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○宮澤国務大臣 ただいま議題となりました
関税定率法及び
関税暫定措置法の一部を改正する
法律案及び
租税特別措置法の一部を改正する
法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
まず、
関税定率法及び
関税暫定措置法の一部を改正する
法律案につきまして御説明申し上げます。
政府は、最近における内外の経済情勢の変化に対応し、我が国の市場の一層の開放を図る等の見地から、関税率、特恵関税制度等について所要の改正を行うこととし、本
法律案を
提出した次第であります。
以下、この
法律案の内容につきまして御説明を申し上げます。
第一は、関税率等の改正であります。
外交交渉の結果等に基づき、清酒等を除くアルコール飲料、紙巻き
たばこ、合板、アルミニウムの塊等の暫定関税率の引き下げ等を行うことといたしております。
第二は、特恵関税制度の改正であります。
鉱工業品に対する特恵関税の適用停止方式の改善及び適用限度額等の拡大を行うとともに、特恵関税の便益の受益国間の均てん化を促進する
措置を講ずる等所要の改正を行うことといたしております。
以上のほか、
昭和六十二年三月末に適用期限の到来する暫定関税率及び関税の減免税還付制度についてこれらの適用期限の延長等を行うとともに、所要の規定の整備を行うことといたしております。
次に、
租税特別措置法の一部を改正する
法律案につきまして御説明申し上げます。
政府は、最近における社会経済情勢にかんがみ、内需の拡大等に資するため、産業構造調整の円滑化、民間活力の推進を図るとともに住宅税制を拡充する等所要の
措置を講ずる一方、税負担の公平化、適正化を一層推進する観点から租税特別
措置の整理合理化等を行うこととし、本
法律案を
提出いたしました。
以下、この
法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一は、内需の拡大等に資するための
措置であります。
まず、産業構造調整の円滑化、民間活力の推進等を図る観点から、産業構造転換用設備等について特別償却制度を設けるほか、特定地域中小企業対策関連税制、中小企業等基盤強化税制を創設する等の
措置を講ずるとともに、民間事業者の能力の活用により整備される特定施設に係る特別償却制度の償却割合を一三%から二〇%に引き上げることといたしております。
さらに、住宅取得者の負担の一層の軽減を図ることとし、住宅取得促進税制について、税額控除の対象期間を三年から五年に延長する等の
措置を講ずることといたしております。
第二は、租税特別
措置の整理合理化等であります。
まず、企業関係の租税特別
措置等につきましては、連年厳しい見直しを行ってきておりますが、
昭和六十二年度におきましては、適用期限の到来するものを中心に見直しを行い、無公害化生産設備の特別償却制度等を廃止する等特別償却制度及び準備金制度等の整理合理化を行うことといたしております。また、登録免許税の税率軽減
措置につきましても所要の整理合理化を行うことといたしております。
その他、中小企業者の機械等の特別償却制度、住宅用家屋の登録免許税の税率の軽減
措置、
たばこ消費税の税率等の特例
措置等適用期限の到来する租税特別
措置について、実情に応じその適用期限を延長する等の
措置を講ずることといたしております。
以上が、
関税定率法及び
関税暫定措置法の一部を改正する
法律案及び
租税特別措置法の一部を改正する
法律案の提案理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
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○
池田委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
中村正男君。
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○
中村(正男)
委員 私は、
関税定率法及び
関税暫定措置法の一部改正を中心に若干の質問を行いたいと思います。
せっかく一番手に質問をさしていただきますので、本題に入る前に三点ばかり確認をさせていただきたいと存じます。
まずその第一点は、昨日から統一自治体選挙がスタートを切ったわけでございますが、御承知のように、それぞれの候補者のほとんどの方々が、今回の税制改革関連法案、とりわけ
売上税の
導入については反対だ、こういう意思表示をなされております。さらにまた、過日の予算
委員会の総括質問におきましても、今回の
売上税の
導入、
マル優の廃止等については、明らかに選挙公約違反であるということも明らかになったと思います。また、その後行われました三月八日の岩手県の参議院補欠選挙、この結果につきましても、単に一岩手県の参議院の補欠選挙ということではなしに、今回の税制改革にかかわる、とりわけ
売上税に対する国民的な意思表示、こういう形ではなかったのか、私はこう思うわけでございまして、一連のこうした大変激しい国民世論の高まりの中で、
売上税の
導入、
マル優廃止、これはもう不可能ではないかと思います。したがって、所管大臣である宮澤大臣の勇気のある見解、発言をぜひひとつ披瀝をしていただきたいと存じます。
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○宮澤国務大臣 このたびの税制改正につきましては、政府の税調においても長いこと審議をしていただきましたが、さらに私どもの党内の党税調、政府との間で審議を重ねまして、最善と考える案を国会に御提案を申し上げました。シャウプ税制以来の三十何年ぶりの大きな改正でございますだけに、私どもとしても十分慎重に検討をいたしまして、殊に現在我が国の
所得税、法人税等直接税が非常な過重な負担になっておるという現状、また国民の所得水準がかなり高くなり、また所得格差も小さいということから、社会の共通の費用は広く国民に負担してもらうことができる。それによって直接税の減税を行って、勤労意欲、企業意欲を高めることが望ましい。殊に二十一世紀に向いますと、我が国の人口が急速に老齢化をいたします。その負担を若い人のみが現在の
所得税でやっていくということは到底困難なことで、非常な重税になることは必至でございますので、それらも考えましてこの際抜本的な改正をいたしたい、このような考えのもとに御提案を申し上げました。
政府といたしましては、これが最善の提案と考えておりますので、願わくは国会におきまして御審議をお進めいただき、御質疑なり、またそれに対する政府の所信なりも申し上げまして、もって国民の理解を得まして成立を図りたい、御可決をお願いいたしたいと考えております。
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○
中村(正男)
委員 それでは、政府・自民党の首脳会議というのが三月十九日に行われております。新聞報道によりますと、ここでわざわざ今大臣が言われたようなことの意思統一がなされたようでございますが、明くる二十日の閣議でも同様の趣旨のことが確認をされたということでございます。一連のこうしたことに対し、とりわけ副総理である金丸副総理が具体的な修正についての指示をしたというふうなこと等ございまして、国民全体から見るならば、わざわざのこの意思統一ということはどういうことなのか、また、審議を前にしての金丸副総理の発言というのは問題ではないのか、こういう指摘の声が上がっておると思うのですが、その辺について再度大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
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○宮澤国務大臣 この問題につきましては、当初いろいろな報道が流れたわけでございますが、金丸副総理御自身の言明、私どもの協議によりまして事態は極めて明白になったわけでございます。すなわち、長い間国会の御審議がとまっておる、殊に予算
委員会を中心にいたしまして予算の審議が進行をいたしておらないという状態がいかにも異常な事態であり、かつ今の我が国の経済状況からしますと、何とか打開をいたしたいと考える事態であるにつきまして、金丸副総理がそれについての憂慮を表明され、何とか事態打開の方法はないものかと言われたその発言があのような報道に至った、それは誤って報道をされたということでございます。
したがいまして、私どもといたしましては野党にもお願いをいたして、予算
委員会を初め国会ができるだけ早く正常に御審議を再開いただけるように、それにつきましては万全の私どもとしていたすべきことはいたしますけれども、金丸さんの言われましたことはそういう、種類のことであって、法案を修正する、あるいは出し直すといったようなことを言われたものではないということは、関係者の間で再び確認がされておるところでございます。
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○
中村(正男)
委員 この問題については、いずれ予算
委員会等で詳しく論議されると思いますので、一応これで終わっておきたいと思います。
次に二つ目は、今回の税制改革関連法案七本が出されておるわけでございますが、その中で
所得税減税法案と新しい
法律である
売上税の法案が施行法案で同一になっておる、こういう点については私どもは、これはおかしいのではないか、不当ではないか、こういう考え方をとっております。したがって私どもは、これが別々の形できちっと
所得税の改正法案と施行法案が一つのもの、
売上税の法案と施行法案が一つのもの、こういう形で審議をされるのが正常ではないか、こう思うわけでございますが、その点についてはいかがですか。
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○宮澤国務大臣 このたびの税制改正に当たりましては、先ほど申し上げました目的のもとに所得、消費、資産の三つの間のバランスのとれた税体系を新しくつくりたいと考えておるわけでございますが、その場合、先ほど申し上げましたように、
所得税及び法人税については大きな減税をいたしたい。それで現在の国の財政状況がこのようなことでございますので、その財源も兼ねましていわゆる利子課税、それから
売上税の創設ということを御提案申し上げておるわけでございます。
これらの利子課税あるいは
売上税の範囲、税率構造等々につきましては、当然のことながら、したがいまして
所得税及び法人税の減税の度合い、範囲等々に密接に関連をいたしております。私どもが全体として歳入中立的な結果を目指しておりますことから、これは当然のことでございまして、その間に密接な関連がございます。また、
売上税を創設することによりまして、
たばこ消費税、酒税等の一部に改正を行う必要が出てまいっておりまして、そこでも両方の問題が連関をいたしております。
以上のような見地から、当然に二つのことに関連があるということからただいまのような処置をいたしたわけでございますが、その結果といたしまして、施行期日及び経過
措置等々につきまして同一の
法律で規定することが必要である、こう考えたわけでございます。
-
○
中村(正男)
委員 これは私どもの受けとめ方としては、減税だけを食い逃げされてはかなわぬ、こういった恣意といいますか考え方もあるのではないか、こう憶測するわけでございますが、ただ、
所得税減税についてはその財源は
売上税だけではなしに、あるいは
マル優廃止だけではなしに他にも十分財源がある、こういう私どもの立場からいたしますと、どうしてもこれは切り離して審議すべきである、こういうふうに考えるわけでございまして、改めてこの問題も後日ひとつ審議をしていきたい、強くこれを切り離すことを要求をしておきたいと存じます。
第三点でありますが、NTTの株が大変幸いなことといいますか、当初の政府見込みよりも極めて大幅に株価が上がりまして、大変これは結構なことだと存じますが、ひとつここでこの売却益の処分につきまして、私どもはせっかくこれほど大きな金額が、予想外の金額が政府の台所に入ったわけでありますから、ぜひひとつ
所得税の減税財源に、とりわけ六十二年度の減税財源に充てるべきだ、こういうふうに強く要求をしたいと思います。
そこで、数字的に若干確認をしておきたいのですが、去年の秋とこの二月で百九十五万株が売り出されたと存じます。平均株価、これは推定でございますが、およそ百二十万円程度で売れたのではないか。そうしますと、二兆三千四百億円程度の売却益というか売却金が入ったと思います。また、ことしの秋には同じく百九十五万株が売りに出されると思いますが、今もう三百万円近くにまでなっております。単純にこのままの株価が続きますと五兆五千億円という膨大な額になるわけでございまして、それを単に国債償還に充てるということだけでは、国民共有財産の処分でもあり、しかも抽せんて漏れた方々が大変残念に思っているという庶民感情もございます。そういったことからいたしますと、減税の財源に回ればそういう不平等といいますか、残念だと思う人にも何とか理解していただけるのではないかと思いますし、ぜひこの辺についてひとつ思い切った御発言をお願いしたいと思うのです。
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○宮澤国務大臣 計数につきまして、もし御入り用であれば後ほど政府
委員からお答え申し上げますが、売れ行きが非常に好調であるということは事実でございます。したがいまして、六十一年度におきまして予想以上の歳入があったということもそうでございます。将来の問題につきましては、この予算が成立いたしませんと六十二年度の処分ができない状況でございますので、私ども実は今市況を見ながら、何とか早くこの予算が成立すれば、それだけ国民の財産をふやすことができるのではないかということを内心毎日思っておるようなことでございます。ただ、それはそのまま今の相場が維持できるかどうかということとは別でございますけれども、大変に高い相場がついておりますことは事実でございます。
そこで、この問題についてどう考えるかということでございますが、御承知のようにこの株式は国債整理基金特別会計に大部分が所属をしておりまして、それは
法律によってこの売却益は国債の償還に充てるという国会の御意思を得まして、そのようにいたしておるわけでございます。考え方といたしましては、やはり過去における国民の努力の蓄積の資産でございますから、その売却益というものは国民のいわばマイナスの資産であるところの国債の償還に充てて、今後の国民負担をそれだけ減らしていくことがしかるべきことであるというふうに国会にも申し上げ、また国会の御意思を得てそのような現在の
法律ができておるわけでございます。したがって、それに基づきまして行政をやっていきたいと考えております。
なお、物の考え方の問題といたしまして、これだけの財源ができたときに減税に使ってはどうかというお尋ねでございましたが、私どもは、これは国民の資産でございますので、過去の努力の集積でございますから、やはり使い方としては負の資産であります借金の消却あるいは新しい資産の造成、本来そういう形で使うべきものであって、減税というのは一度いたしますと永久に制度として残るわけでございますが、この資産はあと何年かはございますけれども、しょせん資産の処分益はいっときのものでございますので、いっときの所得をもって恒久的な減税財源にすることはいかがなものであろうかというふうに私といたしましては考えております。
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○
中村(正男)
委員 負の問題にこれは充てるということなんですが、百五十兆円もの国債の償還、確かにこれは問題でございます。しかし、今のこの低金利時代に果たして急いで、こういったいわば予想外の金額でございます、これを充てた方がいいのか、それよりもむしろ緊急的な財源を必要とする
所得税減税等に回すことの方が政策選択としては正しいのではないか。もちろん国会での決議はございますが、我々としては、改めてこういった論議もやり直す必要があるのじゃないか、こういう立場をとっております。今の大臣の御答弁では若干そういったことも含みのある発言として、きょうはこの程度で終わっておきたいと存じます。
それでは本題に入っていきますが、時間もございませんので、予定しておりました質問を若干省く場合もございますので、ひとつ御了承願いたいと思います。
特に関税の問題は、関税だけにかかわらず、今日の国際化の中でいわばトータルとしての貿易摩擦問題、その一環ではないかと考えます。さらに、今日円高が進行する中で国内産業はそれぞれもう既に大きな打撃を受けておりまして、これに机えて、関税がそれぞれ引き下げられる、あるいは特恵関税の適用範囲が拡大されるというふうなことになりますと、こういった関係する業界にとっては一層影響が大きい、こういう認識を持っております。そういう立場で以下若干質問したいと思うのです。
きょう通産省にお見えいただいております。関税の問題は、日本の方が受け身で今回処理をしたというふうに思うのですが、要求をしてくる側にも問題が多々あるのじゃないか。特に最近の問題としては、日本の富士通がアメリカのフェアチャイルド社の買収工作を進めてまいりまして、その成立寸前になってアメリカ政府が介入をし、民間レベルのビジネスが御破算をする、こういう事態が起こりました。これは富士通だけではなしに、私の知る限りでは、先端技術分野で既に京セラさらには新日鉄、ミネベア等が同じような状況に立ち至ったというふうに伺っておりますが、こうしたアメリカ政府の介入は、私は、一方では市場開放を言いながら、みずからの国ではこういう処置をするというのは非常に不当ではないか。田村通産大臣の談話も出ておりましたが、いまひとつ歯切れがよくなかったと存じます。改めて、きょう通産省がお見えでございますので、見解をお聞きしておきたいと思います。
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○渡辺説明員 お答え申し上げます。
今先生御指摘の富士通によるフェアチャイルドの買収に関する件でございますが、御指摘のように、昨年の十月、フェアチャイルドの親会社でありますシュルンベルジェというフランスの会社と富士通の間で、お互いに新会社を設立しようということで基本合意ができておったわけでございます。本件につきましては、フェアチャイルドの再建をめぐります民間企業当事者同士の話し合いということで、当事者同士の判断にゆだねるというのが我が国政府の基本的な考え方でございました。その後、いろいろ当事者同士の話し合いが続いておったわけでございますが、先ほど来御指摘のありましたように、ことしの三月十七日、当事者間で本件は基本合意を破棄する、こういうことに相なったわけでございます。その話し合いの過程におきまして、アメリカ政府の、特に政府の非常に重要な地位を占める一、二の要人から、本件について非常にいかがかと思われるような発言があったことは、先生御指摘のとおりでございます。
アメリカ政府といたしましての正式の本件に対する態度表明というのは、これから意思決定が行われる、まだ行われておらない段階であったわけでございますけれども、その過程におきまして非常に重要な発言が出てきて、これが何らかの形で当事者同士の意思決定に影響を及ぼしたのであるとすれば、これは非常に遺憾なことである、理解に苦しむ点でございます。この点につきましては、先生の御指摘のとおりでございます。
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○
中村(正男)
委員 そういうことなんですけれども、結局アメリカと日本との間では、今後とにかくハイテク産業といいますか、先端技術分野、これに特化した競合、競争しかないと思うのですね。それを中心に行われていくと思うのです。もっとお互いがフェアな立場でこれに対応していかない限り、一方的なアメリカの今回の処置のようなことがありますと、これは全体としての大きな損失ではないかというふうに考えますので、ぜひひとつ通産省としての前向きなアメリカ政府に対する交渉を行っていただきたいと存じます。
それから通産省、日米あるいは日本とヨーロッパの貿易問題を焦点にお聞きしようと思ったのですが、当初予定した時間よりもかなり短くされておりますので省略をいたしまして、関税にかかわる問題だけちょっとお聞きをしておきたいと思います。
今回の特恵関税枠の拡大で、どのような国内産業への影響が予想されるのかということで、とりわけ中小企業、雑貨類等々については相当な影響が出ると思います。特に東南アジア関係のNICSからの影響、これをどう見ておられるのか、業界等ではもうNICS関係は日本以上に競争力がついている、こういう見方をしておりまして、毅然とした態度を求められております。その辺、通産省のお考えをお聞きしたいと思うのです。
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○田島説明員 お答え申し上げます。
今回の特恵関税の改正は、我が国をめぐる国際経済環境にかんがみまして、一昨年七月のアクションプログラムに基づく市場開放
措置の一環といたしまして、私どもも努力をしてきたわけでございます。御指摘のように、国内産業がなかなか難しい状況にあるということは私どももよく承知をいたしておりまして、かねて特恵制度の運用につきましては、シーリング枠の設定でありますとか管理方式等々につきまして、個々の品目の実情に即して対応をいたしてまいったところでございまして、今回の改正におきましても国内産業の現状に配慮しまして、特恵の輸入がふえているものとか繊維の一部でございますとか雑貨の一部でございますとか、そういうものにつきましては大きな影響が出ることのないように、きめ細かな配慮をいたしておるわけでございます。
例えば今回、特恵の枠の方式をエスケープクローズというものに変える部分があったわけでございますが、そういった場合にもシーリング枠を維持することといたしたり、それから枠の拡大に当たりましても、その例外にいたしまするとか枠の拡大を小幅にいたしまするとか、そういった配慮を加えておるところでございます。
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○
中村(正男)
委員 通産省、どうも御苦労さんでございました。
ただ質問したかった点で、例の半導体交渉の問題、これがまた四-六数量制限が一段と強まるようであります。既に前回の一〇%のそれぞれの減産、これによって半導体職場ではトータルで約六千人ぐらいの労働力に影響が出ております。まだ社内での教育だとかそういったことで何とか外へ雇用問題を出しておりませんけれども、今度の四-六の減産がかなり前回以上に数量的に多くなるというふうなことをお聞きしておりますので、もう持ちこたえられないというのが半導体の雇用問題だと思います。ぜひひとつ、それに対する通産省の的確な対応を要請をしておきたいと思います。
どうもありがとうございました。
それでは、大蔵省にお尋ねをしていきたいと存じます。
まず、円ドル為替相場の状況でありますが、けさの報道によりますと、ニューヨーク市場で百五十円を突破した。昨日の東京外国為替市場でも百五十円八十五銭、もう恐らくきょう百五十を突破するんじゃないかというふうな状況になっております。これは先般のG7におきます論議で、為替相場のターゲットは設定されなかった、こういうふうなことを今になってアメリカのベーカー財務長官が発言をしておる、そんなことが引き金になったということでございますが、そうなりますと、あのG7でターゲットが設定をされなかったというふうなことが事実でありますと、これは宮澤大臣の国会における報告といささか違うのではないかというふうに私ども受け取らざるを得ません。
したがって、その辺のことと、とにもかくにもこうなった以上、何とかこれ以上円高にならない、いわゆる対応策が緊急的に求められると思うのですが、あわせてその辺の御答弁をお願いしたいと存じます。
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○宮澤国務大臣 パリにおきます合意の詳細な内容につきましては、世の中に申し上げていないこともございます。これは事柄の性質上、御理解をいただけることであろうと存じますが、為替の大きな変動に対して共同行動をとるということについて明確な合意があったことは間違いございません。
昨日以来今朝の、殊に今日でございますけれども市場の動きにつきましては、私ども当然のことながら注意を払っております。そして、その動きがパリ合意のいわば範囲を超えると申しますか、それに該当するようなものであると考えましたときには、約束いたしました具体的な行動について、私どもも必要な
措置をとるのに決してやぶさかではない、こういう考えのもとに相場の動向をただいま見ております。
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○堀
委員 今の宮澤大蔵大臣の御答弁でありますが、けさの新聞等を見ておりますと、まあニューヨーク連銀は一応介入の姿勢を示しておるというような報道もなされておるわけでありますが、私は、ただ百五十円がちょっと切れたら大変なことだというような認識は余り重要ではないのであって、それがさらに進行していくという過程については当然、今大臣がお答えになりましたような対応がとられると思うのですが、ちょっと百四十九円八十銭になったとかなんとかというようなことは、これは為替というものの本来の変動というのは一定の動きはあり得るのでありまして、日本でいろいろ言われている点で非常に何か、どこかに一つ線を引いてそれを超えたら大変だとか、どうもそういう認識が少し強過ぎるのではないだろうか。
問題は、その方向に行き過ぎることを全体として協調して処理しようというのが、この前のG7でございますか、G6でございますかの合意ではなかろうか。経済というものはそういうものであって、ごくわずかな変動が大変センセーショナルに取り上げられること自身が、為替問題としては適当ではない。ですからそういう意味では、宮澤大臣のこの前の御発言で、少なくとも為替の状態が著しく動く可能性が生じてきたときには、当然アメリカもあるいは欧州もそれなりに影響が出てくるわけでありますから、そういう対応がとられるものだと私は考えておりますけれども、宮澤大蔵大臣の御見解をちょっと承りたいと思うのでございます。
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○宮澤国務大臣 ただいまの堀
委員の御指摘は、まことに御卓見であると私承ります。ただ今日の状況というものが、相場がかなり動きそうな状況でございますので、さらにそれにつけ加えさせていただきますならば、基本的には堀
委員の御指摘のとおりと私も考えておりますが、いわば洪水で申しますか、流れで申しますと、警戒水位といったようなものの考え方はあるわけでございます。したがいまして、それが障害を与えるような先の動向をはらんでおれば、当事者としては、当然それに対して警告を発するという種類の行動に出ることは有益なことであろうというふうにも考えておりますので、御卓見はまさに御卓見として、現実の事態がそのようないわゆる警告を必要とすると考えますれば、そのような
措置に出たいと考えております。
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○堀
委員 実は二月のアメリカの大量国債の入札のときに、大分アメリカ当局も心配をしたと思うのです。要するに、だんだんと為替がこのように上がっていくことは、日本側の投資は今どんどん欧州にシフトしつつあるわけでございますから、そのことはアメリカ自身も現在の日本の資金の流れは十分にらんでいる、こう私は思うわけでございます。ですから、そういうことがさらに一層加速されることは、単に日本の円高という被害だけではなくて、アメリカの財政赤字を補てんし得る道を自分で締めることになるのだということを私たちは国会の意思として少しはっきりさせておきませんと、何か安易に為替が上がることがアメリカにプラスだと考えておるアメリカの国会の方もおられるようでございますので、私どもは、それは一方的ではありませんよ、少なくともこれ以上円高になれば日本の投資は激減して、そのことはアメリカ経済に大きなマイナスのダメージを与えるだろう、こういうふうに私は考えておりますので、そういう問題を下敷きにしながら、ひとつ大臣の適切な対応をお願いしておきたいと考える次第でございます。
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○宮澤国務大臣 ただいま御指摘の点につきましても、私はまことに同感でございます。先般のパリ合意におきまして米国政府が、これ以上の大きな為替の変動はただ我が国あるいは西ドイツ等にとりまして障害があるのみならず、アメリカ自身にとっても今や障害があるということに合意するに至りましたのは、まさにただいま堀
委員の御指摘のような事情が内在しておる。それについての認識は以前から連邦準備当局などにはあったわけでございますけれども、アメリカ政府全体の見解となるに至らなかった。今回は、それが明らかにアメリカ政府全体の見解となって、必要があれば共同行動をとろうということになったという経緯がございます。ただいまの堀
委員のようなお考えがまさしく先般の合意の背景になっておるということは、まさにそのとおりと思っています。
-
○堀
委員 そういう意味では単に為替の問題というだけではなくて、日米経済の大きな観点からもぜひひとつアメリカ側に我々国会の意思が伝わるような、それなりの大蔵省の対応もお願いをしておきたいということをお願いして、私の関連質問を終わります。
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○
中村(正男)
委員 それでは、次の質問に移りたいと思います。
昨年の関税定率引き下げの同じ
委員会での附帯決議事項の中で二点ほど、今回の改正に伴う
措置として十分配慮されてない点があるのではないか、その点を一つ御質問したいと思うのです。
まず、昨年の附帯決議事項の内容について読んでみますと、第一点には、「関税率の引下げに当たっては、国内産業への影響を十分考慮し、特に農林水産業及び中小企業の体質改善を併せ考えつつ、国民経済的観点に立って国民生活の安定に寄与するよう努めること。」この第一項については、特に今回
たばこの関税が撤廃されるということで、非常に大きな影響が
たばこ産業株式会社なり葉
たばこ生産業者に出てくると考えます。そういう意味合いではこの附帯決議が生かされていない、配慮が欠けているというふうに指摘せざるを得ません。この点については後ほど同僚議員が質問しますので、私の方は次の問題についてお尋ねをしたいと思います。
それは、同じくこの附帯決議の中で、税関業務についてもっと強化をしなければならないという附帯決議が採択されております。「輸出入貿易の伸展に伴う税関業務量の増大に加え、覚せい剤、銃砲等の取締りの一層の強化が社会的要請となっていることにかんがみ、業務処理体制等の一層の見直しを行うことにより、税関業務の効率的、重点的運用に努め、税関職員の特殊な職務を考慮して要員の確保等その処遇の改善に努めること。」こういうふうになっておりますが、この六十二年度で具体的にどのような
措置がとられておるのか、この点をお尋ねをしたいと思います。
言うまでもなく、昨年以上に円高が進行しております。当然輸入品の増大、それに伴う関税業務量の拡大が強まっておりますし、また海外渡航者の増大も、六十一暦年の旅券発行が二百六十万冊、昨年比一一・六%増、年間を通しての海外渡航者は五百万人を超えるという状況であります。さらに、麻薬、鉄砲等の密輸の問題もこの一年間、より悪質、さらには組織的な、また規模も大きくなっております等々から、具体的な強化策、どのような処置が本年とられようとしておるのか、御質問したいと思います。
-
○
大橋政府
委員 お答え申し上げます。
税関の業務については、先生ただいま御指摘のとおり、貿易の伸長、出入国旅客の増加に加えて、覚せい剤、銃砲等の社会悪物品の密輸取り締まりの強化等により、年々増大かつ複雑化してきているところでございます。このような増大、複雑化いたします業務量に対処するため、従来から事務の重点化を図り、また機械化等による業務運営の効率化に努めてきているところでございます。要員の確保については、厳しい定員事情の中ではございますが、関係当局の理解を得べく努めてきたところでもございますし、また税関職員の処遇についても、紋別定数の改定等、種々勤務条件の改善に努めてきたところでございます。本年度においては、定員についても紋別定数についても、また犯則取り締まり等の手当の対象範囲の拡大等、一定の前進が見られたところでもございます。今後とも一層の努力を払ってまいりたいと存じております。
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○
中村(正男)
委員 今お答えがございましたけれども、余り具体的な数値のお話はございませんでした。若干不十分だと思いますが、とりわけこの人員増については、いま少し明確にしていただけないものかと存じます。特に、お聞きいたしますと、この密輸の情報専門官のセンター化といいますか、そういうものも図られるようでございますし、それから科学探知器といいますか、そういったものの研究も踏み出すというふうなことが言われておりますけれども、例えば人員増については、正規の職員の増大はこれは限界があると思います。しかし、こうした過渡的な業務量の拡大ということで、一般的に言われているこの正規職員以外のそういった対応策というものはとれないのか。これは税関という特殊な業務でございますから、そう簡単にそんな方法はとれないかと思いますけれども、いろいろな施策が考えられております。要は、税関職員に対して過重な労働がかかっているという報告もいただいておりますので、あわせてその辺もお聞きをしたい。
きょうは厚生省には来ていただいておりませんが、最近輸入食料品がこれまた増大をしております。検疫体制とこの税関の業務というのは、私は、不可分である、検疫体制が十分でなければそれだけ滞貨といいますか、税関の手前における滞貨が増大するわけでして、これも税関業務の増大の一つの要因になっている。これは、改めてまた厚生省にその辺の改善方を要求していきますが、それやこれや含めて、もう一度具体的な御答弁をお願いしたいと思います。
-
○
大橋政府
委員 答弁が不十分で失礼いたしました。
定員につきましては、最近の業務量の増あるいは今後の業務量の増の見込み等に即しまして、六十二年度につきましては純で百十二名の増員を認めていただいております。
次に、正規職員以外の者の活用といいますか、そういうことを考えてはいかがかという御質問でございますが、確かに、税関の仕事と申しますのは、特に旅具などはそうでございますが、一定の時間に非常に集中して職務が起こるというような意味で、正規の職員を配置して、あとの時間は比較的暇な場合もあり得るわけでございまして、いろいろ今後は工夫をしていかなければならないというふうに思っております。しかし、税関の職員は、業務をさばくという面もありますと同時に、やはり一定の検査権限を持ち、国民の受任を得て調査権限、調査を行うという公権力の行使という側面がございます。したがいまして、こういうものにつきまして、正規の職員以外の職員を検査に当たらせるということになりますと、これはやはり国民との関係で相当問題があるというふうに思うわけでございます。また、厚生省の職員あるいは警察庁の職員をというような御示唆もいただいたこともございますけれども、それぞれに目的の違う仕事をしておられる方に簡単に税関の仕事をお願いするというふうにはできないのではないかと思います。
しかし、我々といたしましては、今後増大する業務にいかにして対応していくかということは、税関当局といたしましても非常に重要な課題であるというふうに考えておりまして、鋭意勉強をしてまいりたいと思っております。いろいろと御示唆をいただきまして、ありがたく存じております。
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○
中村(正男)
委員 次の問題は、今回の関税率の引き下げがどの程度これからの貿易インバランスの解消に役立っていくのかということについて、一定の計算というものが可能ではないか、私はこういうことをお聞きをしたいと思います。
昨年この
委員会での同じような質問がございまして、昨年はこの関税の収入減、昨年ということは一昨年になるわけですが、引き下げで二百三十億円減収があった、それで約七千万ドルの輸入増が見込まれる、これは一定の弾性値をもとにしての試算だという前提つきでありますが、そういう答弁がなされております。今回の
措置で、具体的にそれでは本年度のこの関税の収入の減はどのくらいになるのか、また、それによる輸入量の増大といりのはどの程度見込まれるのか。昨年と同じ基準で考えた場合、円高の進行は、昨年以上にこれは急速に進んでおりますから、それによる輸入増ということの方が圧倒的に多いと思います。なかなかその分類は難しいと思いますけれども、昨年もこういう数値が報告されております。ことしの場合どうなのか、お聞きをしておきたいと思います。
-
○
大橋政府
委員 今回の改正に伴います関税の減収額につきましては、私どもの計算は三百十億円というふうに見込んでおります。
これによる輸入増加額がどうなるかということでございますが、実は、昨年の関税改正はかなり多くの品目につきましての改正が行われたわけでございますが、今回お願いしております関税改正はかなり限られた品目につきまして、例えばアルミニウムでありますとか
たばこでありますとかアルコールでありますとか、限られた品目についての減収額が大きくなっているわけでございます。したがいまして、個々のものにつきましての見通しということを実は立てていかざるを得ないというような感じになるわけでございまして、昨年と同じような計算が、昨年におきましても前
局長の答弁を読んでみますと、非常に留保をつけながら申し上げているわけでございますが、ことしは実は余りその意味がないのではないかというような感じがするわけでございます。個々の品目についてはどうかと申しますと、個々の品目につきましては、流通機構の問題でありますとか企業の価格政策上の問題もありますし、最近のように為替の変動あるいは市況等の種々の要因が変化しておる状況の中におきましては、関税率の引き下げによる効果を取り出すということが非常に難しいわけでございまして、これは輸入の増加額よりも効果は少なくなるという計算にはなってまいるわけでございます。
先生せっかくの御指摘でございますので、強いて昨年と同じ計算をしてみた場合、これは昨年の留保よりもっとことしについては通用しないと私は思うのでございますけれども、この輸入の増加額は、輸入の弾性値が一より小さいものでございますから、三百十億円の減税に対しまして年間で約八千万ドルというような計算ができるわけでございます。しかし、これは私ども、ちょっとことしについては個々の品目について考えていった方がより正確であろうし、また、しかし個々の品目についても、これだけの為替変動の後で関税の引き下げの分だけを引き出すのは非常に難しいのではないかというふうに思っております。輸入の増大に及ぼす関税率引き下げの効果というものは、先生御指摘のとおり、そう大きなものではございませんけれども、この関税率の引き下げが日本経済あるいは国際経済の中での日本の立場というものを強く支えていくものになる、こういう効果をお認めいただきたいと思っておるわけでございます。
-
○
中村(正男)
委員 次は、特恵関税に関係いたしまして御質問したいと思うのですが、今回三点についてこの改正が行われております。一つは特恵関税の適用停止方式の改善、これは適用限度額を百九十九品目中五十九品目、項目について撤廃をするという内容でありますし、それから二つ目の適用限度額の拡大、これは六十二年度の特例として、十一品目の例外を除いてそれぞれ五〇、三〇、一〇というふうな拡大が図られるわけです。三点目は、この特恵関税の便益のいわゆる受益国間の均てん化ということで、現在、国別三分の一という枠を四分の一ということで競争力のある国についてはひとつ制限を強めていく。強めていくと言っては語弊がありますが、昨年以上にこういう
措置がとられた。特に三点目の受益国間の均てん化というのは一定の、先ほど私が質問いたしましたNICS関係の伸長といいますか、競争力がより強大になってきた、そういったことに対する配慮だと思いますが、まず三つ私が申し上げたことについてそれぞれどういう意味合いを持つのか、もう一度具体的にちょっとお聞きをしたいと思います。
-
○
大橋政府
委員 これは先生の方がよく御存じのような感じもいたすわけでございますけれども、シーリングにつきましては御承知のとおり、鉱工業品につきましては、現在のシーリングの制度はすべての品目につきましてシーリングという一定の枠を設けておりまして、この枠の範囲で特恵を認めていくという方式になっているわけでございます。そういたしますと、輸入がかなりふえましても国内産業に問題のないものにつきましても、一定のシーリングに達した段階で特恵の適用が停止になるというような問題がございます。したがいまして、このシーリング制度を改善いたしまして、ただいま先生御指摘の国内産業の事情から可能な品目につきましてシーリングをつけませんで特恵の関税の供与をするということは、それなりに開発途上国からの輸入を促進するという効果があるわけでございます。
ただこの場合に、あくまでも野放しにするということでは国内産業に対する配慮が不十分になりますので、いわゆるエスケープクローズ、これは特恵輸入が増加いたしまして国内産業への損害を生ずる場合に、国内産業を保護するために緊急に必要がある場合には物品あるいは国を指定いたしまして政令で適用を停止する、こういうような安全弁を設けまして、シーリングを外していこうということでございます。
しかし第二に、安全弁を設けましても、なおかつやはり枠がないのでは不安だという品目も当然あるわけでございまして、こういうものにつきましては現在のシーリング枠の制度を維持するわけでございますけれども、しかしこれらにつきましても開発途上国からの輸入を促進するというために、原則といたしまして先ほど先生がおっしゃいました十一品目を除きましては、シーリング枠の大幅な拡大を図るということをしているわけでございます。
さらに、しかしこういうふうにしてシーリングの枠が拡大されますと、ただいまでも特に近隣のNICS諸国が現実の適用になるものの中心でございますけれども、そういう諸国からの輸入品がこの枠の増大に伴って増加するということが国内産業にとって影響がある場合がございます。そういうことを考慮いたしまして、さらにもっと広くこの制度全体のことを申しますれば、特恵というものは一定の開発途上国のためにあるのではなくて、開発途上国全体のために我々としては市場開放をしているわけでございますから、特恵メリットを均てん化させるという意味におきまして、一つの国のシーリングの枠の使用は従来の三分の一から四分の一に遠慮してもらいたいといいますか、そういうような趣旨におきまして頭打ちの枠を下げるわけでございます。
しかし、この場合に枠の拡大の度合いによりましては、従前の特恵輸入枠よりも小さくなるというようなこともあり得るわけでございます。計算上はそういうことがあり得るわけでございます。こういうことがありましては、やはり開発途上国に対して市場を開放していくという我が国の姿勢に反しますので、現在の適用停止の限度、現在の枠の三分の一に至るまでは枠を小さくはしないという制度をつけているわけでございます。全体といたしまして、我が国がこれから国際経済社会で繁栄していくための必要な条件でございます開発途上国に対する市場開放というものを果たしていく、こういう趣旨のものになっているわけでございます。
-
○
中村(正男)
委員 日本の関税負担率というのは、世界の各国と比較をしても何ら遜色はない、むしろ評価されるべき水準に達していると思うのですね。一九八四年の数字でありますが、日本は関税負担率が二・五%、アメリカが三・四、EC諸国全体で二・八、カナダが四・〇、オーストラリア一一・一、こういう数字があるわけですが、そういう日本の関税負担率がここまでの水準に来ている以上、むしろ今の円高ということを考えますと、もう関税率の限界に来ているんじゃないか、もうこれ以上それぞれの品目についてさらに下げていく、あるいは無税にしていく等々の必要性が果たしてあるのかどうか。これからの日本の関税のあり方、とりわけ今の円相場が続くという前提に立つなら、どういうふうな考え方をしていけばいいのか、その辺のお考えをお聞きしておきたいと思います。
-
○
大橋政府
委員 関税率が低くなったという現状におきまして、これ以上の関税率の引き下げについていろいろ議論が生じてくることは、私どもとしてもそのとおりだなという感じはするわけでございますけれども、ただ、世界経済の中におきまして重要な地位を占める我が国といたしまして、今後自由貿易体制の維持強化を図り、世界経済への積極的な貢献を行っていく必要があることは、これはまた御理解いただけているところでございます。このためには、経済構造の調整を進めていくということによりまして対外不均衡を是正していくことが重要な課題でございますし、また市場開放という我が国の強い意思を明らかにしていくことも必要であるというふうに考えているわけでございます。
御承知のとおり、現在ガットにおきましてウルグアイ・ラウンドという多国間の貿易交渉がまた始まっているわけでございますけれども、我が国といたしましては関税面におきましても、ウルグアイ・ラウンドにおける交渉を積極的に推進していくことが重要であるというふうに考えているわけでございます。このウルグアイ・ラウンドにおきましては関税の軽減、撤廃及び関税の譲許、これは外国に対してこれ以上引き上げないという約束をする関税の譲許の拡大、あるいはガットにおきます紛争処理手続の改善等に重点が置かれることになっているわけでございまして、やはり関税を引き下げていこうというのが世界の意思であるというふうに考えているわけでございます。その際、当然のことでございますが、そのときどきの国内産業が置かれております状況等を総合的に勘案しなければならないことは当然のことでございます。しかし基本的には、ただいま申し上げましたような考え方で対処していくべきではないのかというのが考え方でございます。
-
○
中村(正男)
委員 確かに世界経済全体から考えますと、先進諸国の果たす関税における役割というのはまだまだ必要だと思います。しかし、途上国といっても一概にすべて同列視することがいいのかどうか。もう既に日本よりも競争力において、品目によっては強くなっている国がとりわけ目立つわけですね。そういった国々に対しては、もうむしろ特恵制度の適用というのは必要ないのではないかという意見すら、その関係業界から強く出てきております。むしろそれ以上の輸入規制をやるべきだというような、これはいささか問題があろうかと思いますが、現状はそういうところまで来ているわけなんです、円高による影響が。そういう意味合いで、特にNICS関係の国々についてはこの特恵の適用はもうなくすべきではないか。そのことについて私は少し硬派的な意見になりますけれども、そういった考え方を持っております。その辺についての見解を聞いておきたいと思います。
-
○
大橋政府
委員 特恵制度の趣旨にかんがみますれば、開発途上国もその発展の程度に応じまして特恵制度から卒業させるということを検討すべきものでございます。我が国におきましても、
昭和五十六年に輸入品の国際競争力の程度、国内産業に及ぼす影響等を勘案して、国別、品目別に適用除外とする卒業条項を設けているところでございます。本
措置の発動に当たりましては、我が国をめぐる内外の諸情勢をも十分勘案する必要があると考えているわけでございます。しかしながら、現下の我が国を取り巻きます厳しい国際環境、NICSの累積債務問題あるいは近隣諸国との貿易のバランス等にかんがみますと、本
措置の発動につきましては慎重な対応が必要であると考えておりまして、今次の改正に当たりましては先生御指摘のような観点にも立ちまして、特恵メリットの均てん化の
措置の強化をするということで対応することとしたわけでございます。
なお、今後の問題といたしまして、仮に具体的な卒業問題が生じた場合には、関係省とも十分協議して対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
-
○
中村(正男)
委員 その程度の御答弁しかこの段階では無理だと思いますが、一番競争力のあると言われている電気機器、とりわけ電子部品関係、こういったものでも既にもう逆転しておるというのが現状なんですね。そういう意味合いでは、どんどん海外シフトがさらに進んでいくというふうなことでございますから、とりわけこのNICS関係についての特恵のあり方、これは早急に私はひとつ思い切った
措置をとってもらいたい、それだけでは済まないかもわかりませんが、特段そのことだけを強く要望しておきたいと思います。
それでは最後の質問に入りますが、ことしの三月九日の「日本経済」の夕刊の一つのコラムに、元労働事務次官の適正邦彦さんが「買い出し」というテーマで記事を載せられたのですが、中身は、今の海外渡航ブーム、そういった中で円高がここまで来ておりますから、海外に行った場合のいわば買い物ということも非常に買いやすくなっているし、同時に買い出しに行って――買い出しと言っては語弊がありますが、買い物をして帰ってくるその機中でお土産の申告制度が、これは何年前からですか、同じような用紙そのままで、私の記憶ではもう二十年来変わってないのじゃないかと思うのですね。今もって一人十万円のお土産の枠がそのままある。初めて海外に行かれた方が、機中でせっかく楽しかった海外旅行の思いも一瞬にしてさめてしまって、その申告書に記載するのに本当に汗を流しておられるというふうな記事内容なんですね。もう今の状況の中で、むしろそんな制限枠は撤廃をして自由に買い物をしてくる、そしてそういった申告という煩わしい手間を省くことが解放感になるのじゃないか、あるいはまたそのことで貿易摩擦が非常に相互の収支面でも大きく改善されるのじゃないか、いろいろ書いておられます。
その点についてもうそろそろ思い切った
措置といいますか、私は必要ではないか。ずばり、もうこういった十万円という免税枠は撤廃をすべきじゃないか。それから、酒、
たばこについても本数制限があるわけですけれども、一人で持って帰れる本数というのは限度がございます。そういったことを考えますと、この本数制限も無意味になってきているのじゃないかというふうに思うわけでございます。特に、今もう五百万人海外に渡航しているというふうな中で、これは国民全体が今望んでいる一つのものではないかというふうに私は思うわけでございまして、そこらあたりひとつ御答弁を前向きにお願いをしたい。
それから関税ですね。税関で税収がどの程度あるのか、これをちょっとお聞きをしておきたいと思います。今まで余り総額の税収内容が発表されておりません。日本旅行業協会の調べでは、免税枠を超えた人が納めた税金、一人平均一万八千円という数字があるのですが、それからいたしましても税収額はそんな額ではないと思うのですね。それ以上の大きな効果が見込まれると思いますし、同時にまた、税関業務もこういったことを撤廃することによってここでの業務が非常に合理化される、その分、先ほど指摘をいたしましたいわゆる密輸だとかそういったところの人員増に回せるわけでして、その辺も含めて御答弁をお願いしたいと思います。
-
○
大橋政府
委員 お答えを申し上げます。
初めに数字のことを申し上げますが、旅具の徴税実績でございますけれども、六十一暦年の数字がございますが、一年で五十八億円の収入を得ております。このうち旅客の分は四十六億円、そのほか乗組員別送品等でございます。
そこで、先生の御提案でございますけれども、これは、海外旅行者の携帯品につきまして一定の範囲で免税
措置を講じておりますのは、本来、国際間移動の利便を考慮いたしまして、旅行中に必要な物品について税負担の不公平をもたらさない範囲で免税とする、こういう趣旨から出たものでございまして、携帯品全部を免税とするということは極めて困難ではないかというふうに思っております。また諸外国におきましても、同じような趣旨から携帯品の免税範囲は限定的に定めておりまして、携帯品全部の免税扱いというのは諸外国においても例を見ないわけでございます。また関税の本来の目的ということを考えましても、かなり小さくて高価な品物というようなものもあるわけでございまして、こういうものが旅客の形でスーツケースで持ってくれば全部フリーパスであるというのは、これはちょっと制度としてさすがにとれないところではないかというふうに思うわけでございます。
そこで、検討の対象になりますのは、現在の金額の枠を引き上げるかどうかという問題になろうかと思いますが、金額の枠の引き上げにつきましては、現行の金額枠は諸外国に比べましてやはりこれも大幅に大きいわけでございます。一番先進国の中で大きいのはアメリカでございますけれども、アメリカの場合は酒、
たばこも含めまして約六万円というようなことでございまして、日本の酒、
たばこは別の十万円というのはかなり大きい数字でございます。また、六十年の十一月の実態調査によりますと、現行の金額枠は使用実態から見てまだ余裕があるわけでございます。この調査によりますと、一人当たりの使用枠というのは三万四千円というような数字がございます。こういうような状況にあるわけでございますけれども、この十万円の枠というのは
昭和四十七年に決めたものでございます。そういうようなことを考えまして、最近の海外旅行者の買い物の実態、あるいは海外の物価、さらには先生御指摘の税関の業務量の推移等を勘案いたしまして、今後総合的に検討してまいりたいというふうに考えております。
-
○
中村(正男)
委員 これで終わりますが、何らかの改善の検討が始まっているという理解をしたいと思います。仮にこの十万円の枠を三十万円に拡大していただきますと、五百万人の海外旅行者が帰ってきたとしたら一兆五千億円、これは百億ドルの貿易インバランスの解消になる。非常に大きな数字じゃないかと思うのです。大臣、どうですか、ひとつ前向きに改善を検討するという御答弁をいただきまして、終わりたいと思います。
-
○宮澤国務大臣 実は、そのことはきのうも私ども役所の中でいろいろ議論をいたしておりまして、まあ、専門家には専門家の考えもあるようでございますけれども、申告書をお書かせするのも全く気の毒なような気もいたしますし、今十万円が、実績が三万円かそこらだそうでございます。いっぱい使っていないから十分余裕があるだろう、外国に比べても高いと言われれば、それもそうかなと思いますが、おっしゃることも実際には私はわかるような気がするものですから、よく役所の中で勉強させていただきます。
-
○
中村(正男)
委員 ありがとうございました。終わります。
-
-
○
沢田委員 大蔵大臣、連日大変御苦労さまであります。
現在の政治の最大の課題は何だろうかというふうに考えます。四方八方壁にふさがれているわけでありますが、輸出も大変困難な状況にある、現在の円高によっての不況も深刻であり、第二次産業等の製造、生産率もこれまた低くなる、同時にまた失業者がふえる、こういうことで四方八方大変な状況です。ただ、内需の拡大が必要だ、こういうことについては大臣も否定はなさらないだろうと思いますが、その点いかがですか。
-
○宮澤国務大臣 結論といたしましては、やはり内需の拡大は国の内外からの大事な要請であると思います。
-
○
沢田委員 大臣として主張しているのではないだろうと思います、宮澤派として言っているのかもわかりませんが、資産倍増というのは、私からいえばささやかな要望だと思うのであります。社会資本などにおいては恐らく五倍、七倍ぐらいに資産を倍増――倍増というか、倍、倍、倍の増をしなければならぬ、こういう日本の状況にあると思っておりますが、倍増どころではないだろう。下水道三三%である、これも分流方式である。河川もしかりであるし、電柱も林立しておる、こういう都市形態はない。森林も少ないということを考えますと、社会資本の資産をふやすということは、五倍ぐらいにふやさなければ日本の国土は体裁をなさないのじゃないかと思いますが、これは大臣として答えるとかなんとかではなくて、宮澤さんとしての、政治家としての所信については、この点どのようにお考えいただいていますか。
-
○宮澤国務大臣 いわゆる第二の経済大国と言われ、またこれだけの高い所得水準を、しかも国民の間に格差が少ない高い所得水準を持っている国といたしましては、いかにも社会資本の現状は貧弱でございます。随分の努力をいたさなければ到底満足とは言えない現状であることは、御指摘のとおりと思います。
-
○
沢田委員 今度は、政府が言う総合経済政策というのは、まだ予算が通らないうちはいろいろ見解を述べることは差し控えたい、こういう答弁だろうと思いますが、今言われている不十分な点を補強していく、こういう方向では間違いないというのが総合経済政策の柱になると考えますが、いかがでしょうか。
-
○宮澤国務大臣 そのようにいたしたいと考えております。
-
○
沢田委員 順不同になりまして恐縮でありますが、おいでになっておられる方の都合も若干考慮しましたので、その点はお許しをいただきたいと思うのです。
それで、二千百九十二時間ぐらいの日本の労働時間、西ドイツあたりの千八百時間台の労働時間、アメリカにおいてもフランスにおいてもそうでありますが、まず夏休み休暇を二十日間程度取るという構想はどうか。そうしますと、ちょうどこれは百九十時間に相当いたします。百九十時間に相当いたしますと、それは二千時間に近づくことになるわけで、本当ならばあと二日、二十二日になるわけでありますが、フランス方式でありますが夏休み、それをまず官庁からしたらどうか。民間の週休二日制というのは、今の日本の産業構造では非常に難しい。第二の金融機関をやり、第三の金融機関をやりましたけれども、今度第一と第四になりますと相当な抵抗があることが予想されると思うのです。ですから、この夏、宮澤大蔵大臣の一つの発想として、夏休み二十日間を全官庁がとって民間もそれに準拠していくように行政指導する。そうすれば、二十二、二十三日のあの混雑を見ましても、私も東京に来ることがありましたが、高島平で十六キロ渋滞、あれでよく高速料金が取れるななんて思いました。ちょっと一駅というか、一つ行ったらおりなければならぬのに、それで取っている。こういう状況を見ると、何とかその点を考えなければならぬ。
それで、今言ったように休みを別にとれと言っても日本の産業はなかなか許してくれない、また皆さんのテーブルワークもなかなか許さない。台風時期ですから、国土庁みたいな特別職員とか河川局とか、警察なんかも若干の問題がありますが、おおむね二十日間連動してとれば混雑も緩和されるし、それからもう一つ、一番大きなことは、東京に集中している経済の中心が非常に分散していく。一日や二日の休みでは遠くへは行けないけれども、九州でも北海道でもある程度の期間行ってこられる。そうすれば、九州の産業の開発にもなるし、北海道の産業の開発にもなる。こういうふうに二十日間ぐらいの長期なものを国民に与えることによって、観光地であれ観光産業であれ地場産業であれ、それぞれが育成されていく仕組みを助長していく。短時間ではとてもできない。だから、二十日間の休みをとれるように考えてほしい。それを試験的にやってみてもいいのじゃないか。一年だけでもいいですが、とりあえずやってみて、それが内需の拡大にどう影響するかということを考えていただきたい。
人事院にもおいでいただいておりますから、公務員としてはまずそれを実行することである、そして後民間産業にも実行してもらって、日本のバカンスにこの二十日間を全部それぞれの地域で費やすことによって内需の拡大を図ることはいかがなものか。そればかりではありませんが、もっと余剰価値が生まれると思っております。
まず人事院それから労働省、それから大蔵大臣、どうぞお願いいたします。
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○山崎説明員 公務部門におきましても、民間の動向を踏まえながら勤務時間の短縮をすることは重要な課題と考えております。ただ、当面四週六休制、週休二日制を推進しておりますので、これを推進することによって実を上げたいと思っております。
御指摘の夏季休暇の件でございますけれども、公務いろいろな部門がございまして、職場も多様でございます。一律に夏にまとめどりするということになりますと、いろいろ不均衡も生ずる等の問題がございまして、現在ではできますところから夏に年次休暇をまとめどりするという方向で進めておりますが、夏季休暇につきましても引き続いて検討したいと思っております。
-
○
沢田委員 ちょっと待って。あなたはどこだって。労働省……。
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-
○
沢田委員 人事院か。人事院でそんな見解を、労働省も同じなんだが、大体そんなような答弁で、今日の経済状況なんというのは全然考えていないんだね。それではもう全く人事院として勤まらないよ。人事院というものは、国家公務員全体の労働条件を決めていくんだけれども、そのことは同時に国民に奉仕をする役割も担っているわけだから、それはあなた、本当に認識不足も甚だしい。そんな状態でこの前の国会あたりの問題を、今日の円高、そしてこの不況、そしてこの景気の回復、その目的のために、公務員がどうあるべきかということが問われているわけであって、しかも二千百時間を超えている時間というものを知っているんでしょう。そういう状況を知っておって、その百、二百時間以上を減らさなければならぬ役割もあるということも知っているんでしょう。その二つ、答えてみてください。顔洗って本当に出直してもらいたいぐらいだ。
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○山崎説明員 今お答えしたとおりでございますが、当面週休二日制を進めていくという形で、勤務時間短縮
措置を公務部門でも進めていきたいと思っております。
-
○
沢田委員 あなたがそういうことを言っているんじゃ総裁に言う以外にないけれども、とにかく僕が言った言葉というものは世界的な緊急的な要素なんだ。だから、百五十円がどんどん円高になっていって百四十円、百三十円になっていったら、人事院がそんなことでうそぶいているどころの騒ぎじゃなくなっちゃう。だから、それをどうやって先導していくかということの意味においての役割というものがあるということを、あなたの方もひとつ考えてください。そうでないと、あなたのような認識でマンネリいこうと思っていたら、それは話にならないと思いますよ。だから、そういうふうにひとつこれから検討されることを期待します。
次に、労働省にお答えいただきたい。もう話にならぬ。
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○小島説明員 労働時間の短縮につきまして、先生御指摘のように、やはり自由時間が増加するということがございます。そのために、内需拡大の効果もあるという一つの観点がございます。全般的に見ますと、やはり労働者の福祉の向上という観点が一番大きな問題でございますが、最近の経済情勢を見ますと、やはり内需拡大の観点も重要でございます。
そういう点で、昨年の五月に経済構造調整推進要綱というものが政府決定されたわけでございますが、それに基づきまして労働時間の短縮を図っていこうということにいたしております。先生御指摘の夏休みの点でございますが、その推進要綱の中にも昨年から「夏期における一週間以上の連続休暇の普及に努める。」ということでやっておるわけでございます。実は労働省は、年次有給休暇というものが労働基準法上付与され、とることになっておるわけなんですが、実際に消化されていない、半分ちょっとしか消化されていないという点がございます。そういう点で年次有給休暇をまず完全に取得していただこうということで、前から夏休みというものを連続的にとろうということでやっておるわけでございます。
ちょっと長くなって申しわけないのですが、昨年は「ほっとウィーク」というキャッチフレーズをつくりまして、「ほっと」というのは暑いというのとほっと一息ということで、かなりキャンペーンをやったわけでございます。私ども、その夏休み、それからもうすぐ参りますがゴールデンウイーク、そういうときにやはりまとめて休みをとっていただく、その方がとりやすい、年次有給休暇もとれるということで、大いにこれからも努めてまいりたいと思っております。そういうことで御了解をいただきたいと思います。
-
-
○宮澤国務大臣 これは、私は所管でございませんし、もちろん専門家でもありませんけれども、今のような各省庁の担当の
課長さんというような人々にこの場で意見をお求めになりますと、どうしても今のような答えに、秩序の中で、制度の中で動いておられますから、なるんだと思います。もっとマクロに考えますと、日本人がそういう生活様式になっていきませんと、今のいろいろな問題は本当に片づかないんじゃないかということは、お互い政治家としてはやはりどこか心の中で思っております。
他方でしかし、どうも怠けるというか、レジャーということについて、これはこれで昔から教育を受けた部分が残っておりますものですから、何となくそこへ急に大幅に飛び込んでいくということに戸惑いがありましたり、先ほど公務員のことをまず言われたのでございましたが、公僕が先に休むということにまたためらいがあるといったようなことがいろいろございます。が、恐らく今おっしゃいましたようなことをやはり政治の方から考えていかなければならない。そうでないと、今の日本の持っております問題は片づかないのかもしれません。このたび、政府で大規模なレクリエーションの基地等々を民活の形でいろいろ全国につくってまいりたい、政府もそれに対して手助けをしたいという法案のお願いをいたそうと思っておりますけれども、これなんかもやはりそういう受け入れの体制をつくっていきたいという考え方であろうと思います。
-
○
沢田委員 まだ人事院も労働省も、そういう思い切った構想というものが出ないようでありますが、私は、いわゆる資本を余り投下しないで、しかもそのことによって景気の改善もできるし、同時に内需の拡大にも寄与できるし、過疎対策にもなる、こういうことにもなりますし、恐らく九州出身やあるいは鳥取、島根出身の人たちも、そういうことがもし行えるということになれば、非常に民需の活性化というものにはつながっていくであろうと思っております。そういう意味においては、ぜひそういう思い切った方法をとらないと、これは円高じり貧というようなものになってしまうであろう、こういうふうに思って、そのときになって過疎対策がどうのこうのとわめいたり泣いたりしないようにお願いをして、次に入りたいと思います。
続いて、
所得税法と各税法、さっき
中村委員も触れられましたが、
所得税法は六十二年四月一日、利子課税は六十二年の十月一日、あとはみなし法人その他は六十三年一月一日、酒、
たばこ同じ、有価証券、印紙、
売上税はあえて触れませんが六十二年の九月、土地税制は六十二年の四月、こういうものを一緒の
法律でまとめて提案をするという仕組みというのは、今月結婚する人も十二月結婚する人も六月結婚する人も、とにかくまとめて結婚式をやろうか、こういうものと変わりがないのでありまして、やはり現実的に整合性があるとは言えないんじゃないかというふうに思うのです。これは、野党が信用できなかったのか、自分自身がうそを言ったからどうも心もとないのか、その辺はわかりませんが、宮澤大蔵大臣に答弁を求めることはあるいは無理なのかもしれません。無理と言うと恐縮でありますが、こういう出し方というものはやはり常識を逸しているということだけは間違いないだろうと思うのです。正常の状態ではない、正常なあり方ではないということだけは、政府が間違っているとか、私の言い分が全部正当だというのじゃなくて、十二号のこの
法律案は正常な提案の仕方ではない、そういうふうに考えます。これはそうだとは答えられないでしょうが、これは異常事態の対応なんだということになれば、それでそれなりの答弁だと思いますが、どういうふうに大臣はお考えになっておられますか。
-
○宮澤国務大臣 この問題につきましては、
内閣法制局におきましても随分いろいろ慎重に検討をしていただいたものと承知をいたしております。すなわち、このたび御提案申し上げましたことが、三十何年ぶりの全面的な税制改正であるということ、しかもそれが、残念なことでありますが、財政が非常に厳しい状況のもとで行われなければならないために、いわゆる歳入中立的でなければならないということ、そうなりますと、各税法の間にいわゆる税率あるいは課税の範囲等々、プラスもマイナスも、増税も減税もあるわけでございますが、それらが全部関連をしてくることはもう不可避であるということ等々から、一体として国会に御審議をいただきたいということが、こういう形をとりました基本の私どもの希望であったわけでございます。
ただ、それにいたしましてもいかにも
売上税そのものは全くの新税、いわば新法でございますので、これをしも全体の中に組み込むということには、御審議のお立場からはもちろんでございますが、いかにも無理があるということで、こういうふうに一つだけ分けさせていただきました。そういたしますと、今度施行法ということになるわけでございますが、各税法の間のお互いの増減税の関連ということもあり、また、先ほども申し上げたことでございますが、酒税あるいは
たばこ消費税等々が
売上税と関連を持つといったようなこと等から、施行期日並びに経過規定につきまして一法を設けさせていただいた、このような経緯であったと承知しております。
-
○
沢田委員 経緯は今のでわかりましたが、いずれにしても今の状況で、これは分離をしながら審議をしていくという方向をとらなければ、国会運営そのものとしてもいろいろな支障が出てくる。反対の程度にもそれぞれ強弱もありますし、あるいは中身の審議においてもそれぞれ強弱がある。そういうものをおじやみたいに一緒くたにしてやっていく方法というものは適切ではない。少なくとも適当な方法だとは言えない。幾ら中身を審議しましても、最後の施行法そのものがどうなるかということになると、それで今までの審議は全部むだになる場合も起こり得るわけでありますから、そういう不自然な審議の方法を求めるという政府のあり方は正常ではない、やはり異常な
提出だ。
頭の中で考えていく関連性はよくわかります。それはわかりますけれども、審議の段階とそのあり方からいって、そういうことを言えばそれでは予算も法案も皆同じですよ。ですから、そうなると施行法そのものが、やはり何らかの解決策を講じなければ、今後の国会運営もあるいは我々の審議の態勢についても非常な疑義を生じてくる、こう思いますから、これは答えられないかもしれるせんが、閣内において十分、一括法の施行日というものについては審議に支障を来すから、やはりこの程度は分割すべきではなかろうかと提言をしてもらって、そういう土壌をつくってもらいたい、こう思いますが、いかがでしょう。
-
○宮澤国務大臣 実はその点も、立法いたしますときに法制局等を中心に十分考えまして、政府の立場といたしましては一体として国会に御検討いただき御判断を仰ぎたい、こう思ったわけでございます。その際、政府の都合ばかり考えたつもりではございませんで、御審議のお立場というものも当然私どもなりに考えさせていただいたつもりでございますが、一体として御判断を賜りたいという気持ちでこのようなことをいたしたわけでございます。
-
○
沢田委員 しつこいようですが、金丸副総理は先ほども述べられたように若干修正してもいいかな、あるいは世論もある、世論を無視した審議というものもないわけですから、そういう立場を考えればやはり一考する必要性はあるのではなかろうか。提案している建前があるから原案は固執するんだというのではなくて、弾力的な宮澤大蔵大臣だったらこの大蔵の空気を見ながら、審議をするのにこれらを一緒くたにやっていっていいとは考えてないと思うのです。それは当初はそうだったかもしれません。しかし、現在の政治情勢の中においてそれは一考する価値はあると私は、私だけではなく恐らくみんなも判断するんだと思うのです。全部審議をしても最後になってどうなるかわからぬという法案審議というのは、これからも何十日あるかわかりませんが、そういう状況をつくっておいて審議をしなさいと言われても、最後になったら、判こを押すときになったらあとはわかりませんよということになったのではこれは極めて不誠実な提案の仕方だ、こういうことになると私は思うのです。だから、立場上どうしても変更できないとすれば、一考していただいて御協議をいただきたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
-
○宮澤国務大臣 先ほどのお尋ねの中に、
中村委員でございましたか、おっしゃっていらっしゃいましたが、今回の考え方は、全体として歳入増減なしということで考えてまいりませんと、今の財政の現状から大変にゆゆしい事態になるという問題が一つございまして、税制そのものの中の関係のし合いもございますが、歳入との関連もございます。したがいまして政府としては、例えばこれは国会におかれまして、なるほど
所得税あるいは法人税の減税は今必要である、それはひとつ考えるべきではないか、しかしその財源
措置としてのこういうものは適当でない、不必要である、こういう御判断を国会としてなされることはあり得ることでございます。いや、そういうことはしないよとおっしゃっていただければ私どもも大変にありがとうございますけれども、そういうことはあり得ることでございますから、政府といたしましては、そういうことがあっては実は政府は困ると判断をいたしまして、政府の判断といたしましては、どうぞ一体としてお考えをいただきたい、いわばこういう政府の意思をこういう形で御提案申し上げている、このように御了解をお願いいたしたいと思います。
-
○
沢田委員 これは大蔵
委員会ですから、今のような状況で答えておいて、今後の国会対策やその他において変更する事態も起こり得るだろうと私は想定いたします。その場合に、大蔵
委員会においてこう言ったのだからということになれば、それは今度は大蔵
委員会は小ばかにされたという格好にもならざるを得ない。だから、そういう弾力的な運営が今後行われることが想定されるとすれば、ある程度の余裕を、こういう質問の時間というものが設けられた以上、また法案の審議を進めていく上においての政治判断としては、大蔵大臣は大蔵大臣としての立場だけでも、閣内で反対されればだめかもわかりませんが、大蔵大臣の立場としての、政治家としては、これはこうしていかなければ難しいなと、あるいはこうしていかなければやはり審議の促進に対して非常に大きい影響を与えるであろう、そういうことぐらいの政治判断ができないとは私は言えないと思うのです。しかし国会の方の、国対の別の分野においては、ではそう決まりました、では別になりましたというふうになったらどういう責任をとりますか。我々大蔵
委員の立場はどうなりますか。そういうことを考えてみたときに、それはある程度政治家は先を見るわけですから、ハスを食った話としては、ある程度の弾力的な条件というものもそれぞれ閣内で協議しつつ、国会の審議あるいは対応というものを考えるというのが私は政治家として、こだわるのではなくて、ある程度の対応をしていくということが本来の姿ではないのかと思いますが、いかがですか。
-
○宮澤国務大臣 このたびの御提案の考え方につきましては、ただいま申し上げたとおりでございます。
次に、国会の運営あるいは国会の御審議のあり方についてかれこれ申しますことは私としては僭越なことでございまして、それにつきましては政府の立場として何をも申し上げるべきことでないであろうと考えます。
ただ、再度申し上げますが、政府といたしましては最善の御提案を申し上げたと信じております。
-
○
沢田委員 あともう一回、後続く人もおりますから、その間のうちに、お昼でも休んだときにはひとつもう一回考え直して、これは、余りかたくなに言い過ぎると後悔いなというふうに思ったら、ある程度考えていただくことを期待してやみません。
続いて、円高差益の還元についてお答えをいただきたいと思うのです。
これもやはり内需の拡大の一つでありますけれども、十四兆とも十五兆とも言われておりますこの円高差益の還元が、これは大蔵大臣としての立場というものもあると思うのでありますが、どの程度実現されたと考えているか、またこれでは不十分だと思っているか、これはまあまあだと思っているか、マル・バツ方式になりますけれども、その三つの中のどの段階が今の現状だとお考えになっているか、お答えをいただきたい。
-
○宮澤国務大臣 例えば電力、ガス料金のように、極めて明白な形で、明快な形で還元をされた部分もございますし、輸入商品で下がっておるものも随分あるように承知いたしますが、私は比較的世の中で見逃されておりますのは、卸売物価が二けた台の下落をしたということ、これは日本経済に与える、当面はマイナスの影響も実はございます、在庫が下がるのでございますが、長い目で見ればこれは明らかにプラスの影響でございますし、消費者物価がそれを受けて落ちついていることもそうであろうと思います。
そこで問題は、卸売物価が二けたも下がっているのに消費者物価がわずかに一%弱しかマイナスになっていないというあたりに、一つの問題がやはりあるのではないかと思っておりまして、これはいろいろ理由はあるにいたしましても、食物でありますとか、あるいは農業関係のものが多いのでございますけれども、それにつきまして理由あってのことではありますが、いろいろ国内で国内産の保護をするための仕組みを設けております。そのことが円高差益という観点だけから申せばやはり一つバリアになっておる、こういうことは言えるのではないかと思います。
-
○
沢田委員 大蔵大臣の立場では、これはなかなか進めるとかあるいはどうするということは、言えることは言えるでしょうが、実行することについては難しい面もあるだろうと思うのでありますが、あるべき姿として今の円高差益の還元の方式で不十分な点はどこか、十分だと思っている点はどこか、それを一つ二つで結構でありますが、十分だと思っておるものはどんなものが十分で、どんなものが足らないか、その点どのように受けとめておられるか。全部言えなんて言いませんから、一つか二つで結構です。
-
○宮澤国務大臣 所管外でございますので正しくお答えできるかどうかわかりませんけれども、例えば電力料金、ガス料金などは、これはその限度について議論があるにいたしましても、方式、考え方は極めて明らかでございますし、またそれが現実に行われたという意味で、これは少なくともすべての人が理解できる、合意できる方式、場において行われておると思いますので、これはいい例であろうと思います。なかなかわかりにくい例といたしましては、農畜産物等々いろいろな国内保護の仕組みができております分野におきましては、これはそういう制度の面から見ればそれなりの理由があることでございましょうが、真っすぐに差益の還元というものができていないということは、その観点からは申し上げることができると思います。
-
○
沢田委員 そのうまくいっている方にも問題は若干あるのですが、うまくいっていない方については、所管が違っても大蔵大臣として現在のこの経済条件を反映してみれば、やはりその分野について改善を求めたい、改善をしてほしい、こういうことを閣内なりそれぞれの省庁と連絡をとる、こういうことは考えておられますか。
-
○宮澤国務大臣 これは、その制度が設けられましたこと自身にはそれなりの目的がございますから、ただ円高差益の点、あるいは財政負担の点からばかり議論をするわけにはまいらないことであろうと思います。ただ、大きな流れといたしましては、
沢田委員も御承知のように、そういうものについては時間をかけてでも縮減をしていきたいということのために、政府部内は努力をいたしております。
-
○
沢田委員 ちょっと抽象的なことだけではいけませんので、例えば輸入原材料は、食パンの場合は三十八円が百六十円。納豆が四円で入ったものが五十円。それからタクシーなどは、東京都内でありますが三十三円が四百七十円。それから、かけうどんなどは十円が三百五十円、中華そばは十二円が四百円、豆腐にしても四円が百円というふうに、小売価格に占める輸入原材料のコストというものを考えますと、大体十倍程度の小売価格になっていっている。ですから、輸入原材料がこれだけ下がってくるということによって――諸外国と比べて日本の食生活が一番高いということは、大臣も承知しているだろうと思うのですね。そういうことを考えますと、エンゲル係数が二六%ぐらいでありますけれども、それにしても諸外国に比べると飲食費の占める割合が高い、品物が高い、こういうことは言えるんだろうと思うのです。
これは一つの例示をしたのですが、そうなると流通段階の問題になる。流通段階のものが日本は昔ながらの、徳川時代以来のずっと長い歴史があります。そういうものが、要すれば段階を多くしているがために、結果的にこういうような価格がなかなか見通しにくい状況にある。それがある意味においては
売上税に対する多大な恐怖感、あるいはそういうものを与えているということも否定できないと思いますね。
だから、この辺についてはやはり具体的に意見を述べてもらわないと、その他の税制審議にも重大な影響を与える、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
-
○宮澤国務大臣 前段に言われましたように、確かに今御指摘になりました幾つかの食料品でございましたが、原材料のコストが占めている割合は実は非常に小さい。ということは、原材料が差益還元をいたしましても、実は最終価格に余り大きく関係してこないということにもなるわけで、それはなぜかといえば、それ以外のコストが大きい、流通のコストが大きいというのは私は本当であろうと思います。
我が国の流通がそういうものとしてできておる、これはできておるということは流通に携わる人がそれで生活をしておるという意味でございますから、かつてのように本当に完全雇用になりかかって、
昭和四十年の初めであったと思いますが、やむを得ずこの流通が簡素化されざるを得なかった。小さな魚屋さんだとか八百屋さんだとかいうものがもう後継ぎがいないというような、そういう雇用との関係で流通が自然に簡素化されたという短い歴史がございましたが、そういうことにでもなりませんと、ただ長いから切ればいいというようなわけにはまいらないというのが今日の我が国の社会のでき方ではないか、そういうふうに考えます。
なお、
売上税との関連についてお尋ねがございましたが、これはもう申し上げるまでもなく、流通段階がこの税金を自腹を切って負担をするという仕組みになっておりません。最終的に消費者に転嫁をされるということでございますので、その観点では流通の長い短いは一応この税の有効性には関係がないというふうに考えております。
-
○
沢田委員 これもその中へ入ってしまうと、これはもうとても時間で終わりませんので、一応この辺で円高差益の還元についてのまだ関連事項でありますが、これは前から、私も三回主張しているのでありますが、輸入牛肉であります。
これは五十九年度の利益が千六百三十八億、六十年度決算で千八百三十億であります。それで、この助成勘定にやったのは三百八十六億、これは決算でいっているわけですが、輸入の肉は大体十二万六千二百五十六トン、現在在庫が二万三千六百五十九トンという決算であります。決算の上では、助成事業として挙げているのが三十一事業、千八百五十九億、こういうことで決算の中では挙げておられます。消費者にも還元をしてほしい。電気は消費者に還元をして、主体を置いておる。電気も後で言いますが、牛肉関係については消費者に還元しない、このこと自身が間違いじゃないか。私は、三等分に還元したらいいじゃないか。生産者ももちろんいいでしょう、流通段階もいいでしょう、それから消費者もやはり活性化をしなければいかぬ。そういう三万に活発化を図ることが必要だということで、二十九日を肉の日にするという、憎らしい話だけれども二十九日にする。もう一つは、つくりますとそのとき言った。二、九、十八で十八日はどうかという提案までした。ところがそのときの回答はなくて、だけれどもつくります、こういうことで終わっているわけであります。
この間も、八百七十八億をこの国会の前にしらばくれて助成してしまっているのでありますけれども、少なくともこの円高差益の還元は、消費者生活の向上もなければそのことの意味はなさないのでありますから、そういう意味において両者が成り立つような方途を講ずべきではないかと思いますので、きょうは四回目だから、ひとつきちんとした回答をしていただきたいと思います。
-
○太田説明員 今
沢田先生から御指摘のございました牛肉の円高差益還元でございますが、六十年の秋以降、円高に伴う円高差益といたしましては、私どもは、六十年度が約四十億円、六十一年度が約二百二十億円と見込んでおるわけでございます。この還元につきましては、一連の総合経済対策を受けまして、指定席及び肉の日における小売目安価格の引き下げ、八月からは畜産振興事業団の売り渡し予定価格の一割引き下げ、売り渡し数量の約一割の増加、それから輸入指定席のさらに一割の増加というようなことを言って、消費者へ還元するということで仕組んでおるわけでございます。
特に、
沢田先生の御指摘のございました肉を安く売るという肉の日の拡充でございますが、これは昨年の四月の経済対策の中に肉の日を拡充するということで実は織り込まれまして、従来肉の日は一月一回でございましたけれども、それの五割増しということで、偶数月にさらに輸入牛肉を安く売っていただくという日を設けたわけでございます。ただそれは、各団体、各県に、その日のもう一日の設定というのは自主的に指定していただくということで実はやっておるものですから、例えば埼玉ですと第二木曜日をそういうことに選ぶ人もおりますし、それから地域によっては九日あるいは十九日、それから地域によっては二十九日に連続して行うというようなことで、かなりその地域に任せておるということもございます。そういう形で実施させていただいておるということで御理解いただきたいと思います。
以上でございます。
-
○
沢田委員 まだ不十分で不満もあるし、問題も実は中にあるのでありますが、時間の関係もありますので、きょうはその答弁で、了解ではないけれども、中身はわかりました。もっと充実をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
続いて、警察の方に若干お伺いをいたします。
税関と関係いたしてまいりますが、いろいろと調べた材料でいきますと、覚せい剤やヘロイン、シンナー、大麻等々、銃砲等の問題も含めて非常に問題が深刻になっておる。そこでいわゆる税関の場所だけでなくて、密輸入というものも含めて考えなければならぬと思います。
これは大蔵大臣に提案をするわけですが、やはり銃砲等の取り締まり、プロジェクトというものを、言うならば各省庁、警察も含め、それぞれの都道府県を含めながらつくっていかなければならぬのではないかというのが一つ。
それから、シンナーも含めて覚せい剤、大麻、そういうようなものの麻薬関係も含めてのプロジェクトをつくって、日本国内の総合的な対応というものを考える必要性があるのではないか、これが一つ。これは、いわゆる洋上取引とか密入国関係、船でそれぞれの普通の港でなく、やみくもに入ってくるという密入国関係であります。そういうことを考えると、それは一つ必要な条件である。
なぜそういうことを言うかというと、税関で取り上げている数字と警察白書及び厚生白書で取り上げている数字と違ってきている。それは、結果的に国内に持ち込まれている分量は、隠れているものからいえば、税関で発見された分量よりも三倍、四倍以上のものが入ってきておるという状況を見ると、これは単に税関だけで締めくくれるものではないという見解が、私の見解でありますが想定されますので、まず一つは日本国内全体の協力体制というものが必要であろうと思います。これは大蔵大臣に聞くのもあれなので、警察の方、厚生省の方に聞いて、そういう考えがあるかどうか、それをまず先にお伺いをしておきたいと思います。
-
○
伊藤説明員 お答えいたします。
ただいま
委員から御指摘のとおり、最近銃砲あるいは薬物の密輸入が大変増加しているところであります。この種の対策については、御指摘のとおりまず第一に税関等の協力体制を確立しながら、確実に水際でチェックすることが必要かと思います。そうした観点から、これまでも私ども警察といたしましては、税関あるいはその他の関係機関と十分な協力関係を確立いたしまして、水際でのチェックを展開しているところであります。
このほか、この種の薬物、銃砲の対策については、必要な情報を確実に入手いたしまして、その情報に基づいて確実な捜索、差し押さえを実施することが必要かと思います。
こうした観点から、これまでも警察としては、捜査員を海外に派遣する等の対策を含めて、有力な情報の収集に努めております。そのほか、既に逮捕した被疑者からの突き上げ捜査を徹底するとか、入手した銃砲の製造国あるいは販売ルートを突き上げるとか、そういった捜査をそれぞれ展開しているところであります。
-
○
市川説明員 先生御指摘のとおり、我が国で現在乱用されております薬物は、ほとんどが海外から密輸されているという状況にございますので、厚生省の麻薬取締官事務所においても、薬物事犯を検挙した場合には、その入手先あるいは密輸先については常に関心を持って調査を行っているところでございます。また、このようなことから、水際の検挙機関でございます税関との協力というものは欠くことができないものでございます。
このような観点から、厚生省においては従来から毎年金国の各ブロックにおいて、税関職員あるいは警察職員等取り締まり関係者との協議会を開催しており、そこでの情報交換を行うとともに、関係者の連係の緊密化を図ってきたところでございます。また、麻薬取り締まり職員が捜査の過程で入手した密輸情報については、税関を初め関係省庁にも提供を申し上げ、また税関等からも税関で検挙された事犯の関連情報を提供を受ける、あるいは必要に応じて共同で調査に当たるというような形で、日常的に税関等と相互に協力をしてきておるところでございます。したがいまして、私どもとしましては、今後ともそういった関係取り締まり機関間の連絡協調ということを密にいたしまして、薬物の国内への流入を防止してまいりたい、このように考えております。
-
○
大橋政府
委員 大蔵省の方からお答え申し上げます。
税関の監視、取り締まりに当たりましては、迅速かつ円滑な通関ということにも配慮しながら、覚せい剤、大麻、銃砲等の社会悪物品の水際におきます摘発を最重点目標といたしまして当たっているところでございます。このため、情報収集活動の強化、麻薬探知犬の活用、金属探知器、エックス線装置等の取り締まり機器の整備充実を図っておりますほか、特に警察を初めといたします関係取り締まり機関との連絡を密にして、重点的かつ効率的な取り締まりを行うよう指導しているところでございます。
この結果、六十一年におきまして、大麻の押収量が史上最高を記録するような成果を上げておりますけれども、今後におきましても、迅速かつ円滑な通関に配慮しながら引き続き社会悪物品の水際防御を図るために、各機関との連絡を密にしながら、従来も警察庁、厚生省からお話のありましたとおり連絡を密にしているつもりでございますけれども、さらに徹底して連絡を図りながら取り締まりに努めてまいりたいと思っております。
-
○
沢田委員 今入ってきておりますこの覚せい剤等の海外の方でいきますと、五十九年度に比べて六十年度は物すごくふえているのですね。台湾は百四十四に対して百六十八という、約一割ぐらいですか、二割ぐらいとなりますがふえている。それから韓国が八・六から五十五、七倍にふえている。それから香港が三・三から八と、これは倍にふえている。それからフィリピンが五十九年はなかったものが、これはもう二十四、そのままふえている。こういうふうに五十九年から比べますと、これは覚せい剤関係でありますがもう非常に激増しておる。どこにこの穴があるのかということだと思うのですね。それぞれの事件の経過を見るといろんなケースがあるようでありますけれども、いずれにしてもゆゆしいことだというふうに思います。
そういうことになると、税関の皆さん方も、トランク二つというのが原則になって、あといわゆる手荷物、こういうことになるわけでしょうけれども、これは大変な量になるだろう。しかも、これだけ輸入が楽になってくればなおさらになるというふうに思いますと、こういう覚せい剤等の取り締まりというものについては、果たして税関だけで可能なのかどうか。人はふやせと言ったら、大蔵大臣うんと言うかどうか、これから質問しますが、どうかと言う。しかし、これは日本の安全の、やはり最先端のものだと思うのですよね。安全は何も鉄砲やそんなものだけじゃないと思う。やはり日本の安全を守るという立場は、そういうものを入れないということが第一原則で第一歩だと思う。
それから銃砲等については、これは警察関係しか、それ以上上回る、十倍以上上回るものが私はあると思いますけれども、けん銃等でわずかに警察白書に載っておるのは千百五十八件であります。こんなものじゃない。実態は、もうあの撃ち合いをやっている状況を見たって、こんな程度のものではないですね。恐らくこれの十倍以上は入っていると想定されるわけであります。
そうしますと、ここにも何か欠陥があるというふうに思いまして、これも警察関係の、これは先ほど述べたように国内を挙げてのプロジェクトというものをやはりつくっていくという必要性があるのではないのか、税関はもちろん充実をしてもらわなければならない、こういう必要性を感じます。これは担当と大臣から、やはりこれは大変重大なことだという認識を持ってもらって、その対応を考えていただきたい、こういうふうに思うのです。
-
○
大橋政府
委員 先生御指摘のとおり覚せい剤の、これはただいまのは検挙件数でございますから、税関で見つけた件数でございまして、実際にどのくらい入ってきておりますかどうか、私どもも精いっぱいの努力はしているわけでございますけれども、一遍に到着いたします旅具の検査の中でこれを見つけていくということは、税関職員は非常な努力をしておりますけれども、万全を期することは遺憾ながらできないことではないかと思います。しかし、これが国内に入りましてからさばかれるような点につきましては、警察庁、厚生省その他の取り締まり機関もこれまた必死の努力をしておられるわけでございます。こういう意味におきまして、今後とも各省庁も一緒になって大きな国民のための仕事として、精いっぱい努力してまいりたいと思います。
ただいま御指摘のプロジェクトということにつきましては、私ども従来から、この大きなことにしていくことがいいのかどうかということはなかなか難しい点があるかと思いますけれども、総理府等で指導していただいております覚せい剤についてのいろいろな取り締まりという中で相互の協力を密にしながら、できるそれぞれの範囲の仕事を精いっぱいやってまいりたいと思っております。
-
○宮澤国務大臣 伝統的に税関が財政の立場で大きな役割を果たしてまいりましたことは事実でありますけれども、しかし今の日本になりますと、まさしく
沢田委員の言われましたようなことが最も大切な税関の機能になってきたのではないか、仕事になってきたのではないかというその認識では、まさにおっしゃるとおりだと私は思っておりまして、ほかの方の仕事をいわば機械化、合理化等々いたしましてもそういうところへ、各省庁と協力して税関が全力を挙げるべきだというふうに考えます。
-
-
○
伊藤説明員 お答えいたします。
ただいま御指摘のとおり、水際でのチェックが大変重要なことはそのとおりでございます。あわせまして、先ほどもお答えいたしましたとおり、有力な情報に基づいて、その情報をもとにチェックするということも大変重要と痛感しております。したがいまして、そうした海外の情報を含めまして、今後とも税関あるいはその他の関係機関とも十分な連絡体制を確立してまいりたいというふうに考えております。
-
○
沢田委員 大蔵大臣の答弁、これは非常に前向きに考えていただけるということでありますが、税関の方の充実はひとつぜひ考えていただきたい。
それからもう一つは、政府として日本の国全体の立場からそれをどう――そこで先ほど述べたプロジェクトという一つの例示をしたわけですが、必要な連絡会議を持って、交通安全も大切でしょうけれども、その部門の力を割いてもある意味においては水際作戦というものを必要に応じて行う、そのくらいの体制はとっていただきたい、こういうことを特にお願い申し上げて、次の問題に入ります。これは答弁は……
-
-
○
沢田委員 結構です。結構ですというのは忘れる場合もありますから、その点はお許しください。
各省庁、大変どうも御苦労さまです。
続いて、じゃ法務省、長く待たしたのでは悪いですから、これは登録の問題なんであります。これまた最初は大蔵大臣に聞かなくちゃならぬのですが、登録税というものは果たして何なんであろうか。二つあると思うのですね。一つは、物を得る、土地を得るあるいは営業的に取得をするという場合に、その登録税という税で物を取っていく。国民が、それぞれ自分の土地なり家屋なりあるいは財産を取得した場合にそのことを登記をする、それは、これは自分のものであるということを表示し、第三者に対抗する要件を具備するというのが一つの建前であろうと思います。
ただ、過去を顧みますと、道路なんかに地番がついていた時代はなかった。河川なんかについても地番などはなかったけれども、これはだんだん移動していってしまった。もとのところは河川になりどんどん蛇行しますから、自然に浸食されて土地が移動をしていく。土地が移動するというよりも、そのものがなくなって減却しちゃう。ところが、一方の土地は登記簿に載ってないけれども、片っ方、州ができるわけですから、出っ張ったところは今度はだれかの所有地になっていくというふうに、この登記というものの持つ役割というものが一つあります。
それからもう一つは、国がなぜその登記に対して税金を取って、何を対価として国民に与えるのであろうか、こういう問題があります。これは普遍的な問題でありますが、税金を取る方は大蔵省なんでしょうが、いわゆる登記事務としての役割というものからは法務省の方でお答えをいただきたい。
-
○
田中説明員 お答えいたします。
不動産の登記といいますのは、不動産の形状それから権利関係、これを登録、公示いたしまして不動産に関する取引の資料にしていただく。それともう一つ柱、先生御指摘のように、自分が所有者である、いや抵当権者であるということを対抗要件として公示することによって自分の権利を守る。その二つの機能があるわけでございます。
-
○水野政府
委員 登録免許税につきましては、ただいま
委員からもお話のございましたとおりでございまして、財産権の創設、移転、それからちょっと種類が違いますけれども、人的な資格の取得、事業の開始等につきましての登記、登録、免許、これによりますところの利益、ただいまお話のございましたような第三者対抗要件の取得でございますとか、そうした利益に着目いたしまして応分の御負担をお願いいたしております。そういう租税であると解しておるわけでございます。
-
○
沢田委員 最高が千分の五十、百分の五、五%ですね。それで今度の暫定で住宅などについては特に安くしていく、こういうことなんですが、やはり登録税の中にシビルミニマムがあっていいんではないか。いわゆる最低生活を維持していくに足りる部分、例えば土地、家屋、そういうものについては全然ゼロにしろとまでは言いませんけれども、最低限度の登録税というようなものでいわゆる国民生活の安定を図る、事業用であるとか利益を目的としたものと同じ扱いをしていくというものではなくて、やはり最低生活を維持し得る条件、二百平米と大体今住宅では決めておりますが、二百平米であるにいたしましてもその部分は少なくとも登録税は免除するとか、あるいはわずかな金額でそれは認めるとかいうことにしていくぐらいな配慮は、この登録税の中に
導入してしかるべきではないか。
それから、もし
売上税のような問題が今後起きるとすれば、これが一物二価の問題にもつながっていくんだろうと思いますけれども、そういうようなことを考えると最高の五%というものを下げて、登録税が暫定
措置としてこれを下げていくわけでありますが、そういう
措置を講じていくこと自身に問題があるのではないだろうか、なぜそういう
措置を講ずるのだろうかというふうに思うのです。
なお念のためでありますが、五十九年と六十年で住宅金融公庫の貸付数を見ると激減ですね。二十万戸減っています。金額は同じです。同じ金額は借りているけれども、件数としては二十万件減っている。後で住宅問題はやりますけれども、そういう状況の中で今のこの特別
措置そのもののあり方、それからこの登録税の登録の業務のあり方、それからその中身というものは若干再検討してしかるべきものではないか。我々もこの登録という問題については、割合無関心に通り過ぎてきた嫌いなしといたしません。もう一回見直していく必要性がある。その本体は何か、どういう事件が起きているか、そしてその事件に応じてどういう体制をとるか、こういうことが私は必要になってきているのではないかというふうに思いますので、若干の細かい質問をやっていきたいのですが、検討課題として取り組んでもらいたい、こういう期待を込めて、総括的にまずお答えをいただきたい、このように思います。
-
○水野政府
委員 先ほど申し上げましたように、登記、登録制度につきましては、それなりの経済的利益と申しますか反射的利益と申しますか、そういったものに担税力ありとして御負担をお願いいたしておるわけでございますので、登記制度、登録制度を御利用になると申しますか、その制度に乗ってこられる限りは、御負担は若干でもお願いをいたしたいということでございます。
しかしながら、お話のございましたような住宅用家屋の登記でございますとかそういったものにつきましては、移転登記でございますと千分の五十、保存登記でございますと千分の六といった税率は、御指摘のような
租税特別措置法によりまして千分の六、千分の三等に軽減をさしていただいているわけでございまして、そういった点におきまして、御指摘のシビルミニマムに適合しているかどうかという点の御議論はまたあろうかと思いますけれども、必要な配慮をさしていただいているところでございます。
なお、
売上税との関係につきましては、
売上税に若干関係いたします税目としては、これとよく似た税といたしまして印紙税がございます。印紙税につきましては、今回の
売上税の創設に関連しまして若干の手直し等々を予定をさしていただいておるわけでございますが、登録免許税につきましては税の性質等からいたしまして、これと関連をいたしまして手当てをするといったことは、今回の税制改革におきましては一応いたさないものとなっておるわけでございます。
-
○
沢田委員 要するに、シビルミニマム制度を
導入することを検討してほしい。
これも後で若干大臣から答えてもらいますが、相続税が今度の税制改革の中に全然入っていませんでした。だけれども、例えば東京都のお父さんの土地をそのまま引き継いでいる人が、今日の段階に来て二千万円の限度額では、税金が重くて、とてもじゃないが東京の地価においてこれを保持していくことは困難でありますね。結果的には、それを売って遠くへ立ち退いていかなければ税金は納められない。全国の地価の格差、倍率からいったらえらい格差があると思うのです。一律二千万円の限度額が果たして整合性があると言えるかというと、私は整合性がないと思う。やはり評価額に応じた倍率で考えていかないと、何もそこに住みたくて住んだわけじゃない、先祖が住んでいるからそこに住んでいるということであって、そのことが不幸の原因になって、家を畳んで出ていかなければならぬという税法は余りにも残酷だと私は思う。ですから、納めないのではなくて、公平であるべきである、これもそれにつながってくる問題として私は主張しているわけであります。
首都圏において家を親がつくって、そしてそれを継いだ者が、今度は相続税になったら、それを畳んで、売って、別なところに移転しなければ相続税が納められない、こういう状況はたくさん出ております。ですから、例えば評価額の五倍なら五倍、十倍なら十倍、どっちでも構いませんが、固定資産評価額を評価
委員が決めているわけですから、そういう評価額に応じてそれの十倍を限度額にするというぐらいな物の考え方というものは
導入すべきではないか。これはこの議論と別なんですが、それと関連しますのであえて申し上げるわけです。ところが、この相続税問題は、今度の税制調査会でも議論になったような、ならなかったような……。
こんなことを言っては地方に悪いですが、地方に行けば山の二つぐらい持っても、あるいは田んぼの一町、畑の一町を持っても、もちろん自宅を持っても、大体評価額で二千万にいかないで、子供の数に四百万と勘定すると大体それにおさまるという率の方が高い。町の中は別ですよ。仙台にしても何にしても町の中は別ですが、近郊に行けばそういう形である。そうなると、余りにもこれは不公平というものが存在する。それが今度の、今申し上げている登録税についても、要すればそこの評価額の五十、五%を今度は暫定的に幾らか変えるにしても、やはり問題は残るという意味でシビルミニマムを
導入するという制度を、二千万円に匹敵するものかもわかりませんが、
導入する必要性があるのではないのかというのが提案の一つ。
それからついでに、相続税の問題もそういうことの存在は大臣が認識しておられるかどうか、きょうの段階ではその程度でいいと思うのですが、そういう矛盾――矛盾と感じているかどうかということも、ひとつ主税
局長を含めてこの点はお答えをいただきたいと思います。
-
○水野政府
委員 登録免許税につきましてのシビルミニマムにつきましては、必要に応じまして、場合によっては税率ゼロといった特例
措置を講じたこともございますけれども、現在の住宅問題につきましては、それ相当の
措置を講じさせていただいていると言えるのではないかと思うわけでございます。
ただいま御指摘のような思想といたしましては、まさに
昭和五十八年度の税制改正におきまして、相続税法の特例といたしまして、お一人二百平米につきましては評価の特例を講ずるということを御提案申し上げ、制度化させていただいているわけでございます。御指摘のように、都会と地方におきましては非常に評価額が違う、それに応じました相続税の課税最低限といったものを定めることはなかなか技術的に難しい面もございますし、また、理論的にもいろいろ問題はあろうかと思います。そういった点からいたしまして、二百平米までの部分につきましては、とにかくシビルミニマムと申しますか、最小限度住宅地といたしまして二百平米のものでございましたらば、七割の評価でもって課税させていただくというふうな制度を設けさせていただきましたわけでございますが、これが御指摘のようなシビルミニマムというものにあるいは通ずるものではないかと思うわけでございます。
今回の改正におきましては、相続税につきましては御提案は申し上げてないわけでございますが、根底におきましてはそういった御指摘のような発想も置きまして、今後検討はされるものと考えておるわけでございます。
-
○宮澤国務大臣 現在の制度におきましても、ある程度
沢田委員の言われますような考え方でその問題に対処しようとしておるわけでございますけれども、現状はいかにもそれを上回って、先ほど御指摘になったような問題があることを認めるかというお尋ねでございましたが、そういう問題があると思います。したがいまして、これはやはり将来に向かって検討しなければならないのではないかと思っております。
-
○
沢田委員 続いてもう一つ住宅の問題ですが、この法案の中では四十五年という耐用年数を標準にして一つ考えておられるようであります。これも大臣の御認識で恐縮でありますが、大体、このごろできるプレハブ式の住宅で四十五年の耐用年数を持つ住宅が存在すると思われますか。その御認識をひとつお聞かせいただきたいのです。
-
○水野政府
委員 建物の耐用年数といたしましては、一番長いものが六十五年、いろいろございますが、恐らく四十五年と申しますのは、いろいろ抜きましたあとのものでその他のものという一般的なことを御指摘ではないかと思います。しかし、御指摘のグループは鉄骨・鉄筋コンクリート、鉄筋コンクリート、こういった種類の建物でございまして、木造のものあるいは合成樹脂造のもの、そういったものにつきましてはさらに低い年数が定められているところでございます。
-
○
沢田委員 定められていることはわかる。今現実、この定めた年数をそれぞれが、これは一つの例として四十五年を出したのですが、それぞれが今の建築方法それから建築資材の強度あるいは地盤、そういうものからいって確保できると言い切れるのかどうかという点をお伺いをしているわけであります。今日の建物というのは、その意味に為いては極めて、素材が悪いのか何が悪いのかわかりませんが、恐らくこの年数をもたせるということは困難な状況にありますね。大体またその世代の間に、もう一回建てかえなければならないという状況も生まれていることも事実であります。こういう住宅の耐用年数と強度というものの関連は建築基準法の問題になりますが、建築基準法の方できちんとその強度は保存できる――昔、明治の初期なりにつくられた家は二百年くらいもっているのが常識ですよ、徳川時代なんかにつくられた家というのは。それが、そのぐらいもつのが常識なものが、二十年ぐらいで全部建てかえなければならないという状況に現在はなっておる。そういう状況の中での租特というもののあり方は、果たしてどうあるべきかということが問題だと私は思うのですね。
だから、こういうことで何かまけてやっているんだからおまえらありがたく思えと言ってみても、さっき言ったようにそうは簡単にはいきませんよ。またその同じ世代の間に建てかえたら元も子もなくしてしまう、こういうことになって、ローンが終わったら今度は退職金で建て直す、こういう形が現状としてはあらわれていると思うので、あえてこの点は、これは建設を含めてお答えをいただきたい。
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○水野政府
委員 先ほども申し上げましたが、木造のものにつきましては現在、住宅でございますと二十四年ということでございまして、現時点におきましては、現在の一般的な耐用年数はますます適正なものではないかと考えておるわけでございます。
-
○今泉説明員 ただいまの御指摘の点でございますが、住宅の物理的な耐用年数とそれから機能的な耐用年数があろうかと思います。そういった観点で、耐用年数につきましては関係省庁と引き続き検討、勉強させていただきたいと存じます。
-
○
沢田委員 勉強させてもらうというのじゃちょっと。これは前はずっと百五十万戸続いてきましたが、ここのところ、五十五、六年からは百二十万、百十万戸くらいにずっと落ちてきているのですね。これは私のあれでも、それだけ金がかかってきているということだと思うのですが、住宅金融公庫、五十九年は六十三万件の貸し付けなんですよ。六十年度は四十三万戸の貸し付けなんです。貸付金額は三兆二千三百九億。二十万件も減ってきて金額は大体とんとんです。ということは、それだけ割高になっておるという傾向が一つ。
それから、現実的に現在の状況では、二十年ほど過ぎると家がひびが入ったり地盤が悪くなったり、あるいは大体中古住宅の一番お粗末なものになってしまう。まず、大蔵省で管理している大蔵省の宿舎だけで見てみなさいよ。大蔵省の宿舎に住んでおられる人もいるのでしょうけれども、あと公務員住宅もありますが、もう二階の音はドンドン聞こえるし、隣はガタガタ聞こえるし、どうしようもないでしょう。皆さんからアンケートを全部とってみてくださいよ。とてもじゃないが住める状況にはないと答えてくるのが、恐らく七割以上そうなっているだろうと思いますね。それは私は自信を持って言える。だから、そういう状況であるものを、あなたの言っているように二十四年ももつなんという発想がそもそもおかしいのではないのかということを申し上げたいのです。研究したいというのじゃなくて、それは技術屋なんだからもう少ししっかりした答えをしてほしい。
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○今泉説明員 同じお答えをすることになるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、物理的にもつという時間、長い期間と、それから、例えば設備等でいわば陳腐化するという部分もございますし、一部の材が使用に耐えなくなるということもございます。そういった面で、私どももかねてから耐用年数の短縮については関係省庁にその要望をしてきたところでございますが、今回の改正ではその芽を見なかったわけでございます。
そういった意味合いで、引き続き検討、勉強させていただきたいというふうに申し上げたわけでございます。
-
○
沢田委員 二十四年は相当無理があるということを言いたいのだ。やはりぎりぎりだ、大体こういうことと解釈していいですか。例えば積水でもいいし、KHホームでも何でもいいですが、ああいうものでも二十四年ということになりますか。念のためですが、お伺いしておきます。
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○今泉説明員 大変申しわけないわけでございますが、私、技術でございませんので、ここで明快に何年ということをお答えすることが非常に難しいわけでございますので、御了解いただきたいと思います。
-
-
○今泉説明員 それから、公営住宅の問題がございました。
確かに先生御指摘のとおり、公営住宅につきましては非常にその老朽化等がございまして、建設省といたしましても公営住宅の建てかえという点を推奨してございます。それは、耐用年数的に使用に耐えない部分があるという背景があることは、先生御指摘のとおりだと考えております。
-
○
沢田委員 もう一つ、KHホームとか積水とか、そういうのがありますね。この答えは大蔵省かな。そういうものは二十四年でいくのですか、どうなのですか。
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○水野政府
委員 耐用年数の定め方といたしましては、鉄骨、鉄筋コンクリートづくりのもの、れんがづくりのもの、金属づくりのもの、金属づくりの中でも骨格材の太さによっていろいろ差を設けてございます。木造は先ほど申し上げたとおり、そのほかモルタルづくりのものと、いろいろ区分されてございますが、御指摘のものでございますと、もし金属づくりのものになるといたしますと、通常の骨格材の太さでございますと三十年とか、こういったものもございますが、御指摘の例が具体的に正確にどれに該当するのかちょっとわかりませんので、一般的にお答えをさせていただきました。
-
○
沢田委員 ハウス55にしても、これは公的に売り出されて、見本も出ているのだから。それは何年ですか。あれは非常に簡易の鉄骨、板と板の間に鉄骨をはさんでつくってあるものなんですから、そういうものから見れば、KHホームにしても積水にしても55にしても、ではそれは何年なのです、そう答えてもらわなかったら、我々は判断の材料にできないじゃないですか。
-
○今泉説明員 今御指摘の御質問でございますが、私、ちょっと資料を持ってきておりませんので、後ほどお答えさせていただきたいと思います。
-
○
沢田委員 それじゃ幾ら特別
措置を決めたって、どれが適用されるかわからないということになるのです。
続いて公害の問題で、一応百分の二十二にしてありますが、今の公害状況をどういう認識で――これ、呼んでいないですよ。厚生省、来ていないと思うのですが、公害の状況をどういうふうな状況と判断して、こういう規定をそのまま継続していっているのか。いわゆる特定設備等の特別償却を何とはなしに続けてきているという印象しか、私は残っていないのです。念のため、ちょっとお答えください。
-
○水野政府
委員 公害の問題につきましては、
昭和四十年代にこの問題が強く取り上げられ、指摘されてきたところでございまして、その時点におきましては、税制といたしましても、公害防止用施設でございますとかそういった関連のものにつきましては、相当高い特別償却率等々で対処させていただいてまいったところでございます。しかしながら、そうした過渡期におきましてそうした制度としては御提案を申し上げ、実施してまいりましたが、本来でございますれば、公害防止施設等々につきましては設置者、事業者のいわば当然の責務でございますので、こうした制度につきまして、長い期間これをそのまま継続していくことは問題があることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、その償却率につきましては逐次引き下げてまいりますとかの改正を御提案し、御承認をいただいてきたところでございますが、ことしの改正におきましても、無公害化生産設備の部分につきましてはこれを廃止させていただきますとか、あるいは設置されるものにつきましては、それを今回の改正におきましては、既存の償却資産にかえて設置するものとして政令で定めるものを除くというふうにいたしまして、少しずつ縮減合理化をさせていただいてきているところでございまして、その考え方は御指摘のとおりでございます。
-
○
沢田委員 その把握は、中身を変えていく必要性があるのじゃないかと私は言いたいわけです。現在、これは前年度の白書の中から出てくるものは水質が四百九十四件、一番多いのは産業廃棄物で六千二百六十一件、あと騒音が八、悪臭が二十五、統計上はこういったような数字で出ています。ですから、視点を変えていかなければならぬ時期に来ているということを申し上げたい。だから、もしこの制度を残すという形でいくと仮定すれば、産業廃棄物、今各地で大変問題を起こしておりますから、これは法規制の問題とあわせて対応する
措置を講じていかなくてはならぬだろうし、しかもそれに税金をまけてやるというのも国民感情としては若干問題があるというふうにも――だからといって、産業廃棄物がゼロになるわけじゃないのだから何かしなければならぬことも事実だが、法体系が不備である、こういうような問題が存在しておると思います。ですから、公害の特別
措置を講ずるとするならば現状に合わせた対応が必要になってきているのではないか。これは若干、従来の慣行を踏襲しているというだけの形になってきている嫌いがあると思いますので、その点の是正方を御考慮いただきたい。我々はこれでいいとは思いませんけれども、もしこれを残すとすれば、そういう内容の変更ということが求められているのではないですかというのが私の問いです。お答えください。
-
○水野政府
委員 御指摘の点はまことにごもっともでございまして、そのときそのときの事情等を背景にいたしまして、どちらかと申しますと公害防止施設につきましては、かなりな程度で縮減あるいは合理化させてきていただいているということはただいま申し述べたとおりでございまして、ことしは公害防止用設備につきましては、物自体といたしましてはそのまま延長させていただいておりますが、ただいま申し上げましたように更新投資、ただ置きかえ投資のものにつきましては、外させていただくということで見直しをさせていただいておるということでございます。それから、無公害化生産設備につきましては廃止させていただくということで、必要に応じ適宜見直しをさせていただいているということでございます。
-
○
沢田委員 これは租特の各項目もありますが、ほかの点もありますので、時間的にそちらに譲らせていただきます。
その次に、おととい、さきおとといあたりの交通状況というものは、首都高速など、どうにもならない状況であったと先ほど述べました。そこで、今の通勤距離圏を百キロ内に置いてみたらどうか。首都圏構想というものもありますが、百キロ圏内に置いたら新幹線で来ると大体一時間以内の通勤時間である。これは大臣も一提言としてぜひお聞き及びいただきたいのですが、片方は熱海、片方は水戸ぐらいになるでしょう。高崎、宇都宮、あるいは甲府まではちょっと行きかねると思いますが、その手前ぐらいになって、片方は熱海になる。こういう圏内に新幹線の通勤距離圏を設定し、同時に首都高速の延長あるいは地下鉄の
導入によって首都の集中性を、いわゆる一時間の通勤距離圏ということで考えていく。
今、時間がありませんから大ざっぱに申し上げますが、そういう構想に立てば土地の高騰を相当抑制する効果も出てくる、こういう意味も含めまして、今の縦型だけの交通網でなくて、またそれをつなげていく、成田と水戸、宇都宮、高崎をつなげるというようなものも当然必要になってくる、要するに外々環状線になると思いますが、そういう面を含めて、あるいは茨城から町中、東京都を通らなくても水戸から東名に入れるとか、あるいは宇都宮から東名に入れるというような方法を講じて、都市集中型を幾らかでも緩和していく。こういうことは大阪でも同じだと思いますが、東京に例をとれば、そういう方向で内需の拡大あるいは社会資本の充実ということが当面必要になってくるのではないか。
なお、念のためですが、空港から首都へ入る道路で一番悪いのは日本だろうと思うのです。これは、いかに成田が政治的に失敗したかということだと思うのでありますが、どこの国へ行っても、首都へ入ってくるのにこれだけ時間がかかる道路はほかにない。インドぐらいが幾らか長いなという感じを持ちましたが、ほかにはほとんどないと思います。こういう状況では、高度成長とかなんとか、日本は一等国だとは言えないだろうと思いますので、今言ったようなことも構想の中へ入れて今後取り組んでいったらどうかということを提言して、お答えをいただきたいと思います。
-
○藤井説明員 お答えいたします。
今、先生御指摘のとおりでございまして、首都圏の都市機能の向上を図るための基盤整備として幹線道路網、非常に重要な問題でございます。現在のところ、今まで放射方向の道路整備、これがどちらかというと重視されてまいりまして、その間私ども、環状方向の機能についても一生懸命勉強はしてきておりますけれども、整備の点ではやはりおくれております。
そこで、今後は、この放射方向の道路についても問題がございますので、これについてはこれで対処してまいりますけれども、地域の特性を踏まえながら環状方向の道路、例えば東京の既成市街地でございますと、環状八号線という都道がございます。もう一つ外側には、十二ないし十五キロ圏に外郭環状道路というネットワークがございます。さらに五十キロ圏には、首都圏中央連絡道路というネットワークを持っておりまして、これも一部は事業化しております。
先生御指摘のいわゆる百キロ圏、ここは首都圏の大きな意味での外縁でございますが、これにつきまして、例えば水戸、宇都宮、前橋、高崎という点を結びます幹線道路といたしまして、延長約百五十キロの北関東横断道路構想を私どもは育ててまいりました。四十六年からやっておりますけれども、群馬県、栃木県、茨城県において、それぞれその一部ではございますけれども、今都市計画決定のための準備をいたしておりまして、一部ルートの発表もいたしております。
さらに、先生おっしゃいました高崎以南の甲府、山梨県あるいは神奈川県等々の問題でございますが、急峻な山岳地帯がありますので、地域を選ぶのはなかなか難しゅうございますけれども、甲府市と熊谷市を結ぶ国道百四十号があるのですけれども、これが現在不能でございます。車が一台も通れません。そこで、雁坂峠というところを直轄事業、建設大臣の直轄の権限代行事業といたしまして、六十年度から事業着手をさせていただきました。こういうことで山梨県と埼玉県の環状機能を強めよう。さらに、山梨県から神奈川県に至る区間の百キロ圏にいたしますと、ちょうど富士吉田から小田原、甲府の間でございまして、国道百三十七号、百三十八号というのがございます。このうち百三十七号については、御坂トンネルを中心に、どちらかというと有料道路ではございますが整備を進めてきておりますし、百三十八号は、富士五湖道路ということで五十六年から事業着手して、昨今、六十一年には
山中湖と富士吉田のIC間は供用しております。
先生御指摘のとおりに、この百キロ圏というのは私ども非常に重要視しておりますので、今後とも関係県と十分相談しながらこの整備を図ってまいりたい、そういうことで、環状機能と放射機能をうまく組み合わせた形でこの首都圏の道路側における役割を果たしてまいりたい、このように考えております。
-
○奥西説明員 お答えいたします。
首都圏の鉄道網につきましては、御承知のとおり、一昨年運輸政策審議会から、二〇〇〇年を目指します首都圏の鉄道網の整備計画という答申を受けております。我々といたしましては、これに沿いまして、着実に、計画的に鉄道部門の整備が図られるよう努力したいと考えております。
また、さらに、先生御指摘の水戸あるいは高崎等相当の遠距離につきましては、国鉄の方で通勤列車等で適切に対応していくこととしておりまして、現に昨年の十一月のダイヤ改正ではそういう方向で政策が講じられたわけでございますが、今後とも新しい旅客会社におきまして地域密着型の輸送ということで、引き続きそのような施策を推進してまいる所存でございます。
以上でございます。
-
○
沢田委員 大臣、きょうの段階ではあとは詰めていきませんが、それぞれ今日的な問題として、都市集中から外郭百キロ圏内構想というようなものに向けて、今、狭い、遠い、高い、こういう住宅事情もさることながら、やはり百キロ圏内における住宅事情というものを考えることによってそういう緩和を図っていく。二DK方式から四LDK方式ぐらいに切りかえていくという方向が、やはり住宅資本の充実のために必要なものだと思いますので、その点はぜひ御考慮いただきたい、こう思います。
なお、念のためですが、これからは二DKというのは、とてもじゃないがどうにもならぬですね。お孫さんのことを考えればわかると思いますが、中学生になったならば大臣よりも恐らく十五センチぐらい背も高いだろう、それから足の方も二十七なんという数字になってきているでしょうし、女の子でも同じような寸法になっていますね。ですから、寸法がそういうふうになってくると、いや応なしに布団だって足が出ちまう、こういうことにもなるわけで、二DKでは夫婦の寝る場所はもうなくなっちまう、こういうことでありますから、今後住宅問題としてはそれ相当の場所が必要になってくるという認識をきょうはひとつ入れて、今後の対応にかかっていただきたい。わかっていただいたかどうかだけ、頭を盛んに振っているけれども、一言御返事いただきたい、こう思います。
-
○宮澤国務大臣 大変よくわかりましたし、実は私もかねて全く同じような考え方をいたしておりますので、共感を覚えております。
-
○
沢田委員 続いて生命保険の関係と住宅金融公庫でありますが、先ほど住宅金融公庫の貸し付けなどについては、件数その他触れました。実は住宅金融公庫の団体生命保険の契約、この中で自殺をした場合なんですが、ただし、その者が、その加入の日から起算をして一年を超えて継続して被保険者であった場合には、死亡保険金は支払います、こういう言い方であります。それで、これは住宅金融公庫が団体保険として、被保険者はその借りた人、受取人は住宅金融公庫なんであります。本人ではないのです。そういう形で契約をするわけでありますから、簡単に申し上げると、国民の税金を住宅金融公庫は使って、それを国民に貸し付けをしているわけであるから、例えば、どういう事情であるか知らないが、全額借りることは恐らくないのでありますが、私のこの場合の例でいくと七百万ぐらいから五百万ぐらいでしたが、そのくらいでも二千五百万以上の建物をつくり、土地を買って、その残りの五百万ぐらいの間に、これは職場の関係で自殺されたらしいのでありますが、そういうようなことで今度は母子家庭になってしまうということになるともう支払いができない。そうなると、その土地を売らなければ支払いができなくなってしまう、こういう状況もある。
これはそのことを聞いているんじゃない。住宅金融公庫は、国民の利益を守るために必要な条件として特約条項のこれは、住宅金融公庫の場合は適用しない。例えばそれが翌日であっても、あるいはこれは四日足りなかったという例でありましたが、大体これは標準だと思うんですよね。一年ぐらいな程度生存していれば、一年で一時間足りなかったからどうだという問題ではなくて、そういう程度の問題だろうと思うのです。ですから私は、この項目は必要ないんじゃないかというふうに思っておるわけです。団体保険というのは全体の借りた、ここで言えば、六十年度で言えば四十三万戸の人が大体現在の保険者になっているわけですから、それの比率から見ればそういうものはほとんど危険率はゼロに近い、〇・〇〇〇〇〇幾らだろうと思うのですね、一年以内に自殺をするなんという場合は。ですからそういう場合でも、住宅金融公庫の損害は補てんをされるという項目にしていく努力が必要なのではないかというのが一つなんです。
それからもう一つは、この保険を支払わない場合で一般の約款を適用するのは、住宅金融公庫貸し付けに対しての場合は適当だとは思われないということ、その場合は別な項目であってしかるべきではないかというのが第二点なんであります。そういう例に遭遇いたしまして、改めて住宅金融公庫のいわゆる団体生命保険のあり方というものが見直されましたので、あえて今後も起こり得ること、余り期待いたしませんが、起こった場合にそれぞれ住民も泣き、あるいはこの住宅金融公庫も泣くというような形にならぬように、紛争を最小限度に食いとめる、こういうことの意味で、掛金にどう影響を与えるか、危険率が若干高くなりはしますけれども、その比率は影響ない程度ではないかというふうに思いますので考慮してほしい。この場合をどうこうということよりも、全体的なレベルアップが必要なのではないかということを提言する次第であります。
-
○猪瀬説明員 団体信用制度についてのお尋ねでございますが、これは実は先生にお言葉を返すようでまことに恐縮でございますが、公庫が直接やっているわけではございません。財団法人の公庫の保証協会というものが別途ございまして、これが公庫から融資を受けました債務者を被保険といたしまして、保険会社と直接契約を結んでおるわけでございます。それで、もし債務者に万一のことが起こった場合には保証協会が直接保険金を受け取りまして、これを公庫の債務の弁済に充てるという仕組みになっておるわけでございます。これは公庫の債権保全という目的のためではございませんで、むしろ債務者に万一のことがありました場合に、遺族の方々が生活上困るということを避けようという趣旨からつくられた制度と聞いております。
そこで、一年未満の自殺の扱いでございますが、これは私ども単に公庫団信の問題だとは思われないわけでございまして、広く生命保険全般に共通の問題でございます。したがいまして、私どもといたしましては、しかるべき保険行政上の取り扱いというものが決着いたしませんと、私どもだけが、公庫団信だけが自殺につきまして別の扱いをするということはなかなか困難ではなかろうかと思っております。
-
○
沢田委員 いや、私は、住宅金融公庫という公的機関の、いわゆる税金の一部を、まあ財投資金でありますけれども、それを使っていくという立場から見れば、やはり公共の福祉、国民の安寧といいますか、そういうものの安定を考えるという立場から見れば、そのことが必要な要件だという立場で主張をしているわけであります。それは、おれは知らないよという立場ではないはずだと思うのです。それが例えば生活保護世帯になったと仮定しましても、債務の履行はされますから、結果的には家を取られ、土地を取られて出なければならないという事態を最終的には迎えるわけであります、金利はどんどん積み重なっていくわけでありますから。そういう状態を予測し得るのに、私の方は関知しませんよという意味のものではないだろう。一般の不動産屋ではないでしょう。やはり公的の資金を貸した者は、国に対しても損害を最小限度に、また国民に対しても損害は最小限度に食いとめられるように手だてを講ずるのが政治だ、私はそう思うから、ほかの住宅の条件やほかの場合とは――しかも金額も皆、いわゆる残った残金の分ぐらいにしかならないのですね。
大体、厚生年金資金の貸し付けをやったり、その他の足らず前を、三百万なり五百万なりというものをこの保険でやる。そのために死ぬ人は恐らくあり得ない。ですから、その点の担保はやはり図っていくのが仕事じゃないか。私はあえて言えば、そういう任務を持っておる、それは私の方は知りませんよという言い方ではこれは済まされる問題ではない。それは、一般の不動産屋だったらそれでいいかもしれぬけれども、そうでないという立場から私は申し上げているわけでありまして、その点はそういう配慮をした上で何ができるか、どういう分野で努力できるか、そういうことを考えるべきではないのか、こういうふうに思いますので、この点は知りませんよといういいかげんな言葉ではちょっと納得できませんので、その点お答えいただきたい。
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○猪瀬説明員 私ども公庫といたしましては、先生御指摘のように財投から借り入れて、これを原資として融資しておるわけでございます。したがいまして、国民大衆の郵便貯金あるいは年金の積立金、これがもともと原資でございますから、私どもといたしましては、およそ回収につきましては最善の努力を払わなければいけないというふうには思っておるわけでございます。したがいまして、融資をするに当たりましては抵当権を設定をいたしております。これは第一順位でございますが、そのほかに保証人あるいは保証機関による保証というものを求めておりまして、物的担保、人的担保を融資機関として債権保全のために徴求をいたしておるところでございます。もし万一自殺された方の場合には、この担保まで消えてしまうということになりますと私ども大変困るわけでございますが、自殺して保険が出ないということと担保が残るということは、これは別でございますので、私どもといたしましては、団体信用保険を強制的に加入させて、債務者にさらに負担をかけてまで私どもの債権保全を図らなければならないという状況ではございません。十分に保全をいたしておるつもりでございます。
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○関説明員 ただいま猪瀬
理事から御答弁がありましたけれども、問題は、そういった団体信用保険について、いわゆる自殺免責を置いておくということが保険制度上どういう意味を持つかということになるのだろうと思います。
沢田委員も御承知のとおり、生命保険は同じ程度のリスクにさらされている人々が集まって、偶然事故が発生した場合にお互いに助け合おうじゃないか、こういう思想でできているわけでございます。自殺というようなことになりますと、これは自分の意思で保険事故を発生させて保険金を取得できる、こういうことになるわけでございまして、これは保険制度の、基本的にやはりそこのところは何らかの手当てをしておかなければならない制度だというふうに考えております。
現に商法の六百八十条という条文がございますが、これは自殺の場合は保険金を支払わなくていいということを商法で認めておりまして、商法におきましては、実は期限を置いておりません。非常に十年とか二十年たって自殺をした場合も保険金を支払わなくてもいい、こういうことになっておるわけでございますが、保険にお入りになりまして相当時間がたって自殺になったという場合には、その商法を根拠にとるということは適当でないだろうということでございまして、生命保険、これは問題にされております団体信用保険だけではございません、生命保険全体でございますが、すべて一年以内の自殺につきましては保険金を支払わないということを明記をして、生命保険というものを契約をいただいておるというのが現状でございます。
今まで御説明しましたように、この点は生命保険の基本に触れるわけでございまして、今、猪瀬
理事の御説明もございましたけれども、やはり公庫ということだけでそれを曲げるのはなかなか難しいのじゃないか、こういうふうに考えております。
-
○
沢田委員 一般的にはそのとおりで、ある程度やむを得ないだろうというふうに思う。ただ、もう一つ、これは大臣にも考えてもらわなければならぬことですが、三億だとか五億だとか、自分の所得には全然かけ離れたものが掛けられて、嘱託殺人であるとかそういうことが行われている例も、これは少なくありません。そういう無制限な掛金の一般的な例をまず物差しにすべきではないというのが、私の一つの理由なんです。
住宅金融公庫の場合は、要するに借金をした部分に対して、住宅金融公庫がその保険者を保険として、受取人は住宅金融公庫が受け取るという仕組みですから、これは本人は負債がなくなるというだけの分なんです、その部分の金額について。ですから、住宅金融公庫の金は、言うならば国民の血税なり預金なりが対象とされているものですから、保全義務がある。保全義務があるとすれば、それはその部分について、不足している部分をやはり掛金を納めてもらって、どんな場合であっても、翌日であっても、国民に被害を与えない、損失、損害を起こさないような仕組みにこの場合はしておく必要があるのではないか。これは、生命保険として全部当たり前だという論理は一般論の場合、掛金に限度がないような場合であります。しかも、受取人は住宅金融公庫なんでありまして、本人が受け取るわけではないのであります。ですから、そういうことを考えたときには、本人の利益をもって、あるいは利益を目的として死亡するということはあり得ないのでありますから、やはりこの場合は特約事項というものを交渉するという余地はあってしかるべきではないか。
私は、それがやはり国民の生活を守るということ、それから金融公庫が正常な運営をしていく一つの任務だ、そのために危険率がどれだけ上がるかということはまだ私も研究しておりませんが、そんなに上がるものではないと思いますから、全体の人たちの掛金はほぼ同額で間に合うのではないかというふうに考えますので、その点は今の一通りの問題の扱いではなくて、特別扱いがされてしかるべきだ。
私は、もう一歩進んで言えば、所得の十倍ぐらいを限度にして勧誘させなさいという主張を持っておるのです。例えば五百万円の人は五千万を限度だ。それが、二百四十万ぐらいの収入しかない人が三億だ四億だと掛けるから、奥さんも殺したくなっちゃったり、あるいはだんなさんを殺したくなったりするので、ギャンブル性を持っちゃう。だから極めてその点は、私は今の保険の勧誘のべらぼうな勧誘の仕方というものについては、少し人命をギャンブル性に扱い過ぎるというぐらいに思っておる一人であります。だから、所得の十倍ぐらいで抑えておけばそういう危険はないのでありますが、それが三億だ四億だというと、金がなくなっちゃった、どうしよう、じゃ殺しちゃったら金が入るかな、こういうようなことを奨励しておるような今の保険行政であるような危険もなくはない。こういうことを考えましたときに、今言ったような提案とこっちの提案、それぞれ主体は別でありますけれども、そういうことを考えながらいわゆる整合性を持ってもらいたい、最終的には国民の正常な生活を維持していける、こういう条件づくりであるというふうに御理解をいただきたいと思いますから、それに基づいて答弁をしてください。
-
○関説明員
沢田委員の御指摘の点は二つあるようでございますが、まず、所得等に比較して非常に過大な保険の勧誘をしておるのではないか、またそれがいわゆる保険金殺人とかそういう好ましくない社会的現象を生んでおるのではないか、こういう御指摘が一つあったように思います。この点につきましては、そういった問題意識は私どもも持っておりまして、制度的にも生命保険の限度額は一応三億円を上限としております。それからまた、実際に保険契約に入る場合に、保険金殺人とかそういった問題が起きないように本人の状況、特に高額な保険の申し込みがあった場合については、十分チェックをした上で契約を締結するようにということは、反復業界を指導いたしておるところでございます。
それから二番目の御指摘の団体信用保険、これは先生の御指摘のように融資額がだんだん返済によって減少してまいりますと、それに伴って保険金額も低下をしてくる、保険料もそういう前提で計算されている保険でございます。ただこれは、保険につきましては先ほど私申し上げましたように、当該自殺をされた人と公庫という関係だけではないわけでございまして、自殺をしないでその団体信用保険に入っている人々が全部いるわけでございます。そういう人々が、つまり自殺という本人の意思によって左右されるような制度になるということになりますと、これは保険そのものがそもそも成り立たないのじゃないか、こういう問題が起きるわけでございまして、公庫という公的機関の融資にかかわる問題でございますが、保険制度をそういったものに利用していくという場合においてはほかの保険と事情は変わらないのじゃないか、こういうことを申し上げておるわけでございます。何分御理解をいただきたいと思います。
-
○
沢田委員 今回の
租税特別措置法は、今指摘をいたしましたように従来の継承、こういう形が主体に置かれておりまして、新たな立場からの検討が若干不十分な点がなしとしませんが、これは時間的な制約もあり、国民に幾らかでも利益を与えるものでありますから、運用に当たっては万全を期してもらいたいということが一つ。
それから、関税はG7あるいはG5等の約束事でありますが、要するに国内の保護主義よりもやはり雨風に耐えて鍛えていく産業育成という方に重点を置いて、余り保護的な対策よりもやはり開放的に闘って勝てるそういう産業に対応していけるように、関税に当たっては産業政策を同時に採用していただくことを要望して、質問を終わりたいと思います。
以上です。
-
-
○
早川委員 租税特別措置法と関税の改正法案につきまして質問させていただきます。時間が余り私には与えられておりませんので、簡潔に質問いたしたいと思います。
最初に、先ほど
沢田委員が質疑されましたけれども、今回のこの
租税特別措置法の改正案を審議するに当たって、法案そのものと、普通ですとそれに盛られている内容がすべてこの法案に盛り込まれていいのではないか、こう考えるわけですが、実は、まだ審議に入りませんけれども、
所得税法等の一部を改正する
法律案に、やはり
租税特別措置法の一部を改正という文が入っているわけです。先ほど大蔵大臣の答弁の中で、今回の法案審議は一体として行いたいんだ、そういうことで
所得税法等の中にかなりの関連法案の改正案と事項が含まれている、こういう答弁でしたが、実質的には租税特別
措置に規定されている内容が、二つに分かれて審議するような形になるというのがどうも望ましくないなということがまず第一点です。
第二点は、じゃ、
所得税法のところに含まれている租税特別
措置の中身は何かといいますと、利子所得の分離課税だとかいろいろございますけれども、土地税制も実はその中に入っているわけです。土地税制の長短区分の十年を五年にするという内容も入っている。そうすると、どうもそれは必ずしも一体として審議したいということと何かそぐわないのではないかな、逆に
租税特別措置法それ自体として含めた方がいいのではないかという感じがします。といいますのは、この租特の方の改正案の中に住宅取得促進税制も含まれているというふうに考えますと、必ずしも日切れ事項だけじゃなくて、新規の政策的なものも入っている。端的な例は、産業構造調整のための、いわゆる円滑化のための特別償却というものも新規に入るわけですね。そうしますと、法制局の方で十分審議された結果こういう扱いがされたとは思うのですけれども、どうもいま一つすっきりしないという感じを持ちますので、その点のお考えをちょっと聞かせていただきたいと思います。
-
○水野政府
委員 今回、御提案をいたしております税制改革につきましての法案の形式につきましては、ただいままで大臣から申し述べておるところでございまして、一体のものとして御提案をいたしておるわけでございます。今回の抜本的な見直しの中におきましては、社会経済情勢の変化に即応しまして、所得、消費、資産の間で均衡がとれた税体系の構築を図るというのが今回の税制改革の趣旨でございまして、そうした趣旨のもとに一体としてお願いをいたしておるわけでございます。そうした基本的な考え方に関連いたします事項につきましては、
租税特別措置法におきまして規定をさせていただいている事項につきましても、一括した税制改革法の中に入れさせていただいているわけでございます。
他面、租税特別
措置と申しますのは、そのときそのときの各種の政策税制を公示させていただいているものでございまして、今回におきましても、そうした従来からの政策税制につきましての期限の延長、縮減の合理化といった点は、
租税特別措置法として抜本的な見直しとは別のものとして御提案させていただいているわけでございまして、ただいま御指摘のございました産業構造転換の円滑化のための税制あるいは住宅取得促進税制につきましては、やはりそのときその時点での各種の政策税制につきましての見直しであり、改廃であるということから、今回の
租税特別措置法固有の改正法として御提案を申し上げておるわけでございまして、そうした基本的な考え方に基づきまして整理をさせていただきまして、このような法形式をとらせていただいているわけでございます。
-
○
早川委員 法案をとにかくすっきりした形で審議するのが望ましいというのは、今問題になっている、政府が考えておられる税制改正全般についてもそうだと思うのです。そういう意味で、余り好ましいことではないのではないかなということを指摘しておきたいと思います。
そこで、
たばこの問題についてお伺いいたします。
最初に、専売公社から
たばこ会社に移行したときに、
昭和五十九年七月十三日にこの
委員会において附帯決議が付されております。かなりの事項が付されたわけですけれども、その第八項におきましてはこのようにつけられております。「政府は、国内産葉
たばこの実情等にかんがみ、製造
たばこの現行関税率水準を将来とも維持するよう努めること。」それから第十項におきましては、「
たばこ消費税の税率については、現行の納付金率の水準に配意し、国・地方の安定的な財政収入の確保という観点のほか、今後における
たばこ消費の動向等にも即して適正な水準を維持するよう努めること。」それから、昨年一本一円ということで臨時の増税が行われたわけですが、そのときに、昨年の三月二十五日に附帯決議が付されております。そこの一項に、「現行の製造
たばこの関税率水準及び
たばこ事業法の製造の規定については、これを維持するよう努めること。」
今読み上げましたことを民営移行した後で考えてみますと、昨年は一本一円の増税が行われた、それから今回はこの関税率二〇%無税化するというふうに、いわゆる附帯決議、国会決議に照らしてみますとどうもそれに反するようなことが行われている。附帯決議といいますと、私が理解するには、この法案が成立して政府が執行するに当たって、十分附帯決議の趣旨を尊重して、少なくともこれに違背するような方法はとらないのだ、必ずしも附帯決議を十分に実現できないという場合が起こり得ても、それに反するようなことは少なくともしてはいけないのじゃないかな、そういう性格を持っているというふうに私は理解するのですが、昨年そして今回の関税率の問題に関しまして、大蔵大臣はどのような所感を持たれていますか、お伺いしたいと思います。
-
○
大橋政府
委員 日米
たばこ協議につきましては、一昨年の九月に米国が、我が国の
たばこ市場に不公正があるということで通商法三〇一条を発動いたしましたことを契機として、昨年三月以降両国間で行われてきたわけでございます。
政府といたしましては、我が国の
たばこ市場に不公正があるとは考えておりません。また、現行の製造
たばこの関税率の水準及び
たばこ事業法の製造に関する規定については、これを維持するよう努めるという国会の附帯決議もいただいておりますので、その趣旨を踏まえ、累次の協議に当たったところでございます。
しかしながら、米国側は、大幅な対日貿易不均衡が生じていること、我が国市場に占める外国
たばこのシェアが、
たばこの輸入自由化、これは六十年の四月でございますが、自由化後も依然として二%台にとどまっていたこと等を背景といたしまして、一層の市場アクセス改善のため、関税率の無税化と製造独占の廃止のいずれかを実施するよう強く要請してきたわけでございます。
このような状態のもとで、政府といたしましては保護貿易主義の台頭を防圧し、自由貿易体制の維持強化を図るという大局的見地に立ちつつ、我が国
たばこ産業の現状も踏まえまして、葉
たばこ耕作農家を含む我が国
たばこ産業を支えております製造独占につきましてはこれを維持することといたし、関税率を無税とすること等により昨年十月に決着を図ったものでございます。
関税率を無税といたしますと、輸入
たばこの価格競争力の強化を通じまして我が国
たばこ産業に影響を及ぼすことは否定できません。今後の推移を注意深く見守り、仮に将来輸入が著しく増加する等によりまして我が国
たばこ産業に深刻な影響が生ずるような場合には、情勢に応じ適切に対処してまいりたいと考えておりますので、どうかよろしく御了承のほどをお願いいたしたいと思います。
-
○宮澤国務大臣 ただいま関税
局長が申し上げましたような経緯でございますが、この日米交渉の最後の部分は、私も就任後でございますので関係をいたしております。
結局、御決議の趣旨はよく私ども存じておったわけでございますが、このような御決議が終局的に目的としておられる、ねらっておられるところは、やはり葉
たばこの生産者を保護しなければならない、こういうことが御関心の中心であろうというふうに私ども考えました。したがいまして、先ほど
局長が申し上げましたように、この関税をゼロにするか、あるいは製造独占をやめるかというような選択になりますと、製造独占をやめることの方がはるかに葉
たばこ生産者にとっては大きな利害関係を持ちますので、選択を迫られまして、どちらがより、いわば弊害が少ないか、どちらも御決議の趣旨に沿わないことはわかっておりましたが、どちらがより葉
たばこ生産者のためになるかということを考えましてこのような選択をいたしました次第は、どうぞ御了承をお願いいたしたいと考えております。
-
○
早川委員 まあ、関税率、今回の無税化によってこれからの事態がどういうことが招来するかということで、適切に対処していきたいという御答弁でしたので、その場合に関税の復元規定のようなところまで考えておいていただければなということは、これは要望として申し上げさせていただきます。
それから次に税金の問題なんですけれども、昨年、一本一円の値上げをしたわけですけれども、これは一年間の臨時
措置だということです。そのときに、私の記憶が間違っていなければ、いわゆる予算編成されていって二千四百億円ばかり税収が見通しが立たないので、急遽、たしかこれは出てきたという経緯があったと思います。そうしますと、この一年間の臨時
措置ということなわけですから、やはり今回はこれはやめるのが一年前の約束じゃないかと思うのですけれども、この点についてはいかがですか。
-
○水野政府
委員 昨年、一本一円につきまして御提案を申し上げた経緯は、ただいま
委員御指摘のとおりでございますが、補助金等の整理合理化
措置に関連しましてとらせていただいておるわけでございます。そのときの補助金等の整理合理化
措置につきましては、三年間という暫定
措置として御説明を申し上げておったわけでございますが、一方税制につきましては、ちょうど去年の現時点におきましては、税制の抜本的見直しという作業が行われておったところでございまして、そうした抜本的見直しにつきましての支障が生ずることのないように、この特例
措置につきましては一年という期限をとらしていただいたわけでございまして、一年後におきましては税制調査会の審議の結論を待って対処すべきものであろうというような御答弁を申し上げておったところでございまして、その後、昨年の秋におきまして、税制調査会の抜本見直しの答申が取りまとめられたところでございますので、それを受けまして
たばこにつきましても処理をさせていただき、今回、抜本見直しの方で御提案を申し上げているところでございます。
-
○
早川委員 政府の税制調査会の答申を読みましてもなかなか巧妙に書かれてまして、税負担水準を維持しつつということは、この一年間の一本一円の、今の税率にしますと、本来ですと五六・七%が五九・七%に上がっている、この五九・七%を維持するというふうにも、大蔵省の方はそのように考えて理解されるのでしょうが、文章自体を見ますと、必ずしもそうも読めないなという感じもいたします。そうすると、五六・七%に戻す、一本一円はやめる、その水準で考えるというふうに理解するのが妥当じゃないかというふうに考えます。
それともう一つ、十二月三十一日まで延長するということですね。十二月三十一日ということは、来年の一月一日以降は
売上税を
導入して、それとの調整でということになるわけですけれども、それを逆に考えますと、
たばこに関連しては
売上税を今現在、四月一日から入れてしまっているのかな、その率の問題で考えますとそういうふうに理解できるわけですね。そうしますと、まず約束をたがえたという面と、どうも先取りしているんじゃないか、
売上税、そのように考えざるを得ないのですけれども、その理解は間違っているでしょうか、ちょっと伺っておきたいと思います。
-
○水野政府
委員 税制の抜本的な見直してございますので、
たばこにつきましての税負担水準といったものがいかにあるべきかという観点から、いろいろ検討が行われたところでございまして、例えば現在の
たばこ消費税の負担水準が、国税収入や国民所得、民間最終消費支出、こういったものに対しましてどういった水準となっておりますかどうか、また小売定価に占める
たばこ消費税の負担割合、先ほど御指摘のございました五六・七、五九・七、いろいろございますけれども、そうした現在の水準、それは過去に比べてどんなような経緯をたどってきておるか、あるいは
たばこの消費の動向はどうか、こうした点をもろもろ勘案し、また国の財政事情等をも考慮して、最終的に適正な負担水準というものが検討をされたところでございます。
そうした検討を受けまして、現行御負担をお願いいたしております水準は維持しつつ、ただ、その中での従価税、従量税といった割合につきましては、
たばこ消費税制度が発足いたしました当時の八対二、こうした水準と申しますか割合で維持することが適当であるといった点、それからまた、
たばこにつきましても
売上税をお願いするのが適当ではないかといった点、こうした点が結論として出されたところでございまして、それを受けまして抜本見直しの中で、
たばこ消費税の水準につきまして御提案をさせていただいているところでございますが、ただいま申し上げました
売上税をも
たばこにつきましてお願いをするといった点から、
売上税につきましては六十三年一月一日からの施行をお願いいたしておるところでございますので、それまでの間におきましては現在の特例
措置を継続させていただく、またその背景といたしましては、先ほど申し上げました補助金等の整理合理化
措置とも関連し、それが先ほど申し上げましたような三年間の
措置として講じられているところでございますので、こうした点を総合的に勘案いたしましてことしの四月から十二月三十一日まで延長を御提案し、御審議をお願いいたしておるところでございます。
-
○
早川委員 最後に、具体的には二点入りますけれどもお伺いして、終わらせていただきます。
一つは、
たばこというのは貿易摩擦問題、円高問題、非常に象徴的に、具体的にあらわれた問題だと思います。関税率が無税化されて、そして円高が、例えば民営移管したときには円レートが二百五十一円ぐらいだった、今は百五十円、関税率は当時二〇%で今度は無税化される。つまり、円高はするし関税はゼロになっていく、そういうふうに考えますと、今現在輸入品のシェアが三・七%、全体の数量は三千億本ぐらいでふえないわけですから、輸入品のシェアが高まればそれだけ国内の会社にとっても、そして葉
たばこ耕作者にとっても大変だというように考えます。そういうことで、葉
たばこ耕作者に対するいわゆる農政負担分、今回五億円の補助金が政府、大蔵省から出されますけれども、これもふやしていく必要があるのではないかというのが一点。
それから二番目は、こういう厳しい情勢になりますので、これから雇用問題が
たばこ産業労働者にも影響してくると思います。そういう点で、新規事業の開拓に当たって会社の方は積極的に取り組んでいると思いますので、そういうことが出てきましたら大蔵省としても前向きに対処していただく。この二点についての要望でございますけれども、最後に大臣の御見解を伺いたいと思います。
-
○宮澤国務大臣 確かに、いわゆる円高になりましたこと、それから関税がゼロになりましたこと等々で、我が国の
たばこ産業が競争的に非常に難しい立場に立っておりますことは御指摘のとおりでございます。同時にしかし、葉
たばこ生産者を守ってまいらなければならないという問題を持っておりまして、いろいろ苦労をしなければならないことはもう御指摘のとおりでございます。それからなお、その会社にいわゆる人員整理の問題があるということもさようでございますが、これはこれとして、そのような見地から円滑に進めなければならないところでございますが、私どもとしましてもそういう状況は十分に知りながら、できるだけ救援の手を差し伸べてまいりたいというふうに考えております。
-
-
○
池田委員長 午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。
午後一時十二分休憩
――――◇―――――
午後一時三十四分
開議
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-
-
-
○
日笠委員 法案審議の前に、一、二御所見をお伺いしたいことがございます。
まず、きょうの新聞報道によりますと、四月八日、アメリカでG5が開催される、こういうことでございます。ベーカー財務長官もドル相場の望ましい範囲についてはパリでは合意してない、こういうような報道も流れておるようでございますが、今回、四月八日にG5に行かれる大臣の基本的姿勢といいましょうか、こういうものについてまずお伺いしたいと思います。
-
○宮澤国務大臣 四月のその週にIMFの暫定
委員会がございますにつきまして、その多分前であろうかと思いますが、少数の先進国が集まって協議をしたいということが内々言われておりまして、これはG5というものがいろいろ微妙な性格を持っておりますものでそういうことになっておるわけで、御承知のとおりのことでございますが、そういうことが行われますと、先般パリで合意をいたしました各国の為替安定のための共同意思の合意、それからまた従来から問題になっております、いわゆるサーベイランスのやり方等々につきまして相談をすることになろうかと思います。
-
○
日笠委員 為替相場も安定しておったわけでございますが、ここに来まして百五十円そこそこということでございまして、このG5ではパリ合意をもう一度確認をする、こういう立場なんでしょうか、それとも新たにもう一度こういう為替相場についての見解をとってくるといいましょうか、どういうふうなお立場で行かれるのでしょうか。
-
○宮澤国務大臣 それは何も決めておりませんけれども、恐らく、二月二十二日でございますか、パリで合意いたしましたことのいわばレビューをする、その後どうなったかということについてみんなでレビューをする、そういうことになろうかと思います。
-
○
日笠委員 国民の大変関心の高い問題でございますから、日本経済を守る、国民生活を守る立場での御発言をひとつお願いをしておきたいと思います。
さて、
売上税の件でございますが、修正論議が大変かまびすしく云々をされておるわけでございますが、大蔵大臣の御見解としては、この
売上税という法案はもう一字一句たりとも絶対に修正はせずに通すんだ、こういう御決意なんでしょうか。
-
○宮澤国務大臣 午前中も申し上げておりましたとおり、このたびの税制改正の一環といたしまして、このような財政状況でございますために新税をお願いをしておるわけでございますが、政府といたしましては税制調査会、また私どもの党内でも党の税制調査会というものがございまして、十分に検討をいたした結果でございますので、これが最善のものとして御審議をお願いをいたしておるわけでございます。
-
○
日笠委員 日経連の方からも修正論が発言されておるようでございますし、最善最高の法案である、一字一句たりとも修正をする気はないということであれば、総理もよくおっしゃっておるように世論に耳を傾ける、こういうことと相反するのではないか。いわゆる世間の言うことは聞きおき候で、聞くだけは聞くんだ、こういうふうにもとれかねないわけですが、もう一度、この
売上税法案については最善最高の法案であり精査したものである、絶対に修正というものはないんだ、やはりこういう御見解ですか。
-
○宮澤国務大臣 政府としては最善と信じて御提案を申し上げております。その立場に変わりはございません。
ただ、国会、国権の最高機関におかれましてどのような運営をされ、どのような御意見を持たれるかということについて、これは政府が云々することは僭越のそしりを免れませんので、それにつきましては何も申し上げません。
-
○
日笠委員 一昨日、二十二日の朝九時からNHKテレビで、「徹底インタビュー・税制改革」という番組がございました。三時間近い長番組でございましたけれども、宮澤大蔵大臣もこれに出席され、いろいろと御発言されております。その中で、私、ビデオを再生して書いたもので正確だと思いますので、ちょっと読み上げてみますと、こういうふうに物価への影響ということについて大臣発言されております。「物価には影響はあるが、せいぜい平年度ベースで一・六%そこらで、物価は上がらないのでは。消費者物価で一万点とっているわけですが、そのうち三五ぐらいが課税、六五は非課税分で、消費者物価の影響は小さいし一度だけだ」これはビデオを再生して書いたものですから間違いございません。一万点というのはどういう意味なんですか。
-
○宮澤国務大臣 一万点と申しますのは、消費者物価を構成いたします物並びにサービスを、あれはたしか五年でございましたか三年でございましたか一度、マーケットバスケット方式に従って中身を改定いたしますけれども、その全部の品物、サービスを加重平均をいたしまして全体を一万点というふうにいたしまして、そのうち米なら米が何点あるいは履物が何点というふうに、加重平均で分けております。その総体が一万点でございまして、その加重平均の中で、したがいまして三千五百点分が課税であって六千五百点分が非課税である、こういう意味でございます。
-
○
日笠委員 これは私もある方から電話をいただいたのですけれども、一万点というのは、消費者物価指数をとるのに対象品目一万点ぐらいとっておるのだ、それをそれぐらい精査してやっておるのだというふうにとっている視聴者の方もいるようなんですね。これは一万点とは言いませんね、これは一方ですね。どうなんですか。
-
○宮澤国務大臣 これは経済企画庁で長くやっておる慣用語でございまして、その品物の数、サービスの数を言ったのではございませんで、全部を集めましてそれを加重平均して――なるほど、一万と言うべきですか、その一万のうち六千五百とか三千五百とか。それではそういう意味でございまして、なるほど、その品物の数というふうに誤解を受けましたら、それは私の申しようが不用意でございました。ありがとうございました。そういう意味でございます。
-
○
日笠委員 経企庁がこの
売上税の非課税対象品目のウエートですね、先ほど言いました一万のウエート、これが平年度で六割強だ、こういう資料、参議院の方へ
提出しておりますが、これは間違いございませんか。
-
○三田説明員 今、先生御質問のことにお答えいたしますが、平年度ベースでございますと、六十四年一月以降ということで考えておりますが、先ほどの一万分の六千二百二十でございます。六十三年一月時点でございますと、これにNTTといいますか通話料が入りますので、六千四百七でございます。
-
○
日笠委員 そうすると、NTTのいわゆる通信通話料の課税が平年度ベースで入ってこなければいかぬわけですね。そうすると詳しく言うと、大臣がおっしゃったように六五、六千五百ウエートですね、これは六十三年末まではいわゆる通信料、電話代の
売上税が入る、こういうことで先取りをしているわけですね。今現在でいくと、一年間猶予があるわけですから六割なんですね。ですからそういう言い方をされますと、結局非課税部分は平年度ベースで六割、こう言うのが正確な言い方でしょう。
-
○三田説明員 六割強ということになろうかと思います。
-
○
日笠委員 そうすると、六五%というのは、これはまだ何とか言いようがあるのじゃないでしょうか。
-
○宮澤国務大臣 六二ですね、六千二百幾つですね。そうでございます。失礼しました。
-
○
日笠委員 きょうは、
売上税の問題ではございませんのでこの辺にしておきますけれども、法案の審議を進めていきたいと思います。
関税率の一部改正の審議の方に入っていきたいと思いますが、まず、アルコール飲料十八品目について課税率を原則三〇%引き下げる、こういうことでございますが、これを三〇%原則引き下げますと年間大体どれぐらいのいわゆる税額の減になるのか。お酒の税金を従量税にするという想定のもとでございます。為替相場もあるでしょうけれども、今回アルコール飲料十八品目について関税率を原則三〇%引き下げた場合、どれくらいの減収になるのか、積算根拠を含めてお願いしたいと思います。
-
○
大橋政府
委員 六十二年度の輸入量の想定を一定の前提のもとにいたしまして、六十億円の減収になるというふうに見込んでおります。
-
○
日笠委員 六十億円でございますが、この六十億円ぐらいの減収で、EC、アメリカがアルコール問題を一つのテストケース、象徴としてとらえておるわけですが、ガットのパネル協議も今進んでおるようでございますし、そういう非難に対して耐え得るかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
-
○
大橋政府
委員 御承知のとおり、ECのガットに対する提訴につきましては、関税率の問題ばかりでなくて、ほかにもいろいろな問題があって提訴しているわけでございます。関税率につきましては、今回の原則三〇%の引き下げは、EC、あるいは米国も別途要望しておりましたけれども、こういう強い要望を踏まえて行うものでございますが、この
措置につきましては、先方も相当の評価をしているというふうに私どもは理解しております。
-
○
日笠委員 私、ヨーロッパの酒類製造業協会へこの一月出かけていきまして、向こうの当事者の方々からいろいろお聞きをして帰ったところでございます。そうこうしているうちに去る三月二日、社団法人経済団体連合会、いわゆる経団連から「洋酒の輸入円滑化に関する見解」と称するものが出ておるわけでございます。これによりましても、今回、原則三〇%引き下げは評価する、しかし、引き続いてこの関税についてはできるだけ早い機会に欧米の水準まで引き下げるべきである、こういうふうな見解が出ておりますが、これについてどういう御見解をお持ちでしょうか。
-
○
大橋政府
委員 今回の
措置は、アルコール飲料関税につきましてはここ数年、累次にわたる一方的な引き下げを行ってきております。また、円高の進行によりまして輸入品の競争力が高まっているということから見まして、現時点でとり得るぎりぎりの
措置であるというふうに考えているわけでございます。先生おっしゃいますように、関税率の引き下げというものについては程度の問題でございまして、先方の当初の要求のとおりになっていないわけでございますから、要求があることは事実でございますけれども、私どもといたしましては、現時点でとり得るぎりぎりの
措置として理解を得ていきたい、こう思っておるわけでございます。
-
○
日笠委員 私もヨーロッパの酒類製造業協会の幹部の方とお話ししまして、やはりお酒に関しては二つ、大きな意見の相違があったようでございます。一つは、今回下げたとしてもまだ相当関税は高い。試算によりますとまだ数倍ぐらいのものがあるわけですね。それともう一つはレッテル表示の問題。この二つが、どうも向こうの方々が日本に対してアルコールを一つの象徴問題としてとらえておる大きな点だと思うのです。国内の洋酒産業も守っていかなければいけません。それかといって関税を一方的に下げるというのも、これは日本のお酒に関する文化の一つの特徴もあるわけであります。しかしながら、公平公正に見て確かに関税の負担率は世界でも最も低い日本でありますけれども、このアルコール問題は、EC、アメリカから相当大きな声で非難されておる象徴的な問題である。そういう意味では、今回は原則的に一律三〇%引き下げる、これは向こうも評価しております。しかし、いつの時点かで、また国際情勢、日本の貿易摩擦の状況を見ながら関税も引き下げるということについては、長期的な目で見れば当然検討に値する、このようにお考えになりませんか。
-
○
大橋政府
委員 私は、現時点でぎりぎりということを申し上げたわけでございますけれども、将来の問題といたしましては、ウルグアイ・ラウンドのような関税の一括引き下げ交渉という場もにらみまして、国内産業の事情も考慮しながら考えていくべき問題である、こういうふうに考えております。
-
○
日笠委員 それから、
たばこの方の問題でございますが、昨年三月二十五日に衆議院大蔵
委員会で附帯決議がついておるわけでございます。まず、この附帯決議をどのように見ておられるのか、これは大臣の方にお伺いしたいのです。
-
○宮澤国務大臣 これは午前中にも申し上げたことでございますけれども、
委員会におかれて、これからの我が国の
たばこ生産並びに原料葉の生産につきまして、我が国として健全な
たばこ産業と
たばこの葉の生産を維持していくために、政府として考えるべき
措置について御決議があったものというふうに承知いたしております。
-
○
日笠委員 去年ですよね。ちょっと読んでみましょうか。「現行の製造
たばこの関税率水準及び
たばこ事業法の製造の規定については、これを維持するよう努めること。」つまり、関税率の水準についてはこれ以上引き下げない、これは附帯決議にあるわけです。今回は
たばこの関税については無税にする、こういうことで、去年の決議がもう、俗に言う舌の根も乾かぬうちに関税率を下げてゼロにする。こういう意味において、この附帯決議をどのようにとらえ、どのように善処していこうという姿勢があるのか、こういうことなのですが、もう一度。
-
○宮澤国務大臣 この御決議は、まさに昨年三月の御決議でございまして、先般の日米交渉は、最後の部分は私の就任後でございましたので存じておりますし、責任もございます。
結局、交渉の最後の段階は、我が国の製造独占というものを我々が守り得るか、あるいは関税率をゼロにするかという選択を迫られるようなことになりまして、そういうふうにしたのは悪いことではないかとおっしゃいますれば一言もございませんが、日米間のいろいろな貿易摩擦の関連、貿易収支の実情等、アメリカ議会における動きあれこれから、私どもとしては、その選択をせざるを得ない状況になったと判断いたしまして、いずれが葉
たばこ生産者のために害が少ないか、二つの害のうち、より少ないものを選ばざるを得ないという判断をいたしたわけでございます。
したがいまして、これは、私どもは行政における判断をしてアメリカとそのようなお約束を結んだわけでございますが、この点におきましてこの御決議の文言に反しておることは、まことに押しわけないことと存じます。が、私どもがいたしました決断の理由は、どれが葉
たばこ生産者のためにより不利でないかということを考えつつ、決断いたしたということでございます。
-
○
日笠委員 やはりこの
委員会での附帯決議は重要視していただく方向でないと、何のためにここで審議し、附帯決議をつけておるのか、こういうことにも相なるかと思います。
それに関連しまして、
たばこの民営化ということか言われて久しいわけでございますが、本当に民営化になっているのか、形だけではないかという声もよく聞くわけでございます。例えば、
たばこの小売をしたいという方になかなか免許がおりない。仕方がないので、免許を持っておる方から
たばこを分けてもらって、例えば食堂とかでお売りをする。もちろん、その利益の中から何%かのマージンをいただく、こういうことでございます。ところが、
たばこ小売の免許を持っておられる方の売り上げよりは、出張販売というのでしょうか、そういうふうに分けていただいて低マージンで売っている方がたくさん売っているというところもあるわけなんです。そういうところがぜひひとつ免許をと言っても、これはなかなか免許がお方ない。いわゆるひさしを借りて母屋をとるじゃありませんが、ひさしの方が売り上げが多い、母屋の方が売り上げが少ないにもかかわらず免許がおりないというふうな方がたくさんいらっしゃるわけでございますが、こういうことをどのように説得されておられるか。
また、本当の意味での民営化ということであれば、免許を持っている人の売り上げより、そこからいわゆる出張販売で借りて売っている方のがはるかに売り上げが多いという場合もあるわけなんですが、その辺の調整ですね。民営化ということであればこの辺は当然考えていかなければならないことだと思うのですが、きょうは
たばこ塩専業審議官も来られておりますので、ぜひひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
-
○
頼松政府
委員 昭和六十年四月に御承知のように専売改革が行われたわけでございますけれども、その際に、先生おっしゃいました小売制度をどういうふうにするかということが議論になったわけでございます。長年、約八十年にわたって専売制をとっておりまして、そのもとで小売人指定制がございまして、それを一挙に自由にするということは流通秩序に少なからぬ影響を与える、そういうことでございまして、実質、従来の小売人の指定制を維持するような形で現在小売の許可制をとらしていただいておるわけでございます。こういうことで、先生がおっしゃるような問題点も十分我々承知いたしておるわけでございますけれども、これは専売改革に伴います経過的
措置ということで御了解いただきまして、
法律にも小売の認可制は当分の間ということが書いてございますので、どうかその辺の御事情を御理解願いたいと思います。
-
○
日笠委員 当分の間と言ったって、一年も当分ですし、十年も当分です。私が今言っているのは、むやみやたらと小売免許をおろすのではなくて、小売屋さんから預かった形で出張販売している、不特定多数ではなくて、例えば食堂の中とか店の中でしか買えないところがありますでしょう、そういうところに自動販売機を置いたりして出張販売を認めているわけですね。そこの売り上げの方が多いわけですよ。それでも免許がおりないということですね。それはやはり形骸化しているのではないか。経済的な効率から考えても、本家本元より出張販売の方が売り上げが多くなれば、どちらを本社にしたらいいか、一般の経済的な概念から見たってそうなっていくわけなんです。
大臣、どうなんですか。例えばそういう出張販売で借りてきて売っている、そちらの方が売り上げが多くて、本家本元の、免許を持っている方の売り上げが少ない、それでもなかなか免許がおりない。わずかなマージンの中から少しだけいただいておるわけですね、その出張販売の方は。大臣の御見解を承りたいと思います。
-
○宮澤国務大臣 具体的なことを存じませんので何とも申し上げられませんけれども、時々そういう困ったことがございますので、なるべく直していかなければならぬと思います。
-
○
日笠委員 それで、こういう関税率を無税にいたしますと、国内の葉
たばこ生産に携わっている方々にいろいろな影響が出てくるわけですが、その対応策は当然考えておられると思いますが、具体的にお答えいただければと思います。
-
○
頼松政府
委員 今回の関税の無税化
措置に伴いまして、
たばこ産業をめぐる環境が非常に厳しくなるということは否定できないわけでございますけれども、それに関連しまして、葉
たばこ生産の国際競争力強化のために、
昭和六十二年度予算で葉
たばこ生産近代化対策費補助金約五億円を計上することといたしております。それから、それに加えまして
日本たばこ産業会社におきましても、従来の生産対策事業に加えまして、葉
たばこ生産近代化財団に対しまして約百億円を出捐することによりまして財団を拡充いたしまして、葉
たばこの生産性向上のための事業を行うこととしております。
-
○
日笠委員 葉
たばこ生産近代化財団法人に五億円補助を出すということで、これは東西二カ所、常設の研修所、試験場をということらしいですが、具体的にもう立候補地、手を挙げておるところはあるのですか。
-
○
頼松政府
委員 これは
たばこ産業株式会社、それから実際に葉
たばこセンターを設置いたします葉
たばこ生産近代化財団、それから葉
たばこ耕作者の組合であります葉
たばこ耕作組合中央会、その三者でいろいろ相談いたしておるわけでございますけれども、現在のところ、多分東北地方に一カ所、それから九州地方に一カ所ということになろうかと思います。
-
○
日笠委員 では、
たばこ塩事業の方は終わりですので、御苦労さまでした。
続いて、税関の関係で何点かお伺いをしたいと思います。
いわゆる野生希少動植物保護ということでのワシントン条約の締結を、
昭和五十五年十一月に日本も六十番目の締結国として参加をしておるわけでございます。これも最近、御存じのようにいろいろな新聞等の報道で、日本が野生動植物の密輸大国である、このように
昭和五十九年十月のワシントン条約アジア・オセアニア地域セミナーで対日批判が決議をされまして、以来水際チェックということと国内法の整備ということで今日まで進めてこられたわけでございます。国内法の整備については、三月十三日に閣議了解をされまして法案が今度出るということで、これは環境
委員会の方の所轄になると思いますのでこれはさておきまして、水際チェックの方でございます。
水際チェックと国内法整備の二本立てで汚名返上、とういうことでございますが、水際チェック、これが大変厳しい。いわゆる専門性と複雑性と困難性を要求されるものであるということで、私も税関の方へ一度視察に行ったことがございますけれども、大変総量も多いし、また旅行者も五百万人からの人の旅具の通関行政サービス一つ見ても、大変わずかな時間でやらなければいけない、非常に厳しい面があるわけですね。ところが何か問題があると、税関チェックをかいくぐって不正輸入とか、また税関がそこまでチェックせずにしり抜けをしたとか、一番非難を浴びるのが税関の皆さんなんですね。そういうことで、水際のチェック体制を強化していかなくては、この条約の趣旨にももとるわけでございますし、また税関の皆さんそのものも非難を浴びるわけでございます。
そこで、この水際チェックについて何点かお伺いをしたいと思いますが、まず、いわゆる専門性を要求されるわけでございます。とにかくたくさんの動植物でございますから、一々それを見てこれがいわゆるワシントン条約の附属書Ⅰ、Ⅱ、Ⅲのどれに当たるかも識別をしなければいけない。そしてまた加工品になっていきますと、いよいよわからなくなってくる。ハンドバッグだとかベルトだとかそういうようなことでございますが、そういうデータブック、図鑑、まずこういうものが要るわけでございますが、その図鑑も通産省の方から二百五十冊ですか、今税関の方で預かっていろいろと研修をされておるということでございますが、今後のこの水際チェックの強化ということで、税関としてはどのような方向性でさらにこれを強化をして、ワシントン条約を遵守していくという立場でいかれようとしておるのか、具体的方向性についてお伺いしたいと思います。
-
○
大橋政府
委員 ワシントン条約につきましては、先生御指摘のように非常に専門的、技術的な側面を持っておるわけでございます。しかし、これは水際で防止するということが条約の遵守のために非常に必要であることは当然でございまして、税関としても重点を置いて努力をしているところでございます。
まず、その効果的な実施を確保するということのために、六十年四月からは規制対象貨物を輸入するという場合におきましては、輸出国の管理当局等が発給した輸出許可書等を必要とするということにいたしております。これに伴いまして税関におきましては、輸出許可書等の真偽の確認につきましてこれを的確に行うことに努めておりまして、また必要な場合には管理当局、これは通産省でございますが、問い合わせを行うということを行っております。
また、六十年五月一日からは、ワシントン条約対象貨物に係る輸入通関官署を限定することにいたしました。これは特に専門的なことを考慮いたしまして、従来すべての二百十九の官署で行っておりましたのを三十五の官署に限定いたしますとともに、この限定されました官署には専担者を配置しているわけでございます。
これらの
措置とあわせまして、税関におきましてはワシントン条約に係る輸入規制を的確に実施するために、関係職員へ識別図鑑等の配付あるいは職員研修の充実強化等の
措置を講じてきているところでございます。
申し上げましたとおり、一昨年以来、当局といたしましては、税関におきますワシントン条約対象貨物のチェック体制の充実強化に努めてきているところでございまして、その結果といたしまして輸入を差しとめました件数につきましては、五十七年から五十九年、この改正前でございますが、年平均百件から二百件程度でありましたものが、六十年には六百七十一件、六十一年には七百七十七件と大幅に増加しているわけでございます。
今後ともワシントン条約の重要性にかんがみまして、税関職員の研修の充実強化、関係職員への識別用スライド、図鑑等の配付を強化してまいりますとともに、関係当局との協力によります識別ネットワークの充実などによりまして、引き続きワシントン条約に関するチェック体制の強化に努めてまいりたいと存じております。
また同時に、最近いろいろな新聞報道によりまして、この条約の重要性が国民の間に認識されてくるということになりますと、私ども政府といたしましても、さらに周知徹底する努力を通じまして国民の理解を得て実効を上げてまいりたい、こう考えている次第でございます。
-
○
日笠委員 二つほど御提案を申し上げたいと思うのですが、一つはここに持ってきましたチラシ、これは通産省が出しております。海外旅行をされる方に、ワシントン条約を守るためにこういうことに注意してくださいというように出ておりますが、これは今年度、六十二年度五十万部だそうです。五百万人の方が海外旅行されている。一割ですね。もう少しこの辺を通産省の方にも呼びかけて、七省庁で連絡協議会をやっておるわけですから、もう少し多く刷って、飛行機会社にもいろいろと協力をお願いしているそうですが、ありとあらゆる手を使って、旅行する方にはせめて一部これが渡るくらい充実をしていくということが国内のPRにもなるわけです。これが一つ。
それからもう一つは、任意放棄されました動植物の加工品、いわゆる剥製であるとかハンドバッグとかも皮とか、こういうものが今東京税関の倉庫に千五百点ほど保管されていっぱいなんだそうですね。一部には傷みも出てきているものもある、こういうことでございます。これは御承知のとおり、没収した加工品は教育とか識別の目的で使うところに譲渡することができるというのが、いわゆる締約国の会議での決議でもあるわけでございます。千五百点が倉庫に眠っておるというのは大変にもったいないことでもございますし、一つは税関の職員の方々が現物が見れるようにオープンにするということ、それからロサンゼルス空港とかマイアミ空港、ハワイの空港においてはこういうものがショーケースに並べられまして、そして旅行者が、ああこういう現物はだめなんだなと、こういうただパンフレットでは文字ばかりでございますので、現物を出国する待合室のところに展示をしておる、こういうことも聞いておるわけでございます。没収品は通産省の管轄になるとかならないとかいろいろあるようでございますが、私がここで申し上げたいのは、早く所管の通産省と処分を決めて、それも教育、識別の目的で使えるようにすべきではなかろうか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
-
○
大橋政府
委員 二つ大変貴重な御提案をいただいたと思います。
一つはチラシの点でございます。これは通産省で五十万部つくっておるわけでございますが、実は税関も、「通関案内 海外旅行者の皆様へ」、これはお一人一部お配りしているわけでございまして、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、その中に「輸入が規制されている品物」というところに「絶滅のおそれのある野生動植物」についての注意喚起をしているわけでございます。五十万部という予算でありますものを五百万部つくるということは予算の問題としてはなかなか大変なんだろうと思いますが、配布の重点化等に気をつけていただくように通産省にもよく話をしてみたいと存じます。
それから、任意放棄されました物品につきましては、現在御指摘のように税関において保管してきたところでございますが、条約対象貨物の性格にかんがみまして税関で処分するには適さないものでございまして、だんだんたまってきているわけでございます。これらの派生物につきましては、通産省とも相談の上、原則として通産省に対して引き継ぐように検討しておるわけでございますけれども、その際、任意放棄物件の一部につきましては、職員の識別能力向上のための研修教材として活用する等、また税関の展示場に展示して条約のPRに努める等、積極的に使用できるようあわせて検討してまいりたいと思います。貴重な御示唆をいただいてありがたく存じております。
-
○
日笠委員 もう一点、実はきょう図鑑も持ってきておりますが、もう御存じなのでここにお持ちするほどでないと思います。いろいろ見ますと、白黒のところもありますし、カラーのところもありますし、それからアロワナという魚の場合は成魚、いわゆる大人になった魚の写真で、稚魚が輸入されるわけですね。そういう意味で、まだまだ図鑑、データブックも不備な点も間々あるように見受けられますので、この際、関係省庁とよく相談をされまして、いろいろデータベースを整備し、ニューメディアを駆使して何とか水際でチェックする機能を強化できないだろうか。いわゆる今はやりのニューメディアを利用してやっていく、こういう方向も考えていただければと思うのですが、いかがでしょうか。
-
○
大橋政府
委員 今後の水際での防止の強化につきましては、環境庁、通産省ともよく相談をいたしまして、またいろいろと力をかりまして一生懸命やってまいりたいと思います。
-
○
日笠委員 水際での強化チェックをされます税関職員の皆さんのことでございますが、つい先日も三月二十日にいわゆるにせブランド商品を水際でストップ、スポーツシューズ十万足送り返させたという。税関の皆さんもにせブランドという非常に識別の難しいものをいろいろと情報を集めてやっておられる、敬意を表するわけでございますが、そういう意味でいろいろ困難性、複雑性、専門性を要求される、こういうことでもございます。
それと同時に、毎回附帯決議で出ております「税関職員の特殊な職務を考慮して要員の確保等その処遇の改善に努めること。」こうあるわけでございます。特に要員確保、今回純増になったということでございますが、問題は処遇改善でございます。例えば船舶洋上勤務の方、パトロールする方、これは今、週四十八時間体制でございますが、やはり四十四時間体制にということでもう二十二年間も要望し続けてある、こういうことでございます。四週六休制度、先ほど
沢田先生のように二十日間くらい夏をとれ、そういう時代でございますし、四十八時間体制を四十四時間にする。当然これは海上保安庁であるとか気象庁の観測艇の問題、いろいろあると思いますけれども、この辺はどのように人事院等に要請をされておられるのか、また、その現状はどうなのか、今後の方向性はどうなのか、とりあえずこの点についてお伺いしたいと思います。
-
○
大橋政府
委員 ただいま税関職員の日ごろの努力についてお褒めの言葉をいただきまして、大変ありがたいと存じます。
二つ目の船舶職員の勤務時間の問題でございますが、これは一般の公務員に比べまして四時間多い勤務体制になっているわけでございます。私どもといたしましては、この勤務時間の短縮につきましては関係当局に非常に強く申し入れをし続けてきているところでございます。ただ、税関の船舶職員の数は全公務員の中ではそう多い方でもございません。他省庁とも関連いたしますので、今後とも関係当局への申し入れの努力は続けてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
-
○
日笠委員 それと同時に、安全対策でございます。社会悪物品と称する銃砲刀類からいわゆる麻薬に至るまでやられるわけでございますので、過去にもいろいろな事件、事故が起こってとうとい命をなくされておられる方々もいらっしゃるわけでございます。例えば船の下の方の倉庫におりていて酸欠で亡くなった方、また麻薬の取り締まりの関係でいつの間にか転落死をされておったとか、この前タイ航空の爆発事件もございますし、この安全対策、いかように考えて、いかように今後していこうとされておられるのか、この点もあわせてお願いします。
-
○
大橋政府
委員 職員に危険な職務に従事させている立場といたしまして安全管理ということは何よりも重要なことというふうに心がけております。ただいま御指摘の安全という点につきましては、取り締まり等の面におきます犯罪に対する安全の問題、さらに船舶等の検査におきましては酸素欠乏症にかかるというような健康面での安全の問題と二つあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、安全管理ということを職場の大きな柱といたしまして徹底しているわけでございます。例えば職員一人一人に安全手帳というものを交付いたしまして研修のたびにこれを強調しているという職員の心構えがまず第一でございます。犯罪等の危険に対する勤務につきましては、二人で勤務しているわけでございますが、連絡を欠かさないように常に心がけているところでもございますし、また酸素の欠乏というような場合に備えまして酸素欠乏、爆発ガス警報器を装備する等、機器の装備にも努めているところでございます。今後とも引き続いて努力を続けてまいりたいと存じておる次第でございます。
-
○
日笠委員 では、もう一法案の租特法の改正でございますが、もう時間もありませんので、二つほどお聞きして、続けて御答弁いただければ結構でございます。
一つは、
たばこ消費税の税率等の特例ということで、これがまた延長になるわけでございます。これは、附帯決議にも「
昭和六十二年度以降の
たばこ消費税のあり方については、
たばこの消費動向や今回の
措置が臨時異例のものであったこと等に配意しつつ、対応すること。」こういうふうになっておりますし、また竹下大蔵大臣の答弁もこういうふうな御答弁をされております。「まさに一年間の臨時、異例の
措置としてこれをとらしていただいて、将来の間接税の一つ、あるいは消費税の一つとしての
たばこ消費税の問題につきましては、恐らく今後、後半の段階におきまして税制調査会等で御議論をいただく問題でございますので、臨時、異例であることは間違いなく、臨時、異例の
措置でございます。」と何回も臨時異例、臨時異例、こうおっしゃっておるわけでございます。その臨時異例がまたまた突如として延長ということ、この点をどう見ておられるのか。いわゆる今までの大臣答弁、そして附帯決議と比較してどのように、見ておられるのか。
それから、同じく、障害者を雇用する場合の機機等の割り増し償却制度につきまして、割り増し率を工場用建物にあっては現行百分の二十三を百分の二十一、機械とか装置にあっては現行百分の十六を百分の十五に引き下げる、適用期間を二年延長ということでございますが、これによる増税の見込み類と、このことによっていわゆる障害者の雇用の抑制にはならないのか、労働省との協議等も踏まえて、その点二点続けて御答弁いただいて終わりたいと思います。
-
○水野政府
委員 昨年ここで御審議をいただきました、まさに一年限りの
措置ということでお願いをいたしたわけでございますが、この点は昨年時点での御審議の際にも申し述べましたように、地方財政の問題、補助金整理合理化等の
措置に関連いたしましてお願いをしたわけでございます。
その間の経緯につきましては、税制調査会の審議が終わってからお願いをしたという意味も含めて異例な
措置として大臣からも御説明を申し上げてきたところでございますが、補助金の
措置につきましては、三年間の期間を持っておりました。しかし、先ほど引用されました竹下大臣の御説明にもございましたように、昨年の今の時点では税制調査会といたしまして抜本的な見直しの作業をいたしておったわけでございまして、その後半の審議の過程におきましてはこの問題も当然取り上げられるということで御説明を申し上げていたわけでございまして、そうした抜本的な見直しの障害となることのないように一年限り、一年の臨時
措置としてお願いを申し上げたわけでございます。
その申し上げた趣旨等に基づきまして、昨年の夏から秋にかけまして
たばこ消費税の負担水準を中心に検討が行われたわけでございまして、その結論といたしましては、現在の負担水準としては現行の負担水準が適当ではないかということ、そしてそれにつきましては
売上税の課税もお願いをするのが適当ではないかといったこと、そういった点を結論といたしておるわけでございまして、こうしたものを踏まえまして現在抜本的見直しの一環として法案の改正を御提案申し上げておるわけでございます。
売上税の関係からいたしまして来年の一月一日からその施行が予定されておるところでございますので、その間におきましては現行の
措置を継続させていただく、それは一方におきましては先ほど申し上げました地方財政対策といたしましては三年間の期間があるわけでございますので、その点の配慮も含めましてこの四月から十二月まで延長をさせていただいているということで御理解を賜りたいわけでございます。
第二点目の障害者の点につきましては、これは
昭和五十一年度以来、租税特別
措置につきましてはその経済社会情勢の推移に応じまして適時見直しをさせていただいてきておるところでございまして、この障害者雇用に当たりましての割り増し償却につきましても同じでございまして、最初の発足当時からもろもろの経済情勢、社会情勢の変化も受け、しかし障害者雇用対策といった観点からの配慮も加えながらそのときそのときで見直しをさせてきていただいているわけでございまして、この点につきましては、全体としての租税特別
措置の見直しの中で、障害者雇用対策の重要性はよく認識するところでございますが、全体としての見直しの中で若干の今回改正をお願いいたしておるというところでございます。
ただ、今回の見直しの率はわずかと申しますかまさに若干の改正でございますので、これによりまして障害者雇用対策が後退するとか支障を生ずるとかそういったことは私どもないものと考えております。また、そうした程度のものでございますので、これによりますところの租税収入の変動額と申しますか増収額というものは極めて少ないものであるということでお答えを申し上げたいと思います。
-
○
日笠委員 いわゆる障害者への雇用抑制にならないような温かい御配慮をお願いして終わりたいと思います。ありがとうございました。
-
-
○
森田(景)
委員 最初に申し上げておきますが、まだ本
委員会には
売上税の法案もかかっておりません。それに対して
売上税に関するような答弁があった。これは私はまことに遺憾なことだと思います。私もこれから質疑をいたしますけれども、この
売上税に関するような答弁があるならば、その時点で審議を拒否することもあり得るかもしれませんから、当局はひとつ発言、答弁につきましては十分に御注意していただきたいと思うわけでございます。
最初に、私はこの
法律を執行する立場にある税関職員の確保と処遇の問題についてお尋ねをしたいと思っております。
税関は明治五年に発足したそうでございまして、非常に長い歴史を持っているわけでございます。日本経済の発展と国際的な社会経済関係の緊密化に伴う貿易量や出入国者数の増大、あるいは取引形態の複雑化、あるいは商品の高度技術化等による業務量の増加、さらには貿易摩擦問題なども加わる中で適正かつ迅速な業務運営と社会悪物品の水際での阻止という非常に困難な職務を担当しているのが税関職員である、このように私は理解しております。
日本では今全国を九つのブロックに分けまして七千七百六十三人の税務職員がこの税関の業務を担当しているわけでございます。こうした人員の配置で万全の体制がとられている、このようにお考えでございましょうか、まずお答えいただきたいと思います。
-
○
大橋政府
委員 税関の定員はただいま七千七百六十三人、御指摘のとおりでございます。
税関業務は、貿易の伸展、出入国旅客の増加に加えまして覚せい剤、銃砲等の社会悪物品の密輸取り締まりの強化等によりまして年々増大かつ複雑化してきていることは御指摘のとおりでございます。このような業務量に対処するために、厳しい定員事情の中ではありますが、従来より事務の重点化を図り、また機械化等による業務運営の効率化等による税関業務の適切な運営に努めてきておるところでございまして、万全かというお尋ねになりますと、この税関業務を万全にするということをどういうふうに考えるかということもあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、現在の環境の中ではこれで努力してやっていくに十分な定員を配置していただいている、こういうふうに思っているわけでございます。
-
○
森田(景)
委員 まあ万全とは言い切れないけれどもしっかり頑張る、それ以外にない、こういうことだと思います。
衆参両院の附帯決議にも「税関職員の特殊な職務を考慮して要員の確保等その処遇の改善に努めること。」こういう附帯決議があるわけでございます。大蔵省としては、この附帯決議に対しましてどのような対応をしてこられたでしょうか。
-
○
大橋政府
委員 ただいま御指摘の附帯決議は、私ども税関当局にとりましては非常に励ましのお言葉であるというふうに理解しております。
要員の確保につきましては、厳しい定員事情の中ではございますが、関係当局の理解を得べく毎年毎年努めてきているところでございます。そして今後とも最大限の努力を払ってまいりたい、こういうふうに考えております。
-
○
森田(景)
委員 行政改革の中心になっていらっしゃるところが総務庁だと私は理解しております。総務庁としては、定員削減、こういうことで大変努力していらっしゃるわけでございますが、例えば成田の国際空港、新
東京国際空港、これがこれから二期工事が始まるのかどうなるのか、とにかくいずれにしても二期工事を完成させなければならない。あるいは新大阪国際空港、これももう工事に着手している。あるいは羽田空港の沖合展開ということで二年後には滑走路が一本供用開始、こういうふうに聞いているわけでございます。そうなりますと税関がふえるわけでございますから、当然税関職員の増員も考えなければならない。こういう状況にあることは十分御承知と思いますけれども、国家公務員の定員削減という問題とどうしても必要な要員の確保、増員、こういうことについて総務庁としてはどういうふうに考えていらっしゃるのか。
-
○菊地説明員 お答えさせていただきます。
基本的に定員管理というのは御指摘のあったように厳しい状態に置かれております。かいつまんで申し上げれば、四十年代に総定員法というのができまして、国家公務員の数の上限が決められています。そのもとで累次の定員削減をやりました。これは、申し上げますと、公務員全体の中で、事務の合理化でありますとか機械化、あるいは仕事のやり方を改めるとか、そういうことによりまして合理化を図っていく、こういうことで計画削減をやってきております。片側、今税関職員の数の話でございましたが、こういう新規の需要あるいは業務の拡大に伴います要員需要、こういうものにつきましては、毎年度の予算編成の過程において個別各省と十分相談をいたしまして、真に必要なものにつきまして必要最小限度そこで増員を認める、こういう仕組みになってございます。
個別に今御指摘いただきましたこれからの新規の事業、こういうものはこれから出てくることが予想されております。ただし、それにつきましては個々個別に毎年度の査定の中で配慮していく、十分検討、吟味していく、こういう趣旨でございます。国会におきまして要員の確保等の附帯決議があることも十分承知しております。そういう観点も十分踏まえまして個別に相談をさせていただく、こういうことでございます。
-
○
森田(景)
委員 私も実は先日成田空港へ行ってまいりまして、税関職員の仕事の状況も拝見してまいりました。また、先ほどもお話がありましたように、けん銃であるとか麻薬であるとか、こういったものの密輸防止にも非常に御苦労していらっしゃいましたし、麻薬探知犬というのでしょうか、犬を使っての麻薬の探知も大変御苦労な状況でございます。そういう状況でございまして、先ほど答弁もありましたように、万全かといえばそうは言いかねるけれどもまあ万全の体制でありますという状況ですから、ひとつこれから、今すぐではないわけですけれども、そういうどうしても必要な要員は逐次出てくるわけでございますから、
内閣の閣議決定もあるわけでございますから、総務庁としても、あるいは宮澤大蔵大臣としても、そういう立場に立ちまして十分な配慮をしていただくようにお願いしたいと思います。
税関に関連しまして成田空港の問題をちょっとお話ししてみたいと思います。
成田空港も、
昭和五十三年でしたか開港いたしまして、年々利用状況が増加しております。乗降客もふえておりますし、貨物量も大変な状況でございます。きょうは新
東京国際空港公団の方から平井
理事もお見えでございますので、その辺の状況をひとつ御答弁願いたいと思います。
-
○
田口説明員 お答え申し上げます。
新
東京国際空港の全体的な姿につきましては、基本計画といたしまして約一千六十ヘクタール程度のところに三本の滑走路をつくるということが示されているわけでございますけれども、現在は、
昭和五十三年に約五百五十ヘクタール、四千メートルの滑走路を一本ということで供用いたしております。先生おっしゃいましたように、この間空港の運用の方は非常に順調に推移しておりまして、六十一年の航空機の発着回数は八万三千回、航空旅客数は一千百九十二万人というふうになっております。
今後とも増大する空港需要に対処するためには、我が国を代表する国際空港といたしまして、当初計画に従いまして現供用施設に加えて二千五百メートル及び三千二百メートルの二本の滑走路、それから第二旅客ターミナルビルを早急に完成させる必要がございます。幸い、地方公共団体の議会等からも空港の早期完成の促進方につきまして決議をいただいておりまして、地元の協力機運も盛り上がってきております。このために、残されました八戸の農家との話し合いを行いながら、既に取得しております公団の用地での建設工事を進めまして、昨年十一月の空港整備五カ年計画に関します閣議決定にもございますとおり、
昭和六十五年度までに空港の概成を図りたいというふうに考えてございます。
-
○
森田(景)
委員 昭和六十五年までに概成という、完成じゃなくて概成したいということでございますから、その方向でひとつ努力していただきたいと思います。成田国際空港の建設につきましては、過激派の襲撃で公団の幹部の家が焼かれたり、あるいは国会議員の家が焼かれたり、こういう事件も発生しておりますが、そういう状況にも十分対処しながら一日も早い完成を私は望むものでございます。といいますのは、先ほど申し上げましたように羽田の沖合展開、新大阪国際空港の完成、こういうことが先にどんどん進みますと、成田国際空港は貨物専用でいいではないか、こういうことになりかねないというふうに地元では大変な危惧を持っているわけでございますので、今御答弁いただきましたように六十五年概成ということでぜひひとつ完成に向けて努力をお願いしたい、このように思うわけでございます。
今お話がありましたように、第二期工事が完成しますと当然第二旅客ターミナルビルが建設されるわけでございますね。これはどういうふうになっておりますか。公団の方で。
-
○平井参考人 先生御指摘のとおりただいま第二のターミナルビルにつきまして計画を練っておるところでございまして、間もなくこれを設計に移し、実施に移したいというふうに考えております。
-
○
森田(景)
委員 これから設計に入るということでございますから、そうしますと、第二ターミナルビルが完成して供用開始になりますと当然ここにも税関が必要になるはずだと思うのです。この点はいかがでしょうか。
-
○
大橋政府
委員 旅客ターミナルができまして国際旅客が出入りするということになれば、当然税関が必要になるわけでございます。
-
○
森田(景)
委員 それで、実はまた税関が新しくできる。するとターミナルビルが第一と第二と離れて存在することになるわけですね。それで、将来のためにいろいろと、大蔵省ですか、税関の方方と公団の方と協議をしていただきたいなと思うことが幾つかあるわけです。
といいますのは、現在の第一ターミナルビルは、見た感じは非常にいいのです。乗降口といいますか、あそこは四階になっておりますが、入りますと柱がなくて広々としておりまして、大変感じはよろしいと思います。しかし、それはお客さん、旅客にとって感じがいいわけでございます。成田をそうしょっちゅうお使いになるという方はまずまずいらっしゃらないと思うのですね。日本人でも成田を全然使わないで一生終えられる方もかなり多いのではないかと思います。だから、旅客のためにもいい施設であってほしい。やはり外国からも来るわけですから。同時に、このターミナルビルで働いている人たち、これは毎日毎日の生活ですから、その毎日毎日の生活の利便性ということも考えなければいけないんじゃないだろうか、こう思うのです。
第一ターミナルビルは、非常に変則的な形で空港は開港しましたからああいう形になったか知りませんが、例えて申し上げますと、免税売店というのがあります。お酒とか
たばことか免税の品物、カメラとか時計とか売られておりますけれども、あそこへ荷物を運ぶ通路がないのですね。それでどうしているのですかと聞きましたら、何と飛行場の方からリフトで上げまして窓から運び込んでいるというのですね。こういう状況があるというのです。
それから、エレベーターも少ないのです。あそこのビルにはたくさんの売店もございます。働いている人も大勢いるわけですけれども、当然荷物の搬入もあります。このエレベーターが中央に二カ所、あるいは北と南ウィングに二基ずつ、こういうことで、人と荷物が一緒になって入っておりますから、御存じのとおり荷物を押し込んだら人が入れなくなる、こういう状況もあります。
それから、私は税関を訪ねていったのです。あの四階からおりたら税関がどこにあるのだか全然わかりません。どこにも表示がありません。税関の職員の方に聞きましたら、いや、この建物は国の方と民間と共有でそれぞれ分かれておりまして、民間の方に国の表示をすることは公団の方がオーケーしてくれないんだ、そういう話なんですね。本当かどうかきょうお尋ねするわけですけれども。だけれども、少なくともそこで働いている場所に案内表示板もない、これも随分おかしな話ではないだろうかな、こう思ったわけです。
それから、サテライトとかいうものがあります。今までは通過旅客が少なくて当初計画は余りなかったようですけれども、最近通過の旅客が多くなりまして、サテライトの上に待合室を増設したわけです。ところが、これがやはり階段で二階分ぐらいの階段になっているわけですね。あれだけの階段をつくるならエレベーターを、今一基あるのですけれども小さい、不便なものですから、二基か三基並べてつけるスペースがあると私は思いました。何か建築基準法上の問題があるんだそうですけれども、新しくおつくりになるのでしたらそういう問題も含めてよく検討していただいて、お客さんにも喜ばれる、働いている人たちにも喜ばれる、そういう施設をつくることが大事だと思うのです。最初の建物はいろいろ急いでつくったから不十分だったかもしれないけれども、それを参考にして、いいものは残し悪いものは排除する。それで第二ターミナルビルは、働いている人も旅客も非常にすばらしい建物だ、こうなるような方向でぜひ進めていただきたいな、このように私思っておるわけでございますが、平井
理事さん、いかがでございましょう。
-
○平井参考人 第二ターミナルの建設に当たりましては、やはり二十一世紀に向けましての日本の表玄関として十分な評価の得られるような立派なものにいたしたいというふうに考えております。現在の旅客ターミナルビルでございますが、確かに御指摘のようないろいろな問題点が出てまいっております。計画が非常に効果を発揮している面もございますけれども、やはり問題点、隆路といったものもいろいろと出てまいっております。私どもの九年間のこのビルの運営の経験から、こういう問題点を抽出いたしまして今後の計画に役立てていきたい、改善を図っていきたい、このように考えております。
その他にもいろいろ問題点もございますので、CIQ関係の機関とも長い時間をかけましていろいろ御相談を申し上げてまいっておりますし、また各種の調査、旅客の実態調査、動態の実態を調べる調査等をやっております。それからまたテナント関係、航空会社、こういった人たちからもアンケートによりましていろいろ御意見を伺っております。こういったもろもろの御意見を集約いたしまして第二ターミナルでは立派なターミナルを建設いたしたいと思っておりますので、よろしく御指導のほどをお願い申し上げます。
-
○
森田(景)
委員 大変前向きの姿勢の御答弁でございました。それでこそ公団の
理事だ、私もこのように思うわけでございます。
ただ、大蔵省の方も、公団の方から本省の方に連絡が来て、こういうことでよろしゅうございますか、こうなりますと、余り現場を知らない人は、結構でございます、こうなるんだと思うのです。ですから、現地で働いていらっしゃる職員の方々とひとつよくお話をしていただいて、こういう形が非常に望ましい、こういうことで御協議を進めていただくように、これは御要望申し上げておきたいと思うわけでございます。
続きまして、
たばこ関税の無税
措置と
たばこ消費税につきましてお尋ねしたいと思います。
今回の改正法案は、
たばこの関税を無税にしよう、こういうことでございますけれども、この関税が無税ということになりますと一番大きな影響を受けるのは
日本たばこ産業株式会社ではないか、このように思うわけでございます。昨年の大蔵
委員会の会議録を拝見しますと、かなりいろいろな議論がされておりましたようです。外国
たばこも当時ですらかなりの輸入があったようでございまして、そういうことでそれが無税ということになりますと一体
日本たばこ産業株式会社はどうなるんだろうか、こういう心配を率直にいたします。
それから、あわせまして、葉
たばこ耕作者というのでしょうか、この方々も
たばこ産業株式会社がおかしくなったら大変なことになるわけです。いろいろと、日本産の葉
たばこについては相当在庫があるとかあるいは外国産の
たばこに比して品質が劣るんだとか、事実関係は私はわかりません、そういう話を聞くことがあるわけでございます。
そういう心配な問題がたくさんありますので、そういう点もあわせまして、きょうは社長さんがわざわざおいでいただいているそうでございますから、
日本たばこ産業株式会社として、この
たばこの関税を無税にするというこれに関する影響といいますか、そういうことで御説明いただければ大変ありがたいと思います。
-
○長岡参考人 お答え申し上げます。
紙巻き
たばこの関税が無税となりました場合に、最近の円高傾向と考え合わせますと、内外の製品の価格差が急速に接近することになるわけでございます。当社といたしましては、外国のメーカーと熾烈な競争関係に入るということは否めない事実だろうと存じます。そうなってまいりますと、私どもの売り上げにも相当の影響が出てくる。ひいては経営全般にも少なからざる影響が出てくるのではないかと考えております。
これに対しまして私どもどう対処していくかという問題でございますが、御承知のように現在幾ら私どもが努力いたしましても
たばこという商品が全体の需要をふやすという状態にはないわけでございまして、数年前から、将来を見通します場合に、若干の
たばこ事業の規模の縮小ということを念頭に置きながら体制を整えてまいっておる次第でございますけれども、今後そういう事態が一層進んでまいります場合に、私どもといたしましてはまず我が社の経営体質の面で国際競争に負けないようにするために合理化をやっていかなければいけない。また、
たばこにつきましては、たとえ価格差が接近いたしましても、地元に位置する
たばこメーカーでございますから、日本の
たばこ愛好者の方々がどういっ
たばこを欲しておられるかということを肌で感じなければいけない立場にございますので、あらゆる努力を傾けまして、質の面において外国製品に負けないようにしていくという努力を傾けまして、このシェアの減少を最小限度にとどめてまいりたいと考えております。
ただ、そうは申しましても、先ほど申しましたように
たばこ事業自体は今後発展の方向ではないものですから、私どもも、三万数千人の職員を抱えている企業といたしまして、企業の将来を考えます場合に、
たばこに次ぐ第二の事業を一刻も早く軌道に乗せたいということで、現在社を挙げまして新規事業の開発に取り組んでおるところでございます。
また、御質問の中にございました葉
たばこ耕作者に与える影響でございますが、これも、正直に申し上げまして我が社の
たばこの製造販売規模が縮小いたしますとある程度面積の縮小という方向に行かざるを得ないわけでございまして、その上に御承知のようにいろいろ努力はいたしておりますもののまだ約一年分の過剰在庫を抱えておりますので、葉
たばこ問題をどう処理するかというのは正直に申し上げまして私といたしましても一番頭を痛めているところでございます。結論を申しますと、葉
たばこ耕作団体の方々にも呼びかけまして、私どもも歯を食いしばって合理化の道をとりながら国際競争力を身につけますので、葉
たばこ耕作者の方々もひとつ生産性の向上に御努力いただきまして、葉
たばこについても少しでも国際競争力をつける方向で、苦難の道ではあろうと存じますけれども、一緒に頑張っていかなければならないということを呼びかけておるところでございます。
-
○
森田(景)
委員 大変御苦労なさっていらっしゃるわけでございます。
それで、この関税ゼロにするということで葉
たばこ耕作者に対して大蔵省としては何らかの
措置をお考えでいらっしゃいますか。
-
○
頼松政府
委員 今回の関税無税化
措置に伴いまして我が国の
たばこ産業をめぐる環境が厳しくなるということでございまして、葉
たばこ生産の国際競争力強化に向けまして
昭和六十二度予算案で葉
たばこ生産近代化対策費補助金五億円を計上することといたしております。
-
○
森田(景)
委員 五億円を計上して関税ゼロにしようというわけですね。
最近
たばこ消費量が減っている、消費者が、喫煙者が減っている、こういう社長さんの御答弁でございました。私もそのように承っておりますが、この一番大きな原因というのは
たばこ有害論だと思うのですね。あるいは、
たばこは健康に悪い。実際、私も
たばこを吸っておりますけれども、「健康のため吸いすぎに注意しましょう」、こう書いてありますから。しかも、この
たばこ有害論でだんだん最近は
たばこを吸う人が肩身の狭い思いをしながら吸わなければいけない。飛行機も今度は四月一日から禁煙席を半分にする、こういう状況です。喫煙席を半分にするのですか。どっちも同じなんです、半分ですから。そういうことでございますから、これはどうしても
たばこを吸うことが悪いことだというふうに認識されるのだろうと思うのですね。事実、どこのテレビ局だったか知りませんが、私も一遍テレビで放映されているのを見ましたけれども、
たばこを吸うと末端の血管の、抹消血管というのでしょうか、この働きが一時的にストップするなんという何かそういうテレビを見たようにも思います。だけど本当に
たばこが有害なんだろうかと私思うのです。本当に有害ならば、これは社長さん、悪いけれども日本は
たばこの製造も販売もやめなければいけない、こう思うのですね。悪くないなら悪くないということもきちんと言わなければいけないんじゃないか。それでなければだんだん
たばこ減っていきますよ。その辺の御認識、どのようにお考えでございましょうか。
-
○長岡参考人 喫煙と健康の問題、今世界的な傾向として進んでおるわけでございますけれども、あるものがある病気の原因になるのかどうかということを解明いたします場合に、私は専門ではございませんけれども、疫学的な見地と病理学的な見地があるそうでございます。疫学的な見地と申しますのは、一種の統計学的なものでございまして、統計数値からこれがこの病気の原因になるのではないかということを推しはかっていく方法だと思うのでございます。ただ、純粋に医学的な立場からいたしますと、病理学的に原因結果がはっきり解明されたときに例えば
たばこが肺がんの原因であるといったようなことのレッテルが張られるのであろうと思います。現在のところ疫学的な立場でもいろいろと研究が行われておりますが、その中には
たばことある病気との関係があるのではないかということの結果を出しておられる研究もあるようでございますけれども、病理学的な見地からの研究の面におきましてはまだ未解明な部分が非常に多いということで結論が出ていないわけでございます。
私ども、
たばこ事業をやっておる立場にはございますけれども、専売公社時代から、
昭和三十二年でございますかから、ずっとこの喫煙と健康問題については研究委託費等を計上いたしまして、最近時点におきましても年間約三億円程度の金を投入いたしまして、いろいろなところで研究をしていただいておりますけれども、まだ病理学的には解明がされていないというのが現状でございます。そういったようなことで、今先生がおっしゃいました、本当に原因がはっきりしているならば
たばこの製造をやめるべきではないかというふうなところにはまだ至っていないというふうに私どもは考えております。
そうは申しましても、やはり一般的にこれだけ喫煙と健康の問題の関心が高まっているときでございますから、私どもといたしましては、例えばできるだけニコチンやタールの合有量が少なくて軽い
たばこであって、しかも、それが空気を吸っているようなことではなくて、
たばこを吸っていただいた方に満足感を持っていただけるような商品の開発に努力をいたしますし、また、狭い閉鎖されたような場所で周囲の迷惑も省みずに
たばこを吸うことはお控えになった方がいいというような喫煙のマナーの向上の運動につきましても、
たばこ会社がそういうことをするのはどうかというお考えもあろうかと存じますけれども、私ども独占企業でございますので、社会的な責任も考えまして、そういう努力も積み重ねておるところでございます。
-
○
森田(景)
委員 本当に大変な御努力でございます。私も
たばこ愛好家の一人としまして、ぜひ有害ではないという立証をしていただければ大変ありがたいと思うのです。
この
たばこ産業株式会社ができた当初だったでしょうか、私は新聞で読んだ記憶があるのですけれども、
たばこを吸うと肺がんになるというふうに言われておりましたのですが、がんを抑える効果が
たばこの中にある、こういうことを
たばこの中央研究所か何かで研究したというのが新聞にあったような記憶もありますけれども、そういう経緯がございませんか。
-
○長岡参考人 葉
たばこという植物の葉っぱの表面にもちもちとした成分がついております。
たばこをつくります場合にはこれを乾燥いたしまして原料にいたすわけでございますけれども、その生葉の表面についておりますもちもちしたものの中にセンブラトリエンディオールという成分がございまして、これを抽出をいたしまして動物実験をいたしましたところ、悪性腫瘍を抑える効果があるというところまでは私どもの研究所で結論を得ております。問題は、これが製品化されるかどうかという、これはまだまだこれから先の問題でございます。
-
○
森田(景)
委員 いずれにしても、
たばこ消費税で六十一年度は約一兆九千億だったかと思いますが、これだけ税金取られていると言ってはいけないんでしょうかね、肩身の狭い思いしながら国に協力しているわけです。それをまたことしもやろうというのですね、宮澤大蔵大臣は。
昨年五月、先ほども論議ありましたが、紙巻き
たばこ一本につき一円の消費税を徴収する、こういうことで
法律が成立しました。この特例
措置を行った理由としては、当時補助率の一律カットという問題から地方財政対策として二千四百億円の調達をしよう、そういうことで始まったようでございます。この一年間で約一兆九千六百億の増加のようでございますから、対前年度比として二千百七十億円は消費税として増収になったわけでございますので、ほぼその目的は達成したのじゃないだろうかというふうに私は思っているわけでございます。
ただ、六十一年の三月、大蔵
委員会で、一本一円の
たばこ消費税
導入をめぐりまして非常に激しい議論が行われたようでございます。当時は竹下大蔵大臣でございました。先ほども話しました一年限りでございますから、異例の暫定
措置でございますからどうかお許しいただきたいと我が党の
柴田委員の質問に対してひたすら答弁をしております。その竹下大蔵大臣が今宮澤大蔵大臣にかわったわけでございます。宮澤大蔵大臣は、それは竹下さんはそういう答弁だったかもしれませんけれども、私は新しい大臣でございますから関係ないという気持ちで、平気でこの延長を持ち出してきたんじゃないだろうかと私は思うわけでございます。大臣がかわったから知らぬ顔というのは、これは無責任きわまりない。こういう姿勢は即刻改めるべきであるし、またこの特例
措置はお引っ込めなさった方がよろしいでしょうと私は申し上げたいのでございます。
-
○宮澤国務大臣 その点は、昨年度のいきさつもよく存じておりまして、昨年の場合には、いずれ税制改正を考えておりましたから、それとの関連、ちょっときょうはこの言葉を言うと審議をとめるということを先ほどおっしゃっていらっしゃいまして、ちょっとそこのところどういたしますか、それじゃ飛ばしまして、税制改正との関連もありましてとりあえず一年ということで申し上げたわけでございますが、その後税制改正の中でまたこれを受け継いでいこうということがございまして、かたがた国の補助金、負担金を切り下げますために地方の負担がふえるという問題がもう一年継続されることになりましたために、まことに申しわけないことでございますか、やむを得ず十二月三十一日まで延長をお願いするということにいたしました。前任者の言われましたことは私も同じ責任を持っておるわけでございますから、再度こういうことをお願いいたしましてまことに申しわけないと思っておりますが、事情はそのような事情でございます。
-
○
森田(景)
委員 大臣の答弁、私は承服はしかねるわけでございますが、もっと時間があると思ったらなくなってきました。そういうことで、大臣がかわったからまた同じものが出てくるという、そういうことは改めるべきであろうということを私は強く申し上げておきたいと思うわけでございます。
そういうことで、実は今回の
租税特別措置法の改正に絡みまして円高の問題と雇用拡大の問題と御質問しようと思っておりましたが、なくなってしまいました。せっかく通産省とそれから労働省からおいでいただきまして長い時間お待ちいただきまして恐縮でございますが、また機会がございましたら改めてやらしていただきたいと思いますので、あしからず御了承いただきたいと思います。
質問を終わります。
-
-
○
山田委員 関税定率法及び
関税暫定措置法の一部を改正する
法律案、そして
租税特別措置法の一部を改正する
法律案のこの二つの改正法案、これはいずれもその背景といたしまして貿易摩擦とかあるいは国際通貨問題があるわけでございます。したがいまして、法案審議に入ります前に何点か宮澤大蔵大臣にお伺いをしたいと存じます。
今さら申すまでもないかとは存じますが、特に鉄鋼とか造船、海運などの構造不況業種、輸出関連業界というのは折からの急激な円高でいわば危機的な状況に立たされている。生産の縮小とか相次ぐ人減らしのための合理化計画の発表など、経営危機とか雇用不安というものが急速に拡大をしてきておるわけでございます。まことに憂慮すべき状況と言わなければなりません。
第一部上場の製造業六百四十七社の余剰人員調査なども最近なされておりますが、その結果を見ますと、四十七万五千人余りが企業内失業者という数で出ております。昨年八月の同じ調査で、この時点と比べますと、昨年の八月は三十五万三千人余りが余剰人員、半年で実に十二万二千人余り、率にして三四・六%ということで、大幅に増加をしておるわけです。
業種別で見ても、ゴムとか輸送用機器あるいは精密機械、繊維の四業種、調査対象の九〇%が余剰人員を抱えておる、こういうことです。また、電気機器とか機械では八〇%台。細かくはこれ以上申しません。
そして現在は失業率が三%を超えました。そして完全失業者数も二百万人に突入しようという、こういう事態でございます。しかもこの上にただいま申し上げました企業内失業者が一部上場製造業でも五十万人に迫ろうとしておる。一部上場以外の製造業の余剰人員等を加えればこれがまた格段に大きな数字になるわけでございます。
政府は基本的な考え方として、構造転換あるいは構造調整を進める中で、特に雇用という問題につきましては第三次産業というものを受け皿として考えておられる、こういうことでございますが、確かに卸とか小売の流通あるいはサービス業界等には吸収能力がまだ残っている、これはそのとおりだろうと思います。しかし、円高がこれ以上進みますと、賃金が伸びず、あるいは賃金がカットというようなことで非常に個人消費にも大きな影響を与えてくるわけでございまして、そうなりますと卸とか小売とかあるいはサービス産業に吸収能力が非常になくなってきてしまう。加えて、例えば第三次産業の中の情報産業などを見ましても、今不況に非常に苦しんでおる製造業、第二次産業におけるシェアというものが物すごく大きいという、こういうような状況も加えて考えてみますと、これ以上の一層の円高というのは日本全体が構造不況に陥ってしまうのではないか。いわば非常にぎりぎりのところで攻防戦を展開しておる、私はむしろそういうふうに厳しく見ておる。また、そう言わざるを得ないのではないか、こういうふうに考えております。
例えば前川リポートなどを拝見しておりましても、随所に構造転換とか産業調整が必要であるということが説かれているわけであります。しかし、やはりこれは中長期的に非常に息の長い努力をということで提言なさっておる、こういうように考えております。この産業転換とか産業調整を極めて短い期間の中で進めようとすれば、これは非常に厳しい結果をもたらすことになる、ある意味では日本の存立基盤を脅かしかねない、こういうことになると思います。したがいまして、モデレートな調整の進展が非常に大事になってくる。
そういう認識を前提として申しますと、何といっても一番大事なのは為替レートの安定ということでございます。宮澤大臣もしばしばおっしゃっておられるわけでございます。しかし、日本政府が市場に介入するといいましても、例えば多いときは一日で一千億ドルとか一千五百億ドルというドルや円の売り買いが行われる。そういう中で、我が日銀がいかに五億ドルとか十億ドル介入しても実質的な効果をもたらし得ない。したがいまして、決め手は米国の為替市場への介入、これが為替相場を安定させる極めて重要なポイントである、こういうことだろうと私は思います。
したがいまして、宮澤大臣におかれても、政府におかれても、あらゆる機会を通じて、米国の市場への介入、ここのとこちをしっかり約束をとりつけておくといいますか、理解をしっかり持っていただく、こういう努力がきわめて重要であろうと思います。
そこで、まず最初の質問でございますが、さきのパリG5、G6、このパリ合意を通しまして、円が一段と高くなりましたときに米国は協調介入をする約束をされておるのか、これをお伺いしたいと存じます。
-
○宮澤国務大臣 ただいまお述べになりました考え方、私もまことに同感の意をもって承りました。すなわち、これ以上為替の大きな変動があることが我が国にとって有害である、あるいはマルクにとって有害であるというばかりでは日米、独米の利害は一致しないということになるわけでございますから、これはアメリカにとっても好ましいことではないということでありまして初めて関係者の利害が一致するわけでございます。このたびのパリ合意ではそこのところを明確に述べておりまして、この合意をいたしました先進国すべてにとってこれ以上の大きな為替の変動は障害になる。したがって、「各通貨間における為替レートのこれ以上の顕著な変化は、各国における成長及び調整の可能性を損う恐れがある。それゆえに、現状においては、大臣及び総裁は、為替レートを当面の水準の周辺に安定させることを促進するために緊密に協力することに合意した。」という共同声明の意味は、ただいまおっしゃいましたような関係国の利害が一致したということを意味するものでございます。
そこで、この最後のところの書き方をもう少し明確にすべきではないか、今
山田委員が言われましたようなことが文字にあらわれるようにする方がいいのではないかという意見と、いや、事柄の性質上、それは明確にさせないでも、例えばこの程度の表現であっていいのではないか、ただし、表現が余りにあいまいであると市場関係者が我々の決意を見誤るおそれがあるので、この程度には明確でなければいけないということでこの文言に落ちついた経緯がございまして、その意味では、今
山田委員の言われましたお尋ねに対しては、そのとおりである、イエスというふうにお答えをすることができると思います。
-
○
山田委員 御案内のとおり、昨二十三日のニューヨークの外国為替市場では一時一ドルが百五十円を突破いたしまして、史上最高値の百四十九円九十七銭まで上昇いたしました。そしてニューヨークから東京へ参りまして、本日午前、東京外為市場で、午前の寄りつきが百四十九円七十八銭、終わり値は百四十九円ちょうど、その午前中の最高値が百四十八円四十銭、こういうことです。これは史上最高値。それから午後の寄りつきが百四十八円九十銭、今三時過ぎでございますが、二時現在で百四十八円九十五銭、こういうことになっております。
そこで、きょうの午前十時半までに日銀はドルの買い介入に踏み切った、こう伺っておりますが、それは数千万ドル、実際には為替レートに与える影響というのはほとんどゼロに近いだろうというふうに思われます。それで、二時現在では百四十八円九十五銭で再び百五十円を突破したわけでございますが、日米の協調介入は可能性としてあり得るのでございましょうか。
-
○宮澤国務大臣 我が国のことにつきましてもこの介入の問題は余り正面から申し上げない方がいい場合もございます。したがいまして、他国のことにつきましてただいま私があれこれ申し上げることは適当でなかろうと思います。ただ、米国の場合、介入をいたしますと、それは連銀が介入をいたしますが、三月のうちには国会に対して具体的にその報告をすることになっておりまして、したがいまして、一定の期間がたちますと現実にそういうことが行われたかどうかということはわかることになっております。最近におきまして三月経過後に一遍そういうことが報告された事例が円ドルの関係に関してございます。それはパリ合意の以前のことでございましたが。したがいまして、そういう先例は既にございまして、ただいま私がこれから米国がどうするかということについてあれこれ申し上げるのは適当でないかと存じますけれども、このパリにおける合意は、このような場合にどういうふうに対処するかということについて一般的な了解には達しておる、そういう程度には申し上げることができると思います。
-
○
山田委員 恐縮ですがもう一問。
パリ合意のお話がございましたが、アメリカの本当の腹のうちはどうなのかというところで、百五十円近辺で必ずしもドル安終了と認めているわけではなくて、巨額の貿易赤字あるいは米議会内にある保護主義ムード、こういうものの高まりを背景にしてもう一段のドル安というものをアメリカは容認する姿勢ではないのか。要するにきのう、きょうあたりの動きを見ていてその辺も非常に心配になるわけでございますが、お差し支えなければお答えをいただきたいと思います。
-
○宮澤国務大臣 米国におきましても、殊に議会内におきましてはいろいろ自由な議論があり主張があることは御承知のとおりでございますが、正式にこの為替問題についてアメリカの立場を代表し得るのは大統領と財務長官であるということがアメリカの中で合意をされておりまして、そういう人々に関します限りは、またそういう人々がこう考えましたがゆえにこのパリの合意ができておるわけでございます。したがいまして、アメリカ政府の正式な立場はこの合意に述べられました先ほど申し上げましたようなものである、こう考えて誤りはないと思います。
-
○
山田委員 先月の二十二日でございますが、パリのG5、G6に大臣も御出席になられたわけでございますが、会議を終わられて日本人記者の皆さんと会見をなされたわけです。宮澤大臣は、為替レートを当面の水準の周辺に安定させるという合意ができた点に触れまして、各国の政策協調に加えていざというとき先進国が協力することになった、こう語られたそうでございますが、これはこのとおり理解してよろしいでしょうか。
-
○宮澤国務大臣 それに間違いございません。
-
○
山田委員 大臣がおっしゃったこのいざというときというのは、円やドルが当面の水準から上下にかなりの幅で振れが出たときというふうに当然解釈していいわけだろうと思いますが、いかがでございましょうか。
-
○宮澤国務大臣 そのとおりでございます。
-
○
山田委員 先ほどの答弁とあわせて伺いますと、いざというときは、要するに円、ドルが現在の水準よりも上下に大きく振れた場合には先進国が協調介入をする、こういう理解でいいわけでございますね。そう理解をさせていただきたいと思います。円高に大きく振れたとき、これはいざというときです、そのときは各国が協力をすることになった、すなわち協調介入をいたしますと。
それで、午前中の御答弁の中に、現在は警戒水位にあるという趣旨の御発言があったかと思いますけれども、百五十円を再び突破をした現状を警戒水位である。そうしますと、百五十円を再び突破をしてしばらくこの状態が百四十八円台というようなことでずっと続くということになりますと、これはいざというときというふうに判断をしてよろしいのでしょうか。
-
○宮澤国務大臣 私はそう思っております。
-
○
山田委員 それでは、逆に円安の方向で大きく振れた場合には、やはりこれもいざというときに当たるというふうに思われるわけでございます。そのときも、各国が協調介入をして円高の方向へ戻して、一定の現状水準の周辺あたりまで協調介入して円を高目に持ってくる、近づけてくる、こういうことでございましょうか。
-
○宮澤国務大臣 このパリの合意の中心点が、先ほど
山田委員も言われましたように、各国の利害がアメリカを含めまして一致したということでございますから、当然に安定のための緊密な協力はこの上下両方にあるはずである。そうでありませんと、アメリカにとっては片一方だけという話になるかということになりますから、当然にこれは上下両方にそういう水準がある、こういうことでございます。
-
○
山田委員 私は必ずしも我が国のファンダメンタルズが現在の為替水準に適切に反映をされているとは思えない部分が実はございまして今お伺いをしたわけでございます。それは後ほどちょっと触れたいと思います。
ちょっと角度を変えまして、アメリカがパリのG5、G6、この事務レベルにおきまして提案し協議をされておりますレファレンスレンジの問題でございますが、私は、共同声明の十項、緊密に協力することに合意したとか、あるいは宮澤大臣の、いざというとき先進国が協力することになった、協調介入することになったというようなことは、やはりレファレンスレンジ構想というものを受け入れる素地になっているのではないか、あるいはそういう方向に位置づけられていくのではないかというふうに考えますが、この点はいかがでございましょうか。
-
○宮澤国務大臣 レファレンスレンジということは学者の議論あるいは報道等に時々あらわれておったわけでございますけれども、私どもの会議ではついにそれについて議論をされたことはございませんでした。それは恐らく、レファレンスレンジというようなことを考え始めますと、そのレンジというものの限界はどの辺かということを議論せざるを得ない。それを議論いたしますと、そのこと自身が非常に難しいことであるのみならず、それが仮に公になるということになれば、これはねらいそのものが実はかえって有害になるおそれもございます。そういうこともございましょう。実際には、現実にレンジを決めることの困難さ、また仮に決めたときのその有効性等々に問題があるのではないかと思っております。
-
○
山田委員 伝えられるところによりますと、パリ合意では、そのときの会議には一切出なかったと大臣はおっしゃいましたが、それは大蔵大臣同士の会議の席では全然出なかったということで、事務レベルでは出たというふうによくお話を聞くわけでございますが、それはそれとして、来月の八日にワシントンで次期のG5、G7が行われるというふうに伺っておりますけれども、ここでアメリカが蔵相会議あるいは総裁会議の席にこのレファレンスレンジ構想を正式に出してくるのではないかというような言われ方も聞いているわけでございます。そしてそこでサーベイランスの構想を固めることとともにレファレンスレンジの構想も議題に出してくるのではないか、そしてそれをベネチア・サミットで報告したりあるいはそこでもまた検討を加える、こんなようにも聞いておるわけでございますが、そもそもレファレンスレンジに対する我が国政府のスタンスというか考え方というのは、これはもう一度伺いたいのですが、どういうことでございましょうか。
-
○宮澤国務大臣 二月二十二日のパリ合意というものがいわば変動相場制ができまして最初の、プラザ合意は別にいたしまして、最初の各国のこういう考え方の合意であったわけでございまして、ここへ参りますまでに各国がかなりいろいろ議論をいたしておりまして、そういうところからはレファレンスレンジという考え方は出てこなかったのでございますから、したがいまして、それからわずか二月ぐらいの間にそういうものが突如として合意になるとは考えにくい。つまり、そういうことは、学者もよく議論をされますけれども、現実の問題として考えていきますと、なかなか現実の案が熟さない、そういう性格のものであると思っておりますので、私は次回先進国会議でそういうことの決定があるとは予測をいたしておりません。
それはまあ全体のことでございますが、我が国がどういう立場をとっておるかというお尋ねにつきましてならば、仮にレファレンスレンジということを申しましたら、そのレンジのおのおのの境界はどこであるかということについてお答えをしなければならない。そのお答えをするということ、つまりそれを決めるということ自身に非常に難しい問題がございますし、また、それを仮に決められましたときに、公にするということが果たして目的のために有効なことであるかどうかということにも疑問がございます。我が国の立場はそういう立場でございます。
-
○
山田委員 先ほどのファンダメンタルズが適切に為替レートに反映されているかどうかという部分のお話なんですが、このパリ合意の共同声明十項目目に「この声明に要約された政策コミットメントを前提とすれば、今や各通貨は基礎的な経済諸条件に概ね合致した範囲内にあるものとなった点に合意した。」とございます。本当に日本のファンダメンタルズにおおむね合致した今の円ドル為替レートであるのかどうかという点で、日本の製造業というのは例えば二百四十円時代の蓄積を現時点においては食いつぶしながら必死になって構造転換とか人減らし、合理化等に取り組んでおる、もがいておるという言い方もあると思います。しかし、いわゆるJカーブ効果が効いておりまして、経常収支の黒字は縮小してこないわけです。縮小してないけれども、大臣御案内のとおり我が国の製造業を中心にした構造不況、円高不況というのは物すごい深刻なものがある、こういうことです。
ファンダメンタルズがおおむね合致ということに私はもう一つ合点がいかない点があるわけでございます。Jカーブ効果が出ていて、確かにドルベースの経常収支の黒字というものはむしろふえる方向にある。少なくとも縮小しない。縮小しないという点だけ見れば、確かに縮小しない、今までと形は変わらないわけですけれども、日本経済の実態というのは大変な塗炭の苦しみということになっている。そこに大きなずれがあるわけでございます。したがいまして、実態とかけ離れて存在する減らない黒字額を日本のファンダメンタルズの一つとしてとらえられ判断の基準とされてパリ合意ができた、こう言うことができると思うのです。これをやはり宮澤大臣が当然合意をされた、認められた、あるいは僕は認めざるを得なかったのかなと、そんな気持ちもするわけです。
大臣、本音のところではどうなんでしょうか。このパリ合意、そういう意味で真に日本のファンダメンタルズを反映がされていない現在の貿易黒字の大きさというようなものを基準にして、例えば上下にも大きく振れた場合には協調介入をして戻していくというようなことは、大臣は本音のところでは、そのとおり本当にうれしいことだ、ありがたいことだということで受け入れられておられるのでしょうか。
-
○宮澤国務大臣 今言われました点は、その前段に「この声明に要約された政策コミットメントを前提とすれば、」ということが書いてございまして、つまり、それはアメリカに対して言えば、もっと財政赤字を小さくすべきである、貿易赤字を小さくすべきである、そういう努力をすべきであるということを意味しておるわけでございますが、私自身は、プラザ合意以来もうぼつぼつ一年半でございますから、これだけのドルの下落がアメリカの貿易、国際競争力に影響しないはずはない、Jカーブということを言われますとまさしくそうでございますが、一年半たつわけでございますから、そういうことを常に考えておりまして、そういう意味ではアメリカのファンダメンタルズがこれだけドルを下げれば変わってくるはずである。そう期待する理由があるということは円ドルの関係にそういう影響を及ぼすであろう。私自身はこの合意ができました二月二十二日現在の円の水準がこれで全く満足なものであると考えておるわけではございませんし、我が国の経済にとって極めて厳しいものであるというふうに認識をいたしております。しかし、それはアメリカの貿易収支が徐々に改善することによって円の水準が変わってくる、こういうふうに私は考えておるわけでございます。
-
○
山田委員 来月の八日というふうに伺っておりますけれども、ワシントンでの次期のG5、G7、先ほどの話とちょっと錯綜する感じで恐縮しておりますが、ここでは相互監視、サーベイランスの構想について正式に合意をする、これはそういうことだろうと思います。それは、昨年の東京サミットで義務づけられたといいますか一つの方向性がきちっと示されておるわけですから、六月のベネチア・サミットできちっと報告しなければならないことになります。それで、サーベイランス構想につきまして、経済成長とかインフレ率、経常・貿易収支、財政収支、これは昨年の東京サミットでこれを指標とするという一つの合意があったわけでございますが、加えて、さきのパリ合意では金融情勢と為替レートの二つの指標を新たに加えたらどうか、このあたりもその組み合わせが正式に次回のG5、G7で決められるのだろうというふうに思っております。例えば為替レートをサーベイランスの中の新たな指標として組み入れていくというような一つの考え方は、これはどう言うのでしょうかね、日本にとってデメリットが出てきはしないか。時間がありませんので細かくは申し上げませんけれども、この点はいかがでございましょうか。
-
○宮澤国務大臣 実はその点は事務当局間とがいろいろ議論をしておる段階だと思います。私もちょっと今の段階詳しくございませんけれども、次回の先進国の集まりがございましたときに合意をすることになるのかどうか、むしろそういうことではないのではないかというふうに思っておりますけれども、ちょっとただいまの段階つまびらかでございません。
-
○
山田委員 この通貨問題等につきましてはとりあえずこれでやめたいと思います。
法案の方でございますが、
関税定率法の関係で四点ほど伺いたいと思いますが、簡潔に御答弁をいただければと希望いたしておきます。
一つは、最近特に社会悪物品、けん銃とか麻薬、覚せい剤などの密輸が非常に多くなってきておりまして、手口も非常に悪質、巧妙化してきております。これを発見、摘発することは大変なことだろうと私も思います。その中でも国際海上輸送におけるコンテナリゼーション、コンテナ輸送が著しい進展を見せておりまして、ばら積みとか在来貨物というのでしょうか、全体の貨物の中では六割を超えるようなコンテナ輸送、こういうようにコンテナリゼーションが非常に進んできた。そのコンテナ貨物については戸口から戸口へ輸送することで大きなメリットがあるわけですが、反面、これを悪用した密輸入が増加している傾向にあると承知をいたしております。しからばその対策が当然必要になるわけでございます。
そこで、保税地域での検査体制は十分であるかということになるわけでございまして、神戸税関の出張所でございますポートアイランドにありましては、税関の検査場にコンテナを持ち込んで検査ができる、そういう施設を整備なされた、こう伺っているわけですが、この施設を利用することによって在来の検査の場合と比較をいたしましてそれが非常に効率的であるのかどうか、その効果をお知らせいただきたいと思いますし、あわせて、コンテナ化というのは迅速化のために開発されたものでございまして、税関の開披、広げてみる、開披検査によって物流の時間的なロスだとか、また開披等の諸費用、一つのコンテナをあけて検査して全部もとに戻しますと十万円ぐらい荷主負担になるんだそうでございますが、これらの問題など関係者の負担も非常に増大することになるわけでございます。この必要な検査体制が確保されているかどうか。私はぜひ、関税
局長もおいででございますし、大臣がおいででございますので、少なくとも九つのブロックにあります本関地域、神戸税関とか東京税関とかございますけれども、そういう本関地域にはコンテナの検査施設というものを少なくても九つ、これはできるだけ早目に整備をすべきなのではないか、こういうふうに申し上げるわけでございますが、まとめて失礼でございますが、簡潔な御答弁をいただければと思います。
-
○
大橋政府
委員 最近、コンテナ化が進みまして、検査が非常な問題になっていることは先生御指摘のとおりでございます。
コンテナに詰めてそのままでドア・ツー・ドアといいますか工場から工場というような運搬が国際運送を円滑にする上で非常に役に立っているわけでございますけれども、税関の立場からいたしますとこの検査というのは先生御指摘のとおり非常に問題があるわけでございます。しかし、税関の立場といたしましてこれを全部のコンテナについて全部あけさせるというようなことをすれば、これはコンテナ化をした経済的な意味が全く失われることになりますので、情報等に基づきまして適切に調査対象を選定いたしまして、場合によりまして全部開披をして荷物を出してもらって検査をするというようなことを抜き取り的にやっているわけでございます。しかし、このこと自体はこういう検査を行うことによりまして全体のコンテナ貨物の適正な申告を促進しているというふうに理解しているわけでございます。
ただいま御指摘のポートアイランドにおきます検査場でございますが、実は現在コンテナ設備の埠頭のございますところに全国で八つの税関の出張所がございます。このうちで専門のコンテナの検査場を備えておりますのは四つでございまして、その他残りの四つについて現在未整備でございますけれども、そのうちの二つにつきまして現在庁舎の建てかえを行う段階で整備をしようと思っております。確かに、私ども、専用の検査場を持っておりますれば、検査の場所の指定も容易でございますし、職員も効率的に仕事ができるということで、この検査は非常に効果が上がっているというふうに理解しておりますし、今後とも検査場の整備につきましては、予算の範囲内でございますけれども、努力をしてまいりたいというふうに考えております。
-
○
山田委員 次に、人事院の方にお見えいただいていると思いますけれども、税関職員の処遇の改善についてこれはお願いということになろうかと思いますが、最近の日本経済の発展とともに貿易量とか出入国者が増大してきております。また、取引形態も非常に複雑化をし、商品の高度技術化、さらには貿易摩擦問題も加わる中で、適正かつ迅速な通関体制の確保あるいは社会悪物品の水際での阻止の要請が高まっております。そこで税関職員の業務内容は一層困難性とか専門性、特殊性というものが非常に高まってきている、これは事実だろうと思います。
また、ココム物資の輸出規制とか、先ほどもお話が出ましたワシントン条約貨物、無体財産権の侵害物品の取り扱いなど、その職務の困難性、専門性、特殊性というものが非常にこの意味でも求められておりますし、国内的にも国際的にも重要の度合いが非常に高まってきている、こういうことです。
加えて、税関の職場というのは、五十六年の名古屋、五十七年の大阪と殉職者が、事件に巻き込まれた、あるいはまた船倉に立入検査に入ったところ酸欠死したというような痛ましい事故、事件が実際にございましたなど、常に危険と隣り合わせの環境の中で職員の皆さんは日夜一生懸命職務に励まれておられる、こういうことでございます。
とりわけ高年層の職員の皆さんは戦後の急激な貿易の伸長に対応する税関行政に必要欠くべからざる要員として採用されてきておりまして、また現在増大する事務量をこうしたベテラン職員の在職率の高さと職員一人一人の資質の高さあるいは旺盛な責任感とか使命感、こういうものに裏打ちされた士気によりまして税関行政というものを遂行している、私はかように理解をいたしております。
一般職の職員の給与に関する
法律というのがございますが、その第四条に「各職員の受ける俸給は、その職務の複雑、困難及び責任の度に基き、且つ、勤労の強度、勤務時間、勤労環境その他の勤務条件を考慮したものでなければならない。」こうも
法律で定められているところでございます。こういう税関の職員の皆さん、特殊な職務を遂行することを十分御理解をいただいて、この処遇改善につきましては人事院におかれても特段の御配慮を賜りたい、こう存じますが、どうでしょうか。
-
○野村説明員 お答えをいたします。
税関の業務につきましては、今御指摘がございましたように、一般の行政職に比べますと、職務の内容あるいは勤務条件の厳しさ、こういった面において異なった面が多々あるわけでございます。このような関連におきまして関税御当局からも職員の処遇改善ということで従来より要望がなされていることは私ども人事院といたしましても十分認識をしているところでございます。
このような事情を考慮いたしまして、私どもといたしましても、個々の職員のついております職務の級の格付、いわゆる級別定数でございますが、そういった面とか、特殊な勤務ということで諸手当の面、水工作業手当とか犯則取締手当とか、こういった面を通じまして給与の適正な処遇に努めているわけでございます。今後につきましてもそういう税関職員の勤務の特殊性といったものに十分意を払っていきたい、こういう考えでございます。
-
○
山田委員 要員の確保の問題でございますが、税関の職務の実態をよく見る中で、事務の増加の中で定員はずっと減少してきているわけでございます。昨今の国際社会の中で日本の役割は非常に大きくなってきているわけでございまして、国際協調の観点からも貿易量、出入国者数の増大はこれからも非常にございますでしょうし、その中で適正かつ迅速な業務の運営と社会悪物品の国内流入阻止による国民生活の安定と税関職員の使命、こういうものは非常に重要度を増してきているわけでございます。その点からも要員の確保は非常に大事であるというふうに考えておりますが、定員の増加につきまして総務庁におかれましてもぜひ努力をしていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
-
○菊地説明員 お答え申し上げます。
税関の職員の状況につきましては、毎年の予算編成過程でもって実情をよく承っております。その中で十分協議をしながら真に必要なものについて必要最小限度、吟味をした上で
措置をするということになっております。ただ、片側、全体として定員が減っているではないかという御指摘もございます。この点につきましては、政府全体として公務員数をむやみやたらとふやさないという方針に立ちまして、法制度の上では総定員法というもので上限を縛り、その中で定員削減をできる範囲でやっていくという中のものでございます。したがいまして、全体として見ますと、合理化できるものは合理化していく、必要なものについては増員
措置をとっていく、こういう結果でございますので、御了承いただきたいと思います。
税関の職員の問題につきましては、国会の決議もございますので、実情もいろいろ聞きまして今後とも十分
措置してまいりたいと考えております。
-
○
山田委員 ただいまの総務庁の御答弁は私必ずしも納得しているわけではございませんが、時間が参りましたので、いずれかの機会にこの税関の業務の重要さ、他の業務とはいささか違いますよというあたりをまたしっかり議論させていただきたいと思います。
最後に、今コンテナの検査施設の整備の問題、処遇改善の問題、それから定員増加の問題等三点ほど議論させていただいたわけでございます。大蔵大臣とされましてぜひ特段の御理解と御支援を御要望申し上げたいわけでございますが、一言お言葉を賜りたいと存じます。
-
○宮澤国務大臣 御指摘のように、税関の業務は、貿易もふえますし出入国の人数もふえておりますが、そのほかにいわゆる社会悪を防ぐことがこれから非常に大事な仕事になってまいります。等々を考えますと、業務運営をさらに効率化する必要の上に、こういう時代ではございますけれども、何とかして要員を確保して税関業務が与えられましたところを支障なく遂行できるように努力をいたしたいと思っております。
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-
-
○
安倍(基)
委員 今や日切れ法案の審議でございまして、恐らく同僚議員が
売上税なんということをいろいろお聞きしたとは思いますけれども、時間が限られておりますので、私は主として関税の改正についていろいろお聞きしたいと思います。
初めでございますけれども、ちょうど前の同僚議員が話されておりましたように、私自身も
昭和五十一年から一年間門司の税関長をしておりました。そのときに初めていわゆる税関業務に携わったわけでございます。これは大蔵省の部門の中でも大変に体を張った、しかも夜は必ずだれかいなければいかぬ、旅行へ行くにしてもだれか残っていなければいかぬ。私どものとき韓国との関係の金の輸出入の問題で部下が手柄を立てたこともございましたけれども、最近は麻薬の問題、けん銃の問題。私はよく税関は皮膚みたいなものだ、皮膚呼吸が十分でないと死んでしまうよということを言っているのでございますけれども、今聞いておりましたらなかなか人員削減で、私のころからも人員削減の波はございました。しかし、私は本当に自分でやってみまして、意外とこれは難しい物理化学とかそういった種類の知識も必要とする。関税
局長もよく御存じだと思いますけれども、監視のみならずいろいろな面でいわば大変な職場である。そういう意味で、去年もそういった論議がございましたけれども、マイナスシーリングで非常に苦しい時代でございますが、その点についての御配慮をまずお約束願いたいということを大蔵大臣にお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。
-
○宮澤国務大臣 そのようなこともよく聞いておりますし、殊に
安倍委員は御自身で御体験になってもおられます。ただいまのお言葉はよく私も拳々服膺いたします。
-
○
安倍(基)
委員 繰り返し申しません。よく大臣は御配慮くださると思います。
今度の関税の改正でございますけれども、実は私は二年ほど前文芸春秋に「あえて市場開放に反対する」という論文を出したことがございます。お読みになったかどうかわかりませんけれども、たまたまドルが下落する直前でございまして、私はその年の春ごろから今にドルが下落したらどうなるんだということを主張しておったわけです。東京ラウンドから比べると当時は大体一五%のドル高であった。ということは、全輸出商品について一五%の補助金が与えられ、そして輸入品については一五%の自然関税がかかっておるのと同じような状況である。そのときに関税を下げてみたところで全然効果がないだろう。いわゆるアメリカからいろいろ要求された関税引き下げでございますけれども、たまたま引き潮のときに堤防を崩すようなもので、上げ潮になってきたときに大慌てになるよ。大体為替相場を考えていないそういう市場開放策というのは余り意味ないじゃないかという議論をしたのです。それが一向表に出ないものですから、それに対する反応が薄いものですかも、私はあえて文芸春秋に投稿しましたらそれがすぐ採用されまして、その九月の下旬に例のG5でだあっと下落が始まったということでございまして、私はその面で私の見方は間違っていなかったなと。
というのは、当時日本が貿易黒字をふやす、当然ドルがだんだんと下がるべきところをそれを上回る資本流出が日本からアメリカに対してある、それが結局はドルを支えてきた、これは長続きすることはないであろうということが私の観測でございました。でございますので、当時竹下大蔵大臣に、このまま資本流出が続けば今にドルが下がったら大損するぞ、いいのか、一体それに対する手当てはあるのかということを私は主張したのです。そのときに、私は記憶していますけれども、竹下大蔵大臣は、いや、やっているのは機関投資家であり、十分それは計算している、金利差が十分あるからそれを見越してそれでちゃんとそろばんをとっているから危なくないというお話でございました。私がそういったことを提言した後に大蔵当局が保険会社とかいわゆる機関投資家をちょっと注意しろというような指導をしたかのごとく聞いておりますけれども、そのときに私自身もこれほどの大きな変化があるとは思っておりませんでした。
当時たしか五百億とか六百億とかいうくらいのドルが年間流出しておった。それが一、二年たてば当然一千か二千近くになったかもしれぬ。それが要するに為替変動によってキャピタルロスを相当こうむっているはずだ。
売上税ということをいろいろ言っておる。日本は
売上税でやらなくてはいけないぐらいに本当に困っている時代に、日本のそういった機関投資家が一体どれだけのキャピタルロスをこうむったと推計されるのか、それが課税にどう反映しているのかということをはっきりとお聞きしたいと思います。
-
○内海(孚)政府
委員 安倍委員にお答え申し上げます。
外貨投資が為替リスクをインボルブしているということは御説のとおりでございます。ただ、我が国は対外投資関係を全く自由化してきておりますので、どういう投資家がどの時点で幾らで外貨債券を取得したか、あるいはどういう時点で幾らで売却したかということは把握しておりませんので、御質問のような数字は持ち合わせておりません。
ただ、問題をもう一つ複雑にしているものがございます。それは、投資家あるいは特に機関投資家は、単にそのときの為替レートの問題だけではなくて、例えば日米金利差が当時は五%とか六%以上にも達していたわけでして、その分はいわば果実として余計に取得していたわけでございます。その点もどういうふうに勘案するか。また、その後アメリカの金利はずっと下がってきまして、日本との金利差が長期で六%くらいあった時代から比べると、今二%強くらいでございます。金利が下がれば債券相場は上がりますから、ドルと円との関係でキャピタルロスが生ずる相当の部分は今度は債券価格の上昇によって相殺されるというファクターもございますので、一概に計算も難しいという複雑な問題もございますことをつけ加えておきたいと思います。
-
○
安倍(基)
委員 まあ、そう言っちゃ悪いですけれども、その程度のことは私も知っているわけですよ、何も細かく説明しなくても。大体どのくらいと推計されるかと私は聞いておるのです。
-
○内海(孚)政府
委員 先ほど申し上げましたような理由でそのような数字はございません。
-
○
安倍(基)
委員 それでは機関投資家のいわば損益にどう影響しているかということがある程度数字として出てくるのではないかな。それが納税状況にどう反映しているのか、その把握をしているのかどうか。
-
○日向政府
委員 ただいま
委員が御指摘になりましたように、機関投資家が海外投融資を行いまして外貨建て資産を有する場合、為替変動の影響を受けることは避けられません。その影響の受け方いかんによりましてキャピタルロスが発生した場合に、税務上は評価損または売却損の形で損金である経常費用として当該機関投資家の申告所得が控除できるということは
委員も御案内のとおりだと思います。
ただ、この評価損や売却損が現在どのような影響を申告面に与えているかということにつきましては、外貨建て資産の為替変動による減価損失について直接申告面で報告を徴していないというところから、これを計数的に申し上げることはできないことについてぜひ
委員の御理解をいただきたいと存じますが、
委員が御指摘になりましたように、この問題の申告所得にもたらす影響につきましては私どもとして今後十分に関心を持ってまいりたい、かように考えています。
-
○
安倍(基)
委員 さっきの金利差が何%というのは、為替変動が五%や一〇%ならわかるのですよ。四〇%ぐらいになりまして、これはやはり私が当時警告していたことは事実だったな。これは日本経済全体として、私は当時本会議の演説で、日本がたくさん貯蓄をする、それはどんどん海外流出しているということを指摘したわけです。これを考えなければいかぬよ、二年前の
昭和六十年の三月の本会議演説でございますけれども、そこでやはりもっともっと内需志向型の税制体系に改めなければいかぬよという話をしたことがございます。
そのとき私は、その敷衍といたしまして、その前後にしきりと巨大な海外流出のキャピタルロスをどうするのだと繰り返し聞いておるわけです。今金利差がどうのこうのとおっしゃるけれども、本当に五%、一〇%ならいいですよ。先物カバーしています。先物カバー、どのくらいしておったのか、非常に疑問な点が多いのです。我々自身もこんなに下がるとは思っていませんで、私自身もある程度経済を勉強した男でございますけれども、私自身も不明なところ、宮澤蔵相もここまでいくとは思っていなかったと思いますね。だれでも。したがいまして、私はこの点もっともっときちっと追求してほしいと思います。どのくらいキャピタルロスがあったのか、これは調べようがないとおっしゃるけれども、これは調べようがあるのではないでしょうか。この機関投資家の納税状況はどうですか。大体銀行、保険その他。
-
○日向政府
委員 今御指摘のような機関投資家という概念でつかまえまして申告等の納税状況を把握してはおりませんので、大変便宜で恐縮でございますけれども、全国銀行、これは都市銀行十三行、長期信用銀行三行及び信託銀行七行、計二十三行でございますが、それから生命保険会社二十三社、損害保険会社二十三社におきまして直近の
昭和六十一年三月期の申告所得を申し上げますと、全国銀行二十三行は一兆七千五百十億円でございまして、直前の六十年三月決算一兆六千五百九十八億円に比べ五%増となっております。生命保険会社二十三社は六十一年三月決算で四千四百四十八億円、六十年三月決算五千六百九億円に比べましてここは二一%減、こうなっております。損害保険会社二十三社は六十一年三月決算で三千六百二十一億円で、六十年三月決算三千五百八十五億円に比べ一%増、こうなっております。
以上でございます。
-
○
安倍(基)
委員 今これで見逃しちゃいけないことは、昔から比べると金利が随分低下しているわけです。こういった機関投資家は相当多量の国債をいわば昔の金利で事実上持っているわけですよ。年間十兆円に上る国債の利払いですからね。そういう面でそれを保有することにおいて非常にプラスの面もあるわけです。それがこういった損害をカバーしている可能性が十分あるわけですね。だから、表面上の余り減ってませんとか減ってますという話とは別に、そういう益でこういう損がカバーされている可能性が十分あるわけですね。しかも、生命保険の場合、その資金量から比べれば納税額は御承知のように少ない。いろいろ要素がございます。
私どもは
売上税について反対しております。大蔵の後輩に対して本当に気の毒とは思いますけれども、私自身はこの複雑な
売上税はやはり考えるべきじゃないかと思っています。その前に、やはりいろいろの面で、この
売上税をてこに、国の財政におきましても、これはまた時間もございませんから私は
売上税のときにお話ししようと思いますけれども、地方、国を通じてのいわば財政の偏在、私はさっき指摘した予算に対する反対演説で、例えば九・六%の人口の東京都に一七%の地方税が入っている。その後、ほかにいろいろ言っておりますけれども、法人住民税においては二五%が東京都に入っている。しかも増税額の三分の一は地方交付税ということで地方に流していく。一方において、本当に行革が全然行われてない。行われたと称しておりますけれども、私がこの前一つの例として挙げたのは、緑のおばさんのために東京二十三区で八十億円払っているということを聞いてびっくりしたのです。そういうような地方自治体における放漫財政を許しておきながら、中央だけはなるほどゼロシーリングで来たかもしれない。しかし、国全体から見れば幾らでもまだ節約する場所がある。しかも今のような大きなロスを結局は片方でカバーという形でさせているという面から見ますと、もっともっと大きなところがあるのじゃないか。この
売上税のことをてこに、今までタブーと思われたいろいろなものを洗い出して、それを見ていかなくてはいかぬ。その後に、
売上税ならどういう形でやるのか。私は個人的にはアメリカの州税のような一回限りの消費者と直結した税がいいと思っていますけれども、その前にもっともっと行革をやって、しかも大きな税の不均衡を直していく。
私はある意味からいうと大蔵省の方は気の毒だと思っている。というのは、地方の方へ手を出そうとしますと地方自治ということですぐほかの者から待ったをかけられる。農業に手をかけようとするとすぐ農業議員の方から待ったがかけられる。私はあることでちょっと物を書きかけたのですけれども、まだ発表しておりませんけれども、手足を縛られた若王子さんのようにあっちこっち、私は別に皆さんに言っていないけれども、本当に手足を縛ったのはだれかわかりませんがね、実際上。私の前にいる人かもわからぬけれども、要するにそういったような状況でいわば財政再建を狭い次元で考えておる。もっと広い次元で考えていけばもっといろんな節約ができる。私は水野君よく知っておるし非常に気の毒だと思うけれども、今度の
売上税法案はもう少し様子を見て、そしてその間にこれをてこにいろんなものにメスを入れて、その後もう一度選挙で問い直すべきだ。私もさっき法務
委員会で言ったのでございますけれども、ほかの問題もあったから。中曽根さんが命をかけて百年のためにやるというのであれば、何で選挙の前にやらなかったか。選挙のときには、いかにもあの正直な藤尾さんが
大型間接税と言い出した途端にそれを否定した。その後いろいろ言行録を見ると、私がうそをつく人間に見えますかというようなことまで言っておる。何で国家百年の大計のためであれば選挙のときにそれを問わなかったのかと私は考えているのです。いや、これは大蔵省に言ってもしようがない。大蔵省は答える立場にないですから。
私はさっきも靖国神社問題をやったんですよ。日本を侵略国家と総理が初めて言った。戦後初めて本会議で日本は侵略したということを発言しているわけですね。これはゆゆしき大事なんですね。私があそこで展開した論理は、これはちょっと話がずれますけれども、法務
委員会から来たばかりなものだから。おもしろいのだったら、まあ話はそれますけれども、いいですか。靖国神社。今まで政教分離の問題があった。それを戦後の総決算ということで踏み切った。途端に中国に言われて、中国への戦争は侵略であった、今やこう言っているわけですよ。ところが、あのときの日中平和条約のときに、私のかつての上司であった当時の高島条約
局長は、絶対その侵略という言葉を使わせなかった。それだけの頑張りをしたわけですよ。いいですか。もし日本の総理が侵略したと言うのであれば、靖国神社の英霊はみんな戦争犠牲者ですよ。一体、戦争犠牲者に哀悼の意を込める参拝なのか、あるいは名誉ある戦死者に対する敬意を払うのか、どっちかだ、私はそのことを言ってきたのです。
ちょっと今話がずれますけれども、それと同じことなんです、この
売上税も。というのは、本当は選挙というものは、宮澤蔵相も御存じと思いますけれども、イギリスの解散というものは、選挙民からマンデートを受けた、そのマンデートを使っていくというところに意味があるのです。マンデートを使い切ったとき、あるいはマンデートを変えるときに選挙すべきだという一つの基本的観念があるわけですよ。マンデートがあって、マンデートの変更のときに初めてやる、それが解散の大義名分であったわけです。ところが、日本の場合はダブルであれば勝てる。宮澤蔵相は解散に随分反対された。それを突っ張ればよっぽどよかったと思っています。それを本当に最後まで貫けば。本当ですよ。それがいわば理論というものであって、マンデートなしの全く理由なしの解散、しかも公約に反する
導入ですね。その面からいえば、この
売上税の
導入というものは国民の政治に対する信頼を裏切る意味で国家百年の大計からいくとおかしいと私は考えているのです。中身はもうちょっとございます。それはまた議論が長くなりますから。
これは、この前、去年の十二月に、ちょうど例の非課税品目を決めるときに私は宮澤蔵相にお聞きしたつもりでございます。日本のように生産も流通も多層的なところへ一つ一つメスを入れていけば必ず血が出る。欧州の構造とは大分違うじゃないか。欧州の構造は、それになれて、そういったものが簡略化されて、要するにある意味では合理化されている。日本の場合には、それが生産性の競争力であると同時に、また雇用の場を提供してきた。そのところを無視して企業税の形になる
売上税というのは大問題であるということを私はたしかあのときにお話ししたつもりでございます。そのときに、密室で半月ぐらいの間にどれを非課税にするかというようなことをいろいろ決めたら必ず禍根を残すよということは、私は口を酸っぱくして言ったつもりでございます。
大分時間も来ましたから、余りこの法案そのものから外れるのもあれでございますから、この辺で。いや、これは関税
局長に答弁させてもしようがない。この辺、大分私の口があれになりましたけれども、今法務
委員会で大分騒いできたものだから。
宮澤大蔵大臣、私の考え方について、まず公約問題について、あるいは日本の経済の見方について、それから、日本にまだ現在あるいわばいろいろな矛盾、そういうものにメスを入れる点について、そういう三点について宮澤蔵相の御意見を承りたいと思います。
-
○宮澤国務大臣 ちょっとどういうふうにお答えしていいか難しいわけでございますけれども、
売上税が公約違反かどうかということにつきましては、総理大臣がしばしば本会議でも答弁をせられましたが、いわゆる大型でない、それは納税者の数も非常に少なくいたしましたし、また非課税品目も多く設け、非課税業者も設けたといったようなことで説明をしておられるわけでございます。
それから、中段で為替のお話がございまして、これは確かに為替差損というものがある。ただ、それは機関投資家自身が実は自由経済においてはまず考えているはずのことでありまして、生保の例をお挙げになりましたが、国金
局長がちょっと申し上げましたように、ある程度の為替差損を覚悟してもなお証券の値上がりがある、それによって生保有身の勘定が合うという、恐らくそういう自己計算でなされておるかと思います。脱税をするのが目的でやったのではなかろうと思いますし、それは資本取引が自由化されておりますので、ある程度それは自己責任で投資家がやっておるということではあるまいかと思っております。
いろいろ御指摘の点は、我が国経済が十分に自由化されずにかなりいわば近代以前のものをいろいろな制度の中に残しておるということをも御指摘になったのだと思いますが、それはそのとおりでございます。そのとおりでございますが、やはりもう少し経済成長が高くなりまして雇用に心配がなくなり、やがて完全雇用と申しませんでもまあまあ雇用の機会がふえまして、そして流通機構などが簡素化されていく、そういうプロセスを経て近代化されていく、そういう努力が必要なんではないかというふうにお話を伺いながら考えておりました。
十分にお答えを申し上げておりませんけれども、御了承願いたいと思います。
-
○
安倍(基)
委員 まだ聞きたいことがたくさんあったのですけれども、ちょっと靖国問題に触れちゃったものだから時間が減っちゃったのですけれども、さっきのいわば為替差損に関連した機関投資家の損益、調べられるだけ調べていただきたいと思いますね、どんなものであったのか。その点は不可能ではないのでございましょうな。
-
○日向政府
委員 委員の再三にわたってのお尋ねでございますので、今後におきますキャピタルロスの発生及びそれの申告所得に及ぼす影響を見ながら、必要があれば計数について把握することを検討してまいりたい、こう思っております。これは課税面でのお話でございます。
-
○
安倍(基)
委員 実は私法務
委員会の方に採決に行かなければいけないものですから、残念なことに、次のいわば同僚議員が足らざるところは全部補っていただけると思いますので、これをもって私の質問を終わります。
-
-
○玉置
委員 安倍先生が出ていきましたので、かわりに私がいろいろ御質問したいと思います。
今回の租税特別
措置の方でございますが、従来と違ってかなり景気対策的な要素が入っている、こういうことでございます。きょうも一ドル百四十八円台が出たということでございまして、ドルが底値になったのじゃないかというふうに言われておりましたけれども、まだまだどんどん安くなる、こういうふうな状況でございます。こういう状況でございますから、一日も早く円高の不況対策というものを具体化していかなければいけない、こういうふうに思います。そういう面から見て、特に今回の
租税特別措置法の中での影響、これを考えてみた場合に、果たしてどれだけ効果があるのかな、こういう心配もあるわけでございます。
そこで税制上の今回の
措置でございますが、これが本当に生きてくるのかどうか、また生きなければどうしていかなければいけないのか、その辺をお聞きを申し上げたいと思います。
まず、大蔵省におかれましては、今回の税制上の
措置、いろんな方法がありましたけれども、これに関してどういう効果をねらって、またどの程度の効果が出ると見てやられるのか、それについてお聞きをしたいと思います。
-
○水野政府
委員 今回
租税特別措置法の改正をお願いをいたしております。その主な内容といたしましては、やはり現在の公平な負担の確保という観点からいたしまして、毎年租税特別
措置の整理、縮減といった方向につきまして検討をさしていただき、法案に盛り込ませていただいているところでございます。これが第一点でございます。
しかしながら、そうした既存の特別
措置の整理合理化ということとともに、当面の課題とされておりますところの産業構造の転換の円滑化のための対策でございますとか住宅問題でございますとか、そういったもろもろの当面の政策的要請におこたえするためのまた幾つかの政策をも盛り込ましていただいた改正もお願いをいたしておるわけでございます。
そうした二つの面での主な改正内容を御提案をいたしておるというところでございます。
-
○玉置
委員 何となく抽象的な話で、具体的なねらいとか効果というのが出てないように思うわけですけれども、今回いただいています説明資料の中で、日切れでもし間に合わなければこういうデメリットがあります、このような言い方で資料をいただいているわけですが、私がいろんな地域を歩かしていただいて、各企業の中で、確かにまだ利益を出しているところもございますし、またもう既にとても利益も出ない、経常経費も出ない、こういうところもあるわけです。
そこで、通産省並びに中小企業庁にお聞きをいたしますけれども、税制の場合には、税制の恩典というのはやはり利益が出てないと受けることができない、これが一つあると思います。ですから、まず通産省並びに中小企業庁におかれましては、今回の円高不況の対策として、利益がある企業、また利益のない企業、その辺をどういうふうに扱われて円高対策をやっておられるのか、その状況についてお聞きをしたいと思います。
-
○広瀬説明員 御質問の御趣旨は、円高不況対策につきまして、利益のある場合、ない場合あるではないかということだと思いますけれども、円高不況対策につきましては、税制上の諸対策とあわせまして金融上の対策等も講じておりまして、税制上の対策につきましては利益のある企業が中心に恩典を受けられるわけでございますけれども、そのほかに金融上の対策についても対策を講じておるということでございます。
簡単に申し上げますと、税制上の
措置といたしましては、例えば六十一年度の税制改正におきまして、中小企業の円高対策といたしまして特定中小企業者事業転換対策臨時
措置法といったようなものを制定させていただきましたけれども、その
法律に伴う
措置といたしまして、例えば事業転換のための試験研究につきまして特別の税制上の
措置を講じたり、あるいは円満で影響を受けて欠損を出したという場合の欠損金の繰り戻し還付につきまして同じく税制上の特別
措置を設けるといったよう抗
措置を講じておるわけでございます。
そのほかに金融上の
措置といたしましては、例えば今回国会に
提出をさせていただいておりますけれども、産業構造転換円滑化臨時
措置法案といったようなものがございまして、この中で、利子補給を伴います開銀からの低利の融資とか、あるいは地域活性化のためのプロジェクトに対する出資とかそういったもの、あるいは新事業分野の開拓のための資金需要に対する債務保証といったような
措置を講じておるところでございます。また、中小企業対策といたしましても、先ほどの事業転換対策臨時
措置法あるいは特定地域中小企業対策臨時
措置法等に基づきまして低利の金融
措置を講じておるといったようなことで、税制上の恩典を受けがたい企業に対しましても金融上の
措置でカバーをしておるというような実態でございます。
-
○玉置
委員 今お話がございましたように、中小企業を中心にして、特に利益のない企業にとりましては金融政策というのが一番よく効くわけですね。いろんな事業、特に中小零細企業の運営というのを見ておりますと、大変資金繰りが不安定である、こういう問題の中で、今回仕事量も減った、あるいはもう運転資金そのものが底をついてしまった、こういうのが多いわけです。
今通産省の方からお話がございました中で欠損金の繰り戻しというのがございましたけれども、これは昨年でございましたか、いわゆる法人税の関係で繰り戻しをやるのを何年かスキップしましたね。あれは三年ですか、一年パスして戻ってくる、こういうことでございまして、そういう話があったのですが、これだけの
措置をやりながら、欠損金の繰り戻しをもう一回戻す、要するに当年度から即間に合うように逆に改正しなければいけないと思うのですが、これについて大蔵省としてはどういうふうにお考えになりますか。
というのは、もっと簡単に言いますと、今回の円高対策、不況のための税制上の
措置がいろいろございますけれども、それも一つの方法でございますが、より大きいのは、今欠損に落ち込んだ企業、これを救済するのは今までの利益金の中から繰り戻しを行うのがより効果があると思うわけですし、昨年は、こういう状況にありながら、この法人税の繰り戻しについて、赤字欠損に落ち込んだ企業の繰り戻しについてスキップするということになってしまったわけですが、これを戻す検討は行わないのですかということでございます。
-
○水野政府
委員 欠損金の繰り越しにつきまして、昨年の改正でここで御審議をいただき、直近一年分につきましての繰り越しによる控除は御勘弁いただきたいということを去年御提案申し上げ、二年の期間で現在お願いをいたしておるところでございます。
一方、繰り戻しにつきましては、一年間の繰り戻しというのがございましたが、五十九年度の改正におきましてこれは停止させていただいておるところでございまして、厳しい財政事情のもとでございますので、現在の情勢からいたしますと、その点におきますところの見直しは難しいのではないかと考えておるわけでございます。
-
○玉置
委員 それでは大蔵大臣にお聞きをいたします。
いろいろな円高対策、
租税特別措置法そのものが非常に異例ですね。特例
措置というような形で政策的にいろいろな要素を含んで、本則をこの租税特別
措置によって変えていこう、こういう流れがあると思います。いわゆる従来からの慣行として流れてきた本流がございまして、その流れを欠損金の繰り戻しの延期とか停止によって変えていく、変則で今の行政が行われているということでございまして、本来でございますと本則に戻した方がより対応できるのではないか、こういうときには早急に本則に戻すことを検討していかなければいけないと思います。
一つの例として今申し上げましたけれども、大蔵大臣は、大蔵省という行政機関のあり方として、いわゆる本則の方が本当は正しいのだ、こういう特別
措置はあくまでもそのときの政策的なものであり、例えば今の欠損金の繰り戻しにつきましては、あのときは、財政上大変苦しいから繰り延べで何とかその辺の資金運用を確保しよう、こういうねらいがあったと思いますけれども、今既に欠損金を戻してほしい側の立場からしますと大変なところに追い込まれておる、こういうことでございまして、去年と令ともう情勢が変わっているのだ、こういう観点に立ちますとむしろ本則に戻すのがいいのではないか、私の意見ですけれどもそう思います。本則と今度の特例
措置、いろいろ選択の時期によって方向が変わりますけれども、こういう場合の対応として、より現状に合った方に戻すべきだ、こういうふうに私は思うのですけれども、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
-
○水野政府
委員 大臣のお答えの前に、事実関係といたしまして、この数年間は、財政事情からいたしまして、欠損金の繰り戻しの停止でございますとか、
所得税額控除の還付の場合の繰り延べでございますとか、先ほど申し上げました欠損金の繰り越しの直近一年間の停止でございますとか、もろもろの
措置を講じさせていただいているところでございます。五十九年には、一兆円に近い本格的な
所得税減税を行わせていただく、そのための一つの財源として欠損金の繰り戻しの停止をお願いしたわけでございまして、そうしたもろもろの
措置の背景となりました財政事情は、現時点におきましては必ずしも好転をいたしておるわけでございませんので、欠損金の繰り戻し還付の停止、
所得税額控除の還付の繰り延べ、また欠損金の繰り越しの直近一年間の停止はなおお願いをせざるを得ない実情にあるわけでございます。
しかしながら、こうしたものは、どちらかと申しますとやややりくり
措置的な制度であることもまた否定はできないわけでございまして、こうしたものがいろいろ積み重なっておりますのが現在の税制を複雑にしている一つの原因でもあろうかと思われるわけでございます。税制の抜本的な改革、見直しが行われ、財政事情が安定してまいる時点におきましては、こうしたものはできるだけ整理と申しますか、本来の姿に戻していく、
委員御指摘のような本則的なものに戻していくのが大きな方向ではないかと思うわけでございます。その際におきましては、当面の景気の情勢等もまた一つの判断の基準になろうかと思われます。しかしながら、その背景となっております財政事情は、こうしたや力くり
措置を講じてまいりました段階と比べてまだ好転をいたしておるわけでございませんので、できるだけ早くそういう本来の姿に戻せる財政事情になることを私どもも期待いたしておるわけでございます。
-
○宮澤国務大臣 今お聞きのとおり、やはりやりくりをするのでちょっと財源を稼ぎたいといったような施策が残っておる点は確かにあると思います。今度税制の抜本的改正をさせていただきまして安定的な歳入が確保できて財政が普通になりますと、こういうやりくり的なものはやはり本則に返していくのが本当であろうと思います。
-
○玉置
委員 まだまだその関係でお聞きしたいのですけれども、時間が五時まででございますので、一応この問題はこの程度にしたいと思います。
通産関係の方、もう結構でございます。ありがとうございました。
それから、減価償却でございますが、今特別償却がかなりありまして、これこそまさに利益が出ておりますと含み資産という形で企業の内部留保につながっていくわけですが、私も従来からこの減価償却の年数変更についてずっと大蔵
委員会で訴えておりましたけれども、現状と償却のいろいろな省令、これが合わないというようなところからようやく改正の方向が打ち出されてきておる、こう思います。この動きがどの程度今行われてきているのか、それについてお聞きをしたいと思います。
-
○水野政府
委員 今回の税制の抜本的な見直しに当たりましては、減価償却のあり方と申しますか、耐用年数のあり方につきましてもいろいろ検討はされたわけでございます。
昭和三十年代の終わりごろに耐用年数につきましてかなり基本的な見直しが行われて以来、割合長期にわたってその基本的な見直しはなかったわけでございます。そうした点からいろいろ検討はいたしたわけでございますが、その一つのデータとして実態調査等も行わしていただいたわけでございます。その実態調査の結果等によりますと、現在の法定耐用年数に比べまして、どちらかというと耐用年数よりも長い期間御使用になっているというケースが比較的多かったという結果が出ておりまして、去年の秋の税制調査会にこれを御報告申し上げたところでございます。
こうした実態でございましたので、ここで全面的にこれを改定するというところには至らなかったわけでございますが、いろいろな経済情勢の変化、技術の進展等も踏まえまして、やはり個々の問題につきましては耐用年数が実態に即するように見直す必要はあるわけでございますので、そうした点、全面的と申しますか、全般的な観点からこれを短縮するというふうには至らなかったわけでございますが、必要なものを必要に応じ個々に見直しをしてまいるのが適当ではないかといったような考え方から、今後個別的に検討をさせていただければと思っておるわけでございまして、
昭和六十二年度税制改正におきましても、幾つかの品目につきまして関係省庁等と詰めまして適切な見直しを行いたい、このように考えておるわけでございます。
-
○玉置
委員 確かに使っている機械が古いというのはあると思いますけれども、それぞれ技術革新がありますし、日本だけじゃなくて外国との競争もあるわけです。特に鉄なんかの場合には、今設備的に見て韓国なりあるいはオーストラリア、中国、そういうところに追われているような感じもありますし、アメリカもちょうど落ち込んだときに装置を全部がえてしまったというのもございまして、設備的に非常に非能率といいますか、競争力のない形になってしまっている。これは減価償却を終わりまして残存五%だけ残ります。残りはいわゆる利益金に回るわけですけれども、原価が下がるわけですね。
〔
委員長退席、熊川
委員長代理着席〕
そうなってまいりますと、今度自分たちのそれを使ってきて内部にためてきたお金で買いかえをする、いわゆる償却益の中だけで新しい機械、設備を買うということになりますと、性能の小さい、また規模の小さいものを買わざるを得ないということで、どうしても今以上のものを買うというのは非常に難しくなります。同じものを買うにしても、十五年ぐらいたちますと設備費も二倍ぐらいにはなっているだろうし、こういうことを考えていきますと、何らかの形で内部留保を高めていってそれが事業の継続に寄与するということを考えていかなければいけないと思いますので、減価償却の見直しについてぜひより前向きの姿勢で臨まれるように希望いたしたいと思います。これだけやっているとまた延々と続きますので、また別の機会にこの続きをさせていただきたいと思います。
きょうあと準備いたしましたのは、
売上税関係を言わないようにして
売上税のことを聞くというのがございますし、あと土地税制の問題ですね。今回、土地税制で、異常な土地の値上がりの関係を税制の面から見て、あるいはいわゆる土地供給という面から見て、それぞれどうお考えになっているかということをお聞きをしたいと思います。
まず、昨年でございましたか、特に六大都市になりますけれども、六大都市の中で路線価、いわゆる道路に面したところの価格がほとんどのところが昨年一年で上昇率五〇%を超えてしまっている、こういう問題がございます。これは、一つには不況との絡みで、普通は不況対策のためのいろいろな資金が要るはずなんですけれども、経済的に規模が大きくなりまして企業間でやはり資金的な余裕がある、あるいは金利が非常に安い、ですから銀行からどんどんと資金が流れる、こういうふうな問題があると思います。
この路線価が五〇%を超えてしまっている、こういうのは住宅地におきましてもやはり値上がりに大変影響を受けて従来よりも高い土地価格の高騰につながってきた、こういうことがございまして、今回提言されております土地税制の改正につきましては、一つには重課として抑える部分と、もう一つは十年を五年、いわゆる長期譲渡の部分について十年を五年というふうに短縮される、いわゆるあめの方というのが準備をされておりますけれども、お聞きをしたいのは、土地税制が
昭和四十三年あるいは
昭和五十年、ずっと切れ目切れ目にやっておられますけれども、土地税制の機能というものがどういうふうに働いてきたのか、これをどういうふうに把握されておるのか、それをまずお聞きをしたいと思います。
-
○水野政府
委員 土地政策につきましてはかなり税制に期待される面も多く、先ほど
委員御指摘のように四十三年でございますとか五十年でございますとか五十六年、その時点その時点でかなりな改正も行われておるわけでございます。しかしながら、やはり基本的には土地政策というものに果たし得る税制の役割というのは補完的なものではないか、税制それ自体で土地問題が解決されるほどの効果といったものはなかなか期待できないのではないか、あくまで補完的なものにとどまらざるを得ないのではないかというのが従来からの税制としての考え方でございます。累年の税制調査会の答申でもおおむねそのような方向で述べられておるわけでございます。
〔熊川
委員長代理退席、
委員長着席〕
そうは申しましても、やはりほかになかなか有効な施策がないといった面もございまして、年々もろもろの
措置が講じられ、ある場合にはこれが強化されたり、ある場合には供給促進ということでこれが緩和されたりするといった点も見られるわけでございます。しかしながら、そもそもは補完的なものであるべきこと、それからまた安定したものでございませんといろいろなまた思惑を生んだり納税者の期待に反するようなことになる点もございますので、あくまで補完的なものであり、またできるだけ安定的なものとしておくことが望ましい、こうした基本的な観点に立ちながら、しかしながらまた最小限度その時点での政策的要請には応じつつ改正を行わさせてきていただいておるといったのがこれまでの姿ではないかと思うわけでございます。
-
○玉置
委員 今の水野さんのお話を聞きますと、あくまでも確かに補完的でございますが、今の土地価格高騰なんかを見ると、税制上上がったのは余り関係ないよというようなそんな気がするのですよね。というのは、どっちかというと土地政策というのはまずやはり住宅政策なりあるいは区画整
理事業とかいろいろないわゆる国土開発の観点からやっていくということになると思いますけれども、私たちも地元を歩きまして、公共事業に供出をする土地の問題とか、あるいは区画整
理事業で市街化区域になってしまった農地の問題とか、いろいろな問題をお聞きするわけですが、やはり今の税金がこうだから今のうちにとか、結構そういう意味では土地譲渡の動機にはつながってきていると思うのです。確かに補完的な部分はあると思いますけれども、例えば今回の二年以内を重課にするというような問題は確かに大きな効果が出てくると思います。しかし、今まで余りにも土地税制が甘かったのじゃないか、私自身はそういうように思うのです。
それは別にしまして、国土庁がお見えだと思いますが、国土庁が大体今の土地関係、特に価格、供給、そういう面で一番責任を持っておられる部署だと思いますので、国土庁として今の土地価格の高騰をまずどういうふうに考えられるのかということ。それから土地政策、税制とかいろいろな方法がございますけれども、特に当
委員会は大蔵でございますから、税制上のいろいろな制約というものがどの程度効果があるか、それについてお聞きしたいと思います。
-
○片桐説明員 最近の地価につきまして申し上げますと、全国的には引き続き安定しているわけでございますけれども、東京圏におきましては商業地、住宅地とも地価の上昇の著しい地域が拡大しているわけでございます。
この東京の地価高騰は、旺盛な事務所ビル需要が都心部に集中しているということが基本的な原因でございまして、投機的取引がこれに拍車をかけている面があるのではないかというふうに考えております。したがいまして、地価高騰の抑制のためには、土地供給対策と投機的な土地取引の抑制の双方を含んだ総合的な価格対策が必要であるというふうに考えておるわけでございます。
土地税制につきましては、土地供給の促進という面と投機的土地取引の抑制の両面において、総合的な地価対策上有用な政策手段であるというふうに考えているわけでございます。現下の地価高騰に対しましても、供給促進の観点から、譲渡所得についての長短区分の変更とか、投機的取引の抑制の観点から超短期重課の創設をお願いしているところでございます。
-
○玉置
委員 今の話で、二年以内のというのは、むしろ投機抑制ということになると思います。ただ、その二年以内を抑制しながら、何で十年を五年に短縮したのか、この辺が私はよくわからないのです。二年を抑制して五年にすると、あと少し辛抱すれば土地転がしができる、こういうことになるのじゃないかと思いますので、そういう面で見て、五年というのは長期というにはちょっと短か過ぎるのではないか、こういうふうに思います。
私が大変心配しますのは、確かに今までの土地供給を見て、国税庁の納税の様子を見ますと、長期譲渡の方の納税額はどんどんとふえてきています。短期譲渡につきましてはどんどんと低下をしてきている。こういう状況でございますから、長短区分というのは確かに大きな要素にはなると思いますけれども、私の心配する、十年以上というのを五年以上に変更した場合にいわゆる土地投機対象になるのではないか、こういうことについて国土庁はどういうふうにお考えになっているかというのをお聞きしたいと思います。
-
○片桐説明員 昨今の地価高騰の一因となっておりますいわゆる土地転がしというものにつきましては、通常半年程度のごく短い期間で行われているというのが実態でございまして、そうした実態を踏まえまして超短期重課制度というものの創設をお願いしたわけでございます。
長短区分を十年から五年に変更することによりまして土地供給が促進されるという面と寸確かに五年という期間を短縮することによって投機的な土地の取得を促進する面があるのじゃなかろうかという懸念を私どもも持ったわけでございます。そこで、今回の十年から五年への長短区分の変更につきましては三年間の時限
措置ということでお願いいたしておりまして、これから土地を取得しようとするものにつきましてはこの長短区分の変更については適用されないということでございますので、五年を超える土地転がしを目的とする土地取得を助長するという効果は、今回の長短区分の変更ではそういう効果はないのではなかろうかというふうに思っておる次第でございます。
-
○玉置
委員 だけれども、監視体制といいますか、その辺で投機のないようにぜひ国土庁の方で抑えていただきたい、かように思います。
続きまして、もう時間もございませんので、
大型間接税の定義、
大型間接税というものはどういうものか。というのは、従来、私たち大蔵
委員会の中であるいは大蔵省の中で
大型間接税という言葉がしょっちゅう出てきておりまして、しかしその割にはこれという概念的なものがない、こういうことになっていたわけです。ところが、どなたかが予算
委員会で定義をされて、行政あるいは一般的な学者を含めて、これがあたかも
大型間接税である、こういうふうな論議をされておりまして、どうも腑に落ちない、私はそういうふうに思うわけです。やはり一番関係の深い大蔵大臣が
大型間接税というのはこういうものであるというふうに大蔵省を代表して行政的な解釈ということでやっていただけるならわかるわけでございますが、今はそうじゃないという形になっておりまして、
大型間接税というものについての御意見をぜひお聞きしたいと思います。
時間もございませんので、まず大型を除いて間接税、これについて私思いますのは、納税者と担税者が異なることを前提にした税制である、こういうことですね。それから、いわゆる一般的な
大型間接税というものは、個別消費税と一般
売上税、こういういわゆる間接税形態に含まれている、そういうものから構成をされている、こういうことも言えるかと思います。大型を除きまして考えていくと間接税というものはそういうものである。
それでは、大型というものはどういうものであるかということで、今まで
大型間接税と言われておりましたのは、概念的にはいわゆる一般消費税、これが昔出されまして、このことをみんなが一般消費税と言わないで
大型間接税というふうに言ってきた、こういう解釈をいたしております。ところが、一九八〇年十一月税調答申の中で「課税ベースの広い間接税」、こういうふうに言われ方が変わってきた、こういうふうな経過があるわけでございまして、やはり概念的なものにほかならない、こういうふうに思います。
我々が大型と言うのは、それぞれ比較するものによってみんな違うわけですね。例えば法人税が今十二兆円ぐらいありますけれども、十二兆円ぐらいあったら大型だとか、あるいは酒税が一兆六千億ぐらいですか八千億ぐらいかそのぐらいありますけれども、個別消費税の中では大型なんですね、それぞれ見ていきますと。だから、比較するもの、隣の人より大きいかというのもありますけれども、そういう比較をする。例えば手の大きさでもそうですけれども、私の手があります、だれと比較するかで大きい小さいというのは変わってくるわけです。しかし、一般的に平均より大きいのじゃないかと思えば大型だし、平均より小さかったら中型なり小型、こういうことになるわけで、まず
大型間接税の定義を大蔵省としてどういうふうに定義づけられているかということをお聞きしたいと思います。
-
○宮澤国務大臣 お名指してございますけれども、どうも寡聞にして私
大型間接税というものの定義がありますかどうかよく存じません。主税
局長からお答えいたします。
-
○水野政府
委員 大蔵省として
大型間接税といったものにつきましての厳密な定義を持っておるわけではございません。これまで国会での御議論の中でいろいろこういうふうに言われているということは私どもといたしましても承知をいたしておるわけでございます。六十年二月二十日の衆議院の予算
委員会で一つの言い方がされておるわけでございまして、多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方はとらないという御説明がされておるわけでございます。また、去年の十一月の予算
委員会におきまして、縦の各段階、横の広がり、縦横十文字でやっていく、それを包括的、普遍的というので、全部ひっくるめて取ってしまう、そういうようなものではないといったものが説明をされておるわけでございまして、こうしたことからいろいろ御判断をいただければと思うわけでございます。税制といたしまして、また私どもといたしまして厳密な定義を持ち合わせをしているわけではないわけでございます。
-
○玉置
委員 それでは、そういう多段階、包括的、網羅的で縦横十文字という税制でなければ
大型間接税でないということでございますが、そういうことは普通考えられないですね。ある程度税というのは非常に簡素にできておりまして、それが縦横十文字で網羅的にというのは非常に考えられない。それから、我々が大体言っておりますのは、例えばEC型付加価値税、こういうものも
大型間接税である。そういうEC型付加価値税が縦横十文字であるかどうか、この辺、水野
局長の御判断をお聞きしたいと思います。
-
○水野政府
委員 その二月二十日の御議論の中でも、すべて、縦横十文字でございますとか、包括的、網羅的といったものも、それぞれ厳密な定義があっておっしゃっておるものではないというふうに説明がされておるわけでございますので、厳密に
大型間接税であるか否かにつきましての御議論は私どもとしては少し難しい話でございます。
ただ、先ほど
委員も申し述べておられました、法人税でございますと十二兆円ございますが、これは国税、地方税合わせますと十八兆円程度のものになりますし、所得課税でございますと二十二兆円といったものになるわけでございます。また、ただいま御指摘のございましたヨーロッパの例でございますと、ヨーロッパにおきましては行われておりますのは付加価値税でございますが、フランスにおきましては税制全体の中の税収のウエートとしては四五%、ドイツにおきましては二九%、イギリスにおきましては二二%といったような大きなウエートを占めておるわけでございますが、今回御提案申し上げております
売上税につきましては、これは平年度ベースでございますと、譲与税等で配分される分もございますので、国税、地方税とを合わせて考えさせていただきますと八%台のものでございますし、また初年度におきましてはこれは三%程度のものであるといったようなことは申し上げられようかと思うわけでございます。
-
○玉置
委員 時間が来たので終わりますけれども、間接税の中で一番大きいものが酒税の一兆九千七百億ですね。それから揮発油税の一兆五千七百億、物品税の一兆六千二百億ということになっています。ですから、これよりも大きいということは事実ですね、今度予定されているものは。それだけ聞いて終わります。
-
-
○水野政府
委員 数字で申しますとそういうことでございますが、酒税におきましても
昭和三十年代前後は税収ウエートとしては一〇%から二〇%近いウエートを占めていたという時代もあるわけでございまして、時代の推移に応じましていろいろな規模のものに相なるのではないかと思うわけでございます。
-
-
-
○
工藤(晃)
委員 工藤です。私は大蔵
委員会のこの席に初めて立ちますが、先ほど来伺っているとかなり多様な問題が取り上げられておりますので、私も最初に法案を離れて一、二の問題をやりたいと思います。
さて、大蔵省発表の資料につきまして最近感じていることがあります。
「二十一世紀に向かって」のパンフとか、こんなのも出されておりますが、そのほか、これは調査室でおつくりになったのでしょうが、この資料ももとはみんな大蔵省の資料だと思います。
この中で一つだけちょっと取り上げてみたいのですが、日本は貧富の差が大変少ないのだと言って、日本は六十年に第一分位、第五分位で二・九倍、アメリカは五十九年ですが九・一倍である、こういうことを言っているわけであります。しかし、さて、総務庁統計局の家計調査年報の一九八五年によりますと、確かにここに勤労者世帯の年間収入五分位階級というのがあります。その第五表というのを見ますと、そこで第一と第五を比較しますと、年間収入で第一が二百七十八万円、第五が九百四十九万円、そうしますと三・四倍ということになりますが、なぜ二・九倍という数字の方が書かれたのですか。少ない方がよさそうだと思ったからでしょうか。お答えください。
-
○水野政府
委員 二・九倍と申しますのは、家計調査年報におきますところの五分位での実収入をとった一分位と五分位との比較でございます。
-
○
工藤(晃)
委員 そのくらいのことはよくわかるのですが、実収入と比べて年収入、どこが違うかというと、有価証券や財産の売却などの収入がこの実収入では入ってこないわけですね。いやしくも貧富の差とかそういうことを問題にするときには、当然収入の多い暦の人がキャピタルゲインを持っているということからこの三・四倍という数字をとるあるいは示す方が良心的であるのに、それを実収入で二・九倍にした、これが第一点であります。
二つ目に、これはちょっと大臣に伺っていいかな、勤労者世帯の中には社長、取締役、
理事などは入っているかどうか。どうお考えでしょうか。
-
○水野政府
委員 家計調査の分母といたしましては、サンプルとしてとってございますので当然そういった方も入っておろうかと思いますが、あくまでそれは一定の方式によりまして抽出いたしておりますので、そういう人たちが特に多く入っているということでもなかろうかと思うわけでございます。
-
○
工藤(晃)
委員 全然だめ。ちょっと読みましょう。「用語の説明」、家計調査年報、「「勤労者世帯」というのは、世帯主が会社、官公庁、学校、工場、商店などに勤めている世帯をいう。ただし、世帯主が社長、取締役、
理事など会社団体の役員である世帯は「一般世帯」に区分されている。「一般世帯」とは、勤労者世帯以外のすべての世帯をいう。」というので、今の答弁は落第でございますが、問題は、わざわざ社長や重役の入ってない勤労者世帯をとって、それで五分位で、しかも実収入というベースで二・九倍だと言っている。だから、社長やその他が入ってくるのは「全世帯」というところになりますが、それで年間収入で見ますと、第一が二百二十六万、第五が千十三万円ですから四・五倍ということになってきて、二・九倍ではなしに四・五倍というのがより実態をあらわした数字になるということになりますが、いかがでしょうか。
-
○水野政府
委員 私ども、今回の検討に当たりましては、まずサラリーマンの方の
所得税をどのように考えるかということを出発点として検討させていただいたわけでございまして、専ら勤労者の方々の累進構造がどうあるべきか、そういう点から検討に着手した点からいたしまして勤労者の世帯の数字をとったわけでございます。
-
○
工藤(晃)
委員 このパンフに書いてあるのは、今度の税制改革全体を何のためにやるかというので、要するに所得格差が縮小して、それで例の負担をみんなで薄く公平に分かち合う、これは
売上税のことですか、そういうところにいくわけで、何も勤労者世帯のことを書いてないのです。しかも、ここに比較されているアメリカの家計調査における全世帯、このアメリカの家計調査なるものはそれこそサラリーマンばかりでつくられているのですか。そうじゃないでしょう。もう時間がないから私の方で言ってしまいましょう。アメリカには家計調査というのはないのです。USビューロー・オブ・ザ・センサスのマネー・インカムズ・オブ・ファミリーズですから貨幣収入、収入調査なんですね。それで今言った九・一倍であって、これは何も勤労者世帯とかそういうのに限られてないわけですから、この比較というのはますます意味をなさなくなってくるわけです。統計そのものが直接うそをつくわけではありません。確かに勤労者世帯の実収入ではこうだ。しかし、何かある印象を与えてしまうような使い方というのは大変に問題があります。
この問題についてもう一つ指摘だけしておきたいのは、日本の貧富の差を家計調査を使ってやるというのは、これまで専門家の中で家計調査は使えないということになっておりました。何となれば、一人世帯というのは調査に入ってきません。それから、家計調査であって非常に面倒くさいですね。目方をはかったりしてどれだけ何を買ったというのですから、それにたえられるような方だけがこれに加わるということもあります。収入調査が主な目的にもなっておりません。そういうことから、家計調査というのは大変無理であるというので、例えば私ここに一冊の本を持ってきましたが、石崎唯雄さんというのは企画庁におられた方で、また国民生活研究所調査研究
部長として長く国民生活の実態の研究に携わってきた方でありますが、この方は就業構造基本調査などを使って、「以上の諸点から見て、日本はOECDの平等国のトップにあるのではなく、ほぼアメリカに近く、最も不平等国に属しているといってよいのではないかと思う。」こういう一つの結論を出しております。私は今ここでこれを深く議論するつもりはありませんけれども、私が言いたいのは、大蔵省が国民に示す数字、それが、こういういろいろな実態の調査があるにもかかわらず、それを離れて、何となく都合のいい二・九倍という数字を出して、貧富の差はなくなった、こういうような宣伝はやはり反省していただかなければならないということであります。
そこで、もう一つ私はまた取り上げざるを得ないのですが、「税制改革の家計の負担に与える影響に関する仮定試算」、法人税減税は勤労者へ還元されるということでいろいろな計算がされたあげくに、先ほど言いました勤労者の五分位の第一から始まってどの五分位も結局減税になる、こういう計算がされております。私がここで問題にしたいのは、この大蔵各の資料の例えば法人課税で、第一分位は一万九千円返ってくる、第二分位では二万六千円返ってくる、第三分位では三万一千円返ってくるという極めてコンクリートな数字でこれが示されたということ。少なくとも、ある年に所得減税がこれだけやられ、増税がこれだけやられ、法人税の還元がやられるということからいえば、確実にその年にこの階層にはこれだけ返ってくるという計算でなければ書けないはずである。
一つだけこの計算の非常におもしろい特徴を述べたいと思うのです。
売上税は、二兆九千億円というのが増税ですから、人口一人当たりにすると二万四千円、四人家族でいうと九万六千円です。この第三分位で見ますと、平均すると九万六千円ぐらいになりそうなんですが、
売上税での増税は四万八千円、ちょうど五〇%の数字をとって増税ということが書いてあるわけです。私はこれを今いろいろ検討するわけではありません。
もう一つ、法人税が幾ら返ってくるかというのは、これは一兆八千億円ということでありますから、仮にばらまいたら一人当たり一万七千円、四人家族でいくと六万八千円です。この第三分位でいいますと実に三万一千円が返ってくるということになると、法人税を人口一人当たりで割ったその数の五二%が勤労者世帯に返ってくる。そうすると、間接税というのは業者が納税するけれども消費者が負担する、その意味でいうと消費者が全部負担しなければならない。その増税の仕方が少し甘いのではないかという問題がありますが、それを離れても、逆に法人税の方が
売上税以上に高い比率で勤労者世帯に還元されるという計算に事実上なっているわけですね。
そうすると、私が大臣に伺わざるを得ないのは、法人税というのは間接税ですかどうですかということ。それからもう一つ、間接税でないとしたら、法人税で減税したその全額を何らかの形で、値段を下げる、賃金を上げるで勤労者に返しなさいというそういう新しい
法律でもおつくりになるのか、どちらかでなければおかしいと思うのですが、それを伺いたいと思います。大臣、いかがでしょうか。
-
○宮澤国務大臣 今の表を私は拝見してないのでお話だけ伺っていましたけれども、恐らくそれは、法人税を半分は株主に帰属する、半分は消費者に帰属するという例の方式によりまして、そういう前提のもとにその五分位の世帯で株式をどれだけ保有しているかということから、今三分位とおっしゃったと思いますが……
-
-
○宮澤国務大臣 その辺のところは株式の保有が多分下より多うございますから、そこで法人税の減税分の割り当てが大きくなっている、そういう推定、モデルではないかと思いますけれども。
-
○
工藤(晃)
委員 それぞれの層が幾ら株を持っていて配当をどのくらいもらっているという計算は私もしてきています。しかし、ここでそれをやると長くなって租税特別
措置にいきませんけれども、そもそも、私もこの前テレビ討論会で申しましたが、経営者の皆さんは減税を受けたら還元するなんてだれも言ってないわけです。私もそう言いました。その後、これは朝日新聞ですが、「経営者の大多数はこれに首をかしげている。経済同友会の諸井虔副代表幹事は「米国企業と違って日本企業は配当性向にそれほど敏感でないし、製品価格や賃金は税金と別の要素で決まることが多い。減税分は内部留保に回るケースが多いのではないか」と話す。」それから、この前予算
委員会で公聴会がございまして私も公述人に質問しましたが、全民労協のアンケート調査がそこでも大変詳しく
紹介されました。答えのあった九十八社のうち、明確に個人に還元すみと答えたのは五つの会社だけで、あとはどこもそんなことはしないということですが、そもそも経営者が返さないというのをなぜ返ることにして計算しなければならないのか。そこで私はさっき言った質問を設定したわけです。経営者は返したくないと言っているのに、返すとすれば、それこそ何か強制手段が働かなければいけないということですね。
また、日本銀行の調査月報、昨年九月になりますけれども、今の特徴、特に五十年代に入ってからの大きな特徴というのは、企業の自己資本比率及び内部留保比率が上昇傾向をたどっている、経営全般にわたる減量努力などで総資本利益率が改善傾向をたどっている、企業が経営の安定性の観点から自己資本充実、内部留保蓄積へのインセンティブを高めていることなど。こういうことをしながら同時に経団連は政府に対して法人税の減税ということを盛んに要求してきたわけであって、この内部留保をますます高めるという方向でこれが出てきているのであって、これを大蔵省の方が勝手に何か還元するというようなことを計算で示すということになると、これは今の経営者の皆さんたちの実徳にも合わない。今の企業が進んでいる実態にも合わない。先ほど言いました半々が返されるというのは、一体何かそういう特殊な定説みたいなのがあるのですか。それだけちょっとお伺いしておきたいと思います。
-
○宮澤国務大臣 経営者がそう考えてないというアンケートは私も拝見をしましたけれども、私はあのアンケートはこの問題については実は余り適当な関係を持っていないと思うのです。それは、経営者がぜひ価格を引き下げたいとか配当をふやしたいとか賃金をふやしたいとか、そう思っているということと関係がなくて、社会現象、経済現象として競争社会ではそういうことが起こるんだということが大事なんだと思います。経営者御自身はそれを希望しておられないかもしれませんね。あるいは意識しておられないかもしれません。しかし、こういう競争社会においては、市場経済においては、そういうことが現実に経済現象として起こっているんだということが大事なことだと思います。
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○
工藤(晃)
委員 そうすると、市場競争ということを通じて、あれで見ると全額が一年以内に完全に勤労者のもとへ返ってくるという説をとられているということになるわけですね。そうでないと話が進まないし、今の回答にならないと思います。しかし、これは学者の中でこれまで議論はいろいろあったのですけれども、だれもそういうことが確かだと思っていないのですよ。どうも大臣だけのようなのです。
それで、ちょっと私も厚い本をいっぱい持ってくるのは嫌ですから幾つか抜き書きを
紹介させていただきますけれども、佐藤進さんの「財政学」というのがありますね。七六年十一月に出されましたが、「法人税転嫁をめぐっては、このように見解が入りみだれており、ある意味で「不毛」の議論が積み重ねられている」。百六十九ページです。
それから石弘光さんの「租税政策の効果」ですが、これは七九年三月。「アドラー=シュレジンガーからペックマン=オークナーまでの諸例を拾い上げてみたが、どの仮定が最も良いのかを判断する基準はない。理論的にも経験的にも、これといった決め手は存在しない。」百九十ページです。
それから、よくマスグレイブが引かれますので。さっき大臣が言われたのはマスグレイブ、ペックマンの一つの例だと言いますが、マスグレイブ自身、「財政学」のⅡ、これは八三年十一月に出ておりますが、「法人税の負担配分は、」「どのような転嫁仮説を適用するかによって非常に異なるだろう。」「いずれが正しい見解であるかは、現在も議論されている問題であり、租税政策における主要な未解決課題の一つである。」五百十二ページ。「租税の効果だけを取り出そうとする計量経済学的試みは、相反する結論を導いてきた。」「相反する結論」ですね。「そのため、引き続き議論されるべき問題の一つといえる。」これは五百二十七ページであります。
したがって、今大臣がお考えのように転嫁するのかしないのかというのは、議論はされたかもしれないけれども、まだ何の定説もないというのが定説になっているというのはもう今のことでおわかりいただけると思いますが、加えて昨年三月二十日の政府税調の法人課税に関する専門小
委員会報告の中でこう言っております。「法人税の負担が、賃金、製品価格等に影響を及ぼすことを通じ被傭者、消費者等株主以外の者にも転嫁されるかどうかについては、従来から理論、実証の両面にわたり種々の研究が行われ、大いに論議されてきたところであるが定説が確立されるには至っていない。」ということでございます。政府税調の専門家の方がこういうことを言っているのに、大蔵省はなぜまだ結論も出てない何か一つを引き出してやるのですか。しかも、さっき言いましたように、実態からいってもまことに怪しい。怪しいというかあり得ない。
そういうことで、この問題ばかりやっておれませんが、一つの税制改革で国民の負担がどうなるかというのは、その税制そのもので、間接税ならいいですよ、だれが払ってだれが負担するか。こういう法人税が一体どこへ行くか、そういう議論が何もはっきりしてない。しかも、実態的に言ったら、さっき言うような、これがいかにもコンクリートな数字で、ここには三万円、ここには二万円と書いて、結論としてこれで国民の皆さんは得をしますとこういう数字を示すということは、私ははっきり言ってやめていただきたいと思うのです。これは余り良心的でないです。だれかが研究で発表されるならいいですよ。そうでなしに、国民全体に向かって今度の税制改革で必ずこうなりますという数字としての資格は何らないはずじゃありませんか。悪く言えば、豊田商事とかいろいろ出てきますが、あのやり手というのは、あなたは必ず二〇%もうけますとか何十%もうけます。今度の税制改革で必ず皆さんは得しますという、そのたぐいに近くなってくるのですよ、これは。だから、そういう意味で、ぜひその資料はもう撤回していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。しないと、私はそういう非難を続けますよ。
-
○水野政府
委員 転嫁の問題につきましては、
委員全く御承知のとおりでございまして、いろいろ説があるわけでございますが、一方、財政学なり租税法におきましては、すべての租税負担というのは結局は個人に帰着をするということもまた定説なわけでございます。その転嫁と帰着の点につきましては、そこは分けて考えておられるというのが学識の通例ではないかと思うわけでございます。抽象的な法人といったものに帰着の結果として最終的な税負担を配分をして負担論を論ずるというのは適当でないというふうな考え方がどうも主流のような感じが私どもとしてはいたしておるわけでございます。そうしますと、どこかに最終的な個人の負担を描いて御議論を願わないと、やはり租税論としては適当ではないのじゃないかと思うわけでございます。
そこで、マスグレイブでございますとかペックマンでございますとか、確かにいろいろ仮説を立てておられるわけでございまして、それが株式と消費支出が半分ずつというものが定説として確立されているわけではないということは私ども承知はいたしておりますが、個人に何らかの形で配分して御検討いただく手だてはお示しをした方がよろしいのではないかということでお示しをしているわけでございます。すぐ六十二年度、六十三年度にそういったものが配分されるということは申し上げてないわけでございまして、例えば利子課税につきましても、こういったものの制度が完全に平年度化するのは十年後くらいでございます。と申しますのは、郵便貯金が最長十年という期間があるわけでございますから。したがいまして、全体としての税制改革が国民経済の中に定着したときの個人としての御負担の変化はやはりお示しをするのが私どもとしての責務ではないかということで御提示申し上げた次第でございます。
-
○
工藤(晃)
委員 そうすると、要するに定説でないものを使って、アサンプションというのですね、これは臆測でもあるのですよ、それで国民にはいかにも確実な数字みたいに示したというのが一点。もう一点は、今言われましたね、これは一年、二年、三年先、いつ出てくる数字がわからない。しかし、国民に対しては、ことしのうちこの税制改革をやるとどうなる、そういうものを示さなければいけないのを、そういうものを示した、こういう問題も出てまいりました。
そういうことを含めまして、経済の実態なり実際の議論が今どこまで来たのか、もう少し御勉強になって、というよりも、少なくともことし出てこない効果ならばもう引っ込めてもらいたいと上りことを再度言いまして、今度は
租税特別措置法の方に移ります。
あと、この問題ではいろいろ伺いたいことがあるのですが、通産省、運輸省のこれらの法案と大蔵省の
租税特別措置法の改正案というのは、例えば石川島播磨重工で四十五日間で従業員の三四%に当たる七千人の物すごい首切りをやってのけた。鉄鋼大手五社が今度四万五千人の人減らし計画を出しましたが、これは約二七%になります。特に新日鉄の場合、室蘭、釜石、堺、広畑、八幡等々五つの高炉を休止して地域経済に大きな打撃を促進することになる、それにかかわる法案になるということをまず指摘しておきたいのですが、この問題で、鉄鋼が設備過剰というけれども、一体これはだれの判断でやってきたのか。これは、結局こういう過剰設備をつくったというのはやはり責任問題というのがあるのですが、これがさっぱり明らかにされていない。例えば、一九八五年の国際鉄鋼協会の第十九同年次総会でホッホラント会長があいさつをして、鉄鋼業の近年の歴史には判断の誤りが記されていることは確かです、これは認めております。しかし、この判断の誤りの主役はだれかというと、日本の大手五社で、例えば七四年と比べて八〇年の粗鋼生産能力を見ますと、西ヨーロッパは九・九%増、アメリカは二・六%マイナス、日本は一二・七%増、途上国が八一・八%増とあります。韓国の浦項第一製鉄所はだれがこれを全面的に支援したか、これは新日鉄と日本鋼管の援助であります。その後八〇年-八五年の鉄鋼の設備投資を見ても、日本がずば抜けて多いということが言えるわけであります。
それで、私がまず言いたいのは、こういう鉄鋼業界が誤った判断のもと、世界で最も過剰設備をつくり出すような投資をどんどんやって、過剰だということになると、今度は平気で、経営責任というのは何ら問われることなしに、二七%の労働者をほうり出す。それこそ関連あるいは協力会社を含めますと恐らく十万という人たちが職を失うでしょう。多くの地域がもう本当に沈滞してしまう、自治体も困ってしまう、こういうことをやる。こういうことを見ると、まずやらなければいけないのは、こういう過剰設備を招いた経営者の責任とかそういうことが問われて、その上でそれをどうするかということでなければならないのに、ともかくこういう犠牲だけを労働者や下請や地域に負わせるようなやり方がある。それをこの法案が応援するということになると重大問題になるということが一つであります。
それからもう一つ、それに加えて、今度の鉄鋼の合理化計画を見ますと、はっきりしているのは、これは大臣にこの問題だけでちょっと伺いたいのですが、さっきも大臣は、百五十円とかもっと突き進んじゃ困るのだ、本会議でも私の質問に若干そういうニュアンスで答えられたと思うのですが、しかし今度の新日鉄や各鉄鋼の少なくとも一九九〇年度までの計画を見ると、百五十円になっても大いにもうけられるようにということになっているのですね。これは鉄鋼だけではなしに、自動車を見ると大抵百四十円、百三十円、百二十円ですね。こういう日本の代表的な輸出メーカーが百五十円でも百四十円でも百三十円でも長期的に利益を上げられるいわゆる合理化ということをやると、それは物すごい人減らしになるというだけではなしに、実は外から見ると、日本という国は結局百四十円、百三十円、百二十円になったってやっていけるのだ、もっともっとということで円高を固定化してしまう、そういうことになりかねないわけなので、その意味でも、今度鉄鋼が出している合理化をそのまま認めてそれでこれに応援するようにこの法案を運用するのかどうか、その点だけ伺って、あと私は正森
委員とバトンタッチしたいと思います。
-
○中尾説明員 先生御指摘のように、昨年末以来鉄鋼業界各社よく合理化計画を策定いたしまして組合に提示をし、これを発表しているところでございますけれども、これは最近国内需要が急激に減退したいあるいは輸出競争力が低下した、あるいは市況が悪化したということで業績が非常に悪くなっているということでございまして、各社とも生き残るためのやむを得ざる
措置ということで生産体制の合理化を準備しているということでございます。鉄鋼の事情としては今申し上げたとおりでございます。
-
○
工藤(晃)
委員 大臣、今こういう代表的な輸出企業が百五十円とか百三十円というレートを長期的にとってどんどん合理化に突き進むというのは、かえって日本の円高を日本の方から固定することになるではないか、政府としては何も考えないのか、その点お考えをお伺いしたいと思います。
-
○宮澤国務大臣 それはしかしドルもこれだけ下がりましたから、Jカーブもいつまでもあるわけではないし、アメリカの輸出競争力というのはやがて回復すると考えることが私は普通だろうと思います。そこで、そういうことも考えながら今の百五十円というものをきっと合理化計画のそれこそベースに置かれたのだろうと思いますが、そうではなくてそれを逆に円の安い方へ安い方へ置かれたのでは、これはまたそうならなければ計画は壊れますから、やはりどうしたってかた目に考えていくということが経営者として当然おやりになるべき方法だろうと私は思います。
-
-
-
○正森
委員 私は
工藤議員に引き続いて関税関係について少し聞かしていただきます。
日本の市場の閉鎖性とかいろいろなことが言われますが、関税負担率で考えてみますと、
大橋局長、これは大蔵
委員会の調査室の資料にもあることですから私の方から数字を申し上げますが、関税負担率というのがあります。関税収入を輸入総額で割ったものですね。これを見ますと、日本が二・五、アメリカが三・四、ECが二・八、カナダが四・〇、オーストラリアが一一・一。これは一九八四年の数字ですけれども、我が国が一番低くなっているんですね。つまり、関税が非常に高いというようなことは決して現状ではない。これは非常にはっきりした数字であります。
それからまた、相手国市場へ相互にどの程度浸透しているか、この点については、最近、単純に貿易額だけを見るのではなしに、その国に進出している、例えばアメリカに進出している日本企業あるいはその子会社がどれだけアメリカ国内で販売しているか、あるいはアメリカの場合には、単なる貿易だけではなしに、日本に進出しているアメリカ企業ですね、それがどれだけ日本で売り上げをしているかという点を見なければ相互の浸透度というものは正確にはわからないのではないか。またほかにもいろいろ指標を利用しておられる方もおりますけれども。
そこで、我々がその点について調べてみますと、日本の対米輸出と在米日系企業の売上高、それを総計いたしまして仮にアメリカの人口で割りますと、一年二百三十七ドルになります。これは通関は大蔵省の通関統計を使っております。一九八三年であります。逆に、アメリカの対日輸出と在日米系企業の売上高を日本の人口で割りますと、四百五十二ドルになります。つまり、一人当たりにしてみればほぼ二倍ほどアメリカは日本市場に進出しているということも言えるわけで、それはもちろん何を基準にとるかで違ってまいりますけれども、そういうところから、貿易不均衡については日米双方の識者の中で割合冷静な意見が最近は見られるように思います。
例えばアメリカのベーカー財務長官なども昨年の十一月演説をされまして、「「われわれは製品の数量ワクよりも製品のデザインを立案すべきだし、市場の規制よりも市場計画をつくることだ。関税よりも品質を上げなければならないし、ロビイストよりも消費者にこそ電話を入れるべきだ」と述べ、保護主義より品質向上と市場開拓意欲が大事だと訴えた。」という記事もございますし、それから「生産性向上により国際競争力を回復」すべきだという意見も見えております。
例えば、ビジネス・ラウンド・テーブルの国際経済
委員会
委員長を務めるE・W・スペンサー・ハネウエル会長ですか、そういう方が去年やはり秋に演説をされて、「米国企業が戦略を転換しない限り、長期的視点に立って行動する外国の競争企業が最終的に勝者になるだろう。」「株主の各年ごとの評価より、長い目でみた競争力や成長を優先するよう企業の目標と戦略を再考する必要がある。そのためには米企業は投資をしなければならない。そうすれば現行の業績の水準以下の利益にとどまる。しかし、投資を選択しなければ外国企業との競合に直面して市場支配力が落ち、利益はその先、数年間低下するだろう。」という意見とか、あるいは米商務省のシカゴ出張所のジェラルド・マークスという方が日米貿易問題をテーマに講演をされて、シカゴでありますが、「米国の巨額の貿易赤字の原因として、いちおう外国市場の閉鎖性や米財政赤字にも触れたものの、あとはほぼ米国企業を批判」して、「大多数の米企業は輸出に全く関心がない」「目先の利益ばかり追う経営姿勢が国際競争力を損ねている」「米企業の海外生産拡大も赤字の元凶」というように問題点を指摘されたというようなことが日本経済新聞その他に載っております。
それで、
大橋局長も、「貿易と関税」という本がございますね、その本年の三月号に論文を書いておられまして、「市場開放に関しては、アクション・プログラムの実施等これまでに相当の実をあげてきているので、現在残っているものは、関税・輸入制限の分野では、一律的な関税引き下げに含めることができずに例外として残したものとか、輸入制限のうち撤廃できずにあとに残されたものとか、極めてハードコア的なものばかりである。」という御主張をされております。
そこで、こういう点を前提にして、我が国が関税で一方的な譲歩をするという姿勢がそれでいいのかどうか、それで問題が解決するのかどうかについて率直なあなたの御意見を伺いたいと思います。
-
○
大橋政府
委員 先生御指摘のとおり、アメリカの企業の日本における販売額あるいは日本の企業のアメリカにおける販売額というものを比較してみますと、アメリカの企業の日本市場における浸透度というのはかなり大きなものがある、これは確かにそのとおりでございます。また、アメリカの貿易赤字の原因としてアメリカ企業同体にかなりの問題がある、これもまた事実でございます。
しかしながら、現実に貿易がどういう意味で問題になっているかということになってまいりますと、これは実際はやはり雇用の問題に結びついてこの貿易の不均衡が切実な問題として米市民の一人一人の問題として感じ取られてきているということを考えなければならないわけでございます。そういう意味におきますと、我が国の対米の輸出につきましては、実は昨暦年は円建てでは一昨年に及ばなかったわけでございますけれども、アメリカにとってみますと、ドル建てで表示するこのドル建ての対日貿易赤字額が非常に大きなものになった。五百億ドルを超えた。日本の数字でも五百億ドルを超えているわけでございます。こういうことになりますと、このままこの日米の貿易の関係を続けていてそれが政治的にあるいは経済的に成り立つだろうかという認識を米側が持つのも、これは当然のことではないかと思うわけでございます。
ところで、現在の世界の貿易関係は自由貿易主義が隅々までとは申しませんがこれを堅持しつつ進められているわけでありますけれども、この自由貿易主義を進めてまいりましたのは、戦後においてはアメリカであり、また日本もこれに積極的に貢献しつつ繁栄を築いてきたわけでございまして、今後ともこの自由貿易主義を維持し強化していくということが日本経済にとって、日本国民の今後の生活にとって何よりも重要なことであるというふうに認識しているわけでございます。そのためには、今申しましたようなことを背景にいたしますと、やはり対米貿易の不均衡というものを何とか是正していかなければならない。また、具体的な数字としてあらわれないまでも、我が国が非常に努力をして、努力をした結果として市場の開放に努めていくということがアメリカ政府が自由貿易主義を国民に説得していくための大きな支えになるという考え方でございまして、やはりここは、苦しい点もございますけれども、自由貿易を守るために日本としてはできる限りの努力をしていかなければならない、こういうふうに考えているわけでございます。
-
○正森
委員 そこで経企庁と日銀に伺いたいと思いますが、経済企画庁は去年ですか十二月に世界経済シミュレーション研究というのを発表して、為替政策だけではアメリカに対して日本の黒字を減らすのは無理がある、アメリカの財政赤字削減などその他の諸方策が必要であるという意味の研究を発表されたと新聞に報道されております。また日銀は、ここに持ってまいりましたが、
昭和六十一年八月号の調査月報で、為替調整には限界があって米国自身が腰を据えた対策を進めるべきであるという意見をそれぞれ表明されているようですけれども、経企庁と日銀にその要旨と考え方について簡潔に答えていただきたいと思います。
-
○吉川説明員 お答えいたします。
私どもの方では世界経済モデルというのを持っておりまして、それによりまして政策変数を動かす格好で示しましたところでございます。ただ、これは幾つかの国がモデルになっておりますけれども、前提といたしましては一応日本とアメリカと西ドイツと三国についてのシミュレーションでございます。その場合に、為替レートの変更、それから金利政策における金利の引き下げ、それからさらに財政支出の変更、この三つを一応主要な政策変数としてやっております。
当時でございますから当然為替レートの変更に対する関心がございまして、為替レートにつきまして一〇%仮に変更がありますとどのような効果があるかということをまずやったわけでございますが、当然ながら一定の対外不均衡に対する効果はございます。例えば日本の場合でいきますと、九%くらいの円高におきましてGNP比の経常収支が、これは二年目でございますけれども、ほぼ〇・一四程度の効果がございます。同様に、アメリカにつきましても、アメリカの場合は引き下げでございますが、引き下げの効果、それから西ドイツにつきましてはマルク引き上げの効果が出ております。ただ、いずれも現在の規模、例えば日本で申しますと、去年の経常収支黒字のGNP比は四%を超えるものになっております。そういうレベルに対しましてはある程度の効果しかないということになっております。
したがって、やはり為替レート以外の政策を組み合わせて考えねばならない。その場合に先ほど御
紹介いたしましたまず金利の調整がございます。この場合は、いわゆる協調利下げと申しまして、三カ国で合わせてやりますと対外不均衡への効果が大きいということで、この研究では特に協調利下げにつきまして評価しておるところでございます。
それもまた一定の効果がございますが、さらに財政支出、日本の場合あるいは西ドイツの場合は財政支出の拡大でございまして、アメリカの場合は財政支出の縮小でございますが、これを組み合わせますとさらにまた同様の効果がある。こういうものを全体として組み合わせたところで調整を行っていけば、一年間にある程度の効果は期待できるということでございます。
ただ、この辺はいずれにしましても短期的な政策でございまして、なお研究で言っておりますのは、先ほど申し上げました今の対外不均衡の規模からいたしますと、同様に構造政策をやらねばならないということ。この構造政策は、先ほども御議論がございましたけれども、例えば輸出のあり方、輸入のあり方につきまして、モデルベースでいきますといわゆる弾性値を変えていかねばならないということも同様に研究の中で示唆している次第でございます。
-
○青木参考人 先生御指摘のとおり、私どもの昨年八月の調査月報の論文の分析によりますと、米国の経済構造は、輸入の価格弾性値が低い、一方で所得弾性値が高いということになっておりまして、ある程度の経済成長が続く限り輸入がふえやすい体質になっておるということでございます。こういう経済体質のもとで為替レートの調整をやりましても、もちろん貿易赤字削減効果はあるわけでありますけれども、かなり限定されたものにならざるを得ないということでございます。したがいまして、このアメリカの大幅な貿易赤字を圧縮するためには、輸入のふえやすい米国の経済構造自体を改善していく必要がある、こういうのが論文の趣旨でございます。
ただ、アメリカにおきましてもこういうことは最近随分意識されておりまして、この前のG7のパリ合意の中でも、不均衡是正のための経済政策協調の一環といたしまして、米国につきましては、財政赤字の削減のほかに、競争力の改善とか経済の力と柔軟性を強化するための広範囲な政策
導入がうたわれております。こんなふうなことで、向こうの方でも認識が深まっているというふうに思います。
-
○正森
委員 大蔵大臣、今、日銀や経企庁からも若干の見解を述べていただき、また私も貿易不均衡の原因については為替の問題だけではないということからいろいろ意見があることを御
紹介しましたが、アメリカの議会などでは非常に粗っぽい議論がまかり通っているのではなかろうか。
例えば、あえて名前は言いませんが、テキサス州選出のある下院議員などは、トルーマン大統領は二個の原爆を落としたが、四つ日本に落とすべきだった、四つ落としておけば今日のような日本経済の復興も対米製品輸出もなかったと受けとめられる発言だったというように報道されております。また、別の議員は、不公正貿易にもテロ対策と同じで報復が必要、カダフィにテロが高くつくということを思い知らせたのだから、貿易でも同じことをやるべきだということを公然と発言しておる。
つまり、日本に原爆を二つじゃなしに、四つ落としておけばよかったとか、あるいはテロと同じように対策、報復を加えるべきだとか、あるいは、宮澤大蔵大臣はよく御存じでしょうが、アドバーサリアル・トレードといって、外務省は阻害貿易とわざわざ訳しているようですけれども、敵対貿易ととられても仕方がないような表現をアメリカ側は使うということもございます。アメリカの上院や下院に対応するのは日本の衆議院や参議院ですけれども、もし日本の衆議院や参議院で、アメリカに対して原爆の四つも落としてやったらよかったとか、そんなことは、第一原爆は持っておりませんけれども、幾ら乱暴な議員でもそんなことを言う人はいないわけです。こういう表現で上院や下院が対日貿易に絡まる制裁法案というものを争って出してくる。何か勇ましいことを言えば選挙民の受けが非常にいいというような意識でやられるようでは真の日米友好にはならないと思うのですね。
大蔵大臣もいろいろ御苦労をなさったようでございますけれども、こういう問題については日本の国会や政府としてもやはり毅然とした態度をとらなければいけないと思うのですが、お考えはいかがですか。
-
○宮澤国務大臣 今お話しになられたことは、私全面的に反対だという気持ちで伺っているのじゃございません。どこの国の国民にもやはり国民性がございまして、アメリカ人の国民性というのは、必ず一位でなければならぬというふうに言われる方がありますが、私はそうじゃないんで、アメリカ人の国民性は、自分の地位が落ちるときに、何といいますか、非常に焦燥を感じるというか、そういうところがございまして、昨今のところは、先ほど関税
局長が申し上げましたが、これが雇用にも関係しているということがまた響きまして、そういう意味で、大変優位のときには大変に余裕のあるいい国民なんですが、ちょっと落ちてくるといらいらする、それがいろいろなところに見えているように私は思います。
しかし、私どもからいえば、今の世界平和の秩序というものはやはりアメリカが一つの大きな柱であって、また我が国は日米安保体制を持っておりますし、価値観も幸いにして非常に同じくしている、その上に、ドルは基軸通貨でございますし、アメリカの経済的なリーダーシップというものは、いわば過去三十年余り自由貿易がその上に築かれてきた、そういうことがございますから、あれこれ考えますと、私どもとしてはやはり損得は多少離れましてもこの際協力をしていくことが我が国のためにもなる。もちろん自由貿易あるいは世界の平和的な秩序全体、いろいろございます。価値観の問題もございます。私どもはそう思いますものですから、おっしゃっていることが全く間違っていると思っているわけじゃございません。時々私も申すこともございますけれども、まあ日本がある程度マクロ的にはこういう余裕のある立場でございますから、やはりある程度の譲歩なり、我慢はしてもいいのではないかなと、そんなことを思っております。
-
○正森
委員 アメリカ側が輸出努力に非常に不熱心だという例を一つ示しておきますと、私の選挙区の港区というところに大阪の南港というのがございます。そこでこの三月に医療や健康機器を日本に売り込むための見本市をやりましたら、米国産品展なのに、主催は日本貿易振興会と大阪府、市、関西経済連合会、大阪商議所で、後援五団体の中にやっと在日米大使館と在日米商議所の名前が出てくる。一回目のときには名古屋でやったのですけれども、共催者だった商務省は今度は共催者からおりてしまったということで、日本側は、そのために、東京のジェトロから四十名応援を派遣するとか、アメリカに行っている人を五人も帰して準備するとかいうことをやっているのに、アメリカの方はさっぱりそういうことはやらない。しかも、こういうのは旅費、滞在費、出品物の輸送費を払うのは当たり前で、会場費も払う場合があるのですね。ところが今度の場合は、会場費から何から全部日本が持っているのです。それでも足りないで、出品した品物の帰りの輸送費まで日本が負担してくれぬかということまでおんぶにだっこで言ってきて、さすがのジェトロもそれにはノーだというように言ったということで、予想以上に輸出意欲がないのに驚いた、米国内の商売だけで十分だと言うのですというようなことをジェトロの職員が言っておるということで、ジェトロの職員が川柳をつくっているのです。その川柳にどう言っているかというと、「アンフェアで攻められ打つ手はフェアばかり」こう言って、アンフェアだ、アンフェアだといって攻め立てられて、日本の方がお世話は全部する、そして英文を日本語に訳すお世話とかあるいは外国へ、アメリカへ行っている職員を呼び戻すとか、至れり尽くせりのことをやっているのに、アメリカ側は共催にもならない。後援も在日大使館くらいで、出品する品物の輸送費まで日本が持ってくれぬかと、一体どっちが輸出するんだと言いたくなるような、そういうことではぐあいが悪いじゃないかということがある新聞に載っているんですね。
私の選挙区に見本市があるものですから非常に関心があって読んだんですけれども、だからそういう点をお直しになりませんと、やっぱり為替だけに攻撃をかけてきて、宮澤蔵相が御苦労なさったのに、きょうは百四十八円にまたまたなっているというようなことではぐあいが悪いと思うのですね。これについてはお耳に入れるだけで、あえて御答弁はいりません。
時間がございませんので、ほかに幾つか御答弁願いたいことがあったんですが、全部省略して
たばこだけを聞かしていただきます。
たばこは、現在は平均が二〇%で、関税は米国とほぼ同水準で、昨年のアクションプログラムでも一律二〇%カットの例外品として扱ったわけですね。そして、この大蔵
委員会でも、
野口委員の御提案で、「政府は、国内産葉
たばこの実情等にかんがみ、製造
たばこの現行関税率水準を将来とも維持するよう努めること。」という附帯決議がつけられたことは御承知のとおりであります。また、自民党の
たばこ・塩産業特別
委員会でも昨年の九月五日に
たばこの国内製造の廃止と外国
たばこの関税率の引き下げに反対する決議をしておられるはずであります。長岡
日本たばこ産
業株式会社社長も、「関税ゼロなんて国は聞いたことがない。わが国の巨額の貿易黒字のシワ寄せを受けた」と去年十月五日の朝日新聞で言っておられます。そういう点から見ますと、まず第一に、葉
たばこ農家にも深刻な打撃を与え、
日本たばこ産業株式会社、これは普通の商業ベースだけではなしに地方自治体に対する補助率カットのしわ寄せまで受けて製品の値上げを国策に協力してやらされているというところに対して、これは少し打撃が大き過ぎはしないかという点が第一点であります。この点についていかがですか。
-
○
頼松政府
委員 たばこの関税が無税になりますと輸入
たばこの価格が安くなりますので、その価格競争力の強化を通じまして、先生おっしゃるように、
日本たばこ産業あるいは葉
たばこ耕作者である農家等我が国
たばこ産業に影響を及ぼすことは否定できないと思います。
ただ、その影響がどの程度になるかということにつきましては、
たばこは嗜好品でございますし、それぞれの方の好みもあるということでございます。それからまた、
日本たばこ産業も販売努力を一生懸命やっておりますし、これから外国メーカーの価格がどの程度になるかというようないろいろな要素がございますので、現時点で具体的にどれくらいの影響だということをちょっと申し上げるのは難しいのではないかと思います。
-
○正森
委員 時間がございませんのであと一、二だけ聞かしていただきます。
宮澤大蔵大臣、去年の十月五日の毎日新聞を見ますと、大蔵大臣がアメリカに行かれましたときに、記事のとおり読みます。
夫人とともに禁煙運動に取り組んでいるレーガン大統領も、さきごろワシントンで宮沢蔵相に会った際わざわざ
たばこ問題で注文をつけたほど。異例の要請を受けた宮沢蔵相は二日に帰国してから、国会日程の合間をぬって日本の
たばこ議員との調整を進め、タイムリミット寸前に政治決着にこぎつけた。
しかし今回の「関税ゼロ」という決着の仕方は日本が白旗をあげたに等しい。形の上では報復はとられずウワサされていた自動車部品や酒などへの波及は避けられたものの、日本の全面譲歩という決着スタイルが今後の通商協議に微妙に影響する恐れもある。
こう書いているんですね。宮澤大蔵大臣のお名前が出ておりますので、そういう要請をお受けになって非常に頑張られたのか、そこら辺のことを少し伺っておきたいのですが。
-
○宮澤国務大臣 レーガン大統領が私に
たばこのことをよろしく頼むと言われたのは事実でございます。私はさっき申しましたような、ちょっと長長申しましたので繰り返しませんが、そういう見方をしておりますし、譲るところは譲らなければ仕方がないのかな、ほかのことにも影響いたしますし、それから、特にこの
たばこの場合、私が考えましたのは、
たばこ産業会社のこともさることながら、やはり葉
たばこの耕作者、これを守ってやらないといけない、そのためには製造独占というものは譲れない、こう考えたものでございますから、ここのところを何とかして守ろう、そういう意味ではそれ以外のものは残念だがある程度やむを得ないな、こういう判断をいたしたことも事実でございます。
-
○正森
委員 最後に一問だけ伺います。
価格の点で外国
たばこの価格が実質届け出制になったに等しいという記事が出ておりますね。
たばこ事業法では小売定価はたしか認可制度ですね。ところが今回のやり方では、申請価格は輸入のCIF、それに消費税、それから小売マージン分に当たる一〇%、それを加えた額を下回っていなければほぼ自動的にこれは認めるということだと言われておるのですね。そうしますと、申請価格の一〇%だとか消費税というのはもう決まっているわけですね。CIFも決まっておりますね。CIFを構成するのは何かといえば、もちろん価格と運賃と保険料ですね。そうすると、価格は向こうがほとんど自由に決められるということになるのです。これには日本はもう言い分がない。CIFに消費税と小売のマージン分の一〇%さえつけ加えればほとんど自動的に認めなければならないということになれば、これは
たばこ事業法の認可制を外れてしまって、米側企業が
たばこの価格を決めて、それに一定のマージンと消費税さえ乗せてくれば自動的に決めなければならないということになって、これは外国に対してほとんどフリーパスになってしまうんじゃないか。国内の
たばこ産業関係者はこれはどういうことで保護されるのか。まだ関税があれば関税をちょっとかけて調整するということはできるけれども、その関税はゼロになっちゃったんですからね。だから、独占という点は守ったからいやいや大丈夫だと言われるけれども、これで見ると守れないようになっているんじゃないですか。
-
○
頼松政府
委員 確かに日米交渉の過程におきまして先生今おっしゃいましたどういう計算式をいたしておる場合には価格はほぼ自動的に認可するということを向こう側に申しましたけれども、これは御承知のように
たばこ事業法で小売価格は認可制になっておるわけでございますけれども、いわゆる小売定価制の趣旨と申しますのは、専売改革に伴います経過
措置と申しますか、零細な小売販売業者の方を流通秩序の混乱から守る趣旨で設けられたものでございまして、
たばこの定価が一つの銘柄の
たばこは一つの価格でなければならぬ、そういう目的を確保することが主眼でございます。そういうことでございまして、
たばこ事業法にも不認可とすべき要件を限定されておりまして、特にむちゃくちゃに低い場合とか高い場合以外、特に不当な場合を除きまして申請どおり認可しなければならないということになっておるわけでございます。
そういうことで、日米協議で計算式を示す前からも、今申し上げました定価制の趣旨から申し上げまして、従来からも申請が出てきました小売価格についてはすべて申請どおりに認めておったわけでございまして、今回の日米交渉の過程におきましてこういうような今申し上げました制度の運用の仕組みを明らかにしたにすぎない、そういうことであります。
-
○正森
委員 終わりますが、ケントが二百八十円から二百二十円になるのでしょう。だからそういう点から見ますと非常にいろいろ問題が残るだろうということを指摘して、時間になりましたので終わらせていただきます。
-
-
-
○
遠藤(武)
委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました
租税特別措置法の一部を改正する
法律案につき、賛成の意見を表明するものであります。
本
法律案は、現下の社会経済情勢等にかんがみ、内需拡大などを中心とした経済の持続的成長の要請に資するため、産業構造調整を円滑化し、民間活力の推進を図るとともに、住宅税制について一層の拡充を行うなど、所要の
措置を講ずるものであります。あわせて、税負担の公平化、適正化を一層推進するため、租税特別
措置の整理合理化を実施しようとするものでありまして、私はこのような政府の努力を高く評価するものであります。(拍手)
以下、具体的に申し上げます。
第一に、産業構造転換用設備等についての特別償却制度を設けるほか、特定地域中小企業対策関連税制及び中小企業等基盤強化税制を創設するなどの
措置を講ずるとともに、民間事業者の能力の活用に係る特定施設の特別償却率の引き上げを行うこととされております。また、住宅取得促進税制の税額控除期間の延長等の
措置が講ぜられております。
これらは、最近における急速な円高の進展により、製造業を中心とする産業構造の調整を円滑化しつつ、かつ民間活力の推進に配慮する見地から、また住宅取得者の負担を一層軽減する観点からそれぞれなされるものであり、いずれも、現在喫緊な課題である内需拡大などの要請にかんがみ、まことに時宜を得たものであると考えます。
第二に、企業関係の租税特別
措置等について、連年にわたる厳しい見直しに引き続き、無公害化生産設備の特別償却制度等を廃止するなど、特別償却制度及び準備金制度等の整理合理化を行うほか、登録免許税の税率の軽減
措置についても整理合理化を行うこととされております。これらの
措置は、税負担の公平化、適正化などの観点から高く評価されるところであり、極めて適切な
措置であると考えます。
その他、中小企業者の機械等の特別償却制度、住宅用家屋の登録免許税の税率の軽減及び
たばこ消費税の税率等の特例
措置などの適用期限の延長などが講じられておりますが、いずれも諸般の情勢から見て適当な
措置と認められます。
以上申し上げた理由により、本
法律案に全面的に賛成の意見を表明し、討論を終わります。(拍手)
-
-
○
沢田委員 私は、日本社会党を代表し、
租税特別措置法の一部を改正する
法律案について、反対の討論を行うものであります。
この法案は、三月三十一日をもってこの効力を失うことによって、当面これを引き続き継続するいわゆる日切れ法案として、国民生活に大きな影響を与えないため、本日審議を行うこととなったのであります。
売上税をめぐる諸条件は、大きな世論の声の中に、岩手選挙を初めとして、拒否反応は強いところであります。
また、
所得税、法人税、利子課税の改正とともに、一括して執行日の法案が別途に提案されることでありますが、挑戦的な扱いと言わなければなりません。一面からいえば、減税などを人質にして
売上税を通すものとの意図と解されることでありましょう。速やかな反省を求めるものであります。
租特につきましては、ときどきの経済情勢に応じ、国民生活、産業の振興に寄与するものであります。暫定的なものを本旨とするものでありますが、これらが今日のように長期にわたることを本旨とするものではありません。特別
措置の内容はときどきの状況に応じて対応をすることを本旨としなければならないのであります。
また、本格的税法がこれから審議をするという段階におきまして、臨時の方が先に先行するということは、今後の審議に重大な影響を与える懸念もあります。
また、住宅、中小企業対策などにかかる妥当性を欠くものもあり、特別
措置については賛成することはできません。速やかな反省を求め、同時に
売上税案を速やかに撤回されることを重ねて強く求め、反対の討論といたします。
終わります。(拍手)
-
-
-
○
柴田(弘)
委員 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、
租税特別措置法の一部を改正する
法律案に対して、反対討論をいたすものであります。
租税特別措置法の一部を改正する
法律案に反対する第一の理由は、
たばこ消費税の税率等の特例
措置の適用期限の延長問題であります。
これは、補助金の整理合理化に伴う地方財政への影響等を考慮し、
昭和六十二年四月一日から
たばこを
売上税の課税対象とするまでの間、現行特例
措置を存置しようとするものであり、これ以上補助金の整理合理化に伴う財政上の肩がわりを続けることは消費者に対する一年間の時限立法
措置の約束に反するものであります。断固反対いたします。
反対の第二の理由は、政府の言葉をかりれば、租税特別
措置そのものが政策税制であることから、今回租税特別
措置の縮減合理化に当たって適用期限の来たものすべてを一律に縮減しております。今日の円高不況、雇用不安が広がる現況を考慮すべきであります。例えば障害者を雇用する場合の機械等の割り増し償却率の引き下げや中小企業に対する配慮を欠いたものと言わざるを得ません。
反対の第三の理由は、住宅税制であります。確かに今回の期限延長
措置には一歩前進と認めるところがありますが、首相の諮問機関である経済審議会の報告も、住宅建設は内需拡大の柱と位置づけ、埋立規制緩和、都市計画区域の線引き見直し、税制面で思い切った改善を提案しているにもかかわらず、今回の期限延長だけでは極めて不十分であります。私どもがかねてから要求してまいりました住宅ローン金利の全額控除など、思い切った
措置を要求するものであります。
さらに、高度成長期に地方分散した素材産業の多くは今構造調整の波に洗われております。しかも構造調整、雇用不安は地方からの傾向にあることを十分に考慮すべきであります。本法案では税制上の助成
措置が盛られておりますが、内需拡大に寄与できる税制改正にすべきであることを要求するものであります。
最後に、今日の税制改正をいびつなものにした一番の原因は、総理の公約違反から発した
売上税の
導入であります。今回の法案に関しましても、間接的には
売上税と関係するものであり、素直に本法案を容認することはできないのであります。私は、公約違反をしているかどうかは、総理が答えを出すものではなく、国民が判断を下すべきであります。
今まで述べた理由から、この法案に対しては政府に再考することを求め、私の反対の討論を終わります。(拍手)
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○玉置
委員 私は、民社党・民主連合を代表いたしまして、
租税特別措置法の一部を改正する
法律案に対し、反対討論を行うものであります。
まず第一に、我々が強く反対してきた
たばこ消費税の上乗せ
措置が延長されることは極めて遺憾であります。
たばこ消費税の税率の特例はあくまでも一年限りの
措置ということになっていたにもかかわらず、安易に増税
措置を延長することには反対せざるを得ないのであります。
また、土地の長期譲渡の期間を十年から五年に短縮したことも問題であります。これによって重課の対象が縮小されることになり、短期の所有者が有利に扱われる結果、土地転がしが倍加されることも必至であります。現在のように地価が高騰し、住宅難に多くの国民が苦しんでいる中で、このような土地の転売を促進する改革は、本末転倒と言わざるを得ません。
もちろん
法律案の内容すべてに反対しているわけではありません。産業構造の円滑化、民間活力の推進等のための減税
措置は円高、構造不況にあえぐ企業に活力を与えるものであり、また住宅取得促進税制の控除期間の三年から五年への延長は住宅ローンに苦しむ勤労者の重税感を解消するものであり、我が党が一貫して主張してきた内容であります。
しかし、最初に申し上げましたように、この
法律案は、
たばこ消費税の増税延長を含んでいたり、土地転がしを助長させる内容を盛り込んでいるため、本
法律案に反対であることを表明して、反対討論を終わります。(拍手)
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○正森
委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、
租税特別措置法の一部を改正する
法律案について反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、産業構造調整円滑化の名のもとに、大企業の大規模な設備の休廃止、人減らし合理化を支援しようとしていることであります。
鉄鋼、造船などの大企業は、円高不況を理由に、鉄鋼大手五社で四万五千人など、主な大企業の人員削減計画だけでも十万人をはるかに超えるというかつてない規模の人減らし合理化を強行しようとしております。これは、大規模な失業、雇用不安をもたらすだけでなく、中小企業の大量の倒産、廃業、地域経済の破壊などを引き起こすものであります。
加えて、今大企業は、異常円高を利用して、国内の労働者、下請中小企業を切り捨てながら、海外現地生産を急速に拡大しております。こうして産業の空洞化が進み、大量失業時代が眼前に迫っているのであります。
しかるに、政府は、本法案において、産業構造調整促進税制を創設し、鉄鋼、造船などの大企業が行う設備の休廃止、事業転換等に対して税制上の優遇
措置を講じようとしております。これは、こうした大企業の円高不況を理由とした構造調整を税制面から支援するものであり、断じて認められないのであります。
本法案では、このほか、民間活力
導入を口実に、大企業中心の各種プロジェクトを支援する民活推進税制や大企業中心の先端技術産業を支援するいわゆるテクノポリス税制など、大企業優遇
措置が新たに拡大されているのであります。これは税制の不公平を一層拡大するものであり、租税特別
措置の整理合理化という政府の方針にすら反する不当な
措置であると言わざるを得ないのであります。
さらに問題なのは、本法案において六十一年度一年限りの臨時
措置とされていた
たばこ消費税の税率引き上げの延長がもくろまれていることであります。政府は、六十二年度も地方自治体への補助金カットを拡大し、その財源対策のためとして
たばこ消費税の税率引き上げを恒久化しようとしていますが、これは、補助金カットによるしわ寄せを大衆課税の強化により国民に押しつけようとするもので、容認できません。
なお、本法案では中小企業等基盤強化税制の創設などの中小企業対策が盛り込まれていますが、これらの施策は、いずれも、異常円高、大企業の横暴には全く手をつけず、むしろこれらを前提にして中小企業に事業転換を迫ることに中心が置かれており、極めて不十分であると指摘せざるを得ません。
最後に、中小企業の危機を打開し、国民生活を守り、日本経済の再建を図るために政府自身が現在の異常円高の是正のため必要なあらゆる
措置をとることを要求して、私の反対討論を終わります。(拍手)
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○
池田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、
租税特別措置法の一部を改正する
法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
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○
池田委員長 ただいま議決いたしました両案に対し、
中村正三郎君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の共同提案により、それぞれ附帯決議を付すべしとの動議が
提出されております。
提出者から順次趣旨の説明を求めます。
野口幸一君。
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○
野口委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、
提出者を代表して、案文を朗読いたします。
関税定率法及び
関税暫定措置法の一部を改正する
法律案に対する附帯決議(案)
政府は、左記事項について配慮すべきである。
一 世界経済における我が国の立場を踏まえ、国際的協調特に新しい多角的貿易交渉への積極的取組み、開発途上国への協力等を通じ、保護主義の防あつ、世界経済の活性化に引き続き貢献し得るよう努めること。
一 関税率の引下げに当たっては、国内産業への影響を十分考慮し、特に農林水産業、中小企業の体質改善を併せ考えつつ、国民生活の安定に寄与するよう努めること。
一 紙巻
たばこの関税率の無税化に伴い、我が国
たばこ産業の国際競争力の強化に努めるとともに、
たばこ産業に深刻な影響が生ずる場合には、適切な対応に努めること。
一 輸出入貿易の伸展に伴う税関業務量の増大に加え、覚せい剤、銃砲等の取締りの一層の強化が社会的要請となっていることにかんがみ、業務処理体制等の一層の見直しを行うことにより、税関業務の効率的、重点的運用に努め、税関職員の特殊な職務を考慮して要員の確保はもとより特にその処遇の改善に努めること。
…………………………………
租税特別措置法の一部を改正する
法律案に対する附帯決議(案)
政府は、次の事項について所要の
措置を講ずべきである。
一 準備金、特別償却等各種の租税特別
措置については、その整理合理化に引き続き努力すること。
一 今後の
たばこに対する課税のあり方については、現行の負担水準に配意し、過度の税負担を求めることのないよう努めること。
一
日本たばこ産業株式会社の自主性を尊重しつつ、その事業範囲の拡大による経営基盤の強化について適切な配慮を行うこと。
一 変動する納税環境、財政再建・財源確保の緊急性及び業務の複雑化にかんがみ、高度の専門的知識を要する職務に従事する国税職員については、年齢構成の特殊性等従来の経緯及び税務執行面における負担の公平確保の見地から、処遇の改善はもとより、職務をめぐる環境の充実、中長期的見通しに基づく定員の一層の増加等につき格段の努力をすること。
以上であります。
何とぞ速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
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○
池田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
両案に対し、それぞれ附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
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○
池田委員長 起立多数。よって、さよう決しました。
この際、両附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。宮澤大蔵大臣。
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○宮澤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
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○
池田委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両
法律案に関する
委員会報告書の作成につきましては、
委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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○
池田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時三十四分散会
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