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1986-11-26 第107回国会 参議院 選挙制度に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十六日(水曜日)    午後二時一分開会     ─────────────    委員異動  十一月十三日     辞任         補欠選任      上野 雄文君     及川 一夫君      安恒 良一君     山口 哲夫君  十一月十四日     辞任         補欠選任      及川 一夫君     上野 雄文君      山口 哲夫君     安恒 良一君  十一月十八日     辞任         補欠選任      佐藤 三吾君     及川 一夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩上 二郎君     理 事                 金丸 三郎君                 名尾 良孝君                 藤野 賢二君                 上野 雄文君                 田代富士男君     委 員                 梶原  清君                 久世 公堯君                 佐藤栄佐久君                 斎藤栄三郎君                 杉山 令肇君                 田中 正巳君                 降矢 敬義君                 松浦  功君                 村上 正邦君                 森田 重郎君                 吉村 真事君                 及川 一夫君                 安恒 良一君                 猪熊 重二君                 多田 省吾君                 諫山  博君                 山中 郁子君                 栗林 卓司君    国務大臣        自 治 大 臣  葉梨 信行君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君    政府委員        警察庁刑事局長  仁平 圀雄君        警察庁警備局長  三島健二郎君        自治省行政局選        挙部長      小笠原臣也君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        内閣官房首席内        閣参事官     古川貞二郎君        法務省刑事局刑        事課長      石川 達紘君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○選挙制度に関する調査  (第三十八回衆議院議員選挙及び第十四回参議院議員通常選挙執行状況等に関する件) ○地方公共団体議会議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 岩上二郎

    委員長岩上二郎君) ただいまから選挙制度に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月十八日、佐藤三吾君が委員辞任され、その補欠として及川一夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 岩上二郎

    委員長岩上二郎君) この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩上二郎

    委員長岩上二郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事上野雄文君を指名いたします。     ─────────────
  5. 岩上二郎

    委員長岩上二郎君) 選挙制度に関する調査議題とし、去る七月に行われました第三十八回衆議院議員選挙及び第十四回参議院議員通常選挙執行状況並びに選挙違反取り締まり状況につきまして、順次政府から報告聴取いたします。葉梨自治大臣
  6. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) この機会に、第三十八回衆議院議員選挙及び第十四回参議院議員通常選挙並びに第十四回最高裁判所裁判官国民審査の結果の概要について御報告申し上げます。  御承知のとおり、過般の選挙は、六月二日に衆議院が解散されたことに伴う総選挙と、七月七日に任期満了となる参議院通常選挙とが、七月六日に投票日を同じくして行われるという選挙でありました。  選挙当日の有権者数は約八千六百四十三万人で、前回の総選挙に比べ約二百十七万人、前回通常選挙に比べ約二百七十四万人増加しました。  次に、投票状況について申し上げます。  投票率については、前回の総選挙及び通常選挙とも史上最低投票率でありましたので、大変心配したところでありますが、衆参両院議員選挙に対する有権者関心が高まったこと、また投票当日は、多くの地域が曇りで天候に恵まれたことなどもありまして、有権者の出足は好調でありました。総選挙投票率は、前回投票率を三・四六%上回る七一・四〇%、また通常選挙投票率は、前回投票率を一四・三二%上回る七一・三二%でありまして、いずれも七〇%を超える投票率を記録いたしました。  次に、総選挙状況について申し上げます。  一、衆議院議員定数につきましては、さきの第百四回国会におきまして一人増員され、五百十二人とされております。  二、立候補状況について申し上げますと、今回の候補者数は八百三十八人で、前回の総選挙に比べ十人減少し、その競争率は戦後二番目に低い一・六四倍でありました。  三、次に当選人状況について申し上げます。  党派別に申し上げますと、自由民主党は三百人、日本社会党は八十五人、公明党は五十六人、民社党及び日本共産党はそれぞれ二十六人、新自由クラブは六人、社会民主連合は四人、無所属は九人となっています。なお、自由民主党無所属から四人を追加公認いたしましたので、これによりますと自由民主党は三百四人、無所属は五人となります。  次に、全有効投票に対する党派別得票率は、自由民主党四九・四%、追加公認を含めますと五〇 ・〇%、日本社会党一七・二%、公明党九・四%、民社党六・四%、日本共産党八・八%、新自由クラブ一・八%、社会民主連合〇・八%、諸派及び無所属六%、自由民主党への追加公認を除きますと五・四%となっております。  次に、通常選挙状況について申し上げます。  一、過般の選挙における改選議員数は、定数どおり比例代表選挙五十人、選挙選挙七十六人、合計百二十六人でありました。  二、立候補状況について申し上げますと、比例代表選挙につきましては、候補者名簿を届け出た政党は二十七政党であり、前回に比べ九政党増加しており、その届け出名簿に登載された候補者の数は二百四十三人で、前回に比べ五十二人の増、競争率は四・九倍でありました。選挙選挙候補者数は二百六十三人で、前回に比べ二十四人の増、競争率は平均三・五倍でありました。  三、次に、当選人状況について申し上げます。  党派別に申し上げますと、自由民主党比例代表選挙で二十二人、選挙選挙で五十人、合計七十二人。日本社会党比例代表選挙で九人、選挙選挙で十一人、合計二十人。公明党比例代表選挙で七人、選挙選挙で三人、合計十人。日本共産党比例代表選挙で五人、選挙選挙で四人、合計九人。民社党比例代表選挙で三人、選挙選挙で二人、合計五人。新自由クラブサラリーマン新党、第二院クラブ及び税金党比例代表選挙でそれぞれ一人。諸派無所属選挙選挙で六人となっております。なお、自由民主党無所属から二人を追加公認いたしましたので、これによりますと、自由民主党は七十四人、無所属は四人となります。  次に、比例代表選挙の全有効投票に対する党派別得票率は、自由民主党三八・六%、日本社会党一七・二%、公明党一三・〇%、日本共産党九・五%、民社党六・九%、新自由クラブ二・四%、サラリーマン新党三・一%、第二院クラブ二・五%、税金党三・一%、諸派三・八%となっています。  また、選挙選挙党派別得票率は、自由民主党四五・一%、追加公認を含めますと四六・一%、日本社会党二一・五%、公明党四・四%、日本共産党一一・四%、民社党四・六%、税金党〇・六%、諸派無所属一二・五%、自由民主党への追加公認を除きますと一一・四%となっています。  次に、選挙違反状況について申し上げます。  投票日後九十日目の十月四日現在の両選挙を合わせた検挙件数は五千三百八十七件、検挙人員一万一千九百人となっておりますが、前回の両選挙を合わせた検挙状況と比べ、検挙件数で三百六十五件、九・八%の増加人員で二千六百八十一人、二九・一%の増加となっております。  最後に、最高裁判所裁判官国民審査状況について申し上げますと、今回の国民審査は十人の裁判官について行われたものでありますが、その結果、罷免を可とする投票はいずれも有効投票の九・七一%ないし一一・〇四%程度でありまして、審査に付された全裁判官国民の信任を受けたのであります。  以上をもちまして、過般の衆議院議員選挙及び参議院議員通常選挙並び最高裁判所裁判官国民審査の結果の御報告を終わります。
  7. 岩上二郎

  8. 仁平圀雄

    政府委員仁平圀雄君) 本年七月六日に施行されました第三十八回衆議院議員選挙及び第十四回参議院議員通常選挙における違反取り締まり状況について御報告申し上げます。  選挙期日後九十日現在で集計しました数字は、お手元に資料としてお配りしております表に示したとおりでございます。  まず、総選挙について申し上げますと、検挙状況総数で五千百十四件、一万一千百七十六名となっておりまして、前回、すなわち昭和五十八年十二月に施行された総選挙における同時期の四千六百三十四件、八千百六十八名に比べますと、件数で四百八十件、一〇・四%の増加人員で三千八名、三六・八%の増加となっております。  罪種別に申し上げますと、買収四千六百四件、一万八十四名、自由妨害四十件、四十六名、戸別訪問百九十八件、四百九名、文書違反二百二十五件、五百九十二名、その他四十七件、四十五名となっておりまして、買収検挙事件のうち件数で九〇・〇%、人員で九〇・二%と最も多くなっております。  また、警告状況を申し上げますと、総数で一万五千八百七十一件でございまして、前回の一万四千五百十六件と比べますと千三百五十五件、九・三%の増加となっております。なお、警告事案のほとんどは文書関係についてのものでありまして、総件数の九五・一%を占めております。  次に、通常選挙について申し上げますと、検挙状況総数で二百七十三件、七百二十四名となっておりまして、前回、すなわち昭和五十八年六月に施行された通常選挙における同時期の三百八十八件、千五十一名に比べますと件数で百十五件、二九・六%の減少人員で三百二十七名、三一・一%の減少となっております。  罪種別に申し上げますと、買収百九十九件、五百七十七名、自由妨害十八件、二十名、戸別訪問十二件、二十四名、文書違反四十件、百名、その他四件、三名となっております。  また、警告状況を申し上げますと、総数で一万四百四件でございまして、前回の九千三百六十六件と比べますと千三十八件、一一・一%の増加となっております。なお、警告事案のほとんどは総選挙同様文書関係についてのものでありまして、総件数の九六・六%を占めております。  以上、簡単でございますが、概略を御報告申し上げる次第でございます。
  9. 岩上二郎

    委員長岩上二郎君) 以上で報告聴取は終わりました。     ─────────────
  10. 岩上二郎

    委員長岩上二郎君) 次いで、地方公共団体議会議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明聴取いたします。葉梨自治大臣
  11. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) ただいま議題となりました地方公共団体議会議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  御承知のように、都道府県及び市区町村を通じて、全国多数の地方公共団体におきましては、議会議員または長の任期が明年三月、四月または五月中に満了することとなるのでありまして、現行法によりますと、その任期満了前三十日以内にこれらの地方選挙が集中して行われることになるのであります。  政府といたしましては、前例にもかんがみ、これらの選挙の円滑な執行執行経費節減を期するとともに、国民地方選挙に対する関心を高める意味において、これらの選挙期日統一する必要があると考えます。  以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、期日統一する選挙の範囲につきましては、(一)明年三月から五月までの間に任期満了することが予定されている地方公共団体議会議員または長について、その任期満了による選挙を三月以降に行う場合、(二)これらの議会議員または長について、任期満了による選挙以外の選挙を行うべき事由が発生し、三月から五月の間に選挙を行うこととなる場合及び(三)明年三月から五月までの間に任期満了することが予定されていない地方公共団体議会議員または長について、選挙を行うべき事由が発生し、三月から五月の間にその選挙を行うこととなる場合について、これらの選挙期日統一することといたしております。  第二に、選挙期日につきましては、四月中に任期満了するものが最も集中していること、年 度末の地方議会の会期、選挙運動期間等の諸事情を考慮して、都道府県及び指定都市議会議員及び長の選挙についてはこれをまとめまして四月十二日とし、指定都市以外の市、町村及び特別区の議会議員及び長の選挙についてはこれをまとめまして四月二十六日とし、いずれの期日も、選挙人の便宜、投票所施設の確保の必要性等を配慮して日曜日といたしております。  第三に、この法律規定により統一した期日に行われる各選挙は、同時選挙の手続によって行うものとして選挙管理事務簡素化を図るとともに、都道府県選挙候補者となった者は、関係地域において行われる市区町村選挙候補者となることができないこととして重複立候補による弊害を除くことといたしました。また任期満了による選挙について、後援団体に関する寄附等禁止期間を各選挙期日前九十日から選挙期日までの期間とすることといたしております。  なお、この法律規定の適用を受ける選挙が行われることに伴い必要とされる事項については、政令で必要な規定を設けることができるものとし、選挙の円滑な執行を図ることといたした次第であります。  以上、地方公共団体議会議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  12. 岩上二郎

    委員長岩上二郎君) 以上で趣旨説明聴取は終わりました。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 及川一夫

    及川一夫君 二十分と限られている時間でございますから、できる限り臨時特例法律案にかかわっての御質問、御意見を申し上げたいと存じます。  まず第一に、地方統一選挙を行う意義につきまして、今自治大臣の方からも提案趣旨説明の中で述べられました。私も結構な話だというふうに思うのでありますけれども、問題は統一地方選挙という統一にふさわしい実態になって選挙が行われるかどうかということが大きな問題だというふうに思います。そういう意味で、自治省の方から出していただきました資料を検討させていただきますと、来年四月の地方統一選挙に参加する地方自治体というのは半分以下になっているということが実は明らかになっているわけであります。五十四年の四月段階で四一・五%、そして五十八年の四月には四〇・五%となって、来年の四月に行われる地方選挙では三九・五%というふうに参加する地方自治体というのが実は明らかになっているわけであります。  こうなってまいりますと、果たして統一地方選挙にふさわしい実態だというふうにはなかなか言えないわけでありまして、同時にまた、統一して地方選挙をやるという意義そのものが要するに宙に浮いてしまうということになるのではないかというふうに思いますが、提案実態との遊離について自治省の側としてどうお考えなのか、それをまずお聞きしたいというふうに思います。
  14. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 統一地方選挙を行う意義は、御指摘にもありますように、明年三月から五月の間にかけまして全国で多数の地方公共団体議員及び長の任期満了となりますので、ほぼ同時期に多数の選挙ばらばらに行われることによる混乱を避け選挙の円滑な執行を期すること、第二番目には、全国的に統一して選挙を行うことによりまして国民地方選挙に対する関心を高めることができ、投票率の向上にもつながると考えられますこと、第三には、同一の地方公共団体議会議員と長の選挙同時選挙として行うことなどによりまして、選挙執行経費節減が期待されることなどが考えられます。統一地方選挙はこのような意義を有しておりますから今後も実施していくことが適当であろうかと考える次第でございます。  また、先生御質問の後段でございますけれども、統一地方選挙昭和二十二年以来四年ごとに行われてまいりましたが、町村の合併や議会の解散、首長の死亡等によりまして統一対象となる選挙の数が選挙たびごと減少してきているわけでございます。自治省といたしましては、今後の統一地方選挙あり方につきまして問題意識は持っておりますけれども、統一対象となる選挙の数を増加させるためには、任期特例を設けるなど何らかの措置が必要でございまして、何分長い間の地方選挙の仕組みを変えることは関係者にも極めて大きな影響を与えることになりますので、各党の御意見はもちろんでございますが、当事者であります地方の方々の御意見も聞きながら今後研究してまいりたいと考えているところでございます。
  15. 及川一夫

    及川一夫君 問題意識を持っておられますから、そういう前提で論じなければならないというふうに思いますが、問題は、この四〇%以外の六〇%の地方公共団体ですね。この地方公共団体が、その他の月とか、その他の年とかいうところに任期満了の時期があると思うんですが、この六〇%をトータル的にグループ別に見ると大体どのぐらいのグループになるのか、まるっきりばらばらであるということなのか、実態についてお知りでしたらお知らせ願いたいと思います。
  16. 小笠原臣也

    政府委員小笠原臣也君) 統一地方選挙以外の地方選挙は全く実はばらばらに行われておりまして、結諭から言いますと、各年に平均して約千件近くの選挙件数が実施されておるのが今の実情でございます。
  17. 及川一夫

    及川一夫君 ということになりますと、少なくとも来年四月地方公共団体として参加する地方自治体以外は、先ほど大臣が申し述べられた統一選挙をやる意義の枠の外にある、機械的に言うなら、選挙意識の問題であるとか、政治意識の問題であるとか、あるいはまたいろんな意味選挙に対する効用、そういったものについてはらち外に置かれているということになるわけなんですが、問題意識を持っておられることはわかりましたけれども、それならば、どのようにこれ自体を解決をしていくのかということでどうしてもこれは早急に考えをまとめることが必要ではないかというふうに思うんです。  そうしますと、特に与党の幹事長である竹下幹事長さんが党中央研修会で、何か年一回の統一地方選挙と、任期の問題ではそれ自体法律でもって保障すればいいではないかという意味合いを含めて御発言なされているんですけれども、このことに対して、大臣として大体どういう受けとめ方をされているか、お聞きしておきたいと思います。
  18. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 竹下幹事長の御提言につきましては、新聞を私も読んだ程度でございまして詳しいことは承知しておりませんが、新聞報道によりますと、毎年十月ごろに地方自治の日を設けて、その年の地方選挙を全部まとめて実施したらどうかと、こういうことのようでございます。かつて第十六次の地方制度調査会からも、ほぼ同じような趣旨の答申がなされておるわけでございますし、任期延長を伴うこととか、都道府県と市町村選挙をすべて統一することになりますと無効投票が大分出てくるんじゃないかとか、管理執行上の支障等も懸念されるなどの問題点もあろうかと思うのでございます。  いずれにいたしましても、しかし竹下幹事長の御発言は傾聴に値する一つの御意見ではないかと考えておりまして、今後の地方選挙あり方につきましては関係各方面の御意見を聞きながら研究してまいりたいと思う次第でございます。
  19. 及川一夫

    及川一夫君 傾聴に値するという評価だということがわかりましたけれども、もちろん今日の実態は、先ほど御報告いただきましたように、年に必ずどこかで選挙が行われているということですから、年に一回まとめて行った方がいいのではないかというのも確かに一つの物の考え方であるかもしれませんね。しかし実際問題として、それを統一してやるということになりますと、それだけ地方自治体行政というものが一体どうなるのか、まとめてですからね。一千の地方自治体が一 斉に、行政自体について別に滞るわけじゃないでしょうが、一つ休職状態になるというようなことが毎年毎年行われるというようなこと、それから各政党にとってもそういう統一地方選挙に対して毎年毎年いわば選挙をやらなきゃいかぬというようなこと等から見て、果たして一年に一回まとめてやるということがいいのか悪いのかということと同時に、そういう地方自治体もあれば、四年に一遍まとまってやる地方公共団体もあるというようなことでは、やはり選挙の公平というような問題から見ても果たしてどうなんだろう。  私は、逆に、竹下幹事長提案というのは余り評価することができないなという気持ちがするわけなんです。もし竹下幹事長が言われるようなことで、任期の問題について、切るにしても延長するにしても、一定の特例法律でもってやれば憲法上も可能なんだというならば、私は、むしろ四年にいかにして統一するかという立場に立っての検討こそが、それこそ二十二年以来やってきている地方統一選挙に対するまじめな対応ということになるんじゃないかというふうに思うんです。  そういう意味では、いろいろ方法考えられるでしょうけれども、いずれにしても、この四年間のうちの任期途中でいわば選挙をやらなきゃならないような事態、あるいは補欠選挙をやらなきゃならぬような事態というのは、残存期間任期にするというふうな方法原則にしていけば、かなり四年に一遍の地方統一選挙というものは守られていくということに私はなってくるんだと思いますね。もちろん過渡的には、現在そんな統一されたものがありませんから、ばらばらになっていますから、そういう意味ではそれこそ法律でもって特例内容を盛ったものを決めて、時と場合によれば任期延長であるとか、あるいは任期を切り捨てるということは、どうも憲法上から言うと、延ばすよりも切り捨てる方がそれとなく権利を切り捨てたというような意味合いに通じますから憲法上の問題が出てくると思うんですが、任期を半年とか、一カ月とか、あるいは三百六十四日ですか、延ばす場合もあるんでしょうけれども、そういうような特例法でもって対応するということも可能じゃないか。だから四年というものを原則にして、いずれにしても集中した、統一した選挙を行うために知恵を出すということが私は非常に大事だと思うんですが、いかがでしょうか。
  20. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 今先生が言われました御提言は、すべての選挙統一して行うという点におきまして大変有効な方法ではないかと思います。しかし、このような任期特例を設けるということは、長い間定着しております地方選挙の仕組みを変えることとなりまして、関係者に与える影響が大変大きくなると思われますので、先生の御提言も含め、自治省といたしましても、関係者の御意見などを十分伺いながら、今後の統一地方選挙あり方についてさらに研究を進めてまいりたいと、このように考える次第でございます。
  21. 及川一夫

    及川一夫君 わかりました。今自治大臣がおっしゃられた問題点は確かに私もあろうと思いますし、今ここでこれだというふうに主張するほどの強硬な気持ちは持たないのですが、ただ少なくとも四年後、六十二年の四月から四年後の地方統一選挙に向けてはやはり何らかの解決の方向というものを出していきませんと、恐らく今までの数字の流れから言えば、また四年後には地方統一選挙に参加をする公共団体というものがもっともっと下がってくることになるんだろうと思うんですね。ということになりますと、何の意味地方統一選挙はなさないということになりますから、今自治大臣がお答えになりましたように、できるだけ速やかに検討機関をつくっていただきまして、そして対応することが大事ではないかということを強く要望申し上げておきたいと思います。  第二点としてお聞きしたいというふうに思うんでありますが、これは昨日の逓信委員会でも若干問題にしたんですが、時間が余りありませんでしたから、幸い担当が自治省であるということを含めまして御質問を申し上げたいんですけれども、要するに、聾唖者の方が選挙立候補されて、ことしの同日選挙で政見放送が全く声が出ないまま放映されたという問題が発生をいたしました。  NHK自体法律に基づいてということになるし、法律の解釈論をやる場所でもないものですから、要するにお断りをしたと。それが自治省の方にもはね返って、法律では本人以外はということになっているからだめだと、こういう意味でこれまたお断りになって、結果としては立候補者の権利というものをそれこそ大きく阻害する結果になってしまった。こういうことは果たして許されていいのかどうかということになると、それぞれが問題意識を私は持たれると思うんですね。  そこで、第一にお聞きしたいのは、実は、自治省がそういうふうにお答えになる物のとらえ方の問題なんですが、法律上こう書いてあると、こう言うけれども、もともと公職選挙法というのは聾唖者の方が立候補されるという前提に立って、それで論じた今日の公職選挙法なのかどうかということです。こう考えてみますと、私の記憶によれば、どうもそんなことを前提にして選挙法が論じられたという記憶は全くないんですね。ですから、そういうものはあり得ない話として話題にもならなかったという中でつくられたのが今日の公職選挙法であろうと思うんですね。  それは対して、あり得ないことが起きてしまったということになってまいりますと、法律の解釈論じゃないと思うんですね。法律では全く予想してないんですから、新たな事態だということになるわけでして、それにどこでどう対応するかということになれば、ある意味での緊急事態ですから、中央選管とか、地方選挙管理委員会とか、そういったところで一定の結論を出してやるような方法というものは当時とることができなかったのかどうか。そういうとり方をしてなおかつだめだということにはいろんな理由、説明はつくと思うんですね。  例えば、手話をする人が少ないとか、あるいは言葉の問題として方言を表現する手話の方法が違うとか、したがって、まとめて正確な意味選挙民に対して聾唖者の意思を伝えることができない、したがって今回はどうにもならないということで勘弁を願うとか、そういう説明になるはずだと思うんですが、法律は本人以外だめだというからだめだと、これだけでは余りにも官僚的な答弁じゃないか、こんなふうに感ずるんです。  そうしますと、中央選管の一体役割というのは、そういうことは一切ないんだろうか、緊急事態に備えて論議をして、これはこうするというようなことは決め切れないんだろうか。地方選挙管理委員会もそうだと思うんですが、私から言えば、選挙管理委員会の役割と任務とは何なんですかということをまずお聞きしたいというふうに思うんです。
  22. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 政見放送への手話通訳の導入の問題につきましては、聾唖者団体の皆様からも御要望がございました。これまでもNHKと放送事業者と種々協議を行いながら検討を進めてきたところでございます。  政見放送の実施につきましては、基本的にはできるだけ多くの方に候補者の政見の内容が伝わるようにその便宜を図ることが必要であると考えておりますが、政見放送は、限られた短い時間に多くの候補者につきまして公正に制作、実施しなければならないという点がございますし、すべての候補者に対しまして公正な取り扱いをしていかなければならないということが特に厳しく要請されているものでございますので、そうした政見放送の性格上、検討を要すべき技術上、制作上の問題点が、今先生もお述べになりましたが、たくさんあるわけでございます。  こうした問題点につきましては、現在NHK等の放送事業者と協議し検討を行っているところでございまして、また近く学識経験者から成ります研究会を設けまして専門的な検討をお願いすることといたしておりまして、今後十分検討を進めてまいりたいと思う次第でございます。
  23. 及川一夫

    及川一夫君 時間も来ているようでありますから、この問題の最後のくくりをしておきたいと思 いますが、大臣お述べになりました点、わかりました。したがいまして、次の選挙の機会、衆議院の場合突然異変がありますから、それを意識するとまたおかしくなりますけれども、どちらにしても、三年後といいますか、参議院段階では三年後改選者が出るわけでして、少なくともそれまでの間にはこの問題の結論というものが出せるように、ぜひ努力をしていただくようにお願いをしたいと思います。  かてて加えて、私は、この種問題というのは聾唖者だけの問題ではないんではないかというふうに思うんであります。つまり一つには、中国残留孤児の皆さんが帰国をされてくる、そして国籍が復活をする、そして選挙にも立候補される。日常日本語はできるけれども、選挙ということになりますと政治用語が入ってくる、大変難しい。したがって、自分の意思を伝えるには何とか中国語を使わしてもらえないかということが出てこないとは私は限らないというふうに思うわけであります。  しかも、日本の場合には、多民族国家でないということを何となく誇りにする意見があるんですけれども、もう国際的にはそういう感覚はやめた方がいい。恐らく多民族国家はならなければ、逆に国際的な評価も大変なことになってくる時代が私はやがて来ると思う。そうしますと、日本に帰化をして、日本の国籍を持って立候補するという権利が出てくる。フランス人であれ、ドイツ人であれ、あるいはまたイギリス人であれというようなことが私は出てくるように思うんですね。こういった方々が立候補されたときに、日本語でなく英語、ドイツ語、フランス語と、こう言われたときにどうするのか。問題が起きてから考えるでは私は遅いと思うんですね。  そういう可能性のあるものについては、やはり事前にそういったことを十分検討しておくということも私は大事じゃないかと思います。もちろん聾唖者の問題と若干趣を異にしますけれども、いずにしてもこういった問題が出てくるということを私は強く認識をいたしておりますので、ぜひ自治省の担当の方でも十分検討をいただくことをお願いをいたしまして終わりたいと思います。ありがとうございました。
  24. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 ちょっと話は古くなるんですけれども、さきの衆参同日選挙に関連して二、三点伺いたいと思います。  まず第一点は、改正公職選挙法の公布手続について少し伺いたいと思います。  御承知のとおり、法律は国会で議決、成立してから公布されて初めて国民に対して規範として妥当する、作用し得ることになるわけであります。法律の公布ということは、憲法上、形式上は天皇の国事行為ということになっておりますけれども、その公布の実質上の権限は内閣に属している、このように私は考えます。内閣は、法律を公布するについて、官報を販売するという方法によって行っているわけであります。  この改正公選法は本年五月二十二日に、成立し、翌二十三日に公布されました。この改正公選法の公布の日が通常の法律の公布に比べて甚だ異常に早いということに関して今からお伺いしたいと思うんであります。  御承知のとおり、法律は、国会法によって奏上の日から三十日以内に公布する、このように規定されております。そこで、どなたに伺うのかよくわかりませんが、一般的に法律が国会で議決成立してから公布までの間、通常どのくらいの期間で行われているか、これについてお伺いしたいと思います。
  25. 古川貞二郎

    説明員古川貞二郎君) お答え申し上げます。  法律の公布の日につきましては、法律内容とかそういったこと等によっていろいろ変わるわけでございますが、一般的に申し上げますと、大体閣議決定後中二日というふうにすることが多うございますが、法律内容あるいはその所管の省庁の御意向等々も踏まえまして、中二日、あるいは翌日、あるいは法律が可決されましたその日というような例もございます。  以上でございます。
  26. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 この五月二十二日に成立した法律の本数と公布の日についてお伺いします。
  27. 古川貞二郎

    説明員古川貞二郎君) お答え申し上げます。  第百四国会において成立いたしました法律でございますが、五月十四日に成立いたしました法律につきましては成立法律が十本でございます。それで公布につきましては、五月十四日成立のうち一本が五月十五日でございます。それから五本が五月二十日に公布されております。それから一本が五月二十三日。残りの三本が六月十日公布というふうな状況に相なっております。
  28. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 私の今質問したのとちょっと答えが違っております。  私が先ほど質問したのは、五月二十二日に、要するに改正公選法と同日に成立した法律の本数とこれの公布の日にちをお伺いしたわけです。
  29. 古川貞二郎

    説明員古川貞二郎君) 失礼いたしました。  五月二十二日に成立いたしました法律は四本でございます。公選法の一部を改正する法律が二十三日公布、それから国会法の一部改正法が五月二十六日、それから安全保障会議設置法が五月二十七日、その他六月十二日というふうに相なっております。
  30. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 今度は逆に、五月二十三日に公布された法律の成立の日にちを言ってみてください。
  31. 古川貞二郎

    説明員古川貞二郎君) 五月二十三日に公布されました法律は、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案が、成立は五月十四日になってございます。それから五月十六日に成立した法案が八本ございます。それからあと、公職選挙法が五月二十二日成立でございます。
  32. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 今私が伺ったところによれば、五月二十二日に成立した法律の公布の日時、あるいは五月二十三日に公布された法律の成立の日時、それぞれから帰結される結論は、あなたが先ほどおっしゃったような、大体法律は閣議決定して二日ぐらいの間で公布されていますというお答えと大分かけ離れているように思いますが、いかがですか。
  33. 古川貞二郎

    説明員古川貞二郎君) この国会におきまして、申し上げた法案、全体的に今申し上げたような二、三日のところで公布されたものが相当数ございますし、先生おっしゃるように、もう少し時間がたって公布されたものもございますが、一般的に、昨今の法律の成立とそれから公布の状況を見てみますと、申し上げましたような状況にございます。そういうことでございます。
  34. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 ところで、改正公選法は、成立したのが五月二十二日の夜、午後十時ごろです。ところが、二十三日公布というふうなことで、非常に常識では考えられないような早さで公布されておりますけれども、このような異常に早い公布方法を決定した人と決定した理由を伺いたいと思います。
  35. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 御案内のように、公職選挙法の規定が最高裁から違憲の判決があって、違憲状態を一刻も速やかに脱却する必要があるということで、国会の与野党の皆さん方の非常な御努力の結果、ようやく法律が成立をしたわけでございます。基本は、やはり各党とも違憲状態をこれ以上放置するわけにはまいらない、こういう高い立場での与野党間の妥協であったと思います。  そこで、法律が成立をいたしました以上は、政府としましては、実態的に一日も早くこの違憲状態を克服するという意味合いもあり、速やかに公布の手続をとる必要がある、こういう判断のもとに、私どもとしては、公布を二十三日ということで閣議で決定をして、そういう速やかなる公布手続をとった、これが理由でございます。
  36. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 これに関連して、この改正公選法を公布するために官報を全国各官報販売所に配付した。その手続の異常性についても私としては伺いたいんですが、いずれにせよ、通常の官報頒布方法、輸送、販売の方法でない、飛行機を使うと か新幹線を使うとか、このような方法で官報を配付した。この点についても、通常の方法と違って、これほど急いで輸送、頒布したということの理由は、ただいま官房長官のお答えのような理由だったのでございましょうか。
  37. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) そういうような考え方のもとに、確実に一日も早く送付する必要があるということで手続をとらせていただきました。  もちろん法律解釈は、官報の公布の日はいつか、こういう厄介な問題がございますが、これは既にたしか判例等もはっきりいたしております。これは印刷局の表に出し、そしてまた中央販売所——東京にございますが、そこの販売所の表にそれを張り出せば、それをもって一般国民に公示を知り得る状況に置いた、こういうことで当該法律は公布をせられたと、こういう解釈になっておるわけでございますが、そうは言いながらも、やはりできる限り各県それぞれの官報取扱所に一日も早く送付する必要があるというようなことで、法律の解釈は別として、速やかなる送付の手続をとった、これが実態でございます。
  38. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 法律は、先ほども申し上げましたように、公布されて、そして施行されて初めて国民に規律として妥当するわけなんです。そうすると、公布という手続は、法律をつくるということ以上に、実際に国民に妥当するというためには非常に重要な行為です。  で、私が伺いたいのは、どの法律は重要な法律だから早く公布するとか、この法律は大した法律じゃないからゆっくり公布するとかなどという判断を行政権の主体であるにすぎない内閣がなし得るんだろうか、この点が私は非常に疑問なんです。  そこで官房長官に伺いたい。ある法律が重要だから早くやるとか、ある法律はどっちでもいいから遅くするとかなどという権限を内閣が持っている法的根拠を伺いたい。
  39. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) それは法律上は、法律の公布というのは、私の記憶に間違いがなければ、三十日以内に公布の手続をすべし、こういう法律がございますので、その法の範囲内において内閣の決定にゆだねられておる、かように理解をいたしております。
  40. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 国会法において、法律は三十日以内に公布しなければならないと、こう規定はあるんです。  私が伺いたいのは、特別な理由が、何らかの外的事情がある場合に、成立の日時と公布の日時の間にずれが仮にあるにしても、その法律内容について、例えば、今度の改正公選法は違憲状態を解消する法律だから早くしようとか、あるいは今回の法律はどうも実質的に憲法に違反するような法律だからゆっくりやろうとかいうふうな、法律内容について内閣が解釈して、そして公布の日時の前後を決めるというふうな権限がどこにありますかということを伺っているんです。もう一度お答えいただきたい。
  41. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今お答えしましたように、現在の制度のもとでは三十日以内に法律の公布をするという権限が行政府、つまり内閣に与えられておる。内閣といたしましては、いずれにせよ、いかなる法律といえども、立法府の意思が決定をして法律が成立をした以上は、三十日以内の相なるべくんばできる限り速やかなる時期に国民にそれを公布をして知らせるというのが行政府のあるべき姿であろう、私はかように理解をいたしております。
  42. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 ただいまの官房長官のお答えは、私から言わせれば全然お答えになっていない。なぜか。  私が伺っているのは、特定の個々の法律について早く公布した方がいいとかゆっくりでいいとかという判断を内閣がなぜ持つのか、そのようなことを持つ権限を、内閣は憲法上のいかなる権限に基づいてそういうふうなものを持っているかということを伺っているんであって、三十日以内にできる限り一生懸命早く公布しろと、これは一般論で当たり前のことなんです。ただ、もう時間がありませんので、もう一度この問題については後々伺いたいと思います。  それから、衆参同日選挙に関して、内閣の衆議院解散権の問題について一点お伺いしたい。  第百四国会が五月二十二日に閉会になりました。そうすると、参議院通常選挙は本来ならばいつのどの期間に行われる予定になるわけでしょうか、法律上、いかがでしょう。
  43. 小笠原臣也

    政府委員小笠原臣也君) お答え申し上げます。  七月七日の任期満了に伴います参議院議員通常選挙につきましては、第百四国会が百五十日の会期で五月二十二日閉会ということになっておりましたので、お尋ねのような場合、仮定の話になるわけでございますけれども、公職選挙法の第三十二条第二項の規定によりまして、国会閉会の日から三十一日以後三十五日以内、すなわち日はちで申しますと六月二十二日から六月二十六日までの間に行われることになっていたわけでございます。日曜日を前提にすれば六月二十二日ということになるわけでございます。
  44. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 ところが、その後百五臨時国会が召集され、直ちに衆議院解散となり、国会は閉会になった。このために、結果的には衆参同日選挙は可能になったわけです。  私が伺いたいのは、衆議院を解散することを前提にして国会を召集し、議席の指定すらない間に衆議院が解散された。こういうことを結果から見れば、衆議院を解散するためだけの臨時国会の召集であった。このような臨時国会の召集は、参議院にとってはただ召集されて集まってみた、集まってみたら終わりだそうだというだけのことになる。これが衆参同日選挙を法的に可能にするための便法としての臨時国会召集であったとしたら、この臨時国会召集は参議院軽視、参議院の無視、このように考えますが、官房長官いかがでしょうか。これで質問を終わりたいと思いますけれども、お答えいただきたい。
  45. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) ただいまのような御意見は、当時もしばしば私どもも聞かされて承知をいたしておるわけでございますが、それについての私どもの考え方は、六月二日、政府声明の中でこういうことを申し上げております。「先の国会において、昨年の最高裁判所の判決によって違憲とされた公職選挙法の衆議院議員定数規定が、衆議院議長の調停と与野党の協力の下に改正され、これを契機に、改めて国民の審判を仰ぐことが強い要請となってまいりました。」と。つまり、違憲状態を一刻も速やかに解消すべしということで与野党の非常な御協力のもとに公選法が改正せられた以上は、現にある違憲状態を実態的に一日も早く解消する必要がある、これが一点でございます。  もう一つは、内外の経済情勢の変化に対応したもろもろの対策は現在の重要な課題であって、殊に円高等の問題があって、参議院議員の四分の一以上の方々から、憲法規定に従って臨時国会の召集をすべしという要請が出されたわけでございます。  こういったような二つの理由を踏まえまして、政府としては、これらの事態を真剣に受けとめて、国民の声を聞いて適切な対応を図るべく臨時国会を召集をしたわけでございますが、やはり何といいましても、情勢の推移にかんがみて、政府としては、違憲状態を実態的に是正をして、国民の声を聞いた上で国民的な諸課題に対応する態勢をとる必要があると、こういうことで解散を断行したわけでございます。たまたま、時を同じゅうして、参議院議員通常選挙期日が参っておりまして行うことになったということで同日の選挙を行う、こういう決定をいたしたような次第でございます。
  46. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 時間ですけれども、一点だけお願いしたいんですが、先ほど社会党の及川先生から質疑がございましたが、聾唖者の選挙運動、特に、私は候補者である聾唖者の政見放送について直ちに是正策を講じていただきたいと、このように思います。聾唖者の方が有権者として、受け身 の立場じゃなくて、候補者としての政見放送をするについては直ちにできるはずです。その点御検討いただきたいと思います。  以上でございます。どうもありがとうございました。
  47. 諫山博

    ○諫山博君 昭和六十年四月五日の参議院の予算委員会で、共産党の内藤功議員が四人の大臣関係した違法な政治献金問題を取り上げています。寄附をしてはならないのに寄附をした、寄附を受けてはならないのに受け取った。いずれも三年以下の禁錮または二十万円以下の罰金。具体的な事実を指摘したのに対して、関係大臣は「大変申しわけない」、あるいは配慮が欠けてミスをした、訂正をしました、こういう答弁をしています。警察は「現在調査中でございます。」、法務省は「適切な処理がなされるものというふうに考えております。」、古屋自治大臣は「不偏不党、選挙法の手続に従って適正に措置すべきものだと考えております。」、こう述べています。それから一年半ばかりたちましたけれども、この事件は刑事的にどう処理されたか。具体的には、逮捕したか、家宅捜索をしたか、起訴したか、起訴をしなかったとすれば起訴猶予だったのか、嫌疑なしの不起訴だったのか、以上について説明してください。
  48. 仁平圀雄

    政府委員仁平圀雄君) 御指摘の事案につきましては、関係都道府県警察におきまして関係者からの事情聴取を初め所要の調査等を行いました結果、七件、十七名を公選法第百九十九条第一項、それから同法第二百条第二項等の違反容疑によりましてそれぞれ送致しているところでございます。
  49. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) 事件の処理についてでございますが、お尋ねの事件につきましては、検察庁におきまして、ただいま警察庁の刑事局長からありましたように、被疑者十七名を受理いたしまして、いずれも不起訴処分にいたしております。不起訴処分の内訳は、死亡した被疑者が一名、それから嫌疑不十分である被疑者が二名、起訴猶予としたものが十四名でございます。  以上でございます。
  50. 諫山博

    ○諫山博君 警察に今の事件で質問します。  逮捕及び家宅捜索はありましたか。
  51. 仁平圀雄

    政府委員仁平圀雄君) ございません。
  52. 諫山博

    ○諫山博君 昭和六十年五月十一日の参議院の補助金等に関する特別委員会で、中曽根総理の関係した政治団体で山王経済研究会の献金が取り上げられています。これは、累積赤字三十億円という会社が違法な政治献金をしているという指摘をしたのに対して、古屋自治大臣は「至急調べまして、違法であるかないかお返事いたしたいと思います。」と答えておられます。この事件についてはどういう刑事的な処置がされたか、答えてください。
  53. 仁平圀雄

    政府委員仁平圀雄君) 御指摘の事案につきましては、警視庁において所要の調査等を行ったわけでございますが、違反の程度、事後改善措置等を総合的に判断いたしまして、政治資金規正法違反として刑事責任を問うまでの事実を把握するに至らなかったということでございます。
  54. 諫山博

    ○諫山博君 最初の説明では、嫌疑があったけれども軽微だからそのままにしたというように聞こえましたが、違いますか。
  55. 仁平圀雄

    政府委員仁平圀雄君) 違反の程度もさることながら、その後の改善措置等々、諸般の状況を総合的に判断いたしまして、刑事事件としては措置しなかったということでございます。
  56. 諫山博

    ○諫山博君 結局、犯罪は成立するけれども送検するほどの事件とは判断しなかったということですか。
  57. 仁平圀雄

    政府委員仁平圀雄君) 法律の形式的な違反と私どもが検挙に値するかどうかということとは別でございまして、社会で法律違反の事案があるからといって、それをすべて立件送致するというわけにはまいらないわけでございます。
  58. 諫山博

    ○諫山博君 昭和六十年九月十九日の参議院の決算委員会において、共産党の安武洋子議員が中曽根総理の関係した東京興産の違法な政治献金問題について取り上げております。警察の説明は「今後事実関係を把握した上で、適切に私どもとしては対処いたしたいと思っております。」となっていますが、この事件はどうなりましたか。
  59. 仁平圀雄

    政府委員仁平圀雄君) ただいま御指摘の事案につきましても先ほどの事案と同様でございまして、これも関係者間の事情聴取を初め所要の調査等を行いました結果、証拠上刑事責任を問うまでの事実は把握するに至らなかったという報告を受けているところでございます。
  60. 諫山博

    ○諫山博君 この種の事件は形式的な犯罪行為ですよれ。例えば、政治献金をしていいのか悪いのか、これは団体によって決まっております。これには中間はないわけですよ。そういう観点からいけば違法ではないですか、両事件とも。
  61. 仁平圀雄

    政府委員仁平圀雄君) 先ほども御答弁申し上げましたように、形式的に法律に違反しているからといいましても、直ちにそれを立件送致するということにはならないわけでありまして、これは捜査機関として、やはりこういう刑事事件として措置すべきかどうかという判断をしているわけでございます。そういうことで、これは、いずれの事案につきましても、これはもう少し具体的に申し上げますと、返還等の措置がとられておる、いわゆる事後改善措置等がとられているということ、それからさらには違反の程度というようなことを総合的に判断して、これは刑事事件として送致するのはどうかということでございまして、それは形式的に言えば法律に抵触しているということは言えると思います。しかし、それは事件として送るかどうかということとは別でございますので、その点御了承いただきたいと思うわけでございます。
  62. 諫山博

    ○諫山博君 ことしの九月三日ごろ、中曽根総理系の政治団体の違法な政治献金ということで各紙が非常に大きく報道した問題があります。例えば毎日新聞は、見出し「平和相銀の筆頭株主 首相系団体に一千万献金」、その中の記事として「一年間の限度額(一千万円)を超えており、自治省では近く事情を聴く。」というのが毎日新聞の報道。その中には、中曽根総理の第一秘書の発言として「「選挙もあるし、金がいるだろう」と献金してくれた。」という説明になっております。これは、「自治省では近く事情を聴く。」という新聞報道になっていますが、政治資金としての取り扱いあるいは刑事上の処置はどうなったでしょうか。
  63. 小笠原臣也

    政府委員小笠原臣也君) 自治省といたしましては政治資金規正法を所管しておるわけでございますが、自治大臣にはいわば形式的な審査権しか付与されておりませんので、実態に立ち入っていろいろ調査することは実はできないわけでございます。ただ、新聞報道等がございましたので、収支報告書を調べてみました。そうしましたところ、ただいま御指摘のありましたように、一千万円の総枠を超えておるのではないかというようなことが考えられましたので、そういう関係団体にその旨を伝えて事実の確認を求めたわけでございます。
  64. 仁平圀雄

    政府委員仁平圀雄君) 警察といたしましても、具体的な事実関係を明らかにした上で適切に対処したいと考えておるところでございます。
  65. 諫山博

    ○諫山博君 そうすると、両方ともまだ調査中で結論は出ていないということになりますか。
  66. 小笠原臣也

    政府委員小笠原臣也君) 先ほども申し上げましたように、私どもは形式的な審査権しか持っておりませんので、形式上一千万円を超えておるんではないかというふうに思われましたので、関係団体に通知をいたしまして確認を求めたわけでございます。  なお、申しおくれましたけれども、その関係団体では、総枠制限を超える二百万円につきまして、それぞれ百万円ずつ関係団体に返還をしたというふうに聞いております。
  67. 仁平圀雄

    政府委員仁平圀雄君) 厳密に言えば、現在なお引き続き調査等を行っておるというところでございます。おおむね調査等は終了しておるという段階でございます。
  68. 諫山博

    ○諫山博君 今度は問題を変えます。  昭和五十八年の東京都知事選挙のときに革新統 一候補である松岡英夫候補の証紙の張ってあるポスターを貯金局で働いている国家公務員が公営掲示板に張った。ところがこの労働者は逮捕されました。そして五十名の警察官が日本共産党台東地区委員会事務所に家宅捜索に来て、六時間にわたって家宅捜索をしました。そのときに押収した物件が千数百点です。こういう事件がありましたか。あったとすればこの刑事処分はどうなったか、検察庁の方から、法務省の方から説明してください。
  69. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) この件については前に別の委員会で私どもの方で答えているのではないかと思いますが……。  それではお答えいたします。  お尋ねの事件につきましては、東京地検におきまして五十八年五月二十一日に国家公務員法違反の罪で被疑者六名のうち二名を身柄つきで事件送致を受けまして、翌五月二十二日、両名につきまして東京地方裁判所に勾留請求をいたしましたところ勾留状が発付され、その後勾留延長請求も認められましたが、同年六月七日、東京地検におきまして両名を釈放しております。他方、残りの被疑者四名につきましても、東京地検におきまして、同年五月二十七日、在宅で事件送致を受けましたが、同年十一月十一日、被疑者六名全員につきまして不起訴処分にいたしております。  以上でございます。
  70. 諫山博

    ○諫山博君 この被疑事件は公営掲示板に証紙の張ってあるポスターを張った、ただ、たまたまその人が国家公務員だった、そういう事件でしょう。そしてそれに対して、千数百点が押収された事実はありますか。
  71. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) 捜索関係につきましては私どもの方では今のところ資料を持ってきておりません。
  72. 諫山博

    ○諫山博君 では警察にお聞きします。  千数百点の証拠物が押収され、その中の一部が裁判所から還付命令が出ている。還付命令の出た証拠物件の中には、例えば地区委員会構成名簿、経歴報告書、承認申請書、こういう共産党の内部資料が含まれていたはずですが、いかがでしょう。
  73. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) ただいま御指摘の事件で捜索、差し押さえを行った事実はございますが、差し押さえました内容物等につきましては、これは証拠物そのものでございますので、内容につきまして御答弁するのは差し控えさしていただきたいと思います。
  74. 諫山博

    ○諫山博君 答えないのは全く不当ですけれども、法務委員会では法務省はこの点説明してありましたけれどもどうですか。
  75. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) 準抗告の決定書によりますと、経歴名簿、それから支部会議、地区委員会、経歴書等が押収されていたように記載されております。
  76. 諫山博

    ○諫山博君 そして相当の部分が、裁判所から還付命令が出て共産党に返還されたでしょう。
  77. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) 準抗告の決定によりまして、一部取り消されておりまして、還付されていることはお尋ねのとおりであります。
  78. 諫山博

    ○諫山博君 昭和五十八年の十一月に建設省が管理している砂防堤にポスターを二枚張った労働者が軽犯罪法違反で逮捕されました。そして大規模な家宅捜索を受け、共産党の多数の内部資料が押収されました。しかも裁判所の命令で押収した物件の一部は共産党に返還されました。返還された証拠物の中には「赤旗日曜版領収書綴」というようなものまで入っていました。そういう事実がありますか。同時に、これは刑事処分としてはどうなりましたか。
  79. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) お尋ねの事件につきましては、東京地検八王子支部におきまして、五十八年十一月二十五日、被疑者二名を軽犯罪法違反の罪名で身柄つきで事件送致を受けまして、即日釈放の上、同月二十八日、両名とも不起訴処分に付しているところでございます。
  80. 諫山博

    ○諫山博君 多数の証拠物件を警察が持っていって、後で裁判所の命令で一部を返還したことはありますか。
  81. 三島健二郎

    政府委員三島健二郎君) この事件につきましても、令状によりまして必要な捜索、差し押さえをいたしましたが、当時捜査の必要から必要だと考えられたものにつきましての差し押さえをいたしておるところでございます。
  82. 諫山博

    ○諫山博君 法務省、差し押えが違法だとして一部が返還命令になったでしょう、どうですか。
  83. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) 東京地裁の八王子支部の決定によりますと、そのようになっております。
  84. 諫山博

    ○諫山博君 昭和五十八年の十二月に、選挙直前に商店街の人たちに文書を配っていたところが、事前運動だ、法定外の文書配布だということで共産党の運動員が逮捕されました。そして多数の証拠物が押収され、警察に持っていかれましたけれども、後日、裁判所の命令でこの書類の一部が返還させられております。この中には六十余名の党員証まで含まれていますけれども、そういう事実があったかどうか、法務省の方から説明してください。
  85. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) 準抗告の決定書によりますと、そういう事例があったと思います。
  86. 諫山博

    ○諫山博君 私は、事例を数え切れないくらい用意しておりますけれども、限りのある時間ですから事例を挙げることはやめます。  そこで、私は大臣にお聞きします。不偏不党というのは警察法の大原則です。私が、なぜ国会で取り上げられた国会議員に関する選挙違反、政治資金規正法違反を殊さら問題にしたかといいますと、こういう事件では家宅捜索はされないし、逮捕もされないし、どうも大部分は送検さえされていない。ところが共産党の運動員の場合、あるいは都知事選挙で革新統一候補の運動員の場合は、公営掲示板にポスターを張っただけで逮捕され、家宅捜索を受ける。商店街でビラを配っただけで逮捕され、家宅捜索を受ける。そのときに、事件と全く関係のない共産党の文献を持っていく。これは違法ですから後で裁判所から返還命令が出ます。返還命令が出ても、一たん警察が押収したわけですから、知りたいことは全部警察は知ってしまった。これが今の選挙違反の取り締まりの実態です。こういう状況になっていることを大臣は御存じでしょうか。
  87. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 警察といたしましては、違法行為に対しましては適法かつ妥当、不偏不党かつ厳正公平にその取り締まりに当たってきておりまして、今後ともこの姿勢を堅持していくことが必要であると考えているところでございます。
  88. 諫山博

    ○諫山博君 この種の事件は、その気になれば無数と言っていいぐらい例があるんですよ。私は、自治大臣に、警察の総責任者でもあられるわけですから、ぜひこの実態を調べていただいて、今後不偏不党でやっていただくことはもちろん必要です。しかし同時に、過去にこういう事例があったし、今度の同日選挙の中でもたくさんの共産党の運動員が電柱にポスター一枚張ったというだけで逮捕され、家宅捜索を受け、そして警察が警備情報活動の必要資料を犯罪捜査という名目で押収しているという実態があることをぜひ調べていただいて、そういうことが絶対に繰り返されないように注意してください。どうでしょう。
  89. 葉梨信行

    国務大臣葉梨信行君) 先生の御質問の御趣旨はよく検討させていただきたいと思います。
  90. 諫山博

    ○諫山博君 終わります。
  91. 岩上二郎

    委員長岩上二郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようですから、直ちに採決に入ります。  地方公共団体議会議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  92. 岩上二郎

    委員長岩上二郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 岩上二郎

    委員長岩上二郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十二分散会