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1986-10-21 第107回国会 参議院 社会労働委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十月二十一日(火曜日)    正午開会     ─────────────    委員氏名     委員長         佐々木 満君     理 事         岩崎 純三君     理 事         田代由紀男君     理 事         糸久八重子君     理 事         中西 珠子君                 石井 道子君                 石本  茂君                 遠藤 政夫君                 関口 恵造君                 曽根田郁夫君                 田中 正巳君                 前島英三郎君                 宮崎 秀樹君                 森下  泰君                 千葉 景子君                 対馬 孝且君                 浜本 万三君                 中野 鉄造君                 沓脱タケ子君                 佐藤 昭夫君                 藤井 恒男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐々木 満君     理 事                 岩崎 純三君                 田代由紀男君                 糸久八重子君     委 員                 石井 道子君                 石本  茂君                 関口 恵造君                 曽根田郁夫君                 田中 正巳君                 前島英三郎君                 宮崎 秀樹君                 千葉 景子君                 対馬 孝且君                 浜本 万三君                 中野 鉄造君                 佐藤 昭夫君                 藤井 恒男君    国務大臣        厚 生 大 臣  斎藤 十朗君        労 働 大 臣  平井 卓志君    政府委員        厚生政務次官   畑 英次郎君        厚生大臣官房長  北郷 勲夫君        労働政務次官   松岡滿壽男君        労働大臣官房長  岡部 晃三君        労働省職業安定        局長       白井晋太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        此村 友一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国政調査に関する件 ○社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査  (派遣委員報告)     ─────────────
  2. 佐々木満

    委員長佐々木満君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 次に、社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査を議題とし、先般当委員会が行いました委員派遣について、派遣委員報告を聴取いたします。田代由紀男君。
  5. 田代由紀男

    田代由紀男君 去る九月一日から三日までの三日間、佐々木委員長糸久理事宮崎委員中野委員、沓脱委員と私田代の六名は、老人保健医療福祉等と最近の雇用失業情勢等の実情を調査するため、北海道へ行ってまいりました。  調査では、釧路及び網走支庁において、北海道における民主、衛生労働行政等現況説明を聴取するとともに、現地視察を行い、釧路市の水産センターにおいて、水産関係団体等から雇用問題等についての意見要望を聴取してまいりました。  以下、調査結果の概要について御報告申し上げます。  まず、老人保健医療福祉等について申し上げます。  北海道の六十五歳以上人口は、総人口比で九・八%と、全国水準の一〇・二%をやや下回っておりますが、近年増加傾向にあります。高齢化進展に伴い、がんその他の成人病は、全死亡原因の約六割を占めております。保護率は、六十一年三月で道は二・一八%と、全国の一・一七%を上回り、そのほとんどが高齢者、母子、傷病障害者世帯等生活基盤の弱い世帯であります。また、在宅寝たきり老人は約一万人に達しております。  六十年度における老人保健事業一般健康診査受診率は、二六・五%であり、六十一年度計画では三〇・七%となっておりますが、国が定めた六十一年度の目標受診率三七・五%を下回っており、胃がん及び子宮がん受診率とあわせて、その向上は今後の課題となっております。  保健医療対策として挙げるべきものは、道単独難病疾患医療費助成潜在保健婦等による在宅寝たきり老人等に対する訪問看護及び家庭看護相談事業在宅脳卒中後遺症患者及びその家族に対する機能訓練等指導であります。  道単独在宅福祉対策としては、寝たきり老人に対する介護手当の支給、痴呆性老人に対する短期保護重度身体障害者ケアつき住宅モデル事業等を行っております。  老人福祉施設については、全国平均を大幅に上回る状況にありますが、特別養護老人ホームの創設の希望が多いところから、今後、需要見込み等を勘案しながらその整備を図っていく必要があるとされております。  人口十万人当たり医師数は百三十五・三人と、全国平均の百五十・六人をかなり下回っており、釧路支庁管内で八十九・九人、網走支庁管内で六十九・七人といずれも全道平均を下回っている状況にありまして、地域格差の是正が重要な課題となっております。今後、道全体の医師需給状況が改善されてもこの問題はなお残る可能性があると見られております。  道では、医師確保を一層推進するために、昨年十一月、道及び市町村等の出資により北海道地域医療振興財団を設立し、医師需給に関する情報提供医師紹介僻地勤務医師研修等を幅広く展開することとしております。  医療施設についても、地域偏在が著しいことから、昭和五十五年三月には、北海道保健医療基本計画を策定し、第二次保健医療圏重点を置いて、 地域センター病院を核とする医療体制整備に努めております。  健康づくり対策の中では、特に本年七月に北海道健康づくり財団を設立し、人間ドック、健康ライブラリー設置等を行うこととしております。  なお、道の風土病と言われるエキノコックス症汚染地域拡大について説明があり、その予防対策について要望がありました。  次に、視察いたしました厚生関係施設について簡単に述べたいと思います。  財団法人北海道対がん協会釧路がん検診センターは、老人保健法施行によるがん検診事業道東南の拠点として、昭和五十九年十二月に開設されたものであります。事業内容は、胃がん子宮がん、乳がん、肺がん検診がんの知識の普及等でありまして、検診車による巡回検診、同センターにおける施設検診を実施しております。また、検診資料コンピューター処理を行い、情報提供事後指導推進しております。センター利用状況は、受け入れ能力の半分程度であり、五十歳代、六十歳代を重点目標にして検診普及率を高めたいとのことでありました。  また、同センターにおいて、釧路保健所及び鶴居村における老人保健事業実施状況につき、説明を聴取しました。  まず、釧路保健所からは、国の検診項目以外に血液検査等を実施していること、受診率向上訪問指導体制整備が必要であること、管内人口十万人当たり医師数は九十四・二人、保健婦数は十七・六人で全道平均を下回り、医療従事者の不足が大きな問題となっていることについて説明がありました。  一方、鶴居村は、人口二千八百五十六人で、酪農が基幹産業となっており、保健事業を村政の柱としております。昭和六十年度における受診率は、一般健康診査九二・三%、胃がん検診六七・九%、子宮がん検診五一・三%で、いずれも国の六十一年度目標水準を大きく上回っております。鶴居村は、胃がん子宮がん検診料を負担しておりますが、受診率が高い背景としては、健康づくり推進委員と村との密接な連携による老人保健事業周知徹底が挙げられております。  次に、弟子屈町立特別養護老人ホーム倖和園は、現在定員八十名でありまして、定員七十名の養護老人ホームが併設されております。このホームの特色は、温泉熱による暖房の利用でありまして、入所者に喜ばれているとのことであります。また、職員は、国の基準四十六名に対し、非常勤も含め五十四名が配置されているほか、一人当たり居住面積が国の基準よりかなり広くとってあります。  次に、最近の雇用失業情勢等について申し上げます。  北海道では、景気の回復が依然として鈍く、製造業において鉄鋼造船、セメント、木材合板等産業が慢性的な構造不況にあり、加えて、最近の急速な円高影響により輸出関連業種中心生産調整を余儀なくされております。また、日ソ漁業交渉サケマス等漁獲量が大幅に削減されたことに伴い、関連漁業とともに水産加工業など関連業種生産活動にも大きな影響が出てきております。  こうした中で、本年七月の有効求人倍率は〇・二四倍と全国平均の半分以下であり、失業率も四%前後で推移し、厳しい状況に置かれております。  北洋漁業関係では、現在、三百七十九隻の減船によって三千三百人前後の漁業離職者の発生が見込まれ、今後においてもサケマス関係での減船に伴い、減船総数で四百隻以上、これによる離職者数は四千五百人に上るのではないかと予想されております。  国鉄関係では、国鉄再建監理委員会意見によると、分割民営化に伴う道内での余剰人員は一万三千人に及ぶとされ、現在、希望退職者応募状況は約三百二十人であり、また、再雇用の場の確保としては、約二千五百人が見込まれております。  石炭関係では、道内には二十四の炭鉱があり、総従業員数は一万四千人余りで、現存炭鉱の存続と安定的生産確保が望まれております。  円高関係では、木材鉄鋼造船といった産業影響が見られ、事業縮小・閉鎖が二十件で、離職者数六百四十五人という状況になっております。  釧路網走地域について見ますと、本年七月の有効、求人倍率状況は、釧路で〇・二二倍、網走で〇・二七倍となっております。  この釧路網走地域は、特定不況地域に指定され、漁業及び水産関連産業の占めるウエートが高い地域でありまして、北洋漁業関連では、釧路地域減船は八十六隻で、乗組員数にして約七百人、網走地域では、紋別地方も含めて減船は十四隻で、乗組員数は約二百三十人となっております。また、水産加工業においては、網走紋別で倒産による若干の離職者が発生しております。  以上のような雇用失業情勢の中で、北海道では、北洋漁業国鉄問題については対策本部を設けるとともに、雇用調整助成金活用による失業予防に努め、全道の公共職業安定所を挙げて特別求人開拓職業相談充実強化に努めております。そのほか、地域雇用開発推進事業による雇用機会拡大や一時に多数の離職者が発生した場合などの地元における臨時職業相談所開設等、それぞれの問題に即した対策が講じられております。  なお、季節労働者については、通年雇用化がなかなか進まない現状にありますが、冬期雇用安定奨励金制度等活用を図る一方、通年雇用化に向けて対策を講じたいとのことでありました。  次に、釧路市の水産センターにおいて、釧路市、釧路機船漁業協同組合釧路東部漁業協同組合釧路水産加工業協同組合全日本海員組合釧路支部から、それぞれ意見要望を聴取いたしましたが、北洋漁業縮減円高影響により、地域社会そのものが揺らぎかねないような状態にあることをうかがわせるものがありました。  要望等の主なものを挙げますと、漁業対策として減船に対する完全な補償、韓国船等に対する二百海里法の適用等離職者対策としていわゆる漁臨法早期適用船員保険適用職業訓練充実水産加工並びに関連企業対策として長期低利の融資、雇用調整助成金補助率引き上げ等その他であります。特に、雇用関係では、これまでの漁業縮減と異なり、他の漁業への転換が容易でない情勢にあると言われております。  なお、意見要望を聴取した後、金井漁業株式会社新富士食品工場を視察し、すり身製造の工程を見学いたしましたことを申し添えます。  北海道における雇用情勢は、今後、北洋漁業縮減石炭政策の見直し、国鉄改革円高影響の動向によっては、一段と深刻さを増すのではないかと心配されており、早急に国において総合的な対策推進する必要があることを痛感した次第であります。  以上が調査概要でありますが、北海道釧路市、釧路水産業対策協議会全日本海員組合釧路支部から提出されました要望事項会議録末尾掲載方委員長においてお取り計らいくださいますようお願い申し上げまして、報告を終わります。
  6. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 以上をもちまして派遣委員報告は終了いたしました。  なお、田代君の報告中、御要望のありました北海道当局等からの要望事項を本日の会議録末尾に掲載することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  8. 佐々木満

    委員長佐々木満君) この際、斎藤厚生大臣並びに平井労働大臣からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。斎藤厚生大臣
  9. 斎藤十朗

    国務大臣斎藤十朗君) 第三次中曽根内閣の発足に際し、厚生大臣に就任しました斎藤十朗でございます。  私は、今から十八年ほど前に、父斎藤昇厚生大臣を務めておりましたときに秘書官として初めて厚生行政に携わり、多くの方々と出会い、語り 合う中から、国民福祉向上こそ政治の究極の目的であると考えるようになり、以来これまで一貫して厚生行政の発展のために取り組んできました。今般、国民生活全般に深くかかわり合う厚生行政を担当することとなり、責任の重大さを痛感いたしております。  第百七回国会における社会労働委員会の御審議に先立ち、一言あいさつを申し上げます。  人類の長年の夢であった長寿が実現した今日、その長寿を豊かで輝かしいものとするためには、だれもが生きがいを持って暮らすことのできる活力ある福祉社会をつくり上げていくことが必要であります。そしてこのために、社会保障制度中心社会の仕組みを見直していくことは緊急の課題となっております  厚生省といたしましては、社会保障制度国民に信頼される安定したものとするために、これまで医療年金改革等に取り組んでまいりましたが、さらに、二十一世紀を見据えた長期的な展望に立った総合的な厚生行政展開を図っていくことが必要であると考えております。  このため、長寿社会対策大綱に沿って、在宅サービスの拡充、生涯を通じた健康づくり推進痴呆性老人対策総合的検討など、各般の施策を総合的に展開してまいる所存であります。  また、次代を担う児童の健全育成対策やきめ細かな心身障害児者対策等推進するとともに、年金財源確保するための年金資金有利運用老化メカニズムの解明などの厚生科学技術振興等について積極的に取り組んでまいる考えであります。  次に、今国会には厚生省関係法案として老人保健法等改正法案国立病院等の再編成に伴う特別措置法案及び厚生年金保険法等改正法案を提出いたしておりますが、これらの三つの制度改革は、今後総合的な厚生行政展開を図っていく上で避けて通れない課題でありますので、御理解のほどよろしくお願いを申し上げます。  以上のほか、厚生行政には、保険年金福祉医療環境衛生等国民一人一人の生活に直結した、ひとときもゆるがせにできない課題が山積しております。  私は、委員各位の御指導、御鞭撻を得ながら、このような厚生行政課題に取り組み、その着実な前進を図ってまいる所存であります。  何とぞ従来にも増して御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。(拍手
  10. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 続きまして、平井労働大臣
  11. 平井卓志

    国務大臣平井卓志君) 当委員会におきますごあいさつが大変遅くなりましたが、労働大臣を仰せつかりました平井卓志であります。  第百七回国会における社会労働委員会の御審議に先立ち、一言あいさつを申し上げます。  昨年九月以降の急速な円高進展は、我が国経済に大きな影響を及ぼしており、雇用失業情勢の悪化が懸念されております。このような状況に適切に対処するため、先般決定されました総合経済対策を着実に実施するなどにより、雇用対策の一層の充実強化を図ってまいる所存であります。  また、週休二日制の普及など労働時間の短縮は、働く人々の福祉の観点に加え、消費機会の増大を通じての内需拡大という経済構造調整推進の面からなども必要でございまして、労働省としては今後とも労働時間の短縮に努めてまいります。なお、労働基準法につきましても、その改正を検討してまいります。  さらに、国政の最重要課題である国鉄改革に伴う職員雇用問題につきましても、今後再就職促進措置法案早期成立を図り、職業紹介を初め各種援護措置を実施することにより、適切に対処してまいります。  なお、今国会には、職業安定関係地方事務官制度を廃止し、都道府県労働局を設置することを内容とする法律案を提出しておりますので、よろしく御審議お願いいたします。  このほかにも、労働行政におきましては、真剣に取り組んでいかなければならない課題が山積しております。私は、皆様の御支援、御鞭撻を賜りながら、このような労働行政全力を挙げて取り組み、その着実な前進を図ってまいる所存であります。  何とぞよろしくお願いをいたします。(拍手
  12. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 次に、畑厚生政務次官並びに松岡労働政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次許します。畑厚生政務次官
  13. 畑英次郎

    政府委員畑英次郎君) 先般、斎藤厚生大臣のもとにおける政務次官を拝命いたしました畑英次郎でございます。  私なりに、厚生行政生きがいを厚くする行政と位置づけさしていただいているわけでございますが、厳しい環境下にございまして、諸先生方の御指導、御叱正を賜りまして、その責めを果たしてまいりたいと思っております。  どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手
  14. 佐々木満

  15. 松岡滿壽男

    政府委員松岡滿壽男君) このたび労働政務次官を拝命いたしました松岡滿壽男でございます。  ただいま平井労働大臣の方からごあいさつがございましたように、我が国は現在急激な円高進展いたしておりまするし、同時に経済構造調整の問題がございます。このような中におきまして、さらに国鉄改革でありますとか、さまざまな労働行政を取り巻く諸問題がございます。  そういう中で、雇用確保し、労働者福祉向上していくために全力を尽くしたい、かように考えておるところでございます。  委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手
  16. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十二分散会