○
斎藤国務大臣 ただいま議題となりました
年金財政基盤強化のための年金
福祉事業団の業務の
特例及び
国庫納付金の
納付に関する
法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
我が国の
公的年金制度は、
社会保障の中心的な
制度として
国民生活において重要な役割を果たすに至っており、本格的な
高齢化社会に向けて、長期的に安定した
制度運営が図られなければなりません。
そのためには、年金財政の
基盤を強化していくことが重要であり、年金
積立金の運用の仕組みを
改善することにより、より多くの運用収益を確保していくことが大きな課題となっております。
今回
提出いたしました
法律案は、このような要請にかんがみ、厚生年金保険事業及び
国民年金事業の財政
基盤の強化に資するため、年金
福祉事業団の新たな業務として、資金運用部から借り入れた厚生年金保険及び
国民年金の
積立金の一部について国債等の有価証券の取得、金銭信託、生命保険契約等の方法により、安全確実かつ有利に運用できる道を開くとともに、これにより生じた収益を
積立金として積み立て、毎事業年度その一定の割合を厚生保険特別会計年金勘定及び
国民年金特別会計
国民年金勘定に
納付することとするものであります。
なお、この
法律案については、本年四月一日から実施することといたしております。
以上がこの
法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ慎重に御
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました
医薬品副作用被害救済基金法の一部を
改正する
法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
我が国は、現在、人口の
高齢化が急速に進行しておりますが、本格的な
長寿社会においても活力ある
福祉社会を
維持していくためには、何よりも
国民の健康の確保が
基本であり、
高齢化に伴い増大の危惧される疾病等を克服し、積極的に健康増進を図ることが緊要の課題となっております。
他方、近年目覚ましい
進展を遂げているバイオテクノロジーを初めとする
先端的科学技術は、これを
保健医療の分野で十分に活用していけば、このような課題の克服も可能となる画期的な
医薬品、
医療用具等の開発をもたらすものと大きく期待されております。
しかしながら、これらの
先端的科学技術の
研究・応用は、いまだ未知の分野も多く、今後の広範な
研究の蓄積が必要とされております。そのためには、広く基礎科学
研究を
充実強化することはもとより、その蓄積を
医薬品、
医療用具等という具体的な成果の形で
保健医療の場に提供していく役割を担う民間の積極的な
技術開発への取り組みを
推進していくことが必要であります。特に、これらの
先端的科学技術の
研究開発はリスクも大きく、民間の自主努力だけでは迅速かつ効率的な取り組みが困難な面があります。このため、本格的な
長寿社会を目前に控えて
国民保健の確保向上を図る
観点から、国の振興
制度を早急に
確立することが望まれております。
政府といたしましては、このような認識のもとに、民間において行われる
医薬品、
医療用具等に関する
研究開発を振興するため、
医薬品副作用被害救済基金の業務として
研究振興業務を加えることとし、この
法律案を
提出した次第であります。
以下、この
法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、
医薬品副作用被害救済基金は、従来からの目的に加え、民間において行われる
医薬品の生産等に関する技術の試験
研究の
促進に関する業務を行うことにより、
国民の健康の保持増進に寄与する技術の開発を振興し、もって
国民保健の向上に資することを目的とすることとし、これに伴い名称を
医薬品副作用被害救済・
研究振興基金と改めることとしております。
第二に、
研究振興業務については、
医薬品の生産または販売に関する技術のうち、
医薬品の品質、有効性及び安全性の確保向上等
国民の健康の保持増進に寄与する技術を振興対象とするほか、
医療用具等についても同様に対象とできることとしております。また、その業務の内容としては、民間が行うこれらの技術の試験
研究について、必要な資金の出資及び貸し付けを初めその
促進のために必要な業務を行うこととしております。
第三に、基金は
研究振興業務を行うための資本金を有することとし、そのための資金として
政府及び民間から出資を受け入れることとしております。また基金は、従来からの
医薬品副作用被害の救済給付業務と
研究振興業務との経理を区分し、それぞれ別個の勘定を設けることとしております。
なお、この
法律の施行期日は、本年十月一日からとしておりますが、
研究振興業務のための出資の募集に関する事項については公布の日から施行することとしております。
以上がこの
法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ慎重に御
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました
児童扶養手当法等の一部を
改正する
法律案について、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
母子
家庭及び心身
障害者に係る各種手当
制度並びに老人、
障害者等の所得保障の中心である
年金制度につきましては、従来からその
充実に努めてきたところでありますが、最近の厳しい財政状況のもとにあっても、母子
家庭、
障害者、老人等に対しては
社会経済情勢の動向に対応した適切な配慮がなされる必要があります。
今回の
改正案は、このような趣旨にかんがみ、
児童扶養手当、特別
児童扶養手当、障害児
福祉手当、特別
障害者手当等の額の引き上げを行うとともに、拠出制
国民年金、厚生年金及び老齢
福祉年金について給付の
改善等を行うこととするものであります。
以下、
改正案の内容について御説明申し上げます。
まず、
児童扶養手当法及び特別
児童扶養手当等の支給に関する
法律の
改正について申し上げます。
第一に、
児童扶養手当の額につきましては、
児童一人の場合月額三万三千七百円から三万三千九百円に、
児童二人の場合月額三万八千七百円から三万八千九百円に、それぞれ本年四月から引き上げることとしております。
第二に、特別
児童扶養手当の額につきましては、障害児一人につき月額二万七千二百円から二万七千四百円に、重度障害児一人につき月額四万八百円から四万千百円に、それぞれ本年四月から引き上げることとしております。
第三に、障害児
福祉手当、特別
障害者手当及び特別
障害者手当
制度の発足に伴い経過的に支給されている
福祉手当の額についてでありますが、障害児
福祉手当及び経過的に支給されている
福祉手当の額につきましては、月額一万千五百五十円から一万千六百五十円に、特別
障害者手当の額につきましては、月額二万八百円から二万九百円に、それぞれ本年四月から引き上げることとしております。
次に、
国民年金法等の一部を
改正する
法律の
改正等年金制度の
改善について申し上げます。
第一に、拠出制
国民年金及び厚生年金の物価スライドの
特例措置について申し上げます。
現行の
制度におきましては、消費者物価上昇率が五%を超えた場合に物価スライドを実施することとなっておりますが、
昭和六十二年度におきましては、
特例として
昭和六十一年の物価上昇率に応じた
年金額の引き上げを本年四月から実施することとしております。
第二に、老齢
福祉年金の額につきましては、拠出制年金の額の引き上げに準じて月額二万七千二百円から二万七千四百円に、本年四月から引き上げることとしております。
第三に、旧
国民年金法による老齢年金につきましては、
昭和六十三年二月から、現行の年四回支払いを、二月、四月、六月、八月、十月及び十二月の年六回支払いに変更することとしております。
以上がこの
法律案の提案理由及びその内容の概略であります。
何とぞ慎重に御
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました
原子爆弾被爆者に対する
特別措置に関する
法律の一部を
改正する
法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者については、
原子爆弾被爆者の
医療等に関する
法律により、健康診断及び
医療の給付を行うとともに、
原子爆弾被爆者に対する
特別措置に関する
法律により、
医療特別手当等の支給を行い、被爆者の健康の保持増進と生活の安定を図ってまいったところであります。
本
法律案は、被爆者の
福祉の一層の向上を図るため、
医療特別手当等の額の引き上げを行うこととし、
原子爆弾被爆者に対する
特別措置に関する
法律の一部を
改正しようとするものであります。
以下、その内容について御説明申し上げます。
まず第一は、
医療特別手当の額を、現行の月額十一万八百円から十一万千六百円に引き上げることであります。
第二は、特別手当の額を、現行の月額四万八百円から四万千百円に引き上げることであります。
第三は、原子爆弾小頭症手当の額を、現行の月額三万八千百円から三万八千四百円に引き上げることであります。
第四は、健康管理手当の額を、現行の月額二万七千二百円から二万七千四百円に引き上げることであります。
第五は、保健手当の額を、一定の範囲の身体上の障害のある者等に対し支給されるものについては、現行の月額二万七千二百円から二万七千四百円に、それ以外のものについては、現行の月額一万三千六百円から一万三千七百円に引き上げることであります。
また、これらの
改正の実施時期は、
昭和六十二年四月一日といたしております。
以上がこの
法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ慎重に御
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を
改正する
法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、年金の支給を初め各種の
援護施策を講じ、
福祉の増進に努めてきたところでありますが、
昭和六十二年度においても、年金等の支給額を引き上げることとし、関係の
法律を
改正しようとするものであります。
改正の内容は、
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を
改正し、障害年金、遺族年金等の額を恩給法の
改正に準じて引き上げるものであります。
以上がこの
法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ慎重に御
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。