○沓脱タケ子君 それでは、私、与えられた時間をいただきまして、質問をしたいと思います。
老健法等の一部
改正案の
審議の全経過を通じ、また、参考人やあるいは公述人の主張をずっと聞いてまいったのでございます。その結果、今日高齢化社会を迎えるに当たって、この法案というのは、
国民の要求、とりわけお年寄りの願い、つまり、健やかに安心して過ごせる老後、こういう老後の大きな願いにこたえるものになっておるかといいますと、大変大きな不安をもたらすものであるということを全
審議の経過を通じまして改めて痛感をしているところでございます。
厚生省が無理なく御
負担がいただけるんだと言われております老人の一部
負担の引き上げでございますが、これはもう全く説得力がないということは
審議の過程で明らかになっております。つまり、月に三万円以下の
年金受給者が六百万以上もおられるのに、外来八百円、そして入院一カ月一万五千円、これは
老人保健部長のお話によりますと、老齢
福祉年金だって一カ月二万七千二百円だから一万五千円の御
負担はいただける、こういうことをおっしゃいましたけれども、いかにも酷だと私は思います。
もう一つは、加入者按分率の一〇〇%引き上げ、こういうことによって、現役で働いておられる勤労者の
皆さん方に、健康保険、組合健保あるいは共済その他で現役で働く被用者の
皆さん方に新たな大きな
負担を押しつけるという結果になることも非常にはっきりいたしました。
もう一つは
国民健康保険ですね。
負担に耐えられないような高額の
保険料あるいは保険税の滞納者に対して制裁
措置を加えて、六カ月滞納したら保険証を取り上げるなどということが今度の
法律では
改正をされようとしておるわけでございますが、これはまさに人の命にかかわるような大変ひどい
やり方でございまして、これらの問題は、本当にどの一つをとりましても、その反
国民的な性格というものが
審議によって一層明らかにされたと思うわけでございます。
時間の都合がありますから一つ一つ繰り返しは質問いたしませんけれども、そして一方では
世代間の公平
負担だとかあるいは
老人保健制度の長期的安定化だとか、なるほどきれいな言葉で言われているんですけれども、この
老健法等の
改正の中身は、総じて言いますならば、まさに専ら
財源対策、財政対策だ。しかも、その財政対策というのは、まさにお年寄りや
国民には
負担を押しつける、しかし国の
負担をどんどん減らすという財政対策だということがいよいよ明確になったと思うわけでございます。
その論拠として、もう言わずもがなでございますけれども、しかしひどいなと思うのでちょっと申し上げておきたいと思いますが、
老人医療費の総額というのが、八六
年度、ことしから九〇
年度までの比較をいたしますと、これはざっと一・四倍ふえることになっていますね。これは
厚生省でいただいた統計
数字ですよ。その中で
患者の
負担増というのは一体どうなのかというと、この四年間の間に三・七七倍になるわけですね。だって、現在六百十億でしょう。それが九〇年になりますと二千三百億になるわけですからね、一部
負担金が。だから三・七七倍になるわけです。
被用者保険は、つまり現役で働いている健康保険や組合健保の
皆さん方はどうなるかというと、この四年間に一・九四倍になる。ざっと二倍近く上がるんですからね。これはもう新たな税金
負担と同じようにのしかかるのは明らかです。
ところが、そんなにふえるのに、それじゃ
国庫負担は四年間にどうなるのかというと、これはわずかに一・一九倍ですね。一・二倍なんですね、繰り上げても。この
数字を見ましても——これはもう時間の
関係がありますから金額は申し上げませんけれども、この率を見ましても、明らかにこれは
患者負担が、お年寄りである
患者さんの
患者負担が三・八倍になり、そして現役の労働者の
皆さんの掛金の
負担が、いずれははぬ返ってくるところの按分率による
拠出金が約二倍になり、そして
政府は一・二倍しか分担をしないというわけですから、まさに
政府の
負担額を減らしていくということを中心とした財政対策だということがいよいよ明らかになってきたと思うわけでございます。
〔
委員長退席、理事岩崎純三君着席〕
私は、きょうはとりわけ、今回新たに提案をされております老健施設ですね、この老健施設というのは、今申し上げました
政府の姿勢の基本を一番端的に示しているものだと思うんです。そこで、この問題について聞いていきたいと思っております。だって、三年前に外来を無料から四百円にした。そうしたら外来の受診率は下がった。ところが、翌年からは入院費がどんどんふえるということで、入院費が急増したので、今度は老人の入院費を圧縮するということが中心的なねらいだというのがこの老健施設の問題では端的に出ていると思うわけです。
そこで、お聞きをいたしたいところですが、昭和七十五年ですね、寝たきりのお年寄りの実態と処遇はどういうふうになるか、ちょっと
厚生省の試算、推算、そういうものをお聞かせをいただきたいと思います。