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1986-10-30 第107回国会 参議院 日本国有鉄道改革に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十月三十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山内 一郎君     理 事                 伊江 朝雄君                 浦田  勝君                 江島  淳君                 亀長 友義君                 赤桐  操君                 安恒 良一君                 矢原 秀男君     委 員                 大島 友治君                 梶原  清君                 木村 睦男君                 坂元 親男君                 田代由紀男君                 高平 公友君                 野沢 太三君                 真鍋 賢二君                 増岡 康治君                 森田 重郎君                 山崎 竜男君                 吉川 芳男君                 吉村 真事君                 青木 薪次君                 穐山  篤君                 田渕 勲二君                 渡辺 四郎君                 鶴岡  洋君                 中野  明君                 三木 忠雄君                 市川 正一君                 内藤  功君                 田渕 哲也君                 柳澤 錬造君                 野末 陳平君    委員以外の議員        発  議  者  村沢  牧君    国務大臣        運 輸 大 臣  橋本龍太郎君        自 治 大 臣  葉梨 信行君    政府委員        運輸政務次官   柿澤 弘治君        運輸大臣官房長  服部 経治君        運輸大臣官房審        議官       井山 嗣夫君        運輸大臣官房国        有鉄道再建総括        審議官      林  淳司君        運輸大臣官房国        有鉄道部長    丹羽  晟君        運輸省地域交通        局長       熊代  健君    事務局側        常任委員会専門        員        多田  稔君    説明員        日本国有鉄道総        裁        杉浦 喬也君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○日本国有鉄道改革法案内閣提出衆議院送付) ○旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○新幹線鉄道保有機構法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道清算事業団法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案内閣提出衆議院送付) ○鉄道事業法案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道改革法等施行法案内閣提出衆議院送付) ○地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○日本鉄道株式会社法案村沢牧君外五名発議) ○日本国有鉄道解散及び特定長期債務処理に関する法律案村沢牧君外五名発議) ○日本鉄道株式会社退職希望職員等雇用対策特別措置法案村沢牧君外五名発議) ○公聴会開会承認要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     ─────────────
  2. 山内一郎

  3. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ただいま議題となりました日本国有鉄道改革法案旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案新幹線鉄道保有機構法案日本国有鉄道清算事業団法案日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案鉄道事業法案及び日本国有鉄道改革法等施行法案、以上七件の提案理由につきまして御説明申し上げます。  初めに、日本国有鉄道改革法案につきまして御説明申し上げます。  日本国有鉄道は、昭和二十四年日本国有鉄道法施行によりいわゆる公社として発足し、自来我が国輸送の大宗を担い国民生活の向上と国民経済発展に大きな役割を果たしてまいりました。  しかしながら、昭和四十年代のモータリゼーションの急速な進展、航空輸送網の飛躍的な発達の中で、国鉄の担う鉄道輸送我が国交通体系の中で次第に独占的地位を失い、これとともにその経営も極めて厳しい環境に置かれるに至ったのであります。すなわち昭和四十年代から国鉄経営は年々悪化を続け、これに歯どめをかけるべく四次にわたり策定された再建計画も十分な効果を上げることができず、その結果昭和六十一年度末における累積欠損額は十五兆八千億円もの巨額に達する見込みである等その事業経営が破綻するに至っております。このため、国鉄事業体制国民の期待にこたえ得る体制に再生することが喫緊の課題となっているのであります。  このような状況を踏まえ、昨年七月国鉄再建監理委員会から「国鉄改革に関する意見」が提出されました。この「意見」では、現行の公共企業体による全国一元的経営体制のもとにおいては事業の適切かつ健全な運営確保することが困難であるとの認識のもとに、いわゆる分割民営化基本として国鉄改革を実現することとし、そのための具体的な方策を提言しております。  政府としては、この「意見」に示された方向こそ今日の国鉄事業の危機に対処し、国民の期待にこたえる最善の道であると信ずるものであります。  本法律案は、以上のような認識のもとに、国鉄経営している鉄道事業等に関し輸送需要の動向に的確に対処し得る適切かつ健全な運営体制を実現するべく、これら事業経営形態について分割民営化基本とした抜本的な改革実施するため、その基本的事項を定めるものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  第一に、日本国有鉄道による鉄道事業等に関し効率的な経営体制を確立するため、その経営形態の抜本的な改革についての基本的な方針に関し、まず、六の旅客鉄道株式会社による旅客鉄道事業引き継ぎ新幹線鉄道保有機構による新幹線鉄道一括保有及び貸し付け、日本貨物鉄道株式会社による貨物鉄道事業引き継ぎなど日本国有鉄道事業等をそれぞれ適切な法人に引き継がせること。  次に、北海道、四国及び九州の各旅客鉄道株式会社に、経営の安定を図るための基金を置くものとすること。  また、日本国有鉄道日本国有鉄道清算事業団に移行させ、資産債務等処理及び職員の再就職促進のための業務を行わせること。  さらに、国は、日本国有鉄道清算事業団債務償還等の円滑な実施に関する基本的な方針を策定するとともに、これに従って必要な助成等措置を講ずるものとすること。及び、国は、日本国有鉄道改革実施に伴い一時に多数の職員が再就職を必要とすることとなることにかんがみ、再就職機会確保及び再就職援助等のための特別の措置を講ずるものとすることなどについて定めることとしております。  第二に、日本国有鉄道改革実施のため、運輸大臣による日本国有鉄道事業等引き継ぎ等に関する基本計画の策定、日本国有鉄道による実施計画の作成、承継法人職員採用日本鉄道建設公団からの資産債務日本国有鉄道への承継等について所要規定を設けることとしております。  第三に、日本国有鉄道改革昭和六十二年四月一日に実施するものとし、同日において日本国有鉄道法及び日本国有鉄道法施行法廃止することとしております。  なお、本法律案につきましては、衆議院における修正により、政府は、国会に対し、昭和六十二年度以降五カ年間の各年度における日本国有鉄道改革に関する施策実施の状況を報告しなければならないこととされております。  次に、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  本法律案は、日本国有鉄道改革法に定める方針に従い、六の旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社を設立し、鉄道事業に関し、輸送需要の動向に的確に対応し得る適切かつ健全な運営体制を実現しようとするものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  第一に、北海道旅客鉄道株式会社東日本旅客鉄道株式会社東海旅客鉄道株式会社西日本旅客鉄道株式会社四国旅客鉄道株式会社及び九州旅客鉄道株式会社は、旅客鉄道事業及びこれに附帯する事業経営することを目的とする株式会社とし、日本貨物鉄道株式会社は、貨物鉄道事業及びこれに附帯する事業経営することを目的とする株式会社としております。  また会社は、運輸大臣認可を受けて自動車運送事業その他の事業を営むことができることとしております。  第二に、東日本旅客鉄道株式会社東海旅客鉄道株式会社西日本旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社について社債発行限度の特例を設けるとともに、会社社債権者会社財産に対する先取特権を認めることとしております。また、会社監督等に関し、新株の発行、社債の募集、長期借入金代表取締役及び監査役選定等の決議、事業計画、重要な財産譲渡、定款の変更等決議等について運輸大臣認可を受けなければならないこととしております。  第三に、北海道旅客鉄道株式会社四国旅客鉄道株式会社及び九州旅客鉄道株式会社経営安定基金を置くこととし、その管理及び取り崩しの制限等について定めることとしております。  第四に、会社の設立に際して発行する株式の総数は日本国有鉄道が引き受けるものとし、会社の成立は日本国有鉄道法廃止のときとしております。  また政府は、会社の設立後五年間を限り、国会議決を経た金額範囲内において会社社債について保証契約をすることができることとし、当該保証契約をした社債資金運用部資金等を運用することができることとしております。  次に、新幹線鉄道保有機構法案につきまして御説明申し上げます。  本法律案は、日本国有鉄道改革法に定める方針に従い、新幹線鉄道保有機構を設立し、旅客鉄道株式会社経営基盤均衡化及びこれらの施設に係る利用者の負担の適正化を図るため、新幹線鉄道に係る鉄道施設を一括して保有し、これを旅客鉄道株式会社に貸し付けることとするものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  第一に、新幹線鉄道保有機構は、新幹線鉄道我が国基幹的輸送機関として国土の均衡ある発展に果たしている役割にかんがみ、新幹線鉄道経営する旅客鉄道株式会社経営基盤均衡化利用者の負担の適正化を図るため、当該新幹線鉄道を一括して保有し、貸し付けることを目的とする法人とし、新幹線鉄道に係る鉄道施設旅客鉄道会社への貸し付け、大規模災害復旧工事実施及びこれらに附帯する業務を行うこととしております。  第二に、機構はその保有する新幹線鉄道施設旅客鉄道会社に有償で貸し付けることとし、会社はこれを借り受けるものとしております。また貸付料の年額及び貸付期間については、この法律及び運輸省令で定める基準、方法によることとしております。  第三に、旅客鉄道株式会社は、借り受けている新幹線鉄道施設について大規模災害復旧工事を行うことについて機構に申し出ることができることとしております。  第四に、政府は、国会議決を経た金額範囲内において機構長期借入金または債券に係る債務について保証契約をすることができることとしております。  第五に、機構監督等に関し、事業計画借入金業務方法書の作成、利益及び損失の処理償還計画、重要な財産処分等について運輸大臣認可を要することとしております。  第六に、機構は、東日本旅客鉄道株式会社意見を聞いて、東北新幹線の建設中の区間の建設を行うこととしております。  次に、日本国有鉄道清算事業団法案につきまして御説明申し上げます。  本法律案は、日本国有鉄道改革法に定める方針に従い、日本国有鉄道日本国有鉄道清算事業団に移行させ、その資産債務等処理するための業務等を行わせるとともに、臨時に、その職員の再就職促進を図るための業務を行わせることとするものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  第一に、日本国有鉄道清算事業団は、旅客鉄道株式会社等による日本国有鉄道からの事業等引き継ぎ並びに権利及び義務の承継等の後において、国鉄長期債務等償還日本国有鉄道資産処分等を適切に行い、もって改革法に基づく施策の円滑な遂行に資するとともに、臨時に、その職員のうち再就職を必要とする者についてその促進のための業務を行うことを目的とする法人としております。  第二に、事業団資産処分審議会を置き、資産処分業務に関する基本的な方針、重要な資産処分等についてその意見を聞かなければならないこととしております。  第三に、事業団は、その目的を達成するため、国鉄長期債務等償還資産処分、その所有する土地に係る宅地の造成等業務及び臨時職員の再就職促進のための業務等を行うこととしております。また事業団は、主務大臣認可を受けてその業務の円滑な遂行に資するために投資することができることとし、さらに、その土地の処分について公正かつ適切な実施確保するため、一般競争入札方法に準じた方法等によらなければならないこととしております。  第四に、政府事業団債務償還等の確実かつ円滑な実施を図るものとし、このため、事業団債務償還等に関する基本的な方針を定め、これに従い予算の範囲内において補助金等を交付し、またはその他の援助をするものとしております。また、事業団債務償還等を確実かつ円滑に実施するための償還実施方針を定め、運輸大臣承認を受けなければならないこととし、また資産効果的処分その他の措置により必要な資金確保に努めなければならないこととしております。  第五に、政府国会議決を経た金額範囲内において事業団債務について保証契約をすることができることとし、また、事業団の監督に関し、事業計画借入金等について運輸大臣認可を要することといたしております。  第六に、日本国有鉄道日本国有鉄道法廃止のときにおいて事業団になるものとするとともに、この法律施行に伴う経過措置に関し必要な事項について定めることとしております。  次に、日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案につきまして御説明申し上げます。  本法律案は、日本国有鉄道改革法規定による日本国有鉄道改革を確実かつ円滑に遂行するための施策実施に伴い、一時に多数の再就職を必要とする職員が発生することにかんがみ、これらの者の早期かつ円滑な再就職促進を図り、その職業の安定に資するため、当該改革前においても日本国有鉄道職員のうち再就職を希望する者について再就職機会確保等に関する特別の措置を緊急に講ずるとともに、当該改革後において日本国有鉄道清算事業団職員になった者のうち再就職を必要とする者について再就職機会確保及び再就職援助等に関する特別の措置を総合的かつ計画的に講ずることとするものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  第一に、国鉄退職希望職員に関する措置として、まず国は、再就職促進方針を定めるとともに、国、特殊法人等及び地方公共団体による職員採用、国による事業主団体に対する協力要請日本国有鉄道による関連事業主に対する雇い入れの要請等の再就職機会確保に関する措置を講ずること。  また、公共職業安定所による職業紹介等及び国による日本国有鉄道に対する助言、指導等国鉄退職希望職員の再就職援助等に関する措置を講ずることを定めることとしております。  第二に、清算事業団職員に関する措置として、まず国は、再就職促進基本計画を、三年内にすべての職員の再就職が達成されるような内容のものとして策定するとともに、清算事業団において、毎事業年度、再就職促進基本計画の内容に即して、実施計画を策定すること。  次に、国、特殊法人等及び地方公共団体による職員採用、国による事業主団体に対する協力要請清算事業団による関連事業主に対する雇い入れの要請等清算事業団職員の再就職機会確保に関する措置を講ずること。  さらに、清算事業団による教育訓練職業紹介等業務実施国等による職業訓練職業紹介等に関する措置及び清算事業団に対する援助並びに雇用促進事業団による援護業務実施等清算事業団職員の再就職援助等に関する措置を講ずることを定めることとしております。  第三に、本法律案は、昭和六十五年四月一日限り、その効力を失うこととしております。  次に、鉄道事業法案につきまして御説明申し上げます。  本法律案は、国鉄改革関連法案の一環として、日本国有鉄道分割民営化されることに伴い、現在日本国有鉄道の行っている鉄道事業民営鉄道事業となることから、地方鉄道法廃止し新たに鉄道事業に関する一元的な法制度整備することにより、鉄道等利用者の利益を保護するとともに鉄道事業等の健全な発達を図ろうとするものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  第一に、日本国有鉄道改革後の新体制に対応するとともに、鉄道に対する投資を円滑にし、鉄道事業の今後の発展を期するため、鉄道経営と所有の分離を認め、免許の種別を第一種鉄道事業、第二種鉄道事業及び第三種鉄道事業に区分して定めること等鉄道事業免許について所要規定を設けることとしております。  第二に、安全面に十分配慮しつつ現行地方鉄道法と比較して大幅に規制の緩和、手続の簡素化を図った上で、工事施行認可、列車の運行計画届け出等について所要規定を設けることとしております。  特に技術上の規制については、鉄道事業者一定の要件を満たす設計管理者を選任した場合には、工事施行認可及び車両の確認について、認可制届け出制にする等大幅に簡略化された手続によることとしております。  第三に、運賃及び料金について認可を受けること、一定範囲の割引については届け出をもって足りるものとすること等について、所要規定を設けることとしております。  第四に、運輸に関する協定の届け出運行管理業務等管理の受委託、事業譲渡護受事業休廃止等の許可または認可事業改善命令免許の取り消しまたは失効等について、所要規定を設けることとしております。  第五に、索道事業経営の許可、専用鉄道等の設置の届け出等について所要規定を設けることとしております。  第六に、運輸大臣が行う鉄道施設または索道施設の検査の全部または一部を指定検査機関にも行わせることができるものとすること等について所要規定を設けることとしております。  最後に、日本国有鉄道改革法等施行法案につきまして御説明申し上げます。  本法律案は、日本国有鉄道改革法等六本の法律施行に関し必要な事項を定めるとともに、これらの法律施行に伴う関係法律整備等を行い、国鉄改革の円滑な実施改革後の新たな法体系整備を図ることとするものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  第一に、日本国有鉄道改革法等施行のための措置として、旅客会社及び貨物会社日本国有鉄道から引き継いだ鉄道事業その他の事業について関係事業法に基づく免許等を受けたものとみなすこと等会社日本国有鉄道からの権利及び義務の承継に伴う所要経過措置を設けることとしております。  第二に、日本国有鉄道法廃止に伴い、日本国有鉄道昭和六十一年度の決算の処理に関する事項その他の事項について所要経過措置を設けることとしております。  第三に、日本国有鉄道改革法等施行に伴い、会計検査院法等計百五十二件の関係法律について廃止または規定整備等を行うとともに、これに伴い所要経過措置を設けることとしております。  以上が日本国有鉄道改革法案旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案新幹線鉄道保有機構法案日本国有鉄道清算事業団法案日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案鉄道事業法案及び日本国有鉄道改革法等施行法案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 次に、葉梨自治大臣
  5. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) ただいま議題となりました地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案提案理由とその要旨につきまして御説明申し上げます。  日本国有鉄道経営形態改革及び鉄道事業法の制定に伴う地方税制上の措置として、日本国有鉄道に係る固定資産税等非課税措置及び日本国有鉄道有資産所在市町村納付金等に係る制度廃止し、あわせて旅客鉄道株式会社等日本国有鉄道から承継した固定資産に係る固定資産税課税標準特例措置等を講ずるとともに、日本国有鉄道清算事業団の本来の事業の用に供する不動産に係る不動産取得税非課税措置等を講ずることとするほか、所要規定整備を行う必要があります。  以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。  次に、この法律案要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方税法改正に関する事項であります。  その一は、道府県民税及び市町村民税についての改正であります。道府県民税及び市町村民税につきましては、日本国有鉄道清算事業団について非課税措置を講ずることといたしております。  その二は、事業税についての改正であります。事業税につきましては、日本国有鉄道清算事業団について非課税措置を講ずるとともに、新幹線鉄道保有機構収益事業以外の事業の所得について非課税措置を講ずることといたしております。  その三は、不動産取得税についての改正であります。  不動産取得税につきましては、日本国有鉄道清算事業団及び新幹線鉄道保有機構が直接その本来の事業の用に供する一定不動産取得について非課税措置を講ずることといたしております。  また、旅客鉄道株式会社または日本国有鉄道清算事業団から無償で譲渡を受けた特定地方交通線等に係る一定不動産について、一定期間取得した場合に限り、非課税措置を講ずることといたしております。  その四は、固定資産税及び都市計画税についての改正であります。  固定資産税及び都市計画税につきましては、日本国有鉄道清算事業団が直接その本来の事業の用に供するため所有する一定固定資産について非課税措置を講ずることといたしております。  また、旅客鉄道株式会社等が所有する日本国有鉄道から承継した一定固定資産について、昭和六十四年度から昭和七十一年度までの各年度分に限り、課税標準をその価格の二分の一の額とするとともに、あわせて北海道旅客鉄道株式会社四国旅客鉄道株式会社または九州旅客鉄道株式会社が所有する直接その本来の事業の用に供する一定固定資産について、昭和六十四年度から昭和七十一年度までの各年度分に限り、課税標準をその価格の二分の一の額とする特例措置を設ける等の措置を講ずることといたしております。  その五は、電気税についての改正であります。電気税につきましては、主として電気を動力として鉄道事業を営む者に該当しない旅客鉄道株式会社が直接旅客の運送の用に使用する電気について、昭和七十二年五月三十一日までに限り、非課税措置を講ずることといたしております。  その六は、特別土地保有税についての改正であります。特別土地保有税につきましては、新幹線鉄道保有機構が設置する鉄道の用に供する一定施設の用に供する土地またはその取得について非課税措置を講ずることといたしております。  その七は、自動車取得税についての改正であります。自動車取得税につきましては、特定地方交通線を廃止する場合に必要となる一般乗り合い旅客自動車運送事業経営する者が、政府の補助に係る転換交付金の交付を受けて昭和六十五年三月三十一日までに取得した一定の一般乗り合い用バスについて、非課税措置を講ずることといたしております。  その八は、軽油引取税についての改正であります。軽油引取税につきましては、日本貨物鉄道株式会社一定の機械の動力源の用に供する軽油の引き取りについて課税免除することといたしております。  その九は、事業所税についての改正であります。事業所税につきましては、東日本旅客鉄道株式会社東海旅客鉄道株式会社西日本旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社がその本来の事業の用に供する一定施設に係る課税標準の算定について、一定期間その二分の一を控除するとともに、北海道旅客鉄道株式会社四国旅客鉄道株式会社及び九州旅客鉄道株式会社にあってはその四分の三を控除することといたしております。  第二は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律改正に関する事項であります。  題名を国有資産等所在市町村交付金法に改めるほか、日本国有鉄道経営形態改革に伴い、日本国有鉄道有資産所在市町村納付金等に係る制度廃止することといたしております。  なお、日本国有鉄道経営形態改革に伴う固定資産税体系への移行は昭和六十四年度からとし、昭和六十三年度までは日本国有鉄道資産所在市町村納付金及び日本国有鉄道資産所在都道府県納付金を納付することといたしております。  以上が地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  6. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 次に、発議村沢牧君。
  7. 村沢牧

    委員以外の議員(村沢牧君) 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました日本鉄道株式会社法案日本国有鉄道解散及び特定長期債務処理に関する法律案並びに日本鉄道株式会社退職希望職員等雇用対策特別措置法案について、その提案理由概要について御説明いたします。  国鉄経営が危機に陥ってから既に久しく、五回にわたる政府再建計画がことごとく失敗したことは周知の事実であります。急激な交通と経済情勢の変化に適切な対応を欠いたこと、日本国有鉄道法を初め多くの経営上の制約があり、経営の自主性が保障されなかったこと、官僚的経営に終始し、政治の介入が絶えず、加えて、国が政策的に国鉄建設させ経営させた地方交通線などの経費について、国が必要な補償を行ってこなかったことなどに原因があることも国民周知のことであります。  国鉄の財政はまさに破綻状態であり、かかる状態を招いた原因と責任を明確に踏まえた上での対策であり改革でなくしては単なる国民の交通権に対する行政の責任放棄にすぎないと考えます。  社会党案はこうした立場から立案し、その立案の背景には政府分割民営化策に反対する三千五百万人の国民の声が反映されております。  今ここに、政府案と我が社会党案が並んで議題となり、今後百年にわたる鉄道のあり方について、広く国民の前で、また世界に対してその是非を問うことになりますが、我が党案に対して親方日の丸等のいわれなき中傷を加えつつ、十分な審議も行わず、示された疑問の数々に対しても満足に答えもせず、衆議院において強引に政府案を通過させた政府及び与党に対し、改めて遺憾の意を表明いたします。  申すまでもなく、両案の基本的な相違は、新事業体の経営形態については、分割か一社制か、純然たる私企業にするのか公企業として発展をさせるのかということであります。  国鉄再建監理委員会の答申は、国鉄経営の危機的状況を招いた最大の原因は公社制度と全国一元の巨大組織にあるとして、国鉄事業を再生するには速やかに分割民営化を断行するしか道はないと強弁しています。しかし、その根拠につきましては、衆議院審議を通じても明確に論証されなかったことは明らかであります。世界の巨大企業を考えるまでもなく、日本国内においても、政府みずからNTTの組織については分割せず、政府はひたすらみずからの責任で生み出された国鉄の赤字をその理由に挙げるだけではありませんか。  政府・自民党は、臨調行革路線に基づいて、国鉄百年の歴史と伝統を無視し、国鉄を含む今後の総合交通体系の展望もないまま、先ほど提案理由説明のありました諸法案を提出し、その成立に腐心しているのであります。  我が党は、国鉄を解体し、公共性を企業性に置きかえ、また、希望という名をかりた配転や退職の強要によって組合つぶしを進め、自殺者さえ生んでいる労働者とその家族に犠牲を押しつけ、他方では、サービスの低下や格差運賃あるいは累積赤字を国民に押しつけることによって国鉄の再建を図ろうとする政府案には、強く反対いたします。 同時に、国民の共有財産を守り、国鉄が真に国民国鉄としてその機能を発揮し得るようにするためには、現在の国鉄の抜本的改革実施することが必要であると判断し、必要な法律案政府案への対案として提出した次第であります。  以下、我が党の対案の基本的な考え方について御説明申し上げます。  第一に、国鉄が担ってきた公共的機能を維持発展させるため、国鉄にかわってその機能を担うべき新たな事業体を国の責任で設立することであります。第二に、新事業体には国鉄資産及び事業のすべてを引き継がせ、地方交通線を含む全国ネットワークを維持発展させることであります。第三に、新事業体は、今日までの国鉄にみられるような、不当な制約や政治介入、経営を度外視した負担の押しつけなどを排除し、経営の自主性と健全な経営確保するため、株式会社の形態をとるとともに、事業分野の拡大を図ることであります。第四に、国民の需要に応じた事業運営確保するため、新事業体の内部組織として国民各層の代表で構成する経営委員会を設置することであります。第五に、公共性を担保するために必要な費用は、基本的には国が負担あるいは補助することであります。第六に、膨大な累積債務のうち国の政策の失敗によって生じた債務については、新事業体とは切り離し、国の責任で処理することであります。第七に、国鉄職員については、すべて新事業体が引き継ぎ、労使協議に基づき適正人員を定め、希望退職者の職業と生活の安定を確保するため、新事業体と国はその責任において必要な措置を講ずることなどであります。  次に、各法律案概要について御説明申し上げます。  まず、日本鉄道株式会社法案について御説明いたします。  第一に、日本鉄道株式会社は、国鉄事業承継し、全国的な鉄道事業並びにこれに関連する自動車運送事業及び連絡船事業を本来の業務として経営することを目的として設立する株式会社とし、これらのほか必要な事業を営むことができることといたしております。  第二に、会社は、我が国基幹的輸送機関である鉄道の全国ネットワークによる輸送その他の公共的輸送を担う企業体として、国及び地方公共団体が中心となって進める総合交通体系の整備確立に寄与し、もって公共の福祉の増進と国民経済発展に寄与する責務を有することといたしております。  第三に、会社には、本社のほか全国七ブロックにそれぞれ支社を置き、各支社ごとに地域の輸送需要に適切に対応した効率的な事業運営が行われるようにするため、支社に対して大幅に権限を委譲する分権化を図ることといたしました。  第四に、政府は、会社発行済み株式総数の十分の七以上を保有しなければならないものといたしております。  第五に、本社に経営委員会を置き、会社経営基本方針及び事業計画等の業務執行に関する重要事項経営委員会の議決を経なければならないこととするとともに、支社にもそれぞれ地方経営委員会を置き、業務区域内の重要事項をそこでも議決することといたしております。  第六に、政府は、会社債務に関する保証契約及び事業資金の無利子貸し付けをすることができることとするとともに、鉄道新線の建設費、災害復旧費を補助することができることといたしました。また政府は、当分の間、国民生活にとって必要である地方鉄道営業線であって収支均衡を確保することが困難であると認められるものについて、その運営費の一部を補助することができることともいたしております。  第七に、運輸大臣に対する事業計画届け出等必要最小限度の政府監督について所要規定を設けることといたしております。  次に、日本国有鉄道解散及び特定長期債務処理に関する法律案について御説明申し上げます。  第一に、日本国有鉄道は、日本鉄道株式会社の成立のときにおいて解散することとし、解散のときに有するその一切の権利及び義務のうち、長期の資金に係る債務で政令で定める特定長期債務以外のものは、国鉄解散のときにおいて会社承継することといたしております。  第二に、会社の成立の際現に国鉄職員である者は、会社の成立のときに会社職員となるものといたしております。  第三に、国鉄は、解散した後も清算の目的範囲内においてなお存続することとし、政府は、この清算中の国鉄に対し、特定長期債務の返済が完了するまでの期間中に債務償還計画を定めて資金の交付等を行うことといたしております。  最後に、日本鉄道株式会社退職希望職員等雇用対策特別措置法案について御説明申し上げます。  第一に、この法律は、日本国有鉄道から移行した日本鉄道株式会社の退職希望職員及び希望退職者について、特別給付金の支給及び再就職促進に関する特別の措置を講じ、もって退職希望職員等の職業及び生活の安定を図ることを目的といたしております。  第二に、退職希望職員等の再就職促進に関する国及び会社の責務を定めるとともに、特に、会社は、この法律に定める措置実施するに当たっては、退職を希望する職員の募集に応ずること等を強要し、または職員が労働組合の組合員であること等を理由として差別的取り扱いをしてはならないことといたしました。  第三に、退職希望職員等の再就職促進について、国は再就職促進基本計画及び採用促進計画を、会社は再就職促進実施計画をそれぞれ定めるものといたしております。  なお、これらの計画の作成に当たっては、会社は労働組合と協議しなければならないことといたしております。  第四に、退職希望職員等の再就職先の確保についてでありますが、国は、率先して退職希望職員等を採用するとともに、特殊法人等及び地方公共団体に対し退職希望職員等を採用するよう要請するものといたしております。また、国は、退職希望職員等を雇い入れる一般事業主に対し、退職希望職員等雇用助成金を支給することができることといたしております。  第五に、希望退職者に支給する特別給付金についてでありますが、現在、今年度に限った特別措置として支給されている特別給付金を五年間にわたって支給することとし、このため、日本国有鉄道経営する事業運営の改善のために昭和六十一年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律について所要改正措置を講ずることといたしております。  以上のほか、国の体制整備雇用促進事業団援護業務等、退職希望職員等の再就職促進援助、関連企業労働者等への配慮等に関して必要な諸規定を設けることといたしております。  以上、各法律案提案理由及びその概要について御説明申し上げました。これらの法律案は、さきに述べたように、三千五百万署名者を初めとする広範な国民期待に十分こたえ得る現実的な改革案であります。政府案の早期成立を焦る余り、衆議院国鉄改革特別委員会では我が党の反対を押し切って強引な採決が行われましたが、本院においてはかかる轍を踏むことなく、我が党案につきましても徹底した御審議をいただき、速やかに可決されるよう心からお願いいたしまして、提案理由説明を終わります。
  8. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 以上で各案の趣旨説明の聴取は終わりました。     ─────────────
  9. 山内一郎

    委員長山内一郎君) この際、公聴会の開会承認要求に関する件についてお諮りをいたします。  各案審査のため、公聴会を開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 御異議ないと認めます。  つきましては、公聴会開会の日時、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  12. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 山内一郎

    委員長山内一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十時四十六分散会