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1986-11-25 第107回国会 参議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十五日(火曜日)    午後一時一分開会     ─────────────    委員異動  十月二十二日     辞任         補欠選任      井上  計君     橋本孝一郎君  十一月十三日     辞任         補欠選任      橋本孝一郎君     井上  計君  十一月十四日     辞任         補欠選任      井上  計君     橋本孝一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高杉 廸忠君     理 事                 岡野  裕君                 竹山  裕君                 宮田  輝君                 大木 正吾君     委 員                 長田 裕二君                 志村 愛子君                 添田増太郎君                 永田 良雄君                 成相 善十君                 西村 尚治君                 福田 幸弘君                 及川 一夫君                 鶴岡  洋君                 原田  立君                 山中 郁子君                 橋本孝一郎君                 青島 幸男君                 平野  清君    国務大臣        郵 政 大 臣  唐沢俊二郎君    政府委員        科学技術庁長官        官房審議官    川崎 雅弘君        郵政大臣官房長  成川 富彦君        郵政省通信政策        局長       塩谷  稔君        郵政省放送行政        局長       森島 展一君    事務局側        常任委員会専門        員        大野 敏行君    説明員        自治省行政局選        挙部管理課長   岩崎 忠夫君        会計検査院事務        総局第五局長   小川 一哉君    参考人        日本放送協会会        長        川原 正人君        日本放送協会技        師長       中村 有光君        日本放送協会専        務理事      林  乙也君        日本放送協会理        事        松本 幸夫君        日本放送協会理        事        尾西 清重君        日本放送協会理        事        植田  豊君        日本放送協会理        事        井上  豊君        日本放送協会経        理局長      松村  勇君        宇宙開発事業団        副理事長     園山 重道君        宇宙開発事業団        理事       船川 謙司君     ─────────────   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○日本放送協会昭和五十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書(第百四回国会内閣提出)     ─────────────
  2. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告をいたします。  去る十月二十二日、井上計君が委員辞任され、その補欠として橋本孝一郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  日本放送協会関係付託案件審査郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査のうち、放送に関する事項調査のため、日本放送協会役職員参考人として今期国会中、必要に応じ、随時出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  また、日本放送協会昭和五十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書審査のため、本日の委員会宇宙開発事業団理事長園山重道君、同事業団理事船川謙司君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 次に、日本放送協会昭和五十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題といたします。  まず、政府から説明を聴取いたします。唐沢郵政大臣
  7. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書国会提出につきまして、概略御説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出された昭和五十九年度貸借対照表等によりますと、昭和六十年三月三十一日現在における資産総額は三千五十九億四千四百万円で、前年度に比し四百三億八千万円の増加となっております。  これに対しまして、負債総額は一千四百一億八千五百万円で、前年度に比し百四十七億八百万円の増加となっております。  資本総額は一千六百五十七億五千九百万円で、前年度に比し二百五十六億七千二百万円の増加となっております。  資産内容を見ますと、流動資産五百二十六億八百万円、固定資産二千三百六十二億七千八百万円、特定資産百六十六億七千三百万円、繰り延べ資産三億八千五百万円であり、固定資産内容は、建物六百十二億六千万円、機械及び装置五百九十二億九千六百万円、土地二百十二億四千八百万円、その他の固定資産九百四十四億七千四百万円となっております。  また、負債内容は、流動負債六百八億二千百万円、固定負債七百九十三億六千四百万円であり、固定負債内容は、放送債券四百六十一億三千万円、長期借入金百七十八億八千四百万円、退職手当引当金百五十三億五千万円となっております。  資本内容につきましては、資本一千三百九十六億四千三百万円、積立金四億四千四百万円、当期事業収支差金二百五十六億七千二百万円となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。  経常事業収入は三千三百六十一億一千四百万円で、前年度に比し四百八十六億四千八百万円の増加となっております。  これに対しまして、経常事業支出は三千百三十五億九千九百万円で、前年度に比し百七十六億六千五百万円の増加となっております。  この結果、経常事業収支差金は二百二十五億一千五百万円となり、これに経常事業外収支差金十一億六千八百万円を加えた経常収支差金は二百三十六億八千三百万円となっております。これに特別収入二十七億二百万円を加え、特別支出七億一千三百万円を差し引いた当期事業収支差金は二百五十六億七千二百万円となっております。  以上のとおりでございますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  8. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。川原日本放送協会会長
  9. 川原正人

    参考人川原正人君) ただいま議題となっております日本放送協会昭和五十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書概要につきまして御説明申し上げます。  まず、財産目録貸借対照表当年度末現在の資産総額は三千五十九億四千四百万円で、この内訳は、流動資産五百二十六億八百万円、固定資産二千三百六十二億七千八百万円、特定資産百六十六億七千三百万円、繰り延べ資産三億八千五百万円で、このうち固定資産内容は、建物六百十二億六千万円、土地二百十二億四千八百万円、機械及び装置五百九十二億九千六百万円、放送衛星百二十六億百万円、その他の有形固定資産無形固定資産四百七十六億円、出資その他の資産三百四十二億七千三百万円でございます。  当年度資産総額を前年度末と比較しますと、四百三億八千万円の増加となっておりますが、これは主として、当年度建設計画に基づく放送衛星号a整備テレビジョン放送網整備放送設備整備等により固定資産が二百九十七億一千百万円増加し、また受信料前受け金等増加により流動資産が八十五億六千八百万円増加したためでございます。  一方、これに対する負債総額は一千四百一億八千五百万円で、この内訳は、流動負債六百八億二千百万円、固定負債七百九十三億六千四百万円。このうち固定負債内容は、放送債券四百六十一億三千万円、長期借入金百七十八億八千四百万円、退職手当引当金百五十三億五千万円でございます。  当年度負債総額を前年度末と比較しますと百四十七億八百万円の増加となっておりますが、これは受信料前受け金等増加により流動負債が百十八億三千六百万円増加し、また、長期借入金等増加により固定負債が二十八億七千二百万円増加したためでございます。  また、資本総額は一千六百五十七億五千九百万円で、この内訳は、資本一千三百九十六億四千三百万円、積立金四億四千四百万円、当期事業収支差金二百五十六億七千二百万円でございます。この資本総額は前年度末と比較し二百五十六億七千二百万円の増加となっております。  次に、損益計算書により経常事業収支について見ますと、まず、受信料等経常事業収入は三千三百六十一億一千四百万円で、前年度と比較し四百八十六億四千八百万円の増加となりました。  これは主として、昭和五十九年度以降三カ年の経営計画のもとに、昭和五十九年四月から、やむを得ず放送受信料月額の改定を行うとともに、受信契約維持増加に努めた結果でございます。  なお、有料受信契約件数は二十五万件増加し、当年度末には三千十九万件となりました。  次に、経常事業支出は三千百三十五億九千九百万円で、この内訳は、国内放送費八百五十六億八千二百万円、国際放送費二十三億百万円、契約収納費三百四十五億六千五百万円、受信対策費十二億四千三百万円、広報費十五億三千二百万円、調査研究費三十五億四千八百万円、給与一千七十四億九百万円、退職手当厚生費三百二十四億六千百万円、一般管理費七十五億一千百万円、減価償却費二百七十七億二百万円、未収受信料欠損償却費九十六億四千五百万円となっております。  これは前年度と比較し百七十六億六千五百万円の増加となりましたが、主として放送番組内容充実刷新受信契約維持増加施策の推進及びこれらの事業遂行に伴う事業運営費増加等によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支差金は二百二十五億一千五百万円となり、これに経常事業外収支差金十一億六千八百万円を加えた経常収支差金は二百三十六億八千三百万円であります。これに特別収入二十七億二百万円を加え、特別支出七億一千三百万円を差し引いた当期事業収支差金は二百五十六億七千二百万円となりました。このうち、債務償還等に充てた資本支出充当は八十億五千五百万円であり、事業収支剰余金は百七十六億一千七百万円であります。  なお、この事業収支剰余金は翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。  これをもちまして概要説明を終わらせていただきますが、今後の事業運営に当たりましても、公共放送としての使命と責務を銘記し、一層放送事業の発展に努力してまいる所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。
  10. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 次に、会計検査院から検査結果についての説明を聴取いたします。小川会計検査院第五局長
  11. 小川一哉

    説明員小川一哉君) 日本放送協会昭和五十九年度決算につきまして検査いたしました結果を説明させていただきます。  日本放送協会昭和五十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書は、昭和六十年八月七日内閣から送付を受けましたが、その検査を終えまして、同年の十二月六日内閣に回付させていただきました。  同協会の会計につきまして検査いたしました結果、特に法律、政令もしくは予算に違反し、または不当と認めた事項はございませんでした。  以上簡単でございますが、説明を終了させていただきます。
  12. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  13. 及川一夫

    及川一夫君 それでは、今の専業概況報告などを含めまして二、三御質問させていただきたいと思います。  まず、日本放送協会経営全般にかかわる問題でございますが、今の御報告、五十九年度決算ということでございますからそれはそれなりに理解をいたしますし評価もいたしたいと存じますが、むしろ五十九年から見ると、もう六十年度が四分の三経過をしております。 こういうこともございますし、その他もろもろのことで後で御質問申し上げたいと思うんですが、NHK経営に対して大変大きなマイナス要素が立ちはしないかという心配もないわけではございませんので、現状を踏まえまして日本放送協会としてNHK経営に対する現状評価といいますか、これならいける、それともこれから先こういうことが問題になる、したがって我々は何を意識しなければいけないか、こういう意味合いにおいて現状に対する評価について会長からお伺いをしたい、こういうふうに思います。
  14. 川原正人

    参考人川原正人君) 今のNHKの置かれましたいろいろな環境につきましては私ども決して楽観をしているわけではございません。内外にわたりまして非常に大きな変動の時期だと思っております。国際情勢、特に日本にとりましてはいろいろ貿易、経済問題を含めまして大変な影響が出ておりますし、また国内におきましてもこの国際的な環境の中で、大変経済的には構造の変化と思われるような事態も起きております。私ども、これに対して十分国民期待にこたえる番組をきちんと出していかなければいけないと思っております。  また、経営の中におきましては、こうした状況の中で、今御指摘のとおり五十九年度から六十一年度、今年度にかけまして、五十九年の四月から料金を改定させていただいて三年計画のもとに経営を実施いたしております。間もなくこの三年計画は終わるわけでございますが、私ども三年計画が終われば現行料金がすぐにもまた新たな観点から検討できるとは考えておりません。既に昨年来申し上げておりますとおり、この三年計画の中で少しでも経費の節約を努め合理化に励んで、そして余裕金はできるだけ次年度に持ち越すという方針経営をやってまいりまして、幸いにしてある程度の剰余を持って次年度に臨むことができる状況でございますので、次年度料金現行据え置きのままで引き続き経営を進めてまいりたいとかように考えております。
  15. 及川一夫

    及川一夫君 今のお答えは一九八七年の展望に立ってもなおかつ料金の値上げというのは据え置きできる、こういうふうに明示されたというふうに私は受けとめたいと思います。これでよろしゅうございますか。
  16. 川原正人

    参考人川原正人君) 八七年度昭和六十二年度におきましても現行料金をもって経営を進めてまいる決意でございます。
  17. 及川一夫

    及川一夫君 会長のそういった御決意ですから、我々もまともにそれを受けとめていきたいというふうに存ずるわけですが、三年計画でいずれにしても収支とんとんとこういう前提で来たものが、少なくとも一年間は現状のままでいけるということは、これは大変な努力の結果でありますから大きく評価をしてもいいというふうに私は思うんであります。ただ問題は、何の犠牲もなしに、同時にまた何の問題もなしにそういう事態になっていけるのかどうかということが私は大きな問題だろうと思うんであります。  事業支出内容を見まして剰余金百七十六億という数字が示されてはいますけれども、やはり内容を見れば、みずからも御指摘になっているようでありますが、受信料伸び率においてもあるいは新規受信者の目標に対する今日の到達時点の問題にいたしましても決して楽観は許されない、こういう事情だというふうにも考えられますし、同時にまた効率化という前提に立って物を考えて精査いたしましても、純粋に効率化によって事業支出を抑え得ることができたというのは、私から見ると五十一億のうち約二十一億程度ではないか、こんなふうにも感じられるわけであります。したがって、決して楽観を許せるような状況じゃない。それに加えて、建設関係でも五十九年度で四百四十億ですが、これから向こう六十六年までとされるゆり三号、あるいはまたゆり一号、二号を対象とした五年計画、これらのものを計算いたしましても一千四百六十億以上になるし、減価償却を開始するとさらにそれにプラスされたものが出てくるわけでありまして、そういったことを考えますと、大変な状況にあるのではないかというふうに私は実は判断をするわけであります。  したがって、そういう前提に立ちますと、今から言えるかどうか知りませんけれども、一九八八年度というのは、これはNHKにとってもそれこそ受信料の値上げ問題にまで立ち至った立場での問題の提起が出てくるような気がするんでありますけれども、この辺はいかがですか。
  18. 川原正人

    参考人川原正人君) 確かに、一九八八年度昭和六十三年度までを考えました場合に、協会財政状況というのは決して楽観はできない状況にあります。御指摘のような、いろいろな技術革新に伴います新しい番組制作手法というものも私ども十分に取り入れていかなければ、これは世界情勢に立ちおくれますし、またそれを取り入れていく過程においては相当の経費、またはそれは後年度における財政負担も伴うわけでございますから、よほど十分に心してかからなければなりませんし、また通常のいろんな経費におきましても、これは新しい番組制作のありように伴いまして、しかも新しい制作手法を駆使いたしますといろいろなことがまた可能になってまいりますので、そのためには相当の事業経費をつぎ込まなければ、また国民期待にこたえられない。  このことは、ごく最近の三原山のああいう噴火を見ましても、あるいはそれに先立つレイキャビクの米ソ首脳会談等も、今のいろんな技術手法を使えば、もう世界の隅々までのものが同時中継できるわけでございますので、それだけの手法があるものを、やはり経費がないからといって見過ごすわけにはまいりません。それは、国民期待に十分こたえてまいらなければならないわけでありますから、それなり経費を必要といたしますので、一方では経費がかかった分だけを受信料におぶさっていくこともできませんので、十分合理化すべきところは合理化していかなければいけない、そういう形の中でこれからの経営を賄っていかなければならないと思っておりますし、受信者に対してはできるだけ負担をおかけしないということが経営のもちろん基本方針でございます。そういうつもりでやっております。  ただしかし、一九八八年度ということになりますと、今申し上げましたいろんな経費がかさむことに加えまして、今私どもで非常に頭を悩ましている問題として、八八年度オリンピック放送権料という問題が非常に大きな問題になっております。これのやはり処理を十分気をつけてやりませんと、また大きな負担になりかねない問題でございますので、その点を十分見きわめた上で六十三年度、八八年度のことについては最終的に方針を決めたいと考えておるところでございます。
  19. 及川一夫

    及川一夫君 そういった事情でしょうから、これから大いに効率化の問題なんかを促進されるというふうに私は思うんですけれども、ただ振り返って、この効率化の問題であるとかあるいは事業の業績を上げていくという問題については、やはり何事限界があるように、一定限界というものは必ず私は生まれてくるものだというふうに思うんです。NHK本体のことだけを考えれば、ありとあらゆるものが俗に言う民営化と、民間下請に出すということをやれば事足りるようなそういう発想法があるとすれば、私は極めて問題ではないかという気持ちがして実はならないのであります。特に、これから効率化やいろんな面での事業の成績を上げるために、促進される場合に、NHK本体はよくとも、下請に出された方が今度は大変な目に遭う、また、目に遭わされているということも実はあるわけでありまして、そういった点で、私はNHK自体がやっぱり一定限界を感じたときには正々堂々とそれ自体をやはり国民の前に明らかにして、必要なものは必要なものとして認めてもらう、こういう私は態度が必要ではないかという気がしてなりません。  同時にまた、私は幾つかの下請事情というものを知っているつもりなんでありますけれども、これはかつて総理大臣中曽根先生等に陳情した際の話にもあるわけですが、例えば建設業界などでは政府から百億の金額をもって下請に出した場合に、元請がまた下請に出す、さらにはその下の下請に出す。一体何段階あるのか知りませんけれども、実際に働いている労働者とか事業経営者がどのぐらいで請け負ったのかというような問題をトータルしてみますと、百億が四十億になっているという話なんです。つまり、六〇%というのは中間搾取といいますか、いわば中間でみんなマージンを取り上げてしまう。実際に仕事をやって一生懸命工期に従って仕上げてみた結果、それがトータルしてみるとわずか四十億だという話すら実は出るのであります。したがって、民間労働組合などからは、そういうことを、余りにも段階が多過ぎると、中間搾取が多過ぎると、そういうものを禁止する法律がつくれないだろうか、そういう議論も実はあったことを私は記憶しているわけであります。NHKから下請に出されている会社事体がそういう事態に追い込まれたり、またそういったことを意図してやっているとは私は思いませんけれども何事もやはり限界があるということを考えながら、この効率化の問題についても責任を負うべきは負う立場は明らかにして、求めるものは求めるということをしっかり踏まえてやっていただかないといけないんじゃないかと、こんなふうに思うところであります。こういった点をひとつ十分踏まえましてこれからの運営にも力を注いでいただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。  なお、このことと関連をいたしまして、三年後のオリンピックの問題があろうかというふうに思うんですが、オリンピック放送権料の問題が、十一月八日の新聞なんですけれどもソウルオリンピック放送権料交渉物別れというふうな形で実は出ているわけですけれども内容を見ますと何か倍々ゲームできているような、放送権料になっているような気がしてなりません。もちろんこれはNHKがこれで了承したということではないんでしょうが、一体三年後のオリンピックに向けてこの放送権料の問題についてNHKとしては既に御論議があるのかどうか、また、対応策についてお考えがあるのかどうか、あればひとつ御説明をお願いしたいというふうに思います。
  20. 尾西清重

    参考人尾西清重君) オリンピック放送権料の問題についての御質問でございますが、現在、NHKと民放が共同いたしましてジャパン・プールをつくっております。これはロサンゼルス・オリンピックのときにつくったものでありますけれども、同じ形式をとって放送権料交渉に現在当たっております。  御承知のように、放送権料は回を重ねるごとに高騰いたしておりまして、これは世界放送事業者に大きな問題になっております。我々としては視聴者の皆さんに納得いただける金額で何とか決着したいというふうに望んでおりますけれども、これまでソウルオリンピック組織委員会と既に三回にわたる交渉をいたしました。しかし、今のところはまだ成果を上げるには至っておりません。オリンピック組織委員会の方はNHK及び民放のジャパン・プールに対しまして、日韓両国の地理的、歴史的、また政治・経済面での関係とか、あるいは十二年ぶりに開かれる全世界的なオリンピックであるとか、日本では時差がなく放送できるというような有利である条件とかを挙げまして、また交渉に当たりましては、日本のGNPとか、あるいは現在の円高・ドル安とかという理由を挙げまして、伝えられるような放送権料を我々に主張しているわけでありますけれども日本側といたしましては、NHK受信料は頭打ち、あるいは民放の売り上げの低迷などということを理由にいたしまして交渉をしているわけでありますけれども、極めて難航しているのが現実でございます。まだまだ両国の間には大きな差がございます。我々としては、今後も根気よく交渉を続けてまいりたいというふうに存じております。
  21. 及川一夫

    及川一夫君 現実の放送のことを考えますと、大体いつごろまでに交渉成立をさせなければいけないのか、その日程についてお伺いしたいと思います。
  22. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 少なくとも私どもとしてはことしじゅうに決着をつけたいと当初は思っていたわけでありますけれども、今のところその見通しはございません。また、今の段階で見通しを申し上げられるような材料はございません。
  23. 及川一夫

    及川一夫君 大体放送権料というものを決める基準というか要素というか、そういうものは一体何なのでしょうか。何か決まったものがあるんですか。
  24. 尾西清重

    参考人尾西清重君) これは率直に申し上げまして、モスクワのオリンピック以来ほとんど倍々ゲーム以上の高騰を続けておりまして、これは先生がおっしゃるような意味での基準はございませんで、特にアメリカの三大ネットワークを中心として値段がまず設定され、それに準じて他の放送機関が交渉するという段取りになっておりまして、基本的には三大ネットワークのいずれかとオリンピック組織委員会とが交渉したその契約金額が一つの基礎になっているようでございます。
  25. 及川一夫

    及川一夫君 きょうは時間の関係もありますから、この問題でこれ以上御質問はいたしませんが、いずれにしても、オリンピックに関する中継放送がないということになれば、これはただごとでは済まされないという国民感情に私はなるだろうと思いますから、どうしても実現はしなければならない問題だろうと思います。しかし、だからといって法外な値段がつけられて、それ自体をうのみにするというようなことも、これはできないということですから、やはりやるからにはそれ相応の理屈、理論というものを持たれて対応されるように私はお願いをしたいというふうに申し上げて、この問題については終わっておきたいと思います。  そこで、私はきょうの質問では重点的に取り上げたい気持ちがございまして他の問題についてはかなり割愛をしているんですが、ぜひそういう意味で郵政省、科学技術庁、宇宙開発事業団、そしてNHKの皆さんに率直なお答えをひとついただきたいというふうに思っております。それは、これまでいろんな意味で議論されてまいりました放送衛星に関係する問題について集中的に御質問申し上げたいのであります。  まず第一点として、速記録を読ましていただきました。いろいろ読むんですけれども一体この問題の本体は何かということについて余り定かじゃありません。したがって、この際、ゆり一号、ゆり二号打ち上げから故障発生、これにかかわる保険の契約、時系列的に並べてみないとよくわからないと私は思うんであります。  したがって、その辺のことについて宇宙事業団の皆さんからお聞きいたしておきましたが、まず、ゆり一号は一月の二十三日に打ち上げて、A系統の中継器の故障発見が三月の二十三日。そしてNHKの引き取りが四月の二十一日、そして予備中継器の故障が発見されたのが五月三日、こういうふうに説明をいただきました。  それから2bといわれるゆり二号の打ち上げは半年ほど予定より延びて、六十一年の二月十二日。そしてCPU、制御装置の故障発見が六月の一日から三日までの間ということにお聞きいたしておりました。そして、これはNHK立場事業団の立場の多少の違いがあり、また保険契約との関係があるようでありますが、七月十一日から十二日の間に引き渡しを受けた、こういう形のものになっているというふうに聞くわけですが、この点は間違いございませんか。
  26. 船川謙司

    参考人船川謙司君) ただいまのBS2a、2bの引き渡し関係につきましては、先生のおっしゃることで間違いございません。
  27. 及川一夫

    及川一夫君 それで打ち上げ保険の問題では、ゆり一号は九十日間、ゆり二号は百五十日間ということに間違いございませんか。
  28. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 一号と先生おっしゃいましたけれども、BS2aのことだと思いますが、2aにつきましては九十日間、2bにつきましては百五十日間ぐらいであります。
  29. 及川一夫

    及川一夫君 それで、もう一つお聞きしたいのは保険の契約内容なんですが、2bの方は参議院の調査室の方からお伺いしているんですが、ゆり一号といわれる2aの方の保険の内容というのは、これまで出されたんでしょうか。それとも内容は2bと同じなんでしょうか。
  30. 船川謙司

    参考人船川謙司君) まず2aでございますけれども、BS2aにつきましては、先ほど申し上げましたように九十日間、初期段階ということをやっておりますので、保険の期間も九十日間ということで掛けております。  BS2bにつきましては、2aの経験にかんがみましてなるべく保険期間を延ばすようにということで、保険期間を百五十日に設定できましたので、それに合わせまして初期段階の期間も百五十日にしたということでございます。  保険料その他はそのときそのときの状況によって変わりますので、2aと2bで開きが出ておりますけれども、我々事業団としましては初期段階の間の性能を全うできるということを判定条件にいたしまして打ち上げ保険を掛けている次第でございます。
  31. 及川一夫

    及川一夫君 それと、寿命保険については、2aについてはないんですね。掛けられなかったということになるわけですか。——これはNHKということになるんでしょうか。
  32. 井上豊

    参考人井上豊君) 先生、先ほど2aの打ち上げのスケジュールを御説明になりましたけれども、御指摘のとおりA系統の中継器に異常が発生をいたしまして、寿命保険は付保できませんでした。
  33. 及川一夫

    及川一夫君 そこで、2bの現状を含めてお伺いすることになるんですが、2bは、先ほども申し上げましたように、故障が発見されたのが六月の一日から三日ということでありますから、国会は開かれていない時期に起こったと、こういうふうに私は理解をするわけであります。  そこで、一番先にお伺いしたいのは、百四国会において前議員でありました片山逓信委員から、b2を打ち上げて一応定着した、そういう現実の上に立って見通しを含めながら頑張ってください、成功するようにという祈りを込めて、最終的に今後重大な事態が起きたら何らかの方法で委員会などに報告をされたい、こういう注文が実はついておりました。これに対して、宇宙開発事業団なのか、NHKなのか、郵政省なのか、科学技術庁なのか、いずれか知りませんが、何らかの報告、何らかの措置というものは行われたんでしょうか。
  34. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) 及川先生お尋ねの件でございますけれども、確かにおっしゃいますように、百四国会におきまして片山委員の御発言がございまして、早く委員会説明をしろというお申しつけをいただいております。今、及川先生もおっしゃいましたように、この時期、五月二十二日以来百四国会が閉会しておりまして、しばらく委員会の開催の見通しがないということもありまして、あるいは委員会の正式報告という形にはならないのかもしれませんけれども、実は私ども緊急の措置ということで衆参両逓信委員会の先生方を中心に、BS2bの姿勢変動についてということで急遽御報告させていただいた次第でございます。これは緊急の措置でございますので、もちろん私ども国会の開催状況などを見まして委員会に正式に報告させていただくことは考えておりますので、とりあえずこの措置についてはこれで何とぞ御容赦いただきたいと思う次第でございます。
  35. 及川一夫

    及川一夫君 私は、これは最後にまとめの際に申し上げねばならぬというふうに思っているんですが、百四国会における宇宙開発事業団の答えは、報告じゃなしに何らかの連絡、あるいは委員会ということを使わずに諸先生方という言葉を使われている。郵政省の皆さんは、報告であり委員会という言葉を使われているわけです。私は、率直に言って宇宙開発事業団のそういった態度自体についても理解ができないんですけれども、いずれにしても、とにかく現状の上に立ってどうされるかということについてはっきりしてもらいたいという気持ちなのであります。つまり、宇宙開発委員会の方では、第四部会でこういう報告書をまとめておられるわけですね。国会の経緯があるにもかかわらず、これだけ立派なものがまとまっているのになぜ我々のもとにはこういうものが配付されないのか。まじめに聞いていただけているのかどうかということが疑わしくなるような事態だというふうに実は私は思っているんです。  私自体は初めての議員ですから余り偉そうなことは言えませんけれども、しかし七月の半ばから資格を得て、逓信委員になったのは七月二十二日ですね。特別国会だと思うんです。そして、これがまとめられたのは十月になってである。ならば、今お答えになったような立場があるならば、逓信委員の皆さんに、あるいは逓信委員会が過去一回は開かれているわけですから、こういったところにとりあえず報告というようなことがなされてもしかるべきではないかというふうに私は思うんですけれども、こういったことが一切なされていない、聞かなければわからない、聞いても要領を得ない、こういう形になっていることについて、ぜひ郵政大臣にも御検討いただきたいんですが、私は改めてこの問題について報告をされるように、しかもこれは専門的ですからね。専門的に言えば逓信委員会をさらっと通ると思ったら、これは間違い。やっぱり素人であればあるように、素人で解けるような内容でありませんと、これは国民説明できないんです。そういう意味合いを含めて、ぜひ後で総まくり的に申し上げておきたいと思うんですが、そういう政府というか関係者が約束をしているにもかかわらず実行していないことがあるということをまず第一に指摘しておきたいというふうに思います。  そのことを前提にいたしながら次に2bの故障内容についてお伺いしたいんであります。  故障内容は制御装置ということですから、CPUと言うそうであります。したがって、CPUと言いますから、ひとつ御理解いただきたいのでありますけれども、現在のCPUが機能しているのは二つのうち一つ、予備機ということに実はなっておりますが、これは事故なんでしょうか、故障なんでしょうか、大したことないんでしょうか、これをちょっとお聞きしておきたいと思うんです。
  36. 船川謙司

    参考人船川謙司君) ただいま姿勢制卸装置のCPUのことを御質問ございましたので、お答えいたします。  この放送衛星二号といいますのは、三軸姿勢制御方式というのをとっておりまして、衛星の姿勢を検出する、センサーと称しておりますが、それの信号を集めまして、真ん中にコンピューターがありまして、そのコンピューターがいろいろ信号を処理いたしまして、それで姿勢を保つような制御信号を出しますような方式をとっております。それの中心でありますCPU、中央の処理装置が故障したわけでございます。  これはいろいろ原因その他できるだけのことを探求いたしまして、原因探求に努めたわけでございますが、そのCPUの中にリード・オンリー・メモリー、呼び出し専用メモリーという部分がございまして、その中に衛星を保つための必要ないろんな命令が入っている。それを必要に応じて電源をかけまして呼び出すわけでございますが、その部分のどれかにどうも故障が起こったらしいということまでわかっておりますが、その部品のどれかということを断定することは、もう上がってしまって、なかなか現在地上に送られてくるテレメーター信号だけではそれ以上突きとめられないということがございます。  ただ、いろいろこの製品の製造記録その他をできるだけ調べまして、そういう部品の品質管理その他落ち度があったかどうかというようなことも全部調べました。その結果、そういう点でほとんど何も問題が発見されないというようなこともございますし、それからまた同種のものをずっと、一番初めの放送衛星BSEと称しました放送衛星、それからBS2aにも積んでおりますし、その他似たようなものがほかの衛星にも積まれておりまして、これは軌道で非常に実績のある装置でございますので、我々は、こういうことから考えまして、このBS2bに不幸にして非常に偶発的に起こった故障によるものだろうと考えております。  それで、先生お話ございましたように、六日三日に予備系の方に切りかえまして、その後ずっと順調に働いているわけでございますが、そういうことから考えまして、同じような故障が同じ予備系の方に起こる可能性は非常に少ないというふうに判断しておりまして、事業団といたしましては今後も順調な運用が続けられるものと期待しております。
  37. 及川一夫

    及川一夫君 ぜひ船川さんにお願いしたい。簡単に答えてほしいんです。言われれば言われるほど疑問も出てくる、そしてまた、言いわけにしか聞こえないというふうに思うんです。  この故障というのは重要な故障ですか、それとも軽い故障ですか。
  38. 船川謙司

    参考人船川謙司君) 姿勢を保持している中心機能であるということでは非常に重要な部分でございます。しかし、衛星の設計におきましては、そういうふうにいろんな部品の故障が起こるということもある程度考えまして、必要なところには予備系を積むというふうなことで、全体として、このシステムが課せられたミッションを達成するようにというふうに総合的に考えておりますので、そういう意味ではこの故障自体が非常に致命的だというふうには私は考えておりません。
  39. 及川一夫

    及川一夫君 大臣、お聞きになってどんなふうにお考えになるかお聞きしたいなと思うんですが、あんなふうにお答えになっておるんだったら何でNHKは本放送に切りかえないんですか。御心配はないんですか。予備機といったって一つしかないんですよ。制御装置といったって二つしかないんですよ。そのうちの一つはだめなんですよ。もう一つの制御装置があと五年間確実に一〇〇%間違いない、こういうふうに言い切れますか、言い切れるなら言い切ってください。
  40. 船川謙司

    参考人船川謙司君) ただいま申し上げましたように、事業団としましては、同じような故障が起こる可能性は非常に少ないと考えております。
  41. 及川一夫

    及川一夫君 少ないのであって、完全ではないですね。そこにやはりNHKNHKとして本放送に切りかえられない一つの不安というものがあるんじゃないでしょうか。一体、これは民間での契約行為なんかを見たときにどうなんでしょうね。  今のような答えの仕方というのは、あくまでも技術の問題であって経営は関係ないんですよ。そんな立場で宇宙開発というか衛星放送の問題を考えておるとすれば、私は大変だなという気がするから、少しくどくなりますけれども、私は重大な事故だというふうに考えるべきじゃないかというふうに思うんです。郵政大臣、いかがでしょうか。
  42. 川原正人

    参考人川原正人君) このCPUの事故については、いろいろ製作に当たった方々あるいは機械を扱われる方々にはそれなりのお考えはあろうかと思いますけれども、少なくとも、私ども、この放送衛星を通じて国民の方々に放送を継続的に間違いなくお届けしようという立場に立ちますと、決してこれは簡単に見過ごすことのできない事故であります。また、事実、それであればこそ保険会社がこのCPUに関する分では保険を引き受けないと断ってきたわけでございます。私どもは、この先についてはかなりの心配をしております。  かつまた、もともと衛星というものは確かに非常に不安定なものですから、一つの機械についても予備系を、今事業団の方から説明ありましたように必ず設けるだけでなくて、もともと衛星を二つ上げて、二つでもって完璧を期そうというものであります。その最初の衛星が一波しか出ないという状況に置かれている。しかも、二つ目の衛星が幸いにして今、進行波管といいますか真空管は三つ働いておりますけれども、一番肝心の姿勢をコントロールするところがバックアップ装置がないままで動いております。  私どもとしては、この衛星の安定度についてはなおまだ不安を持っております。
  43. 及川一夫

    及川一夫君 会長がそのようにお答えになるのは私は当然だというふうに思います。したがって、その点では私は納得なんです。  ただ、新聞とか、あるいは参議院の調査室などから出ているこの問題に関する報告を見ますと、また私は事業団の方々といろいろお話をしますと、この事故の評価という面では偶発という言葉を使っておられるわけですね。偶発的な事故だ、大したことないというふうにしか聞こえない。  私もこの際だからと思って広辞苑などを全部調べてみましたけれども、たまたま起こったことであるとか、たまたまそうなることとか、思いがけずとか、あるいは予想をしないこととか、図らずもとか、いろんな意味が載せられているわけですよ。どっちにしても責任がない、これはだれがやっても同じことだというようにしか聞こえないこの事故原因というものに対する評価に私はなっていると思うのですよ。そんなばかな話はないんじゃないですか。そんなにまで言うなら、なぜ寿命保険に保険会社がCPUを除くとして免責をしてしまったのか。これから起こり得るかもしれないのですよ。もう一つがパアになればぐるぐる回っちゃうから、どんなに中継器が立派でも機能しないんです。それほど重要な要素がある。それは技術者としては、やった以上は自分のやったことですから自信があると言いたいでしょう。しかし、それだけでいいのかどうか。  それと同時に、これからゆり三号を打ち上げていかなければいけない、こういう問題があるだけに、私はどうしてもここのところにこだわりたいんですよ。率直に認めるなら認めたらどうだという気がするんです。——科学技術庁の方、おいでになっているでしょうか。
  44. 川崎雅弘

    政府委員(川崎雅弘君) ただいま先生の方から大変手厳しい、また愛のむちだとも私ども受けとめておりますが、御指摘をいただきました。  この放送衛星につきましては、御案内のとおり、世界に先駆けまして我が国で直接衛星放送を行うということを目的とした技術開発、あわせて、それによりまして難視聴域の解消という実用的な目的をもあわせ持った形で、宇宙開発事業団及び通信・放送衛星機構、それにNHKと共同でこのプログラムを五十三年度以来推進してきているわけでございます。  御指摘のように、放送衛星の二号のa及び二号のbにおきまして、二号のaにおきましては放送電波を流します中継器、それに種々の対策を講じまして、幸いにして放送衛星の二号のbにつきましては中継器については現在安定した成果を上げているということで、一つの対策は完了したと私どもでは思いたいわけでございますが、不幸にしまして、今お話のありました姿勢制御系の中の電算機の演算処理部分の一部に偶発的な故障と思われるような異常が起こったという点につきましては、事実を厳粛に受けとめております。  宇宙開発委員会は、今月の初めに、この技術的な評価をいたします第四部会からの報告をもとに委員会としてこの報告を了承し、科学技術庁といたしましては、この宇宙開発委員会の出しました報告書をもとに、こういうようなことのないことを、これから宇宙開発事業団を含めて努力をしてまいるように十分に指導を現在行いつつあるところでございます。  何分技術開発という、まだわからないところを若干でも残しながら、あわせて実用面の発展をも期待しつつ進めているプロジェクトでございますので、先生のおっしゃるように一〇〇%任せておけとまで、残念ながらまだきょうこの時点で申し上げるわけにはいきませんけれども委員会の示した方向に沿って、今後こういうことを繰り返さないように、厳に開発において事業団の姿勢を含めまして適切に指導をさせていただきたいと、かように考えておりますので、ひとつよろしく応援のほどをお願いいたしたいと思います。
  45. 及川一夫

    及川一夫君 質問することがいっぱいあって非常に困るんですが、今のお答えだけですべてオーケーと言うわけには私はいかないように思うんです。私は、少なくとも本放送に切りかえる、これだけ金をかけたんですから、それだけの自信のある状況にして、それが全うされるというものでなければ、開発をし、打ち上げた方も大変な私は責任があると思う。それを率直に認めるような態度が出ないというのは、私は何と言っても理解できないし、納得できないということをまず申し上げておいて、少し前に進めてみたいと思います。  そこで、今度は合意点の問題です。  NHKの皆さんとそれから宇宙開発事業団といろいろお話しなされましたね。それで、特に川原会長は、こういう事故が発生したときにはかなりの抵抗を示したような記事が、実は七月段階ですが、戦っているわけです。それが七月の十二日の段階になって、いずれにしても引き渡しを了解された、こういうことに実はなっているわけでして、そうすると、これはもうNHKとしては自信を持ったんであろうかと。支障がないというふうに判断をされて、この際ゆり二号を引き取るということになったんだろうか。自信はないけれども、しかし金額上の何らかの補償というものはこれから事業団との間で話し合われる、話す一つの保証を得たということが一つの合意を取りつける発火点になったのかどうかという問題などを含めていろいろただしたいことがある。  したがって端的に、簡単で結構でございますから、NHKとしてこのゆり二号を引き取ることになった気持ちの問題と理由というものを明確にひとつ述べていただきたい、こういうふうに私は思います。
  46. 井上豊

    参考人井上豊君) 今お話しがございましたように、六月の初旬に姿勢制御系のCPUが故障、予備系に切りかえて動作しているわけでございまして、私どもは寿命保険につきまして保険会社と長い交渉を続けていたわけでございます。私どもも、思いがけずこういう故障が起きまして、CPU部分の故障に起因する事故については保険の対象にしない、こういう状況の中でいかなる措置を持ちまして、この百五十日の打ち上げ保険の日にちが切れる七月十一日でございましたけれども、その時点まで関係機関といろんな協議を重ねたわけでございます。その上で関係機関は、CPU部分の故障に起因して、私どもが二bの引き渡しを受けました後、放送ができなくなった場合に、これによって生ずる諸般の問題につきまして合理的な対応措置をとられるよう努力すると、こういう確認をいたしまして、私どもとしては引き取ったわけでございます。
  47. 及川一夫

    及川一夫君 新聞の解説記事ですからどこまで真意をついているのかということは、交渉当事者でないだけにわからないと思います。したがって、私もそういう前提で今のところは申し上げておきたいんですけれども、見解が二つに分かれている。事業団は、一切金のことは関係なし、CPUが故障になった、これをどうするか、対策を要するにこれからNHK側と協議をしよう、こういう意味であるというふうに言われ、NHKの方は何といっても何らかの保証がない限り、両方合わせて六百億ですから、しかも四十三万人ですか、難視聴の地域がある、そのうちわずか八万人しか今のところそれを聞こうとする人がいない、ペイしない、早くある意味では大きな幅の広いサービスも行いたいんでしょう。そういう意味合いを含めて、とにかく何らかの措置で何らかの補償をという、そういう思いを込めて、大体それが理解されたという前提に立ってNHK側はとっている、こういう報道が実はなされているわけです。一体これはどっちが本当なんだろうか。今私はどちらにも手を上げませんけれども、今の井上理事の御説明ではちょっとその辺がはっきりしないんですが、僕はやはり立場立場ですから、明確にこう解したということについて、こういう合意だということについては明らかにしてよろしいんじゃないかと、食い違ったら食い違ったでまたやればいいじゃないですか。そんなふうに考えるんですが、いかがですか。
  48. 井上豊

    参考人井上豊君) 時間の迫った交渉でございましたので、それぞれの立場を主張するということは激しい議論があったわけでございますけれども、私どもといたしましては合理的な保証措置ということで、先ほども説明いたしましたように、保険会社がCPUの故障に対しまして免責という条件をつけているわけでございますので、これはNHK勝手だなと、こういう御主張があるかもしれませんけれども、私ども立場としては具体的な保証措置を、事故が起こった場合には誠意を持って協議をしていただけると、こういうふうに理解をしております。
  49. 及川一夫

    及川一夫君 NHK立場はわかりましたが、事業団の方はいかがなんですか、これは。
  50. 園山重道

    参考人園山重道君) お答えいたします。  私ども、先生からの大変厳しい御指摘ございましたが、本件に関しまして責任がないとか、そういうことを考えているわけではございません。先ほど偶発故障ということで若干言葉が悪いのかもしれませんけれども、偶発故障と申しますのは、もともと設計が間違ってたとか、製造上大きな欠陥があったということではなくて、部品等につきましても十分な品質管理をやっておったけれども、残念ながらその中でたまたま一つの部品が故障したというような意味で偶発故障と言っているわけでございまして、それに対しまして私どもが責任がないというようなことを申し上げているつもりではございません。これは技術的に御説明いたしますと、そういう言葉が使われているということでございます。  ただいまの御質問のございましたお引き渡しする際のどういう合意であるか、補償はどうするんだというお話でございますが、ただいまNHKさんの方で御答弁になりましたようなNHKさんとしてのお立場、お気持ちというものは私どもも十分理解できるのでございますけれども、私どももこれは特殊法人でございまして、いわゆる政府からのお金とそれからNHKさん等からいただいたお金でこれ開発いたしておりますので、自分でもうけて何か金があるというわけではございませんのでその辺を、勝手にそういう場合にはお金を差し出しますというようなことが申し上げられない立場にございますので、先ほど川崎審議官からお話しございましたように、この計画の当初からこういう計画を進めます場合の基本的な契約、協定というものをNHKさんとも結びましてやっておるわけでございまして、私どもの今の立場、それからその基本協定等に従ってまいりますと、私どもがそういう場合に特段の補償金を払う、損害を補償するというような立場にないということを申し上げまして、私どもはこの時点で御理解をいただいたのだと思っておるわけでございます。
  51. 及川一夫

    及川一夫君 なお詰めなければならないなという気持ちがいっぱいでございますが、今の事業団のお答えなんですけれども、逆からいいますと、NHKにはああいう事故が起こってもそれの引き渡しを拒めるだけの法的根拠はない、こんなことも実はうわさをされ、また新聞記事に出ておったことをよく御存じだというふうに私は思うんですが、何かそれを裏づけるようなものかどうかということになりますけれども、私は八月三十一日の毎日新聞、ここではサンデースペシャルという項目がございまして、宇宙開発事業団の大澤理事長がインタビューに応じています。これは同じ記事でも話をした結果の記事ですからやっぱり信憑性があると思うんですな。そういう前提でちょっと皆さん聞いてもらいたいんです。  大澤さんはこのことに特に触れたわけじゃないんですが、この衛星放送というか、宇宙衛星という問題全体をとらえられながら、これからの大変な花形の事業だと、こういう意味なんでしょう。ただその中で、衛星というものはそれぞれミッション、つまり使命があるんだと、例えば通信、気象、地球観測、放送と、いろいろ使命があるんだけれども、このうちどのミッションにも共通する装置、例えば太陽電池とか姿勢制御装置とかいうものは事業団が要するにやるんだと、しかし各衛星に個有の装置はもうューザーに任せている、こういう言い方をしておられるんですね。そして、この任せているという例えに通信衛星の中継器はNTTと、こう言われ、放送衛星の場合にはNHKだと、こう言われている。つまり、中継器はNHKが責任を持っているんだよと、こう言っておられる。したがって、ゆり一号の場合の中継器の問題なんかについては、こんなものは事業団の責任というよりもNHK自体じゃないかと、こう聞こえるような内容でおしゃべりに実はなっているわけなんですよ。それなら制御装置は、これはもう事業団そのものが真っ先に責任あるわけですから、NHKにそれだけ責任あるというんなら、自分がやった制御装置はどうなるんだと。それで、私は金持ってません、金払えませんと、そういうのが事業団じゃありませんと、そういう答えだけで一体済むんだろうかどうだろうか。これは大変な問題だと思うんですね。  ですから、私は正直言って、もう時間も来てるんです。私はぜひ委員長にお願いをしたいんでありますけれども、五十九年度決算について承認するかしないかの問題は、別にそれ自体は私は問わないという気持ちでいっぱいです。しかし、こ のこと自体についてもっとはっきりしてもらわないと責任が持てない。これからゆり三号を打ち上げるに当たっても一体どうなんだと、科学技術庁だって黙っておれるのかというふうに私は感ずるんです。それだけに、できればひとつ、この問題については私もまだまだ言いたいことがあるんですが、時間守らにゃいけませんからやめざるを得ないんですけれども、別途逓信委員会なり何なり開催していただいて、事の本質というもの、真相というものを明確にして、そしてゆり三号では絶対にこういった事態に立ち至らないようにするのが、私は国民に対する我々の責任ではなかろうかというふうに思うんです。先ほど御指摘をしたとおり、報告も十分されてないわけですよ。もっと逓信委員の皆さんがそれこそわかりやすい、理解できるようなそういう内容でもって改めて私は報告もしてもらいたいし、また報告書もいただきたい、そんな気持ちでございますので、この点は後ほど委員長の取り扱いをお願いいたしますが、私は最後にもう一点だけ実は質問したいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  それは、過ぎ去ったことではありますが、選挙の放送と聾唖者の人権の問題ということでございまして、これまでの質問とはかなり趣が異なるわけでありますけれども、まず同時選挙において聾唖者の方が立候補されてテレビに立ったが、手話を解読する方がおられないということ、それから法律上の問題があって結局は無声の放映が行われたということで選挙制度特別委員会でも問題になったし、NHKもどうしようもなかったということだろうというふうに私も思います。  そこで、時間が来てますから要点だけ申し上げて自治省の皆さんの御見解をお聞きしておきたいというふうに思うんでありますが、まず一つは、選挙制度特別委員会でこの種問題についての特別委員会を設置してというふうにお答えになっているやに聞いているんですが、まずそのことについてそうなのかどうか。もしそうだとするならば、いつその委員会を設置されるのか。そしてまた、予算といったって大した予算じゃないと思うが、来年度の予算に、あるいはまた予備費支出などでそういったものを埋めようとするお考えがあるのかどうかということが一つであります。  それからもう一つは、これは中央選管の問題ですから特別委員会で論議をしなければならぬ問題でありますが、NHKと自治省自体があの時点で代読者を決めて放送することができなかったのかどうかという問題ですね。そういうことはできないものだったのかどうかということについて二つ目にお伺いしたいということ。  それから三つ目には、この問題は聾唖者だけの問題ではないという気がします。もうすぐにでも起こるんじゃないかというのは、例えば一つには中国残留孤児の皆さんが帰国をされて、当然国民としての国籍は持ちますね。したがって立候補する自由がある。立候補する。しかし、日常会話はできるが、政治の問題ということになるとどうしてもそういう用語が必要だ。それまでになるとどうもおしゃべりができない。したがって中国語を使わしてくれと、それを通訳してくれというようなことが起こらないという保障は実はないと思うんですね。それと同時に、日本は単一民族であるということでかなり肩を怒ったような御意見もあるようでありますが、国際的にはそんなことは誇りでも何でもない。むしろ多民族国家でなければ世界平和は保てないぐらいの気持ちが私はあちこちに出ていると思う。ということになりますと、英語を使う、ドイツ語を使う、あるいはフランス語を使う人が日本の国籍を持って、そうして立候補されないというこれまた保障は実はないわけですね。したがって、起きてから問題にするんじゃなしに、起きる前にそういうものについては十分考えるべきじゃないか、検討しておくべきじゃないか、そんなふうに私は感ずるんですけれども、この三点について自治省の皆さんの御意見をひとつお伺いしたい、こういうふうに思います。
  52. 岩崎忠夫

    説明員(岩崎忠夫君) 三点ほどお尋ねになりました。  最初の特別の委員会をこの聾唖者の政見放送について設けるつもりがあるかというお尋ねでございますが、ちょっとこの特別の委員会という意味が十分私ども理解できませんが、このための特別の委員会を設置しようとする考えは今のところございません。ただし、この聾唖者の政見放送の今後のあり方につきましては、近く学識経験者から成ります、これは私的な研究会でございますが、これを設けまして専門的な検討をお願いすることにいたしているわけでございまして、今後そこの場で十分に検討していただきたいと思っているところでございます。  また、先般行われました参議院の通常選挙におきまして聾唖者の方が立候補されまして、政見放送を手話でやるのでその通訳をつけるよう要望があったところでありますことは御案内のとおりでございます。  しかしながら、現行の公職選挙法等では、政見放送は、候補者本人についてその政見を録音、銀画しまして、これをそのまま放送しなければならないものとされているわけでございまして、まあこうした政見放送の立て方からいたしまして、候補者本人以外の人による政見の録音、録画は認めていないわけであります。こうした現行の政見放送の制度の枠組みのもとでは、手話通訳をつける、こういったような要望にはこたえられなかったわけであります。まあ私どもは、現行の政見放送の制度のもとではやむを得ないこととはいいましても、結果として無言の政見放送という事態にもなったわけでありまして、今後聾唖者の政見放送をどのように行っていったらいいのかにつきましては、現在NHK等の放送事業者と協議、検討を続けているところでございますし、今申し上げました学識経験者から成ります研究会も設けまして、今後十分に検討してまいりたいと思っているのでございます。  また、日本語を十分に話せない方が立候補した場合についてどうだろうかと、こういうお話でございますが、ただいま申し上げましたように、現在の公職選挙法等の規定の定めるところによりまして、候補者本人について政見の録音、録画を行いまして、これをそのまま放映すると、こういうことでございまして、日本語でございますが、日本語を十分に話せない方が立候補した場合につきまして、聴覚でありますとか言語に障害があるために話すことができない聾唖者の方が立候補しました場合と同じように考えていくことが果たして適当でありますかどうか。政見放送におきましては、御案内のとおり、すべての候補者に対して同等の公平な取り扱いが特に厳格に要請される、こういうものでございます。このような政見放送の性格を踏まえまして、今後ともこの問題については十分慎重に検討してまいらなければならないというように考えております。  以上でございます。
  53. 及川一夫

    及川一夫君 十分検討していただきたいと思うんですが、ただ一点だけ。  今の法律は、聾唖者が立候補するとか、国籍を有した者が立候補するとか、そんなことを前提にして議論してないんです、こんなものは。そんなことはあり得ないこととして全然触れていないんですよ。そういうものに対してすぐ過去の法律を持ってきて、当てはまる、当てはまらないということを言うものだから、新聞、マスコミでは官僚的答弁と、こういうふうに言われるわけです。ですから、ないものはないものなりに、そのために中央選管が私はあると思う。臨時措置もできるわけですよ、と私は思いますから、そういったことを全部含めながら、ぜひ検討していただくようにお願いをいたしまして、時間超過して申しわけありません、終わります。
  54. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) なお、及川君から委員長に要請がありました事項については理事会で協議をいたします。
  55. 大木正吾

    ○大木正吾君 時間が少しですから簡潔にひとつ答えてもらいたいと思いますが、会長大分NHK経営問題について厳しく御認識されているようですから、私どもといたしましてもある程度そういった問題につきまして今後の方向について二、三伺っておきたい点があるわけです。  今の及川委員が質問いたしました中で、特にこれは放送衛星に絡む事故の問題でございますが、仮にこれBS3の開発等のこともございましょうが、放送衛星が大体話題になりましたのはどういう理由で、あるいはどういう根拠でもって議論が始まったか、もう一遍私たちは問い直しておく必要があろうかと思うんですね。相当なこれは将来に向けてコストがかかりますから、例えば難視聴解消問題だけで、これが日本政界で、初めて日本で挙げられた、こういうふうに考えていきますと、資料等ちょっと拝見いたしまして難視聴問題相当に解消されていまして、余り難視聴問題の方々は残ってない、こういうように感じますが、実情はどうなっていますか。今の現状はどうなっていますか。
  56. 森島展一

    政府委員(森島展一君) NHKの辺地難視聴につきましては、従来四十二万世帯がNHKの電波が一定の強さ以上に達しない地域に残っておる、こういうことでございましたけれども、最近実態調査をいたしました。この辺地難視の実態ということでその結果が出てまいりまして、実際にはその四十二万世帯の中でもいろいろアンテナを工夫するとか共同の受信を自主的にやるとかこういうことで、かなり実際に視聴ができるようになっておりまして、まだこの難視聴ということで残っておりますのが十万世帯というふうに推定されております。
  57. 大木正吾

    ○大木正吾君 そこで伺いたいんでありますけれどもNHKといたしますれば結局放送衛星を打ち上げましたときに随分と新聞にもあるいは社会的にももてはやされまして、私たちも大分画面がきれいになるその他の問題もありまして関心を持った問題なんですけれども、事故がありましてから少し冷えたと、そういった感じもないわけでありません。  ただ問題はこのBS3ですね、この開発に絡みまして見ていきますと、予算の計画が、例えば六十三年度でもってNHK負担の四十九億ですか、六十四年度は六十五億、六十五年度七十九億と、こうなっていますね。相当な金額になるわけでございますけれども、これだけの金をかけて今お話ありました十万前後になっています難視聴問題ですね、こういった対象を考えての開発であったんではやっぱり少し経営上問題が残る、こういう感じがいたしますね。そういたしますと、結局最近つくられた委員会がございますけれども放送衛星計画に関する委員会でございますか、その中でもって検討されるのでしょうけれども、「放送衛星の利用計画及び事業見通し」、こういった項があるようですけれども、これは一体どういうことを検討されるのでしょうか、それについて伺いたいと思います。
  58. 川原正人

    参考人川原正人君) お尋ねは、今NHKの方で私がいろいろ御意見を伺おうということで設けました放送衛星計画に関する委員会というのを設けました。各界の有識者の御意見を伺おうとしているその委員会だろうと思います。実は私はこの委員会で、もう今まで三回ぐらい会合を開いておりますけれども、特定のこの範囲とかいうことではなくて、今までの放送衛星を打ち上げてここまでまいりました二十年来の私どもの考え方、計画事業、見解を全部御説明して今後どのようにこの衛星を実施ごとを展開していけばいいか、あるいは現に既にある一定の基本協定、契約のもとに進めております衛星の開発につきましても、さらにもっとこの衛星の有効な開発の仕方、もっといろいろな示唆があれば何でも御遠慮なく承りたいということでこの委員会を実は設けております。そして、あらゆる角度から自由な御意見をちょうだいする。ただし、逆に言いますと、ある特定のことについて文書による答申とか報告書等、そういうものがもし将来必要ならば出していただきますけれども、今のところはそういうことにこだわらずに御意見をちょうだいしたいということでやっております。  といいますのは、今先生の御指摘にもありましたとおり、実はこの放送衛星を一番最初にNHK側がこの国会委員会等でも提案というか発想を示したのは既にもう二十年ほど前のことになります。その当時の日本におきます難視聴世帯というのは、数では私も正確に覚えておりませんけれども、カバレージが九六%とか九七%という状況でしたから、恐らくはまだ数百万という段階でのテレビの見えない世帯があった時期だったと思います。そういう段階で、当時難視聴世帯を解消するために、私ども放送法でも、あまねく全国で放送が享受できるようにするのがNHKの使命であるというふうに書かれてもおります。何とかしてこの難視聴世帯をゼロにしなければならぬということで毎年数十億円の難視対策経費を計上していた段階でございますので、放送衛星というものをうまく活用できれば、これが一つの装置ですべてを解決できるということから、当時の前田義徳が会長として御提案申し上げたと思います。また同時に、その当時この衛星の開発、世界的にどんどん開発が進んでおりまして、いわゆる静止衛星、日本にとって一番静止衛星が都合がいいのは赤道上空ある一定の範囲でございます。日本に向いて電波が来るというのはある一定の範囲に限られているわけでございまして、まあその場所に早く日本の機種の静止衛星の開発計画を幾つか提案するのが国際的にも日本にとってプラスであるという状況の中でこれを提案いたしまして、そのことが政府の宇宙開発政策の中で取り入れられまして、その一環としてこの衛星が進んできたわけです。  ただ、今放送行政局長が申し上げましたように、それから二十年経過しまして実はこの賭視聴の世帯が十万という状況になってまいりました。数年前に私どもが二号衛星を上げる段階ではまだ四十二万というふうに推定していたんでございます。現実に今は十万という状況にまでなってきております。この段階でやはり引き続き二十年前の構想どおりこの衛星は難視聴の解消を主な目的といいますか、それだけに限定するような考え方はとるべきではなかろうというのが今の私どもの考え方でございます。この衛星の持つ能力は非常に高いものでございますから、それを日本放送事業の中でできるだけ活用して国民の方々に衛星の効用を還元していきたい、いくべきではないかというのが私どもの考え方でございます。  ただしかし、いろいろな経緯がございますので、私どもがそう言っただけでそれができるというものでもございませんし、それから先ほど来の御議論にもありましたように二号衛星は今のような形で現実にもう作業は——作業といいますか開発はほとんど終わって、今二つの電波が完全に出るような状況になりました。 また三号につきましても既に基本的な契約は終わりまして準備が進んでおります。これをにわかに変更するということはもちろんできることではございませんけれども、しかし、今からでも、もしもっとこの衛星の開発にとって新しい考え方が入り得るならば、私どもはまたその考え方を申し上げて、開発に当たっている当事者といいますか、国に対しましても、もし可能ならば、今からでもこういうことが考えられないか、幾つかのことを提案をしてみたい。  例えば開発費の負担にしましても、既に私ども衛星につきましては最初は六〇%、四〇%。今度の三号は六五%をユーザーが持つということで既に一応決定を見ておりますけれども、この二号衛星の経緯を見てみますと、まだまだこの機械そのものが安定し切っているとは言いかねると。まだまだ開発的要素が非常に強いということを考えるならば、もう少し国の負担をふやしていただけないものかということは率直に私ども感じております。  あるいは上がりました衛星の使い方につきましても余り枠をはめられることなく、この衛星の能力がもしさらに余力があるならば、その余力をいろんな事業に活用して、私ども負担を軽くするような方途もなお考えていただけないものかと。番組のサービスにいたしましても、先ほど来申し上げていますように、難視聴の解消を主としてということで挙げてはまいりましたけれども、もっと有効な活用の方途があるならば、その方途も考えさせていただきたいというふうに、現在考えておるところでございます。
  59. 大木正吾

    ○大木正吾君 長々とお話をちょうだいしたんですけれども、資料をちょうだいしますと、加入者の増が四十三万件の計画を載っけたものが二十五万件でしょう。大体六割ぐらいの加入者増になっていますね。同時に、例えば口座利用が六一・四%。これ文書でもって口座を利用してくれという話もやるんでしょうけれども、しかし、実際問題として集金人の方々の仕事を奪っていることは間違いないわけですね。そういうこと等を考えていきますと、私はやっぱりもう少しコストという問題についてNHKも考えを深めてもらいたい、こういう気持ちがあるわけです。  今会長最後におっしゃった部分が聞きたいところなんですよ。要するにみんなから十四、五人集めて話してもらって結構なんですが、新しい衛星の使い方について考えていきませんと——これは六十五年の場合、国から利用者全部で百八十三億でしょう。これだけのものを打ち上げて、そして、ペイする状態を考えないということはあり得ないわけでしょう。ペイさしてもらうにはやっぱりお客さんがふえなきゃだめなわけでしょう。そういった問題について、何かフランクに何でも言ってもらって結構なんだけれどもと言いながらも、大蔵省じゃありませんけれども、税制調査会に問題聞くときには何か問題をアプローチしながらやっぱり意見聞いているわけですからね。新しいこの利用する計画について、NHK自身がこういうこともしてみたいんだということを出しながら議論すればいい結果が出るかもしれませんよ。しかし、ただ勝手に言い合いしているだけだったら、私は余りいい結論出てこないと思うんですね。ですから、専門家である皆さん方がやっぱりこういったふうに使ってみたいんだということを出しながら、やっぱりこれ六十三年—六十五年、ずっとBS3を通してやっていくんだったら、言えば、加入者がどんどん、新しいこういったものについて、見たいという気持ちを起こさせるような形のものについて考えてもらわぬと……。  一番大事な問題は、この中に書いてある第五点です。第五点に、要するに「放送衛星の利用計画及び事業見通し」、こう書いてありますね。この利用計画について早くやっぱり結論を得てもらわぬと、私たちはやっぱり将来の問題について——さっきの事故のこともございますから、今度はNECさんが何かつくり始めているようですけれども、これNECがつくったって、事故の問題について私は全部CPUの問題解消がどうかということについて疑問持ちますけれども、もっと大事な問題として、将来の計画として、言えば衛星の利用計画について、加入者がふえてくれば安くなるんですから、そういった点も含めて、六十三年度については料金値上げをなるべくしたくないというお気持ちかもしれませんし、また、そうできないかもしれませんしね。こういった大変な金を使うんですから、せっかくこういった委員会をつくるんですから、そういった問題等も含めて何とかペイする方向で議論してもらいたい、こう考えていますので、会長、もし何か考え方があったら聞かしてもらいたいし、大臣からも聞きたいですね。
  60. 川原正人

    参考人川原正人君) 私ども事業経営でございますから、新しいこの衛星につきましても、原則としてこれがペイをできるというような形で事業を展開していきたいと考えておりますし、そのためには何よりもまずこれが普及しなければなりませんし、普及するにはそれなりに、ごらんになる方が魅力を感じるようなサービスを展開しなければならないんじゃないかと考えております。そういうことはもう基本的に私どもは考えがございますし、なお、この委員会からもいろんな意見を今後十分に拝聴してまいりたいと思っています。
  61. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) 大木先生に申し上げる前に、私、及川先生に一回も御答弁を申し上げなくて恐縮だったんですが、今の放送衛星でございますね、CPUに故障が生じたというような偶発的とかなんとか申しておりますが、まことにこれは遺憾なことだったと思っております。しかし、重要な機器には予備糸がついておりますので、それに切りかえて制御は正常になっていると伺っておりますが、やはりこういうことは二度と起こしてはならないわけでございまして、災い転じて福となすという意味で、先生から厳しい御指摘をいただきましたことを聞いておりまして、大変ありがたく伺っておったわけでございます。  それから、今大木先生からお話があったわけですが、今NHK会長からも御答弁がありましたけれども、やっぱり魅力のある放送をしなきゃいかぬ。新しい放送サービスといたしましては、高精細度テレビジョン放送、また、ディジタル方式による多チャンネル音声放送などがございます。そういうことを、衛星放送の特徴を生かしまして新しい放送サービスを可能な限り導入できるように今後とも検討してまいりたい、努力してまいりたいと考えております。
  62. 大木正吾

    ○大木正吾君 さっきから話が出ました料金問題につきまして、私、委員会で何回もこれ出ていますけれども、いつも毎回ごとに悩まされる問題なんですよね。ですから、そういったことのないようにお願いしたいと、こういう気持ちでもって申し上げているわけでございまして、いろいろこう考えていきますと、新しいものを、サービスを提供する際には、当然やっぱり経営側的な立場が必要でございますからね、そういった意味合いで今大臣もおっしゃったんですが、やっぱり私たちが、少しは、まあ十万か二十万の金は出せますから、そういったものを、言えば新しい受信機を備えつければ非常にきれいな画面が見られると、ワイドが見られると、そういったものにやっぱり早くしてもらいたいから、私はこの委員会は結構ですから、そういったことと開発、これ並行しませんと、結局料金問題にぶつかってきますから、そういう点で念を入れて申し上げるわけです。  終わります。
  63. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 先ほど冒頭に、NHK会長さんの方から経営については楽観視していないと、こういうお話でございます。そういうことで二、三お聞きしたいと思います。  まず最初にお伺いしたいのは、私も初めてでございますので、NHKの方としてどういう考え方を持っておられるかということですが、視聴率の点でございます。  視聴率の点についてでございますが、例えば視聴率一%と、こういうことになると、現在日本の人口は一億二千万ですから、単純計算すると百二十方と、こういう数字になるわけですけれども、全然子供で見られない人もおりますから大体九十万ぐらいだと、こういうことになるようでございますが、大手の雑誌社なんかに言わせると、一番売れる最高目標というのは三十万部ぐらいだと、こういうことで、三十万部売れれば大成功であると、こういうことで雑誌の編集等をやっているようでございますけれども、人に知らしめるという点においてはこれは同じだと思います。この視聴率という点でございますけれども、高ければ高いほどいいということはよくわかります。しかしNHKは公共性であるとか、それから国民の福祉であるとか、何でもニーズに合えばいいとか、また、最近この放送の中で、私たちがこういうものは放送していいのかなと思うような点もございます。したがって、おもしろければいいと、こう言ってもいられないと思うんです。この点について、NHKとして視聴率の点はどのように考えておられるのか、最初にお伺いいたします。
  64. 尾西清重

    参考人尾西清重君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、マスメディアのテレビというものの影響力はそれまでの既存のメディアとは比較にならない影響力を持っているものというふうに思います。NHKといたしましては、公共放送としてただ単純に視聴率を追い求めるべきでないという考え方に立っております。六十一年度国内放送番組編集の基本計画の中でも、放送の中で表現の自由を確保するとともに、これに伴う社会的責任を深く自覚して放送への信頼を高めたいということをうたっておりますが、一方放送をつくる側といたしましては、どの番組を担当しております者でも自分のつくったものをより多くの人に見ていただきたい、より多くの人に聞いていただきたいと思うのがこれまた自然な感情の流れだろうと思います。しかし、先ほど申し上げましたように、NHK公共放送として高い視聴率を追い求めることを目的としたような番組のつくり方は、これは絶対にしてはならないというふうに考えております。たとえ視聴率が〇・幾つと、言ってみればコンマ以下であってもNHKとしてまた視聴者にとって我々が必要と判断するものは今後ともきちんと編成してまいりたいというふうに考えております。これまでもそういう考え方でやっておりましたし、今後ともこの基本姿勢は変えるつもりはございません。
  65. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 NHKというのは健全であり、また常識的であり、それから類型的であり、また先ほど会長がおっしゃっていましたけれども、魅力的であるとこういうことで今日までやってきたわけですから、ぜひそういうことでこれからもやっていただきたいなと、こういうふうに要望しておきます。  それから話は全然変わりますが、ことしの九月二十三日の新聞報道でございますけれども、「回答者が食い物」というこの新聞でございますが、NHKラジオの「住まいの相談」の番組の中で、一級建築士の資格を偽り、電話で相談してきた視聴者に対しマイホーム資金や業者の工事代金を踏み倒したと、こういう新聞報道がございますが、ここで細かくなりますけれども、四点ほどお聞きしたいと思います。  この回答者を起用する場合、経歴は調べなかったと新聞にはこのように書いてありますけれども、このような番組は担当のディレクターの紹介だけで起用するものなのかどうなのか。何か審査会といいますか、そういうチェック機関がNHKにあるのかどうなのか、これが第一点でございます。  それから第二点目は、NHKに相談室がいろいろありますけれども、これらの担当者等のいわゆるNHKとしての相談者の身分ですね、この相談を引き受けた場合に身分はどうしているのか、これが二点目。  それから、この事件について、NHK側としてはこれは迷惑でもあるし、またNHKの信用問題にもかかわってきたわけですから、これは大変NHK側としては迷惑である。また今度は、国民サイドにすれば、あのNHKがと、NHKたるものがということで何か裏切られたような感じを受けるわけです。番組関係者は既にこの人を処分したということでございますけれども、どんな処分をしたのか、これが三点目。    〔委員長退席、理事大木正吾君着席〕  また、このようなことが今後起こっては私はならないと思います。今後どういうふうにNHKとして対処していくのか、この四点についてお伺いをいたします。
  66. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 今先生御指摘の問題のある人物を十分な調査の裏づけなしに出演さしたということは全く不明の至りでございまして、この場をおかりしておわびを申し上げたいと思います。  先生の御質問の出演者の選定についてチェック機関はどうなっているのかということでございますけれども、通常出演者の人選につきましては以下のとおりとなっております。  まず、担当ディレクターが何人かの候補者を探し、適任者であるかどうかリサーチをいたします。第二段階といたしまして、このリサーチに基づいて担当者が提案をし、担当セクションのグループで十分相談し合った上で、チーフプロデューサーというのがおりますが、これが番組の責任者でございますが、その適任者を選定して部会に提案するという段取りになっております。提案を受けた部会では、その部のCPデスク等関係者が全員出席している上で検討して部長が採択するということになっております。普通これだけの段階を経て出演者を選定する場合ほとんど今回のようなことは、ほとんどというよりは皆無でございます。  第二番目の御質問でございますが、この相談者の身分というものは私どもが出演者として出演してもらっているという出演者という位置づけでございます。  それから第三番目の処分でございますけれども、部長、担当のチーフプロデューサー、そして担当のチーフディレクターはいずれも減給などの処分を受けております。    〔理事大木正吾君退席、委員長着席〕  さらに今後の対策でございますが、この事件を契機といたしまして放送番組に携わる者が改めて公共放送に課せられた社会的責任を自覚し、出演者の選定に当たって慎重かつ細心の検討を加え、再びこのような不祥事を招くことのないよう私の名前で全局に通達指示いたしました。 二度とこのようなことが起きないように対処するつもりでございます。
  67. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 わかりました。わかりましたけれども、このやった人は、新聞ですけれども京都大学工学部建築科卒業、一級建築士、昭和十三年生まれとこうなって、結局結論からいけばNHKがごまかされたと、こういうことになるわけですな。  その次は、五十九年度決算を見ますと、簡単に申し上げますけれども受信料の収入が予算残額七億八千万ですか、こういうふうになったのは原因は何ですか。
  68. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) お答えいたします。  五十九年度受信料収入は予算の三千二百三十七億に対しまして先生御指摘のとおりおおよそ八億円の減収、三千二百二十九億ということになっておるわけでございますが、これは受信料収入の一番影響してまいりますのは年度当初の受信者の数、契約者がどのくらいあるかということが一つの大きな問題になります。そういう意味でまいりますと前年度の五十八年度の契約の増加計画の四十五万に対しまして実績が三十九万ということで六万件不足しておったということがございます。それと、五十九年度につきまして料額改定させていただいたわけでございますが、新しい料額の説明でございますとか、あるいは前払いの方の精算、あるいは口座料金を設定いたしまして大変大量の口座の申し込み者が参りました。そういった方々に対する手続といったようなことで手間を大変多くとりまして契約の増加の進捗がおくれたという現象がございます。四十三万件に対しまして年度後半かなり努力したんでございますけれども二十五万件という実績になったという、この契約の増のおくれということと、先ほど申しました前年度の六万件の減少ということが大きな原因というふうに私ども考えております。
  69. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 新規契約目標が達成できなかったと、こういうことですけれども、その達成できなかったというのは、これは値上げがあったからそのためにそれが影響して達成できなかったと、こういうことになるわけですか。
  70. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) 料額を改定させていただきますと、毎年その都度そういう傾向が見られるわけですが、新しい料金体系の定着ということにいろんな形で労力をとられるということがございます。そういった意味で、五十一年度の改定のとき、五十五年度の改定、そのときもやっぱり同じような現象が起こっておりました。しかし、五十九年度状況というのは、我々としましては、年度前半の契約の増が非常に悪かったということがございましたので、これを踏まえまして、六十年度以降、営業活動全体をできるだけ年度前半に展開していくという方法をとりまして、幸い六十年度につきましては四十三万件の増加目標に対して四十四万件という増加を得ました。また、六十一年度につきましても、今までのところ大変順調な経緯をたどっておりますので、何としても事業計画で掲げております目標を達成すべく努力している最中でございます。
  71. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 関連して、この受信料の滞納についてですけれども、滞納理由のいわゆる区分のうち無理解というんですか、これが三十四万七千件、それから常時不在というのは五十二万七千件となっておりますけれども、この無理解というのと常時不在というのは五十五年より余り変化はしておりませんけれども、数にすれば千、二千じゃない、三十四万、五十二万と、こういう大きな数になっておるわけです。もちろん努力はされておるのは今お話あったようによくわかりますけれども、この対策はどのようにしたらよろしいんでしょうかね。
  72. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) この滞納に対する対策は、私どもとしては公平負担ということが受信料制度の基本にあるわけでございますので、滞納の解消にはできる限りの努力をしてまいらなければならぬというふうに考えてやってまいっているわけでございますが、先生御指摘のとおり、この滞納者のうち面接困難ということによる原因が一番大きなものになっております。それから制度、番組批判というものも三〇%以上占めているという状況でございます。  私どもとしましては面接困難という理由での滞納というものをできるだけ速やかになくしたいというふうに考えまして、これは特に面接困難と申しますのは単身者が非常に多いと。あるいは御家庭を持っておられる御婦人で仕事を持っておられる方が最近非常にふえております。これは総理府等の調べによりましても、五十年当時と比べまして五割以上ふえて、既に九百万ぐらいの数に達しているという現象がございます。そういう方にはなかなかお目にかかれないがために、そのことが原因になって滞納になってしまうという状況があるわけですので、我々としては全体の職員の勤務の体制というものも、五十八年十二月でございましたか、思い切って変えまして、やはり休日にも、当然のことですけれども、定時に出勤してもらうという形をとりましたり、あるいは夜間の勤務設定というものも従来よりも多くいたすというような形をとりまして、在宅しておられる時間にできるだけ訪問してお目にかかって、そして滞納を解消してまいりたいというふうに努力してまいっているわけでございます。  それで、制度、番組批判ということにつきましても、これも同じ形で、とにかくお目にかかってお話ししないことには話になりませんので、そういった形に重点を置いております。 そして、なお会えない方に対しましてもできるだけ文書の郵送等を通じて理解をしていただくというような方法をとっております。  しかし、大変残念なことなんですけれども、そういった努力をしてまいりますことが大変コストが高くなってしまうということがございます。この全体の三千万以上の方々の中で九十万あるいは百万という数字でございますが、この方々に対する対策コストといいますか、そういったようなものが予想外にかかってしまう。これから先のこういった問題についての対応をどういうふうにやっていくのかということは、大きな課題としてこれからも考えてまいりたいというふうに思っております。  しかし、全体として、これも多少言いわけになりますけれども、九十九万台ということで歯どめはかかっているんではなかろうか。全体として、滞納率という点で申しますと、やや下がってきているということも御報告させていただきたいというふうに思います。
  73. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 ただ理解をしていただくということではなくて、そういう受動的じゃなくて、何か能動的に、今ちょっとお話ありましたけれども、この対策は立てていただきたいと、こういうふうに思います。  いずれにしても、現実の問題として、片方は三十四万、それから常時不在が五十二万と、それに加えて契約拒否受信者というのもいるわけですから、放送事業のいわゆる監督官庁である郵政省としては、この点はどういうふうに見ておられるか。この点いかがですか。
  74. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 受信料の不払いが増加しますということはNHKの財政基盤にかかわることでございまして、また受信者負担の不公平感、こういうことからしましても大変問題があると思っております。  郵政省といたしましては、従来からNHKに対しまして、この受信料収納を確実にするということについて、例えばNHK予算に付します郵政大臣の意見等におきましても強く郵政省からNHKに対処を求めてきたわけでございますが、何と申しましてもこの受信料の徴収ということは、NHKがこの受信者の理解と信頼を得るための努力、これが必要であろうと思いますので、今後も一層この努力を求めてまいりたいと思っております。
  75. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 この受信料に関連してもう一つですが、現在非世帯——事業所等のいわゆる契約率がどんな程度になっているのか、これが一つ。  非世帯はだんだんいわゆるふえていくのではないかと私は思います。事業所もふえるし、また経済発展によってそういう工場とか事務所とかふえていくんじゃないかと思います。したがって、NHKとしても契約もふやしていかなければならないわけですけれども、この非世帯の掌握というのは、移動したり名義が変わったりということでなかなか大変だと思いますけれども、この点に対しての対策はどういうふうに講じていかれたらいいんですか。
  76. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) 受信者の契約としまして、世帯のほかに非世帯ということで専業所等との契約があるわけでございますが、この事業所の契約と申しますのは、私どもに立入調査椎があるわけでもございませんので、なかなかその数を推定するということが難しいというのが実情でございます。で、私どもとしては総理府の事業所統計調査というようなものですとか、あるいは我々自身が具体的にそれぞれの特定の地域で調査いたしました結果等をベースにして、大体どの程度の事業所で受信機を持っておられるのかということを推定するわけでございます。その推定の前にもう一つ問題がございますのは、非常に規模の小さい事業所の場合ですと、これは住居と事業所に設置しているものとが同じであるというふうに認定せざるを得ない、そういうケースも大変多くございます。そういったものも控除いたしまして、同時にそれぞれの事業所が設置しておられるであろう数を推定して、そして契約の対象というものを考えていくわけでございます。  全体としまして、総理府の統計調査等で見ますと、事業所の数というのは七百万を超える事業所の数があるわけでございますが、それから先ほど申しました商店でございますとか、あるいは個人の開業の医師でございますとか、あるいはその他小規模の事業所等で世帯契約として既に処理されてしまっているものというものを控除いたしますと、非世帯の契約の対象というのは恐らく二百万弱であろうというふうに今考えております。  そして、この事業所につきましてどの程度の受信機を設置しておられるのかというのを推定するわけでございますけれども、これもまたホテルの場合ですとか、あるいはそうでない一般の事業所の場合ですとか、大変差が多くございます。これもまた一つの推定といたしまして、我々といたしましてはテレビの全体の設置台数というものをはじいてみますと、百四十万ぐらいではなかろうかという推定をいたしております。つまり、設置していない小規模の事業所もございますし、あるいは雑居ビル等につきまして我々が大阪あるいは東京で調査いたしました結果でも、必ずしも受信機を設置しているというケースは多い数字ではございません。そういった全体の推定から見ますと、今私どもとしまして契約していただいております二百二十七万という数字がございますけれども、これはやはり九〇%ぐらいの一応契約率になっているのではなかろうかというふうに推定しております。  しかし、私どもとしましては、これでは全体の推定値がやや低いんではなかろうかという反省もいたしまして、管理者を中心といたしました特別プロジェクト等も編成いたしまして調査を深めますと同時に、契約の増ということの交渉に当たらせている次第でございます。
  77. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 会長にお聞きしたいんですけれども、先ほど大木先生から話があったように、視聴者にとってサービスもよい、それから鮮明な映像も送ってもらいたい、しかし、それには当然のことですけれども金がかかると。こういうことで、これは八月二日の日経産業新聞に出ておりますけれども、「公共放送維持するには、組織の効率化や副次収入の確保で経営を安定させることが必要」と、こういうふうに会長さん言っておられますけれども、このことですが、副次収入というのは事業のいわゆる収入全体の何%ぐらいが理想と考えておられるのか、またこの副次収入を確保するためには具体的にどんな方法を考えておられるのか、この点についてお伺いいたします。
  78. 植田豊

    参考人(植田豊君) 先生御指摘のとおり、副次収入を上げるべく努力いたしておるところでございます。このように厳しい経営環境のもとで、協会としては業務を効率化する、あるいは経費を節減するということは当然でございますが、一方で受信料以外の収入も可能な限り確保していかなければいかぬと。このことが国民視聴者の方の御理解を得る基本だというふうにも考えるわけでございます。現状では受信料、これ六十一年度予算でございますが、約三千三百億円の予算に対しまして一%弱、二十三、四億の副次収入を予算に考えてございます。  この副次収入は協会放送法に基づきます業務を実施するということを通じて得られていくものでございます。つまり、放送番組を利用する、あるいは放送関連の出版物を出す、あるいは特許等技術研究の成果を利用していく等々でございます。したがいまして、収入の拡大にはおのずから一定の限度があるというのも率直に申し上げたいと思います。  今後といたしましては、放送番組の利用をさらに一層拡充していく、海外の放送機関等を初め番組を積極的に利用していただきたい。あるいは、CATV等の展開がございます。こういうところでもぜひNHK番組を利用していただきたい。さらに、放送用テキストの販売部数をふやしていく等々の努力を繰り返していきたい、できるだけ副次収入の拡大の努力を重ねていきたいと考えておるところでございます。
  79. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それに関連して、今までNHKというのはラジオ、テレビ番組の九七%という数字が出ておりますけれども、これが自局で制作され、そして自局で放映すると。外部からの調達というんですか、外部委託というのは外国映画だとかアニメだとか微々たるものにすぎないと、こういうふうに私聞いておるんですけれども、今後の方針として外部委託ですね、これをどのように考えておられるのか。私が想像するのにはふえる傾向にあるのではないかと思いますけれども、外部委託のメリット、この二点についてお伺いいたします。
  80. 尾西清重

    参考人尾西清重君) お答え申し上げます。  番組制作経費を初めといたしまして、協会事業運営に必要な経費受信料で賄うことが基本でございますが、私どもといたしましては、受信者負担をできるだけ抑制するために、効率的な業務運営と関連事業による収入の拡大というものを大きな課題として考えております。 このような観点から、今後とも番組制作について関連団体に委託することにしてまいりたいというふうに考えております。  この業務委託のメリット、デメリットというお話でございますが、メリットといたしましては、海外を中心といたしました外部との交流、これによってまず番組の多様化が図られるということがございます。それから、外部の制作にかかる番組はその組織なりあるいは制作手法なりというものが違うことによって、我々にとっては全く違う発想から番組の制作というものが図られる。加えて、メディアミックス等により経費の節減ないしは副次収入の増大が図られればというふうに考えているわけでございます。  また、デメリットという話でございますけれども、一般に外部委託というものに伴うデメリットというのは、やはり番組の低俗化ということとコマーシャリズムではないかと思います。私どもが委託する番組はあくまで私どもに編集権を置いた形で番組の制作委託をしております。したがいまして、質の低下、番組の低俗化、あるいは公共放送の性格にもとるというようなことは絶対にないように今後とも慎重かつ細心の配慮を払ってやっていきたいというふうに考えております。
  81. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そのデメリットの件ですけれども、質的水準が保てるかということと、NHK公共放送のいわゆる性格上の点から心配される点もなきにしもあらずなんで、その点は極力注意をしていただきたいなと、こういうふうに御要望申し上げておきます。  時間がございませんので、あと一点だけ。  現在NHK放送というのは夜十二時まででございますけれども、民放各社は十二時以降、大分遅い時間まで深夜放送を行っておりますけれども、この点についてNHKでは深夜放送はやろうという計画が検討されているのかどうなのか、これが一点。それから、先ほど衛星放送についていろいろ及川委員、それから大木委員からお聞きしましたので、私も疑問は持っておるんですけれども、このBS3の利用計画はどのように考えておるのか、この二点だけお願いいたします。
  82. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 深夜の放送時間延長を検討しているかという御質問でございますが、深夜の放送時間の延長につきましては、現在既に事件や事故など起きたときのニュース、あるいは特別番組の編成、海外のスポーツ中継等随時実施しておりまして、事実上一年のうち半分はテレビの放送時間は延長してやっております。  さらにこれを定時に延長するかどうかについては、私どもも現在検討中でございますが、NHKが定時放送時間を延長することは、逆に国民生活時間に与える影響もあろうかと思います。したがいまして、そういうことも頭に置きつつ慎重に考えてまいりたいというふうに思います。  参考までに申し上げますと、現在の国民生活時間の調査による実態は、午前五時半に起きている人たちが一三・三%ございます。それに対しまして、午前零時三十分に起きている人は全国民平均でございますが、六・七%という数字になっております。これらの数字も十分に検討の材料として考えてまいりたいというふうに考えます。  それからBS3の利用計画でございますが、BS2bの先ほど話題もございましたが、BS3についてもBS2bの延長線上で衛星というものが持っている極めてすぐれた能力、メディアとしての能力というものを開発するように考えてまいりたいというふうに思います。
  83. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 ありがとうございました。
  84. 原田立

    ○原田立君 今年度を初年度とする三カ年経営計画がスタートしていますが、事業収入と事業支出を見ると、予算に対してそれぞれ十八億円の改善と、五十一億六千万円を節約して、事業収支差金を七十億円増額して二百五十七億円を計上しておりますが、事業収入の大宗を占める受信料収入は減収となっております。  今も鶴岡委員より質問がありましたが、受信料収入が予算に比べて減収となっている理由は一体何なのか。先ほどの説明では、値上げをしたからどうしようもないんだというような意味の返事だったので、何となく納得しがたい点がありますので御答弁願います。
  85. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) お答え申し上げます。  先ほどのお答えで値上げしてもしようがないんだというふうな感じに聞こえたというお言葉でございましたけれども、私が御説明申し上げていますのは、五十九年度受信料収入が決算段階で八億ほどの減収になったという事実はそのとおりでございます。しかしながら、これは一つは前年度の五十八年度の契約増加計画が四十五万の計画を立てておったわけでございますけれども、その実績が三十九万ということで、六万件の不足が生じておりました。これが一つの重荷といいますか、減収の一つの理由になっているということを申し上げたわけでございます。  それともう一つは、五十九年度の料額改定による新しい料額の説明でございますとか、前払い清算の説明、あるいは口座が急速にふえたということに伴いまして、年度前半の仕事の進め方が思わしくなかった。そのために五十九年度の契約の増加目標も、年度後半できるだけの努力をしてまいったつもりでございましたけれども、残念ながら二十五万ということで、四十三万に対して契約がふえなかったということで、先ほど申しました八億円の減収が生じてしまったということでございます。
  86. 原田立

    ○原田立君 四十三万の目標に対して二十五万件と大きく下回ったためだと言うんですが、これは三年間を通して四十三万件の目標であるわけでありますから、受信契約維持増加受信料収入の確保のためにどのような対策を一体講じてきたんですか。
  87. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) 三カ年の計画でいずれも年度計画を四十三万に立てております。五十九年度が先ほど申しました二十五万二千ということで計画が達成し得なかったわけでございますが、それが、先ほど、いろいろな形で新しい料額改定、新しい料額の説明でございますとか、あるいは口座の処理でございますとか、ということで年度前半の仕事がうまくいかなかったということを申し上げたわけでございますが、そういった経験、あるいはそういった点についての反省の上に立ちまして、私どもとしては六十年度以降できるだけ年度の初めに仕事を早期に展開していこうということを決めまして、年度前半重点の仕事の進め方をしてまいっております。  それから面接困難な受信者に対しましては、夜間、休日等の訪問もできるだけ強化してまいりたいというふうに考えております。それから転居世帯の方をできるだけ早く発見して、そして契約者の移動をできるだけ綿密に管理していくということも業績を維持していく上に大変重要なことでございますので、そういった点についてもできるだけの努力をしてまいりたいというふうに考えて活動をしております。  こうした私どもの努力が六十年度の業績といたしましては大変いい形であらわれたというふうに思っておりますが、目標の四十三万に対しまして六十年度は四十四万件の増を確保し得たと。 そしてまた今年度につきましても、既に九月末までの数字が出ておりますけれども、これも五〇%を超える進捗状況を示しているということで、私どもとしましては六十一年度につきましても年度後半さらに努力を重ねて確実に目標を達成してまいりたいと考えている次第でございます。
  88. 原田立

    ○原田立君 五十九年四月に値上げして、そのときに訪問集金のほかに新たに口座割引制度を導入し、口座利用の促進を図ったということが報告で言われておりますが、受信契約維持増加受信料の確実な収納を目指しておられるんですが、同制度発足当時と最近の現状一体どうなっておるんですか。
  89. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) 五十九年度の料額改定の際に口座料金を設定いたしまして、口座で契約してくださった方に対しましては五十円を値引きするという形をとったわけでございます。そして五十九年度から六十一年度までの目標といたしまして五百万件の増を図りたいというふうに考えました。これは昭和五十九年度の予算を立てますときにそういった口座料金制度というものを立てたわけでございますが、五十九年の一月、二月、三月の段階で既に五十九年度から新しい口座料金NHKは出すぞということが発表になりましたものでございますから、一、二、三月の間に大変急速に口座がふえました。そして、さらに五十九年度に入りましてもその傾向は続きまして、私どもとして五十九年の初めから五十九年じゅうの数値を見ますと、まず二百五十万の初年度の数は達成し得たというふうに一応評価しておる次第でございます。昨年の六十年度でございますけれども、六十年度は百五十万の計画を立てたわけでございますが、これもほぼ達成いたしております。さらに、三カ年間で五百万というふうに申し上げましたけれども、今年度六十一年度は百万の計画でございますが、これも今までのところほぼ基準の進捗率と申しますか、私どもが作業を進めてまいります上で立てております目標の数字をほぼ達成する推移をたどっておりますので、私どもとしましてはこの五百万の計画は達成し得るのではなかろうかというふうに考え、さらに努力を続けているところでございます。
  90. 原田立

    ○原田立君 五十九年のときは口座振替は六一・四%でしたね。それが九月現在では一体どのぐらいになっているんですか。おたくの方でちょっと聞いたところによると六七・四%になっているというふうに聞いておりますが、それでいいのかどうか。それならば大分進んだということになるのでありますが、口座利用の振替料金払い込みの方法を利用している例えば東京電力は七五・二%、東京瓦斯は七二・二%、電電公社は七九%、東京都の水道局が六三・九%と、こんなふうな他の例があるわけでありますけれどもNHKの場合にはこの口座振替制度を利用して、一体どの水準にまで持っていこうというふうに考えておられるんですか。
  91. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) 私ども料金放送法の三十二条によりまして契約の義務という形で成り立っているわけでございますけれども、なかなかこの契約の義務ということで受信機を設置された方が御自分で自発的に申告してくださるというケースが非常に少ないというのが実情でございます。したがいまして、訪問してお話し合いをして契約をしていただくという形をとらざるを得ないわけでございますが、そういった過程におきましてできるだけ口座もふやしていきたいというふうに考えておりますし、同時に金融機関の御協力も、あるいは郵政省の郵便局の方々の御協力も得て口座化ということを推進しているわけでございます。  そういったガス、電気等とはちょっと性格を異にする部分もございます。ガス、電気の場合は届け出をしなければ供給が受けられないということに対しまして、私どもの場合は先に放送を出しているという状況がございますので、契約を進んでしていただく形がちょっと違う状況がございますので、なかなかガス、電気と同じような率で進捗するというわけにはまいらないんじゃなかろうかというふうに考えております。しかし水道と比べてみますと、東京都の場合で今ほぼそれに拮抗する水準になっております。私どもとしてはもちろん他の公共料金と同じ水準にしたいという願望は持っておりますけれども、果たしてそこまでいきますかどうか。我々として七五%ないしそれを超えるレベルというところにまいりますと相当サチュレートしてくるのではなかろうかというふうに考えております。しかし、受信料の安定収入という点で考えますと、口座をふやしてまいりますことが大変意味を持っておりますので、できる限りの努力は続けてまいりたいと考えている次第でございます。
  92. 原田立

    ○原田立君 松本さんね、あなたの答弁聞いていると随分気の弱い面も持ちながら遠慮しいしい答えているような感じを持つわけです。それがいいかどうかというのはまた別な問題ですよ。もう少ししっかり腰を据えて答弁したらいいんじゃないかと、こう思うんです。  それから、先ほども話がありましたけれども、滞納と拒否の問題でありますけれども、滞納者は五十九年で九十九万六千件、それから契約拒否者は十三万五千、合計しますと十四万件という非常に多くの数に上っているわけでありますけれども、これらについては先ほど来、会うことに主眼を置いていきたいというようなお話、それだけ一点であったように思うんですが、この解消についてもっと積極的な手だてはないものかどうか。 NHKでもニュースのときに、NHKは聴視者の皆さん方の受信料放送をされておりますというようなことが時々出ていますよ、見かけるんですけれども、たまに見るだけであって、もう少しやったらいいんじゃないのかなというような感じを持つわけなんです。滞納と契約拒否件数、これについての対応措置。
  93. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) 滞納と拒否につきまして今先生、十四万件というふうにおっしゃられましたけれども、これは余り胸を張って申し上げられる数字じゃございませんが、九十九万と十数万でございますので、滞納と拒否者を合わせますと百十数万という数字になってしまうわけでございます。確かにこれは、先ほどもお答えを申し上げましたとおり、公平負担という受信料制度の精神からまいりまして滞納あるいは契約拒否の方がこれだけいらっしゃるということは我々としては非常に遺憾なことであるというふうにも考えまして、できるだけのこれに対する対応はしてまいらなければならぬと思っております。  昭和五十二年度に、特にやはり問題の多い大都市圏につきまして特別営業対策員という者も特別に雇いまして対策を講じたこともございました。これは五十八年にやめておりますけれども、五十八年にやめますときに外務職員の夜間の勤務でございますとか、あるいは日曜の勤務でございますとか、そういった点をできるだけもっと強化してお目にかかり、かつ話し合いに当たってもらうということで業務体制の見直しも行ったという経緯もございます。また先ほど、会うだけということではございませんで、私どもとしてはお目にかかって理解を深めていただくというと同時に、文書による説得ということもしております。そういった形で対策を続けているわけでございますが、なかなか今の価値観の多様化しているというこの世の中で、素直にというか、簡単に滞納解消に応じていただくというわけにもまいりませんで、これに対するコストが大変高くかかるという実情もございます。  そういった意味で、私どもとしてはこれから先の対応の仕方として未面接という形で残っております滞納を、できるだけ会って御理解を賜るという形をとるのが一番正攻法であろうと考えまして、こういったお目にかかれない、我々未面接という言葉で呼んでおりますけれども、そういった方々にどういう時間帯に行けばお目にかかれるのかというような受信者の属性といいますか、そういったものをもう少し調べさしていただいて対策をさらに強化してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  94. 原田立

    ○原田立君 会長、ちょっとお聞きしますけれども事業支出は五十二億円節減されておりますけれども事業運営効率化による実質的な節減、これは計算すれば出るんですけれども、八億円しかないんですよね。値上げした年度においては、これはNHKとしてはまだその努力においては少し足りなさ過ぎるんじゃないですか。
  95. 井上豊

    参考人井上豊君) 先生御指摘のように、私どもが五十九年度に編成をいたしました予算に対しましては、先ほど決算説明にもございましたように、事業支出といたしましては全体で五十一億六千万余の抑制をしたわけでございます。これは五十九年度特有の事情ということがございまして、放送衛星が一波になったとかあるいは契約事務費が減ったとかそういうこともございますし、また予備費が残ったということもございまして、先生御指摘のように節減強化といった点で言えば九億余りでございます。  しかし、先ほど申し上げましたように、予算編成の前提といたしまして、私どもはかなりの節減施策を既に予算の段階で講じていたわけでございまして、この事業運営の中で節減強化あるいはさらに効率的運用に努めましたのは、以下申し上げますとおり、一つは組織の見直しといたしまして通信部の集約でありますとか、あるいは保守拠点の見直しでありますとか、そういうことを行いました。それから、放送番組の非常に好評であるものにつきましてアンコールあるいは再放送の要請が非常に強うございますので、こういうことにつきましても実施をしたわけでございます。また、大変細かくなりますけれども、スタジオカメラの撮像管の寿命を延長する施策といたしまして、技術的なことでございますけれども非常に細かなカメラの運営に努めたとか、あるいは料額改定の年でございましたので、これに対します文書の出し方につきまして工夫を凝らしたとか、あるいは視聴率調査の工夫をいたしましたとか、そういうことで九億余の節減強化を図ったわけでございます。
  96. 原田立

    ○原田立君 だから、少し値上げした年度においては少ないでしょうと言っているんですよ。説明を聞いているんじゃないんですよ、そんなことはもう文書を見ればわかるんです。  それはそうとして、余りもう時間がないんで次に進みます。  これは郵政大臣にお伺いするんですけれども、国際放送昭和二十七年、NHKによってラジオ日本の名称で戦後再開され、その実施費用も国際社会に占める日本の地位の向上とともに現在の姿にまで充実してきたと思いますが、郵政大臣はこの国際放送がこれまでに果たしてきた国際社会での重要性をどのように認識されているのか、まず最初にお伺いしたい。
  97. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) 国際放送の重要性といっても大きく分けると二つございまして、一つは在留邦人への適切な情報提供、特に紛争等発生時における情報提供という、邦人保護という面から重要でございます。まあ先生方外国へ行かれますと、邦人の方から相撲の結果や野球の結果も早く知りたいというような陳情をお受けになると思いますが、海外で苦労されている皆様には日本の情報はできるだけ速くやっぱりお伝えする必要があろうかと思っております。  もう一つは、先生仰せられましたように、国際社会における地位が向上した、また経済摩擦が激化しているときに日本を正しく理解、認識してもらう必要がある。昔は日本に対する関心というのは、何という珍しい国だろうと、異国趣味でもって日本の源氏物語だとか歌舞伎だとか浮世絵だとか、そういう関心を持っておられた。最近になりまして、日本はどうしてこれだけ短期間のうちに経済大国になったのか、なぜこれだけ発展したのかという観点から経営のあり方や労働問題、その他非常に世界の関心を集めている。さらに、一番困りますのは、今先生言われましたように、これだけ経済大国になった日本一体どこまで成長するのか警戒心を持って見られているような状況でございますので、なかなか見えにくいんですが、正しい日本の姿を理解していただくということがやはり貿易摩擦解消等に一番大事である。また、日本に対する関心は非常に高まっておるときなので、国際放送を充実すればするほどの効果は上がるものだと、このように考えております。
  98. 原田立

    ○原田立君 諸外国の国際放送と比較すると、放送時間、言語数、施設等々においてまだまだずっと見劣りがする現状であります。私も十一月十三日、八俣の送信所に行って現実に百キロワット時の機械、五十キロワット時の機械昭和十七年に据えつけのもの等々見てきましたけれども、非常におくれた印象を受けております。  それで、この国際放送の実施経費の七五%はNHK受信料収入で賄われているわけでありますけれども、こういうような状態では、大臣は国際放送を高く評価すると言ったけれども、実際には余り厚遇していない、冷遇しているというふうな意味を私は感じるんであります。他の外国などは国際放送の実施経費等なんかは国の予算でみんなやっている。それをNHK受信料金で七五%を賄うだなんという状態は、これは速やかに解消してもらわなければならない問題じゃないかと、こう思うんですけれども昭和六十二年度の概算要求等なんかにおいて一部の動きがあったやに聞いておりますけれども、郵政大臣としてその所信のほど、お考えをお伺いしたい。
  99. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) 国際放送の重要性は先生のお認めになるとおりでございまして、段階的に充実して、これは一々申し上げる必要もないわけでございますが、さらに将来の問題としてはラジオだけではなくて、もうテレビの時代であるということで、放送行政局長のもとに映像交流懇談会というのを設けまして、今御検討いただいておるわけでございます。  最後の予算のお話になると、私の方からいつも皆様に御陳情申し上げているんですが、二百四十億ある郵政省の一般会計ですか、そのうち百八十億が人件費であって、国際分担金とかいろいろ固定経費を引きますと政策経費がわずかに九億しかないという現状であります。しかし、国際放送につきましては宮澤大蔵大臣も非常な理解を示していただいております。二億五千万円の増額要求につきましては、国際放送の重要性から非常に厳しい、今申し上げました郵政省の予算事業の中で要求したものでありまして、何とかしてその確保に向けて努力をいたしたい、このように考えております。
  100. 原田立

    ○原田立君 済みません、もう一問だけ。  テレビの話、今聞こうと思ったら先に出たから、それはそれで結構。  それで、テレビ映像による国際放送の実施等は、これはもう当たり前の話ではないかと、こう思います。十分と御努力願いたいと思います。  それから最後、国鉄余剰人員として郵政省、各官庁ずっと受け入れるようにしてはおるようでありますけれども、郵政省からその関連の法人としてのNHKに対してどのような協力要請を行ったのか、その点はいかがですか。
  101. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 国鉄余剰人員の採用につきまして特殊法人に対して指導方要請するという閣議決定がありまして、これを受けましてNHKに対し閣議決定のこの趣旨を理解の上、国鉄職員の採用に配慮することをお願いして文書を二度NHKに出してございます。
  102. 原田立

    ○原田立君 NHK視聴者会議とか視聴者懇談会等を適時開催してその意見を番組編成に影響せしめているということでありますけれども、これはひとつしっかりやってもらいたいと思うんですよ。  それから大臣、前任の佐藤郵政大臣は番組の適正化について民放各社や放送番組審議会に対して要望書を送付したことがありましたが、最近の民放番組をごらんになって郵政大臣の率直な感想を聞かしてほしいと思います。
  103. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) 郵政大臣というのは、憲法二十一条、放送法第三条、表現の自由を最も尊重しなければならない大臣でございますので、番組内容についての意見、感想は差し控えさしていただきたいと思いますが、これは放送事業者の皆様が、いつも申し上げているんですが、国際的、文化的、芸術的、社会的な高い見地から番組の向上に御努力いただきたい、このように考えております。
  104. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 時間がありませんのでお答えは簡明で結構です。私に対しては先生とおっしゃらなくて委員とおっしゃっていただきたいと思います。  最初に、大きく見まして受信料収入が大体二%で伸びておる姿であります。これは受信料を上げたときを除きますから、五十七、五十八、六十で、三年平均で一・八ですから約二%。それから、五十六年以降五年間で五・八ですから六%。二%伸びて六%伸びますから三年はもてても四年目には上げる、こういうパターンになるのはやむを得ない、こういうのが大きな姿であろうと思います。  このままでいいかということで御努力願っておるわけですが、副次収入は事業収入の一%でございますが、努力されておるという点、これはもう済みましたのでダブリの質問はやめますが、この財務収入が副次収入の二倍あるわけで、五十九年度予算で四十四億であったのが決算五十四億と大幅に増加しまして、さらに六十年度は二五%近い増加を見込んでおられ、六十一年度はさらに三一%増を見込んでおられるわけです。この財務収入の増の理由をお知らせ願ったらありがたい、こう思うわけです。  それからもう一点、収支を見ますと、歳出の方で見ますと、これは六十年度予算ですが、人件費、給与が三四%、さらに退職手当厚生費が一〇%ございますので、人件費は広く言いますと約四四%を占めておるわけでございますが、六十五年度一万五千人体制というのが達成可能かどうかという問題、この辺についてお答えを簡単にお願いします。
  105. 井上豊

    参考人井上豊君) 今お尋ねの、財務収入が予算に比べて大幅に増加している、この理由をということでございますけれども、二点ございまして、五十九年度、六十年度、ともに私どもが当初予定をいたしました運用資金が予算に比べましてふえたわけでございます。五十九年度で申し上げますと、およそ七百五十七億というふうに予定をしておったわけでありますけれども、これが九百七億になりました。六十年度につきましては、九百二十億を予定しておりましたところが一千七十五億、いずれも百五十億程度ふえたわけでございまして、これに加えまして運用利息の若干のアップということもございまして、五十九年度は十億、六十年度は九億七千五百万円の増になったわけでございます。
  106. 植田豊

    参考人(植田豊君) 五十九年度以降六十五年度を目標にいたしまして一万五千人体制を目指す効率化を実施しておりますが、着実に推進いたしておりまして、目標どおり実現できる見通しを持っております。
  107. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 さっきの外部委託の問題もございましたが、NHKの関連会社、出資会社がふえてまいりますし、さらにその会社が子会社をつくるというようなことで民間会社とまたさらに協力するというふうなすそ野が広がっておるように思うわけです。この辺で民間との差がだんだんなくなってくるといいますか、その辺は、NHKの業務は法定されていまして、それを受信料で賄うというために事業計画国会承認になっておるわけであります。したがいまして、受信料で賄う範囲のもの、その業務が外に飛び出していってさらにほかの収入をまた当てにする、こういうのは基本的に国会承認の性格、NHKの性格にどうかなという感じがいたすわけで、事業費を抑える努力はよくわかるんですが、民間との境がなくなっていくという点についてのけじめをどうお考えになっているか、その辺の御意見も簡単でよろしいんですが……。  さらに出資会社とその子会社等、公益法人もほかにございますが、関連のいろんな団体、会社の状況を知りたいと思いますけれども、これは時間がかかりますので後で理事会の方で御了承が願えれば資料をいただきたい、こう思います。
  108. 植田豊

    参考人(植田豊君) NHKの関連団体は当然のことでございますけれどもNHKに求められております公共放送の使命あるいは役割を達成していく、そのことへ寄与してもらいたいというのは当然のことでございます。NHKに関係する仕事を進めるに当たりまして、公共放送の使命の理解を大前提とした節度を持って事業に当たってもらいたいと思っております。また、現実には各関連団体がそれぞれ設立の目的がございます。企業として独自の活動を積極的に一面では展開してもらいたいとは思いますけれども、設立の趣旨にあくまでものっとって、公益法人であれ営利法人であれ、その存立がNHKによって立っているということを十分認識してもらいたいと思っております。したがいまして、各関連団体とも節度ある事業活動を行ってもらっておるところでございます。NHKはこれまでも広く国民の意見に耳を傾けて事業運営をしてまいりました。関連団体につきましても当然そのように運営してまいりたい、このように考えております。
  109. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 国会承認の性格からいけば、出資法人についての資料も今後提出されてしかるべきかと思うんですが、この辺は御検討願いたいと思います。  効率化問題は既に御質問済みでありますが、受信料の徴収に年間六百億円かかっておる、予算が三千三百億でございます。したがって、これは六十一年度の六百二十一億円というのは一八・八%、約二割近い徴収コスト。私も国税庁におりましたが、これは五%でやっておりますが、いずれにしろ、これはもう異常な数字であるという気がします。口座振替等の問題があるでしょうが、この辺については抜本的なお考えが要ると思います。  受信料の性格に絡むと思うんですが、罰則がないというのはまた異常であろうと思うんですね。滞納処分もできないわけで、その辺の制度、番組批判があるといいながらも番組は見ておるわけでありますが、それから契約拒否の受信者、この辺はもう非常に理解に苦しむわけで、断固たる処置をとってよろしいんじゃないかと思うんですが、この辺はお答えしにくいと思いますので希望を申し上げて次に移ります。  国際放送の観点で申しますと、もう既にお答えがありましたが、NHKは公共的使命が一番大事であるということでございますので、特にこの国際放送は本当に柱であろうと思います。これは短波放送をさらに強化するということ、それからもう一方、対外映像サービス、これは先ほどの質問にございましたが、非常に重要な今貿易摩擦、さらにその背景にある文化摩擦という問題に絡んでおります。これを、先ほどのように、受信料で賄う、また予算の制約がある、これはよくわかります、どう解決していいか。予算がつけば済む話ですが、なかなか予算がとれません。私はこれ要望しておきますけれども、外務省、通産省で同じようなことで対外啓発事業をやっておる。この辺がばらばらでやるということで、一括して郵政省がどういうふうに調整されるか、そしてNHKがどういうふうに対外放映放送の技術的な点を解決されるか、この辺はちょっとお答えをお聞きしたいと思います。技術的にどういう難点が対外映像の放映にあるかという点でございますので会長の方からお願いします。
  110. 川原正人

    参考人川原正人君) 映像を海外に提供する場合、これは短波と違いまして、これはもう当然のことでございますけれども、短波は国境を越えてどんどん入っていけるわけですけれども映像はそういうわけにまいりません。衛星というものは実は能力としてはある程度国境を越えて電波が出せるわけでございますが、これは国際的な条約、協定等によりまして外国へ越境しないとかスピルオーバーしないようにという取り決めもございますので、これはなかなか難しい。とすれば、やはり何らかの形で外国の放送局の電波に乗せてもらうことだろうと想います。それにはまず何よりも番組の中身が、もちろん相手の国が、これは放送に出すに足りるというものでなければならないと同時にやっぱりそれに伴う経費というものが相当割安でなきゃならない。私どもそうしたいのでございますが、これは膨大な経費がかかりますから、受信料をもってこれを賄うのはやはり受信料の性格からいって無理だろうと想います。これに対しましては何か公的な資金の援助があればというふうに考えます。
  111. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 次の質問に入りますが、公共放送民間放送の併存体制をとっておるわけでございます。日本独特とも言えるわけですけれどもNHKがテレビを二つ、中波を二つ、さらにFM、それから音声多重に文字放送放送衛星二つ、こういうNHK事業の過度と言ってはいけないのですが、拡大という問題が、受信料そのほかの収入を含めましてそちらが伴わない、予算面もなかなか制約がある、したがって経営内容がそこで圧迫されてきておるということ、それがさらに今後とも経営圧迫の原因になろうかという気がするわけです。ですから、NHK事業内容が公共的な面から広がっていくについても限度がある。また、それに対する収入面も独特の対応をせざるを得ない。この辺の民放との併存体制を前提にしたNHKの長期的な経営問題のあり方ということを検討する必要があろうかと思うんですが、経営委員会というのはどういうふうに活動を実際しておられるかどうか。それから監査機能がどうであるか。これは簡単で結構でございますがお答え願いたいと思います。
  112. 川原正人

    参考人川原正人君) 経営委員会のことを私から御答弁申し上げるのは、実は私自身が経営委員会で任命されておりますので多少問題あろうかと思いますが、今全国から十二名の経営委員が選ばれまして月に最低三日は東京にお集まりいただいてNHKの基本的な業務についてはすべてここに私どもは御報告申し上げ、また御審議をいただいております。かなり率直な御議論がございます。  ただ、経営委員会で率直な御議論を展開していただくためにはこの中身を逐一外部に発表申し上げるということはいかがかと私も思いますし、経営委員会もそのような御判断をされておられるようです。ただしかし、かなりいろんな角度から私どもについての、経営についての検討は行われております。  それから監査機能としましては、先ほどもございましたように、何よりも会計検査院による会計検査が最大のものでございますけれどもNHKの内部におきましても経営委員会が任命されました監事によりまして厳密な監査が行われておりますし、この監事は私ども理事会にも出席して私ども理事者の業務執行の状況は逐一御存じでございます。それから、私ども事身の監査機構としましては監査室というのを設けまして、これは脇会の私の指揮下にありますけれども、業務全般、会計を含めましてすべてにわたって監査をいたしております。  それから番組につきましては、これは監査という言葉に当たるかどうかわかりませんが、考査室というのを設けまして毎日の番組すべてにわたりまして放送法に抵触することはないか、あるいは放送法はもちろんのことでございますけれども協会が定めました番組編成基準にもとることかないか、あるいはそれを超えまして今の社会的状況の中で協会の責任が十分果たされているかどうかということは十分にこの考査室において検討いたしております。
  113. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 やはり経営の基本問題を検討してもらうのは経営委員会だと思いますのでよろしくお願いします。  次はNHKと民放の併存体制の中身に入っていきますが、国内放送費が八百九十五億、約九百億六十年度にございます。これで各番組でどの番組に金がかかっておるかでありますが、報道、教育、教養、娯楽とあるんですが、放送事項の時間比率でいくと娯楽が約二割なんです。大体二割で来ていますが、金が一番かかっているのはどこであるかということをわかれば教えていただきたいし、資料でも後で結構です。言わんとするところは、公共放送民間放送の併存体制であれば娯楽は民間放送の方に任せていいんじゃないかという感じを持つわけです。むしろ三チャンネルのような報道、教育、教養というのが本来NHK公共放送で、民間放送がこれだけあれば金をかけてまで娯楽放送を充実するということにはどうかなという感じを持ちます。  もう一つは公共放送民間放送のシェアでありますけれども事業収入で言うと、一九八五年の数字をいただいていますが、これは一対四になっておるわけです。NHK一で、民間放送が全体合わせて事業収入で割り振ると一対四の割合、アメリカが一対十七・八、当然三大ネットワークがあるわけですが、英国が一対一・四。事業収入の大きさで言うわけですが、公共放送民間放送全体をひっくるめたところでの併存体制の割合というのはどういうふうなめどを持っておられるか。少なくとも何かのめどがあると思うんですが、長くなると時間がありませんので、簡単で結構です。
  114. 尾西清重

    参考人尾西清重君) お答え申し上げます。  六十年度国内放送費の部門別の内訳でございますが、総額八百九十五億のうち報道に二百九十八億、これが一番たくさんかかっております。それから教育が百六十五億、教養が百九十七億、娯楽が二百六億などという比率でございます。  それから民放とNHKの併存体制の中で娯楽は民間放送に任せてよいのではないかというお話がございましたが、現在の放送法NHKと民放との併存体制をとっておりますのは、受信料による公共放送と広告収入による民放とのいい意味での競争原理というものを導入しているのではないかと存じます。両者の特徴を最大限に発揮して国民の要望にこたえるというのがこの放送法の精神ではないかと存じます。したがいまして、放送法番組面でNHKと民放を区別することなく、教養、教育、報道、娯楽の全分野で両者が番組の向上を競い合うことを期待したものと思われます。今日の放送文化の発展というのは、こういう民放とNHKの併存と、同時に二つの競争関係というものが生み出したものだというふうに理解しております。NHKが教養、報道、教育の分野に力を入れるべきことは当然でございますが、同時に娯楽におきましても公共放送ならではの豊かな質のいい番組放送することによって全放送界の質的水準の向上というものに寄与してまいりたいというふうに思っております。
  115. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 今の点に関してですが、娯楽の放送が両方で行われる。公共放送の方は品がよくて、それと同じように民間の方も競争して良質なものになればよろしいんですが、どうもその辺に問題があるんじゃないかとこう思うわけです。放送法に基づいて民放各社は番組基準をつくっておられますし、民放連の放送基準、これもNHKと同様のものであります。性描写や暴力などについての基準を定められておるわけでありますが、現実はごらんのとおりなんです。電波は公共性があるものでNHKであれ民放であれ同じ公共性を持っていると私は思うわけであります。しかもチャンネルをひねれば一方的に家庭に入ってくる。雑誌なんかは本を選ぶことができますけれども、子供がいますような家庭にそのまま入ってくる。そういうような独特の公共性があるところにセックスとか暴力がこれほどはんらんする放送が行われておる国は、私は寡聞にして知らないわけです。この辺をどう考えたらいいのか。やはり中立性、不偏性といいますか、国が関与することはできません。これをどういうふうに考えたら改善されるか。これは本当に日本の将来に関することと思うんで、民放連の放送基準審議会及びその下部機構である放送倫理小委員会というものがあるらしいんですが、これはもっと活性化されていいんじゃないかと思うんです。  私は映画の方に関心があるんですが、映画の映倫というのはそれなりにやはり動いておるんですね。映倫のマークがなければ公開しないんです、一般の人が入るところは。映画館は見たい人が行くんですね。テレビは、行かないで家庭で見ますから、さらにそれ以上の倫理規制が要りますが、映倫に匹敵する活動がされていない、事前審査ができないという問題があるんでしょうが、これは国がやっちゃいけませんけれども民間の自主的なこの辺の規制を本当にやらないと、私はこの電波というものを本当に乱用して国を滅ぼすことになろうと思うんです。  これは昭和六十年の左藤恵郵政大臣の各方面への要請にあるんですが、特に放送が児童、青少年に与える影響を十分に考慮することと、児童、青少年の人間形成に与える影響の重大さに配慮を求める声が強いということを指摘されておるんですね。この辺、今いろんな社会問題が起きていますが、そのバックにこういう問題があるということを率直に指摘したいと思うんです。これは、きょうは民放連の方をお呼びしておりませんけれども、こういう問題は、率直にやはり民放連の意見を聞けるように今後お願いしたいと、こう思います。  これについて御意見があればお伺いいたします。
  116. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 放送番組の編集につきましては自主性にまつと、こういうことで、その自主性を担保する方策としまして放送法には、この放送事業者番組基準をみずから定め、それから番組審議会によって適正な番組放送していくと、こういう制度になっております。  ただ、昨年非常に番組の問題について一般の批判が起こりまして、郵政大臣から民間放送事業者に対する要望を行ったところでございますが、これに対しまして、この番組審議会の活性化ということを民放の事業者の方でもいろいろ努力はされているというふうに聞いておりますが、なお一層この番組の適正化ということに努力していただくように郵政省としても今後も要望してまいるつもりでございます。
  117. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 もう一度重ねて申し上げますが、日本民間放送連盟の放送基準で、暴力表現については、「暴力行為の表現は最小限にとどめる。」ことと、こうなっておるんです。しかし、一日に何回人が殺されておるか。この現実をやはり我々は見なきゃ、これは何にもなっておらぬと、こう思うんです。それから、犯罪の表現は、「銃砲・刀剣類の使用は慎重にし、殺傷の手段については模倣の動機を与えないように注意する。」と、こうちゃんとあるんですが、守られておらない。性表現についても、「性に関する事柄は、視聴者に困惑・嫌悪の感じをいだかせないように注意する。」、もうこれはなれちゃって感じないようになってしまったですね。それから、七十三というところに、性的犯罪、いろいろ変態性欲と書いてありますが、「取り扱いは特に注意する。」ベッドシーンの多いこと、この辺はどうしたものか、私はこれは本当に自戒すべき問題で、国が関与できないだけに、その辺の自粛といいますか、良心的な運営をお願いしたいと、こう思っております。  次に、民放の問題でございますので、こちらの一方的な発言に終わるかと思いますが、視聴率を非常に気にするんですね。NHKは、先ほど質問がありましたが、視聴率が低くてもこれはもう気にしないでいいという点は非常に私はいいことですから、いい放送をやってもらいたいんです。しかし、民放は視聴率に余りにも一喜一憂し過ぎる。朝来ても、出社すれば視聴率の表がもう配られておると。視聴率が悪いと廊下の横しか通れないというような感じであるわけですが、この視聴率というものの調査がどう行われておるかという問題、これが不可思議でありまして、今会社が二つあるわけであります。会社名を言うのはどうかと思いますけれども、A社、B社あるわけです。B社はこれは外国資本でこちらに支店を置いている外国資本の会社なんですね。それから、主力をなすA社、これはその資本構成が広告各社が入っておる。それから民放の各社、全社あるかどうかしりません。それからスポンサーになるようなメーカーが入っておる。こういう視聴率を調べる会社というものの実態をどこでどう把握しておられるか。しかも売り上げは六十二億と、こういうわけですね。コストがどれだけかかるかしりませんが、この視聴率調査のやり方、これは関東地域で三百台しかこの標本を置いておらぬのですね。寡聞にして私はこの標本を置いた友人を知りません。これは守秘義務があるかどうかは知りませんが、自分のところのテレビの機械に何かを取りつけられたという話は、まず酒を飲んでも聞いたことがないですね。実際にあるのかどうかわからない。それから世帯数が千二百十六万関東地区にあるんですよ。関東地区千二百十六万世帯を三百の標本で統計的に視聴率が正確にはかれるものかどうか。関西は二百五十です。名古屋が二百五十。こういう標本によって振り回されておる民放、これは映画で「ネットワーク」という映画があったんですが、それ以上の視聴率により振り回されている民放の実態、これをどう考えるかでありますが、少なくともこの視聴率調査会社の実態については、どこかが見てくれないとこれはおかしな話になってきて、要するに視聴率争いから内容が悪化するわけですから、内容のいいやつはそのままあらわれたら視聴率は案外高いかもしれない。そこをチェックするものがない。これは役所が介入しちゃいけないということであれば、民放連自体が中立的な、そして信順のできる共同の視聴率調査機関を持つ。そして民放各社は全部資本参加するというようなことで、広告各社が入るのはおかしいと思うんですね。それからスポンサーになるようなメーカーが入るのもおかしい。何かこの辺は非常に不可解至極であるということを指摘して終わりにしたいんですが、これは行政的に何か御発言があればお聞きします。
  118. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 視聴率の調査につきましては、これは民間で行われていることでございますので、ちょっとコメントは差し控えますが、郵政省としましては、この民間放送事業者は、この視聴率競争というようなことに振り回されることなく、番組の質的な向上に努めていただきたいと、こういうふうに期待するわけでございます。
  119. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 幾ら期待されてもその前提がおかしいわけですから役人の出る幕じゃないかもしれませんが、これは民放連に本気になってやってもらいたいと思うんです。今回は出席してもらいたかったんですが、よくお伝え願いたいと、こう思います。  それから、公共的性格で、選挙の政見放送というのが私はNHKの非常に重要な役割であろうと思うんですが、もう少し政見放送の回数をふやすとか、それから対談をやらせるとか、これはアメリカならやっていますね。だから、この辺の選挙に際してのテレビの利用の仕方、これをどこで勉強されるのかしりませんが、私は勉強されると思うんですが、これはもうNHKの問題ではないかもしれません。しかし、これは公職選挙法百五十条三項では、放送の回数それから日時は、自治大臣が放送協会それから民放業者と協議の上定めると、こうなってますから、NHKは全然関係ないということはないんです。ですから、こうした大事なところがどこで決まっておるか。私の場合、五分間をNHKは二回放送してくれるだけです。それから民放でも二回かでしたね。これはどこで決めるのか。非常に選挙の大事なところなんですね。私が終わってから聞きますと、私の政見放送、これは私に限らない、テレビ放送を見て自分は投票を決めたという人は多いんですね。ところが、今の非常にハイメディアのこういう時代なのに、このテレビ、ラジオ放送は制約し過ぎておるといいますか、その候補者の実態がわからないままに選挙民は投票せざるを得ない。これは私は非常におかしいと思うんです。だから、選挙というのは非常に公正でなければならない、それには選挙民には情報が要る。ところが、こういう高度情報化社会においてその情報が提供されないような選挙のやり方になっておる。これはどこに質問しておるのかわからないのですが、私は非常に奇妙な感じを持ったので、ここの改善をしてもらえば選挙費用は余りかからない。放送回数を多くして言いたいことを言わしてもらう、そして討論さしていただけば、それで正しい選挙ができてあちこち走り回ってむだな苦労をしなくってそして自分の政見が言えるわけですから、お願いしますだけで済むような、そういう古い選挙から脱却するためにも、NHKの公共的性格、民放を含めましてこの辺の改善をぜひ大臣に政治家としてお願いしたい、こう思います。私の実感であります。  それから、NHKで録画するときに、五分間ということでテスト一回ですぐに本番、録画の本番ですね。それで、失敗してもやり直しをさしてくれない。これは、自分の言いたいことが正確に表現されるまではテストはやらせてほしいと思うんです。そこが、一回テストで次はもう二回目は本番だと言われると本人は緊張しちゃいますからね、私なんかは初めてですから。そういうところは、余り官僚的でないように、十分に御満足になりましたかと言われて、五分間は五分間ですから、どうせ録画ですから、その辺の運用も何とかお願いしたい、こういう気がいたします。これは要望であります。  ちょうど時間になりましたから、最後に会長の現在のNHKの最大の問題は何か。今までのことを含めまして、一番頭の痛い問題は何でいらっしゃいますかどうか。その御意見を伺いたいのと同時に、私の尊敬します大臣に、公共放送民間放送の併存体制の意義は何かということと、特にNHKの公共性をどうお考えになるかという点をお聞きいたしまして、私の質問を終わります。
  120. 川原正人

    参考人川原正人君) 一言、選挙のことでお答え申し上げますけれども、これは私ども選挙につきましてはできるだけの情報を国民に提供すべき責任もあると思っております。ただ、現実論といたしまして、そのピーク、特に今回のように衆参同時選挙ということになり、かつまた東京、関東地区のように一つの電波で数県をカバーしなければならないという現在の状況の中では、それから選挙期間中も考えまして割き得る時間としてはほぼ限界に近いところまで来ておりますので、もちろんこれは自治省が選挙放送担当でございますので、なお今後十分に打ち合わせはしてまいりたいと思いますが、その点はひとつ御理解を賜りたい状況もございます。  それから、現在NHKが何をもって一番最大の問題としているか。私ども、やはり今これだけ国際環境あるいは日本の経済状況、社会状況が大きな変動を来している中で、私ども国民の方々に十分な情報を提供しなければいけない、そして判断を間違われないような、それに足りる情報を提供しなければいけない。それには、私ども今いろんな新しい放送技術を駆使しまして十分な取材もしたいんでございますが、これはラジオはもちろんでございますが、特にテレビジョンにおきましては番組の制作のための経費なり人手なりがどうしてもかかる。それを限られた私どもの財政経営状況の中でどうやって賄っていくか、しかも受信者に新たな受信料負担増をお願いしないような形で私どもがどのように合理的な経営が進めていけるかということを今最大の問題として、部内にはそういう従来の仕事のやり方に全く改革を起こさなければだめだと、自己改革の気持ちを一層強めて新しい放送事業を樹立していきたいというふうに考えております。
  121. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) いろいろ放送につきまして貴重な興味ある御意見を伺わせていただきまして、ありがとうございます。  きっと逓信委員の先生そういう機会しょっちゅうおありになると思うんですが、外国の関係者に会いますと、一年半前によく電気通信を自由化に踏み切ったなということを驚くのと同時に、日本放送NHKのテレビが二局ある、キー局が六局もある、さらに地方も四局化を目指してやっている、非常に皆さん驚くわけでございますが、その全国的な公共放送と自由な経営による地域社会に密着した民間放送、先生が御指摘されましたようにいろいろ問題はあるかもしれませんが、その併存体制は我が国に定着し、成果を上げていると考えておるわけでございます。今後とも両者がその長所を生かしながら切磋琢磨することによって、さらによい放送の普及が図られることを期待をいたしております。
  122. 福田幸弘

    ○福田幸弘君 どうもありがとうございました。
  123. 山中郁子

    ○山中郁子君 昭和五十九年度決算審査の機会に、二、三の問題でNHKの姿勢をただし、同時に改善あるいは善処方をお約束いただきたいと思います。  一つは、最近NHK事業活動として、番組の販売あるいは再編集して販売する問題で、あらかじめ企業とタイアップすることを予定しているという傾向、また同じく企業とのタイアップ広告、タイアップ企画などがふえていると言われている問題についてであります。  最近、雑誌「世界」に論文が載りました。これは十一月号でありますけれども、この中で次のように筆者が述べています。「NHKの重役の一人は、「最近、企業も文化事業に理解のあるところが増えてきたから、内容さえよければ、視聴者も目くじらは立てないのではないか」と語っているが、楽観的に過ぎないだろうか? 効率化路線のなかで、企業とのタイアップに対する安易な考え方が強まる傾向があり、」「気になるところだ。」、この筆者が指摘しているところは私はかなり当を得ているものだというように思います。NHK国民的、公共的立場から企業活動に対して自主的、批判的立場を堅持し、そして、その立場から分析し報道するということが求められているわけでありますけれども、企業などとのタイアップが、このNHKがよって立つべき立場、つまり、自主的、批判的立場、これにおのずと制約を加えるものになったり、あるいはその危惧を生み出すことになったりする懸念があると思いますし、そうあってはならないと私は強く考えています。その点に関して十分心して当たることが必要だと思いますけれども、これらの問題をめぐる実態と、それから、NHKとしての責任ある心構えをお伺いしたい。これが第一の質問であります。
  124. 尾西清重

    参考人尾西清重君) お答え申し上げます。  NHKは、これまでも国や地方公共団体を初め公共性の強い団体あるいはNHK関連団体が主催するイベントで、その催し物、行事が番組素材として必要であると判断したもの、催し物、行事が公共的性格を有し、協会として視聴者にその内容を周知し、協力する必要があると判断したものにつきましては、共催または後援の形で協力してまいっております。  御指摘のタイアップ番組でございますが、一つは各地方公共団体とNHKエンタープライズが企画をいたしまして、地元の医師会あるいは地元のNHKが共催して実施しておりますところの健康フェアについてのお尋ねかと思いますが、この健康フェアといいますのは、国民の高い関心事でございます健康を中心として、一つの健康活動と申しますか、地域のイベントとしてやっているものでございます。そこに協賛団体としてメーカーが入っておりますが、この協賛団体はイベントに必要な資金を分担しているだけでございまして、放送番組の企画、制作というのはあくまでNHKの責任において実施しておりますし、番組制作費をいかなる意味においても外部に依存することはございません。もちろん先生の言われるように一定の節度を持って慎重に対応する必要があると思います。NHKの公共性というものを守るために、また番組そのものをコマーシャリズムで汚さないように我々は細心の注意を払ってやっているつもりでございますし、今後もやってまいりたいというふうに思っております。
  125. 山中郁子

    ○山中郁子君 その基本的な姿勢の問題について私は今問題にしております。  例えば東京湾横断道路について報道するとき、千葉の海や漁業に大打撃を与えるということはこれはもうはっきりしている事実なんですね。で、これは、予想されることはみんなが、関係者が知っている。だけれども、これを被害というふうに言わないで、例えば影響などというちょっと客観的な装いを持った言葉でしか報道しないということがあります。  それから、これは日曜日なので私もちょっと目に入ることがあるんですけれども、日曜の朝などには、財界人を紹介して、その優雅な生活ぶりを放映している。ちょっとどうかなと、こういうことで幾つか目につくものがあるんですけれども、大いにこれは気になるところなんです。  また、スポーツ競技の放映では、前は見ていても私わかったんですけれども、会場の企業の広告だとかそういうものはなるべく画面に映らないようにカメラを工夫して写していらっしゃるというのはわかったし、また事実NHKはそういうふうにしていらっしゃったというふうに聞いています。ところが、最近はもうそういうのを全然していないですね。見ていればわかるんですけれども、はっきり静止していろんな広告なんかもちゃんと画面に入る。別にそれはその広告を映すために写しているというんじゃなくて競技を写しているわけですけれども、はっきりそれが映るようになっていても、そういうことについては全然気にしないで写している。聞くところによりますと、スポーツ用具の広告などが映りますと、その企業から番組宣伝用の、例えばパンフは宣伝費をもらうとか、それから負担を求めるなどということがある。これは私今手元にあるんですけれども、まさに今、尾西さんですか、おっしゃいました健康、国民の関心のある健康の問題なんですが、「名医が語るあなたの健康」という番組の宣伝パンフレットですよね。ここに三共製薬ですか、こういう広告がばんばん載っているわけですね。単に広告をとるというだけではなくて、番組の中身と大いに関係するわけでしょう、薬屋さんね。そういう広告がこういうふうに載っているとか、スポーツの問題でもそういう実際の例がたくさんあります。  私は、こういうことが野方図に広がっていくことはもちろん好ましいことではないし、おのずと節度があってしかるべきだというふうに思いますけれども、今お答えがあった中に基準めいたお話がありました。それは、番組制作費については一切そうしたものはもらっていない、援助してもらっていないというお話がありましたけれども、現実に番組制作に関しても企業から資金が出ているというケースも私は具体的な事実として聞かないわけではありません。  それからもう一つは、画面に広告が映っちゃっているかどうか、映っちゃったらまずいから、映っているかどうかということを審査する、いわゆる考査室というふうにたしか言われていたと思うんですが、そういうものは以前あって、一々画面をやっぱりある程度きちんと考査して、そしてそういうものはなるべく出ないようにするということをしていらっしゃったはずでありますけれども、最近はそういうことはしていらっしゃらないのかどうかもあわせてお伺いをしたいわけでありますけれども会長にぜひ基本的な姿勢というか立場NHKの心構えとしてお約束をいただきたいと思います。
  126. 川原正人

    参考人川原正人君) 基本的に私ども受信料をもって成り立っている企業でございますし、受信料をちょうだいし、それによって番組を制作し、視聴者期待にこたえる。したがいまして、この受信料以外に無節操にょそから番組制作に資金をちょうだいするということは絶対にすべきではないと思っております。また、そうはしていないはずでございます。  ただ、画面にいろんな広告が入ってくること、これは私どもも現場の者には極力避けるように指示をしておりますけれども、ただ、最近のスポーツの主催者が実際にいろんな企業から広告をもらうといいますかお金をもらって広告を出すという、これは実はアマチュアスポーツの最高のものだと思っていたオリンピック競技そのものがそういう状況になってきている。そして、マラソンの選手が胸に会社の名前をつけて走る。この間のアジア大会でも背中にフィルム会社の名前が出ている。これは避けようもどうしようもないという現実がございます。むしろ避けるとスポーツの状況がわからなくなってくるような事態がありますので、これはある程度はもう結局やむを得ないという状況に来ております。私どものいろんなカメラの配置等も実を言うともう外部に一切漏らすなと。つまり、それを偵察に、もう既に調べておられるのはよくわかっているんです。ですから、そういうことも一切外に出さないようにしてやっているんですけれども、例えば競技の決勝点はどうしてもこれは写さざるを得ない。どちらから写しても広告が入るように、もう既に主催者との簡でそういうことができてしまっているということになりますと、本当にスポーツの中継はどうしても避けられないという状況まで来ているのは現実でございます。しかし、私どもはあくまで競技スポーツを国民視聴者の方に見ていただくんだということで、もう一切そういうものとは無関係にやっております。  それから、考査のことでございますけれども、先ほど別の委員の方にもお答えしましたように、私どもも考査の方には従来以上に力を入れまして、すべての番組を私どもの人間で全部見る。事前に見られないものは事後に見る。そして、必ずこれの反省会を開いて、あの場面でカメラはもう少しこれを避けられたはずだということも現場とうるさいぐらいにやっております。やっておりますけれども、先ほど申しましたように、やはりどうしても避けられないという現状が来ておりますし、私ども一番心配しているのは、アマチュアスポーツというものはそういうものではなかったはずだと思うんですけれども、現実の世界はそういうことでは済まなくなってきている。 そういう中で私どもはまた番組をつくっていかなければならないという点、今後とも受信料に基づく公共放送であるということを厳に踏まえまして番組の制作に当たってまいりたいと思います。
  127. 山中郁子

    ○山中郁子君 環境の変化は私も十分承知しているところでありますけれども、感想として申し上げるならば、今会長がおっしゃったように、そういう姿勢を堅持して考査その他も前以上にやっていらっしゃるとすれば避けられるんじゃないかなと思うようなケースもたまたま見受けることもある、これは私の感想でございます。  次に、NHK自体事業効率化ということで人員削減を進めてきておられるわけですけれども、行革審も要員削減を大変押しつけがましく答申している。これは行革審の性格とNHKの性格からいって私は不当なものであるというふうに考えておりますけれども、そういう答申がありました。また、最近の磯田新経営委員長も就任直後の記者会見で、人員削減、効率化を強調しておられます。これらの背景ともちろん関係することではありましょうけれども、現場で最近行き過ぎが目立っていると私は思います。以前は夜の十時から十一時ぐらい以降スタジオを使って収録をしていると、これはもう罰金物だというふうに言われていたという状況が内部でありました。ところが、最近はもう朝の四時、五時まで平気で収録が行われているし、徹夜も当たり前という状況があります。これも具体的には現場では実際には経費節減の名目で行われているんです。私はこういうことで果たしていいのかということを考えるべきだと思います。  これはつまり、一つは、制作者の熱意というようなもの、情熱というようなものに依拠して経費節減というものをある面でずっと図っていくということです。これは労働条件というだけの問題でなくて、勢い必然的に番組内容にも悪影響を与えるものであると考えます。この問題もやはりおのずと節度があっていいのではないかと考えていますし、これは警告的に指摘をするとともにNHKの善処をやはり要望したいと思います。現場の人たちの中ではかなり大きなやはり意見になっています。この点についてはぜひまた会長から考え方をお伺いし、善処方をお約束いただきたいと思いますけれども
  128. 川原正人

    参考人川原正人君) 私どもはやはり受信料をもっていろんな仕事をしてまいりまして、そしてやはり最近の番組の制作の実態というのはいろいろ手法も複雑になりましたし、私どもがもっともっと情報を取材し提供しなければいけない、あるいは番組ももっといろんな工夫を凝らして視聴者の満足をいただかなければいけないというそういうものがふえてきておりますが、もうこれは私が申し上げるまでもなく、さりとてそうしてふえていくいろんな経費あるいは人手にかかわるものをすべて受信料の方にまたおぶさってまた値上げということを繰り返すということは、これはまた国民期待しているところではもちろんございませんし避けなければいけない。その中で私ども非常に悩むわけでございまして、より効率的な仕事のやり方をみんなで工夫しようじゃないかということでいろんな仕事の新しいやり方を試みているわけでございます。  私としましては、決して職員のそういう情熱にかまけて徹夜を繰り返してやるというようなことを毛頭言っているつもりはございませんし、恐らくその徹夜ということが、皆無とは申しませんけれども、そういうことは非常に例外的な話であるはずです。もっと合理的なやり方で仕事は進んでおりますし、より能率を上げる方法ができております。私は、協会の今までの仕事のやり方、これをそのままにしておいて人間だけ減らすといってもこれは減るものでもありませんし、仕事のやり方そのものをみんなで変えていこうじゃないか、より合理的な仕事のやり方があるはずだということで合理化を進めているわけでございます。  はっきり申しまして、要員の方も今六十五年度一万五千ということを目標に立てて着実にやっておりますけれども、ただ正直言いまして、これはどんどんどんどん減っていって幾らでも減らせるというものではございません。それはやはり、これだけのメディアを持ってこれだけの情報を提供していく以上は、おのずと限度があることはよくわかっております。  ただ、今までのNHKの仕事のあり方については、まだまだ我々自分で自己改革といいますか、反省をすべき点も多いし、自己改革すべき点はまだある、それをお互いに工夫していこうじゃないかということを職員にも訴えているわけでございまして、決して過重な労働をもって、あるいはいたずらに経費をただ切ればいいということで経営を進めているつもりはございません。みんなでもっと自己改革を進めてより能率的に仕事をやろうじゃないかということで今職員の改革の気持ちを求めているわけでございます。
  129. 山中郁子

    ○山中郁子君 会長のおっしゃるとおり、それがごくごく例外的なことであることを私としても望むものでありますけれども、ぜひこの機会に実態についても心配りをしていただきたいと存じます。  きょうのこの機会に、以下郵政省にテレビ局の免許問題について一件お伺いをいたします。  初めに、山形県におけるFM波並びにテレビ第三波の免許申請の取り扱いのこれまでの経過と今後の見通しについて簡潔にお示しをいただきたいと思います。
  130. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 山形地区につきまして、FMでございますが、五十七年の十月二十七日に周波数の割り当てを行いまして、その結果百十九件の申請書が提出されております。これらの申請につきまして、昨年の十二月二十五日に郵政大臣より山形県知事に対しまして一本化の調整を依頼してございます。現在、県では精力的に調整を進めているというふうに聞いております。しばらくは県における調整の進展を見守っていきたいと思っております。  それから山形県のテレビの第三波でございますが、ことしの一月十七日に周波数を割り当てまして、百五十九件の申請書が提出されております。現在郵政省において書類審査及び申請者からの事情聴取を行っておりまして、審査が終了次第具体的な処理方針を決めることとしております。
  131. 山中郁子

    ○山中郁子君 それで、今お答えになったようにそう淡々と事態が進む状況ではないということは多分郵政省はよく御承知のところだと思います。  そこで、きょうは大変限られた時間でありますので、最低の点について郵政省のお約束をいただきたいと思って以下質問いたします。  放送局の免許に当たっては放送局の開設の根本基準の九条、これを受けてマスメディアの集中独占の排除を決めています。これは言論・報道の自由、国民の側のその享受、それらのために集中化は非民主的な弊害をもたらすおそれがあり、多様な情報の提供を妨げることを排除するための根本基準であります。そのために人的、資本的に地域社会に直接かつ公正に結合することが求められています。一社が所有し経営支配するのは一局に限る、それからそのため独占的新聞社との兼営はだめである。それから、一社が株式の一〇%以上の所有者はだめだと、それから役員の五分の一以上が独占されてはならないということなどが決められていると思いますけれども、これは確かですね。
  132. 森島展一

    政府委員(森島展一君) おっしゃるとおりでございます。
  133. 山中郁子

    ○山中郁子君 ところが現実は、山形県においては新聞、ラジオ、テレビとも同一資本グループに独占されているんです。山形新聞、山形放送——これはラジオ、テレビです。それから山形テレビ、つまり三社ですね。三社とも、みずから山形新聞、山形交通グループと称して、服部敬雄さんというオーナー経営者です。そこの企業が独占的に支配していると言っても過言ではないという状態です。山形放送、山形テレビを主宰していることを彼は誇りに思って、形式は山新の社長、つまり山形新聞の社長、山形放送会長、山形テレビは相談役という形になっているんですけれども、実際には県民のだれもが服部敬雄氏という人の会社であることを疑う者がいないという状態にあります。これは正月元旦号の山形新聞を入れて配ったものなんです。そこにこういうふうになっていて、「山新・山交グループ集団」と、こういうふうに四十社の名前がざあっと書いてあるんですね。このトップに山形新聞、山形放送株式会社、それから株式会社山形テレビと、こういうふうにみんな放送、新聞が独占——自分たちが独占しているよということを自分たち自身がこうやって宣伝しているぐらいですから、それはもう実際、実質的にそのとおりなんですね。役員も常勤以上社長以下七名、これは山形放送の出身者が五人、山形新聞の出身者が一人、それからあと一人は服部さんというこのオーナーの息子さんの七人であれを占めているわけです。それで、株式保有についても山新グループのダミーというふうに目される人が三分の一を占めて、山形新聞、山形放送の役員、職員が一〇%以上占めている。これが山形テレビの実体です。山形放送の次の二つ目の山形テレビですね。そしてそれの実体が今申し上げたとおりです。  こういう支配がされている中で現実にどういう問題が起こっているかといいますと、山新グループ、つまりこの服部敬雄さんの経営するグループ、この山新グループの企業に対抗する有力企業についてはどんな広告も拒否する、新聞はもちろんですけれども、テレビでもコマーシャルを拒否する、それから傘下企業、自分のところの傘下企業のオープニングについては二つのテレビとも同じ番組を流すなどということが日常茶飯事に行われている。ちょっと考えられないんですけれども、実際にそういう事態があります。こういう事態は、まさに報道の多様な発展、民主主義の発展、地域経済の発展を阻害するものと言わなければならない。まさに、根本基準のマスメディアの集中独占の排除に全面的に真っ向から違反している状態が、今現実に山形県でずっと続けられてきたわけです。  それで、三つ目のチャンネルプランを郵政省が山形に発表をしたわけです。この申請の受け付けを今、先ほど御答弁があったようにやっていらっしゃる。そうしますと、先ほど百五十九の申請があったというお話がありました。 またまたこの山新グループが大挙ダミーを出して申請をしたというふうに言われているんです。マスコミの集中排除の原則からいっても、これらのダミーを厳しく排除することは当然のことだというように思いますけれども、この点について郵政省の決意方針を明確に示していただきたい。  これでまた山新グループが三つ目のテレビを自分のものにしてしまったら、一体山形県というのはどうなってしまうのか。常識では考えられない事態に一層さらに拍車がかかるということになります。  ここのところはぜひきっちりとした対応を郵政省にしていただかなければならないと思いますが、その決意方針をお伺いいたします。
  134. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 放送局の免許に当たりましては、マスコミの集中排除という基本方針審査の大きな柱としておりますので、既設の放送事業者、それから新聞事業者、これについて厳しく排除するという方針で臨んでおります。  したがいまして、山形県につきましても先ほど申し上げましたとおり、テレビ百五十九件の申請につきましてこの方針で臨むわけでございますが、特にマスコミの集中排除の方針を盛り込みました六項目の審査方針、これを申請時に申請者に対して示しました。  こういうことで、山形県の三波目のテレビの放送局につきましてもマスコミの集中排除という方針で免許処理に当たってまいりたい、こういうふうに考えております。
  135. 山中郁子

    ○山中郁子君 四月八日付の毎日新聞でも報道していたんですけれども、この百五十九社の申請者の中で送信所が、つまり申請する放送局の送信所ですね、それが山形新聞、それから山形放送、山形テレビあるいは山形交通、これらの会社の住所になっていたり、それからその役員の自宅、そういうものになっているのが五十七あるんです。だから少なくとも五十七はダミー、明らかにダミーだとわかるわけですね。  そういうのは、だから厳しく排除をしなければいけないというふうに考えて今申し上げたわけですが、この状況を郵政省もある程度把握していらっしゃると思いますが、今の局長の御答弁どおり、またかということの絶対にないような正しい処理をしていただかなければならないと思うので、ひとつ大臣からもちょっとお約束をいただきたい。
  136. 唐沢俊二郎

    国務大臣唐沢俊二郎君) 今先生言われましたマスコミの集中排除というのは、審査方針の中でも最も重要な一つでございます。したがいまして、放送局の免許に当たりましては、既設の放送事業者、新聞事業者については厳しく排除する方針で臨んでおります。山形地区の三局目テレビにつきましてもこの方針に基づいて免許処理に当たってまいりたいと思います。
  137. 山中郁子

    ○山中郁子君 既に今までの二局がそういうことで独占されているわけですから、まさに今度またそういうことがあったら、これはとんでもない話になりますので、現行の問題も改善をしていかなければいけないと思いますけれども、さらにその上にということは絶対にないようにしなければならないということで申し上げました。  それで、関連して先ほど御答弁もあったFMの割り当ての問題なんですけれども、これは六年前にやっぱり発表されているんですけれども、先ほどお話があったように今調整中で、これを見守っているというお話でしたが、調整工作が難航している最大の原因は、やっぱりこの山新グループのダミー作戦なんですね、実際はよく御存じだと思いますけれども。現在は申請者を二十に絞り込んでいるという状況になっていますけれども、依然として山新グループが粘っているために進んでいないというふうに見受けられます。この問題も、絶対にまたこうした独占が強まることがないように善処していただかなければなりませんけれども、このFM問題が片づかなければテレビの三チャンネルの免許の方も進まないというようなことでは理屈からいってないと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  138. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 必ずしもFMの処理が済まないとテレビの方の処理ができないということではございませんで、早急に審査を終えて処理したいと思っております。
  139. 山中郁子

    ○山中郁子君 そのFMの問題は、私が今指摘しましたような実態にあるということは郵政省も御承知のところでありますか。
  140. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 山形県のFMにつきましては、先ほども申し上げましたように県の調整に今依頼してゆだねておりますので、それを見守っているということでございます。したがいまして、その詳細につきましては、県の方にゆだねている関係上、私どもとしてはそれを見守るということで、県の方の努力にまつということで見ておるわけでございます。
  141. 山中郁子

    ○山中郁子君 先ほど私が申し上げましたような実情に山形県内のテレビ、放送、マスコミの集中が行われているという状態でございますので、先ほど大臣から御答弁がありましたように、ぜひともこの問題については郵政省のイニシアチブをもちまして、これらの問題を解決していく上で積極的な姿勢をお示しいただきたいと思います。  もう一点だけ最後にNHKにお伺いしたいことがあります。  それは、三チャンネルの教育放送放送大学へ移管するというような問題について論議がされているという声があります。こういうことが実際にあるのか、あるいはまたどこからか教育放送放送大学に移管するという問題が提起をされているのか、あるいはそれのいかんにかかわらずNHKとしての態度はどうなのか、この点について最後にお考えをお伺いいたします。
  142. 川原正人

    参考人川原正人君) そのような話は、私自身全く聞いたこともございませんし、外からも何にも言われておりませんし、むしろ三チャンネルというか教育放送を十分に私どもが担当し、放送、情報を提供していくというか、教育放送をやっていること自体受信料に基づくNHKのありようの一つの証左だと思っております。このようなことは私自身も考えておりません。
  143. 山中郁子

    ○山中郁子君 公式的な御答弁、公式的というか会長の御答弁は承りました。全く事実無根のことではなく、NHKの関係者の中でその問題が話されているということは私が根拠をもって承知しているところだということだけつけ加えておきたいと思います。
  144. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 五十九年度決算審査するに当たりましていろいろな質問要項を準備いたしましたけれども、既に前に質問されました方々もございまして、重複しておりますので、できるだけそれは避けたいと思いますけれども、しかし、一つだけ避けられない問題があるわけであります。  それは既に過去の委員会でも論議されたところだと思いますが、NHK受信料を中心とする徴収活動であります。NHKの収入は受信料が九八%を占めておるということでありますから、これは大変大きなウエートを占めるわけであります。未収受信料が百十八億ある。いろいろと努力されておる話も先ほど聞いておりましたけれども、確かに電力あるいは電話等と違いまして、電波という特殊な媒体によって送られ、それが契約になっておるわけでありますから非常に難しいことはわかるわけでありますけれども、私はもっと厳しくやるべきだと思うんでありますが、その点についてどう考えられておるのか。ただ訪問して留守であった、あるいは夜討ちをかけて努力なさっておることも聞きましたけれども、その間にもう少し私はぴりっとしたものがあってもいいんじゃないかと思うんですけれども、そういう点についてのお考えがあったらお聞きしたいと思います。
  145. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) NHKの収入の九八%が受信料である、NHK公共放送として使命を全うしてまいりますためには、この受信料制度というものを確実に守っていかなければならないというふうに私どもは確信しております。また、そういった考え方に基づいて仕事もしておるつもりでございますが、既に受信契約者の数が頭打ちと申しますか、年間一%強しかふえないというのがまた一方で現実でございます。私どもとしては、受信契約者をふやすことと、それから既に契約をしていただいている受信者の方から確実に収納を上げていくという、この二つがこれからの受信料制度を維持していく上で必要なことかというふうに考えております。  そういう意味で申しますと、私どもとしては、この滞納受信者、あるいは未契約受信者に対してどういうふうに我々がこれから先対応していくのかという問題になってこようかと思います。これには、当然のこととして従来の仕事のやり方とこれから先の仕事のやり方を変えなければならない問題が幾つかあろうかというふうにも思っております。  それはどういうことかと申しますと、従来はやはり収納を中心にした仕事のやり方というのがベースになっておりました。しかし、これから先は収納を目的とするということだけではなくて、お目にかかれない受信者とどう対応していくのか、あるいは未契約の状態にある受信者にどう対応していくのかということに我々としては努力してまいらなければならぬと思います。そのためには、やはり未契約受信者、あるいは滞納受信者の属性と申しますか、どういう状態にそういう方々がおられるのかということについても徹底的にこれから先調べて、それに対する適切な手を講じていくことが必要じゃなかろうかというふうに考えております。  しかし、これは言葉でそう申しましても大変難しい問題がございます。つまり、三千万を超える受信者が常時動いているわけでございます。つまり、三百万の移動という状態が年間に起こってまいるわけでございます。そういった状況の中で未契約者の中でも当然移動が起こります。そういう意味で、未契約者の状況を把握いたしましても、それを常に補完していかなければならないという問題もございます。そういった意味で、情報をできるだけ精緻にいたしますために、私どもとして今あります営業システムというものを含めまして全体を見直して、そして的確な情報に基づいた契約収納活動を展開してまいりたいというふうに考えております。このためにはやはりかなりの時間も必要でございますし、全体の仕事のやり方というものも直してまいらなければならないということがございます。そういったことを踏まえまして、私どもとしては、受信者に対しましてNHKが契約の強い意思を持っている、料金徴収の強い意思を持っているということを具体的におわかりいただけるような施策をこれから順次確立してまいりたいと考えている次第でございます。
  146. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 まあ、いろいろと難しいことはわかるんでありますけれども、また新しい発想を持って、ニューメディア時代なのでありますから、的確にそういった徴収事務が公平に行われるようにひとつ期待をしておきたいと思います。  次に、国際放送の拡充強化ということについてお尋ねしたいし、意見を申し上げたいと思います。 国際放送には命令放送と自主放送があるわけであります。国際化時代と言われておる今日でありまして、ラジオ日本は、諸外国の日本に対する理解を深めるためにも、あるいはまた日本の産業、文化などの実情を正しく報道するためにも非常に大きな私は役割を果たしていると思います。  そしてまた、これから海外への日本の企業の進出を初め、日本人が多く在住するまさに国際化時代がこれからどんどん進行していくわけでありまして、こういった日本の方々に対して的確な、しかも豊富な情報を提供していかなければならないと思います。  さらにまた、国際的な緊急事態等の際にラジオ日本等を通じて的確な情報を在外日本人にサービスするということも重要でございまして、もろもろ考えてまいりますと、これらの難視聴地帯も含めていろいろと計画をなさっておるようなことは聞いておるわけでありますけれども、それらの計画をできるだけ早くひとつやっていただくということが一つと、それから問題は、これいずれも、今の受信料じゃございませんけれども、全くサービスなんであります。したがって、これ国の負担という面でもう少しこの国際放送交付金というものを、NHK経営も大変苦しいわけでありますから、この増額について既に決まっておる問題でありますけれども、今後の問題について増額をしていくべきじゃないかと思うんですが、NHKもその努力をなさっておると思いますが、大臣の何か御見解がありましたらお聞きしたいと思います。
  147. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 国際放送の重要性につきましては、もう先生おっしゃるとおり私どもも非常に重要なものと認識しておるわけでございますが、国際放送の充実強化をしなければならないということで、特に緊急にやらなければならないのは、海外で国際放送が十分受信できないところがまだある、ここを早く受信状態を改善するということが、これが緊急の問題だと思っておりまして、それに対します対策として、国内の八俣の送信所からこの送信をしておりますが、これを増力することによって海外の受信を改善するのが一つと、これだけでも海外でなかなか聞こえないわけで、海外中継を外国の送信所を借りてやると、こういった両方の充実を緊急に進めておるわけでございます。  そのための経費といたしまして、六十二年度の予算要求におきましても、非常に厳しい郵政省の一般会計の枠の中で二億五千万円の増額要求をいたしておりますが、これを何とかして確保することによって、北米それから南米、この辺の受信が、その二億五千万の要求が認められれば改善されるほかに、将来に向けましても海外にさらにこの中継所の調査をいたしまして、暫定的に北米、南米を改善するその先のこともいろいろ努力いたしておりますが、何分にも予算事情の厳しい中で精いっぱい努力しておるというところでございます。
  148. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 まあ予算の制約があるのはいずれもでございますけれども、そういった持っておる意義、重要性から考えてできるだけひとつその拡充と強化をお願いをしておきたいと思います。  それから次に、文字放送についてちょっとお尋ねしたいんでありますけれども、現在既にもう実用段階といいましょうか、試験的に文字放送が行われておるのでありますけれども、この文字放送というのは欲しいときに欲しい情報を選べるという従来にない機能を放送にもたらしたと思います。受信機にプリンターをつければ記録性を持つことも可能であるメディアと聞いております。つまり、印刷メディアなどにも近いメディアであるということに注目する値があると思うんですけれども、現在の利用状況一体どうなっておるのか。  それからまた、六十一年度じゅうに全国ネットワークを完成させるというふうなことが文章にも書いてありましたが、進捗状況一体どうなっておるのか。  なお、一般家庭において文字放送を受信する場合には特殊なチューナーが必要だということを聞いておりますが、これらの将来性についてどのように考えておられますか。三つの点についてお尋ねしたいと思います。
  149. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 文字放送は昨年の十一月から実用ということで放送を開始いたしまして、現在NHK、それから民放の事業者が九社、これはテレビを既に放送しております民放事業者が九社、それから文字放送専門の会社、私ども第三者法人というような言葉で呼んでおりますが、これが十社既にこの放送を行っております。 さらにNHKは、昨年十一月に開始いたしましたときには関東・甲信越、それから近畿地区だけでございましたけれども、五月には中部地方でも文字放送を始めましたし、年内には全国的にNHKは文字放送放送できるようにする、こういうことになっております。  ところが、文字放送の受信機、これの普及がまだ進んでおりませんで、普通の受像機につけ加えて文字放送が受信できるようなアダプター型の受信機が八千八百台ぐらい普及しておりますが、ところが最近、テレビ受像機に文字放送が受かる機能を内蔵しました、いわゆる内蔵型というものが売り出されまして、これが既に二千五百台ぐらい出ておるというふうに聞いておりますので、こういった内蔵型等で非常に普及に弾みがつくんじゃないか、こういうふうに思っております。
  150. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 次に、将来の問題にもわたると思いますので、NHKの方でひとつお答え願いたいと思うんですけれども、現在の地上放送、それからいわゆるこれからの衛星放送あるいはCATV等のニューメディアとの調和、発展というんですか、そういう基本的な問題になるわけでありますけれども放送は代表的なマスメディアとして日常生活に情報を提供しておる、この役割というのは私は非常に大きいと思うわけであります。これらの放送は、電波を生かして速報あるいは広域性あるいは簡便性というものを特徴として、最も効果的なメディアであるから、このように私は重要な役割を果たしていると思います。一方、将来社会がどんどん進展してまいりまして、ニュース、誤楽、教育などの情報をさらにもっと高度に伝達していくということも重要なことだと思います。  そういう意味合いにおいて、放送の役割と使命というのは一層大きくなってまいりますけれども、    〔委員長退席、理事大木正吾君着席〕 一方、社会の情報化の進展、あるいは個人のニーズの多様化、あるいは高度化してきておりますから、従来のままのやり方では一つの限界が来ると思うんです。そこで、地上放送とかあるいは衛星放送、あるいはCATV等ニューメディアとの調和ある発展といいましょうか、そういった面について将来的な構想をどのように考えられているのか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  151. 中村有光

    参考人(中村有光君) 電波を使いますメディアとしては放送のメディアというのが最もコストが安いというふうに思います。この分については地上の電波であろうとも衛星の電波であろうとも同じであろうというふうに思います。一方、新しいメディアの中にはケーブルを使って線を引く、銅のケーブルもありますし光のケーブルもあろうかと思いますけれども、そのものについては電波のように空間を伝わりませんので一々引かなければならないということで、その点については両方並び立つ道があるのではないかと思いますけれども、電波を使う放送メディアとしてはやはり情報を安く届けるということが最もその利点を生かすことではないかというふうに思います。
  152. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 これは将来の問題でありますけれども、しかし根本的にそれほどの価値を持っておるというのが放送でありまするし、しかも安くというお話がございました。 将来的な値上げ問題等も含めて、そういう一つの基本的構想でもって事業活動を進めるようにお願いをしておきたいと思います。  それから、次に著作隣接権条約についてお尋ねしたいと思います。  このローマ隣接権条約というのは既に各国でも批准されておりますけれども、まだ日本は未批准というふうに聞いております。大体これは批准ということになれば外務省の所管でありますけれども日本の場合条約批准、例えばILO等におきましてもいろいろな勧告、百何十とございますけれども日本の批准率は数でいくと一流国ではなくて発展途上国というふうなことでございまして、条約となると非常にどうもかたいところがございます。今日国際化時代、しかも先進工業国としての日本がそういう状態であってはいけないと思うわけであります。  特にこの著作隣接権の問題は、やはりこれからの演劇あるいは演芸、そういったような文化、芸術関係を含めて、これを発展、伸ばしていくというためにも私は必要ではないかと思います。福祉社会といっても量より質へという、質ということになってくればやはり精神的文化、あるいは芸能活動等を高めていく、そういう意味合いからしてもこれらの条約の批准を早くしていくことが大事ではなかろうかと思うわけでありますけれども、これについてどのようにお考えになっておるのかお尋ねしたいと思います。
  153. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 著作権の問題につきまして所管は文化庁でございますけれども、文化庁の方にも問い合わせた結果等でちょっとお答え申し上げますと、我が国は実演家、レコード製作者及び放送事業者の保護に関する条約、いわゆる隣接権条約というのに加盟しておりません。その理由は、現在条約に加盟している国が二十九カ国あるそうでございますけれども、主要な国、アメリカ、ソ連、フランス、カナダ等は加盟していないというような実情もあるようでございますし、国内におきましても関係者間で加盟について必ずしも合意ができていないということで、文化庁の著作権審議会、ここにおきまして今審議が行われているというふうに聞いております。
  154. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 聞くところによりますと、一番ネックになっておるのはやはり放送事業者が反対しているというようなことを聞いておるわけです。 これは費用がかかりますから、恐らく私はそういうふうなことだろうと思うんでありますけれども、そういう点間違いないでしょうか。
  155. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 詳細はちょっと所管でないので存じませんが、恐らくそういうようなこともあるんじゃないかと思います。
  156. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 所管事項でないので失礼いたしましたけれどもNHKはどういうふうな考えを持っておるのか、これについてお伺いしたいと思うんです。
  157. 尾西清重

    参考人尾西清重君) お答え申し上げます。  この問題に対するNHKの考え方は、五十九年十月二十六日に文化庁の長官にあてまして意見書を差し上げましたこの中で申し上げております。  大体次の四点に集約されると思います。  隣接権条約は、著作権に関するベルヌ条約や万国著作権条約と比較して加入している国が多いとは言えない状況にございます。したがって、国際的にはまだ定着しているとは言えないということがございます。二番目に、隣接権制度は、放送事業者の権利が保護されるという積極的な面もございますけれども、地理的条件から見て、例えば協会放送が直接受信されて放送されるような状況にはないという意味で、かなりまだ実質的な効果は期待できないということでございます。 三番目に、条約加入問題の法的議論に先立って、それを受け入れる条件の整備、例えば外国の実演家、レコード製作者に対し二次使用料の受け取り方法などをどうするか、また、二次使用料額の合理的水準をどう決めるか等、具体的な基盤づくりが必要であるというふうに考えております。それから四番目に、隣接権制度は内容的にも複雑であり、関係者以外にほとんどなじみがなく、議論も関係者だけの感がまだ今のところございます。  こういったような理由から、受信料制度に基盤を置くNHKとしましては、隣接権者の権利尊重については十分認識はしておりますけれども国民一般の理解を得なければ新しい経済負担を負うということは困難な問題だというふうに考えておる次第でございます。
  158. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 国民一般の理解と言っていますけれども、特殊な問題でありますだけになおこれは難しいわけであります。ただ、私が申し上げたいのは、芸術振興という面から考えていきますと、芸術家あるいは演劇含めて、そういう人たちを育てていかなきゃならない。日本の実情というのはそういう点は非常にそういった人に対するいわゆる支援システムというのは非常に脆弱でございます。そういう意味からして、こういった基本的問題についてもやはり国際的な協調の中で日本の芸術振興のために必要なものは出していくというふうにして育てていかなければいけないのじゃないか、こう思いますので、あえて申し上げたわけであります。  最後に、これは意見でございます。  放送衛星について、ずっともう既に及川委員からも多くの意見が述べられました。私は、新しい技術、新しいものにチャレンジする場合には当然リスクが出てくると思います。    〔理事大木正吾君退席、委員長着席〕 ですから、それにおびえて進行が滞ってはいけないと思います。かといって非常に安易に、これ本当に公共事業でございますから、その中でも経営を厳しくなさっておりますので決してそうではないと思いますけれども国民の目から見ると、どうしてもあれはやっぱり公共事業だからもたれ込んでおるというふうな感じを受けやすいわけであります。ですから、そういった開発からいわゆる実験までのプロセスというもの、これについてはやはり国民にはっきりわかるようにしていただく。私は失敗は決して国民が非難するものじゃないと思います。むしろ早く成功することを願っておると思います。そういう意味合いにおいて、そういう国民的つまりいわゆる理解を得るためにも、プロセスは私はでき得る限りの範囲において公表をしていくことを最後に申し上げまして、終わります。
  159. 平野清

    ○平野清君 二、三質問させていただきますけれども、聾唖候補者の政見放送の問題、それから文字放送の充実について、それからオリンピック放送権料について、先に委員の先生方が述べられましたので、自治省の方待っていただいたと思いますが、聾唖者の政見放送につきましては、公選法の改正なり弾力的運用によってそういう人たちの政治参加に道を開いていただくように要望して、その問題を割愛させていただきます。  ただ、オリンピック放送権料についてですが、先ほどの御答弁では、納得いく金額でというお言葉がございました。これ、聞くところによりますと、一億ドル、百五十五億円という膨大な金額を韓国のオリンピック委員会は要求しているようですけれどもNHK側としては納得いく金額ということはどの程度を指しておっしゃっているのか、非常に判断に迷います。特に、商業スポーツの放映料というのがどんどんどんどん上がってまいりまして、これがNHKを含め放送会社には大きな打撃になると思うんで、何らかの歯どめ策というか、全世界的な機構でそういうものを協議する考えはないのか。また、このスポーツ放送がどんどん放映料が上がれば、今NHKが、ちょうどこの間の日曜までやっていました大相撲の放送ども、今のところ春日野理事長の、何といいますか、NHKに対する理解でNHK独占ということになっていますけれども、万が一、理事長がかわり、相撲協会の方も放映権料をもっと取りたいというようなことになれば、大相撲放送NHKから離れてしまう。そうしますとコマーシャルが入ってきます。野球は攻守かわるときにコマーシャルスポットが入りますけれども、たった短い相撲の仕切りの間にコマーシャルが入るようなことになれば、ただ土俵でぶつかるときだけしか相撲のだいご味がわからないというような事態も招きかねないと思うんですね。こういうスポーツ放送の放映料の倍々ゲームということに対してもう一度お答えをいただきたい。
  160. 尾西清重

    参考人尾西清重君) お答え申し上げます。  最初の御質問は、どれくらいならば折り合うのか、納得のいく金額というのはどれくらいなのかという御質問かと思いますが、私どもはロサンゼルス・オリンピックのときの放送権料というものをあくまで土台として交渉に当たりたいと思っておりますが、相手がございますので、私どもの希望だけでいかないとは思っておりますが、少なくとも常にオリンピック放送権料につきましてはロサンゼルス大会の放送権料を基本として考えたいというふうに思っております。  それから第二に、各種のスポーツ放送権料の値上げの問題でございますけれども、これも先生御指摘のとおり、オリンピック放送権料と同様、非常にウナギ登りに上がってまいっております。NHKといたしまして大変苦慮しているところでございますが、これは、一つには、スポーツ番組がかなり高い視聴率を上げるということが一方にございます。またもう一方、スポーツ団体、いわゆる競技主催団体が放送権を重要な財源に考えるということが一つの時代的状況かと思っております。それが放送権料の値上げに拍車をかけているということであろうかと思いますけれども、我々といたしましては、視聴者の大切な受信料をお預かりしているわけで、できるだけ安く、質の高いスポーツ番組を継続的に放送したいというふうに常々考えているわけでございまして、余りこれ以上値上げを、倍々ゲーム的に上がってほしくないわけでありますけれども、御指摘のように、こういった状況が続けば、ある種のものについてはあきらめなければならないというような状況も来るおそれがあるというふうに考えております。
  161. 平野清

    ○平野清君 では、次にNHKの活性化についてちょっと御所見をお伺いしたいんですが、ことしの四月五日付の日経新聞によりますと、NHKは、米国の大手経営コンサルティング会社、マッキンゼー社と契約を結んで、業務、組織などの見直しを依願したというふうに書いてございます。その記事によりますと、九月いっぱいをめどに改善提案を受けられるというふうになっておりますが、もう既に十一月末なんですが、マッキンゼー社からいわゆる調査の結果が来たのか来てないのか。来たとすれば、当然これはこういう委員会などで公表していただいて、NHKとしてはどういう方法でその提言を受け入れて業務改善に資していくのかというふうなことをお聞きしたいと思うんです。  特にNHKはこの外国商社に、経営コンサルタントに頼んだいきさつは、五十七年ですか、長期ビジョン審議会の答申の最後のことを取り上げて外国に頼んだんだと思います。その長期ビジョン審議会の答申も最後のところだけ外国に委託して、他の答申のことについては検討中であるとか、今考えているとか、委員会をつくりたいとかということだけで、私たちの方に長期ビジョン審議会の提言の後始末がわからないようなシステムだと思います。そういう意味で、わざわざ大きなお金を使ってマッキンゼー社に頼んだ以上、すべての回答を公表していただけるのかどうか、ぜひそれをお聞きしたいと思います。
  162. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) お答えいたします。  マッキンゼー社に私どもが今進めております営業活動の抜本的な見直しについて力をかしてほしいということを依頼したのは事実でございまして、しかしながら、コンサルタントに物を依頼するという仕方がいろいろな形があるわけでございます。先生の今の御質問の中にも最終的な答申云々というお話もございましたけれども、企業診断を受けて、その診断結果を出してほしいというコンサルティングの依願と、それから我々が一つの検討の方向を持っていて、それを具体的に進めていくために知恵をかしてほしいという依頼の仕方と、これ当然マッキンゼー社側の仕事のやり方も変わってくるわけでございます。  私どもとしましては、営業活動の抜本的な見直しが必要だと、あるいは営業の契約、収納のコストが少し高過ぎるぞという御指摘を当委員会でも何度か受けているわけでございまして、そういったものに対応して、抜本的に仕事を見直していく上にどうすればいいのかということを、実を申しますと、昨年の五月から協会の中に特別のプロジェクトをつくりまして、これは私どもは新営業構想委員会と、こう呼称しているわけなんでございますけれども、そこで協会内の従来の営業活動のありようというものを自分たちの手で見直そうということで作業を進めてまいったわけでございます。それの基本的な一つの方向性みたいなものがまとまってまいりましたので、それを具体化する形でマッキンゼー社に協力を依頼したという経緯がございます。  そのマッキンゼー社の仕事のやり方としまして、この場合には、他社のコンサルタントの頼み方というのは私つまびらかにしておりませんし、マッキンゼー社もそれは明らかにしませんので具体的なやり方はわかりませんが、マッキンゼー社はNHKに対してコンサルタント四名をフルタイムで派遣する、NHK側も七名ないし十名ぐらいの職員をフルタイムで出してもらいたい。お互いに共同プロジェクトをつくって、共同作業で仕事をやろうじゃないかということを言ってまいったわけでございます。  私どもとしてはそういったマッキンゼー側の提案を受けまして、十名の職員を出しまして、これはフルタイムで共同の仕事を共同プロジェクトを組んで作業を続けてきたわけでございます。したがいまして、十名とマッキンゼー側から来ておりますコンサルタントの間には非常に激しい議論が闘わされる。こちら側も今までの検討の成果を向こう側に提案し、向こう側もそれについて意見を言うという形の、まさに共同プロジェクトによる作業が四日から十月初めまで進んだわけでございます。  ここで一応の区切りがついているわけでございますけれども、私どもとしてもこの間に何度か軌道修正をこの共同プロジェクトに対して求めまして何度かの軌道修正もやっております。そしてそういった一つの区切りの上に立ちまして、今度は我々自身の問題として今までの検討の成果を踏まえまして、今別のプロジェクトをまた発足させまして具体的な営業構想の策定を進めているというのが現状でございます。  もちろん、この過程におきまして我々としては大変参考にすべき幾つかの意見がございました。その一つとして組織に対するアプローチの仕方と組織構造というのは一体どういうふうに立てるべきなのかというようなことについてのハウツーといいますか、ノーハウも示されましたし、それから全体として営業活動全体が今コンピューターシステムによってサポートされているわけでございますけれども、今のコンピューターのシステムというのでは十分ではないんじゃないだろうか。つまり従来のコンピューターが勘定系のコンピューターに偏っていると、その辺をもう少し幅広くコンピューターシステムのサポートの仕方を変えていったらどうなんだろうかというような意見も出ております。そういったことは私どもとしては大変参考になる意見であろうかというふうにも考えまして、今そういった細かいコンピューターをどういうふうに利用するのかという設計だとか、あるいは具体的に仕事を進めてまいります上で、これ営業活動の場合、申し上げるまでもないんですけれども、日常的な仕事のペースをダウンさせるわけにはまいらないわけです。これ日常的に契約をできるだけ進めて収納を確実に取っていかなければならないという宿命を負っておりますので、これをいきなりいろんな形で改革を断行するというわけにもなかなかいきかねる部分がございます。そこで、恐らくモデル地区等もつくって順次試行を重ねながら具体的な構想を固めていくという形にもなろうかと思います。  そういったいろんな角度からなお検討を続けなければならないことでございますので、なかなか具体構想をまとめるまでには若干の日時がかかろうかというふうに思います。先ほど来申し上げておりますような作業の進め方でございますので、マッキンゼー社の診断結果がこうだと、あるいは最終報告がこうだよという形で御報告するのはなかなかなじまない状況にございますので、その点は御理解いただければありがたいと思います。
  163. 平野清

    ○平野清君 いろんな審議会その他そういうふうにお金も使って体質改善を図ろうとしていらっしゃるんですから、なるべく受けたものを取れるものは取る、捨てるものは捨てるということで経営努力をしていただぎたいと思います。  特に受信料の問題でちょっとお聞きしたいんですけれども、全国に一万五千人ですか、五千人ですか、ちょっとど忘れしましたけれども、集金の方がいらっしゃる。既に三分の二が口座振替になっているとお聞きしております。一人の集金人が最低千件ぐらいから多い人だと一万件ぐらい持っているということを聞いております。そうしますと、仮に一万件持っていて五千件自動振替になってしまえば、その方の収入は当然減るわけですね。口座じゃなくて現金で受け取ってくると、一件につき百円とか聞いております。口座になりますと、その人の今までの集金人の権益を守る上で一件七十円をやると、三十円だけNHKはよけいもうかるということになりますけれども、今度、今までは隣から隣へ集金していればよかったんですが、自動振替の人の間にまだ現金の方がいらっしゃる。非常に集金能率が悪くなる。しかも受け持ち件数が減ってくるから地域を拡大されるということになります。そうすると、NHKさんの方は口座が一〇〇%進めば七十円分だけその権利を持った集金人に払えばいいわけですが、どんどんどんどん自動振り込みがふえた地区は肩をたたいてやめさしてしまえば全部NHKさんが収入になるというような矛盾した点も出てくる。それじゃ、一回自動振替を契約したら、何年でもその集金人の人の権利かというと、できればNHKさんの方は三年ぐらいで打ち切れば自分の方に入るのだろうになというふうにお考えになると思うんですが、その自動振替と現金との、くしの歯が抜けるようになってしまう現金支払い者の対策をどうなさろうとしているのか、ちょっとお伺いしたいんですけれども
  164. 松本幸夫

    参考人(松本幸夫君) 口座をふやしていくということが収納の安定あるいは仕事の効率化ということに大変意味を持っているということは、これはもう先生御指摘のとおりでございます。ただ、全国で三千八百万の世帯があるわけでございまして、今二千万を超える口座になっているわけですが、先生のおっしゃるように、全部が口座になるわけではなくて、くしの歯のような格好でどうしても訪問集金をしなければならない方が残るということがございます。  それからもう一つは、今受信契約者が三千百万ほど有料契約者であるわけでございますけれども、この方々が非常に数多く移動しているという現実もあるわけです。この移動をやはり的確に捕捉してまいりませんと契約の増というのはできないわけです。簡単に申し上げますと、三百万の移動がございまして、移動というのは減少という形であらわれてくるわけですけれども、それを年間四十三万の増をするためには端的に言って三百四十三万を新たな契約としてとりませんと増という形にはならないわけでございます。そういった移動管理ということもこれは大変重要な問題になってまいりまして、そのためにもやはりどうしても人手が必要であるということがございます。  それから、口座をふやすことによって受託者の状況がどうなるのかということで、これは確かに受託者が、口座がふえるために自分の収入が減るという形にしておきますと、なかなか口座をふやしてもらえない、新たな契約をとってもこれは口座にしないで私が来ますからという形で集金をしてしまうという、そういう現象も起こってくるわけです。そのために、一昨年になりますけれども、十二月から新しい事務費体系と申しますか、そういった受託者の損にならないといいますか、口座をできるだけ進めてもらえるような事務費体系を新たにつくりまして、そして全体の受け持ち数をベースにした、これは口座を含めた受け持ち数でございますけれども、それをベースにした事務費もつくったわけでございます。そういった形で受託者の収入も守りながら口座もふやしていこうと。同時に、五十九年度からの料額改定のときに口座料金を設定して積極的にふやしていく方法もとったわけでございます。  ただ、受託者がそういう形をとったからといってそれでは完全に安穏でいられるかといいますと、やはりこれは自分の受け持った地域を完全に管理していただかないと、これまた収入にさわるというそういう事務費体系、つまり二本立ての事務費体系になっておりますので、受託者はそういう形で今働いているわけですけれども、受託者が今大体一年に八%ぐらいおやめになるという現象がございます。そういった受託者がおやめになられるときに、できるだけ一人当たりの受け持ち数をふやすという形で委託の条件を変えるということも一方で進めております。三カ年計画で百四十区ぐらいの受託地域を減らそうというふうに考えていたわけでございますけれども、これも予定どおり減らすことができようかというふうに思います。これから先も、そういった受託者のありようというものをどういうふうにこの高口座時代に合理的に管理していくのがいいのかということが一つの大きな課題だというふうに考えておりまして、それにつきましてもこれから先の、先ほど申しました新営業構想というものを具体的に策定してまいります過程で検討してまいらなければならない大きな問題だというふうに考えております。
  165. 平野清

    ○平野清君 そうしますと、どんどん受け持ち区域が広がる、それから高齢者が今まで歩いたり自転車で集金したところをバイクなり自動車を使わなきゃいかぬというようなことで、なかなか集金人の確保というのは難しくなると思いますので、そういうところをよくもう一度検討していただきたいと思います。  次に、ぜひお聞きしておきたいんですが、仄聞するところによりますと、FM局による東京の六局化という論議があるとお聞きしました。都議会でも何か採決されたとかお聞きしているんですが、郵政省はどの程度それをおつかみになっているか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  166. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 東京都を放送の対象地域としますテレビジョンの放送周波数の割り当てにつきまして、東京都の方から要望が出されております。しかし、これにつきましては民間放送連盟等から種々の理由で十分これは時間をかけて検討してほしいというような要望も出されておりますので、郵政省としましてはこういったことを踏まえまして、幅広い観点から慎重に検討しておるところでございます。
  167. 平野清

    ○平野清君 先ほど福田議員さんからも、今のテレビの低俗化、例えばセックス、暴力というような問題が出ました。非常にひんしゅくを買っている面もあるわけで、そこへもう一局テレビをふやす理由があるのかどうかというのは非常に個人的には疑問も感ずるわけです。もう一つの面から言えば、これから不景気が進んで、いわゆるコマーシャルがとりにくくなるというような事態が来れば今の既存の五局にも大きな影響を与えるということが予想されるわけです。そういう意味で、この六局化についても十分慎重な判断をしていただきたいと思います。  次に、今大島で盛んに火山爆発が問題になっておりまして、現地に盛んに放送記者が飛んでおります。NHKも民放も含めて、ほかの人が避難したのにもかかわらず勇敢に報道しているわけですが、NHK、民放も含めてアナウンサーのいわゆるニュース放送とかいろんな面は、しゃべり方も私なんかと違って大変聞き取りいいし、日本語も正しい。ただ、放送記者が突然事件のときに飛び出してまいりますと、あのう、あのうと言うんで、私たちと同じような放送をやっていることがよくあります。いわゆるテレビ放送記者というものは私たち、私も新聞出身ですけれども、私などはどんな汚い字を書いても、活字になってしまえばAの記者もBの記者も一切区別がわからないわけですけれども放送記者だけはその人のしゃべり方、教養すべてが出てしまうので、アナウンサー教育と同時に、いわゆる放送記者教育というのがどうなっているのか、ちょっとお聞きしたいんですが。
  168. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 放送記者がレポートいたしますと大変聞き苦しいというようなことが間々御指摘を受けて、我々としても新聞記者とは違いました放送記者でございますから、放送者として正しい日本語を話すように、また正しい日本語の話せる人を放送者として使うように指導しているところでございますけれども、事件や事故のたぐいがございましたら、そういうときには初期活動といいますか、初期取材をする人たちがそういう放送者として必ずしも十分でないという場合もございまして、お聞き苦しい点があったら御勘弁をお願いしたいと思います。我々としては、先ほど申し上げましたように、放送者として通用する人間を放送に出したいというふうに考えております。
  169. 平野清

    ○平野清君 ドラマで「おしん」が大分評判になりましたけれども、今中国の人民放送局に実費で販売をして、何億という人が見ているということを聞きましたけれども、中国に負担にならない実費というのはどういう金額なのか、ちょっと教えていただけませんか。
  170. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 「おしん」は十五分番組でございまして、それが大体二百九十七話ございます。これをNHKインターナショナルを通じて中国の中央電視台に提供しているわけでございますけれども、提供価格は放送権料が三千六百七十万円、取材費が五百六十万円、合わせて四千二百三十万円でございます。
  171. 平野清

    ○平野清君 そうしますと、先ほど副収入を一生懸命図るということで頑張っていらっしゃるようですけれども、諸外国へテレビフィルムを貸す場合、無償貸し出しと、それから実費貸し出しと、それから商売で貸している三つの枠があるように聞いているんですけれども、果たしてそれじゃ、中国は隣国で「おしん」は四千万円で貸してやるんだけれども、商売の方の例えばオーストラリアにこういうものを売るときに、じゃ幾ら幾らでなければ売らないとか、そういう基準というのはNHKさんはどうやって判別されているんでしょうか。
  172. 尾西清重

    参考人尾西清重君) 今おっしゃいました貸し出しというのは、例えば海外の放送機関が日本週間などをやりまして、そのときにNHKから番組を提供してほしいというようなときにまれにございますけれども、ほとんどございません。あとは、私どもはこれまで頒布という言葉を使っておりますが、この頒布はやはり先進国を相手にする場合と開発途上国を相手にする場合とで違ってくるかと思います。先進国につきましてはやはり一つの市場価値というものがございまして、その市場価値は例えばテレビの台数であるとか人口であるとか、普及率を含めて、そういったことがある一つの基準としてございます。開発途上国につきましては、そういったこともございますけれども、ほとんど相手の支払い能力によるということが基本的には条件になろうかと思います。  したがいまして、「おしん」もタイ、シンガポール、マレーシア等にも頒布しておりますけれども、値段はまちまち、その放送機関の支払い能力というものにかかっているかと思います。しかし、私どもとしてはたとえ値段がまちまちであっても日本の文化を理解していただくためにこれは必要かと思っております。
  173. 平野清

    ○平野清君 それでは最後に、川口に第一放送放送所がありました。鳩ケ谷に第二放送所がございました。先般、久喜の方に両方とも移りまして、鳩ケ谷の方は地元市と土地の売買仮契約が終わったそうで、そこに県立高校が建つようでございます。川口の方は半分非常用アンテナとか非常用装置を残すということを聞いております。長い間地元の人たちに親しまれてきた放送所が二つとも一応なくなるわけなんで、放送記念館が東京に近くありますけれども、せっかく長いこと地元の人たちが、アンテナを見て過ごしてきた人が多数いるわけで、それが突如消えてしまっているわけですから、そこに何らかのNHKの記念施設というか、そういうものを残すお考えがあるかどうかちょっとお聞きしたいんです。
  174. 中村有光

    参考人(中村有光君) 御指摘のように昭和十二年から五十年近く放送を出しておりました鳩ケ谷放送所でございますので、今回の施設の撤去に際しましては鳩ケ谷市と相談をいたしまして、放送所の表札に当たりますネームプレート、これは黒い御影石でできており彫刻がされておるものでございますけれども、これと、それから航空写真を含めたパネルの写真を鳩ケ谷市の方に贈呈することにいたしまして、過日実施をいたしました。鳩ケ谷市では郷土資料館に展示して公開されるというふうに伺っております。
  175. 平野清

    ○平野清君 何か天下のNHKにしては随分小さな贈り物のような気がしますけれども、それ一つだけ残るだけでも大変よかったと思います。  終わります。
  176. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 御異議ないと認めます。  ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  178. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 速記を起こして。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  日本放送協会昭和五十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきましては、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  179. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって是認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  180. 高杉廸忠

    委員長高杉廸忠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十五分散会