○英
政府委員 一次産品の輸入の場合には、確かにそういう製品そのものについての一様性というものがむしろございまして、トウモロコシであれば、タイのトウモロコシでもアメリカのトウモロコシでも、価格さえ合えば日本は買える、そういうことで一次産品の
開発を行って輸入するということは五十年代の終わりから六十年代ずっと行われて、かなりの進展を見たわけです。一方では一次産品の価格が下がってきてしまっている。交易条件が非常に悪化していることと、先進国において石油ショック以来かなり資源の節約が行われてしまって代替品が出てきている。そこで一次産品に対する需要がかなり低下してしまっているということがあるわけで、一次産品の
開発輸入というものは一つの転換期が来ているのじゃないか。
むしろ工業製品の輸入、中間財とか消費財なんですけれども、そういう問題はやはり日本側の購買者が果たしてそういうものを買ってくれるかというのが基本にあるわけでございますから、先ほどのお話で少しぐらい質が悪くても買ったらいいじゃないかというふうになってくればいいんだろうと思うのですけれども、私も外国で暮らしていますと、外国の消費者は質が悪くても製品が安ければ買いましょうというのは日本の消費者よりもむしろ非常に経済的に割り切っているんじゃないかと思うのですが、日本の場合にはやはり質もよくなければいかぬということの選好が強いような気がするのでございます。そうなりますと、そういう中で競争していくためにはかなり先方での輸出努力とか製品の改良とかをしていかなければいけない。
政府がそういうところにどこまで入っていけるか。
農産物の場合でございますと、先方の農業
開発の
機関に専門家を派遣するとか、例えば農事試験場に品種改良の専門家を派遣するとかということでの協力ができるわけですが、工業製品の場合には、これはほとんどの国で民間セクターの分野であるわけでございます。そこの製品が日本に流れるために
政府に何ができるかというのは実は大変な問題でございまして、日本としてはこういう円高の状況も踏まえて、やはり国を挙げて取り組んでいかなければならない問題ではないか。基本的にお金を貸しても返せなくなってしまってはしようがないので、やはり
援助も大事ですけれども、先方が通常の輸出を通じて外貨を獲得することが好ましいわけですから、そういうことを可能にするために工業の振興にいろんな形で努力しなければいけない。例えばセミナーを開いて品質改善のための努力をするとか、最近マネジメントを含めてそういう技術的な専門家を補助金をつけて海外に行っていただくとか、いろいろな知恵を出しております。
それから、立地条件を改善するために整地をし、いわゆる工業団地のようなものもかなり努力が行われているわけですが、しかし、ただ立地条件を改善すれば出ていくというわけではない。やはり企業が出ていく、また先方の企業が育つというためには、その製品が日本で買えるかというのが先決になってしまうので、
政府の努力は一次産品の場合よりも制約は大きいというような感じはしております。
しかし、一つの大きな流れは、実はけさ総理の諮問
機関の対外経済協力審議会の答申が出ておりますが、その中でもやはり、
援助と
貿易と
投資というものが三位一体となって途上国との間に調和のとれた
発展、経済の
関係をつくるようにしなければいかぬということがうたわれておりますので、今後これは
政府においても、また
関係反間企業においても相当心して検討して、前向きに取り組んでいかなきゃいけない問題じゃないかと存じております。