○林寛子君 今の
大臣のお話のとおり、九月入学ということに対してのきっちりとした利点というものは一体どこにあるかというお話でございますけれども、私はやっぱり九月入学ということの大きな利点というのは、第一には諸外国に多いといいますか、世界じゅう見ましても六一・三%が九月入学になっているという国際性ということにかんがみて、やっぱりそうすることが、例えば海外からの帰国子女であるとか留学生の受け入れという面に対しても大変大きな利点があるであろうと思います。
また、六、七月に卒業しましてその後
大学の入試が行われれば、
生徒が三学期も
学校に腰を落ちつけることができる。今の三学期というのは、ほとんど入試のために三学期というものが丸々、充実した三学期を送ることができないという今の現状から見れば、九月入学にすれば三学期の勉強も腰を落ちつけてできるという、これも大きな利点であろうと思います。例えば
学校の
教育計画なども、
夏休みに余裕を持って計画を立てることができるという、これも大きな利点であろうと思います。また、気候
条件の悪い夏に学年の切れ目を持ってくるのが、
日本の四季ということから
考えれば、これも本当は
日本に大変合った入学制度になるのではないかというふうにも
考えられます。
また、生涯学習の観点から、
夏休みの間、これから
学校の施設というものを
夏休みに開放してはどうかというようなこともございますので、生涯学習ということをうたっている今の
社会の情勢としても、
夏休みを開放するという点でもこれはいいのではないかというふうに思われますし、またもう
一つは、今の状態でありますと、四月というのは大体学年の始めということで、どこでも四月の初旬に短
期間に大量の
教員の
異動があるわけですね。そうしますと、引き継ぎや
授業などへの準備に十分な時間がとれないという今の現状もあるわけでございますから、これも、九月入学にすれば
教員の
異動あるいは
学校の方針等を含めて十分に準備
期間がとれるという、これも利点であろうと思われます。
ただ、先ほど
大臣がおっしゃいましたように、今まで長い間なじんできた四月入学というものに対してのいろんな抵抗というものもあるでしょうし、精神的ないろんな難しさというものもあろうと思いますけれども。それともう
一つは、そういう利点が多々あるにもかかわらず、九月入学ということになりますと、今
大臣がおっしゃいましたように、多くの予算を伴うという、例えばどれくらいの予算がかかるのかというようなことになりますとこれも大変大きな問題です。
この九月に移行するという
方式にも、五通りぐらいの
方式があろうと思いますね。例えば一・五倍入学
方式、新入生の漸時受け入れ
方式、繰り上げ
方式、あるいは繰り下げ
方式、または西ドイツ
方式というふうに五つぐらいある。九月に入学を持っていくとしてもどの
方式を取り入れるか。
例えば一・五倍
方式というのをとりましても、これは最初の年度に小学一年生は約五割膨れ上がるわけですね。そのために
学校の施設の充実や
先生方の増員が必要になってくる、こういう大きな問題が一・五倍
方式にもあるわけでございます。また、入ってきた一年生が高校を卒業するまで十二
年間それが続くことになるわけですね。その経費というものが大変大きなものになろうと思いますし、小
中学校の新たな国庫負担は、大ざっぱに計算しましても五千億円を上回ると、こう言われるわけです。ですからこれも大きな負担でございますし、国だけではなくて、高校の地方自治体の負担も含めますと、一・五倍
方式になりますと一兆三千億円以上の予算がこれだけで必要になるという、一・五倍
方式でもそうなるわけですね。
また、漸時入学
方式というのをとりますと、これならば六
年間は通常の姿でございますけれども、財政負担というものは一・五倍
方式よりもやや軽くなるわけでございますけれども、それでも小
中学校の国庫の負担は四千数百億円必要だとこれも言われているわけでございます。
そしてまた、新入生が半年おくらして九月に入学するということになりますと、新たな財政負担はございません。けれども、そうなりますと、入学金や
授業料の収入をそれに頼っております私学というものは、私立高校というものは、特に私大にとりましても大きな
年間の収入が途絶えるわけでございます。それも大きな問題でございますし、
日本の私大連盟の試算では、この九月の入学移行に伴いまして、収入の欠損は最初の半
年間で二千億円から二千五百億円にも上がると言われております。そのような各それぞれの減収と、政府あるいは地方自治体にかかります増額、予定見込み額というものが軽く一兆円を超してしまうというような額が優に要るわけでございます。
ですから、そういうものが、今時間がありませんからこれ以上細かく言えませんけれども、九月入学というものは確かにいいんだ、国際的な
日本の門戸を開く、あるいは外人
教師も含めて留学生、利点は今申しましたように多々ありますけれども、いいとわかっていても、これらの予算を伴う場合には果たしてどれだけのものが国で見られるんだろうか。この財政が緊迫しております時期に、これだけは別よと、別枠よというお心が果たして
大臣におありなのか。その辺のところは、まだ
結論が出ておりません、
検討期間だとおっしゃいますけれども、私は今の国際化という、門戸を開いたその国際化の推進ということから見れば、やはりいつかの時点でこれに踏み切らざるを得ない時期が来るであろうと思いますので、まだ決定しておりませんから明らかには言えませんけれども、これが本当にいいことであるという
結論が出た場合に、今は僕の
大臣が済んでからかなんとおっしゃるかもしれませんけれども、私はやはり今
大臣として大きな決意とそして推進方をお願いしたいんですけれども、その点はいかがですか。