○柳澤錬造君 私は、民社党・
国民連合を代表いたしまして、この
国鉄改革関連八法案についての質問をしてまいります。
まず、この百十四年からの
歴史をつづってきた
国鉄が、事実上において倒産というような形になって
分割・
民営化をされるわけなんですが、なぜこういうことになったのか。その辺の解明から私はまずしてまいりたいと思うんです。
私なりの見方から言うならば、
最後の十五年間に問題があった。先ほどからお話が出ているように、
昭和三十九年、
国鉄は赤字に転落したけれども、問題の発端というのはむしろ
昭和四十六年のあの償却前赤字になったあのころからではないかというのが私の見方なんです。民間であるならば、償却前赤字といえば、これはもう
会社更生法の適用を申請しなければならないという赤信号なんです。必死になって合理化をやって、そこから脱出しようとするわけだけれども、
国鉄はその辺が十分に行われてなかった。
それから二つ目のポイントとしては、
昭和五十年の秋、十月から十一月にかけて、総評系の国労が八日間にわたって全国の列車を約十八万本から全部とめたんです。このときに
国鉄当局が何をしたかといえば、賃金カットをしたのはわずかに四%。九六%の
人たちには全部給料を払っておったんです。そして赤字がかさんできたならば、今度は
政府は二兆五千四百四億というものを棚上げをしてあげましょうという大変温情ある措置をとられたんです。
第三のポイントとして私が申し上げたいのは、あの
昭和五十二年に
国鉄の
運賃の法定制緩和をつくった。これは別に私は問題ないと思う。当時
国鉄の
運賃だけが
国会の議決を経なければ変えられないというふうなことだったんですから、この法案そのものはよろしいんだけれども、その後における
国鉄の
運賃の値上げのやり方というものは、この
法律をつくるときにかなり厳しい制限条項があったんです。ところが
国鉄はそれを守らない。いつかだれかが気がついて改めると思ってじっと見ておったんですが、いつまでたっても直しませんから、五年ほどたったときに、私は予算
委員会で、今
国鉄がやっている
運賃の値上げ、あれは全部違法なんですよ、何でそういうことを続けるんですかと。ところが、運輸省の幹部も
国鉄の幹部も、そのことの
意味がちんぷんかんぷんでわからない。
最後に
国鉄総裁が出てきて、御
指摘のとおりでございます。つい惰性でもってそういうことをやってきてしまいまして申しわけございませんと言って謝られた。
私は、そのとき、ですから本来ならこれ全部さかのぼって計算をし直して
国鉄の
運賃を下げなくちゃいけないんだけれども、それをやるといったらこれはもう大変なことになるからそこまでは責めません。しかし、決まったことはちゃんと守ってくださいと、しかし、
国鉄総裁からはおわびの言葉を聞いたけれども、その違法の
運賃値上げを認可しておった
運輸大臣からはとうとう今日に至るもただの一言もその言葉を聞いておりませんです。
それから四番目のポイントというのは、あの五十五年の
国鉄再建法、いわゆる
ローカル線をばたばたみんなぶった切ろうという、このときも、先ほどのこれは
総理の御答弁の中でも出てくるんですが、そうなんです。
国鉄の赤字は
ローカル線じゃありません。それであのときも私は申し上げたんですが、
ローカル線四千キロの赤字と山陽本線のわずか五百四十キロの赤字とがちょうど同じなんですよ。だから、今の
国鉄の赤字というのは
ローカル線ではなくて幹線なんです。幹線に問題があるということは、それだけ
労使関係が乱れており、信賞必罰のけじめがきちんとついておらぬことで、いかに職場がそういう点でもって乱れておるか。
それで、
最後の締めくくり総括のときに当時の鈴木
総理が参りましたので、私は言ったんです。三年前
国鉄法案をここで
審議して、今おられるのは
国鉄総裁がただ一人、あと運輸省の幹部も
国鉄の幹部も全部もうかわっているんです。そんなことでどうして
国鉄の再建ができますか。今度は、この再建法ができたら、今おられる方にある程度のめどがつくまでやらしてあげてください。それである程度のめどがついたら、そのときにその
人たちは二階級特進でも何でもさせてあげたらいいじゃないですか。そう言ったのが、それからわずか三週間もしたら、運輸省の中の一番のかなめの鉄監
局長が運輸省から
総理府に転出をしてしまった。運輸省というところはこれで
国鉄再建を本気でおやりになる気があるんだろうかと思ったんです。事実、そのことをやって三年後には、また赤字が営業収入の五割を超えるようなそういう
状態になって、そして
国鉄再建監理委員会ができる。
したがって、五番目のポイントとしては、私は五十九年に
再建監理委員会が
分割・
民営化という基本的な
方向を打ち出したときだと思うんです。このときに
国鉄の幹部は、言葉が適切じゃないかわかりませんけれども、素人に何がわかるかと言わんばかりにしてその
再建監理委員会の基本
方向に対して猛然と反発をしたんです。何であのときに、本来ならば自分らがやらなきゃならないのを
再建監理委員会ができて、
再建監理委員会のお世話になるということすらも恥ずかしいことだと私は思うんですよ。
結局がたがたして、やっと今この
国鉄の再建について
分割・
民営化の法案の
審議をしている。二年おくれました。それで、このがたがたして二年おくれた間に何が残ったかというならば、約五兆円からの
借金がふえただけなんですよ。ですから私は、そういう
意味では、この
分割・
民営化の法案の
審議というものが遅きに失した。それだけ
借金を膨らましただけでした。
そして、ぜひおわかりをいただきたいのは、先ほども
議論されておりましたけれども、私も
国鉄の法案を何回もやってまいりましたが、本
会議でも言いましたし、この
委員会の場でも言いましたが、
国鉄をこういう
状態にしたのはだれなんですか。それは
国鉄の当事者にも大きな
責任がある。しかし、
政府にも
責任があるんですよ。同時に我我
国会も
責任があるんですよ。その認識に立たなければあの大きな
国鉄の再建なんかできるものじゃありません。
そして、ここでもって、そういう
意味でもって
総理、
運輸大臣にぜひお答えをしていただきたいと思いますことは、先ほど
総理も言われました。昔は
国鉄の
職員といったらみんなエリートだった、自分が
国鉄マンだということについて誇りを持って、そして、そこに生涯
国鉄でもって自分は働くんだということに生きがいを
感じて、
国鉄を愛し、
国鉄を守ってきたわけです。それがあのとおり一分も狂わずに列車を走らせる。雨が降って線路が危なくなるといえば、どしゃ降りの中へ出ていって、そして線路を守って列車を通したわけでしょう。そういう自分が生涯をかけて
国鉄マンであったということに誇りを
感じ、生きがいを
感じておったこの
人たちが今
国鉄OBになっているんだけれども、その自分
たちが愛し、守り抜いてきた
国鉄が、今こうして消えてなくなっていくということについてどんな気持ちでいるだろうか。
そういう点について私は、
総理がこの
国会の冒頭、所信表明演説をなさるときも一言そういうことをお触れいただいたならばと思ったんですが、あのときにもお聞きする機会がございませんでしたので、この機会にそういう点について
総理並びに
運輸大臣からまず御心境のほどをお聞かせいただきたいと思います。