○植木
政府委員 それでは、ただいまの
総理の御
答弁をさらに詳しく申し上げたいと
思います。
中国からの留学生数は年々大変増加をいたしておりまして、先ほど申し上げましたように六十一年五月現在で四千四百十八人ということでございます。これは六十年に比べますと、六十年が二千七百三十人ということでございますので、
いかに急激に数がふえているかということがわかるわけでございます。
なお、国費留学生について見ますと、やはり昭和六十年で三百十三人でございましたのが、六十一年には五百六人と、これまだかなりの急増をいたしておるわけでございまして、私どもとしても、今後中国からの留学生の増に対応して、これにできるだけ充実した体制を整備してまいりたい、このように
考えておるわけでございます。
それから、国立大学の受け入れの枠の拡大というような御
質問だったかと
思いますけれども、もちろん留学生はそれぞれの専攻の希望があるわけでございますが、留学生の学力、適性あるいは希望する学科等の受け入れ能力等も勘案をいたしまして、できるだけ弾力的に留学生の選考あるいは受け入れ、こういったものを積極的に行ってきておるわけでございます。
これは中国だけではなく、全体で申し上げますと、大学等で勉強しております一万八千人の留学生のうち、約七千百人が昭和六十一年現在で国立大学で勉強しておりますが、一年前の六十年をとってみますと五千七百人ということで、国立大学としても留学生の受け入れの拡充にかなりの努力をしてきておるわけでございます。今後とも宿舎あるいは
日本語教育等々、先ほど
総理から御
答弁がございましたように、留学生の受け入れ態勢を整備してまいりたいと
思います。
なお、国費留学生の受け入れ状況、先ほども触れたわけでございますが、現在一万八千人のうち、約三千人が国費留学生でございます。十万人を目標に、二十一世紀初頭には十万人の留学生が
日本で勉強しているということを想定して、それを目途にして整備をしておるわけでございますが、年々国費留学生の増を図っておりまして、昭和六十二年度もストックで五百三十二人、前年度よりさらに国費留学生を増をするということを
考えておるわけでございます。
また、博士号の問題でございますけれども、博士号につきましては、現在私どもの持っているデータでは、修士課程では、留学生で勉強して修士号を望んでいる人の九七%が文科系、理科系ともに修士号を取得して帰国しております。博士レベルでいいますと、理科系では八五%ということで、このいずれの数字も
日本人学生に比べて遜色は全くございません。
ただ問題は、これは
日本の学生と共通の問題でございますが、文科系の博士の学位でございまして、博士号、学位制度に対する
考え方が、やや従来の
考え方が大学にもございまして、文部省は繰り返し新しい
考え方、すなわち自立した研究者としてスタートできるところでひとつ学位を与えてほしいという、何といいますか、
アメリカなどではそういう
考え方でやっておるわけでございますが、そういうふうにぜひ切りかえてほしいと繰り返し大学を指導しておるわけでございますが、まだ博士課程の文科系ではそういった点が必ずしも十分ではなく、留学生では三六%という数字でこれも少しずつ上がってきておりますが、なお、そういった点につきましては努力をしてまいりたいと
思います。
なお、その博士号を取得する場合に、例えば
日本語ではなくて
外国語によって論文を作成することも認めてきておりますし、例えば留学生に対してチューターというものをつけて、いろいろな教育研究指導を、
日本人の学生以上にいろいろと手間がかかる面もございまして、そういう特別な配慮もいたしております。
なお、宿舎につきましては、これまた留学生の受け入れの大変基本的な問題でございますので、国立大学の留学生宿舎を建設、六十二年度も三百室ぐらいの増を
考えておりますし、また、財団法人
日本国際教育協会の新留学生会館三百五十室の建設にも今年度から着手をするという予定でございます。
また、
円高の話がちょっと出まして、確かに
円高で私費留学生がいろいろと
経済的な影響を受けておるわけでございますが、文部省では従来から医療費の八割補助、病気になったときに留学生が一番困るわけでございますから、医療費の八割補助を国費、私費を問わず実施をいたしておりますし、また、特に成績優秀でそういった点でお困りの方には学習奨励費を学部で月額四万円、大学院で月額六万円、これは国費留学生と別に私費留学生に対して、人数はまだ二百五十人程度ですが、実施をいたしております。また、私費留学生を国費留学生に切りかえるというような制度も設けておるわけでございます。
最近は民間の奨学団体が次第に設立をされまして、現在、民間団体で私費留学生に奨学金を出すものが三十三団体、千三百人ほどがその恩典に浴しております。また、一部の大学で授業料の減免という形で私費留学生の
経済的な困難に対応しようという動きも、ようやく活発になりつつあるという状況でございます。