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1986-12-12 第107回国会 参議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十二月十二日(金曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  十二月十日     辞任         補欠選任      山口 哲夫君     佐藤 三吾君  十二月十一日     辞任         補欠選任      下田 京子君     佐藤 昭夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         菅野 久光君     理 事                 石井 道子君                 大島 友治君                 鈴木 省吾君                 松尾 官平君                 梶原 敬義君                 田代富士男君     委 員                 井上 吉夫君                 井上  孝君                 河本嘉久蔵君                 沓掛 哲男君                 斎藤栄三郎君                 寺内 弘子君                 中曽根弘文君                 永野 茂門君                 福田 幸弘君                 真鍋 賢二君                 宮崎 秀樹君                 守住 有信君                 久保田真苗君                 山本 正和君                 及川 順郎君                 刈田 貞子君                 佐藤 昭夫君                 関  嘉彦君                 抜山 映子君    国務大臣        郵 政 大 臣  唐沢俊二郎君        建 設 大 臣  天野 光晴君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)        (国土庁長官)  綿貫 民輔君    政府委員        北海道開発庁計        画監理官     大串 国弘君        沖縄開発庁総務        局長       小谷 宏三君        国土庁長官官房        長        清水 達雄君        国土庁長官官房        水資源部長    志水 茂明君        国土庁計画・調        整局長      星野 進保君        国土庁土地局長  田村 嘉朗君        国土庁防災局長  山本 重三君        郵政大臣官房経        理部長      山口 武雄君        郵政省郵務局長  富田 徹郎君        郵政省貯金局長  中村 泰三君        郵政省通信政策        局長       塩谷  稔君        郵政省電気通信        局長       奥山 雄材君        建設大臣官房長  高橋  進君        建設大臣官房総        務審議官     渡辺  尚君        建設省建設経済        局長       牧野  徹君        建設省都市局長  北村廣太郎君        建設省河川局長  廣瀬 利雄君        建設省道路局長  萩原  浩君        建設省住宅局長  片山 正夫君    事務局側        常任委員会専門        員        小島 和夫君    説明員        警察庁刑事局暴        力団対策官    深山 健男君        防衛庁装備局通        信課長      早矢仕哲夫君        大蔵大臣官房参        事官       松川 隆志君        大蔵省主計局司        計課長      兵藤 廣治君        大蔵省主税局調        査課長      杉崎 重光君        大蔵省銀行局銀        行課長      中平 幸典君        国税庁長官官房        企画課長     藤村 英樹君        建設大臣官房官        庁営繕部長    川上  格君        自治省行政局選        挙部政治資金課        長        中地  洌君        自治省財政局財        政課長      柿本 善也君        会計検査院事務        総局第三局長   大沼 嘉章君        会計検査院事務        総局第五局長   小川 一哉君    参考人        住宅金融公庫総        裁        河野 正三君        住宅金融公庫理        事        猪瀬 節雄君        住宅金融公庫理        事        吉澤 奎介君        住宅金融公庫理        事        福田多嘉夫君        北海道東北開発        公庫総裁     吉岡 孝行君        沖縄振興開発金        融公庫理事長   藤仲 貞一君        住宅都市整備        公団理事     京須  實君        日本電信電話株        式会社代表取締        役社長      真藤  恒君        日本電信電話株        式会社常務取締        役技術企画本部        長        岩崎 昇三君        日本電信電話株        式会社常務取締        役経営企画本部        長        草加 英資君        日本電信電話株        式会社取締役考        査室長      本間 雅雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算昭和五十九年度特別会計歳入歳出決算昭和五十九年度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十九年度政府関係機関決算書(第百四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十九年度国有財産無償貸付状況計算書(第百四回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十日、山口哲夫君が委員辞任され、その補欠として佐藤三吾君が選任されました。  また、昨日、下田京子君が委員辞任され、その補欠として佐藤昭夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 昭和五十九年度決算外二件を議題といたします。  本日の午前中は、十一月二十八日に引き続き郵政省及び日本電信電話公社決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 福田幸弘

    福田幸弘君 きょうは初めてでございますので基本的なことからお聞きしたいと思います。また、私の所見を申し述べたいということでございます。  国会における最も大事な仕事は、国民が納めます税金の使い道である予算審議議決すること、それからその予算を使った結果についての決算審査することであると、こう思います。その点に関しまして、決算性質、これは大蔵省だと思います、決算を行います決算性質とその意味、非常に抽象的でございますが、簡単にお答え願いたいと思います。
  5. 兵藤廣治

    説明員兵藤廣治君) もう委員各位も御承知のとおりと存じますけれども、国の決算国会議決によって成立をいたしました予算執行実績を示すものでございます。一会計年度における収入支出実績を一定の形式に従いまして計算整理、記録したものでございます。すなわち予算事前国会の決議をいただきまして成立し、政府に対して財政権つまり支出してよろしいあるいは債務の負担をしてよろしいという権能を付与するという性質を有するのに対しまして、決算はその予算執行実績結果を示す事後的な報告としての性質を有するものであるというふうに考えております。このような予算執行実績を正しく把握をいたしまして、これを予算と比較し、決算結果に基づく事務事業実績内容ないしは効果を分析評価することなどによりまして、これを以後の予算編成なり予算執行改善を加えることができるわけでございまして、この意味において決算の果たす役割はまことに重要なものであると考えております。  国の決算独立機関である会計検査院検査確認を受けまして、さらに国権の最高機関である国会においてより高い次元から御審議をいただき、種々の御批判を賜っております。この御批判にこたえて政府としては予算のより適正な執行について努力を傾注してまいらなければならないと存じております。
  6. 福田幸弘

    福田幸弘君 国会における決算審査は、予算事前における審議、またそれに基づく議決の裏表の関係に立つ極めて重要な役割であろうと思うのですが、憲法の規定でも御承知のとおりでもう言うことはないんですが、予算議決でございますし、決算の場合はこれは「内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。」、こうなっておるわけであります。したがって、この審査が行われておるわけでございますけれども、この国会における最後の形が本会議によってどういう処理をされておるかと見ますと、六十一年の五月二十二日の参議院議長総理大臣に対する通知となっておりますが、「本院において別紙のとおり議決した。」と、こうなっておるわけであります。「よつてここに通知する。」と。ここに議決という言葉がございますが、この議決というのが、予算議決とは違いますけれども、どういう性格かという問題があろうかと思います。  また、その前提としまして、「本件決算は、これを是認する。」という言葉がありますが、これは承認ということなのか。その辺の問題が言葉の問題以上にあろうかと思います。警告警告でございますが、是認する、警告する、そして議決するというようなこと、これは私、今後どういう問題か教えてもらいたいと思いますが、答弁はきょうは必要ではございません。  そこで、独立機関である検査院立場でございますけれども検査院国会との関係でございます。国によっては、たしかアメリカはそうだったと思うんですが、検査院国会に属している国もあろうかと思うんです。今行われておる決算審査も一種の検査院と並行したような感じもございますが、国会検査院が属している場合の行き方と今のような独立機関であるやり方、どちらがいいか、いろいろ問題があろうかと思いますが、きょうは御答弁は要りませんけれども、非常に大きな問題で、今後検討を要するというふうに考えます。  次に、検査院法の二十一条に「会計検査院は、検査の結果により、国の収入支出決算確認する。」とございます。この決算確認意味について教えてもらいたいと思います。
  7. 小川一哉

    説明員小川一哉君) 会計検査院法第二十一条に定めてございます決算確認でございますが、会計検査院決算についての検査を了したことを公式に表明するというふうに解釈しております。この「確認」というふうな言葉の中には決算を確定するというような創設的な効力というようなものはございませんで、この確認によりまして決算国会に提出できる状態になったことを内閣に明らかに認識させるというふうに解釈しております。
  8. 福田幸弘

    福田幸弘君 次に、郵政省の所管であります放送法規定によりますと、NHK決算会計検査院検査の後、国会へ提出されることと、こうなっております。しかし、この決算委員会での対象とはならないで逓信委員会審査されておりますが、NHKと同様のケースがほかにございましたらお伺いしたい、こう思います。
  9. 小川一哉

    説明員小川一哉君) 日本放送協会の場合のように決算審査決算委員会以外の委員会で行われているものは、現行法上はないと承知しております。
  10. 福田幸弘

    福田幸弘君 その理由はきょうは触れませんが、次に移りまして、検査のあり方としましては金銭的な会計責任、いわゆるアカウンタビリティーというのが伝統的手法であろうと考えるんですが、納税者の側から見ますと、どのように予算が効率的、そして経済的に使われたかということに関心が深いと、こう思うわけであります。郵政省に例をとって申しわけないんですが、このような効率性観点からの検査についての御意見をお伺いしたいと、こう思います。
  11. 小川一哉

    説明員小川一哉君) 委員ただいま御指摘のとおりに、予算が効率的、経済的に執行されているかという点に関します国民関心というものは、一層高まっているというように感じられます。会計検査院といたしましても、このような国民の期待にこたえるために、会計経理予算、法律、政令などに従いまして適正に処理されているかどうかという合規性側面、これが会計検査院の伝統的な職務でございますけれども、それだけでなくて、事業が経済的、効率的に実施されているかというそのこと、すなわちより少ない費用事業実施できないかどうか、また同じ費用をかけたならばより大きな成果が得られないかという経済性効率性側面、それから事業が所期の目的を達成いたしまして効果を上げているかという有効性側面、そういうふうな点にも重点を置きまして検査をいたしております。  このような観点から検査をいたしました委員からお尋ねの郵政省に対する検査でございますけれども、その場合の具体的な着眼点について申し上げますと、例えばオンラインシステム等機械化計画と、それからそれの実施取扱業務内容に対応した適正な規模のものとなっているか、それからまた郵便局局舎等の施設の建設におきまして、その局舎職員数、それから業務量等から見て適当な建設規模となっているか、そういうような点について検査実施してございます。  郵政省につきましてこの効率性観点から具体的に指摘した事例といたしましては、五十七年度決算検査報告におきまして郵便物取集業務普通自動車によって行っていた、そのために効率性が低かったというふうな事態につきまして、軽自動四輪車によってこの取集業務をしたらどうかという改善処置を要求したものがあります。  以上でございます。
  12. 福田幸弘

    福田幸弘君 ありがとうございました。  今の例のように、国の予算が正しくむだがないように有効に使われているという実態をもっと国民納税者ですが、わかりやすくやはり広報、知らせる必要があるのではないかと思うんです。これが十分でない、決算がどうなっているかわからないそのままになって納税者の不満が高まっておるという気もいたしますので、これは全般的にそういう観点をお願いしたいと、こう思います。  会社の場合には予算より決算が大事でございまして、決算によってどれだけの利益を出すか、いかに経費を削減して収益を上げるか、そして配当を多くして賃金をまた上げるというような問題、これがもう決算に集約されるわけでございまして、予算の場合は予算のところでもう終わってしまう、しかも予算の分捕りに終わるというようなこの姿、これについては決算をもう一回会社的な見方を加味する必要があろうかと、こう思うんです。  今の問題に絡むんですが、予算の効率的な使用をした場合、要するに削減して非常に効率的にやった場合、そのときにメリットが返ってくるかどうか。かえって予算を削減するといいますか、効率的に使いますと、次の予算では予算がカットされる。私も主計局やりましたが、決算実績を見て、使い残しがあると予算を切る。それは節約をしておる場合においてもそうでございますが、むしろそういうときには新規施策をかわりに認めてやるとか、そういう立派な部局についてはメリットを与えるというようなことも必要であろうと思うんです。そういうことで効率化の度合いを次年度以降の予算にプラスになるように反映させる仕組み、そういうものが考えられるかどうか。このため検査院として現在どのようなことを行っておられるのか。郵政省を例にとって、もしできましたら答えていただきたい、こう思います。
  13. 小川一哉

    説明員小川一哉君) 予算を効率的に執行するために、例えば本年度大分効率的な使用をした、その結果、来年の予算においてその効率化分をまた認められないかというふうな御指摘につきましては、これはしかし私どもではなくて、予算担当機関の問題ではないかと思いますが、ただ私どもといたしましては検査の結果を最も効果的に財政運営とかその会計経理改善に生かすためにもいろいろ考えておりまして、このために毎年定期的に大蔵省主計局と、それから理財局連絡会を開いております。その方法でございますが、まず春に予算編成の背景とか意図、それから予算執行上の留意点、そういうようなものを財政当局から拝聴いたしまして検査参考にいたします。それで検査実施した途中でございますけれども、夏には会計検査院の方から財政当局に対しまして検査結果につきましての意見を申し上げる。それから予算編成上どういうふうな意図でこういうふうな経費を認められたかと、こういうふうな意見を拝聴いたしまして検査結果の取りまとめの参考にする。同時に、財政当局におかれましても翌年度予算編成とか財政運営参考にしております。  郵政省関係につきまして具体的にどういうふうなことというような事例はちょっと申し上げかねますけれども、この連絡会におきまして郵政省担当主計官、それから主計官のスタッフと相互に意見交換をして、委員指摘観点からの活動に努めているところでございます。
  14. 福田幸弘

    福田幸弘君 今の点に関するんですが、予算が単年度で組まれておりますので、年度末になると使い切ってしまうような仕事のやりくりをやる官庁もございますが、むしろそういうところは年度末で予算を消化してしまうというような点についても、むしろむだな使い方であるという指摘が今後あればありがたい、こう思います。これは郵政省の問題ではございません。特に公共事業の問題であります。  次に、国の出資しました会社、これはもう民間企業になっております際、当然のことながら商法の規定によりまして公認会計士監査役による監査、さらに税務調査の徹底的な調べがあるわけでございますが、会計検査院がさらに検査を行われますけれども、その辺の会計検査院のこういう場合における検査着眼点はどこにあるのか。その効率性なのか、ほかのいろんな監査等関係でどういうふうにお考えになっておられるか、簡単にお願いします。
  15. 小川一哉

    説明員小川一哉君) 会計検査院検査会計検査院法の第二十条によりまして「常時会計検査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、是正を図る。」ことという目的実施されております。  具体的に申し上げますと、先ほどの決算表示正確性会計経理合規性、それから事業実施経済性効率性有効性というような観点から実施してございます。  日本電信電話株式会社検査に関してでございますけれども会計検査院法の第二十二条に基づきまして、国が二分の一以上を出資している法人として会計検査院検査対象になっておりますので、一応この会計検査の視点というものはほかの検査対象と変わることはございません。ただ、民営化以降は委員先ども指摘のとおりに、公認会計士監査とか税務調査というものを新たに受けるようになっておりますので、本院の検査におきましても、これらの点に配慮して検査実施しております。  具体的に申し上げますと、そういう公認会計士監査とか税務調査、それから内部監査とかそういうふうなものを配慮いたしまして、検査の効率的な執行に努めると。それから、そういう財務的なものというよりはどちらかというと経済性効率性経営有効性、そういうふうなものを中心に検査実施しております。
  16. 福田幸弘

    福田幸弘君 検査院は本当に地味な仕事を非常に限られた人員でやっておられるという点につきましては敬意を表するものでありますが、やはりさらに納税者立場から言えば増員の必要があるんじゃないかと私は思うんです。税務職員と同じく検査院については増員の必要があるんじゃないかという気がします。また、機械化の必要があるような気がいたします。  それからもう一つは、こういう納税者関心の高いときでございますので、財政事情もこういう状態ですから、検査重点化、要するに納税者から見てここを検査してほしいというようなところを選んだ重点検査というようなことも必要かと思いますが、これは御検討いただければありがたいと思います。  次に、地方自治体検査でございますけれども、今の問題に絡みますけれども地方自治体検査または監査機能が十分に機能していないような気がするわけであります。これは地方自治体でありますからここの問題ではありませんが、国からは交付金を出しておるわけでありまして、三税の三二%が自動的に行きまして向こうの一般財源になっておるわけであります、またほかの補助金もありますが。いずれにしましても、国に大きく依存しておる地方自治体についての検査を特に歳出全般について行うというようなことを、問題はあるかもしれませんが、納税者から見れば非常に関心が深いということを申し上げて、御検討願いたい、こう思います。  次に、五十九年度決算検査報告書の百五十八ページ以降に、職員不正行為により生じた損害が二十六件、二億八千万余とこうなっております。私、この件数が多いか少ないか、国税庁の場合でも相当指摘されますが、一般金融機関においては表に出ない不正事件も相当あろうかと思うんで、この数字についてはよくやられた検査の結果として、大きな数字が出たとは考えませんが、今七百名の監察官を含む千二百名の監察職員が配置されておられるわけであります。国税当局も、やはり監察官内部監察を厳しくやっております。  いずれにしましても、この内部監察は非常に御苦労な仕事であります、同じ職員監察をやるわけでありますし。しかし、この問題はむしろお客様に問題がある場合が相当あろうと思うんです。お客様が通帳をごまかすとかいろんなことを、その辺をまた監察しておられますから、そういう意味で非常に大変な仕事でございますので、この辺の内部監察の充実ということも大事でありますし、それを前提にした外部からの会計検査院監査というふうにやっていただければ効率的であり、中の規律もまた維持されると、こう思います。  次に、やはり常に納税者の貴重な税金を使っておるという観点が要ろうかと思うのです。したがって、決算検査の際に単なる不正の指摘にとどめないで、今もおやりになってますが、不備事項については具体的な改善策を示す。そして、回答を求めてその改善が実際行われたかどうかを追跡するということが大事であろうと思うのです。  そういうことで郵政省において五十九年度改善処置要求がされて、またそれに対してどういうふうな対応があったのかというような点を、特に簡単に例を少なくしてお答えいただきたいと思います。
  17. 小川一哉

    説明員小川一哉君) 会計検査検査は単なる指摘にとどめることなく具体的な改善策を示すという方向は、委員指摘のとおりでございまして、会計検査院法にも第三十四条の規定に基づきます会計経理是正改善処置要求、第三十六条の規定に基づきます法令、制度または行政に関する意見表示または改善処置要求というような方法がございまして、その趣旨にのっとりまして検査成果を公表しているところでございます。  五十九年度決算検査報告におきまして郵政大臣に対しまして簡易生命保険の積立金の長期貸し付けについてその適正化を図るよう是正改善処置を要求した事項がありますが、その概要について述べさせていただきますと、郵政省では簡易生命保険の積立金を地方公共団体に対しまして長期に貸し付けてございますけれども、関東郵政局外二郵政局管内の北海道外一県、十四市町村におきまして、指定寄附金を貸付対象事業費から控除していなかったり、貸し付けの対象外の費用を貸付対象事業費に含めていたり、そのために貸付額が過大になっているものが八億三千万円余ありましたので、こういう不適切な貸し付けにつきまして検討をいたしましたところ、郵政省におきまして貸し付けの際の審査、それから貸付後の監査に当たりまして貸付規則等の諸規程が適切でなかった、そのために貸付額算定の基礎となる貸付対象事業費の適否につきましての調査確認事業実施状況等を的確に把握できないまま貸し付けがされてきたことによる、そのように考えられましたので、こういうふうな貸付規則等を整備されまして、担当者に対する指導を強化する必要があるとして是正改善処置を要求したものでございます。以上でございます。
  18. 福田幸弘

    福田幸弘君 関連して私の意見というような形で申し上げたいのですが、やはり納税者立場予算なり決算の問題が国会審議される。これがもう国会本来の機能だと思うんです。  その前提には納税者が正しく税金を納めておるという風土がなければ予算に対しても決算に対しても厳しい目が注がれないわけであります。  したがって、この予算決算という問題の前提として納税秩序が正しいということがなければ意味がない、こう思うんです。  日本は源泉徴収の場合は別としまして、申告納税が常に問題になりますが、申告納税の母国であるアメリカの場合に法制上申告納税を担保するのにどういう制度がとられておるか、簡単にお願いします。
  19. 杉崎重光

    説明員(杉崎重光君) アメリカにおきましては、申告納税を担保する制度といたしまして特に納税者番号の制度がございます。この制度は一九六一年の内国歳入法典の改正によりまして新たに設けられたものでございまして、納税者番号といたしましては、個人については、社会保障番号、事業者につきましては雇用者番号が用いられております。この制度のもとでは、納税者は自分の申告書に納税者番号を記載すること。また、賃金、利子、配当の支払い者等支払い先にかかわる資料提出義務を負う者は、その資料にその支払い先の納税者番号を記載することなどが義務づけられております。
  20. 福田幸弘

    福田幸弘君 外国の例で申しますと、フランスでしたら全世帯に申告書を送ることになっておりますし、カナダでしたら全国民が納税義務者ということで、ソーシャル・セキュリティー・ナンバーを合わせて提出を、所得の申告をさせるというふうになっておるんです。その辺が非常に基本的な問題だろうと思います。健康保険番号とか年金番号があるわけですから、やれることをやはりやって正しい納税秩序をまず確立するということが必要であろうと、こう思います。  二つだけあとやりまして終わりますが、要するに申告を出さなかった場合にどうなるかという問題であります。申告書が出てこない、それが問題の一番例示として、基本になるところでありますが、これは所得税法の二百四十一条の方でいきますと、正当な理由がなくて申告書を出さなかったという場合に一年以下の懲役になっておるわけであります。「ただし、情状により、その刑を免除することができる。」と、こうなっておりますけれども、申告書を出さなかった場合に懲役刑が法定されておりますのに、実際どういうふうにこれが執行されたか。すなわち立件されたのが何件ぐらいか、これを教えてもらいたいと思います。
  21. 藤村英樹

    説明員(藤村英樹君) お答えいたします。  先生お尋ねの立件件数でございますが、無申告事案につきまして査察の立件を行いまして告発したものの数といたしましては、四十年度以降で見ますと五件ございます。そしてこの五件につきましては、告発後の起訴あるいは判決のいずれの段階におきましても、いわゆる単純無申告犯としての処罰にとどまっているというのが現状でございます。
  22. 福田幸弘

    福田幸弘君 もう一つ規定がありまして、「偽りその他不正の行為」によって申告書を出さなかった場合、そのときは五年以下の懲役であります。しかし、この「偽りその他不正の行為」というのを裁判所の判例を見ますと、二重帳簿をつくるような積極的行為を条件にしておるわけでありす。しかし、脱税の犯意が明確であるにかかわらずこの条項が適用されないというような問題があるわけであります。これは例示でございますけれども、非常におかしな納税風土であるという中で予算決算審議国民の目から見て厳しいものにならない、そういう感じがいたすわけであります。  ほかに申し上げたいこともありますが、時間でございますのでこれで終わります。
  23. 及川順郎

    ○及川順郎君 まず最初に、日本電信電話株式の売却価格の問題について伺いたいと思うんですけれども、先月の二十六日に売り出しを締め切りました。売り出し価格百十九万七千円というふうに言われているわけですが、このNTT株の価格につきまして、財源確保を優先させたという色彩が非常に強い感じがするわけですけれども、この売却方法に問題はなかったかという率直なやっぱり疑念が出てくるわけです。  例えば、英国の実施したブリティッシュテレコムあるいはブリティッシュガスの民営化の政策なんかと比べますと、極めて際立った違いがあるわけでございまして、例えばブリティッシュテレコムの状況を見ますと、一九八四年十二月の売り出しですけれども、売り出し価格につきましては百三十ペンス、約三百八十円。それからブリティッシュガスにつきましては五十ペンスで約百二十円、こういう状況から考えますと、非常にNTT株の金額というのは民営化の流れの中で非常に際立った違いがあるように感ずるわけです。  そのような疑念を抱くもとというのは、戦後、御承知のように財界が解体されまして、証券民営化で一気に個人株主がふえましたけれども、その後の推移を見ますと、二十四年の六九%から大体六十年の二五%まで一貫して減ってきているわけです。やっぱり個人株主の増大というのが一般には企業の民主化、活性化につながるという、こういうぐあいに言われまして、今回のそうしたいい点を生かそうということでの民営化の決断というものがあったと思うんですけれども、考え方としまして、やはり国営企業の民営化に当たりましては、まず株主構成を大衆化させる、それから個人株主を育成する、そしてその経営の方向としては、やはり競争原理に基づいて利用者サービスと技術改革の充実を図る、これが一般的な考え方になってくるわけですけれども、このような観点から考えますと、どうしても今度のNTT株の売却方法あるいは株主構成、経営の基本方針に問題はなかったか、こういう疑念が出てくるわけですけれども、まずこの点についての御見解を回答していただきたいと思います。
  24. 松川隆志

    説明員(松川隆志君) お答えいたします。  先生御指摘のように、NTTの株式の売り出し価格につきましてはいろいろ御意見があることは承知しているところでございますが、このNTTの株式の売却価格を決めるに当たりましては、やはり国民共有の貴重な国有財産であるということでございますので、適正な価格により売却しなければいけないということが第一にあったわけでございます。それで、この場合に同種の上場会社が存在しないということもございまして、やはり客観的に市場の評価に即して決めることがなかなか難しいということでございましたので、株式の一部について入札を行いまして、その結果を参考にして売り出し価格を決定することが適当であるという答申を国有財産中央審議会でいただいたわけでございます。これを受けて去る十月に行われた入札の結果を踏まえて審議会で再度審議した上、売り出し価格を決定したものでございまして、基本的に市場の評価を客観的に反映した価格であるというふうに考えているところでございます。  それで今先生御指摘のブリティッシュテレコムの例でございますが、これにつきましては、我々の聞いているところでは、政府が証券会社意見を聞いて一定の配当利回りをもって決めたわけでございますが、上場後売り出し値の三倍も上がりまして、国有財産を不当に安く売却したという批判も出てきた、これは野党の労働党の方からも出てきたと、そういうこともございますので、我々としてはそういう批判が出ないように慎重に売り出し価格を決めたところでございます。  それで、個人株主育成という観点でいかがかという問題でございますが、これにつきましてはそういう適正な価格により売却するということは、それは非常に基本的な理念でございますが、できるだけ多くの国民に株式を購入し得るようにするということも他方重視しておりまして、今回の売り出し方法一般の投資家になるべく多数株式が購入し得るように配慮したところでございます。したがいまして、入札は全体の一割にとどめまして、残りの九〇%を、正確に言いますと百六十五万株について個人を中心に売り出しを行うということでございます。  それで今回の売り出しの申し込み状況でございますが、十二月九日に取りまとめたところでは、買い付け申し込みの受け付け総件数が一千五十八万件でございまして、このうち個人の申し込みが九九・六%、一千五十四万件に上っております。したがいましてこれに一人一株という割り当てを行いますと、結果的に恐らく百数十万人の多数に上る個人株主が誕生するものと、そういうふうに考えている次第でございます。
  25. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは経営の中身の観点からもう一点だけ聞いておきたいんですけれども、NTTは現在電信電話証券など約四兆八千穂円の借財を抱えています。年間の利払い額は大体三千八百億円にも上ると言われておる。年間の総売り上げが五兆二千億円と大変巨大ですけれども、従業員は三十万を超えているという状況でございますね。これはいろんな企業形態にもありまして、そのまま単純に比較ということは難しい面もございますけれども、例えば同じくらいの売上額を示している企業を例にとりまして、年間約六兆三千億円の売り上げを稼いでいるトヨタ自動車、こういうところとちょっと比べてみますと、従業員は六万三千人弱です、これは六十年末で。しかも借財はゼロと、こういう点から考えますとNTTの財務面の弱点はやはり指摘できると思うわけですけれども、一部にはやはりNTT株が今回一時期を過ぎましてぐんと下がるんじゃないか、こういう心配も出ているわけでございまして、この点に対する見通しをもう一点確認のためにお聞きしておきたいと思います。
  26. 松川隆志

    説明員(松川隆志君) 先生御指摘のようにNTTの会社自体の問題につきましては、今後自由化が進みまして、いわゆる競争会社が出現するとか、それからおっしゃるようになかなか従業員の数が比較的多いんじゃないかと、そういう批判があることは承知しておりますが、これにつきましては我々といたしましては十分今までマスコミその他においてその問題点が指摘されたところでございまして、今回の株式における入札等においてもその点は十分考慮の上入札者が判断したと、プライシングをしたというふうに考えている次第でございます。  それからやはり将来それではそういう進展によっては株価がいろいろ動くではないかという点につきましては、やはり株式というのは非常に価格変動商品でございまして、いろいろ将来の予測をその時点その時点で判断していって株価が決まっていく、もちろん経済情勢あるいは金融情勢等によっても株価が動くわけでございますが、そういう意味で我々としては投資家に対してそういう点について価格変動商品であるということを十分承知して購入するようにということを、売り出しに際して証券会社に説明するように指導しているところでございます。
  27. 及川順郎

    ○及川順郎君 この問題はまたいずれ掘り下げて伺う機会もあろうと思いますので次に移りたいと思いますが、最近論議されておりますSDI研究参加問題について一点だけ伺っておきたいわけですけれども、本年の三月十八日に政府はSDIの研究参加に向けて政府民間企業二十一社の合同調査団をアメリカに派遣しておるわけでございますが、この決定に基づきまして現実に三月二十九日から四月にかけまして調査団一行が訪米しているという事実があるわけです。  この調査団の目的ですけれども一般に言われているのは、SDI開発に従事する米軍の軍事研究施設と軍事産業を視察する、このように言われておるわけですね。この調査団の中にNTTエレクトロニクス・テクノロジー、略称NEL、この会社が入っておりましたかどうか、ちょっと御確認をお願いしたいと思います。
  28. 岩崎昇三

    参考人(岩崎昇三君) お答えいたします。  入っております。
  29. 及川順郎

    ○及川順郎君 私はこのNELの内容やいろんな状況を論議したいわけですけれども、時間の関係もございますので、やはりNELというのはNTTと無関係ではない、財政面や人事面、見方によってはNELというのはNTTの子会社もしくは形を変えて分業関係でもって研究開発等をやっているというような認識がこれは一般的なんですけれども、このNTTがそれに対して今まで国会答弁なんかではこれはアメリカと提携してNTTが軍事開発に乗り出すようなことはないと、繰り返しそういう答弁がなされているわけですね。このNELが研究参加、これを前提として技術協力のできる部分があればそれを受け入れる、あるいはそうした内容を持って視察に一緒に行くということ、これはやはり一般国民の目から見ますと、やはり研究開発に参加する部分があれば将来を見越しての調査団に加わるということは、やはり将来的にはこのNELもそういう形で研究開発に参加していくんじゃないか、それはもう密接不可分の関係にあるNTTもやっぱり参加していく方向になるんではないかという、やはり国民の疑念が生まれてくるわけですね。この点に対する認識と、私はあわせましてやはりこのような時期ですから国民が疑念を抱くようなそういう企業の動きにつきましては十分に配慮する必要があるんではないか、ほかの一般企業ならばともかく、NTTとのそういう密接不可分の関係のあるこういう企業というものの動きについても、ぜひ細心な神経を使っていただきたい、こういう気持ちを率直に持つものですけれども、この点に対する前後のいきさつと、そしてその辺に対する見解を承っておきたいと思います。
  30. 岩崎昇三

    参考人(岩崎昇三君) お答え申し上げます。  まず調査に対する参画でございますけれども、SDIの今度の調査そのものは非常に調査にとどまっているように聞いておりますが、技術的に非常に興味の深いものだということでいろいろな社が参画したと思います。NELにつきましてもこれは私どもが派遣したわけじゃございませんで、独立した会社でございまして、このNBLそのものは事業内容がカスタムLSIの研究開発、設計、製造、販売あるいは電子デバイスの同じような研究開発、設計、製造、販売というようなものを主体に業といたしておりますので、このSDIというものの中で非常に技術的に興味を引かれてそこに行ったということは事実でございます。  それでNTTといたしましては、再三軍事研究は当然のこととして今後もする気はないわけでありますけれども、SDIそのものの何といいますか研究というのが、いまだに我々としても漠然として内容が本当のこと言ってわからないということがございます。そこで今後そういうようなことがございますので、私どもまた我々の子会社を含めて現在SDIの研究に参加するとかしないとかそういうようなことについては検討をいたしておりません。  それで、今後SDIの研究そのものが日本としてどういうふうにかかわっていくのか、また、その中で政府が我々に対してどういうふうな御指導をなさるのかというものを踏まえて、今後対処していきたいというふうに思っております。
  31. 及川順郎

    ○及川順郎君 じゃ、その問題については今後見詰めてまいりたいと思います。  続きまして、郵便貯金特別会計の決算についてお伺いしたいと思います。  昭和五十九年度郵便貯金特別会計の決算の収支を見ますと、収納済歳入額は六兆八千二百五十九億六千六十二万円、支出済歳出額は六兆八千二百五十九億五千四百九十二万円、その差は五百七十万円の余剰が出ている。これは先日いただきましたこの中にも書いてございますけれども、一方損益計算では、収入支出、これを差し引きしてみますと四十六億七千万円を超える赤字が出ているんですね。しかも、五十九年度までの累積赤字、この数字を見てみますと約三千五百七十億円近くの累積赤字が出ている状況であります。まず、この郵貯特会が五十九年度において赤字を出した原因についてお伺いをいたしたいと思うんですが。
  32. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 五十九年度決算につきましては先生御指摘のとおりでございますが、五十九年度に赤字が生じました主たる原因はいわゆる昭和五十五年の高金利時に定額貯金の大量の預入があったわけでありますけれども、その金利が八%でありましたのに対しまして、預託率の方は八・五%、その間の利差はわずか〇・五%しかございませんで、経費率を賄えなかったというのが主な原因でございます。しかし、五十五年以降数次にわたりまして預託率が改善されまして、利差のある新しい貯金が漸次増加したことから五十九年度には若干の赤字にとどまったというふうに考えております。
  33. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは、七月三十一日に郵貯事業の六十年度決算大蔵省郵政省は提出しておりますけれども、それによりますと、郵貯特会は五千八百五十七億円、これが黒字になっているというぐあいに出ているわけですね。この黒字の原因と申しますか、この発生した六十年度決算をどのように分析をなさっておられますか。
  34. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 六十年度におきまして郵貯特会の収支が好転した理由といたしましては、一つは五十七年一月以降預託された利差のある貯金が累増してきたことが挙げられます。そのときの預託率と定額貯金の最高利率との利差は一・三%ないし一・〇五%というふうに利差がふえてきております。それからまた、郵便貯金の増加額が五十九年度と比較しまして約一兆二千億増加したというような状況もございました。それから、郵便貯金の資金は預託期間が七年で資金運用部に預託しているわけでありますが、昭和五十三年度の低金利時代、これは六・〇五%で預託をしていた資金が六十年度で満期になりまして預けがえをした、この収入の増加というようなものが黒字の原因に寄与しているというふうに考えております。
  35. 及川順郎

    ○及川順郎君 もう少し突っ込んでお伺いしたかったんですけれども、一つの視点でしょうけれども、五十九年度のこの赤字の原因ですね、これにはやっぱり運用利回りが低下していく傾向にあるのに対して経費率が一定という状況、この辺にやはり原因があったんじゃないかという指摘と、六十年度の黒字の発生原因は経費率の低下ではなくて支払い利子率の低下にあったんじゃないか、こういう指摘がありますけれども、この点の指摘に対しての御見解はいかがでしょうか。
  36. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 確かに先生御指摘のように、この経費率というよりは預託率と定額の最高利率との利差が非常にきいてくる会計になっておりまして、そういう意味では先生の御指摘の点が言われようかというふうに考えております。
  37. 及川順郎

    ○及川順郎君 会計検査院にお伺いしたいんですけれども、この五十九年度の郵貯特会の決算内容について御感想、御見解を伺っておきたいと思います。
  38. 小川一哉

    説明員小川一哉君) 郵便貯金特別会計は国が貯金事業を行うために設けた事業会計でございますから、決算上、損失となる状態が続くことは決して好ましいことではないと考えます。ただ、六十年度決算におきましては、単年度五千八百五十七億円、累計におきましても二千二百八十七億円の黒字となってございます。郵便貯金特別会計の損益と申しますのは、先ほど来委員指摘のとおり、金利の動向に関連いたしまして不安定な要素を多分に持っておりますので、今後とも検査に当たりましては、金利の趨勢とか郵政省における経営努力の内容に留意しながら検査をしていきたい、かように考えております。
  39. 及川順郎

    ○及川順郎君 ありがとうございました。  それでは、次に特別会計決算参照書の記載について御質問をしたいと思うんですけれども昭和五十三年度特別会計決算参照書、これの郵政事業特別会計事業計画実績書の損益勘定の借方を見ますと、業務費の中身が詳しく記載されているんです、このように。この内容というものがしたがって非常にわかりやすかったと思うんですね。例えば総係費は幾ら、あるいはこの総係費につきましては業務管理費、業務共通費、医療施設費、養成施設費等細分されてこうわかるようになっていた。ところが、五十四年度以降の郵政事業特別会計事業計画実績書・損益勘定書の借方というのはこの記載の方法が違っているわけですね。この記載方法を簡略にしたと言えばそれまでなんですけれども、記載方法を変えたという理由は何かあったでしょうか。お伺いしたいと思います。
  40. 山口武雄

    政府委員山口武雄君) ただいまお尋ねの参照書の記載方法の変更につきましては、相当以前のことでございますので、ただいまその変更の理由等についてつまびらかにいたしておりません。
  41. 及川順郎

    ○及川順郎君 じゃ、後ほどこれは調べてお話しを願いたいと思いますが、それじゃこれに続く質問は省略させていただきまして、次に郵便貯金特別会計の会計処理についてお伺いをしたいと思うんです。  まず、昭和二十六年度の郵貯特会制度以来、郵貯の経営収入支出とも現金主義で経営が行われている、このような理解は間違いございませんですか。
  42. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) そのとおりでございまして、郵貯特会は現金主義にのっとっております。
  43. 及川順郎

    ○及川順郎君 では資金運用部資金法第四条第五項の「約定期間一年以上の資金運用部預託金については、毎年三月三十一日及び九月三十日に、当該預託金の経過預託期間に対する第三項又は前項の規定による利子を支払う。」この解釈、この規定による経理方法はどうなるのか御説明をお願いしたい。
  44. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 九月三十日付及び三月三十一日付で預託利子を計上いたしております。
  45. 及川順郎

    ○及川順郎君 資金運用部に預けた郵貯の預託利子の収入は、預け入れと利子収入が対応した時期ごとに計上されているのに対しまして、支払い利子は相当部分が次期に繰り越して支出されている。ここに経理のずれが生じて郵貯特会に隠れた赤字があるのではないかという疑念の指摘があるわけですね。  例えば定額預金は半年ことに利子が発生して、その利子計算は月割りで行われるわけです。このために四月から九月までの預け入れ分につきましては、現金主義、発生主義、いずれであっても支払い利子は全額当期に計上される。これに対しまして十月預け入れ分は十一月から利子計算が始まりますから、利子は半年後の四月に計上されることになるわけですね。つまり、この考え方からいきますと、現在郵貯会計は現金主義であるために十一月から三月までの五カ月間は計上されていない、こういう考え方になっていくわけですけれども、この点の認識については間違いございませんか。
  46. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 先生御指摘のとおり、いわゆる経過利子につきましては未計上になっております。
  47. 及川順郎

    ○及川順郎君 一つの試算ですけれども、郵貯特会の経理を発生主義にして支払い利子額を計算しますと、やはり現金主義に比べまして二・五カ月分ふえているという試算が出るわけです。この試算に基づきまして五十九年度定額預金の未計上利子額を見ますと一兆二千二百七十三億円、こういう計算ができるわけですね。これが一つの隠れた赤字になっているのではないかという、こういう指摘があるんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。そしてまた、今までこのような問題点を試算をして対比してみたことがございますか。これをお伺いしたいと思います。
  48. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 確かに先生御指摘のように、現金主義といわゆる発生主義に基づく経理の間にはずれがございまして、そういったような民間における試算があるということは承知をしておりますが、私ども会計の建前が現在現金主義にのっとっているものでありますので、私どもとしましてはまだ具体的にそういった計算はいたしておりません。
  49. 及川順郎

    ○及川順郎君 政府の会計制度というのは現金主義でありますけれども、発生主義の導入というのはある意味では異例という考え方かもしれません。しかし、五十八年三月の臨調最終答申を見ますと、やはり発生主義の導入ということをうたっておりますし、本年六月十日に行革審が出した「今後における行財政改革の基本方向」におきましても、郵貯特会の「損益状況を明確にするため、発生主義会計制度の導入」、これを指摘しておるわけです。  したがいまして、今後の方向としまして、このような改革をする考え、これをお持ちであるかどうか、これはもう最後に郵政大臣、ひとつ御決意を聞いておきたいと思います。
  50. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 私どももとの郵貯特会の経理基準を発生主義に切りかえまして、財務内容のより健全化を図りたいということでございます。積極的に検討を進めていくことといたしております。  来年度予算につきましても、発生主義の導入に必要な支払い利子の計算のためのシステム開発経費も要求をしているところでございます。
  51. 唐沢俊二郎

    ○国務大臣(唐沢俊二郎君) 及川先生はかねがね福祉の権威と承っておりましたが、きょうは経理会計につきましていろいろ貴重な御示唆、御提言をいただきまして、今中村局長答弁いたしました線で今後我々も検討してまいりたいと思います。
  52. 及川順郎

    ○及川順郎君 次の質問に移りたいと思いますが、今度の税制改革で郵便貯金の非課税制度が廃止され、一律二〇%の税率が郵便貯金の利子に課せられると伝えられておりますけれども、これは郵便貯金制度の根幹を揺るがすような大きな出来事になるんではないか、これが具体化されますと。このような事態になった経緯と、これに対する郵政省としての受けとめ方、これをまず承っておきたいと思います。
  53. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 郵便貯金の非課税制度を含みますいわゆる少額貯蓄非課税制度の問題につきましては、去る十月の二十八日に政府税調の方で存続すべしという少数意見もございましたけれども、多数の意見としましては改定する方向での多数意見が出されたわけでございます。その後、十月末から与党の税制調査会におきましてさまざまな角度から真剣な御議論が重ねられたわけでありますけれども、去る十二月の五日に党三役の裁定が出されまして、それを受けまして政府、党の合意がなされるとともに、郵便貯金非課税制度の改定を含みます税制改革の基本方針が決定をされたところでございます。  私どもとしましては、そういう経過を踏まえまして、この税制改革に関する基本方針が決定された以上、郵便貯金の非課税制度の改定につきましても受け入れることも万やむを得ないというふうに考えております。
  54. 及川順郎

    ○及川順郎君 最後に、時間が参りましたので、いろいろと議論をしたかったんですけれども、やはり郵便貯金というのは庶民の零細な蓄え、こういう意味では全然意味が違ってくるわけでございまして、やはり民間の金融機関とは事情が異なるという状況から考えまして、マル優廃止だから郵貯も課税するというようなこういう連動の考え方というのは、これはぜひ心にとどめて考えていただきたいと思いますし、また一律二〇%の分離課税とするという、こういう考え方が出てきますと、これはグリーンカード制の問題もまた論議の視点になってくるわけですね。そういうさまざまな問題点があると思うんです。  この導入につきまして、また税制改革につきまして、これは一般労働者の方々や、私の地元の山梨のことを言って恐縮ですけれども、大部分の市町村の議会からとか、あるいは各婦人団体、老人クラブ、区長会、こういう人たちからの陳情の書面がうずたかくなるぐらい寄せられているわけですね。このように庶民一般大衆の気持ちということをよく踏まえていただきまして、やはり郵政省としては郵貯の非課税制度の廃止に対しては今までの姿勢どおり頑張ってもらいたかったな、こういう声が一般国民大衆の中に強い。このことをどうか心の中にとどめていただきまして今後の対応に臨んでいただきたい。その御決意のほどを承って、私の質問を終わりたいと思います。
  55. 唐沢俊二郎

    ○国務大臣(唐沢俊二郎君) ただいま先生申されましたように、各方面から絶大な御支援をいただいておりまして、我々といたしましても郵便貯金非課税制度の存続のために最大限の努力を払ってまいりました。しかし、この制度を改めるという方向が打ち出されましたことは、本当に国民の皆様の御期待にこたえることができない、申しわけない気持ちでございます。これもひとえに私の不徳のいたすところでございまして、大変遺憾に存じております。しかし、与党の税制調査会でも我々の立場に立った意見も非常に数多くの議員が十分主張していただきました。また、ありとあらゆる意見が出尽くしまして、そして本当に最後の最後まで真剣な議論が重ねられました末に党三役裁定が出されまして、税制改革の基本方針が打ち出されたわけでございますので、郵政大臣としてもこれに従わざるを得ないものと判断をいたした次第でございます。確かに郵便貯金は国民大衆の大事な貯蓄でございます。したがいまして、制度改正による影響を最小限にとどめますとともに、国民の不安を払拭をする、そして今後預金者の利益増進、サービス向上、それにまず努める、そして国家、国民のために郵政事業の健全性を確保いたしたい、そして国民の御期待に十分こたえられますように全力を傾注をしてまいる所存でございます。
  56. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 中曽根内閣の施政の重要な柱の一つとして国際化ということを掲げておられます。私もその点賛成なんですけれども、国際化という場合に、単に商品の自由化、貿易の自由化というだけにとどまらず、外国との文化的な交流ということが日本の国際交流にとっても非常に大事なことではないかというふうに考えておりますので、その観点から外国郵便の郵便料金の問題についてまず最初に質問したいと思います。  現在、日本から外国に対して出す郵便と、それから外国から日本に入ってくる郵便、その料金、これはどういうふうになっているか。一つ一つについてお答えいただく必要ないんですけれども、代表的な例としまして航空便の書状二十グラムまで、これも全部の外国の必要はございません、アメリカ、イギリス、西ドイツ、オーストラリア、そういったところで結構ですけれども、本邦発の場合と向こうから来る場合と、その料金がどうなっているか。それから船便の印刷物、これもいろいろ重さによって違いますけれども、標準的なもので五百グラム、これについてこちらから出す場合と向こうから来る場合と、その料金についてまず最初に確認しておきたいと思います。
  57. 富田徹郎

    政府委員(富田徹郎君) 現在の外国郵便料金につきましては、御指摘の二十グラムの航空書状につきまして、日本から米国あては二百四十円でございます。米国から日本あては百四十四円であります。それから、日本から西ドイツあてですと二百八十円となりますが、西ドイツから日本にあてる場合は百九十六円でございます。  また、五百グラムの船便の印刷物につきましては、日本から、これはフラットレートといいますか世界共通でありますが、四百五十円で出せますけれども、アメリカから日本に向ける場合は三百五十三円になります。それから西ドイツから日本に向ける場合には二百二十八円というふうになっております。
  58. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 非常に安い例として、一つだけ私が調べた範囲内でお知らせしておきたいと思いますけれども、オーストラリアとの関係では、日本から行くのが二百円、向こうから来るのが〇・七〇ドル、オーストラリアドルですけれども、というふうに承知しているんですけれども、これ日本円に換算しますと七十六円ですね。非常に安いそういうところもあるわけです。これは今のは航空書状、二十グラムについてですけれども。  次にお聞きしておきたいのは、日本から外国へ出す郵便物と、外国から日本に来る郵便物、量的にはどういうふうになっているか。郵便物全体についてとそれから印刷物だけについて、これも大ざっぱな数字で結構なんですけれども、そういう数字をお持ちでしたらばお知らせ願いたいと思います。
  59. 富田徹郎

    政府委員(富田徹郎君) 昭和六十年度の場合におきまして日本発が約一億一千七百万通ございます。日本あてが約一億二千七百万通であります。このうち印刷物はそれぞれ、日本発が三千百万通、日本あてが五千七百万通となっております。
  60. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 日本は商品について、財貨については輸出超過で、黒字を稼ぎ過ぎているといってさんざん言われているんですけれども、郵便物については入超と言っていいか、数量に関する限りは向こうから入ってくるのが多いということですね。  それで、その料金の問題ですけれども、料金が数量に関係があるんじゃないかというふうな考え方を私持ってますので、外国郵便物の料金ですが、実はこの質問は先月の十一月二十八日の委員会の質問のときにつくっていたんですけれども、その後新聞の発表を読みますと、郵政省が私の質問の意図を察知されたかどうか、そこまでは知りませんけれども、新聞によりますと、海外向け航空郵便料金を値下げする方針を決めたというふうに新聞で拝見しましたけれども、十二月九日の読売新聞に載っておりました。それは事実かどうか。また、事実とすればどういう理由でそういう変更をなされたのか、それをお伺いしたいと思います。
  61. 富田徹郎

    政府委員(富田徹郎君) 郵政省が外国郵便料金を下げるということを決定したという報道ぶりについては、若干の報道の行き過ぎもあるかもしれませんが、先週末、大臣の方から値下げの方向で検討の指示を受けました。そしてそれを受けまして今鋭意検討に入っている段階であります。各方面とも詰めなきゃいかぬ要素もありますし、値下げ幅を財政状況を勘案しながらどの程度にしていくかをこれから鋭意詰めておるところであります。  なぜ下げるかということにつきましては、五年前に外国郵便料金を決めました場合には、当時の二百数十円の円レートで換算しますとそれほどの格差はなかったわけでありますが、昨年来の円高によりまして結果としては現在、先ほど御説明したような数字、つまり外国方向別に見ましてかなりの格差を生んでおるような状況であります。そして、外国で生活された方が日本にお帰りになりますと、日本の外国郵便料金は非常に高いというような投書が頻々と新聞等にも報ぜられるような状況になってまいりました。そういうようなところで財政的には決して豊かではございませんが、そういう方面別の格差を解消していくということを目的としまして今値下げの方向で検討に入っておる段階であります。
  62. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 郵便会計が非常に苦しいということはわかりますけれども、今回の値下げというのはそれによって収支面の改善を図る、何か逆のようにも受けとちれるかもしれませんけれども、収支面の改善を図って、むしろ黒字を多くする、そういう意図は全然ないんですか。
  63. 富田徹郎

    政府委員(富田徹郎君) 外国電話料金についてはたびたびの値下げがあったようでありますが、そして、値下げのたびにトラフィックがふえるというような効果がかなりはっきりあらわれておるようであります。ところが、郵便につきましては今までのところそう値下げをした経験がございませんのではっきりはわかりません。わかりませんが、電話料金のように価格弾力性、つまり下がることによって需要がふえるということが果たしてどの程度あり得るのか、価格弾力性が若干働いたとしてもそれほどの需要喚起効果はあるいはないかもしれないとも考えられますので、必ずしも需要拡大あるいは収支状況の改善につながるとは考えられないわけでありますが、しかし、余りにも今の円の為替レートですと格差が開き過ぎているので改善せざるを得ないというふうに考えておるところであります。
  64. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 料金の値下げの幅なんかまだ未定だということだそうですけれども、大臣にひとつ考えていただきたいことがありますが、海外向けに限らず国内郵便でも同じだと思いますけれども、かえって値下げした方が収入がふえるという場合も私はあると思う。殊に最近ダイレクトメールなんか非常にふえておりますけれども、こういうのは値段が下がれば、普通の郵便はそれほど変わらないと思いますけれども、そういったものなんかはかなり量的にふえてくるんではないかということも考えられるわけであります。それから、外国向けの通信手段としましてもファクシミリなんかの普及によってスピードという点では郵便はとてもかなわないわけです。しかし、安いという魅力、これがやはりファクシミリなんかに比べての郵便の長所じゃないかと思うんです。それで、場合によっては下げた方がかえってその魅力が出てくるんではないかということも考えられるんじゃないかと思いますし、特に外国向けの印刷物ですけれども、これは非常に文化交流に重要な役割を果たしていると思いますが、現在でも国内の第三種郵便に相当する毎月一回以上定期刊行をされるものと学術論文については特別の割引がございます。しかし季刊誌、クォータリーの雑誌であるとか、あるいは年一回しか発行されないようなもの、それは含まれておりません。こちらの方から、私も政治家になる前、そういった外国に対して日本の文化を知らせる仕事をやっておりましたけれども、郵送料が非常に高いために経営が非常に苦しくなってくるということがあるわけで、もう少し郵送料が安ければもっとたくさん売れるんじゃないかということを考えたこともあるんですれども、そういう点、文化交流の点から料金について特別の配慮をする、そのことをひとつお考え願いたいのと、特に外国語で書かれたもの、これは向こうに宣伝するわけですから、送り先の言葉なりあるいは国際語である英語で書かれているような場合は、ダイレクトメールなんかも含めまして特別な配慮があっていいんではないか。漏れ聞くところによりますと、西ドイツでは自分の国をわかってもらうことが安全保障上非常に大事だ、そういう考え方から特別に政策的な配慮によって料金を下げているということも聞いたんですけれども、その点においても単なる採算という点からだけじゃなしに、文化交流の点から料金を考えていただきたいということをお願いしたいんですけれども、大臣のお考えいかがでしょうか。
  65. 唐沢俊二郎

    ○国務大臣(唐沢俊二郎君) 国際郵便料金の値下げにつきましては、実は先週の金曜ですか、五日に、郵務局長に検討を命じた次第でございます。先生の質問を察知してということでもなかったんでございましょうが、偶然の一致でございまして、その点大変意を強うした次第でございます。  先生御指摘のように、郵政事業の中でも郵便事業というのはこれは非常に苦しいわけですね。何といってもマンパワーによらなければならないということで、各国調べてみると、一般会計やその他の納付金をつぎ込んでおるようでございます。我が国の郵便事業も必ずしも楽ではないわけでございますが、先生がおっしゃいましたように国際交流、文化交流の促進という意味からやっぱり大事である。今一生懸命国際放送も充実に努めておりますが、これもこれで必要であるけれども、やはり記録に残る文書というものも非常に大事である、外国の日本に対する関心、ジャパニーズスタディーズも非常に盛り上がっておりますし、また何といっても東洋の見えにくい日本、十分まだ知られていない日本を正しく理解していただくためにも必要であるということで、あえて検討を今してもらっておるところでございます。  それから、要するに雑誌、新聞みたいな刊行物など、こういう印刷物について文化交流の促進に配意して安くしろというお話でございますが、船便につきましては一般の船便印刷物の料金の方も既に半額にいたしておりますので現在は考えておりませんで、今考えておりますのは航空郵便の料金でございます。これが安くすればたくさん出るのではないかというお話でございまして、確かに電話料金は五十四年以降七たび値下げをいたしまして、今はアメリカやカナダやフランスは向こうからかけてもこっちからかけても大体ほぼ同じ料金、イタリアやスイスやオランダなどでしたら日本からかけた方が安いということになりまして、大分その意味で通話もふえてきたようでございます。  郵便については今郵務局長答弁いたしましたように、これが数量の増加につながるかどうかわかりませんけれども、河合栄治郎先生の門下であられる先生が、ふえるであろうという力強いお言葉をいただきましたので、我々も一生懸命努力をいたしまして、今後ともいろいろな料金、できるだけ安く提供するように十分配慮さしていただきたいと思います。
  66. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私、大学時代河合栄治郎の講義を聞きましたけれども、郵便料金の話まではございませんでした。これは私の見解でございます。  次に、問題を移しまして、電気通信事業における競争の問題についてお尋ねいたしたいと思います。  昭和六十年の四月から電電公社が民営化されたわけですけれども、そういった民営に移した改正の根底には、電気通信分野に競争原理を導入するというのが基本的な考え方であったと思います。それで、現在この分野の状況、特に新しい電電の成長状況について改正当初、改正時の予測と比較して郵政省は現在どのように、その予測どおりにいっているかどうか、その点についてどのような認識を持っておられるのかお尋ねしたいと思います。
  67. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 昨年四月一日のいわゆる電電改革によりまして電気通信分野に競争原理を導入いたしまして、電気通信市場を広く民間に開放することによって高度化、多様化する国民の電気通信に対するニーズに的確に適応したいという改革が断行されたところでございますが、その時点で予測されました新規参入と今日現時点におけるそれとの比較でございますけれども、当初から東京、大阪、名古屋といったようないわゆる東名阪ベルト地帯におきましては、新規参入が直ちに出てくるであろうと私ども予測しておりましたし、また現実にも日ならずいたしまして東京、大阪、名古屋間を結びますいわゆる中継線の業者が既に三社参入をしてこの秋から専用線サービスを開始しております。また、関東広域圏内を対象にいたしまして専用線のサービスを行う会社も既にこの秋からサービスインいたしております。また、これは六十三年度以降になりますけれども、日本全国を対象にいたしまして専用サービスを行う衛星系の会社も既に二社事業許可を得ておりますので、その意味では当初予定しておりました新規参入の状態は一種事業においては着実に実りつつあると思われますし、またいわゆる高度情報化社会のネットワーク化を支えるところの第二種事業、俗に言うVAN事業でございますが、これにつきましては現在既に三百社になんなんとする会社が新規参入をしておりますので、むしろこれは当初予測した以上の活性化がこの分野においては現出しているというふうに私どもは評価しているところでございます。
  68. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 電気通信事業の改革の過程を仮に第一の段階が電電公社の民営化の段階、それから二番目の段階が新電電の育成の時代、そしてその後に競争の確立という三段階に分けることができるんじゃないかと思うんですけれども、現在既に新電電のサービスが一部開始されているわけですので、育成の時代から競争の時代へのちょうど過渡時代に当たるのではないかというふうに思っております。つまり、新電電の方はまだNTTに比べますと経営基盤が弱いわけでありますから未知数の部分も非常に多い。したがって、一方においては新電電の育成を図りながら他方では競争を促進する。言いかえますと保護と競争とが、ある意味でこれは矛盾している面なんですけれども、その二つを同時に行わなければならない、そういう時期にあると言えると思うんですけれども、この両者のバランスを保ちつつ政策を進めるということが今後の課題だと思うんですけれども郵政大臣はどのようにお考えでございましょうか。
  69. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 大臣の前に一言答弁させていただきたいと思います。  ただいま申し上げましたように、おおむね順調に新規参入は出現しておりますけれども、これはあくまでも形式的に出そろいつつあるという状況でございまして、実質的な競争はむしろこれからでございます。新規参入各社ともまだ電話サービスは一社も実施しておりませんし、あるいはまた新規参入者いずれも初期に膨大な投資を要しておりますし、あるいは収益に結びつくまでの懐妊期間はまだ相当長うございます。そういう意味からいたしますと、まだまだ税制面、財政面あるいは行政面で新規参入者に対してさまざまな支援措置を講じなければいけないだろうと思っております。  他方また、電気通信事業法そのものにおきましては、電気通信市場を広く民間に開放するという見地から、極力規制を緩和いたしまして、例えば電力事業等と比較いたしましても、規制面という意味でははるかに電気通信事業の方が規制緩和が実現しておりますので、こうした新規参入者における財政、税制等の支援措置と、あるいは事業法面における規制緩和、両々相まって私ども行政の誤りなきを期してまいらなければならないというふうに考えているところでございます。
  70. 唐沢俊二郎

    ○国務大臣(唐沢俊二郎君) まず電気通信自由化の評価でございますが、私どもがいろいろ言うのもなにかと思いますが、よく私のところに最近外国の通信関係の大臣とか関係者が来ますが、日本の電気通信の自由化ですか、これには非常に皆さん驚異の眼をもって見ております。おかげさまで、NTTも順調にやっておりますし、新規参入が今、奥山局長申しました状態で、六社も第一種へ参入する、第二種は大小合わせて三百社も参入するということは非常な驚きのようでございます。日本はイギリスに次いで民営化したんですが、イギリスはたしか二社の複線でございまして、日本のようなこのようなたくさんの会社が参入するというようなことはない。日本が民営化の実験台になっておりまして、ぜひいろいろ教えてもらいたいと言ってまいりますので、我々も長いこと明治以来西欧の科学技術、文化を学んだので、我々が実験台となって今度立派な結果をお示し申しましょう、こう申し上げておるわけでございます。  将来のことはどうなるかわかりませんが、今、奥山局長答弁しましたように、新規参入の業者には我々もできるだけの御協力をしなければならない。しかし、やはり基幹的な電気通信事業者であるNTTも健全に発展していただかなければならない。私は、この競合問題につきましては、NTTがアンフェアなことをするとか、あるいは基幹的通信事業者の立場を利用するとか、こういうことは厳に慎んでいただきたい。お隣におられますが、そういうふうに思っておりますが、基本的には私は原則自由、レッセフェールであると。やはり第二の国鉄にしてはならないわけでございますが、十分合理化努力をお払いいただくが、基本的には自由であるべきではないか、このように考えております。
  71. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 ただいまの電気通信事業の競争原理の一つの応用問題になるんじゃないかと思いますが、現在NTTが独占している自動車電話に対する新しい参入に関して、二つのグループが希望しているのを、郵政省はこれを一本化して行おうとしているんだということを新聞で拝見しましたけれども、競争原理の導入点から言いますとむしろそれは逆行するんじゃないかというふうに考えられますけれども、どういうふうにお考えになっていますか。
  72. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 自動車電話につきましても、法律的には昨年の四月一日以降新規参入の道が開かれたところでございますが、具体的措置といたしましてことしの八月一日に技術基準等を改正いたしまして、新規参入の受け付けができる状態になったところでございます。そのような行政上の措置を受けて、ただいま関委員から御指摘ございましたように、二つのグループが首都圏、中部圏並びに近畿圏で自動車電話を新たに行いたいという動きがあることを承知しております。  ところで、自動車電話につきましては、一つには周波数の事情、それからもう一点はそのサービスを供給する地域における経営上の問題、その二点から両グループとも一社体制が望ましいというふうなお考えをしておられるように伺っておりまして、現在両グループ間で調整の動きがあるやに聞いておりますので、私どもそれを注意深く見守っているところでございます。
  73. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 確かにおっしゃいましたように、周波数の問題があると思うんですけれども、今の電波の割り当てからいえば確かにそのとおりなんですけれども、自動車電話は現在六万台設置されているそうですが、昭和七十五年にはこれが四百五十万台にまで需要が伸び得るんではないか、そういう予測もなされております。そういったふうに需要の伸びが期待されているといたしますならば、NTTという一社だけにそれを独占させるのは問題があるわけでありまして、そういう需要の予測に基づいた電波全体の割り当ての見直し、あるいは再配分が必要になってくるんではないかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
  74. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 委員指摘のとおりでございまして、新規参入を促進する見地から、従来NTTに割り当てられておりました三十メガヘルツに加えまして、新たに二十メガヘルツの新しいバンドを非常に混み合っている周波数事情の中から捻出したところでございます。この二十メガヘルツという算出根拠は、ただいま先生もお触れになりましたけれども、二〇〇〇年における自動車電話の需要予測、それから逆算いたしますと、大体首都圏が最も混み合うわけですが、首都圏で大体四、五十万台の自動車電話が実現していくであろう。それから考えますと、二十メガヘルツ帯を新規参入に割り当てられれば十分その需要にこたえられるということでございますので、この周波数帯の中で新規参入者がサービスをおやりになっていただくことが適当であろうというふうに考えているところでございます。
  75. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 それに関して自動車電話の料金の問題ですが、料金が高過ぎるという苦情が利用者の間からあるわけです。市場が拡大していけばコストが下がっていく。利用者の苦情にも応じられるわけでございます。現在の自動車電話というのは、個人の車に設置されていて個人専用というふうになっておりますけれども、もしタクシーがこれをつけるようになりますと非常に利用範囲が広まってきて、自動車電話が一種の公衆電話みたいになってくるわけであります。ただ、今の料金体系では、使用頻度にかかわらず基本料金が二万円ということになっているそうですけれども、これではなかなかタクシーに普及しがたいんではないか。やはりそういった一種の公衆電話的なものに対しては基本料金を安くする、通話料をその分割高にすれば利用者負担の原則にも触れず、市場の拡大による料金の値下げも期待できるのではないかというふうに考えられるんですけれども、いかがでしょうか。
  76. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 昭和五十四年にサービスを開始いたしまして、近年では四、五〇%年率で伸びているほど自動車電話の需要は伸びておりますし、また技術開発によりまして非常に小型、軽量化が進んでおりますので、ますますこの需要はふえるだろうと私どもも思っております。ただ、現在の自動車電話は、先生御承知のとおり移動している車から移動している車にもかけられますし、あるいは移動している車から家庭なり事務所にもかけられますし、その逆に家庭から自動車にもかけられるという、要するにすべての端末機にランダムアクセスができる仕組みになっておりますので、これが設備面で非常に多大な投資を要するゆえんでございまして、それに伴いまして料金面での非常に隘路がございます。しかしながら、台数の増大と技術開発によりまして、例えば昨年基本料を三万円から二万円に下げたところでございますけれども、まだ高いという非常に苦情が多いことも承知しております。しかも、自動車電話が、ただいまタクシーのお話がございましたけれども、今後はタクシーのみならず、もう既にショルダーホンということで商用化されておりますが、取り外して携帯的に使える、極端に言うならポケット電話式のものもこれから開発し、あるいは普及していくと思いますので、そういたしますと、どうしても現在のランダムアクセスがすべて可能なシステムではおのずから料金に限度がございますので、私ども今俗にコンビニエンスラジオホンと言っておりますが、非常に簡易な自動車電話の新しいシステムを開発中でございまして、これは自動車の方といいますか、動く方から静止している端末の方にしかかけられない。したがって動く方と動く方はだめ、あるいは静止している方から動く方を探すことはできないということでございます、簡単に申し上げますと。そういうふうに移動体の万から静止端末の方に一方的にかけるだけの電話であれば非常に安く上がる見込みがありますので、将来はこのような自動車電話の高級機能を希望される方は少し高い方、そのような移動体から家庭にかけるようなもの、一方通行のものでいいというものは安い方をお使いいただくというようなことで考えてまいりたいというふうに考えております。
  77. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 最後に、この前の十一月の終わりの郵政の決算でも非常に問題になりました少額貯蓄非課税制度の撤廃に伴う郵便貯金の課税の問題について、これについての大臣の感想をひとつお伺いしたいと思っておりましたけれども、及川委員の先ほどの質問に対するお答えでその心中わかりましたから、大臣の感想は伺いませんけれども、希望を述べておきたいと思います。  今度の税制改革の法案が通るかどうか、野党はすべて反対しておりますし、与党の中にも内通する人が出てくるやもしれないという情勢でございますので、簡単には通らないんじゃないかと思いますけれども、その通る通らないは別にいたしまして、やはり郵便貯金事業が健全に発展していくためには、その資金を自主的に運用する、全部ということはこれはとてもできませんけれども、自主的に運用する範囲をだんだん広げていくということと、それからやっぱり資金を集めるために、市中銀行なんかと競争して資金を集めるためには、やっぱり新しい商品の開発ということが非常に大事なことではないかと思いますけれども、それについて一段の努力をしていただきたいということを大臣にお願いして、大臣の決意をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  78. 唐沢俊二郎

    ○国務大臣(唐沢俊二郎君) 先ほど及川先生にも御答弁申し上げましたけれども、十分御期待に沿えなかったことは大変申しわけないと存じております。今後とも預金者の利益増進と事業経営の健全性のために努力さしていただく。幸い、限度額も五百万円に引き上げられましたし、国債等の販売も今のところ原案ではできることになっておりますが、そういう点で長寿社会に対応した国民の健全な資産形成に寄与することができるのではないか。それから、先生が今おっしゃられましたように、自主運用によりまして高利有利な運用が可能となりましたので、その運用益を郵便貯金の商品面、サービス面に最大限に還元して、国民の皆様の御期待に沿いたい、このように考えております。
  79. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私もまずマル優の問題について。  郵政大臣、八月二十二日の当委員会での私の質問に対して、大臣の代理だと前置きをして小澤政務次官が、大臣としても少額郵貯非課税制度を守るために全力を上げるというふうに表明をしておられたのでありますが、今回の自民党税調の結果はまことに遺憾千万であります。大臣としてどう反省をしておられますか、まずお伺いします。
  80. 唐沢俊二郎

    ○国務大臣(唐沢俊二郎君) 及川先生、関先生に御答弁申し上げましたように、各方面から絶大な御支援をいただきながら制度の存続のために我々としても全力を尽くしたわけでございますけれども、制度を改めるという方向が出されました点は大変遺憾に存じておる次第でございます。  しかしながら、今申し上げましたように、やっぱり新しい時代には新しい制度、新しいサービスということで、今まで以上に預金者の皆様に対して利益増進、サービス向上を図ってまいりますし、私はいつも、郵政事業を守るというのは郵政省郵政省職員のためではない、郵政事業というものは国民の日常生活やあるいは経済活動、社会活動に密接につながっておりますから、やはり郵政事業の乱れは国の乱れである。健全な郵政事業を守り育成するために全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  81. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 どうもお聞きしていて率直な感じが、弁明が多く、こういう結果になったことに対して、今までの決意の表明に照らしてかなり悲憤慷慨しておられるというふうには私は受けとれないんです。例えばということですけれども、こういう結果に至る間、大臣や郵政省のだれかが辞表を突きつけてでもこの郵政省の主張を貫くという話も耳にしないということでありますけれども、しかし、党税調としては結論が出たにいたしましても、政府内閣としての最終結論はまだこれからなんですね。でありますから、もう完全に白旗だ、こういう言い方じゃなくて、引き続きこのマル優を守るための可能な限りの努力をしてもらいたいということで、これは答えを求めますとまた余りいい答え出ませんから、そのことを強く要求をしておきます。  そこで、次に二つほどの具体例をもとにして、この通信分野における軍事化の進行といいますか、そういう動向について質問いたしたいと思いますが、一つは及川議員も取り上げられておった問題でありますけれども、NTTの子会社がSDI研究の調査団に加わっておったというあの問題ですね。まず確かめますが、昭和五十九年八月七日の参議院の逓信委員会、電電公社の時期であります。このときの私の質問に対して総務理事は、たとえ民営になろうと公衆電気通信としての任務には変わりがないし、武器技術研究に参加することはあり得ないと。私は、民営化をするとそういう軍事研究に傾斜していく危険があるんじゃないかということを質問したのに対して、こういうふうに答えられた。NTTになって一年半余になりますが、この五十九年八月段階での答弁の基本的立場、変わりはないでしょうね。
  82. 岩崎昇三

    参考人(岩崎昇三君) お答えいたします。  変わりはございません。
  83. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 しかし、先刻指摘ありましたように、NTTと極めて関係の深い子会社、NTTが半分ほど株を持っている、役員のほとんどもNTT出身者ということで関係の深いこと明白でありますが、このエレクトロニクステクノロジーというこの会社がSDI調査団に参加しているということは、変わりありませんとおっしゃっても、さっきの五十九年八月国会答弁と照らして、それに違反をすることじゃありませんか。
  84. 岩崎昇三

    参考人(岩崎昇三君) 先ほどのこのNELという会社でございますが、先ほども申し上げましたように、事業内容がカスタムLSIの研究開発、設計、製造あるいは電子デバイスの同様に研究開発、設計、製造、販売というようなことでございまして、非常に先端的な技術を扱うところでございますので、あらゆる面で日本の、また世界の技術情報というものは当然のこととして、その会社としては収集しているわけで乙ざいまして、先ほど先生のお話でございますが、SDIの研究に参加したわけじゃございませんで、その官民合同の調査に加わらせていただいたというふうなことでございまして、私どもとしては、これは私どもがオーダーしたことではございませんで、会社自体で発案いたしまして参加したわけでございますが、そういう先端技術を扱う会社として技術開発動向というものに常に神経をとがらして情報を集めていくということはそれなりの意味を持っていることかと思っております。
  85. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 会社仕事に照らしてSDI研究に関心と興味を持っているということを言われておるかと思うんですけれども、しからば聞きますが、そういうことですね、ちょっと違うんですか。
  86. 岩崎昇三

    参考人(岩崎昇三君) 要するに、SDIの官民合同の調査団の中で、先行きの技術動向というものが世界の中でどういうふうなものが研究されていくだろうかという情報を集めるということそれ自体は、会社事業内容に照らしてそういう活動をしなければならない会社だろうというふうに思っております。
  87. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 同じことじゃないですか、関心を持っていると。  それで、それならその技術は平和的技術ですか、軍事的技術ですか、そもそもこのSDIというのは。
  88. 岩崎昇三

    参考人(岩崎昇三君) 私どもは今SDIそのもので軍事研究といいますか、武器の開発にはタッチしないということを申し上げているんであって、技術はそれ自体、例えばIC技術というものはあらゆるものに使われ、それで発展したLSI技術もあらゆる分野に使われているのでありまして、そういう一つ一つの技術そのものがどのように使われるかというのは、研究そのものとは無関係ということではございませんけれども、そのものとそれだけに直結しているというものではございませんので、一つ一つのその技術の進み万を調査するということ自体は、今私どもとしては、先ほどの繰り返しになりますけれども、普通の企業活動ではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。
  89. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そういう詭弁はまかり通らないですよ。SDI問題をめぐっては予算委員会初めいろいろ議論はされています。この中で中曽根首相を初めとして、これが核兵器技術か非核兵器技術かという問題がある。防御用か攻撃用か、この点については確かに意見は分かれているんです。しかし、SDIというのは軍事技術だ、とにかく飛んでくるやつを途中でぶち落とそうというわけですからね。軍事技術だということは、だれもこれは否定していない。SDI技術というのは平和技術だと、いろんなことが、今までどこでだれも言ったことないですよ。だから、五十九年八月答弁に照らしてこれはどうだということを言っているんです。もうあなたは何遍も言われましたから、繰り返しはいいですから、真藤社長どうでしょうか。
  90. 真藤恒

    参考人(真藤恒君) 過去の事実は今岩崎が御説明申し上げたとおりでございますが、私はこう考えております。  SDI技術そのものに関係する技術は、いろんな高度技術の総合されたものが関係していくだろうと思っておりますが、あの会社はあの調査のときに参加すればSDIに使えるであろう高度技術を見ることができるから、その意味で行ったんであって、SDIに参加する参加しないというふうなことは何も関係ないという立場で行ったということで、親会社の責任者として私は黙認した形をとりました。
  91. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それも詭弁ですね。SDI技術の個々のエレメント技術について言えば、それは平和的か軍事的かそれはあるでしょう。なかなか判断しがたい部分もあるでしょう。しかし、トータルとしてのSDI技術というのは明らかに軍事目的ですよ。こういう明白な問題を詭弁的な言い方で切り抜けようとしたってだめなんです。しかし、まあ別にSDIに参加するということを決めているわけじゃないと。しかし、さっきの答弁では目下検討中ということですから。しからば聞くけれども、調査団に行っただけで、SDIにはNTTが参加することはないというふうに言えないんでしょう。言えますか。
  92. 岩崎昇三

    参考人(岩崎昇三君) 先ほど私がお答えした内容が、先生もしかして私のしゃべり方が、答弁の仕方が悪くて、誤解を受けたかと思いますが、SDIの研究に参加するかしないかという問題について、私どもは現在検討はしておりませんということでございます。なぜならば、SDIの官民合同の調査団にはNELが参加いたしまして、非常に個々の技術という面で見れば、技術的に高い、高度なものであるということで、それなりに興味を引くわけではございますけれども、しかしどういう形で、またどういう分野に、またあるいはその成果がどのように生かされるか、そういうようにSDIそのものの中身は我々としてもわかっておりませんし、またSDIというものの研究参加というのは日本の国としての非常に重要な問題であろうと思いますので、それに対する政府からの御指導もまだ何ら受けてないという状況でございますので、先ほど申し上げました、繰り返しますが、私どもとして研究に参加するとかしないとかという検討をいたしておりませんということでございます。(「社長と違うじゃないか、答弁。社長のやつと違うじゃないか。」と呼ぶ者あり)
  93. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 さっきと違うと、こうおっしゃっているんですけれども、今の言い万は、調査団に参加しただけでSDIに参加するともしないとも、まだ検討の段階じゃないと、こういうことですね。なら一つ社長に聞きます。今後参加することはないというふうにNTT責任者として言えるかどうかということが社長。それから大臣には、政府として官民含めて参加方向を決めましたね。で、NTTに参加せいという指導方向になるのかどうか、これを大臣に聞きます。
  94. 真藤恒

    参考人(真藤恒君) 政府のこれからの御方針に従うというのが私ども立場の原則でございますが、私どもとしてはできるだけ加入をせぬ方を望んでおりますが、政府の御指示であれば従わざるを得ないという立場でございます。
  95. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 わかりました、その点は。大臣。
  96. 唐沢俊二郎

    ○国務大臣(唐沢俊二郎君) 日本の電気通信事業は世界の今耳目を集めておりまして、電気通信技術というものは世界で最も先導的、先駆的な役割を果たしておるわけでございますので、特に特注のLSIの設計等を行い、先端技術分野を扱う企業がそういうものに技術的な興味を持つ、そして技術情報を集める、特に高度の技術に関心を持つというのは、私は当然であろうと思っております。  それから、SDIの研究参加につきましては、本年九月九日の官房長官談話において申されておりますように、我が国の同計画への参加が円滑なものとなるよう米国政府と協議するとされておりまして、現在日米間において協議が行われているところでございますので、その結果を見守っているところであります。
  97. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 もう一つの問題ですね。防衛庁御存じと思いますが、六十二年度予算概算要求によるIDDN計画というものがあるという、六十二年度六十億、十年で八百億ぐらいの構想でこれを進めるというふうにお聞きをしました。その中の重要な一つに、衛星通信による新たな回路を開こうと、こういう構想でありますけれども、ということですねという、イエス、ノーだけ防衛庁答えてください、時間ありませんから。
  98. 早矢仕哲夫

    説明員(早矢仕哲夫君) お尋ねの件でございますけれども、防衛庁といたしまして、六十二年度にこのIDDN計画ということで防衛通信網の抗堪性を図るための概算要求を行っていること、その中に通信衛星を利用して防衛通信網の抗堪性を図っていくというものが盛り込まれておることは御指摘のとおりでございます。
  99. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 一本、郵政省に対して最近MCCという名前の会社が、エックスバンドによる衛星通信事業を行いたい旨の免許申請が出ています。その無線通信局は宇宙通信株式会社という第二電電として認可を受けておりますこの会社の衛星を利用するものとし、地上局については現在は未申請、口頭説明で、将来防衛庁から申請が出るだろうというふうに説明をしておると聞くわけでありますが、これもイエス、ノーで答えてください。
  100. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) MCCから今申請が出ておりますのは、人工衛星局の無線局免許申請でございます。
  101. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 このMCC社の免許の申請はことしの十月。会社の設立したのはその一カ月前の九月。こういうことですね。
  102. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) そのとおりでございます。
  103. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 申請書によりますと、代表者、代表取締役は谷口芳男という人。資本金は届け出では不明なんです。それで、事業は自己資金と借入金で行うと書いているだけ、抽象的に。具体的に借入金と自己資金との比率が同ぼかというようなことなんかも全然まだ今のところ書いてないと。そうすると、電波法では免許の要件の一つとして、財政的基礎が確かであることが要件の一つになっている、四条件のうちの一つになっている。ところが、設立後わずか一カ月。だから、実際の事業実績というものも全く不確か。こういう会社で、届け出の際に資本金もわからぬ、自己資本と借入金の比率もわからぬと。こういうものが一体審査に値するものかと、こんな怪しげな内容は受理できぬということで突っ返してしかるべきではないかというふうに私は思うんでありますが、どうですか。
  104. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) MCCは、今申請を出しておりますのは人工衛星局の免許申請でございまして、これは国際的な周波数調整が必要になってまいりますので、MCCの申請を受けまして現在私どもは、ITU、つまり国際電気通信連合の周波数登録委員会、IFRBでございますが、これに国際的な周波数調整を行うべく事前公表資料を送付したところでございまして、この手続が先行いたしました後、具体的に無線局の審査の段階になりました場合には、当然のことながら必要に応じて電波法の定める条項に適合するかどうかは厳正に審査してまいるつもりでございます。
  105. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それは、手続をまず国際的に前に出して、そこで周波数の調整をやって、しかるべき審議会で資格審査をやるという手続を言っておられるだけで、私はそもそも、一月前に会社をでっち上げて、申請書を出してきた。それを見たら、資本金もはっきりしない、自己資本と借入金との比率もはっきりしないという、こういう格好で出てくるという、私はこれは本当に怪しげな会社じゃないかというふうに思わざるを得ぬのですね。  防衛庁はかねてから、衛星による通信回線を持ちたいということを国会でも言うてきました。これに対して国会側からは、宇宙の平和利用に限るとする国会決議に照らして、批判の強かった問題でありますけれども、それを電電民営化による第二電電、民間衛星の登場を機会に、電波法で禁止するこれは私ダミー会社じゃないかと、防衛庁の。そういう疑いさえ持たざるを得ないような、こういう怪しげな方法で突破を図ろうとしておるんじゃないかと思わざるを得ません。  そこで、最後に郵政大臣にお願いをしておきたいんです。一遍ひとつ疑惑を招かないように事実をよく調査をしていただきたい、もしこれはという点があれば、そういう点についてはきちっとした明確な指導を郵政省として行っていただきたい、この点について大臣にお願いをしたいと思います。
  106. 唐沢俊二郎

    ○国務大臣(唐沢俊二郎君) MCCの免許申請につきましては、今奥山局長が御答弁いたしましたように、まず国際的な調整を図らなければなりませんが、それが済みましたら電波法に照らしまして厳正に審査をしてまいりたいと思います。
  107. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 他に御発言もないようですから、郵政省及び日本電信電話公社決算についての審査はこの程度といたします。  午後一時まで休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  108. 菅野久光

    委員長菅野久光君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  昭和五十九年度決算外二件を議題といたします。  これより建設省、北海道開発庁、沖縄開発庁、国土庁、住宅金融公庫北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫の決算について審査を行います。     ─────────────
  109. 菅野久光

    委員長菅野久光君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  111. 菅野久光

    委員長菅野久光君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  112. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 昭和五十九年度会計検査院によります決算検査報告における建設省、日本道路公団、首都高速道路公団並びに沖縄振興開発金融公庫についての不当指摘事項及び意見表示または処置を要求した事項について、建設大臣並びに沖縄開発庁長官はどのように考え、反省をしておられるのか、最初にお伺いをいたします。
  113. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 建設省所管事業執行についてその適正を期するため、常に努力してきたところであるが、昭和五十九年度決算に関し、会計検査院から指摘を受ける事態があったことはまことに遺憾であります。  建設省においては、会計検査院指摘を厳粛に受けとめており、不当事項等の事態については早期に是正改善の措置を講じたほか、通達を発する等により他の機関に対してなされた指摘をも周知させ、同種事例の再発防止に努めることとしております。建設省としては、公共事業に対する国民の期待、所管事業の重要性にかんがみこれらの適切かつ効率的な執行を確保し、所期の効果発現を守ることが極めて重要であると考えており、今後ともさらに一層指導を徹底し、遺憾なさを期してまいる所存であります。
  114. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 五十九年度決算報告書の中におきまして、沖縄公庫に対する一部御指摘を受けたようでございます。私どもといたしましては厳正、公平を期しておるわけでございますが、今後このようなことのないように十分留意してまいりたいと考えております。
  115. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 開発庁長官、受けたようでございますがというのは、言葉じりをとらえるようでありますが、受けておるんですね。だからそういうような認識で答弁をされるというのは非常に遺憾でありますから、反省を求めたいと思います。  特に建設省における関係で、私もこれで三回目で言うんですが、通産省の建物をつくったときの空調工事ですね。機材費を倍に見積もって、いろいろ差し引きして七千七百万円のお金をまた高砂熱学から取り返しておるわけです、一回払ったものを。これは単純なミスだと、こういうようなことをずっと言われておりますし、私もどこでどう間違ったのかという資料も見ましたけれども、これは相手の業者もおる中で単純ミスだという簡単なものじゃない、こう思っておりますが、きょう時間がありませんが、この点について不当指摘事項の一番目に出ているところであります。建設大臣、この問題についてどのようなその後の処置をしたのか、この点についてお伺いをします。簡単でいいです。
  116. 川上格

    説明員(川上格君) 御指摘のとおり、私どもの間違いでございまして大変遺憾に思っております。そして、割高となりました工事費相当額の返納につきましては、請負業者と協議を行ったところ、請負業者から承諾が得られまして、昭和六十年十一月十八日に返納されております。また、積算上十分注意が行き届かなかったことにつきまして、関係職員に対しましては昭和六十年十二月二十三日に相当の処分が行われているところでございます。
  117. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に建設省並びに住宅金融公庫にお伺いいたしますが、住宅の各年度ことの総着工数、うち木造住宅それから木造率につきまして、各年度といいましても昭和四十五年、そして五十五年、六十年、六十一年見込み、これについて最初にお聞きいたします。
  118. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) まず最初に、四十五年の総建設戸数は百四十九万一千、うち木造住宅は百四万戸でありまして、木造率は六七・三%であります。五十五年が総建設戸数が百二十一万四千、木造住宅が七十一万二千、木造率が五八・六%であります。六十年度が総戸数が百二十五万一千、木造住宅は五十九万、木造率は四七・二%であります。  六十一年度の推計としましては、十月までの統計が出ておりますが、現在までの状況では昨年度と同程度と、こういうことであります。六十年度と同程度。
  119. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それは木造率も同じ程度というわけですか、四七・二%。
  120. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 木造率は同じ程度であります。戸数は昨年度に比べまして現在のところの推計では若干ふえる傾向にございますので、戸数としましてはふえる可能性がございます。
  121. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 同じような質問ですが、住宅ストックの推移と木造住宅の木造率ですね、昭和五十三年と五十八年ぐらいしか資料がないんではないかと思うんですが、もし最近のがあればそれも一緒にお願いをいたします。
  122. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) ストックのデータというのは、五年ごとに住宅の統計調査をやっておりますので、年度ごとの数字はございません。  五十三年の木造住宅は総数で二千六百二十八万戸でありまして、これは全体の数字、総数からの比率で八一・七%であります。それから五十八年は木造住宅の総数が二千六百八十七万でありまして、全体の率から比べますと七七・四%であります。
  123. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 非常に、今御説明がありましたように、木造住宅の着工数もどんどん減っておりますし、あるいは総ストックも非常に落ちているわけなんですね。この点について、後から少しお願いをしたいんですが、問題は、今非常に国内の林業も厳しい状況でありまして、このままいくとどんどんまた減っていくような数字ですから、ひとつ木造住宅はいろんな全体の国家的な見地からしても、あるいは風土からしても、非常に私はもっとふやしてほしい、そういう気持ちを持っておりますが、時間がありませんので御答弁は要りませんが、ぜひ御検討を願いたいと思います。  次に、昭和六十年度における住宅金融公庫の融資実績の中で、持ち家それから住宅の改良、再開発住宅、これに分けてみますと、どのような数、構成比になっているのか、その点が一つですね。  住宅の改良の実績が、後から報告があればわかると思うんですが、私は感じとして、潜在需要に比べますと非常にまだ低い、こういうように思うんですが、この点につきましては、貸付金額は上限が三百八十万円、それから金利が五・六五、償還期間が十年、これは普通の持ち家を取得する場合と随分条件が悪いわけですが、この点がやっぱり住宅の改良が進まない、進めていただきたいんですが、この点に問題があるんではないか。この二点についてお伺いをします。
  124. 吉澤奎介

    参考人(吉澤奎介君) ただいま御質問のございました住宅金融公庫の六十年度融資実績におきまして、持ち家につきましては、戸数で三十八万一千戸でございます。それから住宅改良が五万戸、それから再開発住宅が七千戸ということでございまして、合計いたしますと四十三万八千戸ということになりますが、構成比を見てみますと、持ち家住宅が八七%でございます。御指摘のように、住宅改良については一一・四%、再開発住宅については一・六%でございます。  それでお話がございましたように、住宅改良の実績が低いではないかということでございました。確かに私どもも、住宅改良に対する融資の実績が非常に低いということを考えておりまして、何とかこれをふやしたいということに努力をしているわけでございます。  その原因といたしまして、先生御指摘のありました貸付金額とか、あるいは金利とか償還期間とかございますけれども、私どもそういった貸付条件もさることながら、やはり私どものPRが非常に不足しているのではないか。要するに、金融公庫で住宅改良資金を貸すということを実態を御存じのない消費者の方々が非常に多いわけでございます。そういうことで、私どもかねてからPRに力を注いでまいりましたが、本年度に入りましての融資実績は、第三回募集までの、これ十一月末までの結果を見てみますと、大体去年よりも四五%ぐらい多い状態になっておりますので、何か効果が上がってきたかなというふうに考えているところでございます。  なお、貸付条件の改善につきましては、来年度予算要求などでも盛り込みまして、大いに頑張っていきたいというふうに考えております。
  125. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に、全国で今持ち家を希望している世帯数あるいは人口、あるいは改造を希望している数、こういうものがありましたら、なければまた後ほどでいいんですが、ありますか。
  126. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 五十八年の住宅需要実態調査によるわけでありますが、住宅改善につきまして具体的な計画があるというふうに考えている世帯が千百十九万世帯ということでありまして、このうちに持ち家を希望するものが六百六十万世帯、また増改築、改造を含めますけれども、それを希望する計画の世帯が二百四十一万世帯、こういうことであります。
  127. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ありがとうございました。  建設大臣、宣伝の仕万というのはやっぱり今一番テレビがいいわけでございますから、NHKや何かテレビに出まして、やっぱりこの辺の住宅金融公庫の仕組みとか、あるいは改造の問題とか、そういうのを皆さんによくわかりやすく、余り変なことを言わぬで、こういうのを中心にやってもらうと、今、大変内需が不足して、貿易摩擦が厳しいときですから、やっぱり金使わぬで宣伝できるんじゃないかと思うんですが、答弁要りませんから、要望しておきます。  それから、次に建設省にお伺いしますが、内需拡大の観点から見ますと、住宅建設の経済的な波及効果というのは、大体あなた方はどのくらい見ておるわけでございますか。
  128. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 住宅建設と申しますものは大変他の産業部門との取引関係が多い部門でありまして、木材、化学、鋼材、電機、電力、大変広範にわたっております。関連します業界数は約百五十業種と、こう言われております。したがいまして、大変生産誘発係数が大きく、住宅投資額の二・一七倍ということでありますので、現在の住宅投資はおおむね約十五兆円でありますので、これの誘発額を計算いたしますと三十二兆七千億、こういう大きなものになります。
  129. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 建設大臣、今お聞きになったとおりでありますが、私は、きのうですが、住宅金融公庫の事務方の皆さんにこの質問をするにつきましていろいろ資料をいただいておりましたが、そのときにいただいた資料を後ほど申し上げまして参考にしていただきたいんです。  問題は、今、日本の住宅をやっぱり促進して、広い立派な家に住んでもらうような政策を政府は考えておられるようですが、その誘導といいますか、誘発といいますか、リードはやっぱり住宅金融公庫に負うところが非常に大きいと思うんですね。住宅金融公庫がいい商品を出して、そしてこういうのがあると、だからこれを利用してやろうじゃないか、これが大きいと思う。  住宅金融公庫はどのようにして運営をされているかといいますと、財投資金を借りまして、借りた利息を政府が補給金で補給をしております。この補給金の中には職員の人件費や何かも、いろいろ日常運営費も入っておりますが、これがもう昭和五十六年ごろからずっと補給金がどんどん完全に政府がその年その年で補給をしておりませんから、住宅金融公庫独自で財投資金を借りてやっていると。その累積金額が約四千億円に既に到達をしておるわけですね。この四千億円というと一般会計の赤字公債なんかの、要するに一般会計の赤字には出てないとは思うんだけれども、結局四千億円というのはそれと同じような性格を持っておるわけです。私はやっぱり住宅金融公庫のこういう補給金というのはやっぱりもう毎年毎年政府一般会計からけちらぬで出していいものだ、出してもらいたいと、こう思っておるんです。それはどういうことかといいますと、非常に住宅金融公庫というのは、小さな一般会計からの補給で非常に大きな住宅投資といいますか、できているわけですから、その一部住宅金融公庫の利息だけを見れば、非常に大きな事業ができ、それが波及していくわけですから、今お話がありましたように。だから、そういうような観点から、私は結論的にはこういう補給金や何かをためていくようなやり方というのはやっぱりよくない、国の会計のあり方から見てもどうもよくない、こう思うんであります。  そこで、先ほどちょっと言いましたように、やっぱり住宅建設事業が経済に与える波及効果の大きさと、それから一般会計からそれを補給した場合に非常に小さなお金で大きな仕事ができると、こういうような数字を若干住宅金融公庫の事務方からいただいた資料をもとにして申し上げます。  住宅建設事業を仮に一兆円するとする、その中の四二%が、大体これまでの平均の四二%が公庫の資金である、一兆円のうちの四二%。五八%が民間の資金。したがって、一兆円のうちの四千二百億円が住宅金融公庫から貸し付ける額、五千八百億円が民間の金融機関から借りるお金、あるいは自分の手持ち、こういう形になるわけです。そして、財投金利が今六・〇五%でありまして、公庫が貸し付けております平均金利が五・四%なんですね、高いやつと低いやつがありますが。そうすると、これは〇・〇五%ぐらいにしか相当しない。そうしますと、政府が一兆円の住宅資金をやるために四千二百億ですから、その利ざやの差というのは〇・〇五%ちょっとです。そうすると、政府はわずか二十四億円出せば、とにかくトータルでまた一兆円の住宅建設事業というのはできるわけですね。本当にそれは毎年毎年これはたまっていきますよ、この二十四億円というのは。たまっていきますけれども大したことないんです。これは今の政府が使っている金というのは全部資金コストがかかっていますからね、借りた金百四十兆円もあれば全部資金コストかかっておりますから。そういう観点からしますと、たった二十四億円ぐらいを政府が出せば、これは一兆円の住宅建設事業費が出てくるわけです。需要と供給の関係で便わなきゃ何にもならぬわけですから。  だから、私はそういう意味からして、やっぱり住宅金融公庫にもっと金を出し、そしていい商品を出して、国民の期待にこたえられるようなそういう制度をつくってやってもらいたい。これは一番大きな内需拡大効果をもたらすと思うんです。これはGNP拡大効果、乗数効果住宅金融公庫が経済企画庁のモデルを使って出した資料によりますと、この一兆円というのは、一年目に一・四七で一兆四千七百億円の投資効果を生む、それから二年目に〇・七八で七千八百億円、それから三年目に〇・四七で四千七百億円、合計しますと二兆七千二百億円の乗数効果を生むと、こういう数字をいただいております。私も大体そうだろうと思うわけですね。だから非常にわずかな、政府一般会計から出しても非常に大きなところに膨れ上がっていっているわけですね。もちろんこれは内需拡大という観点と同時に、やはり短い人生の中で狭いところでごちゃごちゃ間仕切りもないようなところで家族が雑居するよりは、やっぱり広いいい家に住みたいというこれは願望はあるわけですからね。少なくとも四二%、五八%を五〇%、五〇%ぐらいになるぐらいにやっぱりやったらいかがか。今の貿易摩擦の状況の中で建設大臣のお考え、決意をその点についてお伺いしたいと思います。
  130. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 住宅金融公庫の補給金の繰り延べは、補給金の増高と厳しい財政制約の状況の中で全体としてバランスのとれた住宅政策の推進と公庫の事業の安定的運営を図るため、昭和六十五年度までのいわゆる財政再建期間に対応してやむを得ず行っているものであります。  建設省としては、財政の対応力の速やかな回復によって、補給金の繰り延べ措置が速やかに解消されることが必要であると考えているが、それまでの間においてもできる限りの補給金の確保に努めてまいる所存でございます。
  131. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大臣、私も原稿なしでほとんどやっていますから、今の答弁では大臣の持ち味が消えますんですよね。  だから、大臣ね、ちょっとの一般会計の金で非常に大きな誘発効果があるんですね、さっき言いましたように。やっぱり一兆円の事業に対して二十四億ちょっとでね、ということですから、大臣少し検討をしていただけませんか、この点については。  それから住宅金融公庫建設省、私は遅いと思うんですけれども、去年も私、商工委員会やあるいは建設委員会へ行ってこの問題取り上げたんですよ。内需が冷え込んで今大変な雇用問題が起きていまして、しかも貿易摩擦で、これ円高でどうにもならない。非常に特に地域は厳しいんですよ、地方は。だからそういう状況で内需をどう拡大し、国民生活をどう豊かにするかという問題で、住宅問題にもっと力を入れてほしいということで去年やって、何ぼ幾ら言ったって政府はぼちぼちだから、だからファイトがわかぬのですが、対策としては住宅の改良、先ほど出ておりましたが、それからやっぱり貸付金額、償還方法、償還期間を場合によってはもっと長いもの、あるいはもっと弾力的に、いろんなステップ償還とかあるいは病気になってとか何かでは少し延ばすとか、家は建ったんだけれどもうまくいかなくなったらもう全部また売らなきゃならない。  きょうの新聞によりますと、「第一勧銀が調査 住宅ローン返済一年に百十四万円 首都圏のサラリーマン」。これは一年間に百十四万といえば大変な金額ですが、やっぱりそういう点でも住宅金融公庫のウエートをもっと上げて、低金利の資金を、今の財投金利をもっと下げて、今財投金利高いですよ。六・〇五でしょう。預託金利をもっと下げて、そしてやっぱり全体の貸出金利も下げてやってもらいたい。  今言いました幾つかの問題と、それにさらに国産材を使った住宅の促進、そういうものをひとつやると、ここで。去年も言った、ことしも言っても、間に合わぬのですよ、今のような状況で。ひとつ決意を。
  132. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 今ここでやりますと言えば結構な話なんですけれども、十二分にその意思を尊重しまして検討をしてお役に立つようにいたしたいと思います。
  133. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ぜひ、大物建設大臣ですから、目に見えたひとつ形にしていただきたい。これはやっぱり急いだ方がいいと思うんですよ、今のような時期、大変な状況ですからね。お願いをいたします。  それから新宿の、問題変わりますが、西戸山のタワーホウムズ、これは中曽根民活で肝いりで始めたもののようですが、これは五百七十六戸市街地再開発資金を住宅金融公庫が優先的に貸し付けて、一戸当たり約三千万、住宅金融公庫が六・一五%の金利で二十五年償還で貸しておるんです。これが募集をしてみたら、何と平均四十四・二倍の倍率ですね。それから最も高い競争率のは七百九十五倍なんですね。もう殺到しているんです。新聞によりますと、不動産業者がダミーを使ってざあっと申し込ませたり、それはまあ全部住民票かなんかで振り落としたらしいんですが、それでもこんなに高い競争率ですね。公共資金が、住宅金融公庫の公の資金が三千万もつぎ込まれておるんですね、大体六千万台の売り値ですが。これがこのままでいきますと、恐らく財産づくり、財テクのやっぱり対象になる可能性が非常に強いと思うんです。それをこの会社はそうさせないということで、十年間は売っちゃいけないという条件をつけているようでありますが、これはあくまで株式会社がやることでありますから、住宅金融公庫やあるいは政府としては、こういう三千万も公の金が入っているのがぽんぽん六千万が一億になるような形で舞うようなことのないように、これは当然なことですから、ひとつしっかりそういうことにならないように対応していただきたいと思うんです。どなたでも結構ですから。
  134. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 住宅金融公庫におきましては、国民一般住宅建設することを促進するとともに、そのほかの業務といたしまして、相当の住宅部分を有する建築物で、土地の合理的利用及び災害の防止に寄与するものの建設の促進に役立てますために、市街地再開発等貸付制度というのを設けておりまして、法定の市街地再開発事業あるいは特定街区内建築物整備事業等に対しまして従来から貸し付けを行っているところであります。  この西戸山のタワーホウムズは特定街区の指定を受けておりまして、また一団地の住宅施設にかかわる都市計画事業として実施されているものでありまして、また住宅の内容におきましても職住近接型のプロジェクトでありまして、土地の高度利用が十分図られていると、こういうことで公庫の現行の貸付方針に適合しているということで融資決定を行ったものであります。  しかしながら、確かに御指摘にありましたように、余り高額物件になりますると公庫の融資の範囲から逸脱するおそれもありますので、公庫におきましては、そういう再開発関連の住宅の融資の場合につきましても、一応融資対象の限度を設けておりまして、この限度は再開発関連の場合ですと個別に審査をして決めているわけであります。  現在、六十一年度におきましては、その融資対象の上限としまして、一応の目途といたしまして、年収が八百万円前後の世帯が払い得るということを目安にいたしまして、一応六千万円という金額を……
  135. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 いや、タワーホウムズだけに限って答弁してください。
  136. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) タワーホウムズにつきましては、御指摘にありましたように、融資額としましては三千万円のものがございまして、かつまた、限度額としましては六千万円以内におさまっていると、こういうことであります。
  137. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私、まあ言い方がまずかったのかもわかりませんが、あの物件が財テクの対象にならないように、公の金が入っておりますから、してほしいと、そういうように要請したつもりです。
  138. 河野正三

    参考人(河野正三君) 先生おっしゃるとおり、財テク等の運用に手をかすようなことに結果としてなるということは不適当なことであろうかと思います。御承知のように、事業主体も、譲渡契約におきまして十年間の処分禁止、違反に対する買い戻し特約を定めておりますが、我々公庫といたしましては事業主体とも十分に連絡をとりながら、無断で第三者に譲渡するというようなことのなきよう、今後とも気をつけてまいりたいと思います。
  139. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 会計検査院にお願いをしたいと思うんですが、やっぱりあの物件については最初から疑問があった物件でありまして、土地の払い下げの時期から。だから、今度は住宅金融公庫が一世帯当たり三千万も入るわけですから、この物件がやっぱり財テクの対象になったり、要するにせいぜい悪用されないように、ひとつ今後最大の関心を持って監視をしていただきたいと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  140. 大沼嘉章

    説明員(大沼嘉章君) 私ども住宅金融公庫の業務につきましては、従来からいろいろな観点から検査実施しておるわけでございますけれども、ただいま先生お示しのような、いわゆる借り受け者が貸付条件に違反するような行為をとっているかどうかという問題につきましても、私ども重点的に従来から検査実施してまいっております。  西戸山の住宅につきましても、先生お示しの趣旨を体しまして、今後とも十分意を払いながらその推移を見守ってまいりたいと思っております。
  141. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に、国土の均衡ある発展について質問をさしていただきます。  第四次全国総合開発計画が、これはちょっとおくれておりますが、国土庁長官並びに建設大臣に国土の均衡ある発展という観点かち最初にお尋ねをいたします。  国土の均衡ある発展とはよく皆さん方言われますが、建設大臣、国土庁長官、一体どういうことを本当にお考えなのか、これはひとつ最初にお伺いをいたします。
  142. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 非常に難しい話ではありますが、抽象的な言葉ですから、現在のような大都会集中になるようなことは均衡ある発展ではないと思っております。そうですから、この大都会に集中した人口を少しでも地方に分散しまして、現在までの生活関係の基盤が成り立つような格好に全国でいくようになれば、均衡ある発展とも言えるんではないかと思っております。なかなか抽象的な言葉ですから、結果的に言いあらわすことは非常に難しいんでありますが、常識的に考えて均衡ある発展を国土利用計画法は望んでおるはずであります。
  143. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 天野建設大臣と同じような考え方でございます。  今大都市圏と地方圏というような言葉がございますが、それらが均衡のあるような形で国土を形成していくようにすることが均衡ある発展だと考えております。
  144. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 これはまあ一つの例だと思うんですが、私は九州ですから九州のことを申し上げますが、今ここに地図を持っておりますが、特に九州の東海岸というのは小倉から大分を通り宮崎に抜けまして鹿児島に行く国道三号線が走っておりますが、これはもう二車線なんですね。物すごく今大変なんです。いつかもがけ崩れの問題で大臣にお願いをしてますがね、それが一つ。高速道路がもう全くないんです、高規格高速道路がないんです。それから、鉄道で言いますと、小倉から大分市まではほとんど複線が完成しております、まあ一部今工事中のところがあるんですが。それから、大分市から鹿児島まではもう単線なんです。どういうことかといいますと上りの汽車と下りの汽車が駅で行き合うんですね。どっちかがおくれますと待つわけです。だから、幾ら一生懸命努力をしても、なかなかその間の時間というのは距離のわりには我々が乗っていっても時間がかかる、大変なことなんですね。だから、大分から鹿児島へ行こうとすれば、大分から東京往復できるような時間がかかる、飛行機でですね、そういう状況なんです。だから、まあこういう非常な状況で、道路もないし、今度九州旅客鉄道株式会社になりますと、この複線計画すらもうないんですね。現状の減価償却は現状維持ですからね。だからもう新たな計画がないわけです。もちろん民間会社になりますと採算を考えながらやるわけですから。さらに、まあローカル線はどんどん廃止されていきます。もう新幹線は夢のまた夢なんです、東九州に走るということは。こういうような状況になっておるんですが、一体そういうような状況に対して国土の均衡ある発展というものを第四次の四全総では一体どう考えておるのか。  私は、四全総の中間報告をいただきまして、ちょっと読ましていただきました。その点で一体、四全総がことしじゅうにこれは策定されるということだったんですが、どうしてこれが、いつまで延びたんですか、それでいつ決まるんですか、最初にお尋ねします。
  145. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 私は、七月二十二日に国土庁長官に就任いたしましたが、その当面の一番重要な仕事は四全総の策定にあるということで、いろいろと役所でも相談をいたしました。ちょうど国鉄分割・民営化の法案が提出されようとしておる時期でもございましたし、中曽根総理は、この春の通常国会の冒頭で、秋には四全総を策定するという御答弁があったようでありますが、この秋までに本当にこれがやれるのかということで役所とも相談をいたしましたが、もう少し練り上げる必要があるということでありましたので、中曽根総理とも御相談をいたしまして、さらに綿密な計画をつくるために多少の時間をいただくということにいたしたわけであります。いつまでも漫然と延ばすつもりはございませんので、明春早々に策定するように努力をしたいと考えております。
  146. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 四全総の全国総合開発計画調査審議経過報告書というのを、これは十二月に国土審議計画部会のものをいただいているんです。これを読んでみますと、やたらと二十一世紀と東京圏という言葉が冒頭からもうどんどん出てくるんです。なぜもっと北海道や九州やあるいはまあその他本州の中でもいろんな地域があるんですが、もっとそういう問題が出てこないのか。私は、何か世の中変わったのかなあと思いながら三全総と四全総の前のところをこうずっとよく読ましていただいた。いいですか、三全総の「計画の基本的目標」の最後の方に要約されておるんですが、こう書いてあるんですよ。   第三次全国総合開発計画においては、大都市への人口と産業の集中を抑制し、一方、地方を振興し、過密過疎問題に対処しながら、全国土の利用の均衡を図りつつ、人間居住の総合的環境の形成を図るという方式(定住構想)を選択する必要がある。人間居住の総合的環境としては、自然環境、生活環境、生産環境が調和のとれたものでなければならない。また、居住の安定性を確保するためには、雇用の場の確保、住宅及び生活関連施設の整備、教育、文化、医療の水準の確保が基礎的な条件である。特に、大都市圏と比較して定住人口の大幅な増加が予想される地方都市の生活環境の整備とその周辺農山漁村の環境整備が優先して図られなければならない。こうなっている。  これが今度の四全総のこれをやりました審議部会の皆さんは、みんな大学の先生とか東京周辺におる人ばっかりですよ。四全総のこの物の考え方は二十一世紀が出、しかも東京圏ばっかりどんどん出てくる。どうしてこう世の中変わったようなことになっているんですか、大臣。
  147. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 三全総策定の時点と現時点で違ってまいりましたのは、いわゆる国際化、情報化と言われる時代を迎えておりまして、その中でこの東京に多少集中しておる、これをどう考えるかという問題があるわけでありまして、私どもは今回のこの経過報告として今お読みになったものを示したわけであります。  実は、昨日、国土審議会を開催いたしました。これは御存じのように、メンバーの中には与野党の衆参の地方から御出身の方もたくさんおられまして、きのうは活発な御意見をいただきました。私どもも、今度計画部会から出されましたものはこれをスタンスにしてこれから決めるというものではなしに、まさにたたき台でございまして、ただいまの梶原先生のような御意見がどんどん出ることを私どもは期待しておるわけであります。私もこの一月の七日には九州へ参りまして、九州圏の知事様方とこの九州の開発についての御意見を承る機会も持ちたいと考えておりますし、今後地方圏を重視していくという哲学を変えるつもりはございません。
  148. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 いや、大変な決意を聞きましたから、よくわかりました。  ただ、雇用情勢で言いますと、私、この前、福岡県の調査をしたんですが、北九州市が人口百万ですが、有効求人倍率が何と〇・二一なんです。今日本全体で〇・六三ぐらいでしょう。〇・二一です、有効求人倍率が。要するに、人を求めている累積数と職を求めている累積数の割合ですね。だから、職がないんですよ。それで福岡県全体でどうかといいますと〇・二九ぐらいです。〇・三を割っているんですよ。私のおります大分県が〇・三六。これももう学校を出たけれど就職がないんですよ。特にもう高卒からのがまずない。大卒もないんです。それで、まして今度国鉄の関係で失業者が続出しますし、鉄鋼も、電機も、造船も皆もう大変な状況です。これは九州だけじゃないでしょう。大体がこの中心以外は非常に厳しいんです。だから、そういう状況の中で、やっぱり首都圏というのは民活、民活といったらほうっといても人口が多いから商売やってもある程度成り立つでしょう、オフィスも足らぬというんですから。地方で民活なんか言ったって笑われますよ。みんな真剣に仕事を今やっているんだと、やっているけれども、もうからぬものを新たに民間が金を出してやったって、今一生懸命やってもうからぬものをどうして仕事がないのにやるか。田舎の人に民活と言ったって笑いますよ、皆さんは。だから、中央はそれでいい。地方はそうはいかぬ。だから国土の均衡ある発展を考える場合には、もうちょっと地方に対して配慮を真剣に今してもらわなければいけない。この観点が非常に抜けていると思う。それから、三全総にしても四全総にしても、なぜ三全総が言っているような、三全総はいいことを言っているんだけれども、うまくいかないからやっぱり過疎、過密がどんどん進んでいる。そして今言いましたように、地方が厳しくなっている。経済の側面がやっぱり抜けている。なぜ皆さんは田舎からどんどん抜け出してくるかというのは食えないんですよ。農村も食えないんです。あるいは中都市だってもう仕事がないんです。だから東京や大阪へ中央に出てくる。だから、そこで食えるために一体どうするかという観点がやっぱり四全総の中にもう少し脈々と生かしていただけないと、これはもう絵にかいたもちでしょう。幾ら言ったってやっぱり仕事のあるところに集中しますよ。この点についてひとつ建設大臣、本当に前から私御理解いただいておると思いますが、両大臣に一言ずつ。
  149. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 四全総の問題については、私が当初の国土利用計画法という法律を提案した責任者でございますから、相当大きな責任はあると思っておりますが、これは国土庁長官が今やっているわけでありますが、三全総よりも条件の地方に対して落ちるような、劣るような計画であってはいけないと思います。大都市東京が人口が集中して非常に仕事がしやすくなって田舎からどんどん出てくる話はわかりますが、これをより可能的に進めるような都市の政策の問題については私は大反対であります。あくまでも北海道も九州も東北も北陸も、といえば私は東北で国土庁長官は北陸ですから、この地域も全く京阪神並びに東京地区と同じような経済のレベルが保てるようにするのが国土利用計画法の基本だと、私はそう考えております。それですから、新幹線は金がもうからないしそっちの方はやめたとか、高速国道は田舎の方は赤字だけになるからやめたなんということは了承のできることではありません。  今私、より以上しゃべりますと自分の担当以外のものになりますから、非常に問題がありますから申し上げませんが、私の担当しております問題につきましては、どんなことがあろうと所期の目的どおりに進めるように努力もいたします。そう長くはないと思いますから、交代すれば、党にあれば自由自在ですから、この問題については十二分に批判を加えて格好がつくように、所期の目的を達成できるように努力をいたすつもりであります。先生の御意見、十二分覚えておきますから、よろしくお願いいたします。
  150. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 私はきょうは北海道開発庁長官という肩書で申し上げさせていただきます。  先般の経済対策閣僚会議におきましても、今梶原先生御指摘のように、北海道は民活だけでは活性化はしないということを申し上げまして、建設大臣を初め皆様方の御理解を得て、今回の補正予算でも北海道には特別の措置をしていただいたわけであります。今後、地方圏の繁栄ということを頭に入れながら、私も四全総の策定に当たってまいりたいと考えております。
  151. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ちょっと最後になりましたが、ひとつ九州横断道長崎—大分間の進捗状況と完成時期、これをちょっと言っていただいて、そしてもっと早めていただきたいというのが一つ。それから東九州高規格縦貫道は四全総に入れていただきたいのですが、これは入れますというのをひとつ答えてください。その二つ。  それから建設大臣もう一つ。流水占用料、森林・河川緊急整備税、これは大変反対が強いですよ。これをやればそれは大変なことになります。これもやめますと。  この三つだけちょっとお願いいたします。
  152. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 高速国道の法律に指定されてあるものは大急ぎ促進するように努力いたします。また指定されないものにつきましては、国土庁の考え方もこれあり、私の方には私の方の考え方がありますから、基本的には私たちの方で決めるわけでありますから、これについては十二分考慮をいたしたいと思います。  それから水関係税金につきましては、これは先生の立場と私反対ですから、そう言われましても、これは取るように努力をいたします。ただし、これはあくまでも一般会計で出すのが正しいんですから、一般会計で出せないから特別会計をということになっておりますので、これから大詰めでございますので、反対と言うだけではなくて、ひとつその辺十二分踏まえて御理解ある御協力を願えればありがたいと思います。
  153. 山本正和

    山本正和君 梶原委員からお話がございました最後の水の問題に関係するわけでございますけれども、ただいま大変中部地方、近畿地方で異常な渇水状況になってまいっております。これは私が今さら申し上げるまでもないのでありますけれども、治山治水というのはもう政治の一番根本であろうかと思うのでございますけれども、まず一つ、今の中部地方あるいは近畿地方における異常渇水の状況と、当面どのような形で今お取り組みいただいているか、このことをまずお聞きしたいと思います。  まず、その第一点として、今、渇水状況はどういうふうになってきているのか。それと、この十二月、一月という冬の間を一体これは過ごせるのか過ごせないのか、その辺の見通しについて、まずお伺いしたいと思います。
  154. 志水茂明

    政府委員(志水茂明君) ことしは台風の本州上陸が皆無でございましたために、豊川とか木曽川水系等におきまして八月以降四カ月間の降水量が平年の四五%ということで非常に少なくて、現在、河川からの取水を二〇%ないし四〇%制限する渇水になっております。  この渇水は降雨量が少なかったことが直接の原因でございますけれども、ダムなどの水資源開発がおくれておりますことに加えまして、戦後間もなく実施されました本地域の水資源開発事業計画時に想定しておりました降雨条件に比べまして近年非常に少降雨傾向にありますために、渇水時におきますダムからの補給必要量が増大をいたしまして、ダム容量が不足してきておりますことがまた一つの原因でございます。  それから、先生のおっしゃいました、この冬が越せるかどうか。最近、表日本側では雨が非常に降りにくい形になっておりますので、現段階におきましては何とも申し上げられませんが、雨が降りませんとかなりの問題になるのではないかと思っております。
  155. 山本正和

    山本正和君 ちょっと今のお答えではどうもいわゆる一般的な御説明でありまして、なかなか現地で苦しんでいる者としてはもう少し具体的な形で問題点等を御説明いただきたいというふうに思うんです。  といいますのは、ことに建設省が出されました六十一年の「国土建設の現況」というのがございます。この中にもいろいろなデータが出ているんですけれども、例えば治水は、治水費を一体どれくらい使っているかと思って調べてみると、去年よりも〇・七%減って八千三百億。治水費が何で減ってくるのか。これはもう二十一世紀を展望したら我が国の水が足りないということは、この中にしっかり書いてあるんですね。このままでは二十一世紀を越せませんよと書いてある。なぜ、この治水費がこういうふうに減っているか。これは我々にとって非常に、特にこういう異常事態が出ますと、まず真っ先にくるわけです。ですから建設行政として、建設省としての立場から、いろいろな問題で隘路がもっとありはしないか。その辺をもう少し具体的にお聞かせいただけませんか。国土庁からでも、両方からでも結構でございますから。
  156. 廣瀬利雄

    政府委員(廣瀬利雄君) 治水関係予算がなぜ少ないかというお尋ねでございますが、一言で申し上げますと私たちの努力が非常に少ないということかと思いまして、一生懸命、今努力をしているところでございますが、その努力の一つが先ほどありました森林・河川緊急整備税でございますが、この整備税につきましてもいろいろの御異論があるというようなことでございまして、私どもは声を大にして、あるいは足しげくいろいろな方のところに御納得いくように現在努力中でございますので、先生におかれましてもひとつよろしく御理解、御了承をいただきたいと思います。
  157. 志水茂明

    政府委員(志水茂明君) 現在、木曽川水系におきましては、治水、利水の多目的といたしまして六ダム、六事業実施をいたしております。これらもやはり予算の十分でないという点等もございまして、かなり完成がおくれておりまして、これらも今回の渇水の発生しております一つの原因でもございますので、今後とも関係省庁とも十分協議しながら、これらの事業が促進できますようにやっていきたいと思っております。
  158. 山本正和

    山本正和君 実は私どもの方の地元の中部地方ばかりじゃなしに、国土庁長官の北陸の方でももう能登半島、北能登の方では大変なことになっております。それから近畿地方ももう淀川水系が大変危険だというような状況も出てまいっております。今や名古屋地方あるいは岐阜、三重あたりでは新聞がほとんど連日のように水の問題を書かれているわけです。水だけは、これはもう国でやってもらわなければどうにもならない。これはもう庶民の一般感情です。まさにこれは政治の一番根本の部分だろうと思うんでございますが、ところが、そういう中で、私大変心配いたしますのは、先般中部地建から記者発表等もなされましたし、あるいはいろんな形でいろいろ言っておられるわけでありますけれども、どうしてもここで本当の話恒久的に水の対策というものをどうお考えになっているのか、さらには、当面とにかくとりあえずの措置としてどういうことをやろうとしておみえになるのか、その辺ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  159. 廣瀬利雄

    政府委員(廣瀬利雄君) 長期的な渇水対策ということになりますと、これは道は一つでございまして、水資源開発を促進していく、ただ一言に尽きると思います。しかし、その水資源開発が完成しますまでいろいろなやはり緊急的あるいは応急的な対策を立てていかなければならないかと思います。  今回の渇水につきましても、建設省では即刻本省に渇水対策本部を立てまして、中部地方あるいは近畿地方の渇水対策に対する対策をしているわけでございますが、その対策の一部を申し上げますと、一つは、まず取水制限をしていただくということ。その取水制限ということは節水と結びつくわけでございますが、一般の方々にも渇水の時期には節水をして御協力をいただくということが第一かと思います。  それから、第二番目の点でございますけれども、いろいろの水系がございますが、水系間でできるだけ融通するようにいろいろの措置がございます。例えばこちらの水系でとっている水を少なくして、その分だけこちらの水系を多く流すとか、そういう水系間の流況調整ということを水利調整の任に当たっております建設省は積極的にやるということが第二番目の点かと思います。  それから、三番目の点でございますけれども、いろいろの対策がございますけれども、やはり異常渇水ということは、長期的な気象を見てまいりますとどうしてもやはり起こり得る。ところが、現在の水資源開発の対象としておりますのは、毎年同じような雨が降ってきて、毎年同じような取水が行われるということを一つの前提とした対応でございます。したがいまして、異常に渇水がある、あるいは異常に水需要があるということになりますと、そこにアンバランスが出てまいりまして、異常現象が起きますので、異常状態になった場合でも十分であるように、いわゆる水備蓄ダム、我々はこれを渇水対策ダムと呼んでおりますが、そういう渇水対策ダムの建設についてのいろいろの研究あるいは対策、そういう制度、そういうものをやっていこうということで、現在建設省としては奮闘中というのが現状でございます。
  160. 山本正和

    山本正和君 今のお話の中にも出ておったわけでありますが、水問題というのは確かに一番根本的にはこれに対する国の予算の問題がかかわってくると思います。しかし、今お話しの中にもあったように、これは上の方と下の方で、上流の方と下流の方でさまざまな問題がありますし、さらにはいわゆる水利権ということに絡んで大変難しい問題が多かろうかと思うわけです。  これでまた、恐らく建設大臣、大変御苦労いただいたと思うんですけれども、ただ、私どもの県でかつて長良川河口ぜき問題で随分いろいろ苦労をいたしまして、これを国土庁で最終的に調整していただいて、実は二年半ぐらいかかったわけでございますが、どうやら調整をしていただいたというような経緯もございます。この木曽川水系というのは、まさに中部地方の産業全体にも大変な影響を及ぼしている水である、これはもう御承知のことでございますけれども、そういう意味で当面、木曽川水系の問題今出ているわけでありますが、国土庁として、この木曽川水系、今までも経過がずっとあったわけでありますけれども、どういうふうな形で今後の展望をお持ちになっているのか、特に長官から最終的にひとつ国土庁としての御方針を説明いただければありがたい、こう思います。
  161. 志水茂明

    政府委員(志水茂明君) 木曽川水系に係ります地域の将来の水需要を考えてみますと、やはりこの地域も人口が増加をいたしますし、それから下水道の整備等生活水準が向上してまいりますし、都市化もまだ進展をいたします。また、産業活動につきましても加工組み立て型を中心にいたしまして活発化してまいります。したがいまして、やはりこの地域の水も着実に増加をしていくのではないか、このように見ております。また、現在発生しております先ほど先生御指摘のような渇水に対しましても、水供給の安全度の向上ということも今後の重要な課題でございます。それからまた、先ほど長良川河口ぜきの水の転用のお話が出ておりますが、各用水間のこういう相互転用の問題につきましても、従来からいろいろ水利用の実態を踏まえまして弾力的に行ってきております。木曽川につきましては愛知用水の農業用水を上工水へ転用いたしましたり、また利根川等につきましても工業用水を上水へ転用したり、このようなことを行っております。これらも今後の水資源の効率的、合理的な利用を図るために、やはり地域の水需給の動向等を十分検討しながら、用水間の転用につきましても可能な限り積極的に対処していきたい、このようなつもりでおります。
  162. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 今木曽川水系の水資源開発は、三重用水、今おっしゃいました長良川河口ぜきを初め六つの事業実施しておるわけでございますが、これらが計画的な事業として一日も早く完成するように、また、新規のものにつきましても十分今後考えていかなければならないと考えております。
  163. 山本正和

    山本正和君 木曽川というのは昔から薩摩隼人が何千人も死んだというふうな歴史もございまして、大変難しい川でございます。ひとつぜひとも恒久的な立場に立った対策をやっていただきたいと思います。  ただ、ここで私次に申し上げておきたいのは、水資源を開発していくということについての問題が幾つかあるわけでありますが、地方公共団体の協力ということがまず第一前提だろう、こう思うわけであります。地方公共団体といたしましても、この水の問題を何としても解決しなきゃいけない責任がございますから、十分協力したい、これは恐らく四十七都道府県どこでも一緒だろうと思うんでございますけれども、ただ、異口同音にどこの県でも言っておりますのは、果たして水できちっと投資をしたと。しかし、その投資をしたことが、当面その投資が、やっぱりお金を借りて利息を払うわけですから、やっぱり一日も早い還元が欲しいと。ところが、なかなかそうまいらない。そうすると、東京都のような大きなところでも実際はこんな問題は大変でございますから、小さな府県では本当にこれはこたえてしまう。そういう中で、この水資源開発事業に対する助成措置ですね、こういう問題について現在はどういうふうな状況になっておるのか、その点につきましてまずお伺いしたいと思います。
  164. 志水茂明

    政府委員(志水茂明君) 従来から水資源開発公団が行っております事業につきましては、資金運用部資金の借り入れ等極力長期かつ低利の資金導入に努めてきておるところでございまして、これらも事業完成まで償還を据え置くような処置も講じておるところでございます。今後ともこういった方針で進んでいくことになろうかと思っておりますが、償還条件をいろいろ改善をするといったような問題につきましては、なかなか現下の財政事情で非常に困難な点もございます。しかしながら、先ほど先生御指摘のようなことも地方からも聞いております。したがいまして、今後関係省庁とも十分連絡協議しながらこういった点につきましては検討していきたいと思っております。
  165. 山本正和

    山本正和君 公団債等の償還条件あるいは償還利子に対する助成措置、さらには建設費の償還そのものに対する優遇措置等いろんな方法があるんじゃないかというようなことが私どもの目から見ておりまして考えられるわけでございます。そうは言っても、特にこれは関係五省庁といいましょうか、水にかかわる五つの省庁がいずれも国民の要望の中で解決しなきゃいけない課題だろうと思うのでございます。そういう意味で、五省庁あわせてこの水開発に対して地方公共団体に何らかのそういう措置を講ずるようなことについてのお取り組みをいただければありがたい、こう思います。  建設省は建設省設置法等によって任務が決まっておりますし、各省庁それぞれあるわけでありますが、特にこれはどうもやっぱり国土庁じゃないかというふうに私は感ずるわけでございます。それぞれ水に非常にかかわりのある、農水省も含めましていろいろございますが、その五つの省庁の間で、例えばこういう問題を議論していただいて、何とかしなきゃいけないぞという取りまとめをするのは国土庁じゃないかというふうに思うのでございますが、ちょっとその辺について見解を承りたいんですが。
  166. 志水茂明

    政府委員(志水茂明君) 御指摘のとおり、水資源開発事業はいろいろな省庁が関与いたしております。したがって、水公団の使います予算もいろんな形のものがございまして、例えば資金運用部資金の借り入れにつきましては、五年据え置きの二十五年償還、あるいは公団債になりますと、三年据え置きの十年償還、こういったものがございます。ただ、これらにつきましては、ほかとの横並びの問題等もございまして、水公団の分だけいろいろ条件を変えるというわけにもなかなかまいりません。これにつきましては、先生御指摘のとおり、いろいろ重要な問題がございますし、国土庁が水公団の予算のこういう問題につきましては預かっておりますので、これにつきましては常日ごろからいろいろお話を申し上げるところでございまして、今後とも積極的に対処していきたいと思っております。
  167. 山本正和

    山本正和君 それから建設大臣に、本当に大臣の政治力に期待してお願い申し上げるわけでございますが、もし御見解がございましたらお答えいただけたらと思うのであります。  私は、この異常渇水というふうな事態は、先ほどたしか建設省の方の御答弁にもありましたけれども、最近は天変地異に相当するようなことになってきつつあるんではないかと。この前の福岡がそうでございますし、また場合によってはいつ東京がそうなるかわからない。ちょうど大島の噴火にもよく似たような感じがするわけでございます。そして、南アメリカのエルニーニョ現象でございますか、そんなようなことが起こるとたちまち異常渇水といいますか、気象庁等の発表では、我が国に大きな影響を及ぼすと。となりますと、これは天変地異、台風による大きな被害を受けたり、地震、噴火による被害を受けたりするのとよく似ているんじゃないかというような気がいたします。  こういうことについて、これはもう省庁を越えて国の段階で非常災害に準ずるというような形でやっぱり今後検討していくべきじゃないか。これはいつどこに起こるかわからないわけでございますから、そういうようなことにつきまして、これは質問の通知はしてございませんけれども、もしも大臣のお考えがございましたらお聞きしておきたいと思います。
  168. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 水のない生活はできないわけであります。私は大体三十年近くこの問題と取り組んでおるわけであります。政治力が非常に低いものですから、その実現の可能性はないわけでありますが、それは、一つは日本の国という国柄から来るんじゃないか。私は東北の田舎で生まれたんですが、私のところなんかは、水が欲しけりゃ自分の家の前を掘って井戸をつくれば何ぼでも水が出たという地域でございます。そうですから、水はただだという観念が現在のこの水対策に対する予算の獲得に非常に障害を与えているんではないかと思っております。私の承知している範囲内では、まず利根川水系と琵琶湖水系と筑後川水系の三水系だけは何とかしないと将来において今言った異常の渇水でどうにもならないときが来る場合があるんではないかというので、非常にこの問題について、小さい力ながら努力はしてきたつもりでありますが、今、わずかばかりの水資源税を出すというとわいわい騒いでいるわけであります。  この間、私のところへある関西の大重鎮が、関西から九州までの経済界を代表して陳情に参りました。その中に水資源税は反対だということが一項目あったものですから、私は、あなた方、京阪神に住んでいる者の水はちっとも心配したことはありませんかと聞いたのでありますが、いや、それは今も非常になくて困っていると。琵琶湖はあなたの県のものではありませんよと。あれは滋賀県のものであって、滋賀県はあの琵琶湖を利用した観光によって生活をしている者が相当数多くいるはずだと思います。あの琵琶湖が一メーターも一メーター五十も下がちゃって空池になったんじゃ観光の価値がないんです。琵琶湖を滋賀県の言うとおり水いっぱいためたらあなた方どうなりますかと話したらば、いや、私はあえて反対するわけではないが、農業から税金を取らないんなら不公平だから、私の鉄鋼業からも取らないというんなら賛成ですとおかしな発言をして帰った関西の代表がおりますが、これは、一時期どうしてもこの始末だけはしなきゃいけません。  これは、一回でも異常渇水が他から協力して運び得ることのできないような地域で起きましたら全滅なんですから、それは単純な、感情的な問題ではないと私は思っております。そうですから、できることなら、今度の水資源税が出せるのか出せないのか、そんなのを一般会計から出せるか出せないかという問題についてとことん闘ってみたいと思っております。  日本の国というのは珍しい国で、公共事業の最たるものに国の一般会計から一銭も出していないという国です。これは道路がそうです。全世界どこへ行ったって道路を特定財源で賄っているなんという国は一カ国だってありませんよ。日本だけです。特定の人に御協力を願ってやっているというのが道路であります。そうですから、水も、今言ったような思想背景がありますから、同じような考え方じゃないかと思いますので、この際何とかそこのところを突き破りたいという考え方で今度の予算折衝を今事前に検討しているところでございます。なかなか難しい問題でありますが、これだけはやっぱり超党派でやっていただかないと、この問題の解決は難しいと思っております。その点ひとつ十二分に御理解ある御協力をいただければありがたい、幸せだと思います。  答弁になったかならないかわかりませんが、以上で。
  169. 山本正和

    山本正和君 実は、水の新税賛成という立場で申し上げているんじゃございませんが、いずれにしても何かしなきゃいけないと、これは全く同感でこざいますので、ひとつ大臣の今後とものお骨折りをいただきたいと思っております。  それから、広域的導水体制づくりについても御質問をしていきたいと思っておったのでございますが、先ほどの御答弁の中に触れられておりましたので、これについては改めての質問はいたしません。  そこで、実は先ほど梶原委員からもお話がありましたように、今、地方は民活の問題と言ってもなかなかぴんとこない状況にございまして、どの県も一体どうやって景気を持ち直すんだということで大変苦しんでいるわけでございます。  ところが、きょうの新聞にも載っておりまして、これは大分具体的になってきたのかなという感じがしたのでございますが、「リゾート整備へ共同法案」と日経がけさ新聞に出しまして、五省庁が一緒になって通常国会に提出しようかというふうな内容が出ております。これは、建設省の構想としては複合リゾートカントリー構想、こういうことで、しかも、こういう大変きれいなパンフレットもちょっと入手したのでございますが、大変地方に夢を与えるすばらしい計画だと、これは恐らく各部道府県とも、これを我が方へ誘致という魅力のある構想だというふうに思ったのでございます。それから、建設省の方から瀬野調整官が、これもたしか日経の昨日の新聞に載っておりまして、これも読みましてなかなかすばらしい企画である、やっぱり国民に一つの夢を持たせるというふうなことで大変感心をしておったのでございます。  ちょっと、こういうところで御説明をしていただけるのかどうかわかりませんけれども、御説明をしていただけるならそのいただける範囲内で、どういう構想をお持ちになっているのかお伺いしたいと思うのであります。
  170. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 私どもの資料をお読みいただいて大変恐縮でございますが、その考えました背景から御説明したいと思います。  今さら申し上げるまでもございませんが、所得水準の向上なり自由時間の増大というものを背景としまして、私どものライフスタイルといいますか生活様式が非常に変化をしてきております。それと同時に、ただいまもお話ありましたような、地域の経済社会を活性化していくということもございまして、ぜひこの際国民のニーズにこたえて、質の高いリゾート地域を整備することが必要だというふうに考えております。  そこで、具体的には、私どもはやはり豊かな自然環境、これが必要だろうと。と同時に、それだけではなくて、都市機能と自然環境を調和させて複合的な機能を有する大規模リゾート整備を推進しようというふうに考えております。一言で言うならば、ゆとりのある国民生活の実現と地域産業の振興に資するようにしたいというのがこの構想の目的でございます。
  171. 山本正和

    山本正和君 今のお話でわからぬでもないんですけれども、新聞等を見ますとかなり検討が進められておって、準備状況もかなり進捗しているやに聞くのでございますが、その辺をもう少しお聞かせいただけませんか。
  172. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 確かに新聞等の報道は報道でございますけれども、一言で言えば、現在各省でそれぞれ知恵を集めて調整をしている段階ということになろうかと思いますが、やはり建設省の立場も若干御説明させていただきたいと思います。  私どもは、実はこの構想を考える前段階といいますか、四十五年のころからレクリエーション都市整備というものを進めてまいっております。これは全国で五カ所ございまして、奥羽山系あるいは奥只見、九十九里、熊野灘、南与でございますが、こういうところの整備を進めてまいったわけですが、それ以来十五年以上たちまして、いろいろ余暇をめぐる社会経済情勢も変化してまいりましたので、この際民間活力をより一層積極的に活用をしていただくということでこの制度を考えたわけでございます。  その際に、私ども、単なる自分らだけの勉強会、研究会、もちろんこれは研究会をやったわけでございますが、それだけでは不十分であろうということで、地方公共団体なり、あるいは民間の事業者の方からも詳細にヒアリングを実施していろいろ御希望等も聞いております。さらには欧米諸外国のリゾート地域整備事例の研究ということで調査団の派遣等もしております。現在はそのために必要な予算、税制改正要望を要求しておりますが、ただ、何せまだ非常にいろいろ流動的な面もございますし、新聞にはある程度断定的に書いてあるかもしれませんが、それぞれ各省が今知恵を寄せ合っておるというような状況にございます。
  173. 山本正和

    山本正和君 恐らく地方自治体をあずかっておられるそれぞれの首長の皆さんは、各省庁のこの発表も含めて大変な関心を持っておられるだろうと思うのでございます。  私どもの県でも昭和六十九年に世界祝祭博、お祭りの博覧会でございますが、これが六十九年に予定されておる。そこで、早速この会場をつくったり、主会場の用地確保なんかで大変なお金も投資するわけでございますね。それにあわせて、今の建設省のこれで見ますと百五十万ヘクタールになりますか、一番大きいのはたしか百五十万ヘクタールぐらいとこれでなっているような感じがするんです。そういう大きな構想でいきますと、例えば我々の県でもそういうことをやればうまいことはまるじゃないかというような形で真剣な議論が始まってまいります。これは恐らく三重県ばかりでなしに、どこの県でもそれぞれいろんなことが考えられるのじゃないかと思います。  そうしますと、今、民活と言いますけれども、さまざまな形で各地方に需要の振興ということで大変大きな夢を与えている。これは、ほかの省庁のこういうものをまだ見ていないものですからわかりませんけれども、事建設省のこれに関して、ちょっと私も地方自治体の長と一緒にこれで勉強もしたのですけれども、これはすばらしいなというふうな話になっております。やっぱり地方にそういう夢を与えて、その中からそれぞれの自治体が新しい事業計画を立てていく。例えば、この中にもっと言えば老人ホームも含めたものもできないかとか、あるいは特養など社会福祉施設の問題も入れられないかとか、いろんな夢がまざってこようかと思うのです。  そういう意味で、今のお話、どういうものか他の省庁に随分遠慮しておられるような御答弁でございますけれども、どうもこれを見ている限りかなり進んでいるように思うので、もう少し具体的に、例えば着手時期をどの程度に想定してやろうとしているのかとか、その辺まではおっしゃっておいていただかなければと思うのでございますけれども
  174. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) ただいまお話しいただきましたように、私どもの構想ではかなり広範囲な面でとらえようと思っております。一カ所の点の開発のようなことには終わらせたくない。したがって、その面をべったり全部開発するというようなことはこれまた考えておりませんで、ただいま先生お話しのように、一辺が四十キロ四方ですからそのまま計算すれば十六万ですが、私どものパンフレットでは、でこぼこがありますのでたしか十五万ヘクタールと書いてあると思います。その中にブドウの房状といいますかクラスター状な開発を考える。  しかも、だんだんと余暇時間が伸びてまいりますと、最近の傾向もそうでございますが、やはり通過型ではなしに、そこにある意味で滞在するというか、居住するというか、そういう要素が非常に深く入ってまいりますので、いろんな開発様式もあろうと思います。先生のおっしゃいましたような、老人ホームというようなお話もございましたが、そういうことも十分要素の一つとしては可能になる。そういうものも含んだ非常に弾力的な面でのことでございますので、時々遊び場づくりに国が力をかすのかというような御批判がないでもないわけですが、私どもは決してそんなイメージでこの施策をやるつもりではございません。  ただ、やはり大事なのは、まずこういう構想をやるときに、国がワンパターンのものを上から押しつけるということはこれは断じて、やってもできませんし、やる意味もないと思いますので、この構想を国、地方公共団体側ということで言うならば、公共団体側の方がリードし、国はサポートするという立場だと思います。  それともう一つ大事なことは、やはり民間が、何といいましても上物なり経営というのは民間の方が得意なわけですから、建設省として、言うならば道路なり下水道なり生活するのに十分な機能を我々の力で全力を挙げて整備をいたしますが、と同時に、その上で非常に創意工夫に富んだ施設なり何なりを展開していただくのは民間側のお知恵なり力だと。そのようなことで今後検討を具体的に進めていきたいと考えております。
  175. 山本正和

    山本正和君 これで随分各紙いろいろ取り上げておるんですけれども建設省が複合リゾートカントリー構想というものを明らかにした。そうしたら、次に通産省が民活法の適用範囲を広げて余暇関連施設整備構想を練っている。そうすると今度は環境庁が公害防止事業団を何かいろいろ名前を変えていって、リフレッシュ・イン・ナショナルパーク・プラン、横文字でございますが、そういうこと。農林水産省は、農山漁村リゾートゾーン整備構想、自治省は大規模広域リゾートゾーン整備構想、こういうふうに、建設省がこれをぱっと言うと次から次に各省庁がこんなことを言ってくるというのは、どうも私は日本の国の行政としてはおかしいと思うわけですね。  建設省が出した案がいいのならば、各省庁がそれに合わせて、私の方にはこういう知恵がありますよ、私の方にはこういう構想がありますけれどもあなたも一緒になりませんかと、こういうふうにいくのが本来の姿というふうに思うのでございますけれども、こういうふうな問題。これは、水を調整するのは国土庁でございますけれども、こういうのを調整するのはどこになるんでございましょうか、ひとつお尋ねしたいんですが。
  176. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) ただいま御指摘のような点で、今五つの役所が来年のリゾート関連に関しまして税制や予算要求をしようということで目下事務的にいろいろと詰めさせていただいておるところでございまして、御心配のないようにひとつ一本にまとめていくようにしたいと考えております。
  177. 山本正和

    山本正和君 それでは、まだ時間がございますけれども、最後に大臣に、建設省が出されました構想についての御決意がございましたらそれをお聞かせいただいて終わりたいと思いますが、建設大臣。
  178. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 大変結構な応援団長という役割を果たしていただきまして、ありがたく御礼を申し上げます。  既に、事務連絡等はいたさせております。そして、これが我が国の官僚政治の最も悪いところなんですが、五つの役所がばらばらでやるよりは、五つの役所が一つになって全部のよい知恵を持ち集まってやるのが一番いわばベターでありますから、そういう点でその調整役を国土庁にお願いをして、五省庁のこのリゾート政策関係に関する問題を、ひとつよりよいところを早く取りまとめて来年の予算編成に間に合うようにいたしたいと考えております。
  179. 山本正和

    山本正和君 どうもありがとうございました。
  180. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私、まず一番最初に、きょう国土庁長官お見えになっていらっしゃいますので三原山災害対策本部長としてのお立場に対していろいろお願いを申し上げようと思って原稿を起こしておりましたが、私どもの党が昨日長官のところに大勢参りまして、そして大変前向きないろいろ御協力方の御答弁をいただいておりますので、きょうはこれ避けますけれども、昨日の長官のお言葉どおり、東京都も一生懸命やっておりますけれども、やはり国の力をかりなければいけないことがたくさんあるようでございますので、どうぞまずは対策本部長として名指揮をとっていただいて、島民がいいお正月が迎えられるような対策、さらには安定したこれからの島での生活が送れますように御努力いただくことをまず希望として述べさせていただきまして、大島の対策の問題については省かせていただきます。よろしくどうぞお願いをいたします。  そこで、すぐに次の問題に入らせていただくわけでございますが、まず会計検査院の方にお尋ねをいたしますけれども、五十七年、五十八年の両年度において会計検査院から住宅金融公庫の融資に関して御指摘がございました。  五十七年については、土地担保中高層建築物の貸し付けで処置要求をなされておりますし、五十八年は、個人向けマンション貸し付けで処置済み事項になっておるわけでございますけれども、今取り扱っております五十九年度に関しては住宅金融公庫に対する指摘はございませんし、六十年度は、よくわかりませんけれども、どんな結果になっておりますんでしょうか。  ただ、私が申し上げたいのが、国鉄飯田橋駅前の、いわゆる職住近接型マンションとしてキャッチフレーズ高く売り出されましたセントラルプラザの問題でございますけれども、このセントラルプラザについて、住宅が全部で百五十一戸あるうち、住宅金融公庫融資を受けておるもの百三十一戸があるわけでございますが、場所柄と申しましょうか、この中に大変に不適正な使われ方をしておる、つまり住宅金融公庫から融資を受けておるのは住宅としての融資を受けておりながら、これが百三十一戸融資を受けておるうちで十五戸がオフィスだと。さらにはその十五戸を上回るのではないか。これが非住宅として転用されておる、あるいは転売をされておるという実態があるそうに聞いております。  そこで、会計検査院は、この種の事柄について五十九年度、六十年度、御調査をなさったのかどうなのか、そして、もしこの種のことがあるとすれば、それは不適正な融資ということになるのかどうなのか、まずこれお伺いしなければならないわけでありますけれども検査院が五十八年度指摘においてなさった約六千件のうちの四百件の不適正貸し付け、個人向けマンション、これは大体六・六%の事故発生率なんですね。ところが、今回はたった十五戸以上じゃないかというふうにおっしゃるけれども、百三十一戸のうちの十五戸以上といいますと、つまり一一・五%ぐらいの発生率でございますので、私はやはり異常だというふうに思うわけです。  そこで、まず会計検査院に、この種の御調査をなさっておられたかどうか、あるいはもしこういう事実があったとしたらば、この融資のあり方は不適正であるかどうかお伺いをしたいと思います。
  181. 大沼嘉章

    説明員(大沼嘉章君) 私ども会計検査院では、ただいま先生お示しのように、借り受け者が貸付条件に違反した行為をしているかどうか、そういった貸付先の事後の管理の状況につきまして、例年検査実施しておるところでございます。  その結果、ただいま先生も御指摘いただきましたように、五十七年度、これは土地担保付高層住宅の貸し付けでございますが、それから五十八年度には購入マンションの貸し付けにつきまして非住宅の他用途に転用している問題、それから第三者に貸し付けを行っている問題、こういった違法な事実を指摘いたしておるわけでございます。五十九年、六十年につきましてもこういった点についての調査を行っておったわけでございますけれども、毎年検査観点がそれぞれ違うような形になって重点が推移してまいります。したがいまして、五十九年、六十年度検査報告の中にはこういった他目的使用というふうな形で指摘する事態はなかったわけでございます。  それから、ただいま第二の御質問でございますけれども、セントラルプラザのオフィス化の問題、これは貸付約款に従いますと、こういった用途には使用してはならないということになっている戸数があるようでございます。こういったものにつきましては、先生おっしゃるように違法な状態である、このように私どもは考えております。
  182. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 公庫の方にお伺いいたしますけれども、こういう事実は御存じでしたでしょうか。
  183. 猪瀬節雄

    参考人(猪瀬節雄君) 新聞報道がございまして、早速実地調査をいたしまして確認いたしてございます。
  184. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 会計検査院から、五十七年、五十八年と二度にわたって指摘を受けておりまして、処置済みということになっているわけですね。だけれども、またこういう事態が発生しているということについて、私はやはり住宅金融公庫さんも、飯田橋という何といってもあの募集時における競争率からいっても大変な人気のあったところ、そして明らかにオフィスに転用されるおそれが十分あると予想される場所だというふうなことをお考えにならなかったのかどうなのか。私は、二度のこうした不当事項に該当する事柄の指摘を受けておりながら、今回この手のことを起こしておるということについて大変遺憾だというふうに思うんでございますけれども、これいかがでしょうか。
  185. 猪瀬節雄

    参考人(猪瀬節雄君) 五十八年度検査院の調査におきまして、四百五件の用途違反がありましたのは先生御指摘のとおりでございまして、私どもこれに対しまして直ちにその四百五件につきましては繰り上げ償還、その他の是正措置を講じました。それと同時に、私ども現在貸付残高五百六十万戸ほどございまして、これを一遍に調査するわけにはまいりませんので、毎年約一万二千件ほど順次調査をいたしておるところでございますが、調査に当たりましては、例えば駅前とかあるいは商業地、その近辺、こういったところは御指摘のように、違反の実は多くあり得る場所でございますので、検査院の五十八年度指摘を受けまして、私どもこれからの調査につきましてはこういったものを重点的に調査すると、こういう方針のもとに六十年度から実施してございます。  それで、この飯田橋プラザでございますが、本件につきましてもこういった方針に基づきまして、本年度重点調査事項ということで実は実地調査を予定しておったところでございますが、これは年度内に実施する予定でございましたが、新聞報道等がございまして、これによりますと相当に違反の疑いが濃厚であると認められますので、実は繰り上げて現地調査を実施したところでございます。  その調査の結果は、違反が八戸ほど発見されまして、これにつきましては繰り上げ償還ということで現在厳しく対処しております。
  186. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 先ほど住宅金融公庫の融資の問題については、同僚の梶原委員からも話が出ていたわけでございますけれども建設大臣、この住宅金融公庫の原資のことを考えますと、やはりこれは一〇〇%財投資金を入れておる。それで、しかもその中で差額に出た、つまり安く貸して出た分については一般会計から多額の利子補給をやっている、こういうことになっているわけですから、私はこの手のいわゆる金融公庫の資金というようなものがそういう使われ方、融資のされ方をしているということについては、まずは住宅問題に大変関心の深い今日の国民がやっぱり納得しない事柄につながると思うんですね。だから、それだけにこういう問題についてもっと厳しく御指導も建設省としてもしていっていただきたいと思うんですけれども、いかがでございましょう。
  187. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 先ほどの御指摘にもありましたように、五十七年、五十八年と検査院からの御指摘がございまして、これを厳しく反省をいたしまして、その是正の措置をとったところでありましたが、たまたま五十九年度の分につきまして八件ではありますけれども、同様のものが出たことはまことに遺憾であると考えております。今後こういうことがないように、まずこういう種の融資の趣旨の徹底を申込者に対してするということ。それから、融資の申請がありましたときの審査につきましては、厳重に強化して行うということ。さらに、融資後におきましても適宜実態調査等を行い、こういうことのないように予防措置を行うこと等、公庫に対して強く指導しているところであります。
  188. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 こういう形の使われ方だと、問題になるそのウエートが重なる分だけ一体住宅金融公庫って何なのかと、国民の信頼もなくなってきますよね。だから、そういう点気をつけていただかなければならないし、本来、さっき言ったように、住宅建設というようなものを含めて内需拡大の波及効果等ねらっていかなければならないことに、果たしてこういうことでなるのかならないのかというようなことさえもやはり危惧されますので、注意をしていっていただきたいというふうに思います。  それから、次の問題に入りますが、かつての日本住宅公団でございます住宅都市整備公団の住宅の建てかえについての問題についてお伺いをするわけでございますが、日本住宅公団、三十年代にたくさん建設あるいは分譲された住宅がいよいよ建てかえの時期に入ってきているということで、その建てかえの問題についてまずは基本的な姿勢をお伺いしたいわけでございますけれども、今私調べさしていただいたところによりますと、賃貸で六十五万戸、それから管理している分譲住宅四十万戸というふうに聞いておるわけでございますけれども、その中でこれから漸次建てかえていかなければならない緊急的な場所もふえてきているのではないかというふうに思うわけです。その際に、これを、例えば上目黒住宅について言えば、新日鉄の子会社が中心になって建てかえ、そして大変入居者から喜ばれておるというような、民活型の建てかえ策ですね、そうですね。それから一方で、公団自身がおやりになろうとしております渋谷区神宮前三丁目の原宿団地ですね。これは公団自身が今建てかえを始めようということで六十年度中に着工、一年半で完成ということになっているわけでございますね。  そこで、まずお伺いをするわけですが、今後この住宅都市整備公団の抱えております住宅の建てかえについては基本的にどんな方針で、つまり民活でいくのか、公団自身がかかわってやっていくのかという基本的な姿勢のところからまずお伺いしたいんですが。
  189. 京須實

    参考人京須實君) 公団の三十年代に建てました住宅につきましては、賃貸住宅と分譲とございます。賃貸につきましては、現在でも公団が管理しておりますので、あくまでもこの建てかえは住宅都市整備公団におきまして実施したいと、こう考えております。ただし、分譲につきましては、これは所有権が既に分譲を受けた方に移っておりますので、どのように建てかえるか、あるいはまたどこが建てかえるかということにつきましては、現在所有者の方々の判断に任されるわけでございます。公団の方でぜひやってくれというような御要望がありました場合には、これは十分前向きに協力したいと、こう考えておりますが、公団の方からどうしても公団でなければいかぬとか、そういうことは申し上げかねる事情でございます。
  190. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 これは昨年の新聞ですけれども、おたくの総裁にきょうお見えいただければ大変よかったんですが、総裁自身が就任の弁で言われているのかな。これは公団の建てかえについては分譲は民活でいき、そしてその賃貸の方は何とか我が方でやるというふうなことをきちっと立て分けておっしゃっておりますんですよね。そういうことになりますと、例の、私は大変に、先ほど申し上げました原宿の団地の構想がそのままとんざしているというふうに思っておるわけでございますけれども、当初ここでは都市計画もよくわかる、あるいはまたもうけは出さぬでもいいんだ、あるいは良質な町づくりに寄与できるというふうなPRをなさいまして、そして公団が一番ノーハウがわかっておるというようなことで建てかえを、これは分譲の場合ですよね、あそこの場合は、一生懸命主張なさってきた、だけどそれがうまくはいっていないという状況があるのではないかというふうに思うんでございます。もちろん、先ほどからおっしゃられておるように、権利者のコンセンサスさえできれば公団がやろうと民間がやろうといいわけではありますけれども、強いて言えばやっぱり公的機関でやってもらえれば安心かなということはあるのではないかと、そういう期待をやっぱり住民は持っているのではないかなというふうには思います。また、それを取りかからないとすれば、これからの住宅都市整備公団の存在意・義というのは一体どういうところに置くことになるのかというようなことも問われる事態が出てくるのではないかというふうに思いますものですから、今その建てかえを通しておたくの存在意義というようなこともあわせもって聞いておるわけでございますけども、いかがでしょう。
  191. 京須實

    参考人京須實君) 原宿住宅につきましては、現在住民の方々の合意形成に努力中でございます。公団の方で決して手を引いたわけではございません。ただ、住民の方もいろいろ御意見ございますので、その方々にお諮りいたしまして、既に全体の管理組合からは公団にやってほしいという要請がございますが、やはり個々の一人一人の方々の御同意をいただく、このために現在努力中でございます。  また、全体的に申しましても、やはり住宅都市整備公団と申しまして、都市の整備ということも現在我が公団の重大な任務でございます。したがいまして、都市の計画的な整備に当たりまして、何といいますか先導的な役割を果たす現在の分譲住宅の建てかえとか、そういったものにつきましては御要請があればぜひ公団でやるように前向きに考えたい、こう思っております。
  192. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それから、賃貸の方の建てかえの計画が川崎市の小杉御殿団地と、それから大阪の臨海第二団地が手始めにというようなことで例が出ておりまして、これもまた建設委員会等で論議があるところでございますけれども、私、きょうもっといろいろ申し上げたいんですけれども時間の関係がありますので、一番賃貸の建てかえについてやっぱり言いたいことは、例えば小杉御殿団地で言えば、家賃が二万三千円で入っておられる、入っておれるところが激変緩和措置七年というのをとってはおられるけれども、結果的には十万三千円になる、八万円も上がるわけでございますけれども、他の一般住宅、マンションとの均衡も図りながらというような御意思もおありのようですけれども、これ二万三千円から十万三千円に四倍半値上がりをいたしますと、その住宅には住めない人も出てくるのではないかというふうに思うんでございます。  そこで、こうした層の方々についてどういうふうにしていくのか、それから先ほど分譲の方も機会があれば手がけていく、しかし賃貸の方については責任を持って建てかえていくのだということになっておるわけでございますようですが、そういたしますと大体どの層の人たちの、つまり生活の層に合わせて今後この住宅建設計画、建てかえ計画をしていかれるのかということを基本的に伺っておかなければ、今まで住んでいたんだけれども今度その公団に住めない人も出てくるわけで、この点についてのいろいろお考えを伺いたいわけです。
  193. 京須實

    参考人京須實君) 先生御指摘のように、小杉御殿団地につきましては確かに家賃が非常に上がるわけでございますが、これは建てかえますと全く建物も新しくなりまして、床面積もふえてまいりますし、設備も新しくなってまいります。そういたしまして、また公団が他に建てております同様の新規の住宅との均衡もございます。そのような観点から御指摘のような家賃になるわけでございますが、これは先生も御指摘のように現在交渉中でございますが、これがお話がつきまして、建てかえを始めましてから実際でき上がりまして戻って入居された方々が十万三千円の家賃になるのは昭和七十一年でございまして、相当その間に期間の余裕はあろうかと思っております。  また、私ども計算によりますと、その昭和七十一年のころですね、十万三千円の家賃と申しますのは、現在の中堅所得階層の方々の負担で申しましても一七%でございまして、我々の公団の使命といたします中堅所得階層のための賃貸住宅の供給、現在でもこれは平均いたしまして大体一六%から一七%ぐらいの御負担と考えております。ただいま申しましたのは、七十一年まで所得が年約三%ぐらいの割合で伸びていくということを想定いたしますと、中堅階層の方々の居住は十分可能であると考えているわけでございます。  しかしながら、御指摘のように、現在入っている方々につきましてはいろいろな御事情もございます。したがいまして七年間の激変緩和措置をとらしていただきますが、また、このほかに他の公団住宅に移転を希望される方につきましては、昭和四十年度以降の公団の賃貸住宅をごあっせんいたしますが、この方々につきましても五年間家賃の四〇%の減額をしたい、二万円を限度にいたしまして減額をいたしたいと、このように考えております。  またさらに、老人あるいは母子世帯、あるいは身体障害者を抱えている世帯、あるいは生活保護世帯、こういう世帯につきましては、また別途一般の家賃、そういったものと同様の限度措置も講じようと思っております。  いずれにしましても、もとの所へ戻られますと、どうしてもやはり三十年代の住宅は狭うございますし、例えば洗濯機の置き場もございません。それから天井の厚さも現在のものの約半分でございます。畳もいわゆる団地サイズでございまして、非常に不備がございます。そういったものが全部更新されまして新しくなりますので、家賃の上がることだけはお認め願いたいと思うんでございますが、ただ、どうしてもその住宅の家賃の負担が上がるのは困るとおっしゃる方につきましては、四十年代の住宅をごあっせんいたしまして、例えば御家族の住所に近い所とか、あるいは暖かい所とか、あるいはまた大きな病院に近い所とかいろいろな、その点公団は日本の大都市にほとんど賃貸団地を持っておりますので、その特性を生かしまして御希望の団地をごあっせんしたいと、こう考えております。  そういうことによりまして、きめ細かく現に住んでいる方々につきましてはどこにお住みになるかごあっせんなり御協力したいと、このように考えております。
  194. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 きめ細かく温かくとおっしゃってくださってはおるんですが、やっぱりいざとなると政治的発想で、住めぬ者には住めるような所へと、こういうふうに動かすわけですけれども、家があり、人が住めばやはりそこには人情も生まれたり人の心も根づくわけですよね。そういうときにあなたの生活圏ではとてもここにはいれぬからこっちへそれじゃ動かしましょうということでやっぱり事足りるのかどうなのかということについては、私はいろいろ言い分があるわけですけれども、今おっしゃられましたきめ細かく温かくというそのことをお忘れいただかないように心がけてほしいというふうに思います。  大臣笑ってくださっているんで申し上げるわけだけど、住宅都市整備公団の今後のやはり果たす役割ね、それからまたこうした公団の建てかえという事業がもたらすやはり一つの内需拡大策としての波及効果とかいろいろあろうかと思うんですよ。だからやはりここは建設省もきちっとした御指導もなさっていかなければならないと思いますんで、この住都公団のあり方について大臣の御見解をひとつここで伺っておきます。
  195. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 御承知のように住都公団は一〇〇%サービス機関でございます。そうですから、その線を外さないように努力をいたしますが、いろんな客観的な情勢が伴ってくるものですから、居住地の問題、居住する場所の問題ですからいろいろあると思いますが、それは主観的ではなくて客観的に十二分に了承願えるように、施策を立てるように公団の方に命じておきたいと思います。
  196. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 時間がないので、次に進めます。  沿道整備事業についてお伺いをいたしますが、東京、大阪などの大都市における幹線道路は大変に今でも排ガス、騒音、振動ということに悩まされております住民ばかりでございまして、これは改善方が、早くから社会的問題にもあるいは政治的問題にもなっておりながら、これが一向に進んでおらない。むしろ悪化をしていっておるというのが私は現状ではないかというふうに思うんでございます。  この沿道整備事業についてお伺いをいたしますけれども、環状七号線あるいは八号線、都内で言えばですね、それから関西で言えば国道四十三号線というようなその沿道の状況を見たとき、この手の事業はどんどん動いてなきゃいけないはずなんでございますけれども、これが動いてないというふうに私は見ておりまして、その状況をお確かめするわけですが、三つの事業がある中で特に市町村等に対する土地買い取り資金の貸し付けについては、これは全く新しい制度だそうでありますけれども、動いてない。これをまず事情を伺わなければならないわけですが、五十五年度、法律が制定されたときは年半ばだったので一億計上され、以降五十六年から六十一年までは二億円ずつ毎年計上されておるわけですね。これの決算の状況と、それから一体なぜこの事業が動いてないかについてお伺いします。
  197. 萩原浩

    政府委員(萩原浩君) 先生御指摘のように、沿道整備資金の貸付制度は幹線道路の沿道の整備に関する法律に基づきまして創設されたものでございまして、三つの施策を掲げてございます。その一つは、緩衝建築物の建築費等の負担でございます。それからその二番目は、防音工事の助成でございます。それからその三番目が先生御指摘の沿道整備資金の貸し付け、この三つの柱になっております。そのうち、緩衝建築物の建築費等の負担につきましては六十年度から実績は動き出してございますし、同様に防音工事の助成につきましても六十年度から実績は動き出してございます。しかし、大変残念ながら沿道整備資金貸し付けにつきましては、先生御指摘のとおり現在までその実績はございません。現在、鋭意その計画を地元の方々と進めておりますけれども、六十一年度、今年度におきましては何とかこの資金貸し付けの実績が上がるものというふうに考えております。  この動きが遅かった理由は、やはりそういう事例がございませんとなかなか沿道の関係者の方の御同意が得られない。それで、どこへ行けばどういうものになるんだという事例がないものでございますから、どうしても動きが鈍かったということでございますが、ここに六十一年度動き出すことによりまして、今後鋭意この促進を図ってまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  198. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 ことしの七月十七日に関西の国道四十三号線についての公害裁判で、国側に対して損害賠償の一部を命ずるという、建設省に対しては大変厳しい判決が出て、つまり国道四十三号線はあれは欠陥道路だという話が出てきたわけでございますよね。私は実は硫黄酸化物、それから窒素酸化物等の規制運動なんかをかつてやっておりました関係で、この手のものについて大変関心を持っておりまして、いわゆるこの幹線道路の沿線の環境対策というのはとっても大事だと思うわけ。だけど、その周辺には住んでいる人もおるしということで、いろいろこの事業を進めるについては私も大変なことはよくわかるんです。けれども、実は地域のニーズは非常に高いことはおわかりでしょう。沿道道路のいわゆる環境に対してそれをよくしていってくれというニーズのあることは、よくおわかりだと思うのね。だけれども、この事業が進んでいかない理由は、やっぱり地方自治体に対する大変負担が大きいことが私は一つ大きなネックになっているんじゃないかというふうに思うんですよ。今年度から動き出すと言うけど、資金の三分の一は市町村が負担して、残りの三分の二、六年据え置きの十年償還というのですよね。そうすると、これは実は大変な事業になるわけよね。当初は十年間で一千八百億円というふうに見積もっておられたようだけれども、一カ所の予算でしかないわけですね、これ。私は、これはやっぱり四十三号線で象徴されるように必要な事業だというふうに思うんです、どうしても。だから、やはり緊急かつ適正にこの手の事業が進んでいくことを私は望むものでございますけれども、これ大臣の御答弁をお願いします。
  199. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) まだ創設早々ですから十二分生きないのはよく承知しておりますが、検討いたしまして御期待に沿うようにいたします。
  200. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 次を急ぎます。  地価対策についてお伺いをいたします。  これは私が申し上げるまでもなく、今、都心の地価対策についてはだれしもがその対策を急がなければならないという必要性を感じておるところでございますけれども、私はこの地価対策、言われているほどには事が進んでいっていないのではないかというふうに大変危惧を持っておる者の一人でございまして、ことしの四月にも私は国民生活・経済に関する調査特別委員会でこのことを質問させていただいております。  やはりこれは緊急を要する対策であろうかというふうに思うんですね。今回地価対策検討委員会からもいろいろ御指摘も出ましたですね。こういうことを踏まえてまず国土庁からお話を伺います。
  201. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) 地価高騰対策につきましては、四月に国土庁と東京都知事と協議いたしまして、都心の地価高騰対策をまとめました。これに基づいて施策を講じているところでございます。その柱はやはり都心地価の高騰の原因が事務所用地、事務所ビルの需要が非常に大きい、これに対する供給を促進する必要があるということで事務所用地の供給の促進のための施策を大きな柱の一つにしております。さらにこの地価高騰の過程で投機的な取引がかなり行われている、こういうことで、投機的な取引の規制を強化する、こういうことが二番目の柱でございまして、このための措置として、緊急の措置としてまず東京都の方で条例を制定していただきまして、国土利用計画法の規制の外にある小規模な土地取引につきまして届け出を義務づける条例を制定していただいたところでございまして、これはこの十二月一日から施行になっているわけでございます。その他いろいろ土地取引の監視の強化あるいは不動産業界、金融業界に対する協力依頼等々の措置を講じているところでございます。  その都心部の地価高騰がさらに周辺の住宅地にも波及している、こういう状況が見られますので、この秋には先生御指摘の地価対策検討委員会というものを設けていただきまして、その提言をしていただいたところでございます。当面その提言を受けまして、税制改正を要望しておりまして、投機的取引を抑制するための土地譲渡益課税の強化、それから買いかえ特例の見直しといったような措置を講じているところでございます。
  202. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 今、東京都に十二月一日から条例改正をしてもらって、そして二千平米から五百平米の取引規制をされたと、こういうことなんですよね。私ここでお伺いしたいのは、国土庁さんでしょうか、内閣法制局の方へもお尋ねになりながら、法律よりも条例の方を先行させていくことに疑義はないかどうかというのを確認された上で、東京都に条例改正を申し入れておられるようでございますけれども、私はおかしいと思うんですよ。その辺のところの分をどんなふうに考えておるのか。つまり、国土利用計画法で規定しておるところの二千平米をもっと細かくしてもいいのではないかということについても、私はこれは先ほど申し上げました四月十一日の国民生活・経済に関する調査特別委員会で申し上げておるんでございます。そのときには、現在東京都と検討を進めておるが、できるだけ早く結論は出したいと思うというふうに当時おっしゃったんですね。それは、この国土利用計画法を改正するのではなくて、まさにその時点から東京都の条例をひとつ改正しようということで着目していらしたんだなと今になって思うわけですよね。  まず伺うのが、その条例が法律に先行していくということがどうなのかということが一つ。それから、昨日私どもの、衆議院で同じ問題をたしかお尋ねをしておると思います。そして、国土利用計画法の改正はなぜしないのかということに対して、国土庁長官が大変消極的な御答弁をなさっているふうに聞いておるんでございますけれども、なぜこの国土利用計画法二千平米にさわれないのかどうなのか、率直なところを同わしていただきたい。
  203. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) 東京都の条例が先行したということでございますけれども、これは国土利用計画法があるという前提で条例が制定できるものかどうかということにつきまして、確かに法制局その他にいろいろ意見等をお聞きしたことは事実でございますし、さらに東京都におきまして、その条例制定が法理論上可能であるかどうかということにつきまして検討委員会を設置いたしまして、五月から八月まで慎重に審議された結果、これは国土利用計画法の存在は存在として、地方自治法の規定からも東京都が条例で土地取引を規制をする、これは届け出でございますから、そういう規制をすることは可能であると、こういう結論に達しまして、制定をしていただいたところでございます。これは当面緊急の措置ということで、そういうふうに私どももお願いし、東京都自体もそういうふうに考えたところでございます。  しかし一方、東京都の方でもやはり国土利用計画法の方で改正をしてもらいたいという依頼もあったわけでございます。また、やはり地価上昇のおそれというのは東京都以外にもあり得るわけでございます。私どももその全体の規制の体系が法律のもとで一本化されているということが望ましいというふうに考えておりますので、国土利用計画法の改正につきましてはいろいろ研究会等の意見もいただきまして、検討を進めているところでございます。これはいろいろ関係省庁もあるわけでございますから、今直ちに結論は申し上げられませんけれども、国土利用計画法を改正して、それに基づいて一定の要件を満たす地域については、小規模土地取引も規制をできるように今鋭意検討を続けているところでございます。
  204. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 前向きに御検討いただいているというふうに受けとめさしていただきます。  それで、なぜこんなに都心の地価が高騰するのかということについて、先ほど来おっしゃられております中に、金融機関の問題等をおっしゃられておりましたけれども、私はその前に国公有地の払い下げがいかなる影響をもたらしておるというふうにお考えなのかどうなのかということも、これはやはり真剣に論議をしていかなければならない課題だというふうに思うんです。例の六本木の林野庁跡地の入札問題について絞って考えてみますと、まずこれ長官に伺いますけれども、あの入札結果についてどんな御感想を持たれておるかまず同わしてください。
  205. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) この六本木の林野庁用地は大変有名になりましたが、三年間いろいろのいきさつがありまして、今回一般公開入札で売却されたわけであります。この値段の問題はともかくといたしまして、それぞれの自治体におきましても有効に活用したいというような御意見もあったわけでありますが、それらの御意見もあったために、この土地がむちゃくちゃな値段になるんじゃないかと予想されておったわけでありますが、決して安いとは申し上げませんが、周辺の地価を高騰させるような、引き金にならないような方向に行ってほしいなと私どもは希望しておったわけでありますが、国有地としていろいろの需要供給に合ったような形で売買されたのではないかなというふうに考えております。
  206. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 この六本木宿舎跡地の問題は、入札に至るまでにも論議が物すごくございました。動きもたくさんありました。ところが、入札後もまだいろんな論議があります。それを見るだけでも御報告しかねるほどたくさんあるわけです。地価押し上げのやはり懸念の声はどうしても消えないんです。  それから、やはり一般入札といっても入札のルールをつくらなければいけないんじゃないかとか、また、政府は無策だなとかありますわけですよね。やっぱり総括したところは、今はまあまあ地域の地価の高騰をあおるだけのものにはならなかったというふうにおっしゃったけれども、あの評価はそうでなく、結局はこの国有地の払い下げも地価をあおる結果に結びつくのではなかろうかというおおよその評論が私は大勢を占めておると思う。  そこで、ここで出ておりますところの入札のルールづくりというようなことについても、今後真剣に私は考えていっていただかなければならないというふうに思うんでございます。元来国公有地というのは公共性を持っているだけに、無制限の入札方法をとればいい、そろばんに合えばいいという事業ではないんじゃないか、やり方ではだめなんじゃないかという考え方でございますよね。しかも国有地ということになれば、これはやはり国民の負託を受けてそれを売りに出すということであっていいわけでございますから、その辺みんなが納得するやり方というのが私は必要だというふうに思うんです。その地域にとって一番そこが発展していく方法というような観点で物を考えるとすれば、そこを使ってこんな事業をしていく、あるいはこんなことに使っていくというような計画まで聞いて行うような、いわゆる入札希望者に対してはそういう計画まで出させて、そしてそれを検討していくような入札コンペのあり方みたいなものもたくさん言われているでしょう。そういうのも含めてこの入札に関するルールづくり、これは大臣いかがでしょうか。
  207. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) 確かに国公有地の処分が周辺地域の地価への悪影響を与えることがないようにということで私どももかねてから関係省庁にいろいろな御配慮をお願いしているわけであります。例えばその処分に際しまして地元地方公共団体が土地利用構想を持っている場合にはそれと十分調整すること、あるいは仮に一般入札に付するにいたしましても、きめの細かい土地利用計画を条件づけるとかあるいは転売を一定期間禁止するとか、そういった厳しい条件をつけること、あるいはできれば信託方式なんかも活用することとか、先生おっしゃったようなそのコンペの方式あるいは地方公共団体等への随意契約による払い下げ、いろいろな方法があるわけでございまして、私ども関係省庁といろいろ御相談申し上げておりますけれども、さらにもっと具体的ないいルールというものがあるかどうか今関係省庁と鋭意相談をしているところでございます。
  208. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それから、土地高騰を招いている原因として地上げ屋というような存在が強引な土地の買い占めを行っていくというような事柄もいろいろ出ておるようでございますけれども、その裏にやはり民間金融機関等の不動産業種への異常な貸し付けというのは、これは私、否めない事実なんですね。これも私は四月の、先ほどの申し上げました委員会におきまして御指摘申し上げておるわけです。マネーゲーム的に土地を一生懸命買い占めておると、これを今規制しておかないと大変ですよということを私は申し上げておりまして、当時日銀の調査で、私が調べたところでは不動産業者への貸付残高、たしか二三・一というふうに一月から二月の間のデータで御指摘申し上げた。一般企業への貸し付けは一〇・三なんです。それが二三・幾らだったわけ、それで私はこれは異常ですよと申し上げておいた。そしたらその後日銀の調査では四月—六月期で何と三一・一に上がってるでしょう、そうですね。そして七月—九月には三〇・九にはなっているけれども、私申し上げておいたとおりこれは四月に大蔵さんに依頼して指導してくれと銀行局さんに言ったんでしょう。だけどその指導が一向に功を奏してないわけですね。これは私はまことに遺憾な事情だと思う。大蔵省さん見えてますね、なぜこの効用が発揮できなかったんでしょう、通達の。
  209. 中平幸典

    説明員(中平幸典君) 金融機関の融資の問題でございますけれども金融機関がどういうところに融資をするかという問題につきましては、基本的には各金融機関の自主的な判断に基づくものであるというふうに考えておりますけれども金融機関は公共的な使命を有しておるわけでございまして、このことを十分に自覚をしてその融資に当たりまして社会的な批判を招くことがないように従来から私ども指導を行ってきているところでこざいます。ただいま先生の御指摘もございましたように、国土庁からの御要請もございまして本年の四月に金融機関に対して通達を発出いたしまして、投機的な土地取引を助長することのないように指導を行ったところでございます。  ただいま先生御指摘のように金融機関の土地融資、特に今先生がおっしゃいましたのは不動産業向けの貸し出し残高の伸び率につきまして非常に高い伸び率ではないか、こういう御指摘でございます。先生の御指摘になりました数字にもございましたように、九月末のところで前年に比較をいたしまして三〇・九%伸びております。これは八月末の三四・一というのから比べますと若干数字は下がっておりますけれども、依然として高いということは御指摘のとおりでございます。  今回の通達は、今申し上げましたとおり投機的な土地取引を助長するようなことのないように適切な対処をしてくださいと、こういうことでございまして、金融機関の土地関連融資その額そのものを抑制しようとするものではございません。土地に関連する金融機関の融資にも社会的に有用なものがあることが通例であることは御承知のとおりでございます。したがってその融資額が顕著に減少してないということをとって、直ちに通達の趣旨が生かされていないのだということにはならないと思いますけれども、いずれにいたしましても、最初に申し上げましたとおり金融機関の土地融資につきましては、今後とも国土庁等と緊密な連絡をとりまして通達の趣旨が徹底するように私どもとしても指導に努めてまいりたいというふうに考えております。
  210. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 土地が動くというのはお金が動くということなんですよね、だから大蔵省さんしっかりしてもらいたいと思いますね、これを私は四月に申し上げました。  それで、大変時間延長しているんですが、私の持ち時間。同僚が少し分けてくれると申しておりますので最後にちょっと申し上げて伺うわけでございますけれども。  建設大臣、さっき私地上げ屋という問題を出しましたわけでございますけれども、ただいま私が集めてきた限りでも土地に関するトラブルとかなんとかというのはこうあるわけよね、ニュースに事欠かないわけ。その裏にやはり暴力団まがいの動きがあることも重々御存じだと思います。この辺のやはり指導もしていかなければならないわけでございまして、こうした人たちの動きがまた間接的に地価高騰を起こしているということにも実はつながっておるわけでございますので、この辺のところをしっかり取り締まっていただかなければならないわけでございますが、建設省さんはさきに暴力団排除対策等を打ち出されて、警察庁とも全面的に連絡をとりながらこの排除をしていくということを発表されておりますし、現に対策をとられるようでございますので、警察庁とそれから建設省の方から仮にも新聞をにぎわすような、いわゆる建設絡みのあるいは土地絡みの事件等多くならないような対策をまずここで御披瀝いただきまして質問を終わります。両省からお伺いいたします。
  211. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) ただいまの御質問でございますが、暴力団の排除関係でございます。近年建設工事への暴力団の不法な介入による被害事例が多発しておることは事実でございます。そこで、これらの中で建設業者団体におきましてもこういうことではいけないということで、まず全国的な集まりであります全国建設業協会、ここがまず手始めにやりましたが、その後各県の各団体におきましても暴力団の排除に関する決議を行うなどいたしまして、非常に暴力団排除の機運も盛り上がっております。  そこで、私どもといたしましてはこういう状況にかんがみまして、建設業の許可を与えるかどうか、あるいは公共工事における指名の審査あるいは暴力団による工事の妨害などにおきまして、暴力団排除を徹底したいということで、警察当局との緊密な連携のもとに所要の措置を講じるように各都道府県知事に通知をいたしました。  内容を簡単に申し上げますが、四点ほどございますが、一点は建設業の許可を受けようとする者が、暴力団構成員である場合は許可をしない。これは現在もし許可をとっていれば更新はしない。こういうことでございます。それから公共工事の発注に際しまして、暴力団が実質的に経営を支配しているなどの不良業者が指名を受けることのないよう、十分資格審査あるいは指名審査を行っていただきたい。それから公共工事の受注業者が、不幸にも暴力団による工事妨害を受けた場合には、当然警察に被害届けを早期に出しますが、この業者に対しましては工程の調整あるいは工期の延長等の適切な措置を講じることというふうな内容を通達した次第でございます。
  212. 深山健男

    説明員(深山健男君) 警察といたしましては、建設業許可に関する暴力団排除について、暴力団対策上大変重要な意義を有するものと考えておるところでございまして、この面で最大限の協力をしていきたいというふうに思っておるわけでございます。したがいまして主管官庁が建設業の営業許可を受けようとする業者の中に暴力団関係者がいるかどうかを判断するために、必要な情報の堤供を積極的に行っていきたいというように考えているわけでございます。また、建設業界からの暴力団排除に関しましては、建設業に関する暴力団犯罪というものの徹底的な取り締まりを行いますとともに、現在、関係機関、団体との連係のもとに、建設業者からの防犯相談に対する積極的な対応あるいは警察と建設業者との暴排組織の結成等を通じまして、建設業者が暴力団から被害を受けることを防止するとともに、その保護の徹底を図る対策を進めているところでございますが、今後ともこれらの施策を強力に推進していく所存でございます。  以上でございます。
  213. 及川順郎

    ○及川順郎君 コンパクトにやりますからコンパクトに答えてください。    〔委員長退席、理事梶原敬義君着席〕  まず、会計検査院にお伺いをしたいと思うんですけれども、今回の建設省の検査で、不当事項として十件、意見表示をしたものが一件、そして、特に掲記を要したものが一件、合計十二件が報告されておるわけでございますが、この会計検査院検査結果に対するまず所見をお伺いしたいと思います。
  214. 大沼嘉章

    説明員(大沼嘉章君) お答えいたします。  私ども五十九年度決算検査報告におきまして、ただいま御指摘のように、不当事項を十件、それから意見を表示した事項一件、特記事項一件掲記をいたしております。  不当事項の内容でございますけれども、これは空気調和設備工事の施工に当たりまして、機器材料費を重複して積算したという単純ミスによりまして、非常に多額の契約額が割高になったという事例でございます。それから、不当事項のうち他の九件は、いずれも補助事業実施及び経理が不当と認められたものでございまして、地方公共団体等の事業主体が設計あるいは積算、施工におきましてミスを犯した事例でございます。  それから、意見を表示いたしました事項は、公営住宅の管理についての問題で、適切な管理が図られるよう、大臣に意見を表示したものでございます。  それから、特記事項として掲記いたしましたのは、都市施設等の整備事業におきまして、事業開始以来非常に長期間経過しているのに事業効果が発現していないという事項が多々見受けられましたので、これを特記事項として掲記いたしまして、各方面から御論議をいただきまして、事業の促進を図る一助といたしたい、そういう趣旨で掲記をさせていただいたものでございます。
  215. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは建設省所管の公団、事業団、日本道路公団一件、首都高速道路公団一件、阪神高速道路公団一件、本州四国連絡橋公団一件、水資源開発公団一件、住宅都市整備公団一件、この六件がありますけれども、この指摘された事項について、その後どういう善処の処置をとったか、同省からお答えいただきたい。
  216. 高橋進

    政府委員(高橋進君) 今御指摘のございました各公団の部分は、積算過大あるいは補償過大、仕様書の不適切等の項目でございますが、いずれにつきましてもそれぞれの公団等におきまして、積算の要領を改定したり基準を改定するといったような改善処置をとっております。
  217. 及川順郎

    ○及川順郎君 私は、会計検査院のときにも申し上げましたけれども指摘事項が、その後の善処していく手の打ち方というものが、これがやはり力を入れていかなければいけないんじゃないか、こういうことを申し上げました。同じような指摘が続いておるという形態がございますので、ぜひ善後処置につきましては今後とも力を入れていただきたい、このことを御要望申し上げたいと思います。  それから次に、建設省が八月にまとめました二十一世紀の長期ビジョン、国土建設の長期構想についてでございますけれども、内容を見ますと非常にいいことずくめでございます。しかし、何をやるにつきましてもこれは財政、お金がかかることでございまして、まず、所管大臣といたしまして建設大臣、この長期ビジョンに対する所見と財政的な手だてに対して妙案をお持ちでしたならば御開陳をお願いしたい。
  218. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 大臣の前に、財政的裏づけについて御質問がございましたので、多少細かい点もございますので私の方から御説明いたしたいと思います。  もう先生御存じのことだと思いますが、長期構想は、所管施設にかかわります整備水準、これをバランスのとれた形で達成するということでございます。西暦二〇〇〇年を目標にいろいろと検討した結果、目標水準を設定いたしまして、そのために必要な投資額を三百四十一兆円というふうに積算しておるわけでございます。  その財源の問題でございますが、非常に重要な問題でございます。そこで、この構想では、まずやはり一般財源を充当すべきであるということを主張しております。それから建設国債の適切な増発、それからさらに受益者負担方式の活用などによります特定財源の充実、さらには民間資金の活用など、こういった形で、国内の余資を活用することによって何とかこの長期構想を実現していこうということで、長期構想その自体には、いろいろ経済フレーム等を置いて述べておるところでございます。
  219. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 先般建設省が策定した国土建設の長期構想は、西暦二〇〇〇年を目途とした国土建設の目標を提示したもので、この構想では、本格的な高齢社会の到来を前にして、今後の十五年間を将来の国土建設のための貴重な投資期間と位置づけ、計画的効率的に社会資本整備を進めることといたしております。  私といたしましては、今後この長期構想を指針として、豊かな国土の建設を目指して努力してまいる所存でございます。
  220. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは国土庁にお伺いしたいんですけれども、四全総、先ほどからいろいろと御論議が出ておるわけでございますが、もう少し具体的に、どの重点政策を骨格に力を入れていこうとしているのか。それから、あわせまして、これもまた財政措置についてはこれは避けて通ることのできない問題でございまして、この辺の見通しについてまた立場をかえてお答えいただきたいと思います。
  221. 星野進保

    政府委員(星野進保君) 今御質問の点でございますが、今回御議論いただいております審議経過報告、国土審議会の審議経過報告でございますが、そこで明らかにしております何点かが先生の今御指摘に関連してございます。  一つは、交通体系と申しますか、高速交通体系を整備していくことによって交流機会をふやしていくということを一つ掲げております。  それから第二番目は、今よく言われておりますが、俗に言えば、それぞれの地域から情報の発信基地になるというようなことを中心にしながら、雇用問題あるいは就業の場、そういうものを活性化するような地方振興をするということも指摘してございます。  それから最後の第三点の、財源の問題でございますが、実は今度の経過報告では、今後十分にそこは詰めるという御指摘をいただいておりますので、今後私ども十分検討していきたいと思っております。
  222. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは、両省庁から御意見の出たところで、先ほども指摘がございましたけれども、こういうような計画がばらばらに出てくる、それぞれの立場で知恵を絞り合う、これは私は結構だと思うんですけれども、それが具体化されていくというのは地域であり、地方自治体にいきますと同じところへいくわけですね。こういうことから考えますと、やはり整合性という立場において、やはりそれぞれの省庁で考えていること、一致するところ、違うところ、これをセレクトいたしまして、そして、一緒になるところはそれをさらに具体化するために力を出し合うというような、仮称としまして連絡会議機関みたいなものがやはり必要ではないかと、こういう感じを常に思っているわけですけれども、この点に対しての考え方と、そして、そのような考え方を具体化する、そのようなものを設置するというような考え方が今あるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  223. 星野進保

    政府委員(星野進保君) 先生御指摘でございますが、四全総という全国総合開発計画というのは国土庁だけで到底できるものではございませんで、関係省庁のお力をかりてつくる仕事でございます。したがいまして、国土審議会という審議会が片一方にございますが、それと同時に関係省庁の幹事会等を設けまして、それぞれ連絡調整について遺漏のないようにしているつもりでございます。以後そういう方式でさらに一層緊密な連携をとりながら、四全総の作業を詰めてまいりたいというふうに考えております。
  224. 及川順郎

    ○及川順郎君 若干、質疑通告をしておりましたところをはしょりますけれども、御了解をお願いしたいと思います。お願いをしておりまして、御回答いただく機会がなくなるかもしれませんけれども、御勘弁を賜りたいと思います。  次に、道路財源についてお伺いをしたいと思うんですけれども公共事業の財源難が言われているわけでございますが、道路に限りましては決してこれは財源がないということは理由にならない要素もあるわけですね。それは本来一定割合を道路財源に充当するという自動車重量税、過去において五十七年から五十九年まで四千百八億円、これも、これほども充当されないで来ている。このうち六十年、六十一年で四百一億円が投入されていると。累積の未充当額はこれは三千七百億円になると言われているわけですね。この中から、六十年、六十一年のような形態でいきますと、相当の年数、これを崩していくのにはかかるわけですね。この中から六十二年度には一千億円でも二千億円でも本来の道路整備に充当させるべきじゃないか、こういう考えを持つわけですけれども建設大臣の御所見いかがでしょうか。
  225. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) これは先生のおっしゃるとおり、長年にわたって返してもらうという性質のものではなくて、次年度すぐ返すという約束だったんですが、大蔵省、それを実行しなかったために現在に至っております。そういう観点から、特別会計にきちっとしておけば文句のなかった財源なんですが、創立当時のことを、私の私案でできた税金が今の税金でございますから、そういう観点から、私十二分に承知いたしておりますが、余り返済が、大蔵省が返すということがちょっとおくれるようでございますとやむを得ませんから、将来のこともありますから、これは完全特別会計にしようという考え方を持っております。今年度は全額返せと今主張しております。
  226. 及川順郎

    ○及川順郎君 道路に関連しまして高速道路の補修についてお伺いしたいと思うんですけれども、高速道路の総延長が三千五百キロを超えたと言われておるわけです。この延長面では諸外国並みになりつつある、こういう状況でございますが、四十年ころ開通をしております例えば名神とか、その後開通しました東名、これでは非常に道路の傷みが激しくなってきているという状況があるわけです。特に、大型車によるわだち掘れが物すごく激しい。私も現実に体験しているんですけれども、そういう声を聞きまして、富士市からちょうど沼津あたりまで行きますと、ハンドルがかなりとられるような、ローリングするところがかなりある。やっぱりわだち掘れがある。こういう問題が指摘されておるわけでございますけれども、この点検補修と具体的な作業の進め方につきまして、これは本当に事故の未然防止という立場からも大事な要素でございますので、所管当局といたしまして今までやってきている状況も踏まえて御答弁をお願いしたいと思います。
  227. 萩原浩

    政府委員(萩原浩君) 先生御指摘のように、高速自動車国道を通行いたします車両の安全かつ円滑な走行の確保の観点からいたしますと、日常の巡回点検とか路面性状を調査をいたしまして、必要に応じて良好な維持管理を行うということは非常に重要なことでございます。したがいまして、いろいろな基準をつくりまして補修の完璧を期しておりますが、具体的には、路面の補修につきましては、車両の安全走行に影響が生じないようにするためには、わだち掘れが二十ないし三十ミリ以下というのが一つの基準として我々は適用させていただいております。そして、三十ミリに達する前にオーバーレイ等の舗装改良を実施することにいたしておりまして、その結果といたしますと、全国平均では八年ないし十年に一回の周期で舗装改良を行うという平均的な数字になってございます。しかし、東名高速あるいは中央高速道路のように大型車の混入率の多いところ、あるいは重交通の路線におきましては、統計的には五ないし七年に一回の周期で重点的な舗装の改良を行うということを現実の姿といたしております。  ただ、先生御指摘のように、特に降雨時のようなときには、このわだち掘れによるハンドルのぶれといいますか、ハンドルとられと私ども言っておりますが、ハンドルがとられるような事態がよく起こるわけでございまして、この点についてさらに適正な、今設けております管理水準を維持できるように十分点検を続けていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  228. 及川順郎

    ○及川順郎君 高速道路網につきまして若干関連してお伺いをしたいわけですけれども、第三次全国総合開発計画、これは全国的な幹線交通体系の長期構想として発表されておるわけですけれども、この高規格幹線道路網についてのその中で、特にその後第九次道路整備五カ年計画の中で定められている路線の中におきまして、現在では中部日本横断自動車道という呼び方をされておりますけれども、静岡から山梨を通りまして長野の佐久市で関越自動車道と結ぶ道路があるわけですね。かなりこの路線につきましてはもう話題になってから久しい年月もたっているわけでございますけれども、この自動車道の具体的な建設に向けての現在の取り組み、見通しについて若干御説明をしておいていただきたいと思います。
  229. 萩原浩

    政府委員(萩原浩君) 第三次全国総合開発、これは五十二年の十一月四日に閣議決定されてございますけれども、その中で、全国的な幹線交通体系の長期構想といたしまして高規格の幹線道路網の必要性が提唱されてございます。このあれを受けまして、私どもでは、第九次道路整備五カ年計画、これは六十二年度に終結をいたしますが、その第九次道路整備五カ年計画中にこの高規格幹線道路網計画を策定しようということをうたい上げております。六十二年度が来年になりました、また一方で国土庁におかれまして第四次全国総合開発計画を今策定されている最中でございますので、ここら辺と相呼応いたしまして高規格幹線道路網計画の策定を終えたいというふうに考えている次第でございます。  現在その策定作業中でございますけれども、この中におきまして先生御指摘の中部日本横断自動車道の問題につきましても検討中のところでございまして、まだ最終的な段階に至っておりません。現在この高規格幹線道路網の御要望は全国から非常に多くの御要望をいただいておりますので、十分そこら辺との調整を兼ねて計画にまとめていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  230. 及川順郎

    ○及川順郎君 時間が参りましたので、住宅政策につきましても質問項目を考えておりましたけれども、最後にまとめて一つだけ確認をして私の質問を終わりたいと思うわけでございますが、住宅金融公庫目的、この目的が立法の趣旨に基づいて考えますと、大変最近の状況、具体的な業務の遂行の上から考えますと、少し状況に合わなくなってきているんではないかと、こういう感じを強くするわけでございますけれども、この点につきまして住宅金融公庫総裁の御見解をお伺いをしておきまして、またその状況によりましたら、次の機会にまた御質問をさせていただきたい、このように考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  231. 河野正三

    参考人(河野正三君) 御質問にございましたが、住宅金融公庫法の第一条「目的」というところでは、「国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅建設及び購入に必要な資金で、銀行その他一般金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」と、こうなっておるわけでございます。一概に、政府系政策金融機関のことを民間金融の補完機関というふうに言われますが、他の政策金融機関と少し違いまして、住宅金融公庫は銀行その他一般金融機関が融通することを困難とするものを融通する。これは昭和二十五年にできまして以来、当国会でも趣旨説明をいたしておりますが、低利かつ長期の資金、これは民間金融機関でもなかなかしにくかろうという前提のもとにできているものでございます。現在民間の金利も下がっておりますが、まあ大体住宅ローン七・〇二、当金融機関がやっておりますのは、財政当局の、政府の補給金をちょうだいいたしまして、基準金利が五・二五%でございます。それから、民間の住宅ローン等は二十五年ぐらいが限度でございますが、我が方は木造が二十五年、準耐火的なものが三十年、それから耐火構造は三十五年というようなことで、非常に長期でございます。  依然といたしまして、現在の金融情勢は、公庫のこういった長期低利の資金を必要としているという前提のもとに、健康で文化的な生活を営むに足る住宅の質の向上に向けて努力をさしていただいておるわけでございまして、現在のところまだこの目的そのものを逸脱する業務はしておらぬ、まだ当分これでやってまいりたいと、こう思っておるわけでございます。
  232. 及川順郎

    ○及川順郎君 ありがとうございました。
  233. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私はこれから質問することについて、ジレンマを感じている次第でございます。と申しますのは、先ほど梶原委員も取り上げられましたけれども、国土総合開発計画というのは都市と地方との均衡ある発展を目指さなきゃならない。ところが、三全総にそういうふうにうたわれておりますにかかわらず、実際には、現実には一方において大都市集中があるし、他方においては過疎地域がどんどんできつつある。これをどうして解決したらいいかという場合に、一つの方法は、強権的な全面的な計画化と申しますか、行政命令によって東京の人口を半分ぐらい地方に出ていけと強制的に移してしまう。こういう商売をする人はもう東京にいちゃいけない、そういう均衡ある発展を図る方法があると思いますけれども、これは民主主義のもとにおいてはとることはできない。他方においては、結局何もしないでほうっておく。見えざる手の導きによる調和を信じて、いかに居住環境が悪化しても何ら対策を打たない。建設省も国土庁も全部やめてしまう、行政改革に役立つと思いますけれども。何もしなければ、結局居住環境が悪化すれば、あるいは地価がどんどん暴騰すれば、こんなところには住めないといってUターンして地方に戻っていくかもしれない。しかし、こういう方法も民主政治のもとにおいてはとれないわけであって、結局政治というのは相矛盾する要求をいかにして調和さしていくかというのが政治の目的であり、特に民主政治のもとにおいては、そういう矛盾した要求を調和さしていかなくちゃならないわけでございますけれども、特に私はこの矛盾というのは大都市の都市の開発なんかの問題で痛切に感ずるわけでございます。つまり人口の都市集中の結果として居住環境がどんどん悪化していくし、地価はどんどん騰貴していく。しかし、これをやっぱりほうっておくわけにはいかないので、何らかの対策を講ずる必要があるわけです。しかし、その対策に成功すれば、ますます都市に人口が集まってきて、東京の人口が無限にふくれ上がっていくだろうと思うんです。そういう意味でジレンマを感じているわけですけれども、ほうっておくわけにはいかない。やはり大都市の居住環境の改善というのは私は重要な問題ではないかと。特にきょうは地価の問題について取り上げたいと思います。ただし、刈田委員が先ほどいろいろ取り上げられましたので、重複する点は省略いたしまして、ただ、私まだ答弁が不十分じゃないかと思う点がありますので、その点は繰り返しになりますけれども、御了承願いたいと思います。  まず事実関係を明らかにしておきたいんですが、いろいろ新聞でも報道されておりますし、民間の研究機関なんかでも調査して発表しておりますけれども、最近の東京の地価の高騰ぶりについてどの程度上がっているのか、もちろん全部の地域を言うことはできませんけれども、二十三区内の商業地区、商業用地及び住宅用地について大体のところ去年と比べてことしどれだけ上がっているか、それをお聞きしたいと思います。
  234. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) 東京二十三区内の地価の動向について説明せよという質問でございますが、六十一年の都道府県地価調査によりますと、この一年間の東京二十三区平均の地価変動率は、商業地で四〇・五%、住宅地で三〇・五%でございまして、特に都心部や南西部の方面で高い変動率になっております。特に四〇%以上も上昇したような区がかなりふえておりまして、商業地について申しますと、前年は二つの区であったわけですが、六十一年には十一区、一市、それから住宅地につきましては、前年は一区でございましたが、四〇%以上の変動率を示した区が十一区にふえておるというようなことでございます。また一〇%以上の変動率を示している区が非常に多くなったということで、商業地で申しますと、一〇%に達していない区は足立と江戸川だけでございますし、住宅地について見ますと、足立、江戸川のほかに江東、葛飾、板橋、この五つの区が一〇%以下でございますが、それ以外は一〇%を超えている、こういうふうな状況でございます。
  235. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 そういったふうに土地の値段が上がった原因はどこにあるというふうにお考えですか。もちろん原因といいましても、いろいろな意味の原因があって、単なる誘発因もありますし、基礎的な要因もあるだろうと思いますけれども、何が原因になっているというふうにお考えなのか。
  236. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) 私どもはこの原因といたしまして、まず基本的には都心部の地価高騰が特に著しいわけでございまして、それは結局都心部における事務所需要が非常に大きくなっている。東京の世界の中での地位が高まっている、あるいは情報化が進んでいる、こういった時代の動きに関連して東京都心部の事務所用地の需要が非常に増大しているということがありまして、これに対して供給がなかなか追いつかない、したがいまして都心部での土地の価格が非常に上がっている、こういうことが基本的な要因、現象であろうかと思っております。これに伴いまして都心部の周辺の従来住宅地であったようなところが業務地化している、こういうことで地価が上がっておりますし、さらにまた都心部で土地を売った人たちが周辺の住宅地等で買いかえをしたい、こういうことで買いかえの需要が非常に大きくなっている、こういうこともあろうかと思います。このために都心部の地価が周辺部に波及している、こういう現象が見られるわけでございます。こういった中でまた一部不動産業者等が短期的騰貴的取引いわゆる転がしというふうなそういう取引が盛んに行われておりますし、これがその地価高騰に拍車をかけているだろうと思いますが、その背景といたしましてはやはり金融緩和の状況、非常に金融機関等が不動産に対して融資を積極化している、こういうことが大きな背景となっているというふうに私どもは認識しておるわけでございます。
  237. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私もこれはいろいろな原因が複合してこういう結果を生み出していると思うので、単一の原因に帰することはできないだろうと思います。  きのう届きました中央公論の一月号を読んでおりましたら、自民党の代議士さんが最近の土地高値の取引の一つの原因として中曽根首相のいわゆる民活といいますか規制緩和、これがつまり先物買いをもたらして、促進して地価をはね上げたということを言っておられます。これもその長期的な原因であるかあるいは誘発的な原因であるか、その原因というのをどういうふうに解釈するかによって違ってくると思いますけれども、これについて別に御意見を聞こうとは思いません。ただいろいろな原因が複合しているということだけ確認しておきたいと思います。  それで、その国土の利用の問題ですけれども、先ほど刈田委員が東京都条例で二千平米以上のやつを五百平米に引き下げて届け出を義務づけるということを条例によってやる。刈田委員からなぜ国土利用計画法の改正でやらないのか、私も全く同感で、何か国土庁の方で責任逃れというのは言い過ぎかもしれませんけれども、何か後手後手に回っているような印象を受けるんですが、現在その法律改正について関係省庁と打ち合わせをいろいろしていろいろ検討しているというお返事がありましたけれども、一体どういうところにこれが今までやれなかった障害があるか。いろいろなこういった法律なんというのはメリットとデメリットが必ずあるんですけれども、どういうところに障害があるというふうにお考えですか。
  238. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) 先生御案内のように、国土利用計画法が昭和四十九年に制定されたわけでございますけれども、その当時は全国的な土地取引が盛んになりまして、いわゆる買い占め等の現象もかなり行われたわけでございまして、そういった現象に対処して最小限緊急な措置として市街化区域の中では二千平米以上、その他いろいろ面積が決められておりますけれども、そういう規制をする措置が講じられたわけでございます。その後はかなり地価は比較的安定した状況であったわけでございますけれども、ここ一年そこそこの間に非常に地価が東京の都心部において局部的に急激に上昇したと、こういう現象が起こったわけでございます。  東京都心部におきます地価上昇の実態を見てみますと、全国的な土地取引の規制の網にかからない小規模な土地取引がかなり多いということでございます。都心五区について見ますと、現在国土利用計画法でチェックされる取引の割合というのは二%そこそこでございます。そういう状況では国土利用計画法がその地域の地価上昇に余り効果的に作用しない、そういうおそれが出てまいりましたために急遽対応策を東京都とも相談したわけでございまして、五百平米以上というふうに引き下げますと都心五区では約二〇%弱、一八%ぐらいの取引の部分が規制できる、こういうことになったわけでございまして、法律改正も当然考えなければならないわけでこざいましょうが、当面緊急の措置として条例でそういう措置をとっていただいたと、こういうことでございまして、したがって最近のそういう都心部の地価上昇に対応いたしましての国土利用計画法の改正も今行っていると、こういう状況でございます。
  239. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 その届け出制というのは一定の規制区域内の問題ですね。それでその規制区域に指定する要件として投機的な取引が行われている、あるいは土地の価格の高騰のおそれのある地域というふうになっていたように思います。正確なことは覚えていませんけれども、そういう趣旨であったと思います。そのおそれのあるというのは地価上昇が例えば一〇%も上がったら規制区域に入る、あるいは二〇%であればその規制区域に入れる、そういう一定の基準というのがあるのですか。
  240. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) 国土利用計画法の十二条で規制区域の指定の要件が書いてございまして、「都市計画区域にあっては、その全部又は一部の区域で土地の投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われ、又は行われるおそれがあり、及び地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあると認められるもの」という規定でございます。そしてこの地価の上昇がどの程度あればこの要件に当たるかということについては客観的な数字はないわけでございます。基本的には都道府県知事がこの要件に当たるかどうかということを判定して、指定が必要があると認めれば指定をするわけでございますけれども、東京都におきましては先ほど御説明申し上げましたように、従来の国土利用計画法の規制では非常に大部分の取引が規制の綱にかからない、こういうことで当面小規模な取引も規制をすると、こういうことで条例を制定したわけでございますので、その条例の制定の効果を見ながらかつ今後の地価の動向をよく監視しながら必要があれば規制区域の指定を検討をしていこうと、こういう東京都知事の判断であろうと思います。したがって、第一次的に東京都知事がそういうことを判断いたしましたものを我々は特にそれについて異議を申し立てるというよりは、やはりその判断を尊重いたしましてしばらくその動静を見守っていきたいというつもりでございます。
  241. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 民社党も「地価の高騰を抑える緊急四大政策」というのを発表したわけですけれども、その中で「遊休地の利用を促進するため、遊休地指定の面積要件を三大都市圏の市街化区域では現在の二、〇〇〇平方メートルから五〇〇平方メートルに引き下げるとともに、取得後三年を経っても利用されていない土地は全て遊休地に指定する。」というふうにして、「遊休地に指定された土地は、通常の固定資産税の五〇%増しの課税を行う。」というふうな提案をしているんですけれども、これをどういうふうにお考えでしょうか。
  242. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) この国土利用計画法上の遊休土地の指定の要件は今先生おっしゃったとおりでございます。こういう規模が定められている、市街化区域では二千平米以上という規模が定められているゆえんは、面積的に土地の利用形態が周辺の土地の利用に影響を与えるほどの規模を持っている場合にその有効利用を図っていこう、こういう趣旨であろうと思います。したがいまして、必ずしも届け出面積、届け出を必要とする規模が二千平米であるから遊休地の規模が二千平米になっているというふうに必然的に結びついているものではないと思います。したがいまして、届け出対象面積が引き下げられるような措置を講じた場合、直ちにその遊休土地の指定対象面積を引き下げるべきものかどうかということは、これは一概に論ぜられませんけれども、供給促進の観点からこの制度が有効に使われるように私どもも届け出規模の引き下げの検討とあわせて検討してまいりたいと思っております。
  243. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 民社党は、さらに土地税制の強化で、現在十年を区切りにして短期譲渡所得と長期譲渡所得に分かれていますね、その短期の中をさらにもっと短い、三年以内、超短期と申しますか、それについては譲渡益に対してもっと高い率の税をかけるように、この問題については、これは建設省ですかね、国土庁になるか私にはよくわからないんですけれども、新聞で拝見しますと、所有期間が二年以下の土地を売った場合、譲渡所得に対して最高九四%の重税を課す、これはもう民社党以上に大胆な提案だと思って感心しているんですけれども、こういうふうなことを検討しておられるわけですか。
  244. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) 現在、六十二年度の税制改正の要望の一つといたしまして、国土庁と建設省と共同で先生おっしゃったような超短期の重課制度について要望しているところでございまして、二年以内の土地の譲渡益に対しましては現在よりも重い税率を課する、国税と地方税を合わせますと最高九四%ぐらいになる、こういうことでございますし、さらに赤字法人の場合も当該土地取引を完全に分離して課税する、こういう案で要望を行っているところでございます。
  245. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 大変結構な案だと思います。民社党もそれプッシュしておりますので、早くそれを実施していただきたいというふうに考えております。  それに関連しまして、農地の宅地並み課税、これは各省にまたがっておりまして建設省だけでどうなるという問題ではないと思いますけれども、やはり市街地における土地の供給を促進する手段として、農地の宅地並み課税の問題を次に取り上げたいと思います。これも雑誌の論文からの引用ですが、「文藝春秋」の六十一年十二月号を読んでおりましたら、前農業経済学会長をしておられた中嶋千尋さんが大都市の地価の高騰を抑える、いろんな提案をされておられるんですけれども、その中の一つに、結論的に言えば、現在の固定資産税、都市計画税を含めますけれども、農業として十年以上利用する意思がはっきりしている農地の場合は固定資産税が非常に安くて、そうでない住宅地の二十分の一から五十分の一ぐらいじゃないか、これは余りに不公平じゃないか、また、限られた資源の効果的な利用という点からいっても極めて不経済ではないか、したがって市街化区域内の農地に対しても、農業をやる意思があろうとなかろうとにかかわらず、宅地と同じような固定資産税を課せというふうな提案をされております。これに対して農協あたりで猛反対しているようですけれども、また我が党の中でも必ずしも意見が一致していない問題ですけれども、この提案、住宅地の供給という観点から見て建設省、どういうふうにお考えでしょうか。
  246. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 先生御指摘のとおり、特に東京などの大都市を中心にまだまだ宅地開発の必要があると思っておりますが、その素地としては市街化区域農地の役割は非常に大きいと私どもは考えております。その宅地化の促進というのが非常に重要なものでございますけれども、そのためには、例えば公的機関が宅造を進めるとか、あるいは民間の優良な開発に公的金融を進めるとか、あるいはただ土地が仕上がっただけでもだめでございますので、立派な町づくりをやるためには関連する公共公益施設の整備が必要でございます。そういうものもやるわけでございますが、そういうもろもろの施策の中で、先生の御指摘のありました宅地並み課税、ただ、これは今先生も民社党の中でもいろいろ御意見があるというお話でございましたが、私どもは、いろんなこれは長年の経緯がございますが、現時点では五十七年に一応割り切りをいたしまして、ただいま先生からもお話のあったような長期営農の意思のあるものできちっとやっているものは除いて、かつ三・三平米で三万円未満の土地を外しますけれども、そういうものについては一応恒久的な制度として宅地並み課税をやったと、その効果がどう出るかということを現在見守っておるというふうな状況でございます。
  247. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 現実には、例えば長期営農地域となっていてもクリの木を二本植えてそれでそのままになっている、これはもうむしろ税執行の面であって政策の問題じゃないと思いますけれども、そういうルーズなやり方が行われている市町村なんかかなりあるように思います。やはりこれは確かに権利の制限になりますから非常に大きな問題でありますけれども、土地というのは、普通の財貨と違って再生産できない土地で、しかも生活の基盤になっていますので、所有権自体には触れないにしましても、利用権については大都市の場合においてはそれを制限するのはやむを得ないんじゃないか、もちろん一定の緑地帯を残さなくちゃいけない、これはもう当然の話ですけれども、大都市内においてもお米をつくるか、あるいは野菜をつくるとか高収益のミニハウスなんかの施設農業に転換するという手もありますし、あるいは市街化調整区域の方に出かけていってそちらで水田農業なら水田農業をやるという手もあるわけですし、やはり公共の福祉、非常に土地が高くて東京あたりではもう現在自分の土地を持つということはみんなあきらめていると思うんですけれども、それを少しでも上げさせない、あるいは引き下げることができればなおいいんですけれども、上げさせないという意味において、私はやはりこの提案は実行さるべきじゃないかということを考えていますけれども建設大臣いかがでございましょうか。
  248. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 現在施行されておる宅地並み課税を創設するときにいろいろ問題がありましたが、一応押し切ってあの法律をつくりました。それがちょうど今五年目になってきまして、その実績がどう出るかというところに来ております。この実績いかんによっては、当然、税金関係からいったって片一方は七百円で片一方は何万円も取られるというような状態にあるわけでありますから、国家的立場から考え方をより強く進めていきたいと思っております。
  249. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 国土庁長官、いかがでしょうか。
  250. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 今建設大臣がお答えになりましたように、宅地並み課税の問題は従来からのいろいろのいきさつでできた問題でありまして、来年が長期営農継続の確認のいろいろの実績が出るときでございます。これらの問題を踏まえ、今後検討していかなければならない問題だと思いますが、特に地価の問題は目下の非常に重要な問題でございまして、去る九日、政府におきましても地価対策関係閣僚会議が閣議で決められまして、第一回目の会合も開いたところでございまして、関係各省庁と今後地価の問題については十分協議をしてまいりたいと考えております。
  251. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 今申しましたような趣旨で積極的に取り組んでいただきたいということを希望しておきます。  次は、これも住宅なりオフィスなりの供給増加の一つの方法としまして都市の空間利用の問題、これを次に取り上げたいと思っております。  地下街の開発、商店街やなんかの開発は先年の静岡の大火災事件以後、一応抑えられていたようですけれども、最近、安全性を考慮しつつ緩和するというのを新聞で拝見しました。私の考えていますのは、地下ではなしに高速道路あるいは鉄道線路なんかの上空、上の方ですね、これを認めて建築を許したらどうかというのが基本的な考え方ですけれども、現在日本でそういったふうな高速道路なり鉄道用地、線路の通っているところ、そういったふうなところで建設を認めている例はございますか。
  252. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 一般的に申しますと、その軌道敷の中で、例えば駅、駅舎と一体として駅の上の線路敷を使うというものについては既にかなりの例がございます。ただ、例えば東京都の山手線のような駅と駅との間の線路敷を使い、そこに建物を、その上空を利用した建物を建てるという状態につきましては、両方サイドに例えば道路が整備されていない、あるいはいろいろ安全性の問題等がございまして現実に例はございません。
  253. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 確かに安全性の問題、非常に重要だと思うんですけれども、しかし高速道路なんかの場合というのは大体横にかなりの空地がとってあるように思うんですけれども、そういった高速道路なんかの上空の利用というのはそれほど障害がないんじゃないかという気がするんですけれども、どういうふうにお考えでしょうか。
  254. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) ごく一部の例ではございますが、建物と一体として道路を構築するという例がございます。例えば、その建物の中の一部を都市の高速道路に使っている例とか、あるいは高速道路を建物と一体といたしまして、高速道路の下の方を例えば業務用ビルに使うというような例は現実にございます。ただ、現在の都市の形態からいたしまして、御案内のように首都高速等をごらんいただけばおわかりいただくわけでございますが、かなり限定されました道路、あるいは地下、あるいはもともとの河川敷等、河川の掘り割りの河川敷等を使いまして道路を構築しているというような例からいたしまして、現実問題としては余り大幅に道路敷を使って空間を利用するということに適した土地は少ないかと存じます。
  255. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 これは確かに安全性の問題なんかを考慮する必要があると思います。直ちにやった方がいいとは申しませんけれども、一つの検討材料にはなるんじゃないかと思うんですけれども、十分研究していただきたいと思っております。  この決算建設関係のやつの決算をやらなくちゃいけないものですから、素人ですけれどもいろいろ本を読んでおりましたら、アメリカでは空中権という権利が何か認められていて、一定の数個の街区群の中で、例えば教会なんかの古い建物、その上空を利用しないけれども、隣の建築物、ビルディング、その上で数ブロック全体として高さ制限の中であればそれを認める。そういうのを空中権とかなんとか言っているそうですけれども、日本の場合でも街区群というんですか、特定街区制度の中ではそれを認めるという考え方のようですけれども、今どのくらいありますでしょうか、こういうのは、実際にやっているのは。
  256. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 特定街区は、昭和三十六年度に設けられました制度でございまして、良好な市街地の形成とそれから高度利用を図るという見地で、周りに一定の幅の道路があるとかいろいろ要件がございます、例えば公共的な空間を確保するとか。そういうところについては、現在の利用できる容積率を上回った容積を認める。あるいは、特定街区が隣り合っています場合に、その相互で、ただいま先生がおっしゃったように、容積数の移転を認めるというような特典を与えまして、全体として、現在その全国十五都市で六十八地区の実績がございます。そのうち半分を超えます三十八地区が東京でございます。  以上でございます。
  257. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 わかりました。  私はやっぱりこういうのは大都市の場合には、単なる歴史的な建物の場合以外においてもやっぱりやっていくべきじゃないかというふうに考えております。  それから最後に、建物の高さ、これの制限は方々であるようですけれども、最低限、この高さ以下の建物は建てていけないんだという、これも本で読んだ知識ですけれども、パリやなんかでは市街が大体同じ高さでずっと並んでいて、ある一定の高さに満たない建物は認めない、新築あるいは改築を認めないんだというふうな都市計画ができているように聞いたんですけれども、日本でそういうふうな最低限を決めているところございますか。
  258. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 都市計画法上及び建築基準法上高度利用地区とかいろいろ高さの制限、低い方も高い方も両方あるわけでございます。ただ、残念ながら日本の場合にはやはり道路事情とか、それからそういう周辺の状況の整備が一緒に図られませんと、一律に高さを最低制限いたしまして高い建物を建てると、現実問題としてなかなかいかない。防災上の問題その他交通上の問題いろいろございます。全体として良好な都市づくりをするために、市街地の再開発を行うとかあるいは都市の中で区画整理を行うというような場合には、できるだけ高度利用を図られるようとれからも、法制面ばかりではございません、実際上の指導の面でも考えてまいりたいと存じます。
  259. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私は、やはり都市の美観という点から、ある地域については高さを大体そろえる、そういう政策もとってもいいんではないかというふうに思っておりますけれども、これも検討していただきたいと思っております。  なお、質問通告では下水道の開発についての民間活力利用の問題を出しておきましたけれども、いろいろ勉強してみまして私ちょっと確信が持てなくなりましたので、この質問は取り下げます。  以上で私の質問を終わります。
  260. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 まず、地代家賃統制令失効の問題でお尋ねをしますが、この統制令が本年末をもって失効となりますので、これを機会に大幅の家賃値上げが起こるのではないかという不安が、特に私の地元京都は被戦災都市として借家が多いために不安が募っています。    〔理事梶原敬義君退席、委員長着席〕 こうした便乗値上げ問題についての建設省としての見解と指導方針の要点を簡潔に御説明いただきたい。
  261. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 地代家賃統制令は本年の十二月三十一日をもって失効されることになっておりますが、この失効に当たりましては国会附帯決議の趣旨を踏まえまして、統制令の失効に便乗した不当な地代、家賃の引き上げ要求が行われないように統制令失効の趣旨の周知、これを徹底いたしますとともに、各地方公共団体におきます住宅相談体制の充実、それから地主、家主団体、中介業者団体等、この関係団体に対する便乗値上げの防止要請等を行ってきたところであります。
  262. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 もう少し具体的にお尋ねしますが、ことしの六月六日付の住宅局長通達で、各都道府県並びに指定都市に対して統制令の失効に伴い賃料が自動的に引き上げられるという、そういうものじゃないと。賃料を改定する場合でも急激な引き上げは避けるよう要望したいと、こういう通達を出されておりますね。
  263. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 事務次官、住宅局長通達をもちまして、六月の六日に知事、政令指定都市市長、公庫、公団総裁に対しまして地代家賃統制令失効の場合についての家賃の急激な値上げの防止のための通達を出しているところであります。
  264. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 このような建設省の通達、指導にもかかわらず、現実には便乗値上げとも言うべき動きが始まっているんであります。既に京都では三倍以上、四倍に近いような賃料値上げを通告する動きを私幾つか聞いているわけでありますけれども、一挙に三倍以上の値上げといえば、この建設省指導にある急激な値上げは避けるというこの方針に照らして、首をちょっと常識的にかしげざるを得ないと。具体的には自治体が対処すべき問題かとは思いますが、こうした不安は、借家の問題というのは京都だけの問題ではないでしょうし、この六十一年六月通達の精神の一層の徹底を国としてもやってもらいたい、どうでしょう。
  265. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 家賃の改定につきましては、基本的には当事者間の協議によって定められていくものでありますが、その場合におきましても急激な増高というのは、これは厳に避けなければなりません。そういう意味で、次官、局長通達を出して指導しているところでありますが、こういう統制令の失効に伴います場合の便乗値上げの防止につきましては、御指摘の趣旨を踏まえまして、そのような動きが生じないよう、またこれが広範に広がらないように関係公共団体に十分指導してまいりたいと考えております。
  266. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 次に、私も地価対策の問題で幾つかお尋ねをします。  東京の都心を初めとする最近の地価の高騰は異常であります。政府は対策委員会を設置していろいろ対処をしているという先ほど来の答弁でありますが、実際にやっていることは地価の抑制どころか、国公有地を次々と売却するなどして都心の地価急騰に拍車をかけているという批判が強いかと思います。  具体例で見れば明白でありまして、最近の六本木のあの問題、大きな批判が巻き起こりましたし、六十年八月の当院清水谷宿舎近くですが、千代田区紀尾井町の司法研修所跡地の売却をめぐってどういう事態が起こったか。売却の落札価格は坪当たり二千八百万、このため近隣の公示地の公示価格、国土庁からきのういただいた資料でも、六十年一月の坪五百十二万円から六十一年一月の坪八百十五万円とわずか一年間に五九%も上昇すると。私は実際はもっと激しい形じゃないかというふうに思うのでありますが、ここへいよいよ国鉄分割・民営化法案の成立を機に国鉄用地の大量売却が始まる。地価高騰に一層の拍車がかかるのではないかと懸念されるのであります。  これは何も私ども批判しているだけじゃない。今もありました中央公論新年号に自民党都市問題プロジェクトの重要メンバーと言われます大塚雄司衆議院議員の「「中曽根民活」の虚構を衝く」というあの論文といいますか、あるいは文芸春秋の十二月号に鈴木東京都知事も「国鉄用地競争入札に異議あり」と、こういう見出しの文章が出ているということは御存じのとおり、大臣首を振っておられますけれども。  どうでしょうか、こういうことで国公有地の大量処分が地価高騰の非常な引き金になるんじゃないかという危慎は、さまざま指摘されているんですけれども国土庁長官、そういう危惧のもとで、国公用地売却による地価高騰を来させないためにどういう新しい方策をとるんでしょうか。
  267. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) 確かに国有地、それから国鉄の用地もそうだと思いますが、国民共有の非常に貴重な財産でございます。そういった財産を適正な利用計画のもとに適正な価格で処分するということが非常に重要だと思っております。この土地をまた民間にうまく活用していただいて供給を促進すると、こういう効果もまたあるわけでございまして、さまざまな角度から最も適切な処分の方法というものについて我々検討していきたいと思っておるわけでございますが、従来から私どももなるべく国公有地等の処分が周辺地域の地価に大きな影響を及ぼさないような方法を、いろいろ各行政機関等に対してお願いをしてきたところでございます。
  268. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 非常に抽象的な言い方で、そういう地価高騰の引き金になるんじゃないかという懸念は消えませんね、それでは。  先ほど来の応答の中で、国土庁は投機的土地取引を規制をするために東京都条例の制定を先行させて、同様の趣旨からの国土法の改正も今検討中だということではありましたが、ありましたように、国の責任が後ろになってるじゃないかというここの問題もちろんあります。それと同時に私が指摘したいというのは、その内容であります。この都条例の内容、すなわち五百平方メートル以上を規制をするというものでありますが、最近各所で起こっている事態から見て、もっと小規模の土地を対象にする内容としない限り十分効果を発揮しないんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、どうでしょうか。
  269. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) 現在東京都条例では三百平方メートル以上二千平米以内で知事が定める規模以上ということで、五百平米ということになっておるわけでございますけれども、私ども考えておりますのは、五百平米というのはかなり大きな規模ではございますけれども、その一団の土地が五百平米であればその部分はいかなるものも全部その届け出の対象になるわけでございます。したがって、恐らく非常に高い価格で土地を買って、いわゆる地上げをやってビルを建てていくというふうな場合には、かなりある程度の規模にならざるを得ない。したがいまして、その最終的なユーザーが土地を取得するどこかの過程で条例の対象になるという可能性が大いにあるわけでございまして、そういう一団の土地の運用を的確に行っていくことによってかなりの効果があらわれるのではないかというふうに思っております。
  270. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 どうも認識が甘いと思いますね。  具体例で見ていきたいと思いますが、今東京の港区の汐留貨物駅の跡地、約二十ヘクタールでありますけれども、その開発をめぐって財界、大企業がもう激しい競争を展開をしている。周辺地域の土地買い、地価上昇は過熱の一方であります。まず大手で住友不動産が土地買いに入って、それに触発をされて、大手、中堅合わせて六十社から七十社、これが殺到しているということで、まさに地上げ競争のラッシュでありまして、わずか十カ月で実勢価格が二倍にはね上がると、何と坪当たり五千万から六千万とも言われるようなところさえ出てきている。これは新聞報道などもあるところですが、実態を国土庁はつかんでいるでしょうか。
  271. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) 私どもの方は、国土利用計画法に基づきます取引、届け出義務がある取引については、私どもは十分監視をしていかなければならないと思っておりますが、十二月一日以前は、やはり国土利用計画法の対象としては二千平米以上と、こういうことでございましたので、その届け出の対象以外については私どもは知り得る立場にないということでございます。地価の動向の方は、地価調査あるいは公示価格等によって把握しているわけでございます。
  272. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 どうも実態を余りリアルにつかんでおられないようでありますけれども、そうであるから、さっき言いました規制の対象面積をどうするかということについて、非常に甘い認識になるんじゃないかというふうに思うんでありますが、こういう実態の中で私は一つの重大な問題を指摘したいんであります。  建設省、昭和五十七年九月までは昭苑興業、以降昭苑都市開発株式会社と、こういう名前の会社、これは建設大臣認可の宅建免許業者だと思いますが、その代表取締役は兵頭宣昭さん、間違いありませんね。
  273. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 兵頭宣昭さんでございます。
  274. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 この兵頭宣昭さんは、中曽根内閣の一期目、昭和五十九年の暮れに中西一郎さんが特命大臣をなさっている、あのときの私的諮問機関、危機管理問題懇談会がつくられたときに、都市問題等専門部会の座長を務めた人であります。また、兵頭さんは中曽根首相の政治団体、山王経済研究会のメンバーでありまして、極めて総理に近い系列の不動産会社であります。現に山王経済研究会の一人として、中曽根さんと一緒にゴルフをしているところがフォーカスのことしの九月五日号、ここにこういった写真が出ているのでございまして、このページの上段見出しは、「ダウト疑惑」であります。疑いありということでここに一緒にゴルフのメンバーの写真に写っているということであります。そういう人物であります。  自治省、兵頭さんの関係の政治献金はどうなっているんでしょうか。
  275. 中地洌

    説明員(中地洌君) 山王経済研究会に対する献金のことでございますけれども、自治大臣に提出されました同研究会の収支報告書につきまして、五十三年分から五十七年分につきましては官報によりまして、それから五十八年、九年につきましては収支報告書について調べたわけでございますけれども、兵頭宣昭氏につきましては寄附がなされたという記載がございません。
  276. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 代表取締役を務める会社としてはどうでしょうか。
  277. 中地洌

    説明員(中地洌君) 先ほど御指摘の昭苑都市開発株式会社、これは五十七年までは昭苑興業でございましたが、これにつきまして山王経済研究会の収支報告書を調べましたところ、五十三年に百十万円、五十四年に百二十万円、それから五十五年には百三十万円の寄附がなされたという記載がございます。
  278. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 朋友会は。
  279. 中地洌

    説明員(中地洌君) 朋友会についてでございますが、同様に自治大臣に提出されました収支報告書につきまして五十三年分から五十七年分につきましては官報、それから五十八年、五十九年につきましては収支報告書によって調べましたところ、昭苑興業につきましては五十四年に百五十万円の寄附があったという記載がございます。
  280. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 今言われました数字はそのとおりでありますけれども、五十七年はなしというお答えでありますけれども、私が確かな筋で調べているところでは山王経済研究会五十七年百四十万、承知をしていますので、さらにもう少し詳細な調査をお願いいたしたいと思います。  重大なことはこのようにいわば首相系列の不動産会社が汐留の再開発を当て込む形の激しい地上げ競争に割り込んで、地価つり上げの重要な役割を果たしているということであります。私はこの土地の謄本もここに持っているわけでありますけれども、東新橋二丁目十五番地八と十二、合計百一一・八六平方メートル、これを三月十三日に買収して、従来から話をしていた地上げ屋がまとめかけたときに突然昭苑都市開発が入ってきて、相場の二倍近い二千万円で「逆転サヨナラ本塁打」となったという報道になっています。これを拠点にしてさらに隣接の約二百平方メートルの地上権も手に入れた模様であります。  国土庁、こうしたやり方こそ具体的に地価つり上げの一つの元凶になっているというふうに大臣、国土庁長官お思いになりませんか、率直なところ。
  281. 田村嘉朗

    政府委員(田村嘉朗君) 先ほど申し上げましたように、投機的土地取引というものが地価高騰に拍車をかけているという面はあると思いますけれども、具体的な事実は承知しておりませんので、これ以上は申し上げられません。
  282. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 国土庁長官並びに建設大臣、特に両大臣に所見を求めたいと思いますが、今私がそういった政治献金の事実も含めまして、山王経済研究会といえば、例の西戸山開発のあれをめぐって名をはせた団体でありますけれども、そういった点で首相や政府首脳と特別の関係にあればどんな異常な手段での土地の買いあさりもまかり通るということになったら、これは国民にとって重大であります。こうした点で両大臣、一つは実態をよく調べていただくということ、それから地価高騰と異常なまでの土地の買いあさりがもしあるとすれば、そういうことに対してはきちんとメスを入れる方策を講じていただくということについて、この調査と方策、この点で両大臣の所見をお尋ねをしたいと思います。
  283. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) ただいまの内容ですが、土地のつり上げをするために破格な値段で買うという行為は今の社会ではやっぱりよくないことだと思いますが、これが法的解釈でどうなっているかという問題でないと、自由主義の国ですから、自由経済ですから、そこらあたりもうちょっと検討しなきゃ答弁はできないんじゃないかと思います。
  284. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 よく事実を調べてくださいね、大臣。
  285. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) それは調べます。
  286. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 よく事実を調べて、必要な場合には方策をとると。  国土庁長官、続いてどうでしょうか。
  287. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 厳正、公正に土地政策を進めてまいります。
  288. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 時間ですので、これで終わります。
  289. 井上孝

    井上孝君 きょう私は二番バッターの予定でありましたが、伺いますと国土庁長官はこれから東京都知事と重要な会合がありまして、伊豆大島の全島民帰還の日程等のお打ち合わせがあるということでございましたので、委員長、理事初め質問者の先生方に御無理をお願いして、私一番最後に回させていただきました。既に外は真っ暗でございますし、建設大臣もお年のせいでお疲れのようでございますから、持ち時間一時間ありますけれども、なるべく早目に切り上げたいと思います。  総合経済対策について御質問申し上げたいんですが、ことしの九月十九日に総合経済対策が政府で決定になりました。これは言うまでもなく昨年秋以来の急激な円高、それに伴う輸出産業を中心とした不況、こういうものを克服するということが目的でございますし、また七月に行われました衆参同日選挙におきまして自由民主党が公約として、具体的には三兆円規模の公共投資の追加補正を行うということを選挙に際して公約として実行するためにこの総合経済対策が九月に策定されたものでございます。これは御記憶と思いますけれども、今年度の我が国のGNPを一%押し上げるということが内容で、目標であったわけでございますが、結果として発表されました内容はいささか羊頭狗肉の感があると言わざるを得ないと思います。すなわち三兆円という追加補正の内訳、これは住宅金融公庫の貸付枠三万戸七千億円の追加、それから地方単独事業、県及び市町村の単独事業の追加八千億円、合わせて一兆五千億円、三兆円の半分がこういう財投資金、金融公庫は財投資金でありますし、地方債も財投資金でございますが、こういったものの追加であります。住宅金融公庫は後年度利子補給という国費の支出が伴いますけれども、とりあえずことしは国費は要らないというような内容でございまして、いずれも個人が金融公庫の金を借りに来てくれるか、あるいは府県の知事さんあるいは市町村長さんたちが地方単独事業を計上してくれるかどうか、いわばあなた任せの投資でございます。果たして年度末までに内需の拡大にこういったものが本当に寄与するのかどうかということは結果を見なきゃわからぬというような内容だと思います。こういった代物が三兆円の半分を占めるということであります。  それから残りの半分は、申すまでもなく国や国の機関がみずから実施する仕事であります。しかしその内容が公団関係がやるのが一千億、残り一兆四千億が公共事業でありますが、一兆四千億のうち五千五百億がことしの災害復旧に要する費用、これを除きますと残り八千五百億円、これが一般公共事業として補正予算に計上されましたが、この中身がまたほとんどが国庫債務負担行為、七千億が国庫債務負担行為であります。わずかに千五百億円が六十一年度年度内に完成する事業ということでありまして、七千億円の国庫債務負担行為のうち六十一年度内支払い費用というのはわずかに九百二十億、残り六千八十億が来年度予算の前倒しあるいは契約だけ、こういう中身であります。いわば水膨れ、空気膨れというような中身でございまして、本当に実のないものと言わざるを得ない。わずかに千三百三十億円という建設国債の増発によって一般公共事業費を増加させたというのは、これは実は八年ぶりでありますからこの点は評価すべきだと思いますけれども、ほとんどが国庫債務負担行為という来年度予算を当てにしたものであるということは非常に遺憾な内容であるというふうに思います。  このことは建設大臣も十分御認識だと思います。総合経済対策を策定するいろんな閣議その他の段階あるいは補正予算をお決めになる政府のいろんな会合で、建設大臣がこの中身が余りにも実のないものじゃないかということを再三にわたって御発言になったということは私も承知いたしております。しかし決定いたしました以上は、この六十二年度予算の前倒しが大部分というようなこの公共事業費で、政府の目指す内需拡大というものを実現していかなきゃならない、これは非常に至難のわざだと思います。また成立そのものが十一月の半ばにずれ込むというように予定より非常におくれました。こういう補正予算を今執行しておられるわけでございますが、このいわば水膨れのような補正予算で本当に内需の拡大を実現するためにいろいろと建設大臣としては工夫もなさったしまたいろいろと御決意もあろうと思いますが、その点について大臣の御所見をまず同わしていただきたいと思います。
  290. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 百も承知の上の質問のようですが、(「そんなことを言ったら身もふたもない」と呼ぶ者あり)本当に身もふたもない予算の内容であったと、当初私はそう承知いたしております。  問題は、中曽根総理が国会答弁をしておる今年度の経済成長率四%に近づけるためにはどうするかという根本問題が一番大切であるということを私は主張したんですが、どうやらまるで全然受け答えがないまま進んでおるわけでありますが、せっかく組んだ予算が袋は立派に追加補正予算だが中身が空では仕事にならないのでありまして、そういう観点で余り格好のいい話ではないんですけれども、嫌みを随分並べながら今の予算に持ってきたわけであります。  問題は七千億の中身の問題でありますが、五千五百億は災害ですからあと千五百億は今年度中に全部完了できるだけの金があるわけでありますから、残りが債務負担行為になります。いわゆる来年度支払いになるわけでありますが、そのうち四千億は一応契約金を確保したわけでありますから、これは業界にとりましては金が出るのは来年度になりますが、契約金が四割出ますから、あとは金融機関がこのものに対しては十分融資をいたしますから、わずかな期間ですから、金利もありますけれどもこれは仕事の量ができぐあいによって何%いくかという問題でございまして、もう一つの三千億のゼロ国債というのは一銭も年内に金の出ない中身でございます。それで、私はこれを全部やっぱり執行をさせたいと思いました。そこで、時期が非常に悪くて今ようやく本当の契約を始めた段階であると思います。これは国会を通りましても県議会が、市町村議会が通らないとこれ始末に負えないものですから、ようやくこれが今そろそろここ四、五日間で全部終わるんじゃないかと思うんですが、早いのはもうとうに終わっております。これらのものに対しては建設省の方針としては十二月いっぱいに全部の契約を完了すると、これは一応全部完了をする、そうして可能な範囲内において工事を進めていただきたい。そして、いわゆる積寒地帯、北海道なんかは御存じのようにこの補正予算を組む最大の目的である、いわゆる内需拡大政策をとらなければならない地点でございます。そういう影響の多い地点に対しては傾斜配分をして、そうして積寒地帯に対しては、雪ですから、工事のできる仕事、可能性のある仕事をできるだけ多く、事務当局には非常に御迷惑をかけたんでありますが、例えば隧道とかあるいは橋梁とかあるいは河川といったようなものに積寒地帯の方は力を入れてやるようにいたしました。  そこで、その問題のゼロ国債と称する三千億の問題でありますが、これを借りるのには、なかなか力のない業者は金融機関から着工資金を借りられません、一〇〇%来年度支払いでありますから。そこで、まず保証をして金融機関から金を借りる、その保証料は全額政府が負担する。そして来年度工事が完成して金が支払われる段階までの間の金利は政府が負担するという手段を最終の段階まで悪戦苦闘したんでありますが、それができることになりました。そこで今は執行させるのみということでございまして、お正月前に全額全部の契約を執行しまして、あとの三カ月間でどの程度仕上がるか、まあできれば八五%以上仕上がってもらえば随分経済成長には役立つんじゃないか。それにしたって大したことはないんですから、一%以内ですから。大したことはないんですよ。それでも相当役に立つのではないかというような考え方で予算執行をいたしました。先生たち各位もひとつ地元にお帰りの節は、業者が請け負った仕事は完全に早く仕上げるようにひとつ督励をしていただければ、これはありがたい幸せであります。
  291. 井上孝

    井上孝君 事務当局よりも詳しい御答弁をいただきまして大変恐縮でございます。ただ少しアバウトでございましたので官房長に聞きますが、今の七千億というのはほとんど大部分が予算なしで契約するわけであります。支払いは六十二年度、すなわち来年の四月以降になるわけでありまして、大臣はそれまでに八五%ぐらい仕上げてしまう、出来高を上げたい、こうおっしゃっていますが、支払いまでの金利の問題とかあるいは銀行から金を借りてくるときの保証の問題、そういうものを具体的に事務的にどういうふうにしておられるのか簡単に御説明願いたいと思います。
  292. 高橋進

    政府委員(高橋進君) 基本は今大臣がお答えしたところに尽きておるわけでございますが、いわゆるゼロ国債につきましては現金が出ないものですから、これを出来高を上げてもらうためには金融機関から業者の方で借りなきゃならぬということでございます。それに対する金利負担が当然生ずるわけでございますが、それの金利負担分につきましては工事費の積算の中に見込みましてその分を見るということ、また先ほど大臣が申し上げましたように、金融機関から金を借ります場合に建設業の保証会社が保証をいたすことにいたしまして、その保証料を支払わなければならないわけでございますが、その保証料の分につきましても積算の根拠に入れるということにいたしまして、出来高ができるだけ実現するようにしているところでございます。
  293. 井上孝

    井上孝君 わかりました。  今おっしゃるようなことをやりますと、予算に計上していない仕事が、まあ債務負担行為では通っているけれども、ゼロ国債というようなものが今年度中に物ができ上がっていく、ある程度、そういうような実態になるわけでありますが、まあ結果は会計検査院検査を受けなきゃならない。検査院というのは年度末完成しろとかあるいは繰越手続をきちっとしろとか非常にやかましいところであります。これは決算委員会でありますから特に申し上げておきますが、抜かりなく会計検査院との横の連絡をとって、いやしくも現場が検査を受けたらおかしなことになったというようなことにならないようによろしくお願いをしたいと思います。  それから、円高不況地域に重点的に配分するというようなこと、あるいは積寒地域にこれから雪が降る時期に来ますから、事業執行にいろいろと気を使っておるということは先ほど大臣から御答弁ございましたので、この点は質問通告しておきましたが省略をいたします。  先ほどの総合経済対策で非常に大きく計上されました住宅金融公庫の融資、これが三兆円のうち七千億もあります。昨年も年末近くの内需拡大対策として二万戸、五千億だったと思いますが追加が行われました。その実績はどうだったか、それからことしの三万戸、七千億というのが果たして年度内に消化できるのか、その辺の見通しを住宅局長からお伺いしたい。
  294. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 昨年度に追加計上いたしました二万戸、五千億につきましては特別割り増し貸付制度を創設いたしましたので、その効果もありまして申し込みが計画に比しまして二万戸の増と、こういうことでありまして、六十年度におきます個人住宅の貸付実績、追加後の個人住宅事業計画三十八万戸を上回ります三十八万五百九十九戸となっております。また、住宅投資の増の方も約五千四百億円とこれは試算されておりますので、計画の五千億は上回っているということで達成をされていると考えております。  また、本年の九月に追加計上いたしました三万戸、七千億につきましては、この追加の着実な達成を図りますために特別割り増し貸付額の増枠等の条件改善を大きく行いまして、さらに募集時期を繰り上げる、一月繰り上げておりますが、さらに募集の期間を十日ばかりまたふやす、こういう措置を行っているところであります。ちなみに本年度の第三回の募集の申し込みの実績が追加後の計画戸数七万五千戸を上回ります八万一千戸となっておりますので、現在のところおおむね順調に推移していると考えております。
  295. 井上孝

    井上孝君 ありがとうございました。  同じく総合経済対策で八千億の地方単独事業を見込んでおります。たしか去年も地方単独事業八千億を見込みました。先ほど申し上げたように、これは市町村長や知事さんがそれぞれの県や市町村の事情で地方単独事業を増加する、それを集計するというようなことになるわけでありますが、昨年の実績、それからことしの八千億が実施可能かどうか、自治省としての御報告をお願いしたいと思います。
  296. 柿本善也

    説明員(柿本善也君) お答えいたします。  まず、六十年度における地方単独事業の追加額の実績ですが、我々の推計では一兆円強に、予想を上回る見込みを上げたと考えております。それから本年度、六十一年の場合の八千穂でございますが、総合経済対策におきまして地方団体に追加を八千億要請したわけでございますが、この八千億の額を決めます際には都道府県の意向もある程度把握した上で見込みを立てた次第でございまして、地方団体が総合経済対策の趣旨に沿って積極的に対応していただければ八千億程度の追加補正は可能であると見込んでおります。
  297. 井上孝

    井上孝君 地方単独事業、特に不況な地域の地方公共団体は非常に税収も落ち込んでいるしふやそうにもふやしにくい。一方、大都市とか大都市周辺の団体では財政力が豊かでありますから地方単独がふえるというようなことになりますと、総合経済対策の趣旨をせっかく八千億とか一兆円とかふえても決して満足に達成したとは言えないわけでありますが、この辺の地域配分はどういうふうになっておりますかお尋ねいたします。
  298. 柿本善也

    説明員(柿本善也君) まず、公共事業の追加分については、地方負担の増につきましてはその裏を地方債で全額補てんするということにしておりまして、必要に応じましてそのうちの一部を交付税で算入する措置を講じておりますのでこれにつきましては事業の消化に支障を生ずることはないと考えております。それから単独事業につきましては、これは単独事業の性格上配分するという形にはなりませんので、それぞれの団体の判断で追加補正していただくわけですが、できるだけそれにつきましては個別に財政事情をよくお伺いして相談に応ずるという形で支障のないように対応してまいりたい、このように考えております。
  299. 井上孝

    井上孝君 この総合経済対策は円高不況の克服という大きな目的のためにやっておるわけでありますから、どうか自治省におかれましてもその目的が達成できるように地方単独事業その他十分な配慮をお願いしたいと思います。  本年度昭和六十一年度は円高不況対策のためでありますが、大幅な前倒しをやりました。かつてないような上半期七七・四を目標にして実績は七七・五とほぼ予定どおりの前倒しをやった。しかも後半で水膨れとはいいながら大きな契約をしなきゃならぬという補正予算が編成されました。私も全国あちらこちらに行っておりますが、建設省の出先機関あるいは府県の土木部、こういうところは相当仕事量がふえたといいますか増加がありました。非常に忙しい思いをしているようであります、事業費そのものはふえておらぬのですけれども、急げ急げということで。しかも一方では厳しい定員削減を食らって非常に現場の人たち、第一線の人たちが苦労しているようであります。現場の執行体制に無理がないか、ひとつ建設省の立場で官房長お答え願いたいと思います。
  300. 高橋進

    政府委員(高橋進君) 今、先生から御指摘のあったような事情でもって相当程度業務量の増加が現場で生じております。そういう意味で、建設省の場合地方建設局になりますが、そういった職員の人たちに負担をかけていることは事実でございます。基本的に建設省、一人一人が仕事の重要性ということを深く認識しまして頑張ってやっているわけでございますが、同時に仕事のやり方そのものも、いろいろ前から進めておりますが、合理的なものにして、できるだけそのむだを省くということ、また一方職員の健康管理、特に健康管理等につきましてもそれぞれの管理者がいろいろ意を用いてやるように指示しております。そういうことによりまして何とか円滑な事業執行を果たしたいというふうに考えております。
  301. 井上孝

    井上孝君 同じような問題ですが、河川局長にお尋ねしますが、今度の補正予算で五千五百億も災害復旧費を計上した。これは今年度災害をこうむった地域、非常に限定されておりますが、その地域の復旧費を初年度に八五%も計上した。普通の年度ですとたしか補助事業は初年度三〇%、直轄事業でも五〇%、これが標準の計上の仕方ですが、補正予算で八五%も当年災で追加をした。これは再度災害を防ぐために災害復旧を急ぐという趣旨はわかるんです。これはわかるんですが、災害復旧なら建設国債が発行できる。一般公共事業にはなかなか建設国債は渋って発行しないという東京の論理といいますか、はっきり言えば大蔵省の論理、これから出てきているものだと思います。それで、聞いてみますと、台風十号で災害を受けたようなところはそれは歯を食いしばって徹夜をしてでも設計に取り組んでいる。また建設省の災害査定官もいち早く行ってなるべく早く査定をして災害復旧の方針を決めてあげる、こういう努力は随分しておられます。その点は敬服するわけですけれども、八五%というとほとんどですからね。災害復旧なら建設国債が自由に、自由にというとおかしいですが、建設国債発行の理屈が立つというようなことだけでこういうふうに災害復旧をどんどん進捗させる。能力の範囲内であればいいですけれども、現場の能力を超えて仕事をやらせるというようなことになりますとケアレスミスで疎漏工事ができたり、積算ミスができたり、五十九年度にも大きなものを、営繕ですが指摘を受けておりますが、そういうようなことがあっちゃ大変です。またこの決算委員会でも問題になります。そういうことになりますと現場が非常にかわいそうだと私は思いますので、無理な予算づけをした建設本省に責任があると言ってもやっぱりやられるのは現場ですから、こういった点について河川局長の率直な御見解を伺いたいと思います。
  302. 廣瀬利雄

    政府委員(廣瀬利雄君) 率直な意見ということでございますので率直に申し上げさせていただきますと、大変厳しい数字でございます。しかしながら一面いろいろ見てまいりますと、非常にラッキーな点と、それからいろいろ我々工夫を凝らした点とがございます。ラッキーな点は、今回の災害が関東から北の方に非常に集中して発生いたしましたので、私たちはその執行が冬期にわたりますと非常に難渋をいたしますので、できるだけ早く査定を終えて仕事を発注させるべきではないかというようなことで、先生も触れられましたけれども、早期に災害査定をすることを心がけました。  それから、第二番目の工夫の点でございますけれども、今回の災害が非常に偏っておりましたので、地建の中におりましては地建の中のいろいろの体制を応援をさせたり、あるいはプロジェクトチームをつくってその体制を集中させたり、あるいは県で申し上げますと、ほかの災害の少なかった地方から応援をさせるとか、いろいろの工夫をいたしまして、その体制を組んだ点がございます。  それから先ほど、発生したのが八月の台風でございましたので、その予算づけの前に年度内に発注可能である仕事はどれかということを十分事前に把握することができましたので、先生おっしゃったように、我々使命感に燃えまして災害復旧をやらなければならないというようなことで、現場の連中一生懸命やっておりますので、そういうものが両々相まちまして八五%という、私どもから見れば驚異的なと言っていい数字と思いますが、それを現在目標に掲げて日夜奮励努力をしているというのが実態でございます。
  303. 井上孝

    井上孝君 以上、補正予算について相当に無理があるということを私はるる言いましたが、きょうは実は大蔵省も呼んでこの実態を聞きたいし、大蔵省の方にも質問したかったんですが、もう予算を控えて非常に忙しいだろうと思いますが、兵藤さん、お聞きになっていたはずですから、主計局長や次長によく伝えておいてください。  それでは補正予算は以上にしまして、最後に公共事業の前払い金制度についてお尋ねしたいと思います。  前払い金制度は、たしか昭和二十七年に始められたと思います。当時はやはり資材が手に入りにくい、あるいはインフレが進行しているというような経済環境がございましたんで、この前払い制度が非常に必要であったということでできたと思います。うっかりすると、受注してすぐ資材の手配をしませんと、後で手配すると大きく積算より値上がりしているというような状態もあったわけで、こういう前払い金ができたわけであります。前払い金がなければよほど資金力のある業者でなければ満足な仕事ができないし、当然もうけも少なくなる、こういうようなことでできたと思います。  しかし、今では銀行には金があり余っておる。それから資材の値上がりもほとんどない。こういうように経済情勢が非常に変わってきております。したがって、私もちょっと耳にしたんですが、ごく一部の人から建設業の前払い金制度を見直してはどうだというような御意見も耳にしたことがあります。これは某自民党首脳も言ったわけでありますが、皆さん方も耳に入ったと思いますけれども、三十年以上こうして前払い金制度が定着をしてきたわけでありますし、今日では創設をした当時の前払い金制度のメリットというか趣旨というか、これが相当変わってきておるんじゃないか。今では別の意味メリットも随分あるんじゃないかというふうに私は考えておりますが、建設省のこれに対する認識をお伺いをしたいと思います。特に、その批判的な御意見の中には、前払い金をしないで市中銀行から借りさせれば、銀行が怪しい業者には貸さないから不良業者を淘汰するのに役立つんじゃないかと、むしろ前払い金より。そういうようなことを言っておる人もおるやに聞いておりますが、今申しましたように、この問題に関する建設省の見解をお伺いしたいと思います。
  304. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) いろいろとおただしがございましたが、まず先生もよく御承知のように、建設工事は着工に際しまして多額の資金を必要といたしますが、今いろいろ御指摘がございましたが、一般的に業者の自己資本というのは小さく、それで、担保になり得る資産も乏しいという点がございます。ですから、どうしても建設業界というのは資金調達力が弱いという特性がございます。  そこで、発注者の方から前払いを受けることによりまして、工事資金の円滑な調達が可能になって、そのことは工事の資機材の迅速かつ確実な手配ができる、あるいは下請業者、労働者の方に対しても適時的確に支払いが確保できるということで、私どもは、この前金払い制度といいますのは、今現在でも建設工事の適正な施工の確保と、また建設業の健全な発展を図る上で極めて重要な役割を果たしていると思います。  なお、途中少し意味も変わってきているのではないかというおただしでございましたが、私ども実は四十七年度から中間前金払い制度というものを採用しております。これを中間でまた例えば当初四割やって、中間前金払いで二割やるというような制度でございますが、これをやりますと、従来一応工事ができましたと業者の方から申告をして、発注者の方が既済部分を検査をしてお支払いになるということでございましたが、そういう検査事務等が不要になります。またそのことは、場合によっては変更設計書の作成なり変更契約書の作成も不要になるというふうなことで、発注の側にとっても事務の大幅な簡素化、省力化が可能となります。以上でございますが、やはり何といいましても、円滑な資金調達ができるということで、工事そのものの計画的かつ的確な施工が確保されますし、事業の促進も図れるわけでございますので、私どもは今もって必要不可欠な制度だと思っております。  さらに場合によると、この前払い制度があるので、不良業者が淘汰されないという声もあるようだがという御指摘でございますが、理由は今申し上げましたが、結論として私はそんなことはないと信じております。といいますのは、この前払い制度で、受注者が前金をいただく場合には、保証事業会社の保証というものが必要でございます。保証事業会社は、当然事故が起これば自分が払うわけでございますから、保証契約締結に際しまして、その当該業者の施工能力なり経営状況を事前に十分にチェックをいたしまして、どうもこれが安全に確実に工事をする見込みがない業者であるかもしらぬ、あるいはダンビングで受注をしたというふうな場合には保証を拒否するということになっておりますので、この段階でまず業者は厳重にチェックをされるわけでございまして、不良業者が排除される仕組みになっております。  それから、現実に前金が払われますと、それは金融機関に預託されるわけでございますが、それを今度は、支払い明細書に基づきまして各業者は、その請求書なりあるいは実際に支払ったと、下請等が、そういう明細書を使って初めて自分がお金をおろして使えることになるわけでございます。そういう場合の適正に使用されているかどうかも保証事業会社が厳重にチェックをしております。いわば制度的にそういうことが担保をされているわけでございます。むしろ私は、若干開き直ったようでございますが、そういう制度的な仕組みを考えますと、この前金払い制度が不良あるいは不適格業者の排除にとって意味のある制度になっておるのではないかというふうに考えております。  なお、不良、不適格業者がそれでもおるぞと、これを排除すべきという御議論も確かにございます。この点につきましては、私どもも例えば技術者を二重に使う名義借りと申しますか、あるいは悪い言葉ですが、工事代金のピンはねとかあるいは手抜き工事とか、そういうことをやる不良、不適格業者がいるという御指摘もございますが、この点につきましても、私どもも例えば六十二年度から、建設業者というのは五十二万ほどおりまして、大臣と各県知事が許可をしておりますが、その情報交換が残念ながら今まで余り的確に行われておりませんが、大臣それから全知事が力を合わせまして、遅きに失しましたかもしれませんが、OA制度であらゆる情報をインプットして相互にすぐ直ちにわかるようにするということで、そういう名板賃しみたいなものはチェックしよう。あるいはさらに現在中央建設審議会で御審議を鋭意いただいておりますが、建設業者の施工能力を確保するための技術者要件の適正化、許可基準の適正化、そのようなものも御答申をいただけば、必要があれば立法化したいと思いますが、そのようなことで不良不適格業者は、これは断古排除するような施策を進めたいと考えております。
  305. 井上孝

    井上孝君 今の牧野局長答弁の中に出てきたように、建設業者の数は今許可を受けたのが五十二万、私ども大蔵省へ行ったり党の三役に折衝したりして公共事業の拡大を一生懸命やるわけですが、二言目に出てくるのは五十二万もいる建設業者の面倒が見れるかと、五十二万といったらたばこ屋が全国で二十六万、それの倍もあるんだと、こういうことをよく言われるんですよ。だから、この五十二万というのが非常に誤解を生んでおるというふうに思います。公共事業仕事をしている業者というのは一体何社あるんですか。私はこの一割ぐらいじゃないかと思いますが、御答弁願います。
  306. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 本年の三月三十一日現在で先ほど申し上げましたように大臣と知事がそれぞれ許可をいたしますが、その業者数は五十一万七千百八十六でございます。そこでアバウト五十二万と申し上げたわけでございます。そのうち先生おただしの、その公共工事を施工する業者というのは残念ながら適確に業者数を把握しているというわけではございませんが、先ほどもお話し申し上げましたほとんどの業者は公共工事を受注すれば先ほどの前払い金をもらうわけでございます。そこで、一つの推測資料として、しからば前払い保証会社で前払いの保証を受けた業者数というふうな観点で調べてみましたところ、六十年度で五万四千六百三十三社、前年度五十九年度では五万二千八百十九社でございます。ということでございますから、やはり年間五万五千内外ぐらいの業者の方が公共工事を受注しているのではないかというふうに推測しております。
  307. 井上孝

    井上孝君 わかりました。  それで、ただこの五十二万が減らないで年々ふえているんですね。しかもさっき言ったように五十二万を公共事業が養っているのだというふうな大変な誤解を受けている。この中には大工さんも業者として登録を受けているようだし、植木屋さんも入っている、ペンキ屋さんも入っているというふうに私は聞いておりますけれども、この辺ひとつ公共事業で面倒を見ているといいますか、公共事業にかかわっている業者は五万ですか、そのくらいなんだと、決してふえてはおらぬということ、たばこ屋の二倍も養っているわけじゃないんだということをひとつ十分、あなた目も大きいが声も大きいようだから、担当局長として大いに世間にPRをして誤解を解いていただきたいと思います。  以上で終わります。
  308. 菅野久光

    委員長菅野久光君) 他に御発言もないようですから、建設省、北海道開発庁、沖縄開発庁、国土庁、住宅金融公庫北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫の決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十四分散会