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国務大臣(
宮澤喜一君) まず、日米蔵相の共同声明の趣旨でございますが、昨年の九月二十二日、いわゆるプラザ合意によりまして
為替介入が行われた。この
考え方は、ドルがいかにも実態を離れて高過ぎる、したがってドルの水準をファンダメンタルズに合わせる必要がある、それに向かいまして各国が協調して介入をしたというのが昨年の九月二十二日のプラザ合意でございますが、その後一年の間にドルは非常に下落をいたしまして、低い水準になったわけでございます。
ただ、他方その間、殊に我が国の場合には非常な円の上昇が短期間に起こりましたために、我が国の
経済がそれに十分対応できないような状況になりましたことは御
承知のとおりであります。そこで、私と
ベーカー長官の合意は、今や円とドルの
関係は両国間の
経済のファンダメンタルズを反映するに至った、そういうところまで来たので、昨年の九月以来
努力が続けられてまいりましたけれ
ども、もはやこれ以上円を高くする必要はないし、それはまた望ましいことでもない、こういうのが合意の中心の部分であります。
つまり、アメリカから見ましても、アメリカの財政赤字を減らす、あるいは国際収支の赤字を減らすということになれば、だれかがそのかわりの役割をしなければならないわけであります。と申しますことは、我が国あるいは西ドイツの
経済がもっと
成長してそのかわりを果たさなければなりませんが、今やドルがこれだけ高くなって、しかも不安定であるということは、日本の
成長そのものに実は有害である、害があるということを
ベーカー長官自身も十分にそれを認識したということでございます。
したがいまして、ここで円とドルの
関係はファンダメンタルズを反映するに至りましたから、これ以上円が高くなる必要はない、今後の円・ドルの
関係というものは市場の自然の勢いに従って決定されればいいのであって、かつて米国の当局者が円はもっと高い方がいいといったようなことを発言したことが何度かございましたが、そういうことはいたさない、こういうことでございます。私としては、昨年の九月以来のドルの下落の
効果がぼつぼつアメリカの
貿易収支にもあらわれていいころでございますし、その他いろいろなことから市場の原則に従って
為替が決定していくということは望ましいことである、私自身今の円の水準が理想的だと
考えておるという意味ではございませんで、市場が自然に状況の改善を反映していけばいいのではないかというふうに
考えておるわけでございます。
後段の御質問でございますが、九月の末から十月にかけましてIMFの総会がございましたときに、先進各国の間でいろいろな話がございました。非公式の話、公式の話、いろいろございましたが、それは結局、これ以上
為替が余り変化をしないで国際的な不均衡を是正していくためには、各国の
政策協調というものがやはり一番大事だと、こういうことで合意をいたしたわけでございまして、私とベーカーの声明に盛られております
政策協調というのも、実はそういう意味合いを反映したものでございます。
なお、この九月から十月にかけましてのこのような会合には
日銀総裁も御
出席になっておられまして、総裁とされまして、その間のいろいろ国際的な話し合いの中からいろいろな
考え方、見方をなさったかと思いますけれ
ども、この点はおっしゃいますように総裁から
お話があろうと思います。