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1986-11-20 第107回国会 参議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十日(木曜日)    午後一時四分開会     ─────────────    委員の異動  十一月十三日     辞任         補欠選任      井上  計君     橋本孝一郎君  十一月十四日     辞任         補欠選任      橋本孝一郎君     井上  計君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         前田 勲男君     理 事                 大木  浩君                 下条進一郎君                 福間 知之君                 市川 正一君     委 員                 佐藤栄佐久君                 杉元 恒雄君                 中曽根弘文君                 降矢 敬義君                 松浦 孝治君                 松尾 官平君                 守住 有信君                 梶原 敬義君                 小山 一平君                 本岡 昭次君                 田代富士男君                 伏見 康治君                 井上  計君                 木本平八郎君    国務大臣        通商産業大臣   田村  元君    政府委員        通商産業政務次        官        小島 静馬君        通商産業大臣官        房長       棚橋 祐治君        通商産業大臣官        房総務審議官   山本 幸助君        通商産業省通商        政策局長     村岡 茂生君        通商産業省貿易        局長       畠山  襄君        通商産業省産業        政策局長     杉山  弘君        通商産業省立地        公害局長     加藤 昭六君        通商産業省生活        産業局長     浜岡 平一君        資源エネルギー        庁長官      野々内 隆君        資源エネルギー        庁次長      見学 信敬君        資源エネルギー        庁石炭部長    高橋 達直君        中小企業庁長官  岩崎 八男君        中小企業庁次長  広海 正光君        中小企業庁計画        部長       小林  惇君    事務局側        常任委員会専門        員        野村 静二君    説明員        労働省職業安定        局雇用政策課長  廣見 和夫君        建設大臣官房会        計課長      市川 一朗君        自治省財政局指        導課長      松本 英昭君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○特定地域中小企業対策臨時措置法案内閣提出衆議院送付) ○中小企業信用保険法及び特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 前田勲男

    委員長前田勲男君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  特定地域中小企業対策臨時措置法案並びに中小企業信用保険法及び特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  両案に対する趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 本岡昭次

    本岡昭次君 法案審議に入る前に、通産大臣電力ガス円高差益還元発言について二、三点お伺いいたします。  第一次円高差益還元条件は、二百四十五円であったものを百七十八円というレベルでその間における還元を行った。しかし、その後さらに円高が進んで百五十円台まで、現在は百六十円というところで前後していますが、そういうことでこの差益の再還元はもはや必至の情勢にありました。そういう中で十四日大臣発言があったわけで、私どもは一応歓迎をしているわけであります。問題は差益還元の時期と規模であります。新聞でしか私たちはわからないのでありますが、年度内実施ということがあります。また、還元規模は七千億円弱と二、三の新聞で報道されているんでありますが、大体この線と考えていいのか、ひとつ確認させていただきたいと思います。
  4. 田村元

    国務大臣田村元君) 私が発言をしましたのは、不透明な部分も相当ある。例えば為替レートも今後どういうふうになるのか、まだ安定というものが見きわめられない事情下にもある。また原油も、御承知のようにヤマニ氏が解任されて、それまでのシェア確保主義からどうも高価格維持主義に変わるらしい。しかもサウジとイランが、どうもそれで話し合いもついておるらしいというようなことで、十八ドルぐらいを目途にしておるのではないかというような報道もなされておる。  十八ドルということになれば、持ってくれば日本で受け取るのは十九ドルになりますから何にもならないわけですけれども、しかし中間決算がまだ出ておりませんから私からとかくの論評もできませんが、どうも非常にいいようだし、今国民のニーズも高まっておるし、特に不況対策として、これは率直なことを言って下手な減税より効果ありますから、だから不況対策に対してもこれはやるべきだ。しかしリスク考えられる。しかしリスク考えられるけれども、確かに危険かもしれぬけれども電力ガスにはそれだけの力もあろうということで、その規模やり方等々について検討するように、こう言って事務方に命じました。  そしてきょう電事審もやがて開く。実は私、二時にそれへ出て諮問のあいさつをしなきゃならぬのですけれども、これはここへ来たので出れないんですけれども政務次官に頼んだのでありますが、本来はそっちに行きたかったわけです。そこでいろいろと内容等について、やり方等について御審議願うわけですから、それについて私からとかくは言えませんし、今私がしゃべったからといって、幾日先にまた円が変わるやら原油が変わるやらこれもわかりませんから、今は言えません。言えませんが、きょうの諮問に私がペンを加えましたのは、まあ年度内とかなんとか言うが、善は急げということがある。だから来年の年はいささかでも明るい年になりますように、言うなればお年玉 を弾もうというので、一月一日実施ということで検討してもらうようにということで、実は私が筆を入れまして、エネ庁長官に命じてきょう審議会へその旨を入れた文書を読みに中川政務次官が行くと思います。二時ごろに行くと思います。  そういう経緯でございますが、確かにリスクもございますから、それともう一つは、六月からやったのが中途半端な十カ月なんですね。だから、約一兆と言えば一兆二千ということになるわけですね、年間、単純計算して。これとどういうふうにジョイントさせますか、そういう問題もありますし、今ここで内容に関して私がとかく申し上げることはちょっと差し控えたいというより、ちょっと不可能であるということでございます。まあお歳暮よりはお年玉の方が景気がよくていいやと、こういうことで一月一日を指示いたしたということでございます。
  5. 本岡昭次

    本岡昭次君 もう少しこの差益還元問題論議したいんですが、何せ九十分を三十分圧縮されて六十分でやれということでございますので、どうも残念でありますが、もう一点だけ大臣にこの点聞いておきたいんです。  これから私たち法律審議するんですが、それも今回のこの円高中小零細企業に及ぼしている問題をどう救済していくかということが主な内容になるわけであります。ところが、その円高が打撃を与えた部面と、それから常々二面性があると言われている一方大きなメリットをもたらした部分があって、それがうまくかみ合っていない、かみ合わせよう政策的にやられていない、その問題があるわけであります。  それでこの間も、私は参加しませんでしたが、商工委員会もずっと二泊三日ですか、かけて視察をやられて、さまざまな現地を調査されて、中小企業皆さんからあるいはまた大企業皆さんからお話を聞かれたようでありますが、そこで報告を聞いておりますと、電力ガス円高差益というものを広く国民還元を、公平の原則というんですか、そういうものでやっていく。もちろんそれもいいけれども、しかし円高で直撃を受けた中小企業に対してやっぱり円高によって直接利益を受けた部分が何らかの形でその利益還元して中小企業に立ち直るきっかけを与えてほしいと。今大臣も言われた、新しい年も始まる中で何かお年玉的に明るい希望をとおっしゃっていました。そういうものを中小企業政策的に直接やはり利益還元をやっていく、何か優先的に中小企業にその円高差益還元していくという手だてというものを何か新しい方法でもって考えていく、こういうことが、それこそ中小企業皆さんにとって、この円高の中で何とか頑張っていこうとしている皆さんにとって大きなお年玉であろうと、私はこう考えるんでありますが、その点について一言考えを述べていただいて次に進んでいきたいと思います。
  6. 田村元

    国務大臣田村元君) 実は、御承知のように電力等原価主義、公平の原則というのがありますから、だから中小企業だからこれを優遇するということは、これはちょっと規則上できないわけです。では、できないからといってほうりっ放すわけにいかない。そこで、現在ある暫定措置というものは六月から三月までです。ですから、本来言えば、差益還元をやるのは、これジョイントさして四月から上乗せした姿での差益還元というのがあるいは理屈から言えば正しいかもしれません。けれども、それでは国民皆さんも申すに及ばずだが、特に中小企業等が非常に苦しんでおるということで、私は四月まで待っておれない、一月一日まで繰り上げよう。実は一月一日というのは、お年玉という言葉を使いましたが、お歳暮にするためには、十二月からということは、これ物理的に作業上不可能なんです、もう日がありませんから。  でございますから、あの決定も、まあ薄々御承知と思いますが、ある日突然決断したということでございまして、事務方はもう大慌てでその作業に対応したと。新聞の中には、田村地方統一選挙に対応してやったと言って悪口書いたのがあるが、そんなことをするくらいなら三月にやりますよ。人のうわさも七十五日、そんな、一月からやって何が地方選挙にプラスになるものですか。それはもうまさに中小企業、とりわけ零細企業製造業者が苦しんでおるであろうということを念頭に置いての時期の繰り上げというふうにお考えいただいて結構でございます。
  7. 本岡昭次

    本岡昭次君 公平の原則原価主義、それはそれでいいんでありますが、やはりこの円高差益を直接本当に困っているところに対して還元していくかという問題は、なお私は捨てずに追求していただきたいという要望を強く申し上げて、次の質問に入っていきます。  私は、本日のこの法案審議に備えまして、十月二十八日に質問いたしました地元兵庫播州織物あるいは明延鉱山の調査を行ってきました。この明延鉱山は、本日の法案審議を前にして十一月七日、会社が閉山を労働組合に通告するという事態になりまして私も大変ショックを受けております。  一方、この播州織物実態を細かく調査すればするほど大変な状態底辺部分に、末端部分にあるということがわかりました。特に大きな矛盾を感じたのは、これは大臣やらあるいは中小企業庁長官、よく聞いておいていただきたいんであります。この織物機械設備投資民間リースによって行って、要するに革新織機と呼ばれるもう最新の機械で操業している織物工場底辺にあるんであります。この機械は特殊な製品や高級品を織る機械でございますので、一台当たり四百五十万から五百万するという代物であります。それで、その播州織物関係では、百十社六百六十台が民間リースとしてそういう機械が配置されて、この契約高が約二十七億円と言われています。そして、そのリースをやっている主な会社がセントラルリースという名古屋に本社のある会社であります。  問題は、円ドルレートが二百四十円から二百四十五円台のときに、ヤール当たり工賃が百円から百二十円という状態のときにその契約をしていたということなんです。その状態契約では、リースされた織機が一台当たり二十五万円稼ぐというんですね、二十五万円。それでリース料は八万円ということでありますから、二十五万円から八万円を引きますと十七万円、一台当たり十七万円というものがさまざまな経費なりあるいは職人に対する賃金なり、また自分たち生活というふうなことで何とか成り立つという条件があったから、みんな民間のそのリースをもって、革新織機というもので高級品を、新しいものをと、いわゆる高付加価値をつけたものへと走っていったんです。ある意味では業種転換のような形をやっていったんですね。  ところが円為替レートが御存じのように百五十円、百六十円というところへ来ましたら、問題はその一ヤール当たり百円から百二十円であった工賃が、何と三十五円から四十円というふうに下がってしまったんです。工賃三十五円、四十円でその一つ機械を動かして得る一カ月当たり稼ぎ高は八万円というふうに減ってしまった。リースが八万円で、一月機械を織って稼ぐのが八万円、リース料を払うために仕事をしているというふうな実態。当然そこでは、もう夜逃げが起こる、自殺したりする人も出るというふうな、大変な状況になっていきました。だから、リース料を払えば生活できない、生活しようと思えばリース料が不渡りになって、そしてもう銀行からの融資が一切とまってしまう、こういう人たちと私はたくさん出会ってきたんであります。  ところが問題は、国が、通産省がさまざまな政府系金融機関なりを通してそうした産業について融資を行っております、構造改善であるとか、高度化資金とか。特に構造改善の問題でもってお金を借りてそういう同じ機械を入れるという場合に、やっぱり三〇%の自己資金を持っていなければその同じ織機お金を貸していただけないということなんです。だから、三〇%の自己資金のある人は全部、そんな民間資金に頼らずに国の方の 政策の中でその機械を借り入れていくんですね。その人たちは、今度は非常に円高の厳しいときだからというので、そのお金の償還を一年延期するというふうな措置も、これはもう政府系金融機関から出されている政策的な面だからそういうことが円高対策として行われるのであります。  ところが、民間リースでその機械を借りている人たちは全然そういう恩恵は受けない。それは民間契約でやっているんですから、政府系のそれは関知せぬというのが当たり前なんですが、しかし全体として播州織物産地としてやっていきながら、その自己資金があるなしによって政府円高対策そのものの受け方、そういうものが全然違ってくる。だから、一つのそういう組合の内部でも非常に大きな亀裂が起こってくるんですね。播州織物協同組合として全体としてみんな頑張ろうじゃないかということじゃなくて、力のあるものとないものがそこで格差が起こって分化していくという状況がそこに起こっているのであります。私は実際入ってみて、これは大変だというふうに思いました。  そこで、ここで私が民間リースの問題を取り上げても、それは民間契約の問題でありますから、ここで解決できる問題ではないという認識ぐらいは私も持っております。だから、私はあえてここでその質問はいたしません。一応留保して、よく私も勉強してまたやらしていただきたいと思うのでありますが、私が言いたいのは、円高に遭って、播州織物という産地が、大臣もおっしゃいましたように七〇%も輸出している中でいろんな影響を受けていますが、その影響を受けた産地の中で、政府が出すさまざまな対策救援策というものの網にひっかかって、それによって息をつないで頑張ろうとしていけるところと、その下にあって何ら恩恵を受けない、分化しているというそこのところを、産地と言って一言で、十把一からげでやったのでは大変なことになるぞということを僕は知っておいていただきたいんです。  そして、そういう民間ベースの中で起こっている問題もひとつ一緒に考慮に入れて、その産地全体が円高で受けた被害をどのように救済していくかという、やっぱり本当に血の通った、本当に生き死にかかわった、夜逃げ首つり目前という人たち、もうそれは仕方がないんだといってこうなるのか、何かできないかというのか、そうした問題にも私はやっぱり心を配る血の通った通産行政というものをひとつお願いしたいということを冒頭申し上げて法案審議に入っていきたい、こう思うのであります。  それで、まず第一点の一つ法案であります特定地域中小企業対策臨時措置法案というこの法律案について若干の質問をいたします。  この特定地域指定に当たって、その地域雇用状況とか、あるいは生産減少量、あるいはその地域がその事業に依存している程度をしんしゃくすることになると思いますが、実際にはどのような指標に重点を置いて地域指定をすることになるのか。この問題はかなり難しい問題があると思うんですが、ひとつ通産省のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  8. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) まさに今御指摘のとおり、私どもとしては全国的な公平さというものを期さないといけません。したがいまして、全国的に共通な指標というものを今取りまとめ中でございますけれども、それはある特定業種特定といっても二百弱ぐらいの業種、いろいろ円高等で影響を受けております業種、その業種生産動向というのがその地域市町村においてどの程度あるのか、その市町村がどの程度依存しているのか、その依存率一定割合以上の市町村であって、かつその今の業種生産が近年、直近時点においてかなり減少しつつある、その減少度合いはどの程度か、それから、そういう結果その地域雇用、端的に言いますと有効求人倍率等全国平均と比べてどの程度悪くなっておるのか、こういう指標を、全国市町村指標を取りそろえまして、そういう中から、片や前回、九月十九日の総合経済対策におきましてこの地域対策のために用意いたしましたいろいろな予算、あるいは金融その他の規模から、その当時私ども四十地域程度ぐらいの地域をこの対策として一応選ぼう、こういうことで想定しながら対策をとりましたので、今申し上げたようないろいろな指標の基準に合致するものから四十地域程度選んでいく、こういうプロセスをとることになると思います。
  9. 本岡昭次

    本岡昭次君 四十地域という地域が出ましたが、私の地元でも、私の耳に入っているのに造船相生市、それから非鉄金属明延鉱山というものがある大屋町、それから播州織物中心である西脇を中心とする地域、それから金物利器の三木を中心とする地域、大体こういう地域が名のりを上げているというふうに聞いておるんですが、我が兵庫県でも四つ、全国で四十といったらこれは大変なことになる、こう頭から思うんですね。  そこで問題は、私の兵庫県の問題を取り上げても、同じような城下町的なあれでも相生というところに起こっているのと大屋町というところに起こっているのは、これ一つ指標でははかれないと思うんですね。だからやっぱり僕は都市型の中で起こっているところと、それから過疎地域で起こっているところとはやはり同じ指標でもって何%以上だ、以下だというふうなことは現実的ではない、こう思うんですね。影響力あらわれ方というものが全然違うあらわれ方をすると思うんです。特に石炭とか非鉄金属なんかのある高地山村過疎地域、それから造船なんかがある都市のところ、ここのところをやっぱり個別に十分見ていかないと私はいかぬという気がする。  それから産地の問題も、いわゆる産地というのは業種でもってやっているのでありますから、例えば播州織といっても三市十二町という広がりでもって束ねているのを、どこかの市だけ一つ指定してもその地域のほかはこれどうなるのかと。そうすると、今まで一緒になってやってきたものが、どこか一市は指定されたけれども、そのほかの関係する町は指定されなかったとなれば、当然政府からの融資にしても何にしても全部違う条件で受けるということになったら、これはとてもじゃないが産地としてもたなくなると。かなり難しい私は指定条件があるなということを自分地元でも思うんです。  だから、そういう意味でひとつ柔軟に、本当に政府の施策が有効に生きるのはどこかということを定めてやってもらわにゃいかぬと思うし、その地域が例えば本年は四十カ所しか大蔵省との折衝でやれないとするならば、それでは同じようなところがずっとあった場合に、さらにこれは来年、それからまたその途中ででも財政状況というものをにらみながら有効なところがあるならばやっぱり次々と指定をふやしていくという考え方が基本になければ、それはあなた、指定されたところは何とかなると思い、されなかったところはもうこれだめかというそのダメージの大きさ、こういうのを考えた場合に、僕は大変なことになるんじゃないかと思うんですね。だからもうこれでしまいじゃなくて、やはり僕の訴えたいのは、それを順次、年次的でも、また途中でも指定を拡大していくという、さまざまな条件の中で個別ににらんでという考えをぜひとも持っていただきたい。特にこれは通産大臣、多分政治的なことにもなってくると思うので、この点はひとつよろしくお願いしたいと思うんですが、いかがですか。
  10. 田村元

    国務大臣田村元君) まず第一の問題、詳しいことは長官から答弁させるとして、第一の問題。特定市町村とは書いてないんです、特定地域と書いてある。それを十分御勘案願いたい。  それから追加の問題は、今後の情勢を踏まえて、必要に応じて場合によっては追加指定あり得べしというふうにお考えいただいて結構です。そういうことで、私もいつまで通産大臣をやるかわかりませんが、内閣が長く持てば留任もあるかもしれぬが、あと一年で終わりというなら留任ということは物理的にもあり得ないわけですが、ただ私は後任者に対しても、そういういい意味のルールや思想というものは残していきたい、こういうふうに思っております。
  11. 本岡昭次

    本岡昭次君 今大臣述べられましたように指定地域の拡大問題、それを今後ともひとつぜひとも考えていただきたいということを強く要望しまして、次の質問に入っていきたいと思います。  この法律の中身をよく見ますと、要するに計画を立てて指定された地域都道府県知事の承認を受けるというふうになっております。その計画の中に、第一に新商品または新技術の研究開発とか、あるいは第二に人材の養成とか、あるいはまた第三には事業規模適正化に関する措置、こういうふうな計画内容が例示されてあります。そこで私は心配するんでありますが、都道府県に出してくる計画そのものが、やっぱり現実的に中小企業も苦しいから事業規模適正化という名のもとに雇用調整がどんどん行われて、そして合理化によって人員整理をしていくという計画が優先されていくということになりはせぬかというおそれを持っております。そうなってしまったらこれは首切り促進法というふうなことになるわけで、これは通産省考えておられることでないと思うんですが、そうした心配のないよう特段の配慮をいただきたいと思うんですが、いかがですか。
  12. 小林惇

    政府委員小林惇君) 今本岡委員の御指摘のあった点でございますけれども、三種類の内容を含み得る形で計画は立て得るようになってございます。その中で事業規模適正化という条項がございますものですから、そこが人員の縮減あるいは従業員の首切りを含むものかどうか、それが不当なものにならないかどうかという御指摘でございますけれども計画内容として人員の縮減を含み得るというふうに理解はしております。しかしながら、都道府県等とよく相談をいたしまして、計画内容が従業員の首切りを不当に促進することのないように努めてまいりたいというふうに考えております。実際には新たな事業分野に転換していく力を残すためにも事業規模を適正にするということが一時期必要な場面も個々の企業によってはあるわけでございまして、そういった指導はきちんと都道府県に対してやってまいりたいというふうに考えております。
  13. 本岡昭次

    本岡昭次君 もっと質問したいんですが、時間の関係で、次は金融関係に若干入っておきます。  中小企業の信用保険に関係する問題なんですが、事業に一番支障を生じている中小企業者というのは、もともと担保不足というものを起こしているというふうに考えられます。だから信用保証の特例を設けて一千万を三千万円にした、しかもそれは無担保であるというふうに幾ら文書で書いてあっても、第一線で現場でお金を借りていく場合に、信用保証協会に行ってもやっぱり無担保と言い条、担保にかわる信用のようなもの、あるいは保証人のようなもの、そういうものを強く要求されて、結局今度のように一千万が三千万に広がったといっても絵にかいたもちになりかねないという問題があると私は思います。  それで、やはりこれは信用保証協会に対して今までの保証のあり方をいま少し弾力化させて、そして今まで信用保証協会の窓口で、あなたのところはだめです、私のところは信用保証できませんと言って断わられておったそういうところに、今度新しく窓口が開かれているという弾力的なものがもう一方になければ、一千万が三千万に枠が広がったというだけでは、これは本当に困っている中小企業が喜んで、ああ、ありがとうございました、通産省さん本当にありがとうというようなことにならぬと私は思います。だから、そういう信用保証のあり方について弾力的に現場が対応できるように、それでは通産省がもう一歩何か特別な配慮なり指導を考えているのかどうか、そういうことを私は聞きたいんであります。いかがですか。
  14. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) 確かに個別の融資あるいは信用補完、この判断というのは、その当事者にとっては、特に現状においてはかなり難しい面があるんだろうと推測いたします。  そこで、そういう判断をできるだけ弾力化するようにということで、私ども今度の補正予算でそういう信用保証協会等に対する出資等の裏づけを行ったわけでございますし、御指摘の無担保による保証というものの枠もふやしたわけでございます。それが私どもが行い得る、私どものレベルで行い得る大きな手だてでございますけれども、御承知のとおり信用保証協会というのは各自治体の発言もまた非常に強うございます。したがいまして、地域指定等が行われました自治体等においては、現実にその地域中小企業を何とかしていかなきゃいけないわけですから、そういう面からも私どものそういう制度的な裏づけを十分活用していけるように、それに魂が入るように細かな配慮をしてくれるんじゃないか、こういうふうに期待しておりますが、それをより一層確認するために、私どもとしても大蔵省と一緒にそういう信用補完の弾力的な運用について改めて通達をお出しし、お願いをしよう、そういうふうに思っております。
  15. 本岡昭次

    本岡昭次君 大蔵省と相談してこれから指導をやっていきたいと思っているということなんですが、ぜひそれはやっていただかなきゃなりません。今中小企業は構造不況の上に円高不況が加わって、とにかく借りることのできる金はほとんどもう借り尽くしているという状況なんです。そういう上での担保徴求の弾力化というこの問題を中小企業のために考えてやろうとすれば、おのずからこういうことを考えてやる必要があるという答えが出てくると思うんです。  その一つは今まで一千万円の担保というふうに認めておったものを、さらにそれを一千五百万の担保というふうに担保評価を高めてやるというふうな一つの領域、それからいま一つは、担保価値に認められなかったようなものを新しくこの際これも担保価値として認めてやろうじゃないかというこういう広がり、こういうふうなものを具体的に示して指導をやっていただかなければ、担保の問題の弾力化をひとつやれと言っても、やっぱりその第一線の現場の窓口のところではなかなかうまくいかないんじゃないかと、こう私は思うんですね。だから、そういう具体的に中身を示して私はやっていただきたいと思うんですが、今私の言ったようなことは弾力化の中に入るのか入らぬのか、どうですか。
  16. 広海正光

    政府委員(広海正光君) 担保の問題でございますけれども、九月十九日に中小企業対策を含めました総合経済対策政府で決めたわけでございますが、その中で私どもは二つのことをやっておりまして、一つはこの民間金融がスムーズに流れるということで信用保証制度の改善をしよう、こういうことを一つしているわけでございます。この点につきましては、先ほど長官からも申し上げましたように、制度として無担保の保証の枠を広げるという制度改善をすると同時に、それをした場合にどうしても保証リスクが保証協会としては高まる。その点につきましては、補正予算で手当てをして、リスクが高まっても保証協会として損をしないようにという裏づけ措置を別途講じているわけでございます。そういうことをしながら、かつ指導も強化していくということで、そっちの方の対応は、私どもとしてはできる限りのことをやっているんじゃないか、このように考えている次第でございます。  それからもう一つは、政府関係金融機関でございますね、これの資金供給がスムーズにいきますと、間接的ではございますけれども、全体として資金繰りがよくなるということがございまして、政府関係金融機関融資につきましても、担保条件の弾力化等、融資につきましての弾力化措置を講じていくということで、またそれなりの補正予算措置も手当てしてやるということでございます。
  17. 本岡昭次

    本岡昭次君 私は、今ある制度と整合性があるかどうかというようなことを考えたら、とても質問できないようなことばかり言っているようですけれども、しかし、実際に円高の中で苦しんでいる中小企業者の声を直接聞いてくると、やっぱり今のようなことをどうしても質問して、打開してやらなければ、彼らにとって希望も何も与えられないという思いで私はやっているんですよ。まあ やれることとやれないこととあるでしょうけれども法律の中に出てきたことと、もう一つ実際の行政面の指導の中で、今私が言いましたような趣旨の問題もその指導の中に組み入れて、ぜひとも血の通ったそういう通産行政をやっていただきたいということを申し上げたいんであります。  それで、次の質問に入っていきますけれども、もう一点質問したいと思いましたのは鉱山の問題であります。  十月二十八日に、私はここで非鉄金属鉱山関係の問題で、大臣に価格差補給金制度を創設をしてやれということを言ったんでありますが、そういうものは今の制度の中ではできないということでありました。そういう価格差補給金制度をつくらなくとも、経営安定化融資枠の拡大ということで何とかいけるだろうというふうなお話もあったわけであります。しかし、そうした安定化融資の枠の拡大や一カ月の前倒しというようなことでは、とても今の非鉄金属の関係ももたないだろうということを私も申し上げました。  ちょうどそれと符合するように、私がそのとき取り上げました兵庫県の明延鉱山、これは全国でただ一つすずを生産しているという鉱山でありますけれども、来年一月末でもって閉山をするという通告を会社労働組合に行いました。歴史あるこの鉱山が今閉山されようとしているんでありますけれども、果たして本当に通産省がやれるだけのことをやったんだろうかということについて、やっぱり釈然としないものがあります。  そこで大臣、この事態について、これからさらに閉山をしていくでありましょう。また同時に、宮城県の細倉鉱山というのも同じ三菱金属ということで閉山通告がされているんでありますけれども、この鉱山が生き延びていくためにどうしても緊急の抜本策がなければ、次々とこういう閉山が起こり、失業者が出て、そしてその鉱山を中心にして発展してきた町そのものが壊滅的状態になるということになります。ひとつ大臣としての見解を承っておきたいと思います。
  18. 田村元

    国務大臣田村元君) 金属鉱業では、現在各社大変懸命な合理化努力に取り組んでおられる。これを支援するために、政府としましては、先般成立しました補正予算で、超低利の経営安定化融資制度について融資対象事業を拡大した上で、本年度下期百四十五億円、年度総計で二百三十二億円という、少なくとも過去最高の貸付枠を確保したところであります。また、本融資の第三・四半期分につきましては、通常十二月末でしょうが、これより一カ月程度前倒しの実行をいたしたいと考えております。今後とも金属鉱業を取り巻く情勢を注視しながら、適時適切な政策運営を心がけていく所存でございます。  なお、御参考までに申し上げますと、私は建設大臣に、不況産業地域に対する公共事業配分、これをぜひ傾斜配分でお願いしたいと、率直なことを言って、平たい言葉で言えば頭を下げてお願いしたわけです。それに対して建設省は、枠で非常に好意を示してくれました。平均が大体今度の補正で、かさ上げで九%ぐらいになろうかと思いますが、金属鉱山につきましては一二・三%というような、建設省としては大変なサービスをしてくれた、配慮をしてくれた。もちろんどの事業をどこでやってくれというようなことは言いませんでした。こういう地域、こういうことで苦しんでおる地域、こういう業種で苦しんでおる地域、これをよろしくお願いしたいと、こういうことでお願いをいたしまして、先般私のところへ報告してくれたわけでございます。御参考までに申し上げますと、石炭の一八・六%に次いで、金属鉱山は一二・三%と高い傾斜配分をしてくれた。こういうことでもある程度てこ入れができるのではないか。そういうふうにいろいろとあらゆる手段をこれからも考えていきたいというふうに思っております。  今のこれは、補正予算分でございますが、当然当初予算の分に関しましては、建設省のみならず、事業官庁である各省庁にお願いもしなきゃなりませんし、例えば私は、この前労働大臣のところへ事務次官を連れてお願いに上がった。事務的なハイレベルの常置機関を、協議機関をお願いをしたいとお願いに上がって、助けてくれと言いに行ったわけです。何か聞くところによると、国務大臣が他省庁の大臣を訪ねて事務次官を連れて頭を下げに行くという先例はないようでございます。しかし、メンツもくそもあったものじゃない。もう私は今あらゆる恥を忍んでも、努力をしても、あるいはののしられても、私は苦しんでおる人々を助けるためにどんな辛抱でもしたい、どんな努力でもしたい、こういう気持ちでやっておりますことは、どうぞ御理解を願いとうございます。
  19. 本岡昭次

    本岡昭次君 大臣がそうした努力をしていただいておることを、私は非常に御苦労さまでありますと申し上げたいのでありますけれども、実際に起こっておりますこの現実に対するもっと的確な対応を通産省が思い切ってやる必要があるということを再度申し上げたいんであります。  私も初めてこの非鉄金属問題を国会で質問するようになりまして、この価格決定の仕組みというものが大変特殊であるということに驚いたんであります。だから、価格差補給金制度というふうなものを安易に導入することの是非はいろいろあり、ある意味では安易にそういうふうなものを導入すべきでないという主張も正しいと思います。しかし、この非鉄金属鉱山の価格決定の特殊性、そこの鉱山の努力、あるいはもう徹底的に合理化をやってコスト減をどのようにやろうとも、そのことは価格決定に関係のないというふうな状況下において、やはりこの日本の非鉄金属というものを、レアメタルを、そして幾つかの鉱山をこれから日本が政策的に残していこうというんであれば、この価格差補給金制度というふうなものを一つの例として、何か経営を安定させる抜本策が本当に必要ではないか、こう思うんです。  成り行き任せにやっていくんだと、この鉱業審議会がいろいろA、B、Cとランクをつけてやっているけれども、あとはひとつ経営努力だということではなくて、私はそういうものが要るんではないかと思います。でなければ、例えば私が例に挙げております兵庫県の明延鉱山の例をとりましても、要するに大屋町という一つの町に明延鉱山というものがあって、そこに明延という地域があって、そしてその一定の地域の水道も電気も会社が購買して地域に供給をしている。会社の病院が地域の診療、治療の中心になっている。あるいはまた、会社の購買会が地域のスーパー的な役割を果たしている、こういう状態一つ企業が閉山することによって与える地域社会への影響というのは、もう大変なものなのであります。  閉山後に起こった問題についてこれからいろいろと国が施策をやって、地域社会が壊滅的状態に陥らないようにやっていこうじゃないかという対応をするわけでありますが、私はこうした鉱山が次々と閉山をして起こってくる地域社会への影響に対して、政府がさまざまな対策政策をやっていく、そのことに要する費用、それと価格差補給金制度というふうなものをつくって鉱山を維持していくために使う金とてんびんにかけたときに、一体どちらがどういうことになるかということを思うのであります。やはり、後始末のために、表現は余りうまくありませんが、たくさんのお金と労力とを使ってやるというよりも、この特異な価格決定の制度を持っている非鉄金属関係にこうした新しい制度をひとつ導入して、抜本的な対策というものを打ち立てて解決をしてやる方が、より経済的合理性もあるのではないかということすら私は思うのであります。どうしても、なぜできないのかということがわからないわけなんであります。  大臣、やっぱりこれはつぶれるものはつぶれるに任して、結局その後始末をさあみんな寄ってたかってやろうじゃないかというふうにやっぱり流れていくのか、それとも、このままでは捨ておけないから、やはり残すものは残すために何かをやろうというふうに、通産省一つの基本方針というのですか、そういうものは一体どうなっている のか、ちょっと伺っておきたいのです。
  20. 田村元

    国務大臣田村元君) 先般の鉱業審議会におきましても、価格差問題、随分関係業界や労働組合から御要望もあったようですが、結局、建議に取り上げられなかったと承っております。この問題、実は私、通産大臣になって最初は気負い込んで取り組んだのですけれども、非常になかなか難しい問題で、例えば価格差補給金についてもいろんな問題があるわけです。例えば産業構造調整とのかかわりの問題がある。今度は外国からの厳しい批判を招くであろう。  私は四極貿易大臣会議にも行った、ガットにも行った。それは、あれは行ってみぬとわからぬですよ。もう日本だけが悪者で、ジャパン・バッシングと言って、日本袋だたきで、私の演説のときには超満員になったから人気があると思ったら、冗談じゃない、やじり倒されたのです。そういうようなことでございまして、そういう絡みがある。一方を立てれば一方は立たず。しかも、せめても大蔵省金くれればよさそうなもんだけれども、これがなかなか渋いときている。それは、ないそでは振れぬということでございましょう。そういうことで、本当に私ももう頭を抱えておりますけれども、先ほど来申し上げたように、通産省の仕事は殺すことではなくして生かすことでございますから、できれば繁栄させることでございますから、その努力はしなければならないというふうに思っております。  そういうことから、結局、むしろ超低利の安定化融資というものの枠を十分確保するというような方向がより現実的かつ有効な対策であろうというふうに考え、それで先ほど申し上げたような補正予算の措置あるいは公共事業の傾斜配分等々の措置を講じてきた。これからも、これで能事終われりとするものではないんで、もし可能なよりよき具体策があればもちろんそれを取り上げるにやぶさかではございません。ただ、考えられる措置としては、これしか今のところない。現実との問題あるいは構造調整との問題、あるいは外国との関連といったなかなか難しい問題があるということはひとつ御理解願いたいのです。私だって負けぬぐらい一生懸命なんです。一生懸命なんですが、いざ担当してみると、あっちで頭を打ち、こっちで頭を打ちというようなことで、まるっきり障害物競争みたいなもんでございます。
  21. 本岡昭次

    本岡昭次君 どうも大臣になだめすかされているようで、私もついその気になるんでありますが、しかし、地元のことを思えばそうもいきませんので、勇気を奮い起こしてもう一遍質問してみたいと思います。  もう時間もありませんから、最後に、結局統合的な問題もありますので、通産省、それから自治省、建設省、労働省にもお越しいただいていると思いますので、一まとめにしてひとつお答えいただいて、質問を終わりたいと思うんです。  それで、特定地域中小企業対策臨時措置法の法律案を今審議しているのでありますが、冒頭も申し上げましたように、この鉱山関係が休閉山あるいは縮小、非鉄金属関係がさまざまな状況が起こっているんでありまして、当然こうした鉱山を抱える地域特定地域として私は指定をされるであろうと、こう思っているんですが、全国四十地域、とてもこれは難しいなと思いながらも、指定されることを信じております。  そうした前提の上で幾つか質問をしたいのですが、まず、行政指導として自治省はこうした、特に明延のように閉山を通告されて、そしてその自治体そのものの存続が問題になるようなところに対して、一体どういうふうな行政指導をやろうとしているのか、またやれるのか、そうした点についてひとつお伺いをしておきたいと思います。また、今通産大臣の方から、公共事業を集中的にそういうところには重点配分してもらっていると、一二・三%という数字も出していただきましたけれども、建設省の立場から、そうした地域の活性化を図るための公共事業というもののかかわりで、どういう考えを今こうした鉱山関係の地域に対して持っておるのかということをお聞きしておきたいと思います。  それから労働省に、問題は、三百人なり四百人なりという人たちが、そこで鉱山が閉山すれば失業者になるわけでありますが、それを失業者にしないためにこれからどうするかということが重大な問題なのであります。それで、同じ地下産業労働者として、炭鉱離職者臨時措置法並みのこの離職者対策を講じるべきではないかということを私どもは思うのであります。そういうことで、ひとつきめ細かい離職者対策というふうな問題を労働省に考えてもらわにゃいかぬわけですが、こういう点はいかがでしょうか。  それから最後に、通産省に、ぜひともこうした過疎地域における鉱山町ですね、こういうようなところを都市型のところと比べて数値において下回っているからといって外すんじゃなくて、休閉山あるいは縮小をやっているこの鉱山所在地も、町の名前を言いませんけれども、ひとつ指定をするということについての積極的な考え方を持ってもらいたいということを要望し、そのお考えをお聞きして終わりたいと思います。
  22. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) お答え申し上げます。  自治省といたしましては、鉱山の閉鎖に伴いまして地元の地方公共団体が大変大きな影響を受けるわけでございますが、そういう影響をまず少しでも緩和してまいるということで、収入の面におきまして地方交付税収入に与える影響を緩和するための人口等のいわゆる数値急減補正というのを行っております。  それからまた、これからの地域生活の安定と振興のために必要となります事業に対しましては、過疎債等を活用いたしまして、財政運営上できるだけ支障のないようにいたしまして、また行政水準の維持確保を図ってまいりたいと考えている次第でございます。  さらに、広域圏単位でございますが、広域圏単位を取り上げまして、申請によりまして地域経済の活性化対策の対象事業、対象地域としてこれを取り上げ、地域活性化に資するようにもしてまいりたいと考えている次第でございます。
  23. 市川一朗

    説明員市川一朗君) お答えいたします。  建設省といたしましては、先ほど通産大臣のお答えにもございましたように、今回の補正予算におきましては円高影響の著しい地域というものに対する傾斜配分に特段の意を用いた次第でございますが、特に非鉄金属地域につきましては、石炭産業の依存の高い地域と同様に、思い切った傾斜配分の努力をしたつもりでございまして、こういった考え方は今後も必要な限り続けていきたいと思っておるわけでございますが、具体的には地元地方公共団体からの要望というものをできるだけ酌み取るようにしてまいりたいと思っておりますので、地元の要望の掘り起こしといったような具体的な作業も重要な課題であろうかと考えておる次第でございます。
  24. 廣見和夫

    説明員(廣見和夫君) お答え申し上げます。  今お尋ねのございました特に非鉄金属関係の雇用の問題でございますが、確かに大変厳しい状況にあるということで、労働省といたしましてもこういう方々の雇用の安定、あるいは離職された場合の再就職の促進ということで、できる限りのことをやっていかなければならないということで努力いたしておるところでございます。  考え方といたしましては、本岡先生も今お話しございましたように、できることなら離職者を出さない、失業者を出さない形で取り組んでいくのが一番理想的であろう、そういう意味では労働省といたしましても失業の予防に効果のあるような措置、これをできるだけやっていきたい、このように考えております。例えば非鉄金属鉱業等も特定不況業種指定いたしまして、これに対しまして雇用調整助成金制度等の適用をいたしております。こういう制度を活用していただいてできるだけ離職者が出ないようにやっていく、こういうことでやっております。その限りでは私ども特定不況業種指定された場合にはかなり手厚い対策が講じられるというふうに思っております。  ただ、それでもやむを得ず離職せざるを得ない ような場合、今度は離職者に対する対策と、こういうことになるわけでございます。確かに石炭の離職者等につきましては、お話のございましたような炭鉱離職者臨時措置法等がございましてそれなりの手厚い対策がございます。ただ、非鉄金属につきましては、離職者となってあらわれた場合には、今度は先ほど申し上げましたような業種指定もなされておりますので、これを雇用していただく場合の特定求職者雇用開発助成金といったような制度等の適用もございます。そういう制度も使いながら、地元の県あるいは職業安定所と一体となってきめ細かな職業相談等々を行いながらできる限りのことをやってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  25. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 四十分に時間が短縮をされましたので、できるだけ私も質問内容は簡単に申し上げますが、答弁の方もひとつ要点を中心にまとめて答弁をお願いしたいと思います。  二つの法案審議に入る前に、石炭の第八次答申について大臣にお伺いをいたします。  千五百万トンからこれは一千万トンになだらかに調整をしていくという考え方であるようでありますが、このままでいきますと雪崩的に閉山が進んでくるだろう、こう見ておりますし、十一の炭鉱のうちに半分ぐらいは近いうちに閉山の状況に追い込まれるんではないか、こういうようなことが言われておりますが、何とかそういうような状況にならないようにひとつ政策的な歯どめをかけていただきたい、これが第一点であります。  それから、地域対策といたしまして、私も去年、長崎の高島炭鉱の事故で十一人が亡くなったときに、商工委員会から現地調査に参りました。そのときに現地をよく見まして、あの島が本当にもう炭鉱ですべて成り立っている島だということを目で見て、そして一方で死者が出ながら、一方では炭鉱を残してほしいという強い訴えをあの島で町長さんからされました。それが今日もう結局閉山になるということは、現地は大変なことになるわけでございまして、そういう答申が出たからぽっと閉山じゃなくて、やっぱり前々から雇用問題あるいは地域対策考えながらあるいは閉山をやる。急激にアクセルを踏むようなこのやり方というのはやっぱり問題があると思うんです。この点について、もう少し地域対策あるいは雇用対策、これを考えていただきたい。特に九州、北海道というのは、後から申し上げますが、雇用情勢が非常に厳しいところですから、この点についてお伺いをしたいし、また離職者対策地域対策地域の社会を一体どうしていくのか、この点についてもお伺いをしたいと思います。  それから、石炭鉱業審議会の答申が出たからこれに沿ってという考え方は、確かに客観性を持たしてあるだろうと思う。ただしかし、通産省というのはずっとこの問題については一番詳しいわけですから、やっぱり審議会を待って、審議会を待ってという資源エネルギー庁の今までの対応のあり方は、私は問題じゃないかと思う。一番詳しい通産省資源エネルギー庁は一体どう考えるのかというのが全くない。全くないんだ。結局隠れみのに審議会を使うような責任逃れのやり方に対しては、どうしても、どう考えても納得がいかない。この点についてもあわせてお考えを伺って、次に移りたいと思います。
  26. 高橋達直

    政府委員(高橋達直君) ただいま梶原先生からおおよそ三点の御質疑があったかと思うわけでございまして、第一の集中閉山をぜひ回避するようにという御指摘でございますが、私どももまさにそのように考えているところでございまして、第八次石炭答申原案におきましても、現在のエネルギー情勢その他からまいりますと、段階的な縮小はやむを得ないけれども、一方において地域雇用の問題に十分配慮して、そのためにはなだらかな縮小に持っていかなければいけないという大方針があるわけでございます。  このためには、石炭企業そのものが、親会社その他も含めまして、全体として最大限の努力をすることも必要でございますが、一方におきまして需要家にもぎりぎりの協力を得ていく。さらにその上に立って、政府としても各般の対策を万全を期していかなければいけないという考え方で、答申も近く出ることでございますので、ただいま答申を待つ、待つというお話もございましたけれども、来年以降の第八次石炭政策につきましては、やはり現在の審議会での答申を待って、私どもとして適切に対処をしていかなければいけないというふうに考えておるわけでございます。  さらに、第二の御質疑でございます高島問題も含めまして、閉山問題に伴う雇用あるいは地域の問題でございますけれども、これもまさに御指摘のとおり、私どもとして極めて重大な影響があるという認識でございます。高島については現在閉山について労使で交渉しておりますけれども、現在の段階では、残念なことでございますけれども労働組合も閉山に踏み切らざるを得ないということで条件交渉に入っているところでございまして、閉山が決定されれば、政府としましても関係各省会議をフルに活用いたしまして、万全の支援をしてまいりたいと思っております。なお、第八次石炭答申原案におきましても、地域対策あるいは雇用対策を十分やっていくようにという方針は出ているわけでございます。  さらに、第三点の答申を待つ、待つという御指摘でございますけれども、現在において私どもとして、第七次石炭政策のもとで的確なる政策の運用に心を砕いているところでございますが、エネルギー情勢が非常に従来とは変わってきているところが多くなっているわけでございまして、そういう点につきまして、ことし特に円高の進行とともに、従来の政策の柱でございます需要業界の協力というものがなかなか得られないということで、私どもとして答申の前提として、今年度の問題としてその問題に取り組んでまいりまして、何とかこの時点において雪崩閉山を避けるような措置を講ずる等、いろいろと私どもなりに努力はしているところでございますが、政策の流れとしては、第八次答申とともに私どもとして的確に政策を確立してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  27. 田村元

    国務大臣田村元君) 今のでちょっと私から、部長の答弁を大臣が補足をするのもおかしいんですが、ちょっと申し上げておきますと、答申を隠れみのと言うお気持ちはわかるんです。わかるんですが、答申が出る前にしゃべったらしゃべったで、また食言ということでございましてね。でございますから、ああいう答弁は一応いたさせますけれども、実際には答申がどういうふうに出るかに対応するためにあらゆるケースを考えて、陰でそっとあらゆるケースに対応する作業は進めておる、検討は進めておる。これは当然のことでございます、政府でございますから。労働問題でも、あるいは公共事業の傾斜配分の問題でも、先ほど申し上げたようなことでございます。  それからもう一つは、今の御審議願っておるこの二法案、これが相当やっぱりお役に立つんじゃなかろうかというようなことも申し上げておきたいと思います。
  28. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に移りますが、先ほどエネルギー庁の答弁で少し気になるのは、答申を出させる前の下書きは資源エネルギー庁でずうっとやって、ある程度、相当の通産省考え方が、情勢は当局が一番知っているんですから、一番入ってくると僕は思うんですね。それで、ぐっとアクセルを踏むような形に結果がなるということは一番先にわかるんです。だからやっぱり現実対応は、そういう状況、ばーっとアクセルを踏んで閉山というようなことは一番よく知っているんだから、その前に行政は一体何ができるのかというのをもっとやっていただきたいというのが一つであります。  次に移りますが、通産大臣、今の不況局面あるいは雇用情勢については、私はこの前、商工委員会で経済企画庁長官の答弁を聞きながら、本当にもう怒りに燃えたんです。幸い通産大臣はよく認識をされているようでございましたから、余り多くを申し上げる必要はないと思うんですが、本当に大変な状況になってきていると思います。  十一月の五日、六日、七日、本委員会が、名古屋通産局、それから名古屋の産地皆さん、それから三重県、それから大阪通産局、和歌山、これは住金ですが、それから松下電器と、円高の被害あるいは影響実態調査に皆回ってまいりました。私は九州の出身でございますが、特に九州の東海岸というのは非常に厳しいんですが、それはよくわかっていた。しかし、名古屋やあるいは大阪までもこんな状況かと、繊維を入れまして。そして、これは大変な状況だと肌に感じて帰った。これが一つです。  それから、私は金がないからよく夜行列車に乗ってくるんです。金曜に帰りまして、日曜日の晩あるいは月曜日の夜行列車に。つい最近ですが、夜行列車にいっぱい人が送りに来て、万歳と言って送っているんですね、昔の兵隊、出征する人を見送るように。どうしたんかいと知っている人に聞いたら、地元のこれは大きな化学会社で、農薬やなんかもつくっている立派な会社ですが、そこがやっぱり円高で仕事がないので、大阪の方に出向で行っているんです。それを同僚や家族がみんなで送りに来ている。  それから今週の月曜日の朝でしたか、今度は飛行機に乗って急いでまいりましたが、ホバークラフトというのに乗って、飛行機に乗るんですが、そのホバークラフトの乗り場にたくさん車が集まってきている。それで、有名なタレントかなんかが来たのじゃないかと思って見ておったら、全然違うんですね。これは地元の大きな鉄鋼会社の下請の労働者の皆さんが五十名、茨城県の方に今度は出向にいく。それは同じ会社じゃない、傍系の会社にいくようです。それを家族やみんなが肩たたきながら送っている。これは大きな一流の会社なんです。それより下の小さなところというのは、もう大変な状況なんです。逆さまにして振ってもそんなに血は出ない。赤字法人率なんというのは六二、三%なんです。これで税収がふえるわけがない。こういうような状況でございます。  後で、この法案審議で少し申し上げますけれども、名古屋の業者に聞いても、あるいは私は大分の電機の下請の業者に聞いても、もうそれは金借りたって見通しがないと言うわけですよ、どうしようもならぬ。それは売り値が五割もあるいは六割近くも下がったような状況で下請単価をどうするかというわけですよ。もう言う気力もない、こういう状況をやっぱり訴えられます。さっき私は、ここに来る前にまた電話をして中小企業の社長と話をしてきたんですが、それはやっぱりもろに円高影響を受けているところというのはどうしようもなく厳しいわけでございます。  これを解決する手段としては、私はやっぱり今日までの日本の経済財政政策というのが間違っていた。今だって、財政が経済に中立だ、こう今までずっと言ってきたけれども、今になって赤字国債発行、建設国債発行したりなんやらして財政が出動するなら、なぜもっと一年あるいは二年前からやらなかったかというふうに思うんです。こんな状況になって今やっているというのは、私は問題だと思う。これは本当にもう腹が立ってしようがないんですね。もうそう言ってもしようがないですが、だから解決する手段としては、この二つの法案確かに緊急な課題でございますが、内需の拡大あるいは消費をどう拡大していくか、日本の経済の全体をどう上げていくかという問題と、それから円高の問題でございますが、まあ百六十円やそこらの問題、やっぱり最低百八十円から二百円近く、ここに戻さなきゃこれはどうにもならない。もうあとそういう状況にどんどん突き進んでいくと思うんですよ。  私はここに九州の地元新聞ですが、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、「九州の企業雇用情勢合理化実態調査」という数字がずっと出ております。これは割合に一流のいいところでこれなんですから、もう下へ行くほどどうにもならぬ。そういう状況でございますから、冒頭に、抜本的な解決策としては内需の拡大、消費の拡大、円高状況を逆に円安に戻す、大臣そういうような決意で臨んでもらうしかないと思うんですが、いかがでしょうか。
  29. 田村元

    国務大臣田村元君) まず為替レートでございますが、経済の二面性もあってなかなか難しい問題があるにはあるんですが、私はやはり円高不況という方に重点を置いた施策をとっていきたい、このように思っております。  じゃ幾らがいいのかと。これはうっかりしゃべったらしゃべったでまた問題が起こる。まあ物言えばという、ちょうど今季節も晩秋でありますが、とにかく私から幾らということ、幾らが適切ということはちょっと申せません。これはひとつ心中お察しを願いとうございます。ただ、心中をお察し願いたいということはいろんな心中をお察し願いたい。  それから、内需の拡大、当然でございます。私は、結論だけ申し上げますと、財政改革を否定することもできませんし、それに反対することもできません、閣僚ですから。でございますから、それには触れませんが、あくまでもこの円高不況に対して対応する内需の拡大は、これは緊急避難行為である、こういうことを言って各方面に働きかけております。でございますから、民間にも設備投資等もどんどん願いたい。電力なんか四兆一千億からの設備投資を発注してくれるわけですけれども、六十一年度だけで、随分大きいんですが。それはそれとして、六十二年度の予算案の内容についても、内需拡大策は緊急避難行為であるということを強く訴えていきたい。結論だけ申し上げますが、これ以上申し上げるとまた食言になる可能性もありますが、どうぞ私の気持ちをお察し願いたいのであります。
  30. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ぜひ頑張っていただきたいと思います。  次に、この特定地域中小企業対策臨時措置法について幾つか質問をいたします。  最初に、四十カ所というのを漏れ聞いておりますけれども、どうも私どもは、この四十カ所をある市町村あるいは少し地域を拡大した状況の中で、これが果たしてあまねく今円高で困っているところの救済になるのか、これはやっぱりならないだろうと思いますが、この四十カ所の問題はそうこだわらなくて、こういう時期ですからもっと頑張っていただきたい、いかがでしょうか。それが一つ。  それから、私のところの大分県で言いますと、県南地域、佐伯というところなんですが、その地域造船中心として悪いんですけれども、その佐伯市だけを指定されてもこれ困るわけです。佐伯周辺、やっぱりちょっと広くやってもらわないとこれはどうにもならない。その点、これは具体的な問題で恐縮なんですが、そう思います。  それから、例えば県北の方に電機の下請企業が幾つもあります。一つは、スピーカーなんかつくっている東京に本社がある会社は、もうしっぽを巻いて帰りましたけれども、百何人使っておりましたが。そこで一生懸命頑張っているようなそういう企業、非常にもう離れておりますね。当然その地域は恐らく指定されない、この法律の趣旨からいきますと。そういうところがぽんぽんぽんぽん飛んでいるんですね。そういうところを一体どうしていただけるのか。これは九州だけじゃなくて、あっちこっちにそういうところがあります。この前調査をした三重県、名古屋、あの辺のところにも出てくるわけですね。その点について、落ちたところを一体どうするのかという問題でございます。できればもう皆入れていただきたいんです。例えば、有効求人倍率の話が中小企業庁長官から先ほど出ましたが、全国平均が今〇・六一、私のところなんかは〇・三六なんですからね、もうとにかく仕事がないわけです。働きたくても職がないわけなんですよ。そういう厳しい状況でございますから、そういう広い地域に適用していただくのが私は一番いい。それなら県全体ぼんと、そんなことができないのかどうかですね。  最初にその二つをお伺いします。
  31. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) 四十地域というのが多いか少ないか。理想的に言えば、もっと多く地域指定してこの対策を広げたいわけでございます が、九月段階での補正予算の段階で一応私どもが用意いたしましたのが、まあ四十地域程度を想定したものでございました。ただ、これは今もお話がございましたように、一つの経済圏を構成するところという意味では、一つ市町村に限りませんで、複数の市町村指定していくということで、地域数としてそれほどの弾力性があるような事情にもございませんけれども、できるだけ市町村等の指定を広げることによってある程度現実的な対応をしたいと思っております。  ただ、それにしてもやはり地域指定という、地域対策という限界がございまして、そこは例えば二月の新転換法における業種対策といいますか、そういう縦の対策、これも業種対策というゆえにある意味では限界があるわけで、その業種指定から除かれた部分についてはやはり同じ問題があるわけでございますが、それを今回は地域という視点から拾うことによって縦横でできるだけ施策の網の目からこぼれることが少ないようにしたい、こういうことで、できるだけの実態に沿うような努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  32. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ちょっと離れたところは。ぽんと離れたところは。
  33. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) その離れたところに一つあるというのはなかなか……
  34. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 いや、ぽつんぽつんとこうあると。
  35. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) ぽつんぽつんのその程度にもよりますんですけれども、やはりその市町村においてそういう少数存在している企業活動がどの程度その市町村の中においてウエートを持っておるかということは、やはり見ざるを得ないんではないかと思います。
  36. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 だから、そこはもう永遠の問題ですよね。物すごく困っているんですから、円高で。だから、指定地区から外れた地区の円高で困っている人というのは、平等の観点からいくと、どうしてくれるんだと、これはあると思いますから、まあそう言わぬと前向きに何か考えてください。  それから、特定地域企業誘致云々というのがありますが、少し具体的に内容を聞きたいんです。東京とか大阪とか、こんな雇用情勢もいいし、人がいっぱい集まっていて環境も悪い地域は、工場の再配置みたいな形でどんどん田舎にこの際出てもらうような、そういうことがもっとしっかりとできないのか、中小企業をひっくるめまして。その場合に、土地対策なんですけれども、私どもが知っているのは、工場用地を市町村はつくるんですよ、誘致用地を。ところが、つくってもすぐ来ないものですから、つくったやつに金利がどんどんかさんで、最後になると売り渡し価格というのは高くなりますから、研究してみようかという企業は、それを見るともう参ったということになるんです、高くなるからね。  だから、この際ですから、そういう非常に過疎地域とか九州や北海道のようなところの自治体、市町村に対して、指定地域以外のところも今言っているんですが、もう少し通産省で検討していただいて、今取得した、開発した土地はもう金利はかからぬ、五年なら五年間の間はかからないと。だから、そういうような工場誘致の土地造成をして、さあお客さんに見てもらう、見合いをする、こういうような何か政策をもうちょっと具体的にがちっととれないか。そうすれば、少しでも地域へ行ってみようかと、こういうことになってくるのではないか。この辺のところを、地価対策をひっくるめましてお伺いをしたいと思います。  それから、ついでですが、公共事業の関係で大臣、傾斜配分の問題ですが、ぜひ頑張っていただきたいと思います。道路なんか、今はもう御承知のように、道路をつくりかけて、毎年度毎年度小さな予算でやっているものですから、もうこことここはできているんですが、この間の何百メーターが首根っこみたいになって、これに時間がかかってみたり、あるいは長崎から大分に抜けるような九州横断道の場合、今やっておるんですが、これはいつできるかわからぬ、ぽつんぽつんできて。こういうような状況ですから、何も東京と大阪あたりの中心どころにどんどん公共事業をぶち込むんじゃなくて、あるいは民活、民活ってここに金を集中させるんじゃなくて、そういう雇用情勢なんかも悪い地域、やっぱり北海道、九州、そういうところのどうせつくらなきゃならない公共事業、道路ですから、これは今つくって、今なら一つの単位で五百メーターなら五百メーターできたものが、十年後につくったら、二百五十メーターぐらいしかできないような、単価全体が上がりますからね。  だから、そういう意味では、このような時期ですから、もっと早めるような手を打ってもらうように、大臣、これは通産は直接関係ないですが、閣議で進めていただけないだろうか。そうすれば、また少しずつ変わってくると思うんですね。どうしてもやらなきゃならない社会資本の部門をちびちびやって大迷惑をしているんですが、このことは後で、大臣にお尋ねして次に移りたいと思います。
  37. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は建設大臣じゃないものですから、余り具体的な道路政策論を述べるわけにもいきませんが、おっしゃるお気持ちは僕も同感なんです。それに加うるに、やはり不況地域というものに新しい企業を誘致するとかいろんなことを考えれば、輸送コストの低減という意味からも私はアクセスというものは真剣に考えた方がよいというふうに思うんです。そういうことを含めまして、今おっしゃったような御趣旨、まあちょっと閣議で発言するような内容ではないと思うんですが、私は元来が公共族でございますから、天野君と一遍よく話し合い、場合によったら道路局長等ともよく相談をしてみたいと思います。
  38. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) 企業誘致というのは今回の対策一つの大きな特徴として私どもも強く意識して考えたところでございます。ただ、この土地に絡まる問題、これはその場所場所によって随分事情が違うだろうと思います。  御承知のとおり、中核工業団地等をつくっていくところもございますし、また私ども中小企業事業団が用地の先行取得というような形で土地の確保を行うというような事例もございます。あるいはまた、既存工業地帯には既にそういう用地というものはあるというようなところもあろうかと思います。ただ、概して言って、既存工業地域の地価が比較的高いということを私どもこの地域問題を考えるに当たって痛感しております。これが案外企業誘致の一つの大きなネックになるんではないかなというふうにも懸念をいたすところもございます。  ただ、そういうことで用地の確保についてはいろいろなそのときどきの場所による形があるし、また地方公共団体も用地売却についていろいろな価格差補給を出している自治体もあるやに聞いております。その上に、私ども今回ここで用意いたしましたのは、そういう新たに来る企業の税制上のインセンティブということで、二二%の特別償却制度というものをこの法律で規定すると同時に、年度末にできますでございましょう来年度租税特別措置法の中でこれを二二%ということで確定していただくべく措置をしております。それからまた地方税でございますけれども、そういう場合に特別土地保有税の減免ということも措置をしたいと考えております。もう一方は金融措置でございまして、これは中小企業事業団から無利子融資を第三セクタースルーでできるだけそういう新規立地者に対する設備資金についての無利子融資の道を用意をしております。  大体以上が今回の企業誘致策の概要でございます。
  39. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 聞いていないこともちょっと答えていただきましたけれども企業誘致と土地の問題というのはまた――私が言ったのは、土地問題を中心に言ったのでちょっと違うんですけれども、ただ、特別償却制度というのは、企業が新しく進出してきて、その間にもうかったときに初めて税金が安くなるわけでございまして、ぽっと進 出してきて、最初からその企業が黒字を出して特別償却の恩恵をこうむるというのは、どこかに本社があって、そしてそこが行った場合のことで、一つ企業が行ったときというのはなかなかそうはいきませんから、私はこれはなかなか難しい問題であると思います。  それよりも、先ほど言いましたように、工場用地を市町村につくらせる、そしてずっとその間その土地が上がらないような、相手が来るまでに一万円なら一万円で、コストがかかったらそこで一応とめておけるような、そういう何か方法、利子補給なり何かないだろうか、こういうことをお願いしたいわけでございます。  ちょっと時間がありませんから、次に移ります。  中小企業信用保険法及び特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法についてですが、一つは、中小企業国際経済調整対策等特別貸付制度、これは去年の暮れですか、これの実績が一体どうなっているか簡単に。  それから、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法ですか、ことしの二月に急いでやったやつですね、これはうまくいっているのかどうなのか。一口にこの辺について状況を聞かしていただきたいと思います。
  40. 広海正光

    政府委員(広海正光君) まず、本年二月に制定されました新転換法に基づきます実績でございますけれども円高による著しい影響を受けた中小企業者の認定、いわゆる円高の認定件数でございますけれども、十月末現在で一万五千二百十六件ということになっております。また、事業転換計画の承認の件数でございますけれども、同じく十月末現在で五十四件と、そういうことになっております。
  41. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 また少し、実績についてはどのようになっておるか、詳しいのは後で教えてください。  そこで、今度一千万円の無担保保険の付保限度額、要するに担保なくても一千万円また貸すようにするということでございますが、この点について、先ほど本岡委員からも質問がありましたが、私もちょっと調べてみたんです。私の地元の信用保証協会の相当詳しい人に、電話でございますが聞いてみましたら、倒産状況というのはどうなっているかと言ったら、倒産状況というのは、ずっと一時少なくなったと、しかしまたふえつつあるというように言っていました。それから保証額は今逆に減っていると。どういう状況かというと、もうやっぱり業者も、担保力もないし先の見通しもないために借り控えをしているというのが今の傾向だろうと、こういうことです。それから信用保証協会としては、代位弁済がふえて信用保証協会としてもどうにもならないような状況になりつつある、金融機関に対する代位弁済も、もう縮小して計画的にしか一気に払えないからやっぱり払うしかない、こういう状況だというわけですね。中小企業保険公庫から、じゃ、ばっと出るかといったら、そういう状況でもないと、こういう状況なんです。  だから、一千万円無担保で貸すと、こう言っても、信用保証協会としては、なかなか代位弁済もふえておりまして、業績の見通しとか、あるいは借りたいという皆さんの業績見通しは一体どうなのか、うまくいくのかいかぬのか、そういうところのチェックはやっぱりやらしてもらうと、厳しくね。それはそうでしょう、貸す方ですから。そういう状況ですから、実際は今度は借りる方になってみるとなかなか厳しいけれども、これは見通し立たない。じゃどうするか、もうやめるか、あるいは人員を縮小するか、すぐ雇用に結びついてくる、そういう状況でありまして、この一千万円の信用保証協会の無担保保証の制度ができた場合に、本岡委員も言いましたように、もう少し、がちがちがちがち先の見通しとかなんとか余りこれを言い過ぎないように、弾力的な運用ができるのかどうなのか、その辺について。
  42. 広海正光

    政府委員(広海正光君) ただいま先生御指摘のとおり、制度といたしましては、今回の二つの法案によりまして、無担保保険枠について申し上げますと、従来は一般的な無担保保険というのが一千万、それに国際経済関連保証ということで一千万、合わせて二千万、こういうことだったわけでございますけれども、今回後者の点につきまして一千万を二千万にするということでございますので三千万、それに地域の特別保険が上乗せになるわけでございますので、合わせまして四千万まで無担保保険としては枠を広げる、こういう措置をとることにしているわけでございます。  しかし、単に枠を広げただけではなく、保証協会としましても当然先ほど先生がおっしゃいましたようにいろいろな審査をした上で保証をする、無担保保険といえども審査をした上で保証をするということでございますので、そこに保証リスクが当然伴うわけでございます。したがいましてそのようなことをするわけでございますが、今回はこういう制度を広げると同時に、保証協会として負担することとなる保証リスクをカバーしようということで、それなりの予算的な手当てを補正予算でやっているわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、裏づけとなる補正の予算も手当てするわけでございますから、それも十分に飲み込んだ上である程度弾力的に保証するようにという指導もあわせてやっていきたいと思います。
  43. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 時間が来ましたからやめますが、それは文書か何かで弾力的にやれというのを出してください、そう言うのなら。  そして、そこで一生懸命頑張ってやっていても、これ五割から六割も売り値がダウンする、この円高によって下請やなんかというのは。そういう状況というのはどうにもならぬのですから、やっぱりそうかた苦しいことを言わないでひとつやれと、こういうように指導をしていただきますようにお願いをしておきます。  最後に大臣、もう御答弁要りませんが、やっぱり円高の百六十円そこらというのはこれはどうしようもならない状況だろうと私は思うんですね。だから、やっぱり百八十円とか二百円とか、まあ最低百八十円ぐらいにはするように努力をしてください、腹を決めて。  それから、内需拡大についても、特に地方の雇用情勢の厳しい地域については、何としても思い切って手を打っていただくようにひとつ頑張っていただきたいと思います。  それから、この臨時措置法ができた場合に、これをもとに首切りがどんどん進むようじゃこれ困りますから、中小企業庁の方もやっぱり雇用問題は第一に考えていただいて、雇用調整の促進役を果たさないようにひとつやっていただきますようにお願いを申し上げまして終わります。
  44. 大木浩

    ○大木浩君 時間がございませんので簡単に御質問させていただきたいと思います。  御承知のとおり、前回の委員会でも御報告申し上げましたけれども、先般当委員会で現在の円高不況に悩んでおる中小企業実態を知りたいということで視察をしたわけでございます。私ども視察をしました実感を申し上げますと、東京を出発して箱根の山を越え、大井川を渡り、だんだん西へ行けば行くほどこの不況の影響というのは大きいんじゃないかというような実感を持ちました。大阪へ行きますと、とてもあきまへんわと、江戸の方にはわからぬだろうけれどというような意見もあったわけでございます。  先般、その報告書をつくりまして御紹介いたしましたんで、大臣もお読みいただいたと思うんですけれども、ひとつ手始めに大臣の我々の報告書に対する読後感と申しますか、一般的なコメントでもいただけますと非常にありがたいと思います。
  45. 田村元

    国務大臣田村元君) やっぱり専門的に商工委員会に属しておられる方が視察してこられたし、また、行かれたところが私が極めて土地カンのあるところばかりでございまして、私にとっては地元を歩いてもらったようなものでございます。なかなか鋭く見ておられるなというのが私の率直な感想でございます。
  46. 大木浩

    ○大木浩君 大臣も非常に土地カンのあるところのお話でございますので、十分に御理解いただいたと思うわけでございますけれども、先ほどからいろいろと御質問がございまして、今テーブルの上にございます二つの法案、特に特定地域の方の法案でございますが、これがどこへ行きましても、早くやってくれという話はこれはいいと思います、中身もなるべく厚くしてくれと、これもいいわけでありますが、要するに、それでおれのところはやってくれるんだろうな、おれの地域は入るんだろうなと、これが共通した一番の重大問題なわけでございます、せっかくいい法律ができましても自分のところは対象にならぬというんじゃ、これはもう全く意味をなさないということで。  ただ、これなかなか難しい。先ほどから四十地域ぐらいを大体想定しているというお話でございます。それから、必ずしも市町村単位ではないということもお話を伺ったわけでございますけれども、やっぱりどこか地域を想定して、そこがもう地域全体として非常に重大な影響を受けておると。例えて言えば、もう体じゅうに毒が回って死にそうだというところでないと対象にしてやらぬ。どこか体の一部にがんが発生しておるというようなところは、まだまだそれは死にそうじゃないんだというようなお話に私は聞こえたわけであります。先ほどもいろいろとお話がございまして、特定産業がいろいろと地域で分散しておるというところはあるわけでございます。非常に集中しているところもあるけれども、ある程度固まってどこかに離れてあるというようなところもあるし、隣接もあるというわけであります。  御説明するために例を挙げますと、例えば陶磁器産業というのは、私も愛知県ですから幾つかあるわけですけれども、瀬戸市というような音からの陶磁器中心というような町ですと、陶磁器を中心にして考えますとそれは非常に影響がある、こういうことになります。ところが、じゃ名古屋市はどうか、こういうことになりますと、名古屋にはいろんなものがございますが、陶磁器は非常に重要な産業なんです。しかし、これを全体をとらえていいますと、果たして入るか入らぬか非常に難しいというような感じがするわけでございます。  ですから、これどういうふうにこれから――実際にまだ案をつくっておられるんで最終的なことはわかりませんけれども、やっぱりその辺はかなり大きな町も含めて影響を受けているんだということは、ひとつぜひ御理解をいただきたいというわけでございます。これはどういうふうに最終的にできるかわかりませんから、まだコメント難しいかもしれませんけれども、そういった地域が非常にばらばら出てきまして、仮に入らなくて、しかもそこにかなり大きな産業が残っておるというような場合にはどういうふうに対処していただけるのか、その辺のところをひとつお伺いしたいと思います。
  47. 田村元

    国務大臣田村元君) 法律がまだ通ってもおらぬのに地域をべらべらしゃべったら、これはえらいことになってしまうんで、恐らく商工委員会大混乱になると思うんです。ですから、これは申すわけにまいりませんことは、大木委員も十分御承知のところと思います。それともう一つは、大きい町をと、まあそれは相当大きい町も入るのかもしれませんけれども、じゃというんでだんだん誘導されて、どこをという特定の場所をうっかりぺろっとしゃべったら、これはまたえらいことになりますから、これもうっかり言えないわけでございますけれども、それは常識的にお考えいただいたらいいんじゃなかろうか。  それから、分散しておるというのも、分散の仕方でございまして、例えば東海三県で言えば、瀬戸が入るかどうかは別問題としてやはり瀬戸を入れると。しかし、瀬戸というより三重県で言った方がいいかもしれませんね。仮に四日市というものがある。ここに万古焼がある。じゃ、私の生まれ故郷の松阪にも万古焼がある。ちょっと離れておるけれども入れてくれというわけにはいかぬでしょうね。そこらはやっぱり常識の問題じゃないでしょうか。  でございますから、四十カ所というのは率直に言って、多いか少ないかといえば少ないと思うんです。けれども、たくさん指定したら、一カ所に対する手当てが非常に薄くなってしまいますから、何のことはない、二階から目薬になってしまうというところもございます。  そこで、先ほども申し上げたように、今後とも引き続き、場合によっては、また事情等あるいはそのときの環境等によっては追加もあり得べしというようにお考えを願いたい。同時に、この法律案に書いてございますように、特定都市とは書いてございません。「特定地域」と書いてございますことも広い意味でお考えいただいたらいいんではなかろうか、こういうことでございます。
  48. 大木浩

    ○大木浩君 この法案の条文にも書いてあるんでございますが、この「別に講じられる失業の予防、再就職の促進」云々と、こうございますけれども、これはどういうふうに読めばいいんでしょうか。現在いろいろとあるものをそのまま上手に使っていくということか、これからさらにまた新しい措置考えていくということか、そして具体的にどういうことをやるか。労働省ひとつ御説明いただきたいと思うんです。
  49. 廣見和夫

    説明員(廣見和夫君) お答えいたします。  現在、労働省といたしましては、特定不況業種特定不況地域雇用安定法、略称でございますが、この法律に基づきまして、特定不況業種あるいは地域指定していろんな対策を講じております。  一つは、この法律と相まって、「別に講じられる失業の予防、再就職の促進等の措置」というところでは、この法律に基づきまして指定しております特定不況地域、それに対します対策、これも当然入ってくるわけでございます。ただ、これだけでございますと、今通産省の方といろいろと御相談させていただいておるわけでございますが、若干地域指定等にも食い違いも出てくるというようなこともございますし、また新しい観点からいわゆる産地といったようなものももう少し拾っていく必要があるのではないかというような内部のいろいろの検討もございまして、現在のところ通産省といろいろと相談をさせていただきながら、さらに新しく地域を労働省といたしましても追加指定し、そのような地域に対しまして雇用調整助成金あるいは特定求職者雇用開発助成金等を支給できるような措置、こういったようなものを進めてまいりたいということで、現在財政当局等とも協議いたしておりまして、あわせて実施してまいるような形で検討を進めているところでございます。
  50. 大木浩

    ○大木浩君 先般視察いたしまして、現在この商工委員会で議論しております法案を早く通してくれという話と、もう一つは、先ほどからもお話が出ておりますけれども円高差益をひとつ追加的に早くやってもらいたいというお話でございまして、これはもう先ほど大臣から、お歳暮には間に合わぬけれどもお年玉にはというようなお話でございましたので、ひとつぜひともそれを進めていただきたいと心からお願いをする次第でございます。  それから、ちょっと話が横へ飛びますけれども、我々こうやって国内で円高不況ということで大騒ぎをしておるんですけれども、最近の通産省の皆様方の動きを見ておりましても、内憂外患と申しますか、外の方もいろいろとあるということで、先ほども大臣が、外へ会議に行くと大変に厳しい声がよそから出てくるんだというお話がございました。  そこで、たまたま現在ヨーロッパの方へたしか経団連が行っておりますけれども、行っておられた先々のいろんなニュースを聞いてみましても非常に厳しい。それから先般、これは大臣もお会いになったと思いますが、アメリカの歳入委員会のロステンコウスキー委員長一行が来ておりまして、非常に短時間でございましたけれどもいろいろときついことを言って帰りました。私どもも党として会いましたけれども、これからいろいろ措 置を進めてくれということを言っておるわけでございますが、この辺のこれからの対外経済政策につきまして、大臣なり局長から全体の姿をひとつ教えていただきたいと思います。
  51. 田村元

    国務大臣田村元君) 具体的なそれぞれの交渉とかそういう問題に関しましては通政局長からお答えをさせたいと思います。  私から基本的な問題を申し上げますならば、先般のガット・ニューラウンドのいわゆるウルグアイ・ラウンドの開始宣言のあの閣僚会議のときでもそうでございましたし、四極のときでもそうでございましたが、私どもはあくまでも開始宣言の宣言文の本文に、バランス・オブ・ベネフィットという文字を入れることを拒否しました。それは結果として得た利益をルールの場であるガットで論ずるべきではないという考え方で頑張った。そして、わずかにそれを提案したECに対してついたのはセネガルとマダガスカルぐらいで、あとは日本の肩を持ってくれたわけです。けれども、持ってはくれましたけれども、それは日本のひいきをしてくれたのではないということを我々は知らなければならないと思うんです。あくまでもアメリカを初め、オーストラリアでもどこでも、日本に対しては非常に激しい感情もあれば、理屈もありますけれども、彼らはそういうことを一応横に置いて、保護主義あるいは管理貿易というものの台頭を抑えるために、自由貿易というものを守るために、結果として得た利益というもののバランスを問うべきでないという考え方をとってくれたわけです。宣言本文にこれを入れることを拒否した日本の肩を持ってくれた。それは日本の肩じゃなくて、行為を支持してくれた、こういうことでございますから、我々はこれから世界各国の日本に対するいろいろな言い分、我々にも言い分はございますけれども、しかし責められてもまた仕方のない面もたくさんある。  それは結論的に言えば、この大きな貿易インバランスというものは、これはもう言いわけのしようがないわけです。でございますから、我々は自主的な努力をして、やっていかなきゃならぬ。そのための産業構造調整であり、内需の拡大であり、輸入の増進である、こういうことでございますが、くどいようでございますけれども、決して世界各国は日本に寛大ではありません。非常に厳しい。ですからジャパン・バッシングということは、この問題は将来も日本が態度を改めない限り、あるいは何らかの前進の成果を見せない限り続くものというふうに私は受けとめて、非常に厳しい気持ちで帰ってまいりました。
  52. 村岡茂生

    政府委員(村岡茂生君) ただいま大臣が申し上げましたとおり、機動的なマクロ経済運営などを通じますところの政策協調をより一層高めていく、中長期的には構造改善を徹底していく、この二つが基本でございますが、なお個別の問題について若干敷衍いたしますと、私ども、日米も、日・ECも、あるいはその他の国も同じでございますが、この友好関係を維持、継続していくためには、個別のこの貿易問題、トレードイシューというものを一つ一つ誠意を持って円満に、可能な限り早く解決していくということが重要かと思っております。  そのような観点から、例えば日米関係について申し上げますと、この夏からでもかなり多くの実は個別問題が解決しているという現実がございます。半導体の問題であるとか、たばこの問題であるとか、つい最近でありますとアルミも片づきましたし、繊維問題も妥結に至りました。MOSS問題は御存じのとおり、大きな成果を四つの分野については上げたところでございまして、また同時に極めて近いうちに工作機械の問題についても妥結点に達することを我々は強く期待している、こういう状況にありまして、かなりたくさんの問題が、最近に至りかなり解決しつつあるということをあわせて御報告申し上げたいと思います。
  53. 田代富士男

    田代富士男君 最初にお尋ねをいたしますが、報道によりますと、本年度成長は御承知のとおりに三・五%に下方修正されるようでございますけれども通産省としてどのように見ているのか。また国際公約でもあります四%成長の達成にかけてきた政府の責任というものは非常に大きいと思いますが、最初に田村通産大臣の所感をお伺いしておきます。
  54. 田村元

    国務大臣田村元君) 新聞報道でそういうことが出たそうでございますが、下方修正した事実はございません。  ただ、四%の達成が非常に厳しいという見方があることは否定できない事実でございますけれども、だからといって、私どもはあくまでも四%成長に、ずっと私は当初から言い続けておりますように、限りなく近づける努力をしなければならぬ、そのための今日の必死の努力である、こういうふうにお受けとめを願いとうございます。
  55. 田代富士男

    田代富士男君 公明党は、通産大臣も御存じのとおりに、産地中小企業組合を対象にいたしまして円高影響に関し調査を行いました。それによりますと、大部分企業が輸出成約の大幅な減少に加え、国内需要の不振、競合品の輸入増で深刻な円高影響を受けておりますし、また契約済み取引の解約や既契約取引の値引きなど、親企業からの円高しわ寄せも浮き彫りになっております。特にその中にありまして、採算レートにつきましては、調査対象六十二輸出関連の産地組合中五十八組が百八十円台を望んでおりまして、百六十円台では採算不可能と答えております。  また、報道によりますと、ボルカー・アメリカのFRB議長は、ドルは適正水準と、こういう発言をしておりますし、宮澤大蔵大臣は、まだつらく高過ぎると述べております。また、昨日来から報道されておりますこの内容によりますと、日銀は円相場については、昨年九月以来のドル高修正局面は完全に終了し、今後円高が際限なく進むおそれは少ないという判断を明かしたと言っておりますけれども、これは本当に現在の百六十円台を中心に安定面に入ったと信じてよいものか。またそうであるならば、今後の経済運営の構造は、大臣も御存じのように、大きく変わってくると思います。その中で、特に中小企業の採算割れの問題を今後どのように対処していくのか、こういうことをあわせてお答えいただきたいと思います。  それに付して何か陳情が来ているそうでございますから、御答弁いただいたならばちょっと退席していただいて、そちらのあれを済まされて戻っていただいて、その間に別な質問をしておきますから。まずそれに対するお答えをいただきたいと思います。
  56. 田村元

    国務大臣田村元君) 先般の公明党の御調査、詳しくお聞きをいたしました。非常に精密な調査をしておられる。私どもには大変参考になりました。  そこで、しからば幾らが適正か、あの御調査では大体百八十円ぐらいというところへまとめておられるようでございますけれども、先ほども申し上げたように、私の口から幾らが適正ということは言えないわけです。言えば、余りにもこれは影響が大き過ぎる。大臣やめたら言いますけれども、やっておる間はこれは簡単には言えないんです。そのつらさがございます。ただ、宮澤・ベーカー共同声明というものがもたらした効果というものは一つある。それはこれ以上の円高はだめよという天井を打たしたということでございます。  でございますから、そうしてその後は一応これで経済の諸条件というものは満たしたんだから、後はいわゆる市場の動きによって自由にリフロートさせればよいというようなことでございますが、大蔵大臣も現在の円の値段をいいということは言っておりません。宮澤君が言いましたのは、今でもなお円高が過ぎるように思うということを言っておったと。これは直接聞いたわけじゃありませんが、新聞で読んだ程度でありますけれども、一度これは当然私は大蔵大臣と会って話し合わなきゃならぬ問題ですけれども、大蔵大臣自体が今のレートに対して満足を示しておるわけじゃありません。どちらかというと不満を示しておると、こういうことでございますから、そこいらをひとつお酌み取りをいただきたいということでございます。  私どもは大蔵省でもなければ企画庁でもありません。いわゆる産業を守っていく官庁でございますから、むしろ机の上の理論より現実に現場の生の声を肌で感じて受けとめて行動しなきゃならぬ、そういう官庁でございますということをつけ加えて申し上げて、私の一つの決意ということでお答えにいたしたいと思います。
  57. 田代富士男

    田代富士男君 次に、公明党の調査の結果、その他の結果といたしましては、各年度ごとの年間生産額見通しは昨年、ことしと二年連続して上昇する見込みを立てた組合は見当たりません。また、本年度の生産額見込みについては七五・四%が下降すると予測をいたしまして、生産調整が迫られていることをうかがわしております。また、円高影響を何らかの形で受けている組合は実に八二・四%に達しておりまして、輸出関連を含め、ほぼ全企業といいますか、全業種に広がっておると。その原因というものは輸出の減少が最も多く挙げられております。これに国内需要の不振、競合品の輸入増が続いている。その他輸出向けの新規契約について順調と答えたものは皆無であります。それ以外に、新規契約が大幅に減少している組合の約九割が価格の値引きに遭いまして、三〇%以上の値引きがその半数を占めているということが明らかになっております。その他しわ寄せ、操業不振の実態が明らかになっておるわけでございます。  そこで、公明党といたしましては、具体的に円高相場への機動的介入、また大幅所得税減税の実施だとか、円高不況地域への公共事業の重点配分、円高差益還元、また中小企業向け融資枠の拡大と金利引き下げ、親企業の下請いじめに対する監視強化などについて申し入れをいたしましたけれども、今、通産大臣が陳情行かれましたものですから、かわりにお答えいただきたいと思います。あわせて、通産省中小企業をめぐる最近の景気動向、特に生産指数の推移だとか輸出動向、倒産件数、設備投資、下請中小企業へのしわ寄せの実情と下請企業の動向、中小企業の景況観につきましてもお答えをいただきたいと思います。
  58. 広海正光

    政府委員(広海正光君) まず中小企業の景況観、下請の実態につきましてお答え申し上げたいと思います。  中小企業の景況は、御承知のように悪化傾向が強まっておりまして、停滞観が一層濃いものとなっております。特に中小製造業の状況が悪うございまして、輸出もここのところ前年同期と比較いたしまして二割以上減って、生産も一年前と比較しまして減少しているという状況にあるわけでございます。  倒産件数につきましても、民間の調査機関の調査ではございますけれども、このところ大体七十件前後ということで推移しておりまして、昨年十月から十月までの十三カ月問をとりますと、合計で四百九十四件の円高倒産が発生している。これは前回の五十二年から五十三年にかけての同期間、十三カ月間の倒産件数百九十八件に比較しまして大幅な増加となっているというような実態にあるわけでございます。  それから下請企業状況でございますが、最近私どもが調べたところによりますと、受注量が、これも前年同月と比較した話でございますけれども、マイナスとなっております企業の数が五九・六ということで、約六割を占めております。その場合の減少幅でございますけれども、大体一〇%から三〇%くらいまでの間に集中しております。  それから受注単価でございますが、これにつきましても一年前と比較しましてマイナスになっているという企業の数が五八・六%ということになっておりまして、この場合の減少幅につきましては、一〇%から二〇%に大体集中しているという状況にございます。
  59. 田代富士男

    田代富士男君 今、御答弁いただきましたような窮状にあります中小企業が下請に不当なしわ寄せをしないように、政府の監視体制の一層の強化を望みたいと思います。同僚議員が申されましたとおりに、商工委員会として今回視察に参りました折に、大阪府からのその調査の資料が出た中にも、こういうことを高めていただきたいという趣旨のこともありましたし、ここで改めて監視体制の一層の強化を望みたいと思います。  次に、労働省にお伺いいたしますけれども、そういう意味から、第一番目に最近の雇用失業情勢、二番目には産業別求人動向、三番目には雇用調整実施状況、それから四番目に雇用保険の受給者の推移、五番目に完全失業者等についてその実態をどのように掌握されているのか、お伺いをしたいと思います。
  60. 廣見和夫

    説明員(廣見和夫君) お答えいたします。  まず、全般的な雇用失業情勢でございますが、最近の円高の進展等を背景といたしました生産活動の停滞というようなことを受けまして、求人は減少し、一方失業者は増加するというようなことなどで雇用情勢は悪化してきているというふうに私ども考えております。  具体的に先生今お尋ねのございました、例えば産業別の求人の動向ということになってまいりますと、全般的に求人は減少しておるわけでございますが、例えば一番新しい本年九月の求人の状況を対前年比で見てみますと、大きな産業でふえておりますのは建設業だけでございます。建設業は一〇・八%の増になっておりますが、ほかでは大体マイナスということで、特に製造業は二〇%を超えるマイナス、中でも輸送機械あるいは一般機械、鉄鋼といったようなところでは対前年三割から五割ぐらいの求人減ということになっておるところでございます。  また、雇用調整の進みぐあいでございますが、労働省の方で調べております製造業の中で、何らかの形の雇用調整実施している事業所、この割合を見てみますと、昨年からことしにかけてやはりずっと上昇を続けておりまして、八月時点の状況では、製造業の中の三一%の事業所が何らかの形の雇用調整、まあこれはもっとも残業規制等の緩やかな雇用調整も含めてでございますが、雇用調整実施している、こういうような状況になっております。  それからまた、雇用保険の受給者の状況を見てみますと、これもやはり最近増加傾向にございまして、ことしの初めごろは大体月平均六十万人台で推移しておりましたのが、七月から七十万人になり、七、八、九と各月大体七十一万人台の雇用保険の受給者があるという状況になっております。  それから、完全失業の問題でございますが、これは最近二・九%あるいは二・八%という高い率で推移いたしておりますし、失業者自体の数といたしましても、百六十万人台ということになっておるわけでございます。
  61. 田代富士男

    田代富士男君 次に伺いたいことは、この法案をまとめるに当たりまして、通産、労働両省でどのような話し合いが持たれてきたのか伺います。  それとともに、法案の第一条、第二条の、別に講じられる措置についてと、このように書かれてございますが、ここで通産省並びに労働省からそのこともあわせて伺いたいと思います。
  62. 小林惇

    政府委員小林惇君) 法案をまとめるに当たりまして、労働省との間では非常に前広に御相談をしてございまして、特に円高の進展、これに伴う不況等による影響雇用面にあらわれ始めておるわけでございますので、その点話し合いは非常に早い時期にやってございます。話し合いの趣旨は、特に労働省の方でとっていただきます措置あるいはその地域指定との整合性等の問題が非常にポイントでございました。  それから、別に講じられる措置内容につきましては、労働省の方からお答えしていただくのが適切だと思いますけれども、今申し上げましたような制度の適用に際しましての調整ということが一番大事なポイントであるというふうに通産省としては考えております。
  63. 廣見和夫

    説明員(廣見和夫君) 労働省の方といたしましても、今中小企業庁からお答えがございましたように、かなり前から、またかなりの時間を使って私ども綿密な打ち合わせと申しますか、をさせていただいたところでございます。そういうことを 受けまして、この法律の中にもございます別に講じられる措置、こういったようなものにつきましても、私ども今鋭意検討をいたしておるところでございまして、近くこういったような措置をまとめ上げてまいりたい、このように思っております。  具体的に申し上げますと、一つは現在ございます特定不況業種特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法、この法律に基づきまして特定不況地域指定し、そこに手厚い雇用対策を講ずるということをやっておるわけでございます。これが一点ございますが、ただこれだけでは今御提案になっておりますこの法律指定されようとします地域、これとの関係で若干食い違いが出てくるというようなこと等もございましたので、いろいろ相談もさせていただき、さらに追加的な措置も必要なのではなかろうかということで、労働省といましましては、中央職業安定審議会の御意見等も承り、現在新しい追加的な地域指定すべく、また内容といたしましては、そういったような産地等の地域雇用調整助成金あるいは特定求職者雇用開発助成金といったようなものをまとめて適用できるように、現在検討を進めておるところでございます。
  64. 田代富士男

    田代富士男君 新聞報道によりますと、構造調整関連対策協議会なるものが通産、労働両省でできたそうでございますけれども、新たに協議会を発足させた背景、またなぜこういうものを発足をさせたのか、その理由というものをお聞かせいただきたいと思います。この両省間には、円高不況や北洋漁業の規制強化による中小企業問題や雇用問題についての話し合いが十分になされていると考えられます。ただいまも答弁をなされておりますけれども、この時期におけるこの種の協議会がさらに設置された、今さらの感は免れませんけれども通産大臣が今席を立っていらっしゃいますから、通産省としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  65. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) 先ほど来お話のございましたように、雇用情勢が非常に厳しくなってきておりまして、雇用調整の動きが極めて広範な分野に及ぼうかといたしております。先ほども御答弁申し上げましたように、中小企業対策等々につきましては、これまでも労働省、通産省との間では密接な連絡をとってきておりますが、それ以外にも石炭、さらには鉄鋼、また非鉄金属鉱山等かなり広範な分野に最近雇用調整問題が及ぼうとしている状況にかんがみますと、やはり産業政策雇用政策、これを事前に十分すり合わせておく必要があるのではないか。また、これから進展が予想されます産業構造転換問題、特に対外投資等に伴います国内の雇用への影響、こういった問題も中長期的には産業政策雇用政策の面から十分お話もしておく必要があるのではないか。こういう観点から、去る十月三十日、労働大臣通産大臣のお話し合いで、今御指摘のような両省事務次官をトップといたします協議会の設置をいたしたわけでございます。これから常設の機関といたしまして、およそのめどといたしますと、月に一遍ぐらいの頻度で各種の情報交換、またお互いとるべき対策等についてのすり合わせをいたしておきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  66. 田代富士男

    田代富士男君 ただいまも御答弁いただいたとおりに、月に一回ぐらいの各種の情報の交換だとか、お互いにとるべきそういう対策の意見交換等をやりたいと、そういうことでございますし、せっかく設置したことでもありますし、しっかりこの協議会を通じて取り組んでもらいたいことを要望したいと思います。  この際、労働省に労働問題について少しばかりお尋ねをしたいと思います。  現在、短期の観光ビザによります入国者は国内では就業が禁止されておりまして、これは各国共通の取り扱いでありまして、我が国でも例外ではありません。しかるに、自国で働く以上の高い収入を当て込んで、建設現場その他において、明らかに海外からの観光入国者と思われる人々が相当数働いておる事実が我が国にあります。一方、企業においては賃金の安い観光ビザの外国人を違法を承知で使っている、そういう節もあるばかりか、次第に進む国際化の波に労働界も洗われて、我が国が世界に伍していくには外国人労働者の問題は当然避けては通れないというような、そういう意見も正しい論議として強まりつつあることもこれは事実でございます。そういう意味から、こうしたことが進んでいきますと、企業の海外進出ということも現在論じられておりますし、そうなりますと、いわゆる産業の空洞化と相まって我が国には深刻な労働問題を引き起こすことになると思われますけれども、一方、国際化の進展に目をつぶるわけにもいかない、こういう問題があるわけなんです。  そこでお尋ねします第一点は、まずこのような実情をどの程度掌握していらっしゃるのかということをお尋ねをしたい。第二点は、特にその影響をもろに受けると思われるのが中高年の単純労働者ではないかと思いますけれども、この点に対する考え方はどうであるのか。それから第三番目には、この十日、中央職業安定審議会から「地域雇用対策の整備、充実について」と題する建議が出されましたが、これについての労働省の取り組みを伺うとともに、地域雇用対策というぐらいだから、この外国人労働者問題については触れられていないようでありますけれども、今のうちから十分に検討しておくべきではないかと思うんですが、労働省としてどのように対応されていくのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  67. 廣見和夫

    説明員(廣見和夫君) お答え申し上げます。  今先生のお尋ねのございました外国人の入国者の実情と申しますか、外国人の方で入ってこられ、広い意味で不法に働いておられる人の実情はいかがかと、こういうことでございますが、基本的にはこの外国人の入国の問題につきましては、法務省入国管理局で所管していただいておるわけでございまして、出入国管理法によって管理がなされておるところでございます。  ただ、現実の問題といたしますと、確かに最近きちっと正式に入ってこられる外国人以外に、何らかの形で資格外活動あるいはいわゆる不法残留をして働いている、こういうケースがあらわれているのではないか、現にそういう事案が若干ふえておるようでございます。私ども、法務省の入国管理局発表の資料によって見ますと、やはり最近フィリピンあるいはパキスタンといったような国々からの外国人が、成田で上陸するときに虚偽申請をするというようなことになった事例、あるいはまた観光ビザあるいは就学ビザで入った後で、建設会社あるいは工場等で働いているというような事例が増加しておるということで、具体的には、例えば五十九年度はこういったような資格外活動等の件数は約四千八百件でございましたのが、六十年度五千六百件ぐらい、ことしに入って上半期と申しますか、一月から六月までで既に三千二百五十件程度というふうに伺っておりまして、やはりこういったような違反の状況は、違反の件数はふえているというふうに私ども承知しておるところでございます。  それで、こういったようないわゆる不法に入ってきて、あるいは不法に働いているというような人たちが増加してまいりますと、特に中高年の労働者に影響を与えるのではないかという御指摘でございますが、私ども労働省としての基本的考え方は、先ほどからも申し上げておりますような厳しい雇用失業情勢にもございますので、そういったようなこと等も勘案いたしますと、外国人のいわゆる単純労働者としての受け入れ、これはすべきではないというふうに私ども考えておるところでございます。従来も、例えば雇用対策基本計画の決定の際の閣議におきまして、労働大臣からそういったような御発言もいただき、一般的にそういうような方針は了承されている、このようなことになっておるわけでございます。  したがいまして、今確かに、お尋ねのように単純労働者という形で外国人の方々が入ってくるのがふえるということになりますと、当然大きな影 響もあろうかと思いますので、私ども現在のところいわゆる単純労働者あるいは単純労働力として外国人を受け入れることはすべきではないという方針を堅持していくべきではなかろうか、このように考えておるところでございます。  またあわせ、今先生からお尋ねのございました地域雇用対策、これは確かにちょっと観点が違うかと存じますが、昨今のこういったような厳しい失業情勢雇用情勢、それは特に地域地域によって違っておるわけでございまして、特定地域に集中してあらわれてくるおそれがある。したがって、地域に着目した雇用対策を充実強化すべきである、こういったような考え方から、中央職業安定審議会から先般建議が出されたところでございます。  それを受けまして、労働省といたしましては現在鋭意検討を進めております。関係各省とも御相談をいたしながら、必要であれば法的措置をとるということも含め現在鋭意検討を進めておるわけでございますが、この中には確かに外国人労働力の問題は触れられておりません。一般的に今先生のお話がございましたような形で、私ども基本的には先ほど来申し上げましたような方針を堅持すべきだと思っておるところでございますが、そういう問題も含めて適切に対処していく必要があるだろうというふうに考えておるところでございます。
  68. 田代富士男

    田代富士男君 法案の第二条の中小企業等の定義の規定は、御承知のとおりに中小企業基本法がベースになっておりますけれども円高影響考えた場合、ボーダーラインのすぐ外にある企業についてはどう考えておられるのか、今回の対象の範囲としては十分と言えるのか、これは切りがありませんけれども、こういうことに対する通産省としての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  69. 広海正光

    政府委員(広海正光君) 今回御提案申し上げております対策実施する場合には、申し上げるまでもございませんけれども、その対象をやはり確定する必要があるということでございまして、その場合にはどうしても一定の基準に従って割り切るという必要が出てくるわけでございます。その基準といたしましては、御指摘のとおり中小企業基本法をベースにしているわけでございますけれども、しかし業種業態によりましては第二条の一号、二号に掲げられているような基準では十分に対応できないという場合もあろうかという考えのもとに三号がございまして、そこでは業種業態に応じましてある程度定義――したがいましてその対象でございますが、それに弾力性を持たせるようにしようということでやっている次第でございます。
  70. 田代富士男

    田代富士男君 今さっきから御答弁がございましたとおりに、中小企業の景気の落ち込みが激しいわけでございますけれども、その激しい中の状況は特に特定地域に集中し、また偏在しているということが一面考えられます。そこで、その特定地域に着目して行われるのが今回の措置でございますが、そういう立場から質問をしていきたいと思います。  まず第一点は、六十一年二月施行の新転換法というのが既にあるわけでございますが、今回新たに地域法が施行されることになりますと、当然二つの法律が適用されるところが出てくると思われますけれども、その場合どのような運用になるか。  第二点、政府としては第二条第二項に規定するその「特定地域」をいつ、またどのように指定するつもりであるのか、同僚議員からも質問がございますけれども、客観的な指定の基準をお伺いしたいと思います。  三番目、特に中小企業庁はこの七月あたりから始められ、この九月に円高の輸出型産地中小企業への影響についての調査をまとめられましたが、その内容を概略説明していただくとともに、その調査の意義はどこにあるのかお伺いをしたいと思います。  四番目に、この調査の対象産地リスト、これは五十五産地とも言われておりますけれども、これは今回の法案において対象となると考えてよいのか、それとも何らかの理由で絞られたり、別のものになるのかどうか、ここらあたりもお答えいただきたい。  五番目に、また、伝えられるように、きょうも委員会で言われております仮に四十地域とした場合に、四十一番目以降の指定から外れたところからクレームがついた場合十分説明がつくのかどうか。  六番目に、また、現行城下町法の指定を受けているところについて、今回の措置による指定から外れるところがあるようでありますけれども、それらの地域について問題が残らないかどうか伺いたいと思います。  それから七番目に、法案第二条第一項の組合や連合会にはどのようなものが入るのか。  質問が多いんですが、簡単に要領よくお答えいただきたいと思います。
  71. 広海正光

    政府委員(広海正光君) いろいろ今御質問がございましたが、円高の特に影響を受けております輸出型産地の調査の点につきましてまず御答弁申し上げたいと思います。  この調査は輸出比率二〇%以上の主要な中小企業の輸出産地を、これ五十五産地でございますけれども決めまして、今までずっと継続的に調査をしてきたわけでございます。まず最近行いましたその調査の内容について申し上げますと、いろいろな内容がございますが、ポイントだけ申し上げますと、新規の成約価格でございますけれども、これが前年同月を二〇%以上下回っている産地の比率でございますが、五十五産地のうちの二十四産地ということで約五〇%に上っているということで、新規成約価格がかなり下回っているという状況一つございます。  それからもう一つは、成約の量でございますけれども、新規成約が滞っておりまして、したがいまして受注残がずっと減ってきている。最近ですとその受注残が適正水準を五〇%以上下回っている産地が八九%あると、こういう状況にございます。受注残がそういうことで下回っているために生産量も落ちてきておりまして、この生産量が前年同月を二〇%以上下回っている産地が五五%ある、こういうことになっておりまして、操業短縮、休業、廃業、倒産という状況が出ている産地もかなり多いと、こういう状況になっている次第でございます。  そこで、この調査の意義でございますけれども、私どもはずっとこれを継続してやっておりまして、円高のその輸出産地への影響がどういうふうにあらわれているかということを掌握していたということでございまして、今回の御審議いただいております法案提出の一つの基礎となっているということでございます。  しかしながら、後で申し上げますが、この法案に基づきます地域指定指定されます地域とこの五十五産地の関係でございますけれども地域指定につきましては後でまた申し上げますが、一定の基準があるわけでございまして、この五十五産地全部が指定されるとは限らないわけでございます。この調査はあくまでも実情の調査でございまして、現実にこれがどのくらい指定されるかというのはまた別な問題でございます。
  72. 小林惇

    政府委員小林惇君) 本年二月に施行されました新転換法との関係でございますけれども、今回御提案申し上げている法律の助成措置とダブって適用することは可能であるというふうに考えております。  それから地域指定の基準でございますけれども、当該地域の工業出荷額、それから当該地域のそういった不況業種に対します依存度、それから最近の生産の動向、それから地域雇用情勢、こういったものを総合的に判断をして決めてまいりたいというふうに考えております。  それから、四十一番目以降の、指定から外れたところからの御不満といった点でございますけれども地域指定について今申し上げましたような客観的かつ公平な基準に基づきまして、関係自治 体と十分協議をして決めてまいりたいというふうに考えております。  それから現行城下町法の指定を受けている地域で、今回指定漏れになる地域についての問題ということでございますけれども、現行城下町法の特別償却等の措置が有効である地域については、所要の経過措置を講じてまいりたいというふうに考えております。  それから、法律に政令で定めることにしております組合等の範囲でございますけれども、具体的には事業協同組合、それから協同組合連合会、商工組合、商店街振興組合等を考えております。
  73. 田代富士男

    田代富士男君 今も説明がありましたとおりに、この法案で最も大事なところは、この指定地域指定ではないかと思うわけでございますが、この法案がまとまるまでには、内閣法制局において、聞くところによりますと百数十時間の検討が加えられたようでございますけれども、その三分の一以上の時間を費やしたのが「特定地域」の定義を規定する条文にあったようでございまして、でき上がってしまえば条文にしてわずか五行の「特定地域」の定義を書き上げたわけでございますけれども、なぜ長時間の議論が行われたのか、真剣に議論されたということはわかりますけれども、この点伺いたい。
  74. 小林惇

    政府委員小林惇君) 極めて長時間を要しました検討の視点と申しますのは、ただいまの御答弁でも申し上げましたけれども、いわゆる大企業に依存しております企業城下町、それから中小企業が多数集積しておりますいわゆる産地、この二つの性格の異なる地域一つ法律でまとめて援用していくということの困難性によるものでございます。
  75. 田代富士男

    田代富士男君 真剣に討議された、それ以上はお聞きするわけにはまいりませんが。  続いて御質問いたしますが、法案第三条の規定によりまして、特定中小企業による新たな事業の分野への進出が行なわれるとともに、人材の養成その他の事業合理化事業規模適正化その他の措置が進められることになっておりますけれども、そこでお尋ねいたしますが、例えば新たな事業の分野とは何であるのか、関連して企業への高金利の融資を三・九五%というこの地域特別融資で肩がわりすることができないのか、これあわせてお尋ねをしたいと思います。  また、人材の育成の具体策はどういうものであるのか。また事業規模適正化とはどのように進めていくのか、特に新たな事業分野への進出というが、その可能性はあるのか。また新たな事業分野への進出に伴うもろもろの問題点、例えば新たな分野の決定、進出の手順、障害の発生とその克服などについて、中小企業をどのようにして指導していくのか等について伺いたい。この点については、視察の折にも非常に難しいという面を私は受けて帰った一人でございます。  それと同時に、三条一項に組合員のための計画とありますけれども、それはどういう性格のものであるのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
  76. 小林惇

    政府委員小林惇君) 新たな事業分野と申しますのは、端的に申しまして、現在当該企業が行っている事業とは異なる事業分野の事業ということでございまして、典型的には他の業種に進出をするという場合が典型でございますけれども、それ以外に、同じ業種にとどまる場合でございましても、性能、用途、販路等が異なる製品を製造する場合を含むというふうに考えております。  それから、実際の人材養成の具体策でございますけれども、各種公的機関の用意しております研修への参加でございますとか、あるいは講師の招聘、教育用機材の購入等による社内研修の実施というようなことが考えられますけれども、それ以外に人材の養成の方途というのはバラエティーに富んだものであるというふうに考えております。 それから、新たな事業分野への進出の可能性ということでございますけれども、確かに御指摘のとおり、進出を目指すその先においても競争が激しいわけでございますし、簡単に事業転換が行われるということにはなかなかなりませんけれども、しかしながら、現実に中小企業において過去に新分野に転換をしておった事例も多いわけでございますので、そういった転換事例等も参考にしていただいて、新分野への進出を目指していただくということではないかというふうに考えております。  それから、組合組合員のために行う計画ということでございますけれども、個々の中小企業単独では、資金面、技術面の制約でございますとか、情報の不足等によりましてなかなかうまくいかない場合に備えまして用意されておる制度でございまして、組合全体として試験研究あるいは人材の養成あるいは情報の提供等を行うことによりまして、構成員であります個々の企業の新分野への進出を促していこうというねらいのものでございます。
  77. 田代富士男

    田代富士男君 政府の説明によりますと、法案第四条の承認計画にかかわる資金の金利が、今も申し上げましたとおりに三・九五%ということでございますけれども中小企業団体から、これは視察のときにも陳情がございましたが、激甚災害貸し付け並みの三・〇%にしてほしいという強い要望がございました。この点については、大所高所の判断として田村通産大臣はどのように考えていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。  また、六十一年度補正予算を合わせて政府が百六十二億円を出資することになっており、残りは都道府県の負担や民間融資で賄われて、融資規模として合計一千億円となっているようでございますけれども融資規模として十分であるのかどうか、これもお尋ねしたいと思いますし、それと同時に、都道府県民間の負担割合はその場合どうなっていくのか、また、金利以外の融資条件はどのようになっているのか、これもお尋ねしたいと思いますし、既往の高金利融資の肩がわりを今回の地域特別融資で行えるのか、資金については六十二年度以降新たな出資は考えられるのかどうか、また法案が時限立法となっているけれども、五年とした理由は何であるのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  78. 田村元

    国務大臣田村元君) 特定地域中小企業特別融資制度の貸付金利につきまして、私どもとしては三・九五%または五%、事業資金としては極めて低い水準というふうに考え、これを予定いたしております。これは、政府として中小企業施策に対しまして特段の配慮を加え、厳しい財政事情のもとではございますが、その厳しい財政事情のもとで決定したものであることを御理解を願いとうございます。もちろん金利は安いにこしたことはございませんけれども、我々としては、この苦しい財政事情下においてぎりぎりこの線をどうやら決めることができたということは御理解いただきたい。ですから、三・九五%というのはやはり超低利資金という形容詞をつけていいんじゃないでしょうか、私はそういうふうに思っております。  あとは次長から御答弁させます。
  79. 広海正光

    政府委員(広海正光君) あと幾つか御質問ございましたが、まず、融資規模一千億円で十分かという点でございます。今回のこの低利融資制度は、来年の九月までを一応予定にしているわけでございまして、十二月からスタートをいたしますと十カ月、こういうことになるわけでございます。新転換法にベースを置いております円高低利融資制度の消化状況でございますが、これは今まで十一カ月で、十月末で二千六百五十億、これは全国ベースでございます、全国でそのくらいの消化が進んでいる。ところが、今回は地域を絞りましてこの低利融資を行うということでございますので、今申し上げました全国ベースの円高融資の消化状況ということや、あるいは旧城下町法でございますが、その場合の融資の実績が三百億足らず、大体一年間に三百億足らずということでございますし、それからまた、県がそれぞれ単独の制度融資地域地域でやっているわけですが、計画ベースでございますけれども、それも大体一年間で九百億程度というふうにも聞いておりますので、一千億ありますとまず、来年の九月までとい うことでございますので、十分であろう、このように判断している次第でございます。  それから第二番目に、国と自治体の負担割合でございますが、原則といたしまして、三・九五%の融資の場合でございますけれども、国一に対しまして県の負担は一・五ということにしております。あとまた低利融資の中で、第二種と申しますか、五%の融資をする場合もあるわけでございますが、その融資の場合につきましては、国一に対しまして県の負担割合は一、このように考えている次第でございます。  それから、この地域特別融資の金利以外の条件はどうなっておるかというお尋ねでございますけれども、貸付限度額につきましては八千万円、うち運転資金につきましては三千五百万ということで大体政府部内で合意を見ているわけでございますけれども、その他の、償還期間や据え置き期間につきましてはまだ細部を検討中であるという状況にあるわけでございます。これらの点につきましては、自治体の制度融資の例等を踏まえましてこれから決めていきたい、このように考えている次第でございます。  それから、この低利融資で既往の高金利融資の肩がわりができるかどうかという点でございますが、この低利融資制度はあくまでもこの法律に基づきまして中小企業者がつくります適応計画の承認を受けたものにつきましての融資でございます。すなわち、その計画に従って必要となる事業資金を融資するというのが基本的な考えでございます。  したがいまして、一般的に申し上げますと、この肩がわり資金というのは本制度の融資対象にはならない、このように考えられるわけでございますけれども、ただ、現実問題といたしまして、特定地域の環境適応計画内容におきまして一時的な資金繰り対策として妥当性が認められる場合には、一部民間資金の借り上げが対象になる場合もある、このように考えている次第でございます。
  80. 田代富士男

    田代富士男君 時間が余りありませんから、最後にちょっとまとめてお尋ねをしたいと思います。  最初に、この現行の中小企業金融についてお尋ねをしたいと思います。  この政府系金融機関における現行の貸出金利を説明していただくと同時に、公定歩合の引き下げが実施されまして歓迎されておりますけれども、これが実効あるものになるためにも、特に円高や北洋漁業規制、特に関連する中小企業の窮状から考えて、既契約分を含めた金利の軽減化を図るべきではないかと思うわけでございますが、これについては中小企業団体からも特に強い要望が寄せられて、既応金利の軽減化ということについて寄せられておりますけれども、これについてどういうお考えであるのか、まず第一点です。  第二点は、宮公需の中小企業受注の確保についてでありますけれども、特にいわゆる宮公需法制定当初において五〇%確保が一つの目標であったと思いますけれども、現状はどうなのか。目標に一歩でも近づけるようにさらに努力を望みたいんですけれども、この点は特に田村通産大臣は、私は公共事業族であるというような御発言をたびたびお聞きいたしますから、力強い御答弁をお受けしたいと思います。  そういう立場から、最後に、田村通産大臣が就任直後のインタビューで、通産大臣というのは中小企業大臣であるとの認識を強く持っておると、大臣の仕事の半分以上は中小企業対策だ、特に輸出産業の下請で苦しんでいる中小企業の生の声を聞き、行政に生かしていきたい。普通、大臣が実行されない他省庁の大臣のところまでも行きましたという、そういう誠意のある行動の御発言も聞きました。そういう意味から、こういう拡大する貿易黒字によりまして経済摩擦はいよいよ激化していっておりますけれども、その中の一つに我が国の中小企業に対する激しい批判があることも事実であります、今さっき大臣の答弁にもあったとおりでありますが。そういう中で、今回のこの措置について、通産省としてアメリカ等にどのように理解を求めるつもりであるのか、対外的な配慮についてお答えをいただきたいと思います。  そういう意味から、大臣就任から既にもう数カ月たっておりまして、今回の措置ももっと早くこれは講ずべきではなかったかと私は思いますけれども大臣の所信をお伺いいたします。  あわせてこの二つの法律の施行に臨む通産大臣の決意をお聞きいたしまして、私の質問を終わります。最後ですからまとめてしまいました。
  81. 田村元

    国務大臣田村元君) まず私から、お尋ねの中のある種の部分をお答えして、あとは長官からお答えをさせます。  まず、金利の問題でございますが、先般、長期プライムレート、それから政府系金融機関等の金利の下げ、財投金利の下げというものを私の名前で要求をいたしました。恐らく財政当局もあるいは私の要求に対して誠意を示してくれるものと期待をいたしております。  それから、もっと早くこの対応をした方がよかったんじゃないかという御質問でございますが、実は、私が通産大臣になりましたのは七月二十二日でございます。そのときに、俗に言う呼び込みのときに、私が通産大臣というのは多分に中小企業大臣の色彩が強いんだということを言いました。そしてもう認証式終わってすぐに、臨時閣議の後勉強に入りました。そして、一番私が勉強したのは何かと言えば中小企業対策でございました。  いつも言いますように、六百二十七万カ所の事業所のうち、中小企業事業所は六百二十四万カ所、まさに九九・四%でございます。これを放置するわけにいかない。それで、いろいろと岩崎長官らの説明を聞きまして、これは君たち新転換法だけじゃだめだぜと、総合的な中小企業対策を直ちに講じろ、そしてなるべく早く成案を得て私のところへ持ってこいと、こういうふうに実は指示をいたしました。そこで、中小企業庁はまさに昼夜兼行の作業をして、もちろんその前にも準備もあったでしょうから、それを私のところへ持ってきた。さて、ここで困ったことには、先立つものはということなんです。補正予算が通らなければどうにも手が出せないという問題にぶつかったわけです。そこで私どもは、補正予算が成立する日を本当にいらいらしながら待ちました。ようやく補正予算が通った。そこで商工委員会にお願いして、大変御迷惑だったと思います、補正予算と並行して御審議願ったんですから本当に御迷惑だったと思いますけれども、それでもこのようにして審議を進めていただいてほっといたしております。  これが幸いにして成立の暁におきましては、この二法を可能な限りフル回転させまして、その効果を一〇〇%と言いとうございますが、一二〇%発揮できるように、古い言葉で言えば一発一中という言葉がありますが、一発二中も三中もというぐらいの気持ちで頑張りたいというふうに思っております。
  82. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) 官公需の中小企業向けの確保の問題ですが、これは仰せのとおり、私どもとしても特に現下の状況にかんがみ最大限の努力をということで、今年七月の閣議決定において、今年度の中小企業分としてはこれまでの過去最高ということで三九・八%という比率までを各省と非常に頻度を高く協議しました結果、一応実現した。もちろん五〇%という非常に長期的な目標に比べますと、なお遅々としておりますけれども、過去最高の比率まで上げることができたというふうに思っておりますし、今回の補正予算についてもできるだけその方向に沿うように各省へお願いをしているところでございます。  それから、米国等にこれをどう理解を求めるか。私どもの今回のこの対策というのは、何も輸出を伸長させるためのものではございません。むしろ、経済環境の著しい変化の中で影響を受けておるある特定地域について、業種を問わず、しかも卸売や小売といった流通業も含め包括的な地域対策を講ずることでございますので、これはガット上何ら問題はないというふうに考えております けれども、そのことについて必要に応じ十分米国の理解を得るよう努めていきたいというふうに思っております。
  83. 市川正一

    市川正一君 私、この法案の前提になっている経済運営についてまず大臣にただしたいんであります。  先ほども出ました十月三十一日のベーカー・アメリカ財務長官と宮澤大蔵大臣の合意というものは、私は極めて重大な問題を含んでいると思うんです。具体的には、一ドル百五十円から百六十円という異常円高を長期的に続けるという合意を行っていること、さらにあの時点ではまだ成立していない補正予算、あるいは政府税調が答申しただけでまだ政府の方針として決定も見ておりません税制改革まで盛り込んでおります。そして、アメリカにその実行を約束している等々であります。  そこで大臣に伺いたいのは、宮澤蔵相のこういう合意に当たって、経済運営に重要な責任を担っておられる田村通産大臣に、合意内容について何か事前の相談はあったんですか。
  84. 田村元

    国務大臣田村元君) まことに残念ながら、事前の相談はございませんでした。こういう発表をいたしましたという発表文を大蔵省の官房から私の手元に親展で届けられたということでございます。  ただし、大蔵省に対して、通産省側からいろいろな、考えております点を平素物を申しておる、あるいは日銀に対してでも為替問題で物を申しておるということはずっとやっておりましたけれども、この共同声明に関しましては事後通告でございました。
  85. 市川正一

    市川正一君 まことに私も遺憾だと思うんです。やはり日本の経済運営に当たっては、通産大臣というのは経済閣僚の中でもかなり高い比重、重い比重を担っていらっしゃるわけで、そういう意味では、私は事前にしかるべき協議があるのが当然だと思うのでありますが、さてその中身について、事実上これでは百五十円から百六十円台というレートを維持することになっておるんですが、中小企業を所管される通産大臣としてはこれが適切な水準と考えていらっしゃるのかどうか、その点はいかがでしょう。
  86. 田村元

    国務大臣田村元君) 実は共同声明のコピーを私が拝見してすぐに大蔵省へ電話を入れまして、私が直接電話を入れて、これはどういう趣旨かということを詳しく聞きました。それは経済の諸情勢というか、諸条件をもう満たしたから、これ以上の円高は望ましくないということで合意したのであって、今の円の価格をもって好ましい姿というふうに考えておるわけではない。あとは市場において、マーケットにおいて、為替市場において、自由なるフロートをさせたらよいということの合意だというような意味のことを、正確にそういう言葉じゃなかったかもしれませんが、そういう意味の返事をかなりハイレベルの官僚から私は聞いたわけです。かなりというか、極めて高い地位の官僚から聞いたわけです、宮澤君はそのときにはもう忙しくてそれどころじゃなくて、もう私の電話したときにいなかったものですから。  でございますから、そういうことであれば、共同声明してしまったんですから、それを自分も一応承っておくけれども、ただ通産省としては今の為替レートでいいとは思っていないよと、これだけははっきり言っておくよと、こういうことは私から直接この口で申しました。  そこで、この宮澤・ベーカー共同声明というものに対しての受けとめ方を申し上げますと、これ以上の円高というものは望ましくないという、天井を打った、歯どめをかけたものということで、今後は為替市場において妥当な線へいくであろう。幾らが妥当であるかということを私が申し上げるわけにはまいりませんけれども、しかし、通産省としては、先ほどもちょっと他の委員の方に申し上げましたが、現場でございます。現場でございますし、日本産業を守らなければならない責任がございますから、大蔵省やあるいは日銀に対しては適時適切に厳しい意見の具申はしていかなければなりません。これは当然のことでございます。そうしてアメリカとの協調あるいは諸外国との協調ということも要求していかなければならないことは申すまでもございません。  しかし、これ以上の円高というものはもう望ましくないということが言明された、両国に合意されたということは、少なくともどこまでいくんであろうと、百四十円台になるんだろうか、あるいはひょっとして百円ぐらいまでいくんじゃなかろうかとおびえておった企業、とりわけ中小企業の製造部門の人々に対しては、経営者にも労働者にもみんなにある意味において安心感を与えたであろうとは思います。
  87. 市川正一

    市川正一君 大臣、そこの認識が違うんですね。天井を抑えたと、だからいいというんじゃなしに、事実上今の百五十円から百六十円台を維持することを共同声明で発表したということは、これ重大ですよ。  それで通産省に伺いますけれども、昨年の十月以降何回かにわたって中小企業円高影響について実態調査をなすっていますが、その調査でも、また我々の調査でも、一致して中小企業の採算レートは大体二百円前後だということがその答えです。ということは、合意のこの水準の百五十円から百六十円では、中小企業はやっていけないということを意味しているのですが、その認識は通産省どうですか。
  88. 田村元

    国務大臣田村元君) その前に一言申し上げておきますが、大蔵大臣は先般、今のレートでいいとは思っていないということを申しておったことを私からつけ加えて申し上げて、政府委員から御説明をいたさせます。
  89. 広海正光

    政府委員(広海正光君) 主要な輸出産地の調査を継続して実施しているわけでございますが、今の御質問でございますと、レートに関連した部分だけどういうことになっているかという点を御報告申し上げたいと思いますが、ごく最近の調査によりますと、今後百六十円で推移した場合に、経常利益の赤字企業割合が五〇%以上になると、こういうふうに答えている産地が四十一産地。これは四十九産地が答えてございますが、そのうちの四十一産地がそのように答えてございます。それからまた、百五十円で推移したらどうなるかという問いに対しましては、これは五十産地が答えておりますが、四十三産地が経常利益の赤字企業割合が五〇%以上になると、こういう予想でございますが、そういう回答をいただいております。
  90. 市川正一

    市川正一君 大蔵大臣は今のレートで決して満足してないというふうに大臣おっしゃったけれども、だとすれば、私はこういう合意をすべきでないと思うんですよ。アメリカ当局の方も、最近の水準とは一ドル百五十一円から三円の間を指しているということを財務省高官も言明しておりますけれども、業者はどう言っているかというと円高対策というのは要らぬのだ、本来的にいうと円をもとのレートに戻してくれ、そうすれば仕事ができるんだと、中小零細企業といえども我々も企業家だと、そういうプライドは持って仕事がしたいとこう言うておられます。私はこれは正論やと思います。私は今度の円高というのは、G5以来いわば政策的につくられたものであるわけですから、私は政府のイニシアチブで、責任で中小企業の採算レートに戻すべきなのが私は政治やと思うんです。だとすると、私は大臣に、宮澤大蔵大臣に対しこういう合意は撤回しなさいと、先ほど厳しく言うたとおっしゃいますけれども、厳しくということはそういうことだと思うんですが、大臣どうですか。
  91. 田村元

    国務大臣田村元君) 日米といえば両方ともにそれなりの国でございますが、その大蔵大臣同士が合意をしたやつを撤回せいと私からは、ちょっとこれは何ぼ何でも、私も大概言いたいこと言いですが、これだけはちょっと何ぼ何でもこれはあきまへんな。
  92. 市川正一

    市川正一君 いや、田村大臣もうちょっとやらはるかと思うたけれども、もうちょっと見ております。法案の中身に入りますから、大臣お話ございましたらどうぞ。  法案の中身でありますが、まずこの法律の適用は地域指定にされるかどうかが大事なポイントに相なります。そこで先ほどからもお話出ておりましたが指定の要件についてお伺いします。  客観的かつ公平な基準やとこう言うてはります。そうしたらこの第二条第二項で指定する際の要件が四点にわたって規定されておりますけれども、その具体的な数値ですね、これをこの四つのハードルに関して示していただきたい。
  93. 小林惇

    政府委員小林惇君) 四つの視点でございますけれども、その法案の二条二項にございます「特定事業所の事業活動が相当程度の割合」ということでございますけれども、特に最近の円高によりまして影響を受けておる業種、それから現行の城下町法の指定業種、それから北洋漁業の関係業種、それから購買力が非常に落ちております米軍関係の、購買力といいますか、そういったものを総合的に足し上げて、そのウエート、依存度を見てまいりたいというふうに考えております。具体的な数値の水準につきましては、各地域の実情、個別データを今集めつつあるという段階でございます。  それから「事業活動の規模が相当程度」という点でございますけれども、これにつきましては、日本全体の工業出荷額というものと平均的な都市の出荷額というものを日本全体の工業出荷額から算出をすべく、今データ集計中でございます。  それから「特定事業所の事業活動に支障が生じており、」という点につきましては、最近のそういった不況事業所の生産等の動向を集計しておりまして、例えば本年上半期における昨年上半期との生産動向の比較といったものを基準にしてまいりたいというふうに考えております。  それから、雇用に関連いたしましては、同様に二条の四項に規定がございますけれども、具体的には最新時点の有効求人倍率、それから雇用についての非常に重要な指標でございます失業給付の受給者の数値、こういったものを公平な数値として各地域に当てはめて考えてまいりたいという状況になっております。
  94. 市川正一

    市川正一君 さっぱりわからぬのですわ。最前から客観的かつ公平な基準と言うてはるのですが、目下計算中とか目下集計中とかいうことで、何で私がこれを言うかいうたら、どんな業種のどこの地域が対象になるか、これはやっぱり基準を明確にしないと、一にかかってこれによって指定地域になるかどうかということに皆かかっているわけですからね。この条文では二重、三重どころか四重、五重にも厳しい条件がついている。それはもう具体的数値はどうや言うたら、目下集計中やというんでしょう。これでは私はやっぱり救われぬと思うのです、実際に。さっきの答弁によりますと、指定地域は四十ぐらいを想定していると岩崎さんはおっしゃった。  聞きますけれども、ことしの七月に廃止された産地法による指定地域は幾らありますか。――時間がないから私から言いますけれども、百九十八と承知しておりますが、間違いないでしょう。
  95. 小林惇

    政府委員小林惇君) 間違いございません。
  96. 市川正一

    市川正一君 それで城下町法のあれですね、これ五十三地域で、しかもそれは自治体数にすればもっと広がります。こういうのが今度の四十に絞られてくるわけでしょう。経過措置はとるというふうにさっきおっしゃいましたけれども、これでは何のためにやるんだということがあえて問われる。いや、それは予算がないんや、金がないんやいうのやったら、私はこれはやっぱりもっと思い切った措置をとるべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  97. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) 非常に漠然とした御答弁でまことに申しわけございません。ただ実態が、私ども鋭意努力しておりますけれども、今の特定業種、これを最終的にどうするか。もちろん基本的にはいわゆる新転換業種で、この二月の新転換法に基づいて指定されました百五十一業種あるいは旧城下町法で指定されております十一業種でございましたか、そういうものが中核になって計算をする、これはもう当然でございますが、そのほかに、例えば新しい事態として非鉄金属鉱山とか石炭とか、こういうようなものをどう入れるかとか、そういうやはり緑辺――緑辺と言ったら語弊がございますけれども、最終的にどのような業種で計算するか、ここはやはり関係部局等ともよく相談しながらやっていかなければならない面がございます。  それからまた、今の変動の比率あるいは有効求人倍率の悪さかげん、こういうものもやはり現在の企業城下町法の指定基準よりはやや厳しいというぐらいのところでやらないといかぬと思いますけれども、じゃどの程度に本当に最終的にしたらいいか。ここらについてはやはり関係方面ともよく相談しなきゃいけません。そういう面で、実は今責任ある御答弁ができない状況であることを御理解願いたいと思います。
  98. 市川正一

    市川正一君 四十という数字には必ずしも固執しないというふうに理解していいんですね。
  99. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) 地域数と具体的にそこで実質的に対象となります市町村数、これは余り一義的な関係はございません。したがって、現在四十地域程度ということでございますので、その四十地域程度が厳密に四十である必要はないと思いますけれども、そういう基準にほぼ合うような感じでこれは指定をしたいと思いますけれども一つ地域の広がりというものが、具体的にその地域ごとにどういう実情にあるかということについては、これもまたこの市町村、この市町村ということで、各自治体、それから関係する業界を所管する部局等と相談をしなければいけないというふうに考えております。
  100. 市川正一

    市川正一君 時間がないので前へ進みますけれども円高影響を受けている産地とか業者は可能な限り広く対象になるように、ひとつ適用と運用を私の質問の真意を酌み取って広げていただきたい。  次に、地域指定に当たって、私は関係地方自治体の意見を聞く必要があると思うんですが、法文ではそうなっていないんです。その地域の経済情勢や社会の情勢を一番よく知っているのは地方自治体であると思うんです。その意見を聞くのは当然だと思うんですが、その点いかがですか。
  101. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) 御指摘のとおりでございまして、これはもう当然のこととして私ども考えておりまして、これまでも相当事実上はいろいろな協議をしております。
  102. 市川正一

    市川正一君 どうも大臣、今いいところいっていますから……。  やっぱり意見を聞くことを法律で明定するかどうかは、質的違いがあると私思うんですよ。事実上聞いているというんじゃなしに、やっぱりそれをきちっと義務づけると。この七月に廃止された産地法では意見を聞くことにちゃんとなっているんですよ。それが今度落ちているというのは、私はやっぱりこれは問題やと思うんですよ。  次に、第三条の適応計画について伺いますが、この場合、関連する下請中小企業対策も当然含めるようにすべきであると思いますが、いかがですか。
  103. 小林惇

    政府委員小林惇君) この適応計画の中身につきましては、この三条の二項の各号で必要的記載事項と申しますか、一番の中心的な内容について規定してございますけれども、下請企業等の部分につきましても計画の中身に含んでいくことが妥当であるというふうに考えております。
  104. 市川正一

    市川正一君 その点を確認しておきます。  次に、本法案による助成措置一つである金融措置について伺いたいんでありますが、我が党も十数カ所の実態調査を行いました。また先日、本委員会で開西方面に調査に参りましたが、ここに持ってきましたのは、そのときに我々調査団に対して、大阪府商工会連合会が提出した要望事項でありますが、「現行の貸付金利(五・〇%)を激甚災害貸付金利並み(三・〇%)に引き下げるとともに不況認定条件の緩和及び手続きの簡素化を図ること。」というふうに、各業界、各業者団体がこぞってやっぱり少なくとも三%というのが一致した要望になっております。一時三%にするという 報道もたしかマスコミで、読売だったと思うんですが、報道されたこともございます。なぜ今度三%の制度をつくらなかったのか、その点をまず伺いたいと思います。
  105. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) 確かに激甚災害並みという要請が非常に強うございました。ただ激甚災害の三%融資というのは、一千万円を限度として、かつ三年間でございます。一千万以上の部分は通利でございますし、三年後には通利に戻ります。したがいまして、私どもは、それでは実質上のやはり金利負担の軽減ということからすれば、むしろそういうふうなとり方をするよりは、七年間を通じ、かつ適用される金額も八千万円ということで要求しておりましたので、そちらの方を実現する方がより実質的ではないかということで、これは八千万円を限度とし、それすべてに対して、かつ貸付期間中すべての期間について三・九五%ということで財政当局と合意を得たわけでございます。
  106. 市川正一

    市川正一君 実際に産地の業者の実態からすれば三%の金利でもまだ高いですよ。今お隣の小山委員とも話をしておりましたけれども、どこの産地でも業者は、借金は返さなければならぬ、仕事の見通しがなければ借りられない、無利子にしてくれれば借りる気も起こるがということを言うているのです。小山先生とも今話をしていたんです。これが実感ですよ。  聞きたいんですが、通産省の施策として行われている金属鉱業安定化融資の金利は幾らですか。
  107. 広海正光

    政府委員(広海正光君) 二・二%でございます。
  108. 市川正一

    市川正一君 見てみなさい、二・二%やっておるじゃないですか。ですから、私は三%まだ高いと言いたいぐらいです。それだけではありません。大企業に対しては、今度の補正予算を見ますと、民間能力活用特定施設緊急整備費補助金というのを創設しました。そして民活プロジェクトの事業費には五%の補助金をつけているじゃありませんか。ところが生死のもう瀬戸際に立っている中小企業への金利の引き下げはできぬというんでは、私、これは本末転倒やと思うんです。  今度の補正予算で、そういうふうに一方では大企業には渡しっ放しの補助金、他方で中小企業の若干の対策費は出ておりますけれども、もともと本予算で中小企業対策費を削り込み過ぎているんですよ。その分を大幅に補てんしなければならぬということだけのことであります。だから二・二%もあれば、そういういわば渡しっ放しの民活プロジェクトというところへの補助金もある。そういうことと比べたら三%というのはできるじゃないですか、大臣、どうですか。
  109. 岩崎八男

    政府委員岩崎八男君) 非鉄金属融資制度というのは、これはむしろ価格高騰時に事業者から資金を拠出させまして、それで探鉱とか保安対策とか、そういうものを景況の変動にかかわらず維持する必要があるという視点からやるものでございまして、したがって事業者負担を片や想定しながらのこれは制度としてでき上がっておる、したがって一般的な通常の経営のための事業資金についての金利、そういうものとはやや性格が異なるものではないかというふうに思います。  それから、今の民活のものは事業全体に対しての補助でございまして、金利という面でいうとむしろこちらの方が大きいんではないか、かつ今回の補正予算で用意しました金額においても、あえて申しますと、私どもの方が格段と大きい中小企業対策の予算を用意している。それから民活についていえば、あの事業というのは大企業が行うというよりは、その他城、地域の公益性に着目したいろいろな公益的施設の建設ということを今後民活の一つの柱として行おうとする、そういう事業であるというふうに承知しております。
  110. 市川正一

    市川正一君 通産省は、今民活プロジェクトに対する助成措置の強化について大蔵省といろいろやり合っているんですよ。「民活法の助成措置は施行されたばかりで、まだ実際に適用された例がない。現時点で助成強化を議論するのは時期尚早。また、特段の事情変更もないのに、今年度決定したばかりの助成措置を同一年度内に変更することは補正予算の建て前からも不可能。」だ、そういうクレームがついて難航を重ねたけれども、結局通産省が押し切ったといういわくつきなんです。ここにその文書もあるんですよ。そういういきさつがあっても押し切っているんです。きょうは大蔵省と通産省の話ばっかりやりますけれども、そういうような大企業にはやっぱり熱心に援助をすると。しかし、因っている中小企業への低利融資がでけぬというのは、私は通産大臣の姿勢が問われると思うんであります。  時間が参りましたんで、私はもう一つだけ指摘しておきたいのは、財政事情が苦しい、厳しい、そうおっしゃる。しかし、円高影響を受けている在日米軍に対しては、円高に見合う思いやり予算を増額することを政府考えているじゃありませんか。在日米軍には必要以上の円高影響に対する面倒を見ながら、日本の中小零細企業のささやかな願いにはこたえられないというのは、私はこのせっかくの提案が本質的にやっぱり魂が入っとらんということを最後に申し述べ、もし大臣が何か御答弁ございましたら承りたいと思いますが、私の質問としてはこれで終わります。
  111. 田村元

    国務大臣田村元君) 今のは内閣委員会でひとつお願いをしたいんですが……。  それからもう一つ、民活プロジェクトの問題でございますが、大企業、大企業とおっしゃるんですけれども、これは地域対策でございますから、だからむしろ大企業に協力を求めておると言っても過言ではないので、大企業を助けるためのプロジェクトというんじゃなくて、民活で内需の拡大や地域の公益性を高めるためにあの大企業をひとつ利用してやろうかというのでねつろったというわけでございます。これはひとつ誤解のないようにお願いをいたしたい、そういう意味でございます。
  112. 井上計

    井上計君 本法案について、あるいはまた円高対策等については、先ほど来同僚議員から適切な質疑が行われました。また、大臣からも、本法施行のときには一二〇%の成果を期すような努力をすると、こういう力強い御答弁もありました。私からあえて重複してお伺いすることはもうありませんから、質問というよりも、実は私の意見を申し上げて大臣の御所見をお伺いできればと、こう考えます。  円高に直接関係があるわけでありますが、円高差益還元あるいは円高メリット云々ということを随分言われます。一般の国民円高差益還元が少ないという不満の一つに食料品があるわけであります。直接大臣の所管とは関係がないようでありますけれども、特に大臣にひとつ御尽力を願いたいというのは、パンあるいはめん類等々に使われる小麦の問題であります。  現在、大臣承知のように、小麦の輸入価格は昨年のG5以前のレートで大体トン当たり四万一千円程度であったようです。これが円高になりまして、この八月、九月ごろの輸入価格は、若干国際相場が下がった傾向もありますけれども、二万四千円程度に下がっておる。かなりの円高差益があるはずでありますが、一向に還元されません。還元されない理由ははっきりしておりますけれども政府の売り渡し価格が八万四千円である。したがって、幾ら円高によって差益ができようとも国民に全く還元をされていないという実態。  そこで、私はさらに考えますと、農林省がこの数年前から、特に小麦の自給率を高めるために大変な、言えば転作奨励金等々で補助しております。話が若干横にそれますけれども、六十一年度の農林省の水田再編利用対策、すなわち転作奨励金の総額が二千三百億円になっております。これは中小企業の予算が少ない少ないとみんな随分方々で言われますが、中小企業の六十一年度の一般会計の総予算が二千五十二億円でありますから、したがって中小企業全予算よりも水田再利用、すなわち転作奨励金の方が多いという事実、これについてもかねがね不満があります。特に転作奨励金のうち約半分は、聞くところによると、麦の生産の ための奨励に使われておるというようなことを聞きます。  片方でそのような多額の奨励金を出して麦の転作をしておって、そうして生産された麦に対して、さらにこれは政府の買い上げが十八万四、五千円程度であるということですから、政府売り渡し価格よりも十万円ほど高い。言いかえると、十万円の逆ざやを実は保証しておる。そのために二万四千円程度で輸入された麦が八万四千円で政府が製粉会社に売り渡しておる。考えたら、今の時代には全く適合していないような矛盾がいっぱいある、こう考えます。  一方、そのような転作奨励金を使いながら小麦生産を促進をしておりますけれども、わずかにそれは自給率は一二%である、こう考えますと、今のような情勢の中で、米の食管の見直しもいろいろ言われておりますが、米はさておいたとして、麦は食管法で管理する必要は全くない。管理する言えば理由がなくなっていると、私はこう考えております。  そこで、大臣への私要望としては、実力者大臣が事あるごとにこの問題等についてひとつ腹の中に入れておいていただきたい。だから、食管法から麦を外すということについてもひとつお考えをいただきたいこと、これが一つのお願い。  それからもう一つは、麦はそのような言えば食管で管理しておりますから、大変な高い価格で麦を政府が払い出しをしておりますけれども、一方小麦を使った二次製品、ビスケット、乾めん、スパゲッティあるいはクッキー等々は自由輸入ですから、最近は特に韓国あるいはイタリー等々ヨーロッパからも相当入りつつあるようですが、日本のビスケット、乾めん、スパゲッティ等々の小麦製品に比べると輸入価格が三分の一、甚だしいものは。大体二分の一ぐらいのものが相当来ておるので、これがそういうふうな特に中小企業に多いわけですが、そのような菓子類、乾めん等々の製品業者は大変な実は痛手をこうむっておって、経営不振に陥っておる。これは余り表面にあらわれていませんが、先般いつだったか新聞にもちょっと報道されたことがありますけれども、これらを考えると余りにも矛盾がひど過ぎる、大き過ぎると、こう考えます。  以上、私の意見でありますが、大臣としてお立場上なかなか今御答弁いただくのが難しいかと思いますけれども、ぜひひとつこういう面の御留意をいただきたいと、こう考えます。  同時に、小麦と同じような問題がたくさんあります。例を挙げるとコンニャクもそうであります。コンニャクは自由輸入にすれば恐らく現在の半値以下になることは碓実だと、こういううわさがあります。ところが、コンニャクがあのような規制をされておる理由は、どうも一番の産地の群馬県は総理大臣が二人も出ておられる、だから絶対にコンニャクは自由輸入にならないんだということを、実は群馬県あたりから聞くことがあるんです。まさかそんなことはなかろうと思いますけれども、このようなうわさもある。ますます政治不信が高まっていくであろう、こう考えますが、とりあえず小麦については私は早くこのようなことを考えていかなければ、消費者の不満、さらには円高の大変な被害を受けておるこういう食料品製造業者の不振もますます高まっていくであろう、このように懸念しますので、大臣に特にひとつ御尽力いただければと、こういうお願いを申し上げて、私の意見を申し上げて、私の質問は以上であります。
  113. 田村元

    国務大臣田村元君) ただいまの小麦の問題でございますが、これは私から正式にといいますか、公式にお答えする筋のものじゃないと思います。当然加藤農水大臣がやるべきものと思いますけれども井上さんの御意見、この前も承りましたが、まさに私も真剣に傾聴いたしました。そういう御意見があったということを加藤君に私からお伝えをいたしておきたいと思います。  コンニャクのことはちょっとこんにゃく問答になって申しわけないんですが、総理大臣二人がとめたのかどうかということはちょっと私も承知いたしておりませんけれども、あわせてコンニャクの方も加藤君に申しておきます。福田さんは加藤農水大臣の親分でございますから、こういう話が出たよということを必ずお伝えをいたしておきます。
  114. 井上計

    井上計君 終わります。
  115. 木本平八郎

    木本平八郎君 私は一点だけ問題提起したいと思うんです。  先般、参議院の商工委員会で関西方面に委員派遣で各中小企業その他視察したわけですけれども、そのときに出た意見の中で、現在の円高自身も非常に困る、しかしながらもっと困るのは、先行きどうなるかわからないという不透明さが困るというわけですね。ある目標があれば合理化の手だても立てられるけれども、例えば百五十円だと思って一生懸命に合理化したら、来年になったら百二十円とか百三十円にされたんじゃもうどうしようもない。この不透明さをまず何とかしてもらわなきゃ困るという意見があったわけですね。  そこで私の提案なんですけれども、ことしの初めの商工委員会で、当時の渡辺大臣にも提案申し上げたんですけれども、そのときの提案は、来る六月のサミットで中曽根総理から、G5かG8か何かわかりませんけれども、ひとつ世界のレートを再び固定相場に戻す、レートが幾らかということは別にして。それを提案すべきじゃないか。そうしないと、レートの高下いかんにかかわらず、日本経済が混乱を起こすと混乱そのものを輸出してしまう可能性がある。日本が混乱を輸出したら世界経済が大変な迷惑をこうむるから、むしろこれは日本のためじゃなくて、世界経済のために一年とか二年とか区切って固定相場にしたらどうだということを私、渡辺大臣に申し上げたわけです。渡辺さんはその後、そば屋でそば食っているときにおもしろい意見だとおっしゃっていましたけれども、それをどういうふうに閣内で処理されたかわかりませんけれども、あのサミットの様子では、とてもじゃないが日本はそんなことを提案できる雰囲気じゃなかったようですね。しかし、ここで私やっぱり改めて同じことを持ち出したいわけですね。  現在の非常に強烈な円高ドル安というのは、私はこれはファンダメンタルズとかなんとかいいますけれども、むしろ人為的にG5でつくられたものだ、したがって、これを固定させるのもG5あるいはG8でできるんじゃないかという気がするわけですよ。したがって、そのトライはやっぱりやってみるべきだ、日本も世界の経済大国ですから。先ほどから申し上げますように、これは決して日本のためだけじゃなくて世界の安定のためなんだという大義名分もあるわけですから、それをおやりになるべきじゃないか。しかし、これは相手のあることだから、日本だけがやろうといったってそう相手が受けてくれなきゃしようがない。そうしますと、次の手段として日本政府為替レートを保証するということを考えていただきたいということなんですね。これは例えば百六十円なら百六十円、向こう一年なら一年間は百六十円を保証します。したがって、仮に百五十円になれば政府は一ドルについて十円損するんだということなんですね。百七十円になったら政府は全然損が起こらないというふうなこと。これは私、ガットなんかにも反しないんじゃないか、OECDの考え方にも反しないんじゃないかという気がするんですけれども。  もしもそれもだめだということになれば、政府が一方的な為替予約を引き受けてもらえぬだろうかということですね、百六十円で引き受ける。来年にある輸出業者が輸出してネゴをするときに仮に百四十円だったら百六十円との差の二十円は政府が引き受ける、損すると。それで百七十円だったら輸出業者はその直前になって為替予約を無償で解約して百七十円の方でネゴをする。そうすると、政府は一方的に非常に損するようですけれども、仮に今、日本の輸出、ことしの輸出額どのぐらいかわかりませんが、仮に二千億ドルとして二十円損しても四兆円なんですね。この四兆円というのは丸々予算として使うわけじゃなくて、リス クだけですから、本当にこれだけ起こるかどうかわからない、もう少し起こるかもしれないけれども考えても四兆円ぐらいですね。そうすると、そういう措置をとるだけで相当輸出産業というのは安定するんじゃないかと思うんですね。  こういうことを今やらなきゃいけない段階に来ているんじゃないか。ほかにあんまり私も手が考えられないので、その辺通産省の方どういうふうにお考えになっているか、畠山さんまず御意見を承りたいんですがね。
  116. 畠山襄

    政府委員(畠山襄君) 主として三点御指摘がございまして、一点目は為替レートを固定制に戻したらどうか、それから二点目は政府があるレートで保証したらどうか、三点目は、それに似ておりますが、政府が予約を一方的に引き受けてはどうか、こういう御指摘でございました。  御質問の中にもございましたように、第一点の為替相場を固定制に戻したらどうかという点につきましては、確かに御指摘のように安定という観点から申し上げればこれにこしたことはないわけでございますけれども、ただ御案内のとおり、先ほども指摘の中にもございましたように、国際的にどのレートで落ちつかせたらいいのかということについて全くコンセンサスがございませんので、日本だけでやるわけにはいきませんので大変難しい問題があるというふうに考えております。  それから、第二点、第三点の、政府が保証をするなりあるいは一方的に予約を引き受けるというのは、やはり御指摘の中にもございましたように、おっしゃったのは四兆円でございますが、というような規模の莫大な予算が必要になるということと、それからやはり輸出補助的に受け取られるということからガット上もいささか問題があるかもしれないというようなことで、非常に難しい状況でございます。  ただ、私ども、為替変動保険という制度がございまして、最近はいろんな事情からワークはいたしておりませんけれども、お考えのような趣旨の制度は保険制度の中でとりあえず制度的にはカバーしているということでございます。
  117. 木本平八郎

    木本平八郎君 為替変動保険というのは私も知っているんですけれども、いろいろ実際にアプライする点において欠陥があるので、それはぜひ適用できるように修正していただくなり、必要なら法案を出していただいて、そういう今の非常に困っている輸出産業を助けるという方向に検討していただきたいと思うんです。  それで、最後に私申し上げたいのは、これ私、政界というのはよくわからないんですけれども、こうしていろいろ聞いていますと、やはり政府の方は予算の裏づけが必要だ、予算を承認してもらってその範囲でやると、これはある意味では非常に楽なんですね、四兆円使ってよろしいということになれば、それは使っていいわけですから。ところが、今政府というか国に金がないわけですから、それならむしろリスクテーキングということで、あるいは四兆円いくかもしれないけれども四千億円で済むかもしれない。これは民間ならしょっちゅうそういうリスクテーキングというのはやっているわけですから、政府の方もリスクテーキングを考えていただくと大分政策の幅が広くなるんじゃないかと思うわけですね。この問題は、私はほかにちょっと手がないと思うので、そういうことで一つのアイデアとして考えたわけですけれども、最後に大臣の御所見を承って私の質問を終わります。
  118. 田村元

    国務大臣田村元君) 先ほど貿易局長がお答えしたとおりでございますけれども、結局国際問題が一番ネックになると思うんです。といいますのは、日本のこの膨大な貿易インバランス、この黒字をどうするかということなので、もう単純に物を申せば会社の株とよく似たような話で、利益がうんと上がれば株価は上がる、こういうことになるわけなんで、その点では黒字減らしというのはやはり真剣に考えていかなきゃならぬ。先ほどどなたかの御質問にお答えしたように、やはり我々は、ガットというものは結果として得た利益を論ずる場ではない、あくまでもルールの場である、だからガットの命令によって日本が萎縮するということはおかしいけれども、しかしこの貿易インバランスというものを考えれば、自主的にぜい肉をとる、ダイエットの真剣な努力をやっていかなければならない。そのようにすれば、まあ円のレートも相当大きく変わると思うんですよ。ただ、これには幾らかの時間がかかる。そこに我々のあせりがある、こういうわけでございます。  さっきのもう一つの問題も、保護主義というような、例えば先般のフランスの農産物の輸出補助金の問題が大問題になったわけですけれども、それはもうオーストラリアを初めとして大変な騒ぎでございましたが、ガットの問題でちょっと難しい問題があるかなと。これは恐らくもう一つまたジャパン・バッシングの問題ができ上がってしまうんじゃないかという心配があるというような感じがいたします。  今のお話、私初めて伺うものですから、あるいは的が外れておる答弁になるかもしれませんけれども、これはひとつお許しを願いとうございます。  それから、先ほどの保険の問題でございますけれども、これはちょっと私も知識がございませんので、一度畠山貿易局長にでも聞いて、御質問の御趣旨を一度、どういう御質問であったかということを理解する勉強をしてみたい、このように思います。
  119. 前田勲男

    委員長前田勲男君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 前田勲男

    委員長前田勲男君) 御異議ないと認めます。  特定地域中小企業対策臨時措置法案の修正について市川君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。市川君。
  121. 市川正一

    市川正一君 私は、本案に対し、修正の動議を提出いたします。  その内容はお手元に配付されております案文のとおりでございます。  これによりその趣旨について御説明申し上げます。  今、全国の輸出型産地企業城下町等の中小企業は、一年を超える異常円高のもとで深刻な苦境に直面しています。我が党がかねてより主張してまいりましたとおり、この円高政府政策として行われている以上、政府は被害救済のための抜本的な対策をとる責任があります。特にこの法案に基づく特別貸付制度につきましては、激甚災害特別被害者融資など当事者の責任に属さない事情によって被害を受けた場合に実施されたものと同様の措置をとるべきであります。  また、今回の政府原案の特徴は、特定地域の政令による指定と、当該指定地域中小企業者及び組合等が新たな経済的環境への適応措置に関する計画をつくり都道府県知事の承認を受けた場合、承認計画に基づいて各種の助成策が受けられるという仕組みにあります。この計画内容につきましては、新分野進出や事業規模の縮小等も含まれていますが、それが関係下請中小企業などの切り捨てにつながってしまっては、法案の目的でもある地域経済の安定に寄与できないことは明らかであります。  さらに、特定地域指定に当たって、当該地域の実情を把握している関係都道府県知事の意見を聞くことは、実情に合った地域指定を行い、施策の効果を上げる上でも不可欠であります。  以上の理由により、政府案の内容を補強するための修正案を提出する次第であります。  次に、修正案の主な内容を御説明いたします。  第一は、この法律に基づき新設される予定の特別貸付制度の金利について、激甚災害対策並みの年三%以内とするものであります。  第二は、個別中小企業者や組合等が作成し、都道府県知事の承認を受けるとする第三条の計画につきましては、関係下請中小企業事業の安定に特に配慮すべきであるという規定を置くものであります。  第三は、特定地域指定に当たって、政府は、 当該地域を管轄する都道府県知事の意見を聞いた上で指定を行うことを明記するものであります。  なお、本修正に必要な経費は約五十億円であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  122. 前田勲男

    委員長前田勲男君) ただいまの市川君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取します。田村通商産業大臣
  123. 田村元

    国務大臣田村元君) ただいまの修正案につきましては、政府としては反対であります。
  124. 前田勲男

    委員長前田勲男君) それでは、修正案について質疑のある方は御発言を願います。――別に御発言もないようですから、これより特定地域中小企業対策臨時措置法案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより特定地域中小企業対策臨時措置法案について採決に入ります。  まず、市川君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  125. 前田勲男

    委員長前田勲男君) 少数と認めます。よって、市川君提出の修正案は否決されました。  次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  126. 前田勲男

    委員長前田勲男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、福間君から発言を求められておりますので、これを許します。福間君。
  127. 福間知之

    ○福間知之君 私は、ただいま可決されました特定地域中小企業対策臨時措置法案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、サラリーマン新党各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読します。      特定地域中小企業対策臨時措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、輸出型産地企業城下町等の地域における中小企業の深刻な実情にかんがみ、本法による措置を迅速かつ的確に実施に移すこと。  二、特定地域指定にあたっては、客観的な指定基準に基づき公平かつ適切に行うとともに、関係地方自治体の意見等を十分に考慮し、必要に応じ地域実態に即した弾力的対応についても配慮すること。  三、適応措置に関する計画の作成に際しては、当該事業者に雇用される労働者の意見を聴き、雇用安定の確保を期するとともに、下請企業への配慮が行われるよう特定中小企業者等を指導すること。  四、承認中小企業者に対する低利融資については、制度の趣旨が十分生かされるよう融資基準の策定に配慮するとともに、中小企業金融については、公定歩合の引下げが適切に反映されるよう配慮すること。  五、信用保証協会が特定地域関係保証を行う場合の担保の徴求については、制度の趣旨に即して個々の中小企業者の実情に応じた適切な運用が行われるよう指導すること。  六、特定地域に重点配分される公共事業実施にあたっては、当該地域における中小企業者の受注機会の確保、労働者の雇用機会の拡大に十分貢献するものとなるよう配慮すること。    また、特定地域企業誘致促進に必要な助成措置の拡充、強化について検討を進めること。  七、円高等により、輸出関連産業等では中小企業はもとより、基幹産業に至るまで深刻な影響を受け、雇用情勢地域経済情勢等が著しく悪化している実情にかんがみ、行き過ぎた円高に対する為替レートの安定化のための諸条件整備に十分配慮するとともに、内需拡大のための各般の思い切った施策を積極的に展開し、景気の浮揚と新規の需要創出に努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いします。
  128. 前田勲男

    委員長前田勲男君) ただいま福間君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  129. 前田勲男

    委員長前田勲男君) 全会一致と認めます。よって、福間君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、田村通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村通商産業大臣
  130. 田村元

    国務大臣田村元君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して、本法案の適切な実施に努めてまいる所存であります。
  131. 前田勲男

    委員長前田勲男君) 次に、中小企業信用保険法及び特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  中小企業信用保険法及び特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  132. 前田勲男

    委員長前田勲男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 前田勲男

    委員長前田勲男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十二分散会