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1986-12-05 第107回国会 参議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十二月五日(金曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員異動  九月二十六日     辞任         補欠選任      上野 雄文君     松本 英一君  十二月一日     辞任         補欠選任      下田 京子君     内藤  功君  十二月四日     辞任         補欠選任      松本 英一君     上野 雄文君      勝木 健司君     関  嘉彦君  十二月五日     辞任         補欠選任      上杉 光弘君     坂元 親男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         久保  亘君     理 事                 浦田  勝君                大河原太一郎君                 青木 薪次君                 片上 公人君     委 員                 岩崎 純三君                 坂元 親男君                 竹山  裕君                 谷川 寛三君                 永田 良雄君                 野沢 太三君                 本村 和喜君                 上野 雄文君                 太田 淳夫君                 内藤  功君                 関  嘉彦君                 秋山  肇君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  綿貫 民輔君    政府委員        国土庁防災局長  山本 重三君        農林水産大臣官        房審議官     青木 敏也君        気象庁長官    内田 英治君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        国税庁直税部法        人税課長     瀧川 哲男君        文部省初等中等        教育局高等学校        課長       小西  亘君        厚生省社会局施        設課長      福田 孝雄君        中小企業庁小規        模企業部参事官  桐山 正敏君        運輸省国際運        輸・観光局観光        部振興課長    高橋 義典君        運輸省港湾局防        災課長      塩田 精一君        気象庁地震火山        部長       河村あたる君        建設省河川局砂        防部砂防課長   友松 靖夫君        自治大臣官房参        事官       柳原  瑛君        消防庁防災課長  田中 基介君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (昭和六十一年伊豆大島噴火等に関する件) ○委員派遣承認要求に関する件     ─────────────
  2. 久保亘

    委員長久保亘君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る一日、下田京子君が委員辞任され、その補欠として内藤功君が選任されました。  また、昨四日、勝木健司君及び松本英一君が委員辞任され、その補欠として関嘉彦君及び上野雄文君が選任されました。  また、本日、上杉光弘君が委員辞任され、その補欠として坂元親男君が選任されました。     ─────────────
  3. 久保亘

    委員長久保亘君) 次に、災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  昭和六十一年伊豆大島噴火等について、政府から報告を聴取いたします。山本防災局長
  4. 山本重三

    政府委員山本重三君) お手元に配付しております資料に基づきまして、昭和六十一年(一九八六年)伊豆大島噴火及び十一月二十三日桜島爆発について御説明申し上げます。  初めに、資料のうち、「昭和六十一年(一九八六年)伊豆大島噴火について」という資料をごらんいただきたいと思います。  噴火状況等でございますが、要約して申し上げますと、伊豆大島三原山は、十一月十五日午後五時過ぎ、南側火口壁から噴火し、十九日には溶岩が内輪山を越えてカルデラ内に流下し始めましたが、二十日未明にはその流れもほぼ停止しました。  しかし、二十一日十六時十五分に、カルデラ内の北側に数カ所噴火口ができ、大規模噴火が始まり、十七時過ぎには、外輪山の外側でも火口列ができ、溶岩流れ元町の市街地に迫り、これらの噴火は二十二日未明まで続きました。  一方地震は、三十二日の震度V二回を含み頻発しましたが、その後次第に減少してきております。その他、北部及び南東部で幾つかの地割れが見つかっておりますし、また島の十数カ所変色水が観測されております。  次に、IIの被害状況についてであります。  現在、関係省庁において調査中でありますが、現在判明しております概要は、公共土木施設関係では、道路の亀裂、崩土等被害が発生しております。  次のページへ参りまして、農作物では十一月二十日現在で、小菊、サヤエンドウ、冬野菜等に一億八千七百万円の被害中小企業関係では、休憩所一件約五千万円の被害等が生じておりますが、二十一日以降の噴火により、被害が増大している模様であります。  次に、IIIの避難状況等についてであります。  十一月の二十一日の大規模噴火後、十七時五十七分には、泉津、岡田地区住民に対し最初の避難指示が出され、二十時二十三分には全島に避難指示が、二十二時五十分には全島民島外への避難指示が出されました。  島外への避難は、二十一日十九時ごろから二十二日午前中にかけて、東海汽船、海上保安庁、海上自衛隊船等によりまして、一万余の島民観光客等が、静岡県二十二カ所、東京都三十五カ所の避難所等避難いたしました。その後、静岡県内への避難者東京都内移動しまして、資料では十二月三日現在、都内二十五カ所に六千四名となっておりますが、十二月四日現在では、都内二十六カ所に五千九百九十三人の方々避難されております。  十一月二十一日十九時には、大島町に対しまして、被災者の救出、炊き出し等の食品の給与等を内容とする災害救助法の適用がなされました。  資料の三ページをお開き願います。  Vの関係省庁連絡会議の開催についてでございますが、十一月十七日に第一回の会議を開き、警戒体制に万全を期すること等を重点事項として申し合わせました。十一月二十一日の会議においては、次に御説明申し上げます本部設置について決定するとともに、住民等の安全を最優先に避難に万全を期する等の事項を申し合わせました。  次に、VIの本部設置についてですが、二十一日二十三時四十五分、閣議決定によりまして、国土庁長官本部長とし、関係二十一省庁から成る昭和六十一年(一九八六年)伊豆大島噴火対策本部設置いたしました。対策本部は、十一月二十二日、第一回会議を開催いたしまして、避難住民避難所、食糧、飲料水生活必需物資臨時電話確保等避難住民不安解消に努める等の重点事項を決定いたしました。  資料の四ページをお開きいただきたいと存じます。  二十五日の第二回会議では、火山活動状況監視観測体制強化等を、二十七日の第三回では、島民の一時帰島等の安全性、その具体的方策についての検討を、二十九日の第四回会議では、一時帰島の措置が安全かつ円滑に実施されるよう警戒避難その他政府支援措置の万全を期する等の重点事項を、事態の推移に対応しながら、それぞれ決定してきたところでございます。  VIIIの政府調査団派遣につきましては、十一月の二十二日及び十二月一日の二回にわたり、綿貫国土庁長官を団長といたしまして、噴火及び現地状況調査いたしております。  次に、資料の五ページをお開きいただきたいと思います。  IXの避難完了後にとられた措置等につきまして、要約して御説明申し上げます。  多数の避難者に対しまして特設公衆電話設置され、また、伊豆大島噴火避難者案内所設置されました。児童生徒に対しましては、5にありますように、十一月二十四日から入学措置がとられております。元町に向かっていた溶岩流に対しましては、8にありますように、東京消防庁等溶岩冷却作戦によりまして、二十六日朝には動きがとまっております。  十一月二十五日からは、公共職業安定所特別相談窓口を開設し、十一月二十六日には世帯更生資金貸付業務が開始されております。  また、13にありますように、十一月二十七日には、小企業等経営改善資金の機動的、弾力的運用を商工会に指導しております。  15以降にありますように、十一月二十九日には、政府系中小企業三機関及び環境衛生金融公庫等に対しまして、債務者に対する返済猶予各種災害貸し付けの発動を行うよう指導しております。  また、19にありますように、十一月二十九日、都災害対策本部は、十二月三日から四回に分けて、一世帯一名の日帰り帰措置を決定し、昨日その第一陣七百七十二名が大島に帰島し、夕刻には無事避難所に帰着いたしました。本日は、昨夜から第二陣が大島に参っております。  資料の六ページに参りまして、Xの火山噴火予知連絡会につきましては、十一月二十四日及び二十八日に総会が開かれまして、火山活動の現況と今後の可能性及び一時帰島する場合の必要な対策等が発表されております。  XI伊豆大島噴火に係る緊急監視体制整備につきましては、十一月二十九日の第四回本部会議において、伊豆大島噴火に係る緊急監視観測体制整備計画を決定し、逐次その実施を進めておりますが、このために必要な経費に充てる予備費につきましては、本日の閣議において決定されたところであります。  以上、昭和六十一年(一九八六年)伊豆大島噴火について、要約して御説明申し上げました。  次に、十一月二十三日桜島爆発について御説明申し上げます。  「十一月二十三日桜島爆発について」という資料をごらんいただきたいと存じます。  桜島南岳は、資料の参考にもありますように、本年は、記録的な昨年の活発化状況に比べまして、爆発回数等観測値は減少してはおりますが、依然として活発な火山活動を続けてまいりましたところ、十一月二十三日十六時二分に、ことし二百六回目の爆発がありまして、その噴石は山ろくまで達し、被害が発生いたしております。  一般被害といたしましては、噴石落下によりホテル一棟が一部破損し、六名の負傷者が生じましたが、そのほか非住家一棟を焼失しております。  2の商工関係被害額といたしましては、ホテル被害額が約一千三百万円に達しております。  今回の災害に対し、政府といたしましては、十一月二十五日、被害状況把握のため、国土庁より担当官現地派遣いたしております。  以上でございますが、今後とも関係省庁と緊密な連絡をとりまして、対策に万全を期してまいる所存でございます。  報告を終わります。
  5. 久保亘

    委員長久保亘君) 以上で政府からの報告の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 青木薪次

    青木薪次君 今防災局長から説明のありましたように、十一月十五日、四十九年の六月以来十二年ぶり噴火した伊豆大島三原山は、小さな噴火を繰り返しながらも、一たんは小康状態になったわけでありまするけれども、二十一日に再び活発化しました。安永の六年、一七七七年以来二百九年ぶりの大噴火となったのであります。大地を揺るがし、夜空を焦がし、真っ赤な火柱が噴き上げる中を、着のみ着のままの姿で避難いたしまして、いつ帰れるかわからぬ住みなれた島に思いをはせながら、つらい避難生活を続けている大島島民皆さん、私ども委員長を先頭にいたしまして、十一月三日に千代田区の総合体育館避難されておられる皆さんを御慰問申し上げると同時に、いろんな御意見や御要望を聞いてまいりました。また、大島町長大島町会議長、その他皆さん島民の代表からもまた別の立場で御意見を聞くことができたのでありますが、心からお見舞いを申し上げたいと思うのであります。  噴火以来、十三日ぶりにふるさとの島の土を踏んだ第一陣の島の人たちの光景を私はテレビで見ました。両手いっぱいの荷物を手にいたしましてタラップをおりた皆さんは、七百七十人の方々が疲れの色は隠せないものの、一斉におりた途端に飼い主のところへ走り寄った牛の群れを見た、あるいはまた家人に抱かれて鳴き叫ぶ数匹の猫の喜びをふっと見たときに、胸に迫るものが実はあったのであります。  我が国は環太平洋の火山帯に属する世界でも有数の火山国であって、最近でも五十二年の有珠山や五十八年の三宅島、そして今回の三原山と、過去幾多の火山災害に見舞われているのでありますが、現在、世界には約八百の活火山があると言われております。日本列島にも実にその一割に当たる七十七の活火山があるのでありますが、その観測体制予知体制は現在どのようになっておるだろうか。私はいろいろなテレビ新聞のニュースやあるいはまた新聞等を見てまいりますると、一万人を超える伊豆大島の全住民が島を離れねばならない事態が起きるとはだれが予測しただろうか。今なお人知の及ばぬところと言わなきゃならぬというように考えているわけであります。  特に私は一番深刻に考えておりますのは、十月三十日に開かれた予知連定例会は、相反する二種類のデータ解釈をめぐって議論が百出いたしまして悩み抜いたわけであります。予知連皆さん大分努力をしてくれたわけでありますが、将来、数カ月の噴火可能性が否定されたわけではないけれども、そういう前提を持ちながらも大規模噴火可能性というものはない、危険性はないということをコメントするに至ったのであります。これらのことについて、小さな噴火ならいざ知らず、マグマが大量に上昇いたしていないうちは大きな噴火はあり得ないとの判定であったのであります。噴火規模がこれほど大きいとはだれも見なかったのでありますが、今回の噴火予知の点数を問われた下鶴大輔予知連会長は、八十点はいくでしょうと自己採点を実はされたのであります。しかし、三原山噴火はその後勢いを増して、結果的には予知連の二本柱と言われる噴火の時期と規模の双方が大きく狂ってしまったのであります。  私は、この点について一番心配になるのは、予知体制の問題であります。私ども千代田区の総合体育館にお邪魔したときにも、実は論議がここに集まったかの観さえあったのでありますが、聞くところによれば、予知体制予知は絶対できないということを言っていらっしゃるわけでありまするけれども、この点について、長官、絶対にできないんですか。
  7. 内田英治

    政府委員内田英治君) お答え申し上げます。  ただいま先生指摘噴火予知の問題ではございますが、予知等をするためには少なくとも前兆現象をしっかりとらえなきゃなりません。それで、その前兆現象本番の大噴火に結びつくのか、あるいはそのまま鎮静化するのかというようなことを敏感に判別する必要があるのでございますが、火山歴史は非常に長いわけでございまして、もうすごい歴史のことは言われておりますけれども、近代的な火山観測ということになりますと、その歴史というものはまだ残念ながら浅いわけでございます。  それで、火山現象一つの特質と申しますのは、火山ごとに性格が違う、統一的に何かが、こういう現象があればこういう本番噴火が起きるというふうに一律的にわかればいいんですけれども火山ごとに例えばマグマ状態初めいろんな性質が違うということがございまして、非常に複雑でございます。そういう意味におきまして、現段階でこれを判別して噴火を的確に予知するということは非常に困難なことでございます。それでございますから、我々非常に、この観測データというものを集めまして、それを解析するということに力を注いでいるわけでございます。  先生指摘のように、今回の伊豆大島噴火におきましても、現在の火山に関する知識と経験が十分でなかったということから、予知連先生日本における最高の人たちが集まっていると思われるんですが、この人たちが本当に討議しましたけれども、事前に予知するということは困難であった、こういうのが実情でございます。
  8. 青木薪次

    青木薪次君 七十七の活火山が山の性質その他において違うということは、そのとおりだと思うんです。しかし、この火山予知連の下鶴大輔会長は、二十一日の夜大島町役場で記者会見いたしまして、想像を絶する噴火が起き住民避難するしかないと述べられたのでありまして、この日の噴火は約一時間半前に山頂隆起現象が起こったわけですね。これが噴火前兆とは全く予想できなかったと、対応のおくれを実は認められたんです。私はきょうも今も長官に聞いたわけでありまするけれども、おたくではこの予知は絶対できないという解釈をとっておられます。その点について、絶対にできないのか、できるのか。  きのうも、東京都の鈴木知事から要請を受けた国土庁長官は、地震計傾斜計等についてもさらにひとつ増加して敷設するということを答弁をされておられます。しかし、こういうことを言ったんでは私は問題になると思うのでありまするけれども三原山日本で一番研究が進んでいる火山一つです。地磁気や火山性微動などの異変も観測されていたんだけれども、それらのデータを生かし切れなかった。通常、噴火前に観測される山頂隆起もなく、逆に沈下現象が続いていたことも見通しの誤りにつながっていたんだと言われているのでありまするけれども、そういたしますと、一時間半前に隆起現象が起こった。しかし、その以前は沈下現象が起こっていたんだ。そういうことが、マグマ関係についての動きというものについていろいろと精密機械各種機械からのデータはあったけれども、これが予知できなかった、こういうように解釈してよろしゅうございますか。
  9. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) このたびの伊豆大島噴火によりまして、一万人を超す島民皆様方が今御避難をされ大変不自由な思いをしておられますことに、心からお見舞いを申し上げたいと思います。また、先ほど防災局長からお話しいたしましたように、十一月二十三日の桜島爆発によって被災されました方々にも、あわせてお見舞いを申し上げたいと存ずる次第であります。  また、この委員会といたしましても、青木先生がおっしゃいましたように、三日の日にそれぞれ大島避難しておられる皆様方をお見舞いいただきまして、大変ありがたく思っておる次第でございますし、また、十五日には現地も訪れて皆様方がいろいろ実情を御調査いただくということも伺っておるわけでございます。  この噴火予知につきましては、今気象庁長官が申し上げましたが、基本的には学問的にやっぱり、私も素人でわかりませんが、地球物理学だとかあるいは地質学だとか、いろいろの学問でなかなかその根本的な予知ということは学問的にも難しいようでございます。しかし、対症的ないろいろの問題については、やはり科学の力を尽くして予知ができるように努力をしなければならないと考えておるわけであります。今回の問題につきましても、いろいろと予知連気象庁にも御努力をいただいたわけでありますが、従来、データの集積にいたしましても、いろいろと統一的になっていなかった部分もあるのではないかという気がいたします。  それで、本日の閣議におきまして予備費の使用を認めていただきまして、約八つの目的別機器を入れまして大島監視体制を強めることにいたしまして、既に一部のものは発注をし設置をしておるわけでございます。このような科学的な機器設置、また一部破損されたものの補充等もいたしまして、しかもこれをテレメーターで一元的に今度は把握をするという対策を講じてまいりたいと考えておるわけでありまして、ある程度の緊急予知と申しましょうか、安全体制と申しましょうか、観測体制の充実を図って、今青木先生指摘のような不備を少しでも、あるいは未知の分野に少しでもメスを入れて島民皆様方の安全を期していきたいというふうに考えておる次第であります。
  10. 青木薪次

    青木薪次君 私が関心を持っておりますのは——私は静岡なんですよ——静岡でありまして、地震計、ひずみ計は各所に置かれております。今も大臣がおっしゃったように、例えば何百キロも奥の海底にひずみ計がある。ひずみ計というのは少しの揺れとか隆起とかそういうものも的確にとらえますから、それが気象庁の方に全部、今おっしゃったように、常に入っているでしょう。そういうような中で、三原山ではことしの七月ごろから火山性微動が続いておったんですな。噴火予知連絡会では各所データをもとに検討した結果、十月三十日に、大規模噴火が切迫している兆候は、これは認められないという安全宣言を出したばかりだったんですよ。そこで、わずか二週間後に第一回の噴火があって、時期、規模ともにその予知に実は失敗しているのであります。したがって、二十一日の大噴火の一時間半前に先ほど申し上げた山頂隆起現象があって、噴火前兆と予想できずに、異常データを生かすことができなかった。  しかし、地元の大島測候所では、同じデータから大噴火を予想いたしまして、何年も前からやはり今回の大噴火を予測する論文を予知連に提出した学者も実はいるんですね。火山予知連予知体制に現場の声が十分生かされなかった、反映されない面があったんじゃないかということを私は非常に関心を持っているんです。この点いかがですか。
  11. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 私の聞いておりますところでは、地震噴火と全く一緒ではないというふうに聞いておりまして、今回の新しい観測体制計画におきましても、防災局長から御説明申し上げますが、いろいろの機器等を入れまして、この噴火予知という難しい分野にひとつ踏み込んでいこうというふうに考えておるわけでございます。もちろん地震とも全く関連がないわけではないと思いますが、それらのことも考えつつ体制整備を今計画しておるわけでございます。
  12. 山本重三

    政府委員山本重三君) 今回伊豆大島におきましては、従来ございました地震計傾斜計それぞれ十一カ所、二カ所が現在残っておりますが、一部破損いたしましたのでこれしか残っておりませんが、新たに地震計八カ所、傾斜計十九カ所、そのほかに磁力計五カ所、比抵抗測定計二カ所、伸縮計三カ所、測距するための施設二カ所、それから地下水監視七カ所、ガス観測三カ所、ELF観測二カ所、水準測量一カ所、検潮一カ所、温度計二カ所と、こういうことで五十八カ所で観測し、これらのデータはテレメーター化して一元的に気象庁に情報が提供されるという体制をとったところでございます。
  13. 青木薪次

    青木薪次君 国土庁長官地震火山活動とは全然別だとおっしゃるけれども、これはセットにしなきゃいけないのです。地震はやっぱりプレートの移動、これが一番大きいでしょう。それからそのほかに、例えば私ども駿河トラフにしても相模トラフにしても、トラフの中におけるいろんな移動とか落下とか、そういうものが群発に結びつく。マグマ移動です。今回もマグマ移動でしょう。  ですから、あなた、そういうことをおっしゃっても、私も全くの素人だけれども、十年以上も災害対策をやっていますと、素人素人なりにいろんなものを本を読んだり教えてもらったりするわけですから、そういう点はやっぱりもう少し、この問題をはぐらかすという議論じゃなくて、問題に突き進んでいく努力というものが必要です。私どもも、別に私は予知連皆さん方をたたいているわけじゃないし、また気象庁のやり方がまずいと言っているわけじゃないのです。今現地皆さん予知というものについて、予報というものについて、あるいは避難というものについて一体どうしたらいいのか、もうそれこそそのことが明けても暮れても考えられている中心ですから、今もってまだ予知はできないんだと言ってしまえばそれまでで、そうかもしれない。しかし、少なくともそうじゃないんだ、下鶴会長もあと一年待ってくれればこれはできるんだということを言っていらっしゃる。しかし、お役人の皆さんは総じて今できないんだ、できないものはできないんだ、こういう解釈でしょう。私はこれがいけない、これが絶対いけないことだというように考えているわけです。  ですから、私はきょうは言いたくはないけれども気象庁長官がここへ出てもらうために随分苦労した。それは全くあなた方も反省しなきゃいけない。初めは、何ですか、運輸大臣報告することがあるから会議に出られないと言ったでしょう。その後また、そんなことは運輸大臣に頼んでちょっと時間を切り離してもらおうと言ったら、今度は忙しいと言った。忙しいということとこの特別委員会とどう関係があるのかということを、私は声を大きくしてあなたに申し上げたい。だから、そういうようなことではいけないということを私は言っているわけです。大いに反省してもらいたい。  それから、現在の観測体制予知技術では、直前の噴火を完全に予知することが不可能であると言われているけれども島民の安全確保のためには、今後長期にわたって観測体制予知技術の強化、向上を図っていく必要があると思う。大島における観測体制の強化策と予知技術の向上策については、今防災局長から聞いたんだけれども、十一億二千万円ですか、十一億の金を投入すれば相当な、東海地震の判定のための予知技術、予知体制に相当するような力がここに加えられる、こう解釈していいですか。
  14. 内田英治

    政府委員内田英治君) ただいま先生の御指摘問題でございますけれども予知には中期的な予知というのがございます。これは一、二カ月前。それから直前予知ですね、先生が今言われましたところの下鶴さんが、こういうような現象が一時間前に起きていたというような、こういうようなことによってこれは大噴火にいくかもしらぬという、そういう直前予知の問題がございますが、今国土庁の方からお話がありましたところの観測体制が非常に整備されることになりまして、そのことによりまして特に中期の予知でございますね、一、二カ月前にいろいろな状況を知るというこの予測につきましては、現在我々が持っているところのデータあるいは予知本番との関係とか、こういうような問題につきましては、よりよい見通しがつくのではなかろうかと、こういうふうに考えております。  それから直前予知ですね、起こる数時間前、こういうことにつきましては、これは非常に厳しい問題でございますし、これからの問題であろうと思います。  でございますから、今度のように非常に大変な観測網の予算をいただけるわけでございますが、しかも総合的にいろんな、地磁気を初め海の事柄、それから遠望観測、あるいは割れ目の進行状況がどうのこうのというようなことを全部データを蓄積いたしまして、さっき私が申し上げましたところの前兆現象がどういうふうに噴火に結びつくのかという、できれば一元的に結びつければ一番いいわけですけれども、複雑な現象ですからなかなかそうまいりません。そのことについての知見がだんだんと得られるんじゃなかろうか、そう思っているわけでございます。
  15. 青木薪次

    青木薪次君 私は、噴火予知には失敗したけれども、それに引きかえて避難体制というものは見事だと思って実はいるわけです。わずか一夜のうちに一万人を超える住民が大した混乱もなく避難脱出した陰には、噴火地震の相次ぐ中を踏みとどまって誘導や消化活動に専念した警察や消防団の皆さん、輸送に全面協力された海運関係皆さん、海上保安庁の皆さん等、いろいろと積極的努力をしてくれたわけでありまして、この間も私ども避難された皆さんの御意見を聞いてまいりますると、全くすばらしいことだ、日本人に生まれてよかった、東京都民でよかったということを涙ながらに我々に訴えた皆さんのことを考えると、今回のこの避難救援体制というものは、東海地震の際などにも非常に教訓になるべき点が多いと思うのであります。  今も気象庁長官のおっしゃった中期的な予報、それからいわゆる短期的な予報というようなもの等について、私は基本的にいつも思っているのでありますが、外れてもよい。したがって、その点についてはそういう立場で、ある意味では少しぐらいパニックが起きてもいい。予知、予見できる危険性が急迫している、危険性が迫っているというように判定会や予知連解釈されるならば、私はその点についてはやはり一番重いところの警報を発するべきであるというように考えているわけでありますが、今回スピーディーに、スムーズに行われた原因について、国土庁はどんなぐあいに考えていますか、簡単に話してください。
  16. 山本重三

    政府委員山本重三君) 今回一万人余の島民の方がともかくも一人の犠牲者もなく避難できましたことは、大変な成功であったと思いますが、こういった数百年ぶりという大噴火に対して避難ができましたことにつきましては、いろいろこれについて報道関係、民間の方が分析されておりますけれども、私どもとしては、やはり官民の関係機関が総力を挙げて救出活動を行ったことが一番大きな原因だと思いますが、とりわけ大島につきましては、従来から火山噴火活動に対する警戒態勢を十分とっておりまして、大島では測候所、それから東京都の支庁、それから町長、警察署長、こういった四者による懇談会が設けられておりまして、これがいち早く噴火に際しまして対策協議会に切りかえて、具体的な指示を行っておりました。これも一つの大きな対応であったかと思います。それからまた、大島につきましては、既に火山に対する地域防災計画ができておりまして、毎年噴火とか津波等を想定いたしました地域ぐるみの避難訓練を実施しております。こういった日ごろの訓練がやはり島民にさしたるパニックもなく、特に今回の避難を見ますと、弱者とか高齢者を最優先に避難させるなど、非常にトータルとしては冷静沈着な行動が行われた、こういうことが非常にまた今回の避難が成功した結果だと思います。  加えて、あえて言いますれば、やはり二十一日は非常に穏やかな天候に恵まれて、無事、船等も接岸し、迅速に何回かの船舶による避難脱出ができた、こういうことが成功の原因であっただろうと思います。
  17. 青木薪次

    青木薪次君 三原山の大噴火に時を合わせるように、桜島噴火をする。阿蘇山が噴火する。桜島では噴石で三十一年ぶりにけが人が出た。千島列島のパラムシル島でも十三年ぶり噴火活動を開始する。ハワイでもそうだ。各地で火山活動が活発になってきているんですね。これらと三原山噴火との関連について、専門的立場からどんなふうに解釈しておりますか。
  18. 内田英治

    政府委員内田英治君) 今回は、今先生もおっしゃいましたように、あちらこちらで非常に活発な噴火活動が行われるということが報じられておりますが、元来火山噴火というものがあるところで起きたときに、また同時にほかのところでも起きた、これは根本的には直接的な関係はほとんどないというふうに我々は理解しております。
  19. 青木薪次

    青木薪次君 火山噴火予知連で盛んに討議を重ねた一方で、もう一つ予知連である、すなわち地震予知連絡会の方も緊迫した動きを続けていたと報じられておるのであります。伊豆半島、それから三浦半島、房総半島、このひずみ計や伸縮計で、噴火が拡大した二十一日の夕方から二十二日にかけまして、異常な地殻変動が実は記録されたということを聞いているんですね。これは非常に重要なことだと思うんです。国土庁長官関係ないとさっきちょっと言われたんだけれども、これはいとこ同士ですよ。血がつながっているんですよ。ですから、今回の三原山噴火と東海地震発生の可能性という問題は、私は静岡県ですから、非常に関心が今高まっている。  そこで、数年来発生している伊豆半島沖の群発地震というものは後を絶たないわけですよ。しかし、今回の避難された伊東とか下田とか熱川とか、いつものこういうところの群発地震が今回ぷっつりとない。大島で大きく、震度がIVとかなんとかになったときには少し揺れはあるけれども、今回はない。しかし、今回の噴火との関係がないないと言っているけれども、ないとは思えない。伊豆大島近海地震と言っているんですからね、私どもの方では。これが関係ないんだというようには解釈できないんですけれども、この点については、本当にこれは関係ないんですか。
  20. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) 先生のおっしゃっていらっしゃいますことは、伊東付近の群発地震がどのように起こっているかということがまずございます。そういうことで申し上げますと、伊豆大島近海地震の後、大体一年に一度ないし二度ぐらいの群発地震が起こっておりまして、それぞれ四千回とか六千回というように、非常に数の多い地震が数日からあるいは一月ぐらいにわたって繰り返しておるわけでございます。そういう中で、五十八年の三宅島の噴火がございましたし、今度の伊豆の噴火がございましたわけでございまして、やはり私どもは、非常に大きな場で考えますと、それは太平洋プレートに起因している面も全くないと申し上げるわけではございませんが、先ほども長官からお答え申し上げましたように、直接の関係はないと考えております。  それからもう一つ伊豆大島あるいは東海地方の体積ひずみ計が非常に大きな、今回の噴火に際しまして、変動を示しましたことは事実でございます。それをよく解析いたしてみますと、伊豆大島におきます体積ひずみ計の変化に比べまして、東伊豆とか、だんだん距離が離れるに従って、急速にその振幅が小さくなってきているわけでございます。そういうことを考えてみますと、やはり原因は伊豆大島にあって、その余効といいましょうか、少し広域までその効果が及んだということでございまして、地震予知連絡会の中の強化部会でもそのことを検討されまして、直接の関係がないという結論が出されておりますし、実は十月三日にも気象庁で臨時に地震防災対策強化地域判定会が開かれまして、もう一度慎重に検討いたしたわけでございます。その結果でもやはりこれは、この体積ひずみの変化というのは、伊豆大島の今回の噴火によるものでありまして、東海地震とは直接の結びつきはないという結論が出されておるわけでございます。
  21. 青木薪次

    青木薪次君 我々素人とは違って専門家の皆さんですから、関係ないと言えば関係ないというように信ずる以外にないんです。しかし、何かしら私の胸のうちに少しやっぱりそれでも怪しいぞという気持ちは、各委員皆さんもそうだと思いますね。やっぱりマグマは通っているんですから。それから水蒸気爆発でしょう。海水に浸ればそれはどこかで爆発しますよ。だから、ゴム風船みたいなもので、片方を押さえれば片方で爆発するでしょう。そういうように解釈しているから、今火山部長のおっしゃったように、遠くへ行けばいわゆる隆起とか揺れとか、そういうものは少なくなるのは私は当たり前だというように素人で思うんですけれども、そういうようにいたしまして、またこれからもいろいろ教えてもらいたいし、我々も検討を重ねていきたいと思います。  問題は、乏しい予算とデータというようなことだと思うのでありますが、学問上の難しさもあり、気象庁の今年度予算を見ると、地震火山対策の強化費は七億二千万円だけれども、十一億というものが新しくつくということは、非常にこれは喜ぶべきことだと思います。そういうこともひとつ——気象庁には観測用のヘリコプターもなかったというようなことなんかも余りいいことじゃない。私の県には幾つもありますよ。そういうようなことなんかもひとつ大いに関心を高めてもらいたいと思います。  それから、先ほど防災局長がおっしゃった花卉園芸の全滅、あるいはまたそういった点については農林水産省として対策を立ててもらいたいし、それから天災融資法の関係、これはもう調べてあると思うんだけれども、考えていらっしゃるのか。  それから、地元の皆さんは、やっぱり生業の関係では民宿の関係が非常に多いですね。今度は、ああいうことになりますと、一目見たさに湾内を少し見て、そのまますっと帰ってしまう。ちょっと寄っておふろを浴びたりいろんなことをするようなガイド政策というものをつくってもらいたい。それには安全宣言、安全だと。しかも、港内に大型汽船が停泊できるような方向、特に岡田港へ行こうと思ったら元町へ行かなきゃならぬとか、波浮港は岩盤が非常にかたくて、奥の方は深いんだけれども、あれを取ってしまうと今度は波を湾の中に入れてしまうというようなことなんかもあるようでありますけれども、そういった点について、今度はこれはひとつ港湾局にお願いいたしたいと思いますし、またこのことによって税金の減免といったような問題、将来の生業資金というような関係について、関係省庁にひとつ御答弁を願って、私の質問を終わりたいと思います。
  22. 塩田精一

    説明員(塩田精一君) お答えいたします。  伊豆大島には港としまして、先ほど先生言われましたように、元町と岡田と波浮に三つありますが、従来は観光とか生活物資の輸送という観点で整備を図ってきております。しかし、今回の伊豆大島噴火による一万人を超す住民皆さん方避難に当たって、港が果たした役割ということにかんがみまして、避難対策としてはまた別の観点から検討が必要ではないかというように思っております。したがいまして、今後の避難のための港湾の整備につきましては、全体的な避難対策と十分整合をとりながら、国土庁あるいは東京都と緊密な連絡をとって、そういう港湾整備のあり方について早急に検討していきたい、このように思っております。
  23. 青木敏也

    政府委員青木敏也君) 島の畜産、また花卉、これは島の農業におきます非常に基幹的な作物でございます。現在のところその被害実情を精査できない状況にあるということは非常に残念に存じておりますが、一日も早くその実態把握に努めたいと、こういうふうに存じております。  当面の応急対策といたしましては、何せ家畜は生き物でございます。もう既に実行に移しているわけでありますが、都との緊密な連携のもとに、今後ともそういう飼養管理のための救援隊を計画的に派遣する。その点は家畜に限らず、特に花卉類のハウスの管理の上でも一日もこれを欠かすことができない状況にあります。そういう措置を講ずるとともに、また既に報道されておりますが、一部家畜につきましては牧草、干し草が不足するという事態もございまして、農林水産省といたしましても六トンほどのとりあえずの緊急輸送を行ったところでございます。また、家畜にいたしましても花卉にいたしましても、降灰の除去なりあるいはそれを契機といたします病害虫発生についての対処、そういう技術指導も必要でございます。既にそういう点につきましては十分関係機関に指導を徹底しているところでございます。  こういう対策を踏まえて被害を最小限に食いとめていきたいというふうに私ども念じておりますが、しかし、何といいましても、既に第一次の噴火の段階で、農作物被害に限定いたしましても二億弱の被害が発生しているわけでございます。関係被災者の今後の営農基盤等の維持のために、所要の資金問題、これも重要な課題でございます。先生ただいまお触れになりましたが、天災融資法は今回の災害の態様からいいまして、また過去におきます天災融資法の発動の経緯から見まして、やや難しいのではないかという印象を受けておりますが、私ども幸いに天災融資法の発動が不可能な場合におきましても、営農基盤の維持なり関連施設の復旧のための所要資金というものは十分ございますので、十分関係者の資金需要を把握いたしまして、適切にそういう資金対策面でも講じてまいりたい、こういうふうに存じているわけでございます。
  24. 瀧川哲男

    説明員(瀧川哲男君) 国税庁といたしましては、現在の島の皆様の現状にかんがみまして、既に十一月の二十五日に、所得税の第二期分の振替納税につきまして、振替を行っております金融機関に引き落としの停止をお願いしました。それから、十一月の二十八日には、申告であるとか申請であるとかあるいは納付であるとか、そういうものの期限につきまして当分の間延長するというような措置を講じたわけでございまして、今後法令に従いまして期日を指定した地域指定を行って、申告等の期限の延長を図りたいというふうに考えておるわけでございます。  また、これらの措置につきましては、新聞であるとかポスターであるとか、あるいはチラシ等を通じまして、被災納税者にその周知を図っておるところでございます。また、税務署におきましても、被災納税者からの問い合わせ等について、迅速に対応できるようにというように、万全の対策をとるよう指示してございます。
  25. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 青木先生、先ほど私は地震噴火とは別だというような言い方をいたしましたが、親戚であることは私もよくわかっております。こういう予知ですね、地震があれば必ず噴火があるというものでもないし、なかなか難しいなということと、また今度の観測に対しますいろいろ機器噴火独自の機器等も入れたいというふうなことで、多少違うということを申し上げたわけでございますので、よく御理解を願い、また地震噴火に対する予算措置はまだまだ足りないんじゃないかと思います。私ども、一生懸命やりますが、またひとつ応援していただきますようにお願いいたします。
  26. 永田良雄

    ○永田良雄君 このたびの伊豆大島噴火によって、一万人を超す島民の方が島を離れて本土へ避難しておられることに対して、心からお見舞いを申し上げるものでございます。実は、一万人を超す皆さんが非常に短期間の間に粛々と整然とやられたことについて、私も感心いたしておるわけでございます。もちろん、それの前提として、火山予知連の方で素早く連絡会議を開かれて、危険である、避難をすべきであるという判断を下され、それに従って大島町、それから東京都、政府が三位一体になって避難をやられたことは、私はこれ今まで初めてのことだろうと思うわけでございます。世界も非常に注目しておると思います。かつ、私の聞く限りでは、あらゆる方面で大成功であったというふうに考えておるわけでございます。その点につきましては、私は関係者の皆さんに大変敬意と感謝を申し上げるわけでございます。  ただ、避難はできたわけでございますが、今後どう収拾するかということについて、これまた関係者は一方ならぬ、まあ避難のとき以上の神経をすり減らして健闘しておられるだろうと思います。避難の問題自身については、例えば大島噴火の場合で一万人ぐらいでございましたが、東海地震の場合にははるかに大規模避難体制なり何なりが必要になってくると思うわけでございます。  警戒宣言が発令されたときの交通の規制あるいは一部の避難、あるいはその他のそれぞれの措置をどうとるかというのは大変重要な事項でございまして、これらの大いに参考になったと思うわけでございます。綿貫大臣も早速に二回も現地を視察され、災害対策本部設置され、的確に対処されたことに対して心から敬意を表するわけでございますが、二回もあちこち飛んでこられていろいろ指揮をとられての今回の噴火に対する感想なり、あるいは今後大規模地震があったときにこれをどのように生かしていくかという点についての参考にもかなりなったと思うわけでございます。  さらに、今後収拾についても大変難しい問題が出てくるわけでございますが、それらに取り組む決意と感想をお聞かせいただきたいと思うわけであります。
  27. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 今回の噴火に当たりましての一万人を超す島民皆様方が整々と避難をされた態勢につきまして、国土庁OBの永田さんからお褒めをいただきまして、大変うれしく思っておる次第でございます。  この今回の避難が整々と行われましたのは、やはり地元におきます支庁あるいは町、警察、消防、それぞれの皆様方が一体になって対応をしていただいたこと、また日ごろから避難訓練をしていただいたこと、また、いち早く三万七千人を収容できるだけの船を、キャパシティーを持った船を用意した、こういうふうなすべての一体化によって、今回避難が無事できたものだと考えておるわけでございます。  その後、科学的判断と行政判断、この辺の安全対策を確かめながら、一時帰島をするとか、あるいは全面帰島をするとかいうことを判断していかなければならないわけでありますが、幸い大島町あるいは東京都におきましては、これらの科学的判断も頭の中に入れつつ、一時帰島の行政判断をしていただいた。そして、現在これを実施しつつあるわけでありまして、今後さらにこれらの一時帰島が一巡いたしました後で、全面的に帰島するかどうかという行政判断はまたしなければならない時期があるわけであります。  これらの問題についてやはり適切なる行政判断を下すということが、極めて重要であるということを痛感いたした次第であります。この問題につきましては、いろいろと災害があると思うわけでありますが、その災害災害によって行政判断をするいろいろスケールとかあるいはポジションとか違うと思うわけであります。そういうものをやはりそのときどきに適切にやらなければならないということをよく私どもも今回学んだわけでありますが、幸い立派な行政判断をしていただいたと思っております。  今後さらに大規模災害等が起こった場合の参考になっただろうということでございまして、まさに防災というのは各自が自覚を持っていただく、これがまず第一だと思うわけでありまして、国土庁でも防災デーをつくって訓練等もやっておりますが、さらにこういうことを推し広めて、災害は忘れられたころにやってくるということを徹底していかなければならないということを感じた次第であります。
  28. 永田良雄

    ○永田良雄君 長官の決意を聞いて安心いたしました。今度の帰島の場合でも、本格帰島の場合でも、基本的にやはり行政が的確に判断をするということが、一番私は大事だと思うわけでございます。よろしく適切な御判断を賜りますよう、お願いしておくわけでございます。  実は、私も久保委員長のお供をいたしまして、去る三日、東京都の千代田区の避難しておられる島民の方をお見舞い申し上げました。そのときにいろいろ話は出たわけでございますが、島民の代表の方はいずれも、この体育館での避難体制あるいは避難についてどのように考えておられますかとこう言ったら、大変ありがたい、これ以上こういう苦情があるとかということは全くありません、避難それから避難後の対応についてもほとんど不満はありません、私ども東京都あるいは政府等に大変感謝いたしておりますというのを、異口同音におっしゃっておりました。それはやはり都なり政府なりの対応がすばらしかったということだろうと思うわけでございます。  ただ、一番島民の方が心配しておられるのは、早く本格的に帰れるようにしていただきたい、これの一点であります。そのためには、不安があったままで帰るわけにはいかないわけであります。やはり不安がなくなって安心して帰れる態勢をつくらなきゃいかぬわけでございます。  聞くところによりますと、きょうの閣議予備費を素早く対処され、もう発注もされて十一億何がしの予備費閣議決定されたというふうに聞いておるわけでございますが、その各省庁別の金額と、それからトータル十一億に見合う火山予知関係の六十一年度の大体の予算は幾らぐらい各省庁であったのか。それから、これと比較するのがいいのかどうかわかりませんが、いわゆる地震関係で六十一年度の各省庁関係の観測関係の予算がどれだけあったのかというのをお知らせいただきたいわけであります。
  29. 山本重三

    政府委員山本重三君) 今回の大島噴火に対しまして、今先生指摘のように、島民が一日も早く帰島するためには、やっぱり安全を確認するという意味で、総合多角的な観測監視体制をしくことが何よりも重要でございます。そういう観点から、今回六省庁で観測監視体制整備する、そのための予備費使用を本日の閣議で決定していただいたところでございますが、内訳は、文部省所管の国立学校特別会計関係で二億九千七百万円余、それから、一般会計でございますが、総理府所管の科学技術庁関係で四千万円余、それから通産省関係で約一億七千三百万円、それから運輸省関係で約六億三百万円、それから建設省関係で約千一百万円、合計、特別会計と一般会計合わせまして十一億二千万円ということでございます。  それから、六十年度の地震予知関係の予算の総額でございますが、五十七億でございますが、六十一年度は五十三億三千九百万円となっております。それから、火山予知関係でございますが、火山予知関係の予算は六十一年度は四億八千八百万円でございます。  以上でございます。
  30. 永田良雄

    ○永田良雄君 地震火山と平板に比較するのは間違いかとも思いますが、火山予知は年間四億ぐらい、それから地震の方は五十数億、いかにも少ないような感じがするわけでございます。その意味では、今度の予備費で十一億という年間予算の三倍ぐらいの予備費を組んでいただいたことは、まことに適切なことであると思って感謝しておるわけでございますが、これで大体当面の観測体制としては十分と言えるわけでございましょうね。
  31. 山本重三

    政府委員山本重三君) 私どもは、今回の噴火に対して、住民の要望にこたえるために、できるだけ帰島ができるかどうか、そのためにはどのような観測監視体制をとればよいかということにつきまして、関係省庁でワーキンググループをつくりまして、早速緊急整備計画の案をつくりました。この案につきましては、二十八日に開かれました火山噴火予知連の総会にお諮りしまして、これならば当面大丈夫だという御判断をいただきましたので、二十九日の本部会議におきまして緊急整備計画として決定し、直ちに実行すべく今回の予算措置等も講じた次第でございます。
  32. 永田良雄

    ○永田良雄君 関係省庁で相談して、これでいけるという自信のある数字であるということを聞いて、私も安心いたしました。  そこで、帰りたいという点についてでありますが、こういう観測体制も整ったわけでございますから、少なくとも危なくなったら最初に、二十一日の日に避難命令が出せたように、いろんな今大臣からもテレメーターで気象庁データが一元的に即時に入るという格好になりましたし、そういうことを基礎に、もしまた何かがあったときに同じように危険を避けるために、避難とか適切な措置ができるという格好ができれば、私は帰島ということが見えてくるんだろうと思うわけでございますので、そういう点を十分踏まえていただきまして、行政判断として、やはり予知連は科学者の皆さんの集まりでございますから、それに責任を持たせるのは間違いであります。あくまでも責任をとるのは行政でありますから、予知連の科学的判断を十分参考にしながら、的確な判断をさらにお願いしたいと思うわけであります。それこそが島民が今一番願っていることであります。  かつまた、帰っても危ないとなりますと、観光なんかに行かないわけでございます。もちろん、危険なときは直ちに、事前に今回避難したような体制がとれて避難も十分にできるということがあれば、あの島は観光が産業の主体でありますから、やはりまた皆さんが行っていただいて火山も見てみようと、こういう話になりまして、後の生活設計も十分にいけるということになるわけでありますから、その点について十分配慮をお願いしたいと思うわけでございます。  それから、気象庁長官にちょっとお尋ねしたいのでございますが、新聞報道で東京都あるいは政府本部会議の見解と予知連気象庁長官の見解が食い違ったというのが一時期新聞に出まして、それは後で連輸大臣閣議で取り消されといういきさつがあったわけでございますが、私はこういう混乱しているときに、予知連と行政の意見が食い違うというのは、最も避けるべきことだと思うわけでございます。住民はどう判断してよいかわからなくなるわけでありますから、そういうことがないように今後ひとつ十分気をつけてやっていただきたいと思います。そのときの実情等について聞くのはやめますが、ひとつお願いをいたしておきます。今後ああいうことがないように十分連絡してやっていただきたいと思います。  それからもう一つは、これは国土庁にお願いしたいわけでございますが、活動火山対策特別措置法というのがあるわけでございまして、桜島等はその法律によりまして避難のごうあるいは避難の道路あるいは避難の港、そういった緊急事態整備措置ができておるわけでございますが、聞くところによると、三原山はまだそういう状態になっておらないと聞くわけでございます。これは、やはり三原山も危ないということになったわけでございますから、そういった措置を的確に今後やらなきゃいかぬというのが一つであります。  それから、そういう事業をこれから計画的に広範囲にやることによって、諸産業がいろいろこれから被害を受けますけれども、そういう被害をなくするのはなかなか大変だろうと思うわけでございます。そういう公共事業が、いわゆる生活の一部として、生活の糧になることにもなる一石二鳥のことでございますので、そういう点について考えておられるのかどうか。一日も早くそういう指定なり何なりをしていただきたいと思うわけでございます。国土庁長官の御決意のほどをお願いします。
  33. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 今、全面帰島という場合には万全を期せよというお話でございまして、既に東京都知事は年内全面帰島というような方向を打ち出しておられるわけでありますが、いつごろどういう形でやるかということについては、十分我々とも打ち合わせをするということになっておるわけであります。その際には、今御指摘のような万全の体制をとらなければならないと考えておる次第であります。  もう一つ活火山対策特別措置法の適用をするかどうかということでございますが、これにつきましては、全面帰島というようなことが実現されました暁にはこういうことも考えなければならないのではないかということで、事務当局には既に私から検討を指示しておるところでございます。
  34. 永田良雄

    ○永田良雄君 活火山対策法の適用についても、速やかに適用になるように御配慮を賜るようお願い申し上げておきます。  それから、最後になってちょっと時間が超過しましたが、一つだけ今度は大島地震関係ない点について厚生省の方にお願いしたいと思うわけでございますが、災害の援護資金の貸付金の貸付額は現在五十六年に制定されて六十万円から百八十万円ということになっております。制定されてからもう五年もたっておりまして、経済情勢等もかなり変わってきております。あるいは物価の上昇もありますので、ここら辺で改めて増額すべきであると思うわけでございますが、それについてどのように考えておられるか、そういう作業をしておられるかどうか、お伺いしたいわけであります。
  35. 福田孝雄

    説明員(福田孝雄君) 今お尋ねの災害援護資金の貸付限度額でございますけれども、現在最低が六十万円、最高が百八十万円ということになっておるわけでございます。この金額につきましては、従前から物価等社会経済情勢の変動等も考慮いたしまして、その都度引き上げを図ってきたところでございます。御指摘のように、前回の改正から五年も経過しておるわけでございますし、また被災地の方々の方からもいろいろ御要望もございますので、私どもといたしましては従来と同様、諸情勢を勘案いたしまして、誠意を持って検討していきたいというふうに考えております。
  36. 永田良雄

    ○永田良雄君 これは、ことしの鹿児島市の梅雨前線豪雨がありましたが、そのときからさかのぼってやれるようにしていただきたいと思うのでありますが、いかがでございますか。
  37. 福田孝雄

    説明員(福田孝雄君) そのような御趣旨も十分踏まえまして、検討していきたいというふうに思っております。
  38. 永田良雄

    ○永田良雄君 終わります。
  39. 本村和喜

    ○本村和喜君 今回の二百年ぶり伊豆大島噴火に際しまして、ひとしく我々が心配をいたしました問題は、島民皆さん方の生命の安全の確保にあったわけでございますが、国土庁長官対策本部長といたしまして、関係省庁の大変官民一体となった御協力によりまして、二十一日の夕方から二十二日の午前にかけまして、非常に迅速かつ適切に避難ができましたことを大変喜んでおる次第でございまして、本部長の御尽力に心から感謝とお礼を申し上げる次第でございます。  先ほど来より青木委員、永田委員からの御質問で、重複する点はでき得る限り避けたいと思うわけでございますが、きょうの閣議をもって十一億の予備費からの支出が決定をされたわけでございますが、噴火当時におきまして、気象庁あるいは東大の地震研究所、国立の防災科学技術センター、そういうところに地震計が十九カ所設置をされていたというふうに私どもは聞き及んでいるところでございます。今回の十一億の予備費の支出によって、全く新たな機材が施設として搬入をされるというものであるのか、あるいは五十八台の施設だというふうにきょう新聞で読んだわけでございますが、その点についての科学的なひとつ御説明を、一点お願いを申し上げたいと思う次第であります。  それと、先ほどの永田委員の質問にも重複いたしますが、一番の関心事は全面帰島がいつできるであろうかということが私ども関心事であり、また島民皆さん方の心からの願いでもあるわけでございまして、年末を控えまして、また花卉におきます小菊の搬出が大体十二月の十五日ぐらいであれば間に合うというふうに私ども聞き及んでいるわけでございます。島民の一日も早い帰島を対策本部長として、今の段階で結構でございますが、見通しをお聞かせをいただきたい。これが第一点でございます。  それと第二点は、安全宣言というものが常につきまとうわけでございますが、安全宣言というのは、科学的にはどのような状況の中で、小康状態の中であっても、暫定的に安全宣言というものができ得るのかどうなのか、その点についてのお尋ねをいたしたいと思います。
  40. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 今度の避難されております皆様方は、今一時帰島されておりますが、全面帰島がいつになるのか、こういう御心配をいただいておるわけであります。これにつきましては、やはり何といっても安全が第一ということでありますから、監視観測体制をまず強化するということで、今御指摘のように、本日の閣議で観測機器の充実を取り決めていただいたわけであります。これにつきましては、十日までに大体のセットを終わりたい。完璧とは言いませんが、そういう目標で今鋭意努力をしてまいるつもりでございます。  そのようなタイミングとさらに一時帰島が一巡いたしましたタイミング、それらを踏まえながら、あとは東京都の知事とよく御相談をして、知事の御判断を仰ぐ時期がある、こういうふうに考えておるわけであります。  いろいろ観測機器の問題につきまして、あるいは安全宣言の問題につきまして、事務当局からまたお答えをしたいと思います。
  41. 山本重三

    政府委員山本重三君) ただいま先生の御指摘の観測機器関係でございますが、地震計気象庁関係で四カ所、それから東大地震研究関係で六カ所、それから防災センター関係で一カ所ございまして、一部破損いたしまして、合計十五カ所ございましたのが十一カ所になっております。そのほか傾斜計が二カ所残っております。  こういった残った機器がございますが、今後の一時帰島も踏まえて、全島的に安全性を観測監視するためにはさらに増強する必要があるということで、地震計につきましては、既存の十一カ所のほかに八カ所加える。それから傾斜計につきましては、二カ所にさらに十九カ所加える。それから磁力計を五カ所、それから比抵抗計を二カ所、伸縮計を三カ所、測距を行いますのが二カ所、それから地下水の観測をいたしますのが七カ所、ガスの監視三カ所、ELFと申しておりますが、地球磁場の超低周波の変動観測をいたしますのが二カ所、それから水準測量を一カ所、検潮一カ所、温度計二カ所、こういうことで、機器なり観測をいたします新たに五十八カ所でこれらを実施し、最善の対応をとりたいと思います。  なお、今回の噴火に際しましては、特に臨時観測といたしまして、気象庁で五カ所、東大地震研で二カ所、さらに傾斜計につきましては、気象庁で一カ所、東大地震研で二カ所、それぞれ臨時観測を行っております。
  42. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) 今回の活動の見通しを少し申し上げますと、私ども理解しておるところでは、過去の噴火歴史から見まして、今回の活動も短期的には消長を繰り返しながらかなり長期にわたると予測をいたしております。  現時点での見通しでございますが、これは二十八日の会長コメントが出た時点と、一時的に表面現象等は小康状態を得ておりますけれども、変わっておるわけではございません。そういうことで、噴火予知連絡会の方でも、どうやって対応していくかということで、少しきめ細かな会合を開いて、今後の活動状況を時々刻々押さえておくような必要があろうということでございまして、噴火予知連絡会の中に伊豆大島部会というのを十二月三日に設置したわけでございます。  私どもの仕事といたしましては、人身に危険が起こった、あるいは起こることが予測される場合には、火山活動情報という形でそのことをお知らせをして、適切な対策をとっていただくという立場でございます。
  43. 本村和喜

    ○本村和喜君 先ほど青木委員の御指摘の港湾の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  二十一日の第一陣の避難の場合でございますが、非常にその日は好天に恵まれまして、気象状況がすべて整っていたと私どもは思うわけでございます。金曜日でありました関係で、観光客も非常に少なかった。波も静かであり、元町港が使用できた、そしてまた、電力も確保できていたという好条件がそろった中で、一万三百二十七名の脱出が無事完了をいたしたわけでございます。  帰島が仮に実現いたしましても、再度の噴火に備えまして、港湾の整備を急ぐべきではないかというふうに考えるわけでございます。と申しますのも、波浮港は大型艦船の接岸ができないと聞き及んでおるわけでございまして、また元町港も荒天時には使用が不能である。今後このような噴火が起こらないことを願っておるわけでございますが、再度の噴火に際しまして、港湾の設備整備についての御見解をひとつお尋ねしておきたいと思います。
  44. 塩田精一

    説明員(塩田精一君) 先ほど青木先生のときにお答えしましたが、波浮港につきましては、現在百トン級の船舶が着くマイナス三メーター程度の施設しかありません。したがいまして、今回の避難のときにも小型船舶で沖の大型船に行ったというようなこともありますので、今後の避難につきましては、先ほどお答えしましたように、いろいろな全体的な避難対策というのが考えられると思いますので、そういう中で元町港あるいは岡田港、波浮港という、そういう港でどういう規模施設が一番避難に対して適切かということを含めて、現在具体的に既に東京都ともいろいろ計画を詰めておるところでございます。
  45. 本村和喜

    ○本村和喜君 今回の噴火で多量の降灰があったと思うわけでございますが、降雨時の二次災害というものが非常に心配をされるわけでございます。降雨時の泥流となって農地への流入等の二次災害、これに対しての対策あるいは推進をどうされていますか、建設省にお尋ねをいたしたいと思います。
  46. 友松靖夫

    説明員(友松靖夫君) 泥流発生の危険性につきましては、現地調査によりまして火山灰あるいはスコリアなどの堆積状況や、あるいは地盤変動状況といったようなものが明らかにならないと判断できないわけでございます。今後の降雨で泥流が発生するかどうか、あるいは緊急な対策が必要かどうかといったようなことを検討するために、実はきのう私ども建設省の担当官現地の方に派遣することができましたので、その調査結果を踏まえまして、必要なものにつきましては早急に対応していきたいと、このように考えております。
  47. 本村和喜

    ○本村和喜君 これも青木委員の質問の中で出てまいりましたが、まさに大島の基幹産業であります農林漁業、あるいは観光関連業等が基幹産業であります。早急なその救済策を講じていただくと同時に、帰島後の生活再建の問題が一番現在の島民皆さん方にとっては不安な材料ではないかと思うわけでございますが、天災融資法の適用はできないという先ほどの回答があったわけでございますが、天災融資法の発動ができない場合にかわります具体的な制度融資、これをお知らせをいただきたいと思います。
  48. 青木敏也

    政府委員青木敏也君) 先ほども御答弁申し上げましたように、天災融資法の発動は難しいのではないかという印象を持っておりますが、仮にそれが困難な場合につきましては、被災農業者の経営の維持という観点から、農林公庫資金でございますが、自作農維持資金という低利長期の資金がございます。また、施設等に損害がございます場合につきましては、災害復旧のための資金もございます。十分この辺の被災農家の資金需要に即応いたしまして、都とも連携の上、適切に対応していきたい。また、ちなみに、こういう被災農家に対しまして、これまで各般の制度融資等もございます。そういう既貸付金につきまして、被災農家からまた申し出がありますならば、弾力的な償還条件の緩和等の措置をクロスさせながらそういう資金面の対応をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  49. 本村和喜

    ○本村和喜君 今の問題の既貸し付けについての猶予を弾力的に考えていこうという問題は、これから先の中小企業対策等の問題にも関連をいたすわけでございますが、ぜひひとつその点の御配慮をお願い申し上げておきたいと思います。  最後の質問でございますが、観光関連業者が非常に多いわけでございまして、お土産品店あるいは民宿、旅館等の救済のために今日まで噴火後いろんな形の措置がとられていること、先ほど防災局長の御説明の中で聞いたとおりでございますが、いずれにいたしましても、体質の非常に弱い業者ばかりでありますと同時に、安全宣言が出ませんとこれから先の観光客というものはまず減少するということが予測をされるわけでございまして、その点についての十分な御配慮をお願いを申し上げたいと思う次第であります。  それと同時にもう一点、ぜひこれはお願い申し上げたいのは、先ほどの話に関連いたしますが、既貸し付け分の長期にわたる猶予をぜひひとつお願い申し上げておきたいわけでございますが、この点について中小企業庁の見解をお尋ねをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  50. 桐山正敏

    説明員(桐山正敏君) 御説明いたします。  三原山の今回の災害によります中小企業者等の被害につきましては、まだ皆さん方が帰島されておりませんので定かでございませんが、生鮮食料品だとか観光関連業者等については、相当程度の被害が発生するだろうというふうに予想しております。そういう状況にかんがみまして、とりあえずの対応といたしまして、中小公庫、国民金融公庫、商工中金のこの政府系三機関につきまして、まず今の段階での借りておられるお金の返済猶予ということが先決ということで、返済猶予措置を講じるように指導をしております。  次に、今後お帰りになりますと被害額がたんだん判明してくると思いますが、そういった場合の災害復旧のための災害復旧貸し付けというものにつきまして態勢を整備しておりまして、今後御要望があり次第そちらの方の発動ができるようにということで準備を整えております。  それから、小規模企業者につきましては、小企業等経営改善資金融資、いわゆるマル経資金でございますが、こちらの方を機動的、弾力的に運用するということで指示をしておりまして、当面このような対応によって今後の被害状況の判明等に合わせて対応していきたいというふうに考えております。
  51. 本村和喜

    ○本村和喜君 終わります。
  52. 片上公人

    ○片上公人君 先ほどもお話がございましたけれども、我が国は世界でも有数の火山国であります。古くから数多くの火山被害に見舞われておりますけれども、去る十一月十五日、大島三原山が十二年ぶり噴火いたしまして、続いて二十一日の午後四時十五分に大噴火が発生して、一万余の全島民が急遽避難脱出するという非常事態にまで発展いたしました。町当局の避難命令に従いまして、また関係者の積極的な努力によりまして全員無事避難したことは、まことに不幸中の幸いでございました。しかしながら、着のみ着のままで本土へ避難した、そして生活の場を失った住民の不安は、それはもうはかり知れないものがあると思います。  私も、久保委員長のお供をしまして、三日、千代田区の総合体育館の方に訪れましたけれども、先ほどから話がございましたように、もう大変な皆さんの不安ぶりで、行政当局の対応については非常に感謝しておりますけれども、お話ししたことありましたように、一日も早く帰りたい、もうその思いが限界に来ておるような感じで、このままいくとどんどん病気になる人も出るのではないか。既にもう帰りたい思いで下痢が出てしようがないというような話もございましたけれども、私も一日も早く安全な島に帰れることをもうこれは祈るばかりでございます。  そこで、島の住民が帰島できるためには、島の安全が確認されなければなりませんけれども、二十四日、火山噴火予知連絡会の方では、当面最も懸念されるのは、島の南東部と北西部海岸沿いでの水蒸気爆発の発生と、これに続く山頂火口の爆発に伴う岩雪崩などであるとした上で、今後も厳重な警戒と監視が必要である、こういう統一見解のもとに、避難住民の帰島については最終判断は行政当局が行うものと考えると、大変慎重な態度でございました。しかし、その後二十八日には、マグマの活動が短期的には低下しつつあると考えられるが、一方で新たな活動の再発を否定することはできないとした上で、一時帰島問題については、地域を限定し、火山活動の動向を厳重に監視しつつ、緊急避難対策の万全を図ることが前提との会長コメントを発表いたしまして、条件つきながらその実施を行政当局の判断にゆだねております。  このような状況のもとで、東京都災害対策本部では、一世帯一人の帰島を全地域についてこの三日から四回に分けて実施しているところでございますけれども、行政当局としましては、人命の尊重と安全最優先でこれは対処すべきであると思います。そこで、政府としては一時帰島について安全性をどのように判断し、いかなる緊急避難対策を講じておられるのかということをまずお伺いしたいと思います。
  53. 山本重三

    政府委員山本重三君) 一時帰島の決定に際しましては、東京都の災害対策本部におきまして、火山噴火予知連絡会会長の総会後のコメントを踏まえ、現地の情勢をも十分認識した上で、総合的に判断されたと聞いております。  なお、一時帰島の際の緊急避難体制としては、地区割りで滞在時間の調整あるいはバスの配置等、いろいろ緊急時に速やかに避難ができるよう島内での避難体制を整えますと同時に、海上保安庁あるいは海上自衛隊、陸上自衛隊の船艇あるいはヘリコプター、こういったものを十分配備いたしまして、直ちに島外避難ができる体制を期する。その上で、なおかつ現地の測候所による観測監視体制を強化しながら、実施したところでございます。私ども政府対策本部におきましても、観測監視体制の緊急な整備を実施しておりますが、措置が安全、円滑に実施されるよう、最大の支援措置をしているところでございます。
  54. 片上公人

    ○片上公人君 住みなれた島の自宅を残したまま今仮住まいで不安な生活を送ってきておる島民にとりましては、この一時帰島というものは大変な朗報であると喜んでいらっしゃいますが、やはり避難命令の全面解除がもう一番これは待たれるところでございます。そのために、島の安全を確認して全島民が安心して帰島できる日をだれが最終判断を下すのかという問題はありますけれども、そこまでの明確な手順といいますか、スケジュール、基本方針等をどのように考えておられるか、お示し願いたいと思っております。都知事の方は島民が正月を島で迎えられれば大変ありがたいというお話を述べておりますけれども政府として現時点でどのような判断をされているかということを、国土庁長官に御所見を伺いたいと思います。
  55. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 今度の一時帰島につきましては、東京都の行政判断ということでこれを行われたわけであります。今度全面帰島をどうするのかということでございますが、これにつきましても、今御指摘のように、まず安全を前提とした監視観測体制というものを充実しつつ、さらにこの一時帰島が一巡いたしました時点でこれを考えるということであろうと思います。東京都の知事は既に年内全員帰島という方向を打ち出しておられるわけでございまして、この行政判断を決定されるに当たりましては、国ともよく連絡をするということでございます。したがいまして、都知事の行政判断を我々は支持をしてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  56. 片上公人

    ○片上公人君 火山噴火予知につきましては、先ほどから話が出ておりますように、現在の予知技術の限界を超えているというような指摘もございますが、噴火を的確に予見することはこれは大変なこととは思いますけれども火山動き監視の目をこれはもう怠るわけにはいきません。  そこで、今以上に観測網を充実し、密度の高い観測体制がとられることを望むわけですが、現在どのような観測体制がとられているのか、また今後どのような強化策がとられるかについてお伺いしたいと思います。そしてこの観測体制の確立は、この三原山だけじゃなくて、全国の活火山観測体制についても見直しが必要なのではないかということを実感いたしております。このことについて御答弁をお願いしたいと思います。
  57. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) まずお尋ねの第一点の現在における観測体制はいかんということでございますが、今回の噴火に伴いまして私ども監視の中心的な役割を演じておりましたカルデラ内の震動観測点一点が破壊されました。それで、私どもは臨時に簡易型地震計による震動観測点五点を現在増設いたしておりまして、従来のものと合わせまして計九点で火山監視を行っております。また、現地観測あるいは遠望観測等を頻繁に実施しておりまして、火山活動の常時監視を行っておるところでございます。これらの監視観測によりまして、火山活動に異常がありました場合には直ちに、今は気象庁が行っておりますが、火山情報を発表いたしまして、火山活動の防止に努めているというところでございます。  それから、第二点の今後の観測体制の強化ということでございますが、伊豆大島火山活動及び推移についてこれから一層きめ細かい十分な検討を行うために、十二月の三日、火山噴火予知連絡会の中に伊豆大島部会というものを設けまして、きめ細かに火山活動を追跡をしていくことをしたいと考えておるところでございます。また、伊豆大島観測体制については、先ほども防災局長の方からたびたび御説明がございましたように、震動観測点あるいは傾斜計の設置その他いろいろのものを設置いたしますとともに、気象庁といたしましてはブイロボットを展開するということをいたしまして、気象庁を中心とした観測データのテレメーターによるネットワーク化を図って、緊急監視体制整備を図っていく所存でございます。こういった集中監視によって、噴火に結びつく前兆に関する、この前兆は大変難しゅうございますが、私どもは知見が次第に得られていくものと考えております。そういうことで、知見の蓄積に今後努力をしたいと、そのように考えておるわけでございます。  それから、全国の火山について観測体制を見直す必要があるのではないかという御質問でございますが、今回の噴火の経験にかんがみまして、火山観測体制の充実強化を当然図るべきであると、かように考えておるところでございます。今後とも、火山噴火予知連絡会における検討及び測地学審議会の建議を踏まえまして、関係機関の御協力をいただいて、観測体制整備あるいは噴火予知技術の開発を図っていきたいと、かように考えております。
  58. 片上公人

    ○片上公人君 また、火山噴火予知につきましては、昭和五十九年度から第三次の火山噴火予知計画によってその推進が図られているところでございますが、予知体制を少しでも前進させて、人命と財産の被害を最小限にこれはもう食いとめなければなりません。その体制づくりの現状はどうなっておるかということを御説明願いたいと思います。
  59. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) 第三次噴火予知計画の進捗状況につきましては、現在文部省におきまして各省庁からの報告をまとめられまして、見直しといいますか、レビューを行う段階に至っておることを私ども承知をいたしております。ちなみに、気象庁におきましては、伊豆大島における震動観測点の増設あるいは浅間山の傾斜計、草津白根山の遠望観測装置等の整備をこれまでに図ってきたわけでございます。
  60. 片上公人

    ○片上公人君 噴火の危険が強く、いつ島に帰れるかというめどが立たないまま、現在着のみ着のままで避難してきた人々が、長期間にわたって体育館などで非常に不便で不安な生活をしておるわけでございます。この人たちの生活をできるだけ落ちついた安定したものにするためには、どうしても今のままでは無理で、住宅問題をちゃんとしなければならぬじゃないかと、現在の避難所にかえて仮設住宅などの手当てが今どのように進められておるかということをお伺いしたいと思います。
  61. 福田孝雄

    説明員(福田孝雄君) 今先生のおっしゃいましたように、今後避難が相当長引くということになれば、住宅の問題も考えなければならないというふうに思っておるわけでございますが、その場合、まず他の施設等の活用を図っていただくことが前提だというふうに思っておりますけれども、それでも不足するということになれば、応急仮設住宅というものの設置につきましても、今後の避難期間の見通し等を踏まえながら、東京都とも相談の上対処していきたいというふうに考えております。
  62. 片上公人

    ○片上公人君 次に、教育の件でございますが、大島から避難してきた小中学生の都内の学校への編入学についてでございますが、東京都の教育委員会では、先月二十五日からそれぞれ各区内の小中学校への編入を進められております。現在の状況について一つは御説明をお願いしたい。  もう一つは、住宅対策等が進められますと、通学上の関係で再度転校するようなことにもなりますけれども、その辺についてもどのように考えておられるのかということをお伺いしたいと思います。
  63. 小西亘

    説明員(小西亘君) 小中学校の児童生徒につきましては、先生今御指摘のように、既に十一月二十六日以降避難先に近い小中学校に入学させておりまして、既に授業は開始しているところでございます。  また、高等学校につきましても、二校あるわけでございますが、都立紅葉川高等学校並びに淀橋第二小学校跡に既に開校しておりまして、既に授業を開始しているところでございます。教科書、学用品等についても、既に必要な措置を終わっているところでございます。  現在、東京都及び関係区の教育委員会がこの児童生徒の教育に支障が生じないように最大の努力をしているところでございますが、今後もどのようなことになるか私どももなかなか予測できない点もございますけれども、何よりも児童生徒の教育に支障を生じないような方策を、東京都及び関係区と十分相談しながら措置していかなければいけない、そのように考えておるところでございます。
  64. 片上公人

    ○片上公人君 今回の避難してきた人々は、ほとんどとるものもとりあえず避難してきたわけでございまして、生活資金も不自由しておる人もたくさんいらっしゃると聞いておりますが、政府の方では預貯金引き出しに当たっての特別措置や、世帯更正資金の特別貸し付けの措置を講ぜられたと聞いておりますが、避難が長期化してまいりますと、これはますます困難が出てくると思われます。この点について、今後の対応をどのようにされようとしておるのかということをお伺いしたいと思います。
  65. 福田孝雄

    説明員(福田孝雄君) 現在、今回の災害によりまして避難された方々に対しましては、当面の生活資金ということで、五万または十万円の災害援護資金の貸し付けを行っているところでございます。今後の避難期間の見通しいかんにもよるわけでございますけれども、かなりこれが長期化するという場合には、避難された方々の御要望等も踏まえまして、再度この世帯更正資金の限度額六十万円の範囲内で、災害援護資金の貸し付けを行うということも、あわせて考えていきたいというふうに考えております。
  66. 片上公人

    ○片上公人君 災害救助法による応急の措置として、生活必需品等の給与を行われておりますけれども、親類の家などに身を寄せておる人々に対しての給与はされないというような問題が生じておりますけれども、この点どのように対処されるのか。親類の家に身を寄せた人も給与するという措置がとられるのかどうかということを、お伺いしたいと思います。
  67. 福田孝雄

    説明員(福田孝雄君) 災害救助法によります救助の一環といたしまして、生活用品やまた学用品の支給等が講じられておるわけでございますけれども、これらの措置はこれらの品々が確保できないという方に対して行うという措置でございますので、親類とか知人宅に身を寄せられておられる方々に対しましても、避難所に収容されておられる方々と同様に、対象にしていくものというふうに考えております。したがいまして、そういうような方向で東京都の方にも指導を行っているところでございます。
  68. 片上公人

    ○片上公人君 以上です。
  69. 内藤功

    内藤功君 質問に入ります前に、このたびの三原山火山噴火によって島外避難をされた伊豆大島住民皆さんに、心からお見舞いを申し上げたいと思います。また、すべての関係者の皆さんの御努力に感謝を申し上げます。  さて、一時帰島の第一陣が昨晩七時半に帰ってこられましたので、何人かの知り合いの方からも直接様子をお聞きいたしました。これらも含めまして、四点について質問申し上げたいと思うんです。  第一点は、伊豆大島の観光業を初めとする中小業者の救済策であります。  伊豆大島の年間観光客は昨年で四十万人と、島の最大の産業でございます。ホテル、旅館、民宿さらには売店を合わせて約二百三十軒。特に年末から正月、それから一月末から三月の椿まつり、こういう期間の間の収入は年間収入の約半分に当たるということから、今の時期の緊急救済策はまさに島の死活問題である、こういうふうに思います。運輸省としての救済策を御説明願いたい。あわせて、中小商工業者、商店約五百八十店、その売り上げは年間約百六十億円、これにも大きな被害をもたらすものであります。中小企業庁の救済策をお伺いしたいと思います。  第二点といたしましては、農作物、畜産物の被害の問題であります。  伊豆大島の農林業は、年間生産約十五億五千万円のこれまた基幹産業であります。特に花卉園芸でありますが、ブバルディアというのがありますが、これは日本全国の七〇%をこの伊豆大島で生産をしております。その他ガーベラ、フリージア、ストレリチア、こういうような花が今既に多くが咲き過ぎで出荷ができないと。私ども調査では、四億円の損失と言われております。その他、詳細は申し上げる時間がございませんが、キヌサヤエンドウの被害。それから乳牛のうち三〇%が乳房炎にかかっていると。養豚、これは生まれたばかりで死んでいくという悲惨な状況。養鶏、これも被害が壊滅的であると。こういう話を帰ってこられた方にお聞きいたしました。農林水産省としての被害救済策をお尋ねをしたい。  この点の最後に、国土庁にぜひお願いしたい問題は、こういうふうな島の花卉園芸、畜産、水産加工という産業保全のために、今の時期に、全面帰島に先立って、とりあえず応急作業に当たっていただける方々を二、三日間の滞在予定で帰島させていただく方途を講じていただけないか。都の総務局長は検討を明言しておりますので、ぜひ国土庁でも前向きに善処していただきたい。  以上の諸点について、まずお伺いをしたいと思います。
  70. 高橋義典

    説明員(高橋義典君) 先生指摘のとおり、伊豆大島には四十万人を超える観光客が入り込んでおりまして、伊豆大島の主要な産業の一つであると。この観光事業の復活というのが私どもの最大の課題であるというふうに私ども理解しております。  当面の緊急対策につきましては、中小企業対策の一環として観光産業も含めてお願いしたい、かように考えておりますが、観光の復活問題でございます。これにつきましては、まず伊豆大島につきまして安全が確認されまして、観光客の受け入れが可能になった際に、いち早くこれを観光客のサイドに周知徹底を図るということが必要ではなかろうか、かように考えておりまして、旅行業者等を通じましてこの周知徹底を図っていきたい、かように考えております。  それから、観光客の呼び戻しのためにはそれだけでは足りませんので、地元の観光協会等が中心になりまして、誘致宣伝活動を展開するといったことも必要になろうか、こういうふうに考えておりますので、関係者が一致協力してこれに当たるように指導してまいりたい、かように考えております。
  71. 桐山正敏

    説明員(桐山正敏君) 先生今お話しの中小企業者の問題でございます。  これから島民方々が帰島されるに従って、被害状況等も判明してくるかと思われますが、当面の措置といたしまして、中小企業庁といたしましては、政府系金融三機関の融資につきまして返済猶予措置を講ずるようにということで、現在指導いたしております。それからまた、お帰りになりますと、いろいろ被害状況等に対応して新しい災害復旧のための資金ということが必要になろうかということでございまして、この場合の災害復旧のための災害復旧貸し付けという制度がございますので、これは三機関の方でございますが、こちらの方の発動に対して指示をしておりまして、準備を整えておるというところでございます。  それから、小規模企業者の方のための小企業経営改善資金につきましては、その運用について弾力的、機動的に対応するようにということで商工会を通じて指示してございまして、今後被害状況等に対応してさらに対応等は考えていきたいというふうに思っております。
  72. 青木敏也

    政府委員青木敏也君) 今回の農業関係被害につきましては、一次噴火の時点で私ども専門家から成ります調査団を現地派遣いたしまして、その時点で約一億八千万程度の農作物被害がある実態を把握いたしたところでございます。その後、やはり二次噴火によります特に花卉のたぐいにつきましては、観賞用でございますので、降灰による品質低下、商品価値の低下ということが十分考えられます。それから、病害虫の発生、それとただいま先生からも御指摘ありましたように、花卉にいたしましても、キヌサヤエンドウにいたしましても、今出荷期の最盛期を迎えている段階でございまして、適期の出荷期を失うことによる損失、そういったものによりまして今後被害の増加が予測されるところでございます。  私ども、そういう事態でございますので、先生からの御指摘もありましたが、もう既に実行いたしているわけでありますが、家畜並びにそういうハウス園芸等の飼養、肥培管理の作業班を適宜島に送り込む、そういうことによって被害額を最小限に持っていくということが、一番当面緊急に要請されるところでございます。一時帰島の道も開かれてまいりまして、そういう体制は今後漸次整ってくるものということで私ども大変期待をいたしているわけでありますが、そういうことで最小限の被害にとどめていきたい、こういうふうに考えております。  それにもかかわらず、一定の被害ということはこれやむを得ないわけでありますけれども、生産基盤の維持に支障を来すようなそういう被災農家に対しましては、先ほどから御答弁申し上げておりますように、必要な営農資金等について適切に対処してまいりたい、こういうふうに存じております。
  73. 山本重三

    政府委員山本重三君) 島内に残されました家畜、園芸の被害拡大防止のためには、御案内のように、畜産関係につきましては十一月二十三日から三交代で延べ三十七名、それから園芸関係につきましては二十四日から三交代で延べ二十六名を代表者として帰島させまして、被害拡大の防止に最大限の努力を実施してきたところでございます。また、この間におきましても、特に牧草の不足という事態がございましたので、牧草六トンの緊急輸送も二十九日に実施したところでございます。  今後こういった畜産、園芸の被害拡大の問題につきまして、農家の優先帰島を考えるかどうかという問題につきましては、安全確保の重視の問題は当然のことでございますが、他の一般島民との感情というものもございますから、そういった点も十分考慮しつつ、ただいまお話がございましたけれども東京都とも連絡をとりながら検討してみたいと考えております。
  74. 内藤功

    内藤功君 第三点でありますが、災害救済の特別措置についてであります。  今回の災害は、歴史にも類例を見ない全島民避難という特殊な措置に伴うものであります。かつて昭和五十二年の有珠山噴火の際に、同年十一月十一日、政府閣議決定によりまして激甚災害の例に準じて融資についての各種の特別措置を講じたのでございます。激甚災害の指定に実質的に見合うような特別措置、これをぜひ今回政府においておとりいただきたい。国の対策本部長としての国土庁長官大臣のこの際の御英断とこれについての御努力を要望したいと思いますが、いかがでございましょうか。
  75. 山本重三

    政府委員山本重三君) 現在、各種被害状況については鋭意調査を進めているところであり、私ども被害状況に対応して現行制度をできるだけ円滑、適切に活用、運用しながら対処してまいりたいと思います。  今後こういった措置についてどう対応するかという問題につきましては、私ども関係省庁ともども十分協議しながら状況に応じて適時適切に対処してまいりたいと思います。
  76. 内藤功

    内藤功君 なお強くこの問題の前向きの御検討を、重ねて大臣に要望しておきたいと思います。  そこで、時間が参りましたので最後の質問になりますが、観測、予知体制の強化策についてであります。  全面帰島問題が大島町議会でも要望決議がなされましたし、先般久保委員長のお供をいたしまして千代田総合体育館避難所を視察した際の避難民、島民皆さんのお話からも、これはもう大きな要請であると思います。その場合の最大の条件は、安全性保障のための観測、予知体制の強化であることはもとよりでございます。十一月二十七日に官房長官は、観測機器整備拡充など予備費支出で万全を期すると答弁をされました。そうして、本十二月五日の閣議におきまして、予備費十一億円余の支出が決められたと聞いております。この内容自体は大変結構なことだと思います。  しかし、もう一つ御要望があるわけでございます。それは、観測に当たります要員。得られるデータを整理、分析いたします要員の問題についてはいまだ触れられておりません。この点を緊急に解決していただきたいと思うわけでございます。現在観測に当たっている気象庁職員や大学関係者の方々は、連日の緊張した観測勤務の中で疲労の極に達していると聞いております。機器類の整備、増強は大変結構でございますが、これに伴う要員の増強問題をぜひ要望したいと思うのでございますが、この点いかがでございましょうか。  私の質問時間はもうなくなりましたので、厚生省、文部省の方々には質問通告をしておいでいただいたのでございますが、別の機会に御質問申し上げることにして、このお答えを得まして質問を終わりたいと思います。
  77. 山本重三

    政府委員山本重三君) 今回の伊豆大島噴火に際しまして、関係各省におきまして、特に関係担当官が昼夜を分かたず最善の努力をいただいていることについては、深く感謝しております。これらの方々が連日働いておられることに対しまして、私もできるだけこういった方々の健康については十分配慮しなければならないということは承知しておりますが、これらの問題につきましては、現在の行財政改革の厳しい中におきましても、十分関係省庁でこの問題について適時適切に応援体制をとるなど対処していただいているものと考えておりますが、今後とも関係省庁とも十分連絡をとって、そういった面の配慮は十分していただくように、また円滑な今後の作業が行われますよう、関係省庁とも十分協議してまいりたいと考えております。
  78. 関嘉彦

    関嘉彦君 質問に先立ちまして、今回の三原山火山噴火によって避難されてきました島民の方方に対して、心からお見舞いを申し上げます。また、島民避難に当たりまして尽力されました大島町、東京都、あるいは海上保安庁、警察、自衛隊、消防、そういった関係各機関の努力、それは私は本当に大成功だったと思いますけれども努力をされた方々に対して心から敬意を表したいと思います。また、火山噴火予知連絡会皆さんたち、噴火予知するということは本当に難しい、あるいは不可能に近いことかと思いますけれども、それについてやはり何らかの判断を下さなくちゃいけない、そういう非常に難しい仕事を担当されて心労されている方々に対しても、敬意を表しておきたいと思います。  そこで、今申しました火山噴火予知連絡会、これは大変大きな責任を背負っている。安全宣言を出すにしましても、やはりここの判断がもとになるわけですから、非常に大きな責任を負っている会だと思うんですけれども、一体この会はどういう性格のものであるのか、法的な基礎はあるのかどうか、その人員あるいは予算、そういったふうなものについてまずお伺いしたいと思います。
  79. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) お尋ねの火山噴火予知連絡会でございますが、これは測地学審議会の四十八年六月二十九日の建議、この建議に沿いまして、研究あるいは業務を担当しております各関係機関が相互に連絡を密にいたしまして、火山噴火予知の推進に関する計画の円滑な実施に資することを目的とするということでつくりました連絡会でございまして、その任務といたしておりますところは三つございます。  その一つは、関係諸機関の研究及び業務に関する成果及び情報を交換し、それぞれの機関における火山噴火予知に関する研究及び技術の開発の促進を図ること。二番目が、今回のようなことに当たると思いますが、火山噴火に際して、当該火山噴火現象について総合判断を行い、火山情報の質の向上を図ることにより防災活動に資すること。三番目が、火山噴火予知に関する研究及び観測の体制整備のための施策について総合的に検討をすることとなっております。そして、連絡会で行われました総合判断に関する報告、発表は、気象庁の責任におきましてその都度、必要の都度行うということになっているわけでございます。  委員は、学識経験者の方々とそれから関係いたします行政機関の職員をもって充当いたしております。関係行政機関は、科学技術庁、国土庁、文部省、建設省。これは国土地理院でございます。それから、運輸省に関しましては海上保安庁と気象庁。それから事務局は気象庁地震火山部の中にございます。そういう組織でございます。
  80. 関嘉彦

    関嘉彦君 ちょっと聞き漏らしたけれども、それは気象庁長官の私的な諮問機関でございますか。
  81. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) おっしゃるとおり、長官の私的諮問機関というものであると存じます。
  82. 関嘉彦

    関嘉彦君 それは学者、研究者と同時に行政の人たちも入っているわけですか。今ちょっと行政と言われたけれども、行政の立場にある人ですか、あるいはその行政機関にある研究者の方々ですか。
  83. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) 関係行政機関の職員の方々は二通りございまして、例えば海上保安庁では、やはり火山の観測を担当されております。それから建設省の国土地理院の場合にも、やはり火山に関する仕事を担当されているということで出ていただいておりますが、それから科学技術庁も本庁の方とそれから防災科学技術センターとお二人出ていらっしゃいます。防災科学技術センターの方は研究的な仕事をおやりになっているという立場で出ていらっしゃいますが、科学技術庁、国土庁、文部省の方は行政機関ということで出ていらっしゃると存じております。
  84. 関嘉彦

    関嘉彦君 避難対策というふうなことは、これは行政機関がやることなんですけれども火山噴火予知ということは、これは全く学問的に行政的な配慮を加えずにやらなければみんなが信用しないと思うんです。ただ、そういった純行政的な立場が入って、今のような組織で今後もそのままでやっていっていいというふうにお考えですか。この大島の問題を離れまして、今後も一般的にあると思いますけれども
  85. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) これは非常に大切なことでございまして、やはりこういう行政機関の方々火山噴火現象を学問的に非常に率直に自由に発言をして検討される、そういう空気をつかんでいただくために出ていただいていると私は理解をしております。  先ほども申し上げましたように、この任務の中には、火山噴火予知に関する研究及び観測の体制整備のための施策について総合的に検討するというようなこともございまして、こういったところで学問的あるいは技術的に検討されましたことを、やはりそれぞれの機関に反映していただくという立場ではなかろうか、そう存じております。
  86. 関嘉彦

    関嘉彦君 その点はわかりました。  先ほどもちょっと出ましたけれども、ちょっと私聞き漏らしたのでもう一度確認しておきたいと思いますが、地震予知連絡会の会長さんが十一月の二十八日に一時帰島がある場合には云々というので、観測体制の強化、それから緊急避難対策の万全を図ることが前提であるというふうなことを言われましたが、その観測体制の強化と言われたのは、先ほどの内藤委員の質問にもありましたけれども、単なる機器の問題だけをここでは指しておられるのか、あるいは予知連絡会なんかの組織の問題あるいは人員の問題、そういうことも指しておられるのか。今度傾斜計とか地震計なんか増設されたようですけれども、単なるそういった機器の問題だけのことを言っておられるのか、どうなんですか。
  87. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) これは決して機器の問題だけではございませんで、情報あるいは観測データの一元化によって集中的に状況把握する体制をつくるというところまで含まれておると存じております。
  88. 関嘉彦

    関嘉彦君 先ほど内藤委員の言われた人員の問題なんかのことは入っていないんですか。
  89. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) これから検討していかなければならない問題であろうかと存じます。
  90. 関嘉彦

    関嘉彦君 今度災害を受けられた方に対する救助の問題は各省庁にまたがっておることですけれども、これについては既に同僚委員の方から繰り返し質問がございましたので、時間をとりますから、同じ質問ですからここでは繰り返しませんけれども国土庁長官としても災害対策本部の仕事として、やはり関係各省に対して十分督促をしていただきたい、また法の許す範囲内において最大限度の救助をしていただきたいということを希望しておきます。返事は要りません。  もう一つ、これは国土庁長官国務大臣として考えていただきたいと思っていることがあるんですが、私、素人でよくわかりませんけれども地震火山噴火とは別物であるかどうであるか。先ほど青木委員の方から質問がありまして、親戚関係にあるというふうにお答えになりましたけれども、片一方は気象庁の諮問機関ですね。それから、地震予知の方はこれは建設省ですね。これはうまく連絡がとれているのかどうか、どういう関係にあるのか、そのことが一つ。  それから、地震予知に関しましては、国立大学でありますとか、それから、先ほど言われたように、海上保安庁の方でも地殻の構造変動なんかの調査をやっておりますし、科学技術庁の防災科学技術センターの方でもやっておりますし、国土地理院なんかでもやっております。しかし、それぞれの研究機関それぞれの別の目的を持っているんですけれども地震予知、あるいはその中に含めていいと思うんですけれども火山噴火予知、そういったふうなものは一元化した方がいいのではないか。殊に日本のように非常に地震の多い国、火山爆発なんか非常に多い国においては、今のようにそういったばらばらにやっていていいのかどうか。伝え聞くところによりますと、中国では国務院の中に国家地震局及び科学院というのがあるそうでありますけれども、そういったふうな一元化というふうなことは考える必要があるんではないか。あるいはそれが不可能であるとしても、地震予知連絡会あるいは火山噴火予知連絡会、何か法的に基礎づける必要があるのではないかということを感ずるんですけれども国務大臣の立場から御所見があればお伺いしたいと思います。
  91. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 火山噴火予知とそれから東海地震を除きます地震予知、これらはまだ今研究段階ということでありまして、これらの問題に取り組んで法制的にどうするという段階には今至っていない、そう考えておるわけであります。それで、火山噴火予知連絡会あるいは地震予知連絡会それぞれあるわけでありますが、メンバーがそれぞれやっぱりダブって入っておりまして、今関係は非常に密接でございまして、そういうお互いの予知連という形で連絡をし合いながら、これらの問題に今対処をしておるというのが現状でございます。これらがさらにもっと精度が増すという、正確にいろいろタッチできるということになれば、当然これらの問題に法制的に取り組む時期があると思いますが、今の段階ではまだ研究段階のお互いの状況だ、こういうことでございます。
  92. 秋山肇

    ○秋山肇君 このたびの三原山災害について、大島町民の皆さん方に心からお見舞いを申し上げると同時に、またこの対応につきまして御努力をいただきました国土庁長官本部長とする災害対策本部東京都、その他関連の皆さん方に敬意を表するものでございます。  最初に、順番を追って避難問題のときにありましたことからお伺いをいたしたいと思います。  島民避難については、パニックもなく順調に行われたと言われていますが、十一月二十一日午後九時、溶岩元町へ数百メートルに迫ったその深夜に、波浮港からの避難の指示が出ているときに、同港での異変を感じた警視庁が元町Uターンを指示、これが地元消防団に正確に伝わらず脱出港が波浮港か元町かで大混乱したとも聞いていますが、この点に関して連絡調整等不手際があったのではないかどうかお伺いいたします。
  93. 田中基介

    説明員(田中基介君) 今回の伊豆大島噴火の際の避難につきましては、一万人以上の方々大島町、都の迅速的確な判断と、それから東海汽船あるいは海上保安庁、自衛隊の協力によりまして、無事避難をすることができたわけでございまして、全体としてはスムーズな避難ができたと考えております。  しかしながら、避難は深夜から未明にかけてということでございまして、また極めて切迫した状況のもとで行われましたために、各防災関係機関相互間で連絡調整にあるいは一部前後が生じたこともあろうかと考えられます。しかしながら、消防庁といたしましては、避難誘導につきまして従来より防災関係機関の連携を深めておくようにということで指導してまいったところでございまして、今回の教訓を生かしながら、今後とも地方公共団体の指導に当たってまいりたいと考えております。
  94. 秋山肇

    ○秋山肇君 全島民避難命令より三時間近くも早く脱出してしまった大島測候所の所員の避難については、だれが指示をしたものかどうか。また逆に、東大火山研究所は大変な活躍で現地にとどまっているということ等、いろいろ先ほど来委員先生方からも質問があるわけですが、そういう連携、例えば赤外線写真撮影をするのにこれは防衛庁にお願いをするというような、それぞれの連携がなければこういう災害の対応というのはできないと思うわけですが、この点について島民が一番信頼をしている測候所の所員というのは、やはりそのぐらいの最後まで踏みとどまる、そういう心構えがあってしかるべきだと思いますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  95. 内田英治

    政府委員内田英治君) ただいま先生指摘の問題でございますが、二十一日の十六時十五分にすごい大爆発が起きた。それで、外輪山の山腹に亀裂が走った。これは非常に大変なことでございますが、次々に噴火口があきまして、この間私も視察しましたところ、噴火口の列がずっと測候所の方へやってきた、こういうわけでございます。それで、特に地震が有感震度を含める地震によって全島非常にパニック的な状態になったと聞いておりますが、特に測候所の庁舎も非常に揺れて、極めて切迫した状況であるということのようでございました。  それから、十七時四十五分に避難命令が出されまして、元町の方に溶岩流れるおそれがあり、厳重注意という火山活動情報を測候所では出しました。それで、十八時五分に関係機関に通報いたしました。そのときに、もう非常に切迫した状況の中でそういうことをしたわけでございますが、東京管区気象台長の指示に従って、もう測候所は情報を出せそうもない、非常に危険だから、じゃ空港出張所へ逃げてそこで出しなさいという指示を東京管区気象台長が出しました。そこでできるだけ火山監視をしなさいということでそこへ移ったのでございますが、十九時十分にはその空港の出張所、空港にも避難命令が出されたそうでございます。それで、やむを得ず岡田港に向かった、こういうわけでございます。  そのとき所長らは、元町現地災害対策本部との連絡を何とかしなきゃいかぬ、自分らは最後まで踏みとどまって情報を伝える責務があるんだからと所員にも言いまして、連絡を試みたが全然連絡がつかなかったそうでございます。あるいは、じゃ歩いて行こうということで元町の方へ行こうとしましたが、溶岩流がちょうど元町の方へ細く突っ込んできまして、このために通行禁止と。それで、警察官に、自分らは測候所員である、だからどうか通してくれと言ったんだけれどもだめだということで、どうしてもだめなので、繰り返し船に乗れということなので、それで四隻目の最後の船だそうでございますが、自分らの理解としては最後になったと思った理解で、最後に乗ったそうでございます。それで、東京管区へ来ていろいろ状況報告したところ、いろんなニュースが入ってきたし、また記者会見もやったそうですが、これは自分らはまたもう一回急いで帰るべきだということなので、すぐ所長と所員一名が、二十二日の十六時二十分でございますが、測候所に戻ってまた観測を続けた、こういうわけでございます。  それで、その間ちょっとデータはとぎれましたけれども、それから二十二時〇三分にまた気象庁の方でも観測員が大島に向かいまして、八時半から測候所で火山観測業務を開始しました。実際の事情はこのようでございます。
  96. 秋山肇

    ○秋山肇君 後ほど長官には相互連絡だとかいろいろな点はまとめてお答えをいただくとして、このときに、先ほど防災局長から説明いただいた十一月二十四日から東京消防庁、大島町消防本部大島町消防団のポンプ車による溶岩流に水かけるというのは、前の地方行政委員会でしたか何のときでしたか、私質問したときに、消防庁長官からお答えがあったわけですが、この成果があって二十六日の朝溶岩動きがとまっていることを確認したとここに報告が書かれていますが、これに要した機材、そしてその水かけによって、三宅島の噴火のときにもやって効果があったからやるということでおやりになったわけですが、これからのこういう災害があったときの参考にもなろうかと思うので、どの程度の機材、人員でやったのか、簡単でいいですからお答えください。
  97. 田中基介

    説明員(田中基介君) 熔岩冷却作戦についてお答えを申し上げたいと存じます。  まず、十一月二十四日、人数は東京消防庁三十名と大島町消防団二十名、計五十名でございます。ポンプ車二台、ほかに予備車一台使っております。それから冷却に使用する水につきましては、自衛艦の「あつみ」の協力を得まして、海水をミキサー車五台で搬送をいたしまして、仮設水槽に注水をいたしました。二十五日に至りまして、人数が十二名ふえまして六十二名、ホースは八口、ポンプ車二台でございます。これは先ほどと同じでございます。そういう態勢で作戦に当たったということでございます。
  98. 秋山肇

    ○秋山肇君 大変危険な状況の中での御努力に感謝を申し上げるわけでございます。  また、十二月三日、私も千代田区の総合体育館委員長のお供をして参りましたけれども、今回の噴火で都の対応は早く適切であったと評価できると思うんです。その前提としては、日ごろの訓練など態勢的なすばらしさもあったと思いますし、一つの大きな要因としては、予備費だけでも五十億円というような財政規模が大きく、これは東京都が富裕団体だと言うわけじゃないんですが、知事が噴火直後、会計制度や規則の枠を超え対応できることは何でもやれという適切な指示を出した、こういうことがよかったと思われるわけで、これはこの間町民の方々も口々に言っておられましたから、間違いないことだと思うんです。  しかし、これが他の県で発生した場合、同様な対応がとれるのかどうかというのは疑問だと思うんです。ネックは何であるかというと、財政であろうかと思うんです。国の補助金の基準に神経を使って、少ない予算、予備費を考えながらでは、十分な対応策は二の足を踏むんじゃないかなというふうに思うわけです。それを避けるために財政調整基金の積み立て等の方法もあると思います。また、自治体間のこういうときに相互に緊急援助基金の、何といいますか、貸し借り、やりとりをお互いに困ったときは隣の県から融通するというようなこと等もあろうというふうに、これは私の考えですが、自治省として財政規模の小さいところにこういう問題が出たとき、こういう災害が起こったときの対応というのは現在考えられておるわけですか。
  99. 柳原瑛

    説明員(柳原瑛君) 災害に関連いたしました財政措置の御質問でございますが、地方団体におきます災害救助及び災害復旧等に要する経費につきましては、国庫補助負担制度、地方債、地方交付税においてそれぞれ災害のための特別の措置整備されております。また、災害救助法では都道府県に災害救助基金の積み立てが義務づけられておるわけでございます。したがいまして、仮に大島のようなケースが他府県で生じた場合でも、財政面については現行の諸制度の運用で対応できるのではないかと考えております。
  100. 秋山肇

    ○秋山肇君 もう時間がありませんから、一問飛ばしまして、これは災害対策本部長として国土庁長官にぜひ最後の御答弁をいただきたいんですが、こういう災害のときに我々議員としての対応という問題。これは国土庁長官も一人の議員としての立場からお考えをいただきたいんですが、まず現状をいち早く把握し、適切な対応をとるべく活動をし、国民、被災者の不安をできるだけ取り除くという点にあるというふうに私は思うんです。今回の様子を見ていると、一部議員の中に、災害時に乗じて売名行為をはかり、また強引な情報収集や、一部選挙民の利益のために行政側に強力な働きかけをという事例も私の調査ではわかっているわけですね。  例えば、大多数の避難民に議員の顔写真を添付したインスタント食品を係員の制止を振り切って名刺を振りかざして売名に努めた例。これはもう長官おわかりだと思うんですが、名前はあえて言いませんけれども。また、関係者以外は立ち入りを禁止している、緊急避難の対応にもう騒然となっている災害対策本部に無断入り込んできて、独自のルートで一部避難民にのみ情報を流した例というような、こういう、議員のモラルの問題だと思うんですが、私ども議員というのはやっぱりそういうこと、そして先ほど来各委員先生方から質問されている今度の災害に対しての対応、それからこれからの予知の問題の連係プレーというようなことも含めて、我々の務めというものは大きなものがあろうと思うんですが、こういうことはほかのマスコミ関係テレビで流しているようなことを笑えないと思うんです。この点いろいろなものを含んでいますが、長官の差し支えない範囲、また災害対策本部長としてこれは許されるべきか許されざるべきかというような御判断もあろうと思いますが、その点も含めまして、最後に長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  101. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 今御指摘になったような点の事実は、私はつかんでおりません。一部何か報道でそんなことが言われたということは聞いておりますが、今、秋山さんおっしゃるように、まさに議員も良識の集団だと私は信じております。当然、今おっしゃるようなことが事実とすれば、非常識と言う以外はない、こう思うわけでございまして、皆様方が良識を持って行動していただけるものだと私は期待いたしております。
  102. 秋山肇

    ○秋山肇君 最後の連係プレーについても、ちょっともし差し支えなかったらば一言。
  103. 山本重三

    政府委員山本重三君) 私どもは、今回の伊豆大島噴火に際しましては、地元元町災害対策本部をつくりました直後、東京都が災害対策本部をつくり、また私ども噴火対策本部を直ちにつくりまして、相互に密接な連携を持ちながらこの対策に万全を期しているところでございます。現に、従来にもなく、今回の対策の推進に当たりましては、東京都の本部会議におきましては私ども本部員を派遣しておりますし、私ども本部会議におきましては東京都の本部職員が参りまして、一緒になってこの問題いろいろ検討するということで、私どもも今後とも密接に情報連絡をとりながら、協議しながら対策の万全を期してまいりたいと考えております。
  104. 久保亘

    委員長久保亘君) 本件に関する本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  105. 久保亘

    委員長久保亘君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和六十一年伊豆大島噴火による被害実情調査のため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 久保亘

    委員長久保亘君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 久保亘

    委員長久保亘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十三分散会