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1986-12-16 第107回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十二月十六日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十一月二十五日     辞任         補欠選任      大塚清次郎君     大鷹 淑子君      村沢  牧君     佐藤 三吾君  十一月二十六日     辞任         補欠選任      大鷹 淑子君     大塚清次郎君      佐藤 三吾君     村沢  牧君  十二日十一日     辞任         補欠選任      青木 幹雄君     桧垣徳太郎君  十二月十三日     辞任         補欠選任      桧垣徳太郎君     青木 幹雄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高木 正明君     理 事                 北  修二君                 水谷  力君                 宮島  滉君                 稲村 稔夫君                 刈田 貞子君     委 員                 青木 幹雄君                 上杉 光弘君                 浦田  勝君                 大塚清次郎君                 川原新次郎君                 熊谷太三郎君                 坂野 重信君                 鈴木 貞敏君                 初村滝一郎君                 本村 和喜君                 上野 雄文君                 菅野 久光君                 村沢  牧君                 及川 順郎君                 下田 京子君                 橋本  敦君                 三治 重信君                 山田耕三郎君    国務大臣        農林水産大臣   加藤 六月君    政府委員        農林水産大臣官        房長       甕   滋君        農林水産大臣官        房審議官     青木 敏也君        農林水産省経済        局長       眞木 秀郎君        農林水産省構造        改善局長     鴻巣 健治君        農林水産省農蚕        園芸局長     浜口 義曠君        農林水産省畜産        局長       京谷 昭夫君        農林水産省食品        流通局長     谷野  陽君        食糧庁長官    後藤 康夫君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (当面の農林水産行政に関する件)     ─────────────
  2. 高木正明

    委員長高木正明君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林水産政策に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 上野雄文

    上野雄文君 私からは、ちょうど予算編成期でありまして、いろいろ農林予算をめぐっての議論があちこちで起こっておりますが、とりわけ国と地方との関係の中での普及員の問題についてお尋ねをいたしたいというふうに思うんです。  今、農業改良普及員生活改善も含めて全部で全国で何人おって、それから事務所の数、それについてちょっとおっしゃってみていただけませんか。
  4. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 先生お尋ね協同農業普及事業にかかわる現在の人数等の現状でございますが、昭和六十年度末、ことしの三月三十一日現在の全国普及職員の数は一万一千七百三十四名でございます。そのうち、農業改良普及員は九千七百名、生活改善普及員は二千三十四名でございます。さらに、この改良普及員方々活動の拠点としております普及所の数は、全国で六百十一カ所でございます。
  5. 上野雄文

    上野雄文君 これだけ大変な数がいるのに、私たちは、かつて三分の二の人件費補助制度でスタートしたわけですね。それが交付金に変わり、今度は一般財源化する、こういう話でありますから、そうでなくとも交付金に変えられたときに、かつて超過負担議論でもって大分農水省と折衝もしました。しかし、一連行革関連交付金になってしまったわけでありますが、またさらにそれが強化をされてくる、こういうことになったわけですね。  十二月五日のこれは朝日新聞ですか、協同農業普及事業交付金約三百五十億円、これをそっくり都道府県の方の一般財源化する、こういう記事が出まして、私たち本当に年々普及員扱いの問題が悪くなる一方、こういうことで大変腹を立てているわけでありますが、六十二年度の予算要求で、全部でどの程度要求されておりますか。
  6. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 協同農業普及事業交付金に関連いたしましては、六十一年度が三百四十六億円でございましたが、昨年いろいろの御議論を賜りまして、さらにこの制度重要性というようなことでございまして、六十二年度予算におきましては、マイナスシーリングという厳しい状況にもかかわりませず、現在、協同農業普及事業交付金については、六十一年度と全く同額の三百四十六億円を要求しておるところでございます。
  7. 上野雄文

    上野雄文君 わかりました。  そこで、実はきょう大蔵へこれから押しかけていきまして、少しチャンチャンバラバラやらなければいけない、こう思っているんです。  そこで、この三百四十六億円というのは、補助制度から変わったわけですから、今普及員の全体の人件費の何%ぐらいカバーしていますかね。
  8. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) この協同農業普及事業に関連する予算でございますが、交付金につきましては、基本的に人件費といいましょうか、具体的にほかに一部研修費等入っておりますが、広い意味での人件費のものでございます。全体の協同農業普及事業に要した経費といったものを決算ベースでこの数年とってみますと、今先生のおっしゃったことと関連いたしますが、ほぼ五〇%弱でございまして、六十年度におきましては四七%、簡単に申し上げますと県が一、国が一ということで、協同農業普及事業協同性というものをこの点具現しているように考えるところでございます。
  9. 上野雄文

    上野雄文君 大蔵とやり合うのに、一応念を押しておきたいのだけれども、この仕事都道府県固有仕事であるのか国の仕事であるのか、そこのところはどうですか。どういう整理の仕方をしていますか。
  10. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) この普及事業につきまして、私ども常々協同農業普及事業という言い方で申し上げているところでございまして、一方では現下の農政におきますいろいろな意味での技術の革新とか、あるいは具体的な後継者育成等々に関連いたしましての重要性、さらに具体的な意味での県と国とがともに手を携えて行う事業だというふうに考えているところでございます。
  11. 上野雄文

    上野雄文君 聞き方が悪かったかもしれませんね。固有事務委任事務の区分でいったらどっちになりますか。
  12. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) この事業につきましては、先生の御趣旨の、御質問のところでございますが、昭和五十八年の切りかえ時におきまして、一つ全国的に、バランスのとれた一定の行政水準確保する必要があること、あるいは国と都道府県協同事業としての性格を有していること等から、都道府県財政事情にとらわれることのないような形で、この事業交付金という形でしているわけでございます。
  13. 上野雄文

    上野雄文君 だって、地方自治法上の扱いとして、都道府県、市町村の固有地方自治体の仕事であるのか、あるいは団体委任機関委任の別はいずれにしても機関委任であるのか、あるいはその両方にも属さないその他の行政事務であるのかというふうに区分されているはずなんですよね。それによって主体的な金の負担の問題や何かで議論が出ると私は思っているんですよ。  そもそも、農業改良助長法ができて、当時は農業教育委員会であると言わんばかりに行政から独立して、我々はいわゆる農業革命というか、農民行政力で抑えつけていくというんじゃなくて、教育的なものを含めながら農村改革というものをやり遂げるのだという意気に燃えた仕事だったんですね。そういう経緯からくると、私はどうも機関委任的な性格を持つものではないかなと、こう思っているんですよね。だとすれば、大蔵がなたを振るおうとしても、それは補助金から交付金に姿を変えてはきてみたものの、国の責任において処理すべきものと理解すべきだと、私はこう思っているんですが、この辺はどうですかね。
  14. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 先ほど来お答えいたしておりますように、この事業は、先生指摘のとおり国と県の協同事業というようなことでございまして、この点につきましては具体的に改良助長法の中に明記されているわけでございます。そういう意味におきまして、五十八年の改正におきましては、国と都道府県が協調して定める方針に従って事業を推進するということでございまして、普及事業に要する経費は、国は協同農業普及事業交付金として支出するということを明記しているところでございます。
  15. 上野雄文

    上野雄文君 その議論、私はそう思っているんだけれども大臣に聞いてもあれかな。非常に大事なところなんですよね、はぐらかされるかな。  そこで、事業そのものは確かに協同でやるべきことかもしれませんが、責任の主体は一体どっちなんだということをとことんまで突き詰めていくと、私は国の方が責任を持つべき仕事なんだろうと、こういうふうに思うんですよね。それに属する事務というふうに思うんで、これはあんたとやり合っているよりも、今から大蔵相手にやるわけですから、私はそういう立場を放棄するわけにはまいりませんから。  そこで、この間じゅう農政審の答申のお話を私は受けたんです。そのことについては後ほど稲村議員から話があると思うんで、私はこの中で普及員役割をどういうふうに位置づけていらっしゃるのか、特にその部分に関しての話がなかったものですから、私なりに聞いておきたいなと、こう思うんですが、どの部分でどんなふうに考えていらっしゃるかということを私にわかるように、相手に攻める材料としてあなたからお与えをいただきたい、こう思っているんですかね。
  16. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 先般報告がありました「二一世紀へ向けての農政基本方向」におきましては、普及員重要性というようなことを特記してございまして、全体の中での第二章に「生産性の高い水田農業の確立」という章がございますが、その中におきまして高生産性農業技術の開発と普及」という節がございます。その中に特に「普及指導高度化重点化効率化」という一項がございまして、その点について「普及指導活動の一層の効率的展開を図る必要がある。」というふうに明記されているところであります。  この点につきましては、簡単に申し上げますと、全体におきまして二つ部分から成っておりまして、現在におきます農業技術高度化あるいは経営専門化進展という状況対応いたしまして、普及員の一層の役割重要性というものが明示されているわけでございます。「このため」といたしまして「試験研究機関との連携強化」あるいは「高度な情報処理技術の活用による技術経営指導強化を図るとともに、次代を担う農業者育成確保のための対策充実が重要である。」というふうに明記されているところでございます。
  17. 上野雄文

    上野雄文君 わかりました。  そこで、これだけの任務を背負わせるんですから、やっぱり現場で頑張っている連中意欲を持って仕事できるような条件というのを整えてやっていただかなけりゃ困ると、こう思うんですよね。  私も、県会議員のころ、農業短期大学校運営審議会何とか委員なんていうのもやってまいりまして、後継者の問題やあるいは普及事業との関係やらいろんなところまで論議をさせられました。ちょうどそのころ、普及員資格短大でなくて四年制大学にまで高められてきたわけですね。若い連中意欲を持って普及事業に飛び込んできても、今日さまこのように農政審のこの「二一世紀へ向けて」では大変立派なことを書いてあるけれども、金の面ではまことに粗末にされるという姿があらわれてきたのでは、これは夢も希望もなくなっちゃうんではないんかなと、こう思うんですよね。  きょうは、米の自由化についての毎日新聞の世論調査ですか、これが出ておりまして、食管制廃止は一八%の賛成しかないようであります。ただ「コメ自由化賛否真っ二つ」、これをどう結びつけて皆さん考えているのか、都合のいいところだけあるいは丸をつけたのかもしれません。しかし、いずれにしても食糧問題をひっくるめて日本農業を何とか守っていかなきゃいけない、その第一線で頑張るんですよというような若い連中意欲を持ってやれるような仕組みというものを、ただ紙に書いただけなんではだめであって、ひとつその辺はしっかりやってもらいたいなと、こう思うんですが、何かそういう点について考えていらっしゃることがありますか。
  18. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 先生お尋ねは、若い人たちがこの普及事業重要性に意識を持たれて、この職場の中で大いに今後農業を伸ばしていくというような事業に従事されることの御質問だというふうに理解しております。  先生指摘のように、五十八年度の大きな制度改正に関連いたしまして、現在におきます高学齢化といったようなことに立脚いたしまして、この職場におきます普及員受験資格というものを一応四年制大学卒というふうにしたところでございます。こういった方々が現実におきます新しい技術を習得し、あるいは農民方々にその技術を伝達していくということにおきまして、意欲を持ってその普及事業に従事されるということにつきましては、一つは、おっしゃるような形でこの事業というものが安定的に重要なものであるということの普及あるいは認識というものが必要であろうかと思います。さらにまた、具体的な職場におきます、働きにおきますいわば物的な施設と申しますか、そういった面におきましてそういう施設整備といったようなものを充実していく必要があろうというふうに考えるところであります。  後段の方でございますけれども、現在いろいろな意味での情報化といったようなものが進んでおります。そういう意味パソコン等につきましては、先ほど申し上げました六百十一の普及事業所 におきましてもかなりの部分進展を見ているところでございまして、でき得れば私どもといたしまして、予算等充実を図りながら、来年度中には各普及所パソコンが全部行き渡るというようなことを考えていかなければならないんではないかというふうに考えております。  そういった精神的あるいは物的両面におきましてこの普及事業といったようなものが今後とも農業の一番重要な、農政におきます一番重要な幹であるというようなことを認識していただきながら、この優良なる人員の確保といったものを進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  19. 上野雄文

    上野雄文君 そういうことで一生懸命やってもらいたいと思います。  大臣、今私がたまたま農業改良普及員生活改善普及員の話に限定しましたけれども、これは林業、それからお蚕、それから漁業植物防疫農林省関係物すごく多いわけですね。こればっさりやるなんという話はとても聞けた話ではないんですね。さっきも私がちょっと触れましたが、農業短大の問題なんかもいろいろ議論をしてやってきておりますが、農業短大出て非常に残念なのは、農業についてる人の数が少ないですよね。こういう連中意欲を持ってやらせるなんというのは、やっぱり普及員人たちが年じゅう駆けて歩いて、人間同士の触れ合いを通じてその人たち意欲を持たせるような仕事をやっているわけですよね、幅広い分野で。こればっさりやろうなどということは、到底許すことのできないことだと私はそう思っているんです。  大臣、ひとついよいよ大蔵原案ができ上がるという時期でありますから、これは大いに頑張っていただかなければならないことだと、こう思っております。我々ももちろんやりますし、自民党の先生方だって、これはあるところでは自分たちの大変な力になっている集団ですからね、これはみんな知っているわけですから。そういう人たちの問題だから動かざるを得ないと私は思っていますが、大臣決意のほどをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  20. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私も、実は先般、農業改良普員皆さんと懇談をさせてもらいました。大変意欲に満ちて、そして熱心に日本農業の今日を憂え将来を心配しておる諸君でございまして、また最後にちょっと触れられましたが、生活改善関係方々とも一緒に会ったわけでございますが、真摯に取り組んでいただいておることに感謝と感激の気持ちが強かったわけであります。ここら辺の皆さん方意欲を失わせ、その場限りのようなことになったら大変なことになるなという感じを持ちました。  ただ、中にはそういう意欲を示しながらも、私たちの給料というのは知事さんからもろうとるんでしょうか、一体だれからこれをもろうとるんでしょうかというのがその話の筋々に出てまいりました。そこら辺のことで皆さんの間にも一連の悩みはあるんだなと思いましたから、農林水産省としても、あなた方の任務仕事内容については十分理解をし、今後とも予算的にもあらゆる面でも応援していくから大いに頑張ってほしいということを私は最後に結んでおいたわけでございます。  先ほど来先生の言われておる趣旨、私も感謝しながら聞いておりましたが、農水省としても頑張りますが、ひとつよろしくお願いいたします。
  21. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 ただいまは上野委員の御質問に対しまして農水省の方も大変前向きに一生懸命御努力されるという御答弁をいただいて、本当に私たちも一生懸命頑張らなければならないと、こんなふうに思っているわけであります。どうぞ農林水産省におかれても、全力を挙げてひとつ予算の獲得に努めていただきたいということを御要望申し上げておきたいと思います。  そこで、最初に大臣にお伺いしたいんでありますが、このほど大臣アメリカを訪問されると、こういうことでございますけれども、その目的あるいはそのスケジュール等についてまずお聞かせをいただけないでありましょうか。
  22. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 今回、国会のお許しを得まして訪米することといたした次第でございます。十二月十七日、あす出発しまして二十一日、日曜日に帰ってくる日程にいたしております。米国側から、リン農務長官からかねてから二人で話し合いをしたいというお招きをいただいておりましたので、今回これにこたえることとした次第でございます。  日米間では、来年は、米の問題、農産物十二品目の問題、牛肉、かんきつ協議等、多くの問題の解決が迫られておるところでございます。したがいまして、できるだけ早い機会に米国側責任者と率直な意見交換をしておくことが今後の両国間の問題の解決に役立つと考えまして訪米することとしたものでございます。リン長官を初め関係者方々には、我が国事情を十分説明し理解を得ることに努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  23. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 私は、特に最近のアメリカ事情というものから考えて、アメリカ側対応というものがかなり我が国に対して厳しくなってきているのではないか、こんなふうにも思うわけでありまして、特に精米業者協会の米の提訴を退けて、そのかわりにガットに問題を持ち込むということにしたアメリカ政府でありますが、その後選挙等がありましてさらに保護貿易の色彩も強くなってきていると、こんなふうにも言われるわけであります。そこへ行かれるわけでありますから、並み大抵な御決意ではないんだろうと思いますけれども、いろいろとこれ以上の我が国に対する市場開放要求が出てまいりますと、我が国農業はまさに壊滅の道を歩んでしまうということになりかねないと私どもも思っているわけでございます。  そこで、大臣の御決意を、これ以上の市場開放などというものには応ずるようなそういう態勢はないんだということをしっかりとアメリカ側に伝えていただくという、そういう御決意をお聞かせいただければありがたいと思います。
  24. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私もいろいろ今回の訪米に当たりまして考えました。飛んで火に入る夏の虫になってはならない、火に油を注いでもならないというような基本的な考え方も持っていろいろ考えたわけでございますが、まあ人を招待しておいてたたき上げるという手は礼儀に失するんではないかということもあるなあと考えたりなんかいたしましたが、日本側として国内事情を申し上げることはもうはっきり申し上げておきたいと考えておるところでございます。
  25. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 私は、招待をしておいてというお話については、もしそういうお気持ちをお持ちになっていればちょっと甘いということになりかねないんではないだろうか、そういうことも危惧をいたします。  いずれにいたしましても、本当に我が国農業を考えていきましたら、大変な時期でございますので、ぜひ大臣には、相手との対応にはいろいろとありましょうけれども、厳しいあれだけはきちんと持っていただいて、そして間違いのない対応をぜひしてきていただきたい、こんなふうに御要望を申し上げておきたいと思います。    〔委員長退席理事北修二君着席〕  それで、続きまして次に伊豆大島農林漁業に対する援助といいましょうか、という問題についてお伺いしてみたいと思います。  住民が長期にわたって避難を余儀なくされてしまったということによりまして、さまざまな問題が起こってきているわけであります。特に農林漁業につきましては、直接噴火降灰等による被害の問題もありますが、そのほかいろいろと長い間あけていたということに伴って起こってくる損害などいろいろとあるわけでありますが、こういう問題について農林水産省としてどのような救済の方法をとられようとしているのでありましょうか、その辺をお伺いしたいと思います。
  26. 青木敏也

    政府委員青木敏也君) 今回の災害につきましては、私ども農林水産関係被害を極力最小限のものにとどめたいということで、これまで都とも連携をとりながら、家畜飼養管理あるいは農作物ですとハウスの管理の問題もございます。そ れから水産につきましては漁船の保全ですね。 この辺の要請が強うございまして、これらを目的といたしました救援隊をこれまでも段階的に島に派遣をしてまいりました。また、去る九日には、その規模を拡大いたしまして九十七名から成る農林水産対策班を派遣するという形で応急的な対策をしてまいったところであります。その過程におきましては、都から特に家畜のえさが足りないという緊急要請がございまして、農林水産省といたしましては、福島の種畜牧場から干し草を六トン緊急輸送するというような対応もしてまいりました。  しかしながら、先生も御案内のとおり、既に第一次の噴火の段階で、私ども現地にも入ってまいりましたが、約二億程度の農作物被害が発生しておったわけでありますから、今回の二次噴火によりましてこの被害がやはり増大しているというふうに予測しているわけでございます。  今後、農林水産省といたしましては、島におきまして農林水産業大変ウエートの大きな産業でございますので、被害の実情を具体的に把握するということが前提になるわけでありますが、都とも連携をとりながら、当面花卉等農作物ですと、病害虫の防除とかあるいは灰が降っておりますのでその除去の問題、そういった技術的な指導も恐らく必要でしょう。また、家畜等につきましては乳房炎の発生が見られます。こういうものについての家畜衛生対策強化あたりが当面の強い要請対応しなきゃならない点でありますが、今後やはりそういう被害が客観的に発生しているということになりますと、被災農漁業者の資金対策、これの万全を期したいということで、そういう災害資金的な対応、さらには既に被災農漁業者が借入金をいたしております、こういうものの償還条件の緩和とかそういう問題、今後よく被害の実情を把握する上で対応していきたいと思いますが、例えば灰が降ったために土壌の酸土橋正なんかも必要になるかもしれません。それから、溶岩の流出によりまして治山的な対応も必要になるかもしれません。  各般の対策につきまして、被害状況を具体的に把握しながら万全を期していきたいと、こういうふうに考えております。
  27. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 よくわかりました。緊急の対策というものについていろいろと今まで対応してこられた点については評価をするわけでありますが、しかし一番の問題は、これから皆さん正月は島で迎えるということで帰られるということですが、これからが本当に農林水産漁業にとっては重大な時期を迎えるということになるわけであります。被害調査の実態等を十分に抜かりなく御調査いただいて、その実態を把握していただいて、それの対応を間違いなくぜひともお願いしたい、このように思っております。これは、具体的にその被害額等についてのまだ調査がこれからということでありますから、これについては要望ということでとどめさせておいていただきたいというふうに思います。  次に、先ほど出されました農政審の答申についてお伺いをしたいわけであります。  「二一世紀へ向けての農政基本方向」というこの表題の答申の内容につきましては、これを受けとめて政府が今後どのような政策を展開していかれるのか、それは農業にかかわっている者すべてが大きな関心を持っているものだと思うわけであります。今後の農政のあり方を決める重大な内容だということにもなりますし、そしてちょっと読ませていただきますと、それこそ多くの問題点を持っております。したがいまして、このことを議論してまいりますには、本日のような半日やそこいらの時間では到底問題点を論じ切れるなどというものではないわけでありますから、今後さらにこの答申を中心にしたじっくりとした議論をするという機会がどうしても必要なんではないだろうか、こんなふうに思っております。  きょうは、もう私の持ち時間も余りございませんので、この答申の中の第二章の部分に絞りまして御質問を申し上げてみたい、このように思っておりますが、その前にこの答申の取り扱いについて一点だけお伺いしたいと思います。具体的な質問を申し上げるということにいたしましても、この取り扱いそのものがどうなのかということによって聞き方も変わってくるわけでありますので、その辺ひとつよろしくお願いをいたします。  それは、今後、農林水産省はこの農政審の答申を踏まえた形で農政を展開していかれる、こういうことになるんだと思いますけれども、この答申というものの取り扱いというものと国会での論議というものについてのかかわりについてどのようにお考えになっているかをお伺いしたいと思うのであります。国会での論議、この中にいろいろと問題点あるわけでありますから、そういう中で、例えばこの内容に盛られていることとニュアンスの違う方向の議論などがかなり出てくるということにもしなった場合にはどういう対応をされることになりますか。こんなことを含めてお伺いしたいと思います。
  28. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私は農水大臣就任以来、厳しい情勢下にある農政ということで、農業関係者はもちろんのこと、広く国民各階各層の意思疎通を図り、最近の国民のニーズの変化等に新しい時代の流れを積極的に酌み取っていくことが必要であるというようなこと等を機会あるごとに申してまいったところでございますし、こういう基本的な立場に立っておるわけでございます。  そこで、先月末農政審から御答申をいただきました。「二一世紀へ向けての農政基本方向」というものでございます。ここに盛り込まれております諸提言をいかに具体化していくかということは非常に重要であると考えておるところでございます。そこで、今後とも冒頭申し上げましたような考え方に立ちまして、国会における御論議はもちろんのことでありますが、各方面の声にも十分耳を傾け、国民の合意形成の上に立って各般にわたる施策を推進してまいりたいと考えておるところでございます。
  29. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 念押しみたいで恐縮でございますがね、過去にもかつて八〇年代の云々と、こういう表題のついたものがありまして、そうすると何かにつけて農政審答申の提言に基づいていくということが御答弁の中に返ってくることがよくございました。これはあくまでも一つの提起をされた問題としてとらえていかれながら、各方面の意見も聞かれながら対応していかれるという今の御答弁でいけば、今度は農政審の答申がこうでございますからということだけでお逃げになるようなことはございませんね。
  30. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 農政審の御提言を具体化していくということは大変重要でございます。しかしまた、国民の合意形成といいますか、各階各層の御意見というものも私はほとんどこの農政審の御提言の中に盛り込まれておりますけれども、まあニュアンスの違いその他は若干ある場合もあると思いますけれども、この副題についてございますような「農業生産性向上と合理的な農産物価格の形成を目指して」という副題かついておるわけでございますが、これらはまさに国民のコンセンサスの集大成したものではないかとも考えております。
  31. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 その辺になりますとかなり見解の違う部分もございまして、ということは、農業団体の中でも現場を踏まえている皆さん方というのはいろいろと苦悩しておられることがいっぱいあって、そして必ずしもこれではどうなのだろうかなと疑問になっている部分や、あるいは解明できないといいましょうか、そういう部分であるとか、将来に対する不安が、この中では全然、自分たちの持っている不安が必ずしもうまく取り入れられてないとか、そういうものというのがやっぱり結構あるわけでありましてね。それだけに、大臣が先ほど各方面の意見を聞かれてと言ったことに私は評価をしたのでありますけれどもね。人間のつくっていくものですから、少数の人たちでまとめていくものなんですから、必ずしも私は今の現状がすべてがうまく正しく網羅的にとらえられ ているというふうには言えない部分がある、特に今日のような混乱をしている時期にですね、農業関係が、というふうに思うわけでありましてね。  そういう意味では、農政審答申、それは政府は答申をいただいたんですから、提起をいただいたんですから、それを一つの物差しにしながら農政の展開をするという努力をされるということについて私はそれを否定するのではないんです。しかし、各般の意見を聞いていけばいろいろと違ったことが出てくる。そういう場合には、そういう訂正もあえてやられるということが大事なのではないだろうか、こんなふうにも思うものですから、そういう角度から御質問申し上げておりますので、その辺をひとつもう一度大臣のお考えをお聞きしたい。
  32. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) このいただいた答申をいかに具体化していくかということは、先ほども申し上げましたように大変重要なことでございます。そして、それを推進するに当たりまして、各方面の声にも、各界各層の方々の御意見にも十分耳を傾けまして、国民的合意形成の上に立って推進してまいりたい、こう申し上げておるところでございます。
  33. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 どうもその辺のところまだもう少し私の方はすとんと落ちない部分がございますが、ですから、少し内容を具体的なことでいろいろとお聞きをしていけば、なお私の申し上げていることもお互いに意見のかみ合いになっていくんじゃないだろうかというふうにも思いますけれども、大変残念であります、時間がもうございません。  そこで、具体的なことということで、例えば田畑輪換と生産性の向上、そして集団化、団地化などの組み合わせでスケールメリットを追求するというようなことが書かれておりまして、だけれども果たしてこんなぐあいにいくのであろうかという点についてはいろいろと疑問がございます。適正な組み合わせというのは一体どんなふうなものが適正なのであろうか、一体スケールメリットが出てくる単位、経営の規模というのはどんな程度のものになるのであろうかとか、それからそれぞれの作物、特に畑作の場合、輪換をするんですから、そうすると畑作の場合に転換をしたときに、水田と同じような、少なくとも現在の水田と同じような収入というものが保障されるような価格維持体系というものができてくるのであろうかどうかとか、そういう疑問なども出てきますしね。  それから、つくった作物に対して、特に畑作の場合には何に転換をするのかといったときに、麦だとかいや大豆だとか飼料作物だとかと言われるけれども、これに対して今外国からのいろいろな圧力もあるわけでしょう、市場開放の。そうすると、その辺とのかかわりというものをどういうふうに整理をしていかれるのかというようなことなども、あわせて全体に検討されていると思いますけれども、そのことがもっと具体的に我々に示されてこなければ、果たして田畑輪換と集団化なんとかをうまく組み合わせてスケールメリットなどを出そうなどといってもうまくいくだろうか、むしろ逆にそういう疑問の方が強くなってくる、こういうことになるわけです。そして、そのことを具体的に議論していったら、私は、ここで提起をされるような方向とも違った方向というものを追求しなきゃならぬということだって出てくるんではなかろうか、そんなふうにも思うわけでありまして、その辺のところを考えるものですから、今御質問を申し上げたわけであります。  担い手の育成の問題についても、それから農村婦人の役割の問題のことについてもそれぞれいいことが書いてあるんでありますけれども、いいことが書いてあるんですけれども、そのいいことの書いてあることが実際にやれるかやれないか、この辺のところというのが一番の問題になってくると思います。  ですから私は、国会の議論も各方面のいろいろな議論というものも踏まえながら、むしろ農政審答申というものを内容を充実させていくという形でお考えになったっていいんじゃないだろうか、こんなふうにも思うんでありますが、いかがでありましょうか。
  34. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) そういう疑問をお持ちになり、またそういう意見も聞いたことがありますが、困難ではないだろうかという御意見でありますが、その困難を克服して乗り切っていかなくてはならないところに今日の日本農政というものが置かれておるということ、そして具体的な一つずつの問題につきましては、あらゆる農水省の力を結集しまして実現、達成に持っていかなくてはならない、それが日本農業を確立し、二十一世紀に向けて前進していく方法であると考えております。  また、今も繰り返して申し上げておりますように、具体的な手段方法につきまして多くの御意見があります。そういう中で、私たちは出血を最小限にしてソフトランディングに持っていくという方法も考えなくてはならない。そういうことに際しての各界各方面の御意見というものは十分承りながらやっていく、こういう考え方でございます。
  35. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 もう時間がなくなりました。通告をしておりましたものはまだほかにあったわけでありますけれども、今の基本的な入口のところで大分議論になってしまいました。せっかく準備をしていただきました皆さん方にはまことに申しわけありませんけれども、改めてまた議論をする場所をひとつぜひほしいというふうに思っております。  そこで最後に、今度のこれ提起をしております中の次期対策ということで、既にもう具体的に七十七万ヘクタールという大変な転作面積ということで決まったわけでありますけれど、この問題についての問題提起を一つだけ私は今回しておきたいと思います。  それは、農協に生産調整の共同責任というものを今度課したという形になります、農業生産者ということでですね。しかし、このことは、もう既に具体的に末端では、今まで行政が積極的にやってきたものを、今度は農協がやるんだからということで、行政の方が、行政の末端の方が既にこう後ろ向きになってきている、こういう事実がもう具体的に出てきています。ですから、共同責任というのは非常にていがいい物の言い方になるけれども、現実の問題としてはもう既に農協、生産者だけの責任にだんだんと持ち込まれていってしまうということにも相なります。こんなことだけを考えても、私は、今度のこの問題についてはもっともっと議論をしなければならない、そういう問題点だというふうに思うんです。  そういう具体的な方向が出始めていることを御存じですか。これを伺って私の質問を終わります。
  36. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 先生指摘水田農業確立対策の推進体制の問題でございます。  この点につきましては、今回の大綱という形で、生産者・生産者団体の主体的責任を持った取り組みを基礎に、行政と生産者団体が一体となって推進することとしているところでございます。先生指摘の、いろいろなこれまで行われました、いわば上からのといいましょうか、あるいは市町村行政といったようなものを中心とするものに対しまして、需要に応じた生産を行うことは生産者自体の問題として主体的に取り組む姿勢という趣旨で、これまでいろいろな意味でのいろいろ関係各方面との御議論を賜ってきたところでございます。  私どもといたしましては、やはり確認の問題等々もございますし、この水田農業の確立といったようなものにつきましては、これまでの実態の行政の流れ、そういったものも十分考えながら、やはり生産者団体の立場は立場ということで一体となって取り組んでいかなければならないというふうに考えておりまして、具体的な状況におきましての配分のところで極力生産者団体が主体的に対応するというふうな指導をしておりますけれども、市町村あるいは生産者団体の調整等につきま しては、これからも現地に参りますブロック会議等においても十分お話を聞き指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  37. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は一番最初に大臣にお伺いをいたしますが、農林水産省が二十三日ごろに消費者麦価を引き下げるために米価審議会を開かれるというふうに漏れ伺っておるわけでございますけれども、消費者麦価引き下げの要因として四点ほど挙げておられるようでございまして、円高差益の還元、あるいは内外価格差の拡大、あるいはまたこのままの状況でおると米国小麦粉業界からのいろいろな反応がある等々いろいろなことを勘案して消費者麦価値下げへという方向性をお出しになっているようでございますけれども、その中で内外価格差の拡大ということを消費者麦価の値下げの理由に挙げられておるとすれば、実はこの米審を開くに当たって消費者米価の問題をどのように考えられるのか、あるいはこれについて諮問をなさるおつもりがおありになるのかないのかということが私はひとつ気になるわけでございまして、消費者米価ベースでいくと対米比較では一・九倍ぐらいのところだというふうなことを言われてはおりますけれども、消費者米価についてはどういうお取り扱いをなさいますか、お伺いいたします。
  38. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) きょう閣議後の記者会見で、私は二十二日予備審、二十三日米審を開いていただくように各委員に通知を出しますということをお話し申し上げておったところでございます。そして、先生質問の消費者米価に対する取り扱い方針でございますけれども、米の政府売り渡し価格の取り扱いにつきましては、目下関係省庁と鋭意調整を進めておるところでございまして、早急に結論を得たいと考えておるところでございます。
  39. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 まだ検討中というふうに理解をさせていただきます。麦価も十四年ぶりの値下げでございます。私ども消費者の立場からいきますと、今まで消費者米価の値下げという記憶がなかなかまさぐるにないような気がいたしますので、これも今、内外価格差というようなことが言われている段階において、消費者米価の値下げというのはとてもトップニュースになると思いますので、検討中とあらばぜひに御検討いただきたいということを要望いたしておきます。  そして、次に私がお伺いいたしますのは水田農業確立対策についてでございますが、いろいろこれもお伺いしたいことがありまして、既に種々論議が出ているところでございますが、その中で私は前々から何回もテーマをお出しいたしましたように、他用途利用米の問題についてだけに絞ってお伺いをするわけでございますが、今回の水田農業確立対策の具体的な数値の中では、従来の三期対策の中で指定されていた二十七万トンから三十四・八万トンへと枠の拡大をしておるわけでございます。ただ、その助成金がトン当たり七万円から五万円に減ったということがあるわけでございまして、これまで他用途利用米、いろいろな農民の努力によって一〇八%目的を達成したというふうに伺っておりますが、今後このような他用途利用米のあり方について農家からの協力が得られるとお思いになるのかどうなのか。事実上農家の手取りは減るわけでございますが、まず他用途利用米の考え方からお伺いいたします。
  40. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 他用途利用米につきましては、今度の水田農業確立対策におきまして転作等目標面積が相当大きく増加をする、そういう中でいわば転作物扱いという形の中で米がつくれるという他用途利用米の制度でございまして、かつ加工用に低コストの米を供給するということで米の需要拡大と水田の有効利用を図るということと同時に、低コスト稲作への契機ともなり得るものだということで、他用途利用米の拡大を図ることがぜひとも必要だと。そしてまた、最近二次加工、三次加工のような形で米の加工品みたいなものの輸入が若干ふえてきているというようなこともございますので、そういう形で国内の米の需要が食われるということがないようにということも含めまして、今お話ございましたように、従来のおみそとかせんべいの原料としての用途の拡大のほかに、モチ米製品あるいは酒造用にも他用途利用米を導入するということで数量の増大を図ったわけでございます。  助成の単価の問題でございますが、他用途利用米は転作物扱いでございますけれども、いわゆる今度の水田農業確立の助成補助金の交付ではなくて、今ではトン七万円ということでございますが、そういう流通助成で生産者と需要者を結びつける、こういう仕組みをとっておるわけでございますが、一般の転作の助成補助金の単価の減からいたしますと、同じ率で考えますれば四万五千というような水準も財政当局的な考え方からは出てまいるわけでございますが、これは制度の発足のときから固定的な費用というものを除きまして変動的なコストをカウントした場合にどの程度のコストでできるかというふうなことで大体一俵一万円ぐらい、それからまた実需者の方々に原料として買っていただける価格の水準、これは前に過剰米処理で米を供給していたような需要者でございますので、それとの連続性も考えながらということでスタートをしてまいっておりますので、一律に横並びというわけにはまいらないということで、関係団体ともいろいろ協議をいたしまして、三割以内のカットということで五万円ということにいたしたわけでございます。  これによりまして流通助成金が減りました分を生産者と需要者でどういうふうに分け持つかということは、これからの集荷団体と需要者との間の話し合いということで決まってまいりますので、具体的にどういう数字ということは申し上げられませんけれども、需要者側のみが負担するということではないと思いますので、率直に申しまして生産者の手取りにつきましても、現在の一俵当たり一万円程度というのは若干やはり下回るものというふうに見ております。  ただ、私ども今、転作面積の配分の内枠として各県に他用途利用米のいわば目標というものをどういうふうに配分するかというのをやっておりますが、各県からは他用途利用米をつくりたいという御要望が大変強い。それを積み上げますと私どもが予定をしております数量を若干オーバーするぐらいの御希望もあるところでございまして、私ども今回のこういう助成の単価でも十分他用途利用米の定着あるいは発展というものは可能だ、こういうふうに見ておるところでございます。
  41. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 農家手取りの価格についてはこれから実需者たちとの話し合いによってということでありますけれども、この中で今回アルコール添加用とあわせてモチ米を使うあられ用なんかか入ってきておりますね。今までこれはワキシーコーンのような輸入品を使っていたわけでありますけれども、私素人的な考えでいけば、これから農家手取りが利用者との話し合いによって決まるんだとはいうものの、今まで特にまた円高等の流れの中でコーンのようなもの全体が大変安く手に入っていた、その人たちが今度このことに参入してきて買い手に回るわけでございますから、市場原理の導入を一生懸命今回新しい方策の中ですべての作物に向かって導入なされようとしておられますけれども、私はどうしてもこれはやっぱり生産者の側の方が弱みに回っている、そして利用者、買い手の方が強く出てくるというふうに思うんですね。  果たして農林水産省が予定しているようなものが農家手取りとして手に入るかどうかというのが、私は大変気になるところで実はこの問題を取り上げさせていただいておるわけで、これは確かに生産者と実需者とのずっと協議によって、今回何か酒造組合等が入って他用途利用米協議会ができましたですね。ここらで論議されていくわけですけれども、果たして農村の人たちの手取りが、いい条件に事が動いていくというふうには思えない。そういうことで私は大変危惧をいたしております。  それともう一つは、余り時間がないんでございますけれども、過去の話にさかのぼって大変に恐 縮ですけれども、他用途利用米制度が導入された五十九年時点でのいろいろな経緯を考えるとき、他用途利用米という制度そのものに内外が一つの大きな関心を実は私は持っていると言っていいと思うんでございます。五十九年当時は、例の主食米が不足してきた、そして他用途利用米を主食米に買い上げることになった。そして、それによって出てきた不足の主食米分について、それを輸入するかあるいはそうでなければ生産者団体が集めるか集めないかということの大変厳しい選択を生産者団体が迫られ、農家の飯米まで使って二十万トンやっと集めてそこを埋めたという経緯もございます。  その時点では、日本の国は米自給率一〇〇%と言われている中で、他用途利用米だけはその枠の外にあったというふうに私どもは考えておったくらいなんです。枠の外にあったこの他用途利用米制度というのは、私は非常にその制度がまだいろいろな意味で流動的なものだというふうに考えているんです。それだけに外からの圧力も、ここに風穴をあけたいという一つの意図があろうかというふうに思っておりますので、この他用途利用米制度についてしっかりとこれを定着させ、しかも生産者側からも消費者からも理解の得られる制度として私は定着させなければならないというふうに思うんです。  もう一つ消費者サイドの言い分、これは仕方のないことといいながら他用途利用米制度を導入したことによって一つ差が出てきたことの考え方、つまり三期対策に入っての言い分なんですが、つまり今回百五十万トンが六十一、六十二米穀年度ですか、では積み増しが出てきましたね。それを全部消化しながら消費者に供給していくことによって、私伺ったところでは七〇%は古米をどうしても混米していかなければならないということになるわけでしょう。一方で他用途利用米というのは新米で供給するわけですね。そういたしますと、消費者の側からいくとやっぱり主食用は古米を食べていて他用途利用米には新米が回っていくという不合理があるのではなかろうかというふうにみんな言っております。  したがいまして、いわゆる主食用米古米と他用途利用米の差しかえができるのですかできないのですかということがあるんですが、価格差がある関係上、政府は、農水省はそこを泣くわけにはいかないということになりますとこれは難しいというようなこともありまして、消費者、消費をする側の方からもこの他用途利用米なるものに向けてかなりの関心がある今時点でございます。  したがいまして、今後この他用途利用米の問題をどう方向づけていくか、そしてそれについてはどんなことに重点を置いて、言うてみれば多収品種でしょうかというようなものの開発とか、今言った差しかえの問題であるとか、あるいはまた生産段階で行われているはずの共補償の問題であるとか、そういうふうなこともすべてひっくるめてこの制度というのは、私はまだまだいろいろ検討せざるを得ない問題があろうかというふうに思います。  さらに申し上げますと、先ほど言われましたように、外からは日本の米の問題に風穴をあけるのは加工用米のところへ攻撃をかけていくのが一番よかろうという一つの論点はあるようでございますので、この辺のところも含めてできれば大臣からお話を伺いたい。あしたから行かれますリン長官に、日本は加工用米についても制度はかっちりできております、農民が努力をしております、こういうことでぜひ交渉の場でおっしゃっていただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  42. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 加工用米は、前回の水田利用再編第三期対策、先ほど来先生がおっしゃいましたように、一環として生産者の努力により他用途利用米として供給が行われてきたところでございます。来年度から始まります水田農業確立対策においても、転作等目標面積が増加する中で他用途利用米の拡大を図ることといたしたわけでございます。先ほどおっしゃられたとおりのところです。  こうした状況でございますから、加工用米を仮に百歩譲って輸入することになれば、それだけ国内産米の需要が減少します。そして、生産調整面積は拡大しなければならないということになるわけでございまして、需給均衡というのをそうなると達成することが困難になるわけでございますから、加工用には他用途利用米で対応することとしておりまして、輸入を行うことは困難であると考えております。
  43. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 五十九年のときの韓国米輸入の問題が、これからも一つの課題として私はまだずっと尾を引いていくと思いますので、こんな問題を取り上げてみました。  時間がございませんので、私もこの農政審の答申について一問だけ伺わせていただきまして、先ほど来稲村委員の方からもお話が出ておりますように、これについてもまた時間をとってしっかりとお互いに論議をしていかなければならないというふうに思っておりますので、今回は、私は冒頭に出ております、この答申の二ページに書いてありますところの「当面する多様な課題に接近するに当たって」ということで、五つの視点、「産業政策的視点」、「社会政策的視点」、「国土政策的視点」、そして「消費者政策的視点」、「国際協調的視点」という五つの視点を挙げられておりますけれども、私はその前段部分で、「当面する多様な課題」を語っておる前段の部分で読ませていただけば、「食料の需給については、穀物等の国際需給は当面緩和しているが、中長期的にはなお不安定要因を抱えていることに留意し、」ということをおっしゃっておられるわけです。  私は、このことは、国際的には食料というのは当面緩和状況にあるけれども、やはり中長期的に見たときには不安定要因ありは、その認識は正しいと思います。それであるのならば、私はなぜこの五つの視点の中に食料の安定的供給という視点が入ってきておらないのかということが一つお伺いしたいわけでございますけれども、この点の御見解を伺いまして、多分私の質問は終わる時間になると思います。
  44. 甕滋

    政府委員(甕滋君) ただいま先生からお話がございましたように、この報告の冒頭の「はじめに」というところにございますが、「食料の需給について」、また「国内の供給力の確保」についてのくだりが書いてございます。「食料の需給については、穀物等の国際需給は当面緩和しているが、中長期的にはなお不安定要因を抱えていることに留意し、与えられた国土条件等の制約の下で最大限の生産性向上を図り国内の供給力の確保に努める必要がある」ということで、これは農政の今後の取り組むべき課題という意味合いで書かれておるわけでございまして、こういった「課題に接近するに当たっては、次の五つの視点に留意しその調和を図っていく必要があり」と、こういう組み立てになっております。  そこで、国内供給力を確保してまいります場合に、当然農業の体質強化生産性の向上を図り、産業として自立し得る農業構造を確立するということでありますとか、あるいはその消費者政策的視点でありますとかいうものも含めて、さきに申しました国内供給力の確保という課題に取り組んでいくんだというような組み立てをしておるように私ども理解をしておるわけでございます。
  45. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 大臣、もう一つだけ課題を、これは応援の弁でございますが、今売上税の話がいろいろ論議されていますね。その中で食品、飲食品類については非課税にするという話が出ておりますね。ですけれども、生産資材等あるいはその他関連の輸送、包装、サービスといったようなものにかかわって、一体どうするのかという論議が自民党税調さんでも続いているようでございますけれども、これは食品だけを非課税にしても意味がないんですね。非常に農家泣かせの事柄が現実には露呈してくるのではないかというふうに思いますので、この税制の問題でも頑張っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。
  46. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 飲食料品等を非課税にいたしましても、ただいま先生がおっしゃいまし たように、例えば農機具、飼料、肥料等に売上税がかかったり、あるいは生産物を包装する段ボール箱や発泡スチロール等にかかったり、それを運搬するトラックにかかったり、あるいは、けさも私は五時から築地市場等見させていただいたのですが、あそこの委託手数料等々に、転嫁できないものにまでかかったりなんかいたしますと、仮に、仮にですよ、五%が免除になったと思っても、そういう農産物にかかるものがそれぞれの肥料とか飼料とか農機具とか運送とかこん包とか、ウエートは違いますけれども、二%ないし三%課せられると同じようになると、これはだめだとこういうことをやっては、というのを目下一生懸命主張いたしておるところでございます。
  47. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、今回の訪米ですね、当然お米の自由化問題が中心になってくるかと思います。それで、大臣は繰り返しお米の自由化はしない、こうはっきりお述べになっておられるわけですが、ただ問題、アメリカ側がどうかという問題ですね。    〔理事北修二君退席、委員長着席〕 既にRMAの三百一条提訴却下ということと相まって、一つ日本の米市場開放問題をガットの新ラウンドのテーマにしたい、これがもう一つ明確になっている。それからもう一つは、来年の夏までに日本側がこの問題で前向きな答えを出しなさい、こういうふうに言っているわけですね。もし、こういったことを具体的に日本側がやらなければ再び米通商法三百一条提訴ということもあるよと、こう述べてもいるわけです。  私は大臣にお聞きしたいのは、アメリカ通商法、この三百一条って一体何なのかということです。これはアメリカの国内法ですね。そして、アメリカ相手国の貿易慣行を一方的に不公正だという形で決めつけることも可能なわけですね。そして、対抗措置をちらつかせながら、結果としてはアメリカ要求をのませると、こういう米通商法三百一条というものをちらつかせる交渉が対等、平等な外交姿勢と言えるのだろうか、非常に問題だと私は思うんですが、大臣はどうお考えですか。——大臣に聞いているのよ。何言ってるのあなた、局長だめよ。
  48. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 外国の一つの国内法でございますからとやかく言う批判は遠慮させてもらいますけれども、あえて申し上げますと、私はその発動基準が明確でないと、あるいは不合理、不公正といった主観的な判断により取り扱われることに加え、対抗措置を振りかざして要求を行ってくるということは、我が国のみならず世界の各国においても強い反発があるように聞いております。  特に、今回の米につきましてのRMAの提訴は、その三百一条の不合理という、客観的な明確さを全く欠いた要件を根拠にその発動を求めてきたものでありますけれども、米政府がガットという国際通商協定上容認された我が国の米の貿易制度に三百一条を適用し規制することになれば、国際社会における合意を尊重するという基盤を危うくするものであり、不適当であると考えております。
  49. 下田京子

    ○下田京子君 局長、答弁は差し控えてと言いましたのは、私は訪米に当たっての大臣のお考えを聞いているんですもの。  でしたら、今のお話なら大臣リン農務長官に明確にあなた三百一条の発動というものは自粛しなさいというふうに言うべきだと思うんです。これはなぜかといいますと、御承知だと思うんですが、去る十一日ブリュッセルで開かれましたシュルツ米国務長官と倉成外相の会談で、倉成外相はこの三百一条の報復措置に非常に不満を示して、こういうやり方は自粛したらいいんじゃないかと、こういうふうにちゃんとお述べになっているんですね。さらに、さかのぼりまして十月末、日米の高級事務レベル協議がございました。その際に手島外務審議官も、対抗措置をちらつかせた交渉は強引過ぎるということをはっきり述べまして、もしそういうやり方をとるなら日本側が逆にガット提訴も検討したいと、こういうふうに言われているわけですね。  ですから、そういう形での米通商法三百一条のそれをちらつかせるやり方、これを自粛すべきだということを明確にリン農務長官にお述べいただきたいんです。
  50. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) その担当代表はヤイターさんでございますが、リン長官にも関係閣僚ということであるので機会があったらはっきり申し上げておきたいと考えております。
  51. 下田京子

    ○下田京子君 明確な答弁いただけましたのであえて言う必要もないんですが、私はこの三百一条発動問題で非常に最近日本政府は苦い経験を持っていると思うんです。つまり、たばこの市場開放、関税撤廃ということだと思います。大変このことで米政府は自信を持ったと思うんですね。ですから、そういう点での姿勢というのが非常に今大事だと思うんです。問題は、それをちらつかせたときに、逆に米問題についてガットに日本の方で提訴するというような準備をも持っているのかどうか、ここもちょっと明確にしていただきたい。
  52. 眞木秀郎

    政府委員(眞木秀郎君) 具体的な問題として、こちらの方がすぐにガットへ提訴するというふうなことを今考えているわけではもちろんございませんけれども、一般的な形として、向こうが一方的に報復措置をとった場合に、それはやはりガットという話し合いの場なり紛争手続解決の場があるわけでございますから、そういうところでどういう議論をすべきかということは、常に我々も検討しておるところでございます。
  53. 下田京子

    ○下田京子君 私は、問題はアメリカの国内法という一片の法律でもって内政干渉にも等しいような形での大国主義的なアメリカのこういう交渉態度、これをきちっとしていかなければ、本当に日本の経済は守れないんだということを申し上げたかったわけでございます。  あと問題は、アメリカ側がなぜこうしてお米の自由化を迫ってくるのか、その背後にあるのは私は前川リポートだと思うんです。総理は、キャンプ・デービッドでレーガン大統領との会談の際に、前川リポートの誠実な実行ということを約束されたわけですね。この前川リポートの中には、内外価格差の著しい品目の輸入の拡大ということを約束しておりますし、それから輸入制限品目の国内市場の一層の開放というようなことも明記されているわけです。ですから、この点については、これは農業新聞なんかも、リン農務長官にインタビューをした際に、前川リポートがありながら約束を果たしてないじゃないかというような不満も表明されているわけですね。そして、対日米輸出には大変意欲的な態度を示されたと、こういうふうに報道されているわけです。  ですから、お米の自由化はしない、また農産物の市場開放も本当に国内自給を基本としていくんだという点で対応していくということなら、私は前川リポートを撤回すべきじゃないか、そう思うんですがいかがでございますか。
  54. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 前川レポート、政府の中に最初は官房長官を長とした経済構造調整会議があったんでありますが、この夏以来、総理を長としまして経済構造調整推進会議を開いております。したがいまして、今我々が取り組んでおるのは、前川レポートではなくして、我が国の経済構造をどのように調整していくかということでございます。またあの中には、誤解のないように申し上げておきますが、基幹的作物は除くというように書いてあるはずでございます。  私は、ちょうど本年の生産者米価を決めた直後に、オーストラリアの貿易大臣が来られまして開口一番言われたのは、経済構造調整に日本は取っ組んでおるのに生産者米価を据え置いたのはけしからぬことであるという御発言がありましたから、それに対しては強く反論をいたしておきました。
  55. 下田京子

    ○下田京子君 確かに前川リポートの中には基幹的な農作物を除くというふうに書いてあります。ただ、前川リポートの真意は日本農業を変革していくことなんだと、この点でお米も例外じゃないと、このリポートをまとめた前川氏自身がお述べ になっているわけですね。それから、メンバーのお一人であります加藤寛氏も、農業政策の大転換が盛り込まれておるんだというふうにお述べになってまして、従来は生産性向上までは市場開放というのはしなかったけれども生産性向上に取り組みつつ市場開放を進めるんだと、こういうことも明確にお述べになっているわけなんです。ですから、大臣は前川リポートを尊重するのか撤回するのか、どちらの態度にお立ちになるのか、そこをお聞きしたいんです。
  56. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) ただいま申し上げましたように、我々としたらいかに苦しくとも我が国の経済構造を調整推進していきまして、世界から孤立を免れ、世界から袋だたきに遭うのを避けるようにやっていかなくてはならないと思います。そういう中で経済構造調整は進めていくわけでございまして、国民の英知と努力を結集してやっていかなくてはなりません。そして私は、前川レポート問題という名前にお触れになりましたが、私自身も前川さんと二回、一対一で、これは第三次中曽根内閣が発足する前でありますが、相当厳しいやりとりをいたし、この中の解釈についても議論をいたしたことを今思い出したわけでございますが、冒頭申し上げましたように、前川レポートはさておきまして、私たちは経済構造、産業構造の調整ということはどうしてもやっていかないといけない、それが日本国民のためであるという立場に立っております。
  57. 下田京子

    ○下田京子君 前川リポートについて直接コメントを避けながらも、輸入の拡大という方向を農相自身が認めたような今の答弁は、私は問題ではないかと思うんですよ。繰り返し今まで国会決議を尊重するとかということをおっしゃっていました。  問題は、大多数の日本の国民が一体日本農業、食糧にどういうふうなお立場をとっているかということなんです。仮にお米を輸入に依存したらどうなるかという、この点について私が質問した際に食糧庁長官も、輸入依存になるとお米の価格の乱高下が起きて安定供給が非常に不可能になるということで問題も指摘しておりますし、ちょっと古い資料になりますけれども、総理府の世論調査によりましても、二年前、一九八四年の九月に、国内で自給が可能なものはできるだけ自給するようにした方がよいというふうにお答えになっている方は七五%、国産より安ければ外国から輸入した方がいいという点でお答えになった方は一四・一%なんですね。こういう点から見ても、国民の大多数は日本農業を守って自給率高めなさいと、こう言っているわけなんですよ。この姿勢というものは変わってないと私は思うんですよ。とすれば、前川リポートが言っている方向とは違うと、これははっきりしています。  そこで大臣、私はアメリカに正確に伝えていただきたい次の点があるんです。それは、あたかも日本の消費者が、お米の自由化は消費者自身の利益につながるような形で宣伝されているんですけれども、去る十一月の十二、十三に全国から約二千名の代表を集めて行われた第二十五回の全国消費者大会です。この大会の席上で、主要な農産物の国内自給率を高めて、お米の輸入自由化には絶対反対であるという決議も出しているんです。こういったことを明確にアメリカに伝えていただきたいと私は思うんです。
  58. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) おっしゃることは同感でございますし、私のところにも六団体の代表の皆さん方がおいでになりまして、今、先生がおっしゃったと同じことをおっしゃいました。それはそれとして、感謝しながら受け取りますが、さらに我々農林水産省農政当局にとりましては、内外価格差には十分注意しまして、そして国民によりおいしくてより安い米を安定的に供給していくように夢寐にも忘れずに頑張っていかなくてはならないということは、その上にもう一つ申し上げておかなければならない、こう考えておるところでございます。
  59. 下田京子

    ○下田京子君 問題はやっぱり日本の財界の動きなんですね。日本経営者団体連盟が十二月十一日に「内需拡大問題についての意見」というのをおまとめになっております。これは大臣御承知だと思いますけれども、「思い切って市場開放を含めたコメの完全自由化を進めるべきである。」と、こう明確に述べているんですね。で、「農業改革の最終目標は、産業として自立しうる農業の確立であるが、その際のテコとして早急に実施すべきことが食管制度の抜本的見直しである。」と、こういうことまでお述べになっているわけです。  私はもう時間ですから申し上げませんけれども、こうした声を利用して、あたかも何か農民や国民に責任があるような形で宣伝をなされている。それを利用して中曽根内閣も、農業の体質改善だというようなことをお触れになり、食管制度つぶしに拍車をかけるような発言もあちこちでなされている。健保、国鉄に次いで次はお米だと、こんなことまで言われているわけでありますけれども、ここにこそ大きな問題があるんだということを私は指摘して、きょうは質問を終わりたいと思います。
  60. 橋本敦

    ○橋本敦君 続きまして私の方から、最近また改めて問題になってまいりました宅地並み課税問題に関して大臣のお考えをただしていきたいと思います。  言うまでもありませんけれども、この問題が起こったときにも都市近郊農業を守れという大きな運動が起こりまして、宅地でないものを宅地とみなして収益の何倍もの税をかけるなんということは、これはもうとんでもない話だという大きな国民の批判がございました。そういう結果、御承知のとおり昭和五十七年の法改正がありまして、ここでは長期営農継続農地制度ということが出てきたわけであります。今、現にそういう制度で物事が進行している最中であります。この最中にまたまた、最近の民活論あるいは土地高騰論、いろんなことを背景にして宅地並み課税、農地を宅地に早く吐き出せといったような状況が出てきておるわけであります。私は、農地を守る、とりわけ都市近郊農地を守るという立場で政府ははっきり、特に大臣は物を言っていただくべきときだと、こう思いますが、お考えはいかがでしょうか。
  61. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 宅地並み課税問題につきましては、今、橋本先生がおっしゃったとおりでございまして、先般の政府税調の中にも、「税制の安定の観点からも引き続きその推移を見守ることが適当である。」としながらも、なお書きで「宅地需要の動向、都市農業役割等を踏まえた土地利用のあり方等についての総合的な土地政策に関する検討に対応して、市街化区域農地に対する課税の適正化措置のあるべき方向についても検討することが適当であるとする意見もあった。」となお書きであるのは先生御存じのとおりであると思います。私としましては、このことをめぐる論議を見守りながら適切に対応してまいりたいと考えております。  ついでに、都市農業、都市近郊農地の重要性最後にお触れになりましたが、私は都市農業は都市住民に対する野菜等生鮮農産物の供給ということに加えまして、緑やレクリエーション空間の提供、大気の浄化、あるいは洪水調節等環境保全の役割を果たしておるということは、これはもう国民一般よく認識されておる、こう考えております。また、都市地域には農業意欲を持って取り組む農家が相当数存在しておるということも事実であると考えております。都市農業に供されている農地については、宅地等農業外の土地需要に対する供給の確保とどう今の任務と調和させていくかという問題があることも、これはまたやはり事実であろうと思います。そこで、都市計画法や農振法の適切な運用によりまして調和ある国土利用を図っていくことが重要であると考えております。
  62. 橋本敦

    ○橋本敦君 調和、総合といったことをいろいろとおっしゃるわけですが、直接的には都市近郊農業が持っている重要な意義については大臣も御認識されているとおりですね。ちなみに私の住んでおります大阪を見ましても、大阪では全農地の三五・八%、これが七千二百四十ヘクタール市街化 区域内にございます。そういうところで実際に機能している野菜の供給占有率等を見てみますと、野菜は平均して一六%。一六%といいますけれども、特に季節になりますと、ナス、トマト、あるいはまたホウレンソウといったものは五一%あるいは六〇%近い市場占有率を持つというのが四月、五月、六月の現状ですね。さらには、輸送が非常に困難ないわゆる軟弱野菜、これについては、コマツナやあるいはシュンギクなどということになりますと、これはもう九〇%近い市場占有率をもって供給されている、こういうことですね。  したがって、こういう意味において、野菜の供給という面、それからどんどん農地が減っていく中での緑地空間の確保、おっしゃいましたようなことに加えて防災というような観点からいいましても、現在の近郊農地の持っている社会的意味というのは非常に大きいわけですね。だからしたがって、今、大臣がおっしゃった税調の意見の中でも、こういった都市農業の持っている役割も踏まえた上で検討しなくちゃならぬということも一言はっきりと言っているわけです。  そこで、きょうは時間がないので結論的に申し上げたいと思うのですが、こういうような重要な役割を持っている近郊農業が国の政策である税という税負担の問題でそれ自体成り立たなくなりていく、いや応なしに農業を閉じなきゃならぬ、やめなくちゃならぬ、これは農政としては私は根本的な誤りだと思うんです。だから、大臣に重ねて御意見をお伺いしたいことは、少なくとも五十七年法の改正によって現在営々として近郊農地を守るために頑張っていらっしゃる長期営農継続農地、これを農地として頑張っていらっしゃる皆さんに対しては、これはまさに今宅地並み課税をここに適用するような方向に物を変えていくようなことは、これはもう大臣としてはやるべきではない。長期営農農地、これはやっぱり守っていくという建前で現在の法の推移を見守っていかなくちゃならぬ、少なくともこの点はおっしゃっていただくべきではないかと思うのですが、御意見はいかがでしょうか。
  63. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私も土地税制というのはくるくる猫の目のように変えてはならないという一つの政治家としての考え方は持っておりまして、先生おっしゃった趣旨を強く私も今主張しておるところでございます。ただ、これは権威ある参議院の農水の先生方に私の方から逆にもう一つ問題を提起しておきたい、こう思いますのは、都市内にある林地、林であります、森であります。私は、これも今の状態にしておいていいのか、一たん都市内にある森、林、林地が失われてしまった場合は、これをもとに返すのには何十年、何百年という問題が要るんではないだろうか。都市内の農地の問題をお考えいただく先生方に、林地もあわせてひとつ勉強していただきたいということを逆に申し上げまして、私のお答えとさせていただきます。
  64. 橋本敦

    ○橋本敦君 私がお尋ねした大臣の所信、一番聞きたいその問題についてはっきり言っていただいた上で、林地も結構なんですが、その点が抜けておりますから重ねてお伺いしたいんです。
  65. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 繰り返して申し上げますが、土地税制はくるくる変えてはならない、せっかく確立したものをやっぱり農民が安心して農業ができるようにしてあげるべきだと考えます。
  66. 三治重信

    ○三治重信君 今、最近の円高から、農産物の価格問題から非常に農業問題がマスコミの俎上にのってきておりますが、その中で一番私が注目してきたのが竹村健一さんのテレビでございますが、日本農業補助金が五兆円、それから保護の価格で五兆円、計十兆円も国民に負担させている、だからこれは再検討しなくちゃならぬ、こういうので非常に大きな反響を呼んでおり、議論になっておるわけです。  それで、円高問題をめぐって非常に農業の価格問題が問題になっている。その中で、農業の過保護の一つとして、価格問題と関連していわゆる補助金の問題が出ておるわけですが、補助金と保護価格とこれは二つに分けて、一つは、保護価格の方はもう一つ後でまた御質問しますが、こういう補助金政策というものについての考え方は過保護だと、こういうことについて農林省等ではどういうふうな考え方を持っておられますか。
  67. 甕滋

    政府委員(甕滋君) ただいま御指摘がございました竹村さんの過保護論についてでございますが、補助金五兆円、あるいは保護価格五兆円といった御指摘があるようでございます。この金額につきましては、私どもその根拠がどうなっているかということは承知をしておりません。  ただ、御参考までに、いわゆる農業補助金でございますが、これにつきましては国が補助するものと地方公共団体が補助するもの、両方含まれると考えられるわけでございますけれども、私どものデータから申しますと、国のいわゆる農業補助金、これは本年度の予算で一兆六千三百六十三億円。また、地方公共団体の補助金につきましては、その中に地方単独事業といったものもございますので正確な数値はわからないわけでございます。ただ、一定の推計によりますと、約九千億円程度といった推計も可能かと思います。いずれにしましても、五兆円といったことに照らして申しますと、そういった金額にはならないのではないかというふうに考えております。  また、こういった農業補助金につきましては直ちに過保護と結びつけられて論じられがちであると、これはお話にもございましたがそういった傾向があるやに思います。しかし、この補助金は、農業の特性からいたしまして、あるいは生産性向上等の構造政策を推進するための基盤整備といったものも入っておりますし、新技術の開発、流通、あるいは消費者対策等、さまざまな重要な政策課題を達成するための重要な政策手段ということでもございます。  他方では、財政上の問題から、総額の縮減、統合・メニュー化、こういった合理化にも鋭意努めておるという事情があるわけでございまして、総額の比較論、あるいは補助金が直ちに過保護政策の象徴といったとらえ方だけではいかがなものであろうかというふうに感じております。
  68. 三治重信

    ○三治重信君 この問題は、農林省の方が、元来農業はずっと明治政府以来補助金農政だと、こう一般に言われているわけですよね。こういうことについて、そういう世論に対して、過保護でないならないという立場をひとつしっかりあらゆる機会に宣明しないと、実際農業をやっている人が、いわゆる税金を食い逃げしたと言われるような格好になって、僕が聞いたのでは、余り過保護だ過保護だと言われたのでは、農業をやっている者が、殊に若い青年が非常に肩身が狭くなって農業を本気になってやる気力をなくしてしまう。だから、その問題をしっかり言ってもらわぬと、農業全体が過保護で、税金で飯食っていると言われてやる気がなくなると。こういうようなことについて、しっかりした立場を言ってもらうことが必要だと、こういうようなこともありますので、そこはひとつ、補助金でも必要なものは必要なんだということをはっきり言ってもらいたい、こういうふうに思うわけであります。  もう一つは、時間かないから言いませんけれども、そういうようなときにやはり一番いいのは、ECは農業補助金をどう使っている、アメリカ農業補助金や価格支持政策をこうやっているんだ、こういうような先進国の農業に対する補助金というものを比較して、日本は必ずしもそう過保護、余分に税金を使っているわけじゃない。価格支持政策でも、国庫補助なり余分に使っているんじゃないか、使っているか使っていないかという問題について、やはりもう少し、円高の問題から出て非常に今関心を持っているわけだから、それをひとつはっきりしたことをやらぬと、農業をやる農家、殊に専業農家、兼業農家はいいけれども事業に農家をやっていこうとする者にとっては非常にその意欲というものについて私は妨害になるんじゃないか。こういう意味において、ひとつそこをはっきりしてもらいたい。  それで保護価格の方なんですが、もう一つは五 兆円。円高メリットがとやかく言われるのは一体何かというと、やはり農水省の円高メリットに対する反応が非常に弱いと思うんです、僕は。それは、牛肉においても砂糖においても小麦においても、それから飼料についても、円高メリットで少なくとも電力なりガスなんかというのはどんどん下げているわけですよ。ところが、政府が全部これを買い上げたり統制価格をしているやつについいては、牛肉でもたくさん輸入している、砂糖もえらいたくさん輸入している、小麦もたくさん輸入している、農家が使うえさでもほとんど九〇%ぐらいは輸入している。そうしていながら農産物価格に全然反映をしないというのは、これは円高メリットに対してどういうことだ。電力はもう下げている、ガスも下げている。その他、中曽根総理がウイスキーは下げなければおかしいとか化粧品を下げなければおかしいとか言うけれども、一番生活の必需品である農産物についての円高メリットというのはどういうふうに反映しているんだ、こういうふうに聞かれたときに、結局保護価格は五兆円、こういうふうなことで、そういうものに対する反応が非常におかしいという世論になってきているんだと思うんですが、こういう問題はどういうふうに考えますか。
  69. 京谷昭夫

    政府委員(京谷昭夫君) ただいまお尋ねのございました円高差益の問題、牛肉とえさについて私からお答え申し上げたいと思います。  まず牛肉でございますが、御承知のとおり我が国の牛肉輸入、畜産振興事業団の一元的な取り扱いのもとに行われておるわけでございますが、昨年の秋以降、この畜産振興事業団が取り扱います輸入牛肉の売買操作に伴います差益発生額、六十年度で約四十億円、それから六十一年度の発生見込み額が約二百二十億円という推計を行っております。  これらの円高差益につきましては、御承知のとおりことしの五月以降に一連の総合経済対策が打ち出されておりますが、その一環といたしまして、輸入牛肉の指定店あるいは毎月行われております肉の日における特売等におきます小売目安価格の引き下げ、あるいは畜産振興事業団の売り渡し予定価格の引き下げ、さらには売り渡し数量の増加、指定店の増加を数次にわたって行っております。  これらの措置によりまして、ただいま申し上げました六十年度に発生した四十億円、それから本年度に発生すると見込まれます二百二十億円の円高差益につきましてはおおむね還元をされるというふうに私ども考えておるわけでございます。  それから飼料でございますが、これもたび重なる円高の進行等に伴って、数次にわたる引き下げを行ってきております。御案内のとおり、輸入飼料につきましては、配合飼料メーカーあるいは全農等のメーカー筋の自由競争下でこの価格が形成されておりますが、国際価格の動向、為替相場あるいはフレートの動向等を反映しまして、自由取引のもとで価格が設定をされておるわけでございますけれども、五十九年の六月からことしの十月にかけまして八回にわたりまして値下げが行われております。その累計がトン当たり二万四千円の引き下げになっておりまして、五十九年六月当時のレベルに比べますと累計で三一%の値下げになっております。本年度四月から十月にかけての引き下げ額がトン当たり約九千二百円でございまして、トータル値下げ率が一五・五%というレベルでございまして、現在の飼料価格につきましてはそういった為替相場の動向等を反映したおおむね妥当な水準ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、今後とも国際相場の推移あるいは為替相場の推移等を見守りながら、適正な飼料の価格水準が形成されるよう十分留意してまいりたいというふうに考えております。
  70. 谷野陽

    政府委員(谷野陽君) ただいまお尋ねの砂糖についてお答えを申し上げます。  砂糖につきましては、畜産振興事業団あるいは食管会計の物資と違いまして、取引は自由となっておるわけでございます。ただ、これに関しまして一定の価格安定制度があるわけでございます。そういう関係でその価格が国内に反映しないのではないかというような御意見が一部に出ておるわけでございます。しかしながら、円高差益というのは、同じドル・ポンド建ての価格でございますれば、円が高くなりますと円建ての価格は下がるわけでございますが、一方で国際商品につきましては現地におきますドル・ポンド建ての価格が幾らになったかということがあるわけでございます。原油につきまして大変大きな差益還元が行われましたのは、原油につきましては原油自体の価格が下がった、これはドル建てでございます。さらに円が上がった。こういう両方、これが効きましてかような大きな引き下げになったというふうに承知をいたしております。  ところで、砂糖についてでございますが、六十年の九月前後、つまり五十九年十月から六十年九月、それと六十年十月から六十一年九月ということで、いわゆる円高のきっかけになりました時点からの前後を年度でとってまいりますと、我が国での輸入価格は円建てに直しまして、前者が三万八百八十円、後者が三万三千二百四十五円ということで、円建ての着値が七・七%値上がりをしておるわけでございます。これは昭和六十年七月にロンドンの相場でトン当たり六十七・三七ポンドという底値が出ておりまして、次の年の四月になりますとトン当たり百三十六・六一ポンドという大変高い値段が出てまいりまして、この間に砂糖の国際価格がかなり高騰したということが原因でございまして、このような国際価格の高騰が円高によりまして消されまして、その結果、しかしなお輸入価格としては値上がりが起きた、こういうことになっておるわけでございます。  私どもといたしましては、かような観点から申しますと、砂糖については今回の状態ではいわゆる円高差益というものは生じていないというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、現在の制度の中で、私どもといたしましても、できる限り砂糖の価格につきましても消費者のお手元に届きます価格がより購入しやすいものになるように努力をしておるわけでございまして、こういう観点から長期的な傾向を勘案いたしまして、先般の砂糖価格の決定の際に、標準的な価格で一キログラム六円六十銭の引き下げという措置を講じたわけでございます。 これは過去の経緯その他を踏まえての見通しの上に立っての引き下げでございます。さらに、生産者につきましてもさらに合理化の御努力をお願いしておるわけでございます。  このような国際価格の高騰の問題はほかの物資にもあるわけでございまして、全く自由な取引になっております物資の大部分は、円高の差益は消費者におおむね還元をされておるわけでございます。例えばサケ、エビでは大体一年間に一三・四%、一二・四%の値下がりを見ております。ナチュラルチーズ一七・六%、グレープフルーツ一二・六%、バナナ一二・六%というようなことで、おおむね卸その他の経費等を勘案いたしますと適正な値下がりが進んでおるわけでございますが、例えばタコでございますと、これは現地の値段が大変上がってまいりまして、残念ながら品不足で輸入価格が下がらない、こういうことがございまして、現地価格の上がったものについては円高にもかかわらず値段が下がり切らない、こういう現象、もちろん円高がなければもっと上がったわけでございますが、下がり切らないという現象があるというようなことと類似の問題であるというふうに御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。
  71. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 小麦についてでございますが、小麦の政府売り渡し価格につきましては、国内産表や輸入麦のコスト価格、消費者米価との関係、その他経済事情を総合的に勘案をしまして、毎年通常十二月に予算編成の過程の中で決定されるということになっておりまして、為替レートの変動等による輸入麦の価格変動を直ちに反映する仕組みになってないわけでございます。  ちょうど今、今後一年の売り渡し価格をどうす るかということを検討する時期に当たっているわけでございますが、従来、これ具体的には内外麦を合わせて収支に赤字を生じさせないということを基本といたしますいわゆる内外麦コストプールという考え方をとってきているところでございまして、こういった考え方につきましては、五十六年の七月の臨調の第一次答申の指摘にも沿った考え方であるというふうに思っておるところでございます。  六十一年度におきまして、確かに円高の進行に伴いまして私ども二百六十億円程度の差益が発生するものというふうに試算をいたしておりますが、他方、本年産麦の作柄が良好でございましたので、これに伴いまして買い入れ数量がふえまして、内麦について約百二十億の支出の増加が見込まれるという状況でございます。  確かに一方におきまして、ここ一年ほど円高の急速な進行ということで円高差益の還元が議論をされてまいりました。その中で小麦についてもいろいろな御議論がある。そしてまた、輸入価格と政府売り渡し価格との間に開きがあることにつきまして、麦の輸出国でございますとか、麦の関係企業というようなところに御不満があるということがあります一方、財政事情が非常に厳しい中に、内麦についてだけ申しますと非常に大きな売買逆ざやがあるということもございますし、昭和四十七年以降、国際相場が非常に高騰いたしましたときに、それをすぐに国内価格に反映させないということで、輸入価格よりも売り渡し価格を低く維持いたしまして、三年間にわたって二千五百億の財政負担を行って消費者価格の安定を図ったというような経緯もございます。  いろいろな問題がございまして、今関係方面と適正な麦管理のあり方として今後の売り渡し価格をどうすべきかということについて鋭意折衝、検討いたしております。二十三日に米価審議会をいずれにせよこれ開催をしなければいけないということになっておりますので、それまでに調整を終えまして私どもとしての考え方を決めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  72. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 保護価格五兆円というお話がありましたので、私から最後に一言だけコメントをさせていただきたいと思います。  この五兆円という数字がまたどういうものであるかということは、私どもとしては承知はしておりませんけれども、仮にこういった農産物を外国から自由に輸入した場合に、日本人の食料費がこれだけ安くなるんだといったような意味で使われておりますといたしますと、これはよく言われていることでありますけれども、非常にこの数字を機械的にはじきまして、断定的にこれを使っていくというのは大いに問題があるのではないかというふうに考えております。  農産物は、御承知のとおりでございますが、世界の生産量に占める貿易量の割合が低く、国際的な供給力が相当限定されておりますから、我が国の輸入が仮に急増いたしますと、国際価格の暴騰を惹起する可能性は極めて大きいということもございます。それからまた、国際市場での供給国が特定の国に集中しているというような事情もございまして、国際市場が売り手市場になりますと、その価格操作によりまして、場合によりますと戦略的に上げ下げが操作される可能性も大きいということもあろうかと思います。また、そもそも農業は天候と自然条件によって生産が左右される、あるいは長期の保管には不向きであるといったようなことで、非常に不安定な、そもそも価格が乱高下しやすい性格もあるといったような問題等もありまして、どの程度輸入されるのか、またその場合にどの程度価格に影響がくるのかといった点は、これは容易に計算しがたいものであろうかと思います。  ただ、先生からも御注意がありましたように、こういった農業貿易の特殊性、あるいは我が国農業保護の実情につきまして、ECとかアメリカ等との比較から実態がこうなっているというような的確な説明を国民に対してもしていくべきであるといった事柄については、これまでもいろいろ努力しているつもりではありますけれども、今後私どもとしても大いに力を入れてまいりたいと考えておりますので御了承をいただきたいと思います。  以上でございます。
  73. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) けさの閣議でもただいま先生が御指摘された問題が指摘されました。電気、ガス等が来年一月一日から値下げを行いますと一兆八千数百億円になる。これは第二の所得税の減税と同じである。それに比べ政府が管掌し決定しておる価格、これが円高差益の還元、あるいはそういうものについて今まで以上のひとつ引き下げ努力をしなくてはならないということで、いろいろ各閣僚決意を表明したところでございまして、それこそ国民各界各層の理解を得るために厳しい中でもやっていかなくてはならぬと考えておるところでございます。
  74. 高木正明

    委員長高木正明君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会します。    午後零時八分散会