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1986-12-10 第107回国会 参議院 本会議 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十二月十日(水曜日)    午前十時二分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第十二号   昭和六十一年十二月十日    午前十時開議  第一 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、雇用の安定に関する決議案佐々木満君外六名発議)(委員会審査省略要求事件)  一、臨時行政改革推進審議会設置法案趣旨説明)  以下 議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 藤田正明

    議長藤田正明君) これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  佐々木満君外六名発議に係る雇用の安定に関する決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤田正明

    議長藤田正明君) 御異議ないと認めます。  よって、本案議題といたします。  まず、発議者趣旨説明を求めます。佐々木満君。    〔佐々木満登壇拍手
  4. 佐々木満

    佐々木満君 ただいま議題となりました雇用の安定に関する決議案につきまして、自由民主党、日本社会党護憲共同、公明党・国民会議日本共産党及び民社党・国民連合を代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    雇用の安定に関する決議案  産業構造変化、昨年来の円高進展等を背景に、雇用失業情勢はまことに厳しいものがあり、今後、不況業種や一定の地域中心に、情勢のさらに悪化することが懸念されている。このような事態に適切に対処するため、この際、政府は、雇用の安定を確保することは喫緊の最重要課題であるとの認識のもとに、次の事項に留意して施策推進に努めるべきである。  一、内需中心景気の着実な拡大を図り、雇用機会増大確保することが基本的に重要との観点から、経済産業政策一体なつ総合的雇用政策推進すること。  二、深刻な状況に置かれている各産業、各地域における雇用動向を迅速、的確に把握しつつ、国と地方一体なつて、これらの雇用問題に適切かつ機動的に対処するため、現行諸制度弾力的運用と拡充を図ること。  三、長期的な雇用機会の維持、拡大の見地にも立つて、週休二日制の普及等労働時間の短縮推進すること。また、海外投資による産業空洞化問題への対処にも配意すること。   右決議する。  以上でございます。  御承知のとおり、今日の雇用失業情勢は、産業構造変化円高等の影響を受け、まことに厳しいものがあります。これを改善するためには、まず内需拡大等による速やかな景気回復雇用機会増大、そのための総合的な政策推進が急務となっております。また各産業、各地域動向の把握とこれへの適切な対処、そして労働時間短縮への努力も特に望まれているところであります。さらに今後、中長期にわたって進められる産業構造転換に当たっては、有効適切な各種の方策を積極的に推進することが必要であります。  こうしたときに当たり政府に対し、院の決議をもって雇用の安定に関しさらに一層努力するよう強く要請しようとするものであります。  何とぞ議員各位の御賛同をお願い申し上げる次第でございます。(拍手)     ─────────────
  5. 藤田正明

    議長藤田正明君) これより採決をいたします。  本案賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  6. 藤田正明

    議長藤田正明君) 総員起立と認めます。  よって、本案全会一致をもって可決されました。  ただいまの決議に対し、労働大臣から発言を求められております。平井労働大臣。    〔国務大臣平井卓志登壇拍手
  7. 平井卓志

    国務大臣平井卓志君) ただいまの雇用の安定に関する決議に対しまして、政府の所信を申し述べます。  政府といたしましては、ただいま採択されました決議の御趣旨を体し、内需中心景気の着実な拡大を図り、雇用機会確保に努めるとともに、 産業地域雇用動向に機動的に対処し、雇用の安定が適切に図られるよう一層の努力を尽くす所存でございます。(拍手)      ─────・─────
  8. 藤田正明

    議長藤田正明君) この際、日程に追加して、  臨時行政改革推進審議会設置法案について、提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 藤田正明

    議長藤田正明君) 御異議ないと認めます。玉置国務大臣。    〔国務大臣玉置和郎登壇拍手
  10. 玉置和郎

    国務大臣玉置和郎君) 臨時行政改革推進審議会設置法案について、その趣旨を御説明します。  政府は、かねてから行政改革を国政上の緊要な課題の一つとして位置づけ、これに取り組んできたところでありますが、引き続き行政改革推進が要請されている現下の情勢にかんがみ、今後とも所要施策実施に努めてまいらなければなりません。  そのためには、各界有識者の御意見を聴取しつつ諸般施策推進することが、重要かつ有益であると考える次第であります。  去る六月二十七日をもって存置期限を迎え、解散した臨時行政改革推進審議会も、その最終答申において、国民全般的協力を得つつ改革推進を図る観点から、行政改革のための審議機関を引き続き設置することが必要である旨を提言しているところであります。  そこで、政府といたしましては、今般、総理府に改めて臨時行政改革推進審議会を設置することとし、ここに、この法律案提出した次第であります。  次に、法律案の内容について、その概要を御説明します。  今般設置しようとする、いわば新行革審ともいうべき臨時行政改革推進審議会は、行政改革に関し臨時行政調査会の行った答申並びにさきに解散した臨時行政改革推進審議会の述べた意見及び行った答申を受けて講ぜられる行政制度及び行政運営の改善に関する施策に係る重要事項について調査審議し、その結果に基づいて内閣総理大臣意見を述べるほか、内閣総理大臣諮問に応じて答申することを任務としており、審議会意見または答申については、内閣総理大臣はこれを尊重しなければならないこととしております。  審議会は、行政の改善問題に関してすぐれた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命する委員七人をもって組織することとしております。  また、審議会は、行政機関の長等に対して資料の提出意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができることとしているほか、特に必要があると認めるときは、みずからその運営状況を調査することができることとしております。  なお、審議会臨時機関として設置されるものであり、政令で定める本法律施行期日から起算して三年を経過した日に廃止されることとしております。  このほか、関係法律について所要改正を行うこととしております。  以上が臨時行政改革推進審議会設置法案趣旨でございます。(拍手)     ─────────────
  11. 藤田正明

    議長藤田正明君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。山口哲夫君。    〔山口哲夫登壇拍手
  12. 山口哲夫

    山口哲夫君 私は、日本社会党護憲共同を代表し、ただいま議題となりました臨時行政改革推進審議会設置法案につきまして質問をいたします。  増税なき財政再建スローガンに第二次臨時行政調査会が発足したのは一九八一年三月でありました。自来五年有余、我が党が指摘したとおり、スローガンとは全く逆に、増税はされる、福祉は切り捨てられる、経済は停滞し失業者はふえる、にもかかわらず軍事費のみは増額される。これほどまでに国民がだまされたことはないと怒り心頭に発しているのが現状であります。  以下、中曽根内閣が進めてきた行政改革がもたらした問題点と我が党が掲げる行政改革政策を述べ、総理並びに関係閣僚所見を伺いますが、その前に、この審議会に対し諮問を予定している具体的な事項は何か、また巷間伝えられている食管制度についても諮問する考えがあるのか、まず総理並びに総務庁長官に伺います。  さて、問題の第一は、増税なきを最大のスローガンにしたにもかかわらず、ここ五年間に行われた増税額は、国税と地方税を合わせて四兆二千三百二十一億円にもなんなんとしているのであります。さらに、自然増収は極端に大きく、減税分を差し引いても国税と地方税を合わせて十八兆三百三十七億円、増税分を合わせると二十二兆二千六百九十八億円、国民一人当たり負担増は十八万五千五百八十二円にもなっているのであります。  このように増税をしながら財政再建はどうかというと、六十五年度赤字国債発行ゼロを公約しておきながら、本年度も五兆二千億円を発行、国債残高は何と百四十三兆円、国民一人当たり百十九万円にも及び、いかなる手だてを講じようとも、今後四年間で赤字国債発行ゼロを実現させることは不可能と考えざるを得ないのであります。実現できもしないことをスローガンとして掲げ、国民に大きな期待感だけを持たせた責任はまことに重大であり、国民に率直にその非を認め、陳謝すべきと思うが、総理所見を伺います。  しかも、このたび自民党が示した税制改革案は、売上税の新設と少額貯蓄者に対するマル優制度の廃止を打ち出しました。売上税は、総理がいかに詭弁を弄しようとも、商品やサービスを対象に、生産から流通まで広く薄く課税する大型間接税であることは間違いないのであります。また一九七九年十二月二十一日、第九十一国会冒頭衆参両院会議創設拒否決議を行った一般消費税とも大差はないのであります。  しかも、今ある間接税の中で最も大きい酒税でさえ約二兆円であります。約三兆円規模の間接税大型と言わずに、何をもって大型と言えるのでありましょうか。このことを総理並びに大蔵大臣はどう見ておられるのか、お答えを願います。  以上のことから、今回の税制改革案は、総理が七月の衆参ダブル選挙において、大型間接税は採用しない、たとえ政府税調答申してもやらないとの公約に明らかに違反するものであります。自民党山中税調会長でさえ「総理はうそをついたと思う。公約違反であることは認めざるを得ない。」と言っているではありませんか。総理の明快な答弁を求めるものであります。  さて、我が党は、我が国経済活性化を図るためには、まず内需拡大を図るべきであると主張し続けてまいりました。そのためには、今日の個人消費、可処分所得状況を見れば、まずサラリーマン中心とした所得税住民税の三兆円規模の大幅減税を行うべきであります。自民党税調が示した減税案マル優制度の廃止などを総合してみると、自民党の中にも、今回の税制改正金持ち減税だとの声も多くあったようでありますし、政府税制調査会小倉会長に言わせると、これはブルジョア優遇の革命だとさえ言っているのであります。  我が党は、税の公平を期すためにも、マル優制度を存続し、かつて法案が通りながら実施を中止させたグリーンカード制を採用すること、また資産三億円以上と言われる富裕階層に対する富裕税の新設を考えるなど、金持ち優遇税制にならないようにすべきと思うが、総理並びに大蔵大臣所見を伺いたいのであります。  また、我が党は、早くから大企業優遇税制と言われる不公平税制の改正を要求してまいりました。時あたかも、アメリカにおいては個人所得税大幅減税を行いましたが、その財源は大企業法人税租税特別措置の整理による増税で補てんし、いかなる間接税も導入しなかったのであります。総理、あなたが特に親しくされているレーガン大統領は、我が日本社会党が主張してきた不公平税制改革によって、個人所得税大幅減税を断行したのであります。  この際、レーガン大統領を見習い、まず法人税に係る租税特別措置を廃止してはいかがでしょうか。ちなみに、不公平な税制をただす会の計算によると、不公平税制の撤廃により売上税の約四倍以上の新しい財源を得ることが可能であります。総理の明快な答弁を求めるものであります。  第二の問題は、国民福祉についてであります。  臨調が言うところの自立自助、すなわち福祉はみずからの力で行えとばかりに、老人保健法に象徴されるごとく制度の改悪を続け、今や我が国国民一人当たり社会保障費は、スウェーデンの九十万三千円を筆頭に、西ドイツフランスイギリスアメリカ、イタリアに次いでわずか二十三万八千円と第七位であります。経済大国と言われながらも余りにも低い社会保障予算であります。このように国民が犠牲を強いられている姿こそが自民党政府の言う日本型福祉なのであります。田中内閣のときに福祉元年を宣言し、我が国福祉をこれより先、諸外国並みに高めていく決意をされましたが、無責任にもそれは単なるお題目に終わったようであります。  私が指摘したいのは、当時の福祉政策をそのまま維持した場合、ことしの社会保障予算は約十二兆円になるはずでありますが、ことしの社会保障関係費は九兆八千三百四十六億円で二兆二千億円も少なく、それだけ福祉水準は低下しているということであります。  そこで、社会福祉政策は、憲法二十五条の国民生存権の規定に照らしても、一度決定した福祉政策についてはいかなることがあっても水準を低下させることなく、最小限自然増予算化させるべきと考えるが、総理所見を承りたいのであります。  第三の問題は、軍事費についてであります。  軍事費は、臨調においてさえ聖域としてはならないとされているにもかかわらず、年々増額を図り、ここ五年間の伸び率は三〇・四%と、社会保障予算伸び率一二・四%、文教及び科学振興費一・五%に比べ極端な伸び率を示しているのであります。ちなみに、一ドル百六十五円で換算し、中期防衛力整備計画を予定どおり進めると、四年後の一九九〇年には、日本は、イギリス西ドイツフランスを追い抜き、自由諸国ではアメリカに次ぐ第二位の軍事大国になると言われているのであります。この現実を総理はどう見られるのか。  しかも、総理は、昨日の内閣委員会において、来年度予算ではGNP一%枠を守ることに難色を示しておられましたけれども、これ以上の軍事大国化を抑えるためにも、整備計画をおくらせても絶対に一%枠を超えてはならないと思います。予算編成前の今こそその意思を固め、一%の聖域だけはいかなることがあっても守るべきと思いますけれども、いかがでしょうか。  総理、我が党は、それよりも、この辺でGNP一%などと言わずに、最小限軍事費増額を当分の間凍結すべきと思うが、所見を伺いたい。  第四の問題は、経済政策についてであります。  ここ数年の緊縮財政によって我が国経済は大きく停滞し、加えて政府経済政策の誤りは、鉄鋼、造船、石炭、漁業を初め輸出業界など深刻な状況下に置かれ、失業者は、十月労働力調査によると百六十一万人にも及び、行政改革が進められてから五年間で、失業者は何と三四・一%も増加したのであります。  ただいまの決議にもありましたが、このような経済危機をどう受けとめ、どう打開せんとしているのか。労働大臣からも決意は述べられましたけれども、さらに総理具体的政策に触れたお答えを願いたいと同時に、この際、完全週休二日制の実施により失業者の解消を図るべきと考えるが、労働大臣所見を伺いたいのであります。  さらに、我が党は、景気浮揚策として、公共事業の大幅な増額を挙げております。特に公共事業による経済効果を考えるとき、四全総が示す大都市集中ではなく、全国各地で行われるものでなければなりません。我が国社会施設先進諸国に比べてはるかに低いことは、ウサギ小屋と言われる住宅事情に象徴されております。この際、良質の公営住宅を大量に建設すると同時に、公定歩合引き下げに合わせ、公社公団が既に借りているローンの借りかえを促進させることによって、国民負担の軽減を図るべきであると考えますが、総理所見を伺いたいのであります。  第五に、問題の最後として指摘するのは、地方自治についてであります。  地方財政法第二条には、国は「地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」と規定されているにもかかわらず、一方的に補助金のカットを行う。それも一年限りという国会における約束、地方自治体への公約があるにもかかわらず、それを破り、今度は三年継続措置として拡大延長を行う。さらには、地方行革を促進させるべく、都道府県を使って市町村に対し不当な介入を行うなど、地方自治体を敵視し、いじめるやり方は、憲法に定められた地方自治の本旨を踏みにじっていると言わなければなりません。  このようなことが続くならば、日本は再び民主主義を失い、中央集権国家に逆戻りするであろうことを警告しておかなければなりません。総理並びに自治大臣所見を伺いたいのであります。  以上、中曽根総理が行う行政改革がもたらした幾つかの失政を明らかにし、これに対する我が党の政策の一端を明らかにしてまいりましたが、これほどまでに国民の期待を裏切った行革審路線に基づく行政改革は、直ちにやめるべきであります。私が、これまでの臨調及び行革審、さらにはこの設置法に大きな疑問を抱くのは、中曽根総理好みの一握りの財界人、官僚によって設置された審議会が、国会で決めた政策についてまでその転換を求めるがごときやり方は、国会を侮辱するものであるということであります。  また、法律で既に設置されている各種審議会を無視して、総理直轄臨時行政調査会行革審議会をオールマイティーのように扱ったやり方は極めて独善的であります。  審議会任務は、国会が決定した政策の遂行に当たり、いかにしたならば最小の経費で最大の効果を上げ得るか、技術的、専門的に検討する任務に限定すべきであります。でなければ、総理側近政治が横行し、ついには独裁政治に結びつく極めて危険な事態を招きかねないことを厳しく忠告し、本案の撤回を求め、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  13. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 山口議員お答えをいたします。  まず、新行革審への諮問事項でございますが、新行革審には行政改革継続推進のための積極的役割期待いたしております。  この取り組むべき課題につきましては、臨調行革審の指摘した多数の行政改革課題全般に及ぶものであります。もっとも、具体的な審議事項については、審議会の発足後に審議会自体で御論議願い、お決め願うことになっております。諮問等については、政府としても十分慎重に考慮の上、決定いたしたいと思います。  次に、増税なき財政再建の問題でございますが、我が国を取り巻く財政事情が非常に厳しい環境にあることは事実であります。しかし、引き続き財政改革を強力に推進して、財政対応力回復を図ることがやはり大事ではないかと考えております。  また、税制抜本的見直しについては、いわゆ る税収中立性の原則は堅持すべきものであると考えます。  いずれにいたしましても、今後の財政政策あるいは経済政策を進めるに当たりましては、金融とか為替とか、あるいは税外収入金利水準あるいは行政経費の節約その他、諸般の問題を機動的に組み合わせながら具体的に前進してまいりたいと思っております。  次に、マル優問題、大型間接税の問題でございますが、私は国会でも御答弁申し上げたとおり、私が申しておるいわゆる大型間接税というものは、多段階、包括的、網羅的、普遍的で、縦横十文字に投網で全部ひっくるめて取ってしまうというような意味である、そういうことを申し上げてきておるのであります。  今回、自民党が決定いたしました案、売上税と称するものについては、販売高一億円以下のものはこれを除外する、したがって、全事業者の約八七%が除外されるということであります。また対象の物品・サービス等についても、特定のものについてはこれを非課税にする。税率が五%以下で極めて低い水準にある。ヨーロッパにおけるものは大体一五%から二〇%ぐらいの模様でございます。以上のような判断からいたしまして、非常に大きな限定がなされておるのでありまして、公約には違反しないと考えております。  マル優の問題につきましても、私は選挙中の発言で、老人あるいは母子家庭については、これは守ってあげなければならないが、不正を行っておる者については是正しなければならないと言ってきたのでございます。  いわゆる山中発言というものは、本人が会議中におきましてもこれを訂正することをいたしましたし、また党総務会におきましても、満場一致でこれは是認されたものでございます。  次に、富裕税の問題でございますが、今回の税制改革というものは、中堅所得者層重税感不公平感を除こう、そしてシャウプ税制以来の税のゆがみ、ひずみ等を是正しよう、そういう考えに立ちまして思い切った減税を片方ではやる。特に中堅サラリーマン中心にやる、あるいは配偶者特別控除制度等々も認める、そういうことを一方において行っております。  また、マル優貯蓄制度につきましては、老人とか母子家庭に対しては、これは現状どおり制度を維持するということも申しておるのでございます。  いずれにしても、政府税制調査会及び与党の税制調査会において、具体的品目等についてはこれから検討が行われることでございます。適切に処理してもらうようにしたいと思っております。  富裕税の問題につきましては、今までの例で見ますと、大きな経済変動があった場合にこれが行われておるのでありまして、これが扱いについてはいろいろ問題もあり、中長期的な課題として検討すべきものであると考えております。  租税特別措置につきましては、税負担公平確保観点から、社会経済情勢の推移に応じて必要な見直しを今まで行ってまいりました。  今回の税制調査会答申におきましても、いわゆる各種租税特別措置等については、個々の政策目的緊要性政策手段としての有効性を十分吟味しつつ、基本的に整理合理化方向で徹底した見直しを行う必要があると指摘されております。  政府としては、この答申基本的方向に沿って適切に対処してまいりたいと考えております。  福祉予算の問題でございますが、財政上の厳しい状況の中におきましても、できる限り最大限努力福祉予算についてはやってきたつもりであります。今後とも、人口の高齢化等に伴いまして多額の当然増が生ずると考えられております。その中におきましては、弱い方々に対してできるだけのきめ細かい配慮を行いまして、福祉予算最大限確保するように努力してまいりたいと思っております。予算は、しかし、歳入歳出全部を総合的にあんばいして考えるのが適当でございましで、自然増収をすぐそのまま福祉予算に充てるということを決めておくということは、必ずしも適当でないと考えております。  防衛費の問題でございますが、中期防衛力整備計画実施するに当たりましては、各年度防衛費は、そのときどきの経済財政事情を勘案しまして、他の諸施策との調和を図りつつ毎年度予算で決定しております。一九九〇年、昭和六十五年度防衛費がどの程度になるかということは、現時点では申し上げにくいのであります。  また、そのとき、外国国防費がどの程度になるかということも、必ずしも現時点では明確でありません。  我が国防衛費外国国防費特定の仮定のもとに試算して、単純に比較することは必ずしも適当ではないと考えます。  防衛費の問題について凍結論をおっしゃいましたが、我が国防衛力整備については、平和憲法のもとに専守防衛に徹し、近隣諸国は脅威を与えるような軍事大国にならない等の基本方針を堅持しておりまして、私は昨日も委員会において一%は守りたいと申し上げておるのであります。  防衛力整備具体的実施につきましては、他の諸施策との調和を図りながら、大綱水準の達成を目標とする中期防衛力整備計画の着実な実施努力してまいりたい。また一面において、他の経費との調和考えてまいりたい、こういうふうな立場でまいりたいと思います。  不況産業の問題でございますが、まず鉄鋼業界は、六十年度下期以来、急激かつ大幅な円高進展等によりまして、国内需要の減退、輸出競争力の低下及び市況の悪化等により、急速に業績が悪化しております。今までは一億トン程度の粗鋼生産をやっておりましたが、ことしは大体九千万トン前後になりはしないかと恐れておるところでございます。  政府といたしましては、総合経済対策の実施、公共投資の追加、住宅投資の促進等による内需拡大最大限努力を払う所存でございます。また雇用面につきましても、地域ごとに綿密に対策を立てたいと考えております。  次に、造船の問題でございますが、造船も極めて厳しい状況にございまして、雇用地域経済に与える影響が非常に大きなものがございます。現在、造船業界においては再編成を含む構造改善の実施を行っていますが、これを政府は積極的に援助、協力してまいりたいと思います。  石炭の問題については、先般の第八次石炭政策に関する答申が石炭鉱業審議会から行われました。政府としては、この趣旨を踏まえまして、地域経済雇用に配慮しつつ、適切に対処してまいる所存であります。  漁業の問題につきましては、二百海里体制の定着のもとで厳しい状況にございます。政府としては、漁業交渉の粘り強い展開、漁業協力推進等により、海外漁場の確保にさらに努力してまいります。  また、我が国が二百海里水域を高度に利用することがますます重要でありますために、いわゆる培養漁業、つくり育てる漁業への転換、各般の施策を総合的に推進してまいります。  次は、住宅建設と公社公団の借入金の借りかえの問題でございますが、住宅の問題は、首都圏などの大都市問題のみならず、各地域の居住水準の向上を図るという意味で、全国的な大きな課題でございます。  このため、各地域の住宅需要に的確に対応すべく、次の時代を考えまして質的な向上を図るべきであると思います。公営住宅を建設するのみならず、公社公団等についても建設費用の軽減に配慮しつつ、国民負担の軽減、住宅の建設促進について政策的にも努力してまいりたいと考えております。  地方行革の問題でございますが、地方行革につきましては、地方が、憲法地方自治の本旨に基づきまして、自主的、総合的にみずから推進なさ ることであると考えております。政府としては総括的な指針としての地方行革大綱を策定して、要請しているということでございます。  何を改革するか、改善するかは、すべて地方公共団体において決定し、自主的にすべきもので、我々はこれに不当介入していることではないのでございます。  次に、新行革審任務でございますが、これは臨調及び旧行革審答申等に係る制度施策及び運営の合理化、効率化を推進するに当たり各界有識者の御意見を聴取するために設置したものであります。  政府は、改革施策の具体化に当たっては、必要に応じて関係の各審議会にも付議しつつ、施策の立案、実施に当たってまいるべきものであると考えます。あらゆる審議会の最上位に位置する審議会との御指摘は当たっておりません。  以上で答弁を終わりまして、残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)    〔国務大臣玉置和郎登壇拍手
  14. 玉置和郎

    国務大臣玉置和郎君) 総理答弁によって尽きておると思いますが、二つ残っておりますので私からお答えをいたします。  四週六休制でございますが、この問題につきましては、先進国では週休二日制というのはもう常識になっております。そこで、人事院の提言を受けて、我々はそういう方向へ向かってお願いをして決めてもらいました。  しかし、ここで考えられることは、総理も「総理にきく」というテレビ番組で文化の問題に触れて言っておりましたが、余暇というものに対する考え方が日本人とヨーロッパの人たちと若干違います。それは、余暇というのは、ごろごろ家で寝ておるとか、あるいはゴルフをしに行くとか、そういうことだけではなしに、余暇の語源はギリシャ語でスコレと申しますが、スコレというのは英語のスクールの語源でありまして(「そんなこと聞いていない」と呼ぶ者あり)これは言わなきゃわからぬから言うておるんですよ。それでまた、ドイツ語の学ぶということでありますから、その辺のところを考えていただきまして、国権の最高機関の先生方が御指導賜るということが非常に大事だと思います。  また、食管の問題でございますが、今総理が触れられましたが、食管の問題については、我々はこれから審議願う新行革審が最高のものだとは思っておりません。総理諮問機関であります農政審からかなり立派なものが出てきております。そこで食管の問題についても触れられておりまして、これから御審議を願って御可決を願った後、新行革審委員と農政審の委員の皆さん方が御相談なさって、そして食管制度をどういうふうに取り上げていくのか、また政府にどのような答申を寄せていただくのか、これを注目してまいりたいと、このように考えております。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇拍手
  15. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる大型間接税につきまして総理選挙中に言われましたことは、結局、国民生活あるいは国民経済の各層を大きく納税者として巻き込むようなことはしてはならぬというふうに私は理解をしておりましたので、政府でただいま検討中のいわゆる売上税でございますが、まず納税義務者の数をできるだけ絞ろうというふうに考えたわけでございます。先ほど総理も御説明せられましたが、すべての事業者の中で八七%の人は、この問題に納税義務者として関係がない、いわば十人のうちほぼ九人に近い人を煩わしさから解放するということを考えておるわけでございます。  これは課税限度を一億円以下は非課税とすることで、そういうふうにいたしたいと思っておりますが、前回のいわゆる一般消費税昭和五十四年ころに考えましたのは二千万円を限度としておりましたので、今度の一億円というのはその点はかなり考えたつもりでおるわけでございます。  その他、非課税の物品・サービス等を設けますことも、先ほど総理大臣が言われましたとおりでありますが、納税についての手続、書類等々もできるだけ簡素化いたしたいと思いまして、ただいま検討をいたしております。  それから、所得税等々の改正について、私どもは今度は、大半のいわゆる中堅サラリーマンが、多少昇給しましても、すぐに高い方の税率の刻みに行くというようなことがありませんように、広い層の基本税率というものを一本設けるというふうに考えたわけでございます。それはいわば中堅サラリーマンといったあたりが一番のいわば重税感から解放されるということをねらっておりますが、これをブルジョアと呼ぶかどうか、中堅、中流といったところは、いわゆる非常に金持ちという意味でのブルジョアではないところを私は重税感から解放したいと考えておるわけでございます。  それからもう一つ、マル優のことでございますけれども、ある種の所得、いろいろな所得の中で利子所得というものだけがいわば課税から非常に大きく外れておるというようなことは、本来好ましくないことでありましょうし、またその制度の受益者が低所得者とは限らないというのが現状でございますから、むしろこれは老人母子家庭にだけそういう特典を与える制度にした方が公平なのではないかというふうにただいま考えておるわけでございます。  最後に、租税特別措置法のお話がございまして、アメリカの場合は、これを大幅に整理することによって減税財源を生み出したと。そのとおりでございますが、ただ、見ておりますと、アメリカの場合には、いわゆるタックスシェルターとかあるいはループホールとかいうものがもう長年積もりまして、相当のいわば弊害になっておったと思われます。それを整理したということのように承知しておりますが、我が国では、租税特別措置法は、たびたび国会からの御指摘もございまして、随分実はもう整理されておりまして、今残っておりますものは中小企業関係のものが大半になっておるわけでございます。しかし、今後とも適時適切にできるだけ整理方向にまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣平井卓志登壇拍手
  16. 平井卓志

    国務大臣平井卓志君) お答えいたします。  週休二日制、格に言われるこれを完全実施することによる労働時間の短縮が直ちに雇用の創出の面で効果があるかどうか、そういう効果のある対策となり得るかどうかにつきましては、いろいろ御議論のあるところでございます。しかしながら、長期的に見た雇用機会確保という観点をも踏まえて、現段階から労働時間の短縮を図っていく必要があると認識いたしております。このために、今後とも週休二日制の普及促進等を重点に労働時間の短縮に一層努める所存でございまして、国民的な合意の形成の促進と、労使の自主的努力に対する指導援助を進めてまいりたいと考えております。  また、労働基準法の改正につきましても、現在、中央労働基準審議会に審議をお願いいたしておるところでございまして、本日、予定されている建議をちょうだいいたしました上で検討してまいりたいと考えております。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣葉梨信行君登壇拍手
  17. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 国庫補助負担率の引き下げと地方財政法との関係についてお答え申し上げます。  六十一年度に行いました措置でございますが、基本的に補助金問題検討会の報告の趣旨等を踏まえ、社会保障を中心としまして事務事業の見直しを行いながら補助率の見直しを行ったものであるということが第一。第二には、国庫補助負担率の引き下げに伴いまして、地方負担が増加いたしましたけれども、それに対しましては、地方たばこ消費税の税率の引き上げ、地方交付税の増額及び建設地方債の増発により補てんをいたしまし て、地方財政の運営に支障を生じないよう措置しておるわけでございまして、地方財政法に違反するものではないと考えております。(拍手)     ─────────────
  18. 藤田正明

    議長藤田正明君) 片上公人君。    〔片上公人君登壇拍手
  19. 片上公人

    ○片上公人君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま趣旨説明のありました臨時行政改革推進審議会設置法案につきまして、中曽根内閣行政改革に取り組む基本姿勢をただしつつ、総理並びに関係各大臣の見解を伺いたいと思います。  昭和五十六年三月の臨時行政調査会設置以降進められてきたいわゆる臨調行革は、既にその六年目を迎えるに至っております。戦後、歴代内閣は幾たびか行政改革政策課題として掲げ、その実施を図ってきたところでございますが、その実効はいずれもほとんど見るべきものがなかったことは周知のとおりでございます。臨調行革はこれらに比べ、ある程度の成果を生んでいるとはいえ、昨今の情勢を見るとき、私は結局、国民の目には臨調行革も不十分かつ不満足のそしりを免れないと言わざるを得ないのであります。  まず第一に、政府行政改革については、その基本的性格において、福祉、文教いじめに偏し、国民生活圧迫の嫌いがあることが指摘されるのであります。  行政の簡素化及び合理化が真に必要な部分には十分に手をつけず、臨調行革審答申をつまみ食いし、行政改革の名のもとに、社会保障や教育などの政策を後退させてきたのであります。二十一世紀の日本の礎を築くことを標榜する政府の行革は、実は、その根幹であるべき本来の施策をゆがめてきたと言っても過言ではないと思うのでありますが、総理の所信を伺いたいのであります。  第二に、今日の厳しい不況の情勢を見るとき、この五年間の行政改革については政策として誤った面もあったことを指摘せざるを得ないのであります。  現在の経済の実態は深刻な円高不況の中にあり、これまでにない雇用不安を生んでいます。内需の引き続く停滞は輸出依存を強めざるを得ず、対外経済摩擦の激化を招いているのであります。このような内外における行き詰まりは、行革の名のもとの緊縮財政一点張りの硬直的な政策運営のとがめが出たものではないでしょうか。  こうした中で、政府の内外には、もはや行革は終わったかのような動きが見られます。最近の整備新幹線をめぐる総理や官房長官の発言も、その一例であります。これは行革三昧を言ってこられた総理自身、その熱が冷めたということでしょうか。まず総理に、行政改革に関する基本的な考え方と改革に取り組む決意のほどをお尋ねいたします。  第三に、これまでの政府の行革路線と財政再建についてであります。  中曽根内閣は、臨調行革路線を背景に、六十五年度赤字国債依存体質からの脱却を政策目標として掲げてまいりましたが、内需拡大と行革を両立させながら、この目標に向けてどのような方策をお考えか、総理並びに大蔵大臣の御見解を伺いたいのであります。  さらに、財政再建と密接に関連する税制改革について伺っておきたいのであります。  総理は、過日のダブル選挙で、国民自民党員が反対する大型間接税はやらないと公約いたしました。しかし、総理諮問機関である政府税制調査会は、新型間接税と称する大型間接税の導入を答申して四つの案を示し、自民党税制調査会は、このうち最も税収効果の大きい日本型付加価値税を選んで売上税と命名し、これがあたかも総理公約に反しないかのように装い、実行に移すべく検討中だとし、マル優についても、これを廃止するとの方向が伝えられております。  総理が掲げてきた税制改革の理念のうちの選択とは、国民の選択ではなく自民党税調の選択ということだったのでしょうか。事は国民負担に大きくかかわる極めて重大な政策決定事項であります。中曽根総理、あなたは、政府、自民の両税調が答申した大型間接税導入を公約違反であるとして拒否するリーダーシップをお持ちなのかどうかをこの場でお示しいただきたいのであります。  第四に、本法案は、去る六月解散した旧行革審にかえて、新行革審とも言うべき機関を設置しようとするものでありますが、私は、いやしくも新行革審を名のるということであれば、当然これには新たな役割、機能が与えられるべきではないかと考えます。  すなわち、それは、さきに申し上げたような臨調行革の問題点を克服した新しい行政改革推進するという役割を担うべきものであります。新行革審は、このような意味で決して臨調行革審の惰性に流れるのではなく、新しい行革のあり方を見出すのがその役割ではないでしょうか。総理は、この新行革審行政改革推進の上でいかなる役割を期待しておられるのであるか、伺いたいと思います。  次に、委員の人選であります。  審議会の成否は委員の人選で決まるとも言われ、本審議会委員の人選には、国会における各党の論議に十分耳を傾けつつ、政府において慎重な考慮が加えられるべきであると考えるところであります。総務庁長官は、以前、委員についてはフレッシュな人材を起用したいとの趣旨を述べられたことがありますが、委員の人選にはどのような方針で臨まれるのか、総務庁長官考え方をお伺いしたいと思います。  次に、新行革審一体どのような課題に取り組まれることになるのでしょうか。  既に述べたように、政府のこれまでの行革は、臨調行革審答申の都合のよい部分のいわばつまみ食いとも言うべき経過となっています。政府は、新行革審を設置すると言うなら、今こそ内外の基本的な政策課題に手をつけるべきではないでしょうか。そうでないとするなら、新行革審は無用であります。  例えば、情報公開についてであります。臨調は専門的調査研究を行う組織を設けて検討すべきだとしたのでありますが、旧行革審は、これについては何ら検討をした形跡はないのであります。情報公開による開かれた政府の実現は、行政に対する国民の信頼を確保する基本的な前提であります。  この情報公開と相対峙するものにスパイ防止法案があるのであります。報道によりますと、自由民主党は次期通常国会に、さきに廃案となったものに多少の手直しを加えて再提出をもくろんでいるようでありますが、このスパイ防止法案動向が情報公開制度を阻害していると思うのであります。しかし、スパイ防止法案に多少の手直しを加えても本質的に変わるところはないと思うのでありますが、総理は、自由民主党総裁として、スパイ防止法案を断念し、情報公開法の制定を急ぐべきだと思うのであります。  このように、今、求められている政策は何であるかを決定することこそが政治の要諦であり、本法律案の制定の趣旨に沿うものであると確信するものでありますが、総理の所信をお伺いして私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  20. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 片上議員にお答えいたします。  まず、行財政改革と社会保障との関係でございますが、これまで実施してまいりました医療、年金等の改革は、いずれも本格的な長寿社会に備えまして、社会保障制度を公平で長期安定したものにすべく長期的展望に立って取り組んできたものでございます。国民の皆さんの御理解を得るように大いに努力しておるところであり、今後とも、このような長期的安定、負担の公平等を目指して努力してまいるべきものであると考えます。  行財政改革と教育の問題でございますが、教育改革は国政の重要課題の一つであり、その実現は 政治の大きな使命であると考えております。  臨教審のこれまでの答申を受けまして、教育内容の改善、教員の資質向上等各般に向けて努力しております。いわゆるいじめの問題あるいは偏差値重視の問題、共通一次テストの問題あるいは教育の複線化の問題、教員研修の問題あるいは六年制中学の問題、こういう問題については今大いに案をつくり、推進すべく、また努力しておるところでございます。今後とも国民期待にこたえ得る教育改革の実現に向けて全力を振るう所存でございます。  次に、不況の原因は何であるかということでございますが、石油問題から発しまして、その後の後遺症あるいはそれによる世界的景気の後退、あるいは債務国が非常に激増してきたというような事情、あるいは先進国におきましても財政赤字が非常に顕著に出てきている、こういういろいろな問題から見まして不況が著しく出てきたということが言えると思います。  我が国といたしましては、一方において、財政改革を強力に推進すると同時に、他面においては、内需の振興あるいは雇用対策等について今後とも万全を期して対策を講ずるつもりでございます。  次に、行革に関する基本的考え方の問題でございますが、政府は、臨調及び行革審答申尊重を旨としつつ行革をやってまいりました。  これまでも、例えば行管庁をやめて総務庁とする行政改革行政機構の整理合理化、あるいは五年で五%ずつ公務員の数を縮減していこう、こういう公務員数の縮減、あるいは電電、専売の民営化や公的年金制度あるいは医療制度改革など、一歩一歩実施してきたところでございますし、今回は、おかげさまで国鉄改革についても先般法案の成立を見たところでございます。  しかし、行革審最終答申において行政改革はまだ道半ばとされておりますし、私もこの事業は三代の内閣、十年の仕事だと申してきており、まだ道半ばにあると考えております。今後とも着実な推進を図っていくべきであると考えております。  六十五年度特例公債脱却というこの目標は、極めて厳しい状況にはなっておりますが、いろいろ知恵を尽くしまして、旗はおろさずに最大限努力を続けてまいる所存でおります。  具体的施策の組み合わせは、毎年度予算編成過程において慎重に検討し、また施策実施におきまして適切に対応してまいりたいと考えております。  次に、いわゆる売上税選挙公約との関係でございますが、先ほど申し上げましたとおり、私がいわゆる大型間接税と申し上げましたのは、私がみずから定義を申しておるところでございます。  今回のいわゆる売上税と申すものは、先ほど来申し上げましたように、一億円以下の中小事業者等は非課税とする、約八七%が除外される、それから特定の商品・サービスを非課税とする、あるいは税率は五%以下である、こういうようなことから私が公約したことには違反しないと考えております。  次に、新行革審の役割でございますが、臨調、旧行革審には、厳しい内外情勢に対応し得る適正かつ合理的な行政の実現のため適切な改革方策を御提言願い、これに基づく改革実施を行ってきたと考えております。  新行革審には、臨調、旧行革審答申等の実施をさらに推進する観点から、政府施策について調査審議を願い、また従来掘り下げ不十分な課題や新たに施策の展開を図るべき課題についても取り組んでいただきたいと期待いたしております。  情報公開の問題でございますが、この問題については、政府としては、臨調答申を踏まえて、六十年十二月に閣議決定された行革大綱等において関連する諸制度、諸外国制度運用の調査研究等を進めておるところでございます。  この分野は全く新たな分野であり、広範多岐にわたる関連諸制度との調整等すそ野が広く、慎重な配慮と手順が必要であり、かつまた地方公共団体において先行実施しているところもございますので、これらの経験もよく勘案いたしまして、必要な調査研究を今後とも鋭意進めてまいる所存でおります。  いわゆる国家秘密法、いわゆるスパイ防止法案は、自民党においてこの種の立法が必要であるとの立場から現在種々検討を行っております。しかし、この種立法については、国民の基本的人権やいわゆる知る権利などにかかわる問題もありまして、国民の十分な御理解を得られることがまず必要であり、各般の観点から慎重に検討さるべきものであり、目下、自民党において検討中のものでございます。残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)    〔国務大臣玉置和郎登壇拍手
  21. 玉置和郎

    国務大臣玉置和郎君) 今までも臨調行革審答申を受けてかなりの成果が上がってきておることは皆さん御承知のとおりだと思います。まだ、今、それでも道半ばだということでございますが、私が総務庁長官に就任さしていただきまして特に力を入れておりますものは、聖域はないということであります。  それだけに、今、国会でもまた社会でもタブー視されているものに挑戦するということで、米を含む農協のあり方、これに第一に力点を置きました。次に、年間大体一兆三千億とも言われる、この六年間で六兆五千億ODAの金が出ておりまして、これも一つの聖域だと言っておりましたが、これにやはり力点を置いたわけであります。もう一つは、いろんな問題でまた御批判のある、しかも国民がなかなか声を出さない金融資本の問題、銀行、証券、損保、生保、それを監督するところの機関のあり方、これが本当に国民のニーズにこたえておるのかどうかということ。もう一つは、国と地方自治の問題でありまして、富裕県と貧困県のあり方に対してどのようにやっていったらいいのかということ。さらにもう一つ難しいのは、地域改善対策についてもこの際思い切ってやってみたいという、この五つでありまして、それは非常に難しい問題であります。  難しい問題であるだけに、従来の委員の方々は一生懸命にやっていただきましたが、それだけでなしにフレッシュな行動力のある、ということは、それぞれの問題に応援の国会議員がたくさんついておるわけであります。これは皆さん御承知のとおりであります。特に自民党に多い。そういうことを考えていきましたら、ここで、そういう観点から人選をやっていくべきであると考えております。  何かきのうから報道されておりますが、私は、今のところ全く白紙でありまして、基本の問題については、総理にこういう基本でやりたいということは言っておりますが、総理も全くの白紙であります。人選については富士山のあの雪と一緒でありまして、白い一点張りでございます。これが皆さんの慎重審議の上に御可決をいただきましたら、一生懸命また急いでやりたい、このように考えておりますので、御了承を願いたいと思います。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇拍手
  22. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 昭和六十五年度までに赤字国債依存の体質から脱却するということは事実上難しいのではないかというお尋ねでございまして、確かに、もう来年度は六十二年度でございますので、これは容易なことでないということはひしひしと実は私自身が感じております。  ただ、御承知のように、ただいま一般会計の中でいわゆる国債費、ほとんど利払いでございますが、もう二割を超えております。そうして毎年一〇%ずつぐらい、ここのところその部分だけがふえてまいっておりますことを考えますと、将来高齢化する我が国の社会の中で、このままでは財政が全く対応力を失ってしまうというふうに考えられますので、何とかして財政改革をやらなければならないということを強く実は感じております。  ただ、その中で、昨今のようにまことに異常な経済情勢になりまして、内需を振興しなければならないということは、内外に対する我が国のいわば大切な課題でございますから、先ごろ御審議いただきましたような補正予算を組んだわけでございますが、六十二年度予算編成につきましても、その大切な課題は何とかやはりやってまいらなければならない。いわば二律背反をしておりますような予算編成でございます。結局、財政改革という大きな目標の中で優先度をできるだけ内需振興というところへ絞っていく、こういうやり方をいたしていくしかないように考えておりまして、ただいま鋭意六十二年度予算編成は取りかかったところでございます。  それから、売上税の問題につきましては、総理大臣が先ほども、またただいまも御答弁をされ、私も先ほど申し上げましたとおりでございますが、要するに、国民の中でなるべく納税義務者の数を絞りまして、できるだけお手数をかけないように簡素な形でということで考えさしていただきたいと思っております。(拍手
  23. 藤田正明

    議長藤田正明君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  24. 藤田正明

    議長藤田正明君) 日程第一 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長岩本政光君。    〔岩本政光君登壇拍手
  25. 岩本政光

    ○岩本政光君 ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案の主な内容は、第一に、艦艇の就役、航空機の取得及び中央指揮所の二十四時間運用態勢の確保等に伴い、自衛官の定数を海上自衛隊三百五十二人、航空自衛隊二百三十一人、統合幕僚会議二十三人、合わせて六百六人増加することにより、自衛官の総定数を二十七万二千七百六十八人とすること。第二に、自衛隊の予備勢力を確保するため、予備自衛官の員数を陸上自衛隊に千人増加するとともに、航空自衛隊に三百人新設し、合わせて千三百人増加することにより、予備自衛官の総数を四万四千九百人とすること。第三に、船舶及び有線電気通信設備等の防衛上の重要性及び防護の緊要度が高まったことに伴い、自衛官が武器を使用して防護することができる対象にこれらを加えること。第四に、国の機関から依頼があった場合には、航空機による国賓等の輸送を行うことができることとし、そのための航空機を自衛隊が保有できることとしようとするものであります。  委員会はおきましては、中曽根内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行うなど熱心な審査が行われました。  その主な質疑の内容は、自衛官の定数増と充足率との関連、予備自衛官の増員理由と将来構想、武器を使用して防護できる対象拡大理由、防衛計画の大綱の見直し大綱水準達成とGNP一%との関連等のほか、洋上防空構想、在日米軍労務費負担、日米共同統合演習、事前協議制度等広範多岐にわたっておりますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと思います。  採決により質疑を終局することを決定した後、討論に入りましたところ、日本社会党護憲共同を代表して久保田理事より反対、自由民主党を代表して大城理事より賛成、公明党・国民会議を代表して峯山委員より反対、民社党・国民連合を代表して柳澤委員より賛成日本共産党を代表して内藤委員より反対の旨の発言がありました。  討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  26. 藤田正明

    議長藤田正明君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。野田哲君。    〔野田哲君登壇拍手
  27. 野田哲

    ○野田哲君 私は、日本社会党護憲共同を代表して、ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法改正案に反対の討論を行います。  世界じゅうの平和を願う諸国民の注目と期待を 集める中で行われたレイキャビクにおける米ソ首脳会談は、残念ながら合意を見るに至りませんでした。核兵器の削減、軍縮に向かう重要なステップを期待していた世界各国に大きな失望をもたらしました。この決裂の原因は、アメリカレーガン大統領のSDIへの固執によるものであります。レイキャビク後の情勢は、アメリカのSALTIIを無視した百三十一機目のB52戦略爆撃機の新規配備に端的にあらわれているように、核軍拡のエスカレート、米ソの対立と緊張が再び激化する方向に向かいつつあります。  このような情勢の中で、アメリカの世界戦略に深くコミットした日本の自衛隊が、その規模と役割を拡大することに私たちは強く反対するものであります。  アメリカの対ソ戦略として極東第二戦線論という戦略が提起されています。アメリカ国防総省のリチャード・ソロモン政策企画局長は、この極東第二戦線論について次のように述べています。   欧州でソ連との間に戦争が起きれば、戦場はソ連側が望む場所だけに限定されないことをソ連に思い知らせなければならないであろう。我々はアジアで第二の戦線を開く準備を怠ってはならない。我々には日本、韓国、タイ、フィリピン、オーストラリアという強力な同盟国がある。  このようにアメリカの戦略の中では日本の自衛隊はアジアにおける第二戦線を担う重要な軍事力として、また日本列島はその重要な基地として位置づけられているのであります。最近の在韓米軍まで加えた米軍との合同演習の繰り返しやその規模拡大には、このような背景があることの危惧を強く感じるものであります。  毎年拡大を続ける日本の軍事力について、アメリカ国防総省のアーミテージ次官補は次のように評価しています。   日本の自衛隊は十三個師団の現役師団を保有している。米軍はこれに比較して十七個師団である。モンタナ州よりも狭い日本の領土で十三個師団というのは強い印象を受ける。日本の海上部隊は五十隻以上の最新型駆逐艦を保有しており、この隻数は西太平洋とインド洋の全域を担当している第七艦隊の駆逐艦隻数の二倍以上に当たる。日本の海上航空部隊は、保有中と発注分を合わせるとP3Cオライオンを百機所有する。これは我々が保有している最新式の対潜用航空機である。この機数はアメリカ第七艦隊に配備されているP3Cの三倍以上である。日本の航空自衛隊はアメリカ本土防衛担当の米空軍部隊と同数の迎撃機を既に保有し、一九九〇年までに我々の最新型戦闘機F15イーグル二百機が第一線機として配備される。  このように評価しています。日本の国土を守るための必要最小限度の自衛力と言っていた自衛隊が、アメリカの国防総省からさえ、このような評価を受ける戦力を持つに至っているのであります。そしてその戦力が、アメリカの同盟国として対ソ戦略の一翼を形成していることを指摘し、その拡大強化に強く反対するものであります。  今からちょうど十年前、三木内閣のもとで防衛計画の大綱が策定されました。その今と同じ自由民主党内閣のもとで策定された防衛計画の大綱でさえ、実施上の留意事項として「そのときどきにおける経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ」行うと明記し、その具体的な歯どめとして、防衛費GNPの一%以内と定めたのであります。  ところが、現在はどうでしょうか。経済財政事情を勘案し、国の他の諸施策との調和が図られていると言えるでしょうか。昨年、一昨年とお年寄りの生活のよりどころである年金制度が大きく改悪されました。そして今、さらに追い打ちをかけるように、老人保健法の改悪によってお年寄りの医療費の負担が大きくふやされようとしています。政府の誤った経済政策によって、造船、炭鉱、製鉄を初め多くの製造業で閉山や工場の閉鎖、操業短縮が相次ぎ、国鉄の分割・民営による影響も含めて雇用不安が大きく広がっています。  百四十兆円を超える国債残高が重くのしかかっている厳しい財政事情によって、すべての政策分野で予算要求はマイナスあるいはゼロシーリングが続いている中で、自衛隊の予算だけが毎年六%、七%とふえ続ける、このような状態が防衛計画の大綱にいう「経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和」を図っていると言えるでしょうか。本当に経済財政事情を勘案し、国の他の諸施策との調和を図るのであれば、自衛隊の定員増加を取りやめ、巨額を要する新規装備を含めた十八兆四千億円もの経費を必要とする中期防衛力整備計画を撤回すべきであります。  軍事力が大きくなり、軍事同盟の度合いが深まれば深まるほど、その軍事力をフルに運用し、軍事同盟関係を効果的に運用するために国内体制の再編成に動くのは、今までの歴史が教えているところであります。  四十年前の我が国の歴史はそれについて次のようなことを私たちに教えています。  国会審議の土俵をできるだけ狭くし、審議を形骸化する。首相官邸の権限を強化し、政策の決定過程をトップダウン方式にする。国家予算の策定に当たって、軍事費関係を聖域扱いにする。軍事、外交の重要部分を秘密扱いにする。地方自治や教育の自主性を否定し、国家管理を強める。国民の権利を守ることより軍事力の配置や行動を優先する。これはかつて日本が大きな誤りを犯したときにとられた国内体制であります。私たちにとってはわずか四十年前の教訓であります。  今、この歴史の教訓を振り返りながら、この四年間、中曽根内閣行政改革の名で進めてきた、またこれから進めようとしている諸改革を見るとき、多くの事柄がその軌を一にしていることを指摘し、反対の討論を終わります。(拍手
  28. 藤田正明

    議長藤田正明君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  29. 藤田正明

    議長藤田正明君) これより採決をいたします。  本案賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  30. 藤田正明

    議長藤田正明君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十二分散会