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1986-11-18 第107回国会 参議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

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  1. 参考人の出席要求に関する件 ○農林水産政策に関する調査 (会議録情報)

    昭和六十一年十一月十八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月十三日     辞任         補欠選任      橋本  敦君     吉岡 吉典君  十一月十四日     辞任         補欠選任      吉岡 吉典君     橋本  敦君  十一月十七日     辞任         補欠選任      三治 重信君     関  嘉彦君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高木 正明君     理 事                 北  修二君                 水谷  力君                 宮島  滉君                 稲村 稔夫君                 刈田 貞子君     委 員                 青木 幹雄君                 上杉 光弘君                 浦田  勝君                 大塚清次郎君                 川原新次郎君                 熊谷太三郎君                 坂野 重信君                 鈴木 貞敏君                 初村滝一郎君                 本村 和喜君                 上野 雄文君                 菅野 久光君                 村沢  牧君                 及川 順郎君                 下田 京子君                 橋本  敦君                 関  嘉彦君                 山田耕三郎君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    参考人        日本経済新聞社        論説委員     岸  康彦君        全国農業協同組        合中央会常務理        事        櫻井  誠君        日本生活協同組        合連合会会長  勝部 欣一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○農林水産政策に関する調査  (当面の農業政策課題に関する件)     ─────────────
  2. 委員長(高木正明君)(高木正明)

    委員長高木正明君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十七日、三治重信君が委員辞任され、その補欠として関嘉彦君が選任されました。     ─────────────
  3. 委員長(高木正明君)(高木正明)

    委員長高木正明君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産政策に関する調査のため、本日、お手元の名簿にございます日本経済新聞社論説委員岸康彦君、全国農業協同組合中央会常務理事櫻井誠君、日本生活協同組合連合会会長勝部欣一君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 委員長(高木正明君)(高木正明)

    委員長高木正明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 委員長(高木正明君)(高木正明)

    委員長高木正明君) 農林水産政策に関する調査を議題といたします。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本日は、当面の農業政策課題につきましてそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の委員会調査参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。  それでは、これより御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の進め方について申し上げます。  御意見をお述べいただく時間は、議事の都合上お一人十五分以内とし、その順序は岸参考人櫻井参考人勝部参考人の順といたします。参考人の御意見の御開陳が一応済みました後で、委員からの質問にお答えいただきたいと存じます。  それでは、岸参考人からお願いいたします。岸参考人
  6. 参考人(岸康彦君)(岸康彦)

    参考人岸康彦君) 十五分間で農政の全般はついて申し上げることは、私のような一介の新聞記者のとても手に余ることでありますから、今一番大事だと思われる二つの点に絞って、私の所感を若干申し述べさせていただきたいと存じます。それは、お米の問題と市場開放の問題でございます。  まず、米でありますけれども、ことし御案内のとおり作況指数一〇五という豊作になりました。これがしかし、我々いま一つ素直に喜べないのが正直なところであります。国民の多くがそうではないかと思うのですね。何といいましても、一番心配なのは三度目の過剰米が発生しては困る、こういうことではないかと思うのであります。  我々、過去に二度過剰米を経験いたしておりまして、そのために三兆円の国費を使っております。三兆円と申しますと、本年度の農林水産予算三兆一千四百億円にほぼ匹敵するぐらいの額でありまして、今日の財政状態から見ますと、何としても三度目の過剰米の発生というものは繰り返してはならないし、またできないと思うのであります。となりますと、来年の転作というものを強化しなくてはならないということはもう当たり前でありまして、いわゆるポスト三期対策、もう既に一部に伝えられておりますように、相当強化が予定されているようであります。  確かに、この転作強化ということは当面やむを得ないことでありますけれども、しかし問題はその先がどうなるかということではないかというふうは私は思うのであります。転作を一体いつまで続けるのか、これに終わりがあるのかどうか、こういうことこそ今、農政が考えておくべき問題ではなかろうかと思うのであります。  秋田県でことし転作面積が達成できなかったという問題がございますしあそこの場合、大潟村に非常に大きな規模入植者がおりまして、いわゆる過剰作付をしているという全国でも非常に特殊な例が、例と申しますか、特殊なケースでありますけれども、しかしながら、あそこの農民たち過剰作付をしてけしからぬというふうに非難をす るだけでは事は済まないのではないかと私は思うのであります。確かに過剰作付をしている農民に、いわゆるエゴと申しますか、がないというふうには私も申しません。けれども問題は、大潟村の農民だけではなくて、非常に意欲的な農民相当に多くの部分が、できることなら転作はやめたい、米を精いっぱいつくりたいということを考えているという事実があるということなのであります。  農政というものは、何よりも意欲を持って農業をやろうとしている農民に力を与える、そういう農政でなくちゃならぬと思うんです。ところが現実は、水田面積が広がりますと、それに応じて転作面積もふえるという仕組みでありますから、例えば借地をする、あるいは請負耕作をするというようなことで面積をふやしましても、なかなかそれがコストダウンにつながってこない、そういう非常に大きな矛盾があるわけでして、言ってみますと、転作に関しては一番意欲的でしかも一番苦労している農民たちが、この転作のあおりを食らっているんじゃないかという気持ちが非常に強いのであります。  こういうようなおかしなことをなくしていくためには、これはあくまで一つの例でありますけれども、例えば転作に参加するかどうかということを農民自分で選択する。そのかわり、与えられた量よりも過剰に生産をした場合には、その分は安くしか買わないよと。幾らでもいいと思うんですね、安く買う。これはあくまで一例でありますけれども、そういうようなことも含めまして、できるだけ農民自分の主体性を持って自主的に判断をする、決めていく、そういうような余地を入れていくということが肝心ではないかというふうに思っております。  もちろん、中期的あるいは長期的に考えますとそれではだめなんで、転作という考え方それ自体をなくしていくという方向でなくては展望は開けないと思うんですね。それは第一に、米とそれからほかの作物を輪作していく。今、水田農業確立というようなことが言われておりますけれども水田を単に米をつくるためだけに使うんじゃなくて、もっと多面的な利用ができるようにしていく、そのための基盤整備を進めていくということ、これが第一だろうと思うのであります。そのほかに、例えばえさ米でもアルコール用でも何でもいいですから、ともかく米の用途をもっと拡大していく、コスト的に引き合わないとかいろいろ言われておりますけれども、しかしながらそのための努力というものは常に続けていく必要があるんではないかと思っております。  それから、次は食管制度であります。この制度は、本来、申し上げるまでもありませんけれども流通する米の全量政府が管理することによって、これは足りない時代にできた制度でありますから、公平に分けるという原則でやってきております。しかしながら、三十年代ぐらいからでありましょうか、米の事情が変わってくるに伴って実際には相当手直しが行われておりまして、例えば本来の制度にはなかった自主流通米というような制度を導入しております。  今日、どういうことが起こっておるかと申しますと、政府が管理しているといっている米の中で四五%ぐらいは自主流通米になっております。過去の例を見ますと、自主流通米が五〇%を超えた時期も実際にあったんですね。つまり、ほぼ半分は政府の枠内ではあるけれども、実際には自主的に流通をしておるという状況ができている。しかも、これ以外に百万トンともあるいは二百万トンとも言われるような自由米やみ米が存在しておる。これは現に存在しているわけでありまして、これでも全量統制というふうに言えるのかどうかという疑問が出てくるのは当然ではないかと思うのであります。  農業団体は常に食管堅持ということを言っておられます。ところが、実際にじゃ堅持していると言っているその食管の中身はどうかといいますと、かなり空洞化しているんではないかというのが事実ではないかと思うのであります。  そういう中で、ことし政府は二度までも経済原則から外れたことをいたしました。その第一は、消費者米価の値上げであります。二月に行われました。それから第二点は、生産者米価据え置きであります。三・八%引き下げ米審諮問があった中での据え置き。この二点であります。いずれも米の需給が著しく緩和しているというこの経済原則からは全く奇妙なことだと言わなくてはならぬと思うのであります。  今非常に大事なことは、これは米だけに限りませんけれども農業農政についてできるだけ広範な国民理解を得なくてはならない時期ではないかと思うのでありますが、こういうことをしていますと、現に私の周りの主婦たちもそうでありますが、これじゃ食管だめですよという言い方に変わってきているんですね。これではいけないんじゃないかと思うのであります。  長い目で見ますと、やることは二つありまして、一つ生産者米価引き下げであります。これによって浮いたお金をもっとほかの大事なこと、例えば先ほど申しましたような基盤整備につぎ込んでいく、あるいは構造政策のためにそれを使っていくということ、さらに少しでもいいからその分を消費者に還元をしていくと、こういうことをしてまいりませんと、いずれ米は消費者からそっぽを向かれることが目に見えているという気がするのであります。それが輸入したっていいじゃないのという声にいずれはなってくるんじゃないかということを恐れるのであります。  第二点は、統制そのもの方式を改めていくということでございます。いきなり間接統制へ進んでいくのか、あるいは部分管理というような方式をとっていくのか、または今の方式を少しずつさらに手直しをしていくのか、やり方はいろいろあると思いますけれども、大事なことは、こういう時期に当たってみんながそれぞれの立場から議論をし合うことだと思うんですね。つまり、今までとかく食管堅持建前にこだわりまして率直な議論をし合ってない。もうそういう時期ではないんではないかという気が私はしているのであります。  時間もありますので、ちょっと先を急ぎますが、もう一つ市場開放問題に触れておきたいのでありますが、御承知のように我が国は二十二の農林水産物につきまして残存輸入制限をしております。このほかに、六品目については国家貿易だということでやはり輸入数量制限をしております。残存輸入制限についての日本立場というものは、それぞれの品目日本農業あるいは特定の地域にとってはもう極めて重要な農産物であるからこれは簡単に自由化はできないと、これが日本側の主張でございます。しかしながら、日本国際社会で生き抜いていく、そういう上でいつまでたっても全部が全部だめだという言い方は私は通用しないと思うのであります。  こういうことを申し上げますと、いや農業というものは本来保護が必要なんだという反論が必ず出るだろうと思います。全くそのとおりでありまして、アメリカにしろECにしろ、農業は非常に大きな財政負担でもって維持されているということは全く事実でございます。農業保護が必要だという点はまさにそのとおりでありますけれども、しかしだからといって日本のような経済大国農業が過大な保護を受けていていいと、こういう理由にはなかなかなりにくいということであります。  日本ガットに加盟していないのなら別でありますけれども貿易の障害を取り除くということを目的としておりますガット日本はみずから進んで加盟をしたのでありまして、そういう国が二十二品目全部についていつまでたっても永久にだめだと、こういうことでは諸外国が納得するはずはないのでありまして、それだけならいいんですが、日本国内消費者たちもだんだんとこれはどうもおかしいんじゃないかということに気がついてきているような気がするのであります。  では、日本農業をつぶさないで、しかも国際化時代市場開放時代に対応していくにはどう したらいいのか。一口に申せば段階的自由化というふうに言ったらいいでありましょうか、要するにそれぞれの品目ごとにある時点を決めまして自由化をだんだんに進めていくと、こういうことであります。一体、今二十二品目輸入制限をしておりまして、この全部が本当に自由化できないのかどうかということをとことんまで洗い直してみる必要があると思うんです。  一体、いつになればそれぞれの品目自由化できるのか。あるいは仮に自由化をした場合に、それの見返りと申しますか、それに対してその農産物生産されておる地域にどういうような手を打っていったらその地域経済が破壊されないで済むのか。あるいは今、数量制限をやっておりますけれども、それにかわるような国境措置というものはないのかどうか。例えばことし行われました皮革あるいは革靴といったようなものがありますけれども、あの場合関税割り当て制をとったんですけれども、それだけじゃなくって、例えば季節関税というような考え方もあるでしょうし、課徴金というような考え方もあると思います。いろんな考え方あるわけで、こういったことを一つ一つ丹念にこれは検討しておく。  今まではどうも自由化反対という建前だけが非常に強く出ておりまして、別個のところから可能性を検討していくということがなかったように思うんであります。しかしながら、今となっては譲るべきところは譲るという方向を出していく、これが国際社会日本が生きていく道ではなかろうかと思うんでありまして、そうでないと、二十二品目にこだわるがために肝心の米について、もう自由化してもいいんじゃないかという声が逆に高まってきやしないか、内外からのプレッシャーがかかってきやしないかということを恐れるのであります。  もちろん、米につきましては既に全面開放していいという声もあります。ありますけれども、何といいましても、米は第一に日本の風土に一番適した作物でありますし、それから第二に今日なお農業産出額の三分の一を米が占めるという極めて重要な産物でありますから、これは自由化となると慎重の上にも慎重を期すべきことはもう当然であります。ですから、そのためにも、つまり米を守るためにも譲るべきところは譲っていく、そして日本立場というもの、国際社会に生きていくという日本立場というものを各国に理解をしてもらう、これが肝要ではないかと思うのであります。  今、日本農業というものは、各方面から批判にさらされておりまして非常につらい立場に置かれておりますけれども、見方を変えますと、国民のこんなに多くが農業に対してあるいは食糧問題に対して関心を持ってくれた時期というのは、戦争直後を除きますとかつてなかったんではないかという気がいたします。そういう意味では、私は今は願ってもないチャンスではないかという気もするのでありまして、こういう時期を逃さずに農業に対して十分な率直な議論をみんなが交わし合う、こういう中で国民理解を深めていくということが何より大事ではないかと思うのであります。  以上、大変急ぎましたけれども参考人としての意見を申し述べました。ありがとうございました。
  7. 委員長(高木正明君)(高木正明)

    委員長高木正明君) どうもありがとうございました。  次に、櫻井参考人にお願いいたします。櫻井参考人
  8. 参考人(櫻井誠君)(櫻井誠)

    参考人櫻井誠君) 全中櫻井でございます。  米の問題、それから次期対策等につきまして述べさせていただきたいと思います。  ことしの生産者米価据え置きになりましてから米価食管農政、農協に対する批判が高まってきておるわけでございますが、この中には非常に事実を誤認して批判をしておるという向きもかなりあろうかと思っております。  まず第一に、日本米価と他の国の米価との比較でございますが、一般的にはタイの米に比べまして十倍から十一倍、それからアメリカの米に比べまして七、八倍ということが非常に喧伝をされておるわけでありますが、実際はそうではございません。  まず、アメリカとの米の比較を申し上げますと、消費者価格ベース全中で十月六日、アメリカ各地消費者価格を調べました。これによりますと、一ドル百五十四、五円水準で約二倍というふうなことになっておりまして、十キログラムで千二百円から三千円、アメリカにおきましても高い米は五千円クラスもあるわけでございます。もし仮に一ドル二百四十円というふうな水準であったと考えますと、消費者価格ベースでは約一・三倍というふうな数字になっております。  それから生産者価格ベース、これで比べますと、御案内のとおりアメリカには目標価格というのがございまして、これが農家手取り価格ベースになっております。これが現在四十五・三キロで十一・九ドルでございますけれども、これはもみでございます。これを玄米で一ドル百六十円で算定をしてまいりますと、大体五・七倍というふうな数字に相なっております。これは仮に一ドル二百四十円で比較をいたしますと三・八倍というふうな状況でございまして、一般的に伝えられるように、日本消費者は十倍もあるいは七、八倍も高い米を食わされておるということは全くの誤解に基づくものであるというふうに考えております。  特に、アメリカ米作農場日本米作農家を比べまして、御案内のとおり規模が全然違っております。平均的には百十二ヘクタール、カリフォルニアにおきましては百七十二ヘクタールが平均規模でございまして、米の生産費日本の方が十アール大体十五万円台でございます。アメリカの方は二万五千円から三万円というのが十アールの生産費でございまして、六十キロで換算をいたしますと、大体日本の方が五・七倍から六・七倍ぐらいになるということでございますから、生産者価格ベース比較をいたしますと、生産費とほぼ比例をいたしておるというふうに考えておりまして、日本生産者価格が大幅に生産費に比べて高い、こういうふうな形にはなっていないのではなかろうかと思っております。  またもう一つアメリカ連邦政府負担をいたしております農業への財政支出でございますが、米につきましては、御案内のとおり四十五・三キロ当たり十一・九ドル、ことしの四月十五日からいわゆるマーケティング・ローン・システムというのが導入をされまして、国際価格大体三・五ドルから五ドルぐらいでございますが、この間の差額が不足払いをされておるわけであります。したがいまして、アメリカ連邦政府負担率、これは大体四割から七割ぐらいというふうな水準になっておりまして、大農場におきましては大体一農場平均百万ドル、百六十円といたしますと一億六千万円相当補助金支出をされておりまして、無制限にこれが出ておったわけであります。  アメリカにおきましても、農業に対する批判がございまして、ことしの十月以降は無制限でなくて二十五万ドルに制限をいたしておるようでございますが、アメリカ米作農場におきましてもいろいろ対応がございまして、農場の分割というふうなことでこの制限をくぐり抜けるというふうなことも考えられておるようでございます。  もう一つアメリカ農産物価格所得支持財政負担でございますが、八一年当時におきましては四百三十八億ドルの農産物輸出をいたしておりまして、この際政府負担が四十億ドルであったわけでありますが、輸出が最近非常に落ち込みまして、八六年におきましては大体二百六十億ドルの輸出に落ち込んだと。これに対しまして、連邦政府負担価格所得支持関係だけで約三百億ドル以上というふうに言われておるわけでありますから、百六十円換算では四兆八千億円というふうな負担をいたしまして、競争力のなくなったアメリカ農業補助金つきで支援しておる、こういうふうな状況にあるわけであります。  先般、御案内のとおり、RMAの方で、アメリ カ政府に対しまして日本の米の輸入制限通商法三百一条の不公正貿易に当たるというふうなことで提訴がございまして、結局は当面却下というふうなことになっておるわけでございますけれども、私どもとしましては現在、御案内のとおり六十万ヘクタール以上の転作をやっておりまして、来年はさらに拡大をするというふうな状況の中で、何でアメリカから米を輸入しなければならないのかという農家の強い声がございます。これは当然であろうと思っております。世界全体におきましても米の貿易量、大体これは千二百万トン水準でございまして、世界生産量の約三・五%というふうな状況に相なっておるわけでございます。  確かに、日本国民は若干アメリカ消費者よりも高い米を食べておるというふうなことがございますけれども、国土の条件あるいは歴史的な制約によりましてなかなか零細経営を脱し切れない、こういう状況の中での生産でございますので、先ほど申し上げましたような格差につきましては、ある程度許容をしてもらうというふうなことで私どもは考えておるわけであります。といって、コスト低減に全然努力はしない、こういうことではなくて、従来も努力をしてまいりましたし、今後もこれ以上の努力を傾けてまいりたいというふうに考えております。  そこで、今後問題になってきますのが次期対策水田利用再編次期対策でございますが、御案内のとおりさらに転作面積強化されるというふうな状況の中におきまして、私どもといたしましては、この次期対策の成否が日本稲作農業、それから食管制度の命運にかかわる問題である、こういうふうに意識をいたしておるわけでございます。したがいまして、将来展望に結びついた水田農業確立、それから地域農業の振興にこれを結びつけてやっていこう、したがいまして転作目標面積は必ず達成をしてまいりたい、また同持にコスト低減を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  従来、転作につきましては行政主導、それから農家生産者団体は協力というふうな姿勢がございましたけれども、これからにおきましてはそのようなことでは乗り切りができない。生産者団体におきましても、これをみずからの問題として主体的に受けとめて、責任を持って行政と一体となって推進をしていく、こういうふうな方針を既に固めておるところでございます。  そこで、水田農業といいます場合にこの水田農業とは何か、こういうことでございますが、私どもは既に昨年の十月の全国農協大会におきまして水田農業の複合化ということを打ち出しております。  御案内のとおり、水田といいますのは湛水によりまして保温、それから水が養分を供給する、あるいは雑草を防除する、二千年にわたりまして稲をつくりましても連作障害がない、非常に高い生産力を水田は持っておるわけでございます。また、洪水を抑止する、あるいは地下水の涵養機能、これを維持するということで、国土保全面からも非常に大切な資源でございます。  そういう水田で、畑作物を組み合わせまして田畑輪換によってこれからの水田農業を組み立てようとなりますと、連作の障害は軽減をされてまいりますし、地力は維持向上ができる、あるいは反当収量が向上する、土地なり機械なり施設、こういったものが効率的に利用できてコスト低減が図れる、あるいは稲わらやふん尿等の有効利用ができる、あるいは複合経営によりまして危険分散ができる、こういうふうな利点がございますので、水田という資源をもとにいたしまして、水稲と水稲以外の作目を有効に組み合わせまして高度利用を図っていくというのがこの水田農業確立であろうというふうに考えておるわけでございます。  そこで、目標面積でございますが、御案内のとおり平年作ベースでは七十三万ヘクタールということが一般的に言われてまいりましたけれども、六十一年の作況一〇五というふうな状況になりまして、来年十月末の古米持ち越しが約百九十万トンというふうに推定をされるようになってまいりました。そうなりますと、一般的には四十万トン程度過剰というふうに見られるわけでありますので、この部分を何らかの形で転作面積の増ということでやらなければいけない。その場合に、単年度でこれをやりますと、八十万ヘクタール以上の転作面積、こういうことになってしまうわけでございまして、これは農家にとりましては大変な事態であるというふうに考えますので、これはある程度ならしてやっていく必要があろうというふうに考えておるわけでございます。  そこで、次は対象作物でございますが、面積が今よりふえるわけでありますので、非常に困難な状態の中でございますけれども、麦、大豆、飼料作物を重点といたしまして、これに例えば他用途利用米の拡大、それから飼料用米も開発の仕組みを導入いたしまして、希望する農家はこれが生産できるようにする。また、私の考えでございますけれども、地力の増進という立場から考えますと、肥料作物の導入も必要であるというふうに考えておるわけでございます。  一番問題でありますのは奨励金でございまして、御案内のとおり現在二千二百億円奨励金が出ておるわけでございますが、次期対策におきましては、財政当局におきまして今一般的に言われておりますのは一千億円の削減と、千二百億円程度でこの転作をやれというふうなことも聞いておるわけでありますけれども、これではとてもじゃないが円滑な転作推進はできないということで、私どもは奨励金水準につきましては現行を確保していただきたいということで、政府に現在要請をいたしておるところでございます。  なお、超過米、自主流通米の調整保管売却の問題がいろいろ出ておるわけでございまして、これは先ほど申し上げましたように、来年十月に古米持ち越しが百九十万トンになる。政府の方からいたしますと、主食用としての売却可能限度、これが百五十万トンであると、これを超える部分につきましては、集荷団体において調整保管売却をやってもらいたい、こういうふうな話が出てきておるわけでございます。  といいますのは、百五十万トンといいますのは、政府米は従来大体三十万トン毎月出しておるわけでございますが、古米を毎月三十万トンそのまま出して五カ月かかると。ところが実際におきましては、古米ばかり国民に食わしておくわけにまいりませんので、新米も出していかなければいけない。こういうことになりますと、二年梅雨を越すいわゆる二年古米が出てしまう。これは国民に対して主食用としてはなかなか供給ができない。となりますと、三度目の過剰米処分状態を迎えることに相なるというふうなところから、集荷団体によります調整保管売却の話が出ておるわけでありますが、私もこれにつきましては組織内部でこれまでずっと検討をしてまいりまして、いろいろな意見はあるわけでございますが、大勢といたしましては、食管制度を守る、三度目の過剰米処分状態をつくるというわけにはまいらないというふうな認識のもとに、組織の合意を得ましてこれに対応せざるを得ないのではないかというのが現在の状況に相なっておるわけでございます。  なお、コスト低減対策でございますが、御案内のとおり既に私どもは二割のコスト低減を打ち出しておるわけでございますが、水田におきましてこれからの方向といたしましては、連担しました団地というもので転作物を集団的につくっていく。それから水稲につきましても、やはり同様の形で、できるだけ集団によって、まとまってその利用を図るということによってコスト低減を図っていきたい。所有は個人でありましても、利用は集団で利用するというふうな方向の推進を現在図っておるわけでございまして、今後におきましてもそのような方向努力をしてまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。  かいつまんで申し上げました。よろしくお願いを申し上げます。  終わります。
  9. 委員長(高木正明君)(高木正明)

    委員長高木正明君) どうもありがとうござい ました。  次に、勝部参考人にお願いいたします。勝部参考人
  10. 参考人(勝部欣一君)(勝部欣一)

    参考人勝部欣一君) 日本生協連の勝部でございます。  きょうは、私ども立場からは、特にお手元に資料がお配りしてございますが、食生活という最終的には消費者、食べる側からいいましてどういう農業が望ましいか、そういう観点と、そのためにやってまいりました産直活動等につきましてと、それから今の食管をめぐる問題についての意見をかいつまんで述べさせていただきたいと思います。  お手元の資料で、つい先週やりました消費者大会、これは各団体一緒になりまして、もう三十年間ずっと毎年消費者大会をやってきておるわけですが、そこでは、やはり食生活の問題が非常に農業の問題とともに大きな論議になっているわけですが、私ども約一千万人の世帯の主婦を中心とする組織になっておりますけれども、そのところで一番関心がありますのは、やっぱりお手元の資料にあります健康と食べ物という関係が一番の関心でありまして、それで、何をどれだけ食べるかということを年代別あるいは職業別にいろいろ研究していこう、これを長年基本に心がけています。  お手元の資料は、各生協のいろいろ例が、こういうような活動を食生活点検表をもってやっていますよということについての資料でございますが、二ページ目のところの真ん中辺に、現在の生計費の中でどう食費が占めているかというのが数字としてありますが、一カ月で七万五千八百四円で一人一日六百四十八円というのがいわゆる大衆の食生活でございます。このことで私どもは長年生計費調査というものを自主的にやってきていますが、これがどういう内容でいけるのか、そういう点でのことで進めておりまして、その食費の点検の中で、食糧の自給問題、あるいは輸入食品が一体添加物問題を含めてどうなのかといったようなことが我々の日常的には一番論議している点でございます。  それで、特に食生活の問題につきましては、ちょうど七ページ目に愛媛県の資料がございますが、これは食品ピラミッド運動というのが北欧の協同組合を中心にしてありまして、そこでやはり穀物をできるだけあるがままの姿で食べていくということを基調に置いて、それから野菜、果物、それからたん白、脂肪関係はできるだけ減らしてということが十年ぐらい前から始まりまして、北欧で進み、それからアメリカに行き、それでカナダに行き、そして日本、我々がそれを知ったわけですけれども日本はその点でいえばバランスが非常によくとれている、日本型食生活がいいのであると。しかも、それは米を中心とする食生活がいいのであるという考え方で、五年前に農協中央会と全漁連と私どもで一緒にそういうことを相談しまして、そして日本型食生活運動ということをやろうではないかというのが五年前にスタートしたわけでございます。  ちょうどそのころ、自由化問題が大分やかましくなりまして、私どもその前の段階から、いろいろアメリカの商品をもっと買うべしという話はもっと前からありまして、カリフォルニアから無添加のレモンを相当輸入しておりましたし、農協中央会に話しもしまして、冷凍野菜はいいかと、じゃいいということで、実は冷凍野菜を五年前から随分大量に仕入れております。アスパラガスなんかでも、端境期には飛行機で運んできても十分に採算が合うというような、そんなようなことまでやったわけでございますが、実はそういう面は、穀物のえさを含めまして、長年の間でもってアメリカ、カナダの食糧に依存する度合いというのは非常にふえてきている。  しかし、その中で米はどうなのかということは、その当時からもありましたけれども、私どもは基本的には基礎食糧はやはり自給すべきだということについて、これはアメリカその他全世界に近ごろ主婦も随分たくさん訪問します。ちょうど四年前に国連の軍縮総会があって、そのときにたくさんの主婦代表がアメリカへ行きましたけれども、そのときにカリフォルニア米を食べて、これは安くておいしい、でももしこれが日本に入ったらどうなるのかと、そういうことが実は問題になったわけでございます。  その当時からも、大分農協とも話をけんけんがくがくいたしまして、主食はやっぱりほかの国も、OECDの各国、どれも基礎的な食糧は自給している。そのことについての基本は、やっぱり自給をやるということは、安全保障の問題というだけじゃなくて、いろいろな意味で無理強いを、どこかから押しつけられるということがないようにということで、その当時アメリカからもっとたくさん武器を日本は買えという話がありましたが、そういうところに何か使われたらとてもじゃないけれども、我々の税金はそんなことに使うのは反対だという問題も含めまして、やはり米は国内で賄っていくということにひとつちゃんとしようじゃないかと、したがって穀物その他は、今穀物自給率三〇%、これは世界で最低のあれでございますけれども、そういうようなこともやはり直していこうじゃないかと、そういうようなことで私どもは農協とも随分話し合いをしたものでございまして、それで米の自由化は反対である。  しかし、同時に農協さんも一緒になって、食料品の流通コストを下げていく問題、その他生産を、今もちょうどたまたま岸さんも櫻井さんも同じく言われましたが、複合的な小規模集団のそういう農業にして、そして原価を下げていくというその努力をひとつ一緒になってやろうではありませんかと、あるいは包装代、パッケージの費用が非常にかかっていますが、そういうような問題についてもひとつちゃんとしようじゃありませんかと、こういったようなことをずっと論議をしてまいってきたわけでございます。  たまたま私は、ことしから米価審議会に出さされまして、ここにおられる岸さんと一緒に出ているんでございますが、ことしの米審ほど激しい論議のあった年はございません。私どもも農協さんとこういう産直活動等で長年一緒にやっておりますので、非常に苦悩いたしました。しかし、私が先ほど申し上げた基本原則というものを、この際だから岸さんも言われましたように徹底的に議論をしていって、米価の問題で政治の力が余り動くようなことだと私どもやっぱりよくないというぐあいに思っておりまして、それも国民的に、本当に日本人の食生活いかにあるべきかと、非常に飽食でございます、またこんなに食糧をむだに捨てている国民世界でありません。  そういうような問題まで含めて、一方飢餓の国がある。私どもユニセフ運動随分やっておりますけれども、そういうような問題をいろいろ考えるにつきましても、もっとそういう点について、基本的に食生活はいかにあるべきかという、しかもそれを健康の観点からやって、そして本当に必要な食糧、私どもはできるだけ地元地元で、四季に恵まれております日本で、そういう各地元地元の四季ごとにできる産物を、農産物、水産物をうまく組み合わせたそういう食生活の献立を研究者を含めて本当につくって、そして輸送コストも減る、そういうようなものでもって食生活を組み立てていく。  やはり新鮮なものが一番健康にはいいということはもうはっきりしているわけでありまして、そういうような点をやっていくという問題こそが基本であって、米の問題については、私どもは先ほども申しましたように、食糧管理の根幹としての、全量とはちょっと今さっき岸さんが言っていたようになりませんが、一定量の買い入れ、それから備蓄の問題、それで投機に走らないように抑える、この三つが基本じゃないだろうか、そういう観点での食糧の管理制度を米中心に考えるべきじゃないだろうか。  そういう点の中では、特に今、いわゆる配給面といいますか、配給面につきましては本当に乱れて、統制というのはあるかないかわからぬぐらいの状況があることははっきりしております。このことについてのことも、私ども今現実に生協、随 分米の取り扱いを農協の系統と一緒になってやっておりますけれども、そこでも大変この問題が多くありまして、暮れになりますと縁故米だとか、あるいはいろんな形でもって等外米が送られてくるとか、その等外米で送られてくるのは実は非常にいい米であったり、そういうようなことの中で、実際上供給面という問題は非常に乱れています。そういうような問題についても、もう少しきちんとした競争原理も働いた、そういうような面の供給という問題もされる必要があるというぐあいに思いますけれども、それが投機に走らないということをどうやって皆知恵を出し合って抑えるか、これがやっぱり一番の食糧管理の根幹ではないだろうか、このように考えております。  第一回の陳述でございますので、このくらいにさせていただきまして、一応基礎的に考えていることを申した次第でございます。どうもありがとうございました。
  11. 委員長(高木正明君)(高木正明)

    委員長高木正明君) どうもありがとうございました。  以上で参考人の方々の御意見の開陳を終わります。  それでは、これより参考人の方々に対し質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 稲村稔夫君(稲村稔夫)

    ○稲村稔夫君 御三人の参考人の皆様には、大変お忙しい中を私どものこの委員会でいろいろと貴重な御意見をお聞かせをいただきまして、大変感謝を申し上げる次第でございます。  私、社会党の稲村でございますが、それぞれ時間の関係もございますので、私の方からのお三人にお聞きをしたい点申し上げて御答弁をいただき、そしてまた私どもの方からもう一人、村沢委員の方からも伺いたいということがございますので、その時間の配分なども考えながらお聞きをいたしますのでひとつよろしくお願いを申し上げたいと存じます。  最初に岸参考人にお伺いをしたいんでありますが、ジャーナリストのお立場でいろいろと御勉強になっておられまして、特に最近の我が国の第二次産業の急速な外国への資本の流出というのがあるわけでありますけれども、これに伴っていろいろな雇用の問題がこれから心配だというような、そんなことも出てくるわけであります。そうした中で、農業の合理化が進められていくということになりますと、そこで新たにまたその雇用の問題が農業の面からも生まれてこないだろうか、そんなことも気になるわけでございます。したがいまして、雇用関係というものを農業問題としてどうとらえていったらいいだろう。この問題をもしいろんなデータ等お持ちでございましたらお教えをいただけたら大変ありがたいと、このように思っております。  次に、櫻井参考人にお願いをしたいんでありますが、やはりこうした雇用の問題と大変絡んでくるんでありますが、積極的にコスト低減というのをやっていかれて、それを集団転作とか集団組織によっていろいろと工夫をしていかれようという方針のようでありますけれども、その辺のところが少しまだ私にはよくわからないところございます。現在、ほとんど兼業化している農家が多いわけでありますが、その兼業化している農業以外の兼業部分の方も、今はむしろ雇用としては不安が出てきているという形だと思うんですけれども、そうした中でその集団経営という形でそういう一部は専業化をしていくことができると、こういうことになるんだろうか。  いずれにしても、農業の観点から雇用の問題というのがやはり今の岸参考人に伺ったと同じように大変重大な問題なんで、これからの農協さんが主体的に受けとめていこうとするとその問題は避けて通れない問題になるのではないだろうか。こんなふうにも思うものですから、農協さんとしてその辺のところをどういうふうにお考えになっているかということをお聞かせをいただきたいと存じます。  最後に、勝部参考人にお願いしたいんでありますが、今いろいろとお話しいただきましたその安全の面ということは確かに大変大事な問題だというふうに思います。そしてまた、国内の生産されているものはみんなある程度追えば戸籍がみんなわかるわけでありますけれども、輸入食品というのは戸籍を確かめることはなかなか困難だという面も安全という観点からいけば一つの問題かとも思うんです。  それから同時に、もう一つ、例えば米などでは、国際価格というのがタイ米で決まっていくといいましょうか、タイ米との競争みたいな形になる。ダンピングが行われるとタイ米もまた下がらざるを得ない、こういう形になってくる。それによって途上国経済にいろんな混乱をもたらすというようなことがあるのではないだろうか、そんなふうに思うんです。  これは米ではありませんけれども、例えばバナナの輸入をいたしますとフィリピンのバナナ農園で働いている労働者は結構労働強化を強いられるばかり。タイの焼き鳥つくっている工場で、日本人が赤ちょうちんにたくさん通えば通うほどそこの労働者が労働強化を強いられる、賃金の方はそう変わらないというような形のものが現実にあるわけであります。  そういう面では、何というんでしょうか、そうした対先進国ばかりではなくて途上国、農業生産物を輸出している途上国、そういうものに対しても十分な目を向けなきゃならないじゃないだろうか。その辺のところの御理解だとか、教宣などというものをもしやっておられればお聞かせをいただければありがたいと思います。  あと、時間があれば再質問させていただくようになるかもしれません。以上です。
  13. 参考人(岸康彦君)(岸康彦)

    参考人岸康彦君) 雇用の問題でございますけども、非常に重要な問題だと私も考えております。農業が衰退しても、どうせ今農家はみんな兼業しているんだから大したことないよという考え方が一方にあるようでありますけれども、私はそれは非常に問題だと思っております。  それでなくても、現在地方を歩いてみますと、新たな過疎といいますか、高度成長期に一たん農村地帯というのは非常な過疎に襲われたんでありますけれども、今また別の形態と申しますか、ある意味ではもっと深刻な状態の過疎が起こっているんですね。例えば、ある県の県庁所在都市は人口がふえるけれども、それ以外の町村というものは軒並み人口が減っているというような現象が起きているわけでありまして、全国で見ると、東京圏あるいは大阪圏というところとそれ以外の地域との間の過疎が存在している上に、県内における過疎というのが新しい問題になっているわけでありまして、もうこうなってくると働き場がないがために、これは農業だけではなくて、森林なども同様な状態でありますから、そのために働き場所がなくなることによってより深刻な過疎が起こっているという問題があるわけでありまして、この地域社会の破壊という上からも非常に大きな問題だと考えているのであります。  それからもう一つ、今円高による不況でもって起こっている新しい雇用問題が企業城下町の問題でございますね。全国至るところに企業城下町ありますけれども、例えば製鉄とか造船とかいったような企業に大きく地域経済全体が依存しているような町がたくさんあるわけでして、そういうところでも新しい問題が起こっているわけで、これはつまり別の見方をしますと農業だけで解決できるような問題では基本的にないんですよ。それはつまり国土全体のバランスある発展というものを考えていく、そういうことがないと、農業だけにその責任をおっかぶせてもこれは解決できないと思うのであります。  つまり、産業の全国的な配置と申しますか、その問題もう昔から言われておりますけれども、なかなか実現しておりません。ときどき実現しているような場所、まあ新産業都市以来やっておりますけれども、それが広く全国に及んでいるかと申しますと、私は決してそうはなっていないと思うんでありますね。例えば北海道なんかにしましても、今までは比較的北海道には手厚い国費の投入 が行われておりましたから今まで何とかもってきておりますけども、今例えば水産がだめになってきた、それから農業も難しい、石炭もだめだと、こうなってまいりますと、北海道の前途はもう容易ならざるものがあるんじゃないかと思っております。  そういう意味で、これはもちろん農業は大事でありまして、そのことは後で一言申しますけれども、まず第一は産業の配置というものを考え直さなくちゃならぬということであります。これは東京圏といいますか、首都圏の過密を排するという意味からも私はぜひ必要なことであって、一部に首都圏の農地は全部転用するようにすれば今の住宅問題なんかたちまち解決するよという議論がありますけれども、そういう観点からも私はこの意見にはくみしたくないというふうに思っております。  それからもう一つ、今農業にはいかにも責任がないみたいなことを申しましたけれども、決してそうではないんでありまして、そういったような地域産業を支えていくためにもやっぱり農業が自立できるようにしなくてはいけないというふうに思うんであります。  私は先ほど非常に農業に厳しいようなことを申しましたけれども、これもまた、昭和三十六年以来農業基本法のもとで農業の産業としての確立ということを言ってきた、それがいまだに実現できてない、これを何とかしないことにはいつまでたったって雇用問題はやっぱり残ってしまうという気がするからでありまして、今全国で一村一品運動というような形で農業とその関連産業の振興が行われておりますけれども、何といっても一番大事なのはその地域に内発するエネルギーだと思うんですね。これをどういうふうにして引き出していくかという意味で、農業団体の責任あるいは市町村長さんの責任というのは、私は非常に大きいというふうに考えております。
  14. 参考人(櫻井誠君)(櫻井誠)

    参考人櫻井誠君) 非常に雇用の問題は難しいことでございまして、簡単な答えが出てこないわけでございますけれども、御案内のとおり農業が近代化する、あるいは合理化するということになりますと、農業就業人口が減るというのは当然なわけでございますが、農協で地域営農集団によりまして集団的に土地を利用していくという場合にも、補助的に兼業農家が農作業をやるという場面はありますけれども、だんだん発展してまいりますと、やはり生産性が上がる、労働時間が減る、こういうことは、それだけ農業その場での雇用は減るということでございます。  一体、じゃ合理化された労働力をどう振り向けるのかと、こういう問題に突き当たるわけでありますが、農協としましては特に地域産業を興そうと、信用事業もやっておりますからそれなりの資金もあるわけでございますから、農協みずから地域産業を興すというのはなかなか大変でございますが、そういうお手伝いをする。それから、同時に地域特産、これは農協がやろうと思えばできるわけでありますから、そういった農産物の加工をやる。あるいは今後におきましては、外国から農産物がどんどん入ってきておるわけでありますから、これを取り返すといいますか、国内農産物のシェア拡大という面におきましては、加工原料の農産物という面にも相当目を振り向けていく必要があるんじゃないかというふうにも考えております。  いずれにいたしましても、岸さんの方からもお話ございましたが、農業だけではなかなかこれ解決のできない問題でありますので、地方分権といいますか、中央にばかり政治が目を向けないで、地方を興すということから相当な施策を変更してまいることが一番ポイントではないかというふうに考えます。
  15. 参考人(勝部欣一君)(勝部欣一)

    参考人勝部欣一君) 安全の問題、輸入問題で御質問がございましたが、私ども安全問題というのは、実はアメリカ消費者運動から教わったことでありまして、添加物を減らしたり表示をきちんとしたりということ、あるいは寡占の問題とか、そういうようなことに対する闘いとか、そういうようなことはアメリカ消費者運動から教わったことで、我々は一生懸命その点で添加物を減らすこと、そういうものについて努力をしてまいって、日本の商品、食品を特によくする運動を進めてきたと思っております。  そういう点で、添加物は相当日本においては減ってきていると、それを今度アクションプログラムのときに、添加物がうんとあったっていいじゃないかと、これはまあどっちかというとヨーロッパの方から大分ありまして、ヨーロッパの方は食品でも加工食品は特に色素関係なんか非常に多く使われておりまして、とてもなかなか輸入できないと、我々の到達点から言いまして、そういうようなことであります。アメリカの方は、残存農薬の点は非常にやっぱりカリフォルニアはうるさいです。  そういうような問題なんかは、いろいろ物によって随分違いますから一概に申せませんけれども、この際にやっぱり安全水準という問題はもう全世界の共通のものでなければならぬと私ども思っていますが、それは努力してきた方の到達点の方に合わせてもらいたいということで添加物の問題等はやってまいりました。しかし、いろいろ輸入の途中におけるさまざまな保管の問題等では、随分いろいろな問題があるということはよく我々わかっておりますので、そういうような問題点を含めて、先ほど言いましたように、食べ物はできるだけ国内でということを私どもはやっぱり基本に置いて、それは健康という観点からも必要だというぐあいに思っております。  それから、ただしアジアの諸国からの輸入問題は、例えばタイで言えばもちなんかは相当実際上入っておりますし、そういうものは自由に輸入できますから、そういう点でおせんべいに化けたりあられに化けたりして、そういったようなものは相当あるということは事実でございます。また、いろいろ植物油をこれは相当東南アジアから私ども自身輸入しておりまして、それのさまざまな、洗剤から食用油から、そういうようなものについての加工に使っている。これはやっぱり日本には少ないわけですから、そういうようなことなんかの点が必要なんじゃないかと思っております。  バナナなんかの場合、本当はフィリピンのバナナとか台湾のバナナとか、いろいろそういうものはできるだけもっと食べたいと思いますが、非常に輸出する前にどっぷりと保存料に漬けまして来るというのはよく知られている事実でございます。それを今わあわあ騒ぎますとまあこれ本当にとまっちゃいますから、そういうことじゃなくて、それを何とか減らす努力をやっぱり向こうの生産者に頼まにゃいかぬ。生産者というか、農民自身のことというよりも、本当にそれを扱っている取引業者ですね、これやっぱり率直に言って相当もうけているわけですから。先生が言われるように、そこのところは、やっぱり向こうの農民もちゃんと潤うような、しかし我々が輸入しても安心できるようなものにしていくという、そういう努力をこれはやっぱり我々も現地へ行ってやらなきゃならぬ。  中国からの農産物も、相当野菜等入れているんですが、やっぱり残留農薬の問題が相当あります、はっきり言いまして。そういう点は随分言いまして、それで大分やっぱりそれは改善されてきているということがあります。  そういうようなことをやっぱり、アジアの人たちとは特に一緒になってそれをよくしていくということをしなければいけないんじゃないか、このように考えております。
  16. 村沢牧君(村沢牧)

    ○村沢牧君 時間がありませんから、櫻井参考人にお伺いいたしますが、農水省から次期対策の骨子が示されておりますが、私は率直に言ってこの対策は、減反面積は拡大するけれども補助金は減らす、あるいは転作目標の誘導作物が明確でない、もう一つ生産者並びに生産者団体の共同責任とするというようなことが特徴であろうというふうに思います。  そこで私は、食管法から見ると、食管法にはな るほど減反農家とうたっておりませんけれども、農林水産大臣が米の需給調整をする、そのために基本計画を立てる、だからそのためにもやっぱり減反をしなければならないという、こういう裏づけの問題があるというふうに思いますけれども、何か共同責任だとかあるいは自主的に生産団体が取り組むということになると、政府自分のやるべきことを逃げているんではないか、そういう気がいたしますけれども。それにしても、農協も責任を持ってやるということでありますが、農協が転作作物の定着を図ったり生産性を高めるのは、これは当然のことだと。今までだってやっておったんだ。今までやってなかったとするならば、まさに農協の怠慢だと思うんですね。  そこで、やっぱりそういう責任を持ってやるためには、自信を持ってやるためにはその条件があると思うんですよ。例えば補助金の問題がある。そこで、転作作物についても、えさ米だとか他用途利用米というふうに言われますけれども、他用途利用米といったって補助金を減らせば採算が成り立たない。えさ米だったって今トン一万円や二万円でつくれるわけないですね。こういう補助金の問題が私はあるというふうに思いますし、あるいは転作面積についても、やっぱり農協は農協としての一つの目標もあろうというふうに思いますけれども、一体、本当に農家に対して自信を持って取り組む、私たちが責任を持ってやる、その条件は何か、そのことを一つお伺いしたい。  もう一点は余剰米の調整保管でありますが、政府が積み越しの限度量とする百五十万トン以上のものは余剰米として集荷団体が調整保管をすると。まあ新聞によれば集荷団体も合意をしたというお話でありますけれども、私は百五十万トンといういわゆる政府の言う積み越し量ですか、私どもは備蓄と言っているけれども、これはやっぱり少ないと思うんですね。かつて我々は三百万トンと言っておった。農林水産省だって二百万トンと言っていた。百五十万トンだけ認めて、あとは農協が責任を持つ、そういうことでいいのかどうか、備蓄についての考え方。  同時に、そのことが食管法で言われる全量管理との関係はどういうふうに考えるのか。そういうことによって全量管理が果たしてできるのかどうか。あるいは流通の問題についても、農業団体自主流通米も持っている。お話がありましたように、いわゆる自由米も出回っている。そこへもってきて調整保管米ですね。いろいろやってまいりますと、自主流通米流通や値段の問題にも関係してくるというふうに思いますね。それらについてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。あるいは保管をする限りにおいては保管料もいただかなければなかなか経営もうまくいかないと思うんですが、保管料は保管者として要請をしていかれるのかどうか。  時間がありませんから、それらの点について、早口に申し上げましたけれども、ひとつ全中にお考えをお聞きしたいと思います。
  17. 参考人(櫻井誠君)(櫻井誠)

    参考人櫻井誠君) 先ほど申し上げましたように、平年作ベースなら七十三万ヘクタールというふうに転作目標面積は私ども考えておったわけでありますが、六十一年の作況が一〇五というふうな事態になりまして、この七十三万ヘクタールでは済まない、これよりふえるのはやむを得ない、こういうふうに考えますが、いずれにいたしましても、現在六十万ヘクタールの転作面積からかなりふえるわけでございますので、これを円滑に推進をしてまいるということの条件としましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、現在の奨励金、大体一反歩四万四、五千円の平均単価になっておりますが、これを維持してもらいたい、確保してもらいたいということで政府に強く現在働きかけをいたしておるところでございます。  生産者団体が主体的にこの問題に行政と一体になって取り組むというのは、言ってみますと、牛乳にいたしましてもあるいは豚にいたしましても、ミカンにいたしましても、いろいろな生産調整をやっておりますけれども、これはやはり生産者団体が主体で取り組んでおるわけでございますが、米の場合には食管との絡みもございまして、これまで行政主導ということでございましたが、ではそれだけで今後は済むのかというところから、先ほど言いましたように行政、生産者団体一体の取り組みが必要だ、こういうふうに認識をいたしておるところでございます。  調整保管売却の問題でございますが、これにつきましては、備蓄百五十万トンというのは政府の方が打ち出しをいたしておるわけでございますが、この百五十万トンという数字は、例えば五十五年の不作、作況八七、一〇〇よりは一三落ち込んでおるわけでありますが、百三十万トンの不作がございましても耐えられる。あるいは五十六年、七年、八年、三年間ぐらい九六という作況がございましたが、したがって四落ちておりますが、三年間続きましても百二十万トンでありますから耐えられる。もちろん不作が起きました場合には、この備蓄数量というのが百五十万になるように翌年度転作面積を減らす、こういう措置も当然とるわけでありますので、私どもとしましては、従来百五十万トン水準というのは、農協としては既に大体打ち出しをしてきた線でございますので、この水準でよろしいのではないか、こんなふうに考えております。  それからもう一つの問題は、調整保管売却というのは、御案内のとおり集荷団体が棚上げをいたしまして保管していく、こういう意味ではございませんで、十月末古米となりましたものを十一月以降計画的に販売をしていく、こういうことでございますが、その場合に一般的には古米格差というものが生ずるであろうというふうに考えるわけでありますが、これらにつきましては、古米格差につきましてはやはり生産者自体が負担をしてまいらなきゃいかぬものというふうに認識をいたしております。  それから、保管の問題につきましては、まだ正式に調整保管売却を農協でやりますという組織、まだ現在途中でございますので、ここら辺の問題につきましては、政府への働きかけはいたしておりません。  それから、全量管理との関係でございますが、御案内のとおり全量管理といいますのは、政府米とそれから自主流通米、超過米含めまして政府流通の流れにつきまして管理をしてまいる、こういうことでございますので、農協の方が調整保管売却をやりました場合に、現在の食管全量管理に触れるというふうには認識をしていないわけでございます。  いずれにしましても、三度目の過剰米処分状態が発生をする、こういう事態になりました場合は、現在でも食管にいろんな批判が出ておるわけでありますから、私どもとしましては食管の存廃にかかわる問題に発展する、そういうふうに認識をいたしておりますから、集荷団体として調整保管売却は対応せざるを得ないのではないか。ただこの場合、ずっとそういう事態が続くということは好ましくないわけでありますので、翌年以降におきまして収穫限度数量の減、転作面積をある程度ふやすということでこの問題の解決を図っていくというふうに考えておるわけでございます。
  18. 宮島滉君(宮島滉)

    ○宮島滉君 参考人の御三方にはまことに御苦労さまでございます。  私から、まず岸参考人に二点ほどお伺いしたいと思います。  今、参考人は、今日までの米政策ではなくて、新しい農業の転換としての画期的な米政策をとるべきではないか、極めて斬新な御意見を伺ったところでございます。したがいまして、今、参考人から転作のいわゆる選択制を設けたらどうかというお話がございました。極めて新しい御意見かと、かように思うわけでございます。  そこで、少し具体的にお伺いしたいわけでありますけれども、いわゆる長期間にわたりまして転作が進められている。したがって、その転作は今もってまだその歯どめがどこなのか全く行方はわからない、そういう現状にあることは言うまでもないわけでございます。したがいまして、その転作のいわゆる選択制を導入するということで例え ば生産をするということになりますと、相当農家にとりましての生産意欲というものは私はわいてくるであろうと、このように思います。  ただ、残念なことには、今日減反のみならずいわゆる減量をしなければならぬと、こういうところに置かれておるわけでございますが、減量との関係がどのようになるのか。いわゆる他用途米としてのもっと利用範囲というものを十分考えて、積極的にやはり取り組むべきではないか、こう参考人はおっしゃっておられるわけでありますけれども、その辺がなかなか実際問題としてどのように推移するのかについてもできましたらお話を伺いたいと、かように思うわけでございます。  それからもう一つ転作を進めていくという中で構造的に私は大きな問題が出てくるんではないか、こう思うわけでございます。それは選択制ということになりますと、どうしてもやはり稲作をつくりやすい地域、あるいはまたその地帯が当然その中に入ってくる。そうなりますと、我が国のいわゆる稲作の地帯というのはやはり分布されてくるようなことになりかねないんじゃないか、そうしたときに、残された地域におけるところの稲作というのはどのように考えたらいいのか、このように実は思うわけでございます。したがいまして、それらのことにつきましてもう少し御意見をお伺いしたいと、かように存ずるところでございます。  それからもう一点は、食管制の問題でございますけれども、抜本的に改正したらどうかという御意見でございます。その中で御意見として出ましたのが、いわゆる間接統制を取り入れたらどうかと、こういうような御意見であるようでございますが、その間接統制にどのような手法があるのか、そこあたりを少し具体的に私はお伺いしたい、かように存ずるわけでございます。  それから櫻井参考人に一点だけお伺いしたいわけでございます。  先ほどから米のポスト三期につきましての減反についてはやむを得ないと、当初は七十万ヘクタールから七十三万ヘクタール程度を実は見越していた。しかしながら、今年の作況が一〇五という数字になって、かつ五十万トン前後の過剰米を超えるように相なった。したがって、この五十万トン程度のことについては当然減反をもって対処しなければいかない。しかしながら、その減反についてはいわゆる緩和措置をとっていくことが望ましい、こう御意見としておっしゃっておると思います。  そうなりますと、次期対策については期間をどの程度の期間という考え方を持っておられるのか。緩和ということになりますと、毎年毎年そのときの豊作なりあるいはまた凶作なり不作なり、そういうものによって流動的に対応していかなければならぬという問題が当然起こってくると私は思う。そこらあたりをどのように考えておられるのか、ひとつお聞かせをいただきたい、かように思うわけでございます。  それから、勝部参考人でございますけれども、先ほどから国民の食糧を安全保障上の見地から、いわゆる米の自給というのは国内で賄うべきことが至当ではないだろうか、こういう御意見でございます。したがいまして、そうなりますといわゆる食管制度というものは堅持していかなければならぬと、まあこのようなことに相なるだろうと、こう思います。  しかしながら、ここで流通サイドという立場からもう少し具体的にお伺いしたいんですが、今、食管制度につきまして、やはり多くの批判が実はあるわけでございます。その中で特にございますのは、まあ今年はいわゆる豊作であった、豊作であるとすれば当然少なくとも国民はもう少し米というのは安くなるんじゃないか、そういうような考え方を実は持っているんじゃないかと、こう思う。したがって、いわゆるその市場メカニズムというものがこの食管制度の中に働いていないんじゃないか、だからそれをやはり導入することが極めて大事じゃないのかと、こういうようなことではなかろうかと、かように思います。したがいまして、先ほど競争に走らないと、こういうようなお言葉も実は伺ったわけでありますけれども、それとはまさに裏腹なことに相なると。したがって、流通のサイドから、いわゆる食管制というものはもう少しどうあるべきかということを、できましたら少し敷衍いただければ私は幸いじゃないかと、かように思うわけでございます。  以上、お願いいたします。
  19. 参考人(岸康彦君)(岸康彦)

    参考人岸康彦君) 先ほどの転作の選択制の問題でありますけれども、私あれに特にこだわっているわけではないんでありまして、あのときも申し上げましたように、あくまでも一例としてまあこういうことも含めて考えた方がいいというつもりで申し上げたんでありますが、私、何人かの方からこういう転作の選択制はどうだろうかという意見を聞いておりますけれども、主として頭にありますのは比較的大きな農家が頭にあるんではないかと思うんですね。例えば、農協などが比較規模の小さい農家を組織されまして、いわゆる地域農業としてやっていかれる場合には、これはしっかりとした転作をされてもいいんじゃないかと思うんですが、大きい農家になりますと、例えば私が会っている何人かの農家は、大体現在でも生産費は一俵一万二千円ぐらいはいっているんですね。そういう農家になりますと、ある程度はやっぱり政府に売るなり自主流通米で高く売らないとこれはまずいけれども、限界的な部分につきましては、これは安くても構わないと言っている農家もかなりいるわけです。そういう農家は、この部分については米価は保障しないよと言われてもやっていけるではないか。  これを押し詰めていきますと、他用途利用米も今おっしゃいますように限界があるかもしれません。私、えさ米まで含めて考えていったらいいと思っておりますけれども、もし限界がある場合には自由米に売るよりしようがないということで、そうするとこれは食管の根幹にもまた触れてくる問題でもあろうと思いますので、軽々にはこれできないだろうと思っておりますけれども、そういうことも含めて今考えていく必要がある。特にさっき申しましたように、今でもかなりコストダウンできている農家のやる気というものを失わせてはいかぬということを考えているということを申し上げたいわけであります。  それからもう一つ、米をつくりやすい地域だけが残っていくんじゃないかというお話でありますけれども、本当にそうだろうかという気も実はしているのであります。今、水田農業確立ということがしきりと言われておりまして、私が先ほど申しました転作という考え方そのものを捨てなくてはいけないということも、ことしは米をつくるけれども来年は必ずしも米をつくらないんだと、ほかのものをつくるんだという考え方ですね。そういうことによって、水田そのものは存在するけれども、しかし米の生産量はおのずから調整ができていくと、こういう状態にできるのが日本農業にとって一番望ましいに違いないと思うんですね。  ところが、そういうことができる水田が今どれくらいあるかと申しますと、全国で三八%あるんですね。そういういつでも田畑輪換ができるような田んぼをつくっていくということがまだまだおくれている。この三八%というのをどういうふうに評価するかというのは別にしまして、まだまだ私から見ればおくれていると思うんです。特に問題なのは新潟を含む東北なんですね。つまり、今米どころと思われているところが一番これからの農業には立ちおくれていくおそれを持っているということを私は危惧しております。  一説によりますと、まあ蒲原平野は田畑輪換なんて言ったってとってもだめだということをある技術者の方が言っておられましたんですけれども、もしかすると将来の農業は米どころが一番おくれるかもしれない。西南暖地の方はむしろいろいろな多角的な経営がしやすいのじゃないかということがありますので、私はむしろ逆に今農業地帯と思われているところが危ないということを考えているということであります。  それから、間接統制に移行したらということでありまして、まあ率直に申して私もおのずから方向としまして次第に間接統制方向へ向かっているんではないかという気がいたしますけれども、これを決めるのは国会を初めとしますやっぱり国民全体の意向でありまして、相当議論をしなくちゃならぬ。  例えば、先ほど備蓄量についての御質問が出ましたけれども、これについても、国民全体で百五十万トンがいいのか二百万トンがいいのかという議論はまだ固まっておりませんし、あるいはもっと大きな問題は、間接統制で一応原則的に流通は自由だと申しましても、ある段階でもって例えば政府が買い入れをする、やっぱり暴落を防ぐためには買い入れが必要でしょうし、暴騰を防ぐとなれば備蓄量の中から放出をしていくということが必要でありましょう。そのための基準となる価格をどうやって決めるかということが非常に大きな問題で、これは下手をしますと現在の米価運動の再現になりかねない。アメリカですらその価格が非常に大きな問題になっているということであります。  あるいはもっと大きな問題は、私は非常に一つ気にかかっておりますのは、間接統制と申しますと、国内の流通原則自由でありますが、その場合に、国内が自由になった場合に果たして外国からの自由化の要求を断ることができるだろうかという、これは非常に大きな問題じゃないかというふうに考えております。今アメリカからも自由化要求が出ておりまして、日本がそれを断っておる理由というものは、国内では全量統制をして国が管理をしておる、貿易も国が管理をしておるからだというふうに申しておるのでありますけれども、国内は自由にしておいて、さてアメリカが自由にしろと言ったらそんなのはお断りだというふうに言うことができるかどうか、貿易だけを国が管理していくということができるかどうか。  私は、法律には全然弱いものですから、何ら裏づけがあって今申し上げているわけではありませんけれども、例えばこういったような点は法律に強い方々が十分に検討される必要があるんじゃないかということでございます。  こんな程度でよろしいでしょうか。
  20. 宮島滉君(宮島滉)

    ○宮島滉君 はい。
  21. 参考人(櫻井誠君)(櫻井誠)

    参考人櫻井誠君) 転作目標面積でございますけれども、ことしが平年作ということでございましたら、来年の十月末に繰り越し古米が約百三十五トンというふうに想定をされておりました。ところが、ことしの作が他用途利用米含めまして千百三十五万トンになりまして、政府の予定量が千八十万トンでございましたので五十五万トンオーバーと、したがいまして百三十五万トンプラス五十五万トンで来年繰り越し古米が百九十万トン。政府の方の主食として売却可能限度百五十万トン、備蓄を百五十万トンと押さえますと四十万トン超過と、こういうことでございますので、四十万トンは一反歩五百キロというふうに見ますと八万ヘクタール、こういうことでございます。  したがいまして、一年間で過剰四十万トン解消というふうに考えますと、七十三万ヘクタール・プラス八万ヘクタール・イコール八十一万ヘクタールと、こういうことになるわけでありますが、これはとてもじゃないが、現在六十から八十一になるわけでありますので、そういう単年度の解消というのは農家の側からいきましてものめないというふうに考えます。したがいまして、これはならす必要があるということを私は申し上げたわけでございます。  期間につきましては、私どもはおおむね十年、次期対策はおおむね十年。といいますのは、政府が今作業を進めております農政の基本的な方向、二十一世紀に向かいましての方向を検討しておりますが、これは昭和七十年次を目標年次といたしておりますから、六十二年から計算いたしますと九年間ございます。したがって、おおむね十年というのはそういう意味合いでございますが、財政当局の方は三年というふうな主張もあるようでございまして、まだこの期間につきましては決着がされていないというふうに見ております。  一期三年といたしますと、その三年間の転作面積、これにつきましてはなるべく動かさない方がいいというふうに考えるわけでありますが、現実の問題といたしますと、作柄が年によってかなり変わってまいりますので、状況に応じまして、原則固定でございますけれども、在庫数量なり作柄によりまして変動はやむを得ないというふうに理解をいたしておるところでございます。
  22. 参考人(勝部欣一君)(勝部欣一)

    参考人勝部欣一君) 大変大事な御質問でありまして、非常にしかし答えにくいことでございます。はっきり言いまして、間接統制という問題について、私ども自身非常に、我々の立場からいってどう考えたらいいかということを実は今一生懸命論議をしている最中でありまして、そういうストレートに間接がどうかという問題につきましては、今ここでちょっと意見を述べさせていただくのを差し控えさせていただきたいと思っています。  ただ、非常に長年銘柄が中心の現在価格形成で、自主流通米におきましてもそういう点がありまして、我々は標準価格米をできるだけいい米をと、うまくていい米をということで標準価格米の強化努力してきたんですが、なかなかそれは伸びません。今現在は、実際上我々の自主的ブレンド、例えば農協の経済連等のやったものが一番どっちかというと伸びているということで、我々自身がやっぱりある程度そういう本当に安くてよい米、しかもこういう炊き方をしたらというところまで含めて、そのことでいいというものをある程度一年をシーズンごとに区切りまして、そして適切なブレンドをしていく。  そういうことで、今県段階でも、米の品質のいろんなことにつきましての適正化協議会があります。そういうところでのある程度のグレードづけの中で価格の問題が決まってくるみたいな、ある一定の、あるいはゾーンでもって決まってきて、その中である程度競争があるとか、今は実際は競争になっておりますから、最高価格であとは競争になっていますから、そういうようなことが中身としてはあって、やっぱり品質の点の競争という点がどっちかというとこれから大事になってくるんじゃないかなと思っております。この点は、私どもとしてササ・コシ信仰はやめようじゃないかということで、各地域でなかなかいい米がありますし、同じササ・コシでもデルタのササ・コシはまずいし、やっぱり硬質米がおいしいしということがあります。  それから、備蓄の問題につきまして、やっぱり備蓄につきましては、私どもは三カ月分ぐらい、二百万トンぐらいあった方がいいんじゃないかという考え方は持っていますが、ただ先ほどもいろいろお話がありましたように、備蓄をしてもそれが価値がある米という、そういう三、四十年前には日本でちゃんとやれていた、あるいは昔の武士の石高が証明しているみたいに、本当に古米を実は味つけ米として昔は新米に加えてブレンドしたわけでございます。そういう点でのおいしさというものが逆にあったわけでして、やはり乾燥の方法その他を含めまして、やはり備蓄をする米というものは、やっぱり将来とも単なる古米というのじゃなくて、立派な味つけ米として通る、そういうやはり米であってほしい。そういうことであれば、十分に何年間かのレンジの中において一定量も確保しながらうまく調整ができるんじゃないだろうか、そのように考えておりまして、その辺はやっぱり国の責任という問題はやっぱりはっきりと置かなければいけないというぐあいに実は思っております。そういうことだけ今申し上げさせていただきたい。
  23. 宮島滉君(宮島滉)

    ○宮島滉君 時間も参りましたので、終わりたいと思います。  御三方には貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。
  24. 刈田貞子君(刈田貞子)

    ○刈田貞子君 公明党の刈田でございます。  きょうは参考人の先生方ありがとうございました。  時間がございませんので、簡単に三人に質問を先にさせていただいてしまいます。  まず、岸参考人にお伺いをいたしますが、先ほどの話の中で、これまで九年、三兆円の国費をかけて過剰米が出ないようにいろいろと方策をしてきたというお話をなさいましたわけで、今後も第三次過剰米のような状況をつくってはならない、繰り返してはならないということをおっしゃいました。その上で、一方で、三十六年以来、農業基本法に従って、産業としての農業確立を図ってくるために農業の自立を進めてきたのであるということを言われたわけでございますけれども過剰米をつくらないためにさまざまな作業をし、そして転作も進めてきたということの裏に、助成金、補助金というものが大きな力になっておるわけでございます。しかし、この日本農業の中心である稲作を自立させていくということの中で、こうした助成金とか補助金とかいうものへの考え方、これをどのように基本的に考えていけばいいのか、そして日本農業というのはどういう行程を経て産業という認知を受けるようになるのか、このことについてお伺いをいたします。  それから、市場開放の問題について、二十二の残存輸入制限品目について触れられました。しかし、この二十二の残存輸入制限品目も、米を守るためには譲るべきところは譲らなければならないのではないかということを申されたわけでございますけれども、この二十二の残存輸入品目の陰にやはり生産者があり、そこにシステムがあるわけでございますけれども、この譲るべきところは譲るという考え方について、かなりシビアな手だてが、品目別にいろいろあるわけでございますけれども、必要であろうというふうに思います。政策的にどんなことが考えられるのだろうか、このことを、恐縮でございますが、お伺いしたいと思います。  それから櫻井参考人には、ほかの先生方がみんな各論のようなお話を聞かれましたので、私は総論めいたことでお話を伺いたいんですが、農業協同組合の本来の目的と機能というような形に立って考えたとき、これから新しい内外の流れが変わらんとする中で、これからの農協というのはどういうことを最重点に物を考えていかなければならないか。既に今までの論議の中に出てきておりますけれども、まずどんな御自覚に今立たれておるのかということを伺いたいと思います。  その背景には、これからの農村、農業のあり方、そして農家のあり方、こういうものを踏まえなければならないと思いますけれども、とかく私どもに聞こえてまいります話の中に、組合員の農協離れとかあるいは事業の伸び悩みとか、あるいはまた組織の硬直化とか、金融の自由化への立ちおくれとか、いろいろと悪口が聞こえるわけでございます。また、先ほどコスト低減対策について強力に取り組まれていくという御決意もあったわけでございますけれども、例えば米に関していえば、このコスト低減化に一番足かせになっているのは農協の資材というような話が覆面対談なんかでも出てきたりするわけでございます。こういう問題を総合して、今後農協があるべき働き、あるいはするべき働きというのはどんなことかということ、大変お耳ざわりで恐縮でございますけれども、伺わせていただきたいと思います。  それから勝部参考人には、大変お忙しいところをありがとうございます。先日立派な消団連大会を済まされたわけで、その中でことし特に食糧、農業の問題について大変論議が活発に各部、大会で行われたことをよく存じております。  私は、そこでお話をしたいのは、先ほど来食管については、これは消費者立場から言えば堅持すべきであるというお話であり、今回の消団連の最後の大会決議においてもそのことが結論づけられております。けれども、別なサイドで、農協婦人部が入っておったからあの結論が出たのであって、そうでない団体、あるいはまたそうでない消費者意見もあるんだと、もう既に食管は自壊しているではないかと、それをむしろ追認していくことの方が消費者サイドからの大事な仕事ではないかという持論を持っている方々もあるようでございます。私は消費者団体の出身といたしまして、こうした方々については、生産現場の状況をもっと理解するために消費者は勉強しなければならないということは申し上げております。しかし、勝部参考人が言われたように、消費者サイドの意見が本当に食管堅持という形に一枚岩になっているのかどうなのか、お伺いします。  それともう一つは、備蓄の話でございますけれども、私ども公明党でも備蓄法というようなものを提言してまいりました。この備蓄という問題について、これが保障されておればあと流通は自由でいいではないかというふうなことも出ているんですけれども消費者サイドから考えた場合にどんな御意見をお持ちになりますか、お伺いさせていただきます。
  25. 参考人(岸康彦君)(岸康彦)

    参考人岸康彦君) 初めに補助金についてでございますけれども補助金の弊害につきましてはいろんなところで論じられておりますから改めて申し上げるまでもないと思うのでありますが、例えば私の知っていると申しますか、さる友人の農民がこういうことを言っています。畑に水路を掘るのに、補助金をもらってやるよりも、補助金といっても自己負担分がありますから、その分を使えば自分でやったらできてしまうと言うんですね。これはほんの一例であります。つまり、補助金を使うがために高くついてしまっているというようなケースが随所にあると思います。これは既に至るところで指摘をされておりますからくどく申し上げませんが、そういうことではなくて、補助金を私決して否定するわけではありませんし、もっとうまい使い方をした方がいいんではないかと、うまいといいますか、もっと重点を置いた使い方をしていきたい。  それは、先ほど申し上げたような、例えば基盤整備にはもっともっと金を使っていいと思いますし、あるいはお米の値段を維持しているんだったら構造政策に振り向けた方がいいと思います。それは、まあやや大げさな言い方をすれば、つまり二十一世紀になって役立つようなお金の使い方をしたらどうですかということを申し上げたかっただけのことでありまして、補助金全面否定論では決してございません。  なお、先ほどの三兆円の話でありますけれども、この三兆円は過剰米の処理のために既に使ってしまった金でございますので、つまり過剰米を処分するだけのため、どぶに捨てたと言うと怒られるかもしれませんが、私に言わせれば何の役にも立っていない金を使ってしまった。それだったら、もっと別の使い方があるんではないかということを申し上げたかったのであります。  それから、農業が産業として自立していく過程というのは、これは多分分厚い一冊の本が書けるぐらい大きな問題だろうと思いますけれども、非常に簡単に申しますと、一つは借地あるいは請負耕作などの形による経営規模の拡大による大型農家の育成ということではないか、それが第一点ですね。  それからもう一つは、櫻井さんの農協が常に強調しておりますいわゆる地域農業、兼業農家までくるみ込んだ形での地域農業という行き方が一つあろうかと思うんですね。  それからもう一つ、最近全国の至るところで農産物自給運動というのが盛んでございます。これは主婦が、非常に多くの主婦がパートに出ておったわけですけれども、パートに行って少しばかり小銭を稼ぐんだったら、自分とこで野菜をつくれば三十万円や五十万円ぐらいは一年間に自給できるじゃないかということにみんなが気づき始めたわけでありまして、そういう形でもっての自給型の農業というものが今かなりできつつあると思うんですね。この自給型農業は軽く見れば軽く見ることができると思いますけれども、私はこういうところに主婦の力というのが生かされているということを非常に重く考えたいと思うんです。  だから、一口に産業としてというふうに申しますけれども、必ずしも企業的な経営だけを目指していくべきかと申すと、必ずしもそうではないんで、いろんな方向を模索していく中で、一方には非常に大きな企業的な農業もできてくるんではな いかということを申し上げたいわけであります。  それからもう一つ、二十二品目のことでありますけれども、確かにそれぞれの品目について地域生産者がおりますし、システムもあるということはおっしゃるとおりでありますけれども、私今すぐ全部やれというふうに言っているわけではごごいませんで、このそれぞれの品目につきまして年限を区切りまして、この品目はいつごろまでだったらできるよという目標を定めて検討していくこと、これすら今までやってないんじゃないかということであります。まず第一に必要なことは、ある目標時点を定めて、その間にその品目に対して重点的な農業振興策をとるということであります。これが第一点でしょう。  それからもう一点は、これはこの春でしたか、出されましたOECDの報告が言っておりますように、国境措置よりはむしろ地域政策として考えるべきだということがやっぱりあろうかと思うんですね。先ほど申しました地域の産業全体の中でその農産物をどういうふうに見ていくかという問題ではなかろうかと思うのであります。  それからもう一つ、第三点は、これも先ほど申しましたが、今申している二十二品目というのは輸入の数量制限をしているのでございまして、これにかわるべき国境措置というものがないのかどうかということを考えてみてはどうだろうか。先ほど課徴金とか季節関税とかいうことを申し上げましたけれども、それも一つではないかというふうに考えております。
  26. 参考人(櫻井誠君)(櫻井誠)

    参考人櫻井誠君) 時代の情勢が急速に変わっていく中で、農協に対してもいろんな批判が出ておると、農協運動としてこれから最重点に取り組むのはどういうことであるかと、こういうふうな御質問であったかと思いますが、私どもはやはり農業協同組合でございますので、良質なしかも安全な農産物を低コストで安定的に供給するというのが最大の任務であろうというふうに考えます。  そのためには、現在の資源、土地、それから機械、施設、こういったものを効率的に利用できる仕組みをつくっていかなければいけない。つまり、地域営農集団等がそういった一つの仕組みであると、その推進をやっておるわけでありますが、同時にもう一つは、農村の地域社会の活性化をやりたい。先ほど若干申し上げましたけれども、農協としてもそれなりの手伝いといいますか、みずからやることもございますし、手伝いすることもあるということで取り組んでおるわけでございますが、もう一つは、そういった営農面の活動と同時に、農家の生活、これが健康で豊かに連帯を持って進めるような、農協からしますと、農協生活活動と言っておりますけれども、これの長期方針を去年の十月に立てまして現在その実践をやっておる。  それからもう一つは、農協の経営刷新強化でございまして、現在のような形のままで明治三十三年できました農業協同組合が相当な歴史を持っておるわけでありますけれども、二十一世紀に向かって一般の企業との競争の中でこれは生き残っていかなきゃいかぬわけでありますから、相当な覚悟でこの組織あるいは事業、経営の刷新強化をやらなければいけない。金融自由化が進んでまいりますし、高度情報化は進んでくると、こういう中の取り組みでございますので、相当きついわけでございますが、現在そのような実践を進めておるところでございます。  いずれにいたしましても、協同組合というのは、組合員みんなが企画をいたしまして、組合員みんなが運営をして、組合員みんなが実践をするというのが協同組合の精神でございますので、過去八十余年の歴史をさらに二十一世紀に向けて拡充するように運動していかなきゃいかぬと、このように覚悟をいたしておるところであります。
  27. 参考人(勝部欣一君)(勝部欣一)

    参考人勝部欣一君) 消費者大会でどうであったかという刈田先生のお話でございますが、もとより今のさまざまな論調を反映しての相当消費者団体につきましても意見のあったことは事実でございます。消費者大会の前の段階でも相当かんかんがくがく論議いたしました。  もちろん、もう少し米自由にしたらどうかという意見、輸入もあっていいんじゃないかという意見はあります。ありますけれども、やはり論議の中で、決して農協婦人部が入っているからと、そんなことじゃなくて、基礎食糧である米というものはやっぱり日本で賄うということで、それについてはやっぱり国の税金が使われるべきであると。それは要するに必要な経費というので、赤字という考え方は間違いだという論議もいたしまして、そしてちゃんとした、現状に合った食管制度にしていくべきだということを含めまして、現在の食管が全部いいということは、どっちかというと、私どもの気持ちからいうと非常になし崩しにされてきたというぐあいな感じは持っておりますものですから。  しかし、現状米はこれだけ生産性が上がって、実際たくさんできてくるという段階の中で、今農協が非常に大変な苦労をしているという問題、こういう観点の中で我々はどういうぐあいに、自主流通の問題を含めまして、消費者のニーズにこたえていけるものを生産者と話し合ってつくっていくのか。今はいろいろ、例えば胚芽米のことなんかを含めて、健康の観点での米ということがやっぱり一番ありまして、消費支出の方では、御存じのとおり全消費支出の二・三%というのが今米の支出でございますから、全農家の収入から見ましたって五・六%というぐあいにして、米の比重は非常に下がっているわけですね、実際。  しかし、やっぱりそれが基礎であるということにおいては変わりないということを実はそれだけの討議を踏まえても確認して、したがってそういう点でやはり安くてよい米ができるような、あるいは農家が今の複合的な経営で、しかも兼業農家もその中にミックスされて労働力配分がうまくできるような、私どもは五世帯か十世帯の家庭班というのをもって向こう三軒両隣やっているんですが、それは農協さんが昔からの一番の大事なやり方ではなかったのかと。日本農業が生きるとすれば、やっぱりそうやってさまざまな作物をつくっていくということを複合的にやるんじゃないと、現在の我々の消費支出から見たってそうじゃないかと。  その点で、米は米だけの原価計算とか、麦は麦だけの原価計算、果樹は果樹、野菜は野菜、大豆なんかも相当まだ高うございます。いろいろそういったものについて、やはり一つの田畑が複合的にいろいろさまざまな生産ができてくると、そのための基盤整備じゃないか。そのために税金使うのはいいけれども、それがちゃんと生きて複合的な原価計算がされる、そういう田畑でないとやっぱりこれから先の将来には生きていけないんじゃないだろうかと。そんなようなことについて、地域でできるだけその辺の話を詰めていきたいということで中身としてやっています。  今も岸さんから話がありました農産物自給運動、これは私ども農家の婦人たちだけじゃなくて、年寄りたちがこれに非常に生きがいを持って、そして子供たちもやっぱり自給する作物の方がおいしいということで、学童給食関係も進めている。こういうような部分は、日本全体から言えばあるいは二割か三割かの部分かもしれませんけれども、しかしこういうことがやっぱり基礎的にあって初めて大都会の他の消費者の分も賄え得るんじゃないだろうかというぐあいに考えておりまして、こういう運動は非常に農協婦人部が進めていまして、そういうものは私ども一生懸命協力をして、援農に都市の婦人たちも行ったりしまして、そういうようなところから分けてもらうというようなことをやっている面も相当ふえています。  そういうようなことなんかが、実際にはこの問題を解決していく基礎になるんじゃないだろうか。若干急がば回れみたいですけれども、そのことの道を着実に歩むことが一番大事じゃないかなというぐあいに考えています。
  28. 下田京子君(下田京子)

    ○下田京子君 参考人の皆さん御苦労さまです。三人の方に一緒に御質問申し上げます。  岸参考人でございますけれども経済大国日 本、ガット加盟国の日本、この日本国際社会で生きていくためにどう農業を考えていくか、大いに議論すべきだとお話がございました。  私、この際に忘れてならない点を三点ほど申し上げたいんですが、一つは、今これほどにお米の自由化も含めて非常に内外圧が強まっていますが、その一つには異常円高がある。この問題です。  二つ目には、経済大国日本であったなら、例えば国際米相場の中心になっているタイの生産者価格をどう見るかという問題です。一九八一年はもみトン当たり三百四ドルでございましたが、現在は百三十七ドルと、ついに二分の一の飢餓輸出をしている。これを前提としてやはり十倍論の攻撃があることをやはり私たちは考えなきゃならないんじゃないか。  それから三つ目には、ガットの問題ですけれどもアメリカの場合には、ウエーバー品目という格好で、国内でこれはガット上もう認められているものがございます。ですから、米を守るために日本の譲るべきは譲るという手法だけでどうなんだろうか。むしろ、日本のお米の必要性、そして水田農業の重要性、これをもっと強調すべきではなかろうか。  以上、お願いいたします。  次に、櫻井参考人でございます。  生産者みずからの問題として今の厳しい農業を考えなきゃならないというお話でございました。全くそのとおりだと思うんですけれども、私は大変心配しています。つまり、生産者みずからの問題として農業を守る、米を守るということで、結果として八十万ヘクタール以上の転作面積の拡大を引き受け、なおかつ十アール当たり一万八千円程度の奨励金でがまんをし、あげくの果てに四十万トンの自主調整というその保管料もいただかなくてもがまんしていくと、結果として食管が守れなくなるようなことになりはしないかという点で、聞きたいことは自主調整の四十万トンのこの売却方法でございます。  来年の十一月から百九十万トンのお米を売っていくわけです。政府は百五十万トンを売るわけです。農協は四十万トンを引き受けて売っていくわけです。その売り方を農協はどういうふうに考えていこうとしているのか。政府は百五十万トン、月々三十万トンしかはけないと。うち新米比率三、古米七で売っていっても七カ月かかると。梅雨を越すと売れなくなって、二年古米で消費者負担をかけるからまずいということになりますから、とすれば、農協は自主流通米、そしてその四十万トンをどういうふうに売っていこうとしているのか。  さらに、消費者にとって月々五十五万トン、口に入っていくのは決まっているわけですね、おおよそ。そうすると、政府米と、それに農協で売るのと、さらにやみ米とがあっていくわけです。そこで値崩れが起きないだろうかという問題が一点。  次に、その売れにくい米は、抱えた地域、農協、農家は一体どうなっていくんだろうか、この二点です。  それから最後に、勝部参考人でございます。  いろいろ問題がありますが、私は食管の機能は生きていると思います。この機能をしっかり守っていく上で消費者団体で今一番希望するのは何なのか、これが一つ。  それから二つ目に、今大事な問題なんですけれども、そういう点で私ども国民の主食である米を生産する際に、生産者にとっては生産費を償う価格保障というのは当然だと思うんです。同時に、消費者から見まして、機械などの過剰設備投資を消費者が受け持つということはいかがなものかという疑問が出ている。これも当然だと思うんです。とすれば、肥料、機械などのこの資材の思い切った値下げというのが必要じゃないか。同時に、これは国際的に見ましても、日本のメーカーが輸出する価格は、これは輸出価格に比べても国内価格が非常に割高になっているんです。ここにこそ今メスを入れていくことこそがお米を守っていく上でも重要な課題ではないでしょうか。  以上、お三方にお願い申し上げます。
  29. 参考人(岸康彦君)(岸康彦)

    参考人岸康彦君) 下田先生の御質問大変厄介な問題ばかりでありますけれども、まず円高でありますが、実際に既に日本農産物の中でも、今までせっかく輸出をしていたものが、数少ない輸出品目の中で頑張ってきたものがこの円高で参ってしまっているというケースがいっぱいあります。ただ、これはいわば日本経済力が高まってきたことの結果であるということでありますからこれを我々逃げるわけにはいかないと思うのであります。痛い目に遭っておりますのは農産物だけではないということをいつも私は農家の人に言っているんであります。何か農業の関係者はもういつもおれたちが被害者なんだという意識に取りつかれているのでありますけれども決してそうではないんで、例えばあれだけファミコンを売ったバンダイというような企業でも、ことしは減収でありますし、減益でしたか、ソニーだってそうですよね。大企業であってなおそうでありまして、中小企業に至っては大変な苦労をなめておるわけです。だから、円高というやつはこれは嘆いてもしようがないわけでありますから、何としてもこれに立ち向かえるだけの力をつけていく以外にないんだというふうに私は言っておるのであります。  それから二点目、これはタイの生産者価格の安いのはあそこの労賃が安いからということ、これもまことにもっともであります。飢餓輸出じゃないかということを言っておるのでありますけれども、確かにアメリカですらタイには困っているくらいでありますから、非常にいわゆる途上国の低賃金というものがこれからますます問題になるだろうということはわかるのでありますけれども、これも国際市場においては競争条件の一つになってきてしまっているわけですね。現実にそうなっているわけですね。  だからこそ、アメリカもあれだけお米に補助金をつけて輸出をしていっているというような状況でありまして、これだけ日本の賃金ベースが高まってきますと、じゃタイに対抗するために日本も賃金を下げるか、こういうことができるかといいますとそれはできる相談ではないのでありまして、やはり我々できる限りのコストダウンの努力をしていく以外にはないということであります。私、もちろん日本のお米がタイ並みの生産費でできるようになるというふうに申し上げる自信は全然ありませんで、これは恐らく相当難しいんじゃないかと思います。だからこそ今お米の自由化をするかしないかということが非常な問題になっているわけでありまして、私が慎重でなくちゃならぬと申し上げたのもそれだからであります。  ただ、じゃ日本があくまで米を自給するということについての根拠ですね、それをもっともっとはっきりさせていかないと自由化の論理には対抗できないということも私は感じております。その場合の論理の立て方でありますけれども、これは余計なことかもしれませんが私はこう思っているんです。  日本農産物の自給度をどんどん低めていってしまうということは将来どういうことが起こるのか。現在、世界の人口は四十八億でございます。これが二十一世紀には恐らく六十億を超えるということはもうはっきりしておりますね。そういうときに世界の食糧生産というものが一体ついていくのかどうかということが大きな問題でして、そういうときに日本が食糧の自給を全くといいますかやめてしまっているということは、逆に申しますと札束でもってほっぺたをひっぱたいてある国から食糧を日本へ持ってくるということになるわけでありまして、それはとりもなおさず世界の中で食糧が足りない国の分をさらに足りなくしてしまうという問題があるわけであります。  現在、食糧安保論というのは、今の時点では非常に通じにくいというのが実情だろうと思うんですね。我々も食糧安保ということを申しましても、そんなことを言ったって石油を見ろということですぐやられてしまいます。しかしながら、じゃ二十一世紀を考えるとどうなんだろうか。こう いうことが、日本のもちろん土地を、国土をもっと多面的に利用していくとか、あるいは産業のバランスということもありますけれども、もっと広く考えますと二十一世紀において日本が足りない国の食糧まで奪ってしまっていいのか、そのための備えをしていかなくていいのかという問題があるんじゃないかというふうに私は考えております。    〔委員長退席、理事水谷力君着席〕  最後に、ガットの問題でありますけれどもガットのウェーバーは確かにアメリカは不当な利益を得ているのかもしれませんが、一つだけ言えることは、日本アメリカに対してあなたのところのウェーバーはおかしいぞと、ウェーバーはやめなさいと、こういう要求を仮に出したとしましょう。それはその場合には、日本アメリカと刺し違える覚悟をしてやらなくてはいけないということであります。アメリカは必ずフェアな貿易ということを求めまして、わかったと、おれたちはウェーバーを全部やめますよと、じゃ日本は米を完全に自由化するかと、こういうふうになってくるに決まっていると思うんですね。いや、決まっているかどうかわかりません、これは非常に大胆な推論をすればそういうことがあり得るということなんですね。  だから、日本は譲らないでアメリカだけウェーバーはやめるということはできるはずがないんでありまして、我々はこれだけ譲るからあなたの方も譲れという言い方はできると思うんですね。だけれども、我々の方は二十二品目全部だめだと、あなたの方だってウェーバーはやっているじゃないかという議論はなかなか通じにくいのじゃないかというのが私の考え方であります。
  30. 参考人(櫻井誠君)(櫻井誠)

    参考人櫻井誠君) 先ほど次期対策につきましては、生産者団体も主体的に受けとめまして行政と一体となって推進をしなければならないということを申し上げたわけでありますが、下田先生の心配点が出てまいりました。私は、何も八十万ヘクタール、それから奨励金が一万八千円でやるということを申し上げておるわけではございませんで、ならすべきであると、四万四、五千円水準は確保せいと、こういうことを言っておるわけでございます。  この四十万トンの調整保管売却をどんな形でやるのかと、こういう具体的な御質問でございます。御案内のとおり、政府の方は百五十万トンを計画的に古米で売却をしてまいる。その場合七割ぐらいの比率であれば七カ月ぐらいかかるのじゃないか。四十万トンの残ります分は、超過米でなくて自主流通米という形で残るであろう、また残さにゃいかぬというふうに考えます。これを販売をいたしていきます場合には、新米も同時に供給をするわけでありますので、自主流通米の方が全体的に二十五万トン水準というふうに考えますと、新米十七万トン、古米八万トンというふうに見ますと五カ月かかると、こういうことでございまして、その場合に一つ問題になるのは古米格差の問題でございます。  これらの問題につきましては、私どもの考えでは、例えばその負担自主流通米で残った生産者が負担をする、あるいは超過米の生産者が負担をする、こういうことではまずい、うまくいかない。なぜかと言いますと先生が御心配のような、じゃ早く売っちゃおうというようなことで競争が激化をして収拾がつかなくなる、こういうことでございますので、今考えておりますのは、米の全販売農家、つまり政府米として出した人も、超過米それから自主流通米で出した方も、全体的にこれをプールで負担をする必要がある。それによって例えば毎月の売却におきまして、政府米はこれぐらい、それから自主流通の方はこれぐらいというのを、全量管理の方式でありますから、計画的に販売を秩序立ってやっていく、こういうことが今申し上げましたような値崩れ云々とか競争激化ということを防ぐ道ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  31. 参考人(勝部欣一君)(勝部欣一)

    参考人勝部欣一君) 食管の機能の中で何が一番消費者の側から必要かという点は、先ほど申しました中ではやっぱり騰貴を抑えるということが一番で、昔、米騒動を初めとして、農民が悪くなくて中間商人が悪くて結局えらい騒動が起きたという歴史がございます。これはやっぱり何としても抑えなきゃならぬ、そのための備蓄。これも四年前に、端境期に十万トンしか政府米がなくてそれでもう大変苦労したことがあります。ですから、そのためにはやっぱり備蓄というものは一定量必量であるということをさっき申し上げたわけでございまして、この観点が一番食管の中で最も消費者の側からとって大事なことだというふうに考えております。  それから、生産費の点では肥料、機械の問題お話にありましたけれども国際価格比較ちょっとわかりませんけれども、私どもはできるだけ小規模集団での複合的な農業ということがいいので、産直やっていますとそういうふうなところへぶつかるわけですね。例えば堆肥なんかを共同でもってつくっている小規模集団、それから農機具、特に大型の農機具は個人所有をしない、みんな共同で持っている、こういうところは大変コストも安く上がっていますよという、そういう話を、産直やっていますとそういう例にうんとぶつかるわけですね。ですから、そういう点は非常にお互いに進めるべき道じゃないだろうかということでずっと農協とも話をしてきた点でございまして、やっぱりそういう道をちゃんとやるべきだ、やればちゃんとやれるはずだということで、実例なしじゃなくて実例をもってそういうことを話をしてきたということでございます。  それと、ちょっとついでですが、私どもは国際協同組合同盟というところに農協、漁協と一緒に入っていまして、森林組合も入っていますが、全世界で五億人ぐらいの組織になっていまして、ここでは食糧の自給運動というのが国際協同組合同盟の、やっぱり協同組合はそのことを一生懸命やるべきだという、これは国際的にもそういうことを取り決めております。  そのことが、いわゆる戦争原因が石油であったり食糧であったりすることはよくあるわけですけれども、そういうことを長期的に除いていく基本のところをやっぱりやることなんで、それから飢餓の問題でも、本当に私どもユニセフの関係でいきますと、大変苦しんでいるところがあって、それと我々の飽食の関係どうなんだというそんな議論を私ども組合の中でしているわけでございまして、そういうような問題こそをちゃんとやっていくということが本当の平和な世界というものをつくっていく基本じゃないだろうか。  このことで、これはもう私どもは、資本主義国、社会主義国、途上国問わず全部入っておりますので、そういうようなところでは一致しております。    〔理事水谷力君退席、委員長着席〕 そういう点を基礎にした考え方で食糧の自給というものはやっぱり必要なんだということを考えて進めておりますので、その観点も最後につけ加えさせていただきます。
  32. 関嘉彦君(関嘉彦)

    関嘉彦君 きょうは、お三人の参考人の方、お忙しいところどうもありがとうございました。  いろいろお教え願いたい点がたくさんあるんですけれども、我が党は零細企業でございますので割り当て時間がたった五分しかございません。一、二の点だけ質問したいと思います。  まず最初に、岸参考人に質問したいと思いますけれども、現在の食管制度手直しして生産者米価引き下げて、浮いた金を基盤整備に充てる、あるいは一部を消費者に還元すべきじゃないかという御意見だったと思いますけれども、私も基本的にはそれに賛成なんですが、生産者米価を下げる場合に、例えば昭和何年度からこういうふうに下げるんだ、あるいはさらにその二年先にはまたこれだけ下げるんだ、何%下げるんだというふうな目標を定めて下げていくというふうな意味で言われたのか。あるいはやっぱり毎年、毎年の、今までやってきたように生産費・所得補償方式で、豊作のときにそれを下げていく、そういうふうな考え方、ことしは前年度並みになったんですけれ ども、それを下げていく、そういう下げ方を言っておられるのか、そのことをひとつお伺いしたいと思います。  櫻井参考人には、ほかのこともいろいろお聞きしたいんですけれども、米に限ります。  現在の政府食管制度を含めましての政策、これ今までは私はいろいろな事情があっていい面もあったと思いますけれども、二十一世紀を展望して今後現在のままのやり方でいいというお考えなのか、もし改めるべき点があるとすればどういう点を改めたらいいか、そのことを非常に大きな質問でございますけれどもお願いしたいと思います。
  33. 参考人(岸康彦君)(岸康彦)

    参考人岸康彦君) 生産費・所得補償方式は、かなり合理的な方式であるということは認めるんでありますけれども、残念ながら過去三年間の事情しか反映しないという問題点がございます。今必要なことは、もう少し需給事情を反映した米価の決め方をしていく必要があるんではないかということが第一点でありまして、既に若干そういうことを加味した調整がなされているのでありますけれども、もっとそういう点を出していったらいいのではないかというふうに考えております。なお、これにつきましては米価審議会でもっと議論を深める必要があると考えます。  それから、米価の決定の時期についても、生産者がことしどうするかということを判断するためには、これは全く個人的な考えでありますけれども、もう少し早く決めた方がいいんではないかという考えも持っておりますけれども、このあたりもやはりなお米審あたりで考えるべきことかと考えております。
  34. 参考人(櫻井誠君)(櫻井誠)

    参考人櫻井誠君) 私は、食管制度につきましては根幹が四つぐらいあろうかと思います。  一つは、国民が必要とする量、これを政府の方が全量管理をする。全量管理という意味は、その中で政府が一定量買い上げる、それからそうでないものは自主流通流通政府が責任を持って管理をしながらさせていく。それからもう一つは、生産者につきましては再生産確保、消費者につきましては家計安定の価格で安定的に供給をしてまいるということでございます。それから、政府が管理の責任を持つわけでありますから、政府管理経費は政府がこれを負担する。それからもう一つは、流通ルートが特定をしておりませんと自由販売になりますので、これは特定をしておく必要がある。それからもう一点は、国によります米の輸出入の管理制限でございます。  そのような根幹は、今後におきましても守っていく必要があるというふうに考えるわけでございまして、もちろん今の制度全体を見ましてどこも直すところないというふうには考えておりません。改善を要する点はあろうかと思いますが、今申し上げました根幹は守らなきゃいかぬというふうに思っておるわけであります。  今後の問題としましては、特に土地利用型の農業、これが非常に立ちおくれておるといいますか国際競争力がない、こういう現状にございますので、これから二十一世紀に向かいましての一番大きな問題は、土地利用農業につきましての構造改革、コスト低減、これが基本的な目標にならなければならない、こんなふうに考えておるところでございます。
  35. 山田耕三郎君(山田耕三郎)

    山田耕三郎君 参考人のお三人様、御苦労さまでございます。  私は櫻井参考人にお尋ねをいたします。  先ほども農協に対する批判が多い、こういうお話がございました。同感でございます。やっぱり批判がありますということは、それに共感をなさる読者があり国民がおいでになるからだと思います。しかし、このことはよほど注意をしておかないと生産者と消費者とが戦わされておることになり、国家の将来にとっては大変危険なものをはらんでおりますと私は思います。そういう立場から、こんなことは今考えることができないことなのだろうか、愚問になるかもしれません。  それは、お米の消費奨励によってお米の消費増加を図ることができないのかどうか。今生活協同組合が成功しておいでになりますのは、一千万人の会員主婦の自主的勉強を含めて教育の成功にありますと私は考えております。農協も系統的組織をお持ちになります。そういう中で消費奨励をやっぱりもっと強力に手がけてみられることが必要なのではないか。もしそのことが成功をいたしましたとすれば、やっぱり減反、転作等に伴いますところの奨励金という補助金は要らなくなってしまいます。さらにまた、公的統制を必要とおっしゃっておいでになりますのですから、このことも解決をすると思います。さらに、食糧安保の立場からもこのことはよいことだと思います。さらに、今日のようなお米の供給面における乱れも解決することができます。  そういったことからいたしまして私はぜひそれが必要なのではないか、このように思っておりますのでございますけれども、それさえできましたら結果的には価格と味の問題で競争をしていったらよろしいのだと思いますけれども、第一段階としては、日本にあります水田にお米を植栽いたしまして、そこからとれるお米が備蓄米を残して残りが完全に消化をされる、このことを目指していったらどうなんだろうか、こういうように思っております。  戦後、ガリオアやエロアの資金を利用して粉食奨励協会がつくられ、日本のすみずみまでキッチンカーを回してこのことを図っておられましたけれども、これには今日を招来をする遠大な計画があったように思えてなりませんのです。だから、そういったことも他山の石として、しかしこのためにはどうしてもやっぱり農協さんが教育をもっと重視をしていって、そして国民の共感を得られるような立場にお立ちになる必要がありますと思いますんですが、以上のことについての御見解をお願いをいたします。  以上です。
  36. 参考人(櫻井誠君)(櫻井誠)

    参考人櫻井誠君) 農協につきましていろんな批判が出ておることは承知をいたしておりますが、言ってみれば、いい面も相当あるわけでございますけれども、そちらの方は余りちょっと評価をされませんで悪い面ばかりが出ておりますが、悪い点は悪い点として改善をしなければならないというふうに思います。  米の消費の拡大の問題でございますが、御案内のとおり私どもは五十一年から米の消費拡大運動を展開いたしておりますが、政府もやっておりますが、なかなか思うような効果を上げておりません。先生のおっしゃるように、水田に全部稲をつくりましてそれが消化をされる、消費をされる、こういう事態になることが一番好ましいわけでございますが、現在水田に米を全部生産いたしますと千三百七十万トン程度はできるかと思います。ところが、主食用の需要といいますのは千八十万トンぐらいでございますので、その差は全部過剰として残ってしまうというところから転作が現在進められております。  それでは、主食用以外での用途、先ほどから申し上げておりますようなみそ、しょうちゅう、せんべいの拡大とか、あるいは現在お酒、これがアルコールが相当入っております。これを全部純米酒という形でつくりますと、四十万トン程度はさらにお米の消費がふえる。また、学校給食でございますが、大都市におきましてはなかなか米の学校給食が伸展をしていないと、こういう問題もあるわけでありますが、これらにつきましては、農林省と連携をいたしまして、私ども学校給食の補助等も農業団体、大都市に対してやっておりますけれども。  もう一つは、農村部の米の消費が都市部に比べまして、量は多いんですけれども、減り方が結構度合いが強いと、こんなふうな問題点も抱えておりますので、生産者みずからが農村部の米の消費の拡大をやはりやらなければいけない。  生協との比較で教育活動の問題も今出てまいりましたけれども、御案内のとおり協同組合というのは、単に経済事業をやっておるわけじゃございませんで、その基本にありますのは教育でありますとかあるいは広報でありますとか、そういうの が基本的な事業として位置づけをいたしておりますので、十分組合員、農家中心にやっておるわけでございますが、いずれにいたしましても国民の共感を得るような農協、また米につきましてもそのような形での拡大が望ましいというふうに考えておりますので、さらに努力をしてまいりたいと思っております。
  37. 委員長(高木正明君)(高木正明)

    委員長高木正明君) 以上をもちまして参考人の方々に対する質疑を終わります。  参考人の方々に一言御礼申し上げます。  本日は、皆様におかれましては、御多用中にもかかわりませず当委員会に御出席をいただき、大変貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。当委員会を代表して厚く御礼を申し上げたいと思います。  本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会