○内藤功君 隅田川客
貨車区は、今常務が言ったように、隅田川
貨物駅に発着する
貨車、荷物客車などの検査修繕を業務とする職場です。
長距離直行便の高速
コンテナ貨車、いわゆるコキ一〇〇〇〇形式、これが約百三十両、コキ五〇〇〇〇形式が大体二百両、その基地であります。門司と並ぶ基地の
一つであります。
この人は、高速
コンテナ貨車のブレーキ
関係の検査修繕を十一年間やって第一人者であります。安全
輸送と直結する仕事です。ことしも三月十日から検査実習の教育担当をやっている。七月十五日に松戸の電車区の人活センターへ配属を命令されたんだけれ
ども、七月十五日の松戸の人活センターへ担務命令発令が下るまでは検査長に作業方法、手順、技術的
ポイントを習得させて、教えていたんです。直前まで教えていたんですね。教えていて、教え終わると今度は辞令で人活センターに持っていかれたわけであります。理由を聞いても、現場長は、総裁ね、局の指示だと言うだけなんです。さらに局に問い合わせると、現場から上がってきたと言うんです。全く無責任ななすり合いを局の人事課と現場長はやっているという実態をあなたのお耳に入れておきたいと思うんですよ。
現在、この松戸電車区人活センターではどんなことをやっているか。私はここに写真を持っていますので、けさの理事会でお許しを得て
運輸大臣、総理にお見せしたいと思うんです。(写真を手渡す)
これは、今そこの写真にも出ておりますけれ
ども、本務から外されて、電車の窓ガラスふきをやらされているんです。それから天井の整風板清掃、それも十一名で午前十両、午後十両ですから、一時間で終わっちゃう。後は詰所というところにいて何にも指示がないという
状況ですよ。
私は清掃の仕事の価値を云々いたしません。そういうことは言いません。仕事は何でも同じであります。しかし、本務外の仕事につかせるということが問題なんです。この人はベテランの検査修繕要員なんです。ところが、本務の技術、技能の向上には何
一つつながりません、窓ガラスふきをやっても天井の整風板をやっても。そして、いわば
精神的に苦痛でありましょう、不利益を与えていわば見せしめ懲罰にするということじゃないんでしょうか、これは。このようなことは本当にもう異常な、常識に反する人事だと言わなきゃなりません。
それから、ここにあります詰所ですね。これは今
運輸大臣ごらんになったと思いますけれ
ども、シリコン整流器と申しまして二百ボルトの電流が流れるやつが入り口近くに設置されておる。これは国電に充電するための機械であります。現実に電流が流れております。「キケン、さわるな」とここに書いてあります。そうして、ここに入れられてから百十五日間あったんです、これは。百十五日目の十月三十日になりまして、本人たちの重なる要求でようやくこの十月三十日にこのシリコン整流器は撤去したんです。
十七畳半に十六人が詰め込まれております。これですね。こういうような
状況であります。全部本人の陳述書もここにあります。換気扇もない。
国鉄職場には絶対必要な
鉄道電話もないですよ。気管支ぜんそく患者、
公害病認定患者、中学三年のときに気管支ぜんそくに認定された人が一人。腰痛、椎間板ヘルニア、これは三十キロある例の連結器のやつを持ち上げるときにおかしくなってそのまま悪くなっている人が一人。若いけれ
ども脳血栓を過去患ったことのある人が一人。三人病人の人もいる。病人と活動家ですね。病人と国労幹部を入れているわけです。十六人中病人五人、組合青年部役員八人、一般平組合員は三人です。この三人も活動家である。
これでは収容所だとこの人たちが言っても私は言い過ぎじゃないと思う。収容所。「
国鉄収容所からの告発」。これもけさの理事会で御了承を得ましたので
運輸大臣並びに総理にもお目通しをいただきたい。これがそうなんです。(資料を手渡す)
私は人材活用にならぬと思うんです。有効活用にならぬ。適材適所じゃないですよ。適材適所と言うんなら、隅田川客
貨車区でブレーキのなにをやってもらうといいんです。
私は、こういうことを申し上げておきたいんです。ブレーキのことについて人活センターに移されてから、職場の上司、検査長から数回にわたって
鉄道電話で、つまりその部屋には通じませんが、よその
鉄道電話で問い合わせがきて、あなたが人活センターにいてわからないが、これはどうして直したらいいんだということを数回アドバイスが求められております。さらに、ほかに転勤した元助役からも、ブレーキのことをあなたに聞きたいんだと、人活センターで窓ふきをやっている人に教わりに来ているんですね。つい十日ぐらい前ですけれ
ども、この人が久しぶりで本区の現場へ帰ったところ、武蔵野から広域配転で来た研修助役が三十人ぐらい集めて現車訓練をやっているんです。ちょうどいいところへ来たと――これは藤田君というんですが、藤田君ここへ来て教えてやってくれ、おれにはわからなくなっちゃったからと言うので、おれを人活センターから出せば教えてやるよと言ったんだけれ
ども、まあその場ですから全部教えてやったそうです、この人は。そう言っていましたよ。
私は、本当にこれは間違ったことがやられていると思います。これが今やられているんです。そうして、この人と一緒に配転された
渡辺君というんですが、青年部書記長はこういうふうに言っております。
私たちが日々頑張って守ってきた
国鉄の安全はどうなってしまうのでしょうか。私の技術をそのために使うことは二度とできないのでしょうか。一日も早くもとの職場に戻らなければ私の技術も仲間の技術も落ちていきます。私たちを飼い殺しにして私たちの人間性を切り刻むようなことはやめてください。どうぞ人間として、
労働者としての命のぎりぎりをかけた叫びを理解してください。こう言っております。これは、いかなる理由があってもこういうことは、人が足りないとき、また
国鉄が何十年かけてつくり上げた大事な技術者でしょう、
国鉄の宝なんです。こういう人をこういうところに使っていいのかという問題ですね。
総理、どうお
考えになりますか。政治家としてどうお
考えになりますか。
運輸大臣、どうなんです。