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1986-09-26 第107回国会 参議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和六十一年九月二十六日(金曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  九月二十五日     辞任         補欠選任      松本 英一君     上野 雄文君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         久保  亘君     理 事                 浦田  勝君                大河原太一郎君                 青木 薪次君                 片上 公人君     委 員                 井上  孝君                 岩崎 純三君                 上杉 光弘君                 下条進一郎君                 竹山  裕君                 谷川 寛三君                 永田 良雄君                 野沢 太三君                 増岡 康治君                 本村 和喜君                 上野 雄文君                 太田 淳夫君                 下田 京子君                 秋山  肇君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  綿貫 民輔君    政府委員        国土庁長官官房        水資源部長    志水 茂明君        国土庁防災局長  山本 重三君        農林水産大臣官        房審議官     青木 敏也君        林野庁次長    松田  堯君        建設省河川局長  廣瀬 利雄君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        科学技術庁国立        防災科学技術セ        ンター第一研究        部長       木下 武雄君        厚生省生活衛生        局水道環境部環        境整備課長    加藤 三郎君        農林水産省構造        改善局建設部防        災課長      田内  堯君        林野庁指導部治        山課長      岡本 敬三君        通商産業省立地        公害局保安課長  工藤 尚武君        中小企業庁小規        模企業部参事官  桐山 正敏君        建設省都市局土        地利用調整官   大久保伸明君        建設省河川局水        政課長      横田 猛雄君        建設省河川局河        川計画課長    角田 直行君        建設省河川局治        水課長      近藤  徹君        建設省河川局防        災課長      帆足 建八君        建設省河川局砂        防部傾斜地保全        課長       渡邉 義正君        自治省財政局財        政課長      柿本 善也君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (台風第十号等による災害激甚災害指定及び復旧対策に関する件)  (河川改修対策に関する件)  (災害復旧事業費に関する件)  (小貝川の破堤原因及び改修対策に関する件)  (水源税に関する件)     ─────────────
  2. 久保亘

    委員長久保亘君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十五日、松本英一君が委員を辞任され、その補欠として上野雄文君が選任されました。     ─────────────
  3. 久保亘

    委員長久保亘君) 次に、災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、先般行いました委員派遣について、派遣委員報告を聴取いたします。大河原太一郎君。
  4. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 去る八月十九日と二十日の二日間、久保委員長井上理事岩崎、矢田部、近藤、勝木、秋山の各委員及び私、大河原の八名は、現地で岩上、高杉の両議員の参加も得て、台風第十号及びその後の温帯低気圧による栃木茨城両県の災害実情調査してまいりました。以下、派遣委員を代表してその概要を御報告いたします。  八月四日から六日にかけて、静岡以東太平洋側各地は、集中的な豪雨により各地で多くの被害発生いたしましたことは、既に八月八日の本委員会において政府から報告聴取等を行っているところでありますが、栃木県東部、茨城県一帯は、八月四日から五日にかけて多いところで三百から四百ミリという、年間降雨量の三割を超える未曾有豪雨に見舞われ、各地河川はんらん堤防決壊土砂崩れ等が相次ぎ、甚大な被害をこうむっております。  県が最終的にまとめた調査結果によって被害状況を見ますと、栃木県で死者行方不明者七名、重軽傷者六十六名を数え、住家被害全壊三十九棟、半壊九十九棟、床上床下浸水はそれぞれ千八百四十七棟、四千八百三十一棟となっております。施設関係では、河川道路等公共土木施設が二百二十六億円、農林水産業施設九十四億円、商工被害五十五億円、その他、農作物被害六十六億円、治山被害五十五億円等を合わせますと、被害総額は約五百二十億円に上っております。  また、茨城県におきましては、死者四名、負傷者十四名、住家被害全壊七棟、半壊十九棟、床上床下浸水はそれぞれ六千九百八十棟、六千八百八十三棟を数え、公共土木施設四百五億円、農林水産関係百四十一億円、商工業関係百二十億円、文教施設二億円等、被害総額は実に六百七十億円に達しております。  こうした被害発生に伴い、両県及び関係市町村では災害対策本部を設置し、栃木県下で三町、茨城県下においては十四市町に災害救助法を適用するとともに、自衛隊等協力も得て、救助活動防疫対策、また応急的な復旧等に懸命な取り組みがなされてきた結果、災害から二週間を経過した現地調査の時点では、被災地もおおむね落ちつきを見せてはおりましたが、水につかった家屋の後片づけ等によるごみの山、流された橋梁、えぐられた堤防など災害のつめ跡がなお随所に残されており、今回の災害の大きさを痛感した次第であります。  次に、視察いたしました被災地状況について申し上げます。  まず、栃木県の茂木町に参りました。茂木町では町の中心部を流れる逆川が大増水し、警戒水位一・八メートルに対し、五日の早朝には最高水位が六メートルを超えたと推測されております。このため、町の中心にある役場を初め商店街は押しなべて軒下まで濁流に洗われ、商工業関係で四百三十二事業所、四十億円を初め、農林業関係二十七億円、河川決壊百四十八カ所、道路決壊三百五十七カ所等、被害は甚大なものとなっております。町当局復旧に向けて懸命に努力を続け、商店街もようやく営業を再開したところも見られましたが、中には百二十年の伝統を有するみそ・しょうゆ製造所が廃業に追い込まれるなどの厳しい状況も出ております。水につかった家ではなお後片づけに余念がなく、国道の両端にはごみの山が連なっておりましたが、それまでに収集したごみは膨大な量に上っており、とりあえずグラウンド予定地に積み上げられておりましたが、この処理も今後の大きな課題となっておりました。  町は過疎地域指定を受けており、財政力も弱く、本格的な再建を図るためには激甚災害指定による国の財政援助を初め、被災した道路河川の早急な復旧、さらに逆川の抜本的な治水対策等がぜひ必要とのことで、現地の強い要望となっておりました。  茨城県では那珂川小貝川関係災害地視察いたしました。  まず、県の中央を流れる那珂川は、水戸市で計画高水位八・一五メートルに対し、五日夕方には九・一二メートルに達するなど、かつてない出水によって水戸市、勝田市ではんらんし、交通が寸断されるとともに、両市における家屋浸水床上床下それぞれ約二千七百戸、八百戸に達したほか、二千ヘクタールの田畑が冠水し、出穂期を迎えた水稲等農作物に大きな打撃となりました。  那珂川は国の直轄管理の大河川でありますが、水戸勝田市の被災地周辺ではまだ堤防が築造されておらず、過去、昭和三十六年、五十七年等にも水害を受けておりますが、今回はそれらを大幅に上回る規模の水害となりました。被災地区では調査当時も家屋垣根等浸水の跡がはっきり残されており、まだ畳も上げたままの家も多いとのことでありましたが、水戸市の郊外に当たるこれらの地区は、従来水田であったところに近年都市開発が急速に進み、今後も水害発生が憂慮されており、地元からは築堤等改修工事都市下水路等整備促進が強く望まれておりました。  なお、公共土木施設では那珂川にかかっている県道の千代橋が延長約二百メートルのうち、中央部九十メートルにわたって流失し、地域交通に大きな支障が出ておりました。学童の通学等のために緊急に仮設の歩道橋を設置する工事が行われておりましたが、現在の橋にかわって計画されている新しい橋の完成までの間、橋本体の暫定的な復旧が不可欠となっており、速やかな対応が望まれておりました。  次に、小貝川災害についてであります。  利根川の支流である小貝川は、下館市で時間雨量六十四ミリ、二日間の雨量三百八十一ミリを記録するなど、記録的な豪雨流域全体を襲い、河川水位は過去最高を一メートル以上も上回る出水となりました。このため、小貝川及び上流の五行川等はんらんが相次ぐとともに、五日午後、明野町で、また、六日昼前には下流石下町で堤防決壊し、押し寄せた濁流によって下館市、明野町、石下町、水海道市の広範な地域浸水に見舞われ、多くの人家が孤立する事態となりました。こうした中、ボートやヘリコプター等による懸命な救出活動が進められた結果、幸いにも人的な被害は最小限で済んだのでありますが、浸水家屋床上床下合わせて四千七百戸、浸水面積は八千八百ヘクタールに達しており、家財被害とともに水稲や野菜及び豚等畜産などに大きな被害が生じております。  今回の出水決壊した堤防の現場では、決壊直後、コンクリートブロックの投入等によって懸命な堤防締め切りが図られた結果、石下町では八月九日、明野町は十一日に荒締め切りを終え、その後、鋼矢板による仮締め切り堤防が築造されておりますが、今回の出水による堤防被害小貝川全体で約百五十カ所にも及んでいるとのことで、台風のシーズンにも当たっており、早急な復旧が極めて重要になっております。  次に、今回の視察を通じて関係者から多くの要望が出されましたが、それらを踏まえて、国が対策を進めていく上で留意すべき事項を若干申し述べます。  第一は、現地での強い要望でもある激甚災害指定についてであります。  激甚災害指定については、現在その手続がほぼ終了の段階にあると承知をしておりますが被災市町村等の多くは財政力が脆弱であり、普通交付税の繰り上げ交付特別交付税算定に当たっての特別の配慮とあわせて、激甚災指定についても地元実情に十分配慮し、適切に対処することがぜひ必要であると考えます。  第二は、被災箇所についての早期査定早期復旧に関してであります。  公共土木等施設被災箇所については、その多くが、とりあえず応急的な措置によって対処されておりますが、台風等による二次災害発生も危惧されており、一日も早い本格的な復旧に向けて必要な措置を急ぐ必要があります。関係者の今後の一層の努力要望するものであります。  第三は、小貝川の破堤の原因対策についてであります。  今回の小貝川の破堤の原因には、河川計画高水位を超える水位が長時間続いたことが挙げられておりますが、最近では五年前にも下流で被堤しており、堤防の土質や水門等工作物との関係等原因の一つに挙げる向きもあり、徹底的に原因の究明を進めるとともに、改修計画の見直し等適切な措置を講ずる必要があると思われます。  第四は、我が国の防災対策として治水対策のおくれを痛感いたします。  今回の水害は確かに短時間に未曾有雨量を記録した状況はあるとしても、現在、河川改修率は大河川でも六割、中小河川は二割程度という低い水準であります。来年度には第七次治水五カ年計画の策定も予定されておりますが、流域都市化が進んでいる地域を初め、都市水害から守るためには、今後、河川整備促進について格段の努力が不可欠であります。  第五は、個人災害対策についてであります。  これまで災害対策に関しては制度的な整備が進んでまいりました。しかしながら、個人家屋家財等のいわゆる個人災害につきましては、公的な救済制度はまだ存在しておりません。個人災害救済制度については種々困難な問題も考えられますが、今回の水害でも見られる多くの家財等被害に対して、その救済のあり方の検討が今後の課題であると考えます。  その他、現地要望には、農畜産物被害に対する農業共済金早期支払い農業者及び商工業者に対する低利資金融資等がありましたが、これについては政府において的確に対処されることを期待いたします。  以上が調査概要でありますが、最後に、被災地の一日も早い復興を心より祈念いたしまして報告を終わります。
  5. 久保亘

    委員長久保亘君) 以上で派遣委員報告は終わりました。  それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 上野雄文

    上野雄文君 最初に、当特別委員会久保亘委員長を初め諸先生方栃木県の被災地である最も被害の大きかった茂木町の御視察をいただきまして、地元の一人といたしまして心から厚くお礼を申し上げたいと存じます。本当にありがとうございました。  ただ、地元の私、田沢智治先生団長でアメリカ、カナダの方の視察に行っておりましたので、参加できませんで大変申しわけなく思っておりますが、ただいま大河原先生から御報告がありましたように、政府に対しましてもそれぞれ地元要望に沿って積極的な御提言をしていただきまして、これまたお礼を申し上げる次第であります。  私も、台風十号直後にこの場からいろいろ政府に対しましてお願いなどを申し上げたわけでありますが、長官も早速現地に飛んでいただきましていろいろと対策を立てていただいたわけでありまして、この点につきましても地元の一人としてお礼を申し上げたいと思います。  さて、そこで、問題は、激甚災害指定についてお願いをしておったところでありますが、関係者からお尋ねをいたしますと、きょうの閣議で決定をされたというふうにお聞きをしているところでありまして、その中身についてお示しをいただければ大変ありがたい、こう思うんです。
  7. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 今回の台風十号によります災害によりましてお亡くなりになりました方々には心から御冥福をお祈りいたしますとともに、被災されました皆様方に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  今回の災害に対しましては、激甚災害指定ということを皆様方から強く要望されていたところでございまして、これにつきましては各省庁におきましても鋭意この調査結果が早く出るようにということで努力をしていただきまして、従来の災害査定に例を見ないぐらいのスピードアップでこの災害査定をしていただきました。その御協力に私どもの方も心から敬意を表しておるところでございますが、その調査の結果がおかげさまでまとまりまして、本日所要の手続を経て閣議におきまして激甚災害指定をいたしたところでございます。  この政令においては、本年の八月四日から六日までの間の豪雨による災害激甚災害として指定するとともに、この災害に対しまして、農地、農業用施設、林道の災害復旧事業等に係る補助特別措置。第二番目に農林水産業共同利用施設災害復旧事業費補助特例天災融資に関する特例、これは四県でございます。土地改良区等の行う湛水排除事業に対する補助。それから小災害債に係る元利償還金基準財政需要額への算入等。それから中小企業関係融資等に関する特例、これは宮城県の鹿島台町、福島県の梁川町、栃木県の茂木町の三町の措置を適用することとしているところであります。  なお、この激甚政令は九月三十日に公布し施行する予定となっております。  以上でございます。
  8. 上野雄文

    上野雄文君 大変ありがとうございます。  ただ、私、県の方ともいろいろ連絡をとりながら県の要望をいろいろ聞いてきたわけでありますけれども建設省関係が今回の激甚指定からどうも漏れておるようだ、この点何とかならないものかというのが県側の強い要請であります。どうしてもそのことは難しいということなのか、その辺について関係当局の今日までの経過等について御報告をいただければありがたいなと、こう思います。
  9. 山本重三

    政府委員山本重三君) 今回の台風号等によります公共土木施設関係災害復旧事業にかかわります特別の財政援助の件について御質問であろうかと思いますが、これらの公共土木施設関係災害復旧事業査定見込み額は、今までの調査いたしましたところでは、激甚災害指定基準に達しませんために、今回の政令によりまして激甚災害指定しました措置の対象とすることにはならなかったということでございます。  建設省所管以外にも、農林省、運輸省等の関係合わせまして、いわゆる私ども省グループと言っておりますが、この二省にございます公共土木施設災害復旧関係事業に関する特別の財政援助措置は今回は入っておりません。  ただ、今回の発災状況を見ますと、個々の市町村段階におきましては被害程度が甚大な場合もかなり見られております。そういったものに対応いたしますために、私ども局地激甚災害指定基準という基準を持っておりますが、この基準によりまして、公共土木施設関係被害が大きく市町村の負担する災害復旧事業等査定事業費の額が当該市町村標準財政収入を超えるような場合につきましては、局地激甚災害として指定することとなっておりますので、今後こういった査定事業費の額がわかりました段階で、局地激甚災害指定手続を進めてまいりたい、かように考えております。
  10. 上野雄文

    上野雄文君 そうすると、これからさらに査定を積み上げてみないとまだわからぬと、こういうことだと思いますが、そうしますと、あの直後にも早急に査定をやっていただきたいという要請をしたわけですけれども、今、長官御答弁のように、それぞれの各省庁大変馬力をかけてやってくださったわけでありまして、その点については私も感謝申し上げるところでありますが、じゃ大体それの見通しはいつごろつくのかというようなことについてのお考えはいかがですか。
  11. 山本重三

    政府委員山本重三君) 今申しましたように、局地激甚災害指定基準は、それぞれの市町村の負担する災害復旧事業費等査定事業費の額が確定した段階で、それと当該市町村標準税収入とを比較し、その標準税収入を超える市町村に対して局地激甚災害指定をするということになっております。このために、その判断をいたしますためには、ただいま申しました公共土木施設関係のそれぞれの災害事業費査定が完了するのを待って判断するということで、具体的な災害復旧事業費査定作業は鋭意今現在進めているところでございます。そういうことで、その完了はまだしばらくの時間を要すると考えております。  それからもう一点でございますが、この激甚災害指定によりまして、実際に地方公共団体に対します財政援助の額は年度末に計算されて支給されるという実態になっております。そういうことで、私どもは従来年度末に一括して局地激甚災害指定をし、その措置をとるということになっております。
  12. 上野雄文

    上野雄文君 査定をそれじゃできるだけ早く見通しを立てていただきたい。これで、地元に帰ってこんな話ですよ、こう言ってみて、地元の方がああそうですかということになるのかどうかというと、復旧に関することですから一定の見通しなり何なりが立った上で話しませんと、私だってそこに座っている岩崎先生だって、説明のしようがないじゃないかということになりかねないと思うので、ひとつそれはできるだけ早くやるように強い要請をいたしたいな、こう思います。  災害は本来過疎地域に起こってくる。つまり、人手が足らなくなっているわけですから、治山治水などについてもわかってはおってもなかなか手を出すことができないというのが実態なので、そこに起こりがちだというふうに普通思うわけですね。  実は、役場の方の担当者に、一体今あなた方一番何を望んでいるんだ、こういうふうに言いましたら、例の農林水産業施設災害復旧費国庫補助基準についてなんですけれども、十万円以上というものを、たしかおととしでしたか、三十万円以上に額を直したわけですね。これは私も当時農林水産委員でしたからたしか賛成をしたかと思うんですね、法案審議のときに。そのときに、当然そんなことを想定しながらこの対応策というものを出して議論をすべきことだったと思うのでありますが、起こってみて初めて私なんかも気がつく、指摘をされてみてなるほどと。今回の場合がまさしくそのことなんですけれども担当者がそのことを言うわけですね。  昭和二十七年に定められた額が十万円。で、五十九年に法律改正するときに三十万円に上げるについて、三十年以上もほうっておいたやつをインフレ補正なり何なりすれば三十万円に上げることはやむを得ないのではないかというふうに頭で考えてしまったことに、やっぱり間違いがあったのかなと自分自身で実は反省をしています。過疎過密ということが議論をされていながら、災害の起こりやすい過疎地域の問題について少し配慮が足らなかった。提案される側は当然、受けとめる側もそれは仕方ないだろうという受けとめ方だったわけでありますけれども、やはり過疎地域という問題についてのとらえ方に非常に配慮が足らなかったという、そういう気分でいるわけです。  茂木町で実は一番頭を抱えているのは、八十年来なかった災害が突如襲ってきたということで、昭和二十一年のあの災害の多かったころであってさえも床下浸水が五、六戸しかなかったという、そういう経験しか持っていないわけですね。私もあの逆川流域災害が起こって水が引いた後ずっと歩いたわけでありますけれども、古いうちは全部傾斜地の中腹にへばりつくように建っているわけですね。水害を受けた方々は、水害のなかったときにあの河川流域に出てきた。だから、ばっとやられた。その経験を受けなかった連中が出てきたと言ってもいいんだろうと思うんです。だから、歴史的に見れば何回もあの逆川が暴れて、あそこの住民は山腹にうちをつくるというふうにしたことには違いないだろうと、こう思うんです。ただ、茂木町がやっぱり一番頭を抱えているのは、過疎地域指定を受けているこれがさらに過疎化が進行してしまうのではないかと。もうあの古いしにせが、あれは醸造業ですね、何百年も続いたお店をたたむことを決意したということも聞かされておりますし、本屋も全部流されてしまって、今後とても立ち直れないというのでもう店をたたみますと、大変悲惨な話が残っているわけなんです。  問題は、やはりそういう過疎地域に対する対応の仕方というようなことですね。法律を直したばっかりで、すぐにこうだという議論にはなりかねないかもしれません。が、しかし、こういう抜け道といいますか、例外規定といいますか、あるいはただし書きというのか、そういう特例的な扱いというものは考えられないものかということですね。まあ私の気持ちは、共同責任的な気分というか、私も当の農林水産委員会におりましたから、そういうものを片っ方に持ちながらあえてお尋ねをするわけですけれども、そんなことを考えられないかどうかということを、ひとつ所感を述べてみていただければと、こう思うんです。
  13. 山本重三

    政府委員山本重三君) 今、先生御指摘のように、農地、農業用施設等の災害につきましては、除外規定として三十万未満のものについてはその対象外といたしておるのは御案内のとおりでございますが、さらにこういった農地の小災害復旧のために、特に実際にはそれに対します小災害債についての起債措置がとられております。そして現在、農地につきましては百分の七十四、それから農業用施設、林道については百分の八十というのが、実際に小災害につきましての起債の許可の充当の対象となっております。そういう形で小災害債について起債措置でそれらの復旧が図られるような措置がとられております。  なお、今回のような激甚災害指定がされますと、小災害債につきましてはさらにその充当率の引き上げをいたしておりまして、農地につきましては事業費の五分の三までにつきましては百分の九十、事業費の五分の二につきましては百分の五十、事業費全体について百分の七十四というような形でさらに起債の割合を、充当率を高めている、そういう形で救済措置を拡充する措置がとられているところでございます。
  14. 上野雄文

    上野雄文君 そうすると、そういう例外的な扱いの道を考え出すというようなことはやらなくても、それだけで間に合いますというお考えですか。
  15. 山本重三

    政府委員山本重三君) 先生が先ほどの過疎地域の問題として御指摘がありました点は私も理解はできますが、実際には、これらの措置につきましては、それぞれの農業所得なりその市町村標準税収入との関係で負担の割合あるいは負担適用等を考えておりますので、そういった点の配慮もそういう観点からなされておるものというふうに理解しております。
  16. 上野雄文

    上野雄文君 これは農林省だけじゃなくて、建設省も一緒に私はあのときにやったんじゃないかなと、こう思いますね。だから、両方とも御相談をいただいて何かやはり過疎地に対する——これからは私はやはり過疎地域での災害というのが問題ではないかと思うんですね。都市部の災害ですと、すぐに人間に直接かかわってきましてね、新聞なんかでもどんどんどんどん大きく取り上げますから、そっちへ目が向いてどんどん対策もとられてくるということになると思いますが、どうも目につかないところのやつはなかなか手が回りかねるという話になるんで、たまたま茂木町なんかも今度の災害を受けたので、そのことが身にしみて感じられたと思うわけです。ですから、それらの点についてのしかるべき配慮を、じゃあ法律直したばっかりだからというので、別の対応策というようなものについてもお考えをいただきたいものだなというふうに思うんです。これは私の希望として申し上げたいと思います。  それから今度の、まさに突如襲ったことで、私ちょっと不勉強でよくわからない点などがあるわけでありますが、今度三百ミリを超えた。うちの県では三百三十五ミリですかね。河川などについての防災上の設計の基本的なもの、何ミリまでならば耐えられるとかなんかというのは、どういうような格好で決めているんでしょうね。河川別に決められているのか。ダム建設の場合などのいろんな話を聞きますと、何十年かに及ぶ本当に細かいデータを積み上げて設計やなんかに当たるわけですね。そういう話をよく聞かされるわけですが、一般的な河川の場合の防災上のそういう降雨量に対してどういう基準でつくられているのか。一般的な話で結構ですが、ちょっと教えていただければと思うんですね。
  17. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 私ども河川改修計画を立てるに当たりましては、その河川の従前からの災害の履歴、あるいはその地域における雨の過去の実績等をいろいろ分析いたしまして、計画を策定しているわけでございます。これはやはり河川改修事業費あるいは国力の問題等もありまして、総事業費枠の大きくない場合には既往の洪水をおおむね対象にして進めてまいりましたが、近年やはり流域の資産の集積、人口の集中等もありまして、既往の最大洪水をさらに上回るように、できるだけ計画の安全度を確保するべく検討しているわけでございます。  一般的に申しますと、利根川等の大河川につきましては、二百年に一遍ぐらいの洪水についても十分安全に耐えるように、また中小河川におきましても三十年に一遍等の洪水に対しても耐えるようにということを念頭に置いております。ただ、現状におきましてはまだ整備の水準がそう高くない状況でございますので、その究極の目標に至る前の暫定目標を一応河川ではセットしまして対応しております。ちなみに、大河川におきましては戦後に起こった大洪水程度に早期に対応する、また中小河川におきましては時間雨量五十ミリ、おおむね五年に一遍程度豪雨に対して安全になるようにということを暫定の目標として進めておるところでございます。
  18. 上野雄文

    上野雄文君 私がちょっと、知らない人間がさっと小耳に入れたという話ですから、大体日本の河川は一日三百ミリぐらいには耐えられる、そういう設計になっているはずだなと、こう思い込んだんですね。これは私が勝手に思い込んだわけです。ですから、逆川の場合には三百三十五ミリですから三十五ミリをオーバーしている。しかも、短時間に集中的に降ったということなんで、もともとの計画に誤りがあったのかどうなのかというのがやっぱりどうしても知りたくなるんですね。今のようなお話ですと、それぞれについて五年に一回ぐらいの経験に基づいてやっているということだというお話でありますが、素人にわかりやすいようなそういう資料というのはありますか、一般的に言ってですね。今度は地域に行って、この川はどうなんですと聞かれると、それはどこか所管のところへ行って聞けばいいんでしょうけれども、こういう基準河川の管理、改修計画、そういうものを立てておりますというわかりやすいやつがあると、我々も今後の防災の議論地域地域でやる場合に大変な参考になるわけですね。だから、今応急措置で、例えば現に起こっておる問題ですが、茂木町で川幅三倍に広げましょうと。そこはあんな狭い町で、三倍にも広げられたらまず道路までなくなっちゃうじゃないかと。ただ、今はわあっとやられてみんな頭にきていますから、大変だ大変だとやられているから、それはそれで今では進んでいますよ。今は進みますが、しかし将来計画できちっとしていこうじゃないかという長期展望の議論をしていきますとね、どうなんだろうと。その中でおれたちがいろいろ主張をしたりなんかする場合に、マニュアルを出してもらうと一緒にその地域の人たちと議論できるというふうに思うんですね。あれが川幅が、茂木町に限っての話ですが、三倍にも広がってきていろいろうちを動かしたりすると、いよいよ行くところがないから高みへ行かざるを得ない。そうなったら、こんな町は、どうも酒屋もつぶれちゃった、本屋さんもだめになっちゃった、小さい商店も生活していく上に大変な不便を来すような状況になっちゃったといったら、これはまたさらに過疎に拍車がかかるわけですね。町の存在そのものがどうなるんだろうという議論までいくと思うので、その辺の議論の材料というものが何かあったらいただきたいものだなと、こう思っているわけですけれどもね。
  19. 近藤徹

    説明員近藤徹君) ただいまの御質問に直接お答えできるかどうかわかりませんが、手元に資料がないので若干記憶に頼って申し上げますと、逆川の従前から建設省が補助対象事業として進めてきた河川改修の計画では、これはかなり古い時期に計画したということもありまして、時間雨量二十ミリ程度対応できるという計画で一応進めてまいりました。これは、今先生御説明のように、やはり地域の土地利用等の関係もあって、そのような計画に至ったのではないかと思います。今回の降雨では、時間雨量五十七ミリというふうに聞いておりますから、したがって、雨量強度としては約三倍であったということでございます。したがいまして、我々今回の降雨に安全に耐えられるようにするためには、御承知のような計画地元へ提案しているところと存じます。
  20. 上野雄文

    上野雄文君 重ねて申し上げますが、私は、今やろうとしていることが決定的にだめだとかなんかということを前提にしての議論じゃありませんからね。まあひとつ、あのやろうつまんないことを言ったからというような話にならないようにしていただかないと、これは大変困ることですから、勉強の意味でお尋ねをしたわけですが、対策はひとつ積極的にやっていただきたいなと、こう思います。  それで、ついでにということでは申しわけないのでありますけれども、今度の災害対策で一体どういうふうに対応するかということについて、各省庁ごとに査定をやりながら積み上げをして、激甚災害指定もしてという話は、それぞれにお尋ねをするとわかるような気がするんですね。こっちはお頼みする方ですから、けしくりからぬといたけだかに物を申すというのもどうしても気が引けますから、陳情にならざるを得ないわけですね。そこで、建設省関係で申し上げれば、一体、今度の激甚災害指定もないわけですから、逆川対策についての具体的に見通しも含めてどういうふうにされようとしているのかということを、お考えがあったらお聞かせをいただきたいと思うんです。
  21. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 逆川対策については、二つの方法があると思います。一つは、今回起こりました土木施設災害については早急に査定して対応していくということでございます。同時に、今回の水害未曾有豪雨であったということにかんがみまして、今回のような豪雨が再び発生しても再度災害防止できるように改修を進めていくわけでございます。このことにつきましては、現在再度災害防止を図るための事業として河川激甚災害対策特別緊急事業、略称激特事業と申しておりますが、これの対象として採択を決定いたしまして、地元に通知したところでございます。今後予算の確保に努めるとともに、特に地域の用地取得等において地元協力を得まして、できればおおむね五カ年以内に実施するよう努めてまいりたいと存じます。
  22. 上野雄文

    上野雄文君 農林省関係についてお尋ねをいたしたいと思うんです。昨日お話し申し上げておきましたが、一番目の問題については私の要望という形でお願いをしたわけでありますけれども災害査定の実施状況はどうなっておりますか。農地、農業用施設、それから林道、治山施設それぞれについてお聞かせをいただきたい。
  23. 田内堯

    説明員(田内堯君) 台風十号にかかわります査定についてでございますけれども台風十号が発生した直後におきまして担当官を現地に派遣いたしまして、応急工事復旧の方針及び復旧工法について関係機関を指導してまいったところでございます。被災しました農地及び農業用施設災害査定につきましては、地元におきまして災害査定に必要な準備が整い次第、順次実施しておる段階でございます。  栃木県におきましては、九月八日から既に査定に入っておりまして、おおむね十一月中旬には完了できるのではないかというふうに考えております。また、査定が終了したものにつきましては、順次事業を進めるよう関係機関を指導しておるところでございます。  なお、緊急を要する箇所につきましては、応急工事及び本工事についての査定前着工及び事業費決定前着工などで実施するよう、これにつきましても指導しておりまして、早期に復旧するよう努めているところでございます。
  24. 岡本敬三

    説明員(岡本敬三君) 栃木県におきます林道施設の災害復旧事業現地査定につきましては、既に九月の十日から十三日に第一次の査定を終わっております。第二次の査定といたしまして、二十四日から現在も実施をいたしておるところでございまして、二十七日には完了の予定でございます。また、治山施設につきましては、九月の二十二日に現地査定を完了しております。  なお、緊急に復旧を要する河川につきましては、応急復旧の指導を行いますとともに、早期復旧に努めてまいりたいと考えております。
  25. 上野雄文

    上野雄文君 さらに、農業共済金早期支払いについてどのように対処をされておりますか、それもお聞かせをいただきたい。
  26. 青木敏也

    政府委員青木敏也君) 今回の災害に関連いたしまして、共済金の早期支払いに私ども努めているわけでございます。既に災害直後におきまして、特に現状において全損的な被害状況であるということが客観的に明らかである、そういう圃場関係につきましては、損害額の仮評定を踏まえて共済金の仮払いという実務的な処理によりまして、早期支払いを徹底するということを指導したところでございまして、既に現在時点におきまして、その私どもの指導の線に沿った形で共済金の仮払いを行った組合が現実に幾つかございます。  なお、今後さらに恐らく十月中旬ぐらいの段階では、かなりの組合等におきまして共済金の仮払いができるのではなかろうかというふうに見通している次第でございます。
  27. 上野雄文

    上野雄文君 それぞれの対応について大変なお骨折りをいただいておりまして、改めてお礼を申し上げたいと思うんです。  そこで、これからのことでありますが、まだ補正予算について提案されておりませんけれども、円高対策で内需拡大なんというのを中心にしてやるということでありますが、この間は大蔵大臣の答弁では、これからの災害予定しているので、今すぐまとまったものをお示しするという話にはちょっといきませんと、災害を待っていて、起きたらそれの対策もひっくるめて提案しますというふうに私は聞いたように思うんです。  そこで、それはこれからの話でありますから、じゃ既に起こったものについて一体どういうふうに予算上措置されていくのかというような全貌についてお話しをいただければ、全体の問題として何とはなしに話しやすいなという気分になるんですが、その辺のことについては、今度の補正予算との絡みでどういうふうにしようとされているのか、そいつをお聞かせをいただきたい、こう思います。
  28. 山本重三

    政府委員山本重三君) 災害復旧事業費については、現在、関係省庁において今回の災害被害状況等を見きわめながら、鋭意検討を進めているという段階でございまして、私ども段階では、具体的に補正予算との関係でどういう形で対応を決めたかという結果はまだ伺っておりません。  いずれにいたしましても、今回の災害状況からいたしまして、できるだけ早期復旧が図られるよう関係省庁とも十分連絡しながら必要事業費の確保に努めてまいりたい、かように考えております。
  29. 上野雄文

    上野雄文君 実は、私きょうここで質問をするに当たって、県の災害対策本部がまとめて今までいろんなことを要望しておったりなんかしたやつがあったらそいつを聞きたいし、物によってはさらに推し進めるように要望するからというので、まとめを頼んだわけです。そうしましたら、お役人同士ですから、まあ私は社会党ですけれども栃木県政の中では、そこにいる自民党の岩崎さん、今ちょっといませんが、一緒に県政段階では与党なんです。そこで、まとまったものを全部出してくると。私がここで仮にしゃべるにしても、きょうは社会党の委員ですけれども、県政や市町村政の関係でいったら岩崎さんもひっくるめての質問という格好になってくるのは当然なんですが、ただぴしっとつっついたやつが県の段階でまとまらないで、私なりにもどかしさというものを感じているわけです。それは、やはりお役人同士ですから、折衝をして余計なことを言われたら大変なことになるのではという心配があるんだと思うんですよ。だから、マクロの話で、今度の予算では先生どうなんですかなんという話にしかならぬわけですが、今お話しのように、そのぴしっと決まらぬということになれば、その話すら私らができないというのでは、おまえら何やっているんだという議論にしかならないと思うんですね。だから、努力されるというお話でまとめられれば、しっかりやってくださいと言うしか我々方法がないわけですけれども、もっときめ細かく話ができるようなものを出していただかないことには、おまえ災害対策特別委員会で何のための議論をしているんだということになりかねませんから、言うなら、そういう現場の気持ち、我々の気持ちというものもひとつきちっととらえていただきたいなというふうに思うんです。  最初にお礼を言っておきながら最後に嫌みを言うなんという質問の仕方は私もやりたくないのでありますけれども、大変なお骨折りをいただいておりまして、さらに御努力を賜りますように私からお願い申し上げて質問を終わりたいと思うんです。  ありがとうございました。
  30. 山本重三

    政府委員山本重三君) 私の方からの答弁が抽象的で、先生大変御不満であろうかと思いますが、今回の公共土木施設のそれぞれの被害報告額は伺っております。それは大体二千二百億円余になっております。その報告額を前提に災害復旧事業費としてどのぐらいかかるか、ただいま建設省、農林省からそれぞれ御報告ありましたように、査定を実際に具体的に進めている段階でございます。それによって具体的な災害復旧事業費というものは固まってくると思います。その額の大きさに対応して既存の予算あるいは予備費等々を考えながら今後どういう予算措置を講じていくかということが検討されるということになろうかと思うんですが、今鋭意そういう事業が進められておる段階でございますので、先ほどそういうような御答弁を申し上げたわけであります。先生のお気持ちも十分体しながら、今後関係省庁とも協力しながら努力してまいりたいと思います。
  31. 片上公人

    ○片上公人君 九月一日の防災の日には、東海地震と南関東沖地震を想定した大がかりな総合訓練が総理及び国土庁長官も参加されましてとり行われましたけれども、防災訓練も回を重ねまして、今や国民の防災意識の高揚という点では欠くことのできない一大行事になっておるわけでございます。  防災という面で日ごろの訓練が大変重要な意味を持つことは言うまでもありませんが、一方では、訓練を重ねるに従いまして、住民の意識の中には防災への考え方にも風化現象といいますか、そういうものが起きておるとも伝えられております。また、いざ地震災害発生の場合には、避難するにも、道路に連なっておる車の措置をどうするかとか大きな問題があって、今回の訓練の際にも、判定会の委員の方が車の渋滞でおくれられたというようなハプニングもあったようでございます。  このような状況を考えますと、本当にこの防災対策を進めるためには、なお大きな課題も残されているのではないかと思います。総合訓練を指揮された長官の立場としても、今回種々な感想や反省または御決意等もあると思いますので、防災対策の一層の推進をする長官の所見をまず伺っておきたい、こう思います。
  32. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 防災訓練に私も参加させていただきましたが、災害を未然に防止したり、あるいは被害を最小限に食いとめるというのは、やっぱりいざというときに各人が自分の生命財産は自分で守る、こういう意識が一番大事だと思うんです。そういう意識を高揚するために訓練をやっておるわけでございまして、私もことしは総理と一緒に厚木の六都県の訓練に参加をいたしてみましたが、政府関係の各省庁も非常に熱心にこれに取り組んでおりまして、最近の新しい衛星通信なども使いまして現場との連絡をやったり、大変新しい防災の訓練のやり方もやっておりまして感心してまいったわけであります。また、現場には厚木市を中心にあるいは応援隊を入れまして一万四千人、小学生の皆さん方も出まして、真剣にこの防災訓練をやっておりました。初期消火の訓練とかあるいは炊き出し、現実そのものの訓練をやって、大変真に迫った訓練だなというような感触も得てまいったわけであります。  今、片上先生御指摘のように、調査によりますと、若年者を中心に防災意識が何か薄れておるということも聞いておりますので、防災フェアその他も開きまして、ポスターの展示などもことしやったんですが、防災というとやっぱり火事ということになるんですが、火事のポスターが非常に多いんですね。やっぱり地震とかその他都市災害いろいろあるわけでございますので、それらも含めて今後さらに防災意識が高まるような工夫をぜひして、各人がやっぱり災害というのは怖いものだなというような意識を持ってもらうように一段と工夫して努力をしてまいりたいと、こう考えております。
  33. 片上公人

    ○片上公人君 昨年の七月に長野市の地附山で大規模な地すべりが起きましたけれども、今回またその現場でこの二十三日の夜に土砂崩れがあったと。ふもとの住民百八十四世帯、約五百人が避難いたしました。幸いなことに、斜面の中腹でとまって人や住宅への被害はなかったわけでございますけれども、周辺の住民の不安、これは大変だったと思います。そこで、まず今回の土砂崩れの状況について御報告お願いしたいと思います。
  34. 渡邉義正

    説明員(渡邉義正君) お答えいたします。  今回の土砂崩落でございますけれども、昨年の七月に発生いたしました地附山地すべりの上部の滑落崖の西側斜面の土砂が、九月の二十三日の二十一時過ぎでございますけれども、長さが約二百メートル、それから幅約百八十メートルにわたりまして崩落いたしました。その土砂量は約六万立方メートルというふうに推定いたしておるところでございます。  なお、この土砂崩落でございますけれども、この崩落いたしました土砂は、滑落崖の下に設置いたしておりましたH鋼ぐいの仮設土どめ防護さく等によりまして、その大半は下方への流下を食いとめておるというのが現状でございます。
  35. 片上公人

    ○片上公人君 今回の崩落につきましては、長野県の土木部の方では、亀裂に沿ったもので落ちるところが落ちたんだ、これでかえって大丈夫だというようなお話をしておるようでございましたけれども現地調査しました斎藤信州大学助教授なんかは、土砂崩落の直接原因は今回は雨であるけれども現地ののり面工事が崩落を誘発させた可能性もあるというようなことを指摘しておりますし、この土砂崩れが新たな地すべりにつながるかどうか、これはもう何とも言えないというようなことも新聞で読んだわけでございますけれども、今後さらに大規模な地すべりが発生して大きな災害となるようでは、これは大変なことになると思います。そのようなことが起きないような対策の実施並びに現場での工事の施工等に万全を期し、県等にも適切に指導を行うべきであると、このように思いますけれども、この点についてのお考えを聞かせていただきたいと思います。
  36. 渡邉義正

    説明員(渡邉義正君) お答えいたします。  先生御指摘のように、今回の崩落につきましては、本年五月に発生いたしました滑落崖の斜面の上部の亀裂がございましたのですが、その亀裂に沿いまして不安定でございました土砂が降雨等によりまして自然に崩落をしたものというふうに考えておるところでございます。  なお、二十四日早朝には長野市地附山地すべり災害対策委員会のメンバーが直ちに現場調査を行いまして、その結果によりますと、今回の崩落につきましては地すべり土塊全体の動きではない、滑落崖上部の不安定な土塊の崩落であるということでございまして、私どももそういうふうに理解をしておるわけでございますが、今後の対策につきましては、崩落土砂の排除をまず急ぎたいと。それから仮設防護さくの設置、それから補修というものを速やかに実施いたしますとともに、滑落崖ののり面整形等の恒久対策には万全を期してまいるように県を指導してまいりたいというふうに考えております。
  37. 片上公人

    ○片上公人君 次に、先般の台風十号による災害に関しまして質問させていただきますが、私もさきに大河原先生から報告のありました栃木県、茨城県の災害調査に参加させていただきました。私の立場で問題と思われる点につきまして伺ってまいりたいと思いますので、若干重複するところがあるかもわかりませんけれども、御了解願いたいと思います。  今回の災害は、現地に参りますと、もう確かに聞きしにまさるといいますか、そういう惨状でございまして、被災者の皆様には謹んでお見舞い申し上げたいと思います。  災害からもう五十何日たったわけでございますけれども、行政の方々におきましても、早期査定早期復旧という現地要望には十分対応されているとは思いますけれども、きょうまでどのように対応され、どのような状況になっているのか、改めて御報告お願いしたいと思います。
  38. 帆足建八

    説明員(帆足建八君) 台風十号によります公共土木施設被害額でございますが、九月十三日現在で、十七都道府県にわたりまして、直轄、補助事業合わせまして箇所数で約二万四百カ所、被害額にいたしまして二千二百億円余になっております。  まず、補助災害につきまして御説明いたしますと、緊急に復旧を要する箇所につきましては、直ちに現地査定官を派遣いたしまして、応急復旧工事に関する技術指導を行いまして、既に応急仮工事はほぼ完了をいたしております。災害査定でございますが、九月より開始いたしまして、各県からの申請があり次第実施をしているところでございます。十一月中におおむね完了する予定でございます。それから、早期に復旧を要するものにつきましては、本年度じゅうに完了するよう指導しているところでございます。  次に、直轄河川でございますが、八月の二十二日までにすべての溢水破堤箇所の緊急復旧工事を完了させております。災害復旧に関する現地調査は九月中旬までに完了しておりまして、現在、大蔵省と協議中でございます。また、河川激甚災害対策特別緊急事業によりまして、小貝川ほか十三河川につきまして再度災害防止のための改修を促進する予定といたしております。
  39. 片上公人

    ○片上公人君 この十月に予定されておりますところの補正予算では、災害対策の費用も計上されるようでございますけれども、その規模は公共事業の追加分を含めまして一兆四千億円ですか、と報じられておりますけれども、そのうちの災害復旧分というのはどの程度になるのか。また、ことし発生した災害復旧は、景気対策が今必要となっている折でもありますし、今回の補正で一〇〇%財源措置をして早急な復旧に取り組むべきではないかと、こう思いますが、どのように対応されるのか、明らかにできる範囲で教えてもらいたいと思います。
  40. 山本重三

    政府委員山本重三君) 先ほどもお答えいたしましたように、災害復旧事業費につきましては、現在関係省庁において被害状況等を見きわめながら鋭意検討しているところでございまして、その額については今まだ申し述べる段階に至っておりません。  いずれにいたしましても、先生のお話ございましたように、できるだけ早期復旧が図られるように、関係省庁とも連携を密にし、事業費の確保に努めてまいりたいと、かように考えております。
  41. 片上公人

    ○片上公人君 先ほども報告がありましたように、今回の被害は広範で非常に多額に上っておりますけれども、それだけに復旧に際しましては自治体の財政負担も大変大きくなることが予想されております。例えば先ほど話がありました大変被害の大きかった茂木町では、市町村工事に係る河川道路、橋梁だけでも被害は二十四億六千万、商工業の被害でも四十億円。一方、町の方は過疎の指定を受けておって、町の財政規模が四十億円ほどであると聞いておりますが、このように財政基盤の弱い自治体では、国の財政援助の強化がなかったらどうしても復旧ができない。円滑に進まない。こういう中で、本日激甚指定も受けたわけでございますけれども、特別交付税の配分にも特段の配慮がこれは必要なんじゃないかと、このように考えておりますけれども、どのように配慮されて、またその時期はいつになるかというようなことを伺いたいと思います。
  42. 柿本善也

    説明員(柿本善也君) お答えいたします。  台風号等災害に伴う被災地方団体の災害復旧事業等に要する経費につきましては、その実情を十分調査いたしまして、被害状況あるいはその財政状況等、諸般の事情を勘案いたしまして特別交付税の配分において対処したいと思います。時期といたしましては、十号台風関係は十二月の特別交付税の配分において考慮をいたしたいと思います。
  43. 片上公人

    ○片上公人君 次に、那珂川はんらんについてでございますが、那珂川は国が直轄管理をしている大河川でございますけれども、大都市である水戸市でいまだに堤防がない。先ほども話がありましたけれども、そういう状況には私も行きましてびっくりしたわけでございますが、しかもこの地区はこれまでもしばしば水害を受けておる。今回も大変な水害を受けたわけでございます。今後も水害の防止には堤防の築造を急ぐ以外には方法がないと思うわけでございますが、なぜ今まで無堤といいますか、堤防がないままの状態で今日まで来ておったのか。また、今後の対応方針を伺いたいと思います。
  44. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 那珂川河川改修は、那珂川下流水戸市内等を中心として、宅地化が著しい等、緊急性の高い箇所から順次堤防整備を進めてきたところでございます。しかし、一連区間の堤防整備をするためには莫大な事業費を要すること、さらに市街地における用地取得に当たっては種々の隘路があること等により、必ずしも順調な進捗を見なかったものでございます。  今回の災害にかんがみまして、今後地元協力を得る一方、予算の確保に努め、可能な部分につきましては、激甚災害対策特別緊急事業等により集中的な投資を行い、再度災害の防止を図る予定でございます。
  45. 片上公人

    ○片上公人君 今回の台風十号は、雨台風ということで各地水害をもたらしたわけでありますが、この状況を見ますと、治水対策のおくれというんですか、そういうのを痛切に感じるわけでございますが、資料によりますと、河川整備率というのは大河川でも六〇%、中小河川では二〇%にすぎないと聞いております。しかも、これは大河川は戦後最大雨量中小河川の場合は、先ほども話がありましたように、時間雨量五十ミリに対処をするためのものである、これ以上の雨が降ればもうひとたまりもない、こういう状況でございますから、治水がいかに大事かというのはこれは言われておることでございますけれども、建設省、農水省は来年度から第七次の治山治水計画の発足を予定しているようでありますけれども、どのような規模でどのような事業の進歩を図るつもりであるのか。また現行の五カ年計画ではどのように事業が進んだのかを話していただきたいと思います。
  46. 角田直行

    説明員(角田直行君) 御説明いたします。  第七次の治水事業五カ年計画を六十二年度から実施したいということで作業をしておるわけでありますが、総額十四兆一千億円で三つの柱を立てました。安全で活力ある国土基盤の形成、二つ目が経済社会の発展に向けての水資源の開発、三つ目に潤いと触れ合いのある水辺環境の形成ということでございまして、治水事業を計画的かつ強力に推進するために、ただいま策定に向けて詰めておるところでございます。  なお、現行の六次五カ年計画でございますが、近年の財政事情等によりまして、最終年度であります今年度当初予算までですと、その進捗は七八・九%にとどまっておるという状況でございます。
  47. 岡本敬三

    説明員(岡本敬三君) 第六次の治山事業五カ年計画につきましては、昭和五十七年度から一兆四千七百億円の計画額をもちまして、現在実施をしてきております。最終年度でございます六十一年度までの実施額といたしましては、累計で一兆九百七億円という予定でございまして、最終の達成率は七四・二%と見込んでおるところでございます。  なお、現行の五カ年計画は六十一年度をもちまして終了いたすわけでございますが、引き続き治山事業の計画的な推進を図るため、昭和六十二年度を始期といたします第七次の治山事業五カ年計画を策定する方向で、現在検討中でございます。
  48. 片上公人

    ○片上公人君 水害を防止するためには、河川整備を積極的に進める必要があることは当然のことでありますけれども、それが一気に進まないとすれば、やはり土地利用との調整を図る必要もあるのではないか、このように思います。先ほどの話に出ました那珂川はんらんにつきましても、かつては水田であったところが、それが水戸市の郊外ということで近年開発が進んできた。それがはんらんによって被害を一層大きくしているという状況をつくっているようであります。  現地調査の際も、那珂川のかつてのはんらん実績という図面を見せていただきましたけれども、他の河川でもこのような図面は公表されているように聞いております。しかし、こうしたものをただ公表するだけでは、いささか無責任と言われても仕方がないのではないか。やはり公表するからには、行政としては危険が大きいという確信を持っているわけでありますから、早急に河川改修を進めるか、また開発調整を積極的に進めて災害の防止に努めるのが大切であると、こう考えておりますが、どのような対応がなされておるんでしょうか。
  49. 大久保伸明

    説明員大久保伸明君) 御説明申し上げます。  今先生がおっしゃいますような、市街化をどうコントロールしているのかというお話でございますが、都市計画法にはいわゆる線引きという制度がございまして、市街化を抑制する区域と、それから市街化を積極的に進める区域というふうな分け方をする制度がございます。  その制度の運用に当たりましては、先生おっしゃいますように、そういう出水、湛水の危険の多い区域は原則として市街化区域に入れないというふうなことでの技術基準が決まっております。しかし、実態的に例えば現に市街地になっているところとか、あるいは何年かに一度出水があるというふうな地域につきましては、市街地になっているところについてはなかなかそれを外すというわけにはまいりませんし、また何年かに一度というようなことになりますと、なかなかそこのところについてほかの要請等々が実態的にはありまして、必ずしも水につくところは全部市街化区域に入れないというわけにもいかないという実態も一方ではあるということを、ちょっと御理解をいただきたいというふうに思います。原則的には避けるようにしております。
  50. 片上公人

    ○片上公人君 小貝川堤防決壊についてでございますけれども、今回小貝川明野町と石下町で決壊して大きな被害を与えたわけでありますが、その原因は、先ほども話があるとおり、どこにあるとお考えかということを、一言お聞かせ願いたいと思います。
  51. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 小貝川河川改修につきましては、計画の基本となる降雨につきましては、従前、流域で三日間で二百九十ミリ程度ということを想定して計画を策定して、これに基づき工事を実施してまいりました。今回ほぼ一日で三百ミリを超えるという未曾有豪雨でございまして、これに原因しまして全川にわたって高水位計画高水位を長時間にわたるという異常な出水がございました。このために各所で溢水はんらんしたものでございます。我々としては、今後この計画に基づきましてなお一層河川改修を推進してまいりたいと存じます。
  52. 片上公人

    ○片上公人君 小貝川は最近では五十六年にも利根川の水が逆流したことで決壊しておりますけれども、古くからもたびたび決壊しているようでございます。五十六年の決壊に際しましては、その原因に樋管と堤防との関係が指摘されました。原因調査が行われたはずではありますけれども、今回また決壊が樋管のところで起きておって、決壊原因はただ異常降雨だけではなく、河川構造物と堤防との関係、そして堤防の土質が悪いというような指摘もあるわけでございますけれども、この点についてどのようにお考えか聞かせていただきたいし、いずれにしましても、短期間に二度も決壊しているわけでございますから、原因の究明を徹底的に行うとともに、その結果によっては抜本的に改修の見直しが必要になるんじゃないかと、このようにも思いますが、どういうものでしょうか。
  53. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 今回のはんらんにおきましては、堤防のある区間では七カ所で溢水はんらんをしておりますが、うち二カ所で破堤はんらんをいたしました。  なお、石下町地先の破堤におきましては、その近傍に樋管が存在いたしました。したがいまして、樋管があったということをもってその原因につながるのではないかといういろいろな憶測もあるわけでございますが、小貝川全川におきましては百十カ所に及ぶ堤防横断構造物、樋管等がございます。したがいまして、樋管があったからといって直ちにこれが原因であるとは言えないと存じます。しかしながら、基本的には横断工作物と土とが一体として作用するにおいては十分な配慮が必要だと思いますので、今後なお一層堤防補強等に努めてまいりたいと存じます。
  54. 片上公人

    ○片上公人君 今回の災害は農業や商工業にも大変大きな被害発生させているわけでございますが、これらの方々から低利資金の融資の要望もかなりあると思われます。また、稲につきましても穂出しの直前という大事な時期に水につかっておりますし、農作物被害は相当になると思われます。そこで、低利資金の融資、農業共済金早期支払い等の現地要望にどのように対処をされておりますか、状況の御説明お願いしたいと思います。
  55. 青木敏也

    政府委員青木敏也君) 被災農林漁業者に対します低利資金の融通措置につきましては、今回の災害の態様なり規模、また具体的な被災者からの資金需要等を総合的に勘案いたしまして、冒頭国土庁長官からも御報告がありましたように、天災融資法の発動を考えておるわけでございます。また、そのうち特に被害程度が激甚である宮城、福島、茨城栃木の四県につきましては、激甚法ベースでの天災融資法の発動をするということを考えているわけでございます。あわせまして、今回の災害によりまして経営基盤に著しい影響を及ぼすような被災農家等につきましては、別途自作農維持資金の手当てを考えておりまして、これは天災融資法の発動と連携いたしまして、特に災害枠を設定をしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。天災資金につきましては融資枠二十二億、自作農維持資金につきましては五億程度の枠を考えておりますが、関係県からの資金需要の積み上げの実情にかんがみまして、十分これで資金需要に対応できる、こういうふうに考えております。  それから、共済金の早期支払いにつきましては、御案内のとおり、共済金の支払いは最終的には出来秋の収穫の状況を見て損害額を査定し、共済金の支払いをいたすわけでありますが、先ほどもちょっと申し上げましたが、もう災害時に明らかに出来秋を待たずに全損的なことが客観的に明らかであるというような圃場につきましては、仮評価をいたしまして共済金の早期支払いをするというようなことも踏まえまして、被災農家の共済金の早期支払い要請に対処しているところでございます。
  56. 桐山正敏

    説明員(桐山正敏君) それでは、商工業関係につきましての対応について御説明させていただきます。  中小企業庁といたしましては、八月の災害が起こりました段階で、当面の措置ということで政府系三機関の金融につきまして災害貸し付けということで、金利につきましては通利でございますが、貸し付けの条件等に一段と弾力化を図るということで対応をいたしております。また、関係の県につきましては、中小企業体質強化資金助成制度というのがございまして、これの活用方をお願いいたしております。  それから、御承知のマル経資金でございますが、無担保、無保証のマル経資金、これにつきまして通常の場合よりも弾力的に、これは通常の場合ですと事前の指導等が前提になっておりますが、そういったところはできるだけもう簡易に扱うということで、こちらの活用ということを現在やっております。  さらに、今回、本日の閣議激甚災害指定ということと局地激甚災害ということで、商工業関係につきましては宮城県の鹿島台町、福島県の梁川町、栃木県の茂木町、この三町が指定されますが、この三町につきましては中小企業信用保険の方で災害保証ということで、一般枠とは別枠に特別の枠を設定して被害者の方がお金を借りやすくするということ。それから近代化資金助成法ということで資金の貸し付けを行っておりますが、この貸付金につきましては返済を二年間の範囲内で猶予をする、猶予、延長をいたすという制度。それから先ほど御説明いたしました災害貸し付け、これは災害時の一般のときは通利でございますが、これを今回の激災指定によりまして一事業者当たり一千万円を限度でございますが、三年間六・〇五%、それで特に被害の大きかった者につきましては年三%ということで特利措置を講じるということにしております。  以上でございます。
  57. 片上公人

    ○片上公人君 今回の水害は住宅の被害が相当数に上っておりますが、これは浸水戸数ではとらえられておりますけれども被害額としてはこれはカウントされていない。浸水を受けた家は、壁などはもちろんだめになっておりますし、家具とか畳、皆使い物にならなくなっておる。水戸市などでも見させてもらいましたけれども、たび重なる水害にもう家を捨てて転居する人も出ておると聞いておりますが、ところが、現行の災害対策では、御報告にもありますように、救済措置が伴わないわけでございます。この点、アメリカ等では水害保険制度というのがあったり、我が国でもかつて建設省または国土庁で検討も進められたようでございます。しかしながら、現在まだ存在していないということは問題点も何かあるのかな、こういう気がするわけでございますけれども水害保険制度の検討のあらましと、また、ヨーロッパ諸国等ではこのような制度はどうなっておるのかということを、わかる範囲でお答えしていただきたいなと思います。
  58. 横田猛雄

    説明員(横田猛雄君) お答えいたします。  水害保険制度につきましては、従前から研究を進めてきたところでございますが、なかなか難しい点もございます。  一つには、水害発生する地域というものが地域的に相当偏りが見られるということがございます。そのために、危険性の高い地域のみが保険に加入をする可能性が強いということでございます。さらには、一たび水害が起こりますと、その被害というものが大変に巨額に達する。単独ではなかなか保険制度として難しいという点もあるわけでございます。  その一方で、民間の保険会社によります保険制度がかなりカバーをしてきております。風水害に関しましては、昭和三十四年の伊勢湾台風を契機といましまして、昭和三十六年に住宅総合保険というような名称で民間の保険制度がスタートをしてきておりますが、内容的にも充実をしてきておりますし、相当カバーの度合いが進んできております。建設省といたしましては、このような状況を踏まえまして、水害保険制度につきまして引き続き研究をしてまいりたいと思っております。  なお、諸外国の例でございますが、先生御指摘のとおり、アメリカにおきまして全米洪水保険法という法律がございまして、コミュニティーが洪水保険プログラムに加入をするという制度があるわけでございます。私ども外国の例といたしましてはそのアメリカの制度について承知をしております。
  59. 片上公人

    ○片上公人君 これで終わります。
  60. 下田京子

    ○下田京子君 災害のたびにいつも思うんですけれども、人命と財産を守るのがやっぱり行政の最大の責任じゃないか。今回もまたとうとい人命が失われ、多くの財産が失われた。大変心を痛めております。大臣もその思いは同じだと思うんです。一日も早い復旧をということで、最初にお話もございましたけれども、本日閣議でもって農林水産関係については激甚災害法あるいは天災融資法が適用される、福島、宮城、茨城栃木とお話あって、一応関係者ほっとなさっておりますけれども、建設、公共土木事業等については今後局地激甚指定成るかどうかと、問題も大変多いわけです。  まず、長官お願いしたい点なんですけれども、これは宮城県の場合なんです。農林水産関係だけでも査定官がたったお一人しかいらっしゃらないという中で、五千五百件の対象を見ていかなきゃならないんですね。できるだけ早くに査定を済ませたい。十一月末までに査定を終了しませんとことしの事業に対応できないんじゃないかと、大変心配されております。さっき栃木県にあっては具体的な状況のお話がありましたけれども、そのほかもこの査定の問題、立会人の問題でいろいろ苦慮されておりますので、特別の対応をされたいという点で、各省庁にぜひお声をかけて、万全の対応お願いしたいと思うんです。
  61. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 今回の台風十号の被害は非常に広範にわたっておりました。しかし、先ほど冒頭にもお話し申し上げましたように、各省庁におきましては非常にスピーディーに対処していただきまして、本日激甚災害指定をするに至ったわけでございますが、非常によくやっていただいておると思っております。  今後もこの方針でやってまいりたいと考えております。
  62. 下田京子

    ○下田京子君 査定官の派遣等。
  63. 山本重三

    政府委員山本重三君) ただいま先生の御指摘ございました点につきましては、建設省、農林水産省等、関係省庁と十分連絡しながら、今後ともやはり災害査定が迅速に行われることが非常に必要であると考えておりますので、よくその点は関 係省庁とも調整し、促進してまいりたい、かように考えております。
  64. 下田京子

    ○下田京子君 具体的な問題でお尋ねしたいのは、今回の小貝川の問題です。  これは石下地区堤防決壊なんですけれども、建設省の河川局長おいでですね、特徴について確認をいただきたいと思うんですけれども、まず第一に、今回のこの石下地区の樋門決壊というのは、県の防災事業というか、それにはこういうふうに記されていると思うんです。重要水防区域でありまして、旧河川の上に築堤したもので不安ありという注意事項がある箇所であった。これが一点。  それから二点目には、五十六年の八月に竜ヶ崎市内で起きた災害と非常に似ている。どこで似ているかというと、例えば雨量だとか水の流れがどうかではなくて、つまり水門、樋門付近から決壊した。この点の御確認をしてください。
  65. 廣瀬利雄

    政府委員(廣瀬利雄君) お答え申し上げます。  五十六年の小貝川決壊原因と今回の小貝川原因が類似ではないかというような御指摘でございますけれども、私ども調査いたしましたところ、前回の五十六年度決壊原因と今回の原因は異なっておるというふうに考えております。
  66. 下田京子

    ○下田京子君 私の言ったことについて答えてないじゃない。何言ってるの。樋門の付近から決壊したということ。それがなぜそうなったかという原因のことはまだ聞いていませんよ。それから、ちゃんと県の水防計画の中には旧河川のところにやったところだと書いてある、どうなんだと聞いているの。ちゃんとお聞きなさいよ。
  67. 廣瀬利雄

    政府委員(廣瀬利雄君) お答え申し上げます。  第一点の樋門の箇所から決壊したということは事実でございます。  第二点でございますが、旧河川のところに築堤をした、そこから決壊したということでございますけれども河川というものは低湿地がございまして、それをだんだん堤防をつくることによって水を整え、それで地域を開発してまいりますものでございますので、水の出し入れにつきましていろいろな場所で土地利用に従ってやらなくちゃならぬということになりますと、したがいまして、旧河川敷あるいは河川の流路のところに堤防を築くということもあり得るわけでございます。
  68. 下田京子

    ○下田京子君 私は評価について何も聞いてないのに。県のそういうところにこう書いてある、そうでしょうと聞いております。そうですね。
  69. 廣瀬利雄

    政府委員(廣瀬利雄君) そのとおりでございます。
  70. 下田京子

    ○下田京子君 そういう場所であった。  さあ評価の問題です、先ほどから一生懸命言われている。  そこで科技庁の方で、わざわざきょう国立防災科学技術センターの第一研究部長さん、お越しいただいていますが、小貝川の破堤の水害調査報告というものを、五十六年の問題ですね、五十八年二月にまとめられましたね。このまとめた内容を読ませていただきました。  そこで聞きたい点は、まずこの中でいろいろと詳しく述べられているんですが、一般的に堤防を破壊に至らしめる原因として四つ挙げられておりますね、この中で。その四つ挙げられている中で、特に樋門、樋管の付近の破堤の危険性というのは高いという指摘もされておりますね。古い樋門とか樋管は長い間に漏水やなんかがあって、鉄管やコンクリートでつくられているからといって安心じゃないんだというようなことがいろいろと指摘されておりまして、小貝川の場合にはということで、昭和十年九月、昭和十六年七月、昭和二十五年八月、そして今回の破堤、つまり五十六年の八月、いずれも利根川の背水影響区域の堤防天端幅の狭いところで起こっており、さらに、今回の破堤箇所、これは旧河道の締め切り部でもあったというふうなことが書いてありまして、この樋管、樋門というものについての工作物のあり方だとか、あるいは管理のあり方だとかという点で重大な関心をまとめておると思うんです。  そこで、第一に聞きたい点は、こういう調査結果をもとにして、五十六年の小貝川破堤水害における、その得た教訓が今回の水害にどう生かされていると思うのか、水害との関係では。
  71. 木下武雄

    説明員(木下武雄君) お答えいたします。  どのように反映されているかという御質問でございますけれども、我々はできる限り早くこのレポート、これは五十六年の災害でございますけれども、をまとめまして発表いたしまして、それで関係方面に配って御批判をいただくということをしております。それで、我々の務めというのはそういうわけで皆様に知っていただくということ、これがまず第一のことでございまして、それによってそれぞれ予算措置をなさるとか、設計基準を変えていかれるというのは、これはそれぞれの担当の役所のお仕事だというふうに理解しております。  以上でございます。
  72. 下田京子

    ○下田京子君 今回の決壊とのかかわりについては、どういう御認識を研究者としてお持ちでしょうか。
  73. 木下武雄

    説明員(木下武雄君) 今回の決壊と申すのを、石下町のところの問題について申し上げます。確かに共通している点といえば、樋門と申すのですか、水門と申すのですか、樋門があったということはこれは一つの事実でございます。ただ、だからといって何か非常にたくさんの共通点がある、あるいは、それから一つの大きな結論を導くというところまでは、まだいき得ないんじゃないかというふうに私は思っております。事実、我々の調査でも現在のところそこまではいっておりません。
  74. 下田京子

    ○下田京子君 酷似点はあるけれども、なぜそこの部分が決壊したかとかという点についての調査はまだだと、こういう御認識ですね。
  75. 木下武雄

    説明員(木下武雄君) さようでございます。
  76. 下田京子

    ○下田京子君 としますと、今回の水害と、それから中でなぜその樋門の付近で決壊したかという、ここになるわけです。  そこで、建設省にお聞きしたいんですけれども、五十六年の樋門付近の決壊について科技庁の防災センターが研究者としておまとめになって配付されていて、一般論としてはそういう御認識をお持ちだったと思うんですけれども、建設省としては五十六年の調査、どういうふうにされ、その教訓を今までどう生かしてきたんでしょうか。
  77. 廣瀬利雄

    政府委員(廣瀬利雄君) 五十六年の決壊以来、土木研究所を中心にいたしましていろいろの調査検討をいたしましたけれども、特別このためにという原因は判定できませんでした。といいますのは、先ほど申し上げましたように、五十六年度決壊は利根川の本線のバックが長時間にわたりまして小貝川の方に逆流して、そういう原因もありまして破壊したというような事実でございますので、調査をいたしました段階では既に流失いたしておりますので、その原因を確定することができませんでした。  それから、第二点のお尋ねでございますけれども、その教訓を生かしまして、私どもといたしましては、構造物の設計基準ということにつきまして、やはり樋管部門につきましては漏水のおそれが多うございますのでいろいろの施策をしております。例えばウナギどめをするとか、矢板を打つとか、あるいは締め固めを十分にするとか、そういう工事を設計基準の中でやるように定めておりますけれども、五十六年度決壊にかかわりまして、さらにそれを強化するとともに、堤防を厚くするとか、あるいは矢板をするとか、護岸を追加するとか、それからまた、五十九年度からでございますけれども、特にこれは初めてでございますが、周辺部にグラウト工事をやるというようなことも採用いたしまして、鋭意そういう不安点の解消に努めているところでございます。
  78. 下田京子

    ○下田京子君 なぜ樋門付近から決壊したかという確たる原因調査できずにしてあれこれやって、それが本当に防災の観点になじむんでしょうか。  そこで、これは茨城大学の農業土木の須藤教授が八二年の一月号「日本科学者」という雑誌の中でお述べになっているんですね。河川の専門家としての建設省側が今度の、つまり五十六年の小貝川の破堤の原因わからないと言っていますが、専門家がわからないということは現代の科学技術水準で考えられませんと言っているんです。ですから、なぜ樋門付近が決壊したのか、その原因を土木研究所やら、あるいは防災センターやら、いろんなところがあるんですよね、そういったところときちっとした原因究明もせずして、やれ矢板云々と言っても果たして効果的なのか、この点だけは指摘しておきたい。問題だと。  そこで、今お話しになりましたけれども、いろいろやってきた中で特に五十六年のあの小貝川の竜ケ崎の樋門付近の決壊を教訓として、構造物周辺をグラウト工法でやっていきたいんだというふうなことをやられているお話、私も承知しております。その点でお聞きしたいんですけれども、この点につきましては、今回の決壊の場所、これがA、B、CランクのAランクに私は含まれていたと思うんですけれども、どうだったんでしょうか。
  79. 廣瀬利雄

    政府委員(廣瀬利雄君) 含まれております。
  80. 下田京子

    ○下田京子君 含まれていたけれどもやらなかった、やっておったならどうだったんだろう、これもまた一つ課題が出ました。今のお話なんですが、横断工作物周辺不等沈下対策事業ということで間違いないかと思うんですけれども、五十九年から三カ年計画でおやりになってまいりましたね。これはことしの事業がどうなのかという点では、お聞きしましたら何かよくわからないメモが届いているので改めて確認したいんですけれども、五十九、六十年と二カ年の中で小貝川の場合にはグラウトの実施で河川管理施設という格好でやっているのが三十一カ所あって、うち十二カ所今までやってきた、それから許可工作物という対応の方では、全体で六カ所あるけれどもやったのは一カ所だけだ、こういう話ですね。あとはまだ残っているわけですよね。だから六十一年度の事業でもこれは達成できないと思うんですよ。今後どうされるのか。六十二年度も続けるのかどうか。特に全国ベースでも見ますと、今のグラウト実施が必要だという箇所が河川管理施設では七百六十九カ所あるんですね。それから許可工作物では四百七十八カ所あるんですね。だから、今後何年間でこれをやるんだという点です。
  81. 廣瀬利雄

    政府委員(廣瀬利雄君) お答え申し上げます。  お答えいたします前に、樋門があれば必ずといいますか、相当危険度があって決壊するというようなことでございますけれども小貝川には約百十カ所樋門がございまして、そのうちの一カ所が今回決壊したという事実だけを申し上げさせていただきたいと思います。  それからグラウトのことでございますけれども、三カ年計画でというものは私ども正式に決めたわけではございません。ただ五十九年度から鋭意できるだけ早い機会に完了したいということでやっておるわけでございます。それで、先ほど小貝川の話が出ましたのでお答え申し上げますが、六十一年度におきましては小貝川につきまして重点的に促進を図ることといたしておりまして、これは予定でございますが、九五%の達成を見るように努力をいたしたいというふうに思っております。
  82. 下田京子

    ○下田京子君 箇所、何カ所。箇所と事業予算。
  83. 廣瀬利雄

    政府委員(廣瀬利雄君) 予算は、小貝川につきましては六十一年度、約二十二カ所あります。その内訳ですが、河川管理施設として十七カ所、それから許可工作物として五カ所の計二十二カ所でございまして、予算でございますが、概略三千五百万程度ということでございます。
  84. 下田京子

    ○下田京子君 A、B、Cランクがある中のAランクが決壊したということなんですよ。だから、何度も申し上げますけれども、その樋門というのがどういうふうに大変なのかということの御認識は、私が改めて言うまでもなく知っているんですよ。だから、そこが心配でない箇所だなんということを改めて長々弁明する必要ないです。そういう対応でやっていったのでは、これから同じような災害がまた起こるんではないかということを大変心配しております。  ここで長官に予算の確保の点での御決意をお願いしたいところなんですが、もう一テーマございますので、予算全体の問題については長官に後で最後に決意を聞きたいと思います。  そこで、次のテーマなんですけれども、これは水源水利税という構想を昨年からお出しになっています。ことしは森林・河川整備税という構想でお出しになっておるようですけれども、この問題につきましては、日本共産党の場合にはもう既にこれは昨年国民的な批判のもとで断念したものですから、もうやめなさいよという点で先般も申し入れを行っておるのです。なぜなのかといいますと、もうはっきりしておりまして、それは治山治水の予算を非常に厳しくしてきて予算が足りないと、はっきり言ってここだけだと思うのですよ。そうだと思うのですけれども、林野庁いかがですか。
  85. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 水源涵養等、森林の公益的機能を高めるための各種の予算につきましては、これまでもその確保につきまして十分な努力をしてきたつもりでございますが、最近の国の財政事情等々からなかなか森林の整備等が思わしくないわけであります。まさに森林が荒れなんとすといったような状態もあるわけでございますので、その緊急の整備を図るということで現在森林・河川緊急整備税を検討しているところでございます。
  86. 下田京子

    ○下田京子君 五十七年から六十一年の第六次の治山事業の場合には、閣議決定しているにもかかわらずその進捗率七四・二%と、治水については七八・九%といずれもおくれていると。でも、緊急を要するから特別にお金をもらってやろうやと、こういうことなんですけれども、林野庁、そこで、水道用水は立方当たり二円五十銭でざっと百七十億円、それから工業用水も同じようにざっと百八十億円で、水力発電用水が一キロワット時〇・九円で七百八十億円、その他四十億円で平年度ベース千百七十億円を要求しているという中で、林野庁の場合には十年間にしますと約三千五百億円を特に今お話しになりましたような荒廃林地の復旧整備事業等に充てたいんだと、こういうお話だと思うのですけれども、これは従来の事業でいきますと特別重要水源山地整備治山事業ということで間違いないですね。
  87. 松田堯

    政府委員(松田堯君) そのとおりでございます。
  88. 下田京子

    ○下田京子君 これは、そうしますと、特別新しい事業じゃないんですよね。特に第六次の治山事業計画で全体的に見てみますと、金額ベースを事業量に直しますと二万四千五百ヘクタールなんです。うち五カ年計画でどのくらいやれるかというと、その面積は四千七百ヘクタールで進捗率一九・二%と、こういうことですね。立てといてどれだけその重要なところに金を充てないで削ってきて、荒廃林地を今の中曽根内閣のもとで進めてきたかというのが大変リアルになっているんですよね。そこで、問題は特定財源を使ってその奥地水源林の整備を十カ年間行うんだということなんですけれども、そのかわりに一般の財源による従来の事業はもうおやめになりますよというふうに聞いていますが、そういうことですか。
  89. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 六十二年度以降第七次治山治水五カ年計画を組みたい、このようなことで検討をしているところでございまして、その中でこの森林・河川緊急整備税からいただく財源等も組み込んで事業を進めたい、このように考えているところでございます。
  90. 下田京子

    ○下田京子君 一般財源は振り込むのか振り込まないのか、そこだけはっきりしてください。
  91. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 一般財源も従来どおり、あるいは従来以上に組み込むことを検討しているところでございます。
  92. 下田京子

    ○下田京子君 検討はしているけれども、今の奥地水源整備緊急対策事業のやつは別途でしょう。これは別途でしょう。
  93. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 今、検討しているところでございますけれども、第七次治山治水五カ年計画の中にその財源も含めて検討をいたしているところでございます。
  94. 下田京子

    ○下田京子君 じゃ、森林の公益的機能の問題で聞きたいんですけれども、四十七年十月にまとめたもの、これを五十六年に評価がえしたやつで、森林の持つ公益的機能というので、林野庁の説明によりますと、水資源涵養機能三兆六千八百億円というのがございますね。これに応益分担だと称して今回税金をかけようという構想ですね。
  95. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 四十七年に公益的機能計量化調査を行いましたが、その時点の水資源涵養の機能を金額に直しますと一兆六千億でございました。現在の価格に換算いたしますと、先ほど先生お話のあった数字でございます。このような機能に着目した形の中で事業を行いたい、このように考えております。
  96. 下田京子

    ○下田京子君 それに税金をかけるということなんですが、じゃ水資源涵養機能の評価額の根拠は何かということなんです。これは議論している時間がないんですけれども、林野庁がお出しになりましたのを見ますと、森林土壌の降水貯留能力を基礎にして計算しておりますね。うなずいていらっしゃる。その土壌が母材別にやっているんですが、特に第三紀の堆積岩とか変成岩とか火山岩とか火山灰とかという形でもってそれぞれ貯留量を計算しているんですが、何と皮肉なことにへクタール当たりの貯留量の一番大きいのが火山灰なんですね。二千九十トンになっているんですよ。ですから、火山の噴火によっているその灰が大きく貢献しているという大変皮肉な格好になるわけなんですけれども、そういうものに改めて税金をかけるなんという構想自体が非常に筋が通ってない。  そこで、建設省にお聞きします。まず一つは、建設省もひもつきで明確にどこに使うかということは明らかにしておらないようなんですけれども、この税によりまして農業用は除くと、こうなっているんですけれども、農事用の電力関係は除くのか入るのか、建設省。
  97. 廣瀬利雄

    政府委員(廣瀬利雄君) お答えいたします。  農事用電力について詳細どのようにするのかというようなことはまだ未定でございます。
  98. 下田京子

    ○下田京子君 未定ということは、もしかけられるということになると大変な影響になるんだと思いますが、その辺の計算はなされておりますか、林野庁。
  99. 松田堯

    政府委員(松田堯君) これから検討する課題と考えております。
  100. 下田京子

    ○下田京子君 五十九年の九電力の電灯・電力需要合計がどのくらいかといいますと、五千九億キロワットなんですね。うち農事用電力に該当しているもの九電力合計いたしますと十五億キロワットなんですね。その比率が約〇・三%です。今回の新税で水力発電用水からの徴収額はどうかといいますと約七百八十億円見込んでおります。ですから、それを農事用電力に割合で掛けていきますと約二億三千三百万円になるんです。計算もしておらないで検討しているなんということは全くおかしいと私は申し述べたいと思うんです。  同時に、林野庁、例えば水道用水を使って今はやりの農業で施設ハウス栽培で水耕栽培等が非常に広がっておりますけれども、もしそれらが該当すれば影響出ますね。そこで、林野庁が試算されております国民に与える影響をお示しください。
  101. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 一般家庭にかかわる税負担ということで申し上げますが、水道用水につきましては、おおむね標準世帯月二千五百円から三千円と、地域によって違います。平均二千八百円程度というふうに考えておりますが、今回お願いをいたします税負担で試算をいたしますと、一戸当たり約五十円程度というふうに考えております。また、電気代につきましては、標準世帯で月おおむね七千三百円程度というふうに考えておりますが、これに一月当たり三十五円程度が負担増になる、このように試算しているところでございます。
  102. 下田京子

    ○下田京子君 水耕栽培についての問題についての影響というのはどういうふうにお考えになっておりますか。  もうまとめて聞きます。厚生省がお出しになっている問題で二点、これは建設それから林野両方に聞きます。最後に国土庁長官に御所見を承りたいんです。時間が来ていますのでまとめて恐縮ですけれどもお答えください。  聞きたい点の二点というのは、建設いいですか、通産、厚生それぞれこの問題について疑問を投げかけているのは御承知だと思います。厚生省の言い分は、特に国庫負担等により料金の高騰抑制に努めている水道行政に逆行するんじゃないか、これが一点ですね。それから、水道利用者は既に水源の開発だとかあるいは利用のためのダム負担金だとかで対応している。二重三重の負担になって、これはもう目的税といえどもなじまないし問題だというふうに言われております。この点についてどう考えるかということ。  林野庁は特にさっきの農業用は外すんだということだけれども、外されないで、今言うように農事用電力も該当になるかもしらない、あるいはまた水耕栽培等やなんかにも負担がかかってくるんじゃないかという点が一つ心配になっているんですね。これは外すということを言ってないわけですから、現段階では該当することを想定しているわけです。ということになりますと、同じ農林水産省の中で、そういう形で二重三重の国民への負担をかけている、農民への負担をかけているという点でどうお思いになっているのか、その点をお聞かせください。
  103. 久保亘

    委員長久保亘君) 時間が過ぎておりますから、的確に簡潔に答えてください。
  104. 廣瀬利雄

    政府委員(廣瀬利雄君) 河川事業は水量を安定し水質を浄化する仕事もやっているわけでございます。その仕事をますます一生懸命やろう、財源を充実してやろうということでございますので、水道行政と全く一致しているというふうに認識をいたしております。  それから、第二点でございますが、開発につきまして金を取っているということでございますが、財産権がある部分についてのことでございます。水道だけでダムをつくりますと、自分で負担をし自分で維持管理をいたしますということでございますので、二重負担ではない、かように考えております。
  105. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 今回の目的税は水を利用している方々に受益の範囲内で最小限の負担をお願いをしたい、そういうことで理解をしていただきたい、その努力をしていくつもりでございます。  また、水耕栽培その他に具体的な御質問がございましたけれども、課税対象の採否につきましては水の使用実態等を見ながら検討中でございまして、お尋ねの件につきましては現在まだ未定の部分でございます。
  106. 下田京子

    ○下田京子君 最後に大臣。
  107. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 災害から国土を保全し、国民の生命財産を守るというのは国政の一番基本であります。そういうことで今まで河川改修を初め、治水事業を中心に国土の保全事業を進めてまいっておるところでございます。  いずれにしても、この国土の保全事業というのは膨大かつ長期の投資を要するものでございまして、私どももこれを少しでも推進したいと財源問題を含めていろいろ努力をしておるところでございますが、水を管理する省庁もあれば利水省庁もあると、こういうことですが、同じ政府ですからちゃんと、きちっと整理をして御期待に沿うように頑張りたいと考えております。
  108. 下田京子

    ○下田京子君 私の期待にこたえてください。
  109. 秋山肇

    秋山肇君 私も先日の災害地視察に参加をいたしたわけですが、その中から二、三質問をさせていただきたいと思います。  大河原先生から御報告がありました報告書の中にも書かれておるわけですが、特に茂木町ではごみの後片づけの収集をグランドの予定地に集めてあって、隣に穴を掘って焼却をしてきたわけですが、それぞれの地区でそれぞれの自治体がこのご みの後片づけの問題、人手、機械、それに伴う費用というのが相当かかるわけですが、これに対して国としては国庫補助等はどの程度行うのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
  110. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) 今、先生御指摘ございましたように、災害時にごみ発生いたしまして、それをいかに適正に処理するかというのは大変災害に伴う深刻な問題の一つだと思っております。  今、先生御指摘ございましたように、私ども廃棄物処理法によりまして、そのように災害に伴って発生いたしましたごみについて補助制度を持っております。具体的に申し上げますと、ごみを片づけるに要しました人夫賃でありますとか、あるいは自動車とかダンプとか、そういったものを使いましてごみを処理するわけでございますが、そういったものの借り上げの費用、それからそういった自動車等を動かす燃料費、そういったものがございます。こういったものにつきまして、それに要しました費用の二分の一を国庫補助できると、こういうことになっております。
  111. 秋山肇

    秋山肇君 二分の一補助というのでは、かなり負担が大きく各自治体にかかるなという感じがするんですが、その辺も今度の現地を見てみますと、余りにも量が多いので果たして二分の一でいいのかなというふうに思うわけですけれども、この辺もぜひひとつこれから御検討いただきたいというふうに思うんです。  次に、那珂川が同じくはんらんをしまして、そのときにプロパンガスのボンベが約三百七十本流出をした。ある程度は回収をされているということですが、現在までの回収状況と、これがもし見つからなかった場合に二次災害というようなものにつながるのかどうか。
  112. 工藤尚武

    説明員(工藤尚武君) 今の御質問でございますが、茨城県から聴取いたしましたところによりますと、那珂川流域からこの間の台風十号によりまして三百七十二本のLPガスのボンベが流出しております。そのうち二百六十一本、約七〇%が回収済みでございます。その未回収のものについての安全性でございますけれども、まず、これまで約一カ月半経過しておりますけれども、現在までこれによって何か二次災害が起こったというようなことは発生しておりません。  未回収のものがどういうところにあるかということでございますけれども河川敷または海岸に打ち上げられたものが既に発見されておりますので、未回収のものは大部分が那珂川の川底かあるいは海底に沈んでいるということが考えられるわけでございまして、そうなりますと、LPガスの性状からいきまして、二次災害が起こる心配はほとんどないというふうに、我々もまた県も判断しておるところでございます。
  113. 秋山肇

    秋山肇君 小貝川堤防決壊については今まで御質問がありましたけれども、この二カ所、石下町と明野にあったわけですけれども石下町の方は今下田先生からも質問がありました水門の問題、明野につきましては、ここの現地がたまたまなのかどうか知りませんが、潜り橋という、私は初めてこの潜り橋というものがあるというのを現地説明を聞いてわかったんですが、この潜り橋との関係、またこれが小貝川に、ほかにもまだあるんだそうですけれども、それと全国的に、この間の水害地だけじゃない、それぞれの地区で問題になるんだろうと思うわけで、特に説明を県から聞いているときに、常磐自動車道があったので那珂川があのように水がふえても支障がなかったというような説明も聞いているわけですから、この辺の問題ですね。まず、直接あの堤防決壊につながっていたのかどうかというのとあわせて、これからのこの潜り橋の問題についてお答えいただきたいと思います。
  114. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 小貝川明野町地先の溢水はんらん破堤による災害について御説明いたします。  今回は小貝川全川にわたって極めて水位が高く、計画高水位を約二十五時間と、我々の想像を絶するような長時間にわたって高い水位が続いたという異常出水原因でありまして、全川的に見ればどこが破堤してもおかしくない状況のような事態で発生した災害でございます。特に、明野町の破堤箇所は橋梁のかけかえとあわせて堤防整備することとして検討を進めておったところでございますが、一連の整備には莫大な事業費を必要とするところから、関係者と協議を進めておりまして、現時点では未整備のまま今回の洪水を迎えたものでございます。  今回の災害にかんがみまして、今後とも予算の確保に努め、これらの整備促進してまいりたいと存じます。
  115. 秋山肇

    秋山肇君 当然、原因の場所の潜り橋は今のお答えのとおりだと思いますけれども、全国的にこの潜り橋というのがあるんだとすれば、これは当然前向きに積極的な予算づけを行っていかなきゃいけないというふうに思うわけであります。ぜひひとつその点も、私どもも不勉強で潜り橋なんというのがあること自体、現地に行ったんでいい勉強になったなと思うんですが、ぜひひとつこの辺もお願いをしたいというふうに思うわけであります。  それから、こういう水害災害があったときに個人に補償がないということは、補償の問題は、先ほどの御質問にも難しいということが、水害地が偏るということでお答えがあったわけですけれども、さりとてそれじゃ今のこういう情勢の中で、ことしだけにしても鹿児島にもあったし、また今度の水害地でもこれだけの方々が亡くなられているということを踏まえますと、この問題について何か救済といいますか、補償制度というものを考えなきゃいけないのじゃないかなというふうに思うわけですけれども、この点長官はどういうお考えをお持ちでしょうか。
  116. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 被災されました方々には大変お気の毒だということでございまして、過去の災害時にも議会の中でも皆様方からいろいろとそういう御意見や御心配をいただいておりますが、ただいまのところ自然災害におきましての個人被害というものについては、自力救済というのを一つの原則にいたしておりまして、それについてのあと緊急救助とかあるいは融資、いわば天災弔慰金というような援護、貸し付けとか、いろいろ議会の皆さん方のお知恵も拝借してそういう形を今つくっておるわけです。こういう仕組みを活用しまして、できるだけ個人救済にお役に立つように努力してまいりたいと考えております。
  117. 秋山肇

    秋山肇君 ぜひ私どもも一緒にこの点について考えなきゃいけないなというふうに思うわけであります。  全然違うんですが、長官は昨日、新東京丸にお乗りになって東京の埋立地をずっとごらんになっていただいたということが新聞に出ておりました。埋立地をごらんになられると同時に、東京というものを海側からごらんになられて率直にお感じになったこと、災害が東京にもし起こったらというようなことを含めまして、お考えをお聞きをしたいなというふうに思うわけであります。よろしくお願いいたします。
  118. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 東京は、江戸の時代からいろいろ繁栄してきた場所でございますが、災害に対してのいろいろのやはり知恵というものが働いておるなと。高潮に対する防護をするためのいろんな施設等も考慮されております。しかし、今後予想されます災害に対して十分防災体制を整えていかなければならないな、こういうことを考えました。しかし、東京湾が、あるいは東京湾岸が果たしております機能というものは極めて大切な機能でございますし、これは東京の玄関というより日本の玄関という気がいたします。今後もさらに災害に強い東京湾岸をつくっていかなきゃならぬ、こういうふうに感じました。
  119. 久保亘

    委員長久保亘君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時十八分散会