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1986-11-25 第107回国会 参議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十五日(火曜日)    午後四時二十四分開会     ─────────────    委員異動  十一月十七日     辞任         補欠選任      佐藤 三吾君     志苫  裕君  十一月二十五日     辞任         補欠選任      平井 卓志君     永野 茂門君      海江田鶴造君     木宮 和彦君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松浦  功君     理 事                 出口 廣光君                 増岡 康治君                 志苫  裕君                 抜山 映子君     委 員                 岩上 二郎君                 加藤 武徳君                 金丸 三郎君                 木宮 和彦君                 久世 公堯君                 沢田 一精君                 田辺 哲夫君                 高橋 清孝君                 永野 茂門君                 山口 哲夫君                 渡辺 四郎君                 片上 公人君                 馬場  富君                 神谷信之助君                 秋山  肇君    国務大臣        自 治 大 臣  葉梨 信行君    政府委員        自治政務次官   渡辺 省一君        自治大臣官房審        議官       小林  実君        自治大臣官房審        議官       渡辺  功君        自治省財政局長  矢野浩一郎君        自治省税務局長  津田  正君        消防庁長官    関根 則之君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        大蔵大臣官房企        画官       田谷 廣明君        厚生省年金局年        金課長      谷口 正作君        厚生省年金局資        金課長      丸山 晴男君        通商産業省産業        政策局産業構造        課長       大塚 和彦君        中小企業庁計画        部計画課長    長田 英機君        労働省職業安定        局雇用政策課長  廣見 和夫君        労働省職業能力        開発局能力開発        課長       大月 和彦君        建設大臣官房会        計課長      市川 一朗君        自治省財政局交        付税課長     小滝 敏之君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 松浦功

    委員長松浦功君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十一月十七日、佐藤三吾君が委員辞任され、その補欠として志苫裕君が選任されました。     ─────────────
  3. 松浦功

    委員長松浦功君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松浦功

    委員長松浦功君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事志苫裕君を指名いたします。     ─────────────
  5. 松浦功

    委員長松浦功君) この際、葉梨国務大臣及び渡辺自治政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。葉梨国務大臣
  6. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 自治大臣国家公安委員会委員長葉梨信行でございます。  委員各位におかれましては、平素から、地方自治行政並びに警察行政の推進に格段の御尽力をいただき、厚く御礼申し上げます。  最近の地方行財政を取り巻く環境は、極めて厳しいものがあり、また、治安維持につきましても、内外の諸情勢はまことに厳しいものがあります。  私は、今後、これら地方行財政の諸問題の解決と、治安維持に最大限の努力を傾注してまいる所存でありますので、委員各位の格別の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げ、簡単ではございますが、私のごあいさつといたします。
  7. 松浦功

  8. 渡辺省一

    政府委員渡辺省一君) 自治政務次官渡辺省一でございます。  地方行政委員会委員各位におかれましては、豊富な御経験と高い識見を持って、我が国地方自治の進展のために、常日ごろから並々ならぬ御尽力をいただき、まことにありがたく存ずる次第であります。  今日の地方行財政を取り巻く情勢は大変厳しく、これまでにも増して先生方に大所高所より御助言、御指導を賜ることが多いのではないかと存じます。今後とも何とぞよろしくお願い申し上げます。     ─────────────
  9. 松浦功

    委員長松浦功君) それでは、地方交付税法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。葉梨自治大臣
  10. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  今回の補正予算において所得税及び法人税が減額補正されることに伴い、地方交付税においても、当初予算計上額に対して四千五百二億四千万円の落ち込みを生ずることとなってまいったのであります。  しかし、現下の地方財政は、既に決定された地方交付税総額を減額できるような状況ではありませんので、交付税及び譲与税配付金持別会計における借入金を四千五百二億四千万円増額することにより、昭和六十一年度分の地方交付税総額確保することとし、地方財政運営支障のな いようにすることといたしたいのであります。  以上が、地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  11. 松浦功

    委員長松浦功君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  12. 山口哲夫

    山口哲夫君 地方交付税に関しまして、大きく分けて六点について質問をいたします。  まず第一に、今回の補正予算編成に当たりまして、地方交付税四千五百二億円の減少の穴埋めといたしまして、交付税特別会計に新たな借り入れ措置をまた制度として復活をしたようでありますが、これは五十九年一月十九日に大蔵大臣、当時の竹下さん、それから当時の自治大臣、田川さん、両大臣覚書でこういう借り入れ制度はしないということを覚書として取り交わしていると思います。  覚書というのは、これはもう相当きつい内容であると思うわけであります。そう簡単に変えるべきものではないんだ。だから、あえて覚書として取り交わしておったと思うんですけれども、それがもう三年目にして簡単に破られてしまう。地方自治体にとっては大変な問題だと思うんですけれども大臣の責任も私は大きいと思いますが、この点に関する御所見を伺いたいと思います。
  13. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) ただいま先生からお触れになりました問題でございますが、昭和五十九年度地方財政対策の見直しにおきまして、交付税特別会計新規借入金措置原則として廃止し、今後の地方財源措置としての地方交付税総額確保は、地方交付税法附則第三条の特例措置により行うこととしたところでございます。しかし、昭和六十一年度におきましては、年度途中におきまして所得税及び法人税におきまして一兆四千億円以上もの大幅な減収が見込まれているわけでございます。予期し得ない状況が出来したわけでございまして、こういう状況の中で、地方財政の円滑な運営維持するためのやむを得ざる緊急避難的な措置といたしまして、交付税特別会計借入金により所要交付税総額確保することとした次第でありまして、御理解をいただきたいと思います。  今回の借入金利子全額国負担することとしておりまして、地方交付税法附則第三条の特例措置または昭和六十年度におけるように特例法によって補てんした場合と地方財政実質的負担は変わらないものでございます。
  14. 山口哲夫

    山口哲夫君 この件につきましては理事志苫議員が、当時自治省に対して相当厳しく質問もされておりますので、そういった点で後ほど志苫議員の方からも質問をしてもらいたいと思っております。  そこで、六十二年度予算編成にかかるわけですけれども、来年度また同じような措置がとられるということになると、これはもう自治体としては大変な問題でございますから、どんなことがあっても来年度はこの覚書どおりに実行するということをここで約束をしていただきたいと思います。
  15. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 昭和六十二年度についてのお尋ねでございますが、経済見通しや、あるいは税制改正内容がまだ決まっておりませんので、地方財政収支見通しを立てることはただいまでは困難でございますが、見通しが明らかになった段階で所要地方財政対策を講じ、地方財政運営支障が生じないように措置する考えでございます。
  16. 志苫裕

    志苫裕君 関連。  自治大臣、六十年度と同じような措置をとったわけで、この特例措置地方負担は変わらないと言うんですが、そうですか。  五十九年の改正法一つ附則五条を切り落としているわけですよ。いわゆる五十三年ルール利子抜きの二分の一だった。二分の一をいわば償還臨特という仕組みでやってきて、五十八年には利子をもいでしまって、約束を破って利子をもいで、それで五十九年になったら、このやり方でいくともう際限がないからというので、その外側で借りておるのでついつい、地方財政には影響はないけれども、これでは国も地方も大変だというのでもう借りないと。なるほど原則という言葉はついていますが、その原則も念入りな原則なんでして、今大臣が答えたのは原則じゃないんだ。  そこで、この新たな財源不足一般会計交付税会計のやりとりで特例措置原則的加算ですが、加算である。言いかえれば特会が借りておったのを一般会計が借りるような形になったら、将来精算するんですから、一時金を借りてくることと同じことなんですが、利子はつかぬが全額返済利子はついていないが、五十三年ルールと違うのは全額返済というところが違うんですよ。今度また五十三年ルールで似たように借りたわけだ。ところが、利子はつかぬが全額返済なんです。それまでのルールからいえば半額返済半額返済——利子抜きは同じだ、五十八年一年だけは利子をつけられたけれどもね。  そうすると、五十九年ルール地方財政安定的確保のためにこれがいい制度なんだということで、我々もいろいろなことを言ったけれども、これが一番地方財政の健全な発達に寄与するといってやっておいて、今度、ことしは全額返済なんです。その分地方財政は、特例措置負担は変わらないどころの話じゃありはしませんよ。特例措置を講じたときには五条を削ったんです。それで三条が残ったわけですから。その三条が消えたんですから、五条趣旨が生きてこなきゃ同じ取り扱いにならぬじゃないか。一方的に押しまくられるという形になるじゃないか。そのことはどうですか。
  17. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 御指摘のとおりの経緯でございます。  昭和五十九年度におきまして、それまでの地方財政対策を見直すということで特例措置方式というものを設けたわけでございますが、このいきさつにつきましては、それまでの間、借り入れ方式によって地方交付税の原資の不足をカバーしてまいったわけでございますが、その借り入れ金額も十一兆を超えるという大変大きな金額になってまいりました。またこの借り入れ二分の一償還方式をとっておりました時代におきましては、いずれそういったものを歳入の増収策によって賄っていくというような考え方があり、そのつなぎの措置としてそういった借り入れ方式を講じたわけでございますが、御承知のように、いわゆる増税なき財政再建という路線のもとで、今後はむしろ歳出の抑制で対応していかなきゃならない。一方では、極めて巨額の借入金がたまったということから、これ以上さらに借入金を重ねることは地方財政の将来にとって問題がある、こういう観点から特例措置方式に切りかえたわけでございます。  もとよりそのときの考え方は、今後特に大きな経済情勢変動等がない限りこういった特例措置で行っていく、これにより加算をいたしました場合には将来これは精算をする、こういう考え方であったわけでございますけれども、今回の場合、まことに予期できなかった事情によりまして大幅な国税落ち込みが生じたということによって、やむを得ざる緊急措置として先ほど大臣からお答え申し上げましたような措置をとったわけでございます。  ただ、その場合におきましても、やはり将来の地方財政負担を考えまして、元金につきましてはこれは全額五年据え置き、十年で償還ということでございますが、利子については国庫の負担ということといたしまして、その意味というのは、五十九年度特例措置方式と実質的に地方財政負担関係においては変わらない、あるいは六十年度においてとりました当初の総額をそのまま保障し、後で精算をするという方式と変わらない、こういう考え方でございます。
  18. 志苫裕

    志苫裕君 いや、矢野さんもそうだし、今自治大臣はわからぬからそう言っているんだが、あなたたちは変わらぬと突っ張るからおれも突っ張りたくなるんで、これは変わったんですよ。損をしているんですよ。それはやっぱり五十年からのいきさつを見なきゃならない。  なるほど、五十九年に積もり積もった十一兆円を山分けにしたんだ。国と半分ずつに分けてもらった。そのときに、なるほど利子込みで半分にした。これはけしからぬと僕らは言ったんですよ。というのは、それまでは利子を除いて半々だったんですから。その脈絡で言えば、五十九年に分けたときに利子は国持ち、残りを半々というのが筋じゃございませんかと言ったんだけれども、五十八年に利子をころっとやられていたものだから五十九年は利子込みに半分にした。それから見ると、なるほど今回は利子を除いたんだから、利子元金というのは十年サイトで考えれば大体とんとんですからね。半分に減ったんだと皆さん威張るかもしれない。しかし、それは利子込み半分というのと似たという意味であって、それ以前はもともと利子抜きだったんです。利子抜きの半分が利子抜き全額になったんだから、地方自治体は損をしたんですよ。  自治省非力で、自治体にも負担がかかることになりましたと言えば答弁は筋道合うんだけれども、そういうぐあいに突っ張るからおれも突っ張るんでね。これは矢野さん、それはそうなんですよ。そこのところは認めなさいよ。そうでなければ、またこの次に頑張れよなんて言えませんよ。
  19. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 従来のいきさつを振り返ってみました場合に、委員指摘のように昭和五十七年度以前の姿と比較をいたしますと確かにそのとおりと私も考えます。ただ、昭和五十七年以前の状況とその後の状況との違いが、途中では一度利子を二分の一持つという形に五十八年度し、さらに五十九年度においては現在の附則三条の特例措置方式に切りかえたという点の変化があったわけでございます。  私どもの今回の措置、確かに借り入れ原則としてこれをやらないということであり、もともと私ども借り入れをとにかくふやすべきではないと、本来地方財政にとっては借り入れをふやすべきでないという考え方、これは今後とも維持してまいりたいと思いますが、まことにやむを得ざる状況下のもとに、今回はこのようにさせていただきたいと、こういうことでございます。
  20. 志苫裕

    志苫裕君 関連質問ですから、そう長くやりませんが。私はこのことを、どうしても厳しく言っておきたいのは今度も出ていますが、例えばこのときで言えば、少々の状況変化ではこのシステムはもう変えぬということも頑張ったしね、自治省側は。そして、我が国の「経済社会の展望と指針」が描いておるような姿を前提に考えるとこういうことに、そんな変なことにならないと言うて、石原さん随分頑張ったわけ。だけれども、これは私は最初から信用してなかったんでね。早い例が五十七年もそうだし、税収を見込んで法案が通ったら、翌日から足らぬ、足らぬと言ったんですから、そんなことになるんじゃないのと言ったら、なりませんと頑張ってね。答弁している方はなるんじゃないかなと思っているのに突っ張ってたんだ、あのときは。こういうことを考えますと、やっぱり今後のために少し全体が——私なぜこういうことを言うかというと、依然として大蔵当局地方財政裕福論という基本的なスタンスでいつでも押しまくっているんですよ、大蔵も財界も。よっぽどの構えでないと自治体側はこれに対応できないという意味で、しっかりしてもらいたいということで言っているんです。  早い話が、もう一つ、じゃ聞きますけれども、この五十九年ルール、五十九年のときには、もう一つ今度も出ていますけれども償還期間を、さらに来た年度を延ばしましたね、六十六年から返すと。六十六年からというにはこれは前提があるんですよ。すなわち国が昭和六十五年で財政再建を達成するという前提なんです。それを前提にして一切が成り立っているんです、これね。ところが、その見込みはまずないね、これは。大蔵大臣が何か少しトーンダウンしたことを言っていますから、六十五年財政再建というのはすぐ目の前に見えているんですから、これは確実に達成できない。  そうなってきますと、そういうものを前提に成り立っておった地方財政仕組みや借金の返済方法やら利子のあり方とか、そんなものはまたそのときに全部チャラにして出てきますよ、大蔵のことだから。そのときに、やっぱり大事なのは今まで積み上げてきたいきさつなんですよ。積み上げてきたばっかりにちょっと見てもわかりにくくなっていますがね、よっぽどの専門家でないと。率直な話、ちょこっとおいでになってちょこっとやめていく大臣なんかにわかんない、こういうことは。だけれども、やっぱり十年もかかってさまざま積み上げたいきさつが、またしても状況変化チャラにされるということを恐れるから、私はあえていきさつに触れて言うているんですよ。その点ちょっと承っておきたいんだ。
  21. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 財政再建目標年度が六十五年度でございますが、最近の予期しない経済の何といいますか、成長の鈍化あるいはその他の状況が悪化してまいりまして、なかなか六十五年度赤字国債ゼロということは難しくなってきたという認識は持っておりますが、しかし行政改革財政再建という目標を達成するためには、やや厳しい中でも目標を堅持しながら進んでいくべきではないであろうか。こういうことを中曽根総理以下内閣では考えておりまして、そのような方針で対応しているところでございます。  今先生の御質問地方財政についての大変な温かい御配慮につきましては、私どもといたしましてもよく肝に銘じましてできるだけの措置をとって、地方財政健全化のために努力をしていきたいと考えるところでございます。
  22. 山口哲夫

    山口哲夫君 地方財政は、今もう補助金は切られる、交付税は今のお話のとおり。一方、住民要求は次から次へと出てくる。とても大蔵省が地方財政富裕論なんと言っているような実態ではありません。自治体として頼りにするのは自治大臣しかいないわけですから、六十二年度予算編成通常国会でまた同じような質問したくありませんので、ぜひひとつ大臣の席をかけるくらいの気持ちで頑張っていただきたい、このことを強く要望しておきたいと思います。  次は、この税制改革自治体財政関連について質問したいと思います。  今政府の方ではいろいろな税制改革を論じているようでありますけれども、こういった税制改革によって自治体財政に対する影響はどういうふうに出てくるのか、またそれが出てきたときに、それに対して自治省としてどういうふうな対応を考えているのか、その点についてお尋ねします。
  23. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 御指摘抜本的税制改革におきまして、御案内のようにゆがみ、ひずみを是正するという考え方のもとに、一方におきまして個人所得課税、すなわち所得税あるいは個人住民税負担軽減あるいは国際的な観点から考えてみた場合における法人税負担水準の引き下げ、こういった一方におきまして負担軽減、すなわち減収要素が出てまいるわけでございますが、これにつきましては、地方財政といたしましては、その中の地方税相当する部分、さらに国税の中の所得税及び法人税にかかわる部分の三二%、交付税でございます。この両者が地方財政の上で負担軽減という意味では収入の減になってまいるわけでございます。現在は仮定の計算でございますけれども、仮に四兆五千億円といたしますと、その中の地方税及び地方交付税を合わせますと、ざっと二兆一千億円程度、半分に近い額が影響してくる。  問題は、こういう減収に対して一方で財源確保をどのようにするかということ。すなわち税収についての中立性原則をどのように確保していくか、この点が地方財政にとって、この税制改革の過程におきまして最も重要な問題になってくるものと考えるのでございます。
  24. 山口哲夫

    山口哲夫君 今政府の方で考えているのは減税をする、それに見合う金額として新しい税金を考える、これはどちらにしても地方財政に大変な影響が出てくるわけですね。今局長がおっしゃったように、当然それに対する対策というのは考えなければいけないと思うんですけれども、そうしま すと、新しい仮に税金が入ってきた場合には、当然それに対して地方税という立場でも考えてもらえるわけですか。そしてまた、それが減税に抱き合わせとして出てくる税金とするならば、減税の方のその税金交付税対象であるとするならば、当然新しく出てくる税金に対しても交付税対象税と考えていいわけですね。
  25. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 先ほど申し上げましたように今回の税制改革、減及び増と両方の要素があるわけでございますが、財政的に申しますとこれは税収中立性、すなわち何と申しますか、増減ゼロという考え方に立って行われつつあるというところでございます。その場合にこの中立性考え方というのは、当然のことながら国の税源それから地方税財源、実質的に見たこの国、地方間の税源配分に見合った形での中立性確保、すなわち地方財政としては地方税及び地方交付税の減に伴う財源確保されなきゃならないと考えておるわけでございます。その場合地方税につきましても、地方税の減を補うだけの財源を必要といたしますし、同時に国税の減に伴う新しい財源確保策につきましては、これは交付税との関連におきまして交付税の減に見合う分が確保されなければならない。また地方団体を代表する六団体等からもそういったような強い要望が出ておるところでございまして、そういった線に沿って我々は財源確保が必要である、このように考えておるところでございます。
  26. 山口哲夫

    山口哲夫君 私が心配するのは、国の大きな税制改革によって自治体財政というものが極度に減少していくという、そういうことがあってはいけないと思うわけですね。それで過去の例を見ますと国の政策として大幅な減税をやる、あるいは新しい税金を考える、そういう場合には交付税率を上げてきているわけですね。もうそういう時期に来ているのじゃないかと思うんですね、これだけの大幅な減税をやろうという時期ですから。そういう点で、自治体財源が今まで以上に減らないように一つとしては交付税率を上げる、あるいは別な形で税源確保する、そういうことについて六十二年度の予算の中でぜひひとつ考えてもらいたいと思うんですけれども、その点いかがですか。
  27. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 御指摘のとおりでございまして、地方財政極めて厳しい状況にあるわけでございます。その中で負担のゆがみ、ひずみを是正するために一方で負担軽減が行われるわけでございますが、しかし一方では、これによって地方財政影響を受けるようなことがあってはならない。政府税制調査会の先般なされました答申におきましても、そういった税収の変動によって国と地方との財政に基本的に影響を与えるようなことがあってはならない、与えないことが適当であると、このような御答申をいただいておりますけれども、そういう観点に立って地方税の減に伴う分の確保は言うまでもなく、さらに地方交付税は、特に財政力の総体的に貧弱な団体にとって極めて基幹的な大事な財源でございますので、地方交付税につきましても何らかの方法でその減を補てんするという措置を講じなければならないこと、御指摘のとおりと存じます。
  28. 山口哲夫

    山口哲夫君 これも要望しておきたいと思いますけれども、そういう国の制度の改正によって自治体財源配分が落ちないように、ぜひひとつ頑張っていただきたいと思っております。  三つ目は特別交付税の問題ですけれども、特別交付税の配分対象というのは次の四つだというふうに思います。一つは、普通交付税の算定方法によっては捕捉されなかった特別の財政需要が生じたとき。二つ目は、基準財政収入額の著しい過大算定による収入不足が生じたとき。三つ目には、普通交付税の算定期日後に災害が発生したとき。そして四つ目には、その他特別の事情が生じたとき。この四つと考えてよろしいでしょうか。
  29. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) ただいま御指摘のとおりでございます。
  30. 山口哲夫

    山口哲夫君 それでは、よくこういう話を聞くんですけれども、特別交付税というのは首長の政治力で持ってくることができる、あるいは国会議員の政治力によってこれはどうにでもなる、そういう話をよく選挙のときなんかに聞くんですけれども、そういうことはあり得ないということははっきり言えますね。
  31. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 特別交付税は法令の規定に基づきまして、具体的には自治省令で算出規定を設けまして算定をすることとされております。先ほど御指摘のような地方団体における特別の財政需要を算定し、財政状況を考慮して配分しなければならないという性格のものでございます。したがいまして、御指摘のような特定の立場の政治力等によってこの特別交付税の額が左右されるようなものではないということを御理解いただきたいと存じます。
  32. 山口哲夫

    山口哲夫君 四番目は、特別交付税の枠の問題ですね。交付税の中で特別交付税の占める率は六%ですね。この六%の特別交付税というものは災害時、それから年度中途の異常支出のないそういう団体でも、実は最近特別交付税の交付を予定して予算編成をやっているのが常例だと言われているわけですね。どうもさっき言った四つの例から言ってもちょっとおかしいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、実は、今事務次官をなさっている花岡さんが、そうですね、事務次官ですね、一九六七年の四月の「地方財政」という雑誌の中でこういうふうに書いているんです。ちょっと古いかもしれませんけれども情勢は変わってないと思いますのでちょっと読んでみます。「特別交付税総額について」というところで、  特別交付税総額地方交付税総額に占める比率は、昭和三十三年の地方交付税法の改正によって八%から六%に引き下げられて以来、現在まですえおかれているのであるが、地方団体財政運営上、果してこれだけの特別交付税の額が必要であるかどうか疑問なしとしない。特に災害等による年度中途の異常支出のない団体においても、特別交付税額の交付を予定して予算編成をするのが常例となっているが、財政運営の健全性を確保する見地からすれば、このような不確定な財源が多くなることは決して好ましいことではない。そういった意味において、特別交付税総額に係る率を減じて、普通交付税総額を増加させることを検討すべき時期に来ているのではないかと考えられる。 とこう言っているわけですけれども、私も政府の何か政策意図を自治体に押しつけるような、そういう危険性のある特別交付税の枠というものは当然少なくしていくべきである。そして普通交付税の税率の方を高くするべきではないだろうか。もうそういう時期に来ている。次官がそう書いているわけですからね。ぜひひとつこういうことを実現してほしいと思うんですけれども、どうでしょうか。
  33. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 御指摘の今の雑誌に述べられました私どもの次官の所見、考え方につきまして私も実は記憶がございませんけれども、その中にも書いてございますように、昭和三十三年にそれまでの八%から現在の六%に特別交付税の率を引き下げたわけでございます。これは一つ大きな理由としては、普通交付税で算定し切れないものを特別交付税で算定をしようと、こういう考え方でございますが、普通交付税の算定技術のやはり進歩に伴いまして、それまで特別交付税で算定をしておったものでも普通交付税で算定ができるようになってきたというようなことから、そういった特別交付税の額はもっと少なくて十分運営が可能ではないかということから、そのようになったわけでございます。まあそういう意味では、できるだけ普通交付税で算定をするということの方が望ましいわけでございます。  ただ、そういった特別交付税から普通交付税への移しかえというものも一定の技術的な限界がございますし、それから最近におきましては、以前は予定をされていなかったような新しい特別の財政需要などが出てまいります。例えば上水道の高料金対策、上水道の料金に随分差がございますけ れども、これは地域的事情、地理的事情、自然的条件によってどうしてもやむを得ないところがある。そういったものは特別交付税で料金が余り高くならないように財源手当てをしていくということが必要でございます。また病院などの公営企業の関係など、あるいは除雪、排雪といったようなものも、これも以前と比べまして最近では非常にこれに対する地域住民の方々からの強い要請がございます。そういったものにもやはり対応していかなきゃならない。  そういう意味で特別な財政需要の中身というものも一方で変わってきておるわけでございまして、そういった点を考えますと、現段階におきましては私どもこの六%の率というのは、まあこの程度のものが、やはり必要かということを考えておるわけでございます。しかし、できるだけ特別交付税で算定をする財政需要というものを普通交付税の方に移しかえていくということについては、これは私ども努力をする必要があろう、このように考えておるところでございます。
  34. 山口哲夫

    山口哲夫君 あくまでも特別交付税というのは、特別の事情がある団体にこれを支出するわけですから、それがもう大多数の自治体に特別交付税が配付される。しかも、自治体の方ではそれを当てにして初めから当初予算を組んでいるというのは、これは特別交付税の性格からいけば実におかしいと思うんですね。ぜひひとつ私、この次の通常国会でも質問してみたいと思うんですけれども、一体それじゃ本当に特別交付税というのは特別の事情のあるところだけにいっているのかどうなのか、その辺の事情を具体的にひとつ資料でもって要求しておきたいと思うんですけれどもね。まあぜひひとつそういう今の実態からいくならば、もう六%の枠というのは減少させるべきだと、こう思いますので、今度の予算の編成の中で十分一つ考えていただきたい、こう思います。  五番目の問題は、交付税算定の基礎となる単位費用のうちの職員定数、どういうわけか最近随分減少していますですね。大ざっぱで結構ですけれどもその減少の理由は何でしょうか。
  35. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 普通交付税の算定の基礎になっております基準財政需要額、これを各費目に分けて算定をするわけでございますが、その際は基本的にはまあ地方財政計画で見込んだ職員数、これを前提として交付税の基準財政需要額の算定にこの姿を反映させるということになるわけでございます。一方ではそういった地方財政計画を算定するに当たりましては、地方団体の各行政項目ごとのいろいろな職員の配置の状況等、こういったようなものもよく調査をいたしまして、必要に応じてその内容を是正してまいります。  御指摘のように、最近におきましては、一方では行政改革の進展ということによりましてできるだけ、国もそうでございますけれども地方団体地方財政の側でも職員定数の縮減抑制に努めるというような点がございますし、また一方では地方団体の行政の合理化なりあるいは機械化とかオートメ化とか、いろんな事情によって現実の職員の配置というものが、従来に比べるとより少なくて済むというようなケースがあるようでございます。地方交付税の算定におきましては、そういった点を考慮してできるだけその実態等をあわせ、また職員費に関する基本的な抑制の考え方、こういったものをにらみ合わせながら算定をしておるわけでございまして、その結果が、一部の費目におきましては職員数の減というような形で出てきておるものと考えます。
  36. 山口哲夫

    山口哲夫君 この職員定数というのは、例えばこういうのを毎年出していますね、「地方交付税制度解説(単位費用篇)」、非常にその中のほんの一部ですね。細かな問題です。目につかないんですよ、自治体の中で知らない間に簡単にこう数字が作用されているんです。例えば一例を申し上げますと清掃の関係がありますね、清掃のところを見ておりましたら、一台のごみの収集車に対して運転手は一人ですね、作業員はいつのまにか一・六人になっているんです。これ何年前ですか、たしか二・〇だったんですよ、それが一・八に直って今度は一・六に削減しておるわけです。これ実におかしいと思うんです。その自治体の配置状況と言いましたね、今。ということは、自治体でそういうふうに減ってきているのだからと、こう言うんですけれども、私はそれはちょっと理由にならないと思うんです。  実はここに、「全国都市清掃会議」で出している、「廃棄物処理事業における事故防止対策マニュアル」というのがあります。その中で厚生省の担当課長が昨年の二月にこういうことを言っているんです。第三章の、「事故防止に関する事業運営上の留意事項」の中で、「ごみ収集作業における技術的な面での事故防止上の留意事項を示すと表一、二並びに次のとおりである。」、こう書いてその中の表一のところを見ますと、事故防止をするためにごみ収集車についてはこうせいと書いてある。「重量物は、二人で慎重に積み込む。」こと、それから、「収集作業は二人以上で行う。」こう書いているんですね。これは厚生省がそれぞれの自治体に対して指導していることなんですよ。車一台に対して三人いなければごみの収集は事故が起きるから、危険だからやめなさいという指導を厚生省がして、自治省に対してもそういうことのないように、人員を減ずるようなことをしないように十分配慮してほしいということを厚生省から自治省に要望があったはずです、これは。  今全国的に見ますとごみ収集車の事故というのは非常に多いんです。例えば昨年の十一月宮城県亘理町で作業員が一人しか乗ってないために死亡しているんです、機械に巻き込まれましてね。それから古いですけれども、五十八年に静岡県の金谷町、これは行革のモデル町と言われているところだそうですけれども、七月と十二月にやはり作業員が一名で、これまた機械に巻き込まれて死んでいるんですね。五十九年、これは直営ではありません、民間に委託している業者ですけれども、運転手一人でやっているためにとうとうどこへ行ったかわからなくて調べてみたら、これは別な運転手が行って、焼却場にごみを捨てて、次の日白骨でその焼却場から出てきたというのです。だから、車一台に対して運転手一名、これは絶対離れられないのですから、運転手というのはエンジンをかけている間は。そのほかに作業員は二人置かなければだめだということを厚生省が指導し、自治省に対してそういうことを要望しているのに、簡単にこういうだれにも余り気がつかないような中で一・六人に減らしている。これは私、どうしても納得できないんですけれども、いかがですか。
  37. 小滝敏之

    説明員(小滝敏之君) お尋ねの清掃費におきます収集作業員の職員数の問題でございますが、基準財政需要額の中で地方財政計画全般のマクロ的な職員数というのをもとにしまして、単位費用上は標準団体というものを想定して、それを積算しているわけでございますが、具体的な収集作業の人数につきましては、従来収集車一台当たり運転手を含めて三人という職員数を積算いたしておったところでございますけれども昭和五十八年度に全市町村に対しまして実態調査を行ったわけでございます。その結果、ごみの収集業務を直営で実施しております千二百七十三団体ほどの保有車両一台当たりの平均職員数というものを調査いたしましたところ、一人で従事しておるものとか、二人で従事しておるものとか、あるいは三人あるいは四人、車の大きさでありますとか、車の収集の方式とかいろいろあるようでございますが、それらの実態を踏まえますと、加重平均いたしましたところ一台当たり二・六人という実態が出てまいったわけでございます。  それらの実態を踏まえまして、激変を避ける意味で五十九年度、六十年度の二カ年にわたりまして二・六人に職員数を置き直したという経緯でございます。
  38. 山口哲夫

    山口哲夫君 それじゃあれですか、厚生省の指導はそれは関係ない、無視していいわけですか。
  39. 小滝敏之

    説明員(小滝敏之君) 厚生省の指導内容の詳細、ただいま持ち合わせておりませんけれども、いろいろな車の方式等によっての指導というのが なされておるのではなかろうかと思いますが、実態的に申しまして二人のものあるいは三人のもの、そういうようなものがかなりウエートとしては高い面があろうかと思いますが、小型車の問題とかいろいろな方式等の違いが実態的に出てまいりますと、それらを平均的に見たところ、先ほど申し上げたような職員数で対応しておる。こういうような実態を踏まえまして算入をしてまいったところでございます。
  40. 山口哲夫

    山口哲夫君 これは、車の種類はいろいろありますよ、大きいのもあれば小さいのもある。そんなこと関係ないですよ。一台に対してどうなのかということなんですからね。だから、そんなことは関係ないと思うんですよ。ただ、今言ったように全国幾つかを実態調査した結果だというわけですけれども、実態調査した結果こういうものを出したということは、自治省が一台に対しては二・六人でいいんだということを指導していると同じなんですよ、これは。  地方自治体に参りますと、こういうことをよく言うんですよ、首長は。自治省で出しているこの単位費用の定数を見ますと、車一台当たり二・六人でいいんだと言っているんだと、金はそれしか来ないんだと。だから、職員のおまえたちが言っている三人なんというのは多いんだ、こういうふうに利用されるんですよ、それぞれの自治体で。だから、次から次へと職員の定数というのは減っていくんです、これは。そして死亡事故まで起こしているんです。私はそういうことからいったら、自治省にそういう死亡事故の責任ないとはこれは言わせないですよ。非常に私はこれは問題があると思う。  今実態調査によってやっていると言いますけれども、それじゃ実態調査で学校給食はどうですか。学校給食調理員は、これは八百十名の児童数に対して四名の調理員を置く、こういうことになっていますよね。ところが、我々の実態調査をやったんでは四名でないですよ、標準学校ですからこれは簡単です、八百十人のところを調べればいいんですから。我々の調査によりますと四・三人は要るんですよ。おかしいじゃないですか。片っ方は四・三人ちゃんと要るのに四名しか組まない。片っ方は当然三名置かなきゃならないものを、実態調査だと言って二・六と削ってくる。実態調査だったらもっと正確に、それぞれの項目についてきちっとやってほしいと思うんです。  私は、最後に言っておきたいのは、こういうやり方は自治体の行政水準を非常に低下させるものにつながっている。自治省が行政水準の低下を奨励しているようなものだということから考えると、簡単に職員の定数を知らない間に削るということを今後一切してもらいたくない、そういう点でお願いしておきたいんです。  職員の定数について、一体この五年間でどのぐらい変わったかと思って、この間質問をいたしましたら、資料をもらったんですけれども、せっかくつくってくれたんでしょうけれども、つくってくれた職員には悪いですけれどもね、こんな資料だったらこれ見ればわかりますよ、ちゃんと出ているんですから。私の知りたいのは、もっと細かなものをきちっとやっぱり出してほしいと思うんです。今後予算審議に当たって当然必要になってくると思いますので、そういう職員の定数については、細目にわたって資料として出してもらえるように要求をしておきたいと思います。  もうあと八分くらいしか時間ありませんので、それでは最後の産炭地の自治体に対する財政援助の問題について伺います。  政府は、国の政策として実は石炭の増産体制を昭和三十年までとってまいりました。ところが、四十年後半になりますと、これまた政府政策として減産の体制に入りました。そして今、間近に第八次答申が出て大幅に閉山をさせようとしております。いずれも国策としてやっているわけであります。ところが、その間、地方自治体は一体どうなっているかといいますと、大幅な閉山をもしされるということになりますと、これは大変なことになると思うんですよ。今まで国策として石炭を掘れ掘れと言ったんで人口がどんどんふえる。そのたびに学校をつくる、上下水道はつくらなければならない。道路は新しくつくる、公園はつくらなければならない。保育所もふやさなければならない。どんどん住民の人口増に伴うような社会施設をつくり上げてきたんです。ところが、今度いきなりこれ閉山ですよ。そうしますと、人口は五分の一から十分の一です。十万人の人たちが使ったものを一万人の住民で借金だけ返さなきゃならない、こういう実態であります。これはまさに都市の崩壊でありまして、自治省として、財政的な面で何とかこういう産炭地の自治体を救うようなことを根本的にひとつ考えてもらいたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  41. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 時代の推移とはいいながら、炭鉱閉山によりまして、特に地元の地方自治体において深刻な影響が出ておること、御指摘のとおりと存じます。  今日まで、こういった炭鉱閉山等に伴うところのさまざまな地方自治体への影響につきましては、例えば公共事業に係る国庫補助負担率のかさ上げであるとか、あるいは産炭地振興臨時交付金の交付であるとか、いろいろな政策が関係省によって講じられてきたところでございますが、自治省としてもこれは地方交付税及び地方債の配分について、従来からその点を十分考えながら配慮をしてきておるところでございます。基本的には、今後とも関係省庁に対しまして産炭地振興臨時交付金制度等を初めとする財政援助措置の充実強化を要請する一方で、自治省としてそれぞれの地方団体の全体的な財政事情を踏まえまして、その運営支障が生じないよう、適切に対処してまいりたいと思います。  特に委員指摘の、確かに一番大きな問題は各種の公共施設、そのかなりの部分地方債等によってつくってきたという面がございましょう。その償還は今後とも続けていかなければならない。こういった点が特に財政負担としては非常にやっぱり重荷になってこようかと思います。現在の交付税制度、義務的な度合いの高い施設につきましては、そういった地方債の元利償還交付税の中で算入をしていくという仕組みがございます。また産炭地振興臨時交付金の方でも、そういったいわば利用者が少なくなったことによって償還負担が重くなってきたもの、こういうものについての措置をする仕組みもございますけれども、全体として非常に大きな財政運営上、影響を与えることになろうかと思いますので、私どももこういった面については今後とも十分配慮をしてまいりたいと考えております。
  42. 山口哲夫

    山口哲夫君 起債の償還については交付税の算定の中で考えているというお話もありましたけれども、これは極めて大ざっぱな話なんですね。そんなことにならないと思うんですよ。  例えば学校がなくなった。借金は十万人のときのものを一万人で、今全部肩がわりして払っていかなければならない。しかし、その借金を払う金は交付税の中で見ているというんですけれども、事業補正七〇%見ているけれども単位費用は三〇%だというんですね。ところが、この単位費用のところを読んでみますと、石原信雄さん、前の次官が書いているんですけれども「毎年度の単位費用積算の基礎となった行政水準については、多くの場合、市民が要求する行政水準に比べて低過ぎるとの非難が絶えない。」、こう書いているんですね。だから、単位費用そのものが住民要求に比べて物すごく低く見積もっているということは、これはもう明らかなんです。だから、そういうことを考えたら、交付税の中で面倒を見ているということは、これは私は言えないと思うんです。それは一部見ていないとは言いませんよ。ほんのわずかは見ているかもしれないけれども、そういう答弁が全体に通用するものではないと思うんですね。特に学校の場合にはそういう単位費用、あるいは事業補正で見ているかもしれませんけれども、下水道なんかは事業補正は五〇%です。全額なんか全然見ていません。それから公園、道路、消防、保育所、公営住宅、これは閉山になるとま るっきり全部使わなくなるものですから。これは一つ交付税の中では考えていないわけですね。  私は、やっぱりこういう閉山によって使われなくなる施設、公共施設、これの起債の返還については免除するべきだ。そのくらいのことを一方で、国策として閉山しているんですから、国の政策としてそのぐらいの免除をしたって何もおかしくないと思うんですけれども、どうでしょうか。
  43. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 特に、この公債費の元利償還をどのように交付税仕組みを通じて財源措置をしていくかということは、従来からもいろいろ議論がございます。普通交付税の性格上、単位費用の方をできるだけ多くして、そして事業費補正等による、何と申しますか具体的実情に対する配慮、こちらの方を余り大きくするのはどうかという御議論もございますし、あるいは現実に公債費が非常に重くなってくれば、そういった具体的な事情の方をより強く考えるべきではないか、こういったような御議論もあろうかと思います。そういった観点から、従来普通交付税の算定の仕組みにおきましては単位費用でどの程度を見るか、あるいは事業費補正等を通じて元利償還費をどの程度見るかというようなことを、今日までいろいろ考えてまいったわけでございますが、ただ、御指摘のように産炭地の場合等はそういう面が非常に重く財政にのしかかってくることは事実でございます。これに関する起債の償還義務をすべて免除というわけには、これはなかなかまいらないだろうと思いますが、むしろそういった事情を考慮してどのように財政的な手当てをしていくかという問題ではなかろうかと思います。  そういった点につきましては、私どもとしては、できるだけその実情に即して財政運営支障を生ぜしめることのないようにしてまいりたいと、そのように努めてまいりたいと考えるところでございます。
  44. 山口哲夫

    山口哲夫君 あと一分半しかありませんので質問にならないと思うのですけれども、最後に、特に要望しておきたいと思うんです。  石炭についての各省庁の連絡会議というのがありますね。通産省に言わせますとこれは閉山交付金も出しているとかいろいろ言っているんですけれども、しかし、どう計算してみてもこの閉山の交付金あるいは臨時交付金、これでは地域の振興にならないんですね。例えば集落ぐるみ移転した場合には、一回限り一トンに対して三十円から五十円出すという、これですね。五十万トン掘っている石炭の山ですと最高の五十円とっても二千五百万円ですよ。税収落ち込みこんなものじゃ済まないと思うのですね。だから、いろいろ政府としても産炭地に対する対策は考えてないとは言えないと思うのですけれども、しかし、余りにも私は国策でやったことにしては政府としての手だては少な過ぎる。これじゃ、もう産炭地かわいそうですよ。そういうことを考えたときに、私は財政的な面から自治省が都市を守るという立場に立って、もっとやはり財政的な根本策を、抜本的な対策を考えてほしいし、各省庁の連絡会議の中でも通産省に働きかけて、通産省としても私はもっと真剣にやってもらえるように働きかけてほしいと思うのです。  それで、自治体と企業とで何らか新しいような、新しい事業を考えてくれば協力するなんということをおっしゃっているようですけれども、それは私は受け身だと思うのですよ。もっとやはり積極的に国の政策として、そういう崩壊寸前にある自治体に、こういう企業を張りつけるんだというくらいのことを通産省で考えてもらえるように、自治体にやはり責任ある自治省としては、もっと積極的にこういう産炭地の崩壊を救うための抜本策を、これから真剣にひとつ予算編成に向けて考えていただきたいということを要望して終わりたいと思います。     ─────────────
  45. 松浦功

    委員長松浦功君) 委員異動について御報告いたします。  本日、平井卓志君が委員辞任され、その補欠として永野茂門君が選任されました。     ─────────────
  46. 馬場富

    ○馬場富君 今回の税法の改正につきまして、改正の趣旨については、今何点かもう質問されましたので重複を避けながら質問いたします。  今年度地方交付税に四千五百億円の穴があいた、今法案で実はそれを補う方法が審議されておるわけでございますが、この四千五百億円の結果についてはいかなる理由によってこれが生じたか説明されたいと思います。
  47. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 今回の昭和六十一年度地方交付税につきまして減を生じた直接の理由は、今回の国の補正予算におきまして国税三税が一兆四千七十億円、具体的にはこれは所得税で四千二百六十億円、法人税で九千八百十億円に修正減額されたことに伴いまして、その三二%に当たる地方交付税交付金について四千五百二億四千万円が減額されるということになったものでございます。直接の原因は国税減収に伴うものでございます。
  48. 馬場富

    ○馬場富君 それにつきまして、やはり年度当初に一兆一千七百億円の国庫補助負担率削減の影響を受け入れていたことがあるわけですね。このような余裕は初めからなかったわけですから、この辺についての私は、政府財政に取り組む点についての見通しがこれは甘かったのじゃないか。この点を指摘せざるを得ぬですが、この点どうでしょうか。
  49. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 昭和六十一年度の当初の地方財政収支見通しにおきましては、当時における昭和六十一年度経済情勢に関する政府見通し等に基づき収入を見積もりまた支出を見積もった結果、一般の収支におきましてはこれは均衡がとれる。ただ国庫補助負担率の変更に伴う地方負担の増加一兆一千七百億円について財源不足となるために、これに対して措置をする必要があるということで、御案内のような地方財政対策を講じたわけでございます。  ただ、その一般収支均衡の前提となりました交付税あるいは地方税、こういったものが当初の見通しに比べまして減ってまいったわけでございますが、これは年度中途における経済の予期し得なかった著しい変動によって生じたわけでございます。ただ、そういった変動によって生じました収入につきましては、これは地方団体財政運営支障のないようにしていかなきゃならない。この点は地方財政上当然必要になってくるわけでございます。
  50. 馬場富

    ○馬場富君 私の質問しておるのは、当初から一兆一千七百億円の国庫補助負担率の削減を予期して取り組んだわけです。削減を六十一年度の予算の中で考えておったわけでしょう。だから、こういう地方交付税における、結局いろんな収入等の減少ということも当然考えられたわけじゃないかと、今慌ててこれを考えることがおかしいじゃないかと私は、今質問しているわけです、どうでしょうか。
  51. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 一兆一千七百億円の地方負担増、この分が当初におきまして財源不足となったわけでございますが、この点については委員御承知のとおり地方税それからこれはたばこ消費税でございますが、の一年間の特例措置、それから地方交付税一千二百億円の特例加算措置、それ以外につきましては当面地方債で措置をし、将来その元利償還の一部について国庫から交付税会計に繰り入れる、こういう内容措置を講じたわけでございます。確かにそういう措置を講じたわけでございますが、そのもとになっております交付税なりあるいは地方税というものが減ってきたという点につきましては、これは確かに当初の見通しが今日考えてみますと適切でなかった、そのとおりでなかったということになるわけでございますが、しかし、年度中途のことでございますので、少なくとも何らかの措置をもってこれをカバーしてまいりませんと、地方財政の面では一兆一千七百億円の地方負担の増加分についても、あるいは一般収支の面についても、これは運営支障を生ずるということになりますので、今 回地方交付税については、このような特例的な借り入れ措置をもってこれを補てんをしたいということをお願い申し上げておるところでございます。
  52. 馬場富

    ○馬場富君 国にも収入減があるように地方でも、やはり減収の傾向が目立ってきておると言われております。特に法人二税の減収込みが五千五百七十一億円程度あるというようなことが実は伝えられておるわけでございますが、今年度地方税収の見通しはどうなっておるのか、ひとつ御説明願いたいと思います。
  53. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 国税の方におきまして法人税の大幅な減が見込まれるに至ったわけでございますが、地方税の中でも特にこれに連動いたしまして御指摘の法人二税、すなわち法人住民税の法人税割と、それから法人事業税につきまして五千五百七十一億円という、現段階において全体での減収が見込まれておるところでございます。
  54. 馬場富

    ○馬場富君 今局長が説明されたように、仮に地方税減収額が五千五百七十一億円だとしますと、やはり地方交付税減収額よりも大きいことになるわけですね。この補いはどうする予定でございますか。
  55. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 年度中途における減収でございます。これを何らかの方法で補てんをいたしませんと、地方団体としては財政運営ができないというようなところが極めて多いわけでございますが、この点につきましては、今申し上げました年度中途のことでございますので、各地方公共団体の財政事情をよく聞きまして、減収補てんのための地方債を発行を許可することによりこれを補てんをしてまいりたいと考えております。  なお、減収補てん債でございますからこれは借金でございますけれども、これはもともと地方財政計画で見込んだ税が収入できなかったということによるものでございますので、その元利償還費につきましては基準財政収入額の率と同じ率、すなわち県が八〇%、市町村七五%、この割合で将来の交付税の基準財政需要額に算入をしていくと、このような仕組みにいたしておるところでございます。
  56. 馬場富

    ○馬場富君 じゃ、こういうふうにお尋ねしていきますと、国税三税の減収に伴うマイナス面が、四千五百億円が交付税特別会計借入金という借金になります。次に、地方税の法人関係税の減収込みは、今おっしゃいましたように五千六百億円は減収補てん債の増発ということで借金になります。次は、もう一つは、公共事業税による地方負担、これは、この前の景気問題の対策の中で公共事業による増額が考えられておりますから、これに伴う地方負担ということは当然考えられてきます。これは、すなわち災害復旧事業費等でいけば五千五百億円から国債分を引いた残りの一千三百四十億円が、やはりこういう問題になってきます。それから、一般公共事業の今年度支払い分の二千四百二十億円の中から国庫負担分を引いた一千九十億円も、これも、やはり地方債の増発という借金になってまいります。これらを合計してまいりますと、一兆二千億から一兆三千億という、いずれも将来の地方負担を当てにした負担の先送りが、今行われようとしておるわけです。  これは私はゆゆしき問題であるし、地方も、今六十一年度を契機として五十八兆八千三十二億円の実は赤字の残額を持っております。こういうことからいけば、これは借金の繰り返し財政であって、地方にもその負担をどんどんと押しつけてくることになるわけですから、将来を考えたときにこのような財政措置でいいのかということは、もう地方も心配しておりますが、我々も大変心配しておるところでありますが、この点をどのようにお考えですか。大臣の答弁をお伺いしたいと思います。
  57. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 今回の補正、地方財政措置によりまして、地方交付税減収借り入れで賄い、また地方税減収減収補てん債で賄い、また御指摘のように国の公共事業費の追加に伴うところの地方負担分、これは内需拡大の観点からどうしても地方団体にスムーズに執行をしてもらわなきゃならないという意味で、これも地方債によって財源の手当てをいたしたわけでございますが、その結果、確かに御指摘のように地方財政における借金の総額が約六十兆円に膨らむということになるわけでございます。また、交付税特別会計借入金の残高も、その中で現在の五兆七千億から六兆一千億に膨らむということで、そういう意味で、確かに地方財政にとってさらにまた借入金の残高が大きくなるではないか、こういう御指摘はそのとおりと存じます。  ただ、その中で私どもとしては、できるだけ将来の地方財政負担のことを考えまして、交付税借入金につきましては、少なくとも利子全額国庫の方で負担をしていただくということにいたしております。またそういった元金償還が出てまいります。また減収補てん債の元利の償還も出てまいります。今後生ずるそういった財政需要につきましては、そういったものの対応をできるだけの地方財源措置地方交付税等の総額確保を含め、地方財源措置を講じてまいる必要があると考えておりますので、そのように努力をいたしてまいりたい。そして地方財政運営に不安が生じないようにいたしてまいりたい、このように存じておるところでございます。
  58. 馬場富

    ○馬場富君 大臣には、またまとめて後からお尋ねいたしますので、質問を続けます。  先ほど志苫議員山口議員からも質問がありましたが、この地方交付税特別会計の運用部資金からの借り入れの問題につきましては、五十九年度以降ストップということでやってきたわけですが、これは実は破られたわけであります。  私は、このことを、やはり再びこのように繰り返していくということは、交付税が持ついわゆる財政の調整機能や保障機能というのをなくしていってしまうという大変危機に実は見舞われてくるのではないか、そういうことを心配するわけです。そのために、五十九年に実は運用部資金の借り入れをやめたときのいわゆる質疑を実は私は見てみましたが、そのときに五十九年度借入金をやめたのは、地方財政の健全化に資するためであるという、実は当時の石原財政局長は答弁をしております。そのときに我が党の原田議員がこれに対して、「地方財政の健全化に資するため」とはどういうことなんだという質問をしておりますが、その議事録で実は石原財政局長はこのように答えております。   今回の改正は、これまで交付税不足を生じた場合には必要な額を外から借りてくると申しましょうか、運用部から借り入れ加算するという方式をとっておったわけですが、その結果借金が十一兆五千二百億円にもなってしまったと、こういうことを今後続けた場合にはその償還負担のために国の財政地方財政も大変な問題を抱えることになる、そういうことで借り入れ方式をやめたわけです。 云々と、「これが全体として地方財政の健全化を志向していると、こういうことでございます。」、こう石原さんは答えておりますが、このような実は心配をされて十一兆もの赤字を出したわけですね。  そしてそのためにいわゆる交付金の特別会計というのは、あたかも政府の中の赤字補てんの金融機関的存在になってしまったと、十一兆の借金を抱えて。国鉄までいかぬにしても、それに近いような借金を抱えてしまった。そういうことではいかぬということで国と地方がやむなく二分化して、このことは今後しないということで実は健全化を目指したわけですが、今再びまたこのことを、このおきてを破ってやろうとしておることは、結局、やはり自治省地方財政の健全化について、一つは今までとってきた方策はこれは捨てたと、こうとらざるを得ぬと思いますがいかがでしょうか。
  59. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 昭和五十九年度地方財政対策の見直しに際しまして、従来の借り入れ方式から特例措置方式に切りかえ、その際当時の政府委員が御答弁申し上げましたことはそのと おりでございます。まさに借金が積もり積もって極めて巨大な額になり、今後これ以上さらに財政需要と、これに見合う財源不足を穴埋めするために借入金の額をどんどんふやすというわけにはいかない、それは地方財政の健全化に反するものだと、こういう考え方をとっておったことそのとおりでございまして、まあ私ども地方財政の健全化という点については、これは常日ごろからいつも念頭に置きながら、地方財政に関する各般の措置を講じてきておるところでございます。  ただ、今回の借り入れ措置は、そういう考え方のもとで年度中途において所得税法人税の大幅な減収が見込まれるという予期し得ない状況のもとにおいて、しかしなお、地方団体財政運営・は、やはり支障のないようにしなければならないということのための緊急避難的な措置として行ったものでございます。決して地方財政の健全化の方針というものをこれによって放棄をするという考え方のものではない。たまたま年度中途におけるやむを得ない措置ということで御理解を賜りたいと存じます。
  60. 馬場富

    ○馬場富君 これ大臣、先ほども質問しましたが、この地方交付税というのは、実は本来からいけばそういう国と地方との関係にありまして、特に経済の調整機能とか保障機能というのを果たすために一つは設けられた制度ですね。だが、これがこのように、実は借金の穴埋め場になってしまうというようなことは、一たんやめたことなら再び私は苦しくともやってはならぬことではないか。だから、その決めたときにもし赤字が出たとしたら、それは一般会計から苦しくとも繰り入れて補いますと約束があって、こういう問題が実はできたわけです。それを、今しばらくの間にぼごにしてしまうという行き方に対しまして、私は今後の地方財政に対して大変心配になってくるわけですが、この点、地方財政健全化に対する自治省一つは方策をしかと大臣から伺いたいと思います。
  61. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 五十九年にその新しい措置を決めましたときは、安易に借り入れに頼ってはいけないということで新しい措置を決めたわけでございます。しかし、先ほどから御説明申し上げておりますように、本年度経済見通しでも予測しないような円高が進みまして、特に輸出産業の落ち込みが甚だしく、国税地方税とも法人関係の税収落ち込みが予期した以上に甚だしくなりまして、そういうような状況の中でやむを得ず借り入れという措置をとったわけでございます。しかも、政府におきましては大変財政が苦しくて、自治省政府の一端を担っているわけでございますから、そういう財政窮迫の中で大蔵省が特例公債の借り入れによってこの交付税落ち込みを補うというような措置をとらないように協力をしながら、やむを得ずとった措置でございますので、御理解をいただきたいと思います。  もとよりそういう歯どめのない借り入れに安易に頼るというようなことをしてはならないということは、自治省としてもよく認識しているところでございます。
  62. 馬場富

    ○馬場富君 今大臣からくしくも歯どめの言葉が出ましたが、実は過去の負担の場合は国半分という責任分担があったわけですけれども、今度は利子補給はしますというけれども、大事な責任分野が全部特別会計にあるわけですね。地方負担にあるわけです。だから、これは本当に政府が払うという責任は、私は政府の大きい歯どめだと思うんですね。これがなくなってしまったならばこれは、特別会計借り入れは赤字が出ればまたこれを繰り返すということが今後も続くのではないかという心配ですが、これはどうでしょうか。
  63. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 先生がおっしゃいますように、そういうような国、地方を通じます財政窮迫状況から一日も早く脱却したい。そして国と地方との財源配分につきましてももっともっと健全化するようにしたいという、私は、今産みの苦しみをお互いになめているのではないだろうか。いつまでもこういう地獄のような状況が続くとは考えないのでごいます。多少苦しくとも地方、国ともに財政の節度を回復するということに努めることが一番大事ではないか、このように認識しているところでございます。
  64. 馬場富

    ○馬場富君 次は利息の問題でございますが、利息は全額国が持つということで、これは半額よりも一つは激励だと先ほどおっしゃっていましたが、これは以前も実はそういう形であったわけですが、やっぱり借りてから半分持ちなさいということになったわけですよ。だから、今回の場合もこういうことで、今はそういうことですが、今後また財政危機が来たときに利息も半分持ってもらいたいということに私は、今までの国の約束からいくとなる傾向が強いと思うんです。そういう点で自治省大蔵省に、ここにきちっと歯どめをかけるための何か契約的なものを交わされたかどうかお尋ねいたします。
  65. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 今回の借り入れに伴う交付税特別会計利子全額を国が負担することにつきましては、自治、大蔵両省で覚書を取り交わし、交付税特別会計借入金利子相当額については、その発生年度において一般会計より交付税特例措置精算不要と、つまり返さなくてもいいという意味であります、精算不要として交付税特別会計に繰り入れるものとするという覚書を結んでおります。この覚書に従って今後国が利子をその発生年度において交付税会計に繰り入れる、このような約束が交わされているところでございます。
  66. 馬場富

    ○馬場富君 ここでもう一つは、来年度地方財政についての見通しをお伺いしたいと思いますが、先般政府が税調の第二特別部会におきまして四兆五千億程度の減税を示されましたが、この点について自治省はどのような考え方を持ってみえるか概略を御説明願いたいと思います。
  67. 津田正

    政府委員(津田正君) 先般、政府税制調査会答申がまとまったわけでございますが、その審議の過程におきまして税制改革経済及び家計に与える影響というような点の審議が行われたわけでございます。こういうような影響を考える場合には、ある程度具体的な数字というものも必要かというようなことで、あくまで審議の一つの材料でございますが、所得課税におきまして二兆七千億円の減税、それから法人課税におきまして一兆八千億円、合わせまして四兆五千億円の減税を行う一つのケースが示されたところでございます。この場合、地方財政への関係でございますが、所得税と同じような減税内容というものを盛り込んだ個人住民税減税を考えますと、この二兆七千億円のうち約二兆円弱が所得税の減、それから七千億強が個人住民税の減、こういうような格好になるかと思います。  それから法人課税一兆八千億円でございますが、これは実効税率を五〇%を切る、こういうような目標での数字でございます。法人税で大体一兆五千億円程度の減税が行われますと、当然のことながら税率を変えませんと法人税割で三千億円弱の減収を来すであろう、こういう状況でございます。したがいまして、地方税におきまして、合わせますと大体一兆円の減収、そしてさらに所得税あるいは法人税減税に伴います地方交付税減収が約一兆一千億円程度見込まれる、こういうことかと思います。  いずれにしましても、現在具体的な税の仕組みあるいは減税規模あるいはその補てん策等、まだ検討中でございまして、以上申し上げましたのもあくまで税制調査会の審議の過程におきます仮の数字でございますが、大方そういうようなことになるのではないか、かように考えられるわけでございます。
  68. 馬場富

    ○馬場富君 ここで、新型間接税の導入の是非の論議につきましては、これは別といたしまして、新型間接税の一部を地方に取り込むことが実は伝えられておるわけでございますが、自治省としては、これに対する考え方はいかがですか。
  69. 津田正

    政府委員(津田正君) 今回の見直しにおきまして、いわゆる減税としまして中堅サラリーマン層の所得課税の減税、それから経済、社会の国際化の進展に対応いたします法人税軽減、こういう ようなことに対応いたしまして、反面におきまして所得、資産あるいは消費というものの課税のバランスを考えるというような観点から、いわゆる勤労性所得でございます所得税、あるいは住民税の減税と同時に、いわゆる利子所得等資産性所得に対する課税の問題、あわせまして消費に対する課税の問題としまして新型間接税が論議されたわけでございます。いずれにしましても、この問題はいわゆる地方税減収あるいは交付税減収というものに対応いたしまして、新間接税につきましても地方財源への配分というものを考えてまいらなければならないと考えております。
  70. 馬場富

    ○馬場富君 なお、この新型間接税導入の場合の、国と地方との税源配分の問題についてはいかがお考えですか。
  71. 津田正

    政府委員(津田正君) いずれにしましても今後税制改正、具体的な姿を煮詰めていかなければならないわけでございますが、減収地方団体地方団体全体だけではなく、県、市町村への影響というようなことも考え、また補てん財源でございます利子課税、あるいは新間接税の具体的な税の仕組みというものを詰めてまいらなければならないかと思います。いずれにしましても、地方税におきます補てんあるいは地方交付税におきます補てんというもの、総体としまして地方団体財政運営影響のないよう処理してまいりたいと、かように考えております。
  72. 馬場富

    ○馬場富君 ここで、もう一点は、従来から地方公共団体が要望しております事業税による外形標準課税を導入するという要望がございますが、この点については、自治省はどのようにお考えですか。
  73. 津田正

    政府委員(津田正君) 減収補てんの問題と同時に、かねてから事業税におきます外形標準課税の導入問題ということが地方団体からの要望として出されておるわけでございます。すなわち事業税の性格の明確化、あるいは現行事業税の所得課税におきます景気の好不況による税収の不安定を解消するための税源安定的確保、このような観点からの要望がかねてあるわけでございまして、私どもも従来から政府税制調査会等にも御審議をいただいておる問題でございます。  先般出されました政府の税調の答申におきましては、新しいタイプの間接税の導入に当たっては、現行の事業税に加えて新しいタイプの間接税の一部を地方の間接税とすることにより、この問題の現実的解決を図ることがいいのではないか、こういうような考え方や、新しいタイプの間接税の類型あるいは仕組みというものがまだ詰まっておらない状況でございますが、このようなものの具体化に対応いたしまして、国、地方を通ずる税財源配分のあり方等の関係にも留意しつつ処理すべきである、こういうことが示されておるわけでございます。今後、税の仕組み等の具体化また減収あるいはその補てん対策の問題の詰めに応じまして、この問題につきましても答申の趣旨を踏まえ解決を図ってまいりたい、かように考えております。
  74. 馬場富

    ○馬場富君 最後に、来年度税制改正では、税調でも随分論議を重ねられておりますが、この中で地方交付税の基礎となる国税三税のうち、所得税法人税あるいは地方税の大勢を占める住民税の大幅減税内容となっておりますが、これはそのまま実施されることになれば、地方財政に大きな穴があくことが予想されてくるわけでございますが、総理はこれに対して増減税同額を言明しておりますが、この点につきましても、時期と額との問題につきましてどのようにお考えか、局長とあわせて大臣の御答弁を願いたいと思います。
  75. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) このたびの税制の抜本的見直しは、現行税制のゆがみ、ひずみを是正することを眼目といたしまして、税収については中立性原則に立つものでございますが、地方財政の厳しい現状にかんがみれば、少なくとも税制改革によって地方団体の歳入減を生ずるようなことがあってはならないと考えているところでございます。  今後の税制改革の具体化に当たりましては、個人所得課税、法人課税の軽減合理化措置に伴う地方税及び地方交付税減収について適切な財源措置が講ぜられるよう格段の努力を払っていきたいと考えております。地方団体からも完全補てん策の一環として、例えば新しいタイプの間接税が導入される場合には、その一部を地方税とするとともに、国税部分地方交付税対象税目とすることとの要望が出されていることも踏まえまして、今後の税制改革の具体化の過程において、現行の国、地方間の脱財源配分の仕組みを念頭に置きまして、地方税財源確保が図られるよう十分に努力をしていきたいと考えるところでございます。
  76. 馬場富

    ○馬場富君 もう一点。そこで大臣、なった場合の減税といわゆる結局税制改革の時期の問題について、地方財政一つは穴のあくような期間的な食い違いが起こるようなことは絶対しませんかどうですか、この点について。
  77. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) その点も含めまして十分に対応していきたいと考えております。
  78. 神谷信之助

    神谷信之助君 先ほどから同僚議員も質問をしておりました、議論になっておりました今回の国税三税の減収に伴う交付税の減額措置の補てん、それから地方税減収込みに対する補てんについて、これ私もできるだけ重複を避けてお聞きをしたいと思うんですけれども、五十九年の自治、大蔵大臣覚書ですよね、地方財政の健全化に資するためというのが理由だと。そこで、今回はその原則を被るそういう状況変化というのがあったのかどうか、この辺はどうですか。
  79. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 昭和五十九年当時におきまして、地方財政の健全化に資するためにそれまでの借入金に依存する方式をやめて特例加算方式に切りかえたわけでございます。これは原則として借入金に依存することをしないと、こういう考え方でございます。  当時の考え方といたしましては、それまでの借入金依存方式というものが、いわば将来においてこの借入金償還するだけの税収の増加というものをやっぱり考えなきゃならない。しかし、それまでの間とりあえずつなぎでと、こういう考え方があったわけでございますが、情勢はもはやそういうことを許さない、いわゆる増税なき財政再建路線のもとで歳出の抑制に努めるという方式財政の健全化を考えていかなきゃならないということでございます。と同時に、当時の特例措置を切りかえましたときには、当時の経済情勢から考えてみて、そういう基本的な考え方のもとに、今後の我が国経済というものに大きな変動がなければそういった特例措置をもって対応していけると、こういう考え方があったわけでございます。  そういう意味では、その後の経済情勢というもの、特に今年度に至りまして予期をしなかった大きな経済情勢の変動があったと考えておるところでございます。したがって、今回のような借入金措置をせざるを得ない状況にあったということでございます。
  80. 神谷信之助

    神谷信之助君 どうも歯切れが悪いんですが。だけれども、もう少し私はなぜそういう状態が起こってくるのかということを考えなければなりません。  これは大臣、政治家としてお尋ねをするんですが、今日の円高不況は昨年の九月のG5、これが発火点といいますか、それがもう思わぬほどどんどんいっちゃって百五十円台まで円高になって、今百六十円台、宮澤さんとアメリカの財務長官との覚書で百六十円台で一応落ちついた形になっております。しかし、日本の経済、特にその八割、九割を占める中小企業あるいは輸出関連産業などのなにからいいますと、あるいは今度は購買力からいいましても、二百三十円から百九十円ぐらいまでがせいぜいぎりぎりのところだというのがいろんな経済の調査団体の見込みとして出ていますが、そういうのは結局、それが起こって不況になって税収が落ちた、そういう政策をとったのは政府ですからね、自治体は逆立ちしたってこれ円高を抑えることもできなければ何もかにもできぬわけでしょう。  だから、政府がそういう政策をとってそれでこ ういう落ち込みを生じたのに、なぜ自治体がその責任をとらんならぬのか。とりあえず、それだけ落ち込みました、地方財政にも穴をあけました、これは政府の責任ですから政府がちゃんと補てんをします。しかしまあ、例えば今すぐと言ってもないから交付税特会で借り入れをやっておいてくれ、元金も利息も皆将来には政府が全部責任を持ちますから、見込み違いをして申しわけなかったというならわかる。利子全額持ってやるからあと全部借金しておまえのかい性で返せ、冗談じゃないやというそういう気がするんですかね。この点は一体大臣どのようにお考えですか。
  81. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 大変難しい問題を先生いろいろ御提示されました。  昨年来の日本経済の動きにつきまして、政府財政金融あるいは為替政策によって真剣に対応してまいったところでございますが、急激な円高は予測の外であったと思います。ただ、今の為替相場が妥当であるかどうかというようなことは私の判断の外でございます。急激であったということ、予想外であったということは事実でございます。そしてその点について政府経済運営がまた適切であったかどうかということもいろいろな御議論があろうかと思います。私どもとしましては真剣に対応しながら、精いっぱい景気浮揚のために、この間は補正予算を提案し、通していただいたというように必死の努力をしているわけでございます。  そして前に戻りますと、今度の急激な円高によりまして、国税地方税に大変な予測外の落ち込みがありまして、そのために地方においても地方交付税が減額をせざるを得ないような状況になっております。これを政府の責任だからといって一方的に政府にその対応を求めることが適切であるかどうか。政府の一員としての自治省としまして、やはりそこにまたあり方というものがあるのではないかと思うのでございます。一つの会計上のやり方といたしましては減額補正をいたしまして、地方交付税総額を減額補正するということも一つのやり方でございましょうが、地方財政が厳しい今の状況の中で、地方財源確保するというために何らかの措置をとらなければならない。政府にも金がない、こういうことから今度のような対応の仕方をした、こう御理解をいただきたいと思うのでございます。
  82. 神谷信之助

    神谷信之助君 例えば、今の赤字国債を発行しないで財政の再建をやっていくという、この路線を今政府はとっておられるわけです。仮にその路線の枠内であっても、すなわち赤字国債を発行しなくても、あるいはやり方としては今回とられるようなやり方、国税三税の関係ですけれども交付税特会を借り入れる。仮にそういう形態をとったにしても、全部、将来は利子は持ってやるけれども元金自治体が持てというやり方がいいのかどうか。正しいのかどうかという点が、自治体が後でどない困ろうと国が決めたのだから言うことを聞けという、そういうやり方でいいのかどうか、それで地方自治と言えるのかどうかという問題に私はかかわる問題だと思うのですね。  大体、戦後の今の地方財政制度が、行政の執行の対応に応じた、その実態に応じた税配分になっていないわけですね。だから、補助金やその他いろんな問題がかぶさってくるし、それで国の一定の枠の中でしか自治体はできないというような、本当の意味の、財政的にも自治権が確立をしていないという状況も現実には、今の制度としてはあります。そういう中で、必要な歳出に対して必要な財源はちゃんと政府が保障しましょうということで地方財政計画もつくり、それに基づいて財源不足については政府が手当てをいたしますよと。何せ税金は全部持っていっているんですからね、だから、そうしますよということになるわけです。ほとんど七、三で税金は持っていっているわけでしょう。財政力がないのは当たり前なんだから、自分自身が持っている財政力はないんですから、そういう点で不足が起こったら国が補てんをしますよと、そういう仕組みですね。  だから、財源不足が個々の自治体の放漫財政で生じた赤字ならば、それは自治体の責任ですよ。そうじゃないんで、国の政治のかじ取りによって生じた赤字についてちゃんと国が責任を持ちますというのが、今の国と地方財政のあり方の根本問題でしょう。その根本問題が、先ほども同僚委員が言ったように何遍も崩されたり、利子は全部持つと言ったり、元金の半分は持ちますよと言ってみたり、いろんなことで変遷をしながら、とにかくこのように考えて、ひょっと気がついてみたら十一兆も借金しておるからやめようかと。それでまた今度は、どかっと国が失敗した、それならそれまた持てやと、こうなってきているんです。  これは五十九年のとき、あのときにも私は口が酢っぱくなるほど指摘をしたんだけれども、国と地方との財政のあり方というのは、今言ったようにそういう関係にあるんですから、国の責任は明確にすると。それが、借金で首が回らんようになっている状況の中で、今すぐやれるかどうかは別にして、その原則というのははっきりさせないと、何ぼでもそういう状況は起こるというのが、五十九年の原則がもう三年目、わずか二、三年で破れてしまう今日の根本問題ではないかというように思うんですが、この辺もう一度大臣にお聞きします。
  83. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) ただいま先生のいろいろなお話を伺っておりまして、やはり今度の措置というのは、国と地方のいずれも財政の厳しい中での対応としては是非もなかったのではないであろうかと。一つの知恵を出し合った、国も地方もそれぞれが苦しみを分かち合ったという措置ではないかと思います。  一つの問題といたしましては、六十六年度から元金償還が十年にわたって始まるわけでございまして、一体そのときに地方財政はどうなっているか、先生の御心配のとおりでございます。しかし、今からその該当年度にどうなっているかということを心配していても切りがございませんから、そのときにはまたみんなで知恵を出し合って地方財政が立ち行くような方策をとっていくということで、今は臨むよりほかはないと思うのでございます。  それから、ただいま先生が御質問されました基本の問題としましては、地方財政がどういう姿でなければならないかという問いがあったと思うのでございます。それにつきましては地方財政の健全化、自主性、自律性の向上をしなければならないという観点から、地方財政のあるべき姿としましては、地方税地方交付税地方一般財源のより一層の拡充を図る必要があると考えているところでございます。そのような考え方から申しますと、地方財源不足が生じた場合の補てん策を講ずるに当たっても、地方税地方交付税等の一般財源によって補てんすることが望ましいと考えておるわけでございまして、今後ともできる限りそのような方針で努力していきたいと思うのでございます。  なお、今回の場合は、年度途中に予期しがたい大幅な財源不足が生じ、また極めて厳しい国の財政事情等のもとで、国の一般会計からの繰り入れにより地方交付税減収分の補てん等を行うことが現実問題として困難であると判断されましたことから、繰り返しになりますけれども、特会借り入れにより対処することとしたものございます。そのように考えまして、今後とも先生方の御協力も得まして、地方税並びに地方交付税等につきまして財源確保を図るために努力をしていきたいと思う次第でございます。
  84. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、協力するつもりでいろいろ意見を申し上げて、国民の税金の使い方について根本的に変えなさいということを予算委員会でも当委員会でも言っているんだけれども、なかなか頭からお聞き入れにならないわけですからね。根本的に、国民の税金を国民の暮らしをよくする点に使っていくという方向に大きく転換をしないと、今の円高不況も解決をしないというように私は考えています。  そこで、財政局長交付税特会の借り入れ、これも借金、直接ではないわね、自治体との関係で 言えば、しかし、減収補てん債、これは直接債務になる。それから今度の景気浮揚のための公共事業の追加分とか単独事業の追加とかというと一兆数千億の借金がふえる。交付税特会まで入れると二兆円ぐらいになってきますね。だから今まででも、さっきも局長言ったように、約六十兆からの地方債残高を持っているところにそういうのを押しつけ、自転車操業みたいになっていくような状況が生まれてきている、そういう問題がますますこれふえるわけ。健全化を図っていくと言いながらますます不健全になっているんですよ、地方財政自身から言うても、地方財政の側から見ても。この辺についての考えはどうですか。
  85. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 地方財政、国家財政もそうでございますが、非常に大きな借金に、昭和五十年代において依存をしてきた。そういうことの反省から増税なき財政再建路線という考え方を基本に、できるだけ借金に頼らない財政をという考え方が出てまいったわけでございまして、それが特例措置方式というふうなことになってきたかと思います。そういった路線を変更いたしまして、地方財政自身もいろいろ苦しい過程を経てきておるわけでございますが、昭和六十年度あるいは六十一年度においては補助率の引き下げに伴う地方負担の増を除いては、当初段階では収支が均衡するというような姿にはなってきたわけでございます。  そういう意味では財政再建のための、健全化のための努力というものは、それなりに重ねられてきておるというぐあいに考えるわけでございますが、ただ、今回の場合、余りにも急激に進んだ円高等によりまして、こういった事態が生じてまいった。確かにこの点も借金をさらに重ねる結果にはなったわけでございますが、ただ、その中で地方財政負担を少しでも軽くするようにと考えまして、利子については国に負担をしていただく、このような仕組みをとったわけでございます。今後の地方財政にとって、御指摘のようなさらに借金の増加、大変重大な問題だと思います。今後の地方財政の健全化を一層進めてまいる必要があるわけでございますが、今後のそれぞれの年度地方財政計画の策定を通じまして、そういった財政健全化に意を用いつつ、しかも、地方財政運営には支障のないように精いっぱいの努力をしてまいりたいと、こういう考え方でございます。
  86. 神谷信之助

    神谷信之助君 時間がもう余りありませんから、答弁ひとつ簡単にやってもらいたい。言いわけをせんならぬから長くなるんであって、わかっていますから、それ言いわけしてもらわぬでいいんです。  次は、来年度地方財政見通しですが、財源不足がこういう状態ですと税収減が出てきますからね、どういうようにお考えになっているか。それに対する補てん措置なんかはどういうようにお考えかも含めて聞かしてください。
  87. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 現在の段階におきましては、明年度経済動向あるいは税制改正内容が明確でございませんので、地方財政の的確な収支見通しを立てることは困難でございますが、御指摘のように明年度の歳入の発射台となるべき本年度地方税収、それから地方交付税、この二つが両方合わせまして約一兆円の落ち込みを生じた。これを土台といたしますと、しかも、現在の経済情勢から考えますと明年度の歳入面はかなり深刻だと、このように思います。そういう点から考えますと、当初段階におきまして六十年、六十一年のように一般の収支で均衡するということよりも、むしろある程度の財源不足が出てくるのではないか。さらにその上に補助率引き下げ分の第二年度自分の地方負担の増がある。そういう点から考えますと、明年度地方財政もまことに容易ならざる見通しにあろうかと思います。この対策をどのようにするか、これはこれからの税制の改革の問題とももちろんあわせて考えなきゃならぬわけでございますが、その内容を見きわめた上で適切な措置を講じてまいりたいと、このように考えております。
  88. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは大臣にお伺いしておきたいんですけれども、福祉、教育関係の予算カットを、これを三年間はいらわぬとやりますと、補助金カットもこれからはしませんという原則ですね。ということになっておりましたけれども、もう既に大蔵省の方では義務教育費国庫負担のうちの事務職員と栄養職員ですか、これをカットしようとねらっているし、けさの報道なんかを見ると、今度は公共事業関係の補助率もダウンさせようということも出ています。これ、あのときにもとにかく国の補助金支出、国庫支出がいつも毎年最後までがたがたして、それで自治体予算編成にも困る、しょっちゅう変わっては。カットはかなわぬけれども、一年限りのものが三年に延長されたんですから、それが三年間はいじりませんよということで安心をして、自治体の方は仕事をやってくださいということになっていた。それがまたこの予算編成を前にしてそういう何というか、雑音というのか、そういうものが出てきた。これは大分大蔵省、財政当局も強硬のようだし、そういう点を考えると自治大臣として大いにこれは奮闘してもらわないとまたまた大変なことになると思うんだけれども、この辺の決意をまず。
  89. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 先生もよく御存じでございますが、義務教育費国庫負担制度は、義務教育の妥当な規模と内容とを保障するために、教職員給与費等について都道府県の支出額の二分の一を国が負担することとされているものでございまして、教育の機会均等と水準の維持のため、現行の負担制度の基本は今後とも維持されるべきであると考えるものでございます。先生指摘のように国の負担を単に地方に転嫁するために行われるというようなことにつきましては、地方財政を守る立場から到底認めることはできないと考えているわけでございます。
  90. 神谷信之助

    神谷信之助君 一応ちゃんと聞いておきますからね、後で、次の通常国会で力及ばずなんて言わぬようにあらかじめはっきりさせておきます。  それからその次の問題ですが、自治省としてはいわゆる大型間接税というか、あるいは日本型付加価値税というのか、新型間接税導入には賛成なんですか、反対なんですか、この辺はどういう見解ですか。
  91. 津田正

    政府委員(津田正君) 政府税調の御審議におきましても、いわゆる所得課税あるいは資産課税それから消費課税、バランスのとれた税体系にすべきであると、こういうような観点から審議されまして、所得課税あるいは法人課税の軽減と同時に、その補てんの意味も含め、そして税体系自体の見直しという観点から、利子課税と並びまして新間接税というものを提言しておるわけでございます。  そういう意味におきまして、自治省といたしましても、やはり新間接税というものは減収補てんの意味、そして税体系の観点から必要ではないか。今後なお検討を進めてまいりたいと存じますが、そのような観点で検討をしておるわけでございます。
  92. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは大臣はどういう御意見なんですか。この間の同時選挙では自民党の皆さんもいわゆる大型間接税、これには反対だと言って、そして選挙民に公約をしてこられたわけなんで、ところが自治省の方は期待をしているような話でね、この辺はどうですか。
  93. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 選挙のときに中曽根総理が国民の皆様に公約を申し上げました網羅的何ですか、何とか的いろいろ並べましたが、そういうものはやらないというお約束を申し上げておりますし、政府税制調査会の審議の過程でも、そのような総理のお約束を踏まえて審議をしてこられたものと認識をしているところでございます。 そして基本的にはただいま税務局長が御答弁申し上げたような認識で私もおるところでございます。
  94. 神谷信之助

    神谷信之助君 それで大体わかりました。  この八月の二十日に全国都市会館で全国市議会議長会が開かれて、その席上で自治省の小林官房審議官が大型間接税に反対していると実際に導入された場合、それに対して地方税源を求められなくなる、市議会で反対決議をするのは控えてほし いという趣旨。同じ言葉ではないですけれども、そういう論を述べられたと、これに出席をした人からそういう報告を聞いたんですよ。それで、なるほど今も税制改革に応じてこれが出れば片一方減税になるんだから、そういうものが欲しいとかどうとかというお話もされているわけですからね。やはり地方財源としてもらうためには何ですか、大型間接税反対の決議を地方議会がしたらいかぬわけですかね。
  95. 小林実

    政府委員(小林実君) 私の発言についての御質問でございますのでお答えをいたしたいと思います。  全国市議会議長会でのお話は、六十二年度財政問題につきまして話をしてほしいということでございました。税制の抜本的見直しが論議されておりましたから、それによりまして減税が行われる場合には地方財源の補てんが最重要の問題になるということを申し上げたわけでございます。したがいまして、その後地方議会におきましても当然税制改革の論議が行われるということになると思うんですが、今申し上げたような観点から注意を払う必要があるということを申し上げたわけでございまして、具体的に個別の税目でどうこうということを申し上げたわけではございません。御了解いただきたいと思います。
  96. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、前にもあったんですよ。大平内閣のときの一般消費税導入のときに自治体が反対の決議をどんどんやると、そうすると、もしそれやられたらそこから地方税分もらわにゃいかぬのだから、余りぎゃあぎゃあ先頭に立って反対するなという指導をやられた。それで、私これはおかしいと思うんですよ。例えば所得税減税をやったと。その財源は必ず大型間接税でなきゃならぬということはないんです。あるいは地方税減収になるから、今の国税地方税の配分の仕方をそのままにしておいていいということじゃない。国税のこの財源に該当するものをこっちへよこせという場合もあるだろうと思います。同時に、最もけしからぬのは、自治体の議会は自由ですからね、何しようと。自治権のまさに侵害になるので、小林さんはそういう趣旨で言ったつもりはないようだけれども、参加をしていた人からはそういう、誤解であれば幸いだと思いますけれどもね。そういう状況地方議会に対するまさに自治権の侵害といいますか、ということだと思います。  それで、自治省に一体どれだけ地方議会で反対決議しているんだと聞いたけれども自治省はつかんでないんですね。これは全国商工団体連合会が調査した、十月十一日現在で六百二十八地方自治体ですから約二割ぐらいですか、自治省余りせぬ方がいいというのがなかなか効いている感じではあります。大型間接税反対の声が大きいですからね。選挙のときにも中曽根さんも言わないぐらいあなた、国民の関心が高かったのが、地方議会には反映をされていないという事実から見ても、自治省の、やっぱり指導というかチェックがなかなか力を持っているなということを感ずると同時に、私は地方自治の確立あるいは自治権という問題から言っても、これは十分自治省発言というのは注意をしてもらわなきゃならぬ、こういうように思います。  以上で終わります。
  97. 抜山映子

    ○抜山映子君 既に同僚議員の質問によりまして、今回の国税三税の減収に伴う地方交付税の減四千五百二億四千万円について、交付税特別会計借入金により補てんする理由は苦し紛れの措置であると、こういうことが既にもう了解されましたので、この点についての質問は重複を避けまして、    〔委員長退席、理事増岡康治君着席〕 現在直面している円高不況対策の方から質問を絞ってまいりたいと思います。  既に、国税のうち特に法人税減収が非常に甚だしいとともに、地方税の方も法人住民税、事業税等が落ち込んでいるという結果になっております。そうなりますと、まず税収をふやすという観点から不況対策にもっと力を入れなくちゃいけないんじゃないか、こういう気がするわけでございます。特に兵庫県の相生市におきましては、法人住民税が五十八年度は七百四十万であったものが、六十年では五百六十二万と落ち込んでいる。しかも、その中で石川島の相生の占める割合が五十八年は六九・九%であったのが、三七・五%に落ち込んでいる、こういう状況でございます。  そこで、まず造船技術の活用できる橋梁とか鉄骨、公共事業の促進ということを考えなくちゃいけない。あるいは鉄の方も大変冷え込んでおりますけれども、下水道の整備とかいろいろ建設の方の規制緩和、容積率なんかの見直しとか、そういうものが必要になってくると思うんです。  特に私、今回質問したいのは、下水道の整備が日本は大変におくれておるわけです。イギリスでは九七%、西ドイツでは九一%、アメリカでは七二%というのに比して、日本では東京二十三区でわずか下水道の整備率が三四%です。    〔理事増岡康治君退席、委員長着席〕 この下水道の整備をして、社会資本を充実する絶好のタイミングではないか、このように思いますが、建設省の御意見はいかがですか。
  98. 松浦功

    委員長松浦功君) 建設省来ていませんか。
  99. 抜山映子

    ○抜山映子君 それではちょっと後回しにしてやりましょう。  それでは厚生省の方にお伺いいたしますけれども、年金客船はリスクが大きくてやれないという答弁を衆議院の方でなさっておられますが、さる造船重機のエンジニアリングの専門家に聞きますと、年金客船はペイすると言うんです。すなわち総トン数三万トン、乗客千二百人の年金客船の建造価格は内装も含めて二百五十億でできると言うんです。この年金客船の運搬費の試算をやりますと平均年当たり九十二・五億円だと。そうすると、お客さんに一人一日当たり四万五千円をもらえれば十分ペイできると言うんです。そうしますと、仮に長崎を出て天津—上海と一週間のツアーをやりますと三十一万五千円でツアーが組めるわけです。これは十分需要があると思われるんですけれども、この点について厚生省はなおもリスクがあるからできないと、このように固執されますか。
  100. 丸山晴男

    説明員(丸山晴男君) お答え申し上げます。  先生御提案の年金資金を使いました豪華客船という構想につきましては数年来いろんな御提案をいただいておりますけれども、ただいまの御質問にございますような建造費の問題あるいは運航費の問題、あるいはいずれも事実であろうかと存じます。  それで、運航費九十二億円ということになりますと、現在の我が国の客船の、いわば何社かで客船を就航しておるわけでございますけれども、それの現在の旅客収入が大体八十億ないし九十億でございます。したがいまして、仮にこういったような豪華客船が建造されて就航された場合に、現在の我が国の旅客需要ごっそりもう一倍ぐらいございませんとカバーできない、こういった規模、スケールでございます。  我が国におきましては、まあ戦前は別にいたしまして、戦後、例えば太平洋を横断するといったような豪華客船が建造されておらないわけでございます。その事情を御専門である運輸省等に確認いたしますと、やはり目的地に行くまでに大変時間がかかる。先生おっしゃいました上海あるいは釜山でございますか、長崎からですとあるいは何日か滞在可能でございますけれども、東京からですとこれまた行って帰るだけで一週間かかるわけでございます。まあ十日間のクルーズの場合でも東南アジアの近辺まで行くのが精いっぱいということで、例えば地中海クルーズでございますとかあるいはカリブ海のクルーズでございますとか、世界の豪華客船のクルーズといいますのは、そのほとんどが地中海あるいはカリブ海で行われているというふうに聞いておりますけれども、一日船に乗りまして、翌日は次の停泊地に行って観光してまた一日船に乗る。こういったクルーズが大変しやすい場所と、それから我が国のように何日もかかって海路はるばる目的地へ着いて、また何日 か船に乗って次の目的地へ行くということで、大変時間がかかるというのが事実でございます。  そういうことで、数年来私ども厚生省の年金局でございますが、年金資金等原資にということでございますので、いろいろな専門家のお話をお聞きしましたところ、やはり安定した需要を見込むことが難しいという事業の採算性、効率性の問題、さらには年金の積立金、これは高齢化社会におきます年金給付の貴重な原資でございます。この資金をこういった事業に投資することが妥当かどうか、この二点で問題が多いというふうに、今考えておるわけでございますが、なお、豪華客船の構想につきましては、国際運輸観光という立場から、運輸省においても現在検討を続けておるというふうに承知しておりますので、その状況も見きわめながら今後とも対応してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  101. 抜山映子

    ○抜山映子君 私は、四百億と政府が見積もっておるのを二百五十億でできるじゃないかということを申し上げたんです。それについての回答はなかったと思います。長崎から出て天津、上海、長崎と帰ってきますと合計七日でツアーが組めるんです。先ほど二週間かかると言われましたけれども、七日でツアーが組める。こういうことも考慮に入れてもうちょっと真剣に考えていただきたいと思います。  さて、不況業種につきまして、不況地域の活性化ということがどうしても必要になってくると思います。広域的に従業員を異動しようとしましても、このような不況業種につきましては労働者が大変高齢化しておりますので、どうしても地元で企業誘致をしてもらったりして雇用機会の創出をしてもらわなくちゃいけない。そのためには何らかの税制上の措置が必要になってくると思うんですけれども、この点どのようなことを考えておられますでしょうか。
  102. 長田英機

    説明員(長田英機君) 昨年秋以降の円高の状態に対処しまして、中小企業庁としましては中小企業に対しましていろいろな対策を講じてまいりました。しかしながら、ますます円高が進展いたしまして、その円高による影響が特定な地域に集中して出てきている。こういうような状況になってまいりましたので、現在、特定地域中小企業対策法案というものを国会に提出させていただいておりまして、御審議願っている状況でございます。この中におきましては、特定地域における中小企業者に対する対策のみならず、その地域を活性化するために企業誘致を促進するという観点から、特別償却というような税制上の措置を講ずるというようなことをやって、その地域の活性化を図ってまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  103. 抜山映子

    ○抜山映子君 企業誘致となりますと、新規立地に必要な土地を取得することになると思いますけれども、これに対する非課税措置をお考えいただけないでしょうか。
  104. 長田英機

    説明員(長田英機君) 企業誘致をいたしまして、その企業が用地を取得する場合に、特別土地保有税の非課税措置というようなことを検討しているわけでございます。
  105. 抜山映子

    ○抜山映子君 先ほど規制緩和ですね、建設の方の規制緩和のことも申し上げましたけれども、市街化区域の農地並み課税、これを私見直すことによって、さらに内需の拡大が図れるんじゃないかと思うんです。現に耕作の用に供され、かつ、引き続き十年以上営農を継続することが適当である旨の認定を受けたものについて、農地課税相当額を上回る額を徴収猶予として五年ごとに営農を確認して免除すると、こうあるんですけれども、この実際の認定ですね、営農を継続することが適当である旨の認定、これはどのように行われていますか。
  106. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) ただいま御指摘のありました農地の宅地並み課税の問題でございますが、長期営農継続農地というのは、結局、農業をずっとやっている、こう言っておいて途中で有利になったら売る。これはけしからぬではないかという議論からでき上がった制度でございまして、委員指摘のように徴収猶予という制度をとっておきまして、それにたがうようなことをやった場合には、さかのぼって徴収猶予を取り消して宅地並み課税の固定資産税を納めていただく、こういう趣旨でございます。  実際上の認定はどうするのかという御質問でございますが、長期にわたり営農を継続することが適当であるという農地に該当するかどうかということの認定は、所有者の申告ということだけじゃありませんで、もちろん申告に基づきますが、市町村に置かれます農地課税審議会の議を経た上で市町村長が認定するものでございます。もっとも、その際に面積の要件、一定の面積要件を満たすものであるということとか、あるいは現に耕作の用に供されているというものであること、それから十年以上営農を継続することが適当であるものであること、こういう三つの要件に該当するものにつきまして、長期営農継続農地としての認定が行われるというものでございます。  なお、このことにつきましては、当該市街化区域農地の所有者の意思だけで認定することなく、当該市街化区域農地の周辺の土地利用の状況、用排水その他の状況等を勘案して、十年以上営農を継続することが適当であるかどうかを認定するべきであることというふうに指導をしているところでございます。
  107. 抜山映子

    ○抜山映子君 実際に市街化区域農地というものの現状を見ますと、クリの木が一本しか立っていない、それなのにそれを市街化区域農地として認定している。あるいは本当に申しわけ程度にお大根が植えてあるというようなことで、もうそういう認定をしているわけです。したがいまして、これはもう当然土地の値上がりを見越して、農地並み課税だということに奇貨として、土地の値上がりを待って手離さない、こういう状態が出ておるわけでございますので、例えば五年後にはこれを廃止するということ、宅地並み課税をする。 こういうことになれば、むだになっている市街化区域農地が市場に出回るだろう、こういうように想定されるんですが、このようなことをひとつお考えいただけませんか。
  108. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) ただいま御指摘のような、実際その認定をどういう状態でするかということは、非常に重要な課題であろうと思います。しかしながら、同時にまじめに農業を行っていこうとする人をどうするかという、これもまた重要な課題でございまして、その両方の要請を調和させるといいますか、充足させるという見地から長期営農継続農地という制度をとる。そしてその途中で値上がりを見て、これは機会だということで売り払う、あるいは宅地に転用してしまうというようなことがあったら、それ以前の固定資産税が丸々得になるというのでは困るから、さかのぼって徴収するということにしているわけでございます。  そこで、お話のようなことでございまして、適切でない認定ということになりませんように、この判断基準につきましては厳に非売管理が行われるというようなことを認定の重要な基準にいたしております。関係市におきましても、例えば家庭菜園のようなものは一般的には農地として扱わないというような基準を持ってやっておるところでございます。  なお、今後の政策税制といいますか、そういう面からのお話でございました。そういう長期営農継続農地制度をやめるということにすれば宅地化が進むんじゃないかというお話でございます。この辺は一つの重要な政策税制としてはそういう見方もあるかもしれませんが、同時に、ずっと以前から農業を継続し、なお農業を継続しようとしている人もいることも事実でございます。したがいまして、税制の面から農業というものを一定の地域そのものに指定すると言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういった問題についてはなかなか難しい問題があると思います。その辺になりますというと、土地利用規制とか、あるいは土地利用計画というような側面からの幅広い議論が必要ではないか。  私どもといたしましては五十七年度において土地税制全般についてこうした見直しが行われまして、それによりまして、今長期営農継続農地の制度が継続されておりまして、宅地並み課税が行われている農地ではかなりの面積が減少していることから判断しますというと、宅地化についてもかなりそれ相応の効果が生じているのではないか、こう思っておりますので、その効果をなお見守りたい、こういうふうに考えているところでございます。
  109. 抜山映子

    ○抜山映子君 今日本が国際化の中で生きるためには産業構造の転換が必要だということを政府は言われるんですけれども、産業構造の転換といってもそんなに簡単にできることじゃないわけですね。ですから、この産業構造転換をしやすいように、円滑化のための税制というものが必要になってくるだろうと思うんです。例えば、新分野に進出するためにひとつ生産設備が必要だ、こういうことになりますと、その生産設備に対して特別の償却制度を設けるとか、そういうことは当然必要になってくると思うんですが、このようなことについてひとつお考えいただけないか、ちょっと答弁をお願いいたします。
  110. 大塚和彦

    説明員(大塚和彦君) 御説明申し上げます。  先生ただいま御指摘になりましたように、いわゆる産業構造の転換とかあるいは経済構造の転換、そういうことが今の円高のもとでかなり加速されているような感じがございます。ある意味では、この構造調整というのは避け得ないプロセスかとも思われるのでございますけれども、片方、雇用の面でございますとか、地域経済でございますとか、あるいは中小企業、そういったところに余りにも大きな影響が及ぶ、このあたりについては私ども非常に懸念をしておりまして、細心の配慮が必要だと、こう考えておるわけでございます。  中小企業に関しましては、先ほど計画課長から御説明申し上げたわけでございますけれども、構造転換が円滑に進むという観点からも、いろいろ先生がまさしく御指摘になられたと思うんですけれども、新しい分野に企業が出ていって、そして雇用機会を創出していく、このあたりを政策的に支援していくこと。これが非常に私どもは大事だと考えております。  具体的には、ただいま関係の省庁と折衝中でございますけれども、私どもの要求で申しますと、先生から御指摘のあった分だけをピックアップして申し上げますけれども、例えば新しい異分野の共同研究開発、そういうものに乗り出して、そしてそこから新しい分野を開拓していくという場合につきましては、例えば試験研究費について六%の税額控除をするとか、あるいは新規分野に進出するための生産設備への特別償却、これはただいまも一八%の特別償却というのを要求中でございます。それから地方税関係でございますと、特別土地保有税とか事業所説についての特別な配慮、こういったことを私どもとしてはぜひ実現できたらと考えまして、ただいま関係の省庁と折衝中であると、かようでございます。
  111. 抜山映子

    ○抜山映子君 さらに産業構造の転換に伴って従来の過剰設備の処理、そういうものが当然必要になってくる場合があると思うんです。そういう場合のひとつ税制上の措置ということも、これまた必要になってくると思うんですが、この点はいかがですか。
  112. 大塚和彦

    説明員(大塚和彦君) 御説明いたします。  ただいま御指摘のとおりと考えますのは、まさしく新しい分野に出ていく場合には、従来の分野の設備を処理するということが必要になる。これは往々にして生ずるわけでございます。そのときにその設備が例えば担保に入っていてなかなかそれを処理できないというようなことも生ずるわけでございます。こんなことも含めましてその設備を廃棄する場合に、特に税制につきましては、除却損にかかわる欠損金の繰越控除期間、これが現在本則では五年間でございますけれども、このあたりを十年にできないだろうかというようなこと。それから集約化でもって対応するようなこともあるわけでございまして、そのときにはやはり特別償却、あるいは関連して不動産取得税の関係とか、そういうことも同じく税制について要求しておりますし、あるいはそのほかに金融の措置に関しましても、御質問ではこざいませんので、これについてはこれ以上申し上げませんけれども、私どもとしては特別に措置を講ずるべきである、このように考えております。
  113. 抜山映子

    ○抜山映子君 ひとつ知恵をいろいろと出していただきたいと思います。  この不況に伴いまして大変な雇用上の問題が生じております。三菱重工では全従業員五万人のうち五千人を削減するということを発表しましたし、日立造船は既に六千五百人人員削減したんですけれども、さらに年末までに全体の三割強の三千人強の人員削減。あるいは石川島は年末までに七千人、全体の三割を削減する。また鉄鋼の五社は一時帰休の制度をとると、こういうように大変な大きな問題になってきておるわけです。  それで、ひとつ雇用対策の充実ということを当然労働省に考えていただかなくてはなりません。既に雇用調整助成金ですか、これの助成率も引き上げていただきましたけれども、これ助成期間が六十一年の十月十九日までですね。この助成期間の延長ということも考えてもらわなくちゃいけないと思いますが労働省いかがですか。
  114. 廣見和夫

    説明員(廣見和夫君) ただいまお尋ねの件でございますが、確かに不況業種等からの離職者が多くなってまいっておりまして、今先生がお話しなさいましたような雇用調整助成金の改善等をやって機動的に対応しておるところでございます。ただ、今先生お尋ねのございました雇用調整助成金の支給率の引き上げ等につきましては、先般の総合経済対策の中に盛り込まれました雇用関係の分、雇用対策に基づきまして先般の十月二十日から一部実施いたしました。ただ、これにつきましては当面のという意味もございましたので、一年間、当面率を引き上げるということをやったわけでございます。ただ、今後につきましては、こういったような情勢、まだまだ雇用調整も続く、本格化してくるというおそれもございますし、離職者等の増大ということも懸念される状況にございます。  したがいまして、労働省といたしましてはそういったような面に十分着目し、またそういったような離職者の増大というものが一部地域に特に集中してあらわれてくるということもございますので、これからは業種対策のみならず地域に着目した雇用対策ということを十分強化していく必要があるのではなかろうかと、かように考えております。そういう意味で地域に着目した地域対策の強化ということにつきまして、先般来中央職業安定審議会でも御検討いただいておりまして建議もいただきましたので、そういうものに基づき必要があれば法改正等も含めこういったような対策を充実強化するように検討し、必要があればまた国会にも所要法律案を提出してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  115. 抜山映子

    ○抜山映子君 それでは、雇用創設のためにどのような構想を練っておられますか。
  116. 廣見和夫

    説明員(廣見和夫君) 今もお話し申し上げましたような方向で検討するということでございますが、具体的には確かにそれぞれの地方で雇用情勢の厳しくなっております地域で、それぞれの地域の雇用の場をふやしていくことが基本であるというふうに考えておるわけでございまして、それの具体的な方法といたしましては、やはりひとつ地域指定方式はとっていく必要はあるのではなかろうかというふうに考えております。特に雇用機会が不足しているような地域を指定する、中でも産業構造の変化等に伴って特段に雇用情勢の厳しいところは、また一定の指定をするということで二段構えの指定をする必要があろう。そういったような関係で地域指定したところにつきましては、例えばそういう地域での雇用機会の増大のためにということで賃金助成をしていく。具体的に申し上げればそういう地域で雇用機会をふやしていただいた事業主に対して賃金助成をする、あるいは またそういったような雇用の増大のために必要な融資制度も考えるといったようなことなど検討していかなければならないのじゃなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  117. 抜山映子

    ○抜山映子君 離職者が別の職場を求めるために職業訓練学校に行こうと、こういうことになる場合もあると思うんですね。ところがこれは一例でございますが、兵庫県の姫路高等技術専門学院、これの一応科目を見ますと配管科、機械科、板金科、溶接科、機械製図科といってこの科目を見ると大体不況業種で必要な科目ばっかりで、今後求人のあるような例えばコンピューターの方とか、新しいそういう部門の科目が見当たらない。こういう意味でどうもニーズに合った科目になっていないんじゃないか、こういうように思うんですが、この点今後お考えいただけますでしょうか。
  118. 大月和彦

    説明員(大月和彦君) 御指摘の点でございますが、現在都道府県と雇用促進事業団が設置運営をしている公共職業訓練施設におきましては幾つかの訓練科目、職種を持っておるわけでございますが、中には一部先生指摘のような若干不況業種に絡んだ職種があることもあるわけでございますが、全体として各都道府県、事業団におきましても新しい、特にME関係の訓練科目に徐々に転換しているところでございます。そしてこのような離職者に対する職業訓練を行う場合、こういう公共職業訓練施設では適切なあるいは希望に沿った訓練科目がないような場合におきましては、これは各種学校、専修学校とかそれから公共訓練以外の教育訓練施設にも委託して実施する、こういうような方法で離職者の方の希望に応ずるような措置をとっているところでございます。しかし、御指摘の点ございますので、私ども現在主としてME関係の職種に転換するよう努力しているところでございます。
  119. 抜山映子

    ○抜山映子君 大蔵省にお伺いしますけれども、先般与野党間の合意で専業主婦について十五万円控除を認める、このように決まったわけですね。ところが、このように不況になってくると奥さんがちょっとスーパーのレジに出て働いたとかいう場合も当然出てくる。そうすると、専業主婦とは一体何なのか、この定義についてお伺いしたいと思います。
  120. 田谷廣明

    説明員(田谷廣明君) お答えいたします。  ただいまお尋ねの点でございますが、私どもは専業主婦控除といったような名前を使っておりませんで、配偶者特別控除というぐあいに申し上げているわけでございます。  先般出されました政府の税制調査会の答申におきましては、所得税におきます負担軽減、合理化の具体的方策の一つとしまして、ただいまの点でございますが、「事業所得者においては青色事業専従者給与の支払による配偶者への所得の分与を通じて負担緩和を図りうること等を考えると、主として給与所得者世帯について配偶者の有無や所得の稼得形態の差異に着目して何らかの税負担の調整を図ることは、十分考慮に値する問題である。」という御指摘をいただいておりまして、そんな観点から、現行の配偶者控除に加えまして、所得税で十五万円の配偶者特別控除というものを導入することが提言されているところでございます。  それから、お尋ねございました配偶者特別控除の具体的な適用範囲の問題でございますが、ただいま申し上げましたような考え方に沿いまして、今後さらに検討すべきものでありますものですから、現段階でお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  121. 抜山映子

    ○抜山映子君 厚生省にお伺いします。  高齢者が離職すると再就職というのは大変難しくなってまいりますので、ひとつ厚生年金の支給時期を、これは業種を限定するか、いろいろ限定の方法はあると思いますけれども、五十五歳から支給してもらえるようなことをお考えいただけないでしょうか。
  122. 谷口正作

    説明員(谷口正作君) お答え申し上げます。  お尋ねは業種を限定して年金の支給開始年齢を五十五歳からということでございますが、先生御案内のように公的年金制度につきましては、これからいよいよ高齢化に向かってまいります。高齢化社会、長寿社会の動きを踏まえまして、先般大改革をさせていただいたわけでございまして、その場合、将来の給付あるいはその給付を支える現役の加入者の方々の負担につきまして国民的な合意をいただきまして、そして年金の支給開始年齢につきましても、高齢者の雇用実態等を考慮いたしまして、これにつきましては従来どおり六十歳ということにいたしたわけでございます。  年金制度を考えます場合に、御案内のようにこれは、やはり長期的な見通しのもとに全国的に給付と負担、年金をもらわれる方々の給付水準と現役の方々の負担というものをよく見ながら、長期的な見通しのもとで運営していかなきゃならぬということでございまして、御指摘の点につきましては、特定の業種なりを限定いたしまして支給開始年齢を引き下げることはできないかということでございますけれども、今申し上げましたように年金制度の将来ということを考えました場合にはそれはなかなか難しい、適当でないというふうに考えているわけでございます。
  123. 抜山映子

    ○抜山映子君 それじゃ建設省、一番最初に質問したんですけれども、下水道の整備率が先進国に比べて非常に日本は低率である、ひとつ下水道の整備を内需拡大の一環として大いにやっていただきたいと思うが、建設省の方針、構想を承りたいと思います。
  124. 市川一朗

    説明員(市川一朗君) 突然のお尋ねでございますけれども、今私どもは来年度予算編成に向けましていろいろ各公共事業につきまして検討しておるわけでございますが、そういった作業とまた並行いたしまして、建設省といたしましては二十一世紀に向けました長期構想も提案申し上げながら、多角的な取り組みを考えている次第でございます。  下水道につきましては、何といいましても国民生活に極めて密着した非常に大事な社会資本の一つということで、建設省といたしましては他の社会資本とあわせまして、特に重点的に今後も取り組んでまいりたいという考え方でございますので、御了承いただきたいと思います。
  125. 抜山映子

    ○抜山映子君 終わります。     ─────────────
  126. 松浦功

    委員長松浦功君) 委員異動について御報告いたします。  本日、海江田鶴造君が委員辞任され、その補欠として木宮和彦君が選任されました。     ─────────────
  127. 秋山肇

    ○秋山肇君 今回の補正予算の減額によって四千五百二億四千万という交付税落ち込みがあったと。借入金によってこれを補てんするということは、財政局長からもお話がありました。あくまでも緊急避難であるというお話がありましたけれども、先ほどから委員先生方からも御質問がありました五十九年度における大蔵大臣自治大臣との覚書というものを踏まえながら、この緊急避難ということをぜひひとつ——緊急避難というのは毎回あるということじゃないと思いますから、その辺を十分踏まえながらこれからぜひお願いをしたいというふうに思うわけです。  大臣にちょっとお尋ねをいたしますが、六十一年度の不交付団体が東京、神奈川、愛知、大阪というのは昨年同様な都府県でありますけれども、それ以外に市町村で新たに二十三市町村がふえたということで百八十四自治体になったということですが、これはただ単に自然にふえたわけじゃないというふうに思うわけで、この点について大臣はどういうふうにお考えになっていますか。
  128. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 不交付団体の数の増加につきましてのお尋ねでございますが、地方交付税仕組み関連する問題でございますので、その原因につきまして私からお答えさせていただきたいと存じますが……
  129. 秋山肇

    ○秋山肇君 いやいやちょっと、その仕組みは余り長く話しているとあれですから、そうじゃなくて、ただ簡単でいいですよ。
  130. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 端的に申しますと、 最近における歳出抑制の結果を反映いたしまして、交付税の基準財政需要額の伸びよりも基準財政収入額の伸びの方が高い。しかも、いろいろ地域間あるいは業種間によって税収の伸びも違いますので、今回の普通交付税の算定におきましては、いわゆる交付、不交付すれすれの交付団体、これが不交付団体に切りかわったものが多いわけでございます。また、逆に不交付団体から交付団体になったものもございますが、差し引きで市町村の場合十四団体が増加した、そういったことが原因でございます。
  131. 秋山肇

    ○秋山肇君 ただ、先ほど来論議がされているわけですけれども税制改正が六十二年度に抜本改正が行われて、六十二年度地方財政の収支の見通し等が論議がされているわけです。重複を避けますが、大蔵省の考えとしてはこういう不交付団体がふえるということは、ただ数で見ますと地方がお金があるじゃないかということで、この交付税のパーセントの論議というのも、逆にいうと切り下げということがそこに出てきやしないかなというのが、私心配するんですが、その点はどうですか。
  132. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 不交付団体の数の増加、今御説明申し上げたとおりでございますが、最近の経済情勢を見ておりますと、やはり地域間の景気の動きというのに非常に偏りがございます。そういう意味では、ある団体では税収がかなりふえるところもございますが、一方では税収の伸び悩みあるいは落ち込みなどによって、非常に財政運営が困難を来しておる団体が多いわけでございます。特に地方交付税は、そういった財政の貧弱な団体に対する財源調整機能を果たすものでございますから、そういう意味では最近の経済情勢を反映いたしますと、地方財政のそういった地域的な偏りによるところの混乱の度合いが一層大きくなり、またこれによって地方交付税の果たすべき役割がますますやっぱり大きくなり、より重要な意味を持ってくるものと、このように考えております。
  133. 秋山肇

    ○秋山肇君 そうしますと、偏りがあるということですと、東京を初めとした神奈川、愛知、大阪ですね、今度は間接税が導入をされてきたときに、先ほど来皆さん方からのお話にもありましたし、大臣財政局長その他からも御答弁があったわけですが、そういう偏り、こういう大きなところは税源があるからというような、配分のというか何というのでしょうか、そういう交付税ではできますけどね、その点については一本で話をされるんだと思うんですよ。詰められるんだと思うんですが、その点についてのお考えはいかがですか。
  134. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 現在税制改正の過程において論議されておりますのは、もちろんマクロとしての地方財政の論議が行われておるわけでございますが、御指摘のように地方財政で実は一番大事なことは、それが三千三百のさまざまな財政の条件を持つ団体の財政の集まりだということでございます。したがいまして、国、地方間の地方税源の配分に際しましても、もちろんそういったミクロの集まりであるということは、十分に頭に置いておかなければならないことでございます。いろいろな地方財政対策を行います場合にも、交付団体と不交付団体とにこう区別をして、交付団体の方にどれだけの財政措置が必要になるかというような点は、しばしばこれは検討の対象になるわけでございますが、そういった点も考えながら地方財政措置というものをやっていかなきゃならないわけでございます。  ただ、当面税制改正の過程に当たりましては、そういった全体の見地から国、地方間の税源配分、それぞれにつきまして中立性維持しながら確保していく、こういう考え方をとっておるところでございます。
  135. 秋山肇

    ○秋山肇君 今のお答えのように各自治体のバランスをとるという意味からいって、交付税の持つ意味というのが大変重要なものがあるわけだと思います。  それで、税収の見込みですね。先ほどもちょっと財政局長からお話がありましたけれども、今度も減額補正されたということがあってこういうことになるわけですね、緊急避難的な。それぞれの自治体で予算を組んでいて税が伸びない。減収補てん債の問題が絡んでくると思います。先ほど来、借入金が国、地方ともなるべく増税なき行政改革によって、内部努力によって詰めていこうという基本で来たと言いながら、こういう問題が出てくるわけですけれども、この辺の見込みというのは、予想が立つような立たないようなというふうに言えば切りがないわけですけれども、これは民間の企業ですとかなりシビアに見るわけですね。恐らくこの円高に対しての影響を受けている企業なんというのは特にそうでしょうし、そういう点の指導というのは、転ばぬ先のつえですけれども、その辺について自治省はどういうふうな方針で臨まれますか。
  136. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 年度開始に先立ちまして、地方財政の収支見込みを立て、また地方財政計画を策定してまいります段階で、私どもとしては経済の動向なり、あるいは国税と密接に関連する税目も多いわけでございますから、国税の動向なり、さまざまな要因を勘案して見込むわけでございます。各地方団体に対するこういった収入の見込み方の指導につきましては、地方財政計画はマクロの数字でございますので、これは当然に地域ごとにいろいろやはり差があるということを十分に徹底をし、各地方団体においてはその地域における産業構造あるいは業種、その業種ごとの動向などを十分に見て歳入を組むようにと、このような指導をしておるわけでございます。  ただ、たまたま本年度の場合には予期せざる経済情勢の大きな変化によりまして、相当数の団体で法人関係税を中心に減収が生じる見込みが立ったわけでございますが、もともとの地方財政計画でこれだけの法人関係税の収入があるということを見込んだわけでございますので、それを前提にして地方公共団体が財政運営を行います場合には、当然財源不足になってまいります。その点については財政運営支障のないように、当面税収については減収補てん債で補てんをし、その元利償還を後年度において交付税を通じて算入をしていくという措置をとっておるところでございます。この点については、年度途中の大きな経済変化によるものであると、こういうことを御理解を賜りたいと存じます。
  137. 秋山肇

    ○秋山肇君 今回についてはそれは、今お答えのとおりだと思うんですが、だから、私先ほど質問の中で転ばぬ先のつえだと言ったように、これを年度途中ということを、やっぱり肝に銘じておかないと、減収補てん債で税が入るということでいいかげんに予算を組めばいいんだと、先ほどもお話があった民間だったらそういうことではないわけですから、これをひとつ契機として厳しい御指導というか、お話し合いができるものならばすべきであるというふうに私は思うわけであります。  それからいろいろな、そういうもろもろの問題を含めまして、地方税というのは通達というか閲覧のシステムなどというのがとられてないし、実質的に非公開のような状態になっているわけですけれども、これは先ほど来出ているように幾ら借り入れがあると、公債費が幾らあるんだというようなことも踏まえて、国鉄の今の論議ではないんですけれども、より大きくなる前にやはり国民に理解をしていただく。  それから、今財政局長のお答えのように、各地域の経済状況というのもそれぞれのその地域だけじゃない、やっぱり一般の国民の皆さん方に理解をしていただくということが必要だろうと思うんですね。ですから、そういうことを踏まえて納得のいくような通知といいますか、納税者全員じゃなくても、専門の税理士さん等にはわかりやすくそれをしておくというふうなことも必要だろうし、そういうことが円高による地域経済の不均衡というようなことで、財政窮乏対策県議会議長協議会というものからのいろんな話等があるように聞いておりますけれども、そういうことが必要なんじゃないかなというふうに思いますが、その点 についてはいかがですか。
  138. 渡辺功

    政府委員渡辺功君) 地方税の通達あるいは実例等について、これがわかりやすくされているかどうかという趣旨のお尋ねでございます。  地方税の賦課徴収に関します通達解釈実例等につきましては、地方税の税務当局に通知しておりますほか、納税者の便宜も考えまして通達実例集の形で取りまとめまして、一般の方々の入手の便も講じておりますところでございまして、原則として公開をしているところでございます。たくさんあるんですが、例えばここにありますようなものも民間でまとめられているものでございまして、したがいまして、公開という点については原則公開ということになっているところでございます。  むしろ、いろいろ税理士さん方の中に御議論があるのは、できるだけ早くそういうことがわかるようにしてもらいたいということではないかと思います。そういうことであるならばということで、税理士会ともいろいろ相談をいたしまして、自治省から地方団体あてに通達を発送する際に、日本税理士会連合会に対しまして例えばその写し、同じものでもいいんですが、それを送るというような取り扱いとすること等につきまして連合会とお話をいたしまして、なお今後とも、よく連携をとってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  139. 秋山肇

    ○秋山肇君 ぜひひとつそういう連携をとって、先ほど言った各県議会から出ている問題等も、やっぱり国民に理解をしていただくということが必要だろうと思うんです。  ちょっと質問が違った角度になっちゃいますが、今回伊豆大島が大噴火をして大変な災害が出ているわけですけれども、これは東京都にありますから、東京都で財政的な対応はほとんどしていると思いますが、自治省、消防庁として現状どのような対応をしたのかということと、もし東京都が不交付団体で金がなかったらどうなのかということもあわせて答えていただきたいと思います。
  140. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 最初に消防庁としての防災面からの対応につきまして申し上げます。  伊豆大島の三原山の状況が少しおかしいということにつきましては、既に七月の時点で微震動等が観測されましたので、私どもといたしましては気象庁のデータ等をお聞きをいたしまして、東京都を通じまして警戒態勢、例えば防災上の防災無線の住民への伝達機能が十分であるかどうかとか、あるいは立入禁止の札等がきちんと整っているかどうか、そういったいわば予備的な警戒態勢に入っていただいたわけです。残念ながら十五日に至りまして噴火が起こりまして、十九日には消防庁の職員三人をヘリコプターで現地へ向かわせまして状況調査を早速いたしております。その後御承知のとおり二十一日にカルデラ内での割れ目噴火が起こりまして、前々から私ども指導しております地域の防災計画に基づきまして東京都及び地元の大島町は、大変今回の場合にはスムーズに対応ができ、住民の避難その他の防災対策が進められたものというふうに考えております。  特にその中でも消防活動として、今やっておりますのは、元町という町があるわけでございますけれども、これが一番人口の密集地でございまして、ここが溶岩流の直撃を受けますと大変な大きな被害が出てくる可能性がございますので、溶岩冷却作戦という形で、溶岩を冷却して固めることによって溶岩流を食いとめることができるんじゃないか。これは外国でも実験例があるものでございますし、また三宅島のときに三年前に既に実行いたしましてある程度の成果を上げておりますので、今回もその作戦を実施いたしました。昨日の午後一時から始めましてけさも八時から継続してやっております。その結果、現在のところ元町の中心地から約一キロぐらいの上流のところでほぼ溶岩の最先端は停止状況にございます。一時間に数センチ程度の前進でとまっておりますので、今後の推移を厳重に見守りながら引き続き冷却作戦を展開して、できることなら元町を何とか守りたいという形で現在努力をしているところでございます。
  141. 秋山肇

    ○秋山肇君 もう一つのことは余計なようなことですが、東京都以外でそういう緊急な事態が発生したときに、今消防庁長官からお答えがありましたけれども、事故もなくあれだけの人数の移動ができた。東海汽船の協力もあった。各海上、陸上等を含めた、それから消防庁、警視庁を含めたそれぞれ皆さんの連携があったわけですけれども、これが東京以外で、我々も災害対策で桜島も視察をいたしましたけれども、そういうことがあったときには、ぜひひとつ住民の皆さん方が不安のないような行動というのは、すぐに起こしていただきたいということを要望して私の質問を終わります。
  142. 松浦功

    委員長松浦功君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 松浦功

    委員長松浦功君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  144. 志苫裕

    志苫裕君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部改正案につきまして、反対の討論を行います。  本案は、昭和六十一年度国税三税の減収に伴う、地方交付税減収分四千五百二億円について交付税特別会計の資金運用部資金借り入れによって補てんするという内容でありますが、これは、地方交付税法の仕組み、また、過去の経緯等から言いましても極めて遺憾な措置と言わざるを得ません。  第一には、昭和五十九年度地方財政対策に係る自治、大蔵大臣の五十九年一月十九日の覚書によって、「地方財政の健全化に資するため、昭和五十九年度以降交付税特別会計における新たな借入金措置原則として行わない」とされ、しかも、この場合の「原則として」という解釈につきましては、同五月八日の本委員会において当時の石原財政局長が「これからは多少の状況変化がありましても借り入れはしないでこの新しい方式特例措置を講ずる、それが原則という意味でございます。したがって、少々の状況変化ですぐこの方式原則を崩すということでない、よほどの状況でない限りはこの方式でこれから行くんだと、こういう意味でございます。」と明確に答弁しています。この覚書と答弁に照らせば、今回のような措置が正当化される理由は全くありません。  しかも、第二に、政府自治省は、この五十九年度の改正を制度改正と称し、それまでの交付税特別会計借入金の約半額五兆六千九百億円の元利償還地方負担とし、かつ特例措置については、五十九年度において三百億円後年度精算つきの加算がありましたが、その後はむしろ財対臨特、利差臨特、地域臨特などの臨特相当額すら留保されており、既にその額は二千八百十二億円に達しています。また、五十八年度までにおいては、元金の二分の一、金利の全額が国の負担とされていたにもかかわらず、利子地方負担とされ、今回は利子は国負担元金は今回は全額地方負担とされ、負担が理不尽であるとともに、交付税年度間調整がますます複雑化され、とても地方財政の健全化に資する措置とは言えません。  さらに、第三に、六十年度、六十一年度地方財政は収支均衡とされ、六十年度においては五千八百億円、六十一年度においては三カ年間の継続措置の初年度分として一兆一千七百億円もの国庫補助負担金がカットされ、地方財政に転嫁されました。そして、年度の途中になりますと両年とも税収見通しの誤りによって補正を余儀なくされたわけであります。これは、まさに詐欺的操作であり、三千三百自治体の信頼を自治省みずからが裏切る行為と言えます。  日本社会党・護憲共同は、以上指摘してまいりました理由により、本案に強く反対し、政府約束不履行に対し抗議するとともに、本来の法の基 本、すなわち地方交付税法第六条の三、二項に規定しております抜本的な制度の改正または税率の変更により、財政調整制度の機能化を目指した交付税制度の強化充実を図ることを強く主張し、本案に反対の討論を終わります。
  145. 出口廣光

    ○出口廣光君 私は、自由民主党を代表して、地方交付税法の一部を改正する法律案に対し、賛成の意を表するものであります。  本法律案は、現下の地方財政状況にかんがみ、昭和六十一年度地方財政を円滑に運営するため、交付税特別会計借入金を四千五百億円増額すること、借入金償還昭和六十七年度より十年間にわたって行うことなどを主な内容とするものであります。  我が国経済は、円高の急速な進行などにより、鉄鋼、造船など基幹的産業の不況が顕著になり、また、中小企業の倒産、雇用不安なども表面化し、地方経済に極めて深刻な影響を与えております。  このため、政府は、地方公共団体を初め各方面の要望にこたえ、去る九月、総合経済対策を決定し、補正予算を初め景気の着実な拡大に必要な措置を講じたところであります。本法律案内容は、これら総合経済対策のかなめである補正予算の実施に深く関連するものであり、その早期成立は、昭和六十一年度地方財政運営及び地域経済対策に欠くことのできない措置であります。  地方交付税財源確保の方法等については、いろいろな御議論のあることも承知いたしております。しかしながら政府原案におきましては、借入金利子は、苦しい財政事情にもかかわらず国において負担することとしており、これらの点における財政当局の努力も評価しなくてはならないと思います。  既に具体的な政治課題となっている税制の抜本改正に伴い、地方交付税制度の改正についても、いずれ恒久対策としてその改革に取り組まなくてはならない時期が参ると思いますが、当面の地方財政措置としては、本法律案は妥当なものと思います。  以上の理由により、私は、本法律案に賛成するものであります。
  146. 馬場富

    ○馬場富君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっております法律案に対し反対討論を行います。  以下、反対の理由を申し上げます。  まず初めに、今回の地方交付税法の改正並びに地方財政が示すように、地方税地方交付税で大幅減収をもたらすことになっております。地方税減収地方債の増発により、また地方交付税の減少は交付税特別会計借り入れにより全額措置しようとしております。  このような措置により、借金体質が一段と強まることになり、今後の地方財政の硬直化の大きな原因となることは明らかであります。  特に交付税制度について見ると、従来、交付税不足が生じた場合、交付税特別会計が借金して措置するという制度地方財政の健全性を害するということで五十九年度に取りやめ、交付税不足した場合、国の一般会計からの繰り入れにより措置するという特例措置制度に改めたばかりであります。その制度を安易に破ろうとしております。また制度の一貫性もなく、地方財政はそのときどきの政府の思いつきに左右されるばかりでは主体的な健全な財政運営はできません。  また今回の財源不足の原因となった国の経済政策についてであります。  今回の財政の大幅減収は円高による景気の後退によるものであります。我々はこれまで内需の拡大による経済政策の転換と不況対策を要求してまいりました。しかし、政府は、これに対する適切な対策ができなかったために事態は一層深刻化しております。  しかも、今回の景気対策のための一般公共事業の大半は、六十二年度予算の先食いである国庫債務負担行為であり、景気浮揚効果はほとんど期待できません。今日の深刻な不況をもたらした政府の責任は極めて重大であると言わざるを得ません。今後適切な景気対策を強く要求し、本法案の反対討論を終わります。
  147. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法等の一部を改正する法律案について反対の討論を行います。  反対理由の第一は、税収見積もりの誤りによる歳入欠陥に対し国の責任を明確にせず、減額分を地方自治体の共有財源である地方交付税の先食いという形で補てんしようとしていることであります。地方交付税四千五百二億四千万円、地方税法人関係税五千五百七十一億円、合わせて約一兆円もの歳入欠陥の主たる原因が円高不況にあることは明らかでありますが、その異常円高を当然視して是正の対策を講じないばかりか、円高をてこに中小企業や農業、石炭産業を切り捨てようとさえしている政府の責任は重大であります。  しかも政府は、その当然の責任を認めず、地方交付税の減額分を全額交付税特別会計借入金で穴埋めするという、いわば地方交付税の先食いという形で措置しようとしているのであります。本来、政府の失政による見込み違いにより生じたのであるから、国の負担で処理すべきでありますが、今回の措置地方財政財源不足について、曲がりなりにもその二分の一を国が責任を負うとした昭和五十三年度制度改正をも後退させるだけではなく、将来にわたり地方交付税制度財源保障機能と調整機能を損なう結果となるものであり、断じて認めるわけにはまいりません。  反対理由の第二は、一昨年の地方交付税法改正の際、今後は交付税特別会計における借り入れ原則として行わないと言明しながら、早くも二年後に臨時、異例の措置を理由に特会借り入れを再び行うという朝令暮改の政府の態度であります。  二年前自治省は、「地方財政の健全化に資するため」と称して、特会借入金の廃止と一般会計による特例措置の導入を行う一方、その前提として地方の歳出の徹底した見直しを地方自治体と住民に強要してきました。加えて六十、六十一年度二年連続の補助金カットで住民の福祉、医療、教育、公共事業等の切り捨てが進められてきたのであります。その上に、地方自治体と住民に新たな犠牲を押しつけるものであり、断じて許すことはできません。  今日、地方財政借入金残高が五十九兆円にも上り、財源対策債等による地方交付税の先食いが八兆円、公債費負担率が二〇%を超える団体が全地方団体の約三分の一に達するなど、その危機がますます深刻化しています。このような事態を政府自身が十分承知の上、借入金を重ねることこそ地方自治権を財政的に掘り崩すものであることを改めて指摘し、私の反対討論を終わります。
  148. 抜山映子

    ○抜山映子君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行うものであります。  我々は、衆議院において以下の理由により本法案に反対の意思を表明しました。  第一は、昭和五十八年度において地方団体財政運営の節度を守るなどの視点から、それまで続けていた交付税特別会計借り入れをやめたにもかかわらず、今回この前言を翻し、再び借り入れを行ったことであります。これは赤字国債の発行を抑えたいという国側の一方的理由により地方に借金を押しつけたものであり、断じて認めるわけにはまいりません。  第二は、今回の措置は将来の地方交付税額を先食いする措置であり、地方交付税総額安定的確保支障を来すおそれがあるということであります。  政府は、国税三税の減収分を今年度は減額せず、交付税特別会計借り入れを行うことによって、地方財政計画で計上した交付税額を確保したことを強調されております。しかし、この借り入れは、将来交付すべき交付税額を先食いするものにすぎません。地方団体の健全な財政運営維持するためには、借り入れによってではなく、交付税額の増額によって対処すべきでありました。私は、政府の今回の措置に強く不満を抱くものであ ります。この二点に関し、本院における審議においても何ら改善されておりません。  以上、反対の理由のみを申し述べ、私の反対討論を終わります。
  149. 松浦功

    委員長松浦功君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 松浦功

    委員長松浦功君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  地方交付税法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  151. 松浦功

    委員長松浦功君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、志苫君から発言を求められておりますので、これを許します。志苫君。
  152. 志苫裕

    志苫裕君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新政クラブの各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について善処すべきである。  一 各年度地方交付税総額について、地方交付税対象税目の拡大等を含め、その長期的安定的確保に努めること。  二 昭和五十九年度における地方交付税法の改正趣旨にかんがみ、財源不足に対する安易な借入れ措置は、厳にこれを慎むとともに、地方税収入の当初見積りは、的確に行うよう慎重を期すること。  三 国・地方間の税源配分について抜本的に見直し、地方税源の安定確保策を講ずべきであり、当面、税制改正に当たって地方財源が減少を来すことのないよう万全の措置を講ずること。   右決議する。  以上であります。  何とぞ満場一致御賛同いただきますようお願い申し上げます。
  153. 松浦功

    委員長松浦功君) ただいま志苫君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  154. 松浦功

    委員長松浦功君) 多数と認めます。よって、志苫君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、葉梨自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。葉梨自治大臣
  155. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。
  156. 松浦功

    委員長松浦功君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異譲ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 松浦功

    委員長松浦功君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時四十四分散会