○橋本孝一郎君 私は、
民社党・
国民連合を代表して、
日本国有鉄道改革法案並びにその関連
法案及び修正案に対し、
賛成の
討論を行います。
国鉄は、長年にわたり、
我が国の輸送機関の大動脈として経済復興の礎となり、経済社会を支え、その
発展に大きな貢献をいたしてまいりました。しかし、
昭和三十
年度において全国
旅客輸送量の五五%を占め、基幹的輸送機関としてその地位を誇っていた
国鉄は、高速道路綱の
整備に伴うモータリゼーションの進展と空港
整備による航空機輸送の飛躍的な発達の中で、年々そのシェアは低下し、六十
年度は二二%まで落ち込み、今後この傾向は続くものと予想され、六十五
年度におけるシェアは二一・一%と、全輸送機関における相対的地位は一層低下するものと予想されております。
こうした
経過の中で、
国鉄は、
昭和四十四年に財政再建計画を策定して以来、数次にわたり
経営の
健全化に取り組んでさましたが、その障害が克服できず、いずれも収支均衡の目標は果たせず、中途挫折を繰り返してきました。そのために、今や
国鉄財政は、
昭和六十
年度の累積
赤字は十四兆円にも達し、
長期債務は二十四兆円と巨額なものになっております。その上、現在でも一日六十三億円、年間二兆円を超える
赤字を生み出す最悪の状態になりました。
このような
国鉄の
経営の破綻は、輸送構造の変化に即応した変革や生産性の向上が立ちおくれるなど、時代の変化に的確に対応できなかったことにあります。またそれができなかった
原因は、現行の
経営形態そのものに内在する構造的な問題、すなわち、
公社制度のもとで巨大組織による全国一元的な
運営を行ってきたことにあります。したがって、
国鉄経営を再生するためには、現行
制度に内在する構造的欠陥を克服し、効率的で
責任ある
経営を可能にするように、事業を
分割・
民営化する以外にないと思うのであります。
しかし、これまでの審議を通じて明らかなように、
改革に伴う
課題は数多くあることもまた事実であります。したがって、我々は
賛成するに当たり、数点の重要な問題について指摘し、
政府の的確かつ迅速な対応を促すものであります。
その第一は、
土地売却、株式
売却等に伴う
長期債務の
処理についてであります。
土地等の
売却に当たっては、厳に公正公平に行い、いささかの疑念も生じることなく行われること、また
政府の
責任において
処理すべき
債務に対する財源について、でき得る限り早い時期において
国民の前に提示しなければならないということであります。
第二は、余剰人員対策について
政府の対応が比較的おくれていることにかんがみ、一層の努力を傾注しなければならないということであります。
余剰人員対策の成否は、この
国鉄改革を成功に導くかどうかの重要なポイントの一つであります。公的部門における三万人
採用は絶対に達成しなければなりません。協力をしている
民間企業に影響するからであります。
政府における公約実現に向けての努力を促すものであります。
第三は、貨物
鉄道会社についてであります。
貨物
鉄道においても、名神、東名高速等から始まり、次々と道路網の
整備がされるに伴ってト
ラック輸送との競争に敗れ、国内貨物輸送量に占める
国鉄のシェアは、四十
年度の三〇%から六十
年度の五%にまで急低下いたしました。このような歴史を顧みるとき、
利用者にとって便利な
鉄道でなければ
貨物会社が成り立たないことは明白であります。通運事業法の原則自由化、
旅客会社とのダイヤ調整など工夫を凝らさねばなりません。
第四は、
整備新幹線についてであります。
我々も国土の均衡ある
発展と
国民がひとしく新技術の恩恵を享受できるという観点から考えますと、必ずしも
反対するものではありません。しかし、
政府・自民党のやり方は余りにも強引であり、慎重さに欠けるのではないかと思います。現在、財源問題等検討
委員会において、財源、建設主体、
運営主体等について検討が行われているところであると聞いておりますが、結論を余りにも急ぐばかりに新
会社の
経営の自主性を妨げてはならない、二十一世紀に向かって新しい
交通の総合体系を見詰めた対応をしていただく必要があると思います。
第五は、新幹線リース機構についてであります。
既に審議の段階において我が党が主張した、四、五年後に機構の存廃について決定を下すのかという
事項に対して、
政府の見解は検討をするということでありましたので、そのための努力を鋭意進めていただきたいということであります。
以上、
法案が成立した後に早急に検討がなされなければならない幾つかの
課題について述べてまいりましたが、百十四年の伝統ある
国鉄の歴史に終止符を打ち、
国鉄民営・
分割化をするのであります。整然と、しかもスムーズに目的に向かって
移行するために、これらの諸点について
政府における慎重かつ迅速なる対応を促すとともに、我が党としても、この
改革が
国民の期待するよき
鉄道となるように今後においても積極的に取り組みを続けていくことを表明し、私の
賛成討論を終わります。(
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