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1986-12-10 第107回国会 参議院 国民生活に関する調査会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十二月十日(水曜日)    午後一時四分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         長田 裕二君     理 事                 坂野 重信君                 水谷  力君                 吉川  博君                 山本 正和君                 高木健太郎君                 吉川 春子君                 三治 重信君     委 員                 大塚清次郎君                 倉田 寛之君                 斎藤 文夫君                 寺内 弘子君                 中曽根弘文君                 福田 宏一君                 松岡滿壽男君                 及川 一夫君                 八百板 正君                 刈田 貞子君                 矢原 秀男君                 平野  清君    国務大臣        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       近藤 鉄雄君    政府委員        経済企画庁国民        生活局長     横溝 雅夫君    事務局側        第二特別調査室        長        菊池  守君    説明員        経済企画庁国民        生活局国民生活        調査課長     川名 英子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国民生活に関する調査  (国際化に伴う国民生活現状に関する件)     ─────────────
  2. 長田裕二

    会長長田裕二君) ただいまから国民生活に関する調査会を開会いたします。  国民生活に関する調査を議題とし、国際化に伴う国民生活現状に関する件について政府から説明を聴取いたします。近藤経済企画庁長官
  3. 近藤鉄雄

    国務大臣近藤鉄雄君) 国際化等進展が見られる国民生活現状について、昭和六十一年度国民生活白書に即し、御説明を申し上げます。  我が国は、良好な国際環境のもとで高度成長期中心として高い経済成長を遂げ、国民生活消費水準が大幅に上昇するなど、大きく向上してまいりました。しかしながら、こうした状況は最近大きく変化をしております。消費面では、大量消費時代を経て個性豊かな消費活動を通じ生活質的向上を図る時代へと移行しており、近年では消費高級化多様化等が顕著になる中で、消費者の嗜好がとらえにくくなっております。また、我が国経済的地位が高まる中で国際化進展しており、近年では経済摩擦背景として諸外国との比較で、住宅労働時間等日本社会状況も問題にされるようになっております。  こうした状況下、今後国民生活の一層の充実を図っていくためには、高度化多様化する消費者ニーズが円滑に充足される環境整備し、消費拡大を進めていくとともに、国民生活国際化への対応を進めていくことが極めて重要であります。  本年度の国民生活白書は、以上を踏まえまして、「世界に開かれた豊かな生活を求めて」という副題のもとに、国民生活現状課題について分析しておりますが、具体的内容については国民生活局長及び国民生活調査課長から説明させていただきます。
  4. 長田裕二

  5. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) それでは、今年度の国民生活白書についてその概要を御説明申し上げます。  今大臣が申し上げましたように、消費の問題と国際化国民生活の問題、その二つを取り上げておりまして、目次をごらんいただきたいと存じますが、第一章が「消費実態」、第二章が「国際化国民生活」という二本立てになっております。  まず、第一章から要点を御説明申し上げますが、ずっと目次をごらんいただきながらお聞き取りいただきたいと思いますが、第一節につきましては、最初に、六十年度、昨年度の家計所得消費動向分析しておりまして、特に注目されますのは、昨年度、勤労者世帯平均消費性向がかなり落ちたということでありまして、この目次で言いますと、第一節の二の「勤労者世帯消費動向」の次に「低下幅を広げた消費性向」と書いてある、この辺がポイントかと思います。消費性向が五十九年度の七八・六%から六十年度は七七・一%とかなり大幅に下がっております。  その要因でございますけれども、五十九年度までは契約的・義務的貯蓄といいますか、ローン返済とか保険料とか、そういうのが貯蓄に含まれておりますけれども、それがふえるために貯蓄率が上がって消費性向が落ちるという格好だったのですけれども、六十年度につきましては、そういう契約的・義務的貯蓄ではなくて自由裁量的な貯蓄増加によって消費性向が下がる、貯蓄率が上がるという現象が見られたわけで、これはちょっと昨年度の特徴でございます。その理由といたしましては、昨年度は、恒常的な所得ではなくて変動所得がかなりふえたということが要因と我々は見ておりまして、それは将来の生活に備えるというような予備的動機による貯蓄増加と見ているわけでございまして、変動所得がふえたというのはかなり一時的な要因でありまして、消費意欲そのものが大きく落ちたとは考えておりません。  それから次に第二節でございますが、「消費構造変化とその背景」ではやや長期的に消費構造変化を見ております。  一つの関心事は、第二節の一、「長期的にみた消費動向」のところの、目次の次のページの一番上に括弧書きで「(高まる自由裁量的消費性向変化とその背景)」と、こう書いてあるところあたりがポイントかと思いますが、世上消費飽和説ということが言われて、もう買うものがない、だから消費性向が下がるんだろうというような説がございますけれども、後で課長が詳しく御説明出し上げますが、消費性向の中を少し分けて自由裁量的消費性向というような概念でちょっと分析してみますと、これは最近上がっておりまして、やはり基本的な消費拡大意欲というのは衰えていないというふうに見たのが我々の結論でございます。  それから、第三節は、「多様化高級化する消費」という題になってございますけれども、最近よく消費が見えなくなったということが言われまして、消費動向特徴がよくわからないということが言われますけれども、その辺にポイントを当てて分析したわけでありまして、一つは、二番目に「多様化する消費構造」と書いてございますが、消費多様化が進んでいるという実態分析しております。ただ、これは家計によりまして多様化ができる世帯とできない世帯がありまして、やはり中年層自分の家で大学へ行っている学生を抱えているとか、あるいは住宅ローン返済を しているとかいう世帯においてはなかなか多様化が進んでいないという事実も指摘しております。  それからもう一つ特徴は、この三番目の「消費高級化実態」、消費高級化高度化しているということでありまして、これは所得伸びが緩やかでございますので何でも高級化というわけじゃないんですが、ある面で消費を節約しながら他の面で高級品を買うという、いわば一点豪華主義括弧がついている中では一番下のところに「(一点豪華主義がもたらす高級化)」ということが書いてございますが、そんな感じの購買構造が見られまして、それは高所得層に限らず低所得層においてもそういう高級品を買って生活彩りを添えるというか個性的な生活をしているという実態がうかがわれます。しかし、やはり住宅が狭いために物が買えないということも分析の中で明らかになっておりまして、空間飽和説といいますか、住宅一つのネックになってなかなか高級化多様化がほかの世帯に比べて進まないという面もございます。  それから四の「多様化する消費者ニーズ」でございますけれども、例えば次のページの一番上に「(機能品質志向デザイン志向)」というのが括弧書きで書いてございますが、要するに機能とか品質というのは消費財実態性能に即する特徴でございますけれども、そういうのを大事にするという、そういうものを買うという性向とともに、他方ではそれと逆に、性能はともかくとして見た格好がいい、色がいいとかデザインがいいとか、そういうものを買うという、いわば対極的な消費ニーズというようなものが見られまして、同時に違う方向の対極的な消費ニーズというのがいろいろあらわれているという実態分析しておりまして、それも一種の多様化の姿かと思います。  このように、緩やかな所得伸びの中で消費者生活を個性化する、彩りを添えるという工夫をいろいろしているという実態が明らかにされているかと存じます。  第二章は、「国際化国民生活」というテーマでございまして、国際化という観点から国民生活分析するのは新しい切り口でありまして、なかなか他に参考になるようなものもございませんので、やや、これで完成品というよりは、いろいろ資料を整理いたしまして問題提起をしているというような性格もあろうかと思いますけれども、かなり丁寧にいろんな側面について事実の整理をしております。  まず第一節は、「進む国際化とその影響」ということで、日本における生活にかかわる国際化進展状況を見ております。  それから、ちょっと飛びますが、第四節が「国際化の意義と今後の課題」ということになっておりますが、その一で、「諸外国との比較でみる我が国国際化現状」というのをやっておりまして、その両方あわせて見られることを簡単に申し上げますと、物とか人とか情報等国際化、要するに国際交流状況を見ますと、日本国際化というのは急速に進んでおりますけれども、その国際化水準自身先進国と比べますとまだ低いということが一つ言えるかと存じます。殊に、物とか情報に関する国際交流はかなり進んでおりますけれども、人の面での国際交流というもののおくれが目立っておりまして、ここで挙げておる例でいいますと、旅行者とか留学生受け入れなどは外国に比べてかなり見劣りするということがございます。なお、登録外国人の数を見てみますと、日本では総人口の〇・七%が登録外国人の数でございまして、しかもその八割は韓国、朝鮮系の戦前からおられた方であります。ですから、それ以外の日本に長期滞在する外国人の数は非常に少ないということであります。他方、アメリカとかヨーロッパ諸国を見ますと、大体全人口の六、七%は外国人が住んでいるというようなことがありまして、そのことが直ちに外人をどんどん自由に日本に住めるようにすべきかどうかという議論にはつながりませんけれども、人の面での受け入れ大分日本は違うというこれも一つの例かと存じます。それから、物や情報におきましても、物は輸出超過であるとか、情報輸入超過であるとかいう、そういうアンバランスがあることも御存じのとおりであります。  それから第二節でございますが、「国際化国民意識」ということで、国際化に関する国民意識分析しております。  経済企画庁調査によりますと、国際化に対して日本人は、一般論としては国民は好意的な態度をとっていると見られます。しかし、情報の面とか人の面では、海外旅行といったような短期的な移動に関する面では国際交流がふえることに対して日本人は好意的なんですけれども、外国人労働者受け入れとか、外国人と結婚するとかいうようなやや長期的な人の面における交流にかかわるものについては好意度は低いという国民意識が出ております。それから自分みずからについて、老後外国に住むとか、あるいは子供を連れて外国に勤務するとか、あるいは外国人留学生を下宿させるとか、そういうことについて抵抗感を持つ人も過半を占めるというような状況でございます。  以上、二つのことから類推されることは、かなり国際化進展しておりますけれども、やはりやや受動的、閉鎖的な面も残っておりまして、GNP一割という国際国家日本という現段階において、そういう局面においては、さらにその段階にそぐうような国際化内容にしていくためには体制の整備とか国民意識の変革とか、そういうものが必要ではないかなという印象を受けます。  それから第三節でございますが、「国際比較でみた我が国の暮らし」という題になってございますけれども、これはそういうGNP一割というような世界一つ経済大国になった日本のそういう国際的地位にふさわしいような国民生活内容になっているかどうかということを国際比較したわけでございまして、いろいろ先進国並みあるいはそれよりすぐれている面がございますけれども、他方では、例えば食料品の価格とかサービス関係とかいうものの値段が高いとか、住宅の事情が劣っているとか生活関連社会資本整備がおくれているとか、あるいは労働時間が先進国に比べて長いとかいうような面も浮き彫りにされておりまして、これらを改善していくことが国民生活そのもの向上するためにも必要でございますし、日本人が真に国際人としての意識国際化に対応していくためにも、こういう国際的に劣っている面を充実していくことが大事ではないかと考える次第でございます。  以上のような認識を踏まえまして、「世界に開かれた豊かな生活を求めて」という副題で取りまとめたわけでございます。詳細につきましては、川名調査課長からさらに説明をしてもらいたいと思います。
  6. 長田裕二

    会長長田裕二君) では次に、補足説明を聴取いたします。川名国民生活調査課長
  7. 川名英子

    説明員川名英子君) 今局長説明したのをもうちょっと詳しくお話ししたいと思います。  まず、第一章「消費実態」のところ。一節では「六十年度の家計所得消費動向」ですが、三ページからでして、六十年度の家計消費は一般的には着実な増加を示しました。けれども、勤労者世帯では消費性向低下幅を広げたために伸び悩みを見せたわけです。そこをもう少し詳しくここでは分析しておりまして、十一ページのところからなんですが、十三ページのI―1―4図を見ていただくとわかりますけれども、一番上にあります平均消費性向は、五十七年をピークにしまして、五十八、五十九、六十年と下がっております。特に六十年度は低下幅を広げております。この背景を探るために、消費生活水準を維持するために必要な必需的消費支出、それから割合自由裁量度のあります選択的消費支出二つに分けます。それから、貯蓄も契約的・義務的貯蓄、つまりこれは住宅ローンがほとんどですが、こういう貯蓄と、あと自由裁量的な貯蓄、こう二つに分けて見てみたいと思います。  まず、五十七年から五十九年を見てみますと、 必需的消費効率化を図っております。契約的・義務的貯蓄は少しずつ上がっております。自由裁量的貯蓄は横ばいかちょっと増加ぎみといいますか、それから選択的消費支出は高めております。家計消費意欲をどういうふうに考えるかというのは、いろいろ意見もありますけれども、ここで自由裁量的消費性向、つまり自由裁量的な消費と自由裁量的な貯蓄、それだけで消費性向を考えてみて、これを消費意欲と考えようとしているんですけれども、その動きを見ますと、五十七、八、九年は平均消費性向は下がっておりますけれども、自由裁量的消費性向というのは上がっております。  ちょっと飛びますが、四十ページのI―2―3図、これで見ますと、実線で書いてありますのが平均消費性向で、これは七、八、九、六十年と下がっておりますが、自由裁量的消費性向は五十七、五十八、五十九と上がっておりまして、六十年は下がっております。この間平均消費性向が下がりましたのは、契約的・義務的貯蓄が上がったために下がったのでして、生活の質の向上につながる消費意欲は五十九年までは下がっていなかったと考えられると思います。  それでは、六十年はどうかといいますと、ここでは必需的消費支出効率化をもっと高めました。契約的・義務的貯蓄は今まで上がっていたんですけれども、これが少し下がっております。選択的消費支出も、これも上がっていたんですけれども、やや下がりました。それから一番大きく変わりましたのは自由裁量的貯蓄が上がっています。そのために消費意欲をあらわしております自由裁量的消費性向というのは低下しておりまして、これは五十九年度までとはかなり違った動きを示しております。  この変化背景としまして所得を考えてみますと、六十年度は所得は堅調に推移したんですけれども、その中で変動所得が高い伸びを示しまして、恒常所得は低い伸びだったということが挙げられるわけです。これの実収入に占める割合を見たものが十五ページのI―1―5図でして、これで見てもわかりますように、恒常所得というのは六十年はここ数年になく割合を下げております。また変動所得はここ数年になく上がっております。  それで、先ほど契約的・義務的貯蓄というのが下がったと言いましたが、その変動要因を見ますと、これは十六ページの下のところですけれども、恒常所得割合が減ったために契約的・義務的貯蓄率が下がっているわけです。また、自由裁量的貯蓄が上がったと言いましたが、これは上の(1)ですが、変動所得伸びたためにこれが伸びているということがあるわけです。  この分析から、六十年度の消費性向低下というのは、変動所得割合が大きく増加するという、ここ数年にない動きがあったために所得増加したんですけれども、その増加分を主として貯蓄に向けられた結果と考えられるわけです。つまり、消費意欲というのは低下したんですけれども、その主な原因は、自由裁量的貯蓄が大幅に増加したためです。ですから、ここでは選択的消費支出生活向上を求めるものと考えておりまして、この低下はほんの少しですので、生活質的向上を求める消費者志向余り変化はないと考えられるわけです。  消費性向が六十年度下がったんですけれども、それを年齢別に見てみたものが十九ページでして、五十九年、六十年を比べておりますが、これで見ますと、ほかの年齢層でもそうですが、特に六十歳以上の平均消費性向低下が大きいです。  また、ほかのところで言いましたように、必需的消費支出効率化を高めまして自由裁量的貯蓄増加させたのは、これも年齢別に見たものが二十ページにあります。これで見ますと、一般的にそうなんですけれども、やはり六十歳以上のところで今言った特徴が顕著でして、必需的消費支出もかなり下がっております。また、自由裁量的貯蓄は五十九年は取り崩していたんですけれども、六十年は積み増しているというようなものがあります。  また、その貯蓄の目的を見たものが二十一ページですけれども、全体で見ますと六十年で予備的動機というのがかなりふえております。これを年齢別に見たものが②にありますが、高齢者層予備的動機がかなり高くなっております。このように高齢者中心として貯蓄率の上昇、つまり消費性向低下が見られるということは、必ずしも安定的な家計運営が行われているとは言えないのではないかと思うわけです。以上が一節ポイントです。  二節、三十五ページぐらいからなんですけれども、ここでは「消費構造変化とその背景」で、高度成長期以降の消費構造変化分析しております。消費構造変化、ここでは三つ挙げております。  必需的消費支出選択的消費支出がありますが、選択的消費支出割合が大きく高まってきたことを挙げております。四十二ページの表の一番下にあります選択的消費支出、これは三十四年時点で消費支出弾性値が一以上のものとしたんですが、これは三十四年で四五%、五割以下でしたが、五十九年になりますと六〇%以上になっている。つまり、選択的な消費支出がかなりふえてきているということ。例えば費目別に見ましても、食料費割合は減ってきておりますが、下の方にあります選択的な費目であります交通通信とか教育とか教養娯楽、その他の消費支出、こういうものは割合をふやしております。つまり、選択的消費支出がふえてきたということです。  二つ目変化としまして、選択的費目必需化傾向必需的費目になる傾向があるということです。これは四十四ページですが、これは各年ごとに、五年ごとですが、各年ごと消費支出弾性値を計算したものですが、例えば米類などは三十四年からずっと一よりも下ですので必需的消費支出なんですが、食料のところの肉類とか乳卵類などを見ますと、三十四年ぐらいは一以上、つまり、これは選択的なもの、高所得者層だけが買えたものなんですが、五十九年になりますと一を切りまして必需的なもの、かなり一般化したものとなっているわけです。食料でいいますと、下から三番目の飲料などもその傾向があるわけです。それから、光熱・水道のところで、ガス代などは三十九、四十四、四十九までは選択的なもので、かなりぜいたくなものだったんですが、五十四、五十九になりますと一を割って、五十九になりますと〇・四三で、ほぼ米類と同じぐらいに必需化したということが言えます。  それから、次のページ被服、履物などはこれは昔も今も選択的消費、特に和服は選択的な傾向を強めているものと言えます。それから、一番最後のその他の消費支出ですが、交際費というのは前は選択的、ぜいたくなものでしたが、最近は必需的なものになっております。仕送り金というのは相変わらず選択性の強い支出になっております。つまり、二つ目の項目としましては、選択的費目必需的費目に変わっているということが言えまして、これはかつて高価な、庶民には手が出せなかった商品が広く一般化したために消費高度化した結果であると言えると思います。  次に、三番目の構造変化としましてサービス化がありまして、サービス化の中が高度化しているということですが、四十七ページのI―2―4図でして、その①の方は消費の中でサービス消費がふえてきたということを示しております。また、そのサービス支出内容を見たものが②でして、その中で被服関連ですとか地代、家賃という、こういうサービスの中の必需的なものは減ってきておりますけれども、サービスの中で選択的なものがふえている。外食ですとか交通通信サービスとか月謝類、こういうものはふえてきておりまして、つまり、サービス化の中でもやはり高度化しているということが言えると思います。  ここではこの三つの消費構造変化を挙げておりまして、それではその消費構造変化を担ったのはだれかが次のところですけれども、まず、その消費構造を長期的に収入階層別に見たものが五 十ページにあります。先ほど必需的な消費割合が減って選択的な消費割合はふえたと言いましたが、その必需的な消費の代表としまして食料を見てみますと、その減り方は第一階層所得階層一から五まででして、第一階層、低所得層食料費割合が減っていることが顕著です。また、その一番下の段の真ん中にあります選択的費目であります教養娯楽では、やはり第一階層で、一番低所得層でその割合伸びております。つまり、低所得層消費高度化動きがより大きいということが言えまして、そのために高所得層と低所得層での消費構造の格差は縮小してきていると言えると思います。  次に、単身者普通世帯とを比べてみたものが五十四ページにありまして、先ほどの選択的費目がふえたとかサービス支出化しているというのを普通世帯単身者世帯で見ますと、やはり単身者世帯の方でその割合が顕著です。例えば必需的消費支出を見ますと、普通世帯ではその割合が五四%のところ、単身者世帯では少なくて四〇%でして、特に若い人の単身者で三八%ぐらいで、それが顕著です。また、サービス支出がふえてきたんですが、普通世帯では三五%ですけれども、単身者では五八%とかなり多くなっておりまして、こういう選択的消費支出増加とかサービス支出増加という消費構造変化単身者世帯が先駆けていると言えると思います。今はそれほど多くないんですけれども、今後単身者世帯割合は高まると予想されますので、その動向が注目されているところです。  三節、六十五ページぐらいからですけれども、まず多様化する消費構造説明したいと思います。最近、消費多様化が各方面で言われているんですけれども、それではどんな費目多様化しているかを見まして、その後どんな世帯多様化しているかを見ることにします。  ここでは費目別に見ておりまして、それが七十三ページ、I―3―2図に出ておりまして、このとき多様化というのは、ばらつきというんですか、標準偏差で見ておりまして、この標準偏差が高い方が多様化している費目と考えますと、一番多様化している費目はその他の消費支出、次が食料交通通信、住居、教養娯楽、この順序になっております。ですけれども、二番目の食料というのはこれは必需的な消費支出でして、これは家族の人数ですとか可処分所得に関係がありまして、世帯意識して多様化させているものではないわけです。また、住居につきましても、家族の数とか持ち家であるとかないとか、それによっていろいろばらつきがあるわけでして、これも意思によって多様化しているものではないわけでして、みずからの意思で生活彩りを与えようとして多様化させているものは、やはりその他の消費支出とか交通通信とか教養娯楽のような選択的費目多様化が行われていることだと思います。これが費目です。  次に、どういう世帯多様化が行われているか、それを所得階層別に見ましたものが七十五ページでして、これで見ますと、第一分位から第五分位でありまして、縦に費目がありますが、この四角で囲んでいるところが多様化している費目というわけです。まず、第五分位を見ますと、四角で囲んでおるところは非常に多いわけで、高所得層でやはり多様化が進んでいると言えるわけです。ですけれども、第一分位、一番低い所得層では全く多様化していないかというとそうでもなくて、幾つか多様化しております。ですけれども、その費目を見ますと、冷暖房用器具ですとか履物ですとか、自動車を買うんじゃなくてその維持費ですとか、そういう割合に手ごろな出費で済むもので多様化させて生活の満足を得ていると想像できるわけです。それから、住宅ローンがある家とない家とを比較しますと、ない家の方がずっと多様化している。つまり、かなり家計が余裕のある家で消費多様化が進んでいるのではないかと思うわけです。  それから、世帯別に見ましたのが七十六ページでして、例えば若者世帯昭和一けた世帯を見ますと、縦に引いてある1のところが平均なんですが、それで見ますと、若者世帯の方では、教育とかその他の消費支出では多様化しておりませんが、外食ですとか洋服とか自動車みたいなところで多様化しております。また、中年層では、外食などは多様化しておりません。自動車も多様化しておりませんけれども、教育など、これは私立に出すか公立に出すかで多様化せざるを得ないというところで多様化しているわけです。それから、その下にあります高校、大学生があるかないかですが、これは明らかに大学生のある家では教育にとられますのでここで多様化しておりますが、それ以外のところでは多様化できないというような感じがありまして、つまり多様化というのはいろいろ行われていますけれども、高校、大学生のいる家とか住宅ローンのある家ではほとんど多様化が見られないということが言えると思います。  次に高級化ですけれども、いろいろなものの高級化の形態が見られますが、どういう家庭で高級化が見られるか。ここではネクタイを例にとって見てみたんですけれども、それが八十四ページにありまして、全体で見ますと可処分所得の高い家とか、純金融資産、貯金のある家ですとか、ホワイトカラーですとか、大企業に勤めている家、こういう家で高級品、高級なネクタイを買うということが言えるんですが、年齢別に見ますと、若い方ではホワイトカラーで大都市に住んでいる人、そういう条件の人だけが高級品を買っております。また、中年層、五十代では可処分所得が高いとかホワイトカラーの人が高級品を買っておりますけれども、高校、大学生のいる家ですとか、配偶者が仕事をしている家では高級品を買う傾向が少なくなっております。  それからあと、多様化のところで消費ニーズが対極するものが同時多発的に起きているという説明局長からありましたが、その一つの例としまして手軽さ志向と手間志向というのを説明してみたいと思います。  これは一般的には日常の作業を軽減させる方向にあるわけなんですけれども、特に最近女性が社会進出しましたり、核家族化してきましたので、家事労働が軽減化したり、短縮化のニーズが強いわけでして、それが例えば百ページですが、調理食品の食料費に占める割合がかなり上がってきておりますし、即席めん、即席ラーメンの生産量もかなり上がってきております。それとは反対にもっと手間をかけようという対極的なニーズもありまして、例えば自分の家を自分でつくるというようなニーズでして、その道具、材料を売っておりますホームセンターの売り上げが伸びております。また、毛糸を買ってきて自分でつくろうというような志向もありまして、毛糸の購入量もふえてきている。それ以外にも活動志向とのんびり志向とか、学習志向と遊び志向、こういういろいろな対極的なものが出てきていると言えます。これが消費でございます。  次に、第二章国際化のところを説明したいと思います。  百十ページからですが、まず一節、ここでは国際化現状を物、人、情報について見ております。  まず物ですが、物は衣食住について見ております。  食生活ですが、百十八ページぐらいから書いてありますけれども、食料品の輸入は年々拡大してきております。ここ五年間の平均で見ますと、日本世界最大の食料品純輸入国となっておりまして、その結果、食用農産物の輸入依存度は五十九年で二九%にもなっております。それは百二十一ページを見てもわかりますように、特に大豆、小麦の海外依存度は高くなっているわけです。また、野菜とか果物を見ますと、外国品が消費者ニーズに合ったことなどもありまして、国内で生産が始まっているものもあるわけです。  次に衣生活なんですけれども、この輸入額もかなり増加しておりまして、その内訳を見たものが百二十六ページにあります。これはヨーロッパの方とそれから近隣諸国からの方とに分けてありま して、つまりこれで見てもわかりますように、高価格品はヨーロッパから多くなっておりまして、一方近隣諸国からはファッション性が少なく低価格品が多くなっております。つまり、我が国の衣料品輸入というのは二極化しているということが言えるんではないかと思います。  次に、住生活ですけれども、木材の需要に占める外材の比率は六四%と、かなり高くなっておりまして、これは国内の森林資源が生育途上にあるために依存せざるを得ない状況を反映していると思います。また、住宅工法の面ではツーバイフォー工法というようなものが入ってきておりまして、まだ少ないんですけれども、増加してきていると言えます。ですけれども、耐久消費財の輸入は日本の製品が優秀であることもありましてまだわずかになっております。  それ以外にライセンス生産の紙おむつとかカミソリみたいなものが入ってきておりますし、飲食業分野でも外資系の企業の進出が見られます。このようにライセンス生産や外食産業への外資系企業の参入は、合理的で簡潔ないわゆるアメリカ型の生活様式を志向する国民ニーズに合致したために急速に増加したものと思われるわけです。  これが物の国際化でして、次に人の国際化を見ます。  外国旅行者数を見たものが百三十二ページ、II―1―10図にありまして、急激に増加しております。このうち大半が観光目的なんですけれども、この中でも二十代を中心とした若い女性の増加が顕著です。最近では高齢者海外旅行もふえておりまして、これは海外への観光旅行は国民の余暇活用の一つとして普及してきたんではないかと思います。反対に訪日外国人数ですが、それは下の方にありますけれども、四十五年以前は出ていく人より入ってくる人の方が多かったんですが、最近はまだまだ出ていく人の方が多くて入ってくる人はその半分以下でして、日本は人の面では出超傾向、つまり出る方が多いということが言えます。  それ以外に企業の海外進出も活発化しておりまして、それに伴いまして海外在留邦人子女数とか帰国子女もふえておりまして、そのために教育とか就職が大きな問題になってきておりますし、また帰国子女もいじめの対象になることもあると見られております。  それから、就業している外国人の数は十年前に比べれば増加はしてきておりますけれども、まだ少ないものとなっております。あと、留学生増加してきております。受け入れはかなり伸びてきておりますけれども、ほかの国に比べると低い水準にあります。  情報・文化ですが、文化を生活様式としてとらえてみますと、生活様式の国際化というのはアメリカを中心としたいわゆる「欧米文化」化であったと言えまして、そういう意味で生活の洋風化という形で欧米の文化が暮らしの中に浸透してきておりまして、生活様式は国際化されていると言えるのではないかと思います。  これが一節現状です。  あと意識ですが、これは企画庁の国民生活選好度調査、ことしの六月にやった結果をもとにして分析しております。国際化進展に対する認識は、ほぼ現在の国際化状況を反映したものとなっております。国際化意識するときにどんな国を意識しているかといいますと、西側先進国とか、ソ連・東欧とか、アジア諸国、そんなものを例に挙げておりますけれども、圧倒的に西側先進国を思い浮かべる者が多いということでして、アジア諸国との交流は深まっていることを考慮しますと、アジアに対する関心は低いと言えると思います。どうして西側先進国ばかりを意識するかですが、まず考えられますのは、西側先進国の物や人が我々の目につきやすいということ。第二には西側先進国日本人がまだキャッチアップしようとする意識が強くて、日本人の興味が欧米に集まっているからではないかと思うわけです。  それでは、あと、好意度とか抵抗感なんですが、大体半分以上の人が国際化進展に対して好ましいと思っております。ですけれども、項目別に見るとかなり違ったところがありまして、情報ですとか観光客ですとか旅行者、そういう短期の人の移動については好ましいとしている人が七〇%以上、七割以上になっております。それから、物の分野につきましては四、五割の人が好意を持っています。ですけれども、外国の勤め人とか、外国人と結婚するというような長期的な人の移動に関するものに好意的であるのは三割弱と非常に少なくなっております。それから、日本社会は外国人に対して閉鎖的であると思っている人はやはり五割以上おります。ですけれども、ほかの調査と考え合わせますと、閉鎖的であることは認めておるんですけれども、それが国際化進展に障害になっていることも認識しているということが言えます。  それからあと、自分自身の生活に関する国際化に関しての抵抗感なんですが、百七十ページを見ていただくとわかりますけれども、老後を外国で暮らすとか外国人との結婚、子供を連れて海外転勤するというのがあるんですが、これで見ますとかなり高い抵抗を示しておりまして、老後を外国で暮らすことに対する抵抗は八〇%以上ですし、子供を連れて海外転勤というのは七〇%以上になっております。また、男女で見ますと、女性の方が抵抗感が強く、年齢では高い方が抵抗感が強いということが言えます。どうして外国で暮らしたり海外転勤するのを嫌がるかなんですが、ほかの調査と比べますと、外国日本に比べて生活水準が低いからというんではなくて、言葉や習慣が違う未知の土地に対する不安が大きいというような結果が出ております。  以上が意識のところです。  次に、百八十ページからは国際比較で見た我が国の暮らしですが、ここではNSIという、ニュー・ソーシャル・インジケーターというものに基づきまして六つの分野に分けて検討しております。その結論が二百十五ページの真ん中辺に書いてありまして、日本が西側先進国と比べて高い水準にあるものとしましては、健康全般ですとか安全度、消費生活、物価の安定、失業率、教育水準になっております。例えば安全度、ちょっと前になりますけれども、百九十ページで見ますと、日本は殺人犯罪率は低いですし、検挙率は高くなっております。強盗犯罪率も低くなっておりますが、検挙率は高い。交通事故の死傷者数は少ないというように、日本の安全度はかなり高くなっております。それ以外に、物価の安定もドイツに次いで低くなっておりますし、失業率も一番低いという現状があります。  これはいい方ですが、西側先進国に比べて低い分野としましては、生活関連社会資本整備ですとか、住宅の価格及び質、食料品の価格、それから労働時間、こんなものがありまして、例えば二百四ページ、これは居住水準と住宅価格なんですけれども、一室当たりの平均人員などで見ますと、フランスよりはいいですけれども、その次ぐらいに多くなって悪くなっておりますし、住宅ストックのGDP比などは一番悪くなっております。また、新築住宅一戸当たりの平均床面積、これも一番悪いというようなことになっております。それから住宅価格の年収倍率も五・六で一番悪くなっておりまして、その原因と見られます住宅地の地価はかなり高くなっておりまして、アメリカの二十倍ぐらい、西ドイツの十倍ぐらいになっているということが言えます。また、所得水準は、購買力平価で見ますと中位になっております。  以上が国際比較で見た国民生活水準です。  次に、最後ですが、二百二十四ページからですが、ここでは、国民生活国際化現状についてまとめてありまして、まずそのために国際化国際比較を行っております。  二百二十五ページ。これは国際化進展度と言いまして、国境通過量を国内流通量で割ったものを比較しております。これで見ますと、一九七三年と八三年を比較しておりますけれども、各国とも変化が激しいのは旅行者と印刷物です。日本は、各分野とも五カ国平均を上回る伸びを示しておりま して、この十年間急激な国際化が進んでいると言えそうです。ですけれども、一九八三年の数字を見ますと、すべての分野で五カ国平均を下回っておりまして、特に人の面では極めて低い状況にあると言えます。これは入ってきたのと出ていったのを足したものですが、出ていったのと入ってきたもののバランスを見たものが二百二十七ページでして、これで見ますと、日本は物の分野では出る方が多いんですけれども、食料では大幅に入る方が多くなってきておりまして、この十年間でも入超幅は拡大してきております。それから、人の分野で旅行者留学生とも出超なのは我が国だけになっております。このような特徴があると思います。  それ以外に、食料品がかなり多く輸入されておるんですけれども、食料・飲料の輸入に占める家庭用のシェアというのは、ほかの国に比べてすごく低くなっております。また、その家庭用の食料・飲料の輸入を一次産品と加工品に分けますと、加工品のシェアが低い。つまり、一次産品の割合が非常に高くなっておりますので、輸入品が多い割合には食生活において輸入品を強く意識することが少ないということも特徴一つと思われます。  それから在留外国人ですが、これは局長説明でもありましたように、ヨーロッパ諸国では全人口の七%とか、全労働者の六、七%在留外国人がいるんですが、日本の場合には〇・七%でして、その約八割が韓国、朝鮮籍の人で、在留外国人状況は欧米諸国とは大きな違いがある。これが日本国際化一つ特徴ではないかと思うわけです。  それでは、国際化国民生活にどんなものをもたらしてきただろうかですが、二百三十七ページからですが、まず第一に挙げられますことは、いろんな外国品が入ってきまして消費生活において多様な選択を可能にしまして、豊かな生活をもたらしたということが言えます。それは物ですけれども、それ以外に文化の輸入、展覧会ですとか音楽会などが入ってきまして、これも生活の中で選択の幅を広げて生活を豊かにしたと言えると思います。  それから第二に挙げられますことは、生活の欧米化、つまり合理化だと思います。欧米化というのは単に生活スタイルにとどまらないで、価値観にも大きな影響を与えておりまして、余暇とか転職、それから家庭観、結婚観など広い範囲にわたって影響を与えておりまして、いずれにせよ欧米化というのは、国民生活を合理的なものにして豊かな暮らしの実現に貢献してきたと思われます。  それから、食料消費財の輸入が多くなってきまして、物の面では海外依存が拡大してきておりまして、その結果、国民生活は国際情勢の危機的変化に対する脆弱性が指摘されているんですけれども、生活基盤の安定を図っていくためには、安定した国際関係を築いていくことが一層重要になってきていると思うわけなんです。  それ以外に、外国品が入ってきたことによりまして幾つかの消費者問題も起きてきております。また、人の国際交流に伴いまして、海外在留邦人子女とかその帰国子女の教育問題も起きてきていると言えます。  以上が国際化ですが、ここで最後にまとめとしまして、今後の国民生活政策の対応の方向を四つ挙げております。二百四十九ページの下の方からですが、第一には、物価の安定を確保しつつ、内需中心の持続的成長を図ることです。第二番目、二百五十ページですが、生活の基礎的ニーズ充足の観点から安価な商品の安定的供給、良質な住宅社会資本整備を図ることです。第三番目は国際的視野に立った生活と行動により、国際的な相互理解、相互交流のきずなを深めていくことです。第四番目は消費構造変化国際化進展等に対応した環境整備を図ることです。  国民生活をめぐる環境は内外とも変化してきておりまして、意識変化しております。その変化を正しく認識しまして世界の人々と共通の基盤に立って適切な対応を進めるならば、より豊かな国民生活が展開されると考えられると、こう結んでおります。  以上です。
  8. 長田裕二

    会長長田裕二君) 以上で政府からの説明聴取を終わります。  これより本件に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 及川一夫

    ○及川一夫君 御説明大変御苦労さまでした。  政府の機関として出される国民生活白書ですから、それなりに権威のあるものだというふうに思っておりますし、それだけに我々も国民に対する説明なり認識を求めていくからにはこの白書自体について正しく理解をしなきゃいかぬ。したがって疑問や問題点は、細かいことであっても、かなり正確にする意味を含めて指摘をしなきゃいかぬという気持ちでいっぱいであります。  同時に、この白書を受けとめる前提として、生活自体を国民の一人一人がまずどのように受けとめているかという問題を抜きにするわけには私はいかないだろうと思うんです。とりわけ国際的な意識は徐々にではあっても高まってはきてはいるんだけれども、求めているものはアジアを飛び越えちゃって、ヨーロッパであるとかアメリカであるとか、そういうものに生活水準を求めているんですけれども、しかしヨーロッパの生活実態、アメリカの生活実態ということになりますと、個々ばらばらなんですね、受けとめ方が。そしてみずからのこれまでの生活というものを基盤にして物を考えるものですから、ヨーロッパよりも上回ったと、こう言っても、果たしてどこがどの面で上回ったのかということの説明を求めるとなかなか個々人は答えにくい側面を実は持っているわけです。したがって、過去自分生活がどうであったかということを出発点にしてよくなったか悪くなったか、それが政府調査をし、発表されている白書と一致するかしないかと、こういう感覚で大体物を見るんだろうと思うんです。したがってそういった面では、国民生活というふうに一口で言うこと自体についてもかなりの前提を整理をしないと、白書どおりであるというようなことを素直に受けとめるような形のものはないのではないかという気がしてなりません。  そういった一つの疑問も含めながら四点ほどお伺いしていきたいというふうに思うんですが、その第一点は、「むすび」の中で、今調査課長も御説明ありましたように、「今や疑いもなく、世界有数の豊かさを誇る国である。」と、こういうふうにずばり指摘をされているわけです。本当にそうなんだろうかということをどうしても考えたくなるんですけれども、それは戦前に生まれて、戦前の教育とそれから家族制度や封建制度、こういった中で戦争を体験をして、戦後を体験をして今日あるという人と、戦後、国民全体がどうやらこうやらもう生活はできますよという条件の中で生まれてきた人たちでは、どうもこの辺の受けとめ方は違うように私は思うんです。ですから、私などは一応戦前に生まれたんだと、戦前の教育は小学生ではあったけれども受けたんだという前提に立ちますと、戦前、戦後考えますと本当によくなったなというふうに説明はできるんです。だけれども、それは絶対的なものであるようには思えない。  しかも、これを国の政治とかあるいは国民生活全体として見ますと、白書自体が指摘をされているように、一つには労働時間が長過ぎるということがあるではないか。アメリカの労働時間に対して日本労働時間は一体どのぐらい違うのか。八時間労働を前提にしますと大体三十一日ぐらい長い。あるいはフランスに比べると六十一日も長いではないか。それをベース賃金であらわしたらそれこそ二十三万円から二十四万円も違うではないか。フランスと比較をすれば月に五十万円を超えてしまうというような、月の感覚で考えるとそういうような数字も、まあ正確なものではないんでしょうけれども出てきますし、さらには社会資本の充実の問題でも、企画庁が指摘をしているような大変なおくれになっているという問題です。あるいはまた、食料品というものの価格を見て も、タマネギだけが何か日本食料品より高いものがありますけれども、ほかは全部日本食料品が高いという数字がこの中に出ています。  さらには、賃金レートの計算なんかでも、八四年度の国民一人当たりの所得ということを前提にしているんですが、八四年度ということになると為替レートは二百十七円です。それを八六年度、つまり六十一年度の百六十五円の為替レートで計算をしている。五十二円も違いますと六十四万円も違ってくるじゃないか。計算してみればそういう数字が出てくるわけなんですが、そういったものをトータル的に考えてみると、本当に「世界有数の豊かさを誇る国である。」というふうに、国全体という意味だけではなしに、個々の国民の一人一人の生活を考えた場合に言えるのだろうかという疑問が出てくるんですけれども、この辺いかがでしょうか。
  10. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) 今先生御指摘の「むすび」の二百四十九ページの「我が国は今や疑いもなく、世界有数の豊かさを誇る国である。」という一文のところでございますが、これは国民生活のことを言っているというよりは、国民生活の問題に入る前段階として、日本国全体の経済の状態を一応国際比較的な観点でこういう評価をしているわけでありまして、御存じのとおりGNP世界全体の一割であるとか、あるいはその規模がアメリカに次いで二位であるとか、あるいは経常収支の黒字が最近大きくなりまして今や世界最大の債権国になってきているとか、そういうことを総合して「世界有数の豊かさを誇る国」という評価を一応しているわけでございます。  そういう国だから国際化にも適切に、そういう地位にふさわしい国際化をやっていかなければいけないということで、今度それでは国民生活はどうかということになってきますと、今先生御指摘のように、いろいろ国民生活で重要な側面について、欧米先進国からおくれている面があることは白書でも指摘しておりますし、他方では、これも調査課長が御説明申し上げましたけれども、欧米先進国よりも非常に成績のいい面もあるわけでありまして、例えばよく言う話ですけれども、若い女性が夜中に一人で歩いても安全という、そういう安全性というのがやはり国民生活にとって非常に重要だと思います。凶悪犯罪の率が少ないとか、凶悪犯罪の検挙率が高いとかということがございますし、寿命も、日本の女子八十歳、男子七十五歳という平均寿命が世界最長寿ということでありますし、労使関係、労働損失日数も世界の中で比べれば非常に少ない、労使関係が比較的安定しているということもありますし、いろいろすぐれている面もありますし、おくれている面もいろいろある。おくれている面がかなり御指摘のような国民生活の基本にかかわるようなものがございますので、これをよくしていくことが日本が立派に国際化していくためにも重要ではないかという認識をしている次第でございます。
  11. 及川一夫

    ○及川一夫君 今局長からおっしゃられたように私自身も一応とっておるんです。ただ、このまますんなり読みますと、「こうした視点から国民生活現状をみると、」と、その書き方が、問題の提起の仕方がもう少し鋭く警鐘を乱打するぐらいの表現でもってなされるべきではないかという気持ちがあるものですから申し上げたわけですけれども、今局長のお話をお伺いしていて、気持ちの上ではなれていないし、問題意識は正確にされているというふうに思いますから、一応まとめられたものですから、国民生活調査会として出す場合には、もう少し鋭さを増して、はっきりと国民生活実態、問題点というものを描いてやるべきではないかと、こんなふうに思っているということを申し上げておきます。  それから第二点の問題でお伺いしたいのは、非常に広範にわたってよく分析されているとは思うんですけれども、一面やはり突っ込みの足りないところがあるんじゃないかというふうに思うんです。例えば平均寿命というものが延びた、非常に結構な話だと私も思うんです。しかし、高齢化社会を展望するといろんな問題点が出ているわけですけれども、また出てくるであろうというふうに思いますから、かなり調査会なんかでも、その辺はあるいは最も意識して対応しなければいけないだろうと思うんですが、突っ込みが足らないというふうに言っている例えばの話として、自殺率というのが実はあるわけですよ。自殺率を見ると、特に女性高齢者が非常に高いというふうになっているんですけれども、国民生活白書で示された、厚生省からの資料ですか、百八十二ページの第II―3―1表「低い死亡率」というのがあるんです。我が国は死亡率は低い。これだけ見ただけでは女性がなぜ自殺率が高いのかというのは実は出てこないわけです。  そこで、私の方も厚生省などにいろいろお伺いしようと思って、自殺の男女別というのがあるのかないのか、それから自殺の原因などについても一切ここには触れられていないが、原因は一体どうなのか、単に自殺率だけじゃなしに、有病率というような資料はないのだろうかどうだろうか、こういうふうに尋ねていきますと、厚生省にはやっぱり立派な資料があるわけです。これで見ると、確かに男女別に明確になっていますからね。日本とアメリカとオーストリア、フランス、ドイツ、イタリア、こういったものを比べますと確かに日本の女性で高齢者、六十五歳以上で三〇・三%とか、七十五歳以上になると五四・五%も自殺が多いというようなことが要するにはっきり出てくるわけです。ですから、当然こういったものも示しながら、女性の自殺率とか、あるいは高齢者の自殺率というものを出されるべきじゃないか。あるいは有病率の問題にしても、原因にしても検討されるべきじゃないか、こういうふうに思うんですが、その辺はほとんど触れられていないような気がするんですが、いかがでしょうか。
  12. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) 先生御指摘のとおり、我が国の自殺率、特に男女別、年齢別に見ますと、高齢層あるいは女子において高いことはまさに先生おっしゃったとおりの数字でありまして、事実でございます。例えば今先生は女子について六十五歳から七十四歳が三〇・三%、七十五歳以上が五四・五%とおっしゃいましたけれども、アメリカがその辺で六・九とか五・三で非常に低い数字、私どもも存じております。フランスとかドイツが二〇%台で、アメリカよりかなり高いですけれども、ほかの国もいろいろ数字ございますが、ハンガリーなどは日本より高いようですけれども、多くの国で日本の女子の高齢者の自殺率が高い。男子の方も高齢者比較的高いということは御指摘のとおりでございます。  その理由ですけれども、これは正確に把握することは困難ですけれども、警察庁の発表しました昭和六十年における自殺の概要というのによりますと、六十五歳以上の人の自殺の動機は男女とも病苦等が最も多くて、これが約七〇%、次いで家庭問題が約一〇%、この二つで八割を占めるという状況のようでございます。確かに非常に痛ましいことでありまして、そういう問題で自殺しなくてもいいような社会環境をつくっていくべく努力をしていくことが必要だと私ども考えます。
  13. 及川一夫

    ○及川一夫君 今自殺の原因などについてお触れになりましたね。こういったものを挙げて悪いのかな、悪くないのかということもあるんでしょうけれども、警察庁に、今局長が言われたように、かなり細かい数字があるわけですね。こういったものを見ると原因とか動機とか、どうすれば対策になるかとかいうようなことも当然考えなければならない高齢化社会への課題ですから、ぜひこういったものも突っ込んで白書の中には出すべきじゃないかという気持ち。  それから有病率の問題も、これは厚生省に資料があるんです。例えば国民健康調査というのがあって、厚生省の官房統計の方で一つの資料をいただいたんだけれども、出されているわけですね。これなんか見ましても、やはり六十歳から六十四歳、六十五歳から六十九歳、七十歳、七十五歳というふうになってきますと有病率がふえていっている状況にあるんです。例えば六十歳から六十四歳までは、六十年度で見ると三百四十一・五人、人口千名に対して三百四十一人だというわけで す。六十五歳以上九歳までになると四百三十四、七十から七十四になると五百三十七、七十五以上になると五百六十六というふうに、要するに七十歳以上になると半数ぐらい何か病気になっているような数字になっているわけです。  高齢者の病院に行く問題というのはいろいろ別の要素があって議論になっていることは私も知ってはいるんですが、少なくとも数字の上から言えば、こういう有病率というものは年齢が高くなればなるほど高くなっていく。しかも、半数ということになりますと、これはもう高齢化社会というものを想像すると怖さだけが先に立っちゃって、もっと健康的な高齢化社会をどう築いていくかということにつながっていかない実態になると思うんです。ですから、こういうものの分析などをかなり詳しくやっておく必要があるんじゃないか。国民全体にもいろんな呼びかけをして、そして我々はどうすべきかということの示唆も与えていかなきゃいかぬじゃないかと、こんなふうに考えるものですから、もう少しそういう意味での突っ込みの足らないところは補うという点で、これから先の生活白書の検討に当たっては考えられるべきじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。
  14. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) 御趣旨はよくわかります。目次をごらんいただきますと、第二章の第三節「国際比較でみた我が国の暮らし」というところは、「各種指標による国際比較」というのが最初に出てまいりますが、「健康」、「環境と安全」、「経済的安定」、「家庭生活」、「勤労生活」、「教育・教養・文化」という六項目について国際比較をしているわけでございますけれども、この六項目は、私どもが国民生活指標というものをつくっておりますけれども、その国民生活指標で取り上げている項目でございまして、国際化問題を検討する場合に、国民生活にかかわるいろんな側面について一応概括的に日本国民生活状況国際比較してどうかということを見るためには、この六項目について見るのがふさわしいだろうということで、いわばざっとサーベーをしたという感じであります。  したがって、その一つ一つについて突っ込みが足りないという御指摘でございますけれども、確かに初めての試みでもありましたし、突っ込みが不十分な点があったかとは思います。その辺は今度国民生活審議会の中に調査委員会というのを設けまして、国際的地位にふさわしい国民生活状況をさらに調査する、この白書でやったのは土台になりますけれども、さらに調査分析を深めたいと思っておりますので、御指摘の点も含めて勉強させていただきたいと思っております。
  15. 及川一夫

    ○及川一夫君 それでは、第三点の質問に移りますけれども、この中で中流という言葉が使われておるし、また世間一般でも我々の生活は中流ということが意識されているというのが常識になっているんですが、問題はこの中流と豊かさの関係にギャップがないかどうか、その辺はどうだろうかなという疑問を実は持つんですね。したがって、豊かさとか中流とか意識しておられる方の所得水準というのはどの程度というふうに把握されているのかということをちょっとお聞きしたいんです。
  16. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) 中流意識の問題は、昨年の国民生活白書分析したわけでありますけれども、これは中流と意識するかどうかという意識の問題でありまして、中流と言えば上流と下流と、こういうのが中流以外にあるのかと思いますけれども、自分が中流と意識するというのは、要するに人並みであるというふうに意識するということで、結局、中流と意識する、大体人並み、普通だというふうに意識する要因というのをいろいろ昨年の白書で分析いたしましたが、おっしゃるように、収入がどうか、要するにお金の面における豊かさが中流というのを意識するかどうかということに比較的強い影響力を持っているということは確かなんでありますけれども、しかし、収入以外にも、学歴とかあるいは世帯主の職業とか、家を持っているとか持っていないとか、あるいは家族形態がどうだとか、いろいろ生活をめぐる諸条件も中流意識を持つか持たないかということに影響をしているということも昨年の白書の分析で明らかになっておりまして、収入というお金の面の豊かさ以外のことも中流意識には結びついておるようであります。  先生御存じのとおり、中流意識関係の総理府の階層帰属意識意識調査によりますと、国民のたしか八割か九割が中流意識に属しているということでありますし、私どもの国民生活選好度調査でも七割から八割ぐらいが中流意識を持っているということで、そうなりますと、国民の大部分が中流意識を持っているということで、したがって、そこではお金の面だけではなくて、今申しました生活なり、その人の属性をめぐるいろんなものがまあ大体人並みと考える要素に影響しておるようでございます。
  17. 及川一夫

    ○及川一夫君 そういう疑問がわくから実は御質問して、また我々も突っ込んでみなきゃいかぬことじゃないかなというふうに思っているんですよ。私は組合の役員をやってきた関係もあるもんですから、よくこういう調査をやるわけです。特に最近では、皆さんも御存じのように、一つのナショナルセンターになろうとする全民労協というのがありますね。全民労協はかなり手広くこの種の調査を、ある意味じゃしつこくねちっこく実際やられているわけです。中流意識そのものに対して疑問を持つというよりも、一体何をもって中流というのかということで労働者に問いただしてみようということを去年ですかやられたわけですよ。  それがまた非常におもしろい結果が出ているんですけれども、中流の人たちに問う形として、国際的に比較をしてあなたの所得は、あるいは生活水準は高いと思いますか、低いと思いますか、世間並みと思いますか、やや低い、あるいはかなり低いと思いますかと、こういう質問をしますと、やや高いというふうに答えた人は三・五%で、どのぐらいの所得水準かということを尋ねると三十七万円という数字が返ってくるわけですね。そしてまた、世間並みと答えたのは、要するに大体国際並みかなと、こういうふうに答えたのは五八・五%で、三十二万三千円というふうに所得金額では実は言われているわけです。そして、かなり低いというのは五・六%、やや低いというのは三一・五%、やや低いが二十八万九千円ですか、かなり低いが二十七万六千円と、こう答えているわけですよ。この所得金額を見ても、一人の賃金労働者がこのクラスの金額をもらっているというのは決して数多い方には入っていないという気持ちがしてならないんです。  ですから、そういうふうに考えていきますと、三十七万円とか三十二万円というふうにもらっている人というのはどういう人かということを今度は逆に下がっていきますとほとんど共稼ぎという答えが出てくるわけです。我々の世代ですと、一人の賃金はと論じたときには一人前賃金、こう言って、世帯を持った世帯主が、標準世帯の、三人の家族ですな、四人世帯、これを食べさして満足感があるものという前提で我々は考えて、例えば賃金要求などもするんだろうと思うんですね。ところが、最近の人たちはそういう発想に立たないで、自分世帯に入ってきた金ですよ、何でもいいんです、二人で働こうが、あるいはおふくろさんも含めて働こうが、入ってきた所得というものを何十万と、こういうふうに出して、それを基準にして、いわば自分生活が満足感があるかないかと、そういう答えの仕方をする人たちが非常に多くなってきまして、恐らく労働組合でも賃金要求をするときには一体その辺のことをどうするんだというようなことが一つの大きな課題になっていると思うんですが、したがって中流か中流でないかというふうに意識をされた場合には、自分一人だけじゃなしに、自分の家に入ってくる金すべてと、こういう発想でやられるものですから、本当の意味の豊かさであるのかどうか、あるいは中流意識であるのかどうか、こういった点がいろいろと私は問題になる点だろうと思うんです。  非常に難しい問題ではあるかもしれませんけれ ども、私が疑問を持ち、また問題を指摘していることが事実とすれば、一体本当の豊かさとか中流とはどういう意味合いのものか、その定義というものをはっきりさして、それに当てはめて今の日本国民生活水準というものはどういうものであるかというふうにつないでいかないと、正しい意味の分析というふうにならないんじゃないかというふうに思っているんですが、議論の多いところですけれども、今私が申し上げたことについて全く問題外なのかどうか、その辺のことをちょっとお伺いしておきたいと思います。
  18. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) 賃金水準でございますけれども、家計調査によりますと、世帯収入というのは、昭和六十年で平均月額三十六万九千円でございまして、約三十七万円、妻の収入がそれとは別数字で三万六千円ということになっておりまして、ですから勤労者世帯世帯主の平均的な賃金水準というのは、この家計調査によりますと三十七万円程度でございますので、先生の言われた、やや高いの三十七万円にぴたり一致するところに家計調査の平均数字はなっておるわけでありますが、したがって、おっしゃるように、やや高いとかあるいは世間並み、あるいは世界並みと答えているような所得水準の人は少ないだろう、あるいは、それは共働きの収入を含めてだろうという御指摘が必ずしも全国的な数字からいうと妥当するかどうかはちょっとにわかに私も判断つきかねます。  ただ確かに最近女子の就業というのはふえておりまして、特に既婚婦人の就業がふえておりまして、婦人が働く理由として何を挙げているかというのを総理府の調査などによりますと、やはり家計費の足しにするためというのが三八%というふうなことで一番多くて、将来に備えて貯蓄するためというのが二五%とか、自分で自由に使えるお金を得るためというのが二八%とか、そういうのが続きまして、あと自分の能力を生かすためとか、視野を広めるためとか、友人を得るためとか、仕事をすることが好きだからという、余り収入がメーンの目的ではないのが一割から二割ぐらいというような回答になっておりますので、一概に全部が家計の足しにするために共働きというわけではないようですけれども、家計費の足しにするために御婦人が働くという要因が一番大きいということもまた事実でございます。    〔会長退席、理事坂野重信君着席〕
  19. 及川一夫

    ○及川一夫君 それで、私も妻が働く理由というのを全民労協のもので見ると、やはり苦しいからというのが収入が低い方になるほど高くなる、これは当たり前のことですね。大体世間並みというふうに言われたところでも、妻の働く理由というのはもう四二%も苦しいからと答えておられるわけです。それで、やや高いと、こういったところで、これはおかしいなと思うんだが、それでも二三・一%が、苦しいから、今の生活水準を維持するためにという意味なんでしょうね、やはり妻が働くんだと、こういうことも出ているんですね、数字としては。  それで、どっちにしても三十七万円ということになると、年収で約十八カ月と、まあ手当まで含めますと六百万円ぐらいになるんですね。今度の税金の問題でもいろんな論争があるんですけれども、大体七百万までで九四・一%、全部その中に入ってしまう。つまり、税金をどうするかという問題で一番ポイントはもう七百万円までですよというふうに言ってもいいぐらい、全体がほとんど入ってしまう、サラリーマンの場合ですね、というふうに言われているわけです。だから、六百万で大体八三%ぐらいとか言われているわけです。そうやって見ると一番多いのは三百万から四百万ということになってくるわけだから、三十七万とか三十六万、確かに数字としてはそう出ているんだが、どんな意味を持っているんだろうかということ、つまり二人でか一人でかという、今局長が言われたのは一人という、世帯主という前提でやられているんでしょう。  ですから、なおのこと数字としては疑問を持つんだけれども、しかし出てきた数字ですから、それはそれとして理解はしておきますけれども、この出てきた数字だけでもう万々歳と、中流意識我が国はというふうにすぱっと切ることについては非常に私は問題があるんじゃないかという問題意識を持っていますから、まあこれから調査会の小委員会的なものが行われるんでしょうから、そういった際にさらに私ももう少し権威のあるような問題も提起をしてみたい、こういうふうに考えますから、そのことをひとつ局長さんも意識をされて、正しい意味での結論が出るようにお願いをしたいというふうに申し上げておきます。  そこで、第四点目に移らしていただきたいと思います。一つは、国際化の対応の問題についてお伺いしたいんです。  まず、外国人労働者の問題が百三十七ページ以下に出ているんですが、大体量的な問題をとらえた報告書になっていると思うんです。問題は、外国人労働者が働いている実態はということになりますと、ちょっとこの白書の中には出ていないというふうに見るわけです。しかし、新聞などの社会面ではじゃぱゆきさんなどというふうに表現されるようないろんな問題があるし、こういった人たちの労働時間とか、あるいは賃金の実態とか、そういったものが一体どうなっているのかということも特にこの白書の中には出ていないし、もちろん載せるべきか載せるべきでないかということもあろうかと思います。  ただ、今国際化がいろんなことで論じられているだけに、もう何といったって外国人であっても日本人と同じような立場で迎え入れ、また考え、そして対応すべきじゃないかというふうに言われているのが国際化の本質だというふうに思っていますから、そういった点で、書く書かないのことはともかくとして、そういったことについて経済企画庁実態を把握されているのかどうか、そういう労働者の賃金とか労働時間とか、これは労働省になるのかどうか知りませんけれども、いかがなものでしょうか。
  20. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) 私どもが承知している範囲内のことはこの白書に書きましたので、それ以上余り詳しい実態は実は存じておりませんが、特に登録外国人内容は韓国、朝鮮籍の方が八割と申し上げましたけれども、残りの二割は商業上の目的で入ってくる人とかあるいは芸能人であるとか、あるいはコックさんのような特殊な技能を持っている人であるとかいうようなのが、要するに日本人ではかえられない特殊な、専門的な能力を持っている人が法務省の許可により入ってくるという仕組みになっているようでありまして、その辺の数というのはわかるわけであります。  しかし、先生が今ちょっとサゼスチョンされました外国人労働者実態、じゃぱゆきさんということになりますと、これは観光ビザとか語学研修とかいう名目で入ってきて、実際には土建業なりあるいはサービス業なりで働いてしまうということの、いわば潜りでありますから、最近非常にその数が円高でふえてきて、警察当局等もいろいろ調べたり摘発したりということが始まったようでありますけれども、その辺の、いわば潜りで実際に入ってきて働いている外国人労働者の方々の実態というのはちょっと把握しておりません。
  21. 及川一夫

    ○及川一夫君 それならば、ちょっと質問を変えたいというふうに思うんですけれども、この国民生活白書との関係でただすべきかどうかということも問題はあるんですけれども、労働をする場合の条件というものが書いてありますね。こういうところには、外国人労働者でも労働できるという一つの範囲のようなものが書いてあるでしょう。私もまだ勉強はしていないんですけれども、こういったものを国際的に見て設定することの是非、特に国際化という問題との関係から見て、一体、いいのかな悪いのかなという問題意識、これは雇用とか失業とか、経済とか産業とかいろんなものにかかわってきますから、日本人であるか外国人であるかでは他人とか身内という区分けはできるんですが、人間としては他人ではないという論拠も出てきますと、なかなか非常に難しい問題だなとは思いながらも、このような範囲を決めることの是非というものは国際的な目から見て果たして いいんだろうかどうだろうか、こんな議論は全くなかったですか。
  22. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) 実は、アメリカにおいてもあるいはヨーロッパ諸国においても、現時点においては、単純労働外国人労働者を入れるについては制限をしておりまして、アメリカでもそういう政府の許可なくしてメキシコ等から大量に不法入国している人が多くていろいろ問題になっているという話を聞きますし、ヨーロッパ諸国では一時労働力不足で外国人労働者がたくさん入ったわけですけれども、失業情勢が深刻になって、今は帰ってもらっているという話も聞きますので、世界的に労働者の出入り自由よというルールになっているわけではないようであります。  しかし、これは、さっき私も数字でちょっと申しましたし、非常に日本は少ない。それから、先生も今、同じ人類の一人ではないかという視点もあるではないかという御指摘があったわけでありますけれども、これからの国際化というのは、本当に物や情報やお金の国際化だけじゃなくて、人の面の国際化をどういう格好で進めていくかというのは、特に日本国はおくれておるわけでありますから、考え方をしっかりして対応していかなきゃならない非常に重要なテーマだと私ども考えております。  先ほど申しましたように、国民生活審議会に総合政策部会というのがありまして、ここで二つ委員会を設けたわけでありますが、一つが政策委員会で、一つ調査委員会です。調査委員会の方は、先ほどそこで生活水準国際比較等をもっと突っ込んでやりたいというお答えを申し上げたのですが、政策委員会の方でそういう外国人労働者をどう考えるかというのは、非常にデリケートな話ではあるんですが、やはりとらわれない観点で議論をするテーマであるなという指摘は委員の方から出ております。まだその政策委員会は始まったばかりでありますので個別具体的な問題には入っておりませんけれども、いずれやはりこの問題は学識経験者の方々に議論をしていただかざるを得ないテーマだと存じております。
  23. 及川一夫

    ○及川一夫君 この白書の「むすび」のところにも「留学生受け入れ」という問題ははっきり書いておられるわけです。これらに関連をして、外国人労働者受け入れという問題はどうなんだという話が必ず出てくるように思うのです。ですから、今、局長がおっしゃるような立場でまた私も考えたいと思いますが、御検討いただきたいということと同時に、国際化の問題というのは非常にまた私は多様だと思うのです。  それで、この前、特に難民センターを訪問させていただいて本当に私は参考になったんですが、その際も、自民党の添田先生の方から御質問があって、難民センターの施設、それから難民を受け入れた場合の待遇、あるいはその教育、永住権の問題等含めて一体どうなんですかというふうにあそこの所長さんにお聞きになっているわけですよ。私も聞きたかったわけですね。しかも、それは国際的に見てどうなんだろうと。  アメリカなどは、難民の集まりと言っては失礼だけれども、要するに多民族国家であるということを含めて考えると、まさに来た人をどうするかということですから、私が見たり聞いたりしている限りでは、かなり設備や何かでも相当のものでもって、当たり前のことのようにしてやっておられるというのが実態です。日本では今回の難民センターというのは初めてですから、一体いいのか悪いのか、正直言って私らもわからないわけです。だから、そういうものをもう少し現地調査に行くなりして国際比較をして、我々がなさねばならないことは何かというようなこともこれから先出てこなければならない問題ではないか。  あるいはまた、これは新聞に載ったことなんですけれども、韓国人の被爆者の問題です。朝鮮の方の被爆者の問題。これまでは何か旅費は韓国持ちで、あるいは朝鮮持ち、朝鮮は国交がないですからあれですけれども、韓国の人が、韓国政府から金を出しているのか、本人が出しているのかはともかくとして、日本に渡ってきて治療を受ける。しかし、それも何か協定が切れるらしくて、今度は韓国自体も医療や医療設備は大体一流国家に匹敵するぐらいになったからもういいんだということを韓国政府は言われているんだけれども、個々の韓国の被爆者の人たちは、おかしいじゃないか、私は日本で治療を受けたい、こういう問題なんかもいろいろ出ていますね。  ですから、特に韓国の人とか朝鮮の人ということになると、先ほども指摘をされたように、日本に定住されている方も外国人の中では一番多いわけです。そしてまた、植民地支配の問題から始まって、とにかく大変関係の深い、罪があると言えば罪があるわけで、そういった者に対してどうするかということも、ここの議題ではないけれども、国際感覚とか国際意識とか国際化という問題では、一つ一つの事象を大切にしていくことが非常に大事じゃないかなというふうに思うのです。  ですから、私は、国際化の問題をこの調査会で大きな一つの議題にしていることは非常に意義あることだというふうに思っているんで、そういう意味で言うと、大ざっぱに国際化という問題をとらえておられますけれども、少し細かく国際化の問題での問題提起をするように先行きは考えるべきじゃないか、国民白書自体がそういうものをもっと多面的にとらえて、一つの警鐘乱打するぐらいのことが必要じゃないかと、こんなふうに感じているわけです。  いずれにしても、きょうは御質問させていただきまして本当にありがとうございました。以上でもって終わります。
  24. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 それでは、私からただいま御説明いただいた生活白書の中身について二、三お伺いいたしたいと思います。  この白書を通読させていただき、今またいろいろな説明なり補足をお伺いしましたけれども、これは国民生活実態消費生活という側面から細かに分析しておられまして、大変内容についてはよくできておると思います。  それで、二十一世紀に向けましてよりよい消費生活を実現してまいりますために、まずその前提になるのは持続的な経済成長を確保していくということ、あるいはまた、今後非常なスピードで進んでまいります長寿社会への条件をきちっと整備していかねばならぬということ、それから非常に急速に多様化高級化に向かっております消費ニーズ、これに対するサービス商品、これをひとつ提供をさせていく、そういったようなこと、それから消費の安全性、こういったようなことでございますが、こういうことをやっていくことによってよりよい消費生活をひとつ物にしていくということのようでございます。  それとともに、もう一つの側面では、世界に開かれた豊かな生活、当然国際化の問題でございます。その国際化とのかかわりにおいていろいろなデータで特に先進西欧諸国との国際比較をされまして、我が国国民生活国際化の中における進むべき道、こういうものを示されて結びとされておるわけでございますが、総論といたしましては私は立派なものだと思っておりますけれども、ちょっとこれはどうかなと思う点についてアラカルトで二、三お伺いをいたしたいと思います。  まず、白書では、五十七年以降緩やかに消費性向低下してきておるという事実がある。特に、六十年度においても、この白書の対象になっておりますそれにおいても大きく低下しておる。しかし、これは先ほど御説明にありましたような変動所得割合が高かった。それが自由裁量貯蓄に向けられたから消費にそれが向けられていないというようなことのようでございますけれども、そういう意味では一時的なものだというような受け取り方を私はいたしたわけでございますが、果たしてそうなのかという疑問が起こります。  私は、まあ私事にわたりますけれども、今までは年に五、六回商売で海外に行って、じっと向こうから日本を眺めてみる機会がしばしばあったわけでございますが、やはり日本ほど高級志向で、それから多様志向で、こういう国はもう世界のどこにもないであろうと思っております。非常なぜ いたくということよりもむしろ使い捨てが一番多いのは日本ではないかと、こう思っております。  そういったような点で、住宅だとかあるいは社会資本の中の下水道だとか緑地、公園だとかいうもの、そういう基礎的なものについては非常に乏しいわけでございますけれども、一般消費物資はもう飽和点じゃないかということ、しかも欧米人のような合理的な生活をいたしませんから、衣類にしても夏服あり、合い服を持ち、冬服を持つ。和服を持つ、洋服を持つと、こういうことですね。それは一つの例ですけれども、そういうようにあり余る家財を持っておる。また、食べ物でも西洋料理あり、その中でもいろいろ各国の料理あり、あるいは韓国料理あり、中華料理あり、日本食あり、こんなところはもう私はないと思います。そういう意味ではそういうものが既に飽和点に達しておる。だから私はこれは一時的なものじゃないんじゃないかと。この辺の判断をよほどきちっとしないと、総合経済対策だとか内需拡大だとか輸入食品フェアだとか、安いものはこれは入ってくると思いますが、高級志向という面については、日本人の特に食生活について、あるいは衣生活については、日本人ほどそういうものに敏感な国民はいないと思うんです。  そういうことになりますと、今後、内需拡大内需拡大といって衣食の点でどんどん進めてまいりましても受け付けないんじゃないかと思いますが、そういう点について今の消費性向が一時的なものであるのかということについてはいかがなものかと思いますが、その点についてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  25. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) 先生は、今お話を伺っておりますと白書を大変よく御理解いただいておるようでありますので、御答弁申し上げても御存じのことを言ってしまうようなことになりそうな感じを受けたんでございますけれども、この白書の立場は、先ほど調査課長も申しましたように、あるいは先生も今ちょっと御指摘になったと思いますけれども、自由裁量的消費性向という手法を用いて分析してみると、五十七年以降も消費性向が上がっている、平均的な消費性向は下がっているけれども、自由裁量的消費性向というのは上がっているということから、やはり生活内容をよくしたいという消費意欲は衰えてない。けれども、六十年は変動所得がふえたから一時的な現象で消費性向が落ちたんだという理解をしているわけで、これはもう御存じのとおりなんです。  ちょっと別のサイドからお答えしたいと思いますが、例えば八十九ページに「一点豪華主義がもたらす高級化」ということを書いてございますけれども、ここで高級品をどういうふうに買っているかというのを調べてみますと、一番下の方ですけれども、「必ずしもある商品で高級品を購入したからといって、別の商品でも高級品を購入するわけではない」「むしろ、ある商品で高級品を購入したから、別の商品は高級品ではない一般の品を求めるといった傾向も随所に見受けられる。」ということになっておりまして、あるいは九十一ページに参りますと、下から二つ目のパラグラフの「その結果」のところですけれども、五品目の高級品をいろんな世帯でどういうふうに買っているかというのを調べてみると、「五品目とも高級品ではない一般品で済ませている世帯は半数にも満たず、半数以上の世帯一つ二つは何らかの品目で高級品を購入していることがわかる。また、五品目とも高級品を購入した世帯調査サンプルの中にはなかった。」と。  それは五品目について見たらこういうことなんで、もっと品目数をふやせばもっとこれは一般化できるだろうというようなことが言われておりますけれども、恐らく先生おっしゃるように、日本人は非常にデリケートで個性的で高級品を欲しがるということだと思いますけれども、それが自由になる所得伸びがやはり緩やかなものですから何かを我慢する。しかし、ちょっと普通の人が持っていないいいハンカチを持ちたいとか、いいバンドを持ちたいとか、いいハンドバックを持ちたいとかいうふうな格好生活多様化とか高級化を今図っている段階なんじゃないかと思うわけでありまして、したがって、所得がふえ、将来について安心感が持てるような状況になれば、今は一般品で済ましているものも高級品を買いたいとかいうふうに広がっていく可能性というのはあり得るわけです。だから衣食に関しても消費飽和段階にはまだないんではないかという感じを私どもは持つんでありますけれども、この例え話は、先生は外国に行ってよく見ているからとおっしゃるんであれなんですけれども、例えばアメリカの所得水準というのは購買力平価等で見れば日本よりはまだ高いわけでありますけれども、そのアメリカにおいて貯蓄率が五%とかそこらで、もうたくさん消費しているわけですね。景気がよければ消費支出伸びが六%とか七%とか伸びるという状況というのは、消費内容を充実したいという欲望というのは限度があるんではなくて、やはり次から次に消費内容をよくしたいという欲望というのは出てくるものじゃないかなと私は思うんでありますけれども、いかがでございましょうか。
  26. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 これは見方見ようの問題ではあると思うんですが、必ずしも高いものが高級品とは限らない、そういうような価値観が変わってきていると思うんですよ。と申しますのはね、ネクタイにしましても、ライセンス生産のやつが実は外国のブランドに代表されるそれよりもいい品質になりつつあるというような問題がある。これはすべての消費物資について言えることでございます。ですから、高級化のつかまえ方、視点といいますか、これは非常に多様になってきておると思うんですよ、値段だけじゃないということ。そういう点では、一時的に貯蓄がふえたから、しかも今のように自由裁量的なものがふえるからというような、これは日本人の長い間の勤倹貯蓄の純風がもたらしたもので、それがかえって国民生活を豊かにするために悪なりというようなことになってはいけないと、こういうことですが、これはこれとして私の意見ですから。  それからもう一点、次に移らしていただきます、一つは人の国際交流ですが、これを短期と長期に白書の中では仕分けされておりますが、やはり長期的な人の国際交流の問題でございます。これはどうしても日本は島国です。それからもう一つは言語的な単一民族です。こういう歴史的な長い背景がある。これが非常にネックになっておりはせぬかと思うんです。だから国際化しましても、なかなかその部分だけは、先に人の交流がなくちゃならぬのがどうも後追いをしていくということ、これが国際化を阻んでいるということになるわけでございます。  そういう点で、例えばアメリカとヨーロッパということになればもともと内々なんですね。だから貿易摩擦でけんかをします際にも、いつかはヨーロッパとアメリカはどこかで妥協します。日本人には国際交流をしにくい状況を西欧側からもつくっておるということです。  こういうことをこういう席で言うていいかどうかわかりませんが、一つはやはり心底には肌の色があるんです。だからそういう点で国際交流をやっていくということについては非常におくれている。これを打開して、人的な長期的な国際交流を定着させるためにはどうすればいいかということは非常に私は難しいと思います。人、物、情報、これが総合されて初めて国際交流が本当のものになるわけですから、それをやっていくためには、そういういろいろな障害を排除していくためにはどういう手だてがあるか、いわゆる国際交流の中で世界に開かれた生活を求めていく一つのこれも条件になると思いますが、その点についてはひとつフランクなお考えを聞かしていただきたいと思います。
  27. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) 確かに国際化を考える場合に、人の面での国際化、特に長期的な側面での人の面での国際化をどうするかというのが非常に大きなポイントだと思います。  それで、先生は島国である、言語的な同一性があるというようなこと、あるいは欧米側の事情等からなかなか容易ではない、そこを突破するため にはいかなる手だてがあるかという御質問でありますけれども、本当に一番重要でありながら難しい問題で、私もにわかにこういう手だてというのが頭に浮かぶわけではありませんで、先ほど申しましたように国民生活審議会の政策委員会等でいろいろ御議論いただきたいなと思っているわけであります。  これもちょっと話がやや敷衍し過ぎちゃって、おまえまじめに答えているかと怒られるかもしれませんけれども、日本人がそもそも民族的に昔から島国根性で閉鎖的だったかというと、私は必ずしもそうではないと思うんです。大和朝廷時代ですか、いろいろ百済とか高句麗とかから漢部とか技能職人の方を日本受け入れていろいろ教えてもらうとか、あるいはその人たちと一緒に暮らしたわけでありますし、遣唐使を送っていろいろ勉強したりしたということがありますし、そんな昔にさかのぼらなくても、例えば戦前の日本というのはいろいろな国の人が出入りしていて、私も今余り詳しくありませんが、周恩来さんとか、孫文さんとか、要するにその国ではなかなか当時はいにくかったような方でも日本にいたというようなこともあるぐらい、割合国際的な交流というのは戦前段階でもかなりオープンだったんじゃないかな。  戦後は非常に貧しい国になっちゃったし、外国のことを考えているよりももう日本は平和国家で、自分の経済的な発展に一番の関心を置くべきだというような雰囲気に戦後なったもんですから、割合世界的な視野で生活し行動するという習慣がやや一時途切れたけれども、経済的な発展の結果だんだんそうはいかない段階に最近は来ているわけで、そういう段階に来ているということを国民みんなで理解できるようになれば、割に本当の意味での国際化というのが進むんではないかなと、非常に一般的、抽象的にはそんな印象を持つんですけれども、じゃそのために具体的にどうするかというのは、ちょっと国民生活審議会等でいろいろ勉強させていただきたいと思っております。
  28. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 ありがとうございました。  そこで、私が言わんとするところは、人的な長期的な国際交流はもう第一義的に必要だと。しかし、それをやる一つのプロセスをどうしたらいいのかということですが、日本人が特に一番初歩的なことは世界語である英語に習熟する。これは学校の今の英語教育の欠陥が今出てきておると思うんですよ。会話から入らないというところに問題があると思うんです。それができないと国際交流はまずできませんね。言葉が通じないということはもう致命的だと私は思います。これはやっぱり言語単一国家だからそういうことになっておる面もあろうと思うんです。  それからもう一つは、生活様式とか、あるいは行動様式とか、あるいはビジネスの手法とかいうものが全く異質なものなんですね。そういう点では、日本は貿易黒字をつくって、いわゆるインバランスがこれだけあるのに、ちっとも買わないで市場を閉鎖しているじゃないか、そればかりじゃないと思うんです。向こうの方が日本に売り込むときに、行動様式とかそういうものが全部違うものですから、日本人が受け付けないから商売が成功しない。だから、今日本に来ております外国の企業で成功しておるのは、全部日本のしきたりに合わせた商売をやっているわけです。その例はコカ・コーラですね。それからファーストフードの店ですね。こういうのはもう結構世界で一番成功しているんです、コーラ類は。しかしそうでない、頑固に向こうのしきたりを守るのは……。  ですから、その辺の相互理解といいますか、交流といいますか、そういうものをもっと、単発じゃなくして、国の教育の中であるいはまた産業政策の中でこれは進めていくべきだと。そうでないと、世界に開かれた豊かな生活、これはもう最末端ですから、ここにつながらない、こういうように思います。そういう点でお聞きをいたしたわけでございます。答弁は要りません。  次ですが、これは国内的な問題ですが、白書は全体的に、これはもう当然この白書をおつくりになる手法として、ここで数字を挙げていかれるという場合に全国平均でつかまえられておると思うんですが、すべての数字は。そういう面からしますと、非常に国内的にも大変な経済格差があるわけです、地域的に。例えば私は佐賀県出身でございますけれども、これを見ておって、ああそうかなと、こういうように思うんですが、いわゆる消費性向とか消費動向とかいうものは地域によってかなり落差があるんではないか、特に大都市、地方都市、それから農漁村といったようなことであるんじゃないかと思いますけれども、そういう点についてはどういうようにとらえられておるか、その辺をちょっとお聞かせ願いたい。
  29. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) 確かに全国的平均的な動き特徴分析しておりまして、それを地域別にブレークダウンした分析は白書ではそこまで手が回っておりませんが、今御指摘の点につきまして、    〔理事坂野重信君退席、会長着席〕 昭和六十年の勤労者世帯消費動向につきまして都市規模別に見てみますと、人口五万未満の都市におきましては、消費支出が前年比マイナス一・八%、それから町村がマイナス二・八%というようなことで特に伸び悩んでおります。これに対して大都市ではプラス一・七%で、消費支出は相対的に高い伸びを示しております。  それから農村という区分ではないんですが、農家というので見ますと、昨年は一・五%消費支出がふえておりまして、比較的堅調な伸びをしているということで、どうも大都市と農家がまずまずで、中間の小郡中とか町村においてさえない状況というのが昨年の姿でございます。
  30. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 それからもう一つ消費に潤いを与え、豊かな生活一つの大きな部分に今後なっていくのに余暇の問題があると思います。これは労働時間との関連が出てくると思いますけれども、余暇という、日本人がつかまえておる概念と、先進欧米諸国がつかまえておる概念が全く違うというわけで、日本人は細切れなんですね、今のところ。これはまあ長い労働時間に拘束されておるということが一つの理由になっております。それから非常に国土が狭いということもございましょう。それから海で隔絶されておるというところもございましょう。そういう点からいたしますと、大型レジャーですね、いわゆる時間的な、そういう点を日本的な余暇のあるべきスケールはどんなものになっているだろうかということをひとつ考えなきゃならぬと思うんですよ。  例えばドイツあたりでは、特にドイツ人は旅行好きなんです。余暇を楽しむのが好きなんですが、これは一つ気象的な問題もあるんですね。日本のように確実に截然とした四季があるところじゃなくて、欧米では季節感が非常にきちっとしたサイクルがないところがある。そういうところの余暇をすぐ連想しようとする、こっちは。それを類型にしようとする。例えばドイツあたりでああいうように一年じゅうどんよりした天気。ですから、そういう点ではレジャーで体づくりをするということがなかなかできない。それからまたもう一つは、そういうことだから、ドイツの輸出の年間のもうけを全部レジャーに使ってしまう。これはもう事実なんですよね。  一年間のもうけを、個人にしても、ためたものはみんな吐き出してしまう。貯蓄どころじゃないと。貯蓄というようなことは余暇に使うための貯蓄というようなことでありますが、それも一月も二月も休暇をとっていくというようなことが通例になっておりますが、これはヨーロッパは陸続きなんです。それから、アメリカは西洋にとっては内々なんです。だからああいう形が成り立つわけですが、そうなった場合、今後余暇というものが日本国民生活の中に本当に日本型のものとして定着しますためにはどういう形のものを、例えば労働時間をどういうようにしていく、有給休暇をどうする、そしてそれをどういうように使っていくという一つのものが出てこなきゃならぬと思いますけれども、今てんでんばらばらなんですね。そこ には本当に余暇をここで生活の中に大きな割合で、ある割合入れることによって生活を豊かにしていくということにはなかなかなりにくいわけですから、そういう点についてひとつこれはどういうように思っておられるか。
  31. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) 先生御存じのとおり、日本労働時間は韓国とか台湾とかいう諸国よりは短いですけれども、欧米諸国に比べれば長い。長い原因としては、週休二日制が完全には普及していない、あるいは有給休暇の日数が短いということがありますし、もらえる権利のある有給休暇も完全にはなかなか日本人はとらないというようなことが主因のようでございますけれども、したがって、これから自己実現をしながら充実した生活をしていくためには、やはり職業生活ももちろん大事ですけれども、余暇時間といいますか、労働時間を短縮して自由時間の充実を図ることが大事で、そのためには週休二日制の普及とか有給休暇をちゃんととるとかいうことが大事だと思うんですが、その場合に、週休二日といっても、みんな土曜、日曜に休んじゃいますと、今度レジャー施設の方がそのときだけ込んじゃって、ほかのウィークデーはすいているということにもなりますので、曜日の使い方というのは一工夫要るんじゃないかなという気がちょっといたします、まさに狭い国土ですから。  それから、余暇の使い方の方向としては、せっかくの先生の非常にオーソドックスな問題提起に対して、私、確たるビジョンを持っているわけじゃないんですが、この白書で消費特徴をいろいろ分析している中で、「多様化する消費者ニーズ」というのが第三節の四でそういう視点でちょっと分析しておりますけれども、目次をごらんいただければあれなんですけれども、一番最初に「機能品質志向デザイン志向」と書いてあります。これは物についてのあれですからレジャーに関係ないんですが、その次の「手軽さ志向と手間志向」というのは、これはさっき課長説明しましたように、手軽さの方はインスタントラーメンか何か食べて済ませちゃうということです。  手間志向の方はドゥ・イット・ユアセルフで、日曜日に日曜大工で自分の家具をつくるとか、あるいは自分で手編みのものをつくるとか、あるいは本格的な料理をつくるとか、そういうのもだんだん最近出てきているという話でありますし、それから「活動志向とのんびり志向」というのは、一方ではゴルフとかスキーとかテニスとかジョギングとかという活動的なレジャーもありますし、他方では森林俗とか、要するにのんびり温泉に入るとかという志向があるようでありますし、「学習志向と遊び志向」というのも、おけいこ事等勉強するというのとファミコンとか何かいろんなそういうもので遊ぶという動きもあるようでありますし、いろいろそういう両極の動きが出ているんですが、そういう中で何か日本人自分の好みで個性を生かしながらレジャーを楽しむ工夫をかなり多面的に今しつつあるようでありまして、そういうことの条件整備、供給面もありましょうし、基盤整備もありましょうし、いろいろあると思いますけれども、条件整備をやはり考えていくことが大事じゃないかなと存じます。
  32. 高木健太郎

    高木健太郎君 私、こういう経済的なことはどうも余りよくわからないので、いろいろ勉強させていただくという意味で読ましていただきました。大変うまくまとめてあると。  確かに、仰せのように、最後の結論にあるようにすごく金持ちになったとそうはちょっと思えませんけれども、自分自身からはそんな金持ちになったという気持ちは余りないんですし、私を取り囲む友人は大体サラリーマンですけれども、余り金持ちになったというように、豊かになったとは友だちの口からも聞けないわけですが、しかしデパートからお買い物をして出てくる女性の人を見ていますと、たくさん荷物を抱えているわけでして、あれどこに入れるのかなと、入らないんじゃないかなということをいつも私は心配するぐらいいろいろのものを買っているわけですね。  それから、テレビで実写がありますけれども、そういうところを見ますと、家の中にもう棚の上にいろんなものをたくさん積み上げてしまって、寝る場所が非常に少なくなっているんじゃないかというような気持ちもしますので、確かに消費生活は非常に上がったというふうに思いますし、また私の近くのよく知っている若い人たちは、私の若いときと比べると余り不自由をしていない、ネクタイ一本買っても平気である。我々の若いときは、ネクタイ一本を買うと、大体その月はもう余り何も買えないというような生活をしておりましたので、日本は確かに豊かになったというこの結論は私ほぼ正しいんじゃないかというふうに思うわけなんです。  ただ、いろいろ私読んでみて不審な点もございますし、教えていただきたいと思いますので、間違ったことを聞くかもしれませんが、ひとつ忌憚なくお答えいただきたいと思います。  一つは、この全体の統計から来ているわけなんですけれども、このサンプリングはどういう基準でサンプリングをおやりになったかということですね。そしてその数はどうやってやったか。アトランダムにどういうようにしてこのサンプリングを集めるか。それから、前の年との比較の場合に、そのサンプリングが性質の違うものがあると比べられないんでしょうけれども、これをどういうふうにして毎年やっておられるのか。その点をひとつお聞きしたいんですが。
  33. 川名英子

    説明員川名英子君) それはどこのことかちょっとわかりませんけれども……。
  34. 高木健太郎

    高木健太郎君 いや、これ全体ですね。
  35. 川名英子

    説明員川名英子君) いろいろな統計を使っておりますので、例えば意識のところの「国民生活選好度調査」といいますものは、私たちがやりましたもので、去年でして、サンプルは四千程度です。これはクロスセクション、前年との比較がありませんので余り前年との関係はありませんけれども、一般的に選好度調査をやる場合、同じ調査をやる場合、三年ごとにやっておりますけれども、その場合、同じ四千のサンプルですが、同じものをとっているわけではありません。でも同じ母数だとみなしまして比較をしております。それ以外の家計調査などは二万ぐらいのサンプルになっておりまして、これも全く同じ任意に抽出しておりますので、ほぼ母数が同じと見て前年と比較をしております。
  36. 高木健太郎

    高木健太郎君 ありがとうございました。  割と数が多いんでしょうけれども、その中には男も女も含めて大体二万ぐらいのものですか。
  37. 川名英子

    説明員川名英子君) その数字につきまして、もしかすると七千ぐらいかもしれませんが、ちょっと今余り覚えていません。申しわけないです。
  38. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) ちょっと補足させていただきますが、第一章の第一節で昨年度の消費動向分析しておりますけれども、ここは家計調査という調査を使っておりまして、これは総務庁がつくっている統計でございまして、私の記憶では恐らくサンプルは七千ぐらいだったんじゃないかと思うんですが、これは年々といいますか半年ごとにサンプルは変えておるんですけれども、それは統計理論的に妥当なようにサンプルを変えているんで、年々の比較をするのに、考え方としては日本を代表する日本全体の家計の収支動向を調べるものとして通常使われている統計でございます。  それからその次に、やや長期的に調べているのが全国消費実態調査というのを使っておりますけれども、これは五年置きの調査でありまして、これも総務庁がやっているんですが、これは調査課長が申しましたように恐らく二万とか相当多いサンプルで詳しい統計を調べておりまして、これは五年ごと比較でやはり連続性のあるものでございます。  それから三番目は、課長が申しました国民選好度調査という当庁でやっている調査、これは課長が答弁したとおりでございます。
  39. 高木健太郎

    高木健太郎君 統計の大家が、統計的には十分な学者がおやりになるわけですから間違いはないと思うんですけれども、非常に極端な例なんか出 たときはそれは切るんでしょうかね。二千なら二千のうちでも非常に極端だと思われるときには、それはどこかで、偏差値のところで切るとか平均をとるとか、比べるときにはどういうふうにされるんでしょうか。
  40. 川名英子

    説明員川名英子君) 特異項という特別なものがありましたところは切っております。
  41. 高木健太郎

    高木健太郎君 例えばその人が寝ているとか、病気であるとか、身分の非常に高い人あるいは非常に低い人という場合は、それは一般の中へ入れてくれば変な統計ができちゃうんですよ。だから、そういうところはどこかで切らなければ統計としては妙な数字が出てくるんじゃないか。平均としては真ん中に持ってくればいいというけれども、それがうまく分布していればいいけれども、最初に曲線を決めて、それから数学的にそれは確かなものだというようなことでやっておられるんだと思うんです。だから前と比べるときはなかなか困難じゃないかなというふうな気もしたもんですからちょっとお聞きしたわけなんですが、これは専門家がおやりになることで、そうだろうと思っております。  次に、ちょっとお聞きしたいんですけれども、豊かになったということで、一つは教養だとか娯楽が増したというようなことが書いてあるわけなんですけれども、あるいは外食がふえたというようなこともその中に入っているんじゃないでしょうかね。  それから外食がふえたというのは、先ほども及川先生言われたように、女性が外に出て活躍するようになった。それは家計が苦しいということもあるでしょうし、実際に働きたいという人もあるでしょうし、いろいろの原因はあるでしょうけれども、とにかく女性が外に出るようになった。そうすると、夕食が間に合わぬということになれば女性も男性の方も外食をせざるを得ない、あるいはする機会が多くなるんじゃないか。それが必ずしも豊かさをあらわしているとはちょっと思えないようにも思うんです。  それからまた、教養娯楽ということも、女性が外に出るということから、男性は余り教養娯楽ということはないにしても、男は元気で留守がよいなんというような言葉がこのごろははやりますけれども、要するに男性は朝から晩まで働く。女性は家事労働が家電その他で非常に減ってきた、そのためにかなり暇ができる、あるいは外で働くから友人とのおつき合いもふえる、そういう意味で何か教養あるいは娯楽ということに入っていく。  よく私、町で見ますと、昔はパチンコ屋というのは男しか入らなかったように思うんですけれども、最近はかごを提げた女の人が買い物の後でどんどんパチンコ屋に入っていく。何か魚がすうっと吸い込まれていくように平気な顔をして入っていく。そして何か箱をたくさん持って出てくるわけです。私じっと見てたんじゃないんですけれども、ちょうど自動車がそこでとまったものですから見ておりますと、非常に大勢の女性の人が出入りをする。それは娯楽の中に多分入るんだろうと思うんですね。  それから教養というのは、いろいろ教養センターというのが新聞社とかその他でつくっておりますが、そこへ入っている人もほとんどが女性である。それから寄席だとかそういうところの中継がよくございますけれども、男性はほとんどいない、ちらほらしかいないですね。お年寄りと女性の若い人がたくさん入っている。それからスポーツの方の、特にラグビーを私はやるんですけれども、ラグビーの観客が物すごく女性がふえた。そういうことで、これが確かに豊かになったといえば豊かになったんでしょうが、外食というようなものはあるいはそうではないんじゃないか。先ほどの及川先生のお話で、やむを得ず外食しているんじゃないかという気も私しますので、果たして外食ということが豊かさの指標になり得るのかどうか、そういうことをちょっとお聞きしたいんですけれども。
  42. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) その辺は先生おっしゃるように、本当の外食増加要因分析というのはいろんな手法があるんだと思うんですが、この白書では支出弾性値という概念を使いまして、要するに全体の消費支出伸び率よりも外食なら外食支出伸び率が高ければ、弾性値が一以上ということですけれども、一以上であればそれは選択的支出である。要するに必需的な支出ではないというふうに概念規定をしていろんな消費支出項目の弾性値を計算してみますと、外食は一を超えているということです。  要するに一以下であるということは必需的であって、所得水準が低かろうが高かろうがある水準は絶対に必要なんだけれども、所得水準が上がってくれば上がった分はもっと自由に使える方に使いたいので、必需的なものは余り支出がふえない。そうすると弾性値は一を切る、〇・幾つかになってしまう。だけれども一を超えているというのは、所得水準なり生活水準がどんどん上がれば上がる以上にその支出がふえるというのはそれは選択的な支出、それはやはり一つ消費高度化あるいは先生の言われる豊かさの指標であろうというふうに解釈して、外食が特に一つの典型的な例として弾性値が高い項目になってございます。
  43. 高木健太郎

    高木健太郎君 最近はもう何でも外食できるんですね。いろいろな弁当みたいなものをたくさん売っているわけです。ちょっと電子レンジに入れるとすっと御飯ができちゃうというふうなものをたくさん売っている。そうすると家で御飯を炊いていろんなことをしているよりもそれを買ってきてちょっと電子レンジに入れた方が早い。一種の外食というか、外で買ってきて家でちょっとやるとか、あるいは外で食べる、それの方がかえって安くつく。野菜なんか買ってくると三日もするともう食べられない。夫婦二人であれば外食の方がずっと安くつく。だから豊かさというよりも安くつくからそれでやっちゃう。暇もできるからというような考え方もあるんじゃないかと思うんですね。だから外食というのは今の弾性値といいますか、そういうもののとり方が非常に難しいんじゃないかなと。時間の節約、それからその間も何かほかの方で、例えばパチンコで、もうかりはしないんだろうけれども、それでもかなりもうける人もあるんですね。だからそっちの方でうまくやってもうけようとか競馬をやってみるとか場外馬券を買うとか、そういうこともあって、財テクとかそういうことへ走っていて、あるいはそれが豊かさと言えば豊かさかもしれないけれども、時によると何か非常に窮迫した状況でやっている人もあるんじゃないかなという気もするんですね。
  44. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) ただ、今先生が最初に例に挙げられましたほかほか弁当とか、ああいう弁当をよそで買ってきて家で食べるのは外食には入れておりません。食べる場所が外の場合でございます。
  45. 高木健太郎

    高木健太郎君 そういうことがありましたのでちょっとお聞きしたわけです。  それから、多様化というのがあるんですけれども、多様化は確かに私豊かさのあれだろうと思いますが、これは私の考えですから参考までに聞いていただきたいんですけれども、多様化というのは、子供のときは、小中学校のときは余り多様化はないんじゃないかという気がするんですね。高等学校から大学へ入るころになって、あるいは浪人をしてから多様化に若者が走るんじゃないか。それはやはり学校生活でかなり管理化、統制化という中で、洋服は一種類である、髪の毛はここまでしかいけない、スカートはこうだという非常に統制された生活をそれまでは送っている。そこから解放されたい、自分の自由に振る舞いたいんだと。私の親類の男の子なんかいますけれども決してぜいたくなものはしていないんですね。変わった格好はしていますけれども、きれ地なんか大していいきれ地ではない。それから私の古いものなんかを何か方々延ばしたり切ったりして変な格好の洋服をつくっている。だから個性的なものではありますけれども必ずしもそれがぜいたくなような形ではないんじゃないか。目立ちたがる、個性的なもの、学校というところから解放された、一つの桎梏から解放されるというそういうもの、あ るいは格好いいというようなこと。だから必ずしもそれがぜいたくとはすぐつながらないんじゃないかなという気もするんですが、それはどうなんでしょうか。
  46. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) 先生おっしゃいますように、この白書をお持ちですと七十六ページにI―3―3図というのがございますけれども、ここで①、②、③と三つの特徴的な世帯の「支出割合のばらつき」と表題には書いてありますが、要するに消費多様化しているかどうかというのを示したわけでありますが、斜めの線が引いてあって横に出ている部分が、ここでの分析では多様化しているという意味なんでございますけれども、まさに①、②の若年世帯とか昭和一けた世帯とか、高校、大学在学者のある世帯に比べて③の単身者世帯多様化ぶりというのは際立っております。単身者世帯はお年寄りの単身者世帯もあるわけですけれども、多くは若い人でありまして、まさに冒頭先生が御指摘になりましたような大学生クラスの年代の方の、あるいは勤めた最初の若い人のいろんな消費生活面における多様化というのが際立っているようであります。  その原因は、先生おっしゃるようにそれまでの拘束的な生活環境からの反発といいますか、反作用といいますか、そういうのも恐らく否定できないことだと思います。多様化というのは、私ども個性化というかそんな感じでとらえていまして、多様化イコールぜいたくとか豊かさに、これは全くつながらないわけじゃないですけれども、多様化すなわち全く一〇〇%豊かさと必ずしも理解しなくていいと思いますけれども、現実には御指摘のように単身者世帯、若い人が非常に多彩な生活をしている、人と違った暮らしぶりをしているということはおっしゃるとおりでございます。
  47. 高木健太郎

    高木健太郎君 ありがとうございました。  このごろはみんなお年寄りは寿命が長くなったから、お父さんお母さんがまだ働いている、それに自分が月給もらうようになった、それは何に使ってもいいと。だから外へ行っているんじゃなくて自宅から通っている単身者、それは単身の中に入るんですか。
  48. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) それは入りません。自分でひとりで暮らしている人でございます。
  49. 高木健太郎

    高木健太郎君 入らない。それじゃ豊かさの中に入ると思いますね、かなり。  それから次は、国際化意識のことなんですけれども、それについてちょっとお聞きしたいと思います。  これは百七十ページに図がございますが、抵抗感の強いというのが縦軸にとってあるわけです。横に年代が振ってあるわけです。老後を外国で暮らすというのが一番上にあります。それは年をとっているほど抵抗が強いんだと言う。それは年寄りほど国際化意識が少ないんじゃないか、そういうふうに見られるんですか。僕はこれを見るとちょっとおかしいんじゃないかなと思うんです。年をとってきますともうそろそろ先のことを考えていますから、死ぬときのことを考えているので、今から外国へ行って外国で死ぬなんて嫌だと、そういう人が多かろうと思うんです。五十ぐらいになればもう孫が大分できるので孫と離れて向こうへ行くのは嫌だというふうに、何も国際化というのじゃなくて、とにかく自分の家元から、あるいは故郷から離れて、住みなれたところから離れていくのが嫌だというふうな気持ちの方が強いんじゃないか。畳の上で死にたいとかあるいは「たれか故郷を思わざる」というので遠くへ行ってわざわざというふうに思うと。  だから私は質問のやり方だと思うんです。あなたが今若かったらとか二十代であればというようなことが書いてあればあるいは国際化がわかるかもしれないけれども、六十の人にいきなりあなた外国でどうですかと言ったら、それは私なんかでも嫌ですよ、今から。だからその聞き方はどういうふうにされたのか、それをまず聞きたいんですけれども。
  50. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) 聞き方は、まさに老後を外国で暮らすことに抵抗感を持つかどうかという聞き方なんですが、これの理解は先生がまさにおっしゃいましたように百七十一ページ、隣のページでございますけれども、下から五行目ぐらいのところに書いてございますが、「年齢階層が上がるにしたがって、今まで慣れ親しんだ生活パターンの変化に適応できないと考える人が多くなるためであろう。」というふうに理解しておりまして、別にそこで国際的ではないとかあるとかという価値判断を加えているわけではございません。
  51. 高木健太郎

    高木健太郎君 ここにこう書いてあると、国際化の中にこれが入っていると、それは老人ほど国際化感覚が少ないんですから、ぱっと見るとそう思っちゃうんです、中を見ればあるいはそうかもしれませんけれども。だから聞くときにそういうふうな聞き方もあるんじゃないかなと。設問に、今あなたが二十だったらどうしますという聞き方もあるんじゃないか。それでなければ、六十の人に聞いてあなたはと、こう言えば、それは自分自身のことを考えるものですから国際化というものをもっと客観的に見ることができないんじゃないか。  子供を連れて海外というふうなことが書いてあるんですけれども、これも同じように言えるんじゃないでしょうかね。年とってもう子供が大きくなって、その子供を連れていくとかというようなことは今さらと思うし、それから自分の語学力も考えてこれから語学を勉強していかなきゃならぬとか、そういうことを考えるとおっくうになるんじゃないか。外国人との結婚もそうじゃないかと思いますけれども、六十のじいさんに外国人との結婚なんて聞いたって、それは私は無理じゃないかと思うんですね。だから、これは設問の仕方を十分考えないと、この国際化の中に入れるのにはちょっと不向きなものが入ってくるんじゃないか。どうでしょうか。
  52. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) わかりました。これからこういう調査を設計するときにその設問の仕方をやはりいろいろ工夫したいと存じます。
  53. 高木健太郎

    高木健太郎君 確かに私おもしろいとは思いましたけれども、何か若い人の方が国際化が進んでいる。国際化感覚あるいは国際化、ここにおもしろい言葉がありまして、国際化進展認識度という非常にかた苦しい名前がついていますけれども、いわゆる国際化意識ですね、それを調べる一つの方法としてこういう設問をされたんでしょうけれども、それならばもう少し設問の仕方を今後工夫されるといいんじゃないかな、私はそう思う。これは自分が年とっているものですから特に際立ってそう思うわけです。  それから、女性と男性というのがありまして、身の回りの外国製品の中で、食料品や衣類は女性が外国製品を買うことが男性と余り変わらないんですけれども女性の方が少し多い。女性の方が男性よりもそういうものは余計買う。ところが、何か外国のニュースだとか外国の技術、そういうものは男性の方が外国のものを取り入れたがる。これは余り言うと中曽根総理がネクタイばかり女性は見ているんだというふうなことになりまして、私はこれは男性と女性の性格の違いじゃないかと思うんですね。私なんか人にぱっと会うと顔しか見ない。どんな服装していてどんなネクタイしていたか全然覚えがない。だから泥棒に入ってきたときに女性の方は泥棒の服装を全部覚えているわけですけれども、男性は何着ていたかって言っても全然わからない。眼鏡かけていたか、それもわからない。だからこの観察の仕方というのが女性と男性で全然違う。そういうこともあって、女性は食料品、衣類を買うんだ、それは女性はそういうものに国際化の目があるとか、そういうふうに考えるのはちょっとおかしいんじゃないか。大体女性はそういうものじゃないか、そう言うとまた私怒られますけれども、そういうところに目をつけやすい、そういうことじゃないかと。これは悪く言えば、男は不粋だということなんです、結局。女の方がセンスがいい、こういうことを言いたいんです。そういうことを私思いましたのでちょっと一言申し上げたわけです。  それから、もう時間が余りありませんので、もう一つだけお聞きいたしたいと思います。  少し耳に痛いことなんですけれども、教育水準が高いとかいいますけれども、大学なんかに入る人は多いと思います。だから知識水準ですか、中曽根総理は知識水準は高いと。それは大学に行く人は日本の方がうんとたくさん行っていますからね。平均すればいいでしょうけれども、ある上の大学だけとってみますと、今の日本の大学生とそれから外国の大学生との水準を比べますと私、向こうの方が上だと思いますね、それは何やらしても。例えば文科系でも理科系でも随分向こうはよく勉強します、大学へ入って。  高等学校あるいは中学校までのいわゆるテストでは日本の方がはるかに上ですけれども、しかし大学を出た直後試験をすれば恐らく向こうの方がずっと上じゃないか。それは悪い大学もありますけれども、かなり向こうの方が進んでいる。しかも、自分で開発する創造力はそういう意味では上だから、必ずしも日本の方が教育水準が高いとすぐ言ってしまうのは問題があるんじゃないか。しかも、そこへ入るのに入試地獄というようなものが、あるいは受験地獄というようなものが、地獄とか戦争とかと言われるものは、向こうにも幾らかあるでしょうけれども、日本ほどひどくはないんじゃないか。こういう意味で余りここのところは威張れないところじゃないかなというふうに思うんです。  それからあと、住宅のことですけれども、住宅のいわゆる床面積は確かに日本は狭いと思いますし、小さい部屋が多いですね。お客さんを呼ぶなんということはほとんどできないですね。外国人を泊めるのは嫌がっているというようなことがありますけれども、実際、日本式の便所で、日本式の座敷で、留学生自分のうちへ置いてあげようと思っても置けないわけです。今NHKのテレビでもそんなことをやっていますけれども、大変苦労されているということはわかるわけなんで、日本人はそういうものを疎外しているという意味じゃ決してない。自分の家が狭くて、それから生活様式が違うからやむを得ず、来ていただきたいのだけれどもお呼びができないという気持ちもあるんじゃないか。  それから、敷地の面積が狭いですね、ぎりぎりに建てている。建ぺい率が町の中じゃもうほとんどぎりぎりいっぱいに建てられますけれども、ああいうものはアメリカにはなくて、私もアメリカへ行って随分向こうのプロフェッサーの家を訪ねますけれども、広々とした庭を持っている、プールもある、そういうところへ住んでおりまして、そしてレセプションといいますと日本じゃホテルへ行きますけれども、彼らは必ず自分の家へ三十人でも五十人でも呼ぶわけですね。だから向こうの方が何かやっぱり金持ちのような気がします。  それから、食べるものは先ほど大塚先生おっしゃったようにそんなにぜいたくなものは出さぬですね。コッペパンぐらい出してあとはカクテルでも飲んでいる。だからぜいたくはしないが、日本は余り金もないのにと言ってはおかしいですが、物すごくぜいたくなホテルへ行ってみんな招待するので、学会をやりますとその会長は本当に青息吐息になっちゃう。金はあるかというと、会長は金ないわけですから、そうするとみんな企業なんかに金をもらって歩かなきゃならない。そういうことをしてでも学会を開いているのが日本の実情でして、学会とかそういうことから見ると向こうの方が上手といえば上手、実質的といえば実質的で、決して無理はしないで、しかも我々を愉快に招待をしてくれる。そういうところは日本人は少し考えないと。無理をしてほかから金を集めてホテルで豪華にやるというようなことがあるんじゃないか。それは結局、敷地がない、家が狭い。教授なり学長なり、議長はあんな立派な公邸がありますからいいですけれども、ほかのところでは校長先生の家なんといったってそんな広い家は持たないわけですから、そういう意味では外国との国際交流というのもやりにくいし、自分自身も窮屈な思いで住んでおられるんじゃないかなというふうに思いますので、これはすべて住宅の、いわゆる土地が高いということに尽きるんじゃないか。これは将来、何とか考えていただきたいと思います。  もう一つは、先ほどから出ているいわゆる社会資本なんですね。例えば電線がたくさんありまして、あれはクモの巣のように張っているわけです、町を歩くと。あれは私たちは何にも思いませんけれども、外国から例えば大塚先生お帰りになって、しょっちゅうヨーロッパへなんかおいでになるそうですけれども、日本に入ってきますと帰ってきた途端はあれが物すごく目に立つわけです。それで嫌で嫌でしようがないわけですね。しばらくおるうちになれるんですけれども、あれが日本人の精神面に及ぼす影響は、測定できないからわかりませんけれども、非常によくない。それから、下水が完全でないですね。  そういう社会資本を今のうちにきちっとしておかなきゃいかぬのじゃないか。高齢化が進んできますからもう福祉に金がかかることはこれは目に見えている。今ならまだ貿易収支が黒字で幾らか豊かである。今そこへ金をつぎ込まないと、もう二十年たてば恐らく全然できなくなって、いわゆる社会資本はもっと低くなってきて、私たちはもっときたない、悪い環境に住まなきゃならなくなるんじゃないかということを心配しているわけです。経済企画庁としましてはどうぞひとつその点を、将来をお考えいただきまして御尽力いただきたいと思います。  以上で終わります。
  54. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) 大変示唆に富む御指摘をいろいろいただきまして、特に最後におっしゃいました敷地面積といいますか土地問題、あるいは電線が非常に目立つという、そういうようなものは地下に埋めなきゃいけないという御指摘、下水道等、とにかくそういう生活関連社会資本整備をして生活環境をよくするのに日本はちょうど力を入れるべき、今そういう時期であるという御指摘は、大変私ども肝に銘じて努力をしたいと考えます。  どうもいろいろ御指摘ありがとうございまLた。
  55. 高木健太郎

    高木健太郎君 私たちも一生懸命やりますので、どうぞ一生懸命やっていただきたいと思います。
  56. 吉川春子

    吉川春子君 それでは二、三点質問させていただきます。  昭和六十年度の白書の「むすび」で「六十年代の国民生活政策の基本的方向を考えると、以下のような点を指摘することができよう。」として、五つの点を挙げておられます。すなわち、一、物価の安定を確保しつつ持続的経済成長を維持すること。二、平等性を維持し、高めること。三、長寿社会に向けての対応。四、各人の価値観やニーズに応じた選択のできる環境条件の整備。五、国際化情報化への対応などです。  六十一年度の経済白書では、第一章の「消費実態」に続いて第二章「国際化国民生活」となっておりまして、前年度はほとんど出てこなかった国際化中心的なテーマになっているわけです。そして、「むすび」においても第一から第四まで国際化についての記述となっています。六十年度と六十一年度の白書の視点ががらりと変化しているわけですけれども、これはどういう理由によるものなんでしょうか。
  57. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) 先生も御承知のところと思いますが、通常、国民生活白書あるいは企画庁でつくっているほかの経済白書とか世界経済白書も同様でありますけれども、国民生活白書で言いますと国民生活が対象ですから、毎年出ているものですから、まず第一にやることは、要するに去年出した白書からことし出す白書までの間の国民生活変化分析するというのは、これは必ずやらなければいけないことで、したがって今年度の白書は昨年度から最近までの国民生活、特に家計収支の動向分析するというのは必ずやることなんですけれども、そのときどきの関心事がそれでおしまいというわけじゃないものですから、年々特殊テーマを決めて、あるテーマについて突っ込んだ分析をするということをやっております。  昨年の場合はちょうど戦後四十年だったものですから、国民生活を四十年間振り返ってみてどういうふうに変化してきたかというのを分析するということと、もう一つは中流意識の周辺ということで、中流意識問題がいろいろ世の中で議論されておりましたので中流意識問題を取り上げたわけです。ですから、戦後四十年の回顧と中流意識問題をいわば特殊テーマとして昨年は分析をしたと。その分析の結果の一つの政策的な方向を、一般的に言えば先生がさっき紹介されたようなことになると我々は考えたと。  ことしの場合は、昨年の生活分析するだけじゃなくて何を特殊テーマにしたかと言えば、一つは要するに最近消費が見えなくなったと言われている、消費動き特徴がよくわからなくなったという議論がいろいろあるものですから、消費実態を中長期的な観点からちょっと突っ込んで分析してみようというのが一つのテーマで、これが第一章の第二節以下でやっていることでございます。  それからもう一つは、国際化というのがやはり日本としていろんな面で重要な要素になりつつある。国際化の局面は、いろんな局面があると思うんですが、例えば昭和三十年代ですと貿易為替自由化大綱などをつくって、要するに今まで輸入を制限してきたところをなるべく輸入を自由化して先進国に追いつくような産業構造にしようというのが大きなテーマで、そういう輸入がふえるというような格好国際交流がふえていくという局面がありましたし、昭和四十年代ですと、今度資本の自由化というのが入ってきて外国の企業が日本に入ってくる、そういう格好での国際交流なり国際化一つ中心的な時代があったわけです。  五十年代から六十年代、最近にかけては貿易摩擦もいろいろありますけれども、やはり日本世界GNP一割を占める国家になって、相互依存関係の中で外国の影響も受けますし、日本がどう動くかということが外国にも非常に大きな影響を及ぼすようになってきた。そういう中で、国際社会の中で生きていくためには日本国の動き方も今までとは段階を異にする動き方があるでしょうし、また、国民も当然国際化の中でいろんな生活上の影響も受けますし、国民意識なり行動というのも新しい局面に入ってきたんではないかという観点から国際化問題をもう一つのテーマとして取り上げた次第でございまして、その二つのテーマの分析の結果のまとめが「むすび」に書いてあるということで、年々テーマが変わるものですから、これは別に通常のことでございます。
  58. 吉川春子

    吉川春子君 そうしますと、いわゆる前川レポートが四日七日に出されているわけですけれども、この前川レポートに沿って六十一年度の生活白書が出されたというわけではないということなんでしょうか。  それともう一つまとめて伺いますが、六十一年度の生活白書のまとめの第二に、「国際競争にさらされることの少ない分野では、円高によって商品価格が低下することも少ない。そのため、生活の基礎的ニーズにかかわる商品のうち、その価格がかなり高いものがあり、」云々という表現があります。そしてまた続いて、「今後、安価な商品の安定的供給のためには、生産性の低い分野や内外価格差の大きい商品について、生産性を高めることや適正な競争を促進していくことが重要である。」としています。具体的に言いますと、この「生産性の低い分野や内外価格差の大きい商品」というのは何を指しているんでしょうか。
  59. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) まず第一の御設問の前川レポートに沿っているかという点につきましては、別に沿っているわけではないわけであります。要するに前川レポートというのは、世界経済と調和ある発展をするという観点から、日本の経済構造を国際協調型経済構造へ転換させるための政策提言をするのが目的の報告でありますけれども、私どもの国民生活白書は、要するに先ほど申しましたように、最近の消費動向実態分析するということと、もう一つ国際化国民生活の関係をやはり分析するという、いわば私どもは調査分析をするという立場で、前川レポートの方は政策提言をするのが目的のレポートで、そもそも目的が違うわけであります。  ただ、あえて共通している面があるところを探すとすれば、前川レポートも結局は国民生活の質的な向上を図るということを目的にしておるわけでありますし、私どもも当然国民生活白書ですから、国民生活向上というのが問題意識の一番底の背景にあるということは共通しているかと思いますけれども、直接の目的は全然違うものでございます。  それから、二番目に御質問の国際競争にさらされて生産性が高くなっている分野とそうでない分野と関連しているところでありますけれども、これは「経済的安定」という第二章の第三節、国際比較をしている中で、百八十九ページからいろいろ分析しているわけですが、その中で百九十七ページの「安定した物価水準」というところで、「国または都市において、主要商品の小売価格に見合う賃金を得るための労働時間をみると」云々ということで、百九十八ページのII―3―7表で、「小売価格に見合う賃金を得るための労働時間」、食料品について、例えば食パンを一キログラム買うのに日本で必要な労働時間を一〇〇とすると西ドイツも一〇〇で、アメリカは四九、半分の労働時間で一キログラムが買えますというような、そういう比較の表がここに載っております。それから百九十九ページには、「食料品以外」について、いろんな品目について同様な視点での分析の結果が載っております。それから二百ページに、今度はその購買力平価という観点から、個人消費の中身について、一ドルの値打ちがどう違うかということが、これは一九八〇年のOECDの分析を紹介しております。  こういうのを通じてわかることが百九十七ページに文章で書いてあるわけですけれども、今私が読みかけた二行目からですけれども、「我が国では、相対的に生産性上昇率の低い分野や高い土地価格の影響を受ける分野では、その価格が外国に比べ高い傾向がみられる。」と言っておりまして、この百九十八ページ、百九十九ページ、二百ページの表をごらんになれば、明らかに食料品が高いとか、あるいは二百ページの表をごらんになりますと、やはり食品・飲料・たばこが高いとか、あるいは隣の欄のレクリエーション・教育などが高いというようなことがわかりまして、これがデータであります。  この「むすび」のところで書いてある考え方としては、現在一ドル百六十円程度に為替レートはなっているわけですけれども、それで国際競争できるのは、日本で国際競争にさらされて生産性の高い自動車とかエレクトロニクスとか、そういう産業はそういうドルでももつでしょうけれども、もつかどうか今深刻な問題ではありますけれども、とにかく一方において非常に生産性が高い国際競争力がある産業がありながら、他方では外国に比べたら十倍とか言われるような高い値段の生産性の低い分野もあって、その間にいろんな産業が重層構造的に日本では存在している。したがって、国民生活をよくしていくためにはやはり生産性の低い値段の高いところで今後生産性を高め、それは競争条件が充実するということは一つの条件だと思いますけれども、そこで値段を下げて、国民生活内容が本当に百円なら百円で買えるものが、外国で買えるものも日本で買えるものも同じようなものが買えるぐらいに安くなるようにしていくということが、やはり国民生活をよくしていくために必要ではないかという考えでこういうふうに書いてあるわけでございます。
  60. 吉川春子

    吉川春子君 ちょっと私の質問がよくなかったのかなと思って伺っていたんです。  要するに、ここの中に米とか石炭とか、いわゆる前川レポートで指摘するようなものが含まれるのかどうかということをちょっと伺いたかったんですけれども、もしそれが含まれるとすれば非常に大問題じゃないかと私はこれを読んでいて思ったものですから、そこを伺いたかったんです。  それともう時間も迫ってますので、もう一つ まとめてお伺いしたいんですけれども、それはこの国民生活白書の中には具体的に余り触れられてないのですが、税金の問題です。先ほども総理府の国民生活に関する世論調査の結果のお話が出ましたけれども、中流意識も中の中が減って中の下がふえているという変化を去年と比べても見せているわけですが、その中で政府に対する要望のトップは税の問題で、これが三七・一%というふうになっています。国民の最も強い要望である税の問題について生活白書の中で触れられていないのはなぜなんでしょうか。  政府税調の答申では日本型付加価値税の導入について具体的な提案をされておりますし、また最近これを受けて自民党も税制改革の基本方針で売上税の導入というふうに決めましたが、この売上税というものを大蔵省が示した中身によりますと、この骨子は、かつて国会決議で導入しないことにされた一般消費税とうり二つであるわけです。こういう大型間接税の導入ということにもしなれば非常に国民生活に与える影響も大きいと思うのですけれども、こういう問題についても国民生活白書の中で触れられるべきではなかったのかというふうに思うんですが、その点いかがでしょうか。
  61. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) 実は、触れてはおるわけでありまして、大変恐縮でありますが七ページをお開きいただきますと、「税の負担感・不公平感の高まりとその背景」ということで、「いわゆる中堅所得階層中心とした負担累増感および各種所得者間、とりわけサラリーマンと他の所得者との間の不均衡感を背景として納税者の負担感は大きいものとなっている。」として、総理府広報室の行った税金に関する世論調査を紹介しながら、その税についての要するに、不公平感等の不満が大きいということは指摘しているわけであります。  ただ、具体的にそれではどういう税制をとるべきかとか、どういう税制が悪いかとか、その辺の議論まではちょっと、これをつくっているときは政府の税制調査会で議論している最中でもありましたし、ちょっと白書の領分を超えておりますので、具体的な税制についての議論までは触れておりませんけれども、税が非常に国民生活にとって大きな問題であるということは認識しておるわけであります。
  62. 吉川春子

    吉川春子君 それで、非常に大きな問題であるという認識は国民共通のものでして、だからそれをどういうふうにすればいいかという立場で国民生活白書で触れられるべきなんじゃないかと私は思うんです。  さっき前川レポートは政策提言なんだけれども、国民生活白書分析なんだというふうにおっしゃられましたけれども、私はまさにそこがこの生活白書を読んでいて物足りないところなんです。時間短縮とか雇用とか税金の問題でもそうなんですけれども、まさに現状分析をした上に立って、かつ政策提言を、今までになされたこともあるわけですし、もっと積極的にことしの白書でなされるべきではなかったか、そういうことを強く感じたものですから、まさに大型間接税の問題についても、もっと具体的にどういう影響があるのかというようなことも含めて提言なさるべきではなかったか、こういうふうに思うわけです。  時間がありませんので、私の質問はこれだけですけれども、その答弁をいただいて終わりたいと思います。
  63. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) これもほかの白書類と同じかと思いますけれども、国民生活白書にしましても、経済白書にしましても、要するに対象とする期間なり対象とするテーマについて調査分析をし、それを通じて、国民生活白書であれば国民生活向上するための方策の大きな方向を示唆するというのが最後の目的になろうかと思いますけれども、具体的な政策をどうするかという話になりますと、これは経済計画でありますとか、来年度の経済見通しでありますとか、当庁で言えばそういうものがございますし、あるいは税については税制調査会がありますし、それぞれのつかさがあるもんですから、例えば労働時間の問題にしても、社会資本の問題にしても、いろいろその客観的なデータに基づいて問題が浮き上がるようには分析しておりますけれども、それじゃ具体的にどういう財源でどういうふうにして社会資本をどうすべきかというところまでは、ちょっと白書の領分を越えているのでそこまでは触れていないということで、その辺はちょっと分担関係を御理解いただければと思う次第でございます。
  64. 平野清

    ○平野清君 大変御苦労さまです。最後ですのでちょっと御辛抱をお願いしたいと思います。  第一問で簡単にお答えいただきたいんですが、今度の白書、この毎回つくる白書を経済企画庁だけでテーマをお決めになるのか。例えば民間、マスコミ、それから主婦の団体とかそういうところへ聞いてテーマを考えられるのか、ちょっとそこをお願いします。
  65. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) 企画庁だけで決めます。
  66. 平野清

    ○平野清君 わかりました。  第二問ですけれども、税金のことなんですが、今吉川委員からも質問があったんですが、私はこの国民生活白書をずっと見てまして、長いこと税金が一回も取り上げられたことがない。五十九年度版も六十年度版も毎回克明に見ますけれども、税金のことが一行もない。初めてここに六十一年度版に税金問題が取り上げられた。それで、興味を持って読みましたら、本文は一ページと六行きりないんですね。絵を入れても、それをページ数に教えても二ページと六行きりない。国民生活の中でこのぐらい税金のことが騒がれている時代はないと思うんです。みんなが税金に関心を持っている。それなのに生活白書の中にわずか一ページと六行という感覚がわからない。  しかも、今大変な重要な課題としてとらえているとお答えになりながら、要旨の方が来ましたのでもう一回読み直したら、こちらに書いてある一ページと六行はここからは消えてしまった。税金の項目が落ちてしまった。私は、そういう国民生活白書と名のって要旨の方からもう税金が落ちてしまうという感覚がわからない。政府の文書で初めて税金の不公平、クロヨンということをお認めになった大事なものなんです。クロヨンの不公平税感がはっきりあるということを認めた政府の刊行物としては初めてだと思うんです。そういう面でやっととらえてくださったのに要旨からおっこっちゃうような感覚がどこにあるのか、ちょっとお聞きしたいんです。
  67. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) 結局、本文の方で税の不公平感が登場している部分は去年の消費動向分析したところでございますけれども、したがって、そのメーンの流れは去年の勤労者世帯中心とする家計収入がどう働き、貯蓄がどう動き消費がどう動いたか、その理由は何かというのを分析するのがメーンの流れでありますので、その収入に関連して税金の負担がふえているために消費に回る部分がそれだけ少なくなるということは事実でありますけれども、その流れの中におけるウエートとしては、要旨にどうしてもなければいけないほどの、要するに去年の消費家計の収支動向分析するという観点からいうと、不公平感を強く要旨に述べなければというほどのウエートはまあないという判断をしたということでございます。
  68. 平野清

    ○平野清君 大変何かお苦しい答弁に聞こえるんですけれども、折しもこれをつくる前から政府税調、自民党税調一生懸命やっていらっしゃって、経済企画庁としてはいわゆるそういう税制をやっている段階に対する何か遠慮があるように見えるんです。それで、せっかく経済企画庁が税金問題取り上げながらこういった点だけで逃げてしまう。大蔵省とかそういう税金をやっている団体に遠慮なくそういうものを堂々と打ち出すということが経済企画庁としての任務のような気がする。今後、そういうことをひとつ勇気を持ってやっていただくようにお願いしておきたいと思います。  それから、もう何人の先生もおっしゃいましたのでちょっと重複するんですが、「むすび」のところで「我が国は今や疑いもなく、世界有数の豊か さを誇る国」となっているということなんですけれども、これを読んで、経済企画庁のお役人さんは、特にこの調査に当たった若い役人さんは好待遇なのかなというふうな皮肉を感じたんですけれども、国民すべてがこれ見て実感と合っているのかどうか。今の税金の問題、それから労働時間の長いこと、満員電車、家が遠くて狭いこと、それから東京に見られる土地の異常な値上がり。そういうことで戦後四十年間全然放置されてきた政策の無策さが今初めて噴き出してきているわけです。  新聞社の実態調査によりますと、十分満足しているという人は三・八%きりいないですね。かなり満足していると言っている人でさえ二六%。それを足しても二九%、三分の一きりいないわけですよ。余り満たされていないという人が二一%もいて、何とも言えない、むなしいという人が四四%いるんです、これは朝日新聞の調査ですけれども。そのマスコミ調査とこの「むすび」の文句の余りの格差にちょっと戸惑うんですけれども、どうでしょうか。
  69. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) これはたしか及川先生だったと存じますが、同様の御質問をされまして御答弁したところでありますけれども、要するにここで「我が国は今や疑いもなく、世界有数の豊かさを誇る国である。」と言っている部分は、国民生活世界有数の豊かさを誇っているという意味で言ったんではなくて、GNP世界の一割を占める経済国になって、要するに日本国の経済力全体をそういうふうに評価したわけでありまして、まあGNP世界の一割であるとか、あるいはアメリカに次いで二番目の規模であるとかいうのが一つの代表的な数字的な例でありますけれども、特に最近目立つのは、経常収支の黒字が年々非常に大きいのが続いておりまして、今やアメリカはかつては世界最大の債権国だったのが最大の債務国になりつつありまして、日本が最大の債権国。まさにそれはお金持ちということになるわけでありまして……。
  70. 平野清

    ○平野清君 それはもうわかりました。前のお答えと同じだからわかりますけれども、今言われたのは経済力全体が日本が豊かになったとおっしゃるんですけれども、これやっぱり国民生活白書なんです。国民一人一人の実感の生活白書だと思うので、それだったら国民生活白書じゃなくていわゆる大企業白書でいいわけで、読んで、「むすび」で世界に有数な豊かな国、国民と言われると、やっぱり普通の感覚では大きな抵抗があるような気がするんですが、その点で答えてほしいんですよ。
  71. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) ですから、ここで豊かさを強調するというよりも、それだけ日本国が世界における役割が大きな国になったんだから、やはり国際化というのが大きな問題になってきている。そういう中で国民生活国際化の関連を考えるとこれ以下にいろいろ書いてあるようなことが言える。その中で、それじゃ生活水準なり生活内容国際比較して見るとどうかというと、これも繰り返しの議論になりますけれども、世界先進国よりもすぐれているものもいろいろありますし、中ぐらいのもありますし、大変おくれているものもある。おくれている分野がかなり生活の基礎的なニーズにかかわる分野なんで、これをよくしていかないと日本が本当にここで言った「世界有数の豊かさを誇る国」としてふさわしい国民意識なり行動なりというのが出てこないじゃないかという、ですから、日本国の経済力にふさわしい国民生活内容をこれから実現しなければいけないという意味でむしろ我々は考えているのであります。
  72. 平野清

    ○平野清君 ちょっとそれは見解の相違で……。  次の質問をさしていただきます。  これも吉川委員おっしゃいましたけれども、お答えは、将来展望というものは白書の領域から出てしまうのでそうしていないんだとおっしゃいましたけれども、これからの国民生活に一番重要な土地の問題、米の問題、石炭の問題、税金の問題、貿易摩擦の問題、いっぱいあると思うんですね、片づけなきゃいけない問題が。だから、国民生活白書として出す以上、「むすび」がたったの三ページと五行だけじゃなくて、せっかくのこれだけの大冊を出されたら経済企画庁としての未来の展望があっていいような気がするんです。堂々と経企庁として未来の展望を十ページでも十五ページでも書く人はいっぱいいらっしゃると思う。  だから、ほかの関係官庁に遠慮することなく、経済企画庁としては将来の国民生活はこういうふうにあるべきだ、ほかの政策もこうしてほしいと言って、「むすび」に、空虚な豊かな何とかってやるよりも、堂々とこの問題、この問題、官庁全部を挙げてやらないとえらいことになりますよということがあっていいような気がするんですが、それが白書からはみ出してしまうという論理が僕にはわからない。これは政府刊行物でいつも売り出していらっしゃいますよね、余り売れないと聞いている。そういうことが全部載っていて、数字やなんかを読んで、ははあ、その精神はこの「むすび」にあるんだなとわかればもっと売れますよ、どうですか。
  73. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) 具体的にはそういう先生御指摘のことは細かくは書いてないわけですけれども、ここで第一、第二、第三、第四と基本的な方向を示している精神は、やはり今後の国民生活向上していくためにはこの四つ並べていることを実際に展開していくことが大事だという気持ちをちゃんと示していることになるんですが、実は、その分担関係を御理解いただきたいとさっき申しましたのは、今経済企画庁が事務局をやっております経済審議会の経済構造調整特別部会というのがあるんですけれども、先日中間報告を出しましたが、来年の春には本報告にまとめようとしておりますけれども、ここでやはり国民生活質的向上というのが非常に重要なテーマになっておりまして、それは労働時間短縮とか、社会資本の問題とか、住宅の問題とかいろいろ、そこでは、まさに今後政府を挙げて政策展開としてどうすべきかということを書くのが役割なんです。ですから、国民生活白書問題提起したような精神を今度そういう政策を具体的に決める場において展開されると我々理解しておるわけでありまして、非常に励ましていただいてありがたいと思っておりまして、その意を体して努力したいと思いますけれども……。
  74. 平野清

    ○平野清君 そういう意味で一番最初に、白書のテーマはどこがお決めになるんですかと聞いたんですけれども、経済企画庁だけですとおっしゃったんで、できれば、政府機関というのは審議会が大好きなんでいっぱい審議会つくっていらっしゃるんだから、せっかくテーマを決めて表題決めるときにいろんなところから意見を聞いて、こういうものをやったらどうですか、こういうものはどうですかということもみんな聞いて、それで一つのテーマを決めたら、それじゃ経済企画庁だけで結構ですから調査をどんどんやっていらっしゃる、何かそういう方法にしたら、白書というものは、防衛白書もあります、いろんな白書もありますが、もうちょっとおもしろくなって、国民に身近なものになって、それでこれが読まれて活用されると思うんですけれども、そういう点はいかがですか。
  75. 横溝雅夫

    政府委員横溝雅夫君) そうですね、結局担当課長が課員と議論をして、大体このテーマでやろうということを決めてきて、それをまた局内で議論をして大体局の考えとして主要テーマを決めるわけですけれども、その過程で担当課長なり担当課員としてはやっぱりいろんな人の意見を聞いてきているわけでありまして、ですから、だれの意見も聞かないで勝手に決めているというわけでもないんですが、何か組織的に聞いているかと言われると、これは企画庁生活局の国民生活分析書ですから、やっぱり局の責任でテーマを決めるということで企画庁が決めていますとお答え申し上げたんですけれども、我々別にいこじに人の意見は何にも聞かないで決めるというんではなくて、それはいろんな方の御意見を参考にしながらテーマを設定していきたいと考えています。
  76. 平野清

    ○平野清君 ありがとうございました。
  77. 長田裕二

    会長長田裕二君) 本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時三十七分散会