○金子(み)
委員 私はきょうは、
議題になっております
公害防止事業団法の
改正を中心にいたしまして、これに
関連する問題について
政府側の御
所見を伺いたいというふうに思っておるところでございます。
環境問題ということについて
考えてみますと、たしかあれはもう十五年、二十年近く前になるのじゃないかと思いますが、国連が、かけがえのない地球を守ろうということで世界に呼びかけた、こういう時期があったのを覚えております。これは地球を守ろう、どう守ろうというのかというと、
公害による地球の危険を守ろう、こういうことだったというふうに覚えております。
その当時
日本は、たしか福岡県の例のカネミ油症患者の問題、それから続いて熊本県の水俣病の問題ですとか、あるいは富山県の神通川流域に起こった水銀によるイタイイタイ病の問題でありますとか、あるいはずっとその後になりますが、四日市ぜんそくの町題でありますとか、
大都市問題としては、
東京などの場合は青空がなくなったというような問題が引き続いて起こっておりました。
こういうようなことが引き続きずっと起こっておりましたけれ
ども、特別な対策が打たれたということはないし、いずれもまだ未解決が多くて、カネミ油症患者の問題などは、裁判問題でやっと今回二十年ぶりに解決がついたというような状態ですが、水俣病はまだ未解決のままだというような状態になっていまして、大変に遺憾な現状だと思っております。しかし、
政府側も国民も一緒になってこの問題に取り組んできた結果だと思いますが、今ようやく何か本気で取り組んできているのじゃないかなというふうに感じている次第でございます。その結果かと思いますけれ
ども、先ほど長官の御
説明の中にもありましたように、
公害健康被害補償法がつくられたことでありますとか、あるいは続いて先般の
環境白書の発表でありますとか、
環境問題と人間
社会の
関係というものが非常にはっきりと明らかにされながら、そしてこの問題がいかに重要な問題であるかということを意識をしながら、国民の
人たちにもそのことを
考えてもらうような姿勢で
政府が臨み始めているということは、非常に結構なことだと評価したいというふうに思うわけでございます。
聞くところによりますと、最近の話ですが、国会の中でも超党派で、地球
環境問題議員懇談会なるものがつくられるというようなことも伺っておりますので、こういうようなことで
一つ一つ成果を上げていきますならば、二十年前に
日本がこうむった汚名とでもいいますか、
公害列島ですとかカナリア列島とかと言われたあの
日本の
公害問題を解決していく
一つの基礎になるのじゃないかなというふうに
考えているわけでございます。
そこで、
環境問題もだんだんと形が変わってきておりまして、最近の場合は、
先ほどお話も出ておりますように、
都市型ですとか
生活型公害あるいは交通
公害というようなことで、今まで
考えられなかったような問題が次々と起こってまいりまして、ますます多様化し複雑化してきていることは事実でございます。したがって、これに対する対策というものも断片的じゃなくて、それらを取りまとめました総合的なもの、そして計画的に
考えていかなければならないのじゃないかとだれもが
考えるわけでございます。そういうようなことが基盤になって、今回の
公害防止事業団の
業務の
見直しということも
考えられたのではないかとも思えるわけでございます。そこで、当然このような
公害、
環境問題の実態を踏まえてその
見直しも行われてくるだろうと期待するわけでございます。
事業団
事業懇談会が昨年五月中間報告をされておりますが、この中でも広範な
公害、
環境問題への対策というものを明らかに求めておられることがわかります。それから、ことしになりましてから、一月と三月に中央
公害対策
審議会の
答申も出たようでございますが、この中でも「
各種の
施策を総合的、計画的に講ずべきである。」ということを非常に強謝しております。そしてさらに「
公害防止事業団については、
公害行政の
主要課題の移行に
対応して
業務の
見直しを行うこととされたところであり、
公害防止計画に基づく
事業の実施に当たって一層の活用が期待される。」と
指摘されているところでございます。
そこで、それらのことの基盤に立って
考えてみますと、今度の
見直し、
改正法案とでも申しますかの
内容につきましては、もっともっと思い切ってされてもよかったのではないかなと思われないでもないのです。十分だとは
考えられないと思うわけですけれ
ども、その辺についての長官の御
所見を聞かせていただきたいと思うわけです。なぜかと申しますと、この法案とは
関係ないのですけれ
ども、別の
法律の中に、実施後三年ないし五年たったら見直すとか、実施後しばらくたったらもう一度見直すとかというような前提条件をつけて法案が成立されているものがあるのですね。私はこれはすごく不見識だと思うのです。何年かたったら見直さなければいけないものをなぜ今つくらなければいけないのだろう、その時点で大変におかしいと思いました。しかし、そういう
法律が幾つかあるわけでございます。だから、今度の
事業団法案の問題についても、何年たったら見直すというようなことがないようにしっかりやっていただきたい。
後で出てきますけれ
ども、実はこの法案は五年、間があるのですね。これから先五年までこの法案を持続するけれ
ども五年たったらやめる、こういうようなところがございますね。そういうことは、今私が申し上げた何年か先に見直すという
考え方と何か通ずるようなものがあるのじゃないかというふうにも思いますから、おかしいなと思いながらこの法案を拝見していたわけなのです。ですから、そういう点につきましてこの際長官からはっきりと御
所見を聞かせていただきたいと思うわけでごさいます。