況ではないと思うのです。そういった声も民間金融機関の中にあります。批判といいますか、これに対して大臣はどう受けとめておられますか。
  34. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 その前のお尋ねで、急激な伸びに対してどう思うかということでございました。保険金額の増額とか、また、だんだん高齢化してきたというようなこともあるのでございましょうが、私も今数字を聞きまして、これほど急激に伸びているとは思っておりませんで、一瞬ちょっと驚いたわけでございますが、伸びたことは郵政大臣としては、非常に職員も努力して国民の皆さんに御協力いただいた結果でございますから、大変うれしく思っております。  何か、三十二兆円というと世界の保険会社の最大になるということも聞いておるわけでございます。そうしますと、今先生懸念されましたように、官業の民業圧迫というような問題が出ますが、私はそういうことは絶対あってはならないと思っております。しかし先ほどの、件数はともかく金額で申しますと、やはり簡保シェアというものは割合低いわけでございまして、民間の生保さんも非常に、大変な活力を持って業績を伸ばしておられますから、これは民間と両々相まって、切瑳琢磨して国民にできるだけサービスするということがよろしいのではないかと思っております。
  35. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、この簡保並びに郵便年金資金運用状況について、これも簡単にお答えいただきたいと思います。
  36. 相良兼助

    相良政府委員 先ほどお答えいたしました昭和六十一年度末の三十二兆五千八百七十六億円、これが運用総資産でございますけれども、これを貸し付けあるいは融資の対象別に申し上げますと、国あるいは政府関係機関等に対する財投といたしまして約十二兆であります。三七%。それから地方公共団体等に財政投融資の分といたしまして六兆八千億強、二二%。そのほかに地方債として購入をいたしておりますのが三兆三千億ほどありまして、これが九・八%と相なっております。そのほかが、大きいのは、これは資金運用部預託金のいわゆる余裕金、これが三兆五千七百億でありまして、一一%。そのほかは契約者貸し付けてありますとか社債、外国債、金融債、このようなものになっておるわけでございます。
  37. 春田重昭

    ○春田委員 そこで先ほども局長から御答弁があったように、これからの簡保並びに郵便年金のいわゆる運用が非常に重要になってくるというお話がございました。きょうの新聞を読みますと、民間の生保関係では非常に、金利低下によって配当を下げるというような形も報道されておるわけでございます。そういった中で運用対象を今回の改正で相当広げているわけでございますが、郵政省本体は、従来有価証券の取得や土地などの不動産の取得は禁じられているわけでございますけれども、これに対しては大臣、どう御認識をなさっているのですか、御見解を伺いたいと思います。
  38. 相良兼助

    相良政府委員 簡易生命保険並びに郵便年金積立金につきましては、積立金運用法によりましてその運用範囲等につきまして法定をされておるということがございます。現在の運用対象には株式等含まれておりませんし、不動産も含まれておりません。そういう状況の中で、片や民間の生保においては、総体の保有制限はありますものの、株式の取得あるいは不動産等への投資ということがかなり活発にまた自由に行われているわけでありまして、そういう面で昨今の経済市況等との絡みで有利運用を図っておられる。直接国が株式を取得をするという点につきましては、国の資金という性格から制約があるということで、株を直接の投資対象といたさないということになっておるわけであります。  しかしながら、現下の資金運用と世間の動向というものを考えますと、株式にノンタッチで資金運用を有利に持っていくということは極めて限界があるわけでございます。そこを何とか工夫をいたしたのが、簡保事業団に簡保年金特会から融資をいたしまして、これを簡保事業団において指定金銭信託運用をして、できるだけ有利な運用をということを考えたわけでございます。
  39. 春田重昭

    ○春田委員 局長にお願いでございますけれども、意識的に御答弁が長いとは思いませんが、非常に御丁重な御答弁でございまして、実は限られた時間でございますから、ひとつ簡潔に御答弁いただきたい、こう思っているわけでございます。  郵政省本体は株の取得や土地の不動産等の取得ができないわけでございますが、今回、簡易生命保険それから郵便年金の福祉事業団法の改正の中で、運用対象範囲として国債、地方債等、等が入っていますね。有価証券等の取得、こうなっておりますが、この等の中に株式の取得というのは入ってないのですか。
  40. 相良兼助

    相良政府委員 確実な有価証券ということで、発行主体の信用度でありますとか証券の有利性というものを勘案しながら見ていくわけでありますけれども、社債、外国債といったようなものをカウントしておるわけでありまして、簡保事業団におきましては、先ほど申し上げましたような指定金銭信託をもって運用するというふうに考えておるわけでございます。
  41. 春田重昭

    ○春田委員 ということは、上場されている株式の投資は行わない、こう理解していいわけですね。
  42. 相良兼助

    相良政府委員 今度初めてシステムとしてやるわけでございますので、株式を直接運用するといったようなことは当面考えておりません。指定金銭信託運用するということでございます。
  43. 春田重昭

    ○春田委員 当面ということは、将来はどうなのですか。
  44. 相良兼助

    相良政府委員 金融情勢というものがいろいろ変化をしてまいりますので、長い将来にわたることを予測をし明確に申し上げるということが大変難しいわけでございまして、しかしながら、ここ当面は指定金銭信託運用するということに相なると思うわけでございます。
  45. 春田重昭

    ○春田委員 先ほど局長からも答弁があったように、民間金融機関というのは、特に運用対象として株式投資や土地の不動産等の投資の割合がだんだん広くなっていっているわけです。しかし、その割には国民に還元されてないという強い不満があるのではないか、こう思っております。その意味では、官業がリスクも伴う株式投資を果たしてやっていいかどうかという意見もあろうかと思いますが、例えば国民、厚生年金の福祉事業団がございます。この国民、厚生年金積立金自主運用が本年度からスタートする運びになっているのに伴い、厚生省の年金資金運用検討会という、大阪大学の蝋山先生でございますかが中心になっている検討会の中で、預託金利が五・二%に下がった、少なくとも一%以上上回る運用益を出さなかったら還元できない、その意味では株式投資による運用方法についても検討すべきでないか、こういった意見が出たみたいでございます。  先ほど言ったように、確かに危険性が伴うしリスクもあるわけでございますけれども、そういった面で株式投資についてはいろいろな御意見があろうかと思いますが、大臣御自身ではどうお考えになっていますか。
  46. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 簡保等の資金につきましても、これは国営でございますからまず第一は安全かつ確実に運用すること、それから加入者利用者のためにできるだけ高利、有利に運用すべきだろうと考えております。そのほかに、全国に広く加入者がおられますから、今までどおり地方に還元すること、これも重要だと思っておりますが、局長が今御答弁申し上げましたように三分の一が地方で三分の一が政府関係機関ですか、三分の一は市場で運用しておるというのが実態でございます。  そういうことで、六十二年度は七割程度財投に協力して運用しておる。六十三年度以降におきましては、金利の動向や経済情勢等々を勘案いたしまして財投協力額をまた決めてまいりたいと思っておりますが、御承知のように最近は低金利でございまして、資金運用部の預託金利も先ほどお話がありましたように引き下げられておる、こういう中で加入者の利益の維持向上を図るためには、一般的には市場運用額ですか、さらに運用する対象もふやすということは必要だと私も考えております。
  47. 春田重昭

    ○春田委員 郵政省本体そのものはいろいろな縛りがありますから非常に難しいと思うのです。しかし、福祉事業団法が改正されたわけでございますから、その中で将来検討することも考えていいのではなかろうかと御提言申し上げておきます。  それから、先ほど言ったように預託金利が六・○五から五・二に引き下げられたということで、一部保険料が値上がりするのではないかという話も出ているわけでございます。この点、どうお考えになっておりますか。
  48. 相良兼助

    相良政府委員 預託金利の引き下げによりまして、余裕金を運用しております部分も、さらに財投機関に対して貸し出しをいたしますところのいわゆる財投基準金利もともに下がったわけでありまして、単年度に引き直しますと年間で三百八十億円程度の収益減という見通しでおるわけであります。  そういうこともございまして、さらに有利運用というための努力としてのこの法案であるわけでございますけれども、この法案成立の暁には直ちに取り組みまして、精いっぱいの有利運用ということで鋭意努力をしたい、現在はかように思っておるわけでございます。
  49. 春田重昭

    ○春田委員 例えば保険料の過去の推移を見ますと、大体五年に一回郵政審議会の部会が行われておりまして、直近では五十九年の九月それから五十四年の九月に審議会が行われているわけでございますが、いずれも御存じのとおり保険料は引き下げられているのですね。これは死亡率が非常に低下してきた、また郵政省本体の経営の効率化、こういったこと等が理由であるみたいでございますが、今日こういった預託金利が下がったということで一部、保険料値上げにつながっていくのじゃないかという御意見もございます。しかし、運用対象が広がったわけでございますから、過去はずっと上げるどころか下がっているわけですから、そういった面で、五年ごととすれば次は六十四年になりますか、その時点にも、一層の効率化を図って、死亡率もどんどん低下しているわけでございますから、保険料は絶対に値上げがあってはいけないし、引き下げの方向でひとつ御努力いただきたい。大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  50. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 今後ともますます効率化に努めまして、加入者利益の維持向上に努めてまいりたいと考えております。
  51. 春田重昭

    ○春田委員 さらに、今回の改正で社債と外国債の保有制限を百分の十から百分の二十へ広げるようにそれぞれなっております。最近の新しい状況の中で、社債と外国債の占有率を簡単に説明いただきたいと思います。
  52. 相良兼助

    相良政府委員 六十一年度末で申し上げますと、社債が約一兆九千億でありまして占有率は六・六%、外国債が約一兆六千億強でありまして、これが五・六%という数字に相なっております。
  53. 春田重昭

    ○春田委員 今御説明あったように、六十一年度が社債の占有率が六・六、六十年度は七・七です。五十九年以前は四・七とか五%前後でございます。外国債につきましては六十一年が五・六%、六十年が三・八ということで、五十九年は二・七ということになっておりまして、それぞれ一〇%の保有制限枠があるわけでございますが、今まで最高でも、社債については六十年の七・七、外国債については六十一年の五・六ということで、かなり余裕があるわけですね。それをさらに二〇%に広げる必要性があるのかどうかという疑問があるのですけれども、どうお考えになりますか。
  54. 相良兼助

    相良政府委員 先ほど御説明をいたしましたが、約三分の一の市場における有利運用ということの中で最大限ハイリターンをねらうということを考えておるわけであります。日本電信電話株式会社、NTTの誕生それから国鉄の民営化といったようなことになりまして、従来特殊法人債ということで対処をいたしておりましたが、これらがいずれも社債の枠に入ってくるといったような状況も生じてまいりましたし、できるだけ有利運用を図るという観点から一般的に社債、外国債の範囲をふやすということで、今後はその方面の運用対象に有利と認められれば資金を投入していくということが予想されるわけでありまして、現在のところまだ一〇%には達しておりませんけれども、一〇%を超えるような局面も出てまいるということが予測されるわけでございます。そういう意味におきまして、百分の十の制限をさらに緩和をしていただくということをお願いしておるわけでございます。
  55. 春田重昭

    ○春田委員 確かに社債は従来七業種に限られたのを企業種に広げていったということで、今おっしゃったようにNTTや国鉄の民営化、こういったいわゆる社債等も購入していけば、それはそれなりに占有率は上がってくると思いますが、外国債に至っては先ほど話したようにまだ五・六%なんですね。合いわゆる米国のドル債というのは相当下がってきておりますし、特に外債というのは、何といいますか危険率が高いわけですね。だから少なくとも、社債についてはある程度わからないわけじゃないけれども、外債については何も今二〇%に持っていく必要もないのじゃないかという考え方を持っておりますが、その点どうですか。
  56. 相良兼助

    相良政府委員 現在の外国債運用につきましては、主として国際機関でありますとかあるいはカントリーリスクの少ない上位十カ国で発行されます債券等を中心に、できるだけ安全な運用かつハイリターンということを考えてやっておるわけでございます。  先ほど先生から御指摘がありましたように、社債の保有の伸びに対しまして外国債の方は保有割合が急激に増加をしてまいっておりまして、この傾向でまいりますといずれ一〇%を超えるような傾向値を示すだろうということが一つあるわけでございます。さらに、昨今の為替市場が安定をいたすというような状況になって、国内の債券と外国債との間の金利差が非常に有利であるという状況に相なれば、外国債に投資をするということはまたそれなりの価値があるというふうに考えられますので、百分の十ということを緩和いたしたい、このようにお願いをする次第でございます。
  57. 春田重昭

    ○春田委員 占有率を上げようという御努力、熱意はわかるわけでございますけれども、国内の社債と違って特に外国債というのは、為替変動というのが相当激しいわけでございますから、そういった面では利回りが少なくとも安全性のいいものを選ぶ必要があろうと僕は思うのですね。一〇%を二〇%に持っていったがゆえに、無理してやれば大変なリスクを伴うこともあるいはあるかもしれないですね。そういった面で私は慎重にやっていただきたい、こう思っておるわけでございます。大臣の御見解をいただきたいと思うのです。
  58. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 先ほど申しましたように、有利、高利に運用すると同時に安全かつ確実な運用をしていかなければならないということで、外国債についてはやはり慎重は要すると思っております。しかし、今局長が申しましたいろいろな理由もありますが、外国債でも円建て情もあるわけでございますし、今度はIBMとか特別の超優良企業の債券も購入できるようになりました。そういうことで、今後の運用に当たりましては、内外の金利水準、為替の動向を十分に注意いたしまして、国内債と比較して有利であると判断した場合に今までも行ってきたわけでございますが、その点は十分慎重に運用させていただきたいと思っております。
  59. 春田重昭

    ○春田委員 最後になりますけれども簡易保険郵便年金福祉事業団の問題についてお尋ねしたいと思います。  いわゆる福祉事業団というのは、この福祉事業団に限らず、特殊法人というのは要するにお役人の天下り先という御批判と、外にあるだけにどうしてもいろいろな面で、運用の面においてもずさんな面がたびたび会計検査院から指摘されるわけでございます。  簡易保険郵便年金福祉事業団の会計検査院のいわゆる指摘事項を調べてみますと、相当過去になりますけれども昭和五十三年、工事の不当事項が指摘されております。内容は、工事の契約に当たりまして、指名競争でありながら最低入札者を排除して一千六十五万円の割高な契約をした、こういう指摘がされておるわけです。現在は指名競争に当たり最低制限価格なるものは適用してないと思うのですけれども、その点確認しておきたいと思うのです。
  60. 相良兼助

    相良政府委員 大変申しわけございませんが、先生の今の御質問に対して、手元に資料等ございませんので、ちょっとお答えを御猶予いただきたいと思うわけでございます。
  61. 春田重昭

    ○春田委員 それでは後で資料で御提出いただきたいと思います。  最後大臣にお伺いいたしますけれども、この特殊法人は国みたいな縛りがないということで、非常に国民の批判が絶えず出ているわけでございます。本省としても、いわゆる定年後の落ちつき先、天下り先というような考えはないと思いますけれども、そういった本当に国民の納得する特殊法人ならしめるためにも、私は厳しい本省の監査体制といいますか、監督が必要であろうと思うのです。  そういった面で、この特殊法人でございます年金福祉事業団に対しまして大臣の御決意をいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  62. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 いろいろ今先生指摘ございました。私も詳細に存じませんので、後でよく報告を受けておきますが、確かにいろいろそのような問題が起きるといけませんので、今後とも監督を強化してまいりたいと思っております。
  63. 春田重昭

    ○春田委員 どうもありがとうございました。
  64. 深谷隆司

    深谷委員長 木内良明君。
  65. 木内良明

    ○木内委員 今回簡保においてもいわゆる介護保険制度を新設するということになったわけでありまして、この点につきましては、急速な高齢化社会を迎えた我が国の状況考えたとき、適切な措置であるということで評価をいたしたい、こういうふうに思っております。  しかしながら、既に民間では現物給付をつけた介護保険もスタートしているわけでありまして、こうした民間介護保険と比べて、身体障害の基準でございますとか、あるいは支払い加入といった具体的な手続の面など、今回の改正案の内容について具体的にさらにきめ細かな措置を講ずべきである、こういうふうに私は思うわけでございます。まずこの点については、民間のものと比較していかがな内容になっているかお聞きします。
  66. 相良兼助

    相良政府委員 現在、民間生命保険各社におきまして、介護状態にある、介護状態を必要とする保険の発売は四社において行われております。まだ発売後日が浅いというようなこともございまして、また発売しておる会社の数も少ない、したがいまして、ことし二月末の状況では、全社を合わせまして四万件程度の加入ということにとどまっておるわけでございます。  しかしながら、高齢化社会という現実が急速に進展をしてまいっておるという状況に合わせて鋭意研究開発をいたしてまいり、今回の発売ということをいたしたいわけでございますけれども民間生保と比べて特に何か留意した点ということになりますと、現在の民間生保は、寝たきり老人寝たきりとして対象にしておりまして、あわせて痴呆症状を呈するという老人についての介護を要すべき状態保険事故としてとらえていないわけでございまして、私どもの今回の介護保険は、寝たきりになられた方、寝ではおられないけれども痴呆症状ということで常時他人の介護を必要とする、そういう両面の状況保険対象とするということで考えている点が最大の特徴であるというふうに思います。また、もちろんこれは、特にこれに限ったことではありませんけれども全国津々浦々で手軽に御加入いただけるという、そういうこともあるわけでございます。
  67. 木内良明

    ○木内委員 民間の生保の内容に比べて痴呆状態というケースにまで網をかけた、さらに取り扱いの窓口というものが全国津々浦々、ローカルな地域にまで及んでいるということ、こうした特記すべき内容であるというふうに思います。  答弁にありましたように、民間生保で、日は浅いというものの約四万件程度の加入実績があるということでございますが、今回のこの改正によりまして、これを上回るのか、どの程度の加入の見込みがあるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  68. 相良兼助

    相良政府委員 経済企画庁の推計によりますと、西暦二〇〇〇年、昭和七十五年に、介護を要すべき老人、寝たきり老人あるいは痴呆老人、合わせまして二百十六万という数字が推計されております。このように、高齢化社会の進展とともに介護を要すべき老人の数がふえてまいるということが一つ。  それから、先ほども申しましたが、民間各社ともまだ発売後、一番早いのが六十年一月でございまして、まだ日を経ていない。そしてまたこの保険自体が、どちらかといいますと大変地味な保険でございますので、そういう点もございまして思うに任せないという点があろうかと思うわけでございますが、私ども、これの需要予測と申しますか、市場調査をいたしましたときに、お答えいただいた方の過半数の方が介護保険に非常に関心を示されておりまして、もしこの種の商品が発売をされたとするならば加入をしたいあるいはぜひ加入をしたい、こういう御意向を示された方が五割以上ということに相なっておるわけであります。こういう点、さらには全国津々浦々に支店網も持っております私ども簡易保険ということもあわせまして、予測はなかなか難しいのでありますけれども、発売いたしましたならば、ほぼ一年の間に約一万人以上の御加入は見込めるものというふうに考えておる次第でございます。
  69. 木内良明

    ○木内委員 アンケート調査の結果もかなり高率な前向きの回答が寄せられたという答弁でございまして、今後の急速な高齢化社会の到来の中で、老後の不安というものは極めて切実になっているわけでございまして、一万件という単年度の需要見込みもお持ちのようでありますが、さらにこれは精力的に対応をされるよう要求をするものでございます。  あわせて、民間の生保におけるこうしたシステムと比べて、なお一層今後サービスの内容にも改善を加えていってしかるべきである、こういうふうに思うわけでございますが、今後、新商品としてどのようなものを考えておられるのか、かなりのテーマにわたって検討されているのではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  70. 相良兼助

    相良政府委員 新商品開発に関しましては、市場調査ということによりましてニーズの動向を常に新しく把握するということで努力をいたしておりますけれども、局内にも商品開発委員会というようなものも設けまして、常々勉強をいたしておるところでございます。  最近の、あるいは今後の近い将来ということで申し上げますと、四月一日から夫婦年金を発売いたしまして、御夫婦のどちらかが生存をされておられる限り年金の支給が可能となる高齢化向け商品として開発いたしたわけでありますし、さらに今秋には夫婦のお二人とも対象といたします夫婦保険を発売をする、そして第三弾と申しますか、介護保険というようなことを考えておるわけであります。  そのほかにも、特約等では、医療ニーズといったようなものもよく把握をしながら、いろいろそういう面で多様な御要望にこたえ得るような商品開発ということを心がけていきたい、このように思っております。
  71. 木内良明

    ○木内委員 今最後に言われた特約のことで、医療ニーズを把握して多様な商品開発ということがございましたが、具体的には何ですか。考えられているもので結構です。
  72. 相良兼助

    相良政府委員 まだ商品として具体的に固まってはおりません。ただ、現在の特約の中では、いろいろ、入院に対する入院保険金支払いとか、それから手術をされた場合に対しまして、手術のために要する費用ということでお支払いをしたりしておるわけでありますけれども、それらの中身が新しい状況に対応するにはかなり古くなっておるといったようなこともございます。これは必ずしも正確ではありませんけれども、例えばメスを使って切開をした手術を対象にするというのに、最近ではレーザー光線等でいろいろやるというようなこともありまして、そういうものを取り入れるとか、さらには、入院の際につきましても、できるだけ現在の入院の実態に合うような形の期間の算定をしてまいるとか、そういうことを大体考えておるわけであります。
  73. 木内良明

    ○木内委員 この問題は以上にいたしますが、いずれにしましても、高齢化社会に対応した新しい商品開発あるいはさまざまな措置の検討、いよいよもって精力的にお願いをしたいと思いますが、この問題に関する大臣の御決意を一言。
  74. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 先生おっしゃいますように、高齢化自由化、国際化の昨今でございまして、保険事業も一大転換期を迎えでおると思います。そういう意味で、国民のニーズを踏まえまして、今後とも商品サービス面で次々に新しい施策を推進して、国民の御期待にこたえたいと思っております。
  75. 木内良明

    ○木内委員 質問時間の関係で取り上げる問題が前後いたしますけれども簡易生命保険郵便年金加入者の利益向上を図るため、資金の高利運用は最も重要な問題であって、この点には十分な留意がされていると判断をしたいわけであります。特に、簡保にありましてはその運用成果が配当金として直接加入者へ還元されるため、言ってみれば加入者の関心も高いのでありまして、今回の事業団への貸し付けや外国債等の保有制限緩和により、運用利回りというものはどの程度向上が見込まれるのか、簡単に答えてください。
  76. 相良兼助

    相良政府委員 その中でも簡易保険年金福祉事業団を経由いたします新たな運用、この点について一例として申し上げたいと思いますけれども、現在のところ年間三千五百億円を事業団に貸し付けをいたす、これを予算上積算をいたしておりますのは、現在の貸付条件でありますところの五・二%で貸し出しをいたして七%で仮に運用をいたすということになれば、これは六十三億円の有利運用という形になるというような算定をしたりしておるわけでありまして、新規の積立金運用についてあれやこれや、その他外国債あるいは社債の運用範囲の拡大等々あわせまして、効果は十分あり得るもの、特に長期的にその効果が出てまいるものというふうに期待をいたしておるわけであります。
  77. 木内良明

    ○木内委員 最後に、現在簡保年金特別会計からその余裕金が資金運用部に預託をされて、次の年度に積立金に組み入れられるというシステムになっておるわけであります。これは本来は積立金と同じ性格のもので、簡保によって自主運用されるべきものであると考えますけれども郵政省においても毎年予算要求されているようではありますが、大蔵との関係でいつも見送られているというふうに思います。このとんざしている具体的な理由、今後の見通しについてお聞きをいたします。
  78. 相良兼助

    相良政府委員 先生からお話のありましたように、積立金と同様に余裕金を直接郵政大臣の管理下に置きまして運用したいという要求をここのところ逐年予算要求という形で出しておるわけでございます。現在までのところ、残念ながらその実現を見るに至っておりません。  これがなかなか実現に至らないというのは、特別会計の余裕金は資金運用資金で統一的、統合的に運用をするという仕組みになっておるという現行の法体制ということがあるわけでございまして、私どもとしましては、事業の性格上この余裕金の資金としての性質も積立金と何ら変わることがない、会計法上の単なる区分にすぎないということで言っておるわけでありますけれども、それが実現するにはかなりの困難がある、今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  79. 木内良明

    ○木内委員 以上で終わります。
  80. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、休憩いたします。     午前十一時三十七分休憩      ――――◇―――――     午後零時五十五分開議
  81. 関谷勝嗣

    ○関谷委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上田利正君。
  82. 上田利正

    ○上田(利)委員 簡保二法の質問の前に、本委員会におきましても最大の課題という形で、最も重要な問題ということで論議してまいりました少額非課税貯蓄制度の問題につきまして、まず郵政大臣の所信をお聞きしておきたいと思うわけでございます。  それは、今期百八通常国会、あと十二日後の五月二十七日で、衆議院議長の裁定などに基づきまして会期を終わろうといたしておりますけれども、売上税関連六法案は一応議長裁定によりまして廃案処理されるということが確定的な状況になってきております。したがいまして、関連六法案の一つでこの少額非課税貯蓄制度廃止されようとされたわけでございますけれども、存続ということに相なりました。郵便局を信頼し、利用してこられました国民にとりましても、あるいは私ども委員会にとりましてもこんな喜ばしいことはございません。  そこで、大臣にお尋ねでございますけれども、この非課税制度がこれからもずっと維持されることについて、郵政省を預かる大臣といたしまして本当によかったなと思ってほっとしているかどうかというのが一つです。それから二つ目は、閣僚の一人といたしまして、やはりそういう立場では困ったなと思っておるのかどうか、端的にこの点をお伺いしたいと思います。
  83. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 関係各方面の御支援を得ながら、特に先生から御指導、御激励、応援をいただきまして郵便貯金非課税制度存続努力をいたしてまいりましたが、非課税存続範囲をお年寄りから母子家庭、身体障害者まで広げていただいた、また国民の願望であります所得税減税を含む税制の抜本改正をするということの中で私も決断をいたした次第でございます。その後、今先生言われましたように、先月、議長さんのあっせんで協議機関が設けられることになりまして、そこで各党の英知を集めていろいろ御審議、御検討なさる。その中にこのマル優問題も入ってくるということでございますので、我々政府の方からとやかく申し上げるべき立場にはございませんので、その御審議の成り行きを見守っておるところでございまして、我々は法案を出させていただきました以上は、そのお取り扱いは国会でお決めになるべき問題でございますので、喜んだり悲しんだりというよりも、謙虚に協議機関の御審議の成り行きをただいま見守っておるところでございます。
  84. 上田利正

    ○上田(利)委員 大臣から端的にと思ったのですが、昨日から同じようなお考えが示されました。いずれにいたしましても、この少額非課税貯蓄制度、私ども委員会はもちろんでございますけれども、郵政事業にとりましても非常に大きな問題だけに、ぜひこれからもこれを維持するという形で大臣に頑張っていただくように要望しておきたいと思います。  それでは簡保二法に対しまして質問に入らせていただきたいと思いますけれども、法案の内容に触れる前に福祉事業団の運営の実態等に基づいて、最初に全体的に質問をさせていただきたいと存じます。  ここに事業団の八六年度の「事業のあらまし」というのをいただいております。いつも事業団が出しておられますけれども、わかりやすく、非常に好評でございます。このパンフレットを見せていただく中で、事業団を運営するに当たりまして、業務上の重要な事項について審議するために、加入者代表、加入者を代表するということは利益者を代表してということで利益者代表、それから学識経験者の代表などによりまして、これを見ますと十八名ということでございますけれども、運営審議会というのが構成をされておるわけでございます。ここで重要な事項については審議がされておるわけですけれども、この審議会で決定した事項等につきまして、もちろん郵政大臣にこれを答申をしたり、あるいは報告という義務があるのだと思うのでございますけれども事業運営にどのように反映をされてきておるのか、まず最初にこの点についてお答えをいただきたいと思います。
  85. 相良兼助

    相良政府委員 簡保年金事業団の運営につきましては、できるだけ加入者方々の声を反映をするという観点から審議会を設けておりまして、この審議会の中で提起をされましたいろいろの要望事項等を具体化をしていくということでやっておるわけでございます。  運営審議会は毎年春秋、年二回開催をいたすということにいたしておりまして、つつがなく開催をされておりますけれども、この運営審議会の中でいろいろ御意見がありまして、それをどのように吸収をし、実施に移したかということでございますが、幾つも小さいもの等もございます。そのうちで幾つかを例示的に申し上げてみますと、ゲートボール場を設置をした方が有効だという御要望等がありまして、最近では保養センターあるいはレクセンター等にはゲートボールを主体にやっておるというようなこと、それから、従来の保養所ではどちらかといいますと日本式旅館というスタイルが多かったのでありますけれども、これをホテル式の入館方式に改めるといったような形で御要望にこたえておるとか、その他もろもろ、職員の接遇の問題でありますとか施設の改善、さらには全国的な施設の中で特に御要望が高いような保養所について優先的に改修を行っていく、そういうことにも大いに御意見を徴しておるわけでございます。  以上でございます。
  86. 上田利正

    ○上田(利)委員 今局長から御答弁いただきましたけれども、施設の改善の問題であるとか、あるいはゲートボール場もお年寄りのためにつくった方がいいじゃないか。審議会の中ではいろいろな、さまざまな意見も出てくるんでしょうけれども、これも重要でないとは申しませんけれども、いわゆる審議会の設置の目的は、この事業団を運営するに当たって特に重要な事項について、運営上の事項についてという、こういうことでございますから、もちろん、事業計画を立ててそれをどうするのか、あるいは事業状況がどういうふうになっているのか、あるいは毎年毎年の事業年度における決算の状況、収支の状況などはどうなのか、こういうようなことも恐らくやられて、そしてどう対応するのか、あるいは国に対しましても、さらにどういう要請をしていくのかというようなことも運営審議会の中ではやっているのではないかと思うのでございます。そういう点で、そこで審議された問題が郵政省、いわゆる国の側にどのように反映されているかということでお尋ねしたわけですから、その点、もう一度明確にお答えをいただきたいと思います。  同時にもう一つは、この事業団は役職員で三千名ぐらいと聞いておりますけれども簡易保険センター、保養所などには非常に職員が多いわけでございます。ここにも労働組合がございまして、郵政省の職員で結成をしております全逓信労働組合と同じ組合にほとんどの人が加盟をしておられるわけでございます。やはり事業は人なりと言われておりまして、昨日の唐沢郵政大臣の所信表明の中にもございますように、近代的な労使関係というもの、労使信頼関係の原則と申しますか、そういうものも非常に大切だ、こう大臣もおっしゃっておりますけれども、全逓信労働組合との中でこの事業団をより効率的に、あるいは事業団の事業伸びていくためには全逓とどのように話し合いをしているのか、あるいは団体交渉事項などになっているのかどうか、この点もあわせて二つお尋ねをしておきたい、こう思います。
  87. 相良兼助

    相良政府委員 まず第一点の運営審議会等の意見が私どもの方に反映されているかどうかというお尋ねに対してでありますが、運営審議会が開催をされます都度、その報告内容を私ども求めまして、その内容によりまして事業団とよく相談をして、施設の改修その他につきましても、手当てを必要とすると思われるものについてはやっておるわけでございます。  それからお尋ねの第二点の労働組合との関係でございますけれども、福祉事業団の提供しますサービス内容はおおむねお客さんに直接サービスを提供するという加入者福祉の実態がございますので、一人一人の職員が心のこもったサービスを提供いたしまして、お客様から十分満足のいただけるようなそういう接遇内容ということが何より肝要なわけでございます。そういうふうな接遇をするためには職場というものが和気あいあいとして活力があるということは何よりも必要なことでございますので、関係労働組合とも十分意思疎通を行いながら円滑な運営を期していくということは申すまでもないというふうに考えるわけでございます。私どもが聞き及んでおりますところでは、この意思疎通その他、現在の労使関係は事業団におきまして十分円滑にいっておりまして、特段の問題がないというふうに承知をいたしております。
  88. 上田利正

    ○上田(利)委員 そこで、労使関係も円滑にうまくいっておるということですから、問題はないと思うのですけれども、組合代表を運営審議会の委員に一名ぐらい入れた方がいいのではないかと思うのでございますが、この点いかがでございますか。
  89. 相良兼助

    相良政府委員 お答えいたします。  運営審議会の委員加入者の会を代表いたします委員でございまして、それぞれ地域別にその地域の加入者の会の会長を務めておられるその地域での学識経験者でありますとかあるいは地方自治体の長でありますとか、そういう方々によって構成をされておる。そのほかに学識経験者といたしまして何人かの方を御依頼申し上げておる、こういう内容であるわけでございます。そういう状況であることを申し上げておきます。
  90. 上田利正

    ○上田(利)委員 今局長おっしゃったことはもう承知しております。全部、各簡易保険年金加入者の会の会長がブロック別に出てきておりますから、それは承知しておりますし、十八名の委員でこれは構成して年二回ということですが、その中にやはり職場代表と申しますか、働いている立場の中でこの実態なども話をしたり、あるいは他の委員要望ども――働いている立場から労働組合の代表を入れた方がいいと思うんだけれども、それについてどうなのか、こうお聞きをしているのでございます。
  91. 相良兼助

    相良政府委員 この運営審議会は、事業団法の第三十三条に基づきまして、加入者方々の御意見を聞くということで構成をいたしておるということもございますので、労働組合の意見というのは別の場におきまして十分意思疎通を図ってまいるということでやってまいりたいと思うわけでございます。
  92. 上田利正

    ○上田(利)委員 三十二条によって加入者の代表ということが中心であることは事実でありますけれども、この中に学識経験者なども、これで見ますと四人ですか、おられるわけでございまして、したがって、すべて加入者代表だということではないと思うのでございますね。したがってその辺のところに、この学識経験者というふうな中にそこの働く者の代表というような形の中で入れないかどうか、こうお尋ねをしておるのです。
  93. 相良兼助

    相良政府委員 法律の中で、加入者の利益を代表する方々で御意見をいただくということになっておりますので、学識経験者、大学教授等にもお願いをいたしておりますけれども、その当該簡保事業団のサイドの方の職員、その意見につきましては別途の場でいろいろその意見を聴取して反映をしていくということでやってまいりたいと思うわけでございます。
  94. 上田利正

    ○上田(利)委員 それでは時間の関係もございますから、次の問題に入らせていただきます。  今日までの事業団、福祉事業団でございますから、福祉を中心にいろいろな事業をやってこられました。この業績が公団が出しましたこのパンフレットの中にも出ておるのですけれども、これを見ますると、六十年度の業績ということで、五十九事業年度の決算と六十事業年度の決算見込みということで、これは六十年度の決算は出てこれが訂正をされておりますから、六十年度の決算も出ておりますが、五十九年度で見ますと、損益計算書によりますと、この五十九事業年度におきましては一億四千二百万円ですか、当期欠損金が出ておる。それから六十事業年度の決算を見ますと、二億七千万円の欠損金が出てきておる、こういう内容になっております。五十九年度一億四千二百万円、六十年度が倍近い二億七千万円。  欠損金というのは赤字でございまして、この点については後で御質問したいと思いますけれども、六十一年度の事業実績はどうなっておりますか。まず先にそれをお尋ねをしておきたいと思います。
  95. 相良兼助

    相良政府委員 先生指摘のとおり、当期欠損金ということで御指摘の金額を五十九年度、六十年度計上いたしております。これにつきましては、その仕組みを御説明申し上げて御了解をいただきたいわけでありますけれども、その点はまた後に譲るといたしまして、その仕組みの大半が雑損金という経理をいたしておりまして、その雑損金が生じますゆえんは減価償却上の問題でございまして、事業団の平常の業務運営と関係のない経費ということになりまして、その経理で当期の損益に赤字が生ずるという状態になっております。  ちなみに申し上げておきますと、五十九年度の雑損金が九億六千三百万円、六十年度が九億四千四百万円、そして六十一年度におきましても六億三千七百万円の雑損金を生ずる見込みでございます。
  96. 上田利正

    ○上田(利)委員 この雑損金が問題でございまして、私もいろいろと検討させてもらいました。事業団の会計といいますか、経理そのものが非常に複雑でございまして、ただこれで見る限りでは、こういうパンフレットが配られましてこれが行っておりますと、これを見た我々、ほかのお客様でもそうでございましょうし、あるいは運営に携わる人たちもそうでしょうけれども、何だこれは、こんなに赤字になっているのか、こういう形に見てしまうのですね。  ですから、この事業団につきましての施設の建設等につきましては、いわゆる郵政省からの出資金といいますか、国からの出資金、これは事業団に入りますと資本金収入ということになるのでありましょうけれども、この出資金でいろいろな施設、例えば今好評になっております大阪の総合検診センターなどは非常に立派なものでございまして、言うならばそういうふうな施設を出資金によって建設をどんどん行ってきておる。さらに、事業運営のための交付金ということで、六十年度を見ましても百六十一億円ぐらいの交付金を事業団がいただいている。しかも、そういう中で事業収入は、自分たちがお客様に泊まっていただいたり、いろいろなことをやりながら二百五十二億ぐらいの収益を上げております。ですからこの建設関係、施設費等を除いていきますと、事業収入だけで、それぞれの施設を管理運営している中では実はかなり事業収益を上げておられるんですね。  そういう状況になっておるにもかかわらず、結局収支決算した場合についてはこれが欠損金という形で赤字になった形で計算書が出されてくる。だから、職員とかあるいはこの事業に携わっている管理者の皆さん方を含めて一生懸命やり、よりよいサービスをより提供しながらこの事業団の福祉施設を運営されておって、その中では事業収益は出ておるわけです。黒字になっておるけれども、これが最終的には欠損金という赤字になってしまっている。  というのは、この前もちょっと聞きましたら、十年とか十五年前に建てた、そういう古いものの中で改善を要する施設もたくさんある。あるいは、暑い地域でありながらクーラーも入っていない、そういうものも取りつけるためには少し改築をしなければならない。そういうふうなものは当期の、その年度の予算にないものですから、それが翌年度要求、そして決算されるときには二年後にいわゆる欠損金として入ってくる。それをそこで収支計算をしていかなければならぬということで、最終的には欠損金という形で当期年度の事業内容が赤字ということになる。だから、六十年度の決算で見ますると、五十八年度のそういう施設等に使った金が六十年度へ回ってきて、そこで収支決算をされますから、結局ここで欠損金がたくさん出てくる。そしてその欠損金がまた繰り越しということになっております。  ですから、この会計処理規程につきましてもう少し、別会計と言ってはおかしいのですけれども、会計は一緒でございますが、普通の場合は、損益勘定と、そして建設等に投資する勘定科目は建設勘定というような形になるのです。これは事業団としては一緒にやっておりますけれども、経常損益と特別損益と申しますか、いわゆる欠損金などが出る、そういうふうな形で明確な損益計算書でやっていかなければ、どうも見たところ毎年毎年当期欠損金が一億も二億も出てきている、これは大丈夫なのか、そういう事業団に今度簡保二法で新しい事業を引き受けてもらうわけでございますが、そんな事業団に危なくて任せられぬじゃないか、そういう見方になってはいけないと思うのでありまして、その辺の改善というものをこれから事業団に指示をして明確にしていかなければならぬと思いますが、考え方をお聞きしておきたいと思います。
  97. 相良兼助

    相良政府委員 先生の方からお答えをいただいたようなことで恐縮でございますけれども、保養センター等の増改築に伴います耐用年数の経過以前の建物部分の取り壊し、これによって発生いたしました残存価額相当分を雑損金という形で処理いたしまして、実際上の財産価値が損じないような手当てをいたしておるわけでございます。この手当てが、先生指摘のありましたとおり、翌年度になりましてその額が確定をいたしまして、予算化しますのはその次年度ということになりますので二年おくれで手当てをしておる、そういう状況にありまして、御指摘のような当期欠損金にその部分が反映されてくるということで、六十年度あたりをとりますと実質的に黒字ではないかというのは先生のおっしゃるとおりでございます。この雑損金につきましては、わかりにくいという御指摘ごもっともでございますので、今後この改善方について検討してまいりたいと思っております。
  98. 上田利正

    ○上田(利)委員 ぜひ検討していただきたいと思います。  それで、次の問題でございますが、積立金運用に関する法改正が出ております。  午前中の答弁の中でも明らかになりましたように、事業団への貸付額は初年度、六十二年度を初年度といたしておりますが、三千五百億円ということでございますけれども、その根拠は何かということでございます。そしてまた、今後の貸し付けはどのようになっていくのか、この点をお聞きしたいと思います。
  99. 相良兼助

    相良政府委員 六十二年度の簡保事業団に運用いたします貸付金は三千五百億円を予定いたしております。なぜ三千五百億円かということでありますが、一応目安といたしましたのは、先ほど申し上げたのでありますけれども、現在の資産の有利運用部分で市場で運用いたしますものが全体の三分の一近いわけでありますが、これの運用計画、社債等に運用いたしますのが約一兆円でございますので、その三分の一相当といたしまして三千五百億を事業団において運用をする、残る三分の二につきましては簡保の方でやっていく、そういうことを考えたわけでございます。
  100. 上田利正

    ○上田(利)委員 今後の貸付額についてはどうですか。
  101. 相良兼助

    相良政府委員 まず貸し付けをいたしましてその状況等も注視してまいる、そういう中で次年度以降について改めて検討してまいるということに相なりますが、こういうシステムをつくったわけでございますので、今後当分の間は継続して事業団に貸し付けをいたし、有利運用を図ってまいりたい。その貸付額等についてはおおむね三千五百億を、スタートの年を基準にして漸増という形で当分参る。全体の簡保資金のバランスの中におきまして妥当な額を計上していきたい、このように考えております。
  102. 上田利正

    ○上田(利)委員 法第三条二項の関連でございますけれども、社債及び外国債の積み立ての総額に対する保有制限をそれぞれ百分の十を百分の二十ということで倍に改正されております。双方を合わせますと、積立総額三十二兆円でございますから、これの四〇%ということになりますと十二兆八千億、約十三兆円という額になるわけでございます、最高までいきますとね。そういうふうに倍にこれを改正しようといたしておりますけれども、少し偏り過ぎておるじゃないか、問題が発生しないかどうか、この点どうでしょうか。
  103. 相良兼助

    相良政府委員 現在の保有制限の規定では、金融債が百分の二十、それから金銭信託への制限が百分の二十というふうに規定をされておりまして、外国債と社債につきましては百分の十ということで保有制限の規定がございます。現在の有利運用を図っていくそういう状況の中で次第に総体の額もふえてまいっておりまして、六十一年度末で申し上げますと社債の方が六・六、外国債にいたしましても五・六というシェアになってまいっております。特に今回、資金有利運用という点につきまして対象範囲を拡大いたしまして、さらにはNTTやJRというような新しい社債への分類というようなことも相まちまして、内外の金利差を十分にらみながら有利運用という点において機動的、弾力的に対処をしていきたい。百分の二十というその上限の方よりも、今後の状況の中で百分の十というそのラインを何とか緩和をしていただく、そのために百分の二十という形でお願いをいたしたいということでございまして、合わせて百分の四十といったようなことは考えていないということでございます。
  104. 上田利正

    ○上田(利)委員 もう余り時間がございませんから、次の問題をお聞きします。  事業団の運用益でございますけれども事業団は五・二%で借り入れましてこれを運用していくということですけれども、午前中の局長の御答弁にもございましたように利回り七%ぐらいでいけるだろう、いこうと。今超低金利時代と言われておりますから、なかなかこれもかなり努力しないと、失敗すれば大変なことになってくると思うのでございます。しかも事業団は初めてこれを行うわけでございますから、自信を持てるのかどうなのか、この点お聞きをしておきたいと思います。
  105. 相良兼助

    相良政府委員 簡保事業団で資金有利運用していただくわけでありますけれども指定金銭信託運用をいたしますので、実際上は十分なノーハウを蓄積しておりますところの信託銀行が活用するということに相なりまして、また簡保事業団も厚生年金基金を昭和四十六年以来指定単で運用しておりまして、その経験と実績も有しております。いろいろ例を聞きますと八%程度に回っておるというものが多いようでありまして、七%という形で運用をするということは期待が持てるというふうに考えておるわけであります。
  106. 上田利正

    ○上田(利)委員 もう時間がありません。最後でございますが、納付金の関係でございます。  初年度の納付金、平年度の二分の一ということになりましょうが、どの程度を見込んでいるかということでございます。今の三千五百億を五・二%で借り入れまして最低利回り七%でいきますと六十二億円ぐらいになる、こういう計算になるわけでございますけれども、これは初年度ですから二分の一ということになりますが、その中から事業団が積立金を積み立てねばならぬということになりますね。ですから、この納付金をどのくらい見込んでいるかということと同時に、初年度、ことし積立金はどのくらい積み立てるのか、まあ三年くらいで積み立てるのだろうと思うのでございますけれども、この納付金の見込み額と積立金、これについてお答えを願いたいと存じます。
  107. 相良兼助

    相良政府委員 お話のありましたとおり、三千五百億を一応五・二%で貸し出しをして、それを七%に運用して、準備金を差し引きまして収益の部分を納付させるというシステムにいたしておりますけれども、平年度で申しますと六十三億円の納付になるのでありますが、現時点で、六月からこの三千五百億の運用事業団で指定金銭信託で行うということになると四十二億円ということに相なります。  なお、準備金につきましては、御指摘のとおり三年間で貸付金の一%分を事業団において準備をするということに相なりますので、その初年度におきましては一%分の三分の一、〇・三%をまず準備金として積み立てるということを考えております。そういうことによって三年間で一%分相当を準備金としてやっていくということで、具体的に三千五百億を分割して貸し付けをするか、それともどの時期に一括して貸し付けるかということについては現在検討をしておりますので、そういう仕組みを申し上げさせていただきます。
  108. 上田利正

    ○上田(利)委員 事業団がこの事業を扱うわけでございますけれども、ぜひ、大臣を含めまして十分な対応をして成果が上げられますように、目的が達成されますように期待をいたしまして、時間が来ましたから終わります。
  109. 関谷勝嗣

    ○関谷委員長代理 阿部昭吾君。
  110. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 今、簡易保険郵便年金、それと民間生命保険があるわけですが、簡易保険郵便年金というのは今度の改正に基づいて運用されていく。そこで、民間生命保険郵政省のやる簡易保険年金、こういうものとの基本的な考え方の違いというか、よって立つ理念の違いというのはどういう点にありましょうか。
  111. 相良兼助

    相良政府委員 私ども簡易保険郵政省設置法を根拠といたしておりまして、簡易生命保険法郵便年金法さらに簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律、今度御審議をいただいておりますけれども、これらの法に準拠いたしまして簡易保険郵便年金事業を経営いたしておるということになるわけでございます。  一方民間生命保険会社は、準拠法が株式会社であります場合は商法でありまして、会社の形態が相互会社であります場合は保険業法に準拠いたしておるということで、準拠法の違いということがまずあろうかと思います。  それでは特色と申しますか、どのような点が簡易保険特徴であるかということでございますけれども、まずは二万以上の郵便局、これは保険でいえば支店、営業所に当たるわけでございますけれども全国に二万以上の営業所を有しておりまして、至るところで国民の方が十分簡易に御加入をいただける、そういうサービスを展開しておる。それもなるべく安い保険料や掛金で御加入がいただけるようにシステムを考えておるということ、それは国営生命保険であり、かつ非営利の生命保険であるという点が特に特徴的であるというふうにまず申し上げてよろしかろうと思います。  いま少しく具体的に申しますと、加入の際に特別に医師の診断を必要としない、いわゆる無審査保険ということもその一つ特徴でございます。そのかわり限度額というものが設けられておりまして、現在は一定の条件のもとに一千三百万までの加入ということに相なっておるわけであります。  また、職業による加入条件に差がないということも簡易保険一つ特徴ということになっております。民間保険ではおおむね職業、特に危険性の高い職業に従事をされます方の保険加入につきましては保険料の割り増しとかいったような措置をとるケースが多いのでありますけれども、私どもの場合は加入条件に差がないということが一つございます。  簡便に御加入をいただけるということで、現在まで多くの国民に御利用いただきまして、現在保有しております契約件数が五千七百万件を超えるということになったわけでございまして、私どもも今後とも国民生活の向上のためにその内容を充実させて頑張ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  112. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 この間私のところに郵便局の方が参りまして、いろいろな種類のものを持ってまいりまして、こういうのに入ったらどうか。それは非常な説得力がございました。だんだん聞いておりましたら、あなたは一わたり入っておるからもう入るわけにいきません、今度はあなたじゃなくて奥さんを入れなさいというお話があり、その話がだんだん調ったら、いや今度は子供たちを入れなさいというぐあいなのであります。  確かに国のやる事業でありますから、民業のいろいろな分野、そういうものといろいろな意味で線を引いておるのだと思いますけれども、いろいろな加入の限度というかそういうものに、民間ならばある意味で相当無制限、と言っていいのかどうかあれなのですけれども郵便局のやるこの種のものは今の時代からいうと制限が非常に厳し過ぎるのではないかという感じを持っておるのであります。私などはもうちょっと入ってもいいと思っても、いや、あなたはこれ以上入ってはいけません、奥さんを入れなさい、これが入りましたら、違った家族をもっと入れなさい、こういう格好でやってくる。まだ若い子供なんていうのは、そんなにさあ保険などと言われてもみたいな感じになる。今の時代からいうと、民業とのバランスをどのようにとるのかという問題はあるにしても、もうちょっと限度を弾力的に考えられていいのではないかと私は思うのですが、そのあたりは、民と官、この関係でやはりこれからもしばらくある限度というものを相当きちっとしていかなければならぬ、こういうふうに認識しておいていいのかどうかという点ですね。
  113. 相良兼助

    相良政府委員 先ほど先生のお尋ねによりまして、準拠法規の違い、その他簡易保険の特色というものについてお話し申し上げたわけでございますけれども生命保険あるいは個人年金につきましてはそれぞれの会社によりまして若干ずつは商品としてのいろいろな面での特徴があるということでありまして、私どもも他社の商品にできるだけ見劣りをしないような、あるいは国営保険としてふさわしいような形の商品の発売ということに常に気を使っておるわけでございます。  この簡易保険は大正五年に創業いたしまして、民間の生保も一番古いものは明治十四年に創立をされた会社もございます。創業以来お互いに切瑳琢磨しながら、今日、生命保険の保有契約の面あるいは国民一人当たりの契約額という点から見ましても世界で有数の保険国になったということになっておるわけでありますけれども、これもやはり官といわず民といわず、生命保険業界で一生懸命努力をし、サービスを提供してきた結果だというふうに認識をしておるわけでございます。  したがいまして、今後の高齢化社会展望しましたときに、生命保険年金の持つウエートはますます高まり、将来的にも大いに期待が持てる分野であるし、また、そのために私ども努力をしなければならぬと思っておるわけでございますが、そういう点では、民間とも相補いつつ、手を携えて同じ生保業界に携わる者としてやってまいりたいというのが基本的な姿勢でございます。  昨今、私ども民間方々あるいは生保協会の方々とも十分意思疎通をしながら、そういう二十一世紀への展望、その中での生命保険としての使命、その果たすあり方というものをお互いに研究しようというようなことで、一部では研究会等も設けておるわけでございます。
  114. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 民業と郵政省のやっておるこの簡易保険年金、こういうものとの間にある種の、今言ったような相互の、縄張りと言ってはおかしいけれども、中身の基準をどのようにしてお互いに、今の言葉によりますれば相補い合うということなのですが、その間の調整は何か特別な機関か何かを持っておってやっておられるのか。私は素人でよくわからぬけれども、そういう関係の中に法的な何かの根拠を持ったもので郵政省事業と民業との間の調整のような何かがあるのかどうか、あるとすればそういうものはどういう位置づけ、根拠、考え方を持ってやられておるのか、全く素人で申しわけないのですが、お聞かせ願いたい。     〔関谷委員長代理退席、委員長着席〕
  115. 相良兼助

    相良政府委員 歴史的にはいろいろ、例えば保険加入できる限度額でございますが、経緯がございまして、年ごとに簡易保険加入限度額もアップ、引き上げられてまいっております。民間保険は場合によっては億の声を聞くような高額契約ということで加入ができるわけでございますが、簡易保険につきましては、先ほど申し上げましたように最高一千三百万までということに昨年なったわけでございまして、これも実は相当長期間のネゴシエーションの結果ということで実現を見たわけでございます。  なぜ簡易保険についてこのように限度額があるのかという点につきましては、先ほど特徴一つとして申し上げましたけれども簡易保険が無診査である。面接、告知ということで告知義務を課しましてそこら辺の逆選択を防ぐような措置、さらに外務員による面接観査というようなことをやっておるわけでございますけれども保険に無診査で加入をされる兼ね合いというのが現在のところ一千三百万という数字になっておるわけでございます。民間で高額契約の場合は必ず医者によるところの身体検査等があるわけでございまして、私どもの限度額以下のものについては民間生保におきましても告知書でやるといったようなことをいたしておる。この限度額につきましては、そのときどきの時代のニーズ、生命保険の保障機能というものが那辺にあればよろしいのかというようなこともあるわけでございまして、私どももさらに今後加入限度額について検討を重ねてまいりたい、このように思っておるわけでございます。
  116. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そこで、簡易保険及び郵便年金というものもある意味でいえば、さっきのお話にございましたけれども、やはり大枠としては一つ採算なり同時に保険契約者に対する責任なりいろいろなものを完全に遂行できるような枠組みの中になければならぬという意味で、今度の改正で、現下の状況において簡易保険なり年金なりというものの大枠としてはここ当分見通しは立つ、これでやっていける。しかし、客観情勢は非常な勢いで高齢化社会が入ってくる、財政出動によるいろいろな老後対策というのは必ずしもそう明るい展望だけにはないという意味では、ますます任意契約による簡保なり年金なり民業なりのいろいろなこの分野というのは、ある意味でいえば相当国民的なニーズというかそういうものが高まってきつつあると思われるわけです。そういう中で、今度の改正でこのあたりまでは大丈夫、こういう状況が将来出てくるというふうに例えば考える、そのあたりではさらにもっと突っ込んだいろいろなことを考えていかなければならぬ、しかし現状ではこの程度のところが一つのめどなんだ、しかし客観情勢はもっともっとどんどん変わっていくというふうに想定される、そのときにはもっと突っ込んだ改善なり改革なりをしなければならぬということも想定されておる点があればお聞かせを願いたい。
  117. 相良兼助

    相良政府委員 急速な高齢化社会の進展ということに相まちまして、豊かで活力のある長寿社会を建設するというのが国家的な課題あるいは国民的課題と申し上げてもよろしいかと思いますが、そういう中にありまして、公的年金のみでは十分な保障ができかねるということもまた厳しい現実の一つでございます。  しかしながら、一人一人の老後が豊かであるということが大変大事なことであろう。そのためにも生命保険年金のお手伝い、自助勢力に対する果たすべき役割の重みを感ずるわけでございますけれども、ただ、昨今のこれまた急激な金利低下というのは、私どもにも、民間生保その他損保につきましても大変大きなダメージを与えつつあるわけであります。一方で募集は好調でありますけれども、その両輪とも言うべき資金運用が、なかなか有利運用が思うに任せないという状況にあるわけであります。将来の保険金支払いに充てる、さらにはできるだけ有利運用をして剰余金を多くいたしまして、満期のときあるいは保険事故が発生したときに分配金として少しでも多くお渡しをするということも簡易生命保険にとっては重要な役割でございますので、それをそのために有利運用するということと、また時代のニーズ、先ほど申しました高齢化社会に対応するような新しい商品開発、新しいサービス、このために資金を投ずるということも必要でございます。それやこれやで何とか一円でも十円でもせっかくの資金を有利に運用いたしまして活用してまいりたいと念願をしておるわけであります。  今回の資金運用の改正によりましてそこら辺の展望、めどがどの程度つくのかという大変難しいお尋ねでございまして、どの程度ということをお答えするほどなかなか計算が難しいし、今後の経済動向につきましても不透明な部分が依然としてまだあるわけでございます。しかしながら、従来のまま推移をするということに比べますと指定金銭信託かなり有利な状況の中での資金運用が可能となる、さらには社債、外国債の範囲の拡大等で十分選択をしながら有利運用が可能になるといったようなことで、今申し上げましたような商品開発や分配金の増ということにできるだけ努力を重ねてまいりたい、このように思っておる次第でございます。
  118. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 実は最近、例えば勧誘に郵便局の方がやってくる。来られた方は昼の日中にやってこられてもおらぬ。私なんぞは日曜日でないとうちにいることはない。日曜あたりにちゃんとやってくるのですね。あるいは日中じゃなくて、どうも夕方あたり彼は帰ってくるらしいというので、そのあたりにちゃんとやってくるのですね。こういうあたりの労務上のいろいろな問題はどのようにやられているのか。今後も恐らく、今の時代ですからそんなような、普通の御商売と違って昼日中出かけていったら相手がおって、そこで加入がまとまったとかなんとかならぬ場合が保険とか年金というのは性格上非常に多い。そういう場合に、少なくとも郵便局ですから労務上はいろいろやりづらい面があるのじゃないかと思っているのです。最近は私なんぞ、こういう時間に郵便局の方がやってくるんだなと思っておるのですが、労務上そういう問題はどういうふうになっておるのか。  それからもう一つは、無診査というか、普通の民業の保険加入するとなると既往の病歴はどうとか現在の健康状態はどうとか随分厳格なわけであります。しかし、簡易保険の場合はそこは非常に簡便にということなんでありますけれども、トラブルは全くないであろうか。例えば保険事故が発生した、亡くなった、加入する直前に実はガンが発生しておったとか、あるいは物すごい高血圧でいつ契約しておる保険上の事故が起こるかわからぬという状況がちゃんとあったにかかわらず簡単に加入契約ができた、保険事故が起こりました、こういうようなトラブルはどういうふうに処理をし、現状そんな事例が実際上はどの程度あるのかということを、時間がございませんので簡単に御答弁願いたいと思います。
  119. 相良兼助

    相良政府委員 まず最初保険関係職員の勤務条件等についてでございます。  先生指摘のように、最近在宅率と申しますか、自宅に在宅をしておる時間帯に非常に変化が生じてまいっております。これは、一つは婦人の方が仕事に出られるということ、いわゆる共働き家庭の増加、あるいは働いておられなくても余暇の増大ということで主婦の方に外出の機会が多い、さらには週休二日制が次第に定着しつつあるといったようなこともございまして、日中の間における在宅率が年ごとに低下をしてまいっております。  そのために、私どもといたしましても不在のところに募集もしくは集金に参るということは極めて非効率でございますので、この点については労働組合と十分意思疎通をしながら、昨年の春ごろから勤務時間の二時間繰り上げ、繰り下げという弾力化の措置を講じてまいっておるわけでございます。したがいまして、正規の勤務時間が八時半からということになりますと、それを上下二時間勤務時間を繰り上げ、繰り下げするということでございますので、先生がお宅にお帰りになったころお伺いをするというのはその中での訪問活動ということに相なると思います。しかしながら、それが余りにも行き過ぎるということはまた好ましいことではございませんので、その点は十分チェックもしでまいりたいというふうに考えております。  それから、簡易保険あるいは年金をめぐりましての加入者の方とのトラブルはどう処置をしておるかというお尋ねでございます。  私どもの方には簡易生命保険郵便年金審査会という一つの審査会を法的に設置いたしてありまして、これは各大学の法律関係あるいは医学部関係の教授あるいは法務省の局長という方々に委嘱をいたしまして、全国加入者の方から保険をめぐりましていろいろ御不審あるいは御不満があった場合、そこにおきましてよく事情を聴取いたしましてその処理あるいは解決に当たるという機能を果たしてもらっておるわけでございます。現在のところ、この審査会を年間二回ないし三回程度開いておりますが、一回にかかる事案は少ないときですと五、六件、多いときでも十件にはならない程度の発生ということで、そこでほとんど審査会の裁決によりまして事態を処理しておるということでございます。
  120. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 以上で終わりますが、郵政省のこの事業を取り巻く客観的状況は非常な速さで変化を続けておる、こういう状況の中に的確に対応されて立派な成果を上げられるように希望して質問を終わりたいと思います。
  121. 深谷隆司

  122. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今回の簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部改正案の一つのポイントは、社債、外国債の保有枠をそれぞれ従来の百分の十から百分の二十に広げるという点であります。その理由につきまして、現在資金の三分の一を充てている市場運用をさらに有利な運用を図りたいのだという説明でありました。具体的にどういう見通しを持っておられるのかという点をまずお聞きしておきたい。
  123. 相良兼助

    相良政府委員 先生指摘のとおり、総体的な運用といたしまして、三分の一を財投機関、三分の一を地方還元、そして市場におきましておおむね三分の一を運用しておるということでまいっておるわけであります。しかしながら、預託金利の引き下げ等によりまして財政投融資等で従来運用をいたしておりました部分の利回りが急速に低下をしてまいっておることもありまして、有利に運用ができる部分では精いっぱいの有利運用を図っていくということもまた私どもに課せられた一つの使命でございますので、その部分が社債あるいは外国債という分野になる。さらに、株式というのが長い目で見ました場合、これはまたキャピタルゲイン等の関係で有利運用と言えますので、株式にタッチをする形での運用を図りたい、そういうことで、それぞれの範囲の拡大あるいは保有制限を緩和していただくということをお願いし、その成功によりまして少しでも利回りを上げていくということを考えておるわけであります。  昨今の金利をめぐる状況から申しましてそれがどの程度有利運用に回るかということはなかなか計算も難しいわけでございますけれども、こういう措置を講ずれば長期的には必ず有利になるというふうに考えておる次第でございます。
  124. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 ちょっと抽象的なので具体的に聞きたいのですが、その前に、今お話の中で株式の取得の方向というのは私はそう簡単にできる方向ではないだろうというふうに思っております。  具体的に、既に外国債について慎重にやらなければならぬという答弁がありました。慎重にも慎重を期してというのがあるわけですが、実態は保有率は相当急ピッチでふえてきているわけです。しかも、六十一年度末は五・六%ということで、近いうちに一〇%を超えるような事態が予見されるので今回の法改正をやるのだということであったわけですが、ここ数年具体的にどういうものがふえてきているのでしょうか、簡潔にお願いします。
  125. 相良兼助

    相良政府委員 外国債の運用を始めましたのは五十六年度からでございますけれども、それは年金の方でございまして、投資額は比較的少なかったわけでございます。五十八年度から簡易保険資金運用いたしましたので、外国債ということになりますと大体五十八年度がスタートの年と申し上げてもよろしいかと思うのでありますが、この一年、昨今の傾向で申しますと、外国債の中で私どもが一番多く運用をしていますのは国際機関でございます。次には、債券の発行国別に申しますと、カナダ債が現在第一位ということになっておりまして、米ドル債はカナダ債に次いでおります。この両者で債券は大体六〇%ということでありまして、英国ポンドが一〇%、そのほかがECU債等もろもろというような内容になっておりますが、最近一年間ではカナダ債がふえてドル債が減っておる、そういう傾向が主たる傾向でございます。
  126. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 先日、米国債、いわゆる三十年物の落札が大変注目されました。当初は生命保険などのいわゆる機関投資家は買い控えるのではないかと言われておったのが、ふたをあけてみると日本勢が四五%も落札したということで、大変話題になったわけです。  といいますのも、生保業界などはこれまで高金利を目当てに莫大なドル債、これの購入を進めてきた。ところが円高・ドル安の中で裏目に出まして、さきにも出ましたが、生保七社で為替差損が一兆四千億円にもなるというような状況があるわけです。にもかかわらず日本勢が大量落札した。そういうことで注目もされたわけですが、この陰には大蔵省の強力な指導があったのだというような報道も行われております。「大蔵が”行政指導”」これは朝日ですが、その他にもあるわけです。この三十年債を郵政は買われたのかどうか、まずその点をお聞きしておきます。
  127. 相良兼助

    相良政府委員 さきの新聞等で話題になりました米国国債の入札には、簡易保険は参加をいたしておりません。
  128. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 この問題は今後もいろいろな影響を及ぼしていくと思いますし、こういう点は非常に慎重に対応されるべきだろうというふうに考えておりますが、この問題の背景として、ドル安防止に日本政府が動いているということはやはり事実だろうと思うのですね。先日の安倍。ベーカー会談ですか、あそこでもそれが重要なテーマになったということが報道されておりますし、実は首脳会談のやはり大事なテーマだったのだ、つまりはドル安防止のために日本の協力といいますか、入札においても日本が積極的に協力していくということが言われておるし、そういう方向での行政指導などが行われているんだというように思います。  先日の八日のときには簡保は出動していなかったということでありますが、昨日、郵貯の方でも自主運用で、その対象には外国債も入っているわけですね。そういうのを含めましてかなり莫大な買い出動が可能になってくるという状況がむしろ進展しているというふうに私は思うわけです。慎重に慎重にということを言われながらも、どうもやはりこの外国債の枠の拡大の方向が現に出てきている。これはやはり大事なポイントだろうと思うのですね。  それで、主張したい点は、安易なそういう買い出動というのは、ドル防衛にプラスにはなっても簡保加入者とか年金加入者にとっては決して必ずしもプラスになるとは言えない、逆に犠牲がかぶさってくるという場合もあり得るんだというふうに思うわけです。そういう点はどういうふうに考えておられますか。
  129. 相良兼助

    相良政府委員 簡保資金加入者の方から共同準備財産としてお預かりをしている大変大事な資金でございますから、安全確実ということを旨としながら、かつまた有利な運用を図っていくという、そういうことでやっておるわけでございます。  外国債につきましては、私ども簡易保険は円建て債を非常に多く保有をいたしております。総体の中で二〇%を超える部分が円貨で保有をしておる外国債ということになっておりまして、この部分がふえてまいっておる。国内の一般の債券に比べまして、現在のところ円建ての部分が、円貨債がまだ割高でございます。こういうところは大いに私ども、為替リスクはございませんので、今後とも購入を図っていきたい。そういう点からも外債の枠等について緩和をいただきたいというふうにも考えておるわけでございます。
  130. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 慎重にとか安全確実にという言葉は非常に強調されておるのですが、どうも進行しようとしている実態は必ずしもそうも言えないということを非常に感じるわけですね。  関連して、簡保年金事業団法の改正の問題ですが、これまでの福祉施設の管理運営という事業団の性格が大きく変わることになると思うわけですね、新たに資金運用業務を加えていくということですから。なぜそうしなければならぬのかという点、大変疑問に思っているわけです。といいますのも、簡保年金事業は本体で現に資金運用をやっているわけですね。現に資金運用をやっている。事業団の方は福祉施設の管理運営という任務でこれまではやってきたわけですね。本体でやっているにもかかわらず、なぜ福祉事業団の目的、性格を変えて資金運用をやるようにしなければならぬのか、この点明快に答えていただきたい。
  131. 相良兼助

    相良政府委員 簡易保険資金は国の機関を通じて集められました国の資金という性格を有するものでありまして、国の資金であるからには元本補てんの保証のないものに出動するのはいかがかという意見がありまして、現時点では関係方面の合意がなされ得なかったということでございます。それで、より民間に近い性格の簡易保険福祉事業団等に貸し付け、その事業団で有利運用をいたしまして、納付金として簡保特会に納付をする、そういう仕組みをとったものでございます。
  132. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 つまり、国の機関としてはやってはならぬという資金運用のやり方ですね。つまり元本補てんのない金銭信託はやってはならぬ、これはこうなっているわけですね。そこをすり抜けるために、事業団というのを別につくってそういう元本補てんのない金銭信託をやっていこう、端的に言うとそういうことですか。
  133. 相良兼助

    相良政府委員 私どもは、国の資金が元本補てんの保証の有無によって左右されるということには必ずしも同意をいたしていないわけであります。しかしながら、現時点では国の資金の性格ということについていろいろ異論がある、議論があるわけでありまして、一方有利運用というのは喫緊の状況にもあるわけでございます。  簡保福祉事業団は従来から加入者福祉施設の設置、維持運営ということで十分に実績も残しておりますが、そこに勤めます職員の厚生年金基金の運用を四十六年からずっと続けてまいっておりまして、経験も実績指定金銭信託運用について有しておる、ならば簡易保険福祉事業団が貸し付けを受けて、それを指定金銭信託運用をして、少しでも有利に運用した分を簡保加入者のために一働きするということをお願いしたわけでございます。
  134. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 これは私は大問題だと思っているのです。結局、元本補てんのない金銭信託は国の機関でやらない、そう決めてきているには根拠があるわけでしょう。だから、あなたの個人的見解は別にして、国の方針としてはそういう資金運用はやらないということになっているのに、省みずからがその枠をすり抜けて破るために、別に事業団をつくって非常に危険な要素を持つ元本補てんのない金銭信託をやろう、そこへ一歩枠を踏み越えようとすることだと思うんですね。これは、言葉では資金の性格が国民の何とかだとかいろいろ言っておられるけれども、こういう方向はやはりそういうことに反すると私は思うのです。こんなことが許されていくならば、公的な資金が元本補てんのない金銭信託などにどんどん使われていくということに、これは非常にゆゆしい事態になると私は思うのです。専ら民間的な財テクに走っていく、そういうものであってはならぬと思うわけです。  その点は、局長の意見はそういうものをもっとやるべきだ、さっきから聞いていますとそういうふうに聞こえますが、そういう考えなんでしょうか。
  135. 相良兼助

    相良政府委員 簡易保険資金事業団に貸し付けをするわけでありまして、事業団からは、現在のほかの機関と同じように、仮に融通をいたすとしますれば五・二%ということで貸付利子が入ってまいります。したがいまして、簡保資金についてそこで穴があくといったようなことはないわけでございます。  それから、国の資金ということで元本補てんが絶対になくてはならぬのかという点についてはいろいろ議論があるところでございまして、例えば株式の運用にいたしましても、十年、二十年というロングランで保有をしておれば消費者物価の騰貴率の二倍もしくは三倍で収益力があるということは過去においてその実績の示すとおりでございます。したがいまして、生命保険年金のように契約が長期間にわたり、その資金が長期的なものにつきましては、そういう長期的に収益を上げ得るような投資対象に幾分なりとも力を注いでいくということが有利運用につながるというふうに思うわけでございます。
  136. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 どうも考えが私は違うと思います。そういう危険な方向に進む。なるほど事業団からは五・二で入ってくるという仕掛けにはなっていますが、事業団そのものが大変危険な可能性のあるそういうものに手を出していこう、むしろそういう目的事業団をつくるという改正でありますから、これは非常に重大問題だ、もちろん反対であるということであります。  時間が迫ってまいりましたので、次に、郵政事業全般にかかわる問題といいますか、若干お尋ねをしたいと思います。  ことしの三月ですが、東京中部に行ったのです。東京中央郵便局ですね。そのときに休養室、これは労働安全衛生法で設置が義務づけられておるのですが、休養室は当然あるのでしょうねという話をしましたところが、ないという返事であって、びっくりしたのです。東京中部といいますと日本の代表的な郵便局で、たしか二千人前後いらっしゃったと思います。そういうところで休養室もないというので大変びっくりしたのですが、現状はどうなっているのか、東京中部を含めてお答えいただきたい。
  137. 森本哲夫

    ○森本政府委員 お尋ねの休養室の問題でございますが、これは先生御案内のとおり、労働安全衛生法の二十二条に基づきまして、一定規模以上の事業所は休養室あるいは休養所というものを、これは中身は労働者が臥床、床に横たわることができる、こういう施設を用意しなければならないという決めが労働安全衛生規則に定められておるところでございまして、お尋ねの東京中央ではこうした臥床ができる設備は当然のことに用意ができでおるというふうに私ども考えておるところでございます。  なお、お尋ねの東京中央以外はどうかということでございますが、これも労安則の規定に基づきまして、常時五十人以上の労働者を使用するときはその設備をしなければならない、あるいは女子が三十人以上の場合も同様とする、こういう規定がございますので、この規定にのっとって各郵便局でも同様の施設ができておるものと考えておるところでございます。
  138. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 余りに実態を知らないといいますか、現場の長がないと言うのですから。局長と話をしたのですよ。休憩できる簡単なところはあるのです。休養室というのは、今もおっしゃったけれども、規則で「労働者かが床することのできる休養室又は休養所」をつくらなければならぬということですね。臥床するというのは、地べたに寝転べばいいということじゃありませんよ。東京中部を実際に点検されましたか。点検して言っておられるのですか。
  139. 森本哲夫

    ○森本政府委員 東京中央郵便局では、男子の休憩室が各階にございます。そしてまた、女子の休憩室も三カ所にございます。その他、医務室もございます。そうした状況の中で、お尋ねの労安則の六百十八条の施設を満たす施設にこれらが適合するというふうに考えておるところでございます。
  140. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 大変珍論を聞きました。休憩室があることは私も知っているのですよ。でも、休養室というのははっきりと違うんですよね。そこはそういう認識ではなくて改めていただきたい、そう思います。  それからもう一点。この規則では、「常時五十人以上又は常時女子三十人以上の労働者を使用するときは、労働者かが床することのできる休養室又は休養所を、男子用と女子用に区別して設けなければならない。」ということが定められておるわけです。ところが、もう時間がありませんので言ってしまいますけれども、この前いただいた資料ですね、少し古いので現状どうなっているのかも含めて聞きたいのですが、簡保の事務センターで五カ所、それから貯金事務のセンターで六カ所、もちろんいずれも働いている人の数は多いわけです。ここには男女別ではなくて一カ所しかなかったということを先日お聞きしたのですが、どうなっておるでしょうか。
  141. 森本哲夫

    ○森本政府委員 お尋ねの、簡易保険事務センターあるいは貯金事務センターのことかと思われますが、これらについても、ただいま申し述べましたような形で施設は整備されておるものと認識しておるところでございます。
  142. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 ぜひそれは調べ直してください。一カ所しかないという資料をもらっているのだから。男女別はないと。これはそちらからいただいた資料ですよ。場所まで特定されているのです。貯金事務センターでいえば金沢、京都、下関、熊本、仙台、山形、簡保では岐阜、京都、高松、仙台、札幌、ここでは男女別になっておらぬ、一カ所だということなのです。  大臣、お聞きのような状態でありまして、だから非常に掌握が不足しているといいますか、休憩室を休養室と強弁してみたり、実際に二カ所、男女別に、政府の決めた方針で政府の機関がやっていないというのは、これは私は実にゆゆしきことだと思うのです。こういう点、ぜひ厳重に指導改善を進められるように、大臣最後に御所見をお聞きして、終わります。
  143. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 常時五十人または常時女子三十人以上の労働者を使用する事業場におきましては、労働者が臥床することのできる休養室または休養所を男子用と女子用に区別して設けなければならないこととされており、当省においてはこれを満たしていない事業場はないと我々は認識をいたしております。
  144. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 最後重ねて、そういう答弁メモがあるのでしょうけれども、実態は違うんですよ。だから実態、事実を調べて改善していただきたいということを申し上げて、終わります。
  145. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
  146. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律及び簡易保険郵便年金福祉事業団法の一部を改正する法律案に対し、関谷勝嗣君より修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。関谷勝嗣君。     ―――――――――――――  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関   する法律及び簡易保険郵便年金福祉事業団法   の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  147. 関谷勝嗣

    ○関谷委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者としてその趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元にお配りしてあるとおりでございます。  この修正案は、自由民主党提案に係るものでございます。  御承知のとおり、この法律案の施行期日については、政府原案では「昭和六十二年四月一日」となっておりますが、現在、既にこれを一カ月余りも経過しているため、法律の公布の日かる直ちに実施できるよう修正するものであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  148. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  149. 深谷隆司

    深谷委員長 これより簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律及び簡易保険郵便年金福祉事業団法の一部を改正する法律案及び修正案、簡易生命保険法及び郵便年金法の一部を改正する法律案について討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律及び簡易保険郵便年金福祉事業団法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、関谷勝嗣君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  150. 深谷隆司

    深谷委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  151. 深谷隆司

    深谷委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  次に、簡易生命保険法及び郵便年金法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  152. 深谷隆司

    深谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 深谷隆司

    深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  154. 深谷隆司

    深谷委員長 次に、放送法及び電波法の一部を改正する法律案電波法の一部を改正する法律案電気通信事業法の一部を改正する法律案の三案を議題といたします。  政府より順次趣旨の説明を聴取いたします。唐沢郵政大臣。  放送法及び電波法の一部を改正する法律案  電波法の一部を改正する法律案  電気通信事業法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  155. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 最初に、放送法及び電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、国際放送の受信改善を図るため、外国放送事業者に我が国の国際放送の放送番組を中継してもらう場合に、その外国放送事業者の放送番組を日本放送協会が中継することができるようにし、また、超短波多重放送を実用化するために、必要な規定の整備を行おうとするものであります。  次に法律案の概要を申し上げます。  まず、放送法の一部改正の内容でありますが、その第一は中継国際放送についてであります。  日本放送協会は、国際放送の放送番組を外国において送信する外国放送事業者に係る中継国際放送を行うことができることとするとともに、日本放送協会が外国放送事業者との間に中継国際放送の放送区域、放送時間等を内容とする協定の締結等を行うときは、郵政大臣の認可を受けなければならないこととしております。また、郵政大臣は、この認可を行うときは、電波監理審議会へ諮問しなければならないこととしております。  第二は、超短波多重放送についてであります。  日本放送協会は、超短波文字多重放送を行うこととするとともに、超短波多重放送を行おうとする者に放送設備を賃貸することができることとしております。また、郵政大臣は、日本放送協会及び超短波放送を行う一般放送事業者に対し、その超短波放送の放送設備を超短波多重放送の用に供するための計画の策定及びその提出を求めることができることとしております。  その他、所要の規定の整備を行うこととしております。  次に、電波法の一部改正の内容についで申し上げます。  これは、超短波放送をする無線局の免許が効力を失ったときは、その放送の電波に重畳して超短波多重放送を行う無線局の免許も効力を失うこととするものであります。  なお、この法律は、昭和六十三年一月一日から施行することとしております。  以上がこの法律案提出いたしました理由及びその内容の概要であります。  次に、電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における電波利用の増加等の状況にかんがみ、行政事務の簡素合理化等のために特定の無線局の免許を要しないこととする等の措置を定めるとともに、電波の有効な利用の促進を図るための所要の措置を講じ、あわせて違法な無線局の増加に対処する等のため、所要の改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  まず第一に、空中線電力が〇・〇一ワット以下である無線局のうち郵政省令で定めるものについては、技術基準への適合性等を確保した上で免許を要しないこととしております。  第二に、九百三メガヘルツから九百五メガヘルツまでの周波数の電波を使用し、かつ、空中線電力が五ワット以下である無線局であって、技術基準適合証明を受けた無線設備のみを使用するものの免許の有効期間については、現在の五年から十年とすることとしております。  第三に、郵政大臣は、混信に関する調査など無線局の開設等に必要な事項について照会及び相談に応じる等の業務を適正かつ確実に行うことができると認められる公益法人を電波有効利用促進センターとして指定することができることとしております。  第四に、免許状に記載された空中線電力の範囲を超えて無線局の運用を行った場合の罰則を整備することとしております。  第五に、郵政大臣は、技術基準に適合しない無線設備を使用する無線局が他の無線局に妨害を与えた場合において、その妨害が技術基準に適合しない設計に基づき製造等された無線設備を使用したことにより生じ、かつ、当該設計と同一の設計に基づき製造等された無線設備、以下基準不適合設備と言わせていただきますが、これが広く販売されており、これを放置しては、当該基準不適合設備を使用する無線局が他の無線局の運用に重大な悪影響を与えると認めるときは、製造業者または販売業者に対し必要な勧告をし、これに従わない者があるときはその旨を公表することができることとしております。  以上のほか、電波有効利用促進センターの指定等について電波監理審議会に諮問すること等、所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしておりますが、免許の有効期間の延長に関する改正規定は、公布の日から施行することとしております。  以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。  次に、電気通信事業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における国際電気通信役務の需要の多様化等にかんがみ、本邦外の場所との間の通信を行うための電気通信設備を他人の通信の用に供する特別第二種電気通信事業の実現とその健全な発達を図る等のため、所要の改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  まず第一に、郵政大臣は、電気通信事業者が国際電気通信事業に関する条約その他の国際約束により課された義務を誠実に履行していない等のだめ、公共の利益が著しく阻害されるおそれがあると認めるときは、業務の方法の改善その他の措置をとるべきことを命ずることができることとしております。  第二に、第一種電気通信事業者及び特別第二種電気通信事業者は、他の電気通信事業者と電気通信設備の接続または共用に関する協定を締結し、または変更しようとするときは、郵政大臣の認可等を要することとしております。  第三に、第一種電気通信事業者は、提供条件が契約約款と異なる電気通信役務、以下約款外役務と言わせていただきますが、これを第二種電気通信事業者に提供するため、約款外役務の提供に関する契約を締結し、または変更しようとするときは、郵政大臣の認可を要することとしております。  第四に、郵政大臣は、一定の電気通信事業者間の電気通信設備の接続もしくは共用または第一種電気通信事業者の特別第二種電気通信事業者に対する約款外役務の提供に関し、公共の利益を増進するために特に必要かつ適切と認めるときは、当該接続等に関する協定または契約を締結すべきことを命ずることができることとしております。  以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内においで政令で定める日から施行することとしておりますが、特別第二種電気通信事業の変更登録に係る規定の整備を行う改正規定は、公布の日から施行することとしております。  以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  156. 深谷隆司

    深谷委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る十八日月曜日午前十時五十分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十三分散会      ――――◇―――――