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1986-11-22 第107回国会 参議院 日本国有鉄道改革に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十二日(土曜日)    午前九時三十分開会     ─────────────    委員の異動  十一月二十一日     辞任         補欠選任      田代由紀男君     宮崎 秀樹君      田辺 哲夫君     守住 有信君      高平 公友君     松浦 孝治君      真鍋 賢二君     小野 清子君      内藤  功君     神谷信之助君      野末 陳平君     秋山  肇君  十一月二十二日     辞任         補欠選任      久世 公堯君     寺内 弘子君      青木 薪次君     菅野 久光君      丸谷 金保君     穐山  篤君      秋山  肇君     野末 陳平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山内 一郎君     理 事                 伊江 朝雄君                 浦田  勝君                 江島  淳君                 亀長 友義君                 赤桐  操君                 安恒 良一君                 矢原 秀男君     委 員                 小野 清子君                 大島 友治君                 梶原  清君                 倉田 寛之君                 坂元 親男君                 下条進一郎君                 寺内 弘子君                 野沢 太三君                 増岡 康治君                 松浦 孝治君                 宮崎 秀樹君                 守住 有信君                 森田 重郎君                 吉川 芳男君                 吉村 真事君                 穐山  篤君                 菅野 久光君                 田渕 勲二君                 渡辺 四郎君                 鶴岡  洋君                 中野  明君                 三木 忠雄君                 諫山  博君                 神谷信之助君                 田渕 哲也君                 秋山  肇君                 野末 陳平君    国務大臣        内閣総理大臣   中曽根康弘君        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君        運 輸 大 臣  橋本龍太郎君        労 働 大 臣  平井 卓志君        建 設 大 臣  天野 光晴君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    葉梨 信行君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (国土庁長官)  綿貫 民輔君    政府委員        内閣審議官    中島 眞二君        内閣法制局第四        部長       大出 峻郎君        警察庁警務局長  大堀太千男君        警察庁刑事局保        安部長      漆間 英治君        総務庁長官官房        審議官      百崎  英君        総務庁人事局長  手塚 康夫君        北海道開発庁計        画監理官     大串 国弘君        国土庁土地局長  田村 嘉朗君        国土庁大都市圏        整備局長     柳   晃君        大蔵省主計局次        長        角谷 正彦君        大蔵省主計局次        長        篠沢 恭助君        大蔵省理財局次        長        入江 敏行君        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   佐々木喜之君        林野庁長官    田中 宏尚君        中小企業庁指導        部長       長瀬 要石君        運輸政務次官   柿澤 弘治君        運輸大臣官房審        議官       井山 嗣夫君        運輸大臣官房国        有鉄道再建総括        審議官      林  淳司君        運輸大臣官房国        有鉄道部長    丹羽  晟君        運輸省地域交通        局長       熊代  健君        労働大臣官房審        議官       佐藤 仁彦君        労働省労政局長  小粥 義朗君        労働省労働基準        局長       平賀 俊行君        労働省職業安定        局長       白井晋太郎君        建設大臣官房総        務審議官     渡辺  尚君        建設省都市局長  北村廣太郎君        建設省住宅局長  片山 正夫君        自治大臣官房審        議官       森  繁一君        自治省行政局公        務員部長     柳  克樹君        自治省財政局長  矢野浩一郎君        自治省税務局長  津田  正君        消防庁次長    山越 芳男君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        日本国有鉄道総        裁        杉浦 喬也君        日本国有鉄道常        務理事      岡田  宏君        日本国有鉄道常        務理事      須田  寛君        日本国有鉄道常        務理事     山之内秀一郎君        日本国有鉄道常        務理事      前田嘉代治君        日本国有鉄道常        務理事      山田  度君    参考人        日本国有鉄道再        建監理委員会委        員長       亀井 正夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本国有鉄道改革法案内閣提出衆議院送付) ○旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○新幹線鉄道保有機構法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道清算事業団法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案内閣提出衆議院送付) ○鉄道事業法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道改革法等施行法案内閣提出衆議院送付) ○地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○日本鉄道株式会社法案村沢牧君外五名発議) ○日本国有鉄道解散及び特定長期債務処理に関する法律案村沢牧君外五名発議) ○日本鉄道株式会社退職希望職員等雇用対策特別措置法案村沢牧君外五名発議)     ─────────────
  2. 山内一郎

  3. 山内一郎

    委員長山内一郎君) まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、日本国有鉄道再建監理委員会委員長亀井正夫君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山内一郎

    委員長山内一郎君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 田渕哲也

    田渕哲也君 国鉄の質問に入る前に、新聞等の報道では、三原山噴火が非常にひどくなって住居地域にまで被害が及びそうだと。島民にも避難命令が出る等、非常に大きな不安に駆られておることと思いますが、もちろん政府としてはこれのいろいろの諸対策には万遺漏なきを期しておられると思いますけれども、十分な対策なり配慮を、さらに準備というものをお願いしておきたいと思うんです。  まず、総理にそれの御見解をお伺いしたいと思います。
  7. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 三原山の大きな噴火に際しましては、政府といたしましては人命の安全、これを最重点に考えまして、割合早期にいろいろな手配をいたした次第でございます。幸いに、東京都あるいは関係市町村皆様方の御協力消防団やあるいは東海汽船等の御協力によりまして、無事に一万三千余に及ぶ皆さん避難が事故なく終わりまして、この点につきましては割合に順調であったと思う次第でございます。しかし、何といっても一万に及ぶ住民皆さん生活の不安その他いろんな問題が今山積しておりまして、できるだけ早く安全の確認、それからできるだけ早期に正常な生活に戻れるように手配をすること、この点について政府全力を注ぐつもりでございます。  昨夜、災害対策本部をつくりまして関係省庁の協議を早速開始し、いろいろ手配をしたところであります。本日は国土庁長官を長とする視察団を早速仕立てまして、ヘリコプターで現地へ向かうということにさせております。それらの報告等も得まして速急にいろいろな対策を講じて推進してまいる予定でございます。  詳細につきましては運輸大臣から御報告を申し上げます。
  8. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今総理から御報告を申し上げたところでありますが、昨夜来、運輸省自体といたしましては、午後九時に伊豆大島噴火対策本部を発足させますと同時に、海上保安庁第三管区を中心といたしまして、とにかく避難体制を確保することに全力投球をいたしてまいりました。  気象庁が、内輪の噴火が始まりました十五日以来、現地観測班を派遣するなど観測体制を強化してきたわけでありますが、昨日の大噴火によりまして観測が危険な状態になりましたため、現在無人による自動観測を継続いたしております。なお、それとは別に東大地震研究所方々現地で対応をしていただいておるわけであります。  運輸省としては、巡視船など二十二隻を島民救援に出動させ、また海上自衛隊からも御協力をいただき、殊に東海汽船東京都の要請によりまして持ち船の六船全船を救援に向かわせていただきましたおかげで、本朝午前六時五十四分、シーホーク2号の出航により一応島民全員避難いたさせました。ただ、その後におきましてなお残っておられた方が一人あったということから、そういう方がもうないかどうか、現地で改めてチェックをいたしておるところでございます。  大変疎漏な報告になりましたけれども総理の御報告を補足させていただきます。
  9. 田渕哲也

    田渕哲也君 よろしくお願いしたいと思います。  国鉄の問題につきましては、私はまずこの分割民営というような、これは本当に大事業だと思うんですけれども、数年前はいろいろ論議には上っておりましても本当にこういうことが実現できるかどうか、だれもそういうふうには考えていなかったと思いますが、中曽根内閣の手によりまして、法案の成立はまだこれからの問題でありますけれども法案が提出され国会審議されるに至った。心から敬意を表したいと思うのであります。ただ惜しむらくは、もう少し早くこれが実現できておれば、国民に対する負担の迷惑も少なかったであろうし、また国鉄職員退職とかそういう問題も軽微に済むことができたのではないか、それが惜しまれてならないのであります。  やはり国鉄というのは国有最大企業でございまして、これの経営責任というのは当然政府にあるわけであります。この国鉄が今日のような状態に来た責任というものは、やはり非常に重いと思うんですね。もちろんこれは中曽根内閣責任だけではありません。歴代何代にもわたる政府責任だと思うんですけれども、したがって私は、こういう点はやっぱりはっきりしておかないと、これから将来の運営に対しても影響を及ぼすのではないかと思います。  私は、このような最大国有企業の倒産とも言うべきこの責任を一体だれがとるのか、この点についてまず総理にお伺いをしたいと思います。
  10. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国鉄が今日の事態に至りました原因につきましては、いろいろな複合的な原因があると思います。政府も一半の責任は免れないと思います。しかし、いろいろ反省してみますと、一つにはモータリゼーション等の時代の大きな変化に今までの公社経営というやり方自体がそぐわなくなってきた、経営者及び労働組合の間の労使の関係というものは必ずしも責任体制でやれるという体制でなかった、そういうようなさまざまな原因もあると思いますが、しかし、これらの改革についてもう少し政治が勇断を振るって、早期に思い切った大改革をやるべき点もなくはなかったと、今日の時点においては反省もいたしておるところでございます。
  11. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、国有企業の悪い点というのは責任をとらないということではないかと思うんです。もちろん国鉄なら経営者国鉄総裁だと、総裁責任をとって更迭ということもあるわけですけれども、残念ながら総裁当事者能力がない。経営重要事項は全部これは政府が持っておる。もしこれが一代の内閣の中でその責任でこういうことが生じたのなら、私は恐らく内閣総辞職に匹敵するぐらいの大問題だと思うんです。ところが、歴代内閣で少しずつ責任を積み重ねてきておるわけでありますから、結果は政治家ではだれも責任をとらない。こういうところに国有企業問題点があろうかと思いますし、また私は政治の問題でもないのだろうかと。政治家というのは選挙で選ばれるから、選挙で勝ちさえすればそういう責任は全部クリアされるのか。しかし私は、やっぱり行政権を持った政府責任というものはそれなりにけじめをつけなければならないのではないかと思いますが、総理大臣はどのようにお考えですか。
  12. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 田渕さんのおっしゃる点が多々あると考えております。
  13. 田渕哲也

    田渕哲也君 運輸大臣にお伺いしますが、特にそういう大きな面はさておいて、小さな面の無責任体制とか誤りとか、そういうことの積み重ねもあると思うんです。ごく最近の例を申し上げましても、現在、鉄建公団地方交通線で、つくりかけたけれどもやめた線が、休止している線が二十二線ある。これに使われた金額というのは一千三百二十億円、これは補助金出資金で賄われておりますけれども、こういうものは全くむだ遣いということになりますね。それから同じく、これは国民負担債務の中に入っておるわけでありますけれども工事凍結線三線で千六百億円、やりかけたけれども完成できなくなったからやめてしまったというものであります。それから本四連絡橋神戸—鳴門ルート鉄道部分、これは三百億。これも鉄道部分をつくったけれども使い道がない、将来使われる予想が立たない、だからこれも国民負担分債務に入る。これは全体の額から見たら小さなものかもわかりませんけれども、それでも三千億を超える金額ですね。これは私はごく一例にすぎないと思うんです。国有企業であるからというので安易にこういうことがどんどん積み重ねられてきたのではないか。この点についての責任をどう考えられますか。運輸大臣にお伺いします。
  14. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員から御指摘を受けましたように、鉄建公団補助金等無償資金によりまして建設を進めてまいりましたAB線のうち、特定地方交通線対策との整合性を勘案して五十五年度以降新規工事を行っておりませんいわゆる工事休止線は二十二線。その投資額は約一千三百億円に上ります。しかし、このうち樽見線、智頭線及び宿毛線の三線につきましては約四百億円を投資してきたわけでありますが、これらにつきましては今年中に第三セクター線として工事再開を予定いたしておりますし、その他の路線の中にも第三セクター線として建設再開の大変強い御要望のあるものがございまして、これらの推移によりましてこの部分については変化を生ずると思います。しかしまた、鉄建公団や本四公団有償資金を投入して建設を行ってまいりました鉄道施設の中には、社会経済情勢の大幅な変化などにより、成田新幹線のように五十八年度から、また本四淡路線のように昭和五十四年度から工事を凍結せざるを得なくなっているものもございますが、これらの設備投資もその当時の需要予測に基づいて行われてきたものでありますし、その限りにおいて、私は委員が御指摘になりました視点というものを全くそうではないと申し上げるつもりはありません。しかし同時に、これらの鉄道施設建設をそのままずるずると続けておりましたなら、将来、さらに大幅な経営の悪化をもたらすことも予想されることであります。  今日、一番大切なことといえば、この国鉄経営しております鉄道事業というものの再建を図り、国民に長年親しまれてまいりました鉄路というものをもう一度生き返らせ、将来にわたってその役割を果たし得るような健全な姿に再生していくことでありまして、そのためにこそ分割民営というものを中心とするこの国鉄改革を断行する以外にないと信じて、ただいま御審議を願っております。  そして私は、政治家としての責任とり方にはさまざまな姿があろうかと思います。かつて私の父親は、その責任を閣僚の座を辞任するという手法でとりました。厚生大臣のときの私は、スモンの患者さんたちに頭を下げながら、長年にわたるスモン訴訟というものを和解に導くという形でその責任をとったつもりであります。今回は、この状況の中においてさまざまな意味での決断を含めながらこの国会に御審議を願う、そしてその上での解決に全力を尽くすことが政治家としての私の責任とり方であると信じております。
  15. 田渕哲也

    田渕哲也君 私がこういうことを申し上げるのは、これからの分割民営された国鉄が、本当に過去の過ちを繰り返さずに、健全な民間企業として発展をしてもらいたい、そう念願するからにほかならないのであります。やはり今までの悪かった点、あるいは政治家のやった誤りというものもこの際真剣に反省しておかないとそういうことができなくなるのではないか、こういうおそれがあるから申し上げたわけであります。  総理は、今回の分割民営によりまして、鉄道というものは非常に公共性の高い企業でありますから、政治とのかかわり合いが全くなくなるとは私は思いませんけれども、しかし過度の政治介入というものが絶対あってはならない。そういう点が本当になくなるとお考えでしょうか、お伺いをしたいと思います。
  16. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) なくさなければいけないと思います。  今までのような公社制度のもとにおきましては、いろいろ政治部面行政部面からの予算統制そのほかがございましたので、ややもすれば政治に非常に近い存在になっておりました。しかし、今回の分割民営によりましてある程度、相当程度経済主義に基づく効率的経営という方向に法案もなっております。また、政府関係の干渉や規制をできるだけ排除するという形で法案もできております。その点は非常に注意したところでございます。この運用につきましても、今後は今までのようなものに堕することなく、きちんとけじめけじめをつけて、独立採算制を自己の経営方針に基づいて十分やれるように政府としても保障すべきであると考えております。
  17. 田渕哲也

    田渕哲也君 国鉄再建監理委員長にお伺いをしたいと思いますが、この監理委員会の「意見」の中に「新線建設等考え方」というのがございます。私は、この政治介入の面で一番重要なのがこの新線建設の問題ではないかと思うんです。  この中に、まず「ア」の項と「イ」の項とありまして、「ア」の項は一般的に「新線建設については、一般の私鉄と同様、旅客鉄道会社経営者の判断により行うべきものである。」、こういう基本的なあれが書いてあります。それから「イ」の項は整備新幹線について書いてあるわけでありますけれども、この「新線建設」というのは当然新幹線も含めての考え方ではないかと思いますが、監理委員長の御意見をお伺いします。
  18. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 新線建設の問題でございますが、私どもの立案をいたしましたのは、ただいま総理のお答えもございましたように、新しくできた会社経営責任を明確にする、こういう観点からこの新線という「ア」の項に書きましたのは、従来の私鉄と同様のいろいろ資金軽減法とかを講じよということでございますから、在来線的なものの範囲の新線という考え方で書いております。  私どもの任務は、現在あり姿のままの国鉄というものを新しい形態でどう再建するかというようなことで、一応整備新幹線の問題というのは考慮外の問題でございまして、しかし一般的にその当時のいろいろの情勢で、先生も御承知のように、地元の方々地域住民の非常に熱烈な御希望もあるということでございますので、これは監理委員会としての考え方といいますか、私ども考えを申し述べたということでございまして、極めて限定的に、正確には新線というのは在来線的なものであり、広義意味で、一般的な国民のいろいろ流れというものでは、広義では整備新幹線もその「新線」の中に入っておると、極めて哲学的な答えでありますが、そういうことでございます。
  19. 田渕哲也

    田渕哲也君 監理委員長国会の答弁でも、監理委員会の仕事は今までの国鉄をこれからどう運営するかで、将来のことは権限外だと言われましたけれども、私はやはり将来の鉄道新幹線だと思うんです。鉄道が航空機や自動車や他の交通機関と競争しながら、そして国民のニーズにこたえていくためには、将来はやっぱり新幹線というものがその主軸になるのではないか。ということは、分割民営された旅客会社においても、これからの経営の枢要な部分新幹線が占めていくだろう。そうすると、新幹線投資というのは、民営化された会社にとってはその命運を決める重要問題だと思うんですね。  監理委員長民間会社経営者でありますからよくおわかりと思いますけれども企業にとってその設備投資の時期、やり方、そういうものが企業命運を左右するということは間々あるわけでありますが、特に鉄道のような場合には、非常に固定投資というものが多いわけでありますから、どういう形でつくるかというのが将来の会社のあり方を左右すると言ってもいいと思うんですね。だから、そういう点について経営自主性というものが保障されないと、新幹線だけは別だということでは、私は民営化された会社の将来というものは、これは本当の民営会社ではないという気がするんですが、いかがでしょうか。
  20. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 整備新幹線の問題について申し上げますと、先生今お話しございましたように、二十一世紀に向けて日本の交通体系の中において、鉄道としては恐らくやはり時速二百キロ以上で走る新幹線形態というものができていくだろうと、しかし現在においていろいろな問題が多過ぎるのではないかというのが私ども考え方でございました。  一番の根本は、経営責任を明確にするという面で、整備新幹線について非常に莫大な投資を必要とする、そして想定されるところにおいての乗客というのは現状においては極めて少ない。例えば、仙台までは乗っておっても仙台から盛岡ではお客は激減する。盛岡から青森になるとまた激減するであろう。そうすると、経営で一番考えなければいかぬのは、やっぱりリターン・オブ・インベストメントというんですか、どれだけの投資をしてどれだけの効果が上がってくるかと、この効果測定。これを経営者としては一番いつも考えることでございますから、こういうことに問題がある。  それから在来線の収支に、例えば今までの例でも上越新幹線ができたために上越線は激減するとか、いろいろこういうこともある。それからこの財源の問題。これは現在は国家的論議になっておるわけでございますが、そういう膨大な資金をいかにして調達できるかという問題がある。それから東海道新幹線ができましてから既に二十年たっております。二十年間のいろいろな技術的な進歩というものがたくさんあるわけでございますので、単に東海道新幹線のあの同じパターンでやるかどうかということにも問題がある。そういう点を慎重に判断していただくこと、これはむしろ国の交通政策あるいは国家的立場での御判断の問題であって、我々監理委員会で右にしろ左にしろという問題ではないと、こういうふうな見解からあの意見を出したと、こういうことでございます。
  21. 田渕哲也

    田渕哲也君 運輸大臣にお伺いしますが、全国新幹線鉄道整備法という法律があります。これの一部は改正されてみなし規定もできたわけでありますけれども、やはりこれの基本になるべきことは、新幹線鉄道の路線を定める基本計画は運輸大臣が決定する、また基本計画で定められた建設線の建設に関する整備計画も運輸大臣が決定する。私が先ほど申し上げましたように、民営化された会社命運を決するような設備投資について、これ運輸大臣が決めるというようなそんな民間会社があるんですかね、どうなんでしょうか。
  22. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 実は、私は党内で新幹線の問題の論議のときに、おまえの郷里は既にできているから物を言うなとしょっちゅうしかられて余り物を言わせていただけません。しかし、今お尋ねにお答えをいたすとすれば、今回の整備法の改正は、その中身として、まさに新幹線鉄道の営業主体及び建設主体はそれぞれ運輸大臣があらかじめその同意を得て指名する法人とするなど、これはまさに今回の国鉄分割民営化の趣旨に沿ったものとなっております。また同時に、新幹線鉄道というものが高速交通体系の一翼を担う国土の均衡ある発展と地域格差の是正という視点に極めて大きな役割を果たすものである、これらの事実もこれは否定のできないことであります。  そうなりますと、私は、基本計画や整備計画の決定というものは運輸大臣の行為として残って委員がおっしゃるような意味での問題があるとは思いません。なぜなら、この場合におきましても、確かに運輸大臣はその整備計画の決定あるいは変更についてあらかじめ営業主体及び建設主体の同意を得なければならないというわけでありまして、新幹線鉄道の果たす役割と分割民営化の調和というものを考えながら今回の国鉄改革の趣旨を全うできるように措置をしておるわけであります。しかも、整備新幹線につきましては、これまでに各種の手続、行為が既に行われておりますこと、また旅客鉄道事業というものを旅客会社が引き継ぐこととしていること等を考え関係旅客会社を営業主体の指名を受けたものとみなすなどの経過措置を設けてきたわけでありまして、この営業主体とされた旅客会社運輸大臣に対して整備計画の変更を申し出ることができるとするなど、その意向の反映し得るような仕組みとしておるところであります。  今委員が御指摘になりましたような民間会社としての主体を侵されるような状態がもしあるとするならば、私は建設主体あるいは運営主体が当然そうした申し出をされると思っておりますし、その限りにおきまして、私は現状を踏まえて将来に向けての対処の仕方としては、今御審議をいただいておるような方向が一番ふさわしいものではなかろうかと、そのように思います。
  23. 田渕哲也

    田渕哲也君 確かに、新幹線というのは民間会社のいわゆる商業ベースの投資だけではなかなかできない面があると思います。したがって、何らかの政府の助成とか国の助成というものは不可欠だろうと思います。ただ、その場合も、できるだけ民営化された旅客会社経営の主体性が生かされるような形でないと、経営自主性を損なうような形でそれが行われるというのは問題ではないか。特に、全国新幹線鉄道整備法の条文から言うと、主は政府が握っておって、その建設主体、運営主体が意見を述べて変更を申し出ることができる。主客転倒ではないか。やはり本来のこういうものは民間会社責任において、自主性においてそういう設備投資計画もなされる。ただ、そういうものがなされるようなインセンティブを政府はいろんな面で与えるというのが私は本来の民営会社のあり方ではないかと思いますが、いかがですか。
  24. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに、現在全く新幹線というものについて白紙の状態であって御論議をいただくとすれば、私は委員のお考え方も一つの有力な考え方であろうと思います。しかし、現に進行しつつあるものが存在をし、それがいわば凍結をしておるという状態、また既に営業開始しております四新幹線をとりましても、例えば上野—東京間の工事が進捗をしておるといったような事実を踏まえて対応をすれば、私は政府のただいま御審議を願っておりますような方向がより実態に即したものであり、無理のないものであると思います。
  25. 田渕哲也

    田渕哲也君 確かに、民営化にする過渡期である、国有から民営化にする。整備新幹線はその両方にまたがって行われる。だから、過渡期としてとらえるのは整備新幹線だけですか、あるいは基本計画を決めた十二線はどうなりますか、あるいはさらにそれ以上将来つくっていくとすればその場合の考え方はどうなのか、お伺いしたいと思います。
  26. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 整備新幹線の取り扱いにつきましては、現在官房長官をヘッドといたします整備新幹線財源問題等検討委員会におきまして種々の角度から検討を行っておるところでありまして、その結論を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。  基本計画十二線の取り扱いというものは、この整備五新幹線についての結論が得られた後に恐らく検討されることになるものであろうと考えておりますが、現在の整備五線につきましても整備新幹線財源問題等検討委員会において種々の角度から検討いたしておるところでありまして、その結論を得て対応をいたすということであります。
  27. 田渕哲也

    田渕哲也君 私がお伺いしたのは、政治主導から民間主導へ発想を転換すべきである。ただ運輸大臣は、継続しているものがあるから現在はこういう方式でやる方がいいんだと。そこで、継続しておるのは私は整備新幹線だと思うんですね。それをすると、いつまでもこれは継続するわけですから、新幹線は将来にわたって政治主導でやるのかどうか、あるいは整備新幹線は今までのひっかかり上政治で処置をしなければならないのか、それ以後のものは民間主導でやるのか、その辺をお伺いしたかったわけでありますが。
  28. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いずれにいたしましても、この検討委員会の座頭はあそこにおられる官房長官でありまして、私はその官房長官の主宰される検討委員会の一メンバーでありますので、座頭の方へ答弁を求めていただきたいと思います。
  29. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 御答弁申し上げます。  ただいま大臣から申し上げましたように、整備新幹線につきましては、今回の法改正におきましてもこれは経過措置という取り扱いをしております。すなわち、現在の進捗状況、進行状況というものを踏まえまして、これを尊重しつつ、かつ新しい会社自主性との調整を図っていくという観点から、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、言うならばその間の調和を図るような規定を置いてあるということでございます。  それに対しまして基本計画路線でございますが、これについても既に基本計画が決定されておるという事実はあるわけでございます。しかし、基本計画が決定されましても、これから整備計画以降の段階、これはまず調査の指示という段階から始まるわけでございますけれども、それについては今回の法改正ではいわば本文の方に規定をしてあるわけでございまして、これについては先ほどの整備新幹線と違いまして、調査の指示の段階、それから営業主体あるいは建設主体の指名の段階、いずれの段階におきましてもこれは会社の方に対して協議をしまして、その同意——同意というのは非常に強い意思表示でございますけれども、同意がなければそれはできないという形で、いわば会社自主性を非常に強く尊重しておるということでございます。  おっしゃるように、本来企業が自分のいわば設備というものを、設備投資をどうするかというのは自分が主体的に判断するというのが基本ではありましょうけれども新幹線というものにつきましては、これは先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、国の国土の均衡ある発展とか、あるいは地域格差の是正、あるいは非常に基幹的な交通手段であるというふうな面がございますので、やはり国の意思というものを主体に考えていく必要があるだろう。しかし同時に、会社自主性と申しますか、会社経営判断というもの、これを強く尊重しなければ今回の法改正の趣旨は全うされませんので、そこで同意という非常に強いいわば意思表示ということでその判断をしていく、こういう法体系になっておるわけでございます。
  30. 田渕哲也

    田渕哲也君 それでは官房長官にお伺いをしますが、新幹線財源問題等検討委員会では、まず第一に「財源問題」。第二に「国鉄分割民営化後における建設主体・運営主体のあり方」。三に「並行在来線の廃止の具体的内容」。四に「国鉄再建監理委員会意見指摘された事項その他これらに関連する事項」、こういう事項について検討されることになっておるわけでありますけれども、特に「並行在来線の廃止の具体的内容」、こういうことについても検討されるわけですが、これこそ私は旅客会社にとって極めて重要な事項だと思うんですね、旅客会社経営にとって。そして、この結論は大体いつまでに出される予定でしょうか。
  31. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 昨年の八月に、政府と自民党との間の申し合わせによりまして、整備新幹線の扱いは官房長官が座長として検討を進める、こういうことになっておるわけでございますが、その検討項目としては、今あなたがおっしゃったように、財源問題等検討委員会で整備新幹線の財源問題、いま一つは建設の主体、運営の主体、それから特にまた御指摘のあった在来線の廃止の具体的な内容、さらにはまた技術開発に伴うコスト低減の可能性の問題であるとか、あるいは在来線との競合問題が起きますから、その在来線の収支に与える影響の問題、あるいは輸送量と投資の均衡問題、これは経営の問題にたちまち響いてくる問題ですが、こういった項目を検討するということで、閣僚間では昨年の八月以来まだ会議を開いておりません。ただ幹事会、これは局長クラスでございますが、これが六回ぐらい開いていると思いますが、さらにその下にワーキンググループがございまして、そこでも十七回ですか、頻繁に個々の問題の検討を進めておるということでございますが、御指摘の在来線の廃止の具体的方策、まさに大変重要な課題でございますが、それらがまだどうなるかといったようなことは検討過程でございまして、現時点ではお答えができません。  いま一つの御質問のいつまでにやるんだと、こういうことでございますが、これは六十二年の四月に新会社が発足をいたしますから、そこらを一応の時期的な目安としまして、今回御審議願っておるこの改革法案が成立をさしていただければ、その後精力的に話し合いを詰めていきたい、かように考えております。
  32. 田渕哲也

    田渕哲也君 ということは、今の検討事項、在来線の廃止の具体的内容も含めて六十二年の四月までに結論を出すということですね。
  33. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 並行在来線は一応廃止するという方向は決めておるわけでございます。しかし、これまたなかなかいろいろな検討の過程においては厄介な問題も起きてくるであろう、かように考えております。
  34. 田渕哲也

    田渕哲也君 厄介な問題もあるけれども、それも含めて六十二年四月までに結論を出すということですね。  私は、そうするとこれ非常におかしなことになると思うんですよ。民営会社が受け継ぐ在来線があるわけです。それの具体的にどこどこを廃止してしまうというのを六十二年四月までに政府が結論を出す。これは一体どういうことなんですかね。分割民営化されて、そこが引き受ける路線はどこどことみんな決まっているわけですよ。ところが、六十二年四月までに、新幹線をつくるからもうこの路線は廃止するんだよということを結論を出してしまうわけですか。民間会社経営者の意向というのは聞かないわけですか。この点いかがですか。
  35. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) まさに御質問のような点も大変厄介な問題であると、かように考えておるわけでございます。
  36. 田渕哲也

    田渕哲也君 どうも私はこれよく理解できないんですが、やっぱり整備新幹線をつくって、それに伴って在来線のここここを廃止するというようなことは経営の極めて重要なことです。それが六十二年四月民営会社発足ですね、それまでにそういう点については五閣僚と自民党の党の幹部三名、この八人が決めてしまうというわけですね。どう考えてもこれは矛盾しているんじゃないですか。しかも、この国会で論議、審議されているのは、ちゃんと在来線でこの線はこの会社ですよと決めてある。法律が通ったらこの五閣僚と党の三幹部でここはもうやめてしまうんだということを民間会社の発足までに決めるということですね。そういうことなんですか。
  37. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 整備新幹線の着工に踏み切るという場合には、在来線の廃止を含めて検討の結果を出して、その結果の上で新幹線の着工に踏み切るということですから、新幹線の着工がどれくらい難しい課題であるかということもこういったいろんな条件の中に私は含まれていると思うんです。  したがって、今度の新幹線整備ということは大変な御熱意のあるところはわかるけれども、これは本当に政府が踏み切るということになると、なかなかこの前提として政府・与党の首脳間で決められておる諸要件、これをクリアするということは非常に難しいと、私はさような理解をいたしておりますが、こういったことも頭に置きながら座長として取りまとめていきたい、こう思っております。
  38. 田渕哲也

    田渕哲也君 非常に苦しい答弁だと思いますが、私はそういう整備新幹線を敷く、それに対して在来線のここここを廃止するということも、やっぱり民間会社経営者の同意が必要なことだと思うんですね。ということは、民間会社が発足するまでにこういう結論を出すというのはそもそも無理なのであって、民間会社が発足して経営者も決まってから、その経営者意見を聞きながら進めるというのが筋ではないかと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。これは官房長官ですか。
  39. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 座長はそれはわからぬねと申しております。
  40. 田渕哲也

    田渕哲也君 総理大臣はどう考えておられますか。
  41. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 整備新幹線の問題につきましては、政府・与党の内部におきまして一定の話し合いが先般来行われておりまして、そして今官房長官が申されましたように、検討会議で検討した上でこの問題を処理する。その検討すべき内容については、財政問題とかあるいは在来線の処理であるとか、あるいは地元の協力関係をどの程度するかとか、そういうようないろんな問題について調査及び審議を行った上で結論を出す。また、知事さんや地元の皆さんの御意見、あるいは寄与分担率等についての話し合いも詰めなければならぬだろうと思いますし、情勢によってはいろいろの技術的な変化、進歩もあるわけでございますから、そういうものに対応する新しい発想というものも当然考慮に入る一つの要素であるだろうと思います。そういうようないろんな問題を煮詰めた上での話であると私は考えております。したがいまして、新会社発足以前に決定的な結論が出るということは難しいのではないかと、私の今の情勢観測からいたしまして、そのように思う次第でございます。
  42. 田渕哲也

    田渕哲也君 くれぐれも、せっかく分割民営化されて発足する会社ですから、その経営自主性責任性というものが損なわれないように政府の慎重な対処をお願いしておきたいと思います。  それからもう一つ、最後に整備新幹線についてお伺いしたいことは、自民党は党議で公共事業方式ということを決められておるわけですけれども、私は、この整備新幹線の公共事業方式というのと分割民営というのと若干そぐわないような気もするわけであります。しかし、それはともかくとしまして、いわゆる総合交通体系と新幹線公共事業方式というものについてやや疑問があるわけであります。  といいますのは、総合交通体系については、総理も答弁されておりますように、各交通手段の公正な競争そして国民の選択、そういうものによって自然にそれはでき上がっていくものであるし、またでき上がってきつつある。私もその考え方は正しいと思うのでありますけれども新幹線だけ公共事業方式をやるということは、そういう総合交通政策の面から見てちょっと矛盾があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  43. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 御答弁を申し上げます前に、ちょっと一点御報告をさせていただきたいと思います。  先刻、九時四十一分に委員各位もお感じになりましたと思います地震がございましたが、この震源は伊豆大島の近海で、深さ約十キロのところで発生をいたしておりまして、大島、三宅島等では震度四、マグニチュード六・一の規模を持っております。大島の火山活動に伴うものでありまして、この火山活動に関連して発生をいたしました今回の地震の中では最大のものでございました。幸いに、けさ気象庁の火山機動班が大島に到着しておりましたため震源等の確定も直ちに行えたわけでありまして、現時点におけるこの一連の地震の中では最大のものでございます。  とりあえず状況のみ御報告を申し上げます。  次に、今委員から、各種の交通機関が発達している今日、各交通機関の競争と利用者の自由な選択の中で総合交通体系というものはおのずから形づくられていくし、また形づくられているという御指摘がございました。私ども基本的にそのように考えております。  また、自由民主党におきまして公共事業方式の御議論があることは承知をいたしておりますが、いずれにいたしましても、私どもとしては、この新幹線建設という問題につきましては、先ほどから繰り返し申し上げておりますような財源問題等検討委員会におきましてあらゆる御論議を踏まえて検討をし、結論を出すという考えであります。
  44. 田渕哲也

    田渕哲也君 監理委員長にお伺いしたいと思います。  今私が質問したいわゆる公共事業方式というものと総合交通体系のあるべき姿についてどう考えておられるかをお伺いしたいと思います。
  45. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 整備新幹線の問題に公共事業方式という一つの案が出ておるのは承知しておりますが、自由な交通体系ということを私どもも建前にとっておるのでございますけれども、今までの国鉄においてやはり新幹線建設において膨大な投資を借金でやったというところに経営的に非常に問題があったということと、また二十一世紀に向けてひとつ鉄道を主体にした交通体系ということを考えた場合には、国民の要望も非常に強いし、国土の均衡の必要性もある、そういうところの兼ね合わせから出された一つの知恵ではないかというふうに思っております。  高速道路とか、あるいは空港とか港湾とかというものについてもやはり公共事業方式でやり、またそれについて応分なる利用者負担というものも行われておる、こういうことでございますから、いろいろな知恵を絞られて集約をしていけば私ども考えた自由な交通体系において国民の利便を図るという精神とは相矛盾するものではないと、こういうふうに理解をしております。
  46. 田渕哲也

    田渕哲也君 私はそれぞれの交通手段について何がしかの国が財政負担をしておるということはあると思うんです。航空機なら飛行場、自動車なら道路。だから鉄道もある程度のそういうものは必要だと思いますけれども、ただ道路の場合は、国道はほぼ一〇〇%が利用者負担、道路特定財源、燃料税とかそういうものですね。それから地方道については大体半分以上一般財源が入っておりますけれども、しかしほかの自動車税とか軽自動車税とか、そういう自動車にかかっておるもろもろの税金からいうとやっぱり七割ぐらいは自動車利用者が負担しておると。したがって、私はそういうことを考える場合にもそれぞれの交通手段のバランスということを考えた上でやっていただく必要があると思いますが、運輸大臣はどうお考えですか。
  47. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) そうした点も含めて、私は検討委員会の結論というものは導かれるものと思います。
  48. 田渕哲也

    田渕哲也君 それでは次に移りたいと思います。監理委員長は結構でございます。  次に、鉄建公団について質問をしたいと思います。  まず、鉄建公団の設立の理由と果たしてきた役割について運輸大臣にお伺いします。
  49. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 鉄建公団は、昭和三十九年三月に、日本鉄道建設公団法に基づき設立をされたものであり、その設立は、同法第一条の目的に定められていたところからも明らかなように、鉄道新線建設を推進することにより、鉄道交通網の整備を図り、もって経済基盤の強化と地域格差の是正に寄与させようとする考え方のもとに行われたものであります。その後、大都市及びその周辺における通勤通学輸送需要の増大等に対処するための民鉄線の建設業務が追加をされるなど、鉄建公団の業務内容が拡充をされましたことに伴い、現在では鉄道建設を推進することなどにより、大都市の機能の維持及び増進に資することも目的として担うに至っております。  このような目的のもとに、鉄建公団はこれまで武蔵野線、湖西線、京葉線のような国鉄線、三陸縦貫線や、野岩線のような第三セクター線、さらには小田急の多摩線や京王相模原線、東急の新玉川線、近鉄の東大阪線などの建設を行うと同時に、上越新幹線建設し開業を実現するなど、その与えられた目的に従って重要な役割を果たしておると考えております。
  50. 田渕哲也

    田渕哲也君 鉄建公団の今までの実績を見ますと、やはりAB線建設というのが最も主を占めておるわけであります。つまり、国鉄ではとても採算がとれない、したがってこれは鉄建公団がつくって国鉄に無償で貸与する、こういう方式でAB線建設を進めてきたのでありまして、これが最も主たる業務だと私は思うんですけれども、もし国鉄分割民営化された場合、こういう役割はまずなくなりますね。この点はいかがですか。
  51. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) なくなるといいましょうか、むしろ民間の旅客鉄道会社となったそれぞれの会社との間に新たな関係が生ずると申し上げてもよろしいのではないでしょうか。
  52. 田渕哲也

    田渕哲也君 ということは、民営化された会社がいわゆるローカル線をつくる場合、経営の採算はとてもとれない、そういう場合は鉄建公団に頼んでつくってもらって安く貸してもらうとか、無料で貸してもらうとか、そういう方式はやっぱりとられるわけですか。
  53. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いや、たまたま委員の御質問に即してお答えをすれば、そうなると私は感じたのでありますけれども、御承知のように鉄建公団につきましては、昭和五十四年十二月二十八日の行政改革に関する閣議決定におきまして、「青函トンネルの本体工事が完了した時点において、他との統合等を図る。」とされております。同時に、今回の国鉄改革の関連法案の中におきまして、国鉄分割民営後も公団旅客会社や貨物会社の路線を建設し、貸し付け、あるいは譲渡をすることができるように鉄建公団法についても所要の規定整備を行っております。その意味では、本格的な鉄建公団というもののあり方等々ということになりますれば、今後の鉄道建設に対するニーズの動向を踏まえながら、青函トンネルの本体工事の完了までの時点に適切な結論を得るべく今後の検討を進めてまいるということになりましょう。先ほどは委員の限定された御質問に限定された範囲でお答えを申し上げたということで御理解をいただきたいと思います。
  54. 田渕哲也

    田渕哲也君 私はこの分割民営ということと鉄建公団を存続するということとはやはり関連があると思うんです。というのは、鉄建公団公団でなければならない理由というのは、新線建設についての補助とか利子補給とか財投とか、そういうものの受け皿として公団である必要があったわけです。もし民間会社になった場合にそういう公団を残すということはどういうことなのか。もし補助とか利子補給とか財投が必要ならばこれは民間会社が直接政府との関係においてそういうことを受ければいいわけであって、鉄建公団というようなものが必要かどうか疑問に思うんですけれども、いかがですか。
  55. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 鉄建公団そのものの将来方向につきましては、今も申し上げましたように青函トンネルの本体工事完了までに他との統合等を踏まえて検討することになっておるわけでありますけれども、現時点を前提に物を申し上げるとすれば、鉄建公団の行う第三セクター線建設というものは従来どおり基本的には補助金によって行われるものでありましょう。また、旅客会社線あるいは民鉄線につきましては、六十二年度も従来どおり利子補給金の予算措置を私どもは要求をいたしておるわけでありまして、これが特殊法人の形態を存続することが今次の国鉄改革の方向に反するとは私は考えておりません。ただ、鉄建公団の将来の姿をどう持っていくかということは、確かに関連が全くないとは申しませんけれども、青函トンネルの本体工事完了までに結論を出すことであります。
  56. 田渕哲也

    田渕哲也君 私はまだ継続しているものの処理はそれは仕方がないと思うんですけれども、例えば民間会社補助金を受けたり利子補給を受けたりしてやる、あるいは第三セクターがそういうことをやる、それはこれからもあり得ると思うんですけれども、その場合は別に鉄建公団でなくても自分のところで独自でやってもいいし、あるいは民間の建設会社にやらしてもいい。鉄建公団はそういう場合には公団としての意義を失うわけですね。今までは政府資金を借りてそれで自分で投資をして国鉄に貸与するという、そういうことがあったから公団であったわけですけれども、そういうことが行われなければ、むしろ分割民営化された後では公団というものの存在は不必要になると思うんですが、いかがですか。
  57. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) もともと、この鉄建公団の将来の姿を青函トンネルの本体工事完了の時点までに決定をするという閣議決定が行われましたのは、ちょうどその当時鉄建公団の経理処理等をめぐりまして世上大変厳しい御批判が公団に相次ぎ、その時点において公団の存廃についての可否を問うような御論議があった時代でありました。ちょうど私は与党の行政改革の担当責任者として、当時その世論との間に大変板挟みになり苦慮をしたことを記憶いたしております。  しかし同時に、調べれば調べるほど、鉄建公団の持つ技術集積度、その技術者の能力等々というものは十分な検討なしにいっときの感情においてその存廃を決するような性格のものではないということを感じ、特に代表的な当時鉄建公団の行っておりました工事のうち青函トンネルの本体工事完了までという期限を切り検討という方向を打ち出したことであります。  私は、委員が御指摘になりましたように民間の鉄道企業がそれぞれ自前で建設をされる、あるいは民間の一般建設関連業者の方々に発注をされて工事をされる、そういう方向も決してないとは思いません。しかし、仮に一方にこれだけ優秀な専門技術者集団が存在をしていた場合において、果たして民間の企業経営者方々がそれだけの優秀な技術者集団の存在を外して自分たちで工事をされることを選ばれるか、その技術者集団というものが存続をしていればそこに依頼して工事をする方が楽だという判断をされるかは、私はまた別な問題があろうと思います。  同時に、将来ともにこの鉄建公団の方向を決めてまいりますについては、これから先の民間鉄道となりました後の国鉄の各会社あるいは現在あります各民間鉄道新線建設に対する考え方、将来図、こうしたものをも踏まえながら私は検討をされることになると考えております。現時点においてこれが存否を決するには余りに早過ぎると、私は率直にそう感じております。
  58. 田渕哲也

    田渕哲也君 その次に、現在の予定されておる旅客会社鉄道事業法で決められた以上の諸規制がありますね。代表取締役、監査役の選任、解任、事業計画、重要な財産の譲渡、定款の変更、新株の発行。大臣が席を所用で外されましたので政務次官にお伺いしますけれども、この鉄道事業法を超えた諸規制というものはこれはどういう理由で設けられたわけですか。
  59. 柿澤弘治

    政府委員柿澤弘治君) お答えいたします。  国鉄が新会社に移行するに当たりましても、今後とも基幹的な輸送手段として国民のニーズにこたえていく必要がございます。その意味では、最大限のそうした公共的な役割を果たすために取締役の認可その他の規制の規定を挿入させていただいたところでございます。今後そうした公共的な役割というものが定着をいたしますに従いまして、株式の処分その他できる限り自由な活動ができるよう、純民間的な姿勢に移行させていきたいというのが基本的な考え方でございます。
  60. 田渕哲也

    田渕哲也君 そうすると、これは暫定的なものである、将来は一般の私鉄と同じような規制になっていくのだという理解でいいわけですか。
  61. 柿澤弘治

    政府委員柿澤弘治君) その辺につきましては今後の推移を見守ってまいりたいというふうに考えております。
  62. 田渕哲也

    田渕哲也君 次に、新幹線保有機構についてお伺いをします。  新幹線保有機構の役割は本州三社の収支バランスをとるため資本費負担の調整のためだというふうにお伺いしておるわけでありますが、単に資本費負担の調整だけならば、在来線においてとられておるように初めから債務として割り当てる方法もある。むしろその方が望ましい。そうしなかった理由はどこにあるのか、お伺いをします。
  63. 柿澤弘治

    政府委員柿澤弘治君) 国鉄が現在経営しております四新幹線につきましては、その経営の時期、また工法等が違うことから資本費負担につきまして格差が生じております。また御承知のとおり、新幹線によりまして、輸送量等につきましてもそれぞれの新幹線の成熟度に違いがございまして、いろいろな隔たりが見られるわけでございます。このように資本費及び輸送量の格差がある新幹線経営する旅客会社間の経営基盤の均衡化を図るためには、新幹線利用の機会の均等を確保しつつ、新幹線利用者の負担の適正化を図るために新幹線鉄道保有機構を設けて、機構がこれらの施設を一括して保有しながら各新幹線の輸送量等に応じた貸付料を徴収するという方式が最も適切であると判断をいたしたわけでございます。
  64. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、格差を調整する、収支のバランスを調整する、これにはいろいろの方法があると思いますが、今回の民営化においてとられた措置というのは、これは資本費の負担の調整によってやる、あるいは債務の分担の調整によってやる、そういう方式がとられておりますね。これは在来線でもそうです。新幹線においても考え方は私は同じだと思うんです。新幹線保有機構の役割は、いわゆる賃貸料で調節するんじゃなくて資本費の負担で調節する。資本費の負担で調節するなら、在来線のように初めから資本費の負担債務の持ち方を決めればいいのであるけれども、これを貸付料ということで長期にわたってやるようにしたのは、私は新幹線の輸送量が今のところ安定していないからだと思うんです。それで、調べてみましても東海道・山陽新幹線は確かに余り大きな変動は見られない。ここ十年ぐらい見てもそんなに大きな変動は見られない。ただ、東北新幹線、上越新幹線はできて間がないから需要量はまだどんどんふえる過程にある。まだ安定していないからそう一遍に、資本費の負担をどうすればいいかということはなかなか決めがたいというのでこのいわゆる保有機構が設けられたのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  65. 柿澤弘治

    政府委員柿澤弘治君) 田渕委員指摘のとおりでございます。  新幹線はそれぞれ成熟度に差がございまして、そういう意味で今後とも各社間及び利用者間の負担関係を恒久的に固定してしまうということができにくいわけでございます。その意味では、今後の輸送量等の動向に応じまして柔軟に対応できるようにしていくことが必要かと考えております。その点からも、今後新幹線に対する輸送需要、その沿線の地域の開発の動向にも依存をいたすところでございますし、また航空や自動車といった他の輸送機関との関係も今後見守っていかなければならない。そういう点を勘案しながらできる限り柔軟に現実的に対応できるような方式として現在の一括保有方式を採用いたしたようなわけでございます。
  66. 田渕哲也

    田渕哲也君 この安定する期間というのはどれぐらい見ておけばいいか。東海道・山陽新幹線の例で見ますと、十年ぐらいたてば大体安定してくる。東北新幹線、上越新幹線でもそういう傾向になると思うんですね。この点はどう考えておられますか。
  67. 柿澤弘治

    政府委員柿澤弘治君) ただいまお答えをいたしましたように、今後の地域の経済開発の状況、またその他輸送手段の発展の動向、例えば空港整備の動向等大きく影響を受けますので、いつごろまでにということを数字できちっと申し上げることはこの段階ではなかなか難しいかと存じます。  田渕委員おっしゃいましたように、東海道・山陽等の例もございますが、今後国土の均衡ある発展という大きな政治の課題にこたえながら、どのような形で地域間の経済格差の解消が図られていくか、その中で新幹線に対する需要がどのように増大していくか、その辺についてはいまだ正確にお答えする段階ではないと存じております。
  68. 田渕哲也

    田渕哲也君 総理にお伺いしますが、総理は衆議院の国鉄特別委員会において、この新幹線保有機構はある程度安定性のある方向が出てきて、見通しが出てきたらあらゆる角度から見直すという答弁をされております。  私は、今のところ大体三十年ぐらいこの保有機構を存続する予定だと伺っておりますが、常識的に見ても、あるいは東海道・山陽新幹線の例を見ても、十年もあれば大体この四線については安定性のある方向が出てくるのではないか、そうすると三十年もこの保有機構を設けておく理由はないわけで、安定してきたら保有機構は要らなくなる。その場合に残っておる債務を合理的に全部分けて渡してしまえばいいわけであって、そういう意味で十年もたてばそういうことが可能ではないかと思いますけれども、できるだけ早い時期にそういう方法をとられることを要請したいと思いますが、総理はどう考えておられますか。
  69. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 衆議院における私の発言は、民社党の議員の方から、新幹線保有機構は、もしこれで償却が済んでしまったらただで今の旅客会社に渡すべきじゃないか、そういう御質問がございました。それに対しまして、新幹線保有機構は旅客会社の間のいろいろなバランスを考えてこういうものをつくったわけでありますと。そこで、減価償却がすべて済むという状況になるということは非常に望ましいことであって、そういう状況になればそのときどうするかということは考えましょうと。しかし、これは国民の大事な財産であるので、今までの経済理論に従って償却が済んだらすぐただで渡すということが果たして適当であるかどうか、その場になってもう少しいろいろ国民世論その他も検討した上ですべてそういう問題については考えてみたい、そういうふうに申し上げたわけなのであります。  それで、十年とか三十年とかそういう期間を別に区切っておるわけではありません。一般論として、もう償却が済んだらただで渡すべきである、そういう御質問に対して、その点は研究課題でありますと、そういうふうに申し上げたのでございます。
  70. 田渕哲也

    田渕哲也君 その点と、総理の答弁の中に私はもう一点あると思うんです。安定性が出て、見通しが出てきたらあらゆる角度から見直すと。これは河村議員の質問ですが、あらゆる角度から見直すというのは存廃も含めてということですねと河村議員が言ったら、総理はあらゆる角度からですと言われたわけです。ということは、三十年たたなくても、安定性が出て、見通しが出てきたらこの保有機構の存廃も含めて見直す、これが一点あるわけです。まずその点から。
  71. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は、ともかくやってみまして、そうしてそのバランスがどういうふうになるか、あらゆる面について検討した上で、そうして一定の方向、安定性が出てきた、そういう場合には、では今まで保有機構でこういうふうにやってきたけれども果たしてそのままでいいかどうか、これはその情勢によって見直すということは適当である、そう考えております。
  72. 田渕哲也

    田渕哲也君 それからもう一点が、私が質問する前に総理が話されたことですけれども、使用料というのは私は単なる賃貸料というあれではないと思います。これは資本費の負担の調整を図るための手段である、したがって、使用料というのは資本費負担あるいは債務の延べ払いの性格だと思います。もちろんこの場合の債務は再調達価額ということになっておりますが、そういう理解でいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  73. 柿澤弘治

    政府委員柿澤弘治君) この新幹線保有機構の使用料につきましては、保有機構法案の第二十一条第一項に規定がございますが、新幹線保有機構は施設を貸し付け、旅客会社はこれを借り受けることとして、これらの行為は法律的には賃貸借と解すべきであって、御指摘のような再調達価額の支払いあるいは債務の繰り延べといったようなものとは法律的な性格を異にするというふうに考えております。  また、三旅客会社に配分する貸付料につきましては、概算総計年額というものを算定いたしまして、機構がその債務を償還していくに足る額を基準とすることにしておりますが、各会社に対する貸付料の額は、概算総計年額を各新幹線の輸送量等に応じまして配分して算定されるものでございます。  したがって、各会社に対する貸付料の額は、新幹線の施設の再調達価額と直接関係するものではないと考えております。
  74. 田渕哲也

    田渕哲也君 監理委員会意見の中には、新幹線保有機構を設ける理由として、三社の収支のバランスを調整するために新幹線の資本費の負担の調整を行うという趣旨があるわけですね。だから、あくまでこれは資本費負担の調整であるというふうに理解すべきだと思うんですが、どうなんですか。
  75. 柿澤弘治

    政府委員柿澤弘治君) 経済的な意味としてはそうした目的というものが含まれていることは田渕委員指摘のとおりでございますが、ただ、今申しましたように、法律的な性格ということになれば賃貸借ということでございまして、資本費負担の配分ということに直接つながっているわけではない。その点ひとつ経済的な意味というものと法律的な性格というものを分けてお考えをいただきたいと存じております。
  76. 田渕哲也

    田渕哲也君 私はちょっとおかしいと思うんですよ。というのは、新幹線の維持更新費用、改良費、これは全部旅客会社負担するわけです。意見書の中にも、やはり将来旅客会社経営自主性という面から見てこれは当然負担すべきだということが書いてある。それから貸付料の計算方法も、再調達価額を利子を払いながら返還していくということから割り出されておる。それから保有機構を設ける意義は、先ほど申し上げましたように資本費の負担の調整のためである。こういうことから考えると、当然貸付料は債務の延べ払いである。そういう性格を持っておると思うんです。でないとつじつまが合わないし、また再建監理委員会の精神というか、哲学というか、そういうものにも反すると思うんですけれども、いかがですか。
  77. 柿澤弘治

    政府委員柿澤弘治君) 重ねてのお答えになろうかと思いますが、資本費負担の均等化という目的を持っていることは田渕委員指摘のとおりでございますが、しかし新幹線保有機構は保有機構として独立した会社になるわけでございます。その資産を貸付料をいただきながら利用を各会社にお認めをするということになるわけでございますので、資産の所有はあくまでも新幹線保有機構のものということで、債務の繰り延べその他というような性格のものでは法律的にはないという点は御理解をいただきたいと思います。  ただ、経済的な目的としては田渕委員指摘のような点があることは事実でございます。
  78. 田渕哲也

    田渕哲也君 一貫して流れておる一つの思想というものがあるわけでありまして、本来なら北海道にしても四国にしても九州にしてもなかなか採算のとりにくいところであって、本当は恒常的に政府から助成を出すということも考えられてしかるべきであるけれども、これはいわゆる持参金をつけるということで、あとはもうあなた方の責任においてやれということですね。これは非常に思い切ったやり方だと思いますけれども、そのよしあしは別にしても、これがやっぱり今回の再建監理委員会の一つの発想だと思うんです。その発想というものが新幹線においてだけ例外扱いされているわけではない。貸付料は取るけれども、あくまでこれは資本費の負担の調整だと。だから、賃貸料ならこれは永久に取るわけですけれども、永久に取らないわけですね。債務償還後は譲渡するということまで決めてあるわけです。それから改良と維持更新は旅客会社責任においてやる、こういう一連のことからいうと、この貸付料は、形式的には賃貸料かもわからぬけれども実質的には債務の延べ払いである、そう解釈するのが妥当ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  79. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ただいま政務次官から御答弁申し上げましたように、法的にはこれは賃貸借というふうに考えるべきだろうと思っております。  おっしゃるように、新しい分割民営化された会社というもののいわゆる自主性を損なうというふうなことがあってはならぬわけでございまして、したがいまして、従来からも再々申し上げておりますように、その賃貸料というものの計算におきましては、あくまで資本費というものをベースにいたしまして、これを客観的な基準によって年間の総額を算定する。客観的な基準と申し上げますと、要するにこの四つの新幹線の平均耐用年数、再調達価額、したがってその償還の期間、償還と申しますか、債務そのものを完全にクリアにする期間というものは平均耐用年数、それからさらにそのトータルの額は再調達価額ということをきっちり客観的に決めまして、かつ、それを輸送量それから再調達単価というもので各会社に客観的に割り振る。こういう形で、いわゆる恣意が入る余地がないという形で各会社自主性を尊重していくという形で算定はいたしております。しかし、結果として算定された各会社に対するいわゆる貸付料というものは、これは法的には賃貸借に基づく貸付料というふうに整理するのが妥当であろうというふうに考えております。
  80. 田渕哲也

    田渕哲也君 時間も迫ってきましたからポイントを絞ってお伺いします。  この保有機構というものはあくまで四線に対して適用されるものであって、将来整備新幹線その他の新幹線ができた場合、その場合も経営収支のバランスをとるという必要は出てくると思うんですけれども、この保有機構はそこまで拡大することはありませんね。
  81. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) そのとおりであります。
  82. 田渕哲也

    田渕哲也君 そうすると、新たにできる、あるいは整備新幹線その他については、そういう収支のバランスはどういう方法でやられるのか、お伺いします。
  83. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほどから整備新幹線につきまして何回か御答弁を申し上げてきたわけでありますが、現在その整備新幹線の着工の前提条件についての検討を行い、その結論を得て対処していこうという状況でありますので、御指摘のような点については現時点において何とも申し上げようがありませんので、御理解をいただきたいと思います。
  84. 田渕哲也

    田渕哲也君 最後に、これは審議官にお伺いします。  この貸付料の算定の基準とか、それからこれは新幹線ではありませんけれども、三社に対する債務の割り当てというものが果たして合理的かどうか私はちょっと疑問を感ずるんですけれども、例えば新幹線の貸付料は、政府の予定されておる計算方式でやってみますと、上越新幹線は収入に対する貸付料のウエートが八〇%を超える。東北の場合は六五%。東海道の場合は六二%。山陽の場合は三三%。これで果たして収支のバランスがとれるのかどうか、やや疑問を感ずるわけです。  それから三社の債務負担額ですけれども、これはいわゆる引き継ぎ資産額から資本金と退職給与引当金を引いたものを引き継ぎ債務額としておる。そうすると、資産に対して収入の多いところ、こういうところは、大体収入の二〇%をめどに資本金が設けられるわけでありますから、資産に対して収入の多いところほど引き継ぎ債務額は減ってくる、つまり有利なところほど債務が少なくなるというような結果になるわけですね。この点はいかがなんですか。
  85. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 第一点は、四つの新幹線の使用料とそれからその額がそれぞれの収入に占める比率というものが非常にアンバランスではないかという御指摘だと思いますが、この点につきましては、先ほど申し上げましたように、各会社に対する配分の仕方というのが、一つはそれぞれの新幹線の輸送量、これは人キロでございますが、輸送量が一つの指標になっております。それからもう一つはそれぞれの新幹線の再調達単価、すなわち、例えば東北・上越新幹線の場合は非常に新しい段階でできたわけでございますが、さらに東海道あるいは山陽新幹線はかなり古い時期にできたものでございます。そういう古い状態のものを現在これを調達するとすればどれぐらいになるかといういわゆる再調達単価、これをキロ当たりの単価に出しまして、その輸送量と再調達単価、この二つの指標を掛け合わせまして、それによって配分しております。したがいまして、おっしゃるように輸送量だけで配分いたしますと収入とほぼ比例することになると思いますが、再調達単価は、これは例えば上越新幹線は非常に高いわけでございます。それから山陽新幹線は非常に低いわけでございます。それが反映いたしますので、貸付料の額は収入に占める割合というものが非常にバランスが崩れてくるということになるわけでありまして、ただそれはしかし、各会社にそういう形で使用料を設定いたしましても、各会社のいわゆる収支というものはそれで結果的にバランスがとれる、こういうことになるわけでございます。  それからもう一点は資本金の額の設定の仕方の問題でございますが、これについては現在の私鉄の平均、大体売り上げの二割程度ということでございますので、収益力等を考えましてその額に設定するのが妥当であろうということで設定したわけでございます。おっしゃるように、本州三社の場合を見ますと、今の問題と関連するわけでございますけれども、いわゆる新幹線についてはこれは貸し付け方式をとっておりますので、その貸付料というものがいわゆる引き継ぎ資産額から外れてくるわけでございます。したがって、東海会社の場合はおっしゃるようなことになるわけでございますけれども、それはしかし、一方、東海会社は別の形で東海道新幹線の資本費を負担しているわけでございまして、それを債務引き継ぎという形ではなくて別の形で負担しているわけでございます。したがって、そういう面をかみ合わせれば、結果的にはそうおかしなことにはならぬだろうというふうに考えております。
  86. 田渕哲也

    田渕哲也君 終わります。
  87. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 まず第一点は、先ほど同僚議員からお話がありました、きょうの伊豆大島の実に二百九年ぶりの大噴火であるというふうに言われておりますが、大島島民の一万三百名の方たちと観光客の約二千名の方たちが政府の素早い措置によってけさ方までに全員離島に成功したと、その措置について、まず政府のとった措置に敬意を表する次第でございます。  私は昨夜来から心配でありましてテレビを見ておりましたが、避難をされてこちらにお見えになりました島民方々が、テレビでありますが、まずやはりとるものもとらずに着のみ着のままで避難をした。その中である御年配の女性のお話では、夜の十一時過ぎだったわけですけれども、まだ夕飯もとってない、お金も持ってない、どうしたらいいのかわからないという、本当に不安そうな顔でテレビの取材に応じておりました。あるいは若い御夫婦が小さな子供さんをだっこされておりましたが、その御夫婦は子供の着る衣類だけを持って自分たちの着物はこの現在着ておるこれだけしか持ってきてないと、これもこれから後どうなるものかというふうに心配をされておりました。  そこで、政府も万全の策をとられてまいりましたけれども、火山学者なり地震学者のお話によりますと、今の噴火は一年以上続くのではないかということも学者の間でも言われておるようですが、島民の方たちというのは、これからますます寒さが厳しくなってくる、そうすればまず第一番に住居である、そしてすぐからの寝具を中心とした家庭用品である、そしていつまで自分の郷里に帰れないかという大変な実は御心配もあると思うんですが、そういう点について、特に住居の関係あるいは食料の関係、そして寝具を含めた家具用品等いち早くやはり手だてをしてあげなければいけないというふうに思うわけですが、そういう具体的な施策なり手だてについてお考えがあればまずお聞きをしたい。そして総理の方から、この大災害に対する取り組みを含めた御見解をお聞きしたい。
  88. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず第一に、昨夜来大変御心配をいただき、また委員におかれましてもさまざまな角度で御協力をいただきましたことにお礼を申し上げたいと思います。  今政府全体の対策本部の責任者であります国土庁長官現地に出かけておられますので、便宜私のわかる範囲内でのお答えでお許しをいただき、他の点につきましての委員の御指摘は後ほど本部の方へそのまま伝達をいたしたいと思います。  昨夜来おかげさまですべての方々を無事救出することができまして、その間、海上保安庁、海上自衛隊、また特に民間企業であります東海汽船、非常に敏速な対応をしていただいた結果、負傷者等々を出さずに済みましたことに一点ほっといたしております。  先ほど、ちょうど九時四十一分、マグニチュード六・一というこの一連の噴火に連続する地震としては最大級の地震が発生をし御報告を申し上げた次第でありますが、現在大島の体積ひずみ計という器械並びに東海地域の地震監視網における自動観測を行いながら、二十二日、海上保安庁の巡視船を利して職員を気象庁は三名派遣をいたしまして火山活動の監視に当たらせると同時に、関係機関の協力を得ましてヘリコプターによる上空からの火山活動の監視をいたしております。また海洋気象観測船啓風丸を回航させて噴火対策に当たっております。  昨夜来いずれにしても大変緊急な事態でありましたために、受け入れをお願いした各地域、施設には大変な御苦労をかけながらここまで参りました。そうした中で、委員が御指摘のような食事もしないうちに船に乗って飲まず食わずというような声、私も聞かせていただきましたし、また身の回りの御心配、さらには幼い子供さんに対する栄養補給その他さまざまな問題が現に生じつつあります。東京都とも十分連携をとりながら万全を期してまいりたいと思います。  御指摘の点につきましては、後刻私の方から本部に対して連絡をし、委員の御要請を伝えたいと思います。
  89. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 当面はやはり避難された方々に対する手当てを十全に行うことで、身の回りの問題や食料その他、あるいは医療に至るまで万全を期するようにやらせたいと思っております。ゆうべから災害救助法を発動いたしまして、対策本部もでき、各省庁の連絡、東京都、静岡県等とも密接に連絡をとらせてやっておるところでございます。  それからやはり一番根本的な問題は、科学技術に頼って安全度を早く見きわめる、そうしてその見きわめの上に立ってできるだけ早期に島にお帰しするということが大事だろうと思います。いろいろ財産を残してこられた方もありますし、家畜を放置してきた方もございますし、家のこと等についてはいろいろ御心配していらっしゃるだろうと思うんです。そういう点から、いっときも早く安全を見きわめた上で島へお帰しする、その時期の判断が非常に難しいと思いますが、できるだけ早くお帰しするということが大事である、そう考えております。
  90. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 その点、強く最後に要望を申し上げておきます。  今総理からもお話がありました。現金を持ってこられていない避難者の方々もおられるというふうなテレビのお話も申し上げましたが、ちょっとした日用品を買うにしても直ちに現金が必要だろうと思うものですから、生活保護の適用をとるのかどうか、早急にひとつ政府の方で御検討をいただいて、直ちに避難者の皆さんたちに対する現金の支給の手だてを講じていただきたい。  それからいま一つは、昨夜来徹夜をして大変な御協力をいただいたこちらの方の施設の方々あるいは地元の方々、そして御協力をいただいた各民間会社等についてもひとつ十分の心尽くしをしていただきたいということを御要望申し上げておきたいと思います。  それでは、国鉄改革法案の問題についてお尋ねをいたします。私自身、こういう委員席に立つのも初めてですし、地方議会の経験もないものですから、あるいは政府なり政府機関の方に答弁の段階で御迷惑があるかと思いますが、お許しを願いたいと思います。  まず、国鉄分割民営化の法案が本院に提出をされたのが十月二十九日でありました。国会も多くの国民も、そして国鉄に働いております今の職員全体も、今日のこの国鉄の財政危機あるいは国鉄の現状をこのまま放置してよいというふうに考えておる方は一人もいないと私は思うんです。そこで、三十兆を超す巨額に上る長期債務をつくり出したそういう責任について、いろいろと要因はあったにせよ、国民は全くあずかり知らないことなんです。このまま政府案のとおりに通過をするということになりますと、従来から言われておりますように、約十五兆に及ぶ借金を国民が背負わなければならない、一体こういう無謀な話があるのかというお話を各地域でも再三お聞きをしました。  衆議院の国鉄特別委員会での審議についても、国民の声といいますか、まとまった声というのはマスコミが代表しておったようでございますが、その特徴的な点を拾ってみますと、百十数年の歴史を持つ国鉄を解体するという以上、利用者の立場に立って十分な議論が尽くされなければならない、特別委員会は議論を尽くしたと言えるだろうか、残念ながらそうだとは思われない。そして民営化に向けての賛否両論、特に分割についてその必然性を疑う声がある。特に、四国、北海道、九州の分割については、地方公聴会でも収支の見通しが暗いということがたくさん述べられたというふうに言われております。あるいは本州の会社をなぜ三分割するのかこれがわからないという意見もたくさん出された。こういうふうに衆議院の特別委員会で、あるいは衆議院で本法案が通過した後、マスコミが一斉にこういうふうな評価をしておるところであります。そこで私は、以上のような国民の疑問あるいは声を最大限にお聞きし、解明するのが本院の役割であり、任務だというふうに思っておるところです。  そこで、まず第一点お聞きをしたいのは、本特別委員会でも実施をいたしましたが、中央公聴会、地方公聴会等を開きましたし、それから衆議院段階での公聴会の内容は、日本国有鉄道改革に関する特別委員会議録の第七号(その二)に掲載をされておりますが、この中で法案を修正する箇所があるのか、いわゆる中央、地方で出された意見をお聞きしながら、法案そのものを修正する箇所があるのか、あるいは法案修正まではいかないけれども、ここで採用したい、あるいは今後検討したいという点があるのかどうか。まず、そういう点を総理なりあるいは運輸大臣にお聞きしたいと思います。
  91. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 本院並びに衆議院段階における中央、地方における公聴会の公述人の御意見というものは、あらかた私も聞かせていただいたり、あるいは議事録として読ませていただいたり、あるいは出席をしておりました関係者からその要約を受け取ったりして、大体のことは存じておるつもりでございます。しかし、私ども政府の原案というものを最善と信じて国会に御審議を願っておるわけでありまして、私どもの立場からすれば原案が一日も早く可決成立をいたすことを願ってやみません。  また、その法律案を修正するあるいはしないというような部分につきましては、我々としては政府の原案がそのまま通過成立することを心から期待いたしておりますけれども、院の御意思として決せられるべきことであり、政府側がそれについて云々をすることは差し控えたいと思います。
  92. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 確かに政府は自信を持って本法案を提出されたと思うんですが、あんなにたくさんの公聴会での公述人の意見が出ておりますし、あるいはそれ以外に、たくさんの学者あるいは研究者の方たちから政府の方にも要請なり陳情があっておると思うんです。ですから私は、メンツの問題でなくて、やはりここらについては国民の声に耳を傾ける、そういう立場からも提案者そのものがこういう場所についてはこういうふうに修正をしたい、そういうことを逆に院の方にお諮りする方法だってあるんではないか。しかし、大臣は自信を持って提案をしたというように言われておりますから、そういう点についてはひとつこれから後の審議の中でも、私らはどうしてもやはり納得ができない、あるいは不明だという部分については指摘を申し上げていきたいと思います。  もう一回お尋ねをしておきますが、たくさん出された意見について、あるいは御要望について、提案者としては今のところ考える必要はないと。ですから、院の方で協議をして、この部分については修正せよということであれば検討する余地があるということですか。
  93. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) それは委員、ちょっと御無理なお尋ねでありまして、私どもはあくまでも原案で通過成立をさせていただきたいと繰り返しお願いを申し上げておるところであります。ただ、院の御意思として何らかの御意見がまとまれば、我々はそれに従う責任があるわけでありますから、それをしも拒否するというようなことは許されることではありません。  ただ、国民の御意見と申しますものは、確かに私もさまざまな方々からも投書をいただきましたりあるいはお電話をいただきましたり、いろいろなものを拝見いたしております。また、マスコミの方々の報道にもできるだけ目を通しておりますが、私は大勢は、政府の目指す方向を国民は御支持をいただいておると考えております。
  94. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 それでは少し内容に入ってみたいと思うんですが、今も申し上げましたが、中央、地方の公聴会、あるいは本院でも大変議論になっておりますし、衆議院段階でも問題になりましたが、今の国鉄の労使関係については大変な異常な状態だと、だれも今正常だというふうに言われる方は日本国民の中に一人もいないと思うんですが、本委員会の代表質問の中でもやはり労使正常化が前提だという意見等もたくさん出されておりました。  そこで、できたら総理総裁あるいは運輸大臣にお聞きをしたいわけですが、私はまず第一に、昭和五十五年に成立いたしました国鉄再建特別措置法の第一条、二条、三条、ここに持っておりますが、そういう中であの法律で示された改善計画についてどういう評価をしておるのか。  と申し上げますのは、いわゆる二条ですか、基盤整備をやってこれから先の国鉄の改善を目指していけと。その中で、当面六十年を目指して、いわゆる四十数万おられた国鉄職員を三十二万体制に持っていく、そして損益計算でありますけれども、二百億の黒字を目指して頑張れ、こういう法律の趣旨であったと思うんです。そういう点について一生懸命努力をされてきて、結果として、いろいろ議論になっておりますように、大臣いろいろ言われますが、六十年度の国鉄の決算では、損益計算では二百億の目標を大幅に上回る三千二百億程度の黒字を出しておる。このことについての評価をひとつお聞きしたいと思います。
  95. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は国鉄の諸君の努力を認めないなどとは決して申しておりません。今委員が御指摘になりましたような改革法と、その中身を受けての努力というものにも正当な評価はいたしたいと思います。  ただ、たびたび本院でも御論議がありましたところでありますが、一般営業損益というものは確かにその会社状態を見る一つの手法ではございますけれども、これが大変ある意味では、実態を把握する上では、意味がないとは申しませんけれども経営状況を正確に把握するものではないことは何回か申し述べたところでございます。  同時に、いわば経営改善計画というのは、とにかくバランスをとれる状態にまで持っていけということを目指し、その中で一般営業損益というものを一つの視点に置かれたというものでありますし、その努力を続けていただいております間に、根本的に将来を見通し、鉄道事業の再生というものをかけ、その方向を模索し、その中から今日御審議をいただくような国有鉄道分割民営化という方向を見定め、そしてその将来方向に従ってただいま御審議をいただくような法律案を提出したということでありまして、関係という御質問について的確かどうかわかりませんが、私はそのような受けとめをいたしております。
  96. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 五十五年度法によります経営改善計画、先生今おっしゃいましたように、六十年度目標で健全経営の基盤を築き、以後収支の均衡を図るというような目的が掲げられております。実績的には、確かに六十年度におきまして、先般の決算の数字の結論からいいますと、目標を超えて三千億以上の一般営業損益における黒字という数字が出たことは事実でございます。また、それに至る国鉄労使間におきます合理化の努力というものもここに成果が投影されたということは、それなりに評価ができるものではないかというふうに私は思っております。  ただ、今運輸大臣が申し上げましたように、問題は、一般営業損益という一つのプロセスにおける目標の達成では、もはや国鉄の大変な赤字を持っております現状は打開できないという全く新しい観点からする検討がその後行われ、現在御提案申し上げております経営形態の変更を含む抜本的な改革が必要であるというふうに踏み切ったわけでございまして、過去におきます努力をさらに一層今後は新しい仕組みに向けて傾倒しなければならないというふうに私は考えておるところでございます。
  97. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 大臣にはちょっと——私の質問は、いわゆるこの特別措置法、これについての評価についてお聞きをしたわけですが、確かにたくさんの借金があるものですから。しかし、この法律の趣旨というのは、ここにも書いておりますように、「この法律に定めるその経営再建促進するための措置により、昭和六十年度までにその経営の健全性を確保するための基盤を確立し、引き続き、速やかにその事業の収支の均衡の回復を図ることに置くもの」である、これが第二条であります。今大臣がおっしゃったことで言えば、私は十八条、十九条では、長期資金の無利子の貸し付けについて、これはしなさいということじゃなくて、いわゆる予算の範囲内でという条件等もありますけれども、そういう部分についてやはり手落ちがあったわけです。しかし今ここで私は繰り返しませんが  そういう関係がありましたから、さっきから申し上げますように、四十二万近くおった国鉄の職員を三十二万体制でやりなさいというのがこの法律でありまして、そして五年間でいわゆる損益計算で二百億を黒字の目標に努力しなさい。それについて、三十二万でなくて既に二十八万を割っておるという、そういう大変な努力をされてきた中で三千二百億近くの黒字を出した。それについてだけの評価をお願いしたいというふうにお聞きをしておりましたが、もう時間がありませんから大臣の方は省略いたします。  総裁の方ですけれども、今お話がありました。私はやっぱり国鉄の労使が大変な努力をしたと思うんです。がしかし、これからお聞きをしていきますが、であれば、なぜこんなに国鉄の労使が今混乱をしておるのか。私は、総理もそれから運輸大臣もこの委員会の中で、お隣におられる先輩の先生方の質問に対して、国鉄の歴史から、そして国鉄職員がやっぱりプライドを持って働いてきた、そういうお話に対して、総理も大変御苦労なさってきたということについての考え方を披瀝されたわけですが、残念なことに、私はずっと聞いておりますが、総裁の方からはまだ一言だって、国鉄の職員が本当に一生懸命努力をしていただいた、また現在も努力をしていただいておるというお言葉を聞いた覚えがないわけです。  ですからやはり、今こんなに、百十五年走り続けた国鉄そのものを大改革するわけですから、職員の皆さんには、当面あなたが経営責任者ですから、責任者の立場からも、長年大変御苦労をかけ、一生懸命努力をしていただいた、そして先ほど私が申し上げましたこの再建促進特別措置法についても、目標を大幅に達成する努力をしていただいた、本当に御苦労をかけたということを、一言この委員会を通じて国鉄の職員にお礼を言ってもらえないか。
  98. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 先ほど申し上げましたように、経営改善計画の目標という観点におきましては、いわゆる経営の努力の一環としての合理化の達成がそれなりに行われ、また結果としての一般営業損益という観点でする目標を数字が突破したということは事実でございまして、ただ、顧みまするに、やはりこうしたような合理化の徹底というものがもっともっと早く実施されなければいけなかった、この間に労使間におきます諸問題がなかなかうまくいかなかったというところに大きな問題があったように思います。さらにまた、合理化の徹底に伴いましていわゆる余剰人員という問題の発生があり、これをいかように対策を練るかという非常に大きな問題が出たわけでございまして、こうした合理化事案あるいは過員対策等々の面におきまして、労使間におきまして一つの方向に向けて一生懸命やりたいというふうに呼びかけをし、それに対しまして当局と相ともに一つの目標に向かって邁進をしていただいている、そういう多くの職員組合もございますし、またある組合におきまして、内部の事情その他過去の経緯等の中からなかなか私どもの呼びかけにおこたえいただけない、あるいはおこたえが非常に遅いというような組合もございました。  そういう意味におきまして、労使間の正常化あるいは労使一体としての当面の局面の打開という面におきましては、いろいろと問題があったことも事実でございます。しかしながら、最近におきまして大いに労使一体となりまして雇用の問題あるいは改革の問題をやろうというような機運が非常に強くなりましたことは大変喜ばしく思っておるところでございまして、私どもこれからも各組合に対しまして全く公平、平等、無差別の原理をもちまして、今まで以上に呼びかけをしてまいる所存でございます。
  99. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 後の見解まで述べられましたからそこらは省略をいたしますが、私、今総裁の御答弁の中でもありましたが、運輸大臣も余剰人員という言葉を使いたくないと非常に配慮された言葉を、これは総理もそういうお言葉を出しておられますが、今も総裁はいとも簡単に合理化による余剰人員対策でと、こう言われました。私はその余剰人員というのを聞きまして、幾つか例もここに持ってきておりますけれども、私は福岡出身でありますが、先般来、帰りましたところが、ある中年の女性から電話がかかりまして、おばあちゃんが旅行するからホームを間違っちゃいかぬから、そして乗りかえの場合はどこで乗りかえたらいいか駅員に聞きなさいと、これは久大線の千足という駅の話です、そう言っておばあちゃんを送り出したら駅舎には一人も職員はいない。調べてみましたら、久大線の久留米駅から大分県の日田駅まで中に十の駅がありますが、その駅舎は全部今無人化したわけです。そして、毎日列車は走っておりまして、十一月一日からのダイヤ改正では列車本数もふえたわけです。従来駅舎におった職員を引き揚げていったわけです。  あるいは、ここに新聞がありますが、これは日豊線の行橋駅の状況が報道されたわけです。西日本新聞ですけれども、これでは、従来は三カ所の集改札口があったわけです。ところが、その中の一カ所を閉鎖した。だから大混乱が起きて、ラッシュの時期なんかもういわゆる乗る方とおりる方と混雑化して、閉めたところを乗り越してその乗客の方たちが乗っておる。こういうことをやれば、今国鉄が言っておるような余剰人員というのは何ぼでも出るんじゃないか。お客のサービス、安全というのは一体どこで守られておるかというふうに書かれておるわけです。  ですから、もう時間がありませんからあれですけれども、私は全国的な、あるいは九州だけでも結構ですけれども、従来駅舎に全部職員がおったわけですけれども、駅舎を何ぼ無人駅にしたのか、ここら付近はやっぱり合理化として無人駅にしましたということを国民皆さんに明らかにしなければ、何か、先ほどから言いますように、よほど国鉄職員が余っておったかのような印象を今国民皆さんは持っておるのではないか、それが今総裁が言われた余剰人員という言葉から出てきたわけです。そういう点は私自身は総裁に強く、その部分についてはこれから後も、余剰人員ではなくて、合理化によって使用者側がっくり出した人員でしょう。国民皆さんの安全についても、あるいは混乱する段階についても、国鉄の方ではもう経営上お世話はできません、その部分を引き揚げましたからという、その数字が今六万一千あるいは七万だというふうに言われておる職員の数である。そういうふうに確かに、言葉は余剰人員と言えば簡単でいいかもしれませんけれども、明快に国民皆さんにお知らせする必要があるのではないかというふうに思っておるところです。そこは意見として申し上げておきます。  そこで、特に、先ほどから申し上げますように、労使問題についてこれは運輸大臣のお考えも聞きたいわけですが、本法案が通って、来年の三月三十一日までは日本国有鉄道。そうすれば、極端な言い方をしますと、例えば博多を出発した夜行列車は東京に向かって進行中です。広島かどこか、そこら付近を進行中にその運転しておる、乗務しておる職員の皆さんたちというのは、いわゆる日本国有鉄道の職員としての身分はなくなるわけです。そして、配置がえが決まっておる方、あるいは人活センターへ行くような方については、その日の十二時を期して自分の雇用主がかわり、新しい会社に配置をされていくということになるわけです。あるいは人活センターに行くということになるわけです。そういう問題で、これは確かに国鉄ですから寸時のダイヤの狂いも許されないという大変な公共性、公益性があるからそういう状態が続くと思うんですけれども総理大臣もそれから運輸大臣も、その中での特に六万一千名余に上る、いわゆる国鉄から離れる職員の方々について、一人もやはり路頭に迷わしちゃいけない。そのための最大限の努力をするんだというふうに言われております。  そこで、これは総裁の方がいいでしょうけれども、二十日の日の本院で同僚議員の質問に対して、法案通過後のスケジュールが政府側から発表されました。そこでお尋ねをしたいのは、いわゆる特に再雇用問題で、法案通過後直ちに運輸大臣がいわゆる設立委員を任命する。そして設立委員会が設置されまして、いわゆる新しい求人に対しては設立委員会の方から国鉄側に申し入れがある。そうすると、国鉄の方はその申し入れに対し、今まで人を求めてきた、あるいは職員の意見を聞いてきた、それを調書につくっておるから、その調書に基づいて設立委員会の方に提起をするというような考え方のスケジュールが実は出されたわけです。そうしますと、お聞きをしたいのは、求人の内容について国鉄職員の一人一人の意見は一体どういうところで聴取するのか、そこをまずお聞きしたいと思います。
  100. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 法案が通過後に任命されます設立委員によりまして、それぞれの会社の採用条件あるいは労働条件がお示しをされます。国鉄がそれを受けまして直ちに行いますことは、全職員に対する希望調査、あるいは意思確認と法律では言っておりますが、全職員がどういう会社に、あるいはどういうところに行くことを希望するかという希望調査を全職員に対しまして実施いたすわけでございます。これは各個人個人の将来の生活に端的に結びつく大変大きな問題でございますので、やはりできるだけ時間をかけ、またそれの集計に当たりましても細心の注意を払ってこれを取りまとめたいというふうに思っておるところであるわけでありますが、そうした個人個人の御希望を聞き、さらにまた設立委員からお示しがあるであろう採用条件、これを両方つき合わせいたしまして、各それぞれの個人個人別の評価を行い、名簿を作成して、これを設立委員に提出するということをやるわけでございます。こうした作業が、なかなかそのこと自体重要であり、また多くの時間がかかるということは事実でございます。
  101. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 今総裁の方から希望を全職員に対してとる、これはもちろん十一月一日ダイヤ改正によりまして、現在鉄道業務に従事しておる方たちも含めて希望調査をするということですか。
  102. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) その時点におきます国鉄全職員に対してでございます。
  103. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 先般来の本院での質疑の中で総裁は、求人側から成績を求められた場合には、御答弁であなたは管理調書をもとに報告をするというように答弁なさいましたけれども、そこでお聞きをしたいのは、職員を採用する場合、他の会社に採用する場合です。ですから、あなたが別な会社の社長であったというふうにお考えになったらいいと思うんです。推薦をされた会社の方から、いや、この職員は不良であったというレッテルがついてきたといった場合に、あなたは採用しますか。
  104. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 実は、設立委員によります採用条件というものがどういうふうなものになるか、これはまだ全然わかっておりません。したがいまして、私どもの判断は、その採用条件のお示しを受けてからそれにお答えをしていくということでございます。
  105. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 それじゃ、ここで一つ総裁に強く要望しておきますし、あるいは運輸大臣の方にもお願いをしておきたいと思うんです。  採用条件を設立委員会が提示するといった場合に、勤務成績についてはこれは設立委員会の方が求めないように、そういうことでひとつ努力をしていただきたい、これはお願いをしておきます。  それから労働大臣にお聞きをいたしますが、今大臣もこれから後の労使関係問題についていろいろお話がありました。一生懸命努力をするというお話でありますが、今の、オーバーな話じゃありませんが、一つの国鉄の場合であれば二十万ぐらいの企業ですけれども労働組合が七十も八十もあるような企業は私は世界的にもないと思うんです。そういう中で、もちろん組合員というのは、組合の脱退、加入あるいは組合結成というのは一定の条件が整えば組合結成ができるわけですが、やはりこういうふうにたくさんの組合ができていったというのは、私は組合だけの責任じゃない。民間であれば経営者経営能力が問われる問題なんです。民間企業であれば倒産すると思うんです、こんなにたくさん労働法に基づいた労働組合があれば。団体交渉も連日のごとくやらなきゃいけない。そういうことが思われるわけですけれども、もしも民間企業でこういうふうな状態が起きた場合には、労働大臣としては行政的な指導としてはどういうふうな御指導を、これは想定ですけれども、なさる考えがあるのか。  あるいは今言ったのについでにお聞きをしておきますが、今の国鉄の労使問題について、行政指導として国鉄側に何か御指導なさった経過があるか、あるいは公労法適用の労働組合ですから、公労委の皆さんと御協議をなさって、例えば国鉄側に指導なりあるいは助言をされたことがあるか、あるいは今後そういうことを考えておるかどうか、同時にお聞きをしたいと思うんです。
  106. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) 我が国におきます労働組合をどのような範囲で結成するか、あるいはどのような労働者を組合員とするか、これは当該企業労働組合が自主的に決めるべき事柄である、このように理解いたしております。  さらに、もう委員も御案内のように、憲法二十八条及びILO第八十七号条約、こういう規定から見て、行政が企業における労働組合の組織状況について介入することは原則として許されないというふうに私は理解をいたしております。したがって、現在の国鉄問題に対してどうかということになりますると、御指摘のような事態について国鉄に対し行政指導を行うことは考えておりませんし、また公労委と協議するということもただいま考えておりません。
  107. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 確かに行政的な立場からは今大臣がおっしゃったようなことだってあるかもしれません。少なくとも国鉄改革の担当大臣のメンバーの中には運輸大臣そしてあなたがいらっしゃるわけですから、そこの中で、それは行政という立場でなく大臣同士でもやっぱりお話しをして、そして一刻も早く、今の労使問題についてはどうかしなきゃいかぬのじゃないですかというようなサゼスチョンだって私はあってもいいと思うんですが、そういうことをやられたかどうか、あるいは運輸大臣とお話しになったことがあるかどうか、お聞きしたいと思うんです。
  108. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) 大変重要な問題であり、かつ微妙な問題でもございますが、一連の国民的課題とも言われております大改革でございますので、運輸大臣等とは常に意見を交換いたしておりまして、なかんずくこの雇用関係の問題については、政府側も繰り返し御答弁申し上げておりますように、不当労働行為等そういうものは絶対にあってはならぬし、避けなければならぬということで従来から指導してまいっておるわけでございまして、ただいまも御答弁がございましたように、とにかく雇用不安を起こさないように、全員速やかに再就職、これが今後円滑な分割会社の発展に一番重要なポイントではないかというふうな意見交換は日ごろ行っておるわけであります。
  109. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 それじゃ、私もたくさん質問を準備しておるものですが、時間がないから、簡単にそう思うか思わないかだけで結構でございます。  今の改革法の二十三条でいわゆる国鉄職員以外の者についてはすべて承継をする、こうなっておるわけです。そうしますと、二十三条で例えば後の部分については、新事業体なんかに行く方については新規採用する、こうなっております。そうしますと、あの二十三条では一たん国鉄職員は全員解雇をする、これは中央公聴会の公述の中でも中山教授がおっしゃったように、確かにこれは一たん解雇になるというように、学説的にもあるいは最高裁の判例を引き出して先生もおっしゃったわけですが、大臣もそういうふうにお考えになりますか。
  110. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) ただいまの二十三条による解雇かどうかという問題につきましては、本委員会においてたびたび御論議がございましたように、一応設立委員が行う職員の募集に対しましてみずから応募する、そして承継法人の成立のときに国鉄退職する、同時に承継法人の職員として採用される。手順から言いますとそういうことになりまして、俗に言われる使用者の一方的な意思表示によって雇用関係を終了させる解雇には当たらないと、私はそのように理解をいたしております。
  111. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 そこで、確かに設立委員会の皆さんたちが希望を募る、先ほどスケジュールの中で申し上げました。しかし、考えてみたらわかると思うんです。よその企業の中に、そこの企業のいわゆる当局側を使ってほかの企業の求人申し込みをやるようなことは一般的にやっていいわけですか。大々的に例えば国鉄に対してNTTの方から、たくさんの職員を下さいというようなことを設立委員会という名前を使って、そして国鉄の管理者を通じて、企業の管理者を通じてそこの職員からいわゆる意見聴取をする、そういうことは一般的にあり得ないわけでしょう。ですから、この二十三条というのはどういっても、やっぱり学説的にも最高裁の判例から見てもそうではないですかと。労働法の担当大臣ですから、私はそうだというふうにやはりあなたは割り切るべきだと思うんですけれども、もう一回お聞かせ願いたいと思うんです。
  112. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) 委員の御指摘と多少見解を異にいたしまして恐縮ですが、やはりみずからの意思によって応募し、設立時に新規採用ということでございますから、ただいまも申し上げましたように、使用者の一方的な意思表示で行われる雇用関係の解消という意味から申し上げて、解雇には当たらないと申し上げておるところであります。
  113. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 私がなぜこんなにこの問題をしつこく、というようにお思いになるかもしれませんが、聞くのは、来年の四月一日からは公企労法の適用組合以外のいわゆる労組法適用の組合になってくるわけでしょう。そうした場合に、新事業体なんかに行った労働者の勤務労働条件問題で紛争が起きたとき、解決しなければ、残念なことですが、全部自治体の地方労働委員会に持ち上がってくるわけなんです。  ですから、冒頭申し上げましたように、私はやっぱり今の段階で最大限努力をして、来年の三月三十一日までにはすべての組合と交渉なりあるいは協議を重ねていって、事労使問題についてはすっきり解決をして四月一日からめでたく手渡しをする、そういう条件をつくっていただきたいというのが私の信念なんです。ですから、全員解雇であれば当然団体交渉事項ですから、そうすれば解雇の後についてはこういう条件があるぞと積極的に、設立委員会でなくて国鉄そのものが今提起をしながらやっていって詰めていくべきではないかというのが第一点です。  それから確かに新しい求人の部分については設立委員会の問題でしょう。ところが、求人申し込みをやって、条件で集めておるのは、総理をいわゆる長にした、国鉄まで入った中で事務を国鉄がやっておるわけでしょう。国鉄内部の広域異動の問題、あるいは公務員の採用試験の問題なり、あるいは民間からの求人に対して現に今やっておるわけでしょう。そうすると、資料はすべて国鉄が持っておるわけなんです。そういう資料に基づいて設立委員会ができる前にもやはり努力をしていただいて、設立委員会の皆さんにも迷惑をかけないようなやっぱり労使関係をつくっていって解決をすべきではないかというのが私の意見なんです。  そういう点でもう一回お尋ねをいたしますが、これは運輸大臣の方にお聞きをいたしますが、来年の三月三十一日までに、事国鉄の労使問題についてはもう地方労働委員会に御迷惑をかけるようなことはない、そういう方向で決着をつけるために努力をするという運輸大臣の決意をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  114. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、労使問題は本来国鉄の労使間で話し合われるべきものだと思います。ただ、本院においても申し上げましたように、私は、分割民営絶対反対だなんて言われてはこれはちょっと困りますけれども、大臣室のドアはいずれに対してもあげてあるということを今までも申してまいりました。そして、先日新しく誕生した国労の執行部の皆さんが見えたときにも、路線論争もいいけれども少し本当に具体的な話をされたらどうですかと私の方から申し上げたような次第であります。
  115. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 これは私が人から秘密でもらった資料ですからこういう公の場に提出はできないわけですが、私が入手した資料、これは九州の場合、あるAという会社から二人の求人があっております。これは月給八万円です。あるいはTという商店から二人、年齢は三十歳から五十歳まで、日給四千五百円。それから、ある交通会社から一人あっておりますが、これは条件については面接段階でと。国鉄の方に入っているのかどうか知りませんが、そういう条件の中で労働者に、いわゆるあすからの生活がどうなるかわからないわけでしょう、希望聴取をするといっても。ここはもう少しやっぱり国鉄自身で今の段階から、せっかく御協力を願っておる企業に対して、いや、それではもう少し給料を上げてくれないかとか、そういう温かい手を伸ばしていって、先ほど言いましたように、三月三十一日までにすべての問題について解決をする、そういう努力をぜひともお願いをしておきたいと思うんです。もう午前中の時間が余りないようですけれども、そこを強く実は要望しておきます。  それから自治大臣にお聞きをいたしますが、地方公務員関係で、私は長年県庁の職員もやってまいっておりまして、今の国鉄の場合は何か採用予定数の五倍までに受験者を絞るんだというようなお話も聞いておりますが、自治大臣としてはそういうことはないと思いますけれども、受験者については希望者全員を対象にする、その中からすぐれた方たちに自治体にも来ていただくというように私は思うわけですが、それが第一点。  それから受験希望者についてはやっぱり一括選抜方式で、そして採用については年次計画があろうと思うんですけれども、同一時点で年次計画を立てて御本人に連絡をする、そういう採用の方法をひとつとっていただきたい。  それから試験願書ですけれども、もう願書はどこだって成績表までつけるところはありません。ですから、本人の履歴書と身上調書と、それにどうしてもというのであれば、国鉄職員という証明だけを国鉄からいただく、その三つがあれば公務員の採用試験には別に問題もないと思うんですが、そういうことで地方自治体の方の御指導をしていただけるかどうかお聞きをしたいと思います。
  116. 柳克樹

    政府委員(柳克樹君) 受験の手続について先に御説明を申し上げますが、地方公務員として当然ながら非常に適性のある方、能力のある方を選びたいと思うのは当然でございまして、そういう観点からいたしますと、やはり従来からその職員の勤務状況を御存じの国鉄の方から御推薦いただくということが望ましいのではないかということで、先ほど先生おっしゃったような手続をとっておるわけでございまして、その勤務状況のわかるような書類もあわせて出していただくというのも同様のための手続でございます。
  117. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 今あなたの言わっしゃることはわからぬ。特殊技術の人か何かを採用する場合の選考採用ではそういうことがあり得るかもしれません。ところが、一般の事務職とか一般の非現業の職員を採用する場合、それに適した内容まで向こう側から求めるということを一般的に地方公務員の採用の場合やりますか、新規採用ですよ。だから私は必要ないというふうに言っているんです。
  118. 柳克樹

    政府委員(柳克樹君) 確かに一般の競争試験の場合には先生おっしゃるようなことで手続を行っておりますが、この場合には、選考ということで同種の職種のところから来ていただくというような観点でございますものですから、そのような、今申し上げたような手続をとっておるということを御理解いただきたいと存じます。  それから一括選抜方式の点でございますが、これも国の方においてもできるだけ前倒しと申しますか、手続を早めるようにということをしておられますし、地方公務員としても同様の手続をとっていただくようにお願いをいたしまして、それぞれの団体の事情はあると思いますけれども、かなりの団体でそういう方向で努力していただいていると存じます。
  119. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 大臣に、自治体に対する指導だけはひとつあなたの方からお答えいただきたいと思います。
  120. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) ただいま公務員部長から御答弁申し上げたような方針で採用していただくようにお願いをしているところでございます。  地方自治体といたしましても、一括採用という御要望が強うございますので、そのような方針で対処しておられると聞いておるところでございます。
  121. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後一時に委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  122. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 日本国有鉄道改革に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、各案について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  123. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 午前中に引き続きまして、もう一、二点自治大臣に御見解をお聞きしたいわけですが、一つは、地方公務員、国家公務員にいわゆる採用された方たちについて、特に地方公務員関係ですが、国家公務員の場合は年金も退職金もその職員については通算をする。地方公務員も御配慮いただいて年金部分については継続をするということになりましたが、退職金については、一たん退職金を払って、そしてその後新規採用の取り扱いをするというふうになっておるようですが、これは各自治体との関係もありますが、退職時点、これから例えばあと三十年間勤務をしてやめられるということになりますと、その時点の最終段階の給与に対して勤続年数の月数を掛けて退職金を算定をするものですから、どうしてもかなりのやっぱり国家公務員との間では開きが出てくる。しかし、大臣御承知のとおり、地方自治体の場合は市町村退職組合とかいろいろ別の組織でそういう取り扱いをしておりますが、その部分についてはひとつ個人の選択制ということをとられないかどうか、もちろん自治体と十分協議をしていただきたいと思いますが、そういうことで、ぜひそういう取り扱いをお願いしたいというのが第一点です。  それから二つ目は、午前中部長の方からお答えがありましたが、公務員の採用試験の場合に、成績まで添付をして願書と一緒に提出をする、あるいは内申を受けるという採用方式はないわけです。ですから、そうすればどうしてもやっぱり選別というふうに言われてしまう、差別があるんじゃないかというふうに言われてしまう。せっかく一括採用方式を大臣も前向きに検討していただく、そういうことで自治体の方も指導をするというお答えがあったわけですから、私は受験者になる方については希望者全員が履歴書と身上調書、そして国鉄からはいわゆる国鉄職員であったという身分の証明ですか、それだけでも結構だと思うんです。どうしても成績までつけるということについては納得できないんですが、もう一度その部分についてはお聞きをしたいと思うんです。
  124. 柳克樹

    政府委員(柳克樹君) まず第一点の退職手当の件でございますが、本来退職手当と申しますのは、先生御承知のとおり、当該団体での勤続期間に応じて支払われるというのが基本でございます。今度の場合、仮に国鉄の期間をさらにこれにつけ加えるということになりますれば、それだけ地方団体に当然ながら負担が生じるということでもございまして、やはりまず雇用の場の確保ということを優先的にと考えまして、このような制度にした方がいいのではないかということで措置したものでございます。  それから願書の、あるいは履歴書、身上調書等の問題でございますけれども、これも先生十分御承知でございますと思いますが、選考の場合には通常他の団体において、どういう者、どういう成績をおさめてきたかということは、とれるものならばとってそれを参考にさしていただくということでございまして、今度の場合は特に国鉄の職員の再就職の問題というのを非常に最重点ということでお願いをしておるということでもございまして、やはり国鉄における勤務状態というものはぜひ出していただいた方が望ましいというふうに考えております。
  125. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 私は、第一点の問題は、国家公務員の場合はそのまま退職金は継続をすると、ですから、確かに自治体の負担が大きくなるという心配の部分もありますけれども、これは退職基金の中に、国鉄からいただいた退職金を基金に入れてあと運用していけば、あと三十年後の利率等の関係もありますから、ですから私は国家公務員並みにしなさいということでなくて、選択制を設けたらどうかと。本人がその時点でもらうのか、あるいはこれから三十年なら三十年地方自治体に勤めてその段階でもらうのか、この選択制をひとつ最低認めていただけないかというのが一つです。  それから二番目の問題については、私は理解ができません。そういうふうに参考にする程度の部分であれば、何も勤務成績は要らないと思うんです。地方公務員であれば、身上調書と履歴書と、そして国鉄職員であるという間違いがなければそれでいいと思うんですから。
  126. 柳克樹

    政府委員(柳克樹君) 退職手当の基金をつくったらどうかという御意見でございますが、実はこれから十年あるいは二十年、三十年あるいは四十年それぞれやめられるときの給与の状態というのは大体どれぐらいかわかりませんですし、それからそのときの退職手当制度自体がどういうふうになっているかという問題もございまして、なかなか再就職されるという機会にそういうものを計算するというのは非常に難しいことは御理解いただけると思います。そういう技術的な面ももちろんございますけれども、基本的には、最初申し上げましたように、当該団体においての勤続期間というものを退職手当の基礎にするという、この基本のところで考えたいということでございます。  それから再々の御答弁で申しわけございませんが、この参考の書類ということにつきましては、やはりせっかく地方公務員として働いていただくという場合には、地方公務員としての適性、能力をぜひ判断するという資料はできるだけ多い方がようございますし、そういうことでぜひ御理解を賜りたいと存じます。
  127. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 第一点の問題は、国家公務員はそういうふうにやるわけでしょう。ですから、私はそうしなさいと言っておるのでなくて、本人の希望を入れていく選択制を最低とってもらいたいという、そういうことがひとつ採用できないかという要望をしておるわけですから、そこら付近までは最大限私は譲歩してもいいんじゃないかという気がするわけです。  それから第二点目の問題は、選考採用とはいいながら新規採用ですよ。例えば浪人しておって、そして三年なら三年した後から自治体の試験を受ける、そういう場合だって出すのは履歴書と身上調書、それだけでいいわけですから、何も国鉄からの成績までつけてもらう、参考にする必要はないわけですから。これは私ども長年自治体におったわけですから百も承知しておる。もうそれについては納得できません。
  128. 柳克樹

    政府委員(柳克樹君) 退職手当の件につきましては、ただいま申しましたような技術的な面もございまして、なかなかそういう先生のおっしゃるような選択という仕組みを退職手当制度に持ってくるというのは非常に難しいかと存じます。  それからおっしゃいました場合でございますけれども、これは一般競争試験の場合には確かに、先生おっしゃいますとおり、これは全く新規採用ということでございますけれども、今度の場合には特別と申しますか、国鉄という公務員と同種の仕事をしてきてこられた方、その中から選ぶということで、そういう意味での選考でございますので、やはり国鉄における勤務状況というものはぜひ参考にさしていただきたいと存じます。
  129. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 選考というのは、この職種に対してだれだれが欲しいと。ですから、多くから競争するわけじゃないわけですよね。ところが今度の場合は、地方公務員に希望のある方については全部受験をしていただこう、その中からいわゆる任命権者の方が選ぶわけでしょう。そうすれば以前の成績と何の関係があるのか。いわゆる問題提起をして、地方公務員に適格かどうかという、この間もやりましたけれども大分不合格者が出ておりますよ。そんなに厳しい試験であるわけですから、何も国鉄の成績自体をその参考にする心要はない。それはもう納得ができません。
  130. 柳克樹

    政府委員(柳克樹君) その試験の場合には瞬間的に試験の時期だけで判断するよりは、ある程度の期間を見て判断する方がその人となり、適性、能力というものがわかるわけでございまして、そういうことからいたしましても、従来から国鉄においてどういう勤務状態でおられたかということはぜひ参考にさしていただく必要があるのではないかと存じます。
  131. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 私は、同じ答弁を繰り返すばかりですから、これは時間の関係がありますから、これでは審議ができません。
  132. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 渡辺君に申し上げます。  ただいまの件については理事会で協議をすることにいたします。
  133. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 それでは次に、私は今から三島、いわゆる九州、北海道、四国問題を中心にお尋ねをしていきますが、たくさんのこの方面の学者なりあるいは国鉄OB、管理職の経験のある方たちあるいは地域の方たちに寄っていただいて、いろいろと長い間監理委員会の資料あるいは政府案、そして私ら自身は私ら自身でいろいろケースをはじきながら分析してまいりました。その中で、今度特に九州、北海道、四国については十分な嫁入り道具の支度はしてあげたと、その中で三島ともぜひひとつやってもらいたいと総理からも実は言われたわけですが、結婚する場合には確かにお嫁にいく方も持っていきますが、お嫁に来ていただく方もいいか悪いか別としまして結納金を初めたくさん出すわけです。ですから、やる方だけでなくてもらう方の意見もまず私たちは聞いてもらいたいということで今から申し上げてみたいと思うのです。  昨年の一月に出されました国鉄改革の基本方針も読ましていただきました。あれは偶然かどうか知りませんが、我が党の案と同じように分割でなくて全国一本化で民営化すべきだというような方針の提起がされておったわけですが、これも中を分析いたしますと、特に三島の分離問題が非常に重いネックになっておるように実は私は議論の中で読ましていただきました。そこで、もう御承知だと思うんですが、三島の現状について少し私は明らかにしてみたいと思うのです。  特に北海道、九州というのは自然環境にしてもそれから経済あるいは産業関係にしても非常に運命が全くよく似ておるというふうに言ってよいほど、特に今度の分割問題にはそういう点からも厳しい状況にあるということが申し上げられると思うのです。特に三島とも既存の路線が非常に多くて古い。そして九州の場合なんかは特に通学通勤列車というのは比較的経営はいいわけですけれども、言われております道路計画の整備によって高速バス等の競合の中でいわゆる幹線部門が非常に今経営の実態が悪いというのが、私らの計算の中でもあるいは九州経団連の計算の中でも実は出されておるわけです。  そういう状況の中で、先ほど申し上げましたように、特に近々の産業経済面から見た九州、北海道の現状について幾らか産業の若干の違いはありますが、中心的に素材産業型が多くて特に円高不況をもろに受けておる地域だ。そういう中で、御承知のとおり鉄鋼あるいは造船そして石炭、石炭の場合なんかはいわゆる石炭政策転換後いまだに大きな傷跡が残る。産炭地の皆さんというのは失対事業とかあるいは生活保護で細々と生活をしておるというのが実態でありまして、その上九州の場合は、特に福岡はセメントとアルミの部分までいわゆる円高不況のあおりを受けて非常に今経営面も苦しくなっておるというような状況等が続きまして、九州の場合は全体の五四%の自治体が人口の過疎地帯になっておる。そして福岡の場合に県民所得というのはいわゆる全国平均の八割程度、これは九州全体がその程度の所得しか実はないわけです。そういう中で政府監理委員会の方もそういう状況を御判断いただいたと思うんですが、いわゆる基金として政府の方はそれに上積みをいたしてもらいまして一兆一千八百億の基金を設けていただきました。  そこでお聞きをしたいわけですが、これは運輸大臣になると思うんですけれども、これの基金の基準とそれから額の決定です。額の決定についての基準は何が基準になって三島にそれぞれ基金を設定したのか、その点まずお聞きしてみたいと思います。
  134. 林淳司

    政府委員(林淳司君) これは北海道、四国、九州各会社ごとに収入とそれから経費というものをそれぞれ試算をいたしまして、その結果として収支がどうなるか。その場合に当然大きな赤字が出るわけでございますので、債務は一切引き継がないという大前提があるわけでございます。そういう前提のもとにいわゆる営業損益でどれだけの赤字が出るかということを各会社ごとに計算をしたわけでございます。その上で、その赤字額を補いかつ営業収入の一%程度の利益が計上できるような額というものを運用益という形でこれが生み出せるような、そういう元本相当のものをきちんとして設定する、こういう考え方で合計いたしますと一兆一千八百億の基金を設定したわけでございます。その場合の運用益はしばしば御議論いただいておりますが、年七・五%で運用した場合の運用益ということで計算をしておるわけでございます。
  135. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 今審議官の方から言われましたように、もちろんそういうことを基準に計算をされたであろう。そうして大きな赤字が出るということで基金をつくったというのはそれはそのとおりだと思うんです。  ここで私どもも計算をしてみたわけですが、収入の部分については後ほど申し上げますが、余り大きな開きはありません。しかし、それはとり方によって大変な差が出てくる内容もあります。例えば、九州総局が発表いたしました六十二年度の新会社の収支見込みについては千三百四十八億円、もちろんこれは基金の利子もいただいてということになるわけですが、それについて支出が千三百三十七億だから差し引き十一億円の黒字が六十二年度は出るのだという概略の計算が出ております。  そういう中で、収入面の問題としてお尋ねをする前に、九州の全体の国鉄の施設の問題について私の資料でちょっと申し上げてみたいと思うんですが、例えば現在あります通勤用の車両の経過年数、これが十六年以上経過したものが全国平均は四五%、九州の場合は六一%以上が十六年以上経過をしておる。あるいはトンネルだって、幹線部門で五十年以上経過した部分が全国平均では三三%でありますが、九州の場合は三九%がもう既に五十年以上経過をしておる。あるいはレールの重量別軌道延長部分ですが、これは幹線部門で六十キログラムの部分ですけれども、全国平均では一六%以上もう既に終わっておる。ところが九州の場合はまだ四%しか終わっていない、こういう問題とか、それから高速運転可能な線区ですけれども、全国平均では四三%、九州ではまだわずか一八%しかその部分はない。  あるいは複線化の問題、特に四国の場合はもうこれはゼロに等しい、まあゼロであると言ってもいいと思うんですが、全国平均の二七%に比較をして九州の場合は一九%。資料によりますと、こういう中で今後十年間で取りかえ必要な機関車あるいは電車あるいは気動車が千百六十三両、六五%以上がいわゆる十年間で取りかえをしなきゃいけない。その費用は何と千五百二十七億円必要だと。あるいは六十五年まで絞ってみても四百四十五両が交換期に来ておる。そういう点から見れば、この資金について一体どうなるのかというのが我々の試算の中での一つの大きな問題点になったわけです。あるいは橋梁とか、けたの耐用年数、これは既に六十年を経過したものが二千八十五カ所ありまして、全体の三三%以上が既にもう六十年を経過しておる。そうしますと、安全面から見て今の修繕費で本当にこれが維持できるかどうかというような問題がひとつひっかかっておるわけです。  それからこれは九州、北海道独特の環境による自然災害、午前中申し上げましたけれども、ああいう伊豆大島の火山等の問題もありますが、御承知のとおり九州も九州の中央に中央帯という火山帯が走っておる。ですから、日本に十二の活火山がありますが、そのうちの四つが九州にある。そういう状況の中で特に鹿児島、それから宮崎、熊本というのは非常に地震の回数も多いわけです。それに、これも御承知のとおり、九州の場合あるいは四国の場合は台風の常襲地帯です。三年前ですか、ありました長崎のあの豪雨でも、長崎の国鉄だけでも約十一億円災害復旧費が要ったわけです。あるいは九州全体ではあの年には二十五億円ですか、の災害復旧費が国鉄だけでも要った。この間、七月ですか、鹿児島のあのシラス地帯の豪雨による災害、そういう点では四国、九州というのは、台風の常襲地帯であるために本州以上に台風関係の災害復旧費という部分等が予想以上に今までも支出をされてまいりましたが、こういう部分についての経費の計上というのが私はやっぱり非常に不足をしておるというようなものも実は指摘をしておきたいと思うんです。  そういう中で三島の住民皆さんたちが、今の政府試算でいった場合には、これ以上職員数についてはもう縮めることはできないんじゃないか。もうぎりぎりのいっぱいまで、限界までいわゆる人員を削減してきておる。そうすればこれから先は安全面。そして旅客運賃は毎年五%ずつ上げていくわけですけれども、それにしてもやはり経営安定というのには非常にほど遠いような私らの分析になるわけです。ですから、そういう点で赤字が出れば、いわゆる採算不良の路線は切られていくんじゃないか、そこに三島の住民皆さんが一番今不安を感じておるというのが実態であるわけです。  それと、基金を設けていただきましたが、利率七・五%、大蔵大臣は保証するというふうに言われておりました。しかし、ああいうお話を聞く前は、どうしてもやっぱり七・五%という金利は高過ぎるんじゃないかという心配等もあったものですから、九州でも一%違えば三十五億から三十七億の金利の差が出てくるわけです。そういう部分等がありまして、非常に実は心配があるわけです。  そういう中で特に私は、収入部門の問題で、一つは人口キロ数当たりの部分政府試算を見てみますと、毎年二・九%の減少だということで、例えば昭和五十四年を一〇〇とした場合に六十五年度は七〇%程度まで落ち込む、こういうふうな試算がされておりますが、大体、それから後どの程度まで人キロ当たりの減少というのは見込んでおるのか、そこをまずお聞きをしたいと思います。
  136. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 三島の場合で輸送量の推移でございますけれども、これにつきましては六十年度までの実績というものをベースにいたしまして、一定の方式で今後を推定したわけでございますが、かなりやはり北海道、四国、九州の場合には減少傾向をたどるであろうという推定をしております。  具体的に申し上げますと、北海道の場合ですと、これは途中津軽海峡線いわゆる青函トンネルが開通しますが、この要素は一応除外して既存線区で見ますと、六十二年度から六十六年度までの間の減少率と申しますか、年に平均しまして三%強でございます。四国の場合でありますと、やはり三%を若干超える程度毎年減少していくであろう。それから九州は大体二・五%程度、この程度の毎年の減少率ということで六十二年度から六十六年度までは推移するであろというふうに見込んでおります。
  137. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 そうしますと今の試算で、先ほど申し上げましたが、五十四年の八十七億四千四百万キロ、これを一〇〇とした場合に、六十六年には六十一億一千二百万キロ、大体七〇%に低下をする、こういうふうに試算がされておりますが、これから以降もやっぱり二・五%程度ずっと下降線をたどっていくというふうに推測をされておるかどうかです。
  138. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ただいま申し上げましたように、九州の場合で申し上げますと、六十二年度から六十六年度までは毎年大体平均して二・五%程度の減少率というふうに推定しております。
  139. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 それ以降は。
  140. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 現在までは六十六年度までの計算は推定しかしておりません。それ以後は推定をいたしておりません。
  141. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 そうしますと、新しい会社になれば各会社とも収入拡大のために大変な設備投資を含めて努力をすると思うんですが、それと同時に、やっぱり一番関連の深いといいますか関係が深いというのが高速自動車道の建設計画だろうと思うんです。これについて九州縦貫道が昭和六十五年に開通するというふうに私らは聞いております。そうしますと長崎それから佐世保、大分、別府の各都市がこの高速道路で結ばれていく、そうしますと非常に時間も短縮をされるわけです。そういう中で、現在走っております高速道路で、小倉—久留米間、博多—熊本間、鹿児島—宮崎間、それから熊本—宮崎間の高速バスの通行によって国鉄旅客にどの程度影響が出たか、その影響に対してどういう措置をとってきたか、典型的な部分だけでも結構ですから、おわかりだったら教えてもらいたいと思います。
  142. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 数字で調べますと、今先生の区間につきまして、小倉—博多間は五十五年度対六十年度の比較でございますが、お客さんの数が千五百七十一名、これはふえております。それから博多—熊本間、これは千八百八十四人の減、それから鹿児島—宮崎間が百十五人の減、これはもう全部断面輸送量、一日、下り片道の計算でございます。その対策といたしまして国鉄でとりましたものは、やはり何といいましても列車の利便性の拡大ということで、列車の回数をふやしたり、あるいはスピードをできるだけ上げたり、あるいはいろいろな意味での企画商品を販売するというふうなことで対応を今考えているところであります。
  143. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 これは大変な数字の違いがありますから、それをここでやりとりしたって結論は出ないと思うんです。私らがずっと計算をしたのでは大体六〇%程度に落ち込んでおる。四〇%ぐらいが減少した。いわゆる高速道路がつきました。そういう計算になっておりますが、今総裁からお聞きした部分では、博多—小倉間は逆にプラスになったという資料のようですから、これは私の方ももう少し資料を調べてみたいと思うんです。  次に、先ほども申し上げましたが、九州縦貫道が開通した場合にそれぞれの高速道路で結ばれていく、そうしますと、私らはやっぱり、今総裁との数字の違いはありましたが、かなり大きな国鉄旅客輸送に対して影響が出るんじゃないか、こういう心配が九団連の皆さんも、私らの方のメンバーで議論した中でも一番中心的な問題になったわけです。ですから、これから後の九州旅客会社になった場合にはこれに対してどういう対応をしていくのか、そういう計画があるかどうか、あればひとつお聞きをしたいと思うんです。
  144. 須田寛

    説明員(須田寛君) 基本的にはこれから新しい会社考えることになると思いますが、現在、先生の御指摘いただきました博多・熊本間におきましても、先ほど総裁も申し上げました列車の増発、スピードアップ、それから企画乗車券等の発売によりましてかなりな程度最近では盛り返しつつあるわけでございます。したがいまして、今後の九州会社におきましても、主要なそういったバス等の競合区間につきましては列車増発、それからスピードアップの計画を持っておりますし、きめの細かい商品設定によりまして十分対応してまいれる、かように考えております。
  145. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 多分そういう計画だろうと思うんですけれども、しかし現実の問題として、今運転保安管理規程ですか、あれに基づく時速百二十キロ運転可能な区間というのはじゃ一体今営業キロとして何キロ走っておりますか、九州の場合。
  146. 山之内秀一郎

    説明員山之内秀一郎君) 九州で現在百キロメートル以上の速度で走れる区間が六十一年十一月、ことしの秋から三百九十一キロになっております。これはちなみに幹線系営業線区の三三%に相当いたしております。
  147. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 ですから、さっき施設の問題等も言いましたけれども、大変古い線路が多い、こういう中で、三三%程度しかまだ走ってないという状況の中でこれを改善していくためには大変な施設整備費が要るわけです。そういう点から見ても、政府の試算の中での施設整備のいわゆる費用の計上が少ないのではないかというのが我々の指摘なんです。これはお互いの水かけ論になると思うんですけれども、こういう点から見ても、私ら収入拡大に向けて、施設設備の整備費そのものが非常に小さく見積もられておるというのをまず第一点指摘をしておきたいと思うんです。  それから、これからあといわゆるどんどんどんどん高速自動車道路ができていく、そういう状況の中で他の競争の輸送機関に対して対抗するためにはどういう政策なり方針をお持ちか、持っておればお聞きをしたいと思うんです。
  148. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 特に三島の経営に当たりまして、今までお話ししましたように、輸送量全体が減りつつあるという想定の中で、全体の増収政策をどうしたらいいかということが非常に決め手になろうかと思います。そういう意味で、基本的にはそうした減少するであろうお客さんを何とか食いとめるということがまず第一番であろうかと思います。そのためには、やはり鉄道旅客が乗りやすい、便利な、選択しやすい、そういうものにできるだけする。今、設備投資関係、先生御指摘がございましたが、そうした投資の最大限の活用によりまして、例えば車両をよくするとかというようなこと等、お客さんへの魅力をふやして鉄道旅客をふやすということがまず第一かと思います。  そのほかに、当面なかなか実行はできませんが、やはり関連企業で大いにこれからは自由に活躍する、そういうことの能力が与えられるわけでございますので、できるだけ他の関連企業の大いに活性化を図りまして、そうした面での増収を図る。現在の関連企業国鉄の営業収入に占める割合はまだ非常に少のうございまして、大手私鉄までは及びませんが、そうした面での増収努力も図りたいというようなこと等でございます。
  149. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 今の、総裁が、確かに収入をふやすため客をふやすと、便利を図るんだと。お聞きをしますが、そうすれば、九州のただ一つの黒字であります博多—小倉間、新幹線です。今、日豊本線で宮崎なり、あるいは別府、大分から乗って、そして小倉が終点になった特急はたくさんふえてまいります。これは小倉から博多までの特急券と新幹線の料金が一緒であるから、便利であるから新幹線にお客さんがたくさんふえていったわけです。ですから、今まで並行線で走っておるものですから、国鉄皆さんは大変な努力をしてそういう便法をとってきたわけです。お客さんには大変喜ばれたと。  今度新幹線は新会社に持っていくわけですから、そうしますと国鉄同士で競合になってくるわけでしょう、今の国鉄同士で。九州旅客会社新幹線会社と競合になってくる。そうしますと、お客さんは不便になって、博多まで行くのに宮崎からお見えになるのに、今までは新幹線に乗りかえていったら三分の一の時間で行くわけです。それが時間は長くかかって料金は一緒だというふうになりますと、今総裁が思っておるような方向で私は九州の旅客会社はお客さんがふえるとは思っておりません。だから、今までもいろいろ議論がありましたが、新幹線のドル蔵でありますから、あの博多—小倉間の新幹線はひとつそのまま九州の旅客会社にもらえぬか、こういうお話をしておりましたが、そういう関係で私らも一緒に旅客をふやすためにはどういう方向があるのかということで、さっき言いました国鉄のOBの皆さんを入れて議論をした中で、絶対にやっぱりあの新幹線が抜けた場合には九州旅客会社のお客さんは大きく減退をするというふうに私らは見ておるわけです。そこらについて、総裁、どういうふうにお考えでしょうか。
  150. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 今、先生の博多—小倉間の新幹線の問題につきましては、私も九州の皆さん方からそういうお話を聞いたことがございます。ただ、新幹線会社別の帰属をどうするかという問題につきましては、やはりお客さんの流れというものをよく見きわめまして、それが一番便利になるようなそういう仕組みを考える必要があるわけでございまして、いろいろと検討はいたしました。  ただ、九州に至ります山陽新幹線の流動を見ますると、博多駅で新幹線の利用のお客さんの数が一日に約三万人程度ございますが、その三万人の三分の二——約二万人でございます、のお客さんは下関より東の方に出発地点、あるいは目的地点を持ったお客さんでございます。したがいまして、やはり仮に区分を小倉というようなところで置きまして、これを九州会社に仮に区分したとしますと、そうした意味では三分の二を賄うべきお客さんの利便というものがかえって損なわれるのではないか。したがいまして、本州への直通列車という関係では、やはり博多までこれは一本の会社で持った方がいいんじゃないか、こういうふうなこともいろいろと検討をいたしたわけでございます。今までいろいろと努力した効果が無になってしまうんじゃないかというような九州方面のお気持ちにつきましては、私は必ずしもそうも考えないわけでございまして、在来線の先ほど申し上げましたような一層の利便性の確保と、それからあわせまして新幹線のあり方というもの、両方相協調することによって、九州自体におきましても非常にプラスになるんじゃないか。  それからまた、もう一つ別な観点で、新幹線の切符を売りますと、売った場合の発売手数料というものが九州の会社にかなり入る予定になっております。こうした点、それぞれいろいろと考えましても必ずしもお客さんが減ってしまうということは私どもは予想しておりません。
  151. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 私らは再三博多—小倉間の新幹線を利用させていただいておったから一番よく知っておるわけです。博多から小倉まで乗ってきて、「こだま」にしろ「ひかり」にしろ、おそらく半分近くあそこで降りるわけです。あるいは小倉から博多まで、もうラッシュになりますとたくさんの人たちが乗るわけです。その部分で博多—小倉間の新幹線の利用度が高いから、たくさんな——たくさんなといいますか、一つの黒字を出した路線になっておるわけです。ですから、今私もちょっと質問しましたけれども総裁がおっしゃる、確かに日豊線からお見えになったお客さんがそのまま本州に行く方は七〇%以上かもしれませんけれども新幹線の利用というのは、その博多—小倉間の利用だけですから、その部分のお客さんというのは、言いましたように特急料金が一緒であるものですから、乗り継いだ場合は。そういう関係では非常に減退をするんじゃないか。今国鉄一本ですからお互いに協議をしながら新しいニーズに答えての商品ができると思うんですけれども、別々な会社になれば、どうしてもやっぱり自分の会社経営中心になりますから、そうすると新幹線会社旅客会社が協議をして一緒にやっていこうというのは私非常に難しいんではないかと。そういう点が九州の中で議論をした一番大きな問題でもあるわけですから、そういう点から見ても、収入面については非常に減退をしていくのではないか。  それから今総裁がおっしゃったわけですけれども、これは支出の関係でございますけれども、今の収入の部分で結局営業費の配分問題はどこを見てもはっきりしないわけです。ですから、始発駅から終着駅は、その専門の方々がたくさんいらっしゃるからあれですけれども、やはりいろいろお話を聞いてみますと、始発駅から終着駅、この二つの間がやっぱり営業経費としては二〇%以上それぞれ占めるんじゃないかと。しかし、そこらについてどういう配分をするのかというのがまだ明確にどこを見ても私は見つけ出せないわけです。いわゆる経費負担部分についてどういうふうにしていくのか。ですから、原則としては営業キロに比例をして経費を分担するというのが、これが一番不合理ではないと思うんですけれども、今申し上げましたように、発着経費とそれから中間連行経費とは大変な差があると思うんです。そこらについての経費負担ですね。特に九州の場合は対本州との関係で、列車が一日に三十七本の本州向けに直行するダイヤがあるものですから、こういう関係で発着の経費が九州会社負担になれば非常に大きく荷がかかってくるんじゃないかという心配があるものですからお聞きしてみたいと思うんです。
  152. 前田嘉代治

    説明員前田嘉代治君) 今先生おっしゃいました経費の問題でございますが、こういうことかと思います。直通で列車を乗り入れた場合にどういうふうに費用配分するかということでございますが、これは現在もう私鉄との間でそういう清算をやっております。実際は旅客会社相互で、例えば東京発の列車が九州管内まで入ったというような場合にはそれぞれが、今度九州は九州会社ということになりますので、九州会社が、仮にその列車を東京が持っておりますと、東日本から借りたような形になる。その費用をそれぞれ、例えば車両の費用、あるいは乗務員も他の会社から入ってまいりましたらその乗務員も借りたような形になりますが、そういった乗務員の費用等をそれぞれ清算をすることになります。それは事前に単価を決めておきまして、どのぐらい他の管内で働いたか、あるいは車両を使ったかというようなことで掛け合わせました形で清算をするということになっておりますので、各会社が公平な費用の負担になるかと思います。
  153. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 ですから、そういうことを今後各会社間で協議をして決めていくということですけれども、六十二年度の試算の中に経費負担部分として私はどう探しても見つけきらないものですから、そこをお聞きしておるわけです。どういう計算でやっておるのかですね。
  154. 山田度

    説明員(山田度君) 今お話のございました問題は、多分発着コストの問題かと存じます。通常お客様が乗りますと必ずおりるという関係にございますので、その場合の発のコストと着のコストというのはさほど変わらないものと、こう見ております。したがいまして、九州から例えば西日本の方へお乗りになるお客さんがいらっしゃいましたときに、もちろん九州でも発コストがかかりますけれども、西日本では着コストがかかるわけでございます。逆の場合はそれぞれに逆の発到着がかかります。したがいまして、これは相身互いといいますか、ツーペイでございますので、お互いのそれぞれの物件費の中に包含されておるということでございまして、特に九州から西の方へ向けての発コストを計算しということではございません。  そういたしますと発売の意欲がなくなるのではないかという問題が出てまいりますので、とりわけお客様を誘致する努力が大切でございますので、発売に対してのインセンティブというのを設けているわけでございます。そのようにインセンティブは計算しておりますけれども、発着コストというものはそれぞれの会社で当然に負担するものということにいたしておりますので、とりわけてそれを計上しているというわけではないわけでございます。  なお、先ほど来ちょっとお話がございましたが、誤解といいますか、を防ぐために申し加えておきますと、博多—小倉間の山陽新幹線につきまして大変黒字であるという御指摘がございましたけれども、その間は私どもは特にそれが黒字であるという試算は持っておりませんが、推定しますと恐らく赤字であろうと思われます。
  155. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 であれば、九州の財界の皆さん含めて、いわゆる博多—小倉間の新幹線は九州に残してもらいたい、これはこれから後の国鉄の九州会社の活性化の一番大きな原動力になるんだと、こう言っておるわけですから、だから私らはあれはドル蔵だというように考えておるわけです。だから、そこら今の実態の中ではそういうふうに言われておりますから、もう少し調べてみたいと思うのです。  それじゃお聞きをいたしますが、バスの問題について若干お尋ねしておきたいと思うんです。  六十二年度以降各年ごとに九州におけるバス事業の欠損は大体幾らぐらい見込んでおるのか。年度ごとにちょっとお知らせ願いたいと思います。
  156. 須田寛

    説明員(須田寛君) 六十二年度におきましては約九億の赤字を見込んでおります。それから六十六年度の見通しでございますが、約四億程度というふうに考えております。
  157. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 そうすると、今申されました六十六年度の四億程度の赤字というのは、営業範囲は現状のままで、そしてあと路線の新設とか改廃は見込んでないわけですね。
  158. 須田寛

    説明員(須田寛君) 路線の廃止につきましては、現在今年度分として御提案をしておりますもの以外は見込んでおりませんが、新しい路線といたしまして、今後九州で高速道路の開通等が予定されておりますが、その場合、今の民間バスならば当然お認めいただけるであろうと思う程度の路線につきましては新たに開業するものとして計算上見込んでおります。
  159. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 そうしますと、今の国鉄バスの運行について、大きく言って四つか五つぐらいの規制があります。例えば、国鉄バスの場合であれば高速道路に乗り入れしてはいけないとか、あるいはこの区間からこの区間までについては観光バスを運行してはいけないとか、それから山越しなんかの場合であれば、駅から駅まで直線コースだけで停留所をつくって、市街地をずっと回ってお客さんをそこで集めて次の駅まで送るということについては制限をされておるようですが、そういう部分についてはどういうふうな取り扱いをする予定ですか。
  160. 熊代健

    政府委員熊代健君) 国鉄バスについて現状がどうなっておるかということでございますが、国鉄バスは、日本国有鉄道法の三条の業務という範囲で、鉄道事業に関連する自動車運送事業及びその附帯事業経営を行うということで、観念的に今申し上げたように、鉄道事業に関連するという制約が課されておるわけでございます。しかしながら、先生ちょっと四つあるいは五つとおっしゃいました。鉄道業務に関連するという中身につきまして、鉄道輸送の先行である、あるいは代行、短絡、培養、それに補完ということで、これは過去かなりの経緯がございまして、三十四年ごろまでは補完という要因は入れておりませんでした。しかし、三十四年以降、今申し上げたようなことで補完という機能といいますか目的といいますか、その範囲もやるということになっておりまして、既に高速道路上につきましても国鉄バスが全国で八路線、千八百キロ余を運行いたしております。
  161. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 そうしますと、法案が通過をして各会社ごとに分かれれば、今の制限そのものは民間会社になりますから撤廃をするということになるわけですね。そうしますと、今の既存の民鉄のバスとの競合についてはどういうふうに整理をしよう、調整をしようというようなお考えか、お聞きをしておきたいと思います。
  162. 熊代健

    政府委員熊代健君) 先生が今御指摘のように、来年の四月一日分割民営化された場合には、国鉄のバス事業は一般の民間のバス事業と同じ道路運送法上の規制一本で平等になるわけでございます。したがいまして、民間のバス会社同士のあるいは競合の問題ですとか、輸送需要がどうであるとか利便性とか、そういったことを判断してそれなりに免許の問題、あるいは運行回数等を含んだ事業計画の変更といった問題等について、現在民間バス同士で行われる、既に先ほど申し上げました実態的には国鉄バスについても同様な、ほぼそれに近い格好で運用しておりますけれども、その点ではそういった法的な制約も全然なくなる、こういうことでございまして、民間バス事業者相互間において需要が生じた場合のそれへの対応といった場合に、どちらに免許するか、あるいは両方にどうするかといったような判断は、現在の私鉄その他におきます民間バス事業と同じような立場で行政上の判断をしていくということになることになります。
  163. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 総じて私が今感じたのは、収入面では例えば高速道路を含めてそうですけれども、これから先の問題についてはこれから検討しなきゃいけないというのが非常に多いようです。それから、支出面の方については現に施設は古い。あるいは本州から見れば三島の場合は非常におくれておる。特に九州の問題を申し上げましたけれども、おくれておる。しかし、それについてはわずかしか予算を計上してない。  それで、私がひとつ心配になるのは、収入の問題については政府試算、それから監理委員会が出された試算を中心にやってみました。私らもそのとおりに大体計算をいたしました。あの試算を見てみますと、その中で政府試算が千二百八十七億円だったと思うんです、収入総額が。私らの試算も千二百七十億ですからこれは収入面で十七億程度の開きしかなかったわけです。ところが問題は支出面で、今申し上げましたような問題とか、一番問題は人件費のとり方だったんです。それでその人件費を見てみますと、九州の場合、六十二年の政府試算で見ますと総額で七百五十九億円が計上されておる。これは一万五千人分であると。単純な計算で割ってもすぐわかるように、一人当たり五百六万円ということになっておるわけです。ところが毎日新聞の十月十九日の調査によれば、資本金十億円以上の男子従業員の平均給与というのは五百五十九万円ということになっておるわけです。私らそういうあれでなくて、これを五百五十万円で実は計算をしたわけですけれども、実は一人五十三万円の政府試算との差があるわけですね。ですから、この人件費だけでも、例えば支出の部分については、政府試算と私らの試算で六十六億円の開きがあるわけです。ですから収支をとんとんにしようと思えば支出を減らせばいいというのは、これはもうだれでもわかり切ったことですけれども、そういう関係で収入の部分については余り開きがないわけですけれども、支出の部分については非常に必要以上に削っておる、あるいは抑えておるというのが、これは九団連の皆さんたちもおっしゃっておるし、私らの計算でもそういう状態が実は出てきておるわけです。  なぜ私がこの人件費問題を取り上げたかといいますと、もう御承知のとおり特に北海道、九州というのは国鉄収入に対する人件費の比率が高いわけです。ですから東海新会社の場合は、六十二年が人件費の比率が政府試算によっても一七%、六十六年度が二〇%となっておりますけれども、例えば北海道の場合は同じ六十二年度が五四%、そうして六十六年度は五九%、九州の場合若干低いわけですけれども五五%から五八%と、圧倒的に人件費の比率が高いわけですから、だから人件費の単価を幾らにするかによって収支のとんとんがどうにでも変わってくるという代物であるものですから、ここを中心に置いたわけです。ですから、五百六万円で見積もっておりますが、この内容がわかればひとつお示し願いたいと思うんです。
  164. 山田度

    説明員(山田度君) 国鉄の、九州の人件費が安いのではないかという御指摘だったと思いますが、この収支を推定するに当たりまして、私どもが使いましたのは現在の職員の給与水準は基本的に変わらないといいますか、そういう状態で移行する、こう見ておるわけでございまして、特に地域によりまして差をつけたというわけではございません。ただし、六十一年四月一日という現在の時点での給与を出発点といたしまして、それに対しましてその後のベースアップ率、六十一年度におきましては二・〇二、六十二年度につきましては三%程度のベースアップがあるものという推定のもとにいたしたわけでございます。  にもかかわらず、何で安いのかとおっしゃるかもしれませんけれども国鉄の全国平均で見まして、既に国鉄の給与水準は約五百万円でございまして、先ほどおっしゃいました五百五十万はちょっと高いように思いますが、私どもの数字は五百万ということでございます。その中におきまして九州は若干低くなっておりまして、推定ではお示しになったような数字になっていると思いますが、これは全国平均と比べまして、九州には寒冷地手当がないとか都市手当を受ける分が少ないとかいうような部分がございますので、とりたてて特別に九州が低うなっているということではないわけでございまして、平均的な国鉄給与の水準ということでございます。
  165. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 それでは、私らが今まで出された決算なんかを見てみますと、従来は一人頭六百四十万円でされておるようですけれども、人件費というのは一年間の職員に払う給与だけじゃないでしょう。使用者側の負担金だってあるわけでしょう。それも人件費に入っておるでしょう。
  166. 山田度

    説明員(山田度君) 今申し上げましたのは、職員が直接いただきます給与とそれからそのほかの期末手当等を申し上げたのでございますけれども企業という立場から見ますと、そのほかに共済組合負担金等々の問題がございます。それらを合わせまして過去との比較ではなぜこんなに下がってきたのかということは、この法案でもお示しいたしておりますように、共済組合の追加費用あるいは公経済負担等が清算事業団で負担されるというような問題、また退職金の負担が過去非常に多うございましたけれども、これが年齢構成の若返りによりまして大幅に減額する、こういうようなことで企業としての人件費負担も著しく軽減されるということでございます。
  167. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 いや、だから簡潔に言ってください。新会社のいわゆる試算の中で、私らは、従来の決算から見れば先ほど言いましたように人件費は一人頭六百四十万円になっておる、それが今度の新会社の試算の中ではどうして五百六万円になったのか、その内訳を教えてくださいとこう言っておるわけです。
  168. 山田度

    説明員(山田度君) 比較のために最新の時点で見てまいりますと、六十年度実績というものが対象になろうかと思われます。その場合、旅客鉄道会社といたしまして比較する場合には、六十年度の実績から貨物として分離する部分、また第一次、二次特定地方交通線部分等を控除する必要がございまして、それらを修正いたしました人件費といたしましては六十年度で二千百四十八億円ぐらい見ております。これに対しまして今回の収支試算では七百二十四億円となっておりますけれども、その人件費減の大きな理由は、一つは要員数の減、およそ二万八千人から一万五千人、それから退職人員が減ったという問題、それから追加費用等の負担軽減、こういうことで人件費が千四百億円減ったということでございます。
  169. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 時間がもったいないからあれですけれども、私は何も総額をお聞きしておるわけでなくて、九州では政府試算によりますと七百五十九億円の人件費が計上されておる。それを一万五千人の従業員数で割った場合には五百六万円になりますよ。従来は人件費というのは先ほど申し上げましたような数字で決算がされておるが、どうしてこんなに低くなったのか、そこが私自身わからないものですから、だからお聞きをしておるわけですけれども、これは進行上の問題がありますから後ほど、委員長、資料で結構ですから五百六万円の人件費の内訳を私の方に出していただきたいと思いますが。
  170. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 資料を出せますか。
  171. 山田度

    説明員(山田度君) お出しいたします。
  172. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 それじゃ、三島問題の最後に総理なりあるいは運輸大臣に実はお願いをしたいわけですが、先ほどから申し上げますように、経済情勢を含めて九州、四国、北海道の場合非常に厳しい状況にある。そういう中で特に地方線問題について住民皆さんが大変実は心配をしておるわけです。九州の場合、例えば三次予定線になっております伊田線あるいは田川線ですね、これはどうしても筑豊の浮揚の大動脈として県民挙げて、あるいは地域の皆さん挙げてお願いをしておるわけですけれども経営実態が余り芳しくないというようなことでありますけれども、筑豊を生かすか殺すかという生命線にかかっておるものですから、特にここらについては頭に置いておっていただきたい。  それから松浦線も、これも同じように二次廃止線予定になっておりますけれども、選定線になっておりますけれども、例えばこの部分で長崎県だけでも沿線の高校が八校あります。そして通学生が約千五百名以上この列車を利用しておるわけです。そうして沿線は、御承知の産炭地域振興臨時措置法の六条適用地ということで、国の方も振興計画に基づいて発展計画等も実施しておられる地域でもあります。この部分の佐賀部門に関しても沿線に高校が五つありまして、約九百名の学生がこの列車を利用なさっておるということで、地域的に公益的な観点からも地域振興を図るために非常に重要な路線であるというのが九州での意見であるわけですね。あるいは今、伊万里湾の総合大型プロジェクトが推進中でもあります。この沿線上にやっておるわけですから、そこらもひとつ大いに頭に入れておいていただいて対策をお願いしたい。  それから宮崎の高千穂線もありますが、そこらは省略をいたしますけれども宮崎の志布志線の問題ですが、これも第二次の予定路線になっておりますけれども、ここもやはり一番中心は通学生なんですね。あるいは通勤労働者がたくさんおられるものですから、ここらの問題等も特にお願いをしておきたい。  最後に、私は雇用問題について申し上げてみたいと思うんですが、今申し上げましたような九州の状況の中で、特に北海道、四国、九州、そして全国平均を見てみますと、北海道の場合が今現在国鉄職員が約二万八千名おられますが、これを一万三千八百人削減をして四九・二%にするんだ。それから九州の場合二万七千おりますが、これを一万一千四十人ですか、四〇・九%にするんだというようなことで改革案が答申をされておるようです。  ところが、今九州あるいは北海道の失業者の実態というのは、これは労働省にお聞きすればわかるわけですけれども、私の方が時間が早いから申し上げますけれども、例えば北海道の場合が五十八年が十一万人で失業率が四・二%だというんです。ところが六十年ではこれが四・五%に上がる、近々はまだこれをかなりオーバーをしておるというのが実態なんです。九州の場合も既に二十四万人で三・五%以上に失業率が上がっておる。これに比較をしながら求人倍率を見てみますと、北海道の場合御承知のとおり〇・三以下になっておる。だから三人に一人の求人しかない。あるいは九州の場合だって〇・三二あるいは〇・三ということを言われておりますが、ここもやっぱり同じように三人に一人だ。  そうしますと、計算をしてみますと、北海道の場合に今完全失業者が約十二万人おられる。それに求人倍率を掛けますと〇・三一ですから三万七千二百人の方の労働市場があるようですけれども、それに今度国鉄から約一万名、九千二百五十名の方が国鉄に残れなくて外に出るわけです。そうしますと、北海道だけでも九万二千五十名の方が職がないということです、働きたくても職がない。九州の場合だって今約二十四万人完全失業者がおりますが、求人倍率が〇・三二であるというふうにとってみても七万六千八百人しか働く場所がない。そうしますと、北海道と同じ計算をしますと、九州の場合も約十七万人、十六万八千百名が働きたくても職がないというそういう労働市場の現状であるわけです。  ですから、特にお願いをしたいわけですけれども、今総理を初め大変な御努力を願って、民間の皆さんにも御協力を願ってかなりな求人の申し込みもあっておるようですが、問題はやっぱり求人数とそれから労働者数ですね。いわゆる今度国鉄を離れる方たちが六万一千だ。政府のお話によりますと約六万七千九百名近く求人申し込みがあっておる。平均しますと確かに一一一・三%程度オーバーをした申し込みの数でありますが、一般的に求人数と、いわゆる本当にそこに職を求めていくかどうかになりますと、二倍なり三倍の求人数があって余り無理がなく選択ができるというのが今までのやっぱりならわしでもあるわけです。  そういう点で、いろいろ申し上げませんが、特に九州と北海道の場合、先ほど申し上げましたように非常に厳しい。ですから、清算事業団の方も三年を一つの期限にしておりますけれども、ここらについては最大国鉄あるいは政府も努力をしていただけると思うんですが、ここらについては五年に延ばしていただけるような方策はとれないでしょうか。運輸大臣にひとつお聞きしたいと思います。
  173. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今さまざまな角度からの御論議をいただいたわけでありますが、まず第一点として御指摘を受けましたのは、殊に九州地区を例示に挙げられましての特定地方交通線を今後ともに存続をさせろという御要望でありますが、実は私どもとしては特定地方交通線は本来的には新会社に移行いたします六十二年三月三十一日までに転換を終わっておるということが前提でありまして、その上で残る地方交通線についてはあくまでも鉄道の再生を期して努力をしてまいりたいということで計画全体を組み上げておりまして、もちろんその移行の期間におきましては、その特定地方交通線もそれぞれの旅客会社が運行する一時期があるわけでありますが、これを将来ともにわたって存続をさせるというお話につきましては、残念ながらわかりましたというお返事は申し上げるわけにはまいらぬと思います。  また、雇用情勢を踏まえて、北海道と九州について清算事業団から再就職に要する期間というものを延長するべきだというお話でありますが、私はこの点は逆だと考えております。むしろ五年間仮に就職が決定をせず清算事業団にその方々がずっとおられる状態というものは、私は本当にその職員にとっては残酷な話だと思います。むしろ私どもは今必死で一人でも多く採用していただくべく求人を開拓する努力をいたし、また先般来何回も御論議がありますように、できるだけ一括採用内定をお願いしたいということをお願い申し上げておりますのも、少なくとも清算事業団に行かれる職員の方々でありましても、その清算事業団の職員に身分が移行する時点において、次年度にあるいはその次の年に自分はここに就職ができるという安心感を持って事業団で待機を願い、その間における新しい職場に向けての職業訓練を受けていただきたいと考えておるわけでありまして、今委員が御指摘になりましたような問題点を私どもは十分熟知いたしておりますが、それに対する対策として清算事業団における雇用期間を延長するというのは、むしろ今私どもが求めております方向に全く逆さの方向になるわけであります。  むしろその点におきましては、我々としては逆に一年でも早くすべての方々がそれぞれの第二の人生に正式に踏み出せる状態をつくり出すために努力をさせていただきたい。そのためにも清算事業団の期間を延長する、おられる期間を延長するというような御指摘はどうぞ御容赦をいただきたい。むしろその逆さの努力をこそ我々はしてまいりたいと考えております。
  174. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 いえ、私は運輸大臣の決意は、あるいは総理もおっしゃったように、一人だって路頭に迷わすようなことはしたくない、最大限の努力をする。ですから、今おっしゃったように、私はもう一日でも一カ月でも早く新しい職場に送り込むというのが一番適切な方法だと思うんですけれども、先ほど申し上げましたような九州、北海道の現状がある。ですから、今確かに延ばせということになれば、何か取り組みそのものが薄れてくるんじゃないかという御心配もあるでしょうけれども、私は総理なりあるいは運輸大臣のその決意は高く評価をするわけですよ、そうやってほしい。がしかし、三年で終わった場合には切るわけです。今の法律ではそうなっておるものですから、だからそこが心配になるものですから、もうそういうことは一切ないということを、ひとつこれはもう運輸大臣の方からでも結構ですが、そういうお約束が確認をできればいいんじゃないかと思うんです。
  175. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) むしろ、九州、北海道の雇用情勢を承知した上でなおかつその努力を私どもに払わせていただきたいとお願いを申し上げます。
  176. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 それじゃこれはひとつ要望を申し上げておきますが、そういう中の一つの案として、いわゆる国家公務員なりあるいは公的部門に、ひとつ北海道、九州に枠を、今申し込みがあっておりますけれども、その枠を広げていただくようなことをぜひひとつ政府間でお話し合いをして枠を広げていただくような努力はできないでしょうか。
  177. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この御要望は雇用対策本部にお伝えはいたします。しかし、実態としては私はなかなか困難な御要望ではなかろうかと思います。  なぜなら、国家公務員の配置をいたします場合に、やはりそれぞれの業務量に応じて必要な場所に職員を配置していくわけでありますから、地域の雇用情勢からそれぞれの地域への職員の配置を決めるというのは、これは人事政策上問題のあることでありまして、むしろ、その御要望は伝えさせていただきますけれども、私は実態としてはなかなか困難な点のある御要望であると、そのように思います。
  178. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 確かに私もそういう情勢の厳しさというのは百も承知の上であえてお願いをしておるわけですけれども、いわゆる中曽根総理中心に、長としながらこんなに国を挙げて今努力をしておるということになれば、国家公務員労働組合にもあるいは公団関係労働組合にも当局側の方から御相談を申し上げ、場合によっては広域配転の希望なんかも聴取してもらって、そしてこちらの方にあいておる部分があればそういうところから来ていただいて、そして九州、北海道関係についてはそういうところまでひとつ手当てをしていただければ幸いだと、これはひとつ要望申し上げておきたいと思います。  それじゃ次に、地方財政問題について自治大臣を中心にお尋ねをいたしたいわけですが、その前にちょっと総理、お尋ねをいたしますが、新聞報道によって、何か資産処分委員会を地方の意見を入れながらブロックごとに設置をするというようなことをちょっと見たわけですが、これについてはそういうお考えでしょうか。
  179. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは、あるいはちょっと委員、何かその新聞の方の報道に誤りがありましたか、あるいは委員が御判断の上で混線をしましたかわかりませんが、資産処分審議会はこれは運輸省につくるわけでありますけれども、それについて地方の意見を聞くためのブロックに機関を設けるというような考え方はございません。  ただ、あるいは委員の御判断にあったかもしらぬと思いますのは、清算事業団の用地の処分の段階におきまして地域の意見を聞く必要はないかというような御論議はございました。そしてそれに対しても、そういう方向をもちろん私どもとしては考えてまいりますと。ただ、私どもはできるだけ高く売りたいと申し上げ続けながら申し上げてきたわけでありますが、地域のいろいろな御意見も当然伺う工夫をいたしますと申し上げてまいりましたのがあるいは混線をしたのかと思います。
  180. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 それはそこまでにしておきます、私の勘違いかもしれませんから。  地方税関係について少しお尋ねしたいと思うんですが、今大臣、国鉄関係について地方財政再建促進特別措置法の二十四条二項に基づいて大臣が承認をされておる額といいますのは、私の資料では六十年度二十四億一千二百万の額を大臣が承認されておるというふうに思いますが、間違いありませんか。
  181. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) お答え申し上げます。  国鉄に対する地方公共団体の寄附金等の支出に当たりましてのいわゆる自治大臣承認額のお尋ねでございますが、昭和六十年度におきまして、ただいまお示しの数字のとおり、額にいたしまして二十四億一千二百万円でございます。
  182. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 今度の改革法案の中でたくさんの地方財政問題についての改正案等が提起をされておりますが、まず次の四点についてお聞きをしたいと思うんです。  第一点は、今度の地方税法の一部改正によれば、従来の納付金の対象とされていました部分が、例えば清算事業団やあるいは新幹線保有機構に承継される固定資産など、多くの非課税措置あるいは軽減措置が地方税の中で措置をされていますけれども、これは私ども考えではどうしてもやっぱり、地方自治体にとって当面は減収にはならないのか、あるいはならないにしても本来入るべき収入が入らなくなるということでは、自治体財政の悪化の折から、あるいは各地方自治体の課税自治権という面からも重大な問題ではないかというふうに考えますが、その中で第一点は、臨時的特例措置については期限が来れば延長はないのか、この点をまずお聞きをしてみたいと思います。
  183. 津田正

    政府委員(津田正君) お答えいたします。  今回の措置のうち、新たに設立される事業体の性格等に応じて恒久的な措置として定めているものは別といたしまして、公社制度を前提とする取り扱いから私鉄並みの取り扱い等に移行することによります負担の軽減緩和措置というものは、その期限を延長することは考えておりません。
  184. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 二つ目の問題として、今回の国鉄改革では地方財政に何ら悪影響を与えない、地方への財政転嫁や財政支出はもたらさないというふうに確認ができるかどうか。これは大臣、衆議院でも御答弁なさっておりますからお願いしたいと思います。
  185. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 自治省といたしましては、国鉄改革によりまして地方団体の財政負担が増大するものではないと認識しているところでございます。
  186. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 国鉄分割民営化によって新事業体は、地方財政再建促進特別措置法の二十四条の二項、すなわち、地方公共団体は、当分の間、国を初め日本国有鉄道などに対し、寄附金、法律等に基づかない負担金その他これらに類するものを支出してはならないという適用から外されるものと考えられるが、しかし、新事業体の持つ公共性あるいは莫大な資産等が承継をされておるという点から、さらに今御答弁もありましたが、これまでの経緯あるいは今回のたくさんの地方税の軽減措置等を勘案すれば、当然その趣旨は私は引き継がれるというふうに思います。国が当然このことについては新事業体においても寄附金や負担金をこれまでどおり地方公共団体に対して求めることはない、これは原則的にそういうふうに考えてよろしいですか。
  187. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 地方公共団体から国または公社等への寄附金等の支出につきましては、国と地方との間の財政秩序の維持の観点から、地方財政再建促進特別措置法第二十四条第二項により制限されておりまして、日本国有鉄道に対します地方公共団体からの寄附金等も同法により制限されているところでございます。国鉄が新事業体に移行することに伴いまして、清算事業団と新幹線保有機構を除き再建法の適用から除外されることとなりまして、地方公共団体は公益上必要がある場合には補助をすることが可能となるものでございますが、国鉄民営化の趣旨及び現下の厳しい地方財政の状況にかんがみ、新事業体が地方公共団体に対し寄附金等の支出を求めることは原則としてないことが望ましいと考えているところでございます。したがいまして、地方公共団体に対しましては慎重な姿勢をもって臨むよう指導してまいりたいと考えております。
  188. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 今のことは当然自治体の方に対してもそういう御指導をなさるということをひとつ確認をしておきたいと思います。  それからいま一点は、六十一年度の地方財政の運営について自治省から出されました通達で、特定地方交通線等については、採算の現況から見て第三セクターによる経営を行う場合であっても赤字を生ずるおそれが多分にある、その結果地方団体に負担が生ずる危険性が大きい場合は、各地方公共団体は第三セクターに加わることについては慎重に対処することという指導がなされておりますが、この姿勢は自治省としては変わりませんか。
  189. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 第三セクターによりまして特定地方交通線等の運営を行うことにつきましては、結果として地方団体に負担が生ずるおそれがありますので慎重に対処するよう各地方公共団体を指導してきたところでございまして、自治省といたしましては、引き続き慎重に対応するよう指導してまいりたいと思います。
  190. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 時間が迫ってまいりましたから、それでは地方税法の改正の中でどうしても私らが理解に苦しむ問題がありますが、固定資産税についてたくさんの軽減措置がされ、期間も大変長く認められておる。ですから、固定資産税というのは物税であって、例えば本人が支払い能力があろうとなかろうと物に対する税金であるというふうに私自身考えますが、固定資産税に対する見解をひとつお聞きしたいと思います。
  191. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 今回の分割民営化に際しまして、新事業体に対しまして固定資産税の軽減措置をとることとなっておりますけれども、今回の措置は、分割民営化を基本とします国鉄改革の方策に即し税体系上のバランスを考えながら新しく設立される事業体の性格等に応じた措置を決めたものでございます。あわせて、国鉄改革の重大な意義にかんがみまして、国鉄改革が円滑に実施されるよう必要な経過的な負担軽減措置をとろうとしているところでございます。  また、先生ただいま御質問ございましたが、固定資産税は固定資産自体の価値に着目して課税される物税であることは御指摘のとおりでございますが、従来から政策的な要請に基づいて必要とされる場合には一定の特例措置を講じておりまして、今回の措置もただいま申し上げました政策的要請に基づいて講ぜられるものでございますので、固定資産税の性格が変更されたとは考えておりません。
  192. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 今大臣の見解を聞いたわけですが、固定資産税を見てみますと、やはりその資産の価値に着目し、その資産を所有することに担税力を見出して課せられる物税だというふうに自治省は定義をしておりますけれども、国の政策としてやったんだから特例措置は認められるんだと、こういうお考えのようですが、そういう中でこれと同じように、例えば市町村関係に対する固定資産税あるいは都市計画税、あるいは減価償却とか、あるいは軽油引取税とかたくさんの問題で軽減措置がされる。しかも、これは期限が切ってないものがたくさんあるわけですね。  ですから、例えば軽油引取税なんかの場合、これは貨物会社関係でございますけれども、貨物会社だけについては新たに課税免除になっておるわけです。ですから、経過的な負担軽減措置をするならば私は期限を付すべきだと。そういうことを原則にしておりまして、その過程の中で、どうしてもやっぱりまだ経営的に難しいという困難があれば、議会なんかとお諮りをして、そして延ばすということだってできるわけですけれども、原則的にこれをもう期限をつけないままに経過措置として認めることについては、税法上問題があるんじゃないかというふうに思いますが。
  193. 津田正

    政府委員(津田正君) お答えいたします。  今回の地方税法の御審議をお願いしております軽減措置につきましては、いわゆる経過的な措置というものと、民間鉄道等でも認められている措置とのバランス上やっておるものがあるわけでございます。そういうものの中には、例えば民間でございましても、従来におきましても帝都高速度交通営団等の措置につきましては永久というようなものもございます。それから青函トンネルあるいは本四架橋の問題の最後の六分の一というものにつきましても永久措置になっておりますが、これにつきましては、やはり国土の地域振興上の観点等を考えて、また膨大な投資をしたものであるというようなことを考えまして、先ほど申しました帝都高速度交通営団等の措置とも均衡を図りつつ考えておるものでございます。
  194. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 さっきも言いましたけれども、それじゃもう一回お聞きをしますが、軽油引取税の中で国鉄の荷物積みおろし用のフォークリフト等の一定機械の動力源としての軽油の引取は課税免除。そこで、貨物会社に限り新たに課税免除としたのはどういう理由かと私は聞いておるんです。ですから、先ほどから言う経過措置としてやったというのであれば、期限を切るべきではないかというふうにお尋ねをしておるわけです。これはなぜそういうことになるかといいますと、民間との関係のバランスの問題もあるでしょう。ですから、私鉄の貨物輸送会社との均衡について、それじゃ一体どういうふうに考えておるのかということをまたお聞きをしたいんです。
  195. 津田正

    政府委員(津田正君) 失礼いたしました。  個別の問題として、軽油引取税のコンテナの貨物の積みおろしのためのフォークリフト等に対する軽油の免除の問題でございますが、これは通運業のフォークリフトにつきましても同様免除しております。それと同様の措置でございます。
  196. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 それじゃ、鉄道公安官問題についてお聞きをしたいわけですが、よろしいでしょうか。  今度の国鉄改革によって、現在鉄道公安官の定数ですか、二千八百八十二名というふうに私は資料で見ておりますが、これは定数が二千八百八十二名で、現員は何名おられるかお聞きをしたいと思います。
  197. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 鉄道公安官二千八百八十二名おりましたが、ただいま七百名が警察学校に入校して訓練を受けております。都道府県警察におきまして現段階で約七百人の鉄道公安職員を既に警察官として採用しているところでございますが、これは警察当局と国鉄当局との間において十分協議の上行っているものでございます。そして、この約七百人の採用後の鉄道施設内の治安維持につきましても、国鉄側における要員の逐次補充、警察側における鉄道公安業務への全面的協力等必要な措置が講ぜられているところでございます。現状はこういうことでございます。
  198. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 私は、警察の方から御協力願って二千八百八十二名の定数を採っていただけるというのは、国鉄から見れば、あるいは今やっております改革推進から見れば、非常に喜ばしいことだというふうに思いますけれども、どうしても不思議でたまらないのは、国鉄改革しながら、四十二万人おった職員をずっと減らしていって十八万人程度に持っていこう。ところが、鉄道公安官の定数だけは二千八百八十二名そっくり一名も削らないままに警察の方に持っていく。  そこで、警察庁の方にお聞きをしたいわけですが、鉄道公安官の業務と、それから警察職員との業務について違いがあるかないかです。
  199. 葉梨信行

    国務大臣(葉梨信行君) 鉄道公安職員の業務は、鉄道営業との関連において行われるという特殊性はありますものの、基本的には国鉄施設内におきます治安維持でございます。国鉄民営化後、都道府県警察が鉄道公安業務を担当することとなった場合には、列車内の警戒、駅構内における警戒等鉄道に係る治安維持業務を行うこととしております。また、昨今の国鉄施設等をめぐります情勢等を考慮しますと、鉄道に係る治安維持業務は、今後増加することはあっても減少することはないであろう、このように考えているところでございます。
  200. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 ですから、先ほど公安委員長からお話がありました。二千八百八十二名おられた公安官の皆さんの中から七百名は既にもう警察の方に身分が移管されて、学校に入っておるわけですね。  そうしますと、今二千百八十二名で全国の国鉄の公安関係の業務は完全に行われておる。そうすれば、二千八百八十二名そっくり定数を警察官をふやさなきゃいけないかどうかという問題なんですね。ですから、公安委員長であり自治大臣でもあるわけですから、五十九年に出されましたいわゆる行政改革についての人員の凍結問題についても、警察職員そのものは五十九年、六十年は動いてない、一名も増員をしてない。地方の警察官をどうしてもふやしてもらいたいというのは、各都道府県議会の警察常任委員会で議論をして、それを政府の方にお願いをしようということで、省令で決めていただくわけです。やはり警察官を天下り的に何名ふやせというふうに持ってこられましても、自治体の場合は負担が要るわけです。  そういう関係では、地方自治体関係の職員が約二百四十万人おります。五十八年がピークだったわけです。それから、大臣の指導によって行政改革をずっと進めてきております。既に一万五千人近くが減っておるわけです。これは一般職員です。教職員と警察官と消防職員は別ですけれども、一般職員というのはずっと減ってきておるわけです。そういう中で二千八百八十二名の警察官だけふやせと。  お尋ねしたいのは、もうこれは公安委員長にお聞きしてもあれですけれども鉄道公安官といえば、例えば荷物の保護のために貨車の封印なんかをするお仕事だってやるわけでしょう。警察官はそういう仕事はないわけですね。ですから、二千八百八十二名の鉄道公安官の定数不足そのままを警察官を増員する必要があるのか、ここはどうしても私自身は理解ができないわけです。
  201. 大堀太千男

    政府委員大堀太千男君) 鉄道公安職員の業務が鉄道営業との関連において行われるという特殊性はございますが、基本的には列車あるいは駅構内あるいは鉄道施設における警戒、警備、あるいは国鉄施設等の警戒でございますが、要は、基本的には国鉄施設内における治安維持業務を行っておるわけでございます。したがって、国鉄民営化された後、国鉄施設内における治安維持の責務を都道府県警察が負う以上、それに見合う増員措置というものが必要であると考えたものでございます。もちろん、鉄道営業との関連において行われるという特殊性ということを申し上げましたのは、今先生御指摘のような荷札をつけるというようなことが仮にあるとすれば、それは当然鉄道が責務を負う場合にはそのようなことはいたしませんが、それは業務の中で私は付随的なものであろうと思いますし、また先ほど大臣からも御答弁を申し上げましたが、最近の極左暴力集団による国鉄施設への攻撃といったような新たな事象を考慮すると、決して多い数字ではなかろうと、かように考えております。  なお、もう一つ補足して申し上げますが、七百名の鉄道公安職員をいわゆる国鉄余剰人員対策の一環として本年十月都道府県の警察官として採用をいたしましたが、それにつきましては、国鉄当局と十分協議をいたしまして、その間に国鉄施設内における治安維持にすき間ができてはいかぬということで、各都道府県警察が駅構内のパトロールを強化するといったような措置をとって万全を期しておるところでございます。なお、伺ったところによりますと、国鉄御当局では七百人の補充は逐次行われておると、かように伺っておるところでございます。
  202. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 これは、もう時間が来ましたからあれですが、公安官が現在行っておる任務のうちの、先ほども言いましたけれども、荷物事故の調査とか、こういうことは一般的な企業で言えば警備とかあるいは守衛さんに当たる業務まで含めて公安官がやっておったです。しかし、今度警察官の場合はそれはできないわけです。そうすれば、おのずから新事業体でその仕事は私らはやるべきだと、民間と比較をした場合。そうすれば、新事業体の職員はふやしても何も警察官を二千八百八十二名ふやす必要はないんじゃないかというのが私の主張であるわけですが、時間が参りました。  そこで、最後に警察庁の方にお願いしておきたいわけですが、これは今までの鉄道公安官と全く変わった権限を持ってくるわけですから、まさか国鉄の、今度新会社になりましたそういう職員の例えば休憩所とか、今までは公安官といっても国鉄の職員でありましたから、同僚でありましたからいろいろ出入りもあったと思うんですが、そういうことについては一切ないというふうに信じておりますが、そこはひとつ強く要望して、私の質問を終わらせていただきます。
  203. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 まず最初に、緊急災害の件につきましてお尋ねをいたしたいと思います。  この昭和六十一年伊豆大島噴火の問題につきましてでございますけれども、こういう自然の不可抗力に近い大災害につきましては、いつも生命の安全の問題、財産その他大被害に対する一日も早い原形復旧の中で安心をする対策というものを常に考えるものでございます。そういう意味で、被災者の方々には本当にお気の毒という言葉以外にないのでございますけれども、どうか元気で頑張っていただきたいと、こういうふうに切に祈るものでございます。  この間、関係方面の方々の御協力というものも非常にすばらしいものがあったと感激をいたしております。私も昨夜二時から三時の真夜中テレビを入れますと、公共性の一番大切なNHKが逐一その状況を報告いたしておりました。国民は一面で、そのテレビを見ながら政府がとったすばらしい手に対して非常に大きな安心感を覚えたことも事実でございます。そういう意味で、中曽根総理を初めとする政府の皆様がとった手というものは万全であったことを私は思うわけでございます。そういう意味では本当に御苦労さまでございました。また、きょうの御報告を伺っておりまして、第二次的ないろいろな問題についても総理を初め関係大臣が対応されようとしていらっしゃる、こういうことにつきましても本当に感謝を申し上げるわけでございますが、総理からの午前中の御報告では、国土庁長官現地に行かれて、そしてまたいろいろの、私たちも心配しておりますのは、あの島全体が、海面が火山的などういうふうな活動をしているんだろうかということを常に心配しているわけでございますが、ただいま現在、もしまた変わった変化等がございましたら伺ってみたいと思います。
  204. 綿貫民輔

    国務大臣(綿貫民輔君) 昨日、伊豆大島噴火対策本部が設置されまして、本日十時、自衛隊の力をかりまして、関係省庁の二十名の者を連れまして現地に行ってまいりました。  約四十分間、島の状況を見てまいりましたが、現在のところ噴火あるいは溶岩の流出は小康を得ておりますけれども方々にまだ微妙な動きが見られるような状況でございまして、予断を許さないと思います。現地には現在専門の先生方も滞在いたしまして、つぶさにこの状況を視察しておるところであります。私どもといたしましては、今一万人を超す島民皆様方避難をされておりますので、御不安がないような対策、あるいは特に学校の生徒さんその他の就学の状況等についても、各関係省庁がいろいろと協議をいたしまして、不安のないように対策を講じております。今後ともこの噴火後の状況をつぶさに調査をしながら対策を適切に立ててまいりたいと考えておる次第であります。
  205. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 きょうの九時四十五分に伊豆大島近海でマグニチュード六・一の地震が発生をいたしました。そういうあれで、震源の深さも地下十キロメートル、こういうふうなことで、私が非常に心配しますのは、この地下の地形から見まして、新聞も各社が報道いたしておるようでございますが、東海地震とは関係性は私は科学的にはないのかなとは思っておりますけれども、やはり地球から見まして非常に狭い日本の近海でございますので、こういうふうな問題、そうしてまた先ほど運輸大臣から海面下に危険性のあるものがあるのではないかというふうな心配もちょっと伺っておりますけれども、もし詳しくおわかりであれば伺ってみたいと思います。
  206. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 海上保安庁の航空機からの十二時三十分時点におきましての連絡でございますが、行者洞付近には噴煙はなく、筆島の北海岸約百ないし二百メートルの幅で海面が赤く変色している。海岸で噴火があると強烈なマグマ水蒸気爆発が起こる可能性がありますので厳重な注意が必要であり、チェックをし続けておるということであります。なお、十二時台には十回の有感地震、体に感じる地震があったという連絡が入っております。
  207. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 総理以下本当に御苦労でございますけれども、最後にこの件につきまして対策の万全という形で伺っておきたいと思います。よろしくお願いします。
  208. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私もお昼に国土庁長官現地へ行ってまいりました報告を聞きまして必要な指示をいたしておきました。何といっても科学技術に頼った安全性の確保ということが第一であり、それによる人命の尊重ということが我々としては最大限に考えなきゃならぬポイントでございます。  なお、神奈川県あるいは静岡県、東京都に移られた避難皆様方のいろいろな手当てにつきましても遺漏のないように努力をしてまいりたいと思っております。これにつきましては東京都や静岡県当局にも大変お世話になったのでございまして、この機会にお礼を申し上げる次第でございます。
  209. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 どうぞよろしくお願いいたします。  では、議題に入りたいと思います。極力重複を避けながら質問をいたしたいと思います。質疑の順序が交互いたしますけれども、当局の皆様にはよろしくお願いを申し上げたいと思います。  先般、私たちは国有鉄道改革に関する特別委員会のそれぞれのメンバーの方たちと御一緒に、用地問題についてということで汐留の駅と東京駅、この二点を視察さしていただいたわけでございます。それぞれ、汐留駅は世界貿易センタービルの四十階から、東京駅は朝日東海ビルの二十九階から全面を見さしていただき、また直接には現地でいろいろと見さしていただいたわけでございます。そういう意味で具体的な面から質問をいたしたいと思いますが、まず東京駅周辺について御質問をしてみたいと思います。  この東京地区につきましては、敷地の面積が二十三・九ヘクタールでございまして、内訳は、東京駅が約二十二・七ヘクタール、本社等が約一・二ヘクタールでございます。その中で債務償還対象用地の内訳は、用地全体としては約三・四ヘクタールでございます。内訳は、東京駅八重洲の北部が約一・六ヘクタールでございます。東京駅八重洲南部が約〇・六ヘクタール、本社が約一・二ヘクタールとなっております。これは用途地域等を見てみますと、八重洲の北部そして南部地区、これは用途地域は商業地域で容積率が九〇〇%、建ぺい率は八〇%、防火地域でございます。本社等地域は、用途地域が商業地域、容積率一〇〇〇%、建ぺい率は八〇%、防火地域となっております。現在も六十年度の実績で乗降人員は一日約七十六万人というふうな数字でございますが、恐らく日々オーバーしているのではないか。乗りかえの人員は一日四十万人、列車の本数が一日約三千本という、まさしく日本の交通の中枢という動きを見るわけでございます。  ここで数点具体的にまずお伺いをしたいわけでございますが、新聞でも報道されてはおりましたけれども、小さな問題で申しわけないと思うんですけれども東京駅でも芸術品の問題で、横山大観、東山魁夷、これは狩野派の方々なのか、それとも室町時代の御本人なのか、そういう非常に高価な美術品等々が飾られておりました。私は率直に申し上げて、美術品のそれぞれがその方たちの全盛期にかかれたものか、その前作という作品なのか、そういうことは詳しく聞いておりませんけれども、主要の駅でそれぞれの歴史があって、そうしてああいうふうに飾っていらっしゃる立場を見ながら、これは分割されても、ああそれぞれの駅でいつまでも歴史や文化、芸術を考えながら飾っていらっしゃるのが一番いいなと個人的に考えながら見さしていただいたわけでございますけれども総裁の方ではこういう美術品を一応全国的にまとめてどうされていかれるのか、そういうふうなお考えがございましたら伺ってみたいと思います。
  210. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 今先生おっしゃいましたように、東京駅を初め全国各駅が中心でございますが、長い歴史の間で著名な方の絵画その他の作品がかなりあるようでございます。全体を把握はいたしておりませんが、これらを今後どうするか。こうした分割民営のその時点におきまして万が一でもこれが失われるというようなことがあってはならない。やはりしっかりとリストを決めまして、恐らくこれはそれぞれの会社に承継をされることとなると思いますけれども、承継計画の中にしっかりとこれを明示いたしまして次の会社にバトンタッチをしていく、しっかり守っていくというふうに考えております。
  211. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 総裁、きょう現在、恐らく全国的に大体どういうふうなものがあるのかなというふうな作業も進めていらっしゃると思うんですけれども、発表できる段階で結構でございますけれども、もし掌握の過程で述べられるものであれば述べていただきたい。
  212. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 今整理をしておるところでございまして、いずれリストはつくらなきゃいかぬと思いますが、現時点でまだちょっと申し上げる段階には至っておりません。
  213. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 では大要ですね、大体時価推定ではこの程度までの金額というのがわかっていると、そういうことございましたら教えてください。
  214. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) それぞれの駅あるいは管理局におきまして備品台帳に載っているだけでございまして、現時点では概要を申し上げるまでに至っておりません。まことに申しわけございません。
  215. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 結論的に私が申し上げた意見総裁意見と大体共通すると思っておりますが、運輸大臣、そういう考え方でいいんでございましょうか、各駅で保存していくということで。
  216. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 実は今私は、本社がまだ全体を把握しておらないという答えが返ってくることは予想しておりませんで、その作業は本社に急いでもらいたいと思います。  と同時に私は、やはり国鉄が現在保有をしておりますそうした品々というのは、いずれも何らかの理由があって寄贈をされ、受け取り、そして備品として今日まで管理をしてきたものが中心であろうと思います。そういたしますと、基本的には私は委員の述べられたような対応が最も至当だと考えております。中には郷土出身ということで、後に人間国宝になられたような方の作品を持っておられるところもあるでしょう。ただ、やはりそれはきちんと一度チェックをした上で出すべき結論でありまして、気持ちの上では、私は委員の御指摘の方向が至当なものであろうとは思います。
  217. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 次に、東京駅周辺に関連をしまして天野建設大臣に伺いたいわけでございますが、今天野構想というのがもう全国から恐らく、世界じゅうに情報が非常に速いわけですから、それぞれの評価があると思うわけでございます。私的な考え方であるとこの前もちょっと言われておられたわけでございますが、既に国土庁を窓口に建設運輸、郵政、内閣官房等々で、自治体も含めて実務上の連絡協議体制がしかれているのではないか、当然しかれておられると思います。着々その構想実現に動き始めているのではないかなと私は感じるわけでございますけれども、天野構想の東京臨海部再開発については、もしいろいろの構想、着想、こういうものがございましたら伺ってみたいと思います。
  218. 天野光晴

    国務大臣(天野光晴君) 臨海開発の構想、これは軌道に乗りつつあるわけでございますが、東京駅再開発は、この間も申し上げましたように、まだ私の試みの案でございます。今異常な土地の暴騰を来しておることは御承知のとおりであります。一坪一億以上という土地がざらに転がっているというような状態になったのでは日本経済が破壊する大きな原因にもなるのじゃないかというような感じもいたしまして、そういう観点から、需要供給のバランスを保つためには東京三区、いわゆる銀座から京橋、日本橋の間でその暴騰の原因をなすものに完全に与えるだけの土地を出すということになりますと、今のところでは汐留がややですが、まだ汐留ではそれほど効果はこの問題にはないという話を聞いております。そういう点からいいますと、一つもないわけでありまして、かえって暴騰するという嫌いが出てくると思います。  そこで、私これ昔からの考えなんですが、東京都内の交通と住宅とビルの問題は国鉄の線路を利用する以外に方法はないという考え方を十四、五年前ころからやっておったわけであります。できれば東京都内の国鉄を全部隧道にする、そして隧道の上に道路をつくる。地下に入れるんではない、今のところへ隧道をかぶせるわけです。そして道路に使って、その道路の各駅に接続する地点に高層ビルを建てれば、相当地価は安定すると思うし、交通の問題も相当助かるのではないかというような考え方を持っておったんですが、今から十二、三年前、これが一つの問題で私は引かざるを得なくなったのでありますが、それは工事をやるときの安全性の確認という問題でございます。  今先生がおっしゃいましたように、東京駅、一日三千本も列車が入るわけですから、細かく言えば一分間に何本も入る地域に高層建築物を建てる、隧道をつくるということになりますと、相当工事中に生命の安全が保障されなくなる場合もあるのではないかということで、私、実は十二、三年前に引っ込んだわけであります。  最近、御存じだと思いますが、私は東北ですから赤羽という駅を通ります。赤羽駅は恐らく東京で一番本線では幅の狭い区域だと思うのでありますが、大体四、五十メートルぐらいきりないのじゃないかと思うんですが、あそこで今ばかでかい東北新幹線工事をやり、池袋に行く線も工事をやった。これが線路から一メーター以内で工事をやって、そして事故を一件も起こさない、一分のダイヤの狂いも出さないでやったという国鉄の技術の向上に信頼いたしまして、私は、東京駅のあの線路の上をやっぱり開発すべきである。これならすぐさま土地があるわけですから、御了解を願い、話し合いがつけば、これが一番いいんじゃないか。それに協力してもらえる周囲をどれだけ取り込めるかはこれからの問題でありますが、そしてあの上に高層建築物を建てれば、今大体霞が関ビルの八本は完全に建つ、十二本まで建つかもしれないという設計の大権威者から模型を私ちょうだいしております。  そういう観点でこれをやれば、今の地価の暴騰は一挙に抑えることができるのではないかというのが私の構想でありますけれども、まだ夢幻のようなものでありまして、この審議が終わりましたら、国鉄法案が上がりましたら、落ち着いたところでこれはひとつ御協議願いたいと思っておるところであります。
  219. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 確かにいろんなデータの統計を見ておりますと、大東京における部屋というものが非常に要求をされていることは事実でございます。今本当に広大な天野構想を伺いまして、それで現実のお仕事をしていらっしゃる国鉄としましては、線路の上における空中権というものが、実際に毎日三千本ずつ出入りしている中で、本当に現実の実態の中からどうなのかという、そういう実務の面から見て、これは国鉄側から一回お考え伺いたいと思います。
  220. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 今建設大臣からのお話ではございますが、将来の東京の土地利用という面におきまして、線路のあいているところを利用したいという気持ちはだれしも思うところだと思います。国鉄におきましても、何とか利用できないかというような検討も前にしたこともあるやに聞いておるわけでございます。  ただ、空中権の実際の利用に当たりまして問題点を三つ申し上げたいと思いますが、一つは、やはり特に山手線等のいわゆる大都市における交通大動脈でございます。こうした大動脈の将来の展望というものがどのように展開するかはなかなかはかり知れないところがあるわけでございますが、全体の都市交通計画等に対応いたしまして、かなり将来にわたりましていろんなことを交通そのものとして考えていかなきゃならぬだろうということで、やはりこれらの変化に柔軟に対応できるような、そういうことを将来にわたって考えていく必要があるということが第一点でございます。  第二点は、今先生からも申されましたし、また建設大臣からもお話がございました工事の安全性の問題でございます。実際にこのように多数の列車が行きかいをする工事は、どうしても夜間の非常に短い時間しか工事ができないという制約があるわけでございまして、その場合におきましても、何といいましても安全の確保というのが最大の課題だと思うのであります。そうした点に配慮いたしますと、ただいま赤羽の例等も引用されたわけでございますが、結果的には工事費が相当大きな金額になるであろうというふうな推定もされるわけでございます。  第三番目の問題は、仮に駅の上空を何らかの格好で使うとした場合に、レールの上に私権を設定することができるかできないか、また、した方がいいのか悪いのかというような判断の問題があろうかと思います。そういう、仮に私権を設定した場合におきまして、その下を通る線路、レールの上での改良工事その他の工事の将来を考えますと、やはり何らかのその私権に対して制約が将来出てくるのではないか。そうなりますと、一遍私権を設定してしまいますと、これはなかなかそれを解除し、あるいは制約をさらに強めるというようなことが大変難しくなるという判断がございます。  以上、漠然としたあれでございますが、上空権の利用の場合におきます問題点を三つ挙げたわけでございますが、いずれにいたしましても、大変重要な課題でございますので私どもこれからも十分に勉強してまいりたいというふうに思っております。
  221. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 今総裁のお話を伺っておりますと、技術的ないろんな問題等々の中で、やはり東日本鉄道にまず分割をしていただいて、それからいろいろ安全技術的にも検討してみたい、こういうようなお気持ちじゃないかと思うんですけれども、所轄の運輸大臣といたしましてはどういうふうな御見解を持っていらっしゃるのか伺いたいと思います。
  222. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員が御指摘になりましたように、東日本会社に引き継がれる東京駅の用地というものは、東日本会社鉄道事業を行うために最小限度必要な事業用地でありまして、非事業用用地は売却対象用地として生み出しておることは既に御承知のとおりであります。  今、天野建設大臣の御構想は、明治と戦争中に育ちました昭和二けたとの心臓の大きさの差を思い知らせるようなお話でありまして、まだ詳細を伺っておるわけではございませんけれども、実は天野大臣からお話がありましたものが、党の、ちょうど天野大臣が公共的事業への民間活力の導入に関する特別調査会という会の会長としてこれを御提言になりました際には、「国鉄用地については、当面、線路敷以外の部分を利用することとする。」となっておりまして、線路敷は対象から外れておるわけであります。そこから考えてみましても、夢としてその線路敷の利用を語られた天野大臣が、調査会長としてまとめられたときには線路敷以外をということで線路敷を外しておられるところから見ましても、やはり私は、この構想を将来具体的に考えてまいります場合の検討課題というものは極めて多いと思いますし、到底昭和二けた初期には論評困難な大きな夢だと心得ております。
  223. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私は今の時点で、非常に大事な用地でございますし、結論から申し上げますと、国民の財産でございますから、担当の方々がそれぞれの立場で非常に苦慮されていることは非常にこれはいいことだと思います。この問題はひとつ、例えば売却に予定されている八重洲の北口の用地、そしてまた国鉄本社の用地、それから向こうには都庁の跡地、これはまた向こうは別のことですけれども、また中央の郵便局の用地をどうするのかという問題、いろいろあると思うんですけれども、これは運輸省国鉄として、該当の東京駅のこの関係地域については、やはりそれぞれの審議会とかそういうふうな機関というものが六十二年四月、この法令が出てくる前に、前後にきちっと設定されて、将来の用地はどうするのかという、そういうことを当然私は順次、各種の委員会等がそれぞれ設けられてやるべきではないかと思っているんですけれども、もちろん用意をされていらっしゃると思いますけれども、そういうプログラムは一つ一つの機関でやっていかなくちゃいけないと思うんですけれども、いかがなっているのか。
  224. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今回の改革案の取りまとめの作業中に、御承知のように、国鉄再建監理委員会から売却予定用地として名指されましたものを含めて、国鉄当局がみずから見直しの中で三千三百三十ヘクタールの売却対象用地というものを生み出したわけであります。そしてこれは、あるいは将来国民に御負担を願わなければならなくなるかもしれない長期債務処理の中で、できるだけいわば高目に売らせていただくことによって国民の最終の負担というものを軽減するための貴重な資産であります。しかも、この用地の処分についていやしくも国民から公正を疑われることがありましてはこの改革は恐らく画餅に帰すでありましょう。そうなりますと、私どもとしては、繰り返し申し上げておりますように、一番国民から見ていただける処分の仕方として一般公開競争入札というものを原則とし、例えば地方公共団体等から、道路用地とか、非常に限定されて使用される目的によって払い下げを要望されるものにつきましては、場合によっては随意契約を考えるにしても、それも適正な地価はちょうだいしなければならないという基本原則を立ててまいりました。  そしてその中におきまして、一方では確かに都市計画等との整合性をとらなければならない場合、また必要以上の地価上昇を招かないための配慮等々が必要なことも事実でありますので、清算事業団の中に設けます資産処分審議会がこの任に当たることとし、現在、法律案を通過成立させていただきました後において具体的にいろいろな御相談もしてまいりたいと思います。しかし、やはりあくまでも国民に指弾を受けることのないような公平な資産処分というものが前提であり、この原則を崩すことはできません。
  225. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 次に、監理委員会の凍結にはちょっと当時外れたと思うのですが、新宿ターミナルビル会社、これは国鉄の出資五割、小田急も出資しておりますが、これが六十年十一月に新宿南口駅ビル、これで着工したわけでございます。そのほか中央線特急ホーム、こういう七階建てのビル、これも建設されております。今私が申し上げておりますのは、いわゆる空中権利用の第一号であったなと思っているわけでございます。将来の新事業体の事業進出の方向というものを見ておりますと、やはりこの空中権というものが国鉄でもいろいろと計画をされているように思うわけでございます。四谷の駅の駅舎改良がいろいろ計画されていると伺っているわけでございますけれども、ロイヤルセンター構想というのか、そういう進捗状況は空中権活用とも私は思うわけでございますけれども、そういうふうな規模、計画等がもしあればきょう現在までのを明確に教えていただきたいと思います。
  226. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 四谷の駅の改築問題につきましては、実はこれの発端になりましたのが国道二十号線四谷見附橋の改築でございます。四谷見附橋の改築に伴いまして、現在、四谷の麹町口が支障を生ずるということになるわけでございます。そういう問題がございますのと、それから中央線が緩行線と快速線と四線ございますが、ここが掘り割りのような形で使われているということから、いわゆるロイヤルセンター構想ということで、四谷の駅の周辺にふたをかけてというお話があったわけでございますが、あの地区は御承知のように文化地域に指定されております。都市計画公園、公園地域にも指定をされているということから、しかも史跡保存地区であるということから、その計画は進捗していないというふうに聞いております。したがいまして、現在四谷の駅の改築問題と申しますのは、その見附橋の改築に伴いますところの小規模な駅本屋の改築ということにとどまっているわけでございます。
  227. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 それから前に戻りますけれども、八重洲の北口用地ですね、これは以前国鉄において八重洲北口開発プロジェクトを組んで一時東京ターミナルビル株式会社を設立する、そういう構想の中で、事業としては三十二階か三十六階、こういう二つのビルを建築する計画であったと、そういう経緯もちょっと聞いているわけでございます。これが五十九年の国鉄再建監理委員会の方針で、先ほども申し上げておりましたように、売却の対象用地に予定をされておるのでございます。これらに対しては前のいわゆる三十二階か二十六階、国鉄でやる、こういうふうなことが復活を許されて再現する方針というものは生きているのか、それともう完全に消えているのかということをまず伺いたいのでございます。
  228. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 八重洲北口につきまして、かつて国鉄の手における再開発計画があったということは先生御指摘のとおりでございます。しかし、当時既に監理委員会の方で国鉄再建についての具体的な方策の検討が進められている段階でございましたので、そういう段階で、ある意味では先取りという形での土地の利用というのは妥当でないんじゃないか、そういう政府の判断でその計画が取りやめになったという経緯がございます。  これにつきましては、この間お出ししました約七千件のリストの中で、既にこれは清算事業団の方に残置して国民負担軽減のためにこれを売却するという対象用地としてリストアップをされております。これにつきましては、最終的にはこの法律を御承認いただきまして通過成立しました暁におきましては、公正妥当な第三者機関をつくりまして、その第三者機関で最終的に新事業体に引き継ぐ資産、それから清算事業団に残置する資産というものを確定するわけでございますけれども、現段階の作業では、これについては清算事業団の方に残置をするということで作業が既に行われておりまして、恐らくその方向で処理をされることになろうかというふうに思います。
  229. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 ここで端的に伺いたいことは、大都市東京における地価の問題でございますけれども、今申し上げたところが更地でもし相手方に一般競争入札で落ちた場合、現在更地の場合地価が国鉄では平米どのぐらいで、そうしてその後民間に落ちようとも、それからまた公共団体、東京都ということになりますけれども、そちらに、仮定でございますけれども、民間にいく場合も、都市計画やいろんなことでは建設省やそして東京都、該当の区と折衝していかなくちゃいけない。更地で売っても最終的には付加価値がついたままで利用者のところに売買される、こういうふうな場合に、現在の更地で国鉄で算定している平米、金額、そうして付加価値をつけた場合、民間に渡した場合は行政機関との折衝もございますから、非常に付加価値の仕上がりというものは完成度は遅くなると思います。しかしながら、事業の流れから見まして、そういうふうにその土地が現在と、平米ですね、地価の場合、付加価値をつけた場合にどういうふうになるのか、簡略に概算で結構でございますので、推定をお願いしたいと思います。
  230. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この点については、私どもとしては清算事業団において処分をしてまいります場合、そのままで処分をいたす場合もありましょうし、付加価値を高めて売却を考える場合もありましょうし、いろいろなケースがあろうと思います。しかし、いずれにいたしましても、この売却予定地につきまして現在例えば国鉄当局がどのような価格を設定しているかとか、現在の時価がどうかというような御質問に対しましては、これは公開入札を原則といたします用地処分の上におきまして、いわば予見を与えるものでありますので、今までも個別についての答弁は御容赦を願ってまいりました。この案件につきましても同様の御協力をぜひ賜りたいと思います。
  231. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 鉄道施設跡地が一つの製品になっていく、そういう場合に、例えば地方公共団体が仮に随契で購入をする場合、私が今勝手に言っているわけでございますが、その場合に鉄道、民間、地方公共団体、建設省という四者がどうしても関係をして調整をするようになります。それはやはり、建設省の場合は新都市拠点整備事業、こういうふうな形の中で縦割りとすれば、総合整備計画の大臣承認、新都市拠点整備事業、そうしてそれらの補助、そして重点実施、こういうふうな形で縦割りは出てくると思いますね。  横については、地方公共団体と連携の中で地方公共団体では地区の選定、その間には調査委員会、これは地域の民間の方、鉄道、地方公共団体、建設省と出てくるでしょう。地元の協議会、総合整備計画の策定、都市計画の決定、そこの横には申請とかそしてまた新都市拠点整備事業の実施、こういうふうな形、鉄道からは鉄道事業との調整、こういうふうな形で、また一部では民間投資ということで上物の整備というものが完成品として出てまいります。  そうなれば私は、私見ですけれども、平米東京駅では一億近いものではないかなと思います。恐らく今は平米二千万か三千万だと思いますけれども、やはり付加価値をつけていくかどうか、こういう極論的な問題でございますけれども運輸大臣、今お話がございましたので、これは運輸大臣のお説として私は承っておきたいと思いますけれども、今後残る課題は、更地として民間に渡すか、そしてまた付加価値をつけるために地方公共団体に渡すか、鉄道がじかに事業をしていくか、こういうことが全国の用地の問題の中でやはり検討されるものだと思います。  たまたま東京駅のこの関係周辺のことについて私も流れの一つを組織的に申し上げたわけでございますが、いずれにしましても、土地政策という長い日本の政策の中からやはり非常に国民のプラスになる、そういう立場で一つ一つが進められていかなくちゃいけない、これは本当に当然のことだと思いますが、後日にまた質疑を重ねてまいりたいと思いますけれども、言いにくい現時点ではそういう状態だろうと思いますけれども、一言ここで私たちがお願いをしたいことは、本当に国民の立場から見て、この地価の高騰というもので周辺が誘発をされて、日本の住宅政策や公共政策、いろんなものにマイナス点にならないことを切に願っているものでございます。ここの点は要望だけにしておきます。  次に、第二点といたしまして、汐留の貨物ヤードの跡地の問題について質疑をしてみたいと思います。  これも同じく先般私たち委員会で視察をさせていただいたわけでございます。こちらの方は敷地の面積が二十二・〇ヘクタールでございます。債務の償還対象用地は約二十一・六ヘクタール、内訳は汐留東部約十九・六ヘクタール、汐留の西部約二ヘクタールでございます。用途地域等も、東部敷の方の用途地域は準工業地域でございまして、容積率は四〇〇%、建ぺい率は六〇%になっているようでございます。西部敷の方は用途地域が商業地域で、容積率が六〇〇%、建ぺい率が八〇%。  ここで国鉄に直接に伺ってみたい一つは、今容積率であるとか、いろいろの用途地域、容積率、建ぺい率を申し上げましたけれども、やはりこれはこのままで修正せずに今後いくのかどうかということがまず一つなんでございますけれども、その点はいかがでございますか。
  232. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 用途地域でございますとか容積率、建ぺい率をお定めになっておられるのは建設省の所管ということになるわけでございますので、私どもがあれこれ申し上げるのは大変申しわけないと思うのでございますけれども、ただ国鉄あるいは清算事業団の立場といたしましては、現在この汐留の大部を占めております東部地域が準工業地域であり、そこの容積率が四〇〇%、建ぺい率が六〇%という形になっておりますのは、今までこれがあのような形での貨物駅として使われていた、それ以外に使われていなかったということからこういう地域の指定なり容積率、建ぺい率ということになっていたという歴史的事情があるわけでございまして、当然これが今後清算事業団用地として一般に広く使われていくような場所になるということになりますと、地域の指定につきましても、あるいは容積率、建ぺい率につきましても、ぜひ格上げと申しますか、そういった措置をとっていただけるものであるというふうに期待をしているところでございます。
  233. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 まず、汐留地区の利用計画についてでございますけれども、私なりに経過を見ておりますと、国鉄における汐留貨物駅敷活用基本構想研究委員会というものが、五十八年の四月の五日経済対策閣僚会議の決定に基づいて五十八年七月につくられたようでございます。その後、国土庁、運輸省建設省の汐留駅周辺地区総合整備計画調査委員会が昭和六十年の二月から開かれているようでございます。もし私の方で年月が間違いであれば失礼をするわけでございますが、こういう中で検討をされていると思うわけでございます。六十一年度末めどにその利用構想は策定の予定であろうかと思うのでございますけれども、見通し、そうしてどういうふうな活用方法というものを考えていらっしゃるのか、今までもいろいろとお聞きはしておりますけれども、きょう改めてその検討内容の概要を御説明いただきたいと思います。
  234. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 汐留貨物駅跡地の検討状況を御説明申し上げます。  ただいま先生おっしゃいましたとおり、六十一年度末を目途に策定中でございますが、主な検討項目は、第一に、導入すべき都市機能の配置の計画及び土地利用の具体的な計画でございます。第二に、今現在汐留跡地というのは非常に交通条件が悪うございます。したがいまして、それを都市的機能として活用していくための道路あるいは鉄道あるいは新交通システム等の都市交通の機能というものをまず第一義的に考えているわけでございます。それから具体的な都市機能の導入の中身でございます。場所としてはいわゆる都心地区に隣接いたしました非常に条件のいい土地でございますので、ぜひこれを東京の都心機能の一環として取り込みたいという強い要望が一方にございます。もう一方では、地元の港区を中心にぜひ、単なる丸の内のように夜人が住まないような土地ではなくて、住民も住んだいわゆる総合的な町らしい町にしてほしいという御要望もございますので、そのあたりを調整しながら目下鋭意検討を進めておる段階でございます。
  235. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 今建設省から伺ったわけでございますが、ここにつきましては、該当の委員会で検討されております三点を伺っておりますと、一つは国際化、高度情報化にふさわしい機能のものをつくりたい。二番目には、多核多圏地域型の都市構造の配慮と、いろいろと関係周辺の跡地、丸の内の都庁の跡地であるとか十三号埋立地等のそういうふうないろいろの絡みの中で適正な役割を果たしていきたい。三番目には、都心地域の人口定住に対する配慮。こういう基本的な三点を底流にしながら検討していただいているようでございます。  ここで伺ってみたいわけでございますけれども、国際金融機能とか文化の機能、いろいろとありますけれども、国際金融機能の煮詰めがいろいろと進んでいると思うんですけれども、さらに具体的になっておれば伺っておきたいと思います。
  236. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 最近日本の世界に占める金融市場の位置が非常に高まってまいりました。したがいまして、各西欧諸国及び世界各国からの金融のためのオフィス需要というものが非常に近ごろ急増しておりまして、それが一つは都心の地価急騰の一環となっておるという認識にあるわけでございます。しかも、国際的な金融機関の御要望が非常に土地を選んで立地を希望していらっしゃいます。都心三区というのが具体的な要望の中心でございますが、それに対応するためには、ぜひその都心三区内でしかもある程度まとまった土地についてその要望を満たす必要があるという観点から、この汐留等が有力な候補地の一つとして今浮上しておりまして、各方面と御相談しながら検討を進めておる段階にございます。
  237. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 ここで建設省にもう一点伺っておきたいんですけれども、オフィスの床面積の供給というものを都心部で最大の目標にされていることはデータの中で事実でございます。そういう絡みの中で、この土地問題についてでございますけれども、超高層ビル群を建造する方向の流れ、こういうふうな中で、現在の容積率を例えば四〇〇%を用途指定の中で変更していくとか、いろいろの形のものが今後検討されると思うんですけれども、こういうふうな中で汐留についても、超高層ビルというものは一面ではどの程度までのものを計画されていらっしゃるのか。そういうようなことがあれば伺ってみたいと思います。
  238. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) ただいまの、具体的に言いますと汐留跡地の街区割りの構想がございます。大きくその街区を割りますと、例えば新宿副都心のような高層ビル街が実現するわけでございますし、実は交通体系の位置によってはそう大きな街区割りができないのではないかというような問題点もあるわけでございます。そうなりますと、具体的な敷地の制約からいってそう高いものは建たないとか、いろいろ制約要因が多うございますので、ただいま具体的に詰めている段階でございます。  なお、住宅機能と組み合わせますと、町づくりといたしましてかなり複雑な要因も出てまいりますので、きめ細かな検討をただいま進めております。
  239. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 国土庁にちょっと伺ってみたいんですが、先ほど質問いたしました汐留における国際金融機関の機能等々については、国土庁が中心で委託研究をしている、こういうふうにも伺っているのでございますけれども、もう少し具体的にその概要というものを伺ってみたいのでございます。
  240. 柳晃

    政府委員(柳晃君) 先ほどからいろいろ御論議いただいておりますが、先生御指摘の中にもございますように、汐留の貨物駅の跡地は、東京都心の大変重要なところで貴重な空間でありますので、いろいろなことが検討されておりますが、国土庁の事業調整費によりまして、現在国土庁と運輸省建設省から成る調査委員会を設けまして、学識経験者、地元公共団体の方々等をメンバーにいろいろと検討をいたしておるところでございます。  その中に入れます機能につきましては、本年度末を目標に取りまとめることになっておりますので、この段階で確定的なことを申し上げることはできませんが、国際金融機能とか文化機能とか商業機能とかあるいは居住機能等、いろいろなもろもろの機能の導入のあり方が論議をされておるところでございます。
  241. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 この場所とか位置とかいうところはまだ、今の答弁を伺っておりますとなかなか明確にはわからないと思うんですが、これは国際社会においても非常に重要な影響性というのを持っていると思うのでございますけれども、こういうふうな国際的な影響とか国際社会に参画する立場での国際金融センター等々というものを中曽根総理はどういう評価をされていらっしゃるのか伺ってみたいと思います。
  242. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 汐留の問題につきましては、ただいまここで政府委員等から答弁がありましたが、今いろいろな構想について検討中であると、私もそうだと思っております。余り過早に独断的な考え方で決めるということは非常に危険であると思います。そしてまた余り早くやり過ぎますと無用な混乱を起こしまして、できるものができなくなるということにもなります。やはり地元の東京都の区あるいは都、あるいは政府あるいは国鉄、こういうものが完全に融合して協力し合いませんと立派なものができません。そういうような面から非常に複雑な問題がここに絡まっていると思います。  したがいまして、どういうふうな方向に使っていくかという問題については、今申し上げたような関係機関の間で十分話し合いをして、そして関係都民の了解も十分得る努力をして、その上で方向を決めていくことが正しい、私そう思っております。今ここで私がどうこうという独断を申し上げることは適切でないので、ともかく十分な調査と研究が必要であるということだけは申し上げておきたいと思います。
  243. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 もう一点だけ、参考までにちょっとお話をしながら伺ってみたいと思います。  基本的には、汐留の地理的位置も考えておりますと、関係方々も御承知だろうと思いますけれども、都市機能という立場から見ておりまして、非常な人口の急減現象というものが昼と夜とでは港区にはあるわけでございます。昨年あたりから目立ってきているようでございますけれども、区として最大の課題は夜間人口の確保と拡大であるとも一面では言われております。だから、そういう面から見ますと、汐留開発の一面としては、都市機能の高度化の中にやはりこの居住施設の確保、拡充というものを見落としてはいけないと思うわけでございます。そういう面につきまして建設省、国鉄どちらでも結構でございますけれども、お考えを聞かせていただきたい。
  244. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) ただいまの汐留跡地、具体的には港区におきまして、この場所におきまして居住施設を整備したいという御要望が港区の具体的な御提案として出ているわけでございます。これにつきましては、一般論ではございますが、東京都といたしましても、単なる機能の業務区域というものは望ましくないという意向も都側から聞こえてまいっておりますので、具体的にその要望も取り入れられるように今幅広く検討しておる段階でございます。
  245. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 これに関連してちょっと付随しておきますと、汐留地区は夜間人口が現在五百十人ですね、あの周辺。昼間の人口が一万一千九百人、こういうことでございます。こういうことから見れば、その汐留地区の一角にはやはり住宅・都市整備公団関係する一つの計画も要るんではないかなと思うわけでございますが、これ建設省いかが考えていらっしゃいますか。
  246. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 具体的に住宅・都市整備公団の活用まで具体的な問題として検討しているわけではございませんが、公団側としてそういう意欲があるということは承っておることでございます。
  247. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 よく参考にしていただきたいと思います。  それから今東京駅、汐留、その用地関係いろいろと具体的に質疑を交わしましたが、これらに関連する結論としまして、日本の土地政策、そういう問題について結論的に質問してみたいと思います。  地価の高騰というものは、この東京におきましては、やはり国民の願いというのは、貯蓄が世界で一番であるとかいろんな問題が出ましたけれども、その数点の分析というのはやはり老後の問題、家庭で病気になった場合のそういう手当ての問題、そうして今はできないけれどもやはり夢として、ある程度の貯蓄がたまれば自分の家を構えて何とかしたい、こういう希望もあったわけでございますが、最近は買えないので賃貸住宅にでも入って健康的な生活をしていきたい、こういうあきらめの環境になっておられる一面もあるようでございます。しかし我々は、国民の立場から見て、狭い日本の国土でございますけれども、こういう地価高騰の中で土地政策というものは厳然として政府、行政機関全部が考えなくちゃいけないと思うわけでございます。  土地政策で我が国と諸外国の比較を見ておりますと、西ドイツやフランスやいろいろヨーロッパの国々においては、試行錯誤の中で、やはり公共用地というものは何十%確保するのか、そうして国民の住宅のためには、土地を低廉に購入するためにいろんな歴史的な努力があったようでございます。我が国では、残念ながらまだまだそういう面では非常に努力をしていかなくちゃいけない大きな土地政策の問題を残していると思うわけでございます。  そこでまず運輸大臣に、今国鉄の土地をいろいろと具体的にお話しをいたしておりますので、いろいろ衆議院、参議院を通して運輸大臣の対応というものは伺っておりますけれども、今改めて、こういう日本の土地政策については国民の立場からどうあるべきであるか、こういうことで伺ってみたいと思います。
  248. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほどから御論議を拝聴しながら、私も同じようなことを感じておりました。と同時に、都市部における地価の高騰というものの原因を私なりにも考えてみております。その中にはさまざまな原因はもちろんありましょう。しかし私はやはり、新しい土地が供給をされないことにより、いわば土地の欲しい方々が無理なというか、ある程度無理な価格設定をしてでも土地を入手しようとされることから今の地価高騰というものは起っておる面が随分大きいと考えております。そういう観点からまいりますならば、私は、国鉄の所有地が今回売却されることにより、これは今までの状況の中で東京中心とした都心部においてこれだけ良質の土地が大量に放出されたことはないわけでありますから、むしろ地価の上昇に歯どめをかける、需給を緩和させる効果というものも十分に御判断をいただきたいものだと思っております。  また、ただいま汐留跡地につきましてさまざまな御論議が出ておりましたが、建設省さん、国土庁さんそれぞれのお立場から、地方自治体の意見も含めてお話がありましたけれども、それぞれのお立場からの御論議として、私は決してそれを否定するものでもありません。また、現に具体的に処分をしてまいります場合には、これは資産処分審議会の意見も聞きながら清算事業団において公平かつ適正に行われるわけでありますから、現在検討中の基本構想というものが資産処分審議会における検討の一助になるとも考えておりますけれども、基本的に御理解をいただきたいことは、これは国鉄の長期債務というものを処理していき最終的に国民に御負担を願わなければならない金額を少しでも減らすということから、国鉄当局としては苦労をしながら合理化を進め生み出した処分用地だということであります。そしてそれが、もちろんさまざまな視点からの考察は加えなければなりませんけれども、適正な価格で売却ができません場合には、最終的に国民全体に御負担を願わなければならない金額が非常に大きくなるということでもございます。  東京都あるいは港区におかれて、それぞれの地域の開発を考える上から御提言、御要望というものを出されており、私どももそれを慎重に取り上げ検討の対象にすることは当然でありますけれども、同時に、一地域の住民方々の利便を図り、あるいは一つの土地を購入される方々負担を軽くするためにすべての国民負担を重くすることはできない、私はそう考えております。
  249. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 運輸大臣のお考えはまた、よく承っておきます。  国鉄用地問題の関連の中で、これで終わりにしたいと思いますけれども、最後に総理大臣に、先ほど申し上げておりますけれども、やはり東京都の地価の高騰というものの中で国民の願いは、何とか安価に公平に買えるような土地、そういうようなことが国民の願いでございますけれども、この日本の土地政策というものの基本はいかにあるべきであるかということの中曽根総理大臣の持っていらっしゃる御所見、御見解をしっかり承っておきたいと思います。
  250. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 東京の都心部の一部のオフィス街の地価が非常に急騰していることは、非常に我々も重要視していることでございます。全国的に見たら、地価はそういうふうに急上昇しているとは言えません。まだ二%台ぐらいのペースで進んでおります。しかし東京の場合は、急激な需要が起きているために今のような現象が起きております。したがって、東京に対する対策とそれから全国的な対策というものは多少差があってしかるべきである。東京の場合は何といっても供給量をふやすということが基本であります。ですから、十三号用地であるとか、あるいは東京駅の利用であるとか、さまざまなアイデアが出てきておるんです。その中の一つに今の汐留の問題も含まれていると思うのであります。我々の方としては、やはり何といっても供給量をふやす、これがもう基本原則である、その上に立って税制の問題であるとか、あるいはそのほかの都市計画の問題あるいは建ぺい率とかあるいは一種専住の問題とか、そういうような問題を一つ一つ手がけて是正していく、そういうことが適切であると思っております。  今さまざまな議論が起きております。例えば農地の問題、市街化区域の中における農地の税金の問題、あるいは首都圏、大阪圏近郊における農業と都市化の問題、さまざまな議論が起きております。これらはやはり時代の要請あるいは国民の強い願望を背景としていろいろな議論が起きておるのでございますが、我々はこれらの現象についても深甚な注意と関心を持っていきたいと思っておりますし、それらの中から国民的合意を意味するような考え方が生まれてくれば非常にこれは適切である、そういう考えを持ちましてともかく前進していくという考えで対処してまいりたいと思っております。
  251. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 よろしくお願いしたいと思います。  次に、新会社における定年制の問題について伺いたいと思います。  天野さん、どうも済みません、お体の悪いところ。ありがとうございました。  まず新会社の抱えている潜在的な余剰人員についてでございますけれども、各会社は潜在的な余剰人員を何人抱えて出発するのか、また雇用吸収のための関連事業は具体化されているのか、収支見通しの中で雇用吸収のための事業収支は含まれているのか、収支見通しでは定年を何歳として計算したか、こういういろいろの問題点というものがまだあるわけでございます。    〔委員長退席、理事伊江朝雄君着席〕 時間の関係もございますので私この中から一点に絞りたいわけでございますが、五十五歳定年制の導入というものを報道の中で私たちも拝見したわけでございますけれども、御当局の皆様には私も確かめておりませんので、新会社になった場合五十五歳定年制の導入というものは事実なのかどうか、そういうことをまず伺いたいと思います。
  252. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 新会社の定年制という問題につきましては、これは国鉄改革法案が成立いたしました後任命をされる設立委員が厳しい経営環境をも考慮に入れながら御決定になることでありますので、現時点においてはこれは何とも申し上げられません。その点は御了解をいただきたいと思います。
  253. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 労働大臣に伺いたいわけでございますけれども、あなたも新聞報道を見ておられたと思うんですけれども、新会社五十五歳定年、経営見通しの厳しさを反映していると。想定で答弁してくださいというのは非常に失礼でございますけれども、今私が労働大臣に答弁願いたいと思っておりますのは、今日本の定年制の問題についての統計を見ておりますと、中曽根総理を初め、人生八十年の高齢化社会に対応するいろいろの諸施策というもの、政策を検討されていらっしゃることはこれは事実だろうと思います。  そういう中で、統計を見ておりますと、これは一つでございますけれども、六分割になっていく新しい会社、これに相当すると思うんですけれども、五千人以上の大手の定年における定年年齢というものを見ておりますと、昭和六十年においては従業員五千人以上の規模の会社のいわゆる七二・八%が六十歳定年制を導入している、こういう数字が出ているわけでございます。そして、総労働人口より見てまいりますと、昭和六十五年度における五十五から五十九歳の労働人口は五百四十万人となる、これは五十五歳から五十九歳の年齢というものの労働人口の数字でございますが、九%になっております。また、定年をとっている全企業、六十歳定年、昭和六十年で見ておりますと、昭和五十一年から六十歳以上の定年をする会社というものがふえております、徐々に。それで五十一年には三二・三%であったものが六十年には六二・三%と毎年上昇をしてきているわけでございます。六十歳定年でございます。逆に五十五歳定年は全企業の中で昭和五十一年は四七・三%でございましたが、徐々にそれは減っているわけですね。そうして昭和六十年には一七・六%になっている。こういうふうな労働省の調査の統計のそれぞれでございます。こういうふうに短絡的に見ておりますと、また国家公務員の定年というものは六十歳になっております。国家公務員法の第八十一条の二で、「定年による退職」で明記をされているわけでございます。  こういうふうに考えておりますと、定年制というものは人生八十年時代の高齢化社会とやはり同じ方向で六十歳から六十五歳定年へと年金も絡まっていくべきであろうなと私は思うわけでございます。それがやはり六分割にもし分かれて、想定であっても、そして現在の国鉄の赤字でなくしてゼロから出発をする。考えてみれば、多角経営の中で非常にこれは希望があるという推計が、統計がみんな出ている。そういう中で逆に勤めている者が五十五歳定年と非常に厳しいものになっていくようなことがもしあるとすれば、やはりこれはまた考えなくちゃいけない一つの問題を社会に提起をするなと私は思うわけなんですが、こういう専門の立場にございます労働大臣としては、こういう形のものが、想定で非常に申しわけないんですけれども、想定の答弁で結構でございますけれども、伺ってみたいと思います。
  254. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) ただいま御指摘いただいた点で前段にお話しになった、私の承知しております範囲では、運輸省並びに国鉄当局が労働条件を決めるべき設立委員に五十五歳定年制について働きかけるような方針を決めたか決めないかということは、伺ったことがございません。ただいま五十五歳定年というのが昨今問題になっております一連の高齢者対策等々について時代の要請にこたえ得るものかどうかという御指摘でございますが、私も想定で申し上げますと、新会社はやはり適正規模を上回る要員を抱えて発足する等の事情も考慮する必要があるのではないかという一面の考え方もございますが、御案内のように、六十歳定年法と言われます中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法というのも施行されておりまして、労働省としては六十歳定年を基盤とした六十五歳までの継続雇用ということに重点を置きまして今後雇用対策を進める立場から申し上げますと、やはりただいま申し上げた六十歳定年、ここらあたりをひとつ踏まえてお決めいただきたいというのが率直な労働省としての考え方であります。
  255. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 労働省が、これは国会で皆決めたわけでございますが、百四回の通常国会で中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案、こういうふうな形の中で、論旨は「現在、我が国の人口の高齢化は世界に類を見ない速度で進展しつつあり、これに伴い、労働力人口も急速に高齢化し、二十一世紀初頭には労働力人口の四人に一人を五十五歳以上の高年齢者が占めると見込まれております。」、これは非常にプラス方向の考え方でございますが、また懸念をされている問題は、「労働力人口の高齢化の波は、五十歳代層から六十歳代前半層へと移りつつあります。他方、高年齢者をめぐる労働市場の状況には極めて厳しいものがあり、今後の労働力人口の高齢化の進展等に伴い、ますます深刻化することが懸念されております。」、こういう中で「このため、政府としては、従来から六十歳定年の一般化を労働行政の最重要課題として取り組んできたところでありますが、今後、六十歳定年を基盤に六十五歳程度までの継続雇用を促進したい」と、こういうことでございます。こういう中で、今労働大臣の非常に御心配されている御答弁もいただきました。  そこで、この件につきまして最後でございますけれども、中曽根総理、こういう今の質疑の中での定年制についての、広域の場合でも結構でございますし視野を国鉄に絞っても結構でございますけれども、御見解を最後に伺っておきたいと思います。
  256. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私の記憶しておりますところでは、たしか三木内閣の当時に昭和六十年度を目指して六十歳定年制への移行を閣議で了解されたことがあったように記憶をいたしております。それだけに、労働大臣が今お述べになりましたような考え方が基本であることは当然でありましょう。  ただ、先ほど委員が御指摘になりましたように、これから発足をいたします新会社鉄道事業そのものに限定をいたしました場合に比べて確かに二割ほど多い要員を持ってスタートするわけであります。これは、関連事業等々において働いていただけることを考えながらそれぞれの会社の抱えられるぎりぎりの人間を抱えてスタートをしてもらおう、同時に、この改革に際して新たに職を探していただかなければならない方の数を少しでも減らそうということで押さえました数字でありますだけに、関連事業の見通しその他を御判断いただきまして設立委員方々に御判断を願うことになる、その状況については御理解をいただきたいと思います。
  257. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 運輸大臣がただいま御答弁申し上げたとおりでございます。
  258. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 では、また後日の質疑に譲りたいと思います。  それで、最後になりましたけれども旅客会社等の関連事業への進出と中小企業の分野調整について質問してみたいと思います。  この問題につきましては、衆議院、参議院でそれぞれの立場でいろいろの御質疑も交わされたところでございます。それで、細かいことは、重複することはまず避けてみたいと思いますが、再建途上にございます国鉄の立場としては、六分割になって民間としての責任を負っていく。そこにはもう既に本当に後退は許されない。そういう意味では多角経営という立場でとにかく生き抜いていかなければならないという、それぞれの将来に対する関係方々の決意があろうかと思うわけでございます。そういう中で私が思いますのは、どうしてもやはり六つに分割をされるそれぞれの新しい会社は強力な大きな会社であることは論をまたないわけでございます。そういう中で、今まで衆議院、参議院でいろいろと御配慮をいただいている中に中小企業者への配慮というものが運輸省から法律案として、関係資料として百四国会で提出をいただいておりますが、この中でも、第十条は既に御承知のとおりでございます。    〔理事伊江朝雄君退席、委員長着席〕 私は、こういう中でいろいろとやはり問題点になることは、分野調整法の仕組みの中でこの一つ一つをお互いが調整をしていけば中小零細企業の方たちというものを守っていくことができるし、そして新会社としても併存をしていくのではないか。この点については運輸大臣も、もっともっと地域の同業の方とかいろんな方と並立する場合にはよくいろいろの協議を重ねてやっていかなくちゃいけないということの答弁もあったわけでございますが、分野調整法の仕組みが国の方できちんとできているわけでございますから、こういう点をお互いが、強者も謙虚になって、そしてまた弱者の言い分をよく聞いてあげる、そういう形でいけば分野調整法の意義というものが、法律が生かされるのではないかと思うわけでございます。  この系列を見ておりますと、大企業者の責務という形、大企業者、これは自主的解決の努力を中小企業団体、地区か県域内の方たちとするようになっております。そして調査の申し出がこの中で都道府県知事を経由して主務大臣に来る。そういう中で主務大臣は進出の情報提供というものを中小企業団体の方にされる。そして中小企業団体の県域を超えるものであっても横の連携として調査の申し出を中小企業団体から主務大臣にしていく。主務大臣は、また進出に対する情報提供をしていく。そういう形のものがおりて調整の申し出というものが第二段階にできている。それは中小企業団体、これが都道府県知事を経由して都道府県の中小企業調停審議会というもの、これは逆に今度は意見という形で出ております。そういう形で中小企業団体の調整の申し出に対して、主務大臣が付議をつけながら中小企業分野等の調整審議会に調整案づくりというものをお願いする。そうして主務大臣が一時停止勧告をするか、意見をするか、そういう形の中で調整勧告、そういうものが行われております。それが過ぎてまいりますと、調整命令の罰則または主務大臣の指導。こういう中での分野調整法の仕組み、見ておりますと、強い人も弱い人も、大手、中小、零細、本当にお互いが助け合っていけば、そして自分の分野というものをよく理解しながら話し合いを進めていけば、私はこの第十条の「中小企業者への配慮」というものが生きるなと思っているわけでございます。  ところが、これが一たん崩れてしまうと、強者は弱者に対しては徹底的ないわゆるダメージを与えていくことは明らかでございます。そういう意味運輸大臣にもう一度、この「中小企業者への配慮」という第十条と分野調整法の、これは通産に関係をいたしますけれども、この分野調整法の仕組みをわかっておられるわけでございますけれども、私が重ねて今くどく組織の形態を申し上げたわけでございますけれども、今後私はやはり今までの自由経済の姿を見ておりますと、一面でプラスでありまたマイナスの面のいろいろなものがミックスされますけれども、この点だけはがっちりわきまえておかなくちゃいけないなと我々は思うわけでございます。そういう意味運輸大臣の御所見を伺ってみたいと思います。
  259. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員がお述べになりましたように、分野調整法あるいはその他の法律として考えられるとすれば商調法等、さまざまな大企業と中小企業の間の調整に当たり得る法律は現に存在をし、また動いております。しかし、実は私は、新たに発足いたします各会社と地域の中小企業者との間に、今委員がお述べになりましたような法的手続を踏まなければならないような事態そのものが発生しないことを心がけることが第一ではなかろうかと考えております。そして、そうした私たちのいわば願いを込めたような気持ちで、今回中小企業者に対する配慮規定というものを会社法第十条の中に取り込みました。そして、従来私どもいわば横から見ている立場で、国鉄の関連事業と地域における関係者とのトラブルというものを何回か見ておりましたが、率直に申して双方の対話不足もあったと思います。また、国鉄という公社組織の中において、いわば土足で自分たちの分野に入り込んでくるのかというお気持ちも中小企業者にはあったと思います。  しかし、これは当然新たに発足をいたしますそれぞれの会社にも考えてもらわなければなりませんことでありますけれども、関連の方々にも同時にお考えをいただかなければならないのは、これからの旅客会社あるいは貨物会社と申しますものは、もはや従来の国鉄ではございません、公社組織という強大な姿で行動をする集団ではなくなるわけであります。そして、スタート時におきましては特殊会社でありましても、将来株の処分等を行い、民間会社になることを願って発足をする組織であります。そして、鉄道の再生にかける情熱とともに企業としての存立を考えるわけでありますから、従来国鉄という、いわば公社組織というものに対して反発されたと同じ次元で反発をどうぞしないでいただきたい。そして、話し合いをいわば抜きにして分調法等の発動を求めるような状況を双方ともに生まないようにしていただきたい。  当然巨大な企業集団になるわけである。しかも駅という多数の人々の集散の中心を持つそれぞれの新会社は、そのみずからの社会的な責任というものに思いをいたしながら関連事業への進出を決めるべきでありましょう。私はそういう願いをこの十条の趣旨に込めたつもりでありますし、むしろこの十条の精神を十分に理解していただくことによって、分調法等に御迷惑をかけずに済む関連事業への展開ができることを願っております。
  260. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 運輸大臣の、調整法にかからずにお互いが本当によく連携をとり合って共存の形でいってほしい、こう思います。  最後になりましたが、総理大臣に伺って終わりたいと思いますが、今運輸大臣に御答弁をいただいて、私もこの中小企業者、零細企業を含めて、確 かに国鉄とも本当に仲よくやっていただきたい。そして、日本の経済のために営々として努力をされる全国の中小企業者の方々も大変なときでございますけれども生き抜いていただきたいし、国鉄から六つに分かれる新しい会社もやはり生き抜いていただきたい。  そういう中で、バランスのある本当に仲のよいこういう話し合いの調整というものが、第十条のこれを延長するようにやっていただきたいなという願望がございます。どちらにもいろいろと御心配等があると思うのでございますが、中小零細企業者の方々も非常に今心配をしているわけでございます。  最後に、総理大臣の両方の御関係、そしてまた、日本経済すべての大きな立場から総理のお考え等があると思いますけれども、最後に伺って終わりたいと思います。
  261. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 旅客会社と中小企業との関係は非常に大事な問題の一つでございますから、法案の中にも特にそういう配慮を示しておるわけでございます。旅客会社も、中小企業者は実はお客さんになるわけです。鉄道を利用していただき、バスを利用していただくお客さんにもなるわけでございます。ですからそれだけの配慮を一方において示すべきであると思いますし、また大きな組織や資本の力を持つ者は、やはり自制力を持って地域と密着して良好な関係をいつも環境醸成する責任を持っているだろうと思います。  恐らく今回民営分割という形になりますと旅客会社もみんな前かけをかけるわけでございますから、今までのような公社とは違います。ですから、中小企業者と同じ気持ちになって前かけをかけなけりゃ生き抜くわけにいかぬのです。そういう精神に立ちまして共存共栄という形でお互いが補い合って発展していく、そういう精神でやってもらうように我々も特に要請していきたいと思っております。
  262. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 以上で終わります。よろしくお願いいたします。
  263. 菅野久光

    菅野久光君 私は、大変時間が短いので北海道の鉄道会社関係に的を絞って、それを焦点にしながら具体的な問題についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  この北海道鉄道会社経営の問題につきましては、さきの一〇四国会監理委員会からその収支の見通しが出されました。そして今国会において政府の収支見通しが出されたわけであります。これらの収支見通しについて我が党はさきの国会でも、収入は甘く支出は辛い、この見通しでは新会社経営はやっていけないと指摘をしてきたわけてあります。今回出された政府案についても、監理委員会が出したものに若干修正を加えているものの、子細に検討いたしますと、これでは健全な経営をやっていくことはできないと私は断定せざるを得ない、そういう立場に立っております。少なくとも、道民の足としての鉄道経営が初年度から大きく狂い正常な運営ができないという状況だけは何としてもつくってはならない。もちろん政府もそういうつもりでおつくりになったんだとは思いますけれども、以下幾つかの点についてお尋ねをいたしたい、このように思います。  まず初めに、監理委員会の見通しについて政府が修正した見通しを出しました。人キロ、それから運輸収入について監理委員会の見通しと対比して六十二年度から六十六年度までを示していただきたい、このように思います。
  264. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 簡潔に私から御答弁申し上げ、後ほど事務方からきちんと補足させたいと思います。  確かに、再建監理委員会からちょうだいをいたしました数字をこの法案をつくるに当たりまして精査をいたしてみました。そして、昭和六十年度までの輸送実績をもとにただしてみましたところ、営業収入につきまして監理委員会試算に比べて相当減少すると見込まれ、三十七億円の減少見込みを立てました。また、経営経費につきましては、国鉄の実態を踏まえて必要最小限の物件費を積み上げ方式により算定をいたしましたところ、監理委員会試算に比べて三十一億円増加する見込みとなったわけであります。こうした点から、営業収支が悪化をいたしますために、経営安定基金につきましても監理委員会試算に比べ約千二百八十億円増の六千二百億円が必要となりました。  こういう数字の見直しの上に立ちまして今回の試算を計上し御審議を願っておるわけでありまして、私どもは、もちろん経営努力は必要であります、しかし経営努力を払っていただければ私は安定をしていけると信じております。  なお、数字を事務方より補足させます。
  265. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 六十二年度について、鉄道旅客につきましての輸送量とそれから鉄道旅客の収入というものの両者を比較させていただきますと、北海道についてでございますが、まず輸送量、これは人キロでございますが、これは鉄道旅客でございます。監理委員会が三十六億八千万人キロ、それから政府が今回試算いたしましたのが三十六億一千万人キロ、約七千万人キロの減でございます。それから旅客収入でございますが、これは監理委員会が六百三十五億円、鉄道旅客でございます。それに対して政府の試算におきましては六百六億円、二十九億の減少ということでございます。
  266. 菅野久光

    菅野久光君 六十六年までと言っている。
  267. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 監理委員会の方は六十六年までの試算をいたしておりませんので、ただいま六十二年度に限って答えさせていただいたわけでございます。
  268. 菅野久光

    菅野久光君 政府側がこの監理委員会の見通しを修正せざるを得ないというのは、先ほど大臣からもちょっとお答えがありましたけれども監理委員会は二年間かかっていろいろ試算をしたわけですね、そしてさきの一〇四国会に出して半年ぐらいしかたたないうちに政府の方からこのような大幅な見直しをせざるを得ない、端的なその理由というのは何でしょうか。
  269. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 端的にお答えさせていただきますと、監理委員会が答申を出しましたのが昨年、六十年の七月でございます。その時点では実績値、いわゆる決算値としては五十八年度の決算値しかなかったわけでございます。それから今回この九月から国会が開かれまして、それでこの国会に御提出申し上げた政府試算は、六十年度の決算、これをベースにしております。したがいまして、五十八年と六十年、この二年間の決算値の差があるということで、その間の推移によって差が出たということでございます。
  270. 菅野久光

    菅野久光君 これは今の答弁のように、二年間の差が今回の政府の見通しを出さざるを得ない、そういったような実態になったということで、これはあくまでもごく最近の実績ということでこういうふうに政府の方で見直しをした見通しを立てたということですね。
  271. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) それはそのとおりであります。  ただ、そこで一つお考えをいただきたいのは、新会社移行後の数字と申しますものは、要員数におきましても現在の国鉄の状況とはそれだけの違いがあり、もちろんそうした点も組み込んで将来の試算はいたしておるということだけは御理解をいただきたいと思います。
  272. 菅野久光

    菅野久光君 では具体的な問題についてちょっとお伺いをいたしたいわけでありますが、運輸収入は運賃と人キロによって決まるわけでありますが、運賃について年率六%のアップとなっておりますが、これは別にして、人キロの推移を政府はどのように見たのかお伺いをいたしたいと思います。
  273. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 人キロにつきましては、六十二年度が北海道につきまして三十六億一千万人キロ、それから六十三年度が三十七億六千万人キロ、ただしこの中にはトンネル開通の分がございますので、それを除きますと三十五億人キロということで、一億一千万人キロの減少になります、前年度に対しまして。それから次は、六十三年度は今申し上げた三十七・六でございますが、六十四年度が三十六・三、それから六十五年度が三十五・二、それから六十六年度が三十四・〇人キロということになっております。
  274. 菅野久光

    菅野久光君 六十二年度から六十三年度に人キロにして一・五億人キロ、これだけふえるんですね。六十年度約三十八億人キロ、六十二年度は三十六・一億人キロ、この二年間の差があるわけですけれども、この見通しは何によったのでしょうか。
  275. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ただいま先生御指摘のように、六十年から六十二年にかけての二年間でございますが、三十八・〇から三十六・一ということで一・九億人キロ減っております。それから次に六十二年度から六十三年度でございますが、これは三十六・一が三十七・六でございますから一・五億人キロふえておりますが、実はこの三十七・六という人キロの中には青函トンネルが開通するということによる増が含まれております。六十二年度はこれは船舶でございますから鉄道旅客部門には入っていないわけです。六十三年度にその青函トンネル分が純増として入ってきているわけです。これが二・六億人キロでございます。したがいまして、その三十七・六のうち二・六億人キロは青函トンネルの純増分でございますので、いわゆる在来線と申しますか、ベース分は三十五億人キロでございます。したがって、六十二から六十三にかけては一・一億人キロのベースは減少というふうに見積もっております。
  276. 菅野久光

    菅野久光君 今説明がありましたけれども、青函トンネルが開通するということで、その分の要因といいますか、プラス要因を含めてそのようにふえるということでありますが、過去四十九年から六十年度の十一年間で三十一・二億人キロの減なんですね。年間にいたしますと二・八億人キロ減ってきているわけなんです。必ずしもその数でずっと減るとは言いませんけれども、十一年間の平均を見ますとこういうふうに減ってきているわけです。青函トンネルの開通という要素があったとしても一・五億人キロふえる、一・五億人キロふえるということは一日にして四十一万人キロの増ということになるわけですが、これだけ本当に見込めるのかどうか。見込めるということで政府案はお出しになったのだと思いますけれども、私は今までのそういう減少傾向から見ていきますと極めて難しいというふうに率直に言わざるを得ないのですが、政府はこういうふうに見通しを立てたんだから、見通しのとおりいかないということになれば、これは経営努力が足りないということになってしまうのか、それとも政府の見通しはどうなのか、その辺のところはどのようにお考えでしょうか。
  277. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 現在でも青函連絡船による輸送というものは行われておるわけでありますが、これは実は船の方でお客様の数ははじかれておりますから、鉄道のレールの上の数字には反映をいたしておりません。私ども考えますのは、青函トンネルというものが開通いたしました時点で、この連絡船を現在御利用いただいておる方々が今度はトンネルの中における移動、いわばレールの上の移動にかわっていただくであろう、そうすれば、そんなに無理な数字をはじき上げたということではないと私は思います。
  278. 菅野久光

    菅野久光君 船の分が線路の方に来た、それをプラス要因として考えたということでありますが、過去四十九年度から六十年度までの実績を見ていきますと、先ほど申し上げましたように年間にして平均して二・八億人キロ減ってきているわけですね。そうしますと、私はこの実績から見ますと、政府の六十二年度見込みの三十六・一億人キロというのは過大ではないかというふうに思うんです。六十二年から六十三年までは今の船の分がある、それがプラス要因だということで、一応それはそれとして認めたとしても、六十二年度の見込み、六十年度が三十八億人キロですね、それで六十二年度が三十六・一億人キロというのは過去の実績から見ましても非常に難しいのではないか。私はいろんなことを試算してみまして、大体六十二年度は三十四億人キロぐらいではないかというふうに思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
  279. 林淳司

    政府委員(林淳司君) これはもろもろの要素がございますけれども、過去において非常に大きな運賃改定で急激に輸送量が減少した時期がございます。そういうものも含めての話で、ある時期にかなり大きく落ち込んだことがございますけれども、過去、昭和五十五年から六十年まで、この間の減少率と申しますか、これが年率にして大体四・四%程度でございます。この場合には運賃改定率が平均的に非常に高い時期でございます。それに対しまして、今回六十年から六十二年、これは年率にして二・五%の減少ということで、確かに五十五年から六十年までに比べて若干減少率が低くなっておりますけれども、まず六十から六十二にかけましては、ことし平均五%弱の運賃改定しか行っておりません。さらに六十二年度は運賃改定を実は予定しておりません。そういうことを考えますと、そういう運賃改定水準というものから考えて、この程度の減少率ということに多分なるのであろうというふうに私どもとしては推定したわけでございます。
  280. 菅野久光

    菅野久光君 人キロが減るということは運輸収入が減るということなわけですが、これにはいろいろな要因があると思いますが、その要因をどのようにお考えでしょうか。どんな要因があれば下がる、あるいはどんな要因があれば上がるというふうにお考えか、それをお伺いいたします。
  281. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 運輸収入の増減でございますけれども、これにつきましては一つは先ほどの需要がございます。それからもう一つは、単価と申しますか、一人当たりの運賃料金、人キロ当たりの運賃料金の支払い額、こういうものも収入に影響してくるわけでございます。若干余分かもしれませんが、今回の計算におきましても、この辺の運賃料金の支払い額につきまして実績を検証しました結果、監理委員会が計算した数値よりは政府が計算した数値の方が低く見積もっておるということがございます。
  282. 菅野久光

    菅野久光君 今日の国鉄経営が、最近は経営だけで見れば黒字なわけですけれども、このような状況になったのは、いろいろ交通手段、そういったようなものなどを含めた社会の変化に伴ってそれに国鉄がついていけなかったという部分があったということは、これは否めないわけであります。そういう傾向というのはこれからも続いていかざるを得ない状況にあるのではないかというふうに思うんですね。例えば、道路の整備がなされてきますと、都市間の交通というのは鉄道だけではなくて、バスですね、都市間の直行バス、これが北海道でもかなり出ております。例えば旭川から札幌までとか、留萌から札幌まで、稚内から旭川までとか、室蘭から札幌までというような、そういう都市間の直行バスというものがかなり出ております。それからもちろんモータリゼーションという問題もありますし、六十二年度から六%ずつ料金を上げていく、六%ずつ上げていくことによって鉄道離れというものがなお一層進行していくのではないか、そういう心配はありませんか。
  283. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員の御指摘になりました点は、私どもとしても大変大切な点だと考えております。そして、その料金改定幅というものは試算を一応いたしておりますけれども、当然それぞれの地域における他の競合交通機関の料金体系と見合いながら、いずれにしても私は経営者は判断をしていかれるであろうと思っておりますし、従来の状況からまいりますと、大体この程度ならば競争の範囲ではなかろうかということが判断の一つにあったことは事実であります。  同時に、委員が御指摘になりましたように高速道路ばかりではなく、これは私の立場からしますと大変二律背反なのでありますけれども、例えば空港の整備が進むことによって航空機の利用率がふえるとか、さまざまな要因は当然ありましょう。ですから、今回の試算をまとめます段階におきまして、それぞれの地域における、また国としての道路の整備計画あるいは空港の整備計画といったようなものを皆算定の要因として入れながら私どもはこの計画を組み上げてまいりました。その限りにおいて私は、新会社が、もちろん大変な努力が要るでありましょうけれども、新たな例えば商品を開発される、従来に比べて地域の住民の利用しやすいダイヤを設定していただく。そのかわり全然乗らない時間帯に長々と何両も何両もつないだような空軍を走らせるようなことはせずに、むしろ機能的に対応していく、もちろんそういった努力も要りましょう。そうした努力を積み重ねていくことにより私どもは十分対抗していけると考えております。
  284. 菅野久光

    菅野久光君 例えば都市間の直行バスですね、これは今でも鉄道運賃の半分以下、約三分の一に近いぐらいの値段で行くわけですね。時間もそんなに変らないということで、これはかなり食われていくというそういう実態があります。それから地方ではタクシー料金ですね、これを上げれば利用者が減になって、運転手の人に聞きますと上げてもらわなかったときの方がずっとよかったという声を私はよく聞きます。上げれば、上げなきゃならないという必然性もあるんでしょうが、上げることによってまた逆に収入も減るということがあるわけですね。  ですから、六%年率上げていくという運賃の計算といいますか、それでこの計画は成り立っているわけです。そしてまた六つの会社が本当に収入の一%、見事にそういう計算でできておりますから、そのとおりになればいいんですが、私が先ほど申し上げましたように、一番基礎になる人キロの問題が初年度からつまずくのではないか。例えば六十年度の実績ですね、これは三十八億人キロでありましたが、六十二年度は三十六・一億人キロを見込んでいるわけだから、二年間で一・九億人キロ落ちる、こういう計算でありますね。そうしますと一年間の人キロの減の見込みは〇・九億人キロということになりますが、六十一年度は大体三十七億人キロ程度となるというふうに見込んでおられるかどうかお伺いいたしたいと思います。
  285. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 現在のところまだ六十一年度年度途中でございますので何とも申し上げられないわけでございますけれども、大体現在までの傾向から見るとそれほど特異な現象というのは出ておりませんので、従来の減少傾向と同率程度で推移するのではないかというふうに思います。  それから先ほどちょっと数字を申し上げませんでしたけれども、北海道の場合は過去十年間、五十年から六十年までの運賃改定率が年平均いたしますと一一%以上になっております。一一・一%になっております。これは非常に大きな改定率でございまして、これがかなり需要減を誘発したと思っております。これからの六十二年から六十六年までのこの五年間につきましては、これは運賃ということではございません、一人当たりの運賃料金の支払い単価でございますが、六%程度というものを見込んでおりまして、過去に比べればそれほど大きな改定率ではない。それによって需要減もある程度営業努力と相まって歯どめがかかるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  286. 菅野久光

    菅野久光君 北海道の過去の料金の値上げ率が非常に高いことは私どもよくわかっております。言えば、本州で使い古した古い車両を持ってきて、そして高い料金を取って乗せているのが今までの国鉄だったというふうに言ってもいいのではないかというふうに私は思うんです。同じ税金を払って、国費も国鉄につぎ込みながら、何でこんなに北海道が差別されなければならないのか、私は本当に大きな不満を持っているわけであります。  過去は一一%、今度は六%だからそんなに減らないだろうというのは、それはちょっとおかしいんじゃないですか。過去上げ過ぎているんですよ。そんな考え方というのは私はおかしいんじゃないかというふうに思わざるを得ませんよ。そして、大体見通しのとおりになるのではないかと言いましたが、五十九年から六十年のこの一年間、これで約二億人キロの減であったんです。二億人キロですよ。それが一億人キロという半分で私はおさまるはずがないと思うんですが、これはいかがですか。
  287. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 先ほど申し上げましたように、六十年度から六十二年度まで、これにつきましては二年間あるわけでございますけれども、六十一年度は、先ほど申しましたように五%未満のかなり低い運賃改定しか実施しておりません、しかもこれは九月からでございますが。それから六十二年度につきましては、これは移行初年度でございますので運賃改定を予定しておりません。したがってそういうことから人キロについて、確かにおっしゃるように五十九から六十に比べると減少率は少のうございますけれども、そのような見積もりになるのではないかということでございます。  それからちょっと余計なことでございますけれども、先ほど私言い方が大変まずかったわけでございますが、従来国鉄はどちらかというと非常に大きな運賃改定をして客離れを招く。それに伴ってどんどん事業範囲を縮小していく。ある意味では非常に縮小均衡的な経過をたどったわけでごさいますが、来年四月以降新会社になりました場合には、むしろ経営者の判断はやはり違った志向をするであろうというふうに私どもは期待しております。そういう面も含めて考えていったらどうかなというふうに私ども考えているわけでございます。
  288. 菅野久光

    菅野久光君 いや、ですから、料金のことは別にしまして、これから六十二年から始めるというのですから、その一番基礎になる六十二年度の人キロの押さえ方が、五十九年から六十年までの一年間で約二億人キロ減っているわけですよ。それを六十年三十八億人キロを六十二年に三十六・一億人キロと、一・九億人キロしかこの計画では減らさないわけですから、一年間で二億人キロも減っているのがどうして六十二年でこういう計算になるのか、私にはそこのところがわからないということなんです。それが年度の初めにこういうことが出て、それで健全な経営をやりなさい、それが政府責任で言えることなのかどうか、そこのところなんですよ。
  289. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) どうも過去に古い車両を本州から北海道へ持っていったという戦犯は私以外に求めていただかないと大変つらいわけでありますけれども。今私は、御指摘をいただきましたような諸点を決して否定はいたしません。ただ同時に、五十九年から六十年というその時期と、例えば本年度の十一月のダイヤ改正に見せた、あるいはそれ以前の勤務の中において国鉄の職員たちが見せておりますいわゆるやる気というもの、これは私は有形無形に御判断をいただきたい要素であります。  私の郷里におきましても、いわゆる地交線を持っております。そして、今御指摘のように、私の郷里も必ずしも人口の多い地域ではその路線はございません。そして鉄道離れは続いておりました。しかし今、状況は変わりつつあります。私は基本的には北海道会社というものが本当に繁栄の道をたどるためには、道内における産業の振興でありますとか、それによる人口の増加がどこまで図れるかとか、さまざまな要因はあろうかと思います。しかし、これは北海道会社のみで負える責任ではありませんし、会社とすればその与えられた条件の中で努力をする以外にないことでありますが、その範囲において私はこの一年半余りの期間の変わりというものをぜひその判断の中に加えていただきたいと思うんです。そして、利用しやすいダイヤというものを工夫しつつある現在の国鉄の諸君の努力が私は北海道会社に衣がえをしたときに生きてくれるであろう、本当にそう思っております。
  290. 菅野久光

    菅野久光君 いや大臣、将来にわたって新しい会社ができたときにそういう努力をしてもらいたい、それは民間の会社でありますからするのは当然だというふうに思います。しかし、それに期待をして、初年度ですよ、発足時の初年度におけるこういう計画でございます、そういうことでお願いしますという、その初年度の問題が初めからつまずくようなことがあったのでは、これは私は大変なことになると思うんですね。今、全国一本の公社から民間の経営形態に変えるわけですね。しかも、それを政府責任でやろうとしているわけです。私どもは全国一本、全国一社制ということを言っているわけですが、今の状況からいけば必ずしもそういうことにはならない。とすれば、最初のここのところが大事だと私は思うんですよ。五十九年度から六十年度で二億人キロも減ったものが、二年間で一・九億人キロしか減らないということがどうしても私には理解ができないんです。その試算の根拠、それをひとつ言ってください。
  291. 須田寛

    説明員(須田寛君) ちょっと補足して御説明申し上げますが、実は今年度、昭和六十一年度でございますが、今私どもが四月から八月までの上半期のデータを持っております。これによりますと、人キロが九九%でございますので、わずか一%の減にとどまっております。もっとも、九月に運賃改定をお願いしておりますし、下期はまだわかりませんが、今年度仮に一億人キロ減るといたしますとこれは三%の減でございますので、まだクリアランスがあるということでございまして、割合に今のところは今年度は順調に推移をしておる、こういうことは申し上げられると思います。  それから先ほど北海道の車両の悪いことにつきまして御指摘がございまして、大変申しわけない次第でございますが、実はこの十一月の改正に伴いまして北海道に特急用のディーゼルカーとそれからローカル用のディーゼルカーの最新型の車を投入いたしましたので、ひとつその点も御了承いただきたいと思います。したがいまして、ダイヤ改正の成果をフルに生かせればこの目標が達成できるものと考えております。
  292. 菅野久光

    菅野久光君 特に三島ですね、経営の厳しい三島の会社については、今一応政府はこういう案を出しておりますが、少なくとも初年度私は、最初に申し上げましたように、初年度から赤字が出るような経営であっては困る。ですから、六十一年度の実績が見込めるような時期といいますか、そのときにやはりきちっと修正するものは修正しなければならないのではないかというふうに思うんですよ。そうしなければ、初めから計画が狂ったものを受け取った三島の会社は大変だ。特に私は北海道でありますから、非常に厳しい中でまたもや狂ったということになれば大変ですし、政府も大丈夫だということで見通しを立てたものでも、例えば退職者医療制度の問題なんかも大きく見通しが狂っちゃってこれは大変なことになった。あれは親方日の丸だからいいけれども、今度はそういうわけにいかないわけでしょう。しかも、国の責任経営形態を変える。それだけに私は政府のこういう問題に対する姿勢、それはいろんなことを推定しながらの数字だろうというふうには思いますけれども、何せ人間のやっていることでございますし、コンピューターでも狂うことがあるわけでありますから、その点について本当に経営形態を変える、今までの親方日の丸じゃないんだということを前提に置けば、初年度はやはりきちっとしたものにしていく必要があるというふうに思うんですが、その点はいかがでしょう。
  293. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 初年度はもちろんぴしっとしたものになってくれなければ大変困りますし、そのためには現在の国鉄自身の来年四月一日までの間の努力というものが極めて大切であることもそのとおりであります。そして、その限りにおきまして、今常務理事の方から限られた期間の中の数字ではありましたが現状の状況を御報告申し上げ、委員に御心配をいただかなくても済むのではないかという感じを現時点の数字から申し上げたところでありまして、この数字が狂わないように全力を当局も尽くすでありましょうし、私どももまた十分考えてまいるつもりであります。
  294. 菅野久光

    菅野久光君 狂わないであろうと思うということは、当然そうでなければ提案されないと思うんですが、思うだけじゃやっぱりだめなんですね。経営形態を変える、政府責任でやるというんですから、退職者医療制度のように後から国でやれるんならいいんですよ、私は今のような状況からいけば、今こういうことで提案はしても、やはり六十一年度の実績が出る、そういったようなことを踏まえた何らかの措置というものがなければ、とても北海道五百七十万道民、きょうの論議をみんな注目しているんですよ。おまえ赤字をしょってくるのかというようなことになっては大変でございますし、またそうであっては政府自体も私は責任をとるということになっていかないのではないか。見通しが全く——全くとまではいかなくても、狂った、そういった場合の責任というのは一体だれが持つのか、その辺をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  295. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私どもは狂わないように努力すると申し上げ、委員は狂った場合と言われますと、どうも論議がなかなかうまくかみ合わないのでありますけれども、我々としては狂わないように全力を尽くしますと申し上げる以外の方法を持ちません。そして、その一つの根拠になり得るかどうか、期間が短いものではありますけれども現在の推移を常務理事から御説明申し上げたとおりであります。
  296. 菅野久光

    菅野久光君 先ほども言いましたけれども政府がいろいろ試算をしても退職者医療制度のように大きく狂うということもあり得るわけでありますから、その狂ったときに一体責任はどこが持つのか。それはそれぞれの、持たないようにやりますという決意はいいですよ。決意はいいんですが、そうなった場合にあくまでもそれは経営責任でやりなさい、経営努力でそのマイナスの分は補いなさい、そういうことになるのでしょうか。
  297. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 私どもとしましては、六十二年度の数値につきましても、これは過去の趨勢あるいは最近の傾向というものを相当克明に分析をして出したものでございますので、かなり自信を持っております。ただ、この最終的な計画の確定というのは、この法案を通過成立させていただきました場合には一連の手続に従いまして承継計画というものを定める、その承継計画の段階で最終的に確定するものでございます。したがいまして、その直近の時点で六十一年度の四月以降の趨勢というものも十分検証いたしまして、その段階で今まで考えていたことと非常に大きく事情が異なるということがありますならば、その時点で当然数値の修正はしなければならぬというふうに考えております。  そのような事態にはならないであろうと現在まで克明に推移を見ておりますけれども、大体私どもが推計したものとそう大きく変わってはいないという自信を持っておりますけれども、何せこれはまだ数カ月あることでございますので、その時点におきまして最終的な確定をしたいというふうに考えております。
  298. 菅野久光

    菅野久光君 数値を見てそれを修正した、修正したら当然それについて何らかの措置をしなきゃならぬわけですね。そうですね。
  299. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ただいま御議論の基礎になっております数値はこの九月の段階で提出した資料でございますので、その段階で六十年度決算に基づいてさらに最近の傾向等を考えながら出した数字でございます。したがって、最終的には承継計画確定の時点で収支というものを最終的に確定する。その場合に、もし仮に数値が変わるようなことがありましたら、それに応じた措置をとることが必要であるというふうに考えております。
  300. 菅野久光

    菅野久光君 おおよそその時期はいつごろになると思われますか。
  301. 林淳司

    政府委員(林淳司君) これは、法律が成立いたしましたならばその後の手順になるわけでございますけれども、手順といたしましては、承継に関する基本計画を政府が定める、それに基づいて国鉄の方で詳細な作業をいたしまして実施計画をつくりまして、そして運輸大臣の認可を受ける、こういう手順になります。かなり詳細な計画でございますので若干時間がかかると思いますが、ただしかし、来年四月スタートということでございますので、その作業も急がなきゃいかぬということでありまして、現在の時点で確定的に何月ごろということはこれはちょっと申し上げにくいわけでございます。いずれにしても、法律が通ってからできるだけ早く、速やかにそのような作業を進めていくということになろうかと思います。
  302. 菅野久光

    菅野久光君 そうしますと、最終的なそういう数値が出てきますと、今提案されております数字と違うような形になった場合には修正せざるを得ないという事態が起きてくる、そのように理解をしてよろしいですね。
  303. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 先ほど来申し上げておりますように、私どもが提出しました資料はこの九月の時点での状況で試算をしたものでございます。最終的には承継計画によって確定をするわけでございます。したがって、その間のタイムラグがございますので、そのタイムラグをさらに検証いたしまして、状況が変わればそういうこともあり得るということでございます。ただしかし、現在の状況で、私どもはずっと観察をしておりますけれども、大きく変わる要素はほとんどないのではないかと思います。しかし、理論的にはそういうことはあり得るということでございます。
  304. 菅野久光

    菅野久光君 私が今までいろいろ質問をしてまいりましたが、大きく数字が、大きくかどうかは別にしても、提案されたこの数字が変わるようなことがあれば何らかの措置といいますか、そういうことが必要になってくるという、そういう事態が起きることもあり得るというふうに私は理解をしておきます。  それで、何でこんなに私が粘っこくやらなきゃならないかというのは、御承知のように北海道が今大変な状況なわけですね。そこにもってきて、最初のところがどうもあやふやだというような思いが私はするものでありますから、見通しが狂って大幅な赤字になれば、今度はいよいよ北海道の鉄道会社もかと。北洋、石炭、鉄鋼、造船、そうして鉄道がこんなことになっては大変だ。しかも、見通しが狂って鉄道会社が赤字になった場合には、マイナスの部分というのは民間の会社でありますから切り捨てていくのはこれは当然ですね。そうなりますと、鉄道中心にして開発をされてきた北海道にとっては大変な状況になっていくわけであります。それで、北海道あるいは九州はどうなってもよいということにはこれはなっていかないわけで、国土の均衡ある発展ということで行政を進めております国土庁の長官、そして北海道開発庁長官でもあります綿貫大臣にも、今のようなやりとりの中で、何とか北海道の鉄道会社が道民の足として、しかも道の開発のために十分な機能が発揮できるようなふうにしていかなければならないというふうに私も思っておりますし、大臣もそのように思っているというふうに思うんですが、同じ中曽根内閣の大臣としてなかなか言いづらい部分はあるのかもしれませんが、ひとつ今後の北海道の開発の問題を含めて一言お答えをいただきたいと思います。
  305. 綿貫民輔

    国務大臣(綿貫民輔君) 菅野さんの先ほどからの、北海道のいろいろな背景を頭に入れながら、今度新しく出発する北海道旅客鉄道会社経営は大丈夫かという心配を込めての御質問をじっと聞いておりまして、まさしく私も同感でございます。しかし、現在政府が自信を持って出しておりますこの法案が通りましたならば、新しい民活によっての新生国鉄と申しましょうか、新しい鉄道会社が北海道の動脈として今後大きな使命を担ってくれると思っております。今後も鉄道会社の果たす使命は非常に重要だと思います。  それにつけましても、今おっしゃいましたもろもろの産業が今大変な状況にございますが、私も菅野さんと同様頭を痛めておる者でございまして、また先生方のお知恵をかり、また私どもも一生懸命知恵を絞りまして、北海道の新しい発展のために全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  306. 菅野久光

    菅野久光君 先ほど来いろいろやりとりがあったわけでありますが、何としても発足当初からつまずくことのないようにということで、もしもその見通しが狂った場合には何らかの措置を何としてもしてもらわなければならないという思いで質問いたしましたが、やりとりを聞きながら最後に内閣責任者という立場で、特に北海道が今一番大変な状況にあるだけに、総理のひとつお考えを聞かせていただきたいと思います。
  307. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 失業の状態や景気の状態等を見ますと、やはり非常に落ちておるのは北海道、九州、それから四国でございます。なかんずく北海道の場合は、お示しのように北洋漁業あるいは石炭、鉄鋼、いろんなものが複合してまいりまして、そういう点で一番心配している地帯でございます。そういう点も十分考慮に入れまして、国鉄改革に当たりまして雇用問題が出てまいりますが、北海道が一番心配される部面でもございます。そういう点におきまして、北海道内部で消化するということのほかに広域的な解決方法もとらざるを得ない。しかし、それについては関係者のできるだけの希望に沿った線で実現してあげなければいけないと思います。道内でできるだけ消化するという点については、やはり道内の景気を上昇させるという基本的な基盤造成が必要でもあります。そういう両方の面についてできるだけ努力してまいるつもりでおります。
  308. 菅野久光

    菅野久光君 時間がもうほとんどなくなりましたので、基金の問題をちょっと一つだけお聞きしたいと思います。  基金の受取利子ですね。これは年度当初に来るのか、幾つか、何回かに分けるのか。それによってはそれぞれの会社の運営がいろいろ大変なんで、この辺はどのようにお考えかお伺いをしたいと思います。
  309. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 基金の利子でございますけれども、これの支払い時期については政令で定めることになっております。  それで、どのような考え方で決めるかということでございますけれども、一回払いにするか二回払いにするか、あるいはその支払う時期をいつにするか。例えば年度当初に全額払うということにいたしますと、受け取った利子の運用益と申しますか、これが出てくるということで、ある意味では会社にとってはもらい過ぎというような格好になる可能性があります。それからまた、逆に年度末ということになりますと、その年間の当該利息に相当する赤字、これが発生しますから、それの資金繰りのための借入利息というものが会社としてはその分だけ足らなくなってしまうということになります。したがいまして、これは年度途中のどの時期、そして何回払いということによってその前後の、前というのは要するに受け取るまでの期間の運転資金の利子でございますし、それから後というのは受け取った利息の逆に今度は運用益ということになります。それがちょうどバランスするような形でしかるべき時期に支払い時期をセットする、こういう考え方で、具体的には政令で定めたいというふうに考えております。
  310. 菅野久光

    菅野久光君 最後に、労働大臣にお伺いいたしますが、先ほども申し上げましたように、北海道はもう北洋から鉄鋼、造船、そして石炭、さらに農業、林業に至るまで大変な状況になっておりますし、その上に今度は国鉄のいわゆる今回の法案のかかわりで人が余るというような状況になってきまして、まさに雇用状況としてはもう最悪の事態になっておるわけです。したがいまして、この北海道だとか、あるいは九州のような非常に雇用の厳しい地域に対しては、やはりこういう時期でもありますし、何らかの措置をしなければ、私は言えば大きな社会不安が起きてくるのではないかという、そんな切実な気持ちを持っているわけであります。したがいまして、労働省としてこの事態に何らかのひとつ対応策というものを考えていただきたいというふうに思っておりますが、その点をお伺いいたしたいと思います。
  311. 平井卓志

    国務大臣(平井卓志君) 政策全般にわたることでございますが、当面の問題としまして、清算事業団からの職員を雇い入れる事業主に対する助成、援助はいかにあるべきかということでございますが、もう既に検討を始めております。ただ、具体的な内容につきましては、現行の雇用制度の中で他の給付金等々がどうあるかということを勘案しながら、御趣旨の線に沿いまして結論を得たいと、かように考えております。
  312. 菅野久光

    菅野久光君 終わります。
  313. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 本日の質疑はこの程度に とどめ、これにて散会いたします。    午後五時二十二分散会