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1986-11-21 第107回国会 参議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十一日(金曜日)    午後一時二分開会     ─────────────    委員の異動  十一月十八日     辞任         補欠選任      関  嘉彦君     三治 重信君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高木 正明君     理 事                 北  修二君                 水谷  力君                 宮島  滉君                 稲村 稔夫君                 刈田 貞子君     委 員                 青木 幹雄君                 上杉 光弘君                 大塚清次郎君                 川原新次郎君                 坂野 重信君                 鈴木 貞敏君                 初村滝一郎君                 本村 和喜君                 上野 雄文君                 菅野 久光君                 村沢  牧君                 及川 順郎君                 下田 京子君                 橋本  敦君                 山田耕三郎君    国務大臣        農林水産大臣   加藤 六月君    政府委員        農林水産大臣官        房長       甕   滋君        農林水産省構造        改善局長     鴻巣 健治君        農林水産省農蚕        園芸局長     浜口 義曠君        農林水産省食品        流通局長     谷野  陽君        農林水産技術会        議事務局長    畑中 孝晴君        食糧庁長官    後藤 康夫君        林野庁長官    田中 宏尚君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    説明員        国土庁土地局土        地利用調整課長  鈴木 克之君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (当面の農林水産行政に関する件)     ─────────────
  2. 高木正明

    委員長高木正明君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 村沢牧

    村沢牧君 私は、主としてポスト三期対策について伺いますが、その前に一点だけ伺っておきたいというふうに思います。  ことしの生産者米価据え置き決定された直後の記者会見で、農林水産省の幹部は断腸思いだといって悔しがり、大臣は非常に残念だというふうに連発されていたことが報道されていますが、その後の米をめぐるもろもろの情勢の中から、今日でも米価を据え置いたことは大変残念だと、政府諮問のように下げるべきだというふうに大臣考えておられますか。
  4. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 本年産生産者米価につきましては、米価審議会にマイナス三・八%の諮問を行ったわけでございます。そして、同審議会答申の趣旨を体しまして関係方面との協議を行ったところでありますが、諸般事情から据え置き決定いたしました。  今まで申し上げておるとおりでございますが、米価審議会への諮問あるいは米価審議会からの答申を踏まえまして決定したいと考えておったわけでございますけれども、何分にも米価引き下げとなれば三十年ぶりのことであり、諸般事情を勘案しまして本年産米につきましては据え置き決定したわけでございます。  その際、先生御存じのように、六十二年産米価現行算定方式どおり決定する、あるいはポスト三期対策においては生産者団体がみずからの問題として主体的に取り組み責任を持ってこれを推進する、この二点が確認されておるわけでございまして、この確認が今後の農政の展開に役立つと私は確信いたしておるところでございます。
  5. 村沢牧

    村沢牧君 その際申し合わせたことが今後の農政発展につながるということでありますが、それはつまり下げるべきだということですね。  そこで、そういう経過を聞いているんじゃないんですね。米価を据え置いたことによっていろいろな問題がマスコミ等でも批判をされておる。ですから、あの際やっぱり下げるべきだったと今日でも思っていらっしゃるのかどうか、食糧庁長官どうですか。
  6. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 米価の問題、大変毎年難しい問題でございますけれども、ことしは特に、今大臣からもお話しございましたように、生産費所得補償方式算定をいたしますと、三十年ぶりで下がるという状況でございました。大臣のお答えになられましたような経過をたどって米価は決まったわけでございますが、その後、米価なり食管制度をめぐります論議が非常にしきりに行われるようになりまして、国民各界各層の御理解を得られるような米価政策運営に努めてまいらなければいけないなあという思いを深くいたしておるところでございます。
  7. 村沢牧

    村沢牧君 では、大臣食糧庁長官もあの米価決定の際には断腸思いだとか悔しいだとか言ったけれども、今そういう気持ちを持っていなくて、あの米価は正しいものだというふうにお考えですか。
  8. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) あの際、あれ以上言わなかったところにいろいろの含みと問題があると私は考えております。
  9. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、農業パリティ指数昭和五十三年を一〇〇とすれば六十年は一二三でありますが、六十年産米買い入れ価格は一〇八・二の水準にとどまっています。また、現行米価生産費をカバーしているのは一・五から二・〇ヘクタール以上の農家であり、これは全米生産農家の八%であるわけですね。零細農家の場合は米価生産費を相当下回っております。こうした現状の中で米価水準が大幅に低下した場合には、現在緒につき始めている高生産性稲作への道を閉ざすことになります。さらに、稲作生産者耕作意欲の低下や重要な国土資源である水田の放置、ひいては稲作に比重の高い農村集落弱体化などを招いて地域経済疲弊等の問題が生じ、大きな社会的な混乱を招くおそれがあるというふうに私は思いますが、食糧庁長官はどのように考えますか。
  10. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 米価の問題については、一方の極端な御議論といたしまして、これだけ需給のアンバランスがあるのであるから、やはりもっと価格需給調整機能というものを発揮させて、価格需給調整を図るべきだという御議論があるわけでございますけれども、私ども米需給均衡というものを価格だけで図ろうといたしました場合には、相当大きな引き下げをしなければいけない。それが今お話しございましたように、今ようやく育ちつつあります稲作の本当に将来担っていただけることになりそうな生産者、これの芽を摘んでしまう心配があるということで、御案内のとおり水田利用再編というような形で、一方で転作なり米の計画生産について奨励措置をとりながら、米価につきましては生産費及び所得補償方式ということで算定をいたしておるということでございます。  ただ、一方で二千数百億の国費を投じまして、そういった米の需給均衡化を図るという対策をやっておるということに背馳した米価政策運営はやはりこれはできないということでございまして、率直に申しまして、今お話がございましたように、米価政策につきましては、五十年代に入りましてから抑制的な運用に努めておるところでございますが、私ども承知をいたしております限りでは、この五十年代に入りましてから、技術の進歩ということもございますけれども、まだ点的な存在ではございますけれども、七ヘクタール、十ヘクタールというような担い手中核農家あるいはまたいろんな生産組織というものが伸びてきております。私どもはこの米価政策運用によって日本の稲作発展の芽がこれまで摘まれてきたというふうには考えておらないわけでございます。
  11. 村沢牧

    村沢牧君 長々と御答弁いただいたんですが、私が今申し上げたことについて全く同感であると、そういうふうにお考えになるのかどうか。その一言で結構です。
  12. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 私の考え一言で申しますれば、現下需給事情を考慮しながら将来の稲作担い手というのが伸びていけるような米価政策運用に努めていかなきゃいかぬというふうに考えているということでございます。
  13. 村沢牧

    村沢牧君 長官、私が今申し上げたことは、食糧庁企画課が発行した食管関係資料にそっくり書いてあるとおりなんだよ。だから、今そんなに長長と言わぬだってこれにそっくり書いてあって、これは私ども勉強会企画課長が出てきて教えてくれたことです。それを言ったに過ぎない。知ってますか、これに書いてあるのを。
  14. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 存じております。
  15. 村沢牧

    村沢牧君 だから、これはあなたのところで出した資料ですね。この資料からいうならば、こうした見解に立つときは決して生産者米価は高くない、この程度米価水準は必要だと、食糧庁みずからがこういうことをPRしているんです。今まで言ったことと、この資料とは大分違うじゃないですか。どうなんですか。
  16. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 私どもの基本的な考え方を述べたということでございます。
  17. 村沢牧

    村沢牧君 そうすると、米価据え置きして残念だなんということじゃなくて、現行米価は決して高いものではない。この程度米価水準は必要だ、そういうことですね。この資料にこういうふうに書いてある。この資料から推測すると、そういうことになっちゃうんですね。
  18. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 本年産米価につきましては、先ほど私が申し上げましたように、国民各界各層の御理解を得る米価政策運営に努めていかなければならないなあという思いを深くしておるところでございます。
  19. 村沢牧

    村沢牧君 どうも歯切れが悪いんですがね。企画課長おりますか。どうですか。  これは企画課長の私案ですか。食糧庁の文書なんですか。どうなっているんですか。私見ですか、これは。
  20. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 私どもいろいろなところで御説明を申し上げ、また御説明を求められる機会がありますので、企画課責任においていろいろな資料を調製いたして御説明を申し上げておるということだと思います。
  21. 村沢牧

    村沢牧君 ですから、これは食糧庁資料ですからね。こういう資料を出しておいて、それと矛盾するようなことを言ってはだめですね。だから、食糧庁長官もよくこういう資料を見ておいてくださいね、部下がつくったのを。  そこで、生産者米価は決して高いものじゃない。次期対策大綱骨子によると、「生産者米価政策方向明確化」としてわざわざ項目を起こして、「現下需給事情を考慮するとともに、稲作生産性向上及びその担い手の育成と生産シェア拡大に配慮した米価政策運用を行うものとする。」と、極めて抽象的な表現でありますが、これは一体何を意味しているんですか。今の食糧庁資料から見れば、これは生産者米価引き下げることではないように私は理解するんですが、この意図は何ですか。
  22. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今読み上げられました考え方でございますが、一つは先ほど申し上げましたように、需給均衡化観点ということを忘れないで米価決定していく。逆に申せば、生産刺激的な米価運用にならないようにするということが一つでございます。  他方我が国稲作体質強化なり生産性向上に視点を置きましたいろいろな構造政策生産対策がございますけれども、そういうものの成果を踏まえながら、稲作の中核的な担い手となる農家なりあるいは集団なりが地代負担力を確保しながら経営規模拡大し、生産シェアを高め得るように配慮した米価政策運営ということを考えていかなければいけない。需給事情ということだけで考えるわけではない。しかし、将来の稲作担い手生産性向上に努めながら伸びていけるような米価水準ということで考えておるわけでございます。
  23. 村沢牧

    村沢牧君 そうすると、この項目は、決して将来の米価引き下げることを意図してこういうことを書いているんではないということなんですか。  もう一つ農政審長期ビジョン答申がいつ出るかわかりませんけれども、我々がいろいろ報道機関報道等を見ておると、価格政策を大転換するんだ、こういう方針を答申として出そうとしている。この転換は単に価格を抑制するということからさらに踏み込んで、引き下げを前提とするものである。こういう答申が出るだろうといわれているんですが、今申しました次期対策との、ここに項目を挙げていますが、これらから推して、今までの答弁からして決してこれはこの次期対策米価を下げることを意図しているものではない、そういうふうに言い切れますか。
  24. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 年々の米価決定は、その基礎になります算定要素が出そろいましたところで算定をいたすわけでございますので、具体的に来年の産米価格水準がどうなるということをここで申し上げるということはできないわけでございますけれども、ここにございますように、まず需給ギャップがますます拡大をしてきているということは、これは争えない事実でございます。  現行の米の価格水準のもとでは、どうしても、何の対策もとらなければ米が過剰になるということでございますから、そういう需給事情十分頭に置いてやらなければいけない。ただ、そうかといって米価だけで需給調整をやるということでは稲作担い手が育たないという心配がございますので、そういった農家が伸びていけますように、今、米の生産費作付規模別の格差というのは非常に大きく広がってまいってきております。そういう二十一世紀に向けて稲作を担っていただけるような階層土地利用権が集積をする、あるいはまた作業の受委託というような形が伸びていくということを考え、またそういう階層が伸びていくということに焦点を合わせた米価政策ということでございます。  算定要素の傾向について申しますれば、稲作生産性は引き続いて向上いたしております。過去三年、ことしも含めて豊作が続いております。物価は安定をいたしております。そういった算定要素の現時点における趨勢からいえば、どちらかといえば算定方式どおり算定をいたしますれば、上がるよりは下がる可能性の方が高いという感触だけは申し上げられるかと思います。
  25. 村沢牧

    村沢牧君 その問題はまたいずれかに論議いたしましょう。  そこで、次期対策具体的内容はいつごろをめどとして決定をするんですか。当初十一月中旬とも言われておりましたけれども、いつまでもこれを不確定のまま置くということは各方面に対する影響も非常に大きい。関係方面といろいろ折衝することもありましょうけれども、本委員会でおよその決定時期を明らかにしていただきたいと思いますが、これは長々と説明要りませんから、ぴしゃっと言ってください。
  26. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 現在の水田再編対策次期対策決定の時期等に関連いたしましては、今先生指摘のとおり関係方面等議論を賜っております。農政審議会におきましても御議論賜っておるところでございまして、この決定時期等につきましては、これまでの経緯等も含めましてできるだけ早期決定すべきものというふうに考えおりますが、他方これまで三年ずつ三期行われました対策のその次の対策というような意味においても慎重に決定していかなきゃいけないという問題もあり、ことしの秋じゅうにということを目途に現在鋭意検討中のところでございます。
  27. 村沢牧

    村沢牧君 そんなのは、慎重に検討しなきゃいかぬことはわかっている。三期対策、いまの水田利用対策が終わるんだから、その次の対策をつくらなきゃならぬということは、もう皆さんが半年もかかってやっておることじゃないですか。  秋までには決定するということは、十一月いっぱいに決定するということですね、十二月になれば冬になりますからね。
  28. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 私どもの現在の状況から、基本的に今秋といいますか、この秋じゅうにということを申し上げてまいりましたが、私ども現在努力中でございますが、場合によっては十二月初めになるかもしれませんが、今最大限の努力を傾けまして省内、関係方面折衝中でございます。
  29. 村沢牧

    村沢牧君 わかりました。場合によっては十二月初めになるかもしれない、できれば十一月中にやりたいということですね。  そこで、次期対策に対する基本的な考え方並びに従来の水田利用再編対策と異なる主要な点について明らかにしてください。これも長々と説明要りませんから、単刀直入にひとつやってください。
  30. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 現在の次期対策につきましては、ただいま申し上げましたように関係方面折衝中でございますが、基本的な考え方といたしまして、稲作転作を通ずる生産性向上、第二番目に地域輪作農法確立、さらに需要の動向に応じた計画生産を一体として図るための対策というようなことを眼目に置きまして、重点を指向いたしまして現在検討中のところでございます。  今、村沢先生お話しになりましたので、そういう検討途中のことではございますが、現在の水田利用再編対策の主要の内容、そういったものとの相違点を私なりに申し上げてみますと、以下の大体四点になるのではないかと思っております。  第一点は、稲作転作を通ずる生産性向上、それに今申し上げましたけれどもこれまでの作付体系、そういったようなことをはっきりと頭に置きまして、地域輪作農法確立といったような観点を入れ、約言すれば水田農業体質強化を中心に据えていくべきではないかということでございます。  第二番目は、農業者あるいは農業者団体主体的責任を持った取り組み基礎にいたしまして、農業団体行政とが一体的に推進していくべきではないかということでございます。  それから第三番目といたしまして、助成に当たりましては構造政策を重視すべきではないかということでございます。  四番目といたしまして、あえて申し上げれば、将来とも我が国稲作を担う地域担い手層について生産の大宗が担われるように配慮すべきではないかという点でございます。
  31. 村沢牧

    村沢牧君 基本的な方向と今までの水田利用再編対策との主要な相違点についてはわかりました。  しかし、生産性向上だとか地域輪作だとか、水田農業の再編成だとか、あるいはその他担い手であるとか、そんなことは、ポスト三期、次期対策じゃなくったって、農林省責任においてこれやるのが本来の仕事じゃないですか。今ごろそんなことを考えて、これが重要だなんというのはむしろおかしいと言うんです。  それはそれとして、基本的な考え方は聞きましたけれども、私は次期対策を基本的に言うならば、減反面積拡大をするけれども補助金は減らす、生産者米価を抑制する、他の作物への転換を重視するのではなくてコストが下がるような生産性向上目標を置く、そして実行手段として生産者団体共同責任とする、そういったものだというふうに思いますが、これ間違っておりますか。私はそんなふうに見るんですが、私の見方、間違っておりますか。
  32. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 先生指摘のとおり、私が申し上げました最初の第一点につきましては、これまでも、農林水産省と申しますか、農政の中で重点項目として挙げてきたことであります。ただし、私ども実施してまいりました、あるいは農家の方々の御支援のもとで実施してまいりましたいわゆる稲転対策、あるいは水田総合対策、あるいは現行稲作転作再編対策、そういった経緯を見てまいりますと、この事業等に関する限り、現行におきましては自給力向上を図るための転作というようなことも掲げておりまして、基本的なその対策の中それ自体におきましての水田、特に水稲の生産性向上というようなことは、この事業においては掲げていなかったわけであります。  さらに、現行水田対策再編対策におきましては、農法的に申し上げれば、どちらかといいますと転換畑という思想に立ちまして、もちろん農林省関係試験研究機関の中で田畑輪換といったような研究はずっと行われておりましたけれども次期対策において我々が意図しております地域輪作農法といったようなものは、これらの狭義の意味での再編対策といったようなものの中には入っていなかったわけであります。そういう意味で、私どもはそれを一つの大きな重点という形で次期対策の中に盛り込んでいきたい、そういうふうに考えているところでございます。  先生の御指摘のような次の計画面積といったようなものは、本年におきます作付状況、作況の問題、あるいはこれまで在庫積み増し量、そういったものが次期対策スタートからなくなるといったようなことから、面積等におきまして比較いたしますと現行の六十万ヘクタールに比べまして大きくなるということは事実というふうに考えますが、それ自体次期対策一つの特徴といったようなものには考えておりません。  私どもといたしましては、これまでともすると緊急避難的なものだというふうに考えていたことを、農業におきます作目転換といったようなものを頭に置きまして、そういったものを盛り込みながら次期対策を構築していきたい、関係方面の御意見を賜りながらこれから構築をしていきたい、そういうふうに考えるところでございます。
  33. 村沢牧

    村沢牧君 目標は高く掲げても、現象面としてはそういう私が指摘したようなものがあらわれてくる、このことは否定のしようもないというふうに思うんです。  そこで大臣関係方面のいろいろ御意見を聞いて決めたいということ、それは当然のことでありますが、私たち国会論議をする意見、このことも当然のこと、参考というか、一番重要な参考としてこの次期対策を決めなければならぬと思いますが、どうですか。
  34. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私もそのように考えております。
  35. 村沢牧

    村沢牧君 それでは、その中身について若干聞いておきたいと思うんですが、転作目標面積及び次期対策実施期間はどの程度にすべきというふうに今考えておるか。もちろん、お話がありましたように、折衝の段階であることは承知をしておりますけれども、農水省の考え方について聞きたい。
  36. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 先生お聞きのまず実施期間の問題でございます。  実施期間の問題につきましては、転作奨励金依存から早期に脱却しろ、そういうような意見で極めて短い期間を想定すべきだろうという意見があります。それに対しまして、現在私どもの御議論を賜っております農政審議会で御議論のこれからの長期ビジョン等々の観点から、長期の例えば十年といったような御意見もあろうかと思います。  こういった御意見の中で、私どもいろいろと議論をしていかなきゃいけないと思いますが、昨今の財政事情とかあるいは奨励金依存からの脱却の要請といったようなものからいたしますれば、長期の、かなり長期議論といったようなことを考える場合は長過ぎるんではないか。これまでも稲転稲作転換対策期間とか、そういった意味現行のおおむね十年ということと比べまして短い時期もありましたので、そういったようなことを十分考慮しながらある程度期間は必要ではないかと考えておりますが、まださらに関係方面との御議論関係審議会等々の御議論も踏まえまして考えていかなければならないものと考えております。  次に、転作面積の問題でございますが、先ほどにも触れましたように、現在の第三期対策目標面積、そういったものは六十万ヘクタールというふうに決めているわけでございますが、これにおきましては在庫積み増しでトン数で四十五万トン、大体面積にいたしまして十万ヘクタールといったものを除いて考えているわけであります。そういう意味次期対策スタートにおきましては、この十万ヘクタール以上が現行転作面積六十万ヘクタールに上乗せされることになるわけであります。さらに、本年産米が豊作の見込みという条件のもとで三たびの過剰防止という点を踏まえて決定していくことが必要であるというふうに考えられると思います。  具体的な数字といったものはこれから詰める段階でございますが、考える基準といったようなものは以上のとおりでございます。
  37. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、この期間について、先日当委員会参考人の意見聴取をしたんですが、皆さん方が積極的にこれから交渉して詰めていかなければならない団体として農業団体、全中があるわけですね。この全中代表の櫻井参考人は十年にすべきだという意見もあります。あるいは、御承知のように全国知事会や市町村会ですか、自治体の方では、これはやはり十年程度のまとまった対策が必要だと、こういう要請があるわけです。  ところが、今、局長の答弁を聞いておると、あなたたちは大蔵省の言うようなことの答弁にすぎないわけです。大蔵省と折衝するから大蔵省のせいだとかきっと言うと思う。そういう気持ちで農林水産省も大蔵省と交渉しているんですか。ただ、先ほど局長は奨励金だとか補助金のことばっかり心配しているんですけれども、そんなものじゃ私はないと思うんです、これだけの大きな目標と構想を持った対策だとするならば。そういう面から農林水産省としても、十年は長過ぎるというふうに考えているんですか。
  38. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 期間の点につきまして、先ほど先生のおっしゃったように、団体等の御意見はかなりの期間をとって行うべきである、現行水田再編対策期間等も勘案して行うべきであるというふうなお話であることを十分承知しております。  ただいま先生お話しのように、私が申し上げました一つの短い期間というものはやや財政当局的考え方かもしれませんが、この点につきましては行革審の方の御議論等におきましても、現行の奨励金から早期の脱却という提言がなされているところであります。  農林水産省といたしましては、当然のことながら現在ここまで固めてまいっておりますいろいろの考え方、ごらんのとおりでございまして、やはりこれからの日本農業の進むべき道、あるいは現在農政審で御議論を賜っております長期的なビジョンといったようなものに依拠いたしまして、あくまでも基本には、これからの農政をどういうふうにしていくか、そういったような観点から考えることは当然でございますが、今申し上げましたもろもろの御議論、各方面の御議論というものを踏まえ、さらに検討して結論を得ていくべきものと考えております。
  39. 村沢牧

    村沢牧君 ですから、いわゆる行革審だとか財政だとか大蔵省、あるのは当然ですけれども、将来の農政のビジョンをつくっていくという大事なこれは政策ですね。ですから、農水省がそういうところばっかり気を使ってこの方向を誤っちゃいけないと思うし、その辺についてはよく団体の意見も聞いて、私の意見は六年では短過ぎると、そういう意見ですから、これ以上論議しても明確な答弁は出てこないと思いますが、ひとつそういうことを申し上げておきたいというふうに思います。  それから、後ほど積み越しだとか備蓄については伺いたいというふうに思うんですが、私は仮に政府が百五十万トンの備蓄を持つと、はみ出すもの、いわゆる積み越し量ですか、それ四十万トンみたいなことに今まで理解をしておったんですが、四十五万トンですか。
  40. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) まだ米の実収高の最終的な確定を見たわけじゃございませんし、それから今後の需要の動向ということもございますので、現時点で来年の十月末について確たる数字を申し上げるというわけにいきませんけれども、今私ども考えておりますところでは、今の作況指数等を前提に、私ども考えております需要の見通しというものを前提にいたしますと来年の十月末に大体百九十万トン程度の持ち越し在庫になるであろうというふうに、したがいまして百五十万トンを超える部分は四十万トン程度というふうに考えております。
  41. 村沢牧

    村沢牧君 そうすると、食糧庁長官の言うことと農蚕園芸局長の言うことと四十万トンと四十五万トンの違いが出てくるんですね。それはどういう調整なんですか。
  42. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 私が申し上げました四十五万トンと申しますのは、現在のポスト三期ではございません第三期対策、それにおきまして在庫積み増しに四十五万トンを三年間に積んでまいったわけでございます。
  43. 村沢牧

    村沢牧君 そのことか。
  44. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) はい、そのことでございます。
  45. 村沢牧

    村沢牧君 わかった。そのことならわかりましたが、そうすると、まあ面積もはっきりしたことは答弁がないわけですが、いろいろ推定をして、例えば百九十万トン米が余る。いわゆる過剰米とか余剰米ができる。百五十万トンを積み越す、四十万トンをさらに生産調整も含めなきゃならぬとやってくると、まあ七十五万ヘクタールから八十万ヘクタール、そこらの線に落ちつくというふうにも私の計算ではなってくるわけですが、その程度のことについても答弁できませんか。
  46. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 現在検討中の次期対策の六十二年度以降の転作面積をどういうふうにするかにつきましては、今、先生お話しのとおりこの場では、まだ現在検討中でございますので、既に各方面でいろいろ新聞等も書かれておりますけれども、まだここで申し上げられる段階に至っておりません。  私ども申し上げられる点は、一つは、先ほどの四十五万トンの在庫積み増しがなくなるというようなことから、やはり七十万ヘクタール以上ということを農水省の考え方として申し上げてきたわけでございまして、先ほどの、ことしの作付状況、そういったようなものからかなりの大きい数字を取りざたする向きもございますけれども、現在慎重にこの点につきまして、三たびの過剰を生じせしめないような点、あるいはこの事業の全体の持っていき方といったものとも関連づけながら検討しておるところでございます。
  47. 村沢牧

    村沢牧君 検討しておることはよくわかるんですよね。ですから、どの程度となかなか今言えないというふうに思いますけれども、そこでですね、これは大臣一つ要請しておきますが、本年度の作況だけ見て単年度自給を図っていくためにこの面積を極端に拡大していく、面積というのは減反面積ですね、これは私はいけないというふうに思うんです。やっぱりこういう激変緩和措置をとり、ならして考える、そういうことが大切だというふうに思いますが、大臣はこれどういうふうに思いますか。農蚕園芸局長の出した数字をそのままよろしいといってぱっと判こつく、認めるということになりますか。
  48. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 実は、その問題も今一番議論いたしておるところでございます。
  49. 村沢牧

    村沢牧君 私が申し上げたこと、指摘をしたことについてはどうですかね。ことしは作況指数が一〇五もあったと、そして来年度は随分また過剰米も出てくるから、一度にひとつこれをなくしていこうと、三たびこういうことのないようにやろう、そのためには面積は百八十万へクタール以上にしなければいけないという、そういう意見もあることも承知しておるんですよ、承知をしておるけれども、そういう極端にやってはいけないというふうに私は申し上げてるんですが、大臣どういうふうに思いますか。
  50. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 先ほど具体的な減反面積に言及せられたりあるいはまたその方法として単年度か数年度かという御意見もよく承りましたが、先ほど局長がお答え申し上げましたが、実はそれを早くやるかゆっくりやるか、激変緩和をするかしないかという問題が今詰めておる大きな焦点になっておるわけでございます。
  51. 村沢牧

    村沢牧君 そこでですね、まあ面積をどんなふうに拡大しようとしても、やっぱり問題になるのはそれに伴って財政措置が一体どうなるか、幾ら高邁な思想を掲げたとしたって、これは今、大蔵省が言っているような、この水田利用再編対策にかわる次期対策補助金を減らしますよというようなことを言って補助金減らされてしまったらどうしようもない、その辺については農水省としてはどういう決意を持っていますか。これひとつ大臣
  52. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私としましては、農民が受け入れられる範囲内においてそれをやりたいという気持ちで折衝いたしておるところでございますけれども、そこら辺がまだ十分に詰まっておりません。要は、実行可能な線に落ちつけたいという気持ちで省内関係方面と今折衝をいたしておるところでございます。
  53. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、その転作奨励金の現行水準は確保する。こういう決意を持っていらっしゃいますか。
  54. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) その問題も含めて今、激しい折衝をやっておるところでございます。
  55. 村沢牧

    村沢牧君 折衝しておることはよくわかるんですよ、そんなことは聞かなくてもわかるけれども、その決意を聞いているんだね、現行水準は減らさないと。ですから、この次期対策をひとつ皆さん一緒になってやってください。そのような決意を農林水産大臣持ってもらわなきゃ、補助金をうんとさわりますよということだけじゃまるっきりだめですよ、これでは。どうですか。
  56. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 村沢先生自身が次期対策については四つの問題点あるいは三つの問題点があるという御指摘を冒頭いただきました。実は私らも、そこら辺の問題を踏まえてやっておるわけでございますけれども、それは、苦しみを受ける方としたら少ない方がいいという意味においては、現行二千三百億の金を維持したいという気持ちを持っておるのは当たり前でございますけれども財政事情、あるいはまた臨調、行革審等の問題、あるいは省内におきます予算編成、いろいろな問題がございまして、今関係方面と激しく渡り合っておるところでございまして、実施する方もまたそれを受ける方も多いのにこしたことはないという気持ちはあるのは、これは当たり前でございますが、それがそのまま実現できるかできないか、もちろん実施する方としてはより多くの金があればよりうまくいくという気持ちはありますが、仮に少なくてもこれはやっていかなくてはならぬところでございます。そこら辺の微妙なところに今差しかかっておるところでございます。
  57. 村沢牧

    村沢牧君 決して微妙でも何でもないけれども、例えば大蔵省が言うように、来年はひとつこの水田利用再編対策の、何か今までよりも一千億も減らすよなんてね、そんなことをいとも簡単に言っていますね。現行水準を維持したとしても、総額で、面積拡大することは単価が下がるのですよね。そこへもってきて総額を減らされたのでは、幾ら農林水産省次期対策でこういうふうに言って、日本農政転換を図っていますなんて言ったってこれはだめなんですよ。  ですから、きょうここでこれ以上追及しても結論出ないというふうに思いますから、大臣ひとつそういう気持ちでもって、これは大臣、あなたの一つ責任ですわな、あなたはどれだけ取れるかと、まさに大臣の腕にかかっていますから、それはまあ結果を見てまた論じますけれども、ひとつそういう決意を持って取り組んでもらいたいということを強く要請しておきます。  それから次は、備蓄の問題ですけれども、備蓄を幾ら持つかということによって減反面積をどうするかということもまた違ってくるわけですね。  そこで、例えば昭和五十四年と五十五年を比較してみますると、五十四年には千百九十六万トンの生産量があったが五十五年には九百七十五万トン、すなわち天候によって二百二十万トンの減収になっているんですよ。米というのはそんなものですよね、天候によって支配される。したがって、こうした経験に学んで、あるいは韓国米輸入問題等もあった経過にかんがみて、やはり今皆さんが考えている備蓄の百五十万トンというのは、私は少な過ぎると思う。我が党は農産物の自給の促進及び備蓄の確保のための農業生産の振興に関する法律案などを衆議院に提案しておりますけれども、その中身はせめて半年分ぐらいの備蓄を持つべきだ、あるいはかねてから三百万トンの備蓄を持つべきだという主張をしてまいりましたし、農林水産省もかつては二百万トンぐらいの備蓄が必要だと言って答弁したときもあったんですよ。したがって、こうした豊作のときにおいてこそ、百五十万トンで切るのじゃなくて、もう少し備蓄をふやすべきだというふうに思いますが、絶対百五十万トンあれば心配ないという見解なんですか。
  58. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) この次期対策検討と在庫の問題というのも関連をいたしておりますことは御指摘のとおりでございます。米の在庫のあり方についても、したがいまして次期対策の一環として検討を今急いでおるところでございますが、私どもの基本的な考え方を申し上げますと、米の在庫管理につきましては、三度の過剰の発生の防止ということを何としても果たさなければいけないということと、他方におきましてゆとりのある米管理の確保、両面に留意をしていかなければいけないと思っております。  政府米の在庫水準につきましては、消費者のニーズにこたえながら低温保管原則のもとで回転備蓄として在庫管理をしていくという観点だけからいきますと、百万トン程度が適当な水準考えられますけれどもお話のありましたようなゆとりのある需給というものを考慮し、主食用としての売却可能な上限ということを考えますと、百五十万トンではないかというふうに考えているわけでございます。  私ども、政府米の米穀年度末の持ち越し在庫が百万トンを切って下回ってくるというような状況が見込まれます場合には、ゆとりある需給に対する配慮が必要になってくる。他方、百五十万トンを超えるというふうに見込まれます場合には、過剰米の発生を心配しなければならないというふうに考えておるところでございます。  今お話のございましたような、大幅な不作が生じたというような場合には、できるだけ転作面積とか予約限度数量というものは大きく振れないことが望ましいわけでございますけれども計画生産量の変更によりまして対応することも可能であろうというふうに思っておるわけでございます。
  59. 村沢牧

    村沢牧君 備蓄問題を長くやっておるとまた時間もかかりますから、私はそれ以上やりませんけれども、最近農水省も備蓄ということを文章上使うようになってきたですな。積み増し量とか積み越し量とか、こんなものは、わかりにくい言葉を使うよりも備蓄と言った方がいいと思いますな。そこで、やっぱり百五十万トンでは私は少な過ぎるということをきょうは指摘をして、後ほどまた次の段階にこの問題をひとつ掘り下げた論議をいたしたいと思います。  そこで、ポストの三期対策に入っては、大幅な減反をしていく、日本の水田面積の三割にも相当する水田に米をつくらせないようにする。こうしていく限りにおいては、政府がこうした方針を打ち出す限りにおいては、何らかの私は法的な関連を持たなきゃいけないと思うんです。それについてはどういうふうに考えますか。時間がありませんから、ひとつ簡潔に答弁してください。
  60. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 現在の五十三年から実施してまいりました水田利用再編対策については、何よりも農家の方々の御理解、御協力に基づくという対応が不可欠であるという基本的な考え方に立ちまして、法的な措置は行わずに実施してきたところでございます。この結果といいますか、全国の稲作農家理解を得まして、五十三年度以降、毎年度目標を上回る転作が実施されてきているところでございます。  次期対策につきましては、需給均衡農家の方方みずからの問題と受けとめていただきたいという考え方に立ちまして、生産者生産者団体主体的責任を持った取り組みというものを基礎に、行政生産者団体一体となって推進することが必要だというふうに考えておりまして、このような主体的な取り組みを助長する観点に立ちまして、法的措置に基づく措置でない形で行わさせていただければと思っております。
  61. 村沢牧

    村沢牧君 なるほど、法的な裏づけはしっかりしたものはない、行政指導にすぎないということでありますが、しかし食管法によって政府が米の全量管理、確保を行う、あるいは需給調整をする、したがって需給をオーバーするものについては生産調整をすると。食管法には生産調整のことは書いてない、米の生産調整、減反は書いてないけれども、それを裏返せば食管法とも十分関連を持った措置であるというふうに思いますが、どうですか。
  62. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) その点は御指摘のとおりだと思います。  食管法には、五十六年の法改正によりまして、政府が配給計画を廃止いたしまして、そのかわりに政府が基本計画、供給計画というものをつくるということになっております。そこでは毎年政府の管理すべき米穀というものについて計画を立てると。この政府が管理すべき米穀というものが予約限度数量のもとになっておるわけでございまして、それと米の潜在能力との関係から転作面積が出てくるという意味におきましては、食管法との間に一定の関係はあると思っております。
  63. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、食管法は堅持されますね。
  64. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) その根幹を維持していきたいと考えております。
  65. 村沢牧

    村沢牧君 維持していきたいではなくて、維持していかなければいけないが、その根幹についての話は皆さんとまた意見が違うことは多々ありますが、これまたいずれかの機会に論議をしたいと思います。  そこで、食管法によって需給調整を図ることは農林水産大臣責任である。このことは、食糧庁長官、そうですね。説明は要りません、そうですね。
  66. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) そのとおりでございます。
  67. 村沢牧

    村沢牧君 つまり、農林水産大臣すなわち政府の責任でなすべき生産調整生産者及び生産団体が主体的責任を持って取り組む、あるいは行政生産者団体共同責任で行う、こういうことはやはり食管法に照らして極めてこれは誤りであると私は思います。  そこで、なぜ政府はこういうことをするのか。つまり、食管法を裏づけにして、また行政指導を強めて生産調整するためには、奨励金や関連施設の補助金など財政的な裏づけをしなければならない。減反面積拡大すればそれだけ財政負担がふえる。そこで、生産者生産団体が自主的にまたは行政共同責任生産調整を行うというのならば、政府の責任も軽くなってくる。行政・団体のやったことだから、これは食管法にも触れておらないし、これをふやしてもいいと、そういう理屈になると思うんですね。そういう意図があってあなた方は共同責任共同責任と言うんじゃないですか。
  68. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 私ども考え方におきまして、行政生産者団体がともに一体となって行うと言ったことの趣旨は、先ほども触れましたように、この需給に合わせて行うことが農業者あるいは農業団体一つの基本的な考え方というものに出るというふうに考えるからでありまして、農林水産省責任を少なくするという考え方に立つものではございません。
  69. 村沢牧

    村沢牧君 従来の水田利用再編対策でも、その他の農業政策でも、生産者団体が取り組むことは当然のことですよ。しかし、この次期対策においてはあえて生産者団体と一緒にやるんだ、共同責任だと打ち出していく。そのことは、他の作物のように自主的に計画生産をしたんだと、あの人たちが自主的にやったんだから補助金の方は軽くても済むという、そんな考え方が基本にあってはならない。ならないけれども、しかしあることは事実なんだ。ですから、この共同責任の問題についても、極めて重要な私は問題を持っているというふうに思いますが、またこれも時間がありませんから指摘だけにとどめておきます。  そこで、転作作物についてでありますが、従来は、水田利用再編対策転作作物を定めて、これは単なる緊急避難的なものじゃない、日本の農産物の自給の向上を図っていく恒久対策でございますというふうに言っておったんですけれども、この次期対策を見る限りにおいては、一体何を誘導目標としているのかわからない。これは率直に聞くけれども、これだけの面積、八十万ヘクタールに及ばんとするような面積水田を減反させて、農水省の目指す誘導作物は何ですか、自信を持って言えるのは。教えてください、私わかりませんから。あなたたちから教えてもらって、私は自分の選挙区で、これは農水省が絶対大丈夫と言ったからつくりましょうということになるわけだ。何をつくらんとするんですかね。
  70. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 今回の次期対策におきまして私ども考えております点につきましては、先ほども地域輪作農法確立という点におきまして申し上げましたことに関連するところでございますが、現在におきます水田、そういったものを極めて高度に有効利用していくために、さらにまた土壌あるいは気候といったようなものにも十分配慮していくためには、これまでの転作といったようなことだけではなくて、現在の水稲との合理的な組み合わせによりまして例えば生産性向上を図っていくという考え方に立たなければならないというふうに考えるところであります。  今、先生指摘のとおり、じゃどういう作物を考えているのかということでございますが、それにつきましては、第一に原則として作物は特定をしておりません。特定をしないで考えていこうというふうに考えているところであります。したがいまして、需給上問題のない作物については引き続きすべて対象にするということであります。  なお、今これも先生指摘のとおりでございまして、転作面積拡大といったようなものに対応していくためには、労働集約的な作物というようなことではおのずと限界があるというふうに考えております。すなわち、土地利用型作物を中心に対応すべきである。この場合におきましては、例えば大豆、麦、飼料作物といったものが現行におきましても約五〇%以上のシェアになっておりますが、こういった土地利用型作物が中心になって対応していくのではないかと私ども考えております。
  71. 村沢牧

    村沢牧君 それでは、いろいろ言ったけれども農林水産省としては大豆だとか麦だとか飼料作物、それを重点にして伸ばしていくと、そういうふうに理解していいですか。
  72. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 先生指摘のとおり、やはり次期対策の作物的な意味におきまして、例えば花卉とかそういったものもありましょうけれども、仰せのとおり土地利用型作物の中心的対応になるのではないかと考えております。
  73. 村沢牧

    村沢牧君 そんなふうに局長は考えておったって、結局麦だとか大豆だとか飼料作物などの自給率を高めようとすれば財政負担が高まる。また、そういうものは外国からどんどん買いなさいという圧力もかかってくる。したがって、こうした作物は外国に依存した方がいいと、そういう声もたくさんあるわけですね。しかし、そういう中で、今答弁があったような作物は農水省としては自給率を高めていくと、そういう決意を持ってもらえれば結構だけれども、そういう決意がないものだから一体何をつくっていいかわからないということになるわけですね。これ以上大豆をつくっても困る、小麦をつくっても困る、飼料作物をつくっても日本でこれ以上自給率を上げても困るという皆さん方考え方があるんじゃないですか。大丈夫ですか。私は地元へ帰って農業団体に言いますよ。農林水産省としてはこれだけ減反面積拡大するけれども、大豆をつくりましょう、小麦をつくりましょう、飼料作物をつくりましょう、それは農水省が価格の保証もしてくれますよと、いいですか、言って。
  74. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 転作等の目標面積の大幅な拡大に対応するために、今申し上げましたようないわゆる土地利用型の作物の中心的対応になるのではないかと私ども考えております。ただ、この点につきましては、私ども現在考えております地域輪作農法確立等々にも見られるとおりでございまして、水稲あるいは転作、そういったもの、いわゆる水田の作物それぞれが生産性向上してこの現下におきます国民食糧等の要望に対応していくべきではないかというふうに考えているところでございます。
  75. 村沢牧

    村沢牧君 私の持ち時間もうこれで終わりでございますから、また足らざるところは後日いたしますが、いずれにしても、飼料穀物にしてもあるいは他用途利用米にしても、ひとつの拡大をしておるという考え方を持っておるようでありますが、他用途利用米といったって七万円の補助金があるから皆さんがつくろうということになる。これが減らされたらつくれるのか。飼料穀物をつくって生産者の手取りが一万円だ二万円だでもって、農水省幾らやれと言ったってできるかどうか。一にかかって財政にもかかってきておるわけですね。ですから、先ほど来申し上げておりますように、農林水産大臣の決意でもって補助金は絶対減らしちゃいけないと、私はそのことを強く指摘をしておきたいというふうに思います。  そこで、最後に転作作物について一点だけ伺っておきたいんですけれども我が国は米が過剰で困っている。しかし、食糧がなくて飢えに苦しんでいる国があるわけですね。こうした地域へ、我が国水田を遊ばしておくんではなくて、救援米を送ればこれは人道上も立派だし、国際国家だとか経済大国だという中曽根さんの自負する我が国としても非常に立派なことだ、やるべきだと思う。私は県の労働会議の議長として、昨年も救援米に、米をつくってアフリカに送った。ことしも既に収穫を終えて、やがて送り出そうとしている。これは水田利用再編対策においては、その米は減反面積にカウントするということになっております。次期対策においてもこういう取り扱いをしなきゃいけないというふうに思います。その点についてはどうですか。
  76. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 先生指摘のアフリカ救援米の生産田につきましては、六十年度と六十一年度におきまして、現行水田利用再編対策の円滑な推進と米の適正な流通、管理に支障を生じないということを配慮しながら、一つは援助米の生産、流通、輸出が市町村長の認定に係る計画に基づいて行われること、相手方に確実に、当然のことでございますが、到着すること。あるいは二つ目に、生産者の自主的な活動として行われるものであること等の要件のもとで、水田利用再編対策転作カウント扱いとすることにしたところでございます。  先生の御質問の六十二年度以降の取り扱いにつきましては、今年度の実施状況等を踏まえまして、その取り扱いについて検討してまいる考えでございます。
  77. 村沢牧

    村沢牧君 要望だけ申し上げておきます。  今年度の実施状況を見て、これも皆さん余りたくさん救援米を送ろうとすれば困るというんでしょう、じゃ少なければいいんだというようなことになる。少なくても、量がまた減らされても困る。いずれにしても、次期対策においても、こうした施策は認めていく。しかも、私はこれを転作作物にすべきだと思う。立派なことですよ、米がなくて困っている人なんだから、そこへ我が国が援助してやることは非常にいいことです。これは農林省、言われなくたって、農林省だけではどうしようもない問題だというふうに思いますけれども、政府として考える。私はそのことを強く要請をしておきます。転作作物として考えるということは、減反面積にも入れるし、それに見合う財政的な措置もとれということですよ。農水大臣に要請しておきます。要請しておきますから、ひとつ検討していただけますか。
  78. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私は、開発途上国、特に飢餓国に対する本当の援助は、その国、その国で食糧の生産というものを、そしてその自給度を上げるというのが本当の援助ではないかという一つの基本的な考え方は持っておるわけでございます。しかし、それが間に合わなくて、現に飢餓に苦しんでおるということで臨時応急のもろもろの処置をとるということも、これまた正当性があると考えております。先生のおっしゃいましたことをさらに今後よく検討してみたいと思います。
  79. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私もポスト三期を中心にしてお伺いしたいというふうに思っておりますが、私の持ち時間は極めてわずかでございますから、幾つかもう絞った形で伺いたいと思いますし、またお答えの方もできるだけ端的にお願いをします。ただいまのアフリカ救援米のように、今までの経過などはいろいろと御説明になる必要はないわけでありまして、これからどうするかというお気持ちをちゃんと言っていただくということでお願いをしたいというふうに思います。  いずれにしましても、このポスト三期の問題は、基本的な考え方について私どもとではいろいろと違うところがあるわけでありますが、それだけに心配になる点もいっぱいございます。その中で、特に今回新しく方向としてお考えになっているように思われます点、幾つかの点をお伺いしたいというふうに思います。  その第一は、傾斜配分についてでありますが、この傾斜配分は、地域によりまして、県によって傾斜配分は緩めろというのもあるし、あるいはもっと強めろというのもあるし、私の住んでいる県は、県内の要求というのがあります。いろいろありますが、この傾斜配分についてはどのようにお考えになっているのか、これをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  80. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 転作目標面積の配分につきましては、対策の一環として検討をしておりますところでございます。極めて重要な点であるというふうに我々考えておりまして、関係方面の御意見もお聞きいたしまして決定していくことになるということでございます。このときの考え方でございますが、稲作も含めまして水田農業確立を図るというような観点に立ちますれば、今後とも農業及び稲作生産を担う地域、あるいはその担い手等に配慮していくことが基本的に重要だというふうな考え方に立っているところであります。  なお、この次期対策転作目標面積の配分は、全体の数量は先ほどお話ししましたように単純に計算するだけでも十万ヘクタール以上面積は上乗せになるというようなことを前提にして考えていかなければならない問題でありますし、この点につきましては拡大するこの転作目標を全国のどの地域で担ってもらうのかという問題に尽きるわけでございまして、非常に厳しい選択を要求される問題というふうに私ども考えているところであります。先生今御指摘のように、現行におきまして比較的に転作率が低い地域におきましては現行考え方に立ってそのままでというお考えもありましょうし、あるいは高いところにおきましては現行を変えていこうというような要望がなされているところでございまして、私どもこの厳しい選択に対して日々苦悩をしているところでございます。  いずれにいたしましても、この対策の基本理念というものを出させていただこうとしておるわけでございまして、そういったものの整合性、水田農業確立といった考え方に対する整合性、あるいは公平性、あるいは従来の配分との連続性、そういったようなものを十分検討いたしまして対応していかなければならないというふうに考えておるところでございます。
  81. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 具体的には大変難しい問題だと思うんですね、面積をふやしていく、そしてそれを配分をしなきゃならぬということですから。そのことはまたいろいろと御相談をされながら、局長のお言葉をかりればいろいろと苦悩していただきながら配分を最終的には決めていただかなきゃなりませんが、ただその考え方の中で、特に稲作を担う地域というものを考えていったときに、逆に市街化区域内の水田等については傾斜配分を強めるという方向検討がされるのではないか、県全体ということよりも県の中のまた一つ地域考え方として。そういうふうにも伺っておりますけれども、その辺はどのように考えておられますか。
  82. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 先生の触れられました市街化区域の問題につきましては、これまでも傾斜随分を行うという現行の制度におきましてもそういう考え方に立っております。具体的な状況等におきましても、推定でございますけれども、達観して申しますと、基本的には約一割程度高い、全国が二〇%といたしますと市街化区域等につきましては約二十数%の数字になっている状況でございます。今後、今御指摘のとおり今回の考え方水田農業確立といったような視点を重視していくということに立ちますれば、この市街化区域につきましては傾斜配分を行うということを一つ考え方にいたしまして、各種土地利用計画の線引き政策の整合性、そういったものに配慮しまして、今申し上げたような配分を行っていくべきではないかと私ども考えております。
  83. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そううまいふうにいくんでしょうかねということが私には気になるんですけれども。といいますのは、先ほど来の村沢委員への御説明を伺っていれば、やはり再び過剰な状況が来ないようにということを念頭に置きながら対策考えておられるということになれば、現実に、実際に転作をしてもらわなきゃならぬ、こういうことになると思うんですけれども、市街化区域内の水田というのは極端な物の言い方をすればペナルティーなどいろいろと考えても余り大した痛痒を感じない、極端な言い方ですけれども、そういう部分もかなりあるわけでありまして、そういう中でいったら果たして実効が上がるかどうか、そういうことは大変気になるのでありますけれども、この辺も計算しておられるわけですか。
  84. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 先生指摘のとおりでございまして、市街化区地域おきます農業に対するいろいろな農政手段というものは、いわゆる農業地域ほ比べまして比較的少ないわけでございます。そういう意味で、誘導措置の手段がかなり薄いというようなことから、そういったものをいろいろ使うことによって推進といったような道がなかなか図られないということは現実のものでございます。そういったようなことを踏まえまして、例えば市街化区域におきます市民農園の開設とか、あるいは都市農業の特性を生かした方向をいろいろ考えた上で誘導措置といったようなものを加えていかなければならないものと考えております。
  85. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 誘導措置というのを私は局長が今どういうふうにお考えになっているのかよくわかりませんが、そう簡単になかなかいかないんじゃないかなというふうにも心配をいたします。こうした傾斜配分等についての考え方というのも、その辺は随分緻密に考えていただき、実情を十分に掌握して有効な手段というものを考えていただかなければ意味がないことになる、こんなふうに思うんです。基本的には減反そのものに、こういう転作そのもののあり方に私どもいろいろ疑問を持っているわけでありますから、基本点で賛成をするわけにいきませんけれども、もしこういうことをお考えになっているとすれば、そういう実態をよく掌握した上で対策を立ててもらわなきゃならぬ、こんなふうにも思うわけです。これは要望をしておきたいと思います。  次に、時期の問題、先ほど村沢委員からもいろいろと伺いましたけれども、秋というのはいつまでを秋というのか、これはなかなか、さっきのあれでは十二月に入っても秋みたいなあれがありましたが、しかし問題は来年の農業設計、農家はみんな済ましているわけですよ。済ましている中に今までよりも大きなものがこれから押しかかっていろいろ問題になってこようということになるんですからね、これが今までおくれたということ、今までおくれたということですら私は問題だと思う。それがさらにおくれるというようなことは、これは私は簡単にいかない問題だ。農家の中にそれこそ混乱を多く持ち込むんじゃないかと思うんですけれども、その辺の責任というものをどのようにお考えになっていますか。
  86. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 先ほどもお答え申し上げたわけでございますが、おっしゃるとおり来年度以降のいろいろな設計等においていろいろの支障がないようにという観点に立ちますれば、できるだけ早期に、早目に行うべきが筋だというふうにも考えます。  ただ一方、この問題につきましては、これまで実施してまいりました水田農業再編対策と違いまして、いわゆるポスト三期というふうに言っておりますけれども、単に四期といったような考え方に立って行われるべきものではないというようなことから、これまでの経験とかあるいは教訓とか、そういったようなものを十分に議論をいたしまして、農政審の御答申等も、御報告等も十分いただきながらこれから対応していくという要請もございまして、そういう意味でできるだけ早く早期にこれからも議論をいたしてまいりたいという考え方に立っているところでございます。
  87. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私は、それこそ責任は免れることはできないと思うんですよ。もう農家の実態というのはわかっているはずですよ。農業の対応というのは、どうしなきゃならぬかというのはわかっているはずです。わかっているはずなのが今までおくれたことそのものが問題なわけでしょう。ですから、その辺のところははっきりとしてもらわなきゃなりません。それでもできていないというんですから、それこそ急いで出していただかなきゃなりませんけれども、その辺は極めて私にとっては不満であります。今後もこんなことが絶対に起こらないように対応というのは考えていただかなきゃならぬ、こう思います。  私の時間がありませんので、もう一つだけ伺っておきたいと思っておりますが、地域輪作体系を取り入れるというふうに言われましたけれども、これは大体どのくらいの範囲、輪作できるようなものに田んぼをどのくらいの範囲を考えておられるんですか。技術的にもそれから財政的にも非常に大きな問題になるんではないかと思うんですが、その辺はいかがですか。
  88. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 地域輪作体系につきましては、単純に今までの例えば日本の農業におきます二毛作とか、そういったような考え方の土台があるわけでございます。さらに、現在の水田農業水田再編対策の中に、片仮名で甚だ恐縮でございますけれども、ブロックローテーションといったようなものが各地域の経験によって生まれてきているところであります。私ども地域農法の確立といったときに田畑輪換といったようなものを思い起こすわけでございますが、これにつきましても、農政上におきまして、昭和三十年代におきましてかなり追求をされまして、その後農業関係のいろいろな試験研究機関におきましても十分いろいろの検討が引き続きなされてきたところであります。  そういう意味を含めまして、作付体系といったようなことを前提に置きまして、現行の畑地における障害の問題、そういったものを例えば三年ごとに田と畑を輪作をさせていく。そのものにおきましても、標準的な考え方といたしましては、米をつくり、その次の対策といたしまして麦、大豆を組み合わせるといったようなことも考えられるところであります。  先生指摘のとおり、これの点につきましては、ある面においては排水対策というものが必要でございまして、そういったような意味での立地条件とか、そういったものを総合的に組み合わせていく必要があるというふうに考えております。また、地域におきましても、谷地田であるとかあるいは平場といったような点においてもかなりの豊凶の差があります。ただ、地域におきましてかなりのものを生み出されているというような状況でございますので、そういったものを定着させながら指導をしていきたいというのがこの考え方であります。
  89. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 もう私の持ち時間がなくなってまいりましたので、私の意見を申し上げ、そして最後に大臣の御見解を伺うということで終わりたいと思いますが、今まで村沢委員がいろいろとお尋ねをしてまいりましたところでも、これから議論を深めていかなきゃならない問題というのが非常に多うございます。それらのものは、きょうはこうした短い時間の一日の議論ではなかなか尽くせないものがあります。だから、国会での議論というものももっと聞く機会をつくっていただきながら、少し長い目でもってこの対策、体制というものを立てていただかなきゃならぬ、そのように考えております。  私は、今例えば田畑輪換の話が出ましたけれども田畑輪換はそれは理想でありますけれども、普遍的にどこにもやれるというものではありませんし、技術的ないろいろな面も伴ってまいります。それからまたさらに、村沢委員指摘をしたように、裏作というか三年作のローテーションを組んでいくその作目を今度はどうやって収入補償、所得補償をしていくか、そういう問題もあわせていかなければならないという問題なども含まれてまいりますので、これも非常に大きな問題で、議論を要するところ、しなきゃならない部分だと思います。  そういう点等を含めまして私は、次期対策を急いで出されるということ、それと同時に、基本的な問題についてはいつでも見直しをしていけるように議論を十分に聞いていただけるような体制をつくっていただきたいと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  90. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 次期対策は、我が国農政の最重要な課題であるということで、私たちも各界各方面の御意見を承り、先ほども申し上げましたようにぎりぎり農民が受け入れてもらえるような案ということも考えておるわけでございますが、さらにこれを大きく表現させていただきますと、この次期対策を失敗したら日本の農政農業は全滅する、したがって何としてもこの次期対策は成功させなくてはならない、この決意で今後やっていこうと考えておるところでございます。
  91. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 私も、農政の問題の中で、特に農政審の中間報告が近く出されますので、それに関連いたしまして個別政策とのかかわり合いの中で、総論としてあるいは各論としてアラカルトで御質問をいたしたいと思います。  まず総体的に、大体政府は今月末ごろまでに急いで農政審に中間答申を出していただく、そしてそれに今内々進められておりますポスト三期対策やあるいは食管改善の構想、政策を来年度の予算に間に合うように、そういうことで進められておると思いますが、最終答申がいつになるか、これは示されておりません、めども。そういったような状態の中に非常にこれは拙速ではないか、それからまた少々この種のプランニングをするものについてのセオリーに外れておるんではなかろうか、こういうように思います。  施策の客体はやはり生産農民でございます。この農民がよく農政審の全体像、ビジョンの全体像をかみ砕いて、そしてそれにぶら下がってくる各論、施策、これを理解した上でやるということが一番このように大きな農政転換の局面では大切だと思いますけれども、そうではなくて、特にポスト三期対策と食管改善が中間報告と同時進行、並行しておる、現実にはそうなっておる。そういうことは逆進価格政策、そういったようなものが先行することになりかねない。それこそ初めに財政負担減らしありき、それではいけないと私は思います。  経構研や行革審のリポートでさえも、各般の構造政策をしっかりやるめどをひとつここで打ち立ててからそして価格政策に手を染めていけというように、私は勧告しておるように自分ながら理解しておりますが、確たる農業政策の実証、構造政策の実証があって初めて、価格政策というのは逆進価格政策なんです。これに手をつける大前提が構造政策であると思っておりますが、こういう非常に大事なことを拙速でいいのか、またセオリーから幾らか外れているように見えますがそういうことでいいのか、まず大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
  92. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 農政審の方は、農政全般にわたる問題、特に「二一世紀へ向けての農政の基本方向」について検討が進められており、今月の二十八日を目途に報告が取りまとめられるような予定になっておるわけでございます。  その今回の検討に当たりましては、当面の緊急課題でございますいわゆるポスト三期対策あるいは食糧管理制度の改善が重点項目一つとして取り扱われておるわけでございます。したがいまして、ポスト三期対策というものは、農政審議会における審議の経過も踏まえつつ農林省内部において鋭意検討を進めているところでございますし、先ほど来お答え申し上げておりますように、関係団体、関係機関との詰めを急ぎながら早急に決定してまいりたいと考えておるところでございます。  そして、その次に大塚先生から御注意のありました価格政策ありきと、そして財政助成をカットするためのものではないかとおっしゃいましたが、決してそうではございませんけれども、農産物の価格政策につきましては、先生御存じのように近年の主要農産物の需給事情が緩和基調になっておるところでございます。そこで、私たちとしたら、生産性向上というものを反映しながら、おしなべて抑制的な運用を今までも既に行ってきておるところでございます。  そこで、今後の農政の展開に当たりましても、農政審あるいはポスト三期全体を通じまして、農地の流動化とか農業生産の組織化を通ずる規模拡大等によります生産性向上ということと、先ほど来農蚕園芸局長からもお答えさせておりますが、さらに担い手の育成等が重要な実は課題になっておるわけでございまして、そういう中で価格政策運営に当たりましても、今申し上げたような施策との関連において十分配慮しながら適切な運用を図ってまいりたいと考えておるところでございます。  そして、冒頭申し上げました農政審におきましても、価格政策を含んだ中長期的な農政の基本方向について検討が進められているところでございますので、その結果をも踏まえながら今後運用に遺憾なきを期していきたいと思っておるところでございます。
  93. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 実は、そういうお答えがはね返ってくるだろうと想定いたしておりました。非常に制約された中での御答弁だと思いますが、本来原則論としてやっぱりここに一つの青写真が出てきた、これをよく理解してその全体の政策の整合性というものを考える場合に、やっぱり決して望ましいやり方ではない、どうかすると間に合わせ的に見られる。さらにまた、このような厳しい状態ですから、価格政策先行ということに見られがちでございます。  事ほどさように、日本の農業構造政策というのは、口ではなかなか言えても現実にはこれは非常に難しい。自然的なあるいは人為的ないろいろまつわりついている条件下でこれは非常に難しい。そういうことに特に思いをいたしますときに、価格政策の進め方というのはやっぱりこれも時間をかけた軟着陸ですね、これをひとつ考えていかなきゃならぬと、余り快刀乱麻というようなハードなやり方ではいけない。これを非常に生産農家心配しておると思います。したがって、将来に展望を持たせながらやっていくというためには、やっぱりどうしてももう少しソフトランディングな政策の進め方が必要じゃないかと思います。  特に思いますのは、どうも大蔵サイドからの財政的な締めつけ、それから諸外国の自由化攻勢、こういうものが非常に急でありますがために急ぎ過ぎておるんではなかろうか、このようにも思いますけれども、これはひとつ農林大臣所管として盾になってひとつやってもらわねばならぬと思いますが、その御決意のほどをまず聞いておきたいと思います。
  94. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私はいつも申し上げておるのでございますが、机上の理論というものと実際行うところにはいろいろ困難さが伴うわけであります。すべて改革を行うときには、出血をより少なくして、そしてソフトランディングに持っていくという重要性は十分認識いたしております。しかし、要望される方が出血ゼロにしてくれと言われたのではこれはできません。やはり出血は伴う、しかしその出血を最小限にどのように持っていくかというところが一番意を用いるところではないだろうか、こう考えておるところでございます。
  95. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 それでは、総論はこのくらいにして各論に進まさせていただきます。  次期対策と食管改善の幾つかについてただしていきたいと思います。  まず、食管改善の目玉になっておるのが、先ほども村沢先生からございましたことの繰り返しになると思いますが、政府米の過剰在庫を断とう、そして単年需給の枠の中におさめ込もうというのが一つの食管改善の目玉だと思いますが、そこで生産者団体による自主調整保管、これは超過米だけじゃないと思います。たまりたまってきた最終のものを自主調整保管しろというようなこれは改定になっていかざるを得ない、こう思うわけでございます。さしあたってことし豊作でございます。先ほども出ておりましたように備蓄を含めて百九十万トンの米穀年度末の在庫が出てくる。そうすると、そこで四十万トン自主調整保管に生産者団体にゆだねられていくということになろうと思うわけでございます。  それには、内々農業団体との話があっているやに聞いておりますし、農業団体も、これはひとつ単年度需給という立場からそうせざるを得まいという空気に動いておるようでございますけれども、ただその場合、やっぱり食管法という一つのものがありながら、損得みんなあなたのものよということですね。それから、倉金とかこういう管理経費、もうみんな農業団体でやりなさいということになるのか、何とかひとつ激変緩和といいますか、そういうことで政府のしてやれる手だてというものがどういう形かないものか、そしてこれを早く定着させるための経過的なひとつ行政の温かい手だてがないものか、その辺についての、これはどちらでしょうかね、長官の方からお願いしたいと思います。
  96. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 私どもの自主保管をめぐります考え方でございますけれども、二つの側面がございます。  一つは、今お話ございましたように、来年の十月末の持ち越し在庫が百九十万トンということに見込まれるわけでございますが、食用として売却可能な政府持ち越し在庫の数量ということを考えますと百五十万トンが上限。この量は、政府米は大体月々平均いたしまして三十万トンずつぐらい売っておりますので、十一月から三月まで新米を一切売らないで五カ月間持ち越し米だけを売っていくということで五カ月かかるという水準でございます。  これ以上のものを政府在庫ということで抱えました場合に、これは過去の二度にわたる過剰発生のときの経過を私ずっと調べてみたのでございますが、やはり二年持ち越し米が生じて、三度目の過剰米処理というようなことになる危険が極めて高いということでございまして、やはり三度の過剰の発生を防止しながら食管制度の適正な運営を図っていく。食管制度でございますから「主要食糧」ということで買ったお米でございますが、それが事志に反してえさ化しなければいけない、あるいはまたなかなか消費者の方にも喜んで買っていただけないということは、やはり食管制度運営としても適正な運用ではないだろうということが一つございまして、四十万程度のものを集荷団体の方に自主的な調整保管をお願いすることが必要になっているということでございます。  他方生産者団体なり集荷団体の側におかれましても、作況指数一〇五と申しますと、作況の一ポイントが約十万トンでございます。農家の在庫とか自家消費の変動というようなものがございますので、五十万トンが丸々全部市場に出てくるかどうかという問題はございますけれども、この豊作の恵みによります限度超過米を従来と同じようなやり方で自主流通米とあわせて来年の九月までに売り切るというふうに仮に仮定をいたしますと、これは相当大きなやはり特別販売と申しますか、値引きをせざるを得ないところを余儀なくされるのではないか。  ことしの春に、六十年産の二十二万トンの自主流通米につきまして特別販売をいたしましたが、六十キロ当たり二千円の値引きをしております。それから、五十三年、五十四年にもやはり特別販売ございましたが、五十四年のときで申しますと、十万トンについてやはり千九百円から二千四百円の値引きをいたしております。むしろ、販売期間を少し長くとりまして、そして計画的に順次売っていくということの方が、集荷団体、生産者団体あるいは生産者の方々にも自主流通米の値崩れということを起こさないという点でプラスがあるんじゃないか。  今、金利、倉敷というお話ございましたけれども、これはデメリットだけではございませんで、そういう意味で来年の作柄いかんによっては、九月までに全部無理をして金倉以上の値引きを恐らく必要とするような特別販売をやるよりも、持ち越して来年の作柄いかんによってはむしろプラスが出るかもしれないというふうなことも考えられないことはないわけでございまして、その辺の両方の観点から今集荷団体と協議をしておるところでございます。  それで、食糧管理制度との関係ございましたけれども、先ほどお答えをいたしましたように、私ども主食用として売却可能な限度百五十万トンまでのところは、政府の責任と負担において完全に需給の首尾を調整いたします。それをオーバーした部分についてこういった仕組みを取り入れると。そういうことによりまして、月平均三十万トンの規模の政府米だけではなくて、二十四、五万トンの自主流通米の流通がございますので、いわば三十万トンの口径の細い水道管ではなくて、月五十四、五万トンの口径の太いパイプで流していく。そしてまた、その中での回転可能な在庫へ持っていくという方が食糧需給の安定にも役立つんではないか、こんなことを考えておるわけでございます。
  97. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 それではひとつ、また蒸し返しになりますが、転作面積についてでございます。  非常に農水省は、慎重に転作面積につきましては構えておられるようでございます。それもわかりますけれども、十一月十八日の毎日新聞の報道によりますと、これはもう大体決定的に農水、大蔵省で減反面積は七十八万ヘクタールに固まったと、それからもう一つは、転作奨励金を今度は構造政策の助成補助金に切りかえるということも合意したと、こういう非常に強い調子の新聞報道がございます。  やはり、今考えられますのは、六十万ヘクタールから七十三というのに基数を置いて、いわゆる作況指数が一〇五になって、ことしは非常に過剰米が出るから、その分だけ単年度需給という立場に立って、一年間でこれを全部減反に上乗せした場合は八十一万ヘクタールになるんだよと。それを大蔵省は単年で、農水省は激変緩和で三年ぐらいでというやりとりの中で妥協して二年間ということになって、ここで七十八万というものが出てくると。まことにまことしやかなことでございますが、こういうことが出ますと、生産者は、固まったとかあるいは合意したとかいうことが出ますと、もうそれが先行するわけですね。  そこで、農林水産省としては七十万以上はちょっと今から考えてというような、非常にそういう世論とそれから一つの政策というものの乖離があり過ぎると。ここに不安が出てくるんですから、そういう点はやっぱりリーズナブルなものがあれば率直にひとつ打ち出していくという構えがないと非常に疑心暗鬼を呼ぶと思います。これには答弁要りません。要望として、こういう政策の公表の仕方というものについては、ひとつある程度これも確たるものを早く、情報の時代ですから、情報提供を私はすべきだ、このように思うわけでございます。  それから、転作奨励金でございます。これもいろいろ毎日新聞には書いてありますが、これはまだそこまでいっていないだろう、こう思います。今度、水田農業確立助成金、構造政策の方に模様がえをする、衣がえをするということになっておりまして、これは私どももお聞きしているところでございますが、これが非常に大蔵サイドでは大幅な、例えば二千二、三百億の中のものを一千億円ぐらい減らそうと。これはやっぱり農林予算そのものの枠の年々縮小の中でこれは扱われていくものだ、こう思います。それから、やっぱり行革審なりそういうものの、行く行くは時限を切って段階的にひとつこれは全廃せよと、奨励金は、という一つのプレッシャーもあると思います。それからもう一つは、減反の上積み七十数万ヘクタールになる。そうなると総枠は固定していく、絞っていくと。そうなると、そこでいわゆるそういう水準減らしとそれから総枠からくる減額、こういう相乗作用が出てくるんではないか、これを非常に心配しておるわけですよ。ですから、そういう点について、すべてがやっぱり財政的な理由にこれは受け取られております。そういう見方をみんなしておるわけでございます。  そこで、一方ではいわゆる従来の作物転換奨励というものから構造政策助成に性格が変わっていくわけでございますが、これが現実にはそういう予算総枠が縮小されていくということから手厚い構造政策になり得ない、いわゆる奨励金減らしのための手だてに使われるということを非常に懸念をいたしております。先ほど申しましたような構造政策、非常に難しい事態でございますので、特に農地の流動化と汎用農地の造成、基盤整備、これに一生懸命やらなきゃなりませんが、そういう点での農林大臣の今後の気構え、ひとつ予算確保の気構えをお聞かせいただきたい。
  98. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 財政事情の非常に厳しい中でありますけれども、一生懸命頑張っていかなくてはならぬ、決意を固めておるところでございます。
  99. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 それから、これも先ほど稲村先生からお触れになりましたことに関連してでございますが、転作面積の配分基準が一つ非常な関心事でございます。この転作面積の大幅上積みは、非常にこれは生産農民に拒否反応が強いわけでございます。それを増幅しておりますけれども、今度の設定されます新しい配分基準というものにつきましては、先ほど抽象的にお聞きをいたしましたけれども、そういう場合に傾斜配分の一つのエレメントといたしましていわゆる市街化区域を取り込むというやり方がございますが、そのほかにもう一つやっぱり私どもが十分これは気をつけていかなきゃならぬこと、また農林省でも細心の注意を払ってやってもらわなきゃならぬことは、従来、総合農政というのは複合作目経営を誘導しているわけですよ。いわゆる今度のポスト三期対策としては、水田に非常に偏った対応がなされておるということでございます。そういう点では、そういう場合問題は、大まかに言っていわゆる穀類単作類型のエリアとそれから地域作目複合類型のエリアの配分対応を誤ると大変なことになろう、このように思っておりますが、そういう意味では従来の踏襲してまいりました総合農政路線の施策ごとの整合性、これをどのようにして確保していくのか、そしてそれを配分基準の中にどう織り込んでいくのか大変な大きな問題だと思いますが、当局の基本的な考え方をひとつお伺いいたしておきたいと思います。
  100. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 今、大塚先生の御指摘転作目標の配分につきましては、先ほども申し上げましたとおり、次期対策一つの重要な一環ということで慎重に検討していかなければならない課題だというふうに考えております。この次期対策は、繰り返し申し上げますが、稲作転作を通ずる生産性向上あるいは地域輪作農法確立、需要の動向に応じました計画生産を一体的に図るといったようなことに重点を指向して組み立てていこうという考え方であるわけであります。  先生指摘のように、総合農政路線というものの中で地域複合といった考え方のものも存在していることは重々存じております。ただ、この対策が今申し上げましたようにあくまでも現在の米の需給といったようなものの問題に対応する問題でありまして、これが過去の経験、十五年間の経験の上は、単に転作作物の問題だけではなくて、水稲と転作作物を通ずる生産性向上というようなことに幅を広げてきているところでございますので、そういったような点につきましての稲作水田を利用して生産される作物の合理的な組み合わせによる生産性の高い水田農業確立といったような点をその系統の中で貫きながら考えていきたいというふうに考えているわけでございます。  もう一度地域配分の問題に返って申し上げますれば、地域生産を担う地域農業及び稲作生産を担う地域あるいは担い手等に配慮していくことが先ほど申しております水田農業確立といった点から重要であるというふうに考えておりまして、そういった点をこれまでの地域配分の中に入れて考えていかなければいけないというふうに考えているわけであります。  いずれにいたしましても、転作目標の配分に当たりましては、このような趣旨を踏まえまして、関係方面の御意見も十分聴取いたしまして、御指摘地域複合の観点についても考慮をしながら前向きに対応していかなきゃいけないというふうに考えております。
  101. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 わかったようでわからぬような御答弁で、まあその程度でございますが、ひとつ十分心して対応していただきたいと思います。  最後に、構造政策を重視するという次期対策、これは中核農家への農地の集積、それへの誘導、そしてまたこの前からちらちら出ておりまする輪作高位生産水田農業へのしかえ、これが一つ大きな柱になっておりまして、農林省としては、この際、右も左も余りいいことがないときにバラ色のマニュアルを用意して示しておられるようでございます。しかし、それにはやっぱり、先ほど稲村先生からも御指摘があったように、一つの大前提が満たされていかないとこの花は咲かないというように思います。  それはやっぱり水田農業の場合の経営規模の集積、これは大変難しい問題、それと汎用農地にしかえていくという土地改良基盤整備、これですね、二つに尽きると思いますけれども、このいわゆる花を咲かせる沃土づくり、これですね、この構造政策の柱になる政策が行政・政治として財政投資、これがやっぱり第一義的に必要なんです。短期集中的にやらないと、安楽死してしまうという結果になりかねない。大臣、非常な御決意であろうと思いまするけれども、ひとつ最後に決意のほどを聞きまして、私の質問を終わりたいと思います。
  102. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 我々は過去を考えてみますと、過剰在庫問題に三兆円、それから減反政策推進に三兆数千億円つぎ込んできました。もしそれを構造改善につぎ込んでおったならと考えますと、いろいろの感慨が浮いてくるわけでございます。  しかし、それは過去のことでございますが、これから我々が取っ組む場合には、今、大塚先生も御指摘になったようなことを十分念頭に置きながら、次期対策は何としても成功するように持っていかなくてはならない。そのためには国民各界各層の皆さん方の御理解をいただきながら、生産者も農水省も関係の皆さん方も一致協力して当たらなくてはならぬ、このように考えておるところでございます。  なお、近いうちに、私も先ほど来の議論をいろいろ考えておりまして、実は配分問題についてもいろいろな各方面からの御意見がございます。また、同じ地域内、都道府県内においても、市街化区域内水田とそうでないとの問題についての、先ほど来御指摘もありましたが、大変困難な問題等も承っております。そこで、各界各方面の御意見を承るという中に、ごく近い将来に今までの減反度合の一番大きかった都道府県そして一番少なかった都道府県の行政責任者、団体の責任者等もお集まりいただいて、ちょうど真ん中辺の県の方もお集まりいただいて御意見を承るようにし、もう万全を期していきたいと考えておるところでございます。
  103. 宮島滉

    ○宮島滉君 ただいま同僚議員からポスト三期並びに食糧管理のあり方につきましての御質問がなされたところであります。私も関連をいたしまして、食糧管理制度のあり方につきまして少し御質問をさせていただきたいと存じます。  今年産米につきましては、既に作況指数が一〇五ということでございまして、四十万トンないし五十万トンの超過米が発生するということは明らかでございます。この超過米につきましての管理のあり方でありますけれども、先ほどから長官からも御説明がなされておりますように、政府として主食用としての売却可能な限度は百五十万トンである。そしてまた、百五十万トン以上の在庫管理については財政的な負担もかなり大きい。そしてさらには、いわゆる今日の食管については国民の目が極めて厳しい。したがって、生産団体も自主的な調整保管を行うことによって食糧管理制度が一般国民に健全な運営をされているということの印象づけが極めて大事である。このような三点の主な理由によりまして、今回指定法人に自主管理の仕組みをとられた、とる形になっておるわけであります。  そこで、お尋ねをするわけでありますけれども、従来超過米は、政府は全量これをマル超米として買い入れを行ってきたわけでございます。現行食管制度上のいわゆる全量管理の原則から、自主管理のいわゆる仕組みを導入する、こういうことに相なりますと、私はこのことは少なくともその原則論からは相反するんではないか、このように実は思うわけでありますけれども、このことについてどのように思っていらっしゃるかひとつお尋ねをいたしたいと思うわけであります。
  104. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今問題になっております集荷団体によります自主調整保管と、食糧管理法の米の管理におきます全量管理ということとの関連につきましては、この食管法におきます政府による全量管理と申しますのは、国民に対する主要食糧の安定供給を確保いたしますために、米の管理に関します基本方針のもとに、国内で流通する米につきましてはその必要性なり性格に応じまして、まず第一には政府が直接買い入れ、売り渡すという形の管理の仕方、それからまた自主流通米につきまして、自主流通計画というものの認可等を通じまして、これを計画的に適正に流通をさせる、それからさらに、まあ予期せざる予約限度を超える超過米が発生をいたしました場合も、自主流通米の流通ルートと同じルートに乗せて、一定の流通規制のもとにこれを流通をさせるという、いろいろ態様は異なりますけれども、その米の流れにつきまして流通ルートを特定してその動きを把握して、計画的に管理をしていくということが全量管理ということの意味だというふうに考えておるわけでございます。  国民への安定供給のために必要とする量につきましては、先ほど来私申し上げておりますように、政府が期末在庫を持つという考えでございますけれども、その主食用の売却可能な在庫の限度を超える分まで政府がすべて持たなければ全量管理でなくなるということではないというふうに考えておるわけでございます。俗に言う部分管理というような言葉もございますけれども、そういうものが、政府が一定の需給操作をするために必要な米だけを持って、あとは完全に自由ルーツに任せるということでございますが、そういうことでは決してないわけでございます。
  105. 宮島滉

    ○宮島滉君 流れとしては今御説明のように理解をいたすわけでありますけれども、いわゆるその自主管理の仕組みを取り入れられるということになりますと、たまたま今、長官お触れになりましたように、部分管理ということに相なっていくんではないか。いわゆる自主管理を取り入れられた大きな主な理由の中に、いわゆる政府が食糧用として売却限度数量というのが百五十万トンである。したがって、それ以上の超過米ということになりますと、超過米がその枠から外れるということになると、百五十万トンのいわゆる限度というのは、これは部分管理になっていくんではないか、かように私は思うんです。したがって、自主管理の概念なんですけれども、この概念はどのように実はとらえたらいいのか、できましたら少しお尋ねしたいと思います。
  106. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 先ほど申し上げましたように、管理の態様はいろいろございますけれども、全体をやはり政府が安定供給という責任を果たすということで管理をしてまいる。限度超過米につきましても、流通ルートが決まっておりまして、そしてまた食糧事務所長がその動きを把握して流れていくということであるわけでございまして、今の食糧管理法におきましても、食管法の第九条に、政府は必要ありと認むるときは保管及び移動について必要なる命令をなすことを得るという規定がございます。流通段階における保管ということも食管法の全量管理の一態様だと、そういう形で管理が及ぶということは法文上にもあらわれておるわけでございます。  いずれにいたしましても、今回の集荷団体によります自主的な調整保管は、三度の過剰の発生を避けますと同時に、食管制度運営上、集荷団体なり生産者団体にも需給均衡に一緒に努力をしていただく。そういうことを通じまして現行食管制度の基本を確かなものにし、また先ほど申し上げましたように、政府米だけではなくて、自主流通もかなりの流通規模になっておりますので、そういった月間流通量で五十四、五万トンというような全体の米の流れの中で米の在庫ということも考えていけば、在庫の回転ということについてもよりゆとりのある姿がとれる。もちろん私どもは、先ほど申し上げましたように、計画的な生産ということをポスト三期でもやるわけでございますので、それが計画どおり行われますれば、政府在庫の量も大体百五十万トンを超えるということはなくなるわけでございまして、恒久的にこの在庫を持っていただくということを私ども考えているわけではないということは申し添えておきたいと思います。
  107. 宮島滉

    ○宮島滉君 今、長官のおっしゃいますように、緊急的かつ一時的な保管であるというような御説明でもあるようでもありますけれども、今農家が非常に不安に思っておりますのは、今後やはり食管のあり方そのものがいわゆる部分管理になっていくんじゃないか、政府が必要量のみを買い上げて管理していくんではないかということについて極めて不安な気持ちを実は持っているわけでございます。  それからもう一つは、やはり今日国民の各階各層からいわゆる食管のあり方につきまして極めて批判が多いことも事実でございます。そうなりますと、やはりそれにこたえていく。一方におきましては批判の部分はやはり何としても解消していく。いわゆる食管の運営ということは、これは極めて私は必要であると思う。しかしながら、一方また水稲農業者にとっても不安でないようなやはり管理体制ということも、これも極めて私は大事な問題であると思います。  したがいまして、今長官おっしゃいますように、幾つかのやはり態様があるとおっしゃいました。確かに政府が直接買い上げて管理するいわゆる直接管理の方法もありましょう。それからまた間接管理もありましょう。あるいは、今私ちょっと触れましたけれども、いわゆる部分管理もありましょう。あるいはまた委託管理もあるかもしれません。そのような態様は幾つかあるわけでありますが、ここでひとつ長官に特に私は御提言申し上げたいのは、いわゆる食管管理を堅持するという建前、これは大臣も幸いにいたしましてしばしば御発言いただいておるところでございます。  したがいまして、全量管理の枠組みの中で、少なくともいわゆる直接管理する部分、それから間接管理する部分ですね、言うなれば指定法人に管理されていく超過米、これは言うなれば二元管理にもう近い形になっていると。ですから、そのいわゆる管理のあり方について、少なくともやはり何かきちっと明文化ができないのか。今おっしゃるように大変苦しい答弁だと思うんです。私もわかったようなわからないようなことでお聞きしておるわけなんですけれども、いわゆるきちっとした明文化をする方法はないのかということを私は特にお願いをしたい。そして、やはり弾力的に食管制度というものは運用されるべきものだ、すべきである、その内容が非常に不明確なために私は一般国民の各界各層から批判が多いんじゃないか、このように思うんです。また一方では、農業者は不安である。この解消のためには、少なくとも中身をきちっと私は明文化する必要があるんではないか、このように思いますが、いかがでございますか。
  108. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) この問題につきましては、ただいま集荷団体、生産者団体において御検討を願っておるところでございますが、これについて関係者の合意が整うという形で実施に移されることになりますれば、食糧管理法に基づきます基本計画なり供給計画の中にも、この集荷団体によります調整保管というものを位置づけまして、また四カ月ごとに期別の自主流通計画というのを認可することにいたしておりますけれども、その計画の中にもこれを明定いたしまして認可をするというようなことで、生産者にも、さらには広く国民一般にも、これを国が、先ほど申しましたさまざまな態様でございますけれども、全体として全量管理をしているという中に、計画の中にきちんと位置づけていくということをいたしたいと思っております。
  109. 宮島滉

    ○宮島滉君 最後になりますが、大臣一言御要望と御質問をいたしたいと思います。  今日、大変内外の農業厳しいときに加藤大臣が就任されましたことは、まことに実は心強く思っておるところでございます。  ただいま大臣がお聞きいただいたとおり、極めて食管制度の問題につきましては、非常に厳しい批判とそれから不安が実は重なっておるところでございます。したがいまして私は、食管法の九条でありますけれども、九条といいますと、どうもいろいろ因縁くさいものがございますけれども、この九条の中にただいま申し上げましたことは、私は明文化することは極めて可能だと、このように実は思うわけでございます。ですから、ぜひひとつ大臣にそのように取り計らっていただきまして、ひとつ食管制度運営を一般国民の皆さんが十分理解できるような制度にひとつしていただくことを要望し、かつ御決意を伺いたいと存ずるところでございます。
  110. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 先ほど来、宮島先生からいわゆる管理形態、管理方法、それと食管法第九条に絡む問題についての御指摘がございました。私たちも実はその第九条を大分検討いたしたわけでございますけれども、やはりこういう問題は、生産者が自主的にやってもらうというところに一番の意義があるのではないか。それを命令によってやるということとの違いがどの程度あるか。今までの水田利用再編対策そのものをやってきたと同じような方法でいくのが一番いいんじゃないか。要は、先ほど来おっしゃっておられますように、食管制度の基本を守っていくというところに尽きるのであります。どういう方法が一番食管制度の基本を守り、そして国民各界各層の皆さん方に理解していただけるかということになるんではないかと考えております。先生指摘の問題、よく検討もさせていただきます。
  111. 及川順郎

    ○及川順郎君 農林関係に対する質問に入る前に大臣にお伺いしたいんですが、今、伊豆大島の三原山噴火が非常にテレビで放映されておりますけれども、先日、現地へ入りました我が党の議員に状況を聞きましたところ、かなり農作物に対する被害が広がっておりまして深刻化している、こういう状況を伺いまして、やはりここしばらくなかったような大活動でございまして、この影響がどこまで行くかという、そういう災害的な見地だけではなくて、やはり農作物に対する被害という立場で、当省といたしまして現地の被害状況調査並びに救済策に対する対応、こういう指示をお考えになっているかどうか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  112. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私は噴火と同時に大変心配いたしました。前は国土庁長官で三宅島の噴火にも遭遇しました。それぞれの対策を講じてきたところでございますが、今回もその点を心配し、被害状況を刻々報告するように言っておきましたが、本日朝早く、青木審議官外六名を現地に派遣いたしまして、それぞれ対応策を講ずるようにさせております。御苦労だと思うんですが、帰りの飛行機便はないというんで、帰りは船で帰ってくるというんで、私も、かわいそうだけれども、国家公務員として一生懸命やってくれるんだからなという感想をきょう漏らしたところでございます。
  113. 及川順郎

    ○及川順郎君 現地としては非常に深刻な問題だと思いますので、ぜひ救済対策に対しては万全を期すようにお願いをしたいと思っております。  それで、きょうの農業新聞でも、「ポスト三期対策の大枠固まる」という報道がなされておりまして、先ほど来から論議がいたされておるわけでございますけれども一つ期間に対して、今の減反政策そのものがやはりいつまで続くのかという現場の率直な気持ちがあるわけですね。やはり生産者にとりましては、希望を持って、ある程度目標を立てて農業生産に取り粗まなきゃならない、こういう状況から考えますと、先ほど来御答弁のありました次期六年という、この六年というのは一つの目安なのか、その後もまた状況によっては続くのか、その辺に対する御見解をまず賜りたいと思います。
  114. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 次期対策期間につきましては、先ほどお答えしました点につきまして申し上げれば、私ども現在いろいろ検討している段階でして、その中には三年といったような短いものから、あるいは現行考え方現行再編対策十年といったようなものの中にいろいろな考え方があるということでございまして、先生指摘のような六年といったようなものを現段階で決めているわけではございません。
  115. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは、状況によってはまだその後も続くという方向理解をしてよろしいということでしょうか。
  116. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 現在の段階におきまして次期対策考え方といったようなものにつきましては、先ほど来繰り返し申し上げているところでございますが、従来のような緊急避難的な時期といったようなものを越えまして、さらに現行転作作物というものに比重を置きました考え方というものを十分踏まえた上で、水田を活用して生産される作物の生産性向上であるとか、あるいは輪作農法の確立であるとか、あるいは需要の動向に応じた米の計画生産を一体的に推進するという考え方重点を志向して組み立てるべきであるという考え方のもとに、現在検討中のところであります。  そういうような意味で、一方では現在の財政事情あるいは奨励金依存からの脱却といったような状況、そういう要請も考えながら、他方足腰の強い体質を持った水田農業確立を図るといったような考え方に焦点を絞りましてある程度期間は必要だというふうに考えておりまして、これを現在この段階で何年というようなことで期限を決めて決定しているという段階ではございません。
  117. 及川順郎

    ○及川順郎君 わかりました。  その転作面積の増加をいたさなければならない、こういう状況の中で新しくえさ米を転作作物として認めるとか、それから他用途米にあられだとか酒用とか、こういうものを現在の十七万トンと言われているところから三十五万トンにふやすというようなことも報道されているわけですね。このような米、用途による米の価格体系に対してどのような御見解を持っているかお伺いしたいことと、それからかねてからの飼料作物についての要望も多かったというぐあいに認識をしているわけですけれども、この点に対する政府の見通しですね、これをあわせてお願いをしたいと思います。
  118. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 確かに御指摘のとおり、他用途利用米はいわば一物二価というような形になっております。ただ、等級構成などを見ますと、やはり加工用ということでございますので、食用に比べますと他用途利用米の場合は一等の比率が非常に低いというようなことがございますけれども価格体系としては別になっているのは御指摘のとおりでございます。  これはもともと、食用よりも低い供給価格であれば一定の加工用の米の需要があるということを考量いたしまして、一方でこれだけ転作に官民挙げて努力をしているときでございますので、水田の有効利用なり稲作生産性向上等への寄与といったような観点、それからかつて過剰米処理をやっておりましたときにみそ、せんべいあるいは米穀粉といったようなものにつきまして過剰米を充てておったわけでございます。  それが終了しました後のやはり加工原材料用のお米の安定供給の必要性が出てきたということ、それからまた水田生産力の十分な発揮という点からしますと、転作拡大、特に湿田のようなところでございますとなかなか転作ができない。そういう場合に、安くてもいいから米をつくりたいという生産者の声もございます。そういうものを総合勘案いたしまして生産者と実需者との自主的な取り組みを前提にいたしまして昭和五十九年度から取り入れているものでございます。  米の管理なり水田利用再編対策の中での位置づけといたしましては、これは転作物扱いになっているものでございます。
  119. 及川順郎

    ○及川順郎君 その転作作物につきまして先ほど来から御答弁があるんですけれども、現実にその農家へ行って転作に対してこういう方向でというアドバイスをするときに、先ほどの御答弁ではまだちょっと私も胸に落ちないものがあるわけです。やはりこの点の方向に留意をしてこういうものをつくれという模範解答的なものをもう一度ひとつお願いしたいと思います。
  120. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) どのような転作作物を指導し、あるいはどのような転作作物をつくっていただくかという問題は、やはり基本的にその地域地域に応じた作付体系のもとで合理的な品目を選んでいただくと、地域農業者の方がその地域の土壌なりあるいは気候なりそういったものに応じた中で知恵と英知とを傾けていただくということに尽きると思います。  それからまた、第二番目に、やはり現状におきましては、私ども考えるのに、やはり需要の動向に応じて主体的に対応するといったようなことを貫いていただくというのが本当は基本的だというふうに我々考えるところであります。ただ、こういったようなことを申し上げますとやや抽象的に過ぎると思いますが、現実に我々が構造改善であるとかあるいは水田農業再編対策で現地に伺いますと、私ども触れておりますようなブロックローテーションであるとか、あるいは輪作農法の確立といったような形は、農家の先進的な経験として行われているところであります。  具体的な問題をもう少し簡単に申し上げますと、一つのこれはプロトタイプとしましては、やはり米に対応いたしまして麦、大豆といったようなものが一つ土地利用作物といったようなものの考え方の原型にあるような感じがいたします。    〔委員長退席、理事宮島滉君着席〕 この場合におきまして、例えば大豆あるいは麦等におきましてどのような品種を選ぶのか、どういうふうな形で単収を上げていくのかという問題がございますが、私ども現地での大豆の共励会であるとかそういったようなところでのモデルのものを見ますと、労働時間、あるいは大豆の反当におきましても、一般におきましては二百キロを反当切りますけれども、三百五十キロといったようなものも出てまいっておりまして、そういった段階で、今申し上げた水田と、それに二年後なり三年後に導入されます麦、大豆のローテーション、輪作体系というものは、かなり収益においても匹敵する成果を上げているというふうに我々知見を持っているところでございます。
  121. 及川順郎

    ○及川順郎君 今の御回答の中で、麦、大豆というのが果たして是か非かということはこれはまた別といたしまして、やはり全国的に見ますと、日本列島北から南まで気候風土も違いますし、地域も違いますし、その作付面積も違うわけですね。つくった物の価格とやっぱりつくる品種というものに対してしっかりした指導をしていかないと、これがいいなと思ってつくると、今度は過剰になって暴落するという状況の中で、いつまでたっても農家の健全な経営というものが軌道に乗ってこない。農民の英知によってというそういう考え方ではなくて、やはり国としてこういう農政に対して責任を持ったアドバイスができるような、こういう研究機関の充実が非常に私は今大事になってきているんじゃないか。これはもう国際化が進めば進むほどそういう状況が大事になると思うんですけれども、この点に対する施策の充実に対する決意のほどを大臣に伺っておきたいと思います。
  122. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 先ほどの局長の答弁の中にもう一つつけ加えさせていただきますと、情報ということであります。国際的にも国内的にも農民あるいは生産者団体が、あるいは地域責任者等が大いに情報を集め、そしてそれを判断する。また、英知という言葉を使いましたが、みずからのこととしてみずからが一番率先して研究し勉強し、あるいはやっていくという意味でございます。  何はともあれ、そういう全体を通じて次期対策というものを成功させていくように、一部に言われておりますように、米をつくらなくなったらあとは何もつくる物がないという考え方は私は敗北主義である。それをもう一歩乗り越える努力を各界各方面知恵を出し合ってやる。しかし、その中心になるのはやはり生産者個人であり団体である、このようにも考えておるわけでございまして、指導し、与えられた農業ではこれからはやっていけなくなるということも、この際はよく考えていただきたいと思っておるところでございます。
  123. 及川順郎

    ○及川順郎君 論点を変えまして、食管制度の関連の問題で伺っておきたいと思いますけれども、四〇%を超える、あるいは四五%と言われるような自主流通米、これが現実に行われている。やっぱりそれは食管制度、横腹に風穴があけられているような状況になっているんではないか。これでも全量統制と言えるんだろうかというような、こういうやはり率直な感触があるわけです。  この点に対する所見とあわせまして、先ほどの質疑の中で食管制度の根幹は守っていきたいという大臣の御答弁もございましたけれども、しかし一面では、段階的に食管制度は、これはもう廃止する方向へ進んでいるじゃないかという指摘もあるわけですね。この辺に対する認識を承っておきたいと思うわけです。  特にこの点につきましては、私は価格政策におきまして現在とっている政府の価格政策、お米に対してのその考え方を繰り返し答弁するだけじゃなくて、やはり国民的合意、国民の理解と支持というものがこの価格政策においては極めて大事な要素になってくると思っておりますので、この点に対して国民に合意の得られるようなそういう考え方での御所見を賜りたいと思うのでございます。
  124. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 食管制度廃止論者と食管制度維持論者とそしてまた外国からの圧力という、こういう中に今我が国食管制度は置かれておると思います。したがいまして、相手を見て物を言う場合があるわけでございます。そういう中で全量管理という、まあこれ全量管理という問題については、定義もはっきりいたしておりません。先ほど来申し上げました九条の解釈等もあるわけでございますけれども、要は国民に安定的に食糧を供給し、そして生産者に再生産の道を開いていくという一つの制度、理念、そして基本というものをいかにして維持していくかということにあるんではないだろうかと、こう思うわけでございまして、そこら辺の問題を通じ、そしてこの食管制度の問題と次期対策との問題、あるいはこれからいただく農政審答申というもの等を総合的に勘案しながら、今申し上げましたように、国民に理解と納得をいただきながら安定的に主食である米を供給していく、それから生産者の再生産の保障をするというところにいくわけでございまして、そこら辺を十分に配慮しながらやっていかなくてはなりません。  いま一つは、そういう全体を考える前に、まあいろいろ議論はありますけれども、内外価格差という問題も、私は念頭から離すことなしにやっていかないと国民各界各層の皆さん方の理解、信頼、納得というのはいただけない、こう考えておりまして、今申し上げましたような線に従ってやっていきたいと考えておるところでございます。
  125. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは、米の自由化問題に関連いたしまして、一応収束はしたように見えておりますけれども、アメリカ側はガットの場にこの自由化問題をのせたいと、こういう意向であるというぐあいに伺っておりますけれども、この問題に対する政府のこの訴訟に対する基本的な姿勢、これを承っておきたいと思います。
  126. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 米は日本の国民の主食でもございますし、それから米を中心にやっておられる農家、それから他作物であっても米と組み合わせてやっているというような形で、我が国農業全体の基幹をなしております。生産額で申しましても三分の一に達するわけでございます。それから、水田稲作そのものは、国土、自然環境の保全ですとか、あるいは我々が意識しないようなところまで含めまして、伝統的な文化の形成とも大変深くかかわっているものでございます。  こういったことから、RMAの三百一条提訴が行われましてから私どもこういうことを十分アメリカに機会あるごとに伝えてまいりましたけれども、今後とも我が国は従来からの米の国内自給の基本方針ということ、そしてまた米の国家貿易制度はガット上容認をされている制度であるというふうに私ども考えておりますので、さらに米国側の理解を深めるよう全力を傾注いたしまして、今後の対処について誤りなきを期してまいりたいというふうに思っております。
  127. 及川順郎

    ○及川順郎君 わかりました。  それでは、先ほど出ました自主流通米につきまして一点だけちょっと確認をしておきたいのですけれども、今後もっと拡大していく方向であるというお考えで、理解でおりますでしょうか。
  128. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 自主流通米制度は、昭和四十四年に、民間流通のよさを生かしまして消費者の良質米の階好にもこたえる、それから生産者には政府米より高い手取りを実現する、それから販売業者の方々にも消費者の選好に応じた販売ができるようにするというようなことで発足をいたしました。若干の起伏を伴いながらも、先ほど風穴というお話が出ましたけれども、私どもこれ決して風穴だとは思っておるわけではございませんで、直接統制という、配給統制という言葉は昭和五十六年の食管法の改正でなくなりましたけれども、やはり自主流通米も含めまして基本計画、供給計画に基づいて計画的に米を供給しているということでございます。  それで、この自主流通米制度につきましては、やはり今後とも品質に応じた価格の形成とか米の需要の維持拡大といったようなことを図ります上で重要な役割を果たすものと考えておりまして、民間流通のよさを生かしながらその健全な発展を図っていきたいと思っております。当事者間の合意ということが必要でございますけれども、やはり市場メカニズムをより一層導入していくという観点から自主流通制度運営の見直し、充実を行いまして、その拡大が図られるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  129. 及川順郎

    ○及川順郎君 そういう方向が実質的に食管制度をなし崩しにという方向を裏づけるような状況になっていくんじゃないか、こういう認識もあるわけでございまして、ぜひその辺に対してしっかりした考え方、これを今後ともお願いしたいと思っております。  それで、先ほど減反問題で、結局、農地、水田地域を狭めていくという考え方の中で市街化区域での転作について私伺っておきたいのですけれども、この市街化区域に対しましては、今後の方向として転作奨励金等の加算額を交付しないというような方向も打ち出されている。これは基本的にそのとおりなのかどうなのか。あるいはまた、市街化の地域における農地に対する基本的な考え方、これをどのように、酸素供給源だとかあるいはまた非常に公園的な色彩を持っているとか、こういう状況の中で生かすという状況もありますが、これは都市計画との整合性の関連もあると思いますけれども、その辺がどうも遅々としてはっきりしてない部分が多いと思いますので、この点に対する市街化区域における農地の今後の運用、これについての明確な考え方をお聞きしておきたいと思うんです。
  130. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) ただいま先生お話の前段の部分につきまして私の方からお答えを申し上げたいと思います。  市街化区域の扱いの転作のあり方につきましては、先ほど来申し上げておりますが、目標面積の配分の関連、地域的な配分の関係というようなことから現在検討中のところでございます。このときの考え方といたしましては、簡単に申し上げまして、都市計画の線引き政策との整合性あるいは都市農業のあり方といったようなものにも配慮しなければならないというふうに考えております。先ほどお話がございましたように、この点につきましては、従来から、現行におきましても傾斜配分といったようなことを掲げておりますが、その具体的な農政上の手段の問題といったような点から十分な対策というのはできないような状況でございますので、この点につきましては、レクリエーション農園あるいは市民農園の開設等、都市農業の特殊性を生かした誘導策といったようなものもあわせて行わなければならないのではないかと考えております。
  131. 及川順郎

    ○及川順郎君 それに関連しまして、宅地並み課税に対する問題ですけれども、要するに宅地並み課税をかけるということは、都市部における農地、市街地における農地というものを都市開発していくという方向に自然淘汰していくと、こういう方向ではないかと、この辺に対する見解はどのようにお考えですか。
  132. 鴻巣健治

    政府委員(鴻巣健治君) 政府の税制調査会から、ことしの十月二十八日でございますが、市街化区域の中の農地に対する固定資産税の課税の適正化について答申がございました。この市街化区域内の農地については、昭和五十七年度に長期安定的な土地税制改正の一環として抜本的な見直しを行った。そのときにつくられた長期営農継続農地に対する徴収猶予制度というのがまだ運用の途中だ。したがって、税制の安定的な観点から引き続きその推移を見守ることが適当であるとされておりますが、今の及川先生の御指摘のような御意見もあったらしく、なお書きがありまして、宅地需要の動向、都市農業の役割などを踏まえた土地利用のあり方についての総合的な土地政策に関する検討に対応して、市街化区域内の農地に対する課税の適正化措置のあるべき方向についても検討することが適当であるとする意見もあったわけであります。私ども、今後こういったこのことをめぐる論議を見守りながら対応していきたいと考えております。
  133. 及川順郎

    ○及川順郎君 時間がちょっと厳しくなってまいりましたので、林業問題に移りたいと思いますが、全般の質疑に入る前に、前回当委員会におきまして、私は一番最後に大臣に知床の国有林伐採問題について伺いました。見ていただければということでございましたので、私行って調査団として見てまいりました。基本的に私も、木材として売り出すべきところと残すべきところ、これは明確にだんだんしていかなければならない時期に来ている、そういう中でどう林業行政を活性化していくかということは非常に大事なポイントであると見ております。  ただ、その細かな専門的な論議は次回に移すといたしまして、二月まで調査期間を延長した、動物実態調査をやるということですね、事実上伐採凍結ということで配慮した。こういうことにつきまして、鳥獣の生態の実態調査をするという観点では、どんな専門家の意見を聞きましても、最低春夏秋冬一年、普通の学理的な統計を出すためには三年から七年というのがこれは専門家の意見なんです。この二月までという期限につきまして、加藤大臣いかがでしょうか。もし大臣の所見として二月までという考え方が今でも正しいというお気持ちでいらっしゃるのか。あるいはまた、その状況、そうした意見を踏まえまして、二月までの調査経過を踏まえてこの調査の期限延長に対応するという余地があるのか。これは関係庁の方からでも結構でございますから、この辺をまず伺っておきたいと思います。
  134. 田中宏尚

    政府委員(田中宏尚君) 知床につきましては、いろんな自然環境に留意しながら施業計画というものを立てたわけでございますけれども、残念ながら動物の生存状況等の関係につきましていろいろ御議論がございまして、特にシマフクロウについて希少鳥類ということで、これの生存確認ということをきちんとすべきじゃないかという地元町長のあっせん等もございまして、先生承知のとおり専門家による調査というものに入ることにした次第でございます。  したがいまして、少なくとも当面のこのシマフクロウの生息を確認するためには、秋から冬にかけてシマフクロウが巣を営みますので、その際に一番確認しやすいということと、それから二月ごろに巣を営む際に鳴き声を出すということで、単に目だけじゃなくて耳でも二月まで待てば確認できるということで二月ということを一応めどにしているわけでございますが、ただ実際のスケジュールといたしましては、現在その調査をだれにしていただくかということをおおよそめどをつけまして人選を進めているわけでございますけれども、そういう学術的な調査員の方々のこれからの検討スケジュールというものにまちたいと思っておりますけれども、その方々の大方のあれとしましても、春先までにいろんな調査を、目と耳とそれから足ということで探査いたしますれば、シマフクロウが生息しているかどうかという当面の問題については答えが出るんじゃないかというふうに聞いているわけでございます。
  135. 及川順郎

    ○及川順郎君 私は前回の質問の中で、例えば部分を限定してその生息地域のところ、それを限定つきで除外するということも検討したらいかがかと、こういうお話を申し上げました。ナショナルトラストの周辺だけじゃなくて、例えばまあ私も現地へ行ってみまして、生息している沢のようなところですね、そういうところも考えたらどうか、こういう個人的な意見を持って見てきたわけですけれども、ただし自然保護の立場からいうと、少なくとも日本の将来、国家百年の大計の上に立って、もう数少なくなった自然という意味では、国立公園、国定公園の地域ぐらいは保存の方向重点を置いてぜひ努力をしてもらいたいという強い意見が出されました。ぜひその方向もお含みの上、今後の対応をお願いしたい。  次の質問に入りたいと思います。  次の通常国会で林野庁関係法案が六つほど提出を予定されているというぐあいに承っておりますけれども検討中のものもあるとは思いますけれども、林野関係法の改正の方向というものもあわせまして、今の取り組み状況と大体の見通しについてまず伺っておきたいと思います。
  136. 田中宏尚

    政府委員(田中宏尚君) ことしの夏の予算の概算要求の段階で、いわゆる提出予定法案といたしまして林野庁が提出しております法案は厳密に言いますと七法案ございます。これにつきまして次期通常国会で当委員会の御審議をお願いすることになるわけでございますけれども、これらの法案の中、大部分が予算と関連いたしておりまして、その予算編成の段階で具体的中身が詰まっていく法案が多いわけでございますけれども、ただ中には、例えば森林組合法なり森林組合の合併に関する法律、こういうものにつきましては、先般、森林組合制度検討会というものの研究結果も受けておりますので、こういう先行しているものにつきましては、どんどん我々としては作業を進めている段階でございますけれども、最終的には政府部内での予算の編成というものと同時に、その中身はセットして法文の案文づくりに着手したいというふうに考えているわけでございます。
  137. 及川順郎

    ○及川順郎君 時間の関係で次に進めさせていただきますけれども、かつて水源税という形でいろいろ御説明においでになった経緯がございますが、最近は森林河川税という目的税を創設したいという方向に名称が変わりました。その意図と、まあこれは与党内部にも賛否両論あるというぐあいに漏れ承っておりますけれども農林省としましてこの新税に対する御見解はどのような御見解を持っていらっしゃるか、この点をまず伺っておきたいと思います。
  138. 田中宏尚

    政府委員(田中宏尚君) 残念ながら荒廃が進んでおります森林、こういうものを早急に整備したいということで、昨年は、先生今御指摘ありましたように、水源税ということで林野庁といいますか農林水産省として提唱したわけでございますけれども、残念ながら成立を見なかったと。それと同時に、去年は並行いたしまして建設省の方が流水占用料という形で同じような性格のやはり水を守るという基本的スタンスに立っての新しい徴収を考えていたわけでございますけれども、去年のいろんな議論経緯というものを踏まえまして、今年度は建設省の河川とそれから林野庁の森林と、この二つを緊急に整備して水資源の安定を期したいということで、森林と河川と両方を緊急に整備するということで森林・河川緊急整備税という名称でことしはお願いしているわけでございます。こういう新税でございますからいろいろな議論があることは当然でございますけれども、我々としては、現在の財政状況の中で水資源機能というものを最大限に守っていくという観点から、何とかことしはこの新税というものを実現したいということでいろんな努力を現在積み重ねている次第でございますので、ひとつ御理解なり御協力をいただきたいと思っている次第でございます。
  139. 及川順郎

    ○及川順郎君 ちょっと時間がなくなりましたので、あとの問題はまた機会を見てやりたいと思いますが、ここ数日来、新聞によく出ておりますけれども、港区六本木にあります林野庁の公務員宿舎跡地の売却問題でございますが、周辺地域の地価高騰を招くということで、超党派で一般公開入札に対してこれの取りやめを要望するという動きがあるわけでございますけれども、これに関する対応についてお伺いをしておきたいと思います。
  140. 田中宏尚

    政府委員(田中宏尚君) 国民から負託されております貴重な国有財産、こういうものはできるだけ公正に処分するということで、国有財産法におきましても競争入札ということが原則ではございますけれども、国が持っておる財産ということもございまして、公共用なり公用、こういうものに使うという希望がある際にはそれを優先させるということが現在の基本的な扱いになっているわけでございます。そういう基本的扱いに則しまして、我々といたしましても過去三年間、公用、公共用に使う希望があるかどうかということを地元港区それから東京都にそれぞれ打診してきたわけでございますけれども、東京都、港区ともにきちんと公文書で、使う希望はございませんという答えをいただいたわけでございます。その際も、港区からは、でき得れば住都公団、住宅・都市整備公団に売ってくれぬかという御要望もございましたので、我々といたしましてはここ二年間、住都公団との接触を積み重ねてきたわけでございますけれども、これまた残念ながら、用途なり価格、こういう点につきまして話が相整わず、公用、公共用に売るという道がなくなりましたので、会計法の基本原則にのっとりまして、公開の一般競争入札という公正な方途によりまして処分するということに相なったわけでございます。  しかし、ここのところいろいろと都心部を中心にする地価問題というものが出ておりますので、我々といたしましては細心の注意を払いまして、一般競争入札の際の売り渡し条件、これにつきましても、例えば転売は十年間禁止するとか、一般の国有財産の処分に比べまして非常に厳格な処分制限を付しまして、いわゆる土地転がしであるとか不当な利得ということを抑えるということで、いろんな知恵なり積み重ねという中でこういう方途に踏み切り、それから先般も既に告示をいたしまして、入札説明会ということも行い、十二月一日に公開入札を予定している次第でございます。
  141. 及川順郎

    ○及川順郎君 状況はわかりましたけれども、東京都内、御承知のように異常な土地高騰、そういうことで問題視され、それが政策的にも大変これから取り組んでいかなければならない状況指摘されている時期でございますので、ぜひ周辺地域土地高騰に拍車をかけないような細心の配慮を今後とも踏まえて取り組んでいただきたいということを御要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  142. 下田京子

    ○下田京子君 最初に、今もお話しになりましたけれども、六本木の林野庁の職員宿舎の跡地売り払い問題で質問いたします。  経過等は私承知しておりますので、端的にお答えいただきたいと思うんですけれども、当初港区は、良好な居住環境の整備と安定した定住人口というようなことで、住宅・都市整備公団に売却されるようにいろいろやってきたと、いろいろあるようですけれども、とにかく価格で折り合いがつかなかったというような経過のもとでいよいよ十二月一日一般競争入札するんだと、こうなっているわけですね。    〔理事宮島滉君退席、委員長着席〕  私は、冒頭この一般競争入札撤回しなさいということを申し上げたいんですが、第一に確認したい点は、なぜ売却が必要になったかということなんです。  そもそも、六十年度の決算の累積赤字を見ますと、林野庁のこの国有林財産の場合には、一兆三千三百五十億円累積赤字がある。六十一年度分で一千七百億円相当分の赤字がまた見込まれている。こういう状況の中で、赤字解消のために六十一年度の当初予算の中で、林野あるいは土地などを売って六百十五億円収入を得たいんだと、こういうふうになっていたかと思うんですけれども、今問題になっております六本木の林野庁宿舎の跡地の売却の本年度の予算上の金額というのは約四百億円計上されていると思うんですが、間違いないですね。
  143. 田中宏尚

    政府委員(田中宏尚君) いろいろ数字がございましたけれども、一兆三千三百五十億、それからこれはことしの決算を締めてみなければわかりませんけれども、千数百億さらに加わるということは事実でございますが、これは赤字という性格ではございませんで、造林でございますとか林道でございますとか、こういう将来財産として形成されるものに対する借り入れという点もあることを御理解いただきたいと思っております。
  144. 下田京子

    ○下田京子君 そうじゃない、ちゃんと言っている、はっきり言っている。
  145. 田中宏尚

    政府委員(田中宏尚君) それで、そういう中で、これの売り払いに幾ら予定しているかということでございますけれども……
  146. 下田京子

    ○下田京子君 金額だけ。
  147. 田中宏尚

    政府委員(田中宏尚君) 金額につきましては、最初の収入見込み額としての一応の見込みは全体で六百十五億、このうちの相当額が六本木であったということは確かでございます。
  148. 下田京子

    ○下田京子君 ですから、四百億円見込んでいたわけですから、端的に言えばそれだけ入ったら今年度は収支決算とんとんになるよというふうにもなるわけなんです。  私が次に確認したいことは、この売却の方法なんですよね。  国有林野法の第八条あるいはまた国有財産中央審議会答申等見ますと、何よりも公用、公共優先でまずやりなさいと、こういうふうになっていると思うんですけれども、この売却方法に変更はないと思うんですが、よろしいですね、大臣
  149. 田中宏尚

    政府委員(田中宏尚君) 国有林野法では、森林につきましてはそういう規定があることは事実でございますし、それから国有財産中央審議会でもそういう方向が出され、それにのっとり我々が行政を進めているということも事実でございます。
  150. 下田京子

    ○下田京子君 そこで、住都公団が価格で折り合わなかったと、こう言われているんですけれどもね、実際にこれは港の区議会の中で区長さんがお話しになっておりますけれども、平米当たり三百六十万円で住都公団の方は林野庁と話し合いのときに出していったと、これはざっと四百億円超えるわけですね。そうしますと、なぜこの線で折り合いがつかなかったんですか。
  151. 田中宏尚

    政府委員(田中宏尚君) 住都公団との折衝の過程につきましては、これはあくまでも折衝過程の話でございますし、それから、これから厳正な一般競争入札ということで我々着手しているわけでございますので、予断を挟むような単価につきましての論評なりというものは控えきせていただきたいと思っております。
  152. 下田京子

    ○下田京子君 答えになってませんけれども、要は三年前に同じくこの土地を二分の一程度ほど売却の計画を立てておりましたね。そのときにはざっと九十億円見込んでいたと思うんです。ですから、今回売却予定の一万一千ちょっと超える平米は、ざっと二年前ですと二百億円程度だったんです。今回は四百億円というような格好になっておりますけれども、そういう形でどんどん地価が高騰されているというのも事実なんです。  大臣、ちょっと資料ごらんください。今、大臣のお手元に届いております資料ですね、こうやって地図に落としたのが、色塗りしたのがここにあるんですけれども。実を言いますと、住友不動産が——その地図の後ろにもう一つあるんですけれども、ここの地域は第二種住居専用地域だというようなことでいろいろ規制がかかっていて開発が難しいと、だから——次のページをめくってください、大臣。そこには、都市計画法に基づいて用途地域あるいは容積率の見直し、そういう運動を行っていきたいんだと、ついてはだれだれさん、あなたのここの地域は住友不動産にそういう形での働きかけを任せますよという形の賛同書を集めていたんですね。ちょうど価格で折り合いがつかなくなったという五月ごろにそういうことをやっておりました。  これごらんいただくとわかると思うんですけれども、青の色塗りしたのは森ビルが既に買い占めた分、それからピンクの部分がこれが住友不動産が買い占めた分、そのほかの部分も含めますと既にもう七割近くが買い占められている。中には、細長くある、黒い部分がございます。これは港区のある区議会議員さんがお買いになっておられるようです。わずか十坪です。それから、その下のちょっと太目になっておりますけれども、これは天野光晴建設大臣がお買い求めになっておられるようです。これも十二坪程度でありますね。  そういう形でもう買い占めがなされてきておりますけれども、こういう状況の中で一般競争入札というものは一体何を意味するかということなんです。都知事、それから港区の区長、それから区議会議員十人挙げて、一般競争入札をやるのはさらに地価高騰につながる、だからどうして我々の意見を聞かないんだということで撤回を何度か迫ってきているわけなんです。その経過をるる私は、御説明は不要ですから、大臣にこれはお答えいただきたいんです。ちゃんと通告もしておいたんですからお答えくださいよ。こういう状況の中で一般競争入札という形をとることが地価高騰にならないというふうに言明できますか。
  153. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 先ほど下田先生が固有名詞をお出しになったようでございますが、この固有名詞はさておきまして、いろいろ名前が出た人は逆に公開入札に反対しておる人の方が多いように私はとっております。これが一点であります。  それから、私は公開入札というのは一番正しい方法である、何らの疑惑を招かない方法であると考えております。  そして、その次は価格でございますけれども、公開入札によってあらわれる価格というものは、それぞれの土地の広さ、形状、周辺環境、希少性、開発利用の可能性等々、実際いろいろな価格をあらわしておると思うわけでございますが、そういう中でのあらわれた価格というのは実需価格と見るべきでありまして、公開入札行為というものが価格を押し上げるものではないと、こう考えております。
  154. 下田京子

    ○下田京子君 意味深長な内容の答弁がありましたが、こういう一般競争入札は地価高騰には決して拍車はかけませんよと、こういう御答弁のようでございますが、国土庁おいでだと思います。前にちょっと答弁してください。  国土庁では、ことしの四月に、前山崎国土庁長官とそれから知事が会見、協議されていると思います。何を協議したかというと、現在二千平米以上の土地、これは民有地について知事に条例等によって届け出制になって一定の規制を加えるようなそういうものが与えられているわけですが、大規模なものだけでなくて、二千平米以下の、五百平米以上二千平米以下のそういうような小規模な問題についても一定の知事の権限が発揮できるようにというような内容と、国公有地も地価高騰につながらないような形での売却がなされるようにというような内容であったというふうに私は聞いております。  そして、それを受けまして、都知事は九月の二十七日、都条例でもって東京都におけるこの土地取引の適正化に関するようなそういうものをつくったと。そして、いよいよ十二月一日、林野庁が一般競争入札をするその日に、ちょうど港区、それから中央、千代田、新宿、渋谷、この五区についてはこの規制をかけていくんだ、こうなっているわけですね。で、国土庁自体も国公有地そのものを対象にした形で地価高騰がならない方向でいろいろ検討されているというふうに聞いていますが、間違いございませんね。
  155. 鈴木克之

    説明員鈴木克之君) 国公有地につきましては、御指摘のように、地価が高騰しております地域で一般競争入札等によりまして処分されました場合に、地価高騰に拍車をかけないかという問題が指摘されておるところでございます。で、この点につきましては、現在、関係省庁の間でそうならないような処分方法について検討中でございますが、国土利用計画法の対象としていくかどうかという問題につきましても、この検討作業とあわせまして検討してまいりたいというふうに考えております。
  156. 下田京子

    ○下田京子君 農相、いいですか、今のような国土利用計画法から見て、都の土地取引にあっても、少なくとも国公有地がそういう地価高騰のような役割を果たさないようにということでいろいろ議論されているわけですよ。にもかかわらず、一方で、一般競争入札ということでやっていくとこれはもう地価高騰に間違いなく拍車をかけることだということで、それこそ挙げて皆さん反対されているんですね。ですから、一般競争入札の話がもう出る直前に、知事もいや買う意思があるよと手も挙げられているんですよ。これは文書にきちっとなっていますからね。そういう手を挙げているにもかかわらず、一般競争入札に踏み切っていったということをとらえて、これは十一月七日、新聞記者会見等でまさに、国のやり方は思想分裂だと、こういう形で知事も批判されているわけですね。  同時に、十月三十日に記者発表を四時ごろする予定だったわけですか、それが五時半にずれ込んだんですね。理由は何かと聞きましたら、もうこれは確認いただいておりますけれども、金丸大臣後藤大臣等に協議をされたというふうな中で時間がおくれたわけです。そして、記者発表で一般競争入札になっていったというわけなんですね。いろいろな方と御相談をされた上で決められたことだというふうに理解しておりますが、これを撤回するかどうかということは農相の考え方でできることなんです。ですから、再度、問題がいろいろございます、撤回すべきだということでその意思あるかないか。
  157. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 私も国土庁長官経験者でございまして、土地対策土地政策、これには真剣に取り組んできた一人者であるという一つの強い確信を持っております。そういう中で、土地の高騰ほど国民生活を脅かすものはないという、私自身もそういう強い考え方は持っておるところでございます。  しかし、今回問題になっておりますいわゆる六本木の林野庁の宿舎跡地につきましては、いろいろな理由、事情はございますが、私は既存方針どおりやっていきたいとこう考えております。
  158. 下田京子

    ○下田京子君 さっき大臣は、名前が出されたことはいろいろ思惑はあるだろうけれども、そういう方々は一般競争入札をされると困るようなお話をちょっとされましたね。その話のことを言いますと非常にこれは難儀ないろいろ問題がありそうですね。しかし、いいですか、きょう、今総理府の内閣官房の方で、実は港区長さんから電話があったそうですね。どういう電話かというと、きょうの東京新聞に載っておる記事なんですけれども、総理と東京都知事のトップ会談を持ってくれないかというような話について、検討したいという返事をされたというふうに聞いております。  そういう状況の中で、実は既に港区の方では今月二十九日に港区都市計画審議会を開くことを決定されているそうです。内容は、六本木の林野庁職員宿舎跡地用地の土地利用についてだと、具体的には、林野庁がもし一般競争入札を撤回しない場合には公園指定をかけたいと。公園指定をかけられましたら木造の建築物に限られますし、あとは図書館等一定、限定されていくわけですね。この港区の都市計画審議会を受けてすぐ都計審も開く、入札前にそういう形での対応をしたい、こうおっしゃっております。それでもなおかつ入札撤回というお気持ちはないんでしょうか、大臣
  159. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) なぜ六本木の跡地だけにそれほどこだわるのかという感じを私は持ちたくなります。東京都全体が抱えておる今日の土地問題、住宅問題、なさねばならぬことは山ほどあると、こう私は思います。私に意見を言えというなら、随分それに対する解決策その他の問題は出てきますが、この席ですから申し上げるのを遠慮したいと思います。そしてまた、ある面ではいろいろなそういう運動が行われる場合も正式にまじめに熱心に私は承ってきておりますけれども、今の段階において撤回する意思はありません。
  160. 下田京子

    ○下田京子君 今の段階では撤回する意思がないとおっしゃいましたが、今後はそういう意思があるやにも受けとめさせていただきとうございます。  で、撤回しないと最後まで言われますとどういうことになるか。なぜその六本木だけに集中するかと。私がこれを取り上げたのは、都内でこれだけまとまった大規模な国公有地の払い下げをどうするかということでは、国鉄用地払い下げ問題にもなるんです。それから、地方にもつながっていくんです。一般競争入札が、これは地価高騰に拍車をかけていくというのは幾多の例でもう明らかになっているんです。しかも、今私が申し上げましたように、都や区が実際のそういう都市計画に基づいた地域計画をお立てになっているんですね。それを抑えていくということになりますと、まさにこれは地方自治権侵害にもつながるんじゃないか。何よりもその国公有地、それからこの国公有地の払い下げに当たって公用、公共優先で活用するんだという姿勢でいくなら、少なくとも都や区が買いたいと、こう言っているんですからね。
  161. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 違う。
  162. 下田京子

    ○下田京子君 違うなんてことをおっしゃらないで、ちゃんと意思があるなら出しなさいと、協議したらいかがですか。そのことを指摘して、私はこの問題については一応終わります。  それで次、ポスト三期の問題なんですけれども、特にきょうはそのポスト三期の重要な柱の一つになっております生産者団体による自主調整保管売却問題について御質問します。  言うまでもなく、現在行革審答申食管制度の全量管理方式の中長期的見直しをしなさいと、こう言っていますよね。そういう中で、当面一層の市場メカニズムを導入しなさい、そして需給事情の変化に弾力的に対応できるように自主流通制度の運営の見直しをやりなさいと、こういうふうに言われていると思います。  そういう情勢の中で今年産米の作柄はどうかといいますと、十月十五日現在で作況指数が一〇五という形の大豊作になったわけですね。その結果、六十二米穀年度末、六十二年十月末のことですが、百九十万トン水準の持ち越し在庫が見込まれる今状況になったわけですね。そこで提案されてきたのがポスト三期の重要な柱であります自主調整保管売却という新しい仕組みだと思うんです。  この仕組みの柱が何かということを確認したいんですが、今までの説明をずっと聞いていますと、これは全中なんかの説明でもそうなんですが、この仕組みのポイントは、第一に政府の持ち越し分は百五十万トンが限度ですよ、これが一点。二つ目は、それを超える分については、ことしの場合には四十万トンですが、農業団体等が調整保管し売却していくんですよと、こういうことでよろしいわけですね。
  163. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) そのとおりでございます。
  164. 下田京子

    ○下田京子君 そこで、じゃなぜ百五十万トンが限界なのかという点で次質問したいんですけれども、いろいろ言っていますけれども、農水省の説明によりますと、持ち越すお米は低温貯蔵するんだと、低温で保管するんだと。その量の限界が百五十万トンだよと、こういうふうに言われておるわけですね。としますと、農業団体が持ち越す四十万トンも低温保管されるんでしょうね。
  165. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 当然でございます。今お話ございましたが、低温保管の関係だけではございませんで、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、百五十万トンという数量は、月間平均約三十万トンの政府売却の量から申しますと、新米を一切売らないで五カ月かかるという、かなり需給操作、売却の面では重い数字であるということが一番基本にございまして、そのほかに梅雨前にぎりぎり後ろまで延ばして低温保管に入庫させるための操作ということも加えまして、両方の観点から見て百五十万トン、こういうことでございます。
  166. 下田京子

    ○下田京子君 まあ、いずれにしてもポイントはその低温保管だという話で、これは政府についても農業団体等についても同じだという御答弁だったわけですが、そうしますと、結局百九十万トンというものは消費者サイドから見れば、政府保管であろうと生産者団体であらうと、今お話にもございましたけれども、翌年五月前までには古米として消費しなきゃならないというふうになるわけでしょう。
  167. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) その点は全くおっしゃるとおりでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、月間三十万トンの流通のパイプの中でこれを売却をしていくか、それとも、自主流通も合わせました五十四、五万トンのルートでございますれば、百九十万トンを三十万トンで割れば六・三カ月でございますけれども、五十五万トンで割りますれば四カ月に足らないところでございます。そういう太いパイプの中で回転をしていくということにいたしますことが、このことしの豊作の恵みを円滑に流通をさせていくいい手段ではないかと、こういうふうに考えているわけでございます。
  168. 下田京子

    ○下田京子君 今しきりに御説明になっております毎月の売却量が、政府米では約三十万トン、自主流通米の世界で約二十五万トン、こういうことでもって、その枠を固定されて今御説明を何度もされておりますけれども、過去にどうかといいますと、政府米が三十万トンをはるかに超えていたということはあるわけですから、固定的に見る必要はないんですよね。私は言いたいのは、自主流通米はそうしていくと拡大しないんですかということになる。そうですか。
  169. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 私が今申し上げておりますのは、現状を踏まえての御説明でございます。
  170. 下田京子

    ○下田京子君 ですから、現状を踏まえてそうだということですが、その現状を過去の経験などからいって、あるいは今後の自主流通米拡大方向というようなことからも踏まえますと、いずれにしても今政府米三十万トンというのは固定化されたものじゃないわけです。これはあくまでも政府の供給計画で変えられるものですね。——うなずいております。そのとおりですよ。  それで、品質の問題についてなんですね。特別御説明にはございませんでしたけれども、問題になってくるのはやっぱり食味、品質ですけれども、私は自主流通米と政府米の世界で政府が責任持ってやれるんじゃないかと思いますのは、もう政府米の世界で一、二類米というのは約三割あるんですね。約百四十万トンあります。ですから、十分対応できるんじゃないかと思うんです。なのに、なぜ政府が責任持って、じゃ百五十万トン超える部分もやっていけないんだろうか。問題は、私は財政じゃないかと思うんです。違いますか。
  171. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 問題は財政ではございませんで、先ほど申し上げましたように、回転備蓄として売っていく場合の可能性ということに立脚した考え方でございます。  それから、理論的といいますか、抽象的に申せば、政府米の毎月の売却数量というのをふやせばそれだけ政府米の持ち得る限度が上がるんじゃないか、こういうことは確かでございますけれども、政府米、自主流通米の流通規模と申しますのはそれぞれの需要動向を反映して設定されておるものでございますし、それから既に本年産の自主流通につきましては計画に基づいて集荷も進みつつあるということでございますし、これを変更するということは米の品質の問題も含めてなかなか難しい問題だというふうに考えております。
  172. 下田京子

    ○下田京子君 品質の問題はちゃんと私言いましたでしょう。だから、もとに戻らないように、ちゃんと私は順序立ててお話ししているんですよ。いみじくも財政事情じゃないとおっしゃったので、はっきり御答弁ください。百五十万トンを超える四十万トン分のその生産者団体等における自主調整保管の金利、倉敷、これ持ってくれますね。
  173. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 私どもがこういうことを考えました理由の一番の理由は、三度目の過剰米を発生させない、過剰を生じないようにするということが基本でございます。  それから、この考え方につきましては、政府の側でそういう事情がありますと同時に、ことしは豊作の恵みで作況指数が一〇〇を五超えているわけでございます。従来の考え方のように、この五の部分も含めまして来年の九月までに売り切ろうということになりますと、これは生産者団体にとりましても恐らく一俵当たり二千円というようなことではとどまらない、大幅値引きをしなければなかなか売り切れない数量だというふうに私ども認識をいたしております。  そういう意味では、むしろ販売期間を延ばして計画的に売ってまいるということの方が生産者団体生産者にとってもプラスな面があるわけでございまして、そういう両面からこの仕組みをお考えいただきたい、こう考えておりまして、やはりこれは生産者団体、集荷団体が自主的に取り組んでいただくべき問題だというふうに考えております。
  174. 下田京子

    ○下田京子君 財政。
  175. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 当然私どもも、その部分につきましては、金利、倉敷というふうなものについて特別の助成をするというふうなことは考えておりません。
  176. 下田京子

    ○下田京子君 特別助成をしないというのはやっぱり財政問題ですよ。財政問題でなかったということになれば、きちっと金倉も出して、流通促進がスムーズにいくように政府の責任で管理していって、売り方については一緒にやるという理由ならわかりますよ。財政的にどのぐらいの負担になるかといいますと、今現在ですと、六十キロ一俵当たり金利、倉敷料に相当する助成金は百十七円出ていると思います。これは四十万トン分来年の一月から八月まで仮に出したとすると約六十億円ぐらいになるわけですね。で、売りさばくまでずっとやるということになると、売り方もいろいろあるでしょうがざっと百億ぐらになるんですよ。その金を出さぬというのはまさに財政的な理由じゃないですか。  しかも、三度目の過剰米出さないと、こう言っていますけれども、いいですか、今の話というのは、あくまでも来年が作況一〇〇として需要も今の段階で見てという感じなんですね、そういう形で言っていますけれども、仮に六十二年作況指数一一〇ポイントになったらどうなります。百万トン自主調整保管やらなきゃならなくなりますよ。これは理論上です、来年の話ですからわかりません、理論上の話です。そうしますと、政府米の百五十万トンそれから自主流通米百万トン、とても売却できないじゃないですか。できますか。
  177. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 一一〇というような作況は近年私ども経験したことがないあれでございまして、この在庫の問題につきましては、非常に大幅な不作になったケース、それからまた大変な豊作になった場合のケースというふうなことでそれぞれ御議論があるわけでございますけれども、私ども先ほど申し上げましたように、このポスト三期を通じましてできるだけの計画生産を図っていく。やはり在庫が減り過ぎれば戻す、またふえ過ぎれば生産計画の数量を変更するという形で調整をしていく。何としてでもできるだけ三度の過剰を起こさない。これが起きました場合には、十年ごとにきちんきちんと過剰米処理をするという制度自身がおかしいんではないかという声が出てくることは必至でございます。私ども、何としてもそのような事態は避けて食管の堅持を図っていきたいという気持ちでございます。  それから、金倉の数字のお話がございましたが、簡単に申しますと、五十万トン余計にとっておりますので、トン三十万円としまして千五百億円の天の恵みがある中での話だということも御理解をいただきたいと思います。
  178. 下田京子

    ○下田京子君 財政の事情一つと、もう一つはいよいよこれは食管つぶしかなと思いますね。なぜかといいますと、さっき申し上げましたが、豊作ということを近年ないなんて、近年一〇五ポイント超えたときだってあるんですよ。だから、理論上成り立つんです。ですから、二百五十万トンの古米ということになりますと、これはもう売却不可能になってくるんです。さっきの低温貯蔵との関係からいっても、皆さんがおっしゃっている食味からいっても、これはもうだめなんです。ですから、こういう回転方式というのはやめなきゃなりませんし、他用途米との置きかえも考えなきゃならないんですよ。一定量の棚上げなんかも考えなきゃならないんです。  大臣、うなずいていられますからお答えいただきますが、いいですか、新米が大量に出回ったらどんなになるかといいますと、政府米、自主流通米、あげくの果てにやみ米でしょう。そういう中でどんな状況が起きるかといいますと、これはもう値引き大合戦ですよ。そうすれば、生産者米価引き下げられるし、一方で減反面積拡大されるし、そしてやみの流通を規制しようと思ってもこれはできなくなる。つまり、お米の流通管理という点で政府が責任を全部持てるという状況でなくなっちゃうんです。そうならないというふうに断言できますか、大臣
  179. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) それをやるために、食管制度を守るために次期対策に今血みどろになって取っ組んでおるところでございますし、計画生産という言葉がたびたび当委員会においても出てくるのはそこにあるわけでございます。そして、たびたび申し上げておりますけれども、そういう問題を通じて私たちは、食管制度の根幹といいますか、基本をといいますか、守っていきたいというその一念に徹しておるわけでございますから、横に横におとりにならないようによろしくお願いしたい次第であります。
  180. 下田京子

    ○下田京子君 お気持ちは大変結構なんですが、気持ちは具体的に制度、財政的にあらわさなきゃいけないんです。  三度目の過剰を出さないとおっしゃっておりますけれども、そのために生産者団体等にも責任持たせて、場合によったらば過剰になったら、さらに過剰になればもうどうにもならないというようなことは理論的は明らかになっているんですね。問題は、二度目の不足を出さないという点が議論にならないのはなぜなのか。あの韓国米の緊急輸入問題が起きましたでしょう。そして、忘れません、だれも。どんなお米だったか。コクゾウムシが出てきて、臭素でまた薫蒸するという事態があったわけです。私はどうも心配なんです。お米の自由化はやらないと、こうおっしゃっていますけれども、しかし不足したら輸入すればいいんじゃないかというのがやっぱりある、そうしていきたい、こういうお考えでないかと思うのです。とすれば、大変問題だ。  それで、お聞きしたいんですけれども、今アメリカのカリフォルニア米が非常に食味が日本のササ・コシに似ていると、こうおっしゃっておられるんですが、アメリカを含め世界の主な水稲地域における害虫の実態、それから防除の実態、保管の実態、把握されていますでしょうか。
  181. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 今、先生御質問の主要なものというところでございますが、今カリフォルニア米というお話がございましたので、私ども現在把握をしております主な害虫あるいは農薬の点について申し上げたいと思います。  米国の稲作における主要な害虫はイネミズゾウムシ、これは御案内のとおりでございます。その次はエビの一種でございますが、タドポールシュリンプというのがございます。あるいはカメムシ等であります。これらの害虫に対しまして、カルボフラン、硫酸銅、それからパラチオン等の農薬を使用して防除が行われているというふうに考えております。
  182. 下田京子

    ○下田京子君 私が調査していますかということでお聞きして、ようやく今お述べになった実態だけは御報告を私はいただいた。保管の状況について調査されていますか。イエスかノーかだけ。
  183. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 今のお話の、例えばタイについては……
  184. 下田京子

    ○下田京子君 アメリカでいいですよ、アメリカで。
  185. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) 保管等については、現在調査しておりません。
  186. 下田京子

    ○下田京子君 それが実態なんですね。私いろいろこの問題を質問に当たって調査する中で、大臣ね、政府が責任持ってそういう米作にかかわる実態、害虫がどうか、あるいは農薬がどうか、保管の状況がどうかというようなことをつかんでないんですね。  今お話しになった中での重大なことを私は指摘したいんですけれども、カブトエビ類の害虫駆除のために硫酸銅とパラチオンが使われているんです。このパラチオンというものがどういう農薬なのか、これは御承知でしょう。私から御説明しますけれども、現在日本では使用されておりません。なぜかと言うと、一九七一年六月以降毒物及び劇物取締法に基づいて製造、使用とも禁止されているんです。そういうもので、中毒例がどんなものなのかということは御承知でしょうか。急性毒性はわかっているはずですが、慢性毒性についてのデータをお持ちですか。
  187. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) このパラチオンの性質等については、先生がお調べになったとおりでございまして、パハラチオンは有機燐系農薬の一種でございまして、薬効というような点からだけ申し上げますと、稲の害虫防除に対して卓効があったものでございます。かつて我が国でも稲のメイチュウ防除に広く使われておりました。我が国においては、先生の今御指摘のように急性毒性の影響が強く出ることというようなことから、昭和四十四年に低毒性の農薬への切りかえがなされております。
  188. 下田京子

    ○下田京子君 経過は知っていますよ。
  189. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) それで、四十六年は毒物及び劇物取締法に基づく使用禁止の措置がとられたものでございます。  あと、先生のおっしゃる慢性毒性の話でございますが、例えばそれが残留性の問題等につきましてのお話でございますれば、改めてお答えを申し上げたいと思います。
  190. 下田京子

    ○下田京子君 お調べになってないんです。しかし、このパラチオンについてはその残留——あるならお出しください。  私が申し上げたいのは、急性毒性のデータについてようやっとお持ちいただいたんですよ。私の方でいろいろ調べましたら、このパラチオン原体を百ミリグラム飲みますと即死亡、五百ミリグラムが皮膚に触れても即死亡。そして、中毒の症状は中枢神経が侵された場合に頭痛、発熱、言語障害などに侵される、そういうことで大変問題があるということで、さっき申し上げましたように毒物・劇物取締法によって製造、使用も禁止した、こういうことなんです。しかし、お米以外の問題については一定の基準があるんです。FAOではそういうものをつくっているんです。ですから、私が言いたいのは、そういう慢性毒性問題も含めて一体実態をつかんでいない中で、大臣に御答弁をいただいて私は質問を終わらなきゃならないんですけれども、軽々にそういう形で外国の米を不足したら入れればいいよなんということになりましたら、そういう米が出回っていくということになるんで重大だということなんですよ。  だから、御答弁いただきたい趣旨は二つです。緊急輸入などということを再び繰り返さないで対応してください。それが一点。これだけお米の自由化問題が騒がれているような状況の中で、アメリカを中心に世界各地の主な水稲栽培にかかわる実態と保管の状況等は責任持って調査し、公表されたい。  以上二点の御答弁を求めます。
  191. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 韓国米の問題のときに衆参両院における決議があります。この決議の線をあくまでも実現していき、守っていくというところに私は全力を置いていかなくちゃならぬ、こう思っております。  それから、いろいろ農薬問題についての御指摘をいただいたわけでございますけれども、米を輸入する気持ちはさらさらありませんから、先生が言われるような資料を提出する必要はないんじゃないかとも考えておったわけでありますが、しかしせっかくの御指摘でございますから、これからさらにさらに勉強しておきたいと思います。
  192. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 私は、本年六月に報道をされました大阪府中央卸売市場問題に関連をして、今後における公設市場運営のあり方、すなわち卸売市場は何を支えに運営していかれようとしておいでになりますのか等についてお尋ねをいたします。  本件については、既に農水省及び大阪府は、立入検査による真相究明に当たられ、その結果、卸売会社に対しましては厳重注意、会社の支社長には一日の入場停止、会社の役員には減給等の措置がとられ、一応の決着を見ております。  中央卸売市場制度は、我が国生鮮食品流通のかなめとして半世紀を超す歴史を持っております。近年、大型産地が量販店、生協等と手を結び、宅急便の普及で特産品は家庭と直結をする等、いわゆる場外流通の比重が高まり、卸売市場は受け身の立場に立たされておるとは言いましても、全流通食品の約八五%のシェアを持っておると言われております。それだけにこの問題について早急な真相の究明と不正の事実があった場合の厳然たる処分を期待する声は大きいものがございます。  そのような関係か、一応措置が発表をされた後においても、心なしか流通の仕事にかかわられる方々の中においても歯切れの悪いのを感じます。一般的な受けとめ方もさめたものがあり、当局の発表どおり率直に受け入れがたい空気もかなりあるように思われます。  その原因について考えてみますと、一つは、証拠になる社内伝票の問題にいたしましても、保管期間が極めて短く、しかも作為の入り得る条件は幾らもあるように思われます。特に、使用されたとされている会社の内部伝票がなく照合ができなかった、こういう発表であっては、証拠隠滅を否定する決定的な説得力を持った報告とは言えないように思います。  それでもう一つの問題は、卸売市場では公正な競争を確保するという建前から、青果さらには水産の部門にそれぞれ二社程度を認可しておいでになります。この会社の場合には北部支店という名称でございますけれども、これは本店が他の卸売市場にあるであろうということを素人目にも連想をすることができます。公正な競争を確保するということと裏腹に、極めて寡占の状態にありますことがこのことでわかります。だから、もし何らかの理由で営業停止あるいは認可取り消しというような措置がとられるようなことがあったとすれば、短期間であれば耐えられると思います。けれども、その期間長期であったり、あってはならないことですけれども、認可取り消しというような場合の流通業界における混乱を想像するときに、容易に踏み込み得ない聖域となってしまっておるのではないかとさえ思われるのでございます。  以上の点から、一般的には冷めた目で眺めておいでになっておると思います。したがって、当局の御調査の結果ではありますけれども、産地側においても、さらにはまた消費者側に対しても不信感が完全に取り除かれた、このようには理解できないと思います。  さらに、これに関連をして、今回のような問題は生鮮食品流通業界における必要悪だという声もあります。今後も起こり得る問題だとも言われております。  その理由について少しだけ申し上げさせていただきますと、一つは各市場間の激烈な集荷競争、販売競争であり、わけても卸売市場が集中をいたします近畿地区における競争は特に激しいと言われております。競り人は、あるときには集荷対策のため産地に、またあるときには販売対策のために仲卸とよくコミュニケーションを重ねなければなりません。それで、こういったことはあってはならないことでありますけれども、癒着の落とし穴につきまとわれておるような状態でもあるようでございます。  さらにまた、競り人はやはり競りの現場のムードづくりにも腐心をしておいでになるようであります。例えば幾らから競り始めるか、そういう価格決定はやっぱり競り人の勘に任されておるのが大体の一般的な現状であります。また、冷え込んだ市況に活況を呼び起こし、産地の期待にこたえる必要もあるようですけれども、競り人はそういうムードづくりが必要な場合には、やはり仲卸の協力を求める根回しが必要と言われておりますが、こんなところにもギブ・アンド・テークの関係が生じないとも限らないように思われます。  以上のように、競り人は、産地に対しても、卸売に対しても責任を持つ立場に置かれます。競り値は神聖不可侵と言われておりますけれども、競り値を形成するための関係者間にはいろいろの関係のできる可能性は多分に存在しておるのでございます。場外流通の場合も含め、値決めの基準は御売市場の競り値であります。最も公正、厳正が要求される社会の公器の運営に携わる者としての意識の高揚が何よりも大切であり、そういった立場から職場研修等も実施をされておるのでありますけれども、残念ながら今日の拝金思想充満の社会的風潮の中でいかにも私は無力なように思われてなりません。  さらに、別の問題としてこういうこともございます。  一つは、事故処理の問題、すなわち傷み商品の値引きの問題でありますが、事故処理額が不当に出荷者に転嫁されることのないようにするために場長の認定を受けるシステムになっておりますが、卸売市場は価格形成の場であると同時に、短時間で多量の商品をさばく集配センターとしての迅速性もまた重要な機能であって、規定の時刻までに処理の手続ができない場合、あるいは量販店等においては荷ほどきが翌日以降はずれ込む場合もあること等を考えてみると、このように規定による手続がとれない場合があります。そういった場合は卸売業者や仲卸業者の負担になってしまうのでございまして、これらは無視できない問題を含んでおる、こういうようにも言われております。  また、もう一つは残品処理の問題があります。市場に集荷されました品物が全部競り落とされるというわけではありません。残品も当然のこととしてできます。それで、この場合に集荷会社、すなわち卸売会社は仲卸会社に引き取ってもらう交渉をせなければなりません。仲卸の中でこういったものを引き取ります力を持っておる会社はそう多くはございません。通常四、五社だというお話もございましたけれども、そこでの価格決定は相対であります。そういうようにして引き取られた荷物の一部がトラックで青空市場を開設をしておる場合に使用される格安の商品として活用をされておることもあるようでございますけれども、こういったことで仲卸に無理を頼んだ場合には、卸会社としてはやっぱり借りになります。だとすれば、その借りはまた何らかの方法で埋め合わせをする必要があるのではないか、このようにも思います。  その他にも、時間的な関係で割愛をさせていただきますけれども、競りの形骸化がささやかれます品物の先取り問題、さらには奨励金問題等もあります。  けさの新聞にも「鯨肉流通にメスを」という見出しで、鯨肉の流通については六大都市の中央市場経由で五五%の量を競りまたは入札で取引されることが取り決められておるのに、最近では中央市場に回される量が極端に減らされ、価格決定という機能のみに利用をされているのは遺憾だということで嘆かれ、さらには、供給が絞られれば値段が高騰するのは当たり前であって、今や生産者のコストを十分償えるはずの指し値よりも七〇%も高い値段でなければ買えない。このようにツケはすべて市場の業者や消費者に払わされるのですという不満が述べられてありました。  以上のとおり、余りにも問題が多く、きれいごとだけでは済まされない問題もあり、農水省とされましても、今回の立入検査でより多くの問題を学び取られたことと存じますが、法定の手数料だけでは処理できるものではありませんとの陳述もございました。農林水産省は、今年から十カ年がかりで第四次卸売市場整備事業に着手をされ、最新鋭の東京大森市場も二年後には稼働をする計画だと聞いております。設備が幾ら立派になりましても、そこでの競りが型だけのものになっておっては、いわゆる仏つくって魂入れずであり、大切なことは決められたルールを守るということです。必要悪という言葉を使いましたが、もしそのようなことがあったといたしましても、合理的な解決の手法を探求し、守れるルールを確立すべきであると思います。  そのためには、指導監督のお立場においでになります農林水産省が流通現場の実態を熟知されるとともに、生産者や消費者の声に耳を傾けられることであり、そのことができるような、可能なような人員配置が大切だと思いますが、以上のことについて当局の御所見をまず承りたいと思います。
  193. 谷野陽

    政府委員(谷野陽君) ただいま御質問にございましたように、卸売市場は、現在の我が国の生鮮食料品の非常に大きな部分を取り扱っておるわけでございまして、ただいまの御指摘にもございましたように物流の面、さらには公正な価格形成の面で大変重要な役割を持っておるわけでございます。こういう卸売市場におきます問題につきましては、私ども日ごろから一生懸命注意をしておるわけでございますが、先ほど御指摘がございましたように、本年六月に大阪府の中央卸売市場の大果大阪青果株式会社北部支社の問題につきまして新聞報道がなされたわけでございます。私どもは、そのような申し上げました重要な問題であるという観点から、直ちに大阪府及び現地の近畿農政局で検査に入りますと同時に、本省から検査官を直ちに派遣をいたしまして早急に検査を行いました。その結果、ただいま御指摘のような処分等を行ったわけでございます。  この検査の過程におきまして、ただいま御指摘がございましたように法定帳簿以外の内部帳票というものを使用いたしておりました。これは本来使ってはいけないものでございまして、そのようなものを使って処理をしておった、そういう性質のものでございましたので、そのような一種の補助簿的な帳票につきましては、使用後これを廃棄しておったということは先生指摘のとおりでございます。  私どもは、そういう点で今回の調査につきまして、その調査の過程でただいま御指摘のような非常に調査の上で難しい問題があったということは承知をいたしておるわけでございます。しかしながら、検査官本省から三名、さらに近畿農政局あるいは大阪府とかなりの人数を投入いたしまして聞き取り等の調査を行いまして、おおむね事実関係を私どもとしては把握できたのではないかというふうに考えておるわけでございます。  しかしながら、その過程におきまして、生産者の皆さん、さらに消費者の皆様方にはいろいろと御不満あるいは御心配をおかけしたということにつきましては、私どもといたしましても今後の問題といたしまして、さらに監督の立場にある者として注意をしてまいらなければならないというふうに考えておるわけでございます。  市場の問題につきましては、ただいま幾つかの点について御指摘がございました。私どもは、それなりにしかるべき競争とそれから安定という、その二つの考え方の中で現在の卸売の制度というものを運営してきておるわけでございます。しかしながら、ただいま御指摘がございましたように、公的な性格とそれから非常に迅速に物を流さなければならない、さらに専門的な知識を要する、それに取引といういわば商売の問題が絡んでくるということは卸売市場の特性でございます。ただいま御指摘がございましたような問題点につきまして、私どもなりに流通の実態の変化に応じましてこれまでも改善に努めてきたわけでございますが、今後ただいまの御指摘の点につきましてもそれぞれの実態につきましてさらに勉強をいたしたい。その上で流通の実態の変化に対応した制度の手直し等につきましても勉強してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  しかしながら、全体といたしまして、私どもは現在の中央卸売市場の制度というのは、非常に迅速に大量の荷物をさばくという物流、さらに結果的にはいろいろございますけれども中央卸売市場の価格というのは、ただいまの御質問にもございましたように、一つの指標価格として御使用いただいておるわけでございます。そういう点では、全体としてはなお問題が全くないと申し上げるわけではございませんけれども生産者、消費者の皆様からそれなりの御信頼をいただいているのではないかと。また、それだけに御批判もあるというふうに受けとめておるわけでございます。今後さらに勉強をしてまいりたいというふうに考えております。
  194. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 次に、このような違反行為がなぜ青果の部門に多発をいたしますのか。水産の現場では寡聞にして聞きません。もしあったといたしましても少ないように思います。私の調査いたしましたところでは、鮮魚は買い付け商品が全体の八〇%、産地の委託が二〇%。野菜の場合はこれとは逆に、委託商品が八五%で、買い付けが一五%。すなわち、水産の場合には既に水揚げの港で買い取り人が買い取って市場に送っております。このように買い取り品が多いと大切にされて委託品が多いと粗略に取り扱われるということではないとは思いますけれども、こういったことが現存をいたしますのか。そうだとすれば、なぜそういうことになりますのかお答えをいただきたいと同時に、あわせて手数料の問題についてお願いをいたします。  現行、卸売会社が荷主から徴収します手数料は、競り落とした金額に対して野菜は八・五%、鮮魚は五・五%であります。市場開設以来若干の料率の変化はありましたといたしましても、大筋においてこの格差は縮まっておりません。今日、市場へ参りました場合に、野菜の包装の改良ぶりは隔世の感があります。そういったことを見ても、なおかつ格差が直らないというところには農産物べっ視の施策のように思えてなりませんのですが、これらについてもあわせて御回答をいただきたいのと、最後になりましたが、その回答をいただいてから大臣にお願いをいたしておきたいと思いますが、まとめとしてぜひお述べをいただきたいと思います。  以上述べてまいりましたとおり、問題は多く、しかも解決は困難です。今日までも競りの電算化や機械化の試みもしばしばございましたが、定着しないままに本日を迎えております。原因は、案外ただいま私が申し述べましたようなところにあるとも思います。今回の事故に対して、産地の出荷停止も、農水省の立入検査を実施するという決定がありまして、わずか三日間で解除をされました。行政に対する信頼はまだまだ残っております証拠です。ところが、その行政が今日までは問題の後追いでしかなかったように失礼ですが思います。主導性を取り戻して、正確で信頼性もあり、さらにかつ使い勝手のよいシステムをつくり出してほしいものです。  そのためには、もちろん行革のもとでありますスタッフ部門も同様でありますけれどもライン部門を重視して、指導監督機関こそ競り場の実態を熟知され、その上に立って二十一世紀に向けての生鮮食品集配の近代的システムを創設し得る人材集団を配置される必要を痛感いたしました。大臣といたされましての御所見をお願いを申し上げさせていただいて、私の質問を終わります。
  195. 谷野陽

    政府委員(谷野陽君) ただいま手数料の問題及び委託集荷の割合の問題についての御質問がございましたが、ただいま質問の中でおっしゃいました係数につきましては、青果につきましてはお述べになりましたとおりでございますが、水産につきましては、鮮魚の場合には大体委託集荷の割合というのが七五%程度、冷凍品につきまして一四・五%、一五%程度でございますから、冷凍品につきましては買い付け販売の率が非常に高いというのが実態でございます。これはその品物の性格ということによるわけでございまして、ただそういう実態が卸売市場の中で、水産と青果の中で差があるというのもこれまた事実であるわけでございます。そういう意味で、委託の場合につきましては、生産者の皆様の直接のいわば監視のもとで仕事が行われておるわけでございまして、そういう厳しい御批判が出てくる、またそれを私どもとしては受けとめなければならないというふうに考えておるわけでございます。  また、手数料の問題につきましては、御指摘のとおりの係数でございますが、これは二つの面がございまして、一つは野菜の場合には大変目方当たりあるいは容積当たりの単価が水産物に比べまして端的に申しまして安いわけでございます。取り扱いにかかる手数は、やはり金額だけではなくて目方でございますとか、かさでございますとかにかかる、あるいは市場の中で使います面積もどうしてもそういうことに引っ張られるというようなことでございます。水産の方からは、使っている面積の割には使用料が高いではないか、こういうような御意見もあるわけでございまして、その辺を総合的に勘案をいたしまして現在の率が決まっておるわけでございます。その結果としての卸売会社の収支等につきましても、おおむね水産、青果、それぞれそう差のないような実態でございまして、私どもは現在の率というもののさらにその効率化には努めなければならないわけでございますけれども、そういう品物の実態も無視することができないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  196. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 卸売市場は、生鮮食料品流通の大宗を占める重要な流通経路でございます。そして、その円滑な流通の確保と需給に見合った公正な価格形成により、生産者及び消費者の期待にこたえる責務を負っておると私は考えております。  そこで、農林水産省といたしましては、従来から物流の効率化を図るための市場施設の改善整備を行うとともに、取引の合理化、公正な価格形成を確保するための市場関係者の指導を行ってきたところでございますが、今後とも卸売市場が国民の信頼に十分にこたえ得るよう、より一層適切な指導をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  197. 高木正明

    委員長高木正明君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時三分散会