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政府委員(
八島幸彦君) 近く
改正を予定いたしております
道路交通法施行令の
改正案の
骨子について御報告申し上げます。
お手元に、「
政令改正案の
骨子」と題した
資料をお届けいたしておりますが、以下、この
資料に基づきまして御
説明を申し上げたいと思います。
今回の
政令改正案につきましては柱が三つございまして、
一つは
さきの
通常国会で
改正されました
道交法の
改正に伴う
政令改正でございます。第二点は、昨年の
道交法改正に伴いまして
高速道路及び
一般道路につきまして、前部の
座席についてのみ
シートベルトの
着用の
義務化がなされました。ただ、
ペナルティーにつきましては、昨年の九月一日から、
高速道路の
運転者についてのみ
着用義務違反に一点
点数を付するという
改正を行っております。今回、
一般道路につきまして、その
ペナルティーを課することについて
改正をいたしたいというのが、第二の柱でございます。第三の柱は、現在
血液運搬用の
自動車が
緊急自動車になっておりますが、最近、
腎臓移植のための
臓器運搬用の車あるいは
角膜移植用の
角膜運搬の
車等について、
緊急自動車としてもらいたいという
陳情等がございました。実態にかんがみまして、今回、
緊急自動車として
指定をいたしたいというのが第三の柱でございます。
以下、
資料に基づきまして御
説明申し上げます。
まず、一番目の、「
パーキング・
メーターの作動の
方法並びに
パーキング・チケットの発給及び掲示の
方法を定める。」ということ、二番目の、「
指定車両移動保管機関の行う
車両の売却、
廃棄等の
手続を定める。」ということにつきましては、極めて事務的な
内容でございまして、特に問題もございませんので
説明を省略さしていただきます。
三番目の、「
行政処分の
基礎点数関係」でございますが、(1)の、「
一般道路における
運転者の
座席ベルト装着義務違反並びに
高速自動車国道等及び
一般道路における
助手席同乗者の非
装着についても一点を付する。」ことといたしたいということでございます。
二枚恐縮ですが
資料をめくっていただきまして、三枚目にこれまでの
シートベルトの
着用率の
推移の表がございます。この表は、〔注〕に書いてございますように、各年八月に
調査をしたときの
着用率の
状況でございまして、
高速運転者等につきましても五十九年ごろまでは非常に低い
状況でございました。六十年ごろから強力な
キャンペーンとかあるいは
指導等を行いまして
かなり向上はいたしてまいりましたが、先ほど申しましたように、六十年の九月に
高速道路の
運転者についてのみ
点数を、
義務違反に一点をつけるという
改正を行いました結果、
高速道路の
運転者につきましては、昨年の九月以降、終始九五%台を維持いたしております。
高速道路の
同乗者につきましては、現在特に
ペナルティーはないわけでありますが、それでも一〇ポイントほど下回るものの八五%台を維持いたしております。
問題は、
一般道路でございますが、本年の八月の
調査では五一・七%でございます。昨年の八月で三一・〇%でございまして、
かなり昨年からことしにかけて
着用率が向上いたしました。ことしの九月に、
安全運動の
期間中でございますが、さらに
特別調査をやりました結果、五三・〇%、
同乗者については四二・九%という
状況でございます。
なお、これは先ほど申しましたように毎年八月の
調査でございますが、八月以外にも、春の
安全運動期間中等にも
調査をいたしておりますので、下の方に
一般道路における
運転者の
着用率の
推移の
状況を載せてございます。ここにございますように、六十年の八月までは三一%ということでございましたが、九月になりますと五八・八%ということで一挙に約三〇ポイントほど上がっておりますが、これは、
高速道路の
着用義務違反に
点数をつけるということが、一部の
運転者には、
一般道路にも
点数がつけられるというように誤解した向きもあったようでございまして、非常に
着用率が上がりました。しかしその後、
一般道路は
ペナルティーがないということでまた下がり出しまして、本年の二月の
調査では、ついに五〇%を切ってしまいまして四六・二%でございます。これではいけないということで、
警察だけではございませんけれ
ども、全
行政機関あるいは
関係の
団体等にもお願いいたしまして、
キャンペーン等をやりました結果、また持ち直しまして、五三・六%あるいは五〇・五%ということで若干の凹凸はございますけれ
ども、五〇%台を維持して九月の
調査では五三%、こういう
状況でございます。
もう
一つ、これは、
全国の平均の
着用率でございますが、
着用率が五〇%を超えた
都道府県の数がどれだけあるかという
状況を下の欄に書いてございます。ここにございますように、おおむね
過半数の県で五〇%を超えておりますが、ただ六十一年の二月の場合だけ二十
道県ということで、これにつきましても五〇%を割っている、こういう
状況でございました。しかし、その後また
過半数の県で五〇%を超えまして、九月の
調査では三十四
道県で五〇%を超えているという
状況でございます。
一枚めくっていただきまして、次の表が一番新しい九月の
調査の
全国の
着用率の
状況でございます。
着用率が一番いいのが宮崎県でございまして七二・三%、次いで山形県の七〇・八%、福島県の六四・九%といったところが非常に高いところでございます。
これに反しまして
着用率が非常に低いのが
大阪の三一・一%、京都府の三三・七%、愛知県の四一・七%といったところでございまして、慨して
大府県では
着用率が低く、
中小県では
着用率が高いという
状況でございます。
この理由でございますが、はっきりはわかりませんが、恐らく
大府県では一回のトリップと申しますか、通行の距離が割合短い場合が多くて、短いがゆえにちょっとそこまでだからというようなことで、あるいは
着用しないという人が多いのではないかというふうに一応推測をいたしておりますが、先ほど申し上げましたような傾向が見られるところでございます。
次に、一枚さらにめくっていただきまして、
シートベルトの
着用の効果でございますが、
一つの
考え方としまして
交通事故で死亡した人、
シートベルトを
着用しないで死亡した人のうち、車外にほうり出された人とか、あるいはハンドル、
計器盤、
ダッシュボード等で胸とか内臓を打って死亡するというような人は、一応
シートベルトをしていれば一〇〇%助かったかどうかは別といたしまして、
かなりの人が助かったのではないかというふうに思われますので、そういう
人たちを調べてみますと、ここにございますように、昨年一
年間で
シートベルトを
着用しないで死亡した人が三千四人でございましたが、このうち六三・九%に当たります千九百十九人の人は、恐らく
シートベルトをしていたら
かなりの人が助かったんじゃないかというふうに推定されるわけでございます。ことしの上半期につきましても同様の
調査をいたしますと、
運転者につきましては六八・三%になります六百八十七人、
同乗者につきましては五一・一%に当たる二百九人があるいは助かっていたのではなかろうかというふうに考えられるわけでございます。
それから、下の方に
シートベルトを
着用していた場合と
着用していなかった場合の
死亡率や
重傷率を書いてございますが、一番下の行にございますように、非
着用者は、
着用者に比べて
死者率で三倍強、
重傷率で二倍弱高いということがわかっております。
次に、一枚さらにめくっていただきまして、これまで
警察だけではなくて、各
行政機関が一緒になりまして、
シートベルト着用推進活動をやってまいりましたその
状況を取りまとめてございます。特に、ことしの秋の
交通安全運動におきましては、初めての試みといたしまして、
シートベルトをしていたために助かったという人の集いを、
右側にございますように九月二十六日に
大阪で、九月二十九日に東京で開催いたしまして、それぞれ二十人ほどお集まりいただきまして
大変好評でございました。これにつきましては、新聞や
テレビ等で放映されております。
さらに一枚めくっていただきまして、諸外国の
着用法制化の
状況でございますが、現在
世界各国の中で三十四カ国、州の数では三十五州になりますが、三十五州が
着用が義務づけられて何らかの罰則がつけられております。で、下の方の欄にございますように、オーストラリアの一部の州におきましては、
罰金とさらに
違反点数をつけているところがございます。
罰金がなくて
違反点数だけというのは、今回、我々の
改正案でございますが、これは日本だけでございます。それから、
世界のいわゆる
先進国といわれております米、英、仏、ソ、ドイツ、
イタリー等につきましては、すべて
罰金つきの
義務化が図られております。なお、今後
施行予定のところが下にございますようにアメリカで三州ほどございます。
以上が、
シートベルトの
着用率の
状況等についての御
説明でございますが、また一ページにお戻りいただきまして、(2)の、「駐
停車違反に付する
点数を一点から二点に引き上げる。」ということについて御報告申し上げます。
現在
駐車違反につきましては、
道交法も二つの条文がございまして、
駐車をしてはいけないという
場所と、
駐車もいけないし
停車することもよくないといういわゆる駐
停車禁止場所というのがございます。現在の
罰金額あるいは
行政処分の
点数は、いずれも同じになっておりますが、
駐車もよくない
停車もよくないという
場所につきましては、例えば
交差点の中とか
交差点から五
メーター以内、バスの停留所あるいはその前後十
メーター以内あるいは
坂道の
頂上付近、これは
向こう側が見えないものですから、
正面衝突の
危険性があるということで、駐
停車禁止場所になっておりますが、
坂道の
頂上付近等が現在
駐車も
停車もよくない。それから、
規制で
駐車も
停車もよくないと
指定している
場所もございます。これは、御
承知のように
標識は、
普通駐車違反の場合は斜めに一本筋が引っ張ってありますが、
停車もよくないという
標識は
バツ印になっている
標識でございます。こういう特に
危険性、
迷惑性が高い
場所における
違反につきましては、これは同じにしていくのは適当ではないということで今回、後ほど申しますが、
反則金についても
一般の
違反よりも重くする。また
行政処分の
点数につきましても一点から二点に引き上げたいというのが(2)の
内容でございます。
次に、(3)の、「二十五キロメートル毎時以上三十キロメートル毎時
未満の
速度超過に付する
点数を三点とする。」ということでございます。
これにつきましては、
さきの
国会におきまして
改正されました中に、従来は、
速度超過は二十五キロメートル以上を非
反則行為といたしておりまして
罰金になっておりましたが、今回の
改正でそれを五キロ引き上げまして三十キロ以上を
罰金にするということにいたしたわけでございます。従来は、二十五キロ以上の
罰金に相当する
速度超過の場合は
点数が六点でございました。それから、五十キロ以上の
超過の場合は十二点でございましたが、今回二十五キロ以上三十キロ
未満の範囲のものは
反則行為に落ちてまいりましたので、従来と同じ
点数にしておくわけにはいかないということで、何点にするかということを検討いたしたわけでありますが、現在、
反則行為は一点または二点でございます。しかし、従来は六点であったものを一挙に一点または二点に下げるのは少し下げ過ぎであるというようなことも考慮いたしまして、三点という
違反をつくりまして、この二十五キロ以上三十キロ
未満を三点に落としたいと、こういうことでございます。
なお、御
承知のように六点以上非
反則行為は、一回の
違反行為ですべて
行政処分を受ける
点数になっております。
次に、
反則金関係でございますが、
別表をちょっとお開きいただきたいと思います。
さきの
国会で
反則金の
最高限度額を約二倍に引き上げさせていただきましたが、具体的な
反則金額は
政令で定めることになっております。その
考え方は、次の表の
右側にございますように、原則として五割アップといたしたい。しかし、
駐車違反等につきましては、今回の
法改正の
趣旨にかんがみまして、その抑止を図るため二倍といたしたい。さらに、先ほど申しました
点数を一点から二点に引き上げる。特に、悪質危険な駐
停車違反につきましては、
駐車違反に比べてさらに高い二・五倍にいたしたいということでございます。
それから、
速度超過二十五キロメートル以上三十キロ
未満の額につきましては、従来は
罰金でございましたから、裁判官が決めていたわけでございますが、今回、
反則行為になりましたので
反則金を定める必要が出てまいりまして、ここにございますように、二十五キロ
未満の額を参考にして大型につきましては二万五千円、普通については一万八千円、自動二輪車につきましては一万五千円、原付につきましては一万二千円というふうにいたしたいということでございます。
以上が、
反則金関係の
別表の御
説明でございますが、
最後に5といたしまして、「
移植用腎臓又は
眼球等の
応急運搬のために使用する
自動車を
緊急自動車とする。」ということでございます。
現在、
腎臓移植は
年間約百五十件行っておりまして、また
腎臓の
臓器を運搬する
車両が二十台ほどございます。この車を今回
緊急自動車に
指定をいたしたいということでございます。
なお、
角膜につきましては、
年間約二千件ほど
移植をやっておりますが、これにつきましては、
かなり保存がきくという性質のものでございまして、今パトカーで先導を必要とするようなケースは、まだ生じておりませんけれ
ども、同じように
緊急自動車に
指定いたしたいと、こういうことでございます。
最後に、
施行期日でございますが、
シートベルトの
義務違反に付する
点数に関すること及び
緊急自動車の
指定に関することにつきましては、来る十一月一日から
施行いたしたい。その他につきましては、
法律が来年の四月一日から
施行でございますから、同日
施行にいたしたい、かように考えている次第でございます。
よろしくお願いいたします。