○井上計君 まず
冒頭に、
大臣に敬意を表します。朝から同僚議員の
質問の中で、特に先般の
EC閣僚会議に
出席された
大臣が、病を押して大変御
努力されました。いろいろと難しい状況の中で、かなり
改善の方向に向かって成果を上げてこられたこと、心から敬意を表するわけであります。
私も、きょう
質問通告しましたのは、海外投資に伴って起きる
国内産業の空洞化、また
雇用不安、特に鉄鋼あるいは造船等々の基幹産業の不況対策等々について、
大臣から、あるいはまた
局長さんたちから御答弁いただきたい、こう考えておりましたが、もうけさほどから、きょうはまるで集中審議のようでありまして、同僚議員からもうすべて
質問が出尽くしております。
大臣初め政府側の答弁を聞いておりましてもう理解を十分いたしました。また、時間が大分おくれておりまして、三時十五分から
大臣は次のエネ特の
委員会に御
出席のようでありますから、私は
質問を短縮します。
大臣に心置きなく次の
委員会へ御
出席願わなくちゃなりません。
そこで、せっかくでありますから、
質問通告をしておりませんが、先ほど来いろいろと同僚議員と
大臣との
質疑の中で私自身が
感じますこと、一、二点意見として申し上げたい、こう考えます。
一つは、私も八月の末に参議院から派遣をされまして、イギリスとフランスのエネルギー事情並びにハイテク産業等々の
調査に実は行ってまいりました。イギリスに参りましたときに強く
感じたことでありますけれども、ロンドンの約八十キロほど北西の郊外にミルトン・キーンズという市が新しくできました。これは、イギリス政府が二十年前に計画した新しい産業都市というのが建設されておりまして、今計画途中でありますけれども、ほぼ完成に近づいておるということですが、何しろ九千ヘクタールという大変大きな面積で、文字どおり産業都市というふうなものが建設をされつつあります。
ここでは、非常に交通の便がいい。幹線交通網あるいは通信網、さらには空港等々とも非常に近いわけでありますから、恐らくこのままでまいりますと
ヨーロッパで一番の新工業都市になるであろう、こういうふうなことを
感じました。またそういう説明でありました。既にそこへ
日本企業が十九社進出をしておって、イギリス当局もまた同時に開発公社も積極的に
日本の企業誘致をしようということで、
日本部長を置いて、そうして
日本語のパンフレットその他をつくりながら、何か何回も
日本にこれからも来るんだというようなことでありましたが、さらにいろんな状況説明を聞きまして、そこへ進出する
日本企業に対する優遇策というのが大変な、ちょっと我々の常識では判断できないほど大変な優遇策をとっておる。一例を挙げますと、希望する社屋を建設しましょう、それについては買収でなくてリースです、そのリースもびっくりするほど安い家賃で、保証金は一年分の家賃でよろしいということですから、
国内で新しい工場を建設する何分の一か、何十分の一かでそこへ進出できる、こういうふうな条件であった、こう思います。
したがって、海外への企業の進出については先ほどから
大臣のお考えも聞きましたけれども、進出することはいけないと言うわけにはいきません。といって積極的に進出を奨励するということはもちろんできませんし、文字どおり忠ならんと欲すれば孝ならずというふうな問題であろうと思いますが、そういうふうなやはり進出企業を歓迎する政策をイギリスにおいてもとっておるということは、残念でありますけれども、企業の進出がどのような理由が、あるいはまた不安材料があろうとも進出することやむを得ぬという、今後そういう傾向間違いないと思うんです。
日本も同じような条件を、優遇政策で引きとめるということはもちろんできませんけれども、
国内で企業を各地に分散——先ほど市川議員から、各地での地方への進出企業の中止が多いというお話もありましたが、できるだけ税制面あるいは金融面等でさらに今後対策を考えて、言えば企業が海外進出をしなくても、
国内でやはり今後の
円高あるいは
貿易摩擦等に対応できるんだというふうな政策を、若干考え方を変えてつくっていく必要があるんではないか、これを特にまた、先ほど来
質疑を聞いておって、それを
感じましたのが
一つであります。
それからもう一点は
雇用の創出であります。
これまたけさほど来
雇用問題についてはいろいろなお話がありました。特にこれからふえる失業者を吸収するのは第三次産業である、これはもう当然であろう、こう思います。第三次産業が一番
雇用の拡大として標的になっておりますし、また三次産業の拡大からしてかなり
雇用の吸収ができるわけでありますが、ところが、ただ三次産業にうんと行っても、これまたなかなか難しい問題があります。
そこで、かねがね
感じておりましたことは、
我が国は余りにも規制やあるいは許認可によって三次産業の拡大を阻害をしておるというふうなことが相当多いんではないかな、こういうふうに
感じます。思いついたふうなことを申し上げますけれども、東京でもそうでありますが、特に私の地元名古屋、あるいは大阪その他地方の県庁所在地等等へ行きましても、夜八時過ぎたら全くゴーストタウンですね。目抜き通りというのは人通りがろくすっぽない。ほとんどのところがシャッターをおろしておる。人が通りませんからなかなかサービス業も夜まで商売できない、そういうふうなことが随分とある。
その原因は何かといいますと、ほとんど目抜き通り、いい場所に店舗を占めておるのは金融と証券です。最近特にその傾向強いですね。現在の銀行法からいうと、銀行の建物には、他の業種を同居さすとか、他の業種と同じ入口であってはいかぬとか、何か非常にやっかいな規制があるようでありますが、できれば私、銀行だとか証券等々のそういうふうな業務は、何も一階を使わぬでもいいわけですから、二階でいいわけですから、一階は言えばいろんなサービス業あるいは販売業等々に開放するぐらいの、そのようなことを今後考えていく必要があるであろう、こう思います。まあ大体三時以降になるますとシャッターをおろしますから、それぞれの
中心都市の目抜き通りというのは非常にさびれておりまするから。
それからもう
一つは、二十年ほど前まで各地にありましたけれども、目抜き通りにありました露店といいますか、そのようなものは現在ほとんど見当たらない。見受けない。それは、食品衛生法の問題から、大体露店は食料品販売等についてはかなり厳しい制限がある。もう
一つは、道路使用条例等々によってほとんど認めないというふうなことから、大体大都市どこでも露店がなくなりました。それらのことも、規制を緩和することによって、あるいは目抜き通りの証券、銀行等のシャッターをおろした前は、特定のそういうふうな露店を認めるとかというふうなことも、これまたそういう
意味での内需の拡大、あるいは
雇用の拡大というふうなことにも通じていくんではなかろうか。だから、今後労働時間の短縮もちろんやらなくちゃなりませんし、そういう方向に行くでありましょうけれども、企業の言えば営業時間あるいは開業時間というものを長くして、しかしその中で二部制という形で労働の配分をしていくというふうな方法に、これは政策としていかざるを得ないであろう、こんなふうに考えます。
それから、大店舗法の問題でありますけれども、大型店、百貨店等々が大体かなり営業時間が規制をされております。営業時間長いこと必ずしもいいとは言いませんけれども、たとえていいますと、百貨店、大型店の営業時間が夜、閉店時間が九時だとかあるいは十時だとか仮になった場合、人の流れは全く変わるわけですね、そのかわり開店時間をおくらしてもいいわけですけれども。その現実にいい例は、銀座、数寄屋橋かいわいの百貨店が一時間閉店時間をおくらしたことによってあのかいわいの人の流れが変わった、こう言われておるわけですけれども、これもやはり
雇用の拡大、内需の振興ということに役立つんではなかろうかな、こんなふうに思います。
そういうふうなことを阻害をしておる十年前、二十年前の法律だとか、あるいはそれぞれの都市の条例だとかあるいは許可、認可というふうなものをこの際見直して、やはりいろいろな形で
雇用の拡大、三次産業の発展あるいは内需の拡大というふうなことに役立つものが随分あるんではないかなという
感じが前々からしておりましたが、特に最近また改めてそういう
感じがしておるということであります。できますればひとつ
通産省が
中心になって、各省にまたがる問題でありますから、そういう面についてひとついろいろと御検討いただけぬであろうか、これは提案をいたします。
それからもう
一つ、これは中小企業対策とかねてでありますが、中小企業の言えば事業転換というふうなものをこれから急いでいかなくてはなりませんが、その
一つに、野菜の水耕栽培、これがかなり最近活発になっております。愛知県に大体パイオニア的なそういう人がありまして、先日見学してまいりました。文字どおり野菜工場です。我々が従来考えている野菜という概念と全く違っておるわけでありますから、特に都市近郊で野菜の水耕栽培、野菜工場がもっとふえることが消費者のためでもあり、同時に私は、中小企業の事業転換に対する
一つの有力な方法ではなかろうか。これもまた
内需拡大というふうな、
雇用の拡大ということにも通じていくんではないか、こんなことも実は考えております。
あれこれ申し上げましたのは、たまたま思いつきの意見でありますけれども、
通産省が
中心になって、各省庁のそのような実務者を集めてそういう問題をひとつ検討していただくということをお願いをして、私の
質問、意見提案は終わりまして、
大臣からお
答えがいただければそれで終わることにします。