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1986-12-18 第107回国会 参議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十二月十八日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  十二月十六日     辞任         補欠選任      木宮 和彦君     永野 茂門君      下稲葉耕吉君     大島 友治君      本村 和喜君     遠藤  要君  十二月十七日     辞任         補欠選任      遠藤  要君     寺内 弘子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩本 政光君     理 事                 大城 眞順君                 亀長 友義君                 村上 正邦君                 久保田真苗君     委 員                 板垣  正君                 大島 友治君                 岡田  広君                 小島 静馬君                 古賀雷四郎君                 寺内 弘子君                 永野 茂門君                 堀江 正夫君                 小野  明君                 野田  哲君                 飯田 忠雄君                 峯山 昭範君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君    国務大臣        内閣総理大臣   中曽根康弘君        自 治 大 臣  葉梨 信行君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  玉置 和郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  栗原 祐幸君    政府委員        内閣官房内閣内        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房内政審議室        長        的場 順三君        内閣官房内閣外        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房外政審議室        長        國廣 道彦君        内閣官房内閣安        全保障室長        兼内閣総理大臣        官房安全保障室        長        佐々 淳行君        内閣官房内閣情        報調査室長    谷口 守正君        内閣法制局第二        部長       大森 政輔君        人事院総裁    内海  倫君        人事院事務総局        給与局長     鹿兒島重治君        内閣総理大臣官        房審議官     本多 秀司君        総務庁長官官房        長        古橋源六郎君        総務庁長官官房        審議官        兼内閣審議官   勝又 博明君        総務庁人事局長  手塚 康夫君        総務庁行政管理        局長       佐々木晴夫君        総務庁行政監察        局長       山本 貞雄君        防衛庁長官官房        長        友藤 一隆君        防衛庁防衛局長  西廣 整輝君        防衛庁教育訓練        局長       依田 智治君        防衛庁人事局長  松本 宗和君        防衛庁経理局長  池田 久克君        防衛施設庁長官  宍倉 宗夫君        防衛施設庁総務        部長       平   晃君        防衛施設庁施設        部長       岩見 秀男君        防衛施設庁労務        部長       西村 宣昭君        外務省北米局長  藤井 宏昭君        外務省中近東ア        フリカ局長    三宅 和助君        大蔵政務次官   藤井 孝男君        大蔵大臣官房審        議官       大山 綱明君        大蔵省主計局次        長        角谷 正彦君        大蔵省主計局次        長        斎藤 次郎君        国税庁次長    冨尾 一郎君        食糧庁長官    後藤 康夫君        運輸大臣官房国        有鉄道部長    丹羽  晟君        自治大臣官房審        議官       小林  実君        自治省行政局長  大林 勝臣君        自治省行政局公        務員部長     柳  克樹君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        国土庁防災局防        災企画課長    竹本 直一君        法務大臣官房審        議官       稲葉 威雄君        外務省北米局安        全保障課長    岡本 行夫君        建設省建設経済        局宅地開発課長  村瀬 興一君        建設省住宅局住        宅・都市整備公        団監理官     三本木健治君     ─────────────   本日の会議に付した案件臨時行政改革推進審議会設置法案内閣提出衆議院送付) ○一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○国家機密法スパイ防止法)の制定反対に関する請願(第六三号外六件) ○シベリア抑留者の救済に関する請願(第六八号) ○国家機密法スパイ防止法制定反対に関する請願(第七五号外九七件) ○国家機密法スパイ防止法)の制定阻止に関する請願(第八八号外三件) ○台湾出身日本軍人軍属補償に関する請願(第一〇三号外一七件) ○シベリア抑留者恩給加算改定に関する請願(第一四二号) ○同和対策に関する請願(第一四三号) ○シベリア抑留者恩給加算改訂に関する請願(第一四五号) ○人事院勧告完全実施に関する請願(第一四九号) ○人事院勧告実施に関する請願(第一九五号) ○同和対策充実強化に関する請願(第二〇三号) ○台湾出身日本軍人軍属補償に関する請願(第二三三号外二三件) ○国家秘密法制定反対に関する請願(第二五八号) ○スパイ防止のための法律制定に関する請願(第 四六九号外一八件) ○台湾出身の元日本軍人軍属補償に関する請願(第一二一四号外二件) ○国家防衛秘密法案の再提出反対に関する請願(第一二一六号外三件) ○国家防衛秘密法案提出反対に関する請願(第一二四七号外一件) ○恩給法等国家補償堅持に関する請願(第一二五三号外四二件) ○国家機密法反対に関する請願(第一三七二号) ○防衛二法(防衛庁設置法自衛隊法改正反対に関する請願(第一七六一号外一二件) ○国家公務員給与改善に関する請願(第一八九七号) ○地方公共団体執行機関が国の機関として行う事務の整理及び合理化に関する法律案による母子保健法の一部改正反対に関する請願(第二〇八二号) ○人事院勧告完全実施に関する請願(第二二三〇号) ○継続調査要求に関する件     ─────────────
  2. 岩本政光

    委員長岩本政光君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十二月十六日、木宮和彦君、下稲葉耕吉君及び本村和喜君が委員辞任され、その補欠として遠藤要君、大島友治君及び永野茂門君が、同じく昨十七日、遠藤要君が委員辞任され、その補欠として寺内弘子君がそれぞれ委員に選任されました。     ─────────────
  3. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 臨時行政改革推進審議会設置法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 内藤功

    内藤功君 法案内容に入ります前に、伊豆大島の問題について質問をいたします。  三原山噴火以来一カ月になりまして、全員帰島が明十二月十九日から実現するわけであります。関係者の御努力に感謝をするものであります。今後の課題のうち、観光、農業、園芸、水産加工初め島の産業の再建中心課題になっておりますが、例えば先日私直接陳情を受けましたが、三原山乗馬組合員四十人、この方々は家族も含めて帰島即雇用危機に直面しておると、東京都とも連絡をとっていただいて、ぜひこういう方々に最大限の援助を要望する次第であります。  さて、島民の切実な要望といたしまして、生活基盤確立と町の再建のために第一点として、可能な限り長期低利据え置き期間の長い融資制度の実現など金融全般について緊急適切な対策を講じてほしいという問題が一つあります。  二番目には、活動火山対策特別措置法等適用による各種公共事業適用の際、全額国庫負担として財源は他の地方公共団体に影響を来さないように独自の財源を確保するということ、正月を前にしてこれらの点が町長、町議会の切実な要求として提起をされておるところでもあります。  国土庁に伺いたいんですが、政府災害対策本部取りまとめ役としてぜひこの点の前向きの検討と対策の樹立、実施要望したいと思うんですがいかがでございましょうか。
  5. 竹本直一

    説明員竹本直一君) お答えいたします。  まず、伊豆大島噴火におきましては、先生仰せのとおり、あすの夜から行われます全員帰島の安全かつ円滑な実施が行われるよう、また、帰島後におきます住民安全確保に万全を期しますとともに、公共土木施設農業中小企業等被害状況を的確に把握いたしまして、災害復旧事業早期実施被災者に対する金融措置等を、被害状況に応じまして適切かつ機動的に実施することを政府の先般の対策本部会議において決定したところでございます。また、乗馬組合筆先生仰せ就労対策等につきましても今後事態の推移を見ながら、また、関係住民の御希望等をお聞きいたしまして関係省庁において機動的に対応していくことといたしております。  なお、活動火山対策特別措置法に基づきます各種事業実施に当たりましては、この法律及び各事業に関する法令等の定めるところに従いまして、地方公共団体と国とが所定のそれぞれの負担割合により費用を負担することとなっております。
  6. 内藤功

    内藤功君 ぜひ今の要望の点について、政府対策本部で鋭意努力を続けられることを要望いたしまして、法案についての質問に入りたいと思います。  まず、この法案を見ますと、新しくできる行革審、以下私は新行革審、旧行革審と呼ばしていただきますが、旧行革審同様行政機関及び特殊法人運営状況を調査するかなり強い権限を持つものになっておりますが、審議機関に本来このような権限を持たせるのは、私は異例だと考えております。なぜこのような強い権限を引き続き付与しなければならないのか、この点の理由をまず御説明願いたいと思います。
  7. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) 仰せのとおり、新行革審調査権限を有するものであります。新行革審所掌事務そのもの臨調及び旧行革審答申等で提起されました課題につきましてフォローアップを行う、同時に、当時まだ具体性を欠くような問題につきまして、これは具体的な調査審議を行っていただくということを予定いたしておるわけでありまして、それを担保するために、審議会または審議会委員方々調査権限を持っていただくということはやはり必要な条件ではなかろうか、このように考えたわけであります。  なお、今までの前例について申し上げますと、行政改革関係審議会につきましては、臨調、旧行革審等を初めとしまして、やはりこうしたような調査会、または委員方々実地調査権限等を持っておるのが通例でありまして、今先生おっしゃいます強過ぎるのではないかという話は、これは当たらないのではなかろうか、従来の前例に徴しましても大体こういうふうな権限は持っていただいておるというのが例でございます。
  8. 内藤功

    内藤功君 次に、委員構成でありますが、財界OB代表あるいは官僚OB地方代表あるいは労働組合労働界代表あるいは学識経験者、こういう人が考えられるのでありましょうが、委員構成比率についてのお考えはどのように持っておられるのか。私の見るところ臨調、旧行革審、これはやはりその数からいっても発言の実質からいっても、財界代表の主導型ということはもう否めない事実であったと思うのであります。この点についてのお考えと、この発足時期がいろいろと論議をされておるようでありますが、これについてのお考えを伺っておきたいと思います。
  9. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) 旧行革審で今おっしゃったような構成になっておることは事実であります。また、臨調にあってもそうしたような構成になっておることは事実であります。しかし基本的に、臨調あるいは旧行革審、また今度の行審署につきまして、それぞれ法案の中に明記をしておりますように、行政の改善問題について有識の方に委員をお願いいたしておるということでございまして、そういう考え方については新行革審についても当然変わらないわけでございます。  それから発足時期につきましてでありますけれども、これはやはり法案成立し、それから委員国会承認をお願いをした上で発足をするわけでありまして、法案成立後、法律案の中にも書いてありますように、四カ月以内に諸般の準備を終えましてそこで発足をすると、こういう段取りになるわけであります。
  10. 内藤功

    内藤功君 具体的に何月ごろと考えておりますか。
  11. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) まだ法案成立も見ていないわけであります。それから委員の人選につきましても、かねてから長官から申し上げておりますように、まだ行っていない段階であります。したがって、今の段階でいつ発足をするということを申し上げる段階にないということを御理解いただきたいと思います。
  12. 内藤功

    内藤功君 行革国民的課題という言葉をよく聞くのでありますが、そうだとすると会議公開しないというのは、これは道理に合わないと私は思うのです。新行革審会議は依然として非公開ということを貫くのでしょうか。もしあなた方の言うような行革国民的課題だというのであれば、公開考え、むしろ公開原則とする、あるいは全部公開できなくても必要な部分について、基本的な部分について公開する、こういうお考えはこの際ないのかどうか。
  13. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) 議事公開の問題は、いわば議事運営の問題でございます。したがいまして、新しい審議会構成されました上で、その中で各委員間で御協議を願うという課題でございます。  そこで、先生の御質問の御趣旨は、臨調あるいは旧行革審にあって議事非公開であったではないかとこういうことではなかろうかと思います。大体通常の場合、審議会審議事項公開非公開の問題というのは、これはそれぞれの審議会設置目的や任務の性格、案件等に照らしましてどのような運営方法が最も適当であるかという観点から、その審議会みずからがお決めになるという事柄であろうと思います。臨調、旧行革審におきましてはやはり行政改革というのを課題としておったと、それだけに、関係者も非常に多いということから、第一回のそれぞれの会合にありまして、各委員が自己の識見に基づき何ものにもとらわれない自由濶達な議論を交わし公正中立審議を行うという観点から、原則として議事非公開とするというふうに定められたものと承知をいたしております。  ただし、おっしゃいますように、やはり審議内容についてこれは当然国民皆さん方承知をしていただいておく必要があるということから、それぞれの審議会開催の都度ないしそのもとに部会、小委員会が行われておったわけでありますけれども、その開催の都度その議事の概要については委員部会長あるいは事務局から大筋についてお話をしていくということが当時の姿でありまして、今後の新行革審につきましても議事運営方法は、先ほど申しましたように、審議会発足後これは審議会自体においてお決めいただくことでありますけれども、少なくとも議事大筋についてそれぞれのときに説明をするというふうなことは私は必要ではなかろうかと、そのように考えておるわけであります。
  14. 内藤功

    内藤功君 それぞれ各界で発言力のある、またそれなりの考えを持って発言している人ですから、それが表に出たからどうのこうのということを考え人たちでは私はないと思うんです。特に国民主権者であり、国会はその主権者の権力を行使する最高機関であり、そこに明らかにしないというのは、私は前から非常に不思議なことだと思っておりました。  関連して聞きますが、臨調、旧行革審議事録の主要なものをこの際これを公開すべきじゃないかと思うんです。もし今あなたが言われたような配慮が必要ならば、発言者氏名を伏せて発表するという方法も私はあると思うんですが、その点についてのお考えはいかがですか。
  15. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) やはり行政改革というものは、それぞれの関係者から大変大きな関心を持って見られている事項であろうと思うわけであります。それだけに、事と次第によれば利害関係者というのは、いろいろとこれにつきまして御批判をなさったりあるいはいろいろな意味での御論議をなさるわけであります。臨調、旧行革審にあってもその事柄論議の都度、例えば電報が送られたりあるいははがきが行ったり来たり、その他直接の陳情その他も委員さんに対してあったように承っておるわけであります。  先ほども申し上げましたように、委員何ものにもとらわれずに自由濶達立場でもって御論議をいただくというのについては、やはりそれ相応の環境というのはこれはつくる必要があるわけであります。そういう意味において、発言者といいますか、それぞれの氏名を明らかにするということは、これは差しさわりがある場合かないではないという意味で、今まで発言者のお名前については臨調あるいは旧行革審にあってそれぞれ伏せておいた、そのかわりに議事の太筋については大体プレスに対しても説明をしておったと、そうしたような運営を行っておったというふうに私ども承知しており、これはまことに事柄の性質上適当なものではなかったかと、このように考えておるわけであります。
  16. 内藤功

    内藤功君 国民生活にもかかわる重大な問題が今の一連答弁でまさに密室協議で行われていると、またこれからも行われるという印象を強くした次第であります。  次に、さまざまな名目による企業献金、これは私は現在のいろいろな意味の汚職、腐敗、利権と浪費あるいは放漫という問題の原因の一つをなしているというふうに理解をしているわけです。臨調、旧行革審はこれにどんなふうなメスを入れてきたか、また、これからどういうふうにこういう問題に対処していこうとするのか、私は国民の中でこういう声はかなり強いと思うんですね。それから、関連をしていわゆる高級官僚特殊法人に対する天下りあるいは渡り鳥、こういうようなことを言われるこの人事、これにも十分なメスを入れないままで来たんじゃないか。新行革審というものになった場合に新しい考え方があるのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  17. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) この法案にも明確に示しておりますように、この新行革審所掌事務の範囲というのは、臨調及び旧行革審答申ないし意見が出ましたものについて、さらにこのフォローアップ並びに具体化を要する事項についての御審議をいただくということを予定しているわけであります。  そこで、今おっしゃいました企業献金等の話につきましては、これは行政という話ではまずないんだろう、こう思います。  それから、いわば特殊法人についてのいわゆる高級官僚天下りその他の一連の従来御批判をいただいておる問題につきましては、これは特殊法人活性化の問題として臨調、旧行革審にあってもこれは答申が出ているわけであります。そういう問題につきましては、さらに具体化を要する話であれば、これはさらに御審議をいただくという話になろうと思います。
  18. 内藤功

    内藤功君 天下りの問題ではこれはもう繰り返して私は言っているんですが、たしか昭和五十二年十二月の閣議決定というのが始まりで、昭和五十六年十二月二十八日まで一連のこの閣議決定了解事項は続いているんですね。第二次の臨調は五十八年の三月十四日に最終答申天下り規制については、既往の閣議決定等を厳守すると答申しております。例えば今までの閣議決定は、常勤役員は全法人の総数の半数以内にするとか、いわゆるたらい回しは真にやむを得ない例外については一回限りとする、その他在職期間、年齢、さらに常勤役員の定数の縮減計画をつくるということを言っておるんですが、実際これを調べてみると、天下りは全体の今六割を超えておりますが、千人未満の法人は七割を超えています。役員全員天下り法人は二十七法人あります。いわゆる渡り鳥という方は、例外規定の真にやむを得ない場合一回に限るというのを、逆にこれが原則になったようです。一回だけは認められるというふうに解釈しているように思うんですね。閣議決定というのはほご同然じゃありませんか。  この行革というのは一方で国民生活に犠牲を大変強いるわけですからね。そうして一部のこういう官僚の方には甘い。なぜもっとメスを入れないか、閣議決定自体が守れないという問題が私はあろうかと思います。あなたの答弁は非常に私は不十分だと思いますよ。
  19. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) 特殊法人役員構成の問題は、これは内閣人事課においてそれぞれチェックをしておられる課題でございます。ただ、これにつきまして、私ども承っているところでは、内閣人事課にありましてもこれはできるだけ守っていくんだというふうなことで大変御努 力を願っておるというふうに承っております。
  20. 内藤功

    内藤功君 委員会の有力なメンバーである瀬島龍三氏は九月の雑誌エコノミスト誌上で、臨調、旧行革審改革課題として約二千三百項目を掲げたけれども、大体実施済みのものが約六百項目、今実施中のものが約八百項目、残りの約九百項目は未実施のままになっていると、こう述べております。また、中曽根総理はいろんな機会に、この行革をなし遂げるには三内閣十年かかる、というようなことも言っております。臨調、旧行革審答申意見実施状況は今どのような段階にあるか。抽象的なお話はたびたび出ておりますが、数字的にどういう段階にあるのかということをお示しいただきたいと思います。
  21. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) 今お話し瀬島龍三氏がエコノミストで話しておられる話というのは、これは御承知のとおり、瀬島龍三氏は臨調、旧行革審の大変有能なる委員のお一人であったということでございまして、これはそういう立場から大体の感じお話しになったものだと思います。  ただ、その基礎としまして、臨調事務局それから旧行革審事務局において、臨調答申事項を細目べースでもって計算をいたしまして、これが千三百五十であったというふうなことをいつぞや話したことがある、外部に対して知らしたことがあるというふうなことは承っておるわけであります。そこで、瀬島龍三氏もそうしたような臨調、旧行革審事務局数字、それからその他御自分の御体験から大体の感じお話しになったものだと思います。  ただ、私ども総務庁においてそのトータル数字を全部計算したかといいますと、必ずしも計算はしていないわけであります。したがって、私どもとして責任を持って数字答弁できる立場にはないわけでありますけれども、御承知のとおり、この六月の十日に出ました旧行革審最終答申でも、今行政改革実施状況はなお道半ばであるというふうに言っておられるわけでありまして、私どもとしては、なお道半ばであるというふうな考え方でもって行政改革の諸問題に対して対処しておるところであります。
  22. 内藤功

    内藤功君 臨調では経済計画、財政計画、国土開発計画、あるいは防衛力整備計画などの中長期計画を総合調整、企画決定するための国策決定機関として総理直属の総合企画会議というものをうたっておりましたが、この新行革審発足に当たって、政府としてはさらにこの発足考えるのかどうかという点を伺いたいと思います。
  23. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) 仰せのとおり、臨調最終答申におきましては、政府計画の総合調整機能の充実等のために総合企画機能を強化する必要があるとして長期的、総合的観点からの政策運営の基本的事項論議するための総合企画会議について提言が行われているわけであります。政府としましてはこれを受けまして、昭和五十八年の新行革大綱において「経済計画、国土計画等各種行政計画の立案に当たって関係機関相互の連携を密にする等その調整の円滑化を図る」ために「必要に応じ関係審議会の会長等からなる懇談の場を設ける」と閣議決定をいたしたところであります。  これにつきまして、さらに六十年七月の二十二日の行革審答申においても「「総合企画会議」が意図した機能は、必要に応じ、主要審議会の会長の会合によって行わせる」ということを言っておられまして、政府といたしましては今後とも必要と認められる事態が生じた場合には、適宜そういうふうな考え方によって対処していく方針でございます。
  24. 内藤功

    内藤功君 安全保障会議の問題です。この会議はこれまで何を議題に、何回ぐらい開いているか、議員以外にどういう方が出席をしておるか、この点を伺いたいと思います。
  25. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  七月一日に発足をいたしましてから、懇談会を含めまして三回。議題は、防衛白書、それから八月に決まりました六十二年度防衛予算概算要求の主要課項等。それから出席者でございますが、御承知のように、今度の改正によりまして旧国防会議時代にはメンバーでなかった官房長官国家公安委員長が入られまして、それが正規の議員となられましたが、今のお尋ねの正規の議員以外の出席者ということに関しましては、防衛白書の審議に際しましては防衛事務次官、統幕議長、それから官房長が出席をいたしました。主要事項、予算関係の問題につきましては事務次官、統墓議長、そうして防衛局長が出席をいたしております。
  26. 内藤功

    内藤功君 この安全保障会議設置法の論議でも出ておったんですが、いわゆる有事法令の研究、このうちの第三分類、これの研究に今安全保障室としては着手をしておりますか、どうですか。
  27. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  当委員会におきましても法案審議の際にこの問題の御質問がございまして、官房長官かこういう問題はどこもやらないということであれば内閣官房がやるべきだろうと、その場合は、安全保障室というのがその法案がもしも認められてできますれば、この安全保障室をして調整をさせ勉強をさせるべきだろうと、こういう御答弁を申し上げておるところでございます。七月一日発足以後、防衛庁におきましてもこのいわゆる第三分類の勉強を防衛庁内部において行っておると承知をいたしております。  内閣安全保障室につきましては、実は国防会議時代、有事法制に関しては国防会議はノータッチでございまして、いわゆる防衛庁所管の法令に関する第一分類、防衛庁以外の他省庁の所管するところの第二分類、この問題についても全く研究をいたしておりませんでしたので、第一分類、第二分類を含めまして有事法制というものはどういうものかという勉強を防衛庁からいろいろヒアリングをする等、現在二回ほど実施をいたしておるところでございます。
  28. 内藤功

    内藤功君 安全保障室でいわゆるハイジャックについてのマニュアル作成というものを行っているという報道がございましたが、この現在進めているマニュアルの作成はどんなもので、その作業はどんな段階にあるかをお示しいただきたい。
  29. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  今回の改正によりまして旧国防会議の国防事項に関する機能に加えまして、いわゆる国の安危にかかわる重大緊急事態対処、これが新設の安全保障会議の任務と相なり、また、その担当は内閣安全保障室と、こういうことに相なったわけでございます。  この国の安全に重大な影響のある「緊急重大事態」とは何かという事例といたしましては、法案審議の際にダッカハイジャックのごときハイジャック事件、それから大韓航空機撃墜事件、ミグ25亡命事件、それから関東大震災規模の大災害、こういうような御答弁を申し上げているところでございまして、この新たに加わった重大緊急事態対処要領の担当を安全保障室が命ぜられましたので、七月以来、既にハイジャックの問題につきましては五十四年に対策本部というシステムが閣議でもって決まっておりますが、それの細かいところが詰まっておりませんでしたので、ハイジャックに対する対処要領を優先課題として取り組み、これはこの十一月ほぼ取りまとめを終えたところでございます。  なお、ミグ25事件あるいは大韓航空機事件等につきましても、これに対処するにはどうしたらいいか、当時どんな問題点があったか、こういう点を現在研究をしておると、こういう段階でございます。
  30. 内藤功

    内藤功君 大規模な災害対策、それから首相官邸の情報システム、こういった問題は研究していますか。
  31. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  先生承知のとおり、自然災害は災害対策基本法等を所管いたしております国土庁の所管でございまして、国土庁関係十九省庁等とこれに対する対策をやっておるということでございまして、内閣安全保障室はこれについて直ちに対処を求められるという性格のものではございません。法案審議の際にも問題になりましたように、現行の制度でもって対処できる問題についてはそのままでよろしいと、どこも担当が決まっていない問題あるいは非常に重大な問題で関係省庁が多数に及び調整を要し、内閣官房の調整を行う必要があると、こういう段階に達したときに内閣安全保障室が機能するわけでございます。  したがいまして、現時点まだ発足後間もないものでございますから、とりあえずハイジャックというのをやりまして、それから特殊重大国際事件というようなことで大韓航空、ミグ25等を扱い、震災は幸いにして国土庁を中心とするところの災対本部が十分機能いたしておりますので、これについても将来研究課題といたしたいと、かように考えております。  それから、官邸の建て直しの問題でございますが、これはまだ私どもの現実の課題とはなっておりません。
  32. 内藤功

    内藤功君 新しい行革審では防衛庁は聖域なのか、在日米軍駐留に伴う経費、いわゆる思いやり予算というのは聖域になるのか、あるいはこれにも遠慮なくメスを入れるというのが新しい行革審なのか、この点を伺いたいと思います。
  33. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) 繰り返しになりますけれども、新行革春は臨調それから旧行革審で出されました答申ないし意見について、それをフォローアップする、また、具体化を要する問題については具体化をする、こういうことでもってその所掌事務が定められておるわけであります。  そこで、かつての臨調では防衛につきましても、これは第三次答申でもって主要施策の一つとして論じておるわけであります。そういう意味で、防衛につきましても別に聖域だということでは全然なかったわけでありますし、今後ともそういうことではないというふうに考えております。
  34. 内藤功

    内藤功君 思いやり予算の問題に関連してですが、これは横田基地の中に約十万バレルのジェット燃料貯油施設を建設する計画があると聞いております。この内容について施設庁から御説明を願いたい。
  35. 岩見秀男

    政府委員(岩見秀男君) お答えいたします。  現在、横田飛行場におきまして老朽化の進んだ既存のタンク七基につきまして、安全という見地から提供施設整備によりまして改築工事を実施い,たしているわけであります。  工事の内容は、覆土式の貯油タンク一基、容量は一万五千九百キロリットル、昭和五十九年度に調査、設計を実施し、昭和六十二年度に完成の予定でございます。六十一年度までに約三億円を要しております。六十二年度以降につきましては一部契約もございますので、金額につきましては公表を差し控えさしていただきたいというふうに思います。
  36. 内藤功

    内藤功君 この工事予算は日本側の負担になるんですか。
  37. 岩見秀男

    政府委員(岩見秀男君) 提供施設整備費ということで日本側の負担でございます。
  38. 内藤功

    内藤功君 これはアメリカの国防総省の八七会計年度軍事建設計画の中にこれに該当する部分があるんですが、これは外務省ですか。これとの関連はどうなりますか。
  39. 岡本行夫

    説明員(岡本行夫君) ただいま御指摘の八七米会計年度軍事建設計画の中で横田の貯油施設の不足を補うためのジェット燃料貯蔵施設建設計画の予算計画がなされたことは承知しておりますが、これはその後、米政府要求にもかかわらず、議会で認められなかったものと承知しております。
  40. 内藤功

    内藤功君 私は大きな関係があると思うのは、この米国防総省の建設計画によると、横田基地のジェット燃料貯油能力は従来十五万バレルあるけれども、非常時の作戦行動を支えるには二十五万バレルが必要である。この差十万バレルの補給を可能にする建設を八七年一月に着工するとしている。これは明らかにこの横田基地の問題を指摘しているというふうに思うわけです。とにかくこの地位協定二十四条、これはもうどういうふうに条文を解釈しても、米軍の施設区域、それから路線というものについての提供とそれについての補償というものを限度にしているのであって、今日このようにもうこれが拡大されているということは非常なやっぱり問題だ。私は、これを抜きにしてのむだ遣いについての国民の疑惑というものは、解消しないというふうに思っております。  そこで次の質問は、神奈川県の厚木基地で訓練中のミッドウェーの艦載機A6イントルーダーという攻撃機が、離陸に失敗をして滑走路をオーバーランしてフェンスの手前で標識にぶつかった。これは近くに県道がありますから自動車が走っておりますので、もしこれ万一のことがあったならば大惨事になる寸前であった。地元の方々は、非常にこれを心配をしておるわけであります。この状況及びこの種の事故が起きないような再発防止の方策というものについて、どう考えておるかという点を伺いたい。
  41. 岡本行夫

    説明員(岡本行夫君) 現在のところ、米側の発表によりますと、四日午後七時四十分ごろに厚木飛行場におきまして、米海軍所属のジェット航空機A6イントルーダーが離陸に失敗いたしまして、その際、機体等に損傷を受けまして乗員二名のうち一名が負傷したということでございます。そのほかの人身被害事故はございません。また、施設区域外への損害もございません。現在米側において事故の調査に当たっているところでございます。  私どもといたしましては、もちろん事故というようなものがあってはならないと考えておることは当然でございまして、従来から累次の機会に米側に対しまして、安保条約のもとでの活動に際しましては安全の確保に最大限の配慮を払うよう求めてきたところでございます。今後とも、私どもとしてはその方針で対処してまいるつもりでございます。
  42. 内藤功

    内藤功君 報道によりますと、アメリカ国防総省の日本課長アワー氏は、アメリカの有力な環境保護団体である環境防衛財団の代表の方に対して、アメリカの空母艦載機のNLP訓練場の三宅島移転の要求は、厚木での午後十時までという制限に米軍が不満を持ったということが原因だと語った、と伝えられております。私はこの言葉は非常に本音であって、三宅島でのNLP訓練場のねらいというものが夜間無制限に訓練を行うということにあるということが、この話で非常に私ははっきり出ていると思うんです。 さらにアワー氏は、このまま反対が続けば三宅島へのNLP建設を強行できなくなるかもしれない、日本政府も事を進めることは難しいだろうと述べた、と報道されておるのであります。  一月に安保事務レベル協議というものが行われるようでありますけれども防衛庁、この点についての御認識、これをどういうふうに持っておられるか、伺いたいと思うのです。
  43. 岩見秀男

    政府委員(岩見秀男君) 先生のただいまのお話しになりましたそのアワー氏の発言につきましては、新聞等でちょっと拝見しただけでありまして、内容が事実であるかどうか施設庁としては確認をいたしておりません。  三宅島におきますNLPの訓練は我が国の安全にとって大変必要なことでございまして、これはぜひとも行いたいと思っております。実施の具体的な条件につきましては、今後米側と詰めていく問題であろうというふうに考えております。
  44. 内藤功

    内藤功君 これは今まで米側の発言の中で一番重大なことだと思うんです。よくこれは調べてもらいたい。この日本課長の任務は、国防総省の中で非常に重要だと私は思うんですね。私も国防総省の前任者に一遍会ったことがありますが、日本の基地問題について国防総省でやっぱり実務の中心だと思うんですね、この人の発言です。しかも、この人はたしか海軍軍人の資格を持っている人であります。そして非常な日本通です、このアワーという人は。しかもこれは、その財団のマイケル・ビーンという人に話をしたそのメモですね。それを平和運動家のシドニー・ペックという人が日本の関係者に送ってきた、こういうものであります、ここにありますけれども。これは非常に重大な問題であって、もしこれが事実とすれば、これは今まで防衛庁は夜間だけ、しかも限ら れた時間ですということを島民に宣伝してきましたが、この根拠が崩れてしまうことになるんです。  私はたびたび言っておりますが、この安保事務レベル協議その他でアメリカ当局者に皆さん方は率直に言ったらどうですか、着艦訓練艦あるいは操縦員練習艦というのをつくって、それを使用して着艦訓練をするように勧めたことは今までありますか。アメリカの海軍は第二次大戦後にこの方策を一時とって訓練をしているはずであります。どうですか。
  45. 岩見秀男

    政府委員(岩見秀男君) NLPの訓練飛行場がどのような形であったらよろしいかということにつきましては、私どもも従来から研究をしてまいっておるところであります。  その結果、いろいろな案もございますが、米側の要求は、陸上におきまして操縦士が休養した後、飛行するに必要な訓練を行うということを要望しているわけでございます。したがいまして、ただいま先生の御指摘があったような訓練艦をつくるというふうな話は米側の希望でもなく、かつ私どももそのような要請はいたしておりません。
  46. 内藤功

    内藤功君 そういう方法があるじゃないかという提案をしたことがあるかというのですよ。休養が目的じゃないでしょう、訓練でしょう。私は、これはやっぱり今までの米海軍の状況ども調べて、それを資料にして堂々と提起をしたらどうですかということを申し上げておきたいと思うんですね。  最後に、防衛庁の行革に関連しまして、ことしの九月に非常な多くの事故が相次いだわけですよ。特にこれは航空自衛隊が集中しております。時間の関係で、百里のミサイル暴発事故、それから新田原のいわゆる墜落事故、特にこの百里の事故はもしこれが民間航空と一緒の基地で起きたならば、これは大変な大惨事になるところでありました。それから、新田原の事故はなぜ海上で訓練中の飛行機を人家密集の基地周辺に誘導してきたか、こういう問題が大きなやっぱり疑問点であります。その他、千歳空港における二度にわたるパンク事故というのも非常に異例なことであります。そこへもってきて、高級飛行クラブと称されているのですけれども、祝賀会に飛行機を使って集まってくる、まさに国民の目から見ると言語道断なことが続いた。  私は、この背景と、それからこの原因と、航空自衛隊自身の持っている体質というものも一つの原因ではないかと思うんですね。こういった点について、防衛庁のまとめての御見解を伺っておきたいと思います。
  47. 依田智治

    政府委員(依田智治君) お答えいたします。  先生御指摘のように、本年後半航空関係の事故が多発いたしまして、大変国民の皆様にも不安を与え、まことに申しわけないことだというふうに考えております。ただ、やはり国の防衛のために航空機を運航するということは、私が申すまでもなく大変重要なことでございますので、そのためには平素徹底した教育訓練を実施する、これもまた必要なことでございます。  そこで、今回どういうわけで起こったか、それぞれの事故につきましては、それぞれ事故防止対策委員会を航空幕僚監部の中に設けまして、徹底して原因を調査し、もう半数程度のものにつきましては原因を解明しまして各隊の方に徹底しておるのでございますが、先生御指摘のように、全体的見地から総合的にどういう問題があるんだろうかというようなことで、事務次官を長とする航空関係事故防止対策委員会というものも九月の時点で防衛庁の中に設置しまして、三十年来起きた過去の事故を徹底してあらゆる面から分析してみました。  その結果、やはりいろいろの航空機の事故には装備面のふぐあい、それから運用面のふぐあい、特に運用面というものが非常に重要なことであって、一回対策を講じてもその次にちょっとたつとそういうものはやや忘れられがちのものであるというような点、そういう面が非常に難しいというような点が判明いたしましたので、先般十一月十七日から、この間十六日で終了したんですが、一カ月間全陸海空の自衛隊で一線の航空関係につきまして安全点検を総合的に実施したところでございます。それに基づきまして現在各幕僚監部で一線の報告を徴し、この中からまた何か特に対策を打つものがあれば講ずるということで今それを実施しているところでございます。  なお、先生御指摘のミサイル事故につきましては、アンビリカルケーブルのふぐあいということが判明しましたので、これにつきまして、すべて定期点検等の際に今後確実にふぐあいがあるかどうか点検するということ、また、逆流防止のダイオードというものもランチャーあたりに設置してフェールセーフ機能を強化するというような措置もそれぞれ講じておるわけでございます。  いずれにしましても、安全に航空機を飛行させて国の安全を守るのは当然のことでございますし、国民の信頼に大変つながる重要なことでございますので、防衛庁といたしましても今後万全の措置をとるべく鋭意努力してまいる所存でございます。
  48. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 最初に、総務庁の方にこの法案の立法精神とも言うべきことについてお聞きをしていきたいんです。  かつて中曽根総理からは、行政改革に政治生命をかけるということをよく私どもは聞かされたわけです。その中曽根内閣は、旧行革審の期限が六月二十七日になれば切れるということは、これはもう前からわかっておったはずです。本来ならば、期限が来たらそれをさらに三年間なら三年間継続して、この審議会を続けさせてくださいと言って、一行何するような修正提案をすればそれで事足りたわけなんです。それを六月二十七日に期限が来るのをわかっていながら、そのまま失効させてしまって、それで改めて今度こういうぐあいでもって、わずか四カ月後にここで提案をしているわけなんです。内容からいくならば、そのままじゃ格好が悪いから、事務局のところをちょっと変えたぐらいに手を入れているんですけれども長官も言われておるとおりに、行政改革はもう長期的に、いつかも長官はもう永久に続くというぐらいのことをここで答弁された。そういうものだと思うんです。  したがって、余り難しいことではないし、三年間の期限が来るのはわかっておったんだから、その前に何でさらに継続してこれをやらせてくださいという提案の仕方をしないで、こういうふうな新規巻き直しの提案になったか、そこからお聞きをしたいんです。
  49. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) 今の御質問は、この法案の提出に至った経緯の問題でございますけれども政府は、今柳澤先生がおっしゃいましたように、行政改革を国政上の重要な課題の一つとして位置づけて、今まで努力をしてまいっておるわけであります。  ところで、この法案につきまして、行革審の設置期限が六月二十七日であるということについてはもちろん承知をいたしておったわけでありますけれども、その後の推進体制の問題につきましては、行革審そのものの御論議に期待をいたしておったわけであります。たまたま行革審内部での今後の行革体制のあり方につきましての御論議がなかなか詰まらなかったという面がありまして、おっしゃいますように、それで最終答申が六月十日に出たわけであります。  政府といたしましては、そういう経緯もありますので、その答申をいただいた上でいろいろと検討を加えたということでありまして、その検討結果によりまして、今回法案を提出いたしたわけであります。おっしゃいますように、たまたま、六月十日の時点ではもう前国会は終わっておったわけでありまして、継続のお願いをする余裕はなかったというふうなことがあるわけでございます。
  50. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 局長、別に私は深入りしてこれを突っ込むつもりはないからあれだけれども、ただ、六月十日に答申をもらって何したら、もう国会が閉じておったと、それは言いわけにならない。半年前だって別に構わないことなんであって、通常国会かなんかにおやりになっておくべきことだったんです。だから、むしろその辺は余り理屈を並べないで、解散なんてあんなごたごたしなければ、もうちょっとそういうことをお考えになったと思うくらいで、この次だって、この新行革審が三年後になれば最後に総まとめを答申すると思うんです。だから、その答申を見て、まだ続けた方がいいと言うから、それじゃ続けますとか、そんなものではないはずであって、ですから、今後そういう点は御注意をして、やはり長期に行革を進めなきゃいけないんですから、そういう点では御理解をいただきたいと思います。  で、今言われた六月十日の答申は大変膨大なものなんだけれども、この冒頭の方で、「行政の新しい役割」と題して、「行政の果たすべき役割は、時代とともに変化していく。」といろいろずっと書いて、それはお読みでおわかりだと思うんですが、その締めくくりみたいな意味でここへ五点挙げているんです。  一つが、「民間に対する指導・規制・保護に重点を置いていた行政から、民間の活力を基本として、その方向づけ・調整・補完に重点を置く行政への移行、」、二点目が「政府直営事業のうち、民間部門の発達により自立的、企業的に行うことが適切となった事業についての民営化、」、三点目が「画一性を重視する行政から、それぞれの地域や部門の実情に応じた多様性とゆとりを認める行政への移行、」、四点目が「権限の集中を改めて、地方への分権化の重視、」それから五点目が「対外政策面での受身の姿勢を改めて、より積極的な対応への転換、」こういろいろある。ここのところで一つの考えを集結させているんだけれども、これを一つ一つ細かくではなくて、そういうものを全部お受けいただいた上でもって、皆さん方がどういう御判断、御見解をお持ちになったかということをちょっとお聞きしたいんです。
  51. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) 今おっしゃいましたこの答申の趣旨というのは、これは臨調、旧行革審を通じまして一つの基本理念であったと思います。それがやはり二十一世紀に向けての中長期的な行政のあり方であろうと見ておるわけであります。  そういう意味で、臨調、旧行革審それから来るべき新行革審、これを通じまして、いろいろと有識の方々に御指導をいただきながら、今後ともそういう方向でもって行政改革を進めてまいりたい、このように考えているわけでございます。
  52. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 いや、その先を言ってくれなきゃ困るんです。おっしゃるとおりに、これはもう臨調以来の基本的な姿勢ですよ。それを第二臨調から受けて、そうして行革審ができて、行革審でも一区切りかついたときに一つのそういうふうなものを答申されたわけですよ。だからそれを受けまして、私たちはかく考える、さらに今後も続けて行革を進めなきゃいけないんですという意味で、そこのところは、だから今言われたことの先を局長はちゃんと受けとめて物を言っていただかないと、そこまではもうわかっていることなんだから。
  53. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) 旧行革審最終答申行政改革は「道半ば」である、こういうことを言われておるわけであります。その御趣旨を体して、私どもとしてはさらに行政改革を進めなきゃならない。その場合の物の考え方は、おっしゃいますように「活力ある福祉社会の建設」と、それから「国際社会に対する積極的貢献」であろうと思います。そういう意味で、その具体化が今おっしゃった諸般の課題であるわけであります。  具体的に若干申しますと、まず、五つの項目が基本的な精神として旧行革審最終答申で出されておるわけでありますけれども、まず一つは、民間活力を発揮させる方向での規制緩和ということは、これは今後とも非常に重要な問題であろうと思います。それから二番目の政府直営事業の見直し、これも大変重要な課題であると思います。それから三番目の地域や部門の実情に応じた多様性とゆとりを認める行政への移行、これも大変重要な課題でありまして、私どもとしては、機関委任事務の整理というようなことをこの前お願いいたしたわけでありますけれども、今後とも、国、地方を通じてのいわば行政の分権化、こうしたものについていろいろと考えてまいりたいと思います。それから四番目の、いわば地方への分権化の重視、これは今申したとおりであります。それから五番目の対外政策面でのより積極的な対応への転換、これは臨調でも、御承知のように、例えば対外政策につきましていろんな論議をやっているわけでございまして、私どもはそれを受けまして、さらにそういう方向でもってこれを進めていかなければならぬ、このように考えているわけであります。  今後とも、「道半ば」であるというその御指摘に沿って行政改革を進めてまいりたい、このように考えている次第であります。
  54. 玉置和郎

    ○国務大臣(玉置和郎君) 先生のおっしゃられることはよくわかります。今までは、今管理局長がお答えしましたが、言うならば行革の理念をお示しいただいて、最後、五つに絞ってこういう御答申をいただいたわけです。いよいよこれを実行に移して、具体化をして、なるほどこうなったのだなという実績を国民の前に明らかにしなきゃいかぬ。今までの行革審臨調先生方、本当によくやっていただきましたが、やはりこの辺で人心を新たに行革に引きつけて、そしてやはり行革というのは必要なんだな、これだけの実績が上がってくるんだなというようなことで今お願いをしている新行革審があるんだと、私たちはこのように思っておりますので、御趣旨の点は十分踏まえて、しっかりやってまいりたいと思います。
  55. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 佐々木局長、これは重要なことです。重要なことだから行革審答申を出したので、その点についてどう受けとめましたかというのが私の質問です。それを今、佐々木局長はそこら辺のところを、いや、これは大変重要なことです、大変重要なことですということでは答弁にならないのであって、時間がもったいないし、お忙しい中を自治大臣においでいただいたので、そららの方に質問を移させていただきたいと思います。  大臣、御無理を申し上げまして申しわけございません。これから大蔵政務次官とお二人の方にいろいろとお聞きすることは、きょう初めてではなくて、もう何度も私が国会の中で取り上げてきたことなので、きょうは大臣の方からそういうことについて御見解をお聞きしたいなと思って、御無理を言って出席をしていただきましたことを本当に感謝いたします。  第一番目は、これは大蔵省の方が強く関係するのか、地方財政法の第十条の二の公共事業関係した補助金のことなんです。これを何とか合理化するお考えはありませんかということです。それで、私たち民社党の方は、これは前から陳情だ何だかんだ大変な労力を要しているのだからそんなことはやめて、第二交付税のようなものを決めて、それをそれぞれ地方自治体に、どういう算式にするかはさておいて、割り当ててそれぞれの地方自治体に使わせたらいいじゃないかといったような提案をしておるんです。数年前の予算委員会で私が言ったときにも、時の大蔵大臣はその辺を適当に茶化しての答弁で終わったから、それ以上突っ込んだってしようがないからやめておったんです。  これは五十九年十月に地方自治経営学会が調査したのでもそうなんです。自治体の職員がどのような事務で一番忙殺されているかということで幾つかの自治体を調べたわけです。そうしたら、国庫補助金の関連事務、申請書類づくりから、陳情したりなにしたり、最後の監査書類までという、それが一番の大変な仕事ですというのが都道府県レベルで四四・六%、それから市町村レベルが二四・九%、こういう統計の結果が出ておるんです。だから、どうして大蔵省はその辺を改革しようとしないのか、それからまた地方自治体を把握している自治省も、どうしてそういうことをもう少し取り上げて改革をしようということをお考えにならないかということをお聞きしたいのです。
  56. 葉梨信行

    ○国務大臣(葉梨信行君) 先生、今おっしゃいました地方財政法第十条の二項は、いわゆる公共事業関係の経費につきましては、国が全部または一部を負担する旨規定している条項でございます。  先生がただいま具体的に第二交付税とおっしゃいましたが、この公共事業関係の国の負担金を廃止して、これにかわる第二地方交付税とも言うべきものを創設してはどうか、こういう御提案であろうと思います。今その後につけ加えられたお話を伺いましても、御趣旨はよく理解できる、こう思いますけれども、ただ、国と地方の役割分担のあり方に関係するわけでございますし、同時に、国庫補助負担金制度の意義を大きく変革することにもなりますので、慎重に検討しなければならないと考えております。  なお、つけ加えて申しますと、地方の自主性とか自律性を高めるとともに国庫補助金制度の弊害を極力除去するためには、今後とも補助金の整理、合理化とか、あるいは手続の簡素化を積極的に推進していかなければならない、このように認識している次第でございます。
  57. 藤井孝男

    政府委員藤井孝男君) 先生承知のとおり、公共事業の各事業について、限られた財源国民経済的見地から効果的に活用するため、長期計画等に基づき各箇所ごとの優先度を勘案しながら個別に審査、実施していくことには十分な合理性があると考えております。したがいまして、一般的に公共事業実施に関しまして御指摘のありましたように、財源を一括いたしまして付与し、その使途を地方に任せることについてはやはり慎重な検討が必要であると考えておるわけであります。  さらに、先生御提案のありました第二交付税制度につきましても、これは先生考え方の一つとして御理解をいたしますけれども、第二交付税制度につきましては、国と地方の役割分担のあり方にかかわることでありますと同時に、国庫補助負担制度の意義を大きく変更することとなりますので、これまた慎重な検討が必要ではないかと考えておる次第であります。
  58. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 もちろん国のお金を使うんですから、慎重にしなくちゃいけないことだけれども、数年前予算委員会で私があるときに一つの県をかなり綿密に調査さしたんです。そうすると、最初に陳情に来て、それから何度も何度も足を運んで、一件落着して決まるまで平均九回なんですね。それで、どのくらいの旅費を使い、何をするかということなんですが、これは一つの県だけですからあれたけれども、それから全国的に類推をしていったならば、当時も約三兆円です、こちらの方のこの十条の二の方は。それで、それに三千億か四千億か、ともかく数千億のお金を使うんですね。そのことが、だから私はむだなことじゃないか。  これは都市経営総合研究所が調べたのですけれども、これは市町村で調べたら、現在の市町村を一番縛っておる最大のガンは何ですかという質問に答えたのは、「国庫補助金によるがんじがらめの干渉をやめてもらいたい」というのが八〇%あった。二、三これを調べた中から申し上げますと、公立文教施設整備費国庫負担金で、一つの事業のために十八回やっている。恐らくこの辺は一番多い。私が調べたときは約九回が平均の数字でした。それから、もうちょっと申し上げますと、文化庁が所管になるんですけれども、歴史民俗資料館建設費が二億五千万円に補助金がわずかに七百七十万円、その七百七十万円をもらうために、申請のための人件費が五十万円、旅費が五十万円かかりました。さらには、これは文部省の方の就学援助費の中の医療費補助、補助金はたった五万円、それにかかった経費の方がはるかに多かったですと。  ですから、大蔵政務次官、お金ですからね、税金のむだ使いしちゃいかぬし、その点はこうやっていただかなきゃならないけれども、私が言いたいのは、そんなに何度も何度も、あるいは一度ぐらい来て、そして後は政府なら政府がそいつに補助金をおろすのかおろさないのか、何かそれは当然お決めにならなきゃいかぬからノーならノーとする、イエスならイエスとしてやる、イエスになったらそれはちゃんと何してやって、その行ったり来たりでのそういう意味での、いわゆる補助金をもらうためのその旅費のむだ、そういうものをなくなすことが行政改革で大事なことじゃないですか。どうしてそこのところをおやりいただけないんですかということで、もう一度御回答いただきたいんです。
  59. 藤井孝男

    政府委員藤井孝男君) 先生の御趣旨は十分理解をいたしております。今後ともこうしたことにつきましては、行政改革の理念に基づきまして、一層そのむだのないような効率的な行政が図れるように努力いたしたいと思います。
  60. 葉梨信行

    ○国務大臣(葉梨信行君) 先ほど最後に申し上げたような考え方で、地方の自主性、自律性を高めるような努力あるいは補助金の整理、合理化と手続の簡素化を積極的に進めていく、こういうことで、この制度の根幹はそのままといたしましても、なお工夫をする余地があろうかと、こう考えるわけでございます。  先生、三兆円ぐらいとおっしゃいました。今は二兆九千億ぐらいになっているようでございますが、数千億円の経費なんていうことはないんで、それは勘違いでいらっしゃると思います。経費がかかっていることは事実でございます。その経費をできるだけかけないようにする努力は当然中央官庁においても、地方庁においても、両方でしなければならないことであろうと、こう考えます。
  61. 玉置和郎

    ○国務大臣(玉置和郎君) 総務庁としては、この第二交付税の問題、これ各省庁なかなか反対が強うございますので、それだけに私は非常に難しいと、こう考えております。また、補助金事務手続の簡素化、これは本来、総務庁が各省にお願いをして御協力をいただきたいということでやっておるわけであります。しかし、なかなかうまく運びません。そこで、近く総点検を始めるつもりでおります。  先生、しかしもう一つ、これね、先生のところにも陳情たくさん来ると思うんですよ。我々のところにも来ますよ。民主政治というのは陳情が悪い、陳情が悪いと、確かに陳情が多過ぎるのはこれ悪いと思いますし、ましてや、各省庁が陳情に来い、陳情に来いと言うのはこれはもうもってのほかです。これはもってのほかですが、やっぱり政治家も人の子ですからね、もちまきと一緒でね、大きな声出すところへもちはばっと行くわけですよ。これは先生のところと同じですよ。やっぱり民社党を見ておったって同じで、そんなことがきかぬのは共産党だけでね、民意はなかなか反映しにくいですよ、この中だけだから。ほかはやっぱり各党は皆声の大きなところへ、おう頼む頼むとわっと来たら、私らもちまき好きでやりますが、そこへてぐみもちまいたり、大きなものをほうったりする。これらあたりの兼ね合いをどこに求めるかというのがやっぱり大事だと、こう思いますので、一概に陳情政治が絶対いかぬのだというふうにはとれないな、その辺の兼ね合いでしょうな。私の個人的な意見ですよ。前段は総務庁長官としての意見で、後半は政治家玉置和郎としての意見です。
  62. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 藤井政務次官、もう大蔵省の方は結構です。ただ、お願いしておきたいことは、今御答弁があったように真剣に取り組んでいただきたいと思うんです。  それから、自治大臣ね、数千億なんてそんなことありませんというのは、いかに自治省がこういうことについてお調べになっていないかという証拠のようなものですよ。それは件数がどのぐらいあるかと言ったら大変な数です。五百や千とかそんなものじゃないんです。全国の府県から市町村からの。それで私も先ほど言ったように、五年ほど前にやったときというのは、一つの県しか調べられないです。そこから類推していって、もちろん正確な数字じゃないけれども、大変なことだなと思うから取り上げて、それで一回本気になって各地方自治体にアンケートを出すなり何なりそういうことをしてお調べいただいて、そしてどう対処しなきゃならぬかということをお考えいただき たいと思います。  次には、これももう何度も申し上げていることですけれども地方公務員の給与が依然として高い。随分改善されていることも私は認めるわけなんです。ひところは一二七ぐらいがあったんですから、それがもう最近はなくなってきて、ですから改善されていることは認めるわけですけれども、まだラスパイレス指数で一一〇以上というところが幾つぐらいありますか。目ぼしいところがどことどこですかということの名前を挙げてお聞かせをいただきたいと思うんです。
  63. 柳克樹

    政府委員(柳克樹君) 地方公務員の給与のラスパイレス指数が一一〇以上の団体の数は二百三十二団体でございまして、六十年四月一日現在の数字でございますが、ラスパイレス指数が最も高い団体といいますのは大阪の堺市、一二二・九でございます。そのほか大阪の枚方、泉大津、八尾などがなお一二〇を超えておる団体でございます。
  64. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大臣、一二二というと、これ数字だけだとぴんとせぬけれども、金額に直したらどのぐらいになるかといって今度は事務当局にお聞きになっていただいて、それで国家公務員に比べて、何でそんなに高い給与をある地域だけもらうようなことを許しておいてよろしいかどうかということで、これも本気になってお取り組みをいただきたいと思うんです。  これも事務当局で答弁していただいていいんだけれども、大臣に聞いておいていただきたいのは、通勤手当、住宅手当、特殊勤務手当とか、いろいろそういう手当はラスパイレス指数に入ってないんですよ。それでおきながら、今度は労災とか年金とかそういうものを算定するときにはこの手当を入れて、そういう年金や何かのときには算定をしているんです。どうしてそういう矛盾したことをなさるんですか。
  65. 柳克樹

    政府委員(柳克樹君) 地方公務員の給与の問題は、ただいま先生おっしゃいましたように、非常に大きな問題でございまして、その際に基準として国家公務員給与を使っておる、これも先生承知のとおりでございます。その場合にやはり基本になる本俸、統計上の処理の問題もございまして、本俸でもって比較をすれば通常の団体におきます団体の指数というものはわかるであろう。  それから、ただいま御指摘の通勤手当、住居手当などにつきましては、幾ら通勤に要しておるかとか、あるいは住居に要しておるかといいますのはそれぞれの地域の実情もございまして、これでもって比較をするよりは、やはり基本的な給与のところで比較した方がいいんじゃないか、こういうことで行っておるわけでございます。  それから労災の場合には、ただいま御指摘のように、前三カ月の平均給与日額を算定の基礎にいたしておりまして、これは全体の給与水準というよりも、むしろ個々の職員にとっての稼得能力を補てんするという災害補償の全般の考え方に基づいて行っておるところでございます。もちろん、そのほか特殊勤務手当等で適切でないものがございまして、これについては私どもは鋭意指導し、改善方をさせておるところでございます。  なお、共済年金につきましては、これは給与が算定の基礎でございまして、その他の手当は入っておりません。
  66. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大臣、細かいこと言わぬから、不合理な点は改正しますということのお約束の御答弁いただけますか。
  67. 葉梨信行

    ○国務大臣(葉梨信行君) 先生からのお話を伺うまでもなく、自治省といたしましては地方公務員の給与の不合理な点はもう是正しようという努力をずっと続けてきているわけでございまして、カメの子の歩みといいますか、カメのようにのろのろとしておりますけれども、改善は進んでいる。しかし現状でいいかと言えばまだまだである。こういう認識をしておりまして、これからもそのような努力を続げていき、地方団体を指導してまいりたいと考えております。
  68. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 行政改革に本格的にお取り組みをいただいている今の御時世なんですから、カメの子の歩みじゃ困っちゃうんで、もうちょっとピッチを上げて改めるものは改める。それから、何というんですか、もう少し手当てをしてやらなきゃならないところは手当てをしてやると言って、そういうふうな改善をしていただかなきゃいけないと思いますから、これはぜひお願いしたいと思うんです。  同時に、もう一つ今度、これももう何年前になりましょうか、給与の問題で議論をして、それで地方公務員の給与というものはその地域住民の税金の負担で賄われているんだから、地域住民にちゃんとそれを公表しなくちゃいけないと言って、これは次官通達をお出しをいただいたんです。それをお決めいただくときにも、自分が今、年が何歳で、それでどこへ勤めて、勤続何年になって幾らの給料をもらっている、そうすると、自分と同じようなレベルの人が、自分が税金を納めておる市役所なら市役所におって、どの程度の給料になっておるかという、そういう比較ができるようなそういうもので公表してやってくださいよと言ったんです。ところが、そういう公表をしているところはごく一部なんです。あなたの退職金は平均幾らなんて、そんなものをなにしてやられたって住民にはわからないでしょう。ある市へ行きまして聞きましたら、いえ、ちゃんと次官通達で来ておりますから公表しておりますと言うから、それじゃこちらではどういう公表の仕方をしておりますかと聞いたら、住民代表は市会議員ですから、市会議員にデータを配付しておりますと。そんなもの、市会議員が一々住民に言うわけないんですから、次官通達のその公表せいという精神に反している。ですから、その辺で自治省として、あれから何年もたちましたんですから、全国の地方自治体からどういう公表の仕方をしているのか、恐らくそういう報告をさしたと思うんです。それで、今私が言ったというか、次官通達の精神に沿ったような公表の仕方をしているというのがどの程度あったのかということでお答えをいただきたいんです。
  69. 柳克樹

    政府委員(柳克樹君) ただいま御指摘のように、次官通達におきましては勤続年数等に応じて公表をするように指導をいたしております。現在、都道府県と指定都市につきましては、おおむねその次官通達の線に沿って公表してくれているものと考えております。  ただ、残念ながら市の中では、公表しておりますと言っておりますのは全体としまして九二・六%に上るわけでございますけれども、御指摘のような団体もあるわけでございまして、そういう省略項目などがあるというような団体につきましては、さらにこれを指導しなければいけないというふうに考えております。
  70. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 だから大臣、これも今言うとおり、いかに自治省がそういうことについてサボってお調べになってないか。九二・六%なんというのは、もう三、四年前のときにだんだん上がってきて八〇何%かになったんですから、それからまた進んで今ここへ来ているんで、この数字なんというのは私は聞いているんじゃないんです。現実に少なくても自分たちが次官通達出したんだから、全部報告をよこせと言って、そうして次官通達、今言われたような精神に沿って、滋賀県のどこかなんですが、今ちょっと名前思い出せないが、それはそこまでやらないでもいいじゃないかというくらいに忠実に自治省の通達どおりやっている。もう私が知る限りでは十とないですよ。あとは本当に適当にお茶を濁したような公表しかしてない。だからその辺のところを大臣どうですか。今までは自治省から通達を出しておいたってそれを適当にごまかされておったんですよ。そして、公表してますという返事だけ聞いて、それがトータルしたら今言うとおり九二・六だというだけのことなんです。内容は通達の精神に沿っていないんですから、その辺でもってこれはもうぜひ一度改めていかなきゃならぬ。やっぱり忠実にやらしていかなきゃならぬ。そういうことについて今後どういう処置なさるか、これ大臣の方から御返事をお聞きしたい。
  71. 葉梨信行

    ○国務大臣(葉梨信行君) ただいま先生からのお話も承りましたので、五十六年でございますか、そういう公表しなさいという通達がきちっと徹底するようにひとつ指示をしたいと思います。  当該地方公共団体給与水準、ラスパイレス指数が幾つあるか、例えばその県の平均が幾らある、最低が幾つで最高が幾つか、あるいはその町の民間給与の水準がどうかというような比較し、住民が議論ができるデータになるような、いろいろなそういう数字をできれば公表するように指示をしたいと思います。
  72. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 本当に大臣ぜひお願いしたいと思います。  それから、地方公務員の給与のそういうものを市会が取り上げて一生懸命になって是正しているところもあるんですよ。そこの市会議員なんかに聞くと、自分らが一生懸命やっているものだから逆に今度は、あの人だってこの人だって見たらちっともやっておりゃせんのに何でおれたちばかりいじめるんだと言って、そういうふうに忠実にそういうことをやっているところの市会議員なんかが今度は文句を食っているような状態にありますので、いいことやっておって文句を食っちゃいけませんで、これはぜひともそういう点でお取り組みをいただきたい。この点だけ御要望申し上げましてもう終わりたいと思いますので、本当にきょうはかなりお忙しいところ御無理言って出ていただいたことをお礼申し上げて終わります。どうぞお引き取りいただきたいと思います。  建設省の方、住宅・都市整備公団のことでお聞きするんですけれども、これは五年前ごろだと思うんですけれども、そのとき私が調べたときに、その公団の保有土地というのが未処分土地八千九百二十七ヘクタール、約二千七百万坪、その中で市街化調整区域いわゆる家も建てられない、売りたくたって売れないというような、そういう土地が千三百五十九ヘクタールで約四百万坪、これは長官、ついでだからそこで聞いていていただきたいことは、昭和四十年代の終わりごろのまだ高度成長で土地ブームみたいなときに、当時の住宅公団があっち行ったりこっち行ったり本当にもうむさぼるようにして土地を、当時は必要だったから、しかし今も言うとおり土地は買っちゃいましたが、そこへ行って住宅建てることもできませんわという土地をこんな四百万坪も持っちゃった。したがって今ここでお聞きするのは、あれからもう何年かたったので、今どのようにそれが改善されましたでしょうかということをまずぶ間さしたいと思います。
  73. 三本木健治

    説明員(三本木健治君) お答え申し上げます。  住宅・都市整備公団の保有土地につきましては、住宅建設部門と都市開発部門と両方あわせまして五十六年度末で九千三百八十ヘクタールございました。このうち市街化調整区域内におきましては千六百六十ヘクタールございました。昭和六十年度末におきましてはいわゆる保有土地、建設工事着手前の土地の保有状況は八千七百五十ヘクタールでございます。このうち市街化調整区域において保有しております土地は、五年前の約三分の一以下でございますが、五百ヘクタールでございます。この八千七百五十ヘクタールの保有土地につきましてはおおむね事業のめどが立ち、または事業着手済みでございまして、三地区まだ関係機関協議中のものがございますが、鋭意その協議を進めておるところでございます。三地区は約四百ヘクタールでございます。
  74. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 市街化調整区域の先ほど言った数字からいくと千ヘクタール以上の土地というのは、そうするとそれほどこかへ売ったんですか。市街化調整区域で一般の個人的な人たちだったら買うはずはないし、買ったってそれは家を建てられないのだから、そういうことになるとそれはどこへ売ったんですか。
  75. 三本木健治

    説明員(三本木健治君) お答えいたします。  市街化区域に編入されましたものも一部ございます。実態につきましては宅地開発課の方から実例を挙げてお答えいたします。
  76. 村瀬興一

    説明員(村瀬興一君) 先ほども答弁いたしましたように、かつてはかなりの数字が市街化調整区域内にあったわけでございますが、これは今申し上げましたように逐次減ってまいっております。これは今申し上げましたように、市街化区域に編入されまして手続を進めて事業に着手しているというものも相当ございます。  それから、調整区域に公団が買うということ自体の問題でございますが、これにつきましては、公団の特に私どもが担当しております宅地開発部門におきましては相当の面積の事業をやっておりますので、そういった相当まとまった土地を取得するという場合には、市街化区域内ではなかなかまとまった土地の取得ができないというふうなこともございまして、市街化調整区域内におきまして通地を選定いたしまして、関連公共事業等必要な事業を行いまして良好な宅地にするというようなことで事業をやっております。
  77. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 そこの続きはまた後に残しておいて。  もう一つ聞いておきたいのは、公団はことしの予算でも財投から八千四百九十三億借り入れているわけだけれども、今借入金の総額は幾らになっていますか。
  78. 三本木健治

    説明員(三本木健治君) お答え申し上げます。  六十年度末の借入金残高は十兆三千百六十九億円、そのうち財政投融資分が九兆三千四百三十六億円でございます。
  79. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 長官、これは答弁してくださいという意味じゃなくて聞いておいていただきたいことは、今言ったとおり借入金が十兆円からある。私が何年か前ですか取り上げたときは、さっきも言った四百万坪からの市街化調整区域を持っているころに、どうにもならない状態で、それでこんなことしておったら第二の国鉄になるよと言った。千葉の方なんかでもあのころは住宅は必要だったから建てた。マンションは建てたのだけれども下水道ができていない、それでマンションができてから下水道をやるといったら、その通り道の住民が反対をして下水道工事ができないから三年間か四年間ほったらかしになっている。それでやっと下水道ができて今度は入るということになったら、建てたまま三年も四年もほったらかすと、今度はもう建物がだめになってしまう。また改造しなくちゃいけないといって、大変なお金をかけた。横浜なんかには相当広範囲にこれはもう土地を手に入れてやろうとしておって、それで立ち退きをする人たちをみんな立ち退かしておいて、ここなんか十年間ぐらいほったらかしておいたんですよ。どうするんだといって随分国会でも私やったことあるんですけれども、今言うとおり、十兆円からの借入金、それからそれについての利子がどういう形になって、それで住宅都市整備公団の経理内容がどうなっているかと、これはもう何かのときに、長官、お聞きになっていただきたいと思うんですよ。  それで、きょうは建設大臣は体があれですから私もう結構ですので、実際の数字的なことはお聞きすりゃよろしいと言っておったんですけれども、伏魔殿みたいなもので、私がこれをやったときはまだ住宅公団だった。それで取り上げてがたがたやっていたら、急いで住宅都市整備公団に一緒にしてやってしまった。しかも東京都内あちこち住宅公団が住宅建てているんだけれども、あれにどれだけ国がお金を補助しているか。言うなら利子補給しているわけです。あの利子補給のお金だけでも、民間から比べたら、月に何千円からの家賃が安くなっていいほどの利子補給が国から出されている。民間の住宅建てるところは、そんなもの国から一銭ももらわないでもって、それで自前でもって土地をなにして建てて、それで住宅公団に負けないようにああやって賃貸でも住宅をつくっているわけなんです。  だから、そういう点できょうはもう時間がございませんから、公団の方から呼んでいませんし、何かの折のときに、直接関係はないけれども行政改革という意味でもって、総務庁長官にお願いしておきますから、一度メスを入れてお調べをいただきたい。そうしたら、長官のことだから、こんなあれがあったのかとびっくりなさるような内容ですからということで、そういうことをやっていただけるかどうかだけ聞いて、もう細かいことは結構ですから終わりますけれども
  80. 玉置和郎

    ○国務大臣(玉置和郎君) 恐らく衆参両院の中で住宅公団から立候補して当選したのは私一人だと思うんですよ。それだけに住宅公団のいいところもわかります。しかし、今お話を聞いておりますと、やはり総務庁として検討しなきゃならぬ問題が余りにも多過ぎるのじゃないかと、こう思いますので、御趣旨を踏まえてその線に沿って一回勉強してみたい、こう思います。
  81. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 終わります。
  82. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    午前十一時四十三分休憩      ─────・─────    午後二時開会
  83. 岩本政光

    委員長岩本政光君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、臨時行政改革推進審議会設置法案を議題といたします。  これより、内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  84. 野田哲

    ○野田哲君 まず、総理に行政改革に関連した幾つかの問題でお伺いする前に、総則と総務庁長官と当委員会で同席をされているところで、総務庁長官に一点お伺いをいたしたいと思います。  一九六五年、昭和四十年に、同和対策審議会答申は「同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、」「これを未解決に放置することは断じて許されないことであり、その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である」このように述べています。  この答申に基づきまして、一九六九年、昭和四十四年の同和対策事業特別措置法、そして引き続いて地域改善対策特別措置法によって、今日まで十八年間、同和対策事業は環境改善を中心にして大きな成果を上げてきております。しかし、来年の三日三十一日にこの地域改善対策特別措置法が期限切れを迎えている現在、このまま法律を打ち切ることはせっかくの今日までの成果が水泡に帰することにもなりかねない、そういう懸念を持つものであります。そして、今なお結婚とかあるいは就職の問題とか差別事件が相次いでおりますし、教育の分野でも解決しなければならない課題が数多く残されております。  先般、地域改善対策協議会も、引き続いて法的措置が必要なことを意見具申されている。このような経過にかんがみまして、差し迫っている昭和六十二年度における予算措置とあわせて、来年三月三十一日で期限切れになる地域改善対策特別措置法後の法的措置について、ぜひ適切な措置をとられるべきであると私ども考えておりますが、総務庁長官からこの点についての御所見を取りたいと思います。
  85. 玉置和郎

    ○国務大臣(玉置和郎君) 野田先生承知のように、この問題はなかなか難しい問題が幾つかあります。殊に昭和四十四年に始まりましてから十八年間、県それから市町村、もちろん国、これを含めますと大体七兆六千億ぐらいこの地域改善対策のために貴重な血税が割かれております。一件当たりにいたしますと大体二千三百万円ぐらい出されておるわけです。だから、十八年間やったので地域改善対策が大体行き届いてきたのではないだろうかという意見が党の中にも非常に多うございまして、この際、三月三十一日にシャッターがおりるのだから、シャッターをおろしたら、玉置君、余り力まぬで、まあほどほどにしておけよというのが大勢でございました。  しかし、中曽根総理の非常に深い御理解を得て、ようやく党の中でも、この新しい答申を受けて、厳しい中に、新立法を考えていかなきゃならぬなという考え方があります。しかし、党税調におきましても税制の問題、いわゆる納税の問題で、一般納税者と余りにも差がついておるというような問題については、善処をしなかった場合にはなかなか党税調としても通さぬぞというような意見が依然残っておりますが、これはきのうの話であります。  それだけに私は、この問題についても先生方の御協力を得ながら苦心を重ねておるところでありまして、ようやく総務庁を中心にしまして法務省、それに警察庁、この三機関が一つになって、えせ同和を排除するということで始まっておりますし、また、国税のことは私どもの方でも相談をしまして、一遍にはいきませんが、漸次いい方向に向かっておることは間違いありません。  こういう厳しい環境の中ですが、私は、生まれながらにして人口の三分の一が同和地域である御坊に住んでおります。そして兄貴が今、市長です。そういう諸般の情勢を考えましたときに、同和は同和なきを期すを理想とするというふうに考えまして、同和という名前がやはりいつの間にか消えていくような、そういう仕上げをしてみたいなと、こう考えておりまして、私自身は、総理、皆さん方の御協力を得ながら思い切ったものにしていきたいと、こう考えております。  私も、総務庁を首になる前の最後の仕事だと思っておりますので、一生懸命やりますから、どうかそのときには、やっぱり辛抱してもらうものは辛抱してもらう、そして協力してもらうものは協力してもらうということで、ぜひお願いを申し上げたいとこの機会にお願いをする次第です。
  86. 野田哲

    ○野田哲君 内容はともかくとして、前進をするような、新法の措置も含めてお考えになっておる、こういう理解でよろしゅうございますか。
  87. 玉置和郎

    ○国務大臣(玉置和郎君) とりあえず今やっておりますのは、各省の同和に名をかりて便乗しておった予算要求、これをようやくきのう、各省の縄張り根性を排して、そして大分削るものは削りました。大体の案ができ上がっておりまして、まだ総理、皆さんにも御報告しておりませんが、大体よくできておるな、こう思います。  大体、皆さん方にも御提示を申し上げて、そうしてこの辺のところで協力してほしいというふうなことで、それでないと概算要求だけでは皆さんがやっぱりなかなか承知しない。やっぱり削るものは削る、同和という名前に甘えてやっておったのではだめだということで削っておりますので、それでやっと予算編成の作業に間に合ったな、こう考えておりまして、そういうことでございますから、もう既に緒についております。  もう一回申しますが、厳しい答申でございます。あの答申を踏まえて必ず実現に向かって前進をいたしたい、このように思っております。
  88. 野田哲

    ○野田哲君 総理に御出席を願っておりますので、数点にわたりまして行政改革の今後の課題についてお伺いをいたしたいと思います。  まず、今審議をしております設置法、この第二条は、その所掌事務について、  臨時行政調査会の行った答申並びに臨時行政改革推進審議会の述べた意見及び行つた答申を受けて講ぜられる行政制度及び行政運営の改善に関する施策に係る重要事項について調査審議し、その結果に基づいて内閣総理大臣意見を述べるほか、内閣総理大臣の諮問に応じて答申する。 こういうふうに所掌事務がなっています。  この法案成立をして第二次臨時行政改革推進審議会発足をした場合に、総理大臣から具体的にこの二条の最後のところの「内閣総理大臣の諮問に応じて答申する。」というこの諮問すべき事項、特定の内容のものが構想としてあれば、この際、その内容を伺っておきたいと思います。
  89. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 新しくできまする審議会審議すべき事項は、委員会ができましてから委員の皆さんが自主的にお決めいただくのが適当であると考えております。したがいまして、政府が先にあれこれと申し上げることは適当でないと思いますし、いわんやまだ法案成立する前に申し上げることは差し控えた方がいいと思います。  しかし、この法案にもありますように、審議すべき事項は、いわゆる臨調、それから臨行審で今までカバーしてきた範囲、それからさらに、未来に向かって行政改革上なすべき諸般の措置等は含まれると思います。そういう意味におきまして、臨調あるいは臨行審あるいは今回の法律に基づきまして行うべき方向は大体において輪郭はあると思うんです。言いかえれば小さい政府と申しますか、効率的な政府によりまして、そしてできるだけ冗費を省いて国民の期待に沿うような行政を行っていく、そういうことが中心であると思います。そういう線に沿って政府及び政府関係機関及び地方公共団体等にも御協力を願って行うべきこと等が審議さるべきものになるであろうと考えております。
  90. 野田哲

    ○野田哲君 臨時行政調査会を設置されて以来、その基本方針として「増税なき財政再建」を政府に求めてきています。この「増税なき」ということについて総理はどういうふうに受けとめておられるのか。とりわけ今回の税制改革をやろうとしている段階で、「増税なき」ということは一体どういう意味であるのか。  政府税調を受けて自民党の税制調査会が取りまとめた税制改革案に見られる法人税は減税をやっていく、そして国民に対しては新型の間接税の導入、あるいはまた非課税貯蓄制度の廃止、こういう形で所得の多い人には割に手厚く、国民の多数を占める中産階級以下の国民に対しては所得税の減税とトータルをしてもむしろ逆に増税になる、こういうような調査結果が幾つも発表されているわけであります。結果的には、今度の税制改革を見ると法人に対しては減税、そして国民に対しては逆に増税、こういう傾向が非常に強くなってきている。そしてさらに、行政調査会答申では、増税にかわるものとして国民の負担はむしろ、福祉については受益者の負担を増大させていく、こういう方向が先に出されているわけであります。その方では年金の負担の増、そして医療制度についても健康保険料の負担の増、こういう形で着実に国民の負担がふやされてきている。  一体こういう状況の中で、総理としては「増税なき財政再建」というこの「増税なき」という言葉についてどういう物差しを持って考えておられるのか、まず、その基本的な考え方をお伺いいたしたいと思います。
  91. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 我々は臨調答申あるいは臨行審答申を尊重して行政を進め、行革を進めておる次第でございます。  臨調答申によりますと、「増税なき財政再建」という定義がございまして、それによりますれば、国民所得に対する国民負担率、これは税ももちろん入りますが、国民負担率というものは変わらないように、基本的にそれが変わらないように、そういうような措置は認められておる、こういう形になっております。  臨行審の答申におきましても、それを受けておりまして、それでその国民負担率というものが変わらないというような配慮を行いつつ、行う場合には新たな税目あるいは税率を設定してもそれは否定してはおらないと、認めておると、そういう臨行審の答申がございます。  そういうような考え方に従いまして、いわゆる増減税プラス・マイナス・ゼロと、そういう基本方針に基づきまして税制改革を今やっております。これは国会でも今まで何回か申し上げたとおり実行しておるわけでございます。  それで、我々の減税政策の主眼というのは前から申し上げておりますように、夫婦、子供二人で住宅ローンや自動車のローン、そういうようなものの返済、教育費等に一番苦しんでおる二、三百万から九百万ぐらい、それぐらいの中堅所得層の減税を一番中心に考えて行う、そういうことで刻みも六段階に少なくいたしまして、それでその辺の中堅所得層に対する税の刻みは非常に平らかにいたしまして、給料が上がっても税金は高くならない、そういう措置も講じた案を自民党は今採用しつつあるわけでございます。そういう面からいたしまして、その層は減税になると確信しておる次第でございます。  全般的に見まして、今策定中でございますから、いずれ法律を出しまして国会で御審議願いたいと思いますが、例えばいわゆる間接税の問題につきましては、一億円以上の方々に売上税と称するものを御負担願う、一億円以下は、これは例外として納めなくてもいいようにする。これで八七%の企業者が除外されるという措置とか、あるいは品目につきましても、生活必需品とか教育資材とか、そういうようなものはこれも適用除外するとか、あるいは売上税の税率にいたしましても、五%以下という歯どめをつくって、外国が大体一五%とか一八%ぐらいでございますが、日本はかなり低目に考えております。そういうようないろんな措置をやりまして、国会で御答弁申し上げたとおりの税制改革をやろうとしておるところでございます。
  92. 野田哲

    ○野田哲君 そういたしますと、租税の負担率と、それから社会保障制度の負担率と、これを合わせた負担率が現在よりもふえない、そういうことをこの「増税なき財政再建」にのっとった措置として考えておられる、こういうふうに今理解をするわけであります。  まだいろいろ税目が自民党の税調では絞り込みをやっておられるようでありますけれども、そういたしますと、法案として国会へ提出をされた、その全体像を審議をしていく過程で、今総理が言われたように、租税負担率と社会保障制度の負担率を合わせて、その負担率が今よりもふえるということは絶対にない、こういうふうに今の段階では受けとめておいていいわけでしょうか。
  93. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 臨調答申を見ますと「全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらない」これはGNPに対する負担率であります、これを今守って実行しておる。そういうこの範囲内におきましては、臨行審の答申におきましても、新たな税目をつくったりあるいは税率をつくってもそれは違反するものでない、そういう承認をいただいておる文章になっております。  私が今国民負担率と申し上げましたのは、租税負担率の間違いであります。  国民負担率につきましては、臨調答申におきましては西欧水準よりかなり低目に我々は目標をつくらなければならない、そういうふうに言われておりまして、西欧水準というと五〇%から六〇%ぐらいが大体西欧水準と言われております。我が国は現在は三六%であると考えております。たしか租税が二五%ぐらいで社会保険が一一%ぐらいであったと思います。臨調答申等においてそう決められておりますので、中長期的な観点から見れば、このような国民負担率は上昇していく可能性は認められておると思います。  ただし、西欧水準からかなり低目にそれは最終的におさめなければならない、そういう形になっておりまして、今後の成り行きにつきましては我々はその線に沿って大いに努力する考え方でおります。
  94. 野田哲

    ○野田哲君 臨調答申は、負担率の問題について特に西欧諸国と比較をしてどうしろこうしろということは言っていないわけでありまして、今総理が読み上げられましたように「全体としての租税負担率(対国民所得比)の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらない、ということを意味している。」こういうふうに述べていますね。  そうすると、今度の税制改革の中でとられようとしている、国民が今一番大きな注目をしているマル優制度の廃止、あるいは大型間接税という言い方を総理は使われないと思うんですが、いわゆる売上税、間接税、こういう措置については、臨調答申の基本に掲げている負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置ではない、こういうふうにおっしゃるわけですか。
  95. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 臨行審の答申臨調答申を受けてつくられておるわけでございますが、その臨行審の答申は、先ほど申し上げましたように、新たな税目あるいは税率を設定してもそれは違反するものでないという解釈を示していただいておりまして、それに従っておると思うのでございます。
  96. 野田哲

    ○野田哲君 負担率の上昇は来さない、総理はそういうふうにお考えになっているわけですか。
  97. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の税制改革は増減税プラス・マイナス・ゼロということでございますから、租税の負担率は基本的、原則的には上がらない、そのように考えております。
  98. 野田哲

    ○野田哲君 それはトータルした場合のことであって、国民のいろんな階層がある中の一番大きな低所得層については負担率は大きく上がる、こういうことはもう各紙でもそれぞれ毎日報道されているわけです。総理もお読みになっていると思うんですが、このトータルの比較ではなくて、国民の負担率、低所得階層、中以下、これは上がるというのが各種調査機関の一斉の見方でありますけれども、これについても総理はそれでも負担率は変わらない、上がらないと、こういうふうにお考えになっているわけですか。
  99. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いずれ細かい税目、徴収方法等が決まりましたら国会でお示し申し上げることになると思いますが、今までの作業の結果の資料を私が見ておる範囲内におきましては、三百万の所得層から例えば八百万ぐらいの所得層に至るまで見ますと、増減税いろいろ計算してみましても黒字の方が多くなる。減税の場合というものを考えますと、たしか子供二人の家庭で三百万の収入の方が一万九千円ぐらいの減税でございましたか、四百万になりますとこれが二万——三万近くにたしかなっていると記憶しております。  そういうようなことで、その層を我々は最大限大事と考えて減税の恩典に強く浴びさしていただかなきゃならぬ、そう思ってやっておるのでございますので、ただいま申し上げたようなことで間違いないと思っております。
  100. 野田哲

    ○野田哲君 いずれまた、法案が出、予算が出されたときに、予算委員会等で引き続いてこの問題は総理の考えをただしてまいりたいと思います。  もう一つ、臨時行政調査会の基本的な考え方として示されている「増税なき財政再建」いわゆる財政再建の措置でありますけれども昭和六十五年度までに赤字国債依存体質からの脱却を図る、こういう方針を政府決定されています。そのために、昭和五十年代の前半と臨調答申が出されて以降の五十年代の後半の財政運営については際立った変化を見せているわけであります。五十年代前半の財政運営は、それまでの政策の延長ということを前提にして歳出に見合う歳入を確保していく、不足分は赤字特例国債あるいは建設国債に依存をしていくという手法がとられたと思います。後半に入って、特に臨時行政調査会答申があった昭和五十七年以降の財政運営は、財源不足分を要調整額、こういう形で明示をして、これを歳出の削減あるいは歳入増をとるのか、この選択をしていく。そしてさらに引き続いて六十年、六十一年にはシーリングという方式をとって歳出の絞り込みを一段と強める、こういう措置をとられてきたと思うわけです。  しかし、この財政運営の手法は、経済の活力という面でも、あるいはまた国民生活の安定という面でも、財政再建という面でも、それぞれ今行き詰まりをはっきり示しているのではないでしょうか。  そこで、これだけ歳出の削減をやっても、六十五年までの赤字国債の依存体質からの脱却、これは先が見えてこない、こういう状態ではないのか。最近の赤字国債の削減額を見ても、六十五年までに赤字国債からの脱却を図ると言いながら、五十九年の削減額は五千二百五十億円、六十年度が七千二百五十億円、六十一年度は四千八百四十億円、こういう形で赤字国債に依存する。これは毎年一兆円ずつ赤字国債を減額をしていくということであったと思うんです。そうすると、五十九年、六十年六十一年で当初の計画では三兆円の減額を図っていかなければいけない、こういう計画であったものが半分にも達していないわけであります。これからあくまでも六十五年度には赤字国債をゼロにする、このためには平均してこれから毎年一兆五千億ぐらいずつ六十五年まで赤字国債の発行額を減していかなければいけない、はっきりと数字が示しているわけであります。  ところが、きのうきょう、新聞に発表されている大蔵省の来年度予算案の構想を見ると国債の減額は四千億円ぐらいしか見込まれていない。これではもういつまでも実行不可能な六十五年度までの赤字国債依存からの脱却で、こういう財政再建路線は変えざるを得ないのではないか。昭和六十二年度の予算提出のときにはこの点について政府は新たな方針をあるいはプログラムを示すべきではないかと思うんですが、総理は依然として六十五年までには赤字国債依存からの脱却を図る、こういう再建路線をまだ実行可能な方針として持っておられるのですか。
  101. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 六十五年度赤字公債依存体質脱却という目標が非常に厳しい状況になってきておることは野田さん御指摘のとおりでございます。  来年度予算につきましては今税法の問題を討議しておりまして、いよいよ予算編成に取りかかるわけでございますが、来年度予算編成におきましてもこの旗印のもとに最大限の努力をしてみたいと思っております。環境が厳しいことはよく知っておるのでございますけれども、この旗を一たんおろすというと、これはやはり今各方面から相当な行政需要、新たなる財政資金の需要がわいてまいりまして、そして今まで我々がやってきた努力が水泡に帰する危険性もあるのであります。  そういうような情勢も考えてみますと、やはりこの場所は非常にきついことではあるけれども、最大限の行政費の削減、効率化等を考えてやるべき渾身の力を奮ってやる場である、そういうふうに考えておりまして、今度の予算編成につきましてもそのように努力いたしたいと考えております。
  102. 野田哲

    ○野田哲君 理念は理念として、数値の上では、総理、もはやこれはもうだれが見ても実行不可能、方針の転換を図らなければいけない、こういうことになっているのではないかと思うんです。また予算が出された予算委員会で引き続きこの問題も総理の所見をただしたいと思います。  具体的な問題で二、三、時間が来ましたのでお伺いをしておきたいと思うんです。  臨時行政改革推進審議会では今後の課題として整備新幹線の問題について触れています。それはこういうふうに述べています。「整備新幹線計画については、国鉄改革の考え方に沿って国鉄の分割・民営化後の新会社等の判断を尊重するとともに、行財政改革の観点から財源問題・収支見通し等前提条件を慎重に検討の上その取扱いを決定する。」こういうふうに述べているわけであります。この整備新幹線の問題について、今政府・自民党の整備新幹線財源問題等検討委員会で検討が続けられておることがきのうきょうの新聞に報道されているわけであります。総理としては、いずれこれは最終的には総理の裁断というところになってくるのではないかと思うんですが、この行革毎の答申の「国鉄の分割・民営化後の新会社等の判断を尊重」云々、こういう意向があるわけでありますけれども、総理は、最終的にはこの問題についてはどういう判断を持っておられるのかお伺いいたしたいと思います。
  103. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 今財源問題等検討委員会におきまして鋭意検討が続けられております。その検討の中には、今まで党内及び政府と党の間でいろいろ交わされましたメモとか、合意とかというものの検討の内容として、対象としていろいろ論議されていると承知しております。そういうようなことも踏まえまして、検討委員会の結論をまちまして判断をしていきたいと考えております。
  104. 野田哲

    ○野田哲君 検討委員会の結論は結論として、総理としてはやはり臨時行政調査会、引き続いてそれを受けた行政改革推進審議会、ここの考え方あるいは国鉄の再建監理委員会考え方、そういうものが既に示されているわけでありますから、一定の見解をお持ちなんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  105. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 今野田委員が挙げられました各種審議会等々の意見も検討の対象となって今検討委員会において鋭意検討が続けられておりますので、その結果をまちまして判断をしていきたい、そう思っておるところでございます。
  106. 野田哲

    ○野田哲君 時間が来ましたが、もう一点。臨時行政調査会答申、それから行革審意見答申の中で触れられている問題として、内閣総理大臣のいわゆる内閣官房の総合調整機能あるいは補佐機構、官邸の機能、こういうものが触れられているわけでありますけれども、聞くところによると官邸の新築という問題について検討をされているように伺っているわけであります。これはどのような構想で官邸の新築を進めようとしておられるのか、総理としてはまた、これから新たにつくろうとする官邸にはどのような機能やあるいはスペース、そういうものを必要と考えておられるのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  107. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 現在の官邸は昭和四年の完成以来既に六十年近くを経過しておりまして、近年施設の老朽化が非常に進み、また非常に狭隘であり、不能率になってきておるのであります。さきの臨時行政改革推進審議会から官邸機能の近代化が提言されております。そのため内閣官房副長官委員長とする総理大臣官邸整備検討委員会を設けて検討さしているところでございます。  その検討内容は、現在の官邸が有する機能を基礎として、近時の行政需要から官邸が求められているところを、敷地規模、建物規模、構造、総理大臣等の面接、会議あるいは接遇、危機管理等々について、その機能と施設のあり方を検討する必要があって今やっておる最中でございます。財政状況もよくにらみながら、相当年数もかかることでございますから、今のうちに基礎的な調査を十分やって、時期が来たら着手したらいいと、大体そういう考えに立ちまして今基礎的調査を十分やっておるところでございます。
  108. 野田哲

    ○野田哲君 総理の在任中に着手できますか。
  109. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私はそう長いことじゃありませんから、すぐ着手するというよりも、やっぱり調査費を設けて調査をしていると、そういうところでございますから、調査、設計というものについてはかなり時間がかかるのではないかと思います。
  110. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 非常に短い時間でございますので、総理に二点ほどお伺いしたいと思います。  まず第一点としましては、現在自民党税調が導入しようといたしております売上税につきましては、先般の内閣委員会におきましても総理に質問いたしましたが、どう考えてみましても、どこから見ましても、やっぱり総理が国民に約束した大型間接税そのものじゃないかと、私はもう本当にそういうふうに思います。先ほどから総理がそこで答弁をしていらっしゃる様子を見ておりまして、総理は、収入が二、三百万円から九百万円ぐらいまでのいわゆる生活やローンに一番苦しい人たちが減税になるようにしたい、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、実際は、現在の自民党の税調案をいろいろ計算しまして、どういうふうになるかというのはもういろいろな資料で発表になっておりますけれども、総理、これは政策構想フォーラムというところで計算をした資料によりましても、年収二百万円から六百万円まで、これはサラリーマンの約八〇%に当たりますね、全国のサラリーマン、これは公務員を除くサラリーマンですが、三千百五十万人のうちの八〇%に当たる皆さん方が増税になる。金額も申し上げてもいいんですが、金額は申し上げませんが、そういうふうになるわけです。総理が考えておることとはまるっきり違う方向に行っている。私は、結論として総理がおっしゃっているように、二、三百万から九百万の皆さん方が減税になるような案をぜひつくっていただきたい。そういう方向でやっていただきたい。また、そういう方向に修正をしていただきたい。これはそういうふうな意味で、まず第一点として申し上げておきたいと思います。  それから第二点としまして、総理がしょっちゅうおっしゃっております戦後処理の問題であります。これは幾つかの問題がありますが、詳細を総理の答弁を伺いたいのは、まず一つはシベリア抑留者補償の問題、それから在外財産の補償の問題、それから恩給欠格者への補償の問題、それからもう一つは台湾人元日本軍人軍属補償の問題、こういうふうな問題が今戦後処理の問題としてどうしても我々として取り組まなければならないということで、当内閣委員会でも随分議論してまいりました。  こういう機会はございませんので、以上の点について総理の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  111. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) まず、税制改正の問題でございますが、私が大蔵省から提出を命じまして得た資料によりますと、例えば三百万で夫婦子供二人という場合には二万八千三百七十五円の減税になる。独身者の場合には一万八千九百円の減税になる。四百万の場合は四万九千三百円、独身者が二万一千五十円、五百万の場合は六万八百円、独身者が四万九千九百円等々と、こういうふうにありまして、もちろん絶対額から見れば、給与所得の高い方は減税の額も、これは当然もとが大きいのですから、大きいわけでありますけれども、率から言いまして、今申し上げた二百万から八百万ぐらい、それから三百万から九百万ぐらい、その辺にかけてフラット税制というものを導入いたしまして、そして今までと比べて格段の減税の方向へ持っていこう、こういうことでできておるのでございます。  第二に、戦後処理の問題でございますが、これはさきの戦後処理問題懇談会において二年半にわたりましてあらゆる資料等を検討の上、これ以上国において阻止すべきものではないと。しかし、関係者の心情に深く心をいたすという趣旨から、特別の基金を創設することを提唱した答申をいただいておるのであります。  政府としては、この報告の趣旨に沿いまして関係者に対して御慰労の念を示し、感謝の念を示す事業等を行う特別の基金を創設して、これにより対処することが適当であると考えて、その検討を進め、その方向に沿って予算編成を進めてまいりたい、こう考えておる状況でございまして、予算編成に対しましては、党ともまたいろいろ相談しなければならぬところでございますが、党のお考え等ともよく相談をいたしてまいりたいと思っておるところであります。
  112. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは一言今の総理の大蔵省の資料ですけれども、大蔵省の資料が私の手元にありませんからわかりませんが、私の手元にあるこの資料によりますと、税負担ですが、現行二百万の人が十二万五千円が十四万九千円、三百万の人が二十四万五千円か二十六万二千円、四百万の人が四十万四千円が四十一万五千円、それから五百万の人が六十一万七千円が六十三万円、六百万の人が八十五万七千円か八十六万二千円、ここまでが増税でありまして、七百万以上が税負担率百十六万円が百十二万九千円と、ここでやっと逆転しているというふうな状況の資料も現実にあるわけです。  したがって、私は総理の基本的な考え方としまして、先ほど初めに同僚議員の質問でおっしゃいました二、三百万から九百万というサラリーマンの皆さん方が現実に減税となると、そういうふうな方向で取り組んでいただきたい。この点だけは確認できますね。
  113. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私も国会で二、三百万から八、九百万の層の減税を重点的に考えてやりたいと申しておるので、それはぜひ実行いたしたいと考えております。
  114. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 二、三御質問申し上げますのは、臨調答申によりますと、増税なき行政改革と申しておりますが、この増税なき行政改革ということの中身を率直に考えてみますと、結局政策的な金を出すなということですから、政策的な支出金の縮小を行い、それから官庁機構を縮小をして行政改革の実を上げようということであろうと思われるわけですが、そうすれば、国債は発行しなくて、税金も上げないで片がつくわけでございます。  そこで、最近いろいろ取りざたされておりますことを見てみますと、これは結局減税をして購買力を増す、それは当然のことでしょうけれども、減税をすれば、その反対側である程度それを埋める間接税が必要だという理論が出てまいりまして、新型間接税をお決めになるわけであります。そこで非常に問題になってまいりますのは、国民が受ける増税感、物価高感というものがございまして、それによって内需拡大はできなくなるのではないか、もう買うのを差し控えるのではないかということがよく言われるわけでございます。  こういう問題を取り上げてみますと、国民の心理状態というもので経済界の変動を見てみますと、楽観できないような状態があると思われるわけであります。総理は、こういう点についてどのようにお考えになっておりますのか、まずお伺いいたします。
  115. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 今新しい税制改革について党で最終的な段階で練り上げておるものでございます。 しかし考え方は、これは税の増収を目的とするものではない、いわゆるしべニュー・ニュートラルというような考えに立って増減収ゼロという考え臨調答申の線に沿って行う。そして今までのシャウプ税制以来の税のゆがみやひずみや重税感、そういうものから国民の皆様方な解放したい、そういう念願に立ってやっておるのでございまして、この趣旨は一貫して貫徹させていきたいと思っておる次第でございます。  国民の各層、各界につきましては、いろいろ利害関係もふくそうしておると思いますけれども、しかし、こういう時代でございますからかなり思い切った大胆な税の改革をやりまして、日本経済自体に対しましても今までの枠を破った新しい天地を開いていく、そして民間活力を増大していくというような基礎工事をやっていく。それから国際的には、イコールフィッティングで競争ができるような企業なり会社の立場というものもここでつくっておく必要がある、各国はみんな税制改正をやっておるところでございますから、日本も外国との競争において劣位にならぬような税法上の改革もやっておく必要が新たに出てきております。  そういうようないろんな面から見まして、シャウプ税制以来のこの一つの枠というものをこの際限本的に検討し直して、そして新しい方法で、新しい体系で出直して、日本経済をさらに充実したものにしていきたい。また、国民の御不満もこれで和らげ、直していきたい。そう考えているので、この点につきましては、いろいろ最終案が決まり法案が提出されるという段階になりましたら国民の皆さんによく御説明申し上げまして、御理解を得られるように努力したいと思っております。
  116. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 私どもは、いろいろ大変な圧力のもとに行政改革をお進めになっておられる御苦労に対しまして大変なことだとは思います。そして、今度の行革春の法律をおつくりになることについても原則として賛成をいたすものでありますが、ただ法律をつくったというだけでは何か不安がございまして、本来の趣旨である行政改革ということでありまするならば、この際、思い切って官庁機構の見直しをすべきではないかと思われるわけであります。  まず、国の仕事と地方自治体の仕事をはっきりと区別をいたしまして、国でなければできない仕事は国でやるが、地方自治に任していいものは一切地方自治に任せる、機関委任事務だとか団体委任事務といったような制度は廃止をするということが必要ではないか、つまり、地方自治法の改正が必要ではないかというふうに考えておるものでございます。この点につきまして総理の御見解を承りたいと思います。
  117. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 今の飯田さんのお考えには私も原則的に賛成でございます。  まず第一に、やはり行政というものをできるだけ簡素化して国民に負担のかからないような行政体系にしていく。それから中央と地方との調整という面につきましても、地方自治の本旨に基づきまして身の回りのことは地方自治体がやる。そういう考えに立ちましてできるだけ地方自治体に仕事を委譲していく、そういうようなこと、あるいは地方自治体に対して独自の財政行為、仕事が行えるような税源を確保していく、こういう点も将来もっと考えなきゃならぬ問題であるだろうと思います。  一般的に飯田さんのお考えに私も賛成でございますので、そういう方向に沿って今後も努力したいと考えております。
  118. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 そこで次に、別の問題に入りますが、政策支出金、補助金だとかいったようなものですが、こういうものをできるだけやめるということが財政確立には必要であろうということほどなたもお考えになると思います。  そこで、現在例えば石炭は廃業に追い込まれておる状態でございますが、これに対して別に余り大した補助が出そうもございません。ところが一方、今日食糧の増産は言わなくともできるという時代になっておりますが、それでもなお食管制度は存在をしまして国から相当の費用が支出されるという時代でございますが、こういう問題は、貿易の自由という問題と絡み合わせまして、総理の御見解はどのような御見解でしょうか、お尋ねいたします。
  119. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 行政改革の理想は、まず政府みずからが冗費を節約して、そうしていわゆる小さい政府になる、スリムになる、そういうことが主眼で、これは地方自治体も政府に準じてやっていただくように努力していくべきことであろうと思います。  一方におきましては、石炭やそのほかの問題について、これは国際経済に調和させるというような意味やあるいは国内の産業間の調整という問題も出ておりまして、政府としてもこれが対応を迫られておりまして、諸般の問題についても摩擦をできるだけ調和して大きな過激な負担が一時にかかってくるようなことがないように、今努力しておるところでございます。石炭の問題等についてはともかくも、とりあえずは失業対策というものを十全に行い、地域対策というものも県や市町村と連絡をとって十全に行いまして、皆さんに御心配をかけないように積極的に努力してまいりたいと思っております。
  120. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 そうしますと総理のお考えでは、原則としては何とか食管制度も徐々に廃止の方向に向かいたいが、現実にはできないので様子を見ているんだ、こういう御趣旨でございますか。
  121. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いろいろな答申とか審議会意見書等も我々は尊重しながら政府としてそのときそのときのショックをできるだけ和らげ、そして新しい経営なりあるいは町の建設という方向に向かって斉一のもとに進めるように政府としてはできるだけの御援助、御協力を申し上げる、そういうラインでまいりたいと思っておる次第です。
  122. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 官庁機構の整備の問題としまして、現在中央官庁と地方官庁の間の共管となっている部面、例えば具体的な例を挙げますと、警察方面では都道府県警察の事務と海上保安庁の事務が重複しているとか、あるいはいろいろの特種の部局で持っておられる行政警察のものが、これがまたいろいろの専門の警察機構と重複しておるといったようなものも相当あると思います。  また、現在都道府県が地方自治法によって持っております留置場というものですが、留置場というようなものは、元来これは国の犯罪捜査用のものですから国が持つべきものであるのに、地方治治の中へ入っておるというようなことでございます。  それから、警察制度というものも、これも一体国の制度なのか地方自治の制度なのかということをもう一度考え直すことも、費用を節約する上で必要ではないかということも考えられます。  それからまた、現在官庁同士の横の連絡が非常に私は悪いと思います。これなどは総理に申し上げなくても、お感じになっておると思いますから今さら申しませんが、とにかく連絡をよくする、内閣の内部の連絡をよくするということが必要ではないかという点が感ぜられるわけでございます。殊に、国際政治を担当する分野と国内政治を担当する分野の調整が果たしてうまくいっているだろうかという気がいたすわけでございます。そういう面についての行政機構を見直して立て直すということも、行政改革としては必要ではないかと思いますが、総理の御意見はいかがでございましょうか。
  123. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 行政機関相互の関係あるいはその行政機関が持っておる権限、職務というものは、果たしてそれが妥当であるかどうか、そういうような諸般の問題等につきましては、いつも見直しを行いながら是正していく必要があると思っております。この新しい審議会が設立されましたら、そういう点についてもなお一層点検していただきまして、貴重な御意見をいただきたいと思っております。
  124. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 国際政治関係の仕事をなさる機構というのは現在ございましょうか。
  125. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 外務省、あと通商関係については通産省等がございますし、また、農業その他の問題等については農林省とか、各省々がそれぞれの物資について責任を持っているという面もございます。
  126. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 最近新聞で載っておったことですから、あるいはうそかもしれませんが、イラク、イランの軍事援助の問題、アメリカの、レーガンさんのね。これにつきましてのことが我が国でも頼まれて関係があったようなことが書いてございます。こういうものは国際政治の分野として私は必要であろうと思いますが、これを専門に研究をして処置できる部局が我が国にどうもないように思うのですが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
  127. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) あれは外務省の主たる仕事でございまして、人道主義的な面から人質を解放する、各国が協力してみんな努力し合っている面を日本もその一環として行った。それも日本みずからの判断と方法に基づいて行った。そういうことでございまして、今までの日本の各省庁の持っておる官制あるいは内閣法等々に基づいて適法に行っているものである、そう考えております。
  128. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、最後に一つお尋ねいたしますことは、今後新しい審議会ができましたときに、その審議会に対するいろいろの諮問事項としまして、現在実施をしようとしても難しい仕事、たくさんあると思いますが、例えば食管制度もそうですし、それから郵便貯金の問題、郵政の問題もそうでしょうが、いろいろの問題がございます。そういう問題についても御諮問になる御計画でございましょうか。
  129. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) この新しい法律に基づきまして所掌事務も決められておりますし、行政改革を実行していくという場合には今までどおりいわゆる聖域はないと、そう考えられていいのではないかと思っております。そういう見地からあらゆる部面について国民代表してよく点検もしていただき、我々に対して貴重な助言を与えていただければありがたいと思う次第であります。
  130. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 終わります。
  131. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 一言、済みません。  今同僚議員から質問がございましたイランの問題ですね、これは先般の内閣委員会、私たちの委員会におきまして、総理に同僚議員からも質問いたしました。あのときに事実関係を総理から随分いろいろおっしゃっていただいたわけでございます。最近明らかになってまいりました秦野元法務大臣とのいろんなやりとりですね、あれは事実ここで説明なかったわけでございます。その後出てきたわけでございますが、そのいきさつについては新聞等では報道されておりますが、その事実関係はどういうことだったのか。詳細を一遍ちょっとこの席上で教えていただきたいと思います。
  132. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 昨年の七月の末ごろでございましたか、秦野さんが私のところへ見えられまして、今アメリカが人質問題で非常に困っておる、世界の国々もみんなこういう場合には協力し合っておる、日本としてもイランに対しては西欧の諸国と比べて一番通じ合ってる国の一つであるんじゃないか、この際人質の釈放について一肌脱いでやってやったらどうかと、そういう趣旨の話がありまして、首脳外交というものはそれが一番大事なんだから、イランに対して私から親書を出して、そして直接頼めば極めて有効だろう、そういう趣旨の話がありました。それは状況が整えば結構だと。今まで日本も随分努力をしておる。アメリカからもまた随分感謝されておる。イラン、イラクの戦争を早くやめさせるということと、それから人質の釈放と、この二つの問題は安倍外務大臣、私と相談いたしまして、二人で一生懸命努力してきたところであります。  人質の問題につきましても、TWAの飛行機のハイジャック事件等がありまして、六月にたしか釈放になりました。あれにつきましても、日本は随分実は努力をしたのであります。三宅局長をたしか昨年は二回か三回あの方面に、イラン、イラクに派遣したりもしておったわけであります。  そういうような経緯もありまして、そして外務省に相談をいたしました。国と国との関係というものは非常に重いものでございまして、奇手奇策というものでやるべきものでないと、また、外交は二元化すべきものでないというのが私の根本的な考えでありますから、したがいまして、外務大臣及び外務省の首脳部と相談をして、いろいろ方法考えてみたわけであります。  それで、ちょうど中東調査会理事長の中山元大使があっちの方へ用があるという話もありまして、あの人に行ってもらおうと、そういうことでイランに行ってもらったわけであります。それからシリアにも彼は行きました。イランに行くときにはラフサンジャニ氏に対して私の親書を持って行ってもらって、そしてアメリカを含む人質たちをできるだけ早期に釈放を望む、前にあなたが東京に来たときに私からもくどくど申し上げたけれども、さらに重ねて要請すると、そういう趣旨の手紙を持たしてやったと、そういうことでございます。  それはいわば人道主義外交と申しますか、世界の国々が心配している問題について、日本もやはりイランとは特殊な関係にある国でございますから、それに協力もしたと、しかも自主的立場に立って、外務省が中心になってそういうこともやったと、そういういきさつでございます。
  133. 内藤功

    内藤功君 今の問題ですけれども、総理にお伺いしたいのは、レーガン大統領からの電話、これでレーガン大統領からどういうお話があり、総理はそれに対してどういうお答えをなさったのかという点をまずお伺いしたいと思うんです。
  134. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私とレーガン大統領との間では年に三回か四回ぐらい電話の応答がありまして、お互い直接電話し合っていることであります。それで、たしか昨年の八月だったと思いますが、あるいは七月末だったかもしれませんが、軽井沢の私が泊まっておりましたホテルに電話がかかってきましてレーガンさんと話をしたわけでございます。  そのときには、日本はアクションプログラムを決めたり、それからアメリカの保護主義の傾向が秋の九月ぐらいにかけて非常に増大して危険性が出てきているという状態でもあって、そういう問題について私からいろいろ話をした。それから、レーガンさんからはたしか捕虜の釈放、人質の釈放についていろいろ日本が努力してくれてありがたいといったようなことを聞いた覚えが、記憶がありますが、あるいは間違いであるかもしれません。そういうことも中身には、今考えてみますと、あったんではないかという記憶もあります。それで私から、最近状況はどうですかと、一般的な、すべて物はうまくいっていますかというような調子の話をしたら彼からは、いや実は人質問題で一番頭が痛いし、アメリカではシリアスな問題である、人質たちは非常にかわいそうなんだ、そういうような話がたしかあったような記憶があります。それでお互いにしっかりやりましょう、奥さんによろしくというようなことで話をしたと、そういうことであります。  その電話の影響があったかどうか、ともかく秦野さんからのそういう話もありまして、日本の自主的立場で、先ほど申し上げましたように、これは各国とも協力し合ってやっていることであるから、人道的にもこれはやらにゃいかぬし、また、イランと日本はほかの国にない特殊の結びつきを持っているのでありますから、その地位も発揮してやるべき問題である、そういうような考えに立って自主的に外務省と相談をして今のようなことを行った。そういうことで、別にレーガンさんからはぜひよろしく捕虜を、人質を釈放するように努力してくれとか、そういう頼みはありませんでした。
  135. 内藤功

    内藤功君 総理は、レーガン大統領から人質問題で頭が痛いんだということを言われたときに、これはどういう意味だとおとりになりましたか。
  136. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 本当に困っておるんだと思いました。
  137. 内藤功

    内藤功君 レーガンという人は非常に元気な方だというふうに伺っておりますが、それが人質問題で頭が痛いんだというのは、総理ひとつ日本に頼むよ、こういう趣旨にはおとりにならなかったんですか。
  138. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) たしかその前にTWAの釈放や何かについてもお礼を言われたような気が今いたしておりますが、そういうようないろんな話があったので頭が痛い、非常にシリアスだ、そして捕虜たちは無辜の民でかわいそうだ、そういうようなこともたしか言ったような記憶がございます。何しろ電話の応答でございますから、別に記録とっているわけじゃありません。そういうことを聞けば、本当に困っているんだな、大変だな、そういう気持ちはいたしました。
  139. 内藤功

    内藤功君 総理とも非常に仲のいい関係だと承っておりますので、依頼の趣旨ではない、単なる弱音の表明だというふうに理解をされたんですか。そういうふうに理解されたとすればその理由は何でございましょうか。
  140. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 向こうのお考えがどうであったかということは私はわかりません。しかし友人何士でいろいろ電話の応答をやるということで、そういうことであったという事実を申し上げるので、私らはアメリカの立場考え、レーガンさんの立場も今のようなことで困っておるというそういうことも踏まえて、やっぱり助けてやりたいという気持ちが起こるのは当然で、そういうことでもそれを踏まえてやったということも否定できないとは思います。しかしそれは頼まれたからやったというんじゃなくて、こっちがやってやらなきゃかわいそうだな、日本も人道主義的にここで働く場所だなと、そういうふうに自分は考えたという結果であります。
  141. 内藤功

    内藤功君 非常に親しい仲でいらっしゃる。年に四、五回お電話をお互いに直接かけられる仲でいらっしゃる。そういう方が、短い会話時間なんでしょうけれども、実は人質問題で頭が痛くて困っておる、これはやはり中曽根総理一肌脱いでくれ、こういうふうにおとりにならなかったんでしょうか。重ねて聞きますが、そうはとらなかったとすればその理由をお述べいただきたいと思います。
  142. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いや、ともかく非常に困っておる、非常に同情いたしましたですね。そういうことも踏まえてやはりイランに対する人質救出ということもしなけりゃいかぬ、日本は特にこういう関係にあるから考えなきゃいかぬ、そういうこともありまして外務省とも相談したということであります。
  143. 内藤功

    内藤功君 それでは、別の方角から伺いますが、総理は現在のアメリカ両院の委員会等で行われているいわゆる調査、真相の解明問題ですが、私も近着のニューズウィークその他のアメリカの資料をできるだけ勉強しておりますけれども、レーガン政権はイランにテロ国家という烙印を押して、そしてその裏で武器を売って、その代金を議会にも報告しない、議会の意向を無視していわゆるコントラというところに援助で出していた。これは目的のために手段を選ばない一つのいわば謀略的な手段、それから議会制民主主義の無視、こういう点で多くの批判があるようです。このニューズウィークに出ている、どういう点がレーガン政権のやり方が気に食わないか、という点でもアメリカ国民の世論はそういうところが多いようですね。この点はどのように認識をされておりますか。
  144. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 人質を救うということは、これは人類共通の美徳だろうと思うんです。それで人質救出のために日本がそういうときにできるだけ努力をするということはこれは当然の行為であって、私は国民の皆さんも賛成してくださっているんではないかと思います。今後ともそのような人道的な外交というものは強化していくべきであると思います。  レーガン政権がこういう問題に絡んでほかのいろんなことについてどういうことがあった、そういうような問題について私が一々コメントをする立場にはない、そう考えております。
  145. 内藤功

    内藤功君 もう一点ですが、レーガン大統領の発言の真実性という問題について、公私ともに近い関係にある総理の御認識を最後に伺いたいんです。  レーガン大統領自身が事件にどこまで関与しておるか、またはその問題についてレーガン大統領自身のいわゆる正直度といいますか信用度といいますか、こういう問題が今問題になっていると思うんです。レーガン大統領の否定にもかかわらず、コントラへの資金横流しを知らなかったとするレーガン発言はうそだという人が四七%、うそでないという人が三七%、ニューョーク・タイムズとこれはCBSニュースによる世論調査の結果だそうです。うそだという人が一〇%上回っている。下院議長のオニールさんも、レーガン大統領は当然初めからこの工作を知っていたと思うと、こう言っておりますね。マクファーレンという元の補佐官が下院の外交委員会で証言に立ちましたが、ノース中佐もポインデクスター補佐官も上司の承認なしに資金流用を検討するはずがない、こういうふうに述べたと報道されております。何よりもレーガン大統領は国家安全保障会議の議長ですね。ポインデクスター氏はそのNSCの事務局長ですから、大統領が知っていたんじゃないか、知っていたと思われるのは私はむしろ当然だと思うんです。この一カ月間にアメリカの世論調査でも大統領支持率がぐんとやっぱり下がっているという報道が連日のように各紙でありますが、ここらあたりの認識をどう思われるか。  それから、あわせて総理御自身が落合信彦氏の近著「挑戦者たち」という本について、これは事実でないということを記者団に言われた。落合氏はそれに対して、そうじゃない、自分の作品を推理小説というふうに言われるのは自分としては許せないというふうに反論をされているようですが、その問題についての総理の御見解を伺っておきたいと思います。
  146. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) アメリカの事件については、アメリカのしかるべきそれぞれの機関で調査が進められておるので、これは我々がわかるはずはありません。アメリカでいずれ解明されるだろうと思います。それについてとやかく言うべき立場にはないのであります。しかし、レーガンさんという人間は、私は友人として個人的なつき合い等を見て、私は友人として、個人としての考えから申し上げれば、実にアメリカ人らしい立派な紳士である、そして世界じゅうから好かれた人であったし、今でもアメリカ人はレーガンさんを好いている、そういうふうに私は確信いたしております。私に関する限りは、非常にアメリカ人らしい立派なゼントルマンである、そう今でも信じて疑わないところであります。  それから、落合氏の本は、私最近読んでみたのでございますが、非常におもしろい本でありますが、しかしあの人目体があの人のお考えでお書きになったことで、私がとやかく言うべきことではありませんが、いろんな私に関する限りの点については私から見れば推理小説的な要素が非常に強いということを申し上げたので、そういうことは申し上げたとおりであると思っております。
  147. 内藤功

    内藤功君 最後に。  総理御自身に関する記述は全部御否定なさる、こういう御答弁でございますか。
  148. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) カーテンの向こうのことは私わかりません。しかし、秦野前参議院議員が私のところへ来たことはそれは事実でありますけれども、しかしその秦野さんがどういうことで私のところへ来たのか、また、落合さんという人はどういうことを考えて、どういうドラマチックなストーリーを考えて演出したのか、そういう点は一切知りません。いわんやアメリカの武器援助云々等の関係というようなことはまるっきり関係のないことであります。
  149. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 総理、もう何回も話題になっておる売上税のことをお聞きをしていきたいんです。  どう考えてもあの売上税は大型間接税だと思うんです。この前ここへ総理おいでになったときはどなたかの御質問に、いや、売上高が一億以下は除外をしているから、それが八五%いるんだと。きょうはまた同僚委員質問に、そういう業者が八七%いるんだということですね。そうすると、そこの言葉だけいただけば、大多数の人たちが対象外だからそれほど心配することもない、大型間接税はないんだということを総理は言わんとなさっていると思うんだけれども、実際に売上税を適用される方を金額で見るならば、総理、これは御存じのはずなんです、九割を超えるんです。その今の業者の数で八七%という人たち適用されるのは、金額の面でいくならば一割ないんですよ。だからそういう点からいけば、どう考えたってこれは大型間接税でしょうと思うんですよ。その点どうして総理は御否定なさるんですか。
  150. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 前から申し上げておるように、一億円という、そういうすそ切りをやりまして、事業者数からすれば八七%は除外される、事業者数全体を考えてみましてそういうふうに申し上げているわけです。つまり、納税しなければならぬ人を対象にして考えるのが税の場合は適当ではないか、こう思っておる次第でございます。
  151. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 総理、よくお考えいただきたいんだけれども、売上税というのは、結局は国民個人個人が納めるわけでしょう。かわって税金を取るのは、それは業者からお取りになるかわからぬけれども、その税金を納めるのはその品物を買った国民が納めるわけなんです。その税金を納める人たちの金額からいくならば九割を超えるんです。そうなってくると、それは今総理が言う論理は成り立たないんですけれども、その点はどうお考えになるんですか。
  152. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 物を消費される方は自己の選択に基づいて消費される、つまり国家から強制されて、買えと言われてやるわけではない。ですから生活必需品とか教育資材とか、そういうようなものは除外する、そういう考えに立って除外もしておる。そういう点から考えてみますと、私が選挙で公約したことには違反していない、そう考える次第でございます。
  153. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私がお聞きしたいのは、売上税を納める国民が、金額的にいくならば、売上税の全体の九割の人たち適用になるんです。九割を超えます。これは大蔵省でもはっきりもう承知していると思うんです。そうでなかったら、売上税のこれだけのことをおやりになったって効果がないんですから、その辺を総理は知らないはずはないんですから。そういうことからいくならば、国民の大多数というものはこの売上税が適用になるということをお認めいただけませんか。
  154. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) これは間接税の性格でございまして、利用なさる方は該当者になる、支払う側の該当者にもなる、そういう性格はこれはもう間接税として当然のことであると思います。
  155. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 同じことを言い合ったってしようがないから、次にお聞きしたいのは、この売上税を実施するということは大変複雑な、煩雑な徴税業務になると思うんです。そうすると、所得税やなんかのそういう税金の徴税コストと違ってかなり高い徴税コストがかかると思うんです。少々の税金を取ったって、その徴税コストの方がかなりかかって実際に政府としては効果のないようなことになるんだけれども、その徴税コストとの関係ではどういう御判断をお持ちなんですか。
  156. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 新しい税金でございますから、国民の皆様方に恐怖感と申しますか、誤解を与えないように最大の注意をするように、大蔵省に言ってあります。特にできるだけ手続を簡素にする。もう日本的なそういう新しいやり方を考えなさいと。できるだけ人間をふやさないこと、これは国税庁の役人をふやす必要は多少出てくるでしょう。しかしそれも、例えば物品税を扱っている人たちを転用するとか、あるいは部内でいろいろ転配置を行うとか、あるいはそのほかいろいろ知恵を使ってできるだけこのための増員を少なくするようにと。それから、やり方を簡素化するという意味において適用を受ける方の側の皆さんが人間をふやきなきゃいかぬとか、あるいは余計機械を買わなきゃいかぬとか、そういう煩雑な手続はもうできるだけ起こらないように最大限努力するようにと。それから、やはり売上税の対象になっている人たちは、調査みたいので自分の経営が全部白日のもとにさらされるというようなことを非常に嫌がるわけであります。これはもう当然のことであります。  したがって、そういう国民の皆様方の心理状態をよく考えて、不必要な恐怖心を与えることがないようにこの税の扱いについては十分注意をして、そしてある程度国民の皆さんを信用するところは信用する、責任を持ってもらうところは責任を持ってもらう、そういうやり方でやるようにと、そういうことは厳重に言っておるところであります。
  157. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 今総理が言われたようなことで実際におやりになれるかといったら、これはなれないことです。それで、このことは全貌が明らかになっていないんですから、次の予算委員会なり何なりのときにまた議論させていただきたいと思うんです。  次にお聞きしたいことは、若干総理として気に入らないようなことになりますけれども、お聞きをしお答えをいただきたいと思うんです。  それは、総理がアメリカ人の知的水準が低いといういわゆるあの発言があって、それでアメリカでかなり物議を醸したことは御存じのとおりだと思うし、私の知っているのも、日本人の子供が小学校で随分いじめられたということも聞きましたけれども、そういうことでもってアメリカが大騒ぎになったならば、総理は急遽わび状を書いたというか謝ったわけだ。今度は余りあっさり謝られたんでアメリカはびっくりしたということも聞きました。  私が申し上げたいのは、この間も外務省の幹部が来たときに言ったんですが、あなたたちは外交を知っているのか、内閣総理大臣といったら少なくとも日本の国家の最高権力者だよ、一国の最高権力者が他国に向かって簡単に頭を下げて謝るなんてことをしていいのかどうかそのくらいの外交のこともおまえら知らないでそんなことをやっているのか、しかもあのときは外務大臣がアメリカにおりながら、急遽飛んで帰って総理のところに行ってあのわび状を書かしている、そんな外交がどこにあるかと言ったんです。そして私が今お聞きしたいのは、総理は、そのように外国に対しては問題が起きたといったらすぐぱっと頭を下げて謝られたんですけれども、ところが内政の問題になりますと、今お話しをしておったこの売上税の問題は、これはどんなに総理が言われても、国民は、あれは大型間接税だと思っているし総理の公約違反だと思っている。自民党税調の山中会長ですらも総理は公約違反をしたと、こう言うくらいなんですから。  その内政で、日本人同士の場合には、総理、これはおわかりのように、お互いに、ああ悪かったな、済まなかった、勘弁してくれと言う、その謝るということは通用するわけでしょう。外交関係ではそういうことは簡単にやっちゃいかぬことなんですよ。それを、外交上でやっちゃいかぬはずの外国に向かって簡単に総理は頭を下げわび状を書かれておりながら、国民に向かってはそれは、いやあのときはああ言ったけれども、実際にいろいろやってみたら、それはとてもじゃないけれども、できないからこれをやらしていただくんだと言って、そういうぐあいに素直に頭を下げて、公約違反になるかわからぬけれどもというふうに、国民に向かっておわびと言っちゃいかぬけれども、それは確かに公約違反と言われるかもわからぬけれどもと、もう少し正直に赤裸々に言われたらと思うんだが、その点いかがですか。
  158. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 知的水準の問題については、私はいわゆるパーソナルメッセージということであれは出している。自分の個人的なメッセージということでやったわけで、こういう視聴覚のテレビが中心で非常に速いスピードで動いておる大衆の時代ですから、したがって、そういう時代に対応するようなやり方をある程度考えて、また、アメリカ人の気質等も考えて個人的なメッセージという形ならいいだろう、そう思ってやったわけであります。  この税の問題はもう二年の間ここでいろいろ御論議願って、そして大型間接税の定義については何回となくいろいろ御議論があって、あなた方の大内書記長にも私は御答弁申し上げた。あれが一つの我々の公約の基準になっているわけであります。それは前から御存じのように、多段階、網羅的、普遍的、云々で縦横十文字に投網をかけるように一般的に消費税を取る、そういうようなものはやらない。そういうことを言っておるのでありまして、そういう点から見ますれば、今回は一億円というすそ切りで八七%の事業者はかからない。あるいは生活必需品とかあるいは医療あるいは教育、そういうような大事な問題についてはこれを除外する、あるいは税率も外国が一五%か一八%だったのをこっちは五%以下とする、そういういろんな配慮をやっておるのでございまして、大内書記長や矢野書記長に御答弁申し上げたあの公約には違反してない、そう確信しておりますから、今も申し上げているわけであります。
  159. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 時間が参りました。——一言それでは。
  160. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 もう時間ですから、総理ね、私要望だけ申し上げておきますけれども、私は個人的に総理が好きか嫌いかで言っているんじゃないんです。一国の総理となったらそれは国家の最高の権力者です。それは個人であるとか公式であるとかそんなことは関係なしで、それで国家国家と違った、アメリカであろうがイギリスであろうが、そういうところに簡単にわび状を書くようなそういうことということはなさらないでいただきたいし、それは外務省がもう少しちゃんと考えて、ほかの方法があったんですよ、あれは。それをやらないでそういうことを総理にやらしたということは、私に言わせればあれは外務大臣のミスです。だから今後はそういうことのないようにしていただきたい。  それから売上税の方は、もうこれは終わりですからこれ以上なにしませんけれども、それはどう考えたって、総理、私は総理が選挙前にも言われた、大型間接税はやらないと言ったあれと同じものです。名前が違うだけでありまして、そういう点では私も公約違反と思います。そういう点で今後また議論をいたしましょうということで終わりたいと思います。
  161. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 他に発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  162. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 御異議があるようですから、これより挙手により採決をいたします。  本案に対する質疑を終局することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  163. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 多数と認めます。よって、本案に対する質疑は終局することに決定いたしました。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  164. 久保田真苗

    久保田真苗君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました臨時行政改革推進審議会設置法案に反対の討論を行うものであります。  今回、総理府に、改めて臨時行政改革推進審議会を設置することとしておりますが、五年間に及ぶ臨調行革路線を通じて、改革すべき課題は既に出尽くしていると思うのであります。したがって、今後は、政府の責任において、社会経済情勢、国際情勢の推移を勘案しながら、日常不断に推進すべきでありまして、政府行革を監視する新行革審の設置には疑問を抱かざるを得ないのであります。  国民のための行政改革は、軍縮で平和を築き、福祉、分権によって国民生活を守り、国民のための効率的で簡素な政府づくりだと思うのでありますが、臨調行革路線は財政再建の名のもとに、福祉や教育を切り捨て、防衛費の突出に道を開くなど、私ども絶対に容認することができないのであります。  とりわけ「増税なき財政再建」の臨調行革路線にのっとり、中曽根内閣が打ち出した六十五年度赤字公債依存体質からの脱却は、旧行革審答申に反して建設国債を一般公共事業の追加財源としても発行した事実を見るまでもなく、その実現は不可能となっているのであります。  このように、臨調行革路線は、行財政改革をめぐる内外の客観情勢の変化から既に終えんを迎えていると思うのでありますが、この路線を基本的に踏襲する新行革審を設置することは、政府みずからの責任を転嫁するための隠れみのに使おうとする無責任体制のあらわれだと言わなければなりません。  現在、我が国は円高不況、景気の停滞で、経済の潜在成長率の発揮が阻害されている状況にあるのであります。このような状況を生み出した背景には、臨調行革路線が財政を緊縮させていることにも、その原因があったのではないかと考えるのであります。  今回、設置することとしている新行革審が、臨調発足以来の社会経済情勢の変化をも省みず、臨調答申の枠組みの中で行革推進方針を審議することにも極めて疑問を抱かざるを得ないのであります。  過去三年間の旧行革審の経過を振り返りますと、政府は特定の経済人や学者を繰り返し登用し、結果的に総理の思惑どおりの方向に政策を誘導する役割を担わせており、総理の諮問型政治の戦略拠点ともなっていたと言わなければなりません。また、その審議国民の目から閉ざされた密室の中で進められ、利害関係を有する元官僚が多数参与するなど、極めて非民主的な運営がなされております。今回、設置しようとする新行革審も、このような運営の中で国政全般にかかわる行政改革推進方針を決定することは、行革の本筋をゆがめ、国民の知る権利に基づく情報公開への潮流に逆行するものであります。  以上の理由により、臨時行政改革推進審議会設置法案に反対し、私の討論を終わります。
  165. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、公明党・国民会議代表して、ただいま議題となりました臨時行政改革推進審議会設置法案に対し、賛成の討論を行うものであります。  臨時行政調査会及びこれに引き続く臨時行政改革推進審議会は、五年間にわたり熱心に調査審議し、幾度か行政改革に関する貴重な提言を提出しました。  我が党は、国民生活と安全を守る立場から、福祉や文教などを切り捨てる施策には反対してまいりましたが、行政の簡素化、効率化に資する施策には積極的に協力し、行政改革について相当の成果を上げてまいりました。  しかしながら、行財政改革はいまだ道半ばでありまして、特に行政の責任領域の本格的な見直しはなお不十分であり、財政再建は前途ほど遠い状況にあります。また、国民行政に対する信頼と理解を確保するための情報公開制度等の重要施策も積み残されています。そこで、政府行政改革を監視するとともに、新たな改革課題調査審議するための機関として新行革審を設けることは、妥当な措置であり、本法律案に賛成するものであります。  我が党は、行政改革を引き続き推進することが国民の要請であると考えますが、国民のための行政改革を推進するためには、次の諸点に留意すべきであります。  第一は、内需拡大と雇用の確保であります。政府の行ってきている行財政改革は財政対策を優先したものでありまして、円高に対して十分な対応ができず、雇用情勢はかつてないほど深刻なものとなっております。現在、国政上の最優先課題は雇用の確保でありまして、そのため、我が国の経済産業構造は、貿易依存型から内需依存型へ、経済大国から国民生活重視へと転換が迫られていることを認識すべきであります。  第二に、行財政改革に反する税制改革は行ってはならないということであります。  政府税調及び自民党税調は、減税の見返り増税として、売上税の創設とマル優制度の廃止を提示いたしました。売上税は、その名称はともかく、本質的には大型間接税と変わりないものでありまして、中曽根総理の選挙公約に反するのみならず、現下の行財政改革路線を著しく逸脱するものであり、絶対に容認することはできません。また、非課税貯蓄制度は、老後、病気の備えや住宅費、教育費に充てるための国民生活防衛の手段として既に定着している制度であります。このマル優制度を廃止することは、お年寄りや弱い立場人たち生活を脅かすことであり、断固反対であります。  第三に、行政改革に聖域はないということであります。すべて行政は、国民の負担で賄われているのでありまして、防衛やODAなども例外ではありません。しかし、政府は、防衛費の対GNP比一%枠の閣議決定の骨抜きを図っております。これは、軍事大国への道につながりかねず、また、国民のための行政改革観点からも認めることはできません。  行政改革は、本来、政府の責任において推進すべきことでありますが、以上申し述べました諸点に留意し、活力ある福祉社会の実現と国際社会に対する貢献の増大という臨調行革の二大理念に沿う施策を推進することを要望して、私の賛成討論を終わります。
  166. 内藤功

    内藤功君 私は、日本共産党を代表して、臨時行政改革推進審議会設置法案に反対の討論を行うものであります。  反対理由の第一は、新行革審は第二臨調と旧行革審を継承し、その決定実施を促進するためのものだからであります。  旧行革審、第二臨調いずれもが財界代表を中心に構成され、財界の意を体して国政を動かす役割を果たしてさました。一方、社会保障、福祉、教育、中小企業、農業地方財政を切り捨て大きな打撃を与えてきました。行政府の一諮問機関でありながら、あたかも国会の上に立つ機関のように振る舞い、国の予算の編成に当たっては、毎年意見書や答申の形で方向づけを行い、さらに、地方自治体の歳出合理化人事院勧告の不実施、健康保険、年金制度の改悪に至るまで、具体的に容喙してきました。  昭和六十一年度予算編成に当たって、昭和六十年七月二十二日に提出された旧行革審意見書では、東京湾横断道路の着工など財界要求は大いに強調する一方、国民生活向け予算については、自助努力の名のもとに、大胆な制度、施策の見直しを要求しています。また、旧行革審は、国家機構の戦時即応態勢化を推し進める安全保障会議の設置を提案し、昭和六十一年五月、政府法案化を実行させました。  このように第二臨調、旧行革審は、国民国会に対して、審議公開せず、議事録も公表せず、国会を国権の最高機関とする議会制民主主義を形骸化し、軍備拡大、財界大企業の利益優先、国民生活犠牲の、中曽根内閣流の行革の先導役となってきました。  本法案は、旧行革審のこのような性格と役割をそのまま新行革審へ継承させるものであります。  反対理由の第二は、新行革審が、旧行革審に引き続いて、新たな多くの課題を推進しようとしていることであります。  旧行革審は、その最終答申で、残された課題は極めて多く、行財政の改革はいまだ道半ばだとして、その一層の推進を提言しています。本法案はこれを受けて、新行革審が、中期防衛力整備計画の着実な実施など軍備の一層の拡大、健康保険本人二割負担への拡大、教科書有料化、各種補助金の一層の圧縮、食管制度の見直しなど、広範囲にわたる国民生活犠牲の諸施策を行う道をつくるものであります。  以上の理由により、不法案に強く反対し、反対討論を終わるものであります。
  167. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私は、民社党・国民連合を代表して、臨時行政改革推進審議会設置法案に対し、賛成の討論を行うものであります。  賛成の理由の第一は、第二臨調発足以来、行政改革を推進してきた結果、昨年は電電、たばこが民営化され、本年は国鉄の分割・民営化が成立しました。このようなことを一昔前にだれか考えたでありましょうか。だれも考えなかったほどの大改革であり、これを可能としたのは行政改革を推進してきた成果であり、これを高く評価するからであります。  賛成の第二は、このように現業部門における行政改革は相当進んでおりますが、政府地方自治体など行政部門における改革は余り見るべき成果がありません。政府の許認可事項にしても、その権限をいまだに一万件以上も握っており、ほとんど権限委譲しません。それはちょうど竜頭で一日一回ゼンマイを巻かなければ使えない時計を今の時代に使っているようなものです。技術革新の進んだ今日の社会情勢に対応した改革をこれから本格的に取り組む必要を痛感するからであります。  賛成の第三は、行政改革とは、パーキンソンの法則を否定することであります。行政を簡素化し、むだをなくし、それによって長い間国民の声として叫ばれてきたクロヨン、トーゴーサンと言われるような不公平税制を改革して、国民の期待にこたえることが急務であるからであります。  したがって、この新行革審を設置して第二臨調以来の行政改革の基本理念を受け継ぎ、さらに行革を推進し国民の雇用と生活を安定させることであり、近代産業国家日本にふさわしい政府地方自治体を誕生させて、国民の期待にこたえるよう望むからであります。  以上で賛成討論を終わります。
  168. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  臨時行政改革推進審議会設置法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  169. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  171. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。  一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案、以上二案の趣旨説明につきましては、前回既に聴取いたしておりますので、この際、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について、政府から趣旨説明を聴取いたします。栗原防衛庁長官
  172. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) ただいま議題となりました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、このたび提出された一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案に準じて、防衛職員給与の改定を行うものであります。  防衛職員給与の改定につきましては、参事官等及び自衛官の俸給並びに防衛大学校及び防衛医科大学校の学生の学生手当を一般職職員給与改定の例に準じて改定するとともに、営外手当についても改定することとしております。  この法律案の規定は、公布の日から施行し、昭和六十一年四月一日から適用することとしております。以上のほか、附則において、俸給表の改定に伴う所要の切りかえ措置について規定しております。  なお、一般職職員給与等に関する法律の規定を準用し、またはその例によることとされている事務官等の俸給、扶養手当、宿日直手当、医師及び歯科医師に対する初任給調整手当等につきましては、一般職職員と同様の改定が防衛職員についても行われることとなります。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
  173. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。  それでは、これより三法律案質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  174. 野田哲

    ○野田哲君 総務庁長官、私と個人的には人事院勧告の問題につきましてはいろいろ意見交換もし、参議院に在職中に一緒に仕事をやらしてもらった経過もありますのでよく承知をしているわけでありますけれども、今総務庁長官という立場におられるので、改めて総務庁長官から冒頭に人事院勧告に対する基本的な考え方についてお伺いなしておきたいと思います。  それは、人事院勧告制度というのは、公務員の労働基本権を制約して、その代償措置として定められている制度でありますから、当然完全実施、そういう立場で対処されるべきである、こう思うわけでありまして、ここ数年来それが凍結あるいは削減、特に勧告の率を切り下げて俸給表を政府が独自につくると、こういうことが行われたことがあるわけでありますけれども、ことし総務庁長官、就任されて、今までの経過の中で公務員の職員団体との間に非常に不信感が高まっていたわけでありますけれども、今回の完全実施によって信頼が回復されつつある、こういう状況にあるわけでありますので、本年度の完全実施をこれからも崩してもらいたくない、こういうふうに思うわけでありますが、長官考えなまず伺っておきたいと思います。
  175. 玉置和郎

    ○国務大臣(玉置和郎君) 参議院におりましたときから野田先生、皆さんに大変この問題についていろいろ教えていただきました。  私は前から言っておりますように、公務員と政府関係、これは全く親子の関係でありまして、外国人に金を渡すわけでもないし、それだけに完全実施は当たり前じゃないか。しかも、この人観制度というのは世界に冠たる私は立派な制度だと思っております。それだけに、今後とも、一つの立派な独立機関であります人事院から勧告が出た場合は、完全実施に向けて、そして頑張ってまいりたい、このように思います。
  176. 野田哲

    ○野田哲君 ことし完全実施決定をされて公務員の皆さんもほっとした気持ちになっていると思うんですが、やはり一抹の不安を先行きに持っているわけであります。その第一は、閣議決定のときに、後藤田官房長官が五%以下の較差のときには勧告そのものを取りやめるというような発言があって、これがまた非常なリアクションを起こしているわけであります。その直後に人事院の総裁の見解も承ったわけでありますけれども、もう一回内海総裁に、国家公務員法二十八条の「情勢適応の原則」これに基づく人事院の勧告は五%以下の場合でも人事院として必要であると判断をされれば行われるという方針であるべきだと思うんですが、その点の見解を承っておきたいと思います。
  177. 内海倫

    政府委員(内海倫君) ただいま総務庁長官からも御答弁がございましたように、人事院の給与に関する勧告ということは、労働基本権の制約された状態において公務員の給与を定める上においては、いわば唯一の手段であり唯一の方法というふうに理解していいわけでございまして、そういうふうな考え方のもとに国公法二十人条というものが制定されておるものと私どもは理解をいたしております。いわゆる「情勢適応の原則」というふうに言われるこの法条でございます。  したがいまして、私どもはこの給与の勧告に当たりましては、在来もそうでございますけれども、この法律の趣旨に従って社会情勢一般というものをよく眺め、さらに民間給与の実態あるいは雇用状態の実態、あるいは公務員の生活の実態等々を調査し、また、それらを総合勘案して必要があればこれを勧告するという態度をもって、在来数回この五%は切っておりますけれども、勧告をしてまいったわけでございます。今後におきましても基本的な考え方というものは二十八条の趣旨に従ってこれを考え、そしてその趣旨に従って在来行いましたような厳密な調査とそれに対する総合的な考えを持って今後における勧告という問題に対応していきたい、こういうふうに考えております。
  178. 野田哲

    ○野田哲君 長官、もう一つ公務員の諸君が先行きの不安感を持っているというのは、昨年、毎年当初予算に給与改善費として計上されていたものがゼロになったわけです。もともとこの当初予算には従前は五%を組んでいたわけなんです。それが三%になり、一%になり、とうとうゼロになる。こういう形の予算措置をとられるようになったところに一抹の不安を感じているわけであります。そして当初予算で当然見込まれるものを組んでおかないで年度の途中で勧告が出るものだから、今度秋の臨時国会で財政が難しい、こういうことで財政当局の方がかれこれ因縁をつける、こういう繰り返しになっているわけであります。  本来当初予算で予見し得るものを組んでおかないところに一番の問題があるんで、今度もまたどうやら六十二年度はゼロにされるんじゃないかというような説が流れておりますが、たとえこれ当初予算でどうあろうとも勧告があればそのとおりにやる、こういうふうに受けとめておいていいわけでしょうか。
  179. 玉置和郎

    ○国務大臣(玉置和郎君) そのように受けとめていただいて結構だと思います。
  180. 野田哲

    ○野田哲君 防衛施設庁、見えていますか。——駐留軍の労務者の問題について伺っておきたいと思うんですが、いわゆる思いやりの問題、いろいろ報道されておりますが、それよりも前に、今審議しているこの公務員の給与法、これがあした恐らく成立すると思うんですが、そうなってまいりますと、いつも公務員と横並びで駐留軍の労務者の給与の引き上げ措置が行われるわけでありますけれども、ちょっとここ二、三年来これがいつもごたごたもめて、米軍の方からいろんな引きかえ条件みたいなものを出したり難癖なつける、こういうことが続いているわけでありますけれども、今駐留軍の労務者の給与の改善措置については、今年度の引き上げについてはどのような状況になっているのか御報告をいただきたいと思います。
  181. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 駐留軍の労務者の給与改定につきましても国家公務員給与改定に準じてこれを行っているわけでございます。国家公務員給与改定の方が法律国会に提出され御審議もいただいているわけでございますが、そういう状況を踏まえて早目に駐留軍労務者の方の給与改定につきましても交渉に入った方が順調にいくんではないかということで、この辺のところを米軍の方と交渉をいたしているわけでございますが、向こうの方は、やはり国家公務員の方が法律が通りまして官報に告示されるということを待たなければ交渉に入れない、こういうことを言っておりますものですから、まだ現在のところ交渉に入れるような状況になっておりません。  原則といたしましては、先生が先ほどおっしゃいましたように、国家公務員の俸給の改定と同時期に、また、同一にやるというのが原則のはずでございますが、その原則は何とかとにかく守られてきていることは事実でございます。ただ、交渉そのものが難航するなどいたしまして、交渉の決定が大体でございますと年末になる、あるいは昨年のように年を越して二月になるというようなこともたまにはございましたが、おくれながらもそういうことになっておりました。  ところで、ことしでございますが、ことしは米軍の方の財布の状況が大変厳しい状況でございまして、今のところなかなか給与改定に素直に応じられるような状況ではないんだと、大変に苦しい状況なんだという窮状の訴えというものが頻繁に私のところに来ておりまして、私どもの方は、それは苦しいは苦しいだろうが、こいつはとにかくやってもらわにゃいかぬという態度では進めておりますけれども、昨年同様あるいは昨年にも増してなかなか厄介な話になるんではなかろうか、難航するんではなかろうかということも危惧はいたしております。しかしながら、長年とにかく同 一、同時期ということでやってきている原則でございますからして、私どもといたしましては精いっぱいの努力を続けてまいりたい、このように思っている次第でございます。
  182. 野田哲

    ○野田哲君 これはやはり施設庁として責任を持って米軍側の了解も取りつけて今までどおりの対応で適切な措置をとっていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。  栗原長官に事実問題だけ伺って、また機会を見て是非の問題は議論をさしていただきたいと思うんですが、新聞の報道によりますと、今の日本人の労務者に対する賃金、これについて円高によってアメリカの負担がふえる、こういうことに対する対処として日米間の地位協定と別の特別協定を結んで日本側が一定額の負担をする、こういう措置をとることを政府として決めて協定の案文を米側に提示した、こういう報道があるわけであります。これは事実でありますか。事実関係だけ、まず伺っておきたいと思います。
  183. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 私どもがお答えできることではないわけでございますけれども、と申しますのは、外交関係の話でございますから外務省がお答えすべきことだと思いますので、私どもは確たることを存じないわけでございます。  ただ、外務省の方と私どもの方と、問題が問題でございますのでこのままではなかなか難しい事態も予想されるということで、どういうふうな方策があり得るだろうかということで真剣に検討していることは事実でございますが、それ以上のことにつきましては私どもがお答えでき得ない事柄でございます。
  184. 野田哲

    ○野田哲君 報道では「政府は」と、こういうふうに始まっているわけでありますから、もちろん外務省の所管ではありますけれども防衛庁、外務省、大蔵省、三省にかかわることでありますから、「政府は」ということで報道されているので私は粟原長官に事実関係はどうなっているんですか、こういうことでお伺いをしているんです。
  185. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 日米安保体制というものを確実なものにする、非常に重要なものであると、そういう観点から米駐留軍の労務の安定的供給ということは大変重要なことであります。特に、ここのところ円高・ドル安というようなことから、駐留軍労務者の給与の問題についてもいろいろとございますので、これはアメリカとの関係だけでなしに、我が国の雇用の問題としても非常に重要である。そういう観点から、何とか政府としても施策を講じなきゃならない。そのためにいろいろと研究をし、創意工夫を凝らしておる。  どういうふうになるかという問題につきましては、今施設庁長官から話がありましたとおり、この協定とか条約の担当は外務省でございますので、外務省の方からお聞きをいただきたい。今私の段階でかくかくということを申し上げることは適当でないと思います。
  186. 野田哲

    ○野田哲君 終わります。
  187. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、初めに人事院総裁にお伺いします。    〔委員長退席、理事亀長友義君着席〕  これは、先回の内閣委員会におきましても官房長官が御出席のときにお伺いをいたしましたけれども、先ほどもお話がございました、ことしの給与完全実施に伴う官房長官の記者会見での発言、当委員会でも総裁の横っちょで先般の委員会発言がありましたが、あの官房長官のいわゆる五%未満の場合の勧告の問題ですね。人事院としてはどういうふうに受けとめていらっしゃるかということを、まずお伺いしておきたいと思います。
  188. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 官房長官からもしばしば御答弁内容として言われましたように、いわば政府として人事院に対して要求しているとか、あるいはこういうふうにしたいというふうなものではなく、官房長官のお言葉をかりれば、というようなことも人事院で考えたらいいんじゃなかろうかというふうに考えるので、そういうことを自分の気持ちとして言ったと、こういうことでございますから、私どもの受けとめ方は、政府の公式的な論議された方針というふうなものであるよりも、むしろ官房長官としていろいろ人勧問題を考える場合に一つの考え方を言われたものと。したがって私どもとしては、人事院に対して申し入れをされておるとか、あるいは人事院のあり方に対する干渉と、そういうふうなものとしては受けとめておりません。  ただ私どもは、勧告を行うに当たりましては、常に客観的な諸般の情勢を検討するとともに、各界各層の意見等にも耳を傾けておるわけでございますから、また、そういうふうな政府筋から意見がありました場合にも、一つのそういうふうな考え方といいますか、そういうものとして聞くことについてはやぶさかでございませんが、これに拘束されるつもりは私どもは全く持っておりません。
  189. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ぜひ今の総裁の御意見のとおり——官房長官も言っておりましたけれどもね、圧力なんというものじゃない、縛るものじゃないと随分おっしゃっていましたが、案外、今までのいろいろなやり方を見ておりますと、あの官房長官が言うと大体そうなるんですね。これはやっぱりそれだけ権威があるということでもありますし、これは我々としては非常に注意しなくてはいけない、そういうふうに思います。  また同時に、これは総裁、人事院が発足して以来、昭和二十三年ですか、スタートしまして一回だけ、あれ二十九年だったですか、勧告がないことがあったわけですが、それ以来、毎年ずうっとやってきているわけですね。しかも人事院のそれこそ主たるお仕事であったわけです。その中でこの低成長時代に入りまして、五%を切って勧告をする時代というのが続いてきたわけであります。  そんな中で、ことしも二・三一%ですかで勧告をされたわけでありますが、そういうような意味では非常にこれは大事な問題だと思いますので、要するに人事院としては五%を切っても勧告をする、いや、こういうわけでやっているんだというのが私はあると思うのです。それを一遍、これは事務当局でも結構ですが、総裁でも結構ですが、そこら辺のところのお考えを初めにお伺いしておきたいと思います。
  190. 鹿兒島重治

    政府委員鹿兒島重治君) 人事院としましては、最近におきましても昭和五十三年、五十四年あるいは五十五年、いずれも五%を切った勧告をしているわけでございます。いろいろ理由はございますけれども、御承知のように、最近のように公務員の給与ベースが高くなってまいりますと一%といえどもゆるがせにできないということでございまして、ことしの勧告の場合も御案内のとおり二・三一%でございますが、これを平均的な金額に直しますと六千九十六円ということになりますし、また、社会全体の状況におきましてもかなり低いベースアップというものも非常に重視されるようになってきております。  他のことを申し上げますと、例えば仲裁裁定等につきましても、一%程度の仲裁裁定でもこれを実施するというような状況もございまして、その他諸般の情勢を考えまして、ことしも二・三一%の勧告ということをいたした次第でございます。
  191. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私の手元にありますこの資料によりましても、過去五%未満で勧告をいたしておりますのが昭和五十三年の三・八四%、それから五十四年の三・七%、五十五年の四・六一 %、五十七年の四・五八%とずっとあるわけでありますし、それから、今仲裁裁定の話がございましたが、仲裁裁定の場合も五十八年が一・八三%、五十九年が一・九五%、そういうことになっておりますし、今もお話がございましたように、もし一%ということになりましても、職員にとりましては金額は案外大きい、一 %の場合大体二千六百円ぐらいになるんですね。そういうような観点もありますし、また、勧告をもし見送った場合は翌年へ繰り越されるわけでありますから、今度は翌年の勧告のときには一般のベアと比べて随分これは高い率になる可能性がありますから、そうしますと、反発を招くということにもなりますし、これは従来どおりやはりいろいろと事情はありましてもきちっとした勧告が私は必要だ、こういうふうに思っておりますが、この点は、総裁どうですか。
  192. 内海倫

    政府委員(内海倫君) たびたび私の所見を申し上げておりますように、勧告というものの意味を十分二十八条の精神の上に立って考えなければならない、こういうふうに思っておりますから、今後におきましてもそういう意味で厳密に考え人事院の良心において措置をいたしていきたい、こういうふうに思っております。
  193. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、次に玉置長官、ことし七年ぶり完全実施でございまして、これからいろいろ今の五%以下の問題が出てくると思うんですね。いろんな問題があると思いますけれども、この問題に関連をして給与勧告等含めまして長官のお考えもお伺いしておきたいと思います。
  194. 玉置和郎

    ○国務大臣(玉置和郎君) 官房長官来ていませんが、私から五%の問題ちょっと言っておきます。  政府・与党の首脳会議の席上で党の方から非常に強い御意見がありました。それは、鉄鋼、石炭それに造船、そういうところの解雇、それからレイオフ、そういう中でなぜ公務員だけがという、そういう強い要求の中でかなり頑張っておられたのが官房長官であります。それは官房長官自身が昨年の秋、十一月ごろでございますか、完全実施を誠意を持っていたしたいという国会答弁がありまして、それがなかったら私が幾ら走り回ってもなかなかできなかったと思うんですよ。実際走り回ってみまして難しい問題やなと、こう思いましたが、あの答弁がありました、それが支えでございまして、さっき官房長官が言ったら大抵通ると、そのとおりでございまして、偉い人ですよ、ああ来ていらっしゃる。そういうことで、たとえ五%を下がって云々しましても、人事院から勧告が出た場合には、我々はやっぱり先ほど申しましたように完全実施に向けてやっていくというのが基本的スタンスであります。
  195. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは防衛庁長官に一言お伺いしておきたいと思います。  これは毎回一%枠という問題がにぎやかですな、とにかく。毎日防衛庁長官発言やら、それはもういろんな方の発言が載っておるわけでありますが、これはやっぱり我々としては何としても一%枠をきちっと守っていただきたい、そういうつもりでおります。特に最近、決算段階で守れば閣議決定に違反はしない、そういうような発言があるわけでありますが、これはやっぱり僕は非常に大きな問題であると思っております。そういうような意味で、これは長官の真意をお伺いしておきたいと思います。
  196. 栗原祐幸

    ○国務大臣(栗原祐幸君) 一%の問題は、当初予算を組むとき、それから中途で補正予算を組むとき、これは当然一%を超えますといけない。超えるような場合には削るか、あるいは閣議で見直すか、こういうことであると思います。  決算につきましては、これはなかなか難しいですね。守っていきたいといいますか、守るという精神はあっても、出たものについてですからね。したがって、出たものについてどう言えるかというのはなかなか微妙だと思うんですよ、これは。だからその点は、例えばGNPや何かにその時点で大きな変動があってというようなことしかちょっと考えられないですね。ですから、そういうことのないようにありたいというのが私の考え方でございます。
  197. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 わかりました。  官房長官がお見えになりましたので、いろいろあれこれお伺いをしたいんですけれども、きょうは時間の関係もありますので、戦後処理の問題の中でこれは二つお伺いしておきたいと思います。  一つはシベリア抑留者の問題ですね、これも随分最近取り上げられておりますし、    〔理事亀長友義君退席、委員長着席〕 何とかせにゃいかぬということで我が内閣委員会にも請願が随分来ておりますし、検討を今いたしておりますが、この問題についてのお考えが一つ。  それからもう一点、これは台湾人元日本軍人軍属皆さん方に対するお考えですね、これも一遍お伺いしたことがございますけれども、これも当内閣委員会請願等の中にも随分あるわけでありますが、政府としてのお考えをお伺いしておきたいと思います。
  198. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) いわゆる戦後処理問題と言われておる中には、今御質問シベリア抑留者方々に対する補償の問題、それから在外資産ですか、それから恩給欠格者、こういった三つの問題が言われておりますが、これらについては、かねて御承知のように、二年半ばかりの長い期間をかけまして戦後処理懇で有識者の方のいろんな御意見を拝聴したわけでございます。その結果、皆さん方の御意見は、この際いわゆる個人補償というものは適当ではないであろう、しかし、こういった方々の厳しい環境に置かれた当時の状況を思えばこれはやはり何らかの慰謝の念をあらわす必要があるだろうということで、いわゆる基金構想で対処すべしと、こういうことになったわけでございます。  そこで、政府としては、過去二年でしたか調査費等を計上しまして基金構想について今検討をしておるわけでございます。したがって、現時点において私の立場から、いわゆる個人補償になるという面については、これはそのように取り計らいますと言うわけにはまいらない。しかしいずれにいたしましても、多くの方々の極めて御熱心な御要望もありますから、そこらは政治の場でどう結末をつければいいのかというような問題もありますから、十分勉強さしていただきたいと思いますが、今日の時点でどうかといえば、基金構想で処理させていただきたい、こう申し上げるほかはないわけでございます。  それからもう一点の台湾人元日本兵の問題でございますが、これは御承知のような経緯で請求権問題が台湾にいらっしゃる方々については、処理が政府としては、日本としてはできていないわけでございますから、これは今御承知の最高裁の判決待ちといったような状況もありますけれども、高等裁判所の判決も、国にいわゆる賠償の責任はなかろうけれども、これは道義的に日本としては考えるべき筋合いではないのか、こういう判決が出ております。私は、この判決の趣旨は極めて当然のお考えであろう、こう考えておるわけでございますから、これらについては、ただ、外交案件で厳しい問題が残っておりますから、これらを何とかクリアしまして、これはやはり日本国としてはきちんと処理をすべき筋合いのものであろう、 こういう考え方のもとに今私どもとしては鋭意検討をしておるんだ、かように御理解をしていただきたいと思います。
  199. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もうこれで終わります。  官房長官、先ほどの一%の問題のときにも、必ず官房長官お話というのは最後に出てくるんですよね。これはやっぱりそれだけまあ実力を持っていらっしゃる官房長官の御発言ですから必ず出てくるんだろうと思うんですが、例えばこの新聞の最後にも、いろいろ防衛庁長官発言や何かずっとあって最後に官房長官が出てくるわけです。  それで、官房長官は一%の問題について、一一%枠を守ることは厳しい状況だ」と、それだけしか書いていないわけです。それから先を官房長官に聞きたいわけですが、厳しい状況だが来年度も守りたいとお考えなんでしょうか、厳しい状況だからもうやめたいとお考えなのか、これはちょっと一言聞いておきたいと思いまして、非常に大事な問題でございますので。
  200. 後藤田正晴

    ○国務大臣(後藤田正晴君) こういうときは普通、舌足らずでまことに申しわけないと、こうお答えする場合が多いんですが、これは、舌は十分足りておったんですが、筆が足りないわけでございます。  私は、こういう際には必ず、五十一年の三木内閣、これの閣議決定というものは、しばしば国会の場で総理が答弁しておるとおり、これは政府としてできる限り努力をして守りたいんだと。これが前提として、しかしさればといって、整備しなきゃならない、この防衛力の大綱を目指しての整備ですね、これはやらなきゃならない。そこらを考えるとなかなか来年度の予算は厳しいなあと、こう申し上げておるんで、大前提はきちんと申し上げておりますから、それで御理解をしていただきたい、こう思います。
  201. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 終わります。
  202. 内藤功

    内藤功君 まず、給与法案に関連して、職員の転勤問題について質問を行います。  国家公務員は、全国的な視野に立って職務を遂行するという性格上、転勤自体は避けられないことでありますが、さてしかし、その際特に問題になり、多くの事例で深く考えなきゃいかぬのが転勤に伴う家庭的な事情、特に高校生の転入学問題であります。  学校に通う子供たちを持つ方の場合には、転入学のやりやすい時期を配慮するとか、準備期間を与えるとか、こういう環境をつくることが非常に大事だという感じを強く持つわけであります。 特に高校生の転入学については特段の努力が必要ではないかというふうにかねがねいろんなお話を聞いて考えております。もちろんこれは各都道府県の協力も必要でありますが、総務庁また人事院といたしましてこの問題についてどのようなお考えであり、また、どのような御努力をこれからされるおつもりかという点をまず伺っておきたいと思います。
  203. 手塚康夫

    政府委員(手塚康夫君) 先生御指摘のとおり、国家公務員の場合には、とりわけ全国的な広がりを持った中で仕事をしているということで転勤が多いというのは全くそのとおりでございます。その際に、やはり地方に転勤する場合、その場合の職員の一番の気がかりは子弟の教育問題であるということも我々理解しております。ただ、これは国家公務員だけの問題ではございません。やはり民間においても地方への転勤があり、その場合に高校への転入学問題がございます。したがって、国家公務員だけ特別扱いということは私ども考えておりませんし、そういうことはやるべきではないと思っております。  そこで、一般的に官民を通じてそういう転勤があるということを踏まえまして、文部省の方でも都道府県に対してそれなりの通知を出し、改善の努力を行っているわけでして、その改善の結果も出てまいっておるわけでございます。私どもは、そういうことで文部省に御努力願っているということでございます。
  204. 鹿兒島重治

    政府委員鹿兒島重治君) 基本的にはただいま人事局長からお答えになったとおりでございまして、御案内のように、高等学校の転入学の問題は、基本的には各部道府県の教育委員会の問題でございます。ただ、事柄職員の配置替え等に非常に大きく影響してまいりますので、私どももそういった問題につきましては十分な関心を持って見守ってまいりたい、かように考えております。
  205. 内藤功

    内藤功君 いろんな経済的な面、それから精神的な面のマイナスが出てくるわけであります。特に高校生以上の子供さんを持っている場合に簡単に転入学ができない、そこで単身赴任というのが非常にふえておるわけです。人事院では最近何か公務員の転勤に関する調査をされておりますが、その中でこの単身赴任者の状況、二重生活に伴ういろんな帰宅費用とか生活費の経済負担の問題などをお調べになったと思うんですが、その内容あるいはそれを見ての御所見を伺いたいと思うんです。  これはすぐ解決できるという簡単な問題ではないと思いますけれども、経済的側面で手当てをもう少し厚くするとか、あるいは赴任先における宿舎のつくり方、あるいは食事についてのいろんな配慮というふうな、人事院としてのいろんな改善策、バックアップ策をどのようにお考えになっておるかという点もあわせて伺いたいと思います。
  206. 鹿兒島重治

    政府委員鹿兒島重治君) 昨年の国家公務員の実態調査をいたしました際に、あわせて国家公務員の転勤の状況、単身赴任の状況を調査いたしました。その概況につきましては既に新聞等に発表したこともございますけれども国家公務員の場合には、民間に比べますとかなり転勤の率が高いという結果が出ております。特に在職者に対する単身赴任者の割合というものが給与適用の全公務員のうち三・三%に達しておるという状態が出ております。また、その内容を見ますと、管理職員等に比較的その割合が多いこと、したがって年齢層がかなり高いところに多いということ、あるいは職種によりましては、例えば税務職でありますとか、あるいは公安職でありますとか、こういう職種に多いという結果も出ております。  一応そういう結果を把握しながら、他方では民間におきます単身赴任に対する措置の状況につきましても若干の調査を行っているわけでありますが、現在の段階におきましては、御案内のように、単身赴任というものは、一つは職務上の要請に基づき、片方ではやはり家庭の事情に基づきということで、その両方の兼ね合いの中から生じてくる問題でございまして、民間におきましても、現在のところ、こういう転勤を伴う異動があります場合に措置をしているもの、していないもの、半々程度の割合ということになっておりまして、まだその帰趨は十分定めがたい状況にございます。  私どもは、今後もこういった民間の状況というものを十分勘案しながら、なすべき方策がございますればその措置をとってまいりたい、かように考えております。
  207. 内藤功

    内藤功君 一層の御努力をお願いいたしまして、次に法務省にお尋ねをしたいと思うんです。  さきに可決、成立した国鉄分割・民営化関連法案との絡みで、国鉄用地や財産の所有権移転に伴う登記申請がなされるわけですが、運輸省や国鉄の概算でも八百万筆もあり、法務省によると、すべて終わるには十年近くかかる、一般登記のこれによる渋滞も必至だと、こういうふうに言われております。法務省のこの点の御認識、それからこれに対する対応にどのように努力をしておられるかという点を伺いたいと思います。
  208. 稲葉威雄

    説明員(稲葉威雄君) 先生御指摘のように、法務局が取り扱っております登記事件数は非常に多うございまして、それに対して必ずしも十分な事務処理体制が確立されているわけではないわけであります。それに加えて、今般、御指摘の国鉄の登記関係事件がふえます。これに対しまして、私どもとしては、一般的に事務処理体制を確立するとともに、特に国鉄関係の登記事件については所要の予算措置を要求するということで対処していきたいというふうに考えております。
  209. 内藤功

    内藤功君 膨大な量になると思うんですね。私は、実地に行って見ましたけれども、今でも大変なところに、これが数百万というものが来たらどんなふうになるだろうかと思います。これはよほどの御努力が必要だと思います。  それから、法務局には登記のほか戸籍、国籍、供託、行政訴訟の業務、人権擁護業務、非常に国民生活に密着した仕事があるわけであります。さらにそのほか法務省では更生保護業務というのがあって、これは近来出入国業務の多量化に伴って、それから我が国の国際化、多様化によって非常に交流が盛んになった。そういう中で入管業務が非常にこれまた繁忙をきわめておるのであります。これにつきましては衆参の法務委員会におきまして各会派一致で増員の決議もしばしばなされておるわけであります。  この面を含めまして、法務省の今後の増員についての御努力の決意というものを伺い、最後に今の件について総務庁の御見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  210. 稲葉威雄

    説明員(稲葉威雄君) 法務省のそういう一連事務処理は、人によって支えられている面が非常に強いわけでございます。私どもとしては、今後もできる限り増員を得るという方向で努力してまいりたいというふうに思っております。
  211. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) 法務省の定員につきましては、従来から厳しい定員事情の中にありまして、特に登記部門等を中心に格別の配慮をしてまいっておるところであります。  六十二年度の増員につきましては、引き続き厳しい定員事情にありますけれども、目下法務省の御要求内容について検討をしているところでありまして、登記事務職員の増につきましても、業務量の推移等を踏まえつつ慎重に進めてまいりたいと考えております。
  212. 内藤功

    内藤功君 ぜひ積極的にやってください。  じゃ、終わります。
  213. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 一問だけ申し上げて終わりますから、どなたかお答えいただきたいんですが、それは、人事院勧告が八月十二日に二・三一%であったわけです。それで、政府の方もことしはもう完全実施に踏み切っていただいたわけですから余り細かいことをとやかく言う必要はないんですが、それがどうして十二月の終わりのこのところへ来なければ国会の議決なり実施がされないんだろうか。私は、これはもう立法精神に反することだと思います。こんなことをしているならば、もう人事院の勧告制度をやめちゃって、各省庁みんなそれぞれの職員組合というか労働組合と団体交渉をして、みんなそれぞれ自由に賃金決めろと、こうやっちゃったらいいと思うんです。だから今度の場合なんかでも、政府皆さん方もせっかく御努力なさってこれだけの完全実施をして、そして十二月の年の暮れになってやっと四月からの給料が上がるんだということになれば、公務員の諸君だってありがたみがなくなると思うんです。だからそういう点でもって、人勧制度があるならばもう少しそれを忠実に守ってください、守れないならばもうやめて、各省庁みんなそれぞれが団体交渉でやはり決めなさいといった、その辺の決断をするときに来たと思うんで、その点はこれは御返事お聞かせいただきたいと思うんです。  それから人事院総裁の方には、これはもう御答弁要りませんから、答弁といったって、これは総裁だって言いにくいと思いますが、来年は四月の初めになったら政府の方へ行って、人事院勧告出したらもうちょっと早くぱっとやってくれるんですかどうですかとお聞きになって、ことしのように年の暮れにならなければそれが実施されないようならば、じゃやめますと言って、もうそういう作業を放棄したらいいと思うんですよ。そうしたら、政府も困って少しは何とか改めると。だから、せっかく人事院の方の皆さんも御苦労なさってそうやって勧告を出す、出しても政府はやりっ放しで十二月の年の暮れに来てこういういうふうな始末を毎年繰り返しているんですから、そのことについての御答弁は総裁に求めてもこれは無理だから要りませんから、前段の方だけは長官から、人事局長でも結構ですから言ってください。
  214. 手塚康夫

    政府委員(手塚康夫君) 先生の御提案大変なことでございますが、政府としては第三次公務員制度審議会、それからこの間の臨調答申においても、今の人観制度、これを基本的に維持尊重していくということになっておりまして、その方針できているわけです。  確かにここ数年いろいろ問題もございました。それから先生のおっしゃるように、ことしはもう完全実施の方向が決まっているんじゃないかと、早く決めたらどうかという点もわかりますが、ただ、三回にわたって給与関係閣僚会議開いて国政全般との関連で論議をいただいているわけです。と申しますと、ここ数年は特に財政事情が国政全般の中で大きな問題だったことは事実です。ただ、それだけではございません。要するに、民間準拠ということで人事院の方も調査されて、民間の平均に持ってまいります。そうすると、平たく言えば民間の企業、人事院の調査している対象企業の半分は国家公務員の方が高いと思っているわけです。そういう方にも納得していただかなければいけない。そのために、財政事情だけではなくって総人件費、これはふえないようにという努力もやはり政府としていたさなければいけません。  その辺も含めて給与関係閣僚会議で御論議をいただき、閣議決定の際にもそういった趣旨が入っておるわけでございます。そういった論議を尽くすことによって国民も納得していただけるのではないか。そこで初めて人勧制度尊重というのがかえって国民の理解をいただけるんじゃないかということで、こういうふうになってきております点をぜひ御理解いただきたいと思います。
  215. 玉置和郎

    ○国務大臣(玉置和郎君) 事務的に答えたらあんなことになるのでね。 私はここの参議院のときに行革委員長をやりました。だから皆さんもよく知っておると思います。それから仲裁裁定にも私走り回ったことがあります。毎年です。  これはやっぱり国会というのは、これは釈迦に説法ですが、与党と野党とあって、それで野党はこの法案は絶対だめだと、最後は絶対と言わないでどこかで修正してということになりますが、そういうときに、言うなら綱引きですよね。何とかして政府は、この重要法案というか、思い込んでいる法案を通したいと言って坂を上っていくわけですよ。機関車が一つでもさっと上がる坂もあるんですよ。ところが、機関車車一つじゃ上がらぬやつがあるわけですよ。それは何かといったら、やっぱり今度の人観なんですよ。人観が後押しの機関車になって防衛二法が上がれば、これも皆上がったんです。だから、その辺のことはわかっておりながら開かれるとやっぱり一番つらいんですよ。つらいんですが、しかし相なるべくはそんなことのないように、やはり安心して早く公務員の皆さん方がお金を手にできるようにしてあげることが私は親切だと思うんです。  まあしかし、先生、もうそれだったらあっちやれこっちやれ、交渉せいと言うけれども、これはやっぱりちゃんと四月にさかのぼってお金をもらっていただけるんですから、まあ一応喜んでいただけるんじゃないかと、恐らく民社さんも賛成でございますのでね、私はそう思います。この辺のところ、知っておりながら聞くというのはやっぱり、そしてまた答弁せんならぬ方の立場は、これはつらいですよ。よろしく。
  216. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 委員長、一言。もう、「一問」と言ったものだから……。  手塚局長、今もう長官が言われた通りよ。そういうことは言わぬこと。それはへ理屈なんだ。これは立法精神に反することで、それは通用せぬことで、だから、長官の言われたそのことはもうおっしゃるとおり理解するし、それを、長官、今度もこれだけ行革審またつくって行政改革をやろうというわけです。だから、国会の中のそういうことについても一気にといってそれはできやせぬけれども、余りあれとこれとの取引何だかんだ、そういうことについては与党、野党ともどもにやっぱり改める努力をしていかなければ、明治のころのようなことを今日の時代でやったら笑われるんですから、そういう点で我々も努力しなければならぬ点はしますけれども、そちらでも御努力をする点はしていただきたい、そういう要望だけを申 し上げて、終わります。
  217. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  218. 内藤功

    内藤功君 私は、日本共産党を代表して、一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行うものであります。なお、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案には棄権の態度をとるものであります。  まず、一般職給与改正法案人事院勧告史上最低水準であり、第一線職員生活実態から見て極めて不十分な改定でありますが、人事院勧告どおりの実施であり、賛成するものであります。  特別職給与改正法案中、秘書官の俸給引き上げのように、その俸給水準から見て改善が必要と思われる部分もありますが、全体としては、大臣、政務次官など一部高級公務員の俸給月額の大幅な引き上げであります。これは上厚下薄の職員給与体系を温存、補完するものであります。また、今日の国民生活の一般的水準、国民感情及び深刻な財政危機の現状等から見て、本改正案には反対するものであります。  内閣総理大臣等の給与の一部返納の特例措置は、以上の批判や疑問にこたえるものではなく、こそくな方策であります。また、公選法の寄附禁止規定や、法令による歳入の徴収収納原則との関係でも疑問があり、賛成でぎません。  なお、防衛職員給与改正案は、防衛庁の一般職員、曹士隊員、下級幹部とその家族の生活を守る上での給与改善は当然必要であります。したがって、反対はいたしません。しかしながら、自衛隊は、米戦略に組み込まれた憲法違反の軍隊であるとの基本的立場をとる我が党は、これに賛成できません。よって、棄権の態度をとることを表明し、討論を終わるものであります。
  219. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  220. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決をいたします。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  221. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について採決をいたします。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  222. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、三法律案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  223. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  224. 岩本政光

    委員長岩本政光君) これより請願の審査を行います。  第六三号国家機密法制定反対に関する請願外二百四十六件を議題といたします。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第六八号シベリア抑留者の救済に関する請願外四十七件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第六三号国家機密法制定反対に関する請願外百九十八件は保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  227. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、両件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  228. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  229. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  230. 岩本政光

    委員長岩本政光君) この際、一言お礼を申し上げます。  以上で、今期国会における内閣委員会案件処理はすべて終了することができました。終わりに際しまして、委員各位の御協力に対し、心から感謝を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十六分散会