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1986-12-09 第107回国会 参議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十二月九日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十一月二十日     辞任         補欠選任      長谷川 信君     遠藤  要君  十二月八日     辞任         補欠選任      遠藤  要君     長谷川 信君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 和美君     理 事                 井上  孝君                 石井 一二君                 福田 宏一君                 大森  昭君     委 員                 植木 光教君                 工藤万砂美君                 沓掛 哲男君                 志村 哲良君                 長谷川 信君                 服部 安司君                 堀内 俊夫君                 一井 淳治君                 三木 忠雄君                 上田耕一郎君                 山田  勇君                 青木  茂君    国務大臣        建 設 大 臣  天野 光晴君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  綿貫 民輔君    政府委員        国土庁長官官房        長        清水 達雄君        国土庁長官官房        水資源部長    志水 茂明君        国土庁計画・調        整局長      星野 進保君        国土庁土地局長  田村 嘉朗君        国土庁大都市圏        整備局長     柳   晃君        国土庁地方振興        局長       澤田 秀男君        国土庁防災局長  山本 重三君        建設大臣官房長  高橋  進君        建設大臣官房総        務審議官     渡辺  尚君        建設省建設経済        局長       牧野  徹君        建設省都市局長  北村廣太郎君        建設省河川局長  廣瀬 利雄君        建設省道路局長  萩原  浩君        建設省住宅局長  片山 正夫君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        経済企画庁調整        局財政金融課長  大塚  功君        大蔵省主計局主        計企画官     内野 正昭君        大蔵省主税局調        査課長      杉崎 重光君        厚生省保健医療        局整備課長    大塚 義治君        厚生省生活衛生        局水道環境部水        道整備課長    小林 康彦君        通商産業省貿易        局長期輸出保険        課長       井上  毅君        通商産業省立地        公害局工業用水        課長       落田  実君        運輸省航空局飛        行場部関西国際        空港課長     圓藤 壽穂君        気象庁地震火山        部長       河村あたる君        建設省都市局下        水道部長     中本  至君        建設省国土地理        院地殻調査部長  春山  仁君        自治省財政局財        政課長      柿本 善也君        自治省税務局固        定資産税課長   佐野 徹治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○建設事業及び建設計画等に関する調査  (公共事業予算の執行と財源確保に関する件)  (道路整備特定財源に関する件)  (住宅税制及び住宅建設促進策に関する件)  (四全総に関する件)  (森林・河川緊急整備税に関する件)  (本四架橋の建設及びアクセス道路整備に関する件)  (地価対策に関する件)  (信濃川分水問題に関する件)  (建設業界に関する件)  (下水道整備に関する件)  (三原山噴火観測体制と帰島問題に関する件)  (圏央道環境影響評価に関する件)  (農地の宅地並み課税に関する件)     ─────────────
  2. 鈴木和美

    委員長鈴木和美君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  建設事業及び建設計画等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次発言を願います。
  3. 一井淳治

    一井淳治君 十一月十一日に公共事業費一兆四千億円の追加を盛り込んだ六十一年度補正予算が成立いたしました。一般公共事業に合計千三百三十億円の建設国債増発による国費を久しぶりにつけていただくなど、景気の高揚を意図されたことがわかります。しかし、これがどの程度景気刺激効果を発揮できるかということになりますと甚だ疑問でございます。住友銀行の試算では、GNPを〇・四%程度しか押し上げる効果しかあるまい、そして六十一年度の実質経済成長率は二・四%にとどまるだろうと予測されております。五日に発表された経済企画庁の発表によっても、国際的な公約となっている四%成長には遠く及ばない状態でございます。  そこで、建設大臣にお答えいただきたいのでございますが、六十一年度補正予算に盛られた程度公共事業費規模で現在の深刻な不況を克服できるとお考えなのかどうか、そしてことしはどの程度経済成長を達成できるとお考えなのか。まず、そのあたりのことを、簡潔で結構でございますから、御説明をお願いしたいと思います。
  4. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 私、閣議に出ていろいろ意見の交換を行っておるんですが、四%を達成するということは言っていないということと、四%にできるだけ近づけるように努力するという話は聞いております。私自身としても、あの程度の小型の補正では二・五%やっとじゃないかなと思っておりますし、現実のところ、そのぐらいのものじゃないでしょうか。
  5. 一井淳治

    一井淳治君 ただいまお話しいただきましたとおり、補正予算は、景気刺激観点からいたしますと、大変乏しい内容でございますけれども、現在の段階では、この補正予算をいかに景気てと入 れのために有効に使うか、これが現時点での課題だと思います。  そこで、建設省におかれては補正予算を少しでも有効に使うために具体的にどのような対策をお立てなのか、お尋ねいたします。特に、予算配分について何かルールを設けて配分されておるならばそのルール内容を、また不況地域にどのような割合配分なさっているのか、具体的なパーセント数字を挙げて御説明願いたいと思います。
  6. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 具体的なパーセントの問題は後で事務的に答弁させますが、今度の補正予算は、もう釈迦に説法、御承知のように円高対策、いわゆる国内の消費経消を高める内需拡大を目的としてやるという方針でございますから、特に円高によって不況を生じた地域等を重点に配分をしたつもりであります。なかなか非常に寒い季節に入ってきたものですから、この公共事業を必要とする北海道、東北、北陸といったような地域に対しては、あるいは仕事がどうかと危ぶまれる点もあるものですから、そういう点で、できるだけ作業のできる仕事中心にやるように、なかなか難しい仕事であったんですが、できるだけそういう考え方配分をいたしたつもりであります。後の問題は……。
  7. 高橋進

    政府委員高橋進君) 基本的な方針大臣が今御答弁したとおりでございますが、具体的な数字に即して申し上げますと、今回の補正予算の当初予算に対する全体の割合というのは九・一 %でございます。平均的にはそういうことでございますが、例えば円高影響地域、これは十四道県を対象にしておりますが、それの平均は当初費に対して一一・一%と平均より伸ばしている。あるいは石炭鉱業地域につきましては一八・六%、鉄鋼関連地域については一二・〇%、金属鉱山地域については一二・三%、それぞれ先ほど申し上げました平均の九・一%よりも相当ウエートを高めて配分しているという結果になっています。
  8. 一井淳治

    一井淳治君 来年度の経済見通しは今年度よりさらに厳しさを増して、実質経済成長率は二%にとどまるだろうと多くの研究機関が予測いたしております。深刻な不況が続きまして雇用がますます悪化することが心配されておりますし、ここで大幅な内需拡大を図るためにも、来年度予算においては公共事業費をどれだけ確保できるかが極めて重大な課題として注目されているところでございます。来年度予算を既に何千億円も先に食ってしまっているような状況の中で、建設大臣におかれましてはまさに体を張って大幅な拡大努力をしていただかなければならない、このように思いますが、具体的にどの程度の伸びを確保しようとしておられるのか、建設国債増発考えておられるのか、また公共事業マイナスシーリング対象から外す努力をなされるのか。最近大蔵大臣公共事業費の増額に難色を示したという新聞報道もある時期でございますので、建設大臣の六十二年度予算編成に向けての基本的なお考えを御表明いただきたいのでございます。
  9. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 御承知のように、私が大臣になる前の大臣概算要求を出してあります。この概算要求につきましては、私、党におりまして、認めておりません。それは事務当局同士の話し合いであるから党は関知せずということで、私はこれを了承していないのであります。  それが来年度予算の骨格をなす概算要求として今出されておるわけでありますから、それに一体どう対処するかというのはこっちの問題でありまして、まだ本格的に予算編成に入っておりません。常識的にいっては、今年度七千億の債務負担行為をやったわけでありますから、この七千億をカバーして、どれだけ多く予算を獲得するように努力するかということでありますが、まだ来年度は何%か、当てにならないんです。四%といって二・五%でまだ下限修正やっていないんですから、そういう意味でなかなか手ごわい始末と思いますが、私個人的には全力を尽くして、どんなことがあろうと、ことし以上の要するにアップ率確保するように努力いたしたいと思っております。ことし以上というのは、初年度予算プラス補正予算であります。
  10. 一井淳治

    一井淳治君 大蔵省は六十二年度の措置として、補助事業については六十、六十一年度に続いてさらに補助率の一〇%削減直轄事業については二〇%削減という方針を出しておられると聞いておりますが、補助率削減は既に限度に近づきつつある地方財政を強く圧迫しておりますし、それにそもそも補助率削減本筋ではない、国費をふやすのが本筋だと思います。そこで、できるだけ地方財政を圧迫しないように御努力を願えるというふうにお聞きしてよろしいかどうか、その点についてお尋ねいたしたいと思います。
  11. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 大蔵省は、おととしうそ言ったわけですね。あと三年間やらないと言って去年もやったんです。地方自治団体が受け入れするということになれば、これは私の方の管轄ではありませんから、やむを得ません。そういう意味で、地方自治団体が受け入れをするかしないかの態度によって、私は強力にその態度を支持するつもりであります。
  12. 一井淳治

    一井淳治君 次に、道路整備財源確保関連してお尋ねいたします。  去る十月に税制調査会答申があり、自動車エネルギー関係特定財源への間接税導入について答申がなされております。また五日には、いわゆる売上税導入する税制抜本改革案自民党は党議決定なさっておられるように聞いております。  間接税ないし売上税については、中曽根総理選挙公約との関連があること、揮発油税等道路特定財源諸税と二重課税となって重税となること、そして自動車に関しては既に九種類の税金が複雑に絡み合って重い税が課せられていることなどからして、道路特定財源諸税対象物品に対しては間接税ないし売上税はもうこれ以上課税されるべきではないと考えますけれども建設省としてはこの問題についてどのように対処なさるのか、御説明いただきたいと思います。
  13. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 先生指摘のとおり、去る十月二十八日の政府税制調査会答申におきましては、道路特定財源制度に関しまして、「最近における道路整備状況、厳しい財政事情等を考慮すれば、一般財源化の方向で検討すべきであるとの意見があった。」と記述をされております。しかし道路特定財源は、受益者負担あるいは損傷者負担考えのもとに道路利用者に特別の負担を求めているものでございまして、有料道路制度とともに、我が国の立ちおくれた道路整備推進に大きく寄与してきた政策でございます。したがいまして、道路特定財源制度につきましては、税創設の経緯、受益負担との関係、立ちおくれた道路整備水準及び道路整備の強い要請等にかんがみまして、今後とも堅持してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。  また、もう一つ新しいタイプ間接税導入に絡む問題でございますけれども、先ほどの政府税制調査会答申におきましては、道路特定財源諸税について、「新しいタイプ間接税を上乗せして課税するのが原則であると考えられる。」と記述されております。  先ほどから申し上げましたように、道路特定財源制度道路整備の極めて大きな根幹制度でございますけれども、これは受益者負担理念に支えられているからこそこのような制度が存続しているというふうに私ども考えてきたわけでございます。したがいまして、このように道路整備とは全く無関係負担が新たに課せられるということは、受益者負担理念をゆがめることになりまして、現在の自動車ユーザー負担水準から見ても御理解が得られないのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。したがいまして私どもは、何とか道路特定財源諸税対象品目を今回の売上税対象からは外していただきたい、非課税としていただきたいということをお願い申し上げていく所存でございます。
  14. 一井淳治

    一井淳治君 ただいま道路局長さんからも少しお話があったわけでございますけれども我が国道路整備水準が欧米の諸国に比べて質量ともに大変立ちおくれておることは顕著な事実でございます。また、道路整備地域振興、住民の豊かな生活確保のために絶対に必要でございます。その上、道路の新設が地域の需要をつくり出す効果は大きく、GNP引き上げにも極めて有効であることは言うまでもないところでございます。  そこで、六十二年度の予算編成に当たっては、道路整備推進に対する国民の強い要請にぜひともこたえていただきたいのでございます。そのために、ぜひとも自動車重量税を含む道路特定財源の税収の全額を道路整備費に充当するようにしていかなくちゃなりませんし、また昭和五十七年以降、未充当の自動車重量税約三千七百億円を当初の約束どおり充当し、さらに一般財源も投入していただいて道路予算拡大確保のために全力を尽くしていただきたいのでございますが、建設大臣の決意のほどをお伺いいたしたいと思います。  特に六十二年度は五カ年計画最終年度になり、次期五カ年計画財源措置に影響すると思われますので、特に重要な時期でございますので、お尋ねする次第でございます。
  15. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) それは先生のお話しのとおりでございます。不思議な国日本と私はいつも言っているんですが、公共事業の最たるものは道路です。その道路に国が一般会計から一銭も出していないという国は、恐らく世界じゅうで日本きりないと考えております。これはやっぱり一般会計から出すべき性質のものでありますが、一般会計なかなか出さないものですから、やむを得ずこういう特定財源的なものをつくってやってきたわけであります。  私、この税金には相当関係の深いものでありますからそう申し上げるんですが、それでもまだ、大蔵省考え方と言った方がいいのか政府考えていると言ったらいいのかわかりませんが、考えているような方からいくと、特定財源がずっと突出していると大蔵省考えているでしょう。しかし、とりあえず残った三千億ちょっとの金を今貸したことになっておるんですが、政府同士で貸し借りもおかしいんですよ。証文取って貸してあるんですから、貸したことは間違いないと思うんですが、これはどんなことがあろうと道路の方に入れて、ことしはやりたいと考えております。  いずれにしろ、なかなかおくれている道路行政ですから、議員の皆さん方の格別なひとつ御協力を願って、何とか今までより以上に画期的な予算の獲得をしたいと思っております。これからでございますから、よろしくお願いをいたします。
  16. 一井淳治

    一井淳治君 次に、住宅に対する税制度についてお尋ねいたします。  マイホームが国民共通の願いであること、そして庶民にとって住宅取得費収入に比べて非常に高いので、住宅取得を容易にする税制度を一層促進すべきことは異論のないことであるというふうに思います。建設省の資料によりましても、住宅関係減免税額は、我が国が対国税収入割合が〇・三%であるのにアメリカは四・九%であるなど、主要国に比べて立ちおくれており、住宅取得促進税制を大幅に前進させていただかねばならない、この点はもちろん異論がないところではないかと思います。  建設省では既に住宅減税案を作成しておられ、また最近では住宅床面積拡大にも手をつけておられますが、現在なされている控除率を二倍とするなどの税制改正要求は、これはもう全部実現していただきたいし、それ以上に、税額控除控除率控除期間引き上げ増改築はもちろん貸し家にも拡張すること、居住用財産譲渡課税特例との併用を認めるなど、思い切った対策をとっていただきたいのでございますが、現在どのような対策を進めておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  17. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) 住宅減税住宅対策推進の大きな役割を果たしているところは御指摘のとおりであります。このため、まず六十一年度には、従来ございましたローン減税を大幅に拡充いたしまして、新たに住宅取得促進税制ということで、ローン残額二千万円を限度にいたしまして、一%を税額から控除するという制度を創設いたしたわけであります。この税制改善のために六十一年度の上期におきましては住宅建設もかなり好調に推移してまいりました。  このような状況を判断いたしまして、六十二年度におきましても住宅取得促進税制の大幅な改善ということでへ御指摘にもありましたように、一%の税控除率を倍の二%に引き上げる。控除期間の三年を五年にする。さらに、控除対象といたしまして、住宅に必要な敷地、これは三年前のものに限るという前提はつけておりますけれども敷地に関しますローンについても対象に入れる。さらに、増改築工事工事費が三百万円以上のものにつきましてはそれにかかりますローン対象に加える等、そういう控除対象引き上げ等持ち家対策につきましてまず要請しているところであります。  さらにまた、貸し家対策といたしましても、住宅対策の中で良質の資し家を供給することが重要な問題になっておりますので、良質貸し家促進という観点から不動産収入の一〇%を所得控除する、こういう制度を新たに持ち家対策と並んで要求をいたしております。  さらに、地方税関係といたしましては、不動産取得税控除現行四百五十万円の控除がございますが、これの算定方式面積表示に変えまして、実質的に控除額が上がる等の措置、さらに固定資産税につきましても、現行百平方メートルまでが対象になっておりますけれども、これを百二十平方メートルに引き上げる等の措置、かなり大幅な改善要請をしているところであります。
  18. 一井淳治

    一井淳治君 なお一層の御努力をお願いしたいと思います。  次に、自民党が五日に決定された税制抜本改革案によりますと、いわゆる売上税導入が大きな柱とされておりますが、仮に住宅建設、購入にこの売上税課税されることになりますと庶民の夢がますます遠のくことになりますし、また零細な工務店への過大な負担という問題も起こってくるのではないかと思います。イギリスや西独など諸外国でも住宅関係につきましては非課税とされておるというふうに聞いておりますし、間接税課税されないよう強く対策を講じていただきたいのでございますけれども、現在どのような御方針を進めておられるのか、御説明をお願いしたいと思います。
  19. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) 住宅につきまして売上税課税されました場合、新築の戸建て住宅で標準的なものにつきまして試算をいたしますと一戸当たり約百十五万円の負担増となりまして、これは現行住宅減税額約七十万円を上回ることになります。このように、売上税住宅課税されました場合に現在行われております住宅減税効果が減殺されることになりまして、特に来年度は、先ほど御説明を申し上げましたように、大幅な住宅減税を要望しているところでもありますので、住宅については売上税非課税とされることのように努力をしているところでございます。
  20. 一井淳治

    一井淳治君 次に、四全総に関してお尋ねしたいと思います。  一日に公表されました四全総調査審議経過報告によりますと、これまでの三次にわたる全国総合開発計画に比較しまして、四全総東京圏中心にまとめられつつあるように見受けられます。しかし、一極集中型から多極分散型に転換し、地方活性化を図り、国土の均衡ある発展を目指していくのが全国総合開発計画の本来のねらいでございましたし、過去三回の全総計画でも一貫して唱えられてきておるところでございます。万が一にも東京中心国土開発がなされたならば、ほっておいても東京への集中が進行するのに、ますますもって東京地方とのひずみが急速に拡大することになり、また、逆に東京に人口が集中いたしますと、ますます東京が住みにくくなって首都の整備に巨額の費用を要することになると思います。そこで、四全総においてもこれまでどおり国土の 均衡ある発展という理想を忘れず、地方活性化のための方策を一段と強めていただきたいのでありますけれども、この点についての国土庁長官のお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。
  21. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 四全総につきましては、ただいま一井さんが申されましたように、それぞれ最初の全総、新全総、三全総の流れがございます。ただ、最近の国際化情報化という時代の中で東京大都市圏、こういうものの果たす機能が多少変わってきたということでありまして、ここの生み出しますメリットというものを国のメリットにしなければならない、こういうことが一つあります。  しかし、国土の均衡ある発展を図るという哲学を私どもは変えるということではないと思っております。したがいまして多極分散型の、しかも今度は定住と交流ということを一つのスローガンにいたしまして、これから組み立ててまいりたいと思っております。  先般お示しいたしましたのはたたき台でございまして、恐らく地方振興せよという意見がこれからどんどん出てくるのではないかと、こういうことも考えながら私ども皆様方に御提示をしたというふうに考えております。
  22. 一井淳治

    一井淳治君 最近地方では、鉄鋼や造船などの企業城下町では灯が消えたようでございますし、また中小企業輸出関連企業円高で疲弊しておりますし、農業も漁業も不振でございまして、地方にいる者は大変な危機感すら持っておるところでございます。四全総を最終的に策定される前に、今回の経過報告について各都道府県の知事など地方自治体の意見をよく聞いていただきまして、地方意見を十分に反映していただきたいのでございますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  23. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) おっしゃるとおり、今後各地方の御意見を聞くようにヒアリングをこれから開始していくという予定にいたしております。
  24. 一井淳治

    一井淳治君 地方への分散、国土全体の適切な機能分担を図るためには、工場だけではなくて政府機関、教育研究機関などをまとめて思い切って大胆に地方に移すとか、あるいはこれは例でございますけれども東京都内に本社を有する大資本の株式会社に特に高率の法人税を課するなどのよほど思い切った抜本的な手段を講じないと地方への分散ということは実現できないと考えますけれども、現在どのような方策をお考えなのか、御説明いただきたいと思います。  そして、地域活性化というためには地方での道路網の整備拡充ということが非常に大切であると思いますけれども四全総の中で地方道路網の整備拡充ということをどのように取り上げていかれるのか、この点もあわせてお答えいただきたいと思います。
  25. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 公共機関、特に文教施設等を地方に持っていけという意見は随分あるわけでありまして、今後これを具体化するにはどうしたらいいかというようなことはいろいろ各省庁の御協力が要ることでありまして、今度の四全総の中でもそういう問題をどうするかということは御相談をしていかなければならない問題かと考えております。しかし、現在工場等制限法という法律もございまして、工場の新増設に対する規制あるいは文教施設の規制等も行っておるところでございまして、これらのやはり基本方針は堅持をしていくべきだと考えております。  地方の交通網につきましては、今高規格幹線道路の需要ということが全国から参っております。これについては国土庁と建設省がよく今打ち合わせをしながらその構想を練らせていただいておる、こういうことであります。
  26. 一井淳治

    一井淳治君 四全総は今秋には策定されるという予定と聞いておりましたが、来春までおくれてしまったようでございます。新聞報道によりますと、中曽根総理の指示があったことが原因だというふうに書かれております。その事実はともかくとして、二十一世紀へ向けての国土づくりの基本となる重要な計画でございますから、国土庁長官におかれましては公正中立の立場に立って、横やりが入ってもゆがめられないように、勇気を持って策定作業を進めていただきたいと思いますし、また基本計画がないと困りますので、策定作業を少しでも早めていただきたい、このように思いますけれども国土庁長官として今後どのような姿勢で対処していかれるのか、お尋ねしたいと思います。
  27. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 横やりは入っておりません。あくまでも公平中立にいろいろ各般の御意見を聞きながら、なるべく早く策定するように努力をいたしたいと思っております。
  28. 一井淳治

    一井淳治君 次に、森林・河川緊急整備税に関してお尋ねさせていただきたいと思います。  まず建設省の方に、この税が課税される対象者と課税される理由について簡潔に御説明をお願いしたいと思います。
  29. 廣瀬利雄

    政府委員(廣瀬利雄君) お答え申し上げます。  森林・河川緊急整備税は、非常に治水事業が立ちおくれているという現状を踏まえまして私たちがお願いをしている点でございまして、昭和五十年代における洪水、土砂害による負傷者数は約一万人、被害額は約六兆七千五百億に及んでおりまして、現在各地で渇水等の被害も生じているということで、治水、利水面を見ましても、もはや放置できないというような状況になっているわけでございます。  それで、その財源でございますけれども、私たちといたしましては、可能な限り一般財源確保を図りたいというようなことで努力をしているところでございますけれども、それに加えまして、先ほど申し上げましたような事態でございますので、緊急、特別の財源を確保する必要があるというふうに考えましてお願いをしている臨時の目的税でございます。  課税対象といたしましては、河川法の許可を受けている一級河川、二級河川及び準用河川から取水される発電用水、工業用水、水道用水を対象といたしております。  次に、税率でございますが、工業用水、水道用水につきましては、使用水量一立方メートル当たり二円五十銭。課税対象ごとの負担額でございますけれども、工業用水につきましては、軽減措置や製品価格への転嫁等を考慮しない場合でございますが、最も影響が大きいと言われております紙・パルプ業界につきましては七十億円程度でございまして、一千円の製品に対しまして一円程度の影響。次に、化学につきましては六十億円でございますので、一万円の製品に対しまして三円程度の影響。次に、鉄鋼関係でございますが、三十億円程度を予定しておりますので、一万円の製品に対しまして二円程度の影響というふうに見込んでおりますが、構造不況業種等につきましては所要の軽減措置を講ずることにより、その影響の緩和に努めたいというふうに考えております。  水道用水につきましては、一世帯一カ月当たり五十円程度負担を見込んでおりますが、三分の一程度の世帯が免税となるような免税点制度を設けますとともに、公衆浴場等の公益性の強いものにつきましても所要の軽減措置を講ずるようにしたいというふうに考えております。
  30. 一井淳治

    一井淳治君 大蔵省の方にお尋ねしたいんですが、我が国にはこれまで多くの目的税が設けられていますけれども、どういう要件が満たされる場合に目的税が許容されているのか、特定財源制度が合理的とされる要件を御説明いただきたいと思います。
  31. 杉崎重光

    説明員(杉崎重光君) 先般十月二十八日に提出されました税制調査会の抜本答申におきまして、特定財源制度につきまして幾つかの指摘が行われております。  まず、一般に特定財源制度は特定される公共サービスの受益負担との間にかなり密接な対応関係が確認される場合には一定の合理性を持ち得る。一方、それが資源の適正な配分をゆがめ、財政の硬直化を招く傾向を持つことも確かでございまして、その妥当性については常に吟味していく 必要がある。そして第三に、特定財源制度の問題は、財政需要の優先度を含めまして、財政の資源配分調整機能を有効に生かす見地から幅広く検討を行う必要があると指摘されております。
  32. 一井淳治

    一井淳治君 この森林・河川緊急整備税関連して、大蔵省としてはその要件を満たしておるとお考えかどうか、その辺についてはどうなっておるんでしょうか。
  33. 杉崎重光

    説明員(杉崎重光君) この構想につきましては、六十二年度の税制改正要望の一環といたしまして建設省、農水省から要望が出されておるわけでございまして、今まで両省からいろいろとお話を承っておる段階でございます。ただいま申し上げましたような観点からいろいろまだ検討すべき点があると考えておりますので、私どもといたしましては今後とも各方面の御意見をも踏まえつつ対処してまいりたいと存じております。
  34. 一井淳治

    一井淳治君 この税は流水占用料、水源税構想と実質は同じでございまして、この両構想は昨年から打ち出されているわけで、いまだにはっきりとした結論を言えない、検討中だということになりますと、やはり要件を満たすことがなかなか困難であるということを示しておるというふうに受け取らざるを得ないと思うんですけれども、その点いかがでございましょうか。何か一つの判断を下すのに特に時間がかかるような特別の理由がございますのでしょうか、大蔵省にお尋ねいたします。
  35. 杉崎重光

    説明員(杉崎重光君) 昨年度もこれに似た構想が出されておりまして、それに続きまして本年、森林・河川緊急整備税構想という形で要望が提出されております。いろいろと私どもで検討すべき点がございますので、なお引き続きお時間をちょうだいいたしまして適切に対処してまいりたいと存じております。
  36. 一井淳治

    一井淳治君 これ以上お尋ねしても仕方がありませんので、通産省の方にお尋ねいたしたいと思いますが、通産省としては治山治水事業に必要な費用はどのような財源で賄うべきであるというふうにお考えなのでしょうか。森林・河川緊急整備税について特定の公共サービスの受益負担との間のいわゆる密接な対応関係が確認されるというふうにお考えなのかどうか。つまり、この目的税を課する合理的理由があるとお考えなのかどうか、そのあたりについて御説明をいただきたいと思います。
  37. 落田実

    説明員(落田実君) お答え申し上げます。  治山治水事業が国の最も基礎的な施策であることは御承知のとおりでございます。また、その受益は広く国民一般に及ぶということから、一部の水の使用者にその費用を負担させようという目的税については合理的ではないと考えております。したがいまして、治山治水事業の費用はあくまで一般財源で賄うべきものであると私ども考えております。
  38. 一井淳治

    一井淳治君 長い質問になって恐縮でございますけれども、淡水については、実質的な水の消費量を見た場合に、昭和五十九年度の工業統計表によりますと、これは業界別に見ますと、紙・パルプが二五・七%、化学工業が二三・八%、鉄鋼一一・一%、以上の極端な不況業種で六〇・六%の水の使用をするということになっております。さらに食料品製造業が一〇%、繊維工業七・八%、これらは中小企業で、しかも不況色の濃い業界でございますが、以上で実に水の使用量の七八・四%を占める、いずれも非常に厳しい不況下の業界でございます。  そうして、例えば紙・パルプ業界を見ますと、紙一トンを生産するのに水を百五十トンも必要とし、大量の水を消費するので各企業が大変な税額負担することになりましょうが、紙・パルプ業界は中小企業が多い上に円高不況をまともにかぶっている中で安い外国製品が輸入され、板紙業界などでは数百億円の赤字を抱える企業が何社もあるような状態で、事業所閉鎖や人員整理が起こっており、産構法による業界の助成もなされているところでございます。  また、大量の冷却水を必要とする鉄鋼業界を見ますと、大幅円高により深刻な影響を受けて、国内の販売先業界も不振であり、鉄鋼材単価がトン当たり八千円も下落し、最近公表された九月期決算によりますと、高炉大手五社合計で売上高が前年下期に比べて一二・一%減、実質千八百四十億円の営業赤字を出しており、雇用調整助成金制度に基づく一時帰休が実施されるなど、そして野村総合研究所の報告によりますと、昭和六十五年度までに十万人の人員を減らす必要がある、そのような報告もなされておるところで、大手業者でもこういう状況でございますので、中小業者の中には倒産すら発生している状況であります。  森林・河川緊急整備税は、このような不況業種、中小企業ばかりに課税されて打撃を与えるということになりますが、産業政策的に見て、この税の創設はしない方がよいのではないかと思いますけれども、そういうふうな問題がございます。また、地域によっては工業用水が二〇%も割高になり、電気料金へのはね返りなど、物価上昇に結びつきはしないかという深刻な問題もございます。それ以外にも、この税を新たに創設すべきでないという幾つもの理由があると思いますけれども、そのあたりのことにつきまして、通産省のお立場から御説明をお願いしたいと思います。
  39. 落田実

    説明員(落田実君) 本税の創設によりまして重大な影響を受けることとなる工業用水を多量に使用いたします産業は、先生指摘のとおり、いわゆる構造不況産業でございます紙・パルプ業、化学工業、鉄鋼業、あるいは中小企業性の非常に高い繊維工業あるいは食料品製造業等でございますが、円高等に苦しんでおりますこれらの産業にさらに負担を強いる本税の創設につきましては、産業政策の観点からも適切でないのではないかと考える次第でございます。  その他の問題点としましては、例えば全国の水需要の三分の二を占める農業用水を課税対象から除外しておるという点は負担の公平性の点で問題があるのじゃないかというようなこと、あるいは河川水の使用コストの上昇によりまして、地盤沈下の防止等を目的としております通産省の工業用水政策という点からも矛盾を生じること、その他の点を申し上げているところでございます。  以上のような観点から、通商産業省といたしましては、治山治水事業に必要な費用については、本税のような税によるのではなく、あくまで一般財源によって対処をしていただきたいと考えておる次第でございます。
  40. 一井淳治

    一井淳治君 厚生省の方にお尋ねしたいわけでございますが、水道水は国民の生命の保持を初め、国民生活に不可欠でありますし、また水道は全国に普及し、国民のほとんどが水道水に頼っているわけでございます。この国民生活の必需品である水に対して課税することについて厚生省はどのようなお考えなのか、まずお伺いしたいと思います。
  41. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 森林・河川緊急整備税は、生活必需品となっております水道水について国民負担の増大を招くとともに、水道事業の円滑な運営にも支障を生じますので、この構想には反対をしておるところでございます。
  42. 一井淳治

    一井淳治君 水道の利用者らに目的税を課して特定財源とすることが税制度の本質からして合理性があるかどうか、このサービスの受益負担との関係で密接な対応関係があるかどうか、その点についてどのようなお考えなのか、御説明願いたいと思います。
  43. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 治水森林整備事業は、国土の保全など幅広い観点から行われている公共事業であり、その受益は災害防止等により広く国民一般が享受し、一部の者に限定することができないものと考えております。このように事業からの受益が限定できない水道利用者等に負担を求めることは妥当でないと考えております。
  44. 一井淳治

    一井淳治君 水道行政は国庫補助や地方公共団体の一般会計からの支出により料金の高騰の抑制に努めておりますけれども、このような水道行政の観点から、あるいは一般家庭や飲食店、公衆浴場などへの課税など一般国民への負担増になりは しないか、家計への影響などの観点からどのようにお考えなのか。その他、この税の新設に反対される理由について重ねてお聞きしたいと思います。
  45. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 水道水のコストは、ダム等の費用あるいは遠距離導水、散在をします家屋への給水のため、最近急上昇しておるところでこざいます。このため、厚生省といたしましては、ダム、広域水道、簡易水道等に対し、水道料金高騰抑制の観点から補助を行い、地方公共団体におきましても一般会計から繰り出して、料金抑制に努めているところもあるわけでございます。このような私ども努力にこの構想というものは逆行するものでございまして、直接家庭に対する負担の増ばかりでなく、クリーニング等、サービス料金へのはね返り等を通じまして国民負担の増大を招き、適当でないものというふうに考えております。  なお、この構想が万一実現いたしますと、水道事業内部におきます事務処理等につきましてもかなり煩雑な事務が生じますし、先ほどの受益負担との関係が不明確であることのほかにも行政上の支障が生じますので、厚生省といたしましては強く反対をしておるところでございます。
  46. 一井淳治

    一井淳治君 建設省の方にお尋ねいたしますけれども、今回の森林・河川緊急整備税では、水の使用量の約七〇%を使う最も大口の使用者でございます農業用水を除外しておられるようでございます。受益負担との関係からして、この農業用水を除外するという理由が全くないのではないか。これは法案を通すためのテクニックとしか考えられませんけれども、合理的な理由がないと思いますので、その点の御説明をお願いしたいと思います。
  47. 廣瀬利雄

    政府委員(廣瀬利雄君) 水の使用形態は大変多岐にわたっておりますので、森林・河川緊急整備税におきましては、多様な水使用の実態に応じまして、先ほど御説明いたしましたけれども、免税点あるいは軽減措置等を講じましたこととともに、画一的でないきめ細かな取り扱いをすることが必要であるというふうに考えております。  そういう観点から農業用水を見てみますと、農用地は都市的な土地利用と比較いたしまして異なった性格を持っている、すなわち地下水の涵養、洪水の貯留、それからほかの水利用者にないような河川への好影響を与えるというような場合があります。それから、二番目でございますが、かんがい用水は使用用水の把握が非常に困難でございまして、それを把握するためには徴税コストが膨大となる等の徴税上の技術上の困難が多いということが二番目の点。それから、三番目でございますけれども、流況安定、水質浄化等の事業が近年特に必要となりましたのは、流域の都市的開発、都市用水の需要の急激な増大等に対処するものである。それから、四番目の点でございますが、農業は一般に零細なものでありまして、営利性が希薄であるというような点から事業税等におきましても課税対象から除外されている等々のことを総合的に勘案いたしまして、今回の税におきましては課税しないことが合理的であるというふうに判断したわけでございます。
  48. 一井淳治

    一井淳治君 工業用水の使用者にも零細な方が非常に多いわけで、ただいまの御答弁は納得いかないわけでございますけれども、それは別といたしまして、最後に建設大臣に御答弁をお願いしたいわけでございます。  ただいまのほかの省の方の御答弁の中でも、森林・河川緊急整備税は十分な合理性を持ち得ないのではないかという御指摘が現にございましたし、また既に廃案となった流水占用料、水源税構想とも実質的において変わるところはございませんし、また各新聞の社説、どの新聞を見ましても、すべてこの税の新設には強く反対しているところで、反対の世論が沸き起こっているというふうに言っても過言ではないというふうに思います。来年度の予算編成に当たっては財源に加えられないことを希望いたしますけれども、その点はいかがでございましょうか。そして、どうしても財源が必要であるというのならば、治山治水の重要性を認めざるを得ないということになれば、建設国債によるべきではないかというふうに考えますけれども、そのあたりのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  49. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) この税金問題については各省庁の意見がはっきりしたわけであります。私の方でも特別な税金を取りたいなどとは考えておりませんが、私の方の省庁から考えてみますと、わずかな税金でも災害対策というものを考えれば相当いけるんじゃないかと考えております。  殊に、最近の最も心配されるのは森林の育成であります。この狭い我が国で、御承知のように、森林は採算が合いません。全然合わないと言っていいと思うんです。そうですから、植林をしなくなりました。山は荒れほうだいであります。本来なら当然これは農水省の林野庁の関係になるわけでありますが、それと治水とあわせましてこの法律案をつくろうとしたわけでありますが、現在の大蔵省当局というか、財政当局というか、その方からは逆さにしても鼻血も出ないというような状態でございます。そういう観点から暫定的な措置として特に立法をして、今ここで手入れをしなきゃいけない問題を解決するためにはこれっきり方法ないということで以上出したわけでありますが、これから税調並びに大蔵省当局との折衝もございます。本来ならもう完全にこれは一般会計で支出すべき性質のものであります。  道路なんか、先ほどもちょっと申し上げましたが、一般会計で本当は全額出すべきものが全額特定の人間に出してもらっているということをやっている国ですから、いろいろ問題はあると思うのでありますが、その点は十二分に踏まえて、この税の確保といいましょうか、成立に全力を尽くしますし、どうしてもいろいろな関係でこの税金が満たされない場合においては一般会計から支出してもらわなけりゃ緊急避難的な対策も講じられないということでありますから、これは全力を尽くして確保するようにいたす所存でございます。
  50. 一井淳治

    一井淳治君 次に、質問を変えさしていただきまして、瀬戸大橋架橋とそれに関連する道路に関して御質問いたしたいと思います。  瀬戸大橋の架橋は、当初予定どおりの昭和六十二年度末までに、これは必ず完成してもらわなくちゃいけないというふうに思いますけれども、果たして計画された工程表どおりに間違いなく工事が進行しているのかどうか、今後工程表が狂うような何か問題点はないのかどうか、この六十三年三月中に必ず完成ということは確実なのか、その辺について御説明願いたいと思います。
  51. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 児島—坂出ルートにつきましては昭和六十二年度末完成の予定で鋭意工事を進めております。したがいまして、昭和六十三年春には供用開始ができるというふうに考えておりますけれども、この工事の工程は海上部の大規模な橋梁工事に左右されるわけでございます。特につり橋のけた架設工事は風の影響を非常に大きく受けます。したがいまして、ことしの冬の季節風の強い時期あるいは来年の台風期におきます台風襲来の頻度、それらによりまして工事の進捗状況が明確になりますので、この工事進捗を確認した上で児島—坂出ルートの具体的な供用開始のスケジュールを決定してまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございますが、何とか六十三年春には供用開始ができるように最大の努力を払うつもりでございます。
  52. 一井淳治

    一井淳治君 その瀬戸大橋に関連する高速道路網、すなわち山陽自動車道、中国横断自動車道、四国横断自動車道が架橋完了までには間に合わない、このように言われております。そこで、一兆一千億円余りをかけて中・四国を結ぶ世紀の大事業が完成いたしましても、橋に至る道路が未完成では宝の持ちぐされとなり、かえって交通の渋滞など、さまざまな支障が起こることが予想されます。瀬戸大橋架橋が広範囲の地域発展のインパクトを与え、地域格差の解消を促し、西日本経済と文化の新しい発展を図るためにも、広域交通網を早急に整備することが必要だと思います。  そこで、お伺いいたしますけれども道路整備関連する予算配分、工事の順番の決定などに関して内部的な基準をお持ちなのかどうか、政策的重要性、資金の有効利用などの観点から重点的実施ということを今以上に強力に行うことができないのだろうか、この点についてお尋ねいたしたいと思います。  そして橋の両側、山陽自動車道それから中国、四国横断自動車道の早期完成に向けて一層御努力をいただきたい。工事中の箇所は工事を少しでも早めて架橋に間に合うようにしていただきたいし、それ以外の区間は少しでも各段階を早めていただくよう御努力を傾注していただきたいのでございますけれども、この点についてもあわせて御説明をいただきたいと思います。
  53. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 道路整備を進めるに当たりまして高速自動車国道から市町村道に至るまでの道路網を体系的に整備するということは、これは一つの大きな基本でございます。瀬戸大橋架橋に係ります道路につきましても、交通需要あるいは既存の道路整備状況等を勘案しながら従来ともその整備を鋭意進めているところでございます。  具体的には、本州側では岡山側のアクセスといたしましては国道二号の岡山バイパス君津ジャンクションまでを四車化あるいは六車化いたします。さらに君津ジャンクションから、岡山ブルーハイウェーによりまして何とか交通の処理をとりあえず図りたいというふうに考えております。また、早島インターチェンジから西側でございますが、これにつきましては福山東まで高速山陽自動車道の開通が図れるものというふうに考えております。また、四国方面におきましては、四国の横断道が善通寺—高松間はどうしても供用が間に合いませんので、その間、一般国道の坂出ー丸亀バイパスあるいは臨海道路整備を進めておりまして、これは六十二年度末までに児島—坂出ルートが開通するまでにかなりの整備を進めて、とりあえずのアクセスの手段といたしたいというふうに考えております。  なお、長期的にはこの山陽自動車道の早島インターから東の方、あるいは善通寺インターから東の方の整備を進めまして、昭和六十五年度の半ばごろから順次供用が図れるように整備を進めていきたいというふうに考えております。  なお、先生指摘の今後の整備促進につきましては地元の皆様方地方公共団体を含めて御協力を得ながら、文化財の発掘あるいは地元の調整、用地買収、ここら辺に全力を挙げてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  54. 一井淳治

    一井淳治君 要望でございますけれども、山陽自動車道の岡山から東の早期開通、そして中国横断自動車道の岡山—北房間の調査期間の短縮と早期施行ということを特に早くお願いしたいというふうに思います。  それから、架橋の完成までに高速道路網の整備が間に合わないと、これは現実でございますけれども、全国からこの瀬戸大橋に集まってくる大量の車両をさばいていくために、とりあえず既存の道路整備が必要になってくるというふうに思います。そこで、山陽自動車道にかわる東西方向の交通路につきましては、国道二号岡山バイパス全線の早期完成、特に東の端と西の端の玉島バイパスを早く設けていただくこと、二重線部分を四車線に完成してもらうこと、さらに西につながる国道二号笠岡バイパスを早急に事業化していただくこと、こういったことが必要でございます。  また、南北方向につきましては、中国横断自動車道にかわる国道五十三号線につきまして早急な整備、特に岡山北バイパス、津山バイパスの工事の促進が必要でございますし、あわせて南北方向につきましては、中国縦貫自動車道の美作インターチェンジから南下して瀬戸大橋に向かう国道三百七十四号線の整備の必要がございますが、こういった点を何とかしてもらわないと大変な交通の渋滞を起こして地域の交通の混乱が起こるというふうに思いますので、このあたりの今後のお考えにつきましてお尋ねいたします。
  55. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 先生指摘のように、山陽自動車道あるいは中国横断自動車道を児島ー坂出ルートの六十三年春の供用までには全線供用開始するということは不可能な状況にございます。それらの整備を進めると同時に、今御指摘のようないろいろな一般道路整備を進めまして、少しでもアクセスの機能を上げていきたい。こういうふうに考えております。  具体的には、国道二号の岡山バイパス、玉島バイパスにつきましては、特に岡山バイパスは全長三十八・三キロでございますけれども、君津から倉敷市の大西間二十八・三キロを二車ないし六車で現在供用しておりますけれども、これが児島ー坂出ルートの供用に合わせまして四車あるいは六車に拡大をするべく今鋭意工事中でございます。岡山バイパスの残りの区間につきましても、引き続き事業の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。  一方、玉島バイパスでございますが、全体延長九・三キロでございますけれども昭和六十年度までに七・五キロを暫定二車線で供用いたしておりますが、今後残る区間の事業の促進にも努めてまいりたいと存じます。  笠岡バイパスにつきましては、現在都市計画決定のための調査を進めているところでございまして、できるだけ早期に都市計画決定を行えますように、現在地元関係機関と調整中でございます。そして、この都市計画決定を受けた後に、着工ができる区間から順次着工していきたい。こういうふうに考えております。  一般国道五十三号につきましては、先生指摘のように、岡山北バイパスと津山バイパスにつきまして現在事業化をいたしまして、鋭意事業の促進をいたしておるところでございますけれども、岡山北バイパス延長七・四キロにつきましては現在事業を進めておりまして、六十三年春に新岡山空港が開港と承っておりますが、この空港開港時に特に必要となります県道上芳賀ー岡山線から市道の大岩—小幸田までの間二・三キロにつきまして供用を図るべく工事を進めております。これは六十三年春までには供用いたしたいと考えております。  また、津山バイパス一・六キロにつきましては、五十七年度から事業に着手いたしまして、五十九年度から用地買収を進めておりますけれども、今後とも事情の許す限り事業の促進を図ってまいりたいと考えております。  一方、一般国道三百七十四号線でございます。これは備前とそれから津山市あるいは美作町を結ぶ重要な路線でございますが、全延長四十二・二キロのうち、現在改良率が八二・二%という状況になっております。残りの約二〇%弱の未改良部分につきまして和気工区あるいは佐伯町・吉井町工区という二工区に分けまして整備を進めておりますが、この両工区が完成をいたしますと全線一次開通が完了するということに相なります。私どもといたしましては、この両工区とも児島ー坂出ルートの開通にできるだけ合わせ、あるいは少しくおくれるところがあるかとも存じますが、それに合わせて事業の完成を図るべく努力をいたしたい。こういうふうに考えておる次第でございます。
  56. 一井淳治

    一井淳治君 高速道路のバスの停留所に関してお尋ねいたしますが、高速道路は特に地方の場合に大部分山間僻地を通過いたしますけれども、この僻地の振興のためにも役立つものなら、有効に役立つようにしていただきたいと思うわけでございます。そういう観点からいたしまして、バス停の設置ですけれども、例えばこれは岡山県北の湯原町という町でございますけれども、この一帯の地域に湖や温泉がありまして、それを中心に釣り場、キャンプ場、スキー場などがあって、将来民宿を設けて観光開発などをしていけば地域発展にも非常に役立つような地域がございます。そういう場所にバス停を設けていただきますと、例えば関西方面からの人がたくさんおいでになって休養あるいはレクリエーションの基地にしてもらえ るということも考えられるわけでございます。これは一例でございますけれども、高速道路にバスストップを設けるための要件というものがございましたらお教えいただきたい。そして、今例として引きました湯原町のような好適地には、要件さえ満たされれば積極的にバス停を設けていただくようにお願いしたいわけでございますけれども、そういった点についてお尋ねしたいと思います。
  57. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 公共交通機関でございますバスが高速自動車国道を利用いたしまして地域間の高速交通サービスを担うということは非常に重要なことであるというふうに認識をいたしております。このため、高速自動車国道の建設に当たりましては適切な位置にバスストップを配置することといたしておりまして、その配置に当たりましては、第一番に本線の線形とか構造、第二番に前後のバスストップの間隔、第三番目にバスストップの利用関連人口、どのような方が利用していただけるかという利用関連人口、第四番目に連絡バスの運行回数、バスが本当に運行していただけるかどうかというようなこと、五番目に観光地開発計画といったいわゆる交通発生源があるかどうかということ、それから、第六番目が先ほど申し上げましたのとダブりますが、バス会社の運行の意向、この六点を考慮いたしまして決定するということにいたしております。特に、過疎地域におきましては社会的、地理的条件を十分考慮の上で、設置基準に照らしまして、できる限りバスストップを設置するように考慮いたしているところでございます。  先生指摘の中国横断自動車道岡山—米子線の湯原町地区におきまして地元の方からバスストップ設置の御要望があることは十分承知をいたしまして、私どもも先ほどの設置基準に照らしまして、現在その設置につきまして検討いたしておる最中のところでございます。
  58. 一井淳治

    一井淳治君 もう一つ道路関連してお尋ねいたしますけれども、岡山県道穂波—吉永停車場線という県道がございますけれども、備前市閑谷地内のことについて、この道路地域におきましては耐火物製造などの重要な産業道路となっておりますし、また付近の史跡の観光道路ともなっておるわけでございますけれども、国宝閑谷学校を回避して拡幅したバイパスをこの閑谷地内に設けることが永年の住民の要望となっております。そして、私もこの整備は至急必要だと考えておりますけれども、どのようなお取り扱いになっておるのか、状況について御説明をお願いしたいと思います。
  59. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 一般県道穂波—吉永停車場線は、備前市の穂波から和気郡の吉永町に至ります延長十一・五キロの県道でございますけれども、吉永町で生産されます石材であるとか、あるいは備前市のれんが工場へ運搬する産業道路として利用されているというふうに承っております。  ところが、この道路現況は、改良率六三・五%でございまして、幅員が四ないし五メーター、非常に狭く、そういうことで、昭和六十一年度より備前市の閑谷地区で特改一種事業に着手をいたしまして、現在用地買収を進めているところでございます。また、先生指摘のように、その関谷には史跡として名高い閑谷学校がございますので、現在の道路を拡幅するということは、これは不可能であるというふうに認識をいたしておりまして、この区間につきましてはバイパスを設けるべく、現在岡山県が調査を進めているところでございます。調査が終わりますれば、事業化の御要望が出てくるものというふうに私ども認識をいたしております。
  60. 一井淳治

    一井淳治君 次に、厚生省の方にお尋ねいたしますけれども、岡山県下の瀬戸内海に浮かぶ長島には、六十二年度末の完成を目指して、現在本土と長島との間の架橋工事が進行いたしております。島内道路整備は橋よりおくれまして六十三年度完成予定になるというふうに聞いております。この長島にはハンセン氏病の患者さんの療養所が二カ所ありまして、これまでの偏見と差別によりまして五十数年間隔離生活を余儀なくされ、まことに気の毒な患者さんたちが多数居住しておられますし、架橋の完成を見て死にたいというふうな悲痛な声も聞かれるところでございます。できるだけその架橋に合わせて島内道路整備完成をお願いしたいのでございますけれども、厚生省の方のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  61. 大塚義治

    説明員大塚義治君) ただいま御指摘ございましたように、岡山県の長島という島におきまして、患者の方々の長年にわたる悲願でございました本土との橋をかける工事、いわゆる長島架橋の工事を進めておるわけでございます。六十二年度完成を目途といたしておりますが、当面はこの架橋工事を円滑に進めていくということが最も肝要と考えておるわけでございます。これに並行いたしまして島内の道路整備につきましても大変強い御要望がありますことは、私どももかねてよく承知をしておるところでございまして、このため、これまでも患者の方々といろいろとお話し合いをしてまいりました。その結果、今年度は調査及び設計を行いまして、来年度から工事に着手するということで関係予算要求を行っている段階でございます。  ただ、道路整備の工事に必要な工期などから考えますと、率直に申し上げまして、架橋と同時に完成を見るということは困難であると申し上げざるを得ないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、現在関係予算要求をしている段階でございますので、まず必要な予算確保に最大限の努力を傾注いたしますとともに、患者の方々のお気持ちも十分考えながら、少しでも島内道路につきましても早期に完成できるように今後いろいろと努力を重ねてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  62. 一井淳治

    一井淳治君 他の場所と違いましてこの長島には、ただいま申し上げましたような、まことに人間的に見ましても同情して差し上げねばならない特別の事情がございますので、一般の場合に比べましてさらに特段の御配慮をいただきたいというふうにお願いする次第でございます。  それから、次に国土庁の方に対して地価対策の問題について質問をさせていただきます。  最近、東京都の都心部におきまして異常な地価の高騰が続きまして、これが商業地から周辺の住宅地に拡大し、重大な事態となっております。これはもう質問しなくても、これまで国土庁としていろいろな対策をとっておられることとは思います。しかし、依然として土地の値上がりというものはとどめを知らない状況でございます。  そこで、国土庁としてこれまで具体的に有効性のある対策としてはどのようなことをなさってきていらっしゃるのか。余り有効性のない対策はもう聞かなくても結構なんですが、そのあたりについてお尋ねいたしたいと思います。特に都心の土地がもう現実に上昇を続けておりますので、国土庁の方が余りやってくださっていないんじゃないかということすら感じざるを得ませんので、その点をお尋ねする次第でございます。
  63. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) 先生指摘のように、地価は最近、東京都心それからその周辺におきまして大変高騰しているわけでございます。その原因といたしましては、これは再三申し上げているわけでございますが、基本的には都心部において非常に旺盛な事務所ビル需要があるということ、それから都心部等の業務地化に伴いまして、住宅地の買いかえ需要が周辺区等に非常に広がっておるということ、さらにこれらの需要増大を見込みまして不動産業者等の手当て買いが活発化している、こういう状況であると思います。このために、私どもといたしましては、まず旺盛な事務所需要に対応するために事務所用地の供給に努めるということ、それから二番目に、投機的な土地取引を抑制するために国土利用計画法に基づく土地取引規制制度、これを的確に運用していく、こういうことを柱とする地価高騰対策を立てまして、鋭意実施しているところでございます。  土地税制につきましては、現在、超短期の譲渡について重課制度を創設すること、また、買いか え特例制度に一定の枠を設けるということ、こういった点を要望しているところでございます。  また、最近の地価の高騰にかんがみまして、地価対策に関して関係行政機関相互の緊密な連絡を確保いたしまして、効果的かつ総合的な推進を図るために地価対策関係閣僚会議も開催されることになりました。本日第一回の会議が開かれたところでございますけれども、鋭意さらにまた一層の地価対策を検討してまいりたいというふうに考えております。
  64. 一井淳治

    一井淳治君 届け出制とかあるいはオフィスの床の供給対策など、いろいろ抽象的、一般的な対策はあるようでございますけれども、現実の激しい値上がりに対しては全く効力が出ていない。これは現実に我々の目の前で確かめられているというふうに思います。こういう場合には現在ある法律を使うとすれば、国土利用計画法第十二条の規制区域の制度の発動による投機的取引の規制というものを思い切ってやられなくちゃならぬのじゃないかというふうにも思います。それから第二に、超短期重課税制の創設により、土地ころがしをやっても意味がないほど抑制してしまう。第三に、国有地についても大幅な相当厳しい対策を講ずる、こういったことがやられなくちゃならないのじゃないか。そうしないと現在の都市の狂乱的な地価高騰に対しては手がつけられないんじゃないか、歯どめが効かないんではないか、このように思うわけでございます。  そこで、最初に申し上げました国土利用計画法の規制区域の指定でございますけれども、これについては、あの要件は抽象的であるとかあるいは効果がどうだとか、いろいろと議論があるところでございますけれども、最近の投機取引の集中とか地価の急激な上昇などを見ますと、規制区域指定の要件にまさに合致しているんじゃないか。今の状態が要件に合致しないならば、この法律など何のためにつくったのかわからぬというふうに言うてもいいんじゃないか。このように考えるところでございます。  そこで、都知事に対して規制を発動するように指導されるとか、あるいは都知事の方でそれをなさらない場合には政府として指示すべきではないかと、このように考えますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  65. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) 東京の都心の地価高騰に対しまして当面私どもが実施している対策といたしまして取引規制というものがあるわけでございます。国土利用計画法を的確に運用することとあわせまして、このたび東京都におきまして国土利用計画法の届け出の対象とならない小規模な土地取引につきまして届け出を義務づける条例が制定をされまして、十二月一日から都心五区について施行になりました。また、来年一月一日にさらにその周辺の九区につきましても施行区に含める、こういう予定でおるわけでございます。この規制によりまして投機的な取引を相当チェックできるというふうに私ども思っておるわけでございまして、この条例の効果をまず見守ってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  規制区域の指定は、第一義的には都道府県知事が行うべきものでございます。現在、東京都知事におきましても、まずこの条例を施行して様子を見てということで、ただいま現在の時点では規制区域の指定を行うべきではないというふうに判断しているわけでございまして、この知事の判断を私どもとしては尊重してまいりたいと思っておりますが、今後この条例等による規制の効果と地価の動向というものを見ながら、東京都と連絡をとりまして、規制区域の指定の必要性について検討してまいりたいと思います。
  66. 一井淳治

    一井淳治君 次に、超短期重課税についてはできるだけ早く実施していただきたいと思いますが、現在、税率とか期間とかどのようにお考えでございましょうか。
  67. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) 超短期重課制度で私どもが要望しております内容は、所有期間二年以下の土地の譲渡益、これにつきまして現在の短期重課制度よりもさらに重い税負担を求めるということでございます。現在の制度では、個人の場合には、短期の譲渡益の課税率といたしましては国税、地方税を含めまして最高八六%程度ということでございます。これにつきましては、現在は四〇%の比例課税、総合課税の一一〇%のいずれか多い額ということで、今申し上げましたように最高八六%程度ということになるわけでございますけれども、私どもの案では五〇%の比例課税あるいは総合課税の一二〇%のいずれか多い額、こういうことを考えておりますが、これによりますと最高九四%程度になるということでございます。  それから、法人の場合には、現在では通常の法人税とは別に税率二〇%で分離課税を行っておりまして、国税、地方税を含めますと八六%程度の税率になるわけでございますけれども、私どもといたしましては、土地譲渡益を完全に分離して課税する、こういうことで七〇%の国税を課税するという案を考えておりますが、これによりますと国税、地方税を合わせまして九四%程度の最高税率になるということでございます。  また、赤字法人につきましては、従来は土地譲渡益の部分について税率二〇%課税ということでございますから、その部分と、あと地方税を合わせまして二四%程度の税率になるわけでございますけれども、私どもは完全分離課税ということでございますから、赤字法人につきましても土地譲渡益を分離して税率七〇%で課するということでございまして、地方税を合わせますと八二%程度の税率になるわけでございまして、そういった方法で重課をしてまいりたいと思っております。
  68. 一井淳治

    一井淳治君 次に、国有地、国鉄用地については国土利用計画法の届け制の適用もなく、会計法上の一般競争入札が原則ということもありまして、国が地価高騰をあおっているのではないかというふうな批判も出ておるところでございます。まずもって国が地価の安定のために不退転の決意で臨むという姿勢に正していただくこと、襟を正すことが必要であると思いますし、またやはり国に対しても何らかの法規制、少なくとも国土利用計画法の届け出制等の国や公共団体への適用を考えるべきではないかと思いますけれども、そのあたりの御見解はいかがでございましょうか。
  69. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) 先生指摘のように、国有地の処分、これにつきましては、現在国土法の対象になっておらないわけでございます。一般競争入札で処分をした場合に周辺地域の地価高騰に拍車をかける、そういう心配があるというふうに私どもは認識しておるわけでございます。したがいまして私どもも従来から、国有地の売却処分につきましては地価高騰につながらないような方法をいろいろ講じてもらいたいと、こういうことでお願いをしてきたわけでございますけれども、今後さらに一層具体的ないい方法を考えたいということ、さらに国有地の処分につきましても国土利用計画法の対象にする、あるいはそれに準ずる方法をとる、そういう方向で検討を続けているところでございます。
  70. 一井淳治

    一井淳治君 都心部の地価高騰を周辺にあるいはさらに地方拡大、波及させない対策が緊急に必要だと思います。どのような対策をお考えなのか、お聞かせいただきたいところでございます。  先般発表されました六十一年度都道府県地価調査結果によりますと、周辺部に地価の高騰が及び始めておりますし、また都心で土地を売った人たちが現在地価の安い地方でどんどん安い土地を買いまくっておるというふうな現象も起こりまして、地方に地価高騰が波及しておる状況でございます。何とか早急な対策を講じないと日本全体の地価が上がりまして、公共事業をやろうと思いましても用地費だけにほとんどとられてしまうということにもなりかねないというふうに思います。居住用財産の買いかえ特例の枠を設けるなど、いろいろ必要だと思いますけれども、どのような対策をおとりなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  71. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) 東京都心部の商業地の地価高騰が住宅地の買いかえ需要を通じまして周 辺住宅地に波及しているということは事実でございまして、私どもの認識では、都心部等で居住用財産を譲渡した者が周辺に買いかえ資産を求めるに際しまして居住用財産の買いかえ特例を満額受けよう、こういうことでかなりその地域の相場よりも高い値段で土地を買っている、こういう傾向があって、これがその周辺へ地価高騰が波及している一つの原因であろうと、こういうふうに認識しておりまして、これを防止するために私ども現在税制改正を要望しておりますのは、居住用財産の買いかえ特例につきまして全額繰り延べということではなしに、土地代のうち適当な額までにする、その限度内で繰り延べを認める。その適当な額といいますのは、国土利用計画法等で届け出を受理された額、あるいはそういう対象にならない取引につきましては公示価格とか取引事例とかを参考にいたしまして一定の額を国税庁と国土利用計画法担当部局で相談して定める、そういう一定の額の中で繰り延べを認めるという歯どめを設けようという税制改正を要望しているところでございます。
  72. 長谷川信

    長谷川信君 長官並びに建設大臣にお伺いします。  今もいろいろ御質問があったのでありますが、まさに大都市への過度の集中がいろいろ御議論されておったのであります。国土庁の表看板である国土の均衡ある発展ということが、昨今どうも今のお話のように若干薄らいできているかもわからない。私もこの間東京都庁の連中に聞いたのでございますが、東京都で今一番土地の高いところは幾らですかと聞いたら、一坪一億三千万を超えておりますと言っていました。事実かどうかわかりませんが、もしそんなことが事実だとすれば、まさに国土の均衡ある発展が失われんとしておる。そういうことをいろいろ考えますと、今もいろいろお話があったのでありますが、私はやはり今の大都市の地方分散をまずやらなきゃならないと思うんです。  例えばわずか一握りのところに今一億一千万の人口がある、あるいは昼間人口が一千五百万になっている、そして土地が一坪一億円を超えんとしておる、通勤者は電車に乗って二時間も走らなければ通えない、夏になると水はもう消防自動車で運ばなければ間に合わないようになっている、そういう弊害がこれからエスカレートしたら、まさに私は日本の国がかしがんとしておるような、そういう緊迫感に昨今襲われておるのであります。  そういうときに、この間も科学技術庁の委員会、私出ましたら局長が言っておりましたね。ここ三百年の歴史を調べますと震度五の地震と思われるのが三十回あったそうです。ところが、この六十年の間に一回もないから、たまっているから必ず近いうちにあるかもわからぬと言ってましたが、もし今のような事情の中で関東大震災のようなものが起きたら、これは大変なことになる。そういうことをもろもろ考えますと、今いろいろ地価の暴騰を防ぐ説明も聞いておりましたが、ただ説明だけではどうにもならない。もっと抜本的な方法を考えなきゃならない。そういうときに、今一部の人たちの物の考え方の中に、新潟県の信濃川の水を上流で分水をして、それを関東にトンネルで出して利根川水系に入れて、また大東京都の水を補給しようという計画があります。そういうことがもしあるとすれば、また人口がふえる、また集中度が進む、また土地が上がる。この電気だってみんな新潟県と建設大臣の福島県から来ております。みんなとはちょっと語弊がございますが、そういうことだと思うんです。そういう中で今いろいろそういうことが世間で喧伝されるということになりますと、非常に私は今の均衡ある国土の維持並びに発展についての一つのいろいろ問題を提起するものだと思います。  私のところの地元新潟県も、まさにそういうことがもし行われるならば、これは与野党挙げて、国会議員の諸君も県会議員の諸君も市町村会議員の諸君も全員でこれはとめなければならない、知事以下全員そういうことでやっておるんです。いろいろそういうこと等々ございますので、まず国土庁長官に、そのようなことをお聞き及びでありますか、お聞き及びでありましたら、どのようなお考えでありますか、あるいは今後どのような対処をされるのでありますか、政府としてのお考えをまず承りたいと思うのであります。
  73. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 国土の均衡ある発展を図るということは、これはもう国土庁ができましたときからずっと変わらない一つの哲学でございます。したがいまして、今後も均衡ある国土発展を図っていかなければならないと思います。  けさほども地価対策関係閣僚会議が本日の閣議で決定をされまして、第一回の会合があったわけでありますが、そこの中の論議も、東京に人が集まり過ぎるのじゃないかという意見が非常に多かったわけでございまして、地価問題、さらに長谷川先生が今申されました防災問題、すべてを込めまして今後四全総というものの中身を十分検討していかなければならないと考えています。これはやはり二十一世紀につなぐ日本の青写真をつくる作業でございまして、極めて重要なものであるということを認識しております。今後十分ただいまの御意見等も含めて考えさせていただくつもりでございます。  なお、水の問題、流域変更などということは、これは昔から血の雨が降ると言われるぐらい大問題でございまして、ただいまお話のありましたような問題は、私はちらりと聞いたことがありますが、よく存じません。
  74. 長谷川信

    長谷川信君 建設大臣は福島県の御出身でいらっしゃいますが、奥只見の分水という話が前に出ておりました。奥只見の分水、今鎮静化しているようでありますが、いろいろ御関係の向きでございますので、今のJAPICの問題も含めまして、建設大臣の御所見を承りたいと思います。
  75. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 信濃川の水を東京へ持ってこようという話は聞いたことあります。これはもうちょっと前ですが、五、六年か七、八年前ぐらいじゃなかったかと思うんですが、関東地方水がない、新潟県水が余っている、それを持っていくことは問題ないと思うが、ただ地域住民の了承を得るという前提条件がなけりゃだめだと、雑誌か何かで私そういう意見を発表したことがあります。  これと同じですが、今の只見の分水というのは、私が県会議員のころからこれは問題になっているのでありますが、水のないところ発展しませんから、そういう意味で水をほかに出したくないというようなのは、これは住民感情ですから、今の東京へ水を持ってくる必要はないと私思うんです。これ以上来たら対策ができませんよ。  今ちょっと災害で話がありましたが、これは昭和三十四年ころであったと思いますが、伊勢湾台風という台風が来たことがございます。学者の話ですと、あの台風が東京湾に来れば宮城まで全滅だと言われておるわけでありますから、そういうところにこんなに集まり過ぎでは困ります。だから、その対策をどうするかというので、恥ずかしい話ですが、国土利用計画法というのは私の私案で提案して御協力願ってできた法律でありますが、その法律は国土庁担当しているわけなんですけれども、ちっとも進まないでいるじゃないかというような感じもしないわけではないんですが、この段階でまだ遅くはないですから、これは強力にやっぱりやる必要があると思っております。  水の分水は、これ以上は反対です。私が担当しているんだから、やりませんですから御理解願いたいと思います。
  76. 長谷川信

    長谷川信君 国土庁長官並びに建設大臣反対ということで了承いたしましたが、これは今も県民感情という話がございましたが、私どものところは日本一の資源が六つもあるんですよ。水資源は日本一、水力電気は福島県と同じようにこれまた日本一、米は日本一、労働力は日本一、その他細かいのを入れますと六つも七つもある。そういう中で水も電気も東京に送り、人間も送り、天然ガスも送り、人間なんて五、六年前までは八〇%送っておった。近ごろは少し地元産業ができまして定着度が出ましたが、これで水も取られたら何も なくなります。もしそんなことをやるんだったら、水も電気もガスも人間も地元で使って地元で活性化を図れば、東京にすき間風が入って東京が鎮静化すると同時に地方活性化ができる。これがやっぱり国土庁のこれから表看板でなければならない、そういうことをさっき長官もおっしゃいましたし、今建設大臣もおっしゃいましたので、私も非常に心強く感じておるのでございますが、どうかこれからそういう政治を強力にひとつお二人の大臣から推進をしていただきたい。  もしあす地震が来たら、これは日本の国はぶっつぶれますよ。本当にこの間科学技術庁の局長が言っておった。震度五の地震は三百年間の間に十回あった。ここ六十年の間に一回もないから、五、六回分たまっていますから、いつあるとは言わなかったが、危険性は十分にありますねと言っておった。その辺はひとつこれから考えて、ゆめゆめ水を東京に送って、またそれが人口の急増に連動するような、そういう政治は断じてこれはやっていただいては困るということでございますので、今の御答弁をお聞きいたしまして、しかとそういうことはやらないというお話でございますので安心をいたしたということであります。  なおもう二、三分ございますので、お聞きいたしたいと思いますが、お二人の大臣の御答弁で重複するかもわかりませんが、利根川の水系がありますね。利根川水系の高度利用によっては関東圏の水資源というものは十分に賄えるという説明を私は担当の方から何回も聞いているのでございますが、その辺、局長おいでになっておりますし、局長からいろいろ詳細にひとつ御説明いただきたいと思います。
  77. 廣瀬利雄

    政府委員(廣瀬利雄君) 前提条件がございますが、現在我々が承知している水需要につきましては関東地域内の水資源開発で十分でございますので、関係機関と協力して域内開発に十分努力をしていきたいというふうに思っております。
  78. 長谷川信

    長谷川信君 答弁を非常に簡明直裁にいただいたので質問することもないのでございますが、これは今申し上げましたように、福島県も同じことだと思うんですよ、大臣。私のところも福島県も水力電気やあらゆる資源があって、人間まで全部出している。その辺は、国土庁長官は北陸でいらっしゃいまして、やっぱりやや似たような感じを持っておられる。私もそれはもう痛いほどわかっていますので、どうかひとつ重ねてお願い申し上げるわけであります。  まだ一分ばかり残っておりますが、答弁が明快ですし直裁でございますので、拝聴いたしまして、以上終わりといたします。どうも大変ありがとうございました。
  79. 鈴木和美

    委員長鈴木和美君) それでは、午前の会議はこれで終わりまして、午後一時再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十七分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  80. 鈴木和美

    委員長鈴木和美君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、建設事業及び建設計画等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  81. 石井一二

    ○石井一二君 私は、まず予算の執行についてお伺いをいたしたいと思います。  午前中の質疑を聞いておりまして、六十二年度の予算編成の作業も着々と進んでおるようでございます。一井委員質疑に対しまして大臣から力強い前向きのお答えがありました。重複を避けて、本来ならば六十二年度予算編成に対する大臣のお考えを聞くべきでございますが、今申し上げたような理由にて、ちょっと観点を変えて質問をしてまいりたいと思います。  御承知のように、昨今、内需拡大型の経済政策の推進というものが非常に強く要求されておるわけでございまして、これを受けて、過去最高であった七七・五%という前倒しを執行されたり、また補正予算においても一兆四千億というようないろんな御努力の跡がうかがわれるわけでございます。私は、こういった背景のもとで年度末近くになった場合に非常に大きな前倒しがある、こういうことを踏まえて、補正予算において前金つき国債とかゼロ国債を発行したりとか、いろいろ御配慮はなさっておりますけれども、端境期における景気維持という面から、建設省は一体どのようなお考えを持っておられるか、まずお伺いをしておきたいと思います。
  82. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 端境期対策ですが、くしくも繰り上げ施行ということがここ数年間続きました。そういう点で、幸いにも債務負担行為が二月の本会議で決まりますと、ちょうど執行するのは四月から入るものですから、端境期解消をここ四年間ぐらいはやってきた、五十七年度からですから大体四、五年これを継続しております。それですから、いわゆる債務負担行為というその施策は慣例のような格好になりまして例年これをやってきたというようなことで、端境期対策は今までやってきておりました。  ただ、ことしの場合は、先ほどもちょっと午前中申し上げたんですが、七千億という膨大な債務負担行為が実施されました。そういう観点で、これが完全に施行できるかどうかというところに問題がかかっておりますが、この進行状態によっては経済成長率に大きく影響いたします関係から、できればゼロ国もすべて年度内に執行できるようにということで、今積極的に省内に強力な指導を行っているところであります。要するに、端境期対策というものは今申し上げた債務負担行為でいつの間にかカバーができてきたというのが今までの状態でありますから、これが来年度の予算執行にどうつながるかということはこれからの問題でございますが、できるだけ今年度の予算執行の状況に応じてこの対策は講じたいと考えております。
  83. 石井一二

    ○石井一二君 前倒し額が新記録を更新しただけに、端境期の景気維持ということについても心配いたしております。その辺もよろしく御配慮をお願い申し上げたいと思います。  次に、午前中に話が出ました来年度公共事業地方向け補助金削減の件でございますが、一井委員の質問に対して大臣はたしか、地方がこれを受けるかどうか、地方態度を見た上で対処をしたいというような答弁をされたと思います。私は今ここに地方の政令都市から出されておる「公共事業費の国庫補助負担率の引下げ措置に関する緊急要望」という陳情書を手にいたしておるわけでございます。これによりますと、国は明年度の予算編成に当たり公共事業費を下げようとしておるということを言うた後に、地方財政の今後の見通しからすれば、国庫補助負担率をさらに引き下げた場合には公共事業の事業量の消化に重大な影響をもたらす。したがって、これはどうしても困るという強い意思表示をしておるわけでございます。こういった地方の意思表示を受けて、けさの一井委員に対する大臣の答弁プラスアルファのもう一歩突っ込んだお答えが出ないか、お伺いしたいと思います。
  84. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) けさほどもお話し申し上げたんですが、執行するかしないか、いいか悪いかというのは地方自治団体の問題であります。建設省自体としてはどうだといえば、私の方は執行については反対なんです。ただ、地方自治団体の方で受け入れられるような措置を講じて地方自治団体が受けるという場合においては、これは私の方でとやかく言える筋のものではございません。建設省の立場で、私の立場で言えば、補助率一律カットは反対ですから、そのつもりで御了承願えればありがたいと思います。
  85. 石井一二

    ○石井一二君 このことに関して過去の議事録を見てみますと、大蔵大臣、総理大臣、自治大臣がそれぞれ、日にちは時間の関係で省略をいたしますけれども、衆議院の地方行政委員会あるいは予算委員会、補助金特別委員会その他において明確な答弁をなされております。その大筋は、六十一年度から三年間は補助金負担率は固定をすると、こういうかたい約束がなされておるわけでござい ます。おまけに、これについては当時の自治大臣大蔵大臣、自由民主党政調会長の覚書もございます。私はここにそれを持っておりますが、こういった面でやや約束事に反することが大っぴらにまかり通っておるということは、一言言うならば、けしからぬ話でもあると言いたい人は言うのではないかと思うわけでございます。このことに関しまして、大蔵省、自治省はどのような御見解をお持ちか、もし御意見があれば、簡単に申し述べていただきたいと思います。
  86. 柿本善也

    説明員(柿本善也君) 御質問にございましたように、六十一年度の国庫補助負担率の引き下げは三年間の暫定措置ということで特例法でも規定されておりますし、御指摘のような覚書もあるわけでございます。したがいまして明年度、地方の方でもかなりの財源不足が見込まれるという従来にない状況でもございますので、さらに国庫補助率を一律引き下げというようなことにつきましては、自治省としては受け入れるわけにはいかないという考え方を持っております。
  87. 内野正昭

    説明員(内野正昭君) 六十二年度予算案につきましては、引き続き財政改革を強力に推進するとの基本方針のもとに編成作業中でございまして、厳しい財政事情からすれば、公共事業につきましても国費概算要求基準の枠内に抑制することが必要と考えております。このため、公共事業費確保につきましては種々の工夫、努力を行う所存ではございますけれども予算編成過程におきます個々の方策につきましては、現在作業中でございますので、答弁を差し控えさしていただきたいと思います。
  88. 石井一二

    ○石井一二君 私は、覚書があるから、それについて約束事を守らぬということに対してどう思っておるかということを聞いておるんです。あなたは何を聞いて答弁をしておるんだ。もう一遍やってください、答弁を。
  89. 内野正昭

    説明員(内野正昭君) 三年間の覚書がある、こういうことは承知しておりますが、現時点におきましては、事業費の確保の方策について何らかの意思決定を行ったわけではございません。いずれにいたしましても、今後予算編成過程を通じまして関係省庁とも十分協議しつつ慎重に検討してまいりたいと思います。
  90. 石井一二

    ○石井一二君 私は同じメモを二回同じに読んでくれということは言っていないんです。また違う機会に、違う方に答弁を求めます。  続いて、時間の関係で先にまいりたいと思いますが、いよいよ地方の財政が逼迫してくると地方万債の発行を強いられてくる、こういうことになってこようかと思います。現在約六十兆円という地方債残があろうかと承知をいたしておりますけれども、将来この償還財源についてどのように考えておられるか、自治省の考えを聞いておきたい。特に、交付税で手当てをしようというような考えがありますけれども、交付税総額に上乗せをしてくださる用意があるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  91. 柿本善也

    説明員(柿本善也君) 既にルールが決まりまして地方負担となったようなものにつきましては、今御質問にございましたように、地方債の形あるいは交付税の借入金の形で多額の元利償還費が後年度において必要でございますが、これにつきましては、もちろん後年度の財政見通しを的確に申し上げられるわけはございませんが、それぞれの各年度におきまして、地方財政計画の策定過程におきまして必要な財源確保を図りまして、地方団体の財政運営に支障が生じないように対処してまいりたいと考えております。
  92. 石井一二

    ○石井一二君 午前中の質疑の中で社会党の一井議員より、売上税がもし国会を通過したならばという想定に立っての御質問がございました。野党の議員からの御質問でもございますが、私も同じ想定に立って質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  この税が成立した場合、現在の構想ではその一部を地方配分するということになっております。地方自治体の財政難ということについて我々今論じておるわけでございますが、じゃ、どの程度のものを分けてもらうとお考えになっておられるのか、自治省のとらぬタヌキの皮算用ならぬ、腹づもりをちょっと伺っておきたいと思います。
  93. 柿本善也

    説明員(柿本善也君) 今回の税制改正は、税制が持ちますひずみとか不公平、重税感、そういうものを除去するために改革が行われるというふうに聞いております。そのため、その税制改正の基本としては、いわゆる歳入ニュートラルということで、安定的な歳入構造を構築することを眼目といたしまして、税収面ではあくまで増減税同額という考え方で行われるものと考えておりまして、地方の場合におきましても、法人関係税あるいは所得関係税の減税が行われますと、それに伴って地方関係にも、地方税並びに法人税あるいは所得税の交付税分という両面におきまして減収が生じます。それにつきましては、当然それの補てん措置として行われるであろう増税の過程におきましてそれを完全に補てんしていただく、こういうことを基本として考えておるわけでございまして、売上税につきましてもその補てん措置として行われると聞いておりますので、その一部を減税に見合う形で、完全に補てんされるような形で地方の財源として配分される必要があると考えております。
  94. 石井一二

    ○石井一二君 答弁者に申しておきますけれども、私も質問の通告はいたしておりますけれども一井議員が午前中お聞きになって、全く同じことを同じ場で一、二時間差を置いて聞くというのもおかしゅうございますので、若干観点を変えて聞いておる場合がある。そういった場合に、質問をよく聞かずに、用意してきたメモをとにかく読むのだという考え方はやめていただきたい。私が聞いたことは、どれぐらいもらうつもりなんだというのだから、四分の一とか半分とか、そういった答えを期待しておったわけでございます。今の様子だとお答えをお持ちになっておらないように思いますので、お答えは結構でございます。その次にまいりたいと思います。  次は、国際化時代を控えて海外への建設輸出についてお伺いをしておきたいと思います。  最近我が国建設輸出は大きく伸びておるようでございまして、一方で建設摩擦という言葉が海外でも聞かれるような傾向がございます。建設業の海外受注の増大に対する建設省の現時点でのとらえ方と御所見を、特に米国に対してということを中心としてお伺いをしたいと思います。
  95. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 先生指摘のとおり、建設業の海外受注の実績でございますが、五十八、五十九、六十、三年間は一兆円を超しておるというふうな状況にございます。  これが先進国向けとそれから発展途上国向けと大きく二つに分けてその機能を考えておりますが、まず発展途上国向けに対しましては、何といいましても、まだまだ社会資本整備等が不足しております。そういうところを補って整備する、あるいはそれに伴って雇用機会をつくっていく、それが経済発展あるいは民生安定に大きく寄与していると思っております。  それから、今御指摘のありました米国を初めとする先進国への投資もふえておりますが、これは我が国の輸出構造の多様化に資するとともに、我が国建設業のすぐれた企画力あるいは技術力、資金力による地元経済の活性化等に寄与をしておるというふうに考えております。特に米国というお話でございましたが、確かに米国での我が国建設業の受注はこの数年かなり伸びております。五十八年度は八百八十億程度、五十九年度は約二千億、それから六十年度は二千八百四十三億、これは為替レートがありますが、換算して、そんなことで伸びておりますが、こういう実績も、先生も御承知だと思いますが、特に米国等につきましては語学の教育から始めて、日本人がいろいろライセンスも得て営々と努力した結果であって、向こうの社会においても喜ばれているというふうに理解をしております。  いずれにしても、今後の我が国の経済の着実な発展を期する上において、もちろん十分な国際協調というものを図りながら建設業の海外活動は振 興していく必要があるというふうに考えております。
  96. 石井一二

    ○石井一二君 海外建設輸出ということになりますと、海外工事代金の回収ということを我々懸念いたすわけでございます。こういった中で輸出保険というものがあるわけでございますが、仄聞いたすところによりますと、実際に輸出保険を必要とするカントリーリスクの高い国に対しては輸出保険が適用されない、されても非常にレートも高くなるわけでございますが、保険の適用範囲をもっと広げてほしいという声があるように感じます。この辺について通産省はどのように考えておられますか。
  97. 井上毅

    説明員井上毅君) 建設業の海外事業活動に伴いますリスクをてん補する保険制度として、現在私どもの輸出保険制度の中に技術提供等保険というのがございまして、これによりまして、先生指摘のとおり、発展途上国を中心といたします海外工事代金の回収に対するリスクを事業者の方々がリスクヘッジしておられるわけでございまして、この保険の利用率について見ますと、最近五カ年間の平均我が国の海外建設工事の約五割弱の金額のものがこの保険を利用しているという実績がございます。  しかしながら事業者の方々から、先生指摘のとおり、保険の引き受けの範囲が狭いではないかという声をしばしば私どもも耳にいたしますが、輸出保険は独立の会計を設けまして中長期的な収支相償の原則に立脚いたしまして運用を行っております関係上、健全な輸出保険運営を確保し得る範囲内で私どもとしては精いっぱいカントリーリスク評価をいたしまして機動的、弾力的な引き受けを行ってきているところでございまして、今後とも極力弾力的な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
  98. 石井一二

    ○石井一二君 建設輸出の今後の傾向といたしましては、特定のプロジェクトの施工を請け負う、こういう単純な形が減少をして、プロジェクトの企画、調査、設計から始まり、施工、将来の管理、いわばトータルエンジニアリングの方向へ進んでいっておる、そう思うわけでございます。こういった面で我が国のコンサルティングカンパニーの支援ということも必要だと思うわけでございますが、このような面から、どのような施策を考えておられるのか、また現在行っておられるのか。内容についての説明は結構ですから、制度的なものを御指摘いただきたいと思います。通産省いかがですか。
  99. 井上毅

    説明員井上毅君) 通産省の活動範囲といたしまして海外の建設コンサルタントの育成につきましてはこれまでも種々努力をいたしてきておるところでございまして、主として技術協力という領域を通じまして、できるだけ仕事の機会をこういったコンサルタント事業者に与えることを通じまして基盤の弱いコンサルタント企業の経営基盤を強化させていこう、こういう政策を大きな柱に据えておるところでございます。  また、海外におきます事業活動に伴うリスクにつきましては、先ほど申し上げました輸出保険の中の技術提供等保険というものも利用可能でございまして、私どもといたしましては、今後この保険制度の使い方について十分事業者の理解を得て適用範囲を拡大してまいりたい、こういうふうに考えております。
  100. 石井一二

    ○石井一二君 また時間があれば、もう少しこの問題に返ってきますが、一たん先を急いで、国内の建設業界の問題についてお伺いをしたいと思います。  今後の建設業界に対する指導のあり方として、現在中央建設業審議会でいろいろ審議中である、このように聞いておるわけでございます。一体どのようなことを審議しておられるのか、まず内容に入る前に項目についてお教えをいただきたい。同時に、今後の答申のスケジュール、見通しがわかればお聞かせをいただきたいと思います。
  101. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 建設業の長期的な発展確保する観点から私どもとして当面講ずべき施策を、本年の二月二十五日に、中央建設業審議会に対しまして大臣から御諮問申し上げました。四点ございます。一つ建設業の許可要件等のあり方、二つ目は経営事項審査制度のあり方、三番目は共同企業体等のあり方、四番目は産業構造の改善を進めるための諸方策、以上四点について御諮問をしました。今審査を行っていただいております。  その状況でございますが、一番目と二番目の建設業の許可要件等のあり万と経営事項審査制度のあり方につきましては、法制小委員会という小委員会をつくりまして非常に精力的に審議していただいておりまして、大体今収束段階にありますので、御意見集約ができますれば、できれば年内にでも御答申をいただけるのではないかという状況に立ち至っております。  それからあとの二つの、共同企業体等のあり方と産業構造の改善を進めるための諸方策、この二つにつきましては、企業合理化小委員会という小委員会で審査していただいておりますが、何分にも非常に問題が広範多岐にわたりますので、いろいろな角度からの検討をお願いしております。そこで、御答申はおおむね六十二年春以降にいただけるのではないかというふうに考えております。
  102. 石井一二

    ○石井一二君 御承知のように、昨今は大型プロジェクトばやりでございます。また、いろんなリゾート構想もちらほらと聞こえてまいります。私は、こういったものがどんどん施行されていった場合に、現在のやり方を続けていっておると、いわゆる全国業者と地場の中小業者との格差はどんどん広がる一方である、そのような気がしてならないわけでございます。  こういった意味から、地場の中小業者を育成するという面でも、思い切った分離発注をするといったような業界指導をせねばならぬと思いますが、具体的にどのような業界指導をなさっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  103. 高橋進

    政府委員高橋進君) 今、大規模プロジェクトが今後ふえるではないか、そういうことでございますが、もちろんそういった傾向もございますけれども、一般的に言いまして、まだまだいろんな規模での工事があって、規模がぐっと大きいものにだけ偏るということにはならないと思います。  それはそれといたしまして、中小の建設業者に対する受注の機会の確保ということにつきましては、これは公共工事につきましてはいろいろ事業の効率性の問題等もございますけれども、そういったことに支障のない限りは地元の中小業者の受注機会の確保につきまして指導しておるところでございますし、今後ともそういった方針でいくことにいたしております。
  104. 石井一二

    ○石井一二君 具体的にどんな方法で指導なさっておるんですか。
  105. 高橋進

    政府委員高橋進君) 毎年、事務次官通達を年度当初に出しております。  具体的に申し上げますと、「中小建設業者等の受注機会の確保」という項目の中で、一つは発注標準を遵守する、ランクをちゃんとすることによって中小企業者の受注機会の確保を図る。それからもう一つは、工事の性質あるいは種類等、いろいろ考慮した上で、極力分割発注をすること。それから三番目に、共同請負制度の活用も指導しまして、その施工能力に応じた規模の工事について受注機会を与えるように配慮するというようなことについて指導をしておるところでございます。
  106. 石井一二

    ○石井一二君 先ほど官房長は、私が申した、これだけ大きなプロジェクトがどんどん進むと全国業者と中小地場業者の格差がどんどん進むということに対して、そんなことはないということをはっきりとおっしゃいました。私は、これは大建設省の官房長として極めて認識不足だと思うんです。  大企業の売り上げを年々比べて、中小地場企業との成長格差というものを過去見た場合に、歴然とした差がある。私は、それはもっともっと加速されると思うんです。あなたがそれだけ確信を持っておっしゃるなら、これから二年に一回、あなたがどこにおられても、あなたを訪ねて、これだけ差が開いたじゃないかということを私は申し上 げに行きたい。そして、その結果を建設省のそのときどきの幹部に御報告することによって、建設省の絶対的な自信を持った発言というものは必ずしも正しくないということを立証していきたい、そのようにも思うわけでございます。  それと、今いろいろと通達が出ているとかなんとかおっしゃいましたけれども、私はここに全部そのリストを持っております。みんな文章は一緒なんです。出てくる言葉も一緒なんです。通達だけ出して、紙一枚が地方へ渡っていく。だれかその反響というものを予測して新しい対策を練っておるのか。絵にかいたもちは政治ではない、私はそのように強く思うわけでございまして、ただ通達を出しておってそれで済むといったような考え方に対して深い反省をしていただきたい。十通十五通のこの通達の文書を一遍帰ったらよく見てください。同じ文章が毎回使われて、その成果というものが上がっていないということを強く申し述べておきたいと思います。  ところで、以下のようなことは不可能かどうか、ついでに官房長にお伺いしたいと思います。  年々公共事業の総額が決定された際に、中小建設業者向けの契約目標額を示して、年々その比率を上昇させる方向で各関係先、つまり予算執行者に割り当てることは不可能かどうか。個人的な御所見で結構ですから、御意見を求めたいと思います。
  107. 高橋進

    政府委員高橋進君) 一般的には、マクロ的な意味ではその目標は現在あるわけでございます。先生御存じのように、中小企業向けの契約目標というものを国全体で決めまして、その比率は年々高めておりますし、また実績も上がっております。ただ、先生はそういう意味でおっしゃったのでは恐らくなくて、もっと具体的に発注機関ごとにということにすべきだということかとも思うんですが、そこまでになりますと、工事の種類とかそういったことを全部例えば建設省でもってそれぞれの発注機関別に決めるということは実際問題としてなかなか難しい面があろうかと思いますけれども、なお今後とも研究課題とさせてもらいたいと思います。
  108. 石井一二

    ○石井一二君 官房長もおっしゃいましたけれども、ここに「昭和六十一年度中小企業者に関する国等の契約の方針 昭和六十一年七月十五日 閣議決定」がございます。この内容をよく見ておりますと、中小企業者向けの契約目標額というものがはっきりと、そのうち何ぼは中小企業にやれというように書いてある。六十一年度においては三兆二千七百四十億円。しかも、この場合は中小企業官公需特定品目として繊維製品だとか家具だとか機械だとか、いわゆる項目まではっきりと書いてある。こういった中で、先ほどの同じ文章の十何ぼある通達から一歩出て、しかも大きな工事でも特別な技術を要するもの以外は細かく分割をしてやれば、私はもう少し下へおりてくるというような気がしてならないわけでございます。私の論議がやや素人論議である面もあろうかと思いますが、そうでない面も案外あるかもわからぬ。一遍ぜひ御検討をしていただくことを強く要望しておきたいと思います。  次は道路について若干お伺いをいたします。  道路整備基本方針は、第九次道路整備五カ年計画との関連でどのような方針で今後進めていかれるのか、まず基本的な姿勢をお伺いいたしたいと思います。
  109. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 道路は、国民生活や産業活動を支えまして、地域成長発展に欠かせない最も基本的な基盤であるというふうに認識をいたしております。  しかし、大変残念なことながら、我が国道路整備が本格的に始められて以来、ようやく三十年を数えるにすぎません。その整備水準はおおむね欧米先進諸国の二分の一にも達していない。いろいろな指標でこれは言うことができると存じますが、二分の一にも達していない状況にございます。国民道路整備に対する強い要望にこたえまして、国土の均衡ある発展を図るために、九次にわたる道路整備五カ年計画に基づきまして高速自動車国道から市町村道に至る道路網の整備を体系的に進めてきたつもりでございますけれども、残念ながら需要増が供給増に追いつかない、こういう現実にあることは事実でございます。したがいまして、今後とも道路整備特定財源制度あるいは有料道路制度、この二つを車の両輪としつつ道路整備を懸命に進めていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  110. 石井一二

    ○石井一二君 一生懸命おやりいただいていることはわかりますが、ここに建設行政に関して極めて重たい腕が痛いような本がございます。これがそうでございますが、この中で三谷建設省道路局企画課長が第九次道路整備五カ年計画が大幅におくれておるということもはっきりと自認をなさっております。ただいま局長が御答弁されましたような線に基づいて、今後ますます馬力をかけてやっていただきたい、そういうぐあいに要望をしておきたいと思います。  さて、道路というよりも橋というべきでしょうが、車が通るという面で道路と言わせていただきたいものに明石海峡大橋があるわけでございます。私も起工式にも出席をさせていただいて、その一日も早い完成を期待はいたしておるわけでございますが、同時にあれだけ大きなものができるということで、利害得失を含めていろいろ地元から要望も出ております。例えば明石大橋に導水管を、加古川水系から水が欲しいという淡路の要望もございます。また、神戸市におきましても、取りつけ部分の環境対策として陸上部をシェルター化してくれとか、あるいはグリーンベルト地帯を設けてくれといったようなことも、過密地帯なるがゆえにございます。こういった中で、大橋の建設と地元の要望、どちらも進めていく面において大事なことでございますが、その辺の取り組み姿勢についてどのようなお考えをなさっておるか。もし私が申し上げた二、三の具体的な事項について多少の御所見があれば承りたい、そのように思います。
  111. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 明石海峡大橋の建設関連をいたしましてただいま先生からも二、三御指摘がございましたけれども、第一番といたしまして関連道路網の整備、第二番といたしまして地域の総合的整備、第三番といたしまして工事中及び供用後の環境対策等の御要望が強くなされてございます。大きく分けますとこのような三つの範疇に入るものがございます。しかし、この御要望は非常に広範多岐にわたっておりますので、基本的姿勢といたしましては地元、県、関係機関と十分協議の上に対応するように公団に指示をしているところでございます。  さて、先生今御指摘の水の問題あるいはシェルター並びにグリーンベルトの問題の御指摘がございました。シェルター並びにグリーンベルトの問題につきましては、明石側の、本土側の取りつけ部分が現在住宅地の中に取りつくことになっております。したがいまして、この地域整備との関連が非常に大きな課題になっておりまして、現在神戸市におかれまして本州四国連絡橋公団と協議の上でいろいろ都市計画決定をまとめるべく鋭意努力をしておられます。当初の予定といたしましては、できれば年末まで、十二月までにこの都市計画決定がまとまらないかというようなスケジュールで出発をしたのでございますけれども、いろいろな御要望がございまして、現在のところ少しく予定よりおくれている状況でございますが、できるだけ早く都市計画決定に持ち込みたい、こういうふうに考えております。その都市計画決定の段階で具体的問題を詰めていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。  第一番の水の問題につきましては、実は既に鳴門大橋の問題として一時問題になったことがございます。これにつきましては、何さま水の分水という非常に地域の方々に影響の大きな別の意味の問題がございますので、地域皆様方でいろいろ現在協議をされておられるというふうに承っております。なお、物理的には当然添架は可能でございます。
  112. 石井一二

    ○石井一二君 次に、資金関係について若干聞い ておきたいと思いますが、低利の縁故債の導入を含めていろいろ御努力をなさっておるようでございます。具体的には自治体等との資金調達の計画が予定どおり進んでおるかどうかお伺いしたいわけでございますが、過去の国会における局長の答弁を聞いておりますと、資金コスト等についても六・一四九%と言ってみられたり、六%を保ちたいと言ってみられたり、その間に公定歩合は四・五%から現在の三%へ落ちていったりしておる。こういった面を含めて、金利並びに資金調達の計画等について、現在御認識の範囲で結構でございますが、一言御発言をお願いしたい。
  113. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 明石海峡大橋の事業化に当たりましていろいろな問題がございましたけれども昭和六十一年度にこれを事業化するに際しましては、六十年の七月の行革審の御意見、これはできるだけ民間資金の活用あるいは民間活力の活用ということがございましたので、この趣旨から国費の軽減を図るということを考えたわけでございます。そして、具体的には低利縁故債、これは本州四国連絡橋の資金コストは六・一四九%を考えていろいろな採算計算をいたしておりますので、この資金コストと同率の調達コストとするようなそういう低利の縁故債を全体縁故債の四分の一調達していただけないかというようなことで事業化にこぎつけたものでございます。  このような導入の趣旨を踏まえまして出発をいたしましたけれども、ただいま先生指摘のように、その後金利水準はかなり下がってきてございます。したがいまして、このままで当然のことながら低利の資金を調達するということはそう大きな問題はないわけでございますが、何さまこの縁故債はかなり長期のものでございます。大体十年ぐらいの長期を見越したものでございますから、この点でやはり低利の縁故債の消化につきましてはいろいろと問題がございまして、現在関係各機関と精力的に調整を進めている段階でございます。まだ完全にこのような形でまとまるという段階には至っておりません。
  114. 石井一二

    ○石井一二君 次に、関西新空港に関連して若干お伺いいたしたいと思います。  外国企業、特に米国の参入希望の声が強いわけでございます。従来の指名入札制度の再検討も含めて、建設省建設業法を所管するという立場からどのようにお考えになっているか、お伺いをしたい。
  115. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 我が国建設市場につきましては、制度として申し上げますれば内外の区別はなく、オープンといいますか、外国企業であるがゆえに差別するという制度にはなっておらないわけでございます。したがいまして、もし日本の建設市場に参入したいという外国の企業がありますれば、我が国の法律制度に従って所要の手続を経た上で、後、営業努力をしっかり行っていただきたいというふうに考えます。  なお、指名競争入札制度のお話もちょっとございましたが、日本の建設投資というのは、アバウトで言えば五十兆ございますが、そのうちの六割、三十兆は純粋民間でございますから、これは法的な規制はなく、随契でも何でもいいわけでございます。ただ、あとの公共工事につきましては、いろいろな長い経緯もございますが、私どもは指名競争入札制度を今までも堅持しておりますが、今後とも堅持していきたい。そういうふうに考えております。
  116. 石井一二

    ○石井一二君 ちょっと誤解があってもいけませんので、前段の部分ですが、努力をしていただいたら指名されるという意味ですか。ちょっとそこのところ、私が聞き漏らしたように思いますが、もう一遍。
  117. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) まず申し上げましたのは、我が国の市場に入りたいという御希望があれば、それなりの日本で建設業を営むためには、具体的に言えば建設業法に基づく大臣または知事の建設業の許可が必要でございます。ですから、建設業を営むためにはその許可をまずお取りください、こういうことを申し上げたわけでございます。その後は営業努力でだんだんと発展する場合もございましょう。こういうことでございます。
  118. 石井一二

    ○石井一二君 非常にオーソドックスなお答えをいただいたようでございました。  実はことに私、牧野局長が「開発」本年八月号の中で、「日本の制度に沿った企業努力を」という海外業者参入問題の座談会の記事を読んでおるわけでございます。「今現在では、とやかく言われる問題ではないと思っています。」と、非常に強い御発言がここではあるわけですが、今の発言は私にも非常に納得に値するものでございますので、それを多としておきたいと思います。  続いて、さきに関西国際空港に関するセミナーを、米大統領貿易使節団が来られて、おやりになった。その結果、最近朝日新聞にこの報告書の内容要旨というものが発表された。その中で「”完全に開放され、公正で差別のない”指名競争入札制度改善には見るべき進展がなかった。」との手厳しい表現が使われつつあるというような記事になっておるわけでございます。局長、けげんな顔をしておられますけれども、十一月十六日付朝日新聞で八段、毎日新聞で四段、読売新聞で四段、それぞれ抜いておりますので、まさか読んでおられないとは私は考えておりません。これを踏まえてどのような受けとめ方をしておられるのか、運輸省にお伺いしたいんです。
  119. 圓藤壽穂

    説明員圓藤壽穂君) 先生指摘の関西国際空港のプロジェクトに関しますセミナーは、ことしの七月二十八日、米国のボルドリッジ商務長官の要望を受けまして橋本運輸大臣が開催を約束して、十月八日、九日の両日、大統領の貿易代表団とかあるいは米国の企業実務者が出席して開かれたものでございます。  セミナーにおきましては、関西空港プロジェクトとか契約手続について十分説明をいたしまして、また関西空港株式会社とアメリカの参加企業との間の個別の話し合いの場も設けたところでございまして、プロジェクトについてのアメリカ側の理解は十分深められたものと考えております。  また、先生指摘の大統領貿易代表団の報告書の件でございますけれども、現時点では正式には入手しておりません。私も、先生指摘のとおり、朝日新聞等で拝見はいたしました。そこで、アメリカ側の考え方を正式に把握した上で適切に対応していくことにいたしておりますけれども、関西空港株式会社の契約方式とか手続につきましては、中曽根総理大臣がお約束になられました、外国企業にも日本企業と同様の公正で無差別な競争の機会を与えるという基本的考え方に沿ったものであると考えております。今後、具体的な手続を決定し、運用していくということに際しましても、十分この点に留意して契約の決定なり運用が行われるよう指導してまいりたいというふうに考えております。
  120. 石井一二

    ○石井一二君 今運輸省からやや前向きな御答弁があったように思いますが、このことに関して橋本運輸大臣からボルドリッジ商務長官への書簡というものが八月二十二日に出されております。その中に次のような一文があるわけでございます。「政府としては、会社の契約方式について具体的指示はできないが、総理の考え方に沿った手続が定められるよう会社を側面から支援する。」ということでございました。こういったものもあるのだということをお含みの上、いろいろと御活躍を願いたい、そのように思うわけでございます。  一方、アメリカ側のゴールドフィールド商務次官補でございますが、十月十日に外人記者クラブで次のような発言をいたしております。いわく、日本はアメリカで一九八五年だけでも十七億ドル、約三千億円を受注しておる。アメリカはこの二十年間で日本道路公団発注の東名高速道路のポタシェニックのみで、たった一件だけであるということを言っておるわけですが、彼らはこのときどんな仕事をしたのでしょうね。もしわかればお聞かせをいただきたいと思います。
  121. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 突然の御質問でございますから詳しい資料は持っておりませんが、当時、東名高速のたしか静岡県の工区をこのポタシェニック社が受注したというふうに記憶をいたしてお ります。そして、受注した後に日本に入りまして、現実にはその下請を探したようでございますが、なかなか適格な下請業者が見つからない。やっと見つけました下請業者が現実に施工にかかりましたところ、本社からのいろいろな資金の調達その他が思うようにいかずに、下請もなかなかうまく施工ができない。結果といたしまして、これは施工能力がないということになりまして、保証人が代行でこの仕事を実施をしたというさんざんな目に遭った実例が私の記憶にございます。
  122. 石井一二

    ○石井一二君 それで、日米間のいろんな交渉の記録を見ていますと、そういったことは余りおっしゃってないんですよね。だから、どんどんやはり言うべきことは言うて、記憶にとどめていただいて、するべき主張は日本側としてしておいていただきたい、私はそのように思います。  まだいろいろ資料があって、言いたいことがあるんですが、時間に追われておりますので、この問題の最後として私は、関西国際空港関連施設ということで湾岸道路についてお聞きしたいと思います。  現在のところ、湾岸道路は六甲アイランドでとまっておるようなことになっておるわけでございます。先ほど私がお伺いいたしました明石大橋の建設は既に進んでおる。六甲アイランドから明石大橋は見えるわけでございますけれども、この湾岸道路はどのような形で明石大橋につながるのか、そこのところの図式がはっきりとまだ理解できていないわけでございます。もし決まっておればもちろん知りとうございますし、このような予測になるだろうというお考えがあれば、お聞かせをいただきたいと思います。
  123. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 先生指摘の明石海峡大橋の東側の取りつけの問題でございますけれども、現在、明石海峡大橋の神戸市側の関連道路といたしましては西神道路、それから神戸西バイパスの整備を進めることを当面のいわゆる緊急策として考えております。しかし、長期的には神戸西バイパスと現在事業中の湾岸道路を接続する必要があろう、こういうふうに考えております。先生指摘の六甲アイランドから西の方に進めていく、そして神戸西バイパスにつなげるというのが長期的な目標でございます。  さて、この六甲アイランド以西の大阪湾岸道路につきましては、航路を横断するために非常に高度の技術を要する大規模な構造物が必要になってまいります。また同時に、海事関係者等々の多くの関係機関との調整を図る必要がございまして、非常に問題がたくさんございます。現在、鋭意路線計画を作成するための調査推進しておりますけれども、できるだけ早期に都市計画決定まで持ってまいりたいということで、今鋭意努力しているところでございます。
  124. 石井一二

    ○石井一二君 局長からやや具体的なお話があったわけでございますが、地元ではもう少し進んだ論議がなされております。すなわち、トンネルになるのか、いわゆる橋けたと申しましょうか、高架道路になるのか。そういうことになりますと、当然須磨の海岸あたりを通る。源平合戦の古戦場、平敦盛が首をはねられたところですが、神戸市民百三十万人にとって唯一の白浜の海水浴場でもあるこういったあたりがどのような格好でそこへ結びついてくるのか。鉢伏山あるいは須磨の海岸、和田岬、もちろんポートアイランド、名谷インター、このあたりの構想はまだ決まってないのですか。
  125. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) これから最終的な詰めを図るわけでございますけれども、まず原案といたしましては、六甲アイランドからポートアイランドまでは橋でございます。それから、ポートアイランドから須磨の海岸までは橋でございまして、須磨の海岸に入った途端にトンネルになります。それで、あの名谷に抜ける。こういう計画をとっておりますが、御承知のように、東京湾横断道路が最初は橋でございましたけれども、片側十キロはシールドトンネルに変わりました。これもシールドの技術開発が進んだ結果、こういうことができたわけでございますので、しからば今の大阪湾岸の延伸につきましてもそのような工法が、例えば六甲アイランドとポートアイランドの間、あるいはポートアイランドと須磨の海岸の間にそのようなことができないかということを含めて、今鋭意検討中のところでございます。
  126. 石井一二

    ○石井一二君 私、個人的な意見としてぜひ須磨の白浜を残していただきたいというように要望をいたしておきたいと思います。  次に、下水道について若干御質問いたしたいと思いますが、やや専門的な実務的なこともございますので、できれば下水道部長の答弁を願いたい、そのように思います。  さて、この普及率でございますが、御承知のように、現在約三六%内外、全国平均で進んでおる。処理人口は約四千三百三十三万人という数字でございまして、先進国としては必ずしも満足すべきものではない。こういうことでございますが、この普及率の内訳を見ておりますと、公共下水道が約八一・八%、流域下水道一八・一%と非常なアンバランスにもなっておる。この辺に関して、全体の普及率向上という観点からどのような努力をされておるのか、御所見があれば、まずお伺いしたいと思います。
  127. 中本至

    説明員(中本至君) 先生指摘のように非常にアンバランスが出てまいっております。特に流域下水道が非常におくれておりまして、前五カ年計画におきましては下水道全体の七五%の進捗に比べまして流域下水道はわずか五八%、そういうことでございますので、今度の新しい第六次下水道整備五カ年計画におきましては、流域下水道あるいはその他の非常におくれております下水道等に事業費を投資する。さらに、流域下水道自体につきましては二条管の管を入れたり、いろいろ努力しながらバランスをとって効率的な下水道施工を図りたいと、かように考えております。
  128. 石井一二

    ○石井一二君 いずれにしろ、日本の地形というものを見た場合に非常に山岳地帯も多い。山の陰等にもたくさんの集落がある。こういう面で、公共、流域だけではカバーできない地域も多々あろうかと思います。そういうことを踏まえて、一、二年前より建設省でも、俗に言うミニ下水道をおやりいただいて小集落のカバーをしていただいておるわけでございますが、昨今は農水省も厚生省も、名前はいろいろ長ったらしい名前がついておりますけれども、同じようなことをおやりになっておる。  私ごとき建設省びいきの人間にとりまして、できればこういう下水道は全部建設省仕事だと、そういうような縄張り内におさめてほしいというような気持ちもするわけでございますが、市町村長の立場に立って見ると、補助率だとか補助対象範囲だとか、いろいろなややこしい細かな数字があって、どれでやろうかという場合、必ずしも建設省制度というものがウエルカムされていないというような現状にあろうかと思います。専門的な技術者というものが下水道事業団にもおられるし、専門家なんですから、でき得れば建設省が一本化してこういったものを全部やれないかという気もいたすわけでございますが、ミニ下水道の今後の展望についてどのようにお考えになっておるか、お伺いしておきたいと思います。
  129. 中本至

    説明員(中本至君) 御指摘のように、下水道は流域下水道という二町村以上の範囲の下水道、さらには公共下水道、さらに特定環境保全公共下水道、その中でまた人口千人以下でもできます簡易な公共下水道等を建設省では行っておりますけれども、農林省の方は人口千人以下という原則のもとに農村集落排水事業を行っております。また、新しい住宅団地等では厚生省のコミュニティープラントというのがございまして、ばらばらになっておるようでございますけれども、これは一応そのような人口的な規模とかあるいはその形態によってそれぞれの役割をちゃんと守りながらやっておりまして、御迷惑をかけていないつもりでございます。しかしながら、若干ところどころではこの建設省型と農林省型の接点でいろいろ折衝を重ねなければならない点もございます。  そこで、私どもの方では下水道マップというも のを全国的に今作成中でございまして、その中で、先ほど申しましたような流域下水道とかあるいは公共下水道とか特定環境保全公共下水道、あるいは簡易な公共下水道、さらに農村集落排水下水道等、これらをうまく大中小あわせましてこれから実施したい、かように考えております。
  130. 石井一二

    ○石井一二君 今後ますますの御精励を特にお願いをしておきたいと思います。  まだ四、五項目下水道であるんですが、時間の関係で次に移りたいと思います。  国土庁長官もお越しでございまして、けさ私は特に一井議員の聞かれた地価対策についていろいろの質疑を興味深く聞いておりました。それで、私自身は国土庁がいろいろ御努力をされておることをよく理解もいたしておりますし、高く評価もいたしております。また、けさの御答弁等についても非常に御努力の跡がうかがえるというような気がするわけでございますが、世間では、とかく国土庁の地価政策についての風当たりが強いように思います。  例えばここに「経済界」十一月十一日号がございます。長官お読みになったと思いますけれども、その中の見出しがこのような見出しでございます。「存在意義問われる国土庁 地価対策でも他省庁の後手に回る有り様」、こういうような見出しでございまして、「大きな任務である地価対策では大蔵、運輸、農水省など他省庁の鼻息をうかがいながら後手後手に回るありさま。いま最も活躍すべき時にこうした状態では、国土庁の存在意義が問われたとしても不思議はない。」というような手厳しい書かれ方をされております。そして、そんなことを書いた横になぜ天野建設大臣の写真が出ておるのかなと、内容をよく読んでおりますと、最後に「建設相に就任以前の天野光晴代議士は「規制だけしか能のない国土庁などつぶしてしまえ」というのが口グセだった。」と、そんなような記事、これはその辺の週刊誌と違ってれっきとした「経済界」という雑誌ですから、こういうことを書いておることは実にけしからぬと思いますが、実に残念なわけでございます。  私は、そういう面で、けさ御答弁になったいろんな施策を包括的にいろいろやっていただいて、一日も早く、特に大都市圏を中心とした地価の抑制のために頑張っていただきたいと思うわけでございます。  あと一分半ほどございますので、最後に具体的な質問でございますが、地価をあらわすものとして現在実勢価格のほかに公示価格あるいは固定資産税の評価額、相続税の評価額、つまり路線価、それから国土利用計画法に言う許可基準価格と、いろいろあるわけでございます。それぞれ主務官庁も違いますし、それぞれ用途があるわけでございますが、例えば昭和五十七年七月三十日付の臨時行政調査会第三次答申の中の第2部第1章4の(2)のイの中で「現在多元化している公的土地評価について公示価格との関連において適正化と一本化を進める。」というような提言もあるわけでございまして、私は土地政策の一環としてこういった面についても御配慮を願いたいと思いますが、このような多種類ある評価、場合によってはこれが原因でそれぞれ値段が違うわけでございますから、社会的な不公平をも助長しかねないということもあるわけでございますが、国土庁の御所見を聞いておきたいと思います。
  131. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) 先生指摘のように、公的土地評価制度として地価公示、都道府県地価調査のほかに固定資産税評価額、相続税評価額がございます。地価公示価格、都道府県地価調査による基準地価格は自由な取引が行われるとした場合に通常成立すると認められる価格を示すものでございまして、一般の土地取引の指標あるいは国土利用計画法における価格審査の基準という役目を持っているものでございます。また、これは申し上げるまでもありませんが、固定資産税評価額、相続税評価額はそれぞれの課税の基礎になる、こういうものでございます。これらにつきましてはそれぞれ制度の目的に応じた評価がされているわけでございますが、評価を統一するということ、それから上昇度合いを合わせるということについてはいろいろ困難な面がございます。しかし、これをなるべく一元化するということで、国土庁、国税庁、自治省の三省庁の間で公的な土地評価研究会というものをつくっておりまして、研究を続けております。  いろいろな問題点はございますけれども、できる限り一元化の方向で努力を進めたいと思っておりまして、引き続き関係省庁と連絡を密にしていきたいというふうに思っております。  なお、固定資産税評価額、相続税評価額、いずれも地価公示の結果を非常に重要な参考として使われていると私どもは認識しております。
  132. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 時間が限られておりますので、住宅問題に絞りたいと思っておるんですけれども、せっかく国土庁長官もいらっしゃいますので、三原山の対策で非常に尽力をされて御苦労なさったことに対して心から敬意を表するわけでありますけれども、昨日、予知連絡会からいろいろな報告をされました。その報告がいろいろマスコミ紙上では一歩前進と。前の報告から比べれば、よく研究をされ、いろいろ調査をされた結果というものが一歩前進の全員帰島のような方向に、前向きに検討できるような姿になってきているというような私も判断をするわけでありますけれども、災害対策部長として、昨日の報告を踏まえて現在の考え方はいかがでしょうか。
  133. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 火山の噴火予知、さらにはこれがいつ鎮静化するか、こういう予知は極めて難しい問題だと聞いております。今、学問的にも、また実際に当たりましてもなかなか的確なことはできないようであります。しかし、科学的判断と行政判断と二つの関係があるわけでありますが、今回の予知連の皆様方は鎮静化という結論をお出しいただいたわけでありますが、そのやはり後には、今回予備費から約十一億円余の予算をいただきまして、目下最新鋭の監視体制をつくる機器を今埋め込んでおりますが、これらが機能するということを前提にして恐らく御判断をいただいておるものだと私は考えております。そういうものも含めて、万が一の場合にはこの最新鋭のものがまた機能するのじゃないか、こういうようなことも含めて今やや鎮静化しておるからというようなお話をされたものだと考えておるわけでありまして、私どもも鋭意この監視体制を強めながら、予知連のお話を参考にしながら東京都と一緒に行政判断をしていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  134. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうすると、監視体制の強化の問題、昨日の予知連の報告も踏まえまして、監視体制の強化はいつごろまでにでき終わって、そしていつから新しい機器によるというか、そういう設備ができ上がって判断ができるような姿になるのか。
  135. 河村あたる

    説明員(河村あたる君) 伊豆大島の観測体制でございますが、気象庁は地震計七点あるいは傾斜計八点等を増設いたしますし、またブィロボットを展開するなどいたします。そのほかに関係各機関のいろいろな観測施設も整ってまいります。そういうものを一元的に気象庁にテレメーターしていただきまして、集中的な監視をすることによって監視体制を強めるという立場でございます。現在も鋭意進めてはおるところでございますが、大体目途といたしましては年内ぐらいを目途として大半の整備は進めたい、そういうふうに考えておるところでございます。
  136. 山本重三

    政府委員(山本重三君) ただいま気象庁から報告がございましたが、今回の緊急整備計画では既存の十三地点のほかに島内五十五地点、島外三地点に地震計、傾斜計等々の機器を設置し、観測を強化することをやっております。これらの機器につきましては、私ども当初十日を目途に概成する方向で鋭意努力しておりましたが、中には外国から新鋭の機器も輸入して観測体制を強化するということもございますので、中旬ごろにはほぼ機器の大半は入れて、今気象庁の方から報告がございましたように、年内には全部システム化ができるような方向で努力したい。なお、そのシステム化 が完全に終わりませんでも、設置した機器にはそれぞれ直ちにテレメーター化してその情報が的確に入るというような措置をとると同時に、現実にはこれに並行して、臨時に総合移動観測班を現地に派遣しまして情報の的確な収集等を行うという体制をとることにいたしております。
  137. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、これ災害対策部長東京都との行政判断になってくる。  本年中に大体機器がそろう。しかし、機器がそろう前でも、都知事は一日も早く、それから島民の方も一日も早く帰りたいというのは、これはもう人情だろうと思うんです。しかし、十五日ぐらいに都知事は、全員大島へ帰る、こういうような方向を何か示唆するような発言もあるわけでありますけれども、この監視体制が年末までにでき上がる、その精密な監視体制をもとにして判断をするのかどうか、こういう問題についてはいかがですか。
  138. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 今防災局長、気象庁からお話もありましたが、いろいろの機器があるようであります。その中にはやはり地球物理学的な非常に難しいような機械もありますし、当面の噴煙とか水の状況とか、あるいは震度とか、毎日刻々に調べる問題もありますし、いろいろあるようでありますが、今防災局長が話しましたように、概成と申しましょうか、大まかなものは中旬ごろまでにセットできるのではないかというふうに考えております。  昨日、東京都知事並びに大島町の町長、議会の議長さんを初め皆さん方も来られまして、やはり監視体制をなるべく早くやってほしいという御要望もあったわけでありますし、また避難体制と申しましょうか、現在も島に行っておられる方もおりますし、もし全面帰島という場合にもいつでも退避できるような体制だけはひとつお願いしたいというような要請もきのうはあった次第であります。
  139. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それで、その要請があったんですけれども、災害対策部長として、十五日ぐらいに大まかないろいろな判断ができるとした場合に、この要請を受け入れられるような、そういうふうな判断に立てるんですか、どうですか。
  140. 山本重三

    政府委員(山本重三君) きょうの本部会議におきまして東京都の方から報告がございましたが、それによりますと、現在島の周遊道路等に相当の亀裂ができております。そういった道路は避難道路として活用しなきゃなりませんから、水道とかそういった被災しております公共施設等の整備というものと空港の開港もあわせて十七日までには完成したいということを言っております。  それからまた、昨日初めて開きました今回の噴火予知連の伊豆大島部会につきましては、次回十二日にまた再度検討会を開くということにいたしておりますので、そういうことを踏まえて本格帰島の問題は今後検討されるものと思いますが、私どもは、きょうの会議で本格帰島に備えて、避難警戒体制それから観測監視体制というものを十分それに備えた具体的な検討に入ることを申し合わせたところでございますので、今後その準備を鋭意進めていきたいと考えております。
  141. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうすると、端的に言って十五日ぐらいに全員帰島となった場合に、いろいろ避難体制とか監視体制とか、そういうことは大体整う、こういうふうに判断してよろしいですか。
  142. 山本重三

    政府委員(山本重三君) 本格帰島の問題については個々具体の検討が必要でございますので、これから毎日東京都の本部と十分詰め合わせながらその検討は進めていきたいと考えております。
  143. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは、予測をすることはだれしも非常に難しい問題ですから、私がこれ以上どうこう言っても始まらない問題でありますけれども東京都とよく連携をとっていただいて、情報をよく教えて、そしてやっぱりその判断の基準ができるような体制をしいていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  それから、やはり道路とか農作物等を初め被害が大分出ているわけですね。こういう問題について、やはり東京都財政は他の府県から比べたらたくさんあるから少し国の方はいいだろうというふうな感じではなしに、積極的にひとつ協力をしていただきたい。特に、こういう災害の問題でありますし、全員帰島をしてもその後どういうふうな姿になってくるかもわからないわけです。当分の間の国でのいろんなフォローというものが私は非常に大事な問題ではないか、こう思っておりますので、災害対策部長のそういう問題に対する所見を伺っておきたいと思います。
  144. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 今、観測監視体制を強化するということでありまして、しかもこれは時間的にも早くやれということであります。今週中にどの程度進捗しておるか、私みずから見に行きたいと思っておりましたが、いろいろ委員会の関係等もございますので、政府調査団の団長に政務次官を派遣したい、こういうふうに考えておりまして、十二日に決定をいたしております予知連の会合もありますし、東京都はきょう、あしたは議会がありまして、いろいろとまた議会でもこの問題が取り上げられておるようでありますから、それら状況をすべて総括しながら東京都とも相談してまいりたいと考えております。
  145. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 一日も早く全員が帰島できるように最大の努力をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。  あと、国土庁長官、地価問題でいろいろ言われておりました。確かに、私も東京に住んでおりまして、地価対策というのは非常に大きな問題だ、特に都心に住んでいる人たちが地価の暴騰のために固定資産税がこれからもう住めないような状態になってくる、ある意味では追い出されているような感じになってくるわけです。  こういう問題を含めて、これから二十一世紀に向けて、東京都を中心とした金融センターの問題、あるいは海外諸国からいろんな人たちが集まってくるでしょうし、あるいはOA化の問題も絡んできまして、やはりビルに一人が占める面積が一・五倍ぐらいになってくる、こういうような形に言われているわけですね。インテリジェントビルもいろいろつくらなきゃならないという、こういう中にあって、これからの首都圏、特に東京中心としたビルの部屋の不足数というのは中長期的に見てどのぐらい足りないのか、どういうふうな予測を立てているのか、この点についてまず伺っておきたいと思います。
  146. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 先ほど石井さんからも土地政策の基本的な問題で御質問がございました。土地の価格につきましては、この間から申し上げておりますように、十年スパンで単純平均をいたしますと、昭和三十年代は二三・一%の値上がり率、全国です。それが四十年代は一四・九%、五十年代は三・八%、そしてこの間発表いたしました十月一日の地価調査によりましても二・七%、むしろある県では地価が下がっておるというようなことで、地価は鎮静化しておるというふうに見ておったわけでありますが、近年、特に東京中心にいたしまして、一部の大都市あるいは中都市の商業地において高騰が見られるということでありまして、この東京におきましても、御存じのように東京都の条例によりましてこの届け出制の規模を五百平方メートルに下げていただいたわけです。  今、ちなみに申し上げますと、全国で一年間に約二百万件の不動産取引が行われておると言われております。その中でこの届け出の対象になりますものが約一割、二十万件、しかもさらにその一割の二万件程度のものがこの指導規制をされておる、こういうことになっておるわけであります。ところが、現在までの東京都の国土利用計画法によります規制によりますと、二・四%の届け出ぐらいにしかならなかった。今回、この条例と国土利用計画法と両方合わせますと約一八・二%の対象になるだろう、こういうことで、先般、東京都と御相談をして条例を設定していただいたようなことであります。  さらに、一部過剰流動性の短期土地転がしがあるというようなことでありまして、目下この短期の譲渡による利益に対しましてスーパー課税をし ようということで、今建設省その他とも相談をしておる最中でございます。  そして、けさほどの閣議で地価対策関係閣僚会議が設定されることになりまして、第一回の会議がございました。天野大臣にも出ていただいたわけでありますが、ここでも皆様方の御意見はいろいろとございましたが、強力にこの地価の問題に取り組もうということで本日スタートをさせていただいたようなことであります。特に、東京の地価問題は規制と供給ということでありまして、一部やはり供給をふやしていくということが必要であるということで、その問題も含めてこれから対策を講じてまいるところであります。  なお、本日の会議におきまして、ビルというものの需要がどうなっているのだ、空き家のビルもあるのじゃないか、ビル転がしがあるのじゃないかというようなお話もございまして、これは早急に調査をするということになりました。そういうような状況でございます。
  147. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは中長期的にビルがどのくらい足りないかというようなことは、まだ分析はしていないんですか。これからですか。
  148. 柳晃

    政府委員(柳晃君) ビルの需要の予測はいろんな機関がそれぞれやっております。また、いつからいつまでとか、それから都心三区だとかあるいは都心五区とか、二十三区とか、あるいは一都三県とかいろいろございまして、これが統一された数字だというものはございませんが、多くの調査の中であえて共通点を探してみますと、現在、二十三区のストックといいますか、ビルのストックは、推定でございますが、約四千ヘクタールございます。それが昭和六十年から七十五年、西暦二〇〇〇年ごろまでに大体五割前後、二千へクタールぐらいふえるだろうという予測がされておりまして、その前後の幅が機関によって随分その数字が違うということでございます。  一方、供給の方でございますが、供給もなかなかつかまえ方が難しゅうございますが、これは建設省の方でやっておられます建築着工統計で見ますと、ここ数年間、二十三区では百七、八十から二百ヘクタールぐらい着工されておるわけでございます。しかしながら、過去の昭和四十年代の後半から五十年代の前半にかけまして、供給量がいわゆる石油ショック前後に急激に減ったことがございますので、今のような供給態勢がそのままいくかどうか、これは将来の見込みがなかなか難しゅうございます。  また、先ほど先生のお話の中にありましたOA化の進展でどのぐらい従業員一人当たりの面積がふえるのかとか、あるいは今のようなビルの賃貸料金のまま推移するか。要するにそういうものの今後の動向、それから現在の国際金融の動きそのものをどう評価するか。金融でございますから、端的に申しますと数字は帳面の上では大きくなりますが、それに伴って人がそれだけ要るかどうかというのは、普通の製造業のように比例関係にはなかなか立ちにくい面もございまして予測がなかなか難しい面がございますので、国土庁とかいろんなところでそれぞれ検討をしているというのが実情でございます。
  149. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは東京のことだけ言ってはあれなんですけれども、実際に足りないのは東京が主力だと思うんです。  この規制の問題で、来年度から新しく課税対象とかあるいはこの買いかえとか、そういういろんな税制度によってこの規制を加えていくとか、条例とか政令とか法律規制あるいは東京都が十二月一日からいろいろ規制やっておりますね、国土計画法に基づくいろんな届け出やらなきゃいけない、あるいは一月一日から十四区に広がるわけです。こういう問題を含めて、規制の問題で新たにどういうふうに来年度の施策として国土庁としては手を打つのか。  それから、もう一つ建設省天野大臣、供給の面でやはり今五割ぐらい足りないと、こう言っているわけですね。きょうあすビルがすぐに建つわけじゃありませんので、東京湾の埋め立ての問題もあるだろうし、いろいろ含めまして、供給の面ではどういう対応をしていくのか、その二点をちょっと説明願いたいと思います。
  150. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) それでは、税制を含めまして規制の問題をお話ししたいと思います。  税制につきましては、先ほど来もお話ししておりますが、まず投機的な短期的土地取引、いわゆる転がしですね、これを抑制するということが必要だと思っておりまして、このために、二年以内に買った土地を売るような場合の譲渡所得につきまして現行の短期重課よりもさらに重い税率を課する、さらに、赤字法人を使ってその納める税金を低くしているところもございますので、これを完全に取引ごとに分離課税をする、こういうことを一つ考えております。  それからもう一つは、都心で土地を売った人が、居住用財産の買いかえ特例という制度がございますから、その居住用の財産を新たに買った場合には、同額で買えば全額繰り延べになってしまうわけでございますが、これについてもそのためにかなり単価の高い土地を周辺の住宅地で買っている例が多うございますので、その地域の土地の相場、適正な価格までしか認めない、それ以上の土地代につきましては繰り延べを認めないように今の居住用財産の買いかえ特例について一定の歯どめを設けたいと、土地の価格につきましてこういう要求をしております。これらが投機的な取引とかあるいは買いかえ需要の抑制ということで、当面の地価対策に非常に効果があるだろうと思っております。  それから、直接的な取り引きの規制といたしましては、先ほどもお話し申し上げておりますが、国土利用計画法による取引規制、これは特に脱法的な取引がなるべくないように、一団の例えば土地が二千平米以上あればその部分の取引についても届け出義務があるわけでございますが、そういうことを厳しくチェックしていこうと、こういう通達等も出しております。  さらに、国土利用計画法で定められている規模よりも小さい取引につきましても、今長官がお話しいたしましたように、東京都で条例を設けまして、五百平米以上の土地取引について規制をしていく、こういうことをこの十二月から措置を講じておるわけでございまして、十二月一日から都心五区、それから来年一月一日からさらに九区を追加して規制をしていこう。さらに、これとあわせまして特別詳細調査という調査をしておりまして、この都心部の土地取引を全部悉皆調査をしております。全部の取引を状況把握しておりますので、それを見ながら今の法律とか条例による規制が的確に行われるように運用していきたい、そういうことを今考えております。  また一方、東京都の条例で当面の措置がなされたわけでございますけれども東京以外の地域でも地価高騰のおそれがあり得る場所があるわけでございますから、国土利用計画法を改正いたしまして、東京都の条例のように、地価上昇の起こっておる、あるいはおそれのあるところでは、知事の規則で決めて、機動的に小規模な土地取引が行われるように法律をできれば改正したいという方向で検討をしているところでございます。
  151. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうすると、東京だけに限定するんですか、それとも主要都市も含めたその土地取引の課税の規制強化等も含めていくのか、この点はどういう範囲に考えているんですか。
  152. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) 税制につきましては全国でございます。  それから土地取引の規制につきましては、今東京都の条例は当然東京都だけですが、国土利用計画法を改正すれば全国どこでもそれが発動できるということになるわけでございます。
  153. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 最近の土地の暴騰の一番の根っこはやっぱり東京でございますし、それも東京の最も中心地的なところが非常に暴騰した、その影響でその他にも暴騰が続いていっているという現況でございますが、そのいわゆる三区と称する銀座、日本橋、京橋という地内にはそれほど需要供給のバランスがとれるほどの空閑地がありません。強いて言えば汐留というのが、ちょ っとこれは南に寄り過ぎている嫌いがあって一〇〇%はいかない。幾らかは影響力があると思いますが、完全な影響力を満たすわけにいかないと思っておりますが、その他の地区では満たすだけの土地というものはございません。  そこで、この前からいろいろ私も聞かれておるんです。これはまだ私案でありますが、今度国土庁の方で取りまとめて発表されたようですが、東京駅の再開発をやりたい。これは、国鉄が走っておるあの鉄道の上の空閑地を利用する。そうすれば空中権も入りますから、国鉄赤字でなかなか容易でない折からですから、一挙両得ではないかという案を今提示しておりますが、肝心かなめの担当の大臣が入院しているものですから、そういう点で、本当はもうとうに国鉄関連法が上がった段階から強力に進めることにしておったんでありますが、今ちょっと一カ月ぐらい時間がかかりそうでありますが、あの駅の完全な空閑地である線路の上を利用してやるということが土地価格の調整上非常にいいんではないか。高価な金取れれば結構なんですが、空中権ですからそれほどの金も出さなくて済むんじゃないかと思いますし、土地を今坪一億も一億五千万も出して買ってやることよりは非常に格安に上がりますから、あそこにやりようによっては霞ケ関ビル十二本分が建ちます。そうですから、これを進めることによって私は暴騰を抑えることができると思いますし、これはここ一両年中に使用できる相当数が建つ見通しが立っております。この問題を進めていきたいと思っております。  今、先生からお話のあった湾岸地帯の開発は、ちょっとこれは今のところ間に合わないんじゃないか。あれを完全に使えるようにするためには、あの地域に対する都心地からの道路の問題がとても今東京都庁が計画しておるような程度のものでは地価の暴騰を抑えるだけのものにはなりません。そうですから、将来の計画としては結構でありますが、現在の段階では私は、一に東京駅、二番目に汐留と、こう考えております。
  154. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これからいろいろ積算されるでしょうから、ここで細かく私は聞く必要はないと思いますけれども、やはり二十一世紀までの間に金融センターとして東京を活力あるような形にするためにどの程度のビルが必要であるかということは出ると思うんです。  国鉄の東京駅の問題は、私は建設大臣の答弁には異論があるんで、国鉄改革委員会で随分それは我が党の委員からもいろいろ指摘したし、駅をつくるということについては、やっぱり技術上もいろいろな問題点があって、すぐさまそれがビルの供給にはつながらないという問題もあるし、東京駅の本社を売る問題もあるだろうし、そこらの開発の問題を含めますといろいろな問題点があるということは、私はもう十分承知している。それを総務庁に持っていってやればいいというようなことになると、これはまた建設と運輸との縄張り争いだとか、やれ所轄官庁どこだとかいうどろどろしたものがあるということも、私もいろいろなうわさは聞いているわけだ。  こういうものはすかっとしていかなきゃならぬ問題だけれども、実際にビルの供給用地として汐留と例えば東京駅があった場合に、それでビルの需要が賄い切っていけるような、それはとりもなおさず地価の高騰を抑えるための抑制策になるのかどうかということは、やっぱり総合的なプロジェクトをつくって、これは東京都だけの問題ではなしに、国のやはり国際化の中で東京中心とし、あるいは神奈川を中心とし、この首都圏でどういうふうに対応していかなきゃならないかということを各省でプロジェクトを組んでしっかりした対応を示すことがやはり地価を抑える一つの大きなインパクトになってくるんじゃないか、こういう考え方であるんです。建設大臣、そういうことを音頭とってやった方がいいと思うんだけれども……。
  155. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) もちろんそうだと思います。きちっと合うだけのものを見返りにつくらなきゃ、これは地価対策になりません。そうですから、私の個人的な考え方ですが、必要量の五〇%増ぐらいのものをすぐにやれるというような状態でないと現在の地価を抑制するという力はないと思っておりますし、難しいのも承知いたしておりますが、これは所管各省庁の理解を得て仕事を進めたいと思っております。
  156. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 時間が限られておりますので、住宅問題をちょっと二、三伺っておきたいんです。  二十一世紀までにせめてウサギ小屋をなくそうというのが日本の合い言葉になっているわけですね。少なくとも最低居住水準の達成、こういう問題から考えた場合に、二十一世紀このあと十四、五年の間にどれだけの住宅をつくれば大体済むのかということを、端的に言って、数を出してもらいたいと思うんです。
  157. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) まず、現在の住宅の水準でございますけれども、五十八年の住宅統計調査によりますと、全国でなお三百九十五万世帯、比率にいたしますと一一・四%が最低居住水準未満となっております。こういう状況改善いたしますために、住宅対策としましては五カ年計画をつくって対処をいたしているところでありまして、六十一年度を初年度といたしまして、六十五年度までの五カ年間といたしまして第五期五カ年計画を策定したところであります。この第五期五カ年計画におきましては総戸数を六百七十万戸と設定いたしました。この戸数は、第四期、これは五十六年から六十年でありますが、四期計画は七百七十万戸でありましたので、それに比べますると約百万戸の減でありますけれども、一方第四期五カ年計画中の実績が六百十万戸、計画達成率で七九・三%ということでありますので、その面におきましてはかなり頑張った計画を第五期五計で盛り込んだわけであります。二〇〇〇年までの数値というのは今のところ法定計画としては持っておりませんけれども、おおむねこのような状況でもって将来もまた進められるのではないかと考えておりますが、いずれにしましても五期五計期間中これを頑張ることによりまして最低居住水準の解消に努力をしてまいりたいと思っております。
  158. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうすると、この五期五カ年計画が終われば、大体八〇%か九〇%はいくんですか。
  159. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) まず、五期五計の戸数におきます達成率は、これはぜひとも一〇〇%達成をいたしたいと考えております。四期五計は、繰り返しになりますが、七百七十万戸で七九・三%という達成率でありましたけれども、五期五計におきましては六百七十万戸と、少し遠慮をいたしましたけれども税制でありますとかあるいは公庫融資の改善でありますとか、そういう措置を十分に今後講じていきまして、ぜひにも戸数におきます達成率は一〇〇%達成いたしたいと考えております。  また一方、最低居住水準の解消の問題でありますけれども、確かに四期五計におきまして最低居住水準ゼロを目標に出発したんでありますけれども、残念ながら一一・四%残ったわけでありますので、最低居住水準の見方というのはなかなか難しい面がございます。基準が世帯人数と住宅の規模だけでもって水準を設定して評価をするわけでありますので、実際の住宅を選考する場合の気持ちというのは、そのほかに都市の立地性とか利便性とかいろいろそういうことも考慮されますので、必ずしもこれでもって一〇〇%最低居住水準を押さえられる基準かどうかわかりませんが、ほかにいい基準もございませんので、現在のところはこれが法定の基準に相なっておるわけでありますが、そういう観点から、一〇〇%最低居住水準を達成するというのは、これは至難のことであろうと思いますが、計画におきましてはおおむね達成すると、こういうことを表現しておりますので、そういう線で努力してまいりたいと思います。
  160. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この居住水準を達成するために、例えば一戸当たりの面積が三LDKぐらいの住宅を標準にするということになりますと、公営住宅法では上限がありますから、できないわけでしょ う。ここらの問題はやはり公営住宅法を改正しなければいけないのじゃないかと、こういう問題が特に地方自治体からもいろいろな声があるんですけれども、これはどう考えていますか。
  161. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) 御指摘のように、公営住宅制度におきましては政令におきまして公営住宅の規模を決めております。公営住宅が低額所得者を対象にするという性格を踏まえまして、第一種公営住宅につきましては十九平方メートル以上で八十平方メートル以下と規定しまして、第二種公営住宅では十九平方メートル以上で七十五平方メートル以下と、これが一般の場合の基準でございます。それがさらに多家族で高齢者がおるというようなそういう特別の事情があります場合は規模を大きくしてございまして、第一種公営住宅では六十五平方メートル以上で八十五、つまり五平米最高限が上がった。二種公営住宅につきましても六十五から八十、これも上が五平米上がっている。こういう規定をしているところであります。  これに対しまして、先ほどの最低居住水準関連の規格では、標準的な四人家族の場合ですと最低居住水準は五十平方メートル、それから六人世帯の場合でも六十六平方メートルであります。ですから、この五カ年計画の最低居住水準と比べますると、まだまだ政令の規定には余裕があるわけでありますので、現在のところではその政令の改正は考えておりません。しかしながら一方、誘導居住水準から比べますると、問題は絶対ないというわけでもないわけでありますので、今後そういう公営住宅の水準がおかしくならないように、常に情勢を見ながら研究を続けていきたいと考えております。
  162. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうすると、当面は公住法を変えなくて、誘導居住水準というものを新たにつくったわけですね。こういう段階に誘導したときに公住法を変えるという考え方に立っているのか、それとももうそのぐらいでいいのだという考え方に立っておるのか。
  163. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) 公営住宅の規定ですから公営住宅法でありますけれども、誘導居住水準の場合は二〇〇〇年に半数の世帯が達成するという目標でございますので、そういうことも考慮をしました場合、現在のところは改正をする必要はまだないのではないかと考えておるわけであります。
  164. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 時間がありませんので、あと一、二ですが、売上税の問題が先ほども議論されておりましたけれども、この住宅減税とそれからこの売上税の問題、これは非常にこれから論議になってくる問題だと思うんです。この売上税の構想について、建設大臣としてはまずどう考えているのか。
  165. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 今まで住宅促進のためにいろいろ手当てをしておりますが、その手当て以上のものが確保されれば私は了承してもいいと思っておりますが、今の段階ではとても問題でありませんから、これから折衝でありますが、まるまる反対の態度で今交渉を行っておるところでございます。
  166. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 実際に五%でこの売上税が課せられた場合に、今住宅減税ローンを受けるならば一%ですが、これと比較した場合に、例えば二千五百万の住宅を購入するとした場合に今よりはどの程度差が出てくるのか。これを何か積算したものないですか。
  167. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) 試算をしたものがございますが、私どもの方は二千五百万でございませんで二千六百万ですが、それで了承していただきまして、税率五%といたしまして、二千六百万円と申しますのは六十年度の民間の戸建て住宅の全国平均数字を一応参考にしてございますが、この中で建築費が千六百三十万円、それから土地費が九百六十万円でありますが、土地費の中から三〇%は素地価格ですから控除をいたします、対象にいたしません。そうしまして、税率の〇・〇五を掛けますと、付加価値税としては百十五万円ということになります。  一方、現行住宅で減税している分でありますが、住宅取得促進税制が三年分で、これはモデル的で二十五万円と設定しています。これは限度が二千万の一%ですから、最大限三年間で六十万ということになるわけですけれども、実際それほど限度いっぱい使うことばかりじゃございませんので、この場合はモデル積算で二十五万円ということにしました。さらに登免税五万円、不動産取得税が三十二万円、固定資産税を一年分入れまして八万円、こういうことでありますと、現行制度では七十万円が減税されております。  したがいまして、これに比べますると、五%がそのまま取られますると全部すっ飛んでしまう、こういうことであります。
  168. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうすると、住宅減税推進をし住宅をつくっていこうという方向の建設省住宅政策とはちょっと相反するわけですね。だから、やはりこれからマイホームを持ちたいという、あるいは建てかえをしなきゃならない住宅も相当あるわけで、こういう問題を含めて、この売上税という問題は非常に大きな問題があると、これは私たちも当初から文句を言っているわけです。大型間接税の問題、これは今論議する時間じゃないですから論議はしませんけれども、実際にこういうマイホームを持ちたいという場合に、先ほど建設大臣が言ったように、五%かけても、これは私は五%かけるのは賛成じゃありませんが、それ以上に住宅減税推進されるという——外国の住宅税減税の一つのデータから見ましても、日本の住宅税減税の推進は弱いと思うんですよ。これは僕は、売上税は別問題にして、さらに住宅減税は強く進めていくべきだと、こう思っているんですけれども建設大臣いかがですか。
  169. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) そのとおりでございます。ちょっと私強過ぎると思っているんですが、強くなる可能性があると思っています。
  170. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 どうぞ強くやってください。  木造住宅の三階建ての住宅がいろいろ検討されているという話も聞いているし、私は前々から木造住宅で三階建てをつくるべきじゃないか。この間何かカナダの貿易大臣が来て、建設大臣お聞きになっているかもしれませんけれども、木造住宅で三階建てを日本ではなぜ建てないんだ、建ててもらいたいという要請があったと思うんです。それと、カナダあるいはアメリカの輸入材をしっかり使えと、こういう問題があります。しかし片一方で、木造の推進の方で、林野庁等の赤字の問題もあるでしょうけれども、国内産を使わなきゃならないという問題と相入れない問題がこれはあるわけです。住宅を安くつくるという建設省方針と、特に材木を海外から輸入するという問題を含めた木造建て住宅三階建ての推進という問題については、どう建設省はお考えになっていますか。
  171. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) これは私としてはもう数年以上前からの主張でございます。  そこで、木造住宅を建てさせる一番指導力を持っている立場から言えば、公営住宅が一番いいと思いまして、木造住宅で公営住宅をやるのは最優先して全額まず先にやって、中高層関係その他のものについては残ったものを配分するようにすると、私その当時大臣ではありませんでしたが、これを強力に主張いたしまして、ようやく今三階建て木造住宅が大体やれるようになってきました。  御承知のように、我が国の明治御維新以前の建物は三階建てでも五階建てでも木造で建てたわけでありますから、今の建築技術がその当時より劣っているなら、これはとても危なくて建てられないわけでありますが、技術が大変進んでいるそうですから、そういう意味で、とりあえず三階建てまではやるようにという指導を、私まだ党におるうちから、これは主張した問題であります。具体的に相当やれるようになったようでありますから、それは住宅局長から答弁をさせます。
  172. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) 木造住宅につきましては、その促進を図りますために、公営住宅におきましても全く優先採択ということでやっております。しかし、公営住宅は残念ながら中高層住宅が大変多いわけで、低層住宅はシェアにおきまして少ないために、公営住宅全数から比べますると、 まだ木造住宅の比率は非常に低いんですが、低層住宅の比率では、これは既に約四割が木造住宅になっている。全体の数が少ないですから、千三百八十七の木造住宅ですけれども、低層のシェアでは四割近くになっておる、こういう状況であります。これにつきましては鋭意これから推進をしてまいります。  一方、一般的に木造住宅を建てることは、なかなかこれは構造、強度の問題がありまして難しい点がありました。そういう点をいろいろ考慮いたしまして、工務店の方々が比較的容易に取り組めるように、構造計算を要しないでマニュアルをつくりまして、そのマニュアルに従ってやれば構造計算をしたと同等の効果が出るというような措置をしまして、一般的な取り組みやすさをまず普及してきたのが最近までの動きであります。  さらに一層に木造の推進を図りますために、規制の緩和の問題が一つ残っておりまして、これがいわゆる防火地域、準防火地域におきます木造三階建て住宅の規制緩和の問題であります。これは都市防火対策観点から、木造三階建ては準防火、防火地域では禁止されています。しかしながら、その後この規制をつくりました後から防火技術がかなり進歩してきて一般に普及してきたということ、それから防火に関する知見が肥えてきたということもありますので、準防火地域におきます木造三階建てを防火性能を持ったものに限りオーケーにしたらよろしいんじゃないかと、こういう動きが出まして、先般いろいろ建築審議会等の御意見もいただきながら、現在そちらの方にできるべく検討を進めている最中であります。
  173. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは一日も早く、大臣も言っているように、建築基準法を改正して、木造三階建ての仕様もできるという体制でやってもらいたいと思う。  それからもう一つ、時間がありませんので、最後に住宅金融公庫の融資受け付けですね、今はもう無抽選になっているわけでしょう。これがある期間を決められて受け付けをやっているわけですが、これを通年で受け付けができるような制度に改めたらどうかと、こう思うんですけれども、これはやっぱり事務上難しいですか。
  174. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) 現在、公庫の募集方法につきましては回次別にやっております。この理由というか、最大の原因は、公庫融資資金の効率運用という観点なんです。資金計画をつくっていく等々の問題がございまして、財投からお金を借りる関係で、資金計画をつくらにゃなりません。その関係でもって回次別を余儀なくされているのが現状でございます。しかしながら、できるだけ便益を図りますために、今年は大幅にその募集期間をふやしました。それから、かつ、それぞれ四回ですけれども、募集の開始時期を早めまして執行して、そういう点にこたえているつもりであります。
  175. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 さらにそれをやってもらいたいと思う、内需振興意味からいってもね。  ありがとうございました。
  176. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は三十分の質問時間なんですが、大島問題一問と、あと圏央道環境影響評価書案について質問したいと思います。  先ほども質問がありましたが、観測機器は十一億二千三百万のなかなかの予算で、かなり政府も手早く動いて、これはよかったと思っております。綿貫災害対策部長も御苦労さまですが、より一層やっていただきたいんです。  私も共産党の国会議員団の大島噴火対策の本部の責任者をやっておりまして、ここで一つ問題はやっぱり予知の問題があると思うんです。で、気象庁でなくて、建設省に責任のある予知問題に関係のある観測が一つあるんです。国土地理院がやっております水準測量、これは繰り返し測量による地殻変動の測量で、これはこの間十二月四日に衆議院の災害対策特別委員会で、中島議員の質問に対して、気象庁も決め手の一つだと言うんです。非常に重視された問題なんですね。ところが、実はこの七月以来大島の三原山に異常なデータが出始めた。私も何人かの専門家にいろいろ聞いたんです。そこで、東大地震研究所は九月の二十二日に、地磁気とか地熱とかその他非常に異常なデータが出始めたので、三原山に対する検討会議を開いた。ところが、一番決め手の一つの地殻変動、このデータがないと言うんです。国土地理院は七九年から八二年まではやっていたんだが八三年以後がないということになって、結論がなかなか出なかったらしいんです。それで、予知連から九月二十六日に、国土地理院に水準測量をやってほしいと下鶴会長の手紙が出て、この問題はこの間中島議員が質問したんですけれども、十一月十九日から始めることになった。これはもう遅過ぎますよ。ところが、噴火が起きたので避難して、十二月の七日からだか、いよいよ始めるという状況で、これももっと早くやっていたら恐らく予知ができたんじゃないか。八三年ごろから地磁気に変化があったし、それから岡田港なんかは対岸の油壺に比べて隆起していたそうです、検潮所の調査によりますとね。それなのに八三年から地殻変動のデータがなかった。これは非常に私残念だと思うんです。それで、その責任追及はきょうの仕事じゃないんです。質問は今後の問題。  私が会った専門家の一人に東大の地震研究所の中村一明教授がいる。この方は学位論文も大島の三原山なんです。岩波新書で「火山の話」という本も書かれていて、一番の専門家だろうと思うんです。今度予知連の臨時委員になられておりますが、中村さんの意見では、今の噴火はやっぱり鎮静しつつあると思う、個人的判断だがもう一山あるんじゃないかと実は思っているんだ、それはビールの気で言えば、この間の噴火が物すごい勢いがよかった、ビヤだるが大きかったというあらわれだ、マグマがね。もう一つは、火口がまだ下がってないからどうももう一山あるだろう、しかしそれは恐らく月単位の後のことというので、一カ月、二カ月、三カ月とかいうことなんでしょう、個人的判断とおっしゃっていました。  予知連の大島部会が鎮静化ということを言われたんだが、まだ一山あるかもしれぬということをその専門家の方がおっしゃっていますし、そうすると、国土地理院の水準測量、私はこれを継続することが必要なんじゃないかと思うんですが、そのことについてお伺いしたい。
  177. 春山仁

    説明員(春山仁君) 大島におきます水準測量につきましては、ただいま先生からお話あったように、この七日から測量班を現地に派遣しまして、現在測量作業中でございます。  今後につきましては、事態の推移に応じまして、火山噴火予知連絡会の意向を酌みながら機動的に実施してまいりたいと思っております。
  178. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 なぜずっと毎年やれないんですか、これは。
  179. 春山仁

    説明員(春山仁君) 火山噴火予知に関しましては、測地学審議会が火山噴火予知計画というものを建議しております。私どもはその建議の趣旨に従って実行しておりますが、その計画では、測地測量は必要に応じて行うというふうに書かれております。その「必要に応じ」ということを私ども考えながら実施しているところでございます。
  180. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 恐らく、建設大臣予算の問題もあると思うんです。それで、観測機器は今度あれだけ十一億二千三百万でばんとやったんだから、国土地理院のこの水準測量、決め手の一つなんだから、私はぜひ継続して実施してほしいと思うんです。  それからもう一つ、これは全国的にもこの測量については、本当は一九七四年から五カ年計画で全部完了するという計画ができているのになかなか進んでいない。問題は、これは予算と人手です。このままだと一体いつできるかわからないという点で、私は、地震、火山観測のためにも、もっと予知を正確にするためにもぜひこの点で予算と人手、建設大臣努力いただいて、大島だけの問題ではないので、やっていただきたいと思うんですが、ひとつお考えをお聞かせください。
  181. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) その方向で準備をするようにします。
  182. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ひとつ頑張って、東京駅だけ頑 張らないで、やっていただきたいと思います。  それもいろいろあるんですが、時間がないので、きょうは主に圏央道問題をお聞きしたいんです。  圏央道のこういう分厚いのが出ているんです。これを見ますと、最後の方には「調査、予測及び評価を実施した者」として、東京都知事鈴木俊一、それから建設省関東地建杉山局長代表と入っているんですね。この圏央道のアセスについては一体だれが責任を持っているのか。このアセス案について建設省はどの範囲の責任を持っているのか、まずお伺いしたい。
  183. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 先生指摘の本は圏央道環境影響評価でございますが、これは現在東京都庁が都市計画決定の一段階として進めておられるものでございます。建設省は、当然のことながら、事業の主体といたしまして東京都に十分な協力をしている、こういう立場にございます。
  184. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 つまり、東京都がやっている仕事で、建設省は協力するという……。  朝日新聞の三多摩版に載りました「高尾山の自然は」という連載十月二十九日号にこう書いてあるんです。「圏央道事業を、都のアセス条例の対象から外してもらいたい」、建設省の担当者がこう切り出して、「説明会や公聴会など手続きに手間取る都の条例を嫌い、”国の特例”によっていち早く事業着手を狙ったのだ。三カ月に及ぶ交渉で、鈴木知事は首をたてに振らなかったが、「建設省があんなに強く抵抗したのは初めて」と、都の幹部はつぶやく。」となっている。大臣は知らぬかもしれぬけれども、どうです、こういう事実はあったんですか。こんな全く話にならぬじゃありませんか。
  185. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 環境影響評価の手続につきましては、昭和五十九年八月二十八日の閣議決定に基づきまして、国の事業はこれで行うということに閣議決定されたものがございます。これに基づきまして、私ども環境影響評価の実際の手続を進めておるわけでございますが、この閣議決定以前に各自治体におかれましていろいろな条例を定められておられます。この条例との整合につきましては、その個々の事例でいずれ調整をとるということになっておりますので、私ども環境影響評価の実施の手続の御説明をし、さらに東京都の条例に基づきます実施の手続の御説明を受けて、その間、どういう形で実際にとり行うかというかということを御協議申し上げたということであろうと存じます。それにつきまして、私どもがこの圧力をかけたと、そういうような実例はないものと信じております。
  186. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私も、やりましたと事実を認めることはないだろうと思っています。しかし、新聞が責任を持ってこういうことを書くような何かがあったんですよ。で、これは調整ということで確認書ができた。  問題は、この評価の基準です。技術指針、どういう指針に基づいて、どういう調査方法を採用するかということについてであります。この確認書は、東京都の条例に基づく手続によって実施するとともに、建設省の通知があるわけですよ、それにより実施するものとすると、二つ書いてある。局長、どうですか、これはどういうことか。二つ書いてあるのは、東京都条例の技術指針に基づいて、また手続に基づいてアセスをやるそれ以外に建設省のあれでやるんですか。これはどういう意味ですか。
  187. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 先ほども説明申し上げました閣議決定を受けまして、今先生指摘建設省の技術指針ができているわけでございます。これと各地方公共団体が独自に決定をされておられます技術指針もまたあるわけでございますので、そこら辺で調整をとるという意味でここの確認書が取り交わされたわけでございます。これにつきましては、私どもとしては先ほど申し上げましたように事業の実施者としての当然の協力の義務がございますし、あるいは東京都におかれましては当然のことながら自分の手続が必要でございます。その両者で食い違ったものを提出するのであれば非常に後で問題が起こるであろうということで、この両方によって実施をするその間にいろいろな調整を行って実施をいたしましょう、こういうことを確認書として取り交わしたものというふうに理解をしておるものでございます。
  188. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 東京都は御存じのようにアセス条例があるんだが、国はまだ法律がないんです。東京都は条例がありますから、アセス制度の手引という技術指針、こんな膨大なものができている。建設省のは技術指針こんな簡単なものですよ。笑っていらっしゃるけれども、条例があるところと法律のないところとこのぐらい違うんです。これでやれば、これは全部満足するんです。こっちでやったのじゃ、これは満足されないんです。こっちの方が厳しい。  どうですか、東京都の技術指針に基づかないで建設省のラフな技術指針に基づいてやった、それをやらざるを得なかったというケースはあるんですか。
  189. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 圏央道のアセスメントにつきましては、先生も御指摘のとおり、東京都及び建設省の技術指針のもとに、満足するよう配慮して作業を行っております。したがいまして、片方で満足をし、片方で満足をしないというようなものは実質的にはないはずでございます。ただし、いろいろな手続その他において違いがありますので、それをうまく調整をして、適切な方法で具体的にどういう形でやるかということについては協議してやるというものでございます。
  190. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今の説明はよくわかります。それだけやってほしい、こっちの方が厳しいんですからね。こっちの方はこんなに厳しいのでやっている。これでやれば、この簡単なやつは満足しちゃうんですよ。これでやるとこれは満足できないという関係にあるんですから、よく大臣認識しておいてください。局長もこういうものを全部読んでいらっしゃらないだろうけれども、よく認識していただきたい。  ところが、いろんな問題がこの評価案からは出てくる。私は説明会も一晩聞きましたし、この間の公聴会には私の秘書が行って聞きました。現地も何回も調べました。これは非常に問題があります。私の会った専門家は異口同音に、今まで例えば外環道路その他アセスできたけれども、こんなに粗雑なアセス案は見たことがないとあきれているんです。有名な例ではオヒョウという植物が書いてあるけれども、いや、そんなのは高尾山にない、ハルニレの誤りでございました等々、そういう誤りであったとかなんとかいうようなのを無数にみんなが問題にしたんですが、きょうは時間がないし、全部一々取り上げることができません。  そこで、どういう手法でこういうものをつくったかというのは、これは私も調べたら非常によくわかった。例えば水質、これがまず問題です。予測のまず前提となるのは水質調査です。ところが、この実際の調査は何もしていない。ここに挙がっているのは東京都環境保全局の資料で、文献でただそれを絵にかいただけなんですよ。浮遊物質の現況調査は全くしていないんです。ただ文献でやっただけなんです。ですから、例えば私ども一番問題にした高尾山なんかは、裏高尾のところに南浅川と案内川というのがある。この合流点しか調べてないんです。これは昔の文献でやったからですよ。それから、圏央道全体でいいますと、山入川、川口川、大荷田川の三つの河川は全然関係なしで黒丸がないんです。ですから、本当に圏央道を引っ張ろうと思ったら、そこの川のせめて浮遊物質の調査ぐらいやらなきゃならぬ。一切やらないで、東京都の文献をただ写したというんです。こういうものなんです。これは一例。  まず、一番問題になる水質についてそうなんですが、どうです。この浮遊物質の調査、文献以外に実際にやりましたか。
  191. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 現地調査は行っておりません。今先生が御指摘になりましたのをちょっと聞き落としましたけれども、例えば既存の調査結果のあるものが文献でございますので、当然のことながら、現状はこれで確認ができる、こういう ふうに考えたわけでございます。
  192. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 やっていないことを認めたでしょう。本当に住民のために調査しようなんという気持ちはこれっぱかしもないんです。  次に植物の調査、これも恐るべきもので、大体八十六地点調べたと書いてある。ここに大きな資料があるんです。しかし、この資料を見ますと、番号振ってあるけれども、ナンバー十七から三十七がないんです。二十点ないんですよ、高尾山のところに。高尾山の大事な植物まるっきり調べてない。二十カ所、ナンバー十七から三十七、完全に図七の一からも図七の二からも抜けているんだけれども、なぜこういうことになったんですか。
  193. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) この調査については、調査をしたというふうに聞いております。そして、この資料は抄録といいますか、ものでございますので、この資料には載せてございません。実際に調査をしたというふうに聞いております。
  194. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、説明会で、ちょうどその場にいて聞いたんです。数字の打ち間違い修正をしませんでしたという話。省略といったって、これ八十六というのは実際に図は九十六番まで打ってある。しかも十七から三十七までまるっきり抜けているんです。そこだけないんですよ。それから、ダブりの数字もあります。いかにいいかげんなことをおやりになっているか。これが植物についての調査。  秋川以北では、谷から谷の明かり部について平均四点しか調査してない。これはもう本気でやるつもりはないんです。植物では専門家が非常にたくさんの問題を指摘しましたので今一端だけにしておきますけれども、なおもう一つ動物関係の専門家が驚きましたのは多摩川です。多摩川周辺は動植物の保護地域になっている。ところが、これに鳥類調査したという線しか引っ張ってないんです。哺乳動物については黒い線でほかの地図はなっているのに、多摩川近辺については動物の調査をした形跡がないんです。平然と鳥だけやりました、鳥獣の保護地域、これ一々聞いてもしようがありません。こういう例が無数にあります。  私は、高尾山の問題、何度もことで質問しておりますけれども、昆虫については日本での三大昆虫生息地、鳥についても非常に多くて、野鳥の会が毎月あそこで観鳥をやっているわけです。その鳥の問題を、この間、八王子の公聴会十一月二十九日で、野鳥の会の代表の栗林さんが専門家として本当に驚いた。鳥の観測で例えば南浅川、これ高尾山のところです、五十九年十一月十二日に十六時三十分から十六時五十分調査したとある、これはもう薄暗くて、曇りじゃ鳥の観測なんかまるっきりできませんということを言う。それから、十四分調査しているところがある、鳥を十四分何をやったんでしょうと、これは野鳥の会の専門家から見たち腹を抱えるようなことが無数に出ているんですよ。  裏高尾の一番問題になっているところを私地図があるので出てみたら、蛇滝のところまで登って林道をちょっと行っているだけです。それから、南浅川の方もそうですよ。野鳥の聖域と言われるあんな大事なところを、これはほかのところもみんなそうですが、本気でやったと私は本当に思えないこういうふうなずさんな調査、ひとつ局長どうですか。  私一々挙げられませんけれども、みんな専門家の方が住民の方ともども、都民の本当に大事なオアシスとしての高尾山の自然を守ろうとして一生懸命おやりになっておる。もう意見書も出たと思うけれども説明会、意見書それから公聴会などで出ているこういう専門家の当然の疑念、本当にそれを受けとめて対応されるかどうか。局長いかがですか。
  195. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) この首都圏中央連絡道路の影響評価につきましては、先生も御指摘のとおり、これまでに地元説明会が終了いたしまして、地元住民等から東京都に多数の意見が提出されたと聞いております。また現在、東京都におかれまして公聴会を実施中でございまして、十二月中にこの公聴会が終わるということも聞いております。これらの意見あるいは公聴会で述べられました意見その他すべての意見に対する見解が今後東京都知事が行います環境影響評価の手続の中で取りまとめられまして、それに対する見解書として公示縦覧され、さらに説明が行われる、こういうことが今後の手続として残されていると認識をいたしております。このために環境影響評価について私どもは大気汚染、騒音、振動、動物、植物、地形、地質、景観等の非常に幅の広い調査を行ったと考えておりますし、既存文献の調査もまた行いまして、必要があると認めた場合に現地調査をやる。そしてそれを補完する。さらには専門家の意見を聞くというようなことをしたつもりではございます。  しかし今回、植物や水の問題そのほかの問題についてたくさんの御意見をいただいたということは承っておりますので、これにつきまして見解書を作成いたしますが、その段階において必要があればさらに適切に対処してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  196. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 必要があれば対処してまいりたいと、しっかりお聞きしておきます。  水質、水脈の問題、ちょっと資料を配付いたしました。これは十一月二日に私自身専門家と一緒に調べました。時間がございません。これも余り言えないんですが、アセス案では、大規模な破砕帯を伴う断層は存在しない、大したことないというので大丈夫だということになっている。ところが、琵琶滝の方も断層群がトンネルに向けて直角に走っているんです。だから、これはやっぱり危ないというのが専門家の判定。それから蛇滝の方は、これは幅三十メートルに及ぶ破砕帯がずっと走っているんです。私たちも写真を撮りましたし、ことに地図も入れておきました。幅三十メートルに及ぶ破砕帯があそこの蛇滝のところに走っているのに全然記載がないんです。これも水脈の問題について何を調べたか。  高尾山というのは層が縦になっていまして、それで砂岩が多くてぐじゃぐじゃの山だ、だから水がいっぱいあそこはたまっている、だからあんなに緑が多いんだと専門家は言う。それをそんなことを書いてないんです。大丈夫だみたいな。とんでもない。地質判定でさえイロハからが間違っている。ですから、あそこに直径十メートルの二本のトンネルを抜いてごらんなさい。これは水脈、地下水状況に取り返しのつかない被害が起きる可能性が強いと私は断言したい。  最後に私がひとつ問題にしたいのは、裏高尾の一番住民の方々が心配している大気汚染です。あそこにトンネルが掘られ、換気塔ができ、巨大なジャンクションかつくられて物すごい自動車が通るわけでしょう。今までも中央高速道路で大被害を受けた。そこになるわけです。そこの大気汚染問題、これが私冒頭に申し上げた東京都の技術指針と建設省の技術指針とが違うところなんです。東京都の技術指針は、私も大分この大気汚染でこんな本まで読みましたよ、なかなか難しい数式が書いてあるんで。  それで東京都は、大気拡散式としてプルームモデル、パフモデル、差分モデルと三つ挙げて、その次にイ、模型実験または野外拡散実験、対象事業の種類、気象条件、地形・地物の状況を考慮して次のような予測手法から適切なものを選択する、こうなっている。ところが、建設省の技術基準は、予測方法、風のあるとき、毎秒一メートル以上の場合、横に式があって、これがプルームモデルというんです。その次は風の弱い場合、風速一メートル以下、これはパフモデル、この二つしか書いてないんです。  それで、このアセス案はここにありますけれども、プルームモデルによって計算した、NOxは基準値以下だというふうになっています。ところが、ああいう本当に裏高尾の谷のような部分、特に逆転層が起きる盆地では山風、谷風があり、プルームモデルについては全く適用することが困難だというのがこれまでの専門家の言い方であり、東京都の予測手法の書き方なんです。そういう複雑な地形ではプルームモデルでは難しいというこ とが書いてある。あそこも非常に複雑な谷間の地形ですからプルームモデルは使えないというのが東京都の技術指針なんです。ところが、建設省のプルームモデルというのは非常に広大な原っぱ、そこで一定の風速で風が流れている、そういう単純な場合の計算式です。それを何であの最も複雑な地形のところで使ったのか。これは東京都の技術指針を無視しているじゃありませんか。これは先ほどの答弁と全く違うんだが、その理由をお聞かせいただきたい。
  197. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 予測式の適用範囲というものについてはいろいろ御異論があると存じます。私どものこれがプルームモデルを使った理由といたしましては、谷幅がかなり広い、七百メーターほどございます。それに対して道路の幅が十メーター、一種の点に値するようなものであるということで、プルームモデルを採用してもよろしかろうということで東京都ともいろいろ御相談をしましてやりましたものでございます。  ただ、これに対しまして非常に御異論があるということでございますが、このほかに例えば窒素酸化物が一番問題になると存じますけれども、窒素酸化物の排出係数につきましてもできるだけ拡散の少ない係数を使うなど、かなり安全度を見越した積算をした、予測をしたというふうに私どもは認識をしておりますけれども、この点につきましても今後見解書の中でいろいろ御意見を述べさせていただきたいと存じます。
  198. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あそこは七百メートルあるからプルームモデルが使えるなんてとんでもない話なんだ。ここに大気汚染の専門書があります。これを読むと、京都盆地はプルームモデルだめだと書いてある。京都盆地は十五キロ幅があって、あそこは逆転層があるんです。だから使えない。七百メートルで使えるなんてとんでもない。私も専門家から教えられて、ここに論文一つ読んでいる。これは宮崎の土呂久です。  ここは亜砒酸の焙焼炉があって亜砒酸の公害が大問題になった。宮崎大学の教授方が全部調べて論文を書いた。これを見ますと大変です。やっぱり逆転層がある。しかし、ここは谷の間千五百メートルですよ。あそこより広いんです。それでも大変なことです。こういう亜砒酸などの拡散の点で、谷間というところは極めて悪条件だ、第一に谷の壁で囲まれて汚染物質の脱出経路が制限されて出ていかないんです。第二に逆転層が恒常的に形成され、上の方への拡散が妨げられる。それで結局閉じた系で回っているというのです。昼と夜と逆転する、だから効果的な拡散は望めない。彼らはここで百葉箱を置き、それからゾンデを飛ばして詳細なデータをやっています。こう書いてある。「冬の寒い曇天の日には、煙は地表面付近を流れていたことになる。鉱山が操業していた頃、地区住民は亜砒酸の煙漬けになっていたことが容易に推定できる。」と。  ですから、あそこの住民、この人たちはもう真剣ですよ。自主アセスをやり、九カ所に百葉箱を置き、毎月一回何十人もあそこで逆転層の測定その他を一年間続けている。中央高速道路の被害が大変なので、今度の問題で本当に真剣に皆さん考えている。私は、プルームモデルを七百メートルだから平たん地と同じだなんて、もう私も大分勉強したから幾らでも反論できるけれども、時間が終わります。そういうことを局長が言っていたら笑い物になりますよ。とんでもない話だ。何にも調べないでいいかげんな答弁をして、プルームモデルを必要があったら検討するというんですが、やり直しを私は要求したい。建設省の技術指針じゃなくて、東京都の技術指針に基づいて本当にまじめに真剣に今度のアセスをやり直していただきたい。もう局長に聞いてもあれです。どうです、大臣
  199. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 先生おっしゃいますアセスをやり直すというお言葉がよく……。  どういうふうに解釈するか難しい問題がございますけれども、私どもとしてはこれがよいだろうということで出したわけであります。アセスの手続きは先ほどから申し上げましたように、御意見を承って、またそれを見解書にまとめて、そしてまた皆様方の御意見を聞く、こういう形をとらしていただいておるわけでございますから、そのような手続の中で皆様の御意見も十分踏まえて今後処置していきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  200. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 最後に一問。  やり直せというのは、今の例えば大気汚染で言うと、東京都の技術指針また建設省の元の指針だと風洞実験やれということなんですよ。こんな計算じゃ合わない。風洞実験ちゃんとやって、それから似たような地形のところで実際に実測もやってそれと比べろと、そういうやり直しを私は例えばこの大気汚染について要求したい。どうですか、やる気がありますか。
  201. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) その問題も含めまして、今後の見解書その他の形でいろいろ御討議いただきたいと存じます。
  202. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  203. 山田勇

    ○山田勇君 まず、十一月二十一日の三原山の大噴火によって避難された大島町の皆さんにお見舞いを申し上げるとともに、今後の生活に不安がないよう、また安心してお正月が迎えられるよう、政府初め関係各機関が尽力されるよう要求をしておきます。  十二月三日から大島への一時帰島が始まり、七日で終わったわけでございますが、今後の全面帰島をどうするのか、また、次の火山噴火予知あるいは緊急避難の体制整備について現在どのような状況にあるのかお尋ねするとともに、人命、財産に関することでありますので、完全なものが望まれると思いますが、その点について御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  204. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 一時帰島が終わりまして、全面帰島ということでございますが、既に東京都の方では知事が全面帰島を年内に実施したいという方向を打ち出しておられます。政府もこれをサポートしていきたいと思っておりますが、その場合にまずやはり観測監視体制というものが最も重要であるということで、新鋭の観測機器を目下早急にセットしようと努力をしておるところでございます。
  205. 山本重三

    政府委員(山本重三君) ただいま先生お尋ねの今後の噴火の予知の体制でございますが、御案内のように、伊豆大島における観測監視体制につきましては、去る十一月二十九日の政府対策本部会議において緊急観測監視計画を定めたところでございまして、現在それに基づきまして鋭意その整備を進めているところでございます。なお、この必要経費につきましては、十二月五日の閣議におきまして、実施の必要経費につきまして予備費使用が認められたところでございます。  今後、政府対策本部におきましては、観測監視体制の整備が住民の安全確保のため極めて重要であるという観点から、特に基本的には多角的、総合的な観測監視の実施、広域的、機動的な観測監視の実施、積極的なテレメーター化の推進、それから気象庁を中心とする観測データのネットワーク化、こういった点に重点を置いてその整備が早急に図られるよう全力投球してまいる考えでございます。なお、これらの観測につきましては五十八項目にわたります観測を新たに実施することにいたしております。  その次に、島民の緊急避難体制の整備の問題でございますが、これにつきましても政府対策本部としては、一般島民の帰島に伴って必要となる安全対策の検討を行うことを既に決定しており、本日行いました第五回目の本部会議におきましても、帰島に伴います安全対策については関係省庁において警戒避難対策等々、具体的にその問題について検討を今後進めていく、東京都の本部あるいは地元大島町の本部とも連携を密にしながら検討を進めていきたいと考えておりますし、なお、避難体制を確立するためにも、本部長から活動火山対策特別措置法の適用についても具体的検討をするようにという指示もございまして、本日この問題についても本部会議で具体的な検討を進めることを決めたところでございます。今後とも警戒 避難体制あるいは観測監視体制の整備に万全を期してまいりたいと考えております。
  206. 山田勇

    ○山田勇君 島民の帰島の望みというのは強いものがありましょうが、安全の上に安全を確認した上でひとつ緊急体制をとっていただきたいと思います。  次に移りますが、最近の円高によります景気の落ち込み、また対外貿易摩擦の解消のためにも内需拡大が求められているわけですが、政府として再三にわたって内需拡大のための総合対策を実施されておりますが、なかなかその実効性が上がっていないのではないかと思います。そこで、政府としてもさきの十月の総合経済対策に示した政策の実施に向けての努力を強く求めるものであります。  さて、総合経済対策の中で住宅建設促進の項目についてでありますが、住宅金融公庫の貸付条件の緩和、割り増し貸し付けの増額などによって約三万戸の需要増加を見込んでおりますが、実際に公庫融資の消化が可能であるのかどうかをお聞かせ願いたいと思います。
  207. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) 六十一年度の上期の住宅着工の動向を見ますると、六十一年度に行いました公庫の特別割り増し貸し付けの実施あるいは対象床面積拡大あるいは税制等の効果の反映でありますか、大変堅調に推移してきておりまして、特に八月、九月は持ち家住宅につきましても前年同期比増となるような状況であります。また、公庫の申込状況を見ましても、今年度上半期は前年同期比一六%の伸びとなって比較的堅調に推移をいたしております。  このような状況を踏まえまして三万戸の追加がなされたわけでありますが、この追加に当たりましては、御指摘にありましたように、特別割り増し貸し付けの大幅な増額、対象面積の引き上げ等の条件の改善を行っておりますので、この三万戸の追加については十分対応できると考えております。さらに、この確実な執行をいたしますために六十一年度第三回の受け付け時期を例年より一月繰り上げるとともに、期間を約十日間延長いたしまして実施をしているところであります。
  208. 山田勇

    ○山田勇君 住宅建設内需拡大に果たす役割は大きなものであると考えます。  そこで、住宅金融公庫がせっかく貸し付けのための優遇策を設けて努力しようとしておりますが、建設省にお願いしたいことは、さきに十一月一日から公定歩合が引き下げられましたし、また十一月末には長期プライムレートも引き下げられました。そこで、金融公庫の貸付額だけでなく金利の引き下げも図るべきではないかと思うのですが、そのために建設省としては財政当局あるいは関係機関との協議をどのようにしているのか、お伺いしておきます。
  209. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) 住宅金融公庫の個人住宅向けの貸付金利につきましては、公庫融資の原資であります資金運用部資金の利率、いわゆる財投金利の改定に連動して定められているところであります。現行の資金運用部資金法では、財投金利は六%に特別の利子を付した利率とすることとされておりまして、現在は同法の規定に基づく下限金利に相当する六・〇五%になっております。したがって、今回公定歩合は引き下げられてはおりますが、公庫の個人向け貸付金利の引き下げは、現行の規定のある以上、難しいと考えております。しかしながら建設省としましては、最近の市場金利の動向、長プラが下がったというようなことを勘案いたしますれば、住宅建設促進という観点から公庫金利の引き下げが好ましいと考えておりまして、財政当局に対しましては十二月一日に公文書でもって財投金利の引き下げを要請したところであります。
  210. 山田勇

    ○山田勇君 ぜひ御努力をいただきたいと思います。  この住宅金融公庫の貸し付けに伴う利子補給金が、今回の総合経済対策の貸し付け枠の増加によって現在どうなっているのか。また、今回の補正予算に含まれていますか。また、来年度の住宅対策予算で当然予算措置がされるものと考えてよいんでしょうか。
  211. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) 公庫の補給金につきましては、貸付原資であります財政資金の借入金利、現在六・〇五%でありますが、これと実効金利、例えば五・二五%というのがありますが、これの金利差などを埋めるために補給金を補給している、こういう状況でありまして、六十一年度は三千四百三十三億を計上しております。さらに、五十七年度から金融公庫法に基づきまして必要補給金の一部を後年度に繰り延べる特別措置を実施しておりますが、これの繰り延べ額が六十一年度におきましては千八十四億円、こういうふうになっております。  今回の総合経済対策による貸付枠の増加に伴う六十一年度中に発生する利子差相当額は、この措置が年度半ばからの実施であるということ、それから初年度分であるということから、一千四百万円程度と見込まれております。したがって、これにつきましては、六十一年度の事業全体の執行に伴うその他の損益計算上の変動要因——回収金がさらに計画よりふえるとかあるいは借り入れテンポが逆におくれて利子補給金が少なくなるというような、そういう変動要因でありますが、そういうものがございますので、当初の予算の中で十分に対応できるものと考えております。したがって、補正予算措置する必要はなかったというわけであります。  なお、六十二年度の分につきましては概算要求で六十一と同じ三千四百三十三億円の補給金の要求をしているところでありますが、公庫の事業の安定的な運営を確保するという観点から、予算の編成段階で適切な配慮がなされるよう強く要請しているところであります。
  212. 山田勇

    ○山田勇君 住宅建設促進に資するためには住宅減税一つの重要なポイントであります。現在、住宅建設は好調のようでありますが、実際には民間賃貸住宅などは居住水準が広いものとなっていません。住宅税制の面から賃貸住宅などの居住水準の向上については、建設省としてはどうお考えになっておられるでしょうか。
  213. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) 住宅水準の中で特に悪いのが借家系でございます。最低居住水準で比較いたしてみましても、全体では一一・四%が最低居住水準未満というのが五十八年の統計でありますが、持ち家関係について見ますると、これが四・数%、それから借家関係ですと二二%台になっている状況でありまして、借家につきまして特に低いという状況であります。したがいまして、そういう観点から民間の賃貸住宅促進というものは、良質のものが供給されるように施策を推進していく必要があると考えております。
  214. 山田勇

    ○山田勇君 住宅減税については、来年度は今年度以上に改善が求められております。ところが、税制改革ではいわゆる間接税導入が論議されており、これは仮の話ですが、もし仮に導入された場合、住宅取得に対し多大な影響が出ると指摘されております。  付加価値税が導入されているヨーロッパなどでは建築それから土地などはゼロ税率が導入されていると聞いております。現在六十二年度の税制改正要求住宅減税の大幅な改善を盛り込んでおりますが、これに対していわゆる間接税導入されますとせっかくの減税が実現しましても効果がないというふうに感じますし、建設省としてはこの点に関してどのように認識し、これは仮の話ですからまだこういう論議をする場合でないかもわかりませんが、そういう場合、具体的にはどう取り組んでいくおつもりでしょうか。
  215. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) 売上税住宅に適用されました場合には、確かに住宅取得価格を引き上げまして大変な住宅建設の障害になってまいります。このために、間接税につきましては、住宅に関してはEC諸国に倣いまして、極力これは非課税、免税とするように現在要請をしているところであります。また、それとあわせまして、住宅建設促進という観点から六十一年度に創設いたしました住宅取得促進税制を大幅に条件改善要請をする一方、賃貸住宅につきましても不動産収 入の一〇%を所得控除する新たなる制度要求するなどの税制の大幅拡充の要求をあわせてしているところであります。
  216. 山田勇

    ○山田勇君 若干割愛させていただきまして、最後の質問にさせていただきます。  住宅問題の基本は、私は土地対策にあるとも言えると思います。民社党としても十月の三十一日に国土利用計画法の改正、土地税制の強化、都市計画の強力な見直し、国鉄用地等の処分の適正化の四つからなる地価の高騰を抑える緊急提言をしております。土地問題の解決が先送りされると勤労者の住宅に対する不満を増大させることになりますが、建設省としては良質の宅地を低廉な価格で供給するための対策を強化すべきであると考えておりますが、いかがでしょう。  また、宅地の供給に当たっては良好な市街地環境が確保されるよう十分に留意する必要があると考えております。大臣考えを聞かしていただきまして私の質問を終わらせていただきます。
  217. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) まず、具体的な施策について事務的に私からお答えを申し上げさしていただきたいと思います。  先生指摘のとおり、国民の住生活の充実を図っていくためには宅地対策を強力に推進しなければなりません。これはおっしゃるとおりでございます。このため、私どもといたしましては従来から、まず公的機関による宅地供給の促進、あるいは民間に対しましては政策金融でいい宅地を供給していただく、さらにはベースに関連いたします関連公共公益施設の整備、こういうものをやってまいりましたが、特にあと二点ほど申し上げますと、まず第一点は、線引きの見直しなりあるいは開発許可の規模要件二十ヘクタールを五へクタールに落とす、ああいうものによりまして開発適地を拡大していきたい。それから、第二点はコストを引き下げるということで、例えば宅地開発等指導要綱の行き過ぎたところ、こういうものは是正をしていきたい、あるいは事務処理を迅速化したい、こういうふうなことでコストを下げたいというふうなことで施策を進めております。  それから第二点目の、宅地供給の際に良好な市街地環境の整備、これもおっしゃるとおりでございます。そこで、私どもは例えば開発許可に当たりましても、当然のことながら、一定の環境水準を保つということをやっておりますし、あるいは政策金融なり補助をやる場合に対象を一定の優良な計画のものにするというふうなことで今後とも良好な市街地環境の確保に努めたい、これがいろいろ事務的な施策でございます。
  218. 青木茂

    ○青木茂君 戦後政治の総決算というのが現内閣の課題だと言われておりますけれども、戦後政治の総決算を実のあるものにするには、米と土地に手をつけなければ総決算にならないと思うわけなんです。  そこで、土地問題を中心に御質問を申し上げるわけなんですけれども建設省が御発表になりました六十一年版の国土建設の長期構想を見ましても、あるいは第五期の住宅建設五カ年計画ですか、これ拝見しましても、内容は大変立派なものなんですけれども、ただ土地問題については見るべきものがどうもないわけなんです。これは建設省国土庁、土地問題はお手上げであるという告白なのかあるいは意識的にお避けになったのか、まずここら辺から大臣に伺います。
  219. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 先生指摘のように、土地問題非常に難しいということは、そのとおりだと思います。  まず基本的には、国土庁が土地問題に対応して、いわゆる宅地の供給なり都市施設の供給ということだと思います。そういう観点で二十一世紀への例の長期構想というのは、整備水準を構想として示してある、それに要する財政的な検討を行ったというところに意味があります。  土地問題につきましては、確かに記述は少ないわけでございますけれども、例えば土地信託の活用の問題でありますとか借地方式の問題でありますとか、あるいは民宿も含めてだと思いますが、そういう形でできるだけ対応していきたい。もちろん我々は、例えば今度の税制改正でも土地税制の改正を要望しておりまして、土地問題に対応したいというふうにしておるところでございます。
  220. 青木茂

    ○青木茂君 土地問題の一つとして農地の宅地並み課税、これについて少し御質問を申し上げたいんですけれども、まず基本になる数字といたしまして、例えば首都圏の特別区の平均値で見まして、仮に百平方メーターの土地があったとします。これが農地だったら、固定資産税は大体幾らになりますか。
  221. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) 東京都の特別区におきます昭和五十九年度の農地課税相当額の平均的な税額をもとにいたしまして百平米の農地の税額を仮定計算をいたしますと、約九百円でございます。
  222. 青木茂

    ○青木茂君 ついでに、それがもし宅地であったとしたならば幾らですか。
  223. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) 先ほどと同様な考え方で、昭和五十九年度の住宅地の平均的な評価額、これは東京都の特別区の平均でございますが、平均的な評価額をもとにいたしまして百平米の住宅地につきましての仮定計算をいたしますと、約三万円でございます。
  224. 青木茂

    ○青木茂君 三万円対九百円ですね。  そうすると、今度はもう一つ特定市街化区域の農地が宅地並み課税になる。なるけれども、十年間の長期継続かなんかで落とされていきますね。その落とされていったものが大体何%ぐらいあるのでしょうか。あるいは逆でもいいです。
  225. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) 御質問の趣旨は、長期営農継続農地面積の特定市街化区域農地面積に対する割合ではなかろうかというふうに理解をいたしておりますが、これは昭和五十九年度で約八五%でございます。
  226. 青木茂

    ○青木茂君 そうしますと、あれは五十六年ですか、農地の宅地並み課税、日の目を見ても実施されているのはわずかに一五%なんですよ。そして、実際農業をやっているかどうかの判定をどこまでやるかということなんだけれども、ビルの谷間に大根を二本か三本植えて農地でございますと言ったら、これは一種の偽装農地なんですよ。その偽装農地をどうしてほじくり出して宅地にするかということがまず土地対策の基本だと私は考えています。  そこで、もう一つ数字として、これは建設省ですか、お伺いをしたいのは、市街化区域の農地面積、首都圏特定市全体と全国でどれぐらいございますか。
  227. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 市街化区域内農地でございますが、全国で約十九万ヘクタールございます。そのうち首都圏の特定市、いわゆる宅地並み課税対象でございますが、これは約三万五千ヘクタールでございます。
  228. 青木茂

    ○青木茂君 ことでひとつ仮定を置きますと、一ヘクタールにつきましてそれが宅地として供給された場合、仮に二百平方メーターとしてどれぐらいの家が建つでしょうね。
  229. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 今先生の仮に二百平方メートルという意味でですが、そういたしますと、一ヘクタールのうち、アバウトで言いますと、公共公益施設を除きますと六割程度が宅地になりますから、六千平米になります。それを先生のおっしゃった仮定の二百で割れば約三十戸分の戸建てが建ち得る、こういうことになろうかと思います。
  230. 青木茂

    ○青木茂君 それを首都圏全体あるいは全国全体、それに引き伸ばした場合、一体どれぐらいの宅地が放出されるでしょう、どれぐらいの家が建つでしょう。
  231. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 全部仮定の話でございまして、宅地並み課税になるとかなんとかということに仮になってもすぐ出るかとか、いろいろな前提がありますが、仮に先生おっしゃったとおり宅地並み課税対象の農地はどのくらいあるかといえば、まず全国、これは三大都市圏だけで行われておるわけですが、そこでは約四万ヘクタールございます。それから、首都圏の特定市におきましては課税対象というのは二万八千へクタールございます。ですから、そこに先ほど申し上げました 一ヘクタール三十戸を掛ければ、全国の課税対象面積ベースでいけば約百二十万戸、それから首都圏でいえば八十四万戸程度になろうかと思います。
  232. 青木茂

    ○青木茂君 そういう計算で追っていったら、これは物すごい家ができるし、また土地が放出されることによって地価抑制にもなると思うわけです。  そうすると、農地の宅地並み課税というのは、これからの土地問題を考えるに当たって大変重要な問題だと私は思うわけなんです。  国土庁長官、どうなんでしょうね、農地の宅地並み課税が地価高騰あるいは宅地造成に一体どういうふうに影響してくるであろうか。これは大したことはないとお考えなのか、あるいはこれは非常に大きな問題だというふうにお考えなのか、いかがでしょうか。
  233. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) 御案内のように、現在の東京の地価高騰は、基本的な原因が事務所ビルの不足ということでございます。したがって、事務所用地を供給するということが直接的な対策として有効だと思いますが、同時にその地価高騰が周辺の住宅地に波及しているというのも事実でございますから、そういう住宅地の地価上昇下における住宅宅地の供給というものも供給策として非常に重要なものであろうというふうに思っております。したがいまして、そのために宅地並み課税を見直すという検討が必要ではないかという御指摘だろうと思います。  先生御案内のように、この制度ができましたのは五十七年度でございまして、そのときに長期安定的な税制としてこの制度が確立されたわけでございます。この制度に基づきまして長期営農継続農地というものが指定されて、徴収猶予制度が現在運用されておる途中でございます。六十二年にはその農地の確認が行われるわけでございまして、そういう状況でございますから、慎重な対応が必要であろうと思います。しかし、先ほど申し上げましたような良好な住宅宅地の供給、こういう点からの見直しもやはり必要であろうというふうに私ども認識しておりますけれども、ただ税制だけを変えるだけでなしに、その前提として良好な環境の住宅地が供給されるということが必要でございましょうから、そのための誘導策ということもあわせて考えなければいけないと思います。その点については建設省ともまた相談をしなければいけませんし、課税の公平、公正その他、制度上の問題点について自治省の方からもよく話を聞かなければいけないと思いますが、そういう関係省庁と御相談しながら検討すべき課題だというふうに心得ておるわけでございます。
  234. 青木茂

    ○青木茂君 国土庁長官にお伺いします。  五十七年度に実施されたものがもう六十二年になろうとしておるのに一五%の実施率しかないと、これはなきも同じだ、この現状についてどうお考えですか。
  235. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) けさほど閣議で地価対策関係閣僚会議が設置されました。第一回の会合を開きましたが、その中でもこの農地の宅地並み課税の問題が恐らく討議の対象になるのではないかというような話が出ておりました。今後またいろいろとそういうことが出てまいると思っておりますが、土地の問題は非常に難しい問題で、やはり適正な市場ができて、その中に適正な価格で取引がされるということが大事なわけでありまして、この異常な取引が発生するのをまず防除しながら、それらの中で今の問題も正常な形で取引される市場がまずつくられるのが大事じゃないかなというふうに考えておるわけであります。
  236. 青木茂

    ○青木茂君 ビル需要によるところの土地高騰は、これはここ一年ぐらいの問題で、農地の宅地並み課税というのはもう物すごい古い問題です。だから、これはビル需要の問題とは切り離して考えていただかなきゃならないんだけれども、ひとつ建設大臣、今の一問一答でどうでしょう。
  237. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 来年の一月が第一回目のチェックする段階になってきております。法律つくってから日が浅いものですから、なかなかしにくいわけですが、第一回目の今の宅地並みの課税は私たち相当責任のある格好でつくった法律でございます。それで、第一回目のチェックをしないうちに議論するのはちょっとおかしいんですが、これは異常な状態でもございますから、来年の一月すぐですから、その段階でチェックして、始末しなきゃならぬなら法律改正もあるわけですから、そういう点で、来年の一月の末という格好に一応考えておるわけでございます。
  238. 青木茂

    ○青木茂君 お答えいかんによっては、今一五%しかない実施率を何%にいつまでになさるのかということを伺いたかったところですけれども、来年一月過ぎのそれじゃ建設委員会までお待ちを申し上げるということにいたします。  今度は建設大臣中心にお伺いしたいんですけれども、私は建設委員会の質問きょうが初めてなので、伺っていてまだよくわからないんです。建設省国土庁の関係というのもよくわからぬし、それから建設省というのは一体、我々が外から見た常識的な判断によりますと、何か現業官庁というのか、決められた政策を実施するという実施官庁のように映って仕方がなかったわけです。どうも政策官庁というのか、政策立案官庁、政策要求官庁というイメージがわいてこないんだけれども、これからの建設省の姿といたしまして、建設大臣はどっちの方向へ引っ張っていくんだというふうにお考えですか。
  239. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) それは青木先生、両方です。
  240. 青木茂

    ○青木茂君 それは両方には違いないんですけれども、私の言うのは、今までは政策要求官庁としてのイメージがどうも外から見てわいてこなかった。だから、逆に言うと現業官庁としての色彩の方が強かったように見えた。それを政策官庁として引っ張り上げていくという、よりそこにアクセントを置いた姿をあらわしていかないとそういうふうに映らないのじゃないかと、そこのところを伺っているわけです。
  241. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 大臣のかわりにというととではございませんので、政策官庁とは何ぞやというような定義の問題もあるかと思いますが、これは釈迦に説法でございますけれども建設行政の我々があずかっております行政の基本的な使命というのは、一言で言えば住宅、社会資本を充実して豊かな国民生活を実現する、これは立派な政策であるというふうに思っているわけでございます。したがいまして、道路でありますとか、これは確かに予算的には非常に大きいという問題がある、あるいはその辺を御指摘になっているのかもしれませんが、道路整備でありますとか河川の整備あるいは土地問題、こういうものを一体的にかつ総合的に推進していくことが使命ではないかというふうに考えているわけでございます。
  242. 青木茂

    ○青木茂君 私が政策官庁という言葉を使ったのは、政策要求官庁というのか、政策を立案して、それを大蔵省が何を言おうとも断固通すのだという強い姿勢がないと住宅問題は解決しないのだ、だからその強い姿勢をここで表明してほしいという意味であったわけです。それはどうですか。
  243. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 私がやっているうちは相当強いと思うんですが、そう言っては失礼な言い方をしますが、これ以上強くすると内閣がつぶれてしまうのではないかなと思うんですが、その点御理解願えればありがたいと思います。
  244. 青木茂

    ○青木茂君 それでしたら、もう少し長くやっていただくわけですな、どうも天野大臣には建設大臣が一番向いていらっしゃるようですから。  次に移りますけれども、これからの仮に現場でもいいし政策でもいいのだけれども、これからの建設省のウエートの置き方ですね、道路重点の方向にいらっしゃるのか住宅重点の方向か、大体アクセントをどちらの方向に置くわけですか。五〇%五〇%の両方だと言われてしまえばそれまでだけれども
  245. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) もとより道路の方は対策の基本ですから、これはもう当然重点を置かなきゃいけないし、住宅にしたって河川にしたって、今の段階、重点的に頑張らなきゃならないも のばかりじゃないでしょうか。非常に開発がおくれていますから、そういう点ではどれを甲としどれを乙とするというわけにはいきかねると思いますが、扱いの考え方で相当その年その年によって重点的に変わる部分もあるかもしれませんが、今の段階ではどれ一つ息の抜ける政策はございません。そうですから、どれも全力傾注でやらなきゃいけないと思っております。
  246. 青木茂

    ○青木茂君 そういう意味において、時間もございませんから簡単に申し上げますけれども、今農地の宅地並み課税について申し上げました。これに対して、例えばこれはかつてドイツでやってイタリーでやって地価抑制に非常に効果があったと言われます土地増価税、つまり未実現のキャピタルゲインに対しての課税ですね、持っているだけで値段が上がれば税金がふえるというような考え方、あるいはこれは今まさにビル需要で問題になっている買いかえ特例の問題、こういうものについては、詳しいことは次回に御質問申し上げますけれども、どういうふうにお考えでしょうか。
  247. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 土地税制ですから土地局長の方がよかったのかもしれませんが、ただいまの先生のおただしでございますが、御承知のように保有に関しては固定資産税がかかっておりますし、譲渡する場合には当然譲渡益課税がかかるわけでございます。  さて、そこで今おただしの土地増価税のようなものでございます。私も税の専門家でございませんからいろいろ過去の資料等勉強いたしましたが、調べますと、ちょうど昭和五十二年に政府税制調査会でもいろいろな御議論がされたようでございます。結論だけ時間がございませんので申し上げますと、いろんな観点から検討された結果、消極的な見解が大勢を占めたという御報告に‐なっております。そういうことを考えますと、未実現のキャピタルゲインについてまで課税することについてはいろいろ問題があって、なかなか困難なのではないかなと現時点では、私はそう考えております。
  248. 青木茂

    ○青木茂君 それじゃ、その問題は次回にもう少し詳しくということで、最後に、経済企画庁せっかく来ていただいておりますから、伺います。  住宅建設ということのGNPの押し上げ効果といいますか、浮上効果というのは大きいんですか、小さいんですか、どれぐらいの数字になっておりますか。
  249. 大塚功

    説明員大塚功君) 住宅建設の経済効果でございますけれども、私どもは投資につきまして住宅とそれ以外のものを区別はしておりません。そういう政府投資全般で考えておりますが、乗数波及効果を入れて考えますと、一の投資に対しまして一・四七という経済効果があらわれるというふうに計算をしております。  ちなみに、先般総合経済対策に盛り込まれました約七千億円に上る住宅対策効果も、そのような計算でやりますと、GNPに算入されない土地取得費等を除いて計算するわけでございますが、GNP押し上げ効果が約八千億円ぐらいあるのではないかというふうに計算をいたしております。
  250. 青木茂

    ○青木茂君 今お話があったとおりで、最後に建設大臣に伺いますけれども住宅の問題はマクロ的に見ても景気浮上に非常に大きな効果がある。それから、ミクロ的に見ても、ウサギ小屋だと言われる日本人の住宅水準というものを大きく改善する重要な任務があるわけです。大臣になられて、これからずっと長く建設大臣をお続けになるでしょうから、そこのところをひとつぴしゃっと御決意を承って終わりにします。
  251. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 日本の住宅はウサギ小屋だ、ニワトリ小屋だと言われますけれども、私自身は、私の一生涯を通じてそれほどのものとは思っておりません。  現在の段階で三百万戸近く余っているわけです。そうですから、今住宅建設を進めるにしても、新しくつくるというよりも、生活の環境をよくするため、時代の経済の上昇に伴って我々の家庭生活が伸びてきたわけですから、その生活に満足するようなものをつくるための住宅建設というものが多くなってくるのではないかというような考え方をしております。  しかし、何といっても公共事業の中で住宅ほど多種目にわたる影響のある仕事はないわけですから、そういう観点住宅促進はやらなきゃいけないのですが、どういうものか、日本の住宅政策というものは金を多くとるものには出さない。金を多くとるものに出せば、なおより強く、より大きくできると思うのです。そういう点で私は、これは個人的見解ですが、今の住宅金融公庫の制限なんか皆撤廃すればいいと思っておるんです。今ニワトリ小屋だなんて言われていながら、何でああいう小さなものをつくらせるようなことをやっているか、非常に理解に苦しむわけであります。そういう点もできるだけ改善のスピードを上げて解消していくように努力をしていきたいと考えております。  いずれにしろ住宅行政は経済アップをするのに強力な役割を果たしますから、これについては緩むところなく頑張るつもりでございます。
  252. 青木茂

    ○青木茂君 終わります。
  253. 鈴木和美

    委員長鈴木和美君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五分散会