○正森
委員 同じですか。——もういいのですね。
大臣が既にお答えになったのですから、金融
局長も当然同じお答えをされると思いますけれ
ども、これは断っておきますがある
新聞の記事ですよ。ある
新聞といっても赤旗じゃないのです。赤旗だったら、正森さん、それはあなたが言ったことじゃないですかというようなことを言われても困りますから。赤旗じゃないのですね。その普通の
新聞に——私
どもは
政治紙ですからね。「ドル安の根源には、米国の巨額の財政赤字がある。」これは
大臣が先ほど同僚議員にお答えになったとおりです。「
日本がせっせと米国債を買っているから米国の赤字体質が改まらない」つまり、赤字になってもそれをファイナンスしてくれるところがおるという
意味ですね。「という指摘は欧州諸国に根強い。「入札不安」は米国経済の無理が限界に近づいていることへの市場の警告のサイン、とも受けとめられるが、
日本は官民挙げての協力で米国を助けた。」その後が大事で、「見方を変えれば、
日本人の預金や生命保険料が米国の軍拡型赤字予算を支え続け、ドル安の基本問題を拡大しつつ先送りしたことになる。」こう書いているのですね。
これは赤旗に持ってきても通用する主張で、まさにそのとおりなのですね。だから、
政府などが余り外債を買い過ぎたり深夜に電話をかけたり、今はないとおっしゃいましたけれ
ども、それは結局
日本の零細な
国民の預金や保険料で
軍備拡大に向かう
アメリカの財政赤字をファイナンスするということになるのですね。しかも
アメリカは、何とかやっていけるということでますます節度のない財政政策をとる。これが、三十年物国債でもなかなかはけない、だから金利がこんなに上がってきたということになれば、幾ら
世界一の大国
アメリカでも、こんな赤字だったらいかぬなということで
反省すると思うのですね。ところが、今の
我が国あるいは大蔵省の政策——政策と言ったらいけないのですが、自然体は、こういう赤字体質を容認し、それを支えるという方に向いているのじゃないかと思われて仕方がないのですね。
ここに、下村さんの「
日本は悪くない」という本を持ってきました。これは、
大臣あるいは大蔵省もお読みになったと思うのです。私らとは
立場が全く別のエコノミストですね。
池田内閣の経済上のブレーンですね。
宮澤大蔵大臣も、古くは
池田さんと一緒に
池田・ロバートソン会談などにも同席されて、卓越した役割を発揮されたと物の本で読んでおりますが、そういう
意味では
池田さんになじみの方ですね。その方がこういう本を書いているのですが、その横に小さい字で「悪いのは
アメリカだ」と書いてあるのですね。下村さんの真意は、こちらの方を本の題にして「悪いのは
アメリカだ」、横に小さく「
日本は悪くない」というようにしたかったのであろうということが、この本を読んでみたらよくわかるのですね。
この本の中には、もちろん防衛の問題についてとか教育の問題についてとか、私
たちと
意見の違う点は多々ございますよ。多々ございますけれ
ども、
アメリカの財政赤字というのが今のドル安・円高問題の根源だ。さっき伺っておりますと
大蔵大臣は、
日本の貿易の黒字体質というのを言われまして、ずっと前から六十億あった、それが今五百何十億ドルだと言われましたが、下村さんの分析は、それは確かにあるけれ
ども、
日本の貿易黒字が爆発的にふえたのは
昭和五十八年からだ、そのときに一挙に二百億を超えたのだ。それはなぜかといえば、
日本の大企業のビヘービアにもあるけれ
ども、
昭和五十八年以降それだけ爆発的にふえたのは、
アメリカがレーガノミックスによって大
減税を行う。それだけ
アメリカ人の購買力がふえますね。一方では財政赤字で
軍備拡大をやる、それがまた軍需会社の需要をふやしますね。そういうことで、
アメリカが節度のない需要拡大政策をとったので、それに吸引されて
日本の
輸出ラッシュが一層加重したのだ。だからこの二つの原因が重なったものであって、決して一方の原因だけではないということを言われているのですね。これはある
意味では当たっていると思うのです。
時間の
関係で節約することになっていましたから終わりますが、さらに重大なのは、この本の中で、
日本人は貿易黒字で稼いだ金を
アメリカの財務証券だとか国債に投資して、その金が一体返ってくると思っているのだろうかという問題を提起しているのです。
アメリカは返さないよ。今のように毎月百億ドルずつの貿易赤字がふえているような
状況では、
アメリカはたった三年間でこれだけの膨大な債務国に転落したのだから、こういう傾向が続き、もし
アメリカが財政赤字をなくさないならばいずれはモラトリアムになって、
日本が今まで投資した金はその
価値を失うに至るであろう、結局
日本はそれを棒引きするより仕方がないだろうということを、エコノミストで
池田内閣の顧問だった人が言わざるを得ないような
状況になっているのですよ。
必ずしも、私
ども党がそう
考えているというのじゃないのですよ。しかし、下村さんがそういうことを言わざるを得ないような
状況になっている。そういうときに大蔵省のなすべきことは、
政府の外債投資枠を、一〇%というのをアクションプログラムで二五%にふやしましたね。銀行
局長の通達でしょう。そういうようなことをやるのじゃなしに、もっと
アメリカに
反省を求め、
日本の資金に
国内での投資対象を与える、しかもそれを生活密着型に向かわせる。また、国債発行の仕方についても変えて、資金を吸収する必要があるのじゃないかという問題提起を私はしているわけであります。
各党とのお約束でございますので、まだ時間が残っておりますけれ
ども、
大蔵大臣、もし何か一言ございましたら承って、私の質問を終わります。