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本岡昭次君
通産大臣の今の話は、それはそれなりに理解はできるのでありますが、しかし先ほど論議をしておりましたように、
非鉄金属鉱山の抱えている問題が非常に特異な
状況であるということですね。
価格決定が国際的になされ、それが為替のレートに直接はね返り、国内でコストがどうだからとかというような問題でもって、みずから掘った銅なり亜鉛なりそれの
価格が決められないというこの特異性というものを先ほ
どもお述べになったわけなんですね。
だから
大臣も、そういう特異性ですね、特殊なケースの中に置かれた
非鉄金属問題であるというこの御認識の上に立てば、一般的な
構造不況であるとか
円高不況のレベルに置かずに、何かの
対策というものを、国策と言ったらちょっと
言葉が何か言いづらいですが、そういう
意味でも考えていかなければ、ここの鉱業審議会が出しているように、資源確保の安全保障、海外資源開発の技術養成、バーゲニングパワー、
地域振興、雇用創出とか、やっぱりこれの持っている非常に重要な
意味が列挙されております。だから、そういう問題に対する、改めて国内
非鉄金属鉱山に対する政策の基本的な姿勢というものを再度見直してやっていただかなければならぬのじゃないかということを、強くここで申し上げておきたいと思います。
それで、時間もありませんから、もう一点申し上げて、最後に
大臣のお考えを聞きたいんですが、特にこのいわゆる
地域振興とかいうふうな、あるいは雇用創出というふうなこともここに付言されておりますように、非常に
地域とのかかわりが深いんであります。そういうことで
一つだけ申し上げてみたいんですが、先ほど言いました鉱業審議会の建議の中に、「国内鉱山の中長期的
方向」ということで、国内鉱山を三つのタイプに分けて、第三のタイプはもう閉山をして事業転換の
方向に向かわざるを得ない鉱山がある、こう挙げておりますし、第二のタイプも縮小、合理化ができなければ、これはもう自動的に閉山に向かわなければならぬ、こういうことがあるわけであります。
それで、私は先ほど言いました
兵庫県の明延鉱山が第三のタイプなのかどうかはまた別にして、今一生懸命第二のタイプのところでこの縮小、合理化の
努力を続けておりますが、要するに、この明延鉱山という
企業がある養父郡大屋町という
地域社会の存立とのかかわりということを非常に大事に考えていかなければならぬじゃないかと思うんです。
人口六千百四十六人で、鉱山で働いている人が千五百九十九人、約二〇%、この町の所得が六十三億円、そのうちの十六億円が明延
関係で二六%、町財政が四億八百五十四万円に対して、明延
関係の人たちが出して税金として納めているのが八千四百五十七万円、二〇%というふうに、二〇%から二五%の割合でもって
地域社会との深いかかわり合いをこういうふうに持っている。これは鉱山というのが大体過疎地にあって、大なり小なりこういう
関係を全部維持していると、こう思うんです。もっと大きいところがあると思います、依存
関係において。そういうことにおいて、縮小、合理化あるいは閉山が
地域社会に混乱やあるいはさまざまな摩擦が起こらないように、もしやるとしてもそれが最小限度に済むように、やっぱり
政府が総合的な施策を講じていく必要も大いにあるんではないかと、このように思うんですよ。
企業が一生懸命やってきて、だめなら閉山していけばいいじゃないかというふうな簡単なことでは済まない問題が、それぞれの長年にわたる鉱山が
地域社会の中でかかわっているという問題も考えていただいて、
価格決定の特異性の問題と
地域社会とのかかわり合いの中において、
非鉄金属の問題に関して
政府のさらにもう一歩突っ込んだ基本的な姿勢、これならやれるということを
企業も思い、またそこに働く
労働者も思い、また
地域社会もそこで何か展望というものを切り開いていけるように、この三者に対して、
地域と
企業と働いている
皆さんとに対してやっぱり
政府が出していかなければならぬじゃないかと思うんですが、この点について、最後に
大臣の
通産省としての御決意を聞かしていただいて、恐らくこの私の
質問に対して多くの
関係者が大変な関心を持って
大臣の
答弁を聞くと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。